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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-14
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/12 20060101AFI20230407BHJP
【FI】
C08J3/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552346
(86)(22)【出願日】2021-12-23
(85)【翻訳文提出日】2022-08-30
(86)【国際出願番号】 KR2021019711
(87)【国際公開番号】W WO2022139505
(87)【国際公開日】2022-06-30
(31)【優先権主張番号】10-2020-0183356
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0185042
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン・ス・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヒチャン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ギチョル・キム
【テーマコード(参考)】
4F070
【Fターム(参考)】
4F070AA29
4F070AB13
4F070DA42
4F070DA44
4F070DA48
4F070DB06
4F070DB09
4F070DC06
4F070DC07
(57)【要約】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関する。より詳しくは、圧搾微粉再造粒体に対する造粒強度制御を通じて乾燥効率を向上させ、再微粉発生率を減少させ、最終製造される高吸水性樹脂の吸水性能、特に加圧吸水能と透過率を同時に向上させることができる高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体、および重合開始剤を含む単量体組成物を重合反応させて含水ゲル重合体を製造する段階;
前記含水ゲル重合体を乾燥および粉砕した後、150μm未満の粒子大きさを有する微粉および150~850μmの粒子大きさを有する正常粒子に分級する段階;
前記微粉を水およびポリカルボン酸系共重合体と混合し、再造粒して微粉再造粒体を製造する段階;
前記微粉再造粒体に水を投入しながら圧搾した後、乾燥、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階;および
前記圧搾微粉再造粒体を前記正常粒子と混合した後、表面架橋剤を投入して表面架橋反応させる段階;を含み、
前記微粉再造粒体の製造時、前記微粉100重量部に対して30~80重量部の水を使用し、
前記圧搾微粉再造粒体の製造時、前記微粉再造粒体100重量部に対して15~30重量部の水を使用する、
高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記微粉再造粒体の製造および圧搾微粉再造粒体の製造時に投入される水の総量が、前記微粉再造粒体の製造時に使用される微粉の総重量より小さい、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記ポリカルボン酸系共重合体は、下記化学式1-aで表される繰り返し単位および化学式1-bで表される繰り返し単位のうちの1以上を含む共重合体である、請求項1または2に記載の高吸水性樹脂の製造方法:
【化1】
上記化学式1-aおよび1-b中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1~6のアルキル基であり、
ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、
は、水素または1価金属または非金属イオンであり、
Xは、-COO-、炭素数1~5のアルキルオキシ基または炭素数1~5のアルキルジオキシ基であり、
mは、1~100の整数であり、
nは、1~1000の整数であり、
pは、1~150の整数であり、前記pが2以上である場合、二つ以上繰り返される-RO-は互いに同一であるか異なる。
【請求項4】
前記ポリカルボン酸系共重合体は、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート由来繰り返し単位および(メタ)アクリル酸由来繰り返し単位を含む共重合体である、請求項1から3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記ポリカルボン酸系共重合体は、重量平均分子量が500~1,000,000g/molである、請求項1から4のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記ポリカルボン酸系共重合体は、前記微粉100重量部に対して0.01~5重量部で添加される、請求項1から5のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記微粉再造粒体の製造時、前記微粉と水およびポリカルボン酸系共重合体の混合は300~2000rpmの混合速度で行われる、請求項1から6のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記圧搾は、吐出口のホール直径が10~20mmである押出機を用いて80~150rpmの速度で行われる、請求項1から7のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記圧搾微粉再造粒体の製造時、乾燥は、120~220℃の温度で30分~120分間行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記圧搾微粉再造粒体の製造時、150μm未満の粒子大きさを有する再微粉の発生量が前記圧搾微粉再造粒体総重量に対して20重量%以下である、請求項1から9のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記圧搾微粉再造粒体は、下記a1)~a3)の条件を充足する、請求項1から10のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法:
a1)含水率:圧搾微粉再造粒体の総重量に対して1~5重量%
a2)EDANA法 WSP 241.3によって測定した遠心分離保水能:30~50g/g、および
a3)JIS K 7224による吸水速度:30~50秒。
【請求項12】
前記圧搾微粉再造粒体と正常粒子は10:90~90:10の重量比で混合される、請求項1から11のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項13】
前記高吸水性樹脂は、下記b1)~b4)の条件を充足する、請求項1から12のいずれか一項に記載の製造方法:
b1)EDANA法 WSP 241.3によって測定した遠心分離保水能:30~40g/g、
b2)EDANA WSP 242.3の方法によって測定した、高吸水性樹脂の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対する0.7psi下で1時間の加圧吸水能:17~25g/g、
b3)透過率:20~400秒、および
b4)JIS K 7224による吸水速度:40~60秒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2020年12月24日付韓国特許出願第10-2020-0183356号および2021年12月22日付韓国特許出願第10-2021-0185042号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関する。より詳しくは、圧搾微粉再造粒体に対する造粒強度制御を通じて乾燥効率を向上させ、再微粉発生率を減少させ、最終製造される高吸水性樹脂の吸水性能、特に加圧吸水能と透過率を同時に向上させることができる高吸水性樹脂の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは自重の5百~1千倍程度の水分を吸収することができる機能を有する合成高分子物質であって、生理用品として実用化され始めて、現在は子供用紙おむつなど衛生用品以外に、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野における鮮度保持剤、および湿布用などの材料として広く使用されている。
【0004】
このような高吸水性樹脂の吸水メカニズムは、高分子電解質の電荷が示す電気的吸引力の差による浸透圧、水と高分子電解質の間の親和力、高分子電解質イオンの間の反発力による分子膨張および架橋結合による膨張抑制の相互作用によって支配される。即ち、高吸水性樹脂の吸水性は前述の親和力と分子膨張に依存し、吸水速度は吸水性高分子自体の浸透圧に大きく左右されるのである。
【0005】
一方、高吸水性樹脂の製造過程で不可避的に生成される150μm以下の粒子大きさを有する粒子を微粉(fines)と呼び、高吸水性樹脂の製造過程中の粉砕または移送過程で約20~30%の比率で微粉が発生することが知られている。高吸水性樹脂にこのような微粉が含まれる場合、高吸水性樹脂の主要物性が加圧吸水能または透水性の減少を引き起こすことがある。そのため、高吸水性樹脂の製造過程のうち、特に分級過程ではこのような微粉を分離して残りの高分子粒子のみから高吸水性樹脂を製造するようになる。
【0006】
前記高吸水性樹脂の製造過程で分離された微粉は、再造粒工程を通じて再び大きな粒子に再造粒した後、高吸水性樹脂に製造および使用する方法が知られている。このような再造粒方法の一つとして、前記微粉を水と混合して凝集させる方法がある。
【0007】
しかし、このような微粉の再造粒過程で水の使用量が増加するほど微粉再造粒体の造粒強度は優れるが、過量の水が使用される場合、微粉再造粒体に対する乾燥工程時のエネルギーの使用量が増加し、これによる工程費用が増加する。また、乾燥工程で微粉再造粒体内の水分を十分に除去されない場合には高吸水性樹脂製造のための装置の負荷を増加させるなどの問題が発生することがある。
【0008】
逆に、再造粒過程で水の使用量を減少させる場合、再造粒体内含水率が低くて凝集強度が低下し、結果として再造粒がよく行われず再び微粉に還元される再微粉量が増加するようになる。また、再造粒工程によって製造された高吸水性樹脂の吸水能など物性が充分でなくなる問題がある。よって、低含水率の微粉再造粒体に対しては追加の圧搾工程遂行を通じて造粒強度を向上させ、再微粉発生量を減少させる方法が実施されている。
【0009】
これにより、前述の問題を解決することができる微粉再造粒工程の開発が継続的に要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
よって、本発明では、圧搾微粉再造粒体に対する造粒強度制御を通じて、再造粒体の乾燥効率を向上させ、再微粉発生率を減少させ、最終製造される高吸水性樹脂の吸水性能、特に加圧吸水能と透過率を同時に向上させることができる高吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の一実施形態によれば、酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体、および重合開始剤を含む単量体組成物を重合反応させて含水ゲル重合体を製造する段階;前記含水ゲル重合体を乾燥および粉砕した後、150μm未満の粒子大きさを有する微粉と、150~850μmの粒子大きさを有する正常粒子に分級する段階;前記微粉を水およびポリカルボン酸系共重合体と混合し、再造粒して微粉再造粒体を製造する段階;前記微粉再造粒体に水を投入しながら圧搾した後、乾燥、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階;および前記圧搾微粉再造粒体を前記正常粒子と混合した後、表面架橋剤を投入して表面架橋反応させる段階;を含み、前記微粉再造粒体の製造時、前記微粉100重量部に対して30~80重量部の水を使用し、前記圧搾微粉再造粒体の製造時、前記微粉再造粒体100重量部に対して15~30重量部の水を使用する、高吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明による高吸水性樹脂の製造方法は、高吸水性樹脂製造過程で生成される圧搾微粉再造粒体に対する造粒強度制御を通じて、圧搾微粉再造粒体の乾燥効率を向上させ、再微粉発生率を減少させることができ、また最終製造される高吸水性樹脂の吸水性能、特に加圧吸水能と透過率を同時に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実験例1で、実施例1および比較例2での圧搾微粉再造粒体に対する乾燥工程時、時間の経過による含水率変化を観察したグラフである。
図2】実験例4で、実施例2で製造した圧搾微粉再造粒体を走査電子顕微鏡で観察した写真である。
図3】実験例4で、比較例3で製造した圧搾微粉再造粒体を走査電子顕微鏡で観察した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は実施された特徴、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0015】
発明は多様な変更を加えることができ様々な形態を有することができるので、特定実施形態を例示し下記で詳細に説明する。しかし、これは発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0016】
以下、発明の具体的な実施形態による高吸水性樹脂の製造方法についてより詳しく説明する。
【0017】
本明細書では一定の粒子大きさ以下、即ち、約150μm未満の粒子大きさを有する微粉粒子を高吸水性重合体微粉、SAP微粉または微粉(fines、fine powder)と称し、粒子大きさが150~850μmである粒子を正常粒子と称する。前記微粉は、重合工程、乾燥工程または乾燥された重合体の粉砕段階の間に発生することがある。しかし、最終製品に微粉が含まれる場合、取り扱いが難しくてゲルブロッキング(gel blocking)現象を示すなど物性を低下させるため、最終樹脂製品に含まれないように排除するか正常粒子になるように再使用することが好ましい。一例として、前記微粉を正常粒子大きさになるように凝集させる再造粒過程を経ることができる。再造粒過程で一般に凝集強度を高めるために微粉粒子を湿潤状態で凝集させる再造粒工程を行う。この時、微粉の含水率が高いほど微粉の凝集強度が高まるが、再造粒工程時、過度に大きな再造粒体の塊りができて工程運転時に問題が発生することがある。また、微粉の含水率が低ければ、再造粒工程は容易であるが、凝集強度が低くて再造粒以後に再び微粉に破砕される場合が多い(再微粉化)。また、このように得られた微粉再造粒体は正常粒子より保水能(CRC)や透過率および加圧吸水能(AUP)などの物性が低下して高吸水性樹脂の品質下落をもたらすこともある。
【0018】
また、従来は微粉発生減少のためにポリエチレングリコールなどの添加剤を投入した。しかし、このような添加剤を使用して微粉再造粒体の製造時、通常、水投入量を減少させるようになり、これによって微粉再造粒体の造粒強度が過度に増加するようになるなどの問題があった。
【0019】
これに対して本発明者らの継続的な実験の結果、微粉再造粒体の製造時、ポリカルボン酸系共重合体を投入し、前記微粉再造粒体の製造後に微粉再造粒体に対して圧搾による圧搾微粉再造粒体の製造工程をさらに行い、また前記微粉再造粒体と圧搾微粉再造粒体の製造工程の間に投入される水の量を制御して製造される圧搾微粉再造粒体の造粒強度を制御することによって、後続の乾燥工程時乾燥効率を向上させることができ、再微粉発生率を減少させることができ、結果として最終製造される高吸水性樹脂の吸水性能、特に加圧吸水能と透過率を改善させることができることを確認した。
【0020】
したがって、発明の一実施形態によれば、多様な工程上の利点を有する微粉再造粒工程およびこれを適用した高吸水性樹脂の製造方法を提供することができ、また、これによって優れた物性を示す高吸水性樹脂を製造することができる。
【0021】
具体的に、発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法は、
酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体、および重合開始剤を含む単量体組成物を重合反応させて含水ゲル重合体を製造する段階(段階1);
前記含水ゲル重合体を乾燥および粉砕した後、150μm未満の粒子大きさを有する微粉と、150~850μmの粒子大きさを有する正常粒子に分級する段階(段階2);
前記微粉を水およびポリカルボン酸系共重合体と混合し、再造粒して微粉再造粒体を製造する段階(段階3);
前記微粉再造粒体に水を投入しながら圧搾した後、乾燥、粉砕および分級して、圧搾微粉再造粒体を製造する段階(段階4);および、
前記圧搾微粉再造粒体を前記正常粒子と混合した後、表面架橋剤を投入して表面架橋反応させる段階(段階5);を含み、
前記微粉再造粒体の製造時、前記微粉100重量部に対して30~80重量部の水を使用し、
前記圧搾微粉再造粒体の製造時、前記微粉再造粒体100重量部に対して15~30重量部の水を使用する。
【0022】
以下、各段階別により具体的に説明する。
【0023】
参考として、本明細書で「重合体」、または「高分子」は水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された状態であることを意味し、全ての水分含量範囲、全ての粒子大きさ範囲、全ての表面架橋状態または加工状態を包括することができる。前記重合体のうち、重合後乾燥前状態のものであって含水率(水分含量)が約40重量%以上の重合体を含水ゲル重合体と称することができる。
【0024】
また、「高吸水性樹脂」は文脈によって前記重合体自体を意味するか、または前記重合体に対して追加の工程、例えば表面架橋、微粉再造粒、乾燥、粉砕、分級などを経て製品化に適した状態としたものを全て包括するものとして使用される。
【0025】
発明の一実施形態による製造方法で、段階1は含水ゲル重合体を製造する段階である。
【0026】
前記含水ゲル重合体は具体的に酸性基を含み、前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体、および重合開始剤を含む単量体組成物を重合反応させることによって製造できる。
【0027】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、高吸水性樹脂の製造に通常使用される任意の単量体を特別な制限なく使用することができる。具体的に、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は酸性基を有し、前記酸性基のうちの少なくとも一部が中和剤によって中和されたものであってもよい。
【0028】
一例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体として、陰イオン性単量体とその塩、非イオン系親水性含有単量体およびアミノ基含有不飽和単量体およびその4級化物からなる群より選択されるいずれか一つ以上の単量体を使用することができる。
【0029】
具体的には、前記水溶性エチレン系不飽和単量体として、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の陰イオン性単量体とその塩;(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの非イオン系親水性含有単量体;および(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたは(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和単量体およびその4級化物からなる群より選択されたいずれか一つ以上を使用することができる。
【0030】
より具体的には、アクリル酸またはその塩、例えば、アクリル酸またはそのナトリウム塩などのアルカリ金属塩を使用することができ、このような単量体を使用してより優れた物性を有する高吸水性樹脂の製造が可能になる。
【0031】
また、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、中和剤で酸性基の一部を中和させて使用することができる。このように、酸性基の一部が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体を使用する場合、製造された重合体は含水性を有して周辺の水を吸収することによって40重量%以上の含水率を有する含水ゲル重合体形態に製造できる。
【0032】
この時、中和剤としては、水溶性エチレン系不飽和単量体での酸性基を中和させることができる水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質が使用できる。
【0033】
また、前記中和剤は、水溶性エチレン系不飽和単量体の中和度、または含水ゲル重合体での中和度を考慮してその使用量が適切に決定できる。一例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体に含まれている酸性基の中の前記中和剤によって中和された程度を称する水溶性エチレン系不飽和単量体の中和度は、50~90モル%、または、60~85モル%、または65~85モル%、または65~75モル%であってもよい。前記中和度の範囲は最終物性によって変わってもよいが、中和度が過度に高ければ中和された単量体が析出されて重合が円滑に行われにくいことがあり、逆に中和度が過度に低ければ高分子の吸水力が大きく低下するだけでなく、取り扱いの困難な弾性ゴムのような性質を示すことがある。
【0034】
また、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は、前記高吸水性樹脂の原料物質および溶媒を含む単量体組成物に対して約20~約60重量%、具体的には約40~約50重量%であってもよく、重合時間および反応条件などを考慮して適切な濃度とすることができる。但し、前記単量体の濃度が過度に低下すれば高吸水性樹脂の収率が低く経済性に問題が発生することがあり、逆に濃度が過度に高まれば単量体の一部が析出されるか重合された含水ゲル重合体の粉砕時の粉砕効率が低く示されるなど工程上問題が発生することがあり高吸水性樹脂の物性が低下することがある。
【0035】
本発明による製造方法において、前記重合開始剤としては高吸水性樹脂の製造に一般に使用されるものであれば特に限定されない。
【0036】
具体的に、前記重合開始剤は重合方法によって熱重合開始剤またはUV照射による光重合開始剤を使用することができる。但し、光重合方法によっても、紫外線照射などの照射によって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行によってある程度の熱が発生するので、追加的に熱重合開始剤を含むこともできる。
【0037】
このような重合開始剤は、前記単量体組成物総重量に対して0.001~2重量%で使用できる。即ち、前記重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなることがあり最終製品に残存モノマーが多量で抽出されることがあって好ましくない。逆に、前記重合開始剤の濃度が前記範囲より高い場合、ネットワークを成す高分子鎖が短くなって水可溶成分の含量が高まり加圧吸水能が低下するなど樹脂の物性が低下することがあって好ましくない。
【0038】
より具体的に、前記光重合開始剤は、紫外線などの光によってラジカルを形成することができる化合物であれば、その構成の限定なく使用できる。
【0039】
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl dimethyl ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群より選択される一つ以上を使用することができる。一方、アシルホスフィンの具体例としては、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、または商用のlucirin TPO、即ち、2,4,6-トリメチル-ベンゾイル-トリメチルホスフィンオキシド(2,4,6-trimethyl-benzoyl-trimethyl phosphine oxide)を使用することができる。より多様な光重合開始剤についてはReinhold Schwalm著書の“UV Coatings:Basics、Recent Developments and New Application(Elsevier 2007年)”p115によく明示されており、前述の例に限定されない。
【0040】
前記光重合開始剤が含まれる場合、前記単量体組成物に対して約0.01~約1.0重量%の濃度で含まれてもよい。このような光重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなることがあり、光重合開始剤の濃度が過度に高ければ高吸水性樹脂の分子量が小さく物性が不均一になることがある。
【0041】
また、前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤群より選択される一つ以上を使用することができる。具体的に、過硫酸塩系開始剤の例としては過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例としては2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチラミジンジヒドロクロリド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などがある。より多様な熱重合開始剤については、Odian著書の‘Principle of Polymerization(Wiley、1981)’、p203によく明示されており、前述の例に限定されない。
【0042】
前記熱重合開始剤が使用される場合、前記単量体組成物総重量に対して0.001~0.5重量%の濃度で含まれてもよい。このような熱重合開始剤の濃度が過度に低い場合、追加的な熱重合がほとんど起こらなくて熱重合開始剤の追加による効果が微小なことがあり、熱重合開始剤の濃度が過度に高ければ高吸水性樹脂の分子量が小さく物性が不均一になることがある。
【0043】
また、本発明による製造方法において、前記単量体組成物は、高吸水性樹脂の原料物質として内部架橋剤をさらに含むことができる。
【0044】
一方、本明細書で使用する用語「内部架橋剤」は後述の高吸水性樹脂粒子の表面を架橋させるための表面架橋剤と区分するために使用する用語であって、前述の水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合を架橋させて重合させる役割を果たす。前記段階での架橋は表面または内部の区分なく行われるが、後述の高吸水性樹脂粒子の表面架橋工程が行われる場合、最終製造された高吸水性樹脂の粒子表面は表面架橋剤によって架橋された構造からなっており、内部は前記内部架橋剤によって架橋された構造からなっているようになる。
【0045】
前記内部架橋剤としては、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の水溶性置換基と反応できる官能基を一つ以上有しながら、エチレン性不飽和基を一つ以上有する架橋剤;あるいは前記単量体の水溶性置換基および/または単量体の加水分解によって形成された水溶性置換基と反応できる官能基を二つ以上有する架橋剤を使用することができる。
【0046】
前記内部架橋剤の具体的な例としては、炭素数8~12のビスアクリルアミド、ビスメタアクリルアミド、炭素数2~10のポリオールのポリ(メタ)アクリレートまたは炭素数2~10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテルなどが挙げられ、より具体的に、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリレート、エチレンオキシ(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリントリアクリレート、トリメチロールトリアクリレート、トリアリルアミン、トリアリールシアヌレート、トリアリルイソシアネート、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコールおよびプロピレングリコールからなる群より選択された一つ以上を使用することができる。
【0047】
このような内部架橋剤は、前記単量体組成物に対して0.01~0.5重量%の濃度で含まれて、重合された高分子を架橋させることができる。内部架橋剤を用いて形成された重合体は前記水溶性エチレン系不飽和単量体が重合されて形成された主鎖が前記内部架橋剤によって架橋される形態の3次元網目状構造を有する。このように、重合体が3次元網目状構造を有する場合、内部架橋剤によって追加架橋されていない2次元線状構造を有する場合に比べて高吸水性樹脂の諸般物性である保水能および加圧吸水能が顕著に向上できる。但し、前記内部架橋剤の含量が0.5重量%を超過して過度に高い場合、内部架橋密度が高まって所望の保水能の実現が難しいこともある。
【0048】
本発明による製造方法で、前記単量体組成物は、必要によって増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤をさらに含むことができる。
【0049】
前述の水溶性エチレン系不飽和単量体、光重合開始剤、熱重合開始剤、内部架橋剤および添加剤などの原料物質は溶媒に溶解された単量体組成物溶液の形態に準備されてもよい。
【0050】
この時使用できる前記溶媒は前述の成分を溶解することができればその構成の限定なく使用でき、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N-ジメチルアセトアミドなどから選択された1種以上を組み合わせて使用することができる。
【0051】
前記溶媒は、単量体組成物の総含量に対して前述の成分を除いた残量で含まれてもよい。
【0052】
一方、このような単量体組成物を熱重合または光重合して含水ゲル重合体を形成する方法も、通常使用される重合方法であれば、特に構成の限定がない。
【0053】
具体的に、重合方法は重合エネルギー源によって大きく熱重合および光重合に分けられ、通常熱重合を行う場合、ニーダー(kneader)などの攪拌軸を有する反応器で行うことができ、光重合を行う場合、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で行うことができるが、前述の重合方法は一例であり、前述の重合方法に限定されない。
【0054】
一例として、前述のように攪拌軸を備えたニーダー(kneader)などの反応器に、熱風を供給するか反応器を加熱して熱重合して得られた含水ゲル重合体は反応器に備えられた攪拌軸の形態によって、反応器排出口に排出される含水ゲル重合体は数センチメートル~数ミリメートル形態であってもよい。具体的に、得られる含水ゲル重合体の大きさは注入される単量体組成物の濃度および注入速度などによって多様に得られ、通常重量平均粒子大きさが2~50mmである含水ゲル重合体が得られる。
【0055】
また、前述のように移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で光重合を行う場合、通常得られる含水ゲル重合体の形態はベルトの幅を有するシート状の含水ゲル重合体であってもよい。この時、重合体シートの厚さは注入される単量体組成物の濃度および注入速度によって変わるが、通常約0.5~約5cmの厚さを有するシート状の重合体が得られるように単量体組成物を供給することが好ましい。シート状の重合体の厚さが過度に薄い程度に単量体組成物を供給する場合、生産効率が低くて好ましくなく、シート状の重合体厚さが5cmを超過する場合には過度に厚い厚さによって、重合反応が全厚さにわたって均等に起こらないことがある。
【0056】
前記製造工程を通じて水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された含水ゲル重合体が製造される。
【0057】
含水ゲル重合体の製造時、単量体組成物が内部架橋剤をさらに含む場合、製造される含水ゲル重合体は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体が重合されて形成された主鎖が前記内部架橋剤によって架橋される形態の3次元網目状構造を有する。
【0058】
このような方法で得られた含水ゲル重合体の通常含水率は40~80重量%であってもよい。一方、本明細書で含水ゲル重合体の「含水率」は、含水ゲル重合体の総重量に対して占める水分の含量であって、前記水分含量は含水ゲル重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱を通じて重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して下記数式1によって計算された値と定義する。この時、乾燥条件は、常温から180℃まで温度を上昇させた後180℃で維持する方式で、総乾燥時間は温度上昇段階5分を含んで20分に設定する。
【0059】
[数式1]
含水率(重量%)=[(Ao-At)/Ao]×100
【0060】
上記式中、Atは乾燥後試料であり、Aoは乾燥前試料の重量である。また、前記試料は、含水率測定対象である含水ゲル重合体である。
【0061】
また、本発明による製造方法は、前記で得られた含水ゲル重合体に対して粗粉砕工程を選択的にさらに行うことができる。
【0062】
この時、粗粉砕工程に使用される粉砕機は構成の限定はないが、具体的に、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、切れ破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパー(chopper)および円板式切断機(Disc cutter)からなる粉砕機器群より選択されるいずれか一つを含むことができるが、前述の例に限定されない。
【0063】
この時、粗粉砕段階は含水ゲル重合体の粒子大きさが約2~20mmになるように粉砕することができる。
【0064】
粒子大きさが2mm未満になるように粗粉砕することは含水ゲル重合体の高い含水率によって技術的に容易でなく、また粉砕された粒子間に互いに凝集される現象が現れることもある。一方、粒子大きさが20mm超過になるように粗粉砕する場合、以後に行われる乾燥段階の効率増大効果が微小なことがある。
【0065】
その次に、段階2は、前記段階1で製造した含水ゲル重合体を乾燥および粉砕した後、150μm未満の粒子大きさを有する微粉、および150~850μmの粒子大きさを有する正常粒子に分級する段階である。
【0066】
前記含水ゲル重合体に対する乾燥工程は、150~250℃で行うことができる。乾燥温度が150℃未満である場合、乾燥時間が過度に長くなり最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがあり、乾燥温度が250℃を超過する場合、過度に重合体表面のみ乾燥されて、以後に行われる粉砕工程で微粉が発生することがあり、最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがある。より具体的には、150℃以上、または160℃以上であり、200℃以下、または180℃以下の温度で行うことができる。
【0067】
また、前記乾燥工程は、工程効率などを考慮して、約20~約90分間行うことができる。
【0068】
また、前記乾燥方法も含水ゲル重合体の乾燥工程として通常使用されるものであれば、その構成の限定なく選択されて使用できる。具体的に、熱風供給、赤外線照射、極超短波照射、または紫外線照射などの方法で乾燥段階を行うことができる。
【0069】
前記乾燥工程後、乾燥された重合体の含水率は0.1~10重量%であってもよい。
【0070】
その次に、乾燥された重合体に対する粉砕工程が行われる。
【0071】
前記粉砕工程は通常の方法によって行うことができ、具体的には、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などの粉砕機を使用することができるが、前述の例に限定されるのではない。
【0072】
前記粉砕工程後には、以後最終製品化される高吸水性樹脂粉末の物性を管理するために、一般に粉砕後得られる重合体粉末を粒子大きさによって分級する分級工程が行われる。
【0073】
具体的には、ASTM規格の標準網ふるいを用いて150~850μmの粒子大きさを有する正常粒子と150μm未満の粒子大きさを有する微粉に分級する。
【0074】
その次に、段階3は、前記段階2で分級した150μm未満の粒子大きさを有する微粉を水および添加剤としてポリカルボン酸共重合体と混合し、再造粒して微粉再造粒体を製造する段階である。
【0075】
前記微粉再造粒体の製造工程において、水は、微粉粒子間凝集時、凝集強度を増加させる役割を果たす。これにより、投入される水の量制御を通じて微粉再造粒体の造粒強度を制御することができる。具体的に、本発明では微粉100重量部に対して水を30~80重量部で投入する。水投入量が30重量部未満であれば、微粉の速い吸水速度によって少量の水を均等に分散しにくく、結果として微粉再造粒体の均一性が低下することがある。また、製造される微粉再造粒体の含水率が減少して、後続の圧搾工程の間に固い塊りを形成することがあり、結果として圧搾工程の運転安定性を低下させることがある。さらに、微粉再造粒体の造粒強度が低くて再微粉発生量が増加することがあり、結果として最終製造された高吸水性樹脂の吸水能が低下することがある。一方、水投入量が80重量部を超過する場合には微粉再造粒体の含水率が過度に増加し、結果として乾燥過程で蒸発させなければならない水の量が増加するため乾燥機の負荷が増加するようになる。また、乾燥がよく行われなくて、結果として後続の粉砕工程がよく行われなくなる。より具体的には、前記微粉100重量部に対して水は30重量部以上、または35重量部以上、または37重量部以上、または40重量部以上であり、80重量部以下、または70重量部以下、または60重量部以下、または50重量部以下の量で投入できる。
【0076】
また、本発明では、微粉再造粒体の形成時、分散性を高めて再造粒連続運転安定性を高めるための添加剤として、ポリカルボン酸系共重合体を投入する。
【0077】
前記ポリカルボン酸系共重合体は、混合ミキサー内で潤滑作用をして混合安定性および均一性を向上させる役割を果たす。一般に、高吸水性樹脂の物性のうちの透過率は、保水能および加圧吸水能とトレードオフ(trade-off)の関係にあり、前記ポリカルボン酸系共重合体を投入する場合、保水能および加圧吸水能などの吸水特性に優れながらも向上した透過率を有する高吸水性樹脂の提供が可能である。
【0078】
具体的に、前記ポリカルボン酸系共重合体は、下記化学式1-aで表される繰り返し単位および化学式1-bで表される繰り返し単位のうちの1以上を含むものであってもよい。
【0079】
【化1】
【0080】
上記化学式1-aおよび1-b中、
、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1~6のアルキル基であり、
ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、
は、水素または1価金属または非金属イオンであり、
Xは、-COO-、炭素数1~5のアルキルオキシ基または炭素数1~5のアルキルジオキシ基であり、
mは、1~100の整数であり、
nは、1~1000の整数であり、
pは1~150の整数であり、前記pが2以上である場合、二つ以上繰り返される-RO-は互いに同一であるか異なってもよい。
【0081】
ここで、前記ポリカルボン酸系共重合体は、前記化学式1-aで表される繰り返し単位のうちの互いに異なる構造の繰り返し単位1種以上;前記化学式1-bで表される繰り返し単位のうちの互いに異なる構造の繰り返し単位1種以上;または前記化学式1-aで表される繰り返し単位および前記化学式1-bで表される繰り返し単位を含むものであってもよい。
【0082】
より具体的に、前記ポリカルボン酸系共重合体としては、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体(代表的な例として、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(MPEGMAA)など);および(メタ)アクリル酸またはそのエステル系単量体(代表的な例として、(メタ)アクリル酸など)に由来した繰り返し単位を含む共重合体、よりさらに具体的には、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート由来繰り返し単位および(メタ)アクリル酸由来繰り返し単位を含む共重合体、またはメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート由来繰り返し単位および(メタ)アクリル酸由来繰り返し単位を含むランダム共重合体が使用されることが前記効果発現にさらに有利であり得る。
【0083】
また、前記ポリカルボン酸系共重合体の添加による効果がよりよく発現されるようにするために、前記ポリカルボン酸系共重合体は500~1,000,000g/molの重量平均分子量を有することが好ましく、より具体的には500g/mol以上、または5,000g/mol以上、または10,000g/mol以上、または35,000g/mol以上、または40,000g/mol以上であり、1,000,000g/mol以下、または800,000g/mol以下、または500,000g/mol以下、または100,000g/mol以下、または60,000g/mol以下であってもよい。ポリカルボン酸系共重合体の分子量が500g/mol未満であれば潤滑作用が低下する恐れがあり、また1,000,000g/mol超過する場合、水に対する溶解度が低下する恐れがある。
【0084】
一方、本発明においてポリカルボン酸系共重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができる。具体的に、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置としてはWaters社製のPL-GPC220機器を使用し、Polymer Laboratories社製のPLgel MIX-Bカラム(長さ300mm)を使用した。この時、測定温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)を溶媒として使用し、流速は1mL/minにした。ポリカルボン酸系共重合体サンプル10mgを試料前処理システムであるPL-SP260(Agilent Technology社製)を用いてBHT0.0125%含まれている1,2,4-Trichlorobenzeneで160℃、10時間溶かして前処理し、10mg/10mLの濃度に調製した後、200μLの量で供給した。ポリスチレン標準試片を用いて形成された検定曲線を用いてMwの値を誘導した。ポリスチレン標準試片の重量平均分子量は、2,000g/mol、10,000g/mol、30,000g/mol、70,000g/mol、200,000g/mol、700,000g/mol、2,000,000g/mol、4,000,000g/mol、および10,000,000g/molの9種を使用した。
【0085】
前記ポリカルボン酸系共重合体は前記微粉100重量部に対して0.01~5重量部で使用でき、より具体的には、0.01重量部以上、または0.05重量部以上、または0.1重量部以上であり、5重量部以下、または1重量部以下、または0.9重量部以下、または0.8重量部以下、または0.5重量部以下、または0.3重量部以下で使用できる。ポリカルボン酸系共重合体の含量が0.01重量部未満であれば、添加剤使用による微粉再造粒体の混合安定性および均一性向上効果を得にくく、またポリカルボン酸系共重合体の含量が5重量部を超過する場合、最終製品の表面張力低下および変色性能低下の恐れがある。
【0086】
また、前記ポリカルボン酸系共重合体の添加剤は、水および微粉と同時に混合することもでき、または水と先に混合した後、微粉と混合することもできる。
【0087】
一方、前記水およびポリカルボン酸系共重合体の添加剤を用いた微粉再造粒体の製造段階は、せん断力を付加することができる混合装置やミキサーを使用して行うことができる。具体的には、混合装置またはミキサーを用いて前記微粉と水およびポリカルボン酸系共重合体を300~2000rpm、より具体的には300rpm以上、または500rpm以上、または650rpm以上であり、2000rpm以下、または1,800rpm以下、または1,500rpm以下、または1,000rpm以下の速度で攪拌しながら混合することによって行うことができる。前記範囲内の速度で攪拌時、十分なせん断力が付加されることによって均質な混合が可能である。
【0088】
その次に、段階4は、前記段階3で製造した微粉再造粒体に対して水を投入しながら圧搾した後、粉砕および分級して圧搾微粉再造粒体を製造する段階である。
【0089】
前記圧搾微粉再造粒体の製造段階は、圧搾工程の間に水を投入することを除いては、通常の圧搾微粉再造粒体の製造方法によって行うことができる。
【0090】
前記微粉再造粒体に対する圧搾工程は、ミートチョッパーなどの通常の押出機(extruder)を用いて行うことができる。本発明では押出機の後端、例えば、ホールプレート(hole plate)吐出口にインバータ切断機、ブレード(blade)、スクレーパー(scrapper)またはナイフ(knife)などの切断機が設置されて、押出後幹形態に吐出される微粉再造粒体に対して切断工程が行われる押出機を好ましく用いることができる。一例として、SMC-22モデル(エスエル企業社製)のように押出機後端のホールプレート吐出口にインバータ切断機が設置された押出機を用いる場合、微粉再造粒体が押出機内に投入されると、押出機内に備えられたスクリューを通じて移送され、ホールプレートを通過しながら圧搾され強度が増加するようになる。前記押出時、微粉再造粒体は幹形態に押出され、その後、ホールプレート吐出口を通じて吐出されながら前記インバータ切断機によって粒子形態に切断できる。
【0091】
前記圧搾工程時、微粉再造粒体に加えられる圧搾力は、押出機吐出口でのホール直径および押出機速度制御を通じて調節することができる。
【0092】
具体的に、前記ホール直径は10mm以上、または12mm以上、または14mm以上であり、20mm以下、または16mm以下であってもよい。また、前記押出機速度は80rpm以上であり、150rpm以下であってもよい。これは35Hz以上であり60Hz以下に相当する。ホール直径と押出機速度が前記範囲内である時、微粉再造粒体に対して十分な圧力が加えられて、適切な造粒強度を有する圧搾微粉再造粒体が形成できる。もしホール直径が10mm未満であるか、押出機速度が150rpmを超過する場合、微粉再造粒体に加えられる圧力が過度に高まって、押出機から圧搾微粉再造粒体の吐出が難しいこともある。一例として、Fuji Paudal DG-L1のようにドーム(dome)形態であってホール直径が0.1~1mm水準である押出機を使用する場合、圧搾微粉再造粒体の製造時に水を投入するようになるとドームから圧搾微粉再造粒体が吐出されず、結果として装備止めを発生することがある。一方、ホール直径が20mmを超過するか、圧搾機速度が80rpm未満である場合には微粉再造粒体に十分な圧力が加えられなくて凝集が十分に起こらないことがある。
【0093】
一方、発明の一実施形態による製造方法では、前記圧搾工程時、水を投入して圧搾微粉再造粒体の造粒強度を一定水準に下げ、水投入量制御を通じて造粒強度を最適化する。具体的に、前記圧搾工程時、微粉再造粒体100重量部に対して水を15~30重量部で投入する。水投入量が15重量部未満であれば投入量が少なくて微粉再造粒体内水の分散性低下によって強度調節効果が微少であり、30重量部を超過すれば、造粒強度が過度に低くなり、また乾燥容量の増加によって乾燥時間が長くなる問題がある。より具体的には、15重量部以上、または17重量部以上、または20重量部以上であり、30重量部以下、または25重量部以下の量で投入できる。
【0094】
前述のように、発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法は、微粉再造粒体の製造段階および圧搾微粉再造粒体の製造段階での水投入量を前記範囲にそれぞれ制御することによって、従来の高吸水性樹脂の製造方法と比較して微粉に対する水投入総量が小さい。具体的に、従来の高吸水性樹脂の製造方法によって微粉再造粒体を製造する場合、通常微粉総重量に対して水が同量以上、即ち、微粉100重量部に対して水が100重量部以上の量で投入される。反面、本発明による高吸水性樹脂の製造方法は、前記微粉再造粒体の製造および圧搾微粉再造粒体の製造時に投入される水の総量が前記微粉の総重量より小さい。即ち、微粉100重量部に対して前記微粉再造粒体の製造および圧搾微粉再造粒体の製造時に投入される水の総量が100重量部未満、より具体的には100重量部未満、または90重量部以下、または80重量部以下、または75重量部以下、または70重量部以下であり、0重量部超過、または40重量部以上、または45重量部以上、または50重量部以上、または55重量部以上、または60重量部以上であってもよい。これにより、高吸水性樹脂の製造時、微粉発生量を大きく減少させながらも、製造される高吸水性樹脂の物性をさらに増進させることができ、乾燥負荷を低下させることができる。もし投入される水の総量が前記微粉の総重量より多い場合、圧搾微粉再造粒体の強度は増加するが、AUP、透過率(Permeability)などの吸水性能が低下する恐れがある。
【0095】
その次に、圧搾された微粉再造粒体を乾燥、粉砕し、圧搾微粉再造粒体(または再造粒体正常粒子)と再造粒体微粉(以下、「再微粉」という)に分級する。
【0096】
前記乾燥工程は通常の乾燥機器を使用して行うことができるが、発明の一実施形態によれば、強制循環型乾燥機を用いて行うことができる。
【0097】
また、前記乾燥工程は、圧搾微粉再造粒体内含水率を考慮して、温度および時間が適切に決定できる。具体的には、前記乾燥工程は、120~220℃の温度で30分~120分間行うことができる。乾燥工程時、温度が120℃未満であれば乾燥時間が長くなり、220℃を超過すれば微粉再造粒体の劣化によって物性低下の恐れがある。また、乾燥時間が30分未満であれば十分な乾燥が行われにくく、乾燥時間が120分を超過すれば過度な乾燥によって圧搾微粉再造粒体内含水率が大きく低下し、結果として後続の工程の間に再微粉発生率が増加する恐れがある。より具体的には、120℃以上、または150℃以上であり、220℃以下、または200℃以下の温度条件で30分以上、または50分以上であり、120分以下、または90分以下、または70分以下の時間行うことができる。
【0098】
また、前記乾燥工程は、乾燥された圧搾微粉再造粒体内含水率が5重量%以下、または4.5重量%以下であり、1重量%以上、または1.5重量%以上になるように行うことができる。乾燥された圧搾微粉再造粒体内含水率が1重量%未満になるように乾燥する場合、微粉再造粒体の物性低下の恐れがある。
【0099】
一方、前記圧搾微粉再造粒体内含水率は、先に説明したように、赤外線加熱を通じて重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して前記数式1によって計算された値と定義する。この時、前記数式1において、試料は圧搾微粉再造粒体となり、乾燥条件は常温から180℃まで温度を上昇させた後180℃で維持する方式で、総乾燥時間は温度上昇段階5分を含んで20分に設定する。
【0100】
その後、粉砕および分級工程が行われ、この時、粉砕および分級工程は先に説明したことと同様な方法で行うことができる。
【0101】
前記粉砕は、乾燥された圧搾微粉再造粒体を粒子大きさが約150~約850μmになるように行うことができる。このような粒子大きさに粉砕するために使用される粉砕機は具体的に、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを使用することができるが、前述の例に本発明が限定されるのではない。
【0102】
このような粉砕段階以後に最終製品化される高吸水性樹脂粉末の物性を管理するために、一般に粉砕後得られる重合体粉末を粒子大きさによって分級する。具体的には、粒子大きさが150μm未満の粒子大きさを有する再微粉、および150μm~850μmの粒子大きさを有する再造粒体正常粒子に分級する段階を経る。
【0103】
乾燥、粉砕および分級後得られる前記圧搾微粉再造粒体は、粉砕段階を経た後、再び微粉に再破砕される比率、即ち、再微粉率または再微粉発生率が低く、高い造粒強度を有する。
【0104】
具体的に前記圧搾微粉再造粒体は、粉砕後粒子大きさが150μm未満である再微粉発生量が、全体圧搾微粉再造粒体の総重量に対して約20重量%以下、または18重量%以下、または17重量%以下である。再微粉発生量は低いほど好ましいが、工程上の限界などを考慮する時、0重量%超過、または1重量%以上、または10重量%以上であってもよい。
【0105】
前記再微粉発生量は、製造される圧搾微粉再造粒体をハンマーミル(Hammer mill)などの粉砕機で粉砕し、分級した後、150μm未満の粒子大きさを有する再微粉の含量を測定し、その結果から圧搾微粉再造粒体の総重量に対する再微粉の重量を百分率に計算したものである。
【0106】
また、前記圧搾微粉再造粒体は、下記a1)~a3)の条件を充足する:
a1)含水率:圧搾微粉再造粒体の総重量に対して1~5重量%、
a2)EDANA法 WSP241.3によって測定した遠心分離保水能(CRC):30~50g/g、
a3)JIS K7224によって測定した吸水速度(Vortex):30~50秒。
【0107】
具体的に、前記圧搾微粉再造粒体は、含水率が1~5重量%、より具体的には5重量%以下、または4.5重量%以下であり、1重量%以上、または1.5重量%以上である。
【0108】
前記圧搾微粉再造粒体内含水率は、先に説明したように、赤外線加熱を通じて重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して前記数式1によって計算された値と定義する。この時、前記数式1において、試料は圧搾微粉再造粒体となり、乾燥条件は常温から180℃まで温度を上昇させた後180℃で維持する方式で、総乾燥時間は温度上昇段階5分を含んで20分に設定する。以下、含水率の測定方法および条件は以下実験例でより詳しく説明する。
【0109】
また、前記圧搾微粉再造粒体は、EDANA法WSP241.3によって測定した遠心分離保水能(CRC)が30~50g/gであり、JIS K7224によって測定した吸水速度が30~50秒である。前記遠心分離保水能および吸水速度の測定方法および条件は以下実験例でより詳しく説明する。
【0110】
その次に、段階5は、前記段階4で製造した圧搾微粉再造粒体を前記正常粒子と混合した後、表面架橋反応させて高吸水性樹脂を製造する段階である。
【0111】
前記段階4で製造した圧搾微粉再造粒体は単独で使用して高吸水性樹脂を製造することもできるが、発明の一実施形態による製造方法では前記圧搾微粉再造粒体を、微粉再造粒されていない正常粒子と混合した後に表面架橋して高吸水性樹脂を製造する。
【0112】
具体的に、前記段階4での分級工程後、150μm未満の粒子大きさを有する再微粉は微粉再造粒工程に循環させ、150~850μmの粒子大きさを有する再造粒体正常粒子である圧搾微粉再造粒体はすでに上述の正常粒子と混合後、表面架橋反応器内に流入して表面架橋工程を行うこともできる。
【0113】
前記圧搾微粉再造粒体と正常粒子は最終製造される製品に要求される物性によってその混合比が適切に調節できる。一例として、前記圧搾微粉再造粒体と正常粒子は10:90~90:10の重量比で混合でき、より具体的には、10:90~50:50、または15:85~40:60、または20:80~30:70、または20:80~25:75の重量比で混合できる。
【0114】
前記表面架橋は、粒子内部の架橋結合密度と関連して高吸水性高分子粒子表面付近の架橋結合密度を増加させる段階である。一般に、表面架橋剤は高吸水性樹脂粒子の表面に塗布される。したがって、この反応は高吸水性樹脂粒子の表面上で起こり、これは粒子内部には実質的に影響を与えないながら粒子の表面上での架橋結合性は改善させる。したがって、表面架橋結合された高吸水性樹脂粒子は内部より表面付近でさらに高い架橋結合度を有する。
【0115】
この時、前記表面架橋剤としては、重合体が有する官能基と反応可能な化合物であればその構成の限定がない。
【0116】
具体的には、生成される高吸水性樹脂の特性を向上させるために、前記表面架橋剤として多価アルコール化合物;エポキシ化合物;ポリアミン化合物;ハロエポキシ化合物;ハロエポキシ化合物の縮合産物;オキサゾリン化合物類;モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物;環状ウレア化合物;多価金属塩;およびアルキレンカーボネート化合物からなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0117】
具体的に、多価アルコール化合物の例としては、モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-またはポリエチレングリコール、モノプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,3,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセロール、ポリグリセロール、2-ブテン-1,4-ジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、および1,2-シクロヘキサンジメタノールからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0118】
また、エポキシ化合物としてはエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびグリシドールなどを使用することができ、ポリアミン化合物類としてはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミンおよびポリアミドポリアミンからなる群より選択される1種以上を使用することができる。
【0119】
そして、ハロエポキシ化合物としては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリンおよびα-メチルエピクロロヒドリンを使用することができる。一方、モノ-、ジ-またはポリオキサゾリジノン化合物としては、例えば2-オキサゾリジノンなどを使用することができる。
【0120】
そして、アルキレンカーボネート化合物としては、エチレンカーボネートなどを使用することができる。これらをそれぞれ単独で使用するか、互いに組み合わせて使用することもできる。一方、表面架橋工程の効率を高めるために、これら表面架橋剤のうちの1種以上の多価アルコール化合物を含んで使用することが好ましく、さらに具体的には炭素数2~10の多価アルコール化合物類を使用することができる。
【0121】
前記添加される表面架橋剤の含量は具体的に追加される表面架橋剤の種類や反応条件によって適切に選択でき、具体的には、前記正常粒子と圧搾微粉再造粒体の混合物100重量部に対して、0.001~5重量部、具体的には0.01~3重量部、さらに具体的には0.05~2重量部を使用することができる。表面架橋剤の含量が過度に少なければ、表面架橋反応がほとんど起こらなく、前記混合物100重量部に対して、5重量部を超過する場合、過度な表面架橋反応の進行によって吸水能力および物性の低下現象が発生することがある。
【0122】
表面架橋剤が添加された前記混合物に対して加熱させることによって、表面架橋結合反応および乾燥を同時に行うことができる。
【0123】
表面架橋反応のための昇温手段は特別に限定されない。熱媒体を供給するか、熱源を直接供給して加熱することができる。この時、使用可能な熱媒体の種類としてはスチーム、熱風、熱い油などの昇温した流体などを使用することができるが、本発明がこれらに限定されるのではなく、また、供給される熱媒体の温度は熱媒体の手段、昇温速度および昇温目標温度を考慮して適切に選択することができる。一方、直接供給される熱源としては電気による加熱、ガスによる加熱方法が挙げられるが、前述の例に本発明が限定されるのではない。
【0124】
また、前記表面架橋後、150μm未満の粒子大きさを有する表面架橋微粉と、150~850μmの粒子大きさを有する表面架橋正常粒子に分級し、150μm未満の粒子大きさを有する表面架橋微粉は微粉再造粒のための工程に再投入し、表面架橋正常粒子は製品化して使用できる。
【0125】
前述の製造工程を通じて製造される高吸水性樹脂は、優れた吸水性能を示し、特に加圧吸水能と透過率が同時に改善できる。具体的に、前記高吸水性樹脂は、下記b1)~b4)の条件を充足する:
b1)EDANA法WSP241.3によって測定した遠心分離保水能(CRC):30~40g/g
b2)EDANA WSP242.3の方法によって測定した、高吸水性樹脂の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対する0.7psi下で1時間の加圧吸水能(0.7AUP):17~25g/g、
b3)透過率:20~400秒、および
b4)JIS K7224によって測定した吸水速度(Vortex):40~60秒。
【0126】
具体的に前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP241.3によって測定した、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)に対する30分間の遠心分離保水能(CRC)が30g/g以上であり、その値が高いほど優れて実質的な上限の制限はないが、一例として、40g/g以下である。
【0127】
また、前記高吸水性樹脂は、下記数式2によって計算された、0.7AUP(高吸水性樹脂の生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)に対する0.7psi下で1時間の加圧吸水能が17~25g/gである。その具体的な測定方法および測定条件は以下実験例で詳しく説明する。
【0128】
[数式2]
0.7AUP(g/g)=[W(g)-W(g)]/W(g)
【0129】
上記数式2中、W(g)は高吸水性樹脂の初期重量(g)であり、W(g)は高吸水性樹脂の重量および前記高吸水性樹脂に荷重を付与することができる装置重量の総合であり、W(g)は荷重(0.7psi)下で1時間前記高吸水性樹脂に生理食塩水を吸収させた後に、高吸水性樹脂の重量および前記高吸水性樹脂に荷重を付与することができる装置重量の総合である。
【0130】
また、前記高吸水性樹脂は、透過率が20~400秒である。
【0131】
本発明において高吸水性樹脂の透過率は、文献(Buchholz、 F.L. and Graham、 A.T.、 “Modern Superabsorbent Polymer Technology”、 John Wiley & Sons(1998)、page161)に記述された方法によって0.9%塩水溶液を使用して0.3psi荷重下で測定することができ、その具体的な測定方法および条件は以下実験例で詳しく説明する。
【0132】
また、前記高吸水性樹脂は、JIS K7224によって測定した吸水速度が40~60秒である。前記吸水速度の測定方法および条件は以下実験例でより詳しく説明する。
【0133】
これにより、前記高吸水性樹脂は成人用おむつなど各種衛生用品に非常に好ましく適用でき、特に減少したパルプ含量を有する衛生用品に効果的に使用できる。前記衛生用品は使い捨て吸水製品を含み、好ましくはおむつを含むことができ、前記おむつは子供用あるいは成人用おむつであってもよい。
【0134】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例によって限定されるのではない。また、以下の実施例、比較例で含有量を示す「%」および「部」は特に言及しない限り重量基準である。
【実施例
【0135】
製造例
攪拌機、温度計、窒素投入口、循環コンデンサを装着した3Lの四口フラスコ反応器にイオン交換水400重量部を注入し攪拌下で反応容器内部を窒素で置換して窒素雰囲気下で75℃まで加熱した。
【0136】
前記反応器に過硫酸アンモニウム2重量部を添加し完全に溶解させた後、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(エチレンオキシド(EO)の平均付加モル数約50モル)600重量部、メタクリル酸99.6重量部、水190重量部を混合した単量体水溶液と、3-メルカプトプロピオン酸5重量部と水60重量部の混合溶液、そして3重量%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液150重量部を4時間均一な速度で連続投入した。投入終了後、再度3重量%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液5重量部を一時に投入した。その後、反応器の内部温度を85℃に昇温後、1時間続けて85℃で温度を維持させて重合反応を完結させた。
【0137】
製造されたポリカルボン酸共重合体は、下記条件でのGPC(gel permeation chromatography)分析時、重量平均分子量が40,000g/molを示した。
【0138】
<分析条件>
GPC分析装置:Waters社製のPL-GPC220機器
カラム:Polymer Laboratories社製のPLgel MIX-Bカラム(長さ300mm)
測定温度:160℃
溶媒:1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)
流速:1mL/min
試料準備:ポリカルボン酸共重合体サンプル10mgを試料前処理システムであるPL-SP260(Agilent Technology社製)を用いてBHT0.0125%含まれている1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)で160℃、10時間溶かして前処理し、10mg/10mLの濃度に調製後、200μLの量で供給した。
【0139】
ポリスチレン標準試片を用いて形成された検定曲線を用いてMwの値を誘導した(ポリスチレン標準試片:重量平均分子量2,000g/mol、10,000g/mol、30,000g/mol、70,000g/mol、200,000g/mol、700,000g/mol、2,000,000g/mol、4,000,000g/mol、および10,000、000g/molの9種使用)。
【0140】
実施例1
攪拌機、窒素投入器、および温度計が装着された3Lガラス容器に、アクリル酸518g、ポリエチレングリコールジアクリレート(Polyethyleneglycol(400)diacrylate)3.2gおよびジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド0.04gを添加して混合し、結果の混合溶液に24.5%水酸化ナトリウム水溶液822.2gを添加し、窒素を連続的に投入しながら混合して、単量体組成物として水溶性不飽和単量体水溶液を製造した。製造した水溶性不飽和単量体水溶液を40℃に冷却した。
【0141】
その後、前記水溶性不飽和単量体水溶液500gを、横250mm、縦250mm、高さ30mmのステンレス材質の容器に入れ、紫外線を90秒間照射して(照射量:10mV/cm)UV重合を実施し、結果として含水ゲル重合体を得た。
【0142】
得られた含水ゲル重合体を2mm×2mmの大きさに粗粉砕した後、得られたゲル型樹脂を600μmの孔大きさを有するステンレスワイヤーガーゼの上に約30mm厚さで広げておき、180℃熱風オーブンで30分間乾燥した。このように得られた乾燥重合体を粉砕機を使用して粉砕し、ASTM規格の標準網ふるいで分級して150μm未満の粒子大きさを有する微粉と、150~850μmの粒子大きさを有する正常粒子をそれぞれ得た。
【0143】
前記微粉100重量部、水40重量部、そして添加剤として前記製造例で製造したポリカルボン酸共重合体(PCE)0.1重量部を連続式混合ミキサーに入れて650rpmで攪拌しながら1分間混合し、再造粒して微粉再造粒体を製造した。
【0144】
前記微粉再造粒体を、押出機後端のホールプレート吐出口にインバータ切断機が設置された押出機(SMC-22モデル、エスエル企業社製)(ホール直径:16mm、押出機速度:88rpm)に投入し、前記微粉再造粒体100重量部に対して水を20重量部で投入しながら圧搾を行った。前記微粉再造粒体が押出機内に投入されると、押出機内備えられたスクリューを通じて移送され、ホールを通過しながら圧搾されながら強度が増加するようになる。この時、前記押出機内部に備えられたインバータ切断機によって幹形態に圧搾された微粉再造粒体は切断されるようになる。結果として前記押出機から吐出される粒子状の圧搾微粉再造粒体が得られ、強制循環型乾燥機に投入し、温度180℃で1時間乾燥し、ハンマーミル(Hammer mill)で粉砕した後、ASTM規格の標準網ふるいで分級して150~850μmの粒子大きさを有する圧搾微粉再造粒体と、150μm未満の粒子大きさを有する再造粒体微粉をそれぞれ得た。
【0145】
先に製造した前記正常粒子と前記圧搾微粉再造粒体を75:25(正常粒子:圧搾微粉再造粒体)の重量比で混合した。結果の混合物100重量部に対して、ポリ(エチレングリコール)ジグリシジルエーテル0.2重量部、メタノール5重量部および水4重量部を混合して製造した表面架橋溶液を投入して混合し、180℃の温度で60分間表面架橋反応を行って、高吸水性樹脂を製造した。
【0146】
実施例2~4
下記表1に記載された条件で行うことを除いては、前記実施例1と同様な方法で行って高吸水性樹脂をそれぞれ製造した。
【0147】
比較例1
前記実施例1での微粉再造粒体の製造工程で添加剤を投入しないことを除いては、前記実施例1と同様な方法で行った。
【0148】
しかし、微粉再造粒体製造のためのミキサー内部に塊りが形成されて連続運転が不可能であり、結果圧搾微粉再造粒体および高吸水性樹脂の製造のための後続の工程を行うことができなかった(以下、実験例3参照)。
【0149】
比較例2~13
下記表1に記載された条件で行うことを除いては、前記実施例1と同様な方法で行って高吸水性樹脂をそれぞれ製造した。
【0150】
【表1】
【0151】
上記表1中、a)は微粉100重量部を基準にした値であり、b)は微粉再造粒体100重量部を基準にした値である。
【0152】
また、PCEは前記製造例で製造したポリカルボン酸共重合体(重量平均分子量:40,000g/mol)であり、PEG6000はポリエチレングリコール(数平均分子量:6000g/mol)である。
【0153】
実験例1
圧搾微粉再造粒体の製造時、圧搾工程中水の投入有無による乾燥特性を比較評価した。
【0154】
具体的には、前記実施例1および比較例2での圧搾微粉再造粒体に対して180℃で加熱しながら乾燥し、時間の経過による圧搾微粉再造粒体の含水率変化を下記数式1によって算出した。その結果を下記表2および図1に示した。
【0155】
[数式1]
含水率(重量%)=[(Ao-At)/Ao]×100
【0156】
上記式中、Atは乾燥後試料、即ち、乾燥後圧搾微粉再造粒体の重量であり、
Aoは乾燥前試料、即ち、乾燥前圧搾微粉再造粒体の重量である。
【0157】
【表2】
【0158】
実験の結果、圧搾工程中に水を投入した実施例1の場合、比較例2と比較して初期含水率は高いが、乾燥速度は速かった。
【0159】
実験例2
圧搾微粉再造粒体の製造時、水投入有無および投入量による圧搾微粉再造粒体の変化および工程性を評価するために、実施例1、2および比較例2、8による圧搾微粉再造粒体および製造後押出機を観察した。
【0160】
その結果、圧搾微粉再造粒体の製造のための圧搾工程時に水を投入しないか(比較例2)、または水投入量が過度に少ない場合(比較例8)、強く圧搾された再造粒体は幹形態に吐出された。これにより、乾燥工程中に乾燥時間および負荷が増加するようになるのを予想することができる。
【0161】
実験例3
高吸水性樹脂の製造時、微粉再造粒体の製造過程での水投入量および添加剤の投入有無が高吸水性樹脂の製造工程に与える影響を評価するために、前記実施例1および比較例1、10による高吸水性樹脂の製造時、微粉再造粒体製造に使用されたミキサーを観察した。
【0162】
その結果、実施例1での微粉再造粒体の製造時、ミキサー内部の塊りなどの発生はなく、安定的な連続運転が可能であった。
【0163】
反面、ポリカルボン酸共重合体を投入していない比較例1の場合、ミキサー内部に塊りが形成されて連続運転が不可能であり、その結果として高吸水性樹脂製造のための後続の工程を行うことができなかった。また、前記比較例1で微粉再造粒体の製造時、投入水量をさらに増加させた比較例10の場合には連続運転は可能であったが、ミキサー内部に塊りが多く形成された。
【0164】
実験例4
前記実施例および比較例で製造した圧搾微粉再造粒体に対して下記のような方法で物性を評価し、形態を観察した。その結果を表3、図2および図3に示した。
【0165】
(1)含水率(重量%)
前記含水率は全体圧搾微粉再造粒体の総重量に対して占める水分の含量であって、下記数式1によって計算できる。
【0166】
具体的には、赤外線加熱を通じて圧搾微粉再造粒体の温度を上げて乾燥する過程で再造粒体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算した。この時、乾燥条件は、常温から180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式で、総乾燥時間は温度上昇段階5分を含んで20分に設定した。乾燥前後の圧搾微粉再造粒体の重量をそれぞれ測定し、下記数式1によって計算した。
【0167】
[数式1]
含水率(重量%)=[(Ao-At)/Ao]×100
【0168】
上記式中、Atは乾燥後圧搾微粉再造粒体の重量であり、
Aoは乾燥前圧搾微粉再造粒体の重量である。
【0169】
(2)保水能(CRC、Centrifugal Retention Capacity)
前記実施例および比較例で製造した圧搾微粉再造粒体に対する保水能の測定はEDANA法WSP241.3を基準にした。
【0170】
圧搾微粉再造粒体の試料0.2gをティーバッグに入れて0.9%塩水溶液に30分間沈殿する。その後、250G(gravity)の遠心力で3分間脱水した後、塩水溶液が吸収された量W(g)を測定した。また、圧搾微粉再造粒体を使用せずに同一な操作を行った後にその時の質量W(g)を測定した。
【0171】
このように得られた各質量を用いて下記数式3によってCRC(g/g)を算出して保水能を確認した。
【0172】
[数式3]
CRC(g/g)={[W(g)-W(g)]/W(g)}-1
【0173】
上記数式3中、
(g)は、試料の初期重量(g)であり、
(g)は、試料を使用せず、遠心分離機を使用して250Gで3分間脱水した後に測定した装置重量であり、
(g)は、常温で0.9重量%生理食塩水に試料を30分間浸水して吸収させた後、遠心分離機を使用して250Gで3分間脱水した後に、試料を含んで測定した装置重量である。
【0174】
(3)吸水速度(Vortex)
日本標準方法JIS K7224によって測定した。
【0175】
具体的に、25℃の50mLの生理食塩水に、前記実施例および比較例の圧搾微粉再造粒体2gを入れ、マグネチックバー(直径8mm、長さ30mm)を600rpmで攪拌して渦流(vortex)が無くなるまでの時間を秒単位で測定して算出した。
【0176】
(4)再微粉発生量(重量%)
前記実施例および比較例で製造される圧搾微粉再造粒体をハンマーミル(Hammer mill)で粉砕し、分級した後、150μm未満の粒子大きさを有する再微粉の含量を測定した。その結果から圧搾微粉再造粒体総重量に対する再微粉の重量を百分率に計算し、再微粉発生量として示した。
【0177】
(5)圧搾微粉再造粒体の形状
前記実施例2および比較例3で製造した圧搾微粉再造粒体の形状を走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。その結果を図2および図3にそれぞれ示した。
【0178】
【表3】
【0179】
上記表3中、「ND」は測定していないことを意味する。
【0180】
実験の結果、圧搾工程中に水を投入することによって再造粒強度は弱くなり、再微粉量は増加するようになる。このようにして圧搾強度を制御した実施例1~3の圧搾微粉再造粒体は、圧搾工程時に水を投入しないことを除いては同一条件の比較例と比較して、低い含水率を示した。これにより、その後の圧搾微粉再造粒体に対する乾燥工程で工程時間を短縮することができ、また低い含水率によって粉砕および移送工程で問題発生を防止することができる。
【0181】
一方、比較例1の場合、微粉再造粒体の形成工程中にミキサー内部に塊りが形成されて連続運転が不可能であったので、圧搾微粉再造粒体および高吸水性樹脂が製造されなかった。
【0182】
また、図2および図3に示されているように、圧搾微粉再造粒体の製造時制御された含量範囲の水を投入した実施例2の圧搾微粉再造粒体は、適切な水準の再造粒強度を有することによって表面気孔が確認されたが、圧搾微粉再造粒時に水を投入していない比較例3は表面気孔がほとんど観察されなかった。このような結果は、比較例3の場合、水が投入されないことによって再造粒強度が大きく増加したためである。
【0183】
実験例5
前記実施例および比較例で製造した高吸水性樹脂に対して下記のような方法で物性を評価し、その結果を表4に示した。
【0184】
(1)保水能(CRC、Centrifugal Retention Capacity)
前記圧搾微粉再造粒体に対する保水能測定方法と同様な方法で、EDANA法WSP241.3を基準にして前記実施例および比較例で製造した高吸水性樹脂に対する保水能を測定した。
【0185】
詳しくは、高吸水性樹脂の試料0.2gをティーバッグに入れ0.9%塩水溶液に30分間沈殿する。その後、250G(gravity)の遠心力で3分間脱水した後、塩水溶液が吸収された量W(g)を測定した。また、圧搾微粉再造粒体を使用せず同一な操作をした後にその時の質量W(g)を測定した。
【0186】
このように得られた各質量を用いて前記数式2によってCRC(g/g)を算出して保水能を確認した。
【0187】
(2)加圧吸水能(Absorbing under Pressure、0.7AUP)
ヨーロッパ不織布産業協会(European Disposables and Nonwovens Association)規格EDANA WSP242.3の方法によって、実施例および比較例の高吸水性樹脂の加圧吸水能(AUP)を測定した。
【0188】
具体的に、内径60mmのプラスチックの円筒の底にステンレス製400mesh鉄網を装着させた。23±2℃の温度および45%の相対湿度条件下で鉄網上に実施例および比較例で得られた樹脂W(g、0.90g)を均一に散布し、その上に0.7psiの荷重を均一にさらに付与することができるピストン(piston)は外径が60mmより若干小さく円筒の内壁と隙間がなく、上下の動きが妨害されないようにした。この時、前記装置の重量W(g)を測定した。
【0189】
直径150mmのペトリ皿の内側に直径125mmで厚さ5mmのガラスフィルターを置き、0.90重量%塩化ナトリウムから構成された生理食塩水をガラスフィルターの上面と同一レベルになるようにした。その上に直径120mmのろ過紙1枚を載せた。ろ過紙の上に前記測定装置を載せて、液を荷重下で1時間吸収した。1時間後、測定装置を持ち上げ、その重量W(g)を測定した。
【0190】
このように得られた各質量を用いて下記数式2によって0.7AUP(g/g)を算出した。
【0191】
[数式2]
0.7AUP(g/g)=[W(g)-W(g)]/W(g)
【0192】
上記数式2中、
(g)は高吸水性樹脂の初期重量(g)であり、W(g)は高吸水性樹脂の重量および前記高吸水性樹脂に荷重を付与することができる装置重量の総合であり、W(g)は荷重(0.7psi)下で1時間前記高吸水性樹脂に生理食塩水を吸収させた後に、高吸水性樹脂の重量および前記高吸水性樹脂に荷重を付与することができる装置重量の総合である。
【0193】
(3)透過率(Permeability)
透過率は、文献(Buchholz、 F.L. and Graham、 A.T.、“Modern Superabsorbent Polymer Technology”、 John Wiley & Sons(1998)、 page 161)に記述された方法によって0.9%塩水溶液を使用して0.3psi荷重下で測定した。
【0194】
具体的には、前記実施例または比較例で製造した高吸水性樹脂で、300~600μmの粒径を有する高吸水性樹脂粒子(以下、サンプルという)0.2gを取ってシリンダー(φ20mm)に投入した。この時、シリンダーの一端にはストップコック(stopcock)を含み、上限線および下限線が表示され、前記シリンダーの上限線は40mLの塩水溶液が満たされた時の位置に表示され、下限線は20mLの塩水溶液が満たされた時の位置に表示される。
【0195】
50gの0.9%塩水(NaCl)溶液(saline solution)をストップコックが閉まった状態にある前記シリンダーに投入して30分間放置した。必要な場合、追加的に塩水溶液を投入して塩水溶液のレベル(level)が前記シリンダーの上限線までくるようにする。
【0196】
前記塩水-吸収高吸水性樹脂を含むシリンダーに0.3psiの荷重を加えて1分間放置した。その後、シリンダーの下に位置したストップコック(stopcock)を開けて0.9%塩水溶液がシリンダーに表示された前記上限線から前記下限線を通過する時間を測定した。全ての測定は24±1℃の温度および50±10%の相対湿度下で実施した。
【0197】
前記上限線から下限線を通過する時間をそれぞれのサンプル(Ts)に対してと高吸水性樹脂の投入無く(T)測定して、下記数式4によって透過率を計算した。
【0198】
[数式4]
透過率(秒)=T-T
【0199】
上記数式4中、Ts(単位:秒)は0.2gの高吸水性樹脂を0.9%塩水(NaCl)溶液で30分間膨潤させて塩水-吸収高吸水性樹脂を準備し、0.3psiの圧力下で0.9%の塩水溶液が前記塩水-吸収高吸水性樹脂を透過することにかかる時間を意味し、T(単位:秒)は前記塩水-吸収高吸水性樹脂なく0.3psi圧力下で0.9%の塩水溶液が透過することにかかる時間を意味する。
【0200】
(4)吸水速度(Vortex)
吸水速度は、日本標準方法JIS K7224によって測定した。より具体的に、25℃の50mLの生理食塩水に2gの高吸水性樹脂を入れ、マグネチックバー(直径8mm、長さ30mm)を600rpmで攪拌して渦流(vortex)が無くなるまでの時間を秒単位で測定して算出された。
【0201】
【表4】
【0202】
上記表4中、「ND」は測定していないことを意味する。
【0203】
実験の結果、圧搾微粉再造粒体の製造のための圧搾工程中に水を投入して圧搾強度を制御した実施例1~4は圧搾微粉再造粒体の乾燥効率が向上することによって、最終製造された高吸水性樹脂は優れた吸水性能を示し、特に加圧吸水能および透過率の面で優れた効果を示した。
【0204】
一方、比較例9によって製造された高吸水性樹脂の場合、実施例水準の吸水性能を示したが、圧搾微粉再造粒体の製造時に発生される再微粉含量が実施例に比べて顕著に高いのを考慮する時(表3参照)、本発明による製造方法で製造した実施例1~4が工程性の面でより優れていることが分かる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】