(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-17
(54)【発明の名称】発光表示装置用偏光板及びこれを含む発光表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20230410BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20230410BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20230410BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20230410BHJP
H10K 59/10 20230101ALI20230410BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20230410BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20230410BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20230410BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20230410BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230410BHJP
C08G 59/68 20060101ALI20230410BHJP
【FI】
G02B5/30
H05B33/02
H05B33/14 Z
H10K50/86
H10K59/10
H10K77/10
C09J201/00
C09J163/00
C09J4/02
C09J11/06
C08G59/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552527
(86)(22)【出願日】2021-02-10
(85)【翻訳文提出日】2022-09-01
(86)【国際出願番号】 KR2021001780
(87)【国際公開番号】W WO2021177621
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0028641
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リ,ト ホン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,ハン ジュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,イル チン
【テーマコード(参考)】
2H149
3K107
4J036
4J040
【Fターム(参考)】
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2H149AB16
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(57)【要約】
偏光子、及び前記偏光子の一面に順次積層された第1接着層、第1液晶位相差フィルム、第2接着層及び第2液晶位相差フィルムを含む発光表示装置用偏光板であって、前記発光表示装置用偏光板は、数式1と数式2の偏光度変化量(△PE1、△PE2)がそれぞれ約0.7%以下である、発光表示装置用偏光板及びこれを含む発光表示装置が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子、及び前記偏光子の一面に順次積層された第1接着層、第1液晶位相差フィルム、第2接着層及び第2液晶位相差フィルムを含む発光表示装置用偏光板であって、
前記発光表示装置用偏光板は、下記の数式1と下記の数式2の偏光度変化量(△PE
1、△PE
2)がそれぞれ約0.7%以下である、発光表示装置用偏光板:
【数1】
(前記数式1において、偏光板を長さ×幅(3cm×3cm、偏光子のMD×偏光子のTD)に切断し、試験片に対して測定した初期偏光度をP1(単位:%)、
前記試験片を85℃恒温で500時間放置した後で測定した偏光度をP2(単位:%)と言う。)
【数2】
(前記数式2において、偏光板を長さ×幅(3cm×3cm、偏光子のMD×偏光子のTD)に切断し、試験片に対して測定した初期偏光度をP1(単位:%)、前記試験片を60℃及び相対湿度95%の恒温恒湿で500時間放置した後で測定した偏光度をP3(単位:%)と言う。)
【請求項2】
前記第2接着層は、前記第1液晶位相差フィルム及び前記第2液晶位相差フィルムにそれぞれ直接形成された、請求項1に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項3】
前記第2接着層は、エポキシ系化合物及び(メタ)アクリレート系化合物を含む組成物で形成され、
前記(メタ)アクリレート系化合物は、疎水性(メタ)アクリレート系化合物を含む、請求項1に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項4】
前記疎水性(メタ)アクリレート系化合物は、直鎖型又は分枝鎖型の非置換された炭素数6乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び非置換された芳香族基を有する(メタ)アクリレートを含む、請求項3に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項5】
前記直鎖型又は分枝鎖型の非置換された炭素数6乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、イソデシル(メタ)アクリレート、及びデシル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含む、請求項4に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項6】
前記エポキシ系化合物は脂環族エポキシ系化合物を含む、請求項3に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項7】
前記エポキシ系化合物は、芳香族基含有グリシジルエーテルをさらに含む、請求項6に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項8】
前記芳香族基含有グリシジルエーテルは、フェニルグリシジルエーテル、及びレゾルシノールジグリシジルエーテルのうち1種以上を含む、請求項7に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項9】
前記組成物は、親水性基を有する(メタ)アクリレート系化合物を含まない、請求項3に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項10】
前記(メタ)アクリレート系化合物は、前記エポキシ系化合物と前記(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部に対して約25重量部乃至約65重量部で含まれる、請求項3に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項11】
前記組成物は、光陽イオン開始剤、及び光ラジカル開始剤をさらに含む、請求項3に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項12】
前記組成物は、
前記エポキシ系化合物約35重量部乃至約90重量部、
前記(メタ)アクリレート系化合物約10重量部乃至約65重量部、
前記エポキシ系化合物と前記(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部に対して、
前記光陽イオン開始剤約1重量部乃至約10重量部、
前記光ラジカル開始剤約0.5重量部乃至約10重量部を含む、請求項11に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項13】
前記第2接着層は、ガラス転移温度が約70℃乃至約110℃である、請求項1に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項14】
前記第1接着層は、エポキシ系化合物及び(メタ)アクリレート系化合物を含む組成物で形成され、
前記(メタ)アクリレート系化合物は、疎水性(メタ)アクリレート系化合物を含む、請求項1に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項15】
前記組成物は、親水性基を有する(メタ)アクリレート系化合物を含まない、請求項14に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項16】
前記第1接着層は、ガラス転移温度が約70℃乃至約110℃である、請求項1に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項17】
前記第1液晶位相差フィルム及び前記第2液晶位相差フィルムは、それぞれ脂環族基含有(メタ)アクリル系液晶化合物、及び芳香族基含有(メタ)アクリル系液晶化合物のうち1種以上を含む組成物で形成される、請求項1に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項18】
前記偏光子の他の一面に保護層がさらに形成された、請求項1に記載の発光表示装置用偏光板。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか1項の発光表示装置用偏光板を含む、発光表示装置。
【請求項20】
前記発光表示装置はフォルダブル発光表示装置を含む、請求項19に記載の発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光表示装置用偏光板及びこれを含む発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、自発光型表示装置であって、液晶表示装置のように偏光板を別途に備える必要がない。しかし、偏光子、及び偏光子と有機発光素子パネルとの間に所定範囲の位相差を有する位相差フィルムを備えた偏光板を備えることによって、偏光子から入射された線偏光を円偏光に変換させ、その結果、外光の反射を防止し、画面品質を改善することができる。
【0003】
近年、位相差フィルムとして薄型の液晶位相差フィルムを使用することによって、上述した画面品質の改善効果と共に、偏光板の薄型化効果も同時に得ることができる。特に制限されないが、前記位相差フィルムとして、1/2位相差液晶フィルムと1/4位相差液晶フィルムとを積層して使用している。よって、1/2位相差液晶フィルムと1/4位相差液晶フィルムの両者に対して剥離力の高い接着層が要求される。一方、近年、フォルダブルディスプレイが開発されながら、有機発光表示装置でもフォルダブルディスプレイに適用可能な偏光板が要求される。
【0004】
本発明の背景技術は、日本公開特許第2014-032270号などに記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、液晶位相差フィルムに対する剥離力に優れ、信頼性及び屈曲性に優れた偏光板を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムを通過する偏光に対する影響を最小化できる偏光板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点は、発光表示装置用偏光板である。
【0008】
1.発光表示装置用偏光板は、偏光子、及び前記偏光子の一面に順次積層された第1接着層、第1液晶位相差フィルム、第2接着層及び第2液晶位相差フィルムを含み、前記発光表示装置用偏光板は、下記の数式1と下記の数式2の偏光度変化量(△PE1、△PE2)がそれぞれ約0.7%以下である:
【0009】
【0010】
(前記数式1において、偏光板を長さ×幅(3cm×3cm、偏光子のMD×偏光子のTD)に切断し、試験片に対して測定した初期偏光度をP1(単位:%)、
前記試験片を85℃恒温で500時間放置した後で測定した偏光度をP2(単位:%)と言う。)
【0011】
【0012】
(前記数式2において、偏光板を長さ×幅(3cm×3cm、偏光子のMD×偏光子のTD)に切断し、試験片に対して測定した初期偏光度をP1(単位:%)、前記試験片を60℃及び相対湿度95%の恒温恒湿で500時間放置した後で測定した偏光度をP3(単位:%)と言う。)
2.1において、前記第2接着層は、前記第1液晶位相差フィルム及び前記第2液晶位相差フィルムにそれぞれ直接形成されてもよい。
【0013】
3.1-2において、前記第2接着層は、エポキシ系化合物及び(メタ)アクリレート系化合物を含む組成物で形成され、前記(メタ)アクリレート系化合物は、疎水性(メタ)アクリレート系化合物を含むことができる。
【0014】
4.3において、前記疎水性(メタ)アクリレート系化合物は、直鎖型又は分枝鎖型の非置換された炭素数6乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、及び非置換された芳香族基を有する(メタ)アクリレートを含むことができる。
【0015】
5.4において、前記直鎖型又は分枝鎖型の非置換された炭素数6乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、イソデシル(メタ)アクリレート、及びデシル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含むことができる。
【0016】
6.1-5において、前記エポキシ系化合物は、脂環族エポキシ系化合物を含むことができる。
【0017】
7.1-6において、前記エポキシ系化合物は、芳香族基含有グリシジルエーテルをさらに含むことができる。
【0018】
8.7において、前記芳香族基含有グリシジルエーテルは、フェニルグリシジルエーテル、及びレゾルシノールジグリシジルエーテルのうち1種以上を含むことができる。
【0019】
9.1-8において、前記組成物は、親水性基を有する(メタ)アクリレート系化合物を含まなくてもよい。
【0020】
10.1-9において、前記(メタ)アクリレート系化合物は、前記エポキシ系化合物と前記(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部に対して約25重量部乃至約65重量部で含まれてもよい。
【0021】
11.1-10において、前記組成物は、光陽イオン開始剤、及び光ラジカル開始剤をさらに含むことができる。
【0022】
12.11において、前記組成物は、前記エポキシ系化合物約35重量部乃至約90重量部、前記(メタ)アクリレート系化合物約10重量部乃至約65重量部、前記エポキシ系化合物と前記(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部に対して前記光陽イオン開始剤約1重量部乃至約10重量部、及び前記光ラジカル開始剤約0.5重量部乃至約10重量部を含むことができる。
【0023】
13.1-12において、前記第2接着層は、ガラス転移温度が約70℃乃至約110℃であってもよい。
【0024】
14.1-13において、前記第1接着層は、エポキシ系化合物及び(メタ)アクリレート系化合物を含む組成物で形成され、前記(メタ)アクリレート系化合物は、疎水性(メタ)アクリレート系化合物を含むことができる。
【0025】
15.14において、前記組成物は、親水性基を有する(メタ)アクリレート系化合物を含まなくてもよい。
【0026】
16.1-15において、前記第1接着層は、ガラス転移温度が約70℃乃至約110℃であってもよい。
【0027】
17.1-16において、前記第1液晶位相差フィルム及び前記第2液晶位相差フィルムは、それぞれ脂環族基含有(メタ)アクリル系液晶化合物、及び芳香族基含有(メタ)アクリル系液晶化合物のうち1種以上を含む組成物で形成されてもよい。
【0028】
18.1-17において、前記偏光子の他の一面に保護層がさらに形成されてもよい。
【0029】
本発明の他の観点は発光表示装置である。
【0030】
19.発光表示装置は、本発明の発光表示装置用偏光板を含む。
【0031】
20.19において、発光表示装置は、フォルダブル発光表示装置を含むことができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、液晶位相差フィルムに対する剥離力に優れ、信頼性及び屈曲性に優れた偏光板を提供することができる。
【0033】
本発明は、第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムを通過する偏光に対する影響を最小化できる偏光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施例の発光表示装置用偏光板の断面図である。
【
図2】本発明の他の実施例の発光表示装置用偏光板の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[発明を実施するための最善の形態]
添付の図面を参考にして、実施例に対して本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明を詳細に説明する。本発明は、様々な異なる形態に具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係のない部分は省略し、明細書全体にわたって同一又は類似する構成要素に対しては同一の図面符号を付した。図面において、各構成要素の長さ、厚さなどは、本発明を説明するために示したものであって、本発明が図面で記載された長さ、厚さなどに限定されることはない。
【0036】
本明細書において、「上部」及び「下部」は、図面を基準にしたものであって、必ずしも上部と下部に固定されるのではなく、見る視角によって「上部」が「下部」に、「下部」が「上部」に変更されてもよい。
【0037】
本明細書において、「面内位相差(Re)」は、下記の数式Aで表され得る:
【0038】
【0039】
(前記数式Aにおいて、nx、nyは、それぞれ波長550nmでの液晶位相差フィルムの遅相軸、進相軸方向の屈折率で、dは、液晶位相差フィルムの厚さ(単位:nm)である。)
【0040】
本明細書において、「発光素子」は、有機又は有・無機発光素子を含み、LED(light emitting diode)、OLED(organic light emitting diode)、QLED(quantum dotlight emitting diode)、蛍光体などの発光物質を含む素子を意味し得る。
【0041】
本明細書において、数値範囲の記載時、「X乃至Y」は、X以上Y以下(X≦そして≦Y)を意味する。
【0042】
本発明の発明者は、偏光子、第1接着層、第1液晶位相差フィルム、第2接着層及び第2液晶位相差フィルムが順次積層された発光表示装置用偏光板において、
第1液晶位相差フィルムと第2液晶位相差フィルムのそれぞれに対する前記第2接着層の剥離力を高め、高温及び/又は高温高湿での偏光板の信頼性を高めると同時に、前記偏光板の屈曲性を改善することができ、液晶位相差フィルムによる光反射に対する影響を最小化できることを確認し、本発明を完成した。
【0043】
本発明は、発光表示装置用偏光板に含まれ得る数個の接着層又は粘着層のうち偏光子と第1液晶位相差フィルムとを互いに接着させる第1接着層、及び第1液晶位相差フィルムと第2液晶位相差フィルムとを互いに接着させる第2接着層の組成を限定することによって、本発明の効果を得ることができた。
【0044】
以下、本発明の一実施例に係る発光表示装置用偏光板(以下、「偏光板」とも言う)を、
図1を参考にして説明する。
【0045】
図1を参考にすると、偏光板は、偏光子10、及び偏光子10の一面に順次積層された第1接着層50、第1液晶位相差フィルム20、第2接着層30及び第2液晶位相差フィルム40を含む。
【0046】
第2接着層
第2接着層30は、第1液晶位相差フィルム20と第2液晶位相差フィルム40にそれぞれ直接形成されている。前記「直接形成」は、第1液晶位相差フィルム20と第2液晶位相差フィルム40との間に第2接着層30を除いた他の任意の接着層、粘着層、又は粘接着層が介在しないことを意味する。
【0047】
第2接着層30は、第1液晶位相差フィルム20と第2液晶位相差フィルム40のそれぞれに対する剥離力が高いので、第1液晶位相差フィルムと第2液晶位相差フィルムとの分離を防止することによって偏光板を維持し、信頼性(特に、高温/高湿)条件で分離や水泡現象が発生することを防止することができる。
【0048】
第1液晶位相差フィルムに対する第2接着層の剥離力及び第2液晶位相差フィルムに対する第2接着層の剥離力は、それぞれ約100gf/25mm以上、例えば、約100gf/25mm乃至約3,000gf/25mmになってもよい。前記範囲で、常温条件で第1液晶位相差フィルムと第2液晶位相差フィルムとが分離せずに偏光板を維持することができる。
【0049】
第2接着層30は、前記偏光板に対して下記で詳述する屈曲性の評価時、第1液晶位相差フィルムと第2液晶位相差フィルムのそれぞれでしわやクラックが発生することを防止することによって偏光板の屈曲性を高めることができる。これを通じて、偏光板をフォルダブル発光表示装置に使用する場合にも画面品質を良好にすることができる。
【0050】
前記「屈曲性評価」は、本発明の偏光板(偏光子保護層、偏光子、第1接着層、第1液晶位相差フィルム、第2接着層、及び第2液晶位相差フィルムの順に積層された偏光板)に対してIEC-62715に基づいて評価された。具体的には、本発明の偏光板の一面に厚さ80μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをアクリル系粘着剤で粘着させ、前記偏光板の他の一面に厚さ80μmのPETフィルムをアクリル系粘着剤で粘着させ、長さ×幅(6cm×4cm、長さ:偏光子のMD、幅:偏光子のTD)に切断することによって試験片を製造した。前記試験片を、偏光子と最も隣接したPETフィルムが屈曲時に内側になるようにして屈曲試験機に装着し、25℃で屈曲半径5mm、屈曲反復速度30回/分、屈曲角度180゜で屈曲させる方法で屈曲させたとき、第1液晶位相差フィルム及び/又は第2液晶位相差フィルムにしわやクラックが発生するようになる最小の屈曲数を評価する。最小の屈曲数が10万回以上であるとき、偏光板をフォルダブル発光表示装置に使用する場合にも画面品質を良好にすることができる。
【0051】
第2接着層30は、第1液晶位相差フィルム20と第2液晶位相差フィルム40との間に形成され、偏光子10を通過した線偏光が、第1液晶位相差フィルム20、第2接着層30及び第2液晶位相差フィルム40を順次通過する場合、円偏光に変更させる過程で光に対する影響を最小化することができる。これを通じて、第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムによる円偏光効果を良好にすることができる。
【0052】
第2接着層30は、偏光板を高温及び/又は高温高湿で放置したとき、信頼性を高めることができる。偏光子の一面に接着した第1液晶位相差フィルムは、薄型であって、高温及び/又は高温高湿で偏光板を放置する場合、偏光度の変化を十分に低下させることができない。その一方で、第2接着層は、第1液晶位相差フィルムの一面、すなわち、第1液晶位相差フィルムで偏光子が接着していない面に形成され、偏光度変化を低下させ、信頼性を高めることができる。
【0053】
例えば、本発明の偏光板は、下記の数式1及び下記の数式2による偏光度変化量(△PE1、△PE2)がそれぞれ約0.7%以下、例えば、約0%乃至約0.7%になってもよい。例えば、本発明の偏光板は、下記の数式1及び下記の数式2による偏光度変化量(△PE1、△PE2)がそれぞれ約0%、0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%又は0.7%になってもよい:
【0054】
【0055】
(前記数式1において、偏光板を長さ×幅(3cm×3cm、偏光子のMD×偏光子のTD)に切断し、試験片に対して測定した初期偏光度をP1(単位:%)、
前記試験片を85℃恒温で500時間放置した後で測定した偏光度をP2(単位:%)と言う。)
【0056】
【0057】
(前記数式2において、偏光板を長さ×幅(3cm×3cm、偏光子のMD×偏光子のTD)に切断し、試験片に対して測定した初期偏光度をP1(単位:%)、
前記試験片を60℃及び相対湿度95%の恒温恒湿で500時間放置した後で測定した偏光度をP3(単位:%)と言う。)
【0058】
第2接着層30は、ガラス転移温度が約70℃乃至約110℃になってもよい。前記範囲で、第1液晶位相差フィルムと第2液晶位相差フィルムのそれぞれに対する剥離力に優れ、屈曲性及び信頼性が優秀になり得る。好ましくは、第2接着層30のガラス転移温度は、約70℃超過約110℃以下、さらに好ましくは約85℃乃至約100℃になってもよい。
【0059】
第2接着層30は、エポキシ系化合物及び下記で詳述する疎水性(メタ)アクリレート系化合物を含む接着剤組成物で形成される。
【0060】
以下、接着剤組成物の各成分に対して詳細に説明する。
【0061】
エポキシ系化合物
エポキシ系化合物は、脂環族エポキシ系化合物を含む。前記「脂環族エポキシ系化合物」は、エポキシ化された脂環族基を有する化合物を意味し得る。例えば、前記脂環族エポキシ系化合物は、2官能脂環族エポキシ系化合物として、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル-3’ ,4’-エポキシ-6’-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシル)アジペート、ビシクロヘキシルジエポキシド(3,4,3’ ,4’-ジエポキシ-ビシクロヘキサン)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’ ,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート変形したイプシロン-カプロラクトンのうち1種以上を含み得るが、これに制限されない。
【0062】
脂環族エポキシ系化合物は、エポキシ系化合物と(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部のうち約40重量部乃至約90重量部、具体的には、約50重量部乃至約90重量部、約50重量部乃至約80重量部で含まれてもよい。前記範囲で、液晶位相差フィルムの間の接着力に優れ、組成物の粘度上昇による濡れ性の減少がなく、過度なモジュラス上昇による接着層のブリトル(brittle)特性がないので、偏光板の耐クラック性及び裁断性に問題がないという効果を具現することができる。例えば、前記脂環族エポキシ系化合物は、エポキシ系化合物と(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部のうち約40重量部、41重量部、42重量部、43重量部、44重量部、45重量部、46重量部、47重量部、48重量部、49重量部、50重量部、51重量部、52重量部、53重量部、54重量部、55重量部、56重量部、57重量部、58重量部、59重量部、60重量部、61重量部、62重量部、63重量部、64重量部、65重量部、66重量部、67重量部、68重量部、69重量部、70重量部、71重量部、72重量部、73重量部、74重量部、75重量部、76重量部、77重量部、78重量部、79重量部、80重量部、81重量部、82重量部、83重量部、84重量部、85重量部、86重量部、87重量部、88重量部、89重量部又は90重量部で含まれてもよい。
【0063】
エポキシ系化合物は、芳香族基含有グリシジルエーテルをさらに含むことができる。
【0064】
芳香族基含有グリシジルエーテルは、エポキシ系化合物に含まれることによって、暗反応による後硬化効果及び液晶位相差フィルムとの密着性向上をさらに具現することができる。本発明では、脂環族エポキシ系化合物と芳香族基含有グリシジルエーテルを同時に含むことによって、本発明の効果をさらによく具現することができる。
【0065】
芳香族基含有グリシジルエーテルは、1個以上のグリシジルエーテル基を有する化合物を含むことができる。前記「グリシジルエーテル基」は、下記の化学式1のモイエティ(moiety)を意味し得る:
【0066】
【0067】
(前記化学式1において、*は、連結部位である。)
【0068】
芳香族基含有グリシジルエーテルは、1官能のグリシジルエーテルとして、芳香族基及び1個のグリシジルエーテル基を含有することができる。例えば、1官能のグリシジルエーテルは、フェニルグリシジルエーテルなどを含み得るが、これに制限されない。
【0069】
芳香族基含有グリシジルエーテルは、2官能のジグリシジルエーテルとして、芳香族基及び2個のグリシジルエーテル基を含有することができる。例えば、2官能のジグリシジルエーテルは、レゾルシノールジグリシジルエーテル、及び4,4’-(1-メチルエチリデン)ビスフェノールと(クロロメチル)オキシランの結合体(4,4’-(1-methylethylidene)biphenol polymer with (chloromethyl)oxirane)のうち1種以上を含むことができる。
【0070】
一具体例において、芳香族基含有グリシジルエーテルは、1官能のグリシジルエーテルのみを含むことができる。
【0071】
他の具体例において、芳香族基含有グリシジルエーテルは、2官能のグリシジルエーテルのみを含むことができる。
【0072】
更に他の具体例において、芳香族基含有グリシジルエーテルは、1官能のグリシジルエーテルと2官能のグリシジルエーテルの混合物を含むことができる。例えば、芳香族基含有グリシジルエーテルは、フェニルグリシジルエーテル、及びレゾルシノールジグリシジルエーテルのうち1種以上を含むことができる。
【0073】
芳香族基含有グリシジルエーテルは、エポキシ系化合物と(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部のうち約0重量部乃至約10重量部、具体的には約0.1重量部乃至約10重量部、さらに具体的には約1重量部乃至約10重量部で含まれてもよい。前記範囲で、初期硬化速度が遅くならず、初期接着力低下の問題がなく、高温高湿で信頼性及び剥離力が低下しないという効果を具現することができる。例えば、芳香族基含有グリシジルエーテルは、約0重量部、0.1重量部、0.2重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.6重量部、0.7重量部、0.8重量部、0.9重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部又は10重量部で含まれてもよい。
【0074】
エポキシ系化合物は、エポキシ系化合物と(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部のうち約35重量部乃至約90重量部、具体的には約35重量部乃至約85重量部、約35重量部乃至約75重量部で含まれてもよい。前記範囲で、接着層のガラス転移温度の上昇による優れた耐クラック性改善効果を具現することができる。例えば、エポキシ系化合物は、約35重量部、36重量部、37重量部、38重量部、39重量部、40重量部、41重量部、42重量部、43重量部、44重量部、45重量部、46重量部、47重量部、48重量部、49重量部、50重量部、51重量部、52重量部、53重量部、54重量部、55重量部、56重量部、57重量部、58重量部、59重量部、60重量部、61重量部、62重量部、63重量部、64重量部、65重量部、66重量部、67重量部、68重量部、69重量部、70重量部、71重量部、72重量部、73重量部、74重量部、75重量部、76重量部、77重量部、78重量部、79重量部、80重量部、81重量部、82重量部、83重量部、84重量部、85重量部、86重量部、87重量部、88重量部、89重量部又は90重量部で含まれてもよい。
【0075】
(メタ)アクリレート系化合物
(メタ)アクリレート系化合物は、光エネルギーによって開始される光ラジカル開始剤によって重合が行われ、水分による反応阻害を受けることなく、安定的に光エネルギーによって反応することができる。
【0076】
本発明の組成物は、(メタ)アクリレート系化合物として、水酸基、カルボン酸基などを含む親水性基を全く有さない(メタ)アクリレート系化合物を含む。本明細書では、水酸基、カルボン酸基などを含む親水性基を全く有さない(メタ)アクリレート系化合物を「疎水性(メタ)アクリレート系化合物」と命名する。
【0077】
本発明の組成物は、(メタ)アクリレート系化合物として疎水性(メタ)アクリレート系化合物を含むことによって、偏光板の信頼性、特に、偏光板を高温高湿で長期間放置した後の偏光板の信頼性を高めることができる。
【0078】
一具体例において、前記組成物は、親水性基を有する(メタ)アクリレート系化合物を含まない。
【0079】
疎水性(メタ)アクリレート系化合物は、直鎖型又は分枝鎖型の非置換された炭素数6乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び非置換された芳香族基を有する(メタ)アクリレートを含む。これらのうちいずれか一つでも欠ける場合、接着層のガラス転移温度が110℃を超えたり、本発明の第2接着層のガラス転移温度を満足できなくなり、その結果、屈曲性が良好でなく、液晶位相差フィルムに対する剥離力が低くなったり、信頼性が良好でなくなり得る。直鎖型又は分枝鎖型の非置換された炭素数6乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートと芳香族基を有する(メタ)アクリレートを全て含むことによって、本発明の効果をよく具現することができる。ここで、アルキル基の「炭素数」は、(メタ)アクリレート基に含まれた炭素の個数を除外した値である。
【0080】
直鎖型又は分枝鎖型の非置換された炭素数6乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、及びドデシル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含むことができる。好ましくは、分枝鎖型の非置換された炭素数6乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、さらに好ましくは、分枝鎖型の非置換された炭素数8乃至炭素数12のアルキル基を有する(メタ)アクリレートを含むことができる。最も好ましくは、イソデシル(メタ)アクリレート、及びデシル(メタ)アクリレートのうち1種以上を含むことができる。
【0081】
直鎖型又は分枝鎖型の非置換された炭素数6乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、前記エポキシ系化合物と前記(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部のうち約1重量部乃至約30重量部、例えば、約5重量部乃至約20重量部で含まれてもよい。前記範囲で、接着層の剥離力に優れた高温高湿で偏光板の信頼性が優秀になり得る。例えば、直鎖型又は分枝鎖型の非置換された炭素数6乃至炭素数20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートは、約1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、16重量部、17重量部、18重量部、19重量部、20重量部、21重量部、22重量部、23重量部、24重量部、25重量部、26重量部、27重量部、28重量部、29重量部又は30重量部で含まれてもよい。
【0082】
芳香族基を有する(メタ)アクリレートは、単官能又は多官能(メタ)アクリレートとして、例えば、炭素数6乃至炭素数20のアリールオキシ基(例:フェノキシ基)含有、炭素数1乃至炭素数5のアルキル基、炭素数1乃至炭素数5のアルキレン基又は炭素数1乃至炭素数5のアルキレンオキシド基を有する(メタ)アクリレートを含むことができる。好ましくは、前記芳香族基含有(メタ)アクリレートは、フェノール(エトキシレイテッド)(メタ)アクリレートを含むことができる。
【0083】
芳香族基含有(メタ)アクリレートは、前記エポキシ系化合物と前記(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部のうち約1重量部乃至約20重量部、例えば、約5重量部乃至約20重量部で含まれてもよい。前記範囲で、本発明の接着層のガラス転移温度に到逹し、初期接着力を向上させることができる。例えば、芳香族基含有(メタ)アクリレートは、約1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部、10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、16重量部、17重量部、18重量部、19重量部又は20重量部で含まれてもよい。
【0084】
(メタ)アクリレート系化合物、好ましくは、疎水性(メタ)アクリレート系化合物は、エポキシ系化合物と(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部に対して約10重量部乃至約65重量部、例えば、約15重量部乃至約65重量部、約25重量部乃至約65重量部で含まれてもよい。前記範囲で、接着層の接着力に優れた接着剤組成物の硬化時、収縮力の低下による液晶位相差フィルムの表面に対する密着性が低下しなくなり得る。例えば、(メタ)アクリレート系化合物、好ましくは、疎水性(メタ)アクリレート系化合物は、約10重量部、11重量部、12重量部、13重量部、14重量部、15重量部、16重量部、17重量部、18重量部、19重量部、20重量部、21重量部、22重量部、23重量部、24重量部、25重量部、26重量部、27重量部、28重量部、29重量部、30重量部、31重量部、32重量部、33重量部、34重量部、35重量部、36重量部、37重量部、38重量部、39重量部、40重量部、41重量部、42重量部、43重量部、44重量部、45重量部、46重量部、47重量部、48重量部、49重量部、50重量部、51重量部、52重量部、53重量部、54重量部、55重量部、56重量部、57重量部、58重量部、59重量部、60重量部、61重量部、62重量部、63重量部、64重量部又は65重量部で含まれてもよい。
【0085】
開始剤
開始剤は、光陽イオン開始剤及び光ラジカル開始剤の混合物を含むことができる。
【0086】
光陽イオン開始剤は、光硬化性反応を行える通常の光陽イオン開始剤を含むことができる。
【0087】
光陽イオン開始剤は、オニウムイオンである陽イオンと陰イオンのオニウム塩を含むことができる。オニウムイオンの具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4-メトキシジフェニルヨードニウム、ビス(4-メチルフェニル)ヨードニウム、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウム、(4-メチルフェニル)[(4-(2-メチルプロピル)フェニル)ヨードニウムなどのジアリールヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、ジフェニル-4-チオフェノキシフェニルスルホニウムなどのトリアリールスルホニウム、ジフェニル-4(フェニルチオ)フェニルスルホニウム、ビス[4-(ジフェニルスルホニオ)-フェニル]スルフィド、ビス[4-(ジ(4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル)スルホニオ)-フェニル]スルフィド、5-2,4-(シクロペンタジエニル)[1,2,3,4,5,6-η]-(メチルエチル)-ベンゼン]-鉄(1+)などを挙げることができる。陰イオンの具体例としては、テトラフルオロボレート(BF4
-)、ヘキサフルオロホスフェート(PF6
-)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF6
-)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF6
-)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl6
-)などを挙げることができる。
【0088】
光陽イオン開始剤は、前記エポキシ系化合物と前記(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部に対して、約1重量部乃至約10重量部、例えば、約2重量部乃至約10重量部で含まれてもよい。前記範囲で、接着層用組成物が十分に硬化できなく、剥離力の低下、光陽イオン開始剤のブリードアウトなどの問題が発生しなくなり得る。例えば、光陽イオン開始剤は、約1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部又は10重量部で含まれてもよい。
【0089】
光ラジカル開始剤は、光の照射によって少量のラジカルを発生させ、硬化反応を触媒する。光ラジカル開始剤は、フェニルケトン系、リン系、トリアジン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン系、オキシム系又はこれらの混合物を含むことができる。具体例において、フェニルケトン系又はこれらの混合物を光ラジカル開始剤として含むことができる。
【0090】
光ラジカル開始剤は、前記エポキシ系化合物と前記(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部に対して、0.5重量部乃至10重量部、例えば、0.5重量部乃至6重量部で含まれてもよい。前記範囲で、工程の光量条件下で(メタ)アクリレート系化合物が十分に硬化され、光陽イオン開始剤の反応性を改善するという効果があり得る。例えば、光ラジカル開始剤は、約0.5重量部、0.6重量部、0.7重量部、0.8重量部、0.9重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部又は10重量部で含まれてもよい。
【0091】
第2接着層用組成物は、前記エポキシ系化合物、(メタ)アクリレート系化合物、光陽イオン開始剤及び光ラジカル開始剤を混合することによって製造され得る。第2接着層用組成物は、溶剤のない無溶剤型になってもよく、塗布性(コーティング性)を高めるために溶剤をさらに含んでもよい。
【0092】
第2接着層用組成物は、本発明の効果を損傷させない範囲で、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン系導電剤、導電性金属酸化物微粒子などの導電性付与添加剤、光拡散性付与添加剤、粘度調節剤などをさらに含むこともできる。
【0093】
第2接着層用組成物は、UVA波長で約50mJ/cm2乃至約400mJ/cm2の光量、好ましくは、約60mJ/cm2乃至約300mJ/cm2の光量照射によって光硬化されることによって第2接着層を形成することができる。
【0094】
第2接着層30は、厚さが約0.1μm乃至約30μm、例えば、約1μm乃至約10μmになってもよい。前記範囲で、第2接着層30は、適正な厚さを確保することによって、第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムのそれぞれに対する剥離力を確保することができ、偏光板に使用可能になる。
【0095】
第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルム
第1液晶位相差フィルム20と第2液晶位相差フィルム40は、外光が偏光子を通過した後で出射される線偏光を円偏光に変換させることによって、外光に対する反射を防止し、画面品質を良好にすることができる。
【0096】
一具体例において、第1液晶位相差フィルムは、波長550nmでのReが約100nm乃至約220nm、具体的には約100nm乃至約180nm、例えば、λ/4位相差フィルムになってもよい。このとき、第2液晶位相差フィルムは、波長550nmでのReが約225nm乃至約350nm、具体的には約225nm乃至約300nm、例えば、λ/2位相差フィルムになってもよい。
【0097】
他の具体例において、第1液晶位相差フィルムは、波長550nmでのReが約225nm乃至約350nm、具体的には約225nm乃至約300nm、例えば、λ/2位相差フィルムになってもよい。このとき、第2液晶位相差フィルムは、波長550nmでのReが約100nm乃至約220nm、具体的には約100nm乃至約180nm、例えば、λ/4位相差フィルムになってもよい。
【0098】
第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムは、それぞれ厚さが同一又は異なってもよい。例えば、第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムは、それぞれ厚さが約0.1μm乃至約30μm、例えば、約1μm乃至約10μmになってもよい。前記範囲で、偏光板を薄型化させ、目標とする位相差を具現することができる。
【0099】
一具体例において、第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムは、それぞれ単一層の液晶位相差層であってもよい。第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムがそれぞれ液晶位相差層である場合、第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムは液晶位相差層の単一層のみからなっており、偏光板をより薄型化させ得るという効果がある。
【0100】
液晶位相差層は、脂環族基含有(メタ)アクリル系液晶化合物、及び芳香族基含有(メタ)アクリル系液晶化合物のうち1種以上を含む組成物で形成されてもよい。前記液晶位相差層は、レベリング剤、重合開始剤、配向補助剤、熱安定剤、潤滑剤、可塑剤、帯電防止剤などの添加剤をさらに含むこともできる。
【0101】
他の具体例において、第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムは、それぞれ基材フィルム、及び基材フィルム上に形成された液晶位相差層を含むこともできる。第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムは、基材フィルム上に液晶位相差層を形成できる組成物をコーティングして硬化させることによって形成され得る。
【0102】
偏光子
偏光子10は、第1液晶位相差フィルム上に形成され、外光又は内光を偏光させることができる。第1液晶位相差フィルムが液晶位相差層である場合、偏光子に液晶位相差層を形成する組成物をコーティングして硬化させることによって、偏光子上に第1液晶位相差フィルムを直接形成することができる。
【0103】
偏光子10は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨードなどを染色させたポリビニルアルコール系偏光子を含むことができる。例えば、ポリビニルアルコール系偏光子は、ポリビニルアルコールフィルムにヨードや異色性染料を染色させ、これを一定方向に延伸させることによって製造される。具体的には、偏光子10は、膨潤過程、染色段階、及び延伸段階を経て製造される。各段階を行う方法は、当業者に通常知られているものである。偏光子10は、厚さが約1μm乃至約50μmになってもよい。前記範囲で、偏光子10を発光表示装置に使用することができる。
【0104】
第1接着層
第1接着層50は、偏光子10と第1液晶位相差フィルム20との間に形成され、偏光子と第1液晶位相差フィルムとを接着させることができる。このとき、第1接着層は、上述した第2接着層のための接着剤組成物で形成されてもよい。
【0105】
第1接着層50は、厚さが約0.1μm乃至約30μm、例えば、約1μm乃至約10μmになってもよい。前記範囲で、第1接着層50を発光表示装置に使用することができる。
【0106】
第1接着層50は、第2接着層に比べてガラス転移温度が同一であってもよく、又は異なってもよい。一具体例において、第1接着層50は、ガラス転移温度が約70℃乃至約110℃になってもよい。前記範囲で、第1液晶位相差フィルムと偏光子のそれぞれに対する剥離力に優れ、屈曲性及び信頼性が優秀になり得る。好ましくは、第1接着層50のガラス転移温度は、約70℃超過約100℃以下、さらに好ましくは約85℃乃至約100℃になってもよい。
【0107】
図1には示していないが、第2液晶位相差フィルムの下部面、すなわち、第2液晶位相差フィルムで接着層が形成されていない面には粘着フィルムがさらに形成されることによって、発光表示装置用偏光板を発光素子(例:有機発光素子パネル)に粘着させることができる。
【0108】
また、
図1において、偏光板は第1接着層を含む。しかし、第1液晶位相差フィルムが液晶位相差層である場合、第1接着層を用いず偏光子に直接形成される場合も本発明の範囲に含まれ得る。
【0109】
以下、本発明の他の実施例の偏光板を
図2を参考にして説明する。
【0110】
図2を参照すると、偏光板は、偏光子10、偏光子10の上部面に形成された保護層60、偏光子10の下部面に順次形成された第1接着層50、第1液晶位相差フィルム20、第2接着層30、及び第2液晶位相差フィルム40を含むことができる。偏光子10の上部面に保護層60がさらに形成されたことを除いては、
図1の偏光板と実質的に同一である。
【0111】
保護層60は、偏光子の上部面に形成され、偏光子を支持することができる。また、保護層は、偏光子の上部面に形成されることによって、偏光子の下部面に第1液晶位相差フィルムを形成するとき、第1接着層を用いず偏光子に第1液晶位相差フィルムを直接形成することができる。保護層は、光学的に透明な保護フィルム、及び保護コーティング層のうち1種以上を含むことができる。
【0112】
保護層が保護フィルムタイプである場合、光学的に透明な樹脂で形成された保護フィルムを含むことができる。前記保護フィルムは、前記樹脂を溶融及び押出することによって形成され得る。必要な場合は、延伸工程をさらに追加することもできる。前記樹脂は、トリアセチルセルロースなどを含むセルロースエステル系樹脂、環状ポリオレフィン(cyclic olefin polymer、COP)などを含む環状ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などを含むポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、非環状-ポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂などを含むポリアクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、及びポリ塩化ビニリデン系樹脂のうち一つ以上を含むことができる。好ましくは、保護フィルムは、環状ポリオレフィンなどを含む環状ポリオレフィン系樹脂で形成されたフィルムであってもよい。
【0113】
保護層が保護コーティング層タイプである場合は、偏光子に対する良好な密着性、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、及び耐久性を高めることができる。一具体例において、保護層のための保護コーティング層は、活性エネルギー線硬化性化合物及び重合開始剤を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物で形成されてもよい。
【0114】
活性エネルギー線硬化性化合物は、陽イオン重合性の硬化性化合物、ラジカル重合性の硬化性化合物、ウレタン樹脂、及びシリコン系樹脂のうち一つ以上を含むことができる。陽イオン重合性硬化性化合物は、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有するエポキシ系化合物、分子内に少なくとも一つのオクセタン環を有するオクセタン系化合物になってもよい。ラジカル重合性の硬化性化合物は、分子内に少なくとも一つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル系化合物になってもよい。
【0115】
保護層60の厚さは、約5μm乃至約200μm、具体的には、約30μm乃至約120μm、保護フィルムタイプの場合は、約30μm乃至約100μmになってもよく、保護コーティング層タイプの場合は、約5μm乃至約50μmになってもよい。前記範囲で、保護層60を発光表示装置に使用することができる。
【0116】
図2には示していないが、保護層60の上部面には、機能性コーティング層、例えば、ハードコーティング層、耐指紋性層、反射防止層などがさらに形成されてもよい。
【0117】
図2には示していないが、保護層60が保護フィルムタイプである場合、保護層と偏光子との間に第3接着層をさらに形成することができる。第3接着層は、通常の偏光板用接着剤、例えば、接着性樹脂としてポリビニルアルコール系樹脂を含む水系接着剤、光硬化型接着剤、及び減圧性接着剤で形成されてもよい。
【0118】
本発明の更に他の実施例の偏光板を説明する。
【0119】
本実施例の偏光板は、
図1の偏光板において、第1接着層50、及び第2接着層30のうち1種以上が、上述したエポキシ系化合物、(メタ)アクリレート系化合物、及び開始剤にシランカップリング剤をさらに含む組成物で形成された点を除いては、
図1の偏光板と実質的に同一である。
【0120】
第1接着層50、及び第2接着層30のうち1種以上がシランカップリング剤をさらに含む組成物で形成されることによって、偏光板の高温及び/又は高温高湿での信頼性をより高めることができる。
【0121】
シランカップリング剤は、シロキサン基(-*Si(OR1)n(R2)3-nで、nは、1乃至3の整数で、R1は、炭素数1乃至炭素数5のアルキル基で、R2は、水酸基、ハロゲン又は炭素数1乃至炭素数4のアルキル基である。)を1個有する化合物として当業者に知られている通常の化合物を含むことができる。一具体例において、シランカップリング剤は、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシランなどの不飽和基含有シランカップリング剤;及びメルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基含有シランカップリング剤のうち1種以上を含むことができる。
【0122】
シランカップリング剤は、エポキシ系化合物と(メタ)アクリレート系化合物の総和100重量部に対して、約0.01重量部乃至約10重量部、例えば、約0.1重量部乃至約5重量部で含まれてもよい。前記範囲で、偏光板の高温高湿信頼性がさらに改善され得る。例えば、シランカップリング剤は、約0.01重量部、0.05重量部、0.1重量部、0.2重量部、0.3重量部、0.4重量部、0.5重量部、0.6重量部、0.7重量部、0.8重量部、0.9重量部、1重量部、2重量部、3重量部、4重量部、5重量部、6重量部、7重量部、8重量部、9重量部又は10重量部で含まれてもよい。
【0123】
本発明の一実施例の発光表示装置は、本発明の発光表示装置用偏光板を含む。例えば、発光表示装置は、有機発光表示装置などを含み得るが、これに制限されない。本発明の発光表示装置用偏光板は、フォルダブルではない発光表示装置にも使用可能あるが、フォルダブル発光表示装置に使用された場合にも屈曲性が優秀になり得る。
【0124】
[発明を実施するための形態]
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成及び作用をさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明の理解を促進するためのものであって、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるのではない。
【0125】
実施例1
ポリビニルアルコールフィルム(鹸化度:99.5%、重合度:2000、厚さ:60μm)を0.3%ヨード水溶液に浸漬させて染着した後、延伸比5.0倍でMD(machine direction)延伸させた。延伸させたポリビニルアルコールフィルムを3%ホウ酸水溶液及び2%ヨウ化カリウム水溶液に浸漬させ、色相補正を行い、50℃で4分間乾燥させることによって偏光子(厚さ:23μm)を製造した。
【0126】
第1液晶位相差フィルムで液晶コーティングされた位相差フィルム(富士フイルム株式会社、QL AA 328、環状(芳香族基)アクリレート系液晶位相差層を含有。波長550nmでのRe:約234nm)を使用した。液晶コーティングされた位相差フィルムの両面は、250mJ/cm2でコロナ処理された。
【0127】
第2液晶位相差フィルムで液晶コーティングされた位相差フィルム(富士フイルム株式会社、QA AB 318、環状(芳香族基)アクリレート系液晶位相差層を含有。波長550nmでのRe:約116nm)を使用した。液晶コーティングされた位相差フィルムの両面は、250mJ/cm2でコロナ処理された。
【0128】
(1)1次偏光板の製造
22℃乃至25℃、相対湿度20%乃至60%で、保護層-接着層用組成物(第3接着層)-偏光子-接着層用組成物(第1接着層)-未鹸化されたトリアセチルセルロース(TAC)フィルムの順に積層された1次偏光板を製造した。
【0129】
保護層として、シクロオレフィンポリマー(COP)系樹脂フィルム(厚さ:30μm、透明保護フィルム)を使用した。シクロオレフィン系樹脂フィルムの一面は、250mJ/cm2でコロナ処理された。
【0130】
第3接着層は、水100重量部、ポリビニルアルコール系樹脂(日本合成化学工業株式会社、Z320)3重量部、及びグリオキサール(株式会社TCL)3重量部を含むポリビニルアルコール系水系接着剤を含む組成物で形成された。前記組成物を保護層の一面に塗布し、これを偏光子に合わせた後、50℃乾燥オーブンで1分、85℃乾燥オーブンで2分間熱硬化させることによって第3接着層が製造された。
【0131】
第1接着層は、下記の表1によってエポキシ系化合物、(メタ)アクリレート系化合物、及び開始剤を混合した接着層用組成物を偏光子の一面に塗布し、未鹸化されたトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを合わせることによって製造された。
【0132】
(2)第1液晶位相差フィルム-第2接着層-第2液晶位相差フィルムの積層体の製造
22℃乃至25℃、相対湿度20%乃至60%で、第1液晶位相差フィルム-第2接着層-第2液晶位相差フィルムの積層体を製造した。
【0133】
前記積層体は、下記の表1によってエポキシ系化合物、(メタ)アクリレート系化合物、開始剤などを混合した第2接着層用組成物を第1液晶位相差フィルムの一面に塗布し、第2液晶位相差フィルムを合わせた後、第1液晶位相差フィルム側で露光させることによって製造された。
【0134】
(3)偏光板の製造
22℃乃至25℃、相対湿度20%乃至60%で、偏光板を製造した。
【0135】
(1)で製造された1次偏光板で未鹸化されたTACフィルムを分離して除去した後、第1接着層と第1液晶位相差フィルムとが接するように第1液晶位相差フィルム-第2接着層-第2液晶位相差フィルムの積層体を合わせ、第2液晶位相差フィルム側で金属ハライドランプ(LICHTZEN社)を使用して露光させ、保護層、第3接着層(厚さ:0.1μm、PVA系水系接着層)、偏光子、第1接着層(厚さ:3μm、本発明のUV硬化型接着層)、第1液晶位相差フィルム(Re:約234nm)、第2接着層(厚さ:3μm、本発明のUV硬化型接着層)、及び第2液晶位相差フィルム(Re:約116nm)の順に積層された偏光板を製造した。
【0136】
一方、下記で剥離力を測定するために、第2液晶位相差フィルムの下部面のうち一部分に光遮断部位を付着させた後、紫外線を照射した。
【0137】
実施例2乃至実施例6
実施例1において、第1接着層用組成物及び第2接着層用組成物のそれぞれの構成成分及び/又は含量を下記の表1のように変更したことを除いては、同一の方法で偏光板を製造した。
【0138】
比較例1乃至比較例4
実施例1において、第1接着層用組成物及び第2接着層用組成物のそれぞれの構成成分及び/又は含量を下記の表1のように変更したことを除いては、同一の方法で偏光板を製造した。
【0139】
実施例と比較例の第1接着層用組成物及び第2接着層用組成物の構成成分と含量(単位:重量部)を下記の表1に示した。下記の表1において、各成分は、溶媒を除外した固形分含量を示したものである。下記の表1において、「-」は、該当の成分が含まれないことを意味する。
【0140】
第2接着層(又は第1接着層)のガラス転移温度(Tg)(単位:℃):第2接着層用組成物を工程用フィルム(PETフィルム)に所定の厚さでコーティングし、紫外線を透過させて硬化させることによって、厚さが5μm乃至10μmである第2接着層が形成された試験片を製造した。製造された試験片を動的機械分析装置(DMA)を使用して0℃から5℃/minの昇温速度で昇温しながらtanδを測定した。測定された温度別tanδからtanδが最高値を示す温度をガラス転移温度と称し、これを下記の表1に示した。第1接着層は、第2接着層用組成物と同一の組成物で形成されたので、第1接着層も、下記の表1のガラス転移温度を有する。
【0141】
【0142】
A:3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(CELLOXIDE 2021P、株式会社ダイセル)
B:レゾルシノールジグリシジルエーテル(EX-201、ナガセケムテックス株式会社)
C:フェニルグリシジルエーテル(EX-141、ナガセケムテックス株式会社)
D:4-ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学工業株式会社)
E:イソデシルアクリレート(M-130、Miwon Specialty Chemical社)
F:フェノール(EO)アクリレート(M-140、Miwon Specialty Chemical社)
G:ジフェニル-4-(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート(CPI-100P、サンアプロ株式会社)
H:1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184、BASF社)
I:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社)。
【0143】
実施例及び比較例で製造した偏光板に対して下記の表2の物性を評価し、下記の表2にその結果を示した。
【0144】
(1)剥離力:実施例及び比較例で製造された偏光板を25℃で2分間放置した。その後、光遮断部位(約3cm)を含む、幅×長さ(25mm×150mm)に偏光板を切断し、第2液晶位相差フィルムの下部面に両面粘着フィルムを付着させ、これをテクスチャーアナライザーに固定させた。偏光板のうち光遮断部位を広げた後、テクスチャーアナライザーのジグに第1液晶位相差フィルム側を固定させた。その後、これを25℃で72時間放置した。その後、25℃で300mm/minの剥離速度及び90゜の剥離角度で第1液晶位相差フィルム及び第2液晶位相差フィルムを剥離するときの剥離力を測定し、これを剥離力とした。
【0145】
剥離力が50gf/25mm未満である場合はx、50gf/25mm以上100gf/25mm未満である場合は△、100gf/25mm以上である場合は○と表記した。
【0146】
(2)信頼性(単位:%):実施例及び比較例で偏光板を製造した後、長さ×幅(3cm×3cm、偏光子のMD×偏光子のTD)に切断することによって試験片を製造した。製造した試験片のうち第2液晶位相差フィルムをV-7100(日本分光株式会社)の発光される面に向かうようにし、偏光板の偏光度を測定した。
【0147】
製造した試験片に対して、上述した方法で初期偏光度(P1)を測定した。
【0148】
製造した試験片を耐熱チャンバー(85℃で恒温、高温)又は耐湿熱チャンバー(60℃及び相対湿度95%で恒温恒湿、高温高湿)でそれぞれ500時間にわたって放置した後、上述した方法で偏光度(P2、P3)を測定した。前記数式1及び数式2によって偏光度変化量を計算した。
【0149】
(3)屈曲性:偏光板の一面に厚さ80μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをアクリル系粘着剤で粘着させ、前記偏光板の他の一面に厚さ80μmのPETフィルムをアクリル系粘着剤で粘着させ、長さ×幅(6cm×4cm、長さ:偏光子のMD、幅:偏光子のTD)に切断し、PETフィルム/偏光板/PETフィルムからなる試験片を製造した。
【0150】
IEC-62715に基づいて、前記試験片を、偏光子と最も隣接したPETフィルムが屈曲時に内側になるようにして屈曲試験機に装着し、25℃で屈曲半径5mm、屈曲反復速度30回/分、屈曲角度180゜で屈曲させる方法で屈曲させたとき、第1液晶位相差フィルム及び/又は第2液晶位相差フィルムにしわやクラックが発生する最初の屈曲数を得た。これを下記の基準によって評価した。
【0151】
○:10万回以上
△:5万回以上10万回未満
X:5万回未満。
【0152】
(4)硬化性:実施例及び比較例の偏光板の製造過程中、(2)で光を照射してから24時間経過した後、合わせた部分を剥がしてみた。液晶位相差フィルムが容易に分離される場合は○、未硬化状態で接着剤が残ったり手に付く場合はXと評価した。
【0153】
【0154】
前記表2のように、本発明の発光表示装置用偏光板は、液晶位相差フィルムに対する剥離力に優れ、信頼性及び屈曲性に優れていた。
【0155】
その一方で、本発明の第1接着層及び第2接着層が形成されていない比較例の偏光板は、本発明の全ての効果を得ることができなかった。
【0156】
本発明の単純な変形及び変更は、この分野で通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更は、いずれも本発明の領域に含まれるものとして見なすことができる。
【国際調査報告】