(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-18
(54)【発明の名称】CD73エクソン7スプライシングを調節するためのオリゴヌクレオチド
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20230411BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20230411BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230411BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230411BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20230411BHJP
【FI】
C12N15/113 140Z
C12N5/10 ZNA
A61P35/00
A61K48/00
A61K31/713
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022550723
(86)(22)【出願日】2021-02-25
(85)【翻訳文提出日】2022-09-08
(86)【国際出願番号】 EP2021054640
(87)【国際公開番号】W WO2021170697
(87)【国際公開日】2021-09-02
(32)【優先日】2020-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イエンセン, マス アーボー
(72)【発明者】
【氏名】ヨンソン, ラース
(72)【発明者】
【氏名】リチンチ, ジャンルイジ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィケサ, ヨナス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA93Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本発明は、哺乳動物CD73(NT5E)プレmRNAに相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドに関し、ここで、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳動物CD73プレmRNAエクソン7のスプライシングを調節することができる。哺乳動物CD73エクソン7のスプライス調節は、免疫腫瘍学の分野における障害を含む、さまざまな医学的障害に有益である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物CD73プレmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドであって、哺乳動物CD73プレmRNAのスプライシングを調節し、哺乳動物CD73プレmRNAに対して少なくとも90%の相補性、例えば100%の相補性を有する、少なくとも10ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項2】
アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、エクソン7欠損哺乳動物CD73 mRNAの発現を増強することができる、請求項1に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項3】
アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、WT哺乳動物CD73 mRNAの発現を低下させることができる、請求項1又は2に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項4】
アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、エクソン7欠損哺乳動物CD73 mRNAの発現を増強することができ、WT哺乳動物CD73 mRNAの発現を低下させることができる、請求項1~3のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項5】
アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、10~40、例えば10~25、例えば15~20ヌクレオチド長である、請求項1~4のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項6】
アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、配列番号1に相補的であり、例えば完全に相補的である、請求項1~5のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項7】
アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、配列番号6に相補的であり、例えば完全に相補的である、請求項1~6のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項8】
アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、配列番号93~174からなる群から選択される配列に相補的であり、例えば完全に相補的である、請求項1~7のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項9】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドミックスマー若しくはトータルマーであるか、又はそれを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項10】
アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列が、10~20ヌクレオチド長である、請求項1~9のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項11】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列が、配列番号7~88のいずれか1つから選択される配列からなるか、又はそれを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項12】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ASO識別番号:ASO-1~ASO-82のいずれか1つからなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドなど、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドからなるか、又はそれを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含むコンジュゲート。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は請求項13に記載のコンジュゲートの、薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
請求項1~12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は請求項13に記載のコンジュゲートと、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又はアジュバントとを含む、薬学的組成物。
【請求項16】
哺乳動物CD73を発現している標的細胞における哺乳動物CD73プレmRNAのスプライシングを調節するためのインビボ又はインビトロ方法であって、前記方法が、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項13に記載のコンジュゲート、又は請求項14に記載の薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の薬学的組成物を有効量で前記細胞に投与することを含む、方法。
【請求項17】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与が、エクソン7欠損哺乳動物CD73 mRNAの発現の増強をもたらす、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与が、WT哺乳動物CD73 mRNAの発現の低下をもたらす、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与が、エクソン7欠損哺乳動物CD73 mRNAの発現の増強、及びWT哺乳動物CD73 mRNAの発現の低下をもたらす、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
哺乳動物細胞がヒト細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
哺乳類CD73 mRNAがヒトCD73 mRNAである、請求項16~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
がんを治療又は予防するための方法であって、治療上又は予防上有効量の、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項13に記載のコンジュゲート、又は請求項14に記載の薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の薬学的組成物を、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫がん、子宮内膜がん、卵巣がん、ブドウ膜がん、副腎皮質がん、胚細胞がん、食道胃がん、皮膚扁平上皮がん、肛門がん、黒色腫がん、膵臓がん、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、肝細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫がん、尿路上皮がん、及び腎細胞がんからなる群から選択されるがんなどのがんに罹患しているか又は罹患しやすい対象に投与することを含む、方法。
【請求項24】
医薬としての使用のための、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項13に記載のコンジュゲート、又は請求項14に記載の薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
結腸直腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫がん、子宮内膜がん、卵巣がん、ブドウ膜がん、副腎皮質がん、胚細胞がん、食道胃がん、皮膚扁平上皮がん、肛門がん、黒色腫がん、膵臓がん、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、肝細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫がん、尿路上皮がん、及び腎細胞がんからなる群から選択されるがんなどのがんの治療における使用のための、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項13に記載のコンジュゲート、又は請求項14に記載の薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
結腸直腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫がん、子宮内膜がん、卵巣がん、ブドウ膜がん、副腎皮質がん、胚細胞がん、食道胃がん、皮膚扁平上皮がん、肛門がん、黒色腫がん、膵臓がん、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、肝細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫がん、尿路上皮がん、及び腎細胞がんからなる群から選択されるがんなどのがんの治療又は予防のための医薬の調製のための、請求項1~12のいずれか一項に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、又は請求項13に記載のコンジュゲート、又は請求項14に記載の薬学的に許容され得る塩、又は請求項15に記載の薬学的組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物CD73(NT5E)プレmRNAに相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドに関し、ここで、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳動物CD73プレmRNAエクソン7のスプライシングを調節することができる。哺乳動物CD73エクソン7のスプライス調節は、免疫腫瘍学の分野における障害を含む、さまざまな医学的障害に有益である。
【背景技術】
【0002】
CD73は、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー型細胞外膜タンパク質である。これはホモ二量体として機能し、アデノシン一リン酸(AMP)のアデノシン(Ado)と遊離リン酸(Pi)への加水分解を担う細胞外エクト-5’-ヌクレオチダーゼ活性を有する。CD73は、免疫細胞、内皮細胞、がん細胞を含むいくつかの組織及び細胞型において広く発現している(Resta et al.,1993;Snider et al.,2014)。高レベルのAdoの生成は、がん免疫回避に関連するメカニズムの1つである。急速に増殖する細胞は、アポトーシスの頻度の増加によってよく特徴付けられ、これは、他のイベントの中でも特に、腫瘍微小環境(TME)におけるアデノシン三リン酸(ATP)の放出につながる(Silva-Vilches et al.,2018)。TMEにおいて見られる局所ATP濃度の上昇は、炎症誘発性環境の生成に寄与し、それが次にさまざまな免疫細胞の抗がん機能を強化する。ATPからAdoへの変換は、CD39とCD73の逐次活性によって触媒される。細胞外ATPによって活性化される分子シグナル伝達とは逆に、CD39/CD73軸によって生成されるAdoは、樹状細胞の活性化、サイトカイン産生、及びT細胞増殖の阻害を誘発する。Adoは、Gタンパク質共役型アデノシン受容体A2ARの活性化によって免疫抑制効果を発揮する(Fredholm et al.,2001;de Andrade Mello et al.,2017)。さらに、いくつかの種類のがんはCD73発現のアップレギュレーションによって特徴付けられ、この特徴は予後不良と相関している(Loi et al.,2013;Leclerc et al.,2016)。
【0003】
以前の研究(Snider et al.2014)は、エクソン7を欠くCD73アイソフォーム(CD73 Δ7)がドミナントネガティブ機能を有することを報告している。CD73二量体(一方又は両方のサブユニットがCD73 Δ7からなる場合)は、タンパク質の安定性の著しい低下を示す。CD73 Δ7によって誘導される加速されたプロテアソーム分解は、全体的なCD73タンパク質レベルの低下を促進するメカニズムとして同定されている。さらに、少なくとも1つのΔ7サブユニットを含むCD73二量体は触媒的に不活性であることが示されている。
【0004】
スプライススイッチングオリゴヌクレオチドは、疾患を引き起こすSMN1プレmRNAの対立遺伝子におけるエクソン7スプライシングを修正し、脊髄性筋萎縮症の治療に承認されている2’-O-MOEアンチセンスオリゴヌクレオチドであるSpinraza(登録商標)など、異常なプレmRNAスプライシングに関連する疾患の治療のための治療剤として開発されている。治療薬としてのスプライススイッチングアンチセンスオリゴヌクレオチドのレビューについては、Havensらを参照のこと。
【0005】
本発明者らは、CD73スプライシングの調節を可能にしてCD73エクソン7の除去をもたらす、ヒトCD73プレmRNA上のアンチセンスオリゴヌクレオチド標的部位を同定し、免疫腫瘍学の分野における障害の治療に使用するためのCD73 Δ7(すなわち、CD73エクソン7を含まないCD73 mRNA)の効果的な産生を提供する。
【0006】
発明の目的
本発明は、新規の哺乳動物CD73プレmRNA標的部位と、アンチセンスオリゴヌクレオチドが哺乳動物CD73プレmRNAのスプライシングを調節する、前記標的部位を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)とを同定する。有利なことに、哺乳動物CD73プレmRNAのスプライシングの調節は、エクソン7欠損CD73 mRNA(CD73 Δ7)の産生をもたらし、CD73エクソン7コード化ポリペプチドの一部又は全部を欠くCD73ポリペプチドの発現をもたらす。
【0007】
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書に開示される免疫腫瘍学の分野における障害、具体的には、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫がん、子宮内膜がん、卵巣がん、ブドウ膜がん、副腎皮質がん、胚細胞がん、食道胃がん、皮膚扁平上皮がん、肛門がん、黒色腫がん、膵臓がん、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、肝細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫がん、尿路上皮がん、及び腎細胞がんからなる群から選択される疾患の治療に有用である。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、CD73核酸に相補的であり、CD73核酸の発現を調節することができるアンチセンスオリゴヌクレオチド、及び医学におけるその使用を提供する。
【0009】
一態様では、本明細書で提供されるのは、哺乳動物CD73プレmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、ここで、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳動物CD73プレmRNAのスプライシングを調節し、哺乳動物CD73プレmRNAに対して少なくとも90%の相補性、例えば100%の相補性を有する、少なくとも10ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、エクソン7欠損哺乳動物CD73 mRNAの発現を増強することができる。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、WT哺乳動物CD73 mRNAの発現を低下させることができる。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、エクソン7欠損哺乳動物CD73 mRNAの発現を増強し、且つWT哺乳動物CD73 mRNAの発現を低下させることができる。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、10~40、例えば10~25、例えば15~20ヌクレオチド長である。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号1に相補的であり、例えば完全に相補的である。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号6に相補的であり、例えば完全に相補的である。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号93~174からなる群から選択される配列に相補的であり、例えば完全に相補的である。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドミックスマー若しくはトータルマーであるか、又はそれを含む。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、10~20ヌクレオチド長である。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、配列番号7~88のいずれか1つから選択される配列からなるか、又はそれを含む。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ASO識別番号:ASO-1~ASO-82のいずれか1つからなる群から選択されるアンチセンスオリゴヌクレオチドなど、本明細書で提供されるオリゴヌクレオチドからなるか、又はそれを含む。
【0010】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合した少なくとも1つのコンジュゲート部分とを含むコンジュゲートである。
【0011】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートの、薬学的に許容され得る塩である。
【0012】
一態様では、本明細書で提供されるのは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲートと、薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又はアジュバントとを含む薬学的組成物である。
【0013】
一態様では、本明細書で提供されるのは、哺乳動物CD73を発現している標的細胞における哺乳動物CD73プレmRNAのスプライシングを調節するためのインビボ又はインビトロ方法であり、前記方法は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート又は薬学的に許容され得る塩又は薬学的組成物を有効量で前記細胞に投与することを含む。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、エクソン7欠損哺乳動物CD73 mRNAの発現の増強をもたらす。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、WT哺乳動物CD73 mRNAの発現の低下をもたらす。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの投与は、エクソン7欠損哺乳動物CD73 mRNAの発現の増強、及びWT哺乳動物CD73 mRNAの発現の低下をもたらす。一実施態様では、細胞は哺乳動物細胞である。一実施態様では、哺乳動物細胞はヒト細胞である。一実施態様では、哺乳動物CD73 mRNAはヒトCD73 mRNAである。
【0014】
一態様では、本明細書で提供されるのは、がんを治療又は予防する方法であって、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート又は薬学的に許容され得る塩又は薬学的組成物の治療的又は予防的有効量を、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫がん、子宮内膜がん、卵巣がん、ブドウ膜がん、副腎皮質がん、胚細胞がん、食道胃がん、皮膚扁平上皮がん、肛門がん、黒色腫がん、膵臓がん、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、肝細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫がん、尿路上皮がん、及び腎細胞がんからなる群から選択されるがんなどのがんに罹患しているか又は罹患しやすい対象に投与することを含む、方法である。
【0015】
一態様では、本明細書で提供されるのは、医薬としての使用のための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート又は薬学的に許容され得る塩又は薬学的組成物である。
【0016】
一態様では、本明細書で提供されるのは、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫がん、子宮内膜がん、卵巣がん、ブドウ膜がん、副腎皮質がん、胚細胞がん、食道胃がん、皮膚扁平上皮がん、肛門がん、黒色腫がん、膵臓がん、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、肝細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫がん、尿路上皮がん、及び腎細胞がんからなる群から選択されるがんなどのがんの治療における使用のための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート又は薬学的に許容され得る塩又は薬学的組成物である。
【0017】
一態様では、本明細書で提供されるのは、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫がん、子宮内膜がん、卵巣がん、ブドウ膜がん、副腎皮質がん、胚細胞がん、食道胃がん、皮膚扁平上皮がん、肛門がん、黒色腫がん、膵臓がん、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、肝細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫がん、尿路上皮がん、及び腎細胞がんからなる群から選択されるがんなどのがんの治療又は予防のための医薬の調製のための、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はコンジュゲート又は薬学的に許容され得る塩、又は薬学的組成物の使用である。
【0018】
配列表
本出願とともに提出された配列表は、参照により本明細書に援用される。配列表と明細書又は図面との間に矛盾がある場合は、明細書(図面を含む)に開示された情報を正しいものとみなす。標的核酸又は標的配列又は標的部位への言及において、本明細書に開示される配列は、ゲノム配列又はcDNA配列に由来するDNA配列を指し、細胞内、インビトロ又はインビボでの核酸の表現として提供され、例えばRNA分子(例えば、RNA標的配列では、ウラシル(U)は封入されたDNA配列に示されているチミン(T)の代わりに存在する)であり得るということを理解するであろう。配列番号6などの標的領域又は配列番号93~174などの標的配列は、参照標的配列(配列番号1又はその天然に存在するバリアントなど)からのRNA配列を含む。
【0019】
【0020】
本明細書で提供されるアンチセンスオリゴヌクレオチドによって並べられた標的CD73プレmRNA配列
配列番号6(小文字はイントロン領域を表し、大文字はエクソン7領域を表す):
gcattttctcaagctattttccttcttgcctcatctgtgactaccctcagGCACAATTACCTGGGAGAACCTGGCTGCTGTATTGCCCTTTGGAGGCACATTTGACCTAGTCCAGTTAAAAGGTTCCACCCTGAAGAAGGCCTTTGAGCATAGCGTGCACCGCTACGGCCAGTCCACTGGAGAGTTCCTGCAGGTGGGCGgtaagtcacccatcctgtagggctggcccatccaaagtgacatggcattt
【0021】
ヒトCD73プレmRNAの例示的なエクソン及びイントロン領域-配列番号1を参照して説明したとおり
【0022】
したがって、CD73 Δ7 mRNAは、配列番号1のヌクレオチド40925~41074によって例示されるようなエクソン7領域、又は少なくともその一部を欠いている。いくつかの実施態様では、エクソン7全体がCD73 Δ7 mRNAにおいて欠けており、したがっていくつかの実施態様では、CD73 Δ7 mRNAは、エクソン6及びエクソン8にわたって形成された連続配列を有することによって特徴付けることができる。いくつかの実施態様では、CD73 Δ7 mRNAは、エクソン1から6、8、及び9を含むが、エクソン7を欠いている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A-1B】
図1A-B:CD73エクソン7スキッピング活性に対する82ミックスマーASOのスクリーニング。
図1A:A549及びColo205細胞を5μMのアンチセンスASOで4日間処理した。
図1B:A549及びColo205細胞を25μMのアンチセンスASOで4日間処理した。エクソン7スキッピング(exS)のレベルは、総CD73 mRNAのパーセンテージとして示される。A549及びColo205細胞におけるASOの活性のピアソン相関係数が示されている(r)。白丸はCD73 RNAを標的とするASOを表し、黒丸はスクランブル対照ASOを表す。
【
図2】
図2:ASO-52及びASO-15は、用量依存的にCD73 Δ7を誘導する。Colo205細胞を、示されたASOで異なる濃度で4日間処理した(n=2)。CD73 Δ7のレベルは、総CD73mRNAのパーセンテージとして示される。
【
図3】
図3: ASO-52及びASO-15によるCD73 Δ7の誘導は、用量依存的に細胞外5’エクトヌクレオチダーゼ活性を低下させる。Colo205細胞を、示されたASOで異なる濃度で4日間処理した。CD73の細胞外活性は、AMP加水分解から生成された遊離リン酸として測定された(n=2)。バックグラウンドレベルは、AMPの非存在下においてPBS処理細胞で測定された遊離リン酸レベルに対応する。
【
図4A-4B】
図4A-B:ASO-52及びASO-15は、CD73タンパク質レベルを低下させる。
図4A:Colo205細胞を25μMのアンチセンスASOで4日間処理した。CD73タンパク質レベルは、全細胞ライセートのイムノブロッティングによって定量化された。GAPDHレベルを内部正規化群として使用した。
図4B:25μMのアンチセンスASOで4日間処理したColo205細胞のデンシトメトリー解析。(n=3)。スチューデントのt検定
*p<0.05、エラーバーは±SDを示す。
【
図5】
図5:スプライススイッチングASO(ASO-52及びASO-15)及び先行技術の抗CD73ギャップマー(ASO-83及びASO-84)は、同様の効力で細胞外5’エクトヌクレオチダーゼを低下させる(n=2)。
【
図6】
図6:スプライススイッチングASO(ASO-52及びASO-15)は、カスパーゼ3の活性化を誘導しない。Colo205細胞を処理し、4日後にカスパーゼ3活性と細胞生存率を測定し、対照(未処理)試料の比率を1に設定した(n=3)。
【
図7A-7B】
図7A-B:スプライススイッチングASO(ASO-15及びASO-52)は、先行技術の抗CD73ギャップマー(ASO-83及びASO-84)よりも優れた標的特異性を示す。
図7A:RNA配列決定により決定された、スプライススイッチングASO(ASO-15及びASO-52)及び先行技術の抗CD73ギャップマー(ASO-83及びASO-84)と、非処理細胞との間の差次的転写レベルのボルカノプロット(n=3)。影付きの領域には、対応するASO処理細胞と未処理細胞の間で差次的に発現していると同定された遺伝子を含む。
図7B:未処理細胞と比較した各ASO処理細胞の有意なオフターゲット転写物摂動の概要。
【0024】
定義
オリゴヌクレオチド
本明細書で使用される用語「オリゴヌクレオチド」は、2つ以上の共有結合したヌクレオシドを含む分子として当業者によって一般的に理解されるように定義される。このような共有結合したヌクレオシドはまた、核酸分子又はオリゴマーとも称され得る。オリゴヌクレオチドは、通常、固相化学合成とそれに続く精製及び単離によって実験室にて作製される。オリゴヌクレオチドの配列に言及する場合には、共有結合したヌクレオチド又はヌクレオシドの核酸塩基部分の配列若しくは順序、又はその修飾が言及される。本明細書に記載されるオリゴヌクレオチドは、人工的に作られたものであり、化学的に合成され、典型的には精製又は単離されたものである。本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシドなどの1つ又は複数の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含み得る。
【0025】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書で使用される用語「アンチセンスオリゴヌクレオチド」は、標的核酸、特に標的核酸上の連続配列にハイブリダイズすることによって標的遺伝子の発現を調節することができるオリゴヌクレオチドとして定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本質的に二本鎖ではなく、したがってsiRNA又はshRNAではない。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖である。本明細書に記載の一本鎖オリゴヌクレオチドは、自己内又は自己間の相補性の程度がオリゴヌクレオチドの全長にわたって50%未満である限り、ヘアピン又は分子間二重鎖構造(同じオリゴヌクレオチドの2つの分子間の二重鎖)を形成することができるものと理解される。
【0026】
有利には、本明細書に記載の一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ耐性を低下させるため、RNAヌクレオシドを含まない。
【0027】
一実施態様では、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシドなどの1つ又は複数の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含む。さらに、修飾されていないヌクレオシドがDNAヌクレオシドであることは有利である。
【0028】
連続ヌクレオチド配列
用語「連続ヌクレオチド配列」は、標的核酸に相補的なオリゴヌクレオチドの領域を指す。この用語は、本明細書中で用語「連続核酸塩基配列」及び用語「オリゴヌクレオチドモチーフ配列」と互換的に使用される。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドの全てのヌクレオチドが連続ヌクレオチド配列を構成する。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列を含み、任意で、さらなるヌクレオチド、例えば、官能基を連続ヌクレオチド配列に結合するために使用され得るヌクレオチドリンカー領域を含み得る。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸に相補的であっても、相補的でなくてもよい。オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列は、オリゴヌクレオチド自体よりも長くなり得ず、オリゴヌクレオチドは、連続ヌクレオチド配列よりも短くなり得ないことが理解される。
【0029】
ヌクレオチド
ヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド及びポリヌクレオチドの構成単位であり、本明細書に記載の目的のために、天然に存在するヌクレオチド及び天然に存在しないヌクレオチドの両方を含む。天然では、DNAヌクレオチド及びRNAヌクレオチドなどのヌクレオチドは、リボース糖部分、核酸塩基部分、及び1つ又は複数のリン酸基(ヌクレオシドには存在しない)を含む。ヌクレオシド及びヌクレオチドはまた、「単位」又は「モノマー」と互換的に称され得る。
【0030】
修飾ヌクレオシド
本明細書で使用される用語「修飾ヌクレオシド」又は「ヌクレオシド修飾」は、糖部分又は(核酸)塩基部分の1つ又は複数の修飾の導入によって、等価なDNA又はRNAヌクレオシドと比較して修飾されたヌクレオシドを指す。一実施態様では、修飾ヌクレオシドは修飾された糖部分を含む。用語「修飾ヌクレオシド」は、本明細書では、「ヌクレオシドアナログ」又は修飾「ユニット」又は修飾「モノマー」という用語と交換可能に使用することもできる。非修飾DNA又はRNA糖部分を有するヌクレオシドは、本明細書ではDNAヌクレオシド又はRNAヌクレオシドと称される。DNAヌクレオシド又はRNAヌクレオシドの塩基領域に修飾を有するヌクレオシドは、Watson Crick塩基対形成が可能であれば、依然として一般にDNA又はRNAと称される。
【0031】
修飾ヌクレオシド間結合
用語「修飾ヌクレオシド間結合」は、2つのヌクレオシドを一緒に共有結合させるホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者によって一般的に理解されるように定義される。したがって、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド間結合を含み得る。いくつかの実施態様では、修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合と比較して、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増加させる。天然に存在するオリゴヌクレオチドの場合、ヌクレオシド間結合は、隣接するヌクレオシド間でホスホジエステル結合を形成するリン酸基を含む。修飾ヌクレオシド間結合は、インビボでの使用のためにオリゴヌクレオチドを安定化するのに特に有用であり、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのDNA又はRNAヌクレオシドの領域でのヌクレアーゼ切断から保護するのに役立ち得る。
【0032】
一実施態様では、オリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の修飾ヌクレオシド間結合が、例えばヌクレアーゼ攻撃に対してより耐性であるように、天然のホスホジエステルから修飾された1つ又は複数のヌクレオシド間結合を含む。ヌクレアーゼ耐性は、オリゴヌクレオチドを血清中でインキュベートすることにより、又はヌクレアーゼ耐性アッセイ(例えばヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD))を使用することにより判定することができ、これらは両方とも当技術分野で周知である。オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ耐性を増強することができるヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合と称される。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合が修飾されており、例えばオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列の、例えば少なくとも55%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも65%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、又は例えば少なくとも95%のヌクレオシド間結合が、修飾されている。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全てが修飾されている。いくつかの実施態様では、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドをコンジュゲートなどの非ヌクレオチド官能基に連結するヌクレオシドはホスホジエステルであり得ることが認識されるであろう。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全ては、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド間結合である。
【0033】
修飾ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート、ジホスホロチオエート、及びボラノホスフェートからなる群から選択され得る。いくつかの実施態様では、修飾ヌクレオシド間結合、例えば、ホスホロチオエート、ジホスホロチオエート又はボラノホスフェートは、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドのRNaseH動員(recruitment)と適合する。
【0034】
いくつかの実施態様では、ヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合などの硫黄(S)を含む。
【0035】
ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ耐性、有益な薬物動態及び製造の容易さのために特に有用である。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列の少なくとも50%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであり、例えばオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列の、例えば少なくとも55%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも65%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも75%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、又は例えば少なくとも95%のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートである。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列のヌクレオシド間結合の全てがホスホロチオエートである。
【0036】
いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、1つ又は複数の中性ヌクレオシド間結合、特にホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI、アミド-3、ホルムアセタール及びチオホルムアセタールからなる群から選択されるヌクレオシド間結合を含む。
【0037】
さらなるヌクレオシド間結合は、国際公開第2009/124238号(参照により本明細書に援用される)に開示されている。一実施態様では、ヌクレオシド間結合は、国際公開第2007/031091号(参照により本明細書に援用される)に開示されるリンカーから選択される。いくつかの実施態様では、ヌクレオシド間結合は、-O-P(O)2-O-、-O-P(O,S)-O-、-O-P(S)2-O-、-S-P(O)2-O-、-S-P(O,S)-O-、-S-P(S)2-O-、-O-P(O)2-S-、-O-P(O,S)-S-、-S-P(O)2-S-、-O-PO(RH)-O-、0-PO(OCH3)-0-、-O-PO(NRH)-O-、-O-PO(OCH2CH2S-R)-O-、-O-PO(BH3)-O-、-O-PO(NHRH)-O-、-O-P(O)2-NRH-、-NRH-P(O)2-O-、-NRH-CO-O-、-NRH-CO-NRH-O-CO-O-、-O-CO-NRH-、-NRH-CO-CH2-、-O-CH2-CO-NRH-、-O-CH2-CH2-NRH-、-CO-NRH-CH2-、-CH2-NRHCO-、-O-CH2-CH2-S-、-S-CH2-CH2-O-、-S-CH2-CH2-S-、-CH2-SO2-CH2-、-CH2-CO-NRH-、-O-CH2-CH2-NRH-CO-、及び-CH2-NCH3-O-CH2-からなる群から選択され得、ここで、RHは、水素及びC1-4-アルキルからなる群から選択される。
【0038】
一実施態様では、オリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列の全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であるか、又はオリゴヌクレオチドの全てのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合である。
【0039】
EP2742135に開示されているように、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、他のヌクレオシド間結合(ホスホジエステル及びホスホロチオエート以外)、例えばアルキルホスホネート/メチルホスホネートヌクレオシド間結合を含んでもよいことが認識されており、これはEP2742135によれば、例えば別のDNAホスホロチオエートのギャップ領域内で耐性であり得る。
【0040】
核酸塩基
本明細書で使用される用語「核酸塩基」は、ヌクレオシド及びヌクレオチドに存在するプリン(例えばアデニン及びグアニン)及びピリミジン(例えばウラシル、チミン及びシトシン)部分を含み、これらは核酸ハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成する。本明細書で使用する用語「核酸塩基」は、天然に存在する核酸塩基とは異なり得るが、核酸ハイブリダイゼーション中に機能する修飾核酸塩基も包含する。この文脈において、「核酸塩基」は、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン及びヒポキサンチンなどの天然に存在する核酸塩基、並びに非天然に存在するバリアントの両方を指す。このようなバリアントは、例えばHiraoら(2012)Accounts of Chemical Research、第45巻、第2055頁及びBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry 付録37 1.4.1に記載されている。
【0041】
いくつかの実施態様では、核酸塩基部分は、プリン又はピリミジンを修飾プリン又はピリミジン、例えば置換プリン又は置換ピリミジン、例えばイソシトシン、プソイドイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チアゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2’チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン及び2-クロロ-6-アミノプリンからなる群から選択される核酸塩基に変えることにより修飾される。
【0042】
核酸塩基部分は、対応する各核酸塩基の文字コード、例えば、A、T、G、C、又はUで示すことができ、各文字は、同等の機能の修飾核酸塩基を任意に含み得る。例えば、例示されたオリゴヌクレオチドでは、核酸塩基部分は、A、T、G、C、及び5-メチルシトシンからなる群から選択される。必要に応じて、LNAオリゴヌクレオチドには、5-メチルシトシンLNAヌクレオシドを使用することができる。
【0043】
修飾オリゴヌクレオチド
用語「修飾オリゴヌクレオチド」は、1つ又は複数の糖修飾ヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを表す。用語「キメラ」オリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドを表すために文献で使用されている用語である。
【0044】
相補性
用語「相補性」又は「相補的」とは、ヌクレオシド/ヌクレオチドのWatson-Crick塩基対形成の能力を表す。Watson-Crick塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)及びアデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。オリゴヌクレオチドは修飾核酸塩基を有するヌクレオシドを含んでもよく、例えば、5-メチルシトシンは多くの場合シトシンの代わりに使用され、したがって相補性という用語は、非修飾核酸塩基と修飾核酸塩基との間のWatson Crick塩基対形成を包含することが理解されよう(例えば、Hiraoら(2012)Accounts of Chemical Research、第45巻、第2055頁及びBergstrom(2009)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry 付録37 1.4.1を参照されたい)。
【0045】
用語「%相補的」とは、本明細書で使用される場合、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、標的配列又は配列モチーフ)に相補的である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)中の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセントで表される)を指す。したがって、相補性のパーセンテージは、オリゴヌクレオチド配列と参照配列との間で(ここで、参照配列が5’-3’方向になり、オリゴヌクレオチド配列が3’-5’方向になるようにアラインメントが実行される)(Watson-Crick塩基対から)相補的である整列核酸塩基の数を以下のように決定することによって計算される:X/Yの分数の100倍(Xはオリゴヌクレオチド配列と参照配列との間の相補的ヌクレオチドの数であり、Yはオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数である)。
【0046】
そのような比較において、整列しない(すなわち、塩基対を形成しない)核酸塩基/ヌクレオチドはミスマッチと称される。挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の%相補性の計算において許容されない。相補性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基が、Watson-Crick塩基対合を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されるであろう(例えば、5-メチルシトシンは、%同一性の計算の目的のために、シトシンと同一であると見なされる)。
【0047】
用語「完全に相補的な」とは、100%の相補性を指す。
【0048】
同一性
用語「同一性」とは、本明細書で使用される場合、連続ヌクレオチド配列にわたって参照配列(例えば、標的配列又は配列モチーフ)に同一である、核酸分子(例えば、オリゴヌクレオチド)中の連続ヌクレオチド配列のヌクレオチドの割合(パーセントで表される)を指す。したがって、同一性のパーセンテージは、オリゴヌクレオチド配列と参照配列の間で(ここで、オリゴヌクレオチド配列と参照配列の向きが同じになるようにアラインメントが実行される)同一(一致)である整列核酸塩基の数を以下のように決定することによって計算される:X/Yの分数の100倍(Xはオリゴヌクレオチド配列と参照配列との間の同一ヌクレオチドの数であり、Yはオリゴヌクレオチド中のヌクレオチドの総数である)。挿入及び欠失は、連続ヌクレオチド配列の同一性のパーセンテージの計算において許容されない。同一性の決定において、核酸塩基の化学的修飾は、核酸塩基が、Watson-Crick塩基対合を形成する機能的能力が保持される限り、無視されることが理解されるであろう(例えば、5-メチルシトシンは、%同一性の計算の目的のために、シトシンと同一であると見なされる)。
【0049】
ハイブリダイゼーション
本明細書で使用される用語「ハイブリダイズしている」又は「ハイブリダイズする」は、2つの核酸鎖(例えば、オリゴヌクレオチド及び標的核酸)が対向する鎖上の塩基対との間で水素結合を形成することにより二重鎖を形成することとして理解されるべきである。2つの核酸鎖間の結合の親和性は、ハイブリダイゼーションの強度である。これは、多くの場合、オリゴヌクレオチドの半分が標的核酸と二重鎖を形成する温度として定義される融解温度(Tm)によって表される。生理学的条件では、Tmは親和性に厳密に比例しない(Mergny and Lacroix,2003,Oligonucleotides 13:515-537)。標準状態ギブス自由エネルギーΔG°は、結合親和性をより正確に表し、ΔG°=-RTln(Kd)によって反応の解離定数(Kd)に関連付けられる(式中、Rは気体定数であり、Tは絶対温度である)。したがって、オリゴヌクレオチドと標的核酸との反応のΔG°が非常に低ければ、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間のハイブリダイゼーションが強いことを示している。ΔG°は、水中濃度が1M、pHが7、及び温度が37℃の反応に関連したエネルギーである。標的核酸に対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、自発的反応であり、自発的反応の場合、ΔG°はゼロ未満である。ΔG°は、例えば、Hansen et al.,1965,Chem.Comm.36-38,及びHoldgate et al.,2005,Drug Discov Todayに記載されている等温滴定熱量測定(ITC)法を使用して、実験的に測定することができる。当業者は、ΔG°の測定のために市販の装置が利用可能であることを知っているであろう。ΔG°は、Sugimoto et al.,1995,Biochemistry 34:11211-11216及びMcTigue et al.,2004,Biochemistry 43:5388-5405によって記述された適切に導出された熱力学的パラメーターを使用してSantaLucia,1998,Proc Natl Acad Sci USA.95:1460-1465で説明されている最近傍モデルを使用して数値的に推定することもできる。ハイブリダイゼーションによってその意図された核酸標的を調節する可能性を確保するために、本明細書に記載のオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドに対して-10kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズする。いくつかの実施態様では、ハイブリダイゼーションの程度又は強度は、標準状態ギブス自由エネルギーΔG°により測定される。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、8~30ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドについて、-10kcal未満、例えば-15kcal未満、例えば-20kcal未満、又は例えば-25kcal未満の推定ΔG°値で標的核酸にハイブリダイズし得る。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、-10~-60kcalの推定ΔG°範囲で、例えば-12から-40kcal、例えば-15から-30kcal、例えば-16から-27kcal、又は例えば-18から-25kcalの推定ΔG°範囲で標的核酸にハイブリダイズし得る。
【0050】
標的
本明細書で使用される用語「標的」は、本明細書ではCD73又はNT5Eと称され、5’-ヌクレオチダーゼ(5’-NT)、エクト-5’-ヌクレオチダーゼとしても知られている、哺乳動物、例えばヒト表面抗原分類73を指す。CD73、GENE ID No4907は、ヒト第6染色体:85449584...85495791逆鎖(GRCh38.p13、NC_000006.12)上にコードされ、プレmRNAは、本明細書において配列番号1として例示される。ヒトWT CD73 mRNAの例は、本明細書において配列番号2として提供される。ヒトCD73 Δ7 mRNAの例は、本明細書において配列番号4として提供される。ヒトWT CD73タンパク質の例は、本明細書において配列番号3として提供される。ヒトCD73 Δ7タンパク質の例は、本明細書において配列番号5として提供される。本発明の文脈において、CD73エクソン7によってコードされるアミノ酸配列を含むCD73タンパク質は、WT CD73と称される。本発明の文脈において、CD73エクソン7によってコードされるアミノ酸配列の一部又は全部を欠くCD73タンパク質は、CD73 Δ7と称される。
【0051】
標的核酸
本発明によれば、標的核酸は、哺乳動物CD73プレmRNA、例えば本明細書において配列番号1として示されるヒトCD73プレmRNA、又はその天然に存在するバリアントである。有利には、標的核酸は、配列番号1などのCD73プレmRNAエクソン7配列、又は配列番号1に少なくとも98%相補的な配列を含む。
【0052】
いくつかの実施態様では、標的核酸は、配列番号6、及び93~174のいずれか1つ、又はそれらの天然に存在するバリアントからなる群から選択される。
【0053】
適切には、標的核酸は、CD73ポリペプチド、特に配列番号3などのCD73エクソン7を含むヒトCD73ポリペプチドをコードする。
【0054】
CD73 Δ7バリアントは、天然に存在するCD73対立遺伝子バリアントであり、mRNAのエクソン7の欠失をもたらし(例えば配列番号4)、その結果、エクソン7によってコードされるアミノ酸配列に対応する欠失を伴うポリペプチドが得られる-本明細書では「CD73 Δ7」又は「エクソン7欠失CD73」と称される(例えば、エクソン7によってコードされるアミノ酸を欠く典型的なCD73ポリペプチド配列を表す配列番号5を参照のこと)。
【0055】
適切には、標的核酸は、CD73ポリペプチド、特に配列番号5などのCD73エクソン7を欠くヒトCD73ポリペプチドをコードする。
【0056】
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基の連続配列は、典型的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さにわたって測定して、場合により1つ又は2つのミスマッチを除いて、また場合によりアンチセンスオリゴヌクレオチドをコンジュゲートなどの任意の官能基に連結し得るヌクレオチドベースのリンカー領域、又は他の非相補的末端ヌクレオチド(例えば、領域D’又はD’’)を除いて、CD73プレmRNA(配列番号1)の領域に相補的である。いくつかの実施態様では、標的核酸は、RNA又はDNAであり得、例えば、成熟mRNA又はプレmRNAなどのmRNAであり得る。いくつかの実施態様では、標的核酸は、ヒトCD73ポリペプチドなどの哺乳動物CD73ポリペプチドをコードするRNA又はDNAであり、例えば、配列番号1として開示されるようなヒトCD73 mRNA配列である。例示的な標的核酸に関するさらなる情報は、表4に提供される。
【0057】
“+”=フォワード鎖ゲノム座標はプレmRNA配列(ゲノム配列;配列番号1)を提供する。Ensemble参照は、mRNA配列(cDNA配列)を提供する。
*)Ensemblは、比較ゲノミクス、進化、配列多様性、転写調節の研究を支援する脊椎動物ゲノムのゲノムブラウザである。www.ensembl.orgでホストされている。
【0058】
WT CD73
WT CD73は、CD73のエクソン7によってコードされるアミノ酸配列を含む、CD73タンパク質として本明細書で定義される野生型CD73を指す。したがって、WT CD73タンパク質は、エクソン7を含むCD73 mRNAによってコードされるタンパク質である。いくつかの実施態様では、WT CD73タンパク質は、エクソン1~9(上記の表2に提供される)を含むCD73 mRNAによってコードされる。
【0059】
CD73 Δ7
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、CD73 プレmRNAのスプライシングを調節し、CD73 プレmRNAエクソン7によってコードされる領域内の1つ又は複数のアミノ酸を欠くCD73ポリペプチドの発現又は発現の増強をもたらす。いくつかの実施態様では、CD73エクソン7によってコードされるアミノ酸領域は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用によって産生されるCD73ポリペプチドには存在しない。エクソン7の一部又は全部を欠くCD73 プレmRNAは、本明細書では「CD73 Δ7 mRNA」又は「エクソン7欠損CD73 mRNA」と称される。したがって、エクソン7の一部又は全部を欠くCD73タンパク質は、本明細書では「CD73 Δ7タンパク質」又は「エクソン7欠損CD73タンパク質」と称される。いくつかの実施態様では、CD73 Δ7タンパク質は、エクソン1~6、8及び9(上記の表2に提供される)を含むCD73 Δ7 mRNAによってコードされる。
【0060】
異なる転写産物(例えば、WT CD73対CD73 Δ7)の比率の変化は、mRNAレベル、又は対応するタンパク質産物のレベルを比較することによって測定することができる。WT CD73タンパク質又はCD73 Δ7タンパク質のいずれかに特異的なモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体などの抗CD73抗体を、WT CD73及びCD73 Δ7のタンパク質レベルをアッセイするために使用することができる。
【0061】
標的配列
本明細書で使用される用語「標的配列」は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドに相補的な核酸塩基配列を含む、標的核酸中に存在するヌクレオチドの配列を指す。いくつかの実施態様では、標的配列は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列に相補的な核酸塩基配列を有する標的核酸上の領域からなる。標的核酸のこの領域は、互換的に標的ヌクレオチド配列、標的配列又は標的領域と称され得る。いくつかの実施態様では、標的配列は、単一のアンチセンスオリゴヌクレオチドの相補配列よりも長く、例えば、本明細書に記載のいくつかのアンチセンスオリゴヌクレオチドによって標的にされ得る標的核酸の好ましい領域を表し得る。
【0062】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが相補的であるか又はハイブリダイズする標的配列は、一般に、少なくとも10ヌクレオチドの連続核酸塩基配列を含む。連続ヌクレオチド配列は、10~50ヌクレオチド長、例えば12~30、例えば14~20、例えば15~18連続ヌクレオチドである。
【0063】
いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号6及び93~174からなる群から選択される標的配列に相補的である。
【0064】
いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号6からなる群から選択される標的配列に相補的である。
【0065】
いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、配列番号93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109,110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169,170、171、172、173、及び174からなる群から選択される標的配列に相補的である。
【0066】
標的細胞
本明細書で使用される用語「標的細胞」は、標的核酸を発現している細胞を指す。いくつかの実施態様では、標的細胞は、インビボ又はインビトロであり得る。いくつかの実施態様では、標的細胞は、哺乳動物細胞、例えば、げっ歯類細胞、例えば、マウス細胞若しくはラット細胞、又は霊長類細胞、例えば、サル細胞若しくはヒト細胞である。いくつかの実施態様では、標的細胞は、ヒトCD73標的核酸を発現しているトランスジェニック動物細胞である。いくつかの実施態様では、標的細胞は、がん細胞である。
【0067】
実験的評価のために、標的配列を含む標的核酸を発現する標的細胞が使用され得る。インビトロ評価のため、及びアンチセンスオリゴヌクレオチドがCD73プレmRNAのスプライシングを調節する能力をアッセイするために、例えば、標的細胞はA549細胞又はColo205細胞であり得る。
【0068】
いくつかの実施態様では、標的細胞は、CD73プレmRNA又はCD73成熟mRNAなどのCD73 mRNAを発現する。CD73 mRNAのポリAテールは、典型的には、アンチセンスオリゴヌクレオチド標的化では無視される。
【0069】
通常、標的細胞はCD73プレmRNAを発現し、これが細胞内で成熟CD73 mRNAにプロセシングされ、CD73タンパク質(WT CD73)の発現をもたらす。有利には、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、CD73プレmRNAのスプライシングを調節して、CD73エクソン7(又はエクソン7の一部)を欠く成熟CD73 mRNAを生成し、CD73 Δ7バリアントの発現をもたらす。
【0070】
いくつかの実施態様では、標的核酸は、配列番号1、又はその天然に存在するバリアントである。いくつかの実施態様では、標的核酸は、配列番号6、及び93~174、又はその天然に存在するバリアントからなる群から選択される。
【0071】
天然に存在するバリアント
用語「天然に存在するバリアント」とは、標的核酸と同じ遺伝子座に由来するが、しかし、例えば、同じアミノ酸をコードするコドンの多重度を引き起こす遺伝コードの縮重によって、又はプレmRNAの選択的スプライシングによって、又は多型、例えば単一ヌクレオチド多型(SNP)の存在に起因して異なり得るCD73遺伝子又は転写産物のバリアント、及び対立遺伝子バリアントを指す。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドに十分な相補的配列が存在することに基づいて、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸及びその天然に存在するバリアントを標的とし得る。
【0072】
いくつかの実施態様では、天然に存在するバリアントは、哺乳動物CD73標的核酸に対して少なくとも95%の相同性、例えば、配列番号1などの哺乳動物CD73標的核酸に対して少なくとも98%又は少なくとも99%の相同性を有する。いくつかの実施態様では、天然に存在するバリアントは、配列番号1のヒトCD73標的核酸に対して少なくとも99%の相同性を有する。いくつかの実施態様では、天然に存在するバリアントは、表5に列挙される多型である。
【0073】
表5:CD73遺伝子には多数の一塩基多型が知られており、例えば、以下の表に開示されているものである(ヒトプレmRNA開始/参照配列は配列番号2である)。
【0074】
スプライシングの調節
スプライス調節は、クリプティックスプライシングの修正、オルタナティブスプライシングの調節、オープンリーディングフレームの復元、及びタンパク質のノックダウンの誘導に使用することができる。本明細書で使用される用語「スプライシングの調節」とは、CD73プレmRNAのスプライシングを調節してCD73エクソン7の除去をもたらし、CD73 Δ7(すなわち、CD73エクソン7を含まないCD73 mRNA)の効果的な産生を提供するアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力の全般的用語として理解されるべきである。
【0075】
スプライシングの調節は、対照実験を参照することによって決定することができる。対照は、生理食塩水組成物で処理された個体若しくは標的細胞、又は非標的オリゴヌクレオチド(モック)で処理された個体若しくは標的細胞であることが一般に理解されている。さらに、スプライシングの調節はRNAシーケンシング(RNA-Seq)によってアッセイすることができ、プレmRNAの異なるスプライス産物の定量的評価が可能になる。
【0076】
WT CD73の発現を低下させる
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的細胞に存在する場合、WT CD73の発現を低下させる、すなわち減少させる。本明細書で使用される用語「発現を低下させる」とは、標的細胞においてWT CD73の量又は活性を低下させるアンチセンスオリゴヌクレオチドの能力の全般的用語として理解されるべきである。いくつかの実施態様では、量又は活性の減少は、対照細胞と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%である。活性の低下は、WT CD73 mRNAのレベルを測定することによって、又は細胞中のWT CD73ポリペプチドのレベル又は活性を測定することによって決定され得る。したがって、発現の低下は、インビトロ又はインビボで決定され得る。スプライス調節は、細胞におけるWT CD73の発現の低下をもたらし得ることが理解されるであろう。
【0077】
典型的には、発現の低下は、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを標的細胞に投与した後、コードされたタンパク質産物に存在する標的核酸のレベル又は活性を決定し、そのレベルを、アンチセンスオリゴヌクレオチドを投与されない標的細胞から得られた参照レベル(対照実験)又は既知の参照レベル(例えば、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドの投与前の発現レベル、又は所定の若しくは他の既知の発現レベル)と比較することによって決定される。
【0078】
CD73 Δ7の発現を増強する/CD73 Δ7エンハンサー
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、標的細胞に存在する場合、CD73プレmRNAにおけるエクソン7のスプライシングの調節を介して、CD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7タンパク質の発現を増強し得る。エクソン7スプライシングの調節は、アンチセンスオリゴヌクレオチドで処理した細胞及び未処理の対照細胞におけるCD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7タンパク質の量を測定することによって決定され得る。したがって、標的細胞におけるCD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7タンパク質の量は、対照細胞における量と比較して増強されるはずである。いくつかの実施態様では、CD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7 タンパク質の量は、対照細胞の量と比較して、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は少なくとも90%増強されている。いくつかの実施態様では、CD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7 タンパク質の量は、対照細胞の量と比較して少なくとも100%増強されている。いくつかの実施態様では、CD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7 タンパク質の量は、対照細胞の量と比較して少なくとも150%増強されている。いくつかの実施態様では、CD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7 タンパク質の量は、対照細胞の量と比較して少なくとも200%増強されている。いくつかの実施態様では、CD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7 タンパク質の量は、対照細胞の量と比較して少なくとも250%増強されている。
【0079】
したがって、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、CD73 Δ7エンハンサー、すなわち、有効量のアンチセンスオリゴヌクレオチドを標的細胞に投与した後、CD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7タンパク質の発現の増強をもたらすアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0080】
CD73 Δ7エンハンサーは、対照細胞と比較してCD73 Δ7 mRNA若しくはCD73 Δ7タンパク質の増強された発現を測定することによって、又はmRNA若しくはタンパク質レベルでWT CD73と比較してCD73 Δ7の発現の増強比を測定することによって同定され得る。実施例に示すように、各試料(ASO処理又は未処理)ごとに、総CD73 mRNAレベルと比較したCD73 Δ7 mRNAレベルの絶対パーセンテージは次のように計算される:
CD73 Δ7/(CD73 Δ7+WT CD73)
ここで、
・ CD73 Δ7はCD73 Δ7 mRNAのレベルである。
・ WT CD73はWT CD73 mRNAのレベルである。
したがって、応答>未処理の対照のレベルは、有効なCD73 Δ7エンハンサーを示す。有利なことに、CD73 Δ7エンハンサーは、>約1.5、又は>約2、又は>約2.5の応答を誘発することができる。
【0081】
例えば、CD73 Δ7 mRNA又はタンパク質の発現の増強は、A549及び/又はColo205において決定され得る(例えば、実施例に示されるように)。したがって、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理された細胞及び未処理の対照細胞は、CD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7タンパク質の発現の増強があるかどうかを評価するために、実施例に記載されているように培養され得る。
【0082】
いくつかの実施態様では、本発明の化合物は、i)標的細胞におけるCD73 Δ7 mRNA又はCD73 Δ7タンパク質の発現を増強すること、及びii)標的細胞におけるWT CD73 Δ7 mRNA及びWT CD73 Δ7タンパク質の発現を減少させることができる。
【0083】
高親和性修飾ヌクレオシド
高親和性修飾ヌクレオシドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれたとき、例えば融解温度(Tm)によって測定されるように、その相補的標的に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの親和性を高める修飾ヌクレオチドのことである。本明細書に記載の高親和性修飾ヌクレオシドは、修飾ヌクレオシドあたり、+0.5~+12℃の範囲、例えば+1.5~+10℃の範囲、及び例えば+3~+8℃の範囲での融解温度の上昇をもたらす。多数の高親和性修飾ヌクレオシドが当技術分野において公知であり、例えば、多くの2’置換ヌクレオシド及びロックド核酸(LNA)が含まれる(例えば、Freier&Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213を参照されたい)。
【0084】
糖修飾
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾された糖部分、すなわちDNA及びRNAに見られるリボース糖部分と比較した場合に、糖部分の修飾を有する1つ又は複数のヌクレオシドを含み得る。
【0085】
リボース糖部分の修飾を有する数多くのヌクレオシドが、親和性及び/又はヌクレアーゼ耐性などのオリゴヌクレオチドのある特定の性質を改善することを主な目的として作製されてきた。
【0086】
このような修飾には、例えば、ヘキソース環(HNA)、又は典型的にはリボース環(LNA)上のC2炭素とC4炭素との間にビラジカル架橋を有する二環式環、又は典型的にはC2炭素とC3炭素との間の結合を欠く非結合リボース環(例えば、UNA)で置き換えることにより、リボース環構造が修飾されているものが含まれる。その他の糖修飾ヌクレオシドには、例えば、ビシクロヘキソース核酸(国際公開第2011/017521号)又は三環式核酸(国際公開第2013/154798号)が含まれる。修飾ヌクレオシドには、例えばペプチド核酸(PNA)又はモルホリノ核酸の場合、糖部分が非糖部分で置換されたヌクレオシドも含まれる。
【0087】
糖修飾にはまた、リボース環上の置換基を、水素以外の基、又はDNA及びRNAヌクレオシド中に天然に存在する2’-OH基に変更することによってなされる修飾も含まれる。
置換基は、例えば、2’、3’、4’、又は5’位に導入され得る。
【0088】
2’糖修飾ヌクレオシド
2’糖修飾ヌクレオシドは、2’位にH又は-OH以外の置換基を有するか(2’置換ヌクレオシド)、又は2’炭素とリボース環上の第2の炭素との間に架橋を形成することができる2’結合ビラジカルを含むヌクレオシド、例えばLNA(2’-4’ビラジカル架橋)ヌクレオシドである。
【0089】
実際、2’置換ヌクレオシドの開発には多くの注目が集まっており、多くの2’置換ヌクレオシドが、アンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれた場合に有益な特性を有することが見出されている。例えば、2’修飾糖は、アンチセンスオリゴヌクレオチドに対する結合親和性の増強及び/又はヌクレアーゼ耐性の増大をもたらし得る。2’置換修飾ヌクレオシドの例は、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA及び2’-F-ANAヌクレオシドである。さらなる例については、例えばFreier&Altmann;Nucl.Acid Res.,1997,25,4429-4443及びUhlmann;Curr.Opinion in Drug Development,2000,3(2),293-213、及びDeleavey and Damha,Chemistry and Biology 2012,19,937を参照されたい。以下は、幾つかの2’置換修飾ヌクレオシドの例示である。
一実施態様では、2’置換糖修飾ヌクレオシドは、LNAのような2’架橋ヌクレオシドを含まない。
【0090】
ロックド核酸(LNA)
「LNAヌクレオシド」は、前記ヌクレオシドのリボース糖環のC2’とC4’とを結合するビラジカル(「2’-4’架橋」とも称される)を含む2’修飾ヌクレオシドであり、これはリボース環のコンホメーションを制限又は固定する。これらのヌクレオシドは、文献において、架橋核酸又は二環式核酸(BNA)とも称される。リボースの立体配座の固定は、LNAが相補的RNA又はDNA分子のアンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれる場合、ハイブリダイゼーションの親和性の向上(二重鎖の安定化)に関連している。これは、アンチセンスオリゴヌクレオチド/相補二重鎖の融解温度を測定することによって、日常的に決定することができる。
【0091】
非限定的な、例示的なLNAヌクレオシドは、国際公開第99/014226号、国際公開第00/66604号、国際公開第98/039352号、国際公開第2004/046160号、国際公開第00/047599号、国際公開第2007/134181号、国際公開第2010/077578号、国際公開第2010/036698号、国際公開第2007/090071号、国際公開第2009/006478号、国際公開第2011/156202号、国際公開第2008/154401号、国際公開第2009/067647号、国際公開第2008/150729号、Morita et al.,Bioorganic&Med.Chem.Lett.12,73-76,Seth et al.J.Org.Chem.2010,Vol75(5) pp.1569-81、及びMitsuoka et al.,Nucleic Acids Research 2009,37(4),1225-1238、及びWan and Seth,J.Medical Chemistry 2016,59,9645-9667に開示されている。
【0092】
さらなる非限定的な例示的LNAヌクレオシドを、スキーム1に開示する。
【0093】
【0094】
特定のLNAヌクレオシドは、β-D-オキシ-LNA、6’-メチル-β-D-オキシLNA、例えば(S)-6’-メチル-β-D-オキシ-LNA(ScET)及びENAである。特定の有利なLNAは、ベータ-D-オキシ-LNAである。
【0095】
本明細書に記載される化合物は、1つ又は複数の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体、又はジアステレオ異性体ラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
【0096】
用語「不斉炭素原子」は、4つの異なる置換基を有する炭素原子を意味する。Cahn-Ingold-Prelog則によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置のものであり得る。
【0097】
薬学的に許容され得る塩
本発明による化合物は、その薬学的に許容され得る塩の形態で存在し得る。用語「薬学的に許容され得る塩」は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドの生物学的有効性及び特性を保持する従来の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。
【0098】
さらなる態様では、本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容され得る塩、例えば薬学的に許容され得るナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩を提供する。
【0099】
保護基
用語「保護基」は、単独で又は組み合わせて、化学反応が別の保護されていない反応性部位で選択的に行われ得るように、多官能性化合物の反応性部位を選択的に遮断する基を意味する。保護基は、除去することができる。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基、又はヒドロキシ保護基である。
【0100】
RNaseH活性及び動員
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNaseH活性は、相補的RNA分子と二重鎖を形成する場合にRNaseHを動員する、その能力を指す。国際公開第01/23613号は、RNaseHを動員する能力を決定するために使用され得る、RNaseH活性を決定するためのインビトロ方法を提供している。典型的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、相補的標的核酸配列が提供された場合に、試験されている修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を有するが、アンチセンスオリゴヌクレオチド中の全てのモノマー間にホスホロチオエート結合を有するDNAモノマーのみを含有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用し、国際公開第01/23613号(参照により本明細書に援用される)の実施例91~95により提供される方法論を使用したときに決定された初期速度の少なくとも5%、少なくとも10%又は20%超のpmol/l/分で測定された初期速度を有する場合に、このアンチセンスオリゴヌクレオチドはRNaseHを動員し得ると見なされる。DNAアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシド、通常は2-O-MOE及び/又はLNAなどの高親和性2’糖修飾ヌクレオシドを含む領域が5’及び3’に隣接しているDNAヌクレオシドの領域(通常、少なくとも5つ又は6つの連続したDNAヌクレオシド)を含むギャップマーオリゴヌクレオチドと同様に、RNaseHを効果的に動員することが知られている。スプライシングを効果的に調節するためには、プレmRNAの分解は好ましくなく、そのため、標的のRNaseH分解を回避することが望ましい。したがって、本発明のスプライス調節アンチセンスオリゴヌクレオチドは、好ましくは、ギャップマーオリゴヌクレオチドではない。RNaseHの動員は、アンチセンスオリゴヌクレオチド中の連続したDNAヌクレオチドの数を制限することによって回避され得る-したがって、効果的なスプライス調節のために、ミックスマー及びトータルマーの設計が使用され得る。
【0101】
トータルマー(totalmer)
本明細書で使用される用語「トータルマー(totalmer)」は、一本鎖オリゴマー又はその連続ヌクレオチド配列であり、これはDNA又はRNAヌクレオシドを含まず、したがって、ヌクレオシドアナログヌクレオシドのみを含む。オリゴマー又はその連続ヌクレオチド配列は、トータルマーである可能性があり、実際、さまざまなトータルマーの設計が、特にマイクロRNA(antimiR)を標的とする場合の治療用オリゴマーとして、又はスプライススイッチングオリゴマー(SSO)として非常に有効である。
【0102】
いくつかの実施態様では、トータルマーは、反復配列XYX若しくはYXYなどの少なくとも1つのXYX若しくはYXY配列モチーフを含むか、又はそれからなり、XはLNAであり、Yは2’-OMe RNA単位及び2’-フルオロDNA単位などの代替(すなわち、非LNA)ヌクレオチドアナログである。上記の配列モチーフは、いくつかの実施態様では、例えば、XXY、XYX、YXY又はYYXであり得る。
【0103】
いくつかの実施態様では、トータルマーは、8~20ヌクレオチド長、例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20ヌクレオチド長、例えば、12~18ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含むか、又はそれらからなり得る。
【0104】
いくつかの実施態様では、トータルマーの連続ヌクレオチド配列は、LNA単位を少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%、例えば少なくとも60%、例えば少なくとも70%、例えば少なくとも80%、例えば少なくとも90%、例えば95%、例えば100%含む。残りの単位は、2’-O-アルキル-RNA単位、2’-OMe-RNA単位、2’-アミノ-DNA単位、2’-フルオロ-DNA単位、LNA単位、PNA単位、HNA単位、INA単位、及び2’-MOE RNA単位からなる群、又は2’-OMe RNA単位及び2’-フルオロDNA単位の群から選択されるものなど、本明細書で言及される非LNAヌクレオチドアナログから選択されてもよい。
【0105】
いくつかの実施態様では、トータルマーは、LNA単位のみからなる連続ヌクレオチド配列からなるか、又はそれを含む。
【0106】
ミックスマー(mixmer)
本明細書で使用される用語「ミックスマー(mixmer)」は、DNAヌクレオシドと糖修飾ヌクレオシドの両方を含むオリゴマーを指し、RNaseHを動員するには連続DNAヌクレオシドの長さが不十分である。適切なミックスマーは、最大1個、最大2個、最大3個、又は最大4個の連続DNAヌクレオシドを含み得る。いくつかの実施態様では、ミックスマー又はその連続ヌクレオチド配列は、糖修飾ヌクレオシドとDNAヌクレオシドとの交互領域を含む。アンチセンスオリゴヌクレオチドに組み込まれたときにRNA様(3’エンド)立体構造を形成する糖修飾ヌクレオシドの領域と、DNAヌクレオシドの短い領域とを交互に配置することにより、非RNaseH動員アンチセンスオリゴヌクレオチドを作製することができる。有利には、糖修飾ヌクレオシドは、親和性増強糖修飾ヌクレオシドである。
【0107】
ミックスマーは、スプライスモジュレーター又はマイクロRNA阻害剤などの標的遺伝子の役割に基づく調節をもたらすために使用されることが多い。
【0108】
いくつかの実施態様では、ミックスマー中の糖修飾ヌクレオシド又はその連続ヌクレオチド配列は、(S)cET又はベータ-D-オキシLNAヌクレオシドなどのLNAヌクレオシドを含むか、又は全てそれらである。
【0109】
いくつかの実施態様では、ミックスマーの糖修飾ヌクレオシドの全てが同じ糖修飾を含み、例えば、それらは、全てLNAヌクレオシドであっても、全て2’O-MOEヌクレオシドであってもよい。いくつかの実施態様では、ミックスマーの糖修飾ヌクレオシドは、LNAヌクレオシド及び2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、及び2’-F-ANAヌクレオシドからなる群から選択される、2’置換ヌクレオシドから独立して選択されてもよい。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、LNAヌクレオシドと、2’置換ヌクレオシド、例えば、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA(MOE)、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-RNA、及び2’-F-ANAヌクレオシドからなる群から選択される、2’置換ヌクレオシドの両方を含む。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、LNAヌクレオシド及び2’-O-MOEヌクレオシドを含む。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、(S)cET LNAヌクレオシド及び2’-O-MOEヌクレオシドを含む。
【0110】
いくつかの実施態様では、ミックスマー又はその連続ヌクレオチド配列は、LNA及びDNAヌクレオシドのみを含み、このようなLNAミックスマーオリゴヌクレオチドは、例えば、8~24ヌクレオシド長であり得る(例えば、マイクロRNAのLNA antmiR阻害剤を開示する国際公開第2007112754号を参照されたい)。
【0111】
さまざまなミックスマー化合物は、特にマイクロRNAを標的とするときの治療用オリゴマー(antimiR)として、又はスプライススイッチングオリゴマー(SSO)として非常に有効である。
【0112】
いくつかの実施態様では、ミックスマーは、次のモチーフを含む:
...[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m...、又は
...[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m...、又は
...[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m...、又は
...[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m...、又は
...[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m...、又は
...[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m[D]n[L]m...、又は
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ここで、LはLNA又は2’置換ヌクレオシド(例えば2’-O-MOE)などの糖修飾ヌクレオシドを表し、DはDNAヌクレオシドを表し、各mは1~6から独立して選択され、各nは1、2、3及び4、例えば1~3から独立して選択される。いくつかの実施態様では、各LはLNAヌクレオシドである。いくつかの実施態様では、少なくとも1つのLはLNAヌクレオシドであり、少なくとも1つのLは2’-O-MOEヌクレオシドである。いくつかの実施態様では、各Lは、LNA及び2’-O-MOEヌクレオシドから独立して選択される。
【0113】
いくつかの実施態様では、ミックスマーは、10~24ヌクレオチド、例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22若しくは23ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなってもよい。いくつかの実施態様では、ミックスマーは、12~22ヌクレオチド、例えば、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、若しくは22ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなってもよい。いくつかの実施態様では、ミックスマーは、14~20ヌクレオチド、例えば、14、15、16、17、18、19、若しくは20ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなってもよい。いくつかの実施態様では、ミックスマーは、16~18ヌクレオチド、例えば、16、17、若しくは18ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなってもよい。いくつかの実施態様では、ミックスマーは、18ヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列を含むか、又はそれからなってもよい。
【0114】
いくつかの実施態様では、ミックスマーの連続ヌクレオチド配列は、LNA単位を、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、例えば少なくとも50%含む。
【0115】
いくつかの実施態様では、ミックスマーは、ヌクレオチドアナログと天然に存在するヌクレオチドとの、又は1つのタイプのヌクレオチドアナログと第2のタイプのヌクレオチドアナログとの繰り返しパターンの連続ヌクレオチド配列を含むか、又はそれらからなる。繰り返しパターンは、例えば、次のようになり得る:1つ置き若しくは2つ置きのヌクレオチドは、LNAなどのヌクレオチドアナログであり、残りのヌクレオチドは、DNAなどの天然に存在するヌクレオチドであるか、又は本明細書で言及される2’フルオロアナログの2’MOEなどの2’置換ヌクレオチドアナログであり、あるいはいくつかの実施態様では、本明細書で言及されるヌクレオチドアナログの群から選択されるものである。LNA単位などのヌクレオチドアナログの繰り返しパターンは、固定位置、例えば5’末端又は3’末端でヌクレオチドアナログと組み合わせることができることが認識されている。
【0116】
いくつかの実施態様では、3’末端から数えて、オリゴマーの第1のヌクレオチドは、LNAヌクレオチド又は2’-O-MOEヌクレオシドなどのヌクレオチドアナログである。
【0117】
いくつかの実施態様では、これらは同じであっても異なっていてもよいが、3’末端から数えて、オリゴマーの第2のヌクレオチドは、LNAヌクレオチド又は2’-O-MOEヌクレオシドなどのヌクレオチドアナログである。
【0118】
いくつかの実施態様では、これらは同じであっても異なっていてもよいが、オリゴマーの5’末端は、LNAヌクレオチド又は2’-O-MOEヌクレオシドなどのヌクレオチドアナログである。
【0119】
いくつかの実施態様では、ミックスマーは、少なくとも2つの連続するヌクレオチドアナログ単位、例えば少なくとも2つの連続するLNA単位を含む領域を少なくとも含む。
【0120】
いくつかの実施態様では、ミックスマーは、少なくとも3つの連続するヌクレオチドアナログ単位、例えば少なくとも3つの連続するLNA単位を含む領域を少なくとも含む。
【0121】
コンジュゲート
本明細書で使用される用語「コンジュゲート」は、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分又は領域C又は第3の領域)に共有結合したアンチセンスオリゴヌクレオチドを指す。コンジュゲート部分は、アンチセンスオリゴヌクレオチドに、場合によっては領域D’又はD’’などのリンカー基を介して共有結合され得る。
【0122】
オリゴヌクレオチドコンジュゲートとそれらの合成については、ManoharanによるAntisense Drug Technology,Principles,Strategies,and Applications,S.T.Crooke編、第16章、Marcel Dekker,Inc.,2001及びManoharan,Antisense and Nucleic Acid Drug Development,2002,12,103の包括的なレビューでも報告されている。
【0123】
いくつかの実施態様では、非ヌクレオチド部分(コンジュゲート部分)は、炭水化物(例えば、GalNAc)、細胞表面受容体リガンド、原体、ホルモン、親油性物質、ポリマー、タンパク質、ペプチド、毒素(例えば、細菌毒素)、ビタミン、ウイルスタンパク質(例えば、カプシド)、又はそれらの組合せからなる群から選択される。
【0124】
リンカー
結合又はリンカーは、1つ又は複数の共有結合を介して、目的の化学基又はセグメントを別の目的の化学基又はセグメントに連結する2つの原子間の結合である。コンジュゲート部分は、直接又は連結部分(例えば、リンカー又はテザー)を介してアンチセンスオリゴヌクレオチドに結合させることができる。リンカーは、第3の領域、例えばコンジュゲート部分(領域C)を、第1の領域、例えば標的核酸に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A)に共有結合させる役割を果たす。
【0125】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載のコンジュゲート又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、任意に、標的核酸に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列(領域A又は第1の領域)と、コンジュゲート部分(領域C又は第3の領域)との間に位置するリンカー領域(第2の領域又は領域B及び/又は領域Y)を含み得る。
【0126】
一実施態様では、領域Bは、哺乳動物の体内で通常遭遇するか又は遭遇するものに類似した条件下で切断可能である生理学的に不安定な結合を含むか、又はそれからなる生体切断可能なリンカーを指す。生理学的に不安定なリンカーが化学的変換(例えば、切断)を受ける条件には、哺乳動物細胞において見出されるか又は遭遇するものに類似した、pH、温度、酸化若しくは還元条件又は酸化若しくは還元剤、及び塩濃度などの化学的条件が含まれる。哺乳動物の細胞内条件には、タンパク質分解酵素又は加水分解酵素又はヌクレアーゼなどに由来する、哺乳動物細胞に通常存在する酵素活性の存在も含まれる。一実施態様では、生体切断可能なリンカーは、S1ヌクレアーゼ切断の影響を受けやすい。一実施態様では、ヌクレアーゼ感受性リンカーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個のヌクレオシドなど、1~10個のヌクレオシドを含む。一実施態様では、ヌクレアーゼ感受性リンカーは、2~6個のヌクレオシドを含む。一実施態様では、ヌクレアーゼ感受性リンカーは、少なくとも3つ又は4つ又は5つの連続したホスホジエステル結合など、少なくとも2つの連続したホスホジエステル結合を含む2~4個の連結ヌクレオシドを含む。一実施態様では、ヌクレオシドはDNA又はRNAである。ホスホジエステルを含む生体切断可能なリンカーは、国際公開第2014/076195号(参照により本明細書に援用される)においてより詳細に記載されている。
【0127】
領域Yは、必ずしも生体切断可能ではないが、主にコンジュゲート部分(領域C又は第3の領域)をアンチセンスオリゴヌクレオチド(領域A又は第1の領域)に共有結合させる役割を果たすリンカーを指す。領域Yリンカーは、エチレングリコール、アミノ酸単位又はアミノアルキル基などの繰り返し単位の鎖構造又はオリゴマーを含み得る。本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、以下の領域要素A-C、A-B-C、A-B-Y-C、A-Y-B-C又はA-Y-Cから構築することができる。いくつかの実施態様では、リンカー(領域Y)は、例えばC6~C12アミノアルキル基を含む、C2~C36アミノアルキル基などのアミノアルキルである。一実施態様では、リンカー(領域Y)は、C6アミノアルキル基である。
【0128】
治療
本明細書で使用される用語「治療(treatment)」は、既存の疾患(例えば、本明細書で言及される疾患又は障害)の治療、又は疾患の予防(prevention)、すなわち予防(prophylaxis)の両方を指す。したがって、本明細書で言及される治療は、いくつかの実施態様において、予防的であり得ることが認識されよう。
【発明を実施するための形態】
【0129】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド
本発明は、CD73 Δ7の発現を増強するなど、CD73スプライススイッチングを誘導することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドに関する。スプライススイッチング活性は、アンチセンスオリゴヌクレオチドをCD73ポリペプチドをコードする標的核酸にハイブリダイズさせることによって達成される。一実施態様では、標的核酸は、配列番号1などの哺乳動物CD73配列であり得る。一実施態様では、標的核酸は、配列番号6の標的配列を含む。
【0130】
一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CD73プレmRNA(配列番号1など)を標的とし、それによってCD73プレmRNAのスプライススイッチングを誘導する。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CD73プレmRNAを標的とし、それによって、CD73エクソン7の一部又は全部を欠くCD73ポリペプチド(配列番号5など)の発現をもたらすエクソン7欠損CD73 mRNA(配列番号4などのCD73 Δ7)を産生する。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドはCD73プレmRNAを標的とし、それによってWT CD73 mRNA(配列番号2など)を減少させ、WT CD73ポリペプチド(配列番号3など)の発現を減少させる。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、イントロン領域又はエクソン領域(表2及び3に示される)を標的とする。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、エクソン7の3’スプライス部位などのスプライス部位を標的とする。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、エクソン7の5’スプライス部位などのスプライス部位を標的とする。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号6の標的領域を標的とする。
【0131】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、CD73プレmRNAからエクソン7欠損CD73 mRNA(CD73 Δ7)への変換を誘導する。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CD73 Δ7への正常な変換レベルと比較して、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は100%、CD73 Δ7への変換を誘導する。
【0132】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、A549細胞への5μMのアンチセンスオリゴヌクレオチドの適用後、インビトロでCD73プレmRNAのCD73 Δ7への変換を少なくとも60%誘導することができる。いくつかの実施態様では、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、Colo205細胞への25μMアンチセンスオリゴヌクレオチドの適用後、インビトロでCD73プレmRNAのCD73 Δ7への変換を少なくとも80%誘導することができる。
【0133】
好適には、実施例は、CD73スプライススイッチング活性を測定するために使用され得るアッセイを提供する(例えば、実施例2及び3)。スプライススイッチングは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの連続ヌクレオチド配列と標的核酸との間のハイブリダイゼーションによって引き起こされる。いくつかの実施態様では、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間のミスマッチを含む。ミスマッチにもかかわらず、標的核酸へのハイブリダイゼーションは、CD73 Δ7への所望の変換を示すのに依然として十分であり得る。ミスマッチから生じる結合親和性の低下は、アンチセンスオリゴヌクレオチド内のヌクレオチド数の増加、及び/又は、標的への結合親和性を増加させることができる修飾ヌクレオシドの数、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチド配列内に存在する、LNAを含む2’糖修飾ヌクレオシドの数の増加によって補償され得る。
【0134】
本発明の一態様は、哺乳動物CD73プレmRNAを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドに関し、ここで、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、哺乳動物CD73プレmRNAのスプライシングを調節し、哺乳動物CD73プレmRNAに対して少なくとも90%の相補性、例えば100%の相補性を有する、少なくとも10ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。
【0135】
いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、10~30ヌクレオチド長の連続配列を含み、これは、標的核酸又は標的配列の領域に対して少なくとも90%相補的、例えば少なくとも91%、例えば少なくとも92%、例えば少なくとも93%、例えば少なくとも94%、例えば少なくとも95%、例えば少なくとも96%、例えば少なくとも97%、例えば少なくとも98%、又は100%相補的である。一実施態様では、標的配列は配列番号1である。一実施態様では、標的配列は配列番号6である。一実施態様では、標的配列は、配列番号93~174のいずれか1つからなる群から選択される。
【0136】
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、標的核酸の領域に完全に相補的(100%相補的)であり、又はいくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間に1つ又は2つのミスマッチを含み得る。
【0137】
いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1に存在する標的核酸領域に対して少なくとも90%相補的、例えば完全に(又は100%)相補的である、10~30ヌクレオチド長の連続ヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、配列番号1に存在する対応する標的核酸領域に100%相補的である。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、配列番号6に存在する対応する標的核酸領域に100%相補的である。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド配列は、配列番号93~174からなる群から選択される対応する標的核酸領域に100%相補的である。
【0138】
いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、エクソン7欠損哺乳動物CD73 mRNA(配列番号4)の発現を増強することができる。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、WT哺乳動物CD73 mRNA(配列番号2)の発現を低下させることができる。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、エクソン7欠損哺乳動物CD73 mRNA(配列番号4)の発現を増強することができ、WT哺乳動物CD73 mRNA(配列番号2)の発現を低下させることができる。
【0139】
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、10~35ヌクレオチド長、例えば12~30、例えば15~25、例えば16~20、若しくは例えば17~19連続ヌクレオチド長を含むか又はそれらからなる。好ましい実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、18ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。
【0140】
いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又はその連続ヌクレオチド配列は、25以下のヌクレオチド、例えば22以下のヌクレオチド、例えば20以下のヌクレオチド、例えば19、18、17又は16ヌクレオチドを含むか又はそれらからなる。本明細書で提供されるいずれの範囲も、範囲の端点を含むことを理解されたい。したがって、アンチセンスオリゴヌクレオチドが10~30ヌクレオチドを含むと記される場合、10ヌクレオチド及び30ヌクレオチドの両方が含まれる。
【0141】
いくつかの実施態様では、連続ヌクレオチド配列は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30連続ヌクレオチド長を含むか又はそれらからなる。好ましい実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、18ヌクレオチド長を含むか又はそれからなる。
【0142】
いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、表8(材料及び方法セクション)に列挙された配列からなる群から選択される配列を含むか又はそれからなる。
【0143】
いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号6の配列に対して少なくとも90%の同一性、好ましくは100%の同一性を有する10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれらからなる。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号93~174(表8に列挙されたRNA標的配列を参照)からなる群から選択される配列に対して少なくとも90%の同一性、好ましくは100%の同一性を有する10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれらからなる。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列は、配列番号107又は144(表8に列挙されたRNA標的配列を参照)の配列に対して少なくとも90%の同一性、好ましくは100%の同一性を有する10~30ヌクレオチド長を含むか又はそれらからなる。
【0144】
連続核酸塩基配列(モチーフ配列)は、例えば、ヌクレアーゼ耐性及び/又は標的核酸への結合親和性を高めるために修飾され得ることが理解される。
【0145】
修飾ヌクレオシド(高親和性修飾ヌクレオシドなど)がアンチセンスオリゴヌクレオチド配列に組み込まれるパターンは、一般にアンチセンスオリゴヌクレオチド設計と称される。
【0146】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾ヌクレオシド及びDNAヌクレオシドを用いて設計される。有利には、高親和性修飾ヌクレオシドが使用される。
【0147】
一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド、例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、又は少なくとも16個の修飾ヌクレオシドを含む。一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1~10個の修飾ヌクレオシド、例えば2~9個の修飾ヌクレオシド、例えば3~8個の修飾ヌクレオシド、例えば4~7個の修飾ヌクレオシド、例えば6又は7個の修飾ヌクレオシドを含む。適切な修飾は、「修飾ヌクレオシド」、「高親和性修飾ヌクレオシド」、「糖修飾」、「2’糖修飾」及びロックド核酸(LNA)の「定義」セクションに記載されている。
【0148】
一実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’糖修飾ヌクレオシドなどの1つ又は複数の糖修飾ヌクレオシドを含む。好ましくは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’-O-アルキル-RNA、2’-O-メチル-RNA、2’-アルコキシ-RNA、2’-O-メトキシエチル-RNA、2’-アミノ-DNA、2’-フルオロ-DNA、アラビノ核酸(ANA)、2’-フルオロ-ANA、及びLNAヌクレオシドからなる群から独立して選択される1つ又は複数の2’糖修飾ヌクレオシドを含む。修飾ヌクレオシドの1つ又は複数がロックド核酸(LNA)である場合、有利である。
【0149】
さらなる実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間結合を含む。適切なヌクレオシド間結合は、「修飾ヌクレオシド間結合」の「定義」のセクションに記載されている。連続ヌクレオチド配列内のヌクレオシド間結合の少なくとも75%、例えば全てがホスホロチオエート又はボラノホスフェートヌクレオシド間結合であれば有利である。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの連続配列における全てのヌクレオチド間結合は、ホスホロチオエート結合である。
【0150】
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つのLNAヌクレオシド、例えば1、2、3、4、5、6、7、又は8個のLNAヌクレオシド、例えば2~6個のLNAヌクレオシド、例えば3~7個のLNAヌクレオシド、4~8個のLNAヌクレオシド、又は3、4、5、6、7、若しくは8個のLNAヌクレオシドを含む。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの修飾ヌクレオシドの少なくとも75%、例えば修飾ヌクレオシドの80%、例えば85%、例えば90%がLNAヌクレオシドである。なおさらなる実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドの修飾ヌクレオシドの全てが、LNAヌクレオシドである。さらなる実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、β-D-オキシ-LNAと、以下のLNAヌクレオシド:β-D立体配置又はα-L立体配置のいずれか又はそれらの組合せで、チオ-LNA、アミノ-LNA、オキシ-LNA、ScET、及び/又はENAのうちの1つ以上との両方を含んでもよい。さらなる実施態様では、全LNAシトシン単位は、5-メチル-シトシンである。アンチセンスオリゴヌクレオチド又は連続ヌクレオチド配列のヌクレアーゼ安定性にとって、ヌクレオチド配列の5’末端に少なくとも1つのLNAヌクレオシドと3’末端に少なくとも2つのLNAヌクレオシドとを有することが有利である。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、表8に示す配列及び設計を有する(オリゴヌクレオチド化合物(設計)の列)。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、GtAAttGTgcCTgaGgGTの配列及び設計を有する。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、TggCcGtAgcGgtGcaCGの配列及び設計を有する。いくつかの実施態様では、大文字はベータ-D-オキシLNAヌクレオシドを示す。いくつかの実施態様では、小文字はDNAヌクレオシドを示す。いくつかの実施態様では、全てのヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。いくつかの実施態様では、全LNAシトシン単位は、5-メチル-シトシンである。
【0151】
本発明のいくつかの実施態様について、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号7~88からなる群から選択される配列を含むか、又はそれからなる。
【0152】
本発明の特定の実施態様について、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号21若しくは58を含むか、又はそれらからなる。
【0153】
本発明のいくつかの実施態様について、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ASO識別番号:ASO-1~ASO-82を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド化合物の群から選択される。
【0154】
本発明の特定の実施態様について、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ASO識別番号:ASO-15又はASO-52である。
【0155】
本発明のさらなる実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの立体的に規定されたヌクレオシド間結合、例えば立体的に規定されたホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含み得る。
【0156】
立体的に規定されたアンチセンスオリゴヌクレオチドバリアントを生成することの重要な利点は、配列モチーフ全体の多様性を高め、親アンチセンスオリゴヌクレオチドと比較して改善された医薬化学的性質を有する、立体的に規定されたアンチセンスオリゴヌクレオチドのサブライブラリを含む立体的に規定されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを選択できることである。
【0157】
インビボ又はインビトロでの適用のために、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、典型的には、ヒトCD73プレmRNAのエクソン7のスプライシングを調節することができ、CD73 Δ7ポリペプチドの発現又は発現増強をもたらす。
【0158】
製造方法
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを製造する方法であって、ヌクレオチド単位を反応させ、それによってアンチセンスオリゴヌクレオチド内に含まれる共有結合した連続ヌクレオチド単位を形成することを含む、方法を提供する。好ましくは、本方法はホスホラミダイト化学を使用する(例えば、Caruthers et al.を参照)。さらなる実施態様では、本方法は、連続ヌクレオチド配列をコンジュゲート部分(リガンド)と反応させて、コンジュゲート部分をアンチセンスオリゴヌクレオチドに共有結合させることをさらに含む。さらなる態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又は結合オリゴヌクレオチドを薬学的に許容され得る希釈剤、溶媒、担体、塩及び/又はアジュバントと混合することを含む、本発明の組成物を製造するための方法が提供される。
【0159】
薬学的塩
本発明によるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、それらの薬学的に許容され得る塩の形態で存在し得る。用語「薬学的に許容され得る塩」は、本発明の化合物の生物学的有効性及び特性を保持する従来の酸付加塩又は塩基付加塩を指す。
【0160】
さらなる態様では、本発明は、核酸分子の薬学的に許容され得る塩又はそのコンジュゲート、例えば薬学的に許容され得るナトリウム塩、アンモニウム塩又はカリウム塩を提供する。
【0161】
薬学的組成物
さらなる態様では、前述のアンチセンスオリゴヌクレオチド及び/又はオリゴヌクレオチドコンジュゲート又はその塩のいずれかと、薬学的に許容され得る希釈剤、担体、塩及び/又はアジュバントとを含む薬学的組成物が提供される。薬学的に許容され得る希釈剤には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれ、薬学的に許容され得る塩には、限定するものではないが、ナトリウム塩及びカリウム塩が含まれる。いくつかの実施態様では、薬学的に許容され得る希釈剤は、無菌リン酸緩衝生理食塩水である。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、薬学的に許容され得る希釈剤中で50~300μM溶液の濃度で使用される。
【0162】
使用に適した製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.,1985に見られる。薬物送達の方法の簡単な総説については、例えば、Langer(Science 249:1527-1533,1990)を参照されたい。国際公開第2007/031091号は、薬学的に許容され得る希釈剤、担体及びアジュバントの適切で好ましいさらなる例を提供している(参照により本明細書に援用される)。適切な用量、製剤、投与経路、組成物、剤形、他の治療剤との組合せ、プロドラッグ製剤もまた、国際公開第2007/031091号に提供されている。
【0163】
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートは、薬学的組成物又は製剤の調製のために、薬学的に許容され得る活性物質又は不活性物質と混合され得る。薬学的組成物の調製のための組成物及び方法は、投与経路、疾患の程度、又は投与される用量を含むがこれらに限定されない多くの基準に依存する。
【0164】
これらの組成物は、従来の滅菌技術によって滅菌されても、又は滅菌濾過されてもよい。得られた水溶液は、そのまま使用するために包装するか、又は凍結乾燥することができ、凍結乾燥された調製物は、投与前に滅菌水性担体と組み合わされる。調製物のpHは、典型的には3~11、より好ましくは5~9、又は6~8、最も好ましくは7~8、例えば7~7.5であろう。得られた固体形態の組成物は、錠剤又はカプセルの密封パッケージなどのように、各々が上記の薬剤又は薬剤群の固定量を含む複数の単回用量単位で包装することができる。固体形態の組成物はまた、局所適用可能なクリーム又は軟膏用に設計された絞り出し可能なチューブなどの柔軟な量の容器に包装することもできる。
【0165】
いくつかの実施態様では、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートはプロドラッグである。一実施態様では、コンジュゲート部分は、プロドラッグが作用部位、例えば標的細胞に送達されると、アンチセンスオリゴヌクレオチドから切断される。
【0166】
用途
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例えば、診断、治療、及び予防のための研究試薬として利用することができる。
【0167】
研究では、そのようなアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、細胞(例えば、インビトロ細胞培養)及び実験動物におけるCD73ポリペプチドの合成を特異的に調節し、それによって標的の機能解析又は治療的介入の標的としての有用性の評価を促進することができる。典型的には、標的調節は、ポリペプチドを産生するmRNAを分解又は阻害し、それによりポリペプチド形成を防止することによって、又はポリペプチドを産生する遺伝子若しくはmRNAの調節因子を分解若しくは阻害することによって達成される。
【0168】
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを研究又は診断に使用する場合、標的核酸は、cDNA、又はDNA若しくはRNAに由来する合成核酸であり得る。
【0169】
本明細書には、CD73を発現する標的細胞におけるCD73プレmRNAのスプライシングを調節するためのインビボ又はインビトロの方法が記載されており、前記方法は、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチドを有効量で前記細胞に投与することを含む。
【0170】
いくつかの実施態様では、標的細胞は哺乳動物細胞である。一実施態様では、標的細胞はヒト細胞である。標的細胞は、インビトロ細胞培養物又は哺乳動物の組織の一部を形成するインビボ細胞であってよい。一実施態様では、標的細胞は腫瘍に存在する。一実施態様では、標的細胞は腫瘍細胞である。
【0171】
診断では、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して、ノーザンブロッティング、in-situハイブリダイゼーション、又は同様の技術により、細胞及び組織におけるCD73 Δ7及び/又はWT CD73などのCD73スプライスバリアントの発現を検出及び定量することができる。
【0172】
治療のために、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、CD73プレmRNAのスプライシングを調節することによって治療することができる疾患又は障害を有する疑いのある動物又はヒトに投与することができる。
【0173】
本明細書において提供されるのは、疾患を治療又は予防するための方法であって、治療上又は予防上有効量の、アンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は薬学的組成物を、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫がん、子宮内膜がん、卵巣がん、ブドウ膜がん、副腎皮質がん、胚細胞がん、食道胃がん、皮膚扁平上皮がん、肛門がん、黒色腫がん、膵臓がん、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、肝細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫がん、尿路上皮がん、及び腎細胞がんからなる群から選択される疾患又は障害などの疾患に罹患しているか又は罹患しやすい対象に投与することを含む、方法である。
【0174】
本明細書で提供されるのは、医薬としての使用のための、アンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は本明細書で定義される薬学的組成物である。
【0175】
本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート、若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は薬学的組成物は、典型的には有効量で投与される。
【0176】
さらに本明細書で提供されるのは、本明細書で言及される障害の治療のための医薬の製造のための、又は本明細書で言及される障害の治療方法のためのアンチセンスオリゴヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドコンジュゲートの使用である。
【0177】
本明細書で言及される疾患又は障害は、CD73 Δ7及びWT CD73などのCD73バリアントの発現に関連する。いくつかの実施態様では、疾患又は障害は、CD73遺伝子又はそのタンパク質産物がCD73バリアントと関連するか又は相互作用する遺伝子の突然変異に関連し得る。したがって、いくつかの実施態様では、標的核酸は、CD73配列の変異形態であり、他の実施態様では、標的核酸は、CD73配列の調節因子である。
【0178】
本明細書に記載の方法は、好ましくは、CD73 Δ7及びWT CD73などのCD73バリアントの異常なレベル及び/又は活性によって引き起こされる疾患に対する治療又は予防に使用される。
【0179】
本明細書でさらに提供されるのは、CD73 Δ7及びWT CD73などのCD73バリアントの異常なレベル及び/又は活性を治療するための医薬の製造のための、アンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は薬学的組成物の使用である。
【0180】
さらに本明細書で提供されるのは、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫がん、子宮内膜がん、卵巣がん、ブドウ膜がん、副腎皮質がん、胚細胞がん、食道胃がん、皮膚扁平上皮がん、肛門がん、黒色腫がん、膵臓がん、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、肝細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫がん、尿路上皮がん、及び腎細胞がんから選択される疾患又は障害の治療における使用のための、アンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は薬学的組成物である。
【0181】
投与
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は薬学的組成物は、例えば、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内又は筋肉内注射又は注入を含む非経口経路によって投与され得る。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は薬学的組成物は静脈内投与される。別の実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は薬学的組成物は皮下投与される。
【0182】
いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は薬学的組成物は、経口又は直腸投与される。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート又は薬学的組成物は、結腸直腸がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、メルケル細胞がん、中皮腫がん、子宮内膜がん、卵巣がん、ブドウ膜がん、副腎皮質がん、胚細胞がん、食道胃がん、皮膚扁平上皮がん、肛門がん、黒色腫がん、膵臓がん、乳がん、頭頸部扁平上皮癌、肉腫、肝細胞癌、前立腺がん、子宮頸がん、神経膠芽腫がん、尿路上皮がん、及び腎細胞がんの治療のために経口又は直腸投与される。
【0183】
いくつかの実施態様では、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は薬学的組成物は、0.1~15mg/kg、例えば0.2~10mg/kg、例えば0.25~5mg/kgの用量で投与される。投与は、週に1回、2週に1回、3週に1回、又は月に1回であり得る。
【0184】
本発明はまた、皮下投与用の剤形である医薬の製造のために記述された、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は薬学的組成物の使用を提供する。
【0185】
併用療法
いくつかの実施態様では、本明細書に記載のアンチセンスオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチドコンジュゲート若しくはその薬学的に許容され得る塩、又は薬学的組成物は、別の治療剤との併用治療における使用のためのものである。治療剤は、例えば、上記の疾患又は障害の標準治療であり得る。一実施態様では、治療剤はチェックポイント阻害剤である。一実施態様では、治療剤は、CTLA4、PD-1、及びPD-L1からなる群から選択される分子を標的とする。一実施態様では、治療剤は、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、及びセミプリマブからなる群から選択される。
【実施例】
【0186】
実施例1-材料及び方法
アンチセンスオリゴヌクレオチドASO-1~ASO-84を合成し、CD73プレmRNAのスプライシングを調節して、WT CD73 mRNAと比較してCD73 Δ7 mRNAの比率を高める能力を評価した。具体的には、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、未処理細胞に対して処理細胞において、CD73 Δ7 mRNAの発現を増強するか、及び/又は、WT CD73 mRNAの発現を低下させるかを評価した。
【0187】
化合物及びデータ表
表8:本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドにおける核酸塩基のモチーフ配列は、配列番号7~88として示される。アンチセンスオリゴヌクレオチドに存在する核酸塩基の連続配列(すなわち、モチーフ配列)が完全に(且つ逆に)相補的である対応するRNA標的配列は、配列番号93~174として示されている。化合物は、ASO識別番号(#)として指定され、アンチセンスオリゴヌクレオチド構造(5’-3’)を持ち、大文字はβ-D-オキシLNAヌクレオシドを示し、小文字はDNAヌクレオシドを示し、全てのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。A549細胞及びColo205細胞におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの最終濃度25μM及び5μMでのスプライススイッチング活性がそれぞれ示されている。
【0188】
細胞培養及びASO処理
A549細胞は、10%FBS及び25μg/mlゲンタマイシンを補充したF12/K培地中で培養した。Colo205細胞は、10%FBS及び1Xpen/strepを補充したRPMI培地中で培養した。A549又はColo205細胞を96ウェルプレート形式で3,000細胞/ウェルで播種した。12時間後、細胞をアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)化合物で、最終濃度5μM又は25μMで4日間、補助なしの取り込みにより処理した。陰性対照として、PBS処理細胞及びスクランブルASO処理細胞を実験に含めた。
【0189】
スプライススイッチング活性測定
細胞をPBSで洗浄し、RNeasy(登録商標)Miniキット(Qiagen、74181)を製造元の指示に従って使用して全RNAを抽出した。cDNAは、iScriptTM Advanced cDNA合成キット(#1725037、BioRad)を使用して、製造元の指示に従って調製した。ddPCRトリプレックスアッセイを使用して、スキップされていないNT5E mRNA(エクソン6+エクソン7+エクソン8)、スキップされたNT5E mRNA(エクソン6+エクソン8、Δex7)、及びHPRT1 mRNAを定量化した(表9)。Δex7の基礎発現レベルは、スキップされていないNT5E mRNAとスキップされたNT5Eとの間の比として、PBS処理試料について決定された。続いてこれを使用して、ASO処理試料のスプライススイッチング活性の絶対パーセンテージ(%)を計算した。ddPCRにおいて使用したプライマー及びプローブを以下の表9に示す。
【0190】
【0191】
エクト-5’-ヌクレオチダーゼ活性測定
最終濃度25μMで4日間ASO処理した後、Colo205細胞を酵素活性緩衝液(20mM HEPES、2mM MgCl2、120mM NaCl、5mM KCl、10mMグルコース、pH7.4)で2回洗浄した。新鮮な酵素活性緩衝液にアデノシン一リン酸(AMP、最終濃度500μM)を補充し、細胞に加えた。1時間のインキュベーション(37℃、5%CO2)後、上清を回収し、マラカイトグリーンアッセイ(#MAK307-1KT、Sigma)を使用して、製造元の指示に従って遊離リン酸の定量化を行った。
【0192】
イムノブロット解析
Colo205細胞を、最終濃度25μMのASOで4日間処理した。細胞をPBSで洗浄し、ホスファターゼ/プロテアーゼ阻害剤カクテル(#78442、ThermoFisher Scientific)を補充したRIPA緩衝液(#89900、ThermoFisher Scientific)中で溶解した。CD73及びGAPDHタンパク質は、2-230kDa分離マトリックス上でWes(Simple Wes)を使用して分離され検出された。デンシトメトリー解析を使用して、タンパク質シグナル強度を定量化した。ウサギ抗CD73抗体(D7F9A、Cell Signaling)及びマウス抗GAPDH抗体(ab11035、Abcam)を使用した。
【0193】
細胞生存率及びカスパーゼ3/7測定
Colo205細胞を、96ウェルプレート形式において3,000細胞/ウェルで播種した。12時間後、細胞を増加する濃度のASO化合物で4日間、補助なしの取り込みにより処理した。細胞生存率とカスパーゼ3活性は、Cell Titer Glo(登録商標)(#G7571、Promega)及びCaspase Glo(登録商標)3/7アッセイキット(#G8090、Promega)を製造元の指示に従って使用して測定した。未処理の試料のカスパーゼ活性と細胞力価測定値の比をノーマライザ(=1)として使用した。
【0194】
RNA配列決定及び差次的遺伝子発現解析
Colo205細胞を、スプライススイッチングASO-15及びASO-52、並びに先行技術の抗CD73ギャップマーASO-83及びASO-84(10μM)で4日間処理するか、未処理のままとした(n=3)。QIAGENのRNeasy(登録商標)Plus Miniキットを使用して全RNAを抽出した。イルミナ用のKAPA mRNA HyperPrepキットを使用して、製造元の指示に従って鎖状mRNAライブラリーを調製し、イルミナNextSeq500で配列決定した。試料あたり約1500万の読み取りが逆多重化された。配列決定された読み取りは、CLC Genomicワークベンチを使用してQCテスト、トリミング、及びマッピングされた。有意に差次的に発現する遺伝子は、-log10(p値)>2及びlog2倍率変化>1を有するとして定義された。
【0195】
実施例2-スプライススイッチング活性の測定
スプライススイッチング活性に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドのスクリーニング
上述のように、82個のLNAミックスマーを設計し、合成し、A549及びColo205細胞株におけるヒトCD73のスプライススイッチング活性についてスクリーニングした。それらの配列及び対応するエクソンスキッピング活性(exS)を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドのリストを上の表8に示す。3’スプライス部位又はエクソン領域のいずれかを標的とするASOは、全長CD73 mRNAのΔex7アイソフォームへの変換を最大60%(A549)及び80%(Colo205)誘導することが確認されている。試験された化合物のスプライススイッチング活性は、A549細胞とColo205細胞の間でr=0.69(5μMで)及びr=0.71(25μMで)の相関を示し、2つの異なる生物学的システムにおいて、アンチセンスオリゴヌクレオチドが同様の作用機序によってエクソンスキッピングを生成することを示唆している(
図1A及び1B)。
【0196】
ASO-52及びASO-15のスプライススイッチング活性の評価
最も強力なアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO-52及びASO-15)の分子効果を、エクソンスキッピング活性についてはmRNAレベルで、エクト5’-ヌクレオチダーゼ活性の酵素阻害についてはタンパク質レベルでさらに評価した。Colo205細胞をASO-52又はASO-15で処理すると、全長CD73 mRNAのΔex7アイソフォームへの用量依存的な変換が誘導されたが、スクランブルASOではそのような効果は得られなかった(
図2)。同様に、Colo205細胞をスクランブルASO、ASO-52又はASO-15のいずれかで4日間処理し、細胞外5’エクトヌクレオチダーゼ活性を、外部から補充されたAMPの加水分解による遊離リン酸の生成量として測定した。ASO-52及びASO-15は、用量依存的にCD73活性を阻害した(
図3)。標的タンパク質レベルに対するASO-52及びASO-15の効果を特徴付けるために、CD73総タンパク質存在量をイムノブロット解析によって測定した。ASO-52及びASO-15による処理により、全体的なCD73タンパク質含有量が著しく減少し、Δex7の誘導が総CD73タンパク質の不安定化をもたらすことが確認された(
図4A及び4B)。
【0197】
実施例3-従来技術のギャップマー(ASO-83及びASO-84)との比較
スプライススイッチング活性の比較
スプライススイッチングASO-52及びASO-15をさらに特徴付けるために、Secarna(国際公開第2018/065627号)によって記述された最も強力な抗CD73ギャップマーのうちの2つが合成された(ASO-83及びASO-84)。ギャップマーとスプライススイッチングASOはCD73の阻害を達成するために異なる分子メカニズムを利用するので、それらの効力は細胞外5’エクトヌクレオチダーゼ活性のIC50の決定によって評価された。Colo205細胞を異なる濃度のASOで4日間処理した。先行技術の抗CD73ギャップマー(ASO-83及びASO-84)及びスプライススイッチングASO(ASO-52及びASO-15)の両方が、CD73阻害について同様のIC50値を示し、CD73エクソン7スキッピングを誘発するスプライススイッチングASOが、CD73活性を低下させるための効果的な代替治療法であることを示している。結果を
図5と表10に示す。
【0198】
表10.スプライススイッチングASO-15及びASO-52、並びに先行技術の抗CD73ギャップマーASO-83及びASO-84のIC50値
【0199】
細胞毒性効果の比較
さらに、本発明者らは、従来技術の抗CD73ギャップマーASO-82及びASO-83を用いて、スプライススイッチングASO-15及びASO-52の細胞毒性効果を評価した。Colo205は、増加する濃度のASOで4日間処理された。カスパーゼ3の活性化を測定し、細胞の生存率を正規化した(増殖と細胞数の影響を考慮するため。
図6)。スプライススイッチングASO-15とASO-52は、評価したいずれの濃度でも(最大=25μM)カスパーゼ3活性の有意な誘導を示さなかった。逆に、先行技術のギャップマー(ASO-83及びASO-84)は両方とも、用量依存的にアポトーシス誘導の顕著な増加を引き起こした。これらのデータは、スプライススイッチングASOが、先行技術の抗CD73ギャップマーと比較して有利なインビトロ安全性プロファイルを有することを示している。
【0200】
差次的遺伝子発現の比較
スプライススイッチングASO-15及びASO-52、並びに先行技術の抗CD73ギャップマーASO-83及びASO-84による処理によって引き起こされる遺伝子発現のグローバルな摂動を特徴付けるために、RNA-seq及び差次的遺伝子発現解析を実施した。Colo205細胞は、異なるASOを10μMで4日間処理するか、未処理のままにした(n=3)。各ASO処理試料を未処理のものと比較して、差次的発現解析を実施した。各遺伝子ごとの発現変化の大きさと統計的有意水準は、ボルカノプロットとして表される。ASO-15及びASO-52による処置は、ASO-83及びASO-84の処置と比較して、オフターゲット遺伝子の数の減少と関連している。差次的に発現する遺伝子の絶対数も示されている(
図7)。
【0201】
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【配列表】
【国際調査報告】