(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-21
(54)【発明の名称】トラックシステムに統合するための長波赤外線熱センサ
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20230414BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554472
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-10-06
(86)【国際出願番号】 US2021020577
(87)【国際公開番号】W WO2021183332
(87)【国際公開日】2021-09-16
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】カーカシ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】柴 和宏
(72)【発明者】
【氏名】田所 真任
(72)【発明者】
【氏名】榎本 正志
(72)【発明者】
【氏名】▲鶴▼田 豊久
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA05
5F131BA13
5F131BA14
5F131BA37
5F131CA06
5F131EA06
5F131EA24
5F131EB51
5F131EB78
5F131KA12
5F131KA23
5F131KA72
(57)【要約】
基板、基板処理および/または基板処理モジュール部材の熱特性を監視するためのシステムおよび方法の様々な実施形態が本明細書に開示される。より具体的には、本開示は、基板処理システムの様々な基板処理モジュール(例えば、液体分配モジュール、焼成モジュールもしくは複合焼成モジュール、インターフェースブロック、ウエハ検査システム(WIS)モジュール、めっき分配モジュールまたは別の処理モジュール)内の熱画像センサの様々な実施形態を提供する。熱画像センサを基板処理システム内の様々な場所に配置することにより、本開示は、基板表面、基板表面上に分配された液体、基板を取り囲む処理空間または基板処理モジュール内に含まれる部材(例えば、液体分配ノズル、スピンチャック、スピンコートカップ、冷却アーム、WIS部材、加熱部材など)から熱データが遠隔で収集されることを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
基板を処理するための少なくとも1つの処理モジュールと、
前記少なくとも1つの処理モジュール内に配置され、前記基板、前記基板上に分配された液体、または前記少なくとも1つの処理モジュール内に含まれる部材から、熱データを取得する熱画像センサと、
前記熱画像センサから前記熱データを受信するように結合された制御器であって、故障検出監視、処理制御、基板評価、機器評価、処理評価または寿命予測のため、前記熱データを処理するように構成された、制御器と、
を有する、システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの処理モジュールは、液体分配モジュールであり、
前記熱画像センサは、前記熱画像センサの視野(FOV)が前記基板および/または1つ以上の周囲の部材を包含するように、前記液体分配モジュールの天井または天井近くに配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記熱画像センサは、前記基板の表面から前記熱データを取得し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記基板の前記表面からの溶媒蒸発の蒸発冷却効果を監視する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記制御器は、前記熱データを処理して、
故障検出監視に使用される、ウエハツーウエハ(wafer-to-wafer)の蒸発冷却差を検出し、または
前記少なくとも1つの処理モジュールの1つ以上の処理パラメータを最適化することに使用される、モジュールツーモジュール(module-to-module)の蒸発冷却差を検出し、または
前記溶媒蒸発の終点に関連するメトリックを検出し、ここで、前記メトリックは、現在の処理ステップを終了し次の処理ステップに移行する、処理終点メトリックとして使用される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記熱画像センサは、前記基板の表面から前記熱データを取得し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記基板上に分配された液体の温度および/または前記液体により前記基板上で誘発された温度変化を監視する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記制御器は、前記熱データを処理して、
フィードバックもしくはフィードフォワードの処理制御に使用される、前記液体の平均温度および/もしくは前記液体により前記基板上で誘発された平均温度変化を判定し、または
フィードバックもしくはフィードフォワードの処理制御に使用される、前記液体のウエハにわたる温度差および/もしくは前記液体により前記基板上で誘発されたウエハにわたる温度差を判定する、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記制御器は、前記熱データを処理して、
熱制御器のドリフトもしくは故障を検出し、または
不良もしくは不完全なパドル形成を検出する、請求項5に記載のシステム。
【請求項8】
前記熱画像センサは、前記液体分配モジュール内に含まれるスピンチャックから前記熱データを取得し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記スピンチャックの温度を監視する、請求項2に記載のシステム。
【請求項9】
前記制御器は、フィードバックまたはフィードフォワードの処理制御の入力変数として、前記スピンチャックの前記温度を使用する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記制御器は、前記スピンチャックの前記温度を使用して、差し迫ったスピンモータの故障を予測し、または前記スピンチャック上の液体を検出し、または磨耗もしくは損傷したスピンチャックを同定する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記熱画像センサは、前記液体分配モジュール内に含まれるカップから前記熱データを取得し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記カップの温度を監視する、請求項2に記載のシステム。
【請求項12】
前記制御器は、フィードバックまたはフィードフォワードの処理制御の入力変数として、前記カップの前記温度を使用する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記制御器は、前記カップの前記温度を使用して、化学物質の落下問題、またはカップタイプの違い、または前記カップ内の化学物質残留物の蓄積を検出する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記熱画像センサは、現像パドル処理の間、前記基板の表面から前記熱データを収集し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記基板の前記表面上に分配された現像パドルの温度を監視する、請求項2に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御器は、前記熱データを処理して、フィードバックおよび/またはフィードフォワードの処理制御に使用される、前記現像パドルの平均累積温度を判定する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記熱画像センサは、基板処理の間、前記基板の表面から前記熱データを収集し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記基板上で発生する化学反応の温度を監視する、請求項2に記載のシステム。
【請求項17】
前記制御器は、前記熱データを処理して、フィードバックおよび/またはフィードフォワードの処理制御に使用される、前記基板上で発生する前記化学反応の局所累積温度または平均累積温度を判定する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記熱画像センサは、裏面スクラバ(BST)処理の間、前記基板の表面から前記熱データを収集し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記裏面スクラバ処理の間、前記基板の温度を監視する、請求項2に記載のシステム。
【請求項19】
前記制御器は、欠陥軽減の程度のメトリックとして、前記基板の前記温度を使用する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御器は、前記基板の前記温度を使用して、ウエハツーウエハから誘発された平均温度を監視し、裏面スクラバブラシ寿命のメトリックとして、ウエハツーウエハから誘発された平均温度を使用する、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
前記少なくとも1つの処理モジュールは、液体分配モジュールであり、
前記熱画像センサは、前記熱画像センサの視野(FOV)がノズルおよび/または前記ノズルにより分配された液体を包含するように、前記液体分配モジュール内に含まれるノズルスキャンアーム、または前記液体分配モジュールの側壁に取り付けられる、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記熱画像センサは、前記ノズルおよび/または前記ノズルにより分配された前記液体から前記熱データを収集し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記ノズルでの前記液体の温度および/または前記ノズル内の前記液体の位置を監視する、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記少なくとも1つの処理モジュールは、焼成チャンバを有する焼成モジュールであり、
前記熱画像センサは、前記熱画像センサの視野(FOV)が冷却アームを包含するように、前記焼成モジュールの天井または天井近くに配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項24】
前記熱画像センサは、前記基板が搬送される前、搬送中、または搬送後に、前記冷却アームから前記熱データを収集し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記冷却アームの温度を監視する、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記制御器は、フィードバックおよび/またはフィードフォワードの処理制御に、前記冷却アームの前記温度を使用する、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つの処理モジュールは、インターフェースブロック(IFB)である、請求項1に記載のシステム。
【請求項27】
前記熱画像センサは、前記IFBまたは前記IFB内に配置された基板から、熱データを収集し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記IFBの温度または前記基板の温度を監視する、請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
前記制御器は、前記IFBの前記温度を、前記IFB内に含まれる冷却プレート制御器に供給することにより、フィードバック処理制御に前記IFBの前記温度を使用し、
前記制御器は、前記基板がリソグラフィツールに搬送される前に、前記IFBの前記温度を使用して、前記IFB内に含まれる冷却プレートの温度、または現在の冷却処理に関連する冷却時間を調整する、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記制御器は、前記基板の前記温度をリソグラフィツールオーバーレイ制御器に供給することにより、フィードフォワードの処理制御に前記基板の前記温度を使用する、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
前記少なくとも1つの処理モジュールは、検査処理中に前記基板の画像を取得するカメラシステムを有するウエハ検査(WIS)モジュールであり、
前記熱画像センサは、前記熱画像センサの視野(FOV)が前記カメラシステムおよび/または前記基板を包含するように、前記WISモジュールの天井または側壁に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項31】
前記熱画像センサは、前記検査処理の間、少なくとも1つのカメラシステム部材および/または前記基板から、前記熱データを収集し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、前記少なくとも1つのカメラシステム部材の温度および/または前記基板の温度を監視する、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記少なくとも1つの処理モジュールは、前記基板の上部表面に対して平坦な熱グリッドを有し、
前記熱画像センサは、前記少なくとも1つの処理モジュールの天井に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項33】
前記熱グリッドにより生成された熱放射線は、前記基板の上部表面から反射され、熱反射グリッドとして、前記熱画像センサにより収集され、
前記制御器は、前記基板の前記上部表面が平坦であるかないかを判定する、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記少なくとも1つの処理モジュールは、めっき化学物質分配アセンブリおよびヒータを有するめっき分配モジュールを有し、
前記熱画像センサは、前記熱画像センサの視野(FOV)が前記めっき化学物質分配アセンブリ、前記ヒータ、および/または前記基板を包含するように、前記めっき分配モジュール内に配置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項35】
前記熱画像センサは、前記めっき化学物質分配アセンブリ、前記ヒータ、および/または前記基板から前記熱データを収集し、
前記制御器は、前記熱データを処理して、めっき化学物質の温度、前記めっき化学物質により前記基板上で誘発された温度変化、前記ヒータの温度、または前記ヒータにより前記基板上で誘発された温度変化を監視する、請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記制御器は、前記めっき化学物質分配アセンブリにより分配されためっき化学物質の前記温度、前記めっき化学物質により前記基板上で誘発された前記温度変化、前記ヒータの前記温度、または前記ヒータにより前記基板上で誘発された前記温度変化の少なくとも1つを、フィードバックまたはフィードフォワードの制御処理における入力変数として使用する、請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記制御器は、前記熱データを処理して、
熱制御器のドリフトもしくは故障を検出し、または
不良もしくは不完全なめっきパドル形成を検出する、請求項35に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月10日に出願された米国仮特許出願第62/987,782号明細書に対する優先権およびその出願日の利益を主張するものであり、その出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板の処理に関する。特に、本開示は、基板、基板処理および/または基板処理モジュール部材の熱特性を監視するためのシステムおよび方法の様々な実施形態を提供する。一実施形態では、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、半導体基板を処理するときに利用され得る。
【背景技術】
【0003】
従来の基板処理システムは、コーティング、露光、現像および焼成ステップを含むフォトリソグラフィ処理を利用する。これらのステップで利用される材料および処理は、全て基板上の膜厚、限界寸法目標、ライン粗さ、均一性等に影響を与え得る。基板処理における形状が縮小し続けるにつれて、基板上に構造を形成することに対する技術的課題が増大する。
【0004】
基板処理システムには、多くの処理およびステップが存在し、基板のリアルタイム温度監視、基板(一例ではウエハ)上に分配されている化学物質の温度または基板上で発生する化学反応の影響から恩恵を受けることができる。従来の基板処理システムでは、熱監視は、歴史的に、例えば熱電対などの接触プローブを利用してきた。残念ながら、接触ベースの熱監視プローブは、基板処理システム内で使用され得る熱監視の範囲を制限する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
赤外線サーモグラフィまたは熱画像は、物体から放出される赤外線放射を監視することによって物体の温度を遠隔で判定するために他の分野(警備、建物の建設/検査など)で利用されている。通常、8~15umの波長領域をカバーする熱画像センサは、熱放射のみに基づいて且つ照明を必要とせずに、室温よりわずかにのみ高い温度の物体の完全に受動的な熱画像を取得することができる。したがって、基板、基板処理および基板処理モジュール部材の遠隔の熱監視を提供するために、基板処理システム内に熱画像センサを組み込むことが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
基板、基板処理および/または基板処理モジュール部材の熱特性を監視するためのシステムおよび方法の様々な実施形態が本明細書に開示される。より具体的には、本開示は、基板処理システムの様々な基板処理モジュール(例えば、液体分配モジュール、焼成モジュールもしくは複合焼成モジュール、インターフェースブロック、ウエハ検査システム(WIS)モジュール、めっき分配モジュールまたは別の処理モジュール)内の熱画像センサの様々な実施形態を提供する。熱画像センサを基板処理システム内の様々な場所に配置することにより、本開示は、基板表面、基板表面上に分配された液体、基板を取り囲む処理空間または基板処理モジュール内に含まれる部材(例えば、液体分配ノズル、スピンチャック、スピンコートカップ、冷却アーム、WIS部材、加熱部材など)から熱データが遠隔で収集されることを可能にする。
【0007】
一実施形態によれば、本明細書で提供されるシステムは、一般に、基板を処理するための少なくとも1つの処理モジュールと、基板、基板上に分配された液体または少なくとも1つの処理モジュール内に含まれる部材から熱データを取得するために、少なくとも1つの処理モジュール内に配置された熱画像センサと、熱画像センサから熱データを受信するように結合され、且つ故障検出監視、処理制御、基板評価、機器評価、処理評価または寿命予測のために熱データを処理するように構成された制御器とを含む。
【0008】
1つの代替的実施形態では、少なくとも1つの処理モジュールが液体分配モジュールであり、熱画像センサが、熱画像センサの視野(FOV)が基板および/または1つ以上の周囲の部材を包含するように、液体分配モジュールの天井または天井の近くに配置される、システムが更に記載され得る。
【0009】
1つの代替的実施形態では、少なくとも1つの処理モジュールが液体分配モジュールであり、熱画像センサが、熱画像センサの視野(FOV)がノズルおよび/またはノズルによって分配された液体を包含するように、液体分配モジュール内に含まれるノズルスキャンアームまたは液体分配モジュールの側壁上に取り付けられる、システムが更に記載され得る。
【0010】
別の代替的実施形態では、少なくとも1つの処理モジュールが、焼成チャンバを含む焼成モジュールであり、熱画像センサが、熱画像センサの視野(FOV)が、焼成チャンバから基板を取得し、且つ冷却チャンバに基板を搬送するように構成される冷却アームを包含するように、焼成モジュールの天井または天井の近くに配置される、システムが更に記載され得る。
【0011】
別の代替的実施形態では、少なくとも1つの処理モジュールがインターフェースブロック(IFB)である、システムが更に記載され得る。
【0012】
別の代替的実施形態では、少なくとも1つの処理モジュールが、検査処理中に基板の画像を取得するためのカメラシステムを含むウエハ検査(WIS)モジュールであり、熱画像センサが、熱画像センサの視野(FOV)がカメラシステムおよび/または基板を包含するように、WISモジュールの天井または側壁上に配置される、システムが更に記載され得る。
【0013】
別の代替的実施形態では、少なくとも1つの処理モジュールが、基板の上面に対して平面である熱グリッドを含み、熱画像センサが少なくとも1つの処理モジュールの天井に配置され、且つ基板の上方でセンタリングされる、システムが更に記載され得る。
【0014】
別の代替的実施形態では、少なくとも1つの処理モジュールが、めっき化学物質分配アセンブリおよびヒータを含むめっき分配モジュールを含み、熱画像センサが、熱画像センサの視野(FOV)がめっき化学物質分配アセンブリ、ヒータおよび/または基板を包含するように、めっき分配モジュール内に配置される、システムが更に記載され得る。
【0015】
本発明およびその利点のより詳細な理解は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって得ることができ、図面では、同様の参照番号が同様の特徴を示す。しかし、添付の図面は、開示する概念の例示的な実施形態のみを示し、したがって適用範囲を限定するものと見なすべきではなく、開示する概念を他の同等に効果的な実施形態にも適用できることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】液体分配モジュール内に配置された基板の温度、液体分配モジュール内で発生する処理ステップもしくは化学反応または液体分配モジュール内に含まれる部材を監視するために熱画像センサが含まれる、液体分配モジュールの側面図である。
【
図2】分配アームアセンブリまたは分配アームアセンブリによって分配された液体の温度を監視するために、熱画像センサが分配アームアセンブリ上に取り付けられる、液体分配モジュールの側面図である。
【
図3】基板を焼成チャンバから冷却チャンバに搬送するために使用される冷却アームの温度を監視するために熱画像センサが含まれる、複合焼成モジュールの側面図である。
【
図4】焼成チャンバから冷却チャンバに基板を搬送する際に冷却アーム内に保持される熱を示すグラフである。
【
図5】インターフェースブロック(IFB)またはIFB内に配置された基板の温度を監視するために熱画像センサが含まれる、IFBおよびリソグラフィツールのブロック図である。
【
図6】1つ以上のWIS部材の温度を監視するために熱画像センサが含まれる、ウエハ検査システム(WIS)の側面図である。
【
図7】モジュールの天井に熱画像センサが結合される、基板処理モジュールの側面図である。
【
図8A】基板表面の2次元(2D)熱グリッド画像を取得するために熱画像センサが配置され得る方法を示す、
図7に示される基板処理システムの正面斜視図である。
【
図8B】実質的に平坦な基板表面の2D熱グリッド画像の上面図である。
【
図8C】平坦ではない基板表面の2D熱グリッド画像の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
基板、基板処理および/または基板処理モジュール部材の熱特性を監視するためのシステムおよび方法の様々な実施形態が本明細書に開示される。より具体的には、本開示は、基板処理システムの様々な基板処理モジュール(例えば、液体分配モジュール、焼成モジュールもしくは複合焼成モジュール、インターフェースブロック、WISモジュール、めっき分配モジュールまたは別の処理モジュール)内の熱画像センサの様々な実施形態を提供する。熱画像センサを基板処理システム内の様々な場所に配置することにより、本開示は、基板表面、基板表面上に分配された液体、基板を取り囲む処理空間または基板処理モジュール内に含まれる部材(例えば、液体分配ノズル、スピンチャック、スピンコートカップ、冷却アーム、WIS部材、加熱部材など)から熱データが遠隔で収集されることを可能にする。
【0018】
接触ベースの温度(熱電対など)を使用する従来の基板処理システムと異なり、本開示は、基板処理システムの様々な基板処理モジュール(例えば、液体分配モジュール、焼成モジュールもしくは複合焼成モジュール、インターフェースブロック、WISモジュール、めっき分配モジュールまたは別の処理モジュール)内の熱画像センサを提供する。熱画像センサを基板処理システム内の様々な場所に配置することにより、本開示は、基板表面、基板表面上に分配された液体、基板を取り囲む処理空間または基板処理モジュール内に含まれる部材(例えば、液体分配ノズル、スピンチャック、スピンコートカップ、冷却アーム、WIS部材、加熱部材など)から熱データが遠隔で収集されることを可能にする。
【0019】
基板は、例示的な一実施形態では、半導体ウエハであり、一般に、シリコンのベース層を含むように形成される。シリコンは、長波赤外線(LWIR)に関連する波長を大きく透過する。加えて、分配された液体および/または様々な基板処理モジュールに導入された添加層は、LWIRに関連する波長において吸光性および発光特性を有する。結果として、LWIRセンサ(またはカメラ)は、基板(またはウエハ)および製品ウエハ上で実行される処理の熱監視に使用することができる。
【0020】
いくつかの実装形態では、本明細書に開示される基板処理モジュールで使用するのに好適な熱画像センサは、約8~14μmのスペクトル範囲を有するLWIRセンサを含み得る。好適なLWIRセンサの一例は、Leptonとして知られる、FLIR Systems,Inc.によって提供されるLWIRマイクロ熱カメラモジュールである。FLIR Leptonモジュールは、2D熱画像の全てのピクセルにおいて非接触温度データを提供するLWIRカメラである。小さいフォームファクタ(約10×12×7mm)を考慮して、LWIRカメラは、様々な基板処理モジュールに容易に組み込むことができる。しかしながら、本明細書に開示される熱画像センサは、LWIRカメラに限定されず、他の実施形態において代替的に実装され得ることに留意されたい。
【0021】
熱画像センサによって収集された熱データは、基板処理モジュール内に含まれる1つ以上の部材および/または基板処理モジュール内で実行される1つ以上の基板処理ステップを制御するための様々な制御器に供給され得る。例えば、熱データは、故障検出監視、フィードバックおよび/もしくはフィードフォワード処理制御、部材の寿命監視並びに/または較正に使用される様々な制御器に供給され得る。
【0022】
本明細書に記載の熱監視技術は、多様な基板処理モジュールおよび/またはシステム内で利用され得ることが認識されるであろう。本明細書に記載の熱監視技術が実行され得る基板処理モジュールの例を
図1~
図3および
図5~
図7に示す。しかしながら、この概念は、他の基板処理モジュールで利用され得ることが認識されるであろう。
【0023】
いくつかの実施形態(
図1~
図2を参照されたい)では、熱画像センサを液体分配モジュール(例えば、コーティングモジュール、現像モジュール、裏面スクラバモジュールなど)内に組み込んで、基板表面、基板表面に塗布される液体または液体分配モジュール内に含まれる部材(例えば、液体分配ノズル、スピンチャック、スピンコートカップなど)の温度を監視することができる。他の実施形態(
図3を参照されたい)では、熱画像センサを焼成モジュール(または複合焼成モジュール)内に組み込んで、それに含まれる部材(例えば、焼成チャンバから冷却チャンバに基板を搬送するために使用される冷却アームなど)の温度を監視することができる。更に他の実施形態(
図5参照されたい)では、熱画像センサは、基板処理モジュール間で基板を搬送するために使用されるインターフェースブロック(IFB)またはインターフェースセクション内に設けられ得る。更なる実施形態(
図6を参照されたい)では、ウエハ検査システム(WIS)モジュール内に熱画像センサを設けて、1つ以上のWISモジュール部材(例えば、ランプ、カメラまたは他の部材など)の温度を監視することができる。更に別の実施形態では、熱画像センサをめっき分配モジュール内に組み込んで、分配されためっき化学物質の温度、分配されためっき化学物質によって誘発された基板温度変化、インサイチュヒータまたはインサイチュヒータによって誘発された基板温度変化を監視することができる。一実施形態では、めっき分配モジュールは、無電解めっきモジュールであり得る。
【0024】
本明細書に示され、説明される基板処理モジュールは、本明細書に記載される熱監視技術が適用され得るモジュールの単なる例示的な実施形態であることが認識されるであろう。したがって、本明細書に開示される熱監視技術は、液体分配モジュール、焼成モジュール、インターフェースブロック、WISモジュール、めっき分配モジュール(例えば、無電解モジュール)および/または他のタイプの基板処理モジュールの他の実施形態に適用され得る。本明細書に示され、説明される基板処理モジュールは、スタンドアロンユニットであり得るか、またはより大きい基板処理システムに統合され得ることに留意されたい。例えば、本明細書に示され、説明される基板処理モジュールの1つ以上は、コーティング、露光、現像、焼成、めっき、検査などのモジュールを含むより大きい基板処理システム内に統合され得る。
【0025】
第1の実施形態 - 液体分配モジュール内に組み込まれた熱画像センサ
図1は、処理目的で基板に液体が塗布される例示的な液体分配モジュール10(例えば、コーティングモジュール、現像モジュール、スピンコーティングモジュールなど)を示す。
図1に示される液体分配モジュール10は、本明細書に記載の熱監視技術が適用され得る基板処理モジュールの一例に過ぎないことが認識されるであろう。したがって、本明細書に開示される技術は、他の液体分配モジュールおよび/または他の処理ユニットに適用することができる。
【0026】
基板は、液体分配モジュール10において様々な処理液でコーティングされる。
図1に示されるように、液体分配モジュール10は、チャンバ壁12によって区画された処理チャンバを含む。チャンバ壁12の内側に配置されたスピンチャック14は、基板(いくつかの実施形態では、半導体ウエハ(W)であり得る)の支持を提供する。より具体的には、スピンチャック14は、処理中に基板が支持される水平な上面を有する。基板を吸引力でスピンチャックに固定するために、吸引ポート(図示せず)がスピンチャック14の水平な上面に設けられ得る。スピンチャック14およびスピンチャック14によって支持される基板は、駆動機構16によって可変角速度で回転し得、駆動機構16は、ステッパモータ等であり得る。駆動機構16は、液体材料を塗布し、液体材料を基板上に流すために様々な角速度で動作し得る。
【0027】
ノズル18は、指定されたレートで1つ以上の液体を基板上に分配して、基板の上面上に1つ以上の層または膜を塗布するように適合される。基板表面に塗布され得る典型的な層または膜には、トップコート(TC)バリア層、トップコート反射防止(TARC)層、底部反射防止(BARC)層、イメージング層(例えば、フォトレジスト)並びにエッチング停止のための犠牲およびバリア層(ハードマスク)が含まれるが、これらに限定されない。ノズル18は、液体供給ライン20を介して液体供給ユニット(図示せず)に結合される。いくつかの実施形態では、ノズル18は、ノズルホルダを通してノズルスキャンアーム22の先端に取り付けられ得る。ノズルスキャンアーム22は、ガイドレール28上を一方向(例えば、Y方向)に水平移動可能な垂直支持部材26の上端に取り付けられ得る。
図1に示されていないが、駆動機構(図示せず)をノズルスキャンアーム22、垂直支持部材26またはガイドレール28に結合して、ノズル18をY方向に移動することができる。ノズル18をZ方向および/またはX方向に移動させるために、他の機構(ここでも図示せず)が使用され得る。
【0028】
カップ(CP)は、スピンチャック14によって回転中に生成される遠心力によって基板から放出された液体材料の大部分を捕捉および収集するために提供される。スピンチャック14は、静止しているカップに対してその中心法線軸の周りで基板を支持し、回転させる(すなわちスピンさせる)。基板から排出され、カップによって収集された液体材料は、排出ライン15および排出ユニット(図示せず)を介して排出される。いくつかの実施形態では、排気ライン17および真空ポンプまたは他の負圧発生デバイスなどの排気ユニット(図示せず)も使用して、カップ内部の処理空間から(処理中に基板層から放出される蒸気を含むが、これに限定されない)ガス種も除去され得る。
【0029】
スピンチャック14および駆動機構16は、カップ(CP)の開口部内に配置される。
図1に示されるように、基板は、処理アーム11によってスピンチャック14に送達され得、処理アーム11は、基板を液体分配モジュール10に出し入れするために使用され得る。いくつかの実施形態では、エアシリンダおよび上下ガイドユニットなどの昇降機構を使用して、駆動機構16および/またはスピンチャック14を上向きに持ち上げて、処理アーム11によって送達された基板を受け取ることができる。代わりに、カップ(CP)は、上下に移動するように構成され得るか、または基板がスピンチャック14上に配置されることを可能にするために分離および拡大するように構成され得る。
【0030】
図1に示される実施形態では、熱画像センサ30を液体分配モジュール10に組み込んで、基板、基板上に分配された液体または液体分配モジュール内に含まれる部材(例えば、スピンチャック14、カップ(CP)、ノズル18など)の温度を監視する。いくつかの実施形態では、熱画像センサ30の視野(FOV)が基板および/または周囲の部材(例えば、スピンチャック14、カップ(CP)、ノズル18など)を包含するように、熱画像センサ30は(
図1に示されるように)液体分配モジュール10の天井または液体分配モジュール10の側壁上の天井の近くに結合され得る。
【0031】
図1に示されるように、熱画像センサ30によって収集された熱データは、更なる処理のために制御器32に提供される。用途に応じて、制御器32を実装するために様々な異なる制御器が使用され得ることが認識されるであろう。いくつかの用途では、制御器32は、熱画像センサ30によって収集された熱データを処理し、処理されたデータを故障検出監視に使用することができる。他の実施形態では、制御器32は、処理されたデータをフィードバックおよび/またはフィードフォワード処理制御のための入力変数として使用することができる。更に他の実施形態では、制御器32によって生成された処理されたデータを使用して、処理モジュール部材の寿命を監視または予測することができる。用途に応じて、
図1に示される実施形態は、コーティングモジュール、現像モジュール、裏面スクラバモジュールおよび/またはそれらの任意の組み合わせに適用され得る。
【0032】
図1に示される実施形態の第1の応用では、熱画像センサ30をコーティングモジュールにおいて使用して、コーティングの終点を判定し、且つおよび/または一貫したコーティング蒸発履歴を確実にするための手段として、基板(例えば、ウエハ)に塗布される溶媒の蒸発冷却効果を監視することができる。溶媒が(例えば、ウエハに塗布されたレジスト膜から)蒸発すると、蒸発を誘発するために必要な熱により、ウエハ(および膜)上に蒸発冷却効果を引き起こす。センサのFOVがウエハ表面を包含するように熱画像センサ30を配置することにより、コーティングされたウエハからの溶媒蒸発によって提供される蒸発冷却効果を監視することができる。
【0033】
図1に示される実施形態の第1の応用では、熱画像センサ30は、ウエハ表面から熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、ウエハ表面からの溶媒蒸発の蒸発冷却効果を監視する。場合により、制御器32は、熱データを処理して、故障検出制御によってフラグ付けされ得る、ウエハ間の蒸発冷却差を検出することができる。他の場合、制御器32は、熱データを処理して、モジュール間の蒸発冷却差を検出することができ、これを使用して、モジュール間のマッチング/再現性に対する処理パラメータ(例えば、空気流、排気、化学物質温度など)を調整または最適化することができる。更に別の場合、制御器32は、熱データを処理して、蒸発冷却熱履歴の終了に関連するメトリックを検出することができる(例えば、ウエハ温度がモジュールの周囲温度に向かってトレンドバックを開始する)。このメトリックは、処理終了点メトリックとして使用することができ、ウエハ間で一貫して処理レシピの次のステップに進む方法として、別のもの(例えば、膜厚制御器)によって使用することができる。上述のように、熱データは、ウエハ表面に関連する。しかしながら、裸のシリコンは、LWIR光の透過率が高い。したがって、特定のウエハ(ウエハの厚さ、量、ウエハ上に形成される層のタイプおよび厚さなど)に応じて、発光は、ウエハ表面の下方の材料(例えば、裏面の化学物質温度および/またはスピニングダイナミクスによる真空チャックの温度変化)にも関連し得る。
【0034】
図1に示される実施形態の第2の応用では、熱画像センサ30をコーティングモジュールまたは現像モジュールにおいて使用して、ウエハ上に分配された液体の温度(例えば、レジスト消費、エッジビード除去、レジスト、現像などの溶液の低減)および/または分配された液体によって誘発されたウエハの温度変化を監視することができる。いくつかの分配された液体は、従来の処理システムでは熱制御および熱監視されるが、そこでは、温度制御に関係なく、ウエハ表面上に分配された液体の熱質量によってウエハがどのように影響を受けるかは、必ずしも明らかではない。更に、全ての液体がウエハの中心に分配されるわけではないため、分配された量に関係なく、分配された液体がウエハ表面上に及ぼす局所的温度の影響を予測することは、困難である。しかしながら、センサFOVがウエハ表面を包含するように熱画像センサ30を配置することにより、分配された液体のウエハにわたる温度の影響を欠陥検出目的のため且つ/またはウエハ間およびウエハ処理制御内で監視することができる。
【0035】
図1に示される実施形態の第2の応用では、熱画像センサ30は、ウエハ表面から熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、ウエハ上に分配された液体の温度または分配された液体によってウエハ上に誘発された温度変化を監視する。場合により、制御器32は、熱データを処理して、分配された液体の平均温度または分配された液体によって誘発された平均ウエハ温度変化を判定することができる。場合により、膜厚(FT)平均制御器(コーティング処理用)または限界寸法(CD)平均制御器(現像処理用)は、分配された液体の平均温度または分配された液体によって誘発された平均ウエハ温度変化をフィードバックまたはフィードフォワード処理制御のための入力変数として使用することができる。
【0036】
他の場合、制御器32は、熱データを処理して、分配された液体のウエハにわたる温度差または分配された液体によって誘発されたウエハにわたる温度差を判定することができる。場合により、FT均一性制御器(コート処理用)またはCD均一性制御器(現像処理用)は、分配された液体のウエハにわたる温度差または分配された液体によって誘発されたウエハにわたる温度差をフィードバックまたはフィードフォワード処理制御のための入力変数として使用することができる。例えば、入力変数を使用して複数の潜在的な制御ノブを変更して、分配された液体温度のウエハにわたる差または分配された液体によって誘発されたウエハにわたる温度差の影響を軽減することができる。
【0037】
他の場合、制御器32によって処理された熱データは、故障検出監視に使用することができる。障害検出監視には、(特に現像処理中の)熱制御器のドリフト/故障および不良/不完全なパドル形成検出の早期診断が含まれるが、これらに限定されない。例えば、不完全なパドル形成は、パドル被覆がある基板領域(パドルの温度)対パドル被覆がない領域(下にある基板の温度)間の識別可能な温度差として現れる場合がある。
【0038】
図1に示される実施形態の第3の応用では、熱画像センサ30をコーティングモジュールまたは現像モジュールにおいて使用して、スピンチャック14(および/または駆動機構16)の温度を監視することができる。駆動機構16は、従来の処理システムでは熱的に制御されて熱的に監視されるが、駆動機構16内に含まれるスピンモータとスピンチャック14との間の接続の性質により、スピンチャック14の熱制御および熱監視における遅延をもたらす。大量生産では、この熱制御の遅延は、通常、特に長時間のアイドル状態から開始する際、ロット処理を通してスピンチャック温度の熱差が存在することを意味する。しかしながら、センサのFOVがスピンチャック14を包含するように熱画像センサ30を配置することにより、スピンチャック14(および/または駆動機構16)の温度を故障検出監視および/または処理制御のために監視することができる。
【0039】
図1に示される実施形態の第3の応用では、熱画像センサ30は、(例えば、ウエハ送達の直前に)スピンチャック14から熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、スピンチャック14の温度を監視する。場合により、制御器32は、フィードバックまたはフィードフォワード処理制御のための入力変数としてスピンチャック温度を使用するFT平均/均一性制御器(コーティング処理用)またはCD平均/均一性制御器(現像処理用)であり得る。例えば、スピンチャック14は、ウエハよりも小さいため、熱シンクとの接触面積の差により、ウエハにわたって熱差が多くの場合に誘発される。スピンチャック温度をFTまたはCD均一性制御器に供給することにより、ウエハにわたる温度差を軽減することができる。
【0040】
他の場合、制御器32に提供されるスピンチャック温度は、故障検出監視に使用することができる。障害検出監視には、スピンモータの故障の早期診断、スピンチャック14上の液体の検出または磨耗もしくは損傷したスピンチャック14の識別が含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、差し迫ったスピンモータの故障は、(例えば、ベアリングまたはグリースの問題によりスピンモータの摩擦が増加する場合に発生し得る)スピンチャック温度の熱傾向の上昇を検出することによって予測することができる。加えて、スピンチャック14(および/またはサブアセンブリ領域)上の液体を、アセンブリの残りの部分に対するスピンチャック14上の(例えば、液体の蒸発冷却効果による)温度差を観察することによって検出することができる。最後に、摩耗または損傷したスピンチャックは、ウエハ処理中にウエハのスピンチャック領域の温度を監視し、且つウエハにわたって誘発されたスピンチャックの熱パターンを分析することによって識別することができる。
【0041】
図1に示される実施形態の第4の応用では、熱画像センサ30をコーティングモジュールにおいて使用して、カップ(CP)の温度を監視することができる。カップの温度(CP)は、通常、監視または制御されないが、いくつかの膜のエッジコートの均一性に影響を与えることがわかっている。センサのFOVがカップ(CP)を包含するように熱画像センサ30を配置することにより、故障検出監視および/または処理制御のためにカップの温度を監視することができる。
【0042】
図1に示される実施形態の第4の応用では、熱画像センサ30は、(例えば、ウエハ送達の直前に)カップから熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、カップ(CP)の温度を監視する。場合により、制御器32は、フィードバックまたはフィードフォワード処理制御のための入力変数としてカップ温度を使用するFT均一性制御器であり得る。例えば、カップ温度は、FT均一性制御器によって使用され、潜在的な制御ノブの数を変更してカップ温度差の影響を軽減することができる。他の場合、制御器32に提供されるカップ温度は、故障検出監視に使用することができる。障害検出監視には、化学物質の落下問題の識別(例えば、アーム移動中に化学物質がカップ上に落下した場合)、カップタイプの違いの識別およびカップ内の化学物質残留物の蓄積の識別などが含まれるが、これらに限定されない。
【0043】
図1に示される実施形態の第5の応用では、熱画像センサ30を現像モジュールにおいて使用して、現像パドルの温度を監視し、位置ごとの現像パドル処理の経時的な熱プロファイルを理解することができる。現像パドルの温度は、チャック温度、化学物質の温度、入ってくるウエハの温度および空気の温度など、多くの要因により影響を受けるが、これらに限定されない。現像速度も温度に大きく依存するため、位置ごとに現像パドル処理の熱プロファイルを経時的に(および累積的に)監視する能力を使用して、現像処理を最適化または制御することができる。センサのFOVがウエハ表面を包含するように熱画像センサ30を配置することにより、フィードバックおよび/またはフィードフォワード処理制御のために現像パドルの温度を監視することができる。
【0044】
図1に示される実施例の第5の応用では、熱画像センサ30は、現像パドル処理中にウエハ表面から熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、現像パドルの温度を監視する。場合により、制御器32は、熱データを処理して、フィードバックおよび/またはフィードフォワード処理制御に使用され得る現像パドルの平均累積温度を判定することができる。例えば、現像パドルの平均蓄積温度を別の制御器にフィードバックして、パドル形成中に使用される1つ以上の処理パラメータ(例えば、現像時間、温度または分配条件)を変更することができる。フィードフォワード制御の一例では、現像パドルの平均累積温度を使用し、ウエハの局所領域において追加の熱制御された現像溶液を分配してパドルの熱均一性を改善することができる。フィードフォワード制御の別の例では、局所的な熱加熱方法(例えば、吸収ベースの加熱方法)を使用して、ウエハ(パドル)にわたる累積温度をより均一にすることができる。
【0045】
図1に示される実施形態の第6の応用では、熱画像センサ30を様々な液体分配モジュールにおいて使用して、ウエハ上の吸熱または発熱化学反応の温度を監視し、単一のウエハの吸熱または発熱化学反応の経時的な熱プロファイルを(例えば、洗浄のために)位置ごとに理解することができる。ウエハ/化学物質の動的温度は、化学物質分配の方法および処理、反応性化学物質の局所濃度、チャック温度、化学物質温度、入ってくるウエハの温度および空気温度を含むが、これらに限定されない多くの事柄によって影響を受ける。化学反応速度も温度に大きく依存するため、位置ごとの単一のウエハの吸熱または発熱化学反応の経時的(および累積)熱プロファイルを監視する能力を使用して、化学処理を最適化または制御することができる。センサのFOVがウエハ表面を包含するように熱画像センサ30を配置することにより、フィードバックおよび/またはフィードフォワード処理制御のためにウエハ/化学反応の温度を監視することができる。
【0046】
図1に示される実施形態の第6の応用では、熱画像センサ30は、ウエハ処理中にウエハ表面から熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、ウエハ上で発生する化学反応の温度を監視する。場合により、制御器32は、熱データを処理して、フィードバックおよび/またはフィードフォワード処理制御に使用され得るウエハの局所または平均蓄積温度を判定することができる。例えば、ウエハの局所または平均累積温度を別の制御器にフィードバックして、ウエハ処理中に使用される1つ以上の処理パラメータ(例えば、化学反応処理時間、温度、濃度または混合比)を変更することができる。フィードフォワード制御の一例では、ウエハの局所または平均累積温度を使用して、ウエハの局所領域において追加の反応性化学物質を分配し、局所領域における化学反応性を高めることができる。フィードフォワード制御の別の例では、局所的な熱加熱方法(例えば、吸収ベースの加熱方法)を使用して、ウエハにわたる累積温度をより均一にすることができる。
【0047】
図1に示される実施形態の第7の応用では、熱画像センサ30を裏面スクラバモジュールにおいて使用して、ウエハの温度を監視して、裏面スクラバ処理に関連するウエハ状態を理解し、且つ/または裏面スクラバブラシの状態を理解することができる。裏面スクラバブラシは、ブラッシングによって誘発された摩擦により、ウエハを局所的に加熱する。センサのFOVがウエハ表面を包含するように熱画像センサ30を配置することにより、裏面スクラバ処理によってウエハ上に誘発された局所的な加熱を監視することができる。
【0048】
図1に示される実施形態の第7の応用では、熱画像センサ30は、裏面スクラバ処理中にウエハ表面から熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、裏面スクラバ処理中のウエハの温度を監視する。場合により、制御器32は、裏面スクラバ処理中に監視されたウエハ温度を欠陥軽減の程度のメトリックとして使用することができる。例えば、欠陥が除去されると、ブラッシングによって誘発された摩擦が減少し、そのような摩擦に関連する局所的な加熱が低減される。場合により、制御器32は、ブラシ寿命のメトリックとして、ウエハ間で誘発された平均加熱を監視することができる。ブラシが磨耗すると、摩擦による加熱が減少し、これは、ウエハ間の信号において観察可能であるべきである。ウエハ間で誘発された平均加熱を監視することにより、制御器32は、裏面スクラバブラシの寿命を予測することができる。
【0049】
図1に示される実施形態では、熱画像センサ30を液体分配モジュール10の天井または天井の近くに配置して、液体分配モジュール内に配置された基板の温度、液体分配モジュール内で発生する処理ステップもしくは化学反応または液体分配モジュール内に含まれる部材を監視する。しかしながら、熱画像センサ30は、
図1に示される配置または上述の温度監視および制御技術に厳密に限定されないことが認識されるであろう。
【0050】
図2は、本明細書に記載の熱監視技術が適用され得る液体分配モジュール10(例えば、コーティングモジュール、現像モジュール、スピンコーティングモジュールなど)の別の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、熱画像センサ30の視野(FOV)がノズル18および/またはノズル18によって分配された液体を包含するように、熱画像センサ30は、(
図2に示されるように)ノズルスキャンアーム22上に取り付けられ得るか、または液体分配モジュール10の側壁に結合され得る。これにより、熱画像センサ30および制御器32は、ノズル18の温度またはノズルによって分配された液体を監視することができる。
【0051】
図2に示される構成により、分配された液体の使用点(POU)温度(すなわち液体がウエハ上に分配されるときのノズル18における液体の温度)および分配ノズルの状態(例えば、サックバック高さ)を容易に見定めることができる。場合により、熱画像センサ30および制御器32によって監視されるPOU温度は、FT平均もしくは均一性制御器(コーティング処理用)またはCD平均もしくは均一性制御器(現像処理用)にフィードバックまたはフィードフォワード処理制御のための入力変数として供給され得る。他の場合、ノズル18内の液体の位置が液体位置の下方の空気に対する熱差として見られることになるため、分配ノズルの状態(例えば、サックバック高さ)は、熱画像センサ30および制御器32によって提供される熱監視を介して容易に見定めることができる。
【0052】
第2の実施形態 - 焼成モジュール内に組み込まれた熱画像センサ
図3は、焼成処理および冷却処理の両方を実行するように構成され得る例示的な複合焼成モジュール40を示す。
図3に示される複合焼成モジュール40は、本明細書に記載の熱監視および制御技術が適用され得る基板処理モジュールの一例に過ぎないことが認識されるであろう。したがって、本明細書に開示される技術は、他の焼成モジュールおよび/または他の処理モジュールに適用することができる。
【0053】
図3に示される複合焼成モジュール40は、1つ以上の外壁48内に配置され、且つそれらにより区画された焼成チャンバ42および冷却チャンバ50を含む。
図3に示される焼成チャンバ42は、焼成プレート44および焼成チャンバ42の一部を形成する焼成チャンバ蓋46を含む。1つ以上のヒータ(図示せず)を焼成プレート44内に埋め込んで熱を生成させることができ、これを使用して、焼成プレート44の上面上に搭載された基板を熱処理(または焼成)することができる。加えて、1つ以上の温度センサ(図示せず)を焼成プレート44内に埋め込んで、焼成プレート44の温度を測定することができる。いくつかの実施形態では、焼成プレート44は、リフトピン(図示せず)が挿入および使用されて、基板(例えば、ウエハW)を持ち上げるか、または焼成プレート44の上面上に基板を下ろすことができる複数のスルーホールを含み得る。
【0054】
複数の異なる焼成処理(例えば、露光後焼成、現像後焼成、塗布後焼成、静電露光後焼成など)を複合焼成モジュール40の焼成チャンバ42内で実行して、基板(ウエハWなど)上に事前に塗布または堆積された1つ以上の層または膜を熱処理(または焼成)することができる。典型的な層または膜には、トップコート(TC)バリア層、トップコート反射防止(TARC)層、底部反射防止(BARC)層、イメージング層(例えば、フォトレジスト)並びにエッチング停止のための犠牲およびバリア層(ハードマスク)が含まれるが、これらに限定されない。基板が熱処理された後、冷却アーム52は、焼成プレート44の上面から基板を取得し、冷却チャンバ50に基板を搬送して冷却処理を実行することができる。
【0055】
図3に示される冷却チャンバ50は、焼成プレート44の上面から基板を取得し、且つ冷却チャンバ50に基板を搬送するように構成された冷却アーム52を含む。いくつかの実施形態では、冷却アーム52は、線形ガイド54に結合され得、これにより、基板の取得および搬送のために冷却アームが直線方向(例えば、X方向)に移動することを可能にする。冷却チャンバ50および/または冷却アーム52は、焼成チャンバ42内で熱処理または焼成された基板に対して冷却処理を実行することができる。
【0056】
冷却は、様々な異なる方法で実行され得る。いくつかの実施形態では、冷却アーム52は、ウエハの温度を下げるための冷却機構(図示せず)を含み得る。例えば、冷却アーム52は、ウエハから熱を奪うために、それを通して流れる処理冷却水を有し得る。他の実施形態では、冷却は、アクティブな温度制御された(ペルチェ)冷却プレートを介して達成され得る。これらの冷却プレートは、独立したユニットとして提供され得る。
【0057】
基板処理システムのスループット制約により、冷却処理に対して限られた時間のみが許容される場合がある。そのため、冷却アーム52内には、前のウエハ冷却処理からの熱保持が多くの場合に存在し(特にフルの大量生産で動作している場合)、これは、複合焼成モジュール40において処理される次のウエハの熱履歴に影響を与える(例えば、
図4を参照されたい)。
【0058】
この問題を克服するために、熱画像センサ30が複合焼成モジュール40に組み込まれて、冷却アーム52の温度を監視する。いくつかの実施形態では、熱画像センサ30の視野(FOV)が冷却アーム52を包含するように、熱画像センサ30が(例えば、
図3に示されるように)複合焼成モジュール40の天井または複合焼成モジュール40の側壁上の天井の近くに結合され得る。
【0059】
熱画像センサ30は冷却チャンバ50内に配置されるが、センサFOVが冷却アーム52を包含する限り、センサは、複合焼成モジュール内の他の場所に配置され得ることが認識されるであろう。例えば、熱画像センサ30は、冷却チャンバ50の代わりに、焼成チャンバ42内に配置され得る。
図3に示されるように、複合焼成モジュール40の代わりに、熱画像センサ30は、焼成チャンバを含むが、冷却チャンバを含まない焼成モジュール内に組み込むことができる。そのような実施形態では、センサFOVが、焼成チャンバから基板を取得するように構成された(従来のアームまたは代替的に冷却アームであり得る)アームを包含するように、熱画像センサは、焼成モジュールの天井または天井の近くに配置され得る。
【0060】
図3に示される第2の実施形態では、熱画像センサ30は、ウエハの搬送前、搬送中または搬送後に冷却アーム52から熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、冷却アーム52の温度を監視する。場合により、制御器32は、フィードフォワードまたはフィードバック処理制御のために冷却アーム温度を利用することができる。例えば、複合焼成モジュール40の(例えば、冷却アームが焼成処理への移行を開始するときとの)ウエハ処理履歴での同等の瞬間における冷却アーム温度および/またはウエハ温度の正確な知識を有することにより、制御器32が、焼成プロファイル(例えば、ランプ速度、定常状態温度または定常状態時間)を調整して、そのウエハの冷却処理の開始時の冷却アーム52の温度に関係なく、その後に処理されるウエハが同等の総蓄積熱履歴を確実に参照することを可能にし得る。
【0061】
第3の実施形態 - インターフェースブロック(IFB)内に組み込まれた熱画像センサ
図5は、例えば、リソグラフィツール70などの他の処理モジュールに基板を搬送するために使用され得る例示的なインターフェースブロック(IFB)60を示す。
図5に示されるインターフェースブロック60は、本明細書に記載の熱監視および制御技術が適用され得る基板処理モジュールの一例に過ぎないことが認識されるであろう。したがって、本明細書に開示される技術は、他のインターフェースブロックおよび/または他の処理モジュールに適用することができる。インターフェースブロック(IFB)60は、
図5に示されるようなインターフェース冷却プレート62を含み得る。
【0062】
図5に示される第3の実施形態では、熱画像センサ30をインターフェースブロック(IFB)60において使用して、IFB60またはIFB内に配置された基板(例えば、ウエハ、W)の温度を監視することができる。通常、IFBの温度は、監視または制御されないが、リソグラフィツールオーバーレイ制御に影響を与えることがわかっている。熱画像センサ30をIFB60内に配置することにより、フィードバックおよび/またはフィードフォワード処理制御のために、IFB60またはIFB内に配置された基板の温度を監視することができる。
【0063】
図5に示される第3の実施形態では、熱画像センサ30は、基板がリソグラフィツール70に搬送される前に、IFBまたはIFB内に配置された基板から熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、IFB60または基板の温度を監視する。場合により、制御器32は、フィードバック処理制御のためにIFB温度を利用することができる。例えば、制御器32は、基板がリソグラフィツール70に搬送される前に、冷却プレート制御器64にIFB温度を提供して、冷却プレート62の温度または現在の冷却処理に関連する冷却時間を調整することができる。そのようなフィードバック処理制御を使用して、経時的なIFB温度での熱差を考慮することができる。
【0064】
他の場合、制御器32は、フィードフォワード処理制御のために基板温度を利用することができる。例えば、制御器32は、IFB/リソグラフィツール交換の瞬間にリソグラフィツールオーバーレイ制御器72に基板温度を提供することができる。そのようなフィードフォワード処理制御により、リソグラフィツール70が実際の基板温度を考慮および/または補正することを可能にすることができ、したがって最後の冷却処理によって誘発された熱の再現性を無効にするIFB/リソグラフィツール交換の予期しない遅延を考慮することができる。
【0065】
第4の実施形態 - ウエハ検査システム(WIS)内に組み込まれた熱画像センサ
図6は、基板(またはウエハ)に対する検査処理を実行するように構成され得る例示的なウエハ検査システム(WIS)モジュール80を示す。いくつかの実施形態では、WISモジュール80は、基板処理システム内で基板が処理されるときに基板を検査するために、基板処理システム内に一体化され得る。他の実施形態では、WISモジュール80は、基板処理システムの外側に配置されたスタンドアロンモジュールであり得る。
図6に示されるWISモジュール80は、本明細書に記載の熱監視および制御技術が適用され得る基板処理モジュールの一例に過ぎないことが認識されるであろう。したがって、本明細書に開示される技術は、他の検査モジュールおよび/または他の処理モジュールに適用することができる。
【0066】
ウエハ検査システム(WIS)モジュールは、多くの場合、基板処理システム内で1つ以上の処理ステップ(例えば、コーティング処理、焼成処理、現像処理など)が実行されている間またはその後に使用されて、基板(半導体ウエハなど)を検査する。例えば、WISモジュールは、ウエハの表面に塗布された層の膜厚(FT)を、ウエハが焼成処理を受けて、層が硬化するかまたは固まった後に判定することができる。別の例では、WISモジュールは、ウエハ上に形成された構造の限界寸法(CD)を、ウエハが現像されて構造が形成された後に判定することができる。
【0067】
図6に示されるように、WISモジュール80は、外壁82によって区画され、基板(例えば、ウエハ、W)が検査のためにWISモジュール内に配置されている間、基板を支持するための支持構造体84を含む。カメラシステム86は、基板の画像を取得するためにWISモジュール80内に配置される。いくつかの実施形態では、
図6に示されるように、カメラシステム86は、カメラシステム86の視野(FOV)が基板の上面全体をキャプチャするように、外壁82の内面に結合され、基板の上方でセンタリングされ得る。しかしながら、
図6に示すカメラ位置は、単なる一例であることと、他の実施形態では、カメラシステム86は、代わりに、WISモジュール80内に配置され得ることとが認識されるであろう。更に、ミラーまたは他の光学系を利用して、WISモジュールの他の場所に配置され得るカメラシステムに画像を導き得る。例えば、
図6のカメラの位置にミラーを配置して、
図6の基板の平面に平行な平面に配置されたカメラ上に画像を導くことができる。
【0068】
カメラシステム86は、一般に、光源(またはランプ)および光受容センサ(またはカメラ)を含み得る。しかしながら、電荷結合デバイス(CCD)画像センサカメラ、相補的金属酸化物半導体(CMOS)画像センサカメラ、N型金属酸化物半導体(NMOS)画像センサカメラ、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)画像センサカメラ、インジウムアンチモン(InSb)画像センサカメラなどを含むが、これらに限定されない多様なカメラシステムが利用され得ることに留意されたい。
【0069】
カメラシステム86内に含まれる光源は、典型的には、可視スペクトルを有する光源であり得るか、または波長がより長い光源であり得る。例えば、可視スペクトル、近赤外(NIR)、短波赤外(SWIR)および中波赤外(MIR)の光源は、基板の表面を照明するためにカメラシステム86内で使用され得る例示的な光源を表す。
【0070】
カメラシステム86の光受容センサ(例えば、CCD、CMOS、NMOSなど)は、基板の表面から反射された光を検出し、検出された光を生の赤、緑、青(RGB)値のラインスキャンまたはマトリックスに変換する。カメラシステム86から出力されたRGB値は、更なる処理のためにWIS制御器88に提供される。いくつかの実施形態では、WIS制御器88は、共通モデルをRGB値に適用して、基板上で検出された色差を膜厚(FT)または限界寸法(CD)値に変換することができる。
【0071】
場合により、カメラシステム86によってWIS制御器88に提供されるRGB値は、とりわけ、カメラシステム86の1つ以上の部材(例えば、光源、受光センサ)の温度に依存するか、またはそれらによって影響を受け得る。この温度依存性により、基板上でカメラシステム86によって検出された色または色差は、FTもしくはCD値または差として誤って解釈される場合がある。
【0072】
この問題を克服するために、熱画像センサ30をWISモジュール80内に含めて、カメラシステム86の部材の温度および/またはWISモジュール80内に配置された基板の温度を監視する。WISモジュール内の温度は、通常、監視または制御されないが、基板上のカメラシステム86によって検出される色または色差に影響を与えることがわかっている。
【0073】
いくつかの実施形態では、熱画像センサ30の視野(FOV)がカメラシステム86を包含するように、熱画像センサ30は、(例えば、
図3に示されるように)WISモジュール80の天井または内部側壁に結合され得る。いくつかの実施形態では、センサFOVが基板を包含するように、熱画像センサ30は、追加的または代替的に配置され得る。センサFOVがカメラシステム86および/または基板を包含するように、熱画像センサ30をWISモジュール80内に配置することにより、カメラシステム86の部材および/または基板の温度を監視し、WIS較正目的に使用することができる。
【0074】
図6に示される第4の実施形態では、熱画像センサ30は、検査処理中にカメラシステム86の部材またはWISモジュール80内に配置された基板から熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、カメラシステム86の部材の温度および/または基板の温度を監視する。いくつかの実施形態では、制御器32は、カメラシステム86の部材の温度および/または基板の温度をWIS制御器88に直接提供することができる。他の実施形態では、制御器32は、熱データを処理して、WIS制御器88に提供され得る補正値(例えば、ランプ温度補正値、カメラ温度補正値、基板温度補正値など)を判定することができる。WIS制御器88は、制御器32によって提供された温度または補正値を使用して、カメラシステム86によって提供されたRGB値を調整することができる。そうすることで、WIS制御器88は、WIS制御器88によって生成されたFT/CD値を較正して、カメラシステム86の部材または基板温度における変動を考慮することができる。
【0075】
第5の実施形態 - 基板処理モジュール内に組み込まれた熱画像センサ
図7は、処理(例えば、コーティング処理、現像処理、焼成処理、露光処理、冷却処理、めっき処理、堆積処理、エッチング処理または多様な基板処理のいずれかなど)を実行するように構成され得る一般的な基板処理モジュール90を示す。
図7に示される一般的な基板処理モジュール90は、本明細書に記載の熱監視技術が適用され得る基板処理モジュールの一例に過ぎないことが認識されるであろう。
【0076】
図7に示される一般的な基板処理モジュール90は、外壁92によって区画され、基板(例えば、ウエハ、W)を支持するための支持構造94を含むが、基板は、処理モジュール内に配置される。基板処理モジュール90内で実行される処理に応じて、支持構造94は、スピンチャック、ヒートプレート、冷却プレート、エッチングチャック、堆積チャックなどであり得る。
【0077】
図7に示される第5の実施形態では、熱画像センサ30は、基板処理モジュール90内に組み込まれ、熱画像センサ30が基板(またはウエハ、W)の平面に平行であり、且つ基板の中心より上方でセンタリングされるように、モジュールの天井に結合される。熱放射は、大部分の表面から反射する。
図7に示されるように熱画像センサ30を配置することにより、熱画像センサ30は、基板の表面から反射された熱放射を観察して、基板表面における高さ変動を検出することができる。
【0078】
図8A~Cは、
図7に示される熱画像センサ30がどのように使用されて、基板表面の高さ変動を検出することができるかを説明するために使用され得る概念図である。例えば、
図8Aに示されるように、熱グリッドが基板の上面の平面と平行になるように、熱グリッド96は、熱画像センサ30と同じ平面または熱画像センサに平行な平面に作成することができる。熱グリッド96の温度は、基板処理モジュール90内の周囲温度と異なる任意の温度であり得る。熱グリッド96によって生成された熱放射は、基板(W)の表面から反射され、熱反射グリッド98として熱画像センサ30により収集される。
【0079】
基板の上面に対して平面である(その温度が周囲温度から識別可能である)熱グリッド96を作成することにより、熱画像センサ30および制御器32は、基板表面が平坦でない場合、このグリッドの変形の性質を観察することができる。
図8Bは、平坦な基板表面から観察され得る例示的な熱反射グリッド98を示す。
図8Cは、基板の表面が平坦でない場合、反射グリッド画像において熱グリッド96がどのように変形され得るかを表す例示的な熱反射グリッド98を示す。粗いウエハ形状は、熱画像センサ30によって観察される熱グリッド96の変形に基づいて抽出され得る。
【0080】
第6の実施形態 - めっき分配モジュール内に組み込まれた熱画像センサ
第6の実施形態では、熱画像センサ30をめっき分配モジュール内に組み込んで、分配されためっき化学物質の著しく上昇した温度(例えば、約55℃)、分配されためっき化学物質に応答する基板温度、インサイチュヒータの温度および/またはインサイチュヒータによって誘発された基板温度変化を監視することができる。一技術では、めっき分配モジュールは、無電解めっきモジュールである。センサFOVがめっき化学物質分配アセンブリ、インサイチュヒータおよび/または基板を包含するように熱画像センサ30を配置することにより、熱画像センサ30によって収集された熱データを、故障検出監視および処理制御に使用することができる。
【0081】
第6の実施形態では、熱画像センサ30は、めっき化学物質分配アセンブリ、インサイチュヒータおよび/または基板から熱データを収集し、制御器32は、熱データを処理して、分配されためっき化学物質の温度、分配されためっき化学物質によって誘発された基板温度変化、インサイチュヒータの温度またはインサイチュヒータによって誘発された基板温度変化を監視する。いくつかの実施形態では、無電解めっきモジュールの性質を考慮して、インサイチュヒータ処理中のウエハ温度監視に対して、熱画像センサ30は、基板の下から熱データを収集することができる。
【0082】
場合により、分配されためっき化学物質の温度、分配されためっき化学物質によって誘発された基板温度変化、インサイチュヒータの温度または熱画像センサ30によって検出されるインサイチュヒータによって誘発された基板温度変化は、制御器32に供給され得、故障検出監視および/または処理制御のための入力変数として使用され得る。例えば、制御器32は、平均めっき量に関連するめっき処理制御器であり得る。めっき処理制御器として実装されると、制御器32は、分配されためっき化学物質の温度、分配されためっき化学物質によって誘発された基板温度変化、インサイチュヒータの温度またはインサイチュヒータによって誘発された基板温度変化をフィードバックまたはフィードフォワード制御処理における入力変数として使用することができる。
【0083】
場合により、制御器32は、ウエハにわたるめっき均一性制御器であり得る。ウエハにわたるめっき均一性制御器として実装されると、制御器32は、分配されためっき化学物質の温度、分配されためっき化学物質によって誘発された基板温度変化、インサイチュヒータの温度またはインサイチュヒータによって誘発された基板温度変化をフィードバックまたはフィードフォワード制御における入力変数として使用して、複数の潜在的な制御ノブを変更してウエハにわたる差の影響を軽減することができる。
【0084】
他の場合、制御器32によって処理された熱データは、故障検出監視に使用することができる。障害検出監視には、熱制御器のドリフト/故障および不良/不完全なパドル形成の早期診断が含まれるが、これらに限定されない。例えば、不完全なパドル形成は、めっきパドル被覆がある基板領域対パドル被覆がない領域(下にある基板の温度)間の識別可能な温度差として現れる場合がある。
【0085】
本明細書に記載される制御器は、多様な方法で実施できることに留意されたい。一例では、
図1~
図3および
図5~
図7に示される制御器32は、コンピュータであり得る。別の実施例では、制御器32は、本明細書に記載される機能性を提供するようにプログラムされた1つ以上のプログラム可能集積回路を含み得る。例えば、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロ制御器、中央処理装置など)、プログラム可能ロジックデバイス(例えば、コンプレックスプログラム可能ロジックデバイス(CPLD))、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)など)および/または他のプログラム可能集積回路をソフトウェアまたは他のプログラミング命令でプログラムして、制御器32のための、本明細書に記載された機能性を実装できる。ソフトウェアまたは他のプログラミング命令は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリ記憶デバイス、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、再プログラム可能な記憶デバイス、ハードドライブ、フロッピーディスク、DVD、CD-ROMなど)に記憶され得ることと、ソフトウェアまたは他のプログラミング命令は、プログラム可能集積回路により実行されると、本明細書に記載される処理、機能および/または能力をプログラム可能集積回路に実行させることとに更に留意されたい。他の変形形態も実装され得る。
【0086】
本明細書に開示される方法の実施形態は、液体分配モジュール、焼成モジュール(もしくは複合焼成モジュール)、WISモジュール、IFB、めっき分配モジュールまたは別の処理モジュールなどの処理モジュール内で広範囲の基板が処理される前、その間またはその後に利用され得ることが認識されるであろう。基板は、基板のパターニングが望ましい任意の基板であり得る。例えば、一実施形態では、基板は、その上に1つ以上の半導体処理層(それらの全てが一緒に基板を構成し得る)が形成された半導体基板であり得る。したがって、一実施形態では、基板は、多様な構造および層をもたらす複数の半導体処理ステップが施された半導体基板であり得、それらの全てが基板処理技術において知られており、それらは、基板の一部と考えることができる。例えば、一実施形態では、基板は、その上に1つ以上の半導体処理層が形成された半導体ウエハであり得る。
【0087】
本発明の更なる修正形態および代替実施形態は、本明細書の記載を考慮して当業者に明らかになるであろう。したがって、本明細書の記載は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実施する方法を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に示され、且つ記載された本発明の形態および方法は、現在好ましい実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。本明細書で例示および記載されたものの代わりに均等な技術を使用することができ、本発明の特定の特徴は、他の特徴の使用とは無関係に利用することができ、これらは、全て本発明の本明細書の記載の利益を享受した後に当業者に明らかになるであろう。
【国際調査報告】