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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-24
(54)【発明の名称】光活性組成物
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/60 20230101AFI20230417BHJP
   H10K 30/30 20230101ALI20230417BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20230417BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20230417BHJP
   H10K 85/20 20230101ALI20230417BHJP
   H10K 85/60 20230101ALI20230417BHJP
   H10K 101/00 20230101ALN20230417BHJP
   H10K 101/30 20230101ALN20230417BHJP
【FI】
H10K30/60
H10K30/30
C08L65/00
H10K85/10
H10K85/20
H10K85/60
H10K101:00
H10K101:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548694
(86)(22)【出願日】2021-03-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 GB2021050543
(87)【国際公開番号】W WO2021176225
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】2003334.6
(32)【優先日】2020-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス-マルティネス,フランシスコ・ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤコビ-グロス,ニール
【テーマコード(参考)】
3K107
4J002
5F849
【Fターム(参考)】
3K107AA03
3K107CC03
3K107DD59
3K107DD60
3K107DD70
3K107EE68
3K107FF06
3K107FF13
3K107FF14
4J002CE00W
4J002CE00X
4J002GT00
5F849AB11
5F849BA01
5F849BA05
5F849CB05
5F849FA04
5F849GA02
5F849LA01
5F849XA02
5F849XA13
5F849XA35
5F849XA39
5F849XA40
5F849XA53
(57)【要約】
900nm超の吸収最大値を有する第1の有機電子供与体材料と、第1の有機電子供与体材料よりも短い波長での吸収最大値を有する第2の有機電子供与体材料と、有機電子受容体材料と、を含む、組成物。組成物は、有機光検出器において使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
900nm超の吸収最大値を有する第1の有機電子供与体材料と、前記第1の有機電子供与体材料よりも短い波長での吸収最大値を有する第2の有機電子供与体材料と、有機電子受容体材料と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記第2の有機電子供与体材料が、700~900nmの範囲の吸収最大値を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第1の有機電子供与体材料:第2の有機電子供与体材料の重量比が、70:30~30:70の範囲にある、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記第1の有機電子供与体および前記第2の有機電子供与体のうちの少なくとも一方が、ポリマーである、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記第1の有機電子供与体材料および前記第2の有機電子供与体材料のうちの少なくとも一方が、電子供与体ポリマーである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記第1の有機電子供与体材料および前記第2の有機電子供与体材料のうちの少なくとも一方が、電子供与反復単位および電子受容単位を含む、電子供与体ポリマーである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記電子供与体ポリマーが、式(I)~(XV)から選択される電子供与反復単位を含み、
【化1】
式中、各出現におけるYが、独立して、OまたはS、好ましくはSであり、各出現におけるZが、O、S、NR55、またはC(R54であり、各出現におけるR50、R51、R52およびR54が、独立して、Hまたは置換基であり、R50基が、連結されて環を形成する場合があり、各出現におけるR53およびR55が、独立して、Hまたは置換基である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記電子供与体ポリマーが、式(XVI)~(XXV)から選択される電子受容反復単位を含み、
【化2】
各出現におけるR23が、Hまたは置換基であり、各出現におけるR25が、Hまたは置換基であり、Zが、NまたはPであり、T、TおよびTが、各々独立して、1つ以上のさらなる環に縮合し得るアリールまたはヘテロアリール環を表し、各出現におけるR10が、置換基であり、Arが、非置換であるか、もしくは1つ以上の置換基で置換されるアリーレンまたはヘテロアリーレン基である、請求項6または7に記載の組成物。
【請求項9】
前記有機電子受容体が、フラーレン化合物である、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記有機電子受容体が、非フラーレン化合物である、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記第1の供与体材料の重量が、前記第2の供与体材料の重量と少なくとも同じである、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
1つ以上の溶媒と、前記1つ以上の溶媒中に溶解または分散された先行請求項のいずれか一項に記載の組成物と、を含む、調合物。
【請求項13】
アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された有機感光層と、を備える、有機光応答性デバイスであって、前記有機感光層が、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物を含む、有機光応答性デバイス。
【請求項14】
前記有機光応答性デバイスが、有機光検出器である、請求項13に記載の有機光応答性デバイス。
【請求項15】
前記アノードおよびカソードのうちの一方の上への前記有機感光層の形成と、前記有機感光層の上への前記アノードおよびカソードのうちの他方の形成と、を含む、請求項13または14に記載の有機光応答性デバイスを形成する、方法。
【請求項16】
光源と、前記光源から放出された光を検出するように構成された請求項13または14に記載の有機光応答性デバイスと、を備える、光センサ。
【請求項17】
前記光源が、900nm超のピーク波長を有する光を放出する、請求項16に記載の光センサ。
【請求項18】
サンプル中の標的材料の存在および/または濃度を判定する方法であって、前記サンプルを照射することと、請求項13または14に記載の有機光応答性デバイスの応答を測定することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、有機光活性組成物と、限定によるものではないが、当該有機光活性組成物を含む有機光検出器を含む、それらの使用と、に関する。
【0002】
US2012/216866は、第1の電子供与体化合物、第2の電子供与体化合物および電子受容体化合物を含有する有機層を有する有機太陽光発電セルを開示し、ここで、第1の電子供与体化合物の最高被占有分子軌道(highest occupied molecular orbital)(HOMO)エネルギーレベルと第2の電子供与体化合物のHOMOとの間の差異は、0.20eV以下である。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態では、本開示は、900nm超の吸収最大値を有する第1の有機電子供与体材料と、第1の有機電子供与体材料よりも短い波長での吸収最大値を有する第2の有機電子供与体材料と、有機電子受容体材料と、を含む、組成物を提供する。
【0004】
任意選択的に、第2の有機電子供与体材料は、700~900nmの範囲の吸収最大値を有する。
【0005】
任意選択的に、第1の有機電子供与体材料:第2の有機電子供与体材料の重量比は、70:30~30:70の範囲にある。
【0006】
任意選択的に、第1の有機電子供与体および第2の有機電子供与体のうちの少なくとも一方は、ポリマーである。
【0007】
任意選択的に、第1の有機電子供与体材料および第2の有機電子供与体材料のうちの少なくとも一方は、電子供与体ポリマーである。
【0008】
任意選択的に、第1の有機電子供与体材料および第2の有機電子供与体材料のうちの少なくとも一方は、電子供与反復単位および電子受容単位を含む、電子供与体ポリマーである。
【0009】
任意選択的に、電子供与体ポリマーは、式(I)~(XV)から選択される電子供与反復単位を含み、
【化1】
式中、各出現におけるYは、独立して、OまたはS、好ましくはSであり、各出現におけるZは、O、S、NR55、またはC(R54であり、各出現におけるR50、R51、R52およびR54は、独立して、Hまたは置換基であり、R50基は、連結されて環を形成する場合があり、各出現におけるR53およびR55は、独立して、Hまたは置換基である。
【0010】
任意選択的に、電子供与体ポリマーは、式(XVI)~(XXV)から選択される電子受容反復単位を含み、
【化2】
各出現におけるR23は、Hまたは置換基であり、各出現におけるR25は、Hまたは置換基であり、Zは、NまたはPであり、T、TおよびTは、各々独立して、1つ以上のさらなる環に縮合し得るアリールまたはヘテロアリール環を表し、各出現におけるR10は、置換基であり、Arは、非置換であるか、もしくは1つ以上の置換基で置換されるアリーレンまたはヘテロアリーレン基である。
【0011】
任意選択的に、有機電子受容体は、フラーレン化合物である。
【0012】
任意選択的に、有機電子受容体は、非フラーレン化合物である。
【0013】
いくつかの実施形態では、本開示は、1つ以上の溶媒と、1つ以上の溶媒に溶解または分散された本明細書に記載される組成物と、を含む、調合物を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態では、本開示は、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配置された有機感光層と、を備える、有機光応答性デバイスであって、有機感光層が、本明細書に記載される組成物を備える、有機光応答性デバイスを提供する。
【0015】
任意選択的に、有機光応答性デバイスは、有機光検出器である。
【0016】
いくつかの実施形態では、本開示は、アノードおよびカソードのうちの一方の上への有機感光層の形成と、有機感光層の上へのアノードおよびカソードのうちの他方の形成と、を含む、本明細書に記載される有機光応答性デバイスを形成する、方法を提供する。
【0017】
いくつかの実施形態では、本開示は、光源と、光源から放出された光を検出するように構成された、本明細書に記載される有機光応答性デバイスと、を備える光センサを提供する。
【0018】
任意選択的に、光源は、900nm超のピーク波長を有する光を放出する。
【0019】
いくつかの実施形態では、本開示は、サンプル中の標的材料の存在および/または濃度を判定する方法であって、サンプルを照射することと、本明細書に記載される有機光応答性デバイスの応答を測定することと、を含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
開示される技術および添付の図は、開示される技術のいくつかの実施態様を記載する。
【0021】
図1】いくつかの実施形態による有機光応答性デバイスを示す。
図2A】単一の供与体ポリマーを含む比較有機光検出器の外部量子効率(EQE)のグラフである。
図2B図2Aの比較有機光検出器についての暗条件における電流密度対電圧のグラフである。
図3A】異なる比の2つの供与体ポリマーおよびフラーレン電子受容体を含む、本開示の実施形態による有機光検出器についての外部量子効率(EQE)のグラフである。
図3B図3Aの有機光検出器についての暗条件における電流密度対電圧のグラフである。
図4A】異なる比の2つの供与体ポリマーおよびフラーレン受容体を含有する、本開示の実施形態による有機光検出器、ならびに1つの供与体ポリマーのみを含む、比較有機光検出器についての外部量子効率(EQE)のグラフである。
図4B図4Aの有機光検出器についての暗条件における電流密度対電圧のグラフである。
図5A】異なる比の2つの供与体ポリマーおよび非フラーレン受容体を含有する、本開示の実施形態による有機光検出器、ならびに1つの供与体ポリマーのみを含む、比較有機光検出器についての外部量子効率(EQE)のグラフである。
図5B図5Aの有機光検出器についての暗条件における電流密度対電圧のグラフである。
図6】本開示のいくつかの実施形態による組成物の2つの供与体ポリマーについての吸収スペクトルである。
【0022】
図面は、縮尺どおりに描かれておらず、様々な視点および見解を有する。図面は、いくつかの実施態様および実施例である。加えて、いくつかの成分および/または操作は、開示の技術のいくつかの実施形態の考察を目的として、異なるブロックに分離され得るか、または単一のブロックに組み合わされ得る。さらに、技術は、様々な修正および代替形式に変更可能であるが、特定の実施形態は、例として図面に示されており、以下に詳細に記載される。しかしながら、意図は、記載の特定の実施態様に技術を限定することではない。対照的に、技術は、添付の特許請求の範囲によって定義される技術の範囲内に入るすべての修正物、同等物、および代替物を網羅することが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
別段文脈が明らかに要求しない限り、記載および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などの単語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち、「含むが、限定されない」という意味で解釈されるものである。加えて、「本明細書の」、「上の」、「以下の」という単語、および類似の趣旨の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指し、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。文脈が許容する場合、単数または複数を使用する発明を実施するための形態において、単語はまた、それぞれ複数または単数を含み得る。「または」という単語は、2つ以上の項目の列挙を参照して、列挙の項目のうちのいずれか、列挙の項目のすべて、および列挙の項目の任意の組み合わせ、という単語の解釈のすべてを網羅する。本出願で使用される場合、別の層の「上方の」層への言及は、層が直接接触してもよく、または1つ以上の介在層が存在してもよいことを意味する。別の層の「上の」層への言及は、本出願で使用される場合、層が直接接触していることを意味する。特定原子への言及は、特に明記しない限り、その原子の任意の同位体を含む。
【0024】
本明細書に提供される技術の教示は、必ずしも以下に記載のシステムではなく、他のシステムに適用され得る。以下に記載の様々な実施例の要素および行為を組み合わせて、技術のさらなる実施態様を提供することができる。技術のいくつかの代替的な実施態様は、以下に記述されるこれらの実施態様に対する追加の要素を含み得るだけでなく、より少ない要素も含み得る。
【0025】
以下の詳細な記載に照らし合わせて、これらおよび他の変更は、技術に対して行われ得る。記載は、技術のある特定の実施例を記載し、企図される最良のモードを記載しているが、記載がどれほど詳細に表示されていようとも、技術は、多くの方式で実践することができる。上に記述されるように、技術のある特定の特色または態様を記載する場合に使用される特定の用語は、その用語に関連する技術の任意の特定の特徴、特色、または態様に制限されるように、その用語が本明細書で再定義されることを意味するものと解釈されるべきではない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、発明を実施するための形態の項でそのような用語を別段明示的に定義しない限り、技術を本明細書に開示の特定の実施例に限定するものと解釈されるべきではない。したがって、技術の実際の範囲は、開示の実施例だけでなく、特許請求の範囲下の技術のすべての実践または実施態様の同等の方式も包含する。
【0026】
特許請求の範囲の数を低減するために、技術のある特定の態様は、ある特定の特許請求の範囲の形態で以下に提示されるが、出願人は、任意の数の特許請求の範囲の形態における技術の様々な態様を企図している。
【0027】
以下の記載では、説明の目的として、開示の技術の実施態様の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、開示の技術の実施形態が、これらの具体的な詳細のいくつかを用いずとも実践することができることは、当業者には明らかであろう。
【0028】
本発明者らは、有機光検出器(OPD)の外部量子効率(EQE)、特に近赤外線領域などの長い波長のEQEを増加させるための措置が、暗電流、すなわち、任意の入力光の不在下でデバイスを通って流れる電流の増加をもたらし得ることを見出した。このことは、OPDの感度を限定し得る。本発明者らは、OPDのバルクヘテロ接合層における異なる吸収最大値を有する2つの異なる電子供与体材料の使用が、より長い吸収最大値を有する電子供与体材料のみを有するOPDと比較して、より低い暗電流および高いEQEの維持をもたらし得ることを、驚くべきことに見出した。
【0029】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による有機光応答性デバイスを示す。有機光応答性デバイスは、カソード103と、アノード107と、アノードとカソードとの間に配置されたバルクヘテロ接合層105と、を備える。有機光応答性デバイスは、基板101、任意選択的にガラスまたはプラスチック基板上に支持され得る。
【0030】
アノードおよびカソードの各々は、独立して、単一の導電性層であり得るか、または、複数の層を含んでもよい。
【0031】
有機光応答性デバイスは、図1に示すアノード、カソード、およびバルクヘテロ接合層以外の層を備え得る。いくつかの実施形態では、正孔輸送層は、アノードとバルクヘテロ接合層との間に配置される。いくつかの実施形態では、電子輸送層は、カソードとバルクヘテロ接合層との間に配置される。いくつかの実施形態では、仕事関数修正層は、バルクヘテロ接合層とアノードとの間、および/またはバルクヘテロ接合層とカソードとの間に配置される。
【0032】
OPDの面積は、約3cm未満、約2cm未満、約1cm未満、約0.75cm未満、約0.5cm未満、または約0.25cm未満であり得る。基板は、ガラスまたはプラスチック基板であり得るが、これらに限定されない。基板は、無機半導体であり得る。いくつかの実施形態では、基板は、シリコンであり得る。例えば、基板は、シリコンのウエハであり得る。使用時に、入射光が基板および基板によって支持された電極を通って透過される場合、基板は透明である。
【0033】
バルクヘテロ接合層は、2つの異なる電子供与体材料と、電子受容体材料と、を含有する。バルクヘテロ接合層は、本質的にこれらの材料からなってもよいか、または1つ以上のさらなる材料、例えば、1つ以上のさらなる電子供与体材料および/もしくは1つ以上のさらなる電子受容体材料を含んでもよい。
【0034】
各電子供与体(p型)材料は、電子受容体(n型)材料のLUMOよりも深い(真空レベルからさらに遠い)HOMOを有する。電子受容材料は、電子供与体材料の各々のLUMOよりも深いLUMOを有する。任意選択的に、p型供与体材料のHOMOレベルと、n型受容体材料のLUMOレベルとの間のギャップは、1.4eV未満である。特に断りのない限り、本明細書に記載される材料のHOMOレベルおよびLUMOレベルは、方形波ボルタメトリー(SWV)によって測定されたものである。
【0035】
任意選択的に、第1の電子供与体材料は、第2の電子供与体材料のLUMOよりも少なくとも0.1eV深く、任意選択的に少なくとも0.2eV深いLUMOを有する。
【0036】
SWVにおいて、作用電極における電流は、作用電極と基準電極との間の電位を時間的に直線的に掃引させる間に測定される。順方向パルスと逆方向パルスとの間の差電流は、電位の関数としてプロットされて、ボルタモグラムが得られる。測定は、CHI 660Dポテンシオスタットを用いることができる。
【0037】
SWVによってHOMOまたはLUMOエネルギーレベルを測定する装置は、アセトニトリル中の0.1Mの三級ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを含有するセル、直径3mmのガラス状炭素作用電極、白金対電極、および漏れのないAg/AgCl基準電極を備え得る。
【0038】
フェロセンは、計算目的のために実験の終了時に既存のセルに直接添加し、フェロセン対Ag/AgClの酸化および還元のために環状ボルタメトリー(CV)を使用して電位を判定する。
【0039】
サンプルを、トルエン(3mg/ml)に溶解し、ガラス状炭素作用電極に直接3000rpmで回転させる。
【0040】
LUMO=4.8-Eフェロセン(ピーク間平均)-サンプルのE還元(ピーク最大)。
【0041】
HOMO=4.8-Eフェロセン(ピーク間平均)+サンプルのE酸化(ピーク最大)。
【0042】
典型的なSWV実験は、15Hzの周波数、25mVの振幅、および0.004Vの増分ステップで実行する。結果は、HOMOデータおよびLUMOデータの両方について3つの回転させたばかりのフィルムサンプルから計算する。
【0043】
いくつかの実施形態では、供与体材料の受容体材料に対する重量比は、約1:0.5~約1:2である。いくつかの好ましい実施形態では、供与体材料の受容体材料に対する重量比は、約1:1.1~約1:2である。いくつかの好ましい実施形態では、供与体材料の重量は、受容体材料の重量を超える。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の供与体材料の第2の供与体材料に対する重量比は、80:20~20:80、好ましくは70:30~30:70の範囲にある。いくつかの好ましい実施形態では、第1の供与体材料の重量は、第2の供与体材料の重量と少なくとも同じであり、例えば、50:50~80:20の範囲にある。
【0045】
バルクヘテロ接合層の第1の電子供与体材料は、900nm超、任意選択的に910~1600nmの範囲の吸収最大値を有する。
【0046】
バルクヘテロ接合層の第2の電子供与体材料は、第1の電子供与体材料よりも短く、任意選択的に第1の電子供与体材料よりも少なくとも50nmまたは少なくとも100nm短い波長での吸収最大値を有する。任意選択的に、第2の電子供与は、500~900nm、任意選択的に700~900nm、任意選択的に750~850nmの範囲の吸収最大値を有する。
【0047】
本明細書に記載される吸収最大値は、Cary 5000 UV-vis-IR分光計を使用して溶液、任意選択的にトルエン溶液において測定されたものであり得る。測定は、データ解像度を最適に制御するために、可変スリット幅(0.01nmまで)を有する延長光度範囲のPbSmart NIR検出器を使用して、175nm~3300nmで行うことができる。
【0048】
吸収強度は、入射波長に対してプロットされて、吸収スペクトルを生成する。フィルム吸収を測定するための方法は、石英キュベット中の15mg/mlの溶液を測定することと、溶媒のみを含有するキュベットと比較することとを含み得る。
【0049】
第1および第2の電子供与体材料の好ましくは少なくとも1つ、より好ましくは、両方は、ポリマーである。
【0050】
好ましくは第1または第2の電子供与体ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されたポリスチレン等価数平均分子量(Mn)は、約5×10~1×10、および好ましくは1×10~5×10の範囲にある。ポリマーのポリスチレン等価重量平均分子量(Mw)は、1×10~1×10、および好ましくは1×10~1×10であり得る。
【0051】
好ましい第1および第2の電子供与体ポリマーは、交互電子受容反復単位および電子供与反復単位を含有する。
【0052】
電子供与反復単位は、電子供与反復単位よりも深い(すなわち、真空からさらに遠い)、好ましくは、少なくとも1eVより深いLUMOレベルを有する。電子供与反復単位および電子受容反復単位のLUMOレベルは、隣接する反復単位への結合が水素原子への結合で置き換えられる、各反復単位のLUMOレベルをモデル化することによって判定され得る。モデル化は、B3LYP(汎関数)およびLACVP(基底関数系)を有するGaussian09を使用して、Gaussianから入手可能なGaussian09ソフトウェアを使用して実施されてもよい。
【0053】
電子供与反復単位は、好ましくは、各発生において、少なくとも1つのフランもしくはチオフェンを含み、かつ非置換であるか、もしくは1つ以上の置換基で置換され得る、単環式または多環式ヘテロ芳香族基である。好ましい電子供与反復単位は、単環式チオフェンもしくはフランまたは多環式供与体反復単位であり、多環式供与体の各環は、チオフェンまたはフラン環、ならびに任意選択的に、ベンゼン、シクロペンタン、または5個のC原子を含有する6員環のうちの1つ以上と、N、S、およびO原子のうちの1つと、を含む。
【0054】
任意選択的に、第1および第2の電子供与体ポリマーのうちの少なくとも一方の電子供与反復単位は、式(I)~(XV)から選択され、
【化3】
式中、各出現におけるYは、独立して、OまたはS、好ましくはSであり、各出現におけるZは、O、S、NR55、またはC(R54であり、各出現におけるR50、R51、R52およびR54は、独立して、Hまたは置換基であり、R50基は、連結されて環を形成する場合があり、各出現におけるR53およびR55は、独立して、Hまたは置換基である。
【0055】
任意選択的に、各出現におけるR50、R51およびR52は、独立して、H、F、C1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COOまたはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)、および芳香族基またはヘテロ芳香族基Ar(非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換される)から選択される。
【0056】
いくつかの実施形態では、Arは、芳香族基、例えば、フェニルであり得る。
【0057】
Arの1つ以上の置換基は、存在する場合、C1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COOまたはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)から選択され得る。
【0058】
本明細書で使用される場合、アルキル基の「非末端の」C原子とは、直鎖状(n-アルキル)鎖のメチルC原子または分岐状アルキル鎖のメチルC原子以外のアルキルのC原子を意味する。
【0059】
好ましくは、各R54は、
H;
直鎖状、分岐状、または環状C1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、NR、CO、またはCOOで置き換えられていてもよく、Rが、C1-12ヒドロカルビルであり、C1-20アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい);および
式-(Ak)u-(Ar)vの基(Akは、1つ以上のC原子が、O、S、COまたはCOOで置き換えられていてもよいC1-12アルキレン鎖であり、uが、0または1であり、各出現におけるArが、独立して、非置換であるか、もしくは1つ以上の置換基により置換される芳香族またはヘテロ芳香族基であり、vが、少なくとも1、任意選択的に1、2、または3である)からなる群から選択される。
【0060】
好ましくは、各R51は、Hである。
【0061】
任意選択的に、各出現におけるR53は、独立して、C1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COOまたはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい);およびフェニル(非置換であるか、または1つ以上の置換基、任意選択的に、1つ以上のC1-12アルキル基(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COOまたはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)で置換される)から選択される。
【0062】
55は、HまたはC1-30ヒドロカルビル基である。
【0063】
式(II)~(IV)が好ましい。
【0064】
好ましくは、各R50は、置換基である。好ましい実施形態では、R50基は、連結されて、式-(Z)q-C(R54-の基であって、式中、Zが、O、S、NR55、またはC(R54であり、qが、0または1である、基、例えば、次の式(IIa)、(IIb)または(IIc)の基を形成する。
【化4】
【0065】
好ましくは、q=1である。
【0066】
式(IIa)および(IIb)の電子供与反復単位が、特に好ましい。
【0067】
本明細書に記載の第1および第2の供与体ポリマーは、各々独立して、1つの供与体反復単位のみまたは2つ以上の異なる供与体反復単位、例えば、式(I)~(XV)から選択される2つ以上の異なる供与体反復単位を含有し得る。
【0068】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2の供与体ポリマーは、式(I)~(XV)のうちの1つから選択される1つの供与体反復単位および式(I)~(XV)のうちの別の1つから選択される別の供与体反復単位を含有する。
【0069】
いくつかの実施形態では、第1および/または第2の供与体ポリマーは、式(I)~(XV)のうちの1つから選択される1つの供与体反復単位および式(I)~(XV)の同一のものから選択される別の供与体反復単位、例えば、式(IIa)~(IIc)のうちの1つから選択される供与体反復単位および式(IIa)~(IIc)のうちの別の1つから選択される別の供与体反復単位を含有する。
【0070】
任意選択的に、第1の電子供与体材料および第2の電子供与体材料は、ポリマーであり、第1および第2のポリマーは、同じ電子供与反復単位(複数可)、任意選択的に、式(I)~(XV)から選択される同じ電子供与体反復単位(複数可)を含む。
【0071】
任意選択的に、第1および第2の電子供与体ポリマーのうちの少なくとも一方の電子受容反復単位は、式(XVI)~(XXV)から選択される。
【化5】
【0072】
各出現におけるR23は、Hまたは置換基、任意選択的にHまたはC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COOまたはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)である。
【0073】
各出現におけるR25は、独立して、H;F;C1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COOまたはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい);または芳香族基Ar、任意選択的に、フェニル(非置換であるか、またはFおよびC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COOまたはCOで置き換えられていてもよい)から選択される1つ以上の置換基で置換される)からなる群から選択される。
【0074】
は、NまたはPである。
【0075】
、TおよびTは、各々独立して、1つ以上のさらなる環に縮合し得る、アリールまたはヘテロアリール環、任意選択的にベンゼンを表す。T、TおよびTの置換基は、存在する場合、任意選択的に、R25の非H基から選択される。任意選択的に、Tは、ベンゾチアジアゾールであり、式(XX)の反復単位は、次の式(XXa)を有する。
【化6】
【0076】
各出現におけるR10は、置換基、好ましくは、C1-20ヒドロカルビル基である。
【0077】
Arは、非置換であるか、もしくは1つ以上の置換基、任意選択的にR25から選択される1つ以上の非H基で置換され得る、アリーレン基またはヘテロアリーレン基、任意選択的に、チオフェン、フルオレンまたはフェニレンである。
【0078】
任意選択的に、組成物は、異なる電子受容反復単位を有する第1および第2の電子供与体ポリマーを含む。任意選択的に、第1および第2の電子供与体ポリマーは、式(XVI)~((XXV)から選択される異なる電子受容反復単位を有する。
【0079】
例示的な供与体材料は、例えば、WO2013/051676に開示されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
電子受容体材料
電子受容体材料は、好ましくは、非ポリマー化合物である。好ましくは、非ポリマー化合物は、5,000ダルトン未満、任意選択的に、3,000ダルトン未満の分子量を有する。
【0081】
電子受容体材料は、フラーレンまたは非フラーレンであり得る
【0082】
非フラーレン受容体は、例えば、Cheng et al,“Next-generation organic photovoltaics based on non-fullerene acceptors”,Nature Photonics volume 12,pages 131-142(2018)に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれており、これには、PDI、ITIC、ITIC、IEICO、およびそれらの誘導体、例えば、ITIC-4FおよびIEICO-4Fなどのそれらのフッ素化誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
例示的なフラーレン電子受容体材料は、C60、C70、C76、C78およびC84フラーレン、またはその誘導体であり、その誘導体は、PCBM型フラーレン誘導体を含むが、これらに限定されない(フェニル-C61-ブチル酸メチルエステル(C60PCBM)、TCBM型フラーレン誘導体である(例えば、トリル-C61-ブチル酸メチルエステル(C60TCBM))、およびThCBM型フラーレン誘導体(例えば、チエニル-C61-ブチル酸メチルエステル(C60ThCBM)を含む。
【0084】
電極
アノードおよびカソードのうちの少なくとも一方は、デバイスに入射する光がバルクヘテロ接合層に到達できるように透明である。いくつかの実施形態では、アノードおよびカソードの両方が透明である。
【0085】
各透明電極は、好ましくは、750~1000nmの範囲の波長に対して少なくとも70%、任意選択的に少なくとも80%の透過率を有する。透過率は、有機光検出器で使用するための光源の放出波長に応じて選択されてもよい。
【0086】
図1は、カソードが基板とアノードとの間に配置される構成を示す。他の実施形態では、アノードは、カソードと基板との間に配置され得る。
【0087】
バルクヘテロ接合層形成
バルクヘテロ接合層は、熱蒸発および溶液堆積法を含むが、これらに限定されない、任意のプロセスによって形成されてもよい。
【0088】
好ましくは、バルクヘテロ接合層は、電子供与体材料、電子受容体材料、および溶媒または2つ以上の溶媒の混合物に溶解または分散されたバルクヘテロ接合層の他の任意の成分を含む調合物を堆積させることによって形成される。調合物は、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、およびフレキソ印刷を含むが、これらに限定されない任意のコーティングまたは印刷方法によって堆積されてもよい。
【0089】
調合物の1つ以上の溶媒は、任意選択的に、塩素、C1-10アルキルおよびC1-10アルコキシ(2つ以上の置換基が連結されて、非置換であってもよいか、または1つ以上のC1-6アルキル基で置換されていてもよい環を形成する場合がある)、任意選択的に、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、アニソール、インダンおよびそのアルキル置換誘導体、ならびにテトラリンおよびそのアルキル置換誘導体から選択される1つ以上の置換基で置換されたベンゼンを含むか、またはそれらからなり得る。
【0090】
調合物は、2つ以上の溶媒の混合物、好ましくは、上述したように1つ以上の置換基により置換された少なくとも1つのベンゼンと、1つ以上のさらなる溶媒とを含む混合物を含んでもよい。1つ以上のさらなる溶媒は、エステル、任意選択的にアルキルまたはアルキルもしくはアリールカルボン酸のアリールエステル、任意選択的にC1-10アルキルベンゾエート、ベンジルベンゾエートまたはジメトキシベンゼンから選択されてもよい。好ましい実施形態では、トリメチルベンゼンとベンジルベンゾエートとの混合物を溶媒として使用する。他の好ましい実施形態では、トリメチルベンゼンおよびジメトキシベンゼンの混合物を溶媒として使用する。
【0091】
調合物は、電子受容体、電子供与体、および1つ以上の溶媒に加えて、さらなる成分を含んでもよい。そのような成分の例として、接着剤、消泡剤、脱気剤、粘度増強剤、希釈剤、補助剤、流れ改良剤着色剤、染料または顔料、増感剤、安定剤、ナノ粒子、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、および阻害剤が言及され得る。
【0092】
用途
回路は、デバイスおよび/または光電流を測定するように構成されたデバイスに逆バイアスを印加するための電圧源に接続されたOPDを含み得る。光検出器に印加される電圧は可変であり得る。いくつかの実施形態では、光検出器は、使用時に連続的にバイアスがかけられてもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、光検出器システムは、本明細書に記載される複数の光検出器、例えば、カメラの画像センサを備える。
【0094】
いくつかの実施形態では、センサは、本明細書に記載されるOPDと、光源と、を含んでいてもよく、OPDは、光源から放出された光を受け取るように構成されている。いくつかの実施形態では、光源は、900nm超、任意選択的に910~1000nmの範囲のピーク波長を有する。いくつかの実施形態では、光源は、1000nm超、任意選択的に1300~1400nmの範囲のピーク波長を有する。
【0095】
いくつかの実施形態では、光源からの光は、OPDに到達する前に変更されてもよいか、または変更されなくてもよい。例えば、光は、OPDに到達する前に、反射、フィルタリング、ダウン変換、またはアップ変換されてもよい。
【0096】
本明細書に記載される有機光応答性デバイスは、有機光起電力デバイスまたは有機光検出器であり得る。本明細書に記載される有機光検出器は、周囲光の存在および/または明るさの検出を含むがこれらに限定されない広範囲の用途で、ならびに有機光検出器および光源を含むセンサで使用されてもよい。光検出器は、光源から放出された光が光検出器に入射し、光の波長および/または明るさの変化が、例えば、光源と有機光検出器との間の光経路に配置された物体、例えば、サンプル中の標的材料による光の吸収、反射、および/またはそれからの光の放出に起因して検出され得るように構成されてもよい。サンプルは、非生物学的サンプル、例えば、水サンプル、またはヒトもしくは動物対象から採取された生物学的サンプルであってもよい。センサは、ガスセンサ、バイオセンサ、X線撮像デバイス、カメラ撮像センサなどの撮像センサ、モーションセンサ(例えば、セキュリティアプリケーションで使用するための)、近接センサ、または指紋センサであってもよいが、これらに限定されない。1Dまたは2D光センサアレイは、画像センサ内に本明細書に記載される複数の光検出器を備え得る。光検出器は、光源による照射時に光を放出するか、または光源による照射時に光を放出する発光タグに結合される、標的分析物から放出された光を検出するように構成されてもよい。光検出器は、標的分析物またはそれに結合された発光タグによって放出された光の波長を検出するように構成されてもよい。
【実施例
【0097】
比較デバイスA
以下の構造を有するデバイスを調製した。
カソード/供与体:受容体層/アノード
【0098】
インジウム-スズ酸化物(ITO)層でコーティングされたガラス基板をポリエチレンイミン(PEIE)で処理して、ITOの作業機能を修飾した。
【0099】
933nmの吸収最大値を有する供与体ポリマー1および1:1.5の供与体:受容体マス比(mas ratio)のフラーレン電子受容体C70IPHを、1,2,4トリメチルベンゼン;1,3-ジメトキシベンゼン9:1v/vの溶媒混合物における15mg/mlからのバーコーティングによって、修飾ITO層上に堆積させた。フィルムを80℃で乾燥させて、厚さ約500nmのバルクヘテロ接合層を形成した
【0100】
Heraeusから入手可能なアノード(Clevios HIL-E100)を、スピンコーティングによってバルクヘテロ接合層上に形成した。
【0101】
比較デバイスB
約800nmの吸収最大値を有する供与体ポリマー2を供与体ポリマー1の代わりに使用し、60PCBMをC70IPHの代わりに使用したことを除いて、デバイスを、比較デバイス1について記載されるように調製した。
【化7】
【0102】
外部量子効率(EQE)ならびに比較デバイスAおよび比較デバイスBの暗電流を、3Vのバイアス下で測定した。
【0103】
供与体ポリマー1および2の吸収スペクトルを図6に示す。
【0104】
図2Aおよび図2Bを参照すると、比較デバイスAは、約900nmを上回る波長で比較デバイスBよりもはるかに高い外部量子効率だけでなく、はるかにより高い暗電流も有する。
【0105】
デバイス実施例1A~1C
以下の構造を有するデバイスを調製した。
カソード/供与体:受容体層/アノード
【0106】
インジウム-スズ酸化物(ITO)層でコーティングされたガラス基板をポリエチレンイミン(PEIE)で処理して、ITOの作業機能を修飾した。
【0107】
供与体ポリマー1および供与体ポリマー2の混合物と、組み合わされた供与体ポリマー:受容体の重量比が1:1.5であるフラーレン電子受容体60PCBMとを、1,2,4トリメチルベンゼン;1,3-ジメトキシベンゼン9:1v/vの溶媒混合物における15mg/mlからのバーコーティングによって、修飾ITO層上に堆積させた。フィルムを80℃で乾燥させて、厚さ約500nmのバルクヘテロ接合層を形成した。
【0108】
Heraeusから入手可能なアノード(Clevios HIL-E100)を、スピンコーティングによってバルクヘテロ接合層上に形成した。
【0109】
供与体ポリマー1:供与体ポリマー2の重量比を表1に示す。
【表1】
【0110】
図3Aを参照すると、すべての例示的なデバイスは、900nmを上回る波長で顕著なEQEを示す。供与体ポリマー1が供与体ポリマーの少なくとも50重量%を形成するデバイスは、900nmを上回る最高のEQEを有する(図3A図3B図4A図4B図5Aおよび図5Bに示されるパーセンテージは、供与体ポリマー1および供与体ポリマー2の供与体ポリマー1重量パーセントである)。
【0111】
図3Bを参照すると、暗電流は、供与体ポリマー1の割合の増加に伴って増加する。
【0112】
デバイス実施例2Aおよび2B
組み合わされた供与体ポリマー:60PCBMの重量比が1:1.75であることを除いて、デバイス実施例2Aおよび2Bを、デバイス実施例1A~1Cについて記載されるように形成した。
【0113】
供与体ポリマー1:供与体ポリマー2の重量比を表2に示す。
【表2】
【0114】
比較デバイス2
供与体ポリマー1が単独の供与体材料であることを除いて、比較デバイス2を、デバイス実施例2Aおよび2Bについて記載されるように形成した。
【0115】
図4Aを参照すると、デバイス実施例2Aおよび2B(それぞれ50重量%および80重量%の供与体ポリマー1)は、比較デバイス2(100重量%の供与体ポリマー1)と類似のEQEを示す。
【0116】
図4Bを参照すると、比較デバイス2は、デバイス実施例2Aまたは2Bのいずれかよりも顕著に高い暗電流を受ける。
【0117】
デバイス実施例3Aおよび3B
非フラーレンITIC-2Fを60PCBMの代わりに使用したことを除いて、デバイス実施例3Aおよび3Bをデバイス実施例1A~1Cについて記載されるように形成した。
【化8】
【0118】
供与体ポリマー1:供与体ポリマー2の重量比を表3に示す。
【表3】
【0119】
比較デバイス3
供与体ポリマー1が単独の供与体材料であることを除いて、比較デバイス3を、デバイス実施例3Aおよび3Bについて記載されるように形成した。
【0120】
図5Aを参照すると、デバイス実施例3Aおよび3B(それぞれ50重量%および75重量%の供与体ポリマー1)は、比較デバイス3(100重量%の供与体ポリマー1)と類似のEQEを示す。
【0121】
図5Bを参照すると、比較デバイス3は、デバイス実施例3Aまたは3Bのいずれかよりも顕著に高い暗電流を受ける。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
【国際調査報告】