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特表2023-517668C2H2のような炭素成膜前駆体の安定化
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-26
(54)【発明の名称】C2H2のような炭素成膜前駆体の安定化
(51)【国際特許分類】
   C07C 7/20 20060101AFI20230419BHJP
   C07C 11/24 20060101ALI20230419BHJP
   C07B 63/04 20060101ALN20230419BHJP
【FI】
C07C7/20
C07C11/24
C07B63/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554765
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 US2021022162
(87)【国際公開番号】W WO2021183922
(87)【国際公開日】2021-09-16
(31)【優先権主張番号】62/989,382
(32)【優先日】2020-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レディー・カプー・シリシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラボア・エイドリアン
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA02
4H006AD41
(57)【要約】
本開示は、アセチレンと安定化剤との混合物または溶液を含む組成物に関する。特定の実施形態では、組成物は、加圧アセチレンを含む安定化組成物である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセチレンと安定化剤との混合物または溶液を含む組成物であって、
前記安定化剤は、25℃で約3Torr以下の蒸気圧を有するアミド、アミン、イミン、25℃で約80Torr以下の蒸気圧を有するニトリル、含窒素飽和複素環化合物、含窒素不飽和複素環化合物、不飽和直鎖または分岐炭化水素、25℃で約5Torr以下の蒸気圧を有する不飽和環状炭化水素、非芳香性不飽和環状炭化水素、エーテル、ケトン、アルデヒド、25℃で約90Torr以下の蒸気圧を有するエステル、イオン性液体、カルベン、シリレン、π結合および孤立電子対を有する原子を有する混合電子供与体化合物、リン原子が孤立電子対を有する含リン化合物または硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄化合物を含み、
前記ケトンは、25℃で約30Torr以下の蒸気圧を有する、または
前記ケトンは、アセチルアセトン(acac)、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、3-ペンタノン、3-ヘプタノン、3-オクタノン、3-ノナノン、3-デカノンおよび芳香族アルデヒド(たとえば、アセトフェノン、3-ヒドロキシアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、ブチロフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、アクリロフェノン、カピリン、ジベンゾイルメタン、インデノン、1-インダノン、パロキシプロピオン、フェニルクリオキサール、ピセオール、プロピオフェノン、ピリドキサール、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,5-トリヒドロキシアセトフェノンおよびバレロフェノン)からなる群から選択される、ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記安定化剤が、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、チアゾリウムおよびトリアゾリウムからなる群から選択されるカチオンを含むイオン性液体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記安定化剤が、遷移金属カルベン錯体、N-複素環式カルベンおよびメチレンからなる群から選択されるカルベンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記安定化剤が、シリレンまたはN-複素環式シリレンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記安定化剤が、25℃で約30Torr以下の蒸気圧を有するケトンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記安定化剤が、アセチルアセトン(acac)、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、3-ペンタノン、3-ヘプタノン、3-オクタノン、3-ノナノン、3-デカノンおよび芳香族アルデヒド(たとえば、アセトフェノン、3-ヒドロキシアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、ブチロフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、アクリロフェノン、カピリン、ジベンゾイルメタン、インデノン、1-インダノン、パロキシプロピオン、フェニルクリオキサール、ピセオール、プロピオフェノン、ピリドキサール、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,5-トリヒドロキシアセトフェノンおよびバレロフェノン)からなる群から選択されるケトンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記安定化剤がアルデヒドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記安定化剤がベンズアルデヒドである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記安定化剤が、25℃で約90Torr以下の蒸気圧を有するエステルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記安定化剤が、25℃で約3Torr以下の蒸気圧を有するアミドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記安定化剤が、エーテルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記安定化剤が、フラン、テトラヒドロフランおよびピランからなる群から選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記安定化剤が、アミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記アミンが、N-エチルジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミンおよびtert-ブチルアミンからなる群から選択される、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記アミンが、芳香族アミンである、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
前記芳香族アミンが、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、ピペリジン、ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピペリジン、イミダゾールおよびピリミジンからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記安定化剤が、イミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記イミンが、シッフ塩基および2,5-シクロヘキサジエン-1,4-ジイミンからなる群から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記安定化剤が、25℃で約80Torr以下の蒸気圧を有するニトリルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記安定化剤が、含窒素飽和複素環化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記含窒素飽和複素環化合物が、ピロリジンおよびモルホリンからなる群から選択される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記安定化剤が、含窒素不飽和複素環化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記含窒素不飽和複素環化合物が、ピリジン、ピラジン、イミダゾール、ピロール、N-イミノピリジニウムイリド、トリアゾール、チアゾールおよびこれらの置換誘導体(たとえば、N-メチルイミジソール、2,6-ルチジンおよび4-N,N-ジメチルアミノピリジン)からなる群から選択される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記安定化剤が、π結合および孤立電子対を有する原子を有する混合電子供与体化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記混合電子供与体化合物が、アセトン、イミン、2-メチル-2-ブテノン、トリアゾールおよびチアゾールからなる群から選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記安定化剤が、リン原子が孤立電子対を有する含リン化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
前記含リン化合物が、トリフェニルホスフィンおよびトリフェニルホスフィンオキシドからなる群から選択される、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記安定化剤が、硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
前記含硫黄化合物が、チオフェン、チアゾリウム、チアゾール、2-メチルチオフェン、3-メチルチオフェン、2,4-ジメチルチオフェン、ベンゾチオフェンおよび2-メチルベンゾチオフェンからなる群から選択される、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
前記安定化剤が、不飽和直鎖または分岐炭化水素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項31】
前記不飽和直鎖または分岐炭化水素が、ブテン、ブタジエン、1-ブチン、プロピン、ペンテン、オクテン、ヘプテン、ヘキシン、1-ヘプチン、1-オクチン、1-ノニンおよび1-デシンからなる群から選択される、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記安定化剤が、25℃で約5Torr以下の蒸気圧を有する不飽和環状炭化水素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項33】
前記安定化剤が、非芳香性不飽和環状炭化水素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項34】
前記安定化剤が、シクロペンテンまたはシクロヘキセンである、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記アセチレンと前記安定化剤が格納容器に保持されている、請求項1~34のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項36】
前記アセチレンと安定化剤が、少なくとも約200psiの圧力下に保存されている、請求項1~35のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項37】
加圧アセチレンと安定化剤とを含む安定化組成物であって、
前記安定化剤は、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンおよびアセトニトリル以外の、窒素原子を含む安定化剤;
1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサンおよびN-メチル-2-ピロリドン以外の、複素環を含む安定化剤;
1つまたは複数の置換を有する置換芳香族炭化水素であって、前記1つまたは複数の置換は、ハロ、アミンおよび置換されてもよいC2-8アルキルからなる群から選択される、置換芳香族炭化水素;
置換されてもよいアルケンまたは置換されてもよいアルキン;
1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサン以外の、アルデヒドまたはエーテルである安定化剤;
環状エステル、グリコール系エステル、乳酸塩、炭酸エステル、アミノエステルおよびジエステルからなる群から選択されるエステル;
環状ケトン、アリールケトン、ジオンまたはトリオン;
カルベンまたはカルベン誘導体;
ジメチルスルホキシド以外である、金属化合物、オニウム化合物、有機硫黄化合物または有機リン化合物である安定化剤;または
イオン性液体である、安定化組成物。
【請求項38】
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、さらに置換されてもよいヘテロシクリルを含む、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項39】
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、アミド、アミン、グアニジン、イミンまたはN-複素環式カルベンである、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項40】
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、ジアルキルアミド、ピロリドン、アセトアミド、モルホリド、エステルアミドおよび環状アミドからなる群から選択されるアミドである、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項41】
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリール、置換されてもよいヘテロ脂肪族、置換されてもよいヘテロアルキル、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキルヘテロシクリルを含むアミンである、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項42】
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、シッフ塩基である、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項43】
前記安定化剤が、複素環であり、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサンおよびN-メチル-2-ピロリドン以外の安定化剤である、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項44】
前記複素環が、芳香族複素環、二環式複素環、環状エーテル、環状エステル、環状炭酸エステル、環状アミン、環状アミドまたはN-複素環式カルベンである、請求項43に記載の安定化組成物。
【請求項45】
前記複素環が、N、OおよびSからなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む、請求項43に記載の安定化組成物。
【請求項46】
前記安定化剤が、1つまたは複数の置換を有する置換芳香族炭化水素であり、前記1つまたは複数の置換が、ハロ、アミンおよび置換されてもよいC2-8アルキルからなる群から選択される、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項47】
前記芳香族炭化水素が、ハロ、アミンおよび置換されてもよいC2-8アルキルからなる群から選択される第1の置換およびハロ、アミンおよび置換されてもよいアルキルからなる群から選択される第2の置換を含む、請求項46に記載の安定化組成物。
【請求項48】
前記安定化剤が、置換されてもよいアルケンまたは置換されてもよいアルキンである、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項49】
前記置換されてもよいアルケンが、ジエンである、請求項48に記載の安定化組成物。
【請求項50】
安定化剤が、アルデヒドまたはエーテルであり、1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサン以外の安定化剤である、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項51】
前記アルデヒドが、1つまたは複数のアルデヒド部分を有する、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリール、置換されてもよいヘテロ脂肪族、置換されてもよいヘテロアルキル、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキルヘテロシクリルである、請求項50に記載の安定化組成物。
【請求項52】
前記エーテルが、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリール、置換されてもよいヘテロ脂肪族、置換されてもよいヘテロアルキル、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキルヘテロシクリルを含む、請求項50に記載の安定化組成物。
【請求項53】
前記安定化剤が、環状エステル、グリコール系エステル、乳酸塩、炭酸エステル、アミノエステルおよびジエステルからなる群から選択されるエステルである、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項54】
前記エステルが、1つまたは複数のアミノを含む、請求項53に記載の安定化組成物。
【請求項55】
前記安定化剤が、環状ケトン、アリールケトン、ジオンまたはトリオンである、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項56】
前記安定化剤が、置換されてもよいシクロアルキルまたは置換されてもよいアリールを含む、請求項55に記載の安定化組成物。
【請求項57】
前記安定化剤が、カルベンまたはカルベン誘導体である、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項58】
前記カルベンが、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリールまたは置換されてもよいヘテロシクリルを含む、請求項57に記載の安定化組成物。
【請求項59】
前記カルベンまたはカルベン誘導体が、チアゾール-2-イリデン部分、ジヒドロイミダゾール-2-イリデン部分、イミダゾール-2-イリデン部分、ホスフィノカルベン部分、トリアゾール-5-イリデン部分またはシクロプロペニリデン部分を有する、請求項57に記載の安定化組成物。
【請求項60】
前記カルベンまたはカルベン誘導体が、アミノチオカルベン化合物、アミノオキシカルベン化合物、ジアミノカルベン化合物、ヘテロアミノカルベン化合物、1,3-ジチオリウムカルベン化合物、メソイオンカルベン化合物、環状アルキルアミノカルベン化合物、ボラニリデン化合物、シリレン化合物、スタニレン化合物、ニトレン化合物、ホスフィニデン化合物および箔状カルベン化合物からなる群から選択される、請求項57に記載の安定化組成物。
【請求項61】
前記安定化剤が、金属化合物、オニウム化合物、有機硫黄化合物または有機リン化合物であり、ジメチルスルホキシド以外の安定化剤である、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項62】
前記オニウム化合物が、ニトロニウムイオン、ニトロソニウムイオン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムイオン、イミニウムイオン、ジアゼニウムイオン、グアニジニウムイオン、ニトリリウムイオン、ジアゾニウムイオン、ピリジニウムイオン、ピリリウムイオンおよびチオニトロシルイオンからなる群から選択される、請求項61に記載の安定化組成物。
【請求項63】
前記有機硫黄化合物が、チオエステル、スルホキシド、スルホン、チオスロフィン酸塩、スルフィミド、スルホキシミド、スルホンジイミン、S-ニトロソチオール、チオケトン、チオアルデヒド、チオアミド、スルホニウム、オキソスホニウムおよびチオカルボニルイリドからなる群から選択される、請求項61に記載の安定化組成物。
【請求項64】
前記有機リン化合物が、リン酸エステル、リン酸アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、酸化ホスフィン、ホスフィンイミドおよびホスホニウム塩からなる群から選択される、請求項61に記載の安定化組成物。
【請求項65】
前記安定化剤がイオン性液体である、請求項37に記載の安定化組成物。
【請求項66】
前記イオン性液体が、
イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、チアゾリウムまたはトリアゾリウムを含むカチオン部を含み、およびさらに
テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ビストリフリミド、トリフラート、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフリミド、ハライド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、メチル硫酸塩、硫酸エチル、ドキュセートまたはジシアンアミドを含むアニオン部を含む、請求項65に記載の安定化組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
PCT出願書類を、本出願の一部として、本明細書と同時に提出する。同時に提出されたPCT出願書類において特定されたような、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、その全体が全ての目的に対して、参照することにより本出願に組み入れられる。
【0002】
本開示は、アセチレンおよび安定化剤との混合物または溶液を含む組成物に関する。特定の実施形態では、組成物は加圧アセチレンを含む安定化組成物である。
【背景技術】
【0003】
アセチレンは、15psig(ポンド毎平方インチゲージ)(103000Pa)を超えて加圧されると爆発することが知られている。保存や輸送中の爆発を避けるために、アセチレンは安定化剤を有する多孔材で満たした容器またはシリンダーに保存されることがある。通常、アセトンを安定化剤として使用するが、その理由の一つは、アセチレンがアセトンに高溶解性であることである。液体アセトン1体積は、大気圧下、約15℃においてガス状のアセチレン25体積を吸収することができ、アセチレンが受ける圧力を1気圧上げる毎にさらに25体積のアセチレンを吸収し続ける。アセチレンを化学蒸着(CVD)法において炭素膜の成膜用前駆体として使用する場合、シリンダーをガスラインに連結する。その後、アセチレンがガスラインに送り込まれ、成膜チャンバーに導入される。
【0004】
本明細書に含まれる背景および文脈上の説明は、本開示の文脈を一般的に提示することのみを目的として提供される。この開示の多くは発明者らの研究を示しており、そのような研究が背景技術の欄に記載されている、または本明細書の他の箇所で文脈として提示されているという理由だけで、それが先行技術であると認められることを意味するものではない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、一つには、アセチレンおよび1つまたは複数の安定化剤を含む組成物に関する。
【0006】
したがって、第1の態様では、組成物は、アセチレンと、25℃での蒸気圧が約30Torr以下であるケトンを含む安定化剤との混合物または溶液を含む。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0007】
第2の態様では、組成物は、アセチレンと、ケトンを含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、ケトンは、アセチルアセトン(acac)、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、3-ペンタノン、3-ヘプタノン、3-オクタノン、3-ノナノン、3-デカノンおよび芳香族アルデヒド、例えば、3-ヒドロキシアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、ブチロフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、アクリロフェノン、カピリン、ジベンゾイルメタン、インデノン、1-インダノン、パロキシプロピオン、フェニルクリオキサール、ピセオール、プロピオフェノン、ピリドキサール、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,5-トリヒドロキシアセトフェノンおよびバレロフェノンなどの芳香族アルデヒド、およびこれらの混合物から選択される。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0008】
第3の態様では、組成物は、アセチレンと、イオン性液体(例えば、1つまたは複数のカチオン部分および1つまたは複数のアニオン部を含むイオン性液体など、本明細書に記載のいずれか)を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。例示的で非限定的なイオン性液体には、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、チアゾリウムおよびトリアゾリウムから選択されるカチオンが含まれる。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0009】
第4の態様では、組成物は、アセチレンと、カルベン類およびシリレン類から選択される安定化剤との混合物または溶液を含む。一実施形態において、安定化剤は、遷移金属カルベン錯体、N-複素環式カルベン類およびメチレン類から選択されるカルベンである。他の実施形態では、安定化剤は、シリレン(例えば、N-複素環式シリレン)である。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0010】
第5の態様では、組成物は、アセチレンと、アルデヒド(例えば、本明細書に記載のいずれか)を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、安定化剤は、ベンズアルデヒドである。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0011】
第6の態様では、組成物は、アセチレンと、25℃での蒸気圧が約90Torr以下であるエステルを含む安定化剤との混合物または溶液を含む。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0012】
第7の態様では、組成物は、アセチレンと、25℃での蒸気圧が約3Torr以下であるアミドを含む安定化剤との混合物または溶液を含む。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0013】
第8の態様では、組成物は、アセチレンと、エーテル(例えば、フラン、テトラヒドロフランおよび/またはピラン)を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0014】
第9の態様では、組成物は、アセチレンと、アミン(例えば、本明細書に記載のいずれか)を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、アミンは、N-エチルジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミンおよびtert-ブチルアミンから選択される。他の実施形態では、アミンは、芳香族アミン(例えば、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、ピペリジン、ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピペリジン、イミダゾールまたはピリミジン)である。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0015】
第10の態様では、組成物は、アセチレンと、イミン(例えば、本明細書に記載のいずれか)を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、イミンは、シッフ塩基および2,5-シクロヘキサジエン-1,4-ジイミンから選択される。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0016】
第11の態様では、組成物は、アセチレンと、25℃での蒸気圧が約80Torr以下であるニトリルを含む安定化剤との混合物または溶液を含む。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0017】
第12の態様では、組成物は、アセチレンと、含窒素飽和複素環化合物を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、含窒素飽和複素環化合物は、ピロリジンおよびモルホリンから選択される。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0018】
第13の態様では、組成物は、アセチレンと、含窒素不飽和複素環化合物を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、含窒素不飽和複素環化合物は、ピリジン、ピラジン、イミダゾール、ピロール、N-イミノピリジニウムイリド、トリアゾール、チアゾールおよびこれらの置換誘導体、例えば、N-メチルイミジソール、2,6-ルチジンおよび4-N,N-ジメチルアミノピリジンなど置換誘導体から選択される。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0019】
第14の態様では、組成物は、アセチレンと、π結合および孤立電子対を有する原子を含む混合電子供与体化合物を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、混合電子供与体化合物は、アセトン、イミン、2-メチル-2-ブテノン、トリアゾールおよびチアゾールから選択される。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0020】
第15の態様では、組成物は、アセチレンと、リン原子が孤立電子対を有する含リン化合物を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、含リン化合物は、トリフェニルホスフィンおよびトリフェニルホスフィンオキシドから選択される。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0021】
第16の態様では、組成物は、アセチレンと、硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄化合物を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、含硫黄化合物は、チオフェン、チアゾリウム、チアゾール、2-メチルチオフェン、3-メチルチオフェン、2,4-ジメチルチオフェン、ベンゾチオフェンおよび2-メチルベンゾチオフェンから選択される。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0022】
第17の態様では、組成物は、アセチレンと、不飽和直鎖または分岐炭化水素を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、不飽和直鎖または分岐炭化水素は、ブテン、ブタジエン、1-ブチン、プロピン、ペンテン、オクテン、ヘプテン、ヘキシン、1-ヘプチン、1-オクチン、1-ノニンおよび1-デシンから選択される。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0023】
第18の態様では、組成物は、アセチレンと、25℃での蒸気圧が約5Torr以下である不飽和環状炭化水素である安定化剤との混合物または溶液を含む。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0024】
第19の態様では、組成物は、アセチレンと、非芳香性不飽和環状炭化水素を含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、安定化剤は、シクロペンテンまたはシクロヘキセンである。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【0025】
第20の態様では、組成物(例えば、安定化組成物)は、アセチレン(例えば、加圧アセチレン)と、窒素原子を含む安定化剤を含み、ここで、安定化剤は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンおよびアセトニトリル以外である。いくつかの実施形態では、安定化剤は、さらに置換されてもよいヘテロシクリルを含む。他の実施形態では、安定化剤は、アミド(例えば、ジアルキルアミド、ピロリドン、アセトアミド、モルホリド、エステルアミドおよび環状アミド)、アミン(例えば、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリール、置換されてもよいヘテロ脂肪族、置換されてもよいヘテロアルキル、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキル-ヘテロシクリルを有するアミン)、グアニジン、イミンまたはN-複素環式カルベンである。さらに他の実施形態では、安定化剤はシッフ塩基である。
【0026】
第21の態様では、組成物(例えば、安定化組成物)は、アセチレン(例えば、加圧アセチレン)と、複素環である安定化剤とを含み、ここで、安定化剤は、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサンおよびN-メチル-2-ピロリドン以外である。いくつかの実施形態では、複素環は、芳香族複素環、二環式複素環、環状エーテル、環状エステル、環状炭酸エステル、環状アミン、環状アミドまたはN-複素環式カルベンである。他の実施形態では、複素環は、窒素(N)、酸素(O)および硫黄(S)からなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む。
【0027】
第22の態様では、組成物(例えば、安定化組成物)は、アセチレン(例えば、加圧アセチレン)と、ハロ、アミンおよび置換されてもよいC2-8アルキルからなる群から選択される1つまたは複数の置換を有する置換芳香族炭化水素である安定化剤とを含む。いくつかの実施形態では、芳香族炭化水素は、ハロ、アミンおよび置換されてもよいC2-8アルキルからなる群から選択される第1の置換と、ハロ、アミンおよび置換されてもよいアルキルからなる群から選択される第2の置換とを含む。
【0028】
第23の態様では、組成物(例えば、安定化組成物)は、アセチレン(例えば、加圧アセチレン)と、置換されてもよいアルケンまたは置換されてもよいアルキンである安定化剤とを含む。いくつかの実施形態では、置換されてもよいアルケンはジエンである。
【0029】
第24の態様では、組成物(例えば、安定化組成物)は、アセチレン(例えば、加圧アセチレン)と、アルデヒドまたはエーテルである安定化剤とを含み、ここで、安定化剤は1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサン以外である。いくつかの実施形態では、アルデヒドは、1つまたは複数のアルデヒド部分を有する置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリール、置換されてもよいヘテロ脂肪族、置換されてもよいヘテロアルキル、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキル-ヘテロシクリルを含む。他の実施形態では、エーテルは、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリール、置換されてもよいヘテロ脂肪族、置換されてもよいヘテロアルキル、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキル-ヘテロシクリルを含む。
【0030】
第25の態様では、組成物(例えば、安定化組成物)は、アセチレン(例えば、加圧アセチレン)と、環状エステル、グリコール系エステル、乳酸塩、炭酸エステル、アミノエステルおよびジエステルからなる群から選択されるエステルである安定化剤とを含む。いくつかの実施形態では、エステル1つまたは複数のアミノを含む。
【0031】
第26の態様では、組成物(例えば、安定化組成物)は、アセチレン(例えば、加圧アセチレン)と、環状ケトン、アリールケトン、ジオンまたはトリオンである安定化剤とを含む。いくつかの実施形態では、安定化剤は、置換されてもよいシクロアルキルまたは置換されてもよいアリールを含む。
【0032】
第27の態様では、組成物(例えば、安定化組成物)は、アセチレン(例えば、加圧アセチレン)と、カルベンまたはカルベン誘導体である安定化剤とを含む。いくつかの実施形態では、カルベンは、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリールまたは置換されてもよいヘテロシクリルを含む。他の実施形態では、カルベンまたはカルベン誘導体は、チアゾール-2-イリデン部分、ジヒドロイミダゾール-2-イリデン部分、イミダゾール-2-イリデン部分、ホスフィノカルベン部分、トリアゾール-5-イリデン部分またはシクロプロペニリデン部分を含む。さらに他の実施形態では、カルベンまたはカルベン誘導体は、アミノチオカルベン化合物、アミノオキシカルベン化合物、ジアミノカルベン化合物、ヘテロアミノカルベン化合物、1,3-ジチオリウムカルベン化合物、メソイオンカルベン化合物、環状アルキルアミノカルベン化合物、ボラニリデン化合物、シリレン化合物、スタニレン化合物、ニトレン化合物、ホスフィニデン化合物および箔状カルベン化合物から選択される。
【0033】
第28の態様では、組成物(例えば、安定化組成物)は、アセチレン(例えば、加圧アセチレン)と、金属化合物、オニウム化合物、有機硫黄化合物または有機リン化合物である安定化剤とを含み、ここで、安定化剤は、ジメチルスルホキシド以外である。いくつかの実施形態では、オニウム化合物は、ニトロニウムイオン、ニトロソニウムイオン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムイオン、イミニウムイオン、ジアゼニウムイオン、グアニジニウムイオン、ニトリリウムイオン、ジアゾニウムイオ、ピリジニウムイオン、ピリリウムイオンおよびチオニトロシルイオンから選択される。他の実施形態では、有機硫黄化合物は、チオエステル、スルホキシド、スルホン、チオスロフィン酸塩、スルフィミド、スルホキシミド、スルホンジイミン、S-ニトロソチオール、チオケトン、チオアルデヒド、チオアミド、スルホニウム、オキソスホニウムおよびチオカルボニルイリドから選択される。さらに他の実施形態では、有機リン化合物は、リン酸エステル、リン酸アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、酸化ホスフィン、ホスフィンイミドおよびホスホニウム塩から選択される。
【0034】
第29の態様では、組成物(例えば、安定化組成物)は、アセチレン(例えば、加圧アセチレン)と、イオン性液体である安定化剤とを含む。いくつかの実施形態では、イオン性液体は、イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、チアゾリウムまたはトリアゾリウムを含むカチオン部分を含み、さらにテトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ビストリフリミド、トリフラート、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフリミド、ハライド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、メチル硫酸塩、硫酸エチル、ドキュセートまたはジシアンアミドを含むアニオン部を含む。
【0035】
本明細書の任意の実施形態において、アセチレンと安定化剤とは格納容器に保存される。
【0036】
本明細書の任意の実施形態において、アセチレンと安定化剤とは約200psi以上の圧力下に保存される。
【0037】
本開示のこれらおよび他の特徴は、添付の図面を参照して以下により詳細に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、アッシャブルハードマスクを形成するための非限定的なプロセスフロー図を示す。
【0039】
図2図2は、成膜装置の非限定的なブロック図を示す。
【0040】
図3図3は、アセチレンガス流処理の非限定的なプロセスフロー図を示す。
【0041】
図4図4は、前処理モジュールの非限定的なブロック図を示す。
【0042】
図5図5は、前処理モジュールにおけるトラップの非限定的な模式図を示す。
【0043】
図6図6は、反応装置の非限定的なブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
IC製作における成膜工程用アセチレン
アセチレンは炭素成膜用前駆体である。その低イオン化エネルギーのために、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)による炭素成膜を良好に行うことができる。アッシャブルハードマスク(AHM)は、アセチレンを使用して堆積した炭素膜の一つである。
【0045】
しかし、アセチレンは、種々の他のフィルムの成膜に使用されてもよく、アッシャブルハードマスクフィルムの成膜に限定されない。本開示は、半導体加工においてアセチレンを前駆体として使用する任意の炭素系フィルムに関する。
【0046】
半導体加工用アセチレンを(標準温度および圧力において)200~500立方フィート(5.66~14.2立方メートル)のアセチレンを保存するシリンダー(ボトルとも称する)に入れてもよく、その際、アセチレンはアセトンに溶解させる。アセチレンの供給元として、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー、エア・プロダクツ・アンド・ケミカルズ、プラクスア、エアガス、リンデガスおよび他の供給会社が挙げられる。
【0047】
すでに述べたように、半導体加工に使用されるアセチレンボトルをアセトンで安定化することがある。アセトンは、他の安定化剤より毒性が低く、より安価である。しかし、他の安定化剤も有用である。
【0048】
安定化剤の例
前述のように、アセチレンの保存には安定化剤を要する。現在、産業用安定化剤としては、アセトンおよびジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられる。その他のアセチレン安定化剤をここに記載する。
【0049】
ある実施形態では、アセチレン安定化剤は、25℃で約7000Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、アセチレン安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、アセチレン安定化剤は、25℃で約150Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、アセチレン安定化剤は、25℃で約75Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、アセチレン安定化剤は、25℃で約10Torr以下の蒸気圧を有する。
【0050】
ある実施形態では、安定化剤は、原子上に孤立電子対を有するおよび/または共有π結合を有する化合物などの求核試薬である。場合によって、安定化剤は、2つ以上の孤立電子対、1つ以上のπ結合または1つまたは複数の孤立電子対と1つまたは複数のπ結合の組み合わせを有する。
【0051】
明確化するならば、「孤立電子対」を有する化合物は、他のどの原子とも結合しない2つの電子を持つ軌道を有する。言い換えれば、孤立電子対は他の原子と共有されない。
【0052】
π結合および孤立電子対は、アセチレンの炭素-炭素三重結合のπ結合がπ結合または孤立電子対の軌道と安定に相互作用し、スタッキング機構によりアセチレンを安定化することができる。同様の安定化機構には、芳香族基間に引力性非共有相互作用を与える「πスタッキング」がある。
【0053】
本開示に使用されるアセチレン安定化剤の一種は、イオン性液体である。ある実施形態では、イオン性液体は、芳香族でもよい、複素環を有するイオンを有する。イオン性液体アセチレン安定化剤としては、例えば、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、チアゾリウムおよびトリアゾリウムカチオンが挙げられる。アニオンとしては、例えば、テトラフルオロホウ酸塩(BF4-)、ヘキサフルオロリン酸塩(PF6-)、トリフラート(CF3SO3 -)、トリフリミド、ジシアンアミド(C23 -)などが挙げられる。具体的な例として、これらのいずれかのカチオン-アニオン対が挙げられる。ある実施形態では、イオン性液体安定化剤は、25℃で約20Torr以下の蒸気圧を有する。
【0054】
本開示に使用されるアセチレン安定化剤の他の一種は、カルベン類である。カルベン類は、一般式R12C:(ここで、「:」は非結合孤立電子対である)を有する。アセチレンを安定化するために使用されてよい、安定なカルベン類の一種は、遷移金属カルベン錯体である。これらは、例えば、スキーム1(下記)に図解した古典的な構造を有する一般式M=Rのシュロックまたはフィッシャーカルベン類を含む。
【化1】
【0055】
他のカルベン型アセチレン安定化剤としては、例えば、N-複素環式カルベン、メチレン、およびN-複素環式シリレン(難分解性シリレン)やR12-Si:(:は孤立電子対)型などのシリレンを含むシリコン誘導体が挙げられる。ある実施形態では、カルベンまたはシリレン安定化剤は、25℃で約7000Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、カルベン安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。
【0056】
本開示に使用されるアセチレン安定化剤の他の一種は、酸素原子が孤立電子対を有する含酸素有機化合物である。この種の安定化剤の酸素含有部分の一例は、カルボニル基である。部分の他の例として、エーテル基が挙げられる。部分の他の例として、アルコール基である。有機カルボニル化合物として、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステルおよびアミドが挙げられる。
【0057】
好適なアセチレン安定化ケトンは、一般式XYC=Oを有してもよい。ある実施形態では、XはYとは同一である。ある実施形態では、XとYとは異なっている。ある実施形態では、Xおよび/またはYは、それぞれ独立に水素、脂肪族、アリール、ヘテロ脂肪族およびヘテロアリールから選択される。例示的なアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピルおよびt-ブチルが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態では、アリールケトンのアリール環は、その1,2および/または3位で置換されており、アリール環は、脂肪族、アルコキシ、アミド、アミン、チオエーテル、ハロアルキル、ニトロ、ハロ、シリル、シクロ脂肪族、アリールなどから選択される1つまたは複数の官能基で置換されることができる。
【0058】
アセチレン安定化剤として機能し得るケトンとしては、例えば、アセチルアセトン(acac)、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、3-ペンタノン、3-ヘプタノン、3-オクタノン、3-ノナノン、3-デカノンおよび芳香族アルデヒド、例えば、アセトフェノン、3-ヒドロキシアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、ブチロフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、アクリロフェノン、カピリン、ジベンゾイルメタン、インデノン、1-インダノン、パロキシプロピオン、フェニルクリオキサール、ピセオール、プロピオフェノン、ピリドキサール、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,5-トリヒドロキシアセトフェノンおよびバレロフェノンなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。ある実施形態では、ケトン安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、ケトン安定化剤は、25℃で約30Torr以下の蒸気圧を有する。
【0059】
アセチレン安定化剤として機能し得るアルデヒドの一例は、ベンズアルデヒドである。ある実施形態では、アルデヒド安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、アルデヒド安定化剤は、25℃で約200Torr以下の蒸気圧を有する。
【0060】
カルボン酸は、アセチレン安定化剤として機能し得る。ある実施形態では、カルボン酸安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、カルボン酸安定化剤は、25℃で約15Torr以下の蒸気圧を有する。
【0061】
エステルは、アセチレン安定化剤として機能し得る。ある実施形態では、エステル安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、エステル安定化剤は、25℃で約90Torr以下の蒸気圧を有する。
【0062】
種々のアミドがアセチレン安定化剤として機能し得る。ある実施形態では、アミド安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、アミド安定化剤は、25℃で約3Torr以下の蒸気圧を有する。
【0063】
アセチレン安定化剤として機能し得るエーテルとしては、例えば、フラン、テトラヒドロフランおよびピランが挙げられる。ある実施形態では、エーテル安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、エーテル安定化剤は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0064】
アセチレン安定化剤として機能し得るアルコールとしては、例えば、グリセロールやグリセリンなどの多官能アルコールが挙げられる。ある実施形態では、アルコール安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、アルコール安定化剤は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0065】
本開示に使用されるアセチレン安定化剤の他の一種は、窒素原子が孤立電子対を有する含窒素有機化合物である。このような種類の化合物としては、例えば、アミン、イミン、ニトリル、含窒素飽和複素環化合物、含窒素不飽和複素環化合物およびアミドが挙げられる。
【0066】
アセチレン安定化剤として機能し得るアミンとしては、例えば、N-エチルジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、tert-ブチルアミン、芳香族アミンおよび複素環式アミンが挙げられる。芳香族アミンとして、例えば、アニリンやN,N-ジメチルアニリン、ピペリジン、ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピペリジン、イミダゾール、ピリミジンなどのその誘導体が挙げられる。ある実施形態では、アミン安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、アミン安定化剤は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0067】
アセチレン安定化剤として機能し得るイミンとしては、例えば、シッフ塩基や2,5-シクロヘキサジエン-1,4-ジイミンなどのジイミンが挙げられる。ある実施形態では、イミン安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、イミン安定化剤は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0068】
アセチレン安定化剤として機能し得るニトリルの一例は、ベンゾニトリルである。ある実施形態では、ニトリル安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、ニトリル安定化剤は、25℃で約80Torr以下の蒸気圧を有する。
【0069】
アセチレン安定化剤として機能し得る含窒素飽和複素環化合物としては、例えば、ピロリジン、モルホリンおよびこれらの置換誘導体が挙げられる。ある実施形態では、含窒素飽和複素環化合物は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、含窒素飽和複素環化合物は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0070】
アセチレン安定化剤として機能し得る、芳香族複素環を有する含窒素不飽和複素環化合物としては、例えば、ピリジン、ピラジン、イミダゾール、ピロール、N-イミノピリジニウムイリド、トリアゾール、チアゾールおよびこれらの置換誘導体、例えば、N-メチルイミジソール、2,6-ルチジンおよび4-N,N-ジメチルアミノピリジンが挙げられる。ある実施形態では、含窒素不飽和複素環化合物は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、含窒素不飽和複素環化合物は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0071】
本開示に使用されるアセチレン安定化剤の他の一種には、混合電子供与体化合物が含まれる。これらは、少なくとも2つの異なる電子供与体を有する化合物である。ある実施形態では、混合供与体化合物が、異なる2種の電子供与体(例えば、π結合および孤立電子対)を有する。このような種類の化合物としては、例えば、アセトンイミン、2-メチル-2-ブテノン、トリアゾール、モルホリンおよびチアゾーが挙げられる。ある実施形態では、混合電子供与体化合物は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、混合電子供与体化合物は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0072】
本開示に使用されるアセチレン安定化剤の他の一種は、リン原子が孤立電子対を有する含リン化合物である。このような種類の化合物としては、例えば、各種のホスフィンが挙げられる。安定化剤として使用し得るホスフィン化合物としては、例えば、トリフェニルホスフィンおよびトリフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。ある実施形態では、含リン化合物は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、含リン化合物は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0073】
本開示に使用されるアセチレン安定化剤の他の一種は、硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄化合物である。このような種類の化合物としては、例えば、チオフェン、チアゾリウム、チアゾールなどの芳香族複素環化合物、および2-メチルチオフェン、3-メチルチオフェン、2,4-ジメチルチオフェン、ベンゾチオフェンおよび2-メチルベンゾチオフェンなどのこれらの塩および誘導体が挙げられる。ある実施形態では、含硫黄化合物は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、含硫黄化合物は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0074】
本開示に使用されるアセチレン安定化剤の他の一種は、少なくとも1つの二重または三重結合を有する不飽和の直鎖および分岐炭化水素である。該直鎖および分岐炭化水素には、2つ以上の炭素原子を有する{―エン}および「―イン」化合物が含まれる。ある実施形態では、化合物は2~20の炭素原子を有する。アセチレン安定化剤として機能し得る不飽和直鎖状および分岐炭化水素としては、例えば、ブテン、ブタジエン、1-ブチン、プロピン、ペンテン、オクテン、ヘプテン、ヘキシン、1-ヘプチン、1-オクチン、1-ノニン、1-デシンおよびこれらの置換誘導体が挙げられる。ある実施形態では、不飽和直鎖および分岐炭化水素は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、不飽和直鎖および分岐炭化水素は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0075】
本開示に使用されるアセチレン安定化剤の他の一種は、少なくとも1つの二重または三重結合を有する不飽和環状炭化水素である。ある実施形態では、不飽和環状炭化水素は、5つ以上の炭素原子を有する芳香族化合物である。ある実施形態では、芳香族炭化水は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、芳香族炭化水は、25℃で約5Torr以下の蒸気圧を有する。
【0076】
本開示に使用されるアセチレン安定化剤の他の一種は、少なくとも1つの二重または三重結合を有する非芳香性不飽和環状炭化水素である。ある実施形態では、不飽和環状炭化水素は5つ以上の炭素原子を有し、その例として、シクロペンテン、シクロヘキセン、およびこれらの置換誘導体が挙げられる。ある実施形態では、非芳香性不飽和環状炭化水は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、非芳香性不飽和環状炭化水は、25℃で約100Torr以下の蒸気圧を有する。
【0077】
アセチレン安定化剤は、上記化合物のいずれか一つまたはこれらの化合物の組み合わせを含んでよい。
【0078】
アセチレン安定化剤のさらなる例
このセクションでは、本開示の実施形態において有用なアセチレン安定化剤の様々な例を紹介する。このセクションで説明する安定化剤の全てではないが、一部は、前のセクションで示したものと重複することがある。
【0079】
本明細書で交換可能に使用される「アシル」または「アルカノイル」という用語は、カルボニル基を介して親分子基に連結した、1、2、3、4、5、6、7、8個またはそれ以上の炭素原子の直鎖状、分岐状、環状構造、飽和、不飽和、芳香族基およびこれらの組み合わせ、または水素を表す。この基は、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソブチリル、ブタノイルなどにより例示される。いくつかの実施形態では、アシルまたはアルカノイル基は、-C(O)-Rであり、ここで、Rは、水素、本明細書に定義される、脂肪族基または芳香族基である。
【0080】
「アシルハライド」は、-C(O)Xを意味し、ここで、Xは、Br、F、IまたはClなどのハロゲンである。
【0081】
「アルデヒド」は、-C(O)H基またはそのような基を含む化合物を意味する。アルデヒドの一例は、RC(O)Hを含むことができ、ここで、Rは、本明細書に定義される、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族およびヘテロ脂肪族-芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0082】
「アルデヒドアルキル」は、本明細書に定義される、アルキル基を介して親分子基に連結した、本明細書に定義される、アルデヒド基を意味する。いくつかの実施形態では、アルデヒドアルキル基は、-L-C(O)Hであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基である。
【0083】
「脂肪族」は、少なくとも1個から50個の炭素原子(C1-50)、例えば、1~25個の炭素原子(C1-25)または1~10個の炭素原子(C1-10)を有する炭化水素基を意味し、それらには、アルカン(またはアルキル)、アルケン(またはアルケニル)、アルキン(またはアルキニル)が含まれ、その環状型、さらには直鎖および分岐鎖配置が含まれ、全ての立体および位置異性体も含まれる。
【0084】
「脂肪族-アリール」は、本明細書に記載された化合物に結合している、または結合できるアリール基を意味し、アリール基は、本明細書に定義される、脂肪族基を介して結合しているか、結合するようになる。いくつかの実施形態では、脂肪族-アリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、脂肪族基であり、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。
【0085】
「脂肪族-ヘテロアリール」は、本明細書に記載された化合物に結合している、または結合できるヘテロアリール基を意味し、ここで、ヘテロアリール基は、本明細書に定義される、脂肪族基を介して結合しているか、結合するようになる。いくつかの実施形態では、脂肪族-ヘテロアリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、脂肪族基であり、Rは、本明細書に定義される、ヘテロアリール基である。
【0086】
「アルキル-アリール」、「アルケニル-アリール」および「アルキニル-アリール」は、それぞれ、本明細書に定義される、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基を介して親分子基に結合(または連結)しているか、結合(または連結)できる、本明細書に定義される、アリール基を意味する。アルキル-アリール、アルケニル-アリールおよび/またはアルキニル-アリール基は、置換されていても、非置換でもよい。例えば、アルキル-アリール、アルケニル-アリールおよび/またはアルキニル-アリール基は、アルキル、アルケニル、アルキニルおよび/またはアリールに対して、本明細書において説明したように、1つまたは複数の置換基で置換され得る。例示的な非置換のアルキル-アリール基は、1~6個の炭素を有するアルキル基と4~18個の炭素を有するアリール基とを有するもの(例えば、C1-6アルキル-C4-18アリール)などの、7~16個の炭素を有するもの(C7-16アルキル-アリール)である。例示的な非置換のアルケニル-アリール基は、2~6個の炭素を有するアルケニル基と4~18個の炭素を有するアリール基とを有するもの(例えば、C2-6アルケニル-C4-18アリール)などの、7~16個の炭素を有するもの(C7-16アルケニル-アリール)である。例示的な非置換のアルキニル-アリール基は、2~6個の炭素を有するアルキニル基と4~18個の炭素を有するアリール基とを有するもの(例えば、C2-6アルキニル-C4-18アリール)などの、7~16個の炭素を有するもの(C7-16アルキニル-アリール)である。いくつかの実施形態では、アルキル-アリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基であり、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。いくつかの実施形態では、アルケニル-アリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルケニル基であり、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。いくつかの実施形態では、アルキニル-アリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキニル基であり、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。
【0087】
「アルキル-シクロアルキル」は、本明細書に定義されるに、アルキル基を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、シクロアルキル基を意味する。アルキル-シクロアルキル基は、置換されていても、非置換でもよい。例えば、アルキル-シクロアルキル基は、アルキルに対して本明細書において説明したように、1つまたは複数の置換基で置換され得る。いくつかの実施形態では、アルキル-シクロアルキル基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基であり、Rは、本明細書に定義される、シクロアルキル基である。
【0088】
「アルケニル」は、2~25個の炭素原子(C2-25)または2~10個の炭素原子(C2-10)など、少なくとも2個~50個の炭素原子(C2-50)を有し、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する非置換の一価の炭化水素を意味し、非置換の一価の炭化水素は、親アルケンの1つの炭素原子上から1つの水素原子を除去することにより得ることができる。アルケニル基は、分岐、直鎖、環状(例えば、シクロアルケニル)、シスまたはトランス(例えば、EまたはZ)であり得る。例示的なアルケニルには、1つまたは複数の二重結合を有する、置換されてもよいC2-24アルキル基が含まれる。アルケニル基は、1つまたは複数の水素を除去することにより、一価または多価(例えば、二価)であり得、親分子基への適当な連結または親分子基と他の置換基との適当な連結を形成する。アルケニル基もまた、置換されていても、非置換でもよい。例えば、アルケニル基は、アルキルに対して本明細書において説明したように、1つまたは複数の置換基で置換され得る。
【0089】
「アルキル-ヘテロアリール」は、本明細書に定義される、アルキル基を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、ヘテロアリール基を意味する。いくつかの実施形態では、アルキル-ヘテロアリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基であり、Rは、本明細書に定義される、ヘテロアリール基である。
【0090】
「アルキル-ヘテロシクリル」、「アルケニル-ヘテロシクリル」および「アルキニル-ヘテロシクリル」は、それぞれ、本明細書に定義される、アルキル、アルケニルまたはアルキニル基を介して親分子基に結合(または連結)しているか、結合(または連結)できる、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を意味する。アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリルおよび/またはアルキニル-ヘテロシクリル基は、置換されていても、非置換でもよい。例えば、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリルおよび/またはアルキニル-ヘテロシクリル基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、および/またはヘテロシクリルに対して、本明細書において説明したように、1つまたは複数の置換基で置換され得る。例示的な非置換のアルキル-ヘテロシクリル基は、1~6個の炭素を有するアルキル基と1~18個の炭素を有するヘテロシクリル基とを有するもの(例えば、C1-6アルキル-C1-18ヘテロシクリル)などの、2~16個の炭素を有するもの(C2-16アルキル-ヘテロシクリル)である。例示的な非置換のアルケニル-ヘテロシクリル基は、2~6個の炭素を有するアルケニル基と1~18個の炭素を有するヘテロシクリル基とを有するもの(例えば、C2-6アルケニル-C1-18ヘテロシクリル)などの、3~16個の炭素を有するもの(C3-16アルケニル-ヘテロシクリル)である。例示的な非置換のアルキニル-ヘテロシクリル基は、2~6個の炭素を有するアルキニル基と1~18個の炭素を有するヘテロシクリル基とを有するもの(例えば、C2-6アルキニル-C1-18ヘテロシクリル)などの、3~16個の炭素を有するもの(C3-16アルキニル-ヘテロシクリル)である。いくつかの実施形態では、アルキル-ヘテロシクリル基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基であり、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基である。いくつかの実施形態では、アルケニル-ヘテロシクリル基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルケニル基であり、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基である。いくつかの実施形態では、アルキニル-ヘテロシクリル基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキニル基であり、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基である。
【0091】
「アルコキシ」は、-ORを意味し、Rは、本明細書において説明した、置換されてもよい脂肪族基である。例示的アルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、t-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、およびトリフルオロメトキシなどのトリハロアルコキシが含まれるが、これらに限定されない。アルコキシ基は、置換されていても、非置換でもよい。例えば、アルコキシ基は、アルキルに対して本明細書において説明したように、1つまたは複数の置換基で置換され得る。例示的な非置換のアルコキシ基には、C1-3、C1-6、C1-12、C1-16、C1-18、C1-20およびC1-24アルコキシ基が含まれる。
【0092】
「アルコキシアルキル」は、本明細書に定義される、アルコキシ基で置換された、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。例示的な非置換のアルコキシアルキル基には、1~6個の炭素を有するアルキル基と1~6個の炭素を有するアルコキシ基とを有するもの(例えば、C1-6アルコキシ-C1-6アルキル)などの、2~12個の炭素を有するもの(C2-12アルコキシアルキル)が含まれる。いくつかの実施形態では、アルコキシアルキル基は、-L-Rであり、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、本明細書に定義される、アルキル基である。
【0093】
「アルキル」は、少なくとも1個から50個の炭素原子(C1-50)、例えば、1~25個の炭素原子(C1-25)または1~10個の炭素原子(C1-10)を有する、飽和の一価の炭化水素を意味し、飽和の一価の炭化水素は、親化合物(例えば、アルカン)の1つの炭素原子上から1つの水素原子を除去することにより得ることができる。アルキル基は、分岐、直鎖または環状(例えば、シクロアルキル)であり得る。例示的アルキルには、1~24個の炭素原子を有する分岐または非分岐の飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、s-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなどが含まれる。アルキル基も置換されていても、非置換でもよい。アルキル基は、1つまたは複数の水素を除去することにより、一価または多価(例えば、二価)であり得、親分子基への適当な連結または親分子基と他の置換基との適当な連結を形成する。例えば、アルキル基は、1つ、2つまたは3つの置換基、そして2個以上の炭素を有するアルキル基では、4つの置換基で置換され得る。置換基は、以下の(1)~(26)からなる群から、独立に選択される。すなわち、(1)C1-6アルコキシ(例えば、-O-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(2)C1-6アルキルスルフィニル(例えば、-S(O)-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(3)C1-6アルキルスルホニル(例えば、-SO2-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(4)アミン(例えば、-C(O)NR12または-NHCOR1、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される、あるいはR1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができる)、(5)アリール、(6)アリールアルコキシ(例えば、-O-L-R、ここで、Lはアルキルであり、Rはアリールである)、(7)アリ-ロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rはアリールである)、(8)アジド(例えば、-N3)、(9)シアノ(例えば、-CN)、(10)アルデヒド(例えば、-C(O)H)、(11)C3-8シクロアルキル、(12)ハロ、(13)ヘテロシクリル(例えば、本明細書に定義されるように、1、2、3または4個の非炭素ヘテロ原子を含有する5、6または7員環である)、(14)ヘテロシクリロキシ(例えば、-O-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(15)ヘテロシクリロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(16)ヒドロキシル(例えば、-OH)、(17)N-保護アミノ、(18)ニトロ(例えば、-NO2)、(19)オキソ(例えば、=O)、(20)C1-6チオアルコキシ(例えば、-S-R、ここで、Rはアルキルである)、(21)チオール(例えば、-SH)、(22)-CO21、ここで、R1は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(23)-C(O)NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(24)-SO21、ここで、R1は、(a)C1-6アルキル、(b)C4-18アリールおよび(c)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(25)-SO2NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、および(26)-NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)N-保護基、(c)C1-6アルキル、(d)C2-6アルケニル、(e)C2-6アルキニル、(f)C4-18アリール、(g)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(h)C3-8シクロアルキルおよび(i)C1-6アルキル-C3-8シクロアルキル(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)からなる群から選択される。ここで、一実施形態においては、2つの基が、カルボニル基またはスルホニル基を介して窒素原子に結合することはない。アルキル基は、1つまたは複数の置換基(例えば、1つまたは複数のハロまたはアルコキシ)で置換された第一級、第二級または第三級アルキル基であり得る。いくつかの実施形態では、非置換のアルキル基は、C1-3、C1-6、C1-12、C1-16、C1-18、C1-20またはC1-24アルキル基である。
【0094】
「アルキレン」は、本明細書に記載されるアルキル基の二価の形を意味する。例示的なアルキレン基として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルキレン基は、C1-3、C1-6、C1-12、C1-16、C1-18、C1-20、C1-24、C2-3、C2-6、C2-12、C2-16、C2-18、C2-20またはC2-24アルキレン基である。アルキレン基は、分岐または非分岐であり得る。アルキレン基も、置換されていても、非置換でもよい。例えば、アルキレン基は、アルキルに対して本明細書において説明したように、1つまたは複数の置換基で置換され得る。
【0095】
「アルキルスルフィニル」は、-S(O)-基を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換のアルキルスルフィニル基は、C1-6またはC1-12アルキルスルフィニル基である。他の実施形態では、アルキルスルフィニル基は、-S(O)-Rであり、ここで、Rは、本明細書に定義される、アルキル基である。
【0096】
「アルキルスルフィニルアルキル」は、アルキルスルフィニル基により置換された、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換のアルキルスルフィニルアルキル基は、C2-12またはC2-24アルキルスルフィニルアルキル基(例えば、C1-6アルキルスルフィニル-C1-6アルキルまたはC1-12アルキルスルフィニル-C1-12アルキル)である。他の実施形態では、アルキルスルフィニルアルキル基は、-L-S(O)-Rであり、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、本明細書に定義される、アルキル基である。
【0097】
「アルキルスルホニル」は、-SO2-基を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換のアルキルスルホニル基はC1-6またはC1-12アルキルスルホニル基である。他の実施形態では、アルキルスルホニル基は、-SO2-Rであり、ここで、Rは、置換されてもよいアルキル(例えば、本明細書に記載されているように、置換されてもよいC1-12アルキル、ハロアルキルまたはパーフルオロアルキルが含まれる)である。
【0098】
「アルキルスルホニルアルキル」は、アルキルスルホニル基により置換された、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換のアルキルスルホニルアルキル基は、C2-12またはC2-24アルキルスルホニルアルキル基(例えば、C1-6アルキルスルホニル-C1-6アルキルまたはC1-12アルキルスルホニル-C1-12アルキル)である。他の実施形態では、アルキルスルホニルアルキル基は、-L-SO2-Rであり、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、本明細書に定義される、アルキル基である。
【0099】
「アルキニル」は、少なくとも2~50個の炭素原子(C2-50)、例えば、2~25個の炭素原子(C2-25)または2~10個の炭素原子(C2-10)を有し、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する、非置換の一価の炭化水素を意味し、ここで、非置換の一価の炭化水素は、親アルキンの1つの炭素原子上から1つの水素原子を除去することにより得ることができる。アルキニル基は、分岐、直鎖または環状であり得る(例えば、シクロアルキニル)。例示的なアルキニルには、1つまたは複数の三重結合を有する、置換されてもよいC2-24アルキル基が含まれる。アルキニル基は、環状または非環状であり得、エチニルや1-プロピニルなどが例示される。アルキニル基は、1つまたは複数の水素を除去することにより、一価または多価(例えば、二価)であり得、親分子基への適当な連結または親分子基と他の置換基との適当な連結を形成する。アルキニル基も、置換されていても、非置換でもよい。例えば、アルキニル基は、アルキルに対して本明細書において説明したように、1つまたは複数の置換基で置換され得る。
【0100】
「周囲温度」は、16℃~26℃、例えば、19℃~25℃または20℃~25℃の温度範囲を意味する。
【0101】
「アミド」は、-C(O)NR12または-NHCOR1を意味し、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができる。
【0102】
「アミン」は、-NR12を意味し、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができる。
【0103】
「アミノアルキル」は、本明細書に定義される、アミン基により置換された、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、アミノアルキル基は、-L-NR12であり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができる。他の実施形態では、アミノアルキル基は、-L-C(NR12)(R3)-R4であり、ここで、Lは、共有結合または、本明細書に定義される、アルキル基であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができ、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素または、本明細書に定義される、アルキルである。
【0104】
「芳香族」は、特に明記しない限り、単環(例えば、フェニル)を有する5~15個の環原子からなる環状の共役基またはその一部、あるいは、少なくとも1つの環が芳香族(例えば、ナフチル、インドリルまたはピラゾロピリジニル)である複数の縮合環を意味する。すなわち、少なくとも1つの環および複数であってもよい縮合環は、連続的な非局在π電子系を有する。典型的には、面外のπ電子の数は、ヒュッケル則(4n+2)に一致する。親構造への連結点は、典型的には、縮合環系の芳香族部分を介している。
【0105】
「アリール」は、少なくとも5個から15個の炭素原子(C5-15)、例えば、5~10個の炭素原子(C5-10)を含み、単環または複数の縮合環を有する芳香族炭素環基を意味し、縮合環は、芳香族であってもなくてもよい。ただし、本明細書に開示された化合物の残りの部位への連結点は、芳香族炭素環基の原子を介する。アリール基は、水素以外の1つまたは複数の基、例えば、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、他の官能基、またはこれらの組み合わせにより置換されてもよい。例示的なアリール基として、ベンジル、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されない。アリールという用語も、芳香族基の環内に組み込まれた少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基を含有する基として定義される、ヘテロアリールを含む。ヘテロ原子としては、例えば、窒素、酸素、硫黄およびリンが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、アリールという用語にも含まれる非ヘテロアリールという用語は、ヘテロ原子を含有しない芳香族基を含有する基を定義する。アリール基は、置換されていても、非置換でもよい。アリール基は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの置換基で置換され得る。置換基は、独立に以下の(1)~(47)からなる群から選択される。すなわち、(1)C1-6アルカノイル(例えば、-C(O)-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(2)C1-6アルキル、(3)C1-6アルコキシ(例えば、-O-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(4)C1-6アルコキシ-C1-6アルキル(例えば、-L-O-R、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、C1-6アルキルである)、(5)C1-6アルキルスルフィニル(例えば、-S(O)-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(6)C1-6アルキルスルフィニル-C1-6アルキル(例えば、-L-S(O)-R、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、C1-6アルキルである)、(7)C1-6アルキルスルホニル(例えば、SO2-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(8)C1-6アルキルスルホニル-C1-6アルキル(例えば、-L-SO2-R、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、C1-6アルキルである)、(9)アリール、(10)アミン(例えば、-NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができる)、(11)C1-6アミノアルキル(例えば、-L1-NR12または-L2-C(NR12)(R3)-R4、ここで、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはC1-6アルキルであり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができ、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素またはC1-6アルキルである)、(12)ヘテロアリール、(13)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(14)アリーロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rはアリールである)、(15)アジド (例えば、-N3)、(16)シアノ(例えば、-CN)、(17)C1-6アジドアルキル(例えば、-L-N3、ここで、LはC1-6アルキルである)、(18)アルデヒド(例えば、-C(O)H)、(19)アルデヒド-C1-6アルキル(例えば、-L-C(O)H、ここで、LはC1-6アルキルである)、(20)C3-8シクロアルキル、(21)C1-6アルキル-C3-8シクロアルキル(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)、(22)ハロ、(23)C1-6ハロアルキル(例えば、-L1-Xまたは-L2-C(X)(R1)-R2、ここで、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはC1-6アルキルであり、Xはフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードであり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素またはC1-6アルキルである)、(24)ヘテロシクリル(例えば、本明細書に定義されるように、1、2、3または4個の非炭素ヘテロ原子を含有する5、6または7員環である)、(25)ヘテロシクリロキシ(例えば、-O-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(26)ヘテロシクリロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(27)ヒドロキシル(-OH)、(28)C1-6ヒドロキシアルキル(例えば、-L1-OHまたは-L2-C(OH)(R1)-R2、ここで、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはアルキルであり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または、本明細書に定義される、C1-6アルキルである)、(29)ニトロ、(30)C1-6ニトロアルキル(例えば、-L1-NOまたは-L2-C(NO)(R1)-R2、ここで、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはアルキルであり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または、本明細書に定義される、C1-6アルキルである)、(31)N-保護アミノ、(32)N-保護アミノ-C1-6アルキル、(33)オキソ(例えば、=O)、(34)C1-6チオアルコキシ(例えば、-S-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(35)チオ-C1-6アルコキシ-C1-6アルキル(例えば、-L-S-R、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、C1-6アルキルである)、(36)-(CH2rCO21、ここで、rは0~4の整数であり、R1は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリール (例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなる群から選択される、(37)-(CH2rCONR12、ここで、rは0~4の整数であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなる群から選択される、(38)-(CH2rSO21、ここで、rは0~4の整数であり、R1は、(a)C1-6アルキル、(b)C4-18アリールおよび(c)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなる群から選択される、(39)-(CH2rSO2NR12、ここで、rは0~4の整数であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなる群から選択される、(40)-(CH2rNR12、ここで、rは0~4の整数であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)N-保護基、(c)C1-6アルキル、(d)C2-6アルケニル、(e)C2-6アルキニル、(f)C4-18アリールおよび(g)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)(h)C3-8シクロアルキルおよび(i)C1-6アルキル-C3-8シクロアルキル(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)からなる群から選択され、ここで、一実施形態においては、2つの基が、カルボニル基またはスルホニル基を介して窒素原子に結合することはない、(41)チオール(例えば、-SH)、(42)パーフルオロアルキル(例えば、-(CF2nCF3、ここで、nは0~10の整数である)、(43)パーフルオロアルコキシ(例えば、-O-(CF2nCF3、ここで、nは0~10の整数である)、(44)アリールオキシ(例えば、-O-R、ここで、Rはアリールである)、(45)シクロアルコキシ(例えば、-O-R、ここで、Rはシクロアルキルである)、(46)シクロアルキルアルコキシ(例えば、-O-L-R、ここで、Lはアルキルであり、Rはシクロアルキルである)、および(47)アリールアルコキシ(例えば、-O-L-R、ここで、Lはアルキルであり、Rはアリールである)からなる群から選択される。特定の実施形態では、非置換のアリール基は、C4-18、C4-14、C4-12、C4-10、C6-18、C6-14、C6-12またはC6-10アリール基である。
【0106】
「アリールアルコキシ」は、酸素原子を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、アルキル-アリール基を意味する。いくつかの実施形態では、アリールアルコキシ基は、-O-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基であり、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。
【0107】
「アリールオキシ」は、-ORを意味し、ここで、Rは、本明細書に記載されているように、置換されてもよいアリール基である。いくつかの実施形態では、非置換のアリールオキシ基は、C4-18またはC6-18アリールオキシ基である。
【0108】
「アリールオキシカルボニル」は、カルボニル基を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、アリールオキシ基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換のアリールオキシカルボニル基は、C5-19アリールオキシカルボニル基である。他の実施形態では、アリールオキシカルボニル基は、-C(O)O-Rであり、ここで、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。
【0109】
「アリーロイル」は、カルボニル基を介して親分子基に連結されたアリール基を意味する。いくつかの実施形態では、非置換のアリーロイル基は、C7-11アリーロイルまたはC5-19アリーロイル基である。他の実施形態では、アリーロイル基は、-C(O)-Rであり、ここで、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。
【0110】
「アジド」は、-N3基を意味する。
【0111】
「アジドアルキル」は、本明細書に定義される、アルキル基を介して親分子基に連結されたアジド基を意味する。いくつかの実施形態では、アジドアルキル基は、-L-N3であり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基である。
【0112】
「アゾ」は、-N=N-基を意味する。
【0113】
「カルベン」は、2つの非結合電子を持つ炭素、すなわち、(C:)を有するH2C:およびその誘導体を意味する。いくつかの実施形態では、カルベンはR12(C:)であり、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する原子と一緒に、本明細書に定義される、シクロ脂肪族基を形成する。
【0114】
「カルベニウムカチオン」は、+1形式電荷を持つ炭素またはC+を有するH3+およびその誘導体を意味する。いくつかの実施形態では、カルベニウムカチオンは、R1-C+(R)-R2であり、ここで、R、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2および任意にRは、それぞれが連結する原子と一緒に、本明細書に定義される、シクロ脂肪族基を形成する。
【0115】
「カルボニル」は、-C(O)-基を意味し、>C=Oとして表すこともできる。
【0116】
「カルボキシル」は、-CO2H基またはそのアニオンを意味する。
【0117】
「触媒」は、当業者には容易に理解されるように、通常、反応物に対して少量で存在し、合成反応を触媒することができる化合物を意味する。いくつかの実施形態において、触媒は、遷移金属配位錯体を含んでいてもよい。
【0118】
「シアノは、-CN基を意味する。
【0119】
「シクロ脂肪族」は、環状の、本明細書に定義される、脂肪族基を意味する。
【0120】
「シクロアルコキシ」は、酸素原子を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、シクロアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、シクロアルコキシ基は、-O-Rであり、ここで、Rは、本明細書に定義される、シクロアルキル基である。
【0121】
「シクロアルキルアルコキシは、酸素原子を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、アルキル-シクロアルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、シクロアルキルアルコキシ基は、-O-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基であり、Rは、本明細書に定義される、シクロアルキル基である。
【0122】
「シクロアルキル」は、特に指定がない限り、3~8個の炭素を有する、一価の飽和または不飽和非芳香族環状炭化水素基を意味し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.2.1.ヘプチル]などが例示される。シクロアルキル基もまた、置換されていても、非置換でもよい。例えば、シクロアルキル基は、アルキルに対して本明細書において説明したものを含む、1つまたは複数の基により置換され得る。
【0123】
「シクロヘテロ脂肪族」は、環状の、本明細書に定義される、ヘテロ脂肪族基を意味する。
【0124】
「ジスルフィド」は、-SSRを意味し、ここで、Rは、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0125】
「電子供与基」は、少なくとも一部の電子密度を共振などによりその環に直接与えることができる官能基を意味する。
【0126】
「電子求引基」は、電子求引性誘起効果などにより直接その環に連結された電子密度を受け入れることができる官能基を意味する。
【0127】
「エステル」は、-C(O)ORまたは-OC(O)Rを意味し、ここで、Rは、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0128】
「ハロ」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0129】
「ハロ脂肪族」は、1つまたは複数の水素原子、例えば、1~10個の水素原子が、独立に、フルオロ、ブロモ、クロロまたはヨードなどのハロゲン原子に置き換えられた、本明細書に定義される、脂肪族基を意味する。
【0130】
「ハロ脂肪族-アリール」は、本明細書に記載された化合物に結合している、または結合できる、本明細書に定義される、アリール基を意味し、アリール基は、本明細書に定義される、ハロ脂肪族基を介して結合しているか、結合する。いくつかの実施形態では、ハロ脂肪族-アリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、ハロ脂肪族基であり、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。
【0131】
「ハロ脂肪族-ヘテロアリール」は、本明細書に記載された化合物に結合している、または結合できる、本明細書に定義される、ヘテロアリール基を意味し、ヘテロアリール基は、本明細書に定義される、ハロ脂肪族基を介して結合しているか、結合する。いくつかの実施形態では、ハロ脂肪族-ヘテロアリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、ハロ脂肪族基であり、Rは、本明細書に定義される、ヘテロアリール基である。
【0132】
「ハロアルキル」は、1つまたは複数の水素原子、例えば、1~10個の水素原子が、独立に、フルオロ、ブロモ、クロロまたはヨードなどのハロゲン原子に置き換えられた、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。独立の一実施形態では、ハロアルキルは、-CX3基であり得、ここで、各Xは、独立に、フルオロ、ブロモ、クロロおよびヨードから選択することができる。いくつかの実施形態では、ハロアルキル基は、-L-Xであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基であり、Xは、フルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードである。他の実施形態では、ハロアルキル基は、-L-C(X)(R1)-R2であり、ここで、Lは、共有結合または、本明細書に定義される、アルキル基であり、Xはフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードであり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または、本明細書に定義される、アルキルである。
【0133】
「ハロヘテロ脂肪族」は、1つまたは複数の水素原子、例えば、1~10個の水素原子が、独立に、フルオロ、ブロモ、クロロまたはヨードなどのハロゲン原子に置き換えられた、本明細書に定義される、ヘテロ脂肪族を意味する。
【0134】
「ヘテロ脂肪族」は、少なくとも1個から20個のヘテロ原子、例えば、1~15個または1~5個のヘテロ原子を含む本明細書に定義される、脂肪族基を意味し、ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ボロン、セレニウム、リンおよび基内のそれらの酸化型から選択され得るが、これらに限定されない。
【0135】
「ヘテロ脂肪族-アリール」は、本明細書に記載された化合物に結合している、または結合できる、本明細書に定義される、アリール基を意味し、アリール基は、本明細書に定義される、ヘテロ脂肪族基を介して結合しているか、結合する。いくつかの実施形態では、ヘテロ脂肪族-アリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、ヘテロ脂肪族基であり、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。
【0136】
「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」は、それぞれ、少なくとも1個から20個のヘテロ原子、例えば、1~15個または1~5個のヘテロ原子を含む本明細書に定義される、(分岐、直鎖または環状であり得る)アルキル、アルケニルおよびアルキニル基を意味し、ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ボロン、セレニウム、リンおよび基内のそれらの酸化型から選択され得るが、これらに限定されない。
【0137】
「ヘテロアルキル-アリール」、「ヘテロアルケニル-アリール」および「ヘテロアルキニル-アリール」は、本明細書に記載された化合物に結合している、または結合できる、本明細書に定義される、アリール基を意味し、アリール基は、それぞれ、本明細書に定義される、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニル基を介して結合しているか、結合する。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル-アリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、ヘテロアルキル基であり、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル-アリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、ヘテロアルケニル基であり、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル-アリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、ヘテロアルキニル基であり、Rは、本明細書に定義される、アリール基である。
【0138】
「ヘテロアルキル-ヘテロアリール」、「ヘテロアルケニル-ヘテロアリール」および「ヘテロアルキニル-ヘテロアリール」は、本明細書に記載された化合物に結合している、または結合できる、本明細書に定義される、ヘテロアリール基を意味し、ヘテロアリール基は、それぞれ、本明細書に定義される、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニルおよびヘテロアルキニル基を介して結合しているか、結合する。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキル-ヘテロアリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、ヘテロアルキル基であり、Rは、本明細書に定義される、ヘテロアリール基である。いくつかの実施形態では、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、ヘテロアルケニル基であり、Rは、本明細書に定義される、ヘテロアリール基である。いくつかの実施形態では、ヘテロアルキニル-ヘテロアリール基は、-L-Rであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、ヘテロアルキニル基であり、Rは、本明細書に定義される、ヘテロアリール基である。
【0139】
「ヘテロアリール」は、少なくとも1個から6個のヘテロ原子、例えば、1~4個のヘテロ原子を含むアリール基を意味し、ヘテロ原子は、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ボロン、セレニウム、リンおよび環内のそれらの酸化型から選択され得るが、これらに限定されない。そのようなヘテロアリール基は、単環または複数の縮合環を有することができ、縮合環は、芳香族であってもなくてもよく、かつ/またはヘテロ原子を含有してもしなくてもよい。ただし、連結点は、芳香族ヘテロアリール基の原子を介する。ヘテロアリール基は、水素以外の1つまたは複数の基、例えば、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、その他の官能基またはこれらの組み合わせにより置換されていてもよい。例示的なヘテロアリールには、本明細書に定義される、芳香族、すなわち、単環式または多環式環系内に4n+2π電子を含有する、ヘテロシクリル基の一部が含まれる。
【0140】
「ヘテロ原子」は、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ボロン、セレニウムまたはリンなどの、炭素以外の原子を意味する。原子価制御が可能でないなどの、特に開示された実施形態では、ヘテロ原子はハロゲン原子を含まない。
【0141】
「ヘテロシクリル」は、特に指定がない限り、1、2、3または4個の非炭素ヘテロ原子(例えば、独立に、窒素、酸素、リン、硫黄およびハロからなる群から選択される)を含有する5、6または7員環を意味する。5員環は、0~2個の二重結合を有し、6および7員環は、0~3個の二重結合を有する。用語「ヘテロシクリル」には、上記の複素環のいずれかが、アリール環、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、シクロペンタン環、シクロペンテン環およびその他の、例えば、インドリル、キノリル、イソキノリル、テトラヒドロキノリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニルなどの単環式複素環からなる群から独立に選択された、1つ、2つまたは3つの環と融合した、二環式、三環式および四環式基も含まれる。複素環式には、チイラニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、チアニル、チエパニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、アゼパニル、ピロリル、ピロリニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ホモピペリジニル、ピラジニル、ピペラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリドニル、イソキサゾリル、イソキサゾリジニイル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、フリル、チエニル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソインダゾイル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ウリシル、チアジアゾリル、ピリミジル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロインドリル、テトラヒドロキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ジチアゾリル、ジオキサニル、ジオキシニル、ジチアニル、トリチアニル、オキサジニル、チアジニル、オキソチオラニル、トリアジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニルなどが含まれる。
【0142】
「ヘテロシクリロキシ」は、酸素原子を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリロキシ基は、-O-Rであり、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基である。
【0143】
「ヘテロシクリロイル」は、カルボニル基を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリロイル基は、-C(O)-Rであり、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基である。
【0144】
「ヒドロキシル」は、-OHを意味する。
【0145】
「ヒドロキシアルキル」は、1~3個のヒドロキシル基で置換された、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。ただし、アルキル基の単一の炭素原子には、2個以上のヒドロキシル基が連結することはなく、ヒドロキシメチルやジヒドロキシプロピルなどが例示される。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアルキル基は、-L-OHであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基である。他の実施形態では、ヒドロキシアルキル基は、-L-C(OH)(R1)-R2であり、ここで、Lは、共有結合または、本明細書に定義される、アルキル基であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または、本明細書に定義される、アルキルである。
【0146】
「ケトン」は、-C(O)Rまたはそのような基を含む化合物を意味し、ここで、Rは、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。ケトンの一例には、R1C(O)Rが含まれ得、ここで、RおよびR1は、それぞれで独立に、本明細書に定義される、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族およびヘテロ脂肪族-芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0147】
「ニトロ」は、-NO2基を意味する。
【0148】
「ニトロアルキル」は、1~3個のニトロ基により置換された、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。いくつかの実施形態では、ニトロアルキル基は、-L-NOであり、ここで、Lは、本明細書に定義される、アルキル基である。他の実施形態では、ニトロアルキル基は、-L-C(NO)(R1)-R2であり、ここで、Lは、共有結合または、本明細書に定義される、アルキル基であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または、本明細書に定義される、アルキルである。
【0149】
「オキソ」は、=O基を意味する。
【0150】
「オキシ」は、-O-を意味する。
【0151】
「パーフルオロアルキル」は、フッ素原子で置換された各水素を有する、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。例示的なパーフルオロアルキル基として、トリフルオロメチルやペンタフルオロエチルなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、パーフルオロアルキル基は、-(CF2nCF3であり、ここで、nは0~10の整数である。
【0152】
「パーフルオロアルコキシ」は、フッ素原子で置換された水素原子を有する、本明細書に定義される、アルコキシ基を意味する。いくつかの実施形態では、パーフルオロアルコキシ基は、-O-Rであり、ここで、Rは、本明細書に定義される、パーフルオロアルキル基である。
【0153】
「塩」は、化合物または構造(例えば、本明細書に記載の化学式、化合物または組成物)のイオン型を意味し、電気的に中性の化合物または構造を形成するカチオンまたはアニオン化合物を含む。塩は、当技術分野で良く知られている。例えば、無毒性の塩は、BergeS.M.ら、「Pharmaceutical salts(医薬塩)」、J.Pharm.Sci.1977年1月、66(1):1-19や“Handbook of Pharmaceutical Salts(医薬塩のハンドブック):Properties、Selection、and Use(特性、選択および使用)」Wiley-VCH、2011年4月(第2改訂版、P.H.StahlおよびC.G.Wermuth編)に記載されている。塩は、本発明の化合物を最終的に分離精製する際にその場で調製、または別途、遊離の塩基基を好適な有機酸に反応させる(それによって、アニオン性イオンを作成する)ことにより、あるいは酸基を好適な金属または有機塩に反応させる(それによって、カチオン性イオンを作成する)ことにより、調製することができる。代表的なアニオン性塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、塩化物、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、二塩酸塩、二リン酸塩、ドデシル硫酸塩、エデト酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、臭化メチル、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオフィリン酸塩、チオシアン酸塩、トリエチオダイド、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。代表的なカチオン性塩としては、無毒性のアンモニウム、四級アンモニウムおよびアミンカチオン、例えば、これらに限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ピリジニウムなどと同様、バリウム、カルシウム(例えば、エデト酸カルシウム)、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリおよびアルカリ土類などの金属塩や、アルミニウム、ビスマス、鉄および鉛などのその他の金属塩などが挙げられる。その他のカチオン性イオンとして、クロロプロカイン、コリン、ジベンジルエチレンジアミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メチルグルカミンおよびプロカインなどの有機塩が挙げられる。さらに他の塩としては、アンモニウム、スルホニウム、スルホキソニウム、ホスホニウム、イミニウム、イミダゾリウム、ベンズイミダゾリウム、アミジニウム、グアニジニウム、ホスファジニウム、ホスファゼニウム、ピリジニウムなどや、本明細書に記載の他のカチオン基(例えば、置換されてもよいイソキサゾリウム、置換されてもよいオキサゾリウム、置換されてもよいチアゾリウム、置換されてもよいピロリウム、置換されてもよいフラニウム、置換されてもよいチオフェニウム、置換されてもよいイミダゾリウム、置換されてもよいピラゾリウム、置換されてもよいイソチアゾリウム、置換されてもよいトリアゾリウム、置換されてもよいテトラゾリウム、置換されてもよいフラザニウム、置換されてもよいピリジニウム、置換されてもよいピリミジニウム、置換されてもよいピラジニウム、置換されてもよいトリアジニウム、置換されてもよいテトラジニウム、置換されてもよいピリダジニウム、置換されてもよいオキサジニウム、置換されてもよいピロリジニウム、置換されてもよいピラゾリジニウム、置換されてもよいイミダゾリニウム、置換されてもよいイソキサゾリジニウム、置換されてもよいオキサゾリジニウム、置換されてもよいピペラジニウム、置換されてもよいピペリジニウム、置換されてもよいモルホリニウム、置換されてもよいアゼパニウム、置換されてもよいアゼピニウム、置換されてもよいインドリウム、置換されてもよいイソインドリウム、置換されてもよいインドリジニウム、置換されてもよいインダゾリウム、置換されてもよいベンズイミダゾリウム、置換されてもよいイソキノリニウム、置換されてもよいキノリジニウム、置換されてもよいデヒドロキノリジニウム、置換されてもよいキノリニウム、置換されてもよいイソインドリニム、置換されてもよいベンズイミダゾリニウム、および置換されてもよいプリニウム)が挙げられる。
【0154】
「シリルエーテル」は、本明細書に定義される、アルコキシ基に共有結合したケイ素原子を含む官能基を意味する。いくつかの実施形態では、シリルエーテルは、-Si-O‐RまたはSi-O-Rであり、ここで、Rは、本明細書に定義される、アルキル基である。
【0155】
「スルフィニル」は、-S(O)-基を意味する。
【0156】
「スルホ」は、-S(O)2OH基を意味する。
【0157】
「スルホニル」または「スルホン酸塩」は、-S(O)2-基または-SO2-Rを意味し、ここで、Rは、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0158】
「チオアルコキシ」は、硫黄原子を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。例示的な非置換のチオアルコキシ基としては、C1-6チオアルコキシが挙げられる。いくつかの実施形態では、チオアルコキシ基は、-S-Rであり、ここで、Rは、本明細書に定義される、アルキル基である。
【0159】
「チオアルコキシアルキル」は、本明細書に定義される、チオアルコキシ基により置換されている、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。例示的な非置換のチオアルコキシアルキル基は、1~6個の炭素を有するアルキル基と1~6個の炭素を有するチオアルコキシ基を有するものなど(例えば、C1-6チオアルコキシ-C1-6アルキル)、2~12個の炭素(C2-12チオアルコキシアルキル)を含む。いくつかの実施形態では、チオアルコキシアルキル基は、-L-S-Rであり、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、本明細書に定義される、アルキル基である。
【0160】
「チオール」は、-SH基を意味する。
【0161】
当業者は、上記の定義が、許容できない置換パターン(例えば、異なる5個の基で置換されているメチルなど)を含むことを意図していない、ということを認識するであろう。そのような許容できない置換パターンは、当業者により容易に認識される。本明細書に開示されたおよび/または定義された官能基は、本明細書に別段の記載がない限り、置換されていても、非置換でもよい。
【0162】

一実施形態において、安定化剤は、化学式R-CO2Hの酸であり、ここで、Rは、水素、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族およびヘテロ脂肪族-芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。ある実施形態では、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキニル-ヘテロアリールまたはこれらの組み合わせである。特に開示された実施形態では、Rは、さらに1つまたは複数の置換基、例えば、アルコキシ、アミド、アミン、チオエーテル、ヒドロキシル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシル ハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせで置換されてもよい。いくつかの実施形態では、酸がC2カルボン酸(例えば、酢酸)であることはない。
【0163】
アルコール
安定化剤は、X-C(R)n(OH)-Yの化学式を有するアルコールであり得、ここで、
nは1であり、
XおよびYは、それぞれ独立に、水素、-[C(R12m-C(R13およびOHから選択され、ここで、各R1は、独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族およびヘテロ脂肪族-芳香族、またはこれらの組み合わせから選択され、mは、0~10の整数であり、各Rは、独立に水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族およびヘテロ脂肪族-芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0164】
いくつかの実施形態では、RおよびR1、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリールおよびヘテロアルキニル-ヘテロアリール、またはこれらの組み合わせから選択される。特に開示された実施形態では、アルコールは、さらに1つまたは複数の置換基、例えば、アルコキシ、アミド、アミン、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシル ハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせで置換されてもよい。
【0165】
いくつかの実施形態では、XおよびYの少なくとも1つが-[C(R12m-C(R13である場合、安定化剤は、C5-C10アルコールであり得る。例示的な安定化剤には、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-メチル-1-ブタノールなどのC5-C10アルコールが含まれるが、これらに限定されない。
【0166】
他の実施形態では、XおよびYの少なくとも1つが-[C(R12m-C(R13であるか、またはRが水素でないで場合、安定化剤は、C3アルコールであり得る。例えば、R1またはRがアルケニルであるならば、C3アルコールは、C3アルケノール(例えば、アリルアルコール)であり得る。他の例では、RまたはRがシクロ脂肪族であるならば、C3アルコールは、シクロプロパノールまたは2-シクロプロペノールであり得る。
【0167】
さらに他の実施形態では、XおよびYの少なくとも1つが-[C(R12m-C(R13であるか、またはRが水素でないで場合、安定化剤は、C4アルコールであり得る。例えば、R1またはRがアルケニルであるならば、C4アルコールは、C4アルケノール(例えば、2-ブテン-1-オールまたは3-ブテン-1-オール)であり得る。他の例では、R1またはRがシクロ脂肪族であるならば、C4アルコールは、C4-環状アルコール(例えば、シクロブタノールまたはシクロプロピルメタノール)であり得る。さらに他の例では、R1またはRが分岐脂肪族であるならば、C4アルコールは、C4-分岐アルコール(例えば、2-ブタノール、イソブタノールまたはtert-ブタノール)であり得る。
【0168】
いくつかの例では、XがOHで、Yが-[C(R12m-C(R13である場合、安定化剤はジオールであり得る。他の例では、Yが-[C(R12m-C(R13で、少なくとも1つのR1がOHまたはRがOHである場合、安定化剤はジオールであり得る。例示的なジオールとして、1,4-ブタンジオール、プロピレン-1,3-ジオールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0169】
他の例では、XおよびYがOHである場合、安定化剤はトリオールであり得る。さらに他の例では、XおよびRがOHである場合、安定化剤はトリオールであり得る。いくつかの例では、XおよびYの少なくとも1つが-[C(R12m-C(R13であり、少なくとも2つのR1がOHである場合、安定化剤はトリオールであり得る。他の例では、RがOHであり、Xが-[C(R12m-C(R13であり、少なくとも2つのR1がOHである場合、安定化剤はトリオールであり得る。例示的なトリオールには、グリセロールおよびその誘導体が含まれるが、これらに限定されない。
【0170】
特定の実施形態では、Rが、シクロヘテロ脂肪族、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリルまたはヘテロアルキニル-ヘテロシクリルである場合、安定化剤は、ヘテロシクリルアルコール(例えば、フルフリルアルコールなどの、1つ以上のヒドロキシルで置換されている置換されてもよいヘテロシクリル)であり得る。他の実施形態では、XおよびYの少なくとも1つが-[C(R12m-C(R13であり、少なくとも2つのR1がシクロヘテロ脂肪族、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリルまたはヘテロアルキニル-ヘテロシクリルである場合、安定化剤は、ヘテロシクリルアルコールであり得る。
【0171】
いくつかの例では、アルコールは、C1-4アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール)以外である。他の例では、アルコールは、直鎖C1-4アルカノール以外である。さらに他の例では、アルコールは、分岐C3アルコール以外である。他の例では、アルコールは、C2ジオール(例えば、エチレングリコール)以外である。
【0172】
アルデヒドおよびケトン
安定化剤は、X-[C(O)]-Hの化学式を有するアルデヒドであり得、ここで、
Xは、水素、-R1、-C(R13または-[C(R12m-C(O)Hから選択でき、ここで、各R1は、独立に、水素、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族およびヘテロ脂肪族-芳香族、またはこれらの組み合わせから選択され、mは、0~10の整数である。
【0173】
安定化剤は、X-[C(O)]n-Yの化学式を有するケトンであり得、ここで、
nは、1~2の整数であり、
XおよびYは、それぞれ独立に、-C(R13、-R2および-[C(R12m-C(O)-R2から選択することができ、ここで、R1は、独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族およびヘテロ脂肪族-芳香族、またはこれらの組み合わせから選択することができ、
2は、独立に、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族およびヘテロ脂肪族-芳香族、またはこれらの組み合わせから選択することができ、
ここで、R1およびR2は、それぞれが連結する原子と一緒に、シクロ脂肪族またはシクロヘテロ脂肪族を任意に形成でき、XおよびYは、それぞれが連結する原子と一緒に、シクロ脂肪族またはシクロヘテロ脂肪族を任意に形成でき、
mは、0~10の整数である。
【0174】
いくつかの実施形態では、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキニル-ヘテロアリール、またはこれらの組み合わせである。特に開示された実施形態では、アルデヒドまたはケトンは、1つまたは複数の置換基、例えば、アルデヒド(-C(O)H)、オキソ(=O)、アルコキシ、アミド、アミン、ヒドロキシル、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシルハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせでさらに置換されてもよい。
【0175】
いくつかの実施形態では、Xが芳香族である場合、安定化剤は芳香族アルデヒドであり得る。例示的な安定化剤として、ベンズアルデヒド、1-ナフトアルデヒド、フタルアルデヒドなどが挙げられる。
【0176】
他の実施形態では、Xが脂肪族の場合、安定化剤は、脂肪族アルデヒドであり得る。例示的な安定化剤として、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソバレリルアルデヒドなどが挙げられる。
【0177】
さらに他の実施形態では、Xが-[C(R12m-C(O)Hであり、mが0~10の場合、またはXが-C(O)Hで置換された脂肪族またはヘテロ脂肪族の場合、安定化剤は、ジアルデヒドであり得る。例示的な安定化剤として、グリオキサール、フタルアルデヒド、グルタールアルデヒド、マロンジアルデヒド、スクシンアルデヒドなどが挙げられる。
【0178】
いくつかの実施形態では、XおよびYが、それぞれが連結する原子と一緒にシクロ脂肪族またはシクロヘテロ脂肪族を形成する場合、安定化剤は環状ケトンであり得る。例示的な環状ケトンとして、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどが挙げられる。
【0179】
他の実施形態では、XまたはYの少なくとも1つが-[C(R12m-C(O)-R2である場合、安定化剤はジケトンであり得る。例示的なジケトンには、例えば、ジアセチル、2,3-ペンタンジオン、2,3-ヘキサンジオン、3,4-ヘキサンジオン、アセチルアセトン、アセトニルアセトンや、ヘキサフルオロアセチルアセトンなどのそれらのハロゲン化体が含まれる。
【0180】
さらに他の実施形態では、XまたはYの少なくとも1つが-[C(R12m-C(O)-R2であり、XおよびYが、それぞれが連結する原子と一緒にシクロ脂肪族またはシクロヘテロ脂肪族を形成する場合、安定化剤は、環状ジケトンであり得る。例示的な環状ジケトンとして、ジメドン、1,3-シクロヘキサンジオンなどが挙げられる。
【0181】
いくつかの例では、Xが-CH3である場合、安定化剤は、-C(R13であるYを有することができ、ここで、少なくとも1つのR1は、C2-10ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである。例示的な安定化剤として、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、ヒドロキシアセトンなどが挙げられる。
【0182】
他の例では、Xが-CH3である場合、安定化剤は、-R2であるYを有することができ、ここで、少なくとも1つのR2は、C2アルケニル、C3-10脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである。例示的な安定化剤として、メチルビニルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトンなどが挙げられる。
【0183】
いくつかの例では、Xが-CH2CH3である場合、安定化剤は、-C(R13であるYを有することができ、ここで、少なくとも1つのR1は、C2-10脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである。例示的な安定化剤として、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトンなどが挙げられる。
【0184】
他の例では、Xが-CH2CH3である場合、安定化剤は、-R2であるYを有することができ、ここで、少なくとも1つのR2は、C2アルケニル、C3-10脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである。例示的な安定化剤として、メチルビニルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトンなどが挙げられる。
【0185】
さらに他の例では、XまたはYの少なくとも1つが芳香族または脂肪族-芳香族あるいはヘテロ脂肪族-芳香族である場合、安定化剤は芳香族ケトンであり得る。例示的な安定化剤として、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルアセトン、1,3-ジフェニルアセトン、シクロペンチルフェニルケトンなどが挙げられる。
【0186】
いくつかの実施形態では、ケトンは、C3-5ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、またはジエチルケトン)以外である。他の実施形態では、ケトンには、nが1であり、Xがメチル、Yがメチルまたはエチルである場合は含まれない。他の実施形態では、ケトンには、nが1であり、Xがエチル、Yもエチルである場合は含まれない。
【0187】
アミド
安定化剤は、X-C(O)-NR-[C(O)]n-Yの化学式を有するアミドであり得、ここで、
nは、0または1であり、
XおよびYは、それぞれ独立に、-R1、-[C(R12m-C(R13または-[C(R12m-C(O)-OC(R13から選択することができ、ここで、各R1は、独立に、水素、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族およびこれらの組み合わせから選択され、mは、0~10の整数であり、
各Rは、独立に、水素、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族およびこれらの組み合わせから選択され、ここで、RおよびYは、それぞれが連結する原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族基を任意に形成でき、RおよびXは、それぞれが連結する原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族基を任意に形成できる。
【0188】
いくつかの実施形態では、R1は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキニル-ヘテロアリールまたはこれらの組み合わせである。特に開示された実施形態では、アミドは、1つまたは複数の置換基、例えば、アルデヒド(-C(O)H)、オキソ(=O)、アルコキシ、アミド、アミン、ヒドロキシル、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシルハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせにより、さらに置換されてもよい。
【0189】
いくつかの実施形態では、RおよびXが一緒になってシクロヘテロ脂肪族基を形成する場合には、安定化剤は第一の環状アミドであり得る。特定の実施形態では、第一の環状アミドが非置換の5員環を含む場合、Yは-R1であり、各R1は、独立に、水素、C2-10脂肪族、C2-10ハロ脂肪族、C2-10ハロヘテロ脂肪族、C2-10ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせから選択される。他の実施形態では、第一の環状アミドが非置換の5員環を含む場合、Yは-[C(R12m-C(R13であり、mは1~10の整数である。いくつかの実施形態では、第一のアミドは、置換の5員環(例えば、置換基はC1-10脂肪族を含むことができる)を含み、環置換環状アミドを提供する。さらに他の実施形態では、第一の環状アミドは、N-メチル-2-ピロリドン(N-メチル-2-ピロリジノン)以外である。例示的な第一の環状アミドには、N-n-プロピル-2-ピロリジノン、N-n-ブチル-2-ピロリジノン、N-イソブチル―2-ピロリジノン、N-t-ブチル―2-ピロリジノン、N-n-ペンチル-2-ピロリジノン、N-(メトキシプロピル)-2-ピロリジノン、N-(メトキシブチル)-2-ピロリジノン、N-オクチル-2-ピロリジノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリジノン、カプロラクタム、N-メチル-カプロラクタムなどが含まれる。例示的な環置換環状アミドとしては、1,5-ジメチルピロリジノン、5-メチル-N-n-プロピル-2-ピロリジノン、5-メチル-N-n-ブチル-2-ピロリジノンなどが挙げられる。
【0190】
いくつかの実施形態では、RおよびYが一緒になってシクロヘテロ脂肪族基を形成する場合、安定化剤は第二の環状アミドであり得る。例示的な第二の環状アミドとしては、N-アセチルピロリジン、N-ホルミルピロリジン、N-アセチルピペリジン、N-ホルミルピペリジン、N-アセチルモルホリン、N-ホルミルモルホリン、N-プロピオニルモルホリンなどが挙げられる。
【0191】
他の実施形態では、XがHであり、RまたはYの少なくとも1つがHである場合、安定化剤は、N-アルキルホルムアミドであり得る。例示的なN-アルキルホルムアミドとしては、N-メチルホルムアミド、N-エチルホルムアミド、N-プロピルホルムアミドなどが挙げられる。
【0192】
さらに他の実施形態では、XがHであり、RまたはYがC2-10脂肪族である場合、安定化剤は、N,N-ジ-C2-10アルキルホルムアミドであり得る。特定の実施形態では、N,N-ジ-C2-10アルキルホルムアミドは、N,N-ジメチルホルムアミド以外である。例示的なN,N-ジ-C2-10アルキルホルムアミドとしては、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジイソプロピル ホルムアミド、N,N-ジブチル ホルムアミドなどが挙げられる。
【0193】
いくつかの実施形態では、XがHである場合、安定化剤は、RおよびYの少なくとも1つが水素、C2-10脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである、アミドであり得る。
【0194】
他の実施形態では、XがCH3であり、RおよびYの少なくとも1つがHである場合、安定化剤は、N-アルキルアセトアミドであり得る。例示的なN-アルキルアセトアミドとしては、N-メチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド、N-プロピルアセトアミドなどが挙げられる。
【0195】
さらに他の実施形態では、XがCH3であり、RおよびYがC2-10脂肪族である場合、安定化剤は、N,N-ジ-C2-10アルキルアセトアミドであり得る。特定の実施形態では、N,N-ジ-C2-10アルキルアセトアミドが、N,N-ジメチルアセトアミドであることはない。例示的なN,N-ジ-C2-10アルキルアセトアミドとしては、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジイソプロピルアセトアミド、N,N-ジブチルアセトアミドなどが挙げられる。
【0196】
いくつかの実施形態では、Xが-CH3である場合、安定化剤は、RまたはYの少なくとも1つが水素、C2-10脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである、アミドであり得る。
【0197】
いくつかの実施形態では、Xが-[C(R12m-C(O)-OC(R13である場合、安定化剤はエステルアミドであり得る。特定の実施形態では、mは1~10の整数である。例示的な安定化剤としては、5-(ジメチルアミノ)-2-メチル-5-オキソペンタン酸メチル、5-(ジメチルアミノ)-5-オキソペンタン酸メチル、4-(ジメチルアミノ)-2-メチル-4-オキソブタン酸メチル、4-(ジメチルアミノ)-4-オキソブタン酸メチルなどが挙げられる。
【0198】
アミン
安定化剤は、NR123の化学式を有するアミンであり得、ここで
1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族およびこれらの組み合わせから選択され、
1およびR2は、それぞれが連結する原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族を任意に形成でき、
1、R2およびR3は、それぞれが連結する原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族を任意に形成できる。
【0199】
いくつかの実施形態では、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキニル-ヘテロアリールおよびこれらの組み合わせから選択される。特に開示された実施形態では、アミンはさらに1つまたは複数の置換基、例えば、アルコキシ、アミド、アミン、ヒドロキシル、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシルハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせにより置換されていてもよい。
【0200】
いくつかの実施形態では、R1、R2およびR3の少なくとも1つが、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族またはヘテロ脂肪族である場合、安定化剤は、アルキルアミンである。アルキルアミンは、ジアルキルアミンおよびトリアルキルアミンを含み得る。例示的なアルキルアミンとしては、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N-エチルジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミン、t-ブチルアミンなどが挙げられる。
【0201】
他の実施形態では、R1、R2およびR3の少なくとも1つがヒドロキシルを有する場合、安定化剤はアルコールアミンである。ある例では、R1、R2およびR3の少なくとも1つは、1つまたは複数のヒドロキシルで置換された脂肪族基である。例示的なアルコールアミンとして、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、2-(ジプロピルアミノ)エタノール、2-(ジブチルアミノ)エタノール、N-エチルジエタノールアミン、N-tertブチルジエタノールアミンなどが挙げられる。
【0202】
いくつかの実施形態では、R1およびR2が、それぞれが連結する原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族を形成する場合、安定化剤は環状アミンであり得る。例示的な環状アミンとしては、ピペリジン、N-アルキルピペリジン(例えば、N-メチルピペリジン、N-プロピルピペリジンなど)、ピロリジン、N-アルキルピロリジン(例えば、N-メチルピロリジン、N-プロピルピロリジンなど)、モルホリン、N-アルキルモルホリン(例えば、N-メチルモルホリン、N-プロピルモルホリンなど)、ピペラジン、N-アルキル ピペラジン、N,N-ジアルキルピペラジン(例えば、1,4-ジメチルピペラジン)などが挙げられる。
【0203】
他の実施形態では、R1、R2およびR3の少なくとも1つが芳香族を有する場合、安定化剤は芳香族アミンである。いくつかの実施形態では、R1、R2およびR3の少なくとも1つは、芳香族、脂肪族-芳香族またはヘテロ脂肪族-芳香族である。他の実施形態では、R1およびR2の両者が芳香族を含む。さらに他の実施形態では、R1およびR2および任意にR3は、それぞれが連結する原子と一緒に、芳香族であるシクロヘテロ脂肪族を形成する。例示的な芳香族アミンとしては、アニリン、ヒスタミン、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピリミジンなどが挙げられる。
【0204】
カルベンおよびその誘導体
安定化剤は、化学式X-(C:)-Yを有するカルベンであり得、ここで、
XおよびYは、それぞれ独立に、H、ハロ、-[C(R12m-C(R13、-C(O)-R1、-C(=NR1)-R1、-NR12、-OR2、-SR2、および-C(R23から選択することができ、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせから選択され、mは0~10の整数であり、
1およびR2は、それぞれが連結する原子と一緒に、シクロヘテロ脂肪族基を任意に形成でき、
XおよびYは、それぞれが連結する原子と一緒に、シクロ脂肪族またはシクロヘテロ脂肪族基を任意に形成できる。
【0205】
さらに、安定化剤は、化学式R1-C+(R)-R2を有するカルベニウムカチオンであり得、ここで、R、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族およびこれらの組み合わせから選択される。
【0206】
いくつかの実施形態では、R、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキニル-ヘテロアリールまたはこれらの組み合わせから選択される。特に開示された実施形態では、カルベンは、さらに1つまたは複数の置換基、例えば、アルコキシ、アミド、アミン、ヒドロキシル、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシルハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせにより置換されてもよい。カルベンの任意の実施形態において、R1およびR2は、それぞれ独立に、選択することができる。
【0207】
いくつかの実施形態では、XおよびYの少なくとも1つがハロである場合、安定化剤はハロカルベンであり得る。例示的で非限定的なハロカルベンとしては、ジクロロカルベンやジフルオロカルベンなどのジハロカルベンなどが挙げられる。
【0208】
いくつかの実施形態では、XおよびYの両者が-NR12である場合、安定化剤はジアミノカルベンであり得る。ある例では、R1およびR2は、それぞれ独立に、脂肪族である。例示的なジアミノカルベンとしては、ビス(ジイソプロピルアミノ)カルベンが挙げられる。
【0209】
他の実施形態では、XおよびYの少なくとも1つが-NR12であり、XまたはY内のR1およびR2の両者が、それぞれが連結する窒素原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族基を形成する場合、安定化剤は、環状ジアミノカルベンであり得る。例示的な環状ジアミノカルベンとしては、ビス(N-ピペリジル)カルベン、ビス(N-ピロリジニル)カルベンなどが挙げられる。
【0210】
ある例では、XおよびYの両者が-NR12であり、XのR1基とYのR2基とが、それぞれが連結する窒素原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族基を形成する場合、安定化剤は、N-複素環式カルベンである。例示的なN-複素環式カルベンとしては、イミダゾール-2-イリデン(例えば、1,3-ジメシチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジメシチル-4,5-ジクロロイミダゾール-2-イリデン、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾール-2-イリデン、1,3-ジ-tert-ブチルイミダゾール-2-イリデンなど)、イミダゾリジン-2-イリデン(例えば、1,3-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)イミダゾリジン-2-イリデン)、トリアゾール-5-イリデン(例えば、1,3,4-トリフェニル-4,5-ジヒドロ-1H-1,2,4-トリアゾール-5-イリデン)などが挙げられる。
【0211】
いくつかの実施形態では、Xが-NR12であり、Yが-SR2であり、XのR1基とYのR2基とが、それぞれが連結する窒素原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族基を形成する場合、安定化剤は、例示的な環状チオアルキルアミノカルベンである。例示的な環状チオアルキルアミノカルベンとしては、チアゾール-2-イリデン(例えば、3-(2,6-ジイソプロピルフェニル)チアゾール-2-イリデンなど)が挙げられる。
【0212】
いくつかの実施形態では、Xが-NR12であり、Yが-C(R23であり、XのR1基とYのR2基とが、それぞれが連結する窒素原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族基を形成する場合、安定化剤は、例示的な環状アルキルアミノカルベンである。例示的な環状アルキルアミノカルベンとしては、ピロリジン-2-イリデン(例えば、1,3,3,5,5-ペンタメチル-ピロリジン-2-イリデンなど)、ピペリジン-2-イリデン(例えば、1,3,3,6,6-ペンタメチル-ピペリジン-2-イリデンなど)が挙げられる。
【0213】
さらに例示的なカルベンおよびその誘導体には、チアゾール-2-イリデン部分、ジヒドロイミダゾール-2-イリデン部分、イミダゾール-2-イリデン部分、トリアゾール-5-イリデン部分またはシクロプロペニリデン部分を有する化合物が含まれる。さらに他のカルベンやカルベン類似物としては、アミノチオカルベン化合物、アミノオキシカルベン化合物、ジアミノカルベン化合物、ヘテロアミノカルベン化合物、1,3-ジチオリウムカルベン化合物、メソイオンカルベン化合物(例えば、イミダゾリン-4-イリデン化合物、1,2,3-トリアゾリリデン化合物、ピラゾリニリデン化合物、テトラゾル-5-イリデン化合物、イソキサゾル-4-イリデン化合物、チアゾール-5-イリデン化合物など)、環状アルキルアミノカルベン化合物、ボラニリデン化合物、シリレン化合物、スタニレン化合物、ニトレン化合物、ホスフィニデン化合物、箔状カルベン化合物などが挙げられる。さらに例示的なカルベンとしては、ジメチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ビス(2,4,6-トリメチルフェニル)-4,5-ジヒドロイミダゾール-2-イリデン、(ホスファニル)(トリフルオロメチル)カルベン、ビス(ジイソプロピルアミノ)カルベン、ビス(ジイソプロピルアミノ)シクロプロペニリデン、1,3-ジメシチル-4,5-ジクロロイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジアダマンチルイミダゾール-2-イリデン、1,3,4,5-テトラメチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジメシチルイミダゾール-2-イリデン、1,3-ジメシチルイミダゾール-2-イリデン、1,3,5-トリフェニルトリアゾール-5-イリデン、ビス(ジイソプロピルアミノ)シクロプロペニリデン、ビス(9-アントリル)カルベン、ノルボルネン-7-イリデン、ジヒドロイミダゾール-2-イリデン、メチリデンカルベンなどが挙げられる。
【0214】
ジエン
安定化剤は、R12-C=C(R1)-[C(R12n-C(R1)=CR12の化学式を有するジエンであり得、ここで、
nは0~10の整数であり、
1およびR2は、それぞれ独立に、水素、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族およびこれらの組み合わせから選択される。
【0215】
いくつかの実施形態では、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキニル-ヘテロアリールおよびこれらの組み合わせから選択される。特に開示された実施形態では、ジエンはさらに1つまたは複数の置換基、例えば、アルコキシ、アミド、アミン、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシルハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせで置換されてもよい。
【0216】
他の実施形態では、安定化剤は、直鎖状または環状の形で提供され得る、s-cis配座のジエンである。非限定的なジエンとしては、置換されてもよいブタジエン、置換されてもよいシクロペンタジエン、置換されてもよいo-キノジメタンおよび置換されてもよい1,2-ジヒドロピリジンが挙げられる。
【0217】
エステル
安定化剤は、X-[O]n-C(O)-O-Yの化学式を有するエステルであり得、ここで、
nは0または1であり、
XおよびYは、それぞれ独立に、-[C(R12m-C(R1)、-{[C(R12m-[O]np-C(R1)、-[C(R12m-C(O)-N(R12および-[C(R12m-C(O)-O-[C(R12m-C(R1)から選択することができ、ここで、各R1は、独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族およびこれらの組み合わせから選択され、mは0~10の整数であり、pは1~10の整数であり、
XおよびYは、それぞれが連結する原子と一緒に、ミクロヘテロ脂肪族基を任意に形成できる。
【0218】
いくつかの実施形態では、各R1は、独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキニル-ヘテロアリールおよびこれらの組み合わせから選択される。特に開示された実施形態では、エステルは、1つまたは複数の置換基、例えば、アルコキシ、アミド、アミン、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシルハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせにより、さらに置換されてもよい。
【0219】
いくつかの実施形態では、XおよびYが、それぞれが連結する原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族基を形成するために、安定化剤は、環状エーテルであり得る。例示的な環状エーテルとしては、ε-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトンなどのラクトンが挙げられる。
【0220】
いくつかの実施形態では、XおよびYの少なくとも1つが-[C(R12m-C(O)-N(R12である場合、エステルはアミノエステルであり得る。例示的なアミノエステルとしては、メチル-5-(ジメチルアミノ)-2-メチル-5-オキソペンタン酸などが挙げられる。
【0221】
いくつかの実施形態では、Xが-CH3であり、nが0の場合、安定化剤は、Yが-[C(R12m-C(R1)であり、mが2~10の整数である酢酸塩であり得る。他の実施形態では、Xが-CH3であり、nが0の場合、安定化剤は、Yが-[C(R12m-C(R1)であり、mが1~10の整数であり、少なくとも1つのR1がC1-10脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである酢酸塩であり得る。いくつかの実施形態では、酢酸塩は、酢酸エチル以外である。例示的な酢酸塩としては、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸t-ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどが挙げられ、対応するエチレングリコールのモノ-およびジ-メチル、エチル、プロピル、およびブチルエーテルのアセテートが挙げられる。
【0222】
いくつかの実施形態では、XおよびYの少なくとも1つが-{[C(R12m-[O]np-C(R1)である場合、安定化剤は、グリコール系エステルであり得る。例示的なグリコール系エステルとしては、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0223】
他の実施形態では、XおよびYの少なくとも1つがヒドロキシルを含む場合、安定化剤はヒドロキシエステルであり得る。例示的なヒドロキシエステルとしては、乳酸塩(例えば、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n-プロピル、乳酸イソプロピル、乳酸n-ブチル、乳酸イソブチル、乳酸t-ブチルなど)の誘導体などのアルファ-ヒドロキシエステルが挙げられる。
【0224】
いくつかの実施形態では、nが1の場合、安定化剤は炭酸エステルであり得る。特定の実施形態では、XおよびYが、それぞれが連結する原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族基を形成するために、環状炭酸エステルを提供する。例示的な炭酸エステルとしては、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、炭酸グリセロールなどが挙げられる。
【0225】
他の実施形態では、Xが-[C(R12m-C(O)-O-[C(R12m-C(R1)で(例えば、nが0)の場合、安定化剤は、ジエステルであり得る。例示的なジエステルとしては、2-メチルグルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチルなどが挙げられる。
【0226】
エーテル
安定化剤は、X-O-YまたはX-O-[C(R)2n-O-Yの化学式を有するエーテルであり得、ここで、
nは1~4の整数であり、
XおよびYは、それぞれ独立に、-[C(R12m-C(R1)または-R2または-[C(R12p-O-[C(R12m-C(R1)から選択することができ、ここで、R1とRは、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族およびこれらの組み合わせから選択され、mは0~10の整数であり、pは1~10の整数であり、
XおよびYは、それぞれが連結する原子と一緒に、シクロヘテロ脂肪族基を任意に形成でき、
2は、独立に、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族およびこれらの組み合わせから選択される。
【0227】
いくつかの実施形態では、RおよびR1は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキニル-ヘテロアリールおよびこれらの組み合わせから選択される。特に開示された実施形態では、エーテルは、1つまたは複数の置換基、例えば、アルコキシ、アミド、アミン、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシルハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせにより、さらに置換されてもよい。
【0228】
いくつかの実施形態では、XおよびYが、それぞれが連結する原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族基を形成するために、安定化剤は、環状エーテルである。いくつかの実施形態では、nが1であり、各RがHである場合、XおよびYは、6、7、8、9または10員環を形成する。他の実施形態では、nが2であり、RがHの場合、XおよびYは、7、8、9または10員環を形成する。さらに他の実施形態では、nが1または2である場合、Rは脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、エーテルは1,3-ジオキソランでも1,4-ジオキサンでもない。例示的な環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、2-メチル-1,3-ジオキソランなどが挙げられる。
【0229】
他の実施形態では、XおよびYの少なくとも1つが芳香族である場合、安定化剤は芳香族エーテルであり得る。例示的な芳香族エーテルとしては、アニソール、ジフェニルエーテルなどが挙げられる。
【0230】
いくつかの実施形態では、XおよびYの少なくとも1つがシクロ脂肪族である場合、安定化剤はシクロアルキルエーテルであり得る。例示的シクロアルキルエーテルとしては、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキシルメチルエーテルなどが挙げられる。
【0231】
他の実施形態では、XおよびYの少なくとも1つが-[C(R12p-O-[C(R12m-C(R1)である場合、安定化剤はグリコール系エーテルであり得る。例示的なグリコール系エーテルとしては、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリ(エチレングリコール)ジメチルエーテルなどが挙げられ、エチレングリコールのモノ-およびジ-メチル、エチル、プロピル、およびブチルエーテルなどが挙げられる。
【0232】
グアニジン
安定化剤は、R12N-C(=NR)-NR12の化学式を有するグアニジンであり得、ここで、
R、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族およびこれらの組み合わせから選択される。
【0233】
いくつかの実施形態では、R、R1およびR2は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキニル-ヘテロアリールおよびこれらの組み合わせから選択される。特に開示された実施形態では、グアニジンは、1つまたは複数の置換基、例えば、アルコキシ、アミド、アミン、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシル ハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはそれらの組み合わせにより、さらに置換されてもよい。
【0234】
一実施形態において、R1とR2との両者が脂肪族である場合、安定化剤はN-テトラ-アルキルグアニジンである。例示的なN-テトラ-アルキルグアニジンとしては、N,N,N’,N’-テトラメチルグアニジン、2-tert-ブチル-1,1,3,3-テトラメチルグアニジンなどが挙げられる。
【0235】
複素環
一実施形態において、安定化剤は、芳香族複素環(例えば、N、Oおよび/またはSなどの1つまたは複数ヘテロ原子を有するもの)、二環式複素環(例えば、芳香族二環式複素環)などの、1つまたは複数の、本明細書に定義される、ヘテロシクリル部分を有する複素環である。
【0236】
他の実施形態では、複素環は、環状酸(例えば、R-CO2Hの化学式を有するものであり、ここで、Rは置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキルヘテロシクリルである)、環状エーテル(例えば、R1-O-R2の化学式を有するものであり、ここで、R1およびR2は、それぞれが連結する酸素原子と一緒に、本明細書に定義される、置換されてもよいシクロヘテロ脂肪族基を形成し、ここで、環状エーテルは1,3-ジオキソランでも1,4-ジオキサンでもない)、環状エステル(例えば、R2-C(O)-OR1の化学式を有するものであり、ここで、R1およびR2は、R1が連結する酸素原子と一緒に、本明細書に定義される、置換されてもよいシクロヘテロ脂肪族基を形成する)、環状炭酸エステル(例えば、R2O-C(O)-OR1の化学式を有するものであり、ここで、R1およびR2は、それぞれが連結する酸素原子と一緒に、本明細書に定義される、置換されてもよいヘテロシクリル基を形成する)などを含むことができる。
【0237】
他の実施形態では、複素環は環状アミンを含むことができる。例示的な環状アミンは、NR123の化学式を有することができ、ここで、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロ脂肪族またはヘテロシクリルを形成し、R3は、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである。
【0238】
他の実施形態では、複素環は環状アミドを含むことができる。例示的な環状アミドは、R3-C(O)NR12の化学式を有することができ、ここで、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロ脂肪族またはヘテロシクリル基を形成し、R3は、独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである。あるいは、R1およびR3は、R1が連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロ脂肪族またはヘテロシクリル基を形成し、R2は、独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである。あるいは、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせであり、R3は、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキルヘテロシクリルである。いくつかの実施形態では、環状アミドは、N-メチル-2-ピロリドン以外である。
【0239】
他の実施形態では,複素環は、N-複素環式カルベンまたは環状チオアルキルアミノカルベン(例えば、本明細書に記載されるもの)を含むことができる。
【0240】
非限定的な複素環にはまた、置換されてもよいイミダゾール、置換されてもよいトリアゾール、置換されてもよいテトラゾール、置換されてもよいピラゾール、置換されてもよいイミダゾリン、置換されてもよいピラゾリン、置換されてもよいイミダゾリジン、置換されてもよいピラゾリジン、置換されてもよいピロール、置換されてもよいピロリン、置換されてもよいピロリジン、置換されてもよいテトラヒドロフラン、置換されてもよいフラン、置換されてもよいチオフェン、置換されてもよいオキサゾール、置換されてもよいイソキサゾル、置換されてもよいイソチアゾール、置換されてもよいチアゾール、置換されてもよいオキサチオラン、置換されてもよいオキサジアゾール、置換されてもよいチアジアゾール、置換されてもよいスルホラン、置換されてもよいスクシンイミド、置換されてもよいチアゾリジンジオン、置換されてもよいオキサゾリドン、置換されてもよいヒダントイン、置換されてもよいピリジン、置換されてもよいピペリジン、置換されてもよいピリダジン、置換されてもよいピペラジン、置換されてもよいピリミジン、置換されてもよいピラジン、置換されてもよいトリアジン、置換されてもよいピラン、置換されてもよいピリリウム、置換されてもよいテトラヒドロピラン、置換されてもよいジオキシン、置換されてもよいジオキサン、置換されてもよいジチアン、置換されてもよいトリチアン、置換されてもよいチオピラン、置換されてもよいチアン、置換されてもよいオキサジン、置換されてもよいモルホリン、置換されてもよいチアジン、置換されてもよいチオモルホリン、置換されてもよいシトシン、置換されてもよいチミン、置換されてもよいウラシル、置換されてもよいチオモルホリンジオキシド、置換されてもよいインデン、置換されてもよいインドリン、置換されてもよいインドール、置換されてもよいイソインドール、置換されてもよいインドリジン、置換されてもよいインダゾール、置換されてもよいベンズイミダゾール、置換されてもよいアザインドール、置換されてもよいアザインダゾール、置換されてもよいピラゾロピリミジン、置換されてもよいプリン、置換されてもよいベンゾフラン、置換されてもよいイソベンゾフラン、置換されてもよいベンゾチオフェン、置換されてもよいベンズイソキサゾール、置換されてもよいアントラニル、置換されてもよいベンズイソチアゾール、置換されてもよいベンゾキサゾール、置換されてもよいベンズチアゾール、置換されてもよいベンズチアジアゾール、置換されてもよいアデニン、置換されてもよいグアニン、置換されてもよいテトラヒドロキノリン、置換されてもよいジヒドロキノリン、置換されてもよいジヒドロイソキノリン、置換されてもよいキノリン、置換されてもよいイソキノリン、置換されてもよいキノリジン、置換されてもよいキノキサリン、置換されてもよいフタラジン、置換されてもよいキナゾリン、置換されてもよいシノリン、置換されてもよいナフチリジン、置換されてもよいピリドピリミジン、置換されてもよいピリドピラジン、置換されてもよいプテリジン、置換されてもよいベンゾキサジン、置換されてもよいキノリノン、置換されてもよいイソキノリノン、置換されてもよいカルバゾール、置換されてもよいジベンゾフラン、置換されてもよいアクリジン、置換されてもよいフェナジン、置換されてもよいフェノキサジン、置換されてもよいフェノチアジン、置換されてもよいフェノキサチイン、置換されてもよいキヌクリジン、置換されてもよいアザアダマンタン、置換されてもよいジヒドロアゼピン、置換されてもよいアゼピン、置換されてもよいジアゼピン、置換されてもよいオキセパン、置換されてもよいチエピン、置換されてもよいチアゼピン、置換されてもよいアゾカン、置換されてもよいアゾシン、置換されてもよいチオカン、置換されてもよいアゾナン、置換されてもよいアゼシンなどが含まれる。任意の置換基には、アリールに対して本明細書に記載したものが含まれる。
【0241】
複素環はまた、カチオンおよび/またはその塩を含むことができる。いくつかの実施形態では、カチオン形には、複素環のヘテロ原子(例えば、N)に連結している置換されてもよいアルキルが含まれる。例示的なカチオン形としては、チアゾリウムおよびその塩が挙げられる。複素環は、1つまたは複数の置換基(例えば、アリールまたはアルキルに対して本明細書に記載された、例えば、アミン、アルキル、オキソなど)を含むことができる。例示的な置換複素環としては、N-メチルピロリドン、N-メチルイミダゾール、2,6-ルチジンおよび4-N,N-ジメチルアミノピリジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、複素環は、2つ以上のヘテロ原子(例えば、2つ以上のN、Oおよび/またはS)を含む。
【0242】
炭化水素
他の実施形態では、安定化剤は、環状炭化水素(例えば、メチルシクロヘキサン)、置換芳香族炭化水素(例えば、クメン、アニリン、N,N-ジメチルアニリンなどのハロ-置換ベンゼン、アミン-置換ベンゼン、C2-8アルキル-置換ベンゼンまたはハロ-およびアルキル-置換ベンゼン)、ハロ炭素(例えば、1つまたは複数のハロを有するC2-12アルキル)などの炭化水素である。いくつかの例では、炭化水素は、非置換のベンゼンやC1アルキル-置換ベンゼン(例えば、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン)以外である。他の例では、炭化水素は、ハロ-置換C1炭化水素(例えば、クロロホルムや塩化メチレン)以外である。さらに他の例では、炭化水素はアセトニトリル以外である。いくつかの実施形態では、炭化水素は、1つまたは複数の二重結合または三重結合を有する非置換炭化水素である。他の実施形態では、炭化水素は非置換の環状炭化水素(例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、フルオレンなど)である。特定の実施形態では、炭化水素は、1つまたは複数の二重結合を有するアルケンまたは1つまたは複数の三重結合を有するアルキンであり、ここで、アルケンまたはアルキンは直鎖状または環状であり得る。例示的なアルケンとしては、エテン、プロペン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、これらのジエン、および可能な場合には、二重結合の位置が異なる位置異性体(例えば、1-ブテンの位置異性体は、2-ブテンなどである)が挙げられる。例示的なアルキンとしては、エチン、プロピン、1-ブチン、1-ペンチン、1-ヘキシン、1-ヘプチン、1-オクチン、1-ノニン、および可能な場合には、三重結合の位置が異なる位置異性体(例えば、1-ブチンの位置異性体は、2-ブチンなどである)が挙げられる。
【0243】
イミン
一実施形態において、安定化剤は、R1N=CR23の化学式を有するイミンであり、ここで、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである。
【0244】
例示的イミンには、R1N=CR23の化学式を有するシッフ塩基が含まれ、ここで、R1は水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせであり、R2およびR3は、それぞれ独立に、H、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせである。
【0245】
いくつかの実施形態では、R1、R2およびR3は、それぞれ独立に、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロヘテロアルキル、ハロヘテロアルケニル、ハロヘテロアルキニル、アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、アルキル-アリール、アルケニル-アリール、アルキニル-アリール、アルキル-ヘテロシクリル、アルケニル-ヘテロシクリル、アルキニル-ヘテロシクリル、アルキル-ヘテロアリール、アルケニル-ヘテロアリール、アルキニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキル-アリール、ヘテロアルケニル-アリール、ヘテロアルキニル-アリール、ヘテロアルキル-ヘテロシクリル、ヘテロアルケニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキニル-ヘテロシクリル、ヘテロアルキル-ヘテロアリール、ヘテロアルケニル-ヘテロアリール、ヘテロアルキニル-ヘテロアリールおよびこれらの組み合わせから選択される。特に開示された実施形態では、イミンは、1つまたは複数の置換基、例えば、ヒドロキシル、アルコキシ、アミド、アミン、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシル ハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせにより、さらに置換されてもよい。
【0246】
イオン性液体
安定化剤は、カチオン部およびアニオン部を有するイオン性液体であり得る。例示的なカチオン部としては、イミダゾリウム(例えば、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムや1-エチル-3-メチルイミダゾリウムなどの1-アルキル-3-メチルイミダゾリウム)、ピリジニウム(例えば、1-メチル-アルキルピリジニウム、1-プロピル-アルキルピリジニウム、1-ブチル-アルキルピリジニウムなどの1-アルキルピリジニウム)、ピロリジニウム(例えば、N-メチル-N-アルキルピロリジニウム)、アンモニウム(例えば、トリオクチルメチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウム)、ホスホニウム、チアゾリウム、トリアゾリウムなどが挙げられる。例示的なアニオン部としては、テトラフルオロホウ酸塩(BF4 -)、ヘキサフルオロリン酸塩(PF6 -)、ビストリフリミド([(CF3SO22N]-)、トリフラート、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフリミド、ハライド(例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、メチル硫酸塩、硫酸エチル、ドキュセート、ジシアンアミドなどが挙げられる。
【0247】
カチオン部は、1つまたは複数の置換基、例えば、アルキル、アルコキシ、アミド、アミン、チオエーテル、チオール、アシロキシ、シリル、シクロ脂肪族、アリール、アルデヒド、ケトン、エステル、カルボン酸、アシル、アシルハライド、シアノ、ハロゲン、スルホン酸塩、ニトロ、ニトロソ、四級アミン、ピリジニル(または、窒素原子が脂肪族またはアリール基で官能化されているピリジニル)、アルキルハライドまたはこれらの組み合わせにより、さらに置換されてもよい。
【0248】
金属化合物
他の実施形態では、安定化剤として、金属化合物(例えば、遷移金属化合物)および金属塩、例えば、白金化合物(例えば、Pt(II))、鉄化合物(例えば、Fe(0))、モリブデン化合物(例えば、Mo(0))、クロム化合物(例えば、Cr(0))、チタン化合物(例えば、Ti(IV)またはTi(II))、銀化合物(例えば、Ag(I))、イリジウム化合物(例えば、Ir(I)またはIr(III))、パラジウム化合物(例えば、Pd(II))、クロム化合物(例えば、Cr(III))、タンタル化合物(例えば、Ta(V))、コバルト化合物(例えば、Co(II))、銅化合物(例えば、Cu(I))、ロジウム化合物(例えば、Rh(I))、オスミウム化合物(例えば、Os(IV))およびニッケル化合物(例えば、Ni(I))が挙げられる。
【0249】
オニウム化合物
一実施形態において、安定化剤として、オニウム化合物、例えば、ニトロニウムイオン、ニトロソニウムイオン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムイオン、イミニウムイオン、ジアゼニウムイオン、グアニジニウムイオン、ニトリリウムイオン、ジアゾニウムイオン、ピリジニウムイオン、ピリリウムイオン、チオニトロシルイオンなどが挙げられる。
【0250】
有機硫黄および有機リン化合物
一実施形態において、安定化剤として、有機硫黄化合物、例えば、チオエステル、スルホン、チオスロフィン酸塩、スルフィミド、スルホキシミド、スルホンジイミン、S-ニトロソチオール、チオケトン、チオアルデヒド、チオカルボン酸、チオアミド、スルホン酸、スルフィン酸、スルフェン酸、スルホニウム、オキソスホニウムまたはチオカルボニルイリドが挙げられる。
【0251】
いくつかの実施形態では、有機硫黄化合物は、X-S(O)-Yの化学式を有するスルホキシド化合物であって、ここで、
Xは、独立に、水素および-[C(R12m-C(R1)から選択され得、
Yは、独立に、水素および-[C(R12n-C(R1)から選択され得、ここで、各R1は、独立に、水素、ヒドロキシル、脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、脂肪族-芳香族、ヘテロ脂肪族-芳香族またはこれらの組み合わせから選択され、mは、1~10の整数であり、nは0~10の整数である。特定の実施形態では、スルホキシドはジメチルスルホキシド以外である。
【0252】
さらに他の実施形態では、安定化剤として、有機リン化合物、例えば、リン酸エステル、リン酸アミド、ホスホン酸、ホスフィン酸、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、ホスフィンオキシド、ホスフィンイミドまたはホスホニウム塩が挙げられる。例示的な有機リン化合物としては、リン酸およびトリアルキルリン酸が挙げられる。
【0253】
他の安定化剤
様々な安定化剤を以下の表1に示す。
【表1】
【0254】
本明細書に記載された安定化剤には、化合物の非置換および/または置換の形が含まれる。非限定の例示的な置換基として、例えば、1個、2個、3個、4個またはそれ以上の置換基が挙げられ、置換基は、独立に、以下の(1)~(26)からなる群から選択される。すなわち、(1)C1-6アルコキシ(例えば、-O-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(2)C1-6アルキルスルフィニル(例えば、-S(O)-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(3)C1-6アルキルスルホニル(例えば、-SO2-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(4)アミン(例えば、-C(O)NR12または-NHCOR1、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができる)、(5)アリール、(6)アリールアルコキシ(例えば、-O-L-R、ここで、Lはアルキルであり、Rはアリールである)、(7)アリ-ロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rはアリールである)、(8)アジド(例えば、-N3)、(9)シアノ(例えば、-CN)、(10)アルデヒド(例えば、-C(O)H)、(11)C3-8シクロアルキル、(12)ハロ、(13)ヘテロシクリル(例えば、本明細書に定義されるように、1、2、3または4個の非炭素ヘテロ原子を含有する5、6または7員環である)、(14)ヘテロシクリロキシ(例えば、-O-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(15)ヘテロシクリロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(16)ヒドロキシル(例えば、-OH)、(17)N-保護アミノ、(18)ニトロ(例えば、-NO2)、(19)オキソ(例えば、=O)、(20)C1-6チオアルコキシ(例えば、-S-R、ここで、Rはアルキルである)、(21)チオール(例えば、-SH)、(22)-CO21、ここで、R1は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(23)-C(O)NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(24)-SO21、ここで、R1は、(a)C1-6アルキル、(b)C4-18アリールおよび(c)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(25)-SO2NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)および(26)-NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)N-保護基、(c)C1-6アルキル、(d)C2-6アルケニル、(e)C2-6アルキニル、(f)C4-18アリール、(g)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(h)C3-8シクロアルキルおよび(i)C1-6アルキル-C3-8シクロアルキル(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)からなる群から選択される。ここで、一実施形態においては、2つの基が、カルボニル基またはスルホニル基を介して窒素原子に結合することはない。特定の実施形態では、安定化剤はアセトニトリル以外である。
【0255】
成膜工程
図1は、特定の実施形態に従ってアッシャブルハードマスクを形成するための、一般的なプロセスフローの段階を示す。アッシャブルハードマスクは、使用後に酸化により取り除くことができるエッチングマスクとして使用される、炭素系フィルムである。ある実施形態では、無定形の炭素系フィルムである。無定形の炭素系フィルムは、半導体加工に使用される他の種類のフィルムを形成するために使用してもよい。図示の実施形態では、方法100は、成膜チャンバーに半導体基板を供給することから始める(ブロック102)。例えば、半導体基板は300mmの半導体ウエハでよく、成膜チャンバーはラムリサーチベクター(登録商標)モジュールであってよい。その後、アセチレンを含有する前駆体プロセスガスをチャンバーに導入する(ブロック104)。成膜工程中のアセチレンの流量は、成膜チャンバーの大きさおよび他のプロセスパラメータに依存するが、約3,000~10,000標準立方センチメートル毎分(sccm)である。一実施形態において、アセチレンの流量は、約5,000~8,000sccmでよい。プロセスガスには、メタン、エチレン、プロピレン、ブタン、シクロヘキサン、ベンゼンおよびトルエンなどの、他の炭素含有前駆体も含まれてよい。
【0256】
前駆体を希釈するためにキャリヤーガスを使用してもよい。キャリヤーガスは、半導体加工に使用される適当なキャリヤーガス、例えば、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素またはこれらの組み合わせなどを含んでいてもよい。全体のキャリヤーガス流量は、成膜チャンバーの大きさや他のプロセスパラメータに依存し、約500~10,000sccmの範囲であってよい。特定の実施形態では、窒素やヘリウムを、約500~5,000sccmあるいは約300~3,000sccmの流量範囲に対応するキャリヤーガスとして使用する。半導体加工の他の段階は、異なるプロセスガスや異なる流量を含んでよい。例えば、チャンバーの洗浄は、炭素含有前駆体を含まなくてもよい。
【0257】
図示の実施形態では、その後、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)または他の成膜工程により、半導体基板上にアッシャブルハードマスクを成膜する(ブロック106)。
【0258】
アセチレンを供給する方法および装置
アセチレンは、15psig(103000Pa)を超える圧力で分解し始める。アセチレンは激しく分解する傾向があることを考えて、アセチレンシリンダーには、受け入れラインの圧力を15psigに制限する安全圧力調整器が取り付けられる。しかし、安全装置を使用する場合、シリンダー内のオーバーヘッド圧力は200psiを超えるかもしれない。成膜チャンバーは、通常、低圧力で操作されることを考慮すると、15psig以下は十分に高い駆動圧であり、アセチレンガス流は前工程モジュールから成膜チャンバーに流れる。一例として、成膜工程は、成膜チャンバーを約8Torrに保ちながら、約6750sccm(6.75L/min)の流量を採用してもよい。上述のように、流量およびチャンバー圧は、プロセス要求に依存して変化してもよい。
【0259】
ある実施形態では、アセチレン源は、安全放出装置に加え、充填材と安定化剤が入っているシリンダーである。ある実施形態では、従来から圧縮ガスサービスに使用されている、標準サイズの中空スチールシリンダーがアセチレン用に使用される。ある実施形態では、連動シリンダー、つまり、共通のガスラインに接続されたシリンダー。
【0260】
アセチレン源はボトルやシリンダーでよいが、アセチレンを広域供給するタンクや施設(例えば、施設に配管されたアセチレン資源)であってもよい。
【0261】
図2は、アセチレン源202および成膜チャンバー204を他の構成要素と共に採用している、成膜装置の例を示すブロック図である。アセチレン容器または他のアセチレン源202は、対応する圧力調節装置203を有し、成膜チャンバーに接続されている。アセチレン源は、アセチレンと安定化剤を含有する。ある実施形態では、アセチレン源は約200psiを超えて加圧されている。
【0262】
アセチレンガス流がアセチレン源から吐出される場合、アセチレンガス流は、まず、圧力調節装置203を通過し、そこで、シリンダーのサービス圧が15psig(103000Pa)を下回る安全水準に低減される。アセチレンは、その後、処理ライン206を通過し、成膜チャンバー204に入る。処理ライン206に好適な物質としては、スチールと錬鉄が挙げられる。一般的に、鋳鉄、純銅、銀および水銀は、爆発性アセチリドを形成する可能性があるので回避される。処理ライン中のアセチレンガス流は、アセチレンの他に、安定化剤の蒸気を含んでいてもよい。処理ラインにおける安定化剤の濃度は、アセチレンシリンダーの活動中のサービス圧力に依存し、約0.01%~0.1%の範囲内でよい。ライン中のアセチレンガス流の温度は、アセチレンシリンダーの保存状態、蒸発速度や他の因子に依存する。ある実施形態では、ガス流は、まず、熱交換器207を通過し、成膜中のアセチレンの温度を制御してもよい。ある実施形態では、熱交換器207は、アセチレンガス流の温度を約10℃から50℃の間に保つことができる。場合によっては、温度は約15℃から30℃の間に保たれる。
【0263】
アセチレンガス流は、その後、質量流量制御装置(MFC)208を通過し、成膜チャンバー204に入る。MFC208は、安定化剤濃度を下げたアセチレンガス流の特性、例えば、温度、組成物、圧力、望ましい流量などの、特定の範囲に対して較正されていてもよい。MFC208には、オペレーターまたは外部システムによって入力信号が与えられる閉ループ制御システムが取り付けられてもよく、入力値は質量流量センサーからの値と比較され、それに応じてMFCのバルブが調整されて必要な流量を達成する。
【0264】
最後に、アセチレンガス流は、成膜チャンバー204に流れ込む。成膜チャンバー204の例は、図6に照らして、より詳細に説明される。アセチレンガス流は、電子機器の製作中に高炭素含有物質の層を半導体基板上に形成するために使用される、炭素含有前駆体として使用されてもよい。この工程は、成膜チャンバー204内で行われる。
【0265】
図3は、特定の実施形態に従ってアセチレンガス流を処理するためのプロセスフローにおける段階を示す、フローチャートである。工程は、アセチレン源302を準備することから開始する。例として、本例のアセチレンを、(標準温度および圧力において)200~500立方フィート(5.66~14.2立方メートル)のアセチレンを保存するシリンダー(ボトルとも称する)に入れてもよく、その際、アセチレンはアセトンに溶解させる。アセチレンは、安定化剤に溶解され、アガマサンのような多孔材の金属シリンダーに入れてもよい。
【0266】
図3に戻って、次の操作では、アセチレンをアセチレン源から前処理モジュールに供給することを含む。アセチレンの前処理モジュール304への供給は、システム全体の圧力差により駆動され、アセチレン源のバルブと前処理モジュールと成膜チャンバーとの間の質量流量制御装置により制御されてもよい。ある実施形態では、前処理モジュール内での圧力低下は、実質的ではなく、アセチレンガス流が取る全経路の長さと有効径に依存する。加えて、圧力低下は、温度とアセチレンガス流の組成に影響されることがある。アセチレン源のバルブが開いてアセチレンガス流が一旦前処理モジュールを満たすと、アセチレンガス流は少なくとも2つのフロー状態となる。一つは、成膜工程操作が、例えば、成膜チャンバーの洗浄において、アセチレンを必要とせず、アセチレンガス流が前処理モジュール内に動かず留まっている場合である。他の状態は、アセチレンガス流が前処理モジュールを通過し、成膜チャンバーへ入る場合である。
【0267】
アセチレンガス流は、前処理モジュールを流れて通過するときに、一定の温度に冷却される(ブロック306)。これにより、アセチレン安定化剤の凝縮と除去が促進される。前処理モジュールは、必要な冷却を達成するための様々な方法を含んでもよい。特定の実施形態では、アセチレンガス流は、冷却剤と接した状態である熱交換器を通過する。様々な種類の熱交換器、例えば、管形熱交換器、板状熱交換器、再生式熱交換器、断熱ホイール熱交換器などを冷却に使用することができる。特定の実施形態では、2つのスパイラル熱交換器のセットを使用する。前処理モジュールの一例を、さらに詳細に以下の図4に照らして説明する。
【0268】
熱交換器を、冷却剤を含む槽に沈めてもよい。例として、熱交換器を、-30℃~-60℃の温度に保持されているエチレングリコール中に沈める。熱交換器の設計とアセチレンガス流の流量は、熱交換器から離れるガス流の温度が冷却剤の温度から数℃以内になるようにしてよい。前工程モジュールに入る際、アセチレンガス流は約0.5%~5%の安定化剤の蒸気を含有してもよい。アセチレンガス流の温度を下げれば、アセチレンガス流中の安定化剤の蒸気を凝縮により低減することができる。ガス状のアセチレン内に残る安定化剤の蒸気濃度(安定化剤の蒸気の凝縮後)は、熱交換器内のアセチレンガス流の温度、ガス流中の安定化剤の初期濃度、ガス流の流量および他のプロセスパラメータに依存する。低温では安定化剤の多くがガス流から取り除かれるが、低すぎる温度は、より多くのアセチレンを凝縮安定化剤に溶解させることになる。したがって、出口アセチレンガス流の温度は、安定化剤の望ましい最終濃度、アセチレンの損失および全体的な前処理モジュールの設計に基づいてもよい。
【0269】
安定化剤の凝縮は、典型的には、熱交換器の内壁上で起こる(ブロック308参照)。熱交換器の壁の表面積は十分に大きく、好適な熱伝達および凝縮をもたらす。凝縮安定化剤は、重力とガス圧によって熱交換器を通り、液体トラップの底部に進み、廃棄システムに排出される前に一時的にそこに集められる。アセチレンガス流は、ミストバリア内に取り除かれるミスト状の安定化剤の液滴を運びながら、トラップも通過する。
【0270】
トラップの底部の液体レベルが、設定された最大レベルに到達または超えた場合、レベルセンサーは、液体が廃棄システムに排出されることを確実にする(ブロック310参照)。ある実施形態では、レベルセンサーは、信号を廃棄システムの排出バルブを開ける制御システムに送る。液体は、その後、重力により収集容器内に排出され、安全のために低オーバーヘッドガス圧に維持される。凝縮安定化剤は、相当量の高溶解性アセチレンを含有してもよい。このアセチレンの一部は、安定化剤から蒸発させてもよく、削減ユニット内に排出されてもよい。安定化剤は、その後、廃棄される(ブロック312参照)。安定化剤の削減には様々な方法が使用できる。あるいは、液体は焼却により破壊されてもよい。
【0271】
その後、精製されたアセチレンガス流は加熱器を通過し、成膜工程での使用に好適なレベルまでガス流の温度を上げる(ブロック314参照)。熱交換器および前処理モジュールのトラップ部を離れるガス流の温度は、冷却剤の温度付近でもよい。一実施形態において、熱交換流体は、約-30℃~-60℃に保たれてもよい。一実施形態において、アセチレンと残留安定化剤のガス流は、約10℃~40℃の間に加熱される。加えて、加熱器は、特に、ガス流が加熱器内を流れず、成膜工程操作がアセチレンを必要としない場合、アセチレンガス流が過熱されることを避けるように設計されてもよい。
【0272】
図3に戻って、ガス流は、その後、質量流量制御装置を流れて通過し、成膜チャンバー内に入る(ブロック316参照)。成膜工程は、アッシャブルマスクプレコートやアッシャブルマスク成膜などのある種の操作中のみにおいて、流量が制御されているアセチレンガス流の供給が必要である。供給量およびタイミングは、質量流量制御装置を使って制御してよい。
【0273】
最後に、アセチレンガス流は成膜チャンバーに供給され、そこで高炭素含有物質が基板上に堆積される(ブロック318参照)。一般的に、高炭素含有物質は、少なくとも約25原子パーセントの炭素、多くの場合、少なくとも約50原子パーセントの炭素を含む物質である。ダイヤモンド様のグラファイトフィルムでは、炭素がフィルムの約100原子パーセントまで占めてもよい。
【0274】
一実施形態において、アッシャブルハードマスクを成膜する工程は、次の操作、すなわち、下塗り成膜、アッシャブルハードマスクプレコート、アッシャブルハードマスク成膜、高圧力でのチャンバーの洗浄、および低圧力でのチャンバーの洗浄を含んでよい。アセチレンガス質量流量制御装置は、全工程の有効部分であるプレコートまたはアッシャブルハードマスク成膜を含まない残りの操作中には閉じられる。しかし、アセチレン源からのバルブは、この期間においても開いたままでよく、アセチレンガス流は、アセチレン源により加圧されている前工程モジュールに留まる。
【0275】
図4は、前処理モジュール402および他の関連装置、例えば、対応する圧力調節装置406を有するアセチレン源404や成膜チャンバー432などを示す、簡単なブロック図である。アセチレン源404は、アセチレンと安定化剤(例えば、本明細書に記載の安定化剤)を含有する。ある実施形態では、アセチレン源404は、200psiを超えて加圧される。アセチレン源は、アセチレンを広域供給するタンクや施設(例えば、施設に配管されたアセチレン資源)であってもよい。いくつかの実施形態では、アセチレン源404は、充填材や安全放出装置を有する、上述したようなアセチレンシリンダーである。
【0276】
アセチレンガス流がアセチレン源404から吐出される場合、アセチレンガス流は、まず、圧力調節装置406を通過し、そこで、シリンダーのサービス圧が15psig(103000Pa)を下回る安全水準に低減される。アセチレンは、その後、処理ライン408を通過し、前処理モジュール402内に入る。いくつかの実施形態では、前処理モジュール402は、液体槽409を含み、処理ライン408は、槽409へのアセチレンガス流の入り口となる。処理ライン408内のアセチレンガス流は、アセチレンに加えて、安定化剤の蒸気を含んでもよい。一例として、処理ライン内の安定化剤の濃度は、典型的には、アセチレンシリンダーの活動中のサービス圧力に依存し、約0.5%~5%の範囲である。ライン408中のアセチレンガス流の温度は、アセチレンシリンダーの保存状態、蒸発速度や他の因子に依存する。
【0277】
一実施形態において、液体槽409は冷却剤410を含有してもよい。例えば、冷却剤は、エチレングリコールと水を含んでもよいが、他の冷却剤を使用してもよい。例えば、ダイナレンHF-LO(脂肪族炭化水素混合物)、ダイナレンMV(炭化水素混合物)および/またはシルサームTMXLT(ポリジメチルシロキサン液)を使用してもよい。アセチレンフローパスにおける1つまたは複数の熱交換器は、液体槽409内に備えられてもよい。例えば、図示の実施形態では、1つの熱交換器411を処理ライン408に取り付け、他の熱交換器424は出口ライン426に取り付ける。しかし、槽は、いくつの熱交換器を含有してもよい。熱交換器の数や設計は、処理ライン408内での流量、出口ライン426内での安定化剤の必要な濃度、液体槽409の様々な設計パラメータおよび他の因子に依存する。液体槽410は、信号をプログラマブル論理制御装置(PLC)438に送るレベルセンサー436を有していてもよい。
【0278】
アセチレンガス流は、最初は、熱交換器411により冷却される。プロセス要求に依存し、アセチレンガス流を、冷却剤の温度の数度以内の温度に冷却してもよい。様々な種類の熱交換器を使用してもよい。場合によっては、コイル状の熱交換設計は、直径約0.5インチ(12.7mm)、表面積約100~1000平方インチ(645~6450平方cm)の、316SSなどのステンレススチール(SS)管とともに使用される。特定の実施形態では、熱交換器の表面積は、約200~600平方インチ(1290~3870平方cm)である。アセチレンガス流からの安定化剤の最初の凝縮は、熱交換器411の壁状に起こる。多くの安定化剤は、アセチレンよりも実質的に高い沸騰温度を有する。しかし、多少のアセチレンは、前処理モジュール402全体に存在する液体安定化剤に溶解されてもよい。アセチレンガス流を非常に低い温度に冷却し、アセトンや他の安定化剤のほとんどを除去することが望ましいが、アセチレンの液体流への損失を最小限に抑えるための最低温度が存在することもある。一実施形態において、アセチレンガス流は、後処理モジュール402内で-30℃~-60℃に冷却される。
【0279】
凝縮安定化剤およびアセチレンガス流は、熱交換器411から液体トラップ412へ進む。凝縮安定化剤の流れは、重力およびシステム全体の圧力差に基づくガス流と同時に起こる流れにより駆動される。トラップ412は、アセチレンガス流から凝縮安定化剤を分離し、トラップの底部に凝縮安定化剤を集めるように設計されている。トラップ412の底部に集められた液体は、主として凝縮安定化剤であるが、いくらかの溶解されたアセチレンも含むことがある。液体は、アセチレンガス流のバリアとなり、収集容器420内へ流出しないようにしている。集められた液体は、出口ライン426内に流出される。したがって、液体レベルは、トラップ内の特定の最小レベルと最大レベルの間に維持されてよい。ある実施形態では、レベルセンサー416は、液体レベルを維持するために使用される。あるいは、単純な機械的な液体トラップを、収集容器420につながるライン内で使用してもよい。例えば、単純なU字、S字またはJ字型のパイプトラップをこのラインに取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、危険な環境に適した、赤外線および無線周波数領域内のいずれかの波長を使用するレーダーセンサーを使用してもよい。特定の一実施形態では、6.3GHzで動作するセンサーを使用し、液体のレベルを追跡する。レベルセンサー416は、その後、信号をプログラマブル論理制御装置(PLC)438に送信する。そのような信号は、警報または状態表示出力440を提供することもできる。図5に照らして、トラップの例の操作について更に詳細に説明する。
【0280】
槽409の望ましい温度に到達し、維持するために、冷却剤410は、冷却装置414を循環する。冷却装置として、いずれの種類を使用してもよい。ある実施形態では、冷却装置414は、逆ランキン蒸気圧縮冷却などの循環冷却原理を利用する。冷却装置414は、別の施設に設置されてもよく、槽409と冷却装置414との間に冷却剤410を循環させるポンプを有する。槽はまた、槽409内の冷却剤の追加の強制対流を提供する撹拌器434を有してもよい。撹拌器434は、槽に伸びるモーターのシャフトの端に、モーターとプロペラ型のミキサーを有してもよい。モーターは、電気または空気圧など、どのような型でもよい。撹拌器434を熱交換器411および424の近くに配置し、熱交換器の外面近くに冷却剤の適当な流れを確保してもよい。
【0281】
トラップ412からのガス流は、同様に槽409の冷却剤410に沈められている、他の熱交換器424に向けてもよい。他の熱交換器424を使用するかどうかは、冷却剤の温度、アセチレンガス流の流量および前処理モジュール402内にある全ての熱交換器の設計に依存してよい。ある実施形態では、熱交換器424は、第一の熱交換器411に熱的におおよそ同等である。熱交換器424は、アセチレンガス流の流れに対して、トラップ412の後、出口ライン426の前に設置される。熱交換器424は、アセチレンガス流をさらに冷却し、ガス流から安定化剤をさらに凝縮させる。凝縮液は、重力によって、アセチレンガス流の流れに逆らって、熱交換器424内に排出され、トラップに戻される。したがって、ある実施形態で使用される管の内部の大きさは、この逆流を収容するに十分であってよい。凝縮液の一部は、ガス流内にミストとして存在してもよい。ミストトラップは、出口ライン426内または手前のアセチレンガス流の流れに沿って合体されてもよい。
【0282】
1つまたは複数の熱交換器から集められた液体は、その後、トラップ内に蓄積する。蓄積が一定のレベルに達した場合、収集容器420につながる排水バルブ418が開き、液体は重力により収集容器420内に流れ込む。バルブは、レベルセンサー416によっても管理される液体レベルが一定の最小液体レベルに到達または下回った場合、閉じる。収集容器420を低温度および低圧力に保ち、15psig(103000Pa)を超える圧力に達することを回避する。凝縮安定化剤は、相当量の凝縮かつ溶解されたアセチレンを含有してもよい。槽409を離れる液体の温度は、槽409自身の温度に近い。ある実施形態では、槽409の温度は、約-30℃~-60℃に保たれる。収集容器420内の液体の温度を上げると、液体からアセチレンが蒸発する。15psigを超えるアセチレン圧を回避するために、収集容器420は大気圧付近に保たれる。次いで、液体は、削減ユニット422内に運ばれ、蒸発する。液体の廃棄には様々な方法を用いてよい。場合によっては、削減ユニット422は、収集容器420から供給された全てを燃焼させる。
【0283】
その後、アセチレンガス流は、出口ライン426に進む。アセチレンガス流内の安定化剤の濃度は、この時点で実質的に低下する。出口ライン426でのこのガス流の温度は、冷却剤の温度の数度以内であってよい。ガスの特性の多くは、温度依存性であり、質量流量制御装置430の操作に影響し、成膜チャンバー432内での成膜工程に影響を与えるため、ガス流は最初に加熱器428を通過させられる。様々な種類の加熱器を使用してよい。ある実施形態では、加熱器は、アセチレンガス流の温度を約10℃~50℃に維持することができる。特定の一実施形態では、温度を約15℃~30℃に維持できる。
【0284】
安定化剤の濃度を下げたアセチレンガス流は、その後、質量流量制御装置(MFC)430を通り、成膜チャンバー432に流入する。MFC430は、アセチレンガス流の特性、例えば、温度、組成物、圧力、望ましい流量などの、特定の範囲に対して較正されてもよい。MFC430には、オペレーターまたは外部システムによって入力信号が与えられる閉ループ制御システムが取り付けられてもよく、入力値は質量流量センサーからの値と比較され、それに応じてMFCのバルブが調整されて必要な流量を達成する。
【0285】
最後に、アセチレンガス流は成膜チャンバー432に流入する。前処理モジュールは、成膜チャンバーとインターフェースで接続するように設計されてもよい。これには、成膜チャンバーに直接結合するための特定の取り付けに加え、インターフェースに特別に設計および/または選択されたフローチューブ(特定の大きさ、形状および向きを含む)を提供することを含んでよい。成膜チャンバー432を前処理モジュール402に結合するためには、いくつかのタイプの取り付けが使用されてよい。例えば、スウェージロックVCR面シール取り付けまたはスウェージロックVCRチューブ取り付けを、この相互連結に使用してもよい。他の真空タイプおよび低圧ガス接続タイプの取り付けを使用してもよい。いくつかの実施形態では、半導体装置および半導体加工全般に適合するように、取り付けを特別に設計してもよい。成膜チャンバー432の一例を、図6に照らしてより詳細に説明する。すでに述べたように、アセチレンガス流は、電子機器の製作中に高炭素含有物質の層を半導体基板上に形成するために使用される、炭素含有前駆体として使用されてもよい。この工程は、成膜チャンバー432内で行われる。
【0286】
図5は、本明細書に記載のようなアセチレン前処理モジュールに使用されるトラップ500の模式図である。図5に関して、トラップ500は、構成要素412の一例である。トラップ500は、ガス流入口ライン504、ガス流出口ライン504および凝縮液出口512を有する本体502を有する。ガス流入口ライン504とガス流出口ライン504は、熱交換器または前処理モジュールの他の構成要素に取り付けられてよい。アセチレンガス流は、入口504を通ってトラップ500に流入する。ガス流は、トラップに入る前にすでに冷却されており、通常、アセチレンが溶解した凝縮安定化剤などの液体を含有する。液体は、入口504の壁からのものであってもよく、ミストの形、すなわち、アセチレンガス流に懸濁した微小液滴であってもよい。トラップ500は、アセチレンガス流から液体を分離することを助けるミストバリア506を有してもよい。ミストバリア506は、安定化剤およびアセチレンに耐性であり、温度に耐えることができる(-80℃まで)適当な物質で作成される。ある実施形態では、ミストバリア506は高多孔性アルミニウムブロック(すなわち、アルミニウム泡)である。ミストバリア506は、その側面に液体を捕捉しながら、アセチレンガス流が通過させるための曲がりくねった経路を有してもよい。液体は、その後、トラップ500の底部に逆流する。ミストバリア506の多孔性は、液体が流れ、アセチレンガス流をトラップ内で塞ぐことがないよう、十分に空いているべきものである。ミストトラップ506はまた、アセチレンガス流内に残存する安定化剤ための追加の凝縮面を提供することがある。
【0287】
前述のように、凝縮液は、重力によりトラップ500の底部に流れる。その後、液体は、凝縮液出口512を通って除去される。図5を参照して説明したように、液体の除去は、トラップの底部における液体レベル510に依存する。液体レベル510が、一定の最大値510Aに達した場合、前処理モジュールの排出バルブが開き、凝縮液は凝縮液出口512を通って排出される。その後、排水は、液体レベル510が一定の最小値510Bに到達または下回ったときに停止する。トラップ500内での液体レベル510のモニターは、液体レベルの液体レベルセンサーへの直接暴露を供給する、センサーパス508を介して行われる。
【0288】
アセチレンガス流は、その後、ガス出口ライン514を通って、トラップ500を離れる。上述のように、ガス流は、その後、他の熱交換器に入ってもよく、そこで追加の凝縮が起こる。いずれの凝縮でも、ガス出口ライン514はトラップ500の底部に戻る。
【0289】
成膜チャンバー
開示された炭素成膜工程は、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)反応装置により実行されてよい。そのような反応装置は、多数の異なる形をとってよい。ある実施形態では、装置は、1つまたは複数のウエハを収容し、ウエハ加工に好適な、1つまたは複数の(場合によっては、複数のステーションを含む)チャンバーまたは「反応装置」を有する。成膜中、チャンバーは、加工用の1つまたは複数のウエハを保持する。1つまたは複数のチャンバーは、成膜中、ウエハを定められた位置に維持する。一実施形態において、ハードマスク成膜を受けるウエハは、工程中、反応装置チャンバー内の1つのステーションから他のステーションへと運ばれる。例えば、特定のハードマスクフィルム成膜工程では、フィルム厚さの四分の一が、4つのステーションのそれぞれにおいて、開示された実施形態に従って成膜される。もちろん、完全なフィルム成膜を、単一のステーションで完全に行ってもよく、総フィルム厚の一部をいくつかのステーションのそれぞれで成膜してもよい。
【0290】
処理中、各ウエハは、台座、ウエハチャックおよび/または他のウエハ保持装置によって所定の位置に保持される。ウエハを加熱する特定の操作ために、装置は、加熱板などの加熱器を含んでもよい。ある実施形態では、カナダ、フリーモント、ラムリサーチ社製造のベクター(登録商標)反応装置を使って、開示された実施形態を実行してもよい。
【0291】
図6は、アセチレンから炭素含有フィルムを成膜するために作用する、種々の反応装置構成要素を示すブロック図であり、構成要素は、システム制御装置628により制御することができる。図示されるように、反応装置600は、反応装置の他の構成要素を収容するプロセスチャンバー624を有し、接地された加熱器ブロック620と共に働くシャワーヘッド614を有するコンデンサ型システムによって生成されたプラズマを封じ込めるような働きをする。整合ネットワーク606に接続された高周波RF発生器604および低周波RF発生器602は、シャワーヘッド614に接続されている。あるいは、低周波RF発生器602は、基板616に接続されてもよい。整合ネットワーク606によって供給される電力および周波数は、プロセスガスからプラズマを生成するに十分な、例えば、400~700Wの総エネルギーである。典型的な工程では、高周波RF構成要素は、一般的に、2~60MHzであり、ある実施形態では、HF構成要素は約13.56MHzである。LF構成要素は、約100kHz~2MHzであり得、ある実施形態では、LF構成要素は、400kHzである。
【0292】
反応装置内で、ウエハ台座618は基板616を支える。台座は、成膜および/またはプラズマ処理反応中および間に基板を保持および運ぶためのチャック、フォークまたはリフトピンを有してもよい。チャックは、静電チャック、メカニカルチャックまたは産業および/または研究において使用可能な、その他の様々な種類のチャックでよい。
【0293】
プロセスガスは入口612から導入される。複数の原料ガスライン610はマニホールド608に接続される。ガスは予備混合されても、されなくてもよい。工程の成膜中およびプラズマ処理段階中に正しいガスが供給されていることを確実にするために、バルブと質量流量制御機構を採用してもよい。化学前駆体を液体状態で供給する際には、液流制御機構を採用する。液体は、成膜前に、蒸発させて、他のプロセスガスと混合する。
【0294】
プロセスガスは、出口622からチャンバー600を出る。真空ポンプ626(例えば、1または2段階のメカニカルドライポンプおよび/またはターボ分子ポンプ)は、典型的には、プロセスガスを引き抜き、絞りバルブや振り子バルブなどの閉ループ制御流量制限装置により反応装置内を適度な低圧に維持する。
【0295】
いくつかの実施形態では、システム制御装置628と関連するユーザーインターフェースが存在する場合がある。ユーザーインターフェースは、ディスプレイスクリーン、装置および/またはプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、およびポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイクなどのユーザー入力デバイスを含んでもよい。
【0296】
いくつかの実施形態では、システム制御装置628によって調整されたパラメータは、プロセス条件に関連することがある。非限定的な例には、プロセスガス組成、流量、温度、圧力、プラズマ条件(例えば、RFバイアス電力レベル)などが含まれる。これらのパラメータは、ユーザーインターフェースを利用して入力することができるレシピの形でユーザーに提供される場合がある。
【0297】
工程をモニターする信号は、各種のプロセスツールセンサーから、システム制御装置628のアナログおよび/またはデジタル入力接続により提供される場合がある。工程を制御する信号は、プロセスツール600のアナログおよびデジタル出力接続で出力される。モニターされるプロセスツールセンサーの非制限的な例には、質量流量制御装置、圧力センサー(圧力計など)、熱電対などが含まれる。適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムを、これらのセンサーからのデータと一緒に使用し、プロセス条件を維持する。
【0298】
システム制御装置628は、上述の成膜工程を実施するためのプログラム指示を提供する。プログラム指示は、DC電力レベル、RFバイアス電力レベル、圧力、温度などの様々なプロセスパラメータを制御する。指示はパラメータを制御し、本明細書に記載の各種実施形態に従って、乾式現像および/またはエッチングプロセスを実施する。
【0299】
システム制御装置628は、典型的には、指示を実行するように構成された1つまたは複数のメモリ装置および1つまたは複数の処理装置を有し、装置は開示された実施形態に従う方法を行う。開示された実施形態に従う工程操作を制御する指示を含有する機械可読メディアが、システム制御装置628に結合される。
【0300】
一部の実践では、制御装置は、上述の例の一部である、システムの一部である。そのようなシステムは半導体加工装置を有し得、装置は、加工ツール、チャンバー、加工のためのプラットフォームおよび/または特定の加工構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を有する。これらのシステムを、半導体ウエハまたは基板の加工前、中および後の操作を制御する電子機器と統合してもよい。電子機器は、システムの各種構成要素または子部品を制御し得る、「制御装置」と呼ばれることがある。制御装置は、工程の要求および/またはシステムの種類に依存して、本明細書に開示されたあらゆる工程を制御するようにプログラムされており、工程としては、プロセスガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、液量設定、流体供給設定、位置および操作設定、およびツールおよび他の移送ツールおよび/または特定のシステムに接続またはインターフェースで連結されたロードロックへのおよびそれらからのウエハの移送が挙げられる。
【0301】
大まかに言って、制御装置は、指示、指示発令、制御操作を受け取り、洗浄操作を有効にし、エンドポイント測定を有効にするなどの各種集積回路、ロジック、メモリおよび/またはソフトウェアを有する、電子機器として定義してよい。集積回路は、プログラム指示を記憶するファームウェアの形のチップ、デジタル信号処理装置(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップおよび/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、またはプログラム指示を実行するマイクロ制御装置(例えば、ソフトウェア)を有してもよい。プログラム指示は、様々な個別の設定(またはプログラムファイル)の形式で制御装置に伝達される指示でよく、半導体ウエハまたはシステムに対して特定の工程を実行するための操作パラメータを定義する。操作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層、物質、金属、酸化物、ケイ素、二酸化ケイ素、表面、回路および/またはウエハ金型の製作中に1つまたは複数の加工ステップを実行するためのプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部である。
【0302】
システム制御装置628は、一部の実践では、システムに統合または結合している、あるいはシステムにネットワーク化されている、またはそれらの組み合わせであるコンピューターの一部であるか、コンピューターに接続されてよい。例えば、システム制御装置628は、「クラウド」またはファブホストコンピューターシステムの全てまたは一部であってよく、ウエハ加工の遠隔アクセスが可能である。コンピューターは、システムに遠隔アクセスが可能で、製作操作の現在の進行状況を監視し、過去の製作操作の履歴を調査し、複数の製作操作から傾向または性能測定基準を調査して、現在の加工のパラメータを変更、現在の加工に続く加工ステップを設定、または新しい工程を開始する。いくつかの例では、遠隔コンピューター(例えば、サーバー)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含む、ネットワークを介してシステムに工程レシピを提供できる。遠隔コンピューターは、遠隔コンピューターからシステムに伝達されるパラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングが可能なユーザーインターフェースを有してよい。いくつかの例では、システム制御装置628は、1つまたは複数の操作中に行われる各加工ステップのパラメータを特定する、データの形で指示を受け取る。パラメータは、実施工程の種類およびツールの種類に特有であり、システム制御装置628は、インターフェースで接続または制御するように構成されているということを理解すべきである。上述のように、システム制御装置628は、一緒にネットワーク化され、本明細書に記載の工程や制御などの共通の目的に向かって動作する、1つまたは複数の個別の制御装置を有することなどによって与えられる。そのような目的のために与えられる制御装置の一例は、(プラットフォームレベルまたはリモートコンピュータの一部など)離れた場所にあり、チャンバーでの工程を制御するために組み合わせた、1つまたは複数の集積回路と通信しているチャンバーの1つまたは複数の集積回路である。
【0303】
制限されない、システムの例としては、プラズマエッチングチャンバーまたはモジュール、成膜チャンバーまたはモジュール、スピンリンスチャンバーまたはモジュール、金属メッキチャンバーまたはモジュール、クリーンチャンバーまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバーまたはモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバーまたはモジュール、化学蒸着(CVD)チャンバーまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバーまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバーまたはモジュール、イオン注入チャンバーまたはモジュール、トラックチャンバーまたはモジュール、および半導体ウエハの製作および/または製造に関連、または使用され得る他の半導体加工システムが挙げられる。
【0304】
上記のように、ツールにより行われる工程ステップに依存して、システム制御装置628は、1つまたは複数の他のツール回路またはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェイス、隣接ツール、近隣のツール、工場全体に配置されたツール、メインコンピューター、他の制御装置、またはウエハの容器を半導体製造工場のツールの場所および/または負荷ポートに出し入れする材料輸送に使用さるツールと通信してもよい。
【0305】
前述のように、開示された実施形態は、多ステーションまたは単一ステーションツール上で実行される。一実施形態において、前処理モジュールは、半導体成膜チャンバーに供給されたアセチレンガス流を処理するために使用される。半導体製造のためにアセチレンを使用するいずれの成膜チャンバーも、本明細書に記載の前処理モジュールと共に使用できる。
【0306】
成膜操作条件
本明細書に列記されたプロセスパラメータの多くは、300mmウエハ上にアッシャブルハードマスクを成膜させるための4つのステーションを有するラムリサーチベクター(登録商標)モジュールを使用する炭素膜の成膜に適している。しかし、開示した実施形態は、半導体加工にアセチレンガス流を使用する半導体成膜チャンバーにより広く適用される。当業者は、プロセスパラメータが成膜チャンバーの容積、ウエハの大きさおよびその他の因子に基づいて調整され得ることを、容易に理解するであろう。例えば、低周波(LF)および高周波(HF)発生器の電力出力は、通常、ウエハの成膜表面積に正比例する。同様に、流量は、成膜チャンバーの自由容積に依存し、ベクター(登録商標)成膜チャンバーでは、4つの成膜チャンバーの自由容積は、それぞれ、195Lである。
【0307】
プラズマは、二重周波数プラズマ発生工程を使用して生成されてよい。例えば、成膜工程中に、低周波(LF)発生器は、約50~400kHzで200~1000Wを供給するが、高周波(HF)発生器は、約2~60kHzで500~2000Wを供給する。成膜工程は、基板温度が約100℃~500℃の時に行われてよい。成膜チャンバーの圧力は、約2~15Torrに維持されてよい。アッシャブルハードマスク成膜のプロセス条件の一例を表2に要約する。成膜は、必要なフィルムの厚みが堆積されるまで続けられる。それぞれの実施形態に従い、約1,000~9,000オングストロームが堆積される。
【表2】
【0308】
開示した実施形態は、上記のプロセス条件でのアッシャブルハードマスクフィルムの成膜に限定されるものではなく、半導体加工において前駆体としてアセチレンを使用する炭素系フィルムのいずれの成膜にも適用されることを理解すべきである。これには、限定されるものではないが、プラズマ強化CVD工程、熱CVD工程、高密度プラズマCVD、原子層堆積(ALD)工程などが含まれる。上記のプロセス条件の全ては、アセチレンをプロセスガスと使用する限り、表2に例示した範囲外に変動してもよい。
【0309】
流量の例は、上記表2に記載されているが、ある実施形態では、本明細書に開示された方法を、低流量、例えば、100~1000sccm以下のアセチレン流量で使用する。これらの低流量での希釈は、特に再現性に悪影響を及ぼす。そのため、蒸気圧の低い安定化剤を使用することは有利である。
【0310】
さらに、成膜チャンバーの大きさや他のプロセスパラメータに依存して、成膜工程中のアセチレンの流量は、約3,000~10,000sccmであってよい。一実施形態において、アセチレンの流量は、約5,000~8,000sccmであってよい。チャンバーの洗浄などの半導体加工以外の段階では、炭素含有前駆体を使用する必要はない。プロセスガスは、メタン、エチレン、プロピレン、ブタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの他の炭素含有前駆体を含有してもよい。
【0311】
前駆体を希釈するためにキャリヤーガスを使用してもよい。キャリヤーガスは、ヘリウム、アルゴン、窒素、水素またはこれらの組み合わせなどの半導体加工に使用される適当なキャリヤーガスを含んでもよい。全体のキャリヤーガス流量は、成膜チャンバーの大きさおよび他のプロセスパラメータに依存し、約500~10,000sccmの範囲であってよい。特定の実施形態では、窒素およびヘリウムが、対応する流量範囲が約500~5,000sccmおよび約300~3,000sccmであるキャリヤーガスとして使用される。半導体加工の他の段階では、異なるプロセスガスおよび異なる流量を有してもよい。
【0312】
ある実施形態では、4つの成膜ステーションを有する300mmラムリサーチベクター(登録商標)ツールを使用し、300mmウエハ上にアッシャブルハードマスクを成膜する。ある実施形態では、工程は、下塗り成膜、アッシャブルハードマスクプレコート、アッシャブルハードマスク成膜およびチャンバー洗浄の4つの操作を有する。アセチレンガス流は、アッシャブルハードマスクプレコートおよび/またはアッシャブルハードマスク成膜操作に使用される。ある実施形態では、前処理モジュールを通過するアセチレンガス流は、これらの操作中に約7000sccmの流量で供給される。二重周波数PECVDモジュールは、これらの操作中に約200~600Wの低周波(LF)電力および約900~1500Wの高周波(HF)電力を提供するが、プロセスチャンバーは、おおよそ4~12Torrに維持された。
【0313】
結論
前述の実施形態は、理解を明確にする目的である程度詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で、特定の変更および修正を実施できることは明らかであろう。本明細書に開示の実施形態は、これらの特定の詳細の一部または全てがなくても実施することができる。他の例では、周知の工程操作は、開示された実施形態を不必要に不明確にしないように、詳細には説明されていない。さらに、開示された実施形態は、特定の実施形態と併せて説明されるが、特定の実施形態は、開示された実施形態を限定することを意図していないことが理解されるであろう。本実施形態の工程、システムおよび装置を実施する多くの代替方法があることに留意されたい。したがって、本実施形態は、限定的ではなく例示的であるとみなされ、実施形態は、本明細書に与えられた詳細に限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-11-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセチレンと安定化剤との混合物または溶液を含む組成物であって、
前記安定化剤は、25℃で約3Torr以下の蒸気圧を有するアミド、アミン、イミン、25℃で約80Torr以下の蒸気圧を有するニトリル、含窒素飽和複素環化合物、含窒素不飽和複素環化合物、不飽和直鎖または分岐炭化水素、25℃で約5Torr以下の蒸気圧を有する不飽和環状炭化水素、非芳香性不飽和環状炭化水素、エーテル、ケトン、アルデヒド、25℃で約90Torr以下の蒸気圧を有するエステル、イオン性液体、カルベン、シリレン、π結合および孤立電子対を有する原子を有する混合電子供与体化合物、リン原子が孤立電子対を有する含リン化合物または硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄化合物を含み、
前記ケトンは、25℃で約30Torr以下の蒸気圧を有する、または
前記ケトンは、アセチルアセトン(acac)、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、3-ペンタノン、3-ヘプタノン、3-オクタノン、3-ノナノン、3-デカノンおよび芳香族ケトン(アセトフェノン、3-ヒドロキシアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、ブチロフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、アクリロフェノン、カピリン、ジベンゾイルメタン、インデノン、1-インダノン、パロキシプロピオン、フェニルクリオキサール、ピセオール、プロピオフェノン、ピリドキサール、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,5-トリヒドロキシアセトフェノンおよびバレロフェノンを含む)からなる群から選択される、ことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記安定化剤が、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、チアゾリウムおよびトリアゾリウムからなる群から選択されるカチオンを含むイオン性液体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記安定化剤が、遷移金属カルベン錯体、N-複素環式カルベンおよびメチレンからなる群から選択されるカルベンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記安定化剤が、シリレンまたはN-複素環式シリレンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記安定化剤が、25℃で約30Torr以下の蒸気圧を有するケトンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記安定化剤が、アセチルアセトン(acac)、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、3-ペンタノン、3-ヘプタノン、3-オクタノン、3-ノナノン、3-デカノンおよび芳香族ケトン(アセトフェノン、3-ヒドロキシアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、ブチロフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、アクリロフェノン、カピリン、ジベンゾイルメタン、インデノン、1-インダノン、パロキシプロピオン、フェニルクリオキサール、ピセオール、プロピオフェノン、ピリドキサール、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,5-トリヒドロキシアセトフェノンおよびバレロフェノンを含む)からなる群から選択されるケトンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記安定化剤がアルデヒドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記安定化剤が、25℃で約90Torr以下の蒸気圧を有するエステルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記安定化剤が、25℃で約3Torr以下の蒸気圧を有するアミドを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記安定化剤が、エーテルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記安定化剤が、アミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記安定化剤が、イミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記安定化剤が、25℃で約80Torr以下の蒸気圧を有するニトリルを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記安定化剤が、含窒素飽和複素環化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記安定化剤が、含窒素不飽和複素環化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記安定化剤が、π結合および孤立電子対を有する原子を有する混合電子供与体化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記安定化剤が、リン原子が孤立電子対を有する含リン化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記安定化剤が、硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記安定化剤が、不飽和直鎖または分岐炭化水素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記安定化剤が、25℃で約5Torr以下の蒸気圧を有する不飽和環状炭化水素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記安定化剤が、非芳香性不飽和環状炭化水素を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
前記アセチレンと安定化剤が、少なくとも約200psiの圧力下に保存されている、請求項1~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項23】
加圧アセチレンと安定化剤とを含む安定化組成物であって、
前記安定化剤は、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンおよびアセトニトリル以外の、窒素原子を含む安定化剤;
1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサンおよびN-メチル-2-ピロリドン以外の、複素環を含む安定化剤;
1つまたは複数の置換を有する置換芳香族炭化水素であって、前記1つまたは複数の置換は、ハロ、アミンおよび置換されてもよいC2-8アルキルからなる群から選択される、置換芳香族炭化水素;
置換されてもよいアルケンまたは置換されてもよいアルキン;
1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサン以外の、アルデヒドまたはエーテルである安定化剤;
環状エステル、グリコール系エステル、乳酸塩、炭酸エステル、アミノエステルおよびジエステルからなる群から選択されるエステル;
環状ケトン、アリールケトン、ジオンまたはトリオン;
カルベンまたはカルベン誘導体;
ジメチルスルホキシド以外である、金属化合物、オニウム化合物、有機硫黄化合物または有機リン化合物である安定化剤;または
イオン性液体である、安定化組成物。
【請求項24】
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、さらに置換されてもよいヘテロシクリルを含む、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項25】
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、アミド、アミン、グアニジン、イミンまたはN-複素環式カルベンである、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項26】
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、ジアルキルアミド、ピロリドン、アセトアミド、モルホリド、エステルアミドおよび環状アミドからなる群から選択されるアミドである、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項27】
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリール、置換されてもよいヘテロ脂肪族、置換されてもよいヘテロアルキル、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキルヘテロシクリルを含むアミンである、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項28】
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、シッフ塩基である、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項29】
前記安定化剤が、複素環であり、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサンおよびN-メチル-2-ピロリドン以外の安定化剤である、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項30】
前記安定化剤が、1つまたは複数の置換を有する置換芳香族炭化水素であり、前記1つまたは複数の置換が、ハロ、アミンおよび置換されてもよいC2-8アルキルからなる群から選択される、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項31】
前記安定化剤が、置換されてもよいアルケンまたは置換されてもよいアルキンである、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項32】
前記安定化剤が、アルデヒドまたはエーテルであり、1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサン以外の安定化剤である、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項33】
前記安定化剤が、環状エステル、グリコール系エステル、乳酸塩、炭酸エステル、アミノエステルおよびジエステルからなる群から選択されるエステルである、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項34】
前記安定化剤が、環状ケトン、アリールケトン、ジオンまたはトリオンである、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項35】
前記安定化剤が、カルベンまたはカルベン誘導体である、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項36】
前記安定化剤が、金属化合物、オニウム化合物、有機硫黄化合物または有機リン化合物であり、ジメチルスルホキシド以外の安定化剤である、請求項23に記載の安定化組成物。
【請求項37】
前記安定化剤がイオン性液体である、請求項23に記載の安定化組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
第2の態様では、組成物は、アセチレンと、ケトンを含む安定化剤との混合物または溶液を含む。いくつかの実施形態では、ケトンは、アセチルアセトン(acac)、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、3-ペンタノン、3-ヘプタノン、3-オクタノン、3-ノナノン、3-デカノンおよび芳香族ケトン、例えば、3-ヒドロキシアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、ブチロフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、アクリロフェノン、カピリン、ジベンゾイルメタン、インデノン、1-インダノン、パロキシプロピオン、フェニルクリオキサール、ピセオール、プロピオフェノン、ピリドキサール、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,5-トリヒドロキシアセトフェノンおよびバレロフェノンなどの芳香族ケトン、およびこれらの混合物から選択される。特定の実施形態では、アセチレンおよび安定化剤は格納容器に保存される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
アセチレン安定化剤として機能し得るケトンとしては、例えば、アセチルアセトン(acac)、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、3-ペンタノン、3-ヘプタノン、3-オクタノン、3-ノナノン、3-デカノンおよび芳香族ケトン、例えば、アセトフェノン、3-ヒドロキシアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、ブチロフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、アクリロフェノン、カピリン、ジベンゾイルメタン、インデノン、1-インダノン、パロキシプロピオン、フェニルクリオキサール、ピセオール、プロピオフェノン、ピリドキサール、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,5-トリヒドロキシアセトフェノンおよびバレロフェノンなどの芳香族ケトンが挙げられる。ある実施形態では、ケトン安定化剤は、25℃で約700Torr以下の蒸気圧を有する。ある実施形態では、ケトン安定化剤は、25℃で約30Torr以下の蒸気圧を有する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0093】
「アルキル」は、少なくとも1個から50個の炭素原子(C1-50)、例えば、1~25個の炭素原子(C1-25)または1~10個の炭素原子(C1-10)を有する、飽和の一価の炭化水素を意味し、飽和の一価の炭化水素は、親化合物(例えば、アルカン)の1つの炭素原子上から1つの水素原子を除去することにより得ることができる。アルキル基は、分岐、直鎖または環状(例えば、シクロアルキル)であり得る。例示的アルキルには、1~24個の炭素原子を有する分岐または非分岐の飽和炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、s-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、エイコシル、テトラコシルなどが含まれる。アルキル基も置換されていても、非置換でもよい。アルキル基は、1つまたは複数の水素を除去することにより、一価または多価(例えば、二価)であり得、親分子基への適当な連結または親分子基と他の置換基との適当な連結を形成する。例えば、アルキル基は、1つ、2つまたは3つの置換基、そして2個以上の炭素を有するアルキル基では、4つの置換基で置換され得る。置換基は、以下の(1)~(26)からなる群から、独立に選択される。すなわち、(1)C1-6アルコキシ(例えば、-O-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(2)C1-6アルキルスルフィニル(例えば、-S(O)-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(3)C1-6アルキルスルホニル(例えば、-SO2-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(4)アミン(例えば、-C(O)NR12または-NHCOR1、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される、あるいはR1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができる)、(5)アリール、(6)アリールアルコキシ(例えば、-O-L-R、ここで、Lはアルキルであり、Rはアリールである)、(7)アリ-ロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rはアリールである)、(8)アジド(例えば、-N3)、(9)シアノ(例えば、-CN)、(10)アルデヒド(例えば、-C(O)H)、(11)C3-8シクロアルキル、(12)ハロ、(13)ヘテロシクリル(例えば、本明細書に定義されるように、1、2、3または4個の非炭素ヘテロ原子を含有する5、6または7員環である)、(14)ヘテロシクリロキシ(例えば、-O-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(15)ヘテロシクリロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(16)ヒドロキシル(例えば、-OH)、(17)N-保護アミノ、(18)ニトロ(例えば、-NO2)、(19)オキソ(例えば、=O)、(20)C1-6 チオアルキル(例えば、-S-R、ここで、Rはアルキルである)、(21)チオール(例えば、-SH)、(22)-CO21、ここで、R1は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(23)-C(O)NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(24)-SO21、ここで、R1は、(a)C1-6アルキル、(b)C4-18アリールおよび(c)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(25)-SO2NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、および(26)-NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)N-保護基、(c)C1-6アルキル、(d)C2-6アルケニル、(e)C2-6アルキニル、(f)C4-18アリール、(g)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(h)C3-8シクロアルキルおよび(i)C1-6アルキル-C3-8シクロアルキル(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)からなる群から選択される。ここで、一実施形態においては、2つの基が、カルボニル基またはスルホニル基を介して窒素原子に結合することはない。アルキル基は、1つまたは複数の置換基(例えば、1つまたは複数のハロまたはアルコキシ)で置換された第一級、第二級または第三級アルキル基であり得る。いくつかの実施形態では、非置換のアルキル基は、C1-3、C1-6、C1-12、C1&#8209;16、C1-18、C1-20またはC1-24アルキル基である。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
「アリール」は、少なくとも5個から15個の炭素原子(C5-15)、例えば、5~10個の炭素原子(C5-10)を含み、単環または複数の縮合環を有する芳香族炭素環基を意味し、縮合環は、芳香族であってもなくてもよい。ただし、本明細書に開示された化合物の残りの部位への連結点は、芳香族炭素環基の原子を介する。アリール基は、水素以外の1つまたは複数の基、例えば、脂肪族、ヘテロ脂肪族、芳香族、他の官能基、またはこれらの組み合わせにより置換されてもよい。例示的なアリール基として、ベンジル、ナフタレン、フェニル、ビフェニル、フェノキシベンゼンなどが挙げられるが、これらに限定されない。アリールという用語も、芳香族基の環内に組み込まれた少なくとも1つのヘテロ原子を有する芳香族基を含有する基として定義される、ヘテロアリールを含む。ヘテロ原子としては、例えば、窒素、酸素、硫黄およびリンが挙げられるが、これらに限定されない。同様に、アリールという用語にも含まれる非ヘテロアリールという用語は、ヘテロ原子を含有しない芳香族基を含有する基を定義する。アリール基は、置換されていても、非置換でもよい。アリール基は、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの置換基で置換され得る。置換基は、独立に以下の(1)~(47)からなる群から選択される。すなわち、(1)C1-6アルカノイル(例えば、-C(O)-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(2)C1-6アルキル、(3)C1-6アルコキシ(例えば、-O-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(4)C1-6アルコキシ-C1-6アルキル(例えば、-L-O-R、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、C1-6アルキルである)、(5)C1-6アルキルスルフィニル(例えば、-S(O)-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(6)C1-6アルキルスルフィニル-C1-6アルキル(例えば、-L-S(O)-R、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、C1-6アルキルである)、(7)C1-6アルキルスルホニル(例えば、SO2-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(8)C1-6アルキルスルホニル-C1-6アルキル(例えば、-L-SO2-R、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、C1-6アルキルである)、(9)アリール、(10)アミン(例えば、-NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができる)、(11)C1-6アミノアルキル(例えば、-L1-NR12または-L2-C(NR12)(R3)-R4、ここで、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはC1-6アルキルであり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができ、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素またはC1-6アルキルである)、(12)ヘテロアリール、(13)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(14)アリーロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rはアリールである)、(15)アジド (例えば、-N3)、(16)シアノ(例えば、-CN)、(17)C1-6アジドアルキル(例えば、-L-N3、ここで、LはC1-6アルキルである)、(18)アルデヒド(例えば、-C(O)H)、(19)アルデヒド-C1-6アルキル(例えば、-L-C(O)H、ここで、LはC1-6アルキルである)、(20)C3-8シクロアルキル、(21)C1-6アルキル-C3-8シクロアルキル(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)、(22)ハロ、(23)C1-6ハロアルキル(例えば、-L1-Xまたは-L2-C(X)(R1)-R2、ここで、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはC1-6アルキルであり、Xはフルオロ、ブロモ、クロロ、またはヨードであり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素またはC1-6アルキルである)、(24)ヘテロシクリル(例えば、本明細書に定義されるように、1、2、3または4個の非炭素ヘテロ原子を含有する5、6または7員環である)、(25)ヘテロシクリロキシ(例えば、-O-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(26)ヘテロシクリロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(27)ヒドロキシル(-OH)、(28)C1-6ヒドロキシアルキル(例えば、-L1-OHまたは-L2-C(OH)(R1)-R2、ここで、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはアルキルであり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または、本明細書に定義される、C1-6アルキルである)、(29)ニトロ、(30)C1-6ニトロアルキル(例えば、-L1-NOまたは-L2-C(NO)(R1)-R2、ここで、L1はC1-6アルキルであり、L2は共有結合またはアルキルであり、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または、本明細書に定義される、C1-6アルキルである)、(31)N-保護アミノ、(32)N-保護アミノ-C1-6アルキル、(33)オキソ(例えば、=O)、(34)C1-6 チオアルキル(例えば、-S-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(35)チオ-C1-6アルコキシ-C1-6アルキル(例えば、-L-S-R、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、C1-6アルキルである)、(36)-(CH2rCO21、ここで、rは0~4の整数であり、R1は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリール (例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなる群から選択される、(37)-(CH2rCONR12、ここで、rは0~4の整数であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなる群から選択される、(38)-(CH2rSO21、ここで、rは0~4の整数であり、R1は、(a)C1-6アルキル、(b)C4-18アリールおよび(c)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなる群から選択される、(39)-(CH2rSO2NR12、ここで、rは0~4の整数であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)からなる群から選択される、(40)-(CH2rNR12、ここで、rは0~4の整数であり、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)N-保護基、(c)C1-6アルキル、(d)C2-6アルケニル、(e)C2-6アルキニル、(f)C4-18アリールおよび(g)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)(h)C3-8シクロアルキルおよび(i)C1-6アルキル-C3-8シクロアルキル(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)からなる群から選択され、ここで、一実施形態においては、2つの基が、カルボニル基またはスルホニル基を介して窒素原子に結合することはない、(41)チオール(例えば、-SH)、(42)パーフルオロアルキル(例えば、-(CF2nCF3、ここで、nは0~10の整数である)、(43)パーフルオロアルコキシ(例えば、-O-(CF2nCF3、ここで、nは0~10の整数である)、(44)アリールオキシ(例えば、-O-R、ここで、Rはアリールである)、(45)シクロアルコキシ(例えば、-O-R、ここで、Rはシクロアルキルである)、(46)シクロアルキルアルコキシ(例えば、-O-L-R、ここで、Lはアルキルであり、Rはシクロアルキルである)、および(47)アリールアルコキシ(例えば、-O-L-R、ここで、Lはアルキルであり、Rはアリールである)からなる群から選択される。特定の実施形態では、非置換のアリール基は、C4-18、C4-14、C4-12、C4-10、C6-18、C6-14、C6-12またはC6-10アリール基である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0158
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0158】
チオアルキル」は、硫黄原子を介して親分子基に連結された、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。例示的な非置換のチオアルキル基としては、C1-6 チオアルキルが挙げられる。いくつかの実施形態では、チオアルキル基は、-S-Rであり、ここで、Rは、本明細書に定義される、アルキル基である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0159
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0159】
チオアルキルアルキル」は、本明細書に定義される、チオアルキル基により置換されている、本明細書に定義される、アルキル基を意味する。例示的な非置換のチオアルキルアルキル基は、1~6個の炭素を有するアルキル基と1~6個の炭素を有するチオアルキル基を有するものなど(例えば、C1-6 チオアルキル-C1-6アルキル)、2~12個の炭素(C2-12 チオアルキルアルキル)を含む。いくつかの実施形態では、チオアルキルアルキル基は、-L-S-Rであり、ここで、LおよびRは、それぞれ独立に、本明細書に定義される、アルキル基である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0219
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0219】
いくつかの実施形態では、XおよびYが、それぞれが連結する原子と一緒にシクロヘテロ脂肪族基を形成するために、安定化剤は、環状エステルであり得る。例示的な環状エステルとしては、ε-カプロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトンなどのラクトンが挙げられる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0254
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0254】
本明細書に記載された安定化剤には、化合物の非置換および/または置換の形が含まれる。非限定の例示的な置換基として、例えば、1個、2個、3個、4個またはそれ以上の置換基が挙げられ、置換基は、独立に、以下の(1)~(26)からなる群から選択される。すなわち、(1)C1-6アルコキシ(例えば、-O-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(2)C1-6アルキルスルフィニル(例えば、-S(O)-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(3)C1-6アルキルスルホニル(例えば、-SO2-R、ここで、RはC1-6アルキルである)、(4)アミン(例えば、-C(O)NR12または-NHCOR1、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素、本明細書に定義される、脂肪族、ヘテロ脂肪族、ハロ脂肪族、ハロヘテロ脂肪族および芳香族、またはこれらの組み合わせから選択される。あるいは、R1およびR2は、それぞれが連結する窒素原子と一緒に、本明細書に定義される、ヘテロシクリル基を形成することができる)、(5)アリール、(6)アリールアルコキシ(例えば、-O-L-R、ここで、Lはアルキルであり、Rはアリールである)、(7)アリ-ロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rはアリールである)、(8)アジド(例えば、-N3)、(9)シアノ(例えば、-CN)、(10)アルデヒド(例えば、-C(O)H)、(11)C3-8シクロアルキル、(12)ハロ、(13)ヘテロシクリル(例えば、本明細書に定義されるように、1、2、3または4個の非炭素ヘテロ原子を含有する5、6または7員環である)、(14)ヘテロシクリロキシ(例えば、-O-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(15)ヘテロシクリロイル(例えば、-C(O)-R、ここで、Rは、本明細書に定義される、ヘテロシクリルである)、(16)ヒドロキシル(例えば、-OH)、(17)N-保護アミノ、(18)ニトロ(例えば、-NO2)、(19)オキソ(例えば、=O)、(20)C1-6 チオアルキル(例えば、-S-R、ここで、Rはアルキルである)、(21)チオール(例えば、-SH)、(22)-CO21、ここで、R1は、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(23)-C(O)NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(24)-SO21、ここで、R1は、(a)C1-6アルキル、(b)C4-18アリールおよび(c)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(25)-SO2NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)C1-6アルキル、(c)C4-18アリールおよび(d)C1-6アルキル-C4-18アリールからなる群から選択される(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)および(26)-NR12、ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、(a)水素、(b)N-保護基、(c)C1-6アルキル、(d)C2-6アルケニル、(e)C2-6アルキニル、(f)C4-18アリール、(g)C1-6アルキル-C4-18アリール(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC4-18アリールである)、(h)C3-8シクロアルキルおよび(i)C1-6アルキル-C3-8シクロアルキル(例えば、-L-R、ここで、LはC1-6アルキルであり、RはC3-8シクロアルキルである)からなる群から選択される。ここで、一実施形態においては、2つの基が、カルボニル基またはスルホニル基を介して窒素原子に結合することはない。特定の実施形態では、安定化剤はアセトニトリル以外である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0259
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0259】
ある実施形態では、アセチレン源は、安全放出装置に加え、充填材と安定化剤が入っているシリンダーである。ある実施形態では、従来から圧縮ガスサービスに使用されている、標準サイズの中空スチールシリンダーがアセチレン用に使用される。ある実施形態では、連動シリンダー、つまり、共通のガスラインに接続されたシリンダーが使用される。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0286
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0286】
図5は、本明細書に記載のようなアセチレン前処理モジュールに使用されるトラップ500の模式図である。図5に関して、トラップ500は、構成要素412の一例である。トラップ500は、ガス流入口ライン504、ガス流出口ライン504および凝縮液出口512を有する本体502を有する。ガス流入口ライン504とガス流出口ライン514は、熱交換器または前処理モジュールの他の構成要素に取り付けられてよい。アセチレンガス流は、入口504を通ってトラップ500に流入する。ガス流は、トラップに入る前にすでに冷却されており、通常、アセチレンが溶解した凝縮安定化剤などの液体を含有する。液体は、入口504の壁からのものであってもよく、ミストの形、すなわち、アセチレンガス流に懸濁した微小液滴であってもよい。トラップ500は、アセチレンガス流から液体を分離することを助けるミストバリア506を有してもよい。ミストバリア506は、安定化剤およびアセチレンに耐性であり、温度に耐えることができる(-80℃まで)適当な物質で作成される。ある実施形態では、ミストバリア506は高多孔性アルミニウムブロック(すなわち、アルミニウム泡)である。ミストバリア506は、その側面に液体を捕捉しながら、アセチレンガス流が通過させるための曲がりくねった経路を有してもよい。液体は、その後、トラップ500の底部に逆流する。ミストバリア506の多孔性は、液体が流れ、アセチレンガス流をトラップ内で塞ぐことがないよう、十分に空いているべきものである。ミストトラップ506はまた、アセチレンガス流内に残存する安定化剤ための追加の凝縮面を提供することがある。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0288
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0288】
アセチレンガス流は、その後、ガス出口ライン514を通って、トラップ500を離れる。上述のように、ガス流は、その後、他の熱交換器に入ってもよく、そこで追加の凝縮が起こる。いずれの凝縮でも、ガス出口ライン514はトラップ500の底部に戻る。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0313
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0313】
結論
前述の実施形態は、理解を明確にする目的である程度詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で、特定の変更および修正を実施できることは明らかであろう。本明細書に開示の実施形態は、これらの特定の詳細の一部または全てがなくても実施することができる。他の例では、周知の工程操作は、開示された実施形態を不必要に不明確にしないように、詳細には説明されていない。さらに、開示された実施形態は、特定の実施形態と併せて説明されるが、特定の実施形態は、開示された実施形態を限定することを意図していないことが理解されるであろう。本実施形態の工程、システムおよび装置を実施する多くの代替方法があることに留意されたい。したがって、本実施形態は、限定的ではなく例示的であるとみなされ、実施形態は、本明細書に与えられた詳細に限定されない。
本発明は、たとえば、以下のような態様で実現することもできる。
適用例1:
アセチレンと安定化剤との混合物または溶液を含む組成物であって、
前記安定化剤は、25℃で約3Torr以下の蒸気圧を有するアミド、アミン、イミン、25℃で約80Torr以下の蒸気圧を有するニトリル、含窒素飽和複素環化合物、含窒素不飽和複素環化合物、不飽和直鎖または分岐炭化水素、25℃で約5Torr以下の蒸気圧を有する不飽和環状炭化水素、非芳香性不飽和環状炭化水素、エーテル、ケトン、アルデヒド、25℃で約90Torr以下の蒸気圧を有するエステル、イオン性液体、カルベン、シリレン、π結合および孤立電子対を有する原子を有する混合電子供与体化合物、リン原子が孤立電子対を有する含リン化合物または硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄化合物を含み、
前記ケトンは、25℃で約30Torr以下の蒸気圧を有する、または
前記ケトンは、アセチルアセトン(acac)、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、3-ペンタノン、3-ヘプタノン、3-オクタノン、3-ノナノン、3-デカノンおよび芳香族アルデヒド(たとえば、アセトフェノン、3-ヒドロキシアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、ブチロフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、アクリロフェノン、カピリン、ジベンゾイルメタン、インデノン、1-インダノン、パロキシプロピオン、フェニルクリオキサール、ピセオール、プロピオフェノン、ピリドキサール、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,5-トリヒドロキシアセトフェノンおよびバレロフェノン)からなる群から選択される、ことを特徴とする組成物。
適用例2:
前記安定化剤が、イミダゾリウム、ピリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、チアゾリウムおよびトリアゾリウムからなる群から選択されるカチオンを含むイオン性液体である、適用例1の組成物。
適用例3:
前記安定化剤が、遷移金属カルベン錯体、N-複素環式カルベンおよびメチレンからなる群から選択されるカルベンである、適用例1の組成物。
適用例4:
前記安定化剤が、シリレンまたはN-複素環式シリレンである、適用例1の組成物。
適用例5:
前記安定化剤が、25℃で約30Torr以下の蒸気圧を有するケトンを含む、適用例1の組成物。
適用例6:
前記安定化剤が、アセチルアセトン(acac)、2-ブタノン、2-ペンタノン、2-ヘキサノン、2-ヘプタノン、2-オクタノン、2-ノナノン、2-デカノン、3-ペンタノン、3-ヘプタノン、3-オクタノン、3-ノナノン、3-デカノンおよび芳香族アルデヒド(たとえば、アセトフェノン、3-ヒドロキシアセトフェノン、シクロヘキサノン、ベンゾフェノン、ブチロフェノン、アセチルピラジン、2-アセチルピリジン、アクリロフェノン、カピリン、ジベンゾイルメタン、インデノン、1-インダノン、パロキシプロピオン、フェニルクリオキサール、ピセオール、プロピオフェノン、ピリドキサール、2,4,6-トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,5-トリヒドロキシアセトフェノンおよびバレロフェノン)からなる群から選択されるケトンを含む、適用例1の組成物。
適用例7:
前記安定化剤がアルデヒドを含む、適用例1の組成物。
適用例8:
前記安定化剤がベンズアルデヒドである、適用例7の組成物。
適用例9:
前記安定化剤が、25℃で約90Torr以下の蒸気圧を有するエステルを含む、適用例1の組成物。
適用例10:
前記安定化剤が、25℃で約3Torr以下の蒸気圧を有するアミドを含む、適用例1の組成物。
適用例11:
前記安定化剤が、エーテルを含む、適用例1の組成物。
適用例12:
前記安定化剤が、フラン、テトラヒドロフランおよびピランからなる群から選択される、適用例11の組成物。
適用例13:
前記安定化剤が、アミンを含む、適用例1の組成物。
適用例14:
前記アミンが、N-エチルジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、トリエチルアミンおよびtert-ブチルアミンからなる群から選択される、適用例13の組成物。
適用例15:
前記アミンが、芳香族アミンである、適用例13の組成物。
適用例16:
前記芳香族アミンが、アニリン、N,N-ジメチルアニリン、ピペリジン、ピロール、ピロリジン、ピリジン、ピペリジン、イミダゾールおよびピリミジンからなる群から選択される、適用例15の組成物。
適用例17:
前記安定化剤が、イミンを含む、適用例1の組成物。
適用例18:
前記イミンが、シッフ塩基および2,5-シクロヘキサジエン-1,4-ジイミンからなる群から選択される、適用例17の組成物。
適用例19:
前記安定化剤が、25℃で約80Torr以下の蒸気圧を有するニトリルを含む、適用例1の組成物。
適用例20:
前記安定化剤が、含窒素飽和複素環化合物を含む、適用例1の組成物。
適用例21:
前記含窒素飽和複素環化合物が、ピロリジンおよびモルホリンからなる群から選択される、適用例20の組成物。
適用例22:
前記安定化剤が、含窒素不飽和複素環化合物を含む、適用例1の組成物。
適用例23:
前記含窒素不飽和複素環化合物が、ピリジン、ピラジン、イミダゾール、ピロール、N-イミノピリジニウムイリド、トリアゾール、チアゾールおよびこれらの置換誘導体(たとえば、N-メチルイミジソール、2,6-ルチジンおよび4-N,N-ジメチルアミノピリジン)からなる群から選択される、適用例22の組成物。
適用例24:
前記安定化剤が、π結合および孤立電子対を有する原子を有する混合電子供与体化合物を含む、適用例1の組成物。
適用例25:
前記混合電子供与体化合物が、アセトン、イミン、2-メチル-2-ブテノン、トリアゾールおよびチアゾールからなる群から選択される、適用例24の組成物。
適用例26:
前記安定化剤が、リン原子が孤立電子対を有する含リン化合物を含む、適用例1の組成物。
適用例27:
前記含リン化合物が、トリフェニルホスフィンおよびトリフェニルホスフィンオキシドからなる群から選択される、適用例26の組成物。
適用例28:
前記安定化剤が、硫黄原子が孤立電子対を有する含硫黄化合物を含む、適用例1の組成物。
適用例29:
前記含硫黄化合物が、チオフェン、チアゾリウム、チアゾール、2-メチルチオフェン、3-メチルチオフェン、2,4-ジメチルチオフェン、ベンゾチオフェンおよび2-メチルベンゾチオフェンからなる群から選択される、適用例28の組成物。
適用例30:
前記安定化剤が、不飽和直鎖または分岐炭化水素を含む、適用例1の組成物。
適用例31:
前記不飽和直鎖または分岐炭化水素が、ブテン、ブタジエン、1-ブチン、プロピン、ペンテン、オクテン、ヘプテン、ヘキシン、1-ヘプチン、1-オクチン、1-ノニンおよび1-デシンからなる群から選択される、適用例30の組成物。
適用例32:
前記安定化剤が、25℃で約5Torr以下の蒸気圧を有する不飽和環状炭化水素を含む、適用例1の組成物。
適用例33:
前記安定化剤が、非芳香性不飽和環状炭化水素を含む、適用例1の組成物。
適用例34:
前記安定化剤が、シクロペンテンまたはシクロヘキセンである、適用例33の組成物。
適用例35:
前記アセチレンと前記安定化剤が格納容器に保持されている、適用例1~34のいずれか1項の組成物。
適用例36:
前記アセチレンと安定化剤が、少なくとも約200psiの圧力下に保存されている、適用例1~35のいずれか1項の組成物。
適用例37:
加圧アセチレンと安定化剤とを含む安定化組成物であって、
前記安定化剤は、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンおよびアセトニトリル以外の、窒素原子を含む安定化剤;
1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサンおよびN-メチル-2-ピロリドン以外の、複素環を含む安定化剤;
1つまたは複数の置換を有する置換芳香族炭化水素であって、前記1つまたは複数の置換は、ハロ、アミンおよび置換されてもよいC 2-8 アルキルからなる群から選択される、置換芳香族炭化水素;
置換されてもよいアルケンまたは置換されてもよいアルキン;
1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサン以外の、アルデヒドまたはエーテルである安定化剤;
環状エステル、グリコール系エステル、乳酸塩、炭酸エステル、アミノエステルおよびジエステルからなる群から選択されるエステル;
環状ケトン、アリールケトン、ジオンまたはトリオン;
カルベンまたはカルベン誘導体;
ジメチルスルホキシド以外である、金属化合物、オニウム化合物、有機硫黄化合物または有機リン化合物である安定化剤;または
イオン性液体である、安定化組成物。
適用例38:
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、さらに置換されてもよいヘテロシクリルを含む、適用例37の安定化組成物。
適用例39:
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、アミド、アミン、グアニジン、イミンまたはN-複素環式カルベンである、適用例37の安定化組成物。
適用例40:
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、ジアルキルアミド、ピロリドン、アセトアミド、モルホリド、エステルアミドおよび環状アミドからなる群から選択されるアミドである、適用例37の安定化組成物。
適用例41:
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリール、置換されてもよいヘテロ脂肪族、置換されてもよいヘテロアルキル、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキルヘテロシクリルを含むアミンである、適用例37の安定化組成物。
適用例42:
前記安定化剤が、窒素原子を含む安定化剤であり、シッフ塩基である、適用例37の安定化組成物。
適用例43:
前記安定化剤が、複素環であり、1,3-ジオキソラン、1,4-ジオキサンおよびN-メチル-2-ピロリドン以外の安定化剤である、適用例37の安定化組成物。
適用例44:
前記複素環が、芳香族複素環、二環式複素環、環状エーテル、環状エステル、環状炭酸エステル、環状アミン、環状アミドまたはN-複素環式カルベンである、適用例43の安定化組成物。
適用例45:
前記複素環が、N、OおよびSからなる群から選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む、適用例43の安定化組成物。
適用例46:
前記安定化剤が、1つまたは複数の置換を有する置換芳香族炭化水素であり、前記1つまたは複数の置換が、ハロ、アミンおよび置換されてもよいC 2-8 アルキルからなる群から選択される、適用例37の安定化組成物。
適用例47:
前記芳香族炭化水素が、ハロ、アミンおよび置換されてもよいC 2-8 アルキルからなる群から選択される第1の置換およびハロ、アミンおよび置換されてもよいアルキルからなる群から選択される第2の置換を含む、適用例46の安定化組成物。
適用例48:
前記安定化剤が、置換されてもよいアルケンまたは置換されてもよいアルキンである、適用例37の安定化組成物。
適用例49:
前記置換されてもよいアルケンが、ジエンである、適用例48の安定化組成物。
適用例50:
安定化剤が、アルデヒドまたはエーテルであり、1,3-ジオキソランおよび1,4-ジオキサン以外の安定化剤である、適用例37の安定化組成物。
適用例51:
前記アルデヒドが、1つまたは複数のアルデヒド部分を有する、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリール、置換されてもよいヘテロ脂肪族、置換されてもよいヘテロアルキル、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキルヘテロシクリルである、適用例50の安定化組成物。
適用例52:
前記エーテルが、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリール、置換されてもよいヘテロ脂肪族、置換されてもよいヘテロアルキル、置換されてもよいヘテロシクリルまたは置換されてもよいアルキルヘテロシクリルを含む、適用例50の安定化組成物。
適用例53:
前記安定化剤が、環状エステル、グリコール系エステル、乳酸塩、炭酸エステル、アミノエステルおよびジエステルからなる群から選択されるエステルである、適用例37の安定化組成物。
適用例54:
前記エステルが、1つまたは複数のアミノを含む、適用例53の安定化組成物。
適用例55:
前記安定化剤が、環状ケトン、アリールケトン、ジオンまたはトリオンである、適用例37の安定化組成物。
適用例56:
前記安定化剤が、置換されてもよいシクロアルキルまたは置換されてもよいアリールを含む、適用例55の安定化組成物。
適用例57:
前記安定化剤が、カルベンまたはカルベン誘導体である、適用例37の安定化組成物。
適用例58:
前記カルベンが、置換されてもよい脂肪族、置換されてもよいアルキル、置換されてもよいアリール、置換されてもよい脂肪族-アリール、置換されてもよいアルキル-アリール、置換されてもよいアルケニル-アリール、置換されてもよいアルキニル-アリールまたは置換されてもよいヘテロシクリルを含む、適用例57の安定化組成物。
適用例59:
前記カルベンまたはカルベン誘導体が、チアゾール-2-イリデン部分、ジヒドロイミダゾール-2-イリデン部分、イミダゾール-2-イリデン部分、ホスフィノカルベン部分、トリアゾール-5-イリデン部分またはシクロプロペニリデン部分を有する、適用例57の安定化組成物。
適用例60:
前記カルベンまたはカルベン誘導体が、アミノチオカルベン化合物、アミノオキシカルベン化合物、ジアミノカルベン化合物、ヘテロアミノカルベン化合物、1,3-ジチオリウムカルベン化合物、メソイオンカルベン化合物、環状アルキルアミノカルベン化合物、ボラニリデン化合物、シリレン化合物、スタニレン化合物、ニトレン化合物、ホスフィニデン化合物および箔状カルベン化合物からなる群から選択される、適用例57の安定化組成物。
適用例61:
前記安定化剤が、金属化合物、オニウム化合物、有機硫黄化合物または有機リン化合物であり、ジメチルスルホキシド以外の安定化剤である、適用例37の安定化組成物。
適用例62:
前記オニウム化合物が、ニトロニウムイオン、ニトロソニウムイオン、ビス(トリフェニルホスフィン)イミニウムイオン、イミニウムイオン、ジアゼニウムイオン、グアニジニウムイオン、ニトリリウムイオン、ジアゾニウムイオン、ピリジニウムイオン、ピリリウムイオンおよびチオニトロシルイオンからなる群から選択される、適用例61の安定化組成物。
適用例63:
前記有機硫黄化合物が、チオエステル、スルホキシド、スルホン、チオスロフィン酸塩、スルフィミド、スルホキシミド、スルホンジイミン、S-ニトロソチオール、チオケトン、チオアルデヒド、チオアミド、スルホニウム、オキソスホニウムおよびチオカルボニルイリドからなる群から選択される、適用例61の安定化組成物。
適用例64:
前記有機リン化合物が、リン酸エステル、リン酸アミド、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩、酸化ホスフィン、ホスフィンイミドおよびホスホニウム塩からなる群から選択される、適用例61の安定化組成物。
適用例65:
前記安定化剤がイオン性液体である、適用例37の安定化組成物。
適用例66:
前記イオン性液体が、
イミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、アンモニウム、ホスホニウム、チアゾリウムまたはトリアゾリウムを含むカチオン部を含み、およびさらに
テトラフルオロホウ酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ビストリフリミド、トリフラート、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリフリミド、ハライド、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、メチル硫酸塩、硫酸エチル、ドキュセートまたはジシアンアミドを含むアニオン部を含む、適用例65の安定化組成物。
【国際調査報告】