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特表2023-518036ウエハ乾燥のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】ウエハ乾燥のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20230420BHJP
【FI】
H01L21/304 651Z
H01L21/304 651B
H01L21/304 648G
H01L21/304 647A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022555628
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(85)【翻訳文提出日】2022-09-14
(86)【国際出願番号】 US2021021735
(87)【国際公開番号】W WO2021188339
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】16/820,344
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ハード,トレース
(72)【発明者】
【氏名】パチェコ ロトンダロ,アントニオ ルイス
(72)【発明者】
【氏名】バセット,デレク
(72)【発明者】
【氏名】小杉 仁
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA09
5F157AB02
5F157AB33
5F157AB90
5F157AC03
5F157AC04
5F157AC56
5F157BC03
5F157BF22
5F157BF48
5F157BF55
5F157BF59
5F157CB14
5F157CB26
5F157CB27
5F157DA21
5F157DB32
5F157DB33
(57)【要約】
一実施例では、ウエハ乾燥のための方法は、第1のウエハの表面を提供することであって、第1のウエハの表面が乾燥処理で除去すべき液体を含む、こと、を含む。方法は、第1の処理チャンバ内で液体を第1の固体膜と置換することであって、第1の固体膜が第1のウエハの表面を覆う、こと、を更に含む。方法は、第1のウエハを第1の処理チャンバから第2の処理チャンバに搬送すること、を更に含む。方法は、第2の処理チャンバを通して超臨界流体を流すことによって、第2の処理チャンバ内で第1のウエハを処理することであって、超臨界流体が第1の固体膜を除去する、こと、を更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ乾燥の方法であって、
第1のウエハの表面を提供するステップであって、前記第1のウエハの前記表面は、乾燥処理で除去される液体を有する、ステップと、
第1の処理チャンバにおいて、前記液体を第1の固体膜と置換するステップであって、前記第1の固体膜は、前記第1のウエハの前記表面を覆う、ステップと、
前記第1のウエハを前記第1の処理チャンバから第2の処理チャンバに搬送するステップと、
前記第2の処理チャンバを介して超臨界流体を流すことにより、前記第2の処理チャンバ内で前記第1のウエハを処理するステップであって、前記超臨界流体は、前記第1の固体膜を除去する、ステップと、
を有する、方法。
【請求項2】
さらに、前記液体を前記第1の固体膜と置換する前に、前記ウエハの前記表面に配置された複数の特徴部に対してすすぎ処理を実施するステップを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記除去される液体は、前記すすぎ処理からのすすぎ液である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
さらに、前記ウエハをイソプロピルアルコールで処理することにより、前記すすぎ処理からのすすぎ液を除去するステップを有し、
前記除去される液体は、前記イソプロピルアルコールである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ウエハの前記表面は、高アスペクト比の特徴部を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の固体膜は、前記高アスペクト比の特徴部を取り囲み被覆する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
さらに、第2のウエハの表面を提供するステップであって、前記第2のウエハの前記表面は、前記乾燥処理で除去される前記液体を有する、ステップと、
前記第1の処理チャンバ内で、前記液体を第2の固体膜と置換するステップであって、前記第2の固体膜は、前記第2のウエハの前記表面を覆う、ステップと、
前記第2のウエハを前記第1の処理チャンバから第2の処理チャンバに搬送するステップと、
前記第2の処理チャンバを介して超臨界流体を流すことにより、前記第2の処理チャンバ内で前記第2のウエハを処理するステップであって、前記超臨界流体は、前記第2の固体膜を除去する、ステップと、
を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のウエハおよび前記第2のウエハは、前記第2の処理チャンバ内で同時に処理される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ウエハ乾燥の方法であって、
第1のウエハの表面を提供するステップであって、前記第1のウエハの前記表面は、乾燥処理で除去される液体を有する、ステップと、
第1の処理チャンバ内で、前記第1のウエハの前記表面を覆う第1の固体膜を形成するステップと、
第2の処理チャンバ内で流体を流すステップと、

前記流体を加圧して、超臨界相で前記第2の処理チャンバを介して流すステップと、
前記第2の処理チャンバ内で、前記第1の固体膜を前記流体の前記超臨界相に昇華させることにより、前記第1のウエハの前記表面から前記第1の固体膜を除去するステップと、
を有する、方法。
【請求項10】
さらに、前記第1の固体膜を形成する前に、前記第1のウエハの前記表面に配置された複数の特徴部に対してすすぎ処理工程を実施するステップを有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記除去される液体は、前記すすぎ処理からのすすぎ液である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記ウエハをイソプロピルアルコールで処理することにより、前記すすぎ処理からのすすぎ液を除去するステップを有し、
前記除去される液体は、前記イソプロピルアルコールである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のウエハの前記表面は、高アスペクト比の特徴部を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の固体膜は、前記高アスペクト比の特徴部を取り囲み被覆する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
さらに、
乾燥される第2のウエハの表面を提供するステップと、
前記第1の処理チャンバ内で、前記第2のウエハの前記表面を覆う第2の固体膜を形成するステップと、
前記第2の固体膜を前記流体の前記超臨界相に昇華させることにより、前記第2のウエハの前記表面から前記第2の固体膜を除去するステップと、
を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のウエハおよび前記第2のウエハは、前記第2の処理チャンバ内で同時に処理される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらに、前記第1の固体膜を形成する前に、前記第1のウエハの前記表面を液体で処理するステップを有し、
前記第1の固体膜を形成するステップにより、前記液体は、前記第1の固体膜と置換される、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
処理装置であって、
処理チャンバと、
前記処理チャンバへの流体入口と、
前記処理チャンバからの流体出口と、
乾燥されるウエハを保持する支持体と、
加圧サイクルを印加するように構成された制御回路であって、前記処理チャンバ内の流体が加圧され超臨界流体となる、制御回路と、
を有する、処理装置。
【請求項19】
前記制御回路が、
前記流体の温度を監視し制御する温度コントローラと、
前記流体の圧力を監視し制御する圧力コントローラと、
を有する、請求項18に記載の処理装置。
【請求項20】
前記支持体は、複数のウエハを保持するように構成され、
前記制御回路は、前記加圧サイクルの間、前記複数のウエハの各々に、同一の処理環境を提供するように構成される、請求項18に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年3月16日に出願された米国特許出願第16/820,344号に対する優先権及びその出願日の利益を主張するものであり、同米国特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、ウエハ乾燥のためのシステム及び方法に関し、特定の実施形態では、超臨界流体を使用するウエハ乾燥のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウエハの製造には、多くの場合、いくつかの処理ステップが含まれる。これらの処理ステップの多くには、例えば、湿式洗浄処理で使用される副産物の化学種の除去が含まれる。多くの場合、ウエハ洗浄処理の最終すすぎステップとして脱イオン水が使用されて、洗浄液を除去する。しかしながら、すすぎ液さえも、更なる処理の前に除去する必要がある。したがって、ウエハを乾燥させてすすぎ液の痕跡を除去する。しかしながら、特徴部が更に小さな形状にスケーリングされるに伴い、乾燥中に特徴部に損傷を与えないようにするための乾燥技術が課題となっている。
【0004】
これらの課題を克服するために、ウエハの表面のすすぎ液をイソプロピルアルコール(IPA)と置換することを含む1つの特定の方法が開発された。次いで、このIPAが、超臨界乾燥処理を使用して除去され、ここで、IPAで被覆されたウエハが超臨界二酸化炭素に露出されて、IPAが除去される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、ウエハ乾燥のための方法は、第1のウエハの表面を提供することであって、第1のウエハの表面が乾燥処理で除去すべき液体を含む、こと、を含む。方法は、第1の処理チャンバ内で液体を第1の固体膜と置換することであって、第1の固体膜が第1のウエハの表面を覆う、ことを更に含む。方法は、第1のウエハを第1の処理チャンバから第2の処理チャンバに搬送することを更に含む。方法は、第2の処理チャンバを通して超臨界流体を流すことによって、第2の処理チャンバ内で第1のウエハを処理することであって、超臨界流体が第1の固体膜を除去する、ことを更に含む。
【0006】
ウエハ乾燥方法は、第1のウエハの表面を提供することであって、第1のウエハの表面が乾燥処理で除去すべき液体を含む、ことと、第1の処理チャンバ内で第1のウエハの表面を覆う第1の固体膜を形成することと、第2の処理チャンバ内で流体を流すことと、を含む。この方法は更に、流体を加圧して、超臨界相の第2の処理チャンバを通して流すことと、第2の処理チャンバ内で、第1の固体膜を流体の超臨界相に昇華させることによって、第1のウエハの表面から第1の固体膜を除去することと、を含む。
【0007】
処理装置は、処理チャンバと、処理チャンバへの流体入口と、処理チャンバからの流体出口と、乾燥すべきウエハを保持するための支持体と、処理チャンバ内で流体を加圧して超臨界流体にする加圧サイクルを適用するように構成された制御回路と、を含む。
【0008】
本発明及びその利点をより完全に理解するために、ここで、添付図面と併せて読まれるべき以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】本発明の実施形態による、ウエハ乾燥処理の一般的な処理フローの断面図を示し、ここで、図1Aは、湿式処理後の基板上の固体膜の形成を示し、図1Bは、基板の搬送を示し、図1Cは、固体膜が超臨界流体に露出されることを示す図である。
図1B】本発明の実施形態による、ウエハ乾燥処理の一般的な処理フローの断面図を示し、ここで、図1Aは、湿式処理後の基板上の固体膜の形成を示し、図1Bは、基板の搬送を示し、図1Cは、固体膜が超臨界流体に露出されることを示す図である。
図1C】本発明の実施形態による、ウエハ乾燥処理の一般的な処理フローの断面図を示し、ここで、図1Aは、湿式処理後の基板上の固体膜の形成を示し、図1Bは、基板の搬送を示し、図1Cは、固体膜が超臨界流体に露出されることを示す図である。
図2A】本発明の一実施形態による、乾燥の様々な段階中の高アスペクト比(HAR)構造を含む半導体ウエハの断面図を示し、ここで、全て本発明の一実施形態による、図2Aは、固体膜を有するウエハを示し、図2Bは、処理チャンバ内への流体の注入を示し、図2Cは、流体中の固体膜の漸進的な除去を示し、図2Dは、固体膜が流体に溶解するにつれて、固体膜がより漸進的に除去される段階を示し、図2Eは、固体膜の完全な除去を示し、図2Fは、乾燥後のウエハを示す図である。
図2B】本発明の一実施形態による、乾燥の様々な段階中の高アスペクト比(HAR)構造を含む半導体ウエハの断面図を示し、ここで、全て本発明の一実施形態による、図2Aは、固体膜を有するウエハを示し、図2Bは、処理チャンバ内への流体の注入を示し、図2Cは、流体中の固体膜の漸進的な除去を示し、図2Dは、固体膜が流体に溶解するにつれて、固体膜がより漸進的に除去される段階を示し、図2Eは、固体膜の完全な除去を示し、図2Fは、乾燥後のウエハを示す図である。
図2C】本発明の一実施形態による、乾燥の様々な段階中の高アスペクト比(HAR)構造を含む半導体ウエハの断面図を示し、ここで、全て本発明の一実施形態による、図2Aは、固体膜を有するウエハを示し、図2Bは、処理チャンバ内への流体の注入を示し、図2Cは、流体中の固体膜の漸進的な除去を示し、図2Dは、固体膜が流体に溶解するにつれて、固体膜がより漸進的に除去される段階を示し、図2Eは、固体膜の完全な除去を示し、図2Fは、乾燥後のウエハを示す図である。
図2D】本発明の一実施形態による、乾燥の様々な段階中の高アスペクト比(HAR)構造を含む半導体ウエハの断面図を示し、ここで、全て本発明の一実施形態による、図2Aは、固体膜を有するウエハを示し、図2Bは、処理チャンバ内への流体の注入を示し、図2Cは、流体中の固体膜の漸進的な除去を示し、図2Dは、固体膜が流体に溶解するにつれて、固体膜がより漸進的に除去される段階を示し、図2Eは、固体膜の完全な除去を示し、図2Fは、乾燥後のウエハを示す図である。
図2E】本発明の一実施形態による、乾燥の様々な段階中の高アスペクト比(HAR)構造を含む半導体ウエハの断面図を示し、ここで、全て本発明の一実施形態による、図2Aは、固体膜を有するウエハを示し、図2Bは、処理チャンバ内への流体の注入を示し、図2Cは、流体中の固体膜の漸進的な除去を示し、図2Dは、固体膜が流体に溶解するにつれて、固体膜がより漸進的に除去される段階を示し、図2Eは、固体膜の完全な除去を示し、図2Fは、乾燥後のウエハを示す図である。
図2F】本発明の一実施形態による、乾燥の様々な段階中の高アスペクト比(HAR)構造を含む半導体ウエハの断面図を示し、ここで、全て本発明の一実施形態による、図2Aは、固体膜を有するウエハを示し、図2Bは、処理チャンバ内への流体の注入を示し、図2Cは、流体中の固体膜の漸進的な除去を示し、図2Dは、固体膜が流体に溶解するにつれて、固体膜がより漸進的に除去される段階を示し、図2Eは、固体膜の完全な除去を示し、図2Fは、乾燥後のウエハを示す図である。
図3】全て本発明の一実施形態による、バッチ超臨界乾燥処理チャンバの断面図である。
図4A】様々な実施形態で説明される超臨界乾燥システムの様々な構成要素を表す概略図であり、ここで、図4Aは、システム構成要素の概略を示し、図4Bは、流体供給の概略を示す図である。
図4B】様々な実施形態で説明される超臨界乾燥システムの様々な構成要素を表す概略図であり、ここで、図4Aは、システム構成要素の概略を示し、図4Bは、流体供給の概略を示す図である。
図5】全て本発明の実施形態による、ウエハ乾燥処理のための処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面は、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。図面は単なる表現であり、本発明の特定のパラメータを描写することを意図していない。図面は、本発明の特定の実施形態のみを示すことを意図しており、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではない。図面では、同様の番号は同様の要素を表す。
【0011】
ウエハ乾燥システムの様々な実施形態の方法及び使用について、以下で詳細に論じる。しかしながら、本明細書で詳述される様々な実施形態は、多種多様な分野に適用可能であり得ることを評価すべきである。実施形態はまた、ウエハ乾燥以外の他の状況で適用され得る。本明細書で説明する特定の実施形態は、様々な実施形態を作成及び使用する特定の方法を単に例示するものであり、限定された範囲で解釈されるべきではない。
【0012】
超臨界乾燥を使用して、イソプロピルアルコール(IPA)でコーティングされたウエハ表面を除去する従来の方法には、多くの処理関連の制限がある。IPAは、ウエハが乾燥チャンバに搬送されるときに、脱湿及びこぼれの影響を受けやすい。加えて、IPAの蒸気圧が高いことにより、乾燥が早まり、ウエハの表面上の地形的特徴部が崩壊につながる場合がある。
【0013】
本発明の実施形態は、IPAなどの乾燥用液体又はDI水などのすすぎ用液体を、ウエハの表面全体を覆う固体膜と置換することによって、これらの制限を克服する。次いで、固体膜は、超臨界乾燥処理を使用することによって乾燥チャンバ内で直接除去される。方法の実施形態について、図2A図2Fと共に図1A図1Cを使用して説明する。方法及び乾燥チャンバの代替的な実施形態について、図3を使用して説明する。図1A図1C図2A図2F図3の実施形態を実施するための超臨界ウエハ乾燥のためのシステムについて、図4を使用して説明する。
【0014】
図1A図1Cは、本発明の実施形態によるウエハ乾燥処理のための一般的な処理フローの断面図を示している。
【0015】
本明細書に提示される実施形態は、ウエハ102が処理チャンバ内に配置され、そこでウエハの表面上に固体膜が形成される、乾燥技術について詳述する。後でより詳細に説明するように、固体膜は、ウエハ102の表面上の構造を保護するための犠牲層として機能する。いったん固体膜の形成が完了すると、ウエハ102は次いで、第2の処理チャンバに搬送され、そこで超臨界除去技術が実施されて固体膜が溶解除去され、したがってウエハ102の上面構造が露出される。
【0016】
図1Aに示される初期段階の前に、ウエハ102は、以前のウエハ製造ステップから何らかの残存する処理化学物質を除去するために湿式洗浄処理を受ける場合がある。湿式洗浄は、例えば、一実施形態では、単一又は複数のウエハを取り扱うように構成することができる第1の処理チャンバ101であり得る、洗浄処理チャンバ内で行うことができる。洗浄処理チャンバは、例えば、スピン洗浄によって動作することができる。ウエハ102がスピンしている間、洗浄材料を供給するノズルアームは、回転しているウエハ102の上側近くに前進することができる。ノズルアームは、所定の順序で、例えば化学液に続いてすすぎ液を供給することができる。ウエハ102の後面もまた、化学液に続いてすすぎ液が使用される、同様の洗浄処理を受ける場合がある。例えば、洗浄処理の一実施形態では、アルカリ性化学液であるSC1液体(すなわち、水酸化アンモニアと過酸化水素との混合物)を最初に使用して、粒子及び有機汚染物質を除去することができる。次いで、脱イオン水(DIW)などのすすぎ液を使用して、すすぎ動作を実行することができる。いくつかの実施形態では、第2の洗浄処理を順次実行することができる。次の洗浄段階では、ウエハ102上に存在し得る任意の自然酸化膜は、酸性の化学液である希釈フッ化水素酸(DHF)の水溶液によって除去される。次に、再びDIWを用いて、追加のすすぎ洗浄が行われる。
【0017】
いったん湿式洗浄処理が完了すると、全ての洗浄液は、通常、洗浄処理チャンバ内の底部位置に設けられた排出ポートを通して、洗浄処理チャンバから排出される。更に、洗浄処理チャンバ内の雰囲気は、例えば、洗浄処理チャンバ内の底部位置に設けられた排気ポートから排気される。一方、ウエハ保持機構104の回転は、徐々に停止させられる。
【0018】
上述の湿式洗浄処理の完了後、ウエハ102は、すすぎ液を除去するために乾燥される必要がある。洗浄処理チャンバが追加の処理ステップを実行するように構成されている場合、ウエハ102は、次の処理ステップ用の準備が行われる間、同じチャンバ内に留まることができる。しかしながら、洗浄処理チャンバが次の処理ステップを実行するように構成されていない場合、ウエハ102は、異なる処理チャンバに搬送されてもよい。
【0019】
ここで図1Aを参照すると、概略図は、湿式洗浄及びすすぎ後のウエハ102の表面上の固体膜の形成を示している。処理のこの段階において、ウエハ102は、第1の処理チャンバ101内に配置され、そこでウエハ保持機構104上にしっかりと静止される。この第1の処理チャンバ101内で、固体膜103が、ウエハ102の表面上の構造全体を完全に覆うように、ウエハ102の上面上に形成される。
【0020】
第1の処理チャンバ101は、処理空間を形成する内部チャンバ内にウエハ保持機構104が配置された、ウエハ102を実質的に水平に保持するユニットとして説明され得る。
【0021】
ウエハ保持機構104は、ウエハ102を垂直軸の周りで回転させる回転チャックを備えることができる。他の実施形態では、第1の処理チャンバ101は、固定チャック、ウエハ102を固定して取り付けるために使用される様々なピン若しくはクリップを有する治具、又は場合によっては、様々な処理ステップ中にウエハ102が静止されるプレート若しくはトレイを備えることができる。
【0022】
本発明の様々な実施形態では、ウエハ102は、シリコンなどの半導体基板を含むことができる。又は、他の実施形態では、化合物半導体だけでなく、シリコンオンインシュレータ(SOI)などの任意の他のタイプの半導体本体。更に、ウエハ102は、複数の処理された層を有する半導体基板を含むことができ、各層は、当技術分野で既知である半導体材料の異なる組成から構成され得る。加えて、ウエハ102の最上層は、高アスペクト比(HAR)構造などの表面特徴部を含み得る。
【0023】
本発明の実施形態によれば、固体膜103は、湿式処理ステップの後、ウエハ102の最上面上に形成される。固体膜103は、1つの処理チャンバから別の処理チャンバへの搬送期間中にウエハ102上の表面特徴部(すなわち、HAR構造)を一時的に物理的に支持する犠牲膜であり得る。例えば、固体膜103の剛性は、表面特徴部(すなわち、HAR表面)が様々なモードのウエハ搬送中に互いに崩壊するのを防止するのに役立つように、表面特徴部をコーティングする。
【0024】
液体が固体を濡らすと、液体と固体の間の表面張力及び接触角に依存する圧力差(通常、ラプラス圧力と呼ばれる)が境界面にわたって増大する。ウエハ表面からのウエハ乾燥(液体の除去)中、このラプラス圧力は、HAR構造などの特定の領域で更に増大され、特徴部に対する損傷(例えばパターン崩壊)を引き起こす可能性がある。本発明の実施形態は、従来の乾燥技術におけるような液体から蒸気への変換を回避することによって、これを克服する。
【0025】
むしろ、本発明の実施形態は、固体膜103を超臨界流体に直接変換(例えば、溶解又は融解)することによって、固体膜103を除去する。様々な実施形態では、固体膜103の材料、及び流体は、固体膜103が超臨界相に変化するように選択される。換言すれば、様々な実施形態では、固体膜103の組成は、固体膜103が流体に露出されると、固体膜103が超臨界流体を形成するように構成され、これにより、固体膜103と下にあるウエハ102の構造との間の表面張力を除去する。これにより、固体膜103が流体内に昇華(又は除去)され、次いで、処理チャンバから除去することができる。
【0026】
したがって、1つ以上の実施形態では、固体膜103は、二酸化炭素(scCO)を含む超臨界流体に溶解可能である。換言すれば、一実施形態では、固体膜103は二酸化炭素(CO)と超臨界相を形成し、その結果、固体膜103内の材料の組成がscCOと混和性のガスに溶解する。例えば、固体膜103は、85%超のイソプロピルアルコール(IPA)を含む材料組成を有することができ、なぜなら、その濃度が、固体膜をscCOなどの超臨界流体に容易に溶解させるからである。1つ以上の実施形態では、固体膜103は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びカルボニル基を有するポリマーなどのポリマー材料を含むことができる。
【0027】
固体膜103は、スピンキャスティング、コーティング、堆積、及び当業者に既知である他の処理などの、多数の製造技術によってウエハ102の表面上に形成され得る。例えば、固体膜103は、ポリマー材料をウエハ102の中心位置上に最初に分配するノズルによって、ウエハ102の表面上に最初にキャストされ得る。次いで、ウエハ102は、第1の処理チャンバ101内で結合されたウエハ保持機構104の回転を介してスピンされ、ポリマー材料をウエハ全体に広げる。いったんポリマー材料がウエハ102全体に広げられると、指定されたスピン速度が実施されて、固体膜103の所望の厚さを達成することができる。固体膜103の厚さは、ウエハ102上の表面特徴部(すなわち、HAR構造)の高さに応じて、数十ナノメートル~数ミクロンであり得る。
【0028】
様々な実施形態では、固体膜103の厚さは、少なくとも表面特徴部の上部を覆うように選択され得る。1つ以上の実施形態では、固体膜103の厚さは、ウエハ102上の全ての特徴部が固体膜103によって覆われるように、ウエハ102上の最も高い構造の厚さよりも少なくとも10%だけ大きい。いったん固体膜103の所望の厚さが達成されると、ポリマー材料は、材料を固化及び硬化させるために、ソフトベーキング又は硬化処理を受け得る。
【0029】
従来の超臨界乾燥で使用されるより伝統的な材料(IPAのような液体など)の代わりに、固体膜103などの固体材料を使用することにより、処理に対してより機械的に安定した材料が提供される。有利なことに、固体膜103は、従来の液体膜と比較して、通常のロボット速度で搬送することがはるかに容易である。例えば、液体を使用する従来の方法と比較して、固体膜103は、より速い速度で搬送され、それによって遅延を短縮することができるが、同時に、ウエハ102の表面からこぼれる(又は脱湿する)リスクをもたらさない。加えて、固体膜103の蒸気圧が比較的低いため、従来の材料の場合のように、蒸発による膜損失のリスクは存在しない。その結果、温度又は圧力の上昇中の乾燥による意図しない表面露出のリスクは存在しない。したがって、本発明の実施形態は、特にウエハ102のエッジの周りで、HAR構造のような表面特徴部のパターン崩壊を低減することができる。
【0030】
次に図1Bに示されるように、固体膜103を含むウエハ102は、追加の処理のために搬送される。ウエハ102は、搬送中にウエハ102を適所にしっかりと保持するフォーク又はプレートに結合されたロボットなどの、ウエハ送達装置を使用して搬送されてもよい。例えば、ウエハ102は、図1Cを使用して更に説明されるように、第2の処理チャンバ105に送達されてもよい。
【0031】
次に図1Cを参照すると、固体膜103を含むウエハ102が、超臨界乾燥(SCD)チャンバなどの第2の処理チャンバ105内に配置され、そこで固体膜103の完全な除去を受ける。
【0032】
第2の処理チャンバ105は、最初に処理状態に上昇され得る。例えば、この時間中、ウエハ102及び第2の処理チャンバ105を加熱して、処理温度に到達させることができる。同様に、第2の処理チャンバ105を、特定の圧力まで加圧することができる。有利なことに、この時間中、固体膜103は、ウエハ表面上の特徴部の不注意な露出を引き起こすことなく、ウエハ102の表面を覆い続ける。
【0033】
第2の処理チャンバ105内にある間、ウエハ102の表面上の固体膜103は、一実施形態では二酸化炭素(scCO)を含み得る、超臨界流体と接触させられる。流体は、第2の処理チャンバ105内に注入され、加圧されて超臨界流体になり、次いで、ウエハ102の表面上の固体膜103と接触する。超臨界流体の存在下にある間、固体膜103は、徐々に溶解して離れ、ウエハ102を「乾燥」させ、新たに露出した表面特徴部(すなわちHAR構造)を追加の処理に対する準備状態にする。
【0034】
一実施形態では、超臨界流体は主に、超臨界二酸化炭素(scCO)を含み、これは有利なことに、良好な化学的安定性、信頼性、低コスト、非毒性、不燃性を有し、且つ容易に入手可能である。これら全ての特性により、scCOを、様々な半導体製造処理、特にウエハ乾燥に望ましい候補とするのに役立つ。
【0035】
第2の処理チャンバ105内では、流体供給ヘッダが、入口111を通して第2の処理チャンバ105の主本体に超臨界流体を送達する。処理中(すなわち、固体膜103の除去中)、流体供給ヘッダは、制御された、例えば層流速度で、超臨界流体を送達する。層流速度で動作している間、超臨界流体は、流体供給ヘッダから固体膜103の上面に向かって直接流れることができる。ウエハ102の表面に向かって下降する過程で、超臨界流体は、固体膜103を通って浸透し、処理中に固体膜を徐々に除去する。この処理の詳細については、後のセクションで説明する。
【0036】
処理の完了時において、流体排出ヘッダは、超臨界流体を第2の処理チャンバ105の主本体から出口112を通って主本体の外側領域に導く。この外側領域では、超臨界流体が、第2の処理チャンバ105から排出される。排出された超臨界流体はまた、溶解した固体膜103の残骸を含み得る。
【0037】
図2A図2Fは、本発明の一実施形態による、高アスペクト比(HAR)構造201を含むウエハ102の表面から固体膜103が除去されるときの、乾燥処理フローの断面図を示している。以下の図は、上記の図1Cで説明した第2の処理チャンバ105内で行われ得る、様々なウエハレベル処理段階のより詳細な説明を提供する。
【0038】
ここで図2Aを参照すると、処理のこの段階において、HAR構造201を含むウエハ102は、固体膜103によって取り囲まれている。前述のように、固体膜103は、図2Aに示されるHAR構造201などの表面特徴部に一時的な保護を提供する犠牲層であり得る。固体膜103は、HAR構造201が、主に、湿式洗浄処理後の搬送中にウエハ102のエッジの周りで見られるパターン崩壊に屈しないことを確実にするのに役立つ。
【0039】
本発明の実施形態によれば、所望の用途に応じて、HAR構造201のアスペクト比(幅対高さ)は、一実施例では、1:5~1:20、又は1:5~1:100であり得る。本出願の実施形態は、本明細書で具体的に示されていないアスペクト比に適用されることに留意されたい。
【0040】
本発明の実施形態では、HAR構造201は、製造中のデバイスのパターンの一部、又は製造中の中間構造であってもよい。様々な実施形態では、HAR構造201は、深堀反応性イオンエッチング(DRIE)又は当業者に既知である他の処理などの、標準的な半導体製造技術によって製造され得る。
【0041】
HAR構造201は、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、酸化シリコン、窒化シリコン、金属線又はビア、金属酸化物(MOx)、金属窒化物(MNx)、及び金属酸窒化物などの材料のパターンを含むことができ、ここで、「M」は、アルミニウム、銅、ハフニウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデンなどの元素金属を表す。
【0042】
次に図2Bに示されるように、流体203は、圧力シールされた第2の処理チャンバ105内に層流速度下で導入され、そこで、システムの設定された処理パラメータ(例えば、圧力及び温度)により超臨界相に達することができる。流体203が固体膜103内に浸透すると、流体203と固体膜103の上部との間の界面において、混合物202が形成される。混合物202は、流体203及び固体膜103を含む。
【0043】
様々な実施形態では、固体膜103は、流体203によって除去可能であり、且つ流体203に溶解可能である。一実施形態では、混合物202はまた、超臨界相を形成し、したがって、固体膜103から分離し、流れている流体203に組み込まれる。別の実施形態では、固体膜103は、流体203に溶解又は昇華し、したがって直接気相に遷移する。例えば、固体膜103が流体203と混和性のポリマー物質を含む場合、流体203を使用して、ポリマー物質がウエハ102の表面から完全に除去されるまで、ポリマー物質を溶解することができる。別の実施形態では、固体膜103は、流体203に溶け込み、流体203によって除去される。別の例では、流体203を使用して、溶媒と同様にポリマー物質を飽和させることができる。
【0044】
有利なことに、固体膜103の除去中、混合物202と下にあるHAR構造201との間の表面張力からの応力は最小であり、これらの構造に対して損傷を引き起こさない。
【0045】
図2Cは、固体膜103が流体203内に溶解するときの、固体膜103の漸進的な除去を示している。固体膜103が枯渇するにつれて、混合物202は固体膜103内により深く浸透する。混合物202は、溶解固体膜103からの材料と流体203との組み合わせを含む。
【0046】
次に図2Dを参照すると、概略図は、固体膜103が流体203に溶解し続けるときの、固体膜103のより漸進的な除去段階を示している。この段階において、上記に示され、図1Cで論じられた第2の処理チャンバ105は、主に流体203で満たされている。加えて、固体膜103の大部分は、流体203によって消費されるにつれて除去されている。更に、混合物202は、HAR構造201を更に通過し、固体膜103のより深くまで浸透している。
【0047】
図2Eに示されるように、固体膜103は完全に除去される。概略図が示すように、第2の処理チャンバ105を完全に包含する流体203は、HAR構造201を完全に取り囲んでいる。その結果、固体膜103は、ウエハ102の表面にもはや存在しない。同様に、混合物202もまた、流れている流体203と共に洗い流される。
【0048】
図2Fは、流体203が第2の処理チャンバ105(例えば、超臨界乾燥チャンバ)からいったんパージされた、HAR構造201を含むウエハ102の概略図を示している。ここで第2の処理チャンバ105で残留ガスがパージされると、HAR構造201が露出され、その後の処理の準備が整う。この最終段階において、チャンバを減圧して流体203の流れを停止した後、ウエハ102が、第2の処理チャンバ105から取り出され、ウエハ102は、従来の半導体処理のようにその後の処理を受けることができる。
【0049】
第2の処理チャンバ105でのウエハ102の総処理時間は、およそ70秒~180秒の範囲のいずれかであり得る。この時間スケールは、固体膜103を構成する材料のタイプに依存し得る。同様にまた、ウエハ102の表面上に存在するHAR構造201の全てを完全に覆うために、固体膜103に必要な所望の厚さに基づいて、時間スケールを調整する必要がある場合がある。更に、固体膜103は、流体203がシステム内に送達される前に、第2の処理チャンバ105内で平衡化するためのより多くの時間を必要とし得る。
【0050】
図3は、本発明の別の実施形態による、超臨界乾燥のための高スループットバッチ処理チャンバ305の断面図である。
【0051】
本発明のこの実施形態では、バッチ処理チャンバ305は、複数のウエハ102を処理するように構成されている。複数のウエハ102を処理することにより、ウエハ当たりの総処理時間を大幅に短縮することができ、それによって生産コストが削減される。例えば、図では、バッチ処理チャンバ305は、同時に2枚のウエハを支持するように構成され、したがって、スループットを2倍に増大させる。しかしながら、バッチ処理チャンバ305は、複数のウエハを支持するために、以前に示された第2の処理チャンバ105に対する修正を含む。
【0052】
様々な実施形態では、バッチ処理チャンバ305は、複数のウエハ保持機構104を備え得る、修正された機械的ハンドリングシステムを備えている。更に、ウエハ保持機構104は、ウエハ間の変動を低減するように設計され、したがって、全てのウエハ102は、同一の処理環境、例えば、同様の流量、ウエハ表面における流体203の分圧などを経験する。一実施形態では、バッチ処理チャンバ305は、第2の処理チャンバ105よりも大きいため、安定化(加圧)に時間がかかる場合がある。バッチ処理チャンバ305が過度に大きい場合、同時処理によって得られるいかなる利点も、加圧時間及び減圧時間によって打ち消され得る。
【0053】
図4A図4Bは、様々な実施形態で説明される第2の処理チャンバ105/バッチ処理チャンバ305などの超臨界乾燥システムの様々な構成要素を表す概略図であり、ここで、図4Aはシステム構成要素の概略を示し、図4Bは流体供給の概略を示している。
【0054】
本発明の様々な実施形態では、超臨界乾燥システムは、第2の処理チャンバ105(又はバッチ処理チャンバ305)に結合されたインターフェース回路401を備え得る。インターフェース回路401は、第2の処理チャンバ105内のウエハの温度を制御するための温度コントローラ402を備え得る。本発明の実施形態では、温度コントローラ402を使用して、ユーザが意図された処理に対して望ましい温度を選択することを可能にし得る。システムは、処理チャンバ内でウエハが費やす時間を制御するためのタイミングコントローラ403を含み得る。タイミングコントローラ403はまた、加圧及び温度サイクル用のタイミングサイクルを制御することができる。また、本発明の様々な実施形態では、タイミングコントローラ403を使用して、ユーザが意図された処理に対して所望の時間を設定及び/又は監視することを可能にし得る。
【0055】
システムはまた、チャンバ内の圧力及び/又は温度を調整するために、タイミングコントローラ403及び温度コントローラ402によって使用され得る、チャンバ内の圧力を監視する圧力コントローラ406を含むことができる。いくつかの実施形態では、温度コントローラ402、タイミングコントローラ403、及び圧力コントローラ406の回路は、単一のチップに統合されてもよい。電力コントローラ404は、単独で、又はタイミングコントローラ403と共に、のいずれかで、システムの様々な構成要素に電力を供給することができる。電源スイッチ405は、手動オーバーライド機能を提供することができる。
【0056】
本発明の実施形態では、インターフェース回路401はまた、第2の処理チャンバ105によって実行される様々な処理関連機能のためのユーザ入力用のデジタルディスプレイタッチスクリーンなどの、ディスプレイ及びグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を備えてもよい。ディスプレイはまた、第2の処理チャンバ105によって実行される各処理に関連するステータスインジケータを提供することができる。これにより、ユーザが設定された処理パラメータのリアルタイムステータスを監視することを可能にする。
【0057】
本発明の実施形態では、電源スイッチ405により、ユーザが第2の処理チャンバ105をオン又はオフにする(すなわち、電源を切る)ことを可能にする。電源スイッチ405はまた、システムが動作モード、スタンバイモード、電源オフモード、又は他のモードにあるかどうかをユーザが判定することを可能にするインジケータを含むことができる。
【0058】
第2の処理チャンバ105の他の実施形態では、追加の結合構成要素は、ベント/ファンユニット416と、流体入口システム408と、流体出口システム409と、(上述した)ウエハ保持機構104を含み得るウエハ搬送システム414と、を備え得る。
【0059】
様々な実施形態では、第2の処理チャンバ105内に含まれ得るベント/ファンユニット416は、例えばホットスポット又は過熱を回避することによって、第2の処理チャンバ105の主区画からガスを排出するのに役立つか、又は内部温度を調節するのに役立つことができる。ベント/ファンユニット416は、一実施形態では、第2の処理チャンバ105の後部又は底部に配置され得る。
【0060】
本発明の様々な実施形態では、第2の処理チャンバ105に結合された、流体入口システム408及び流体出口システム409は、二酸化炭素などのガスが第2の処理チャンバ105の主区画に出入りするための経路を提供する。
【0061】
図4Bに示されるように、流体入口システム408は、大気圧よりも高い圧力で、流体203の原材料を第2の処理チャンバ105内に供給するための流体供給源450と、流体供給源を第2の処理チャンバ105に接続する流体供給通路460と、を備え得る。流体入口システム408はまた、流体供給経路に配置された開閉弁421を有する流れ制御ユニットを備え得る。開閉弁421は、流体供給源450からの(例えば、超臨界状態の)流体203の供給のオンオフを調整し、開閉弁421が開放しているときは流体203を第2の処理チャンバ105に流させ、開閉弁421が閉鎖しているときは流体203を第2の処理チャンバ105に流させない。例えば、開閉弁421が開放している場合、約15MPa~30MPaの高圧を有する流体203が、開閉弁421を介して流体供給源450から供給ラインに供給され得る。
【0062】
流体入口システム408はまた、流体203を加熱するためのヒータ422を備え得る。流体入口システム408はまた、温度及び圧力を感知するための複数のセンサ423を備え得る。流体入口システム408はまた、流体供給源450から供給されている(例えば、超臨界状態の)流体203の圧力を調整するための減圧弁、例えばオリフィス424を備え得る。流体入口システム408はまた、オリフィス424から送られる(例えば、超臨界状態の)流体203に含まれるあらゆる異物を除去し、クリーンな(例えば、超臨界状態の)流体203を第2の処理チャンバ105の入口111内に出力する、フィルタ425を備え得る。
【0063】
流体出口システム409は、第2の処理チャンバ105からの流体203の供給のオンオフを調整する排出制御弁431を備えることができ、排出制御弁431が開放しているときは第2の処理チャンバ105から流体203を排出させ、排出制御弁431が閉鎖しているときは第2の処理チャンバ105から流体203を排出させない。
【0064】
流体出口システム409はまた、下流排出経路470を通って排出されている流体の温度及び圧力を感知するための複数のセンサ433を備え得る。流体出口システム409はまた、第2の処理チャンバ105から排出されている流体203の圧力を調整するための減圧弁、例えばオリフィス434を備え得る。様々な実施形態では、流体入口システム408及び流体出口システム409は、図4Aを使用して説明された構成要素を使用して、インターフェース回路401によって制御され得る。様々な実施形態では、流体入口システム408及び流体出口システム409は、当業者に既知であるような他の構成要素を備え得る。一実施形態では、流体入口システム408用の入口及び流体出口システム409用の出口は、第2の処理チャンバ105の底部又は後面近くに配置することができる。
【0065】
図5は、全て本発明の一実施形態による、固体膜を形成することによって除去すべき液体を除去することによる、ウエハ乾燥処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0066】
したがって、例えば上記の図1A図1C及び図2A図2Fに示されるように、ウエハ乾燥のための方法は、ウエハ102の表面を提供することを含み、ここで、ウエハの表面は、乾燥処理で除去すべき液体を含む(ステップ510)。方法は、第1の処理チャンバ101内で、除去すべき液体を第1の固体膜103と置換することを含み、ここで、第1の固体膜103は、ウエハ102の表面を覆う(ステップ520)。方法は、ウエハ102を第1の処理チャンバ101から第2の処理チャンバ105に搬送することを更に含む(ステップ530)。方法は、第2の処理チャンバ105を通して流体203を流すことにより、第2の処理チャンバ105内でウエハ102を処理すること(ステップ540)を更に含むことができ、ここで、流体203は、第1の固体膜103を除去する。
【0067】
ここで、本発明の例示的な実施例を要約する。本明細書の全体及び本明細書において出願される請求項により、他の実施形態も理解されるであろう。
【0068】
実施例1.ウエハ乾燥のための方法は、第1のウエハの表面を提供することであって、第1のウエハの表面が乾燥処理で除去すべき液体を含む、こと、を含む。方法は、第1の処理チャンバ内で液体を第1の固体膜と置換することであって、第1の固体膜が第1のウエハの表面を覆う、ことを更に含む。方法は、第1のウエハを第1の処理チャンバから第2の処理チャンバに搬送することを更に含む。方法は、第2の処理チャンバを通して超臨界流体を流すことによって、第2の処理チャンバ内で第1のウエハを処理することであって、超臨界流体が第1の固体膜を除去する、ことを更に含む。
【0069】
実施例2.液体を第1の固体膜と置換する前に、ウエハの表面に配置された複数の特徴部に対してすすぎ処理を実行すること、を更に含む、実施例1の方法。
【0070】
実施例3.除去すべき液体が、すすぎ処理からのすすぎ液である、実施例1又は2の方法。
【0071】
実施例4.ウエハをイソプロピルアルコールで処理することによって、すすぎ処理からのすすぎ液を除去することであって、除去すべき液体がイソプロピルアルコールである、ことを更に含む、実施例1~3のいずれか1つの方法。
【0072】
実施例5.ウエハの表面が、高アスペクト比の特徴部を含む、実施例1~4のいずれか1つの方法。
【0073】
実施例6.第1の固体膜が、高アスペクト比の特徴部を取り囲んで覆っている、実施例1~5のいずれか1つの方法。
【0074】
実施例7.第2のウエハの表面を提供することであって、第2のウエハの表面が、乾燥処理で除去すべき液体を含むことと、第1の処理チャンバ内で、液体を第2の固体膜と置換することであって、第2の固体膜が第2のウエハの表面を覆う、ことと、を更に含む、実施例1~6のいずれか1つの方法。方法は、第2のウエハを第1の処理チャンバから第2の処理チャンバに搬送することと、第2の処理チャンバを通して超臨界流体を流すことによって第2の処理チャンバ内で第2のウエハを処理することであって、超臨界流体が第2の固体膜を除去する、ことと、を更に含む。
【0075】
実施例8.第1のウエハ及び第2のウエハが、第2の処理チャンバ内で同時に処理される、実施例1~7のいずれか1つの方法。
【0076】
実施例9.ウエハ乾燥方法は、第1のウエハの表面を提供することであって、第1のウエハの表面が乾燥処理で除去すべき液体を含む、ことと、第1の処理チャンバ内で第1のウエハの表面を覆う第1の固体膜を形成することと、第2の処理チャンバ内で流体を流すことと、を含む。この方法は更に、流体を加圧して、超臨界相の第2の処理チャンバを通して流すことと、第2の処理チャンバ内で、第1の固体膜を流体の超臨界相に昇華させることによって、第1のウエハの表面から第1の固体膜を除去することと、を含む。
【0077】
実施例10.第1の固体膜を形成する前に、第1のウエハの表面に配置された複数の特徴部に対してすすぎ処理ステップを実行すること、を更に含む、実施例9の方法。
【0078】
実施例11.除去すべき液体が、すすぎ処理からのすすぎ液である、実施例9又は10の方法。
【0079】
実施例12.ウエハをイソプロピルアルコールで処理することによって、すすぎ処理からのすすぎ液を除去することであって、除去すべき液体がイソプロピルアルコールである、ことを更に含む、実施例9~11のいずれか1つの方法。
【0080】
実施例13.第1のウエハの表面が、高アスペクト比の特徴部を含む、実施例9~12のいずれか1つの方法。
【0081】
実施例14.第1の固体膜が、高アスペクト比の特徴部を取り囲んで覆っている、実施例9~13のいずれか1つの方法。
【0082】
実施例15.乾燥すべき第2のウエハの表面を提供することと、第1の処理チャンバ内で第2のウエハの表面を覆う第2の固体膜を形成することと、を更に含む、実施例9~14のいずれか1つの方法。方法は、第2の固体膜を流体の超臨界相に昇華させることによって、第2のウエハの表面から第2の固体膜を除去することを更に含む。
【0083】
実施例16.第1のウエハ及び第2のウエハが、第2の処理チャンバ内で同時に処理される、実施例9~15のいずれか1つの方法。
【0084】
実施例17.第1の固体膜を形成する前に第1のウエハの表面を液体で処理することであって、第1の固体膜を形成することにより液体を第1の固体膜と置換する、ことを更に含む、実施例9~16のいずれか1つの方法。
【0085】
実施例18.処理装置は、処理チャンバと、処理チャンバへの流体入口と、処理チャンバからの流体出口と、乾燥すべきウエハを保持するための支持体と、処理チャンバ内で流体を加圧して超臨界流体にする加圧サイクルを適用するように構成された制御回路と、を含む。
【0086】
実施例19.制御回路が、流体の温度を監視及び制御するための温度コントローラと、流体の圧力を監視及び制御するための圧力コントローラと、含む、実施例18の処理装置。
【0087】
実施例20.支持体が複数のウエハを保持するように構成され、制御回路が、加圧サイクル中に複数のウエハの各々に同一の処理環境を提供するように構成されている、実施例18又は19の処理装置。
【0088】
本発明は、例示的実施形態を参照して説明されているが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者であれば、本明細書を参照することにより、それらの例示的実施形態の様々な修正形態及び組み合わせ並びに本発明の別の実施形態が明らかになるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図される。
図1A-1C】
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4A
図4B
図5
【国際調査報告】