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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-27
(54)【発明の名称】曲面基板のエッチング方法
(51)【国際特許分類】
   C25F 3/02 20060101AFI20230420BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20230420BHJP
   G02B 5/18 20060101ALN20230420BHJP
【FI】
C25F3/02 B
C25F3/02 C
G02B5/32
G02B5/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022566228
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(85)【翻訳文提出日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 CN2021090692
(87)【国際公開番号】W WO2021219032
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】202010354561.7
(32)【優先日】2020-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510232360
【氏名又は名称】中国科学院光電技術研究所
【氏名又は名称原語表記】The Institute of Optics and Electronics, The Chinese Academy of Sciences
【住所又は居所原語表記】P.O.Box 350, Shuangliu, Chengdu, Sichuan 610209, P.R.China
(74)【代理人】
【識別番号】110003742
【氏名又は名称】弁理士法人海田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ 先▲剛▼
(72)【発明者】
【氏名】李 雄
(72)【発明者】
【氏名】蒲 明博
(72)【発明者】
【氏名】▲馬▼ ▲暁▼亮
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ ▲凱▼▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ ▲澤▼宇
【テーマコード(参考)】
2H249
【Fターム(参考)】
2H249AA33
2H249AA48
2H249CA28
(57)【要約】
本開示は、曲面基板のエッチング方法を提供し、曲面基板にエッチングパターンを有する導電薄膜層を形成することと、導電薄膜層の各位置の電位が等しくなるように、該導電薄膜層に通電することと、導電薄膜層のエッチングパターンに基づいて、曲面基板の各位置を、導電薄膜層の各位置の電位に対応するエッチング深さまでエッチングして、各位置のエッチング深さが一致する曲面基板を得ることと、を含む。本開示に提供される曲面反応性イオンエッチングプロセスにより、任意の曲面で深さが均一である微細構造をエッチングして加工することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲面基板にエッチングパターンを有する導電薄膜層を形成することと、
前記導電薄膜層の各位置の電位が等しくなるように、該導電薄膜層に通電することと、
前記導電薄膜層のエッチングパターンに基づいて、前記曲面基板の各位置を、前記導電薄膜層の各位置の電位に対応するエッチング深さまでエッチングして、各位置のエッチング深さが一致する曲面基板を得ることと、を含む
ことを特徴とする曲面基板のエッチング方法。
【請求項2】
前記曲面基板を、少なくとも上部電極及び下部電極を含むエッチング装置に置くことをさらに含み、
前記導電薄膜層の各位置の電位が等しくなるように、該導電薄膜層に通電することは、
前記導電薄膜層の各位置の電位が前記下部電極と一致するように、該導電薄膜層を前記下部電極に接続することを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の曲面基板のエッチング方法。
【請求項3】
前記エッチング装置の上部電極、下部電極に通電することにより、前記曲面基板をエッチングする
ことを特徴とする請求項2に記載の曲面基板のエッチング方法。
【請求項4】
前記導電薄膜層を前記下部電極に接続することは、
金属ケースにより前記導電薄膜層の周囲を前記下部電極に接続することを含む
ことを特徴とする請求項2に記載の曲面基板のエッチング方法。
【請求項5】
導電テープを介して前記金属ケースの両端をそれぞれ前記導電薄膜層の周囲と前記下部電極に固定することをさらに含む
ことを特徴とする請求項4に記載の曲面基板のエッチング方法。
【請求項6】
前記曲面基板の各位置を、前記導電薄膜層の各位置の電位に対応するエッチング深さまでエッチングすることは、
前記曲面基板に反応性イオンエッチングを行い、前記曲面基板の各位置のエッチング速度が一致することと、
エッチングが完了した後、前記導電薄膜層を除去して、曲面基板のマイクロナノ構造を得ることと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の曲面基板のエッチング方法。
【請求項7】
曲面基板にエッチングパターンを有する導電薄膜層を形成することは、
前記曲面基板に導電薄膜層を順次堆積して、フォトレジスト層を製造することと、
前記フォトレジスト層にフォトリソグラフィを行って、エッチングパターンを形成することと、
前記導電薄膜層をエッチングして、エッチングパターンを有する導電薄膜層を得ることと、
前記フォトレジスト層を除去することと、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の曲面基板のエッチング方法。
【請求項8】
前記パターンは、内部接続パターンであり、網状、環形状又は散乱状を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の曲面基板のエッチング方法。
【請求項9】
前記曲面基板の面形状は、凹面、凸面又は非対称の複雑な曲面を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の曲面基板のエッチング方法。
【請求項10】
前記導電薄膜層は、金属導電薄膜層及び非金属導電薄膜層を含み、前記金属導電薄膜層の材料はCr、Ag、Au、Al、Cu、Niを含み、前記非金属導電薄膜層の材料はITO、AZOを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の曲面基板のエッチング方法。
【請求項11】
曲面基板に適切な厚さの導電薄膜を堆積するステップ1と、
曲面基板における導電薄膜に一層のフォトレジストを製造し、直写又はフォトリソグラフィの方法により、曲面基板における導電薄膜に所定のフォトレジスト微細構造パターンを形成するステップ2と、
ウェットエッチング方法により、フォトレジストパターンを曲面基板における導電薄膜にエッチングして転写し、フォトレジスト層と一致する導電薄膜微細構造パターンを形成して、後続のエッチング転写のメタルマスクとするステップ3と、
曲面基板を反応性イオンエッチング装置の試料台に置き、金属ケース及び導電性テープを用いて、曲面基板の周囲の導電薄膜層を試料台の下部電極に接続するステップ4と、
適切なエッチングガス成分、ガス流量、電圧エッチングプロセスパラメータを調整し、反応性イオンエッチングを行い、導電薄膜パターン構造を曲面基板にエッチングして転写するステップ5と、
エッチング時間を制御することによりエッチング深さを正確に調整し、所定の深さまでエッチングした後、アセトンを利用して残留フォトレジスト層を除去し、金属腐食液を利用して導電薄膜マスク層を除去して、曲面基板のマイクロナノ構造の製造を完了するステップ6と、を含む
ことを特徴とする曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法。
【請求項12】
前記ステップ1における曲面基板は、石英、シリコンというRIEエッチング可能な材料であり、面形状は、凹面、凸面又は非対称複雑曲面である
ことを特徴とする請求項11に記載の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法。
【請求項13】
前記ステップ1における堆積方法は、真空熱蒸着、マグネトロンスパッタリング堆積等の方法であり、適切な厚さは、5~500ナノメートルである
ことを特徴とする請求項11に記載の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法。
【請求項14】
前記ステップ1における導電薄膜がCr、Ag、Au、Al、Cu、Ni金属導電薄膜又はITO、AZO非金属導電薄膜である
ことを特徴とする請求項11に記載の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法。
【請求項15】
前記ステップ2における一層のフォトレジストを製造する方法は、塗布、スピンコート、スプレーコート又は引き上げ方法であり、前記フォトレジストは、感光性フォトレジスト又は電子ビームフォトレジストである
ことを特徴とする請求項11に記載の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法。
【請求項16】
前記ステップ2におけるフォトレジストマスクパターンは、網状、環形状又は散乱状等の径方向接続微細構造に設計し、前記ステップ3における曲面全体におけるメタルマスクの任意点がいずれも良好な電気的導通状態にあることを確保する
ことを特徴とする請求項11に記載の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法。
【請求項17】
前記ステップ3における導電薄膜パターンのマイクロナノ構造を下部電極とし、導電薄膜パターンのマイクロナノ構造の各領域の電位を一致させ、曲面基板における各領域の電位をほぼ一致させて、電界分布の均一性を改善する
ことを特徴とする請求項11に記載の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法。
【請求項18】
前記ステップ4における金属ケース材料は、導電性のアルミニウム、銅という良導体金属であり、金属ケースと曲面基板、試料台とは良好な電気的導通を保持し、かつ金属ケースと室体の周囲との距離が10mm以上であることを確保し、非接触状態を保持する
ことを特徴とする請求項11に記載の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法。
【請求項19】
前記ステップ6において時間によりエッチング深さを制御することは、主に同等の材質の平面基板を選択し、そして複数回のプロセス試験により、基板材料のエッチング速度を測定し、導電薄膜層を除去する場合、導電薄膜の材質に応じて腐食液を選択して、ウェット腐食を利用して選択的に除去すればよい
ことを特徴とする請求項11に記載の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、2020年04月29日に提出され、出願番号が202010354561.7である中国特許出願の優先権を要求し、その全ての内容は引用により本開示に組み込まれる。
【0002】
本開示は、マイクロナノ製造の技術分野に関し、具体的には曲面基板のエッチング方法に関する。
【背景技術】
【0003】
フレネルレンズ、回折格子及びホログラム回折格子等の回折光学素子は、主に素子表面の回折微細構造を利用して光波位相、振幅、偏光等を変調し、光束の均一化、集束、コリメート、分岐及び合成等の特殊な機能を実現する。従来の光学素子に比べて、回折光学系は、集積度が高く、機能が多く、体積が小さく、重量が軽いなどの特徴を有する。加工能力に制限され、現在回折光学素子の多くは平面基板を採用し、曲面基板回折光学素子は加工精度の要求が高くない赤外線帯域を主とする。光学バンド曲面回折素子は非回転対称の任意の曲面基板に、特徴寸法がミクロンオーダーの回折マイクロナノ構造を加工する必要があり、かつ曲面微細構造全体の深さの加工精度を数十ナノメートル内に制御する必要があり、旋削形式のダイヤモンド旋盤等の従来の微細構造の加工方法は上記加工需要を満たすことが困難である。
【0004】
現在、曲面基板に光学バンド回折微細構造を加工することは、まずビーム直写方法を利用して、曲面基板の感光レジスト層に高精度微細構造パターンを加工する必要がある。次に、反応性イオンエッチング(RIE)の方法を用いてレジスト層の微細構造パターンを石英、シリコン等の光学材料基板にエッチングして転写する。従来のRIE装置に試料を置く試料台(即ち下部電極)はいずれも平板形状であり、曲面基板における微細構造パターンをエッチングして転写することが困難である。その原因は、曲面の面形状での微細構造の平板電極からの高さが異なり、さらに電界強度が異なり、エッチング速度が異なり、曲面全体における回折微細構造のナノメートルオーダーの高精度での均一なエッチングを実現しにくいことである。したがって、如何にして任意の曲面における微細構造の高精度での均一なエッチング転写を実現するかは、曲面回折光学素子加工の早急に解決すべき重要な技術的課題の一つとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題に対して、本開示は曲面基板のエッチング方法を提供し、従来の加工方法で曲面全体における回折微細構造の均一なエッチングを実現しにくいなどの技術的課題を少なくとも部分的に解決することに用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は曲面基板のエッチング方法を提供し、曲面基板にエッチングパターンを有する導電薄膜層を形成することと、導電薄膜層の各位置の電位が等しくなるように、該導電薄膜層に通電することと、導電薄膜層のエッチングパターンに基づいて、曲面基板の各位置を、導電薄膜層の各位置の電位に対応するエッチング深さまでエッチングして、各位置のエッチング深さが一致する曲面基板を得ることと、を含む。
【0007】
さらに、曲面基板を、少なくとも上部電極及び下部電極を含むエッチング装置に置くことをさらに含み、導電薄膜層の各位置の電位が等しくなるように、該導電薄膜層に通電することは、導電薄膜層の各位置の電位が下部電極と一致するように、該導電薄膜層を下部電極に接続することを含む。
【0008】
さらに、エッチング装置の上部電極、下部電極に通電することにより、曲面基板をエッチングする。
【0009】
さらに、導電薄膜層を下部電極に接続することは、金属ケースにより導電薄膜層の周囲を下部電極に接続することを含む。
【0010】
さらに、導電テープを介して金属ケースの両端をそれぞれ導電薄膜層の周囲と下部電極に固定する。
【0011】
さらに、曲面基板の各位置を、導電薄膜層の各位置の電位に対応するエッチング深さまでエッチングすることは、曲面基板に反応性イオンエッチングを行い、曲面基板の各位置のエッチング速度が一致することと、エッチングが完了した後、導電薄膜層を除去して、曲面基板のマイクロナノ構造を得ることと、を含む。
【0012】
さらに、曲面基板にエッチングパターンを有する導電薄膜層を形成することは、曲面基板に導電薄膜層を順次堆積して、フォトレジスト層を製造することと、フォトレジスト層にフォトリソグラフィを行って、エッチングパターンを形成することと、導電薄膜層をエッチングして、エッチングパターンを有する導電薄膜層を得ることと、フォトレジスト層を除去することと、を含む。
【0013】
さらに、パターンは、内部接続パターンであり、網状、環形状又は散乱状を含む。
【0014】
さらに、曲面基板の面形状は、凹面、凸面又は非対称の複雑な曲面を含む。
【0015】
さらに、導電薄膜層は、金属導電薄膜層及び非金属導電薄膜層を含み、金属導電薄膜層の材料はCr、Ag、Au、Al、Cu、Niを含み、非金属導電薄膜層の材料はITO、AZOを含む。
【0016】
本開示の他の態様は、曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法を提供し、該方法は、曲面基板に適切な厚さの導電薄膜を堆積するステップ1と、曲面基板における導電薄膜に一層のフォトレジストを製造し、直写又はフォトリソグラフィの方法により、曲面基板における導電薄膜に所定のフォトレジスト微細構造パターンを形成するステップ2と、ウェットエッチング方法により、フォトレジストパターンを曲面基板における導電薄膜にエッチングして転写し、フォトレジスト層と一致する導電薄膜微細構造パターンを形成して、後続のエッチング転写のメタルマスクとするステップ3と、曲面基板を反応性イオンエッチング装置の試料台に置き、金属ケース及び導電性テープを用いて、曲面基板の周囲の導電薄膜層を試料台の下部電極に接続するステップ4と、適切なエッチングガス成分、ガス流量、電圧エッチングプロセスパラメータを調整し、反応性イオンエッチングを行い、導電薄膜パターン構造を曲面基板にエッチングして転写するステップ5と、エッチング時間を制御することによりエッチング深さを正確に調整し、所定の深さまでエッチングした後、アセトンを利用して残留フォトレジスト層を除去し、金属腐食液を利用して導電薄膜マスク層を除去して、曲面基板のマイクロナノ構造の製造を完了するステップ6と、を含む。
【0017】
さらに、ステップ1における曲面基板は、石英、シリコンというRIEエッチング可能な材料であり、面形状は、凹面、凸面又は非対称複雑曲面である。
【0018】
さらに、ステップ1における堆積方法は、真空熱蒸着、マグネトロンスパッタリング堆積等の方法であり、適切な厚さは、5~500ナノメートルである。
【0019】
さらに、ステップ1における導電薄膜がCr、Ag、Au、Al、Cu、Ni金属導電薄膜又はITO、AZO非金属導電薄膜である。
【0020】
さらに、ステップ2における一層のフォトレジストを製造する方法は、塗布、スピンコート、スプレーコート又は引き上げ方法であり、フォトレジストは、感光性フォトレジスト又は電子ビームフォトレジストである。
【0021】
さらに、ステップ2におけるフォトレジストマスクパターンは、網状、環形状又は散乱状等の径方向接続微細構造に設計し、ステップ3における曲面全体におけるメタルマスクの任意点がいずれも良好な電気的導通状態にあることを確保する。
【0022】
さらに、ステップ3における導電薄膜パターンのマイクロナノ構造を下部電極とし、導電薄膜パターンのマイクロナノ構造の各領域の電位を一致させ、曲面基板における各領域の電位をほぼ一致させて、電界分布の均一性を改善する。
【0023】
さらに、ステップ4における金属ケース材料は、導電性のアルミニウム、銅という良導体金属であり、金属ケースと曲面基板、試料台とは良好な電気的導通を保持し、かつ金属ケースと室体の周囲との距離が10mm以上であることを確保し、非接触状態を保持する。
【0024】
さらに、ステップ6において時間によりエッチング深さを制御することは、主に同等の材質の平面基板を選択し、そして複数回のプロセス試験により、基板材料のエッチング速度を測定し、導電薄膜層を除去する場合、導電薄膜の材質に応じて腐食液を選択し、ウェット腐食を利用して選択的に除去すればよい。
【発明の効果】
【0025】
本開示の実施例が提供する曲面基板のエッチング方法は、導電薄膜層の各位置の電位が等しくなるように、該導電薄膜層に通電することにより、等電位体を形成し、曲面基板におけるエッチング領域の電位が一致することを確保することができ、それにより曲面基板が露出した領域全体が均一にエッチングされ、導電薄膜層が遮蔽する領域が保護され、本開示においてパターニングされた導電薄膜はマスクであるとともに、電極でもあり、石英、シリコン等の誘電体材料の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンのエッチング転写が不均一であるという問題を解決し、いくつかの複雑な任意の曲面機能構造デバイスの製造を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本開示の実施例に係る曲面基板のエッチング方法のフローチャート概略図を概略的に示す。
図2図2は、本開示の実施例に係る曲面基板のエッチング方法の完全なフローチャート概略図を概略的に示す。
図3図3は、本開示の実施例に係るエッチング基板の平面図を概略的に示す。
図4図4は、本開示の実施例に係るメタルマスクパターンの概略図を概略的に示す。
図5図5は、本開示の実施例に係るエッチング基板のエッチング装置における断面図を概略的に示す。
図6図6は、本開示の実施例に係る三回のエッチングの均一性図を概略的に示す。
【符号の説明】
【0027】
1、導電薄膜を堆積するステップ;
2、フォトレジストをスピンコーティングするステップ;
3、露光ステップ;
4、現像ステップ;
5、露光領域の導電薄膜を除去するステップ;
6、フォトレジストを除去するステップ;
7、露光領域パターンをエッチングするステップ;
8、残りの導電薄膜を全て除去するステップ;
9、石英;
10、一回目にフォトレジストをエッチングするステップ;
11、三回目に基板をエッチングするステップ;
12、二回目に導電薄膜をエッチングするステップ;
13、下部電極;
14、銅箔;
15、導電薄膜;
16、上部電極。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本開示の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下に具体的な実施例に合わせて、図面を参照して、本開示をさらに詳細に説明する。
【0029】
本開示の実施例は、曲面基板のエッチング方法を提供し、導電薄膜層に通電することにより、曲面基板の各位置を、導電薄膜層の各位置の電位に対応するエッチング深さまでエッチングし、各位置のエッチング深さが一致する曲面基板を得て、石英、シリコン等の誘電体材料曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンのエッチングの転写が不均一であるという問題を解決する。
【0030】
図1は、本開示の実施例に係る曲面基板のエッチング方法のフローチャートを概略的に示す。
【0031】
S1において、曲面基板にエッチングパターンを有する導電薄膜層を形成する。
【0032】
従来のRIE装置に試料を置く試料台はいずれも平板形状であり、曲面基板における微細構造パターンをエッチングして転写することが困難である。それは、曲面の面形状では微細構造の平板電極からの高さが異なり、さらに電界強度が異なり、エッチング速度が異なり、曲面全体における回折微細構造のナノメートルオーダーの高精度での均一なエッチングを実現しにくいためである。本開示は、電界強度の観点から、曲面基板に均一な電界を提供することを考慮し、まず基板にエッチングパターンを有する導電薄膜層を形成し、その後、該パターンを曲面基板に転写する必要がある。
【0033】
S2において、導電薄膜層の各位置の電位が等しくなるように、該導電薄膜層に通電する。
【0034】
導電薄膜層に通電した後、導電薄膜層を等電位体とし、曲面基板における各領域の電位をほぼ一致させ、電界分布の均一性を改善する。
【0035】
S3において、導電薄膜層のエッチングパターンに基づいて、曲面基板の各位置を、導電薄膜層の各位置の電位に対応するエッチング深さまでエッチングして、各位置のエッチング深さが一致する曲面基板を得る。
【0036】
導電薄膜層は、マスクとして、エッチングパターンを曲面基板に転移する一方、電極に相当し、曲面基板におけるエッチング領域の電位が一致することを確保することにより、曲面基板が露出した領域全体が均一にエッチングされ、金属導電薄膜が遮蔽する領域が保護される。
【0037】
上記実施例を基に、曲面基板を、少なくとも上部電極及び下部電極を含むエッチング装置に置くことをさらに含み、導電薄膜層の各位置の電位が等しくなるように、該導電薄膜層に通電することは、導電薄膜層の各位置の電位が下部電極と一致するように、該導電薄膜層を下部電極に接続することを含む。
【0038】
導電薄膜層を試料台の下部電極に接続することにより、導電薄膜パターンのマイクロナノ構造の各領域の電位を一致させ、曲面基板における各領域の電位をほぼ一致させる。具体的には、エッチング装置は、反応性イオンエッチングシステムであり、一般的には、反応性イオンエッチング装置の真空壁全体は接地されて陽極とされ、陰極は電力電極であり、陰極の側面の接地シールドカバーは、電力電極がスパッタリングされることを防止することができる。腐食対象である基板を電力電極に置く。腐食ガスは一定の動作圧力及び配合比率で反応室全体を満たす。反応室内の腐食ガスに対して、ガス破壊限界値より大きい高周波電界を加え、強電界の作用で、高周波電界により加速された浮遊電子はガス分子又は原子とランダムに衝突し、電子エネルギーがある程度に大きくなると、ランダム衝突は非弾性衝突となり、二次電子放出を生成し、それらはさらにガス分子と衝突し、ガス分子を励起又は電離していく。このような激しい衝突は電離と複合を引き起こす。電子の発生と消失の過程が平衡に達する時、放電は継続的に維持していく。非弾性衝突により生成されたイオン、電子及び遊離基(遊離状態の原子、分子又は原子団)はプラズマとも呼ばれ、強い化学活性を有し、エッチングされる試料表面の原子と化学反応し、揮発性物質を形成し、試料表層を腐食する目的を達成する。
【0039】
上記実施例を基に、エッチング装置の上部電極、下部電極に通電することにより、曲面基板をエッチングする。
【0040】
エッチング装置の上部電極、下部電極に通電し、反応室内の腐食ガス分子又は原子が衝突して、プラズマを形成し、プラズマがエッチングされる試料の表面の原子と化学反応し、揮発性物質を形成し、曲面基板をエッチングする。
【0041】
上記実施例を基に、導電薄膜層を下部電極に接続することは、金属ケースを介して導電薄膜層の周囲を下部電極に接続することを含む。
【0042】
導電薄膜層と下部電極との接続の具体的な方式は、金属ケースを用いて導電薄膜層の周囲に接続され、金属ケースが同時にエッチング装置の下部電極に接続されるため、導電薄膜層は下部電極と共に等電位体を形成し、その後に反応性イオンエッチングを行うことを含む。金属ケース材料は、導電性のアルミニウム、銅という良導体金属であり、金属ケースと曲面基板、試料台との間に良好な電気的導通を保持すべきであるとともに、金属ケースと室体の周囲との距離が10mm以上であることを確保し、非接触状態を保持する。
【0043】
上記実施例を基に、導電テープを介して金属ケースの両端をそれぞれ導電薄膜層の周囲及び下部電極に固定することをさらに含む。
【0044】
金属ケースは導電薄膜層の周囲に接続され、かつ導電性テープにより金属ケースと導電薄膜層とを固定させ、金属ケースの他端と下部電極も導電テープにより固定され、エッチング過程における電位の安定性を保証する。
【0045】
上記実施例を基に、曲面基板の各位置を、導電薄膜層の各位置の電位に対応するエッチング深さまでエッチングすることは、曲面基板に反応性イオンエッチングを行い、曲面基板の各位置のエッチング速度が一致することと、エッチングが完了した後、導電薄膜層を除去して、曲面基板のマイクロナノ構造を得ることと、を含む。
【0046】
導電薄膜層が下部電極に接続されて等電位体を形成し、曲面基板における各位置の電位が同じであるため、エッチング速度が同じである。エッチングが完了した後、アセトンを利用して残留フォトレジスト層を除去し、金属腐食液を利用して導電薄膜マスク層を除去して、均一にエッチングされた曲面基板マイクロナノ構造を得て、すなわち曲面基板の各位置のエッチング深さが一致している。
【0047】
上記実施例を基に、曲面基板上にエッチングパターンを有する導電薄膜層を形成することは、曲面基板上に導電薄膜層を順次堆積し、フォトレジスト層を製造することと、フォトレジスト層にフォトリソグラフィを行い、エッチングパターンを形成することと、導電薄膜層をエッチングして、エッチングパターンを有する導電薄膜層を得ることと、前記フォトレジスト層を除去することと、を含む。
【0048】
真空熱蒸着、マグネトロンスパッタリング堆積等の方法を採用して、石英、シリコン等の材料の曲面基板の表面に一層の導電薄膜を製造し、その後にレジスト塗布、フォトリソグラフィ、直写、ウェットエッチング又はドライエッチング等の工程を経て微細構造パターンと一致するパターニング導電薄膜を製造する。
【0049】
説明すべきものとして、フォトレジストの除去は曲面基板に反応性イオンエッチングを行った後に行うこともでき、即ち導電薄膜微細構造パターンが既に形成されてから、導電薄膜層除去までのいずれのプロセスにおいても残留フォトレジスト層の除去を行うことができ、フォトレジストの除去順序は最終的なエッチング効果に影響を与えない。
【0050】
好ましくは、導電薄膜層の厚さは5~500ナノメートルである。この厚さの範囲内において、導電薄膜層は、厚さが成膜条件を満たすことができて、優れた導電性及び耐エッチング性を有し、また厚すぎず、それによりドライエッチング又はウェットエッチング工程によりパターニング導電薄膜を製造することができるという技術効果を有する。
【0051】
好ましくは、一層のフォトレジストを製造する方法は、塗布、スピンコート、スプレーコート又は引き上げ方法であってもよく、フォトレジストは感光性フォトレジスト又は電子ビームフォトレジストであってもよい。
【0052】
図2は、本開示の実施例に係る曲面基板のエッチング方法の完全なフローチャート概略図を概略的に示し、該方法は以下のステップを含む。
【0053】
ステップ1において、曲面基板に適切な厚さの導電薄膜を堆積する。
【0054】
ステップ2において、曲面基板における導電薄膜に一層のフォトレジストを製造する。
【0055】
ステップ3及び4において、直写又はフォトリソグラフィの方法により、曲面基板における導電薄膜に所定のフォトレジスト微細構造パターンを形成する。
【0056】
ステップ5において、エッチングにより、フォトレジストパターンを曲面基板における導電薄膜にエッチングして転写し、フォトレジスト層と一致する導電薄膜微細構造パターンを形成して、その後のエッチング転写のメタルマスクとする。
【0057】
ステップ6において、アセトンによって残留フォトレジスト層を除去する。
【0058】
本実施例において、導電薄膜微細構造パターンをエッチングして形成した後に残留のフォトレジストを除去し、実際の応用過程において、ステップ6とステップ7の順序を交換することができ、即ち導電薄膜微細構造パターンが既に形成されてから、導電薄膜層の除去までのいずれのプロセスにおいても残留フォトレジスト層の除去を行うことができ、フォトレジストの除去順序は最終的なエッチング効果に影響を与えない。
【0059】
ステップ7において、曲面基板を反応性イオンエッチング装置の試料台に置き、金属ケース及び導電性テープを用いて、曲面基板の周囲の導電薄膜層を試料台の下部電極に接続する。
【0060】
適切なエッチングガス成分、ガス流量、バイアス電圧、室圧、エッチング時間などのエッチングプロセスパラメータを調整し、反応性イオンエッチングを行い、導電薄膜パターン構造を曲面基板にエッチングして転写し、エッチングの所定深さに達するまで、エッチング時間を制御することによりエッチング深さを正確に調整する。
【0061】
ステップ8において、所定の深さまでエッチングした後、金属腐食液を利用して導電薄膜マスク層を除去して、曲面基板のマイクロナノ構造の製造を完了する。
【0062】
説明すべきものとして、反応性イオンエッチングの深さは、エッチングガス成分、ガス流量、バイアス電圧、エッチング時間などの条件に関連し、ガス流量を向上させる場合、エッチング速度が向上し、CHF3の割合が高い場合に、よりよいエッチング急峻度及びエッチング均一性を有し、SF6の割合が高い場合に、より速いエッチング速度を有し、バイアス電圧が大きいほどエッチング速度が速くなるが、バイアス電圧が大きすぎる場合、エッチング試料の温度分布が不均一となりエッチング均一性を低下させ、低い室圧は、よりよい急峻度をもたらすがエッチング速度を低下させ、エッチング時間はエッチング深さに比例する。
【0063】
時間によりエッチング深さを制御することは主に同等の材質の平面基板を選択し、そして複数回のプロセス試験により、基板材料のエッチング速度を測定する。導電薄膜層を除去する場合、導電薄膜の材質に応じてエッチング液を選択すべきであり、ウェットエッチングで選択的に除去すればよい。
【0064】
このエッチング方法により、エッチング深さの均一性が良好な曲面マイクロナノ構造パターンを製造することができ、異なる面形状、異なる厚さの曲面基板エッチングに適用することができるとともに、エッチング均一性の再現性が高いことを保証する。
【0065】
上記実施例を基に、パターンは、内部接続パターンであり、網状、環形状又は散乱状を含む。
【0066】
フォトレジストマスクパターンは、網状、環形状又は散乱状などの径方向接続微細構造に設計すべきであり、エッチング過程において曲面全体でのメタルマスクの任意点がいずれも良好な電気的導通状態にあることを確保する。
【0067】
上記実施例を基に、曲面基板の面形状は、凹面、凸面又は非対称複雑曲面を含む。
【0068】
このエッチング方法は、異なる曲面形状に応用することができ、凹面、凸面又は非対称複雑曲面等を含み、いずれもエッチング深さが一致する曲面基板を得ることができ、フレネルレンズ、回折格子及びホログラム回折格子等の回折光学素子の製造プロセスに広く応用することができる。
【0069】
上記実施例を基に、導電薄膜層は、金属導電薄膜層及び非金属導電薄膜層を含み、金属導電薄膜層の材料はCr、Ag、Au、Al、Cu、Niであり、非金属導電薄膜層の材料はITO、AZOである。
【0070】
一般的な導電性材料はいずれも導電薄膜層とすることができ、上記金属導電薄膜及び非金属導電薄膜を含むがそれらに限定されず、該材料が良好な導電性能を有することを保証すればよい。
【0071】
以下、二つの具体的な実施例により本開示を詳細に説明する。
【0072】
[実施例1]
石英材料の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度反応性イオンエッチングの転写方法であって、具体的なステップは以下のとおりである。
【0073】
ステップ(1)において、マグネトロンスパッタリングを用いて凹状石英材料の曲面基板に、厚さが100ナノメートルのCr薄膜を堆積する。ステップ(1)における導電薄膜15はCr薄膜である。
【0074】
ステップ(2)において、Cr薄膜がメッキされた石英材料の曲面基板にレジスト塗布装置を用いて一層のフォトレジストを製造し、次にフォトリソグラフィの方法により、曲面基板におけるCr薄膜に所定のフォトレジスト微細構造パターンである放射状接続線付きの同心円環状アレイを製造する。
【0075】
ステップ(3)において、クロム除去液ウェットエッチング法により、フォトレジストパターンを曲面基板におけるCr導電膜にエッチングして転写し、フォトレジスト層と一致するCr薄膜微細構造パターンを形成して、その後のエッチング転写のメタルマスクとし、前述のS1ステップに相当する。
【0076】
ステップ(4)において、曲面基板を反応性イオンエッチング装置の試料台に置き、金属ケース及び導電性テープを用いて、曲面基板の周囲の導電Cr薄膜層を試料台の下部電極13に接続し、前述のS2ステップに相当する。
【0077】
ステップ(5)において、適切なエッチングガス成分(ガス成分がCHF3、SF6である)、ガス流量(CHF3の流量が80sccmであり、SF6の流量が10sccmである)、バイアス電圧(約420V)、室圧0.3Pa、エッチング時間(20分間)を調整し、反応性イオンエッチングを行い、導電Cr薄膜パターン構造を石英材料の曲面基板にエッチングして転写し、前述のS3ステップに相当する。
【0078】
ステップ(6)において、エッチング時間を制御することによりエッチング深さを正確に調整し、所定の深さまでエッチングした後、アセトンで残留フォトレジスト層を除去し、クロム除去液によって導電Cr薄膜マスク層を除去し、曲面基板のマイクロナノ構造の製造を完了する。
【0079】
ここで、図2は該実施例の加工フローチャートであり、図3はエッチング基板の配置平面図であり、図4はメタルマスク図であり、図5はエッチング基板の配置断面図であり、図6は三回のエッチング均一性図であり、該三回のエッチング実験で採用されたエッチングベースはいずれも同じ形状、同じ寸法の曲率半径が200mmで、矢高が30mmの凹球面石英ベースであり、同じエッチングパラメータの曲面基板エッチングを行い、かつ白色光干渉計を用いて測定して毎回の曲面エッチングのエッチング深さ及びエッチング均一性(毎回のエッチングの曲面エッチング均一性の定義は、今回のエッチングの最大エッチング深さから最小エッチング深さを減算して平均エッチング深さで割るということである)を取得する。
【0080】
[実施例2]
シリコン材料の曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度反応性イオンエッチングの転写方法であって、凸型のシリコン曲面基板に電子ビームによりAu膜を蒸発し、具体的なステップは以下のとおりである。
【0081】
ステップ(1)において、電子ビームを用いて凸型シリコン材料の曲面基板に、厚さが5ナノメートルのAu膜を堆積する。
【0082】
ステップ(2)において、Au膜がメッキされたシリコン曲面基板にレジスト塗布装置を用いて一層のフォトレジストを製造し、次にレーザ直写方法により、凸型シリコン材料の曲面基板における導電性Au薄膜に所定のフォトレジスト微細構造パターンを製造し、例えば周期50ミクロンの網状構造である。
【0083】
ステップ(3)において、イオンビームエッチングの方法により、フォトレジストパターンをシリコン曲面基板におけるAu導電薄膜にエッチングして転写し、フォトレジスト層と一致するAu導電薄膜微細構造パターンを形成して、その後のエッチング転写のメタルマスクとし、次にアセトンを利用して残留フォトレジスト層を除去することができ、前述のS1ステップに相当する。
【0084】
ステップ(4)において、シリコン曲面基板を反応性イオンエッチング装置の試料台に置き、金属ケース及び導電性テープを用いて、曲面基板の周囲の導電性Au薄膜層を試料台下部電極13に接続し、前述のS2ステップに相当する。
【0085】
ステップ(5)において、適切なエッチングガス成分(ガス成分がCHF3、SF6である)、ガス流量(CHF3の流量が20sccmであり、SF6の流量が50sccmである)、バイアス電圧(約200V)、室圧0.5Pa、エッチング時間(4分間)を調整し、反応性イオンエッチングを行い、導電Au薄膜パターン構造をシリコン曲面基板にエッチングして転写し、前述のS3ステップに相当する。
【0086】
ステップ(6)において、エッチング時間を制御することによりエッチング深さを正確に調整し、所定の深さまでエッチングした後、金除去腐食液を利用して導電Au薄膜マスク層を除去し、曲面基板のマイクロナノ構造の製造を完了する。
【0087】
本開示の原理は、曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンの高精度エッチング転写方法である。まず曲面基板上に適切な厚さの導電薄膜を堆積する。次に曲面基板における導電薄膜に一層のフォトレジストを製造し、次に直写又はフォトリソグラフィの方法により、曲面基板における導電薄膜に所定のフォトレジストマイクロナノ構造パターンを形成する。ウェットエッチング方法により、フォトレジストパターンを曲面基板における導電薄膜にエッチングして転写し、フォトレジスト層と一致する導電薄膜マイクロナノ構造パターンを形成して、その後のエッチング転写のメタルマスクとする。最後に曲面基板を反応性イオンエッチング装置の試料台に置き、金属ケース及び導電性テープを用いて、曲面基板の周囲の導電薄膜層を試料台の下部電極に接続する。適切なエッチングガス成分、ガス流量、バイアス電圧、室圧、エッチング時間などのエッチングプロセスパラメータを調整することにより、反応性イオンエッチングを行い、導電薄膜パターン構造を曲面基板にエッチングして転写した後に、アセトンで残留フォトレジスト層を除去し、金属腐食液を利用して導電薄膜マスク層を除去し、曲面基板のマイクロナノ構造の製造を完了する。
【0088】
本開示は従来の技術に比べて以下の利点を有する。
【0089】
(1)本開示は、真空熱蒸着、マグネトロンスパッタリング堆積等の方法を採用し、石英、シリコン等の材料の曲面基板の表面に一層の導電薄膜を製造し、その後にレジスト塗布、フォトリソグラフィ、直写、ウェットエッチング又はドライエッチング等の工程を経て微細構造パターンと一致するパターニング導電薄膜を製造し、次に金属ケースと導電性テープを用いて、曲面基板の周囲の導電膜層を試料台の下部電極に接続し、良好な導電接触を確保し、等電位体を形成し、その後に反応イオンエッチングを行う。該方法は、曲面基板におけるエッチング領域の電位が一致することを確保することができ、それにより曲面基板が露出した領域全体が均一にエッチングされ、金属導電薄膜が遮蔽する領域が保護される。本開示においてパターニングされた金属薄膜はマスクであるとともに、電極でもあり、石英、シリコン等の誘電体材料曲面基板におけるマイクロナノ構造パターンのエッチングの転写が不均一であるという問題を解決し、いくつかの複雑な任意の曲面機能構造デバイスの製造を可能にする。
【0090】
(2)本開示は、フォトレジストパターンを曲面基板における導電薄膜にエッチングして転写し、フォトレジスト層と一致する導電薄膜微細構造パターンを形成して、後続のエッチング転写のメタルマスクとする。曲面基板に堆積された導電薄膜はCr、Ag、Au、Al、Cu、Ni金属導電薄膜又はITO、AZO非金属導電薄膜を選択することができる。マスクパターンの転写は、曲面基板を反応性イオンエッチング装置の試料台に置き、金属ケース及び導電性テープを用いて、曲面基板の周囲の導電薄膜層を試料台の下部電極に接続する。ここで、金属ケース材料は、導電性のアルミニウム、銅等の良導体金属であり、金属ケースと曲面基板、試料台とは良好な電気的導通を保持すべきであり、同時に金属ケースと室体の周囲の距離が10mm以上であることを確保し、非接触状態を保持し、任意の曲面における微細構造を高精度で均一にエッチングして転写する。
【0091】
(3)本開示のフォトレジストマスクパターンは、網状、環形状又は散乱状等の径方向接続微細構造に設計され、ウェットエッチング方法を用いて形成されたメタルマスクの曲面全体での任意点がいずれも良好な電気的導通状態にあることを確保する。曲面におけるマイクロナノ構造パターンは製造過程において基板に均一にエッチングして転写することができる。
【0092】
(4)本開示は、導電薄膜を堆積し、厚さを5~500ナノメートルに制御する。堆積された薄膜がフォトリソグラフィ又は直写の方法を経て製造されたメタルマスクは、マイクロナノ構造パターンを凹面、凸面又は非対称の複雑な曲面に、よりよく転写することができる。かつマイクロナノ構造の深さの加工精度を数十ナノメートル内に制御することを保証することができ、かつ良好な均一性を有する。
【0093】
以上に述べた具体的な実施例は、本開示の目的、技術的解決手段及び有益な効果をさらに詳細に説明し、理解すべきこととして、以上の記載は本開示の具体的な実施例に過ぎず、本開示を限定するものではなく、本開示の精神及び原則内で、行われたいかなる修正、同等置換、改善などは、いずれも本開示の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】