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特表2023-518458標本走査のためのフォーカス設定の決定
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】標本走査のためのフォーカス設定の決定
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20230424BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20230424BHJP
【FI】
H01L21/66 J
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022556262
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(85)【翻訳文提出日】2022-11-09
(86)【国際出願番号】 US2021022030
(87)【国際公開番号】W WO2021188364
(87)【国際公開日】2021-09-23
(31)【優先権主張番号】62/991,035
(32)【優先日】2020-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/195,614
(32)【優先日】2021-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マンティプリー ブライアント
(72)【発明者】
【氏名】リウ シウメイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュスティ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】カオ カイ
(72)【発明者】
【氏名】ワリングフォード リチャード
【テーマコード(参考)】
2G051
4M106
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB02
2G051AC11
2G051BA01
2G051BA10
2G051BA20
2G051CA02
2G051CA03
2G051CB01
2G051CB05
2G051DA07
4M106AA01
4M106BA04
4M106BA05
4M106CA39
4M106DB04
4M106DB14
4M106DB20
4M106DJ03
(57)【要約】
標本走査に用いるフォーカス設定を決定するための方法及びシステムが提供される。1つの方法は、標本上の位置の関数として最適な焦点の値で定義されるフォーカスマップを、エネルギーを標本に向け、標本からのエネルギーを検出し、検出されたエネルギーに応答する出力を生成するように構成される出力取得サブシステムによって、標本上で走査された1つ以上のプリフォーカススワスで生成された出力を使用して生成することを含む。方法は更に、フォーカスマップを補間して、プロセス中に標本上で実行される走査のためのフォーカス設定を生成し、プロセス中に標本上で実行される走査で用いる生成されたフォーカス設定に関する情報を保存することを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本走査に用いるフォーカス設定を決定するために構成されたシステムであって、
エネルギーを標本に向け、前記標本からのエネルギーを検出し、前記検出されたエネルギーに応答する出力を生成するように構成された出力取得サブシステムと、
1つ以上のコンピュータサブシステムであって、
前記標本上の位置の関数として最適な焦点の値で定義されるフォーカスマップを、前記出力取得サブシステムによって前記標本上で走査された1つ以上のプリフォーカススワスで生成された出力を使用して生成し、
前記フォーカスマップを補間して、プロセス中に前記標本上で実行される走査のためのフォーカス設定を生成し、かつ、
前記プロセス中に前記標本上で実行される前記走査で使用するための前記生成されたフォーカス設定に関する情報を保存するように構成される、1つ以上のコンピュータサブシステムと、
を備える、システム。
【請求項2】
前記標本はその上に形成された3DNAND構造を有するウェハを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記出力は前記標本の画像を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上のプリフォーカススワスは、前記標本に対して異なるz位置で走査される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上のプリフォーカススワスは、前記標本上の完全に重なり合う領域として事前定義される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上のプリフォーカススワスは、所定のパターン化された特徴を含む事前定義されたケア領域で走査される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記フォーカスマップを生成することは、フォーカスメトリックを前記1つ以上のプリフォーカススワス内のx及びy位置の関数として決定することを含み、前記x及びy位置の一方で前記フォーカスメトリックを決定することは、前記フォーカスメトリックを、前記x及びy位置の前記一方で前記1つ以上のプリフォーカススワス内で生成されたすべての前記出力から決定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記フォーカスマップを生成することは、前記1つ以上のプリフォーカススワス内のx及びy位置の関数としてフォーカスメトリックを決定することを含み、前記フォーカスメトリックは粗いzフォーカス測定値を含み、前記フォーカスマップを生成することは、前記粗いzフォーカス測定値を多項式にフィッティングし、前記多項式のピークにおける前記x及びy位置での最適な焦点を推定し、前記プロセス中に前記標本上で実行される前記走査のためのサンプル計画におけるx及びy位置の前記フォーカスマップを、前記1つ以上のプリフォーカススワス内の前記x及びy位置での前記最適な焦点から生成することを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記フォーカスマップを生成すること、前記フォーカスマップを補間すること、及び前記情報を保存することは、前記プロセス中に、かつ前記プロセス中に前記標本上で実行される前記走査の第1及び第2のスワスに対して別々に実行され、前記第1のスワスは前記第2のスワスの前に走査され、そして前記1つ以上のコンピュータサブシステムは、前記第2のスワスに対して走査された前記1つ以上のプリフォーカススワスの1つ以上のパラメータを、前記第1のスワスに対して実行された前記最適な焦点を推定した結果に基づいて決定するように更に構成される、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記補間することは、前記フォーカスマップを補間して、前記プロセス中に前記標本上で実行される前記走査の完全なサンプル計画のための前記フォーカス設定を生成することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記走査は、前記走査の前に決定された前記生成されたフォーカス設定に基づいて前記プロセス中に前記標本上で実行され、前記生成されたフォーカス設定は前記走査中に変更されない、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記プロセス中に前記標本上で実行される前記走査は、前記出力取得サブシステムのオートフォーカスを含まない、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記1つ以上のプリフォーカススワスは、前記プロセス中に前記標本上で実行される前記走査の第1のスワス内に配置され、前記フォーカスマップを生成すること、前記フォーカスマップを補間すること、及び前記情報を保存することは、前記標本上で実行される前記プロセス中に実行される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記フォーカスマップを生成すること、前記フォーカスマップを補間すること、及び前記情報を保存することは、前記プロセス中に、かつ前記プロセス中に前記標本上で実行される前記走査の第1及び第2のスワスに対して別々に実行され、前記第1のスワスは前記第2のスワスの前に走査される、請求項1に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1のスワスのための前記フォーカスマップを生成するために使用される前記1つ以上のプリフォーカススワスの数は、前記第2のスワスのための前記フォーカスマップを生成するために使用される前記1つ以上のプリフォーカススワスの数より多い、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記1つ以上のコンピュータサブシステムは、前記第2のスワスに対して前記標本上で走査された前記1つ以上のプリフォーカススワスの1つ以上のパラメータを、前記第1のスワスに対して生成された前記フォーカス設定に基づいて決定するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記出力取得サブシステムは、前記生成されたフォーカス設定を用いて前記プロセス中に前記標本上で前記走査を実行するように更に構成され、前記1つ以上のコンピュータサブシステムは、前記走査中に、標本表面プロファイルを前記生成されたフォーカス設定に適用し、それによって前記プロセス中の前記標本の前記走査に使用される最終的なフォーカス設定を決定するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項18】
前記1つ以上のコンピュータサブシステムは、前記標本の1つ以上の特性を前記生成されたフォーカス設定に基づき決定するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記1つ以上のコンピュータサブシステムは、前記標本上で実行される製造プロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の変更を、前記標本の前記決定された1つ以上の特性に基づいて決定するように更に構成される、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記プロセスは、前記標本上の欠陥を検出することを含む検査プロセスであり、前記1つ以上のコンピュータサブシステムは、前記1つ以上の変更を、前記標本の前記決定された1つ以上の特性に基づき、前記検査プロセスによって生成された前記検出された欠陥に関する情報と組み合わせて決定するように更に構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記プロセスは検査プロセスである、請求項1に記載のシステム。
【請求項22】
前記標本に向けられるエネルギーは光を含み、前記標本から検出されるエネルギーは光を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項23】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、コンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を保存し、標本走査に用いるフォーカス設定を決定するコンピュータ実装方法を実行し、ここで前記コンピュータ実施方法は、
標本上の位置の関数として最適な焦点の値で定義されるフォーカスマップを、出力取得サブシステムであって、エネルギーを標本に向け、前記標本からのエネルギーを検出し、前記検出されたエネルギーに応答する出力を生成するように構成された出力取得サブシステムによって、前記標本上で走査された1つ以上のプリフォーカススワスで生成された出力を使用して生成し、
前記フォーカスマップを補間して、プロセス中に前記標本上で実行される走査のためのフォーカス設定を生成し、かつ、
前記プロセス中に前記標本上で実行される前記走査で使用するための前記生成されたフォーカス設定に関する情報を保存し、ここで前記生成すること、補間すること、及び保存することは、前記出力取得サブシステムに結合された前記コンピュータシステムによって実行される、ことを含む、
非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項24】
標本走査で用いるフォーカス設定を決定するためのコンピュータ実行方法であって、
標本上の位置の関数として最適な焦点の値で定義されるフォーカスマップを、出力取得サブシステムであって、エネルギーを標本に向け、前記標本からのエネルギーを検出し、前記検出されたエネルギーに応答する出力を生成するように構成された出力取得サブシステムによって、前記標本上で走査された1つ以上のプリフォーカススワスで生成された出力を使用して生成し、
前記フォーカスマップを補間して、プロセス中に前記標本上で実行される走査のためのフォーカス設定を生成し、かつ、
前記プロセス中に前記標本上で実行される前記走査で使用するための前記生成されたフォーカス設定に関する情報を保存し、ここで前記生成すること、補間すること、及び保存することは、前記出力取得サブシステムに結合された1つ以上のコンピュータサブシステムによって実行される、ことを含む、
コンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、標本走査に用いるフォーカス設定を決定するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
以下の説明及び例は、このセクションに含まれているため、先行技術であるとは認められない。
【0003】
ロジックデバイス及びメモリデバイスのような半導体デバイスを製造することは、通常は、多数の半導体製造プロセスを用いる半導体ウェハのような基板を加工して、半導体デバイスの様々な特徴及び複数のレベルを形成することを含む。例えば、リソグラフィは、パターンをレチクルから半導体ウェハ上に配置されるレジストに転写することを含む半導体製造プロセスである。半導体製造プロセスの追加の例は、限定するものではないが、化学的機械的研磨(CMP)、エッチング、蒸着、及びイオン注入を含む。複数の半導体デバイスは単一の半導体ウェハ上に配列して製造され、次に個々の半導体デバイスに分割され得る。
【0004】
検査プロセスは、半導体製造プロセスの間に様々なステップで使用され、ウェハ上の欠陥を検出し、製造プロセスでのより高い歩留まりと、従ってより高い利益を促進する。検査は常に、ICなどの半導体デバイスを製造することの重要な部分である。しかし、半導体デバイスの寸法が小さくなるにつれて、より小さな欠陥がデバイスの故障を引き起こす可能性があるため、検査は許容可能な半導体デバイスの製造を成功させるためにより一層重要となる。
【0005】
欠陥レビューは、通常、検査プロセスによって検出された欠陥を再検出し、高倍率光学システム又は走査電子顕微鏡(SEM)のうちいずれかを用いて、より高い解像度で欠陥に関する追加情報を生成することを伴う。したがって、欠陥レビューは、欠陥が検査によって検出されたウェハ上の個別の位置で実行される。欠陥レビューによって生成される欠陥のより高い解像度データは、プロファイル、粗さ、より正確なサイズ情報などの欠陥の属性を判断するためにより適切である。
【0006】
計測プロセスはまた、半導体製造プロセス中に様々なステップで使用され、プロセスを監視し制御する。計測プロセスは、検査プロセスとは異なっており、それは欠陥がウェハ上で検出される検査プロセスとは違って、計測プロセスを用いて、現在使用されている検査ツールを用いては判定され得ないウェハの1つ以上の特性を測定するという点においてである。例えば、計測プロセスを使用して、ウェハの1つ以上の特性、例えばウェハ上に形成された特徴の寸法(例えば、線幅、厚さなど)をプロセス中に測定することで、プロセスの性能が1つ以上の特性から判断され得る。更に、ウェハの1つ以上の特性が許容不可能(例えば、特性(複数可)に対して所定の範囲外)である場合、ウェハの1つ以上の特性の測定を用いて、プロセスの1つ以上のパラメータを変更し、その結果、そのプロセスによって製造される追加のウェハは許容可能な特性(複数可)を有し得る。
【0007】
計測プロセスは、欠陥レビュープロセスとも異なり、それは、検査によって検出される欠陥が欠陥レビューで再検討される欠陥レビュープロセスとは違って、計測プロセスは、欠陥が検出されない位置で実行され得るという点である。言い換えると、欠陥レビューとは違って、計測プロセスがウェハ上で実行される位置は、ウェハに対して実行される検査プロセスの結果とは無関係であってもよい。特に、計測プロセスが実行される位置は、検査結果とは無関係に選択され得る。更に、計測が実行されるウェハ上の位置は検査結果とは無関係に選択され得るため、欠陥レビューを実行するウェハ上の位置が、ウェハの検査結果が生成されて利用可能となるまで決定され得ないという欠陥レビューとは異なり、計測プロセスが実行される位置は、検査プロセスがウェハに対して実行される前に決定され得る。
【0008】
上記のような品質管理タイプのプロセスの性能に大きな影響を与え得るパラメータの1つは、標本の走査又は測定を実行するツールの焦点である。言い換えると、システムが、走査又は測定中に合焦されていない場合、次にその走査又は測定中に生成された出力から決定される標本の特性は、システムが走査又は測定中に合焦されていた場合よりも正確さが低くなる。
【0009】
ツールが、測定又は走査の前に合焦されていても、ツールが標本の上を走査し、又は標本上の他の位置で測定を実行すると、ツールは合焦しなくなる可能性がある。特に、本明細書に記載の標本は、実質的に平坦ではない場合があり、及び/又は標本の平坦度は、標本全体で変化する可能性がある。例えば、ウェハなどの標本上のプロセス変動は、ウェハの走査又は測定中に比較的大きなフォーカス追跡エラーを引き起こす可能性がある。更に、本明細書で説明するいくつかの標本は、ツールによって使用される光が透過できる層を含むことができ、及び/又は標本の最上面のかなり下に位置するパターン化された特徴を含む層を含み得る。例えば、一部のシステムは、フォーカス深度に対して、かなり大きなZ3D検査内では、殆ど又は全く制御できない場合がある。したがって、このようなシステムのオートフォーカス要素は、所望の上面を追跡する場合もあれば、下にある構造の特徴を追跡して上面が合焦しなくなる場合もある。したがって、ツールの合焦面が走査又は測定中に標本に対してどこにあるかが既知でない場合、走査又は測定中に生成された出力が誤って解釈される可能性があり、役に立たない場合があり、又は出力から生成された結果に不正確を生じる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0212213号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、上記で説明した欠点の1つ以上を有していない、標本走査に用いるフォーカス設定を決定するためのシステム及び/又は方法を開発することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
様々な実施形態の以下の説明は、付属の特許請求の範囲の主題を限定するものとしていかなる形でも解釈されるものではない。
【0013】
一実施形態は、標本走査に用いるフォーカス設定を決定するように構成されたシステムに関する。システムは、出力取得サブシステムを含み、それはエネルギーを標本に向け、標本からのエネルギーを検出し、検出されたエネルギーに応答する出力を生成するように構成される。システムは更に、1つ以上のコンピュータサブシステムを含み、それは標本上の位置の関数として最適な焦点の値で定義されるフォーカスマップを、出力取得サブシステムによって標本上で走査された1つ以上のプリフォーカススワスで生成された出力を使用して生成するように構成される。1つ以上のコンピュータサブシステムはまた、フォーカスマップを補間して、プロセス中に標本上で実行される走査のためのフォーカス設定を生成するように構成される。加えて、1つ以上のコンピュータサブシステムは、プロセス中に標本上で実行される走査で用いる生成されたフォーカス設定に関する情報を保存するように構成される。システムは、本明細書で説明するように更に構成され得る。
【0014】
別の実施形態は、標本走査に用いるフォーカス設定を決定するコンピュータ実装方法に関する。方法は、標本上の位置の関数として最適な焦点の値で定義されるフォーカスマップを、出力取得サブシステムによって標本上で走査された1つ以上のプリフォーカススワスで生成された出力を使用して生成することを含み、出力取得サブシステムはエネルギーを標本に向け、標本からのエネルギーを検出し、検出されたエネルギーに応答する出力を生成するように構成される。方法は更に、フォーカスマップを補間して、プロセス中に標本上で実行される走査のためのフォーカス設定を生成することを含む。加えて、方法は、プロセス中に標本上で実行される走査で用いる生成されたフォーカス設定の情報を保存することを含む。生成、補間、及び保存のステップは、出力取得サブシステムに結合された1つ以上のコンピュータサブシステムによって実行される。
【0015】
上述の方法の各ステップは、本明細書で更に説明するように実行され得る。上述の方法は、本明細書に記載の別の方法(複数可)の別のステップ(複数可)を含んでもよい。上述の方法は、本明細書に記載のシステムのいずれかによって実行され得る。
【0016】
追加の実施形態は、非一時的コンピュータ可読媒体に関し、それは標本走査に用いるフォーカス設定を決定するコンピュータ実装方法を実行するためにコンピュータシステム上で実行可能なプログラム命令を保存する。コンピュータ実施方法は、上述の方法のステップを含む。コンピュータ可読媒体は、本明細書で説明するように更に構成され得る。コンピュータ実装方法のステップは、本明細書で更に説明するように実行されてもよい。加えて、プログラム命令が実行可能であるコンピュータ実装方法は、本明細書に記載の別の方法(複数可)の別のステップ(複数可)を含み得る。
【0017】
本発明の別の目的及び利点は、以下の詳細な説明を読むことで、また添付の図面を参照することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本明細書に記載のように構成されたシステムの一実施形態の側面図を示す概略図である。
図2】プロセス中に標本上で実行される走査におけるスワスの一例の平面図を示す概略図である。
図3】プロセス中に標本上で実行される走査におけるスワスの一例の平面図、及びスワスのうちの1つにおけるプリフォーカススワスの一実施形態を示す概略図である。
図4】標本上に形成されたパターン化された特徴の一例の側面図、及び標本に対するプリフォーカススワスの異なるz位置の一実施形態を示す概略図である。
図5】標本走査に用いるフォーカス設定を決定するために実行され得るステップの実施形態を示す流れ図である。
図6】標本走査に用いるフォーカス設定を決定するために実行され得るステップの実施形態を示す流れ図である。
図7】本明細書に記載のコンピュータ実装方法のうちの1つ以上を実行するためにコンピュータシステム上で実行可能な、プログラム命令を保存する非一時的コンピュータ可読媒体の一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、様々な変形及び代替的形態が可能であるが、その特有の実施形態が、例として図面に示され、本明細書において詳細に説明される。しかし、図面及びそれに対する詳細な説明は、本発明を、開示する特定の形態に限定するように意図するものではないが、それとは反対に、その意図は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に入るすべての変形、等価物、及び代替を対象とするものであることを理解されたい。
【0020】
本明細書で使用する用語「設計」「設計データ」及び「設計情報」は、一般的に、ICの物理的設計(レイアウト)を指し、また、複雑なシミュレーション又は単純な幾何学的及びブール演算による物理的設計から導出されるデータを指す。加えて、レチクル検査システムによって取得されるレチクルの画像及び/又はその派生物は、設計用の「プロキシ」又は「複数のプロキシ」として使用され得る。そのようなレチクル画像又はその派生物は、設計を使用する本明細書で説明する任意の実施形態において設計レイアウトの代用として役割を果たし得る。設計は、2009年8月4日にZaferらに発行された共同所有の米国特許第7,570,796号、及び2010年3月9日にKulkarniらに発行された米国特許第7,676,077号に説明された任意の別の設計データ又は設計データプロキシを含み得て、これらの両方ともに、参照によってすべて記載されるかのように本明細書に援用される。加えて、設計データは、標準的なセルライブラリデータ、集積レイアウトデータ、1つ以上の層の設計データ、設計データの派生物、及び完全又は部分的チップ設計データであり得る。
【0021】
しかし、一般に、設計情報又はデータは、ウェハをウェハ検査システムで撮像することによって生成され得ない。例えば、ウェハ上に形成された設計パターンは、ウェハの設計を正確に表さない場合があり、またウェハ検査システムは、ウェハ上に形成された設計パターンの画像を十分な解像度で生成することができない場合があり、その結果、画像を使用してウェハのための設計に関して情報を決定することができない可能性がある。したがって、通常、設計情報又は設計データは、物理的ウェハを使用して生成され得ない。加えて、本明細書で説明する「設計」及び「設計データ」は、設計プロセスにおいて半導体デバイス設計者によって生成される情報及びデータを指し、したがって、任意の物理的ウェハ上の設計の印刷に十分先立って、本明細書で説明する実施形態で使用可能である。
【0022】
ここで図面に目を向けると、図は一定の縮尺で描かれていないことに留意されたい。特に、図の要素の一部の縮尺は、大きく誇張されて要素の特性を強調する。また、図は同じ縮尺で描かれていないことに留意されたい。同様に構成され得る複数の図に示される要素は、同じ参照番号を使用して示される。本明細書において特段の事情がない限り、説明し図示する要素のいずれも、任意の適切な市販要素を含み得る。
【0023】
一実施形態は、標本走査に用いるフォーカス設定を決定するために構成されたシステムに関する。一実施形態では、標本はウェハである。ウェハは、半導体技術分野で周知の任意のウェハを含み得る。いくつかの実施形態は、本明細書で1つ以上のウェハに関して説明されてもよいが、実施形態は、それらが使用され得る標本に限定されない。例えば、本明細書に記載の実施形態は、レチクル、フラットパネル、パーソナルコンピュータ(PC)ボード、及び他の半導体標本などの標本に使用され得る。
【0024】
一実施形態では、標本は、その上に形成された3次元(3D)NAND構造を有するウェハを含む。3DNAND(NANDはnot-ANDの略で、半導体デバイスの論理ゲートの一種)は、複数層のメモリセルの垂直積層を含む不揮発性フラッシュメモリの一種である。例えば、3DNANDの構造は一般に、シリコンビットセルゲートを含み、それはウェハ上に形成された交互の導電層と絶縁層で形成され、窒化シリコンなどの材料で形成された電荷捕獲とシリコン上に形成されたチャネル(複数可)などの1つ以上の高アスペクト比(HAR)構造によって分離される。メモリセルを垂直に積層することで、3DNAND構造に3D品質がもたらされる。いくつかの実施形態は、本明細書では3DNAND構造又はウェハに対して使用又は構成されているものとして説明され得るが、本明細書に記載の実施形態は、標本の特性が走査中に合焦状態を維持することを困難にするものを含む、任意の標本走査のためのフォーカス設定を決定するのに使用され得る。
【0025】
本明細書で用いられる場合、用語「HAR構造」は、10:1を超えるアスペクト比によって特徴付けられる任意の構造を指し、次世代のデバイスでは100:1程の高さであり得る。HAR構造は、ハードマスク層(例えば、参照により本明細書に十分に記載されたかのように援用される2012年8月7日に発行されたLiuの米国特許第8,237,213号を参照)を含む場合があり、HARのエッチングプロセスを容易にする。垂直NAND又はテラビットセルアレイトランジスタ(TCAT)構造に加えて、本明細書に記載の実施形態は、構造への光透過が検査及び/又は計測を制限する要因である他のHAR構造に使用され得る。例えば、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)は、基板にエッチングされる深トレンチ又はホールの深さが検査又は計測中に合焦状態を維持する上で問題を引き起こすような構造を含む。
【0026】
本明細書に記載の実施形態は、オートフォーカス方法及びシステムを提供し、それを用いて、標本の事前に選択された表面又は平面、例えば3DNAND検査中のウェハのような標本の上面のフォーカス追跡を改善し得る。このような半導体デバイスの3D性質は、既存のオートフォーカスの追跡ミスを引き起こすことが多く、それはオートフォーカスのz位置にバイアスを引き起こすプロセス変動と、3D構造内のより深い特徴を追跡することの組み合わせのためである。結果として得られる合焦していない画像は、ウェハ検査中に検出したい欠陥(DOI)の見落としを引き起こす。これを軽減する既存の唯一の方法は、異なるフォーカスオフセットでウェハを走査することであり、その結果、スループットが低下し、オフセット毎に新たな欠陥集団が生成される。対照的に、本明細書に記載される実施形態は、各検査(又は他のプロセス)の前に取得された画像ベースのフォーカスマップを使用して、上記のオートフォーカス追跡エラーを、異なるz位置で撮影された一連の画像から上面の最適な焦点を明示的に推定することによって補正し得る。次いで、フォーカスマップをウェハ検査(又は他の品質管理プロセス)中に適用することで、検査された(又は走査された)領域全体の検査画像(又は他の出力)は常に合焦される。実施形態は、検査と、光学的限界寸法(CD)、フィルム、及び組成計測などの計測と、他の品質管理プロセスとをHAR構造(例えば、3DNAND、垂直NAND(又はVNAND)、TCATなど)を有する半導体デバイスに対して、またより一般には、標本の走査中に合焦状態を維持するのが難しいために検査、光学計測などが困難である複雑なデバイスに対して可能である。
【0027】
システムは、出力取得サブシステムを含み、それはエネルギーを標本に向け、標本からのエネルギーを検出し、検出されたエネルギーに応答する出力を生成するように構成される。そのようなシステムの一実施形態を図1に示す。この実施形態では、標本に向けられるエネルギーは光を含み、標本から検出されるエネルギーは光を含む。図1に示すように、出力取得サブシステム10は、光を標本14に向けるように構成された照明サブシステムを含む。図1に示す実施形態では、照明サブシステムは2つの照明チャネルを含み、一方は第1の入射角(AOI)で標本に光を向けるように構成され、別のものは第2のAOIで標本に光を向けるように構成される。更に、図1に示すように、第1のAOIは直角AOIであり、第2のAOIは斜めAOIである。2つの照明チャネルと2つのAOIが図1に示されるが、出力取得サブシステムは、エネルギーを標本へ任意の適切な数のAOI(1つ以上のAOI)で向けるように構成された任意の適切な数の照明チャネル(すなわち、1つ以上の照明チャネル)を含んでもよい。
【0028】
照明チャネルの各々は、少なくとも1つの光源を含む。例えば、図1に示されるように、第1の照明チャネルは光源16を含む。光源16からの光は、光素子18、次いでレンズ20を通り、ビームスプリッタ21へ向けられ、ビームスプリッタ21は光をレンズ22に向ける。レンズ22は、光を標本14に直角入射で向ける。第2の照明チャネルは光源24を含む。光源24からの光は、光素子26を通り、次にレンズ28を通って向けられ、レンズ28は光を標本14に斜めAOIで向ける。このように、一実施形態では、第1のAOIは直角AOIを含み、第2のAOIは斜めAOIを含む。斜めAOIは、任意の適切な斜めAOIを含み得て、例えば標本の特性に応じて変化してもよい。
【0029】
第1及び第2のAOIはまた、異なる範囲のAOIを含み得る。例えば、第1のAOIは、ある範囲のAOIを含むか、又は第1の範囲のAOIに含まれてもよく、第2のAOIは、異なる範囲のAOIを含むか、又は第2の範囲のAOIに含まれてもよい。第1及び第2の範囲のAOIは離散的であり、相互に排他的であり得る。しかし、AOIの様々な範囲は、必ずしも相互に排他的である必要はない。
【0030】
光が標本に向けられるAOIは、図1に示されるものから、例えば、照明チャネルの1つ以上のうち1つ以上の要素の位置を変更すること、及び/又は照明サブシステムの1つ以上の要素の1つ以上のパラメータを変更することによって、変更可能であり得る。例えば、別の実施形態では、第1及び第2のAOIは、異なる斜めAOIを含む。そのような一実施形態では、光源16を含む照明チャネルのパラメータは変更され得て、光を標本に図1に示すように、直角AOIではなく、斜めAOIで向ける。別のそのような実施形態では、光源24を含む照明チャネルは、或るときは或る斜めAOIで光を標本に、別のときは別の斜めAOIで向けるように構成され得る。
【0031】
照明サブシステムは、光を標本へ異なるAOIで異なる時間に向けるように構成されてもよい。例えば、一実施形態では、照明サブシステムは、標本の第1の走査において光を標本に第1のAOIで向け、標本の第2の走査において光を標本に第2のAOIで向けるように構成される。第1及び第2の走査は、本明細書で更に説明するように実行され得る。そのような一実施形態では、図1に示される照明チャネルの一方が第1の走査に使用され、図1に示される照明チャネルの別のものが第2の走査に使用される。しかし、同じ照明チャネルを第1及び第2の走査に使用し、照明チャネルの1つ以上のパラメータを走査間で変更して、照明チャネルのAOIを変更してもよい。
【0032】
場合によっては、照明サブシステムは、光を標本に第1及び第2のAOIで同時に向けるように構成され得る。例えば、光が標本へ異なるAOIで同時に向けられる場合、異なるAOIで標本に向けられる光の1つ以上の特性(例えば、波長、偏光など)が異なる場合があり、異なるAOIでの標本の照明から生じる光は、検出器(複数可)で互いに区別され得る。そのような一例では、図1に示される照明チャネルの一方は、第1の範囲の波長を用いる照明用に構成され得て、別の照明チャネルは、第1とは異なる第2の範囲の波長を用いる照明用に構成され得る。異なる照明チャネルは、異なる偏光を用いる照明用に追加又は代替として構成されてもよい。
【0033】
一実施形態では、第1及び第2のAOIは、異なる極角と同じ1つ以上の方位角を含む。例えば、光は標本に同じ入射面で(及び/又は同じ入射面に集中して)異なる極角で向けられてもよい。図1に示される実施形態では、2つの照明チャネルは、光を標本に、紙面である同じ入射面において向けるように構成され得る。第1及び第2のAOIで標本に向けられた光はまた、同じ1つの方位角及び/又は同じ範囲の方位角で標本に向けられてもよい。いずれの場合でも、異なるAOIは極角のみが異なる場合がある(ただし、異なるAOIは必ずしも同じ方位角(複数可)を有する必要はない)。
【0034】
別の実施形態では、第1及び第2のAOIで標本に向けられる光の入射面は、標本上のパターン化された特徴に対して0~180°の間の角度に向けられる。例えば、入射光の平面は、パターン化された特徴、例えば標本上のトレンチ状構造に対して垂直に向ける必要はないが、任意の方向(0~180°)に向けることができる。
【0035】
別の例では、照明サブシステムは、唯一の光源(例えば、図1に示される光源16)を含んでもよく、光源からの光は、異なる光路に(例えば、ビームスプリッタによって、及び/又は波長、偏光などに基づいて)、照明サブシステムの1つ以上の光素子(図示せず)によって分離され得る。次に、異なる光路のそれぞれにおける光は、標本に異なるAOIで向けられてもよい。代替的に、照明サブシステムは、唯一の照明チャネルを含んでもよく、照明チャネルは、光を標本に異なるAOIで異なる時間に(例えば、標本の走査間で照明チャネルの1つ以上のパラメータを変更することによって)向けるように構成されてもよい。照明サブシステムは、異なる又は同じ特性を有する光を標本に異なるAOIで順次又は同時に向けるための、当技術分野で周知の任意の他の適切な構成を有し得る。
【0036】
光源16及び/又は光源24は、ブロードバンドプラズマ(BBP)光源を含むことができる。このように、光源によって生成されて標本に向けられる光は、広帯域光を含み得る。しかし、光源は、レーザなどの任意の他の適切な光源を含み得て、レーザは、当技術分野で周知の任意の適切なレーザを含み得て、また当技術分野で周知の任意の適切な波長(複数可)で光を生成するように構成され得る。更に、レーザは、単色又はほぼ単色である光を生成するように構成されてもよい。このように、レーザは狭帯域レーザであってもよい。光源はまた、複数の離散した波長又は周波帯で光を生成する多色光源を含み得る。光源16及び24は更に、異なるタイプの光源及び/又は同じ若しくは異なる構成を有する光源を含み得る。
【0037】
光素子18及び26は、偏光構成要素、スペクトルフィルタ、空間フィルタ、反射光素子、アポダイザ、アパーチャ、及び当技術分野で周知の任意のそのような適切な光素子を含み得る同様のものなどの光素子を含んでもよい。光素子18及び26は、異なるタイプの光素子であってもよく、及び/又は同じ若しくは異なる構成を有してもよい。レンズ20、22、及び26は、図1では単一の屈折光素子として示されるが、実際には、レンズ20、22、及び26のそれぞれは、組み合わせて光素子(複数可)からの光を標本に合焦させるいくつかの屈折及び/又は反射光素子を含み得る。ビームスプリッタ21は、当技術分野で周知の任意の適切なビームスプリッタを含み得る。図1に示され、本明細書で説明される照明サブシステムは、任意の他の適切な光素子(図示せず)を含み得る。
【0038】
出力取得サブシステムはまた、光を標本上で走査させるように構成された走査サブシステムを含み得る。例えば、出力取得サブシステムは、ステージ30を含み得て、その上に標本14が走査中に配置される。走査サブシステムが、標本を動かすように構成され得る任意の適切な機械的及び/又はロボットアセンブリ(ステージ30を含む)を含み得ることで、光は標本上を走査され得る。追加で、又は代替的に、出力取得サブシステムは、出力取得サブシステムの1つ以上の光素子が標本上で光の走査を実行するように構成され得る。光は、標本上を任意の適切な方法で走査され得る。
【0039】
検出サブシステムは、1つ以上の検出チャネルを含む。1つ以上の検出チャネルのそれぞれは、検出器を含み、検出器は標本の照射による標本からの光を検出し、検出された光に応答する出力を生成するように構成される。例えば、図1に示される検出サブシステムは、2つの検出チャネルを含み、一方は集光器32、要素34、及び検出器36によって形成され、別のものは集光器38、要素40、及び検出器42によって形成される。図1に示すように、2つの検出チャネルは、異なる集光角度で光を集め、検出するように構成される。
【0040】
一実施形態では、標本に第1及び/又は第2のAOIで向けられた光により検出サブシステムによって検出される光は、鏡面反射光を含む。例えば、場合によっては、両方の検出チャネルが鏡面反射光を検出するように構成される。特に、検出器36を含む検出チャネルは、直角AOIでの照明によって引き起こされる鏡面反射光を検出するように構成されてもよく、検出器42を含む検出チャネルは、斜めAOIでの照明によって引き起こされる鏡面反射光を検出するように構成されてもよい。同様に、検出チャネルの1つは、1つの傾斜AOIでの照明によって引き起こされる光を検出するように構成されてもよく、別の検出チャネルは、異なる斜めAOIでの照明によって引き起こされる光を検出するように構成されてもよい。このように、異なる検出チャネルは、それぞれに異なるAOIでの照明によって引き起こされる光を検出するように構成され得て、それらのAOIが何であるかに関係ない。別の実施形態では、異なる検出チャネルは、それぞれに異なるAOIを用いた標本の照明により標本から散乱した光を検出するように構成され得る。
【0041】
図1は、2つの検出チャネルを含む出力取得サブシステムの一実施形態を示すが、出力取得サブシステムは、異なる数の検出チャネル(例えば、唯一の検出チャネル又は2つ以上の検出チャネル)を含んでもよい。例えば、1つの検出チャネルは、第1の走査において1つのAOIでの照明によって生じた光を検出し、次いで第2の走査において別のAOIにおける照明によって生じた光を検出するように構成され得る。
【0042】
集光器のそれぞれは単一の屈折光素子として図1に示されるが、集光器のそれぞれは、1つ以上の屈折光素子(複数可)及び/又は1つ以上の反射光素子(複数可)を含んでもよい。要素34及び40は、偏光構成要素、スペクトルフィルタ、空間フィルタ、反射光素子、アパーチャ、及び当技術分野で周知の任意のそのような適切な光素子を含み得る同様のもの、などの任意の適切な光素子を含み得る。要素34及び40は、異なるタイプの要素を含むことができ、及び/又は同じ若しくは異なる構成を有してもよい。
【0043】
検出器36及び42は、異なるタイプの検出器を含むことができ、及び/又は同じ若しくは異なる構成を有することができる。検出器は、光電子増倍管(PMT)、電荷結合デバイス(CCD)、時間遅延積分(TDI)カメラ、又は当技術分野で周知の任意の他の適切な検出器を含み得る。検出器はまた、非撮像検出器又は撮像検出器を含み得る。検出器が非撮像検出器である場合、検出器のそれぞれは、強度などの光の特定の特性を検出するように構成され得るが、そのような特性を撮像平面内の位置の関数として検出するように構成されなくてもよい。したがって、出力取得サブシステムの検出チャネルのそれぞれに含まれる検出器のそれぞれによって生成される出力は、信号又はデータであり得るが、画像信号又は画像データではなくてもよい。そのような場合、システムのコンピュータサブシステム44などのコンピュータサブシステムは、検出器の非撮像出力から標本の画像を生成するように構成され得る。しかし、別の例では、検出器は、撮像信号又は画像データを生成するように構成された撮像検出器として構成され得る。したがって、システムは、多くの方法で本明細書に説明される出力を生成するように構成され得る。
【0044】
図1は、本明細書で説明されるシステム実施形態に含まれ得る、出力取得サブシステムの構成を一般的に示すために本明細書で提供されることに留意されたい。明らかに、本明細書で説明される出力取得サブシステム構成は、市販のシステムを設計するときに通常実行されるように、システムの性能を最適化するために変更されてもよい。加えて、本明細書で説明されるシステムは、既存のシステム、例えばカリフォルニア州ミルピタスのKLAから市販されている検査ツールの28xx及び29xxシリーズを使用して(例えば、既存のシステムに本明細書で説明される機能性を追加することによって)実装され得る。いくつかのそのようなシステムでは、本明細書で説明される方法は、システムの選択的な機能として(例えば、システムの他の機能性に加えて)提供され得る。代替的に、本明細書で説明されるシステムは、完全に新しいシステムを提供するために「ゼロから」設計されてもよい。
【0045】
システムのコンピュータサブシステム44は、任意の適切な方法で(例えば、「有線」及び/又は「無線」伝送媒体を含み得る1つ以上の伝送媒体を介して)出力取得サブシステムの検出器に結合され得て、その結果、コンピュータサブシステムは、標本の走査中に検出器によって生成された出力を受信することができる。コンピュータサブシステム44は、本明細書に説明されるような検出器の出力を使用するいくつかの機能と、本明細書に更に説明される任意の他の機能を実施するように構成され得る。このコンピュータサブシステムは、本明細書で説明するように更に構成されてもよい。
【0046】
このコンピュータサブシステム(及び本明細書に記載の別のコンピュータサブシステム)は、本明細書ではコンピュータシステム(複数可)とも呼ばれる場合がある。本明細書に記載のコンピュータサブシステム(複数可)又はシステム(複数可)の各々は、様々な形態をとることができ、パーソナルコンピュータシステム、画像コンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、ネットワークアプライアンス、インターネットアプライアンス、又は他のデバイスが挙げられる。一般に、用語「コンピュータシステム」は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように広く定義され得る。コンピュータサブシステム(複数可)又はシステム(複数可)はまた、並列プロセッサなどの、当技術分野で周知の任意の適切なプロセッサを含み得る。加えて、コンピュータサブシステム(複数可)又はシステム(複数可)は、スタンドアローン又はネットワーク化ツールのいずれかとして、高速処理及びソフトウェアを備えたコンピュータプラットフォームを含み得る。
【0047】
システムが2つ以上のコンピュータサブシステムを含む場合、異なるコンピュータサブシステムは、互いに結合され得て、画像、データ、情報、命令などが、本明細書で更に説明されるようなコンピュータサブシステム間で送信され得る。例えば、コンピュータサブシステム44は、コンピュータサブシステム(複数可)46に(図1の破線によって示されるように)、任意の適切な伝送媒体によって結合され得て、伝送媒体は当技術分野で周知の任意の適切な有線及び/又は無線伝送媒体を含み得る。そのようなコンピュータサブシステムのうちの2つ以上はまた、共有コンピュータ可読記憶媒体(図示せず)によって有効に結合され得る。
【0048】
コンピュータサブシステム(複数可)44及び/又は46は、本明細書で更に説明する1つ以上の機能を実行するように構成された1つ以上の「仮想」システム(図示せず)を含むか、又はそれらとして構成され得る。「仮想」検査システムとして構成されたシステム及び方法は、本発明の譲受人に譲渡された、2012年2月28日にBhaskarらに発行された米国特許第8,126,255号、及び2015年12月29日にDuffyらに発行された同第9,222,895号に説明され、それらの両方が、本明細書に完全に明記されるかのように参照により援用される。本明細書に記載の実施形態は、これらの特許において記載されるように更に構成され得る。例えば、本明細書に説明される1つ以上のコンピュータサブシステムは、これらの特許において説明されるように更に構成され得る。
【0049】
更に上記のように、出力取得サブシステムは、複数のモードで標本についての出力を生成するように構成され得る。一般に、「モード」は、標本の出力(例えば、画像)を生成することに使用される出力取得サブシステムのパラメータの値によって定義され得る。したがって、異なるモードは、出力取得サブシステムの撮像パラメータのうちの少なくとも1つに対して値が異なり得る。例えば、異なるモードは、照明のために異なる波長の光を使用し得る。モードは、異なるモードに対しては、本明細書に更に説明されるように照明波長が異なり得る(例えば、異なる光源、異なるスペクトルフィルタなどを使用することによって)。別の実施形態では、異なるモードは、出力取得サブシステムの異なる照明チャネルを使用する。例えば、上記のように、出力取得サブシステムは、複数の照明チャネルを含んでもよい。したがって、異なる照明チャネルは異なるモード用に用いられ得る。
【0050】
本明細書で説明する出力取得サブシステムは、検査サブシステムとして構成され得る。その場合、コンピュータサブシステム(複数可)は、上記のように出力取得サブシステムから(例えば、出力取得サブシステムの検出器(複数可)から)出力を受け取るように構成されてもよく、本明細書で更に説明するように、出力に基づいて標本上の欠陥を検出するように構成されてもよい。
【0051】
本明細書で説明する出力取得サブシステムは、別のタイプの半導体関連プロセス/品質管理タイプのシステム、例えば欠陥レビューシステム及び計測システムとして構成され得る。例えば、本明細書に記載され、図1に示される出力取得サブシステムの実施形態は、1つ以上のパラメータにおいて変更され、それが使用されるアプリケーションに応じて異なる出力生成能力を提供し得る。一実施形態では、出力取得サブシステムは欠陥レビューサブシステムとして構成される。別の実施形態では、出力取得サブシステムは計測サブシステムとして構成される。例えば、図1に示す出力取得サブシステムは、検査用ではなく欠陥レビュー又は計測のために使用する場合、より高い解像度を有するように構成され得る。言い換えると、図1に示される出力取得サブシステムの実施形態は、出力取得サブシステムのいくつかの一般的及び様々な構成を説明し、それらは当業者には明らかであろう様々な方法で調整されて、異なる用途に多かれ少なかれ適する異なる機能を有する出力取得サブシステムを生成し得る。
【0052】
1つ以上のコンピュータサブシステムは、標本上の位置の関数として最適な焦点の値で定義されるフォーカスマップを、出力取得サブシステムによって標本上で走査された1つ以上のプリフォーカススワスで生成された出力を使用して生成するように構成される。例えば、フォーカスマップ生成は、検査サンプル計画に従って、標本上で1つ以上のプリフォーカススワス(例えば、3~5のプリフォーカススワス)を走査することを含み得る。図2は、検査サンプル計画の一例を示す。この例では、ウェハ200は、いくつかのスワス202a~202hで矢印204によって示される方向に走査され得る。標本、スワス、及び走査方向の一例を図2に示すが、本明細書に記載の実施形態は、そのような標本、スワス、及び走査方向に限定されない。代わりに、本明細書に記載の実施形態は、本明細書に記載の任意の標本、及び任意のプロセス用の任意の走査サンプル計画に使用され得る。
【0053】
図3に示すように、スワス202aでは、1つ以上のプリフォーカススワス300は方向302に走査され得る。図3に示すように、1つ以上のプリフォーカススワスは、それらが配置されている検査スワスよりもかなり小さい場合がある。検査スワス内のプリフォーカススワス(複数可)の寸法及び配置は、本明細書で説明されるように決定されてもよい。方向302は、方向204と同じであってもよい。このように、プリフォーカススワス(複数可)は、検査スワスが図2及び図3に示される方向とは異なる方向に走査される場合でも、検査スワスと同じ方向に走査され得る。プリフォーカススワス(複数可)は、検査スワス202a~202hの各々において走査されてもよく、その後、スワスの各々は検査のために走査される。任意の1つのスワスに対して走査されるプリフォーカススワス(複数可)のパラメータは、異なっていても同じでもよく、本明細書で更に説明されるように決定されてもよい。
【0054】
一実施形態では、出力は標本の画像を含む。このように、本明細書で説明する実施形態は、画像ベースのオートフォーカス用途向けに構成され得る。加えて、本明細書で説明する実施形態は、BBP光源によって生成される光などの広帯域光を使用する出力取得サブシステムとともに使用され得る。このように、本明細書で説明する実施形態は、BBP画像ベースのオートフォーカス用途向けに構成され得る。加えて、本明細書で説明する実施形態は、画像ベースのフォーカス推定を使用して、ウェハ検査(又は他の標本プロセス)の前に検査される(又は走査される)領域の正確なフォーカスマップを生成するように構成され得る。
【0055】
別の実施形態では、1つ以上のプリフォーカススワスは、標本上の完全に重なり合う領域として事前定義される。例えば、図3に示すように、1つ以上のプリフォーカススワス300は、標本上の同じ領域内に配置される。言い換えると、標本上の同じ、完全に重なり合う領域は、検査スワス内の各プリフォーカススワスに対して走査され得る。プリフォーカススワスを標本上の完全に重なり合う領域として定義することが所望され、それは、プリフォーカススワスが、本明細書で説明するようにまとめて使用され得る標本上の同じx、y位置のデータを生成して、x、y位置のそれぞれで最適な焦点を決定することが好ましいためである。
【0056】
追加の実施形態では、1つ以上のプリフォーカススワスは、所定のパターン化された特徴を含む事前定義されたケア領域で走査される。例えば、事前定義されたケア領域は、フォーカス推定のために明確に定義された表面特徴画像を含むことが好ましい。所定のパターン化された特徴は、フォーカス設定が決定されている標本に応じて変化し得る。例えば、3DNANDウェハの場合、ケア領域は、走査中に一定の焦点が維持されることが好ましい領域を表す3DNANDライン-スペース構造を含む検査領域に配置され得る。
【0057】
当技術分野で一般的に言及される「ケア領域」は、検査目的で関心のある標本上の領域である。場合によっては、ケア領域を使用して、検査される標本の領域を、検査プロセスで検査されない標本の領域から区別する。加えて、ケア領域は、1つ以上の異なるパラメータを用いて検査される標本上の領域間を区別するために使用される。例えば、標本の第1の領域が標本の第2の領域よりも重要である場合、第1の領域は、第2の領域よりも高い感度で検査され得て、その結果、欠陥は第1の領域においてより高い感度で検出される。検査プロセスの別のパラメータは、同様の方法でケア領域からケア領域に変更され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、1つ以上のプリフォーカススワスは、標本に対して異なるz位置で走査される。例えば、1つ以上のプリフォーカススワスは、1つ以上のz位置(例えば、3~5のz位置)で取得されて、プリフォーカススワス領域にわたる(例えば、標本上の1つ以上のパターン化された特徴領域(例えば、ダイ)にわたる本明細書に記載の事前定義されたケア領域内の)焦点の変動性を捉えることができる。標本に対して異なるz位置での1つ以上のプリフォーカススワスの一例は、図4に示される。図4に示されるように、パターン化された特徴402は、標本400上に形成される。パターン化された特徴402は、単に例示を目的として図4に示されており、特定の寸法、互いに対する空間関係、又は数を有するパターン化された特徴を示すことを意図していない。言い換えると、本明細書に記載の実施形態は、特定の特性を有するパターン化された特徴に限定されないが、本明細書に記載の実施形態は、本明細書に記載のパターン化された特徴タイプに特に適する。図4に更に示すように、1つ以上のプリフォーカススワス404a~404eは、標本に対して異なるz位置で走査され得る。特定の数のプリフォーカススワスが図4に示されているが、本明細書で説明される実施形態は、この図に示されるプリフォーカススワスの数に限定されない。z位置は、例えば、最適な焦点位置がどこにあるかの最適な推測に基づいて、任意の適切な方法で決定され得る。最適な推測は、同じタイプの別の標本の以前の走査、別の同様の標本の走査、理論的推定などに基づいて決定され得る。
【0059】
1つ以上のプリフォーカススワスは、図5に示されるデータ収集段階500の間に標本上で走査され得る。例えば、図5に示されるように、データ収集段階は、ステップ506に示されるように、密なzサンプルを用いた事前トレーニングを含み得る。事前トレーニングは、密なzサンプルを用いてスルーフォーカス曲線(TFC)を事前トレーニングすることを含み得る。スルーフォーカス曲線は、フォーカスメトリック値に対する密なz(開始時)又は粗いz(密なz中に最適な焦点を正常に取得した後)のプロットである。データ収集段階はまた、ステップ508に示されるように、スワスレイアウトを決定することを含み得る。スワスレイアウトを決定することは、標本上でプリフォーカススワス(複数可)を走査するために使用される出力取得サブシステムの1つ以上のパラメータの特性、例えばピクセルサイズ(例えば、200nm)、波長、グレーレベル、撮像のタイプ(例えば、BF)などを決定することを含み得る。ステップ510に示すように、データ収集段階は更に、ステップ508で決定されたスワスレイアウト情報から、1つ以上のプリフォーカススワスのためのx、yサンプリング計画(構成可能)を決定することを含んでもよい。プリフォーカススワス(複数可)のためのサンプリング計画は、任意の適切な方法で決定され得る。いくつかの実施形態では、プリフォーカススワスサンプリング計画は、検査(又は別のプロセス)サンプリング計画と同じであってもよい。しかしながら、プリフォーカススワスサンプリング計画は、検査(又は別のプロセス)サンプリング計画よりも低密度であってもよく、様々な情報、例えば、標本上のパターン化された特徴、標本上で実行されているプロセス、標本全体の既知の又は予想される変動などに基づいて決定されてもよい。データ収集段階はまた、ステップ512に示されるように、3~5のフォーカスオフセット値で帯状走査(swathing)して、出力の1つ以上のプリフォーカススワスを生成することを含み得る。ステップ512においてプリフォーカススワスを走査することは、本明細書で更に説明するように実行され得る。ステップ512で実行される帯状走査はまた、zステージ位置の読み出しをxの関数として記録することを含み得る。
【0060】
更なる実施形態では、フォーカスマップを生成することは、フォーカスメトリックを1つ以上のプリフォーカススワス内のx及びy位置の関数として決定することを含み、x及びy位置の一方でフォーカスメトリックを決定することは、フォーカスメトリックを、x及びy位置の一方で1つ以上のプリフォーカススワス内で生成されたすべての出力から決定することを含む。例えば、フォーカスメトリックは、x方向に約0.3μmの間隔で、またy方向に各1kサブスワスの中心で、z画像の各セットについて計算され得る。スワスあたりのサブスワスの数は、検出器構成と、ピクセル高がどのように垂直方向のジョブに分割されるかによって異なる。一例では、ピクセルの4k~8kの総スワス高さに対して4~8のサブスワスが存在し得る。これらの測定値は、一種の粗いz測定値であってもよい。
【0061】
別の実施形態では、フォーカスマップを生成することは、1つ以上のプリフォーカススワス内のx及びy位置の関数としてフォーカスメトリックを決定することを含み、フォーカスメトリックは粗いzフォーカス測定値を含み、またフォーカスマップを生成することは、粗いzフォーカス測定値を多項式に当てはめ、多項式のピークにおけるx及びy位置での最適な焦点を推定し、プロセス中に標本上で実行される走査のためのサンプル計画におけるx及びy位置のフォーカスマップを、1つ以上のプリフォーカススワス内のx及びy位置での最適な焦点から生成することを含む。例えば、コンピュータサブシステム(複数可)は、z値のセットから多項式にフォーカスメトリックをフィッティングさせ、半導体検査及び本明細書に記載の別の用途において最適な焦点を推定するように構成され得る。そのような一実施形態では、粗いzフォーカスメトリック測定値の各x、y位置は、上記のように決定され得て、その後、多項式にフィッティングされてもよく、最適な焦点が多項式のピークで推定される。測定値がフィッティングされる多項式は、任意の適切な多項式、例えば2次放物線又はガウスを含み得る。
【0062】
次に、最適な焦点でのz値を使用して、検査サンプル計画における各x、yに対してフォーカス補正マップを生成し得る。これらのステップは、図5に示されるエラーマップ生成段階502の間に実行され得る。例えば、ステップ514に示されるように、エラーマップ生成段階は、最適な合焦面を見つけることを含み得て、それは上述のように実行され得る。そのような一例では、ステップ514は、データ収集段階からのデータをスルーフォーカス曲線にフィッティングし、最適な合焦面を見つけることを含むことができる。更に、ステップ516に示されるように、エラーマップ生成段階は、上述のように実行され得る離散2次元(2D)マップを生成することを含み得る。
【0063】
1つ以上のコンピュータサブシステムはまた、フォーカスマップを補間して、プロセス中に標本上で実行される走査のためのフォーカス設定を生成するように構成される。例えば、図5に示すように、エラーマップ生成段階中に、1つ以上のコンピュータサブシステムは、補間された2Dマップ518をステップ516で生成された離散2Dマップから生成し得る。エラー生成段階はまた、ステップ520に示されるように、2Dマップを変換することを含んでもよく、これは、補間された2Dマップを、情報、データ、命令などに変換することを含み得て、それらはシステムによって使用されて、標本の走査中に出力取得サブシステムの焦点を制御し得る。例えば、補間された2Dマップは、実際のzステージ位置読み出しに変換され得る。
【0064】
一実施形態では、補間することは、フォーカスマップを補間して、プロセス中に標本上で実行される走査の完全なサンプル計画のためのフォーカス設定を生成することを含む。例えば、上記のように生成されたフォーカスマップは、補間されて、検査サンプル計画全体にわたる推定値を提供し得る。言い換えると、データ収集段階が検査スワスよりも小さいプリフォーカススワスを使用して実行され得るとしても、フォーカスマップは補間されて、検査スワス全体のフォーカス設定を生成し得る。特に、本明細書に記載されているような標本上の印刷領域の繰り返しの性質と、コンピュータサブシステム(複数可)が利用可能であり得る追加情報、例えば標本プロファイル(複数可)が与えられると、フォーカス設定は、データ収集段階で使用したものよりも広い標本領域にわたって走査するために生成され得る。フォーカスマップの補間は、任意の適切な関数、アルゴリズム、計算などを使用する当技術分野で周知の任意の適切な方法で実行されてもよい。
【0065】
1つ以上のコンピュータサブシステムは、プロセス中に標本上で実行される走査で用いるために生成されたフォーカス設定の情報を保存するように更に構成される。生成されたフォーカス設定は、その後、検査、計測などの間にスワス軌跡として適用されてもよい。「スワス軌跡」は、一般に、走査方向、例えばx移動に沿う所定のz位置のセットとして定義され得る。標準のオートフォーカスでは、zを制御するサーボループがある。対照的に、本明細書で説明する実施形態では、プリフォーカスマップの最適な焦点z値は、フィードバックなしでステージ高さモータにロードされ得る。例えば、図5に示されるエラー補正段階504の間、コンピュータサブシステム(複数可)は、ステップ522に示されるように、出力を保存することができ、出力には変換された2Dマップ及び本明細書で説明される別のステップのいずれかが含まれてもよい。出力はステップ522において、データベースに出力を保存することによって、又は本明細書で説明する別の方法で保存され得る。エラー補正段階はまた、ステップ514に示されるように、プロセス中に標本を走査することを含み得る。そのような一例では、実施形態は、生成されたフォーカス設定に関して保存された情報を使用して、図1に示されるシステムのオートフォーカスサブシステム100を制御し得る。
【0066】
オートフォーカスサブシステム100は、任意の適切なメカニカル、ロボット、コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアなどの構成要素を含み得て、それらを使用して出力取得サブシステム構成要素に対する標本のz位置、又はその逆を変更し得る。このように、出力取得サブシステムに対する標本のz位置は、ステップ522で保存された出力に基づいて制御され得る。例えば、図1に示されるように、コンピュータサブシステム(複数可)44及び/又は46は、上述のようにオートフォーカスサブシステム100に結合され得て、その結果、コンピュータサブシステム(複数可)は、オートフォーカスサブシステムに、走査サブシステムのステージ30を生成されたフォーカス設定に基づいて移動させる。代替的に、コンピュータサブシステム(複数可)はオートフォーカスサブシステムを制御しないが、生成されたフォーカス設定をオートフォーカスサブシステムに単に送信し得て、オートフォーカスサブシステムはステージの位置を生成されたフォーカス設定に基づいて制御する。代替的又は追加的に、オートフォーカスサブシステムは、サブシステム10の出力取得構成要素に同様に結合され、生成されたフォーカス設定に基づいて標本に対する出力取得構成要素の位置を変更するように構成され得る。オートフォーカスサブシステムは、上述の走査サブシステムの一体部分であってもよく、又はそれに結合された別個の構成要素であってもよい。オートフォーカスサブシステムはまた、任意の適切な市販のオートフォーカスサブシステム、例えばサーボ制御された光ベースのオートフォーカスシステムを含み得る。
【0067】
フォーカス設定は、標本の走査のための合焦面をどこに望むかに応じて、本明細書で説明されるように決定され得る。例えば、本明細書に記載されたプロセスのほとんどの最適な焦点は、標本の最上面にあり得て、例えば、最上面の欠陥に対して最高の感度を確保し、又は最上面のパターン化された特徴の測定に対して最高の感度を確保する。しかし、異なる合焦面の方が、一部の走査にとっては適切な場合もある。例えば、場合によっては、DOIは、パターン化された特徴の底部及び/又は標本の最上面の下に位置してもよい。そのような場合、最適な焦点は、標本の最上面の下及び/又はパターン化された特徴の底部若しくはその近くにあり得る。そのような一例では、欠陥はあらゆるレベルで発生する可能性があり、欠陥は、通常、深さが増すにつれて検出するのが困難になる。様々な深さは、固定フォーカスオフセットを、オートフォーカス機能が特定の光モードの最も鮮明なパターンの固定面に合焦する際に適用することにより、ターゲットとすることができる。最適な焦点の固定面は、上面である可能性があり、又は波長が浸透して下にあるパターンをより鮮明に撮像する場合にはより深い可能性がある。
【0068】
図6は、フォーカスマップ生成のために本明細書で説明される実施形態によって実行され得るステップの別の実施形態を示す。このフォーカスマップ生成の段階1では、ステップはレシピ内の次のZciに対して実行され、ここで、Zはプリフォーカススワスのz値であり、iは3以上である。このフォーカスマップ生成の段階2では、ステップは予想された次のZciに対して実行される。
【0069】
ステップ600に示されるように、フォーカスマップ生成は、z=Zciで第1のプリフォーカススワスを走査することを含み得て、これは、本明細書で説明されるように実行され得る。その走査で生成された出力は、IMC602に送信されてもよい。IMC602は、ジョブを作成して、Leaf fm604に提示し得る。ジョブ入力画像は、Iを備える1つ以上のフォーカス領域又は画像を含み得る。ジョブ出力は、各フォーカス領域に対するfmであってもよく、ここで、fmとは、任意のフォーカス画像領域、Iに対するフォーカスメトリックである。ジョブパラメータには、各フォーカス領域のx、y、zが含まれてもよい。
【0070】
IMCは、Cziをスワス内の各フォーカス領域からシステム制御コンピュータ(SCC)606に戻す。SCCは、Cz1zi配列を追跡し続け、ここで、Cz1zi=3~5点での粗いフォーカス測定値(Z、fm)であり、連続する各スワスの配列を埋めることを含み得る。言い換えると、SCCは、フォーカスメトリックデータを画像コンピュータから収集し、本明細書で更に説明するフィッティング/補間及びフォーカスマップ生成を実行し得る。
【0071】
ステップ608に示すように、フォーカスフィッティングは入力Cz1ziを用いて実行され、フォーカスZ(フォーカスマップの最適な焦点補正)を計算するか、次のスワスZc+1を予想し得る。次のスワスを予想する概念は、最適な焦点が計算され得ない場合に、次に粗いz値はおそらくフォーカス範囲外であり、異なるz値が次のスワスにおいてインテリジェントに再試行され得る、ということである。実装において、次のスワスを予想することは、ピークのないフォーカス曲線から外挿することによって実行され得る(再試行zをより良い焦点の方向に向ける)。Zを計算することは、本明細書で更に説明されるように、多項式へのフッティングを含み得る。フォーカスフィッティングは、ZとZc+1を出力し得る。
【0072】
次に、1つ以上のコンピュータサブシステムは、ステップ610に示されるように、Zが良好であるかどうかを判断し得る。Zが良好であると判断された場合、次に、標本全体にわたる粗いマップが完了した後(プリフォーカススワス走査の完了後)、ステップ612に示すように1つ以上のコンピュータサブシステムはフォーカスマップ補間を実行し得る。このステップでは、1つ以上のコンピュータサブシステムは、フーカスマップをすべての検査スワスよりも少ない数に対して計算し、次にそれを使用して、他の検査スワスのフォーカスマップを、他の検査スワスで粗いフォーカス測定を実行することなく補間し得る。そのような一例では、サブスワス毎からの粗いデータのすべては平均されて、スワス値を取得し(唯一の値が、任意の所与のxでのスワスに沿ったyで許容される)、次に、xで補間して、xに粗く配置されたケア領域からx上の連続したマップに移動され得る。Zが良好であると判断されない場合、次にZc+1がステップ600を再実行するために使用され得る。
【0073】
次に、1つ以上のコンピュータサブシステムは、フォーカスマップ、Fmap=フォーカスマップ(x、y、Z)を、検査又はフォーカスマップが生成されている別のプロセスのために保存し適用し得る。検査又は別のプロセス中に、その後、出力取得サブシステムは、xスワス全体に沿ってz位置を変更してもよい。
【0074】
一実施形態では、フォーカスマップを生成すること、フォーカスマップを補間すること、及び情報を保存することは、プロセス中に、かつプロセス中に標本上で実行される走査の第1及び第2のスワスに対して別々に実行され、第1のスワスは第2のスワスの前に走査され、そして1つ以上のコンピュータサブシステムは、第2のスワスに対して走査された1つ以上のプリフォーカススワスの1つ以上のパラメータを、第1のスワスに対して実行された最適な焦点を推定した結果に基づいて決定するように構成される。例えば、本明細書で説明する実施形態は、以前のスワスの軌跡を次のスワスのための開始z値としてフィードフォワードし、その後、より少ないzスワスを必要として、後続のスワスで最適な焦点を推定するように構成され得る。以前のスワスの最適なz軌跡のフィードフォワードは、次のスワスの最適な焦点が粗い測定範囲内に維持されるのを確実にするのに役立つ。
【0075】
いくつかの実施形態では、走査は、走査の前に決定された生成されたフォーカス設定に基づいてプロセス中に標本上で実行され、生成されたフォーカス設定は走査中に変更されない。言い換えると、生成されたフォーカス設定が本明細書で説明されるように決定されると、フォーカス設定の動的又はオンザフライ変更は必要ない。特に、本明細書に記載の実施形態は、走査のサンプル計画全体にわたって最適のフォーカス設定を確実に推定するために使用され得て、それによって、走査中のフォーカス設定の測定及び変更を効果的に排除することができ、これは走査に必要な時間とリソースを削減する。
【0076】
別の実施形態では、プロセス中に標本上で実行される走査は、出力取得サブシステムのオートフォーカスを含まない。例えば、プロセス中に標本走査を実行するシステム及び方法は、従来のオートフォーカス方法及びシステムの代わりに、プロセス中に本明細書で説明したように生成されたフォーカスマップを使用し得る。このように、本明細書で更に説明されるようなオートフォーカスサブシステムは、生成されたフォーカス設定に基づいて走査中に標本に対する出力取得サブシステムのフォーカス設定を調整するために使用され得るが、オートフォーカスサブシステムは、システムに追加の測定及び調整を行うことによって、リアルタイムでオートフォーカスを行う必要がない。このように、オートフォーカスマップは、走査の前に確立され、その後、オートフォーカスマップのフォーカス設定を調整することなく使用され得る。
【0077】
追加の実施形態では、1つ以上のプリフォーカススワスは、プロセス中に標本上で実行される走査の第1のスワス内に配置され、フォーカスマップを生成すること、フォーカスマップを補間すること、及び情報を保存することは、標本上で実行されるプロセス中に実行される。例えば、いくつかの実施形態では、プロセスは、走査の第1のスワスで1つ以上のプリフォーカススワスの走査を実行することを含み得る。次に、走査全体に対するフォーカス設定は、これらのプリフォーカススワス(複数可)の走査の結果に基づいて決定され得る。このように、1つ以上のプリフォーカススワスは、プロセスで走査された第1のスワスのみに配置され得る。加えて、1つ以上のプリフォーカススワスは、プロセスが実行される標本毎にのみ、第1のスワスで走査されてもよい。言い換えると、複数の標本上で実行されるプロセスの一部として、1つ以上のプリフォーカススワスは、第1の標本の第1のスワスで走査され、次に、第1の標本の走査は、本明細書で説明されるように、それらの走査から生成されたフォーカス設定を使用して実行されてもよく、次にそのプロセスは、他の標本のそれぞれについて繰り返されてもよい。このように、フォーカス設定は、各標本の第1のスワス内のプリフォーカススワスから、各標本の走査全体に対してそれぞれ独立して別々に生成され得る。
【0078】
更なる実施形態では、フォーカスマップを生成すること、フォーカスマップを補間すること、及び情報を保存することは、プロセス中に実行され、プロセス中に標本上で実行される走査の第1及び第2のスワスに対して別々に実行され、第1のスワスは第2のスワスの前に走査される。このように、本明細書に記載のステップは、標本上の異なるスワスに対して別々に独立して実行され得る。例えば、標本上の第1のスワスにおける1つ以上のプリフォーカススワスを使用して、第1のスワス全体に対するフォーカス設定を生成することができ、標本上の第2のスワスにおける1つ以上のプリフォーカススワスを使用して、第2のスワス全体に対するフォーカス設定を生成することができる、などである。このように、プリフォーカススワス走査を、走査における各スワスの前に実行して、各スワスについて独立したフォーカス設定マップを生成し得る。各スワスに対するフォーカス設定を生成することは、本明細書で更に説明するように別の方法で実行されてもよい。
【0079】
そのような一実施形態では、第1のスワス用のフォーカスマップを生成するために使用される1つ以上のプリフォーカススワスの数は、第2のスワス用のフォーカスマップを生成するために使用される1つ以上のプリフォーカススワスの数より多い。例えば、本明細書に記載の実施形態は、1つ以上の追加のz値のセットを第1のスワスで使用して、正確な最適な焦点を確保するように構成され得る。走査において第1のスワスでより多くのプリフォーカススワスを使用することは、有利であり得て、それは最適なフォーカス設定での標本間の変動が、標本内の変動よりも大きくなる可能性があるためである。言い換えると、プロセスにおいて走査される類似の標本又は同じタイプの標本のフォーカス設定が既知である場合であっても、フォーカス設定は、例えば、標本上で実行されるプロセスの変動により、標本間で比較的劇的に変化する可能性がある。したがって、より多くの数のプリフォーカススワスは、正確な最適なフォーカス設定を第1のスワスに対して見つけ得ることを確実にするために有利であり得る。しかし、最適なフォーカス設定が第1のスワスにおいてプリフォーカススワスを使用して見つけられると、より少ないプリフォーカススワス(複数可)が第2の(及び後続の)スワスにおいて必要とされ、それはフォーカス設定が同じ標本上のスワス間では比較的劇的に変化しない可能性があるためである。加えて、本明細書で更に説明するように、1つのスワスでプリフォーカススワス(複数可)を使用して生成された結果は、同じ標本の別のスワスにおけるプリフォーカススワス(複数可)にフィードフォワードされ得る。このように、1つのスワスにおけるプリフォーカススワス(複数可)を使用して生成された結果に基づいて、別の後続のスワスにおけるプリフォーカススワス(複数可)の数などのパラメータが決定され得る。
【0080】
別のそのような実施形態では、1つ以上のコンピュータサブシステムは、第2のスワス用に標本上で走査された1つ以上のプリフォーカススワスの1つ以上のパラメータを、第1のスワス用に生成されたフォーカス設定に基づいて決定するように構成される。例えば、本明細書で説明する実施形態は、以前のスワスの軌跡を次のスワスの開始z値としてフィードフォワードし、その後、最適な焦点を推定するために、より少ないzのプリフォーカススワスを必要とするように構成され得る。追加の例では、コンピュータサブシステム(複数可)は、初期z軌跡のより適切な推定のために、多項式の粗いzフィッティングアルゴリズムからの適応フィードフォワード用に構成され、例えば、測定値が公称zから大幅に偏っている場合、この偏りは後続のスワス(複数可)から除去され得る。
【0081】
更なる実施形態では、出力取得サブシステムは、生成されたフォーカス設定を用いてプロセス中に標本上で走査を実行するように構成され、1つ以上のコンピュータサブシステムは、走査中に、標本表面プロファイルを生成されたフォーカス設定に適用し、それによってプロセス中の標本の走査に用いられる最終的なフォーカス設定を決定するように構成される。例えば、本明細書に記載の実施形態は、リアルタイムのウェハ表面プロファイルを粗いzスワスに適用して、ウェハチャック表面の傾向を補正するように構成され得る。ウェハ表面プロファイルは、チャック表面の所定の関数であり得る。システムは、定期的に較正されて、そのような事前定義された関数を決定し、粗いzプリマップを最適な焦点キャプチャ内に維持するのを助けることができる。事前定義された関数を決定することは、プリマップの粗いzフォーカス走査中に実行され得る。標本表面プロファイルを生成されたフォーカス設定に適用することには、表面プロファイルをデフォルトのz(開始時)に追加し、軌跡をフィードフォワードすることを含み得る。
【0082】
コンピュータサブシステム(複数可)は、生成されたフォーカス設定についての情報をレシピに保存し、又は標本走査が実行されるプロセスのためのレシピを生成することによって構成され得る。本明細書で使用される「レシピ」という用語は、一般に、標本上でプロセスを実行するためにツールによって使用され得る1セットの命令として定義され得る。このように、レシピを生成することは、プロセスがどのように実行されるかについての情報を生成することを含み得て、それを用いて、そのプロセスを実行するための命令を生成し得る。コンピュータサブシステム(複数可)によって保存される生成されたフォーカス設定の情報は、任意の情報を含み得て、その情報を用いて、生成されたフォーカス設定を走査中に出力取得サブシステム及び/又は走査サブシステムに適用させ得る。保存される生成されたフォーカス設定の情報は、更に、実際に生成されたフォーカス設定自体、及び/又は生成されたフォーカス設定を走査中に適用させるための任意の命令を含み得る。
【0083】
コンピュータサブシステム(複数可)は、生成されたフォーカス設定に関する情報を任意の適切なコンピュータ可読記憶媒体に保存するように構成され得る。情報は、本明細書に記載された任意の結果とともに保存されてもよく、当技術分野で周知の任意の方法で保存されてもよい。記憶媒体は、本明細書に記載された任意の記憶媒体、又は当技術分野で周知の任意の他の適切な記憶媒体を含み得る。情報は、保存された後、記憶媒体でアクセスされ、本明細書で説明する方法又はシステムの実施形態のいずれかによって使用され、ユーザに表示するためにフォーマット化され、別のソフトウェアモジュール、方法、又はシステムなどによって使用され得る。例えば、本明細書に記載の実施形態は、検査レシピを生成又は修正して、生成されたフォーカス設定を含み得る。次に、その生成又は修正された検査レシピは保存され、システム又は方法(あるいは別のシステム又は方法)によって使用されて、標本又は別の標本を検査し、これにより、標本又は別の標本に関する情報(例えば、欠陥情報)を生成し得る。
【0084】
一実施形態では、1つ以上のコンピュータサブシステムは、標本の1つ以上の特性を、生成されたフォーカス設定に基づいて決定するように構成される。例えば、フォーカスマップ自体(つまり、最適な画像フォーカス対オートフォーカスサーボ位置)は、標本に関する貴重な情報を保持し得る。そのような一例では、生成されたフォーカス設定は、標本の1つ以上の特性、例えば標本上の位置の関数としての標本上のフィルム又はパターン化された特徴の厚さの変化に応答し得る。特に、生成されたフォーカス設定は、出力取得サブシステムの合焦面に対する標本表面又は特徴(複数可)の位置に応答するため、生成されたフォーカス設定はまた、標本表面又は標本全体の特徴(複数可)のz位置の変動に反応する。そのような一例では、生成されたフォーカス設定は、標本の最上面のz位置の変化、又は標本上の位置の関数としての標本の最上面を形成するパターン化された特徴、フィルムなどの他の特性の変化に応答し得る。生成されたフォーカス設定は、所望の合焦位置が標本の最上面より下にある場合に、標本の特性に同様に応答し得る。生成されたフォーカス設定は、コンピュータサブシステム(複数可)によって使用されて、標本の様々な特性を、全体的(生成されたフォーカス設定のすべてから決定された平均又は中央値の特性において)及び局所的(標本の位置、局所平均又は中央値などの関数としての標本の特性のマップにおいて)の両方で決定し得る。したがって、生成されたフォーカス設定は、標本の1つ以上の特性の尺度として使用され得て(これにより、1つ以上の特性を推測又は直接決定し得る)、これは、本明細書で更に説明する他のステップ(複数可)のために、1つ以上のコンピュータサブシステムによって使用され得る。
【0085】
次に、本明細書に記載のシステム又は別のシステム若しくは方法は、保存された情報を使用して、標本の走査を実行し、標本に関する情報を走査出力(例えば、画像、信号など)から決定し得る。標本上で実行されるプロセスに応じて、決定された情報は、欠陥情報(例えば、検査又は欠陥レビューの場合)、パターン化された特徴の測定値(例えば、計測プロセスの場合)などが含まれてもよい。検査、欠陥レビュー、及び計測プロセスは、当技術分野で周知のそのような適切なプロセスを含み得る。そのようなプロセスのためにシステムによって生成される出力は、任意の適切な結果を含み得て、例えば、KLAから市販されているいくつかの検査ツールによって出力される検査結果ファイルの一種である、KLARFのような標準的な検査結果ファイル、標準計測結果ファイル、標準欠陥レビュー結果ファイルなどである。
【0086】
システムはまた、1つ以上の機能を標本に関して決定された情報に基づいて実行するように構成されてもよい。そのような機能は、限定するものではないが、標本上でフィードバック又はフィードフォワード方式で実行された、又は実行される製造プロセス又はステップなどのプロセスを変更することを含む。例えば、仮想システム及び本明細書に記載の他のコンピュータサブシステムは、本明細書に記載されるように検査される標本上で実行されたプロセス及び/又は検出された欠陥(複数可)に基づいて標本上で実行されるプロセスに対する1つ以上の変更を決定するように構成され得る。プロセスへの変更は、プロセスの1つ以上のパラメータへの任意の適切な変更を含み得る。仮想システム及び/又は本明細書に記載の他のコンピュータサブシステムは、好ましくは、修正されたプロセスが実行される他の標本で欠陥が低減又は防止され得て、標本上で実行される別のプロセスにおいて欠陥が標本上で補正又は排除され得て、標本上で実行される別のプロセスにおいて欠陥が補償され得るなどのように、これらの変更を決定することが好ましい。仮想システム及び本明細書に記載の他のコンピュータサブシステムは、そのような変更を当技術分野で周知の任意の適切な方法で決定し得る。
【0087】
次に、これらの変更は、半導体製造システム(図示せず)又は記憶媒体(図示せず)に送信され得て、これらは仮想システム又は本明細書に記載の他のコンピュータサブシステム及び半導体製造システムにアクセス可能である。半導体製造システムは、本明細書に記載のシステム実施形態の一部であってもよく、又は一部でなくてもよい。例えば、仮想システム及び本明細書に記載される他のコンピュータサブシステムは、半導体製造システムに、例えば、ハウジング、電源、標本ハンドリングデバイス又は機構などの1つ以上の共通要素を介して結合され得る。半導体製造システムは、当技術分野で周知の任意の半導体製造システム、例えばリソグラフィツール、エッチングツール、化学的機械的研磨(CMP)ツール、蒸着ツールなどを含み得る。
【0088】
一実施形態では、1つ以上のコンピュータサブシステムは、標本上で実行される製造プロセスの1つ以上のパラメータに対する1つ以上の変更を、標本の決定された1つ以上の特性に基づいて決定するように構成される。例えば、上記で更に説明したように、生成されたフォーカス設定は、1つ以上のコンピュータサブシステムによって使用され、標本の1つ以上の特性を決定し得る。次に、これらの特性(複数可)は、コンピュータサブシステム(複数可)によって使用されて、上述のような製造プロセスのパラメータ(複数可)への変更(複数可)を決定し得る。そのような一例において、特性(複数可)が、標本にわたってパターン化された特徴の厚さに変動があることを示す場合、その変動を使用して、標本上にパターン化された特徴を形成するために使用されるプロセス、例えばリソグラフィプロセス、エッチングプロセス、CMPプロセスなどのパラメータ(複数可)への変更(複数可)を決定し得る。製造プロセスのパラメータ(複数可)に対する変更(複数可)は、当技術分野で周知の任意の適切なアルゴリズム、関係、関数などを使用して別の方法で決定されてもよい。
【0089】
1つ以上のコンピュータサブシステムはまた、どのプロセス又は複数のプロセスを標本の特性(複数可)に応じて変更すべきかを決定し得る。言い換えると、コンピュータサブシステム(複数可)は、標本上で実行される1つ以上のプロセスへの変更(複数可)を、決定された特性(複数可)に応答して決定し得る。このように、標本に関する貴重な情報を保持し得るフォーカスマップ自体を使用して、標本を作成するために使用されるプロセス(複数可)を制御し得る。同様に、フォーカスマップを使用して、標本上で未だ実行されていないプロセスへの1つ以上の変更を、フォーカスマップから決定された標本の特性(複数可)を変更又は補償する目的で決定し得る。このようなプロセスには、修復プロセスとその後の製造プロセスが含まれる場合があり、これらの正常及び通常の動作では、標本の決定された特性(複数可)を変更し得る。
【0090】
一実施形態では、プロセスは検査プロセスである。検査プロセスは、任意の適切な方法で実行され得る。例えば、一般に、「検査プロセス」という用語は、本明細書では、欠陥が標本上で検出されるプロセスを指すために使用される。標本上の欠陥を検出することは、様々な異なる方法で実行され得て、例えば、閾値を検査ツール又はシステムによって標本に対して生成された出力に比較すること若しくは適用すること、及び、閾値を超える値を有する出力が潜在的な欠陥又は欠陥候補に対応することと、閾値を超える値を有しない出力が潜在的な欠陥又は欠陥候補に対応しないこととを決定することを含んでいる。
【0091】
いくつかの実施形態では、プロセスは、標本上の欠陥を検出することを含む検査プロセスであり、1つ以上のコンピュータサブシステムは、1つ以上の変更を、標本の決定された1つ以上の特性に基づき、検査プロセスによって生成された検出された欠陥に関する情報と組み合わせて決定するように構成される。例えば、フォーカスマップ自体を使用して、上述のように標本に関する情報を決定することができ、標本に関するその情報を欠陥検査結果と併せて使用して、標本の作成に使用されるプロセスを制御し得る。1つ以上のコンピュータサブシステムは、生成されたフォーカス設定から標本について決定された特性(複数可)を、検出された欠陥に関する情報とともに使用して、上記で更に説明したように、製造プロセスのパラメータ(複数可)に対する変更(複数可)を決定し得る。検出された欠陥に関する情報は、本明細書に記載された、又は当技術分野で周知の情報のいずれかを含み得る。
【0092】
そのような一例では、標本の特性(複数可)と検出された欠陥の1つ以上との間に何らかの関係があり得て(例えば、検出された欠陥の一部又はすべては、少なくとも部分的に、生成されたフォーカス設定から決定された標本の特性(複数可)に起因し、又はその逆であり得る)、及び/又は検出された欠陥の1つ以上は、生成されたフォーカス設定から決定された特性(複数可)とは無関係であり得る。このように、決定された標本の特性(複数可)及び検出された欠陥は、共通若しくは関連する原因を有する場合があり、又は別個の無関係な原因を有する場合もある。このように、製造プロセスのパラメータ(複数可)への変更(複数可)は、検出された欠陥と組み合わせて、決定された特性(複数可)に応じて有利に決定され得て、望ましくない特性(複数可)と検出された欠陥との原因(複数可)が正確に特定されて補正され得る。
【0093】
別の実施形態では、プロセスは計測プロセスである。例えば、計測プロセスは、本明細書で更に説明するシステムの1つを使用して実行され得る。計測プロセスは、当技術分野で周知の任意の適切な方法で実行され得る。別の実施形態では、プロセスは欠陥レビュープロセスであり、当技術分野で周知の任意の適切な方法で実行され得る。
【0094】
本明細書に記載の実施形態は、標本走査に用いるフォーカス設定を決定するための別の方法及びシステムよりも多くの利点を有する。例えば、本明細書に記載の実施形態は、検査画像などの本明細書に記載の出力を有利に使用して、最適な焦点を測定及び推定する。更に、本明細書に記載の実施形態は、画像内の特徴を有利に使用して、最適な焦点の信頼できる反復可能な推定を提供する。
【0095】
システムの実施形態の各々は、本明細書に記載される任意の別の実施形態(複数可)に従い更に較正され得る。
【0096】
別の実施形態は、標本走査に用いるフォーカス設定を決定するためのコンピュータ実装方法に関する。この方法は、標本上の位置の関数として最適な焦点の値で定義されるフォーカスマップを、本明細書で説明するように構成された出力取得サブシステムによって、標本上で走査された1つ以上のプリフォーカススワスで生成された出力を使用して生成することを含む。この方法は更に、フォーカスマップを補間して、プロセス中に標本上で実行される走査のためのフォーカス設定を生成することを含む。この方法は、プロセス中に標本上で実行される走査で用いる生成されたフォーカス設定の情報を保存することを更に含む。生成、補間、及び保存は、出力取得サブシステムに結合された1つ以上のコンピュータサブシステムによって実行される。コンピュータサブシステム(複数可)は、本明細書で説明されるように更に構成され得る。
【0097】
方法のステップの各々は、本明細書で更に記載されるように実行され得る。方法はまた、本明細書で記述された出力取得サブシステム、コンピュータサブシステム(複数可)、及び/又はシステム(複数可)によって実行され得る任意の他のステップ(複数可)も含み得る。上述の方法は、本明細書に記載のシステム実施形態のいずれかによって実行され得る。
【0098】
追加の実施形態は、標本走査に用いるフォーカス設定を決定するコンピュータ実装方法を実行するために、コンピュータシステムで実行可能なプログラム命令を保存している非一時的なコンピュータ可読媒体に関する。そのような一実施形態は、図7に示される。特に、図7に示されるように、非一時的なコンピュータ可読媒体700は、コンピュータシステム704で実行可能なプログラム命令702を含む。コンピュータ実装方法は、本明細書で記述された任意の方法(複数可)の任意のステップ(複数可)を含み得る。
【0099】
本明細書で記述されたもののような方法を実装するプログラム命令702は、コンピュータ可読媒体700に保存され得る。コンピュータ可読媒体は、磁気又は光ディスク、磁気テープ、あるいは当技術分野で周知の任意の他の適切な非一時的コンピュータ可読媒体のような記憶媒体であり得る。
【0100】
プログラム命令は、とりわけ手順に基づく技術、構成要素に基づく技術、及び/又はオブジェクト指向技術を含む、様々な方法のいずれかで実装され得る。例えば、これらのプログラム命令は、ActiveXコントロール、C++オブジェクト、JavaBeans、Microsoft Foundation Classes(「MFC」)、SSE(ストリーミングSIMD拡張命令)又はその他の技術若しくは方法論を、必要に応じて用いて実装され得る。
【0101】
コンピュータシステム704は、本明細書で記述された実施形態のいずれかにしたがって構成され得る。
【0102】
本発明の様々な態様の更なる修正及び代替的な実施形態は、この説明を考慮して、当業者には明らかであろう。例えば、標本走査に用いるフォーカス設定を決定するための方法及びシステムが提供される。したがって、この説明は、単に例示として解釈されるべきであり、本発明を実行する一般的な方法を当業者に教示することを目的とする。本明細書に示され記述されている本発明の形態は、現時点で好ましい実施形態として捉えられるべきであることを理解されたい。要素及び材料は、本明細書に図示され説明されるものと置き換えられてもよく、部品及びプロセスは逆転されてもよく、本発明の特定の特徴は独立して利用されてもよく、それは全て、本発明のこの説明があれば当業者には明白であろう。変更は、本明細書に記載される要素において、以下の特許請求の範囲に記載される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】