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  • 特表-ポリマー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-01
(54)【発明の名称】ポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08G 61/12 20060101AFI20230424BHJP
   H10K 30/60 20230101ALI20230424BHJP
   H10K 30/30 20230101ALI20230424BHJP
【FI】
C08G61/12
H10K30/60
H10K30/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557191
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2021057481
(87)【国際公開番号】W WO2021191228
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】2004274.3
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】カムテカー,キーラン
【テーマコード(参考)】
4J032
5F849
【Fターム(参考)】
4J032BB03
4J032BC01
4J032CG01
5F849AA03
5F849AB11
5F849CB05
5F849DA30
5F849LA01
5F849XA02
5F849XA35
5F849XA39
5F849XA40
(57)【要約】
式(I):-(A)-(I)の電子供与反復単位と、電子受容反復単位と、を含む、ポリマーであって、式中、各出現におけるAは、独立して、式(II)の基である、ポリマー。各出現におけるYは、独立して、O又はSである。Zは、O、S又はNRであり、Rは、H又は置換基である。各出現におけるRは、独立して、H又は置換基である。各出現におけるRは、独立して、置換基である。nは、少なくとも2である。ポリマーは、有機光検出器のバルクヘテロ接合層中の電子受容材料と組み合わせて、電子供与ポリマーとして使用することができる。
【選択図】図1
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の電子供与反復単位と、電子受容反復単位と、を含む、ポリマーであって、
-(A)
(I)
式中、各出現におけるAは、独立して、式(II)の基であり、
【化1】
式中、各出現におけるYは、独立して、O又はSであり、
Zは、O、S、又はNRであり、Rは、H又は置換基であり、
各出現におけるRは、独立して、H又は置換基であり、
各出現におけるRは、独立して、H又は置換基であり、
nは、少なくとも2である、ポリマー。
【請求項2】
nが、2である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
各Rが、Hである、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項4】
各Rが、独立して、
直鎖状、分岐状、又は環状C1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子は、O、S、NR、CO、又はCOOによって置き換えられていてもよく、Rは、C1-12ヒドロカルビルであり、C1-20アルキルの1つ以上のH原子は、Fで置き換えられていてもよい)、及び
式(Ak)u-(Ar)vの基(Akは、1つ以上のC原子が、O、S、CO、又はCOOで置き換えられてもよいC1-12アルキレン鎖であり、uは、0又は1であり、各出現におけるArは、独立して、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている芳香族又はヘテロ芳香族基であり、vは、少なくとも1である)からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項5】
各Yが、Sである、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項6】
前記電子受容反復単位が、式(II)~(XIII)から選択され、
【化2】
式中、各出現におけるR23は、H又は置換基であり、各出現におけるR25は、H又は置換基であり、隣接する炭素原子に結合した2つのR25基は、連結されて、置換又は非置換環を形成してもよく、Zは、N又はPであり、T、T、及びTは、各々独立して、1つ以上の更なる環に縮合されていてもよいアリール又はヘテロアリール環を表し、各出現におけるR10は、置換基であり、Arは、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されているアリーレン基又はヘテロアリーレン基である、請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーと、電子受容材料と、を含む、組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又は組成物を含む活性層を含む、有機電子デバイス。
【請求項9】
前記有機電子デバイスが、アノードとカソードとの間に配置された、請求項7に記載の組成物を含むバルクヘテロ接合層を含む有機光応答性デバイスである、請求項8に記載の有機電子デバイス。
【請求項10】
前記有機光応答性デバイスが、有機光検出器である、請求項9に記載の有機電子デバイス。
【請求項11】
光源と、請求項10に記載の有機光検出器と、を備える光センサであって、光源から放出された光を検出するように構成されている、光センサ。
【請求項12】
前記光源が、少なくとも850nmのピーク波長を有する光を放出する、請求項11に記載の光センサ。
【請求項13】
1つ以上の溶媒中に溶解又は分散されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のポリマー又は組成物を含む、調合物。
【請求項14】
前記活性層の形成が、請求項13に記載の調合物の表面上への堆積と、前記1つ以上の溶媒の蒸発と、を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の有機電子デバイスを形成する方法。
【請求項15】
式(Im)の化合物であって、
X-(A)-X
(Im)
式中、
各出現におけるXは、独立して、ハロゲン、-OSO(式中、Rは、任意に置換されたC1-12アルキル基又は任意に置換されたアリール基である)、ボロン酸及びそのエステル、並びに-SnR (式中、Rは、独立して、各出現時において、C1-12ヒドロカルビル基である)からなる群から選択され、
A及びnが、請求項1~14のいずれか一項で定義されるとおりである、化合物。
【請求項16】
請求項15に記載の式(Im)の化合物と、前記電子受容反復単位を形成するための化合物との重合を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマーを形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
供与体-受容体(D-A)ポリマーは、有機光起電デバイスでの使用で知られている。
【0002】
Chuらの「Dithieno[3,2-b:2′,3′-d]pyran-containing organic D-π-A sensitizers for dye-sensitized solar cells」は、ジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]ピランを組み込むD-π-A増感剤、及びこれらの増感剤を含有する色素増感ソーラーセルを開示している。
【0003】
CN104478900は、ポリマーソーラーセルで使用される供与体材料を調製するためのモノマーを開示している。モノマーは、2つのラクタム六員環を含有する化合物であり、ラクタム構造は、単結合又は共役架橋によって接続されている。
【0004】
EP2767553は、式(1)で表される構成単位と、式(2)で表される構成単位と、を含むポリマーを開示している。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】CN104478900
【特許文献2】EP2767553
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、式(I)の電子供与反復単位と、電子受容反復単位と、を含むポリマーを提供し、
-(A)
(I)
式中、各出現におけるAは、独立して、式(II)の基であり、
【化2】
式中、
各出現におけるYは、独立して、O又はSであり、
Zは、O、S、又はNRであり、Rは、H又は置換基であり、
各出現におけるRは、独立して、H又は置換基であり、
各出現におけるRは、独立して、H又は置換基であり、
nは、少なくとも2である。
【0007】
任意選択的に、nは、2である。
【0008】
任意選択的に、各Rは、Hである。
【0009】
任意選択的に、各Rは、独立して、
直鎖状、分岐状、又は環状C1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子は、O、S、NR、CO、又はCOOによって置き換えられていてもよく、Rは、C1-12ヒドロカルビルであり、C1-20アルキルの1つ以上のH原子は、Fで置き換えられていてもよい)、及び
式(Ak)u-(Ar)vの基(Akは、1つ以上のC原子が、O、S、CO、又はCOOで置き換えられてもよいC1-12アルキレン鎖であり、uは、0又は1であり、各出現におけるArは、独立して、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている芳香族又はヘテロ芳香族基であり、vは、少なくとも1である)からなる群から選択される。
【0010】
任意選択的に、各Yは、Sである。
【0011】
任意選択的に、電子受容反復単位は、式(III)~(XIII)から選択され、
【化3】
式中、各出現におけるR23は、H又は置換基であり、各出現におけるR25は、H又は置換基であり、隣接する炭素原子に結合した2つのR25基は、連結されて、置換又は非置換環を形成してもよく、Zは、N又はPであり、T、T、及びTは、各々独立して、1つ以上の更なる環に縮合されていてもよいアリール又はヘテロアリール環を表し、各出現におけるR10は、置換基であり、Arは、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されているアリーレン基又はヘテロアリーレン基である。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、本明細書に記載されるポリマーと、電子受容材料と、を含む組成物を提供する。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、本明細書に記載される化合物又は組成物を含む活性層を含む、有機電子デバイスを提供する。
【0014】
任意選択的に、有機電子デバイスは、アノードとカソードとの間に配置された、本明細書に記載される組成物を含むバルクヘテロ接合層を含む、有機光応答性デバイスである。
【0015】
任意選択的に、有機光応答性デバイスは、有機光検出器である。
【0016】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、光源と、有機光検出器と、を含む光センサを提供し、光センサは、光源から放出された光を検出するように構成されている。
【0017】
任意選択的に、光源は、少なくとも850nmのピーク波長を有する光を放出する。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、1つ以上の溶媒に溶解又は分散されている、本明細書に記載されるポリマー又は組成物を含む調合物を提供する。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、本明細書に記載される有機電子デバイスを形成する方法を提供し、活性層の形成は、本明細書に記載される調合物の表面上への堆積と、1つ以上の溶媒の蒸発と、を含む。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、式(Im)の化合物を提供し、
X-(A)-X
(Im)
式中、
各出現におけるXは、独立して、ハロゲン、-OSO(式中、Rは、任意に置換されたC1-12アルキル基又は任意に置換されたアリール基である)、ボロン酸及びそのエステル、並びに-SnR (式中、Rは、独立して、各出現時において、C1-12ヒドロカルビル基である)からなる群から選択され、
A及びnは、式(I)に関して説明したとおりである。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、本開示は、式(Im)の化合物と、電子受容反復単位を形成するための化合物との重合を含む、本明細書に記載されるポリマーを形成する方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
開示される技術及び添付の図は、開示される技術のいくつかの実施態様を記載する。
【0023】
図1】いくつかの実施形態による有機光応答性デバイスを示す。
【0024】
図面は、縮尺どおりに描かれておらず、様々な視点及び見解を有する。図面は、いくつかの実施態様及び実施例である。加えて、いくつかの成分及び/又は操作は、開示の技術のいくつかの実施形態の考察を目的として、異なるブロックに分離され得るか、又は単一のブロックに組み合わされ得る。更に、技術は、様々な修正及び代替形式に変更可能であるが、特定の実施形態は、例として図面に示されており、以下に詳細に記載される。しかしながら、意図は、記載の特定の実施態様に技術を限定することではない。対照的に、技術は、添付の特許請求の範囲によって定義される技術の範囲内に入る全ての修正物、同等物、及び代替物を網羅することが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
別段文脈が明らかに要求しない限り、記載及び特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含むこと(comprising)」などの単語は、排他的又は網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち、「含むが、限定されない」という意味で解釈されるものである。加えて、「本明細書の」、「を超えて」、「未満の」という単語、及び類似の趣旨の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指し、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。文脈が許容する場合、単数又は複数を使用する発明を実施するための形態において、単語はまた、それぞれ複数又は単数を含み得る。「又は」という単語は、2つ以上の項目の列挙を参照して、列挙の項目のうちのいずれか、列挙の項目の全て、及び列挙の項目の任意の組み合わせ、という単語の解釈の全てを網羅する。本出願で使用される場合、別の層の「上方の」層への言及は、層が直接接触してもよく、又は1つ以上の介在層が存在してもよいことを意味する。別の層の「上の」層への言及は、本出願で使用される場合、層が直接接触していることを意味する。特定原子への言及は、特に明記しない限り、その原子の任意の同位体を含む。
【0026】
本明細書に提供される技術の教示は、必ずしも以下に記載のシステムではなく、他のシステムに適用され得る。以下に記載の様々な実施例の要素及び行為を組み合わせて、技術の更なる実施態様を提供することができる。技術のいくつかの代替的な実施態様は、以下に記述されるこれらの実施態様に対する追加の要素を含み得るだけでなく、より少ない要素も含み得る。
【0027】
以下の詳細な記載に照らし合わせて、これら及び他の変更は、技術に対して行われ得る。記載は、技術のある特定の実施例を記載し、企図される最良のモードを記載しているが、記載がどれほど詳細に表示されていようとも、技術は、多くの方式で実践することができる。上に記述されるように、技術のある特定の特色又は態様を記載する場合に使用される特定の用語は、その用語に関連する技術の任意の特定の特徴、特色、又は態様に制限されるように、その用語が本明細書で再定義されることを意味するものと解釈されるべきではない。一般に、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、発明を実施するための形態の項でそのような用語を別段明示的に定義しない限り、技術を本明細書に開示の特定の実施例に限定するものと解釈されるべきではない。したがって、技術の実際の範囲は、開示の実施例だけでなく、特許請求の範囲下の技術の全ての実践又は実施態様の同等の方式も包含する。
【0028】
特許請求の範囲の数を低減するために、技術のある特定の態様は、ある特定の特許請求の範囲の形態で以下に提示されるが、出願人は、任意の数の特許請求の範囲の形態における技術の様々な態様を企図している。
【0029】
以下の記載では、説明の目的として、開示の技術の実施態様の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、開示の技術の実施形態が、これらの具体的な詳細のいくつかを用いずとも実践することができることは、当業者には明らかであろう。
【0030】
本発明者らは、供与体-受容体ポリマーのピーク吸収波長が、ポリマーの受容体単位間に2つ以上の隣接する供与体単位を提供することによって増加し得ることを見出した。
【0031】
ポリマーは、式(I)の反復単位を有する。
-(A)
(I)
【0032】
各出現におけるAは、独立して、式(II)の基である。
【化4】
【0033】
各出現におけるYは、独立して、O又はS、好ましくはSである。
【0034】
Zは、O、S、又はNRであり、Rは、H又は置換基である。
【0035】
各出現におけるRは、独立して、H又は置換基である。
【0036】
各出現におけるRは、独立して、H又は置換基、好ましくは置換基である。
【0037】
nは、少なくとも2、任意選択的に2、3、4、又は5である。好ましくは、nは、2である。
【0038】
式(I)の各基Aは、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、n個の基のうちの少なくとも1つのZは、O又はSであり、n個の基のうちの少なくとも他の1つは、NRである。A基は、同じ向き又は異なる向きで連結されてもよい。
【0039】
好ましくは、各Rは、独立して、
直鎖状、分岐状、又は環状C1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子は、O、S、NR、CO、又はCOOによって置き換えられていてもよく、Rは、C1-12ヒドロカルビルであり、C1-20アルキルの1つ以上のH原子は、Fで置き換えられていてもよい)、及び
式(Ak)u-(Ar)vの基(Akは、1つ以上のC原子が、O、S、CO、又はCOOで置き換えられてもよいC1-12アルキレン鎖であり、uは、0又は1であり、各出現におけるArは、独立して、非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されている芳香族又はヘテロ芳香族基であり、vは、少なくとも1である)からなる群から選択される。
【0040】
任意選択的に、各Rは、独立して、H、及びRに関して説明される置換基から選択される。好ましくは、各Rは、Hである。
【0041】
式(I)の例示的な反復単位としては、これらに限定されないが、式(I-A)~(I-L)の反復単位が挙げられ、
【化5-1】
【化6-2】
式中、各出現におけるHcは、独立して、C1-20ヒドロカルビル基、例えば、C1-20アルキル、非置換アリール、又は1つ以上のC1-12アルキル基で置換されたアリールである。アリール基は、好ましくはフェニルである。
【0042】
式(I-A)~(I-D)の基Aは、同じであり、同じ向きで連結されている。
【0043】
式(I-E)~(I-H)の基Aは、同じであり、異なる向きで連結されている。
【0044】
式(I-I)~(I-L)の基Aは、異なるものであり、異なる向きを有するA基を含む。
【0045】
ポリマーは、式(I)の電子供与反復単位と、電子受容反復単位と、を含有する。電子受容反復単位は、電子供与反復単位よりも深い(すなわち、真空から更に遠い)、好ましくは、少なくとも1eVより深いLUMOレベルを有する。式(I)の反復単位及び電子受容反復単位のLUMOレベルは、隣接する反復単位への結合が水素原子への結合と置き換えられる各反復単位のLUMOレベルをモデル化することによって判定されてもよい。モデル化は、B3LYP(汎関数)及びLACVP*(基底関数系)を有するGaussian09を使用して、Gaussianから入手可能なGaussian09ソフトウェアを使用して実施されてもよい。
【0046】
任意選択的に、電子受容反復単位は、式(III)~(XIII)から選択され、
【化7】
【0047】
各出現におけるR23は、H又は置換基、任意選択的にH又はC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)である。
【0048】
本明細書で使用される場合、アルキル基の「非末端の」C原子とは、直鎖状(n-アルキル)鎖のメチルC原子又は分岐状アルキル鎖のメチルC原子以外のアルキルのC原子を意味する。
【0049】
各出現におけるR25は、独立して、H;F;C1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい);又は芳香族基Ar、任意選択的に、フェニル(非置換であるか、又はF及びC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO又はCOで置き換えられていてもよい)から選択される1つ以上の置換基で置換される)からなる群から選択される。2つのR25基が隣接炭素原子に結合している場合、2つのR25は、連結されて、置換又は非置換環、好ましくは置換又は非置換アリール又はヘテロアリール環を形成してもよい。そのような環の置換基は、存在する場合、任意選択的にF、CN、NO、及びC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子は、O、S、COO、又はCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子は、Fで置き換えられていてもよい)から選択される。
【0050】
は、N又はPである。
【0051】
、T及びTは、各々独立して、1つ以上の更なる環に縮合し得る、アリール又はヘテロアリール環、任意選択的にベンゼンを表す。T、T及びTの置換基は、存在する場合、任意選択的に、R25の非H基から選択される。任意選択的に、Tは、ベンゾチアジアゾールであり、式(VII)の反復単位は、式(VIIa)を有する。
【化8】
【0052】
各出現におけるR10は、置換基、好ましくは、C1-20ヒドロカルビル基である。
【0053】
Arは、非置換であるか、若しくは1つ以上の置換基、任意選択的にR25から選択される1つ以上の非H基で置換され得る、アリーレン基又はヘテロアリーレン基、任意選択的に、チオフェン、フルオレン又はフェニレンである。
【0054】
任意選択的に、ポリマーは、約850nmを超える波長でピークを有する吸収スペクトルを有する。吸収スペクトルは、Cary5000 UV-vis-IR分光計を使用して、溶液、任意選択的にトルエン溶液中で測定されたものであってもよい。測定は、データ解像度を最適に制御するために、可変スリット幅(0.01nmまで)を有する拡張された光度範囲のためのPbSmart NIR検出器を使用して、175nm~3300nmで行われてもよい。
【0055】
吸収強度は、吸収スペクトルを生成するために入射波長に対してプロットされる。フィルム吸収を測定するための方法は、石英キュベット中の15mg/mlの溶液を測定することと、溶媒のみを含有するキュベットと比較することと、を含み得る。
【0056】
好ましくは、本明細書に記載されるポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン当量の数平均分子量(Mn)は、約5×10~1×10、好ましくは1×10~5×10の範囲にある。ポリマーのポリスチレン当量の重量平均分子量(Mw)は、1×10~1×10、好ましくは1×10~1×10であり得る。
【0057】
ポリマー合成及びモノマー
本明細書に記載されるポリマーは、式(I)の反復単位を形成するためのモノマーと、電子受容反復単位を形成するためのモノマーとを重合することによって形成され得る。重合方法には、限定されないが、式(I)の供与体単位の芳香族炭素原子と受容体単位の芳香族炭素原子との間に炭素-炭素結合を形成する方法が含まれる。
【0058】
式(I)の反復単位を形成するためのモノマーは、式(Im)の化合物であってもよく、
X-(A)-X
(Im)
式中、A及びnは、式(I)に関して説明されるとおりであり、各出現におけるXは、独立して、脱離基である。
【0059】
任意選択的に、各Xは、ハロゲン、-OSO(式中、Rは、任意に置換されたC1-12アルキル基又は任意に置換されたアリール基である)、ボロン酸及びそのエステル、並びに-SnR (式中、Rは、独立して、各出現時において、C1-12ヒドロカルビル基である)からなる群から選択される。
【0060】
好適な重合方法としては、鈴木重合及びスティル重合が挙げられるが、これらに限定されない。鈴木重合は、例えば、WO00/53656に記載されている。
【0061】
モノマー及び重合方法は、式(I)の供与体反復単位を形成するためのモノマーが、受容体反復単位を形成するためのモノマーとのみ反応し、それによってD-Aコポリマーを形成するように、選択され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、各Xは、(i)ハロゲン若しくは-OSO、又は(ii)ボロン酸若しくはエステルのうちの1つであってもよく、電子受容反復単位を形成するためのモノマーは、(i)及び(ii)の他方で置換されてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、各Xは、(i)ハロゲン又は-OSO、及び(iii)-SnR のうちの1つであってもよく、電子受容反復単位を形成するためのモノマーは、(i)及び(iii)の他方で置換されてもよい。
【0064】
任意選択的に、各出現におけるRは、独立して、非置換であるか、若しくは1つ以上のF原子で置換されているC1-12アルキル基、又は非置換であるか、若しくは1つ以上のF原子で置換されているフェニルである。
【0065】
任意選択的に、Rは、C1-12アルキル、非置換フェニル、及び1つ以上のC1-6アルキル基で置換されたフェニルからなる群から選択される。
【0066】
ハロゲン脱離基は、好ましくはBr又はIである。
【0067】
-OSOは、好ましくはトシルレート又はトリフレートである。
【0068】
例示的なボロン酸エステルは、式(XIV)を有し、
【化9】
式中、各出現におけるRは、独立して、C1-20アルキル基であり、1つ以上の隣接していないC原子は、C=O、O、S、又はNRで置き換えられていてもよく、各出現におけるRは、C1-12ヒドロカルビル基であり、*は、ボロン酸エステルの、モノマーの芳香族環への結合点を表し、2つの基Rは、連結されて、非置換であるか、又は1つ以上の置換基、例えば、1つ以上のC1-6アルキル基若しくはヒドロキシ-C1-6アルキル基で置換されている環を形成してもよい。好ましい実施形態では、2つの基Rは、連結されて、例えば、
【化10】
を形成する。
【0069】
組成物
ポリマーは、電子受容(n型)材料及び電子供与(p型)材料を含むか、又はそれらからなる組成物の一部であってもよく、ポリマーは、電子供与材料である。組成物は、1つ以上の更なる材料、例えば、1つ以上の更なる電子供与材料及び/又は1つ以上の更なる電子受容材料を含み得る。
【0070】
電子受容材料は、電子供与ポリマーのLUMOよりも深い(すなわち、真空から更に遠い)LUMOレベルを有する。任意選択的に、電子供与ポリマーのHOMOレベルと、電子受容材料のLUMOレベルとの間のギャップは、1.4eV未満である。特に断りのない限り、本明細書に記載される材料のHOMOレベル及びLUMOレベルは、方形波ボルタメトリー(SWV)によって測定されたものである。好ましくは、電子受容材料及び電子供与ポリマーは、II型界面を形成する。
【0071】
SWVにおいて、作用電極における電流は、作用電極と基準電極との間の電位を時間的に直線的に掃引させる間に測定される。順方向パルスと逆方向パルスとの間の差電流は、電位の関数としてプロットされて、ボルタモグラムが得られる。測定は、CHI 660Dポテンシオスタットを用いることができる。
【0072】
SWVによって、本明細書に記載されるポリマーのHOMO又はLUMOエネルギーレベルを測定する装置は、アセトニトリル中の0.1Mの三級ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェートを含有するセル、直径3mmのガラス状炭素作用電極、白金対電極、及び漏れのないAg/AgCl基準電極を備えてもよい。
【0073】
SWVによって溶液中の材料のHOMO又はLUMOエネルギーレベルを測定する装置は、アセトニトリル中の三級ブチルアンモニウムパークロレート又は三級ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート:トルエンの混合物(1:1)を含有するセル、ガラス状炭素作用電極、白金対電極、及び漏れのないAg/AgCl基準電極を備えてもよい。
【0074】
ポリマーフィルムの測定に関して、フェロセンは、計算目的のために実験の終了時に既存のセルに直接添加し、環状ボルタメトリー(CV)を使用して、フェロセン対Ag/AgClの酸化及び還元に関して電位を判定する。フェロセンが同一の溶媒組成物の新鮮なセルに添加されることを除いて、溶液についても同様である。
【0075】
溶液については、サンプルをトルエン(3mg/ml)に溶解し、セルに直接添加する。
【0076】
サンプルを、トルエン(3mg/ml)に溶解し、ガラス状炭素作用電極に直接3000rpmで回転させる。
【0077】
LUMO=4.8-Eフェロセン(ピーク間平均)-サンプルのE還元(ピーク最大)。
【0078】
HOMO=4.8-Eフェロセン(ピーク間平均)+サンプルのE酸化(ピーク最大)。
【0079】
典型的なSWV実験は、15Hzの周波数、25mVの振幅、及び0.004Vの増分ステップで実行する。結果は、ポリマーフィルムの場合はHOMOデータ及びLUMOデータの両方について3つの回転させたばかりのフィルムサンプルから、又は溶液の場合はHOMO及びLUMOスイープの両方の3回の連続測定の平均から計算する。
【0080】
全ての実験はアルゴンガスパージの下で実行する。
【0081】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるポリマーを含むか、又はそれからなる電子供与体材料の受容体材料に対する重量比は、約1:0.5~約1:2である。いくつかの好ましい実施形態では、供与体材料の受容体材料に対する重量比は、約1:1.1~約1:2である。いくつかの好ましい実施形態では、供与体材料の重量は、受容体材料の重量を超える。
【0082】
電子受容体材料、又は各電子受容体材料は、好ましくは非ポリマー化合物である。好ましくは、非ポリマー化合物は、5,000ダルトン未満、任意選択的に、3,000ダルトン未満の分子量を有する。
【0083】
電子受容体材料は、フラーレン又は非フラーレンであり得る
【0084】
非フラーレン受容体は、例えば、Chengらの「Next-generation organic photovoltaics based on non-fullerene acceptors」、Nature Photonics 12巻、131~142頁(2018)に記載されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれ、これには、PDI、ITIC、ITIC、IEICO、及びそれらの誘導体、例えば、ITIC-4F及びIEICO-4Fなどのそれらのフッ素化誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
例示的なフラーレン電子受容体材料は、C60、C70、C76、C78、及びC84フラーレン、又はその誘導体であり、PCBM型フラーレン誘導体(フェニル-C61-ブチル酸メチルエステル(C60PCBM))、TCBM型フラーレン誘導体(例えば、トリル-C61-ブチル酸メチルエステル(C60TCBM))、及びThCBM型フラーレン誘導体(例えば、チエニル-C61-ブチル酸メチルエステル(C60 ThCBM))を含むが、これらに限定されない。
【0086】
有機電子デバイス
本明細書に記載されるポリマー又は組成物は、有機電子デバイスの活性層として提供され得る。好ましい実施形態では、有機光応答性デバイス、より好ましくは有機光検出器のバルクヘテロ接合層は、本明細書に記載される組成物を含む。
【0087】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による有機光応答性デバイスを示す。有機光応答性デバイスは、カソード103と、アノード107と、アノードとカソードとの間に配置されたバルクヘテロ接合層105と、を備える。有機光応答性デバイスは、基板101、任意選択的にガラス又はプラスチック基板上に支持され得る。
【0088】
アノード及びカソードの各々は、独立して、単一の導電性層であり得るか、又は、複数の層を含んでもよい。
【0089】
アノード及びカソードのうちの少なくとも一方は、デバイスに入射する光がバルクヘテロ接合層に到達できるように透明である。いくつかの実施形態では、アノード及びカソードの両方が透明である。
【0090】
各透明電極は、好ましくは、750~1000nmの範囲の波長に対して少なくとも70%、任意選択的に少なくとも80%の透過率を有する。透過率は、有機光検出器で使用するための光源の放出波長に応じて選択されてもよい。
【0091】
図1は、カソードが基板とアノードとの間に配置される構成を示す。他の実施形態では、アノードは、カソードと基板との間に配置され得る。
【0092】
有機光応答性デバイスは、図1に示すアノード、カソード、及びバルクヘテロ接合層以外の層を備え得る。いくつかの実施形態では、正孔輸送層は、アノードとバルクヘテロ接合層との間に配置される。いくつかの実施形態では、電子輸送層は、カソードとバルクヘテロ接合層との間に配置される。いくつかの実施形態では、仕事関数修正層は、バルクヘテロ接合層とアノードとの間、及び/又はバルクヘテロ接合層とカソードとの間に配置される。
【0093】
OPDの面積は、約3cm未満、約2cm未満、約1cm未満、約0.75cm未満、約0.5cm未満、又は約0.25cm未満であり得る。基板は、ガラス又はプラスチック基板であり得るが、これらに限定されない。基板は、無機半導体であり得る。いくつかの実施形態では、基板は、シリコンであり得る。例えば、基板は、シリコンのウエハであり得る。使用時に、入射光が基板及び基板によって支持された電極を通って透過される場合、基板は透明である。
【0094】
バルクヘテロ接合層は、本明細書に記載されるポリマーと、電子受容体材料と、を含有する。バルクヘテロ接合層は、これらの材料からなってもよいか、又は1つ以上の更なる材料、例えば、1つ以上の更なる電子供与体材料及び/若しくは1つ以上の更なる電子受容体材料を含んでもよい。
【0095】
調合物
本明細書に記載されるポリマー又は組成物を含有する層は、1つ以上の溶媒中に溶解又は分散されている、本明細書に記載されるポリマー又は組成物を含有する調合物を堆積させ、1つ以上の溶媒を蒸発させることによって形成されてもよい。
【0096】
調合物は、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、及びフレキソ印刷を含むが、これらに限定されない任意のコーティング又は印刷方法によって堆積されてもよい。
【0097】
調合物の1つ以上の溶媒は、任意選択的に、塩素、C1-10アルキル、及びC1-10アルコキシから選択される1つ以上の置換基で置換されたベンゼンを含むか、又はそれからなってもよく、2つ以上の置換基は、連結されて、非置換であってもよいか、又は1つ以上のC1-6アルキル基、任意選択的に、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、アニソール、インダン及びそのアルキル置換された誘導体、並びにテトラリン及びそのアルキル置換された誘導体で置換されていてもよい環を形成してもよい。
【0098】
調合物は、2つ以上の溶媒の混合物、好ましくは、上述したように1つ以上の置換基により置換された少なくとも1つのベンゼンと、1つ以上の更なる溶媒とを含む混合物を含んでもよい。1つ以上の更なる溶媒は、エステル、任意選択的にアルキル又はアルキル若しくはアリールカルボン酸のアリールエステル、任意選択的にC1-10アルキルベンゾエート、ベンジルベンゾエート又はジメトキシベンゼンから選択されてもよい。
【0099】
調合物は、更なる成分を含んでもよい。そのような成分の例として、接着剤、消泡剤、脱気剤、粘度増強剤、希釈剤、補助剤、流れ改良剤着色剤、染料又は顔料、増感剤、安定剤、ナノ粒子、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、及び阻害剤が言及され得る。
【0100】
用途
回路は、デバイス、及び/又は光電流を測定するように構成されているデバイスに逆バイアスを印加するための電圧源に接続された、本明細書に記載される有機光検出器を含み得る。光検出器に印加される電圧は可変であり得る。いくつかの実施形態では、光検出器は、使用時に連続的にバイアスがかけられてもよい。
【0101】
いくつかの実施形態では、光検出器システムは、本明細書に記載される複数の光検出器、例えば、カメラの画像センサを備える。
【0102】
いくつかの実施形態では、センサは、本明細書に記載されるOPDと、光源と、を含んでいてもよく、OPDは、光源から放出された光を受け取るように構成されている。いくつかの実施形態では、光源は、少なくとも850nmのピーク波長を有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、光源からの光は、OPDに到達する前に変更されてもよいか、又は変更されなくてもよい。例えば、光は、OPDに到達する前に、反射、フィルタリング、ダウン変換、又はアップ変換されてもよい。
【0104】
本明細書に記載される有機光応答性デバイスは、有機光起電デバイス又は有機光検出器であってもよい。本明細書に記載される有機光検出器は、広範囲の用途で使用されてもよく、周囲光の存在及び/又は明るさの検出、並びに有機光検出器及び光源を含むセンサでの使用を含むが、これらに限定されない。光検出器は、光源から放出された光が、光検出器に入射し、光の波長及び/又は明るさの変化が、例えば、対象物、例えば、光源と有機光検出器との間の光路に配置されたサンプル中の標的材料からの光の吸収により、反射により、及び/又はその放出に起因して検出され得るように、構成されてもよい。サンプルは、非生物学的サンプル、例えば、水サンプル、又はヒト若しくは動物対象から採取された生物学的サンプルであってもよい。
【0105】
センサは、ガスセンサ、バイオセンサ、X線撮像デバイス、カメラ撮像センサなどの撮像センサ、モーションセンサ(例えば、セキュリティアプリケーションで使用するための)、近接センサ、又は指紋センサであってもよいが、これらに限定されない。1D又は2D光センサアレイは、画像センサ内に本明細書に記載される複数の光検出器を備え得る。光検出器は、光源による照射時に光を放出するか、又は光源による照射時に光を放出する発光タグに結合されている標的分析物から放出された光を検出するように構成されてもよい。光検出器は、標的分析物又はそれに結合された発光タグによって放出された光の波長を検出するように構成されてもよい。
【実施例
【0106】
モノマー実施例1
スキーム1に従って、モノマー実施例1を形成してもよい。
【化11】
【0107】
モノマー実施例1ステージ1
THF(19mL)中の5,5-ビスドデシルジチエノ[3,2-b:2’,3’-d]ピラン(1g、1.88mmol)の窒素パージ溶液を、-35℃(MeCN/ドライアイス)まで冷却した。この溶液に、NBS(1.71mmol、0.31g)を3回に分けて添加した。反応物を同じ温度で1時間撹拌した。反応物を室温に温め、水及びヘプタンで抽出した。組み合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で除去した。粗生成物は、黄色の油(0.95g)であり、これを更に精製することなく次のステップで使用した。
【0108】
モノマー実施例1ステージ2
THF(82mL)中のステージ1物質(10.1g、16.56mmol)及びKPOの水溶液(3M、82mL)を0.5時間脱気した。この混合物に、Pd(dba)(0.61g、0.66mmol)、[t-BuPH]BF(0.77g、2.65mmol)、及びビス(ピナコラト)ジボロン(2.1g、8.28mmol)を添加した。反応混合物を更に5分間脱気し、次いで反応物を80℃に2時間加熱した。T.L.C.分析は、反応が完了したことを示し、反応物を室温に冷却し、次いで生成物を酢酸エチル及び水で抽出した。組み合わされた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、ヘプタンを溶出液として使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。生成物含有画分を組み合わせ、真空中で濃縮して、HPLCによって決定された約99%の純度を有する黄色粉末(5.49g)としてステージ2材料を得た。
【0109】
モノマー実施例1ステージ3
ステージ2材料(2.46g、2.32mmol)を窒素下でTHF(39mL)に溶解させた。溶液を0℃に冷却し、NBS(0.78g,4.41mmol)を溶液に5回に分けて添加した。反応物を同じ温度で1時間撹拌した。次いで反応物を水でクエンチし、水及びDCMで抽出した。有機層を組み合わせ、MgSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、溶出液としてヘプタンを使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製した。モノマー実施例1を、98.7%の純度を有するオレンジ色の固体(1.5g)として得た。
【0110】
モノマー実施例2
【化12】
【0111】
モノマー実施例2ステージ1
モノマー実施例1ステージ1について合成を行い、粗物質6.11g(収率100%)を得、更に精製することなく使用した。
【0112】
モノマー実施例2ステージ2
モノマーの実施例1ステージ2について合成を行い、99.2%のHPLC純度を有する4.57g(収率87%)の濃いオレンジ色の油を得た。
【0113】
モノマー実施例2ステージ3
ステージ2材料(2g、2.1mmol)及びTMEDA(0.32mL、2.1mmol)を乾燥THF(16mL)中に溶解させ、-78℃(アセトン/CO)まで冷却した。N-ブチルリチウム(2.1mL、2.5M、5.2mmol)を滴下添加し、反応混合物を2時間撹拌した。トリイソプロピルボレート(1.4mL、5.9mmol)を滴下添加し、反応物を-78℃で更に1時間撹拌した後、室温に温めた。酢酸の窒素パージ部分(11%、23mL)を添加し、混合物を10分間撹拌した。窒素パージしたトルエン(40mL)を添加し、水層を除去した後、1,1,1-トリス(ヒドロキシメチル)エタン(0.76g、6.3mmol)及び硫酸マグネシウムを添加し、混合物を一晩撹拌した。混合物を、セライトを通して濾過し、溶媒を除去した。得られた粗製物質をトルエン/ヘプタンから再結晶して、HPLCによって測定した98%の純度を有するオレンジ色の固体(0.4g)を得た。94%超の純度を有する更なる1.5gの生成物も単離し、上記のように再結晶化によって更に精製することができる。モノマーは、スティル又は鈴木重合、例えば、WO00/53656に記載されるような鈴木重合によって重合され得る。
【0114】
本発明の材料のエネルギーレベルを、上述したように、正方形波ボルタンメトリーによって溶液中で測定し、結果を以下の表1に示す。
【表1】
【0115】
表1に示されるように、n=2又は3である式(I)の供与体単位は、供与体単位のnが1である比較化合物よりも小さいバンドギャップ、すなわち、より長い吸収波長をもたらし、バンドギャップは、nの値の増加に伴い減少する。
【0116】
モデル化実施例
これらの実施例に記載される全てのモデル化は、B3LYP(汎関数)を有するGaussian09を使用して、Gaussianから入手可能なGaussian09ソフトウェアを使用して実施した。
【0117】
隣接する反復単位への結合がHで置き換えた式(I)の単位及び受容体単位を有する化合物をモデル化し、結果を表2に記載する。
【表2】
【0118】
表2に示されるように、供与体実施例1及び2のいずれかを、受容体実施例1~3のいずれかとともに使用して、D-Aポリマーを形成してもよい。
【0119】
以下の構造を有するモデル化合物のHOMO及びLUMOレベルをモデル化し、結果を表3に記載する。
【化13】
【表3】
【0120】
表3に示されるように、n=2である式(I)の供与体単位は、供与体単位のnが1である比較化合物よりも小さいバンドギャップ、すなわち、より長い吸収波長をもたらす。
図1
【国際調査報告】