(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】酸化的前処理剤の適用による顔料含有着色料の洗浄堅牢性の向上
(51)【国際特許分類】
A61K 8/19 20060101AFI20230428BHJP
A61K 8/22 20060101ALI20230428BHJP
A61K 8/23 20060101ALI20230428BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20230428BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20230428BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230428BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230428BHJP
A61K 8/40 20060101ALI20230428BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230428BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20230428BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20230428BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/22
A61K8/23
A61K8/898
A61Q5/10
A61K8/49
A61K8/46
A61K8/40
A61K8/41
A61K8/35
A61K8/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022557734
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2021052236
(87)【国際公開番号】W WO2021190810
(87)【国際公開日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】102020203743.4
(32)【優先日】2020-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】クルック,コンスタンツェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルビヒ,ザンドラ
(72)【発明者】
【氏名】モッホ,メラニー
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー-ベッカー,ダニエラ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB031
4C083AB032
4C083AB172
4C083AB211
4C083AB282
4C083AB322
4C083AB351
4C083AB371
4C083AB372
4C083AB411
4C083AB412
4C083AB431
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC182
4C083AC312
4C083AC352
4C083AC422
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC491
4C083AC532
4C083AC551
4C083AC731
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC811
4C083AC841
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC861
4C083AC892
4C083AC931
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD352
4C083BB21
4C083CC36
4C083DD06
4C083DD23
4C083EE07
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、前処理剤(V)をケラチン物質に適用する工程、および着色剤(F)をケラチン物質に適用する工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法であって、前処理剤は、化粧品用キャリア中に(V-1)少なくとも1の酸化剤を含有し、着色剤は、(F-1)少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマーおよび(F-2)少なくとも1の顔料を含有する、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程:
・前処理剤(V)をケラチン物質に適用する工程、および
・着色剤(F)をケラチン物質に適用する工程
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の染色方法であって、
化粧品用キャリア中の前処理剤は、(V-1)少なくとも1の酸化剤を含有し、
化粧品用キャリア中に存在する着色剤は、(F-1)少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマーおよび(F-2)少なくとも1の顔料を含有する、
方法。
【請求項2】
前処理剤(V)は、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1の酸化剤(V-1)を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前処理剤(V)は、(V-1)過酸化水素および(V-2)ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1の過硫酸塩を含んでなることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前処理剤(V)は、前処理剤の総重量に基づいて、0.1~12.0重量%、好ましくは0.5~10.0重量%、更に好ましくは1.5~8.0重量%、最も好ましくは3.0~6.0重量%の過酸化水素(V-1)を含んでなることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前処理剤(V)は、前処理剤の総重量に基づいて、5.0~30.0重量%、好ましくは8.0~27.0重量%、より好ましくは11.0~24.0重量%、最も好ましくは14.0~21.0重量%の総量で、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムからなる群から選択される1以上の過硫酸塩(V-2)を含有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
着色剤(F)は、(F-1)少なくとも1の第二級アミノ基を有する少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマーを含んでなることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
着色剤(F)は、式(Si-アミノ):
[式中、ALK1およびALK2は、独立して、直鎖または分岐鎖C
1~C
20二価アルキレン基を表す]
で示される構造単位を少なくとも1有するアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を少なくとも1含んでなることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
着色剤(F)は、式(Si-I)で示される構造単位および式(Si-II)で示される構造単位:
を含む少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を含んでなることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
着色剤(F)は、着色剤の総重量に基づいて、0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、非常に好ましくは0.4~2.5重量%の総量で、1以上のアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を含有することを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
着色剤(F)は、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料からなる群から、および/または少なくとも1の金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された有色の雲母または雲母ベース顔料からなる群から好ましくは選択される、無機顔料(F-2)を少なくとも含んでなることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
着色剤(F)は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料からなる群から好ましくは選択される、少なくとも1の有機顔料(F-2)を含んでなることを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
着色剤(F)は、着色剤の総重量に基づいて、0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、非常に特に好ましくは0.25~1.5重量%の総量で、1以上の顔料(F-2)を含有することを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
着色剤(F)に含まれる直接染料の総量は、着色剤(F)の総重量に基づいて、0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、非常に好ましくは0.001重量%未満であることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
下記工程:
(1)請求項1~5のいずれかに記載の前処理剤(V)をケラチン繊維に適用する工程、
(2)2~45分間、好ましくは2~30分間、特に好ましくは2~20分間、ケラチン繊維に、工程(1)で適用された前処理剤を作用させる工程、
(3)前処理剤を水で濯ぎ落とす工程、
(4)請求項1~13のいずれかに記載の着色剤(F)をケラチン繊維に適用する工程、
(5)15秒間~45分間、好ましくは30秒間~30分間、より好ましくは1~15分間、ケラチン繊維に、工程(4)で適用された着色剤を作用させる工程、および
(6)着色料を水で濯ぎ落とす工程
をこの順で含む、ケラチン繊維、特にヒトの毛髪の着色方法。
【請求項15】
工程(3)と(4)との間に、24時間以下、好ましくは12時間以下、更に好ましくは6時間以下、最も好ましくは3時間以下の時間が存在することを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
別個に包装された、
・請求項1~5のいずれかに記載の前処理剤(V)を含む第一容器、および
・請求項1~13のいずれかに記載の着色剤(F)を含む第二容器
を含んでなる、ケラチン物質を染色するためのキット・オブ・パーツ。
【請求項17】
酸化的に前処理されたヒトの毛髪を着色するための、請求項1~13のいずれかに記載の着色剤(F)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の対象は、少なくとも2の異なった剤(V)および(F)の適用を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の化粧的着色方法である。剤(V)は、化粧品用キャリア中に少なくとも1の酸化剤を含有する前処理剤を表す。着色剤(F)は、化粧品用キャリア中に少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)および少なくとも1の顔料(F-2)を含んでなる。
【0002】
本出願の第二の対象は、2つの別の容器に別個に集められた2つの剤(V)および(F)を含んでなる、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)である。
【0003】
本出願の第三の対象は、酸化的に前処理されたヒトの毛髪を着色するための、前記着色剤(F)の使用である。
【背景技術】
【0004】
ケラチン繊維、特にヒトの毛髪の形状および色を変えることは、現代の化粧品の重要な分野である。毛髪の色を変えるため、専門家には、着色の要求に応じた様々なカラーリング系が知られている。良好な堅牢性および良好な白髪カバー性を伴った長期的な強い染色のためには、通常、酸化着色料が使用される。このような着色剤は、酸化着色料前駆物質(いわゆる顕色成分)および発色成分を含み、これらは、過酸化水素などの酸化剤の影響を受けて、互いに実際の着色料を生成する。酸化着色料は、非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0005】
直接染料を使う場合、既に調製された着色料が着色剤から毛髪繊維に拡散する。酸化染毛と比べて、直接染料を用いて得られた染色物は、色の保持時間が短く、より迅速な洗浄性を有する。直接染料による染色は通常、5~20回の洗浄の間、毛髪に残留する。
【0006】
毛髪および/または皮膚の色を短期間変えるため、着色顔料の使用が知られている。着色顔料は、一般的には、不溶性の着色物質と理解されている。着色顔料は、小粒子として着色料組成物中に溶解せずに存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚の表面にもっぱら付着する。従って、着色顔料は通常、界面活性剤を含む洗剤で数回洗えば、残留することなく除去され得る。このタイプの製品は、「ヘアマスカラ」の名称で様々なものが市販されている。
【0007】
特に長持ちする染色物を使用者が望む場合は、これまで酸化着色料を使うしかなかった。しかし、多くの最適化を試みても、酸化染毛ではアンモニアまたはアミンの不快な臭いを完全に回避することはできない。また、酸化着色料の使用に伴う毛髪の損傷は、使用者の毛髪にも悪影響を及ぼす。従って、代替の高性能な染色方法の探求は、継続的な課題である。最近ますます注目を集めている1つの可能な代替着色系は、着色顔料の使用に基づく。
【0008】
顔料による着色には、いくつかの大きな利点がある。顔料は外側からケラチン物質、特に毛髪繊維に付着するだけなので、不要になった着色は、残留物を残さず素早く簡単に除去できるため、使用者は手間をかけず直ちに元の毛髪の色に戻すことができる。従って、特に、毛髪を正規に着色し直したくない消費者にとって、この着色プロセスは特に魅力的である。
【0009】
最近の研究では、この染色系の低い耐久性の問題が扱われている。これに関して、顔料を用いて得た着色結果の洗浄堅牢性が、顔料とある種のアミノ官能化シリコーンポリマーとの組み合わせにより、顕著に向上できることが見出された。また、暗い色の毛髪に対して、特に適した顔料および顔料濃度を選択することにより、より明るい着色結果を達成することができたので、この着色系により、毛髪を明るくすることさえ可能となった。このことは、これまで、酸化的毛髪トリートメント剤(ブリーチ剤またはブロンディング剤)でのみ可能であった。
【0010】
しかし、これらの多くの利点に加えて、顔料ベース着色系は、顔料のケラチン物質への浸透深さが浅いことに起因した、いくつかの欠点も有する。顔料はケラチン物質またはケラチン繊維の中に拡散せず、ケラチン物質の外側にシェルまたはフィルムとして堆積するにすぎないので、この系で生成される染色の洗浄堅牢性にはまだ改善が必要とされている。特に適した顔料またはアミノシリコーンを選択することにより、既に洗浄堅牢性の良好な改善が達成されていても、これはまだ最適とは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本出願の目的は、洗浄に対する向上した堅牢性を備えた強い染色を達成できる顔料ベース染色方法を見出すことである。これに関して、この方法で染色されたケラチン物質、特に毛髪は、毛髪のタイプおよび既に使用された他の化粧品に関係なく、関連するパッケージ情報または使用説明書を読んだ後に使用者が期待する色合いおよび強度で正確に着色される必要がある。長時間の後および数回の毛髪洗浄の後でも、染色した毛髪のニュアンスに望ましくない変化が生じてはならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
意外なことに、ケラチン物質、特に毛髪を、実際の染色方法の前に酸化的前処理に付すと、顔料染色系の洗浄堅牢性を著しく向上できることが見出された。
【0013】
本発明の第一の対象は、
・前処理剤(V)をケラチン物質に適用する工程、および
・着色剤(F)を前記ケラチン物質に適用する工程
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪の着色方法であって、
化粧品用キャリア中の前処理剤は、(V-1)少なくとも1の酸化剤を含有し、
化粧品用キャリア中に存在する着色剤は、(F-1)少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマーおよび(F-2)少なくとも1の顔料を含有する、
方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に至るまでの検討において、2つの剤(V)および(F)を続いて適用することにより毛髪を着色すると、特に強くて洗浄堅牢性の着色結果が毛髪において得られることが見出された。このとき、数回の毛髪洗浄の後であっても、望ましくないまたは魅力のないニュアンスの変化は生じなかった。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ケラチン物質
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手指の爪および/または足指の爪)を包含する。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に含まれる。
【0016】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚およびヒトの爪(特に、手指の爪および足指の爪)であると理解される。ケラチン物質は、特に、ヒトの毛髪であると理解される。
【0017】
着色剤
本明細書において、用語「着色剤」は、顔料を用いてもたらされる、ケラチン物質、特に毛髪の着色剤のために使用される。この着色工程において、顔料は、ケラチン物質の表面上の特に均一で均質で滑らかなフィルムにおける着色化合物として堆積される。
【0018】
前処理剤(V)
本発明の方法において、前処理剤(V)は、着色剤(F)の適用前にケラチン物質、特にケラチン繊維に適用される。
【0019】
前処理剤(V)の化粧品用キャリア
前処理剤(V)は、それが化粧品用キャリア中に少なくとも1の酸化剤(V-1)を含むことを特徴としている。
【0020】
前処理剤(V)のための化粧品用キャリアとして、例えば、適当な水性、アルコール性または水性-アルコール性キャリアを使用できる。染毛の場合、そのようなキャリアは、例えば、クリーム、エマルション、ゲル、ペースト、またはシャンプーなどの界面活性剤含有発泡液、フォームエアロゾル、フォーム組成物、または毛髪への適用に適した他の調製物である。
【0021】
前処理剤(V)が水性または水含有キャリア中に酸化剤を含む場合、前処理剤(V)は好ましくは平均的な含水率を有する。前処理剤(V)の総重量に基づいて、30.0~80.0重量%、好ましくは35.0~80.0重量%、更に好ましくは40.0~70.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~60.0重量%の水を含有する前処理剤(V)が、本発明の方法における使用に特に適していることが見出された。
【0022】
一実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、前処理剤(V)の総重量に基づいて、30.0~80.0重量%、好ましくは35.0~80.0重量%、更に好ましくは40.0~70.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~60.0重量%の水を含有することを特徴とする。
【0023】
前処理剤(V)における酸化剤(V-1)または(V-2)
酸化剤は、酸化作用を有する物質である。本発明における酸化剤は特に、ケラチン物質またはヒトの毛髪を酸化的に変性できる。本発明の意味における酸化剤は、大気中の酸素とは異なり、酸化的明色化される毛髪ケラチンタンパク質内および天然着色顔料メラニン内または毛髪ケラチンタンパク質と天然着色顔料メラニンとの間に、ジスルフィド架橋を確立するような酸化能を有する。
【0024】
一実施形態では、特に好ましい酸化剤は、過酸化水素および/または(特に無機または有機化合物への)その少なくとも1の付加物、例えば、過ホウ酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、過炭酸マグネシウム、過カルバミドナトリウム、ポリビニルピロリドン、n H2O2(nは0より大きい正の整数)、過酸化尿素および過酸化メラミンである。
【0025】
別の実施形態では、過硫酸塩および/またはその塩も、前処理剤(V)における酸化剤として使用できる。ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムからなる群から選択される1以上の過硫酸塩の使用が特に好ましい。
【0026】
過硫酸アンモニウムとも称され得るペルオキソ二硫酸アンモニウムは、実験式:(NH4)2S2O8を有する過硫酸塩を意味すると理解される。
【0027】
過硫酸カリウムとも称され得るペルオキソ二硫酸カリウムは、実験式:K2S2O8を有する過硫酸塩を意味すると理解される。
【0028】
過硫酸ナトリウムとも称され得るペルオキソ二硫酸ナトリウムは、実験式:Na2S2O8を有する過硫酸塩を意味すると理解される。
【0029】
非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1の酸化剤(V-1)を含んでなることを特徴とする。
【0030】
本発明に至る試験を実施するにあたり、本発明の方法において、異なった酸化剤の組み合わせを含有する前処理剤(V)を使用した場合に特に、洗浄堅牢性の強力かつ効果的な改善が達成できることが見出された。過酸化水素(V-1)と、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1の過硫酸塩(V-2)との組み合わせを含有する前処理剤(V)を用いた場合に、特に良好な結果が得られた。
【0031】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、過酸化水素(V-1)と、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1の過硫酸塩(V-2)とを含んでなることを特徴とする。
【0032】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、(V-1)過酸化水素および(V-2)ペルオキソ二硫酸アンモニウムを含んでなることを特徴とする。
【0033】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、(V-1)過酸化水素および(V-2)ペルオキソ二硫酸カリウムを含んでなることを特徴とする。
【0034】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、(V-1)過酸化水素および(V-2)ペルオキソ二硫酸ナトリウムを含んでなることを特徴とする。
【0035】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、(V-1)過酸化水素並びに(V-2)ペルオキソ二硫酸アンモニウムおよびペルオキソ二硫酸カリウムを含んでなることを特徴とする。
【0036】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、(V-1)過酸化水素並びに(V-2)ペルオキソ二硫酸アンモニウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムを含んでなることを特徴とする。
【0037】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、(V-1)過酸化水素並びに(V-2)ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムを含んでなることを特徴とする。
【0038】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、(V-1)過酸化水素並びに(V-2)ペルオキソ二硫酸アンモニウムおよびペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムを含んでなることを特徴とする。
【0039】
本発明では、酸化的化粧品前処理剤は、ケラチン物質中に存在するメラニンなどの物質の酸化を活性化する、任意成分としての少なくとも1の触媒を付加的に含有してもよい。そのような触媒は、金属イオン、ヨウ化物、キノン、またはある種の酵素を包含する。
【0040】
適当な金属イオンは、例えば、Zn2+、Cu2+、Fe2+、Fe3+、Mn2+、Mn4+、Li+、Mg2+、Ca2+およびAl3+である。Zn2+、Cu2+およびMn2+が特に適している。原則として、金属イオンは、生理学的に許容される塩または錯体化合物の形態で使用できる。好ましい塩は、酢酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、乳酸塩および酒石酸塩である。
【0041】
適当な酵素には、少量の過酸化水素の効果を大幅に高めることができるペルオキシダーゼが含まれる。また、大気中の酸素の助けを借りてイン・サイチュで少量の過酸化水素を生成し、このようにして染料前駆体の酸化を生体触媒的に活性化する酵素が、本発明では適当である。染料前駆体の酸化に特に適した触媒は、この目的のために特定の基質と組み合わせた、いわゆる2-電子オキシドレダクターゼであり、その例を以下に挙げる:
・ピラノースオキシダーゼおよび例えばD-グルコースまたはガラクトース、
・グルコースオキシダーゼおよびD-グルコース、
・グリセロールオキシダーゼおよびグリセロール、
・ピルビン酸オキシダーゼおよびベンゾプロビン酸またはそれらの塩、
・アルコールオキシダーゼおよびアルコール(MeOH、EtOH)、
・乳酸オキシダーゼおよび乳酸およびそれらの塩、
・チロシナーゼオキシダーゼおよびチロシン、
・ウリカーゼおよび尿酸またはそれらの塩、
・コリンオキシダーゼおよびコリン、
・アミノ酸オキシダーゼおよびアミノ酸。
【0042】
前処理剤(V)において適当な量的範囲の酸化剤(V-1)〔または(V-1)および(V-2)〕を選択することにより、前処理剤(V)がその後に適用される着色剤(F)の洗浄堅牢性に及ぼす影響の大きさを特に制御することができる。これに関して、前処理剤(V)において使用される酸化剤の量が多いほど、洗浄堅牢性に優れることが見出された。しかし、一方で、ケラチン物質またはケラチン繊維/毛髪に対する損傷も、使用する酸化剤の量の増加に伴って大きくなる。これら2つの効果の最適なバランスを見つけるために、前処理剤において、非常に特定された量的範囲で酸化剤を使用することが特に好ましいことが見出された。
【0043】
好ましくは、本発明における前処理剤は、前処理剤の総重量に基づいて、0.1~12.0重量%、更に好ましくは0.5~10.0重量%、なお更に好ましくは1.5~8.0重量%、非常に特に好ましくは3.0~6.0重量%の過酸化水素(V-1)を含有する。
【0044】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、前処理剤の総重量に基づいて、0.1~12.0重量%、好ましくは0.5~10.0重量%、更に好ましくは1.5~8.0重量%、非常に特に好ましくは3.0~6.0重量%の過酸化水素(V-1)を含有することを特徴とする。
【0045】
好ましくは、本発明における前処理剤(V)は、前処理剤の総重量に基づいて、5.0~30.0重量%、より好ましくは8.0~27.0重量%、なおより好ましくは11.0~24.0重量%、非常に特に14.0~21.0重量%の総量で、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムからなる群から選択される1以上の過硫酸塩(V-2)を含有する。
【0046】
別の特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が、前処理剤の総重量に基づいて、5.0~30.0重量%、好ましくは8.0~27.0重量%、より好ましくは11.0~24.0重量%、最も好ましくは14.0~21.0重量%の総量で、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムからなる群から選択される1以上の過硫酸塩(V-2)を含有することを特徴とする。
【0047】
着色剤(F)
本発明の方法では、前処理剤(V)の適用に続いて、着色剤(F)をケラチン物質に適用する。
【0048】
着色剤(F)の化粧品用キャリア
着色剤(F)は、化粧品用キャリア中に、少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)および少なくとも1の顔料(F-2)を含んでなる。
【0049】
例えば、適当な水性、アルコール性または水性-アルコール性キャリアを、着色剤(F)のための化粧品用キャリアとして使用できる。染毛の目的のため、そのようなキャリアは、例えば、クリーム、エマルション、ゲル、ペースト、またはシャンプーなどの界面活性剤含有発泡液、フォームエアロゾル、フォーム組成物、または毛髪への適用に適した他の調製物である。
【0050】
着色剤(F)が、水性または水含有キャリア中に、アミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)および顔料(F-2)を含有する場合、着色剤(F)は、好ましくは高い含水率を有する。前処理剤(V)の総重量に基づいて、50.0~99.0重量%、好ましくは60.0~99.0重量%、更に好ましくは70.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは80.0~99.0重量%の水を含有する着色剤(F)が、本発明の方法における使用に特に適していることが見出された。
【0051】
一実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)が、着色剤(F)の総重量に基づいて、50.0~99.0重量%、好ましくは60.0~99.0重量%、更に好ましくは70.0~99.0重量%、非常に特に好ましくは80.0~99.0重量%の水を含有することを特徴とする。
【0052】
着色剤(F)におけるアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)
本発明に必須の第一成分(F-1)として、着色剤(F)は、少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマーを含んでなる。アミノ官能化シリコーンポリマーは、アミノシリコーンまたはアモジメチコンとも称され得る。
【0053】
シリコーンポリマーは一般的に、少なくとも500g/mol、好ましくは少なくとも1000g/mol、より好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有し、反復有機単位を含む巨大分子である。
【0054】
シリコーンポリマーの最大分子量は重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、一部において重合方法によって決定される。本発明の目的のためには、シリコーンポリマーの最大分子量が107g/mol以下、好ましくは106g/mol以下、特に好ましくは105g/mol以下であることが好ましい。
【0055】
シリコーンポリマーは多くのSi-O反復単位を含み、Si原子は、有機残基、例えばアルキル基または置換アルキル基を有していてもよい。従って、シリコーンポリマーは、ポリジメチルシロキサンまたはその誘導体とも称される。
【0056】
シリコーンポリマーは、その高い分子量に対応して、10個より多くのSi-O反復単位、好ましくは50個より多くのSi-O反復単位、より好ましくは100個より多くのSi-O反復単位、最も好ましくは500個より多くのSi-O反復単位に基づくものである。
【0057】
アミノ官能化シリコーンポリマーは、アミノ基を有する構造単位を少なくとも1含む官能化シリコーンであると理解される。好ましくは、アミノ官能化シリコーンポリマーは、それぞれが少なくとも1のアミノ基を有する複数の構造単位を有する。アミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基および第三級アミノ基を意味すると理解される。これらのアミノ基は全て、酸性環境でプロトン化されてカチオン形態で存在し得る。
【0058】
原則として、アミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)が少なくとも1の第一級アミノ基、少なくとも1の第二級アミノ基および/または少なくとも1の第三級アミノ基を有する場合、良好な効果がアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)により得られた。しかし、染料(F)において、少なくとも1の第二級アミノ基を有するアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を用いた場合に、最も洗浄堅牢性のある染色が観察された。
【0059】
非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)が、少なくとも1の第二級アミノ基を有する少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を含んでなることを特徴とする。
【0060】
1以上の第二級アミノ基は、アミノ官能化シリコーンポリマーにおいて、様々な位置に存在し得る。式(Si-アミノ):
で示される構造単位を少なくとも1、好ましくは複数有するアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を用いた場合に、特に良好な効果が見られた。
【0061】
式(Si-アミノ)で示される構造単位において、略語ALK1およびALK2は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C1~C20アルキレン基を表す。
【0062】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)が、式(Si-アミノ):
[式中、ALK1およびALK2は、独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1~C
20アルキレン基を表す]
で示される少なくとも1の構造単位を含むアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を少なくとも1含んでなることを特徴とする。
【0063】
アスタリスク*で示した位置は、シリコーンポリマーの別の構造単位への結合を示す。例えば、アスタリスクに隣接するケイ素原子は、別の酸素原子に結合し得、アスタリスクに隣接する酸素原子は、別のケイ素原子またはC1~C6アルキル基にさえ結合し得る。
【0064】
或いは、二価C1~C20アルキレン基は、二価のC1~C20アルキレン基と称されることもあり、これは、各ALK1およびALK2基が2つの結合を形成できることを意味する。
【0065】
ALK1の場合、ケイ素原子からALK1基へ1つの結合が生じ、ALK1と第二級アミノ基との間に第二の結合が存在する。
【0066】
ALK2の場合、第二級アミノ基からALK2基へ1つの結合が存在し、ALK2と第一級アミノ基との間に第二の結合が存在する。
【0067】
直鎖二価C1~C20アルキレン基の例には、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が包含される。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3個の炭素原子の鎖長から、二価アルキレン基が分岐していてもよい。分岐鎖二価C3~C20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0068】
別の特に好ましい実施形態では、式(Si-アミノ)で示される構造単位は、アミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)における反復単位を表すので、シリコーンポリマーは、式(Si-アミノ)で示される構造単位を複数含む。
【0069】
少なくとも1の第二級アミノ基を有する特に適しているアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を、以下に挙げる。
【0070】
本発明の方法において、式(Si-I)で示される構造単位および式(Si-II)で示される構造単位:
を含む少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を含有する少なくとも1の染色剤(F)をケラチン物質に適用した場合、非常に良好な洗浄堅牢性を有する染色が得られた。
【0071】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)が、式(Si-I)で示される構造単位および式(Si-II)で示される構造単位:
を含む少なくとも1のアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を含有することを特徴とする。
【0072】
式(Si-I)で示される構造単位および式(Si-II)で示される構造単位を有する相応のアミノ官能化シリコーンポリマーは、例えば、市販品のDC 2-8566またはDowsil 2-8566 Amino Fluidであり、これは、Dow Chemical Companyにより市販され、"シロキサンおよびシリコーン、3-[(2-アミノエチル)アミノ]-2-メチルプロピルMe、Di-Me-シロキサン"の名称および106842-44-8のCAS番号を有する。別の特に好ましい市販品は、Dow Chemical Companyによっても商業的に販売されているDowsil AP-8658アミノ流体である。
【0073】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、式(Si-III):
[式中、
-mおよびnは、和(n+m)が1~1000の範囲となるように選択される数を意味し、
-nは0~999の範囲の数であり、mは1~1000の範囲の数であり、
-R
1、R
2およびR
3は、同じかまたは異なっており、ヒドロキシ基またはC
1~4アルコキシ基を表し、
-ここで、R
1~R
3のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基を表す]
で示される少なくとも1のアミノ官能性シリコーンポリマー(F-1)を含んでなる着色剤(F)をケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0074】
本発明の別の好ましい方法は、式(Si-IV):
[式中
-pおよびqは、和(p+q)が1~1000の範囲となるように選択される数を意味し、
-pは0~999の範囲の数であり、1は1~1000の範囲の数であり、
-R
1およびR
2は、異なるものであり、ヒドロキシ基またはC
1~4アルコキシ基を表し、R
1~R
2のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基を表す]
で示される少なくとも1のアミノ官能性シリコーンポリマー(F-1)を含んでなる着色剤(F)をケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0075】
式(Si-III)で示されるシリコーンと式(Si-IV)で示されるシリコーンとは、窒素含有基を有するSi原子における基が異なる。式(Si-III)では、R2はヒドロキシ基またはC1~4アルコキシ基を表し、一方、式(Si-IV)における基はメチル基である。添え字mおよびnまたはpおよびqが示された個々のSi基はブロックとして存在していなくてもよく、むしろ、個々の単位は統計的に分布して存在していてもよい。即ち、式(Si-III)および式(Si-IV)では、必ずしも全てのR1-Si(CH3)2基が-[O-Si(CH3)2]基に結合していない。
【0076】
また、式(Si-V):
[式中、
Aは、基-OH、-O-Si(CH
3)
3、-O-Si(CH
3)
2OH、-O-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
Dは、基-H、-Si(CH
3)
3、-Si(CH
3)
2OH、-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
b、nおよびcは0~1000の整数を表し、
より詳しくは
-n>0およびb+c>0
-条件A=-OHまたはD=-Hのうちの少なくとも一方が満たされる]
で示される少なくとも1のアミノ官能性シリコーンポリマー(F-1)を含む着色剤(F)をケラチン繊維に適用する本発明の方法が、所望の効果に関して特に有効であることも分かった。
【0077】
上記の式(Si-V)において、添え字b、cおよびnを有する個々のシロキサン単位は統計的に分布している、即ち、それらは、必ずしもブロックコポリマーでなくてもよい。
【0078】
着色剤(F)は、式(Si-VI):
M(RaQbSiO(4-a-b)/2)x(RcSiO(4-c)/2)yM (Si-VI)
[式中、Rは、炭化水素、または1~約6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Qは、一般式-R1HZ〔ここで、R1は、炭素および水素原子、炭素、水素および酸素原子、または炭素、水素および窒素原子で構成されている基Zおよび水素が結合している二価連結基であり、Zは、少なくとも1のアミノ官能基を含む有機アミノ官能基である〕で示される極性基であり;aは、約0~約2の範囲の値であり、bは、約1~約3の範囲の値であり、a+bは、3以下であり、cは、約1~約3の範囲の数であり、xは、1~約2000、好ましくは約3~約50、最も好ましくは約3~約25の数であり、yは、約20~約10,000、好ましくは約125~約10,000、最も好ましくは約150~約1,000の範囲の数であり、Mは、当技術分野で知られている適当なシリコーン末端基、好ましくはトリメチルシロキシである]
で示される1以上の様々なアミノ官能化シリコーンポリマーを更に含んでよい。
【0079】
Rで示される基の非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソヘキシルなどのアルキル基;ビニル、ハロビニル、アルキルビニル、アリル、ハロアリル、アルキルアリルなどのアルケニル基;シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基;フェニル基、ベンジル基;3-クロロプロピル、4-ブロモブチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、クロロシクロヘキシル、ブロモフェニル、クロロフェニルなどのハロ炭化水素基;およびメルカプトエチル、メルカプトプロピル、メルカプトヘキシル、メルカプトフェニルなどの硫黄含有基を包含する。好ましくは、Rは、1~約6個の炭素原子を有するアルキル基であり、最も好ましくは、Rはメチルである。R1の例は、メチレン、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、デカメチレン、-CH2CH(CH3)CH2-、フェニレン、ナフチレン、-CH2CH2SCH2CH2-、-CH2CH2OCH2-、-OCH2CH2-、-OCH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)C(O)OCH2-、-(CH2)3CC(O)OCH2CH2-、-C6H4C6H4-、-C6H4CH2C6H4-;および-(CH2)3C(O)SCH2CH2-を包含する。
【0080】
Zは、少なくとも1個のアミノ官能基を含む有機アミノ官能基である。Zの1つの可能な式は、NH(CH2)zNH2[式中、zは1以上である]である。Zの別の可能な式は、-NH(CH2)z(CH2)zzNH[式中、zおよびzzは共に、独立して1以上である]であり、この構造は、ピペラジニルのようなジアミノ環構造を含む。Zは最も好ましくは-NHCH2CH2NH2基である。Zの別の可能な式は、-N(CH2)z(CH2)zzNX2または-NX2[式中、X2の各Xは、独立して、水素およびC1~12アルキル基からなる群から選択され、zzは0である]である。
【0081】
Qは、最も好ましくは、式-CH2CH2CH2NHCH2CH2NH2で示される極性アミノ官能性基である。式中、aは、約0から約2の範囲の値を取り、bは、約2から約3の範囲の値を取り、a+bは、3以下であり、cは、約1から約3の範囲の値を取る。RaQbSiO(4-a-b)/2単位とRcSiO(4-c)/2単位とのモル比は、約1:2~1:65の範囲であり、好ましくは約1:5~約1:65の範囲であり、最も好ましくは約1:15~約1:20の範囲である。上記式で示される1以上のシリコーンを使用する場合、上記式における様々な可変置換基は、シリコーン混合物中に存在する様々なシリコーン成分について異なっていてよい。
【0082】
特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)が式(Si-VII):
R'aG3-a-Si(OSiG2)n-(OSiGbR'2-b)m-O-SiG3-a-R'a (Si-VII)
[式中、
-Gは、-H、フェニル基、-OH、-O-CH3、-CH3、-O-CH2CH3、-CH2CH3、-O-CH2CH2CH3、-CH2CH2CH3、-O-CH(CH3)2、-CH(CH3)2、-O-CH2CH2CH2CH3、-CH2CH2CH2CH3、-O-CH2CH(CH3)2、-CH2CH(CH3)2、-O-CH(CH3)CH2CH3、-CH(CH3)CH2CH3、-O-C(CH3)3、-C(CH3)3であり;
-aは、0~3の間の数、特に0を表し、
-bは、0~1の間の数、特に1を表し、
-mおよびnは、和(m+n)が1~2000の間、好ましくは50~150の間となるような数であり、nは好ましくは、0~1999、特に49~149の値を取り、mは好ましくは、1~2000、特に1~10の値を取り、
-R’は、
-Q-N(R")-CH2-CH2-N(R")2
-Q-N(R")2
-Q-N+(R")3A-
-Q-N+H(R")2A-
-Q-N+H2(R")A-
-Q-N(R")-CH2-CH2-N+R"H2A-
〔ここで、
各Qは、化学結合、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH2CH2CH2-、C(CH3)2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2C(CH3)2-、-CH(CH3)CH2CH2-であり、
R”は、-H、-フェニル、-ベンジル、-CH2-CH(CH3)Ph、C1-20アルキル基、好ましくは-CH3、-CH2CH3、-CH2CH2CH3、-CH(CH3)2、-CH2CH2CH2H3、-CH2CH(CH3)2、-CH(CH3)CH2CH3、-C(CH3)3からなる群から選択される同じまたは異なる基を表し、
Aは、塩化物、臭化物、ヨウ化物またはメトスルフェートから好ましくは選択されるアニオンを表す〕
から選択される一価基である]
で示されるアミノ官能性シリコーンポリマーである着色剤(F)を、ケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0083】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、式(Si-VIIa):
[式中、mおよびnは、和(m+n)が1~2000の間、好ましくは50~150の間となるような数であり、nは好ましくは、0~1999、特に49~149の値を取り、mは好ましくは、1~2000、特に1~10の値を取る]
で示される少なくとも1のアミノ官能性シリコーンポリマー(F-1)を含んでなる着色剤(F)を、ケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0084】
INCI名では、これらのシリコーンは、トリメチルシリルアモジメチコンと称される。
【0085】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、式(Si-VIIb):
[式中、Rは、-OH、-O-CH
3または-CH
3基を表し、
m、n1およびn2は、和(m+n1+n2)が1~2000の間、好ましくは50~150の間となるような数であり、和(n1+n2)は好ましくは、0~1999、特に49~149の値を取り、mは好ましくは、1~2000、特に1~10の値を取る]
で示される少なくとも1のアミノ官能性シリコーンポリマーを含んでなる着色剤(F)を、ケラチン物質に適用することを特徴とする。
【0086】
INCI名では、これらのアミノ官能化シリコーンポリマーは、アモジメチコンと称される。
【0087】
どのアミノ官能性シリコーンを使用するかにかかわらず、アミン価が0.25meq/g超、好ましくは0.3meq/g超、0.4meq/g超のアミノ官能性シリコーンポリマーを含む本発明による着色剤(F)が好ましい。アミン価は、アミノ官能性シリコーン1gあたりのアミンのミリ当量を表す。アミン価は、滴定によって測定でき、mg KOH/g単位で表すこともできる。
【0088】
また、特定の4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマー(F-1)を含有する着色剤(F)も、本発明の方法における使用に適している。このアミノ官能化シリコーンポリマーは、式(Si-VIII)で示される構造単位および式(Si-IX)で示される構造単位を含む。
【0089】
相応の4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマーを以下に示す。
相応のアミノ官能化シリコーンポリマーは、アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーの名称で知られており、Wackerから原料Belsil ADM 8301 Eの形態で市販されている。
【0090】
4-モルホリノメチル置換シリコーンとして、例えば、式(Si-VIII)、(Si-IX)および(Si-X):
[式中、
R
1は-CH
3、-OH、-OCH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3または-O-CH(CH
3)
2であり、
R
2は-CH
3、-OHまたは-OCH
3である]
で示される構造単位を有するシリコーンを使用できる。
【0091】
特に好ましい本発明における着色剤(F)は、式(Si-XI):
[式中、
R
1は-CH
3、-OH、-OCH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3または-O-CH(CH
3)
2であり、
R
2は-CH
3、-OHまたは-OCH
3であり、
Bは、基-OH、-O-Si(CH
3)
3、-O-Si(CH
3)
2OH、-O-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
Dは、基-H、-Si(CH
3)
3、-Si(CH
3)
2OH、-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
a、bおよびcは、a+b+c>0の条件で、独立して0~1000の整数を表し、
mおよびnは互いに独立して、1~1000の整数を表す、
ただし、
・条件B=-OHまたはD=-Hのうちの少なくとも一方は満たされ、
・単位a、b、c、mおよびnは、分子において統計的に分布しているか、またはブロック状である]
で示される少なくとも1の4-モルホリノメチル置換シリコーンを含有する。
【0092】
構造式(Si-XI)では、シロキサン基nおよびmが、必ずしもそれぞれ末端基BまたはDに直接結合していなくてもよいことを示すことが意図されている。むしろ、好ましい式(Si-VI)ではa>0またはb>0であり、特に好ましい式(Si-VI)ではa>0およびc>0、即ち、末端基BまたはDは好ましくはジメチルシロキシ基に結合している。また、式(Si-VI)において、シロキサン単位a、b、c、mおよびnは好ましくは統計的に分布している。
【0093】
本発明に従って使用され、式(Si-VI)で示されるシリコーンは、トリメチルシリル末端型(DまたはB=-Si(CH3)3)であってよいが、両端でジメチルシリルヒドロキシ末端型であっても、一端でジメチルシリルヒドロキシ末端型およびジメチルシリルメトキシ末端型であってもよい。本発明において特に好ましいシリコーンは、
B=-O-Si(CH3)2OHおよびD=-Si(CH3)3
B=-O-Si(CH3)2OHおよびD=-Si(CH3)2OH
B=-O-Si(CH3)2OHおよびD=-Si(CH3)2OCH3
B=-O-Si(CH3)3およびD=-Si(CH3)2OH
B=-O-Si(CH3)2OCH3およびD=-Si(CH3)2OH
であるシリコーンから選択される。これらのシリコーンは、本発明の剤で処理された毛髪の毛髪特性の顕著な向上、および酸化処理における著しく改善された保護をもたらす。
【0094】
本発明における着色剤が、ある量的範囲で1以上のアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を含有する場合に、特に有利であることが見出された。特に好ましい結果は、着色剤が、着色剤の総重量に対して、0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、最も好ましくは0.4~2.5重量%の総量で、1以上のアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を含有した場合に得られた。
【0095】
別の特に好ましい実施形態では、デバイスが本発明による。方法は、着色剤(F)が、着色剤の総重量に基づいて、0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、非常に特に好ましくは0.4~2.5重量%の総量で、1以上のアミノ官能化シリコーンポリマー(F-1)を含有することを特徴とする。
【0096】
着色剤(F)中の顔料(F-2)
本発明に必須の第二成分として、本発明の方法において使用される着色剤(F)は、少なくとも1の顔料を含有する。
【0097】
本発明の意味における顔料は、25℃での水への溶解度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、更に好ましくは0.05g/L未満の着色化合物である。水への溶解度は、例えば、下記方法により測定できる:0.5gの顔料をビーカーに秤取する。ビーカーガラスを加える。次いで、1Lの蒸留水を添加する。この混合物をマグネチックスターラーで撹拌しながら25℃で1時間加熱する。この時間が経過しても顔料の未溶解成分が混合物中に見える場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。おそらく微細に分散した顔料の強度が高いために、顔料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物をろ過する。未溶解顔料がろ紙上に残留する場合は、その顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0098】
適当な着色顔料は、無機起源および/または有機起源であってよい。
【0099】
好ましい実施形態では、本発明における着色剤(F)は、無機顔料および/または有機顔料からなる群から選択される少なくとも1の着色化合物(F-2)を含むことを特徴とする。
【0100】
好ましい実施形態では、本発明における着色剤(F)は、少なくとも1の無機顔料および/または有機顔料(F-2)を含むことを特徴とする。
【0101】
好ましい着色顔料は、合成または天然の無機顔料から選択される。天然起源の無機着色顔料は、例えば、チョーク、黄土、アンバー、緑土、焼成テーラ・ディ・シエナまたはグラファイトから調製できる。また、黒色酸化鉄などの黒色顔料、ウルトラマリンまたは赤色酸化鉄などの有色顔料、および蛍光顔料またはリン光顔料を、無機着色顔料として使用できる。
【0102】
有色の金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩および/またはモリブデン酸塩が特に適している。特に好ましい着色顔料は、黒色酸化鉄(CI77499)、黄色酸化鉄(CI77492)、赤色および褐色酸化鉄(CI77491)、マンガンバイオレット(CI77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、pigment blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)および/またはカルミン(コチニール)である。
【0103】
本発明では、有色真珠光沢顔料もまた、特に好ましい着色顔料である。これらは通常、雲母および/または雲母ベースであり、1以上の金属酸化物で被覆されている場合がある。雲母は層状ケイ酸塩に属する。これらのケイ酸塩の最も重要な代表例は、白雲母、金雲母、ソーダ雲母、黒雲母、鱗雲母およびマーガライトである。金属酸化物と組み合わせた真珠光沢顔料を製造するためには、主に白雲母または金雲母などの雲母を金属酸化物で被覆する。
【0104】
天然の雲母の代替品として、1以上の金属酸化物で被覆された合成雲母を真珠光沢顔料として使用できる。特に好ましい真珠光沢顔料は、天然または合成の雲母(マイカ)をベースとし、上記した金属酸化物の1以上で被覆されたものである。金属酸化物の層の厚さを変えることで、それぞれの顔料の色を変えることができる。
【0105】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料からなる群から、および/または少なくとも1の金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された有色の雲母または雲母ベース顔料から好ましくは選択される無機顔料(F-2)を少なくとも含んでなることを特徴とする。
【0106】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)が、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、酸化クロム(CI 77288)および/または紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)からなる群から選択される1以上の金属酸化物と反応した雲母または雲母ベース顔料から選択される少なくとも1の顔料を含んでなることを特徴とする。
【0107】
特に適当な着色顔料の例は、Merck社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)の商品名で、Sensient社からAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)の商品名で、Eckart Cosmetic Colors社からPrestige(登録商標)の商品名で、Sunstar社からSunshine(登録商標)の商品名で市販されている。
【0108】
商品名がColorona(登録商標)の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Colorona Copper, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange, Merck, Mica, CI 77491(酸化鉄), アルミナ
Colorona Patina Silver, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン, フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Aborigine Amber, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue, Merck, CI 77499(酸化鉄), 雲母
Colorona Patagonian Purple, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン), CI 77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet, Merck, CI 77491(二酸化チタン), 雲母, CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), D&C RED NO. 30 (CI 73360)
Colorona Majestic Green, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), フェロシアン化鉄 (CI 77510)
Colorona Red Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), 酸化鉄 (CI 77491)
Colorona Carmine Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン, カーマイン
Colorona Blackstar Green, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Sienna, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, CI 77491(酸化鉄), 酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29, Merck, 雲母, 二酸化チタン, 酸化鉄, 雲母, CI 77891, CI 77491 (EU)
Colorona Mica Black, Merck, CI 77499(酸化鉄), Mica, CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
【0109】
商品名がXirona(登録商標)の他の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Xirona Golden Sky, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Caribbean Blue, Merck, Mica, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, 酸化スズ
Xirona Kiwi Rose, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona Magic Mauve, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
【0110】
また、商品名がUnipure(登録商標)の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Unipure Red LC 381 EM, Sensient CI 77491(酸化鉄), シリカ
Unipure Black LC 989 EM, Sensient, CI 77499(酸化鉄), シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM, Sensient, CI 77492(酸化鉄), シリカ
【0111】
別の実施形態では、本発明による前処理剤(V)はまた、1以上の有機顔料も含み得る。
【0112】
本発明における有機顔料は、例えばニトロソ、ニトロ-アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリノン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケト-ピロロピロール、インディゴ、チオインディゴ、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物からなる群から選択されてよい、相応に不溶性の有機染料またはカラーラッカーである。
【0113】
特に適当な有機顔料の例は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料である。
【0114】
別の特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料からなる群から好ましくは選択される少なくとも1の有機顔料(F-2)を含んでなることを特徴とする。
【0115】
有機顔料はカラーペイントであってもよい。本発明の意味において、用語「カラーラッカー」は、吸収された染料の層を含んでなる粒子を意味し、粒子および染料のユニットは、上記条件下で不溶性である。粒子は例えば無機基材であり得、これは、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムまたはアルミニウムであり得る。
【0116】
例えば、アリザリンカラーワニスを使用できる。
【0117】
光および温度に対する優れた耐性の故に、本発明の方法の着色剤(F)において上記顔料を使用することが特に好ましい。また、使用する顔料が特定の粒度を有することが好ましい。従って、本発明では、少なくとも1の顔料が1.0~50μm、好ましくは5.0~45μm、好ましくは10~40μm、特に14~30μmの平均粒度D50を有することが有利である。平均粒度D50は、例えば、動的光散乱(DLS)を用いて測定できる。
【0118】
顔料(F-2)は、本発明における着色剤(F)の第二必須成分を構成し、好ましくはある量的範囲で剤において使用される。着色剤が、着色剤の総重量に基づいて、0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、最も好ましくは0.25~1.5重量%の総量で、1以上の顔料(F-2)を含有する場合に、特に良好な結果が得られた。
【0119】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)が、着色剤の総重量に基づいて、0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、非常に特に好ましくは0.25~1.5重量%の総量で、1以上の顔料(F-2)を含有することを特徴とする。
【0120】
着色剤(F)中の直接染料
原則として、本発明の方法において使用される着色剤(F)は、任意成分として、1以上の直接着色剤を含有してもよい。直接作用染料は、毛髪に直接作用し、色を形成するために酸化工程を必要としない染料である。直接染料は通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン、トリアリールメタン染料、またはインドフェノールである。
【0121】
本発明の意味における直接染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料として扱われない。好ましくは、本発明の意味における直接染料は、1.0g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0122】
しかし、本発明の方法の本質的な利点は、顔料ベース着色剤(F)で得られる着色が、一方では非常に洗浄安定性であり、他方では非常に高い色合い安定性を有することである。これは、ケラチン物質を数回洗浄した後減少する程度に色あせが発生する場合、目に見える色の変化なしに色のニュアンスを維持しながら、色あせが発生することを意味する。この色合いの安定性は、着色剤(F)が異なる色の顔料(F-2)の混合物を含む場合でも観察される。
【0123】
この理論に縛られるものではないが、本発明において、色合いの高い安定性の理由は、全ての顔料がケラチン物質の表面にフィルムとして堆積されるためであると考えられる。直接染料とは異なり、顔料は、ケラチン物質内に拡散することはできない。また、直接染料とは異なり、顔料の寸法または構造は、ケラチン物質内への浸透深さに影響を与え得ない。
【0124】
異なる色の直接染料の混合物をケラチン物質に適用する場合、これらの異なる染料は通常、異なる発色構造および異なる寸法の分子に基づく。それらの構造の違いのために、それらの異なる染料は、異なる深さまでケラチン物質内に拡散し得、また、洗浄中に異なる程度までケラチン物質から洗い流される。特に、例えば黄色、赤色および青色直接染料の混合物の使用により生成される自然な色合いで染色する場合、数回の洗浄またはシャンプーの過程で、茶色から黄色がかった、赤みがかった、または青みがかった色への変化が観察され得る。
【0125】
本発明の方法を介して生成される着色は、ケラチン物質の表面に局在化された顔料-シリコーンフィルムに基づく。洗浄試験では、繰り返し洗浄すると色の強度が僅かに低下するが、色相の変化は生じないことが示された。従って、毛髪洗浄中のフィルムからの異なる有色顔料の溶解は、かなり均一である。
【0126】
本発明の方法を使用する場合にこのカラーシフトが起こらないという事実は、直接染料に基づく染色系に対する大きな利点である。この理由から、着色剤(F)が直接染料を含有しないか、または少量しか含有しないことが特に好ましい。
【0127】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)に含まれる直接染料の総量が、着色剤(F)の総重量に基づいて、0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、非常に特に好ましくは0.001重量%未満であることを特徴とする。
【0128】
換言すると、別の特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)に含まれる直接染料の総量が、着色剤(F)の総重量に基づいて、0.1重量%の値未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満、非常に特に好ましくは0.001重量%未満であることを特徴とし、直接染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有することを特徴とする。
【0129】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(F)が直接染料を含まないことを特徴とする。
【0130】
直接染料は、アニオン性、カチオン性および非イオン性の直接染料に分類され得る。
【0131】
カチオン性直接染料は、例えば、Basic Blue 7、Basic Blue 26、HC Blue 16、Basic Violet 2 and Basic Violet 14、Basic Yellow 57、Basic Red 76、Basic Blue 16、Basic Blue 347 (Cationic Blue 347 / Dystar)、HC Blue No. 16、Basic Blue 99、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87、Basic Orange 31、Basic Red 51 Basic Red 76である。
【0132】
非イオン性直接染料の例は、ニトロ染料、キノン染料および中性アゾ染料である。非イオン性直接染料の例は、HC Yellow 2、HC Yellow 4、HC Yellow 5、HC Yellow 6、HC Yellow 12、HC Orange 1、Disperse Orange 3、HC Red 1、HC Red 3、HC Red 10、HC Red 11、HC Red 13、HC Red BN、HC Blue 2、HC Blue 11、HC Blue 12、Disperse Blue 3、HC Violet 1、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Black 9、並びに1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール、2-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-メチルベンゼン、1-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2'-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]-安息香酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸、および2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノールの国際名または商品名で知られているものである。
【0133】
アニオン性直接染料は、酸性染料とも称される。酸性染料は、少なくとも1個のカルボン酸基(-COOH)および/または少なくとも1個のスルホン酸基(-SO3H)を有する直接染料である。pH値に依存して、カルボン酸基またはスルホン酸基のプロトン化形態(-COOH、-SO3H)は、それらの脱プロトン化形態(-COO-、-SO3
-存在)と平衡関係を示す。プロトン化形態の割合は、pHの低下とともに増える。直接染料をその塩として使用する場合、カルボン酸基またはスルホン酸基は脱プロトン化形態で存在し、電気的中性を維持するために、対応する化学量論的に同等のカチオンで中和される。本発明の酸性染料は、そのナトリウム塩および/またはそのカリウム塩の形態でも使用できる。
【0134】
本発明の意味における酸性染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料として扱われない。好ましくは、本発明の意味における酸性染料は、1.0g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0135】
酸性染料のアルカリ土類塩(例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩)またはアルミニウム塩は、対応するアルカリ塩よりも低い溶解度をしばしば有する。これらの塩の溶解度が0.5g/L未満(25℃、760mmHg)の場合、それらは直接染料の定義に含まれない。
【0136】
酸性染料の本質的な特徴は、アニオン性電荷を形成する能力であり、それに関与するカルボン酸基またはスルホン酸基は通常、様々な発色系に結合している。適当な発色系は、例えば、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料の構造に見られる。
【0137】
酸性染料の例として、以下が挙げられる:Acid Yellow 1(D&C Yellow 7、Citronin A、Ext. D&C Yellow No. 7、Japan Yellow 403、CI 10316、COLIPA n°B001)、Acid Yellow 3(COLIPA n°54、D&C Yellow N°10、Quinoline Yellow、E104、Food Yellow 13)、Acid Yellow 9(CI 13015)、Acid Yellow 17(CI 18965)、Acid Yellow 23(COLIPA n°29、Covacap Jaune W 1100(LCW)、Sicovit Tartrazine 85 E 102(BASF)、Tartrazine、Food Yellow 4、Japan Yellow 4、FD&C Yellow No. 5)、Acid Yellow 36(CI 13065)、Acid Yellow 121(CI 18690)、Acid Orange 6(CI 14270)、Acid Orange 7(2-Naphthol orange、Orange II、CI 15510、D&C Orange 4、COLIPA n°015)、Acid Orange 10(C.I. 16230;Orange G ナトリウム塩)、Acid Orange 11(CI 45370)、Acid Orange 15(CI 50120)、Acid Orange 20(CI 14600)、Acid Orange 24(BROWN 1;CI 20170;KATSU201;ナトリウム塩不含有;Brown No.201;RESORCIN BROWN;ACID ORANGE 24;Japan Brown 201;D & C Brown No.1)、Acid Red 14(C.I.14720)、Acid Red 18(E124、Red 18; CI 16255)、Acid Red 27(E 123、CI 16185、C-Rot 46、Real red D、FD&C Red Nr.2、Food Red 9、Naphthol red S)、Acid Red 33(Red 33、Fuchsia Red、D&C Red 33、CI 17200)、Acid Red 35(CI C.I.18065)、Acid Red 51(CI 45430、Pyrosin B、Tetraiodfluorescein、Eosin J、Iodeosin)、Acid Red 52(CI 45100、Food Red 106、Solar Rhodamine B、Acid Rhodamine B、Red n°106 Pontacyl Brilliant Pink)、Acid Red 73(CI 27290)、Acid Red 87(Eosin、CI 45380)、Acid Red 92(COLIPA n℃53、CI 45410)、Acid Red 95(CI 45425、Erythtosine,Simacid Erythrosine Y)、Acid Red 184(CI 15685)、Acid Red 195、Acid Violet 43(Jarocol Violet 43、Ext. D&C Violet n°2、C.I. 60730、COLIPA n°C063)、Acid Violet 49(CI 42640)、Acid Violet 50(CI 50325)、Acid Blue 1(Patent Blue、CI 42045)、Acid Blue 3(Patent Blue V、CI 42051)、Acid Blue 7(CI 42080)、Acid Blue 104(CI 42735)、Acid Blue 9(E 133、Patent blue AE、Amido blue AE、Erioglaucin A、CI 42090、C.I. Food Blue 2)、Acid Blue 62(CI 62045)、Acid Blue 74(E 132、CI 73015)、Acid Blue 80(CI 61585)、Acid Green 3(CI 42085、Foodgreen1)、Acid Green 5(CI 42095)、Acid Green 9(C.I.42100)、Acid Green 22(C.I.42170)、Acid Green 25(CI 61570、Japan Green 201、D&C Green No. 5)、Acid Green 50(Brilliant Acid Green BS、C.I. 44090、Acid Brilliant Green BS、E 142)、Acid Black 1(Black n°401、Naphthalene Black 10B、Amido Black 10B、CI 20 470、COLIPA n°B15)、Acid Black 52(CI 15711)、Food Yellow 8(CI 14270)、Food Blue 5、D&C Yellow 8、D&C Green 5、D&C Orange 10、D&C Orange 11、D&C Red 21、D&C Red 27、D&C Red 33、D&C Violet 2および/またはD&C Brown 1。
【0138】
例えば、アニオン性直接染料の水溶性は、下記方法で測定できる。0.1gのアニオン性直接染料をビーカーに導入する。撹拌機を加える。次いで、100mLの水を添加する。この混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に加熱する。60分間撹拌する。次いで、水性混合物を視覚的に評価する。未溶解残留物がまだ存在する場合、例えば10mL刻みで、水の量を増やす。使用した量の染料が完全に溶解するまで水を加える。染料の強度が高いために、染料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物をろ過する。未溶解染料がろ紙上に残留する場合は、より多くの水を用いて溶解度試験を繰り返す。0.1gのアニオン性直接染料が25℃で100mLの水に溶解した場合、その染料の溶解度は1.0g/Lである。
【0139】
Acid Yellow 1は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩と称され、少なくとも40g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
Acid Yellow 3は、2-(2-キノリル)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンのモノスルホン酸およびジスルホン酸のナトリウム塩の混合物であり、20g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
Acid Yellow 9は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は40g/L(25℃)より大きい。
Acid Yellow 23は、4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1-(4-スルホフェニル)-4-((4-スルホフェニル)アゾ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の三ナトリウム塩であり、25℃で水に高度に溶解できる。
Acid Orange 7は、4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アゾ]ベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。その水への溶解度は、7g/L(25℃)より大きい。
Acid Red 18は、7-ヒドロキシ-8-[(E)-(4-スルホナト-1-ナフチル)-ジアゼニル)]-1,3-ナフタレンジスルホネートの三ナトリウム塩であり、20重量%より大きい非常に高い水溶性を有する。
Acid Red 33は、5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホネートの二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は2.5g/L(25℃)である。
Acid Red 92は、3,4,5,6-テトラクロロ-2-(1,4,5,8-テトラブロモ-6-ヒドロキシ-3-オキソキサンテン-9-イル)安息香酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は10g/L(25℃)より大きいものとして示されている。
Acid Blue 9は、2-({4-[N-エチル(3-スルホナトベンジル]アミノ]フェニル}{4-[(N-エチル(3-スルホナトベンジル)イミノ]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}メチル)-ベンゼンスルホネートの二ナトリウム塩であり、20重量%(25℃)より大きい水への溶解度を有する。
【0140】
剤(V)および/または(F)における更なる任意成分
既に記載した本発明に必須の成分に加えて、前処理剤(V)および/または着色剤(F)は、別の任意成分も含み得る。
【0141】
剤はまた、他の活性成分、助剤および添加剤、例えば、溶媒;C8~C30脂肪アルコール、C8~C30脂肪酸トリグリセリド、C8~C30脂肪酸モノグリセリド、C8~C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素などの脂肪成分;ポリマー;ストラクチュラント(structurant)、例えばグルコース、マレイン酸および乳酸、ヘアコンディショニング化合物、例えばリン脂質、例えばレシチンおよびケファリン;香油、ジメチルイソソルバイドおよびシクロデキストリン;繊維構造改善活性成分、特に単糖類、二糖類およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、フルクトースおよびラクトース;製品を着色するための染料;フケ防止活性成分、例えばピロクトン・オラミン、亜鉛オマジンおよびクリンバゾール;アミノ酸およびオリゴペプチド;動物系および/または植物系タンパク質加水分解物、並びに脂肪酸縮合物または任意にアニオン変性型若しくはカチオン変性型誘導体の形態のタンパク質加水分解物;植物油;光安定剤およびUVブロッカー;活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびその塩、ビサボロール;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン、アントシアニジン、フラバノン、フラボンおよびフラボノール;セラミドまたは疑似セラミド;ビタミン類、プロビタミン類およびビタミン前駆体;植物抽出物;脂肪およびワックス、例えば脂肪アルコール、ミツロウ、モンタンワックスおよびケロシン;膨潤剤および浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カーボネート、炭酸水素塩、グアニジン、尿素、第一級、第二級および第三級ホスフェート;乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;真珠光沢剤、例えばエチレングリコールモノ-およびジステアレート並びにPEG-3-ジステアレート;並びに発泡剤、例えばプロパン-ブタン混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2および空気を含有してもよい。
【0142】
これらの他の物質の選択は、剤の所望の特性に応じて当業者によって行われる。他の任意成分およびこのような成分の使用量は、当業者に知られている関連マニュアルに明示されている。付加的な活性成分および助剤は、好ましくは、本発明における調製物中に、各剤の総重量に基づいて、0.0001~25重量%ずつ、特に0.0005~15重量%ずつの量で使用される。
【0143】
前処理剤(V)および/または着色剤(F)のpH値
本発明における剤(V)および(F)のpH値は、やや酸性からアルカリ性のpHに調整され得る。
【0144】
一実施形態では、前処理剤(V)は、6.0~12.0、好ましくは7.0~11.5、より好ましくは7.5~11.0、最も好ましくは9.0~11.0のpHを有する。これらのpH値を有する前処理剤(V)を本発明の方法において使用した場合、特に良好な堅牢性を備えた着色が得られた。
【0145】
別の実施形態では、本発明の方法は、前処理剤(V)が6.0~12.0、好ましくは7.0~11.5、より好ましくは7.5~11.0、最も好ましくは9.0~11.0のpHを有することを特徴とする。
【0146】
本発明における着色剤(F)のpH値は、やや酸性からアルカリ性のpHに調整され得る。非常に好ましくは、着色剤(F)は、5.0~10.0、好ましくは6.0~9.5、より好ましくは6.0~8.7、最も好ましくは6.0~7.5の範囲のpHを有する。
【0147】
当業者に知られているアルカリ化剤および酸性化剤を使用して、それぞれの所望のpH値を設定することができる。本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されたpH値である。
【0148】
アルカリ化剤として、剤は、例えば、アンモニア、アルカノールアミンおよび/または塩基性アミノ酸を含み得る。
【0149】
本発明の剤において使用され得るアルカノールアミンは、好ましくは、少なくとも1のヒドロキシル基を有するC2~C6アルキルベースを有する第一級アミンから選択され得る。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールから形成される群から選択される。
【0150】
本発明において特に好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択される。従って、特に好ましい実施形態は、本発明における剤が、アルカリ化剤として、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択されるアルカノールアミンを含むことを特徴とする。
【0151】
本発明の目的のため、アミノ酸は、その構造に、少なくとも1のプロトン性アミノ基と少なくとも1の-COOH基または少なくとも1の-SO3H基とを含む有機化合物である。好ましいアミノ酸は、アミノカルボン酸、特にα-(アルファ)-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、このとき、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0152】
本発明では、塩基性アミノ酸は、7.0より大きい等電点pIを有するアミノ酸である。
【0153】
塩基性α-アミノカルボン酸は、少なくとも1個の不斉炭素原子を含む。本発明において、両方のエナンチオマーを、具体的な化合物またはそれらの混合物として、特にラセミ体として等しく使用できる。しかし、通常L立体配置の、必然的に好ましい異性体形態を使用することが特に好ましい。
【0154】
塩基性アミノ酸は好ましくは、アルギニン、リジン、オルニチンおよびヒスチジン、特に好ましくはアルギニンおよびリジンからなる群から選択される。従って、別の特に好ましい実施形態では、本発明における剤は、アルカリ化剤がアルギニン、リジン、オルニチンおよび/またはヒスチジンからなる群から選択される塩基性アミノ酸であることを特徴とする。
【0155】
また、生成物は、他のアルカリ化剤、特に無機アルカリ化剤を含有してもよい。本発明において使用される無機アルカリ化剤は好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選択される。
【0156】
本発明ではまた、所望のpH値を緩衝系により調整できる。緩衝剤または緩衝系は通常、弱いまたは中程度の強さの酸(例えば酢酸)と、同じ酸の実質的に完全に解離した中性塩(例えば酢酸ナトリウム)との混合物であると理解される。多少の塩基または酸を加えても、pH値はほとんど変化しない(緩衝)。緩衝剤溶液に含まれている緩衝剤物質の効果は、解離平衡に起因した弱酸または弱塩基の形成を伴う水素イオンまたは水酸化物イオンの掃去反応に基づく。緩衝系は、無機酸または有機酸とその酸の対応する塩との混合物から形成され得る。酸は、弱酸と強塩基の全ての塩で緩衝でき、塩基は強酸と弱塩基の塩で緩衝できる。(完全にイオンに解離する)強塩酸は、例えば酢酸ナトリウムの添加により、緩衝できる。下記平衡:
に従って、塩酸は酢酸ナトリウムによって弱い酢酸に変換され、塩化ナトリウムが形成される。塩化ナトリウムは、過剰の酢酸ナトリウムの存在下では、ごく僅かしか解離しない。酸と塩基の両方に対して有効な緩衝剤は、弱酸とその塩との混合物である。
【0157】
文献から知られている緩衝系の例は、酢酸/酢酸ナトリウム、ホウ酸/ホウ酸ナトリウム、リン酸/リン酸ナトリウム、炭酸水素塩/ソーダである。
【0158】
本発明における剤のpHは、例えば無機または有機緩衝系の添加により、調整できる。本発明の目的のため、無機緩衝系は、無機酸とその対応する共役無機塩基の混合物であると理解される。
【0159】
本発明の目的のため、有機緩衝系は、有機酸と対応するその共役塩基の混合物であると理解される。有機酸基に起因して、有機酸の対応する共役塩基も、有機物である。ここで、酸性アニオンの電荷を中和するために存在するカチオンは、無機または有機であり得る。
【0160】
無機酸の例は、硫酸、塩酸およびリン酸(H3PO4)である。リン酸は、特に好ましい中強度の酸である。
【0161】
特に適した無機酸は、リン酸二水素カリウムである。
リン酸二水素カリウムは、分子式:KH2PO4を有し、CAS番号7778-77-0を有する。リン酸二水素カリウムは、136.09g/molのモル質量を有する。それは水によく溶け(20℃で222g/L)、水中で酸性を呈する。リン酸二水素カリウムの5%水溶液は、4.4のpH値を有する。
【0162】
他の特に適した無機酸は、リン酸二水素ナトリウムである。リン酸二水素ナトリウムは、分子式:NaH2PO4を有し、CAS番号7558-80-7(無水物)、10049-21-5(一水和物)および13472-35-0(二水和物)を有する。無水リン酸二水素ナトリウムは、119.98g/molのモル質量を有する。リン酸二水素ナトリウムは、水溶液中で酸性に反応する。
【0163】
上記2つの酸の対応する塩として特に好ましいものは、リン酸水素二カリウムである。リン酸水素二カリウムは、分子式:K2HPO4を有し、CAS番号7758-11-4(無水物)および16788-57-1(三水和物)を有する。無水リン酸水素二カリウムは、174.18g/molのモル質量を有する。リン酸水素二カリウムは、水溶液中でアルカリ性に反応する。
【0164】
上記2つの酸の対応する塩として、リン酸水素二ナトリウムも特に好ましい。リン酸水素二ナトリウムは、分子式:Na2HPO4を有し、CAS番号7558-79-4(無水物)、10028-24-7(二水和物)、7782-85-6(七水和物)および10039-32-4(十二水和物)を有する。無水リン酸水素二ナトリウムは、141.96g/molのモル質量を有する。リン酸水素二ナトリウムは、水溶液中でアルカリ性に反応する。
【0165】
有機酸の例は、クエン酸、コハク酸、酒石酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、マロン酸およびマレイン酸である。
【0166】
これら有機酸の対応する塩の例は、クエン酸のナトリウム塩およびカリウム塩、コハク酸のナトリウム塩およびカリウム塩、酒石酸のナトリウム塩およびカリウム塩、乳酸のナトリウム塩およびカリウム塩、酢酸のナトリウム塩およびカリウム塩、リンゴ酸のナトリウム塩およびカリウム塩、マロン酸のナトリウム塩およびカリウム塩、並びにマレイン酸のナトリウム塩およびカリウム塩である。
【0167】
方法工程の順序
先に述べたように、着色剤(F)の適用前に前処理剤(V)を適用する。これに関して、ケラチン物質への前処理剤(V)の適用が特に好ましいことが見出された。前処理剤(V)は一定時間作用させた後、再び水で洗い流す。
【0168】
従って、別の対象は、下記工程:
(1)発明の第一の対象の説明において詳細に開示されている前処理剤(V)をケラチン繊維に適用する工程、
(2)2~45分間、好ましくは2~30分間、特に好ましくは2~20分間、ケラチン繊維に、工程(1)で適用された前処理剤を作用させる工程、
(3)前処理剤を水で濯ぎ落とす工程、
(4)発明の第一の対象の説明において詳細に開示されている着色剤(F)をケラチン繊維に適用する工程、
(5)15秒間~45分間、好ましくは30秒間~30分間、より好ましくは1~15分間、ケラチン繊維に、工程(4)で適用された着色剤を作用させる工程、
(6)染料を水で濯ぎ落とす工程
をこの順で含む、ケラチン繊維、特にヒトの毛髪の着色方法である。
【0169】
本発明における方法の工程(1)において、水含有キャリア中に少なくとも1の酸化剤を含む前処理剤(V)を毛髪に適用する。
【0170】
続く工程では、既に適用した前処理剤(V)をケラチン繊維に作用させる。これに関して、2~45分間、好ましくは2~30分間、特に好ましくは2~20分間の様々な曝露時間が可能である。
【0171】
ケラチン繊維への前処理剤(V)の作用に続き、工程(3)において、ようやく、それを水で濯ぐ。この場合、前処理剤(V)は、水だけで、即ちシャンプーを用いずに洗い流すことができ、或いは、洗い流す工程は、シャンプーの適用によって支援できる。
【0172】
原則として、使用者は、2つの剤(V)および(F)を適用する間の時間を自由に選択できる。
【0173】
しかし、2つの剤(V)および(F)を適用する間に、他のコンディショナー、スタイリング剤などの他の剤を適用しないことが好ましい場合がある。このように、2つの剤(V)および(F)を適用する間の最長時間は、好ましくは最長24時間に制限される。
【0174】
水による前処理剤(V)の濯ぎとケラチン繊維への着色剤(F)の適用との間に、24時間以下、好ましくは12時間以下、更に好ましくは6時間以下、非常に特に好ましくは3時間以下の時間があると好ましいことが見出された。
【0175】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、工程(3)と(4)の間に、24時間以下、好ましくは12時間以下、更に好ましくは6時間以下、非常に特に好ましくは3時間以下の時間があることを特徴とする。
【0176】
別の好ましい実施形態では、本発明の方法は、工程(3)の直後に工程(4)を行うことを特徴とする。着色剤の適用のために工程(4)を用いる。
【0177】
工程(5)におけるケラチン繊維への着色剤(F)の作用は、15秒間~30分間の範囲の時間、例えば好ましくは30秒間~15分間の範囲の時間、より好ましくは1~15分間の範囲の時間であり得る。
【0178】
その後、工程(6)において、ようやく、着色剤(F)を水で濯ぐ。ここで、好ましい実施形態では、着色剤(F)を、水だけで、即ち、本発明に従わない後処理剤またはシャンプーを用いずに洗い流す。
【0179】
多成分包装ユニット
使用者の利便性を高めるため、使用者は、好ましくは、多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)の形態で全必須剤を備える。
【0180】
従って、本発明の別の対象は、別個に調製された、
・発明の第一の対象の説明において詳細に開示されている前処理剤(V)を含む第一容器、および
・発明の第一の対象の説明において詳細に開示されている着色剤(F)を含む第二容器
を含んでなる、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(キット・オブ・パーツ)である。
【0181】
本発明における多成分包装ユニットの別の好ましい実施形態に関しては、必要な変更を加えて、本発明における方法について述べたことが適用される。
【0182】
酸化的に前処理された毛髪を染色するための染色混合物(F)の使用
先に述べたように、前処理剤(V)と染色剤(F)を順次適用することにより、洗浄堅牢性が大幅に向上し、非常に良好な色調安定性を有する染色が得られた。この酸化的前処理が、着色剤(F)の耐久性向上の要因とみられる。即ち、酸化剤(V-1)の作用により生じたケラチン物質の構造変化により、ケラチン物質(または毛髪繊維)の表面への付着性が向上した着色剤(F)により形成されたフィルムがもたらされると考えられる。
【0183】
従って、毛髪の洗浄安定な染色の生成のために、本発明の第一の対象の方法は、極めて優れた適合性を有する。しかし、また、既にヘアブリーチまたは毛髪脱色などの酸化的処理に毛髪を付した使用者が、その後、ブリーチした毛髪の色をもう一度変えたいと思う可能性がなお存在する。上述した通り、本発明における着色剤(F)は、このグループの人々にも非常に適している。
【0184】
従って、本発明の別の対象は、酸化的に前処理されたヒトの毛髪を着色するための、発明の第一の対象の説明において詳細に開示されている着色剤(F)の使用である。
【0185】
毛髪の酸化的前処理とは、酸化剤による毛髪の処理を意味し、通常、市販のブリーチ剤または漂白剤をこの目的に使用できる。当業者によく知られているこれらの市販の漂白剤は一般に、酸化剤として、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、ペルオキソ二硫酸カリウムおよびペルオキソ二硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1の酸化剤を含有する。
【0186】
本発明における使用の別の好ましい実施形態に関しては、必要な変更を加えて、本発明における方法について述べたことが適用される。
【実施例】
【0187】
実施例
1.組成物
下記即用性前処理剤(V)を調製した(特に記載のない限り、全てのデータは重量%単位で示す)。
【0188】
下記着色剤(F)を調製した(特に記載のない限り、全てのデータは重量%単位で示す)。
【0189】
2.束への適用
まず、前処理剤(V)を毛髪束(Kerling company)に適用した。この目的のために、毛髪1gあたり0.2gの前処理剤(V)を各束に適用し、揉み込み、室温で30分間放置した。次いで、毛髪束を水で濯いだ。直後に、まだ湿っている毛髪に着色剤(F)を適用した。この目的のために、毛髪束1gあたり0.2gの着色剤(F)を揉み込み、1分間放置し、次いで、水で再び濯ぎ、乾かした。
【0190】
参照の毛髪束は、前処理剤(V)を適用せずに着色剤(F)で直接処理した。着色料(F)の適用前、参照の毛髪束を水でのみ湿らせ、次いで、上記手順に従って着色料を適用した。
【0191】
乾燥した毛髪束を、Datacolor製の測色計(Spectraflash 450タイプ)を使用して測色測定した。
【0192】
続いて、各着色毛髪束を、6回手動で洗浄した。毛髪洗浄毎に、毛髪束を湿らせ、次いで市販のシャンプー(Schwarzkopf, Schauma 7 herbs)を25秒間毛髪束に揉み込んだ(毛髪1gあたり0.25gのシャンプー)。次いで、毛髪束をぬるい水道水で30秒間洗浄し、乾かした。
【0193】
6回の毛髪洗浄が完了した後、各毛髪束を再度測色分析した。
【0194】
洗浄堅牢性の評価のために用いたdE値は、以下のような、測定されたL*a*b*測色値から誘導される。
dE = [(Li - L0)2 + (ai - a0)2 + (bi - b0)]1/2
L0、a0およびb0は、洗浄前の着色毛髪束の測定値
Li、aiおよびbiは、6回の毛髪洗浄後の着色毛髪束の測定値
【0195】
【0196】
実施例1は、前処理を実施せずに着色剤(F)を適用した比較例である。
【0197】
実施例2は、前処理剤(V)および着色剤(F)を続けて適用した、本発明の実施例である。
【0198】
本発明の方法を適用すると、顕著に低減したdE値が観察され、従って、顕著に向上した洗浄堅牢性が観察された。
【国際調査報告】