(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-10
(54)【発明の名称】嫌気硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08F 2/44 20060101AFI20230428BHJP
C08F 4/32 20060101ALI20230428BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20230428BHJP
C08K 5/10 20060101ALI20230428BHJP
C08K 5/16 20060101ALI20230428BHJP
C08K 5/14 20060101ALI20230428BHJP
D06M 15/564 20060101ALI20230428BHJP
D06M 15/263 20060101ALI20230428BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20230428BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20230428BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230428BHJP
C09J 7/00 20180101ALI20230428BHJP
【FI】
C08F2/44 C
C08F4/32
C08L75/04
C08K5/10
C08K5/16
C08K5/14
D06M15/564
D06M15/263
C09J4/02
C09J175/04
C09J11/06
C09J7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559773
(86)(22)【出願日】2021-03-23
(85)【翻訳文提出日】2022-11-30
(86)【国際出願番号】 EP2021057445
(87)【国際公開番号】W WO2021197932
(87)【国際公開日】2021-10-07
(32)【優先日】2020-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー、 ナイジェル
(72)【発明者】
【氏名】ニーフセイ、 ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ、 ロリー
(72)【発明者】
【氏名】ドハーティ、 マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ホウリハン、 ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
4J002
4J004
4J011
4J015
4J040
4L033
【Fターム(参考)】
4J002CC03X
4J002CC28Y
4J002CK021
4J002EH076
4J002EH077
4J002EK029
4J002EK039
4J002EK049
4J002EK059
4J002EN069
4J002EQ028
4J002EU028
4J002EU058
4J002EZ009
4J002FB289
4J002FD148
4J002FD149
4J002FD156
4J002FD157
4J002FD15X
4J002FD15Y
4J002GH00
4J002GJ00
4J002GK02
4J002GT00
4J004AA14
4J004AB04
4J004FA08
4J011PA95
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC08
4J015BA04
4J015BA05
4J015BA06
4J015BA07
4J015BA14
4J015EA02
4J015EA04
4J015EA10
4J040EF001
4J040FA082
4J040HB41
4J040JA01
4J040JB06
4J040KA03
4J040KA12
4J040KA16
4J040LA01
4J040MA02
4J040MB03
4J040MB09
4J040NA12
4J040NA15
4L033AB01
4L033AB03
4L033AC15
4L033CA18
4L033CA50
(57)【要約】
液体嫌気硬化性成分、固体嫌気硬化性成分、40,000g/mol~100,000g/molの範囲の分子量および40℃~80℃の範囲の融点を有する固体熱可塑性ポリウレタン樹脂、嫌気硬化性成分を硬化させる硬化成分を含む嫌気硬化性組成物。有利なことに、本発明の組成物は実質的に固体であり、スレッドロッカーとして使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体嫌気硬化性成分、
固体嫌気硬化性成分、
40,000g/mol~100,000g/molの範囲の分子量および40℃~80℃の範囲の融点を有する固体熱可塑性ポリウレタン樹脂、および
嫌気硬化性成分を硬化させる硬化成分を含む嫌気硬化性組成物。
【請求項2】
液体嫌気硬化性成分が、組成物の総重量に基づいて、約4重量%~約44重量%の量で、適切には硬化性組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約40重量%、例えば約5重量%~約20重量%までの量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
固体嫌気硬化性成分が、組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約45重量%の量で、適切には硬化性組成物の総重量に基づいて、約10重量%~約40重量%、例えば、15重量%~約35重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
固体熱可塑性ポリウレタン樹脂が、組成物の総重量に基づいて、約20重量%~約75重量%の量で、適切には硬化性組成物の総重量に基づいて、約35重量%~約65重量%例えば、約38重量%~約62重量%の量で存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
嫌気硬化性成分を硬化させるための硬化成分が、硬化性組成物の総重量に基づいて、約0.1~約10重量%、例えば、約1~約5重量%の量で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
液体嫌気硬化性成分が、液体(メタ)アクリレートモノマー成分を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
液体(メタ)アクリレートモノマー成分が、式:
H
2C=CGCO
2R
8、
(式中、
Gは、水素、ハロゲンまたは1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R
8は、1~約16個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アルカリールまたはアリール基から選択され、シラン、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カーボネート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホンなどで任意に置換または中断されていてもよい)
を有するものから選択される1以上である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
固体嫌気硬化性成分が、1以上の固体(メタ)アクリレートモノマー成分を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
硬化成分が、1-アセチル-2-フェニルヒドラジン、N,N-ジメチルパラトルイジン、N,N-ジエチルパラトルイジン、N,N-ジエタノールパラトルイジン、N,N-ジメチルオルトトルイジン、N,N-ジメチルメタトルイジン、インドリン、2-メチルインドリン、イソインドリン、インドール、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、3-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、および1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-4-カルボン酸からなる群から選択される1以上を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
過酸化物などのフリーラジカル重合の開始剤をさらに含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
フリーラジカル重合の開始剤が、クメンヒドロペルオキシド(「CHP」)、パラメンタンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド(「TBH」)、t-過安息香酸ブチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化ジアセチル、4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)吉草酸ブチル、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、t-過安息香酸ブチル、過酸化ジ-t-ブチル、過酸化ジクミル、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチル-ペルオキシヘクス-3-イン、4-メチル-2,2-ジ-t-ブチルペルオキシペンタン、t-アミルヒドロペルオキシド、1,2,3,4-テトラメチルブチルヒドロペルオキシドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上である、請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
フリーラジカル重合の開始剤が、カプセル化した過酸化物を含む、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
硬化促進剤をさらに含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
硬化促進剤が、フェロセン、適切にはn-ブチルフェロセンなどの1以上のメタロセンおよび/または
【化1】
(式中、
Xは、CH
2、O、S、NR
4、CR
5R
6またはC=Oであり、Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、またはヒドロキシアルキニルの1以上であり、R
1-R
6は、水素、ハロゲン、アミノ、カルボキシル、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、またはアルカリールからそれぞれ個別に選択され、R
7は、水素またはCHR
8R
9であり、式中、R
8およびR
9は、水素、ハロゲン、アミノ、カルボキシル、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、またはアルカリールからそれぞれ個別に選択され、nは、0または1である)
に含まれる硬化促進剤である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
テープ状、フィラメント状、またはコーティングされた基材の形態で提供される、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
糸または繊維上のコーティングとして提供される、請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1項に記載の嫌気硬化性組成物および1以上の剥離ライナーを含むテープ。
【請求項18】
少なくとも1つのねじ面を含むねじ部材であって、少なくとも1つのねじ面が、請求項1~16のいずれか1項に記載の嫌気硬化性組成物を含むねじ部材。
【請求項19】
嫌気硬化性組成物が、テープ状、フィラメント状、またはコーティングされた基材の形態である、請求項18に記載のねじ部材。
【請求項20】
テープ状、フィラメント状またはコーティングされた基材の形態の嫌気硬化性組成物が、例えば、ねじ面の周りにテープを少なくとも部分的に巻き付けることによって、ねじ面に適用される、請求項19に記載のねじ部材。
【請求項21】
スレッドロック組成物を含むねじ部材を製造する方法であって、
a.少なくとも1つのねじ面を含む少なくとも1つのねじ部材を提供し、
b.請求項1~15のいずれか1項に記載の嫌気硬化性組成物を少なくとも1つのねじ面に適用することを含む方法。
【請求項22】
嫌気硬化性組成物が、テープ状、フィラメント状、またはコーティングされた基材の形態である、請求項21に記載のねじ部材の製造方法。
【請求項23】
テープ状、フィラメント状またはコーティングされた基材の形態の嫌気硬化性組成物が、ねじ部材の少なくとも1つのねじ面の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる、請求項21に記載のねじ部材の製造方法。
【請求項24】
ねじ部材を組み立てる方法であって、
(a)少なくとも1つのねじ面を含む第1のねじ部材を提供し、
(b)請求項1~16のいずれか1項に記載の嫌気硬化性組成物を少なくとも1つのねじ面に適用し、
(c)第1のねじ部材と嵌合可能な第2のねじ部材を提供し、
第1および第2のねじ部材を嵌合させ、それによって、嫌気硬化性組成物が第1および第2のねじ部材の間で硬化するのに十分な時間、嫌気硬化性組成物を嫌気性環境にさらすことを含む方法。
【請求項25】
嫌気硬化性組成物が、テープ状、フィラメント状、またはコーティングされた基材の形態である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
テープ状、フィラメント状またはコーティングされた基材の形態の嫌気硬化性組成物が、少なくとも1つのねじ面の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
以下の工程、
(i)40,000g/mol~100,000g/molの範囲の分子量および40℃~80℃の範囲の融点を有する少なくとも1つの固体熱可塑性ポリウレタン樹脂と溶媒とを混合し、
(ii)液体嫌気硬化性成分、固体嫌気硬化性成分および嫌気硬化性成分を硬化させる硬化成分を混合し、任意に、添加剤を混合物に添加し、
(iii)工程(ii)の混合物を剥離ライナーに適用し、
(iv)溶媒を蒸発させて、請求項1~14のいずれか1項に記載の嫌気硬化性組成物と剥離ライナーとを含むテープを形成する工程
を含む、スレッドロック用テープの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スレッドロッカーを含む多くの用途に使用できる嫌気硬化性組成物に関する。組成物は実質的に固体であり、テープ状、フィラメント状または例えばナイロンまたはポリエステル糸などの別の材料から作られたフィラメントまたは糸を含む基材に適用されるコーティングとしてを含む任意の適切な固体形態で提供され得る。本発明はまた、ねじ部品を調製する方法およびねじ部品を組み立てる方法にも関する。組成物は、容易に取り扱い、ねじ部材に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
スレッドロック組成物は、ナットやボルトなどのねじ部品を互いにかみ合った状態でロックおよび/またはシールするために使用される。このようなスレッドロック組成物は、係合したネジ部品を破壊または回転させるのに必要なトルクを大幅に増加させる。従来のスレッドロック組成物は、多くの場合、共反応性接着剤システムを含み、スレッドロック組成物中の成分が反応して硬化するファスナーのネジ付き係合面に、得られた組成物を適用する前に、2つ以上の成分が混合される。そのような共反応系の例には、エポキシ樹脂接着剤組成物が含まれる。
【0003】
液体接着剤組成物は、シーリングおよびスレッドロック用途で長い間使用されており、機械、工具などの保守だけでなく、アセンブリ製造の標準的な部分になっている。これらの用途で一般的に使用される液体接着剤組成物の中には、嫌気性組成物がある。これらの組成物は、硬化すると優れたスレッドロックおよびシール特性を提供する。スレッドロック組成物としてネジ部品に適用される嫌気硬化性組成物は、酸素の非存在下で硬化するインターロックされたネジ部品の間に置かれるまで、安定したままであり(未硬化状態で)、したがって液体である。
【0004】
嫌気硬化性組成物は一般によく知られている。R.D.Rich、接着技術ハンドブックの「嫌気性接着剤」、29、467-79、A.PizziおよびK.L.Mittal編集,Marcel Dekker,Inc.,New York(1994)、およびそこに引用されている参考文献を参照。それらの用途は数多く、新しいアプリケーションが開発され続けている。
【0005】
嫌気性接着剤システムは、酸素の存在下では安定であるが、酸素の不在下では重合するシステムである。重合は、多くの場合ペルオキシ化合物から生成されるフリーラジカルの存在によって開始される。嫌気性接着剤組成物は、酸素の存在下で液体の非重合状態を保ち、酸素を排除すると硬化して固体状態になる能力でよく知られている。
【0006】
多くの場合、嫌気性接着剤系は、メタクリレート、エチルアクリレート、およびクロロアクリレートエステルなどの重合可能なアクリレートエステルを末端に有する樹脂モノマーを含む。例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレートおよびウレタン-アクリレート(例えば、米国特許第3,425,988号(Gorman))は、既知のウレタン化学に従って誘導される。嫌気硬化性接着剤組成物中に典型的に存在する他の成分には、例えばクメンヒドロペルオキシド、第三ブチルヒドロペルオキシドなどの有機ヒドロペルオキシドなどの開始剤、組成物の硬化速度を高めるための促進剤、およびキノンまたはヒドロキノンなどの安定剤が含まれ、ペルオキシ化合物の分解による接着剤の早期重合を防ぐために含まれる。
【0007】
嫌気性硬化を誘導および速める望ましい硬化誘導組成物は、マレイン酸と共に、サッカリン、N,N-ジエチル-p-トルイジン(「DE-p-T」)およびN,N-ジメチル-o-トルイジン(「DM-o-T」)などのトルイジンおよびアセチルフェニルヒドラジン(「APH」)のうちの1つ以上を含み得る。米国特許番号第3,218,305号(Krieble)、第4,180,640号(Melody)、4,287,330号(Rich)、および第4,321,349号(Rich)などを参照。
【0008】
サッカリンとAPHは、嫌気性接着剤硬化システムの標準的な硬化促進剤成分として使用される。実際、Henkel Corporationから現在入手可能なLOCTITE(登録商標)ブランドの嫌気性接着剤製品の多くは、サッカリンのみ、またはサッカリンとAPHの両方を使用している。
【0009】
嫌気硬化性接着剤組成物はまた、通常、金属イオンを封鎖するために使用されるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などのキレート剤を含む。
【0010】
予め適用されたスレッドロック用途での使用に適した組成物は、通常、ドライタッチの形で適用されるが、後の段階で嫌気硬化機能を有する。
【0011】
場合によっては、硬化メカニズムを使用してドライタッチの形態が実現される。例えば、第1の硬化メカニズムは組成物を物品上の適所に保持するようにドライタッチ形態を形成することができる一方で、第2の硬化メカニズムが後で活性化されてスレッドロックを達成する。
【0012】
例えば欧州特許第0077659号(Thompson)は、エンジニアリング部品をシールおよびロックするための予め塗布された重合可能な流体を記載している。組成物は、硬化のための2つのメカニズムを有し、2つの硬化反応が起こる。第1のメカニズムはUV光硬化である。乳白剤は流体中に分散され、流体が放射線に対して実質的に不透明になる。流体が部品に適用された後、それはUV放射に曝され、そこでコーティングが形成され、乾燥した粘着性のない外層である表面層を形成する。皮下の流体は、放射線による影響を受けず、一般的に液体の状態のままである。部品を別の部品にねじ込むと、表面層が破断し、第2の重合(フリーラジカル重合など)が開始され、一旦ねじ部品がかみ合い、嫌気的環境が確立すると第2の硬化反応が起こる。第2の重合メカニズムは、ねじを一緒にロックするように作用する。Thompsonでは、第1の重合で外皮のみが形成され、組成物の残りは外皮の下に液体のままである。したがって、コーティングされた工業的部品の取り扱い中に外皮が破壊され、液体組成物が漏出する危険性がある。
【0013】
同様に、欧州特許第0548369号明細書(Usami)は、スクリュー等のスクリュー部材のねじ付き接触面に適用するための予め塗布された接着剤組成物を記載している。この組成物は、第2の硬化性組成物が分散された光硬化性バインダーを含む。第2の硬化性組成物は、マイクロカプセル化反応性モノマー/活性化剤/開始剤を含む。
【0014】
国際特許出願WO2004/024841A2(Haller)は、ねじ付き物品に適用するための硬化性組成物を記載している。この組成物は、(a)(メタ)アクリレート官能性モノマー成分、(b)(メタ)アクリレート官能性オリゴマー成分;(c)光開始剤成分とを含む第1の硬化メカニズム成分および(ii)(e)アミン成分および(f)カプセル化されたエポキシ樹脂成分を含む第2の硬化メカニズムの成分および(iii)増粘剤成分の分散を含む。光開始剤成分は、組成物の照射に適しており、ネジ付き物品に適用された組成物の深さにわたり第1の硬化を達成し、バインダーマトリックスがマトリックスを介して分散された第2の硬化メカニズムの成分を用いて形成される。
【0015】
米国特許第9,181,457号(Attarwala)は、ポリマーマトリックスと、ポリマーマトリックス内に存在する嫌気硬化性成分とを含有するドライタッチ組成物を記載している。特に望ましい形態では、組成物は湿気硬化性である。この組成物は高温で非流動性であり、硬化すると改善された耐溶剤性を有する。この組成物は、スレッドロック組成物として有用であり、テープ、ストリング、またはシートなどのキャリア基材上のコーティングとして配合することができる。
【0016】
英国特許第2,543,756号(Ledwith)は、嫌気硬化性成分と、嫌気性硬化性成分を硬化するための硬化成分とを含むスレッドロック組成物を記載し、組成物は流動可能な粒子形態であり、30~100℃の範囲の融点を有する。嫌気硬化性成分は、嫌気硬化性モノマーと樹脂成分とを含んでもよい。組成物は、少なくとも2パート型で提供され得る。嫌気硬化性成分は、好ましくは粉末形態で提供される。好ましくは、樹脂成分は、メタクリル化ポリウレタン樹脂、ノボラック樹脂または高級メタクリル化ポリエステル樹脂から選択される。嫌気硬化性モノマーは、好ましくは、少なくとも1つのアクリレートまたはメタクリレートエステル基を含む。組成物は好ましくは無溶媒である。また、2つのねじ物品を一緒にスレッドロックする方法も開示され、該方法は、前記組成物を少なくとも1つの物品のねじ山に塗布して、それをねじ山に溶融させることを含み、続いて、任意に冷却後に、2つの物品を一緒にねじ込み、スレッドロック組成物の嫌気硬化を開始して、2つの物品を化学的に結合する。前記組成物が適用された物品も開示される。
【0017】
米国特許出願公開第4,039,705号(Douek)は、少なくとも1つの嫌気性樹脂システムを含む感圧接着剤層が1つの基材に別の基材に完全に転写され、ペルオキシ開始剤による活性化と酸素の排除で硬化するシートおよびテープなどの嫌気的に硬化可能な感圧接着剤ストックに関する。嫌気性感圧接着剤は、2つの異なる剥離面の間に含まれ、嫌気性硬化性感圧接着剤の硬化時に別の基材にしっかりと固定される基材への感圧接着剤の転写が可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
従来の嫌気性スレッドロッカーは、市場で好評を博してきたが、商業的な用途には欠点がある。これは、従来の液体嫌気性スレッドロッカー、および既知の非流動性のチキソトロピック嫌気性ベースのスレッドロッカーの使用で見られる。例えば、そのような組成物は、大きなギャップを通して完全に硬化しないことが多い。また、嫌気性硬化の性質上、部品に塗布された接着剤の部分が空気にさらされたままになると、(トリガーされる二次硬化メカニズムがない場合)硬化が困難になる。したがって、ナット/ボルトアセンブリ上で空気にさらされたままの外部ボンドラインは、硬化を確実にするために追加の添加剤や硬化手段を講じない限り、しばしば液体のままである。その結果、外部ボンドラインの液体組成物が移動する傾向がある。非流動性が組成物のチキソトロピックおよび/またはレオロジー特性に依存する従来の非流動性組成物の場合、これらの組成物は、さらされる温度が十分に高い場合に流動する。さらに、硬化した製品(上記のように未硬化のままの部分がある)の耐溶剤性は低く、環境相互作用が発生した場合の完全性が疑わしいことを示す。これは、汚染の問題や周囲の危険な状態につながる可能性がある。
【0019】
技術水準にもかかわらず、ドライタッチスレッドロック組成物を含むネジ部材、そのようなネジ部材を形成する方法、およびそのようなネジ部材を組み立てる方法を含む、代替のスレッドロックシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0020】
<概要>
一態様において、本発明は、
液体嫌気硬化性成分、
固体嫌気硬化性成分、
40,000g/mol~100,000g/molの範囲の分子量および40℃~80℃の範囲の融点を有する固体熱可塑性ポリウレタン樹脂、および
嫌気硬化性成分を硬化させる硬化成分を含む嫌気硬化性組成物を提供する。
【0021】
有利なことに、本発明の組成物は実質的に固体であり、スレッドロッカーとして使用することができる。
【0022】
液体嫌気硬化性成分は、硬化性組成物の総重量に基づいて、約4重量%~約44重量%の量で、適切には硬化性組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約40重量%、例えば硬化性組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約20重量%までの量で存在することができる。液体嫌気硬化性成分が、組成物の総重量に基づいて約4重量%未満の量で存在する場合、基材に塗布/コーティングされたときの組成物は、剛性が高すぎて/流動性がなく、したがって十分に動かない可能性がある。たとえば、互いにねじ込まれている相互のねじ山の間のスペースに移動しない、スレッドロック性能が低い、または接着性能が低い可能性がある。液体嫌気硬化性成分が、組成物の総重量に基づいて約44重量%を超える量で存在する場合、オンパーツの完全性が悪影響を受ける可能性があり、組成物が流動性/軟らかすぎる可能性があり、例えば、組成物は、ハンドリング機器の表面などの他の表面、またはコーティングが適用されている可能性のある他の基材を含む他の基材と接触すると、簡単に破裂する。液体嫌気硬化性成分が、硬化性組成物の総重量に基づいて約4重量%~約44重量%の量で存在する場合、これは、組成物にスレッドロックおよび/または接着性能間の許容なバランスを有する組成物を提供し、十分な完全性を備えたコーティングを形成し、硬化すると良好な結合強度が得られる。完全性は、結合する部品への組成物の適用に必要であり、結合強度は結合の最終用途に必要である。
【0023】
固体嫌気硬化性成分は、組成物の総重量に基づいて、約5重量%から~約45重量%の量で、適切には硬化性組成物の総重量に基づいて、約10重量%~約40重量%、例えば、15重量%~約35重量%の量で存在する。約5重量%未満の固体嫌気硬化性成分を含む組成物は、凝集力に欠ける傾向があり、オンパーツ塗布には適していない可能性がある。例えば、そのような組成物によって形成されたコーティングは、ハンドリング機器の表面などの他の表面、またはコーティングが適用された可能性のある他の基材を含む他の基材と接触すると、容易に破裂する可能性がある。約45重量%を超える固体嫌気硬化性成分を含む組成物は、結合される部品に適用するには脆すぎるコーティングを形成する傾向がある。固体嫌気硬化性成分が、組成物の総重量に基づいて、約5重量%から~約45重量%の量で存在する場合、スレッドロックおよび/または接着性能(硬化した場合)間の許容なバランス(コーティングとして適用される場合)を有する組成物を提供し、十分な完全性および強度を有するコーティングとして適用できる組成物を提供する。
【0024】
固体熱可塑性ポリウレタン樹脂は、組成物の総重量に基づいて、約20重量%~約75重量%の量で、適切には硬化性組成物の総重量に基づいて、約35重量%~約65重量%例えば、約38重量%~約62重量%の量で存在することができる。約20重量%未満の固体熱可塑性ポリウレタン成分を含む組成物は、エラストマー特性が不十分であり、接着される部品に組成物を適切に塗布することができない傾向がある。約75重量%を超える固体熱可塑性ポリウレタン成分を含む組成物は、乏しいスレッドロック/接着特性を示す傾向がある。固体熱可塑性ポリウレタン樹脂が、硬化性組成物の総重量に基づいて、約20重量%~約75重量%の量で存在する場合、これは、組成物に、スレッドロックおよび/または接着性能の間の許容可能なバランスを有する組成物を提供し、十分なエラストマー特性を備えたコーティングを形成する組成物を提供し、接着する部品に組成物の適用を可能にする。
【0025】
嫌気硬化性成分を硬化させるための硬化成分は、硬化性組成物の総重量に基づいて約0.1~約10重量%、たとえば、硬化性組成物の総重量に基づいて約1~約5重量%の量で存在し得る。
【0026】
好適には、液体嫌気硬化性成分は、液体(メタ)アクリレートモノマー成分を含む。
【0027】
液体(メタ)アクリレートモノマー成分が、式:
H2C=CGCO2R8
を有するものから選択される1以上であってもよい。
式中、
Gは、水素、ハロゲンまたは1~4個の炭素原子を有するアルキル基であり、R8は、1~約16個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルカリール、アルカリールまたはアリール基から選択され、シラン、ケイ素、酸素、ハロゲン、カルボニル、ヒドロキシル、エステル、カルボン酸、尿素、ウレタン、カーボネート、アミン、アミド、硫黄、スルホネート、スルホンなどで任意に置換または中断されていてもよい。
【0028】
好適には、固体嫌気硬化性成分は、1以上の固体(メタ)アクリレートモノマー成分を含む。例えば、固体嫌気硬化性成分は、フェニルイソシアネートとヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)との反応生成物であり得る。
【化1】
約70~75℃の融点を有する2-メタクリロキシルエチルウレタンである。
【0029】
固体嫌気硬化性成分は、2モル当量のHEMAとイソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(hMDI)、1,5-シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)などの1モル当量のジイソシアネートの反応生成物であってもよい。
【0030】
例えば、
【化2】
であり、約72~74℃の融点を有するHEMA-IPDI-HEMAである。
【0031】
【化3】
約75~85℃の融点を有するHEMA-hMDI-HEMAである。
【0032】
【化4】
約75~85℃の融点を有するHEMA-CHDI-HEMAである。
【0033】
固体嫌気硬化性成分は、>2000g・molの分子量で半結晶性ポリエステルポリオール主鎖を有するポリウレタンメタクリレート樹脂であってもよい。このような樹脂の例は、WO201768196A1に記載され、Dynacoll7380として知られるポリオールとトルエンジイソシアネートとの反応生成物であり、HEMAでエンドキャッピングされる。これらの樹脂は50~80℃の範囲の融点を有する。
【0034】
固体嫌気硬化性成分として、ノボラックエポキシ樹脂とメタクリレート酸(methacrylate acid)との反応生成物であるノボラックビニルエステル樹脂も有用である。これらの樹脂およびそれらの調製の例は、米国特許第9957344号に示されている。例えば、
【化5】
式中、nは2~10の整数であり、化合物は約70~75℃の融点を有する。
【0035】
好適には、硬化成分は、1-アセチル-2-フェニルヒドラジン、N,N-ジメチルパラトルイジン、N,N-ジエチルパラトルイジン、N,N-ジエタノールパラトルイジン、N,N-ジメチルオルトトルイジン、N,N-ジメチルメタトルイジン、インドリン、2-メチルインドリン、イソインドリン、インドール、1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、3-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロ-キノリン、2-メチル-1,2,3,4-テトラヒドロキノリン、および1,2,3,4-テトラヒドロキノリン-4-カルボン酸からなる群から選択される1つ以上を含む。
【0036】
本発明の嫌気硬化性組成物は、
【化6】
に含まれる硬化促進剤を含んでもよい。
式中、
Xは、CH
2、O、S、NR
4、CR
5R
6またはC=Oであり、
Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、またはヒドロキシアルキニルの1以上であり、
R
1-R
6は、水素、ハロゲン、アミノ、カルボキシル、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、またはアルカリールからそれぞれ個別に選択され、
R
7は水素またはCHR
8R
9であり、
式中、R
8およびR
9は、水素、ハロゲン、アミノ、カルボキシル、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、またはアルカリールからそれぞれ個別に選択され、nは、0または1である。
【0037】
任意に、上記の硬化促進剤は、アミン、アミンオキシド、スルホンアミド、金属源、酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される共促進剤などの少なくとも1つの共促進剤と組み合わせて使用される。
【0038】
例えば、共促進剤は、トリアジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,Nジメチルアニリン、ベンゼンスルファンイミド、シクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、サッカリン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジメチル-o-トルイジン、アセチルフェニルヒドラジン、マレイン酸、およびそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0039】
硬化促進剤は、
【化7】
であってもよい。
式中、
Rは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、またはヒドロキシアルキニル(hydroxyalkynl)の1以上であり、
R
1およびR
2は、ハロゲン、アミノ、カルボキシル、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、ヒドロキシアルキニル、またはアルカリールからそれぞれ個別に選択される。
【0040】
例えば、硬化促進剤は、
【化8】
の1以上から選択されてもよい。
式中、Rは、上で定義された通りである。
【0041】
【0042】
本発明の組成物は、過酸化物などのフリーラジカル重合の開始剤をさらに含んでもよい。フリーラジカル重合の開始剤は、クメンヒドロペルオキシド(「CHP」)、パラメンタンヒドロペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド(「TBH」)、t-過安息香酸ブチル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジベンゾイル、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化ジアセチル、4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)吉草酸ブチル、p-クロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、t-過安息香酸ブチル、過酸化ジ-t-ブチル、過酸化ジクミル、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチル-
ペルオキシヘクス-3-イン、4-メチル-2,2-ジ-t-ブチルペルオキシペンタン、t-アミルヒドロペルオキシド、1,2,3,4-テトラメチルブチルヒドロペルオキシドおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される1以上である。フリーラジカル重合の開始剤は、カプセル化した過酸化物を含んでもよい。
【0043】
本発明の組成物は、上記のものに加えて、またはその代わりに、硬化促進剤をさらに含むことができる。例えば、硬化促進剤は、フェロセン、適切にはn-ブチルフェロセンなどの1以上のメタロセンを含むことができる。有利なことに、硬化促進剤の存在は、プラスチック基材などの「非活性」または「受動」基材上での本発明の組成物の硬化を促進する。
【0044】
適切には、本発明の組成物は、テープ状、フィラメント状または例えばナイロンまたはポリエステル糸などの別の材料から作られたフィラメントまたは糸を含む、基材に適用されるコーティングを含む任意の適切な固体形態で提供され得る。テープまたはフィラメントは、巻き付けることによって、つまり配管内の接合部をシールするために使用される現在のPTFEテープまたはスレッドシーリングコードと同様の方法で適用することができる。固体形態は、スティック、テープ、フィラメント、ガスケットまたはパッチを含む所望のパターンまたはレイアウトであり得ることが理解されるであろう。テープ状またはフィラメント状などの固体形態の組成物は、壊れることなく取り扱うのに十分な完全性を有し得る。テープ状またはフィラメント状などの固体形態の組成物は、粘着性がなく、ドライタッチなため、剥離ライナーなどの担体は必要ない。テープ状またはフィラメント状の組成物は、粘着性がなく、ドライタッチなため、それ自体に巻くことができ、それ自体に付着することはない。あるいは、テープ状またはフィラメント状は、本明細書に記載の嫌気硬化性組成物および1つ以上の剥離ライナーを含んでもよい。例えば、組成物を保存する温度が40℃を超える場合、40℃を超える温度では粘着性のない組成物が粘着性になり、それ自体に付着する可能性があるため、剥離ライナーが有用であり得る。上述のように、本発明の組成物はまた、テープ状、フィラメント状、または、たとえば、ナイロンまたはポリエステル糸などの別の材料から作製されたフィラメントまたは糸を含む基材に適用される(固体、ドライタッチ)コーティングを含む任意の適切な固体形態であってもよい。
【0045】
本発明の別の態様は、本明細書で特許請求される本発明の硬化性組成物を硬化することによって形成される硬化組成物を提供する。適切には、硬化性組成物は、嫌気性環境への曝露によって硬化され得る。硬化性組成物は、例えば、嫌気性環境に約1分~30分、例えば約1分~約20分の範囲の時間さらすことによって硬化することができる。任意に、硬化性組成物は、約40℃~約100℃の温度範囲内で硬化され得る。例えば、硬化性組成物は、約40℃~約100℃の温度範囲内で、約1分~約30分の範囲の期間、嫌気性環境に曝露することによって硬化することができる。
【0046】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つのねじ面を含むねじ部材を提供し、少なくとも1つのねじ面は、本明細書に記載の嫌気硬化性組成物を含む。例えば、嫌気硬化性組成物は、テープ状またはフィラメント状であり得る。あるいは、異なる材料から作られたねじに適用/コーティングされた組成物の形態であってもよい。テープ、糸、または繊維は、例えば、前記テープ、糸、または繊維を少なくとも部分的にねじ面の周りに巻き付けることによって、ねじ面に適用することができる。例えば、嫌気硬化性組成物は、コーティングされた糸または繊維を形成するために、異なる材料から作られた糸または繊維上にコーティングされてもよい。コーティングされた糸または繊維は、例えば、コーティングされた繊維の糸をねじ面の周りに少なくとも部分的に巻き付けることによって、ねじ面に適用することができる。
【0047】
さらに別の態様では、本発明は、スレッドロック組成物を含むねじ部材を製造する方法を提供し、少なくとも1つのねじ面を含む少なくとも1つのねじ部材を提供し、少なくとも1つのねじ面に本明細書に記載の嫌気硬化性組成物を塗布することを含む。好適には、嫌気硬化性組成物は、少なくとも1つのねじ面に、テープ状、フィラメント状、または異なる材料から形成された糸状または繊維状などの基材に適用されるコーティングとして適用され、たとえば、テープ、フィラメント、またはコーティングされた基材は、ねじ部材の少なくとも1つのねじ面の周りに少なくとも部分的に巻き付けることができる。適切には、テープ状、フィラメント、またはコーティングされた基材の嫌気硬化性組成物は、粘着性がなく、ドライタッチであり、剥離ライナーなどの担体が必要とされない。
【0048】
さらに別の態様では、本発明は、ねじ部材を組み立てる方法を提供し、少なくとも1つのねじ面を含む第1のねじ部材を提供し、本明細書に記載の嫌気硬化性組成物を少なくとも1つのねじ面に適用し、第1のねじ部材と嵌合することができる第2のねじ部材を提供し、第1および第2のねじ部材を嵌合させ、それによって、嫌気硬化性組成物が第1および第2のねじ部材の間で硬化するのに十分な時間、嫌気性硬化性組成物を嫌気性環境にさらすことを含む。
【0049】
以下の工程、
(i)40,000g/mol~100,000g/molの範囲の分子量および40℃~80℃の範囲の融点を有する少なくとも1つの固体熱可塑性ポリウレタン樹脂と溶媒とを混合し、
(ii)液体嫌気硬化性成分、固体嫌気硬化性成分および嫌気硬化性成分を硬化させる硬化成分を混合し、任意に、添加剤を混合物に添加し、
(iii)工程(ii)の混合物を剥離ライナーに適用し、
(iv)溶媒を蒸発させて、本明細書に記載の嫌気硬化性組成物と剥離ライナーとを含むテープ、糸、または繊維を形成することを含む、スレッドロック用テープ、糸または繊維の製造方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0050】
<詳細な説明>
上で概説したように、本発明は、液体嫌気硬化性成分、固体嫌気硬化性成分、40,000g/mol~100,000g/molの範囲の分子量および40℃~80℃の範囲の融点を有する固体熱可塑性ポリウレタン樹脂、および嫌気硬化性成分を硬化させる硬化成分を含む嫌気硬化性組成物を提供する。
【0051】
<定義と標準試験方法>
「液体」という用語は、約5℃~30℃の温度範囲内の液体状態、好適には室温および大気圧で液体状態を意味する。
【0052】
「固体」という用語は、約5℃~40℃の温度範囲内での固体状態、好適には室温および大気圧での固体状態を意味する。固体状態は、物質が流体ではなく、サポートなしで境界を保持し、原子または分子が互いに対して固定位置を占有し、自由に移動できない物質の状態として定義される。
【0053】
本発明に関して、タックフリーとは、ドライタッチを意味するが、取り扱い中または使用中に組成物が剥離しないことを意味する。例えば、本発明の組成物が適用される物品は、ドライタッチである。本発明の組成物が適用された物品は、20個の物品が個別に乾いたティッシュペーパー上に4時間置かれ、ティッシュの外観に変化がなければ、ドライタッチとみなされる。
【0054】
本明細書に開示される分子量は、ISO13885-1:2008,「塗料およびワニス用バインダー-ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)-パート1:溶離剤としてのテトラヒドロフラン(THF)」に従って決定される。
【0055】
溶融および再固化温度範囲は、ISO1137-1:2016「プラスチック-示差走査熱量測定(DSC)-パート1一般原理」に従って測定した。
【0056】
<液体嫌気硬化性成分>
好適には、液体嫌気硬化性成分は、液体(メタ)アクリレートモノマー成分を含む。
【0057】
液体(メタ)アクリレート成分は、β-カルボキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n-オクチルアクリレート、n-デシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、エトキシル化フェニルモノアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、n-ブチルアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールモノメタクリレート、グリセロール1,3-ジメタクリレート、トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、メチルトリグリコールメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、グリシジルメタクリレート、メチルメタクリレート、メタクリル酸、およびそれらの混合物から選択される1つ以上の(メタ)アクリレートモノマーを含んでもよい。
【0058】
好ましい液体(メタ)アクリレートモノマーには、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートおよびメタクリル酸が含まれる。
【0059】
1以上の適切な(メタ)アクリレートは、これらには限定されないが、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(「TRIEGMA」)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ジ-(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート、テトラエチレンジグリコールジアクリレート、ジグリセロールテトラメタクリレート、テトラメチレンジメタクリレート、エチレンジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ-またはトリー官能性(メタ)アクリレートおよびエトキシ化ビスフェノール-A(メタ)アクリレート(「EBIPMA」)などのビスフェノール-Aモノおよびジ(メタ)アクリレート、およびエトキシ化ビスフェノール-F(メタ)アクリレートなどのビスフェノール-Fモノおよびジ(メタ)アクリレートポリ官能性(メタ)アクリレートから選択してもよい。
【0060】
例えば、レドックス硬化性成分は、ビスフェノールAジメタクリレート
【化10】
を含むことができる。
【0061】
適切には、レドックス硬化性組成物は、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートを含むことができる。
【0062】
本明細書で使用に好適なさらに他の(メタ)アクリレートは、その開示が参照によって本明細書に明示的に組み込まれる、米国特許第5,605,999号(Chu)によって教示され、特許請求されているようなシリコーン(メタ)アクリレート部分(「SiMA」)が含まれる。
【0063】
他の好適な材料には、以下の式で表されるポリアクリレートエステルから選択されてもよい。
【0064】
【化11】
式中、
R
4は、水素、ハロゲンまたは1~約4個の炭素原子を有するアルキルから選択される基であり;qは、少なくとも1、好ましくは、1~約4に等しい整数であり;Xは、少なくとも2個の炭素原子を含み、総結合容量がq+1である有機基である。X中の炭素原子の数の上限に関し、本質的にいかなる値でも機能できるモノマーが存在する。しかし、実際、一般的な上限値は、約50個の炭素原子、望ましくは30個、最も望ましくは約20個である。
【0065】
例えば、Xは、以下の式の有機基であってもよい。
【0066】
【化12】
式中、
Y
1およびY
2の各々は、少なくとも2個の炭素原子、望ましくは2個~約10個の炭素原子を含む炭化水素基などの有機基であり、Zは、有機基、好ましくは少なくとも1個の炭素原子、好ましくは2~約10個の炭素原子を含む炭化水素基である。
【0067】
他のモノマーは、フランス特許第1,581,361号に開示されているような、ジ-またはトリ-アルキロールアミン(例えば、エタノールアミンまたはプロパノールアミン)とアクリル酸との反応生成物から選択されてもよい。
【0068】
(メタ)アクリレート官能基を有する好適なオリゴマーもまた用いてもよい。そのような(メタ)アクリレート官能化オリゴマーの例には、以下の一般式を有するものが含まれる。
【0069】
【化13】
式中、R
5は、水素、1~約4個の炭素原子を有するアルキル、1~約4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル、または
【0070】
【化14】
から選択される基であり、
R
4は、水素、ハロゲン、または1~約4個の炭素原子を有するアルキルから選択される基であり;R
6は、水素、ヒドロキシルまたは
【0071】
【化15】
であり、
mは、少なくとも1に等しい整数、例えば1~約15またはそれ以上、望ましくは、1~約8であり;nは、少なくとも1に等しい整数、例えば1~約40以上、望ましくは、約2~約10であり;pは、0または1である。
【0072】
上記一般式に対応するアクリル酸エステルオリゴマーの典型例は、ジ-、トリ-およびテトラエチレングリコールジメタクリレート;ジ(ペンタメチレングリコール)ジメタクリレート;テトラエチレングリコールジアクリレート;テトラエチレングリコールジ(クロロアクリレート);ジグリセロールジアクリレート;ジグリセロールテトラメタクリレート;ブチレングリコールジメタクリレート;ネオペンチルグリコールジアクリレート;およびトリメチロールプロパントリアクリレート等が挙げられる。
【0073】
ジ-および他のポリアクリレートエステル、特に前の段落に記載されたポリアクリレートエステルが望ましいが、単官能性アクリレートエステル(1つのアクリレート基を含むエステル)も使用できる。
【0074】
適切な化合物は、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、t-ブチルアミノエチルメタクリレート、シアノエチルアクリレート、およびクロロエチルメタクリレートの中から選択することができる。
【0075】
別の有用なクラスの材料は、(メタ)アクリレート官能化、ヒドロキシルまたはアミノ含有材料と、すべてのイソシアネート基をそれぞれウレタンまたはウレイド基に変換するための適切な比率のポリイソシアネートとの反応生成物である。
【0076】
そのように形成された(メタ)アクリレートウレタンまたは尿素エステルは、その非アクリレート部分にヒドロキシまたはアミノ官能基を含み得る。使用に適する(メタ)アクリレートエステルは、式
【0077】
【0078】
【化17】
から選択され、
R
9は、水素または1~7個の炭素原子を有する低級アルキルから選択され;R
7は、水素、ハロゲン(例えば塩素)またはアルキル(例えばメチルおよびエチル基)から選択され、R
8は、1~8個の炭素原子を有するアルキレン、フェニレンおよびナフチレンから選択される二価の有機基である。
【0079】
これらの基は、ポリイソシアネートとの適切な反応の際に、以下の一般式のモノマーを生成する。
【0080】
【化18】
式中、nは、2~約6の整数であり;Bは、置換および非置換の両方のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アルカリールおよび複素環式基およびそれらの組み合わせから選択される多価有機基であり;R
7、R
8およびXは上記の意味を有する。
【0081】
Bの特性に依存して、尿素またはウレタン結合を有するこれらの(メタ)アクリレートエステルは、それらをオリゴマークラス(約1,000g/mol~約5,000g/molなど)またはポリマークラス(例えば、約5,000g/mol以上)である分子量を有してもよい。
【0082】
スチレン、マレイミド、ビニルエーテル、アリル、アリルエーテル、およびUS6844080B1(Kneafseyらによる)に記載されているものなどの他の不飽和反応性モノマーおよびオリゴマーを使用することができる。US6433091(Xia)に記載のビニル樹脂も使用できる。これらの不飽和反応性基を含むメタクリレートまたはアクリレートモノマーも使用できる。
【0083】
もちろん、これらの(メタ)アクリレートと他のモノマーとの組み合わせも使用できる。
【0084】
<固体嫌気硬化性成分>
本発明の嫌気硬化性組成物は、固体嫌気硬化性成分を含む。固体嫌気硬化性成分は、固体(メタ)アクリル樹脂であってもよい。適切には、固体(メタ)アクリレート樹脂は、上に挙げた適切な(メタ)アクリレート成分のリストから選択される。
【0085】
<固体熱可塑性ポリウレタン樹脂>
本発明の嫌気硬化性組成物は、40,000g/mol~100,000g/molの範囲の分子量および40℃~80℃の範囲の融点を有する固体熱可塑性ポリウレタン樹脂を含む。適切な固体熱可塑性ポリウレタン樹脂には、Pearlbond(登録商標)100、Pearlbond(登録商標)106、Pearlbond(登録商標)120、Pearlbond(登録商標)122、Pearlbond(登録商標)180、Pearlstick(登録商標)5712、Pearlstick(登録商標)5714およびPearlstick(登録商標)40-70/08が含まれ、これらはLubrizol,Carrer del Gran Vial,17,08160 Montmelo,Barcelona,Spainから商業的に入手可能である。
【実施例】
【0086】
表1に示す嫌気硬化性組成物をテープ状に配合した。
【表1】
【0087】
使用されるポリウレタンメタクリレート樹脂は、モル過剰のトルエンジイソシアネートと反応した柔軟なメチレンエーテルジオールの反応生成物であり、その後、HEMAでエンドキャップされる。「Amt」=量。
【0088】
表1の組成物は以下のように調製した。
各組成物の40000g/mol~100000g/molの範囲の分子量および40℃~80℃の範囲の融点を有する固体熱可塑性ポリウレタンウレタン成分を酢酸エチルに一晩浸漬した後、Speedmixer DAC150.147中で混合し溶解した。次いで、残りの成分を添加し、各成分が溶解するまで混合を続けた。マイクロカプセル化された過酸化物またはメタクリレートを含む組成物については、カプセル化された成分は溶解せず、混合はマイクロカプセル化された成分が溶液中で分散を形成するまで続けられた。次に、コーティングプレート温度30℃で維持されたElcometer 4340自動フィルムコーターを使用して、各溶液をシリコン処理されたポリエステル剥離ライナー(HiFi SR4-122、厚さ75ミクロン)上にキャストした。コーティング後、酢酸エチルを加熱コーティングプレートから蒸発させた。ドライタッチフィルムが得られた。
【0089】
表1の組成物から形成された未硬化フィルムの材料特性は、溶媒蒸発後に評価した。各フィルムの伸び率は、ASTM D882-02に従って測定した。ASTM D882-09に従って各フィルムの引張破断強度を測定した。
【表2】
【0090】
例1~5のフィルムは、フィルムが完全性を維持し、また硬化時に優れた接着性能を与える一方で、フィルムの伸びが大きく変化し得ることを示す。
【0091】
表1に特定された本発明の組成物から形成されたフィルムのそれぞれのスレッドロック性能は、ISO 10964に従ってM10ナットおよびボルトで評価した。フィルムの厚さを測定した。マイクロカプセル化された成分を含むフィルムについては、そのようなフィルムの厚さは、マイクロカプセルが目立たない点で測定した。本発明の組成物は、M10ボルトに適用され、ねじ付きアセンブリは、前記M10ボルトと嵌合できるM10ナットで形成された。硬化した組成物の破断強度および優勢強度を測定する前に、ネジ付きアセンブリを室温(20℃~25℃)で24時間保持した。さまざまな基材上の各組成の結果を表3に示す。
【0092】
【0093】
表4の組成物は、表1の組成物と同じ方法で製造した。
【表4】
【0094】
組成物6および7は、組成物1~5についての上記の方法に従ってテープとして処方した。
【0095】
ISO10964に従って、表4の各組成物のスレッドロック性能をM10ナットおよびボルトで評価した。本発明の組成物は、M10ボルトに適用され、ねじ付きアセンブリは、M10ボルトと嵌合可能なM10ナットで形成された。硬化した組成物の破断強度および優勢強度を測定する前に、ネジ付きアセンブリを室温(20℃~25℃)で24時間保持した。さまざまな基材上の各組成物の結果を表5に示す。
【0096】
【0097】
表4の組成物から形成されたテープの伸びおよび引張強度特性も評価した。
【表6】
【0098】
フィルムはまた、嵌合アセンブリを構造的に接合するために使用することもできる。引張強度は、例1に従って製造されたフィルムについて、ISO4587に従って決定した。結果は、示されている試験片のセット内の標準偏差を含む平均値として示される。0.5インチのオーバーラップ領域のテストでは、フィルムを断片に切断して接着領域を覆い、テストクーポンに配置した。次に、嵌合クーポンを上に置き、試験片をクランプで固定し、80℃に加熱したオーブンに20分間入れた。次に、試験片を取り出し、試験前に室温で24時間放置した。試験結果は、ステンレス鋼(グレードSUS304)、ポリカーボネート、およびアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)について得られた。
【0099】
ステンレス鋼/ステンレス鋼 5.1±0.2MPa(凝集破壊)
ポリカーボネート/ポリカーボネート 8.0±0.5MPa(基材不良)
ABS/ABS 4.8±0.7MPa(凝集破壊)
【0100】
本発明を参照して使用される場合、「含む/含んでいる」および「有する/含んでいる」という語は、記述された特徴、整数、ステップまたは成分が存在することを特定するために使用されるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、成分またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。
【0101】
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明された本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において、組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔のために、単一の実施形態の文脈で説明された本発明の様々な特徴は、別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供されることもできる。
【国際調査報告】