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特表2023-520034一体型シールを備える冷却エッジリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-15
(54)【発明の名称】一体型シールを備える冷却エッジリング
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20230508BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20230508BHJP
   C23C 16/458 20060101ALI20230508BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
C23C16/458
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022559852
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 US2021023406
(87)【国際公開番号】W WO2021202136
(87)【国際公開日】2021-10-07
(31)【優先権主張番号】63/004,055
(32)【優先日】2020-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メース・アダム・クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ホーランド・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】マツシュキン・アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ドライ・ラジェシュ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F131
【Fターム(参考)】
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA03
4K030FA03
4K030GA02
4K030HA01
4K030JA01
4K030KA10
4K030KA23
4K030KA26
4K030KA41
4K030KA46
4K030LA15
5F004AA01
5F004BA03
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB13
5F004BB14
5F004BB18
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB29
5F004BC01
5F004BC03
5F004BC06
5F004BD04
5F004BD05
5F004BD06
5F004CB12
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA19
5F131CA06
5F131CA32
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EB11
5F131EB79
5F131EB81
5F131EB82
5F131EB84
5F131JA33
(57)【要約】
【解決手段】基板処理チャンバ用の基板支持台は、ベースプレートと、ベースプレートの上に配置されているエッジリングと、エッジリングとベースプレートとの間に位置し、エッジリングとベースプレートとの間の界面を画定するように構成されているシール構造と、界面と流体連通し、界面に伝熱ガスを供給するように構成されている少なくとも1つの流路と、を含む。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理チャンバ用の基板支持台であって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートの上に配置されているエッジリングと、
前記エッジリングと前記ベースプレートとの間に位置し、前記エッジリングと前記ベースプレートとの間の界面を画定するように構成されているシール構造と、
前記界面と流体連通し、前記界面に伝熱ガスを供給するように構成されている少なくとも1つの流路と、を備える、
基板支持台。
【請求項2】
請求項1に記載の基板支持台であって、
前記界面は、前記エッジリングの下面と前記ベースプレートの上面との間に隙間を備える、
基板支持台。
【請求項3】
請求項2に記載の基板支持台であって、
前記隙間は、25ミクロン未満の深さを有する、
基板支持台。
【請求項4】
請求項1に記載の基板支持台であって、
前記シール構造は、第1の環状シールおよび第2の環状シールを含み、前記界面は、前記第1の環状シールと前記第2の環状シールとの間に画定される、
基板支持台。
【請求項5】
請求項4に記載の基板支持台であって、
前記シール構造は、前記第1の環状シールと前記第2の環状シールとの間に配置されている第3の環状シールを含み、前記第3の環状シールは、前記界面を第1の領域と第2の領域とに分割する、
基板支持台。
【請求項6】
請求項5に記載の基板支持台であって、
前記少なくとも1つの流路は、前記第1の領域と流体連通する第1の流路と、前記第2の領域と流体連通する第2の流路とを含み、前記第1の流路および前記第2の流路は、前記伝熱ガスを別々に受け入れるように構成されている、
基板支持台。
【請求項7】
請求項4に記載の基板支持台であって、
前記シール構造は、前記第1の環状シールと前記第2の環状シールとの間において半径方向に延びる2つ以上の方位角シールを含み、前記2つ以上の方位角シールは、前記界面を、前記伝熱ガスを別々に受け入れるように構成されている2つ以上の方位角ゾーンに分割する、
基板支持台。
【請求項8】
請求項1に記載の基板支持台であって、
前記エッジリングを前記界面に向けて下方に付勢するように構成されている支持リングをさらに備える、
基板支持台。
【請求項9】
請求項1に記載の基板支持台であって、
前記少なくとも1つの流路は、前記ベースプレートを貫通して設けられている、
基板支持台。
【請求項10】
請求項1に記載の基板支持台を備え、さらに、
前記少なくとも1つの流路を介して前記伝熱ガスを前記界面に供給するように構成されている伝熱ガス源を備える、
システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、
前記界面への前記伝熱ガスの供給を制御して前記エッジリングの温度を調整するように構成されているコントローラをさらに備える、
システム。
【請求項12】
基板処理チャンバ用の基板支持台であって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートの上に配置されているエッジリングであって、下面に第1の環状溝および第2の環状溝を含むエッジリングと、
前記第1の環状溝内に配置されている第1のシールと、
前記第2の環状溝内に配置されている第2のシールと、を備え、
前記第1のシールおよび前記第2のシールは、前記エッジリングと前記ベースプレートとの間の界面を画定し、前記界面は、伝熱ガス源と流体連通する、
基板支持台。
【請求項13】
請求項12に記載の基板支持台であって、
前記界面と流体連通し、前記伝熱ガス源から前記界面に伝熱ガスを供給するように構成されている少なくとも1つの流路をさらに備える、
基板支持台。
【請求項14】
請求項12に記載の基板支持台であって、
前記第1のシールおよび前記第2のシールは、Oリングで構成されている、
基板支持台。
【請求項15】
請求項12に記載の基板支持台であって、
前記第1のシールおよび前記第2のシールは、前記溝内に分配されているエラストマー材料で構成されている、
基板支持台。
【請求項16】
請求項12に記載の基板支持台を含み、
前記伝熱ガス源をさらに含む、
システム。
【請求項17】
請求項16に記載のシステムであって、
前記界面への前記伝熱ガスの供給を制御して前記エッジリングの温度を調整するように構成されているコントローラをさらに含む、
システム。
【請求項18】
基板処理チャンバ用の基板支持台であって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートの上に配置されているエッジリングと、
前記エッジリングと前記ベースプレートとの間であって前記エッジリングの下面に配置されているガスケットと、を備え、
前記ガスケットは、前記ベースプレートに向かって下方に延びる第1の環状リムおよび第2の環状リムを含み、前記第1の環状リムと前記第2の環状リムとの間にプレナムが画定され、前記プレナムは、伝熱ガス源と流体連通する、
基板支持台。
【請求項19】
請求項18に記載の基板支持台であって、
前記プレナムと流体連通し、前記伝熱ガス源から前記プレナムに伝熱ガスを供給するように構成されている少なくとも1つの流路をさらに含む、
基板支持台。
【請求項20】
請求項18に記載の基板支持台であって、
前記ガスケットは、熱接着剤によって前記エッジリングの前記下面に接合されている、
基板支持台。
【請求項21】
請求項18に記載の基板支持台を備え、さらに、
前記伝熱ガス源を備える、
システム。
【請求項22】
請求項21に記載のシステムであって、
前記プレナムへの前記伝熱ガスの供給を制御して前記エッジリングの温度を調整するように構成されているコントローラをさらに備える、
システム。
【請求項23】
基板処理チャンバ用の基板支持台であって、
ベースプレートと、
前記ベースプレートの上に配置されているエッジリングと、を備え、
前記エッジリングと前記ベースプレートとの間であって前記エッジリングの下面にプレナムが形成され、前記エッジリングの前記下面は、前記ベースプレートに向かって下方に延びる第1の環状リムおよび第2の環状リムを含み、前記プレナムは、前記第1の環状リムと前記第2の環状リムとの間に画定され、前記プレナムは、伝熱ガス源と流体連通する、
基板支持台。
【請求項24】
請求項23に記載の基板支持台であって、
前記プレナムと流体連通し、前記伝熱ガス源から前記プレナムに伝熱ガスを供給するように構成されている少なくとも1つの流路をさらに備える、
基板支持台。
【請求項25】
請求項23に記載の基板支持台を備え、さらに、
前記伝熱ガス源を備える、
システム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムであって、
前記プレナムへの前記伝熱ガスの供給を制御して前記エッジリングの温度を調整するように構成されているコントローラをさらに備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月2日出願の米国仮特許出願第63/004,055号の優先権の利益を主張する。上記の出願は、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システムにおけるエッジリング温度の制御に関する。
【背景技術】
【0003】
ここに提供される背景技術の記載は、本開示の背景を概略的に提示することを目的としている。この背景技術に記載されている範囲内での本発明者らの研究、およびその他の点で出願時に先行技術と認められない可能性がある記載の態様は、明示的にも暗示的にも、本開示に対する先行技術とは認められない。
【0004】
基板処理システムを用いて、半導体ウエハなどの基板を処理する場合がある。基板上で実行可能なプロセスの例としては、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)、導体エッチング、誘電体エッチング、および/または他のエッチング、堆積、もしくは洗浄プロセスが挙げられる(ただし、これらに限定されない)。基板処理システムの処理チャンバ内に設けられた台座や静電チャック(ESC:Electrostatic Chuck)などの基板支持台の上に基板を配置してもよい。エッチング時には、1種類以上のガスを含むエッチングガス混合物を処理チャンバ内に導入してもよく、プラズマを用いて化学反応を開始してもよい。
【0005】
基板支持台は、基板を支持するように配置されているセラミック層を含んでもよい。例えば、基板は、処理中にセラミック層に固定されてもよい。基板支持台は、セラミック層および基板の外周を囲むように配置されているエッジリングを含んでもよい。
【発明の概要】
【0006】
基板処理チャンバ用の基板支持台は、ベースプレートと、前記ベースプレートの上に配置されているエッジリングと、前記エッジリングと前記ベースプレートとの間に位置し、前記エッジリングと前記ベースプレートとの間の界面を画定するように構成されているシール構造と、前記界面と流体連通し、前記界面に伝熱ガスを供給するように構成されている少なくとも1つの流路と、を含む。
【0007】
他の特徴において、前記界面は、前記エッジリングの下面と前記ベースプレートの上面との間に隙間を含む。前記隙間は、25ミクロン未満の深さを有する。前記シール構造は、第1の環状シールおよび第2の環状シールを含み、前記界面は、前記第1の環状シールと前記第2の環状シールとの間に画定される。前記シール構造は、前記第1の環状シールと前記第2の環状シールとの間に配置されている第3の環状シールを含み、前記第3の環状シールは、前記界面を第1の領域と第2の領域とに分割する。前記少なくとも1つの流路は、前記第1の領域と流体連通する第1の流路と、前記第2の領域と流体連通する第2の流路とを含み、前記第1の流路および前記第2の流路は、前記伝熱ガスを別々に受け入れるように構成されている。前記シール構造は、前記第1の環状シールと前記第2の環状シールとの間で半径方向に延びる2つ以上の方位角シールを含み、前記2つ以上の方位角シールは、前記界面を、前記伝熱ガスを別々に受け入れるように構成されている2つ以上の方位角ゾーンに分割する。
【0008】
他の特徴において、前記基板支持台は、前記エッジリングを前記界面に向けて下方に付勢するように構成されている支持リングをさらに含む。前記少なくとも1つの流路は、前記ベースプレートを貫通して設けられている。システムは、前記基板支持台を含み、前記少なくとも1つの流路を介して前記伝熱ガスを前記界面に供給するように構成されている伝熱ガス源をさらに含む。コントローラは、前記界面への前記伝熱ガスの供給を制御して前記エッジリングの温度を調整するように構成されている。
【0009】
基板処理チャンバ用の基板支持台は、ベースプレートと、前記ベースプレートの上に配置されているエッジリングと、を含む。前記エッジリングの下面は、第1の環状溝および第2の環状溝を含む。前記第1の環状溝内に第1のシールが配置され、前記第2の環状溝内に第2のシールが配置される。前記第1のシールおよび前記第2のシールは、前記エッジリングと前記ベースプレートとの間の界面を画定し、前記界面は、伝熱ガス源と流体連通する。
【0010】
他の特徴において、前記基板支持台は、前記界面と流体連通し、前記伝熱ガス源から前記界面に伝熱ガスを供給するように構成されている少なくとも1つの流路をさらに含む。前記第1のシールおよび前記第2のシールは、Oリングで構成されている。前記第1のシールおよび前記第2のシールは、前記溝内に分配されているエラストマー材料で構成されている。システムは、前記基板支持台を含み、前記伝熱ガス源をさらに含む。コントローラは、前記界面への前記伝熱ガスの供給を制御して前記エッジリングの温度を調整するように構成されている。
【0011】
基板処理チャンバ用の基板支持台は、ベースプレートと、前記ベースプレートの上に配置されているエッジリングと、前記エッジリングと前記ベースプレートとの間であって前記エッジリングの下面に配置されているガスケットと、を含む。前記ガスケットは、前記ベースプレートに向かって下方に延びる第1の環状リムおよび第2の環状リムを含み、前記第1の環状リムと前記第2の環状リムとの間にプレナムが画定され、前記プレナムは、伝熱ガス源と流体連通する。
【0012】
他の特徴において、前記基板支持台は、前記プレナムと流体連通し、前記伝熱ガス源から前記プレナムに伝熱ガスを供給するように構成されている少なくとも1つの流路をさらに含む。前記ガスケットは、熱接着剤によって前記エッジリングの前記下面に接合されている。システムは、前記基板支持台を含み、前記伝熱ガス源をさらに含む。コントローラは、前記プレナムへの前記伝熱ガスの供給を制御して前記エッジリングの温度を調整するように構成されている。
【0013】
基板処理チャンバ用の基板支持台は、ベースプレートと、前記ベースプレートの上に配置されているエッジリングと、を含む。前記エッジリングと前記ベースプレートとの間であって前記エッジリングの下面にプレナムが形成され、前記エッジリングの前記下面は、前記ベースプレートに向かって下方に延びる第1の環状リムおよび第2の環状リムを含み、前記プレナムは、前記第1の環状リムと前記第2の環状リムとの間に画定され、前記プレナムは、伝熱ガス源と流体連通する。
【0014】
他の特徴において、前記基板支持台は、前記プレナムと流体連通し、前記伝熱ガス源から前記プレナムに伝熱ガスを供給するように構成されている少なくとも1つの流路をさらに含む。システムは、前記基板支持台を含み、前記伝熱ガス源をさらに含む。コントローラは、前記プレナムへの前記伝熱ガスの供給を制御して前記エッジリングの温度を調整するように構成されている。
【0015】
本開示のさらなる適用分野は、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から明らかとなる。なお、詳細な説明および具体例は、例示を目的とするに過ぎず、本開示の範囲を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本開示は、以下の詳細な説明および添付の図面から、より十分に理解されることとなる。
【0017】
図1図1は、本開示に係る例示的な基板処理システムを示す図である。
【0018】
図2A図2Aは、本開示の原理に係る例示的な基板支持台を示す図である。
【0019】
図2B図2Bは、本開示の原理に係る、方位角ゾーンを画定する例示的なシールを備えたエッジリングの底面図である。
【0020】
図3A図3Aは、本開示の原理に係る例示的なエッジリングおよびシールを示す図である。
図3B図3Bは、本開示の原理に係る例示的なエッジリングおよびシールを示す図である。
図3C図3Cは、本開示の原理に係る例示的なエッジリングおよびシールを示す図である。
【0021】
図面において、類似および/または同一の要素を特定するために同じ参照符号を繰り返し用いる場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
基板処理チャンバにおいて、エッジリングの温度は、基板の外縁部におけるエッチング速度および均一性などの処理パラメータに影響を与える。エッジリングは処理環境(プラズマを含む)に曝露され、熱を吸収する。したがって、エッジリングの温度は処理中に変化し、エッジリングの温度を制御することで、再現性のあるエッチング速度およびプロセス均一性の達成を図ることができる。
【0023】
いくつかの例では、エッジリングは、基板支持台のベースプレートまたは下部リングと熱接触するように配置される。例えば、ベースプレートは、エッジリングのヒートシンクとして機能してもよく、熱は、エッジリングとベースプレートとの間の界面を介して伝達される。いくつかの例では、熱界面材料(例えば、ゲル、ペースト、パッドなどのシリコーン系材料)がエッジリングとベースプレートとの間に設けられ、エッジリングからベースプレートへの熱伝達を促進する。ベースプレートは、冷却剤を流通させてベースプレート外部へ熱を伝達するように構成されている冷却剤流路を含んでもよい。
【0024】
エッジリングと基板支持台との直接的な伝熱接触を用いて、または熱界面材料と組み合わせてエッジリングの温度を制御することは、受動的な温度制御しか得られない。例えば、エッジリングの温度は、処理チャンバに供給される無線周波数(RF)電力、界面および/または界面材料の熱伝導率、ならびに接触面積に応じて変化する。したがって、エッジリングから外部への熱伝達に対応する伝熱特性(例えば、熱伝達率)は、ハードウェアまたは熱界面材料などの材料を変更しなければ変更することができない。
【0025】
さらに、熱界面材料(例えば、シリコーンゲルまたはペースト)は設置が難しく、すべてのプロセスチャンバにおいて一貫した特性を有しない場合があり、かつ/または、熱界面材料の特性が時間と共に変化する場合があり、これがエッジリングの温度ドリフトの原因となる場合がある。例えば、熱界面材料はプロセス材料(例えば、プラズマ)に曝露されて、その伝熱特性がさらに低下する場合がある。エッジリングを交換するには、熱界面材料を除去するために基板支持台を全面的に洗浄する必要がある。
【0026】
本開示に係るシステムおよび方法は、エッジリングとベースプレートとの間の界面に伝熱ガス(例えば、ヘリウムおよび/または他の適切な不活性伝熱ガス)を供給して、温度制御を容易にする。伝熱ガスの圧力を制御して、処理中の伝熱特性を調整してもよい。例えば、エッジリングの底面は、エッジリングとベースプレートとの間の界面に伝熱ガスを封入するように構成されている一体型または接合型(すなわち、付着型)シールを含むシール構造を含んでもよい。伝熱ガスの圧力は、処理チャンバ間の差異を補償するように調整されてもよいし、かつ/または、処理中に調整されてもよい。
【0027】
ここで図1に、例示的な基板処理システム100を示す。あくまでも一例として、基板処理システム100を用いて、RFプラズマおよび/または他の適切な基板処理によるエッチングを行ってもよい。基板処理システム100は、基板処理システム100における他の構成要素を囲むとともにRFプラズマを収容する処理チャンバ102を含む。基板処理チャンバ102は、上部電極104と、ESCなどの基板支持台106とを含む。動作中、基板108は基板支持台106の上に配置される。特定の基板処理システム100および処理チャンバ102を一例として示しているが、本開示の原理は、インサイチュでプラズマを生成する基板処理システムや、(例えば、プラズマ管やマイクロ波管を用いた)遠隔プラズマの生成および供給を実施する基板処理システムなど、他の種類の基板処理システムおよび処理チャンバに適用されてもよい。
【0028】
あくまでも一例として、上部電極104は、プロセスガスを導入し分配するシャワーヘッド110などのガス分配装置を含んでもよい。シャワーヘッド110は、一端が処理チャンバ102の上面に接続されたステム部を含んでもよい。基部は、略円筒形であり、処理チャンバの上面から離れた位置で、ステム部の反対端から半径方向外側に延びている。シャワーヘッド110の基部の基板対向面またはフェースプレートは、プロセスガスまたはパージガスが通過する複数の孔を含む。あるいは、上部電極104は導電板を含んでもよく、プロセスガスは別の方法で導入されてもよい。
【0029】
基板支持台106は、下部電極として機能する導電性ベースプレート112を含む。ベースプレート112は、セラミック層114を支持する。セラミック層114とベースプレート112との間に、接合層(例えば、接着剤および/または熱接合層)116が配置されてもよい。ベースプレート112は、ベースプレート112に冷却剤を流通させるための1つ以上の冷却剤流路118を含んでもよい。基板支持台106は、基板108の外周を囲むように配置されているエッジリング120を含んでもよい。
【0030】
RF発生システム122は、RF電圧を発生させ、上部電極104および下部電極(例えば、基板支持台106のベースプレート112)の一方に出力する。上部電極104およびベースプレート112の他方は、DC接地されていてもよいし、AC接地されていてもよいし、浮動状態であってもよい。本例では、RF電圧は下部電極に供給される。あくまでも一例として、RF発生システム122は、整合分配ネットワーク126によって上部電極104またはベースプレート112に供給されるRF電圧を発生させるRF電圧発生器124を含んでもよい。他の例として、プラズマを誘導的に発生させてもよいし、遠隔的に発生させてもよい。なお、ここではRF発生システム122を容量結合プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)システムに対応するものとして例示しているが、本開示の原理は、他の好適なシステム(あくまでも一例として、トランス結合プラズマ(TCP:Transformer Coupled Plasma)システム、CCPカソードシステム、リモートマイクロ波プラズマ発生供給システムなど)において実施してもよい。
【0031】
ガス供給システム130は、1つ以上のガス源132-1、132-2・・・132-N(ガス源132と総称する)を含む。ここで、Nはゼロより大きい整数である。ガス源は、1種類以上のエッチングガスおよびその混合物を供給する。さらに、ガス源はキャリアガスおよび/またはパージガスを供給してもよい。ガス源132は、バルブ134-1、134-2・・・134-N(バルブ134と総称する)、およびマスフローコントローラ136-1、136-2・・・136-N(マスフローコントローラ136と総称する)によってマニホールド140に接続される。マニホールド140の出力は、処理チャンバ102に供給される。あくまでも一例として、マニホールド140の出力は、シャワーヘッド110に供給される。
【0032】
温度コントローラ142は、冷却材アセンブリ146と通信して、流路118を流れる冷却材の流れを制御してもよい。例えば、冷却材アセンブリ146は、冷却材ポンプおよびリザーバを含んでもよい。温度コントローラ142は、冷却材アセンブリ146を動作させて冷却材を選択的に流路118に流通させることにより、基板支持台106を冷却する。
【0033】
バルブ150およびポンプ152を用いて、処理チャンバ102から反応物を排出してもよい。システムコントローラ160を用いて、基板処理システム100の構成要素を制御してもよい。ロボット170を用いて、基板を基板支持台106に載置したり、基板支持台106から取り出したりしてもよい。例えば、ロボット170は、基板支持台106とロードロック172との間で基板を搬送してもよい。なお、温度コントローラ142とシステムコントローラ160とを別々のコントローラとして図示しているが、温度コントローラ142をシステムコントローラ160の内部に実装してもよい。
【0034】
本開示に係る基板支持台106では、エッジリング120とベースプレート112の上面との間に界面180が画定される。例えば、エッジリング120は、ベースプレート112の上面に接触し、かつこれに支持されてもよい。界面180には、伝熱ガス源182からヘリウムなどの伝熱ガスが供給される。伝熱ガスは、エッジリング120の冷却(すなわち、エッジリング120からベースプレート112への熱伝達)を促進する。なお、伝熱ガス源182を別個に図示しているが、伝熱ガス源182はガス供給システム130の内部に実装されてもよい。温度コントローラ142(および/またはシステムコントローラ160)は、界面180に供給される伝熱ガスの圧力を調整して、エッジリング120の温度を調整するように構成されてもよい。
【0035】
次に、図2Aは、本開示に係る例示的な基板支持台200の一部を示す図である。基板支持台200は、基板204を支持するように構成されている。基板支持台200は、ベースプレート(例えば、導電性ベースプレート)208およびセラミック層212を含み、いくつかの例では、セラミック層212とベースプレート208との間に配置されている接合層214をさらに含む。ベースプレート208は、ベースプレート208に冷却剤を流通させるための1つ以上の冷却剤流路216を含んでもよい。基板支持台200は、基板204の外周を囲むように配置されているエッジリング220を含む。
【0036】
基板支持台200は、ヘリウムなどの伝熱ガスを伝熱ガス源228からエッジリング220とベースプレート208との間の界面232に(例えば、エッジリング220の裏側に)供給するように配置されている1つ以上の流路224(例えば、ベースプレート208の周りに環状に離間して配置されている1~10本の流路224)を含む。例えば、流路224は、ベースプレート208を貫通して設けられ、界面232と流体連通している。界面232は、例示として小さな隙間を有するように図示されているが、エッジリング220はベースプレート208の上面に直接支持されてもよい。伝熱ガスにより、エッジリング220の温度制御が容易になる。
【0037】
温度コントローラ236は、冷却剤アセンブリ240と通信して、流路216を流れる冷却剤の流れを制御する。温度コントローラ236は、伝熱ガス源228と通信して、(例えば、図1で上述したガス供給システム130などのガス供給システムにおけるバルブを介して)伝熱ガスの流れを制御する。温度コントローラ236はまた、冷却剤アセンブリ240を動作させて冷却材を選択的に流路216に流通させることにより、基板支持台200を冷却してもよい。温度コントローラ236は、別個のコントローラでもよいし、システムコントローラ244内に実装されるなどの態様でもよい。
【0038】
温度コントローラ236は、基板支持台200およびエッジリング220の検知温度および/またはモデル化された温度やプロセスパラメータなどに部分的に基づいて、エッジリング220の温度を測定および/または計算するように構成されてもよい。例えば、温度コントローラ236は、1つ以上の温度センサ(図示せず)を用いて測定された基板支持台200およびエッジリング220の温度に従って、エッジリング220の温度を特定する。他の例では、温度コントローラ236は、モデルの出力など、他の測定値および/または推定値を用いてエッジリング220の温度を計算するように構成されてもよい。例えば、温度コントローラ236は、直接検知された温度、および/またはエッジリング220の温度の計算に用いられる他のプロセスパラメータに対応する1つ以上の信号252を受信してもよい。
【0039】
温度コントローラ236は、伝熱ガス源228と基板支持台200との間に配置されている1つ以上のセンサ256から、伝熱ガスの流量および/または圧力を特定してもよい。例えば、センサ256は、界面232に供給される伝熱ガスの流量(および/または圧力)を測定するセンサに対応してもよい。温度コントローラ236は、特定したエッジリング220の温度と、エッジリング220の所望の温度とに基づいて、伝熱ガスの圧力を調整するように構成されている。言い換えれば、温度コントローラ236は、エッジリング220の温度を昇降させて所望の温度を達成するために(例えば、プラズマ端シースを調整するために)、伝熱ガスの圧力を増減させてもよい。
【0040】
この例では、エッジリング220の底面は、界面232内に伝熱ガスを封入するように構成されている一体型または接合型(すなわち、付着型)シール260などのシール構造を含む。例えば、シール260は、Oリング、またはエラストマーもしくはシリコーン材料で構成されている他のシール構造であってもよい。いくつかの例では、エッジリング220の底面および/またはベースプレート208の上面は、シール260を収容するように構成されている1つ以上の凹部または溝を含んでもよい。シール260間の距離を変化させて、界面232の幅を変化させてもよい。シール260は、処理環境(例えば、プラズマ/真空環境)内に伝熱ガスが漏れるのを防止する。またその逆に、シール260は、処理環境内の真空状態が失われるのを防止する。
【0041】
エッジリング220は、シール260を圧縮するように、ベースプレート208に向けて下方に付勢されてもよい。例えば、エッジリング220の下面がベースプレート208の上面に接触し、環状方向および半径方向の両方において一貫した隙間(例えば、1~25ミクロンの深さの隙間)が維持されるように、エッジリング220が下方に付勢されてもよい。隙間が小さいほど伝熱特性は向上するため、隙間を最小化して、伝熱ガスを介したエッジリング220からベースプレート208への熱伝達を最大化する。
【0042】
図示するように、エッジリング220は、エッジリング220を支持リング268に向かって引っ張るように構成されているネジ264などの締結具によって下方に付勢される。いくつかの例では、リニアアクチュエータ270が支持リング268を下方に引っ張るように構成され、それによってエッジリング220が下方に引っ張られる。例えば、支持リング268は、外側リング272(例えば、石英または他の絶縁性材料で構成されているリング)の上に配置されてもよい。リニアアクチュエータ270の外面と、外側リング272を貫通して支持リング268内に延びる流路の内面とは、相補的にねじ山が設けられてもよい。
【0043】
エッジリング220と支持リング268を別個の部品として図示しているが、他の例において、エッジリング220と支持リング268は単一の一体部品を構成してもよい。エッジリング220に作用する下向きの力は、シール260の上向きの付勢力および界面232内の伝熱ガスの圧力に抗して、エッジリング220をベースプレート208の上面に対して保持する。他の例において、別の固定機構が用いられてもよい。支持リング268と外側リング272との間、ベースプレート208と外側リング272との間などに、真空破壊として1つ以上のシール(例えば、Oリング(図示しない))が設けられてもよい。
【0044】
いくつかの例では、任意の構成としての別のシール280をシール260間に配置して、界面232を2つの別々の領域およびそれぞれの隙間(すなわち、内側および外側環状領域)に分割してもよい。この例では、伝熱ガスを異なる領域に別々に供給し、エッジリング220の異なる半径方向領域における熱伝達(およびそれぞれの温度)を別々に制御して、半径方向の不均一性を補償してもよい。他の例において、追加のシール(図示しない)を設けて、界面232を複数の別々の領域にさらに分割してもよい。他の例において、各々が対応する領域と流体連通する複数の伝熱ガス源が設けられてもよい。
【0045】
一例として、単一の伝熱ガス源228が、すべての流路224に伝熱ガスを供給する。他の例において、複数の伝熱ガス源228を設けて、流路224のそれぞれに別々に伝熱ガスを供給してもよい。例えば、図2Bには、シール260がエッジリング220の内周から外周まで半径方向に延びる複数の方位角シール284をさらに含んだ構成のエッジリング220の底面図が示されている。シール284は、界面232を複数の方位角ゾーン288に分離する。伝熱ガスは、流路224のそれぞれを介して各ゾーン288に別々に供給されてもよい。このようにして、各ゾーン288からの熱伝達(従って、それとともに各ゾーン288の温度)を別々に制御して、方位角方向の不均一性を補償してもよい。
【0046】
図3Aおよび図3Bは、本開示に係るシール構造308の実装形態を含む、他の例示的なエッジリング300および304をそれぞれ示す図である。図3Aにおいて、シール構造308は、エッジリング300の底面312の中に、またはその上に直接一体化されている。例えば、底面312は、シール構造308の内側部分308-1および外側部分308-2(例えば、Oリング)をそれぞれ保持するように構成されている内側溝320および外側溝324を画定する下方部316を含む。エッジリング300の外側部分(例えば、肩部)の底面312は、略平坦である。
【0047】
一例として、シール構造308の内側部分308-1および外側部分308-2は、溝320および324内に(例えば、接着剤を用いて)接合される。別の例では、内側部分308-1および外側部分308-2の一方または両方は、接着剤なしでそれぞれ溝320および324内に保持されてもよい。例えば、シール構造308の外側部分308-2は、溝324よりもわずかに小さい直径を有していてもよく、伸長されて溝324に挿入される。逆に、シール構造308の内側部分308-1は、溝320よりもわずかに大きい直径を有していてもよく、圧縮されて溝に挿入される。さらに別の例では、シール構造308は、溝320および324に直接分配されるエラストマー、シリコーン、エポキシなどで構成されている。
【0048】
従って、図3Aに示す例では、エッジリング300を設置または除去する際に、別途設置または除去を行うことなく、シール構造308を設置および/または除去することができる。さらに、エッジリング300が(例えば、調整用に)移動可能な例の場合、シール構造308は、エッジリング300とともに自動的に昇降される。これらの例では、エッジリング300の上昇時に伝熱ガスの供給を停止してもよい。
【0049】
図3Bに示す例では、下方部316は略平坦であり、溝320および324を含まない。その代わりに、シール構造308は、下方部316に直接接合される熱界面材料で構成されているガスケット328に相当する。例えば、ガスケット328は、熱接着剤332によって下方部316に接合される。ガスケット328は、プレナム344を画定する、下方に延びる内側リム336および外側リム340を含み、伝熱ガスは、プレナム344に供給される。リム336および340は、ベースプレートの上面に対して圧縮され、プレナム344内に伝熱ガスを封入する。あくまでも例示として、プレナム344は、一貫した所望の深さ(例えば、1~25ミクロン)を得るためにレーザによってガスケット328の下面にエッチングされてもよい。
【0050】
図3Cは、本開示に係る別の例示的なエッジリング348を示す図である。この例では、シール構造308は、エッジリング300の底面312に形成されたプレナム352を含み、下方に延びる内側リム356および外側リム360がプレナム352を画定している。プレナム352には、伝熱ガスが供給される。リム356および360は、ベースプレートの上面に対して圧縮され、図3Bに示した例と同様の態様で、プレナム352内に伝熱ガスを封入する。例えば、リム356および360の下面は滑らか(すなわち、平坦)であり、いくつかの例では、エッジリング348とベースプレートの上面との間のシール性を高めるために研磨されてもよい。
【0051】
あくまでも例示として、プレナム352は、エッジリング348の底面312に直接エッチングされてもよい。例えば、プレナム352は、一貫した所望の深さ(例えば、1~25ミクロン)を得るためにレーザ(例えば、レーザアブレーション)によってエッチングされてもよい。他の例では、エッジリング348を機械加工してプレナム352を形成してもよい。
【0052】
上述の記載は本質的に例示に過ぎず、本開示、その用途、または使用を限定することを何ら意図していない。本開示の広範な教示内容は、種々の形態で実施可能である。したがって、本開示には特定の例が含まれているが、図面、明細書、および下記の特許請求の範囲を詳しく調べることにより、他の変更形態も明らかになるため、本開示の真の範囲はそれらに限定されるべきではない。また、方法における1つ以上の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことを理解されたい。さらに、各実施形態について特定の特徴を有するものとして説明したが、本開示のいずれかの実施形態に関連して説明したこれらの特徴のいずれか1つ以上を、他の実施形態のいずれかの特徴に含めて、かつ/または(明示されてなくとも)組み合わせて実施してもよい。すなわち、上述した実施形態は相互に排他的ではなく、1つ以上の実施形態を互いに置き換えることも本開示の範囲内である。
【0053】
要素間(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間など)の空間的および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接する」、「次の」、「の上に」、「の上方に」、「の下方に」、「配置されている」などを含む種々の用語を用いて説明される。「直接的に」と明示されていない限り、上記の開示において第1の要素と第2の要素との関係が説明されている場合、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係とすることもできるし、第1の要素と第2の要素との間に1つ以上の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係とすることもできる。本明細書において使用される場合、「A、B、およびCの少なくとも1つ」という表現は、非排他的論理和を用いて論理(AまたはBまたはC)を意味すると解釈されるべきであり、「Aのうち少なくとも1つ、Bのうち少なくとも1つ、およびCのうち少なくとも1つ」を意味すると解釈すべきでない。
【0054】
いくつかの実装形態において、コントローラはシステムの一部であり、システムは上述した例の一部であってもよい。このようなシステムは、1つ以上の処理ツール、1つ以上のチャンバ、1つ以上の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理用コンポーネント(ウエハ台座やガス流量システムなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、処理後におけるシステムの動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。電子機器は「コントローラ」と呼ぶこともでき、1つ以上のシステムの様々なコンポーネントまたはサブ部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示したいずれのプロセスも制御するようにプログラムされてもよい。これらのプロセスには、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツールに対するウエハの搬入出、ならびに、特定のシステムと接続または連携されたその他の移送ツールおよび/またはロードロックに対するウエハの搬入出が含まれる。
【0055】
広義には、コントローラは、様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよく、命令の受信、命令の送出、動作の制御、洗浄動作の有効化、エンドポイント測定の有効化などを行う。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアとしてのチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または1つ以上のマイクロプロセッサ、もしくはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個別の設定(またはプログラムファイル)としてコントローラに通信される命令であってもよく、半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ用に、またはシステムに対して、特定のプロセスを実施するための動作パラメータを定義する。いくつかの実施形態において、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウエハダイの製造において1つ以上の処理工程を達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0056】
いくつかの実装形態において、コントローラは、コンピュータの一部であってもよいし、コンピュータに結合されていてもよい。ここで、コンピュータは、システムと一体化しているか、システムに結合されているか、その他の形でシステムとネットワーク接続されているか、これらを組み合わせた形態をとる。例えば、コントローラは、「クラウド」上に存在してもよいし、工場ホストコンピュータシステムのすべてまたは一部に存在してもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能になる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを有効化して、製造工程の進捗状況の監視、過去の製造工程履歴の調査、または複数の製造工程から傾向もしくは性能指標の調査を行うことができ、現在の処理のパラメータを変更したり、現在の処理に続く処理工程を設定したり、新たなプロセスを開始したりできる。いくつかの例において、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)からシステムに対して、ネットワークを介してプロセスレシピを提供できる。ここで、ネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力やプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでもよい。これらのパラメータおよび/または設定はその後、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、データとして命令を受信する。このデータは、1つ以上の動作において実行される各処理工程のパラメータを指定する。なお、これらのパラメータは、実行するプロセスの種類、およびコントローラが連携または制御するように構成されているツールの種類に対して固有のパラメータであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、1つ以上の個別のコントローラを備えることなどによって分散されてもよい。これらの個別のコントローラはネットワーク化され、本明細書に記載のプロセスおよび制御といった共通の目的に向けて動作する。このような目的のための分散コントローラの一例として、(例えばプラットフォームレベルで、または遠隔コンピュータの一部として)遠隔設置された1つ以上の集積回路と通信するチャンバに搭載された1つ以上の集積回路が挙げられる。これらの集積回路は協働して、チャンバにおけるプロセスを制御する。
【0057】
システムの非限定的な例として、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、PVDチャンバまたはモジュール、CVDチャンバまたはモジュール、ALDチャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE:Atomic Layer Etch)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製造および/または生産に関連するかもしくは使用可能なその他のあらゆる半導体処理システムが挙げられる。
【0058】
上述した通り、ツールによって実行される1つ以上のプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはツールモジュール、他のツールコンポーネント、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、付近のツール、工場内の各所に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハコンテナの受け渡しを行う材料輸送で使用されるツールのうち、1つ以上と通信してもよい。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
【国際調査報告】