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特表2023-520122充電式リチウムイオン電池用の正極活物質の調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-16
(54)【発明の名称】充電式リチウムイオン電池用の正極活物質の調製方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20230509BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20230509BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
C01G53/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022549346
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2021053813
(87)【国際公開番号】W WO2021165282
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】62/977,501
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20157841.6
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/063466
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501094270
【氏名又は名称】ユミコア
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クォンサン・ロ
(72)【発明者】
【氏名】スンファン・イ
(72)【発明者】
【氏名】マキシム・ブランジェロ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール・トノン
(72)【発明者】
【氏名】リアン・ジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジヘ・キム
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB02
4G048AB03
4G048AC06
4G048AD04
4G048AE05
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB12
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA27
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA14
(57)【要約】
Li、M、およびOを含む粒子を有するリチウムイオン二次電池用の粉末状正極活物質であって、該粒子が0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有し、該粉末状正極活物質は、該粉末が少なくとも4.0μmかつ最大6.0μmのD50を有する場合に、該粉末が少なくとも0.10かつ最大0.30の流動度を有し、または該粉末が6.0μm超かつ最大10.0μmのD50を有する場合に、該粉末が少なくとも0.10かつ最大0.20の流動度を有することを特徴とし、D50は粉末の中央粒径である、粉末状正極活物質。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Li、M、およびOを含む粒子を有するリチウムイオン電池用の粉末状正極活物質の製造プロセスであって、Mが、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量xのCo、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量yのMn、
W、Al、およびSiの少なくとも1つの元素からなる群の少なくとも1つの元素を含む、0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量cのA、
Mg、Nb、Zr、B、およびTiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量zのD、および
(100-x-y-c-z)モル%の含有量のNiからなり
前記粒子が0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有し、前記プロセスが、
リチウム供給源、ニッケル供給源、コバルト供給源、マンガン供給源、および任意でDの供給源を含む粉末混合物を調製する工程と、
少なくとも300℃かつ最大1000℃の温度で前記粉末混合物を焼成して、凝集した焼成体を得る工程と、
前記凝集した焼成体を粉砕して圧砕粉末を得る工程を含み、
前記プロセスがW、Al、およびSiの少なくとも1つの元素の供給源を前記凝集した焼成体と一緒に粉砕することを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
前記凝集した焼成体を粉砕する工程で得られた前記圧砕粉末が、少なくとも4.0μmかつ最大10.0μmである中央粒径D50を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記凝集した焼成体を粉砕する工程が空気分級ミルで実施される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記W、Al、およびSiの少なくとも1つの元素の前記供給源がナノメートルサイズの酸化物粉末であり、前記凝集した焼成体が得られる焼成工程の後に添加される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
AがAlを含み、前記Al供給源がAlである、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記Al供給源が、前記凝集した焼成体中のNi、Mn、およびCoのモル含有量の合計に対して0.08モル%以上かつ1.50モル%以下のAlのモル含有量に等しい量で、粉砕工程で添加される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
AがSiを含み、前記Si供給源がSiOである、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記Si供給源が、前記凝集した焼成体中のNi、Mn、およびCoの総モル含有量に対して、0.36モル%以上かつ1.45モル%以下の前記Siのモル含有量に等しい量で、粉砕工程で添加される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
AがWを含み、前記W供給源がWOである、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記W供給源が、前記凝集した焼成体中のNi、Mn、およびCoのモル含有量の合計に対して、0.20モル%以上かつ0.35モル%以下のWのモル含有量に等しい量で、粉砕工程で添加される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記リチウム供給源が、LiCO、LiCO・HO、LiOH、LiOH・HOまたはLiOからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記圧砕粉末が粉末状正極活物質である、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
5モル%≦x≦35モル%および5モル%≦y≦35モル%であり、
Mが0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量bのBを含み、
Mが0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量wのWを含み、
Mが0モル%以上かつ1.99モル%以下の含有量mのZrを含み、
粉末混合物を調製する工程が、Ni系前駆体、Li供給源、および任意でZrおよびAの供給源を混合して、第1混合物を得ることを含み、
前記粉末混合物を前記焼成する工程において、前記第1混合物が前記粉末混合物であり、前記第1混合物を少なくとも700℃の第1温度で焼結して第1焼結体を得て、
前記凝集した焼成体を前記粉砕する工程において、前記凝集した焼成体が前記第1焼結体であり、W供給源を前記凝集した焼成体と一緒に粉砕してWを含む圧砕粉末を得て、
前記プロセスが、前記圧砕粉末をB供給源と混合して第2混合物を得る工程を含み、
前記プロセスが、前記第2混合物を少なくとも300℃かつ最大750℃の第2温度に熱処理する工程を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
Li、M、およびOを含む粒子を有する粉末状材料であって、Mが、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量xのCo、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量yのMn、
W、Al、およびSiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量cのA、
Mg、Nb、Zr、BおよびTiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量zのD、および
(100-x-y-c-z)モル%の含有量のNiからなり、
前記粒子が0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有し、
前記粉末状前駆体が、最大で0.30の粉末の流動度を有し、前記流動度が230cmの容積を有する直径6インチの環状剪断セルで測定され、いくつかの主圧密応力で測定された単軸破壊強度の実験結果にフィッティングされた直線の傾きである、粉末状材料。
【請求項15】
前記粉末状材料が粉末状正極活物質を製造するための前駆体化合物であり、5モル%≦x≦35モル%、5モル%≦y≦35モル%であり、
Mが0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量wのWを含み、
Mが0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量mのZrを含み、
前記粉末状前駆体が0.20未満、好ましくは0.10超の粉末の流動度を有する、請求項14に記載の粉末状材料。
【請求項16】
前記粉末状材料がリチウムイオン電池用の正極活物質であり、前記粉末状材料が少なくとも4.0μmかつ最大10.0μmのD50を有し、
前記粉末状材料が少なくとも4.0μmかつ最大6.0μmのD50を有する場合に、前記粉末状材料が少なくとも0.10かつ最大0.30の流動度を有し、
前記粉末状材料が6.0μm超かつ最大10.0μmのD50を有する場合に、前記粉末状材料が少なくとも0.10かつ最大0.225の流動度を有し、D50が前記粉末状材料の中央粒径である、請求項14に記載の粉末状材料。
【請求項17】
前記粒子が、XANASによって測定して、0.40超のw/(w+w)比を有し、wが前記活物質に含有されるLiWOのwt%であり、wが前記活物質に含有されるWOのwt%であることを特徴とする、請求項15または16に記載の粉末状正極活物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリチウムイオン二次電池用の粉末状正極活物質の調製プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明はリチウムイオン二次電池用の粉末状正極活物質の調製プロセスに関する。粉末状正極活物質は、Li、M、およびOを含む粒子を有し、Mは、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量xのCo、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量yのMn、
W、Al、およびSiの少なくとも1つの元素からなる群の少なくとも1つの元素を含む、0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量cのA、
Mg、Al、Nb、Zr、B、W、およびTiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量zのD、および
(100-x-y-c-z)モル%の含有量のNiからなる。
【0003】
粒子は、0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有する。
【0004】
具体的には、粉末状正極活物質は、一般式:LiNi1-x-y-c-zCoMnを有し、Aの少なくとも1つの酸化物を含有する粒子を含み、Aは該粉末中に0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量で存在し、また0.98≦a≦1.10、0.05≦x≦0.40、0.00≦y≦0.40、0.00≦z≦0.02、1.80≦d≦2.20である。
【0005】
プロセスは、
リチウム供給源、ニッケル供給源、コバルト供給源、マンガン供給源、および任意でDの供給源を含む第1粉末混合物を調製する工程と、
少なくとも300℃かつ最大1000℃の温度で粉末混合物を焼成して凝集した焼成体を得る工程と、
凝集した焼成体を粉砕して前述の粉末状正極活物質を得る工程を含む。
【0006】
本発明の枠組みでは、熱処理プロセスによって粉末を焼成する工程を適用することにより、凝集した焼成体を生成する。したがって、凝集した焼成体は前述の焼成プロセスから得られる生成物であり、一緒に集まって所定の中央値のサイズを有する粒子のクラスター(の集合)を形成する、粒子を含む凝集形状を有する。前述のクラスターは、凝集した焼成体のサイズよりも小さい中央値サイズを有する粉末に分解することができる。
【0007】
そのような粉末状正極活物質を調製するそのようなプロセスは、例えば、国際公開第2019/185349号(以下、WO’349で参照)で既に知られている。
【0008】
WO’349によるプロセスの欠点は、凝集した焼成体を粉砕して粉末状正極活物質を得る工程のスループットが低いことである。粉砕工程によって凝集した焼成体を中間生成物として粉末状正極活物質に変換して、該中間生成物をさらに加工して最終的な粉末状正極活物質生成物を得るか、または粉末状正極活物質の最終生成物を構成する粒子の凝集したクラスターを崩壊させて、目標の粒子サイズおよびその特定の分布を満たすようにするかのいずれかを行なうことができるため、この粉砕工程は必須である。さらに、カソード中に最終的な粉末状正極活物質生成物を組み込むには一体成形工程が必要であり、それは粉末がスラリー分散液中で凝集しない場合に最適化される。
【0009】
粉末状正極活物質の流動性が低いことに関連するこの低いスループットは、最終的に低い生産比率につながる(すなわち、生成される粉末状正極活物質の量とそれを生成するために費やされる時間の比率が低い)。
【0010】
流動性は、通常、より徹底的な粉砕によっては改善することができないことに留意されたい。むしろ逆であり、より微細な粉末は、典型的にはより粗いものよりも流動性が悪く、そうでなければ同様の粉末である。
【0011】
実際、低い流動性は、該正極材料の製造プロセス全体の能力を低下させるボトルネック効果の原因となる。製造プロセスにおいてボトルネックを有することの結末は、生産の停滞、調達在庫過剰、および顧客からの圧力になる。
【0012】
したがって、現在、改善され制御された流動性を有する粉末状正極活物質を設計し、それによって、より高いスループットで該粉末状正極活物質を製造するプロセスを実現する必要がある。
【0013】
改善された流動性を有する粉末状正極活物質とは、D50を該粉末状正極活物質の中央粒径として定義して(およびμmで表して)、例えば、セクション1.4に記載の方法にしたがって測定して、それが、4.0μm≦D50≦6.0μmの場合に0.10≦FI≦0.30、または6.0μm<D50≦10.0μmの場合に0.10≦FI≦0.225である流動度FIを有する粉末状正極活物質であると理解されたい。
【0014】
正極活物質は、正極において電気化学的に活性である材料として定義される。活物質とは、所定の時間にわたって電圧変化にさらされたときにLiイオンを捕捉及び放出することができる物質であると理解されたい。
【0015】
この文書では、流動度は、230cmの容積を有する直径6インチの環状剪断セルで測定され、いくつかの主圧密応力において測定された単軸破壊強度の実験結果に最小二乗法によってフィッティングされた直線の傾きとして定義される。
【0016】
流動度は、製造業者が提供する標準ソフトウェアを使用し、このソフトウェアの標準設定である1時間に1回転のねじり速度および1mm/秒の軸方向速度を使用して、粉末の流動度を測定する公知の有力な機器であるBrookfield PFT粉末流量試験機で測定する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
D50を該粉末状正極活物質の中央粒径として定義して、4.0μm≦D50≦6.0μmの場合に0.10≦FI≦0.30、または6.0μm<D50≦10.0μmの場合に0.10≦FI≦0.20の流動度FIを有する粉末状正極活物質を設計する目的は、請求項1に記載のプロセスの提供によってみたされる。請求項1に記載のプロセスによって、それから製造される粉末状正極活物質の流動度を制御することができる。
【0018】
実際、表9の結果に示すように、EX1、EX2、およびEX3.1によるプロセスから得られた粉末状正極活物質の流動度が改善することが観察される。実際、EX1.1、EX1.2、EX2.1、EX2.2、EX3.1、およびEX3.2による粉末状正極活物質は、4.0μm≦D50≦6.0μmの場合に≦0.30の流動度値および6.0μm<D50≦10.0μmの場合に≦0.20の流動度値を示す。
【0019】
本発明は、以下の実施形態に関する。
【0020】
実施形態1
第1の態様では、本発明は、Li、M、およびOを含む粒子を有するリチウムイオン二次電池用の粉末状正極活物質の製造プロセスに関し、Mは、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量xのCo、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量yのMn、
W、Al、およびSiの少なくとも1つの元素からなる群の少なくとも1つの元素を含む、0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量cのA、
Mg、Al、Nb、Zr、B、W、およびTiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量zのD、
(100-x-y-c-z)モル%の含有量のNiからなり、
該粒子が0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有し、プロセスは、
リチウム供給源、ニッケル供給源、コバルト供給源、マンガン供給源、および任意でDの供給源を含む粉末混合物を調製する工程と、
少なくとも300℃かつ最大1000℃の温度で粉末混合物を焼成して凝集した焼成体を得る工程と、
凝集した焼成体を粉砕して粉末状正極活物質を得る工程を含み、該プロセスはW、Al、およびSiの少なくとも1つの元素の供給源を凝集した焼成体と一緒に粉砕することを特徴とする。
【0021】
任意で、実施形態1に記載のプロセスは、W、Al、またはSiのいずれか1つの元素の供給源を凝集した焼成体と一緒に粉砕することを特徴とする。
【0022】
好ましくは、粉末状正極活物質は、少なくとも4.0μmかつ最大10.0μm、より好ましくは最大で9.0μm、さらにより好ましくは最大で8.0μmである中央粒径D50を有する。
【0023】
好ましくは、凝集した焼成体を粉砕する工程は空気分級ミルで行なわれる。
【0024】
完全を期すために、本書では、W、Al、およびSiの少なくとも1つ元素の供給源は、凝集した焼成体の外部の供給源を意味することに留意する。
【0025】
実施形態2
第2の実施形態では、好ましくは実施形態1に記載であり、Aの供給源はナノメートルサイズの酸化物粉末である。
【0026】
ナノメートルサイズの粉末とは、1.0μm未満かつ1.0nm以上の中央粒径を有する粉末を意味する。
【0027】
実施形態3
第3の実施形態では、好ましくは実施形態1または2に記載であり、アルミニウム供給源はAlである。
【0028】
実施形態4
第4の実施形態では、好ましくは実施形態1または2に記載であり、ケイ素供給源はSiOである。
【0029】
実施形態5
第5の実施形態では、好ましくは実施形態1~4のいずれかに記載であり、タングステン供給源はWOである。
【0030】
実施形態6
第6の実施形態では、好ましくは実施形態1~5のいずれかに記載であり、Ni系前駆体はNi系酸化物、Ni系水酸化物、Ni系炭酸塩、またはNi系オキシ水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。
【0031】
実施形態7
第7の実施形態では、好ましくは実施形態1~6のいずれかに記載であり、リチウム供給源はLiCO、LiCO・HO、LiOH、LiOH・HOまたはLiOからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。
【0032】
実施形態8
第8の実施形態では、好ましくは実施形態3~7のいずれかに記載であり、凝集した焼成体中のNi、Mn、およびCoのモル含有量の合計に対して、0.08モル%以上かつ1.50モル%以下のアルミニウムのモル含有量となるようにアルミニウム供給源を粉砕工程で添加する。
【0033】
実施形態9
第9の実施形態では、好ましくは実施形態4~7のいずれかに記載であり、凝集した焼成体中のNi、Mn、およびCoの総モル含有量に対して、0.36モル%以上かつ1.45モル%以下のケイ素のモル含有量でケイ素供給源を粉砕工程で添加する。
【0034】
実施形態10
第10の実施形態では、好ましくは実施形態5~7のいずれかに記載であり、凝集した焼成体中のNi、Mn、およびCoのモル含有量の合計に対して、0.20モル%以上かつ0.35モル%以下のタングステンのモル含有量となるようにタングステン供給源を粉砕工程で添加する。
【0035】
実施形態11
第2の態様では、本発明は、Li、M、およびOを含む粒子を有するリチウムイオン二次電池用の粉末状正極活物質を包含し、Mは、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量xのCo、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量yのMn、
W、Al、およびSiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量cのA、
Mg、Al、Nb、Zr、B、W、およびTiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、
0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量zのD、および
(100-x-y-c-z)モル%の含有量のNiからなり、
該粒子が0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有し、該粉末状正極活物質が、該粉末が4.0≦D50≦6.0の場合に0.10≦FI≦0.30、または6.0<D50≦10.0の場合に0.10≦FI≦0.225の流動度FIを有することを特徴とし、D50はマイクロメートル(μm)での中央粒径として定義される。
【0036】
好ましくは、D50は少なくとも4.0μmかつ最大10.0μm、より好ましくは最大で9.0μm、さらにより好ましくは最大で8.0μmである。
【0037】
好ましくは、6.0<D50≦8.0の場合に0.10≦FI≦0.20である。
【0038】
本発明の第2の態様による粉末状正極の流動度は、少なくとも0.10かつ最大0.30である。
【0039】
固体状態の粉末のFIは、少なくとも0.10の値で許容可能である。0.10よりも低いFIを有する粉末は、液状であり、したがって、制御不能に速く流れる。
【0040】
任意での実施形態において、実施形態11に記載の粉末の流動度FIは、
4.5μm≦D50≦6.0μmの場合、0.10≦FI≦0.30、または
4.0μm≦D50≦5.0μmの場合、0.10≦FI≦0.30、または
4.5μm≦D50≦5.0μmの場合、0.10≦FI≦0.30、または
4.0μm≦D50≦6.0μmの場合、0.15≦FI≦0.30、または
4.0μm≦D50≦6.0μmの場合、0.20≦FI≦0.30、または
4.0μm≦D50≦6.0μmの場合、0.10≦FI≦0.25、または
4.0μm≦D50≦6.0μmの場合、0.15≦FI≦0.25、または
4.5μm≦D50≦6.0μmの場合、0.15≦FI≦0.30、または
4.5μm≦D50≦5.5μmの場合、0.15≦FI≦0.25、または
6.0μm<D50≦8.0μmの場合、0.10≦FI≦0.20、または
6.0μm<D50≦8.0μmの場合、0.15≦FI≦0.20、または
7.0μm<D50≦8.0μmの場合、0.10≦FI≦0.20、または
7.0μm<D50≦8.0μmの場合、0.15≦FI≦0.20である。
【0041】
別の態様では、本発明は、下に言及される条項によって規定されるプロセスおよび材料に関する。
【0042】
条項1.ホウ素およびタングステンを含有するLi、M、およびOを含む粒子を有するリチウムイオン二次電池用の粉末状正極活物質の製造プロセスであって、Mが、
5.0モル%以上かつ35.00モル%以下の含有量xのCo、
0モル%以上かつ35.00モル%以下の含有量yのMn、
0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量mのZr、
0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量bのB、
0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量cのW、
Mg、Al、Nb、およびTiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量zのドーパントA、
(100-x-y-m-b-c)モル%の含有量のNiからなり、
該粒子が0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有し、プロセスが、
Ni系前駆体、Li供給源、および任意でZrおよびAの供給源を混合して第1混合物を得る工程、
第1混合物を少なくとも700℃かつ最大1000℃の第1温度で焼結して第1焼結体を得る工程、
第1焼結体を粉砕して圧砕粉末を得る工程、
圧砕粉末とホウ素供給源とを混合して第2混合物を得る工程、
第2混合物を少なくとも300℃かつ最大750℃の第2温度で熱処理する工程を含み、該プロセスがタングステン供給源を第1焼結体と一緒に粉砕してタングステンを含む圧砕粉末を得ることを特徴とする、プロセス。
【0043】
第1条項の枠組みにおいて、第1混合物を焼結する工程は、第1混合物を加熱して第1混合物から焼結体を生成させる工程として定義される。したがって、焼結体は焼結プロセスから得られる生成物であり、第1混合物(すなわち、焼結前)のものとは異なる化学組成を有する。
【0044】
条項2.タングステン供給源がナノメートルサイズの粉末であり、ナノメートルサイズの粉末が1μm未満かつ1nm以上の中央粒径を有するW系粒子を有する粉末を意味する、条項1に記載のプロセス。
【0045】
条項3.タングステン供給源がWOである、条項2に記載のプロセス。
【0046】
条項4.ホウ素供給源がHBOである、条項1~3のいずれかに記載のプロセス。
【0047】
条項5.Ni系前駆体がNi系酸化物、Ni系水酸化物、Ni系炭酸塩、またはNi系オキシ水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、条項1~4のいずれかに記載のプロセス。
【0048】
条項6.リチウム供給源がLiCO、LiCO・HO、LiOH、LiOH・HO、またはLiOからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、条項1~5のいずれかに記載のプロセス。
【0049】
条項7.ジルコニウム供給源がZrO、ZrO、ZrC、ZrN、Zr(OH)、Zr(NO、またはZrSiOからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、条項1~6のいずれかに記載のプロセス。
【0050】
条項8.第1焼結温度が少なくとも700℃、好ましくは少なくとも800℃、より好ましくは最大で880℃である、条項1~7のいずれかに記載のプロセス。
【0051】
条項9.第2混合物を少なくとも300℃、好ましくは少なくとも350℃、より好ましくは最大で400℃の第2温度で熱処理する、条項8に記載のプロセス。
【0052】
条項10.タングステン供給源が、焼結体の重量に対して4000ppm以上かつ6000ppm以下のタングステンの重量含有量で、粉砕工程中に添加される、条項1~9のいずれかに記載のプロセス。
【0053】
条項11:第1焼結体の粉砕工程で得られる圧砕粉末が、少なくとも4.0μmかつ最大10.0μm、より好ましくは最大で9.0μm、さらにより好ましくは最大で8.0μmである中央粒径D50を有する、条項1~10のいずれかに記載のプロセス。
【0054】
条項12:第1焼結体の粉砕工程が空気分級ミル内で行なわれる、条項1~11のいずれかに記載のプロセス。
【0055】
条項13.Li、M、およびOを含む粒子を有するリチウムイオン二次電池用の粉末状正極活物質であって、Mが、
5.0モル%以上かつ35.00モル%以下の含有量xのCo、
0モル%以上かつ35.00モル%以下の含有量yのMn、
0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量mのZr、
0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量bのB、
0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量cのW、
Mg、Al、Nb、およびTiからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む、
0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量zのドーパントA、および
(100-x-y-m-b-c)モル%の含有量のNiからなり、
該粒子が0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有し、該粉末状正極活物質が、XANESによって測定して、該粒子が0.40超のw/(w+w)比を有することを特徴とし、wは活物質に含有されるLiWOの重量%であり、wは活物質に含有されるWOの重量%である粉末状正極活物質。
【0056】
条項14.LiWO(w)の、LiWO(w)とWO(w)の総モル含有量に対するモル比が少なくとも0.45、好ましくは少なくとも0.50、より好ましくは最大で1.00である、条項13に記載の粉末状正極活物質。
【0057】
条項15.一般式:LiNi1-x-y-m-zCoMnZr(式中、0.99≦a≦1.10、0.05≦x≦0.35、0.00≦y≦0.35、0.00≦m≦0.02、0.0001≦z≦0.02、0.0001≦b≦0.02、0.0001≦c≦0.02および1.80≦d≦2.20である)を有する粒子を含む、条項13または14に記載の粉末状正極活物質。
【0058】
条項16.粒子が、
R-3m空間群に属し、
一般式:LiNi1-x-y-m-zCOMnZr(式中、0.99≦a≦1.10、0.05≦x≦0.35、0.00≦y≦0.35、0.00≦m≦0.02、0.0001≦z≦0.02、0.0001≦b≦0.02、0.0001≦c≦0.02および1.80≦d≦2.20である)を有する第1相、
一般式LiWOを有し、R-3空間群に属する第2相、および
一般式WOを有し、P21/n空間群に属する第3相を有する、条項13~15のいずれかに記載の粉末状正極活物質。
【0059】
条項17:少なくとも4.0μmかつ最大10.0μm、より好ましくは最大で9.0μm、さらにより好ましくは最大で8.0μmである中央粒径D50を有する、条項13~16のいずれかに記載の粉末状正極活物質。
【0060】
条項18.条項13~17のいずれかに記載の粉末状正極活物質を製造するための粉末状前駆体混合物であって、前駆体がLi、M、およびOを含む粒子を有し、Mが、
5.00モル%以上かつ35.00モル%以下の含有量xのCo、
0モル%以上かつ35.00モル%以下の含有量yのMn、
0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量mのZr、
0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量cのW、
Mg、Al、Nb、およびTiからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む、
0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量zのドーパントA、および
(100-x-y-m-c)モル%の含有量のNiからなり、
該粒子が0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有し、該粉末状前駆体が、0.20未満かつ好ましくは0.10超の粉末の流動度を有する、粉末状前駆体化合物。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】粉末流量試験機(PFT)の画像である。
図2】PFTの一部としてのトラフの概略図である。
図3】本発明によるEX1.1の調製工程の図表である。
図4】本発明によるEX2.1の調製工程の図表である。
図5】本発明によるEX2.1の調製工程の図表である。
図6】粒径分布測定から得られたD50(x軸)とEXおよびCEXの流動度FI(y軸)との関係のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明の実行を可能にするために、図面及び以下の発明を実施するための形態において、好ましい実施形態を詳細に記載する。本発明は、これらの特定の好ましい実施形態を参照して説明されているが、本発明は、これらの好ましい実施形態に限定されないことが理解されよう。しかし、反対に、本発明は、以下の発明を実施するための形態及び添付の図面を考慮することで明らかになるように、多数の代替物、修正及び等価物を含む。
【0063】
本発明を以下の実施例において更に例示する。
【0064】
1.分析方法の説明
1.1.コインセル試験
1.1.1.コインセルの調製
正極の調製では、正極活物質粉末P、導電体C(SuperP、Timcal(Imerys Graphite&Carbon)、http://www.imerys-graphite-and-carbon.com/wordpress/wp-app/uploads/2018/10/ENSACO-150-210-240-250-260-350-360-G-ENSACO-150-250-P-SUPER-P-SUPER-P-Li-C-NERGY-SUPER-C-45-65-T_V-2.2-USA-SDS.pdf)、バインダーB(KF#9305、クレハ、http:(//www.kureha.co.jp./en/business/material/pdf/KFpolyme_BD_en.pdf)をP:C:Bの重量配合比90:5:5で、また溶媒(NMP、三菱ケミカル、https://www.m-chemical.co.jp/en/products/departments/mcc/c4/product/1201005_7922.html)を含有するスラリーを、高速ホモジナイザーを使用することによって調製する。均質化したスラリーを、230μmのギャップを有するドクターブレードコータを使用してアルミニウム箔の片面上に塗り広げる。スラリーでコーティングした箔をオーブン内にて120℃で30分間乾燥させ、次いで、カレンダー加工ツールを使用してプレスする。カレンダープレスしたスラリーコーティングされた箔を真空オーブン内にて再び12時間乾燥させて、電極フィルム中に残留する溶媒を完全に除去する。コインセルは、アルゴンを充填させたグローブボックス中で組み立てられる。セパレータ(Celgard(登録商標)2320、Arora,P.&Zhang,Z.(John)(2004)Battery Separators.Chemical Reviews,104(10),4419~4462)を、正極と、負極として使用したリチウム箔片との間に配置する。EC:DMC(体積%で1:2)中1MのLiPFを電解質として使用し、セパレータと電極との間に滴下する。その後、コインセルを完全に封止して電解質の漏れを防止する。
【0065】
1.1.2.試験方法
各コインセルを、Toscat-3100コンピュータ制御定電流充放電サイクリングステーション(東洋システム、http://www.toyosystem.com/image/menu3/toscat/TOSCAT-3100.pdf)を用いて25℃で充放電サイクルにかける。コインセルの試験手順は、160mA/gで1Cの電流定義を使用し、以下の3つのパートで構成される。
【0066】
パートIは、4.3~3.0V/Li金属のウィンドウ範囲での0.1C、0.2C、0.5C、1C、2C及び3Cにおける正極活物質粉末のレートパフォーマンス評価である。初期充電容量(CQ1)および放電容量(DQ1)を定電流モード(CC)で測定する第1サイクルを除いて、全ての後続のサイクルは、終止電流の基準を0.05Cとして、定電流定電圧充電が特徴である。第1サイクルについては30分間、全ての後続サイクルについては10分間の休止時間(各充電と放電との間)が許容される。
【0067】
不可逆容量IRRQは、以下のように%で表される。
【0068】
【数1】
【0069】
パートIIは、1Cにおけるサイクル寿命の評価である。充電のカットオフ電圧は4.5V/Li金属に設定する。4.5V/Li金属における放電容量を、サイクル7および34においては0.1Cで、またサイクル8(DQ8)および35(DQ35)においては1Cで測定する。第1の容量減衰、QF1Cは以下のように計算する:
【0070】
【数2】
【0071】
パートIIIは、1Cにおけるサイクル寿命の評価である(すなわち、1Cの充電レートで)。充電のカットオフ電圧は4.5V/Li金属に設定する。4.5V/Li金属における放電容量を、サイクル36および60において1Cで測定する。第2の容量減衰、QF1C1Cは以下のように計算する:
【0072】
【数3】
【0073】
下の表に上述の3つのパートをまとめる。
【0074】
【表1】
【0075】
「-」は、終止電流が適用されない(すなわち、測定が定電流モードで行われる)ことを意味する。
【0076】
1.3.粉末流動性試験
粉末流動性試験は、Powder Flow Pro Softwareを備えたBrookfield粉末流量試験機(PFT)(Brookfield Engineering Laboratories,Inc.、https://www.brookfieldengineering.com/product/powder-flow-testers/pft-powder-flow-testers)で行う。
【0077】
測定試験は、Brookfield粉末流量試験機の操作説明マニュアル No.M09-1200-F1016のページ16~19およびページ27~30(https://www.brookfieldengineering.com/products/powder-flow-testers/-/media/b58fc1f1e4414d3a8e3b80683d5438e7.ashx)に記載の標準試験方法に従って行う。
【0078】
PFT試験の実施に使用するPFT装置の写真を図1に示す。この装置はベーンリッド(丸1)とトラフ(丸2)とを含む。トラフは230ccの容積で6インチの直径を有し、ベーンリッドは6インチの直径と33ccの容積を有する。
【0079】
試験は以下のように規定される上記の標準試験方法に従って行う。
【0080】
ステップa)トラフを加圧空気ガンできれいにして秤量した後、それに試料材料を充填する。
【0081】
ステップb)粉末をきれいなトラフにすくい入れる。このステップbの後にステップc~gが続く。
【0082】
ステップc)シェーピングブレードおよび外側キャッチトレイを備えた内側キャッチトレイをトラフに固定する。(内側および外側)キャッチトレイおよびトラフの概略図を図2に示す。内側および外側キャッチトレイは、トラフに入れられた粉末からの過剰な粉末のこぼれを収容するように設けられ、該過剰な粉末のこぼれは、シェーピングステップ(cfr.下のステップd)の際に生じる。
【0083】
ステップd)粉末をシェーピングし、その意味はシェーピングブレードを回転させることによってトラフ内に均一に分布させることである。
【0084】
ステップe)キャッチトレイを取り外し、次いでトラフ内の試料材料の粉末の重量を、シェーピングされた試料材料の粉末が充填されたトラフの重量からきれいな空のトラフの重量を差し引くことによって決定する。
【0085】
ステップf)トラフ内のシェーピングされた試料材料の粉末の重量をBrookfield Powder Flow Proソフトウェア(https://www.brookfieldengineering.com/products/software/powder-flow-pro)に入力して、流動性試験を、連続ステップg)a~g)eを行なうことによって開始する。
【0086】
ステップg)PFT(図1)の操作原理は以下からなる。
a.トラフ(図1の参照番号丸2)に入っている粉末試料に垂直下向きにベーンリッド(図1の参照番号丸1)を駆動する。
b.1.0mm/秒の軸方向速度および1.0回転/時のねじり速度に規定された回転速度の設定でトラフを回転させ、静止リッド(図1の番号丸2)内の粉末に対して移動するトラフ内の粉末のトルク抵抗を、較正済みの反応トルクセンサによって測定する。
c.5回の圧縮ステップ(またはKPaで表される主圧密応力σとも呼ばれる)を行ない、これらのステップの各々では所定の強度|σ|(x軸)を加える。これらの圧縮ステップの各々において、トラフを回転させることによって、特定のトルク(強度|σ|-y軸)を粉末に加える。この特定のトルクは、単軸破壊強度(σ、KPaで表される)として表される。
d.粉末に加えられた5回の異なる応力σに対する強度応答σをコンピュータに記録する。次いで、これらの応答を、表2~表9の測定結果に従って、σ(x軸)対σ(y軸)曲線にプロットする。
【0087】
CEX1:
【0088】
【表2】
【0089】
EX1.1:
【0090】
【表3】
【0091】
EX1.2:
【0092】
【表4】
【0093】
CEX2:
【0094】
【表5】
【0095】
EX2.1:
【0096】
【表6】
【0097】
EX2.2:
【0098】
【表7】
【0099】
CEX3:
【0100】
【表8】
【0101】
EX3.1:
【0102】
【表9】
【0103】
EX3.2:
【0104】
【表10】
【0105】
e.c.)でプロットされたσ1とσc応答の線形フィッティングによって流動度FIを計算する。フィッティングした得られた線形方程式は次のとおりである。
CEX1:σ=0.38×σ+0.36、R=0.995、
EX1.1:σ=0.25×σ+0.19、R=0.999、
EX1.2:σ=0.20×σ+0.52、R=0.998、
CEX2:σ=0.28×σ+0.95、R=0.991、
EX2.1:σ=0.19×σ+0.29、R=0.995、
EX2.2:σ=0.16×σ+0.22、R=0.994、
CEX3:σ=0.25×σ+0.10、R=0.995、
EX3.1:σ=0.19×σ+0.34、R=0.988、および
EX3.2:σ=0.29×σ+0.37、R=0.997。
【0106】
σ=傾き×σ+係数による、フィッティングした直線の傾きが流動度であり、0.0~1.0の範囲である。FIが0.0に近づくにつれて、試料はより自由流動性になる。FIが1.0に近づくにつれて、試料はより凝集性になる。流動度には単位がない。
【0107】
Rの値は、xとyの変数間の線形関係の強さを示す相関係数である。値は0~1の範囲であり、R値が1に近づくことは、xとyの変数の間の線形関係が強くなることを示している。1に等しいRの値は、xとyの変数の間の確定した線形関係を意味する。
【0108】
1.5粒径分布
ニッケル系遷移金属のオキシ水酸化物の粉末のような非水溶性粉末の粒径分布(psd)は、Hydro MV湿式分散アクセサリを備えたMalvern Mastersizer3000(https://www.malvernpananalytical.com/en/products/product-range/mastersizer-range/mastersizer-3000#overview)を使用することによって、それぞれの粉末試料を水性媒体中に分散させて測定する。粉末の分散を改善するために、十分な超音波照射及び撹拌を適用し、適切な界面活性剤を導入する。
【0109】
(HBOのような)水溶性粉末のpsdは、Aero S乾式分散アクセサリを備えたMalvern Mastersizer3000を使用することによって、空気媒体中に粉末試料を分散させた後、測定する。D50は、Malvern Mastersizer3000で得られた累積体積%分布の50%における粒径として定義される。
【0110】
2.実施例及び比較例
実施例1
Li1.02Ni0.61Mn0.22Co0.17の一般式を有し、さらにその粒子の表面上にAl-酸化物を含有する粒子を含む正極活物質粉末を、リチウム供給源と遷移金属系の供給源との間の固体反応に基づいて得る。プロセス図を図3に示し、以下のように実施する。
【0111】
ステップ1)金属水酸化物前駆体の調製:一般式Ni0.63Mn0.22Co0.15(OH)を有するニッケル系遷移金属水酸化物の粉末(TMH1)を、混合したニッケルマンガンコバルト硫酸塩、水酸化ナトリウム、およびアンモニアを入れた大規模連続撹拌槽反応器(CSTR)内での共沈プロセスによって調製する。
【0112】
ステップ2)1回目の混合:ステップ1)で調製した遷移金属系水酸化物前駆体TMH1の粉末を、LiCOと混合して、0.92のリチウム対金属のモル比(Li/M)を有する第1混合物を得る。
【0113】
ステップ3)1回目の焼成:ステップ2)の第1混合物を、空気雰囲気下、900℃で10時間焼成して、第1焼成体を得る。
【0114】
ステップ4)粉砕および篩い分け:ステップ3)の第1焼成体を粉砕して篩い分けして、第1粉砕粉末を生成する。
【0115】
ステップ5)2回目の混合:ステップ4)の第1粉砕粉末をLiOHと混合して、1.05のリチウム対金属のモル比(Li/M)を有する第2混合物を生成する。
【0116】
ステップ6)2回目の焼成:ステップ5)の第2混合物を、空気雰囲気下、933℃で10時間焼結して、第2焼成体を生成する。
【0117】
ステップ7)、粉砕および篩い分け:第2焼成体を粉砕して篩い分けして、第2粉砕粉末を生成する。
【0118】
ステップ8)3回目の混合:ステップ7)の第2粉砕粉末を、Ni、Mn、およびCoの総モル含有量に対して、0.19モル%のAl、3モル%のCo、および3モル%のLiOHと混合して、第3混合物を生成する。
【0119】
ステップ9)3回目の焼成:ステップ8)の第3混合物を、空気雰囲気下、775℃で12.3時間焼結して、第3焼成体を生成する。
【0120】
ステップ10)粉砕および篩い分け:第3焼成体(本発明での参照による凝集した焼成体である)を、Ni、Mn、およびCoの総モル含有量に対して0.09モル%のAlのナノ粉末(第3焼成体の総重量に対して500ppmのAl)と一緒に、空気分級ミル(ACM)のような粉砕および篩い分け装置に入れて、Alのナノ粉末と一緒に粉砕して第3粉砕粉末を生成し、それが0.56モル%のAlを含有する正極活物質粉末であり、EX1.1と称する。
【0121】
EX1.1は、本発明による。
【0122】
EX1.2は、ステップ10)におけるAlナノ粉末の量が0.19モル%(第3焼成体の総重量に対して1000ppmのAl)であることを除いて、EX1.1と同じ方法で調製する。EX1.2は、Ni、Mn、およびCoの総モル含有量に対して0.74モル%のAlを含有する。
【0123】
EX1.2は、本発明による。
【0124】
比較例1
CEX1は、ステップ10)の粉砕中にAlナノ粉末を加えない以外はEX1.1と同じ方法によって得る。CEX1は、Ni、Mn、およびCoの総モル含有量に対して0.37モル%のAlを含有する。
【0125】
CEX1は、本発明によるものではなく、WO’349による。
【0126】
実施例2
Li1.075Ni0.34Mn0.32Co0.33の一般式を有し、さらにその粒子の表面上にAl-酸化物を含有する粒子を含む正極活物質粉末を、リチウム供給源と遷移金属系の供給源との間の固体反応に基づいて得る。プロセス図を図4に示し、以下のように実施する。
【0127】
ステップ1)金属水酸化物前駆体の調製:2つの粒子サイズが異なることを特徴とするニッケル系遷移金属水酸化物の粉末の2つの個々のバッチを、ニッケルマンガンコバルト硫酸塩、水酸化ナトリウム、およびアンモニアの混合物を入れた大規模連続撹拌槽反応器(CSTR)内での共沈プロセスによって調製する。2つのバッチからの生成物は、同じ一般式Ni0.342Mn0.326Co0.332(OH)を有するが、各々、3μm(TMH2)および10μm(TMH3)の2つの異なる平均粒径(D50)を有する。
【0128】
ステップ2)1回目の混合:ステップ1)で調製した遷移金属系水酸化物前駆体TMH2およびTMH3粉末の各々をLiCOと混合して、第1混合物を得て、TMH2とTMH3粉末の混合比は30重量%:70重量%であり、リチウム対金属のモル比(Li/M)は、1.10である。
【0129】
ステップ3)1回目の焼成:ステップ2)の第1混合物を、空気雰囲気下、720℃で2時間焼成して、第1焼成体を得る。
【0130】
ステップ4)粉砕および篩い分け:ステップ3)の第1焼成体を粉砕して篩い分けして、第1粉砕粉末を生成する。
【0131】
ステップ5)2回目の焼成:ステップ4)の第1粉砕粉末を、空気雰囲気下、985℃で10時間焼成して、第2焼成体を生成する。
【0132】
ステップ6)粉砕および篩い分け:第2焼成体(本発明での参照による凝集した焼成体である)を、Ni、Mn、およびCoの総モル含有量に対して0.46モル%のAlナノ粉末(第3焼成体の総重量に対して2500ppmのAl)と一緒に、ACMのような粉砕および篩い分け装置に入れて、Alナノ粉末と一緒に粉砕して第2粉砕粉末を生成し、それは0.93モル%のAlを含有する正極活物質粉末であり、EX2.1と称する。
【0133】
EX2.1は、本発明による。
【0134】
EX2.2は、SiOナノ粉末をステップ6)で使用することを除いて、EX2.1と同じ方法で調製する。EX2.2は、Ni、Mn、およびCoの総モル含有量に対して0.89モル%のSiを含有する。
【0135】
EX2.2は、本発明による。
【0136】
比較例2
CEX2は、ステップ6)の粉砕中にAlナノ粉末を加えない以外はEX2.1と同じ方法によって得る。
【0137】
CEX2は、本発明によるものではなく、WO’349による。
【0138】
実施例3
Li1.06Ni0.65Mn0.20Co0.15Zr0.00の一般式を有し、粒子がそれらの表面上にW-酸化物とB-酸化物を含有する粒子を含むNMC粉末を、リチウム供給源と遷移金属系の供給源との間の固体反応に基づいて得る。プロセス図を図5に示し、以下のように実施する。
【0139】
ステップ1)、金属酸化物前駆体の調製:
a.共沈:2つの粒子サイズ0が異なることを特徴とするニッケル系遷移金属オキシ水酸化物の粉末の2つの個々のバッチを、ニッケルマンガンコバルト硫酸塩、水酸化ナトリウム、およびアンモニアの混合物を入れた大規模連続撹拌槽反応器(CSTR)内での共沈プロセスによって調製する。2つのバッチからの生成物は、同じ一般式Ni0.65Mn0.20Co0.15(OH)を有するが、各々、9.5μm(TMH3)および4.5μm(TMH4)の2つの異なる平均粒径(D50)を有する。
b.熱処理:TMH3をアルミナトレイ上に置き、乾燥空気流下、425℃で7時間加熱して酸化物前駆体粉末を生成し、TMO1と称する。TMH4をTHM3と同じ方法にしたがって別に熱処理して酸化物前駆体粉末を生成し、TMO2と称する。
【0140】
ステップ2)1回目の混合:ステップ1)で調製した遷移金属系酸化物前駆体TMO1およびTMO2粉末の各々を、LiOHおよびZrO粉末と混合して、第1混合物を得る。TMO1およびTMO2粉末を7:3の重量比で混合し、リチウム対金属のモル比は1.03であり、混合物中のZr含有量は3700ppmである。
【0141】
ステップ3)1回目の焼成:ステップ2)の第1混合物を、酸素含有雰囲気下、855℃で12時間焼結して、第1焼成体を得る。
【0142】
ステップ4)粉砕および篩い分け:粉砕および篩い分けプロセス中に、第1焼成体(本発明での参照による凝集した焼成体である)をWOナノ粉末(0.18μmの中央粒径D50)と混合する。この粉砕および篩い分けプロセスからの生成物は、4500ppmのWを含有する第1粉砕粉末であり、EX3.1と称され、それは、ステップ5および6)においてEX3.1の処理から得られる最終的な粉末状正極活物質生成物EX3.2に変換される中間粉末状正極活物質である。
【0143】
ステップ5)2回目の混合:ステップ4)のEX3.1を、D50が4.8μmのHBO粉末と混合して、500ppmのBを含有する第2混合物を得る。
【0144】
ステップ6)2回目の焼成:ステップ5)の第2混合物を、酸素雰囲気下、385℃で8時間焼結して、第2焼成体を得る。第2焼成体を空気分級ミル(ACM)によって粉砕して篩い分けして、EX3.2材料である正極活物質を得る。
【0145】
EX3.1は、本発明による。
【0146】
比較例3
CEX3は、(ステップ4)ではなく)ステップ5)でWO粉末をHBO粉末と一緒に加えることを除いてEX3.1と同じ方法によって得る。
【0147】
CEX3は、本発明によるものではなく、WO’349による。
【0148】
セクション1.3の方法に従った流動性試験を実施例および比較例に適用する。EX1.1、EX1.2、およびCEX1について得られたFIは、それぞれ0.25、0.20、および0.38である。
【0149】
これらの結果は、EX1.1の流動性が、ステップ10)におけるAlナノ粉末の添加によって、CEX1と比較して著しく改善されることを示している。EX1.2における過剰なAlナノ粉末の量は、EX1.1と比較して粉末のFIをわずかに低下させる。
【0150】
EX2.1、EX2.2、およびCEX2について得られた流動度は、それぞれ0.19、0.16、および0.34である。
【0151】
これらの結果は、EX2.1の流動性が、
ステップ6)の粉砕におけるAlの添加によって、CEX2と比較して著しく改善されることを示している。流動性の改善はまた、ステップ6)の粉砕におけるSiOナノ粉末の添加(cfr.EX2.2)によっても見られた。
【0152】
EX3.1、EX3.2、およびEX3.3について得られたFIは、それぞれ0.19、0.29、および0.25である。
【0153】
これらの結果は、EX3.1の流動性が、ステップ4)におけるWOの添加によって、CEX3と比較して著しく改善されることを示している。
【0154】
結論として、より低いFIの数値は粉末のより容易な自由流動特性を示し、それは本発明の目的である。
【0155】
図6に、それらの対応するFIと共に実施例および比較例のD50を示す。実際、上述のように、EX1.1およびEX1.2によって示されるように4μm以上かつ6μm以下のD50において、0.10~0.30のFIを有する粉末が得られ、EX2.1、EX2.2、およびEX3.1によって示されるように、6μm超かつ8μm以下のD50において0.10~0.22のFIが実現される。例えば、4.0μm≦D50≦6.0μmでFIが0.10~0.30の場合、および6.0μm<D50≦8.0μmでFIが0.10~0.22の場合、容易に、したがって、迅速に粉末輸送ラインのチャネルを通して、ACMなどのミリング(粉砕)装置に輸送することができる。
【0156】
前述の粉末流動性試験の結果によると、粉砕中のAl、Si、またはWナノ粉末の添加は、粉末のFIを低下させて、正極活物質粉末の粉末自由流動特性を改善するという利点を有する。
【0157】
表10に、実施例および比較例によるカソード材料粉末のコインセル試験の結果を示す。この表から、EX1.1およびEX1.2は、より高いDQ1、より低いIRRQ、およびより低いQF1CとQF1C1C値によって示されるより安定した減衰率によって示されるように、CEX1で得られたものと比較して、より良好な電気化学的性能を有することが明らかである。
【0158】
EX2.1およびEX2.2は、電気化学的に非活性な材料であるAiまたはSiOを添加したことに関係なく、CEX2のそれぞれと同等の電気化学的特性を有する。したがって、改善された流動性を有する正極活物質粉末を得ることを目的とする本発明は、その電気化学的性能を犠牲にすることなく達成される。
【0159】
【表11】
【0160】
Aは凝集した焼成体を粉砕する工程中に添加される。
**AのLiNiCoMn・Aのタイプの一般式は、活物質粒子の組成・本発明によるプロセスの粉砕工程中に該活物質粉末と混合されたA酸化物粒子を意味する。
***-:データなし
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Li、M、およびOを含む粒子を有するリチウムイオン電池用の粉末状正極活物質の製造プロセスであって、Mが、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量xのCo、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量yのMn、
W、Al、およびSiの少なくとも1つの元素からなる群の少なくとも1つの元素を含む、0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量cのA、
Mg、Nb、Zr、B、およびTiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量zのD、および
(100-x-y-c-z)モル%の含有量のNiからなり
前記粒子が0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有し、前記プロセスが、
リチウム供給源、ニッケル供給源、コバルト供給源、マンガン供給源、および任意でDの供給源を含む粉末混合物を調製する工程と、
少なくとも300℃かつ最大1000℃の温度で前記粉末混合物を焼成して、凝集した焼成体を得る工程と、
前記凝集した焼成体を粉砕して圧砕粉末を得る工程を含み、前記プロセスがW、Al、およびSiの少なくとも1つの元素の供給源を前記凝集した焼成体と一緒に粉砕することを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
前記凝集した焼成体を粉砕する工程で得られた前記圧砕粉末が、少なくとも4.0μmかつ最大10.0μmである中央粒径D50を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記凝集した焼成体を粉砕する工程が空気分級ミルで実施される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記W、Al、およびSiの少なくとも1つの元素の前記供給源がナノメートルサイズの酸化物粉末であり、前記凝集した焼成体が得られる焼成工程の後に添加される、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
AがAlを含み、前記Al供給源がAlである、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記Al供給源が、前記凝集した焼成体中のNi、Mn、およびCoのモル含有量の合計に対して0.08モル%以上かつ1.50モル%以下のAlのモル含有量に等しい量で、粉砕工程で添加される、請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
AがSiを含み、前記Si供給源がSiOである、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記Si供給源が、前記凝集した焼成体中のNi、Mn、およびCoの総モル含有量に対して、0.36モル%以上かつ1.45モル%以下の前記Siのモル含有量に等しい量で、粉砕工程で添加される、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
AがWを含み、前記W供給源がWOである、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記W供給源が、前記凝集した焼成体中のNi、Mn、およびCoのモル含有量の合計に対して、0.20モル%以上かつ0.35モル%以下のWのモル含有量に等しい量で、粉砕工程で添加される、請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記リチウム供給源が、LiCO、LiCO・HO、LiOH、LiOH・HOまたはLiOからなる群から選択される少なくとも1つの化合物である、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記圧砕粉末が粉末状正極活物質である、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
5モル%≦x≦35モル%および5モル%≦y≦35モル%であり、
Mが0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量bのBを含み、
Mが0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量wのWを含み、
Mが0モル%以上かつ1.99モル%以下の含有量mのZrを含み、
粉末混合物を調製する工程が、Ni系前駆体、Li供給源、および任意でZrおよびAの供給源を混合して、第1混合物を得ることを含み、
前記粉末混合物を前記焼成する工程において、前記第1混合物が前記粉末混合物であり、前記第1混合物を少なくとも700℃の第1温度で焼結して第1焼結体を得て、
前記凝集した焼成体を前記粉砕する工程において、前記凝集した焼成体が前記第1焼結体であり、W供給源を前記凝集した焼成体と一緒に粉砕してWを含む圧砕粉末を得て、
前記プロセスが、前記圧砕粉末をB供給源と混合して第2混合物を得る工程を含み、
前記プロセスが、前記第2混合物を少なくとも300℃かつ最大750℃の第2温度に熱処理する工程を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
Li、M、およびOを含む粒子を有する粉末状材料であって、Mが、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量xのCo、
5.0モル%以上かつ40.00モル%以下の含有量yのMn、
W、Al、およびSiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量cのA、
Mg、Nb、Zr、BおよびTiからなる群の少なくとも1つの元素を含む、0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量zのD、および
(100-x-y-c-z)モル%の含有量のNiからなり、
前記粒子が0.98以上かつ1.10以下のLi/Mのモル比を有し、
前記粉末状前駆体が、最大で0.30の粉末の流動度を有し、
前記流動度が230cmの容積を有する直径6インチの環状剪断セルで測定され、いくつかの主圧密応力で測定された単軸破壊強度の実験結果にフィッティングされた直線の傾きである、粉末状材料。
【請求項15】
前記粉末状材料が粉末状正極活物質を製造するための前駆体化合物であり、5モル%≦x≦35モル%、5モル%≦y≦35モル%であり、
Mが0.01モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量wのWを含み、
Mが0モル%以上かつ2.00モル%以下の含有量mのZrを含み、
前記粉末状前駆体が0.20未満、好ましくは0.10超の粉末の流動度を有する、請求項14に記載の粉末状材料。
【請求項16】
前記粉末状材料がリチウムイオン電池用の正極活物質であり、前記粉末状材料が少なくとも4.0μmかつ最大10.0μmのD50を有し、
前記粉末状材料が少なくとも4.0μmかつ最大6.0μmのD50を有して、前記粉末状材料が少なくとも0.10かつ最大0.30の流動度を有し、
前記D50が前記粉末状材料の中央粒径である、請求項14に記載の粉末状材料。
【請求項17】
粉末状材料がリチウムイオン電池用の正極活物質であり、前記粉末状材料が少なくとも4.0μmかつ最大10.0μmのD50を有し、
前記粉末状材料が6.0μm超かつ最大10.0μmのD50を有して、前記粉末状材料が少なくとも0.10かつ最大0.225の流動度を有し、
前記D50が前記粉末状材料の中央粒径である、請求項14に記載の粉末状材料。
【請求項18】
前記粉末状材料が請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセスによって得られることを特徴として、前記粉末状材料が6.0μm超かつ最大10.0μmのD50および少なくとも0.10かつ最大0.20の流動度を有し、または前記粉末状材料が少なくとも4.0μmかつ最大6.0μmのD50および少なくとも0.10かつ最大0.30の流動度を有し、D50が前記粉末状材料の中央粒径である、請求項14~17のいずれか一項に記載の粉末状材料。
【国際調査報告】