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特表2023-521068硬化剤、これを含む半導体接着用組成物、半導体接着用フィルムおよびこれを用いた半導体パッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】硬化剤、これを含む半導体接着用組成物、半導体接着用フィルムおよびこれを用いた半導体パッケージ
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/40 20060101AFI20230516BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230516BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20230516BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20230516BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20230516BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20230516BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
C08G59/40
C09J11/06
C09J7/30
C09J201/00
C09J163/00
C09J11/08
H01L23/30 R
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560502
(86)(22)【出願日】2021-04-16
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 KR2021004779
(87)【国際公開番号】W WO2021215745
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0050164
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スン・ヒ・ナム
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ハク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ビュル・チョ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・サム・キム
【テーマコード(参考)】
4J004
4J036
4J040
4M109
【Fターム(参考)】
4J004AA13
4J004CA01
4J036AA01
4J036AC02
4J036AD07
4J036AD08
4J036AD11
4J036AF06
4J036AF08
4J036AH04
4J036AJ08
4J036DB05
4J036DC41
4J036FA03
4J036FA04
4J036FA05
4J036FA06
4J036FB01
4J036FB02
4J036FB03
4J036FB05
4J036FB06
4J036FB08
4J036FB12
4J036FB13
4J036FB14
4J036GA04
4J036GA06
4J036JA06
4J036JA07
4J036JA08
4J040EC001
4J040EC061
4J040HB36
4J040HC23
4J040HD21
4J040HD39
4J040JA09
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA42
4J040NA20
4M109AA01
4M109EA11
4M109EA12
4M109EB03
4M109EC03
(57)【要約】
本発明は、硬化剤、前記硬化剤を含むことにより、優れた接着力を示しながらも、クラックの発生を抑制して、信頼性に優れた半導体接着用組成物、半導体接着用フィルムおよびこれを用いた半導体パッケージに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物の少なくとも1つを含む硬化剤:
【化1】
【化2】
前記化学式1および化学式2において、
、R、RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であり、
nは、1~50の整数であり、kは、1~50の整数である。
【請求項2】
少なくとも下記化学式2-1で表される化合物を含むものである、請求項1に記載の硬化剤:
【化3】
前記化学式において、
およびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であり、
kは、1~50の整数である。
【請求項3】
前記フェノール系化合物は、単環である、請求項1または2に記載の硬化剤。
【請求項4】
前記フェノール系化合物は、
非置換;または
炭素数1~10の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、および炭素数4~10の脂環式アルキル基の少なくとも1つが置換;されたフェノール基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の硬化剤。
【請求項5】
前記フェノール系化合物は、下記の化合物のいずれか1つである、請求項1から4のいずれか一項に記載の硬化剤:
【化4】
前記化合物において、「*」は、結合点を意味する。
【請求項6】
熱硬化性樹脂;
熱可塑性樹脂;ならびに
下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物の少なくとも1つを含む硬化剤;を含む半導体接着用組成物:
【化5】
前記化学式1および化学式2において、
、R、RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であり、
nは、1~50の整数であり、kは、1~50の整数である。
【請求項7】
前記硬化剤は、少なくとも下記化学式2-1で表される化合物を含むものである、請求項6に記載の半導体接着用組成物:
【化6】
【化7】
前記化学式において、
およびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であり、
kは、1~50の整数である。
【請求項8】
前記フェノール系化合物は、単環である、請求項6または7に記載の半導体接着用組成物。
【請求項9】
前記フェノール系化合物は、
非置換;または
炭素数1~10の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、および炭素数4~10の脂環式アルキル基の少なくとも1つが置換;されたフェノール基である、請求項6から8のいずれか一項に記載の半導体接着用組成物。
【請求項10】
前記フェノール系化合物は、下記の化合物のいずれか1つである、請求項6から9のいずれか一項に記載の半導体接着用組成物:
【化8】
前記化合物において、「*」は、結合点を意味する。
【請求項11】
前記硬化剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、5重量部以上195重量部以下である、請求項6から10のいずれか一項に記載の半導体接着用組成物。
【請求項12】
前記熱硬化性樹脂は、固体状エポキシ樹脂、および液状エポキシ樹脂の少なくとも1つを含むものである、請求項6から11のいずれか一項に記載の半導体接着用組成物。
【請求項13】
前記熱可塑性樹脂は、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエステルイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノキシ系樹脂、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、変性ブタジエンゴム、反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合ゴム、および(メタ)アクリレート系樹脂の少なくとも1つを含むものである、請求項6から12のいずれか一項に記載の半導体接着用組成物。
【請求項14】
前記熱可塑性樹脂の含有量は、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、5重量部以上350重量部以下である、請求項6から13のいずれか一項に記載の半導体接着用組成物。
【請求項15】
無機充填剤および硬化触媒をさらに含むものである、請求項6から14のいずれか一項に記載の半導体接着用組成物。
【請求項16】
前記無機充填剤は、アルミナ、シリカ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、およびホウ酸アルミニウムの少なくとも1つを含むものである、請求項15に記載の半導体接着用組成物。
【請求項17】
前記無機充填剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、5重量部以上200重量部以下である、請求項15または16に記載の半導体接着用組成物。
【請求項18】
前記硬化触媒は、リン系化合物、ホウ素系化合物、リン-ホウ素系化合物、およびイミダゾール系化合物の少なくとも1つを含むものである、請求項15から17のいずれか一項に記載の半導体接着用組成物。
【請求項19】
前記硬化触媒の含有量は、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下である、請求項15から18のいずれか一項に記載の半導体接着用組成物。
【請求項20】
請求項6から19のいずれか一項に記載の半導体接着用組成物の硬化物を含む半導体接着用フィルム。
【請求項21】
請求項20に記載の半導体接着用フィルムを含む半導体パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、2020年4月24日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0050164号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、硬化剤、これを含む半導体接着用組成物、半導体接着用フィルムおよびこれを用いた半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0003】
最近、電子機器の小型化、高機能化、大容量化の傾向が拡大し、それに伴う半導体パッケージの高密度化、高集積化に対する必要性が急激に高まることによって半導体チップの大きさがますます大きくなっており、集積度の面でも改善のためにチップを多段に積層するスタックパッケージ方法が次第に増加している。
【0004】
シリコン貫通電極を用いたチップ間のボンディングは、200~300℃の温度で2~10秒間圧力を加える熱圧着(Thermal Compression Bonding)方式で行われる。各TSV層の間を充填する接着剤としてペースト(Paste)状の非導電性ペースト(Non Conductive Paste、NCP)や非導電性フィルム(Non-conductive Film、NCF)が使用され、熱膨張係数および剛性の確保とクラック防止のために、エポキシやビスマレイミド樹脂にフィラーを分散して使用していたが、前記接着剤は、熱圧着ボンディング過程の急激な温度および圧力変化に弱く、フィラーが樹脂から分離されて樹脂中にフィラーが存在しない領域が形成され、これによって半導体パッケージにクラックが発生する問題があった。特に、既存の接着剤は、硬化剤としてBPA系硬化剤を使用していたが、BPA硬化剤はクラックに弱い問題があった。
【0005】
そこで、熱圧着ボンディング過程の急激な圧力と温度変化でもクラックの発生が抑制され、信頼性に優れた半導体接着用組成物に対する技術が必要なのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れた接着力を示しながらも、クラックの発生を抑制できる硬化剤、前記硬化剤を含む半導体接着用組成物、半導体接着用フィルムおよびこれを用いた半導体パッケージを提供する。
【0007】
ただし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物の少なくとも1つを含む硬化剤を提供する:
【化1】
【化2】
前記化学式1および化学式2において、
、R、RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であり、
nは、1~50の整数であり、kは、1~50の整数である。
【0009】
本発明の一実施態様は、熱硬化性樹脂;熱可塑性樹脂;および下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物の少なくとも1つを含む硬化剤;を含む半導体接着用組成物を提供する:
【化3】
【化4】
前記化学式1および化学式2において、R、R、RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であり、nは、1~50の整数であり、kは、1~50の整数である。
【0010】
本発明の一実施態様は、前記半導体接着用組成物の硬化物を含む半導体接着用フィルムを提供する。
【0011】
本発明の一実施態様は、前記半導体接着用フィルムを含む半導体パッケージを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一実施態様に係る硬化剤を用いて、優れた接着力を示しながらも、クラックの発生が抑制される接着用組成物を実現することができる。
【0013】
本発明の一実施態様に係る半導体接着用組成物は、優れた接着力を示しながらも、クラックの発生が抑制できる。
【0014】
本発明の一実施態様に係る半導体接着用フィルムは、優れた接着力を有し、熱圧着ボンディング過程でクラックが発生することが効果的に抑制できる。
【0015】
本発明の一実施態様に係る半導体パッケージは、品質に優れることができる。
【0016】
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、言及されていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0018】
本願明細書全体において、ある部材が他の部材の「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合のみならず、2つの部材の間にさらに他の部材が存在する場合も含む。
【0019】
本願明細書全体において、単位「重量部」は、各成分間の重量の比率を意味することができる。
【0020】
以下、本明細書についてさらに詳細に説明する。
本発明の一実施態様は、下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物の少なくとも1つを含む硬化剤を提供する:
【化5】
【化6】
前記化学式1および化学式2において、R、R、RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であり、nは、1~50の整数であり、kは、1~50の整数である。
【0021】
本発明の一実施態様に係る硬化剤を用いて、優れた接着力を示しながらも、クラックの発生が抑制される接着用組成物を実現することができる。
【0022】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物は、末端にRおよびRでキャッピング(capping)される。RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であってもよい。RおよびRがそれぞれ独立してフェノール系化合物の場合、硬化剤自体の硬性(hardness)を減少させることができる。これにより、前記硬化剤を含む接着用組成物の硬化物の軟性(softness)が増加して、接着性能に優れていながらも、クラックの発生が抑制される耐クラック性に優れた接着用フィルムを実現することができる。また、前記接着用フィルムの耐クラック性が向上することにより、信頼性においても優れた性能を示すことができる。
【0023】
また、前記RおよびRは、互いに同一であってもよい。すなわち、同一のフェノール系化合物が前記化学式1の両末端に結合してもよく、前記化学式1で表される化合物の分散性が向上できる。
【0024】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1において、nは、1~50の整数、具体的には1~45の整数、5~40の整数、10~35の整数、15~30の整数、20~25の整数、1~20の整数、2~15の整数、3~10の整数、4~7の整数、15~40の整数、20~35の整数、25~30の整数、30~50の整数、または35~45の整数であってもよい。前記化学式1において、nが前述した範囲内の場合、前記化学式1で表される化合物は、優れた硬化性能を有することができる。
【0025】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-4で表される化合物の少なくとも1つを含むことができる。
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【0026】
具体的には、前記化学式1で表される化合物は、前記化学式1-1で表される化合物であってもよい。前記化学式1-1で表される構造を有する化合物は、硬化性能に優れていながらも、前記硬化剤を含む接着用組成物の硬化物の硬性を効果的に減少させることができる。
【0027】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2で表される化合物は、末端にRおよびRでキャッピングされる。RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であってもよい。RおよびRがそれぞれ独立してフェノール系化合物の場合、硬化剤自体の硬性を減少させて、前記硬化剤を含む接着用組成物の硬化物の軟性を増加させることができる。これにより、前記接着用組成物は、接着性能および耐クラック性に優れた接着用フィルムを提供することができる。
【0028】
また、前記RおよびRは、互いに同一であってもよい。すなわち、同一のフェノール系化合物が前記化学式2の両末端に結合してもよく、前記化学式2で表される化合物の分散性が向上できる。
【0029】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2において、kは、1~50の整数、具体的には1~45の整数、5~40の整数、10~35の整数、15~30の整数、20~25の整数、1~20の整数、2~15の整数、3~10の整数、4~7の整数、15~40の整数、20~35の整数、25~30の整数、30~50の整数、または35~45の整数であってもよい。前記化学式2において、kが前述した範囲内の場合、前記化学式2で表される化合物は、優れた硬化性能を有することができる。
【0030】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2で表される化合物は、下記化学式2-1~化学式2-4で表される化合物の少なくとも1つを含むことができる。
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
前記化学式において、RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であり、kは、1~50の整数である。
【0031】
具体的には、前記化学式2で表される化合物は、前記化学式2-1で表される化合物であってもよい。前記化学式2-1で表される構造を有する化合物は、硬化性能に優れていながらも、前記硬化剤を含む接着用組成物の硬化物の硬性を効果的に減少させることができる。
【0032】
本発明の一実施態様によれば、前記硬化剤は、少なくとも前記化学式2-1で表される化合物を含むことができる。前述のように、前記化学式2-1で表される構造を有する化合物は、硬化性能に優れていながらも、前記接着用組成物の硬化物の硬性を効果的に減少させることが可能で、接着用フィルムの耐クラック性および信頼性を効果的に向上させることができる。
【0033】
本発明の一実施態様によれば、前記硬化剤は、少なくとも前記化学式1-1で表される化合物および前記化学式2-1で表される化合物を含むことができる。前述のように、前記化学式1-1で表される化合物および前記化学式2-1で表される化合物は、硬化性能に優れていながらも、前記硬化剤を含む接着用組成物の硬化物の硬性を効果的に減少させることができる。
【0034】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール系化合物は、単環であってもよい。すなわち、前記R、R、RおよびRは、それぞれ独立して単環のフェノール系化合物であってもよい。R、R、RおよびRがそれぞれ独立して単環のフェノール系化合物の場合、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物自体の硬性を効果的に減少させることができる。すなわち、前記硬化剤を含む接着用組成物は、優れた接着力を有しながらも、熱圧着ボンディング過程で発生しうるクラックを効果的に抑制することができる。
【0035】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール系化合物は、非置換;または炭素数1~10の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、および炭素数4~10の脂環式アルキル基の少なくとも1つが置換;されたフェノール基であってもよい。具体的には、前記フェノール系化合物は、非置換のフェノール基であってもよい。あるいは、前記フェノール系化合物は、1以上のアルキル基が置換されたフェノール基であってもよい。具体的には、前記フェノール系化合物は、直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族アルキル基、および脂環式アルキル基の少なくとも1つが置換されたフェノール基であってもよい。
【0036】
前述した種類のフェノール系化合物が前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の末端に結合することにより、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、適切な軟性を有しながらも、優れた硬化性能を示すことができる。
【0037】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール基に置換された前記直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基の炭素数は、1~10、1~8、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、または4~6であってもよい。前記直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基の炭素数が前述した範囲内の場合、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の硬性を効果的に減少させることができる。前記直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-メチルプロピル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-エチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、または2-エチルブチルであってもよいが、前記アルキル基の種類を限定するものではない。
【0038】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール基に置換された前記脂環式アルキル基の炭素数は、4~10、4~8、5~8、または6~8であってもよい。前記脂環式アルキル基の炭素数が前述した範囲内の場合、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の硬性を効果的に減少させることができる。前記脂環式アルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルであってもよいが、前記アルキル基の種類を限定するものではない。
【0039】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール基に置換される前記アルキル基の数は、1個以上3個以下、または1個以上2個以下であってもよい。前記フェノール基に置換される前記アルキル基の数が前述した範囲内の場合、前記硬化剤の硬化性能が低下することを防止しかつ、前記硬化剤の軟性を効果的に増加させることができる。
【0040】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール系化合物は、下記の化合物のいずれか1つであってもよい:
【化15】
【0041】
具体的には、前記フェノール系化合物は、下記の化合物のいずれか1つであってもよい:
【化16】
前記化合物において、「*」は、結合点を意味する。
【0042】
前記フェノール系化合物が前記化合物の場合、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、優れた硬化性能を維持しながらも、硬性が効果的に減少できる。これにより、前記硬化剤を含む接着用組成物は、優れた接着性能および耐クラック性を有する接着用フィルムを提供することができる。
【0043】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-Aで表される化合物および下記化学式1-Bで表される化合物の少なくとも1つを含むことができる。
【化17】
【化18】
前記化学式において、nは、1~50の整数である。
【0044】
前記化学式1-Aで表される化合物および前記化学式1-Bで表される化合物は、硬性が効果的に減少して、前記硬化剤を含む接着用組成物の耐クラック性を向上させることができ、優れた機械的物性を実現可能な硬化性能を有することができる。
【0045】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1-Aで表される化合物は、下記の化合物1-A-1を含み、前記化学式1-Bで表される化合物は、下記の化合物1-B-1を含むことができる。
【化19】
【化20】
前記化合物において、nは、1~50の整数である。
【0046】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2で表される化合物は、下記化学式2-Aで表される化合物および下記化学式2-Bで表される化合物の少なくとも1つを含むことができる。
【化21】
【化22】
前記化学式において、kは、1~50の整数である。
【0047】
前記化学式2-Aで表される化合物および前記化学式2-Bで表される化合物を含む接着用組成物は、接着性能および耐クラック性に優れた接着用フィルムを実現することができる。
【0048】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2-Aで表される化合物は、下記の化合物2-A-1を含み、前記化学式2-Bで表される化合物は、下記の化合物2-B-1を含むことができる。
【化23】
【化24】
前記化合物において、nは、1~50の整数である。
【0049】
本発明の一実施態様は、熱硬化性樹脂;熱可塑性樹脂;ならびに下記化学式1で表される化合物および下記化学式2で表される化合物の少なくとも1つを含む硬化剤;を含む半導体接着用組成物を提供する:
【化25】
【化26】
前記化学式1および化学式2において、R、R、RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であり、nは、1~50の整数であり、kは、1~50の整数である。
【0050】
本発明の一実施態様に係る半導体接着用組成物は、優れた接着力を示しながらも、クラックの発生が抑制できる。具体的には、本発明の一実施態様に係る半導体接着用組成物は、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の少なくとも1つを含む硬化剤を含むことにより、優れた接着力を有しながらも、熱圧着ボンディング過程で発生しうるクラックを効果的に抑制することができる。
【0051】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物は、末端にRおよびRでキャッピング(capping)される。RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であってもよい。RおよびRがそれぞれ独立してフェノール系化合物の場合、硬化剤自体の硬性(hardness)を減少させることができる。これにより、前記硬化剤を含む半導体接着用組成物の硬化物の軟性(softness)が増加して、接着性能に優れていながらも、クラックの発生が抑制される耐クラック性に優れた接着用フィルムを実現することができる。接着用フィルムの耐クラック性が向上することにより、信頼性においても優れた性能を示すことができる。
【0052】
また、前記RおよびRは、互いに同一であってもよい。すなわち、同一のフェノール系化合物が前記化学式1の両末端に結合してもよく、前記化学式1で表される化合物の分散性が向上できる。
【0053】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1において、nは、1~50の整数、具体的には1~45の整数、5~40の整数、10~35の整数、15~30の整数、20~25の整数、1~20の整数、2~15の整数、3~10の整数、4~7の整数、15~40の整数、20~35の整数、25~30の整数、30~50の整数、または35~45の整数であってもよい。前記化学式1において、nが前述した範囲内の場合、前記化学式1で表される化合物は、優れた硬化性能を有することができる。
【0054】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-4で表される化合物の少なくとも1つを含むことができる。
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【0055】
具体的には、前記化学式1で表される化合物は、前記化学式1-1で表される化合物であってもよい。前記化学式1-1で表される構造を有する化合物は、硬化性能に優れていながらも、前記半導体接着用組成物の硬化物の硬性を効果的に減少させることができる。
【0056】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2で表される化合物は、末端にRおよびRでキャッピングされる。RおよびRは、それぞれ独立してフェノール系化合物であってもよい。RおよびRがそれぞれ独立してフェノール系化合物の場合、硬化剤自体の硬性を減少させて、前記硬化剤を含む半導体接着用組成物の硬化物の軟性を増加させることができる。これにより、前記半導体接着用組成物は、接着性能および耐クラック性に優れた接着用フィルムを提供することができる。
【0057】
また、前記RおよびRは、互いに同一であってもよい。すなわち、同一のフェノール系化合物が前記化学式2の両末端に結合してもよく、前記化学式2で表される化合物の分散性が向上できる。
【0058】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2において、kは、1~50の整数、具体的には1~45の整数、5~40の整数、10~35の整数、15~30の整数、20~25の整数、1~20の整数、2~15の整数、3~10の整数、4~7の整数、15~40の整数、20~35の整数、25~30の整数、30~50の整数、または35~45の整数であってもよい。前記化学式2において、kが前述した範囲内の場合、前記化学式2で表される化合物は、優れた硬化性能を有することができる。
【0059】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2で表される化合物は、下記化学式2-1~化学式2-4で表される化合物の少なくとも1つを含むことができる。
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【0060】
具体的には、前記化学式2で表される化合物は、前記化学式2-1で表される化合物であってもよい。前記化学式2-1で表される構造を有する化合物は、硬化性能に優れていながらも、前記半導体接着用組成物の硬化物の硬性を効果的に減少させることができる。
【0061】
本発明の一実施態様によれば、前記硬化剤は、少なくとも前記化学式2-1で表される化合物を含むことができる。前述のように、前記化学式2-1で表される構造を有する化合物は、硬化性能に優れていながらも、前記半導体接着用組成物の硬化物の硬性を効果的に減少させることが可能で、接着用フィルムの耐クラック性および信頼性を効果的に向上させることができる。
【0062】
本発明の一実施態様によれば、前記硬化剤は、少なくとも前記化学式1-1で表される化合物および前記化学式2-1で表される化合物を含むことができる。前述のように、前記化学式1-1で表される化合物および前記化学式2-1で表される化合物は、硬化性能に優れていながらも、前記半導体接着用組成物の硬化物の硬性を効果的に減少させることができる。
【0063】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール系化合物は、単環であってもよい。すなわち、前記R、R、RおよびRは、それぞれ独立して単環のフェノール系化合物であってもよい。R、R、RおよびRがそれぞれ独立して単環のフェノール系化合物の場合、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物自体の硬性が効果的に減少できる。すなわち、前記硬化剤を含む半導体接着用組成物は、優れた接着力を有しながらも、熱圧着ボンディング過程で発生しうるクラックを効果的に抑制することができる。
【0064】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール系化合物は、非置換;または炭素数1~10の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、および炭素数4~10の脂環式アルキル基の少なくとも1つが置換;されたフェノール基であってもよい。具体的には、前記フェノール系化合物は、非置換のフェノール基であってもよい。あるいは、前記フェノール系化合物は、1以上のアルキル基が置換されたフェノール基であってもよい。具体的には、前記フェノール系化合物は、直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族アルキル基、および脂環式アルキル基の少なくとも1つが置換されたフェノール基であってもよい。
【0065】
前述した種類のフェノール系化合物が前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の末端に結合することにより、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、適切な軟性を有しながらも、優れた硬化性能を示すことができる。
【0066】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール基に置換された前記直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基の炭素数は、1~10、1~8、1~6、1~5、1~4、1~3、1~2、2~4、3~5、または4~6であってもよい。前記直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基の炭素数が前述した範囲内の場合、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の硬性が効果的に減少できる。前記直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-メチルプロピル、n-ペンチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2-エチルプロピル、n-ヘキシル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、または2-エチルブチルであってもよいが、前記アルキル基の種類を限定するものではない。
【0067】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール基に置換された前記脂環式アルキル基の炭素数は、4~10、4~8、5~8、または6~8であってもよい。前記脂環式アルキル基の炭素数が前述した範囲内の場合、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の硬性が効果的に減少できる。前記脂環式アルキル基は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、またはシクロオクチルであってもよいが、前記アルキル基の種類を限定するものではない。
【0068】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール基に置換される前記アルキル基の数は、1個以上3個以下、または1個以上2個以下であってもよい。前記フェノール基に置換される前記アルキル基の数が前述した範囲内の場合、前記硬化剤の硬化性能が低下することを防止しかつ、前記硬化剤の軟性を効果的に増加させることができる。
【0069】
本発明の一実施態様によれば、前記フェノール系化合物は、下記の化合物のいずれか1つであってもよい:
【化35】
【0070】
具体的には、前記フェノール系化合物は、下記の化合物のいずれか1つであってもよい:
【化36】
前記化合物において、「*」は、結合点を意味する。
【0071】
前記フェノール系化合物が前記化合物の場合、前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物は、優れた硬化性能を維持しながらも、硬性が効果的に減少できる。これにより、前記硬化剤を含む半導体接着用組成物は、優れた接着性能および耐クラック性を有する半導体接着用フィルムを提供することができる。
【0072】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-Aで表される化合物および下記化学式1-Bで表される化合物の少なくとも1つを含むことができる。
【化37】
【化38】
前記化学式において、nは、1~50の整数である。
【0073】
前記化学式1-Aで表される化合物および前記化学式1-Bで表される化合物は、硬性が効果的に減少して、前記半導体接着用組成物の耐クラック性を向上させることができ、優れた機械的物性を実現可能な硬化性能を有することができる。
【0074】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式1-Aで表される化合物は、下記の化合物1-A-1を含み、前記化学式1-Bで表される化合物は、下記の化合物1-B-1を含むことができる。
【化39】
【化40】
前記化合物において、nは、1~50の整数である。
【0075】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2で表される化合物は、下記化学式2-Aで表される化合物および下記化学式2-Bで表される化合物の少なくとも1つを含むことができる。
【化41】
【化42】
前記化学式において、kは、1~50の整数である。
【0076】
前記化学式2-Aで表される化合物および前記化学式2-Bで表される化合物を含む半導体接着用組成物は、接着性能および耐クラック性に優れた半導体接着用フィルムを実現することができる。
【0077】
本発明の一実施態様によれば、前記化学式2-Aで表される化合物は、下記の化合物2-A-1を含み、前記化学式2-Bで表される化合物は、下記の化合物2-B-1を含むことができる。
【化43】
【化44】
前記化合物において、nは、1~50の整数である。
【0078】
本発明の一実施態様によれば、前記硬化剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、5重量部以上195重量部以下であってもよい。具体的には、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、前記硬化剤の含有量は、5重量部以上190重量部以下、10重量部以上150重量部以下、20重量部以上130重量部以下、30重量部以上110重量部以下、40重量部以上100重量部以下、50重量部以上80重量部以下、5重量部以上100重量部以下、5重量部以上95重量部以下、5重量部以上85重量部以下、5重量部以上80重量部以下、5重量部以上75重量部以下、5重量部以上70重量部以下、5重量部以上50重量部以下、5重量部以上25重量部以下、5重量部以上10重量部以下、60重量部以上195重量部以下、65重量部以上190重量部以下、75重量部以上190重量部以下、90重量部以上190重量部以下、100重量部以上190重量部以下、125重量部以上190重量部以下、150重量部以上190重量部以下、または170重量部以上190重量部以下であってもよい。
【0079】
前記硬化剤の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記半導体接着用組成物の硬化物の硬性を低下させて、半導体接着用フィルムの耐クラック性をより向上させることができる。また、前記硬化剤の含有量が前述した範囲内の場合、前記半導体接着用組成物の硬化物は、耐熱性、強度および接着性が向上できる。
【0080】
本発明の一実施態様によれば、前記硬化剤は、アミン系化合物、酸無水物系化合物、およびアミド系化合物の少なくとも1つをさらに含むことができる。具体的には、前記アミン系化合物は、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、またはこれらの組み合わせからなる群より選択された1つであってもよい。前記酸無水物系化合物は、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、またはこれらの組み合わせからなる群より選択された1つであってもよい。前記アミド系化合物としては、ジシアンジアミド、リノレン酸の二量体とエチレンジアミンから合成されるポリアミド樹脂であってもよい。前記硬化剤が前記化合物をさらに含むことにより、前記半導体接着用組成物から形成された半導体接着用フィルムの機械的物性を向上させることができる。
【0081】
本発明の一実施態様によれば、前記熱硬化性樹脂は、固体状エポキシ樹脂、および液状エポキシ樹脂の少なくとも1つを含むことができる。前記熱硬化性樹脂は、硬化剤と反応して耐熱特性や機械的強度を発現することができる。
【0082】
本発明の一実施態様によれば、前記エポキシ樹脂は、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型ノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニル型ノボラックエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタンエポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、およびシクロアリファティックエポキシ樹脂の少なくとも1つを含むことができる。前記熱硬化性樹脂が前述したエポキシ樹脂を含む場合、前記半導体接着用組成物は、半導体チップの多段積層構造のパッケージに適した物理的特性、耐熱性および耐衝撃性などの機械的物性が確保された半導体接着用フィルムを実現することができる。
【0083】
本発明の一実施態様によれば、前記エポキシ樹脂は、100~1,000の平均エポキシ当量を有することができる。前記平均エポキシ当量は、前記エポキシ樹脂に含まれるそれぞれのエポキシ樹脂の重量比率およびエポキシ当量に基づいて求められる。
【0084】
本発明の一実施態様によれば、前記熱可塑性樹脂は、ポリイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエステルイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノキシ系樹脂、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、変性ブタジエンゴム、反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合ゴム、および(メタ)アクリレート系樹脂の少なくとも1つを含むことができる。上述したものから前記熱可塑性樹脂を選択することにより、エポキシ樹脂との相溶性を増加させ、半導体パッケージから生じるストレスを減少させることができる。
【0085】
本発明の一実施態様によれば、前記熱可塑性樹脂は、-10℃~30℃のガラス転移温度および50,000g/mol~1,000,000g/molの重量平均分子量を有する(メタ)アクリレート系樹脂を含むことができる。
【0086】
本発明の一実施態様によれば、前記(メタ)アクリレート系樹脂は、エポキシ基含有アクリル共重合体として、全体重量中、グリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートを1重量%~30重量%、あるいは2重量%~28重量%、あるいは2.5重量%~25重量%含むことができる。前記(メタ)アクリレート系樹脂中のエポキシ基の含有量が前述した範囲内の場合、エポキシ樹脂との相溶性と接着力に優れることができる。また、硬化による粘度上昇速度が適切で、半導体素子の熱圧着工程ではんだバンプの接合および埋め込みが十分に行われる。
【0087】
本発明の一実施態様によれば、前記熱可塑性樹脂の含有量は、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、5重量部以上350重量部以下であってもよい。具体的には、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、前記熱可塑性樹脂の含有量は、10重量部以上300重量部以下、25重量部以上275重量部以下、50重量部以上250重量部以下、75重量部以上200重量部以下、100重量部以上150重量部以下、5重量部以上200重量部以下、10重量部以上175重量部以下、25重量部以上150重量部以下、50重量部以上125重量部以下、70重量部以上100重量部以下、150重量部以上300重量部以下、180重量部以上275重量部以下、200重量部以上250重量部以下、250重量部以上350重量部以下、275重量部以上325重量部以下、または290重量部以上310重量部以下であってもよい。前記熱可塑性樹脂の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記熱硬化性樹脂との相溶性を高め、半導体パッケージから発生しうるストレスを効果的に減少させることができる。
【0088】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体接着用組成物は、無機充填剤および硬化触媒をさらに含むことができる。
【0089】
本発明の一実施態様によれば、前記無機充填剤は、アルミナ、シリカ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、およびホウ酸アルミニウムの少なくとも1つを含むことができる。前述した種類の無機充填剤を用いることにより、半導体接着用フィルムの機械的物性を効果的に向上させることができる。
【0090】
本発明の一実施態様によれば、前記無機充填剤の含有量は、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、5重量部以上200重量部以下であってもよい。具体的には、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、前記無機充填剤の含有量は、10重量部以上180重量部以下、20重量部以上150重量部以下、30重量部以上120重量部以下、50重量部以上100重量部以下、75重量部以上85重量部以下、5重量部以上100重量部以下、15重量部以上80重量部以下、30重量部以上60重量部以下、80重量部以上150重量部以下、90重量部以上135重量部以下、100重量部以上115重量部以下、125重量部以上200重量部以下、140重量部以上180重量部以下、または150重量部以上175重量部以下であってもよい。前記無機充填剤の含有量が前述した範囲内の場合、前記半導体接着用組成物を用いて形成された半導体接着用フィルムの機械的物性が向上可能であり、半導体チップとの熱膨張係数のミスマッチ(mismatch)を低減して信頼性を向上させることができる。
【0091】
本発明の一実施態様によれば、前記無機充填剤の平均粒径(最長外径基準)は、0.01μm以上10μm以下、具体的には0.02μm以上5μm以下、または0.03μm以上2μm以下であってもよい。前記無機充填剤の平均粒径が前述した範囲内の場合、前記半導体接着用組成物内で凝集することが防止できる。また、前記無機充填剤の平均粒径が前述した範囲内の場合、前記無機充填剤によって半導体回路が損傷したり、または半導体接着用フィルムの接着性が低下したりすることを抑制することができる。
【0092】
本発明の一実施態様によれば、前記硬化触媒は、前記硬化剤の作用や前記半導体接着用組成物の硬化を促進させる役割を果たすことができる。前記硬化触媒は、リン系化合物、ホウ素系化合物、リン-ホウ素系化合物、およびイミダゾール系化合物の少なくとも1つを含むことができる。ただし、前記硬化触媒の種類を限定するものではなく、半導体接着フィルムなどの製造に使用されると知られた硬化触媒であれば、制限なく使用可能である。
【0093】
本発明の一実施態様によれば、前記硬化触媒の含有量は、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、0.1重量部以上20重量部以下であってもよい。具体的には、前記熱硬化性樹脂100重量部に対して、前記硬化触媒の含有量は、0.5重量部以上18重量部以下、1重量部以上15重量部以下、2.5重量部以上12.5重量部以下、または5重量部以上10重量部以下であってもよい。前記硬化触媒の含有量を前述した範囲に調節することにより、前記半導体接着用組成物の硬化反応を効果的に促進させることができる。
【0094】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体接着用組成物は、必要に応じて、レベリング剤、分散剤、または溶媒をさらに含むことができる。
【0095】
本発明の一実施態様によれば、前記溶媒は、前記半導体接着用組成物を溶解させ、また、組成物を塗布するのに適切な程度の粘度を付与する目的で使用できる。前記溶媒の具体例としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエーテル類(セロソルブ);酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル類;エタノール、プロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、カルビトールなどのアルコール類;オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素;石油エーテル、石油ナフサ、水素添加石油ナフサ、溶媒ナフサなどの石油系溶剤;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類などが挙げられる。これらの溶媒は、単独でまたは2種以上の混合物として使用可能である。
【0096】
前記溶媒は、前記半導体接着用組成物の分散性、溶解度または粘度などを考慮して適切な量で使用可能であり、例えば、前記半導体接着用組成物は、前記溶媒0.1重量%~70重量%、または1重量%~65重量%を含むことができる。前記溶媒の含有量が前述した範囲内の場合、半導体接着用組成物のコーティング性が向上可能であり、半導体接着用組成物の乾燥が円滑に行われて、製造されたフィルムのべたつきを減少させることができる。
【0097】
一方、前記半導体接着用樹脂組成物を製造する方法の例は大きく限定されず、上述した成分を多様な方法、例えば、ミキサなどを用いて混合する方法を使用することができる。
【0098】
本発明の一実施態様は、前記半導体接着用組成物の硬化物を含む半導体接着用フィルムを提供する。
【0099】
本発明の一実施態様に係る半導体接着用フィルムは、優れた接着力を有し、熱圧着ボンディング過程でクラックが発生することが効果的に抑制できる。すなわち、前述した熱硬化性樹脂;熱可塑性樹脂;および前記化学式1で表される化合物および前記化学式2で表される化合物の少なくとも1つを含む硬化剤;を含む半導体接着用組成物により製造された半導体接着用フィルムは、優れた接着性能および耐クラック性を有することができる。
【0100】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体接着用フィルムは、前述した半導体接着用組成物の塗布、乾燥、および硬化工程により得られる完全硬化フィルムを意味し、半導体接着用フィルムに含まれた高分子は、半導体接着用組成物に含まれた成分の架橋反応により得られる反応生成物を含むことができる。
【0101】
前記塗布段階では、前記半導体接着用組成物を塗布するのに使用できると知られた通常の方法および装置を用いることができ、例えば、半導体接着用組成物をそのままあるいは適切な有機溶媒に希釈した後、基材フィルム上に、コンマコーター、ブレードコーター、リップコーター、ロッドコーター、スクイーズコーター、リバースコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、噴霧コーターなどを用いて塗布した後に乾燥することができる。
【0102】
本発明の一実施態様によれば、前記乾燥温度は、50℃~200℃であってもよい。具体的には、前記乾燥温度は、60℃~170℃、70℃~150℃であってもよい。また、前記乾燥時間は、2分~30分であってもよい。具体的には、前記乾燥時間は、2.5分~25分、3分~20分、3.5分~15分であってもよい。
【0103】
本発明の一実施態様によれば、前記半導体接着用フィルムを支持するための支持基材としては、耐熱性や耐薬品性に優れた樹脂フィルム、前記樹脂フィルムを構成する樹脂を架橋処理した架橋フィルム、または前記樹脂フィルムの表面にシリコーン樹脂などを塗布して剥離処理したフィルムなどが用いられる。
【0104】
本発明の一実施態様によれば、前記樹脂フィルムを構成する樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタンなどを適用することができる。
【0105】
本発明の一実施態様によれば、前記支持基材の厚さは特に限定されないが、3~400μm、あるいは5~200μm、あるいは10~150μmであってもよい。
【0106】
本発明の一実施態様によれば、前記支持基材と前記半導体接着用フィルムとの間には粘着層が介在してもよい。粘着層としては、この分野にて公知のものが特別な制限なく適用可能である。
【0107】
本発明の一実施態様は、前記半導体接着用フィルムを含む半導体パッケージを提供する。
【0108】
本発明の一実施態様に係る半導体パッケージは、品質に優れることができる。具体的には、前記半導体接着用フィルムは、接着力に優れ、クラックの発生が防止可能なため、前記半導体接着用フィルムを含む半導体パッケージは、品質信頼性に優れることができる。
【0109】
前記半導体接着用フィルムは、半導体を接着するための用途に使用可能であり、前記半導体は、回路基板および半導体チップを含むことができる。前記回路基板は、印刷回路基板(PCB:Printed Circuit Board)、半導体パッケージ基板、またはフレキシブル半導体パッケージ(FPCB)基板などが挙げられる。
【0110】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例
【0111】
以下、本発明を具体的に説明するために、実施例を挙げて詳細に説明する。
【0112】
製造例1
150gのビスフェノールAと14gのホルムアルデヒド(formaldehyde)を750mlの2-エトキシエタノール(2-ethoxy ethanol)に入れて、オイルバス(oil bath)で溶かして混合物を製造した。製造された混合物を100℃に加熱し、1.5gの硫酸(sulfuric acid)を滴加して混合溶液を製造した。以後、混合溶液を135℃に加熱して12時間反応を進行させた。反応が終わった後に混合溶液に含まれた水と溶媒を除去し、数回の洗浄作業により残留するビスフェノールAを除去して、ビスフェノールAノボラック化合物を合成した。
【0113】
合成されたビスフェノールAノボラック化合物の末端にフェノールをキャッピングするために、合成されたビスフェノールAノボラック化合物150gに、2.8gのホルムアルデヒドと57gのフェノールを添加して混合物を製造し、製造された混合物を750mlの2-エトキシエタノールに入れて、オイルバスで溶かして混合溶液を製造した。以後、製造された混合溶液を100℃に加熱し、0.3gの硫酸を滴加し混合した後、135℃に加熱して12時間撹拌した。反応が終わった後に混合溶液に含まれた溶媒を除去し、数回の洗浄作業を進行させた。最終的に、下記の化合物1-A-1と下記の化合物2-A-1とを含む末端にフェノールがキャッピングされたビスフェノールAノボラック樹脂を得た。この時、得られたビスフェノールAノボラック樹脂は下記の化合物2-A-1を主に含み、軟化点(softening point)は約130℃である。
【0114】
【化45】
【化46】
前記化合物1-A-1において、nは、約4~7であり、化合物2-A-1において、kは、約4~7であった。
【0115】
製造例2
前記製造例1と同様の方法によりビスフェノールAノボラック化合物を合成した。以後、前記製造例1において、フェノールの代わりに69gのo-クレゾール(o-cresol)を添加したことを除き、前記製造例1と同様の方法により、下記の化合物1-B-1と下記の化合物2-B-1とを含む末端にo-クレゾールがキャッピングされたビスフェノールAノボラック樹脂を得た。この時、得られたビスフェノールAノボラック樹脂には下記の化合物2-B-1が主に含まれた。
【0116】
【化47】
【化48】
前記化合物1-B-1において、nは、約4~7であり、化合物2-B-1において、kは、約4~7であった。
【0117】
実施例および比較例(半導体接着用組成物および半導体接着用フィルムの製造)
【0118】
実施例1
(1)半導体接着用組成物の製造
液状エポキシ樹脂(RE-310S、日本化薬製品、ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量180g/eq)72gと固体状エポキシ樹脂(EOCN-104S、日本化薬、エポキシ当量218g/eq)10gとを混合して熱硬化性樹脂を用意した。また、熱可塑性樹脂としてアクリレート樹脂KG-3015(Mw:90万、ガラス転移温度:10℃、固形分15%のメチルエチルケトン溶解品)を用意し、硬化剤として前記製造例1で製造された末端にフェノールがキャッピングされたビスフェノールAノボラック樹脂を用意し、無機充填剤(YA050C、アドマテックス、球状シリカ、平均粒径約50nm)、イミダゾール系硬化触媒(C11Z-CNZ、Curezol、SHIKOKU)、溶媒としてメチルエチルケトンを用意した。
【0119】
以後、用意された熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤、無機充填剤、硬化触媒、および溶媒を混合して半導体接着用組成物(固形分40重量%)を得た。この時、熱硬化性樹脂100重量部に対して、熱可塑性樹脂は約37重量部、硬化剤は約68重量部、無機充填剤は約152重量部、硬化触媒は約2.2重量部混合された。
【0120】
(2)半導体接着用フィルムの製造
前記半導体接着用組成物を、離型処理されたPETフィルム上に、ドクターブレードを用いて約80μmの厚さにコーティングした後、ラップオーブンを用いて、1000rpmの風速で110℃で5分間乾燥した後、保護フィルムを覆って、20μmの厚さの半導体接着用フィルムを製造した。
【0121】
実施例2
前記実施例1において、硬化剤として製造例2で製造された末端にクレゾールがキャッピングされたビスフェノールAノボラック樹脂を用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体接着用組成物および半導体接着用フィルムを製造した。
【0122】
実施例3
前記実施例1において、無機充填剤を用いないことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体接着用組成物および半導体接着用フィルムを製造した。
【0123】
実施例4
前記実施例1において、熱可塑性樹脂としてアクリレート樹脂KG-3015の代わりにフェノキシ樹脂(Kukdo化学、YP-50s)を用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体接着用組成物および半導体接着用フィルムを製造した。
【0124】
実施例5
前記実施例1において、硬化剤の含有量を熱硬化性樹脂100重量部に対して約5重量部に調節したことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体接着用組成物および半導体接着用フィルムを製造した。
【0125】
実施例6
前記実施例1において、硬化剤の含有量を熱硬化性樹脂100重量部に対して約190重量部に調節したことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体接着用組成物および半導体接着用フィルムを製造した。
【0126】
比較例1
前記実施例1において、硬化剤としてビスフェノールAノボラックタイプの硬化剤(KH-6021、DIC)を用いたことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体接着用組成物および半導体接着用フィルムを製造した。
【0127】
比較例2
前記実施例1において、硬化剤の含有量を熱硬化性樹脂100重量部に対して約200重量部に調節したことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体接着用組成物および半導体接着用フィルムを製造した。
【0128】
比較例3
前記実施例1において、硬化剤の含有量を熱硬化性樹脂100重量部に対して約3重量部に調節したことを除き、前記実施例1と同様の方法により半導体接着用組成物および半導体接着用フィルムを製造した。
【0129】
試験例1(クラック発生評価)
高さ15μmおよびピッチ50μmの銅フィラーに無鉛はんだが3μmの高さに形成されている半導体素子であるバンプチップ(4.5mm×4.5mm)を含むウエハを用意した。
【0130】
前記ウエハのバンプの面に、前記実施例1~6および比較例1~3の半導体接着用フィルムの接着層を位置させて、60℃で真空ラミネーションを進行させた後、ダイシング(Dicing)して各チップに個片化した。
【0131】
個片化されたバンプチップは、熱圧着ボンダを用いて、50μmのピッチ接続パッドを有している6mm×8mmの基材チップに熱圧着ボンディングを進行させて半導体装置を製造した。この時、ヘッド温度100℃で1秒間50Nで仮接し、ヘッド温度を瞬間的に280℃に上げて5秒間100Nで熱圧着ボンディングを進行させた。
【0132】
前記で製造された半導体装置に対して、温度サイクル試験(Temperature cycle Test)を実施した。まず、得られた半導体装置に対して、超音波映像装置(Scanning Acoustic Tomography(SAT))により、熱圧着ボンディング中にボイドやクラックが発生しなかったことを確認した。低温と高温条件として-55℃で15分後に125℃で15分を1サイクルとして繰り返し2000サイクルまで進行させた。
【0133】
温度サイクル試験が終わった半導体装置に対して、超音波映像装置(Scanning Acousitic Tomography(SAT))を観察して、クラックやデラミネーション(delamination)が確認されるサンプルに対して断面を研磨してクラックを確認した。クラックや剥離が発生したものをX、クラックや剥離が発生しなかったものをOと表示した。
【0134】
試験例2(信頼性評価:熱サイクル評価)
前記試験例1と同様の方法により前記実施例1~6および比較例1~3の半導体接着用フィルムが適用された半導体装置をそれぞれ10個ずつ製造した。
【0135】
以後、熱サイクル試験機の条件は-65℃~150℃に設定され、10個の半導体装置を最低温度の-65℃で45分間露出させた後、最高温度の150℃で45分間露出させる1回のサイクルを500回繰り返し、ウエハと半導体接着用フィルムとの間の剥離の発生を評価した。具体的には、500回のサイクルの終了後、超音波映像装置(Scanning Acousitic Tomography(SAT))により、10個の半導体装置のうちすべて剥離が発生しなかった場合には合格(O)と評価し、10個の半導体装置のうち1個でも剥離が発生した場合には不合格(X)と評価した。
【0136】
下記表1には前記試験例1および試験例2の測定結果を示した。
【0137】
【表1】
【0138】
前記表1を参照すれば、本発明の一実施態様に係る、化学式1で表される化合物および化学式2で表される化合物を含む硬化剤を用いた実施例1~実施例6の半導体接着用フィルムは、硬化剤としてビスフェノールAノボラックタイプの硬化剤を用いた比較例1の半導体接着用フィルムに比べて、クラック評価および信頼性評価において優れた品質を有することを確認した。
【0139】
一方、熱硬化性樹脂100重量部に対して、硬化剤の含有量が200重量部である比較例2と、硬化剤の含有量が3重量部である比較例3の場合、クラック評価および信頼性評価において劣る品質を有することを確認した。
【0140】
すなわち、本発明の一実施態様に係る硬化剤を含む半導体接着用組成物は、耐クラック性および信頼性に優れた半導体接着用フィルムを実現できることが分かる。
【国際調査報告】