(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-23
(54)【発明の名称】粘着剤組成物および表面保護フィルム
(51)【国際特許分類】
C09J 175/04 20060101AFI20230516BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230516BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20230516BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20230516BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20230516BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20230516BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20230516BHJP
【FI】
C09J175/04
C09J11/06
C09J133/14
C09J7/38
B32B27/00 M
H01L21/68 N
H01L21/78 M
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022560505
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(85)【翻訳文提出日】2022-10-04
(86)【国際出願番号】 KR2021010769
(87)【国際公開番号】W WO2022039445
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0103553
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ミン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・グ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・スン・リム
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
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5F063
5F131
【Fターム(参考)】
4F100AK42
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(57)【要約】
本発明は、低速および高速剥離力が低く、残留粘着率が高い粘着剤組成物およびこれらの表面保護フィルムを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基を含むウレタン樹脂、イソシアネート系硬化剤、および(メタ)アクリレート共重合体を含む粘着剤組成物であって、
前記(メタ)アクリレート共重合体は、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体、フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体、および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物から重合されたものである粘着剤組成物。
【請求項2】
前記ウレタン樹脂の重量平均分子量は、5万~20万である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
前記イソシアネート系硬化剤は、前記ウレタン樹脂100重量部に対して、10~30重量部含まれるものである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリレート共重合体は、重量平均分子量が2万~7万である、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項5】
前記単量体混合物は、前記水酸基含有(メタ)アクリレート単量体0より多く10重量%以下、前記フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体0より多く10重量%以下、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体70~95重量%、および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体1~10重量%の含有量で含むものである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項6】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項7】
前記フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体は、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロ-n-プロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロ-t-ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-t-ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-2,4-ビス(トリフルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、オクタデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ノナデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、およびエイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項8】
前記炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、およびイソノニル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項9】
前記炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体は、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、およびエイコシル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項10】
前記(メタ)アクリレート共重合体は、前記ウレタン樹脂100重量部に対して、0.5~5重量部含まれるものである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項11】
離型フィルムおよび基材フィルムを含む表面保護フィルムであって、
前記基材フィルムは、第1基材層と、前記第1基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、請求項1に記載の粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層と、を含み、
前記離型フィルムと前記粘着剤層とは、直接接するものである
表面保護フィルム。
【請求項12】
前記離型フィルムは、第2基材層と、前記第2基材層の両面に位置する帯電防止層と、離型層と、を含むものである、請求項11に記載の表面保護フィルム。
【請求項13】
ガラスに付着させた後、180゜の剥離強度および20m/minの剥離速度で剥離する場合の剥離力が30gf/in以下である、請求項11に記載の表面保護フィルム。
【請求項14】
ガラスに付着させた後、180゜の剥離強度および0.3m/minの剥離速度で剥離する場合の剥離力が4gf/in以下である、請求項11に記載の表面保護フィルム。
【請求項15】
ガラスに付着させた後、60℃および相対湿度90%の条件で10日間放置されてから剥離した後の残留粘着率が70%以上である、請求項11に記載の表面保護フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年8月18日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0103553号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。
本発明は、粘着剤組成物および表面保護フィルムに関する。具体的には、残留粘着率が高い粘着剤組成物および表面保護フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
OLEDを製造する工程中には、プラスチックOLEDパネルの製造後、タッチ部との貼り合わせ前までパネル表面のカプセル化層の、外部汚染および外部刺激による損傷を防止する必要がある。カプセル化層を保護するために、一般的に、TFE(Thin Film Encapsulation)用工程保護フィルムがプラスチックOLED製造工程中に工程保護フィルムとして使用されている。
【0003】
このような工程保護フィルムは、通常、基材層と粘着剤層とを含み、粘着剤層の表面を保護するための離型フィルムが貼り合わされている。離型フィルムが貼り合わされた工程保護フィルムは、離型フィルムを剥離した後、粘着剤層が工程中に表面が保護されるべき電子部材などの被着材の表面と当接するように貼り合わされ、以後、工程進行後それ以上保護を必要とせず、他の工程を行わなければならない場合、工程保護フィルムは被着材から剥離される。
【0004】
このような工程保護フィルムは、OLEDパネルの上面部に貼り合わされてOLED素子を保護するフィルムで、製造設備と当接する時に発生する静電気、または貼り合わされた保護フィルムの剥離時に発生しうる静電気によるOLED素子の損傷および残存する静電気による微細電荷によるパネル誤作動の防止のために帯電防止機能が要求され、離型フィルムの剥離時、剥離帯電圧が低い必要がある。
【0005】
また、工程保護フィルムは、製造工程中に電子部材を保護するために臨時的に使用されるフィルムであるので、被着材に対して優れたウェッティング性が要求され、追加的な工程を行うために保護フィルムを除去する場合に低い剥離力および低い残渣が要求され、剥離後、工程保護フィルムによる汚染があってはならず、剥離時、静電気による損傷が被着材に発生してはならないので、工程保護フィルムの帯電防止特性が要求される。
【0006】
従来は、ウレタン樹脂を含む粘着剤組成物に低分子量添加剤である可塑剤を添加することで、より低い剥離力を実現し、帯電防止層を具備するなどの方式で優れた帯電防止特性を実現した。しかし、可塑剤を粘着剤組成物に添加する場合、大量添加される可塑剤の移行によって被着材の表面が汚染する問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が達成しようとする技術的課題は、低残渣、低剥離力および低残留粘着率の粘着剤組成物および表面保護フィルムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によれば、水酸基を含むウレタン樹脂、イソシアネート系硬化剤、および(メタ)アクリレート共重合体を含み、前記(メタ)アクリレート共重合体は、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体、フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体、および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物から重合されたものである粘着剤組成物が提供される。
【0009】
本発明の他の側面によれば、離型フィルムおよび基材フィルムを含む表面保護フィルムであって、前記基材フィルムは、第1基材層と、前記第1基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、前記粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層と、を含み、前記離型フィルムと前記粘着剤層とは、直接接するものである表面保護フィルムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、粘着力が低くて被着材から低速または高速剥離が容易であり、被着材の表面に残渣を残さず、被着材の表面を汚染させない効果がある。
本発明の他の実施形態による表面保護フィルムは、粘着力が低くて被着材から低速または高速剥離が容易であり、被着材の表面に残渣を残さず、被着材の表面を汚染させない効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態による表面保護フィルムの断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
本明細書において、重量平均分子量は、分子量測定用として市販の多様な重合度の単分散ポリスチレン重合体(標準試料)を標準物質とし、ゲル透過クロマトグラフィー(Gel Permeation Chromatography;GPC)によって測定したポリスチレン換算分子量であって、g/mol単位の値である。本明細書において、特別な記載がない場合の分子量とは、重量平均分子量を意味する。
【0013】
本明細書において、「帯電防止層」という用語は、静電気の発生を抑制することを目的とする層を意味する。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、水酸基を含むウレタン樹脂、イソシアネート系硬化剤、および(メタ)アクリレート共重合体を含む粘着剤組成物であって、前記(メタ)アクリレート共重合体は、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体、フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体、および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物から重合されたものである粘着剤組成物が提供される。
【0015】
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、硬化することで、粘着剤層に形成されて、被着材に付着してから剥離する場合、剥離力が低くて容易に剥離可能であり、糊跡などが被着材の表面に残らず、残渣が少なく、残留粘着率が高くて被着材の表面汚染なしに剥離が可能である。
【0016】
(1)ウレタン樹脂
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、ウレタン樹脂を主成分とすることができる。主成分とするというのは、前記粘着剤組成物に約50重量%以上の含有量で含まれ、他の構成成分より多量で含まれる成分であり得るとの意味である。
【0017】
前記ウレタン樹脂は、水酸基を含む。ウレタン樹脂が水酸基を含むことにより、粘着剤組成物が粘着剤層に形成される時、すなわち、粘着剤組成物が硬化して粘着剤層に形成される時、ウレタン樹脂の水酸基が架橋ポイントの役割を果たすことができる。したがって、前述したように、ポリオールと多官能性イソシアネートから製造したポリウレタンポリオール樹脂をウレタン樹脂として用いる場合、ポリオールの水酸基のモル数(OH)と多官能性イソシアネートのイソシアネート基のモル数(NCO)との比(NCO/OH)が1未満となるように用いてポリウレタンポリオール樹脂を製造することが好ましい。
【0018】
本発明の一実施形態による粘着剤組成物に含まれるウレタン樹脂は特に限定されないが、ポリオールと多官能性イソシアネートとを含有するウレタン製造用混合物を重合させて得られるポリウレタンポリオール樹脂またはポリウレタンプレポリマーポリオールであってもよい。
【0019】
前記ポリウレタンポリオール樹脂の原料ポリオールは、1種を使用することができ、2種以上をともに使用してもよい。また、原料ポリオールは、2官能ポリオールと3官能以上のポリオールをともに使用することができ、この時、1種以上の2官能ポリオールおよび1種以上の3官能以上のポリオールをともに使用してもよい。
【0020】
前記原料ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,8-デカンジオール、オクタデカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサントリオール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。酸成分としては、例えば、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、1,14-テトラデカン二酸、ダイマー酸、2-メチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-エチル-1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、これらの酸無水物などが挙げられる。
【0021】
また、前記原料ポリオールは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールのうちの1種以上を含有することができる。具体例は次の通りであるが、次に限定されない。
【0022】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、水;プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどのような低分子ポリオール;ビスフェノールAなどのようなビスフェノール類;カテコール、レゾルシン、ヒドロキノンなどのようなジヒドロキシベンゼン;などを開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなどのようなアルキレンオキシドを付加重合させることにより得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。具体的には、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0023】
ポリカプロラクトンポリオールとしては、例えば、ε-カプロラクトン、σ-バレロラクトンなどの環状エステルモノマーの開環重合によって得られるカプロラクトン系ポリエステルジオールなどが挙げられる。
【0024】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、前記ポリオール成分とホスゲンとを重縮合反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記ポリオール成分と炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジプロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチル、エチルブチル炭酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、炭酸ジフェニル、炭酸ジベンジルなどの炭酸ジエステル類をエステル交換縮合させて得られるポリカーボネートポリオール;前記ポリオール成分を2種以上併用して得られる共重合ポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとカルボキシル基含有化合物とをエステル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエーテル化反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとエステル化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとヒドロキシル基含有化合物とをエステル交換反応させて得られるポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとジカルボン酸化合物とを重縮合反応させて得られるポリエステル系ポリカーボネートポリオール;前記列挙したポリカーボネートポリオールとアルキレンオキシドとを共重合させて得られる共重合ポリエーテル系ポリカーボネートポリオール;などが挙げられる。
【0025】
前記ウレタン製造用混合物に含まれる前記原料ポリオールの数平均分子量は、適宜選択可能である。一実施態様において、前記ポリオールの数平均分子量は、好適には100~4万であってもよいが、これに限定されない。
【0026】
前記多官能性イソシアネートとしては、ウレタン化反応に利用可能な任意の適切な多官能性イソシアネート化合物を使用することができる。このような多官能性イソシアネート化合物の例としては、多官能性脂肪族系イソシアネート化合物、多官能性脂環族系イソシアネート化合物、および多官能性芳香族系イソシアネート化合物などが挙げられる。
【0027】
前記多官能性イソシアネート化合物としては、例えば、多官能性脂肪族系イソシアネート、多官能性脂環族系イソシアネート、多官能性芳香族系イソシアネート化合物、3官能イソシアネートでポリイソシアネートを変性したトリメチロールプロパン付加体(adduct)、ポリイソシアネートと水とを反応させたビウレット体(biuret body)、イソシアヌレート環を有する三量体などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0028】
前記多官能性脂肪族系イソシアネート化合物は、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどを含むが、これらに限定されない。
【0029】
前記多官能性脂環族系イソシアネート化合物は、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)などを含むが、これらに限定されない。
【0030】
前記多官能性芳香族系イソシアネート化合物は、例えば、トルエン2,4-ジイソシアネート(TDI)、トルエン2,6-ジイソシアネート(TDI)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、重合体性メチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、m-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ナフタレン2,4-ジイソシアネート(NDI)、p-キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)などを含むが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書の一実施形態において、多官能性イソシアネート化合物は、2種以上のイソシアネート化合物を混合して使用することができ、この場合、2種以上のイソシアネート化合物の種類および含有量は、適宜選択可能である。例えば、前記ウレタン製造用混合物に含まれるイソシアネート化合物としては、多官能性芳香族系イソシアネート化合物と多官能性脂肪族系イソシアネート化合物とを混合して使用することができる。
【0032】
前記ウレタン樹脂の重量平均分子量は、5万~20万、または10万~15万であってもよい。前記範囲内の重量平均分子量を有するウレタン樹脂を使用する場合、粘着層の凝集力および粘着力を適切に調節することができる。
【0033】
前記ウレタン樹脂は、粘着剤組成物の60重量%以上の含有量で含まれるものであってもよく、好ましくは、70~90重量%、75~90重量%、80~90重量%、または84~90重量%の含有量で含まれるものであってもよい。すなわち、ウレタン樹脂は、粘着剤組成物の主成分として前記範囲内の含有量で粘着剤組成物に含まれるものであってもよい。
【0034】
前記ウレタン樹脂を製造する過程で適切な添加剤を使用することができる。例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、劣化防止剤などを添加してウレタン樹脂を製造することができ、添加剤の種類とその含有量は目的に応じて適宜設定可能である。ウレタン樹脂は、好ましくは、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤のような劣化防止剤を含んで製造される。
【0035】
また、ウレタン樹脂を製造する過程で任意の適切な触媒を使用することができる。このような触媒としては、例えば、3級アミン系化合物、有機金属系化合物などが挙げられる。有機金属系化合物としては、例えば、スズ系化合物、非スズ系化合物などが挙げられる。
【0036】
前記スズ系化合物としては、例えば、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジブロミド、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズスルフィド、トリブチルスズスルフィド、トリブチルスズオキシド、トリブチルスズアセテート、トリエチルスズエトキシド、トリブチルスズエトキシド、ジオクチルスズオキシド、トリブチルスズクロライド、トリブチルスズトリクロロアセテート、2-エチルヘキサン酸スズなどが挙げられる。
【0037】
(2)イソシアネート系硬化剤
前記イソシアネート系硬化剤は、前記粘着剤組成物に含まれたウレタン樹脂と(メタ)アクリレート共重合体とを架橋して硬化させるために添加される。具体的には、ウレタン樹脂および(メタ)アクリレート共重合体に含まれている水酸基と反応するイソシアネート基を含むことにより、ウレタン樹脂と(メタ)アクリレート共重合体とを架橋することができる。
【0038】
前記イソシアネート系硬化剤は、ウレタン反応に利用可能な化合物であれば、当業界にて通常用いられる任意の適切な多官能性イソシアネート化合物を選択して使用することができる。また、以下に例として列挙される1種以上の多官能性イソシアネート化合物の混合物をイソシアネート系硬化剤として使用することができる。
【0039】
前記多官能性イソシアネート化合物としては、例えば、多官能性脂肪族系イソシアネート化合物、多官能性脂環族系イソシアネート化合物、多官能性芳香族系イソシアネート化合物などが挙げられ、これに加えて、3官能イソシアネートでポリイソシアネートを変性したトリメチロールプロパン付加体(adduct)、ポリイソシアネートと水とを反応させたビウレット体(biuret body)、イソシアヌレート環を有する三量体などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0040】
前記多官能性脂肪族系イソシアネート化合物は、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどを含むが、これらに限定されない。
【0041】
前記多官能性脂環族系イソシアネート化合物は、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(HMDI)、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(HXDI)などを含むが、これらに限定されない。
【0042】
前記多官能性芳香族系イソシアネート化合物は、例えば、トルエン2,4-ジイソシアネート(TDI)、トルエン2,6-ジイソシアネート(TDI)、4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、重合体性メチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、p-フェニレンジイソシアネート(PDI)、m-フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、ナフタレン2,4-ジイソシアネート(NDI)、p-キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,3-ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ベンゼン(TMXDI)などを含むが、これらに限定されない。
【0043】
前記イソシアネート系硬化剤は、前記ウレタン樹脂100重量部に対して、10~30重量部含まれる。前記範囲内の含有量で硬化剤が含まれる場合、硬化反応が円滑に進行しながらも適切な水準の硬度で硬化可能で、粘着剤組成物の硬化物が適正水準の粘着力を達成することができる。
【0044】
前記イソシアネート系硬化剤のイソシアネート基のモル数とウレタン樹脂の水酸基のモル数との比は、5.0以下であってもよい。前記範囲内のモル数比を有するようにイソシアネート系硬化剤が添加される場合、未反応イソシアネート基が少なくて高い硬化度により剥離力が低い水準に達成できる。
【0045】
(3)(メタ)アクリレート共重合体
従来は、ウレタン樹脂を含む粘着剤組成物に低分子量添加剤である可塑剤を添加することで、より低い剥離力を実現し、可塑剤を添加して優れた帯電防止特性を実現した。しかし、可塑剤を粘着剤組成物に添加する場合、大量添加される可塑剤および可塑剤の移行によって被着材の表面が汚染する問題があった。
【0046】
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、特定の単量体を含む混合物から共重合された(メタ)アクリレート共重合体を含むことで、このような問題を解決した。具体的には、前記(メタ)アクリレート共重合体は、水酸基を含む(メタ)アクリレート単量体の重合単位を含むことで水酸基を含み、また、長鎖のアルキル基を含む(メタ)アクリレート単量体の重合単位およびフッ素系置換基を含む(メタ)アクリレート単量体の重合単位を含むことで2種類の疎水性基を含む。長鎖のアルキル基は、炭化水素鎖として疎水性基に相当し、フッ素系置換基は、アクリレートのエステルに結合したアルキル基の炭素の水素中の一部または全部の代わりにフッ素が結合し、これによって長鎖のアルキル基に準ずる疎水性を有することが可能で、疎水性基に相当する。粘着剤組成物で粘着剤層を製造する工程において、疎水性基によって粘着剤層の外表面部に(メタ)アクリレート共重合体が浮上することができ、粘着剤層の外表面部、すなわち被着材と直接接触して付着する面の表面部に位置する(メタ)アクリレート共重合体の疎水性基によって低い剥離力が実現できる。また、(メタ)アクリレート共重合体の水酸基は、イソシアネート系硬化剤と反応してウレタン樹脂と架橋される架橋サイトの役割を果たすことができ、これによって低い剥離力を達成することができる。前記2種類の疎水性基および水酸基によって、高温高湿環境でも粘着剤組成物を含む粘着剤層の耐久性に優れることができ、粘着剤組成物に可塑剤や剥離力調節剤が含まれている場合であっても、粘着剤層の表面から可塑剤や剥離力調節剤が移行して被着材の表面を汚染させるのを防止することができる。
【0047】
前記(メタ)アクリレート共重合体は、重量平均分子量が2万~7万、2万5千~5万、2万7千~4万2千、2万7千~4万1千、2万7千~3万、または2万7千~2万9千であってもよい。前記範囲内の重量平均分子量を有する(メタ)アクリレート共重合体が粘着剤組成物に含まれる場合、(メタ)アクリレート共重合体の添加時、粘着剤の表面部に位置して剥離力および硬化度を調節することができ、具体的には、表面保護フィルムの被着材に対する剥離力が低く、残留粘着率が高くて残渣が少ない。
【0048】
前記(メタ)アクリレート共重合体は、単量体混合物から重合される。具体的には、前記(メタ)アクリレート共重合体は、単量体混合物から溶液重合、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、放射線硬化重合など一般的に用いられる各種重合方法を利用して重合できる。
【0049】
前記単量体混合物は、水酸基含有(メタ)アクリレート単量体、フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体、および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体を含む。
【0050】
前記単量体混合物は、前記水酸基含有(メタ)アクリレート単量体を0より多く10重量%以下の含有量で含むことができる。水酸基含有(メタ)アクリレート単量体は、重合される(メタ)アクリレート共重合体の水酸基価を考慮してその含有量が調節可能であり、前記含有量範囲内の水酸基含有(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物を重合して(メタ)アクリレート共重合体を製造する場合、適切な剥離力を有すると同時に、湿潤特性に優れた粘着剤組成物を製造することができる。
【0051】
前記水酸基含有(メタ)アクリレート単量体は、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、および2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものであってもよい。
【0052】
前記単量体混合物は、前記フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体を0より多く10重量%以下の含有量で含むことができる。フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体の重合単位は、(メタ)アクリレート共重合体内の疎水性基に相当することができる。前記範囲内のフッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物を重合して(メタ)アクリレート共重合体を製造する場合、粘着剤の剥離力を適切な範囲に調節することができる。
【0053】
前記フッ素系置換基含有(メタ)アクリレート単量体は、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロ-n-プロピル(メタ)アクリレート、テトラフルオロ-t-ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-t-ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロ-2,4-ビス(トリフルオロメチル)ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、ヘプタフルオロブチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ノナフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ドデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロオクチル(メタ)アクリレート、トリデカフルオロヘプチル(メタ)アクリレート、ヘキサデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、オクタデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、ノナデカフルオロウンデシル(メタ)アクリレート、およびエイコサフルオロドデシル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものであってもよい。
【0054】
前記単量体混合物は、炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体70~95重量%および炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体1~10重量%の含有量で含むものであってもよい。すなわち、短鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体と長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体とを含むものであって、特に、長鎖アルキル(メタ)アクリレート単量体の重合単位が(メタ)アクリレート共重合体内のさらに他の疎水性基に相当することができる。前記範囲内の含有量でアルキル(メタ)アクリレート単量体を含む単量体混合物を重合して(メタ)アクリレート共重合体を製造する場合、前記(メタ)アクリレート共重合体を含む粘着剤組成物が硬化して粘着剤層に適用される時、適切な剥離力を有することができる。
【0055】
前記炭素数1~10のアルキル(メタ)アクリレート単量体は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、およびイソノニル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものであってもよい。
前記炭素数12~22のアルキル(メタ)アクリレート単量体は、ラウリル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、およびエイコシル(メタ)アクリレートのうちの1種以上を含むものであってもよい。
【0056】
前記単量体混合物は、本発明の効果を阻害しない範囲で前記(メタ)アクリレート単量体と重合可能な他の単量体成分をさらに含むことができる。その例示は次の通りであるが、これに限定されない。
【0057】
その他の(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、2-エチルフェノキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2-エチルチオフェニル(メタ)アクリレート、2-フェニルエチル(メタ)アクリレート、3-フェニルプロピル(メタ)アクリレート、4-フェニルブチル(メタ)アクリレート、2,2-メチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、2,3-メチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、2,4-メチルフェニルエチル(メタ)アクリレート、2-(4-プロピルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-(1-メチルエチル)フェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-メトキシフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-シクロヘキシルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-クロロフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(4-ブロモフェニル)エチル(メタ)アクリレート、2-(3-フェニルフェニル)エチル(メタ)アクリレート、および2-(4-ベンジルフェニル)エチル(メタ)アクリレートなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0058】
前記単量体混合物は、重合反応開始のための開始剤を含むことができる。前記開始剤としては、過酸化ベンゾイルを使用することができ、開始剤の含有量は、単量体の総重量の合計100重量部に対して、0.5重量部以上3重量部未満であってもよい。
【0059】
前記(メタ)アクリレート共重合体は、前記ウレタン樹脂100重量部に対して、0.5~5重量部、0.5~3重量部、1~3重量部、1~2.5重量部または1.5~2.5重量部含まれるものであってもよい。前記範囲内の含有量で(メタ)アクリレート共重合体を含む場合、粘着剤組成物が硬化して粘着剤層に適用される時、適切な剥離力を有することができる。
【0060】
(4)その他
本発明の一実施形態による粘着剤組成物は、前記成分以外にも、その他の添加剤を含むことができる。例えば、前記粘着剤組成物は、溶媒、触媒、硬化遅延剤、粘着樹脂、可塑剤、剥離力調節剤、光開始剤、加水分解防止剤、酸化防止剤、硬化促進剤、遅延防止剤などを目的に応じてさらに含むことができ、その含有量も適宜選択可能である。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、前記粘着剤組成物は、溶媒をさらに含むことができる。前記溶媒としては、公知の適切な溶媒、例えば、ケトン系、アセテート系、トルエン系などを用いることができるが、これらに限定されない。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、前記粘着剤組成物は、触媒をさらに含むことができる。前記触媒は、本出願の目的を考慮して適宜選択可能であり、例えば、前記ウレタン重合体対比10ppm~500ppm含まれる。前記触媒としては、DBTDL(dibutyl tin dilaurate)のようなスズ系触媒、FeAAのような鉄系触媒、鉛系触媒、有機および無機酸の塩、有機金属誘導体、アミン系触媒、ジアザビシクロウンデセン系触媒などを使用することができるが、これらに限定されない。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、前記粘着剤組成物は、硬化遅延剤をさらに含むことができる。前記硬化遅延剤としては、公知の任意の適切な物質を使用することができ、前記硬化遅延剤の含有量は適宜選択可能である。一実施態様において、前記硬化遅延剤としては、アセチルアセトンを使用することができる。
【0064】
本発明の他の実施形態によれば、離型フィルムおよび基材フィルムを含む表面保護フィルムであって、前記基材フィルムは、第1基材層と、前記第1基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、前記粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層と、を含み、前記離型フィルムと前記粘着剤層とは、直接接するものである表面保護フィルムが提供される。
【0065】
前記表面保護フィルムは、工程中に部材を保護する役割をし、被着材への付着時に除去される離型フィルムを含み、被着材に付着してその表面を保護する役割をし、後に被着材の表面から剥離される基材フィルムを含む。
【0066】
図1は、本発明の一実施形態による表面保護フィルムの断面を示す概略図である。
図1を参照すれば、表面保護フィルム1000は、離型フィルム10および基材フィルム20を含み、基材フィルム20は、第1基材層201と、帯電防止層503、504と、粘着剤層301とを含むことができる。
【0067】
(1)基材フィルム
前記基材フィルムは、第1基材層と、前記第1基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、前記粘着剤組成物の硬化物を含む粘着剤層と、を含む。
【0068】
前記第1基材層は、基材フィルムの形状を維持する役割を果たすことができ、ポリエチレンテレフタレート;ポリテトラフルオルエチレン;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリブテン;ポリブタジエン;塩化ビニル共重合体;ポリウレタン;エチレン-ビニルアセテート;エチレン-プロピレン共重合体;エチレン-アクリル酸エチル共重合体;エチレン-アクリル酸メチル共重合体;ポリイミド;ナイロン;スチレン系樹脂またはエラストマー;ポリオレフィン系樹脂またはエラストマー;その他のエラストマー;ポリオキシアルキレン系樹脂またはエラストマー;ポリエステル系樹脂またはエラストマー;ポリ塩化ビニル系樹脂またはエラストマー;ポリカーボネート系樹脂またはエラストマー;ポリフェニレンスルフィド系樹脂またはエラストマー;炭化水素の混合物;ポリアミド系樹脂またはエラストマー;アクリレート系樹脂またはエラストマー;エポキシ系樹脂またはエラストマー;シリコーン系樹脂またはエラストマー;および液晶ポリマーからなる群より選択された1つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0069】
前記第1基材層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、前記第1基材層の厚さは、25μm以上150μm以下;50μm以上125μm以下;または50μm以上100μm以下であってもよい。
【0070】
前記帯電防止層は、前記第1基材層の少なくとも一面、すなわち、一面または両面に位置することができる。
【0071】
帯電防止層は、目的とする効果を達成するために、公知の方法で形成できる。例えば、前記帯電防止層は、第1基材層の一面または両面にインラインコーティング方法によって形成される。前記インラインコーティング方法は、押出されて出たフィルムを一軸延伸後、コーティング層を塗布して再度二軸延伸でフィルムを完成する方法である。前記インラインコーティング方法は、フィルムの製造工程中にコーティングが行われるので、コーティング層とフィルムとの間の密着性が増加し、コーティング層の付与がフィルムの製造とともに連続的に行われるので、工程が短縮され、フィルムを最大限に薄く製造できるというメリットがある。
【0072】
本発明において、前記帯電防止層は、本出願の目的を考慮して適切な帯電防止組成物で形成される。例えば、前記帯電防止層は、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で熱硬化性バインダー樹脂を含むことができる。
【0073】
本明細書において、「熱硬化性バインダー樹脂」という用語は、適切な加熱または熟成(aging)工程により、硬化可能なバインダー樹脂を意味する。例えば、前記熱硬化性バインダー樹脂としては、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ウレタン-アクリル系共重合体、エステル系樹脂、エーテル系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂、およびメラミン樹脂からなる群より選択された1つまたはこれらの混合物を使用することができるが、これに限定されない。
【0074】
一つの例において、前記帯電防止層は、導電性物質を含むことができる。前記導電性物質は、導電性高分子またはカーボンナノチューブを含むことができるが、これに限定されない。
【0075】
前記導電性高分子は、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン系、これらの誘導体および共重合体から構成されるが、これに限定されない。
【0076】
前記カーボンナノチューブは、炭素6個からなる六角形環が互いに連結されてなる黒鉛板状を丸く巻いてできたチューブ形態を有することができる。前記カーボンナノチューブは、剛性および電気伝導性に優れ、帯電防止層に含まれる場合、帯電防止層の硬度が増加し、帯電防止機能が向上できる。
【0077】
各帯電防止層の厚さは、独立して600nm以下であってもよく、10nm以上400nm以下、20nm以上300nm以下;または20nm以上100nm以下であってもよい。
【0078】
前記粘着剤層は、粘着剤組成物の硬化物を含む。粘着剤組成物に関する事項は前述したものと同じであってもよい。
前記粘着剤層は、前記第1基材層の表面に塗布されて硬化することにより形成され、前記粘着剤組成物を硬化させる方法は特に限定されず、例えば、適切な乾燥、加熱および/または熟成(aging)工程による硬化方式を採用することができる。
【0079】
第1基材層の粘着剤層に対向する面に帯電防止層が位置する場合、帯電防止層の表面に粘着剤組成物を塗布して、前記のような方法で粘着剤層を製造することができる。
【0080】
前記粘着剤層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、前記粘着剤層の厚さは、10μm以上;30μm以上;または45μm以上であってもよい。例えば、前記粘着剤層の厚さは、200μm以下;150μm以下;100μm以下;または90μm以下であってもよい。
【0081】
(2)離型フィルム
前記離型フィルムは、第2基材層と、前記第2基材層の少なくとも一面に位置する帯電防止層と、離型層と、を含むものであってもよい。 前記離型フィルムは、第2基材層と、前記第2基材層の両面に位置する帯電防止層と、離型層と、を含むものであってもよい。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、離型フィルムは、表面保護フィルムが部材に付着する前まで前記基材フィルムの粘着剤層を保護する役割をする。
【0083】
図1を参照すれば、表面保護フィルム1000は、離型フィルム10および基材フィルム20を含み、離型フィルム10は、第2基材層101と、帯電防止層501、502と、離型層401とを含むことができる。
【0084】
前記離型フィルムの第2基材層は、ポリエチレンテレフタレート;ポリテトラフルオルエチレン;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリブテン;ポリブタジエン;塩化ビニル共重合体;ポリウレタン;エチレン-ビニルアセテート;エチレン-プロピレン共重合体;エチレン-アクリル酸エチル共重合体;エチレン-アクリル酸メチル共重合体;ポリイミド;ナイロン;スチレン系樹脂またはエラストマー;ポリオレフィン系樹脂またはエラストマー;その他のエラストマー;ポリオキシアルキレン系樹脂またはエラストマー;ポリエステル系樹脂またはエラストマー;ポリ塩化ビニル系樹脂またはエラストマー;ポリカーボネート系樹脂またはエラストマー;ポリフェニレンスルフィド系樹脂またはエラストマー;炭化水素の混合物;ポリアミド系樹脂またはエラストマー;アクリレート系樹脂またはエラストマー;エポキシ系樹脂またはエラストマー;シリコーン系樹脂またはエラストマー;および液晶ポリマーからなる群より選択された1つ以上を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0085】
前記第2基材層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、25μm以上150μm以下;25μm以上125μm以下;または25μm以上100μm以下であってもよい。
【0086】
離型フィルムに含まれる帯電防止層に関する内容は、基材フィルムの帯電防止層で記載した具体的な事項によることができる。
【0087】
前記離型層の材料は、本発明の目的によって適宜選択可能である。前記離型層としては、本発明の分野における一般的な高分子フィルムを使用することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリテトラフルオルエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン-ビニルアセテートフィルム、エチレン-プロピレン共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸エチル共重合体フィルム、エチレン-アクリル酸メチル共重合体フィルム、またはポリイミドフィルムなどを使用することができるが、これらに限定されない。
【0088】
前記離型層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。例えば、前記離型層の厚さは、500nm以下であってもよく、好ましくは、10nm以上500nm以下;10nm以上300nm以下;または10nm以上200nm以下であってもよい。
【0089】
本発明の一実施形態による表面保護フィルムは、ガラスに付着させた後、180゜の剥離角度および20m/minの剥離速度で剥離する場合の剥離力が30gf/in以下であってもよい。
本発明の一実施形態による表面保護フィルムは、ガラスに付着させた後、180゜の剥離角度および0.3m/minの剥離速度で剥離する場合の剥離力が4gf/in以下であってもよい。
【0090】
本発明の一実施形態による表面保護フィルムは、ガラスに付着させた後、60℃および相対湿度90%の条件で10日間放置されてから剥離した後の残留粘着率が70%以上であってもよい。
【0091】
前記「残留粘着率」とは、剥離後、表面保護フィルムの粘着剤層の成分が被着材の表面に残留する程度を示すパラメータであって、残留粘着率が高いほど、粘着剤層の剥離後、被着材の表面に残留する粘着剤層の成分が少ないことを意味することができる。
【0092】
前記残留粘着率は、本発明の一実施形態による表面保護フィルムをガラスに付着させた後、60℃および相対湿度90%の条件で10日間放置し、前記表面保護フィルムを剥離した後、基準粘着フィルムを付着させてから剥離した時の粘着力(B)と、事前の表面保護フィルムの付着なしに基準粘着フィルムをガラスに付着させてから剥離した時の粘着力(A)との比率で計算して測定することができる。
【0093】
前記基準粘着フィルムは、ガラスに付着させた後、ガラスから0.3m/minの剥離速度および180゜の剥離角度で剥離する時の剥離力が1,600gf/in~2,400gf/inであってもよい。
【0094】
本発明の一実施形態によれば、前記残留粘着率は、下記式1によって粘着力(A)と(B)の値から計算される。
[式1]
残留粘着率(%)=100×(B)/(A)
【0095】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。しかし、本発明による実施例は種々の異なる形態に変形可能であり、本発明の範囲が以下に述べる実施例に限定されると解釈されない。本明細書の実施例は当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【実施例】
【0096】
製造例1
窒素ガスが還流し、温度調節が容易となるように冷却装置を設けた1L反応器に、ブチルメタクリレート89重量部、ステアリルメタクリレート7重量部、ヒドロキシブチルアクリレート2重量部、トリデカフルオロオクチルアクリレート2重量部を含む単量体混合物を投入後、溶媒としてトルエンを投入した。混合物を均一に混合した後、反応器の温度を120℃に維持し、反応開始剤として過酸化ベンゾイル(BPO)を、単量体混合物100重量部に対して1.6重量部添加した後、約4時間反応させた。反応後にトルエンで追加希釈して、重量平均分子量が27,000g/molの(メタ)アクリレート共重合体を製造した。
【0097】
製造例2~13
下記表1による成分および含有量で単量体混合物を製造し、開始剤の含有量を調節したことを除けば、製造例1と同様の方法で(メタ)アクリレート共重合体を製造した。また、下記表1に各製造された共重合体の分子量を示した。
【0098】
【0099】
前記表1中、(A)BMAはブチルメタクリレート、(B)STMAはステアリルメタクリレート、STAはステアリルアクリレート、BHAはベヘニルアリーレート、(C)HBAはヒドロキシブチルアクリレート、(D)V13Fはトリデカフルオロオクチルアクリレートを意味する。また、前記含有量の単位は、単量体混合物100重量部に対する重量部を意味する。
【0100】
実施例1
ウレタン樹脂(重量平均分子量12万、Toyochem社のSH-101)100重量部に対して、製造例1で製造した(メタ)アクリレート共重合体1.5重量部、多官能性イソシアネート硬化剤として、イソシアヌレートイソシアネート三量体およびイソホロンジイソシアネートを7:3の重量比で含む混合物(SAMYOUNG INK、DR7030X)15重量部を混合して粘着剤組成物を製造した。
【0101】
前記粘着剤組成物を帯電防止層が両面に具備されたPETフィルムの一面上に塗布し、140℃のマティスオーブン(Mathis oven)で約3分間乾燥して粘着剤層を形成し、粘着剤層上に離型フィルム(SKC、RF02ASW)を貼り合わせた。以後、40℃のオーブンで約5日間熟成して表面保護フィルムを製造した。
【0102】
実施例2~9、比較例1~7
下記表2による成分および含有量で変化させたことを除けば、実施例1と同様の方法で表面保護フィルムを製造した。
【0103】
【0104】
前記表2中、含有量の単位である重量部は、ウレタン樹脂100重量部に対する重量部値を意味し、ATBCは、剥離力調節剤としてのアセチルトリブチルシトレート(ATBC、Asahi Kasei社)である。
【0105】
実験例1:低速剥離力の測定
実施例1~9および比較例1~7の表面保護フィルムを幅が25mm、長さが250mmとなるように裁断し、離型フィルムを剥離した。離型フィルムを剥離した表面保護フィルムの粘着剤面をエタノールで洗浄後、100℃で20分間乾燥したガラス(Corning社)に2kgのローラで付着させ、50℃の温度および5気圧下の条件で20分間保管した後、25℃の温度下で24時間保管した後、材料物性分析器(Texture Analyzer、英国のステーブルマイクロシステムズ社)を用いて、前記表面保護フィルムをガラスから0.3m/minの剥離速度および180゜の剥離角度で剥離する時の剥離力を測定した。
【0106】
実験例2:高速剥離力の測定
実施例1~9および比較例1~7の表面保護フィルムを幅が25mm、長さが250mmとなるように裁断し、離型フィルムを剥離した。離型フィルムを剥離した表面保護フィルムの粘着剤面をエタノールで洗浄後、100℃で20分間乾燥したガラス(Corning社)に2kgのローラで付着させ、50℃の温度および5気圧下で20分間保管した後、25℃の温度下で24時間保管した後、高速剥離機(Peel Tester SJTA-034SD、サムジテク)を用いて、前記表面保護フィルムをガラスから20m/minの剥離速度および180゜の剥離角度で剥離する時の剥離力を測定した。
【0107】
実験例3:高温および高湿環境で放置された後の残留粘着率評価
ガラスに付着させた後、ガラスから0.3m/minの剥離速度および180゜の剥離角度で剥離する時の剥離力が2,000±400gf/inの基準粘着フィルム(LG化学、アクリル系で粘着層の厚さ50μm、PET基材フィルムの厚さ50μm)を用意した。
【0108】
粘着力(A)の測定
前記基準粘着フィルムを幅が25mm、長さが250mmとなるように裁断し、離型フィルムを剥離した。離型フィルムを剥離した基準粘着フィルムをエタノールで洗浄後、100℃で20分間乾燥したガラス(Corning社)に付着させ、40℃のオーブンで1時間保管した後、25℃で4時間放置し、装置(Texture Analyzer、英国のステーブルマイクロシステムズ社製)を用いて、前記基準粘着フィルムを前記ガラスから0.3m/minの剥離速度および180゜の剥離角度で剥離する時の剥離力を測定した。これを粘着力(A)とした。
【0109】
粘着力(B)の測定
実施例1~9および比較例1~7の表面保護フィルムの離型フィルムを剥離し、粘着剤面をエタノールで洗浄後、100℃で20分間乾燥したガラス(Corning社)に2kgのローラで付着させ、50℃の温度および5気圧下で20分間保管した後、25℃の温度下で24時間保管した後、60℃の温度および90%の相対湿度の恒温恒湿器で10日間保管した。以後、表面保護フィルムが付着したガラスを取り出して、25℃で24時間放置した後、前記表面保護フィルムをガラスから剥離した。
【0110】
前記表面保護フィルムが除去されたガラス面に、前記基準粘着フィルムを幅が25mm、長さが250mmとなるように裁断し、離型フィルムを剥離した後に付着させ、40℃のオーブンで1時間保管した後、25℃で4時間放置した後、装置(Texture Analyzer、英国のステーブルマイクロシステムズ社)を用いて、前記基準粘着フィルムを前記ガラスから0.3m/minの剥離速度および180゜の剥離角度で剥離する時の剥離力を測定した。これを粘着力(B)とした。
【0111】
残留粘着率の計算
下記式1によって粘着力(A)と(B)の値から残留粘着率を計算した。
[式1]
残留粘着率(%)=100×(B)/(A)
【0112】
下記表3に実施例1~9および比較例1~7の表面保護フィルムの低速剥離力、高速剥離力および高温高湿環境で放置されてから剥離された後の残留粘着率を示した。
【0113】
【0114】
前記表3を参照すれば、実施例1~9の表面保護フィルムは、ガラスに対する低速剥離力および高速剥離力が低いながらも高温および高湿環境で放置された後にも残留粘着率が高いことを確認することができる。すなわち、ガラスに残渣がほとんど残らないことを確認することができる。
【0115】
これに対し、比較例1は、残留粘着率はある程度高いが、低速剥離力および高速剥離力が高いことを確認することができる。
【0116】
また、比較例2は、残留粘着率が非常に低くてガラスに表面保護フィルムの粘着剤層による残渣が多量存在し、低速剥離力および高速剥離力も高いことを確認することができる。
【0117】
さらに、比較例3は、残留粘着率が非常に低くてガラスに表面保護フィルムの粘着剤層による残渣が多量存在し、高速剥離力が高いことを確認することができる。
【0118】
また、比較例4~6は、残留粘着率は高くて粘着剤層による残渣は少ないが、高速剥離力が高いことを確認することができる。
【0119】
なお、比較例7は、低速、高速剥離力は低いが、残留粘着率が高くて粘着剤層による残渣は高いことを確認することができる。
【符号の説明】
【0120】
1000:表面保護フィルム
10:離型フィルム
20:基材フィルム
101:第2基材層
201:第1基材層
301:粘着剤層
401:離型層
501、502、503、504:帯電防止層
【国際調査報告】