(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-24
(54)【発明の名称】半月板修復送達装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20230517BHJP
【FI】
A61B17/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022554175
(86)(22)【出願日】2021-04-05
(85)【翻訳文提出日】2022-09-07
(86)【国際出願番号】 US2021025715
(87)【国際公開番号】W WO2021207048
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502032219
【氏名又は名称】スミス アンド ネフュー インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】510059882
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・オルソペディクス・アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】519295384
【氏名又は名称】スミス・アンド・ネフュー・アジア・パシフィク・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】カラシック、ジェフリー アイ.
(72)【発明者】
【氏名】カニンガム、マシュー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、ハンテク
(72)【発明者】
【氏名】フー、リック
(72)【発明者】
【氏名】キャシディ、ロジャー アール.
(72)【発明者】
【氏名】シュタウファー、アリソン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ミラビル、ベリン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB01
4C160MM32
4C160NN01
(57)【要約】
組織修復装置は、前進アセンブリであって、針を通って前進して、針から第1のインプラントおよび第2のインプラントを排出するように構成されたロッド部分、ロッド部分の近位セクションに連結されており、軸方向移動および回転移動によって、針を通してロッドを前進させるように構成されたラチェット、および第2の穴に接続された第1の穴を含む直線進行軸を有する前進部材を備える、前進アセンブリを含む。第1の穴の直径は、第2の穴の直径よりも小さく、そのため、第1の穴および第2の穴は、停止部を備える。ロッド部分は、針の曲率に適合し、かつ装置からインプラントを排出するのに十分な圧縮強度を提供するように最適化された機械的性状を有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織修復装置であって、長手方向軸を有するハンドルと、
前記ハンドルから延在する軸方向の穴を画定する細長い針であって、前記針が近位端および遠位端を含む、細長い針と、
縫合糸によって接続されており、前記針の前記軸方向の穴内に少なくとも部分的に配設されている、第1のインプラントおよび第2のインプラントであって、前記第2のインプラントが、前記第1のインプラントの近位に配設されている、第1のインプラントおよび第2のインプラントと、
前進アセンブリと、を備え、前記前進アセンブリが、
前記針を通って前進して、前記針の前記遠位端から前記第1のインプラントおよび前記第2のインプラントを排出するように構成されたロッド部分、
前記ロッド部分の近位セクションに連結されており、軸方向移動および回転移動によって、前記針を通して前記ロッドを前進させるように構成されたラチェット部材、
第2の穴に接続された第1の穴を含む直線進行軸を有する、前記ラチェット部材に連結された前進部材であって、前記第1の穴の直径が、前記第2の穴の直径よりも小さく、そのため、前記第1の穴および前記第2の穴が、停止部を画定する、前進部材、および
前記直線進行軸上を移動する押し出し-引っ張り機構、を備え、前記押し出し-引っ張り機構が、嵌合ロッドを含み、前記前進部材の前記第1の穴が、前記嵌合ロッドのセクションを受容し、前記嵌合ロッドが、遠位端上にバーブを含む停止部材を有し、第1の位置では、前記押し出し-引っ張り機構が前記停止部と係合し、第2の位置では、前記押し出し-引っ張り機構が前記停止部の近位にある、組織修復装置。
【請求項2】
前記ロッドが、ニチノールを含む、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項3】
前記ニチノールが、マルテンサイト相ニチノールである、請求項2に記載の組織修復装置。
【請求項4】
前記ニチノールの引張ひずみが、約50ksiである、請求項3に記載の組織修復装置。
【請求項5】
前記前進アセンブリが、プランジャーであって、ユーザが、前記第1のインプラントおよび前記第2のインプラントを前記針の前記遠位端から前進させるために、前記押し出し-引っ張り機構と係合させることができる、プランジャーを備える、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項6】
前記針の前記遠位端が、スロットを含み、
前記第1のインプラントおよび前記第2のインプラントのうちの少なくとも1つが、前記針の前記軸方向の穴に近似する断面、および前記スロットと嵌合して前記針内の前記インプラントの回転を防止する突出部を有する、本体を備える、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項7】
前記針が組織に挿入され得る深さを限定する深さチューブをさらに備える、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項8】
前記深さチューブが、前記深さチューブの直線位置をロックするための深さチューブロックを備える、請求項7に記載の組織修復装置。
【請求項9】
前記ハンドルに連結された針ハウジングをさらに備え、前記深さチューブロックが、前記針ハウジングに動作可能に連結されている、請求項8に記載の組織修復装置。
【請求項10】
針の前記遠位端が、湾曲した幾何学的形状を有する、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項11】
前記湾曲した幾何学的形状の湾曲が、前記針の前記遠位端のスロットと一致している、請求項10に記載の組織修復装置。
【請求項12】
前記湾曲した幾何学的形状の湾曲が、前記針の前記遠位端の前記スロットから離れている、請求項10に記載の組織修復装置。
【請求項13】
前記ラチェット部材の前記前進を、事前定義された増分で限定するように構成された1つ以上の停止部をさらに備える、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項14】
前記ラチェット部材が、前記第1のインプラントおよび前記第2のインプラントのうちの少なくとも1つを排出した後に、前記ラチェット部材の開始位置と近位方向に整列する最終位置に戻るように構成されている、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項15】
前記縫合糸が、スライディングノットを含む、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項16】
前記前進部材の内部表面が、前記ラチェット部材と係合するように構成された複数の歯を備える、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項17】
前記ラチェット部材が、前記前進部材内に位置付けられた複数のチャネルと交互に係合および係合解除するように構成された2つの半径方向に延在するタブを含む、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項18】
前記バーブが、前記前進部材の前記第1の穴へのプレス嵌めを容易にするように構成されたリードイン部分を備える、請求項1に記載の組織修復装置。
【請求項19】
組織修復の方法であって、
組織に第1のアンカーを挿入することであって、前記組織が、断裂を含み、前記第1のアンカーが、前記断裂の第1の側で前記組織に挿入される、挿入することと、
前記断裂の第2の側で第2のアンカーを挿入することであって、前記第2のアンカーが、指で係合可能な二分岐部分を有する結ばれた可撓性部材を介して前記第1のアンカーに連結されている、挿入することと、
前記二分岐部分を使用して、前記可撓性部材を引っ張って、前記第1のアンカーと前記第2のアンカーとの間の前記可撓性部材の長さを減少させて、前記断裂の前記第1の側および前記第2の側を閉鎖することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記二分岐部分のサイズが、固定されている、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、組織を修復するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
組織内に断裂が形成されたときに、組織が外科的に骨に再付着され得る、または外科的に修復され得る、体のエリアには、二頭筋腱、膝の外側側副靭帯、膝の内側側副靭帯、膝の半月板、脚の膝窩靱帯が含まれるが、これらに限定されない。筋肉、靭帯、および半月板断裂などの繊維組織の傷は、縫合糸を使用して関節鏡下で修復され得る。従来、繊維組織の傷を閉じるために、外科医は縫合糸を取り付けた状態で二本の縫合針を組織内に挿入し、縫合糸を傷に通し、その後、組織内で結び目を作り、縫合糸の自由端を固定していた。
【0003】
創傷治癒を単純化し、固定を改善するために、装置の送達に使用するための様々なタイプの装置、およびツールが開発されてきた。例えば、一部の現在の半月板修復装置は、湾曲した剛直な針先端を利用して、損傷した半月板の適切な領域に到達することを助ける。縫合糸を使用して一緒に接続された2つのインプラントが、針によって保持されている。望ましい半月板修復場所に到達すると、針は、半月板を通して押し出され、第1のインプラントが、押し出し送達機構を使用して展開される。次いで、針は、半月板から後退し、断裂部位の反対側に再位置付けされ、半月板を通って押し出される。次いで、第2のインプラントが展開される。次いで、装置が取り外され、引っ張られたときに2つのインプラントの間の距離を閉鎖するような方法で結ばれた縫合糸の長さが残される。結び目は、縫合糸の長さを引っ張ることによって締められ、縫合糸は、結び目に隣接して切断される。
【0004】
典型的な修復装置は、ユーザ操作型の押し出し機構を用いて、第1のインプラントを針先端から遠位方向(押し出し方向)に移動させ、その後、受動的な後退ステップで、押し出し機構を第2のインプラントの後ろに位置付け、次いで、第2のインプラントを遠位方向(押し出し方向)に移動させる。これらの装置は、ユーザ操作型の押し出し機構を後退させる(引っ張る)ための手段を欠く。例えば、いくつかのオールインサイド法の半月板修復装置は、押し出しロッドを含む押し出し送達機構を使用する。押し出しロッドは、押し出しロッドを遠位方向に移動させて第1のインプラントを外に押し出すユーザ操作型のノブまたはトリガに連結されている。続いて、押し出しロッドは、ノブまたはトリガが移動したときに、続いてインプラントが外に押し出され得るように、第2のインプラントの近位の位置に後退させる必要がある。押し出しロッドを後退させる手段には、圧縮ばね、ねじりばね、定力ばねなどが含まれる。押し出し機構の摩擦などの特定の力がばね力を超えると、押し出しロッドは、第2のインプラントを展開させるのに適した位置に後退することができない。
【0005】
さらに、典型的な修復装置は、湾曲した針先端の幾何学的形状に容易に適合させることができない剛直な押し出しロッドを用いる。押し出しロッドは通常、押し出しロッドを遠位方向に移動させて1つ以上のインプラントを外に押し出すユーザ操作型のノブまたはトリガに連結されている。押し出しロッドは通常、オーステナイト系ステンレス鋼、析出硬化系ステンレス鋼、またはニチノールなどのニッケルチタン合金から製作されている。これらの材料は、インプラントを排出するために必要な圧縮負荷に耐えるために必要な圧縮強度を呈する。しかしながら、一般的な押し出しロッド材料の機械的性状は、針の曲率に適合するようには最適化されていない。多くの場合、針の曲率は、関節空間に入る前に手動で装置を曲げること、または関節空間内にある間に針の先端を屈曲させる力を適用することのいずれかによって、使用中に変更される。変更された針の曲率により、押し出し送達機構が故障する場合がある。押し出すための過度な力、またはインプラントが存在する針スロットを押し出し機構の押し出しロッド部分が突破することによって、故障が生じる。故障はまた、ノブを前方に前進させたときに、第2のインプラントを続いて外に押し出すことができるように押し出しロッドを後退させることができないことにより生じる。一般的な押し出しロッド材料の機械的性状は、曲率の追加、または曲がりくねった経路により低い摩擦を維持するようには最適化されていない。
【0006】
さらに、2つのインプラントの間の距離を閉鎖するように縫合糸を引っ張るための現在の技術には、ユーザの指、ユーザの手、または一対の鉗子などの外科手術器具に自由縫合糸端を巻き付けることが含まれる。次いで、修復部における所望の張力が達成されるまで、縫合糸が引っ張られる。修復部に張力をかけるのに必要な力に応じて、縫合糸に張力をかけることは、ユーザには困難な場合があり、縫合糸が快適さを超えてユーザの指を締め付ける可能性があるため、痛みを引き起こす可能性さえある。さらに、縫合糸の構築に通常使用される材料の高い潤滑性を考慮すると、濡れた手袋をはめられた指に巻き付けられたときに、縫合糸が整復中に滑る可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
本明細書において、ロッド上のばね力とは関係なく、押し出しロッドを後退させることを容易にする押し出し-引っ張り送達機構を提供する、組織修復装置を説明する。本装置は、長手方向軸を有するハンドルと、ハンドルから延在する軸方向の穴を画定する細長い針と、縫合糸によって接続されており、針の軸方向の穴内に少なくとも部分的に配設されている、第1のインプラントおよび第2のインプラントであって、第2のインプラントが、第1のインプラントの近位に配設されている、第1のインプラントおよび第2のインプラントと、前進アセンブリと、を含む。前進アセンブリは、針を通って前進して、第1のインプラントおよび第2のインプラントを排出するように構成されたロッド部分、ロッド部分の近位セクションに連結されており、軸方向移動および回転移動によって、針を通してロッドを前進させるように構成されたラチェット、および第2の穴に接続された第1の穴を含む直線進行軸を有する前進部材を含む。第1の穴の直径は、第2の穴の直径よりも小さく、そのため、第1の穴および第2の穴は、停止部を備える。押し出し-引っ張り機構は、針の曲率に適合し、かつ装置からインプラントを排出するのに十分な圧縮強度を提供するように最適化された機械的性状を有する。本開示はまた、様々な程度の曲率を有する針を介した、より信頼性の高いインプラント展開を可能にする、適合性のある押し出しロッド、または該押し出しロッドの部分を提供する。最後に、本開示はまた、縫合糸に張力をかけることを平易化するための指ループとしての役割を果たす二分岐セクションを有する縫合糸を提供する。
【0008】
1つの態様では、本開示は、組織修復装置に関する。本装置は、長手方向軸を有するハンドルと、ハンドルから延在する軸方向の穴を画定する細長い針と、を含み得る。針は、近位端および遠位端を含み得る。さらに、本装置は、縫合糸によって接続されており、針の軸方向の穴内に少なくとも部分的に配設されている、第1のインプラントおよび第2のインプラントを含み、第2のインプラントは、第1のインプラントの近位に配設されている。さらに、本装置は、前進アセンブリを含み得る。前進アセンブリは、針を通って前進して、針の遠位端から第1のインプラントおよび第2のインプラントを排出するように構成されたロッド部分、ロッド部分の近位セクションに連結されており、軸方向移動および回転移動によって、針を通してロッドを前進させるように構成されたラチェットを含み得る。前進アセンブリは、第2の穴に接続された第1の穴を含む直線進行軸を有する、ラチェット部材に連結された前進部材を含み得る。第1の穴の直径は、第2の穴の直径よりも小さく、そのため、第1の穴および第2の穴は、停止部を画定する。さらに、前進アセンブリは、
嵌合ロッドを含む、直線進行軸上を移動する押し出し-引っ張り機構を含み得る。前進部材の第1の穴は、嵌合ロッドのセクションを受容し得る。嵌合ロッドは、遠位端上にバーブを含む停止部材を有し得る。第1の位置では、押し出し-引っ張り機構が停止部と係合し、第2の位置では、押し出し-引っ張り機構が停止部の近位にある。
【0009】
いくつかの実施形態では、ロッドは、ニチノールを含む。いくつかの実施形態では、ニチノールは、マルテンサイト相ニチノールである。いくつかの実施形態では、ニチノールの引張ひずみは、約50ksiである。
【0010】
いくつかの実施形態では、前進アセンブリは、プランジャーであって、ユーザが、第1のインプラントおよび第2のインプラントを針の遠位端から前進させるために、押し出し-引っ張り機構と係合させることができる、プランジャーを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、針の遠位端は、スロットを含む。いくつかの実施形態では、第1のインプラントおよび第2のインプラントのうちの少なくとも1つは、針の軸方向の穴に近似する断面、およびスロットと嵌合して針内のインプラントの回転を防止する突出部を有する、本体を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本装置は、針が組織に挿入され得る深さを限定する深さチューブをさらに含む。いくつかの実施形態では、深さチューブは、深さチューブの直線位置をロックするための深さチューブロックを有する。いくつかの実施形態では、深さチューブは、テーパー状の遠位部分を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本装置は、ハンドルに連結された針ハウジングをさらに含む。いくつかの実施形態では、深さチューブロックは、針ハウジングに動作可能に連結されている。
【0014】
いくつかの実施形態では、針の遠位端は、湾曲した幾何学的形状を有する。いくつかの実施形態では、湾曲した幾何学的形状の湾曲は、針の遠位端のスロットと一致している。いくつかの実施形態では、湾曲した幾何学的形状の湾曲は、針の遠位端のスロットから離れている。
【0015】
いくつかの実施形態では、本装置は、ラチェット部材の前進を、事前定義された増分で限定するように構成された1つ以上の停止部をさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、ラチェット部材は、第1のインプラントおよび第2のインプラントのうちの少なくとも1つを排出した後に、ラチェット部材の開始位置と近位方向に整列する最終位置に戻るように構成されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、縫合糸は、スライディングノットを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、前進部材の内部表面は、ラチェット部材と係合するように構成された複数の歯を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、ラチェット部材は、前進部材内に位置付けられた複数のチャネルと交互に係合および係合解除するように構成された2つの半径方向に延在するタブを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、バーブは、前進部材の第1の穴へのプレス嵌めを容易にするように構成されたリードイン部分を含む。
【0021】
別の態様では、本開示は、組織修復の方法に関する。本方法は、組織に第1のアンカーを挿入することを含み得、組織は、断裂を含み、第1のアンカーは、断裂の第1の側で組織に挿入される。本方法はまた、断裂の第2の側で第2のアンカーを挿入することを含み得、第2のアンカーは、指で係合可能な二分岐部分を有する、結ばれた可撓性部材を介して第1のアンカーに連結されている。本方法はまた、二分岐部分を使用して、可撓性部材を引っ張って、第1のアンカーと第2のアンカーとの間の可撓性部材の長さを減少させて、断裂の第1の側および第2の側を閉鎖することを含み得る。いくつかの実施形態では、二分岐部分のサイズは、固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示の少なくとも1つの実施形態の様々な態様が、添付図面を参照して以下に論じられる。当然のことながら、図示の簡略化および明瞭化のため、図面に示される要素は必ずしも正確または正しい縮尺で描かれてはいない。例えば、一部の要素の寸法は、明確化のため、他の要素に対して誇張され得、またはいくつかの物理的構成要素が1つの機能的ブロックまたは要素に含まれ得る。さらに、適切と考えられる場合、対応する要素または類似の要素を示すために複数の図面間で参照番号が繰り返され得る。明確化のため、すべての構成要素がすべての図面で標識付けされ得ない。図面は、例示および説明の目的で提供されるものであり、本発明の限界を定義することを意図するものではない。
【0023】
【
図1A】特定の実施形態による、組織修復のためのシステムを例示する。
【
図1B】特定の実施形態による、組織修復のためのシステムを例示する。
【
図2A】特定の実施形態による、組織修復システムのラチェット機構を例示する。
【
図2B】特定の実施形態による、組織修復システムのラチェット機構を例示する。
【
図3】特定の実施形態による、組織修復システムの押し出し-引っ張り機構を例示する。
【
図4】特定の実施形態による、組織修復システムの押し出し-引っ張り機構を例示する。
【
図5A】特定の実施形態による、組織修復システムの押し出し-引っ張り機構をさらに例示する。
【
図5B】特定の実施形態による、組織修復システムの押し出し-引っ張り機構をさらに例示する。
【
図5C】特定の実施形態による、組織修復システムの押し出し-引っ張り機構をさらに例示する。
【
図6A】特定の実施形態による、組織修復のための別のシステムを例示する。
【
図6B】特定の実施形態による、組織修復のための別のシステムを例示する。
【
図7】特定の実施形態による、組織修復のためのシステムとともに使用するための縫合糸を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の詳細な説明では、本開示の実施形態の完全な理解を提供するために多数の具体的な詳細が記載されている。当業者であれば、これらの実施形態が、これらの具体的な詳細の一部を伴わずに実践され得ることを理解されよう。他の実例では、周知の方法、手順、構成要素、および構造は、記載される実施形態を不明瞭にしないように、詳細に記載されていない場合がある。
【0025】
少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、特許請求の範囲は、これらの適用において、以下の説明に記載されるか、または図面に例示される、構築物の詳細および構成要素の配置に限定されるものではないことが理解されるべきである。また、本明細書に使用される表現および用語は、説明のみを目的とするものであり、限定するものとみなされるべきではないことが理解されるべきである。
【0026】
図1aは、本開示の組織修復装置100の一例を、組み立てられた図で例示する。装置100は、概して、ハンドル110と、ハンドル110に連結されたノブ付きプランジャー120と、ノブ付きプランジャー120およびハンドル110内に配設された据え付けのハウジング130と、据え付けのハウジング130に連結された針ハウジング170と、を含む。深さチューブロック140は、針ハウジング170内に配設されており、深さチューブ150に連結されている。針180は、深さチューブ150を通って延在し、針180から組織への展開のために、軸方向の穴188(
図1b)内に、縫合糸186によって接続された第1のインプラント182および第2のインプラント184を収容する。縫合糸186は、インプラント182と184との間の縫合糸186の長さを減少させることを容易にするためのスライディングノット187を含む。2つのインプラント182、184は、展開前に針180の遠位部分内に存在する。深さチューブは、組織の入口ポータルへの平易な進入を容易にするためのテーパー状の遠位部分を含み得る。深さチューブ150および深さチューブロック140は、針180の貫通を限定するための手段を提供する。ノブ付きプランジャー120とハンドル110との間の接合面は、インプラント182、184と針180との間の嵌め合いと同じように、滑り嵌合である。使用中、ユーザは通常、ノブ付きプランジャー120のいずれかの側に位置付けられたハンドル110または針ハウジング170によって、装置100を保持することになる。ユーザは、ノブ付きプランジャー120を前方に押し出して、針180の遠位先端から第1のインプラント182を展開する。断裂の反対側に針を再位置付けした後、第2のインプラント184を展開するために、ノブ付きプランジャー120の第2のユーザ操作が必要である。次いで、縫合糸186を引っ張るか、または別様に縫合糸186に張力をかけて、インプラント182と184との間の縫合糸186の長さを減少させて、断裂を閉鎖する。ハンドル110、ノブ付きプランジャー120、据え付けのハウジング130、深さチューブロック140、深さチューブ150、針ハウジング170、針180、およびインプラント182、184の他の非限定的な例は、Smith&Nephew,Inc.に対する米国特許第8,888,798号および米国公開第2018/0116654号に開示されており、これらの文献の内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
図2aは、
図1の組織修復装置100の一部分を断面図で例示する。
図2aに示されるように、ノブ付きプランジャー120の内部表面は、複数の歯122を含む。歯122は、押し出し機構126に回転方向および軸方向に連結されてインプラント182、184を連続的に展開するラチェット部材124と連続的に係合するように構成されている。押し出し機構126の円筒形のロッド部分128が針180内に包含されている。圧縮ばね160は、ラチェット部材124とノブ付きプランジャー120の歯122との間の接触を維持するように意図された直線力を提供する。ばね160はまた、インプラント展開後の押し出し機構126に後退力を提供する。ばね160は、ノブ付きプランジャー120の歯122に対する、ラチェット部材124の回転をさらに容易にする。各連続する歯122とのラチェット部材124の係合は、ラチェット部材124のタブ125の側壁と据え付けのハウジング130のチャネル壁との間の係合とともに、対応する第1のインプラント182または第2のインプラント184の展開の触覚的および可聴的な表示を提供する。
【0028】
図2bに示されるように、ラチェット部材124は、前方展開中に、据え付けのハウジング130の壁内に半径方向に位置付けられたいくつかのチャネルと交互に係合および係合解除する、2つの半径方向に延在するタブ125を包含する。ラチェット部材124のタブ125は、各インプラント182、184の展開前に、内部チャネル内で据え付けのハウジング130の軸に沿って摺動し、半径方向の整列を提供する。押し出し機構126は、ユーザがノブ付きプランジャー120を後退させるときに、進行軸Aに沿って遠位方向に移動する。押し出し機構126の遠位先端は、ラチェット部材124のタブ125が据え付けのハウジング130の第1の個別の停止部材136と接触するまで直線的に突き出され、第1のインプラント182の展開をもたらす。個別の停止部は、据え付けのハウジング130の内側チャネルと半径方向に整列して、インプラント182、184の展開中に押し出し機構126が前進するのを防ぐ。
【0029】
図3に示されるように、押し出し機構126は、ノブ付きプランジャー120と共通の直線進行軸Aを共有する。ノブ付きプランジャー120は、押し出し機構126のロッド部分128を受容するように構成された内側の穴132を有する。ノブ付きプランジャー120の内側の穴132は、針180(
図1)の遠位の穴とともに、押し出し機構126の整列を維持する。押し出し機構126はまた、環状バーブ134などの停止特徴を含む。ノブ付きプランジャー120の内側の穴132は、遠位の第2の部分132bよりも大きくなるように選択された内径を有する近位の第1の部分132aを含み、第1の部分132aと第2の部分132bとの間に座ぐり穴138を作り出す。バーブ134の外径は、内側の穴132の第2の部分132bよりも大きいが、第1の部分132aの外径よりも小さくなるように選択されている。組み立てられたときに、バーブ134の直線位置は、バーブ134と座ぐり穴138との間にギャップ142が存在するように、ノブ付きプランジャー120内の座ぐり穴138の直線位置の近位にある。
【0030】
図4は、ラチェット部材124のタブ125が第1の個別の停止部材136に接触するまでノブ付きプランジャー120が遠位方向に押し出されたことにより、第1のインプラント182が展開された後の装置100を示す。ばね160は、押し出し機構126をわずかに後退させるのに十分な後退力を作り出す。少量の後退により、ラチェット部材124は回転し、押し出し機構126を中間静止位置に位置付けることができる。しかしながら、押し出し機構126のロッド部分128と針180の内側の穴188との間の摩擦および曲げの組み合わされた力がばね力を超えると、押し出し機構126は後退しないことになる。これは、ラチェット部材124の半径方向の整列が生じるのを防ぎ、押し出し機構126が遠位方向に前進して第2のインプラント184を展開するのを防ぐ。
【0031】
図5Aおよび
図5Bは、ユーザがノブ付きプランジャー120を後退させるときの、押し出し機構126およびノブ付きプランジャー120の相対的な位置を示す。示されるように、ノブ付きプランジャー120の後退が、押し出し機構126内のバーブ134の嵌合する軸方向の壁とノブ付きプランジャー120の環状座ぐり穴138との間の接触を引き起こす。したがって、押し出し機構126は、ノブ付きプランジャー120とともに後退することになり、使用に関連するエラーにより損なわれた装置の機能が回復する。
図5Cに示されるように、押し出し機構126のバーブ134は、ノブ付きプランジャー120の内側の穴132へのプレス嵌めを容易にするためのリードイン部分134aを含む。バーブ134上の環状特徴134bは、押し出し機構126の近位軸方向運動を妨げる力に対抗するのに十分な構造強度を提供する。直径の干渉の量は、近位軸方向運動を妨げる軸方向の力に対抗するのに十分であるが、2つの構成要素の組み立てを妨げるほど高くはない。後退中、押し出し機構126のバーブ134と座ぐり穴138との間の正常な動作ギャップ142は、嵌合面が接触するまで減少する。接触が行われた後、押し出し機構126は、ユーザがノブ付きプランジャー120を前進させると、進行軸Aに沿って近位方向に移動する。押し出し機構126は、ノブ付きプランジャー120が近位停止位置に到達するまで、ノブ付きプランジャー120とともに後退することになる。したがって、本開示の送達装置は、ばね力だけでは押し出し機構126を後退させるのに不十分である場合に、押し出し機構126を後退させ、ラチェット部材124を、第2のインプラント184の展開に適した半径方向の位置に回転させることができる、代替的な手段を提供する。
【0032】
図示しないが、いくつかの実施形態では、押し出し機構126内に対応するアンダーカットを有する、環状連結特徴がノブ付きプランジャー120内に作り出され得る。複数の構成要素を連結する特徴もまた、同等の機能を提供し得る。例えば、ノブ付きプランジャー120の穴132への組み立て後に、保定リングが押し出し機構126上に押し付けられ得る。
【0033】
図6Aに示されるように、本開示の組織修復装置200の別の実施例は、共通の直線進行軸Aを共有する、針280および押し出し機構226を含む。2つのインプラント282、284は、針280の遠位端に存在する。
図6Aはまた、かなり大きな曲率を有する針280を示す。実施例では、針280の曲率は、針280の遠位部分内のスロット290と一致している。押し出し機構226は、針280を通って前進して、針280の遠位端から第1のインプラント282および第2のインプラント284を排出するように構成されたロッド部分228を含む。実施例では、ロッド部分228は、動作温度のマルテンサイト相ニチノールから構成されている。マルテンサイト相ニチノールは有利には、オーステナイト系材料よりも低い弾性率を呈する。ロッド部分228の所与の直径について、マルテンサイト系ロッドは、同じ断面積および形状を有するオーステナイト系ロッドよりも低い押し出し力で残留ひずみを維持する。材料が、マルテンサイト終了温度(Mt)を下回る温度で機械的に負荷されているか、または完全にマルテンサイトである場合、材料は、続いて無負荷状態になったときにひずんだままである。オーステナイト終了温度(At)を超えて加熱すると、元の形状を取り戻すことができる。実施例では、張力負荷中に3%のひずみで測定されるニチノールの応力は、約50ksiである。
【0034】
図6bは、スロット290と反対の方向に針の曲率(逆の曲率)を有する装置200を描いている。この曲率方向は、ロッド部分228の遠位先端が、遠位方向に前進している間は支持されないため、困難である。一般的な押し出しロッド材料は、スロット290を変形させ、針穴288を突破するのに十分な機械的剛性を呈する。突破が生じると、押し出しロッド228は、インプラント284を排出しないことになる。本開示のロッド部分228は、最適化された機械的性状を有すること、およびスロット290の領域内の針280の穴288を突破するために必要な力よりも低い力で変形することによって、逆の針の曲率に適合する。針280の遠位端からインプラントを排出するように、押し出し機構226の遠位前進中に、適切な機能が維持される。実施例では、第1のインプラント282および第2のインプラント284のうちの少なくとも1つは、針280の軸方向の穴288に近似する断面、およびスロット290と嵌合して針280内のインプラント282、284の回転を防止する突出部294を有する、本体292を備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、押し出しロッド228は、押し出しロッド228の一部分を加熱処理して所望の屈曲強度を達成することによって達成される、より低い屈曲率を有する1つ以上の部分を有するように製作され得る。複数のセグメントからなる押し出しロッド228は、第1の直径を有する遠位先端部分と、第2の直径を有する近位ロッド部分と、を備えることができ、上記第2の直径は、第1の直径よりも小さい。複数の構成要素からなる押し出しロッド228は、摩擦を低下させるために、異なる材料から構築された先端部分を有し得る。押し出しロッド228は、可撓性を増加させるために材料が除去(切断)された遠位先端部分を含み得る。
【0036】
図7は、近位端386aおよび遠位端386bを有する、縫合糸386を示す。遠位端386bは、上述の組織修復装置100、200などの、組織修復装置のインプラントに連結されるように構成されている。近位端386aは、関節空間から出るように構成されており、二分岐セクション386cおよびテール部386dを含む。二分岐セクション386cは、ユーザがいくつかの指を通過させることができるループとしての役割を果たす。二分岐セクション386cでは、縫合糸386を作り出すために使用された繊維ストランドの半分がループの各セグメントを形成し、効果的に縫合糸386の発散および収束を作り出す。二分岐セクション386cは、ユーザが所望の修復張力まで縫合糸386を引っ張ることができるように、複数の指を嵌めるのに十分な大きさである。この二分岐セクション386cは、固定された直径のものであり、張力下にあるときに、いずれのユーザの不快感も引き起こさないことになる。
実施例では、硬化技術により、二分岐セクション386cが、濡れても開いたままであること、およびユーザが平易に見ることができることを保証する。これらの硬化技術は、縫合糸386を縫合糸386のガラス転移温度まで加熱すること、ならびに縫合糸386を、特定の形状およびサイズのマンドレルの周りで冷却させることによって、縫合糸386を熱硬化または「形状設定」すること含み得る。硬化技術の他の実施例としては、二分岐セクション386cの各セグメントにモノフィラメントコアを提供することが挙げられる。図示しないが、他の実施例では、縫合糸386は、テール部386dを含まない縫合糸386の全長に沿って同じ直径を維持するように、二分岐セクション386cの代わりに完全なループを含み得る。縫合糸386が、縫合糸386の長さに沿って同じまたは異なるサイズの複数の二分岐セクション386cを包含し得ることがさらに企図される。
【0037】
明確化のために、別々の実施形態の文脈において記載される本発明の特定の特徴を、単一の実施形態において組み合わせて提供することもできることが理解される。逆に、簡潔さのために、単一の実施形態の文脈において記載される本発明の様々な特徴を、別々にまたは任意の好適な副組み合わせで提供することもできる。
【0038】
本開示の多くの変更例および修正例が、前述の説明を読み終えた後に当業者には明らかになることは間違いないが、例示によって示され、記載される特定の実施形態は、決して限定するものとして考慮されることを意図するものではないことが理解されるべきである。さらに、主題は特定の実施形態を参照して記載されているが、当業者であれば、本開示の趣旨および範囲内での変形例を想起されよう。前述の実施例は、単に説明の目的で提供されており、決して本開示を限定するものとして解釈されるものではないことが留意される。
【0039】
本開示は特定の実施形態を参照して本明細書に記載されているが、本開示は本明細書に開示される特定のものに限定されることを意図するものではなく、むしろ、本開示は、特許請求の範囲の範囲内など、すべての機能的に同等な構造、方法、および使用にまで及ぶ。