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特表2023-521789オルガノシリコン化合物、多糖類、着色化合物および後処理剤を用いるケラチン物質の着色方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(54)【発明の名称】オルガノシリコン化合物、多糖類、着色化合物および後処理剤を用いるケラチン物質の着色方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/58 20060101AFI20230518BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230518BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20230518BHJP
【FI】
A61K8/58
A61Q5/00
A61K8/73
A61K8/34
A61K8/81
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561626
(86)(22)【出願日】2021-02-11
(85)【翻訳文提出日】2022-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2021053309
(87)【国際公開番号】W WO2021204441
(87)【国際公開日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】102020204541.0
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】ヒッペ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ブレンダー,イェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘプフナー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB082
4C083AC102
4C083AC111
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC511
4C083AC731
4C083AC732
4C083AC761
4C083AC762
4C083AC791
4C083AC841
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC861
4C083AC911
4C083AC912
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD211
4C083AD281
4C083AD282
4C083AD352
4C083BB21
4C083CC36
4C083DD23
(57)【要約】
本発明は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法であって、以下の工程:ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、前記剤(a)は:(a1)シランを含む群から選ばれる少なくとも1つのオルガノシリコン化合物、前記化合物は1個、2個または3個のケイ素原子を有する;および(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性交差分岐多糖類、(a3)少なくとも1つのポリオール、並びに(a4)最大25重量%の水を含む、を含む方法に関する。本発明は、剤(b)の使用にも関し、前記剤(b)は:(b1)少なくとも1つのシーリング剤を含み、剤(a)および(b)の少なくとも一方は、顔料および/または直接染料の群からの少なくとも1つの染色化合物をさらに含む。本発明はさらに、ケラチン物質を染色するための多成分包装キット(部材キット)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法であって、以下の工程:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、および、
(a4)25重量%以下の水を含む、
ならびに
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は
(b1)少なくとも1つのシーリング剤を含む、
を含み、
ここで、剤(a)および(b)の少なくとも一方は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含む、方法。
【請求項2】
剤(a)は、式(I)および/または(II):
【化1】
[式中、
-R、Rは、独立して水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
-Lは、直鎖または分岐鎖の二価C-C20アルキレン基であり、
-R、Rは、互いに独立してC-Cアルキル基を表し、
-aは1~3の整数を表し、
-bは整数3-aを表す]
【化2】
[式(II)で示される有機ケイ素化合物において、
-R、R’、R''、R、R'およびR''は独立して、C-Cアルキル基を表し、
- A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C-C20アルキレン基を表し、
- RおよびRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基または式(III):
【化3】
〔式中、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c'は、1~3の整数を表し、
-d'は、整数3-c'を表し、
-c''は、1~3の整数を表し、
-d''は、整数3-c''を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる〕
で示される基を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
剤(a)は、式(I):
【化4】
[式中、
- R、Rは共に水素原子を表し、
- Lは直鎖、二価のC-Cアルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)またはエチレン基(-CH-CH-)を表し、
- R、Rは独立してメチル基またはエチル基を表し、
- aは数3を表し、
- bは数0を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
剤(a)は、
- (3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
- (3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
- 1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
- (2-アミノエチル)トリエトキシシラン
- (2-アミノエチル)トリメトキシシラン
- 1-(2-アミノエチル)シラントリオール
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
- 1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
- (2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
- (2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または
- 1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群から選択される式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
剤(a)は、式(II):
【化5】
[式中、
- eおよびfは共に数1を表し、
- gおよびhは共に数0を表し、
- AおよびA'は独立して、直鎖、二価のC-Cアルキレン基を表し、
- Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
剤(a)は、式(IV):
【化6】
[式中、
-Rは、C-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
-R11は、C-Cアルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
剤(a)は、
- メチルトリメトキシシラン
- メチルトリエトキシシラン
- エチルトリメトキシシラン
- エチルトリエトキシシラン
- プロピルトリメトキシシラン
- プロピルトリエトキシシラン
- ヘキシルトリメトキシシラン
- ヘキシルトリエトキシシラン
- オクチルトリメトキシシラン
- オクチルトリエトキシシラン
- ドデシルトリメトキシシラン
- ドデシルトリエトキシシラン
- オクタデシルトリメトキシシラン
- オクタデシルトリエトキシシランおよび
- これらの混合物
からなる群から選択される式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
剤(a)は、少なくとも2つの構造的に異なる有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
シーリング剤は、フィルム形成ポリマー、アルカリ化剤、酸性化剤、およびそれらの混合物からなる群から選択される化合物を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
四糖単位は、約2:1:1の割合でのD-グルコース、L-フコース、およびD-グルクロン酸からなることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
剤(a)は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含む、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
ポリオール(a3)は、2-プロピレングリコールおよび/またはグリセロールを含むことを特徴とする、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
剤(a)は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む、顔料および/または直接染料からなる群から選択される着色化合物をさらに含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
剤(a)は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む、顔料および/または直接染料からなる群から選択される着色化合物をさらに含み、ラメラに基づく顔料、ラメラ金属基材プレートレット系顔料、レンチキュラー金属基材プレートレット系顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレット系顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属オキシ塩化物で被覆された天然または合成雲母に基づく少なくとも1つの顔料を含む、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
別々に包装された以下:
- 剤(a')を含む第1容器、ここで該剤は(a'):
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む、
- 剤(a'')を含む第2容器、ここで該剤は(a''):
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、および
(a4)25重量%以下の水を含む、
ならびに
- 剤(b)を含む第3容器、ここで該剤は(b):
(b1)少なくとも1つのシーリング剤を含む、
を含み、
ここで、剤(a'')および剤(b)の少なくとも一方は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含む、ケラチン物質を染色するための部材キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を処理する方法であって、該方法は2つの剤(a)および(b)の塗布を含む。剤(a)は、少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)および選択された多糖類(a2)を含むことを特徴とする。剤(b)は、少なくとも1つのシーリング剤(b1)を含む。さらに、剤(a)または剤(b)のいずれか、または剤(a)および(b)の両方が、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む。
【0002】
本出願のさらなる主題は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分包装ユニット(部材キット)であって、これは、別々に調製された少なくとも3つの剤(a')、(a'')、および(b)を含む。剤(a')および(a'')は、上記の方法で使用される剤(a)を調製するために使用され得る。
【背景技術】
【0003】
ケラチン繊維、特に毛髪の形状および色を変えることは、現代の化粧品の重要な分野である。毛髪の色を変えるため、専門家には、着色の要求に応じた、様々なカラーリングシステム(着色系)が知られている。良好な堅牢性および良好な白髪カバー性を備えた長期的な強い染色のためには、通常、酸化染料が使用される。このような染料は通常、酸化染料前駆物質、いわゆる顕色成分およびカプラー成分を含み、これらは過酸化水素などの酸化剤の影響下で実際の染料を互いに生成する。酸化染料は、非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0004】
直接染料を使用する場合、既に生成された染料が着色剤から毛髪繊維内に拡散する。酸化染毛と比較して、直接染料を用いて得られる染色物は、より短い保持期間およびより早い洗浄性を有する。直接染料を有する染料は、通常、5~20回の洗浄の間、毛髪に残留する。
【0005】
毛髪および/または皮膚の色を短期間変えるために、着色顔料の使用が知られている。着色顔料は、一般的には、不溶性の着色剤物質であると理解されている。着色顔料は、小粒子の形で染料組成物中に溶解せずに存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚表面に単に付着するにすぎない。従って、これらは通常、界面活性剤を含む洗浄剤で数回洗浄することで、残留することなく除去され得る。このタイプの様々な製品は、「ヘアマスカラ」の名称で市販されている。
【0006】
特に長持ちする染色をユーザーが望む場合は、これまで酸化染料の使用が唯一の選択肢であった。しかし、多くの最適化の試みにもかかわらず、酸化染毛剤では不快なアンモニア臭またはアミン臭を完全に回避することはできない。酸化染料の使用に伴う毛髪の損傷は、依然としてユーザーの毛髪に悪影響を及ぼす。
【0007】
欧州特許第2168633号明細書は、顔料を使用して長持ちする毛髪着色を製造するという課題に取り組む。この文献は、顔料、有機ケイ素化合物、フィルム形成ポリマーおよび溶剤を組み合わせて毛髪に使用する場合、特に摩耗および/またはシャンプーに対して耐性を有する着色を生じ得ると教示する。
【0008】
染料に使用される有機ケイ素化合物は反応性の高い化合物であり、水の存在下および/またはその塗布時に加水分解、またはオリゴマー化および/またはポリマー化を起こす。オリゴマー化および/またはポリマー化の速度は、ユーザーが許容できる時間内で着色剤を塗布できるような速度でなければならない。
【0009】
一方では高い洗浄堅牢性および摩擦堅牢性を有し、他方では扱いやすさや感触のような毛髪特性に悪影響を与えない、顔料を含む染毛剤を提供する必要がある。この目的のために、特に塗布時間および剤の塗布特性の観点から、毛髪着色は最適な使用快適性を有することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許第2168633号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、酸化着色に匹敵する堅牢特性を有する顔料を用いた着色系を提供することであった。洗浄堅牢特性が特に優れているべきだが、この目的のために通常使用される酸化染料前駆体を使用することは避けるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
驚くべきことに、今回、少なくとも2つの剤(a)および(b)をケラチン物質(毛髪)に塗布する方法によってケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色する場合、前述の課題を見事に解決できることが見出された。この場合、第1剤(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)、および、さらに、繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類(a2)、少なくとも1つのポリオール(a3)、ならびに剤(a)の全重量に基づいて最大25重量%の水(a4)を含む。第2剤(b)は、少なくとも1つのシーリング剤を含む。
【0013】
2つの剤(a)および(b)を染色方法で使用した場合、特に高い着色強度および高い堅牢特性をもってケラチン物質を染色できた。
【0014】
さらに、本方法全体の染色特性に加えて、剤(a)はその塗布特性に関しても最適化され得ることが示された。繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類(a2)と少なくとも1つのポリオール(a3)との組み合わせ、および、剤(a)中の含水量を剤(a)の全重量に基づいて、最大25重量%に制限することにより、ケラチン物質を染色するために最適な、有機ケイ素化合物(a1)のオリゴマー化およびポリマー化の速度をもたらすことが示された。
【0015】
本発明の第1の対象は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色する方法であって、以下の工程:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は、
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、および、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて、25重量%以下の水を含む、
ならびに
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は、
(b1)少なくとも1つのシーリング剤を含む、
を含み、
ここで、剤(a)および(b)の少なくとも一方は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含む。
【0016】
本発明に至る研究において、剤(a)および(b)の優先的な連続塗布により、ケラチン物質上に非常に安定で洗浄堅牢性のある着色を生じ得ることが見出された。この理論に限定されることなく、本明細書において、有機ケイ素化合物(a1)および繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類(a2)の同時塗布は、ケラチン物質上に、特に耐性のあるフィルムの形成をもたらすと考えられている。第2剤(b)の塗布はケラチン物質に塗布されたフィルムを封止し、それにより洗浄および/または摩耗に対する耐性がより高くなる。顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を、少なくとも1つの剤(a)および(b)に組み込むことにより、着色フィルムが得られる。
【0017】
このようにして、ケラチン物質に着色化合物を恒久的に固定することができるので、摩耗および/またはシャンプーに対する良好な耐性を有する極めて洗浄堅牢性のある着色を得ることができる。
【0018】
特に、剤(a)中の水の量を、剤(a)の全重量に基づいて、最大25重量%に制限すること、およびポリオール(a3)を添加することにより、有機ケイ素化合物(a1)の最適なオリゴマー化およびポリマー化の速度が達成され得る。
【0019】
有機ケイ素化合物(a1)の最適なオリゴマー化およびポリマー化の速度の助けにより、たった数分の短い塗布時間後でさえも、良好で均一な染色結果が達成される。これは、長いケラチン繊維、特に毛髪に染料を使用する場合にも当てはまる。このような染料の暴露時間は、ユーザーにより高い快適性をもたらす。
【0020】
繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類を加えることにより、剤(a)の塗布特性、特に剤(a)の粘度を最適化できるだけでなく、驚くべきことに、ケラチン物質上に特に安定なフィルムを得ることもできた。その結果、摩耗および/またはシャンプーに対する良好な耐性を有する、極めて摩擦および洗浄堅牢性のある染色が得られた。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<ケラチン物質>
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手指の爪および/または足指の爪)を含む。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に該当する。
【0022】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚およびヒトの爪、特に手指の爪および足指の爪であると理解される。特に、ケラチン物質はヒトの毛髪であると理解される。
【0023】
<剤(a)および(b)>
本開示の方法において、剤(a)および(b)は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪に塗布される。2つの剤(a)および(b)は、互いに異なる。
【0024】
言い換えると、本発明の第1の対象は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を処理する方法であって、以下の工程:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、および、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて、25重量%以下の水を含む、
ならびに
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は、
(b1)少なくとも1つのシーリング剤を含む、
を含み、
ここで、剤(a)および(b)の少なくとも一方は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含む。
【0025】
<剤(a)>
剤(a)は、液体、ゲルまたはクリームであり得る。毛髪処理、特に毛髪着色のためには、剤(a)は好ましくは、クリーム、エマルジョン、ゲル、または界面活性剤含有発泡性溶液、例えばシャンプー、泡状エアゾール、泡状組成物または毛髪への塗布に適した他の調製物を含む。
【0026】
剤(a)は、水を含んでよい。好ましくは、剤(a)はその全重量に基づいて、少なくとも2重量%の水を含む。さらに好ましくは、含水量は、それぞれの場合において、剤(a)の全重量に基づいて、5重量%より多く、なおさらに好ましくは10重量%より多く、特に好ましくは15重量%より多い。剤(a)は、剤(a)の全重量に基づいて、最大25重量%の水を含む。
<シランの群からの有機ケイ素化合物(a1)>
【0027】
本発明に必須の成分(a1)として、剤(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群からの少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む。
【0028】
特に好ましくは、剤(a)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、前記有機ケイ素化合物は、1分子あたり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0029】
剤(a)に含まれるこれらの有機ケイ素化合物(a1)または有機シランは、反応性化合物である。
【0030】
オルガノシリコン化合物とも称される有機ケイ素化合物は、ケイ素-炭素直接結合(Si-C)を有する化合物、または炭素が酸素、窒素若しくは硫黄原子を介してケイ素原子に結合している化合物である。本発明の有機ケイ素化合物は1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個または2個のケイ素原子を含む。
【0031】
IUPAC法によると、用語「シラン化合物」は、ケイ素骨格および水素に基づく。有機シランでは、水素原子の全てまたは一部が、(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基などの有機基により置換されている。有機シランにおいて、水素原子の一部は、ヒドロキシル基で置換されてよい。
【0032】
特に好ましい実施形態では、方法は、ケラチン物質に剤(a)を塗布し、前記剤(a)が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、前記有機ケイ素化合物がさらに1分子当たり1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含むことを特徴とする。
【0033】
非常に特に好ましい実施形態では、方法は、ケラチン物質に剤(a)を塗布し、前記剤(a)が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、前記有機ケイ素化合物がさらに、1分子当たり1つ以上の塩基性化学官能基および1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含むことを特徴とする。
【0034】
この塩基性基または塩基性化学官能基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基またはトリアルキルアミノ基であってよく、それらは好ましくはリンカーを介してケイ素原子に連結される。好ましくは、塩基性基は、アミノ基、C-Cアルキルアミノ基、またはジ(C-C)アルキルアミノ基である。
【0035】
加水分解性基は、好ましくはC-Cアルコキシ基、特にエトキシ基またはメトキシ基である。加水分解性基が、ケイ素原子に直接結合している場合が好ましい。例えば、加水分解性基がエトキシ基である場合、有機ケイ素化合物は、好ましくは構造単位R'R''R'''Si-O-CH-CHを含む。基R'、R''およびR'''は、ケイ素原子の3つの残りの自由原子価を表す。
【0036】
非常に特に好ましい方法は、剤(a)が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含み、前記有機ケイ素化合物が、好ましくは1分子あたり1つ以上の塩基性化学官能基および1つ以上のヒドロキシル基または加水分解性基を含むことを特徴とする。
【0037】
特に、剤(a)が式(I)および/または(II)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む場合に、良好な結果が得られた。
【0038】
式(I)および(II)で示される化合物は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、前記有機ケイ素化合物は、1分子当たり1つ以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0039】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本方法は剤をケラチン物質(またはヒトの毛髪)に塗布し、剤(a)は式(I)および/または(II):
【化1】
[式中、
-R、Rは、独立して水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
-Lは、直鎖または分岐鎖の二価C-C20アルキレン基であり、
-Rは、水素原子またはC-Cアルキル基であり、
-Rは、C-Cアルキル基を表し、
-aは1~3の整数を表し、
-bは整数3-aを表す]
【化2】
[式中、
-R、R'、R''は、独立して、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
-R、R'およびR''は、独立して、C-Cアルキル基を表し、
-A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C-C20アルキレン基を表し、
-RおよびRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基または式(III):
【化3】
〔式中、
-cは、1~3の整数を表し、
-dは、整数3-cを表し、
-c'は、1~3の整数を表し、
-d'は、整数3-c'を表し、
-c''は、1~3の整数を表し、
-d''は、整数3-c''を表し、
-eは、0または1を表し、
-fは、0または1を表し、
-gは、0または1を表し、
-hは、0または1を表し、
-ただし、基e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる〕
で示される基を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a)を含むことを特徴とする。
【0040】
式(I)および(II)で示される化合物における置換基R、R、R、R、R、R'、R''、R、R'、R''、R、R、L、A、A'、A''、A'''およびA''''を、以下に例として説明する。
-Cアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびt-ブチル基、n-ペンチル基およびn-ヘキシル基である。プロピル、エチルおよびメチルが好ましいアルキル基である。C-Cアルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニルであり、好ましいC-Cアルケニル基は、ビニルおよびアリルである。ヒドロキシC-Cアルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基である;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC-Cアルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖二価のC-C20アルキレン基の例としては、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)、およびブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)が挙げられる。プロピレン基(-CH-CH-CH-)が特に好ましい。3C原子の鎖長から、2価のアルキレン基は分岐していることもある。分岐した2価のC-C20アルキレン基の例は、(-CH-CH(CH)-)および(-CH-CH(CH)-CH-)である。
【0041】
式(I):
【化4】
で示される有機ケイ素化合物において、基RおよびRは、互いに独立して、水素原子またはC-Cアルキル基を表す。非常に好ましくは、RおよびRは、ともに水素原子を表す。
【0042】
有機ケイ素化合物の中央部は、構造単位またはリンカー-L-であり、これは、直鎖または分岐鎖の二価C-C20アルキレン基を表す。
【0043】
二価のC-C20アルキレン基は、代替的に二価(divalente)または二重結合(zweibindige)のC-C20アルキレン基と称されることがあり、これにより、各L原子団が2つの結合を形成し得ることが意味されている。1つの結合は、アミノ基RNからリンカーLであり、2つ目の結合は、リンカーLとケイ素原子との間である。
【0044】
好ましくは、-L-は、直鎖二重結合(すなわち二価)のC-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、-L-は、直鎖二価のC-Cアルキレン基を表す。特に好ましい-L-は、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)またはブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)を表す。特にLは、プロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0045】
直鎖プロピレン基(-CH-CH-CH-)は、代替的にプロパン-1,3-ジイル基と称されることがある。
【0046】
式(I):
【化5】
で示される有機ケイ素化合物は、各一端にケイ素含有基-Si(OR3)a(R4)bを有する。
【0047】
末端構造単位-Si(OR3)a(R4)bにおいて、Rは水素またはC-Cアルキル基であり、RはC-Cアルキル基である。特に、RおよびRは、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表す。
【0048】
ここで、aは、1~3の整数を表し、bは、整数3-aを表す。aが数3を表す場合、bは0に等しい。aが数2を表す場合、bは1に等しい。aが数1を表す場合、bは2に等しい。
【0049】
剤(a)が、基R、Rが互いに独立してメチル基またはエチル基を表す式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む場合、特に耐性の高いフィルムを作製できた。
【0050】
ケラチン物質を染色するための方法を使用する場合、剤(a)が基R、Rが互いに独立してメチル基またはエチル基を表す式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合、最高の洗浄堅牢性を有する染色物を同様に得ることができた。
【0051】
さらに、剤(a)が、aが数3を表す式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合、最高の洗浄堅牢性を有する染色物を得ることができた。この場合、bは、数0を表す。
【0052】
さらなる好ましい実施形態では、本方法で使用される剤(a)は、式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とし、式(I)において、
-R、Rは、互いに独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-aは数3を表し、
-bは、数0を表す。
【0053】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)は、式(I):
【化6】
[式中、
-R、Rは、共に水素原子を表し、
-Lは、直鎖二価のC-Cアルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)またはエチレン基(-CH-CH-)を表し、
-Rは、水素原子、エチル基またはメチル基を表し、
-Rは、メチル基またはエチル基を表し、
-aは数3を表し、
-bは数0を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0054】
本発明による課題を解決するために特に適当な式(I)で示される有機ケイ素化合物は、
- (3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
【化7】
- (3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
【化8】
- 1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
【化9】
- (2-アミノエチル)トリエトキシシラン
【化10】
- (2-アミノエチル)トリメトキシシラン
【化11】
- 1-(2-アミノエチル)シラントリオール
【化12】
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
【化13】
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
【化14】
- 1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
【化15】
- (2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
【化16】
- (2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン、および
【化17】
- 1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
【化18】
である。
【0055】
さらに好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が以下:
- (3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
- (3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
- 1-(3-アミノプロピル)シラントリオール
- (2-アミノエチル)トリエトキシシラン
- (2-アミノエチル)トリメトキシシラン
- 1-(2-アミノエチル)シラントリオール
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
- 1-(3-ジメチルアミノプロピル)シラントリオール
- (2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
- (2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または
- 1-(2-ジメチルアミノエチル)シラントリオール
からなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0056】
前記式(I)で示される有機ケイ素化合物は市販されている。例えば、(3-アミノプロピル)トリメトキシシランはSigma-Aldrich社から購入できる。また、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもまた、Sigma-Aldrich社から市販されている。
【0057】
さらなる実施形態では、剤は、式(II):
【化19】
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む。
【0058】
式(II)で示されるオルガノシリコン化合物は、それぞれその両末端にケイ素含有基(RO)(RSi-および-Si(R')d'(OR')c'を有する。
【0059】
式(II)で示される分子の中央部には、基-(A)-および-[NR-(A')]-および-[O-(A'')]-および-[NR-(A''')]-が存在する。ここで、e、f、gおよびhのそれぞれは、相互に独立して、数0または1を表し、ただしe、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。言い換えると、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、-(A)-および-[NR-(A')]-および-[O-(A'')]-および-[NR-(A''')]-からなる群から選択される原子団を少なくとも1つ含む。
【0060】
2つの末端構造単位(RO)(RSi-および-Si(R')d'(OR')c'において、基R、R'、R''は、互いに独立して水素原子またはC-Cアルキル基を表す。基R、R'およびR''は、独立してC-Cアルキル基を表す。
【0061】
ここで、cは、1~3の整数を表し、dは、整数3-cを表す。cが数3を表す場合、dは0に等しい。cが数2を表す場合、dは1に等しい。cが数1を表す場合、dは2に等しい。
【0062】
同様に、c'は、1~3の整数を表し、d'は、整数3-c'を表す。c'が数3を表す場合、d'は0である。c'が数2を表す場合、d'は1である。c'が数1を表す場合、d'は2である。
【0063】
基cおよびc'が共に数3を表す場合、最も安定性の高いフィルムまたは最高の洗浄堅牢性を有する染料を得ることができた。この場合、dおよびd'は、共に数0を表す。
【0064】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が式(II):
【化20】
[式中、
-RおよびR'は独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-cおよびc'は、共に数3を表し、
-dおよびd'は、共に数0を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むこと特徴とする。
【0065】
cおよびc'が共に数3であり、dおよびd'が共に数0である場合、本発明の有機ケイ素化合物は、式(IIa):
【化21】
に相当する。
【0066】
e、f、gおよびhは独立して、数0または1を表し、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。従って、記号e、f、gおよびhは、原子団-(A)-および-[NR-(A')]-および-[O-(A'')]-および-[NR-(A''')]-のいずれかが、式(II)で示される有機ケイ素化合物の中央部に位置することを規定する。
【0067】
これに関して、特定の原子団の存在が、洗浄能力を高めるという点で特に有益であることが証明された。特に良好な結果は、e、f、gおよびhの少なくとも2つが数1を表す場合に得られた。非常に好ましくは、eおよびfは共に数1を表す。さらには、gおよびhは共に数0を表す。
【0068】
eおよびfが共に数1を表し、gおよびhが共に数0を表す場合、本発明における有機ケイ素化合物は、式(IIb):
【化22】
に相当する。
【0069】
基A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖または分岐の、二価のC-C20アルキレン基を表す。好ましくは、基A、A'、A''、A'''およびA''''は互いに独立して、直鎖二価のC-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、基A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖二価のC-Cアルキレン基を表す。特に好ましくは、基A、A'、A''、A'''およびA''''は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)またはブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)を表す。非常に好ましくは、基A、A'、A''、A'''およびA''''は、プロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0070】
二価のC-C20アルキレン基は、代替的に二価(divalente)または二価(zweibindige)のC-C20アルキレン基と称されることがあり、これにより、各原子団A、A'、A''、A'''およびA''''が2つの結合を形成し得ることを意味する。
【0071】
直鎖プロピレン基(-CH-CH-CH-)は、代替的に、プロパン-1,3-ジイル基と称され得る。
【0072】
基fが数1を表す場合、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造原子団-[NR-(A')]-を含む。
【0073】
基hが数1を表す場合、式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造原子団-[NR-(A''')]-を含む。
【0074】
式中、基RおよびRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基または式(III):
【化23】
で示される基を表す。
【0075】
非常に好ましくは、基RおよびRは互いに独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す。
【0076】
fが数1を表し、hが数0を表す場合、有機ケイ素化合物は、原子団[NR-(A')]を含むが、原子団[NR-(A''')]を含まない。基Rが式(III)で示される原子団をまさに表す場合、剤(a)は、3つの反応性シラン基を有する有機ケイ素化合物を含む。
【0077】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、式(II):
【化24】
[式中、
-eおよびfは、共に数1を表し、
-gおよびhは、共に数0を表し、
-AおよびA'は独立して、直鎖二価のC-Cアルキレン基を表し、
-Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0078】
さらに好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、式(II)
[式中、
-eおよびfは、共に数1を表し、
-gおよびhは、共に数0を表し、
-AおよびA’は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)またはプロピレン基(-CH-CH-CH-)を表し、
-Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(III)で示される基を表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0079】
本発明に従う課題を解決するために好適な式(II)で示される有機ケイ素化合物は、
- 3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化25】
- 3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化26】
- N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化27】
- N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化28】
- 2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化29】
- 2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化30】
- 3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化31】
- 3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化32】
- N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化33】
- N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化34】
- N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化35】
- N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化36】
である。
【0080】
式(II)で示される前記有機ケイ素化合物は、市販されている。
【0081】
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrich社から購入できる。
【0082】
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えば、Sigma-Aldrich社から購入できる。
【0083】
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、代替的にビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとして称され、Sigma-Aldrich社またはFluorochem社から商業的に購入できる。
【0084】
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、Fluorochem社またはSigma-Aldrich社から購入できる。
【0085】
さらに好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、
- 3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- 3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- 2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
- 2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
- 3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- 3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
- N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
- N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
- N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0086】
さらなる試験、特に染色試験において、工程においてケラチン物質に塗布される剤(a)が式(IV):
【化37】
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む場合、特に有利であることも見出されている。
【0087】
式(IV)で示される化合物は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、有機ケイ素化合物は、1分子当たり1個以上のヒドロキシル基および/または加水分解性基を含む。
【0088】
式(IV):
【化38】
[式中、
-Rは、C-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
-R11は、C-Cアルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される有機ケイ素化合物はまた、アルキル-アルコキシ-シランまたはアルキル-ヒドロキシ-シラン型のシランとも称される。
【0089】
さらなる好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)が、式(IV):
【化39】
[式中、
-Rは、C-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
-R11は、C-Cアルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)含むことを特徴とする。
【0090】
さらなる好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、有機ケイ素化合物または式(I)で示される化合物に加えて、式(IV):
【化40】
[式中、
-Rは、C-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
-R11は、C-Cアルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0091】
さらなる好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、有機ケイ素化合物または式(II)で示される化合物に加えて、式(IV):
【化41】
[式中、
-Rは、C-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
-R11は、C-Cアルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0092】
さらなる好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、有機ケイ素化合物または式(I)および/または(II)で示される化合物に加えて、式(IV):
【化42】
[式中、
-Rは、C-C18アルキル基を表し、
-R10は、水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
-R11は、C-Cアルキル基を表し、
-kは、1~3の整数であり、
-mは、整数3-kを表す]
で示される少なくとも1つのさらなる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0093】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基Rは、C-C18アルキル基を表す。このC-C18アルキル基は、飽和しており、直鎖または分岐であり得る。好ましくは、Rは、直鎖C-C18アルキル基を表す。好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ドデシル基またはn-オクタデシル基を表す。特に好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、n-ヘキシル基、またはn-オクチル基を表す。
【0094】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R10は水素原子またはC-Cアルキル基を表す。特に好ましくは、R10はメチル基またはエチル基を表す。
【0095】
式(IV)で示される有機ケイ素化合物において、基R11はC-Cアルキル基を表す。特に好ましくは、R11はメチル基またはエチル基を表す。
【0096】
さらに、kは、1~3の整数を表し、mは、整数3-kを表す。kが数3を表す場合、mは0に等しい。kが数2を表す場合、mは1に等しい。kが数1を表す場合、mは2に等しい。
【0097】
式(IV):式中、基kは数3である、に対応する少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a)を本方法において使用した場合、特に安定なフィルム、すなわち特に良好な洗浄堅牢特性を有する染色が得られた。この場合、基mは数0を表す。
【0098】
本発明に従う課題を解決するために特に適した式(IV)で示される有機ケイ素化合物は、
- メチルトリメトキシシラン
【化43】
- メチルトリエトキシシラン
【化44】
- エチルトリメトキシシラン
【化45】
- エチルトリエトキシシラン
【化46】
- n-ヘキシルトリメトキシシラン
【化47】
- n-ヘキシルトリエトキシシラン
【化48】
- n-オクチルトリメトキシシラン
【化49】
- n-オクチルトリエトキシシラン
【化50】
- n-ドデシルトリメトキシシラン、および/または
【化51】
- n-ドデシルトリエトキシシラン
【化52】
n-オクタデシルトリメトキシシランおよび/またはn-オクタデシルトリエトキシシランである。
【0099】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、
-メチルトリメトキシシラン
-メチルトリエトキシシラン
-エチルトリメトキシシラン
-エチルトリエトキシシラン
-プロピルトリメトキシシラン
-プロピルトリエトキシシラン
-ヘキシルトリメトキシシラン
-ヘキシルトリエトキシシラン
-オクチルトリメトキシシラン
-オクチルトリエトキシシラン
-ドデシルトリメトキシシラン
-ドデシルトリエトキシシラン
-オクタデシルトリメトキシシラン
-オクタデシルトリエトキシシラン
からなる群から選択される式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0100】
上記の有機ケイ素化合物は、反応性化合物である。これに関して、剤(a)が、剤(a)の全重量に基づいて、1以上の有機ケイ素化合物(a1)を、0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量で含む場合、好ましいと見出されている。
【0101】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が、剤(a)の全重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、特に好ましくは2~8重量%の総量で、1つ以上の有機ケイ素化合物(a1)を含むことを特徴とする。
【0102】
特に良好な染色結果を得るためには、式(I)および/または(II)で示される有機ケイ素化合物を、剤(a)において特定の量範囲で使用することが特に有利である。特に好ましくは、剤(a)は、剤(a)の全重量に基づいて、0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%の総量で、式(I)および/または(II)で示される1つ以上の有機ケイ素化合物を含む。
【0103】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が、剤(a)の全重量に基づいて、式(I)および/または(II)で示される1つ以上の有機ケイ素化合物を、0.1~10重量%、好ましくは0.5~5重量%、特に好ましくは0.5~3重量%の総量で含むことを特徴とする。
【0104】
さらに、式(IV)で示される有機ケイ素化合物が、剤(a)中に特定の量範囲で存在する場合も、特に好ましいことが証明されている。特に好ましくは、剤(a)は、剤(a)の全重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは4~9重量%の総量で、式(IV)で示される1つ以上の有機ケイ素化合物を含む。
【0105】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が、剤(a)の全重量に基づいて、0.1~20重量%、好ましくは2~15重量%、特に好ましくは3.2~10重量%の総量で、式(IV)で示される1つ以上の有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0106】
本発明に至る研究の過程で、剤(a)が互いに構造的に異なる2つの有機ケイ素化合物を含む場合でさえ、ケラチン物質上で特に安定で均一なフィルムを得られることが見いだされた。
【0107】
別の好ましい実施形態では、方法は、剤(a)が、少なくとも2つの構造的に異なる有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする。
【0108】
好ましい実施形態において、方法は、式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物および式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む剤(a)が、ケラチン物質に塗布されることを特徴とする。
【0109】
明示的に非常に特に好ましい実施形態において、方法は、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよび(3-アミノプロピル)トリメトキシシランからなる群から選択される式(I)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物および、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランおよびヘキシルトリエトキシシランからなる群から選択される式(IV)で示される少なくとも1つの有機ケイ素化合物をさらに含む剤(a)をケラチン物質に塗布することを特徴とする。
【0110】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が、剤(a)の全重量に基づいて、以下:
- 0.5~5重量%の、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第1有機ケイ素化合物(a1)、ならびに
- 3.2~10重量%の、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される少なくとも1つの第2有機ケイ素化合物(a1)
を含むことを特徴とする。
【0111】
本実施形態では、剤(a)は0.5~3重量%の総量で、1つ以上の第1群の有機ケイ素化合物を含む。この第1群の有機ケイ素化合物は、(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-アミノエチル)トリメトキシシラン、(2-アミノエチル)トリエトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン、(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン、(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシランおよび/または(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシランからなる群から選択される。
【0112】
本実施形態では、剤(a)は3.2~10重量%の総量で、1つ以上の第2群の有機ケイ素化合物を含む。この第2群の有機ケイ素化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランおよびオクタデシルトリエトキシシランからなる群から選択される。
【0113】
少なくとも1つの加水分解性基を有する有機ケイ素化合物では、少量の水の添加でさえも加水分解が起こる。この加水分解生成物および/または少なくとも1つのヒドロキシ基を有する有機ケイ素化合物は、縮合反応において互いに反応し得る。このため、少なくとも1つの加水分解性基を有するオルガノシリコン化合物およびそれらの加水分解生成物および/または縮合生成物の両方が剤(a)中に存在し得る。少なくとも1つのヒドロキシル基を有するオルガノシリコン化合物を用いる場合、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する有機ケイ素化合物およびそれらの縮合生成物の両方が剤(a)中に存在し得る。
【0114】
縮合生成物とは、それぞれ、1分子あたり少なくとも1つのヒドロキシル基または加水分解性基を有する少なくとも2つ以上の有機ケイ素化合物の、水の除去および/またはアルカノールの除去による反応によって形成される生成物であると理解される。縮合生成物は、モノマーと平衡状態である縮合生成物による、例えば、二量体であっても、三量体やオリゴマーであってもよい。加水分解で使用または消費される水の量に応じて、平衡はモノマー有機ケイ素化合物から縮合生成物へと移行する。
【0115】
式(I)および/または(II)で示される有機ケイ素化合物を本方法に使用した場合に、特に良好な結果が得られた。なお、既に上述したように、加水分解/縮合は微量の水分で既に始まっているため、有機ケイ素化合物(I)および/または(II)の加水分解生成物および/または縮合生成物も、本実施形態に含まれる。
【0116】
<繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類(a2)>
剤(a)をケラチン物質に塗布すると、好ましくは1分子あたり1つ以上の水酸基または加水分解性基を含む有機ケイ素化合物(a1)はまず、水の存在下で加水分解されオリゴマー化またはポリマー化される。このようにして形成された加水分解生成物またはオリゴマーは、ケラチン物質の表面に対して特に高い親和性を有し、そこにフィルムを形成する。剤(a)が少なくとも1つの着色化合物をさらに含む場合、ケラチン物質上に形成されるフィルムは着色されたフィルムである。剤(a)の塗布に続いて、今度は剤(b)が塗布され、それによって、この剤(b)に含まれるシーリング剤が、場合によっては着色された、フィルムを封止する。剤(b)が少なくとも1つの着色化合物をさらに含む場合、第1工程で生成された着色されていないフィルムが封止されて着色されるか、第1工程で生成された着色フィルムの色印象が、使用される着色化合物に応じて強化または改質されるか、または第1フィルムの色印象が、第1着色フィルム上に第2着色フィルムを形成することによって強化または改質されるかのいずれかである。剤(b)が着色化合物を含まない場合、第1工程で調製された着色フィルムは封止される。剤(a)および(b)を連続的に塗布することは、特に外部影響に対する耐性を有する着色を生成する。
【0117】
本発明に必須の成分(a2)として、染色工程で使用される剤(a)は、繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類を含む。
【0118】
繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類を使用することにより、特に安定で強い着色をもたらすことが示された。
【0119】
使用される多糖類は、好ましくは約2:1:1の割合のD-グルコース、L-フコース、およびD-グルクロン酸からなる四糖繰返し単位を有する多糖類である。
【0120】
特に好ましい実施形態において、多糖類の繰返し単位は、以下の式I:
【化53】


[式中、
D-GlcpAはD-グルクロン酸の基であり、L-FucpはL-フコースの基であり、D-GlcpはD-グルコースの基であり、ここでnは2500~3500の整数である]
で示される順序を有する。
【0121】
したがって、好ましい実施形態において、方法は、剤(a)が四糖繰返し単位(a2)を有するアニオン性の分岐多糖類を含み、ここで四糖繰返し単位が、約2:1:1の割合のD-グルコース、L-フコースおよびD-グルクロン酸からなることを特徴とする。
【0122】
このアニオン性の多糖類は、好ましくは2000kDのオーダーの分子量を有する。
【0123】
一般に、本多糖類は、多糖類の調製および抽出の古典的技術(化学合成、エキソ多糖類の酵素抽出など)により得ることができる。有利な生成方法によれば、多糖類は、細菌、特にKlebsiella aerogenesタイプ54株A3の発酵によって生成される完全に脱アセチル化されたエキソ多糖類である。
【0124】
適当な繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類は、例えば、INCI名“Biosaccharide Gum-4”を有する多糖類であり、Solabia社からGlycofilm(登録商標)またはPolluStop(登録商標)の名称で入手可能である。
【0125】
好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)が、INCI名“Biosaccharide Gum-4”を有する多糖類を含む繰返し4糖単位(a2)を有するアニオン性の分枝多糖類を含むことを特徴とする。
【0126】
剤(a)が、繰返し四糖単位(a2)を有するアニオン性の分枝多糖類を、剤(a)の全重量に基づいて、0.05~5重量%、好ましくは0.1~3重量%、非常に好ましくは0.2~2.5重量%の総量で含む場合に、特に良好な結果が得られた。
【0127】
剤(a)が、INCI名“Biosaccharide Gum-4”を有する多糖類を含む、繰り返し四糖単位を有するアニオン性の分枝状多糖類(a2)を、剤(a)の全重量に基づいて、0.05~5重量%、好ましくは0.1~3重量%、非常に特に好ましくは0.2~2.5重量%の総量で含む場合に、非常に特に良好な結果が得られた。
【0128】
<ポリオール(a3)>
本発明に必須の第3成分として、本方法で使用される剤(a)は、少なくとも1つのポリオール(a3)を含む。
【0129】
ポリオールは、少なくとも2つのヒドロキシル基(-OH基)を有する化合物である。適当なポリオールとしては、特に、ジオールおよびトリオールが挙げられる。
【0130】
脂肪族ジオールは、グリコールとしても知られている。好ましいジオールは、2つのヒドロキシル基を有するC-Cアルカノール、および3~20個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールである。顔料懸濁液は、2つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのC-Cアルカノールまたは3~20個のエチレンオキシド単位を有する少なくとも1つの水溶性ポリエチレングリコール、もしくは2つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのC-Cアルカノールと3~20個のエチレンオキシド単位を有する少なくとも1つの水溶性ポリエチレングリコールとの混合物である。
【0131】
好ましくは、2つのヒドロキシル基を有するC-Cアルカノールは、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、1、8-オクタンジオール、シス-1,4-ジメチロールシクロヘキサン、トランス-1,4-ジメチロールシクロヘキサン、シスおよびトランス-1,4-ジメチロールシクロヘキサンの任意の異性体混合物、およびこれらのジオールの混合物から選択される。また、適当なジオールは、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、および/またはPPG-10ブタンジオール(INCI)である。適当な水溶性ポリエチレングリコールは、PEG-3、PEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-10、PEG-12、PEG-14、PEG-16、PEG-18、およびPEG-20、ならびにこれらの混合物から選択される。
【0132】
前記ジオールのうち、本方法で使用される剤(a)は、好ましくは、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、PEG-8、PEG-32、およびPPG-10ブタンジオール(INCI)からなる群から選択される少なくとも1つのジオールを含む。
【0133】
好ましい実施形態において、本方法で使用される剤(a)は、ポリオールとして、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、および1,3-プロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つのジオールを含むことを特徴とし、1,2-プロピレングリコールが非常に好ましい。
【0134】
適当なトリオールとしては、例えば、1,2,4-トリヒドロキシシクロヘキサン、1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサン、グリセロール、および/またはトリメチロールプロパンが挙げられる。前記トリオール(Triolen)のうち、本方法で使用される剤(a)は、好ましくはグリセロールを含む。
【0135】
本方法で使用される剤(a)は、1,2-プロピレングリコールおよび/またはグリセロールを含む少なくとも2つのポリオールを含むことが好ましい場合がある。
【0136】
本方法で使用される剤(a)は、剤(a)の全重量に基づいて、5~80重量%、好ましくは10~75重量%、より好ましくは15~70重量%、非常に特に好ましくは20~65重量%の総量で1つ以上のポリオールを含む場合に、特に良好な結果が得られた。
【0137】
本方法で使用される剤(a)は、剤(a)の全重量に基づいて、5~80重量%、好ましくは10~75重量%、より好ましくは15~70重量%、非常に特に好ましくは20~65重量%の総量で1,2-プロピレングリコールおよび/またはグリセロールからなる1つ以上のポリオールを含む場合に、特に良好な結果が得られた。
【0138】
<剤(a)のpH値>
剤(a)が、アルカリ性のpHに調整された含水剤の形態で構成される場合、好ましいことが判明している。
【0139】
pH値を調整するために、剤(a)は、少なくとも1つのアルカリ化剤を含んでよい。
【0140】
したがって、所望のpHを調整するために、剤(a)は少なくとも1つのアルカリ化剤を含んでもよい。本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されたpH値である。
【0141】
アルカリ化剤として、剤(a)は、例えば、アンモニア、アルカノールアミンおよび/または塩基性アミノ酸を含んでよい。
【0142】
組成物中の剤であり得るアルカノールアミンは、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するC-Cアルキル主鎖を有する第一級アミンから好ましくは選択される。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールにより形成される群から選択される。
【0143】
特に好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択される。したがって、特に好ましい実施形態は、剤がアルカリ化剤として、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択されるアルカノールアミンを含むことを特徴とする。
【0144】
本発明の目的のため、アミノ酸は、その構造中に少なくとも1つのプロトン化可能なアミノ基および少なくとも1つの-COOH基または1つの-SOH基を含む有機化合物である。好ましいアミノ酸は、アミノカルボン酸、特にα-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0145】
塩基性アミノ酸は、等電点pIが7.0より大きいアミノ酸である。
【0146】
塩基性α-アミノカルボン酸は、少なくとも1つの不斉炭素原子を含む。本発明の文脈では、両方の存在し得るエナンチオマーを、特定の化合物またはその混合物として、特にラセミ体として同等に使用できる。しかし、天然に好ましい異性体(通常はL-立体配置)を使用することが特に有利である。
【0147】
塩基性アミノ酸は、好ましくは、アルギニン、リジン、オルニチンおよびヒスチジン、特に好ましくはアルギニンおよびリジンによって形成される群から選択される。したがって、さらなる特に好ましい実施形態では、剤は、アルカリ化剤が、アルギニン、リジン、オルニチンおよび/またはヒスチジンからなる群から選択される塩基性アミノ酸であることを特徴とする。
【0148】
加えて、製品は他のアルカリ化剤、特に無機アルカリ化剤を含んでよい。本発明に従い使用できる無機アルカリ化剤は、好ましくは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムによって形成される群から選択される。
【0149】
特に好ましいアルカリ化剤は、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リジン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムである。
【0150】
剤(a)は、好ましくはアルカリ性範囲のpH値に調整されるが、それにもかかわらず、所望のpH値の微調整のために少量の酸性化剤も使用することが原理的に必要であり得る。本発明に従う適当な酸性化剤は、例えば、クエン酸、乳酸、酢酸、または希釈された鉱酸(例えば塩酸、硫酸、リン酸など)である。
【0151】
しかしながら、本発明に至る研究の過程で、アルカリ化剤の存在またはアルカリ性pHの調整が、ケラチン物質上の耐性フィルムの形成に不可欠であることが見出された。過剰な量の酸の存在は、フィルムの強度に悪影響を及ぼし得る。このため、剤(a)で使用する酸の量を可能な限り少なく保つことが好ましいことがわかった。このため、剤(a)に含まれる有機酸および/または無機酸の総量が、特定の値を超えないことが有利である。
【0152】
さらに好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)に含まれるクエン酸、酒石酸、リンゴ酸および乳酸からなる群からの有機酸の総量が、1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、さらにより好ましくは0.1重量%未満、最も好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0153】
さらに好ましい実施形態において、方法は、剤(a)に含まれる塩酸、硫酸およびリン酸からなる群からの無機酸の総量が、1重量%未満、好ましくは0.7重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、さらにより好ましくは0.1重量%未満、非常に特に好ましくは0.01重量%未満であることを特徴とする。
【0154】
上記で示した剤(a)に含まれる酸の最大総量は、常に剤(a)の全重量に基づく。
【0155】
<剤(b)>
ケラチン物質の処理方法は、剤(a)の塗布に加え、剤(b)の塗布を含む。剤(b)は、少なくとも1つのシーリング剤(b1)を含むことを特徴とする。
【0156】
剤(b)は後処理剤であり、剤(a)で処理されたケラチン物質に剤(b)を塗布することは、本方法で得られた着色をより持続させる効果を有する。特に、剤(b)の使用は、本方法で得られた染色の洗浄堅牢性および摩擦堅牢性を向上できる。
【0157】
シーリング剤が、フィルム形成ポリマー、アルカリ化剤、酸性化剤、およびこれらの混合物からなる群より選択される化合物を含むことが好ましい。
【0158】
シーリング剤がフィルム形成ポリマーを含むことが好ましい場合がある。
【0159】
ポリマーは、少なくとも1000g/mol、好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有する高分子であり、同一の繰り返し有機単位からなる。本発明のポリマーは、1種類のモノマーを重合することにより調製される合成的製造ポリマーであってもよいし、互いに構造的に異なる種類のモノマーを重合することにより調製される合成的製造ポリマーであってもよい。1種類のモノマーの重合により製造されるポリマーの場合、そのポリマーはホモポリマーと称される。構造的に異なる種類のモノマーを用いて重合した場合、得られるポリマーはコポリマーと称される。
【0160】
ポリマーの最大分子量は、重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、重合方法によって決定される。本発明に関しては、シーリング剤(b1)としてのフィルム形成ポリマーの最大分子量は、10g/mol以下、好ましくは10g/mol以下、特に好ましくは10g/mol以下であることが好ましい。
【0161】
本発明の意味において、フィルム形成ポリマーは、基材上、例えばケラチン物質またはケラチン繊維上にフィルムを形成することができるポリマーである。フィルムの形成は、例えば、ポリマー処理されたケラチン物質を顕微鏡で観察することにより実証され得る。
【0162】
剤(b)中におけるフィルム形成ポリマー(b1)は、親水性または疎水性であり得る。
【0163】
第1の実施形態では、剤(b)において、少なくとも1つの疎水性フィルム形成ポリマーを使用することが好ましい場合がある。
【0164】
疎水性ポリマーは、1重量%未満の25℃での水への溶解度(760mmHg)を有するポリマーである。
【0165】
例えば、フィルム形成、疎水性ポリマーの水溶性は、以下の方法測定できる。1gのポリマーをビーカーに入れる。水で100gにする。撹拌棒を加え、この混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に加熱する。60分間攪拌する。その後、その水性混合物を目視で評価する。ポリマー-水混合物が、その混合物の濁度が高いために目視で評価できない場合、その混合物をろ過する。未溶解のポリマーの一部がろ紙上に残留する場合、ポリマーの溶解度は1重量%未満である。
【0166】
これらは、アクリル酸タイプのポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、セルロースポリマー、ニトロセルロースポリマー、シリコーンポリマー、アクリルアミドタイプのポリマー、およびポリイソプレンが挙げられる。
【0167】
特に好適なフィルム形成、疎水性ポリマーは、例えば、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドの群からのポリマーである。
【0168】
さらなる好ましい実施形態において、剤(b)は、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群から選択される少なくとも1つのフィルム形成、疎水性ポリマー(b1)を含むことを特徴とする。
【0169】
合成ポリマー、ラジカル重合により得られるポリマーまたは天然ポリマーの群から選択されるフィルム形成疎水性ポリマーは、本発明による課題を解決するために特に適していることが証明されている。
【0170】
他の特に好適なフィルム形成疎水性ポリマーは、シクロオレフィン、ブタジエン、イソプレンまたはスチレンなどのオレフィンのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルエーテル、ビニルアミド、少なくとも1つのC-C20アルキル基、アリール基またはC-C10ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドから選択され得る。
【0171】
他のフィルム形成疎水性ポリマーは、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、のホモまたはコポリマーおよび/またはそれらの混合物から選択されてもよい。
【0172】
さらなるフィルム形成疎水性ポリマーは、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル-(メタ)アクリルアミド、特にC-C18アルキル基を有するもの、例えばN-エチル-アクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、le N-オクチルアクリルアミド、N-ジ(C-C)アルキル(メタ)アクリルアミドなどのホモポリマーまたはコポリマーから選択され得る。
【0173】
他の好ましいアニオン性コポリマーは、例えば、INCI名アクリレートコポリマーの下で販売されている、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC-Cアルキルエステルのコポリマーである。適当な市販品は、例えば、Rohm & Haas社のAculyn(登録商標) 33である。アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC-Cアルキルエステルおよびエチレン性不飽和酸とアルコキシル化脂肪アルコールとのエステルのコポリマーもまた好ましい。適当なエチレン性不飽和酸は、特にアクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸であり、適当なアルコキシル化脂肪アルコールは、特にSteareth-20またはceteth-20である。
【0174】
市場で非常に特に好ましいポリマーは、例えば、Aculyn(登録商標) 22(アクリレート/Steareth-20 メタクリレートコポリマー)、Aculyn(登録商標) 28(アクリレート/Beheneth-25 メタクリレートコポリマー)、Structure 2001(登録商標) (アクリレート/Steareth-20 イタコネートコポリマー)、Structure 3001(登録商標) (アクリレート/Ceteth-20 イタコネートコポリマー)、Structure Plus(登録商標)(アクリレート/アミノアクリレートC10-30アルキルPEG-20イタコネートコポリマー)、Carbopol(登録商標) 1342、1382、Ultrez 20、Ultrez 21(アクリレート/C10-30アルキルアクリレートクロスポリマー)、Synthalen W 2000(登録商標)(アクリレート/Palmeth25アクリレートコポリマー)またはRohme und Haas社が販売しているSoltex OPT(アクリレート/C12-22 アルキルメタクリレートコポリマー)である。
【0175】
ビニルモノマーに基づく適当なポリマーは、例えば、N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル-(C-C)アルキル-ピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジンまたはビニルイミダゾールのホモポリマーおよびコポリマーを挙げてよい。
【0176】
また、特に適しているのは、NATIONAL STARCH社からAMPHOMER(登録商標)またはLOVOCRYL(登録商標)47の商品名で市販されているようなオクチルアクリルアミド/アクリレート/ブチルアミノエチルメタクリレートコポリマー、またはNATIONAL STARCH社からのDERMACRYL(登録商標)LTおよびDERMACRYL(登録商標)79の商品名で販売されているアクリレート/オクチルアクリルアミドのコポリマーである。
【0177】
適当なオレフィン系ポリマーは、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレン、およびブタジエンのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0178】
別の実施形態では、フィルム形成疎水性ポリマーは、スチレンまたはスチレンの誘導体の少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマーであってよい。これらのブロックコポリマーは、スチレンブロックに加えて、スチレン/エチレン、スチレン/エチレン/ブチレン、スチレン/ブチレン、スチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエンなどの1つ以上のブロックを含むコポリマーであってもよい。そのようなポリマーは、BASF社から「Luvitol HSB」の商品名で市販されている。
【0179】
驚くべきことに、剤(b)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される、少なくとも1つのフィルム形成ポリマーをシーリング剤(b1)として含む場合、特に強く、かつ、洗浄堅牢性のある着色物を得られることが見出された。
【0180】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、剤(b)が、アクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸のホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーおよびコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルピロリドンのホモポリマーおよびコポリマー、ビニルアルコールのホモポリマーおよびコポリマー、酢酸ビニルのホモポリマーおよびコポリマー、エチレンのホモポリマーおよびコポリマー、プロピレンのホモポリマーおよびコポリマー、スチレンのホモポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリアミドからなる群から選択される、少なくとも1つのフィルム形成ポリマーをシーリング剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0181】
さらなる実施形態では、剤(b)中のシーリング剤(b1)として、少なくとも1つの親水性フィルム形成ポリマーを用いることが好ましい場合がある。
【0182】
親水性ポリマーとは、1重量%より大きい、好ましくは2重量%より大きい、25℃での水への溶解度(760mmHg)を有するポリマーである。
【0183】
フィルム形成親水性ポリマーの水溶性は、例えば、以下の方法で測定できる。ビーカーにポリマー1gを入れる。水で100gにする。撹拌棒を加え、その混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に加熱する。60分間攪拌する。その後、その水性混合物を目視で評価する。完全に溶解したポリマーは、マクロ的に均質に見える。ポリマー-水混合物がその混合物の濁度が高いために目視で評価できない場合は、混合物をろ過する。ろ紙上に未溶解のポリマーが残らなければ、ポリマーの溶解度は1重量%より大きい。
【0184】
フィルム形成、親水性ポリマーとして、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマーおよびカチオン性ポリマーが使用され得る。
【0185】
適切なフィルム形成親水性ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(コ)ポリマー、ポリビニルアルコール(コ)ポリマー、ビニルアセテート(コ)ポリマー、カルボキシビニル(コ)ポリマー、アクリル酸(コ)ポリマー、メタクリル酸(コ)ポリマー、天然ゴム、多糖類および/またはアクリルアミド(コ)ポリマーからなる群から選択されてよい。
【0186】
さらに、フィルム形成親水性ポリマーとして、ポリビニルピロリドン(PVP)および/またはビニルピロリドン含有コポリマーを使用することが特に好ましい。
【0187】
別の非常に特に好ましい実施形態において、剤(b)は、ポリビニルピロリドン(PVP)およびポリビニルピロリドンのコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのフィルム形成、親水性ポリマーを含むことを特徴とする。
【0188】
剤が、フィルム形成親水性ポリマーとしてポリビニルピロリドン(PVP)を含む場合、さらに好ましい。驚くべきことに、PVPを含有する剤(b)を用いて得られた着色物の洗浄堅牢性も非常に良好であった。
【0189】
特に好適なポリビニルピロリドンは、例えば、Luviskol(登録商標) Kの名称でBASF SE社から、特にLuviskol(登録商標) K 90またはLuviskol(登録商標) K 85の名称でBASF SE社から入手可能である。
【0190】
Ashland社(ISP、POI Chemical)から販売されているポリマーPVP K30も、別の明示的に非常に適したポリビニルピロリドン(PVP)として使用することができる。PVP K 30は、冷水に非常に可溶であり、CAS番号9003-39-8を有するポリビニルピロリドンである。PVP K 30の分子量は約40000g/molである。
【0191】
他の特に好適なポリビニルピロリドンは、LUVITEC K 17、LUVITEC K 30、LUVITEC K 60、LUVITEC K 80、LUVITEC K 85、LUVITEC K 90およびLUVITEC K 115の商品名で知られているBASF社から入手可能な物質である。
【0192】
ポリビニルピロリドンのコポリマーの群からのフィルム形成親水性ポリマー(b1)の使用もまた、特に良好で洗浄堅牢性のある着色結果をもたらす。
【0193】
Luviskol(登録商標)(BASF社製)の商標で販売されているようなビニルピロリドン-ビニルエステルコポリマーは、特に適したフィルム形成親水性ポリマーである。Luviskol(登録商標) VA 64およびLuviskol(登録商標) VA 73は、共にビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーであり、特に好ましい非イオン性ポリマーである。
【0194】
ビニルピロリドン含有コポリマーのうち、スチレン/VPコポリマーおよび/またはビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマーおよび/またはVP/DMAPAアクリレートコポリマーおよび/またはVP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーは化粧品組成物において特に好ましい。
【0195】
ビニルピロリドン-ビニルアセテートコポリマーは、Luviskol(登録商標) VAの名称でBASF SE社から販売されている。例えば、VP/ビニルカプロラクタム/DMAPAアクリレートコポリマーは、Aquaflex(登録商標)SF-40の商品名でAshland Inc.社から販売されている。例えば、VP/DMAPAアクリレートコポリマーは、Styleze CC-10の名称でAshland社から販売されており、非常に好ましいビニルピロリドン含有コポリマーである。
【0196】
ポリビニルピロリドンの他の適当なコポリマーは、N-ビニルピロリドンと、V-ビニルホルムアミド、ビニルアセテート、エチレン、プロピレン、アクリルアミド、ビニルカプロラクタム、ビニルカプロラクトンおよび/またはビニルアルコールからなる群からの少なくとも1つのさらなるモノマーとの反応により得られるものでもよい。
【0197】
別の非常に特に好ましい実施形態において、剤(b)は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/ビニルアセテートコポリマー、ビニルピロリドン/スチレンコポリマー、ビニルピロリドン/エチレンコポリマー、ビニルピロリドン/プロピレンコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルホルムアミドコポリマーおよび/またはビニルピロリドン/ビニルアルコールコポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのフィルム形成、親水性ポリマー(b1)を含むことを特徴とする。
【0198】
ビニルピロリドンの別の適当なコポリマーは、INCI名マルトデキストリン/VPコポリマーで知られるポリマーである。
【0199】
さらに、フィルム形成親水性ポリマーとして、非イオン性フィルム形成親水性ポリマーを使用した場合、非常に良好な洗浄堅牢性を有する強く着色されたケラチン物質、特に毛髪が得られ得る。
【0200】
別の実施形態では、剤(b)は、少なくとも1つの非イオン性、フィルム形成、親水性ポリマー(b1)を含んでよい。
【0201】
本発明によると、非イオン性ポリマーは、プロトン性溶媒(例えば水など)において、標準条件下で電気的中性を維持しながら対イオンによって補償されなければならない、恒久的なカチオン性基またはアニオン性基を含む構造単位を有しないポリマーであると理解される。カチオン性基は、4級化アンモニウム基を含むが、プロトン化されたアミンは含まない。アニオン性基には、カルボン酸基およびスルホン酸基が含まれる。
【0202】
特に好ましいのは、非イオン性、フィルム形成、親水性ポリマーとして、以下:
- ポリビニルピロリドン、
- N-ビニルピロリドンと2~18個の炭素原子を含むカルボン酸のビニルエステルとのコポリマー、特にN-ビニルピロリドンとビニルアセテートとのコポリマー、
- N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとメタクリルアミドとのコポリマー、
- N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとアクリルアミドとのコポリマー、
- N-ビニルピロリドンとN,N-ジ(C-C)アルキルアミノ-(C-C)アルキルアクリルアミドとのコポリマー、
からなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む製品である。
【0203】
N-ビニルピロリドンとビニルアセテートとのコポリマーが使用される場合、N-ビニルピロリドンモノマー中に含まれる構造単位とビニルアセテートモノマー中に含まれるポリマーの構造単位のモル比は、20:80~80:20、特に30:70~60:40の範囲内である場合好ましい。ビニルピロリドンとビニルアセテートとの適当なコポリマーは、例えば、BASF SE社からLuviskol(登録商標) VA 37、Luviskol(登録商標) VA 55、Luviskol(登録商標) VA 64およびLuviskol(登録商標) VA 73の商標で入手可能である。
【0204】
別の特に好ましいポリマーは、INCI名がVP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾールコポリマーから選択され、これはLuviset Clearの商品名でBASF SE社から入手可能である。
【0205】
別の特に好ましい非イオン性、フィルム形成、親水性ポリマーは、N-ビニルピロリドンとN,N-ジメチルアミノプロピルメタクリルアミドとのコポリマーであり、これは例えばVP/DMAPA アクリレートコポリマーのINCI名、例えばStyleze(登録商標) CC 10の商品名でISP社によって販売されている。
【0206】
カチオン性ポリマーは、N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよび3-(メタクリロイルアミノ)プロピル-ラウリルジメチルアンモニウムクロライドのコポリマー(INCI名:ポリクオタニウム-69)であり、これは、例えば、AquaStyle(登録商標)300(エタノール-水混合物中の活性物質28~32重量%、分子量350000)の商品名でISP社によって販売されている。
【0207】
他の適当なフィルム形成親水性ポリマーとしては、
- Luviquat(登録商標) FC 370、FC 550の名称、およびINCI名ポリクオタニウム-16、ならびにFC 905およびHM 552の名称で提供されるビニルピロリドン-ビニルイミダゾリウムメトクロリドコポリマー、
- 第3のモノマー構成単位としてアクリル酸エステルおよびアクリル酸アミドを有する、例えばAquaflex(登録商標) SF 40の名称で市販されている、ビニルピロリドン-ビニルカプロラクタム-アクリレートターポリマー、
が挙げられる。
【0208】
ポリクオタニウム-11は、硫酸ジエチルと、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマーとの反応生成物である。適当な市販品は、Dhyquart(登録商標) CC 11およびLuviquat(登録商標) PQ 11 PNの名称でBASF SE社から、またはGafquat 440、Gafquat 734、Gafquat 755またはGafquat 755Nの名称でAshland Inc社から入手可能である。
【0209】
ポリクオタニウム-46は、ビニルカプロラクタムおよびビニルピロリドンと、メチルビニルイミダゾリウムメトサルフェートとの反応生成物であり、例えば、BASF SE社からLuviquat(登録商標) Holdの名称で入手可能である。ポリクオタニウム-46は、好ましくは、化粧品組成物の全重量に基づいて、1~5重量%の量で使用される。ポリクオタニウム-46は、カチオン性グアー化合物と組み合わせて使用されることが特に好ましい。ポリクオタニウム-46はカチオン性グアー化合物およびポリクオタニウム-11と組み合わせて使用されることさえ非常に好ましい。
【0210】
適当なアニオン性フィルム形成、親水性ポリマーは、例えば、アクリル酸ポリマーであり得、これは未架橋または架橋の形態であり得る。そのような製品は、Lubrizol社によってCarbopol 980、981、954、2984および5984の商品名で、または3V Sigma(The Sun Chemicals, Inter Harz社)によってSynthalen MおよびSynthalen Kの名称で商業的に販売されている。
【0211】
天然ガムの群からの適当なフィルム形成、親水性ポリマーの例は、キサンタンガム、ジェランガム、キャロブガムである。
【0212】
多糖類の群からの適当なフィルム形成親水性ポリマーの例は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースである。
【0213】
アクリルアミドの群からの適当なフィルム形成、親水性ポリマーは、例えば、(メタ)アクリルアミド-C-C-アルキルスルホン酸またはそれらの塩のモノマーから調製されるポリマーである。対応するポリマーは、ポリアクリルアミドメタンスルホン酸、ポリアクリルアミドエタンスルホン酸、ポリアクリルアミドプロパンスルホン酸、ポリ2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリ2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、および/またはポリ2-メチルアクリルアミド-n-ブタンスルホン酸のポリマーから選択されてよい。
【0214】
ポリ(メタ)アクリルアミド-C-C-アルキルスルホン酸の好ましいポリマーは架橋され、少なくとも90%中和されている。これらのポリマーは、架橋されていても、未架橋であってもよい。
【0215】
ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸タイプの、架橋されたおよび完全中和または部分中和されたポリマーは、INCI名、“アンモニウム ポリアクリルアミド-2-メチル-プロパンスルホネート”または、“アンモニウム ポリアクリルジメチルタウラミド”として知られている。
【0216】
このタイプの別の好ましいポリマーは、Clariant社によってHostacerin AMPSの商品名で販売されている架橋ポリ-2-アクリルアミド-2メチル-プロパンスルホン酸ポリマーであり、これはアンモニアで部分的に中和されている。
【0217】
別の明示的に非常に特に好ましい実施形態において、方法は、剤(b)が、少なくとも1つのアニオン性フィルム形成ポリマー(b1)を含むことを特徴とする。
【0218】
これに関連して、剤(b)が、シーリング剤(b1)として、式(P-I)で示される少なくとも1つの構造単位、および式(P-II)で示される少なくとも1つの構造単位

【化54】
[式中、
Mは、水素原子またはアンモニウム(NH)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウムまたは1/2カルシウムである]
を含む少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを含む場合に、最良の結果が得られた。
【0219】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、剤(b)が、シーリング剤(b1)として、式(P-I)で示される少なくとも1つの構造単位、および式(P-II)で示される少なくとも1つの構造単位:
【化55】
[式中、
Mは、水素原子またはアンモニウム(NH)、ナトリウム、カリウム、1/2マグネシウムまたは1/2カルシウムである]
を含む少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを含むことを特徴とする。
【0220】
Mが水素原子を表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸単位に基づく。
Mがアンモニウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸のアンモニウム塩に基づく。
Mがナトリウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸のナトリウム塩に基づく。
Mがカリウム対イオンを表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸のカリウム塩に基づく。
【0221】
Mがマグネシウム対イオンの1/2当量を表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸のマグネシウム塩に基づく。
Mがカルシウム対イオンの1/2当量を表す場合、式(P-I)で示される構造単位は、アクリル酸のカルシウム塩に基づく。
【0222】
フィルム形成ポリマーまたはポリマー(b1)は、好ましくは、剤(b)中において特定の範囲の量で使用される。本明細書において、剤(b)は、剤(b)の全重量に基づいて、0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で1つ以上のフィルム形成ポリマー(b1)を含む場合に、本発明に従う課題を解決するために特に好ましいことが証明されている。
【0223】
さらなる好ましい実施形態において、方法は、剤(b)が、剤(b)の全重量に基づいて、0.1~18重量%、好ましくは1~16重量%、より好ましくは5~14.5重量%、非常に特に好ましくは8~12重量%の総量で1つ以上のフィルム形成ポリマー(b1)を含むことを特徴とする。
【0224】
シーリング剤(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む剤(b)の塗布は、剤(a)の塗布によって最初に生成された着色フィルムを封止および/または固定することを意図する。シーリング剤(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む第2剤(b)の塗布により、フィルム形成ポリマー(b1)は、第1層で生成した着色フィルム上にさらなるフィルムの形で堆積される。このようにして作成された多層フィルム系は、外部影響に対する向上した耐性を示す。
【0225】
ここで、シーリング剤(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む剤(b)により生成されたフィルムは、好ましくはそれ自体は着色されない。このようにして、剤(b)により形成された第2フィルムのある程度の摩耗が、フィルム系全体におけるいかなる色の変化ももたらさないことを保証できる。したがって、剤(b)が、着色化合物を含まないか、非常に少量のみ含む場合が特に好ましい。
【0226】
代替的な実施形態では、シーリング剤(b1)は、アルカリ化剤を含む。
【0227】
特に好ましくは、アルカリ化剤は、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物からなる群から選択される。
【0228】
別の特に好ましい実施形態において、方法は、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ金属メタケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属メタケイ酸塩、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ土類金属炭酸塩からなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤をシーリング剤(b1)として含むことを特徴とする。
【0229】
アンモニアを含む剤(b)での後処理は、本方法において得られる染色の洗浄堅牢性および摩擦堅牢性の向上に特に良好な影響をもたらすことが判明している。
【0230】
さらなる非常に特に好ましい実施形態の文脈において、方法は、剤(b)がシーリング剤(b1)としてアンモニアを含むことを特徴とする。
【0231】
剤(b)がシーリング剤(b1)として少なくとも1つのC-Cアルカノールアミンを含む場合にも、良好な結果が得られた。
【0232】
剤(b)に使用され得るアルカノールアミンは、例えば、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するC-Cアルキル主鎖を有する第一級アミンの群から選択され得る。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールによって形成される群から選択される。
【0233】
さらなる好ましい実施形態において、本発明による方法は、剤(b)が、シーリング剤(b1)として、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオールおよび2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールの群から好ましくは選択されるアルカノールアミンからなる群からの少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0234】
剤(b)がシーリング剤(b1)として、少なくとも1つの塩基性アミノ酸を含む場合も同様に、良好な結果が得られた。
【0235】
本発明の目的のために、アミノ酸は、その構造中に少なくとも1つのプロトン化可能なアミノ基および少なくとも1つの-COOHまたは1つの-SOH基を含む有機化合物である。好ましいアミノ酸はアミノカルボン酸、特にα-(アルファ)-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、それにより、α-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0236】
本発明によれば、塩基性アミノ酸は、7.0より大きい等電点pIを有するアミノ酸である。
【0237】
塩基性α-アミノカルボン酸は、少なくとも1つの不斉炭素原子を含む。本発明の文脈では、両方の存在し得るエナンチオマーを、特定の化合物またはそれらの混合物として、特にラセミ体として同等に使用できる。しかし、天然に好ましい異性体、通常はL-立体配置、を使用することが特に有利である。
【0238】
塩基性アミノ酸は、アルギニン、リジン、オルニチンおよびヒスチジン、特に好ましくはアルギニンおよびリジンによって形成される群から好ましくは選択される。したがって、さらに特に好ましい実施形態において、本方法は、シーリング剤(b1)が、アルギニン、リジン、オルニチンおよび/またはヒスチジンからなる群から選択される塩基性アミノ酸を含むアルカリ化剤であることを特徴とする。
【0239】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)がシーリング剤(b1)として、好ましくはアルギニン、リジン、オルニチンおよびヒスチジンの群から選択される塩基性アミノ酸の群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0240】
また、剤(b)がシーリング剤(b1)として、少なくとも1つのアルカリ金属水酸化物を含む場合にも、良好な結果が得られた。好適なアルカリ金属水酸化物の例は、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。
【0241】
また、剤(b)が、シーリング剤(b1)として、少なくとも1つのアルカリ土類金属水酸化物を含むアルカリ化剤を含む場合にも、良好な結果が得られた。適当なアルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムおよび水酸化バリウムが挙げられる。
【0242】
また、剤(b)が、シーリング剤(b1)として、少なくとも1つのアルカリ金属ケイ酸塩および/またはアルカリ金属メタケイ酸塩を含む場合にも、良好な結果が得られた。適切なアルカリ金属ケイ酸塩は、ナトリウムケイ酸塩およびカリウムケイ酸塩を含む。適当なアルカリ金属メタケイ酸塩は、メタケイ酸ナトリウムおよびメタケイ酸カリウムを含む。
【0243】
また、剤(b)がシーリング剤(b1)として少なくとも1つのアルカリ金属炭酸塩および/またはアルカリ土類金属炭酸塩を含む場合にも、良好な結果が得られた。適当なアルカリ金属炭酸塩は、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムを含む。適当なアルカリ土類金属炭酸塩は、炭酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムを含む。
【0244】
アルカリ化剤の形態の前記シーリング剤(b1)の群の中で、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸およびアルカリ金属水酸化物が特に適していることが証明されている。
【0245】
さらなる特に好ましい実施形態の文脈において、本方法は、剤(b)がシーリング剤(b1)として、アンモニア、C-Cアルカノールアミン、塩基性アミノ酸およびアルカリ金属水酸化物からなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0246】
別の特に好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)がシーリング剤(b1)として、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リジン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0247】
剤(b)は、化粧品担体、好ましくは水性化粧品担体中にシーリング剤(b1)としてアルカリ化剤を含む。
【0248】
これに関して、剤(b)が、剤(b)の全重量に基づいて、5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、なおより好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含む場合、好ましいことが見出されている。
【0249】
さらなる実施形態の文脈では、本方法は、剤(b)が、剤(b)の全重量に基づいて、5.0~99.0重量%、好ましくは15.0~97.0重量%、より好ましくは25.0~97.0重量%、なおより好ましくは35.0~97.0重量%、非常に特に好ましくは45.0~97.0重量%の水を含むことを特徴とする。
【0250】
剤(b)に含まれるアルカリ化剤は、剤(b)のpH値に影響を及ぼす。特に特定のアルカリ性pH値は、本方法において達成可能な染色性能および染色の堅牢特性に有益な影響を与えることが見出された。
【0251】
このため、シーリング剤(b1)としてアルカリ化剤を含む剤(b)は、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.5~9.5のpHを有することが好ましい。
【0252】
pH値は、組合せ電極を介したガラス電極を用いたpH測定、またはpH試験紙を用いたpH測定など、当業界で既知の通常の方法を用いて測定され得る。
【0253】
別の非常に特に好ましい実施形態では、本方法は、剤(b)はシーリング剤(b1)としてアルカリ化剤を含み、7.0~12.0、好ましくは7.5~11.5、より好ましくは8.0~11.0、最も好ましくは8.5~9.5のpHを有することを特徴とする。
【0254】
本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定されたpH値である。
【0255】
なおさらなる別の実施形態において、シーリング剤(b1)は、酸性化剤を含む。
【0256】
特に好ましくは、酸性化剤は、無機酸、有機酸、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0257】
剤(b)がシーリング剤(b1)として少なくとも1つの無機酸を含む場合、良好な結果が得られた。適切な無機酸は、例えば、リン酸、硫酸および/または塩酸であり、硫酸が特に好ましい。
【0258】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)が、シーリング剤(b1)として、リン酸、硫酸、塩酸およびそれらの混合物からなる群から好ましくは選択される無機酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸性化剤を含むことを特徴とする。
【0259】
さらなる、なおより好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)がシーリング剤(b1)として硫酸を含むことを特徴とする。
【0260】
剤(b)がシーリング剤(b1)として少なくとも1つの有機酸を含む場合にも、良好な結果が得られた。有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオール酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、カンフル酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイック酸、ヒドラトロピック酸(Hydratropasaeure)、アトロピック酸(Atropasaeure)、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4’-ジシアノ-6,6’-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタル酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびこれらの混合物からなる群から好ましくは選択される。
【0261】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)が、シーリング剤(b1)として、有機酸からなる群から選択される少なくとも1つの酸性化剤を含み、ここで、有機酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グリセリン酸、グリオキシル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、プロピオール酸、クロトン酸、イソクロトン酸、エライジン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、カンフル酸、安息香酸、o,m,p-フタル酸、ナフトエ酸、トルオイック酸、ヒドラトロピック酸、アトロピック酸、桂皮酸、イソニコチン酸、ニコチン酸、ビカルバミン酸、4,4’-ジシアノ-6,6’-ビニコチン酸、8-カルバモイルオクタン酸、1,2,4-ペンタントリカルボン酸、2-ピロールカルボン酸、1,2,4,6,7-ナフタレンペンタ酢酸、マロンアルデヒド酸、4-ヒドロキシ-フタル酸、1-ピラゾールカルボン酸、没食子酸またはプロパントリカルボン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、マレイン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸およびこれらの混合物からなる群から好ましくは選択されることを特徴とする。
【0262】
さらなる、なおより好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)がシーリング剤(b1)として酢酸を含むことを特徴とする。
【0263】
また、適当な酸性化剤としては、メタンスルホン酸および/または1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸が挙げられる。
【0264】
酸性化剤の形態の前記シーリング剤(b1)の群の中で、硫酸および/または酢酸が特に適当であることが証明されている。
【0265】
さらなる特に好ましい実施形態の文脈において、本方法は、剤(b)が、シーリング剤(b1)として、硫酸、酢酸およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの酸性化剤を含むことを特徴とする。
【0266】
剤(b)は、化粧品担体、好ましくは水性化粧品担体中にシーリング剤(b1)として酸性化剤を含む。
【0267】
剤(b)に含まれる酸性化剤は、剤(b)のpHに影響を及ぼす。また、酸性のpH値は、本方法において達成可能な染色性能および染色の堅牢特性に有益な影響を与えることが見出された。
【0268】
このため、シーリング剤(b1)として酸性化剤を含む剤(b)は、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することが好ましい。
【0269】
pH値は、組合せ電極を介したガラス電極を用いたpH測定、またはpH試験紙を用いたpH測定など、当業界で既知の通常の方法を用いて測定され得る。
【0270】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本方法は、剤(b)がシーリング剤(b1)として酸性化剤を含み、2.0~6.5、好ましくは3.0~6.0、より好ましくは4.0~6.0、最も好ましくは4.5~5.5のpHを有することを特徴とする。
【0271】
なお、本発明の目的のためのpH値は、22℃の温度で測定したpH値である。
【0272】
<剤(a)および(b)中の他の成分>
上記の剤(a)および(b)は、1つ以上の任意成分を含んでよい。しかし、本発明においては、剤(a)および(b)の少なくとも一方が、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含むことが必須である。
【0273】
また、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)、繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類(a2)、少なくとも1つのポリオール、および水(a4)に加えて、剤(a)が顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含むことが好ましい場合がある。
【0274】
あるいは、剤(b)が、シーリング剤(b1)に加えて、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含むことが好ましい場合がある。
【0275】
本方法の同様に好ましい実施形態において、剤(a)および剤(b)はそれぞれ、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含む。
【0276】
剤(a)および/または(b)に関係なく、顔料の使用は、本明細書において特に好ましいと証明されている。
【0277】
別の非常に特に好ましい実施形態においては、方法は、剤(a)および/または剤(b)が、顔料からなる群から選択される少なくとも1つの着色付与化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0278】
本発明の意味における顔料は、25℃での水への溶解度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、なおより好ましくは0.05g/L未満である着色化合物である。水への溶解度は、例えば、以下に示す方法で測定できる。ビーカーに0.5gの顔料を秤量する。ビーカーグラスを加える。次いで、1リットルの蒸留水を添加する。この混合物をマグネチックスターラー上で攪拌しながら25℃に1時間加熱する。この時間の経過後、混合物中に顔料の未溶解成分がまだ見える場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。微細に分散している可能性のある顔料の強度が高いために、顔料-水混合物を目視で評価できない場合は、混合物をろ過する。ろ紙上に未溶解顔料の一部が残留する場合、その顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0279】
適当な顔料は、無機由来および/または有機由来であり得る
【0280】
好ましい実施形態において、方法は、剤(a)および剤(b)が、無機顔料および/または有機顔料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0281】
好ましい顔料は、合成または天然の無機顔料から選択される。天然由来の無機顔料は、例えば、チョーク、黄土、アンバー、緑土、焼成テーラ・ディ・シエナまたはグラファイトから製造できる。さらに、黒色酸化鉄などの黒色顔料、ウルトラマリンまたは赤色酸化鉄などの有色顔料、および蛍光顔料または燐光顔料を、無機着色顔料として使用できる。
【0282】
特に適当なのは、有色の金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩および/またはモリブデン酸塩である。特に好ましい顔料は、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および褐色酸化鉄(CI 77491)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、紺青(フェロシアン化鉄、CI 77510)および/またはカルミン(コチニール)である。
【0283】
また、特に好ましい顔料は、有色真珠光沢顔料である。これらは、通常、雲母および/または雲母系であり、1以上の金属酸化物で被覆されてよい。雲母は層状ケイ酸塩に属する。これらのケイ酸塩の最も重要な代表例は、白雲母、金雲母、ソーダ雲母、黒雲母、リシア雲母およびマーガライトである。金属酸化物と組み合わせた真珠光沢顔料を製造するには、雲母、主に白雲母または金雲母などを金属酸化物で被覆する。
【0284】
従って、好ましい方法は、剤(a)および/または剤(b)が、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、青銅顔料および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属オキシ塩化物で被覆された天然または合成雲母に基づく着色顔料の群から選択される顔料の群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0285】
合成雲母に基づく好ましい適当な顔料は、例えば、Timiron(登録商標) SynWhite Satin(Merck社製)である。
【0286】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)および/または剤(b)が、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、酸化クロム(CI 77288)および/または紺青(フェロシアン化鉄、CI 77510)からなる群から選ばれる、1つ以上の金属酸化物と反応させた天然または合成雲母に基づく顔料から選択される顔料の群から選ばれる少なくとも1つの着色化合物を含むことを特徴とする。
【0287】
本方法のさらに別の好ましい実施形態において、剤(a)および/または剤(b)は、無機顔料、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色酸化鉄(CI 77491)およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの着色付与化合物を含むことを特徴とする。
【0288】
黄色酸化鉄(または酸化鉄イエロー)は、FeO(OH)の名称であり、カラーインデックスにおいて、C.I. Pigment Yellow 42の下に記載される。
【0289】
赤色酸化鉄(または酸化鉄レッド)は、Feの名称であり、カラーインデックスにおいて、C.I. Pigment Red 101の下に記載される。粒子サイズによって、赤色酸化鉄顔料は、非常に黄色がかったもの(小さい粒子サイズ)から非常に青みがかったもの(粗い粒子)に調整することができる。
【0290】
ブラック酸化鉄(または酸化鉄ブラック)は、カラーインデックスにおいて、C.I. Pigment Black 11の下に記載される。酸化鉄ブラックは強磁性体である。化学式はFeと示されることが多く、実際には逆スピネル構造を持つ、FeとFeOとの固溶体が存在する。クロム、銅、マンガンをドープすることにより、さらなる黒色顔料が得られる。
【0291】
ブラウンブラック酸化鉄(または酸化鉄ブラウン)は通常、定義された顔料を示さないが、黄色、赤色および/または黒色酸化鉄の混合物を示す。
【0292】
酸化鉄顔料は通常、2,000~4,000nmの範囲の粒子径を有する。いくつかの用途、特に化粧品用途では、著しく小さい粒子径を有する酸化鉄顔料を使用することが有利な場合がある。例えば、100~1,000nm、より好ましくは150nm~700nmの範囲の粒子径を有する酸化鉄顔料を有する染毛剤は、より良い耐久性およびより良い白髪カバー性を示す。
【0293】
従って、剤(a)および/または剤(b)が、顔料および/または直接染料からなる群から選択される着色化合物をさらに含み、ここで、着色化合物が、酸化鉄顔料からなる群から選択される顔料を含む方法が好ましい。
【0294】
なおより好ましいのは、剤(a)および/または剤(b)が、顔料および/または直接染料からなる群から選択される着色化合物をさらに含み、ここで着色化合物が酸化鉄顔料からなる群から選択される顔料を含み、ここで酸化鉄顔料が100~1,000nm、より好ましくは150nm~700nmの範囲の粒子径を有する、方法である。
【0295】
他の適当な顔料は、金属酸化物で被覆されたプレートレット形状のホウケイ酸塩に基づく。これらは、例えば、酸化スズ、酸化鉄、二酸化ケイ素および/または二酸化チタンで被覆される。このようなホウケイ酸塩に基づく顔料は、例えば、MIRAGE(Eckart社製)またはReflecks(BASF SE社製)という名称の下、入手可能である。
【0296】
特に適当な顔料の例は、Merck社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)、Sensient社からAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)、Eckart Cosmetic Colors社からPrestige(登録商標)またはSynCrystal、BASF SE社からFlamenco(登録商標)、Cellini(登録商標)、Cloisonne(登録商標)、Duocrome(登録商標)、Gemtone(登録商標)、Timica(登録商標)、MultiReflections、Chione、およびサンスター社からSunshine(登録商標)の商品名の下、商業的に入手可能である。
【0297】
商品名がColorona(登録商標)である非常に特に好ましい着色顔料は、例えば以下である:
Colorona Copper, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Copper Fine, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), アルミナ
Colorona Patina Silver, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona RY, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン, フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Aborigine Amber, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue, Merck, CI 77499(酸化鉄), 雲母
Colorona Patagonian Purple, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン), CI 77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄), CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Russet, Merck, CI 77491(二酸化チタン), 雲母, CI 77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), D&C RED NO. 30 (CI 73360)
Colorona Majestic Green, Merck, CI 77891(二酸化チタン), 雲母, CI 77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), フェロシアン化鉄 (CI 77510)
Colorona Red Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25, Merck, 雲母, 二酸化チタン (CI 77891), 酸化鉄 (CI 77491)
Colorona Carmine Red, Merck, 雲母, 二酸化チタン, カーマイン
Colorona Blackstar Green, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine, Merck, CI 77491(酸化鉄), 雲母
Colorona Sienna, Merck, 雲母, CI 77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, CI 77491(酸化鉄), 酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29, Merck, 雲母, 二酸化チタン, 酸化鉄, 雲母, CI 77891, CI 77491 (EU)
Colorona Mica Black, Merck, CI 77499(酸化鉄), Mica, CI 77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), CI 77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold, Merck, 雲母, CI 77499(酸化鉄)
Colorona(登録商標) SynCopper, Merck, 合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄
Colorona(登録商標) SynBronze, Merck, 合成フルオロフロゴパイト(および)酸化鉄。
【0298】
商品名がXirona(登録商標)である他の特に好ましい顔料は、例えば以下である:
Xirona(登録商標) Golden Sky, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona(登録商標) Caribbean Blue, Merck, 雲母, CI 77891(二酸化チタン), シリカ, 酸化スズ
Xirona(登録商標) Kiwi Rose, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona(登録商標) Magic Mauve, Merck, シリカ, CI 77891(二酸化チタン), 酸化スズ
Xirona(登録商標) Le Rouge, Merck, 酸化鉄 (および)シリカ。
【0299】
加えて、商品名がUnipure(登録商標)である特に好ましい顔料は、例えば以下である:
Unipure Red LC 381 EM,Sensient CI 77491(酸化鉄),シリカ
Unipure Black LC 989 EM,Sensient,CI 77499(酸化鉄),シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM,Sensient,CI 77492(酸化鉄),シリカ。
【0300】
また、商品名がFlamenco(登録商標)である特に好ましい顔料は、例えば、以下である:
Flamenco(登録商標) Summit Turquoise T30D、BASF、二酸化チタン(および)雲母
Flamenco(登録商標) Super Violet 530Z、BASF、雲母(および)二酸化チタン。
【0301】
さらなる実施形態において、本方法において剤(a)および/または剤(b)は、有機顔料の群から選ばれる1つ以上の着色化合物を含んでもよい。
【0302】
有機顔料は、例えばニトロソ、ニトロ-アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インディゴ、チオインディゴ、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物の群から選択されてよい、相応に不溶性の有機染料または着色剤である。
【0303】
特に適当な有機顔料の例は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料である。
【0304】
別の特に好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)および/または剤(b)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される有機顔料の群から選ばれる少なくとも1つの着色化合物を含むことを特徴とする。
【0305】
有機顔料はカラーワニスであってもよい。本発明の意味において、用語「カラーワニス」は、吸収された染料の層を含む粒子を意味しており、粒子および染料のユニットは、上記条件下で不溶性である。粒子は例えば無機物質であり得、これは、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムまたはアルミニウムであり得る。
【0306】
例えば、アリザリンカラーワニスを使用できる。
【0307】
本方法のさらなる実施形態において、剤(a)および/または剤(b)は、有機顔料の群から選ばれる1つ以上の着色化合物を含んでもよい。
【0308】
別の特に好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)および/または剤(b)が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料からなる群から選択される有機顔料の群から選ばれる少なくとも1つの着色化合物を含むことを特徴とする。
【0309】
特に、好ましいのは、剤(a)および/または剤(b)が、顔料および/または直接染料の群から選ばれる着色化合物をさらに含み、着色化合物が有機顔料の群から選ばれる顔料を含む方法である。
【0310】
なおより好ましいのは、剤(a)および/または剤(b)が顔料および/または直接染料の群から選ばれる着色化合物をさらに含み、前記着色化合物は有機顔料の群から選ばれる少なくとも1つの顔料を含み、前記有機顔料が100~1000nm、より好ましくは150nm~700nmの範囲の粒子径を有する方法である。
【0311】
また、顔料の群から選ばれる適当な着色化合物は、ポリマーで改質された無機顔料および/または有機顔料である。ポリマー改質は、例えば、少なくとも1つの層のそれぞれの物質に対する顔料の親和性を高められる。
【0312】
剤(a)および/または剤(b)において、着色剤としていわゆる金属効果顔料を使用することも可能である。
【0313】
特に、金属効果顔料は、ラメラ基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー基材プレートレットに基づく顔料、および/または「真空金属化顔料」(VMP)を含む基材プレートレットに基づく顔料を含んでよい。これらの金属効果顔料において、基材プレートレットは、金属、好ましくはアルミニウム、または合金を含む。金属基材プレートレット系金属効果顔料は、好ましくは、特に保護層として機能する被覆を有する。
【0314】
適当な金属効果顔料としては、例えば、Alegrace(登録商標) Marvelous、Alegrace(コピーライト) Gorgeous、またはAlegrace(登録商標) Aurous(Schlenk Metallic Pigments社製)などの顔料が挙げられる。
【0315】
また、SILVERDREAMシリーズのアルミニウム系顔料およびVISIONAIREシリーズのアルミニウムまたは銅/亜鉛含有金属合金に基づく顔料(Eckart社製)も適当な金属効果顔料である。
【0316】
優れた光安定性および温度安定性のために、剤(a)および/または剤(b)において上記顔料の使用は特に好ましい。また、使用する顔料がある特定の粒子径を有する場合も好ましい。この粒子径は、一方では形成されたポリマーフィルム中の顔料の均一な分布につながり、他方では化粧品の塗布後の毛髪や皮膚のざらつき感を回避することにつながる。したがって、本発明によれば、少なくとも1つの顔料が、1~50μm、好ましくは5~45μm、好ましくは10~40μm、特に14~30μmの平均粒子径D50を有する場合に有利である。平均粒子径D50は、例えば、動的光散乱(DLS)を用いて測定できる。
【0317】
さらなる好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)が、剤(a)の全重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も好ましい0.5~4.5重量%の総量で顔料の形態での1つ以上の着色付与化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0318】
さらなる、同様に好ましい実施形態では、本方法は、剤(b)が、剤(b)の全重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で顔料の形態での1つ以上の着色付与化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0319】
着色化合物として、本方法に使用される剤(a)および/または剤(b)は、1つ以上の直接染料を含んでもよい。直接染料は、毛髪表面上に直接描画し、色を形成する酸化過程を必要としない染料である。直接染料は、通常、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン、トリアリールメタン染料またはインドフェノールである。
【0320】
本発明の意味における直接染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、したがって顔料としてみなされない。好ましくは、本発明の意味における直接染料は、1g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0321】
直接染料は、アニオン性直接染料、カチオン性直接染料および非イオン性直接染料に分類できる。
【0322】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)および/または剤(b)が、着色化合物として、少なくとも1つのアニオン性、カチオン性および/または非イオン性の直接染料をさらに含むことを特徴とする。
【0323】
さらに好ましい実施形態では、本方法は、剤(a)および/または剤(b)が、アニオン性、非イオン性、および/またはカチオン性の直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0324】
適当なカチオン性直接染料としては、Basic Blue 7、Basic Blue 26、Basic Violet 2、Basic Violet 14、Basic Yellow 57、Basic Red 76、Basic Blue 16、Basic Blue 347(Cationic Blue 347 / Dystar)、HC Blue No. 16、Basic Blue 99、Basic Brown 16、Basic Brown 17、Basic Yellow 57、Basic Yellow 87、Basic Orange 31、Basic Red 51 Basic Red 76が挙げられる。
【0325】
非イオン性直接染料としては、非イオン性ニトロおよびキノン染料ならびに天然アゾ染料を使用できる。適当な非イオン性直接染料は、以下の国際名称または商品名で知られているものである:HC Yellow 2、HC Yellow 4、HC Yellow 5、HC Yellow 6、HC Yellow 12、HC Orange 1、Disperse Orange 3、HC Red 1、HC Red 3、HC Red 10、HC Red 11、HC Red 13、HC Red BN、HC Blue 2、HC Blue 11、HC Blue 12、Disperse Blue 3、HC Violet 1、Disperse Violet 1、Disperse Violet 4、Disperse Black 9の既知の化合物、および1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、2-アミノ-4-ニトロフェノール、1,4-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、3-ニトロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノフェノール2-(2-ヒドロキシエチル)アミノ-4,6-ジニトロフェノール、4-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-3-ニトロ-1-メチルベンゼン、1-アミノ-4-(2-ヒドロキシエチル)-アミノ-5-クロロ-2-ニトロベンゼン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、1-(2’-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、2-[(4-アミノ-2-ニトロフェニル)アミノ]安息香酸、6-ニトロ-1,2,3,4-テトラヒドロキノキサリン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、ピクラミン酸およびその塩、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸および2-クロロ-6-エチルアミノ-4-ニトロフェノール。
【0326】
本発明に至る研究の過程において、特に少なくとも1つのアニオン性直接染料を含む剤(a)および/または(b)を用いた場合、特に強い着色強度を有する染色が製造できることが見出された。
【0327】
明示的にかなり特に好ましい実施形態において、本方法は、したがって、剤(a)および/または剤(b)が、着色化合物として少なくとも1つのアニオン性直接染料をさらに含むことを特徴とする。
【0328】
アニオン性直接染料は、酸性染料とも呼ばれる。酸性染料は、少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)および/または少なくとも1つのスルホン酸基(-SOH)を有する直接染料である。pHにより、カルボン酸またはスルホン酸部分のプロトン化形態(-COOH、-SOH)は、それらの脱プロトン化形態(-COO、-SO 存在)と平衡である。pHの低下に伴い、プロトン化形態の割合は増加する。直接染料がその塩の形態として使用される場合、カルボン酸基またはスルホン酸基は脱プロトン化形態で存在し、電気的中性を維持するために、対応する化学量論的に同等のカチオンで中和される。酸性染料は、それらのナトリウム塩および/またはそれらのカリウム塩の形態でも使用され得る。
【0329】
本発明の意味における酸性染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有し、従って、顔料としてみなされない。好ましくは、本発明の意味における酸性染料は、1g/Lより大きい25℃での水への溶解度(760mmHg)を有する。
【0330】
酸性染料のアルカリ土類塩(例えばカルシウム塩およびマグネシウム塩)またはアルミニウム塩は、しばしば対応するアルカリ塩よりも低い溶解度を有する。これらの塩の溶解度が0.5g/L未満(25℃、760mmHg)の場合、それらは直接染料の定義に含まれない。
【0331】
酸性染料の重要な特徴は、アニオン電荷を形成する能力であり、これを担うカルボン酸基またはスルホン酸基は通常、様々な発色団系に結合している。適当な発色団系は、例えば、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料の構造に見られる。
【0332】
したがって、一実施形態の文脈において、剤(a)および/または剤(b)が、着色化合物として、ニトロフェニレンジアミン、ニトロアミノフェノール、アゾ染料、アントラキノン染料、トリアリールメタン染料、キサンタン染料、ローダミン染料、オキサジン染料および/またはインドフェノール染料からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性直接染料をさらに含むことを特徴とするケラチン物質を染色するための方法が好ましく、上記群から選ばれる前記染料は、それぞれ少なくとも1つのカルボン酸基(-COOH)、カルボン酸ナトリウム基(-COONa)、カルボン酸カリウム基(-COOK)、スルホン酸基(-SOH)、スルホン酸ナトリウム基(-SONa)および/またはスルホン酸カリウム基(-SOK)を含む。
【0333】
例えば、以下の群からの1以上の化合物は、特に好適な酸性染料として選択され得る:Acid Yellow 1(D&C Yellow 7、Citronin A、Ext. D&C Yellow No. 7、Japan Yellow 403、CI 10316、COLIPA n°B001)、Acid Yellow 3(COLIPA n°:C54、D&C Yellow N°10、Quinoline Yellow、E104、Food Yellow 13)、Acid Yellow 9(CI 13015)、Acid Yellow 17(CI 18965)、Acid Yellow 23(COLIPA n°C 29、Covacap Jaune W 1100(LCW)、Sicovit Tartrazine 85 E 102(BASF)、Tartrazine、Food Yellow 4、Japan Yellow 4、FD&C Yellow No. 5)、Acid Yellow 36(CI 13065)、Acid Yellow 121(CI 18690)、Acid Orange 6(CI 14270)、Acid Orange 7(2-Naphthol orange、Orange II、CI 15510、D&C Orange 4、COLIPA n°C015)、Acid Orange 10(C.I. 16230;Orange G ナトリウム塩)、Acid Orange 11(CI 45370)、Acid Orange 15(CI 50120)、Acid Orange 20(CI 14600)、Acid Orange 24(BROWN 1;CI 20170;KATSU201;ナトリウム塩不含有;Brown No.201;RESORCIN BROWN;ACID ORANGE 24;Japan Brown 201;D & C Brown No.1)、Acid Red 14(C.I.14720)、Acid Red 18(E124、Red 18; CI 16255)、Acid Red 27(E 123、CI 16185、C-Rot 46、Real red D、FD&C Red Nr.2、Food Red 9、Naphthol red S)、Acid Red 33(Red 33、Fuchsia Red、D&C Red 33、CI 17200)、Acid Red 35(CI C.I.18065)、Acid Red 51(CI 45430、Pyrosin B、Tetraiodfluorescein、Eosin J、Iodeosin)、Acid Red 52(CI 45100、Food Red 106、Solar Rhodamine B、Acid Rhodamine B、Red n°106 Pontacyl Brilliant Pink)、Acid Red 73(CI 27290)、Acid Red 87(Eosin、CI 45380)、Acid Red 92(COLIPA n°C 53、CI 45410)、Acid Red 95(CI 45425、Erythtosine,Simacid Erythrosine Y)、Acid Red 184(CI 15685)、Acid Red 195、Acid Violet 43(Jarocol Violet 43、Ext. D&C Violet n°2、C.I. 60730、COLIPA n°C063)、Acid Violet 49(CI 42640)、Acid Violet 50(CI 50325)、Acid Blue 1(Patent Blue、CI 42045)、Acid Blue 3(Patent Blue V、CI 42051)、Acid Blue 7(CI 42080)、Acid Blue 104(CI 42735)、Acid Blue 9(E 133、Patent Blue AE、Amido blue AE、Erioglaucin A、CI 42090、C.I. Food Blue 2)、Acid Blue 62(CI 62045)、Acid Blue 74(E 132、CI 73015)、Acid Blue 80(CI 61585)、Acid Green 3(CI 42085、Foodgreen1)、Acid Green 5(CI 42095)、Acid Green 9(C.I.42100)、Acid Green 22(C.I.42170)、 Acid Green 25(CI 61570、Japan Green 201、D&C Green No. 5)、Acid Green 50(Brilliant Acid Green BS、C.I. 44090、Acid Brilliant Green BS、E 142)、Acid Black 1(Black n°401、Naphthalene Black 10B、Amido Black 10B、CI 20 470、COLIPA n°B15)、Acid Black 52(CI 15711)、Food Yellow 8(CI 14270)、Food Blue 5、D&C Yellow 8、D&C Green 5、D&C Orange 10、D&C Orange 11、D&C Red 21、D&C Red 27、D&C Red 33、D&C Violet 2および/またはD&C Brown 1。
【0334】
例えば、アニオン性直接染料の水溶性は、以下方法で測定できる。0.1gのアニオン性直接染料をビーカーに添加する。撹拌子を加える。次いで、100mLの水を添加する。この混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に加熱する。60分間撹拌する。次いで、水性混合物を目視で評価する。未溶解残留物がまだ存在する場合、例えば10mL刻みで、水の量を増やす。使用した染料の量が完全に溶解するまで水を加える。染料の強度が高いために、染料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物をろ過する。未溶解染料の一部がろ紙上に残留する場合は、より多くの水を用いて溶解度試験を繰り返す。0.1gのアニオン性直接染料が25℃で100mLの水に溶解した場合、その染料の溶解度は1g/Lである。
【0335】
Acid Yellow 1は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸二ナトリウム塩と称され、少なくとも40g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
Acid Yellow 3は、2-(2-キノリル)-1H-インデン-1,3(2H)-ジオンのモノスルホン酸とジスルホン酸のナトリウム塩の混合物であり、20g/Lの水への溶解度(25℃)を有する。
Acid Yellow 9は、8-ヒドロキシ-5,7-ジニトロ-2-ナフタレンスルホン酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は40g/L(25℃)より大きい。
Acid Yellow 23は、4,5-ジヒドロ-5-オキソ-1-(4-スルホフェニル)-4-((4-スルホフェニル)アゾ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸の三ナトリウム塩であり、25℃の水に容易に溶解できる。
Acid Orange 7は、4-[(2-ヒドロキシ-1-ナフチル)アゾ]ベンゼンスルホネートのナトリウム塩である。その水への溶解度は、7g/L(25℃)より大きい。
Acid Red 18は、7-ヒドロキシ-8-[(E)-(4-スルホナト-1-ナフチル)-ジアゼニル)]-1,3-ナフタレンジスルホネートの三ナトリウム塩であり、20重量%より大きい非常に高い水溶性を有する。
Acid Red 33は、5-アミノ-4-ヒドロキシ-3-(フェニルアゾ)-ナフタレン-2,7-ジスルホネートの二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は2.5g/L(25℃)である。
Acid Red 92は、3,4,5,6-テトラクロロ-2-(1,4,5,8-テトラブロモ-6-ヒドロキシ-3-オキソキサンテン-9-イル)安息香酸の二ナトリウム塩であり、その水への溶解度は10g/L(25℃)より大きい。
Acid Blue 9は、2-({4-[N-エチル(3-スルホナトベンジル]アミノ]フェニル}{4-[(N-エチル(3-スルホナトベンジル)イミノ]-2,5-シクロヘキサジエン-1-イリデン}メチル)-ベンゼンスルホネートの二ナトリウム塩であり、20重量%(25℃)より大きい水への溶解度を有する。
【0336】
したがって、非常に特に好ましい方法は、剤(a)および/または剤(b)が、以下からなる群から選択されるアニオン性直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含むことを特徴とする:Acid Yellow 1、 Acid Yellow 3、 Acid Yellow 9、 Acid Yellow 17、 Acid Yellow 23、 Acid Yellow 36、 Acid Yellow 121、 Acid Orange 6、 Acid Orange 7、 Acid Orange 10、 Acid Orange 11、 Acid Orange 15、 Acid Orange 20、 Acid Orange 24、 Acid Red 14、 Acid Red 27、 Acid Red 33、 Acid Red 35、 Acid Red 51、 Acid Red 52、 Acid Red 73、 Acid Red 87、 Acid Red 92、 Acid Red 95、 Acid Red 184、 Acid Red 195、 Acid Violet 43、 Acid Violet 49、 Acid Violet 50、 Acid Blue 1、 Acid Blue 3、 Acid Blue 7、 Acid Blue 104、 Acid Blue 9、 Acid Blue 62、 Acid Blue 74、 Acid Blue 80、 Acid Green 3、 Acid Green 5、 Acid Green 9、 Acid Green 22、 Acid Green 25、 Acid Green 50、 Acid Black 1、 Acid Black 52、 Food Yellow 8、 Food Blue 5、 D&C Yellow 8、 D&C Green 5、 D&C Orange 10、 D&C Orange 11、 D&C Red 21、 D&C Red 27、 D&C Red 33、 D&C Violet 2および/またはD&C Brown 1。
【0337】
直接染料、特にアニオン性直接染料は、所望の着色強度に応じて、剤(a)および/または剤(b)中に異なる量で使用できる。剤(a)および/または剤(b)が、それぞれの場合においてその全重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、非常に特に好ましくは0.5~4.5重量%の総量で、1つ以上の直接染料を着色化合物として含む場合に特に良好な結果が得られた。
【0338】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、剤(a)および/または剤(b)が、剤(a)および/または剤(b)の全重量に基づいて、0.01~10重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~6重量%、最も好ましくは0.5~4.5重量%の総量で、1つ以上の直接染料を着色化合物としてさらに含むことを特徴とする。
【0339】
以下に、着色付与化合物に関する本方法の好ましい実施形態を開示する。
【0340】
1.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらに有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング剤。
【0341】
2.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらに有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機顔料、ならびに、ラメラ金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング剤。
【0342】
3.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらに有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、およびこれらの混合物の群から選択される少なくとも1つの無機顔料、ならびに、α)雲母を含む基材プレートレット、およびβ)TiO、SnOおよび/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む少なくとも1つの顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング剤。
【0343】
4.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらに有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング剤、および
(b2)ラメラ金属基材プレートレット系顔料、レンチキュラー金属基材プレートレット系顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレット系顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0344】
5.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらに有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング剤、および
(b2)α)雲母を含む基材プレートレット、およびβ)TiO、SnOおよび/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0345】
6.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらに有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング剤、および
(b2)α)ホウケイ酸ガラスを含む基材プレートレット、およびβ)TiO、SnO、SiOおよび/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0346】
7.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらにカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング剤。
【0347】
8.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらにカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料、ならびにラメラ金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレット系顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレット系顔料、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング剤。
【0348】
9.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらにカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料、ならびに、α)雲母を含む基材プレートレット、およびβ)TiO、SnOおよび/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む、少なくとも1つの顔料を含む少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング剤。
【0349】
10.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらにカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング剤、および
(b2)ラメラ金属基材プレートレット系顔料、レンチキュラー金属基材プレートレット系顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレット系顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0350】
11.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらにカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング剤、および
(b2)α)雲母を含む基材プレートレット、およびβ)TiO、SnO、および/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0351】
12.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらにカーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング剤、および
(b2)α)ホウケイ酸ガラスを含む基材プレートレット、およびβ)TiO、SnO、SiOおよび/または酸化鉄を含む少なくとも1つの第1金属酸化物(水和物)層を含むコーティングを含む顔料を含む、少なくとも1つの着色化合物。
【0352】
13.以下の工程を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法:
・ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで剤(a)は以下を含む:
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、
(a4)剤(a)の全重量に基づいて25重量%以下の水、および、さらに100~1,000nmの範囲の粒子径を有する酸化鉄の群から選択される少なくとも1つの無機顔料を含む少なくとも1つの着色化合物、
・ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は以下を含む:
(b1)少なくとも1つのシーリング剤。
【0353】
剤(a)および/または(b)は、さらに1つ以上の界面活性剤を含んでよい。界面活性剤という用語は、界面活性物質を意味する。疎水性基および負に帯電した親水性の頭部基からなるアニオン性界面活性剤、負電荷および補償する正電荷の両方を有する両性イオン性界面活性剤、疎水性基に加えて正に帯電した親水性基を有するカチオン性界面活性剤、および電荷は有さないが、水溶液中で強い双極子モーメントを有し強く水和している非イオン性界面活性剤に分類される。
【0354】
双性イオン性界面活性剤は、分子内に少なくとも1個の第四級アンモニウム基と少なくとも1つの-COO(-)基または-SO (-)基を有する表面活性化合物である。特に適当な双性イオン性界面活性剤はいわゆるベタイン、例えばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウム-グリシネート、例えばココアルキル-ジメチルアンモニウムグリシネート、N-アシルアミノプロピル-N,N-ジメチルアンモニウムグリシネート、例えば、各々、アルキル基またはアシル基内に8~18個のC原子を有するココアシルアミノプロピルジメチルアンモニウムグリシネートおよび2-アルキル-3-カルボキシメチル-3-ヒドロキシエチルイミダゾリン、並びにココアシルアミノエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルグリシネートである。好ましい双性イオン性界面活性剤は、INCI名コカミドプロピルベタインで知られる脂肪酸アミド誘導体である。
【0355】
両性イオン性界面活性剤は、分子中のC-C24アルキル基またはアシル基に加えて、少なくとも1つの遊離アミノ基および少なくとも1つの-COOHまたは-SOH基を含み、内部塩を形成することができる表面活性化合物である。適当な両性イオン性界面活性剤の例は、それぞれアルキル基中に約8~24個のC原子を有するN-アルキルグリシン、N-アルキルプロピオン酸、N-アルキルアミノ酪酸、N-アルキルイミノジプロピオン酸、N-ヒドロキシエチル-N-アルキルアミドプロピルグリシン、N-アルキルタウリン、N-アルキルサルコシン、2-アルキルアミノプロピオン酸およびアルキルアミノ酢酸である。両性イオン性または双性イオン性界面活性剤の典型的な例は、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、アミノプロピオネート、アミノグリシネート、イミダゾリニウムベタイン、およびスルホベタインである。
【0356】
特に好ましい両性イオン性界面活性剤は、N-ココサルキルアミノプロピオネート、ココサシルアミノエチルアミノプロピオネートおよびC12-C18-アシルサルコシンである。
【0357】
剤(a)および/または(b)は、さらに、少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含んでもよい。適当な非イオン性界面活性剤は、アルキルポリグリコシド、ならびに脂肪アルコールまたは脂肪酸の1molあたりに2~30molのエチレンオキシドをそれぞれ有する、脂肪アルコールおよび脂肪酸のアルキレンオキシド付加生成物である。また、それらが、非イオン性界面活性剤として、少なくとも2molのエチレンオキシドと反応させたエトキシル化グリセロールの脂肪酸エステルを含む場合も、良好な特性を有する製剤が得られる。
【0358】
さらに、剤(a)および/または(b)は、少なくとも1つのカチオン性界面活性剤を含んでもよい。カチオン性界面活性剤は、界面活性剤、すなわち表面活性化合物であり、それぞれ1つ以上の正電荷を有する。カチオン性界面活性剤は、正電荷のみを含む。通常、これらの界面活性剤は、疎水性部分と親水性頭部基とからなり、疎水性部分は通常、炭化水素構造(例えば、1つまたは2つの直鎖または分岐アルキル鎖からなる)からなり、正電荷は親水性頭部基中に位置する。カチオン性界面活性剤の例としては、
- 疎水性基として炭素原子8~28個の鎖長を有する1つまたは2つのアルキル鎖を有してよい第4級アンモニウム化合物、
- 炭素原子8~28個の鎖長を有する1つ以上のアルキル鎖で置換された第4級ホスホニウム塩、または
- 第三級スルホニウム塩
が挙げられる。
【0359】
さらに、カチオン電荷は、オニウム構造の形態の複素環(例えば、イミダゾリウム環またはピリジニウム環)の一部でもあり得る。カチオン電荷を有する官能性単位に加えて、カチオン性界面活性剤は、例えばエステルカットの場合のように、他の非電荷官能性基を含んでもよい。カチオン性界面活性剤は、それぞれの剤の全重量に基づいて、0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0360】
さらに、剤(a)および/または(b)は、少なくとも1つのアニオン性界面活性剤を含んでもよい。アニオン性界面活性剤は、排他的にアニオン性電荷(対応する対カチオンによって中和される)を有する表面活性剤である。アニオン性界面活性剤の例は、脂肪酸、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、およびアルキル基中に12~20個のC原子および分子中に最大16個のグリコールエーテル基を有するエーテルカルボン酸である。
【0361】
アニオン性界面活性剤は、それぞれの剤の全重量に基づいて、0.1~45重量%、好ましくは1~30重量%、最も好ましくは1~15重量%の総量で使用される。
【0362】
剤(a)および/または剤(b)は、艶消し剤をさらに含んでよい。適当な艶消し剤としては、例えば、(変性)澱粉、ワックス、タルクおよび/または(変性)ケイ酸が挙げられる。艶消し剤の量は、剤(a)または剤(b)の総量に基づいて、好ましくは、0.1~10重量%の間である。好ましくは、剤(a)は艶消し剤を含む。
【0363】
剤(a)および/または剤(b)は、さらに増粘剤を含んでよい。
【0364】
剤(a)および/または剤(b)を使用する場合、薄すぎてケラチン物質から滴り落ちてはならない。このため、剤(a)および/または(b)は増粘剤を含むことが好ましい場合がある。
【0365】
従って、一実施形態の文脈において、ケラチン物質を染色するための方法は、剤(a)および/または剤(b)がさらに増粘剤を含むことを特徴とすることが好ましい。
【0366】
適当な増粘剤としては、例えば、化学変性セルロース、例えば、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルローズ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、スルホエチルセルロース、カルボキシメチルスルホエチルセルロース、ヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース、ヒドロキシエチルスルホエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、メチルスルホエチルセルロースおよび/またはエチルスルホエチルセルロース等が挙げられる。
【0367】
好ましい実施形態において、ケラチン物質を染色するための方法は、剤(a)および/または剤(b)が、プロピルセルロース、メチルエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、スルホエチルセルロース、カルボキシメチルスルホエチルセルロース、ヒドロキシプロピルスルホエチルセルロース、ヒドロキシエチルスルホエチルセルロース、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース、メチルスルホエチルセルロース、エチルスルホエチルセルロースおよびこれらの混合物からなる群から選択される増粘剤をさらに含むことを特徴とする。
【0368】
特に適当な増粘剤は、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびこれらの混合物から選択される。
【0369】
特に好ましい実施形態において、ケラチン物質を染色するための方法は、剤(a)および/または剤(b)が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびこれらの混合物からなる群から選択される増粘剤をさらに含むことを特徴とする。
【0370】
他の適当な増粘剤は、ガラクトマンナンを含む。好ましいガラクトマンナンとしては、
INCI名Cyamopsis tetragonoloba gum(グアーガム)を有するガラクトマンナン、INCI名Ceratonia Siliqua(キャロブ)Gum(ローカストビーンガム)を有するガラクトマンナン、INCI名Cassia Gumを有するガラクトマンナン、およびINCI名Caesalpinia Spinosa Gum(タラガム)を有するガラクトマンナンが挙げられる。
【0371】
したがって、ケラチン物質を染色するための方法は、剤(a)および/または剤(b)が、INCI名Cyamopsis tetragonoloba gum(グアーガム)を有するガラクトマンナン、INCI名Ceratonia Siliqua(キャロブ)Gum(ローカストビーンガム)を有するガラクトマンナン、INCI名Cassia Gumを有するガラクトマンナン、およびINCI名Caesalpinia Spinosa Gum(タラガム)を有するガラクトマンナンからなる群から選択される少なくとも1つのガラクトマンナンをさらに含むことが特に好ましい。特に好ましい実施形態では、ガラクトマンナンは、INCI名Caesalpinia Spinosa Gum(タラガム)を有するガラクトマンナンを含む。
【0372】
増粘剤の量は、それぞれの場合において剤(a)および/または剤(b)の総量に基づいて、好ましくは0.1~10重量%である。
【0373】
剤はまた、他の活性成分、助剤および添加剤、例えば溶媒;C-C30脂肪酸トリグリセリド、C-C30脂肪酸モノグリセリド、C-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素などの脂肪成分;ストラクチュラント(structurants)、例えばグルコース、マレイン酸および乳酸、ヘアコンディショニング化合物、例えばリン脂質、例えばレシチンおよびケファリン(kephaline);香油、ジメチルイソソルバイドおよびシクロデキストリン;繊維構造改善活性成分、特に単糖類、二糖類およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース(fructose)、フルクトース(fruchtzucker)およびラクトース;製剤を着色するための染料;フケ防止活性成分、例えばピロクトンオラミン、亜鉛オマジンおよびクリンバゾール;アミノ酸およびオリゴペプチド;動物系および/または植物系並びにそれらの脂肪酸縮合物または任意にアニオン変性型もしくはカチオン変性型誘導体の形態のタンパク質加水分解物;植物油;光安定剤およびUVブロッカー;活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびその塩、ならびにビサボロール;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン(leukoanthocyanidine)、アントシアニジン、フラバノン、フラボンおよびフラボノール;セラミドまたは擬似セラミド;ビタミン類、プロビタミンおよびビタミン前駆体;植物抽出物;脂肪およびワックス、例えば脂肪アルコール、ミツロウ、モンタンワックスおよびパラフィン;膨潤剤および浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カーボネート、炭酸水素塩、グアニジン、尿素および第一級、第二級および第三級ホスフェート;乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;真珠光沢剤、例えばエチレングリコールモノおよびジステアレート、ならびにPEG-3-ジステアレート;ならびに発泡剤、例えばプロパン-ブタン混合物、NO、ジメチルエーテル、COおよび空気を含有してもよい。
【0374】
これらの他の物質の選択は、剤の所望の特性に応じて、専門家により行われる。その他の任意成分、およびこれらの成分の使用量については、専門家に知られている関連マニュアルを参照されたい。追加の活性成分および補助物質は、好ましくは、それぞれの剤の全重量に基づいて、それぞれ0.0001~25重量%、特に0.0005~15重量%の量で本発明による製剤に使用される。
【0375】
<ケラチン物質を染色するための方法>
本発明による手順では、剤(a)および(b)を、ケラチン物質、特にヒトの毛髪に塗布する。したがって、剤(a)および(b)は、即用剤である。剤(a)と(b)とは異なる。
【0376】
原則的に、剤(a)および(b)は同時に、または、連続的に塗布することができ、それにより連続的に塗布することが好ましい。
【0377】
最良の結果は、はじめに第1工程で剤(a)をケラチン物質に塗布し、第2工程で剤(b)を塗布した場合に得られた。
【0378】
したがって、かなり特に好ましいのは、ケラチン物質を処理するための方法、特にケラチン物質(特にヒトの毛髪)を着色するための方法であって、示された順序で以下の工程:
・第1工程において、ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、ここで該剤は(a):
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物、
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール、および、
(a4)25重量%以下の水を含む、
ならびに
・第2工程において、ケラチン物質に剤(b)を塗布する工程、ここで剤(b)は
(b1)少なくとも1つのシーリング剤を含む、
を含み、
ここで、剤(a)および(b)の少なくとも一方は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含む方法である。
【0379】
さらに、より長い期間にわたって、染色されたケラチン物質に対して高い耐浸出性を付与するために、剤(a)および(b)は、特に好ましくは1つの同じ染色工程内で塗布される。これは、剤(a)および(b)の塗布の間に最大数時間の期間が存在することを意味する。
【0380】
さらなる好ましい実施形態において、本方法は、最初に剤(a)を塗布し、その後剤(b)を塗布し、剤(a)の塗布と剤(b)の塗布の間の時間が、最大24時間、好ましくは最大12時間、特に好ましくは最大6時間であることを特徴とする。
【0381】
剤(a)の際立った特徴は、剤(a)が少なくとも1つの反応性有機ケイ素化合物(a1)を含有することである。反応性有機ケイ素化合物(a1)は、オリゴマー化またはポリマー化反応を起こし、これにより毛髪と接触するとすぐに毛髪表面を官能化する。このようにして、第1のフィルムが形成される。本方法の第2工程では、今度は、第2剤(b)を毛髪に塗布する。シーリング剤(b1)として少なくとも1つのフィルム形成ポリマーを含む剤(b)の塗布の間、シーリング剤(b1)はシランフィルムと相互作用し、これによりケラチン物質と結合する。シーリング剤(b1)として少なくとも1つのアルカリ化剤または酸性化剤を含む剤(b)の塗布の間、シランフィルムの形成は好影響を与えられる。ケラチン物質の所望の着色は、剤(a)および/または剤(b)中の着色化合物を用いて達成される。着色は、着色されたシランフィルム(着色化合物は剤(a)のみに含まれる)、着色されたポリマーフィルム(着色化合物は剤(b)のみに含まれ、剤(b)はシーリング剤(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む)、または着色されたシランフィルムおよび着色されたポリマーフィルム(剤(a)および(b)はそれぞれ少なくとも1つの着色化合物を含み、剤(b)はシーリング剤(b1)としてフィルム形成ポリマーを含む)によって達成され得る。
【0382】
さらなる実施形態の文脈において、示された順序での以下の工程:
(1) ケラチン物質に剤(a)を塗布する工程、
(2) 10秒~10分間、好ましくは10秒~5分間、剤(a)を作用させる工程、
(3) 必要に応じて、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(4) ケラチン物質上に剤(b)を塗布する工程、
(5) 30秒~30分間、好ましくは30秒~10分間、剤(b)を作用させる工程、
(6) ケラチン物質を水ですすぐ工程
を含む方法が非常に特に好ましい。
【0383】
本方法の工程(3)および(6)において、ケラチン物質を水ですすぐことは、本発明によれば、すすぎ工程に水のみを使用し、剤(a)および(b)以外の他の剤を使用しないことを意味すると理解される。
【0384】
工程(1)において、まず剤(a)をケラチン物質、特にヒトの毛髪に塗布する。
【0385】
塗布後、剤(a)は、ケラチン物質に作用するように放置される。これに関して、10秒~10分、好ましくは20秒~5分、特に好ましくは30秒~2分の毛髪への塗布時間が特に有益であると証明された。
【0386】
本方法の好ましい実施形態において、後続の工程で剤(b)を毛髪に塗布する前に、今度は剤(a)をケラチン物質からすすぐことができる。
【0387】
まだ剤(a)に曝露されているケラチン物質に剤(b)を塗布した場合、同様に良好な洗浄堅牢性を有する染色が得られた。
【0388】
工程(4)では、今度はケラチン物質に剤(b)を塗布する。塗布後、剤(b)を毛髪に作用させる。
【0389】
剤(b)の接触時間が短くても、本方法により、特に優れた強度および洗浄堅牢性を有する染色を生じることができる。毛髪への塗布時間は、10秒~10分、好ましくは20秒~5分、最も好ましくは30秒~3分が特に有益であると証明された。
【0390】
工程(6)において、今度は、剤(b)(および任意にまだ存在する剤(a))をケラチン物質から水ですすぐ。
【0391】
この実施形態では、工程順(1)~(6)は、好ましくは24時間以内に行われる。
【0392】
剤(a)は、有機ケイ素化合物と共に、使用時に加水分解またはオリゴマー化および/またはポリマー化を起こし得る高反応性化合物のクラスを含む。その高い反応性の結果として、これらの有機ケイ素化合物は、ケラチン物質上にフィルムを形成する。
【0393】
早期のオリゴマー化またはポリマー化を避けるために、塗布直前に即用剤(a)を調製することは、ユーザーにとってかなりの利点である。
【0394】
さらに別の実施形態において、好ましいのは、示された順序で以下の工程:
(1)第1剤(a’)と第2剤(a’’)との混合により、剤(a)の全重量に基づいて、最大25重量%の含水量を有する剤(a)を調製する工程、
- 第1剤(a’)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含み、かつ
- 第2剤(a’’)は、繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類(a2)、少なくとも1つのポリオール(a3)、水(a4)、および、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む、
(2)ケラチン物質上に剤(a)を塗布する工程、
(3)10秒~10分間、好ましくは10秒~5分間、剤(a)を作用させる工程、
(4)必要に応じて、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(5)ケラチン物質上に剤(b)を塗布する工程、
(6)30秒~30分間、好ましくは30秒~10分間、剤(b)を作用させる工程、
(7)ケラチン物質を水ですすぐ工程
を含む方法である。
【0395】
保存中に可能な限り安定な製剤を提供できるために、剤(a’)自体は、好ましくは低水分または水を含まないように調製される。
【0396】
好ましい実施形態において、方法は、剤(a’)が、剤(a’)の全重量に基づいて、0.001~10重量%、好ましくは0.5~9重量%、より好ましくは1~8重量%、非常に特に好ましくは1.5~7重量%の含水量を含むことを特徴とする。
【0397】
剤(a’’)は、水を含んでよい。剤(a’’)の含水量は、剤(a’)と(a’’)との混合により形成される剤(a)中の含水量が、剤(a)の全重量に基づいて、最大25重量%であるように選択される。
【0398】
この実施形態内では、即用剤(a)は、剤(a’)と(a’’)との混合により調製される。
【0399】
例えば、ユーザーは、まず、有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a’)を剤(a’’)と撹拌または振とうしてよい。次に、ユーザーは、この(a’)と(a’’)との混合物を、その調製直後または10秒~30分の短い反応時間後のいずれかにケラチン物質に塗布できる。その後、ユーザーは上記のように、剤(b)を塗布できる。
【0400】
本方法は、ラメラ金属基材プレートレット系顔料、レンチキュラー金属基材プレートレット系顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレット系顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む顔料および/または直接染料からなる群から選択される着色化合物を含む剤(a’’’)をさらに用いることが好ましい場合がある。
【0401】
好ましい実施形態において、方法は、剤(a’’’)が、ラメラ金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、「真空金属化顔料」(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含むことを特徴とする。
【0402】
さらなる実施形態の文脈において、特に好ましいのは、示された順序で以下の工程:
(1)第1剤(a’)、第2剤(a’’)および第3剤(a’’’)の混合により、剤(a)の全重量に基づいて、最大25重量%の含水量を有する剤(a)を調製する工程、ここで、
- 第1剤(a’)は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、
- 第2剤(a’’)は、繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類(a2)、少なくとも1つのポリオール(a3)、水(a4)、および、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む、かつ
- 第3剤(a’’’)は、ラメラ金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、「真空金属化顔料」(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む、
(2)ケラチン物質上に剤(a)を塗布する工程、
(3)10秒~10分間、好ましくは10秒~5分間、剤(a)を作用させる工程、
(4)必要に応じて、ケラチン物質を水ですすぐ工程、
(5)ケラチン物質上に剤(b)を塗布する工程、
(6)30秒~30分間、好ましくは30秒~10分間、剤(b)を作用させる工程、
(7)ケラチン物質を水ですすぐ工程
を含む方法である。
【0403】
この実施形態内では、即用剤(a)は、剤(a’)、剤(a’’)および剤(a’’’)の混合によって調製される。
【0404】
また、本実施形態では、剤(a’’)の含水量は、剤(a’)、(a’’)および(a’’’)の混合により形成される剤(a)中の含水量が、剤(a)の全重量に基づいて、最大25重量%であるように選択される。剤(a’’’)は、好ましくは低水分、より好ましくは無水分で調製される。
【0405】
例えば、ユーザーはまず、剤(a’’)と金属顔料剤(a’’’)とを混合または振とうし、次に、得られた混合物を、有機ケイ素化合物(a1)を含む剤(a’)と混合または振とうしてよい。ユーザーはここで、この(a’)、(a’’)および(a’’’)の混合物を、その調製後直ちに、または10秒~20分の短い反応時間後に、ケラチン物質に塗布できる。その後、ユーザーは上記の通りに、剤(b)を塗布できる。
【0406】
<多成分包装ユニット(部材キット)>
ユーザーの利便性を高めるため、好ましくは、ユーザーは全ての必要な剤を多成分包装ユニット(部材キット)の形で提供される。
【0407】
したがって、本発明の第2の主題は、以下:
- 剤(a’)を含む第1容器、ここで該剤は(a’):
(a1)1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランからなる群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物を含む、および
- 剤(a’’)を含む第2容器、ここで該剤は(a’’):
(a2)アルギン酸および/またはその塩を含む、ならびに
- 剤(b)を含む第3容器、ここで該剤は(b):
(b1)少なくとも1つのシーリング剤を含む
が互いに別々に包括的に包装された、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(部材キット)であり、
ここで、成分(a1)、(a2)および(b1)は、上記で詳細に開示されており、剤(a’’)および(b)の少なくとも一方は、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含む。
【0408】
キットの剤(a’)に含まれる1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる有機ケイ素化合物(a1)は、先に記載した方法の剤(a)においても使用された有機ケイ素化合物(a1)に対応する。
【0409】
キットの剤(a’’)に含まれるアルギン酸および/またはその塩(a2)は、先に記載した方法の剤(a)において使用されたアルギン酸および/またはその塩(a2)に対応する。
【0410】
キットの剤(b)に含まれるシーリング剤(b1)は、先に記載した方法の剤(b)において使用されたシーリング剤(b1)と同じものである。
【0411】
さらなる実施形態の文脈において、ケラチン物質を着色するための多成分包装ユニット(部材キット)は、好ましくは、以下:
- 剤(a’)を含む第1容器、ここで該剤は(a’):
1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から選択される少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、および
- 剤(a’’)を含む第2容器、ここで該剤は(a’’):
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール(a3)、
(a4)水と、有機顔料を含む顔料および/または直接染料からなる群から選択される着色化合物と水とを含む、
ならびに
- 剤(b)を含む第3容器、ここで該剤は(b):
(b1)少なくとも1つのシーリング剤を含む、
が互いに別々に包装され、
ここで、成分(a1)、(a2)および(b1)は、上記で詳細に開示されている。
【0412】
さらなる別の実施形態の文脈において、好ましいのは、別々に調製された以下を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(部材キット)である:
- 剤(a’)を含む第1容器、ここで該剤は(a’):
1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、および
- 剤(a’’)を含む第2容器、ここで該剤は(a’’):
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール(a3)、
(a4)水、および、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む、
- 剤(b)を含む第3容器、ここで該剤は(b):
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング剤、および
顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物をさらに含む、
ここで、成分(a1)、(a2)および(b1)は、上記で詳細に開示されている。
【0413】
さらなる別の実施形態の文脈において、好ましいのは、別々に調製された以下を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(部材キット)である:
- 剤(a’)を含む第1容器、ここで該剤は(a’):
1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、および
- 剤(a’’)を含む第2容器、ここで剤は(a’’):
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール(a3)、
(a4)水、および、有機顔料を含む顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む、
- 剤(a’’’)を含む第3容器、ここで該剤は(a’’’):
ラメラ金属基材プレートレットに基づく顔料、レンチキュラー金属基材プレートレットに基づく顔料、真空金属化顔料(VMP)を含む金属基材プレートレットに基づく顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの顔料を含む、
- 剤(b)を含む第4容器、ここで該剤は(b):
(b1)少なくとも1つのシーリング剤を含む、
ここで、成分(a1)、(a2)、(a3)および(b1)は、上記で詳細に開示されている。
【0414】
特に、剤(b)が顔料および/または直接染料の群から選ばれる少なくとも1つの着色化合物を含む場合、2つの剤(b’)および(b’’)を混合することにより、即用剤(b)を調製することが有利な場合がある。この実施形態においては、シーリング剤(b1)、および、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物は、別々に調製される。
【0415】
このさらなる実施形態の文脈において好ましいのは、別々に調製された以下を含む、ケラチン物質を染色するための多成分包装ユニット(部材キット)である:
- 剤(a’)を含む第1容器、ここで該剤は(a’):
1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から選ばれる少なくとも1つの有機ケイ素化合物(a1)を含む、および
- 剤(a’’)を含む第2容器、ここで剤は(a’’):
(a2)繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類、
(a3)少なくとも1つのポリオール(a3)、
(a4)水、および、所望であれば、顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む、
- 剤(b’)を含む第3容器、ここで該剤は(b’):
(b1)フィルム形成ポリマーを含む少なくとも1つのシーリング剤を含む、
ならびに、
- 剤(b’’)を含む第4容器、ここで該剤は(b’’):
顔料および/または直接染料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物を含む、
ここで、成分(a1)、(a2)および(b1)は、上記で詳細に開示されている。
【0416】
上記実施形態において、剤(b’)および/または(b)が増粘剤をさらに含むことが好ましい場合がある。
【0417】
剤(b)が、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびこれらの混合物からなる群から選択される増粘剤を含む、部材キットがさらに好ましい。
【0418】
剤(a’’)および剤(b)がそれぞれ、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびそれらの混合物からなる群から選択される増粘剤を含む多成分部材キットも好ましい。
【0419】
多成分包装ユニットのさらに好ましい実施形態に関しては、本方法について述べたことが準用される。
【0420】
有機ケイ素化合物(a1)のオリゴマー化およびポリマー化反応は、剤(a’)および(a’’)を混合したとき、あるいは剤(a’)、(a’’)および(a’’’)を混合したときに既に開始される。
【0421】
有機ケイ素化合物(a1)のオリゴマー化およびポリマー化の速度、すなわちケラチン物質上にシランフィルムを形成する速度を塗布条件に合わせて最適に調整することは主な課題であることが証明された。
【0422】
例えばヒトの毛髪に塗布する場合、オリゴマー化およびポリマー化の速度が速すぎると、毛髪の全ての部分を処理する前にポリマー化が完了することになる。また、ポリマー化が速すぎると、全頭処理が不可能になる。染色工程では、過度に速いポリマー化は不均一な着色結果として現れるため、最後に処理された部分はただ不十分に着色される。
【0423】
一方、ポリマー化が遅すぎると、ケラチン物質のすべての領域を時間の圧迫なしに処理することができるが、これは塗布時間を増加させる。
【0424】
驚くべきことに、繰返し四糖単位を有するアニオン性の分岐多糖類(a2)と少なくとも1つのポリオール(a3)との組み合わせ、および、剤(a)中の含水量を剤(a)の全重量に基づいて、最大25重量%に制限することは、ケラチン物質に対する着色化合物の接着性の向上をもたらすだけでなく、有機ケイ素化合物(a1)の最適なオリゴマー化およびポリマー化速度ももたらすことが示された。
【実施例
【0425】
以下の調製物を製造した(特に断りのない限り、数値はすべて重量%である)。
【0426】
【表1】
【0427】
【表2】
【0428】
剤(a’)5gおよび剤(a’’)15gを混合することにより、即用剤(a)を調製した。アンモニアまたは乳酸を添加することにより、剤(a)のpH値を10.5に調整した。
【0429】
【表3】
【0430】
剤(a)を、1束の毛髪(Kerling社製、Euronatural hair white)へ一度に揉みこみ、1分間放置して作用させた。その後、剤(a)を水ですすいだ。
【0431】
その後、剤(b)を前記毛髪束に塗布し、5分間放置して作用させた後、同じく水ですすいだ。
【国際調査報告】