(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-29
(54)【発明の名称】抵抗変化型メモリ(RERAM)セルの金属-絶縁体-金属(MIM)スタックのその場封止
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230522BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230522BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20230522BHJP
H10B 63/00 20230101ALI20230522BHJP
H10N 70/20 20230101ALI20230522BHJP
H05H 1/46 20060101ALI20230522BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L21/302 104Z
H01L21/31 C
H01L21/205
H10B63/00
H10N70/20
H05H1/46 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022561036
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 US2021023856
(87)【国際公開番号】W WO2021206908
(87)【国際公開日】2021-10-14
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ラトカー-リー,ケイティ
(72)【発明者】
【氏名】ラリー,アンジェリーク
(72)【発明者】
【氏名】トリヨソ,ディーナ
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
5F045
5F083
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA05
2G084BB12
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC14
2G084CC15
2G084CC33
2G084DD38
2G084DD55
5F004BD04
5F004BD07
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5F083FZ10
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5F083JA39
5F083JA40
5F083JA60
5F083PR03
5F083PR21
(57)【要約】
RERAMセルの金属-絶縁体-金属(MIM)スタックの酸素含有量制御を向上させつつスループットも維持する方法が本明細書に提供される。より具体的には、RERAMセルのメモリセル誘電体の酸素含有量を制御するために、RERAMセルのMIMスタックをエッチングし、封止するための単一チャンバソリューションが本明細書に提供される。一実施形態によれば、MIMスタックをエッチングするために使用した処理チャンバ内に基板が留まっている間に酸素非含有誘電体封止層をMIMスタック上にその場で堆積させる。同じ処理チャンバ内でMIMスタックをエッチングし、封止層を堆積させることにより、本明細書に記載される技術は、メモリセル誘電体の酸素への暴露を最小限にしつつ、スループットを維持する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗変化型メモリ(RERAM)を形成する方法であって、
第1の電極層を形成することと、
メモリセル誘電体層を形成することと、
第2の電極層を形成することであって、前記メモリセル誘電体層は、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に配置される、ことと、
1つ以上のRERAMセルの1つ以上の金属-絶縁体-金属(MIM)スタックを形成するために、前記第1の電極層、前記メモリセル誘電体層、及び前記第2の電極層をエッチングすることであって、当該エッチングは、少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施される、ことと、
前記1つ以上のMIMスタック及び周囲表面上に封止層を堆積させることであって、当該堆積は、前記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施される、ことと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記メモリセル誘電体層は、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ハフニウムジルコニウム(HfZrO)、酸化タンタル(TaOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、又は酸化チタン(TiOx)、及びこれらの混合物からなる群から選択される金属酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記封止層は、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化物(ON)、又は酸窒化ケイ素(SiON)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記封止層は有機材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記堆積は、前記1つ以上のMIMスタック及び前記周囲表面上に前記封止層を堆積させるために、前記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバに1種以上の前駆体を供給することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記1種以上のケイ素前駆体は、ケイ素含有ガスを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記1種以上のケイ素前駆体は、四塩化ケイ素(SiCl
4)及び四フッ化ケイ素(SiF
4)からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のMIMスタック及び前記周囲表面の水平面から前記封止層を除去するためにスペーサエッチングプロセスを実施することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記スペーサエッチングは、前記第1の電極層、前記メモリセル誘電体層、及び前記第2の電極層のエッチング後に残った任意のエッチング副産物も除去する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
スペーサエッチングプロセスの前記実施は、前記1つ以上のMIMスタック及び前記周囲表面の前記水平面から前記封止層を除去するために、前記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で無酸素プラズマエッチング化学物質を使用することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
封止層の前記堆積は、前記MIMスタックの側壁上に前記封止層を残すことにより、前記1つ以上のMIMスタック及び前記周囲表面の前記水平面から前記封止層を除去するときの、前記メモリセル誘電体層への酸素の侵入を阻止する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
抵抗変化型メモリ(RERAM)を形成する方法であって、
第1の電極層を形成することと、
メモリセル誘電体層を形成することと、
第2の電極層を形成することであって、前記メモリセル誘電体層は、前記第1の電極層と前記第2の電極層との間に配置される、ことと、
1つ以上のRERAMセルの1つ以上の金属-絶縁体-金属(MIM)スタックを形成するために、前記第1の電極層、前記メモリセル誘電体層、及び前記第2の電極層をエッチングすることであって、当該エッチングは、少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施される、ことと、
前記1つ以上のMIMスタック及び周囲表面上に封止層を堆積させることであって、当該堆積は、前記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施される、ことと、
前記1つ以上のMIMスタック及び前記周囲表面の頂面から前記封止層を除去することであって、当該除去は、前記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施される、ことと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記メモリセル誘電体層は、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ハフニウムジルコニウム(HfZrO)、酸化タンタル(TaOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、又は酸化チタン(TiOx)、及びこれらの混合物からなる群から選択される金属酸化物を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記封止層は、ケイ素(Si)又は窒化ケイ素(SiN)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記封止層は、酸窒化物(ON)又は酸窒化ケイ素(SiON)を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記堆積は、前記1つ以上のMIMスタック及び前記周囲表面上に前記封止層を堆積させるために、前記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバに1種以上のケイ素前駆体を供給することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記1種以上のケイ素前駆体は、ケイ素含有ガスを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記1種以上のケイ素前駆体は、四塩化ケイ素(SiCl
4)及び四フッ化ケイ素(SiF
4)からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記1種以上のケイ素前駆体は、四塩化ケイ素(SiCl
4)を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記除去は、前記1つ以上のMIMスタック及び前記周囲表面の前記頂面から前記封止層を除去するために、前記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で無酸素プラズマエッチング化学物質を使用することを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2020年4月7日に出願された「In-situ Encapsulation of Metal-Insulator-Metal (MIM) stacks for Resistive Random Access Memory (RERAM) Cells」という名称の米国仮特許出願第63/006,437号の優先権を主張するものであり、同出願の開示の全体が参照によって本明細書に明示的に援用される。
【背景技術】
【0002】
本開示は、基板の処理に関する。特に、本開示は、基板上の層をエッチングする方法を提供する。
【0003】
抵抗変化型メモリ(RRAM又はRERAM)は、上部電極とメモリセル誘電体と下部電極とを含む金属-絶縁体-金属(MIM)スタックを含む不揮発性ランダムアクセスメモリの一種である。RERAMセルは、メモリセル誘電体の抵抗を変化させることにより動作するため、MIMスタック内に用いられる誘電材料の抵抗特性がRERAMセルの性能に多大な影響を及ぼす。
【0004】
RERAMセルに使用されるメモリセル誘電体は、典型的には、酸化ハフニウム(HfO2)などのhigh-k(高誘電率)誘電材料で実装される。一部のhigh-k誘電材料においては、誘電材料中の酸素空孔が、メモリセル誘電体に所望の抵抗をもたらす重要な因子である。あいにく、様々な基板処理工程がメモリセル誘電体中の酸素空孔の制御に影響を及ぼすことが知られている。例えば、MIMスタックのエッチング後、メモリセル誘電体は、メモリセル誘電体の酸素含有量、したがって、RERAMセルの抵抗特性が変化しやすい。したがって、例えば、メモリセル誘電体の酸素含有量を制御するために、メモリセル誘電体に酸素が侵入するのを避けるように注意を払うべきである。
【0005】
メモリセル誘電体の酸素含有量を制御するための1つの技法は、MIMスタックがエッチングされた後に酸素非含有誘電材料でMIMスタックを封止することである。例えば、MIMスタックは、後の処理工程中にメモリセル誘電体に酸素が侵入するのを避けるために、窒化ケイ素(SiN)誘電体層又は他の酸素非含有誘電材料内に封止され得る。
【0006】
図1A~
図1Eは、RERAMセルの少なくとも一部分を形成するための従来のプロセスフローを示す。特に、
図1A~
図1Eは、RERAMセルの金属-絶縁体-金属(MIM)スタックを形成するための従来のプロセスフローを示す。
図1Aに示されるように、RERAMセルは、1つ以上の下地層105上に下部電極110層、メモリセル誘電体115層、及び上部電極120層を形成することによって作製され得る。メモリセル誘電体115層は、high-k誘電材料(例えば、HfO
2)で実装され得る。上部電極120層及び下部電極110層は、バリア金属材料(例えば、TiN)で実装され得る。以下により詳細に説明するように、上部電極120層、メモリセル誘電体115層、及び下部電極110層は、1つ以上のRERAMセルのMIMスタック100を形成するために、後にエッチングされ得る。
【0007】
下地層105は、RERAMセルを形成するために典型的に使用される任意の数及び/又は種類の層及び/又は構造を含み得る。例えば、下地層105は、RERAMセルのソース領域/ドレイン領域を含む基板上に形成された1つ以上のRERAMセルゲートを含み得る。下地層105は、基板上に形成された1つ以上の誘電体層、及び後に形成されるMIMスタック100と上を覆う金属層(図示せず)とをRERAMセルのソース領域/ドレイン領域に接続する1つ以上の導電性プラグなどの他の層も含み得る。
【0008】
図1Cに示すようなMIMスタック100のエッチングに先だって、上部電極120層上に、有機平坦化層(OPL)125、反射防止コーティング(ARC)層130、及びパターニング層140が周知の半導体処理工程を用いて形成され得る。パターニング層140は、MIMスタック形成のためにパターニングされたフォトレジスト層及び/又はハードマスク層を含み得る。しかしながら、MIMスタック100をエッチングするためのパターンを形成するために、任意の多種多様な技術が利用され得ることは理解されるであろう。パターニング層140が形成されると、
図1Aに示される構造は、1つ以上のRERAMセルのMIMスタック100を形成するためにエッチングされ得る。
【0009】
図1B~
図1Eは、1つのRERAMセルのMIMスタック100を形成するために、
図1Aに示される構造の部分150をエッチングするための例示的なプロセスフロー工程を示す。
図1Aに示される構造は、MIMスタック100をエッチングするために、エッチングチャンバ内に配置され得る。MIMスタック100を形成するために使用されるエッチングプロセスは、概して、1つ以上のエッチングプロセス工程として実施され得る。
【0010】
後の基板処理工程中におけるメモリセル誘電体115への酸素の侵入を阻止するために、上部電極120、メモリセル誘電体115、及び下部電極110は、例えば窒化ケイ素(SiN)などの酸素非含有誘電材料層で封止され得る。
図1Dに示されるプロセス工程において、エッチングされたMIMスタック100(
図1C)を含む構造は、MIMスタック100及び周囲表面上に封止層145を堆積させるために、別の処理チャンバ(例えば、堆積チャンバ)に移される。封止層145は、概して、酸素非含有誘電材料(例えば、SiN)を含み得る。封止層145が堆積されると、封止されたMIMスタック100(
図1D)を含む構造は、
図1Eに示されるような、MIMスタック100及び周囲表面の頂面から封止層145を除去するための更なるエッチングプロセス(例えば、スペーサエッチング)を実施することができるように、エッチングチャンバに再び移され得る。スペーサエッチングを実施するために使用されるエッチングプロセスは、概して、1つ以上のエッチングプロセス工程として実施され得る。スペーサエッチングを使用することにより、封止層は、MIMスタック100の側壁上に残されたままになるが、MIMスタック100の頂部及び下地層105の頂部からは除去される。
【0011】
図1A~
図1Eに示される従来のRERAMプロセスフローでは、エッチングされたMIMスタック100を含む構造は、酸素非含有誘電材料を含む封止層145で封止するために、エッチングチャンバから堆積チャンバに移される。封止層145が堆積されると、封止されたMIMスタック100を含む構造は、更なる処理のために、同じ又は異なるエッチングチャンバに戻される。このプロセスフローでは、複数のプロセスチャンバへの出入りを必要とすることによりスループットが低下するとともに、メモリセル誘電体が酸素に曝されてしまい得る。
【0012】
メモリセル誘電体の酸素への暴露を最小限に抑えつつスループットも維持する、RERAMセルのMIMスタックを形成するための改善されたプロセスを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0013】
RERAMセルの金属-絶縁体-金属(MIM)スタックの酸素含有量制御を向上させつつスループットも維持する方法が本明細書に提供される。より具体的には、RERAMセルのメモリセル誘電体の酸素含有量を制御するために、RERAMセルのMIMスタックをエッチングし、封止するための単一チャンバソリューションが本明細書に提供される。一実施形態によれば、MIMスタックをエッチングするために使用した処理チャンバ内に基板が留まっている間に酸素非含有誘電体封止層をMIMスタック上にその場で堆積させる。同じ処理チャンバ内でMIMスタックをエッチングし、封止層を堆積させることにより、本明細書に記載される技術は、メモリセル誘電体の酸素への暴露を最小限にしつつ、スループットを維持する。
【0014】
第1の方法では、抵抗変化型メモリ(RERAM)を形成する方法が提供される。第1の方法は、第1の電極層を形成することと、メモリセル誘電体層を形成することと、第2の電極層を形成することであって、メモリセル誘電体層は、第1の電極層と第2の電極層との間に配置される、こととを含み得る。本方法は、1つ以上のRERAMセルの1つ以上の金属-絶縁体-金属(MIM)スタックを形成するために、第1の電極層、メモリセル誘電体層、及び第2の電極層をエッチングすることであって、当該エッチングは、少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施される、ことと、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面上に封止層を堆積させることであって、当該堆積は、少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施される、こととを更に含む。
【0015】
第1の方法の一実施形態では、メモリセル誘電体層は、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ハフニウムジルコニウム(HfZrO)、酸化タンタル(TaOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、又は酸化チタン(TiOx)、及びこれらの混合物を含む群から選択される金属酸化物を含む。別の実施形態では、封止層は、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化物(ON)、又は酸窒化ケイ素(SiON)を含む。別の実施形態では、封止層は有機材料を含む。
【0016】
第1の方法の更に別の実施形態では、前記堆積は、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面上に封止層を堆積させるために、少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバに1種以上の前駆体を供給することを含む。一実施形態では、1種以上のケイ素前駆体は、ケイ素含有ガスを含む。更なる特定の実施形態では、1種以上のケイ素前駆体は、四塩化ケイ素(SiCl4)及び四フッ化ケイ素(SiF4)を含む群から選択される。
【0017】
第1の方法の別の実施形態では、方法は、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面の水平面から封止層を除去するためにスペーサエッチングプロセスを実施することを更に含む。一実施形態では、スペーサエッチングは、第1の電極層、メモリセル誘電体層、及び第2の電極層のエッチング後に残った任意のエッチング副産物も除去する。別の実施形態では、スペーサエッチングプロセスの前記実施は、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面の水平面から封止層を除去するために、少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で無酸素プラズマエッチング化学物質を使用することを含む。更に別の実施形態では、封止層の前記堆積は、MIMスタックの側壁上に封止層を残すことにより、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面の水平面から封止層を除去するときの、メモリセル誘電体層への酸素の侵入を阻止する。
【0018】
第2の方法では、抵抗変化型メモリ(RERAM)を形成する方法が提供される。第2の方法は、第1の電極層を形成することと、メモリセル誘電体層を形成することと、第2の電極層を形成することであって、メモリセル誘電体層は、第1の電極層と第2の電極層との間に配置される、こととを含み得る。本方法は、1つ以上のRERAMセルの1つ以上の金属-絶縁体-金属(MIM)スタックを形成するために、第1の電極層、メモリセル誘電体層、及び第2の電極層をエッチングすることであって、当該エッチングは、少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施される、ことを更に含む。第2の方法はまた、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面上に封止層を堆積させることであって、当該堆積は、少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施される、ことを含む。更に、第2の方法は、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面の頂面から封止層を除去することであって、当該除去は、少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施される、ことを含む。上記した第1の方法の各種実施形態は、第2の方法の実施形態としても用いられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
同様の参照番号が同様の特徴を示す添付の図面と併せて解釈される以下の説明を参照することにより、本発明及びその利点のより完全な理解を得ることができる。しかしながら、添付の図面は、開示される概念の例示的な実施形態のみを示すものであり、したがって、範囲を限定するものとはみなされず、開示される概念は、他の同等に有効な実施形態も許容することができることに留意されたい。
【0020】
【
図1A】
図1A~
図1E(先行技術)は、RERAMセルのMIMスタックを形成するための従来のプロセスフローを示す。
【
図1B】
図1A~
図1E(先行技術)は、RERAMセルのMIMスタックを形成するための従来のプロセスフローを示す。
【
図1C】
図1A~
図1E(先行技術)は、RERAMセルのMIMスタックを形成するための従来のプロセスフローを示す。
【
図1D】
図1A~
図1E(先行技術)は、RERAMセルのMIMスタックを形成するための従来のプロセスフローを示す。
【
図1E】
図1A~
図1E(先行技術)は、RERAMセルのMIMスタックを形成するための従来のプロセスフローを示す。
【
図2A】
図2A~
図2Cは、本明細書に開示される技術による、RERAMセルのMIMスタックを形成するための改良されたプロセスフローを示す。
【
図2B】
図2A~
図2Cは、本明細書に開示される技術による、RERAMセルのMIMスタックを形成するための改良されたプロセスフローを示す。
【
図2C】
図2A~
図2Cは、本明細書に開示される技術による、RERAMセルのMIMスタックを形成するための改良されたプロセスフローを示す。
【
図3】本明細書に開示される技術による、RERAMセルのMIMスタックを形成する方法の一実施形態を示す流れ図である。
【
図4】
図2A~
図2Cに示されるプロセスフロー及び
図3に示される方法が実施され得るプラズマ処理システム400の一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
RERAMセルの金属-絶縁体-金属(MIM)スタックの酸素含有量制御を向上させつつスループットも維持する方法が本明細書に提供される。より具体的には、RERAMセルのメモリセル誘電体の酸素含有量を制御するために、RERAMセルのMIMスタックをエッチングし、封止するための単一チャンバソリューションが本明細書に提供される。一実施形態によれば、MIMスタックをエッチングするために使用した処理チャンバ内に基板が留まっている間に酸素非含有誘電体封止層をMIMスタック上にその場で堆積させる。同じ処理チャンバ内でMIMスタックをエッチングし、封止層を堆積させることにより、本明細書に記載される技術は、メモリセル誘電体の酸素への暴露を最小限にしつつ、スループットを維持する。
【0022】
本明細書に記載される、RERAMセルの酸素含有量の完全性を保護するための技術は、広範なRERAMセル設計、RERAMメモリセル誘電体、RERAM封止誘電体、及びRERAMプロセスフローで用いられ得る。本明細書に示されるRERAMセル設計、RERAMメモリセル誘電体、RERAM封止誘電体、及びRERAMプロセスフローは例示に過ぎず、他の多くの代替物もなお、本明細書に記載される技術の利点を得られることを当業者であれば認識するであろうことは理解されるであろう。RERAMセルのMIMスタックを形成するための改良されたプロセスフローの一例が
図2に示されている。しかしながら、他のプロセスフローも用いられ得る。
【0023】
本明細書に記載される技術の実施に先だって、RERAMセルを形成するために使用される1つ以上の層が、多種多様な基板処理技術のいずれかを用いて基板上に設けられ、図示される構造が実現され得る。本明細書に開示される技術で用いられる基板は、材料をエッチングすることが望ましい任意の基板であり得る。例えば、一実施形態では、基板は、1つ以上の半導体処理層(これらは全て、共に基板を構成し得る)がその上に形成された半導体基板であり得る。一実施形態では、基板は、多種多様な構造及び層をもたらす複数の半導体処理工程(これらは全て、基板処理技術において周知である)が施された基板であり得る。一実施形態では、基板は、形成された様々な構造及び層を含む半導体ウェーハであり得る。
【0024】
図2A~
図2Cは、本明細書に記載される技術による、RERAMセルの金属-絶縁体-金属(MIM)スタックを形成するための改良されたプロセスフローの一例を示す。
図1A~
図1Eに示される従来のプロセスフローと同様に、
図2A~
図2Cは、1つのRERAMセルのMIMスタック200を形成するために、1つ以上の層がその上に形成された基板の部分250に対して実施され得る例示的なプロセス工程を示す。このような層の一例が
図2A~
図2Cに示されるが、MIMスタック層の上及び/又は下に追加的及び/若しくは代替的な層が形成された基板に対して本明細書に記載される技術がどのように実施され得るかを当業者であれば理解するであろう。
【0025】
図2Aに示されるように、1つ以上の下地層205上に下部電極210層、メモリセル誘電体215層、及び上部電極220層が形成される。上記のように、下地層205は、RERAMセルを形成するために典型的に使用される任意の数及び/又は種類の層及び/又は構造を含んでもよい。下地層205は、概して、1つ以上の半導体処理層がその上に形成された基板を含み得る。1つ以上のRERAMセルのソース領域/ドレイン領域は基板内に形成することができ、1つ以上のRERAMセルゲートは基板上の各ソース領域/ドレイン領域間に形成され得る。下地層205は、基板上に形成された1つ以上の誘電体層、及び後に形成されるMIMスタック200と上を覆う金属層(図示せず)とをRERAMセルのソース領域/ドレイン領域に接続する1つ以上の導電性プラグなどの他の層も含み得る。
【0026】
メモリセル誘電体215層は、high-k誘電材料で実装される。メモリセル誘電体215層に適したhigh-k誘電体の例としては、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)、任意のドープHfO2材料、酸化ハフニウムジルコニウム(HfZrO)、酸化タンタル(TaOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、酸化チタン(TiOx)、及びこれらの混合物などの金属酸化物が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な実施形態において、上部電極220層及び下部電極210層は、バリア金属材料(例えばTiNなど)で実装され得る。しかしながら、TiNは例示的な材料に過ぎず、例えば窒化タンタル、ルテニウムなどの他の電極材料が用いられ得ることは理解されるであろう。一例示的実施形態では、上部電極220層は、5~75nmのTiNを含み、メモリセル誘電体215層は、3~20nmのHfO2を含み、下部電極210層は、25~75nmのTiNを含む。
【0027】
特定の例を上述したが、当業者であれば、本明細書に記載される技術を実施中に、他の材料及び/又は層厚みをいかにして使用し、上部電極220層、メモリセル誘電体215層、及び/又は下部電極210層を形成することができるかを理解するであろう。以下により詳細に説明するように、上部電極220層、メモリセル誘電体215層、及び下部電極210層は、1つ以上のRERAMセルのMIMスタック200を形成するために、後にエッチングされ得る。
【0028】
MIMスタック200をエッチングする前に、1つ以上の上層が上部電極220層上に形成され得る。
図2に示される例示的な実施形態では、スタックをパターニングするために、有機平坦化層(OPL)225、反射防止コーティング(ARC)層230、及びパターニング層240が上部電極220層上に形成される。OPL225は、50~400nmを含み得るが、これに限定されない。ARC層230は、5~50nmを含み得るが、これに限定されない。ARC層230はまた、上にARC層を有する誘電体層、例えば上に下部ARC層を有する低温酸化物と置換され得る。パターニング層240は、パターニングされたフォトレジスト層、パターニングされたハードマスク層、又は別のパターニングされた層であり得る。OPL225、ARC層230、及びパターニング層240は、既知の半導体処理工程を利用して、そのような目的のために一般的に使用される様々な材料から形成されてもよい。パターニング層240が形成されると、
図2Aに示される層は、1つ以上のRERAMセルのMIMスタック200を形成するためにエッチングされ得る。
【0029】
MIMスタック200を形成するために使用されるエッチングプロセスは、1種以上のプラズマエッチング化学物質を使用して1つ以上のプラズマエッチングプロセス工程として実施され得る。更に、エッチングプロセスは、1つ以上のプラズマエッチングツール又はプラズマエッチングチャンバ内で実施され得る。1つの例示的な好ましい実施形態では、MIMスタック200のエッチングは、単一のプラズマエッチングチャンバ内で実施される。広範なプラズマエッチングツールがMIMスタック200をエッチングするために使用され得ることは理解されるであろう。例えば、プラズマエッチングツールは、誘導結合プラズマ(ICP)エッチングツール、容量結合プラズマ(CCP)エッチングツール、マイクロ波プラズマエッチングツール、又は他のエッチングツールであり得る。適切なプラズマエッチングツールの更なる例を、
図4を参照して以下に記載する。
【0030】
一例では、MIMスタック200をエッチングするために用いられるエッチングは、三塩化ホウ素(BCl3)、塩素(Cl2)、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、水素(H2)、二酸化硫黄(SO2)、酸素(O2)、三フッ化窒素(NF3)、六フッ化硫黄(SF6)、四フッ化炭素(CF4)、窒素(N2)などが挙げられるがこれらに限定されない様々なエッチングガスのいずれかを使用するプラズマエッチングであり得る。
【0031】
上部電極220層、メモリセル誘電体215層、及び下部電極210層がエッチングされてMIMスタック200が形成されると、MIMスタックは、封止層245で封止される。いくつかの実施形態では、封止層245は、例えばケイ素(Si)又は窒化ケイ素(SiN)などの酸素非含有誘電材料を含み得る。他の例示的な材料としては、有機ポリマー(例えば、プラズマチャンバ内で、例えばCH
4、C
4F
6、C
4F
8、CH
3Fなどの前駆体から作製されたものなど)が挙げられるが、これに限定されない。他の実施形態では、封止層245は、例えば酸窒化物(ON)、酸窒化ケイ素(SiON)、及び酸炭窒化ケイ素(SiOCN)などの酸素含有誘電材料を含み得る。
図2Bに示されるように、封止層245は、MIMスタック200及び下地層205の周囲表面上に堆積される。いくつかの実施形態では、2~50nmの範囲、更により好ましくは4~10nmの比較的薄い封止層245が堆積され得る。
【0032】
図2Bに示されるプロセス工程において、封止層245は、基板がプラズマエッチングチャンバ内に留まっている間に、MIMスタック200及び下地層205の周囲表面上にその場で堆積される。封止層245は、MIMスタックを酸素の侵入から保護する層を提供する。この保護は、後のプロセス工程で起こり得る酸素の侵入からの保護、及びまた、大気条件へのMIMスタックの暴露からもたらされ得る侵入からの保護を提供し得る。
【0033】
封止層245は、単一工程、複数工程、又は繰り返し工程で堆積されてもよい。いくつかの実施形態では、プラズマエッチングチャンバ内でMIMスタック200(及び周囲表面)上に封止層245を堆積させるために、1種以上のケイ素含有前駆体(例えば、四塩化ケイ素(SiCl4)、四フッ化ケイ素(SiF4)等など)が使用され得る。シラン、他の四ハロゲン化ケイ素等などの他のケイ素前駆体が使用されてもよい。一例示的実施形態では、窒化ケイ素(SiN)封止層245を堆積させるために、プラズマエッチングチャンバ内で四塩化ケイ素(SiCl4)前駆体が使用され得る。封止層は、例えば、酸窒化ケイ素(SiON)又はケイ素などであるがこれらに限定されない他の材料を含んでもよい。様々な堆積プロセスを使用して層を形成してもよく、一実施形態では、原子層堆積法が用いられ得る。原子層堆積法は、プラズマエッチングチャンバ内で実施され得る。
【0034】
プラズマエッチングチャンバ内での封止層245の堆積のために、例えば、ガスフロー(例えば、SiCl4、SiF4、H2、Ar、N2、He、Cl2など)、高周波(HF)/低周波(LF)パワー設定、連続波/パルスプラズマ、圧力設定、及びチャック温度を含む広範なパラメータが調整され得る。一例示的実施形態では、封止層245を堆積させるためのプロセス条件としては、3~50毎分標準立方センチメートル(SCCM)のSiCl4、0~250SCCMのH2、及び200~500SCCMのArのガスフロー;2~300ミリトール(mT)の圧力;200~1000WのHF/LFパワー設定;及び0~100℃のチャック温度が挙げられ得るが、これらに限定されない。本明細書で用いられる技術は、有利には、MIMスタックをエッチングしたものと同じプロセスチャンバを、堆積を実施するためにも利用する。したがって、封止層を生成するために用いられる特定の化学物質は、エッチングプロセスチャンバ内で利用可能な特定のガスに応じて異なり得る。したがって、堆積される特定の封止層(及びそのような堆積に使用されるプロセス)は、MIMスタックをエッチングするために使用した、エッチングチャンバ内で利用可能な特定のガスに依存し得ることは理解されるであろう。したがって、本開示の恩恵を受ける当業者であれば、MIMスタックのエッチング(及び利用する化学物質)を、特定の封止物堆積プロセス(及びそこで利用する化学物質)と協調させることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、封止層245の堆積物をより良くするために、任意の堆積後処理がプラズマエッチングチャンバ内においてその場で又は別の処理チャンバ内においてその場外(ex-situ)で実施され得る。封止層245を堆積させた後、例えば、封止層245をAr、N2、又はHeに暴露させるために、その場熱処理がプラズマエッチングチャンバ内で実施され得る。
【0036】
封止層245が堆積される(及び任意選択的に処理される)と、
図2Cに示されるように、MIMスタック200の頂面及び下地層205の周囲表面から封止層245を除去するために、更なるエッチングプロセス(例えばスペーサエッチング)がプラズマエッチングチャンバ内で実施され得る。スペーサエッチングを実施するために使用されるエッチングプロセスは、1種以上のプラズマエッチング化学物質を使用して1つ以上のプラズマエッチングプロセス工程として実施され得る。スペーサエッチングは、MIMスタックをエッチングし、封止層を堆積させるために利用したものと同じプロセスチャンバ内で実施され得る。或いは、スペーサエッチングは、異なるプロセスチャンバ内で実施されてもよい。スペーサエッチングは、OPL225のエッチング、ARC層230のエッチング、又はMIMスタック200のエッチングの残ったエッチング副産物も除去し得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、封止層245をエッチングするために使用されるエッチングレシピは、無酸素プラズマエッチング化学物質を含み得る。いくつかの実施形態では、無酸素プラズマエッチング化学物質は、ハイドロフルオロカーボン又はフルオロカーボン系のプラズマエッチング化学物質であり得る。一実施形態では、封止誘電体はSiNであり、スペーサエッチングに用いられるプラズマエッチング化学物質は、C4H9F、H2、及びArである。他のエッチング化学物質としては、Cl2、HBr、C4F8、CF4、C4F6、C4F8などが挙げられ得る。無酸素エッチング化学物質を用いて封止層245をエッチングすることにより、メモリセル誘電体215中の酸素空孔に対するスペーサエッチングの影響が最小限になる。
【0038】
いくつかの実施形態では、RERAMセル形成は、MIMスタック200の上及び周囲に1つ以上の誘電体層を形成し、誘電体層内にトレンチ(又はビア)を形成し、トレンチに導体を充填し、RERAMセルのMIMスタック200及びRERAMセルのソース領域/ドレイン領域とのコンタクトを形成することによって完了され得る。当技術分野で周知のように、他の処理工程も実施され得る。
【0039】
図3は、本明細書に開示される技術による、RERAMセルのMIMスタックを形成するために使用され得る方法300の一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、方法300は、第1の電極層を形成することができ(工程310)、メモリセル誘電体層を形成することができ(工程320)、第2の電極層を形成することができる(工程330)。メモリセル誘電体層は、第1の電極層と第2の電極層との間に配置される。工程320で形成されるメモリセル誘電体層は、概して、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ハフニウムジルコニウム(HfZrO)、酸化タンタル(TaOx)、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)、又は酸化チタン(TiOx)、及びこれらの混合物を含む群から選択される金属酸化物を含み得る。
【0040】
工程340において、方法300は、1つ以上のRERAMセルの1つ以上の金属-絶縁体-金属(MIM)スタックを形成するために、第1の電極層、メモリセル誘電体層、及び第2の電極層をエッチングする。上記のように、工程340で実施されるエッチングは、1種以上のプラズマエッチング化学物質を使用して少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で実施され得る。
【0041】
工程350において、方法300は、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面上に封止層を堆積させる。いくつかの実施形態では、工程350で実施される堆積は、エッチング工程340が実施されたものと同じプラズマエッチングチャンバ(すなわち、上記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ)内において、その場で実施され得る。いくつかの実施形態では、工程350において、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面上に封止層を堆積させるために、上記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバに1種以上のケイ素前駆体(四塩化ケイ素(SiCl4)又は四フッ化ケイ素(SiF4)など)が供給される。いくつかの実施形態では、工程350で堆積された封止層は、例えばケイ素(S)又は窒化ケイ素(SiN)などの酸素非含有誘電材料を含み得る。他の実施形態では、封止層は、例えば酸窒化物(ON)又は酸窒化ケイ素(SiON)などの酸素含有誘電材料を含み得る。
【0042】
工程360において、方法300は、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面の頂面から封止層を除去する。いくつかの実施形態では、工程360で実施される除去は、エッチング工程340及び堆積工程350が実施されたものと同じプラズマエッチングチャンバ(すなわち、上記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ)内において、その場で実施され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のMIMスタック及び周囲表面の頂面から封止層を除去するために、無酸素プラズマエッチング化学物質が上記少なくとも1つのプラズマエッチングチャンバ内で使用され得る。いくつかの実施形態では、無酸素プラズマエッチング化学物質は、ハイドロフルオロカーボン又はフルオロカーボン系のプラズマエッチング化学物質を含み得る。
【0043】
本明細書に記載される技術は、RERAMセルの酸素含有量制御を向上させつつスループットも維持する。より具体的には、本明細書に記載される技術は、後の基板処理中にメモリセル誘電体215への酸素の侵入を阻止する。
図1A~
図1Eに示される従来のプロセスフローと異なり、
図2A~
図2Cに示されるプロセスフロー及び
図3に示される方法工程においては、MIMスタック200をエッチングするために使用したプラズマエッチングチャンバ内に基板が留まっている間に封止層245をその場で堆積させることによりスループットが向上する。
【0044】
本明細書に記載される技術は、プラズマ処理システムを含む広範な処理設備内で利用され得ることに留意されたい。例えば、本技術は、プラズマエッチング処理システム、プラズマ堆積処理システム、他のプラズマ処理システム、及び/又は他の種類の処理システムで利用され得る。
【0045】
図4は、開示技術に関して使用され得るプラズマ処理システム400の一例示的実施形態を提供し、説明の目的のためにのみ提供される。プラズマ処理システム400は、容量結合プラズマ処理装置、誘導結合プラズマ処理装置、マイクロ波プラズマ処理装置、ラジアルラインスロットアンテナ(RLSATM)マイクロ波プラズマ処理装置、電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマ処理装置、又は他の種類の処理システム、又はシステムの組み合わせであり得る。したがって、本明細書に記載される技術が多種多様なプラズマ処理システムのいずれにも利用され得ることは当業者には理解されるであろう。
【0046】
プラズマ処理システム400は、エッチング、堆積、洗浄、プラズマ重合、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、原子層堆積法(ALD)、原子層エッチング(ALE)などを含むがこれらに限定されない多種多様な操作のために使用され得る。プラズマ処理システム400の構造は周知であり、本明細書に記載される特定の構造は例示の目的に過ぎない。本明細書に記載される技術を依然として利用しつつ、異なる及び/又は追加のプラズマプロセスシステムを実装することができることは理解されるであろう。
【0047】
図4をより詳しく見ると、プラズマ処理システム400はプロセスチャンバ405を含み得る。当技術分野で周知のように、プロセスチャンバ405は圧力制御チャンバであり得る。基板410(一例では半導体ウェーハ)がステージ又はチャック415上に保持され得る。図示されているように、上電極420及び下電極425が設けられ得る。上電極420は、上部整合ネットワーク455を介して上部高周波(RF)源430に電気的に接続され得る。上部RF源430は、上部周波数電圧435を上部周波数(f
U)で提供し得る。下電極425は、下部整合ネットワーク457を介して下部RF源440に電気的に接続され得る。下部RF源440は、下部周波数電圧445を下部周波数(f
L)で提供し得る。図示されていないが、当業者が知ることには、電圧はチャック415にも印加され得る。
【0048】
プラズマ処理システム400の構成要素は、制御ユニット470に接続され、制御ユニット470により制御され得る。制御ユニット470は更に、対応するメモリストレージユニット及びユーザインタフェース(全て不図示)に接続され得る。様々なプラズマ処理操作がユーザインタフェースを介して実行され得、様々なプラズマ処理レシピ及び操作がストレージユニットに格納され得る。したがって、所与の基板は、プラズマ処理チャンバ内で様々な微細加工技術を用いて処理され得る。制御ユニット470は、構成要素から入力を受け取り、構成要素に出力を提供するために、プラズマ処理システム400の様々な構成要素に結合され得ることは理解されるであろう。
【0049】
制御ユニット470は、多種多様な手法で実装され得る。例えば、制御ユニット470はコンピュータであってもよい。別の例では、制御ユニットは、本明細書に記載される機能を提供するようにプログラムされた1つ以上のプログラマブル集積回路を含み得る。例えば、1つ以上のプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理ユニットなど)、プログラマブルロジックデバイス(例えば、コンプレックスプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など)、及び/又は他のプログラマブル集積回路は、指示されたプラズマプロセスレシピの機能を実施するようにソフトウェア又は他のプログラミング命令でプログラムされ得る。更に、ソフトウェア又は他のプログラミング命令は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、メモリストレージデバイス、フラッシュメモリ、ダイナミックランダムアクセス(DRAM)メモリ、リプログラマブルストレージデバイス、ハードドライブ、フロッピーディスク(登録商標)、DVD、CD-ROMなど)、並びにプログラマブル集積回路によって実行されるとプログラマブル集積回路に本明細書に記載されるプロセス、機能、及び/若しくは性能を実施させるソフトウェア又は他のプログラミング命令に格納され得ることに留意されたい。他のバリエーションも実装され得る。
【0050】
動作時、プラズマ処理装置は、上部高周波(RF)源430及び下部RF源440からシステムに電力を印加すると、上電極及び下電極を使用してプロセスチャンバ405内にプラズマ460を発生させる。更に、当技術分野で周知のように、プラズマ460中に発生したイオンは基板410に引き付けられ得る。発生したプラズマは、プラズマエッチング及び堆積などであるがこれらに限定されない様々な種類の処理においてターゲット基板(基板410又は処理される任意の材料など)を処理するために使用され得る。
【0051】
電力を印加すると、上電極420と下電極425との間に高周波電界が発生する。プロセスチャンバ405に送られたプロセスガスは、その後、解離され、プラズマに変換され得る。
図4に示されるように、記載の例示的なシステムは、上部RF源と下部RF源の両方を用いる。例えば、例示的な容量結合プラズマシステムに関しては、約3MHz~150MHz以上の範囲の高周波電力を上部RF源430から印加することができ、約0.2MHz~40MHzの範囲の低周波電力を下部RF源から印加することができる。異なる動作範囲も使用することができる。更に、本明細書に記載される技術は他の様々なプラズマシステム内で利用され得ることは理解されるであろう。一例示的システムでは、RF源は切り換えられ得る(例えば、下電極で高周波数、上電極で低周波数)。更に、デュアル源システムは、単なる例示的なシステムとして示され、本明細書に記載される技術は、周波数電源が1つの電極のみに提供される、直流(DC)バイアス源が用いられる、又は他のシステム構成要素が用いられる他のシステムで利用され得ることは理解されるであろう。
【0052】
1つ以上の堆積プロセスを使用して、本明細書に記載される材料層の1つ以上を形成することができることに留意されたい。例えば、1つ以上の堆積は、化学気相成長法(CVD)、プラズマCVD(PECVD)、物理気相成長法(PVD)、原子層堆積法(ALD)、及び/又は他の堆積プロセスを使用して実施され得る。一例示的プラズマ堆積プロセスでは、様々な圧力、電力、流量、及び温度条件において、ケイ素含有ガス、炭化水素、フルオロカーボン、又は窒素含有炭化水素が挙げられるがこれらに限定されない前駆体ガス混合物が、1種以上の希釈ガス(例えば、アルゴン、窒素など)と組み合わせて使用され得る。更に、1つ以上のエッチングプロセスが、プラズマエッチングプロセス、放電エッチングプロセス、及び/又は他の所望のエッチングプロセスを使用して実施され得る。例えば、プラズマエッチングプロセスは、フルオロカーボン、酸素、窒素、水素、アルゴン、及び/又は他のガスを含むプラズマを使用して実施され得る。
【0053】
更に、プロセス工程の動作変数は、本明細書に記載される様々な堆積及び/又はエッチングプロセスを制御するために調整することができる。動作変数は、例えば、チャンバ温度、チャンバ圧力、ガスの流量、ガスの種類、プラズマの発生において電極アセンブリに印加される周波数及び/若しくは電力、並びに/又は処理工程の他の動作変数を含み得る。本明細書に記載される技術をなおも利用しつつ、バリエーションも実施され得る。
【0054】
本明細書全体を通じて、「一実施形態(one embodiment)」又は「一実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特徴、構造、材料、又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味するが、それらが全ての実施形態に存在することを示すものではないことに留意されたい。したがって、本明細書全体を通じて各所にある「一実施形態において(in one embodiment)」又は「一実施形態(in an embodiment)」の記述は、本発明の同一の実施形態を指すものではない。更に、特定の特徴、構造、材料、又は特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な手法で組み合わされ得る。別の実施形態では、様々な追加の層及び/又は構造が含まれてもよく、且つ/又は、説明した特徴が省略されてもよい。
【0055】
本明細書で使用される場合の「基板」という用語は、その上に材料が形成される基材又は構造を意味し、且つ包含する。基板は、単一材料、様々な材料の複数の層、様々な材料又は様々な構造の領域を有する1つ又は複数の層などを含み得ることは理解されるであろう。これらの材料は半導体、絶縁体、導体、又はそれらの組み合わせを含み得る。例えば、基板は、半導体基板、支持構造上のベース半導体層、金属電極、又は1つ以上の層、構造、若しくは領域がその上に形成された半導体基板であってよい。基板は、半導体材料の層を含む、従来のシリコン基板又は他のバルク基板であってよい。本明細書では、「バルク基板」という用語は、シリコンウェーハだけでなく、シリコンオンインシュレータ(「SOI」)基板(例えば、シリコンオンサファイア(「SOS」)基板及びシリコンオンガラス(「SOG」)基板)、ベース半導体を土台とした、シリコンのエピタキシャル層、及び他の半導体材料又は光電子材料(例えば、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ガリウムひ素、窒化ガリウム、及びリン化インジウム)も意味し、且つ包含する。基板は、ドープされていても、ドープされていなくてもよい。
【0056】
基板を処理するためのシステム及び方法が、様々な実施形態で説明されている。基板は、デバイス、特に半導体又は他の電子デバイスの任意の材料部分又は構造を含むことがあり、例えば半導体基板などのベース基板構造、又は薄膜などのベース基板構造上の若しくはそれに重なる層であり得る。したがって、基板は、特定のベース構造、下層又は上層、パターン付き又はパターンなしに限定されないものとされ、むしろ任意のそのような層若しくはベース構造並びに層及び/又はベース構造の任意の組み合わせを含むことが企図される。
【0057】
当業者であれば理解されるように、様々な実施形態が、具体的詳細のうちの1つ以上を伴わずに、或いは、他の代替的及び/若しくは追加的方法、材料、又は構成要素を伴って、実施されてよい。他の例では、周知の構造、材料又は操作は、本発明の様々な実施形態の態様を曖昧にすることを避けるために、詳細に図示されない又は説明されない。同様に、本発明の完全な理解を提供するために、説明の目的で、特定の数、材料、及び構成が示される。しかしながら、本発明は、具体的詳細がなくても実施可能である。更に、当然のことながら、図面に示された各種実施形態は説明的な表現であって、必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではない。
【0058】
記載されたシステム及び方法の更なる修正形態及び代替実施形態は、本明細書の観点から当業者には明らかであろう。したがって、記載されたシステム及び方法は、これらの例示的な構成によって限定されるものではないことは理解されるであろう。本明細書に図示され、記載されたシステム及び方法の形態は、例示的な実施形態と解釈されるべきであることは理解されるであろう。実装形態に様々な変更を施すことができる。したがって、本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書に記載されるが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を施すことができる。したがって、本明細書及び図は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきであり、そのような修正は本発明の範囲内に含まれるものとする。更に、特定の実施形態に関して本明細書に記載される任意の利益、利点、又は課題に対する解決策は、特許請求の範囲の一部又は全部に重要な、必要な、又は必須の特徴又は要素として解釈されることを意図するものではない。
【国際調査報告】