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特表2023-522821シリコーンゴム組成物およびシリコーンゴム被覆織物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-01
(54)【発明の名称】シリコーンゴム組成物およびシリコーンゴム被覆織物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/07 20060101AFI20230525BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20230525BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20230525BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20230525BHJP
   C08L 83/06 20060101ALI20230525BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20230525BHJP
   D06M 15/643 20060101ALI20230525BHJP
   D06M 11/79 20060101ALI20230525BHJP
   D06M 11/45 20060101ALI20230525BHJP
   D06M 13/513 20060101ALI20230525BHJP
   D06M 13/123 20060101ALI20230525BHJP
   D06M 13/292 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
C08L83/07
C08L83/05
C08K3/36
C08K5/54
C08L83/06
C08K3/22
D06M15/643
D06M11/79
D06M11/45
D06M13/513
D06M13/123
D06M13/292
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022552836
(86)(22)【出願日】2021-04-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2021016823
(87)【国際公開番号】W WO2021221064
(87)【国際公開日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2020080657
(32)【優先日】2020-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】719000328
【氏名又は名称】ダウ・東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 智子
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 裕二
【テーマコード(参考)】
4J002
4L031
4L033
【Fターム(参考)】
4J002CP043
4J002CP064
4J002CP141
4J002CP142
4J002DE149
4J002DJ016
4J002EE048
4J002EW047
4J002EX068
4J002FD137
4J002FD139
4J002FD158
4J002GK02
4L031AB32
4L031BA11
4L031BA20
4L031DA11
4L033AB05
4L033AC15
4L033BA09
4L033BA39
4L033BA96
4L033CA59
(57)【要約】
本発明のシリコーンゴム組成物は、(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン、(B)SiO4/2単位、R SiO1/2単位およびR SiO1/2単位(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1~12のアルキル基であり、Rは炭素原子数2~12のアルケニル基である。)からなり、アルケニル基を0.1~5.0質量%含有するレジン状オルガノポリシロキサン、(C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、(D)ヒドロシリル化反応触媒、(E)補強性シリカ微粉末、および(F)イントメッセント系難燃剤から少なくともなる。本組成物は、エアバッグ用基布等の織物に塗工した際、少ない塗工量でも、十分な難燃性を付与でき、さらに目開きを生じにくくすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)SiO4/2単位、R SiO1/2単位およびR SiO1/2単位(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1~12のアルキル基であり、Rは炭素原子数2~12のアルケニル基である)からなり、アルケニル基を0.1~5.0質量%含有するレジン状オルガノポリシロキサン 5~100質量部、
(C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン{(A)成分と(B)成分中のアルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子の量が0.5~10モルとなる量}、
(D)ヒドロシリル化反応触媒(本組成物の硬化を促進する量)、
(E)補強性シリカ微粉末 0.1~50質量部、および
(F)イントメッセント系難燃剤 5~30質量部
から少なくともなるシリコーンゴム組成物。
【請求項2】
さらに、(G)有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物{(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部}を含む、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項3】
さらに、(H)エポキシ基を含有するアルコキシシランおよび/またはメタクリル基もしくはアクリル基を含有するアルコキシシラン{(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部}を含む、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項4】
さらに、(I)シラノール基含有オルガノシロキサンオリゴマー{(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部}を含む、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項5】
さらに、(J)有機アルミニウム化合物{(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部}を含む、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項6】
さらに、(K)水酸化アルミニウム粉末{(A)成分100質量部に対して5~50質量部}を含む、請求項1に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項7】
織物被覆用である、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物。
【請求項8】
織物の表面に、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシリコーンゴム組成物を塗工し、該組成物を硬化してなるシリコーンゴム被覆織物。
【請求項9】
織物がエアバッグ用の基布である、請求項8に記載のシリコーンゴム被覆織物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーンゴム組成物、および該組成物を用いたシリコーンゴム被覆織物に関する。
【背景技術】
【0002】
エアバッグ用基布等の織物にシリコーンゴム組成物を塗工したシリコーンゴム被覆織物は、車両用エアバッグ等に使用されている。近年、エアバッグをコンパクトに収納するため、シリコーンゴム組成物の塗工量を減少させることが検討されている一方で、シリコーンゴム被覆織物の難燃性を向上させることも検討されている。
【0003】
シリコーンゴムの難燃性を向上させるため、例えば、特許文献1には、リンと窒素を両方とも含有する化合物より成る群の中から選択されたガス発生剤またはリン含有化合物と窒素含有化合物との混合物であるガス発生剤と、式:RSiO1/2(式中、Rは炭素数1~30の非置換または置換の炭化水素基から選択される同種あるいは異種の基である。)で示されるM単位と、式:SiO4/2で示されるQ単位とを主成分として含むシリコーン樹脂とからなる難燃性添加剤を建築用シーラントやLIMS等のゴム状組成物に添加し得ることが提案されており、特許文献2には、補強性シリカ微粉末、水酸化アルミニウムを含有し、溶剤およびレジン状オルガノポリシロキサンを含有しない織物被覆用液状シリコーンゴム組成物が提案されており、特許文献3には、オルガノポリシロキサンレジン、シリカ微粉末を含有するカーテンエアバッグ用液状シリコーンゴム組成物において、さらに、有機ホスファゼン化合物を配合することが提案されており、また、特許文献4には、ヒュームドシリカ、トリアゾール系化合物、およびリン酸エステル化合物を含有するシリコーンゴム組成物が提案されている。
【0004】
しかし、このようなシリコーンゴム組成物では、シリコーンゴム組成物の塗工量を減少させることが難しかったり、シリコーンゴム被覆織物の難燃性が十分でなかったりと、両方を満足させることができないという課題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-226034号公報
【特許文献2】特開2010-053493号公報
【特許文献3】特開2014-136722号公報
【特許文献4】特開2016-094514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、エアバッグ用基布等の織物に塗工した際、少ない塗工量でも、十分な難燃性を付与でき、さらに目開きを生じにくくすることのできるシリコーンゴム組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、難燃性が優れ、大きな張力がかかっても目開きが生じにくいシリコーンゴム被覆織物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシリコーンゴム組成物は、
(A)一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)SiO4/2単位、R SiO1/2単位およびR SiO1/2単位(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1~12のアルキル基であり、Rは炭素原子数2~12のアルケニル基である。)からなり、アルケニル基を0.1~5.0質量%含有するレジン状オルガノポリシロキサン 5~100質量部、
(C)一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン{(A)成分と(B)成分中のアルケニル基1モルに対して、本成分中のケイ素原子結合水素原子の量が0.5~10モルとなる量}、
(D)ヒドロシリル化反応触媒(本組成物の硬化を促進する量)、
(E)補強性シリカ微粉末 0.1~50質量部、および
(F)イントメッセント系難燃剤 5~30質量部
から少なくともなることを特徴とする。
【0008】
本組成物は、さらに、(G)有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物{(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部}、(H)エポキシ基を含有するアルコキシシランおよび/またはメタクリル基もしくはアクリル基を含有するアルコキシシラン{(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部}、(I)シラノール基含有オルガノシロキサンオリゴマー{(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部}、(J)有機アルミニウム化合物{(A)成分100質量部に対して0.01~10質量部}あるいは(K)水酸化アルミニウム粉末{(A)成分100質量部に対して5~50質量部}を含んでもよく、このような本組成物は、織物被覆用シリコーンゴム組成物であることが好ましい。
【0009】
次に、本発明のシリコーンゴム被覆織物は、織物の表面に、本発明のシリコーンゴム組成物を塗工し、該組成物を硬化してなることを特徴とし、この織物はエアバッグ用の基布であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のシリコーンゴム組成物は、エアバッグ用基布等の織物に塗工した際、少ない塗工量でも、十分な難燃性を付与でき、さらに目開きを生じにくくすることができるという特徴がある。また、本発明のシリコーンゴム被覆織物は、難燃性が優れ、大きな張力がかかっても目開きが生じにくいという特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<シリコーンゴム組成物>
(A)成分は本組成物の主剤であり、一分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する直鎖状のオルガノポリシロキサンである。(A)成分中のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基等の炭素数2~12のアルケニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。また、(A)成分中のアルケニル基以外のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等の炭素数1~12のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6~12のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の炭素数7~12のアラルキル基;3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等の炭素数1~12のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。また、本発明の目的を損なわない範囲で、(A)成分中のケイ素原子に、少量の水酸基、あるいはメトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基を結合してもよい。
【0012】
(A)成分の分子構造は実質的に直鎖状ではあるが、分子鎖の一部が多少分岐していてもよい。また、(A)成分の粘度は限定されないが、好ましくは、25℃における粘度が100~100,000mPa・sの範囲内、あるいは1,000~50,000mPa・sの範囲内である。これは、(A)成分の粘度が上記範囲の下限以上であると、シリコーンゴムの機械的強度が向上するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴム組成物の塗工性が向上するからである。なお、(A)成分の粘度は、JIS K7117-1に準拠した回転粘度計によって測定することができる。
【0013】
このような(A)成分のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)シロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体が挙げられる。
【0014】
(B)成分は、シリコーンゴムの機械的強度を向上させるためのレジン状オルガノポリシロキサンであり、式:SiO4/2単位で示されるQ単位のシロキサン、式:R SiO1/2単位および式:R SiO1/2単位で示されるM単位のシロキサンからなる。式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1~12のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基が例示され、好ましくは、メチル基である。また、式中、Rは炭素原子数2~12のアルケニル基であり、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基が例示され、好ましくは、ビニル基である。このような(B)成分は、アルケニル基を0.1~5.0質量%、好ましくは、0.5~5.0質量%、あるいは0.5~2.5質量%含有する。なお、(B)成分は、本発明の目的を損なわない範囲で、その他のシロキサン単位、例えば、式:R SiO2/2で示されるD単位のシロキサンや式:RSiO3/2で示されるT単位のシロキサンを含有してもよい。なお、式中のR1は前記と同じである。
【0015】
(B)成分のレジン状オルガノポリシロキサンとしては、例えば、SiO4/2単位と(CH)SiO1/2単位と(CH=CH)(CH)SiO1/2単位からなるレジン、SiO4/2単位と(CH)SiO1/2単位と(CH=CH)(CH)SiO1/2単位と(CH)SiO2/2単位からなるレジン、SiO4/2単位とC(CH)SiO1/2単位と(CH=CH)(CH)SiO1/2単位からなるレジン、SiO4/2単位と(CH)SiO1/2単位と(CH=CH)(CH)SiO1/2単位とCHSiO3/2単位からなるレジンが挙げられる。また、常温で液状であるもの、固形状であっても(A)成分への相溶性があるものが好ましい。
【0016】
(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、5~100質量部の範囲内、好ましくは10~80質量部の範囲内である。これは(B)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、シリコーンゴムの機械的強度が向上し、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴム組成物の粘度が比較的低く、溶剤なしで基布にコーティングすることができるからである。
【0017】
(C)成分は、本組成物の架橋剤である、一分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有するオルガノポリシロキサンである。(C)成分中の水素原子以外のケイ素原子結合有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~12のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6~12のアリール基;3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等の炭素数1~12のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、フェニル基である。
【0018】
(C)成分の分子構造は限定されず、例えば、直鎖状、分岐鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、樹脂状が挙げられる。また、(C)成分の粘度は限定されないが、好ましくは、25℃における動粘度が1~1,000mm/sの範囲内、あるいは1~100mm/sの範囲内のものである。これは、(C)成分の粘度が上記範囲の下限以上であると、シリコーンゴムの機械的強度が向上するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴム組成物の塗工性が向上するからである。なお、(C)成分の粘度は、JIS Z8803に準拠したウベローデ型粘度計によって測定することができる。
【0019】
(C)成分のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルフェニルシロキシ基封鎖メチルフェニルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルハイドロジェンシロキシ単位とSiO4/2単位からなる共重合体が挙げられる。
【0020】
(C)成分の含有量は、(A)成分と(B)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して、このオルガノポリシロキサン中のケイ素原子結合水素原子が0.5~10モルとなる量であり、好ましくは、0.8~10モルとなる量、1~10モルとなる量、あるいは1~5モルとなる量である。これは、(C)成分の含有量が上記範囲の下限以上となる量であると、シリコーンゴム組成物が十分に硬化するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴムの耐熱性が向上するからである。
【0021】
(D)成分は、本組成物の硬化を促進するためのヒドロシリル化反応触媒である。(D)成分の触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、ルテニウム系触媒、イリジウム系触媒、パラジウム系触媒等の白金族金属系触媒が例示され、好ましくは、白金系触媒である。この白金系触媒としては、白金微粉末、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸のアルケニルシロキサン錯体、白金のジケトン錯体、白金のアルケニルシロキサン錯体、白金のオレフィン錯体;その他、シリカ、アルミナ、カーボン等に担持された金属白金;これらの白金系触媒を含有する熱可塑性樹脂粉末が例示される。
【0022】
(D)成分の含有量は触媒量であり、通常、(A)成分100万質量部に対して(D)成分中の触媒金属が0.1~500質量部の範囲内、好ましくは1~50質量部の範囲内となる量である。これは0.1質量部未満では反応が充分に進行せず、500質量部を超えると不経済であるためである。
【0023】
(E)成分は、本組成物を硬化して得られるシリコーンゴムに機械的強度を付与するための補強性シリカ微粉末である。このような(E)成分としては、乾式法シリカ、沈降法シリカ、これらの補強性シリカ微粉末表面を、オルガノクロロシラン、オルガノシラザン、オルガノアルコキシシラン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン等の有機ケイ素化合物で処理した疎水性シリカが例示される。特に、(E)成分は、比表面積が50m/g以上であることが好ましい。
【0024】
(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.1~50質量部の範囲内であり、好ましくは、5~40質量部の範囲内、あるいは5~30質量部の範囲内である。これは、(E)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、シリコーンゴムの機械的強度が優れ、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴム組成物の塗工性が良好であるからである。
【0025】
(F)成分は、シリコーンゴムの難燃性を向上させるためのイントメッセント系難燃剤であり、オルトリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、およびポリリン酸メラミンからなる群から選ばれる少なくとも1種のメラミン塩と、オルトリン酸ピペラジン、ピロリン酸ピペラジン、およびポリリン酸ピペラジンからなる群から選ばれる少なくとも1種のピペラジン塩からなり、場合により、ハイドロタルサイト化合物やシクロデキストリンを含む混合物である。メラミン塩とピペラジン塩との割合は限定されないが、その質量比が、20:80~50:50の範囲内であることが好ましい。また、ハイドロタルサイト化合物を含み場合には、メラミン塩とピペラジン塩の合計100質量部に対して、ハイドロタルサイト化合物を0.01~5質量部含有することが好ましい。このようなイントメッセント系難燃剤としては、例えば、ノンハロゲンのイントメッセント系難燃剤(株式会社ADEKA製のアデカスタブFP-2100JC)やノンハロゲンのイントメッセント系難燃剤(株式会社ADEKA製のアデカスタブFP-2500S)として入手可能である。本発明では、有機樹脂の難燃剤として公知であるイントメッセント系難燃剤をシリコーンゴム組成物、特に、(B)成分のレジン状オルガノポリシロキサンおよび(E)成分の補強性シリカ微粉末を含有するシリコーンゴム組成物に配合することにより、シリコーンゴム組成物の塗工量を少なくしても、シリコーンゴム被覆織物に著しい難燃性を付与できることを見出したものである。
【0026】
(F)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、5~30質量部の範囲内であり、好ましくは10~30質量部の範囲内、あるいは15~30質量部の範囲内である。これは、(F)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、シリコーンゴム被覆織物の難燃性が向上するからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴム組成物の塗工性が向上するからである。
【0027】
本組成物には、本組成物を塗工し、硬化してなるシリコーンゴム被覆織物を高温・高湿度の条件下で長期間保存した後も、該織物に対してシリコーンゴムの接着性を維持するため、(G)有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を含有してもよい。
【0028】
(G)成分の有機チタン化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート等の有機チタン酸エステル類;酢酸チタン等の有機酸チタン塩;ジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)チタン、ジイソプロポキシビス(エチルアセテート)チタン等のチタンキレート化合物が例示される。
【0029】
また、(G)成分の有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムヘキサフルオロアセチルアセトネート、ジルコニウムトリフルオロアセチルアセトネート、テトラキス(エチルトリフルオロアセチルアセトネート)ジルコニウム、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンジオネート)、ジルコニウムジブトキシビス(エチルアセトアセテート)、ジイソプロポキシビス(2,2,6,6-テトラメチル-ヘプタンジオネート)ジルコニウム等のβ-ジケトン(アルキル基置換体やフッ素原子置換体も含む)を配位子とするジルコニウム錯体が例示される。特に、有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムのアセチルアセトネート錯体(アセチルアセトネートのアルキル基置換体やフッ素原子置換体も含む)が好ましい。
【0030】
本組成物において、(G)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.01~10質量部の範囲内であり、好ましくは、0.1~5質量部の範囲内、あるいは0.5~5質量部の範囲内である。これは、(G)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、織物のような難接着性の被着体に対しても良好な接着性を付与することができるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴム組成物の貯蔵安定性が向上するからである。
【0031】
また、本組成物には、織物のような難接着性の被着体への良好な接着性を向上させるための(H)エポキシ基を含有するアルコキシシランおよび/またはメタクリル基もしくはアクリル基を含有するアルコキシシランを含有してもよい。
【0032】
(H)成分のエポキシ基を含有するアルコキシシランとしては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、5,6-エポキシヘキシルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが例示される。
【0033】
また、(H)成分のメタクリル基またはアクリル基を含有するアルコキシシランしては、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランが例示される。
【0034】
本組成物において、(H)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.01~10質量部の範囲内であり、好ましくは、0.1~5質量部の範囲内、あるいは0.5~5質量部の範囲内である。これは、(H)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、織物のような難接着性の被着体に対しても良好な接着性を付与することができるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴム組成物の貯蔵安定性が向上するからである。
【0035】
本組成物には、さらに(I)シラノール基含有オルガノシロキサンオリゴマーを含むことが好ましい。(I)成分中のケイ素原子に結合する基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が例示され、好ましくは、メチル基、ビニル基である。(I)成分の分子構造は限定されず、直鎖状、一部分岐を有する直鎖状、環状、分岐鎖状が例示され、好ましくは、直鎖状である。また、(I)成分の25℃における粘度は限定されないが、好ましくは、100mPa・s未満、あるいは1~50mPa・sの範囲内である。
【0036】
このような(I)成分としては、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体が例示される。
【0037】
本組成物において、(I)成分の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して、0.01~10質量部の範囲内であり、好ましくは、0.1~5質量部の範囲内、あるいは0.5~5質量部の範囲内である。これは、(I)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、織物のような難接着性の被着体に対しても良好な接着性を付与することができるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴム組成物の貯蔵安定性が向上するからである。
【0038】
さらに、本組成物には、(F)成分の含有量を減少させても、その難燃性を向上させることができることから、(J)有機アルミニウム化合物を含有することが好ましい。このような(J)成分としては、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムトリス(エチルアセテート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムイソプロピレート、アルミニウムモノアセチルアセテートビス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムモノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート、アルミニウム-ジ-n-ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウム-ジ-iso-プロポキシド モノエチルアセトアセテート、アルミニウムイソプロピレート、モノ-sec-ブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウム-sec-ブチレート、アルミニウムエチレートが例示される。
【0039】
本組成物において、(J)成分の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して、0.01~10質量部の範囲内であり、好ましくは、0.1~5質量部の範囲内、あるいは0.5~5質量部の範囲内である。これは、(J)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、(F)成分の難燃作用を向上させることができるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴム組成物の貯蔵安定性が向上するからである。
【0040】
さらに、本組成物には、(F)成分の含有量を減少させても、その難燃性を向上させることができることから、(K)水酸化アルミニウム粉末を含有することが好ましい。(K)成分の粒径は特に限定されず、例えば、平均粒子径が0.1~50μmの範囲内、あるいは、0.1~10μmの範囲内であるものが好ましく、また、その形状も限定されず、例えば、球状、略球状、破砕状が例示される。このような(K)成分は、入手可能であり、平均粒子径1.0μmの水酸化アルミニウム粉末(昭和電工株式会社製の商品名:ハイジライトH42M)、シランカップリング剤で表面処理された平均粒子径1.0μmの水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製のハイジライトH42STV)が例示される。
【0041】
本組成物において、(K)成分の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して、5~50質量部の範囲内であり、好ましくは、10~50質量部の範囲内、あるいは10~30質量部の範囲内である。これは、(K)成分の含有量が上記範囲の下限以上であると、(F)成分の難燃作用を向上させることができると共に、目開きをさらに生じにくくすることができるからであり、一方、上記範囲の上限以下であると、シリコーンゴム組成物の塗工性を向上させるからである。
【0042】
また、本組成物には、貯蔵安定性を向上したり、取扱作業性を向上するために、硬化抑制剤を含有することが好ましい。この硬化抑制剤としては、1-エチニルシクロヘキサン-1-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2-フェニル-3-ブチン-2-オール等のアセチレン系化合物;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-イン等のエンイン化合物;ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類;その他、フォスフィン類、メルカプタン類、ヒドラジン類が例示される。硬化抑制剤の含有量は限定されないが、(A)成分100質量部に対して0.001~10質量部の範囲内、あるいは0.01~10質量部の範囲内であることが好ましい。
【0043】
さらに、本組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、(E)成分や(K)成分以外の無機充填剤を含有してもよい。このような無機充填剤としては、石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の増量充填剤;酸化セリウム、水酸化セリウム、酸化鉄等の耐熱剤;ベンガラ、酸化チタン、カーボンブラック等の顔料;その他、難燃剤が例示される。
【0044】
本組成物を調製する方法は限定されず、(A)成分~(F)成分、および必要に応じてその他任意の成分を混合することにより、本組成物を調製することができるが、予め(A)成分の一部と(E)成分を加熱混合して調製したシリカマスターバッチに、残余の(A)成分と(B)成分、(C)成分、(D)成分、(F)成分を配合することが好ましい。なお、その他任意の成分を配合する必要がある場合、シリカマスターバッチを調製する際に配合してもよく、また、これが加熱混合により変質する場合には、残余の(A)成分と(B)成分、(C)成分、(D)成分、(F)成分を配合する際に配合することが好ましい。また、このシリカマスターバッチを調製する際、前記の有機ケイ素化合物を配合して、(E)成分の表面をin-situ処理してもよい。本組成物を調製する際、2本ロール、ニーダーミキサー、ロスミキサー等の周知の混練装置を用いることができる。
【0045】
<シリコーンゴム被覆織物>
本発明のシリコーンゴム被覆織物は、織物の表面に前記のシリコーンゴム組成物を塗工し、該組成物を硬化してなるものである。本被覆織物における織物としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド繊維織物;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル繊維織物;その他、ポリアクリル繊維織物、ポリアクリロニトリル繊維織物、アラミド繊維織物、ポリエーテルイミド繊維織物、ポリサルフォン系繊維織物、炭素繊維織物、レーヨン繊維織物、ポリプロピレン繊維織物、ポリエチレン繊維織物あるいはこれらの繊維からなる不織物が例示される。特に、エアバッグの基布として、耐熱性や機械的特性が優れることから、ポリアミド繊維織物またはポリエステル繊維織物であることが好ましい。
【0046】
本被覆織物における織物組織は限定されず、例えば、綾織物、平織物が挙げられ、エアバッグの基布としては、生産性や厚みの点から平織物であることが一般的である。
【0047】
本被覆織物を製造する方法は限定されず、例えば、織物上に前記のシリコーンゴム組成物を、スプレー、グラビアコーティング、バーコーティング、ナイフコーティング、パッティング、スクリーン印刷、ディッピング等の公知の方法で塗工することができる。その際、織物被覆用シリコーンゴム組成物の塗布量は、10~100g/mの範囲内であることが一般的である。また、シリコーンゴム組成物を塗工後、これを150~200℃で1~2分間加熱することにより前記組成物を硬化させることができる。
【0048】
本被覆織物はシリコーンゴム被覆層が1層であっても、また、2層以上の多層であってもよい。さらに、本被覆織物は、必要に応じて任意の追加的被覆層を有していてもよい。このような追加的な被覆層は、被覆織物の表面の感触を改善したり、表面の磨耗性をさらに向上したり、被覆織物の強度を向上したりすることを目的とする層であることが一般的であり、具体的には、プラスチックフィルム、織物、不織布、他の弾性被覆剤からなる被覆層が例示される。
【実施例
【0049】
本発明のシリコーンゴム組成物およびシリコーンゴム被覆織物を実施例により詳細に説明する。なお、実施例中の粘度(mPa・s)は、JIS K7117-1に準拠した回転粘度計を使用して測定した25℃における値であり、動粘度(mm/s)は、JIS Z8803に準拠したウベローデ型粘度計によって測定した25℃における値である。また、シリコーンゴム被覆織物の作製およびその評価は次のとおりである。
【0050】
<シリコーンゴム被覆織物の作製>
総繊維度が470デシテックスのフィラメント糸からなる、経糸密度46本/インチ、緯糸密度46本/インチのナイロン66織布の片面にラボコーターを用いてシリコーンゴム組成物を塗布量がおよそ13~16g/mの範囲内となるように塗工した。次いで、190℃のオーブンで70秒間加熱することにより、シリコーンゴム組成物を硬化させ、シリコーンゴム被覆織物を作製した。
【0051】
[シリコーンゴム被覆織物の燃焼性]
上記のように作製したシリコーンゴム被覆織物から、縦10cm、横25cmの長方形に切り出し、これを試験体とし、その燃焼性を燃焼速度により評価した。燃焼速度(mm/分)は、自動車内装材料の燃焼試験FMVSS No.302(Federal Motor Vehicle safety Standards No.302)に規定の方法に準拠して測定した。
【0052】
<シリコーンゴム被覆織物の目開き性>
上記のように作製したシリコーンゴム被覆織物から、幅50mm、長さが100mm長方形の試験体を切り出した。幅50mmの試験体の端から5mmのところに4mm間隔で並んだ櫛歯状の針を有する治具で試験体を貫通させ、この冶具と試験体の他方の端を引張り試験機にセットし、引張り速度200mm/分で引っ張り、等間隔に並んだ櫛歯状の針から試験体が抜けるまでの最大引張り強さ(N)を測定した。この引張り強さ、すなわち端部櫛引抵抗(N)により目開き性を評価した。
【0053】
<調製例1>
ロスミキサーに、粘度40,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=約0.09質量%) 100質量部、BET比表面積225m/gのフュームドシリカ 40質量部、ヘキサメチルジシラザン 7質量部、水 2質量部、および粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=約10.9質量%) 0.2質量部を投入し、室温で均一になるまで混合した。その後、減圧下、200℃で2時間加熱処理して、流動性のあるシリカマスターバッチを調製した。
【0054】
<実施例1~6、比較例1~4>
表1に示した組成となるよう下記の成分を均一に混合してシリコーンゴム組成物を調製した。得られたシリコーンゴム被覆織物の特性を表1に示した。なお、式中、MeおよびViはそれぞれメチル基およびビニル基を示し、組成物中の(A)成分と(B)成分中のアルケニル基の合計に対する(C)成分中のケイ素原子結合水素原子のモル比は2.7とした。
【0055】
(A)成分として、次の成分を用いた。
(a-1):粘度10,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(ビニル基の含有量=約0.13質量%)
【0056】
(B)成分として、次の成分を用いた。
(b-1):平均単位式:
(MeSiO1/2)0.40(ViMeSiO1/2)0.04(SiO4/2)0.56
で表されるオルガノポリシロキサンレジン(ビニル基の含有量=約1.6質量%)
【0057】
(C)成分として、次の成分を用いた。
(c-1):動粘度15mm/sで、平均単位式:
(MeSiO1/2)0.09(MeSiO2/2)0.32(HMeSiO2/2)0.54(MeSiO3/2)0.05
で表されるオルガノポリシロキサン(ケイ素原子結合水素原子の含有量=約0.83質量%)
【0058】
(D)成分として、次の成分を用いた。
(d-1):白金の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン溶液(白金金属の含有量=約4,000ppm)
【0059】
(E)成分として、次の成分を用いた。
(e-1):調製例1で調製したシリカマスターバッチ
【0060】
(F)成分として、次の成分を用いた。
(f-1):ノンハロゲンのイントメッセント系難燃剤(株式会社ADEKA製のアデカスタブFP-2100JC)
(f-2):ノンハロゲンのイントメッセント系難燃剤(株式会社ADEKA製のアデカスタブFP-2500S)
【0061】
また、(F)成分の比較として、次の成分を用いた。
(f-3):ノンハロゲンの縮合リン酸エステル系難燃剤(株式会社ADEKA製のアデカスタブFP-600)
【0062】
(G)成分として、次の成分を用いた。
(g-1):ジルコニウムテトラアセチルアセトネート
【0063】
(H)成分として、次の成分を用いた。
(h-1):3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
【0064】
(I)成分として、次の成分を用いた。
(i-1):シラノール基含有オルガノシロキサンオリゴマー:粘度20mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(ビニル基の含有量=約10.9質量%)
【0065】
(J)成分として、次の成分を用いた。
(j-1):アルミニウムアセチルアセトネート
(j-2):アルキルアセトアセテート アルミニウム ジイソプロピレート(味の素ファインテクノ株式会社製の商品名:プレンアクトAL-M)
【0066】
(K)成分として、次の成分を用いた。
(k-1):平均粒子径1.0μmの水酸化アルミニウム粉末(昭和電工株式会社製の商品名:ハイジライトH42M)
【0067】
また、(K)成分の比較として、次の成分を用いた。
(k-2):水酸化マグネシウム粉末(神島化学工業株式会社製のマグシーズS)
【0068】
硬化抑制剤として、次の成分を用いた。
(l-1):1-エチニルシクロヘキサン-1-オール
【0069】
<表1>
【表1】
【0070】
<表1(続き)>
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明のシリコーンゴム組成物は、エアバッグ用基布等の織物に塗工した際、少ない塗工量でも、十分な難燃性を付与でき、さらに目開きを生じにくくすることができるので、例えば、カーテンシールドエアバッグ、運転席エアバッグ、助手席エアバッグ、サイドエアバッグ、ニーエアバッグ、ITSヘッド・エアバッグ等のエアバッグ、航空機用緊急脱出シート、膨張性のイカダ等の用途に用いられる織物の被覆剤として好適である。また、本発明のシリコーンゴム被覆織物は、カーテンシールドエアバッグや航空機用緊急脱出シート等の基布として好適である。
【国際調査報告】