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特表2023-524734多目的接着用途の硬化性接着剤組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-13
(54)【発明の名称】多目的接着用途の硬化性接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 179/02 20060101AFI20230606BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230606BHJP
【FI】
C09J179/02
C09J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022567102
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(85)【翻訳文提出日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2021060057
(87)【国際公開番号】W WO2021223991
(87)【国際公開日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】20173137.9
(32)【優先日】2020-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】リューツェン,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ゼッゲヴィス,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】カム,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ミラリェス,ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ハルトマン,オラフ
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EC002
4J040GA07
4J040GA11
4J040GA14
4J040GA18
4J040GA31
4J040HB18
4J040JA05
4J040JB02
4J040KA23
4J040KA26
4J040KA31
4J040KA36
4J040KA42
4J040MA02
4J040MA04
4J040MA05
4J040MA08
4J040MA10
4J040MA11
4J040MA12
4J040MA13
4J040MB01
4J040NA07
4J040NA08
4J040NA10
4J040NA11
4J040NA13
4J040NA14
4J040PA33
(57)【要約】
本発明は、アセトアセテート化合物に基づく硬化性接着剤組成物、および多目的接着用途におけるその使用に関する。特に、本発明は、多官能性アセトアセテート化合物とポリオキシアルキレンポリアミンに基づく硬化性接着剤組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能性アセトアセテート化合物、
ポリオキシプロピレンポリアミン、及び
ポリアミンオキシプロピレン単位、オキシエチレン単位、及びオキシテトラメチレン単位のうち少なくとも2つから選択されるオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレン
を含む硬化性接着剤組成物。
【請求項2】
多官能性アセトアセテート化合物は少なくとも2個のアセトアセトキシ基、好ましくは2~10個のアセトアセトキシ基、より好ましくは3~4個のアセトアセトキシ基を有する、請求項1に記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項3】
多官能性アセトアセテート化合物は、グリセロール、トリメチロールプロパン、エタノールイソソルビド、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、プロポキシル化単糖、トリメチロールエタン、およびそれらの組み合わせから得られるアセトアセチル化ポリオールである、請求項1又は2に記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項4】
ポリオキシプロピレンポリアミンは、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項5】
ポリオキシプロピレンジアミンは式(1)
(1)
[式中、xは2~100、好ましくは2~80である]
で表される、請求項4に記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項6】
ポリオキシプロピレントリアミンは式(2)
(2)
[式中、nは0~6であり、w、yおよびzはそれぞれ独立して1~100であり、より好ましくは1~80であり、w、yおよびzの合計は3~100であり、好ましくは5~85であり、Rは、水素または直鎖または分枝C~C16アルキル基であり、好ましくは、水素または直鎖または分枝C~Cアルキル基である]
で表される、請求項4に記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項7】
ポリオキシアルキレンポリアミンはオキシプロピレン単位とオキシエチレン単位を有し、好ましくは、重量平均分子量は100~5,000、特に200~3,000である、請求項1~6のいずれかに記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項8】
ポリオキシアルキレンポリアミンは、オキシプロピレン単位とオキシテトラメチレン単位を有し、好ましくは、重量平均分子量は100~5,000、特に200~3,000である、請求項1~7のいずれかに記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項9】
式(3):
NH (3)
[式中、
は水素またはC-Cアルキル基である;および、
は、芳香族基を含む最大36個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、このヒドロカルビル基は、1以上の-NHR基によって任意に置換されていてもよく、さらに、1以上のO原子および/または1以上の-N(R)-基(Rは水素原子である)によって任意に中断されていてよい;または、
はC-C36脂肪族基であり、1以上のNHR基によって任意に置換されていてよく、さらに任意に1以上のO原子および/または1以上のN(R)-基(Rは水素原子である)によって中断されていてよい;および、
およびRは、それらが結合するN原子と共に環を形成してもよい]
に従う少なくとも1つのアミン硬化促進剤を更に含む、請求項1~8のいずれかに記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項10】
硬化性接着剤組成物中のアセトアセテートとアミンのモル当量比は、2:1~1:2の範囲であり、好ましくは1.2:1~0.8:1の範囲であり、より好ましくは1:1である、請求項1~9のいずれかに記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項11】
顔料、充填剤、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、レオロジー制御剤、触媒、酸化防止剤、粘着付与剤、接着促進剤、難燃剤、UV安定剤およびこれらの組み合わせから選択される1以上の添加剤を任意に含む、請求項1~10のいずれかに記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項12】
硬化性接着剤組成物は触媒を含まない、請求項1~11のいずれかに記載の硬化性接着剤組成物。
【請求項13】
多官能性アセトアセテート化合物を含む第一液、及び
ポリオキシプロピレンポリアミン、並びにポリアミンオキシプロピレン単位、オキシエチレン単位、及びオキシテトラメチレン単位のうち少なくとも2つから選択されるオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレンを含む第二液
を含む二液型硬化性接着剤組成物。
【請求項14】
請求項1~12のいずれかに記載の硬化性接着剤組成物又は請求項13に記載の二液型硬化性接着剤組成物の硬化生成物。
【請求項15】
請求項1~12のいずれかに記載の硬化性接着剤組成物又は請求項13に記載の二液型硬化性接着剤組成物の、紙、布地、皮革、金属、陶磁器、陶器、ガラス、木、またはプラスチックでできている、またはそれらの表面を持つ結合基材における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセトアセテート化合物に基づく硬化性接着剤組成物、および多目的接着用途におけるその使用に関する。特に、本発明は、多官能性エポキシアセテート化合物およびポリオキシアルキレンポリアミンに基づく硬化性接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
万能接着剤とも呼ばれる多目的接着剤は、紙、厚紙、写真、布地、皮革、フェルト、靱皮、コルク、フィルム、アルミニウムやスチールなどの金属、陶磁器、セラミック、ガラス、木材、PVCなどのさまざまなプラスチックなどの工業生産または家庭で使用される数多くの基材を接着するために使用される。このような接着剤は、化学的、物理的に表面構造が異なり、通常特殊な表面処理を施して接着する各種基材に対して、十分な接着効果を発揮することが期待される。
【0003】
産業やワークショップで使用される多種多様なクラスやタイプの接着剤と比較して、多目的接着剤の普遍性に課せられた厳しい要求を満たすことができる物質はごくわずかである。中でも、ポリ酢酸ビニルとその共重合体が広く使用されている。
【0004】
需要または普遍性は、接着剤組成物にとって特に難しい選択基準となる。結局、接着剤組成物は極性面と非極性面に対して同等に高い親和性を示さなければならない。したがって、特定の物質が接着剤に使用するのに適しているという記述は、それがユニバーサル接着剤組成物でも使用できるかどうかを専門家に示すものではない。したがって、この要求を解決するための努力がなされてきた。
【0005】
例えば、US 6602958 B2は、熱硬化性プラスチック、熱可塑性プラスチック、金属、木材、セラミック、その他の材料、および材料の組み合わせを含む、さまざまな材料を接着するために使用される二液型の室温硬化型メタクリレート ベースの接着剤を開示している。必要最小限の表面処理で、特定の接着が困難な複合材料を接着する接着剤の能力が大幅に向上することが報告されている。
【0006】
DE 102009045197 A1は、ポリ(メタ)アクリル酸および/または少なくとも1つの(メタ)アクリル酸コポリマーを含有する成分(a)と、多目的接着剤として使用するのに適した、水中でプロトンを放出することによる塩形成可能な少なくとも1つの成分を有する少なくとも1つのポリウレタンを含有する成分(b)とを含む水性接着剤を開示している。
【0007】
US 5270433 Aは、(a)ポリプロピレングリコールを含むポリオール混合物、(b)α,α,α’,α’-テトラメチルキシレンジイソシアネートを含む多官能性イソシアネートの混合物、(c)水溶液中で塩を形成できる機能性成分、および(d)場合により鎖延長剤の反応生成物を含有する、実質的に透明で無溶媒の水性一成分ポリウレタン分散物を含むユニバーサル家庭接着剤組成物を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6602958号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102009045197号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第5270433号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、多目的接着用途のためのより安全な毒物学的プロファイルを有する接着剤組成物の代替品を提供することである。
【0010】
この目的は、多官能性ヘテロアセテート化合物と少なくとも2個のポリオキシアルキレンポリアミンを含む硬化性接着剤組成物により解決され、これは硬化時間が5分以内であり、金属、木材、プラスチックなど、さまざまな素材で作られた基材を接合する接着性能に優れている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様では、本発明は、以下を含む硬化性接着剤組成物に関する:
多官能性アセトアセテート化合物、
ポリオキシプロピレンポリアミン、および
ポリアミンオキシプロピレン単位、オキシエチレン単位、及びオキシテトラメチレン単位のうち少なくとも2つから選択されるオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレン。
【0012】
別の態様では、本発明は、多官能性アセトアセテート化合物を含む第一液、およびポリオキシプロピレンポリアミンと、ポリアミンオキシプロピレン単位、オキシエチレン単位、及びオキシテトラメチレン単位のうち少なくとも2つから選択されるオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレンとを含む第二液を含んでなる二液型硬化性接着剤組成物に関する。
【0013】
さらに別の態様では、本発明は、前記硬化性接着剤組成物または前記二液型硬化性接着剤組成物の、紙、布地、皮革、金属、陶磁器、陶器、ガラス、木、またはプラスチックでできている、またはそれらの表面を持つ結合基材における使用に関する。
【0014】
本発明のさらに好ましい実施形態は、特許請求の範囲に記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、「a」および「an」および「少なくとも1つ」という用語は、「1以上の」という用語と同じであり、交換可能に使用できる。
【0016】
本明細書で使用される「1以上の」は、言及された種の少なくとも1つに関連し、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上を含む。同様に、「少なくとも1つ」とは、1以上の、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上を意味する。任意の成分に関して本明細書で使用される「少なくとも1つ」は、化学的に異なる分子の数、すなわち参照種の異なるタイプの数を指すが、分子の全体数を指すものではない。
【0017】
本明細書においてポリマーまたはその成分の分子量に言及する場合、この言及は、他に明確に述べられていない限り、数平均分子量Mnを指す。数平均分子量Mnは、溶離剤としてTHFを用いるゲル透過クロマトグラフィーによって決定できる。特に明記しない限り、与えられたすべての分子量は、末端基分析によって決定されたものである。重量平均分子量Mwは、Mnについて記載したように、GPCによって決定できる。
【0018】
組成物または調製物に関して本明細書で与えられるすべてのパーセンテージは、他に明確に述べられていない限り、それぞれの組成物または処方の総重量に対する重量%に関する。
【0019】
本発明によれば、硬化性接着剤組成物は、多官能性アセトアセテート化合物、ポリオキシプロピレンポリアミン、ならびにポリアミンオキシプロピレン単位、オキシエチレン単位、及びオキシテトラメチレン単位のうち少なくとも2つから選択されるオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレンを含んでなる。本発明者らは、驚くべきことに、硬化性接着剤組成物が、紙、布、皮革、金属、陶器、セラミック、ガラス、木材、またはプラスチックなどの様々なタイプの基材を接着するのに適していることを見出した。
【0020】
開発された硬化性接着剤組成物は、多目的接着のための優れた接着特性と、標準的なエポキシベースまたは(メタ)アクリレートベースの調製物と比較して穏やかな毒性プロファイルを備えている。ポリエーテルアミン系硬化剤で硬化するアセチルアセトネート樹脂をベースに、二液型カートリッジなどから塗布し、強靭なポリマーに硬化できる硬化時間5分以内の調製物を開発した。金属、各種プラスチック、木材の接着に強い接着力と凝集力が見られた。レオロジー挙動や混合比率をフィラーにより調整でき、調製物にフィラー粒子を導入するによって、機械抵抗の向上が見られた。
【0021】
硬化性接着剤組成物は、鋼基材の接着において10MPa以上のラップ剪断強度を有する硬化生成物を提供するように調製される。
【0022】
硬化性接着剤組成物は、アルミ基材の接着におけるラップ剪断強度が10MPa以上の硬化生成物となるように調製される。
【0023】
硬化性接着剤組成物は、木材基材の接着において7MPa以上のラップ剪断強度を有する硬化生成物を提供するように調製される。
【0024】
硬化性接着剤組成物は、ポリカーボネート(PC)基材の接着におけるラップ剪断強度が5MPa以上の硬化生成物となるように調製される。
【0025】
硬化性接着剤組成物は、ポリ塩化ビニル(PVC)基材の接着におけるラップ剪断強度が3MPa以上の硬化生成物を提供するように調製される。
【0026】
硬化性接着剤組成物は、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)基材の接着において4MPa以上のラップ剪断強度を有する硬化生成物を提供するように調製される。
【0027】
硬化性接着剤組成物は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)基材の接着において3MPa以上のラップ剪断強度を有する硬化生成物を提供するように調製される。
【0028】
さらに、硬化性接着剤組成物には他の利点もある。例えば、接着剤組成物は無溶剤、無触媒で、使用可能な粘度とポットライフを持ち、室温でも素早く硬化する。最後に、硬化性接着剤組成物は、湿気や、アセトン、酢酸エチル、2-プロパノール、メチルエチルケトン、エタノール、トルエンなどの化学薬品に耐性のある強力な接着結合を提供する。
【0029】
本発明によれば、多官能性アセトアセテート化合物は、少なくとも2個のアセトアセトキシ基、好ましくは2~10個の アセトアセトキシ基、およびより好ましくは2~4個のアセトアセテート基を有してもよい。したがって、この成分は、少なくとも2個のアセトアセトキシ基を有する単一化合物、またはそれぞれが少なくとも2個のアセトアセトキシ基を有する2以上の化合物の混合物を含んでよい。各前記化合物は、望ましくは、12000g/mol未満、例えば10000g/mol未満または6000g/mol未満の数平均分子量(Mn)によって特徴付けられるべきである。
【0030】
好ましい実施形態では、硬化性接着剤組成物は、少なくとも1つのアセトアセチル化ポリオールを含み、前記アセトアセチル化ポリオールは、以下の式(反応1)に従って得ることができる:
(1)
式中:
RはC-C12アルキル基であり;
Lはポリオールの主鎖構造を示し;および、
q≧2である。
【0031】
上記の反応1は、以下の式(I):
で定義されるアセトアセテート化合物によるポリオールのエステル交換反応、またはより具体的にはアセチル交換反応として説明できる。
式(I)
式中、Rは前記C-C12アルキル基である。より典型的には、構成要素アルキル基Rは、1~8個、好ましくは1~6個の炭素原子を有する。例示的なアルキルアセトアセテートには以下が含まれる:t-ブチルアセトアセテート;イソブチルアセトアセテート;n-ブチルアセトアセテート;イソプロピルアセトアセテート;n-プロピルアセトアセテート;アセト酢酸エチル;および、アセト酢酸メチル。t-ブチルアセトアセテートがここでは好ましい。
【0032】
上記の反応1のポリオールは、以下の式(II)によって表される:
L-(OH) 式(II)
式中、q≧2であり、Lは骨格構造を表す。そのようなポリオール(II)は、必要に応じて、それらの主鎖またはペンダント側鎖にヘテロ原子を含んでもよい。さらに、ポリオール(II)は、単量体の多価アルコールであってもよいし、オリゴマーまたはポリマーの主鎖を有していてもよい。これに関係なく、ポリオール(II)は、12000g/mol未満の数平均分子量(Mn);および、2~10、好ましくは2~4のヒドロキシル官能価qを有することが好ましい。
【0033】
一実施形態では、硬化性接着剤組成物は、単量体多価アルコールから得られたアセトアセチル化ポリオールを含む。適切な単量体多価アルコールの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:1,2-ブタンジオール;1,3-ブタンジオール;1,4-ブタンジオール;2,3-ブタンジオール;2,4-ペンタンジオール;ブチルエチルプロパンジオール;1,4-ヘキサンジオール;1,4-シクロヘキサンジメタノール;ペンタエリスリトール;ジペンタエリスリトール;トリメチロールエタン;トリメチロールプロパン;ジトリメチロールプロパン;トリシクロデカンジメタノール;ハイドロキノンビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール等のアルキレングリコール類;グリセロール;ヒマシ油;キャスターワックス;グルコース、スクロース、フルクトース、ラフィノース、マルトデキストロース、ガラクトース、キシロース、マルトース、ラクトース、マンノース、エリトロースなどの糖類;エリスリトール、キシリトール、マリトール、マンニトール、ソルビトールなどの糖アルコール;o,o’-ビス(ジエタノールアミノメチル)-p-ノニルフェノール、N,N,N,N’-テトラ(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンなどのヒドロキシアルキル化脂肪族ジアミン(Quadrol L、BASFから入手可能)およびN,N,N,N-テトラ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン。好ましい実施形態では、多官能性アセテート化合物は、グリセロール、トリメチロールプロパン、エタノールイソソルビド、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール、ジメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、プロポキシル化単糖、トリメチロールエタン、およびそれらの組み合わせから得られるアセトアセチル化ポリオールである。
【0034】
本発明はまた、そのような多官能性アセトアセテート化合物が、オリゴマーまたはポリマーの多価アルコールから得られたアセトアセチル化ポリオールを含むことを排除しない。特に、ポリオール(II)は、以下からなる群から選択できる:ポリエーテルポリオールとも称されるポリオキシアルキレンポリオール;ポリカプロラクトンポリオールを含むポリエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール;ポリカーボネートポリオール;ポリブタジエンポリオール;ポリウレタンポリオール;ポリアクリレートポリオール;および、それらの組み合わせ。望ましくは、そのようなオリゴマーまたはポリマーポリオールは、最大で10000g/モル、好ましくは250~6000g/モルの数平均分子量(Mn)によって特徴付けられるべきである。さらに、出発物質として1以上のポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオールを使用することは特に重要である。また、ポリエーテルポリオールの市販例は、Voranol CP260(DowDuPontから入手可能)である。
【0035】
当技術分野で知られているように、ポリエステルポリオールは、多塩基カルボン酸または無水物と化学量論的に過剰な多価アルコールとの縮合反応から、または多塩基カルボン酸、一塩基カルボン酸および多価アルコールの混合物から調製できる。ポリエステルポリオールの製造に使用するのに適した多塩基性カルボン酸および無水物には、2~18個の炭素原子を有するもの、特に2~10個の炭素原子を有するものが含まれる。このような多塩基性カルボン酸および無水物の非限定的な例には、アジピン酸;グルタル酸;コハク酸;マロン酸;ピメリン酸;セバシン酸;スベリン酸;アゼライン酸;1,4-シクロヘキサンジカルボン酸;フタル酸;無水フタル酸;イソフタル酸;テレフタル酸;テトラヒドロフタル酸;ヘキサヒドロフタル酸;および、それらの組み合わせが含まれる。使用できる一塩基性カルボン酸には、1~18個、または好ましくは1~10個の炭素原子を有するものが含まれ、それらの例としては、次のものが挙げられる:ギ酸;酢酸;プロピオン酸;酪酸;吉草酸;カプロン酸;カプリル酸;カプリン酸;ラウリン酸;ミリスチン酸;パルミチン酸;ステアリン酸;および、それらの組み合わせ。適切な多価アルコールは、2~18個の炭素原子、望ましくは2~10個の炭素原子を有する。例示的な多価アルコールには、次のものが含まれるが、これらに限定されない:エチレングリコール;プロピレングリコール;ヘキサン-1,6-ジオール;トリメチロールプロパン;グリセロール;ネオペンチルグリコール;ペンタエリスリトール;ブチレングリコール;2-メチル-1,3-プロパンジオール;ヘキシレングリコール;およびそれらの組み合わせ。
【0036】
ポリエーテルポリオールは、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシドまたは五塩化アンチモンなどの適切な触媒の存在下でアルケンオキシドと多価スターター分子とを反応させるなどの、当技術分野で既知のプロセスによって製造してよい。アルケンオキサイドとしては、テトラヒドロフラン;エチレンオキシド;1,2-プロピレンオキシド;1,2-および2,3-ブチレンオキシド;および、スチレンオキシドが挙げられる。また、適切なスターター分子の例には、水;エチレングリコール;1,2-および1,3-プロパンジオール;1,4-ブタンジオール;ジエチレングリコール;および、トリメチロールプロパンが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用するのに好ましいポリエーテルポリオールは次のものである:ポリ(プロピレンオキシド)ポリオール;ポリ(エチレンオキシド)ポリオール;PTMEG;およびそれらの混合物。
【0037】
本明細書で使用するためのポリカーボネートポリオールは、ポリカーボネートジオールから選択できるが、これに限定されない。このようなポリカーボネートジオールは、ジオールとジアルキルまたはジアリールカーボネートまたはホスゲンとの反応によって製造してよい。反応体ジオールは、以下から選択できるが、これらに限定されない:1,2-プロパンジオール;1,3-プロパンジオール;1,4-ブタンジオール;1,5-ペンタンジオール;1,6-ヘキサンジオール;ジエチレングリコール;トリオキシエチレングリコール;および、それらの混合物。例示的なジアリールカーボネートは、ジフェニルカーボネートである。
【0038】
エステル交換(トランスアセチル化)反応1は、ポリマー化学の分野で知られている従来の方法によって行うことができる。この点に関しては、とりわけ次のものに言及できる:Witzman et al.「アセトアセチル化コーティング樹脂の調製方法の比較」、Journal of Coatings Technology、Vol.62、No.789、1990年10月;および、Witzeman et al.「アセト酢酸tert-ブチルによるトランスアセトアセチル化:合成応用」、J.Org.Chemistry 1991,56,1713-1718。典型的には、オリゴマーまたはポリマーポリオールとアセトアセテートとの間の反応は、適切な容器内で、溶媒の有無に関わらず、例えば50℃~200℃または80℃~150℃の高温で、前記ポリオールとアセトアセテートとを混合することを含み;好ましくは、反応は無溶媒で行われる。形成されたアルコール(R-OH)を減圧下で留去することにより、反応を完了に向かわせる。さらに、反応は、触媒量のエステル交換触媒の存在下で行うことができ、その適切な例には、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸ビスマス、酸化鉛、およびトリクロロ酢酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
上記トランスアセチル化反応の生成物は、本多目的接着剤組成物において直接使用され得るが、その反応生成物は、当技術分野で既知の方法を用いて最初に単離および精製され得る。これに関して、適切な技術として、抽出、蒸発、蒸留、およびクロマトグラフィーを挙げることができる。
【0040】
本発明によれば、接着性接着剤組成物はまた、ポリオキシプロピレンポリアミンを含む。ポリオキシプロピレンポリアミンとは、主鎖構造にオキシプロピレン単位のみを有するポリアミンを指す。
【0041】
好ましい一実施形態では、ポリオキシプロピレンポリアミンは、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0042】
ポリオキシプロピレンジアミンの例は、式(1)で表されるものであり、
(1)
式中、xは2~100、好ましくは2~80である。
【0043】
好ましくは、ポリオキシプロピレンジアミンは、数平均分子量が100~5,000であり、より好ましくは200~4,000である。
【0044】
このようなポリオキシプロピレンジアミンは、HuntsmannからD-230、D-400、D-2000およびD-4000などのJeffamine Dシリーズポリエーテルポリアミンとして市販されている。
【0045】
ポリオキシプロピレントリアミンの例は、式(2)で表されるものであり、
(2)
式中、nは0~6であり、w、yおよびzはそれぞれ独立して1~100、より好ましくは1~80であり、w、yおよびzの合計は3~100、好ましくは5~85であり、Rは、水素または直鎖状もしくは分枝状のC~C16アルキル基であり、好ましくは、水素または直鎖状もしくは分枝状のC~Cアルキル基である。
【0046】
好ましくは、ポリオキシプロピレントリアミンは、数平均分子量が100~8,000、より好ましくは200~6,000である。
【0047】
このようなポリオキシプロピレントリアミンは、HuntsmannからT-403、T-3000およびT-5000などのJeffamine Tシリーズポリエーテルポリアミンとして市販されている。
【0048】
本発明によれば、硬化性接着剤組成物はまた、ポリアミンオキシプロピレン単位、オキシエチレン単位、及びオキシテトラメチレン単位のうち少なくとも2つから選択されるオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレンを含む。
【0049】
一実施形態では、ポリオキシアルキレンポリアミンは、主鎖構造にオキシジメチル単位およびオキシエチレン単位を有する。そのようなポリオキシアルキレンポリアミンは、式(3)で表すことができる
式中、aは0~10、bは2~60、cは0~10、aとcの合計は2~20である。
【0050】
好ましくは、オキシプロピレン単位とオキシエチレン単位を有するポリオキシアルキレンポリアミンの数平均分子量は、100~5000、より好ましくは200~3000である。
【0051】
このようなポリエーテルポリアミンは、HuntsmannからED-600、ED-900およびED-2003などのJeffamine EDシリーズポリエーテルポリアミンとして市販されている。
【0052】
別の実施形態では、ポリオキシアルキレンポリアミンは、主鎖構造にオキシプロピレン単位およびオキシテトラメチレン単位を有する。
【0053】
好ましくは、オキシプロピレン単位とオキシテトラメチレン単位を有するそのようなポリオキシアルキレンポリアミンは、数平均分子量が100~3,000、より好ましくは200~2,000である。
【0054】
このようなポリエーテルポリアミンは、HuntsmannからTHF-100、THF-140およびTHF-170などのジェファミンTHFシリーズポリエーテルポリアミンとして市販されている。
【0055】
場合により、硬化性接着剤組成物は、以下の式(III)に従って、1~10個、例えば2~6個、または2~4個の第一級および/または第二級アミノ基を有する少なくとも1つのアミン硬化促進剤を含む:
NH 式(III)
式中、
は水素またはC-Cアルキル基である;および、
は、芳香族基を含む最大36個の炭素原子を有するヒドロカルビル基であり、このヒドロカルビル基は、1以上の-NHR基によって任意に置換されていてよく、さらに、1以上のO原子および/または1以上の-N(R)-基(Rは水素原子である)によって任意に中断されていてよい;また、
はC-C36脂肪族基であり、1以上のNHR基によって任意に置換されていてよく、さらに任意に1以上のO原子および/または1以上のN(R)-基(Rは水素原子である)によって中断されていてよい;および、
およびRは、それらが結合するN原子と共に環を形成してもよい。
【0056】
完全を期すために、RおよびRが環を形成する場合、そのような環は複素環であってもよく、1以上の窒素原子を含んでもよいことが認識される。
【0057】
式(III)による反応体アミンが以下の点で特徴付けられる場合にも、良好な結果が得られた:Rは水素であり、および、RはC~C36アルキル基、好ましくはC~C12のアルキル基であって、少なくとも1つの-NHR基で任意に置換されていてよく、1以上の-N(R)-基(Rは水素原子である)によって任意に中断されていてよい。この実施形態の例示的なジ第一級アミンには、以下が含まれる:テトラメチレンジアミン;ペンタメチレンジアミン;ヘキサメチレンジアミン;オクタメチレンジアミン;および、ドデカメチレンジアミン。この実施形態の例示的な第一級-第二級ジアミンには、以下が含まれる:N-メチルエチレンジアミン;N-エチルエチレンジアミン;N-メチル-1,3-ジアミノプロパン;2-(イソプロピルアミノ)エチルアミン;N-プロピルエチレンジアミン;N-プロピル-1,3-プロパンジアミン;N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン;4-(アミノメチル)ピペリジン;3-(アミノメチル)ピペリジン;2-(アミノメチル)ピペリジン;および、4-アミノピペリジン。
【0058】
本発明で使用するためのさらなる例示的な市販のアミンには、以下が含まれるが、これらに限定されない:Invista ArpadisからDytek Aとして入手可能な2-メチル-1,5-ジアミノペンタン;異性体の混合物としてDytek DCH-99としてInvista Arpadisから入手可能な1,2-ジアミノシクロヘキサン;Sigma-Aldrichから入手可能なN,N’-ジメチルヘキサンジアミン(MAHMA);CrodaからPriamine 1071、1073、1074および1075として入手可能な脂肪酸二量体ベースのジアミン;Cardolite CorporationからCardolite NX-5608、NX-5607およびLITE 3060として入手可能なフェナルカミン;BASFからLupasol G20(無水)およびLupasol FGの商品名で入手可能なポリエチレンイミン(PEI)、およびSigma-Aldrichからのイソホロンジアミン。
【0059】
また、本発明の組成物に使用するのに適したさらに別の例示的なアミンには、ピペリジンおよびピロリジンが含まれる。
【0060】
特定の状況では、アミン硬化促進剤が、R2が水素であり、R3がC1~C12までのアルキル基、好ましくはC1~C6アルキル基であることを特徴とする式(III)による第一級アミンを含むことが有利であり得る。このタイプの例示的なアミンには次のものが含まれる:n-ブチルアミン;n-ヘキシルアミン;n-オクチルアミン;n-デシルアミン;および、n-ドデシルアミン。
【0061】
好ましい一実施形態では、アミン硬化促進剤は、イソホロンジアミン、メンタンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノシクロヘキサン、1,3-ジ(アミノメチル)シクロヘキサン、4,4’-メチレンジシクロヘキシルアミン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシル-メタン、およびそれらの組み合わせから好ましくは選択される、脂環式アミンである。
【0062】
存在する場合、アミン硬化促進剤中のアミン基とポリエーテルポリアミン中のアミン基とのモル当量比は、1:10~10:1、好ましくは1:5~5:1、より好ましくは1:3~3:1の範囲である。
【0063】
本発明の組成物は、大過剰のポリエーテルポリオールからのアミンおよびアミン硬化促進剤(存在する場合)または前記アセトアセテートのいずれかを含むことができることに留意されたい。例えば、該組成物は、アセトアセテートとアミンのモル当量比が1:10~10:1であることを広く特徴とできる。しかしながら、本組成物の組成物中のアミンの総量は、一般に、アセトアセテートとアミンのモル当量比が2:1~1:2、例えば1.2:1~0.8:1の範囲となるように選択してよい。したがって、組成物中のアセトアセテート当量ごとに1モルのアミンが利用可能であることが好ましいが、この好ましい1:1当量比に関する変動は許容され得る。
【0064】
本硬化性組成物の化学的性質の利点は、その硬化速度を調整または緩和して、さまざまな種類の基材での硬化材料の機械的特性の発現速度を制御できることである。例えば、硬化反応が速く、それに伴うこれらの機械的特性が急速に発達することは、多目的接着用途に有利であり得る。
【0065】
多目的硬化性接着剤組成物を形成するために、反応性成分は、それらの硬化を誘導するような方法で集められ、混合される。より具体的には、成分は、手作業、機械、(共)押出し、またはそれらの微細で高度に均一な混合を確実にできる任意の他の手段によって、所定の量で混合され得る。初期の混合時(本明細書において「初期」とは、成分が組み合わされてから1分後までを意味する)、硬化性接着剤組成物は、室温で液体またはペーストである。しかし、この事実は混合温度が室温より高いことを排除するものではなく、例えば室温より15℃高いまでである。
【0066】
もちろん、硬化性接着剤組成物には補助成分や添加剤が含まれていてもよい。しかし、接着剤組成物は、ペーストまたは液体材料に適した初期粘度を示すように広く処方されるべきである。フィラーを含まない接着剤組成物の場合は25℃で30000mPa・s未満、好ましくは15000mPa・s未満、より好ましくは7500mPa・s未満の範囲である。フィラー入りの接着剤組成物の場合は2000Pa・s未満、好ましくは1000Pa・s未満、より好ましくは500Pa・s未満の範囲である。
【0067】
前記粘度特性とは独立して、またはそれに加えて、硬化性接着剤組成物は、混合およびその後の硬化の際に泡(フォーム)がないように調製されるべきである。さらに、硬化性接着剤組成物はさらに、以下の特性の少なくとも1つ、望ましくは少なくとも2つ、最も望ましくはすべてを示すように調製されるべきである:i)組成物を5分間硬化させた後の固定強度;ii)最高発熱温度が120℃以下、好ましくは100℃以下、より好ましくは80℃以下;および、iii)硬化させ、室温および相対湿度50%で7日間保管した後のショアA硬度が少なくとも50、好ましくは60、より好ましくは少なくとも70。
【0068】
本発明の組成物は無溶媒であってもよい。あるいは、組成物は、1以上の溶媒を含んでよく、そのうちの少なくとも1つの前記溶媒は、水と混和性であることが好ましい。したがって、組成物は、水と混和性の2つ以上の溶媒からなる溶媒系によって特徴付けられ得ることが想定される。同様に、組成物は、水と混和しない少なくとも1つの溶媒および水と混和する少なくとも1つの溶媒からなる溶媒系によって特徴付けられ得る。完全を期すために、本明細書で使用される「非混和性」という用語は、ある程度の割合で2つの相が存在することを意味する。
【0069】
水と混和性の溶媒の非限定的な例には、酢酸、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、エタノール、メタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、およびテトラヒドロフランが含まれるが、これらに限定されない。水と混和しない溶媒の非限定的な例には、ベンゼン、n-ブタノール、酢酸ブチル、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2-ジクロロエタン、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ヘプタン、ヘキサン、メチル- 1-ブチルエーテル、メチルエチルケトン、ペンタン、ジイソプロピルエーテル、トルエン、トリクロロメタン、キシレン、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0070】
使用する場合、組成物中に存在する溶媒の量は、通常の実際的な考慮事項に基づいて決定できる。しかしながら、一般に、溶媒とアセトアセテート官能化化合物の体積質量比は、1:1~100:1の範囲である。いくつかの実施形態では、溶媒とアセトアセテート官能化化合物との体積対質量比は、1:1~50:1の範囲であってもよい。
【0071】
もちろん、本発明の組成物は、顔料、充填剤、可塑剤、レベリング剤、発泡抑制剤、レオロジー制御剤、触媒、酸化防止剤、粘着付与剤、接着促進剤、難燃剤およびUV安定剤などの標準的な添加剤を含むこともできる。適切な添加剤の選択は、これらが組成物の他の成分と適合しなければならず、多目的接着用途での組成物の使用に有害であってはならないという点でのみ制限される。
【0072】
フィラーを使用する場合、組成物の重量に基づいて、典型的には75重量%まで、例えば50重量%まで、または30重量%までの量で含まれるべきである。本明細書における充填剤としての使用に適しているのは、例えば、白亜、石灰粉末、沈降ケイ酸および/または発熱性ケイ酸、ゼオライト、ベントナイト、炭酸マグネシウム、珪藻土、アルミナ、粘土、タルク、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、砂、石英、フリント、マイカ、ガラス粉末、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、その他の粉砕鉱物物質である。有機充填剤、特にカーボンブラック、グラファイト、ゴム粒子、木材繊維、木粉、おがくず、セルロース、メラミン、綿、パルプ、木材チップ、刻んだわら、もみがら、すりつぶしたクルミの殻、および他の刻んだ繊維も使用できる。ガラス繊維、ガラスフィラメント、ポリアクリロニトリル、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレン繊維などの短繊維も添加できる。アルミニウム粉末も同様にフィラーとして適している。
【0073】
特定の実施形態では、硬化した硬化性接着剤組成物の柔らかさおよび柔軟性を緩和するために、可塑剤が含まれてもよい。この場合、1以上の可塑剤は、以下からなる群から選択できる:植物油;鉱油;大豆油;テルペン樹脂;フタル酸ジオクチル、フタル酸ジウンデシル、リン酸トリクレシル、メリテートトリイソノニル等の芳香族エステル;ジトリデシルアジペートなどの直鎖状エステル;塩素化パラフィン;芳香族およびナフテン系プロセスオイル;アルキルナフタレン;および、低分子量ポリイソプレン、ポリブタジエン、単官能および長鎖含有アミンまたはポリブチレン樹脂。従来、可塑剤の量は、多目的接着剤組成物の総重量に基づいて、0~20重量%、好ましくは0~10重量%、または0~5重量%であるべきである。
【0074】
組成物の硬化反応を触媒できる。既知の触媒には、例えば、オクタン酸第一スズ、ジオレイン酸第一スズ、パルミチン酸第一スズ、シュウ酸第一スズ、三フッ化ホウ素エーテレートおよびブレンステッド酸が含まれる。また、使用する場合、触媒の量は、適用可能な支持体が存在しない場合に決定して、使用する反応体アミンの総重量に基づいて、0.001~5重量%、好ましくは0.01~2重量%にすべきである。しかし、本組成物は触媒を含まないことが非常に好ましい。
【0075】
好ましくは、メルカプト官能性シラン、エポキシ官能性シラン、特にアミノ官能性シランなどの有機官能性シランを接着促進剤として使用して、金属への接着を改善できる。メルカプト官能性シランの例は、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランまたは3-メルカプトプロピルトリエトキシシランまたはそれらのアルキルジメトキシまたはアルキルジエトキシ類似体である。アミノ官能性シランの例として、3-アミノプロピルアルコキシシラン、2’-アミノエチル-3-アミノプロピルアルコキシシランを挙げることができる。エポキシ官能性シランは、大多数の化合物から選択できる。例として、以下のものが挙げられる:3-グリシジルオキシメチルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシメチルトリエトキシシラン、3-グリシドキシメチルトリプロポキシシラン、3-グリシドキシメチルトリブトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、2-グリシドキシエチルトリブトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、1-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、1-グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、1-グリシドキシエチルトリブトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、2-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、2-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、1-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、1-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、1-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、3-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、4-グリシドキシブチルトリブトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、3-グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、3-アルプロポキシブチルトリブトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、4-グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、1-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、1-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、1-グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、1-グリシドキシブチルトリブトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリプロポキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリブトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリプロポキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリブトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリプロポキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリブトキシシラン。接着促進剤は、0.1~10重量%、好ましくは0.5~4重量%、特に好ましくは0.5~2重量%の量で組成物に使用されることが好ましい。
【0076】
本発明の接着剤組成物には、特に木材の接着に使用する場合、硬化生成物の性能を向上させるために難燃剤を添加できる。難燃剤としては、ポリリン酸アンモニウム、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルジエチルホスフィン酸亜鉛、シアヌル酸メラミン、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミンアンモニウム、ピロリン酸メラミンアンモニウム、ホウ酸メラミン、リン酸トリフェニル、レゾルシノールビス-(リン酸ジフェニル)、ビスフェノールA-ビス-(リン酸ジフェニル)、レゾルシナール-ビス-(2,6-ジキシリレニルリン酸)、水酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、二水酸化マグネシウム、酸化亜鉛、三酸化モリブデン、酸化アンチモン、三水酸化アルミニウム、ホウ酸亜鉛、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ジヒドロキサホスファフェナントレン、ジヒドロキサホスファフェナントレン-ヒドロキノン、ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム、ポリメチルフェニルシロキサン、ブチルペルフルオロスルホン酸カリウムおよびそれらの混合物等が挙げられる。難燃剤は、0.1~20重量%、好ましくは0.5~15重量%、特に好ましくは0.5~10重量%の量で組成物に使用されることが好ましい。
【0077】
別の態様において、本発明は、多官能性エポキシアセテート化合物を含む第1部材と、ポリオキシジメチルポリアミンおよびポリアミンオキシプロピレン単位、オキシエチレン単位、及びオキシテトラメチレン単位のうち少なくとも2つから選択されるオキシアルキレン単位を有するポリオキシアルキレンを含む第2液とを含む、二液型硬化性接着剤組成物を対象とする。
【0078】
各部材の成分は、適用前にすべての容器の内容物が一緒に混合されて接着剤組成物の混合物を形成するまで、互いに別個の容器(部材)に保管される。塗布して硬化すると、結合領域に固体材料が形成される。
【0079】
本発明の別の態様は、本発明の硬化性接着剤組成物を用いて基材同士を接着する方法である。この実施形態では、硬化性組成物は、第1の基材に塗布される。塗布の方法は、当業者に既知の多数の方法(例えば刷毛塗り、スプレー、ローラーコーティング、グラビアコーティング、フレキソコーティング、フローコーティング、ディッピング、およびそれらの組み合わせ)によって、所望により組成物の連続または不連続のフィルムを形成できる。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は周囲温度(約25℃)で塗布される;あるいは、硬化性組成物を高温で塗布してよい。
【0080】
組成物が第1の基材に塗布された後、別の基材と接触して複合体を形成できる。そのように形成された複合体は、必要に応じて、ローラ間に通すなどの加圧を受けて、基材と組成物との接触を増加させる。本発明の別の実施形態では、組成物は、第1の基材の両面に同時にまたは順次に塗布されてもよく、その後、この組成物は、同じまたは異なっていてもよい2つのさらなる基材に同時にまたは順次に結合されてもよい。複合構造は、本明細書に記載のプロセスの前または後に、本発明の組成物または異なる組成物を使用して、他の基材に順次結合され得ることがさらに企図される。本発明の方法で結合される第1および第2の基材は、同じであっても異なっていてもよく、例えば紙、布地、皮革、金属(アルミニウムおよび鋼など)、陶磁器、セラミック、ガラス、木材、またはプラスチック(PP、PC、PVCなど)が挙げられ、滑らかなまたは構造化された表面を持つことができ、ロール、シート、フィルム、ホイルなどの形で提供してよい。
【0081】
本発明のいくつかの実施形態では、基材は比較的薄くて平坦であり、得られる複合体はラミネートと呼ばれる。基材は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリアルキレン、ポリエステル、およびポリアミド(ナイロン)、金属化ポリプロピレン、アルミニウム箔などに基づく多層ラミネート構造で構築してよい。2層のラミネート構造としては、ポリプロピレン/ポリプロピレン、ポリエステル/ナイロン、ポリエステル/ポリエチレン、ポリプロピレン/金属化ポリプロピレン、ポリプロピレン/アルミニウム箔、ポリエステル/アルミニウム箔、ポリアミド/アルミニウム箔などがある。
【0082】
本発明の硬化性接着剤組成物は、本明細書で「硬化」と呼ばれる化学反応を受けることが企図される。本発明は特定の理論に限定されないが、硬化は硬化性組成物が形成されたときに始まり、少なくともポットライフの終わりまで続き、その後も続くと考えられる。いくつかの実施形態では、可使時間が終了する前に、硬化性接着剤組成物の層が基材に塗布される。これらの実施形態のいくつかでは、少なくとも1つのさらなる基材が硬化性混合物の層と接触する;該さらなる基材は可使時間内に層硬化性接着剤組成物と接触することが多い。したがって、いくつかの実施形態では、硬化性接着剤組成物と基材が接触するまで硬化は終わらない。硬化生成物は基材間で有用な接着結合を形成すると考えられる。
【0083】
本発明は接着剤として特に有用であるが、コーティング、ポリマー発泡体、シーラント、およびエラストマーにも適用できると考えられる。塗料として使用する場合は、硬化性接着剤組成物を基材に塗布して硬化させ、さらなる基材は硬化性混合物と接触させない。シーラント、発泡体、またはエラストマーとして使用される場合、硬化性接着剤組成物は、例えば、金型内または剥離面上に置かれ、硬化できる;その後、硬化した混合物を型または剥離面から取り外し、意図したとおりに使用できる。
【0084】
本開示の様々な特徴および実施形態は、代表的であることを意図し、限定することを意図しない以下の実施例に記載される。
【実施例
【0085】
実施例

材料

Jeffamine D-230は、Huntsmannからの約230の数平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミンである。
【0086】
Jeffamine T-403は、Huntsmannからの約440の数平均分子量を有するポリオキシプロピレントリアミンである。
【0087】
Jeffamine ED-600は、Huntsmannからの約600の数平均分子量を有するポリオキシプロピレンポリオキシエチレンジアミンである。
【0088】
Jeffamine ED-900は、Huntsmannからの約900の数平均分子量を有するポリオキシプロピレンポリオキシエチレンジアミンである。
【0089】
Jeffamine THF100は、Huntsmannからの約1000の数平均分子量を有するポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレンジアミンである。
【0090】
Priamine 1071はCrodaのダイマー脂肪酸ジアミンである。
【0091】
Jeffamine EDR148はHuntsmannからの次の構造を持つジアミンである。
【0092】
Dytek DCH-99は、Invista Arpadisからの1,2-ジアミノシクロヘキサンである。
【0093】
(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは、Alfa Aesarからの接着促進剤である。
【0094】
Omya BLHは、Omyaからの粉砕炭酸カルシウムである。
【0095】
Aerosil R202は、Evonikからの疎水性ヒュームドシリカである。
【0096】
試験方法

ラップ剪断強さ
サンプルは、10mmのオーバーラップを使用して、2つの25mm幅の基材から作成した。サンプルをクランプで所定の位置に固定し、試験前に室温で2日間硬化させた。テストは、Zwick/Roell Z050を使用して、10mm/分の速度で引っ張って実行した。
【0097】
固定強度
固定強度は、5分間の硬化後にラップ剪断サンプルのクランプを取り外したときに、サンプルが自重で分離しなかった場合に「合格」と評価された。
【0098】
耐溶剤性
2成分調製物のバルクポリマーは、すべての成分を混合し、室温で7日間硬化させることによって調製した。耐溶剤性は、硬化したバルクポリマーの表面上で、さまざまな溶剤に浸したペーパーティッシュを何度も前後にこすってテストした。ポリマー表面の変化が見られない場合、耐溶剤性は「合格」と評価された。
【0099】
トリメチロールプロパントリアセトアセテートの合成
トリメチロールプロパントリアセトアセテート(AATMP)の合成は、文献手順WO2019/120923A1にわずかな変更を加えて実行した。500mLの三口丸底フラスコに、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトール(1当量)およびTBAA(1.1当量)を入れた。次に、Yアダプター、機械式攪拌棒、および還流冷却器をフラスコの各首に取り付けた。Yアダプタでは、熱電対と窒素コネクタが調整された。温度は、窒素雰囲気下で140℃に設定した(還流は約4時間で92℃に達した)。その後、ゆっくりと温度を140℃まで上げながら、常圧で8時間蒸留を行った。最後に、蒸留が停止したら、140℃で900mbarから400mbarまで減圧蒸留を2時間行った。反応スキームを以下に示す。
【0100】
実施例1
0.175当量(20.83g)のJeffamine D230、0.65当量(37.11g)の1,2-ジアミノシクロヘキサン、0.15当量(46.65g)のJeffamine ED600および0.025当量(4.48g)の(3-アミノプロピル)トリメトキシシランを、PPスピードミキサーカップで混合した。次に、148.09gのOmya BLHと16.45gのAerosil R202を加え、ミキサーカップで混合した。最後に、1当量(128.80g)のAATMPを添加し、ミキサーカップで混合した。その後、混合物をスピードミキサーで3500rpmで30秒間混合し、接着剤組成物を得た。
【0101】
実施例2
0.175当量(27.65g)のJeffamine T403、0.65当量(37.11g)の1,2-ジアミノシクロヘキサン、0.15当量(46.65g)のJeffamine ED600および0.025当量(4.48g)の(3-アミノプロピル)トリメトキシシランを、PPスピードミキサーカップで混合した。次いで、152.37gのOmya BLHおよび16.93gのAerosil R202を添加し、ミキサーカップ内で混合した。最後に、1当量(128.80g)のAATMPを添加し、ミキサーカップで混合した。その後、混合物をスピードミキサーで3500rpmで30秒間混合し、接着剤組成物を得た。
【0102】
実施例3
0.175当量(20.83g)のJeffamine D230、0.65当量(37.11g)の1,2-ジアミノシクロヘキサン、0.15当量(74.03g)のJeffamine ED900および0.025当量(4.48g)の(3-アミノプロピル)トリシランを、PPスピードミキサーカップで混合した。次に、165.13gのOmya BLHと18.34gのAerosil R202を加え、ミキサーカップで混合した。最後に、1当量(128.80g)のAATMPを添加し、ミキサーカップで混合した。その後、混合物をスピードミキサーで3500rpmで30秒間混合し、接着剤組成物を得た。
【0103】
実施例4
0.175当量(20.83g)のJeffamine D230、0.65当量(37.11g)の1,2-ジアミノシクロヘキサン、0.15当量(76.43g)のJeffamine THF100および0.025当量(4.48g)の(3-アミノプロピル)トリメトキシシランを、PPスピードミキサーカップで混合した。次に、166.63gのOmya BLHと18.51gのAerosil R202を加え、ミキサーカップで混合した。最後に、1当量(128.80g)のAATMPを添加し、ミキサーカップで混合した。その後、混合物をスピードミキサーで3500rpmで30秒間混合し、接着剤組成物を得た。
【0104】
実施例5
0.15当量(18.30g)のJeffamine D230、0.57当量(32.61g)の1,2-ジアミノシクロヘキサン、0.25当量(77.75g)のJeffamine ED600および0.025当量(4.48g)の(3-アミノプロピル)トリメトキシシランを、PPスピードミキサーカップで混合した。次に、94.87gのOmya BLHと8.50gのAerosil R202を加え、ミキサーカップで混合した。最後に、1当量(128.80g)のAATMPを添加し、ミキサーカップで混合した。その後、混合物をスピードミキサーで3500rpmで30秒間混合し、接着剤組成物を得た。
【0105】
比較例1
0.2当量(23.80g)のJeffamine D230、0.65当量(37.11g)の1,2-ジアミノシクロヘキサン、0.15当量(44.06g)のPriamine 1071を、PPスピードミキサーカップで混合した。次に、210.39gのOmya BLHと23.38gのAerosil R202を加え、ミキサーカップで混合した。最後に、1当量(128.80g)のAATMPを添加し、ミキサーカップで混合した。その後、混合物をスピードミキサーで3500rpmで30秒間混合し、接着剤組成物を得た。
【0106】
比較例2
0.25当量(29.75g)のJeffamine D230、0.65当量(37.11g)の1,2-ジアミノシクロヘキサンおよび0.10当量(7.85g)のJeffamine EDR148を、PPスピードミキサーカップで混合した。次いで、183.16gのOmya BLHおよび20.35gのAerosil R202を添加し、ミキサーカップ内で混合した。最後に、1当量(128.80g)のAATMPを添加し、ミキサーカップで混合した。その後、混合物をスピードミキサーで3500rpmで30秒間混合し、接着剤組成物を得た。
【0107】
得られた接着剤組成物について、各種基材の固定強度、ラップ剪断強度を試験した。結果を表1に示す。
【0108】
表1 テスト結果
【0109】
さらに、溶剤に対する実施例の耐性も試験し、すべての本発明による実施例は、溶剤に浸したティッシュペーパーでこすった後に顕著な変化を示さず、試験に合格した。
【0110】
表1から明らかなように、本発明の実施例は様々なタイプの基材に対して優れた固定強度およびラップ剪断強度を示したが、比較例はプラスチックの接着において良好な接着性能を達成できなかった。
【国際調査報告】