(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-19
(54)【発明の名称】基板からの刺激応答性ポリマーの残留物のない除去
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230612BHJP
【FI】
H01L21/302 104H
H01L21/302 101C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022568699
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(85)【翻訳文提出日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 US2021031594
(87)【国際公開番号】W WO2021231306
(87)【国際公開日】2021-11-18
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シラード・スティーブン・エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブラックート・グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ハイメス・ダイアン
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BA04
5F004BA19
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB26
5F004BB28
5F004BC05
5F004BC06
5F004CA02
5F004CA03
5F004CA04
5F004DA00
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA25
5F004EB04
(57)【要約】
【解決手段】刺激応答性ポリマー(SRP)を除去することが、高温にて稀ガスプラズマ中で生成された高エネルギー準安定化学種への曝露を含む。準安定化学種は、ポリマー又は他の残留物の結合を切断するのに十分なエネルギー及び寿命を有する。SRPの天井温度を超える温度では、結合がいったん切断されると、揮発性モノマーに戻す強い熱力学的駆動力が存在する。準安定化学種は化学的反応性を持たず、下にある表面に大きな影響を及ぼすことがない。高エネルギー準安定化学種は、熱などの他の刺激への曝露の後に残る残留物を除去することに効果的である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
刺激応答性ポリマー(SRP)を上に有する基板を、前記SRPを解重合させるのに効果的な刺激に曝し、解重合された前記SRPを前記基板から除去することと、
稀ガスのプラズマから生成された準安定原子に前記基板を曝すことであって、前記稀ガスは、前記基板から残留物を除去するための、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)及びキセノン(Xe)のうちの1つ以上である、ことと、を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記SRPは、ポリアルデヒド又はその誘導体を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記SRPは、ホモポリマーとして又はコポリマーのポリマーのうちの1つとして、ポリ(フタルアルデヒド)又はその誘導体を含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板を刺激に曝すことは、前記基板を前記SRPの天井温度を超える第1の温度まで加熱することを含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
前記基板がいったん前記第1の温度に到達すると、前記プラズマが点火される、方法。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記基板を前記準安定原子に曝す前に、前記SRPの大部分が除去される、方法。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載の方法であって、
前記SRPの大部分が除去される前に、基板が前記準安定原子に曝される、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマの圧力は、約10ミリトル~約10トルである、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマの圧力は、約100ミリトル~1トルである、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、
前記SRPは、高アスペクト比(HAR)構造の間に設けられている、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、
前記SRPは、基板上の保護コーティングとして設けられている、方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマは、誘導結合プラズマ(ICP)ソースにおいて生成される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、
前記ICPソースは、シャワーヘッド又は他のフィルタによって前記基板から分離されている、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラズマは、容量結合プラズマ(CCP)ソースにおいて生成される、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記基板を刺激に曝すこと、及び前記基板を前記準安定原子に曝すことが、同じチャンバにおいて実行される、方法。
【請求項16】
方法であって、
稀ガスから生成されたプラズマからの化学種を基板に曝して、刺激応答性ポリマーの除去プロセスからの残留物を除去することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願の一部として、PCT願書が本明細書と同時に提出される。同時に提出されたPCT願書において確認したように、本出願が利益又は優先権を主張する各出願は、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体製造中、多くの表面が、周囲環境中の空気中分子状汚染物質(AMC)に高い感度を有する。キュータイムが、AMCへの曝露、並びに酸化、腐食、及びハロゲン化などの望ましくない相互作用につながり得る。解決策としては、部分的に製造された半導体基板を窒素(N2)充填された格納カセット又は部屋に格納することと、基板の真空状態を壊すことなく複数のプロセスをサポートする統合ツールを使用することとが挙げられる。これらの解決策を実装することは困難かつ高価であり、安全性及び信頼性の懸念をもたらす。
【0003】
本明細書で提供される背景技術の説明は、本開示の文脈を一般的に提示することを目的としている。本明細書の「背景技術」に記載されている範囲における、本明細書にて名前を挙げた発明者の業績、並びに、出願時点で先行技術と見なされないかも知れない本明細書の態様は、明示的にも暗黙的にも本開示に対する先行技術として認められていない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は、高温にて稀ガスプラズマから生成された高エネルギー準安定化学種への曝露を含む、刺激反応性ポリマー(SRP)を除去する方法に関する。準安定化学種は、ポリマー又は他の残留物への結合を切断するのに十分なエネルギー及び寿命を有する。SRPの天井温度を超える温度では、結合がいったん切断されると、揮発性モノマーに変える強い熱力学的駆動力が存在する。準安定化学種は化学的反応性を持たず、下にある表面に大きな影響を及ぼすことがない。稀ガスプラズマからの準安定化学種は、熱などの他の刺激への曝露の後に残っている残留物を除去することに効果的である。
【0005】
本開示の一態様は、刺激応答性ポリマー(SRP)を上に有する基板を、SRPを解重合させるのに効果的な刺激に曝し、解重合されたSRPを基板から除去することと、稀ガスプラズマから生成された準安定原子に基板を曝すことであって、稀ガスは、基板から残留物を除去するための、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)及びキセノン(Xe)のうちの1つ以上であることと、を含む方法に関する。
【0006】
いくつかの実施形態では、SRPは、ホモポリマーとして又はコポリマーのポリマーのうちの1つとして、ポリ(フタルアルデヒド)又はその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、基板を刺激に曝すことは、基板をSRPの天井温度を超える第1の温度まで加熱することを含む。いくつかのそのような実施形態では、基板がいったん第1の温度に到達すると、プラズマが点火される。
【0007】
いくつかの実施形態では、基板を準安定原子に曝す前に、SRPの大部分が除去される。いくつかの実施形態では、SRPの大部分が除去される前に、基板は準安定原子に曝される。いくつかの実施形態では、プラズマ圧力は、約10ミリトル~10トルである。いくつかの実施形態では、プラズマ圧力は、約100ミリトル~1トルである。いくつかの実施形態では、SRPは、高アスペクト比(HAR)構造の間に設けられている。いくつかの実施形態では、SRPは、基板上の保護コーティングとして設けられている。いくつかの実施形態では、プラズマは、誘導結合プラズマ(ICP)ソースにおいて生成される。いくつかのそのような実施形態では、ICPソースは、シャワーヘッド又は他のフィルタによって基板から分離されている。いくつかの実施形態では、プラズマは、容量結合プラズマ(CCP)ソースにおいて生成される。任意の他のタイプのプラズマソースが使用されてよい。いくつかの実施形態では、基板を刺激に曝すこと、及び基板を準安定原子に曝すことは、同じチャンバにおいて実行される。
【0008】
本開示の別の態様は、稀ガスから生成されたプラズマからの化学種を基板に曝して、刺激応答性ポリマーの除去プロセスからの残留物を除去することを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】
図1Aは、刺激応答ポリマー(SRP)を使用する例示的な半導体製造プロセスにおける特定の作業を示すフロー図である。
【
図1B】
図1Bは、刺激応答ポリマー(SRP)を使用する例示的な半導体製造プロセスにおける特定の作業を示すフロー図である。
【0010】
【
図2】
図2は、特定の実施形態による、SRPを除去する方法を示す。
【0011】
【
図3】
図3は、特定の実施形態による、SRPを除去するために使用されてよいチャンバの一例を示す。
【0012】
【
図4】
図4は、SRP除去及び対照基板に関する実験的セットアップを示す概略図である。
【0013】
【
図5A】
図5Aは、プラズマ作業中のSRP残留物に対するプラズマ圧力の影響を示すチャートである。
【
図5B】
図5Bは、プラズマ作業中のSRP残留物に対する基板温度の影響を示すチャートである。
【
図5C】
図5Cは、プラズマ作業中のSRP残留物に対するRF電力の影響を示すチャートである。
【0014】
【
図6A】
図6Aは、シリコン対照基板の表面改質に対するプラズマ作業中のプラズマ圧力の影響を示す。
【
図6B】
図6Bは、シリコン対照基板の表面改質に対するプラズマ作業中の基板温度の影響を示す。
【
図6C】
図6Cは、シリコン対照基板の表面改質に対するプラズマ作業中のRF電力の影響を示す。
【0015】
【
図7】
図7は、本開示による、複数の基板処理ツール及び格納バッファを含む基板処理システムの一例の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
刺激反応性ポリマー(SRP)が、表面保護及びキュータイム延長のために半導体製造プロセスで使用される場合がある。低い天井温度のSRPは、適度に高い温度又は酸性蒸気などの刺激に曝されると、自然に除去されることが可能であり、基板表面を損傷する場合がある過酷なウェット又はドライ除去化学物質が回避される。これらのSRPはまた、高アスペクト比(HAR)構造の犠牲ブレーシング用に使用できる。
【0017】
上記のように、多くの実施形態では、SRPは、低天井温度(Tc)ポリマーである。Tcは、ポリマーとそのモノマーとの間の平衡温度である。本明細書で使用する場合、低Tcという用語は、除去温度を下回るTc値を意味する。いくつかの実施形態では、Tcは室温を下回り、その結果、ポリマーは室温で熱力学的に不安定である。その代わりに、低Tcポリマーは、動力学的にトラップされて、室温での長期にわたる保管が可能である。いくつかの実施例では、安定な保管期間は、数ヶ月又は数年のオーダーである。低Tcポリマーは、末端基又は主鎖の結合が切断されると、そのモノマー成分に急速に解重合することになる。したがって、ポリマーは、紫外(UV)光、熱、又は酸性/塩基性触媒などの刺激に応答して解重合する。モノマー生成物は揮発性であり、表面及びチャンバから離れるか、あるいは容易に除去され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、Tcは室温未満であるが、半導体処理との関連では、低Tcは、室温よりも高い天井温度を指す場合もある。例えば、最大400℃の除去温度が使用されてもよく、これは天井温度が400℃未満であることを意味する。
【0019】
本明細書で説明される方法では、SRPを除去することが、高温にて稀ガスプラズマ中で生成された高エネルギー準安定化学種への曝露を含む。準安定化学種は、ポリマー又は他の残留物への結合を切断するのに十分なエネルギー及び寿命を有する。天井温度を超える温度では、結合がいったん切断されると、揮発性モノマーに変える強い熱力学的駆動力が存在する。準安定化学種は化学的反応性を持たず、下にある表面に大きな影響を及ぼすことがない。準安定化学種は、熱などの他の刺激への曝露の後に残っている残留物を除去することに効果的である。この残留物は、重合された若しくはクロスリンクされた及び/又は炭化された破片のまま残っている、一部のSRPであってもよく、エリプソメトリにより検出可能である。SRPの大部分が上述した刺激により除去できる一方で、この残留物は、それらの方法により完全に除去することは困難な可能性がある。特定の理論によって拘束されるわけではないが、準安定種は、副生物の形成に起因して、早すぎて停止されたかも知れない鎖の切断を再開させることにより、解重合プロセス中に形成されたかも知れないチャーを分解することにより、及びモノマー脱離を補助することにより、残留物を除去してもよい。
【0020】
犠牲SRPの使用を伴うプロセスの実施例が、
図1A及び
図1Bを参照して後述され、除去プロセスの更なる詳細が、
図2~
図6Cを参照して提供される。
図1Aを参照すると、SRPを使用する、HAR構造を強化する方法の一実施例が示される。最初に作業101において、HAR構造を含む基板が溶媒と共に提供される。HAR構造は、高アスペクト比(AR)、例えば、少なくとも8、10、20、30、40又は80、を有する構造である。基板は、例えば、ウェットエッチング又はクリーニング作業の後に提供されてよく、先行する作業に関連する溶媒を有してよい。いくつかの実施形態では、先行する溶媒がSRP溶液と化学的に適合しない場合、作業101における溶媒は移行溶媒であってよい。
【0021】
次に、作業103において、刺激反応性ポリマー(SRP)を含む溶液で溶媒を置換する。次いで、作業105において、基板を乾燥させる。SRPは、溶液から析出し、HAR構造を充填する。HAR構造に機械的ブレースを形成して、溶媒の乾燥中に発生する毛細管力による構造の崩壊を防止する。
【0022】
次いで、作業107において、基板を、光、熱又はSRPを分解させる酸、などの刺激に曝す。次いで、作業109において、基板上に残っている、劣化したポリマーからのモノマー又は断片が、構造体から更に除去されることができる。稀ガスプラズマからの準安定化学種への曝露が、作業107及び/又は109中に実行される。
【0023】
SRPはまた、半導体製造プロセスにおいて、基板の高感度な表面の過渡的な保護のために使用されてもよい。これは、その結果、プロセス間の利用可能なキュータイムを延ばすことができる。
図1Bは、基板の高感度な表面の保護のための方法の一例を示す。作業121において、環境的に高感度な表面を含む基板が提供される。表面は、平面表面であってよく、又はHAR構造を含む、1つ以上のピラー、孔、及びトレンチを含んでもよい。環境キュータイム効果に高感度であり得る基板表面の例は、シリコン、シリコンゲルマニウム及びゲルマニウムの、フィン及びナノワイヤなどの構造、チタニウム、窒化チタン、コバルト、タングステン又はモリブデンを含むがこれらに限定されない金属表面、並びに/又はその他の構造及び材料、を含む。
【0024】
次いで、作業123において、SRPを含む溶液で表面をコーティングする。次いで、作業125において基板を乾燥させ、高感度な基板上にSRPを含む保護コーティングを形成する。次いで、作業127において基板を周囲条件にて保管できる。更なる処理の準備ができている場合、作業129において、基板を、光、熱又はSRPを分解する酸、などの刺激に曝露させる。次いで、作業131において、基板上に残っている、分解されたポリマーからのモノマー又は断片を、構造体から除去できる。稀ガスプラズマにおいて生成された準安定化学種への曝露が、作業129及び/又は131中に実行されてよい。
【0025】
図1A及び
図1Bは、SRPを使用する例示的な半導体製造プロセスにおける特定の作業を示すフロー図であるが、本明細書に記載される方法は、特定の用途に限定されず、SRPが任意の表面から除去される任意の用途で使用されてもよい。
【0026】
図2は、特定の実施形態による、SRPを除去する方法を示す。方法は、SRP膜を上に有する基板がチャンバに提供される作業201から始まる。チャンバは、基板を、高温と、プラズマから生成された準安定化学種とに曝すことが可能である。チャンバの実施例を、
図3に関して以下で説明する。SRP膜を有する基板の例が、
図1A及び
図1Bを参照して上述されている。203において、基板は刺激に曝されて、SRPは劣化する。多くの実施形態では、これは、SRPの天井温度を超える温度まで基板を加熱することを伴う。代替の実施形態では、他の刺激(例えば、紫外線)を、適切なポリマーと共に使用できる。刺激への曝露により、揮発性のモノマー又は断片に分解され、これは、チャンバからポンプで排気できる、又は他の方法で除去できる。
【0027】
いくつかの実施例では、SRPは、50℃~400℃の所定の温度範囲内の温度の熱を使用して除去される。いくつかの実施例では、SRPは、50℃~150℃の所定の温度範囲内の温度の熱を使用して除去される。いくつかの実施例では、犠牲保護層は、紫外(UV)光への曝露を使用して除去される。いくつかの実施例では、ポリマーを形成する溶液に触媒が加えられる。いくつかの実施例では、ポリマーの分解を制御するために光触媒が加えられる場合、染料も溶液にも加えられる。他の実施例では、非触媒ポリマーを堆積させ、犠牲保護層の除去中に、触媒を基板上へ分配する。いくつかの実施例では、SRPは、酸性蒸気化学種への曝露により除去される。いくつかの実施例では、酸性蒸気は、臭化水素(HBr)又は他の酸性蒸気を含む。いくつかの実施例では、HBr蒸気が使用される場合、基板の温度は5mT~5000mTの範囲の圧力、及び0℃~100℃の範囲の温度にて維持される。いくつかの実施例では、基板の温度は750mT~1500mTの範囲の圧力、及び35℃~70℃の範囲の温度にて維持される。いくつかの実施例では、基板の温度は、1000mTの圧力及び60℃の温度にて維持される。
【0028】
205において、基板は、稀ガスプラズマから生成される準安定種に曝される。ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)及びキセノン(Xe)のいずれかが使用されてよい。基板はまた、205の間に必要に応じて刺激に曝されて、準安定化学種への曝露により形成された残留物の断片が揮発する。必ずしもそうではないが、典型的には、作業205における刺激は作業203における刺激と同じであり、基板は連続的に曝露されている。基板は、刺激への曝露中はいつでも、準安定種に曝されてよい。いくつかの実施形態では、作業203は、最初に、例えば、基板を高温まで加熱してSRPの大部分を除去し、次いで、SRPの大部分が除去された後に、基板を準安定種に曝すことにより実行される。他の実施形態では、プラズマが点火されてよく、基板が高温に到達すると直ぐに、準安定種への曝露が生じてよい。
【0029】
稀ガスプラズマは、高エネルギー準安定原子の密度を含む。準安定種とも称される準安定原子は、通常の励起状態よりも長い寿命を有する励起状態にある。本明細書で使用される準安定種は、ポリマー結合を切断し、表面上に残っているあらゆるモノマー又は炭化された残留物を除去するのに十分なエネルギー及び寿命を有する。約5eVを上回るエネルギーが、結合を切断するには十分である。稀ガス準安定種は、約8eV以上のエネルギーを有する。このプロセスにとっては、少なくとも数秒の寿命が十分である。稀ガスは化学的反応性を持たず、基板表面は損傷を受けない。稀ガスプラズマは、以下で更に説明するような誘導結合プラズマ(ICP)ソースを使用して生成されてよい。容量結合プラズマ(CCP)ソースも使用されてよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、プラズマソースへのガス入口は、基本的に1種以上の稀ガスからなる。いくつかの実施形態では、別のガスが存在してよい。存在する場合、第2のガスは基板を改質すべきではない。
【0031】
プラズマベースの除去を制御するために、処理及びプラズマソースチャンバ圧力が使用されてよい。準安定原子の密度を制御するために、圧力が重要である。圧力が低すぎる場合、準安定原子の密度は、表面を効率的にクリーニングするには十分に高くない場合がある。圧力が高すぎる場合、準安定化学種は衝突で失われる場合がある。例示的な圧力は、10ミリトル~10トル、又は100ミリトル~700ミリトルの範囲にあり得る。
【0032】
基板温度及びプラズマ電力はまた、除去を制御するために使用されてよい。温度は、ポリマーの天井温度を超えるように、十分に高い。より高い温度は除去を補助し、最大温度はデバイスのサーマルバジェット又は基板上の他の材料により限定される。例示的な温度は、150℃~1000℃の範囲にあってよい。プラズマ電力は、準安定原子を生成するには十分に高い。例示的な電力は、500W~5000Wの範囲、例えば300mmウェハーに対して2500Wであってよく、基板面積に対して線形に比例してよい。例示的な曝露時間は、10秒~300秒の範囲にあってよい。
【0033】
図3は、チャンバ300の実施例を示す。チャンバは、ガス入口303を有するICPソース301を含むか又はそれに接続している。
図3の実施例では、ガス入口303を介する、ICPソース301へのヘリウムガス入口。準安定He原子(He
*)は、ICPソース301にて生成され、シャワーヘッド305を通過する。チャンバ300内のペデスタル309上の基板307が、準安定原子に曝されクリーニングされる。
図3におけるチャンバ300は、作業203及び205の両方を実行することが可能である。しかしながら、いくつかの実施形態では、これら作業のために異なるチャンバが使用されてよい。例えば、SRPを除去するために紫外線が使用される場合、別個のUVチャンバが使用されてよい、又はUV及びプラズマ曝露の両方のために装備されたチャンバが使用されてよい。
【0034】
図3の実施例では、基板は下流プラズマ又はリモートプラズマに曝され、シャワーヘッドは、ICPソース301において生成された化学種をフィルタリングし、その結果、基板に到達する化学種は大部分又は全てが準安定原子である。しかしながら、ダイレクトプラズマもまた使用されてよい。例えば、CCPプラズマが、チャンバ内のシャワーヘッドとペデスタルとの間で生成されてよい。ダイレクト若しくはインダイレクトICPソース、又はダイレクト若しくはインダイレクトCCPソースが使用されてよい。
【実施例】
【0035】
上述したように、SRPを有する基板を20トルにて真空ベークに曝してSRPを除去し、次いでHe準安定種に曝して残留物を除去した。SRPを有しない対照基板を同じプロセスに曝露させて、表面改質を評価した。
図4は、SRP除去及び対照基板に関する実験的セットアップを示す概略図である。SRP除去の後に、及び準安定種への曝露の後に、エリプソメトリを使用して表面を評価した。
【0036】
使用したSRPは、ジグリム中に溶解させたポリ(プタルアルデヒド-co-エタナール)(PHA-co-EA)(約46kDa)である。SRP除去を、1600sccmのHe/1200sccmのN
2を使用して、20トル及び330℃にて5分間にわたり実行した。全てのシリコンウェハーを、コーティングする前に又は表面改質を調査する前に、外因性の汚染を除去するために330℃でベークした。
図5A~
図5C及び
図6A~
図6Cに示すような異なる準安定種プラズマ条件を使用した。使用した異なる圧力にわたりチャンバ内で一定の滞留時間を維持するために、ヘリウム流量をチャンバ圧力に応じて変化させた。曝露時間は、60秒であった。
【0037】
図5A~
図5Cは、それぞれ、プラズマ作業中のSRP残留物に対するプラズマ圧力、基板温度、及びRF電力の影響を示す。
図5Aは、上述した理由で、最適の圧力(この実施例では、約400ミリトル~900ミリトル)が存在し得ることを示す。残留物の除去は、温度の増加と共に改善でき、より高い温度での実験は、無関係な汚染源に起因して使用可能な結果をもたらさなかった。その結果は、He準安定原子への曝露が、全ての圧力、温度及び電力において残留物の除去につながることを示す。
【0038】
図6A~
図6Cは、シリコン対照基板の表面改質に対する、プラズマ作業中のプラズマ圧力、基板温度、及びRF電力の影響を示す。全ての条件において、最小の表面改質を観察した。
【0039】
SRP
SRPの実施例を以下に記載する。しかしながら、本明細書に記載される方法は、任意のSRPと共に使用されてよい。いくつかの実施形態では、SRPは、ポリ(アルデヒド)を含むコポリマーである。特定の実施形態では、2018年6月7日に出願された米国特許出願公開第2018/0155483号明細書に記載されるような自己犠牲ポリマーが存在する場合があり、本文献はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。その参考文献におけるコポリマーの例として、式Iが挙げられる。
【化1】
式中、Rは、置換又は無置換のC
1-C
20アルキル、C
1-C
20アルコキシル、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
6-C
10ヘテロアリール、C
3-C
10シクロアルキル、C
3-C
10シクロアルケニル、C
3-C
10ヘテロシクロアルキル、又はC
3-C
10ヘテロシクロアルケニルであり、置換される場合、Rは、C
1-C
20アルキル、C
1-C
20アルコキシ、C
2-C
20アルケニル、C
2-C
20アルキニル、C
6-C
10アリール、C
6-C
10ヘテロアリール、アルデヒド、アミノ、スルホン酸、スルフィン酸、フルオロ酸、ホスホン酸、エーテル、ハロゲン化物、ヒドロキシ、ケトン、ニトロ、シアノ、アジド、シリル、スルホニル、スルフィニル、又はチオールで置換される。
【0040】
特定の実施形態では、SRPは、エタナール、プロパナール又はブタナールなどを有する第2のアルデヒドを有するフタルアルデヒドモノマーの環式コポリマーである。そのようなコポリマーの例が、式IIとして米国特許出願公開第2018/015548号にて与えられる。
【化2】
【0041】
米国特許出願公開第2018/015548号における具体例が、PHAと、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、ペンタナール、ヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、プロペナール、ブテナール、ペンテナール、ヘキセナール、ヘプテナール、オクテナール、ノネナール、デセナール、ウンデセナール、及びこれらの任意の組合せのうちの1つ以上とのコポリマーを含む。
【0042】
SRPはまた、純粋なフタルアルデヒドホモポリマーを含む任意の適切な線状又は環式コポリマーであってよい。SRPはまた、ポリ(4,5-ジクロロフタルアルデヒド)などのポリ(フタルアルデヒド)誘導体のホモポリマーであってよい。
【0043】
装置
記載されている除去プロセスは、
図3を参照して上述したようにチャンバ内に実装されてよく、これは、いくつかの実施形態では基板処理システムの一部であってよい。基板処理システムは、SRPの堆積並びに上流及び下流の処理を含む、基板の処理のために使用される1つ以上の追加の基板処理ツールを更に含んでよい。ここで
図7を参照すると、基板処理システム700は、1つ以上の基板処理ツール702(基板処理ツール702a及び702bが例示目的で示されている)、及び基板バッファ730又は他の基板保管所を含む。各基板処理ツール702a及び702bの各々は、複数の処理チャンバ704a、704b、704cなど(総称して処理チャンバ704)を含む。例としてのみ、処理チャンバ704の各々は、基板処理を実行するように構成されてもよい。いくつかの例では、基板は、処理チャンバ704のうちの1つに搬入され、処理され、その後、処理チャンバ704のうちの1つ以上の他の処理チャンバに移動され、及び/又は基板処理ツール700から除去されてもよい(例えば、全てが同じ処理を実行する場合)。
【0044】
処理される基板は、大気-真空(ATV)搬送モジュール708のロードステーションのポートを介して基板処理ツール702a及び702b内へと搬入される。いくつかの例では、ATV搬送モジュール708は、装置フロントエンドモジュール(EFEM)を含む。次いで、基板は、処理チャンバ704のうちの1つ以上へと搬送される。例えば、搬送ロボット712は、基板をロードステーション716からロードロック720に搬送するように構成される。真空搬送モジュール728の真空搬送ロボット724は、基板をロードロック720から様々な処理チャンバ704に搬送するように構成される。
【0045】
基板処理ツール702a及び702bのうちの1つ以上における処理の後、基板は、真空環境の外に移送されてよい。例えば、基板は、保管用の場所(例えば、基板バッファ730)に移動してもよい。他の実施例では、基板は、更なる処理のために基板処理ツールから別の基板処理ツールに、又は、更なる処理のために保管バッファ730から別の基板処理ツールに直接移動されてよい。
【0046】
基板が周囲条件に曝露されることにより、欠陥が生じるか、又は下流の処理に悪影響を及ぼす場合がある。周囲条件への曝露の前に、SRPを含む犠牲保護層を基板に追加することができる。いくつかの実施例では、基板を保管用の基板バッファに、又は別の基板処理ツールに搬送する前に、基板処理ツールにおいて犠牲保護層が適用される。他の実施例では、犠牲保護層は、(基板処理ツールとは関連しない)別の処理チャンバにおいて適用される。
【0047】
基板上に別の処理を実行する前に、犠牲保護層は、本明細書で説明されるように除去される。例えば、基板は、保管バッファ730内での一定期間の保管の後に、又は基板処理ツール702a内での処理の後に、基板処理ツール702aに搬送されてよい。犠牲保護層は、処理チャンバ、基板処理ツール702b、(基板処理ツール702bと関連していない)別の処理チャンバ、のうちの1つにおいて除去されてよい。いくつかの実施形態では、犠牲保護層は、ロードロック720において除去される。
【0048】
いくつかの実施例では、犠牲保護層は、周囲条件への曝露の前に、(基板処理を実行したものと)同じ基板処理ツールにおける処理チャンバにより適用される。基板処理ツールは真空で作動するので、周囲条件への基板の曝露が防止される。いくつかの実施例では、犠牲層はウェットクリーニングプロセス後に堆積される。この場合、酸化物及び残留物はウェットクリーニングプロセスにより除去されてよく、犠牲層は、ウェハーを乾燥させる前に順番に堆積される。いくつかの例では、このプロセスは、真空下で行われず、乾燥した汚れのない表面を周囲に全く曝露させることなく行われる。他の例では、基板は、基板処理ツールから、基板処理ツールの外側に位置する、犠牲保護層を追加する別の処理チャンバに移送される。この手法の使用は、周囲条件への基板の曝露期間を限定する又は減らす。曝露は、基板処理ツールから犠牲保護層が適用される処理チャンバへの移送の短期間に限定される。基板の保管は、周囲条件への追加の曝露なく、より長い期間にわたって実行されてよい。引き続き、犠牲保護層は、更なる処理の前に除去される場合がある。いくつかの実施例では、犠牲保護層は、同じ基板処理ツールの処理チャンバでの基板処理の前に、真空条件下で他の基板処理ツールにて除去される。他の実施例では、基板は、犠牲保護層を除去する処理チャンバに移送され、次いで、更なる処理のために基板処理ツールに移送される。この方法はまた、処理チャンバと基板処理ツール又は他の環境との間での周囲条件への曝露を限定する。一実施例では、犠牲保護層は、エッチング、堆積、又は他の処理の直後に、表面上で凝縮して膜を形成する小分子蒸気に基板を曝露させることによって形成される。これは、エッチング又は堆積が行われたツール(例えば、基板処理ツール702a)の内部で直接実行することができ、エッチング又は堆積が行われたものと同一の処理チャンバ内で行われてもよい。次いで、基板は、処理のために次のツール(例えば、基板処理ツール702b)に運ばれる。基板が再び周囲条件に曝露されることがなくなると(例えば、基板を真空下又は不活性ガスでパージされた雰囲気下に置くことによって)、真空及び上述したような刺激が適用されて、膜の分解及び基板からの除去が誘発される。これは、上述したような処理チャンバ(例えば、プロセスチャンバ704a)の内部で行われてもよい。
【0049】
様々な実施形態では、システムコントローラは、プロセス条件を、SRP除去中を含む処理中に制御するために用いられる。コントローラは、典型的には、1つ以上のメモリデバイス及び1つ以上のプロセッサを含むことになる。プロセッサは、CPU又はコンピュータ、アナログ及び/又はデジタル入力/出力接続部、ステッパモータコントローラボード等を含んでよい。
【0050】
コントローラは、除去装置の全ての活動を制御してよい。システムコントローラは、タイミング、ガスの混合、チャンバ圧力、チャンバ温度、ウェハー温度、ウェハーチャック又はペデスタルの位置、プラズマ電力、及び特定のプロセスの他のパラメータ、を制御するための命令セットを含むシステム制御ソフトウェアを実行する。いくつかの実施形態では、コントローラに関連付けられたメモリデバイスに格納された他のコンピュータプログラムを使用してよい。
【0051】
典型的には、コントローラに関連付けられたユーザインターフェースが存在することになる。ユーザインターフェースは、ディスプレイ画面、装置及び/又はプロセス条件のグラフィカルソフトウェアディスプレイ、並びにユーザ入力デバイス、例えば、ポインティングデバイス、キーボード、タッチスクリーン、マイク等を含んでよい。
【0052】
システム制御ロジックが、任意の好適な方法で構成されてよい。一般に、ロジックは、ハードウェア及び/又はソフトウェア内で設計又は構成できる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコードされてよく又はソフトウェアとして提供されてよい。命令は、「プログラミング」によって提供されてもよい。このようなプログラミングは、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、及び特定のアルゴリズムをハードウェアとして実装する他のデバイスにおいて、ハードコード化された論理を含む、任意の形式の論理を含むことが理解される。プログラミングはまた、汎用プロセッサにおいて実行されてよいソフトウェア又はファームウェア命令を含むことが理解されている。システム制御ソフトウェアは、任意の好適なコンピュータ可読プログラミング言語でコーディングされてよい。
【0053】
プロセスシーケンス中のプラズマ発生器への稀ガスの流れ、圧力、温度及び他のパラメータを制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の従来のコンピュータ読み取り可能プログラミング言語、例えばアセンブリ言語、C、C++、Pascal、Fortran、などで記述できる。コンパイルされたオブジェクトコード又はスクリプトが、プロセッサにより実行されて、プログラムにおいて識別されたタスクを実施する。また示したように、プログラムコードはハードコードされてよい。
【0054】
コントローラパラメータは、例えば、プロセスガス組成及び流量、温度、圧力、基板温度、並びにプラズマ電力などのプロセス条件に関連する。これらのパラメータは、レシピの形式でユーザに提供され、ユーザインターフェースを利用して入力されてよい。
【0055】
プロセスを監視するための信号が、システムコントローラのアナログ及び/又はデジタル入力接続部により提供されてよい。プロセスを制御するための信号は、システムのアナログ及びデジタル出力接続部に出力される。
【0056】
システムソフトウェアは、多くの方法で設計又は構成されてよい。
【0057】
例えば、開示された実施形態による堆積プロセスを実行するために必要なチャンバ構成要素の作業を制御するために、様々なチャンバ構成要素のサブルーチン又は制御オブジェクトが記述されてよい。この目的のためのプログラム又はプログラムの一部の例には、基板位置決めコード、プロセスガス制御コード、圧力制御コード及びヒーター制御コードが含まれる。
【0058】
いくつかの実現形態では、コントローラは、上述した実施例の一部であってよいシステムの一部である。このようなシステムは、1つ以上の処理ツール、1つ以上のチャンバ、1つ以上の処理用プラットフォーム、及び/又は特定の処理構成要素(ウェハーペデスタル、ガスフローシステムなど)を含む、半導体処理機器を含むことができる。これらシステムは、半導体ウェハー又は基板の処理前、処理中、及び処理後の作業を制御するための電子機器に組み込まれてよい。電子機器は、システム(単数又は複数)の様々な構成要素又は副部品を制御してよい「コントローラ」と呼ばれてよい。コントローラは、処理要件及び/又はシステムのタイプに応じて、処理ガスの送達、温度設定(例えば、加熱及び/又は冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、流量設定、流体送達設定、位置及び作業設定、特定のシステムと接続しているか又はインターフェースしているツール及び他の搬送ツール並びに/又はロードロックに対するウェハーの搬出入、を含む、本明細書に開示されるあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0059】
大まかに言って、コントローラは、様々な集積回路、ロジック、メモリ、及び/又はソフトウェアを有し、命令を受信し、命令を発行し、作業を制御し、クリーニング作業を有効にし、エンドポイント測定を有効にするような電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形態のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されたチップ、及び/又は1つ以上のマイクロプロセッサ、又はプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラ、を含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(又はプログラムファイル)の形態でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを、半導体ウェハー上で若しくは半導体ウェハーに対して、又はシステムに対して実施するための作業パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、作業パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、及び/又はウェハーダイの製作時に、1つ以上の処理ステップを実現するために、プロセスエンジニアにより定義されるレシピの一部であってよい。
【0060】
いくつかの実現形態では、コントローラは、システムに統合若しくは接続されるか、又はその他の方法でシステムにネットワーク接続されたコンピュータの一部であるか、又はそのようなコンピュータに接続されたものであるか、又はそれらの組合せであってよい。例えば、コントローラは「クラウド」内にあるか、又はファブホストコンピュータシステムの全て若しくは一部であってよく、それによりウェハー処理のリモートアクセスが可能になり得る。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製作作業の現在の進行状況を監視し、過去の製作作業の履歴を調査し、複数の製作作業から傾向又は性能の指標を調査して、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定するか、又は新しいプロセスを開始してよい。いくつかの実施例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワーク又はインターネットを含んでよいネットワークを経由して、プロセスレシピをシステムに提供することができる。リモートコンピュータは、パラメータ及び/又は設定の入力若しくはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでよく、パラメータ及び/又は設定は次いで、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの実施例では、コントローラは、1つ以上の作業中に実行される各処理ステップのためのパラメータを指定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実行されるプロセスのタイプ、及びコントローラがインターフェースする又は制御するように構成されているツールのタイプに固有のものであってよい。したがって、上述のように、コントローラは、例えば、互いにネットワーク化され、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的を目指している1つ以上の個別のコントローラを備えることにより分散されてよい。そのような目的のための分散コントローラの例は、遠隔に位置する(例えば、プラットフォームレベルで、又はリモートコンピュータの一部として)1つ以上の集積回路と通信状態にあるチャンバ上の1つ以上の集積回路であってよく、これらが組み合わされてチャンバでのプロセスを制御する。
【0061】
限定するわけではないが、例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバ又はモジュール、堆積チャンバ又はモジュール、スピンリンスチャンバ又はモジュール、金属めっきチャンバ又はモジュール、クリーニングチャンバ又はモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバ又はモジュール、PVDチャンバ又はモジュール、CVDチャンバ又はモジュール、ALDチャンバ又はモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバ又はモジュール、イオン注入チャンバ又はモジュール、トラックチャンバ又はモジュール、及び半導体ウェハーの製作及び/又は製造に関連するか若しくは使用されてよい任意の他の半導体処理システム、を含んでよい。
【0062】
上述したように、ツールにより実行されるプロセスステップに応じて、コントローラは、他のツール回路又はモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接ツール、隣り合うツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、又は半導体製造工場内のツール位置及び/又はロードポートとの間でウェハー容器を搬出入する材料搬送で使用されるツール、のうちの1つ以上と通信し得る。
【0063】
コントローラは、様々なプログラムを含んでよい。基板位置合わせプログラムが、基板をペデスタル又はチャック上にロードし、基板と、ガス入口及び/又はターゲットなどのチャンバの他の部品との間隔を制御するために使用されるチャンバ構成要素、を制御するためのプログラムコードを含んでよい。プロセスガス制御プログラムは、ガス組成、流量、パルス時間を制御するための、及び任意選択で、チャンバ内へとガスを流すためのコードを含んでよい。圧力制御プログラムは、チャンバ内の圧力を、例えば、チャンバの排気システムのスロットルバルブを調整することにより、制御するためのコードを含んでよい。ヒーター制御プログラムは、基板を加熱するために使用される加熱ユニットへの電流を制御するためのコードを含んでよい。代わりに、ヒーター制御プログラムは、ヘリウムなどの熱伝達ガスのウェハーチャックへの供給を制御してよい。プラズマ電力プログラムがプラズマ電力を制御してよい。
【0064】
除去中に監視されてよいチャンバセンサの実施例は、マスフローコントローラ、圧力計などの圧力センサ、及びペデスタル又はチャックに位置する熱電対を含む。適切にプログラムされたフィードバック及び制御アルゴリズムをこれらセンサからのデータと共に使用して、望ましいプロセス条件を維持してよい。
【0065】
前述した内容は、単一又はマルチチャンバ半導体処理ツールにおける開示された実施形態の実装について説明している。本明細書で説明される装置及びプロセスは、例えば、半導体デバイス、ディスプレイ、LED、光起電力パネルなどの作製又は製造のための、リソグラフィパターニング用のツール又はプロセスに関連して使用されてよい。典型的には、しかし必ずしもそうではないが、そのようなツール/プロセスは、共通の製造施設において一緒に使用されるか又は実行されることになる。膜のリソグラフィパターニングは、典型的には以下のステップの一部又は全てを含み、各ステップは複数の予想されるツールを含む:(1)スピンオンツール又はスプレーオンツールを用いて、ワークピース、すなわち基板上にフォトレジストを塗布するステップ;(2)ホットプレート、加熱炉、又は、UV硬化ツールを用いてフォトレジストを硬化させるステップ;(3)ウェハーステッパなどのツールを用いてフォトレジストを可視光、UV、又はX線に曝露させるステップ、(4)ウェットベンチなどのツールを使用して、レジストを現像し、それによりレジストを選択的に除去してパターニングするステップ;(5)ドライエッチングツール又はプラズマ援用エッチングツールを用いることによってレジストパターンを下地の膜又はワークピースに転写するステップ;及び(6)RF又はマイクロ波によるプラズマレジスト剥離装置などのツールを用いてレジストを除去するステップ。
【0066】
前述の実施形態は、理解を明確にする目的で幾らか詳細に記載しているが、添付の特許請求の範囲内で特定の変更及び修正を実施してよいことが明らかであろう。本実施形態のプロセス、システム、及び装置を実現する多数の代替方法があることに留意されたい。それに応じて、本実施形態は、例示的であって限定的と見なされるべきではなく、実施形態は本明細書で提示される詳細に限定されるべきではない。
【国際調査報告】