(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-21
(54)【発明の名称】コロナウイルス疾患の合併症の治療及び診断のための、ADAMTS13組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/48 20060101AFI20230614BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20230614BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20230614BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230614BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20230614BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20230614BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20230614BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20230614BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20230614BHJP
C12N 9/50 20060101ALI20230614BHJP
【FI】
A61K38/48 ZNA
A61P9/12
A61P7/02
A61P9/00
A61P11/00
A61P11/06
A61P13/12
A61P31/00
A61P31/14
C12N9/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022571804
(86)(22)【出願日】2021-05-21
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2021000348
(87)【国際公開番号】W WO2021234458
(87)【国際公開日】2021-11-25
(32)【優先日】2020-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】トゥレチェク,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】メルガルド,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】イーウェンスタイン,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,ニーシャ
(72)【発明者】
【氏名】エルトレンブルッフ,ヴォルフハルト ヴェルナー
【テーマコード(参考)】
4B050
4C084
【Fターム(参考)】
4B050CC03
4B050DD11
4B050LL01
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA20
4C084BA22
4C084BA44
4C084DA35
4C084DC09
4C084MA02
4C084NA14
4C084ZA36
4C084ZA42
4C084ZA54
4C084ZA59
4C084ZA62
4C084ZA81
4C084ZB11
4C084ZB31
4C084ZB33
(57)【要約】
本明細書で提供されるのは、SARS-CoV-2に感染した又はCOVID-19の1つ又は複数の兆候若しくは症状を有する対象といった、病原性コロナウイルスに感染した対象において、コロナウイルス疾患、及び特にその合併症を治療するための、方法及び組成物である。組成物は、治療有効量の、単離又は組換えADAMTS13(disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motif:トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ)タンパク質を含む。本開示は更に、コロナウイルス疾患、特にSARS-CoV-2に感染した対象、又はCOVID-19の1つ又は複数の兆候若しくは症状を有する対象において、凝固障害を診断するための方法に関する。その方法は、VWFのレベルの上昇、ADAMTS13のレベルの低下、及びUHMW VWF多量体の存在に関する試験を行うステップを含む。これらの因子は複合的に、凝固障害の存在を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)に罹患した対象における、少なくとも1つの状態又は合併症を治療又は防止する方法であって、前記方法は、それを必要とする対象に、トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)を含む治療有効量の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項2】
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)に関連する少なくとも1つの状態又は合併症の発症のリスクを有する対象を治療する方法であって、前記方法は、それを必要とする対象に、トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)を含む治療有効量の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項3】
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)に罹患した対象における、少なくとも1つの状態又は合併症を治療又は防止する方法であって、前記方法は、
a)それを必要とする対象に、組換えADAMTS13(トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ メンバー13)を含む治療有効量の医薬組成物を投与するステップであって、前記治療有効量は:
i)循環超高分子量(UHMW)フォン・ヴィレブランド因子(VWF)多量体を、投与前の前記対象の血中のVWFの測定レベルと比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、又は少なくとも約20%低下したレベルまで減少させるため;
ii)循環UHMW VWF多量体を、正常VWFベースライン値よりも約5%以下、約10%以下、又は約20%以下だけ高いレベルまで減少させるため;
iii)循環VWFを、投与前の前記対象の血中のVWFの測定レベルと比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、又は少なくとも約20%低下したレベルまで減少させるため;
iv)循環VWFを、正常VWFベースライン値よりも約5%以下、約10%以下、又は約20%以下だけ高いレベルまで減少させるため;
v)VWF活性レベルを、投与前の前記対象の血中のVWF活性の測定レベルと比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、又は少なくとも約20%低下したレベルまで低下させるため;
vi)VWF活性レベルを、正常VWF活性ベースライン値よりも約5%以下、約10%以下、又は約20%以下だけ高いレベルまで低下させるため;
vii)循環ADAMTS13レベルを、正常ADAMTS13ベースライン値よりも約100%~約150%上昇させるため;あるいは
viii)i)~vii)の組み合わせのため
に十分なものである、ステップ;並びに
b)循環VWF、UHMW VWF多量体又はこれらの組み合わせの前記低下したレベルを維持するために、投与される量を周期的に監視及び調整するステップ
を含む、方法。
【請求項4】
前記対象は、前記状態又は合併症が存在する前に、ADAMTS13を含む前記組成物を投与される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記対象は、前記状態又は合併症が存在した後に、ADAMTS13を含む前記組成物を投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記状態又は合併症は、凝固障害、血液凝固障害、梗塞、血栓症、塞栓症、卒中、静脈閉塞性障害、血栓形成促進状態、敗血症、腎不全、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血栓性微小血管症(TMA)、肺炎、喘息、高血圧症、VWF及び/若しくはその多量体(特に超大型多量体(UHMW))の血漿レベルの上昇、血漿VWF活性レベルの上昇、内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下、炎症、サイトカインレベルの上昇、又はこれらの組み合わせである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記血栓症は深部静脈血栓症(DVT)である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記塞栓症は肺塞栓症(PE)である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記合併症は、VWFの血漿レベルの上昇、UHMW VWF多量体の血漿レベルの上昇、及び/又は内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下である、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記対象は65歳以上である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記対象は危険因子を示す、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記危険因子は、VWFの血漿レベルの上昇、超大型多量体(UHMW)VWF多量体の血漿レベルの上昇、血漿VWF活性レベルの上昇、内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下、内因性ADAMTS13の活性の低下した活性、サイトカインレベルの上昇、凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞性障害、血栓形成促進状態、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、後天性TTP、播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、鎌状赤血球症、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血栓性微小血管症(TMA)、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、肺高血圧症、血栓症、塞栓症、心筋梗塞、卒中、咳、息切れ、肺浸潤、呼吸不全、血漿フィブロゲン(fibrogen)の上昇、止血経路の活性化、集中治療室(ICU)への入院、又はこれらの組み合わせである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記危険因子は、VWFの血漿レベルの上昇、UHMW VWF多量体の血漿レベルの上昇、及び/又は内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記危険因子は血栓形成促進状態である、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
ADAMTS13を含む前記組成物を前記対象に投与することが、
a)ADAMTS13を含む前記組成物を投与されていない対象と比較して、前記状態又は合併症の持続時間、重症度、又は発生の頻度を低減させる、
b)健康な個体における正常ベースライン範囲と比較して、VWFタンパク質の血漿レベル、VWF多量体の血漿レベル、VWF活性、血漿中のADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)、血小板凝集、血液凝固、血栓症、塞栓症、梗塞、静脈閉塞、卒中、炎症、血漿サイトカインレベル、又はこれらの組み合わせを低減させる、
c)VWFタンパク質の血漿レベル、VWF多量体の血漿レベル、VWF活性、血漿VWF:A13、又はこれらの組み合わせを低減させる、
d)血小板凝集、血液凝固、血栓症、塞栓症、梗塞、静脈閉塞、卒中、又はこれらの組み合わせを低減させる、
e)ADAMTS13の血漿レベル、血漿ADAMTS13活性、又はこれらの組み合わせを、健康な個体の正常ベースラインまで上昇させる、あるいは
f)a)~e)の組み合わせである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記VWF多量体はUHMW多量体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
ADAMTS13を含む前記組成物を前記対象に投与することが、ADAMTS13の血漿レベル、血漿ADAMTS13活性、又はこれらの組み合わせを、ADAMTS13血漿レベル又はADAMTS13活性レベルの正常ベースライン範囲又は正常ベースライン値よりも約20~100%上昇させる、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ADAMTS13を含む前記組成物を前記対象に投与することが、ADAMTS13の血漿レベル、血漿ADAMTS13活性、又はこれらの組み合わせを、ADAMTS13血漿レベル又はADAMTS13活性レベルの正常ベースライン値と比較して約100~150%上昇させる、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象のVWFレベルの所定の正常範囲の上限に相当するベースラインよりも約5%を超えて高いVWFレベルを有する対象について、約10~400IU/kgである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常ベースラインVWFレベルよりも少なくとも約2倍高いVWFレベルを有する対象について、約10~400IU/kg、又は約40~400IU/kgである、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常ベースラインVWFレベルよりも少なくとも約3倍高いVWFレベルを有する対象について、約10~400IU/kg、又は約40~400IU/kgである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常ADAMTS13ベースライン活性及び/又はレベルの約30~70%のADAMTS13活性及び/又はレベルを有する対象について、約10~400IU/kgである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常ADAMTS13ベースライン活性及び/又はレベルの約20%未満のADAMTS13活性及び/又はレベルを有する対象について、約10~400IU/kg、又は約40~400IU/kgである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常UHMW VWF多量体ベースラインレベルの約100~130%の超高分子量(UHMW)VWF多量体レベルを有する対象について、約10~400IU/kg、又は約40~400IU/kgである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常UHMW VWF多量体ベースラインレベルの少なくとも約101%、少なくとも約105%、又は少なくとも約107%の超高分子量(UHMW)VWF多量体レベルを有する対象について、約10~400IU/kgである、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記ADAMTS13の治療有効量は、約10~320IU/kg、約10~300IU/kg、約10~200IU/kg、約10~180IU/kg、約10~160IU/kg、約10~80IU/kg、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、約10~20IU/kg、約20~320IU/kg、約20~300IU/kg、約20~200IU/kg、約20~180IU/kg、約20~160IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、約20~40IU/kg、又は約20~30IU/kg、約30~320IU/kg、約30~300IU/kg、約30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~60IU/kg、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記ADAMTS13の治療有効量は、約10~40IU/kg、約10~20IU/kg、約40~320IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
ADAMTS13を含む前記組成物が、毎月、2週間毎、毎週、週2回、週3回、隔日、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間毎に投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ADAMTS13を含む前記組成物が、静脈内に、皮下に、静脈内ボーラスにより、又は静脈内注入により投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ADAMTS13を含む前記組成物が、血漿由来のヒトADAMTS13を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ADAMTS13を含む前記組成物が組換えADAMTS13を含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記対象のVWFレベルを周期的に測定するステップ;及び
前記対象のVWFレベルが健康な個体の所定のベースライン範囲内である場合に、前記治療有効量を約10~100IU/kgに低減するステップ
を更に含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
VWFレベルに関する正常ベースライン範囲は、確立された又は所定の平均ベースラインの約50~200%、又は約42~136%の範囲である、請求項15~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ADAMTS13レベルに関する正常ベースライン範囲は、確立された又は所定の平均ベースラインの約40~160%、又は約87~113%の範囲である、請求項15~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
COVID-19と診断された対象の血栓性凝固障害のリスクが増大しているかどうかを決定する方法であって、前記方法は:
a)血漿試料において、
i)VWFタンパク質の血漿レベル;
ii)血漿試料中のVWFの活性レベル;
iii)UHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベル;
iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベル;又は
v)血漿試料中のADAMTS13タンパク質の活性レベル
のうちの1つ又は複数を測定するステップ;
b)ステップa)で測定された1つ又は複数の血漿レベル又は活性レベルを、同じ血漿レベル又は活性レベルに関するベースライン範囲又はベースライン値と比較するステップ;及び
c)同じ血漿レベル又は活性レベルに関するベースライン範囲又はベースライン値と比較して、
i)VWFタンパク質の血漿レベルが上昇していること;
ii)VWFの活性レベルが上昇していること;
iii)血漿UHMW VWFタンパク質多量体が検出される、若しくはUHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベルが上昇していること;
iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが低下していること;又は
v)ADAMTS13タンパク質の活性レベルが低下していること
のうちの少なくとも1つが満たされた場合に、前記対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定するステップ
を含む、方法。
【請求項36】
前記血栓性凝固障害が、血小板凝集、血液凝固、血栓症、血栓性微小血管症、塞栓症、梗塞、静脈閉塞、卒中、血栓症由来の腎不全、又はこれらの組み合わせを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記対象は、VWFタンパク質の血漿レベルが、VWFタンパク質の血漿レベルに関するベースライン値の約120%~約300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記対象は、VWFタンパク質の血漿レベルが、VWFタンパク質の血漿レベルに関するベースライン値の約300%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記対象は、血漿試料中のVWFの活性レベルが、VWF活性レベルに関するベースライン値の約120%~約300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記対象は、血漿試料中のVWFの活性レベルが、VWF活性レベルに関するベースライン値の約300%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値の約70%~約100%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値の70%以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記対象は、血漿試料中のADAMTS13の活性レベルが、ADAMTS13活性レベルに関するベースライン値の約70%~約100%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象は、血漿試料中のADAMTS13の活性レベルが、ADAMTS13活性レベルに関するベースライン値の70%以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100%~約110%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の110%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記対象は、血漿試料中のVWFレベル:A13レベルの比率が3以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記対象は、血漿試料中のVWFレベル:A13レベルの比率が3を超える場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、請求項35~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記ベースライン値は、正常な対照集団に基づく所定値である、請求項35~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記ベースライン値は、正常な対照集団の所定の範囲の平均である、請求項35~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
COVID-19と診断された対象が血栓性凝固障害のリスクを有するかどうかを決定する方法であって、前記方法は:
a)血漿試料において、
i)VWFタンパク質の血漿レベル;
ii)血漿試料中のVWFの活性レベル;
iii)UHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベル;
iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベル;又は
v)血漿試料中のADAMTS13タンパク質の活性レベル
のうちの1つ又は複数を測定するステップ;及び
b)
i)VWFタンパク質の血漿レベルが少なくとも約1.2IU/mlであること;
ii)VWF活性レベルが少なくとも約1.2IU/ml若しくは1.8IU/mlであること;
iii)血漿UHMW VWFタンパク質多量体が検出されること;
iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが約0.7IU/ml以下であること;又は
v)ADAMTS13タンパク質の活性レベルが約0.8若しくは約0.9IU/ml以下であること
のうちの少なくとも1つが満たされた場合に、前記対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定するステップ
を含む、方法。
【請求項52】
ステップb)において:
i)VWFタンパク質の血漿レベルが少なくとも約4.5IU/mlであること;
ii)VWF活性レベルが少なくとも約3.3IU/ml若しくは4.4IU/mlであること;
iii)ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが約0.4IU/ml以下であること;又は
iv)ADAMTS13タンパク質の活性レベルが約0.4若しくは約0.5IU/ml以下であること
のうちの少なくとも1つが満たされた場合に、前記対象は血栓性凝固障害の高いリスクを有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
治療有効量のADAMTS13を含む組成物を前記対象に投与することを更に含む、請求項35~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記ADAMTS13の治療有効量は、約10~400IU/kg、約10~320IU/kg、約10~300IU/kg、約10~200IU/kg、約10~180IU/kg、約10~160IU/kg、約10~80IU/kg、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、約10~20IU/kg、約20~320IU/kg、約20~300IU/kg、約20~200IU/kg、約20~180IU/kg、約20~160IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、約20~40IU/kg、約20~30IU/kg、約30~320IU/kg、約30~300IU/kg、約30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~60IU/kg、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
治療有効量のADAMTS13を含む組成物を前記対象に投与することを更に含み、前記ADAMTS13の治療有効量は、約10~40IU/kg、約10~30IU/kg、約10~20IU/kg、約20~40IU/kg、又は約20~30IU/kgである、請求項37、39、41、43、45、47、又は51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記ADAMTS13の治療有効量は、約10IU/kg、約20IU/kg、約30IU/kg、又は約40IU/kgである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
治療有効量のADAMTS13を含む組成物を前記対象に投与することを更に含み、前記ADAMTS13の治療有効量は、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである、請求項38、40、42、44、46、48、又は52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記ADAMTS13の治療有効量は、約40IU/kg、約60IU/kg、約80IU/kg、又は約160IU/kgである、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
COVID-19と診断された対象が血栓性凝固障害のリスクを有するかどうかを決定するためのキットであって、(i)VWFタンパク質の血漿レベル、VWFの活性レベル、UHMW VWF多量体の血漿レベル、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、ADAMTS13の活性レベルのうちの1つ又は複数を決定するための1つ又は複数の試薬;(ii)任意選択で、包装及び/又は使用説明書;並びに(iii)任意選択で、SARS-CoV-2を検出するため又はCOVID-19を診断するための1つ又は複数の試薬を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【関連案件の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2020年9月15日出願の米国仮特許出願第63/078,555号、2020年7月10日出願の米国仮特許出願第63/050645号、及び2020年5月22日出願の米国仮特許出願第63/029,144号に対する優先権を主張するものであり、これらの仮特許出願それぞれの開示は、その全体が参照により本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本明細書で提供されるのは、SARS-CoV-2に感染した又はCOVID-19の1つ又は複数の兆候若しくは症状を有する対象といった、病原性コロナウイルスに感染した対象において、コロナウイルス疾患又はコロナウイルス疾患に関連する状態、特にその合併症を治療及び/又は診断するための、方法及び組成物である。組成物は、治療有効量の、単離又は組換えADAMTS13(A Disintegrin-like And Metalloprotease with Thrombospondin type I motif No. 13:トロンボスポンジンI型モチーフ第13番を有するディスインテグリン様及びメタロプロテアーゼ)タンパク質を含む。治療の方法は、対象に、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を、コロナウイルス感染又は疾患、例えばSARS-CoV-2又はCOVID-19の、1つ又は複数の状態、症状、リスク、又は合併症を防止又は低減するために十分な回数及び投薬量で、投与することを含む。これらの状態としては例えば、限定するものではないが、フォン・ヴィレブランド因子(von Willebrand factor:VWF)及び/又はその多量体(特に超大型多量体)のレベルの上昇、内因性ADAMTS13のレベルの低下、サイトカインレベルの上昇、凝固障害(coagulopathy)、血液凝固障害(blood-clotting disorder)、静脈閉塞障害(veno-occlusive disorder)、血栓形成促進状態、ARDS、COPD、肺炎、喘息、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy:TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、並びに卒中(例えば虚血性脳卒中又は脳卒中)が挙げられる。診断方法は、VWF及び/若しくはその多量体(特に超大型多量体)のレベルの上昇、内因性ADAMTS13のレベルの低下、又はこれらの組み合わせについて、対象又は患者を評価することを含む。
【0003】
ADAMTS13の投与は有利なことに、コロナウイルス対象、特にCOVID-19対象、特に:過剰な超大型VWF多量体;過剰なサイトカインレベル;望ましくない凝固、梗塞、血栓症、若しくは塞栓症を伴う血液障害;又は他の危険因子を呈する対象を、感染、特にSARS-CoV-2感染の有害な結果について治療し、保護し、救済し、支援し、又は回復を維持する。
【背景技術】
【0004】
COVID-19は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(severe acute respiratory syndrome coronavirus 2:SARS-CoV-2)によって引き起こされる感染症である。このウイルスに感染した対象は、症状を発症することもしないこともある。COVID-19の症状が存在する場合、これは中等症から極めて重症にまで及ぶ可能性があり、この疾患は対象のかなりの部分ないし人数にとって致命的である。世界保健機関は、COVID-19が、187の国及び地域にわたる数百万の症例及び数千の死者を伴う世界的なパンデミックであると宣言している。COVID-19の一般的な症状としては、発熱、咳、疲労、息切れ、並びに嗅覚及び味覚の喪失が挙げられる。ウイルス性肺炎、サイトカインストーム、及び多臓器不全を含む症状が進行し、生命を脅かすものとなる可能性がある。COVID-19の重症例の50%超、及び略全ての致命的な症例に、凝固障害(出血性障害)がある。血栓症(DVT)及び肺塞栓症(PE)がこの疾患の特に後期段階における重大な合併症となり得るという報告を含む、凝血障害(clotting disorder)を示す症例も記述されている。患者は生命を脅かす合併症を発症し、防止的抗凝固剤(ヘパリン)の投与にもかかわらず相当な人数の患者が死亡した。非特許文献1を参照。
【0005】
急性肺塞栓症(pulmonary embolism:PE)又は深部静脈血栓症(deep vein thrombosis:DVT)が、COVID-19肺炎の症例において報告されており、これには、サイトカインストーム後に、またDVT防止(エノキサパリン)にもかかわらず、PEを発症した患者が含まれる。非特許文献2を参照。COVID-19における血栓症の病態生理学は未知であるが、過剰に高いVWF及びFVIIIレベルが感染患者で報告されている。ダルテパリン及びヘパリンのうちの1つ又は複数を特に高い用量で投与することが記述されている。非特許文献3を参照。このような高レベルのVWF及びFVIIIについての可能な説明は、SARS-CoV-2が内皮細胞に直接感染して内皮炎を引き起こす、というものである。非特許文献4を参照。理論的には、感染した細胞は、そのワイベル・パラーデ小体等の貯蔵顆粒からタンパク質を放出することになるが、貯蔵顆粒は高分子量形態及び超大型形態のVWFを含有しており、これを放出することになる。ある態様では、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)にも罹患しているCOVID-19患者を研究したが、研究者はVWFの関与を全く探求及び測定しなかった。非特許文献5を参照。
【0006】
VWFのレベルの増大は、COVID-19感染の急性期の重要な構成要素であると考えられている、IL-8、腫瘍壊死因子α(tumor necrosis factor alpha:TNF-α)、及びIL-6といった炎症性サイトカインのレベルの上昇にも起因し得る。これらのサイトカインは、超高分子量形態のVWF(即ち多量体)の放出を誘発し、ADAMTS13によるVWFの切断を阻害することが実証されている。非特許文献6を参照。
【0007】
COVID-19対象の体内の、特に超大型形態の過剰なVWFは、梗塞(貧血性又は出血性)に寄与するか又はその主因となり得、これは発生時に血栓症又は塞栓症につながる。梗塞は、十分な血液の供給の喪失によって引き起こされる、肉眼で見える面積の臓器の壊死組織をもたらすプロセスであり、これは深刻で、場合によっては致命的なものとなる場合があり、また不可逆的である。本発明によると、有効量のADAMTS13の投与は、過剰なVWF、特にその超大型形態が低減又は防止され、またこれはCOVID-19に関連する凝血障害、梗塞、血栓症、塞栓症、並びに関連する障害及び合併症の治療として役立つ。
【0008】
COVID-19対象は、多数の状態又は合併症、例えばVWF及び/又はその多量体(特に超大型多量体)のレベルの上昇、内因性ADAMTS13のレベルの低下、サイトカインレベルの上昇、凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞性障害、血栓形成促進状態、ARDS、COPD、肺炎、喘息、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、並びに卒中(例えば虚血性脳卒中又は脳卒中)、あるいはこれらの症状又は合併症(「危険因子(risk factor)」又は「合併症(complication)」と総称)に対する感受性が特に高いか、又はこれらの影響を受けやすい場合がある。これらのうちのいずれの1つ又は複数は、COVID-19の重症度に寄与する可能性があり、また生命を脅かすものとなる可能性がある。
【0009】
COVID-19パンデミックの初期の経験から、感受性の高い個体において、SARS-CoV-2感染が、有害な臨床転帰の頻繁な原因となる血栓性凝固障害をもたらすことが示されている。非特許文献7、8を参照。凝固障害は主に、SARS-CoV-2に対する過剰な宿主炎症応答によって引き起こされる、又は内皮細胞内でのウイルス複製の直接的な影響からの、血管内皮の機能障害の結果であることが提示されている。非特許文献8、9を参照。重症のCOVID-19では、これは、小肺血管に血小板及びフィブリンに富む血栓の沈着、また場合によっては大きな末梢静脈又は動脈の血栓症をもたらす。非特許文献10、11、12を参照。
【0010】
この病因モデルと一致するように、内皮活性化の血漿マーカーは重症のCOVID-19で一貫して上昇し、これは有害な転帰と相関している(非特許文献8)。血漿マーカーとしては、正常な止血応答における循環血小板と損傷した血管壁との間の接着相互作用の重要な仲介因子である、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)が挙げられる。非特許文献13を参照。VWFは合成され、ワイベル・パラーデ小体に貯蔵され、高い生物活性を有する超高分子量(ultra-high molecular weight:UHMW)多量体として内皮細胞によって放出される。これらのUHMWは、他の血小板への、及び血管損傷時に露出した内皮下構造への、血小板の接着の、極めて効果的な仲介因子である。しかしながら、通常の状況下では、UHMW VWF多量体は、ADAMTS13(トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテアーゼ メンバー13)によって、血栓形成の可能性が低い、接着力が弱い小さな多量体へと切断される。非特許文献14を参照。ADAMTS13活性の重度の自己免疫仲介性又は遺伝性欠損が存在する血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura:TTP)等の障害は、循環UHMW VWF多量体の持続をもたらす。これは、小動脈における血小板に富む異常な血栓の形成として現れ、生命を脅かす微小血管閉塞症及び虚血性組織損傷につながることが多い。非特許文献15を参照。
【0011】
TTP等の障害の微小閉塞性脈管障害や、SAR-CoV-2感染の症状と、ある程度の類似性があるため、VWFによって仲介される血小板と内皮細胞との間の異常な相互作用も、重症のCOVID-19における血栓症に寄与する可能性があることが提示されている。非特許文献16、17を参照。小さな患者コホートでの最近の症例報告及び調査によって、重症のCOVID-19が、循環VWFレベルの顕著な上昇と関連していることが立証されており、これは大半の報告ではADAMTS13の減少を伴う。非特許文献8、18、19、20を参照。SARS-CoV-2感染が、COVID-19の内皮細胞活性化及び関連する血管内凝固障害を引き起こす、考えられるメカニズムについては、仮説が立てられているものの依然として最終的な調査は行われていない。非特許文献8、16、21を参照。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Lodigiani et al., Venous and arterial thromboembolic complications in COVID-19 patients admitted to an academic hospital in Milan, Italy, Thromb. Res. 2020 Apr 23; 191:9-14
【非特許文献2】Griffin, et al., Pulmonary Embolism and Increased Levels of d-Dimer in Patients with Coronavirus Disease, Emerg. Infect. Dis. 2020 Apr 29;26(8)
【非特許文献3】Escher et al., Severe COVID-19 infection associated with endothelial activation, Thromb. Res. 2020 Apr 15; 190:62 (Escher 190:62)
【非特許文献4】Varga, et al., Lancet. 2020 Apr 20. pii: S0140-6736(20)30937-5
【非特許文献5】Zulfiqar, et al., Immune Thrombocytopenic Purpura in a Patient with Covid-19, N. Engl. J. Med. 2020 Apr 30; 382(18):e43
【非特許文献6】Bernado et al., Effects of inflammatory cytokines on the release and cleavage of the endothelial cell-derived ultralarge von Willebrand factor multimers under flow, Blood 2004 Jul 1; 104(1):100-6
【非特許文献7】Tang N, Li D, Wang X, Sun Z. Abnormal coagulation parameters are associated with poor prognosis in patients with novel coronavirus pneumonia. J Thromb Haemost 2020; 18:844-7
【非特許文献8】Goshua G, Pine AB, Meizlish ML, et al. Endotheliopathy in COVID-19-associated coagulopathy: evidence from a single-centre, cross-sectional study. Lancet Haematol. 2020;7(8): e575-e582
【非特許文献9】Varga, A.J. et al., Lancet 395 (10234) (2020) 1417-1418
【非特許文献10】Wichmann D et al., Ann Intern Med 2020
【非特許文献11】Cui S et al., J Thromb Haemost 2020;18:1421-4
【非特許文献12】Varatharaj A, Thomas N, Ellul MA, et al. Neurological and neuropsychiatric complications of COVID-19 in 153 patients: a UK-wide surveillance study. Lancet Psychiatry 2020
【非特許文献13】South K et al., J Thromb Haemost 2018; 16:6-18
【非特許文献14】Dong JF et al., Blood 2002; 100:4033-9
【非特許文献15】Scully M, Yarranton H, Liesner R, et al. Regional UK TTP registry: correlation with laboratory ADAMTS 13 analysis and clinical features. Br J Haematol 2008; 142:819-26
【非特許文献16】Morici N et al., Haemost 2020; O'Sullivan JM, Gonagle DM, Ward SE, Preston RJS, O'Donnell JS. Endothelial cells orchestrate COVID-19 coagulopathy. Lancet Haematol 2020, 7(8):e553-e555
【非特許文献17】Escher R, Breakey N, Lammle B. ADAMTS13 activity, von Willebrand factor, factor VIII and D-dimers in COVID-19 inpatients. Thromb Res 2020; 192:174-5 (Escher 192:174)
【非特許文献18】Blasi A, von Meijenfeldt FA, Adelmeijer J, et al. In vitro hypercoagulability and ongoing in vivo activation of coagulation and fibrinolysis in COVID-19 patients on anticoagulation[出版に先立って2020年8月6日にオンラインで公開]. J Thromb Haemost. 2020;10.1111/jth.15043. doi:10.1111/jth.15043
【非特許文献19】Martinelli N, Montagnana M, Pizzolo F, et al. A relative ADAMTS13 deficiency supports the presence of a secondary microangiopathy in COVID 19[出版に先立って2020年7月18日にオンラインで公開]. Thromb Res. 2020;193:170-172. doi:10.1016/j.thromres.2020.07.034
【非特許文献20】Makatsariya AD, Slukhanchuk EV, Bitsadze VO, et al. Thrombotic microangiopathy, DIC-syndrome and COVID-19: link with pregnancy prothrombotic state[出版に先立って2020年7月6日にオンラインで公開]. J Matern Fetal Neonatal Med. 2020;1-9. doi:10.1080/14767058.2020.1786811
【非特許文献21】Huertas A et al., Eur Respir J. 2020;56(1):2001634
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
SARS-CoV-2感染及びCOVID-19の重篤度や、合併症、特に血液凝固、梗塞、血栓症、又は塞栓症、特にDVT又はPEの生命に関わるリスクを考えると;また治療の選択肢がないことを考えると、罹患した対象の治療(防止を含む)に対して緊急の需要が存在する。本発明によると、有効量の単離又は組換えADAMTS13の投与が、実行可能な治療の選択肢となる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書で提供されるのは、SARS-CoV-2に感染した又はCOVID-19の1つ又は複数の兆候若しくは症状を有する対象といった、病原性コロナウイルスに感染した対象において、コロナウイルス疾患又はコロナウイルス疾患に関連する状態、特にその合併症を治療及び/又は診断するための、方法及び組成物である。本発明は、コロナウイルス関連疾患(例えばCOVID-19)、並びにこれらに関連する血液障害、例えば:凝固障害(例えば血栓性凝固障害)又は凝血障害;超高分子量(UHMW)VWF多量体等のVWFのレベルの上昇;DVT等の血栓症;肺塞栓症、及び腎不全をもたらす腎塞栓症等の塞栓症を治療するための、組成物及び方法を提供する。組成物は、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む。方法は、コロナウイルス(例えばSARS-CoV-2)に感染した、又はコロナウイルス関連疾患(例えばCOVID-19)と診断された及び/若しくはコロナウイルス関連疾患(例えばCOVID-19)を示す対象に、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、ADAMTS13は、コロナウイルス(例えばSARS-CoV-2)感染の検出又はコロナウイルス関連疾患(例えばCOVID-19)の診断後に、特定の投薬量及び回数で投与される。投薬量及び投与のタイミングは、例えば:診断又はADAMTS13治療時点におけるコロナウイルス関連疾患(例えばCOVID-19)の重篤度又は進行;対象の年齢;対象の性別;対象の既存の状態;及びコロナウイルス関連疾患(例えばCOVID-19)に関連する1つ又は複数の症状、合併症、又は危険因子に対する対象の素因、リスク、又は脆弱性を含む、1つ又は複数の因子に依存する。
【0015】
特定の態様では、本発明は、SARS-CoV-2に感染した又はCOVID-19に罹患した対象において、少なくとも1つの状態又は合併症を治療又は防止する方法を提供し、その方法は、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、対象は、状態又は合併症が存在する前に、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与される。特定の実施形態では、対象は、状態又は合併症が存在した後に、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与される。
【0016】
特定の態様では、本発明は、SARS-CoV-2感染又はCOVID-19に関連する少なくとも1つの状態又は合併症の発症のリスクを有する対象を治療する方法を提供し、その方法は、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、対象は、状態又は合併症が存在する前に、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与される。特定の実施形態では、対象は、状態又は合併症が存在した後に、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与される。
【0017】
特定の態様では、本発明は、SARS-CoV-2に感染した又はCOVID-19に罹患した対象において、少なくとも1つの状態又は合併症を治療又は防止する方法を提供し、その方法は:a)それを必要とする対象に、治療有効量のADAMTS13を投与するステップであって、治療有効量は:i)循環超高分子量(UHMW)フォン・ヴィレブランド因子(VWF)多量体を、投与前の対象の血中のVWFの測定レベルと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%低下したレベルまで減少させるため;ii)循環UHMW VWF多量体を、正常VWFベースライン値よりも約5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、65%以下、70%以下、75%以下、80%以下、85%以下、90%以下、95%以下、又は100%以下だけ高いレベルまで減少させるため;iii)循環VWFを、投与前の対象の血中のVWFの測定レベルと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%低下したレベルまで減少させるため;iv)循環VWFを、正常VWFベースライン値よりも約5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、65%以下、70%以下、75%以下、80%以下、85%以下、90%以下、95%以下、又は100%以下だけ高いレベルまで減少させるため;v)VWF活性レベルを、投与前の対象の血中のVWF活性の測定レベルと比較して少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%低下したレベルまで減少させるため;vi)VWF活性レベルを、正常VWF活性ベースライン値よりも約5%以下、10%以下、15%以下、20%以下、25%以下、30%以下、35%以下、40%以下、45%以下、50%以下、55%以下、60%以下、65%以下、70%以下、75%以下、80%以下、85%以下、90%以下、95%以下、又は100%以下だけ高いレベルまで減少させるため;vii)循環ADAMTS13レベルを、正常ADAMTS13ベースライン値よりも約100%~約150%高いレベルまで上昇させるため;あるいはviii)i)~vii)の組み合わせのために、十分なものである、ステップを含む。特定の実施形態では、方法は更に、循環VWF、UHMW VWF多量体、又はこれらの組み合わせのレベルの低減を維持するために、投与される量を周期的に監視及び調整するステップを含む。
【0018】
特定の実施形態では、単離又は組換えADAMTS13の治療有効量又は用量は、対象の体重1kgあたりの、投与されることになるADAMTS13活性の国際単位(International Unit:IU)の数(IU/kg)として表現される。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約10~400IU/kg、約10~200IU/kg、好ましくは約10~160IU/kg、又は20~160IU/kgの範囲内となる。
【0019】
用量に関して、特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量は、約10~400IU/kg、約10~320IU/kg、約10~300IU/kg、約10~200IU/kg、約10~180IU/kg、約10~160IU/kg、約20~400IU/kg、約20~320IU/kg、約20~300IU/kg、約20~200IU/kg、約20~180IU/kg、又は約20~160IU/kgである。更なる実施形態では、用量は、約10~100IU/kg、約10~80IU/kg、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、約10~30IU/kg、約10~20IU/kg、約20~100IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、又は約20~40IU/kgである。更に他の実施形態では、用量は、約30~400IU/kg、約30~320IU/kg、約30~300IU/kg、30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~150IU/kg、約30~80IU/kg、約30~60IU/kg、約30~40IU/kg、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~150IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量は、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、又は約10~20IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量は、約40~320IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである。治療有効量又は用量は、単回用量、複数回用量、又は分割用量として投与できる。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、毎月、2週間毎、毎週、週2回、週3回、隔日、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間毎に投与される。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、1日1回、1日2回、又は隔日で投与される。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、静脈内投与されるか、皮下投与されるか、静脈内ボーラスによって投与されるか、又は静脈内注入によって投与される。
【0020】
特定のCOVID-19対象は65歳を超えていてよく、及び/又はCOVID-19に関連する1つ又は複数の合併症若しくは危険因子の病歴、兆候、若しくは症状、若しくはこれらに対する素因若しくは感受性を示してよい。これらは例えば、限定するものではないが、VWF及び/又はその多量体(特に超大型多量体(UHMW))の血漿レベルの上昇、血漿VWF活性レベルの上昇、内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下、内因性ADAMTS13の活性の低下、凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、後天性TTP、播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)、敗血症、鎌状赤血球症、腎不全、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、並びに卒中(例えば虚血性脳卒中又は脳卒中)、咳、息切れ、肺浸潤、呼吸不全、血漿フィブロゲン(fibrogen)の上昇、止血経路の活性化、集中治療室(intensive care unit:ICU)への入院、あるいはこれらの症状又は合併症を含む。これらの状態は「危険因子」と呼ばれ、このような対象は「危険な(at risk)」対象又は患者と呼ばれる。
【0021】
特定の「危険な」COVID-19対象は、COVID-19症状の有無にかかわらず、疾患の初期段階に、例えばSARS-CoV-2感染について対象を試験する際に、現れる場合がある。これらの対象は、VWF及び/又はその多量体のレベルの上昇を示す場合も示さない場合もあり、それらレベルが正常であるか又はわずかしか上昇していないように見える場合もある。本発明によると、このような「危険な初期段階の(at risk earlier stage)」対象、例えば危険因子に対する素因又は感受性を示す対象を、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することによって治療できる。特定の実施形態では、治療有効量は、約10~100IU/kg、約10~80IU/kg、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、約10~30IU/kg、約10~20IU/kg、約20~100IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、約20~40IU/kg、約20~30IU/kg、約30~100IU/kg、約30~80IU/kg、約30~60IU/kg、約30~40IU/kg、約40~100IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgとなる。特定の実施形態では、投薬は、対象の循環ADAMTS13レベルを、所定の正常ベースライン範囲と比較して(例えば正常範囲より上に)又は所定の正常ベースライン値と比較して(例えば正常値若しくは基準より上に)約20~100%だけ上昇させるように、決定及び/又は監視される。ADAMTS13に関する正常範囲は、ADAMTS13レベル又は活性の測定に使用される方法に依存する。特定の実施形態では、所定のベースラインは、検証された/選択された測定方法を用いた試験所(testing laboratory)における正常な対照集団に基づくものである。特定の実施形態では、健康な個体における正常範囲又はベースライン範囲は、所定のベースライン値の約40~160%となる。Peyvandi et al., ADAMTS13 assays in thrombotic thrombocytopenic purpura, J Thromb Haemost. 2010 Apr; 8(4):631-40を参照。特定の実施形態では、健康な個体における正常範囲又はベースライン範囲は、所定のベースライン値の87~113%となる。Mancini et al., J Thromb Haemost. 2021 Feb;19(2):513-521を参照。特定の実施形態では、組成物は、「危険な初期段階の」対象に、SARS-CoV-2の検出、COVID-19の診断、若しくは入院の直後に、又はSARS-CoV-2の検出、COVID-19の診断、若しくは入院の24時間若しくは48時間以内に、投与される。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、毎月、2週間毎、毎週、週2回、週3回、隔日、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間毎に投与される。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、1日1回、1日2回、又は隔日で、好ましくは隔日で投与される。本発明によると、本明細書に記載の治療は、特に本明細書に記載の様々な血液障害及び血栓性状態若しくは血栓形成促進状態、並びに合併症に関して、1つ又は複数のCOVID-19合併症の重篤な進行を治療、阻害、抑制、防止、軽減、若しくは緩和し、回復を促進し、又はより健康な状態を維持する。
【0022】
特定の「危険な」COVID-19患者は、疾患の後期段階に現れる場合があり、及び/又はVWF若しくはその多量体(例えばUHMW VWF多量体)のレベルの上昇を示す場合がある。特定の実施形態では、治療を指示する上昇したVWF又は多量体(例えばUHMW VWF多量体)レベルは、所定の正常ベースライン値又は所定のベースライン範囲よりも少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%高いか、又は更に高いレベルとなる。VWFは急性期タンパク質であり、年齢と共に増加する傾向も有する。VWFの様々な機能を測定する様々なアッセイも存在する。特定の実施形態では、所定の正常ベースラインは、検証された/選択された測定方法を用いた試験所における正常な対照集団に基づくものである。特定の実施形態では、典型的な正常ベースライン範囲は、確立された若しくは所定の正常基準、又は100%に設定された所定のベースラインと比較して、約50~200%の範囲である。Swystun LL, Lillicrap D. J Thromb Haemost. 2018 Dec;16(12):2375-2390を参照。特定の実施形態では、VWFレベルの正常ベースラインは、約42~136%のVWF:抗原の範囲、又は約42~168%のVWF:活性のうちの一方である。特定の実施形態では、治療は特に、VWF及び/又は多量体レベルが正常ベースラインと比較して2倍若しくは3倍高い、又は更に高い場合に指示される。本発明によると、「危険な後期段階の(at risk later stage)」対象を、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することによって治療できる。特定の実施形態では、治療有効量は、約30~200IU/kg、約30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~80IU/kg、約30~60IU/kg、約30~40IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgとなる。特定の実施形態では、投薬は、正常範囲内であるか又はベースラインに近いVWF及び/又はその多量体のレベルの低下を提供するように、決定及び/又は監視される。特定の実施形態では、超大型VWF多量体がもはや観察されなくなる。特定の実施形態では、ADAMTS13組成物は、「危険な後期段階の」対象に、SARS-CoV-2の検出、COVID-19の診断、若しくは入院の直後に、又はSARS-CoV-2の検出、COVID-19の診断、若しくは入院の24時間若しくは48時間以内に、投与される。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、毎月、2週間毎、毎週、週2回、週3回、隔日、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間毎に投与される。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、毎日又は隔日で、好ましくは毎日、投与される。本発明によると、本明細書に記載の治療は、特に本明細書に記載の様々な血液障害及び血栓性状態若しくは血栓形成促進状態、並びに合併症に関して、1つ又は複数のCOVID-19合併症の重篤な進行を治療、阻害、抑制、防止、軽減、若しくは緩和し、回復を促進し、又はより健康な状態を維持する。
【0023】
特定の実施形態では、所定の正常ベースライン又は確立されたベースラインは、検証された/選択された測定方法を用いた試験所における正常な対照集団に基づくものである。
【0024】
いかなる理論によっても束縛されることを望むものではないが、「危険な後期段階の」COVID-19対象は、「危険な初期段階の」COVID-19対象に投与される用量と比較して、より高頻度で投与される、より高用量のADAMTS13の投与から、利益を受ける傾向があると考えられる。「危険な初期段階の」患者の一連の治療は、「危険な後期段階の」患者の一連の治療と比較して長期化し得る。結果及び予後に応じて、これらの治療を交互に実施する場合があり、又は一方の治療を他方の治療に切り替える場合がある。
【0025】
特定の実施形態では、本発明による医薬組成物は:(a)0.05mg/ml~10.0mg/mlのADAMTS13;(b)0mM~200mMの薬学的に許容可能な塩;(c)0.5mM~20mMのカルシウム;(d)糖及び/又は糖アルコール;(e)非イオン界面活性剤;並びに(f)pHを6.0~8.0に維持するための緩衝剤を含む、ADAMTS13(A13)の安定化済み製剤である。関連する実施形態では、これは液体製剤である。更なる実施形態では、この液体製剤は凍結乾燥される。
【0026】
本発明の組成物及び方法は、COVID-19と診断された対象を、初期段階において(例えば防止的に)及び後期段階において(例えばレスキュー治療として)治療するために、有用である。本発明は様々な態様において有用であり、態様の例は本明細書に記載されている。特定の態様では、本発明は:(a)少なくとも65歳の対象;(b)VWF及び/又はその多量体のレベルが上昇した、異常に高い、又は極めて異常に高い対象;(c)1つ又は複数のサイトカイン(例えばIL-8、TNF-α、及びIL-6)のレベルが上昇した、異常に高い、又は極めて異常に高い対象;(d)1つ又は複数のCOVID-19合併症、特に凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、後天性TTP、播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、鎌状赤血球症、腎不全、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、及び卒中(例えば虚血性脳卒中又は脳卒中)、咳、息切れ、肺浸潤、呼吸不全、血漿フィブロゲン(fibrogen)の上昇、止血経路の活性化、集中治療室(ICU)への入院を示すか又はそのリスクを有する対象;並びに(e)これらのいずれの組み合わせに対して、特に有利である。
【0027】
特定の実施形態では、ADAMTS13、VWF、及びサイトカインのレベル及び/又は活性はそれぞれ、当業者に公知の好適な臨床検査に従って決定される。
【0028】
ADAMTS13活性は例えば、Kokame et al., FRETS-VWF73, a first fluorogenic substrate for ADAMTS13 assay, Br J Haematol 2005; 129: 93-100; Tripodi, et al., Measurement of von Willebrand factor cleaving protease (ADAMTS13): results of an international collaborative study involving 11 methods testing the same set of coded plasmas, J.Thromb Haemost 2004 v2 p1601-9; Tripodi, et. al., Second international collaborative study evaluating performance characteristics of methods measuring the von Willebrand factor cleaving protease (ADAMTS13), J Thromb Haemost. 2008 September; 6(9): 1534-1541に従って決定でき、これらはそれぞれ、あらゆる目的のために、その全体が本出願に援用される。
【0029】
VWFレベルは例えば、Turecek et al., Comparative Study on Collagen-Binding Enzyme- Linked lmmunosorbent Assay and Ristocetin Cofactor Activity Assays for Detection of Functional Activity of von Willebrand Factor, Seminars In Thrombosis and Hemostasis, 2002 Vol. 28, No. 2, 149-160; Turecek, et al., A Recombinant Von Willebrand Factor Drug Candidate, Seminars In Thrombosis and Hemostasis, 2010 Vol. 36, No. 5, 510-521に従って決定でき、これらはそれぞれ、あらゆる目的のために、その全体が本出願に援用される。
【0030】
サイトカインレベルは当該技術分野で公知の方法に従って決定できる。
【0031】
特定の態様では、本明細書で提供されるのは、(a)内因性VWFの異常に高いレベル若しくは過正常のレベル(例えばリストセチン補因子活性アッセイで測定されるものの約200%超);(b)内因性ADAMTS13の異常に低いレベル若しくは超低レベル(例えば約50%未満)、又は(c)内因性VWF:ADAMTS13の異常な比率若しくはバランス(例えば≧4:1、又は≧3:1、若しくは>3:1)のうちの少なくとも1つを示すCOVID-19対象の体内の、超大型VWF多量体のレベルを低下させることによって、SARS-CoV-2に感染した又はCOVID-19と診断された対象(「COVID-19対象(COVID-19 subject)」と総称)を治療するための組成物及び方法である。その方法は、対象に治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することによって、例えばVWF及び/若しくはADAMTS13の正常な若しくは有益なレベル、又はVWF:ADAMTS13の正常な若しくは有益な比率を提供することを含む。
【0032】
特定の態様では、本発明は、梗塞、血栓症若しくは塞栓症の兆候若しくは症状を示すか又はこれらのリスクを有するCOVID-19対象を治療するための、組成物及び方法を提供する。その方法は、対象に、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することによって、梗塞、血栓症、又は塞栓症の兆候又は症状を阻害又は抑制することを含み、これは、VWF活性、VWF:ADAMTS13活性、又はいずれの特定されている兆候若しくは症状のうちの少なくとも1つが(例えば所定のベースライン、閾値、又は所望の統計的尺度を参照して)有意に低減された場合に達成され、また当業者が決定できる対照に対するものである。一般に、阻害又は抑制は、VWF若しくはVWF:ADAMTS13活性の、又は兆候若しくは症状の評価の、対象と比較して約80%、70%、60%、50%、又は25~1%の低減によって示される。
【0033】
特定の態様では、本発明は、凝固障害若しくは血液凝固障害を示す又はこれらのリスクを有するCOVID-19対象を治療するための、組成物及び方法を提供する。その方法は、対象に、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することによって、動脈及び/若しくは静脈の変則的若しくは異常な血餅、並びに/又はその症状若しくは合併症を、防止する、軽減する、又は反転させることにより、障害を防止又は治療することを含む。
【0034】
特定の態様では、本発明は、動脈血栓症若しくは静脈血栓症を示す又はこれらのリスクを有するCOVID-19対象を治療するための、組成物及び方法を提供する。その方法は、対象に、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することによって、例えば血栓症及び/又はその症状若しくは合併症を治療する、防止する、又は反転させることを含む。特定の実施形態では、血栓症は深部静脈血栓症(DVT)である。
【0035】
特定の態様では、本発明は、塞栓症を示す又はそのリスクを有するCOVID-19対象を治療するための、組成物及び方法を提供する。その方法は、対象に、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することによって、例えば塞栓症及び/又はその症状若しくは合併症を治療する、防止する、又は反転させることを含む。特定の実施形態では、塞栓症は肺塞栓症である。特定の実施形態では、塞栓症は腎不全につながる。
【0036】
特定の態様では、本発明は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、喘息、高血圧症(例えば肺高血圧症)、心筋梗塞、及び卒中(例えば虚血性脳卒中若しくは脳卒中)といった静脈閉塞障害若しくは血栓形成促進状態を示す又はそのリスクを有するCOVID-19対象を治療するための、組成物及び方法を提供する。その方法は、対象に、治療有効量のADAMTS13を含む組成物を投与することによって、例えば静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、又はその症状若しくは合併症を治療する、防止する、軽減する、又は反転させることを含む。
【0037】
特定の態様では、本発明は、少なくとも約65歳であるヒトCOVID-19対象を治療するための組成物及び方法を提供する。その方法は、対象に、治療有効量のADAMTS13を含む組成物を投与することによって、例えば、COVID-19に関するいずれの症状、合併症、又は危険因子、例えば凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、ARDS、COPD、肺炎、喘息、閉経期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、及び卒中(例えば虚血性脳卒中若しくは脳卒中)、又はその症状若しくは合併症を治療する、防止する、軽減する、又は反転させることを含む。
【0038】
特定の態様では、本発明は、サイトカインレベルの上昇を示すCOVID-19対象を治療するための組成物及び方法を提供する。その方法は、対象に、治療有効量のADAMTS13を含む組成物を投与することによって、例えば対象のVWF又はVWF多量体のレベルを低下させることを含む。特定の実施形態では、サイトカインレベルは、IL-8、TNF-α、及びIL-6のうちの1つ又は複数を測定することによって決定される。いかなる理論によっても束縛されることを望むものではないが:(a)ADAMTS13は、VWF多量体を切断することによって、サイトカインレベル増大時に超大型VWFが増加する傾向に対抗できると考えられ;(b)IL-8及びTNF-αのレベルの上昇は、ワイベル・パラーデ小体からの超大型VWFの放出につながる可能性があり;並びに/又は(c)IL-6は、ADAMTS13による超大型VWFの切断に干渉する可能性がある。特定の実施形態では、治療を指示するサイトカインレベルの上昇は、所定の正常ベースラインよりも少なくとも約10%、25%、50%、100%、200%、若しくは300%高い、又は更に高いレベルを含む。特定の実施形態では、サイトカインレベルの上昇は、正常なレベルの少なくとも約2又は3倍高い。
【0039】
特定の態様では、本発明は、少なくとも約65歳であり、VWFタンパク質、VWF多量体、又はADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)のレベルの上昇、異常に高いレベル若しくは過正常のレベルを示すヒトCOVID-19対象を治療するための組成物及び方法を提供する。その方法は、対象に、治療有効量のADAMTS13を含む組成物を投与することによって、例えば、対象のVWF若しくはVWF多量体のレベルを低下させる、又はCOVID-19に関するいずれの症状、合併症、若しくは危険因子、例えば凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、ARDS、COPD、肺炎、喘息、閉経期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、及び卒中(例えば虚血性脳卒中若しくは脳卒中)、若しくはその症状若しくは合併症を治療する、防止する、軽減する、又は反転させることを含む。
【0040】
特定の態様では、本発明は:(a)少なくとも約65歳であり;(b)COVID-19に関するいずれの症状、合併症、若しくは危険因子、例えば凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、ARDS、COPD、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、及び卒中(例えば虚血性脳卒中若しくは脳卒中)、若しくはその症状若しくは合併症を示すか、又はこれらのリスクを有し;(c)VWFタンパク質、VWF多量体、又はADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)のレベルの上昇、異常に高いレベル、又は過正常のレベルを示すヒトCOVID-19対象を治療するための組成物及び方法を提供する。その方法は、対象に、治療有効量のADAMTS13を含む組成物を投与することによって、例えば、対象のVWF若しくはVWF多量体のレベルを低下させる、又はCOVID-19に関するいずれの症状、合併症、若しくは危険因子、例えば凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、ARDS、COPD、肺炎、喘息、閉経期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、及び卒中(例えば虚血性脳卒中若しくは脳卒中)、若しくはその症状若しくは合併症を治療する、防止する、軽減する、又は反転させることを含む。
【0041】
特定の態様では、本発明は、COVID-19と診断された対象の血栓性凝固障害のリスクが増大しているかどうかを決定する方法を提供し、その方法は:a)血漿試料において、i)VWFタンパク質の血漿レベル;ii)血漿試料中のVWFの活性レベル;iii)UHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベル;iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベル;又はv)血漿試料中のADAMTS13タンパク質の活性レベルのうちの1つ又は複数を測定するステップ;b)ステップa)で測定された1つ又は複数の血漿レベル又は活性レベルを、同じ1つ又は複数の血漿レベル又は活性レベルに関するベースライン範囲又はベースライン値と比較するステップ;及びc)i)VWFタンパク質の血漿レベルが上昇していること;ii)VWFの活性レベルが上昇していること;iii)血漿UHMW VWFタンパク質多量体が検出される、若しくはUHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベルが上昇していること;iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが低下していること;又はv)ADAMTS13タンパク質の活性レベルが低下していること、のうちの少なくとも1つが満たされた場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定するステップを含む。
【0042】
特定の実施形態では、少なくともVWFタンパク質の血漿レベルが上昇している。特定の実施形態では、少なくともVWFの活性レベルが上昇している。特定の実施形態では、少なくともUHMW VWFタンパク質多量体が検出されるか、又はUHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベルが上昇している。特定の実施形態では、少なくともADAMTS13タンパク質の血漿レベルが低下している。特定の実施形態では、少なくともADAMTS13タンパク質の活性レベルが低下している。
【0043】
特定の実施形態では、血栓性凝固障害としては、限定するものではないが、血小板凝集、血液凝固、血栓症、血栓性微小血管症、塞栓症、梗塞、静脈閉塞、卒中、血栓症由来の腎不全、又はこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、血栓症は深部静脈血栓症(DVT)である。特定の実施形態では、塞栓症は肺塞栓症(PE)である。特定の実施形態では、血栓性凝固障害は、血栓症由来の腎不全である。
【0044】
特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベルが、VWFタンパク質血漿レベルに関するベースライン値の約120%~約300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベルが、VWFタンパク質血漿レベルに関するベースライン値の約300%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のVWFの活性レベルが、VWF活性レベルに関するベースライン値の約120%~約300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のVWFの活性レベルが、VWF活性レベルに関するベースライン値の約300%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値の約70%~約100%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値の約70%以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のADAMTS13の活性レベルが、ADAMTS13活性レベルに関するベースライン値の約70%~約100%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のADAMTS13の活性レベルが、ADAMTS13活性レベルに関するベースライン値の70%以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100%~約110%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約110%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のVWFレベル:A13レベルの比率が約3以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のVWFレベル:A13レベルの比率が約3を超える場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。
【0045】
特定の態様では、本発明は、COVID-19と診断された対象が血栓性凝固障害のリスクを有するかどうかを決定する方法を提供し、その方法は:a)血漿試料において、i)VWFタンパク質の血漿レベル;ii)血漿試料中のVWFの活性レベル;iii)UHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベル;iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベル;又はv)血漿試料中のADAMTS13タンパク質の活性レベルのうちの1つ又は複数を測定するステップ;及びb)以下:i)VWFタンパク質の血漿レベルが少なくとも約1.2IU/mlであること;ii)VWF活性レベルが少なくとも約1.2IU/ml若しくは1.8IU/mlであること;iii)血漿UHMW VWFタンパク質多量体が検出されること;iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが約0.7IU/ml以下であること;又はv)ADAMTS13タンパク質の活性レベルが約0.8若しくは約0.9IU/ml以下であること、のうちの少なくとも1つが満たされた場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定するステップを含む。特定の実施形態では、その方法は更に、ADAMTS13を投与するステップを含む。特定の実施形態では、その方法は更に、ADAMTS13の治療有効量が、約10~320IU/kg、約10~300IU/kg、約10~200IU/kg、約10~180IU/kg、約10~160IU/kg、約10~80IU/kg、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、約10~20IU/kg、約20~320IU/kg、約20~300IU/kg、約20~200IU/kg、約20~180IU/kg、約20~160IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、約20~40IU/kg、又は約20~30IU/kgであることを含む。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量は、約10~40IU/kg、約10~30IU/kg、約10~20IU/kg、約20~40IU/kg、又は約20~30IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量は、約10IU/kg、約20IU/kg、約30IU/kg、又は約40IU/kgである。
【0046】
特定の態様では、本発明は、COVID-19と診断された対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有するかどうかを決定する方法を提供し、その方法は:a)血漿試料において、i)VWFタンパク質の血漿レベル;ii)血漿試料中のVWFの活性レベル;iii)UHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベル;iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベル;又はv)血漿試料中のADAMTS13タンパク質の活性レベルのうちの1つ又は複数を測定するステップ;及びb)以下:i)VWFタンパク質の血漿レベルが少なくとも約4.5IU/mlであること;ii)VWF活性レベルが少なくとも約3.3IU/ml若しくは4.4IU/mlであること;iii)ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが約0.4IU/ml以下であること;又はiv)ADAMTS13タンパク質の活性レベルが約0.4若しくは約0.5IU/ml以下であること、のうちの少なくとも1つが満たされた場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定するステップを含む。特定の実施形態では、その方法は更に、ADAMTS13を投与するステップを含む。特定の実施形態では、その方法は更に、ADAMTS13の治療有効量が、約30~320IU/kg、約30~300IU/kg、約30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~60IU/kg、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgであることを含む。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量は、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量は、約40IU/kg、約60IU/kg、約80IU/kg、又は約160IU/kgである。
【0047】
特定の実施形態では、ベースライン値は、正常な対照集団に基づく所定値である。特定の実施形態では、ベースライン値は、正常な対照集団の所定の範囲の平均である。
【0048】
特定の実施形態では、VWF活性レベルは、VWFリストセチン補因子活性によって測定される。特定の実施形態では、VWF活性レベルは、VWFコラーゲン結合活性によって測定される。特定の実施形態では、ADAMTS13活性レベルはELISAによって測定される。特定の実施形態では、VWF活性レベルはFRETSによって測定される。
【0049】
特定の実施形態では、対象は、対象から採取された血液又は鼻粘膜試料から、PCRによってSARS-CoV-2 RNAを検出することにより、COVIDであると診断される。特定の実施形態では、対象は、SARS-CoV-2のセロコンバージョン(seroconversion)によって、COVIDであると診断される。特定の実施形態では、対象は、対象の血漿においてSARS-CoV-2抗体を検出することによって、COVIDであると診断される。
【0050】
特定の実施形態では、血液試料は抗凝固剤によって処置される。特定の実施形態では、抗凝固剤はEDTA、クエン酸ナトリウム、又はヘパリンである。
【0051】
特定の態様では、本発明は、COVID-19と診断された対象が血栓性凝固障害のリスクを有するかどうかを決定するための、キットを提供し、キットは:(i)VWFタンパク質の血漿レベル、VWFの活性レベル、UHMW VWF多量体の血漿レベル、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、ADAMTS13の活性レベルのうちの1つ又は複数を決定するための、1つ又は複数の試薬;(ii)任意選択で、包装及び/又は使用説明書;並びに(iii)任意選択で、SARS-CoV-2を検出するため又はCOVID-19を診断するための1つ又は複数の試薬を含む。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1A】
図1A~1Cは、野生型ADAMTS13(配列番号1)とADAMTS13 Q97Rバリアント(配列番号2)との間のアラインメントを示す。
【
図2A】
図2Aは:VWF:UHMVW;VWF:Ag;VWF:CB;及びVWF:RCoとして測定された、COVID-19患者からの血漿試料中のVWFのレベルを示す。全ての患者の試料及び対照から得られたアッセイ。COVID-19患者試料(丸);急性期TTP対照(三角);正常血漿対照(四角);灰色のボックスは、過去の健康な対照集団から得られた基準範囲(reference interval)を表す。
【
図2B】
図2Bは、ELISA、FRETS、及び抗原含有量によって測定された、同じ患者のADAMTS13のレベルを示す。全ての患者の試料及び対照から得られたアッセイ。COVID-19患者試料(丸);急性期TTP対照(三角);正常血漿対照(四角);灰色のボックスは、過去の健康な対照集団から得られた基準範囲を表す。
【
図3】
図3は、重症のCOVID-19の患者からのVWF多量体の電気泳動分析を示す。COVID-19の血漿試料(B17~B25)を、1%のアガロースゲルでの電気泳動によって分離させた。VWF多量体を抗VWF一次抗体で免疫染色し、続いて二次ヤギ抗ウサギALPコンジュゲートで免疫染色した後、可視化した。正常対照1-熱処理によるウイルス不活化後の、プールされていた正常な血漿;正常対照2-熱不活化されていない、プールされていた正常な血漿;正常対照3-健康な志願者であるドナーから提供された対照血漿;急性TTP対照-急性自己免疫TTPの患者からの試料。実線は、VWF二量体に対応する、各レーンの最も速く移動するバンドを示す。破線は、最も大きなVWF多量体を示す、各レーンの染色可能な部分の上限を示す。
【
図4A】
図4A~4Cは、0.5U/ml又は1.0U/mlのrADAMTS13とCOVID-19患者からの血漿とのインキュベーションを、未処置の対象と比較して示す。
図4Aにグラフで示されているデータについて、代表的な重症のCOVID-19患者S12からの血漿(VWF/ADAMTS13比7.4)を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。rADAMTS13の添加直後、並びに2時間及び5時間後に小口試料を採取し、コラーゲン結合アッセイでVWF活性に関して分析した。
【
図4B】
図4Bは、
図4Aのようにラベリングされた10人の重症のCOVID-19患者からの血漿試料からの、プールVWF:CBの絶対値の結果を示す。
【
図4C】
図4Cは、
図4AのようにラベリングされたプールVWF:CBA値を示すが、値は0時間の時点の値のパーセンテージとして表されている。両方のプールデータについて、ポイントは平均であり、エラーバーは標準偏差である。5時間のインキュベーション後、VWF:CBAはベースライン値と比較して大幅に低下した(P<0.001;t値-7.04)。
【
図5A】
図5A~5Cは、0.5U/ml又は1.0U/mlのrADAMTS13と別のCOVID-19患者からの血漿とのインキュベーションを、未処置の対象と比較して示す。重症のCOVID-19患者B1からの血漿(VWF/ADAMTS13比13.4)を、1.0IU/mL(三角)若しくは10.0IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。rADAMTS13の添加直後、並びに2時間及び5時間後に試料を採取した。
図5Aは、コラーゲン結合アッセイによるVWF活性を示す。
【
図5B】
図5Bは、この患者におけるVWF多量体のゲルパターンを示す。
図5Bは、半自動電気泳動ゲルシステム(Sebia)を用いて可視化された多量体組成物を示す。
【
図5C】
図5Cは対応するデンシトグラム(densitogram)を示し、VWF二量体のピークは矢印で示され、高分子量VWF多量体は各トレースの右側に示されている。縦軸はゲル染色の強度を任意単位で表す。対照試料は、正常なヒトの血漿、試薬の添加及びインキュベーションを伴わないB1血漿、並びにrADAMTS13を添加しないことを除いて同一条件下でインキュベートされたB1血漿である。
【
図6】
図6は、電気泳動を用いた、患者の血液試料中のVWF多量体のサイズの代表的な定量的決定を示す。患者からの血漿試料を調整して1IU/mL VWF:Agとし、1%のアガロースゲル上で分離させた後、免疫染色してデンシトメトリー(densitometry)に供した。分離ウェルの最上部と、分子量が最も小さい多量体のバンド(VWF二量体)との間の距離に、1.0の移動値を割り当てた。この例では、最大のVWF多量体の相対移動距離(Rf)は、分子量が最も小さい多量体のバンドの0.192倍であった。従って、より大きなVWF多量体によって占められるVWF二量体のバンドの総移動距離の割合は1-Rfであり、この例では1.000-0.192=0.808として算出される。同一のゲル上で分離される正常な血漿の1-Rfの値は、0.729であった(図示せず)。従って、VWF多量体を含む患者試料レーンの割合(UHMW多量体の定量パラメータ)は、レーンの最上部付近のUHMW多量体を反映した対照の111%(0.808/0.729*100=111%)である。
【
図7】
図7は、COVID-19患者(B24)、急性自己免疫性TTPの患者、プールされていた正常血漿試料に関する、試料レーンの代表的なデンシトメトリー走査を示す。COVID-19患者は、正常な対照より大きいものの急性TTPの患者より小さな多量体を有していた。x軸は、分離ゲルの上端(0.0と指定)から、1.0と指定されている、VWF二量体に対応する最低分子量のバンドまでの距離を、任意単位で表す。y軸は光学密度である。
【
図8A】
図8A~8Bは、重症のCOVID-19の患者からのVWF多量体の電気泳動パターンを示す。
図8Aは、半自動電気泳動システムを示す。9人のCOVID-19の患者の血漿試料を、HYDRAGELフォン・ヴィレブランド因子多量体キット及びHYDRASYS 2機器を用いた半自動電気泳動によって、分離させた。各試料を調整して1mLあたり1IU VWF:Agとし、分離させて、複数の多量体について並行して染色した。急性TTPの患者及び健康な志願者からの対照試料を、同じゲルにアプライした。破線は、正常ヒト血漿対照の、最も大きな染色可能部分を示す。サイズが異なる超高分子量多量体の移動距離は、ホームキャスト低解像度ゲルの場合ほど顕著ではなかった。これにより、デンシトメトリーによる再現性のある定量化は妨げられたものの、UHMW VWF多量体は点線より上の異常な免疫染色材料として明確に現れていた。
【
図8B】
図8Bは、ホームキャスト低解像度ゲルを示す。患者試料及び対照を、ホームキャスト低解像度1%アガロースゲル上で分離させ、デンシトメトリーで定量化して、「方法」のセクションで説明されているように、正常な血漿と比較したUHMW VWF多量体の含有量を決定した。ここで示されている電気泳動レーンは、全ての試料を同じゲル上で分離させたAとは対照的に、異なるゲル上で実施されているため、直接比較することはできない。垂直線は、どの試料が互いに隣り合った状態で分離されたかを示す。調整されて1mLあたり1IU VWF:AgとなったCOVID-19患者の血漿を分離させ、急性TTP対照及び正常対照と並行して、多量体について染色した。
【
図9A】
図9Aは、低解像度ゲルを用いた、ADAMTS13と重症COVID-19血漿のインキュベーション時の電気泳動VWF多量体パターンを示す。
【
図9B】
図9Bは、高解像度ゲルを用いた、ADAMTS13と重症COVID-19血漿とのインキュベーション時の電気泳動VWF多量体パターンを示す。
【
図10A】
図10Aは、COVID-19試料における、フォン・ヴィレブランド因子の検査パラメータとADAMTS13との関係を示す。
図10Aは、ピアソン試験を用いた相関分析からの最適な当てはめの線を示す検査パラメータとの間の関係のグラフを示す。相関は、強(r:0.7~1.0)、中程度(r:0.5~0.7)、弱い(r:0.3~0.5)、又は相関なし(0~0.3)として分類された。
【
図10B】
図10Bは、COVID-19試料における、フォン・ヴィレブランド因子の検査パラメータとADAMTS13との関係を示す。
図10Bは、ピアソン試験を用いた相関分析からの最適な当てはめの線を示す検査パラメータとの間の関係のグラフを示す。相関は、強(r:0.7~1.0)、中程度(r:0.5~0.7)、弱い(r:0.3~0.5)、又は相関なし(0~0.3)として分類された。
【
図10C】
図10Cは、COVID-19試料における、フォン・ヴィレブランド因子の検査パラメータとADAMTS13との関係を示す。
図10Cは、ピアソン試験を用いた相関分析からの最適な当てはめの線を示す検査パラメータとの間の関係のグラフを示す。相関は、強(r:0.7~1.0)、中程度(r:0.5~0.7)、弱い(r:0.3~0.5)、又は相関なし(0~0.3)として分類された。
【
図10D】
図10Dは、COVID-19試料における、フォン・ヴィレブランド因子の検査パラメータとADAMTS13との関係を示す。
図10Dは、ピアソン試験を用いた相関分析からの最適な当てはめの線を示す検査パラメータとの間の関係のグラフを示す。相関は、強(r:0.7~1.0)、中程度(r:0.5~0.7)、弱い(r:0.3~0.5)、又は相関なし(0~0.3)として分類された。
【
図11A】
図11Aは、コラーゲン結合アッセイによって決定された、2つの異なる濃度のrADAMTS13と10個の重症COVID-19血漿試料それぞれとのインキュベーション(二重)を、未処理の対照と比較して、インキュベーション時間(時間)にわたって示す。血漿を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。
【
図11B】
図11Bは、コラーゲン結合アッセイによって決定された、2つの異なる濃度のrADAMTS13と10個の重症COVID-19血漿試料それぞれとのインキュベーション(二重)を、未処理の対照と比較して、インキュベーション時間(時間)にわたって示す。血漿を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。
【
図11C】
図11Cは、コラーゲン結合アッセイによって決定された、2つの異なる濃度のrADAMTS13と10個の重症COVID-19血漿試料それぞれとのインキュベーション(二重)を、未処理の対照と比較して、インキュベーション時間(時間)にわたって示す。血漿を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。
【
図11D】
図11Dは、コラーゲン結合アッセイによって決定された、2つの異なる濃度のrADAMTS13と10個の重症COVID-19血漿試料それぞれとのインキュベーション(二重)を、未処理の対照と比較して、インキュベーション時間(時間)にわたって示す。血漿を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。
【
図11E】
図11Eは、コラーゲン結合アッセイによって決定された、2つの異なる濃度のrADAMTS13と10個の重症COVID-19血漿試料それぞれとのインキュベーション(二重)を、未処理の対照と比較して、インキュベーション時間(時間)にわたって示す。血漿を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。
【
図11F】
図11Fは、コラーゲン結合アッセイによって決定された、2つの異なる濃度のrADAMTS13と10個の重症COVID-19血漿試料それぞれとのインキュベーション(二重)を、未処理の対照と比較して、インキュベーション時間(時間)にわたって示す。血漿を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。
【
図11G】
図11Gは、コラーゲン結合アッセイによって決定された、2つの異なる濃度のrADAMTS13と10個の重症COVID-19血漿試料それぞれとのインキュベーション(二重)を、未処理の対照と比較して、インキュベーション時間(時間)にわたって示す。血漿を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。
【
図11H】
図11Hは、コラーゲン結合アッセイによって決定された、2つの異なる濃度のrADAMTS13と10個の重症COVID-19血漿試料それぞれとのインキュベーション(二重)を、未処理の対照と比較して、インキュベーション時間(時間)にわたって示す。血漿を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。
【
図11I】
図11Iは、コラーゲン結合アッセイによって決定された、2つの異なる濃度のrADAMTS13と10個の重症COVID-19血漿試料それぞれとのインキュベーション(二重)を、未処理の対照と比較して、インキュベーション時間(時間)にわたって示す。血漿を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。
【
図11J】
図11Jは、コラーゲン結合アッセイによって決定された、2つの異なる濃度のrADAMTS13と10個の重症COVID-19血漿試料それぞれとのインキュベーション(二重)を、未処理の対照と比較して、インキュベーション時間(時間)にわたって示す。血漿を、0.5IU/mL(三角)若しくは1IU/mL(四角)のrADAMTS13と共に、又はADAMTS13を用いずに(ひし形)、インキュベートした。
【
図12A】
図12Aは、1IU/mLのADAMTS13と共に0時間及び5時間インキュベートした後の、8個の重症COVID-19血漿試料の電気泳動VWF多量体分析を示す。
【
図12B】
図12Bは、1IU/mLのADAMTS13と共に0時間及び5時間インキュベートした後の、8個の重症COVID-19血漿試料の電気泳動VWF多量体分析を示す。
【
図12C】
図12Cは、1IU/mLのADAMTS13と共に0時間、2時間、及び5時間インキュベートした後の、8個の重症COVID-19血漿試料の電気泳動VWF多量体分析を示す。
【
図13A】
図13A~13Cは、野生型ADAMTS13(配列番号1)と野生型ゴリラADAMTS13(配列番号3)との間のアラインメントを示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
本明細書で提供されるのは、コロナウイルス感染に冒された対象、例えばSARS-CoV-2ウイルスに感染して、SARS-CoV2感染又はCOVID-19の1つ又は複数の兆候又は症状を示す対象を治療するための方法である。より詳細には、本発明者らは、治療有効量のADAMTS13(A Disintegrin-like And Metalloprotease with Thrombospondin type I motif No. 13:トロンボスポンジンI型モチーフ第13番を有するディスインテグリン様及びメタロプロテアーゼ)が、COVID-19の1つ又は複数の症状、リスク、又は合併症の治療として有用であることを発見した。これらは、限定するものではないが例えば、貧血性若しくは出血性梗塞、静脈若しくは動脈血栓症、凝血障害、肺塞栓症、深部静脈血栓症(DVT)、高レベルのフォン・ヴィレブランド因子(VWF)、サイトカインストーム、又は本明細書に記載の合併症若しくは危険因子を含む。ADAMTS13は有利なことに、その効果を用量依存的に発揮する。組成物は、治療有効量の単離又は組換え(ADAMTS13)タンパク質を含む。方法は、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を対象に投与するステップを含み、特定の時点に特定の投薬量を提供する実施形態を含む。
【0054】
ADAMTS13は、ADAMTSタンパク質ファミリーのメンバーであり、これには、亜鉛依存性触媒ドメイン、システインリッチドメイン、ディスインテグリン様ドメイン、及び少なくとも1つ、ほとんどの場合複数の、トロンボスポンジンI型リピートを含む、多数の保存ドメインを含有するメタロプロテイナーゼが含まれる。Nicholson et al., BMC Evol Biol. 2005 Feb 4;5(1):11を参照。これらのタンパク質は、メタロプロテイナーゼのADAM及びMMPファミリーに進化的に関連している(Jones GC, Curr Pharm Biotechnol. 2006 Feb;7(1):25-31)。これらは、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)(Moake JL, Semin Hematol. 2004 Jan;41(1):4-14)、結合組織障害、癌、炎症(Nicholson et al.)、及び重症熱帯熱マラリア原虫(Larkin et al., PLoS Pathog. 2009 Mar;5(3):e1000349)を含む、多数の疾患又は状態に関連する分泌酵素である。このような関連から、ADAMTS酵素は多数の病状の潜在的な治療標的として認識されてきた(Jones GC, Curr Pharm Biotechnol. 2006 Feb;7(1):25-31)。ADAMTS13活性の喪失は、TTP(Moake JL, Semin Hematol. 2004 Jan;41(1):4-14)、急性及び慢性炎症(Chauhan et al., J Exp Med. 2008 Sep 1;205(9):2065-74)、並びに重症熱帯熱マラリア原虫(Larkin et al., PLoS Pathog. 2009 Mar;5(3):e1000349)といった、多数の状態に関連している。
【0055】
ADAMTS13プロテアーゼは、主に肝臓で産生される190kDaのグリコシル化タンパク質である(Levy G G, et al., Nature. 2001; 413:488-494; Fujikawa K, et al., Blood. 2001; 98:1662-1666; Zheng X, et al., J Biol Chem. 2001; 276:41059-41063; Soejima K, et al., J Biochem (Tokyo). 2001; 130:475-480; Gerritsen H E et al., Blood. 2001; 98:1654-1661、各文献は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される)。ADAMTS13は、N末端プロペプチドを有する前駆体として発現される。成熟ADAMTS13は、メタロプロテアーゼ(M)ドメイン、ディスインテグリン様(D)ドメイン、トロンボスポンジン1型(T)リピート、システインリッチ(C)ドメイン、及びスペーサー(S)ドメインを含み、その後に、
図4に示されているように7個の連続したTSP1リピート(T2~T8)及び2個のCUBドメインが続く。様々なドメインの構造情報がADAMTSファミリータンパク質について報告されており、これにはヒトADAMTS13 DTCS(残基287~685)の構造(Akiyama M., Takeda S., Kokame K., Takagi J., Miyata T. 2009 Crystal structures of the noncatalytic domains of ADAMTS13 reveal multiple discontinuous exosites for von Willebrand factor, Proceedings of the National Academy of Sciences 106: 19274-19279、これら文献は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される)が含まれる。構造分析により、ADAMTSファミリーのメンバーが、MDTCSドメインの配列保存及び構造的類似性を共有していることが示されている(Akiyama et al., 2009 supra; Mosyak L., Georgiadis K., Shane T., Svenson K. et al. 2008 Crystal structures of the two major aggrecan degrading enzymes, ADAMTS4 and ADAMTS5, Protein Science 17: 16-21、各文献は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される)。
【0056】
巨核球及び内皮細胞で合成されたVWFは、それぞれ血小板顆粒及びワイベル・パラーデ小体中に、超大型VWF多量体(UHMW、又はUL-vWF)として保存される。Moake et al., N Engl J Med. 1982; 307:1432-1435; Wagner et al., J Cell Biol. 1982; 95:355-360; Wagner et al., Mayo Clin Proc. 1991; 66:621-627; Sporn et al., Blood. 1987; 69:1531-1534; Tsai et al., Biochem Biophys Res Commun. 1989; 158:980-985; Tsai et al., Blood. 1989; 73:2074-2076を参照。これらのUL-vWF多量体は、内皮細胞から分泌されると、循環中のADAMTS13によって、vWF分子内の特定の切断部位において、より小さな一連の多量体へと切断される。Tsai et al., Biochem Biophys Res Commun. 1989; 158:980-985; Dent et al., J Clin Invest, 1991; 88:774-782; Furlan et al., Proc Natl Acad Sci USA. 1993; 90:7503-7507を参照。
【0057】
ADAMTS13は、成熟vWFサブユニットの中央のA2ドメインのTyr842-Met843結合を切断し、活性のために亜鉛又はカルシウムを必要とする。Dent et al., Proc Natl Acad Sci USA, 1990; 87:6306-6310を参照。ADAMTS13のVWFタンパク質分解活性は、2価カチオンに強く依存し、これは、このADAMTSファミリーの他のメタロプロテアーゼドメインでも観察されている(Zheng et al., 2001 supra; Gardner M.D., Chion C.K., de Groot R., Shah A., Crawley J.T. et al. 2009 A functional calcium-binding site in the metalloprotease domain of ADAMTS13, Blood 113: 1149-1157、これら文献は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される)。更にADAMTS13活性は、VWFへの結合、及びN末端MDTCSとC末端CUBドメインとの間の相互作用による、アロステリック調節を受ける(Muia J., Zhu J., Gupta G., Haberichter S.L., Friedman K.D. et al. 2014 Allosteric activation of ADAMTS13 by von Willebrand factor, Proceedings of the National Academy of Sciences 111: 18584-18589; South K., Luken B.M., Crawley J.T.B., Phillips R., Thomas M., et al. 2014 Conformational activation of ADAMTS13, Proceedings of the National Academy of Sciences 111: 18578-18583、各文献は、あらゆる目的のために、その全体が参照により本出願に援用される)。
【0058】
COVID-19によって誘発される、超生理学的レベルのVWFの発生は、基質過負荷によってADAMTS13を消費する可能性があり、その結果、天然循環ADAMTS13の活性レベルが臨海閾値未満に低下する可能性がある。外因性単離又は組換えADAMTS13の投与はこの力学に対抗して、ADAMTS13とVWFとのバランスを回復させ、VWF、特に超大型VWFタンパク質のレベル又は濃度を治療的に低下させることができる。このようにして、ADAMTS13は血小板に対するVWFの粘着性を低下させ、血小板血栓の形成を回避若しくは低減するか、又は形成される可能性がある若しくは形成されている可能性がある血栓の溶解、除去若しくは緩和に寄与する。治療有効量のADAMTS13の投与は、COVID-19対象の凝血障害、血栓症、塞栓症、並びに他の合併症及び危険因子を低減又は排除できる。特定の実施形態では、障害は、血流中のVWFのレベルの上昇を特徴とする。特定の実施形態では、血栓症は深部静脈血栓症(DVT)である。特定の実施形態では、塞栓症は肺塞栓症である。特定の実施形態では、本発明によるADAMTS13療法は、危篤状態の患者の治療を含む、重症又は後期段階のCOVID-19の症例に好適である。更にADAMTS13の投与は忍容性が高く、副作用のリスクがほとんどない。
【0059】
I.定義
本明細書中で使用される場合、「ADAMTS13」又は「A13」は、ADAMTS(トロンボスポンジンI型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ)ファミリーのメタロプロテアーゼ、即ち13番を指し、これは、残基Tyr1605と残基Met1606との間のフォン・ヴィレブランド因子(VWF)を切断する。本発明の文脈では、ADAMTS13は、いずれのADAMTS13タンパク質、例えば霊長類、ヒト(NP_620594)、サル、ウサギ、ブタ、ウシ(XP_610784)、げっ歯類、マウス(NP_001001322)、ラット(XP_342396)、ハムスター、アレチネズミ、イヌ、ネコといった哺乳類、カエル(NP_001083331)、ニワトリ(XP_415435)からのADAMTS13、及び生物学的に活性を有するその誘導体又は断片を包含する。本明細書中で使用される場合、「ADAMTS13タンパク質(ADAMTS13 protein)」は、組換え及び単離若しくは血漿由来ADAMTS13タンパク質、バリアント、又はその誘導体若しくは断片を指す。特定の実施形態では、ADAMTS13は、米国特許出願公開第2012/0229455号に記載されているような野生型ヒトADAMTS13(hADAMTS13)又はその断片であり、その文献は、あらゆる目的のために参照により本出願に援用される。特定の実施形態では、hADAMTS13のアミノ酸配列は、GenBank受託番号NP_620594のものである。特定の実施形態では、hADAMTS13は、配列番号1、配列番号2、又はこれらの組み合わせ若しくは混合である。活性を有する変異体及びバリアントADAMTS13タンパク質も、ADAMTS13タンパク質の機能性断片及び融合タンパク質と同様に包含される。更に本発明のADAMTS13タンパク質は、精製、検出、又はこれら両方を促進するタグを含んでよい。本明細書に記載のADAMTS13タンパク質は更に、治療用部分、又はインビトロ若しくはインビボでの撮像に好適な部分で修飾されていてよい。
【0060】
用語「ADAMTS13バリアント(ADAMTS13 variant)」は、場合によって程度は様々であるものの、野生型分子(例えば配列番号1)と構造が略同様であり、かつ同一の生物活性を有する、ポリペプチドを指す。バリアントは、バリアントが由来する野生型ポリペプチドと比較して、そのアミノ酸配列の組成が異なっており、これは(i)ポリペプチド(上述の断片を含む)の1つ又は複数の末端及び/若しくは野生型ポリペプチド配列の1つ又は複数の内部領域における、1つ又は複数のアミノ酸残基の欠失、(ii)ポリペプチドの1つ又は複数の末端(典型的には「付加」バリアント)及び/若しくは野生型ポリペプチド配列の1つ又は複数の内部領域(典型的には「挿入」バリアント)における、1つ又は複数のアミノ酸の挿入若しくは付加、又は(iii)野生型ポリペプチド配列中の1つ又は複数のアミノ酸の、他のアミノ酸による置換を伴う、1つ又は複数の変異に基づく。置換は、置き換えられるアミノ酸と、このアミノ酸を置き換えるアミノ酸との、物理化学的又は機能的関連性に基づいて、保存的又は非保存的である。バリアントは、ペプチド配列内の1つ又は複数のアミノ酸の、1つ又は複数の類似若しくは相同アミノ酸又は1つ又は複数の非類似アミノ酸による置き換えを含む。アミノ酸を類似又は相同アミノ酸としてランク付けできる尺度は多数存在する(あらゆる目的のために、参照により本出願に援用される、Gunnar von Heijne, Sequence Analysis in Molecular Biology, p. 123-39, Academic Press, New York, N.Y. 1987)。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは配列番号2である。用語「バリアント(variant)」は、態様によっては用語「変異体(mutant)」と交換可能なものとして使用される。
【0061】
ヒトADAMTS13タンパク質としては、限定するものではないが、GenBank受託番号NP620594のアミノ酸を含むポリペプチド、又はその加工済みポリペプチド、例えばシグナルペプチド(アミノ酸1~29)及び/若しくはプロペプチド(アミノ酸30~74)が除去されたポリペプチドが挙げられる。ヒトADAMTS13の多数の天然バリアントが当該技術分野で公知であり、これは本発明の組成物によって包含され、その一部としては、R7W、V88M、H96D、R102C、R193W、T196I、H234Q、A250V、R268P、W390C、R398H、Q448E、Q456H、P457L、P475S、C508Y、R528G、P618A、R625H、I673F、R692C、A732V、E740K、A900V、S903L、C908Y、C951G、G982R、C1024G、A1033T、R1095W、R1095W、R1123C、C1213Y、T12261、G1239V、及びR1336Wから選択される変異が挙げられる。更に、ADAMTS13タンパク質としては、例えば非必須アミノ酸における1つ又は複数の保存的変異によって変異した、天然タンパク質及び組換えタンパク質が挙げられる。好ましくは、ADAMTS13の酵素活性に必須のアミノ酸は変異させない。アミノ酸としては例えば、残基83、173、224、228、234、281、及び284といった、金属結合に必須であることが知られているか必須であると推定される残基、並びに酵素の活性部位に見られる残基、例えば残基225が挙げられる。同様に、本発明の文脈では、ADAMTS13タンパク質は別のアイソフォーム、例えば全長ヒトタンパク質のアミノ酸275~305及び/又は1135~1190を欠いたアイソフォームを含む。
【0062】
ADAMTS13タンパク質は、例えば翻訳後修飾(例えばヒト残基142、146、552、579、614、667、707、828、1235、1354から選択される1つ又は複数のアミノ酸、若しくは他のいずれの天然の若しくは改変された修飾部位におけるグリコシル化)によって、又はグリコシル化、水溶性ポリマーによる修飾(例えばPEG化、シアリル化、HES化等)、タグ付与等を含むがこれらに限定されないエクスビボでの化学的若しくは酵素的修飾によって、更に修飾されていてよい。
【0063】
本明細書中で使用される場合、用語「グリコシル化された(glycosylated)」又は「ADAMTS13のグリコシル化形態(glycosylated forms of ADAMTS13)」は、炭水化物又はグリカン残基の付加によって翻訳後に修飾されたADAMTS13タンパク質を指す。2個以上のグリコシル化部位を有するADAMTS13タンパク質は、各グリコシル化部位に同一のグリカン残基を付着させることができ、又は異なるグリコシル化部位に異なるグリカン残基を付着させることができる。このようにして、異なるパターンのグリカン付着によって、ADAMTS13タンパク質の異なるグリコフォームを得ることができる。グリコシル化ADAMTS13に見られる主要な糖は、グルコース(Glc)、ガラクトース(Gal)、マンノース(Man)、フコース(Fuc)、N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、及びシアリル酸(例えばN-アセチル-ノイラミン酸(NeuAc又はNANA))である。ヘキソース(Hex)及びHexNAcは、それぞれMan、Glc、及びGal残基、並びにGlcNAc及びGalNAc残基といった単糖の分類を表す総称である。
【0064】
用語「グリコシル化(glycosylation)」はADAMTS13糖タンパク質の形成を含み、ここではグリカン残基が、タンパク質のアスパラギン(Asn)残基の側鎖に付着する(即ちN結合)か、又はセリン(Ser)若しくはトレオニン(Thr)残基の側鎖に付着する(即ちO結合)か、又はトリプトファン(Trp)残基の側鎖に付着する(即ちC結合及び/若しくはC-マンノシル化)。
【0065】
用語「N-グリコシル化部位(N-glycosylation site)」は、例えばアスパラギン残基のアミド窒素である窒素原子を有するアミノ酸残基を含む、いずれのアミノ酸配列を指す。糖タンパク質に付着するN-グリカンは、「トリマンノース」(Man3)成分及び「キオビトース」(GlcNAc2)成分を含有する一般的なコア五糖類:Man3GlcNAc2に付加される周囲の糖(例えばGlcNAc、Gal、Fuc、及びNeuAc)で構成される分岐(アンテナ)の数に関して、異なっている。N-グリカンは一般に、その分岐構成要素に応じて分類される(例えば高マンノース型、混成型、又は複合型)。「高マンノース(high-mannose)」型N-グリカンは、非置換末端マンノース糖を含有する。これらのグリカンは典型的には、キオビトースコアに付着した5~9個のマンノース残基を含有する。「混成(hybrid)」型N-グリカンは、GlcNAc結合を伴う、非置換末端マンノース残基及び置換マンノース残基の両方を含有できる。「複合(complex)」型N-グリカンは典型的には、トリマンノースコアのα1,3マンノースアームに付着した少なくとも1つのGlcNAc、及びα1,6マンノースアームに付着した少なくとも1つのGlcNAcを有する。複合型N-グリカンは、任意選択でNeuAc残基で修飾された、Gal又はGalNAc糖残基を有する場合もある。複合型N-グリカンはまた、「二等分(bisecting)」GlcNAc及びコアFuc残基を含む、鎖内置換を有してもよい。複合型N-グリカンはまた、トリマンノースコア上に複数のアンテナを有してもよく、これは「多アンテナグリカン(multiple antennary glycan)」と呼ばれることが多い。
【0066】
「O-結合グリコシル化(O-linked glycosylation)」は、炭水化物残基(例えばGalNAc、Gal)がヒドロキシルアミノ酸、例えばセリン又はトレオニンに付加される、グリコシル化の形態を指す。O-結合グリカンは一般にO-フコシル化を含み、これは二糖類Fuc-Glc、又はHexNAc-Hex-NeuAc0-2を含有するムチン型構造を有する。用語「O-グリコシル化部位(O-glycosylation site)」は、ヒドロキシル基を有するアミノ酸残基(例えばセリン、トレオニン、又はチロシン側鎖)を含むいずれのアミノ酸配列を指す。
【0067】
「C-結合グリコシル化(C-linked glycosylation)」は、炭水化物残基(例えばMan)がトリプトファン側鎖の炭素に付加される、グリコシル化の形態を指す。用語「C-グリコシル化部位(C-glycosylation site)」又は「C-マンノシル化部位(C-mannosylation site)」は、炭素原子、例えばトリプトファン側鎖上の炭素原子を有するアミノ酸残基を含む、いずれのアミノ酸配列を指す。
【0068】
本明細書中で使用される場合、用語「糖類似度指数(glycosimilarity index)」、又は「グリカン指数(glycan index)」、又は「N-グリカン指数(N-glycan index)」は、所与の標的プロファイルと比較した、参照グリコシル化プロファイルの適合度を指す。
【0069】
本明細書中で使用される場合、ADAMTS13の「生物活性を有する誘導体(biologically active derivative)」又は「生物活性を有するバリアント(biologically active variant)」は、ADAMTS13と略同一の生物学的機能を有するいずれのポリペプチドを指す。生物活性を有する誘導体のポリペプチド配列は、1つ又は複数のアミノ酸の、欠失、付加、及び/又は置換を含んでよいが、ここで各場合について、1つ又は複数のアミノ酸は、その不在、存在、及び/又は置換がポリペプチドの生物活性に悪影響を実質的に全く与えないものである。ポリペプチドの生物活性は例えば、内皮への血小板の付着の減少若しくは遅延、血小板凝集の減少若しくは遅延、血小板ストリングの形成の減少若しくは遅延、血栓の形成の減少若しくは遅延、血栓の成長の減少若しくは遅延、血管閉塞の減少若しくは遅延、VWFのタンパク質分解的な切断、血栓の分解、又は例えばFRETS-VWF73ペプチドであるペプチド基質の切断によって、測定できる。Kokame et al., Br J Haematol. 2005 Apr;129(1):93-100)、又はそのいずれのバリアントを参照。Tripodi, et al., J.Thromb Haemost 2004 v2 p1601-9; Tripodi, et. al., J Thromb Haemost. 2008 September; 6(9): 1534-1541(各文献は、あらゆる目的のために参照により援用される)も参照。
【0070】
更に、用語「ADAMTS13」、並びにその「生物活性を有するバリアント」及び「生物活性を有する誘導体」は、組換えDNA技術によって得られるポリペプチドを含む。組換えADAMTS13(「rADAMTS13」)、例えば組換えヒトADAMTS13(「r-hu-ADAMTS13」)は、当該技術分野で公知のいずれかの方法で製造できる。1つの具体例が国際公開第02/42441号で開示されており、この文献は、組換えADAMTS13の製造方法に関して、参照により本出願に援用される。これは:(i)遺伝子改変による、例えばRNAの逆転写及び/又はDNAの増幅による、組換えDNAの製造;(ii)トランスフェクションによる、即ち電気穿孔又はマイクロインジェクションによる、原核細胞又は真核細胞への組換えDNAの導入;(iii)例えば連続的な様式又はバッチ方式での、形質転換細胞の培養;(iv)例えば構成的な又は誘導路の、ADAMTS13の発現;並びに(v)例えば培養培地からの、又は形質転換細胞の採取による、ADAMTS13の単離、そして以上による(vi)例えば陰イオン交換クロマトグラフィ又はアフィニティクロマトグラフィによる、実質的に精製された組換えADAMTS13の取得のための、当該技術分野で公知のいずれの方法を含んでよい。
【0071】
また、ADAMTS13活性と、例えば野生型ADAMTS13配列、GenBank受託番号NP_620594の配列、又は配列番号1若しくは配列番号2の配列を含む参照ADAMTS13配列に対して少なくとも80%の同一性、好ましくは85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列とを有する、タンパク質も含まれる。
【0072】
また、例えば特にヒトである哺乳類の循環系におけるADAMTS13の半減期といった生物学的/薬理学的特性の改善のために、免疫グロブリン(Ig)、例えば抗体又はその一部分と組み合わされる、例えばADAMTS13(又はその生物活性を有する誘導体)等のキメラ分子も含まれる。Igは、任意選択で変異したものであるFc受容体への結合部位も有してよい。
【0073】
本明細書中で使用される場合、「ADAMTS13活性(ADAMTS13 activity)」は、全長VWF、VWF断片、又はVWF基質(例えばFRETS-VWF73基質(Kokame et al.、Br J Haematol. 2005 April ;129(1):93-100))の切断を含む。「ADAMTS13活性」は、ADAMTS13タンパク質(例えば野生型若しくはバリアント)又は複数のADAMTS13タンパク質の組み合わせの活性を指すことができる。特定の実施形態では、組成物が1つ又は複数のADAMTS13バリアント及び/又はADAMTS13(例えば野生型)の混合物である場合、「ADAMTS13活性」は、組成物中の総ADAMTS13の活性を指す。
【0074】
本明細書中で使用される場合、「1単位のADAMTS13活性(one unit of ADAMTS13 activity)」は、使用されるアッセイにかかわらず、プールされていた正常ヒト血漿1ml中の活性の量として定義される。例えば、1単位のADAMTS13 FRETS-VWF73活性とは、プールされていた正常ヒト血漿(参照又はベースライン試料)1mlによって切断される量と同一の量のFRETS-VWF73基質を切断するために必要な、活性の量である。Kokame et al., Br J Haematol. 2005 Apr;129(1):93-100)、又はそのいずれのバリアントを参照。Tripodi, et al., J.Thromb Haemost 2004 v2 p1601-9; Tripodi, et. al., J Thromb Haemost. 2008 September; 6(9): 1534-1541(各文献は、あらゆる目的のために参照により援用される)も参照。例えば、全長VWF分子又はVWF断片の切断を検出するために、SDSアガロースゲル電気泳動を用いて直接的なADAMTS13活性アッセイを実施でき、またコラーゲン結合アッセイによって、間接的なADAMTS13活性の検出を実施できる。用語「1単位のADAMTS13活性」は、「活性単位(Activity unit)」、「U」、「国際単位(international unit)」、「IU」、又は「UFV73」と交換可能なものとして使用できる。特定の実施形態では、国際単位は、VWF FRETSアッセイを用いて血漿に対して較正されたWHO標準の使用に基づく(即ち「UFV73」又は「IU」)。
【0075】
本明細書中で使用される場合、用語「治療する(treat)」及び「防止する(prevent)」は、絶対的な用語であることを意図したものではない。治療は、発症のいずれの遅延、対象又は患者の生存率の改善、頻度又は重症度の低減等を指すことができる。治療は、対象の状態又は病態(そのいずれの兆候、症状、又は合併症を含む)のいずれの改善も包含し、これは治療が状態又は疾患の基礎となる原因又は病因に直接的又は間接的に影響を及ぼすかどうかにかかわらない。用語「防止する」は、予防及び防止を含む。治療の効果は、対照、例えば治療を受けていない対象若しくは対象のプール、同一の患者の体内の未処置の組織、又は治療前の同一の対象と比較できる。
【0076】
本明細書中で使用される場合、「対象(subject)」又は「患者(patient)」は、状態若しくは疾患又はそのいずれの兆候、症状若しくは合併症を示すか、あるいはこれらのリスクを有する、ヒト対象を含むいずれの哺乳類を意味する。「COVID-19対象(COVID-19 subject)」又は「COVID-19患者(COVID-19 patient)」は、COVID-19の兆候若しくは症状を示す、COVID-19と診断された、又は例えば臨床試験若しくは臨床検査においてSARS-CoV-2について陽性であるかどうかを試験することによって、SARS-CoV-2の感染を示す、ヒト対象を含むいずれの哺乳類を意味する。
【0077】
本明細書中で使用される場合、「治療有効量又は用量(therapeutically effective amount or dose)」、あるいは「十分な量又は用量(sufficient amount or dose)」は、投与の目的である効果を生成する用量を指す。正確な用量は治療の目的に依存することになり、また既知の技法を用いて当業者が確認できる。例えばLieberman, Pharmaceutical Dosage Forms (vols. 1-3, 1992); Lloyd, The Art, Science and Technology of Pharmaceutical Compounding (1999);Pickar, Dosage Calculations (1999);及びRemington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, 2003, Gennaro, Ed., Lippincott, Williams & Wilkinsを参照。
【0078】
用語「遺伝子(gene)」は、ポリペプチド鎖の生成に関与するDNAのセグメント(核酸又はポリペプチド)を意味する。これは、コーディング領域の前及び後ろの領域(リーダー及びトレーラー)、並びに対象のコーディングセグメント(エクソン)間の介在配列(イントロン)を含むことができる。
【0079】
用語「核酸(nucleic acid)」又は「ポリヌクレオチド(polynucleotide)」は、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)、及びその一本鎖又は二本鎖形態のポリマーを指す。特段の指定がない限り、上記用語は、参照核酸と同等の結合特性を有し、また天然のヌクレオチドと同様に代謝される、天然ヌクレオチドの既知の類似体を含有する核酸を包含する。特段の指示がない限り、ある特定の核酸配列は、保存的に修飾されたそのバリアント(例えば縮退コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP、及び相補配列も暗黙的に包含し、また明示的に指示された配列も包含する。具体的には、縮退コドン置換は、1つ又は複数の選択された(又は全ての)コドンの第3位が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基で置換された配列を生成することによって、達成できる。Batzer et al., Nucleic Acid Res. 19:5081 (1991);Ohtsuka et al., J. Biol. Chem. 260:2605-2608 (1985);及びRossolini et al., Mol. Cell. Probes 8:91-98 (1994)を参照。用語「核酸」は、遺伝子、cDNA、及び遺伝子によってコードされるmRNAを包含する。
【0080】
用語「アミノ酸(amino acid)」は、天然及び合成アミノ酸、並びに天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸ミメティックを指す。天然アミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるもの、並びに後で修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、及びO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然アミノ酸と同一の基本化学構造、即ち水素に結合するα炭素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。このような類似体は、修飾されたR基(例えばノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同一の基本化学構造を保持している。「アミノ酸ミメティック(amino acid mimetic)」は、あるアミノ酸の一般化学構造とは異なる構造を有するものの、天然アミノ酸と同様に機能する、化学化合物を指す。非天然アミノ酸誘導体又は類似体をポリペプチド鎖に部位特異的に組み込むことを可能にする多様な既知の方法が、当該技術分野には存在している。例えば国際公開第02/086075号を参照。
【0081】
「保存的に修飾されたバリアント(conservatively modified variant)」は、アミノ酸配列及び核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された核酸は、同一の若しくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には本質的に同一の配列を指す。遺伝暗号の縮退により、機能的に同一である多数の核酸が、いずれの所与のタンパク質をコードする。例えばコドンGCA、GCC、GCG及びGCUはいずれも、アミノ酸アラニンをコードする。よって、アラニンがコドンによって特定されるあらゆる位置において、コードされるポリペプチドを変更することなく、コドンを、上述の対応するコドンのうちのいずれかに変更できる。このような核酸の変異は「サイレント変異(silent variation)」であり、これらは保存的に修飾されたバリアントの一種である。ポリペプチドをコードする、本明細書中の全ての核酸配列は、該核酸の、可能性のある全てのサイレント変異も記述する。当業者であれば、核酸中の各コドン(メチオニンの唯一のコドンであるAUG、及びトリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)を修飾することによって、機能的に同一の分子を得ることができることを認識するだろう。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、記載された各配列において暗黙的に含まれる。
【0082】
アミノ酸配列に関して、「保存的に修飾されたバリアント」は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列に対する置換、欠失、又は付加を指し、これは、コードされる配列中の単一のアミノ酸又はわずかなパーセンテージのアミノ酸の変更、付加、又は欠失を発生させ、化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換テーブルは、当該技術分野において公知である。このように保存的に修飾されたバリアントは、本発明の多型バリアント、種間同族体、及び対立遺伝子に追加されるものであり、これらを排除するものではない。以下の8個の基はそれぞれ、互いの保存的置換の例であるアミノ酸を含む:(1)アラニン(A)、グリシン(G);(2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);(3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);(4)アルギニン(R)、リシン(K);(5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);(6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);(7)セリン(S)、トレオニン(T);及び(8)システイン(C)、メチオニン(M)。例えばCreighton, Proteins, W. H. Freeman and Co., N. Y. (1984)を参照。
【0083】
本明細書中で使用される場合、「同等の位置(equivalent position)」(例えば「同等のアミノ酸位置(equivalent amino acid position)」又は「同等の残基位置(equivalent residue position)」)は、ここでは、アラインメントアルゴリズム(例えばClustal Needleman-Wunsch algorithm、Vector NTI)を用いて、参照アミノ酸配列(例えば配列番号1)の対応する位置と整列させた、アミノ酸配列の位置(アミノ酸位置又は残基位置等)として定義される。アミノ酸配列の同等のアミノ酸位置は参照アミノ酸配列の対応する位置と同一の位置番号を有する必要はない。一例として
図13は、ゴリラ野生型ADAMTS13(配列番号3)と整列されたヒト野生型ADAMTS13の配列(配列番号1)を示す。この例では、配列番号1のアミノ酸番号97が配列番号3のアミノ酸番号101と整列されているため、配列番号1のアミノ酸位置番号97は、配列番号3のアミノ酸位置番号101のアミノ酸位置と同等のアミノ酸位置である(すなわち「同等である(equivalent to)」)とみなされる。換言すれば、配列番号1のアミノ酸位置97は、配列番号3のアミノ酸位置101に対応する。
【0084】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、アミノ酸残基のポリマーを指すために、交換可能なものとして使用される。これら3つの用語は全て、1つ又は複数のアミノ酸残基が対応する天然アミノ酸の人工の化学的なミメティックであるアミノ酸ポリマー、並びに天然アミノ酸ポリマー及び天然には生じないアミノ酸ポリマーに適用される。本明細書中で使用される場合、これらの用語は、全長タンパク質を含むいずれの長さのアミノ酸鎖を包含し、ここでアミノ酸残基は、ペプチド共有結合によって結合される。本出願では、ポリペプチド、ペプチド、又はタンパク質のアミノ酸残基は、例えば未修飾野生型ポリペプチド配列を参照することにより、番号1が付された最も左側の残基からの相対的な位置に従って、番号付与される。
【0085】
本明細書中で使用される場合、ポリペプチドの「断片(fragment)」は、全長ポリペプチド又はタンパク質発現産物よりも小さい、ポリペプチドのいずれの部分を指す。断片は典型的には、全長ポリペプチドの欠失類似体であり、ここでは1つ又は複数のアミノ酸残基が、全長ポリペプチドのアミノ末端及び/又はカルボキシ末端から除去されている。従って「(複数の)断片(fragments)」は、以下に記載の欠失類似体のサブセットである。
【0086】
用語「組換え(recombinant)」又は「組換え発現系(recombinant expression system)」は、例えば細胞に言及して使用される場合、この細胞が、異種核酸若しくはタンパク質の導入、又は天然核酸若しくはタンパク質の変更によって、修飾されていること、あるいはこの細胞が、上述のように修飾された細胞に由来することを示す。従って例えば、組換え細胞は、該細胞の天然(非組換え)形態の中には見られない遺伝子を発現するか、又は異常に発現される、発現が不足する、若しくは全く発現されない天然遺伝子を発現する。またこの用語は、組換え遺伝要素、又は遺伝子発現を調節する役割を有する要素、例えばプロモーター若しくはエンハンサーを安定的に組み込んだ、宿主細胞も意味する。本明細書で定義されるような組換え発現系は、発現されることになる内因性DNAセグメント又は遺伝子に結合する調節要素の誘導時に、細胞にとって内因性であるポリペプチド又はタンパク質を発現することになる。細胞は、原核細胞又は真核細胞であってよい。
【0087】
本明細書中で使用される場合、2つ以上のポリヌクレオチド又はアミノ酸配列を説明する文脈における、用語「同一の(identical)」、又はパーセントの「同一性(identity)」は、後述の配列比較アルゴリズムのうちの1つを用いて又は手動でのアラインメント及び目視検査によって測定される、比較ウインドウ又は指定された領域にわたって、一致が最大となるように比較及び整列が行われた場合に、同一であるか、又は指定されたパーセンテージ(例えば、参照配列、例えば配列番号1若しくは配列番号2に対して、少なくとも80%の同一性、好ましくは85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性)の同一のアミノ酸残基若しくはヌクレオチドを有する、2つ以上の配列又は部分配列を指す。このような配列は、「実質的に同一(substantially identical)」であると表現される。ポリヌクレオチド配列に関して、この定義は、試験用配列の補体も指す。好ましくは、同一性は、少なくとも約50アミノ酸若しくはヌクレオチドの長さの領域にわたって、又は更に好ましくは75~100アミノ酸若しくはヌクレオチドの長さの領域にわたって、存在する。
【0088】
配列の比較のために、典型的には1つの配列が参照配列として機能し、これと試験用配列とが比較される。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験用配列及び参照配列をコンピュータに入力し、必要に応じて部分配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。デフォルトのプログラムパラメータを使用してよく、又は別のパラメータを指定してもよい。次に配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列に対する試験用配列のパーセント配列同一性を計算する。核酸及びタンパク質の配列比較には、BLAST及びBLAST2.0アルゴリズム、並びにデフォルトのパラメータを使用してよい。
【0089】
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であるという指標は、以下で説明されるように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対して産生された抗体と免疫学的に交差反応することである。よってあるポリペプチドと第2のポリペプチドとは、典型的には、例えばこれら2つのペプチドが保存的置換によってのみ異なる場合に、実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、以下で説明されるように、これら2つの分子又はその補体が、ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であることの更に別の指標は、同一のプライマーを用いて配列を増幅できることである。
【0090】
本明細書中で使用される場合、組成物中の「ADAMTS13の総量(total amount of ADAMTS13)」又は「総ADAMTS13(total ADAMTS13)」という句は、該組成物中の全てのADAMTS13タンパク質(例えば野生型及び1つ又は複数のバリアント)の合計を含む。例えば、ある組成物がADAMTS13野生型及びQ97R ADAMTS13バリアントを含む場合、「ADAMTS13の総量」又は「総ADAMTS13」は、該組成物中のADAMTS13野生型とQ97R ADAMTS13との合計となる。同様に、ある組成物がQ97R ADAMTS13しか含まない場合、ADAMTS13の総量又は総ADAMTS13は、該組成物中のQ97R ADAMTS13の合計となる。
【0091】
「生体試料(biological sample)」は、対象若しくは患者から例えば生検によって;動物モデル等の動物から;又は培養細胞、例えば観察のために患者から取り出して培養で成長させた細胞株若しくは細胞から、得ることができる。生体試料としては、結腸直腸組織等の組織、又は血液、血液画分、リンパ液、唾液、尿、糞便等の体液が挙げられる。
【0092】
本明細書中で使用される場合、塩の「生理学的濃度(physiological concentration)」は、薬学的に許容可能な塩の、約100mM~約200mMの塩濃度を指す。薬学的に許容可能な塩の非限定的な例としては、限定するものではないが、塩化ナトリウム及びカリウム、酢酸ナトリウム及びカリウム、クエン酸ナトリウム及びカリウム、並びにリン酸ナトリウム及びカリウムが挙げられる。
【0093】
本明細書中で使用される場合、塩の「準生理学的濃度(sub-physiological concentration)」は、薬学的に許容可能な塩の、約100mM未満の塩濃度を指す。好ましい実施形態では、塩の準生理学的濃度は、薬学的に許容可能な塩の、約80mM未満である。別の好ましい実施形態では、塩の準生理学的濃度は、薬学的に許容可能な塩の、約60mM未満である。
【0094】
本明細書中で使用される場合、用語「約(about)」は、当業者が判断する、特定の変数又は値の許容可能な偏差又は誤差範囲内であることを意味し、これは、文脈、及び該変数又は値の測定又は決定の方法(例えば測定システムの限界)に左右される。例えば「約」は、当該技術分野の慣例に従って、許容可能な標準偏差内であることを意味してよい。あるいは「約」は、これもまた当該技術分野の慣例に従って、所与の変数又は値は、最大±20%、好ましくは±10%、より好ましくは最大±5%、更に好ましくは最大±1%の範囲を意味してよい。例えば、薬物又は医薬組成物に関して言及されている又は示されている用量又は投薬量範囲は実際には、当業者には理解されるような許容可能な範囲又は限界内で変動し得る。また、範囲、数値のリスト、又は範囲のリストの前に「約」がある場合、用語「約」は該リスト又は範囲内の各数値の前にあるものと解釈されるものとする。
【0095】
本開示の態様が、ある特徴「を含む(comprising)」、又はその変化形(例えば「を含む(comprises)」)として記述されている場合、実施形態もその特徴「からなる(consisting of)」又はその特徴「から本質的になる(consisting essentially of)」として理解される。
【0096】
また、本明細書に記載のいずれの数値は、下限値から上限値までの全ての値を含む、即ち列挙された最小値と最大値との間の数値のあらゆる可能な組み合わせが本出願中で明示的に記載されているとみなされることも、特に理解される。例えば、濃度範囲が約1%~50%と記載されている場合、2%~40%、10%~30%、又は1%~3%等の値も本明細書中に明示的に列挙されることが意図されている。上述の値は、具体的に意図されているものの単なる例に過ぎない。
【0097】
II.組成物及び方法
A.組換えADAMTS13タンパク質
本明細書中で提供される主題である方法は、SARS-CoV2に感染した又はCOVID-19と診断された対象に、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13タンパク質を含む医薬組成物を投与するステップを含む。
【0098】
ヒトADAMTS13遺伝子は、29個のエクソンを含み、染色体9q34上のおよそ37kbに及ぶ。4.7kbの転写産物が主に肝星細胞で合成されるが、血管内皮細胞及び血小板でも合成され、1427のアミノ酸残基の1次翻訳産物をコードする。前駆体ADAMTS13ポリペプチドは、シグナルペプチドと、C末端が切断のための潜在的なフリン部位で終端し、その後に成熟VWF切断プロテアーゼの配列が続く、プロペプチドとからなる。成熟ADAMTS13ポリペプチド(1353アミノ酸残基)は、全てのADAMTSファミリーのメンバーに特徴的な、以下の構造的特徴:レプロリシン様メタロプロテアーゼドメイン、ディスインテグリン様ドメイン、中央のトロンボスポンジン1型(TSP1)リピート、インテグリン相互作用にとって重要と思われるRGDモチーフを含むシステインリッチドメイン、及びスペーサードメインを備え、その後に7個の連続したTSP1リピート(TSP1/#2~8)及び2個のCUBドメインの独自の組み合わせが続く。
【0099】
成熟ADAMTS13の分子質量は約145kDaと計算されるが、精製された血漿由来のADAMTS13の見かけの分子質量は約180kDaである。これはおそらく、存在する10個の潜在的なN-グリコシル化部位、並びにTSP1リピート内のいくつかのO-グリコシル化部位及び1個のC-マンノシル化部位と両立する翻訳後修飾が原因である。ADAMTS13のVWFタンパク質分解活性は、2価カチオンに強く依存する。メタロプロテアーゼドメインの活性部位モチーフは、触媒Zn2+イオンに配位する3つのヒスチジン残基を含む、高度に保存されたHEXXHXXGXXHDモチーフと、Glu83、Asp173、Cys281及びAsp284が配位することが提唱されている、予想カルシウム結合部位とを含有する。ADAMTS13ドメインの機能的役割は主にインビトロアッセイ系を用いて研究されており、これにより、メタロプロテアーゼからスペーサードメインまでのN末端領域がVWF切断に重要であることが示されている。C末端TSP1リピート及びCUBドメインは、VWF基質の認識、及び内皮細胞上のCD36のような潜在的な表面受容体との結合にとって重要であると思われる。
【0100】
ADAMTS13は、全長の、短縮された、又は修飾された、単離又は組換えADAMTS13であってよい。特定の実施形態では、組換えADAMTS13(rADAMTS13)が好ましい。rADAMTS13は、例えばげっ歯類(例えばマウス)若しくはヒトを含むいずれの哺乳類の天然ADAMTS13配列に対応するものであってもよく、又は天然ADAMTS13に由来するものであってもよい。特定の実施形態では、ヒトrADAMTS13配列が好ましい。
【0101】
本明細書で提供される製剤の特定の実施形態では、ADAMTS13は、当該技術分野において説明されている方法によって得られるrADAMTS13である。特定の実施形態では、ADAMTS13は、ヒトADAMTS13(hA13)、組換えヒトADAMTS13(rhA13)、又は生物活性を有するその誘導体若しくは断片である。特定の実施形態では、hA13のアミノ酸配列は、GenBank受託番号NP_620594のものである。他の実施形態では、hA13のアミノ酸配列は、NP_620594のアミノ酸75~1427、その天然若しくは保存的バリアント、又は生物活性を有するその断片を含む。これらの配列は、組換えヒトADAMTS13タンパク質の生成に用いられる場合がある。
【0102】
いくつかの実施形態では、ADAMTS13は、配列番号1に記載のアミノ酸配列、又は配列番号1と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、ADAMTS13をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を、コードするヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、ADAMTS13は配列番号1に記載のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ADAMTS13は配列番号1に記載のアミノ酸配列からなる。特定の実施形態では、ADAMTS13は配列番号1に記載のアミノ酸配列から本質的になる。
【0103】
特定の実施形態では、本開示はADAMTS13のバリアントを提供する。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは、天然/野生型ADAMTS13(例えば配列番号1)と比較して、1つ又は複数のアミノ酸置換、欠失、挿入、及び/又はフレームシフトを含むことができ、天然の対立遺伝子性バリアント、又は選択的スプライシング性バリアントを含む。例えばADAMTS13バリアントは、野生型ADAMTS13と比較して、少なくとも1つの単一のアミノ酸置換を含むことができる。1つ又は複数のアミノ酸置換が、触媒ドメイン、ディスインテグリンドメイン、並びに/又は最初のトロンボスポンジン1型ドメイン(C1及びC2)内にあってよい。
【0104】
特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは、野生型アミノ酸(例えば配列番号1)と比較して、少なくとも1つの単一のアミノ酸置換を含むことができる。特定の実施形態では、単一のアミノ酸置換が、ADAMTS13の触媒ドメイン(例えば配列番号1のアミノ酸80~286)内にある。特定の実施形態では、単一のアミノ酸置換は、配列番号1に示されているI79M、V88M、H96D、Q97R、R102C、S119F、I178T、R193W、T196I、S203P、L232Q、H234Q、D235H、A250V、S263C、及び/若しくはR268Pのうちの少なくとも1つ、又はADAMTS13中の同等のアミノ酸位置である。特定の実施形態では、単一のアミノ酸置換は、配列番号1に示されているI79M、V88M、H96D、R102C、S119F、I178T、R193W、T196I、S203P、L232Q、H234Q、D235H、A250V、S263C、及び/若しくはR268P、又はADAMTS13中の同等のアミノ酸位置ではない。
【0105】
特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは、配列番号1に示されているQ97、又はADAMTS13中の同等のアミノ酸位置における、単一のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、このアミノ酸の変化は、QからD、E、K、H、L、N、P、又はRへのものである。特定の実施形態では、このアミノ酸の変化は、QからRへのものである。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは、ADAMTS13 Q97R(配列番号2、又はR97を維持しながらこれと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列)である。いくつかの実施形態では、ADAMTS13バリアントは、配列番号2に記載のアミノ酸配列、又はR97を維持しながら配列番号2と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するそのバリアントを含む。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントをコードするヌクレオチド配列は、配列番号2のアミノ酸配列、又はR97を維持しながら配列番号2と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%の配列同一性を有するそのバリアントを、コードするヌクレオチド配列を含む、特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは配列番号2に記載のアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは配列番号2に記載のアミノ酸配列からなる。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは配列番号2に記載のアミノ酸配列から本質的になる。
【0106】
特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは、R7W、Q44X、T167M、Y304C、C311Y、T339R、P341L、C347S、R349C、P353L、W390X、W390C、R398H、Q448E、Q449X、Q456H、P457L、P475S、R507Q、C508Y、G525D、R528G、A596V、A606P、P618A、R625H、P671L、I673F、R692C、Q723K、A732V、E740K、C758R、V832M、A900V、S903L、C908S、C908Y、R910X、Q929X、C951G、G982R、A1033T、W1016X、C1024G、A1033T、R1034X、S1036X、R1060W、R1123C、R1149W、R1206X、C1213Y、I1217T、R1219W、T1226I、G1239V、W1245X、Q1302X、S1314L、及び/若しくはR1336W、又はADAMTS13中の同等のアミノ酸位置である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは、配列番号1に示されているR7W、Q44X、T167M、Y304C、C311Y、T339R、P341L、C347S、R349C、P353L、W390X、W390C、R398H、Q448E、Q449X、Q456H、P457L、P475S、R507Q、C508Y、G525D、R528G、A596V、A606P、P618A、R625H、P671L、I673F、R692C、Q723K、A732V、E740K、C758R、V832M、A900V、S903L、C908S、C908Y、R910X、Q929X、C951G、G982R、A1033T、W1016X、C1024G、A1033T、R1034X、S1036X、R1060W、R1123C、R1149W、R1206X、C1213Y、I1217T、R1219W、T1226I、G1239V、W1245X、Q1302X、S1314L、及び/若しくはR1336W、又はADAMTS13中の同等のアミノ酸位置ではない。
【0107】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13バリアントは、相当なADAMTS13活性を保持する。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは、野生型ADAMTS13と同等のADAMTS13活性を提供した。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは野生型ADAMTS13自体より高いADAMTS13活性を提供した。
【0108】
特定の実施形態では、本発明は、米国特許出願公開第2011/0229455号及び/又は米国特許出願公開第2014/0271611号(各文献は、その全体が参照により、あらゆる目的のために本出願に援用される)に記載された成分を含む組成物等の、1つ又は複数のADAMTS13バリアントの組成物を提供する。他の態様では、本発明は、血漿由来ADAMTS13及び/又は組換えADAMTS13(rADAMTS13)タンパク質と組み合わされた1つ又は複数のADAMTS13バリアントの組成物を提供する。特定の実施形態では、ADAMTS13は、米国特許出願公開第2011/0229455号及び/又は米国特許出願公開第2014/0271611号(各文献は、その全体が参照により、あらゆる目的のために本出願に援用される)に記載されているような、ヒトADAMTS13、又は生物活性を有するその誘導体若しくは断片である。一実施形態では、hA13のアミノ酸配列はGenBank受託番号NP_620594のものである。特定の実施形態では、hADAMTS13のアミノ酸配列は、配列番号1、又はこれと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列である。別の実施形態では、hA13のアミノ酸配列は、NP_620594のアミノ酸75~1427、その天然若しくは保存的バリアント、又は生物活性を有するその断片を含む。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは、ADAMTS13 Q97R(配列番号2)、又はR97を維持しながらこれと少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列である。
【0109】
特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つのADAMTS13バリアントとADAMTS13タンパク質(例えば野生型)との組み合わせを含む。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量(即ち全てのADAMTS13バリアント及び野生型を含む)の中に存在するADAMTS13バリアントの相対的な豊富度(例えばパーセンテージ)は、約5%~約95%、約10%~約90%、約15%~約85%、約20%~約80%、約25%~約75%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約60%、又は約45%~約55%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約40%~約90%、約40%~約80%、約45%~約75%、約50%~約80%、約50%~約70%、又は約55%~約65%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約50%~約75%、約52%~約72%、約55%~約70%、約59%~約72%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約45%~約85%、又は約47%~約84%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約47%~約84%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約52%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、又は約72%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約52%、約65%、又は約72%である。
【0110】
特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つのADAMTS13バリアントとADAMTS13タンパク質(例えば野生型)との組み合わせを含む。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13タンパク質との比は、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13タンパク質との比は、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、又は約2:1~約1:3、又は約1:1~約1:3、又は約1:1.1~約1:2.9、又は約1:1.2~約1:2.8、又は約1:1.3~約1:2.7、又は約1:1.4~約1:2.6、又は約1:1.5~約1:2.5、又は約1:1.6~約1:2.4、又は約1:1.7~約1:2.3、又は約1:1.8~約1:2.2、又は約1:1.9~約1:2.1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13タンパク質との比は、約1.1:1~約2.9:1、又は約1.2:1~約2.8:1、又は約1.3:1~約2.7:1、又は約1.4:1~約2.6:1、又は約1.5:1~約2.5:1、又は約1.6:1~約2.4:1、又は約1.7:1~約2.3:1、又は約1.8:1~約2.2:1、又は約1.9:1~約2.1:1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:1~約1:3である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約3:1~約1:1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:1.1~約1:2.5である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約4:1、約4:1.5、約4:2、約4:2.5、約4:3、約4:3.5、約3:1、約3:1.5、約3:2、約3:2.5、約2:1、又は約2:1.5である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:1.5、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約2:2.5、約2:3、約2:3.5、約2:4、約3:3.5、又は約3:4である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:3である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約3:1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約2:1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:2である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約3:2である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントは、配列番号1に示されているQ97又はADAMTS13中の同等のアミノ酸における単一のアミノ酸置換を含む。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントはADAMTS13 Q97R(配列番号2)である。特定の実施形態では、野生型ADAMTS13は、米国特許出願公開第2011/0229455号に記載されているようなヒトADAMTS13又は生物活性を有するその誘導体若しくは断片であり、この文献は、あらゆる目的のために、参照により本出願に援用される。一実施形態では、hADAMTS13のアミノ酸配列はGenBank受託番号NP_620594のものである。特定の実施形態では、hADAMTS13は配列番号1である。
【0111】
例示的実施形態では、単離若しくは組換えADAMTS13タンパク質又は誘導体は、グリコシル化されている。特定の実施形態では、ADAMTS13タンパク質又は誘導体は、少なくとも1時間、例えば2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、又はそれを超える血漿半減期を有する。
【0112】
rADAMTS13は、薬理学的に有効なADAMTS13分子の産生を特徴とする好適な原核又は真核細胞宿主系での発現によって、生成できる。真核細胞の例は、CHO、COS、HEK293、BHK、SK-Hep、及びHepG2といった哺乳類細胞である。グリコシル化は例えば、宿主細胞によって生成されるパターンに対応していてよい。いくつかの実施形態では、HEK293細胞が好ましい。他の実施形態では、CHO細胞が好ましい。本発明によるADAMTS13の生成、単離、又は精製に使用される試薬又は条件には、特定の制限はなく、当該技術分野で公知の又は市販のいずれのシステムを採用できる。
【0113】
rADAMTS13の調製には多様なベクターを使用でき、これらは真核及び原核細胞発現ベクターから選択できる。原核細胞発現のためのベクターの例としては、pRSET、pET、pBAD等のプラスミドが挙げられ、原核細胞発現ベクターで使用されるプロモーターとしては、lac、trc、trp、recA、araBAD等が挙げられる。真核細胞発現のためのベクターの例としては:(i)酵母中での発現について、AOX1、GAP、GAL1、AUG1等のプロモーターを使用する、pAO、pPIC、pYES、pMET等のベクター;(ii)昆虫細胞中での発現について、PH、p10、MT、Ac5、OpIE2、gp64、polh等のプロモーターを使用する、pMT、pAc5、pIB、pMIB、pBAC等のベクター;並びに(iii)哺乳類細胞中での発現について、CMV、SV40、EF-1、UbC、RSV、ADV、BPV、及びβ-アクチン等のプロモーターを使用する、pSVL、pCMV、pRc/RSV、pcDNA3、pBPV等のベクター、及びワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス等のウイルス系に由来するベクターが挙げられる。
【0114】
特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤に使用されるADAMTS13は、例えば米国特許第6,926,894号、米国特許出願公開第2005/0266528号(米国特許第7,501,117号)、米国特許出願公開第2007/0015703号、米国特許出願公開第12/437,384号、米国特許出願公開第12/847,999号(米国特許第8,313,926号)、国際公開第2002/42441号、米国特許第9,458,222号、及び米国特許第10,238,720号(各文献は参照により援用される)で既に開示されている方法に従って、発現させることができ、製造でき、又は精製できる。
【0115】
特定の実施形態では、純度が比較的高いADAMTS13製剤の濃度は、分光法(即ちA280で測定される総タンパク質)、又は他のバルク判定(例えばBradfordアッセイ、銀染色、凍結乾燥粉末の重量等)によって決定できる。他の実施形態では、ADAMTS13の濃度は、ADAMTS13 ELISAアッセイによって決定できる(例えばmg/mL抗原)。
【0116】
B.組成物及び製剤
本明細書で提供されるのは、COVID-19対象の治療、例えばVWFの異常に高いレベル、及び/又はそれに起因する深部静脈血栓症若しくは肺塞栓症等の合併症を治療するために使用できる、医薬組成物である。このような組成物は、有効量の、ADAMTS13又は生物活性を有するその誘導体若しくはバリアントを含む。
【0117】
医薬組成物は、1つ又は複数の薬学的に許容可能なキャリア及び/又は希釈剤を含むことができる。医薬組成物は、治療される患者/対象によるADAMTS13の産生若しくは分泌を刺激する作用剤;ADAMTS13の分解を阻害することによってその(若しくはADAMTS13のグリコシル化バリアントの)半減期を延長する作用剤;(例えばADAMTS13に結合することで、活性化性のコンフォメーション変化を誘発することにより)ADAMTS13活性を強化する作用剤;又は循環からのADAMTS13のクリアランスを阻害することによって、その血漿濃度を上昇させる作用剤といった、1つ又は複数の追加の活性成分も含むことができる。
【0118】
組成物又は医薬組成物の製剤は、選択される投与経路に応じて変化する(例えば溶液又は乳液)。投与対象の組成物を含む適切な組成物を、生理学的に許容可能なビヒクル又はキャリア中で調製する。溶液又は乳液について、好適なキャリアとしては、例えば水溶液若しくはアルコール/水溶液、乳液又は懸濁液が挙げられ、生理食塩水及び緩衝媒体が含まれる。特定の実施形態では、非経口ビヒクルとしては、塩化ナトリウム溶液、リンゲルブドウ糖液、ブドウ糖及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、又は不揮発性油が挙げられる。特定の態様では、静脈内ビヒクルとしては、様々な添加剤、防腐剤、又は流体、栄養素、又は電解質補充剤が挙げられる。
【0119】
少なくとも1つのADAMTS13タンパク質(例えば野生型及び/又はバリアント)を活性成分として含有する、本開示の化合物及び方法で使用できる組成物又は医薬組成物は、様々な態様において、投与経路に応じて薬学的に許容可能なキャリア又は添加剤を含有する。このようなキャリア又は添加剤の例としては、水、薬学的に許容可能な有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアガム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(human serum albumin:HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、薬学的に許容可能な界面活性剤等が挙げられる。使用される添加剤は、限定するものではないが以上のもの又はこれらの組み合わせから、剤形に応じて適宜選択される。
【0120】
多様な水性キャリア、例えば水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン、又は水性懸濁液は、様々な態様において、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤と混合された活性化合物を含有する。このような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、及びアラビアガムであり、いくつかの例では、分散剤又は湿潤剤は、天然ホスファチド、例えばレシチン、又は脂肪酸を含む酸化アルキレンの濃縮産物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又は長鎖脂肪族アルコールを含む酸化エチレンの濃縮産物、例えばヘプタデカエチル-エンオキシセタノール、又は脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルを含む酸化エチレンの濃縮産物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、又は脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルを含む酸化エチレンの濃縮産物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンである。特定の実施形態では、水性懸濁液は、1つ又は複数の防腐剤、例えばエチル、又はn-プロピル、p-ヒドロキシベンゾエートを含有する。
【0121】
いくつかの特定の実施形態では、ADAMTS13組成物は貯蔵のために凍結乾燥され、使用前に好適なキャリアで再構成される。当該技術分野で公知のいずれの好適な凍結乾燥技法及び再構成技法が採用される。凍結乾燥及び再構成が、様々な程度のタンパク質活性の喪失につながること、及び補償のために使用レベルが調整されることが多いことは、当業者には理解される。
【0122】
水の添加による水性懸濁液の調製に好適な分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤、及び1つ又は複数の防腐剤と混合された活性化合物を提供する。好適な分散剤又は湿潤剤、及び懸濁剤は、上述のものによって既に例示されている。
【0123】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13組成物は更に、米国特許出願公開第20110229455号及び/又は米国特許出願公開第2014/0271611号(各文献は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本出願に援用される)に記載されているような、1つ又は複数の薬学的に許容可能な賦形剤、キャリア、及び/又は希釈剤を含んでよい。
【0124】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13組成物は、米国特許出願公開第2011/0229455号及び/又は米国特許出願公開第2014/0271611号(各文献は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本出願に援用される)に記載されているような範囲の等張性を有する。
【0125】
いくつかの実施形態では、ADAMTS13又は生物活性を有するそのバリアントは、治療される患者/対象によるADAMTS13の産生若しくは分泌を刺激する作用剤;ADAMTS13の分解を阻害することによってその半減期を延長する作用剤;(例えばADAMTS13に結合することで、活性化性のコンフォメーション変化を誘発することにより)ADAMTS13活性を強化する作用剤;又は循環からのADAMTS13のクリアランスを阻害することによって、その血漿濃度を上昇させる作用剤といった、1つ又は複数の追加の活性成分と共に投与される。同時投与できる別の成分としては、血液希釈剤(例えばアスピリン)、抗血小板剤、及び組織プラスミノーゲン活性化因子(tissue plasminogen activator:tPA)、プラスミンを活性化してフィブリンを切断する血栓溶解セリンプロテアーゼが挙げられる。
【0126】
ある態様では、本発明はADAMTS13(A13)及びrADAMTS13(rA13)タンパク質の安定化済み製剤を提供する。一実施形態では、本発明の製剤は、少なくとも約40℃までの温度で少なくとも約6か月間保管した場合に安定している。他の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、長期間にわたって保管した場合に、相当なADAMTS13活性を保持する。更に他の実施形態では、本発明の製剤は、ADAMTS13タンパク質の二量体化、オリゴマー化、及び/又は凝集を低減又は遅延させる。一実施形態では、本発明は、治療有効量又は用量のADAMTS13タンパク質、準生理学的濃度から生理学的濃度までの薬学的に許容可能な塩、安定化濃度の1つ又は複数の糖及び/又は糖アルコール、非イオン界面活性剤、製剤に中性pHを提供する緩衝剤、並びに任意選択でカルシウム及び/又は亜鉛塩を含む、ADAMTS13の製剤を提供する。一般に、本明細書で提供される安定化済みADAMTS13製剤は、薬学的投与に好適である。ある好ましい実施形態では、ADAMTS13タンパク質は、ヒトADAMTS13、又は生物活性を有するその誘導体若しくは断片である。
【0127】
一実施形態では、本発明は、それを必要とする対象に:(a)1mgのADAMTS13につき少なくとも100単位のADAMTS13活性(即ちFRETS-vWF73活性);(b)0mM~200mM、又は0mM~100mMの薬学的に許容可能な塩;(c)0.5mM~20mMのカルシウム;(d)糖及び/又は糖アルコール;(e)非イオン界面活性剤;並びに(f)pHを6.0~8.0に維持するための緩衝剤を含む、ADAMTS13製剤を投与するステップを含む、方法を提供する。一実施形態では、ADAMTS13の安定化済み製剤は、1mgのADAMTS13につき少なくとも200単位のA13活性を有する。別の実施形態では、ADAMTS13の安定化済み製剤は、1mgのADAMTS13につき少なくとも400単位のA13活性を有する。ある好ましい実施形態では、ADAMTS13の安定化済み製剤は、1mgのADAMTS13につき少なくとも600単位のA13活性を有する。より好ましい実施形態では、ADAMTS13の安定化済み製剤は、1mgのADAMTS13につき少なくとも800単位のA13活性を有する。更に別の好ましい実施形態では、ADAMTS13の安定化済み製剤は、1mgのADAMTS13につき少なくとも1000単位のA13活性を有する。一実施形態では、ADAMTS13の安定化済み製剤は、1mgのADAMTS13につき約100単位~約2000単位のADAMTS13活性を有する。ある具体的実施形態では、本発明は:(a)1mgのADAMTS13につき少なくとも100単位のADAMTS13活性;(b)0~200mM又は0mM~100mMのNaCl;(c)2mM~4mMのカルシウム;(d)2%~4%のマンニトール;(e)0.5%~2%のスクロース;(f)0.025~0.1%のポリソルベート80;及び(g)10mM~50mMのヒスチジン(pH7.0±0.2)を含む、ADAMTS13(A13)の安定化済み製剤を提供する。特定の実施形態では、組成物は、1mg又は1mlあたり、少なくとも約200単位、約200~約400単位、約200~約300単位、約300単位、又は約294単位のADAMTS13活性を有する。
【0128】
C.治療の方法
特定の態様では、本発明は、SARS-CoV-2に感染した又はCOVID-19に罹患した対象において、少なくとも1つの状態又は合併症を治療又は防止する方法を提供し、その方法は、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、対象は、状態又は合併症が存在する前に、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与される。特定の実施形態では、対象は、状態又は合併症が存在した後に、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与される。
【0129】
特定の態様では、本発明は、SARS-CoV-2感染又はCOVID-19に関連する少なくとも1つの状態又は合併症の発症のリスクを有する対象を治療する方法を提供し、その方法は、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することを含む。特定の実施形態では、対象は、状態又は合併症が存在する前に、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与される。特定の実施形態では、対象は、状態又は合併症が存在した後に、単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与される。
【0130】
本明細書で提供されるのは、COVID-19対象の治療、例えばCOVID-19に起因する異常に高いVWFのレベル及び/又は合併症若しくは危険因子、特に深部静脈血栓症又は肺塞栓症を治療するために使用できる、医薬組成物及び方法である。このような組成物は、有効量の、単離又は組換えADAMTS13又は生物活性を有するその誘導体若しくはバリアントを含む。特定の実施形態では、組成物はrADAMTS13を含む。特定の実施形態では、組成物は、hrADAMTS13(参照配列、例えば配列番号1に対して、例えば少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する)を含む。特定の実施形態では、組成物は、ADAMTS13のバリアント(参照配列、例えば配列番号2に対して、例えば少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有する)を含む。
【0131】
ADAMTS13は、予防及び/又は治療目的で、哺乳類、特にヒトに投与できる。いくつかの実施形態では、本発明を用いて、コロナウイルス関連血液凝固障害、血管閉塞、又は梗塞、例えばDVT若しくは肺塞栓症の有害な影響を、出血の可能性の上昇又は抹消免疫系の無効化を伴わずに低減させる。いくつかの実施形態では、ADAMTS13は、例えばコロナウイルス関連血液凝固障害又は血管閉塞のリスクを有する対象に、予防的に投与される。本発明に従って治療できる対象の例としては、上述のような障害、血栓症、若しくは塞栓症に罹患した、又は罹患している対象が挙げられる。これは、状態が重症である場合、又はADAMTS13をCOVID-19の診断及びいずれの関連障害、病歴、若しくは危険因子の診断の直後に投与できる場合に当てはまる。
【0132】
ADAMTS13は、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)の調節及び分解に寄与する。VWFタンパク質は、血漿中に存在し、血液凝固において主要な役割を果たす、大型の多量体糖タンパク質である。VWFは、血小板α顆粒及び内皮細胞のワイベル-パラーデ小体中に、超大型形態5(UL-VWF、>2000万Da)で貯蔵され、傷害又は炎症中にそこから放出される。血小板接着のためにすぐに消費されない場合、UL-VWFは、ADAMTS13によって、血漿中を循環する、より小さく接着性の低い多量体へと切断される。血栓溶解後に生じるもの等の虚血は、ワイベル-パラーデ小体の分泌の強力な誘発因子であり、従って梗塞領域の血栓形成性を高める。基本的なVWFモノマーは、特定の機能を有する特定のドメイン:(1)VIII因子に結合するD’/D3ドメイン;(2)血小板GPlb受容体、ヘパリン、及び場合によってはコラーゲンに結合する、Alドメイン;(3)コラーゲンに結合するA3ドメイン;(4)活性化時にR-G-Dモチーフが血小板インテグリンαIIbβ3に結合する、Clドメイン;並びに(5)VWFが血小板由来増殖因子(PDGF)、形質転換増殖因子β(TGFβ)、及びβヒト絨毛性ゴナドトロピン(βHCG)と共有するC末端に位置する、「システインノット(cysteine knot)」ドメインを含む、2050アミノ酸のタンパク質である。VWFの多量体は、分子量が20,000kDaを超える80個超のモノマーからなる、極めて大きなものであり得る。これらの大型のVWF多量体は、生物学的に極めて機能が高く、血管の傷害部位に対する血小板の接着を仲介でき、また凝固促進タンパク質であるVIII因子に結合してこれを安定化させることができる。VWFの欠乏又はVWFの変化は、様々な出血性障害を引き起こすことが知られている。
【0133】
本発明によると、単離又は組換えADAMTS13、好ましくはrADAMTS13の投与は、初期段階及び後期段階のCOVID-19対象、特に年齢(例えば少なくとも約65歳)を理由として、及び/又はCOVID-19に関連する1つ又は複数の合併症若しくは危険因子を理由として、「危険な」状態を呈している対象を、治療する。これらには、例えば、限定するものではないが、VWF及び/又はその多量体(特に超大型多量体(UHMW))のレベルの上昇、VWFの活性レベルの上昇、内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下、内因性ADAMTS13の活性の低下、サイトカインレベルの上昇、凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞性障害、血栓形成促進状態、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、後天性TTP、播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、鎌状赤血球症、腎不全、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、並びに卒中(例えば虚血性脳卒中又は脳卒中)、又はこれらの症状若しくは合併症(「危険因子」若しくは「合併症」と総称)が含まれる。
【0134】
いかなる理論によっても束縛されることを望むものではないが、ADAMTS13は、少なくとも以下の理由から、初期段階の患者の治療又は予防、並びに後期段階の及び危険な状態の患者の治療又はレスキュー療法を含む、「危険な」COVID-19対象にとって安全かつ効果的である:(1)ADAMTS13は、VWFの分子サイズの低減(特に超大型多量体の喪失)を伴って、VWFを迅速に切断でき;(2)VWFのADAMTS13仲介型切断は、血小板及び血管タンパク質へのVWFの接着性を低下させ、従って血小板血栓の形成を低減し;(3)超生理学的レベルのVWFの発生は、基質過負荷によってADAMTS13を消費して、循環ADAMTS13の活性レベルを有効又は臨界閾値未満に低下させる可能性があり;(4)ADAMTS13は選択性が強いタンパク質分解酵素であり、唯一知られている機能はVWFの切断である。VWF及びADAMTS13は互いを消費せず、互いに結合したときに沈殿物を形成しない。インビボでは、VWFタンパク質構造の一部を伸長させてVWFにアクセスできるようにするために、せん断力が必要であると考えられる。これにより、VWFとADAMTS13との平衡及びバランスの更なる調整が提供され、更に過剰摂取に対する感度が低減される。ADAMTS13は忍容性が良好となり、副作用があったとしてもほとんど無く、有害な出血がないという利点も含まれる。現在、COVID-19患者にはヘパリン等の抗凝固剤が投与されることが多く、これは深刻な出血の問題を引き起こす場合がある。
【0135】
特定の実施形態では、治療有効量のADAMTS13を含む医薬組成物は、コロナウイルス感染、例えばSARS-CoV-2感染の発見若しくは診断、又はコロナウイルス疾患、例えばCOVID-19の診断時に投与される。特定の実施形態では、感染及び/又は疾患の診断は、好適な臨床検査(laboratory test)に基づくものである。特定の実施形態では、組成物は、コロナウイルス対象、例えばSARS-CoV-2に感染した患者又はCOVID-19患者に対して、対象が凝固障害、凝血障害、梗塞、血栓症、又は塞栓症の兆候又は症状を示すことが発見された又は診断されたときに投与される。特定の実施形態では、血栓症は深部静脈血栓症(DVT)である。特定の実施形態では、塞栓症は肺塞栓症(PE)である。
【0136】
特定の実施形態では、組成物は、コロナウイルス感染対象、SARS-CoV-2感染対象、又はCOVID-19対象に対して、異常に高いVWFタンパク質又はVWF多量体(例えばUHMW)のレベルが発見されるか又は診断されたときに、投与される。この判断は、Turecek et al., Seminars In Thrombosis and Hemostasis, 2002 Vol. 28, No. 2, 149-160;Turecek, et al., Seminars In Thrombosis and Hemostasis, 2010 Vol. 36, No. 5, 510-521(各文献は、あらゆる目的のために、参照によりその全体が援用される)に記載されている材料及び方法を用いたELISAアッセイ等の、好適な臨床検査を用いて行うことができる。
【0137】
特定の実施形態では、異常に高いVWF又はその多量体(例えばUHMW)のレベルは、レベルが、a)所定のベースライン値の約50~200%若しくは所定のベースライン値の約42~136%である正常なVWF:抗原の範囲、又はb)所定のベースライン値の約42~168%である正常なVWF:活性のうちの一方又は両方を、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%だけ有意に超過した場合に、示される。例えば前述のSwystun、及び前述のEscher 190:62(各文献は、あらゆる目的のために、その全体が参照により援用される)を参照。(各文献は、あらゆる目的のために、その全体が参照により援用される)。特定の実施形態では、VWF又はその多量体(例えばUHMW)のレベルは、a)正常なVWF:抗原の所定のベースライン範囲若しくは値、又はb)正常なVWF:活性の所定のベースライン範囲若しくは値のうちの一方又は両方を、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%超過する。特定の実施形態では、VWF又はその多量体(例えばUHMW)のレベルは、a)正常なVWF:抗原の所定のベースライン範囲若しくは値、又はb)正常なVWF:活性の所定のベースライン範囲若しくは値のうちの一方又は両方を、少なくとも約5%、10%、又は20%超過する。
【0138】
特定の実施形態では、組成物は、異常に低いADAMTS13のレベルが発見されるか又は診断されたときに投与される。この判断は、好適な臨床検査を用いて行うことができる。好適な方法は、Kokame et al., Br J Haematol 2005; 129: 93-100; Tripodi, J Thromb Haemost 2004 v2 p1601-9; Tripodi, et. al., J Thromb Haemost. 2008 September; 6(9): 1534-1541(各文献は、あらゆる目的のために、その全体が参照により援用される)に記載されている。特定の実施形態では、健康な個体のADAMTS13レベルの正常な又はベースライン範囲は、所定のベースライン値の40~160%又は87~113%である。例えば前述のPeyvandi、及び前述のMancini(各文献は、あらゆる目的のために、その全体が参照により援用される)を参照。
【0139】
特定の実施形態では、異常に低いADAMTS13のレベルは、ADAMTS13レベル及び/又は活性が正常範囲の20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、又は90%であるときに示される。特定の実施形態では、異常に低いADAMTS13のレベルは、ADAMTS13レベル及び/又は活性が正常ベースラインの20%、30%、40%、50%、60%、又は70%であるときに示される。特定の実施形態では、組成物は、これらの発見又は診断のうちのいずれの1つから24時間以内に投与される。他の実施形態では、組成物は、これらの発見又は診断のうちのいずれの1つから12時間以内に投与される。他の実施形態では、組成物は、これらの発見又は診断のうちのいずれの1つから8、6、4、又は2時間以内に投与される。他の実施形態では、組成物は、これらの発見又は診断のうちのいずれの1つから1時間以内に投与される。
【0140】
特定の実施形態では、所定の正常ベースラインは、検証/選択された測定方法を用いる試験所内の正常対照集団に基づく。特定の実施形態では、あるベースライン範囲が提供されている場合、対象の試料は、正常対照に対する増加を評価する際にはその範囲の上限と比較される。特定の実施形態では、あるベースライン範囲が提供されている場合、対象の試料は、正常対照に対する減少を評価する際にはその範囲の上限と比較される。特定の実施形態では、あるベースライン範囲が提供されている場合、対象の試料は、その所定のベースライン範囲の平均、中央値、又は最頻値と比較される。特定の実施形態では、あるベースライン範囲が提供されている場合、対象の試料は、その所定のベースライン範囲の平均と比較される。
【0141】
投与経路には具体的な制限はなく、例えば皮下、静脈内、又は静脈内とすることができる。ADAMTS13の経口投与も可能である。特定の実施形態では、静脈内投与が好ましい。特定の実施形態では、皮下投与が好ましい。例えば、好適な液体、凍結乾燥製剤から再構成された液体が提供されている場合には、rADAMTS13組成物は静脈内投与してよい。COVID-19に対する静脈内A13用量は、IU/kgとして示すことができる。COVID-19に対する皮下A13用量は、IU/kgとして示すことができる。
【0142】
D.対象がリスクを有することを判断する方法
特定の態様では、本発明は、COVID-19と診断された対象の血栓性凝固障害のリスクが増大しているかどうかを決定する方法を提供し、その方法は:a)血漿試料において、i)VWFタンパク質の血漿レベル;ii)血漿試料中のVWFの活性レベル;iii)UHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベル;iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベル;又はv)血漿試料中のADAMTS13タンパク質の活性レベルのうちの1つ又は複数を測定するステップ;b)ステップa)で測定された1つ又は複数の血漿レベル又は活性レベルを、同じ1つ又は複数の血漿レベル又は活性レベルに関するベースライン範囲又はベースライン値と比較するステップ;及びc)以下:i)VWFタンパク質の血漿レベルが上昇していること;ii)VWFの活性レベルが上昇していること;iii)血漿UHMW VWFタンパク質多量体が検出される、若しくはUHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベルが上昇していること;iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが低下していること;又はv)ADAMTS13タンパク質の活性レベルが低下していること、のうちの少なくとも1つが満たされた場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定するステップを含む。
【0143】
特定の実施形態では、血栓性凝固障害としては、限定するものではないが、血小板凝集、血液凝固、血栓症、血栓性微小血管症、塞栓症、梗塞、静脈閉塞、卒中、血栓症由来の腎不全、又はこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、血栓症は深部静脈血栓症(DVT)である。特定の実施形態では、塞栓症は肺塞栓症(PE)である。特定の実施形態では、血栓性凝固障害は、血栓症由来の腎不全である。
【0144】
特定の実施形態では、少なくともVWFタンパク質の血漿レベルが上昇している。特定の実施形態では、少なくともVWFの活性レベルが上昇している。特定の実施形態では、少なくともUHMW VWFタンパク質多量体が検出される。特定の実施形態では、少なくともUHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベルが上昇している。特定の実施形態では、少なくともADAMTS13タンパク質の血漿レベルが低下している。特定の実施形態では、少なくともADAMTS13タンパク質の活性レベルが低下している。
【0145】
特定の実施形態では、血栓性凝固障害としては、限定するものではないが、血小板凝集、血液凝固、血栓症、血栓性微小血管症、塞栓症、梗塞、静脈閉塞、卒中、血栓症由来の腎不全、又はこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、血栓症は深部静脈血栓症(DVT)である。特定の実施形態では、塞栓症は肺塞栓症(PE)である。特定の実施形態では、血栓性凝固障害は、血栓症由来の腎不全である。
【0146】
特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約100~600%、約100~500%、約100~400%、約100~300%、約100~250%、約100~200%、約110~600%、約110~500%、約110~400%、約110~300%、約110~250%、約110~200%、約115~600%、約115~500%、約115~400%、約115~300%、約115~250%、約115~200%、約120~600%、約120~500%、約120~400%、約120~300%、約120~250%、又は約120~200%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約100~400%、約110~350%、約120~300%、約130~250%、又は約140~200%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg) のADAMTS13が投与される。
【0147】
特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約100~400%、約100~350%、約100~300%、約100~250%、約100~200%、約100~140%、約100~130%、約100~120%、又は約100~110%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約110~400%、約110~350%、約110~300%、約110~250%、約110~200%、約110~140%、約110~130%、又は約110~120%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約120~400%、約120~350%、約120~300%、約120~250%、約120~200%、約120~140%、又は約120~130%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約130~400%、約130~350%、約130~300%、約130~250%、約130~200%、又は約130~140%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約140~400%、約140~350%、約140~300%、約140~250%、又は約140~200%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約200~400%、約200~350%、約200~300%、又は約200~250%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約250~400%、約250~350%、又は約250~300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約300~400%、約300~350%、又は約350~400%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0148】
特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約又は少なくとも約100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、500%、525%、550%、575%、又は600%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の少なくとも約100%、少なくとも約120%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、又は更に高いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0149】
特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約100~400%、約110~350%、約120~300%、約130~250%、又は約140~200%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約100~300%、約110~300%、約120~300%、約130~300%、又は約140~300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約100~250%、約110~250%、約120~250%、約130~250%、又は約140~250%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約100~200%、約110~200%、約120~200%、約130~200%、又は約140~200%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約200~220%、約220~240%、約240~260%、約260~280%、又は約280~300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約120~300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0150】
特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約又は少なくとも約100%、105%、110%、115%、120%、125%、130%、135%、140%、145%、150%、155%、160%、165%、170%、175%、180%、185%、190%、200%、225%、250%、275%、300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約100~120%、約120~140%、約140~160%、約160~180%、約180~200%、約200~220%、約220~240%、約240~260%、約260~280%、又は約280~300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0151】
特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の約又は少なくとも約300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、500%、525%、550%、575%、600%、又は更に高いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の少なくとも約250、275、300、325、又は350%である場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性が、個々に、VWFタンパク質の血漿レベル及び/又はVWF活性に関するベースライン値の少なくとも約300%である場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0152】
特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、個々に、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約50~100%、約55~100%、約60~100%、約65~100%、約70~100%、約75~100%、約80~100%、約85~100%、又は約90~100%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約70~100%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約60、65、70、又は75%以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約70%以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0153】
特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、個々に、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約100%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%、約60%、約55%、約50%、約45%、約40%、約35%、約30%、約25%、又は約20%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0154】
特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、個々に、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約100%以下、約95%以下、約90%以下、約85%以下、約80%以下、約75%以下、約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、又は更に低いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0155】
特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、個々に、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約65~100%、約70~100%、約75~100%、約80~100%、約85~100%、又は約90~100%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約70~100%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0156】
特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、個々に、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約70%以下、約65%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、又は更に低いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約60%以下、65%以下、70%以下、75%以下、又は更に低いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、及び/又はADAMTS13活性が、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値及び/又はADAMTS13活性の約70%以下である場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0157】
特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~200%、約100~190%、約100~180%、約100~170%、約100~160%、約100~150%、約100~140%、約100~130%、約100~120%、約100~115%、約100~114%、約100~113%、約100~112%、約100~111%、約100~110%、約100~109%、約100~108%、約100~109%、約100~106%、約100~105%、約100~104%、約100~103%、約100~102%、又は約100~101%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~102%、約100~105%、約100~110%、約100~115%、又は約100~120%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~110%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の少なくとも110%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0158】
特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100%、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約250%、約300%、約350%、約400%、又は更に高いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約110%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0159】
特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100%、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、又は約115%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の少なくとも約100%、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、又は約115%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~120%、約100~115%、約100~114%、約100~113%、約100~112%、約100~111%、約100~110%、約100~109%、約100~108%、約100~109%、約100~106%、約100~105%、約100~104%、約100~103%、約100~102%、又は約100~101%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~102%、約100~105%、約100~110%、又は約100~115%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~110%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0160】
特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の少なくとも約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約250%、約300%、約350%、約400%、又は更に高いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約105、110、若しくは115%、又は更に高いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約110%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0161】
特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)が、約5.0、4.75、4.5、4.25、4.0、3.75、3.5、3.25、3.0、2.75、2.5、2.25、2.0、1.75、1.5、1.25、1.0、又は更に小さい比率である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)が、約2.0、3.0、4.0、又は更に小さい比率である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)が、約3.0以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)が、約2.0、3.0、又は4.0超である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)が、約3.0超である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0162】
特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)が、約3.5以下、3.25以下、3.0以下、2.75以下、2.5以下、2.25以下、2.0以下、1.75以下、1.5以下、1.25以下、1.0以下、又は更に小さい比率である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)が、約3.0以下、約2.0以下、又は約1.0以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)が、約3.0以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0163】
特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のVWFレベル:A13レベルの比率が、約2.0超、2.25超、2.5超、2.75超、3.0超、3.25超、3.5超、3.75超、4.0超、4.25超、4.5超、4.75超、5.0超、5.25超、5.5超、5.75超、6.0超、6.25超、6.5超、6.75超、7.0超、7.25超、7.5超、7.75超、8.0超、8.25超、8.5超、8.75超、9.0超、9.25超、9.5超、9.75超、又は10.0超である場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のVWFレベル:A13レベルの比率が約4.0超である場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、血漿試料中のVWFレベル:A13レベルの比率が約3.0超である場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0164】
特定の実施形態では、ベースライン値は、正常な対照集団に基づく所定値である。特定の実施形態では、ベースライン値は、正常な対照集団の所定の範囲の平均である。
【0165】
特定の実施形態では、VWF活性レベルは、VWFリストセチン補因子活性によって測定される。特定の実施形態では、VWF活性レベルは、VWFコラーゲン結合活性によって測定される。特定の実施形態では、ADAMTS13活性レベルは、ELISAによって測定される。特定の実施形態では、VWF活性レベルは、FRETSによって測定される。
【0166】
特定の態様では、本発明は、COVID-19と診断された対象が血栓性凝固障害のリスクを有するかどうかを決定する方法を提供し、その方法は:a)血漿試料において、i)VWFタンパク質の血漿レベル;ii)血漿試料中のVWFの活性レベル;iii)UHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベル;iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベル;又はv)血漿試料中のADAMTS13タンパク質の活性レベルのうちの1つ又は複数を測定するステップを含む。
【0167】
特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、又は10.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、6.0、8.0、9.0、又は10.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約1.2、4.0、4.5、6.0、10.0、又は10.3IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0168】
特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、約1.0IU/ml~約1.2IU/ml、約1.0IU/ml~約2.0IU/ml、約1.0IU/ml~約4.0IU/ml、約1.0IU/ml~約4.5IU/ml、約1.0IU/ml~約10.3IU/ml、約1.0IU/ml~約10.0IU/ml、約1.2IU/ml~約2.0IU/ml、約1.2IU/ml~約4.0IU/ml、約1.2IU/ml~約4.5IU/ml、約1.2IU/ml~約10.3IU/ml、約1.2IU/ml~約10.0IU/ml、約1.4IU/ml~約2.0IU/ml、約1.4IU/ml~約4.0IU/ml、約1.4IU/ml~約4.5IU/ml、約1.4IU/ml~約10.3IU/ml、又は約1.4IU/ml~約10IU/ml、約1.6IU/ml~約2.0IU/ml、約1.6IU/ml~約4.0IU/ml、約1.6IU/ml~約4.5IU/ml、約1.6IU/ml~約10.3IU/ml、又は約1.6IU/ml~約10IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0169】
特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、又は4.5IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、4.2、又は4.4IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、約1.0IU/ml~約5.5IU/ml、約1.0IU/ml~約5.0IU/ml、約1.0IU/ml~約4.5IU/ml、約1.0IU/ml~約4.0IU/ml、又は約1.0IU/ml~約3.5IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、約1.1IU/ml~約5.5IU/ml、約1.1IU/ml~約5.0IU/ml、約1.1IU/ml~約4.5IU/ml、約1.1IU/ml~約4.0IU/ml、又は約1.1IU/ml~約3.5IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、約1.2IU/ml~約5.5IU/ml、約1.2IU/ml~約5.0IU/ml、約1.2IU/ml~約4.5IU/ml、約1.2IU/ml~約4.0IU/ml、又は約1.2IU/ml~約3.5IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、約1.3IU/ml~約5.5IU/ml、約1.3IU/ml~約5.0IU/ml、約1.3IU/ml~約4.5IU/ml、約1.3IU/ml~約4.0IU/ml、又は約1.3IU/ml~約3.5IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、約1.4IU/ml~約5.5IU/ml、約1.4IU/ml~約5.0IU/ml、約1.4IU/ml~約4.5IU/ml、約1.4IU/ml~約4.0IU/ml、又は約1.4IU/ml~約3.5IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、又は1.8IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約1.2IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0170】
特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10.0IU/mlである場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又は5.0IU/mlである場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約3.5、4.0、4.5、又は5.0IU/mlである場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約4.5IU/mlである場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0171】
特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、又は10.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約4.0、6.0、8.0、9.0、又は10.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約4.0、4.5、6.0、10.0、又は10.3IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約4.0、4.5、又は5.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約4.5IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約10.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWFタンパク質の血漿レベルが、少なくとも約10.3IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0172】
特定の実施形態では、上記方法は、VWF活性レベルが、少なくとも約1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、又は10.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWF活性レベルが、少なくとも約1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、6.0、8.0、9.0、又は10.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0173】
特定の実施形態では、上記方法は、VWF活性レベルが、約1.0IU/ml~約9.0IU/ml、約1.0IU/ml~約4.0IU/ml、約1.0IU/ml~約3.0IU/ml、約1.2IU/ml~約9.0IU/ml、約1.2IU/ml~約4.0IU/ml、約1.2IU/ml~約3.0IU/ml、約1.3IU/ml~約9.0IU/ml、約1.3IU/ml~約4.0IU/ml、約1.3IU/ml~約3.0IU/ml、約1.5IU/ml~約9.0IU/ml、約1.5IU/ml~約4.0IU/ml、約1.5IU/ml~約3.0IU/ml、約1.8IU/ml~約9.0IU/ml、約1.8IU/ml~約4.0IU/ml、又は約1.8IU/ml~約3.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0174】
特定の実施形態では、上記方法は、VWF活性レベルが、約1.0IU/ml~約4.4IU/ml、約1.0IU/ml~約4.0IU/ml、約1.0IU/ml~約3.3IU/ml、約1.0IU/ml~約3.0IU/ml、約1.2IU/ml~約4.4IU/ml、約1.2IU/ml~約4.0IU/ml、約1.2IU/ml~約3.3IU/ml、約1.2IU/ml~約3.0IU/ml、約1.3IU/ml~約4.4IU/ml、約1.3IU/ml~約4.0IU/ml、約1.3IU/ml~約3.3IU/ml、約1.3IU/ml~約3.0IU/ml、約1.5IU/ml~約4.4IU/ml、約1.5IU/ml~約4.0IU/ml、約1.5IU/ml~約3.3IU/ml、約1.5IU/ml~約3.0IU/ml、約1.8IU/ml~約4.4IU/ml、約1.8IU/ml~約4.0IU/ml、約1.8IU/ml~約3.3IU/ml、又は約1.8IU/ml~約3.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWF活性レベルが、約1.0IU/ml~約4.0IU/ml、1.0IU/ml~約3.0IU/ml、約1.2IU/ml~約4.0IU/ml、約1.2IU/ml~約3.0IU/ml、約1.3IU/ml~約4.0IU/ml、約1.3IU/ml~約3.0IU/ml、約1.8IU/ml~約4.0IU/ml、又は約1.8IU/ml~約3.0IU/ml/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0175】
特定の実施形態では、対象は、VWF活性レベルが、少なくとも約2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、又は10.0IU/mlである場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWF活性レベルが、少なくとも約3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.0、4.2、4.2、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、又は5.0IU/mlである場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWF活性レベルが、少なくとも約2.0、3.0、3.3、4.0、4.4、4.5、又は5IU/mlである場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、VWF活性レベルが、少なくとも約3.3IU/ml、又は約4.4IU/mlである場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0176】
特定の実施形態では、上記方法は、VWF活性レベルが、少なくとも約2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、又は10.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWF活性レベルが、少なくとも約2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.6、3.8、4.0、6.0、8.0、9.0、又は10.0IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWF活性レベルが、少なくとも約3.0、3.3、4.0、4.4、9.0、9.2、9.4、又は10IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、VWF活性レベルが、少なくとも約3.3、4.4、9.2、又は9.4IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害の高いリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0177】
特定の実施形態では、上記方法は、血漿UHMW VWFタンパク質多量体が検出された場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0178】
特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100%、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約121%、約122%、約123%、約124%、約125%、約126%、約127%、約128%、又は約129%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の少なくとも約100%、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約121%、約122%、約123%、約124%、約125%、約126%、約127%、約128%、又は約129%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~126%、約100~124%、約100~122%、約100~120%、約100~115%、約100~114%、約100~113%、約100~112%、約100~111%、約100~110%、約100~109%、約100~108%、約100~109%、約100~106%、約100~105%、約100~104%、約100~103%、約100~102%、又は約100~101%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~102%、約100~105%、約100~110%、約100~115%、約100~120%、又は約100~122%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~110%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~115%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~120%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~122%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0179】
特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100%、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約250%、約300%、約350%、約400%、又は更に高いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の少なくとも約100%、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約250%、約300%、約350%、約400%、又は更に高いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約110%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0180】
特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の少なくとも約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、又は約130%である場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約110%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0181】
特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100%、約101%、約102%、約103%、約104%、約105%、約106%、約107%、約108%、約109%、約110%、約111%、約112%、約113%、約114%、又は約115%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100~102%、約100~105%、約100~110%、又は約100~115%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約110%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0182】
特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の少なくとも約115%、約116%、約117%、約118%、約119%、約120%、約130%、約140%、約150%、約160%、約170%、約180%、約190%、約200%、約250%、約300%、約350%、約400%、又は更に高いレベルである場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約115~120%、又は約115~122%である場合に、血栓性凝固障害の発症の高いリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0183】
特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.01IU/ml以下、0.02IU/ml以下、0.03IU/ml以下、0.04IU/ml以下、0.05IU/ml以下、0.06IU/ml以下、0.07IU/ml以下、0.08IU/ml以下、0.09IU/ml以下、0.1IU/ml以下、0.11IU/ml以下、0.12IU/ml以下、0.13IU/ml以下、0.14IU/ml以下、0.15IU/ml以下、0.16IU/ml以下、0.17IU/ml以下、0.18IU/ml以下、0.19IU/ml以下、0.20IU/ml以下、0.21IU/ml以下、0.22IU/ml以下、0.23IU/ml以下、0.24IU/ml以下、0.25IU/ml以下、0.26IU/ml以下、0.27IU/ml以下、0.28IU/ml以下、0.29IU/ml以下、0.30IU/ml以下、0.31IU/ml以下、0.32IU/ml以下、0.33IU/ml以下、0.34IU/ml以下、0.35IU/ml以下、0.36IU/ml以下、0.37IU/ml以下、0.38IU/ml以下、0.39IU/ml以下、0.40IU/ml以下、0.41IU/ml以下、0.42IU/ml以下、0.43IU/ml以下、0.44IU/ml以下、0.45IU/ml以下、0.46IU/ml以下、0.47IU/ml以下、0.48IU/ml以下、0.49IU/ml以下、0.50IU/ml以下、0.51IU/ml以下、0.52IU/ml以下、0.53IU/ml以下、0.54IU/ml以下、0.55IU/ml以下、0.56IU/ml以下、0.57IU/ml以下、0.58IU/ml以下、0.59IU/ml以下、0.60IU/ml以下、0.61IU/ml以下、0.62IU/ml以下、0.63IU/ml以下、0.64IU/ml以下、0.65IU/ml以下、0.66IU/ml以下、0.67IU/ml以下、0.68IU/ml以下、0.68IU/ml以下、0.70IU/ml以下、0.71IU/ml以下、0.72IU/ml以下、0.73IU/ml以下、0.74IU/ml以下、0.75IU/ml以下、0.76IU/ml以下、0.77IU/ml以下、0.78IU/ml以下、0.79IU/ml以下、0.80IU/ml以下、0.81IU/ml以下、0.82IU/ml以下、0.83IU/ml以下、0.84IU/ml以下、0.85IU/ml以下、0.86IU/ml以下、0.87IU/ml以下、0.88IU/ml以下、0.89IU/ml以下、0.9IU/ml以下、0.91IU/ml以下、0.92IU/ml以下、0.93IU/ml以下、0.94IU/ml以下、0.95IU/ml以下、0.96IU/ml以下、0.97IU/ml以下、0.98IU/ml以下、0.99IU/ml以下、1.0IU/ml以下、1.1IU/ml以下、1.2IU/ml以下、1.3IU/ml以下、1.4IU/ml以下、1.5IU/ml以下、又は1.6IU/ml以下である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.01IU/ml未満、0.02IU/ml未満、0.03IU/ml未満、0.04IU/ml未満、0.05IU/ml未満、0.06IU/ml未満、0.07IU/ml未満、0.08IU/ml未満、0.09IU/ml未満、0.1IU/ml未満、0.11IU/ml未満、0.12IU/ml未満、0.13IU/ml未満、0.14IU/ml未満、0.15IU/ml未満、0.16IU/ml未満、0.17IU/ml未満、0.18IU/ml未満、0.19IU/ml未満、0.20IU/ml未満、0.21IU/ml未満、0.22IU/ml未満、0.23IU/ml未満、0.24IU/ml未満、0.25IU/ml未満、0.26IU/ml未満、0.27IU/ml未満、0.28IU/ml未満、0.29IU/ml未満、0.30IU/ml未満、0.31IU/ml未満、0.32IU/ml未満、0.33IU/ml未満、0.34IU/ml未満、0.35IU/ml未満、0.36IU/ml未満、0.37IU/ml未満、0.38IU/ml未満、0.39IU/ml未満、0.40IU/ml未満、0.41IU/ml未満、0.42IU/ml未満、0.43IU/ml未満、0.44IU/ml未満、0.45IU/ml未満、0.46IU/ml未満、0.47IU/ml未満、0.48IU/ml未満、0.49IU/ml未満、0.50IU/ml未満、0.51IU/ml未満、0.52IU/ml未満、0.53IU/ml未満、0.54IU/ml未満、0.55IU/ml未満、0.56IU/ml未満、0.57IU/ml未満、0.58IU/ml未満、0.59IU/ml未満、0.60IU/ml未満、0.61IU/ml未満、0.62IU/ml未満、0.63IU/ml未満、0.64IU/ml未満、0.65IU/ml未満、0.66IU/ml未満、0.67IU/ml未満、0.68IU/ml未満、0.68IU/ml未満、0.70IU/ml未満、0.71IU/ml未満、0.72IU/ml未満、0.73IU/ml未満、0.74IU/ml未満、0.75IU/ml未満、0.76IU/ml未満、0.77IU/ml未満、0.78IU/ml未満、0.79IU/ml未満、0.80IU/ml未満、0.81IU/ml未満、0.82IU/ml未満、0.83IU/ml未満、0.84IU/ml未満、0.85IU/ml未満、0.86IU/ml未満、0.87IU/ml未満、0.88IU/ml未満、0.89IU/ml未満、0.9IU/ml未満、0.91IU/ml未満、0.92IU/ml未満、0.93IU/ml未満、0.94IU/ml未満、0.95IU/ml未満、0.96IU/ml未満、0.97IU/ml未満、0.98IU/ml未満、0.99IU/ml未満、1.0IU/ml未満、1.1IU/ml未満、1.2IU/ml未満、1.3IU/ml未満、1.4IU/ml未満、1.5IU/ml未満、又は1.6IU/ml未満である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0184】
特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.06IU/ml~約0.8IU/ml、約0.06IU/ml~約0.7IU/ml、約0.06IU/ml~約0.6IU/ml、約0.06IU/ml~約0.5IU/ml、約0.06IU/ml~約0.4IU/ml、約0.06IU/ml~約0.3IU/ml、約0.07IU/ml~約0.8IU/ml、約0.07IU/ml~約0.7IU/ml、約0.07IU/ml~約0.6IU/ml、約0.07IU/ml~約0.5IU/ml、約0.07IU/ml~約0.4IU/ml、約0.07IU/ml~約0.3IU/ml、約0.08IU/ml~約0.8IU/ml、約0.08IU/ml~約0.7IU/ml、約0.08IU/ml~約0.6IU/ml、約0.08IU/ml~約0.5IU/ml、約0.08IU/ml~約0.4IU/ml、約0.08IU/ml~約0.3IU/ml、約0.1IU/ml~約0.8IU/ml、約0.1IU/ml~約0.7IU/ml、約0.1IU/ml~約0.6IU/ml、約0.1IU/ml~約0.5IU/ml、約0.1IU/ml~約0.4IU/ml、約0.40IU/ml~約0.8IU/ml、約0.40IU/ml~約0.7IU/ml、又は約0.40IU/ml~約0.6IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.08IU/ml~約0.7IU/ml、約0.08IU/ml~約0.40IU/ml、又は約0.40IU/ml~約0.7IU/mlである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0185】
特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.40IU/ml未満、0.41IU/ml未満、0.42IU/ml未満、0.43IU/ml未満、0.44IU/ml未満、0.45IU/ml未満、0.46IU/ml未満、0.47IU/ml未満、0.48IU/ml未満、0.49IU/ml未満、0.50IU/ml未満、0.51IU/ml未満、0.52IU/ml未満、0.53IU/ml未満、0.54IU/ml未満、0.55IU/ml未満、0.56IU/ml未満、0.57IU/ml未満、0.58IU/ml未満、0.59IU/ml未満、0.60IU/ml未満、0.61IU/ml未満、0.62IU/ml未満、0.63IU/ml未満、0.64IU/ml未満、0.65IU/ml未満、0.66IU/ml未満、0.67IU/ml未満、0.68IU/ml未満、0.68IU/ml未満、0.70IU/ml未満、0.71IU/ml未満、0.72IU/ml未満、0.73IU/ml未満、0.74IU/ml未満、0.75IU/ml未満、0.76IU/ml未満、0.77IU/ml未満、0.78IU/ml未満、0.79IU/ml未満、0.80IU/ml未満、0.81IU/ml未満、0.82IU/ml未満、0.83IU/ml未満、0.84IU/ml未満、0.85IU/ml未満、0.86IU/ml未満、0.87IU/ml未満、0.88IU/ml未満、0.89IU/ml未満、0.9IU/ml未満、0.91IU/ml未満、0.92IU/ml未満、0.93IU/ml未満、0.94IU/ml未満、0.95IU/ml未満、0.96IU/ml未満、0.97IU/ml未満、0.98IU/ml未満、0.99IU/ml未満、1.0IU/ml未満、1.1IU/ml未満、1.2IU/ml未満、1.3IU/ml未満、1.4IU/ml未満、1.5IU/ml未満、又は1.6IU/ml未満である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.40IU/ml以下、0.41IU/ml以下、0.42IU/ml以下、0.43IU/ml以下、0.44IU/ml以下、0.45IU/ml以下、0.46IU/ml以下、0.47IU/ml以下、0.48IU/ml以下、0.49IU/ml以下、0.50IU/ml以下、0.51IU/ml以下、0.52IU/ml以下、0.53IU/ml以下、0.54IU/ml以下、0.55IU/ml以下、0.56IU/ml以下、0.57IU/ml以下、0.58IU/ml以下、0.59IU/ml以下、0.60IU/ml以下、0.61IU/ml以下、0.62IU/ml以下、0.63IU/ml以下、0.64IU/ml以下、0.65IU/ml以下、0.66IU/ml以下、0.67IU/ml以下、0.68IU/ml以下、0.68IU/ml以下、0.70IU/ml以下、0.71IU/ml以下、0.72IU/ml以下、0.73IU/ml以下、0.74IU/ml以下、0.75IU/ml以下、0.76IU/ml以下、0.77IU/ml以下、0.78IU/ml以下、0.79IU/ml以下、0.80IU/ml以下、0.81IU/ml以下、0.82IU/ml以下、0.83IU/ml以下、0.84IU/ml以下、0.85IU/ml以下、0.86IU/ml以下、0.87IU/ml以下、0.88IU/ml以下、0.89IU/ml以下、0.9IU/ml以下、0.91IU/ml以下、0.92IU/ml以下、0.93IU/ml以下、0.94IU/ml以下、0.95IU/ml以下、0.96IU/ml以下、0.97IU/ml以下、0.98IU/ml以下、0.99IU/ml以下、1.0IU/ml以下、1.1IU/ml以下、1.2IU/ml以下、1.3IU/ml以下、1.4IU/ml以下、1.5IU/ml以下、又は1.6IU/ml以下である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.40IU/ml~約0.7IU/ml、約0.5IU/kg~約0.7IU/ml、約0.6IU/kg~約0.70IU/kgである場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0186】
特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.01IU/ml以下、0.02IU/ml以下、0.03IU/ml以下、0.04IU/ml以下、0.05IU/ml以下、0.06IU/ml以下、0.07IU/ml以下、0.08IU/ml以下、0.09IU/ml以下、0.1IU/ml以下、0.11IU/ml以下、0.12IU/ml以下、0.13IU/ml以下、0.14IU/ml以下、0.15IU/ml以下、0.16IU/ml以下、0.17IU/ml以下、0.18IU/ml以下、0.19IU/ml以下、0.20IU/ml以下、0.21IU/ml以下、0.22IU/ml以下、0.23IU/ml以下、0.24IU/ml以下、0.25IU/ml以下、0.26IU/ml以下、0.27IU/ml以下、0.28IU/ml以下、0.29IU/ml以下、0.30IU/ml以下、0.31IU/ml以下、0.32IU/ml以下、0.33IU/ml以下、0.34IU/ml以下、0.35IU/ml以下、0.36IU/ml以下、0.37IU/ml以下、0.38IU/ml以下、0.39IU/ml以下、0.40IU/ml以下、0.41IU/ml以下、0.42IU/ml以下、0.43IU/ml以下、0.44IU/ml以下、0.45IU/ml以下、0.46IU/ml以下、0.47IU/ml以下、0.48IU/ml以下、0.49IU/ml以下、又は0.50IU/ml以下である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.01IU/ml未満、0.02IU/ml未満、0.03IU/ml未満、0.04IU/ml未満、0.05IU/ml未満、0.06IU/ml未満、0.07IU/ml未満、0.08IU/ml未満、0.09IU/ml未満、0.1IU/ml未満、0.11IU/ml未満、0.12IU/ml未満、0.13IU/ml未満、0.14IU/ml未満、0.15IU/ml未満、0.16IU/ml未満、0.17IU/ml未満、0.18IU/ml未満、0.19IU/ml未満、0.20IU/ml未満、0.21IU/ml未満、0.22IU/ml未満、0.23IU/ml未満、0.24IU/ml未満、0.25IU/ml未満、0.26IU/ml未満、0.27IU/ml未満、0.28IU/ml未満、0.29IU/ml未満、0.30IU/ml未満、0.31IU/ml未満、0.32IU/ml未満、0.33IU/ml未満、0.34IU/ml未満、0.35IU/ml未満、0.36IU/ml未満、0.37IU/ml未満、0.38IU/ml未満、0.39IU/ml未満、0.40IU/ml未満、0.41IU/ml未満、0.42IU/ml未満、0.43IU/ml未満、0.44IU/ml未満、0.45IU/ml未満、0.46IU/ml未満、0.47IU/ml未満、0.48IU/ml未満、0.49IU/ml未満、又は0.50IU/ml未満である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.08IU/ml以下、0.09IU/ml以下、0.1IU/ml以下、0.11IU/ml以下、0.12IU/ml以下、0.13IU/ml以下、0.14IU/ml以下、0.15IU/ml以下、0.16IU/ml以下、0.17IU/ml以下、0.18IU/ml以下、0.19IU/ml以下、0.20IU/ml以下、0.21IU/ml以下、0.22IU/ml以下、0.23IU/ml以下、0.24IU/ml以下、0.25IU/ml以下、0.26IU/ml以下、0.27IU/ml以下、0.28IU/ml以下、0.29IU/ml以下、0.30IU/ml以下、0.31IU/ml以下、0.32IU/ml以下、0.33IU/ml以下、0.34IU/ml以下、0.35IU/ml以下、0.36IU/ml以下、0.37IU/ml以下、0.38IU/ml以下、0.39IU/ml以下、又は0.40IU/ml以下である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.3IU/ml以下、0.4IU/ml以下、又は約0.5IU/ml以下である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、約0.4IU/ml以下である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0187】
特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.1IU/ml以下、0.11IU/ml以下、0.12IU/ml以下、0.13IU/ml以下、0.14IU/ml以下、0.15IU/ml以下、0.16IU/ml以下、0.17IU/ml以下、0.18IU/ml以下、0.19IU/ml以下、0.20IU/ml以下、0.21IU/ml以下、0.22IU/ml以下、0.23IU/ml以下、0.24IU/ml以下、0.25IU/ml以下、0.26IU/ml以下、0.27IU/ml以下、0.28IU/ml以下、0.29IU/ml以下、0.30IU/ml以下、0.31IU/ml以下、0.32IU/ml以下、0.33IU/ml以下、0.34IU/ml以下、0.35IU/ml以下、0.36IU/ml以下、0.37IU/ml以下、0.38IU/ml以下、0.39IU/ml以下、0.40IU/ml以下、0.41IU/ml以下、0.42IU/ml以下、0.43IU/ml以下、0.44IU/ml以下、0.45IU/ml以下、0.46IU/ml以下、0.47IU/ml以下、0.48IU/ml以下、0.49IU/ml以下、0.50IU/ml以下、0.51IU/ml以下、0.52IU/ml以下、0.53IU/ml以下、0.54IU/ml以下、0.55IU/ml以下、0.56IU/ml以下、0.57IU/ml以下、0.58IU/ml以下、0.59IU/ml以下、0.60IU/ml以下、0.61IU/ml以下、0.62IU/ml以下、0.63IU/ml以下、0.64IU/ml以下、0.65IU/ml以下、0.66IU/ml以下、0.67IU/ml以下、0.68IU/ml以下、0.68IU/ml以下、0.70IU/ml以下、0.71IU/ml以下、0.72IU/ml以下、0.73IU/ml以下、0.74IU/ml以下、0.75IU/ml以下、0.76IU/ml以下、0.77IU/ml以下、0.78IU/ml以下、0.79IU/ml以下、0.80IU/ml以下、0.81IU/ml以下、0.82IU/ml以下、0.83IU/ml以下、0.84IU/ml以下、0.85IU/ml以下、0.86IU/ml以下、0.87IU/ml以下、0.88IU/ml以下、0.89IU/ml以下、0.9IU/ml以下、0.91IU/ml以下、0.92IU/ml以下、0.93IU/ml以下、0.94IU/ml以下、0.95IU/ml以下、0.96IU/ml以下、0.97IU/ml以下、0.98IU/ml以下、0.99IU/ml以下、1IU/ml以下、1.1IU/ml以下、1.2IU/ml以下、1.3IU/ml以下、1.4IU/ml以下、1.5IU/ml以下、1.6IU/ml以下、1.7IU/ml以下、1.8IU/ml以下、1.9IU/ml以下、又は2IU/ml以下である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.1IU/ml未満、0.11IU/ml未満、0.12IU/ml未満、0.13IU/ml未満、0.14IU/ml未満、0.15IU/ml未満、0.16IU/ml未満、0.17IU/ml未満、0.18IU/ml未満、0.19IU/ml未満、0.20IU/ml未満、0.21IU/ml未満、0.22IU/ml未満、0.23IU/ml未満、0.24IU/ml未満、0.25IU/ml未満、0.26IU/ml未満、0.27IU/ml未満、0.28IU/ml未満、0.29IU/ml未満、0.30IU/ml未満、0.31IU/ml未満、0.32IU/ml未満、0.33IU/ml未満、0.34IU/ml未満、0.35IU/ml未満、0.36IU/ml未満、0.37IU/ml未満、0.38IU/ml未満、0.39IU/ml未満、0.40IU/ml未満、0.41IU/ml未満、0.42IU/ml未満、0.43IU/ml未満、0.44IU/ml未満、0.45IU/ml未満、0.46IU/ml未満、0.47IU/ml未満、0.48IU/ml未満、0.49IU/ml未満、0.50IU/ml未満、0.51IU/ml未満、0.52IU/ml未満、0.53IU/ml未満、0.54IU/ml未満、0.55IU/ml未満、0.56IU/ml未満、0.57IU/ml未満、0.58IU/ml未満、0.59IU/ml未満、0.60IU/ml未満、0.61IU/ml未満、0.62IU/ml未満、0.63IU/ml未満、0.64IU/ml未満、0.65IU/ml未満、0.66IU/ml未満、0.67IU/ml未満、0.68IU/ml未満、0.68IU/ml未満、0.70IU/ml未満、0.71IU/ml未満、0.72IU/ml未満、0.73IU/ml未満、0.74IU/ml未満、0.75IU/ml未満、0.76IU/ml未満、0.77IU/ml未満、0.78IU/ml未満、0.79IU/ml未満、0.80IU/ml未満、0.81IU/ml未満、0.82IU/ml未満、0.83IU/ml未満、0.84IU/ml未満、0.85IU/ml未満、0.86IU/ml未満、0.87IU/ml未満、0.88IU/ml未満、0.89IU/ml未満、0.9IU/ml未満、0.91IU/ml未満、0.92IU/ml未満、0.93IU/ml未満、0.94IU/ml未満、0.95IU/ml未満、0.96IU/ml未満、0.97IU/ml未満、0.98IU/ml未満、0.99IU/ml未満、1IU/ml未満、1.1IU/ml未満、1.2IU/ml未満、1.3IU/ml未満、1.4IU/ml未満、1.5IU/ml未満、1.6IU/ml未満、1.7IU/ml未満、1.8IU/ml未満、1.9IU/ml未満、又は2IU/ml未満である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0188】
特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.40IU/ml以下、0.41IU/ml以下、0.42IU/ml以下、0.43IU/ml以下、0.44IU/ml以下、0.45IU/ml以下、0.46IU/ml以下、0.47IU/ml以下、0.48IU/ml以下、0.49IU/ml以下、0.50IU/ml以下、0.51IU/ml以下、0.52IU/ml以下、0.53IU/ml以下、0.54IU/ml以下、0.55IU/ml以下、0.56IU/ml以下、0.57IU/ml以下、0.58IU/ml以下、0.59IU/ml以下、0.60IU/ml以下、0.61IU/ml以下、0.62IU/ml以下、0.63IU/ml以下、0.64IU/ml以下、0.65IU/ml以下、0.66IU/ml以下、0.67IU/ml以下、0.68IU/ml以下、0.68IU/ml以下、0.70IU/ml以下、0.71IU/ml以下、0.72IU/ml以下、0.73IU/ml以下、0.74IU/ml以下、0.75IU/ml以下、0.76IU/ml以下、0.77IU/ml以下、0.78IU/ml以下、0.79IU/ml以下、0.80IU/ml以下、0.81IU/ml以下、0.82IU/ml以下、0.83IU/ml以下、0.84IU/ml以下、0.85IU/ml以下、0.86IU/ml以下、0.87IU/ml以下、0.88IU/ml以下、0.89IU/ml以下、0.9IU/ml以下、0.91IU/ml以下、0.92IU/ml以下、0.93IU/ml以下、0.94IU/ml以下、0.95IU/ml以下、0.96IU/ml以下、0.97IU/ml以下、0.98IU/ml以下、0.99IU/ml以下、又は1IU/ml以下である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.40IU/ml未満、0.41IU/ml未満、0.42IU/ml未満、0.43IU/ml未満、0.44IU/ml未満、0.45IU/ml未満、0.46IU/ml未満、0.47IU/ml未満、0.48IU/ml未満、0.49IU/ml未満、0.50IU/ml未満、0.51IU/ml未満、0.52IU/ml未満、0.53IU/ml未満、0.54IU/ml未満、0.55IU/ml未満、0.56IU/ml未満、0.57IU/ml未満、0.58IU/ml未満、0.59IU/ml未満、0.60IU/ml未満、0.61IU/ml未満、0.62IU/ml未満、0.63IU/ml未満、0.64IU/ml未満、0.65IU/ml未満、0.66IU/ml未満、0.67IU/ml未満、0.68IU/ml未満、0.68IU/ml未満、0.70IU/ml未満、0.71IU/ml未満、0.72IU/ml未満、0.73IU/ml未満、0.74IU/ml未満、0.75IU/ml未満、0.76IU/ml未満、0.77IU/ml未満、0.78IU/ml未満、0.79IU/ml未満、0.80IU/ml未満、0.81IU/ml未満、0.82IU/ml未満、0.83IU/ml未満、0.84IU/ml未満、0.85IU/ml未満、0.86IU/ml未満、0.87IU/ml未満、0.88IU/ml未満、0.89IU/ml未満、0.9IU/ml未満、0.91IU/ml未満、0.92IU/ml未満、0.93IU/ml未満、0.94IU/ml未満、0.95IU/ml未満、0.96IU/ml未満、0.97IU/ml未満、0.98IU/ml未満、0.99IU/ml未満、又は1IU/ml未満である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.70IU/ml以下である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0189】
特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.2IU/ml~約0.9IU/ml以下、約0.2IU/ml~約0.8IU/ml以下、約0.2IU/ml~約0.5IU/ml以下、約0.2IU/ml~約0.4IU/ml以下、約0.4IU/ml~約0.9IU/ml以下、約0.4IU/ml~約0.8IU/ml以下、約0.4IU/ml~約0.5IU/ml以下、約0.5IU/ml~約0.9IU/ml以下、又は約0.5IU/ml~約0.8IU/ml以下である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0190】
特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.40IU/ml以下、0.41IU/ml以下、0.42IU/ml以下、0.43IU/ml以下、0.44IU/ml以下、0.45IU/ml以下、0.46IU/ml以下、0.47IU/ml以下、0.48IU/ml以下、0.49IU/ml以下、0.50IU/ml以下、0.51IU/ml以下、0.52IU/ml以下、0.53IU/ml以下、0.54IU/ml以下、0.55IU/ml以下、0.56IU/ml以下、0.57IU/ml以下、0.58IU/ml以下、0.59IU/ml以下、0.60IU/ml以下、0.61IU/ml以下、0.62IU/ml以下、0.63IU/ml以下、0.64IU/ml以下、0.65IU/ml以下、0.66IU/ml以下、0.67IU/ml以下、0.68IU/ml以下、0.68IU/ml以下、0.70IU/ml以下、0.71IU/ml以下、0.72IU/ml以下、0.73IU/ml以下、0.74IU/ml以下、0.75IU/ml以下、0.76IU/ml以下、0.77IU/ml以下、0.78IU/ml以下、0.79IU/ml以下、0.80IU/ml以下、0.81IU/ml以下、0.82IU/ml以下、0.83IU/ml以下、0.84IU/ml以下、0.85IU/ml以下、0.86IU/ml以下、0.87IU/ml以下、0.88IU/ml以下、0.89IU/ml以下、0.9IU/ml以下、0.91IU/ml以下、0.92IU/ml以下、0.93IU/ml以下、0.94IU/ml以下、0.95IU/ml以下、0.96IU/ml以下、0.97IU/ml以下、0.98IU/ml以下、0.99IU/ml以下、又は1IU/ml以下である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.40IU/ml未満、0.41IU/ml未満、0.42IU/ml未満、0.43IU/ml未満、0.44IU/ml未満、0.45IU/ml未満、0.46IU/ml未満、0.47IU/ml未満、0.48IU/ml未満、0.49IU/ml未満、0.50IU/ml未満、0.51IU/ml未満、0.52IU/ml未満、0.53IU/ml未満、0.54IU/ml未満、0.55IU/ml未満、0.56IU/ml未満、0.57IU/ml未満、0.58IU/ml未満、0.59IU/ml未満、0.60IU/ml未満、0.61IU/ml未満、0.62IU/ml未満、0.63IU/ml未満、0.64IU/ml未満、0.65IU/ml未満、0.66IU/ml未満、0.67IU/ml未満、0.68IU/ml未満、0.68IU/ml未満、0.70IU/ml未満、0.71IU/ml未満、0.72IU/ml未満、0.73IU/ml未満、0.74IU/ml未満、0.75IU/ml未満、0.76IU/ml未満、0.77IU/ml未満、0.78IU/ml未満、0.79IU/ml未満、0.80IU/ml未満、0.81IU/ml未満、0.82IU/ml未満、0.83IU/ml未満、0.84IU/ml未満、0.85IU/ml未満、0.86IU/ml未満、0.87IU/ml未満、0.88IU/ml未満、0.89IU/ml未満、0.9IU/ml未満、0.91IU/ml未満、0.92IU/ml未満、0.93IU/ml未満、0.94IU/ml未満、0.95IU/ml未満、0.96IU/ml未満、0.97IU/ml未満、0.98IU/ml未満、0.99IU/ml未満、又は1IU/ml未満である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.80IU/ml以下、0.81IU/ml以下、0.82IU/ml以下、0.83IU/ml以下、0.84IU/ml以下、0.85IU/ml以下、0.86IU/ml以下、0.87IU/ml以下、0.88IU/ml以下、0.89IU/ml以下、又は0.9IU/ml以下である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、上記方法は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.80IU/ml以下又は0.9IU/ml以下である場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定することを含む。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、低用量(例えば約10~40IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0191】
特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.20IU/ml以下、0.21IU/ml以下、0.22IU/ml以下、0.23IU/ml以下、0.24IU/ml以下、0.25IU/ml以下、0.26IU/ml以下、0.27IU/ml以下、0.28IU/ml以下、0.29IU/ml以下、0.30IU/ml以下、0.31IU/ml以下、0.32IU/ml以下、0.33IU/ml以下、0.34IU/ml以下、0.35IU/ml以下、0.36IU/ml以下、0.37IU/ml以下、0.38IU/ml以下、0.39IU/ml以下、0.40IU/ml以下、0.41IU/ml以下、0.42IU/ml以下、0.43IU/ml以下、0.44IU/ml以下、0.45IU/ml以下、0.46IU/ml以下、0.47IU/ml以下、0.48IU/ml以下、0.49IU/ml以下、又は0.50IU/ml以下である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.20IU/ml未満、0.21IU/ml未満、0.22IU/ml未満、0.23IU/ml未満、0.24IU/ml未満、0.25IU/ml未満、0.26IU/ml未満、0.27IU/ml未満、0.28IU/ml未満、0.29IU/ml未満、0.30IU/ml未満、0.31IU/ml未満、0.32IU/ml未満、0.33IU/ml未満、0.34IU/ml未満、0.35IU/ml未満、0.36IU/ml未満、0.37IU/ml未満、0.38IU/ml未満、0.39IU/ml未満、0.40IU/ml未満、0.41IU/ml未満、0.42IU/ml未満、0.43IU/ml未満、0.44IU/ml未満、0.45IU/ml未満、0.46IU/ml未満、0.47IU/ml未満、0.48IU/ml未満、0.49IU/ml未満、又は0.50IU/ml未満である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.3IU/ml以下、0.4IU/ml以下、約0.5IU/ml以下、又は約0.6IU/ml以下である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.3IU/ml未満、0.4IU/ml未満、約0.5IU/ml未満、又は約0.6IU/ml未満である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.4IU/ml以下、又は約0.5IU/ml以下である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、対象は、ADAMTS13タンパク質の活性レベルが、約0.4IU/ml未満、又は約0.5IU/ml未満である場合に、血栓性凝固障害の高いリスクを有する。特定の実施形態では、このリスクを有する対象には、高用量(例えば約40~400IU/kg)のADAMTS13が投与される。
【0192】
特定の実施形態では、所定の正常ベースラインは、検証/選択された測定方法を用いる試験所内の正常対照集団に基づく。特定の実施形態では、あるベースライン範囲が提供されている場合、対象の試料は、正常対照に対する増加を評価する際にはその範囲の上限と比較される。特定の実施形態では、あるベースライン範囲が提供されている場合、対象の試料は、正常対照に対する減少を評価する際にはその範囲の上限と比較される。特定の実施形態では、あるベースライン範囲が提供されている場合、対象の試料は、その所定のベースライン範囲の平均、中央値、又は最頻値と比較される。特定の実施形態では、あるベースライン範囲が提供されている場合、対象の試料は、その所定のベースライン範囲の平均と比較される。
【0193】
特定の実施形態では、対象は、対象から採取された血液又は鼻汁試料からPCRでSARS-CoV-2 RNAを検出することによって、COVIDであると診断される。特定の実施形態では、対象は、SARS-CoV-2のセロコンバージョンによって、COVIDであると診断される。特定の実施形態では、対象は、対象の血漿中のSARS-CoV-2抗体の検出によって、COVIDであると診断される。
【0194】
特定の実施形態では、血液試料は抗凝固剤で処理される。特定の実施形態では、抗凝固剤は、EDTA、クエン酸ナトリウム、又はヘパリンである。
【0195】
特定の態様では、本発明は、COVID-19と診断された対象が血栓性凝固障害のリスクを有するかどうかを決定するための、キットを提供し、キットは:(i)VWFタンパク質の血漿レベル、VWFの活性レベル、UHMW VWF多量体の血漿レベル、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、ADAMTS13の活性レベルのうちの1つ又は複数を決定するための、1つ又は複数の試薬;(ii)任意選択で、包装及び/又は使用説明書;並びに(iii)任意選択で、SARS-CoV-2を検出するため又はCOVID-19を診断するための1つ又は複数の試薬を含む。
【0196】
E.投薬量
特定の実施形態では、単離又は組換えADAMTS13の治療有効量又は用量は、対象の体重1kgあたりの、投与されることになるADAMTS13活性の国際単位(IU)の数(IU/kg)として表現される。ADAMTS13活性のIUを決定するためのいずれの好適な方法が本発明の範囲内であり、その方法は公知であり、例えば上述されているようなFRETS-VWF73活性を含む。
【0197】
(1)IU/kgを単位とするADAMTS13の投薬
特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約10~400IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約10~320IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約10~300IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約10~200IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約10~160IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約20~400IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約20~320IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約20~300IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約20~200IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約20~160IU/kgである。他の実施形態では、用量は、約10~180IU/kg、約10~160IU/kg、約20~400IU/kg、約20~320IU/kg、約20~300IU/kg、約20~200IU/kg、約20~180IU/kg、約20~160IU/kg、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~200IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約50~400IU/kg、約50~320IU/kg、約50~300IU/kg、約50~200IU/kg、約50~180IU/kg、約50~160IU/kg、約60~400IU/kg、約60~320IU/kg、約60~300IU/kg、約60~200IU/kg、約60~180IU/kg、又は約60~160IU/kgである。更なる実施形態では、用量は、約10~100IU/kg、約10~80IU/kg、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、約20~100IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、又は約20~40IU/kgである。更に他の実施形態では、用量は、約30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~150IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~150IU/kg、約50~180IU/kg、約50~160IU/kg、約50~150IU/kg、約60~180IU/kg、約60~160IU/kg、又は約60~150IU/kgである。特定の実施形態では、ADAMTS13の治療有効量又は用量は、約10IU/kg、約20IU/kg、約30IU/kg、約40IU/kg、約50IU/kg、約60IU/kg、約80IU/kg、約100IU/kg、約120IU/kg、約140IU/kg、約160IU/kg、約200IU/kg、約300IU/kg、約320IU/kg、又は約400IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約10IU/kg、約20IU/kg、約40IU/kg、又は約60IU/kgである。治療有効量又は用量は、単回用量、複数回用量、又は分割用量として投与できる。例えば、治療有効量又は用量は、状態の治療又は防止に有効な総ADAMTS13の循環レベルを維持するために、単回用量又は複数回用量で投与できる。このような態様では、治療有効量又は用量は、毎月、2週間毎、毎週、週2回、週3回、隔日、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間毎に投与される。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、毎日、又は隔日で投与される。
【0198】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、SARS-CoV-2感染の検出若しくはCOVID-19の診断後すぐに、又はCOVID-19に関連する1つ又は複数の症状、合併症、若しくは危険因子のリスク若しくは脆弱性の決定後すぐに、例えば5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、90分、110分、120分、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、又は25時間以上以内に、あるいはこれらのいずれの組み合わせで、投与される。
【0199】
特定のCOVID-19対象は65歳を超えていてよく、及び/又はCOVID-19に関連する1つ又は複数の合併症若しくは危険因子の病歴、兆候、若しくは症状、若しくはこれらに対する素因若しくは感受性を示してよい。これらは例えば、限定するものではないが、VWF及び/又はその多量体(特に超大型多量体(UHMW))のレベルの上昇、VWFの活性レベルの上昇、内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下、サイトカインレベルの上昇、内因性ADAMTS13の活性の低下、凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、後天性TTP、播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、鎌状赤血球症、腎不全、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、並びに卒中(例えば虚血性脳卒中又は脳卒中)、あるいはこれらの症状又は合併症を含む。これらの対象は、本明細書では「危険な」対象又は患者と呼ばれる。
【0200】
特定の「危険な」COVID-19対象は、COVID-19症状の有無にかかわらず、疾患の初期段階に、例えばSARS-CoV-2感染について対象を試験する際に、現れる場合がある。これらの対象は、VWF及び/又はその多量体(例えばUHMW)のレベルの上昇を示す場合も示さない場合もあり、それらのレベルが正常であるか又はわずかしか上昇していないように見える場合もある。本発明によると、このような「危険な初期段階の対象を、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することによって治療できる。特定の実施形態では、治療有効量は、約10~100IU/kg、約10~80IU/kg、約20~100IU/kg、約20~80IU/kg、約30~100IU/kg、約30~80IU/kg、約40~100IU/kg、約40~80IU/kg、約50~100IU/kg、約50~80IU/kg、約60~100IU/kg、又は約60~80IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約10~60IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約10~40IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約10~20IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約20~60IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約20~40IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約20~30IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約10IU/kg、約20IU/kg、約30IU/kg、約40IU/kg、約50IU/kg、又は約60IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約10IU/kg、約20IU/kg、約30IU/kg、又は約40IU/kgである。特定の実施形態では、投薬は、対象の循環ADAMTS13レベルを、正常ベースライン値と比較して(例えば所定の正常ベースライン値)と比較して約20~100%だけ上昇させるように、決定及び/又は監視される。特定の実施形態では、投薬は、対象の循環ADAMTS13レベルを、所定の正常ベースライン値と比較して約100~150%だけ上昇させるように、決定及び/又は監視される。特定の実施形態では、投薬は、対象の循環ADAMTS13レベルを、所定の正常ベースライン値と比較して約100%、約110%、約120%、約125%、約130%、約140%、又は約150%だけ上昇させるように、決定及び/又は監視される。特定の実施形態では、投薬は、対象の循環ADAMTS13レベルを、所定の正常ベースライン値と比較して約100%、約110%、約120%、約125%、約130%、約140%、又は約150%だけ上昇させるように、決定及び/又は監視される。特定の実施形態では、組成物は、「危険な初期段階の」対象に、COVID-19の診断若しくは入院の直後に、又はCOVID-19の診断若しくは入院の24時間若しくは48時間以内に、投与される。特定の実施形態では、「危険な初期段階」の対象では、VWF及び/若しくはその多量体(例えばUHMW)のレベル、VWF及び/若しくはその多量体(例えばUHMW)の活性、ADAMTS13レベル、並びに/又はADAMTS13活性は、ADAMTS13の投与前に評価されていない。このような態様では、治療有効量又は用量は、毎月、2週間毎、毎週、週2回、週3回、隔日、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間毎に投与される。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、毎日、又は隔日で投与される。本発明によると、本明細書に記載の治療は、1つ又は複数のCOVID-19合併症、特に本明細書に記載の様々な血栓性状態又は血栓形成促進状態、及び合併症の、重篤な進行を治療、阻害、抑制、防止、軽減、若しくは緩和する。
【0201】
特定の「危険な」COVID-19患者は、疾患の後期段階に現れる場合があり、及び/又はVWF若しくはその多量体(例えばUHMW)のレベルの上昇を示す場合がある。特定の実施形態では、治療を指示する上昇したVWF又は多量体のレベルは、所定の正常ベースライン値より少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%高いレベルとなる。特定の実施形態では、治療は、VWF及び/又は多量体レベルが所定の正常ベースライン値と比較して2倍若しくは3倍高い、又は更に高い場合に指示される。特定の実施形態では、「危険な後期段階の」COVID-19患者は、集中治療室(「ICU])に入院した患者である。特定の実施形態では、「危険な後期段階」のCOVID-19患者は、挿管された患者である。本発明によると、このような「危険な後期段階の」対象を、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13を含む組成物を投与することによって治療できる。
【0202】
特定の実施形態では、所定の正常ベースラインは、検証された/選択された測定方法を用いた試験所における正常な対照集団に基づくものである。
【0203】
特定の実施形態では、「後期段階」のCOVID-19対象に対する治療有効量は、約20~400IU/kg、約320~320IU/kg、約20~300IU/kg、約20~200IU/kg、約20~180IU/kg、約20~160IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、約20~40IU/kg、約30~400IU/kg、約30~320IU/kg、約30~300IU/kg、約30~200IU/kg、約30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~80IU/kg、約30~60IU/kg、約30~40IU/kg、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~200IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、約40~60IU/kg、約50~400IU/kg、約50~320IU/kg、約50~300IU/kg、約50~200IU/kg、約50~180IU/kg、約50~160IU/kg、約50~80IU/kg、約50~60IU/kg、約60~400IU/kg、約60~320IU/kg、約60~300IU/kg、約60~200IU/kg、約60~180IU/kg、約60~160IU/kg、又は約60~80IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約30~320IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約30~160IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約30~80IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約30~60IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約40~320IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約40~160IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約40~80IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量は約40~60IU/kgとなる。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約20IU/kg、約30IU/kg、約40IU/kg、約60IU/kg、約80IU/kg、又は約160IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約40IU/kg、約80IU/kg、又は約160IU/kgである。特定の実施形態では、投薬は、所定の正常範囲内であるか又は所定のベースライン値に近いVWF及び/又はその多量体(例えばUHMW)のレベルの低下を提供するように、決定及び/又は監視される。特定の実施形態では、超大型VWF多量体がもはや観察されなくなる。特定の実施形態では、ADAMTS13組成物は、「危険な後期段階の」対象に、COVID-19の診断若しくは入院の直後に、又はCOVID-19の診断若しくは入院の24時間若しくは48時間以内に、投与される。特定の実施形態では、「危険な初期段階」の対象では、VWF及び/若しくはその多量体(例えばUHMW)のレベル、VWF及び/若しくはその多量体(例えばUHMW)の活性、ADAMTS13レベル、並びに/又はADAMTS13活性は、ADAMTS13の投与前に評価されていない。このような態様では、治療有効量又は用量は、毎月、2週間毎、毎週、週2回、週3回、隔日、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間毎に投与される。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、毎日、又は隔日で投与される。本発明によると、本明細書に記載の治療は、1つ又は複数のCOVID-19合併症、特に本明細書に記載の様々な血栓性状態又は血栓形成促進状態、及び合併症の、重篤な進行を治療、阻害、抑制、防止、軽減、若しくは緩和する。
【0204】
いかなる理論によっても束縛されることを望むものではないが、「危険な後期段階の」COVID-19対象は、「危険な初期段階の」COVID-19対象に投与される用量と比較して、より高頻度で投与される、より高用量のADAMTS13の投与から、利益を受ける傾向があると考えられる。
【0205】
特定の実施形態では、用量は約10~400IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10~320IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10~300IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10~200IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10~300IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10~160IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10~180IU/kg、約10~160IU/kg、約20~400IU/kg、約20~320IU/kg、約20~300IU/kg、約20~200IU/kg、約20~180IU/kg、約20~160IU/kg、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~200IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約50~400IU/kg、約50~320IU/kg、約50~300IU/kg、約50~200IU/kg、約50~180IU/kg、約50~160IU/kg、約60~400IU/kg、約60~320IU/kg、約60~300IU/kg、約60~200IU/kg、約60~180IU/kg、又は約60~160IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10~100IU/kg、約10~80IU/kg、約10~60IU/kg、10~60IU/kg、約20~100IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、又は約20~40IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~150IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~150IU/kg、約50~180IU/kg、約50~160IU/kg、約50~150IU/kg、約60~180IU/kg、約60~160IU/kg、又は約60~150IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10IU/kg、約20IU/kg、約30IU/kg、約40IU/kg、約50IU/kg、約60IU/kg、約80IU/kg、約100IU/kg、約120IU/kg、約140IU/kg、約160IU/kg、約200IU/kg、約300IU/kg、約320IU/kg、又は約400IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約10IU/kg、約20IU/kg、約40IU/kg、約60IU/kg、約80IU/kg、又は約160IU/kgである。
【0206】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、少なくとも約10IU/kg、少なくとも約20IU/kg、少なくとも約30IU/kg、少なくとも約40IU/kg、少なくとも約50IU/kg、少なくとも約60IU/kg、少なくとも約70IU/kg、少なくとも約80IU/kg、少なくとも約90IU/kg、少なくとも約100IU/kg、少なくとも約110IU/kg、少なくとも約120IU/kg、少なくとも約130IU/kg、少なくとも約140IU/kg、少なくとも約150IU/kg、又は少なくとも約160IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、少なくとも約10IU/kg、少なくとも約20IU/kg、少なくとも約40IU/kg、又は少なくとも約60IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10~200IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10~180IU/kg、約10~160IU/kg、約20~200IU/kg、約20~180IU/kg、又は約20~160IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約10~100IU/kg、約10~80IU/kg、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、約20~100IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、又は約20~40IU/kgである。特定の実施形態では、用量は約30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~150IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、又は約40~150IU/kgである。
【0207】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約10~400IU/kg、約10~320IU/kg、約10~300IU/kg、約10~200IU/kg、約10~190IU/kg、約10~180IU/kg、約10~170IU/kg、約10~160IU/kg、約10~150IU/kg、約10~140IU/kg、約10~130IU/kg、約10~120IU/kg、約10~110IU/kg、約10~100IU/kg、約10~90IU/kg、約10~80IU/kg、約10~70IU/kg、約10~60IU/kg、約10~50IU/kg、約10~40IU/kg、約10~30IU/kg、又は約10~20IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約10~320IU/kg、約10~160IU/kg、10~80IU/kg、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、又は約10~20IU/kgである。
【0208】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約20~400IU/kg、約20~320IU/kg、約20~300IU/kg、約20~200IU/kg、約20~190IU/kg、約20~180IU/kg、約20~170IU/kg、約20~160IU/kg、約20~150IU/kg、約20~140IU/kg、約20~130IU/kg、約20~120IU/kg、約20~110IU/kg、約20~100IU/kg、約20~90IU/kg、約20~80IU/kg、約20~70IU/kg、約20~60IU/kg、約20~50IU/kg、約20~40IU/kg、又は約20~30IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約20~320IU/kg、約20~160IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、又は約20~40IU/kgである。
【0209】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約30~400IU/kg、約30~320IU/kg、約30~300IU/kg、約30~200IU/kg、約30~190IU/kg、約30~180IU/kg、約30~170IU/kg、約30~160IU/kg、約30~150IU/kg、約30~140IU/kg、約30~130IU/kg、約30~120IU/kg、約30~110IU/kg、約30~100IU/kg、約30~90IU/kg、約30~80IU/kg、約30~70IU/kg、約30~60IU/kg、約30~50IU/kg、又は約30~40IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約30~320IU/kg、約30~160IU/kg、約30~80IU/kg、約30~60IU/kg、又は約30~40IU/kgである。
【0210】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~200IU/kg、約40~190IU/kg、約40~180IU/kg、約40~170IU/kg、約40~160IU/kg、約40~150IU/kg、約40~140IU/kg、約40~130IU/kg、約40~120IU/kg、約40~110IU/kg、約40~100IU/kg、約40~90IU/kg、約40~80IU/kg、約40~70IU/kg、約40~60IU/kg、又は約40~50IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約40~320IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである。
【0211】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約50~400IU/kg、約50~320IU/kg、約50~300IU/kg、約50~200IU/kg、約50~190IU/kg、約50~180IU/kg、約50~170IU/kg、約50~160IU/kg、約50~150IU/kg、約50~140IU/kg、約50~130IU/kg、約50~120IU/kg、約50~110IU/kg、約50~100IU/kg、約50~90IU/kg、約50~80IU/kg、約50~70IU/kg、又は約50~60IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約50~320IU/kg、約50~160IU/kg、約50~80IU/kg、又は約50~60IU/kgである。
【0212】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約60~400IU/kg、約60~320IU/kg、約60~300IU/kg、約60~200IU/kg、約60~190IU/kg、約60~180IU/kg、約60~170IU/kg、約60~160IU/kg、約60~150IU/kg、約60~140IU/kg、約60~130IU/kg、約60~120IU/kg、約60~110IU/kg、約60~100IU/kg、約60~90IU/kg、約60~80IU/kg、又は約60~70IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約60~400IU/kg、約60~320IU/kg、約60~160IU/kg、又は約60~80IU/kgである。
【0213】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約70~400IU/kg、約70~320IU/kg、約70~300IU/kg、約70~200IU/kg、約70~190IU/kg、約70~180IU/kg、約70~170IU/kg、約70~160IU/kg、約70~150IU/kg、約70~140IU/kg、約70~130IU/kg、約70~120IU/kg、約70~110IU/kg、約70~100IU/kg、約70~90IU/kg、又は約70~80IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約70~320IU/kg、約70~160IU/kg、又は約70~80IU/kgである。
【0214】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約80~400IU/kg、約80~320IU/kg、約80~300IU/kg、約80~200IU/kg、約80~190IU/kg、約80~180IU/kg、約80~170IU/kg、約80~160IU/kg、約80~150IU/kg、約80~140IU/kg、約80~130IU/kg、約80~120IU/kg、約80~110IU/kg、約80~100IU/kg、又は約80~90IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約80~320IU/kg、又は約80~160IU/kgである。
【0215】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約90~400IU/kg、約90~320IU/kg、約90~300IU/kg、約90~200IU/kg、約90~190IU/kg、約90~180IU/kg、約90~170IU/kg、約90~160IU/kg、約90~150IU/kg、約90~140IU/kg、約90~130IU/kg、約90~120IU/kg、約90~110IU/kg、又は約90~100IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約90~320IU/kg、又は約90~160IU/kgである。
【0216】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約100~400IU/kg、約100~320IU/kg、約100~300IU/kg、約100~200IU/kg、約100~190IU/kg、約100~180IU/kg、約100~170IU/kg、約100~160IU/kg、約100~150IU/kg、約100~140IU/kg、約100~130IU/kg、約100~120IU/kg、又は約100~110IU/kgである。特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約100~400IU/kg、約100~320IU/kg、又は約100~160IU/kgである。
【0217】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約110~400IU/kg、約110~320IU/kg、約110~300IU/kg、約110~200IU/kg、約110~190IU/kg、約110~180IU/kg、約110~170IU/kg、約110~160IU/kg、約110~150IU/kg、約110~140IU/kg、約110~130IU/kg、又は約110~120IU/kgである。更なる実施形態は、約120~400IU/kg、約120~320IU/kg、約120~300IU/kg、約120~200IU/kg、約120~190IU/kg、約120~180IU/kg、約120~170IU/kg、約120~160IU/kg、約120~150IU/kg、約120~140IU/kg、又は約120~130IU/kgの用量を提供する。
【0218】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約130~400IU/kg、約130~320IU/kg、約130~300IU/kg、約130~200IU/kg、約130~190IU/kg、約130~180IU/kg、約130~170IU/kg、約130~160IU/kg、約130~150IU/kg、又は約130~140IU/kgである。更なる実施形態は、約140~400IU/kg、約140~320IU/kg、約140~300IU/kg、約140~200IU/kg、約140~190IU/kg、約140~180IU/kg、約140~170IU/kg、約140~160IU/kg、又は約140~150IU/kgの用量を提供する。
【0219】
特定の実施形態では、治療有効量又は用量は、約150~400IU/kg、約150~320IU/kg、約150~300IU/kg、約150~200IU/kg、約150~190IU/kg、約150~180IU/kg、約150~170IU/kg、又は約150~160IU/kgである。更なる実施形態は、約160~400IU/kg、約160~320IU/kg、約160~300IU/kg、約160~200IU/kg、約160~190IU/kg、約160~180IU/kg、又は約160~170IU/kgの用量を提供する。また更なる実施形態は、約170~400IU/kg、約170~320IU/kg、約170~300IU/kg、約170~200IU/kg、約170~190IU/kg、又は約170~180IU/kgの用量を提供する。他の実施形態では、用量は約180~200IU/kg、又は約180~190IU/kgである。別の実施形態は、約190~200IU/kgの用量を提供する。
【0220】
対象の状態が改善された後、必要に応じて維持用量が投与される場合がある。従って、投薬量又は投与頻度又はこれら両方を、症状の関数として、改善された状態が保持されるレベルまで低減できる。しかしながら対象は、疾患の症状の再発時に長期にわたる断続的な治療を必要とする場合がある。特定の実施形態では、維持用量は、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、約10~30IU/kg、又は約10~20IU/kgとなる。特定の実施形態では、維持用量は、約10~20IU/kgとなる。特定の実施形態では、維持用量は、少なくとも約10IU/kg、少なくとも約20IU/kg、少なくとも約30IU/kg、少なくとも約40IU/kg、少なくとも約50IU/kg、又は少なくとも約60IU/kgである。特定の実施形態では、維持用量は、約10IU/kg、約20IU/kg、約30IU/kg、約40IU/kg、約50IU/kg、又は約60IU/kgである。特定の実施形態では、維持用量は、約10IU/kg、又は約20IU/kgである。特定の実施形態では、維持用量は、月1回、2週間毎、週1回、週2回、週3回、隔日、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間毎に投与される。特定の実施形態では、維持用量は毎日、又は隔日で投与される。
【0221】
(2)mg/mLを単位とするADAMTS13の投薬
特定の実施形態では、ADAMTS13は、約0.05mg/mL~約10mg/mLの治療有効用量で提供される。特定の実施形態では、ADAMTS13は、約0.05mg/mL~約10mg/mLの治療有効用量で提供される。他の実施形態では、ADAMTS13は、約0.1mg/mL~約10mg/mLの濃度で存在する。更に他の実施形態では、ADAMTS13は約0.1mg/mL~約5mg/mLの濃度で存在する。別の実施形態では、ADAMTS13は約0.1mg/mL~約2mg/mLの濃度で存在する。更に他の実施形態では、ADAMTS13は、約0.01mg/mL、又は約0.02mg/mL、0.03mg/mL、0.04mg/mL、0.05mg/mL、0.06mg/mL、0.07mg/mL、0.08mg/mL、0.09mg/mL、0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.3mg/mL、0.4mg/mL、0.5mg/mL、0.6mg/mL、0.7mg/mL、0.8mg/mL、0.9mg/mL、1.0mg/mL、1.1mg/mL、1.2mg/mL、1.3mg/mL、1.4mg/mL、1.5mg/mL、1.6mg/mL、1.7mg/mL、1.8mg/mL、1.9mg/mL、2.0mg/mL、2.5mg/mL、3.0mg/mL、3.5mg/mL、4.0mg/mL、4.5mg/mL、5.0mg/mL、5.5mg/mL、6.0mg/mL、6.5mg/mL、7.0mg/mL、7.5mg/mL、8.0mg/mL、8.5mg/mL、9.0mg/mL、9.5mg/mL、10.0mg/mL、及びこれらの範囲のおおよその濃度で存在してよい。他の実施形態では、濃度は10mg/mLを超える。
【0222】
(3)IU/mLを単位とするADAMTS13の投薬
同様に、特定の実施形態では、ADAMTS13の濃度は、単位体積あたりの酵素活性、例えば1mLあたりのA13酵素単位(IU/mL)として表現できる。例えば一実施形態では、製剤は約0.01IU/mL~約10,000IU/mLを含有してよい。別の実施形態では、製剤は約0.1IU/mL~約10,000IU/mLを含有してよい。別の実施形態では、製剤は約1IU/mL~約10,000IU/mLを含有してよい。別の実施形態では、製剤は約10IU/mL~約10,000IU/mLを含有してよい。他の実施形態では、製剤は約20IU/mL~約8,000IU/mL、又は約30IU/mL~約6,000IU/mL、又は約40IU/mL~約4,000IU/mL、又は約50IU/mL~約3,000IU/mL、又は約75IU/mL~約2,500IU/mL、又は約100IU/mL~約2,000IU/mL、又は約200IU/mL~約1,500IU/mL、又は以上の範囲内の他のおおよその範囲を含有してよい。ある好ましい実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、約150IU/mL~約600IU/mLを含有する。別の好ましい実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、約100IU/mL~約1,000IU/mLを含有する。特定の実施形態では、製剤は、約0.01IU/mL、又は約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9IU/mLを含有する。特定の実施形態では、製剤は、約10IU/mL、又は約20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、6,100、6,200、6,300、6,400、6,500、6,600、6,700、6,800、6,900、7,000、7,100、7,200、7,300、7,400、7,500、7,600、7,700、7,800、7,900、8,000、8,100、8,200、8,300、8,400、8,500、8,600、8,700、8,800、8,900、9,000、9,100、9,200、9,300、9,400、9,500、9,600、9,700、9,800、9,900、10,000IU/mL、又は更に高い濃度を含有する。
【0223】
(4)FRETS-VWF73活性の単位でのADAMTS13の投薬
更に他の実施形態では、本発明によって提供される製剤中のADAMTS13の濃度は、酵素活性のレベルとして表現できる。例えば一実施形態ではADAMTS13製剤は、約0.01単位のFRETS-VWF73活性~約10,000単位のFRETS-VWF73活性、又は他の好適なADAMTS酵素単位(IU)を含有してよい。特定の実施形態では、ADAMTS13製剤は、約10単位のFRETS-VWF73活性~約10,000単位のFRETS-VWF73活性、又は他の好適なADAMTS酵素単位(IU)を含有してよい。他の実施形態では、製剤は、約20単位のFRETS-VWF73(UFV73)活性~約8,000単位のFRETS-VWF73活性、又は約30UFV73~約6,000UFV73、又は約40UFV73~約4,000UFV73、又は約50UFV73~約3,000UFV73、又は約75UFV73~約2,500UFV73、又は約100UFV73~約2,000UFV73、又は約200UFV73~約1,500UFV73、又はこれらの中の他のおおよその範囲を含有してよい。ある好ましい実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、約150~約600UFV73を含有する。特定の実施形態では、製剤は、約0.01単位のFRETS-VWF73活性、又は約0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9単位のFRETS-VWF73活性を含有する。特定の実施形態では、製剤は、約10単位のFRETS-VWF73活性、又は約20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1,000、1,100、1,200、1,300、1,400、1,500、1,600、1,700、1,800、1,900、2,000、2,100、2,200、2,300、2,400、2,500、2,600、2,700、2,800、2,900、3,000、3,100、3,200、3,300、3,400、3,500、3,600、3,700、3,800、3,900、4,000、4,100、4,200、4,300、4,400、4,500、4,600、4,700、4,800、4,900、5,000、5,100、5,200、5,300、5,400、5,500、5,600、5,700、5,800、5,900、6,000、6,100、6,200、6,300、6,400、6,500、6,600、6,700、6,800、6,900、7,000、7,100、7,200、7,300、7,400、7,500、7,600、7,700、7,800、7,900、8,000、8,100、8,200、8,300、8,400、8,500、8,600、8,700、8,800、8,900、9,000、9,100、9,200、9,300、9,400、9,500、9,600、9,700、9,800、9,900、10,000又は更に高い単位のFRETS-VWF73活性を含有する。
【0224】
(5)投薬に関する他の考慮事項
他の態様及び実施形態では、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13は、COVID-19対象に対して、対象がVWF又は超大型VWF多量体の異常に高い又は過正常のレベルを示すと評価されたときに投与される。他の態様及び実施形態では、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13は、COVID-19対象に対して、対象がVWF又は超大型VWF多量体の異常に高い又は過正常のレベルを示すと評価されたときに投与される。更なる態様及び実施形態は、治療有効量の単離又は組換えADAMTS13をCOVID-19対象に、対象がADAMTS13の異常に低いレベル又は超低レベルを示すと評価されたときに提供する。
【0225】
特定の実施形態では、対象に投与されるADAMTS13の量は、対照(例えば投与前の対象の体内のADAMTS13の量)と比較した場合の、対象の体内でのADAMTS13の量の増大として測定される。いくつかの実施形態では、ADAMTS13は、対象の体内のADAMTS13のレベルを、投与前の対象の体内のADAMTS13タンパク質のレベルと比較して1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、又は20倍増大させる量で、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ADAMTS13タンパク質は、ADAMTS13タンパク質のレベルを、投与前の対象の体内のADAMTS13タンパク質のレベルと比較して少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は99%増大させる量で、対象に投与される。
【0226】
特定の実施形態では、ADAMTS13、又はADAMTS13を含む組成物は、隔日で、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間に1回、単一のボーラスの注入で投与される。
【0227】
特定の実施形態では、ADAMTS13、又はADAMTS13を含む組成物は、静脈内又は皮下投与される。
【0228】
特定の実施形態では、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同一用量に関して正規化された静脈内投与と比較して、少なくとも約40%、又は少なくとも約45%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約51%、又は少なくとも約52%、又は少なくとも約53%、又は少なくとも約54%、又は少なくとも約55%、又は少なくとも約56%、又は少なくとも約57%、又は少なくとも約58%、又は少なくとも約59%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約61%、又は少なくとも約62%、又は少なくとも約63%、又は少なくとも約64%、又は少なくとも約65%、又は少なくとも約66%、又は少なくとも約67%、又は少なくとも約68%、又は少なくとも約69%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約71%、又は少なくとも約72%、又は少なくとも約73%、又は少なくとも約74%、又は少なくとも約75%、又は少なくとも約76%、又は少なくとも約77%、又は少なくとも約78%、又は少なくとも約79%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約81%、又は少なくとも約82%、又は少なくとも約83%、又は少なくとも約84%、又は少なくとも約85%である。
【0229】
特定の実施形態では、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同一用量に関して正規化された静脈内投与と比較して、約30%~約90%、又は約80%、又は約50%である。特定の実施形態では、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同一用量に関して正規化された静脈内投与と比較して、約60%~約80%である。特定の実施形態では、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同一用量に関して正規化された静脈内投与と比較して、約50%~約70%である。特定の実施形態では、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同一用量に関して正規化された静脈内投与と比較して、約55%~約70%である。特定の実施形態では、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同一用量に関して正規化された静脈内投与と比較して、約55%~約65%である。特定の実施形態では、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同一用量に関して正規化された静脈内投与と比較して、約65%である。
【0230】
特定の実施形態では、皮下投与後のADAMTS13のバイオアベイラビリティは、同一用量に関して正規化された静脈内投与と比較して、約65%である。よって特定の実施形態では、静脈内投与によって、総ADAMTS13がの治療有効量が体重1キログラムあたり少なくとも20-160国際単位(IU/kg)を含み、バイオアベイラビリティが65%である(ただし±15%のばらつきが適用される)場合、皮下投与した場合にはバイオアベイラビリティは40~80%であり、25~400の範囲の国際単位が得られる。
【0231】
用量は、ADAMTS13が予防的に(例えば反復用量で)投与されるか、又は医療上の緊急事態に対応して、梗塞の有害な影響を即座に低減するために投与されるかに基づいて決定することもできる。
【0232】
本発明の組成物及び方法は、重篤な疾患状態、即ち生命を脅かす又はその可能性のある状況で使用できることに留意しなければならない。そのような場合、副作用(例えば出血、免疫系への影響)がないことから、本発明の医薬組成物をかなり過剰に投与することが可能であり、これは治療を実施する医師にとって望ましいと感じられる可能性がある。
【0233】
F.液体及び凍結乾燥製剤、並びに剤形
ある態様では、本発明はADAMTS13の安定化済み製剤を提供する。特定の実施形態では、本発明の製剤は、少なくとも約40℃までの温度で少なくとも約6か月間保管した場合に安定している。特定の実施形態では、少なくとも4℃までの温度で最大6、12、又は24か月保管した場合に安定している。他の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、長期間にわたって保管した場合に、相当なADAMTS13活性を保持する。更に他の実施形態では、本発明の製剤は、ADAMTS13タンパク質の二量体化、オリゴマー化、及び/又は凝集を低減又は遅延させる。
【0234】
一実施形態では、本発明は、治療有効量又は用量のADAMTS13、準生理学的濃度から生理学的濃度までの薬学的に許容可能な塩、安定化濃度の1つ又は複数の糖及び/又は糖アルコール、非イオン界面活性剤、製剤に中性pHを提供する緩衝剤、並びに任意選択でカルシウム及び/又は亜鉛塩を含む、ADAMTS13の製剤を提供する。一般に、本明細書で提供される安定化済みADAMTS13製剤は、薬学的投与に好適である。ある好ましい実施形態では、ADAMTS13は、ヒトADAMTS13、又は生物活性を有するその誘導体若しくは断片である。例えば、本発明によって提供される安定化済みADAMTS13製剤は、準生理学的塩濃度から生理学的塩濃度まで、例えば0mM~約200mMの、薬学的に許容可能な塩を含有することになる。一実施形態では、ADAMTS13製剤は、生理学的濃度の塩、例えば約100mM~約200mMの薬学的に許容可能な塩を含有することになる。他の実施形態では、ADAMTS13製剤は、約0mM、又は約5mM、10mM、15mM、20mM、25mM、30mM、35mM、40mM、45mM、50mM、55mM、60mM、65mM、70mM、75mM、80mM、85mM、90mM、95mM、100mM、110mM、120mM、130mM、140mM、150mM、160mM、170mM、180mM、190mM、200mM、若しくは更に多量の、薬学的に許容可能な塩を含有することになる。ある好ましい実施形態では、塩は、塩化ナトリウム又はカリウムである。
【0235】
特定の実施形態では、ADAMTS13製剤は液体製剤である。他の実施形態では、ADAMTS13製剤は、当該技術分野で公知の方法に従って、液体製剤から凍結乾燥される。
【0236】
準生理学的濃度の薬学的に許容可能な塩を含有するADAMTS13製剤は、平滑な表面を有するコンパクトな凍結乾燥ケーキ(lyocake)を形成する。更に、ADAMTS13タンパク質の、低塩含有量凍結乾燥製剤は、生理学的濃度の塩を用いて調製された製剤と比較してタンパク質の凝集を低減することがわかった。従って、ある好ましい実施形態では、特に凍結乾燥に関して、本発明は、準生理学的濃度の薬学的に許容可能な塩、例えば約100mM未満の薬学的に許容可能な塩を含有する、ADAMTS13の低塩含有量製剤を提供する。塩含有量が低い他の実施形態では、特に凍結乾燥に関して、製剤は、約80mM未満、約60mM未満、及び約30~60mMの薬学的に許容可能な塩を含有する。
【0237】
特定の実施形態では、製剤は、凍結乾燥時に平滑な表面を有するコンパクトな凍結乾燥ケーキの調製を支援し、ADAMTS13の安定化を補助するために、中程度のレベル(即ち約2%~約6%)の、1つ又は複数の糖及び/又は糖アルコールを含む。従って一実施形態では、本発明は、約2%~約6%の1つ又は複数の糖及び/又は糖アルコールを含有するADAMTS13製剤を提供する。単糖類、二糖類、若しくは多糖類、又は例えばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、ラクトース、スクロース、デキストラン、トレハロース、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルスターチ、及びカルボキシメチルセルロースを含む水溶性グルカンといった、いずれの糖を使用してよい。ある特定の実施形態では、スクロース又はトレハロースを糖添加物として使用する。糖アルコールは、約4~約8個の炭素原子とヒドロキシル基とを有する炭化水素として定義される。本明細書で提供されるADAMTS13製剤で使用できる糖アルコールの非限定的な例としては、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトール、及びアラビトールが挙げられる。一実施形態では、マンニトールが糖アルコール添加物として使用される。ある好ましい実施形態では、ADAMTS13製剤は、糖及び糖アルコール添加物の両方を含有する。
【0238】
糖及び糖アルコールは、個別に又は組み合わせて使用できる。いくつかの実施形態では、糖、糖アルコール、又はこれらの組み合わせは、製剤中に、約0.5%~約7%の濃度で存在することになる。一実施形態では、製剤中の糖及び/又は糖アルコール含有率は、約0.5%~約5%となる。特定の実施形態では、糖、糖アルコール、又はこれらの組み合わせは、約1%~約5%の濃度で存在することになる。ある好ましい実施形態では、糖、糖アルコール、又はこれらの組み合わせは、約2%~約6%の濃度で存在することになる。別の好ましい実施形態では、糖、糖アルコール、又はこれらの組み合わせは、約3%~約5%の濃度で存在することになる。特定の実施形態では、最終濃度は、約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6.0%、6.5%、又は7.0%の糖、糖アルコール、又はこれらの組み合わせであってよい。特定の実施形態では、本明細書で提供される製剤は、約0.5%~約5.0%の濃度の糖、及び約0.5%~約5.0%の濃度の糖アルコールを含んでよい。糖の濃度と糖アルコールの濃度とのいずれの組み合わせ、例えば約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6.0%、6.5%、又は7.0%の濃度で存在する糖と、約0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、3.5%、4%、4.5%、5%、5.5%、6.0%、6.5%、又は7.0%の濃度で存在する糖とを、使用してよい。
【0239】
一実施形態では、安定化濃度の非イオン界面活性剤を含有するADAMTS13製剤が提供される。本発明の製剤で使用できる、薬学的に許容可能な非イオン界面活性剤は、薬学の分野において公知であり、限定するものではないが、ポリソルベート80(Tween 80)、ポリソルベート20(Tween 20)、並びにPluronic F-68及びBRIJ(登録商標)35を含む様々なポロキサマー若しくはプルロニック(登録商標)、又はこれらの混合物が含まれる。ある好ましい実施形態では、本発明の医薬製剤で使用される非イオン界面活性剤は、ポリソルベート80である。特定の実施形態では、界面活性剤は、本明細書で提供される製剤中で、約0.001%~約0.2%の濃度で使用できる。ある好ましい実施形態では、界面活性剤は、約0.01%~約0.1%の濃度で使用される。別の好ましい実施形態では、界面活性剤は約0.05%の濃度で使用される。例えば特定の実施形態では、製剤は、約0.001%、0.005%、0.01%、0.02%、0.03%、0.04%、0.05%、0.06%、0.07%、0.08%、0.09%、0.1%、0.125%、0.15%、0.175%、0.2%等の濃度の非イオン界面活性剤を含んでよい。
【0240】
更に、ADAMTS13製剤は、約6.5~約7.5の中性pHで製剤した場合に安定化されることがわかった。従って特定の実施形態では、製剤を中性pHに維持するために好適な緩衝剤を含有する、ADAMTS13製剤が提供される。薬学的に許容可能な緩衝剤は当該技術分野において公知であり、限定するものではないが、リン酸緩衝剤、ヒスチジン、クエン酸ナトリウム、HEPES、トリス、ビシン、グリシン、N-グリシルグリシン、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、グリシルグリシン、リシン、アルギニン、リン酸ナトリウム、及びこれらの混合物が含まれる。好ましい実施形態では、緩衝剤は、ヒスチジン、リン酸緩衝剤、HEPES、及びクエン酸ナトリウムから選択される。ある好ましい実施形態では、緩衝剤はヒスチジン又はHEPESである。ある具体的実施形態では、緩衝剤はヒスチジンである。別の具体的実施形態では、緩衝剤はHEPESである。一実施形態では、本明細書で提供される製剤のpHは、約6.5~約9.0である。特定の実施形態では、製剤のpHは、約6.5、又は約6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、若しくは9.0である。ある好ましい実施形態では、A13製剤のpHは、約6.0~約8.0である。より好ましい実施形態では、A13製剤のpHは、約6.5~約7.5である。別の実施形態では、pHは約7.5である。ある特定の実施形態では、A13製剤のpHは約7.0である。別の特定の実施形態では、A13製剤のpHは7.0±0.2である。
【0241】
いずれの好適な形態のカルシウムを、例えば約0.5mM~約10mMの濃度で含めることによっても、製剤を安定させることができる。別の実施形態では、カルシウムはADAMTS13製剤中に、約2mM~約5mMの濃度で存在する。ある好ましい実施形態では、カルシウムはADAMTS13製剤中に、約2mM~約4mMの濃度で存在する。特定の実施形態では、カルシウムの濃度は、約0.5mM、又は約1mM、2mM、3mM、4mM、5mM、6mM、7mM、8mM、9mM、10mM、11mM、12mM、13mM、14mM、15mM、16mM、17mM、18mM、19mM、若しくは20mMである。ある特定の実施形態では、カルシウムの濃度は約2mMである。別の好ましい実施形態では、カルシウムの濃度は約3mMである。更に別の好ましい実施形態では、カルシウムの濃度は約4mMである。
【0242】
いずれの好適な形態の亜鉛を、例えば約2μM~約10μMの濃度で含めることによっても、製剤を安定させることができる。いくつかの実施形態では、亜鉛は本発明のADAMTS13製剤中に、約0.5μM~約20.0μMの濃度で存在する。ある好ましい実施形態では、亜鉛はADAMTS13製剤中に、約0.5μM~約10.0μMの濃度で提供される。特定の実施形態では、亜鉛の濃度は、約0.5μM、又は約1μM、2μM、3μM、4μM、5μM、6μM、7μM、8μM、9μM、又は10μMである。
【0243】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、約200mOsmol/L~約400mOsmol/Lの範囲内、又は約250~約350mOsmol/Lの範囲内の、等張性を有することになる。特定の実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、例えば約200mOsmol/L、又は約210mOsmol/L、220mOsmol/L、230mOsmol/L、240mOsmol/L、250mOsmol/L、260mOsmol/L、270mOsmol/L、280mOsmol/L、290mOsmol/L、300mOsmol/L、310mOsmol/L、320mOsmol/L、330mOsmol/L、340mOsmol/L、350mOsmol/L、360mOsmol/L、370mOsmol/L、380mOsmol/L、390mOsmol/L、若しくは400mOsmol/Lの、等張性を有することになる。
【0244】
本明細書で提供される製剤で使用できる等張化剤の例としては、限定するものではないが、塩化ナトリウム、デキストロース、スクロース、キシリトール、フルクトース、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、塩化カリウム、マンノース、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、他の無機塩、他の糖、他の糖アルコール、及びこれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、ADAMTS13製剤は、少なくとも1つの等張化剤、又は少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、若しくは6つ以上の等張化剤を含んでよい。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は更に、1つ又は複数の薬学的に許容可能な賦形剤、キャリア、及び/又は希釈剤を含んでよい。特定の実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13組成物(ADAMTS13を含む組成物)は、米国特許出願公開第2011/0229455号及び/又は米国特許出願公開第2014/0271611号(各文献は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本出願に援用される)に記載されている範囲の等張性を有することになる。
【0245】
更に、本明細書で提供される製剤は、他の薬剤、キャリア、アジュバント、希釈剤、組織透過促進剤、可溶化剤等を含んでよい。薬学的投与のための組成物及び製剤の調製方法は、当業者には公知である。例えばREMINGTON'S PHARMACEUTICAL SCIENCES, 18TH ED., Mack Publishing Co., Easton, Pa. (1990)を参照。
【0246】
特定の実施形態では、ADAMTS13製剤はヒト組換えADAMTS13(hrADAMTS13、又はhrA13)タンパク質を含み、これは例えば本明細書に記載されている方法に従って得ることができる。特定の実施形態では、アミノ酸配列はGenBank受託番号NP_620594のものである。他の実施形態では、アミノ酸配列は、NP_620594のアミノ酸75~1427、その天然若しくは保存的バリアント、又は生物活性を有するその断片を含む。特定の実施形態では、hrADAMTS13タンパク質には、変異若しくはバリアント、例えば「ミスセンス(missense)」変異若しくはバリアントが含まれるか、又はこれらが組み込まれる。例えばある好適なバリアントは、Q97R変異を含む。特定の実施形態では、製剤又は医薬組成物は、複数のこのようなrhADAMTS13タンパク質の組み合わせ、例えば野生型配列及び1つ又は複数のバリアントを含む混合物、又は2つ以上のバリアントを含む混合物を含む。混合物を含む特定の実施形態では、タンパク質のうちの1つが優勢であってよく、例えばバリアントが野生型よりも優勢であってよい。
【0247】
一実施形態では、ADAMTS13製剤は、凍結乾燥に好適な液体組成物を含み、例えば米国特許第10,238,720号に記載されているように、使用のために再構成される。特定の実施形態では、組成物は、液体又は凍結乾燥組成物である。他の実施形態では、凍結乾燥組成物は、米国特許出願公開第2011/0229455号、及び/又は米国特許出願公開第2014/0271611号(各文献は、その全体があらゆる目的のために参照により本出願に援用される)に記載されているように、液体組成物から凍結乾燥される。
【0248】
本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、例えばボーラスとしての静脈内投与、又は筋肉内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、関節内、関節滑液包内、髄腔内、経口、表面局部、若しくは吸入経路による、ある期間にわたる連続注入といった、公知の方法による投与のために、製剤できる。特定の実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13製剤は、全身投与又は局所投与できる。全身投与としては、限定するものではないが、経口、真皮下、腹腔内、皮下、経鼻、舌下、又は直腸投与経路が挙げられる。局所投与としては、限定するものではないが、表面局部、皮下、筋肉内、及び腹腔内投与経路が挙げられる。特定の実施形態では、静脈内投与が好ましい。特定の実施形態では、皮下投与が好ましい。
【0249】
本発明の組成物及び方法は、以下の実施例で更に説明されるが、以下の実施例に限定されない。
【0250】
G.ADAMTS13タンパク質の混合物
特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つのADAMTS13バリアントとADAMTS13タンパク質(例えば野生型)との組み合わせを含む。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量(即ち全てのADAMTS13バリアント及び野生型を含む)の中に存在するADAMTS13バリアントの相対的な豊富度(例えばパーセンテージ)は、約5%~約95%、約10%~約90%、約15%~約85%、約20%~約80%、約25%~約75%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約60%、又は約45%~約55%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約40%~約90%、約40%~約80%、約45%~約75%、約50%~約80%、約50%~約70%、又は約55%~約65%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約50%~約75%、約52%~約72%、約55%~約70%、約59%~約72%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約45%~約85%、又は約47%~約84%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約47%~約84%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、約67%、約68%、約69%、約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、約84%、約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、又は約99%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約52%、約60%、約61%、約62%、約63%、約64%、約65%、約66%、又は約72%である。特定の実施形態では、組成物中のADAMTS13の総量の中に存在するADAMTS13バリアントのパーセンテージは、約52%、約65%、又は約72%である。
【0251】
特定の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つのADAMTS13バリアントとADAMTS13タンパク質(例えば野生型)との組み合わせを含む。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13タンパク質との比は、約4:1~約1:4、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13タンパク質との比は、約3:1~約1:3、約2:1~約1:2、又は約2:1~約1:3、又は約1:1~約1:3、又は約1:1.1~約1:2.9、又は約1:1.2~約1:2.8、又は約1:1.3~約1:2.7、又は約1:1.4~約1:2.6、又は約1:1.5~約1:2.5、又は約1:1.6~約1:2.4、又は約1:1.7~約1:2.3、又は約1:1.8~約1:2.2、又は約1:1.9~約1:2.1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13タンパク質との比は、約1.1:1~約2.9:1、又は約1.2:1~約2.8:1、又は約1.3:1~約2.7:1、又は約1.4:1~約2.6:1、又は約1.5:1~約2.5:1、又は約1.6:1~約2.4:1、又は約1.7:1~約2.3:1、又は約1.8:1~約2.2:1、又は約1.9:1~約2.1:1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:1~約1:3である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約3:1~約1:1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:1.1~約1:2.5である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約4:1、約4:1.5、約4:2、約4:2.5、約4:3、約4:3.5、約3:1、約3:1.5、約3:2、約3:2.5、約2:1、又は約2:1.5である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:1.5、約1:2、約1:2.5、約1:3、約1:3.5、約1:4、約2:2.5、約2:3、約2:3.5、約2:4、約3:3.5、又は約3:4である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:3である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約3:1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約2:1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:2である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約1:1である。特定の実施形態では、ADAMTS13バリアントとADAMTS13野生型との比は、約3:2である。
【0252】
特定の実施形態では、相対的な豊富度、パーセンテージ、及び/又は比は、ペプチドマッピング法によって決定される。特定の実施形態では、相対的な豊富度、パーセンテージ、及び/又は比は、実施例3に記載のペプチドマッピング法によって決定される。特定の実施形態では、相対的な豊富度、パーセンテージ、及び/又は比は、液体クロマトグラフィによって分離されたトリプシンペプチドのHPLC分析と、これに続く質量分析とによって決定される。特定の実施形態では、相対的な豊富度、パーセンテージ、及び/又は比は、抽出されたイオンクロマトグラムの強度に基づく。特定の実施形態では、相対的な豊富度、パーセンテージ、及び/又は比は、組成物中の全てのADAMTS13タンパク質及びバリアント(例えばQ97R ADAMTS13バリアント及びQ97 ADAMTS13タンパク質の合計)のピーク面積の合計に対する、ADAMTS13バリアント(例えばQ97R ADAMTS13バリアント)のトリプシンペプチドのピーク面積に基づいて決定される。特定の実施形態では、測定される組成物中の全てのADAMTS13タンパク質及びバリアントのトリプシンペプチドは、組成物中の他の全てのADAMTS13タンパク質及びバリアントと比較した場合に、ADAMTS13バリアントとの間の少なくとも1つのアミノ酸の差異に対して特異的である。例えば、ペプチドQ97R ADAMTS13バリアントについて測定可能な1つ又は複数のトリプシンペプチドは、AAGGILHLELLVAVGPDVFQAHR(配列番号5)、又はAAGGILHLELLVAVGPDVFQAHR(配列番号5)とEDTER(配列番号6)との組み合わせであり得、Q97 ADAMTS13タンパク質について測定されるトリプシンペプチドは、AAGGILHLELLVAVGPDVFQAHQEDTER(配列番号7)であり得る。
【0253】
特定の実施形態では、相対的な豊富度、パーセンテージ、及び/又は比は、組成物中のすべてのADAMTS13タンパク質及びバリアントの合計重量に対する、ADAMTS13バリアントの総重量に基づいて決定される。
【0254】
H.更なる組成物及び薬学的賦形剤
少なくとも1つのADAMTS13を活性成分として含有する、本開示の化合物及び方法で使用できる組成物又は医薬組成物は、様々な態様において、投与経路に応じて薬学的に許容可能なキャリア又は添加剤を含有する。このようなキャリア又は添加剤の例としては、水、薬学的に許容可能な有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアガム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(human serum albumin:HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、薬学的に許容可能な界面活性剤等が挙げられる。使用される添加剤は、限定するものではないが以上のもの又はこれらの組み合わせから、剤形に応じて適宜選択される。
【0255】
多様な水性キャリア、例えば水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン、又は水性懸濁液は、様々な態様において、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤と混合された活性化合物を含有する。このような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガントガム、及びアラビアガムであり、いくつかの例では、分散剤又は湿潤剤は、天然ホスファチド、例えばレシチン、又は脂肪酸を含む酸化アルキレンの濃縮産物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又は長鎖脂肪族アルコールを含む酸化エチレンの濃縮産物、例えばヘプタデカエチル-エンオキシセタノール、又は脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルを含む酸化エチレンの濃縮産物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、又は脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルを含む酸化エチレンの濃縮産物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンである。特定の実施形態では、水性懸濁液は、1つ又は複数の防腐剤、例えばエチル、又はn-プロピル、p-ヒドロキシベンゾエートを含有する。
【0256】
特定の実施形態では、本明細書で提供されるADAMTS13組成物は更に、米国特許出願公開第20110229455号及び/又は米国特許出願公開第2014/0271611号(各文献は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本出願に援用される)に記載されているような、1つ又は複数の薬学的に許容可能な賦形剤、キャリア、及び/又は希釈剤を含んでよい。
【0257】
例示的実施形態
1.重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)に罹患した対象における、少なくとも1つの状態又は合併症を治療又は防止する方法であって、その方法は、それを必要とする対象に、トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)を含む治療有効量の組成物を投与することを含む、方法。
【0258】
2.重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)感染又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)に関連する少なくとも1つの状態又は合併症の発症のリスクを有する対象を治療する方法であって、その方法は、それを必要とする対象に、トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ(ADAMTS13)を含む治療有効量の組成物を投与することを含む、方法。
【0259】
3.重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)に感染した又はコロナウイルス疾患2019(COVID-19)に罹患した対象における、少なくとも1つの状態又は合併症を治療又は防止する方法であって、その方法は:
a)それを必要とする対象に、組換えADAMTS13(トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテイナーゼ メンバー13)を含む治療有効量の医薬組成物を投与するステップであって、治療有効量は:
i)循環超高分子量(UHMW)フォン・ヴィレブランド因子(VWF)多量体を、投与前の対象の血中のVWFの測定レベルと比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、又は少なくとも約20%低下したレベルまで減少させるため;
ii)循環UHMW VWF多量体を、正常VWFベースライン値より約5%以下、約10%以下、又は約20%以下だけ高いレベルまで減少させるため;
iii)循環VWFを、投与前の対象の血中のVWFの測定レベルと比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、又は少なくとも約20%低下したレベルまで減少させるため;
iv)循環VWFを、正常VWFベースライン値より約5%以下、約10%以下、又は約20%以下だけ高いレベルまで減少させるため;
v)VWF活性レベルを、投与前の対象の血中のVWF活性の測定レベルと比較して少なくとも約5%、少なくとも約10%、又は少なくとも約20%低下したレベルまで低下させるため;
vi)VWF活性レベルを、正常VWF活性ベースライン値より約5%以下、約10%以下、又は約20%以下だけ高いレベルまで低下させるため;
vii)循環ADAMTS13レベルを、正常ADAMTS13ベースライン値より約100%~約150%上に上昇させるため;あるいは
viii)i)~vii)の組み合わせのため
に十分なものである、ステップ;並びに
b)循環VWF、UHMW VWF多量体、又はこれらの組み合わせの低下したレベルを維持するために、投与される量を周期的に監視及び調整するステップ
を含む、方法。
【0260】
4.対象は、状態又は合併症が存在する前に、ADAMTS13を含む組成物を投与される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0261】
5.対象は、状態又は合併症が存在した後に、ADAMTS13を含む組成物を投与される、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0262】
6.状態又は合併症は、凝固障害、血液凝固障害、梗塞、血栓症、塞栓症、卒中、静脈閉塞性障害、血栓形成促進状態、敗血症、腎不全、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血栓性微小血管症(TMA)、肺炎、喘息、高血圧症、VWF及び/若しくはその多量体(特に超大型多量体(UHMW))の血漿レベルの上昇、血漿VWF活性レベルの上昇、内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下、炎症、サイトカインレベルの上昇、又はこれらの組み合わせである、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0263】
7.血栓症は深部静脈血栓症(DVT)である、実施形態6に記載の方法。
【0264】
8.塞栓症は肺塞栓症(PE)である、実施形態6に記載の方法。
【0265】
9.合併症は、VWFの血漿レベルの上昇、UHMW VWF多量体の血漿レベルの上昇、及び/又は内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下である、実施形態6に記載の方法。
【0266】
10.合併症はサイトカインレベルの上昇である、実施形態6に記載の方法。
【0267】
11.COVID-19合併症は、ARDS、COPD、TMA、肺炎、喘息、肺高血圧症、深部静脈血栓症、肺塞栓症、又はこれらの組み合わせである、実施形態6に記載の方法。
【0268】
12.対象は65歳以上である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0269】
13.対象は危険因子を示す、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0270】
14.危険因子は、VWFの血漿レベルの上昇、超大型多量体(UHMW)VWF多量体の血漿レベルの上昇、血漿VWF活性レベルの上昇、内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下、内因性ADAMTS13の活性の低下活性、サイトカインレベルの上昇、凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞性障害、血栓形成促進状態、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、後天性TTP、播種性血管内凝固症候群(DIC)、敗血症、鎌状赤血球症、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、血栓性微小血管症(TMA)、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、肺高血圧症、血栓症、塞栓症、心筋梗塞、卒中、咳、息切れ、肺浸潤、呼吸不全、血漿フィブロゲン(fibrogen)の上昇、止血経路の活性化、集中治療室(ICU)への入院、又はこれらの組み合わせである、実施形態13に記載の方法。
【0271】
15.危険因子は、VWFの血漿レベルの上昇、UHMW VWF多量体の血漿レベルの上昇、及び/又は内因性ADAMTS13の血漿レベルの低下である、実施形態14に記載の方法。
【0272】
16.危険因子はサイトカインレベルの上昇である、実施形態14に記載の方法。
【0273】
17.危険因子は血栓形成促進状態である、実施形態14に記載の方法。
【0274】
18.危険因子は、ARDS、COPD、TMA、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、肺高血圧症、深部静脈血栓症、又は肺塞栓症のうちの1つである、実施形態14に記載の方法。
【0275】
19.ADAMTS13を含む組成物を対象に投与することが、状態又は合併症の持続時間、重症度、又は発生の頻度を、ADAMTS13を含む組成物を投与されていない対象と比較して低減させる、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0276】
20.ADAMTS13を含む組成物を対象に投与することが、VWFタンパク質の血漿レベル、VWF多量体の血漿レベル、VWF活性、血漿中のADAMTS13に対するVWFの比率(VWF:A13)、血小板凝集、血液凝固、血栓症、塞栓症、梗塞、静脈閉塞、卒中、炎症、血漿サイトカインレベル、又はこれらの組み合わせを、健康な個体における正常ベースライン範囲と比較して低減させる、実施形態1~19のいずれか1つに記載の方法。
【0277】
21.VWF多量体はUHMW多量体である、実施形態20に記載の方法。
【0278】
22.ADAMTS13を含む組成物を対象に投与することが、VWFタンパク質の血漿レベル、VWF多量体の血漿レベル、VWF活性、血漿VWF:A13、又はこれらの組み合わせを低減させる、実施形態20に記載の方法。
【0279】
23.ADAMTS13を含む組成物を対象に投与することが、血小板凝集、血液凝固、血栓症、塞栓症、梗塞、静脈閉塞、卒中、又はこれらの組み合わせを低減させる、実施形態20に記載の方法。
【0280】
24.ADAMTS13を含む組成物を対象に投与することが、ADAMTS13の血漿レベル、血漿ADAMTS13活性、又はこれらの組み合わせを、健康な個体の正常ベースラインまで上昇させる、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0281】
25.ADAMTS13を含む組成物を対象に投与することが、ADAMTS13の血漿レベル、血漿ADAMTS13活性、又はこれらの組み合わせを、ADAMTS13血漿レベル又はADAMTS13活性レベルの正常ベースライン範囲又は正常ベースライン値よりも、約20~100%上昇させる、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0282】
26.ADAMTS13を含む組成物を対象に投与することが、ADAMTS13の血漿レベル、血漿ADAMTS13活性、又はこれらの組み合わせを、ADAMTS13血漿レベル又はADAMTS13活性レベルの正常ベースライン値と比較して約100~150%上昇させる、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0283】
27.ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象のVWFレベルの所定の正常範囲の上限に相当するベースラインよりも約5%を超えて高いVWFレベルを有する対象について、約10~400IU/kgである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0284】
28.ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常ベースラインVWFレベルよりも少なくとも約2倍高いVWFレベルを有する対象について、約10~400IU/kg、又は約40~400IU/kgである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0285】
29.ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常ベースラインVWFレベルよりも少なくとも約3倍高いVWFレベルを有する対象について、約10~400IU/kg、又は約40~400IU/kgである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0286】
30.ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常ADAMTS13ベースライン活性及び/又はレベルの約30~70%のADAMTS13活性及び/又はレベルを有する対象について、約10~400IU/kgである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0287】
31.ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常ADAMTS13ベースライン活性及び/又はレベルの約20%未満のADAMTS13活性及び/又はレベルを有する対象について、約10~400IU/kg、又は約40~400IU/kgである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0288】
32.ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常UHMW VWF多量体ベースラインレベルの約100~130%の超高分子量(UHMW)VWF多量体レベルを有する対象について、約10~400IU/kg、又は約40~400IU/kgである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0289】
33.ADAMTS13の治療有効量は、健康な対象の正常UHMW VWF多量体ベースラインレベルの少なくとも約101%、少なくとも約105%、又は少なくとも約107%の超高分子量(UHMW)VWF多量体レベルを有する対象について、約10~400IU/kgである、実施形態1~26のいずれか1つに記載の方法。
【0290】
34.ADAMTS13の治療有効量は、約10~320IU/kg、約10~300IU/kg、約10~200IU/kg、約10~180IU/kg、約10~160IU/kg、約10~80IU/kg、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、約10~20IU/kg、約20~320IU/kg、約20~300IU/kg、約20~200IU/kg、約20~180IU/kg、約20~160IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、約20~40IU/kg、又は約20~30IU/kgである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0291】
35.ADAMTS13の治療有効量は、約30~320IU/kg、約30~300IU/kg、約30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~60IU/kg、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0292】
36.ADAMTS13の治療有効量は約10~60IU/kgである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0293】
37.ADAMTS13の治療有効量は約10~40IU/kgである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0294】
38.ADAMTS13の治療有効量は約10~20IU/kgである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0295】
39.ADAMTS13の治療有効量は約40~320IU/kgである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0296】
40.ADAMTS13の治療有効量は約40~160IU/kgである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0297】
41.ADAMTS13の治療有効量は約40~80IU/kgである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0298】
42.ADAMTS13の治療有効量は約40~60IU/kgである、実施形態1~33のいずれか1つに記載の方法。
【0299】
43.ADAMTS13を含む組成物は、毎月、2週間毎、毎週、週2回、週3回、隔日、毎日、12時間毎、8時間毎、6時間毎、4時間毎、2時間毎、又は1時間毎に投与される、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0300】
44.ADAMTS13を含む組成物は、1日1回、又は1日2回投与される、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0301】
45.ADAMTS13を含む組成物は、対象のVWFタンパク質のレベル及び/若しくは活性、並びに/又は対象のADAMTS13のレベル及び/若しくは活性の測定の24時間以内に投与される、実施形態1~42のいずれか1つに記載の方法。
【0302】
46.ADAMTS13を含む組成物は静脈内投与される、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0303】
47.ADAMTS13を含む組成物は皮下投与される、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0304】
48.上記投与は、ADAMTS13を含む組成物の静脈内ボーラスを送達することを含む、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0305】
49.上記投与は、ADAMTS13を含む組成物の静脈内注入を送達することを含む、実施形態1~45のいずれか1つに記載の方法。
【0306】
50.ADAMTS13を含む組成物は、血漿由来のヒトADAMTS13を含む、実施形態1~49のいずれか1つに記載の方法。
【0307】
51.ADAMTS13を含む組成物は組換えADAMTS13を含む、実施形態1~49のいずれか1つに記載の方法。
【0308】
52.組換えADAMTS13はヒトADAMTS13である、実施形態51に記載の方法。
【0309】
53.ADAMTS13は、ADAMTS13バリアントと野生型ADAMTS13との混合物である、実施形態1~49、51、又は52のいずれか1つに記載の方法。
【0310】
54.ADAMTS13バリアントと野生型ADAMTS13との比率は、約1:1~約3:1、約1:1、又は約3:2である、実施形態53に記載の方法。
【0311】
55.ADAMTS13バリアントは、組成物中の総ADAMTS13の約52%~約72%又は約47%~約84%を構成する、実施形態53に記載の方法。
【0312】
56.上記比率、又はパーセンテージは、a)ペプチドマッピングによって、b)液体クロマトグラフィによって分離されたトリプシンペプチドのHPLC分析及びこれに続く質量分析によって、又はc)抽出されたイオンクロマトグラムの強度に基づいて、決定される、実施形態54又は実施形態55に記載の方法。
【0313】
57.組換えADAMTS13又は野生型ADAMTS13は、配列番号1のアミノ酸配列、又は配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、実施形態51~56のいずれか1つに記載の方法。
【0314】
58.組換えADAMTS13又は野生型ADAMTS13は、配列番号1のアミノ酸配列から本質的になる、実施形態57に記載の方法。
【0315】
59.組換えADAMTS13又は野生型ADAMTS13は、配列番号1のアミノ酸配列からなる、実施形態57に記載の方法。
【0316】
60.組換えADAMTS13又はADAMTS13バリアントは、配列番号1に示されているアミノ酸Q97における又はADAMTS13中の同等のアミノ酸位置における単一のアミノ酸置換を含むADAMTS13バリアントである、実施形態51~59のいずれか1つに記載の方法。
【0317】
61.単一のアミノ酸の変更は、QからD、E、K、H、L、N、P、又はRへの変更である、実施形態60に記載の方法。
【0318】
62.単一のアミノ酸の変更は、QからRへの変更である、実施形態60に記載の方法。
【0319】
63.ADAMTS13バリアントは、配列番号2のアミノ酸配列、又は配列番号2のアミノ酸配列と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、実施形態60に記載の方法。
【0320】
64.ADAMTS13バリアントは、配列番号2のアミノ酸配列から本質的になる、実施形態60に記載の方法。
【0321】
65.ADAMTS13バリアントは、配列番号2のアミノ酸配列からなる、実施形態60に記載の方法。
【0322】
66.組成物は、凍結乾燥製剤から再構成された水溶液を含む、実施形態1~65のいずれか1つに記載の方法。
【0323】
67.凍結乾燥製剤は、少なくとも約200FRET-U/mlのADAMTS13を含む液体製剤から凍結乾燥される、実施形態66に記載の方法。
【0324】
68.液体製剤のpHは約7.0~7.5である、実施形態67に記載の方法。
【0325】
69.凍結乾燥される液体製剤は更に、ヒスチジン、塩化ナトリウム、スクロース、トレハロース、マンニトール、塩化カルシウム、ポリソルベート80、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、実施形態67に記載の方法。
【0326】
70.凍結乾燥される液体製剤は更に、約20mMのヒスチジン、約30~60mMの塩化ナトリウム、約1~2%のスクロース、約3%のマンニトール、約4mMの塩化カルシウム、及び約0.05%のポリソルベート80を含む、実施形態69に記載の方法。
【0327】
71.以下の更なるステップ:
対象のVWFレベルを周期的に測定するステップ;及び
対象のVWFレベルが、健康な個体の所定のベースライン範囲内である場合に、治療有効量を約10~100IU/kgまで低減するステップ
を含む、実施形態1~70のいずれか1つに記載の方法。
【0328】
72.VWFレベルに関する正常ベースライン範囲は、確立された又は所定の平均ベースラインの約50~200%、又は約42~136%の範囲である、実施形態20~71のいずれか1つに記載の方法。
【0329】
73.ADAMTS13レベルに関する正常ベースライン範囲は、確立された又は所定の平均ベースラインの約40~160%、又は約87~113%の範囲である、実施形態20~72のいずれか1つに記載の方法。
【0330】
74.COVID-19と診断された対象の血栓性凝固障害のリスクが増大しているかどうかを決定する方法であって、その方法は:
a)血漿試料において、
i)VWFタンパク質の血漿レベル;
ii)血漿試料中のVWFの活性レベル;
iii)UHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベル;
iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベル;又は
v)血漿試料中のADAMTS13タンパク質の活性レベル
のうちの1つ又は複数を測定するステップ;
b)ステップa)で測定された1つ又は複数の血漿レベル又は活性レベルを、同じ1つ又は複数の血漿レベル又は活性レベルに関するベースライン範囲又はベースライン値と比較するステップ;及び
c)
i)VWFタンパク質の血漿レベルが上昇していること;
ii)VWFの活性レベルが上昇していること;
iii)血漿UHMW VWFタンパク質多量体が検出される、若しくはUHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベルが上昇していること;
iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが低下していること;又は
v)ADAMTS13タンパク質の活性レベルが低下していること
のうちの少なくとも1つが満たされた場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定するステップ
を含む、方法。
【0331】
75.少なくともVWFタンパク質の血漿レベルが上昇している、実施形態74に記載の方法。
【0332】
76.少なくともVWFの活性レベルが上昇している、実施形態74又は実施形態75に記載の方法。
【0333】
77.少なくともUHMW VWFタンパク質多量体が検出されるか、又はUHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベルが上昇している、実施形態74~76のいずれか1つに記載の方法。
【0334】
78.少なくともADAMTS13タンパク質の血漿レベルが低下している、実施形態74~77のいずれか1つに記載の方法。
【0335】
79.少なくともADAMTS13タンパク質の活性レベルが低下している、実施形態74~78のいずれか1つに記載の方法。
【0336】
80.血栓性凝固障害は、血小板凝集、血液凝固、血栓症、血栓性微小血管症、塞栓症、梗塞、静脈閉塞、卒中、血栓症由来の腎不全、又はこれらの組み合わせである、実施形態74~79のいずれか1つに記載の方法。
【0337】
81.血栓症は深部静脈血栓症(DVT)である、実施形態80に記載の方法。
【0338】
82.塞栓症は肺塞栓症(PE)である、実施形態80に記載の方法。
【0339】
83.血栓性凝固障害は、血栓症由来の腎不全である、実施形態80に記載の方法。
【0340】
84.対象は、VWFタンパク質の血漿レベルが、VWFタンパク質血漿レベルに関するベースライン値の約120%~約300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~83のいずれか1つに記載の方法。
【0341】
85.対象は、VWFタンパク質の血漿レベルが、VWFタンパク質血漿レベルに関するベースライン値の約300%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~84のいずれか1つに記載の方法。
【0342】
86.対象は、血漿試料中のVWFの活性レベルが、VWF活性レベルに関するベースライン値の約120%~約300%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~85のいずれか1つに記載の方法。
【0343】
87.対象は、血漿試料中のVWFの活性レベルが、VWF活性レベルに関するベースライン値の約300%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~86のいずれか1つに記載の方法。
【0344】
88.対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値の約70%~約100%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~87のいずれか1つに記載の方法。
【0345】
89.対象は、ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが、ADAMTS13タンパク質血漿レベルに関するベースライン値の70%以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~88のいずれか1つに記載の方法。
【0346】
90.対象は、血漿試料中のADAMTS13の活性レベルが、ADAMTS13活性レベルに関するベースライン値の約70%~約100%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~89のいずれか1つに記載の方法。
【0347】
91.対象は、血漿試料中のADAMTS13の活性レベルが、ADAMTS13活性レベルに関するベースライン値の70%以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~90のいずれか1つに記載の方法。
【0348】
92.対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の約100%~約110%である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~91のいずれか1つに記載の方法。
【0349】
93.対象は、UHMW VWF多量体の血漿レベルが、UHMW VWF多量体血漿レベルに関するベースライン値の110%以上である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~92のいずれか1つに記載の方法。
【0350】
94.対象は、血漿試料中のVWFレベル:A13レベルの比率が3以下である場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~93のいずれか1つに記載の方法。
【0351】
95.対象は、血漿試料中のVWFレベル:A13レベルの比率が3を超える場合に、血栓性凝固障害の発症のリスクを有する、実施形態74~94のいずれか1つに記載の方法。
【0352】
96.ベースライン値は、正常な対照集団に基づく所定値である、実施形態74~95のいずれか1つに記載の方法。
【0353】
97.ベースライン値は、正常な対照集団の所定の範囲の平均である、実施形態74~96のいずれか1つに記載の方法。
【0354】
98.COVID-19と診断された対象が血栓性凝固障害のリスクを有するかどうかを決定する方法であって、その方法は:
a)血漿試料において、
i)VWFタンパク質の血漿レベル;
ii)血漿試料中のVWFの活性レベル;
iii)UHMW VWFタンパク質多量体の血漿レベル;
iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベル;及び/又は
v)血漿試料中のADAMTS13タンパク質の活性レベル
のうちの1つ又は複数を測定するステップ;及び
b)以下:
i)VWFタンパク質の血漿レベルが少なくとも約1.2IU/mlであること;
ii)VWF活性レベルが少なくとも約1.2IU/ml若しくは約1.8IU/mlであること;
iii)血漿UHMW VWFタンパク質多量体が検出されること;
iv)ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが約0.7IU/ml以下であること;及び/又は
v)ADAMTS13タンパク質の活性レベルが約0.8若しくは約0.9IU/ml以下であること
のうちの少なくとも1つが満たされた場合に、対象が血栓性凝固障害のリスクを有すると特定するステップ
を含む、方法。
【0355】
99.ステップb)において:
i)VWFタンパク質の血漿レベルが少なくとも約4.5IU/mlであること;
ii)VWF活性レベルが少なくとも約3.3IU/ml若しくは約4.4IU/mlであること;
iii)ADAMTS13タンパク質の血漿レベルが約0.4IU/ml以下であること;及び/又は
iv)ADAMTS13タンパク質の活性レベルが約0.4若しくは約0.5IU/ml以下であること
のうちの少なくとも1つが満たされた場合に、対象は血栓性凝固障害の高いリスクを有する、実施形態98に記載の方法。
【0356】
100.VWF活性レベルは、VWFリストセチン補因子活性によって測定される、実施形態74~99のいずれか1つに記載の方法。
【0357】
101.VWF活性レベルは、VWFコラーゲン結合活性によって測定される、実施形態74~99のいずれか1つに記載の方法。
【0358】
102.ADAMTS13活性レベルはELISAによって測定される、実施形態74~99のいずれか1つに記載の方法。
【0359】
103.VWF活性レベルはFRETSによって測定される、実施形態74~99のいずれか1つに記載の方法。
【0360】
104.対象は、対象から採取された血液又は鼻粘膜試料から、PCRによってSARS-CoV-2 RNAを検出することにより、COVIDであると診断される、実施形態74~103のいずれか1つに記載の方法。
【0361】
105.対象は、SARS-CoV-2のセロコンバージョンによって、COVIDであると診断される、実施形態74~104のいずれか1つに記載の方法。
【0362】
106.対象は、対象の血漿においてSARS-CoV-2抗体を検出することによって、COVIDであると診断される、実施形態74~105のいずれか1つに記載の方法。
【0363】
107.対象から血液試料を得ることを更に含む、実施形態74~106のいずれか1つに記載の方法。
【0364】
108.血液試料は抗凝固剤によって処置される、実施形態107に記載の方法。
【0365】
109.抗凝固剤はEDTA、クエン酸ナトリウム、又はヘパリンである、実施形態108に記載の方法。
【0366】
110.上記方法は、対象に、治療有効量のADAMTS13を含む組成物を投与することを更に含む、実施形態74~109のいずれか1つに記載の方法。
【0367】
111.ADAMTS13の治療有効量は、約10~400IU/kgである、実施形態110に記載の方法。
【0368】
112.ADAMTS13の治療有効量は、約10~320IU/kg、約10~300IU/kg、約10~200IU/kg、約10~180IU/kg、約10~160IU/kg、約10~80IU/kg、約10~60IU/kg、約10~40IU/kg、約10~20IU/kg、約20~320IU/kg、約20~300IU/kg、約20~200IU/kg、約20~180IU/kg、約20~160IU/kg、約20~80IU/kg、約20~60IU/kg、約20~40IU/kg、又は約20~30IU/kgである、実施形態110又は実施形態111に記載の方法。
【0369】
113.ADAMTS13の治療有効量は、約30~320IU/kg、約30~300IU/kg、約30~180IU/kg、約30~160IU/kg、約30~60IU/kg、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである、実施形態110又は実施形態111に記載の方法。
【0370】
114.上記方法は、対象に、治療有効量のADAMTS13を含む組成物を投与することを更に含み、ADAMTS13の治療有効量は、約10~40IU/kg、約10~30IU/kg、約10~20IU/kg、約20~40IU/kg、又は約20~30IU/kgである、実施形態84、86、88、90、92、94、又は98のいずれか1つに記載の方法。
【0371】
115.ADAMTS13の治療有効量は、約10IU/kg、約20IU/kg、約30IU/kg、又は約40IU/kgである、実施形態114に記載の方法。
【0372】
116.上記方法は、対象に、治療有効量のADAMTS13を含む組成物を投与することを更に含み、ADAMTS13の治療有効量は、約40~400IU/kg、約40~320IU/kg、約40~300IU/kg、約40~180IU/kg、約40~160IU/kg、約40~80IU/kg、又は約40~60IU/kgである、実施形態85、87、89、91、93、95、又は99のいずれか1つに記載の方法。
【0373】
117.ADAMTS13の治療有効量は、約40IU/kg、約60IU/kg、約80IU/kg、又は約160IU/kgである、実施形態116に記載の方法。
【0374】
118.COVID-19と診断された対象が血栓性凝固障害のリスクを有するかどうかを決定するための、キットであって、キットは:(i)VWFタンパク質の血漿レベル、VWFの活性レベル、UHMW VWF多量体の血漿レベル、ADAMTS13タンパク質の血漿レベル、ADAMTS13の活性レベルのうちの1つ又は複数を決定するための、1つ又は複数の試薬;(ii)任意選択で、包装及び/又は使用説明書;並びに(iii)任意選択で、SARS-CoV-2を検出するため又はCOVID-19を診断するための1つ又は複数の試薬を含む、キット。
【実施例】
【0375】
実施例1:組換えADAMTS13(rA13)の発現
ヒトADAMTS13を発現する組換えCHO細胞株のケモスタット細胞培養物を追加の亜鉛及びビタミンB3が補充された、既知組成のBACD-A13培地中で成長させた。10Lの培養物を53日間保持し、rA13タンパク質及び活性の産生を経時的に監視した。
【0376】
ヒトADAMTS13を発現する組換えCHO細胞を、既知組成の専用培地(BCS培地)に適応させた。DWCBを解凍し、細胞摂取物をBCS培地中で調製した。rA13発現クローン#640-2から増殖させた細胞を、Rushton型インペラーを備えた10Lバイオリアクターに移し、専用のBACD-A13培地を用いて、7.15~7.20のインライン制御されたpH、37℃、空気の20%の飽和溶存酸素濃度という条件下で、バッチ培養を繰り返して培養した。2バッチ分の培養物を最終作業体積10Lまで成長させた後、5日目にバイオリアクターを連続培地供給に切り替え、ケモスタットモードで更に48時間動作させた。
【0377】
バイオリアクターからの上清の試料を毎週採取して、ELISAによってrA13タンパク質産生を分析し、またFRETS-VWF73アッセイによってrA13活性を分析した。細胞の個数を、Nucleocounter技術によって決定した。希釈率を測定し、これを、成長速度及び体積的生産性の計算に使用した。
【0378】
亜鉛及びニコチンアミドを、1.432mg/LのZnSO47H2O及び7.02mg/Lのニコチンアミドという最終濃度で補充した、既知組成のBACD-A13培地を用いての、連続培養条件下において、0.9~1.3mg/L/Dという高いレベルのrA13タンパク質産生、及び約800~1100mU/μg rA13という高いレベルの比活性が達成された(表1)。特に、体積的生産性及び細胞特異的な生産性は、長期培養において経時的に上昇した。これはおそらく、成長速度及び希釈率が経時的に上昇するためである。発現されたrA13の高い比活性は、培養物をケモスタット条件下で成長させる少なくとも7週間の全体にわたって、一定の高いレベルに少なくとも維持できた。実際には、培養物中で産生されたrA13の比活性は、2週目の約800mU/μg A13から7週目の約1100mU/μg A13へと上昇した。
【0379】
【0380】
この実施例による発現のための好適なrADAMTS13は、GenBank受託番号NP_620594のアミノ酸配列を有するヒトADAMTS13タンパク質である。
【0381】
実施例2:組換えヒトADAMTS13の発現及び精製
組換えADAMTS13は、懸濁培養での発酵プロセスにおいて、組換えチャイニーズハムスター卵巣(Chinese Hamster Ovary:CHO)細胞クローンによって生成される。成長培地は、ヒト又は動物由来の物質及び組換えタンパク質をいずれも含まない。ADAMTS13の発現に使用できるこれらのタイプの成長培地の例は、例えば米国特許第8,313,926号で確認できる。製造プロセスは、連続(ケモスタット)細胞培養法を利用する。精製プロセスは、ろ過による最初の細胞除去ステップで始まる。その後の4日目までの細胞非含有産物を組み合わせて、1つの下流バッチを生成する。プールされてろ過された回収物を、限外ろ過/ダイアフィルトレーションによって濃縮した後、溶媒界面活性剤ウイルス不活化プロセスに供する。更なる精製には、クロマトグラフィによる捕捉ステップ(アニオン交換)、ナノろ過ステップ(第2のウイルス削減ステップ)、ネガティブクロマトグラフィステップ(ハイドロキシアパタイト)とこれに続く混合モードクロマトグラフィ(Capto MMC)、及び最終的なクロマトグラフィ濃縮・予備製剤ステップ(カチオン交換)が含まれる。予備製剤されたバルク原薬(bulk drug substance:BDS)を、温度制御された冷凍庫内において-60℃で冷凍する。
【0382】
この実施例による発現のための好適なrADAMTS13は、GenBank受託番号NP_620594のアミノ酸配列を有するヒトADAMTS13タンパク質である。いずれのこのようなrADAMTS13配列の、例えばQ97Rバリアントを含む「ミスセンス」バリアントも、好適なものとなる。これらのうちのいずれの組み合わせも使用できる。
【0383】
実施例3:ADAMTS13活性に関するFRETS-VWF73アッセイ
ADAMTS13のタンパク質分解活性を、消光性蛍光基質(FRETS-VWF73、株式会社ペプチド研究所、日本、大阪)に対して、製造元のアッセイの説明に従って測定する。簡潔に述べると、rADAMTS13試料を、5mMのビス-トリス、25mMのCaCl2、及び0.005%のTween20を含有するバッファ中で(総体積100μLで)希釈して、黒色のマイクロタイタープレートに移す。試料を、希釈されたヒト血漿試料(80~5mU/mL血漿)の参照曲線に対して測定する。反応は基質(100μL、FRETS-VWF73;最終濃度2μM)の添加によって開始され、蛍光を、lex=360nm及びlem=460、30℃で、蛍光分光光度計で45分間にわたって2分毎に測定する(FLx800、Bio Tek)。活性の結果をヒト血漿の参照曲線から読み取る。データは、単位/mLを単位として表される。Kokame et al., FRETS-VWF73, a first fluorogenic substrate for ADAMTS13 assay, Br J Haematol 2005; 129: 93-100も参照。試料を、1U/mLのADAMTS13活性濃度が割り当てられた、プールされていた正常ヒト血漿(George King Biomedical、米国カンザス州オーバーランドパーク)の連続希釈で得られた参照曲線に対して測定する。正常ヒト血漿を1単位/mLとみなした。
【0384】
ADAMTS13の範囲の正常範囲は、活性の測定方法に左右される。当該技術分野で認識されているあらゆる方法が、本発明の範囲内である。特定の実施形態では、健康な個体の正常範囲は、所定の正常ベースライン値の40~160%である。Peyvandi et al., ADAMTS13 assays in thrombotic thrombocytopenic purpura. J Thromb Haemost. 2010 Apr;8(4):631-40を参照。特定の実施形態では、健康な個体の正常範囲又はベースライン範囲は、所定の正常ベースライン値の87~113%である。Mancini et al., J Thromb Haemost. 2021 Feb;19(2):513-521を参照。
【0385】
実施例4:精製済み組換えADAMTS13(rA13)の製剤
組換えADAMTS13を組換えCHO細胞中で発現させ、アニオン交換クロマトグラフィによって精製した。精製済みのrA13は、およそ750μg/mlの最終濃度、及びおよそ850mU/μgの比活性を有していた。rA13を、150mMのNaCl、2%のスクロース、0.05%のポリソルベート80を含有する緩衝液中で、pH7.0で、(1)ヒスチジン、(2)リン酸緩衝剤、又は(3)クエン酸ナトリウムから選択された20mMの緩衝剤を用いて製剤した。次に試料を均等に分割し、試料の半分を凍結乾燥した。
【0386】
凍結乾燥試料を、凍結乾燥前の製剤と同一の最終体積となるように、滅菌水で再構成した。次に、液体製剤及び凍結乾燥製剤それぞれの単一のアリコートを、試料をSuperose 6 GLカラム(GE Healthcare)に装入することによるゲルろ過によって、特性決定した。全ての製剤でADAMTS13試料が得られ、これらは、ゲルろ過による単量体rA13タンパク質に対応する単一のピークとして実行された。
【0387】
特定の実施形態では、ヒスチジン緩衝液が好ましい。好適なpHは約6.0~約8.0、好ましくは約6.5~約8.5、最も好ましくは約7.0又は7.5である。特定の実施形態では、HEPES緩衝液を使用してよい(例えば20mM)。任意選択で、好適な製剤はEDTA及び/又は亜鉛(例えばZnCl2)を含んでよい。特定の実施形態では、凍結乾燥に好適なrA13の液体製剤は、緩衝液に加えて、例えばスクロース若しくはトレハロース(例えば最大約2%)、マンニトール(例えば最大約3%)、及び/又はカルシウム(例えば2mMのCaCl2)である1つ又は複数の安定剤を含有する場合もある。特定の実施形態では、製剤は、約1%のスクロース及び約3%のマンニトールを含む。
【0388】
特定の実施形態では、凍結乾燥に好適なrA13の液体製剤は、約20mMのヒスチジン;約3%のマンニトール;約0.05%のポリソルベート80;約30又は約60mMのNaCl;約2又は約4mMのCaCl2;及び約1%又は約2%の糖(例えばスクロース又はトレハロース)を含む。この組成物は更に、例えば0.050%のTween 80を含んでよい。特定の実施形態では、約2%のスクロースの存在下で約0mM~約60mMの塩化ナトリウムを含有する製剤は、好適な凍結乾燥ケーキを形成する。
【0389】
特定の実施形態では、rA13の液体製剤又は再構成された凍結乾燥製剤は:10mM~50mMのヒスチジン;2%~4%のマンニトール;0.025%~0.1%のポリソルベート80;0mM~100mMのNaCl;2mM~4mMの塩化カルシウム;及び0.5%~2%のスクロースを含む。特定の実施形態では、製剤は更に、0.5μM~20μMの亜鉛を含む。
【0390】
特定の実施形態では、rA13の液体製剤又は再構成された凍結乾燥製剤は:10mM~50mMのヒスチジン;2%~4%のマンニトール;0.025%~0.1%のポリソルベート80;0mM~60mMのNaCl;2mM~4mMの塩化カルシウム;及び0.5%~2%スのクロースを含む。特定の実施形態では、製剤は更に、0.5μM~20μMの亜鉛を含む。
【0391】
液体製剤及び凍結乾燥製剤は、例えば室温(約37~40℃)又は冷蔵(約2~8℃)で、例えば37℃又は4℃で保管できる。特定の実施形態では、4℃での保管が好ましい。特定の実施形態では、製剤は最長で6、12、24、又は36か月保管される。特定の実施形態では、凍結乾燥製剤が好ましい。特定の実施形態では、ナトリウム含有量が少ない例えば最大で約100mMのNaCl、最大で約60mM、又は最大で約30mMのNaClを含む、凍結乾燥用の製剤が好ましい。
【0392】
実施例5:治療に使用するためのrADAMTS13製剤
本明細書に記載の実施例で使用するための医薬組成物は、約294FRETS-U/mlの活性を有する、rADAMTS13タンパク質を含む、凍結乾燥された液体製剤である。このタンパク質の好適なアミノ酸配列は:GenBank受託番号NP_620594等のヒト由来の組換えADAMTS13;GenBank受託番号NP_620594のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列;アミノ酸1~29を含むシグナルペプチドが除去された、GenBank受託番号NP_620594のアミノ酸配列の切断物;及びアミノ酸30~74を含む配列が除去された、GenBank受託番号NP_620594のアミノ酸配列の切断物である。また、例えばQ97Rバリアントを含む、いずれの上述のrADAMTS13配列の「ミスセンス」バリアントも好適である。これらのうちのいずれの組み合わせも使用できる。
【0393】
他の成分は、ポリソルベート80(約0.05%)、スクロース(約1~2%)、マンニトール(約3~4%)、カルシウム(約2~4mMのCaCl2)、ナトリウム(約30~60mMのNaCl)、及びヒスチジン(約20~25mM)である。pHは約7.0~7.5、例えば約7.0±0.2である。この組成物は、注射のために5mLの滅菌水中で再構成して使用する準備ができるまで、約2~8℃で保管される。COVID-19対象への投与は、IU/kgに基づく本明細書に記載の用量の単回静脈内ボーラスとして行われる。
【0394】
実施例6:ADAMTS13治療に関するCOVID-19対象の評価
この実施例によると、COVID-19対象が、以下の基準のうちの1つ又は複数に基づいて、ADAMTS13治療に関して評価される:
(a)対象が65歳以上であるかどうか;
(b)好適な臨床検査に従って、対象の血流中の内因性VWFのレベルが、所定の正常ベースライン値と比較して上昇しているかどうか;
(c)好適な臨床検査に従って、患者の血流中の1つ又は複数のサイトカイン、例えばIL-8、TNF-α、及び/又はIL-6のレベルが、所定の正常ベースライン値と比較して上昇しているかどうか;
(d)対象がICUに入院しているかどうか;
(e)対象が、凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、ARDS、COPD、肺炎、喘息、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、及び卒中(例えば虚血性脳卒中又は脳卒中)のうちの1つ又は複数に罹患している、あるいはこれらの兆候又は症状を示すかどうか;並びに
(f)対象が、凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、ARDS、COPD、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、及び卒中(例えば虚血性脳卒中又は脳卒中)の病歴、素因、又はリスクを有するかどうか。
【0395】
特定の実施形態では、COVID-19対象は、複数の上述の基準に基づいて、ADAMTS13治療に関して評価される。
【0396】
VWFのレベルは、本明細書に記載の好適な臨床検査に従って決定される。
【0397】
これらの基準に応じて、COVID-19対象を、本明細書では(1)「初期段階」若しくは「維持」群;又は(2)「後期段階」若しくは「レスキュー」群と呼ばれる2つの治療群のうちの一方に分類できる。
【0398】
「初期段階」又は「維持」A13治療群の選択基準は:
(i)凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、ARDS、COPD、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、及び卒中(例えば虚血性脳卒中又は脳卒中)の病歴、素因、又はリスク;
(ii)正常ベースラインよりも約50%以下だけ高いVWFレベル;並びに
(iii)正常ベースラインよりも約50%以下だけ高いサイトカインレベル
である。
【0399】
65歳以上で上述の基準を満たす対象は、特に治療を指示される。
【0400】
「後期段階」又は「レスキュー」A13治療群の選択基準は:
(i)活動性の凝固障害、血液凝固障害、静脈閉塞障害、血栓形成促進状態、ARDS、COPD、肺炎、喘息、妊娠高血圧症候群、閉経期高血圧、閉経周辺期高血圧、高血圧症(例えば肺高血圧症)、血栓症(例えばDVT)、気道の血栓性微小血管症(TMA)を含むTMA、塞栓症(例えばPE)、心筋梗塞、及び卒中(例えば虚血性脳卒中又は脳卒中)の診断;
(ii)正常ベースラインよりも約50%を超えて高いVWFレベル;並びに
(iii)正常ベースラインよりも約50%以下だけ高いサイトカインレベル
のうちのいずれか1つ又は複数である。
【0401】
65歳以上で上述の基準を満たす対象は、特に治療を指示される。ICUに入院している対象は、特に治療を指示される。正常ベースラインの少なくとも2倍のVWFレベルを有する対象は、特に治療を指示される。正常ベースラインの少なくとも2倍のサイトカインレベルを有する対象は、特に治療を指示される。
【0402】
この実施例では、VWFレベルの正常ベースラインは、約42~136%のVWF:抗原の範囲、又は約42~168%のVWF:活性の範囲のうちの一方である。これは、例えば本明細書に記載されているような、当該技術分野で公知の材料及び方法を用いる、臨床検査で決定される。サイトカインレベルの正常ベースライン、及び対象のサイトカインレベルは、当該技術分野で公知の方法に従って決定できる。これは、IL-8、TNF-α、及びIL-6のうちの1つ又は複数の試験を含む。正常VWF及びサイトカインレベル、又はベースラインVWF及びサイトカインレベルは、健康な対象において大きくばらつく可能性がある。正常A13レベルも、健康な対象の間でばらつく可能性がある。ある特定の対象に関するベースラインが分かっていない場合、これらの正常範囲のうちの1つ又は複数の平均又は上端若しくは下端を、ベースラインとして用いる。ある特定の対象に関するベースラインが、例えば病歴から分かっている場合、これを、治療群の選択のためのベースラインとして役立てることができる。
【0403】
実施例7:COVID-19対象の「初期段階」又は「維持」治療
「初期段階」又は「維持」治療が指示された対象には、実施例5のrADAMTS製剤が、10IU/kg~80IU/kg(体重)のrADAMTS13活性を有する用量で、隔日で静脈内投与される。用量及び/又はタイミングを調整して、ベースライン内因性VWFレベル又はベースライン内因性ADAMTS13レベルのうちの少なくとも一方に対して対象を正規化できる。ADAMTS13レベルを測定する場合、用量を調整して、ADAMTS13レベルを平均正常レベルの約20~100%だけ上昇させることができる。ADAMTS13レベルは、実施例3に記載されているもののような材料及び方法を用いる臨床検査によって、決定される。正常ADAMTS13ベースラインは、100~150%となり;正常平均ベースラインは、100%、又は確立された基準となる。投薬量は性別によって異なる場合があり、女性は、より高い正常ベースラインに合わせるために、比較的高い、例えば約5~10%高いA13用量を投与される。
【0404】
「初期段階」又は「維持」療法を受ける対象は、適切な選択基準が満たされた場合に「後期段階」又は「レスキュー」療法に切り替えられる場合がある。
【0405】
実施例8:COVID-19対象の「後期段階」又は「レスキュー」治療
「後期段階」又は「レスキュー」治療が指示された対象には、実施例5のrADAMTS製剤が、40IU/kg~160IU/kg(体重)のrADAMTS13活性を有する用量で、1日1回静脈内投与される。用量及び/又はタイミングを調整して、ベースライン内因性VWFレベル又は循環VWF超大型多量体の不在のうちの少なくとも一方に対して対象を正規化できる。投薬量は性別によって異なる場合があり、女性は比較的高い、例えば約5~10%高いA13用量を投与される。
【0406】
「後期段階」又は「レスキュー」療法を受ける対象は、「後期段階」若しくは「レスキュー」療法の経過からの改善によって正当であるとされた場合、又は適切な選択基準が満たされた場合に、「初期段階」又は「維持」療法に切り替えられる場合がある。
【0407】
実施例9:COVID-19対象の体内でのVWF/ADAMTS13の不均衡
肺及び全身の血管系に影響を及ぼす血栓症は、重症のCOVID-19では一般的であり、有害な転帰をもたらす。血栓症は血管細胞の炎症性活性化に起因する可能性が高いものの、血栓症の直接的な仲介因子は未確認である。重症のCOVID-19患者の交差コホートでは、フォン・ヴィレブランド因子(VWF)レベルが顕著に増大すると共に、VWF調節プロテアーゼADAMTS13が部分的に減少した。このVWF/ADAMTS13の不均衡は、全ての患者における、高い血栓形成性を有する循環性超高分子量(UHMW)VWF多量体の持続性に関連しているようである。これらの結果は、重症のCOVID-19の病因にVWF/ADAMTS13の調節不全が関連することを示しており、新たな治療標的を示唆する。重症のCOVID-19に罹患した患者からの血漿を、インビトロで組換えADAMTS13(rADAMTS13)で置換すると、VWF活性を、時間依存的かつ濃度依存的に有意に減少させることができ、これは多量体のサイズの縮小、及びUHMW VWF多量体の枯渇によって確認できる。これらのデータは、rADAMTS13での置換によるADAMTS13の血漿レベルの上昇により、COVID-19におけるVWFとADAMTS13とのバランスを回復させることができることを示している。
【0408】
この実施例では、重症のCOVID-19患者からの血漿を、ADAMTS13によるVWFの切断をシミュレートした条件(切断部位を露出させるための、例えば尿素による部分VWF変性)下で、rADAMTS13と共にインキュベートした。VWF活性、VWF多量体、及びADAMTS13活性を、正常血漿対照、及び血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)患者の血漿と比較した。以下に記載されている結果は、VWFレベル、特にUHMW VWF多量体の低減には、少量(μl)のADAMTS13で十分であることを示している。血漿VWFレベルは、(例えばVWF:CBとして測定した場合に)ADAMTS13の濃度の上昇に比例して、かつ時間依存的に、低下する。
【0409】
方法
患者及び試料の収集。患者は、2つの病院(n=24)又は(n=12)のCOVID-19専用の集中治療室(ICU)に7週間にわたって入院している18歳以上の成人である場合に、適格とされ、重度の呼吸不全のために人工呼吸を受けていた。可能であれば、SARS-CoV-2感染を、PCR試験によって、又は以下に記載の特定の抗体試験を用いたセロコンバージョンの検出によって、確認した。
【0410】
血漿試料は、症例の臨床的特徴の知識なしに、COVID-19用ICUから標準治療の凝固試験のために提出された新たな血液試料のおよそ1/3を選択することにより、病理検査質のスタッフによって特定された。従って研究コホートは、人工呼吸及び重症ケア(high dependency care)を必要とするCOVID-19の可能性が高い患者の、他の方法では選択されていない交差コホートを表す。臨床データはICUの電子記録から遡って取得され、症例報告フォームに匿名化された形式で記録された。民族データは、2001年の英国の国勢調査(https://www.ons.gov.uk/methodology/classificationsandstandards/measuringequality/ethnicgroupnationalidentityandreligion)で使用されている標準化された項に従って分類した。急性呼吸窮迫症候群の存在は、ベルリン基準を用いて評価した。Force et al., JAMA 307 (23) (2012) 2526-2533を参照。追加の細菌性敗血症のエビデンスは、同時期の臨床症例記録、及び血液培養又は細菌性敗血症バイオマーカーの結果といった病理学的記録の検査によって、検出された。分析は、標準的なケアの診断試験を実施した後に残った、匿名化された予備の血漿に対して実施した。試料分析、及び臨床データへのリンクは、サービス評価プロジェクトとして登録され、英国NHS健康研究機関のガイダンス(N.H.R.(NHS Health Research)Authority、https://www.hra.nhs.uk/;2020年9月7日にアクセス)に従って、ホスト組織により、研究倫理委員会の承認及び患者の同意から免除された。データ収集及び実験室分析は、ホスト機関でのサービス評価演習として登録され、これにより、研究倫理委員会の承認及び患者の同意が放棄されていることが確認された。
【0411】
SARS-CoV-2の検出。SARS-CoV-2 RNAは、Hologic Panther SystemでのAptima SARS-CoV-2アッセイ(Hologic社、米国マサチューセッツ州マールボロ)を用いたPCRによって、鼻咽頭スワブから検出された。SARS-CoV-2セロコンバージョンは、近年報告された新規の血清学的アッセイ(Goshua et al.、上述)を用いて検出された。試験システムは、いずれも患者のセロコンバージョンを示すために必要な、5U/mLを超える2つの独立したELISA抗体力価からなる。特定のSARS-CoV-2患者の抗体は、固定化された組換えSARS-CoV-2 RBDを用いて、TECHNOZYM anti SARS CoV 2 RBD IgG ELISA(Technoclone、オーストリア、ウィーン)に、及び固定化された組換え核SARS-CoV-2タンパク質を用いて、TECHNOZYM anti SARS CoV 2 NP IgG ELISA(Technoclone)に、結合させる。いずれのELISAでも、捕捉された患者の抗体は、抗ヒトIgG HRP標識ポリクローナル抗体を用いて検出され、RBDに特異的なモノクローナル抗体(CR3022)に対して標準化されたSARS-CoV-2陽性血清を用いて定量化される。
【0412】
凝固タンパク質の分析。日常的な臨床ケアの一環として3.2%のクエン酸三ナトリウム中に収集された血液試料を、2400gで10分間遠心分離することにより、血漿アリコートを得た。試料は、-80℃で、又は温度が監視されているドライアイス中で、バッチ分析まで保管された。プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、Claussフィブリノゲン、及びD二量体が、CS-2500シリーズアナライザ(シスメックス株式会社、日本、神戸)とSiemens Healthcareの試薬(ドイツ、マールブルク)とを製造元の説明書に従って使用して、測定された。第VIII因子活性は、Siemens HealthcareのActin FSアクチベータ及びFVIII欠乏血漿を用いた1ステージ活性アッセイを用いて決定された。
【0413】
血小板数。血小板数は、XNシリーズアナライザ(シスメックス)を用いて、EDTA血液試料で測定された。ABO血液型は、IH-1000機器(Bio-Rad Laboratories、英国、ワトフォード)を用いて、EDTA抗凝固処理済み血液試料から決定された。中心的な血液学的試験及び凝固試験は、Sysmex XN及びCS-2500アナライザ(シスメックス株式会社、日本、神戸)を用いて実施された。
【0414】
フォン・ヴィレブランド因子のアッセイ。VWF:Agは、患者の血漿の8つの異なる希釈物から、Asserachrom VWF:Ag試験キット(Diagnostica Stago、フランス、アニエール=シュル=セーヌ)を用いて決定され、ヒトの正常な血漿をアッセイの参照標準として用いた。VWFリストセチン補因子活性(VWF:RCo)は、BCS凝固システムアナライザ(Behring Coagulation System、BCS、Siemens、ドイツ)、及びWHO標準に対して較正された参照血漿を用いて測定された。VWFコラーゲン結合(VWF:CBA)は、TECHNOZYM VWF:CBA試験キット(Technoclone、オーストリア、ウィーン)を用いて、又はZymutest試験キット(HYPHEN BioMed SAS、フランス、ヌーヴィル=シュル=オワーズ)を用いて、WHO標準を元とするアッセイキャリブレータを使用して決定された。
【0415】
ADAMTS13のアッセイ。全てがTechnoclone(オーストリア、ウィーン)から得られた3つの相補的なアッセイ、TECHNOZYM ADAMTS13 Activity ELISA、TECHNOFLOUR ADAMTS13 Activity、及びTECHNOZYM ADAMTS13 Antigenを用いて、ADAMTS13の活性を決定した(実施例10を参照)。血漿ADAMTS13活性は、ELISA法及びFRETS法の両方を用いて決定された。ADAMTS13タンパク質レベルはELISAで決定された。VWF及びADAMTS13アッセイは、可能な限り国際保険機関の参照調製物に対して較正された、ヒト血漿参照を使用した。COVID-19患者試料は、急性期自己免疫TTPに罹患した48歳の男性からの対照血漿試料(判明しているADAMTS13レベル<0.01IU/mL)、及び高スピン正常プール血漿試料(0.9~1.0IU/mLの正常なADAMTS13;Precision BioLogic、カナダ、ノバスコシア州ダートマス)と共に、分析された。
【0416】
VWF多量体。VWF多量体組成物の分析は、半自動電気泳動ゲルと、ホームキャスト低解像度1%及び高解像度2.5%SDSアガロースゲルとの両方を用いて実施された。これらの相補的な電気泳動法は、電気泳動分析に共通する実験の偏りを低減するために選択された。後者の方法は、20MDa以上にもなる最大分子サイズの多量体であっても分離するように最適化されており、正常ヒト参照血漿中に存在するものよりも大きな多量体の定量的測定を可能にした。
【0417】
多量体組成物。VWF多量体組成物は、ホームキャスト低解像度SDSアガロース電気泳動ゲルで測定され、続いて過去に記述されている(South、上述)ように、市販のポリクローナル抗VWF抗体による免疫検出が実施された。試料が格納された状態で保持されるアナライザベースの方法とは対照的に、電気泳動は開放された系である。よって、感染性を低減するために、試料を分析前に、トリス/EDTA/SDS/アガロース中で60℃で1時間にわたって熱不活化した。試料スロットへのピペッティング前に、患者の血漿をその抗原レベルに応じて希釈することにより、各レーンに、1IU VWF:Ag/mLという同一濃度の試料が適用された。これにより、ゲルの変則的な染色を回避できるため、試料レーンの直接的な視覚的比較及び定量的濃度測定走査が可能となる。低分離状態及び高分離状態は、1%及び2.5%のSeaKemアガロース(Lonza、スイス、バーゼル)を使用した。多量体バンドを、抗VWF抗体(DAKO、Glostrup、デンマーク)と、それに続くヤギ抗ウサギALPコンジュゲート(Jackson、米国ペンシルベニア州ウエストグローブ)とによる、ゲル内2段階免疫染色によって検出した。バンドを、APコンジュゲート基質キット(Bio Rad、オーストリア、ウィーン)で可視化した。
【0418】
多量体の可視化。多量体パターンは、デンシトメトリー(GS-900、BioRad、米国カリフォルニア州)によって視覚的及び定量的に評価された。最も大きな多量体について、試料アプリケーションからの移動距離を測定し、相対移動度(Rf)を算出した。VWF二量体のRfには、移動値1.0が割り当てられた。最も大きな多量体に類似した、各レーンの最も高い染色部分のRfを算出して差し引いた(1-Rf)。各ゲルに対照として適用された正常ヒト血漿の1-Rf値が、参照として使用され、これは100%、の多量体を含有するものとして定義された。各試料レーンで検出された、1-Rfとして測定されたVWF多量体の最大サイズは、各ゲルの正常ヒト血漿レーンと比較して定量化された。この方法により、異なる電気泳動の実行において異なるアガロースゲル上で分離された試料の定量的比較が可能となる。異なる電気泳動ゲルでの実行の間の比較を可能とするために、この値を、同じゲル上で分離された正常血漿試料に対する1-Rf値のパーセンテージとして報告した(これ以降、UHMW多量体定量化パラメータと呼ぶ)。パーセンテージ値の増大は、試験試料中のUHMW VWF多量体を示す。
【0419】
ホームキャストゲル電気泳動からの知見を、HYDRAGEL von WILLEBRAND MULTIMERSキット、及びHYDRASYS 2 SCAN機器(Sebia、フランス、リス)を用いた半自動電気泳動ゲル法を用いて検証した。この方法は、高分子量のものから超大型のものまでの範囲のVWF多量体を、ホームキャスト1%アガロースゲルよりは不十分に分離するものであるが、ゲル間のより良好な再現性を示す。
【0420】
デンシトメトリー。調査対象の患者のうちの1人の試料が適用されたアガロースゲル上での多量体の定量的測定の図を、
図6に示す(患者B4)。1IU/mL VWF:Agの濃度に調整された患者の血漿を、1%アガロースゲル上で分離した。免疫染色デンシトメトリーの後、最も大きな多量体の相対移動(R
f)は0.192と算出され、これはデンシトグラムでの吸光度に従って定義されたものである(方法S8を参照)。分子量が最も小さい多量体(=二量体)のR
fは、1.0と定義された。1-R
fは0.808(=1.000-0.192)と算出された。同じゲル上で分離された正常ヒト血漿参照の1-R
fは、0.729と算出された(グラフには示されていない)。試料B24の相対多量体サイズは、111%(0.808/0.729*100=111%)と算出された。
図7は、急性TTP対照、及び正常ヒト血漿プールと直接比較された、COVID-19患者のデンシトメトリー走査の別の例を示す。COVID-19患者B24の試料、急性TTP試料、及び正常ヒト血漿プールのデンシトメトリー走査のこのオーバーレイでは、COVID-19患者は、正常対照より大きいものの急性TTPの患者よりは小さな多量体を有する。
【0421】
視覚的確認。HYDRAGEL von WILLEBRAND MULTIMERSキット(Sebia、フランス、リス)を用いて、ホームキャストアガロースゲルで得られた結果を確認した。HYDRASYS 2機器を用いた、半自動電気泳動システムとこれに続く免疫固定とによって、VWF多量体の全サイズ分布の視覚的評価が可能となる。分析は、製造元の説明書に従って実施された。この代替的なアガロースゲル電気泳動法は、高分子量のものから超大型のものまでの範囲のVWF多量体を、ホームキャスト1%アガロースゲルと同等の解像度で分離するものではないが、ゲル間のより良好な再現性を示すため、ホームキャストゲルを用いて得られた結果が検証される。
図8Aは、それぞれ1IU VWF:Ag/mLに調整されたCOVID-19患者の血漿が分離され、急性TTP及び正常対照と並行して多量体について染色された例を示す。9人のCOVID-19の患者の血漿試料を、半自動電気泳動によって分離した。各試料を1IU VWF:Ag/mLに調整し、分離し、並行して多量体について染色した。急性TTP血漿及び正常対照の試料は、同一のゲルに適用された。
図8Aの破線は、正常ヒト血漿対照の最大の染色可能部分を示す。
【0422】
rADAMTS13。チャイニーズハムスター卵巣細胞株由来の精製済み組換えヒトADAMTS13(rADAMTS13、Takeda、オーストリア、ウィーン)については、過去に記述されている。Plaimauer et al., Blood. 2002;100(10):3626-3632; Rottensteiner et al., J Thromb Haemost. 2019;17(12):2099-2109; Scully et al., Blood. 2017;130(19):2055-2063を参照。本研究で使用されるrADAMTS13製品は、遺伝性血栓性血小板減少性紫斑病の患者に関する臨床試験(ClinicalTrials.gov識別番号:NCT02216084)及び鎌状赤血球症の患者に関する臨床試験(ClinicalTrials.gov識別番号:NCT03997760)で使用されるものと同一の材料であった。
【0423】
VWFの切断の研究。rADAMTS13によるVWFの分解は、VWFが、切断モチーフをプロテアーゼにとってアクセス可能にするように部分的に変性する条件下で実施された。rADAMTS13(Takeda、オーストリア、ウィーン)を、10~100IU/mLのFRETS-VWF73活性(最終濃度0.5~10IU/mL)まで予備希釈し、5mMのトリス及び1.5Mの尿素の存在下で、pH8.0、37℃で30分間にわたり、BaCl2で活性化した。活性化されたrADAMTS13を、患者の血漿試料と1+9で混合し、タンパク質分解の前に、更に37℃で2~5時間インキュベートした。時点の数、及びrADAMTS13の濃度は、患者から得られる血漿の体積によって制限された。反応は、Na2SO4(最終濃度8.25mM)の添加によって停止された。血漿の内因性ADAMTS13の効果を測定するために、患者の試料をrADAMTS13の代わりに緩衝液で希釈して、rADAMTS13の場合と同一の手順に従った。試料を2500×gで5分間遠心分離し、上清中のVWFを、VWF:CBアッセイを用いて、またSebia Phoresis rel. 9.2.0ソフトウェアで実施される半自動電気泳動ゲルの定量的デンシトメトリーによって、分析することにより、デンシトメトリー曲線の下の面積から決定される、VWFの総量に対するVWF二量体レベルの相対的上昇を算出した。UHMW VWF多量体は上述のようにホームキャストゲルから定量化された。
【0424】
統計的分析。記述統計及びピアソン相関分析を実施して、異なる複数の試験方法で測定されたADAMTS13とVWFレベルと間の相関(r)を決定した。エクスビボVWF切断実験でrADAMTS13によるVWFの分解の程度を調査するために、対応のあるt検定を用いて、VWF:CBアッセイデータ(10個の試料)、及び半自動電気泳動ゲルからの相対VWF二量体含有量(8個の試料)を、ベースライン時点と、1IU/mLのrADAMTS13とのインキュベーションの5時間後とで比較した。全ての統計的分析は、Minitab version 18.1を用いて実施された。
【0425】
結果
調査に登録された36人の患者全員が、重症のCOVID-19の特徴である重度の呼吸不全に進行する、咳、息切れ、及び肺浸潤を伴う急速に進行する熱性疾患を示した。更に、34人の患者がSARS-CoV-2 PCR試験で陽性であり、そのうち30人が特異的なSARS-CoV-2抗体を示した。1人の患者はPCR試験で陰性であったが、感染と一致する高レベルのSARS-CoV-2抗体を示した。陽性検出試験は、PCRでの確認を実施できないうちに、急速に進行するCOVID-19によって死亡した1人の患者については、陽性検出試験は得られなかった。患者コホートは、中央値で16日間をICUで過ごした後、退院して低依存病棟へと移るか死亡した。実験室分析用の血液試料は、ICUへの入院の、中央値で10日後(範囲:0~57日後)に収集された。2人を除く全ての患者は、血液試料採取時点で、予防又は治療用量の非経口抗凝固剤を投与されていた。注目すべきことに、全ての患者が、止血経路の深刻な活性化と一致する、血漿フィブリノゲン、D-二量体レベル、及び第VIII因子活性の大幅な上昇を示していた。ISTH基準による播種性血管内凝固症候群の検査的特徴(laboratory feature)を有する患者はいなかった。Suzuki et al., J Thromb Haemost 2018 Jul;16(7):1442-1444を参照。研究用コホートの臨床的特徴及び重要な検査的特徴が表2で報告されている。臨床データは数(%)である。検査データは、健康な対照からの基準範囲と共に報告される中央値(範囲)である。ICU=集中治療室;LMWH=低分子量ヘパリン;UFH=未分画ヘパリン;PT=プロトロンビン時間;APTT=活性化部分トロンボプラスチン時間である。aはベルリンARDS基準に従って分類されている。Force et al., J Thromb Haemost. 2018 Jul;16(7):1442-1444を参照。bは英国の献血者登録の予想頻度である。
【0426】
【0427】
全てのCOVID-19患者が、健康な志願者の血漿試料に由来する実験室基準範囲の上限よりも高い、血漿VWFタンパク質レベル(VWF:Ag)を有していた。症例の1/3において、VWFレベルが平均正常レベルの5倍より高く、また2件の症例では10倍より高かった(表3、及び
図2A)。これに対応して、VWF:RCoアッセイ及びVWF:CBアッセイの両方を用いて決定される血漿VWF活性が劇的に上昇した。
【0428】
対照的に、いずれもELISAアッセイ及びFRETSアッセイで決定された、ADAMTS13タンパク質(ADAMTS抗原)及び活性の両方のレベルは、ほとんどの患者において、平均正常レベルの30~70パーセントにまで低下した(表3、及び
図2B)。平均正常レベルの20パーセント未満のADAMTS13活性レベルを示したCOVID-19患者はおらず、これにより、COVID-19患者は、いずれのアッセイでもADAMTS13活性を検出できない自己免疫TTP対照から区別される。
【0429】
表3は、36人のCOVID-19患者の、VWF及びADAMTS13の検査パラメータを示す。統計の概要を、健康な志願者の試料の分析から得られた基準範囲と共に、中央値及び範囲として提示する。UHMW VWF多量体定量化パラメータは、各試料レーンの全てのVWF多量体によって占められたVWF二量体の移動距離の比率であり、これは、同じゲルからの健康な対照の血漿のレーンにおけるもののパーセンテージ値として表現される。VWF-フォン・ヴィレブランド因子;UHMW-超高分子量;ADAMTS13-トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテアーゼ メンバー13;n.a.-該当なし。*正常ヒト血漿試料は、処理により、検出可能なUHMW VWF多量体を含まず、提供される範囲は通常のばらつきを考慮したものである。**は基準範囲の平均である。
【0430】
【0431】
活性抗原試験を用いて決定されたVWFレベルは、ADAMTS13レベルと負の相関を示した(表4、及び
図10A~10D)。表4は、推定される相関を、r値及び関連するp値として示す。相関は、強(r:0.7~1.0)、中程度(r:0.5~0.7)、弱(r:0.3~0.5)、又は相関なし(r:0~0.3)として分類された。
【0432】
【0433】
免疫染色された低解像度アガロースゲルの目視検査により、UHMW VWF多量体が、36人のCOVID-19患者全員、及び自己免疫TTPの対照患者には存在するものの、対照であるプールされていたヒト参照血漿中には存在しないことが示された(
図3)。これは、電気泳動ゲル上で、最も速く移動するVWFバンド(VWF二量体に対応)と最も遅く移動するバンド(存在する最大の多量体サイズ)との距離を測定することによって定量化される(
図6、及び本明細書で開示されるVFW法)。COVID-19試料では、最高バンドと最低バンドとの間の距離は、追加のUHMWMバンドにより、対照血漿のものの107~122パーセントとなった(
図2A)。COVID-19試料における最高の上昇は、自己免疫TTPの対照のものに近づいた(126パーセント)。例示的な症例B26からのUHMW多量体の定量化のための方法論も
図6に示されている。UHMW VWF多量体の存在は、ADAMTS13レベルと相関しておらず(表4、及び
図10A~10D)、これは、ゲル電気泳動を用いたUHMW VWF形態の定量化が、個々の試料内ではロバストであるものの、異なる試料間の値の比較がゲルレーン間の染色強度の固有のばらつきによって制限されることを反映している。
【0434】
異常なUHMW VWF多量体の発見は、ホームキャストゲルの定量的デンシトメトリー分析によって、及び独立した半自動電気泳動アッセイの目視検査によって、確認された(
図8A及び8B)。半自動システムは、比較的低分子量のVWF多量体の解像度を改善するものであり、後続のrADAMTS13インキュベーション実験においてVWF二量体を定量化するために使用された。この高解像度システムは、およそ20MDaの分子量を有するUHMW VWF多量体の分離にはあまり好適でない。しかしながら、UHMW VWF多量体の定量化に好適でないものの、半自動ゲルは、全てのCOVID-19患者の試料でのUHMW多量体の視覚的確認を可能とするには十分なものであった。COVID-19試料の半自動電気泳動と、対応するホームキャストゲルから決定された、定量化されたUHMW多量体との代表例が、それぞれ
図8A及び8Bに示されている。
【0435】
患者の試料における、VWFに対する低いADAMTS13レベルの回復の効果を調査するために、高いVWFレベル及び極めて高いVWFレベルを有する異なるCOVID-19患者からの10個の血漿試料を、異なる複数の濃度のrADAMTS13と共にインキュベートし、VWF活性及び多量体構造を経時的に監視した。
図4Aは、4.36IU/mLのVWF:Agレベル、0.59IU/mLのADAMTS13活性、及びVWF/ADAMTS13比7.4を有する患者における、VWF活性の時間依存的な低下を示す。内因性ADAMTS13活性の存在により、外因性rADAMTS13を補充しなくても、多少の分解は観察された。具体的には、2時間及び5時間の時点でVWF活性がわずかに低下し、これは内因性ADAMTS13の存在と整合するものである。
【0436】
ADAMTS13レベルを平均正常値(およそ1IU/mL=100%)まで増大させると、VWF活性の更なる低下がもたらされ、これは約150%まで補充することで更に低下させることができた。血漿ADAMTS13を平均正常レベルのおよそ100%(1IU/mL)及び150%(1.5IU/mL)まで回復させると予想される0.5又は1IU/mLのrADAMTS13の補充後、VWF活性の低下が用量依存的かつ時間依存的に加速された(
図4A)。
【0437】
1IU/mLのrADAMTS13を用いた5時間のインキュベーションの後、試験された10人の患者全員からの試料のVWF:CBの平均値は、3.01(SD:1.37;SEM:0.434)IU/mLから1.64(SD:0.89;SEM0.28)IU/mLへと低下した(p<0.001;t値7.18;
図4B及び4C、並びに表5)。これらのデータの個別のグラフを、10人の患者それぞれに対して生成し(
図11A~11J)、また、定量的多量体分析を8人の患者のサブセットに対して実施した(
図12A~12B)。
【0438】
1IU/mLのrADAMTS13を用いたインキュベーションの後に観察されたVWF活性の低下は、表5に例示されているように、デンシトメトリーによって測定されたVWF二量体の統計的に有意な増大(P<0.001;t値-7.04)を伴っていた。n.d.は測定なし(not done)を表し、n.a.は該当なし(not applicable)を表す。
【0439】
【0440】
ADAMTS13を補充して更に高いレベルとすることの効果を、VWF/ADAMTS13のミスマッチがより大きい患者(VWF:Ag 5.76IU/mL;ADAMTS13 0.43IU/mL;比率13.4)からの血漿を用いて試験した。これらの実験からの結果が、
図5A~5C及び
図9A~9Bに示されている。10IU/mLのrADAMTS13を用いたインキュベーションは、VWF活性の経時的な漸減をもたらし、5時間の時点で60%を超える低下(
図5A)、及び半自動電気泳動法を用いて可視化される異常なUHMW VWF多量体全ての消失(
図5B)を達成する。1IU/mLのrADAMTS13の効果は、2時間以内にVWF活性の低下及びUHMW VWFの目視での枯渇、そして5時間以内にVFW活性の約30%の低下を引き起こすために十分なものであった。UHMW VWFの消失は、低分子量多量体及び二量体の顕著な増加を伴い、またサテライトバンドのより顕著な出現も伴っていた(
図5C)。これらの知見はホームキャストゲルの場合にも存在し、これは、124%という上昇したUHMW多量体の定量化パラメータが、1IU/mLのrADAMTS13を用いたインキュベーションの5時間後に16%、10IU/mLのrADAMTS13の場合に36%だけ、対照血漿で観察されるもの(88%)よりも低いレベルまで低下することを示した。VWFをrADAMTS13に曝露すると、サイズがより小さな多量体がより多量に出現し、これはVWFのタンパク質分解性切断の指標である染色可能なサテライトバンドの増大を伴っていた。ある関連する実験では、5.76IU/mLのVWF:Agを含む患者の血漿を、1及び10IU/mLのrADAMTS13と共にインキュベートし、低解像度(
図9A)及び高解像度(
図9B)の2つの異なる電気泳動ゲルで、VWF多量体分布について分析した。対照は、正常ヒト血漿、いかなる試薬も添加されていない患者の血漿、及び同一条件下であるもののrADAMTS13が添加されていない患者の血漿であった。VWFをrADAMTS13に曝露する時間が長くなると、タンパク質分解断片の増加の出現、及び分子量がより低い形態のVWFのより強い染色によって可視化される、VWFのより顕著なタンパク質分解がもたらされる(
図9B)。
【0441】
この探索的研究では、VWF/ADAMTS13軸が、重症のCOVID-19を理由とする人工呼吸のために2つの病院に入院している成人において評価された。選択基準により、初期重症COVID-19の患者、及び長期の人工呼吸を必要とする確立された疾患の患者の交差コホートの登録が可能であった。コホートは、複数の併存疾患を有する年配の男性を多く含み、黒人及び少数民族群の患者、並びに非O型血液型の患者が大きな比率を占めていた。これらの特徴、及び有害な転帰の頻度は、既に報告されている重症のCOVID-19のコホートと同様のものである。Docherty et al. BMJ 2020;369:m1985; Petrilli CM et al. BMJ 2020;369:m1966を参照。この臨床的に異質なコホートにおける驚くべき発見は、VWFの循環レベルが全ての患者で有意に上昇し、場合によっては正常レベルの10倍も高くなったことであった。本開示によると、この重症COVID-19コホートにおけるVWFの調節不全の程度は、過去に報告されたどの炎症性疾患よりも大きい。これは、重症のCOVID-19患者における他の観察と整合しており、SARS-CoV-2感染後の内皮炎症によって、VWFの顆粒状貯蔵物、特にUHMW VWF多量体が、調節不全によって循環へと放出されるという仮説を裏付ける。Goshua, 上述;Morici, 上述;Escher, 上述;Varga, 上述;Bernardo et al., Blood 2004; 104:100-6を参照。
【0442】
重症のCOVID-19のほとんどの患者は、ADAMTS13タンパク質の循環レベル、及びADAMTS13タンパク質分解活性も、正常レベルの30~70%に低下し、これにより異常なVWF/ADAMTS13比率がもたらされていた。これらのデータは、ADAMTS13活性の低下又はVWF/ADAMTS13比率の顕著な上昇というCOVID-19の一連の症例からの観察と一致している。Morici, 上述;Blasi 上述;Martinelli, 上述を参照。しかしながら、他の患者のコホートでは、COVID-19ではADAMTS13レベルの有意な低下は観察されないものの、全ての研究は、対照群のいずれにおけるものよりもCOVID-19において有意に高いVWF/ADAMTS13比率を共有していた。Escher 192:174, 上述;Doevelaar AAN et al. medRxiv 2020を参照。しかしながら、包括的な止血試験を入院期間にわたってCOVID-19患者に縦断的に実施した、更に小規模な症例シリーズでは、ADAMTS13の減少は一貫性のない所見であった。M. Hardy, et al., Thromb. Res. 197 (2020) 20-23を参照。3つの独立した研究で、低いADAMTS13 血漿レベルによってCOVID-19患者の死亡率が予測されたことは、注目に値する。Tiscia et al., TH Open 4 (3) (2020) e203-e206; Bazzan et al., Internal and Emergency Med. 15 (5) (2020) 861-863; Sweeney, et al., Evidence for Secondary Thrombotic Microangiopathy in COVID-19, MedRxiv, 2020を参照。
【0443】
ADAMTS13レベルの低下の考えられる説明の1つは、多量体の切断をもたらさない低親和性相互作用による、高レベルの循環高分子量VWF多量体によるADAMTS13の隔離であり(Feys et. al., J Thromb Haemost 2009; 7:2088-95を参照)、これはデスモプレシン治療後の突然のVWFの放出に続くADAMTS13の一時的減少と同様である。Reiter RA et al., Blood 2003; 101:946-8を参照。培養されたヒト細胞株からの正常ADAMTS13の合成は、IFN-γ、IL-4、及びTNF-α等の炎症性サイトカインによって阻害される。Cao WJ et al., J Thromb Haemost 2008; 6:1233-5を参照。炎症性サイトカインはまた、UHMW VWF多量体のADAMTS13仲介型切断も阻害できる。Bernardo, 上述を参照。これは、重症のCOVID-19に付随するサイトカインストーム中に、ADAMTS13の合成の減少及びADAMTS13の機能の阻害の両方が生じ得る可能性を上昇させる。
【0444】
これらのデータは、全てのCOVID-19患者において、VWF及びADAMTS13の血漿レベルの相互的な変化が、健康な対照には全く存在しない異常な循環UHMW VWF多量体を伴っていたことも示す。循環UHMW VWF多量体は外傷、敗血症関連の播種性血管内凝固症候群、重症のマラリアで、及び健康な志願者へのエンドトキシン注入後に、観察されており(Dyer et al., Transfusion. 2020 Jun;60(6):1308-131; Kremer et al., J Thromb Haemost 2007; 5:2284-90; Larkin et al., PLoS Pathog 2009;5: e1000349; Reiter RA et al., Thromb Haemost 2005; 93:554-8を参照)、これは、ADAMTS13と比較して基質VWFが過剰であることにより、VWFの切断が不完全になった結果である可能性が最も高い。特に、本開示の患者のおよそ半数が、特に血管内に局在化された細菌感染のエビデンスを有していたが、播種性血管内凝固症候群(DIC)、又は過去に認識されているVWF/ADAMTS13ミスマッチの他のいずれの原因を示した患者はいなかった。ミスマッチの程度も他の炎症状況において報告されているものよりもはるかに高く、その結果、血栓形成性UHMW VWF多量体のレベルが高くなった。
【0445】
本研究は、全ての患者でADAMTS13が減少し、一部の患者では参照レベルの20%までレベルが低下したことを示した。従ってこの研究結果は、COVID-19が、これに関連するADAMTS13の減少を実際に伴うという仮説を裏付ける。基質としての極めて高いVWFがその酵素を消費する可能性があるため、これが一次欠乏であるか二次欠乏であるかについては未解決のままである。しかしながら、極めて高いVWFと比較的低いADAMTS13との間には、相関は観察されなかった。
【0446】
これらの観察は、COVID-19に続く凝固障害が、強力な炎症反応によって引き起こされ、これによって、凝固及び線維素溶解経路、並びに血小板-内皮相互作用を含む、多数の止血の構成要素の調節障害が発生するという、最近提案された仮説を、そのまま裏付けるものである。Morici, 上述;Fogarty et al. Br J Haematol 2020; 89:1060-1を参照。同様に、本明細書で開示される知見は、血栓症の病因における、VWFの顆粒状貯蔵物の異常な放出、及び調節不全によるVWFのタンパク質分解を、具体的に暗示している。Varga, Lancet 395 (10234) (2020) 1417-1418; Bernardo et al. 上述;R. Escher 190:62, 上述;Goshua, 上述;Morici, 上述を参照。
【0447】
本発明における調査は、VWF/ADAMTS13ミスマッチの結果が、COVID-19血漿試料中のUHMW VWF多量体の存在であることを直接可視化した、初めてのものである。一部のCOVID-19患者のUHMW VWF多量体レベルは、急性TTP対照のものに近づいていた。しかしながら、微小血管閉塞はCOVID-19及び急性TTPの両方の特徴であるとはいえ、COVID-19の凝固障害は、重度の血小板減少症、循環赤血球分裂赤血球、及びADAMTS13レベルの深刻な低下といったTTPの特徴が存在しないため、明確である。従って本開示の知見は、VWF調節不全がCOVID-19の凝固障害の重要な要素である一方で、他の止血経路の機能不全も寄与しているモデルに、最もよく適合する。T. Iba et al., Inflamm Res 69 (12) (2020) 1181-1189を参照。
【0448】
観察は、調節不全のVWF/ADAMTS13から生じる循環UHMW VWF多量体が、重症のCOVID-19における臨床知見の一部を説明する、この凝固障害の重要な要素である可能性が高いことを示唆している。抗凝固療法は、COVID-19入院患者の死亡率及び挿管率の低下と関連してはいたものの、凝固経路を標的とするヘパリン等の抗血栓薬は、重症COVID-19における血栓症の予防効果が、他の炎症性疾患におけるものよりも低い可能性があることは重要である。Nadkarni GN, et al., J Am Coll Cardiol. 2020年8月26日電子公開、DOI:10.1016/j.jacc.2020.08.041; Cattaneo M, Bertinato EM, Birocchi S, et al. Pulmonary Embolism or Pulmonary Thrombosis in COVID-19? Is the Recommendation to Use High-Dose Heparin for Thromboprophylaxis Justified? Thromb Haemost 2020を参照。
【0449】
rADAMTS13と重症COVID-19血漿とのインビトロでのインキュベーションによって得られた研究結果は、ADAMTS13のレベルの上昇によってVWF活性が低下し、極めて重要なことに、タンパク質分解的にUHMW VWF多量体が分解されることを、明確に示している。UHMW VWFは、TTPと同様にCOVID-19患者で観察される血小板血栓の形成を引き起こす、VWFの最も粘着性のある形態であると考えられている。Albiol N et al., Ann Hematol. 2020;99(7):1673-1674; Capecchi M et al., Haematologica 105(10) 2020; haematol.2020.262345; Doevelaar AAN, 上述を参照。VWF-ADAMTS13軸は、ADAMTS13の置換等の介入に容易に対応する。Scully M et al., Blood 2017; 130:2055-63を参照。これは、凝固経路と並ぶ追加の治療標的とみなすべきものである。複数のインビトロ研究、動物モデル、及び臨床研究は、ヒトVWFを切断してUHMW VWF多量体を分解し、これによってTTP及び類似の病状に見られる調節不全のタンパク質パターンを回復させる、rADAMTSの有効性を実証している。Plaimauer B et al., J Thromb Haemost. 2011;9(5):936-944; Crescente M et al., Thromb Haemost. 2012;108(3):527-532; Kopic A et al., J Thromb Haemost. 2016; 14(7):1410-1419を参照。
【0450】
COVID-19患者における従来の抗凝固療法は、肺及び他の臓器の細動脈における微小血栓症の理想的な治療である可能性は低い。この実施例のデータは、COVID-19患者におけるrADAMTSの有用性を実証している。というのは、rADAMTS13治療は、ADAMTS13活性の上昇によってVWFとADAMTS13との間のバランスを回復させ、これにより上方制御されたVWF活性を低下させることを、より明確に目的としているためである。
【0451】
本明細書で開示される知見は、COVID-19の患者の管理に重要である。というのは、VWF-ADAMTS13軸は治療上アクセス可能な標的であるためである。この実施例のデータは、rADAMTS13と患者試料とのインキュベーションによって、VWFとADAMTS13との間のミスマッチが最も深刻な試料においてさえも時間依存的かつ濃度依存的なVWF活性の低下がもたらされることを示すことにより、ADAMTS13置換の有用性の初期段階のエビデンスを実証している。更に、異常に高いVWF活性のこのような相関は、UHMW VWF多量体の消失と、エクスビボでのタンパク質分解を示す更に強力なサテライトバンドを伴う低分子量多量体の時間依存的な増加とを伴うことが示されている。ADAMTS13置換のこのような薬力学的効果は、重度の先天性TTPを原因とするVWF/ADAMTS13ミスマッチを有する患者、及び自己免疫TTPの患者からの血漿試料を含む、rADAMTS13が初期段階の臨床試験で評価された他の凝固障害で観察されたものと同様である。Scully et al., Blood 130 (19) (2017) 2055-2063; Plaimauer et al., J. Thromb. Haemost. 9 (5) (2011) 936-944を参照。rADAMTS13は、フローチャンバモデル、及びVWF/ADAMTS13ミスマッチの小動物モデルにおいても、血栓の溶解をもたらす。Haemost et al., 上述; Shenkman, et. al, Thromb Haemost 96 (2) (2006) 160-166; Crescente et al., Thromb. Haemost. 108 (3) (2012) 527-532を参照。本研究では、COVID-19血漿試料のエクスビボタンパク質分解活性が、ADAMTS13レベルを1.0~1.5IU/mLに補正した後でも観察された。上記レベルは、40IU/kgのrADAMTS13(これは忍容性が高く、重大な有害事象とは関連しない)の注入後の第1相先天性TTPの研究で達成される範囲内である。Scully, 上述を参照。しかしながら、静的モデルで異常なUHMW VWF多量体を切断するために必要なADAMTS13活性が、流動状態より低い可能性があることも、注目に値する。Dong, J. Whitelock, A. Bernardo et al., 上述を参照。
【0452】
本出願における観察は、調節不全のVWF/ADAMTS13から生じる循環UHMW VWF多量体が、重症のCOVID-19における臨床知見の一部を説明する、この凝固障害の重要な要素である可能性が高いことを示唆している。抗凝固療法は、COVID-19入院患者の死亡率の低下と関連してはいたものの、凝固経路を標的とするヘパリン等の抗血栓薬は、重症COVID-19における血栓症の予防効果が、他の炎症性疾患におけるものよりも低い可能性があることは重要である。G.N. Nadkarni et al., J Am Coll Cardiol 76 (16) (2020) 1815-1826; M. Cattaneo et al., Thromb. Haemost. 120 (8) (2020) 1230-1232を参照。この実施例で実証されたVWF-ADAMTS13軸の劇的な異常は、これに対して考えられる説明を提供する。ADAMTS13置換がCOVID-19血漿試料のVWFホメオスタシスを回復されるという実証は、精製済みrADAMTS13を、他の抗血栓療法と並んでCOVID-19凝固障害に対して考えられる治療介入とみなすべきであることを示唆する。
【0453】
実施例10-VWF、ADAMTS13、及び他のアッセイ
以下の材料及び方法を、実施例9と関連して使用した。
【0454】
VWF抗原(VWF:Ag)の決定。VWF:Agは、Asserachrom VWF:Ag試験キット(Diagnostica Stago、フランス、アニエール=シュル=セーヌ)を用いて決定された。患者の血漿を、8つの異なる希釈率で試験した。VWFを、マイクロプレートウェルの内壁上にコーティングされたウサギ抗ヒトF(ab’)2断片によって捕捉した。洗浄ステップの後、結合したVWFを、ペルオキシダーゼと結合したポリクローナル抗ヒトVWF抗体を添加することによって検出した。ペルオキシダーゼ活性を、テトラメチルベンジジン(tetramethyl-benzidine:TMB)を基質として使用して検出した。マイクロプレートリーダーを用いて、450nmで吸光度を読み取った。VWF:Agを、アッセイ参照標準(ヒト正常血漿)に対して算出した。
【0455】
VWFリストセチン補因子活性(VWF:RCo)の決定。VWF:RCo活性は、BCS凝固システムアナライザ(Behring Coagulation System、BCS、Siemens、ドイツ)を用いて測定された。患者の血漿のVWFは、リストセチンの存在下で、安定化された血小板の凝集を引き起こす。これらはいずれも「フォン・ヴィレブランド試薬」(Behring Coagulation System、BCS、Siemens、ドイツ)に含まれている。この凝集により、試薬調製物の濁度が低下し、光学密度の変化が機器によって測定される。VWF:RCo活性を、WHO基準に対して較正された、様々な希釈率の参照血漿によって構築された参照曲線から算出した。
【0456】
VWFコラーゲン結合(VWF:CBA)の決定。VWF:CBAは、TECHNOCHROM VWF:CBA試験キット(Technoclone、オーストリア、ウィーン)を用いて決定された。患者の血漿を複数の希釈率で試験した。VWFは、マイクロプレートウェルの内壁上にコーティングされたヒトIII型コラーゲンに結合する。洗浄ステップの後、結合したVWFを、ペルオキシダーゼと結合したポリクローナル抗ヒトVWF抗体を添加することによって検出した。ペルオキシダーゼ活性を、テトラメチルベンジジン(TMB)を基質として使用して検出した。マイクロプレートリーダーを用いて、450nmで吸光度を読み取った。あるいはVWF:CBAは、Zymutest試験キット(HYPHEN BioMed SAS、フランス、ヌーヴィル=シュル=オワーズ)で決定された。VWF:CBAを、WHO標準を元とするアッセイキャリブレータを使用して算出した。
【0457】
ADAMTS13のアッセイ。全てがTechnoclone(オーストリア、ウィーン)から得られた3つの相補的なアッセイを用いて、ADAMTS13の活性を決定した。
TECHNOZYM ADAMTS13 Activity ELISAは、ADAMTS13によって切断されるGST-VWF73を用いた、発色アッセイである。切断されたエピトープを認識する、HRP標識された特異的モノクローナル抗体は、切断されたペプチドに結合する。Kato S, Matsumoto M, Matsuyama T, Isonishi A, Hiura H, Fujimura Y. Novel monoclonal antibody-based enzyme immunoassay for determining plasma levels of ADAMTS13 activity. Transfusion 2006; 46:1444-52; Kokame K, Matsumoto M, Fujimura Y, Miyata T. VWF73, a region from D1596 to R1668 of von Willebrand factor, provides a minimal substrate for ADAMTS13. Blood 2004; 103:607-12を参照。TECHNOFLOUR ADAMTS13 Activityは、Ceveron s100機器用の自動アッセイである。VWF73ペプチドをベースとしたFRET基質は、試料由来のADAMTS13によって切断され、これによって蛍光シグナルが生じる。放出されるシグナルは、試料のADAMTS13活性レベルに比例する。Ee, Kokame K, Nobe Y, Kokubo Y, Okayama A, Miyata T. FRETS-VWF73, a first fluorogenic substrate for ADAMTS13 assay. Br J Haematol 2005; 129:93-100を参照。TECHNOZYM ADAMTS13 Antigen ELISAは、CUBドメインに対する抗ADAMTS13抗原と、HRP標識抗ADAMTS13ポリクローナル抗体とを使用する、サンドイッチELISAである。Rieger M, Ferrari S, Kremer Hovinga JA, et al. Relation between ADAMTS13 activity and ADAMTS13 antigen levels in healthy donors and patients with thrombotic microangiopathies (TMA). Thromb Haemost 2006; 95:212-20を参照。全てのADAMTS13パラメータは、WHO標準に対して較正されたアッセイ専用の参照血漿を用いて算出された。表3に示されているような、これらのアッセイに関する正常基準範囲は、健康な血液ドナーからの100個を超えるのCOVID前試料を試験することによって確立された。
【0458】
SARS-CoV-2 PCRとELISAとの間の不一致。研究に含まれていた36人の患者のうち6人の患者は、鼻咽頭スワブから陽性のPCRで陽性が確認されなかった。RT-PCRの様々な実施方法の中で、咽頭又は鼻スワブは、特異性が極めて高いにもかかわらず、中程度の感度しか示さないことが示されている。最も正確なRT-PCR診断には、気管支肺胞洗浄が好適であるものの、全ての患者に対して実施するのは非現実的である。従って、SARS-Cov-2 RNAについて陰性の1人の患者は、SARS-CoV-2 NP又はRBDタンパク質に対する高力価の抗体を示し、これが患者のCOVID-19診断を明確に裏付けた。SARS-CoV-2 PCR陰性かつ抗SARS-CoV-2 IgG陰性である残りの5人の患者は、依然としてCOVID-19患者である可能性があった。最初の感染からIgG仲介型免疫応答の発生までの時間は、患者毎に異なる可能性があり、患者の一般的な体質、更には患者の治療計画に左右される。免疫学的アッセイとRT-PCRとの正の一致は、感染の報告から5日以内の患者における6~15%から、最初の感染後5~10日の患者において34~46%、15日超の患者において100%まで、様々であった。
【0459】
略語
ADAMTS13 トロンボスポンジン1型モチーフを有するディスインテグリン及びメタロプロテアーゼ メンバー13
COVID-19 コロナウイルス疾患2019
ELISA 酵素結合免疫吸着測定法
FRETS 蛍光共鳴エネルギー移動
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
SARS-CoV-2 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2
TTP 血栓性血小板減少性紫斑病
UHMW 超高分子量
VWF フォン・ヴィレブランド因子
VWF:Ag フォン・ヴィレブランド因子抗原
VWF:CB フォン・ヴィレブランド因子コラーゲン結合活性
VWF:RCo フォン・ヴィレブランド因子リストセチン補因子活性
ADAMTS13:Ag ADAMTS13抗原
ADAMTS13:ELISA ELISAで測定されたADAMTS13活性
ADAMTS13:FRETS FRETSで測定されたADAMTS13活性
【0460】
本発明は、本明細書に記載されている具体的実施形態によって、その範囲を限定されないものとする。実際には、本明細書に記載されているものに加えて、本発明の様々な修正形態も、以上の説明及び添付の図面から、当業者には明らかであろう。このような修正形態は、添付の特許請求の範囲内となることが意図されている。更に、全ての値はおおよそのものであり、説明のために提供されているものであることを理解されたい。
【0461】
本出願全体を通して、特許、特許出願、刊行物、製品の説明、及びプロトコルが引用されているが、これらの開示はあらゆる目的のために、参照によりその全体が本出願に援用される。
【配列表】
【国際調査報告】