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特表2023-527199薬剤容器のアプリケータデバイスおよびアプリケータシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-27
(54)【発明の名称】薬剤容器のアプリケータデバイスおよびアプリケータシステム
(51)【国際特許分類】
   B05B 13/06 20060101AFI20230620BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20230620BHJP
   B05B 13/04 20060101ALI20230620BHJP
   B05D 7/22 20060101ALI20230620BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230620BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20230620BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230620BHJP
【FI】
B05B13/06
B05B1/14 Z
B05B13/04
B05D7/22 Q
B05D7/24 301Q
B05D1/02 Z
B05D3/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573172
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2021064321
(87)【国際公開番号】W WO2021239933
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】20315278.0
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・キューン
【テーマコード(参考)】
4D075
4F033
4F035
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AA35
4D075AA76
4D075AA81
4D075AA85
4D075CA47
4D075CA48
4D075DA15
4D075DA19
4D075DC30
4D075DC41
4D075EA05
4D075EA37
4F033AA03
4F033BA03
4F033DA04
4F033DA05
4F033EA01
4F033EA04
4F033LA12
4F033LA13
4F033NA01
4F035AA04
4F035CA01
4F035CA05
4F035CD02
4F035CD18
4F035CE02
4F035CE06
4F035CF00
(57)【要約】
本開示は、薬剤容器(6)のバレル(25)の内面に潤滑剤(102)を付着させるためのアプリケータデバイス(100)であって、-長手方向を画成し、長手方向に沿ってバレル(25)の内部(8)に挿入するサイズに設定された噴霧器(110)であって、潤滑剤(102)を放出するように動作可能な噴霧器(110)と、-噴霧器(110)に連結され、噴霧器(110)をバレル(25)に対して位置合わせするために所定の位置または向きでバレル(25)に動作可能に係合可能な心出し要素(130)とを含むアプリケータデバイス(100)に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤容器(6)のバレル(25)の内面に潤滑剤(102)を付着させるためのアプリケータデバイス(100)であって、
長手方向を画成し、該長手方向に沿ってバレル(25)の内部(8)に挿入するサイズに設定された噴霧器(110)であって、潤滑剤(102)を放出するように動作可能な噴霧器(110)と、
噴霧器(110)に連結され、該噴霧器(110)をバレル(25)に対して位置合わせするために所定の位置または向きでバレル(25)に動作可能に係合可能な心出し要素(130)と
を含む前記アプリケータデバイス。
【請求項2】
噴霧器(110)は、心出し要素(130)に対して、長手方向に関して可動である、請求項1に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項3】
摺動ガイド(136)をさらに含み、該摺動ガイドにより、噴霧器(110)は、心出し要素(130)に対して、長手方向に関して摺動可能に変位可能である、請求項1または2に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項4】
心出し要素(130)は、貫通口(135)を有する中心ハブセクション(134)を含み、噴霧器(110)は、貫通口(135)に摺動可能に支持された細長軸セクション(112)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項5】
心出し要素(130)は、中心ハブセクション(134)と同軸で中心ハブセクション(134)を囲む外側壁(137)を含む、請求項4に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項6】
中心ハブセクション(134)と外側壁(137)とは、中心ハブセクション(134)と外側壁(137)との間に半径方向に延びる少なくとも3つの連結壁セクション(139)によって相互連結される、請求項5に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項7】
噴霧器(110)は、該噴霧器(110)に係合し心出し要素(130)に係合する復元要素(142)の復元力に対抗して、心出し要素(130)に対して長手遠位方向(2)に可動である、請求項2~6のいずれか1項に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項8】
心出し要素(130)は、
バレル(25)の近位端(9)に長手方向に当接する当接部(132)、および
バレル(25)の近位端(9)を受けるレセプタクル(133)
のうちの少なくとも一方を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項9】
当接部(132)およびレセプタクル(133)のうちの少なくとも一方は、長手方向に対して所定の角度で延びる傾斜セクション(140)を含み、該傾斜セクション(140)は、容器(6)の近位端(9)が当接部(132)およびレセプタクル(133)のうちの少なくとも一方に長手方向に当接するときに、薬剤容器(6)に対する心出し要素(130)の横方向の動きを引き起こすように構成される、請求項8に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項10】
噴霧器(110)は、
長手方向に延びる側壁(118)によって囲まれた長手方向流体案内孔(116)と、
長手方向に延びる側壁(118)の遠位端(113)の、またはその近くのノズル(120、125)と
を含み、該ノズル(120)は流体案内孔(116)に流体連通し、ノズル(120)は、側壁(118)を通って半径方向に延びる少なくとも1つのオリフィス(121、122、123、124)を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項11】
ノズル(120)は、少なくとも第1のオリフィス(121)と第2のオリフィス(122)とを含み、第1のオリフィス(121)は、長手方向に延びる側壁(118)の周方向に見て、第2のオリフィス(122)からずれて位置している、請求項10に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項12】
ノズル(120)は、少なくとも第1のオリフィス(121)と第3のオリフィス(123)とを含み、第1のオリフィス(121)は、長手方向に延びる側壁(118)の長手方向および周方向に見て、第3のオリフィス(123)からずれて位置している、請求項10または11に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項13】
ノズル(125)はノズルグリッド(126)を含む、請求項10~12のいずれか1項に記載のアプリケータデバイス(100)。
【請求項14】
薬剤容器(6)のバレル(25)の内面に潤滑剤(102)を付着させるためのアプリケータシステム(200)であって、
請求項1~13のいずれか1項に記載の少なくとも1つのアプリケータデバイス(100)と、
アプリケータデバイス(100)の噴霧器(110)と流体連結する潤滑剤供給システム(240)と、
アプリケータデバイス(100)を薬剤容器(6)に対して動かすように動作可能な少なくとも1つの電気機械アクチュエータ(164、174)と、
潤滑剤供給システム(240)に連結され、少なくとも1つの電気機械アクチュエータ(164、174)に連結されたコントローラ(202)であって、薬剤容器(6)に対するアプリケータデバイス(100)の相対運動を制御し、潤滑剤(102)の放出を制御するように動作可能なコントローラ(202)と
を含む前記アプリケータシステム。
【請求項15】
薬剤容器(6)のバレル(25)の内面に潤滑剤(102)を付着させる方法であって、
少なくとも1つの薬剤容器(6)を提供する工程と、
請求項1~13のいずれか1項に記載のアプリケータデバイス(100)の噴霧器(110)を薬剤容器(6)に挿入する工程と、
アプリケータデバイス(100)の心出し要素(130)を使用して、薬剤容器(6)のバレル(25)に対して噴霧器(110)を位置合わせする、および/または心出しする工程と、
噴霧器(110)を使用して、バレル(25)の内面にある量の潤滑剤(102)を放出する工程と
を含む前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アプリケータデバイス、アプリケータシステム、および薬剤容器のバレルの内面に潤滑剤を付着させる方法に関する。本開示は、特に、バレル内に可動に配置されたピストン、ストッパ、またはプランジャを装備したまたは備えた薬剤容器への潤滑剤の塗布に関する。本開示は、特に、薬物注射デバイスと共に使用するカートリッジに関する。本開示は、液体薬剤が充填されたシリンジおよびバイアルまたはカルプーレに関していてもよい。
【0002】
特に、本開示は、潤滑剤による薬剤容器の内面の被覆に関し、薬剤容器は、薬剤容器のバレルから液体薬剤を排出することによって液体薬剤を投薬するように構成されまたは動作可能である。
【背景技術】
【0003】
手で使用するための、またはペン型注射器、装着型ポンプ、もしくは自己注射器などの医療デバイスで使用するための、カートリッジまたは充填済みシリンジのような薬剤容器は、正確な用量送達のための確実な性能を提供しなければならない。したがって、そのような容器のバレル内でピストンまたはプランジャストッパを動かすことを可能にする再現可能な力プロファイルが、特に重要である。
【0004】
薬剤容器のバレル内で摺動変位するように構成されたピストンまたはストッパの、小さい一定の摩擦を実現するために、原則として、バレルの内部に潤滑剤の薄層を設けることができる。かなり多数の薬剤容器を提供する工業的な大量生産プロセスにおいて、薬剤容器内で潤滑剤の不完全または不均一な分散が生じることがある。
【0005】
これにより、最終的に、ピストンまたはストッパを薬剤容器のバレルに対して動かすための摩擦力または力プロファイルの変動性が高くなり得る。これは、ピストンまたはストッパをバレルに対して動かすための、所定の、たとえば限られた電源のみを設ける自己注射デバイスまたは送達システムに、特定の影響を及ぼすことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、潤滑剤によるそのような薬剤容器の内面被覆を改善することが望ましい。潤滑剤を、そのようなバレルまたは薬剤容器の内面に均一に塗布しなければならない。特に薬剤容器の大量生産のために、正確で費用効率が高く、非常に信頼性の高い、潤滑剤によるバレルの被覆を提供することがさらに望ましい。したがって、バレルの内面に潤滑剤を塗布するための望ましい改善は、たとえば完全自動化または半自動化された、かなり費用効率の高い大量生産プロセスにおける実施に適していなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様において、薬剤容器のバレルの内面に潤滑剤を付着させるためのアプリケータデバイスが提供される。アプリケータデバイスは、長手方向を画成する噴霧器を含む。噴霧器は、長手方向に沿ってバレルの内部に挿入するサイズに設定された。噴霧器は、潤滑剤を放出するように動作可能である。アプリケータデバイスは、噴霧器に連結された心出し要素をさらに含む。心出し要素は、噴霧器をバレルに対して位置合わせするために所定の位置または向きでバレルに動作可能に係合可能である。心出し要素は、特に、解放可能な方法で、バレルに機械的に係合可能である。
【0008】
少なくとも潤滑剤をバレルの内面に塗布するプロセス中、心出し要素はバレルに接触することができる。噴霧器は、心出し要素に対して、少なくとも1つの運動度または自由度に関して固定可能であってよい。いくつかの例では、噴霧器はさらに、心出し要素に対して、少なくとも2つの運動度または自由度に関して固定可能である。いくつかの例では、噴霧器をさらに、心出し要素に対して、3つの運動度に関して固定することができる。
【0009】
噴霧器と心出し要素とが連結すること、ならびに心出し要素がバレルに機械的におよび/または動作可能に係合可能であることにより、噴霧器を、バレルに対して、明確な位置、向き、および/または位置合わせで維持することができる。このようにして、バレルに対する噴霧器の正確な位置、位置合わせ、または向きを提供することができる。このようなバレルに対する噴霧器の明確な位置、位置合わせ、または向きは、潤滑剤をバレルの内面にかなり均一かつ明確な方法で塗布するために、特に有利である。
【0010】
いくつかの例では、心出し要素は、バレルの内部に挿入されるサイズであってよい。ここでは、心出し要素は、噴霧器のノズルから長手方向にずれて位置していてよい。心出し要素は、バレルの内面に対する噴霧器の明確な位置または距離を画成するように、噴霧器のノズルの近くに位置していてよい。
【0011】
心出し要素は、特に、噴霧器を薬剤容器のバレルに対して、横断面または横断方向に関して不動化するように機能し、横断面または横断方向は、噴霧器またはバレルによって画成される長手方向に略垂直に延びる。噴霧器は、細長い形状を含むことができる。バレルも細長い形状、たとえば円筒形状であるとき、噴霧器は容器に長手方向に挿入されるので、噴霧器を薬剤容器に同軸に位置合わせするように構成することができる。それにより、心出し要素は、少なくとも潤滑剤の塗布または付着中に、噴霧器とバレルの内面との間の横断方向もしくは半径方向距離を画成または維持するように機能することができる。
【0012】
当然、噴霧器は、潤滑剤供給システムに連結可能であるか、または連結されている。潤滑剤供給システムは、通常、潤滑剤のリザーバを備える。潤滑剤供給システムは、通常、ポンプと、噴霧器がポンプもしくはリザーバと流体連通する少なくとも何らかの種類のホースまたは管路とを含む。ポンプを起動することにより、噴霧器に潤滑剤を提供することができる。通常、噴霧器は、潤滑剤を霧化するための、および/または、霧化された潤滑剤で内面を均一に湿らせるもしくは濡らすための、少なくとも1つのノズルを含む。
【0013】
別の例によれば、噴霧器は、心出し要素に対して、長手方向に関して可動である。このようにして、潤滑剤をバレルの内面に塗布するまたは付着させる過程で、噴霧器が心出し要素に対して、およびバレルに対して動くときに、心出し要素はバレルに対して静止したままであってよい。このようにして、噴霧器がバレルの内部に長手方向に挿入される間、心出し要素は、たとえば、バレルの長手方向端部に係合することができる。ここでは、噴霧器は、バレルに対して少なくとも長手方向に動くことができ、それにより、バレルまたは薬剤容器の長手方向または長手方向伸長に沿った潤滑剤の均一な塗布を提供する。
【0014】
噴霧器が心出し要素に対して可動であっても、心出し要素は、少なくとも1つの自由度に関して、好ましくは長手方向に略垂直に延びる2つの自由度に関して、噴霧器を不動化するように機能することができる。ここでは、バレルの円筒形状により、噴霧器は、心出し要素に対して半径方向にロックされながら、心出し要素に対して軸方向または長手方向に沿って可動であってよい。
【0015】
噴霧器を心出し要素に対して可動に維持することにより、特に、たとえばバレルの近位端で心出し要素に係合することが可能になる。このようにして、心出し要素がバレルの内部に入ることが避けられる。このようにして、バレルの内部と心出し要素などの外部部材との相互作用または接触を、最小限に抑えることができる。
【0016】
心出し要素に対する噴霧器の長手方向の可動性により、心出し要素は、バレルの外面または外側部分に機械的に係合することができ、噴霧器は、バレルの内面に対して所定の半径方向または横断方向距離を維持しながら、バレルの内部に挿入される。心出し要素の助けにより、バレルの側壁またはバレルの任意の他の部材または部分に接触することなく、噴霧器をバレルの内部に挿入することができる。噴霧器は、バレルに関して完全に非接触のままであってよい。非接触動作により、潤滑剤の噴霧が噴霧または霧としてバレルの表面に確実に到達する。噴霧器がバレルの表面に接触すると、潤滑剤の噴霧は凝縮することがあり、バレルの側壁に沿って流れ落ちることがあるため、不均一な潤滑剤の分散につながる。
【0017】
別の例によれば、アプリケータデバイスは摺動ガイドを含み、この摺動ガイドにより、噴霧器は、心出し要素に対して、長手方向に関して摺動可能に変位可能である。摺動ガイドを、噴霧器と心出し要素との互いの機械的相互作用によって構成することできる。いくつかの例では、摺動ガイドを心出し要素によって提供することができる。他の例では、摺動ガイドを噴霧器によって提供することができる。摺動ガイドのすべての考えられる実装で、噴霧器は、心出し要素に対して、長手方向に関して摺動可能に変位可能である。
【0018】
同時に、噴霧器を、心出し要素に対して、長手方向に略垂直に延びる横断方向に関してまたは横断面に関して固定および不動化することができる。噴霧器または薬剤容器がやや円筒形の幾何形状を含む場合、長手方向は、円筒の長軸に一致し得る。それにより、横断方向は、それぞれの円筒形幾何形状の長軸に関して半径方向によって説明できる。
【0019】
摺動ガイドはさらに、心出し要素に対する噴霧器の無段階のおよび/または連続した動きを有効にすることができる。心出し要素がバレルに対して長手方向に関して不動化されると、これに対応して、心出し要素に対する噴霧器の摺動が、バレルに対する噴霧器のそれぞれの摺動に変わる。このようにして、噴霧器をバレルに対して、無段階に、かなり連続して動かすことができる。たとえば、噴霧器をバレルに対して一定の速度で動かすことができ、潤滑剤の一定の流れが、噴霧器によってバレルの内面に放出される。噴霧器によって放出される潤滑剤の一定の体積流量と、噴霧器をバレルに対して長手方向に動かす一定の速度とを組み合わせると、潤滑剤による内面のかなり均一な被覆を提供することができる。
【0020】
一般に、摺動ガイドを多くの異なる方法で実装することができる。噴霧器および心出し要素のうちの少なくとも一方は、長手方向に延びるガイドまたはレールを含み、噴霧器および心出し要素のうちの他方は、この長手方向ガイドまたはレールに沿って可動である。いくつかの例では、噴霧器が、心出し要素に長手方向に摺動係合する長手方向ガイドまたはレールを有する。他の例では、心出し要素が、噴霧器に摺動係合する、長手方向に延びるガイドまたはレールを含むことができる。
【0021】
別の例によれば、心出し要素は、貫通口を有する中心ハブセクションを含む。噴霧器は、貫通口に摺動可能に支持された細長軸セクションを含む。軸セクションは、長手方向に見て、かなり一定の直径または断面を含む。通常、細長軸セクションの外径または外側断面は、中心ハブセクションのそれぞれの内径または内側断面に対応するか、またはこれに相補的に形成される。このようにして、噴霧器の細長軸セクションは、中心ハブセクションの貫通口に長手方向に摺動係合する。
【0022】
噴霧器の細長軸セクションが貫通口によって囲まれるので、細長軸セクション、したがって噴霧器全体を、貫通口によって、横断面で、または半径方向に関して制限することができる。中心ハブセクションの貫通口を通って長手方向に延びる細長軸セクションは、心出し要素に対する噴霧器の長手方向の摺動を提供する。同時に、噴霧器を、貫通口および中心ハブセクションに対して、少なくとも半径方向もしくは横断面に関して不動化または固定することができる。このようにして、中心ハブセクションおよび心出し要素に長手方向に摺動可能に係合するように、噴霧器を、バレルの内面に対して明確な半径方向または横断方向距離に維持することができる。
【0023】
通常、心出し要素は、半径方向または横断方向に関して明確な構成で、薬剤容器のバレルに係合するように構成され動作可能である。このようにして、明確な長手方向の位置合わせおよび向き、ならびにバレルに対する噴霧器の長手方向および横断方向位置を提供することができる。
【0024】
さらなる例によれば、心出し要素は、中心ハブセクションと同軸で中心ハブセクションを囲む外側壁を含む。外側壁により、心出し要素の横断方向伸長部または横断方向幾何形状を、中心ハブセクションと比べて拡大することができる。このようにして、心出し要素は、薬剤容器のバレルのそれぞれの直径または断面を超える直径または断面を含むことができる。したがって、心出し要素は、薬剤容器のバレルの長手方向端部、たとえば近位端に長手方向に当接するように構成されてよく、または動作可能であってよい。
【0025】
外側壁は、中心ハブセクションから半径方向外方に延びるフランジセクションを含むことができ、または形成することができる。外側壁を、心出し要素のそのようなフランジセクションによって設けることができる。心出し要素のフランジセクションの遠位側を、バレルの近位端に長手方向に係合および/または当接するように構成することができる。このようにして、心出し要素は、バレルに対して、少なくとも長手方向に関して固定可能であってよい。さらに、外側壁、中心ハブセクション、および/または外側壁と中心ハブセクションとの間に延びる任意選択のフランジのうちの少なくとも1つを、横断方向または半径方向に見て、1つの明確な位置または向きでバレルに係合するように形成することができる。このようにして、心出し要素を、バレルの横断方向または半径方向範囲に関して、半径方向または横断方向に心出しすることができる。
【0026】
別の例によれば、中心ハブセクションと外側壁とは、中心ハブセクションと外側壁との間に半径方向に延びる少なくとも3つの連結壁セクションによって相互連結される。通常、中心ハブセクションの直径または断面は、バレルの側壁の直径または断面よりも小さい。心出し要素の外側壁の直径または断面は、通常、薬剤容器の外径または外側断面よりも大きい。少なくとも3つの連結壁セクションは、通常、長手方向および半径方向に見て傾斜形状を含む。通常、心出し要素がバレルの近位端に長手方向に係合または当接するように構成されるときに、少なくとも3つの連結壁セクションを、長手方向および半径方向に画成された平面で見て三角形に形成することができる。
【0027】
近位方向に向かって、連結壁セクションの半径方向範囲は増大していてよい。遠位方向に向かって、連結壁セクションの半径方向範囲は減少していてよい。通常、少なくとも3つの連結壁セクションは、中心ハブセクションの周囲に沿って等間隔に分散されている。このようにして、中心ハブセクションがバレルに長手方向または軸方向に係合したときに、バレルに対する心出し要素の一種の自己心出しを半径方向または横断方向に関して提供することができる。ここでは、心出し要素、特にその中心ハブセクションを、薬剤容器のバレルの近位開口端に少なくとも部分的に挿入することができる。
【0028】
少なくとも3つの連結壁セクションは、やや同一の形状である。これらの連結壁セクションを、中心ハブセクションの周囲に約120°の角度距離で配置することができる。連結壁セクションの遠位向き縁部を傾斜させることができる。ここでは、連結壁セクションの縁部の内側端部または半径方向内端部が、連結壁セクションの遠位向き縁部の半径方向または横断方向外端部から遠位にずれて位置している。連結壁セクションの遠位向き縁部は、かなり直線状または湾曲した形状を含むことができる。遠位向き縁部は凹形状を含むことができ、この凹形状は、心出し要素が薬剤容器のバレルの近位端に少なくとも部分的に長手方向に挿入されるときに、心出し要素のかなり平滑な横断方向の自己心出しを提供する。
【0029】
少なくとも3つの連結壁セクションの代わりに、複数の連結壁セクション、たとえば4、5、6、8、10、または12~15の連結壁セクションを設けてもよい。さらにあるいは、少なくとも3つの連結壁セクションの代わりに、外側壁と中心ハブセクションとを相互連結する半径方向フランジが、やや円錐形状であってよく、かなりの閉曲面を含むことができる。
【0030】
しかしながら、少なくとも3つの連結壁セクションは、バレルの近位端に長手方向に当接したときに薬剤容器の内部を閉鎖しないという点で、有利であり得る。このようにして、心出し要素がバレルの長手方向端部に軸方向に当接または機械的に係合する間、余分な潤滑剤が、略妨げられることなくバレルから流出することができる。
【0031】
さらなる例によれば、噴霧器は、噴霧器に係合し心出し要素に係合する復元要素の復元力に対抗して、心出し要素に対して長手遠位方向に可動である。いくつかの例では、復元要素はばね要素を含む。ばね要素は、螺旋状の圧縮ばねを含むことができる。ばねまたは復元要素の長手方向一端部が、心出し要素に係合することができる。ばねまたは復元要素の反対側に位置する長手方向端部は、噴霧器に係合することができる。いくつかの例では、復元要素またはばねの遠位端が、心出し要素の近位向き当接部に長手方向に当接する。ばねの近位端が、噴霧器の遠位向き当接部に長手方向に当接する。
【0032】
このようにして、噴霧器は、心出し要素に対して遠位長手方向に変位可能であり、それにより、復元要素を復元力に対抗して付勢構成に変える、たとえば圧縮する。そのような復元要素により、二重の機能を提供することができる。まず、噴霧器がバレルに対して、心出し要素と一致して遠位方向に動くと、長手方向遠位を向く動きにより、心出し要素がバレルに長手方向に係合することができる。心出し要素がバレルに対して当接構成になり、噴霧器がさらに遠位方向に動くと、噴霧器は心出し要素に対して長手方向に摺動し始めることができる。このようにして、心出し要素がたとえばバレルの近位端面に押し当てられながら、噴霧器は、バレルの内部に入ることができ、またはバレルの内部に挿入される。
【0033】
このバレル内への噴霧器の挿入運動、およびしたがって心出し要素に対する噴霧器の動きは、復元要素を付勢することによって実現される。したがって、バレルの内部からの噴霧器の引抜きを、復元要素によって提供し支援することができる。したがって、復元要素は、噴霧器をバレルの内部から取り出すように機能することができる。
【0034】
さらに、噴霧器がバレルに挿入される限り、復元要素はそれぞれの圧力を心出し要素に遠位方向に加え、それにより、心出し要素を薬剤容器のバレルに軸方向または長手方向に係合させて維持する。心出し要素は、たとえばバレルの近位端に対して長手方向に付勢される限り、バレルに対して、明確な自己心出しした半径方向または横断方向位置にとどまり、横方向または半径方向に関して噴霧器を心出しするように機能する。
【0035】
復元要素の使用は、大量生産プロセスにおいても有利であり得る。いくつかの例では、心出し要素を噴霧器上に支持することができる。心出し要素は、噴霧器に取り付けられ、復元要素の作用下で復元要素の作用に対抗して、噴霧器に対して長手方向に可動であってよい。その限りにおいて、心出し要素の別個の取扱いが不要になり得る。心出し要素を、たとえば噴霧器の遠位端に配置し取り付けることができ、心出し要素は、噴霧器をバレルの開口近位端からバレルの内部に挿入する過程で、復元要素の作用に対抗して、噴霧器の近位端に向かって可動であってよい。
【0036】
さらに、復元要素は、特に心出し要素が薬剤容器のバレルの近位端に長手方向に当接するときに、一種のサスペンションおよび衝撃吸収を提供することができる。これは、心出し要素が取り付けられた噴霧器がバレルに対して動くときに、特に当てはまる。
【0037】
さらなる例によれば、心出し要素は、バレルの近位端に長手方向に当接する当接部、およびバレルの近位端を受けるレセプタクルのうちの少なくとも一方を含む。当接部およびレセプタクルはいずれも、心出し要素をバレルの近位端に長手方向に当接させたときに、心出し要素の自己心出しを提供することができる。当接部およびレセプタクルはいずれも、バレルの近位端に対する心出し要素の明確な長手方向の当接を提供することができる。このようにして、バレルと心出し要素、およびしたがってアプリケータデバイスとの明確な機械的係合を提供することができる。
【0038】
さらなる例によれば、当接部およびレセプタクルのうちの少なくとも一方は、長手方向に対して所定の角度で延びる傾斜セクションを含む。傾斜セクションは、容器の近位端が当接部およびレセプタクルのうちの少なくとも一方に長手方向に当接したときに、薬剤容器に対する心出し要素の横方向の動きを引き起こすように構成される。このために、傾斜セクションおよび/またはレセプタクルは、長手方向および横断方向または半径方向によって画成された平面において傾斜していてよい。レセプタクルは、傾斜していてよく、バレルの外向きの側壁に係合することができる。いくつかの例では、少なくとも3つの連結壁セクションは、当接部およびレセプタクルのうちの少なくとも一方を形成する、制限する、または構成する。これらの連結壁セクションは、当接部および/またはレセプタクルに寄与することができる。
【0039】
バレルの近位端は、通常、円筒形または円形である。レセプタクルまたは当接部の傾斜または円錐状セクションは、バレルの近位端に軸方向もしくは長手方向に当接または係合したときに、心出し要素の自己心出しを提供する。当接部およびレセプタクルのうちの少なくとも一方の傾斜セクションを、中心ハブセクションと外側壁との間に半径方向に形成することができる。レセプタクルを、外側壁によって半径方向または横断方向に制限することができる。心出し要素の当接部にも同じことが当てはまり得る。
【0040】
いくつかの例では、外側壁の内向き面が傾斜していてもよく、レセプタクルに属していても、レセプタクルを構成していてもよい。当接部を、バレルの側壁から半径方向または横断方向内方に設けることができる。当接部は、薬剤容器のバレルの内向き部分に係合するように、傾斜していても円錐状であってもよい。
【0041】
別の例によれば、噴霧器は、長手方向に延びる側壁によって囲まれた長手方向流体案内孔を含む。噴霧器は、長手方向に延びる側壁の遠位端の、またはその近くのノズルをさらに含む。ノズルは、流体案内孔に流体連通している。ノズルは、側壁を通って半径方向にまたは横断方向に延びる少なくとも1つのオリフィスをさらに含む。噴霧器の長手方向は、通常、長手方向に延びる側壁の伸長に一致する。噴霧器の側壁は、円筒形であってよい。噴霧器の円筒形の側壁は、中空で流体案内孔を含む。噴霧器の側壁の遠位端の、またはその近くのノズルは、潤滑剤が流体案内孔を通ってノズルに向けられると、潤滑剤を霧化するように機能する。ノズルは、通常、噴霧器がバレルの内部に位置するときに、バレルの内面に潤滑剤を半径方向外向きに塗布するおよび/または付着させるように、半径方向外方に延びる。
【0042】
いくつかの例では、ノズルは、いわゆる単一成分ノズルとして実装される。単一成分ノズルにより、潤滑剤は、ノズルにわたる圧力降下、すなわち、供給ラインまたはノズルの上流の流体案内孔内の液体潤滑剤と、ノズルの外側または下流の領域との間の圧力降下に基づいて、霧化または噴霧化される。この圧力降下は、潤滑剤を霧化するためのエネルギーを実質的に提供することができる。
【0043】
他の例では、ノズルは、潤滑剤供給ラインおよび加圧ガスに流体連通している2成分ノズルとして実装される。ここでは、潤滑剤は第1の成分、すなわち液体成分であり、加圧ガスは第2の成分、すなわちガス成分である。第1の成分および第2の成分がノズルを介して同時に放出されるときに、第2の成分は第1の成分を霧化するように機能する。
【0044】
通常、長手方向に延びる側壁は、心出し要素の中心ハブセクションの貫通口内で摺動可能に支持される噴霧器の軸に一致する。言い換えると、噴霧器の長手方向に延びる側壁は、噴霧器の伸長軸を形成または構成する。したがって、長手方向に延びる側壁は、心出し要素に長手方向に摺動係合する。
【0045】
噴霧器は、1つではなくいくつかのノズルを含むことができる。これらのノズルは、通常、円筒形の側壁または軸の外周に沿って異なる方向または反対方向に延びる。このようにして、薬剤容器のバレルの内面への潤滑剤のかなり均一な塗布を提供することができる。
【0046】
さらなる例によれば、ノズルは、少なくとも第1のオリフィスと第2のオリフィスとを含む。第1のオリフィスは、噴霧器の長手方向に延びる側壁または軸の周方向に見て、第2のオリフィスからずれて位置している。このようにして、噴霧器の軸または長手方向に延びる側壁の周囲で正反対に位置するセクションに、霧化された潤滑剤を供給または提供することができる。
【0047】
第1のオリフィスおよび/または第2のオリフィスのサイズは、噴霧器の円筒形の側壁もしくは軸の周方向または接線方向に見て、比較的大きくてよい。このようにして、バレルの内面への潤滑剤の空間的に均一な付着を全体的に提供することができる。
【0048】
さらなる例によれば、ノズルは、少なくとも第1のオリフィスと第3のオリフィスとを含む。第1のオリフィスは、長手方向または軸方向に見て、かつ長手方向に延びる側壁または軸の周方向に見て、第3のオリフィスからずれて位置している。さらに、接線方向または周方向に見て、第1のオリフィスと第3のオリフィスとは、少なくともわずかに重なっていてもよい。このようにして、バレルの内面への霧化された潤滑剤の空間的に均一な付着を提供することができる。
【0049】
いくつかの例では、ノズルは、互いに正反対の第1のオリフィスと第2のオリフィスとを含む。ノズルは、第3のオリフィスと第4のオリフィスとを含むことができる。第3のオリフィスと第4のオリフィスとを、互いに正反対に配置してもよい。周方向または接線方向に見て、第1および第2のオリフィスの対と、第3および第4のオリフィスの対とを、周方向にずらして配置してもよい。接線方向に見て、第3のオリフィスは、第1および第2のオリフィスの間の中間の空間に位置していてもよい。また、第4のオリフィスを、第1および第2のオリフィスの間に周方向に配置してもよい。このようにして、第1および第2のオリフィスの間に必然的に設けられる必然的な影セクションを、ノズルの第3および第4のオリフィスのうちの少なくとも一方で覆うことができる。
【0050】
いくつかの例では、第1のオリフィスから第2のオリフィスへ延びる仮想相互連結線を、第3のオリフィスと第4のオリフィスとを相互連結する第2の仮想相互連結線に対して約90°に向けることができる。
【0051】
実際には、周方向または接線方向に見て、第1、第2、および任意選択の第3および第4のオリフィスの配置は、噴霧器付近で潤滑剤のかなり空間的に均一な霧化を提供する。通常、ノズルは、噴霧器の軸セクションの遠位端で、またはその近くで、霧化された潤滑剤の360°の分散を提供する。
【0052】
さらなる例によれば、ノズルはノズルグリッドを含む。ノズルグリッドは、焼結フィルタまたは焼結ふるい構造またはそれぞれの焼結金属構造を含むことができる。ノズルグリッドは焼結金属網を含むことができ、この焼結金属網は、潤滑剤を流体案内孔に通すときに潤滑剤の霧化を提供するための多数のかなり小さいオリフィスを提供する。
【0053】
前述したオリフィスおよびノズルグリッドは、ノズルの長手方向に延びる側壁に設けられる。ノズルの遠位端は、終端として実装され、潤滑剤を遠位方向に排出または放出することを防ぐように、長手方向流体案内孔を閉鎖することができる。長手方向に延びる側壁または軸の遠位セクションに設けられたオリフィスおよび/またはノズルグリッドにより、たとえば、バレルの半径方向内方に延びる肩部分またはバレルの内面の遠位端に潤滑剤が付着しないように維持しながら、バレルの側壁の内面への潤滑剤の付着を提供することができる。
【0054】
さらなる態様によれば、本開示はまた、薬剤容器のバレルの内面に潤滑剤を付着させるためのアプリケータシステムに関する。アプリケータシステムは、前述した少なくとも1つのアプリケータデバイスを含む。アプリケータシステムは、前述したアプリケータデバイスの噴霧器と流体連結する潤滑剤供給システムを含む。アプリケータシステムは、少なくとも1つの電気機械アクチュエータをさらに含む。電気機械アクチュエータは、アプリケータデバイスを薬剤容器に対して動かすように動作可能である。さらに、アプリケータシステムは、潤滑剤供給システムに連結され、かつ少なくとも1つの電気機械アクチュエータに連結されたコントローラを含む。コントローラは、薬剤容器に対するアプリケータデバイスの相対運動を制御し、かつ潤滑剤の放出を制御するように動作可能であり、および/または構成される。
【0055】
アプリケータシステムは、バレルの内面への潤滑剤の付着を自動的に行うように特に構成される。コントローラは、アプリケータデバイスの噴霧器をバレルの内部に挿入するように、バレルに対するアプリケータデバイスの相対運動を引き起こすように特に構成される。噴霧器がバレルの内部に適切に挿入されると、コントローラは、潤滑剤の分配もしくは噴射を誘発または制御することができる。潤滑剤の分配または噴射中、噴霧器をバレルの内部から所定の速度で引き抜くことができる。
【0056】
アプリケータシステムは、薬剤容器の大量生産用に特に構成される。アプリケータデバイスは、各々が心出し要素を備える多数の噴霧器を含むことができる。アプリケータシステムは、いくつかのバレルを保持するための多数のレセプタクルを有する取付具をさらに含むことができる。したがって、アプリケータシステムは、前述した多数のアプリケータデバイスを保持するための取付具を含むこともできる。たとえば、アプリケータデバイスは、薬剤容器用の最大10、最大12、またはさらには最大15または20の個々のレセプタクルを含む取付具を含むことができる。これに対応して、アプリケータシステムは、対応する数の噴霧器および心出し要素のための取付具を含むことができる。
【0057】
少なくとも1つの電気機械アクチュエータは、アプリケータデバイスの取付具および薬剤容器の取付具のうちの少なくとも一方に機械的に係合または連結されている。このようにして、単一の電気機械アクチュエータで、多数のアプリケータデバイスおよび薬剤容器を互いに対して同時に動かすことができる。このようにして、かなり多数の薬剤容器に、潤滑剤を同時に提供することができる。多数の噴霧器のセットの各々の噴霧器が別個の心出し要素を備えているため、それぞれの薬剤容器のバレルに対する各噴霧器の明確な位置、位置合わせ、または向きを提供することができる。
【0058】
別の態様によれば、本開示は、薬剤容器のバレルの内面に潤滑剤を付着させる方法に関する。方法は、少なくとも1つの薬剤容器を提供する工程を含む。さらなる工程で、前述したアプリケータデバイスの噴霧器を薬剤容器に挿入する。噴霧器を薬剤容器に挿入する間またはその過程で、各噴霧器の心出し要素を使用して、薬剤容器のバレルに対して噴霧器を位置合わせする、および/または半径方向に心出しする。心出しは、通常、横断方向に沿って、または噴霧器の伸長もしくは薬剤容器のバレルの伸長に略垂直に延びる横断面に関して行われる。さらなる工程で、噴霧器を使用して、バレルの内面にある量の潤滑剤を放出する。
【0059】
一般に、バレルの内面に潤滑剤を付着させる方法は、前述したアプリケータデバイスおよび/またはアプリケータシステムを利用して実行される。その限りにおいて、アプリケータデバイスおよびアプリケータシステムに関して前述したすべての構成、効果、および利点は、バレルの内面に潤滑剤を付着させる方法に等しく当てはまり、その逆も同様である。
【0060】
別の態様によれば、前述したアプリケータデバイスの噴霧器が提供される。噴霧器は、細長軸または長手方向に延びる側壁を含む。噴霧器は、長手方向に延びる側壁または軸を通って長手方向に延びる長手方向流体案内孔をさらに含む。通常は閉鎖されている遠位端で、または遠位端近くで、軸または長手方向に延びる側壁は、通常、流体案内孔に流体連通するノズルを含む。ノズルは、側壁を通って半径方向に延びる少なくとも1つのオリフィスを含む。
【0061】
通常、さらなる例によれば、噴霧器のノズルは、第1のオリフィスと第2のオリフィスとを含む。第1のオリフィスは、長手方向に延びる側壁の周方向に見て、かつ噴霧器の略円筒形の軸の周方向に見て、第2のオリフィスからずれて位置している。第1のオリフィスと第2のオリフィスとは、互いに正反対を向いていてもよい。周方向に見て、第1のオリフィスおよび/または第2のオリフィスは、少なくとも15°、少なくとも20°、少なくとも30°、少なくとも45°、少なくとも60°、または少なくとも90°の開口角を含むことができる。周方向に見て比較的大きい開口角は、潤滑剤が流体案内孔に通されてノズルを介して噴射されたときに、かなり広範囲の潤滑剤の霧化を提供する。
【0062】
さらなる例では、軸または長手方向に延びる側壁は、長手方向に見て、かつ細長軸の周方向に見て、第1のオリフィスからずれて位置する第3のオリフィスを含む。第3のオリフィスを、第1のオリフィスから周方向にずらして向ける、および/または配置することができる。第3のオリフィスの開口範囲または開口角は、長手方向投影で見て、第1のオリフィスの開口角に隣接することができ、またはさらには重なることができる。このようにして、第3のオリフィスは、第1のオリフィスと第2のオリフィスとの間に周方向に位置することができる。第1および第2のオリフィスの間に必然的に設けられる死角または影領域を、第3のオリフィスで覆うことができる。
【0063】
噴霧器、通常は、その細長軸または長手方向に延びる側壁に、第3のオリフィスとは正反対に位置する第4のオリフィスを設けてもよい。通常、第1および第2のオリフィスは、第2の横断面から長手方向にずれた共通の第1の横断面に位置していてよい。第3および第4のオリフィスは、第2の横断面に位置し、または重なる。
【0064】
第1、第2、第3、および第4のオリフィスにより、軸の周囲または長手方向に延びる側壁の周囲において、潤滑剤の空間的に均一な、たとえば360°の霧化を提供することができる。
【0065】
別の例では、噴霧器は、ベースセクションと細長軸セクションとを含む。ここでは、軸セクションは、噴霧器のベースセクションに対して回転可能であってよい。あるいは、軸セクションとベースセクションとが相互に固定されているとき、ベースセクションは軸セクションと一緒に、少なくとも潤滑剤の放出中に、回転軸としての長手方向軸と共に回転することができる。噴霧器の回転支持により、噴霧器は、単一のオリフィスを有する1つのノズルのみを含むことができる。
【0066】
オリフィスを通して潤滑剤を噴射する間、オリフィス、およびしたがって噴霧器の長手方向に延びる側壁または軸は、バレルに対して回転運動することができる。
【0067】
さらなる態様によれば、本開示はまた、アプリケータデバイス、アプリケータシステムを利用することによって、および/または前述した方法を実行することによって、容器に塗布された潤滑剤で被覆された、または潤滑剤を備えた薬剤容器に関する。薬剤容器は、バレルの内面に潤滑剤を備えたバレルを含む。薬剤容器は、液体薬剤で充填され、通常、可動のピストンまたはストッパにより近位方向に封止される。
【0068】
一般に、本開示の範囲は、特許請求の範囲の内容によって定義される。アプリケータデバイス、アプリケータシステム、および潤滑剤を付着させるそれぞれの方法は、一般に、特定の実施形態または実施例に限定されず、異なる実施形態または実施例の要素の任意の組合せを含む。これに関する限り、本開示は、特許請求の範囲の任意の組合せ、および異なる実施例または実施形態に関して開示された構成の任意の技術的に実現可能な組合せを包含する。
【0069】
本文脈において、「遠位」または「遠位端」という用語は、人または動物の注射部位を向く注射デバイスの端部に関する。「近位」または「近位端」という用語は、人または動物の注射部位から最も離れた注射デバイスの反対側の端部に関する。
【0070】
「薬物」または「薬剤」という用語は、本明細書では同義的に用いられ、1つもしくはそれ以上の活性医薬成分またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物と、場合により薬学的に許容可能な担体と、を含む医薬製剤を記述する。活性医薬成分(「API」)とは、最広義には、ヒトまたは動物に対して生物学的効果を有する化学構造体のことである。薬理学では、薬剤または医薬は、疾患の治療、治癒、予防、または診断に使用されるか、さもなければ身体的または精神的なウェルビーイングを向上させるために使用される。薬物または薬剤は、限定された継続期間で、または慢性障害では定期的に使用可能である。
【0071】
以下に記載されるように、薬物または薬剤は、1つもしくはそれ以上の疾患の治療のために各種タイプの製剤中に少なくとも1つのAPIまたはその組合せを含み得る。APIの例としては、500Da以下の分子量を有する低分子、ポリペプチド、ペプチド、およびタンパク質(たとえば、ホルモン、成長因子、抗体、抗体フラグメント、および酵素)、炭水化物および多糖、ならびに核酸、二本鎖または一本鎖DNA(ネイキッドおよびcDNAを含む)、RNA、アンチセンス核酸たとえばアンチセンスDNAおよびRNA、低分子干渉RNA(siRNA)、リボザイム、遺伝子、およびオリゴヌクレオチドが挙げられ得る。核酸は、ベクター、プラスミド、またはリポソームなどの分子送達システムに取り込み可能である。1つまたはそれ以上の薬物の混合物も企図される。
【0072】
薬物または薬剤は、薬物送達デバイスでの使用に適合化された一次パッケージまたは「薬物容器」に包含可能である。薬物容器は、たとえば、1つもしくはそれ以上の薬物の収納(たとえば、短期または長期の収納)に好適なチャンバを提供するように構成されたカートリッジ、シリンジ、リザーバ、または他の硬性もしくは可撓性のベッセルであり得る。たとえば、いくつかの場合には、チャンバは、少なくとも1日間(たとえば、1日間~少なくとも30日間)にわたり薬物を収納するように設計可能である。いくつかの場合には、チャンバは、約1カ月~約3年間にわたり薬物を収納するように設計可能である。収納は、室温(たとえば、約20℃)または冷蔵温度(たとえば、約2~8℃)で行うことが可能である。いくつかの場合には、薬物容器は、投与される医薬製剤の2つ以上の成分(たとえば、APIと希釈剤、または2つの異なる薬物)を各チャンバに1つずつ個別に収納するように構成されたデュアルチャンバカートリッジであり得るか、またはそれを含み得る。かかる場合には、デュアルチャンバカートリッジの2つのチャンバは、人体もしくは動物体への投薬前および/または投薬中に2つ以上の成分間の混合が可能になるように構成可能である。たとえば、2つのチャンバは、互いに流体連通するように(たとえば、2つのチャンバ間の導管を介して)かつ所望により投薬前にユーザによる2つの成分の混合が可能になるように構成可能である。代替的または追加的に、2つのチャンバは、人体または動物体への成分の投薬時に混合が可能になるように構成可能である。
【0073】
本明細書に記載の薬物送達デバイスに含まれる薬物または薬剤は、多くの異なるタイプの医学的障害の治療および/または予防のために使用可能である。障害の例としては、たとえば、糖尿病または糖尿病に伴う合併症たとえば糖尿病性網膜症、血栓塞栓障害たとえば深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症が挙げられる。障害のさらなる例は、急性冠症候群(ACS)、アンギナ、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、枯草熱、アテローム硬化症および/または関節リウマチである。APIおよび薬物の例は、ローテリステ2019年(Rote Liste 2014)(たとえば、限定されるものではないがメイングループ12(抗糖尿病薬剤)または86(オンコロジー薬剤))やメルク・インデックス第15版(Merck Index,15th edition)などのハンドブックに記載されているものである。
【0074】
1型もしくは2型糖尿病または1型もしくは2型糖尿病に伴う合併症の治療および/または予防のためのAPIの例としては、インスリン、たとえば、ヒトインスリン、もしくはヒトインスリンアナログもしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)、GLP-1アナログもしくはGLP-1レセプターアゴニスト、はそのアナログもしくは誘導体、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)阻害剤、またはそれらの薬学的に許容可能な塩もしくは溶媒和物、またはそれらのいずれかの混合物が挙げられる。本明細書で用いられる場合、「アナログ」および「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドに存在する少なくとも1つのアミノ酸残基の欠失および/または交換によりおよび/または少なくとも1つのアミノ酸残基の付加により天然に存在するペプチドの構造たとえばヒトインスリンの構造から形式的に誘導可能な分子構造を有するポリペプチドを指す。付加および/または交換アミノ酸残基は、コード可能アミノ酸残基または他の天然に存在する残基または純合成アミノ酸残基のどれかであり得る。インスリンアナログは、「インスリンレセプターリガンド」とも呼ばれる。特に、「誘導体」という用語は、天然に存在するペプチドの構造から形式的に誘導可能な分子構造、たとえば、1つまたはそれ以上の有機置換基(たとえば脂肪酸)がアミノ酸の1つまたはそれ以上に結合したヒトインスリンの分子構造を有するポリペプチドを指す。場合により、天然に存在するペプチドに存在する1つまたはそれ以上のアミノ酸が、欠失し、および/または非コード可能アミノ酸を含めて他のアミノ酸によって置き換えられ、または天然に存在するペプチドに非コード可能なものを含めてアミノ酸が付加される。
【0075】
インスリンアナログの例は、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン(インスリングラルギン);Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン(インスリングルリジン);Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン(インスリンリスプロ);Asp(B28)ヒトインスリン(インスリンアスパルト);位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaに置き換えられたうえに位置B29のLysがProに置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28~B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリンおよびDes(B30)ヒトインスリンである。
【0076】
インスリン誘導体の例は、たとえば、B29-N-ミリストイル-des(B30)ヒトインスリン、Lys(B29)(N-テトラデカノイル)-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデテミル、レベミル(Levemir)(登録商標));B29-N-パルミトイル-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-ミリストイルヒトインスリン;B29-N-パルミトイルヒトインスリン;B28-N-ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28-N-パルミトイル-LysB28ProB29ヒトインスリン;B30-N-ミリストイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30-N-パルミトイル-ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29-N-(N-パルミトイル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン、B29-N-オメガ-カルボキシペンタデカノイル-ガンマ-L-グルタミル-des(B30)ヒトインスリン(インスリンデグルデク、トレシーバ(Tresiba)(登録商標));B29-N-(N-リトコリル-ガンマ-グルタミル)-des(B30)ヒトインスリン;B29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)-des(B30)ヒトインスリンおよびB29-N-(ω-カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
【0077】
GLP-1、GLP-1アナログおよびGLP-1レセプターアゴニストの例は、たとえば、リキシセナチド(リキスミア(Lyxumia)(登録商標))、エキセナチド(エキセンジン-4、バイエッタ(Byetta)(登録商標)、ビデュリオン(Bydureon)(登録商標)、ヒラモンスターの唾液腺により産生される39アミノ酸ペプチド)、リラグルチド(ビクトーザ(Victoza)(登録商標))、セマグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド(シンクリア(Syncria)(登録商標))、デュラグルチド(トルリシティ(Trulicity)(登録商標))、rエキセンジン-4、CJC-1134-PC、PB-1023、TTP-054、ラングレナチド/HM-11260C(エフペグレナチド)、HM-15211、CM-3、GLP-1エリゲン、ORMD-0901、NN-9423、NN-9709、NN-9924、NN-9926、NN-9927、ノデキセン、ビアドール-GLP-1、CVX-096、ZYOG-1、ZYD-1、GSK-2374697、DA-3091、MAR-701、MAR709、ZP-2929、ZP-3022、ZP-DI-70、TT-401(ペガパモドチド(Pegapamodtide))、BHM-034、MOD-6030、CAM-2036、DA-15864、ARI-2651、ARI-2255、チルゼパチド(LY3298176)、バマドゥチド(Bamadutide)(SAR425899)、エキセナチド-XTENおよびグルカゴン-Xtenである。
【0078】
オリゴヌクレオチドの例は、たとえば、家族性高コレステロール血症の治療のためのコレステロール低下アンチセンス治療剤ミポメルセンナトリウム(キナムロ(Kynamro)(登録商標))、またはアルポート症候群の治療のためのRG012である。
【0079】
DPP4阻害剤の例は、リナグリプチン、ビダグリプチン、シタグリプチン、デナグリプチン、サキサグリプチン、ベルベリンである。
【0080】
ホルモンの例としては、脳下垂体ホルモンもしくは視床下部ホルモンまたはレギュラトリー活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニスト、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(Somatropine)(ソマトロピン(Somatropin))、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、リュープロレリン、ブセレリン、ナファレリン、およびゴセレリンが挙げられる。
【0081】
多糖の例としては、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンもしくはそれらの誘導体、もしくは硫酸化多糖たとえばポリ硫酸化形の上述した多糖、および/またはそれらの薬学的に許容可能な塩が挙げられる。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容可能な塩の例は、エノキサパリンナトリウムである。ヒアルロン酸誘導体の例は、ハイランG-F20(シンビスク(Synvisc)(登録商標))、ヒアルロン酸ナトリウムである。
【0082】
本明細書で用いられる「抗体」という用語は、イムノグロブリン分子またはその抗原結合部分を指す。イムノグロブリン分子の抗原結合部分の例としては、抗原への結合能を保持するF(ab)およびF(ab’)2フラグメントが挙げられる。抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、脱免疫化もしくはヒト化抗体、完全ヒト抗体、非ヒト(たとえばネズミ)抗体、または一本鎖抗体であり得る。いくつかの実施形態では、抗体は、エフェクター機能を有するとともに補体を固定可能である。いくつかの実施形態では、抗体は、Fcレセプターへの結合能が低減されているか、または結合能がない。たとえば、抗体は、Fcレセプターへの結合を支援しない、たとえば、Fcレセプター結合領域の突然変異もしくは欠失を有するアイソタイプもしくはサブタイプ、抗体フラグメントまたは突然変異体であり得る。抗体という用語は、4価二重特異的タンデムイムノグロブリン(TBTI)および/またはクロスオーバー結合領域配向を有する二重可変領域抗体様結合タンパク質(CODV)に基づく抗原結合分子も含む。
【0083】
「フラグメント」または「抗体フラグメント」という用語は、完全長抗体ポリペプチドを含まないが依然として抗原に結合可能な完全長抗体ポリペプチドの少なくとも一部分を含む抗体ポリペプチド分子由来のポリペプチド(たとえば、抗体重鎖および/または軽鎖ポリペプチド)を指す。抗体フラグメントは、完全長抗体ポリペプチドの切断部分を含み得るが、この用語は、かかる切断フラグメントに限定されるものではない。本発明に有用な抗体フラグメントとしては、たとえば、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、scFv(一本鎖Fv)フラグメント、線状抗体、単一特異的または多重特異的な抗体フラグメント、たとえば、二重特異的、三重特異的、四重特異的および多重特異的抗体(たとえば、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ)、1価または多価抗体フラグメント、たとえば、2価、3価、4価および多価の抗体、ミニボディ、キレート化組換え抗体、トリボディまたはビボディ、イントラボディ、ナノボディ、小モジュール免疫医薬(SMIP)、結合ドメインイムノグロブリン融合タンパク質、ラクダ化抗体、およびVHH含有抗体が挙げられる。抗原結合抗体フラグメントの追加の例は当技術分野で公知である。
【0084】
「相補性決定領域」または「CDR」という用語は、特異的抗原認識を媒介する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内の短いポリペプチド配列を指す。「フレームワーク領域」という用語は、CDR配列でないかつ抗原結合が可能になるようにCDR配列の適正配置を維持する役割を主に担う、重鎖および軽鎖の両方のポリペプチドの可変領域内のアミノ酸配列を指す。フレームワーク領域自体は、典型的には抗原結合に直接関与しないが、当技術分野で公知のように、ある特定の抗体のフレームワーク領域内のある特定の残基は、抗原結合に直接関与し得るか、またはCDR内の1つもしくはそれ以上のアミノ酸と抗原との相互作用能に影響を及ぼし得る。
【0085】
抗体の例は、抗PCSK-9 mAb(たとえば、アリロクマブ)、抗IL-6 mAb(たとえば、サリルマブ)、および抗IL-4 mAb(たとえば、デュピルマブ)である。
【0086】
本明細書に記載のいずれのAPIの薬学的に許容可能な塩も、薬物送達デバイスで薬物または薬剤に使用することが企図される。薬学的に許容可能な塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。
【0087】
本発明の全範囲および趣旨から逸脱することなく、本明細書に記載のAPI、製剤、装置、方法、システム、および実施形態の様々な構成要素の変更(追加および/または除去)を行うことができ、本発明の全範囲および趣旨はそのような変更およびそのあらゆる均等物を包含することを、当業者は理解するだろう。
【0088】
さらに、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更および変形を本開示に行うことができることが、当業者には明らかであろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用するいかなる参照数字も、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことに留意されたい。
【0089】
以下で、図面を参照しながら、薬剤容器のバレルの内面に潤滑剤を付着させるためのアプリケータデバイスおよびアプリケータシステムの例について、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1】薬剤容器を備えるように構成されたペン型注射デバイスの例を示す図である。
図2図1の注射デバイスの多数の部材を示す図である。
図3】薬剤容器の内部に噴霧器を挿入する前の、アプリケータデバイスの側面図である。
図4】噴霧器がバレルの内部にあり、バレルの内面への潤滑剤の放出が開始された、図3による側面図である。
図5】噴霧器をバレルの内部から取り出した後のアプリケータデバイスを示す図である。
図6】アプリケータデバイスの、切り離された心出し要素の上面図である。
図7】アプリケータデバイスの噴霧器と心出し要素との相互の組立ての詳細な側面図である。
図8】噴霧器の斜視図である。
図9図8の噴霧器の遠位端の拡大図である。
図10】グリッドまたは焼結金属ノズルを有する噴霧器の遠位端の別の例を示す図である。
図11図9のA-Aに沿った断面図である。
図12図9のB-Bに沿った断面図である。
図13】アプリケータデバイスを含むアプリケータシステムのブロック図である。
図14】いくつかの薬剤容器の取付具を備え、いくつかのアプリケータデバイスの取付具をさらに備えた、アプリケータシステムの一部を示す図である。
図15】バレルの内面に潤滑剤を付着させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0091】
薬剤27の用量を投与するための薬物送達デバイス1の一例が、図1および図2に示されている。薬物送達デバイス1は、注射デバイス30として実装される。注射デバイス30は、手持ち式ペン型注射器である。注射デバイス30を、使い捨て注射デバイス30として実装することができる。注射デバイス30は、たとえばカートリッジまたはカルプーレとして実装された充填済み薬剤容器6を含むことができる。薬剤容器6は、カートリッジホルダ14内に配置される。使い捨て注射デバイス30では、カートリッジホルダ14を注射デバイス30のハウジング32の本体10に取り外し不能に連結することができる。
【0092】
他の例では、注射デバイス30は再利用可能な注射デバイスであり、カートリッジホルダ14は、空の薬剤容器6を交換するために、本体10に取り外し可能に連結される。ハウジング32の遠位端に、またはその近くに、したがってカートリッジホルダ14の遠位端に、注射針15を取り付けるまたは注射針15に係合するように構成されたソケット28が設けられる。ソケット28をねじ付ソケットとして実装することができ、注射針15は、ソケット28にねじ係合するように対応してねじ付けされたニードルハブを含むことができる。
【0093】
通常、注射針15は、内側針キャップ16によって、かつ注射デバイス30のハウジング32の遠位セクションを囲んで保護するように構成された外側針キャップ17および/または保護キャップ18によって保護される。本体10は、図2に示す駆動機構34を収容するように構成された主ハウジング部材を含むことができ、形成することができる。カートリッジホルダ14を、注射デバイス30の遠位ハウジング部材とみなすことができる。カートリッジホルダ14を、恒久的にまたは解放可能に本体10または主ハウジングに連結することができる。
【0094】
薬剤容器6は円筒形または管状のバレル25を含み、このバレル25は、バレル25内に位置するストッパ7によって近位方向3に封止される。薬剤容器6には、液体薬剤27が充填済みであってよい。ストッパ7は、駆動機構34のピストンロッド20によって、容器6のバレル25に対して遠位方向2に変位可能である。薬剤容器6の遠位端は、穿孔可能な封止材26によって封止され、この封止材26は、セプタムとして構成され、注射針15の近位向きの先端によって穿孔可能である。注射針15をカートリッジホルダ14の遠位端に取り付けることにより、薬剤容器6の封止材26を貫通して、薬剤容器6の内部への流体移送アクセスを確立する。
【0095】
注射デバイス1が、たとえばヒトインスリンを投与するように構成されているとき、注射デバイス1の近位端で用量ダイヤル12によって設定される投薬量を、いわゆる国際単位(IU、1IUは約45.5μgの純結晶インスリン(1/22mg)に生物学的に等価である)で表示することができる。用量ダイヤル12は、注射デバイス30のハウジング32の近位端にスリーブ状のノブを含むことができる。
【0096】
さらに図1および図2に示すように、本体10は、本体10のアパーチャの形態であり得る投薬量窓13を含む。投薬量窓13により、ユーザは、用量ダイヤル12を回すと動くように構成された数字スリーブ(図示せず)の限られた部分を見ることができる。数字スリーブおよび投薬量窓13は、現在設定されている用量の視覚標示を提供する。用量ダイヤル12は、用量の設定および/または投薬もしくは排出中に回されると、本体10に対して螺旋経路で回転することができる。
【0097】
いくつかの他のタイプの注射デバイスでは、用量ダイヤル12を本体10に対して長手方向にロックすることができる。それにより、用量ダイヤル12を、用量設定のための本体10に対する回転運動に限定することができる。
【0098】
注射デバイス30は、投薬量ノブ12を回すと、機械クリック音が生じて音響フィードバックをユーザに提供するように構成することができる。針15を患者の皮膚部分に突き刺して、トリガ11または注射ボタンを押すと、投薬量窓13に表示された液体薬剤の用量が、注射デバイス1から放出される。トリガ11を押した後に、注射デバイス1の針15が皮膚部分にある一定の時間とどまると、高いパーセンテージの用量が実際に患者の体内に注射される。インスリン用量の放出によっても機械クリック音が生じるが、これは、用量ダイヤル12を使用するときに生じる音とは異なる。
【0099】
図示の実施形態において、インスリン用量の送達中、用量ダイヤル12は軸方向運動で、すなわち回転することなく初期位置に向かうが、数字スリーブは回転して初期位置に戻り、たとえばゼロ単位の用量を表示する。
【0100】
注射デバイス30を、薬剤容器6が空になるまで、または注射デバイス1内の薬剤の使用期限(たとえば、最初の使用後28日)に達するまで、いくつかの注射プロセスに使用することができる。
【0101】
図2に、駆動機構34の例の少なくともいくつかの部材が、より詳細に示されている。駆動機構34は、多数の機械的に相互作用する部材を含む。本体10のフランジ状の支持部が、ピストンロッド20のねじ山22にねじ係合するねじ付軸方向貫通口を含む。ピストンロッド20の遠位端は支承部21を含み、この支承部21上で、押さえ23が、回転軸としてのピストンロッド20の長手方向軸と共に自由に回転する。押さえ23は、薬剤容器6のストッパ7の近位向きの推力受け面に軸方向に当接するように構成される。投薬動作中、ピストンロッド20は本体10に対して回転することにより、本体10に対して、したがって容器6のバレル25に対して、遠位方向に前進運動する。その結果、ピストンロッド20が本体10にねじ係合することにより、薬剤容器6のストッパ7が、明確な距離だけ遠位方向2に変位する。
【0102】
本体10は投薬量窓13を備え、この投薬量窓13を通して、数字スリーブの外面の一部を見ることができる。本体10は、挿入部品62の内側壁部分に螺旋リブをさらに備え、この螺旋リブは、数字スリーブの螺旋溝に着座される。管状の挿入部品62が、管状の本体10の近位端に挿入される。あるいは、そのような螺旋リブを、本体10の側壁の内側に直接設けてもよい。螺旋リブおよび挿入部品62は、回転可能に本体10に軸方向に固定される。本体10に第1および第2の止め具を設けて、数字スリーブを本体10に対して螺旋運動で回転させる用量設定手順を限定することができる。
【0103】
用量ダイヤルグリップの形態の用量ダイヤル12が、数字スリーブの近位端の外面の周りに配置される。用量ダイヤル12の外径は、通常、本体10の近位端の外径に対応し、一致する。用量ダイヤル12は、数字スリーブに固定されて、これらの相対運動を防ぐ。用量ダイヤル12は中心開口部を備える。
【0104】
用量ボタンとも呼ばれるトリガ11は、略T字形である。トリガ11は、注射デバイス30の近位端に設けられる。トリガ11のステムが、用量ダイヤル12の開口部を通って延びる。ステム、およびしたがってトリガ11は、数字スリーブに対して限られた軸方向運動をするように保持される。トリガ11の頭部は全体的に円形である。トリガの側壁またはスカートは、頭部の周囲から延び、用量ダイヤル12の、近位でアクセス可能な環状凹部に着座されるようにさらに適用されている。
【0105】
用量をダイヤル設定するために、ユーザは、用量ダイヤル12を用量増加方向4に沿って、たとえば時計方向に回転させる。用量のダイヤル設定は、クリック音を伴っていてよい。このようにして、用量がダイヤル設定されることの可聴および/または触覚フィードバックが提供される。用量のダイヤル設定は、数字スリーブの回転をさらに伴い、数字スリーブは、用量増加方向4、たとえば時計方向に沿ってダイヤル設定されると、本体10から近位方向3に向かって延び始める。
【0106】
数字スリーブ、用量ダイヤル12、およびトリガは、ダイヤル伸長部70、したがって、駆動機構34の部材のアセンブリの一部を形成することができ、ダイヤル伸長部70は、用量がダイヤル設定されると本体10の近位端から延び始めるまたは変位し始める。用量の投薬中、したがってユーザがトリガ11を遠位方向2に押し下げたときに、ダイヤル伸長部70は、本体10に対して遠位向きに、したがって遠位方向2に沿って動く。そのような投薬動作中、数字スリーブは、用量減少方向5に沿って、たとえば反時計方向に回転する。
【0107】
前述した排出機構または駆動機構34は、一般に使い捨てまたは再利用可能なペン型注射器に実装可能な、複数の異なって構成された駆動機構のうちの1つについての単なる例示である。前述した駆動機構は、たとえば、参照によって全体を本明細書に組み入れるWO2004/078239A1、WO2004/078240A1、またはWO2004/078241A1において、より詳細に説明されている。
【0108】
一般に、通常は天然または合成ゴムなどのエラストマー材料から作られるストッパ7は、バレル25の内面に液密に係合する。したがって、バレル25に対するストッパ7の動きは、必然的に屋根裏応答または動摩擦を受ける。ストッパ7との間の摩擦を低減させ、バレル25に対するストッパ7のかなり平滑な変位を提供するために、バレル25の内面に潤滑剤102を提供することができる。
【0109】
図1および図2に示す注射デバイス30は、液体薬剤を収納するように構成された薬剤容器6と共に使用するように構成され、かつバレル25の側壁に沿って摺動可能に変位可能なピストンまたはストッパを備える薬物送達デバイスの単なる一例である。
【0110】
図3図5で、薬剤容器6のバレル25の内面に潤滑剤102を付着させるまたは塗布するためのアプリケータデバイス100の一例が記載されている。アプリケータデバイス100は噴霧器110を含み、この噴霧器110は、長手方向を画成し、薬剤容器6のバレル25の内部8に挿入するサイズに設定された。噴霧器110は、通常はバレル25の長手方向に一致する噴霧器110の長手方向に沿って挿入するように構成されサイズ設定される。アプリケータデバイス100は、心出し要素130をさらに含む。心出し要素130は噴霧器110に連結される。心出し要素130は、所定の位置もしくは向きで、動作可能におよび/または機械的にバレル25に係合可能である。
【0111】
心出し要素130は、噴霧器110をバレル25に対して位置させ、方向付けし、および/または位置合わせするように構成される。バレル25は、円筒形の側壁24を含むことができる。長手方向遠位端に向かって、側壁24は半径方向に細くなる肩部分29に連なる。反対側の長手方向端部、したがって近位端9に向かって、円筒形のバレル25、すなわち側壁24は、噴霧器110および/または心出し要素130を受けるように開く。
【0112】
円筒形のバレル25および円筒形の側壁24により、心出し要素130は、横断面、すなわち噴霧器110の長手方向に垂直および/またはバレル25の長手方向に垂直な横断面に関して、噴霧器110を位置合わせし、位置させ、および/または方向付けするように構成される。このようにして、噴霧器110がバレル25の内部8に挿入されたときに、噴霧器110をバレル25の側壁24に対して所定の半径方向または横断方向距離に維持することができる。通常、噴霧器110は、心出し要素130によって、バレル25の半径方向または横断方向中心領域に位置合わせされ、および/または位置する。
【0113】
噴霧器110をバレル25の半径方向中心領域に位置合わせし、方向付けし、または位置させることにより、噴霧器110と円筒形のバレル25の周囲の側壁24との間の半径方向または横断方向距離を、周方向に見て略一定に維持することができる。接線方向または周方向に沿って、噴霧器110を、バレル25の側壁24の内面に対して一定の距離に維持または制限することができる。このようにして、内面への潤滑剤102のかなり均一な付着を提供することができる。
【0114】
ここでは図示しないいくつかの例では、心出し要素130は、バレル25の内部8に入るように形成される。ここでは、心出し要素は、長手方向に形成された噴霧器110から半径方向または横断方向外方に突出することができる。心出し要素は、バレル25の内面と噴霧器110との間の半径方向または横断方向スペーサとして機能することができる。ここでは、心出し要素130と噴霧器110とを互いに対して固定することができる。したがって、心出し要素130と噴霧器110とは、互いに対して動くことができなくてよい。内部8への噴霧器110の挿入、および内部8からの噴霧器110の取出しも、バレル25に対する心出し要素130の長手方向のそれぞれの摺動に伴って行うことができる。
【0115】
図3図7に示す例では、噴霧器110は、心出し要素130に対して長手方向に関して可動である。ここでは、アプリケータデバイス100は摺動ガイド136を含み、この摺動ガイド136により、噴霧器110は、心出し要素130に対して、長手方向に関して摺動可能に変位可能である。図6および図7のアプリケータデバイス100の詳細図からさらに明らかになるように、心出し要素130は、貫通口135を備えた中心ハブセクション134を含み、この貫通口135は噴霧器110を受けるような大きさである。ここでは、中心ハブセクション134は、噴霧器110の外径または外側断面に一致し、これと相関する円形貫通口135を含む。このようにして、長手方向軸セクション112を含む噴霧器110は、中心ハブセクション134の貫通口135内で長手方向に摺動可能に案内される。ここでは、貫通口135内で半径方向に制限された長手方向軸セクション112は、摺動ガイド136を形成または構成する。
【0116】
心出し要素130は遠位向き当接部132をさらに含み、この遠位向き当接部132により、心出し要素130は、薬剤容器6のバレル25の近位端9に軸方向または長手方向に係合可能である。このような当接構成が図4に示されている。心出し要素130の半径方向または横断方向範囲は、バレル25の直径または横断方向断面よりも大きい。したがって、心出し要素130は、バレル25の内部8に入ることが阻止される。アプリケータデバイス100がバレル25に対して遠位長手方向に動くと、心出し要素130は、図4に示すように、その遠位向き当接部132が、バレル25の近位端9に長手方向に当接する。
【0117】
アプリケータデバイス100がバレル25に対してさらに遠位方向に動くと、噴霧器110は、心出し要素130に対して遠位方向に動き始め、図4に示す最終挿入構成に到達するまで、バレル25の内部8に摺動する。最終挿入構成は、噴霧器110がバレル25の肩部分29に到達する、またはバレル25の円筒形の側壁24の遠位端に到達することによって特徴付けることができる。
【0118】
噴霧器110の軸セクション112の遠位端113は、ノズル120を備える。ノズル120を噴霧ノズルとして実装することができ、この噴霧ノズルは、液体潤滑剤102のそれぞれの部分が軸セクション112の内部孔116に通されたときに、潤滑剤102の霧化された噴霧を発生させるように構成され、および/または動作可能である。
【0119】
図3図5および図7にさらに示すように、心出し要素130と噴霧器110とは、ここではばね144、特に圧縮ばねとして実装されている復元要素142によって機械的に係合する。復元要素142の遠位端は、心出し要素130の近位向き当接部131に長手方向に当接する。復元要素142の長手方向近位端は、噴霧器110の遠位向き部分に長手方向に当接する。ここでは、噴霧器110は、円筒形の軸セクション112から半径方向外方に突出する遠位向き当接部115を備えたベースセクション114を含む。復元要素142の近位端は、噴霧器110の遠位向き当接部115に長手方向に当接する。
【0120】
このようにして、噴霧器110は、心出し要素130に対して、復元要素142によって提供される機械的復元力に対抗して、長手方向に摺動可能に変位可能である。噴霧器110をバレル25の内部8に、図4に示す最終挿入構成に向かって長手方向に動かすと、復元要素142が付勢される。噴霧器110をバレル25の内部8から取り出すために、復元要素142は、それぞれの引抜力を噴霧器110に提供し、それにより噴霧器110の当接部115と心出し要素130の当接部131との間の距離を増大させる。
【0121】
図7に示すアプリケータデバイス100は、たとえば、噴霧器110と心出し要素130とを囲む保持具150をさらに含むことができる。保持具150は、噴霧器110に長手方向に当接することができる保持具ベース152を含む。保持具ベース152は、噴霧器110のベースセクション114のハウジングまたは機械的支持部を形成することができる。保持具ベース152は、開口していてよく、または、余分な潤滑剤の排液を支える少なくとも1つもしくはいくつかの排液孔を含むことができる。保持具ベース152は、噴霧器110のベースセクション114を軸方向に支持する、半径方向に延びる多数のストラットまたは梁を含むことができる
【0122】
保持具150は、長手方向に延びる保持具側壁154をさらに含む。保持具ベース152から所定の長手方向距離をおいて、保持具150は半径方向内方に延びるフランジセクション156または少なくとも2つの内方に延びる突起を含む。フランジセクション156または突起は、心出し要素130の遠位側に長手方向に当接する。このようにして、噴霧器110からの心出し要素130の制御されない取り外しを効果的に防ぐことができる。
【0123】
さらに、復元要素142の弛緩が、心出し要素130と噴霧器110との制御されない分解につながることはない。言い換えると、心出し要素130は、噴霧器110に対しておよび保持具150に対して、長手方向に可動である。心出し要素130と噴霧器110との長手方向の相対運動を引き起こすための機械アクチュエータを、保持具150に取り付けてもよい。保持具150に加えられる遠位向きの変位を、保持具ベース152と噴霧器110のベースセクション114との長手方向当接によって、噴霧器110に伝えることができ、心出し要素130の遠位向き当接部132は、バレル25の近位端9に機械的に、したがって長手方向に係合する。
【0124】
バレル25の近位端9に長手方向に当接するために、心出し要素130は、当接部132およびレセプタクル133のうちの少なくとも一方を含む。当接部132は、バレル25の近位端9に長手方向に当接するように構成される。レセプタクル133は、バレル25の近位端9を受けるように構成される。図3図5および図7にさらに示すように、心出し要素130は傾斜セクション140を含む。傾斜セクション140を、当接部132および/またはレセプタクル133の円錐形または傾斜形状構造によって形成することができる。傾斜セクション140は、心出し要素130がバレル25の円形の近位端9に長手方向に当接するときに、一種の半径方向の自己心出しを提供する。
【0125】
ここに示す例では、傾斜セクション140は、心出し要素の中心ハブセクション134を心出し要素130の外側壁137に連結する。外側壁137は、バレル25の近位端9のそれぞれの直径または断面よりも大きい直径または断面を含む。傾斜セクション140は、中心ハブセクション134と外側壁137との間に半径方向に設けられた、多数の半径方向外方に延びる連結壁セクション139に設けられる。特に図7に示すように、傾斜セクション140は、外側壁137の内面138から中心ハブセクション134に向かって、長手遠位方向および半径方向内方に延びる。連結壁セクション139の半径方向範囲は、遠位端で最も小さく、近位端に向かって連続して徐々に増大する。
【0126】
図7において心出し要素130の断面を示す点線でさらに示すように、連結壁セクション139の近位端は、外側壁137の近位端部で終端する、および/またはこの近位端部に隣接する。このようにして、外側壁137の内面138の少なくとも一部が傾斜セクション140側を向き、バレル25の近位端9のための三角形のレセプタクル133を形成する。
【0127】
レセプタクル133は、外側壁137の内面138によって半径方向に制限される。近位方向および内側方向に向かって、レセプタクル133は、連結壁セクション139の遠位向き縁部141によって制限される。中心ハブセクション134の半径方向または横断方向寸法および/または連結壁セクション139の遠位部分の半径方向もしくは周方向範囲は、バレルの近位端9の直径または断面よりも小さい。このようにして、心出し要素130は、バレル25の近位端9に長手方向に当接するときに、半径方向または横断方向に自己心出しすることができる。
【0128】
バレル25と心出し要素130との初期の半径方向または横断方向の位置合わせ不良の場合、多数の連結壁セクション139のうちの1つが、他の連結壁セクション139より先に近位端9に係合する。連結壁セクション139の遠位向き縁部141の傾斜形状により、心出し要素130は、連結壁セクション139のうちの少なくとも3つがバレル25の近位端9に長手方向に当接するまで、バレル25に対して半径方向または横断方向にそれぞれ動く。
【0129】
通常、中心ハブセクション134の外周に沿って等間隔に分散された少なくとも3つの連結壁セクション139が設けられる。連結壁セクション139は、中心ハブセクション134から半径方向外方に突出する。
【0130】
中心ハブセクション134および外側壁137および連結壁セクション139を、一体にまたは単一的に形成することができる。これらを、1つの部品として設けることができる。
【0131】
いくつかの例では、心出し要素130は、射出成形プラスチック部材を含むことができ、または射出成形プラスチック部材として設けることができる。このような射出成形プラスチック部材は、かなり費用効率よく再生することができる。さらに、心出し要素130のプラスチック材料は、それぞれの心出し要素130がバレル25に軸方向または長手方向に当接するときに、バレル25の損傷を避けるため、および/またはバレル25に与える機械的衝撃を低減させるために、特に有利である。
【0132】
いくつかの例では、心出し要素は、ステンレス鋼などの金属材料を含むか、または金属材料から作られる。心出し要素130および/または軸112もしくは噴霧器110に金属材料を使用することは、滅菌または無菌環境でアプリケータデバイスを使用するときに特に有利である。それにより、アプリケータデバイスは、100℃超、たとえば約123℃で行われる蒸気滅菌などの滅菌処置に容易に耐えることができる。滅菌が不要ないくつかの適用のために、噴霧器および/または心出し要素にプラスチック部材を使用してもよい。
【0133】
一般に、心出し要素130およびバレル25の半径方向または横断方向の自己心出しを得るために、当接部132およびレセプタクル133の一方のみが傾斜セクション140を含んでいれば十分である。ここに示す例では、連結壁セクション139のみが、遠位方向を向く傾斜セクション140を備える。あるいは、図示しないが、外側壁137の内面138が傾斜セクションを含むことも考えられる。ここでは、遠位方向から近位方向に見て、内面138が半径方向内方に傾斜しているか、または斜めになっていてよい。ここに示す例では、連結壁セクション139の遠位向き縁部141が、バレル25の近位端9の内側セクションに軸方向および/または半径方向に当接する。
【0134】
傾斜セクション140が外側壁137の内面138に設けられるとき、傾斜セクション140は、バレル25の近位端9の外側部分に係合する。
【0135】
連結壁セクション139の代わりに、中心ハブセクション134と外側壁137との間に延びる閉曲面または閉部分を設けてもよい。ここでは、中心ハブセクション134は、単に、半径方向外方に延びるフランジを備えることができ、このフランジは、連結壁セクション139の遠位縁部141または傾斜セクション140に相当する傾斜セクションを特色とする。特に、中心ハブセクション134から半径方向外方に延びるフランジセクションは、円錐形状を含むことができる。中心ハブセクションの底部に、またはその近くに、貫通口を設けることができ、この貫通口は、余分な潤滑剤の排液を可能にする一種の排液孔を提供する。
【0136】
中心ハブセクション134が多数の連結壁セクション139によって、ややリム状の外側壁137に相互連結される、ここに示す例では、余分な潤滑剤1002がバレル25の内部8から流出することが特に有利である。図4に示す、バレル25の近位端9が下方を向いているときの構成では、余分な潤滑剤102が、バレル25の内面に沿ってすすぎ落とされて流出することができる。余分な潤滑剤102は、妨げられることなくバレル25の内部8から出ることができる。
【0137】
本例では、連結壁セクション139の傾斜セクション140は、かなり直線状である。連結壁セクション139の幾何形状に関して、多数の変形例が一般に考えられる。たとえば、長手方向および半径方向によって画成された、連結壁セクション139の平面に一致する平面で見たときに、傾斜セクション140が湾曲した外形を含むことが考えられる。湾曲した外形は、連結壁セクション139の傾斜セクション140および/または遠位向き縁部141の凸状もしくは凹状の斜面を含むことができる。
【0138】
バレル25に接触する心出し要素130は、余分な潤滑剤が流出することができ、心出し要素130内にとどまらないように設計および構成される。一連の図3図5に示すように、噴霧器110は、図4に示す最大挿入構成に到達するまで薬剤容器6に入り込むことができる。この挿入中、潤滑剤102は噴霧されなくてよい。噴霧プロセスは、噴霧器110をバレル25から近位方向に引き抜くとき、または引抜きの開始後に開始することができる。噴霧器110を薬剤容器6から引き抜くときに、噴霧器110によって連続した噴霧を提供することができる。
【0139】
図8に、噴霧器110が別の斜視図で示されている。噴霧器110は細長軸セクション112を含む。軸セクション112は円筒形の幾何形状であってよい。軸セクション112は遠位端113を含む。遠位端113は、通常は噴霧ノズル120として実装されるノズル120を備える。細長軸セクション112は、反対側に位置する近位端111を含む。近位端111を超えて、軸セクション112は、半径方向に拡大されたベースセクション114に連結される。ベースセクション114は、軸セクション112からフランジ状に突出し、かつ遠位方向を向く、遠位向き当接面115を含む。当接面115は、復元要素142の近位端を支持する。
【0140】
軸セクション112は、細長いまたは長手方向に延びる側壁118を含む。軸セクション112を、長手方向に延びる側壁118によって構成することができる。軸セクション112は、側壁118に略一致していてよい。軸セクション112、およびしたがって側壁118は中空である。軸セクション112は、長手方向に延びる孔116を含む。孔116は、軸セクション112の開口近位端111から反対側に位置する遠位端113まで延びる。遠位端113は閉じている。長手方向孔160と流体連通するノズル120は、側壁118に位置する。
【0141】
図9図11、および図12により詳細に示すように、ノズル120は、多数のオリフィス121、122、123、124を含む。オリフィス121、122は、共通の長手方向レベルまたは位置、たとえば第1の仮想横断面に位置している。オリフィス123、124も、同じ長手方向位置に位置している。オリフィス123、124を、第2の仮想横断面に設けることができる。第1および第2の仮想横断面は、互いに長手方向にずれている。第1および第2の仮想横断面を、互いに平行に向けることができる。第1のオリフィス121および第2のオリフィス122は、互いに正反対に配置される。各オリフィス121、122は、比較的大きい開口角を含む。図11に示すように、オリフィス121の開口角Aは約90°またはさらには90°超である。開口角は、45°~90°または45°~135°であってもよい。このようにして、かなり広範囲の霧化された噴霧をバレル25の内面に塗布することができる。
【0142】
図12に示す第3および第4のオリフィス123、124は、第1および第2のオリフィス121、122と同様または同一の幾何形状を含むことができる。第3および第4のオリフィス123、124の向きは、第1および第2のオリフィス121、122の位置または向きから周方向にずれている。第1および第2のオリフィス121、122は、第3および第4のオリフィス123、124から長手方向にずれている。
【0143】
このようにして、図11および図12の断面に示す長手方向の投影において、第1および第2のオリフィス121、122は、第3および第4のオリフィス123、124間に延びる側壁118の部分に、周方向にまたは周方向位置に関して重なることができ、逆も同様である。このようにして、軸セクション112の周囲および外周全体に、潤滑剤の霧化された噴霧を均一に提供することができる。
【0144】
他の図示しない例では、2つまたは3つのオリフィス121、122、123のみを設けてもよく、2つまたは3つのオリフィスは、長手方向および周方向の両方で互いにずれている。
【0145】
多数のオリフィス121、122、123、124は、容器壁のすべての領域に潤滑剤102を到達させるための、360°の噴霧プロファイルを提供する。通常、多数のオリフィスは、たとえば長手方向にずれている。ここでは、したがって、一方の側のオリフィス121と他方の側のオリフィス123、124とは、図11および図12の長手方向投影で見て、周方向に重なることができる。同様に、一方の第2のオリフィス122は、第3のオリフィス123および第4のオリフィス124のうちの少なくとも一方の少なくとも一部に重なることができる。
【0146】
図10に、軸セクション112の遠位端113の、またはその近くのノズル125のさらなる例が示されている。ここでは、ノズル125はノズルグリッド126を含む。通常、略すべての実施形態で、噴霧器110は金属から作られるか、または金属を含む。ノズル120、125を実現するための金属材料の使用は、潤滑剤の広範囲の霧化された噴霧を発生させるように構成され動作可能な比較的小さいオリフィス121、122、123、124を有する、機械的に安定した構造を提供するために特に有利である。
【0147】
ノズル125およびノズルグリッド126は、焼結金属を含むことができる。ノズル125およびノズルグリッド126を、焼結ふるいまたはフィルタとして製造することができる。
【0148】
さらなる図示しない例では、潤滑剤102が噴射または分配されている間に、軸セクション112および/または噴霧器110全体が、バレル25に対してその長手方向軸に関して回転することができる。ここでは、ノズル120のオリフィス121、122、123、124の数を減らすことができ、および/または、ノズル120によって提供される周方向に広がる噴霧プロファイルを小さくすることができる。代わりに、ノズル120は、噴霧プロセス中に、周方向もしくは接線方向に回転または振動する。このために、軸112を、ベースセクション114上に回転可能に支持することができる。あるいは、ベースセクション114は、たとえば保持具150に対して、および薬剤容器6のバレル25に対して回転することができる。
【0149】
図13のブロック図に、薬剤容器6のバレル25の内面に潤滑剤102を付着させるためのアプリケータシステム200が示されている。アプリケータシステム200は、前述したアプリケータデバイス100を含む。ここでは、薬剤容器6は取付具160に固定される。アプリケータデバイス100はさらなる取付具170に固定される。取付具160と取付具170とは、通常、薬剤容器6のバレル25によって画成される長手方向に沿って、互いに対して変位可能に配置される。このために、取付具160および取付具170のうちの少なくとも一方が、電気機械アクチュエータ164、174を備える。取付具160、170は、ガイド165に沿って互いに対して可動である。たとえば、取付具160は、アクチュエータ164の作用により、ガイド165に沿って動くことができる。あるいは、取付具170は、アクチュエータ174によりガイド165に沿って動くことができる。
【0150】
一般に、取付具160、170のうちの一方のみがアクチュエータ164、174によって可動であれば十分である。取付具160および取付具170はいずれも、長手方向に延びるガイド165に機械的に係合または機械的に連結することができる。ガイド165を、ロボットデバイス、たとえばロボットアームによって提供しもよい。
【0151】
図13の例では、取付具160は、薬剤容器6を受ける単一のレセプタクル161を備える。また、取付具170は、それぞれのアプリケータデバイス100を受ける単一のレセプタクル171を備える。
【0152】
図14に示すさらなる例では、取付具160は、薬剤容器6を受けるように各々構成された多数のレセプタクル161、162を備える。これに対応して、取付具170は、個々のアプリケータデバイス100を各々備える多数のレセプタクル171、172を含む。取付具160は、薬剤容器6の列または2次元配列を備えることができる。したがって、取付具170も、アプリケータデバイス100のそれぞれの列または配列を備えることができる。このようにして、多数の薬剤容器6に、潤滑剤102を同時に単一のプロセス工程で提供することができる。各アプリケータデバイス100が、薬剤容器6のそれぞれのバレル25に関してそれぞれの噴霧器110の自己心出しを提供するのに有効な心出し要素130を備えているため、薬剤容器のバレル25の内面の確実で正確な噴霧被覆を一度で提供することができる。
【0153】
図15に、薬剤容器6のバレル25の内面に潤滑剤102を付着させる方法の多数の工程が示されている。第1の工程300で、少なくとも1つの薬剤容器6を提供する。次の工程302で、アプリケータデバイス100の噴霧器110を、薬剤容器6の内部8に挿入する。工程304で、アプリケータデバイス100の心出し要素130を使用して、噴霧器110を薬剤容器6のバレル25に対して位置合わせし、方向付けし、および/または位置させる。噴霧器110の心出しは、通常、内部8への噴霧器110の挿入と同時にまたは挿入の開始時に行われる。薬剤容器6の内部8への噴霧器110の挿入中または挿入後に、明確な量の潤滑剤102が噴霧器110から放出され、噴霧器110を使用することによってバレルの内面に向けられる。
【0154】
通常、噴霧器110からの潤滑剤102の噴射は、噴霧器110がバレル25に対して、少なくとも長手方向に、また場合によりバレル25の周方向に関して動くのと同時に行われる。このようにして、薬剤容器6のバレル25の内面のかなり均一で正確な噴霧被覆を提供することができる。
【0155】
さらなる任意のプロセス工程で、薬剤容器6は、たとえば約300℃の温度の熱滅菌プロセスを受けることができ、これにより、潤滑剤を薬剤容器6のそれぞれの面に固着させることができる。潤滑剤102は、通常、シリコーン油、またはシリコーン油などのシリコーンベースの潤滑剤を含む乳剤を含む。いくつかの例では、潤滑剤は、ジメチルポリシロキサン、フッ化シリコーン油および/またはその誘導体のうちの少なくとも1つを含むまたは含有する。
【0156】
図13に戻ると、アプリケータシステム200は、コントローラ202と潤滑剤供給システム240とを含む。潤滑剤供給システム240はパイプ230を含む。パイプ230は、噴霧器110の内部孔116に流体連結する可撓性ホースを含むことができる。潤滑剤供給システム240は、流量計220、流量調整弁222、およびパイプ230に流体連結する気泡除去装置224をさらに含む。さらに、潤滑剤供給システム240は、ポンプ226および潤滑剤リザーバ228を含む。ポンプ226、流量調整弁222、および流量計220は、コントローラ202に連結される。コントローラ202はまた、電気機械アクチュエータ164、174のうちの少なくとも一方に連結される。コントローラ202は、通常、ハウジング203および電子回路204を含む。電子回路204は、通常、プロセッサ206およびデジタルメモリ208を含む。コントローラ202は、入力210および出力212をさらに備える。入力210は、ボタンもしくはダイヤルなどの多数の作動または制御要素を含むことができる。出力212は、視覚ディスプレイおよびスピーカのうちの少なくとも一方を含むことができる。場合により、コントローラ202は、外部電子デバイスとの有線または無線通信リンクを提供する通信インターフェース214を備える。通信インターフェース214は、アプリケータシステム200全体の遠隔制御装置を含むことができる。
【0157】
コントローラ202は、1つまたは複数のアプリケータデバイス100に対する1つまたは複数の薬剤容器6の変位を制御し、噴霧器110による潤滑剤の噴霧送達を開始および停止ならびに/または制御するように特に構成される。
【0158】
コントローラ202は、噴霧器110と薬剤容器6のバレル25との相対運動を追跡することができ、制御することができる。通常、バレル25の内部8における噴霧器110の最終挿入位置または構成に到達すると、コントローラ202はポンプ226を起動することができ、または流量調整弁222を通したおよび/もしくは介した潤滑剤102の供給を調整することができる。パイプ230を通る潤滑剤102の流れを、流量計220によってさらに制御することができる。このようにして、コントローラ202に、現在噴射または分配されている潤滑剤102の量に関するフィードバックが提供される。
【0159】
気泡除去装置224は、異なる気泡除去の概念に基づいていてもよい。気泡除去装置224は半透膜を含むことができ、この半透膜により、潤滑剤102に含まれる任意選択の気泡を液体潤滑剤の流れから分離することができる。いくつかの例では、気泡もしくはガス気泡を含む乳剤または潤滑剤を、微多孔半透膜、たとえばポリテトラフルオロエチレン作られた膜に押し付けることができる。このような膜を通して、気泡またはガス気泡を液体潤滑剤から分離することができる。
【0160】
さらに、図示しないが、アプリケータシステム200は、薬剤容器6のバレル25への潤滑剤の塗布を制御するように構成され動作可能な制御デバイスをさらに備えることができる。そのような制御デバイスを、視覚制御デバイス、たとえば光学制御デバイスとして実装することができる。制御デバイスは、シュリーレン光学法に基づいていてもよく、正確な量の塗布を受けていない可能性があるか、または内面に対して不均一な潤滑剤の分散を示す可能性がある薬剤容器6を自動的に検出するインプロセス制御を提供することができる。
【符号の説明】
【0161】
1 薬物送達デバイス
2 遠位方向
3 第1の方向
4 第2の方向
5 用量減少方向
6 容器
7 ストッパ
8 内部
9 近位端
10 本体
11 トリガ
12 用量ダイヤル
13 投薬量窓
14 カートリッジホルダ
15 注射針
16 内側針キャップ
17 外側針キャップ
18 保護キャップ
19 突起
20 ピストンロッド
21 支承部
22 ねじ付セクション
23 押さえ
24 側壁
25 バレル
26 封止材
27 薬剤
28 ソケット
29 肩部分
30 注射デバイス
32 ハウジング
34 駆動機構
62 挿入部品
70 ダイヤル伸長部
100 アプリケータデバイス
102 潤滑剤
110 噴霧器
111 近位端
112 軸セクション
113 遠位端
114 ベースセクション
115 当接部
116 孔
118 側壁
120 ノズル
121 オリフィス
122 オリフィス
123 オリフィス
124 オリフィス
125 ノズル
126 ノズルグリッド
130 心出し要素
131 当接部
132 当接部
133 レセプタクル
134 ハブセクション
135 貫通口
136 摺動ガイド
137 側壁
138 内面
139 連結壁セクション
140 傾斜セクション
141 縁部
142 復元要素
144 ばね
150 保持具
152 保持具ベース
154 保持具側壁
156 フランジセクション
160 取付具
161 レセプタクル
162 レセプタクル
164 アクチュエータ
165 ガイド
170 取付具
171 レセプタクル
172 レセプタクル
174 アクチュエータ
200 アプリケータシステム
202 コントローラ
203 ハウジング
204 電子回路
206 プロセッサ
208 メモリ
210 入力
212 出力
214 通信インターフェース
220 流量計
222 流量調整弁
224 気泡除去装置
226 ポンプ
228 リザーバ
230 パイプ
240 潤滑剤供給システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】