IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特表2023-527423シャロートレンチアイソレーション用途のための低ディッシング酸化物CMP研磨組成物、及びその製造の方法
<>
  • 特表-シャロートレンチアイソレーション用途のための低ディッシング酸化物CMP研磨組成物、及びその製造の方法 図1
  • 特表-シャロートレンチアイソレーション用途のための低ディッシング酸化物CMP研磨組成物、及びその製造の方法 図2
  • 特表-シャロートレンチアイソレーション用途のための低ディッシング酸化物CMP研磨組成物、及びその製造の方法 図3
  • 特表-シャロートレンチアイソレーション用途のための低ディッシング酸化物CMP研磨組成物、及びその製造の方法 図4
  • 特表-シャロートレンチアイソレーション用途のための低ディッシング酸化物CMP研磨組成物、及びその製造の方法 図5
  • 特表-シャロートレンチアイソレーション用途のための低ディッシング酸化物CMP研磨組成物、及びその製造の方法 図6
  • 特表-シャロートレンチアイソレーション用途のための低ディッシング酸化物CMP研磨組成物、及びその製造の方法 図7
  • 特表-シャロートレンチアイソレーション用途のための低ディッシング酸化物CMP研磨組成物、及びその製造の方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-28
(54)【発明の名称】シャロートレンチアイソレーション用途のための低ディッシング酸化物CMP研磨組成物、及びその製造の方法
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20230621BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20230621BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20230621BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20230621BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
H01L21/304 622B
H01L21/304 622D
H01L21/304 622X
B24B37/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022573300
(86)(22)【出願日】2021-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-01-27
(86)【国際出願番号】 US2021034054
(87)【国際公開番号】W WO2021242755
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/045,796
(32)【優先日】2020-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/032,233
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】シアオポー シー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ ディー.ローズ
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ ピー.ムレラ
(72)【発明者】
【氏名】ホンチュン チョウ
(72)【発明者】
【氏名】マーク レナード オニール
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158AC04
3C158BA02
3C158BA04
3C158BA05
3C158CB01
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED02
3C158ED10
3C158ED11
3C158ED12
3C158ED23
3C158ED24
3C158ED26
3C158ED28
5F057AA04
5F057AA09
5F057AA17
5F057AA28
5F057BA15
5F057BA24
5F057BB16
5F057BB19
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA06
5F057EA07
5F057EA09
5F057EA11
5F057EA21
5F057EA26
5F057EA29
5F057EA30
5F057EA31
5F057EA32
5F057EB27
5F057FA39
(57)【要約】
シャロートレンチアイソレーション(STI)化学機械平坦化(CMP)研磨組成物、その使用の方法及びシステムが提供される。CMP研磨組成物は、セリアコーティングされた無機酸化物粒子、例えばセリアコーティングされたシリカ、の研削材;調整可能な酸化物膜の除去速度及び調整可能なSiN膜の除去速度を提供するための2種類の化学添加剤;低い酸化物トレンチディッシング、及び高い酸化物:SiN選択性、を含む。2種類の化学添加剤は、(1)同じ分子上に、エチレンオキシド及びプロピレンオキシド(EO-PO)基と、置換されたエチレンジアミン基のうち少なくとも1つとのうち少なくとも1つを含む、少なくとも1つのシリコーン含有化合物;並びに(2)少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1つの非イオン性の有機分子、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨組成物であって、
少なくとも1つのセリアコーティングされた無機酸化物粒子;
少なくとも1つのエチレンオキシド及びプロピレンオキシド(EO-PO)基と、少なくとも1つの置換されたエチレンジアミン基とからなる群から選択される少なくとも1つを含む、少なくとも1つのシリコーン含有化合物;
少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1つの非イオン性有機分子;
溶媒;
任意選択で、
殺生物剤;並びに
pH調節剤
を含み、前記組成物が2~12、3~10、4~9及び5~7からなる群から選択されるpHを有し;
前記少なくとも1つのシリコーン含有化合物が、
【化1】
(式中、
a及びa’のそれぞれが、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5であり;a及びa’のうち少なくとも1つは0ではなく;
b及びcのそれぞれが、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5であり;b及びcのうち少なくとも1つは0ではなく;
n及びmが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12、1~8、1~5又は2~4であり;
R及びR’が同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、水素;-(CHCH(式中、pが1~12又は2~5である);-NH;-NH(CH-NH(式中、qが1~12又は2~5である);エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)を繰り返す基-(EO)-(PO)-OH(式中、d及びeのそれぞれが、独立に、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10及び1~5からなる群から選択される);-COOH;-COOM;-COOR;-RCOOH;-RCOOM;-RCOOR;-SOH;-SOM;-RSOH;ホスホン酸;ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩から選択されるリン酸塩;ベンジル;ジ-ベンジルからなる群から選択され、式中、R及びRのそれぞれが、独立に、-(CH(式中、mが1~12である)及び-(C(式中、nが1~4である)からなる群から選択され;Mがナトリウム、カリウム及びアンモニウムからなる群から選択される);
【化2】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である);
【化3】
(式中、
R’及びR’’が同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、水素;-(CHCH(式中、pが1~12又は2~5である);-NH;-NH(CH-NH(式中、qが1~12又は2~5である);エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)を繰り返す基-(EO)-(PO)-OH(式中d及びeのそれぞれが、独立に、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10及び1~5からなる群から選択される);-COOH;-COOM;-COOR;-RCOOH;-RCOOM;-RCOOR;-SOH;-SOM;-RSOH;ホスホン酸;ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩から選択されるリン酸塩;ベンジル;ジ-ベンジルからなる群から選択され;式中、R及びRのそれぞれが、独立に、-(CH(式中、mが1~12である)及び-(C(式中、nが1~4である)からなる群から選択され;Mがナトリウム、カリウム及びアンモニウムからなる群から選択され;
x、y及びzが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12から選択され;n-1が2~13である);並びに
(4)(1)~(3)の組み合わせ
を含む群から選択される一般分子構造を有する、化学機械研磨組成物。
【請求項2】
前記セリアコーティングされた無機金属酸化物粒子が、セリアコーティングされたコロイダルシリカ、セリアコーティングされたアルミナ、セリアコーティングされたチタニア、セリアコーティングされたジルコニアの粒子、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記粒子が、0.01wt%~20wt%、0.025wt%~10wt%又は0.05wt%~5wt%から選択される範囲で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項3】
前記一般分子構造(1)を有する少なくとも1つのシリコーン含有化合物が、
【化4】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
b及びcが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;b及びcのうち少なくとも1つが0ではなく;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である);
【化5】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10及び0~5から選択され;
bが1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5から選択され;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である);
【化6】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
bが1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5から選択される);並びに
(d)それらの組み合わせ
を含む群から選択される、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1つのシリコーン含有化合物が、0.0001wt%~2.0wt%、0.001wt%~1.0wt%又は0.0025wt%~0.25wt%から選択される濃度で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項5】
前記少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1つの非イオン性有機分子が、
【化7】
(式中、nが2~5000、3~12又は4~6から選択され;R、R及びR基が同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、水素、アルキル基C2n+1(式中、nが1~12、1~6及び1~3からなる群から選択される);アルコキシ;1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基;置換された有機スルホン酸;置換された有機スルホン酸塩;置換された有機カルボン酸;置換された有機カルボン酸塩;有機カルボキシルエステル;有機アミン基;及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;式中、R、R及びR基のうち少なくとも2つは水素原子である);
【化8】
(式中、nが2~5000、3~12又は4~7から選択され;R及びRのそれぞれが、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよい)
【化9】
(式中、R、R、R、R及びRが同じであるか又は異なっていてよく、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよく;R、R、R、R及びRのうち少なくとも2つ、好ましくは4つ又はそれより多くが水素原子である);
【化10】
(式中、R、R及びRが同じであるか又は異なっていてよく、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよく;R、R及びRのうち少なくとも2つ、好ましくは4つ又はそれより多くが水素原子である);
【化11】
(式中、R、R10、R11、R12、R13及びR14が同じであるか又は異なっていてよく、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択されてよく;R、R10、R11、R12、R13及びR14のうち少なくとも2つ、好ましくは4つ又はそれより多くが水素原子である);
【化12】
(式中、一般分子構造(f)中のR~Rの基中の少なくとも1つのRが、(i):
【化13】
に示す構造を有するポリオール分子単位であり、式中、n及びmが同じであるか又は異なっていてよく、独立に、1~5、1~4、1~3又は1~2から選択され;R~Rが同じであるか又は異なっていてよく、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;R~Rのうち少なくとも2つが水素原子であり;
~Rの基中のそれぞれのRの残りが、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン、(ii):
【化14】
に示す構造を有する六員環のポリオール(ここで、構造(ii)が、(ii)中のR11~R14から1つのRを取り除くことによって構造(f)における酸素炭素結合を介して接続され、残りのR10~R14のそれぞれが、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される)からなる群から選択されてよい);
(g)それらの組み合わせ
を含む群から選択される一般分子構造を有し、前記非イオン性有機分子が、0.001wt%~2.0wt%、0.0025wt%~1.0wt%又は0.05wt%~0.5wt%の濃度を有する、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1つの非イオン性有機分子が、少なくとも4つのヒドロキシル官能基を有する、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1つの非イオン性有機分子が、
【化15】
D-ソルビトール;又は
【化16】
ズルシトールである、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項8】
前記非イオン性有機分子が、
【化17】
マルチトール、又は
【化18】
ラクチトールである、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項9】
前記溶媒が、脱イオン水、蒸留水及びアルコール含有有機溶媒からなる群から選択される、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項10】
前記組成物が0.0001wt%~0.05wt%の殺生物剤を含み、前記殺生物剤が、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン又は2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンを含む、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項11】
前記組成物が、硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、種々の脂肪酸、塩酸、リン酸、種々のポリカルボン酸及びそれらの混合物からなる群から選択される、酸性pH条件のための0wt%~1wt%のpH調節剤;又は水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、有機水酸化第四級アンモニウム化合物、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、改質されたポリエチレンイミン及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、アルカリ性pH条件のための0wt%~1wt%のpH調節剤を含む、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項12】
セリアコーティングされたコロイダルシリカ;
【化19】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
b及びcが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;b及びcのうち少なくとも1つが0ではなく;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、
【化20】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10及び0~5から選択され;
bが1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5から選択され;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、
【化21】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
bが1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5から選択される)、
【化22】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、並びに
(e)それらの組み合わせ
を含む群から選択される少なくとも1つ;
ズルシトール、D-ソルビトール、マルチトール、ラクチトール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つ;
脱イオン水
を含み、pHが4=9である、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項13】
セリアコーティングされたコロイダルシリカ;
【化23】
(式中、
aが0~10又は0~5から選択され;
b及びcが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、0~10又は0~5から選択され;b及びcのうち少なくとも1つが0ではなく;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、
【化24】
(式中、
aが0~10及び0~5から選択され;
bが1~10又は1~5から選択され;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、
【化25】
(式中、
aが0~10又は0~5から選択され;
bが1~10又は1~5から選択される)、
【化26】
(式中、
aが0~10又は0~5から選択され;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、並びに
(e)それらの組み合わせ
を含む群から選択される少なくとも1つ;
ズルシトール、D-ソルビトール、マルチトール、ラクチトール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つ;
脱イオン水
を含み、pHが4~9である、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項14】
セリアコーティングされたコロイダルシリカ;
【化27】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
b及びcが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;b及びcのうち少なくとも1つが0ではなく;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、
【化28】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10及び0~5から選択され;
bが1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5から選択され;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、
【化29】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
bが1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5から選択される)、
【化30】
(式中、
aが0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、並びに
(e)それらの組み合わせ
を含む群から選択される少なくとも1つ;
ズルシトール、D-ソルビトール、マルチトール、ラクチトール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つ;
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン又は2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンを含む殺生物剤;
脱イオン水
を含み、pHが5~7である、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項15】
セリアコーティングされたコロイダルシリカ;
【化31】
(式中、
aが0~10又は0~5から選択され;
b及びcが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、0~10又は0~5から選択され;b及びcのうち少なくとも1つが0ではなく;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、
【化32】
(式中、
aが0~10及び0~5から選択され;
bが1~10又は1~5から選択され;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、
【化33】
(式中、
aが0~10又は0~5から選択され;
bが1~10又は1~5から選択される)、
【化34】
(式中、
aが0~10又は0~5から選択され;
e及びdが同じであるか又は異なっていてよく、それぞれが、独立に、1~12である)、並びに
(e)それらの組み合わせ
を含む群から選択される少なくとも1つ;
ズルシトール、D-ソルビトール、マルチトール、ラクチトール及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つ;
5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン又は2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンを含む殺生物剤;
脱イオン水
を含み、pHが5~7である、請求項1に記載の化学機械研磨組成物。
【請求項16】
酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材を化学機械研磨(CMP)する方法であって、
半導体基材を提供する工程;
研磨パッドを提供する工程;
請求項1~15のいずれか1項に記載の化学機械研磨(CMP)組成物を提供する工程;
前記半導体基材の表面を、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触させる工程;並びに
前記二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を研磨する工程
を含む、方法。
【請求項17】
前記酸化ケイ素膜が、高密度プラズマ堆積されたテトラエチルオルトシリケート(TEOS)(HDP)膜である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記半導体基材が、窒化ケイ素(SiN)表面をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記酸化ケイ素膜が、高密度プラズマ堆積されたテトラエチルオルトシリケート(TEOS)(HDP)膜であり;前記半導体基材が、窒化ケイ素表面をさらに含み;HDPの除去速度/SiNの除去速度が、70、80、90、100、110又は120以上である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材を化学機械研磨(CMP)するシステムであって、
a.半導体基材;
b.請求項1~15のいずれか1項に記載の化学機械研磨(CMP)組成物;
c.研磨パッド
を含み、前記酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面が、前記研磨パッド及び前記化学機械研磨組成物と接触している、システム。
【請求項21】
前記酸化ケイ素膜が、高密度プラズマ堆積されたテトラエチルオルトシリケート(TEOS)(HDP)膜である、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記半導体基材が、窒化ケイ素表面をさらに含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記酸化ケイ素膜が、高密度プラズマ堆積されたテトラエチルオルトシリケート(TEOS)(HDP)膜であり;前記半導体基材が、窒化ケイ素表面をさらに含み;HDPの除去速度/SiNの除去速度が、70、80、90、100、110又は120以上である、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願の相互参照
本出願は、2020年5月29日に提出された米国出願第63/032233号明細書、及び2020年6月29日に提出された米国出願第63/045796号明細書の利益を主張する。これらの出願の開示は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスのためのCMP化学研磨組成物及び化学機械平坦化(CMP)に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロエレクトロニクス装置の製造に含まれる重要な工程は、研磨工程、とりわけ選択された材料を回収するための化学機械研磨のための表面の研磨工程、及び/又は基材構造体の平坦化である。
【0004】
例えば、SiN層は、SiO層の下に堆積されて、研磨停止層として働く。このような研磨停止の役割は、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造体において特に重要である。選択性は、窒化物研磨速度に対する酸化物研磨速度の比として特徴的に表現される。1つの例は、窒化ケイ素(SiN)と比較したときの二酸化ケイ素(SiO)又はHDP膜の速度の調整可能な研磨選択性の比である。
【0005】
パターニングされたSTI構造体の全体的な平坦化において、SiN膜の除去速度を調整すること及び酸化物トレンチディッシングを調整することは、検討されるべき2つの鍵となる要素である。より少ないトレンチ酸化物の損失は、隣接するトランジスタ間の電流の漏洩を妨げる。ダイにわたっての(ダイにおける)不均一なトレンチ酸化物の損失は、トランジスタ性能及びデバイス製造の製造量に影響を与える。重大なトレンチ酸化物の損失(高い酸化物トレンチディッシング)は、デバイスの欠陥を引き起こす、トランジスタの不健全な分離を引き起こす。したがって、STI CMP研磨組成物において、酸化物トレンチディッシングを低減させることによって、トレンチ酸化物の損失を低減することも重要である。
【0006】
米国特許第5876490号明細書は、研削材粒子を含有し、かつ垂直応力効果を示す研磨組成物を開示している。スラリーは、凹部における研磨速度の減少を引き起こす非研磨粒子をさらに含有し、一方で研削粒子は高い位置での高い研磨速度を維持する。このことは、改善された平坦化をもたらす。より具体的には、スラリーは、酸化セリウム粒子及びポリマー性電解質を含み、シャロートレンチアイソレーション(STI)研磨用途のために使用することができる。
【0007】
米国特許第6964923号明細書は、シャロートレンチアイソレーション(STI)研磨用途のための、酸化セリウム粒子及びポリマー性電解質を含有する研磨組成物を教示している。使用されるポリマー性電解質は、米国特許第5876490号明細書におけるものと類似のポリアクリル酸の塩を含む。セリア、アルミナ、シリカ及びジルコニアは研削材として使用される。このような列挙されたポリ電解質の分子量は300~20000であるが、全体として100000未満である。
【0008】
米国特許第6616514号明細書は、化学機械研磨によって、物品の表面から、窒化ケイ素に対して優先的に、第一の物質を除去する使用のための化学機械研磨スラリーを開示している。その発明による化学機械研磨スラリーは、研削材と、水性媒体と、プロトンを解離しない有機ポリオールとを含み、有機ポリオールは、水性媒体中で解離可能ではない少なくとも3つのヒドロキシル基を有する化合物か、又は水性媒体中で解離可能ではない少なくとも3つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのモノマーから形成されたポリマーを含む。
【0009】
米国特許第6984588号明細書は、3超のpHで可溶性のセリウム化合物を含む化学機械研磨組成物と、集積回路及び半導体の製造の間に、単一の工程で、窒化ケイ素膜の層に対して優先的に、酸化ケイ素過剰充填を選択的に研磨する方法とを開示している。
【0010】
米国特許第6544892号明細書は、化学機械研磨によって、物品の表面から、窒化ケイ素に対して優先的に二酸化ケイ素を除去する方法であって、研磨パッドと、水と、研削粒子と、カルボン酸官能基並びにアミン及びハライドから選択される第二の官能基の両方を有する有機化合物とを使用して表面を研磨する工程を含む方法を開示している。
【0011】
米国特許第7247082号明細書は、研削材と、pH調節剤と、選択比の改善剤と、水とを含む研磨組成物であって、研削材が0.5~30wt%の量で含有され、pH調節剤が0.01~3wt%の量で含有され、選択比の改善剤が0.3~30wt%の量で含有され、水が45~99.49wt%の量で含有され、wt%が研磨組成物の重量に基づくものであり、改善剤が、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エチレンジアミン、1,2-ジアミノプロパン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,6-ジアミノヘキサン、6-(ジメチルアミノ)-1-ヘキサノール、ビス(3-アミノプロピル)アミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ピペラジン及びピペリジンからなる群から選択される1つ又は複数の化合物である、研磨組成物を開示している。
【0012】
米国特許第8778203号明細書は、基材の表面上の目標材料を選択的に除去するための方法であって、目標材料及び非目標材料を含む基材を提供する工程と;研磨溶液中に酸素を溶解して、所定の溶解酸素濃度を達成する工程であって、研磨溶液が約5~約11のpHを有し、研磨溶液が複数の研削シリカ粒子を含み、複数の研削シリカ粒子のうち少なくとも幾らかがn-(トリメトキシシリルプロピル)イソチオロニウムクロリドによって官能化される工程と;実質的に純粋な酸素を研磨溶液に連続的に適用することによって、おおよそ8.6mg/L~おおよそ16.6mg/Lで研磨溶液の所定の溶解酸素濃度を維持する工程と;研磨パッドと表面との間に研磨溶液を配置する工程と;研磨パッドを表面に適用する工程と;所定の厚さの目標材料を選択的に除去する工程とを含み、除去する工程の間に、研磨溶液の溶解酸素含有量を変えることが、非目標材料に対する目標材料の除去の比を変える、方法を開示している。
【0013】
米国特許第6914001号明細書は、化学機械研磨方法であって、半導体ウエハの表面を研磨パッドの表面と接触させる工程;研削粒子と、除去速度加速剤と、異なる第一及び第二の不動態化剤とを含有する水性溶液を、研磨パッドの表面と半導体ウエハの表面との間の界面に供給する工程であって、第一の不動態化剤が、アニオン性、カチオン性又は非イオン性の界面活性剤である工程;並びに研磨パッドの表面に対して半導体ウエハの表面を回転させて、半導体ウエハ上の酸化物材料を除去する工程、を含む化学機械研磨方法を開示している。
【0014】
しかしながら、これらの従来開示されているシャロートレンチアイソレーション(STI)研磨組成物は、調整可能な酸化物対窒化物の選択性を有したままで、研磨されパターニングされたウエハにおける、酸化物膜の除去速度調整と、SiN膜の除去速度調整と、酸化物トレンチディッシングの低減と、より均一な酸化物トレンチディッシングとの重要性に対処するものではなかった。
【0015】
したがって、上述のことから、当分野において、STI化学及び機械研磨(CMP)プロセスにおいて、パターニングされたウエハを研磨するに際して、種々のサイズの酸化物トレンチ特徴にわたって、調整可能な酸化物膜及びHDP膜の除去速度と、調整可能なSiN膜の除去速度と、低減した酸化物トレンチディッシングと、より均一にされた酸化物トレンチディッシングとをもたらすことができる、STI化学機械研磨の組成物、方法及びシステムについての要求が残っていることは直ちに明らかである。
【発明の概要】
【0016】
本発明は、比較的低い濃度のセリアコーティングされた無機酸化物研削材の使用での調整可能な酸化物膜及びHDP膜の除去速度、調整可能なSiN膜の除去速度、調整可能なTEOS:SiN選択性、並びに研磨されパターニングされたウエハにおける低減した酸化物トレンチディッシング、のためのSTI CMP研磨組成物を提供する。
【0017】
本発明のSTI CMP研磨組成物は、酸性、中性及びアルカリ性のpH条件を含む広いpH範囲における、シャロートレンチアイソレーション(STI)CMP用途のための化学機械研磨(CMP)組成物における、酸化物及びSiN膜の除去速度の調整と、酸化物トレンチディッシングの低減とのための2種類の化学添加剤を導入することによって、窒化物膜に対する酸化物又はHDP膜の調整可能な選択性を提供する。
【0018】
本開示のシャロートレンチアイソレーション(STI)CMP用途のための化学機械研磨(CMP)組成物は、セリアコーティングされた無機酸化物研削粒子と、酸化物膜及び窒化物膜の除去速度調整剤並びに酸化物トレンチディッシングの低減剤としての適した2種類の化学添加剤とを使用するユニークな組み合わせを有する。
【0019】
添加剤のうち一方は、同じ分子上に、(1)エチレンオキシド及びプロピレンオキシド(EO-PO)基と、置換されたエチレンジアミン基のうち少なくとも1つとのうち少なくとも1つを含むシリコーン含有化合物である。
【0020】
他方の添加剤は、少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する非イオン性の有機分子である。
【0021】
1つの態様において、化学機械研磨組成物であって、
少なくとも1つのセリアコーティングされた無機酸化物粒子;
少なくとも1つのエチレンオキシド及びプロピレンオキシド(EO-PO)基と、少なくとも1つの置換されたエチレンジアミン基とからなる群から選択される少なくとも1つを含む、少なくとも1つのシリコーン含有化合物;
少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1つの非イオン性有機分子;
溶媒;任意選択で
殺生物剤;並びに
pH調節剤
を含み、2~12、3~10、4~9又は5~7のpHを有する、化学機械研磨組成物が提供される。
【0022】
別の態様において、酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材を化学機械研磨(CMP)する方法であって、
半導体基材を提供する工程と;
研磨パッドを提供する工程と;
化学機械研磨(CMP)組成物であって、
少なくとも1つのセリアコーティングされた無機酸化物粒子;
少なくとも1つのエチレンオキシド及びプロピレンオキシド(EO-PO)基と、少なくとも1つの置換されたエチレンジアミン基とからなる群から選択される少なくとも1つを含む、少なくとも1つのシリコーン含有化合物;
少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1つの非イオン性有機分子;
溶媒;任意選択で
殺生物剤;並びに
pH調節剤
を含み、2~12、3~10、4~9又は5~7のpHを有する、化学機械研磨(CMP)組成物を提供する工程と;
半導体基材の表面を研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触させる工程と;
二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を研磨する工程と
を含む方法が提供される。
【0023】
さらに別の態様において、酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する半導体基材を化学機械研磨(CMP)するシステムであって、
半導体基材と;
化学機械研磨(CMP)組成物であって、
少なくとも1つのセリアコーティングされた無機酸化物粒子;
少なくとも1つのエチレンオキシド及びプロピレンオキシド(EO-PO)基と、少なくとも1つの置換されたエチレンジアミン基とからなる群から選択される少なくとも1つを含む、少なくとも1つのシリコーン含有化合物;
少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1つの非イオン性有機分子;
溶媒;任意選択で
殺生物剤;並びに
pH調節剤
を含み、2~12、3~10、4~9又は5~7のpHを有する、化学機械研磨(CMP)組成物と;
研磨パッドと
を含み、酸化ケイ素膜を含む少なくとも1つの表面が、研磨パッド及び化学機械研磨組成物と接触している、システムが提供される。
【0024】
1つの実施態様において、少なくとも1つのシリコーン含有化合物は、一般分子構造(1):
【化1】
を有し、式中、
a及びa’のそれぞれは、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5であり;a及びa’のうち少なくとも1つは0ではなく;
b及びcのそれぞれは、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5であり;b及びcのうち少なくとも1つは0ではなく;
n及びmは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12、1~8、1~5又は2~4であり;
分子の側鎖上のR’及びR’’基は同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、水素;-(CHCHアルキル基(式中、pが1~12又は2~5である);-NH;-NH(CH-NH基(式中、qが1~12又は2~5である);エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)を繰り返す基-(EO)-(PO)-OH(式中d及びeが、それぞれ、独立に、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5である);-COOH、-COOM、-COOR、-RCOOH、-RCOOM、-RCOOR、-SOH;-RSOH;-SOM;ホスホン酸;ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩から選択されるリン酸塩;ベンジル、ジ-ベンジル又は他の芳香族部分から選択される芳香族基;フッ素含有有機基-(CFCF(式中、sが1~12又は2~5である)を含む群から選択され、式中、R及びRのそれぞれが、独立に、-(CH(mが1~12である)、又は-(C-(nが1~4である)であり;Mがナトリウム、カリウム又はアンモニウムから選択される。
【0025】
一般分子構造(1)を有する少なくとも1つのシリコーン含有化合物の例は、以下に限定するものではないが、
【化2】
(式中、
aは0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
b及びcは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;b及びcのうち少なくとも1つは0ではなく;
e及びdは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12である);
【化3】
(式中、
aは0~50、0~40、0~30、0~20、0~10及び0~5から選択され;
bは1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5から選択され;
e及びdは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12である);並びに
【化4】
(式中、
aは0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
bは1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5から選択される)
を含む。
【0026】
別の実施態様において、少なくとも1つのシリコーン含有化合物は、一般分子構造(2):
【化5】
を有し、式中、
aは0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
e及びdは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12である。
【0027】
別の実施態様において、少なくとも1つのシリコーン含有化合物は、一般分子構造(3):
【化6】
を有し、式中、
R’及びR’’は同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、水素;-(CHCH(式中、pが1~12又は2~5である);-NH;-NH(CH-NH(式中、qが1~12又は2~5である);エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)を繰り返す基-(EO)-(PO)-OH(式中d及びeが、それぞれ、独立に、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10及び1~5からなる群から選択される);-COOH;-COOM;-COOR;-RCOOH;-RCOOM;-RCOOR;-SOH;-SOM;-RSOH;ホスホン酸;ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩から選択されるリン酸塩;ベンジル;ジ-ベンジルからなる群から選択され;式中、R及びRのそれぞれが、独立に、-(CH(mが1~12である)及び-(C-(nが1~4である)からなる群から選択され;Mがナトリウム、カリウム及びアンモニウムからなる群から選択され;
x、y及びzは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12から選択され;
n-1は2~13である。
【0028】
溶媒は、以下に限定するものではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水及びアルコール性有機溶媒を含む。
【0029】
殺生物剤は、以下に限定するものではないが、Dupont/Dow Chemical Co.のKathonTM、KathonTM CG/ICP II、Dupont/Dow Chemical Co.のBiobanを含む。それらは、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン又は2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有する。
【0030】
研磨組成物のpHを低下させるために適したpH調節剤は、以下に限定するものではないが、硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、種々の脂肪酸、塩酸、リン酸、種々のポリカルボン酸及びそれらの混合物を含む。研磨組成物のpHを上昇させるために適したpH調節剤は、以下に限定するものではないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、有機水酸化第四級アンモニウム化合物、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、改質されたポリエチレンイミン、及びよりアルカリ性の方向にpHを調節するのに使用することができる他の化学試剤、を含む。
【0031】
研磨された酸化ケイ素膜(要するに酸化物膜)は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)又はスピンオン酸化物膜であってよい。
【0032】
上で開示される基材は、窒化ケイ素表面をさらに含んでよい。SiO:SiNの除去選択性は、関連するSTI CMP用途の要件に応じて調整可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】Ref.1、Comp.1及びComp.2を使用した場合の、HDP及びSiN膜並びにHDP:SiNについての除去速度(Å/min)及び除去速度選択性を示す。
図2】Ref.1、Comp.1及びComp.2を使用した場合の、OP(オーバートレンチディッシング)時間(sec)に対する、100μmの酸化物トレンチディッシング(Å)を示す。
図3】Ref.1、Comp.1及びComp.2を使用した場合の、OP時間(sec)に対する、200μmの酸化物トレンチディッシング(Å)を示す。
図4】Ref.1、Ref.2及びComp.3を使用した場合の、OP時間(sec)に対する、酸化物トレンチディッシング(Å)を示す。
図5】Ref.4、Comp.4及びComp.5を使用した場合の、HDP:SiN膜及びTEOS:SiNについての除去速度(Å/min)及び除去速度選択性を示す。
図6】Ref.5、Comp.6及びComp.7を使用した場合の、HDP:SiN膜及びTEOS:SINについての除去速度(Å/min)及び除去速度選択性を示す。
図7】Ref.5、Comp.6及びComp.7を使用した場合の、100μm及び200μmについての、OP時間(sec)に対する、酸化物トレンチディッシング(Å)を示す。
図8】Ref.6、Comp.8、Comp.9、Comp.10及びComp.11を使用した場合の、2.0psiにおけるHDP:5.0psiにおけるSiNについての除去速度(Å/min)及び除去速度選択性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
パターニングされたSTI構造体の全体的な平坦化において、SiN除去速度を調整すること、種々のサイズの酸化物トレンチ特徴にわたって酸化物トレンチディッシングを低減すること、酸化物膜の除去速度を調整すること、及び研削材として比較的低い濃度のセリアコーティングされた無機酸化物粒子を使用することは、検討されるべき鍵となる要素である。
【0035】
より少ないトレンチ酸化物の損失は、隣接するトランジスタ間の電流の漏洩を妨げる。ダイにわたっての(ダイにおける)不均一なトレンチ酸化物の損失は、トランジスタ性能及びデバイス製造の製造量に影響を与える。重大なトレンチ酸化物の損失(高い酸化物トレンチディッシング)は、デバイスの欠陥を引き起こす、トランジスタの不健全な分離を引き起こす。したがって、STI CMP研磨組成物において、酸化物トレンチディッシングを低減することによって、トレンチ酸化物の損失を低減することは重要である。
【0036】
本明細書において引用される、公報、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、参照によって、それぞれの参考文献が個別かつ具体的に参照によって組み込まれるように示されたのと同様に、及びその全体が本明細書において規定されたのと同様に、本明細書に組み込まれる。
【0037】
本発明を説明する文脈における(とりわけ以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」、「an」、「the」及び類似の指示語の使用は、本明細書において他に指示されない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数及び複数の両方をカバーすると解釈される。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」は、他に記載のない限り、オープンエンドの用語として解釈される(すなわち「含むが、それらに限定されない」を意味する)。本明細書における値の範囲の記載は、単に、その範囲内にあるそれぞれの個別の値を個別に参照する略記法として機能することが意図され、本明細書において他に指示されない限り、それぞれの個別の値は、その値が本明細書において個別に記載されたのと同様に、本明細書に組み込まれる。本明細書において説明される全ての方法は、本明細書において他に指示されない限り、又は他に文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適した順序で行うことができる。本明細書において提供される任意の及び全ての例又は例示的な語(例えば、「例えば(such as)」)は、単に本発明をより良く示すことを意図するものであり、他に特許請求の範囲に記載されない限り、本発明の範囲についての限定をするものではない。本明細書中のいかなる語も、特許請求の範囲に記載されていない要素を本発明の実施に不可欠であることを示すものとして解釈されるべきではない。本明細書及び特許請求の範囲における「含む(comprising」)の使用は、より狭い語である「から本質的になる」及び「からなる」を含む。
【0038】
発明者らが知る、本発明を行うための最良の形態を含む実施態様が、本明細書において説明される。それらの実施態様の変形は、先の説明を読むことによって、当業者にとって明らかとなることができる。発明者らは、当業者がこのような変形を必要に応じて用いることを期待していて、発明者らは、本明細書において具体的に説明されるのとは違った方法で本発明が実施されることを意図している。したがって、適用可能な法によって許される場合には、本発明は、本明細書に添付される特許請求の範囲に記載される対象の全ての変更及び均等物を含む。さらに、本明細書において他に指示されない限り、又は他に明らかに文脈によって矛盾しない限り、上記の要素の全ての可能な組み合わせでの、上記の要素の任意の組み合わせが、本発明によって包含される。
【0039】
組成物の具体的な構成成分が0の下限を含む重量パーセントの範囲に関して議論される全てのこのような組成物において、このような構成成分は、組成物の種々の具体的な実施態様において存在するか又は存在しなくてよく、例えばこのような構成成分が存在する場合、それらはこのような構成成分が用いられる組成物の合計の重量に対して0.00001重量パーセント程度に低い濃度で存在していてよいと理解される。
【0040】
本開発は、シャロートレンチアイソレーション(STI)CMP用途のための、化学添加剤と、研削材としてのセリアコーティングされた複合粒子とを使用する化学機械研磨(CMP)組成物に関する。
【0041】
より具体的には、本開示のシャロートレンチアイソレーション(STI)CMP用途のための化学機械研磨(CMP)組成物は、セリアコーティングされた無機酸化物研削粒子と、酸化物膜の除去速度の調整、酸化物トレンチディッシングの低減及び窒化物の除去速度の調整のための2種類の化学添加剤としての2種の化学添加剤とを使用するユニークな組み合わせを有する。
【0042】
同じSTI CMP研磨組成物において使用される二種類の化学添加剤は、所望の酸化物膜の除去速度、調整可能なSiN膜の除去速度、及び高い調整可能な酸化物:SiNの選択性、減少した腐食、SiN損失、減少した合計の欠陥量を達成する利点をもたらし、より重要なことには、有意に低減された酸化物トレンチディッシングをもたらし、パターニングされたウエハの研磨におけるオーバーポリッシングウィンドウの安定性を改善する。
【0043】
1つの態様において、化学機械研磨組成物であって、
少なくとも1つのセリアコーティングされた無機酸化物粒子;
少なくとも1つのエチレンオキシド及びプロピレンオキシド(EO-PO)基と、少なくとも1つの置換されたエチレンジアミン基とからなる群から選択される少なくとも1つを含む、少なくとも1つのシリコーン含有化合物;
少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1つの非イオン性有機分子;
溶媒;任意選択で
殺生物剤;並びに
pH調節剤
を含み、2~12、3~10、4~9又は5~7のpHを有する、化学機械研磨組成物が提供される。
【0044】
セリアコーティングされた無機酸化物粒子は、コア粒子であって、それらの表面がセリア粒子によってコーティングされているコア粒子としての無機酸化物粒子を有する複合粒子である。
【0045】
セリアコーティングされた無機金属酸化物粒子の平均粒子サイズ(光散乱法によって測定されたMPS)は10nm~1000nm、15nm~800nmであり、好ましい平均粒子サイズは20nm~500nmであり、より好ましい平均粒子サイズは50nm~250nmである。セリア粒子はコア粒子よりも小さい。セリア粒子は5~40nmである。
【0046】
セリアコーティングされた無機酸化物粒子は、以下に限定するものではないが、セリアコーティングされたコロイダルシリカ、セリアコーティングされたアルミナ、セリアコーティングされたチタニア、セリアコーティングされたジルコニア、又は任意の他のセリアコーティングされた無機金属酸化物粒子を含む。
【0047】
好ましいセリアコーティングされた無機酸化物粒子は、セリアコーティングされたコロイダルシリカ粒子である。セリアコーティングされたコロイダルシリカ粒子は、コア粒子であって、それらの表面がセリア粒子によってコーティングされているコア粒子としてのシリカ粒子を有する。
【0048】
幾つかの実施態様において、これらのセリアコーティングされた無機酸化物粒子の濃度は、0.01wt%~20wt%、0.05wt%~10wt%又は0.1wt%~5wt%である。
【0049】
幾つかの他の実施態様において、これらのセリアコーティングされた無機酸化物粒子の濃度は、0.01wt%~2wt%、0.025wt%~1.0wt%又は0.05wt%~0.5wt%である。
【0050】
第一の化学添加剤はシリコーン含有化合物を含む。
【0051】
1つの実施態様において、少なくとも1つのシリコーン含有化合物は、一般分子構造(1):
【化7】
を有し、式中、
a及びa’のそれぞれは、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5であり;a及びa’のうち少なくとも1つは0ではなく;
b及びcのそれぞれは、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5であり;b及びcのうち少なくとも1つは0ではなく;
n及びmは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12、1~8、1~5又は2~4であり;
R及びR’は同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、水素;-(CHCH(式中、pが1~12又は2~5である);-NH;-NH(CH-NH(式中、qが1~12又は2~5である);エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)を繰り返す基-(EO)-(PO)-OH(式中、d及びeが、それぞれ、独立に、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10及び1~5からなる群から選択される);-COOH;-COOM;-COOR;-RCOOH;-RCOOM;-RCOOR;-SOH;-SOM;-RSOH;ホスホン酸;ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩から選択されるリン酸塩;ベンジル;ジ-ベンジルからなる群から選択され;式中、R及びRのそれぞれが、独立に、-(CH(mが1~12である)及び-(C(nが1~4である)からなる群から選択され;Mがナトリウム、カリウム及びアンモニウムからなる群から選択される。
【0052】
一般分子構造(1)を有する少なくとも1つのシリコーン含有化合物の例は、以下に限定するものではないが、
【化8】
(式中、
aは0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
b及びcは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;b及びcのうち少なくとも1つは0ではなく;
e及びdは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12である);
【化9】
(式中、
aは0~50、0~40、0~30、0~20、0~10及び0~5から選択され;
bは1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5から選択され;
e及びdは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12である);並びに
【化10】
式中、
aは0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
bは1~50、1~40、1~30、1~20、1~10又は1~5から選択される)
を含む。
【0053】
別の実施態様において、少なくとも1つのシリコーン含有化合物は、一般分子構造(2):
【化11】
を有し、式中、
aは0~50、0~40、0~30、0~20、0~10又は0~5から選択され;
e及びdは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12である。
【0054】
さらに、別の実施態様において、少なくとも1つのシリコーン含有化合物は、一般分子構造(3):
【化12】
を有し、式中、
R’及びR’’は同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、水素;-(CHCH(式中、pが1~12又は2~5である);-NH;-NH(CH-NH(式中、qが1~12又は2~5である);エチレンオキシド(EO)及びプロピレンオキシド(PO)を繰り返す基-(EO)-(PO)-OH(式中d及びeが、それぞれ、独立に、1~50、1~40、1~30、1~20、1~10及び1~5からなる群から選択される);-COOH;-COOM;-COOR;-RCOOH;-RCOOM;-RCOOR;-SOH;-SOM;-RSOH;ホスホン酸;ナトリウム、カリウム又はアンモニウム塩から選択されるリン酸塩;ベンジル;ジ-ベンジルからなる群から選択され;式中、R及びRのそれぞれが、独立に、-(CH(mが1~12である)及び-(C(nが1~4である)からなる群から選択され;Mがナトリウム、カリウム及びアンモニウムからなる群から選択され;
x、y及びzは同じであるか又は異なっていてよく、それぞれは、独立に、1~12から選択され;
n-1は2~13である。
【0055】
STI CMP組成物は、0.0001wt%~2.0wt%、0.001wt%~1.0wt%又は0.0025wt%~0.25wt%の、同じ分子上に、少なくとも1つのエチレンオキシド及びプロピレンオキシド(EO-PO)基と、少なくとも1つの置換されたエチレンジアミン基とからなる群から選択される少なくとも1つを含む、主に酸化物膜の除去速度及びSiN膜の除去速度を調整するように、及び酸化物トレンチディッシングを低減するように機能する化学添加剤としての、少なくとも1つのシリコーン含有表面湿式化合物を含有する。
【0056】
第二の化学添加剤は、少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する少なくとも1つの非イオン性有機分子を含む。
【0057】
1つの実施態様において、第二の化学添加剤は、以下に示される一般構造:
【化13】
を有する。
【0058】
一般分子構造(a)において、nは2~5000、3~12又は4~6から選択される。
【0059】
これらの一般分子構造において、R、R及びR基は同じ又は異なる原子又は官能基であってよい。
【0060】
、R及びRは、独立に、水素、アルキル基C2n+1(式中、nは1~12、好ましくは1~6、より好ましくは1~3である);アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができ;式中、R、R及びRのうち少なくとも2つは水素原子である。
【0061】
別の実施態様において、化学添加剤は、以下に示す一般構造:
【化14】
を有する。
【0062】
この構造において、1つの-CHO官能基は、末端官能基として、分子の1つの末端に位置し;nは2~5000、3~12又は4~7から選択される。
【0063】
及びRのそれぞれは、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0064】
さらに別の実施態様において、第二の化学添加剤は(c)、(d)又は(e):
【化15】
を含む群から選択される分子構造を有する。
【0065】
これらの一般分子構造において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13及びR14は同じ又は異なる原子又は官能基であってよい。
【0066】
それらは、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン基、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができ;それらのうち少なくとも2つ又はそれより多く、好ましくは4つ又はそれより多くは水素原子である。
【0067】
さらに、別の実施態様において、化学添加剤は、分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位又は分子単位構造中に複数のヒドロキシル官能基を含有する少なくとも1つのポリオール分子単位によって結合された少なくとも1つの六員環構造モチーフ(motif)エーテルと、少なくとも1つの六員環のポリオールとを含有する。ポリオールは、ヒドロキシル基を含有する有機化合物である。
【0068】
化学添加剤についての一般分子構造を(f):
【化16】
に示す。
【0069】
構造(f)において、一般分子構造(f)中のR~Rの基中の少なくとも1つのRは、(i):
【化17】
に示す構造を有するポリオール分子単位であり、式中、n及びmは同じであるか又は異なっていてよく、n及びmのそれぞれは、独立に、1~5、好ましくは1~4、より好ましくは1~3、最も好ましくは1~2から選択され;R~Rは同じ又は異なる原子又は官能基であってよく;R、R、R及びRのそれぞれは、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸、置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸、置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択され;それらのうち少なくとも2つは水素原子であり;
~Rの基中のそれぞれのRの残りは、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸又は置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸又は置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン、(ii):
【化18】
に示す構造を有する六員環のポリオール(ここで、構造(ii)は、(ii)中のR11~R14から1つのRを取り除くことによって構造(f)に酸素炭素結合を介して接続され、残りのR10~R14のそれぞれが、独立に、水素、アルキル、アルコキシ、1つ又は複数のヒドロキシル基を有する有機基、置換された有機スルホン酸又は置換された有機スルホン酸塩、置換された有機カルボン酸又は置換された有機カルボン酸塩、有機カルボキシルエステル、有機アミン、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される);並びにそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0070】
幾つかの実施態様において、一般分子構造(f)は、少なくとも2つ、少なくとも4つ又は少なくとも6つの、R~Rの基中の水素原子であるRsを有する。したがって、化学添加剤はそれらの分子構造中に、少なくとも2つ、少なくとも4つ又は少なくとも6つのヒドロキシル官能基を含有する。
【0071】
第二の化学添加剤は、(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0072】
第二の化学添加剤の例は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、リビトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D-(-)-フルクトース、ソルビタン、スクロース、リボース、イノシトール、グルコール、D-アラビノース、L-アラビノース、D-マンノース、L-マンノース、メソ-エリトリトール、ベータ-ラクトース、アラビノース、及びそれらの組み合わせを含む。好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、イジトール、D-(-)-フルクトース、スクロース、リボース、イノシトール、グリコース、D-(+)-マンノース、ベータ-ラクトース、及びそれらの組み合わせである。より好ましい化学添加剤は、マルチトール、ラクチトール、マルトトリトール、D-ソルビトール、マンニトール、ズルシトール、D-(-)-フルクトース、ベータ-ラクトース、及びそれらの組み合わせである。
【0073】
第二の化学添加剤の幾つかの例を以下に記載する。
【化19】
D-ソルビトール;及び
【化20】
ズルシトール。
【化21】
マルチトール;及び
【化22】
ラクチトール。
【0074】
好ましい第二の種類の化学添加剤は、D-ソルビトール、ズルシトール、マルチトール及びラクチトールである。
【0075】
STI CMP組成物は、SiN膜の除去速度及び酸化物膜の除去速度の調整剤として、並びに酸化物トレンチディッシングの低減剤として主に機能する、少なくとも2つのヒドロキシル官能基を有する、0.001wt%~2.0wt%、0.0025wt%~1.0wt%又は0.05wt%~0.5wt%の少なくとも1つの非イオン性有機分子をさらに含有する。
【0076】
溶媒は、以下に限定するものではないが、脱イオン(DI)水、蒸留水及びアルコール性有機溶媒を含む。
【0077】
好ましい溶媒はDI水である。
【0078】

STI CMP組成物は、0.0001wt%~0.05wt%、好ましくは0.0005wt%~0.025wt%、より好ましくは0.001wt%~0.01wt%の殺生物剤を含有してよい。
【0079】
殺生物剤は、以下に限定するものではないが、Dupont/Dow Chemical Co.のKathonTM、KathonTM CG/ICP II、Dupont/Dow Chemical Co.のBiobanを含む。それらは、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン又は2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの活性成分を有する。
【0080】
STI CMP組成物はpH調節剤を含有してよい。
【0081】
酸性又は塩基性pH調節剤を使用して、STI研磨組成物を、最適化されたpH値に調節することができる。
【0082】
研磨組成物のpHを低下させるために適したpH調節剤は、以下に限定するものではないが、硝酸、硫酸、酒石酸、コハク酸、クエン酸、リンゴ酸、マロン酸、種々の脂肪酸、塩酸、リン酸、種々のポリカルボン酸及びそれらの混合物を含む。研磨組成物のpHを上昇させるために適したpH調節剤は、以下に限定するものではないが、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニア、水酸化テトラエチルアンモニウム、有機水酸化第四級アンモニウム化合物、エチレンジアミン、ピペラジン、ポリエチレンイミン、改質されたポリエチレンイミン、及びよりアルカリ性の方向にpHを調節するのに使用することができる他の化学試剤、を含む。
【0083】
組成物のpHは2~12、3~10、4~9又は5~7である。
【0084】
STI CMP組成物は0wt%~1wt%、0.01wt%~0.5wt%又は0.1wt%~0.25wt%のpH調節剤を含有する。
【0085】
別の態様において、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて上で説明される化学機械研磨(CMP)組成物を使用して、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨(CMP)する方法が提供される。
【0086】
さらに別の態様において、シャロートレンチアイソレーション(STI)プロセスにおいて上で説明される化学機械研磨(CMP)組成物を使用して、二酸化ケイ素を含む少なくとも1つの表面を有する基材を化学機械研磨(CMP)するシステムが提供される。
【0087】
研磨された酸化物膜は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ強化CVD(PECVD)、高密度堆積CVD(HDP)又はスピンオン酸化物膜であってよい。
【0088】
上で開示される基材は、窒化ケイ素表面をさらに含んでよい。SiO:SiNの除去選択性は、STI CMP用途の要件に応じて調整可能である。
【0089】
以下の非限定的な例を提供して、本発明をさらに例示する。
【実施例
【0090】
CMP方法
以下に提供する例において、以下に与える手順及び実験条件を使用して、CMP実験を行った。
【0091】
用語/構成成分
(種々のサイズを有する)セリアコーティングされたシリカ粒子は、日本のJGCC Inc.によって供給された。セリアコーティングされたシリカ粒子は、おおよそ20ナノメートル(nm)~500ナノメートル(nm)の平均粒子サイズ(MPS)を有する。光散乱法によってMPSを測定する。コアシリカ粒子の表面にコーティングされたセリア粒子は、より小さいサイズを有する。例えば、おおよそ120ナノメートル(nm)の平均粒子サイズを有するセリアコーティングされたシリカ粒子について、セリア粒子のサイズは13nm超である。
【0092】
使用したシリコーン含有化合物は、Siltech Corporation,225 Wicksteed Avenue,Tronto,Ontario,Canada.M4H 1G5のシリコーンアミンSilamine(登録商標)シリーズ及びシリコーンポリエーテルSilsurf(登録商標)シリーズであった。
【0093】
Silamineシリーズ(シリコーンアミン)は、Silamine C-100及びその誘導体、Silamine C-50、Silamine AS、Silamine C-300を含み、Silsurfシリーズ(シリコーンポリエーテル)は、Silsurf A008-AC-UP、Silsurf A208、Silsurf CR 1115、Silsurf E608、Silsurf J208-6を含む。
【0094】
使用した、少なくとも2つ、好ましくは少なくとも4つのヒドロキシル官能基を有する非イオン性有機分子は、マルチトール、D-フルクトース、ズルシトール、D-ソルビトール及び他の化学原材料であり、Sigma-Aldrich,St.Louis,MOによって供給されたか、又はAllentown,PAのEvonik Industriesによって供給された。
【0095】
TEOS:テトラエチルオルトシリケート
研磨パッド:DOW,Inc.によって供給された研磨パッド,IC1010及び他のパッドを、CMPの間に使用した。
【0096】
パラメータ
一般
Å又はA:オングストローム-長さの単位
BP:バック圧力、psi単位
CMP:化学機械平坦化=化学機械研磨
CS:キャリア速度
DF:ダウンフォース:CMPの間に適用される圧力、単位はpsi
min:分
ml:ミリリットル
mV:ミリボルト
psi:ポンド毎平方インチ
PS:研磨ツールのプラテン回転速度、rpm(回転/分)
SF:組成物の流量、ml/min
wt%:(記載される構成成分の)重量パーセント
TEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)
HDP:高密度プラズマで堆積したTEOS
TEOS又はHDP除去速度:所与の下向き圧力で測定したTEOS又はHDPの除去速度。CMPツールの下向き圧力は、以下に記載される例において3.1psiであった。
SiN除去速度:所与の下向き圧力で測定したSiNの除去速度。CMPツールの下向き圧力は、以下に記載される例において3.1psiであった。
【0097】
測定
Creative Design Engineering,Inc,20565 Alves Dr.,Cupertino,CA,95014によって製造されたResMap CDE、モデル168によって膜を測定した。ResMapツールは、4点プローブシート抵抗ツールである。膜について、5mmのエッジイクスクルージョンで49点直径スキャンを取った。
【0098】
CMPツール
使用したCMPツールは、Applied Materials,3050 Boweres Avenue,Santa Clara,California,95054によって製造された200mm Mirra又は300mm Reflexionである。プラテン1に対して、ブランケット及びパターンウエハ調査のために、DOW,Inc,451 Bellevue Rd.,Newark,DE 19713によって供給されたIC1000パッドを使用した。
【0099】
コンディショナーの上で、7lbsのダウンフォースで、18minの間、パッドをコンディショニングすることによって、IC1010パッドを調整した。ツール設定及びパッド調整を適したものとするために、2つのタングステンモニター及び2つのTEOSモニターを、ベースライン条件において、Versum Materials Inc.によって供給されたVersum(登録商標)STI2305組成物によって研磨した。
【0100】
ウエハ
PECVD又はLECVD又はHD TEOSウエハを使用して、研磨実験を行った。これらのブランケットウエハを、Silicon Valley Microelectronics,2985 Kifer Rd.,Santa Clara,CA 95051から購入した。
【0101】
研磨実験
ブランケットウエハの調査において、酸化物ブランケットウエハ及びSiNブランケットウエハをベースライン条件で研磨した。ツールのベースライン条件は、テーブル速度:93rpm、ヘッド速度:87rpm、膜圧力:3.1psi DF、スラリー流速:200ml/minであった。
【0102】
SWK Associates,Inc.2920 Scott Blvd.Santa Clara,CA 95054によって供給されたパターニングしたウエハ(MIT860)に対して、研磨実験において組成物を使用した。Veeco VX300プロファイラー/AFM装置において、これらのウエハを測定した。酸化物ディッシング測定のために、3つの異なるサイズのピッチ構造を使用した。中央、中間及びエッジのダイ位置でウエハを測定した。
【0103】
STI CMP研磨組成物から得られるTEOS:SiN選択性:(TEOSの除去速度)/(SiNの除去速度)は調整可能であった。
【0104】
以下の実施例において、0.2wt%のセリアコーティングされたシリカ、0.0001wt%~0.05wt%の殺生物剤、0.15wt%のD-ソルビトール、及び脱イオン水を含STI研磨組成物を、参照として、pH 5.35で調製した。
【0105】
0.2wt%のセリアコーティングされたシリカ、0.15wt%のD-ソルビトール、別の種類の化学添加剤としての種々のwt%のSilamine化合物、0.0001wt%~0.05wt%の殺生物剤及び脱イオン水を使用して、同じpH条件で、研磨実施組成物を調製した。
【0106】
例1
例1において、酸化物研磨のために使用した研磨組成物を表1に示した。
【0107】
0.2wt%のセリアコーティングされたシリカ、0.0001wt%~0.05wt%の殺生物剤、0.15wt%のD-ソルビトール及び脱イオン水を使用して、参照1(Ref.1)を作製した。参照サンプルに種々のwt%のSilamine化合物を添加することによって、実施組成物を作製した。サンプルはpH 5.35であった。
表1.膜の除去速度(RR)(Å/min)及びHDP:SiN選択性に対する2種類の化学添加剤の効果
【表1】
【0108】
異なる膜について除去速度(RR、Å/min)を試験した。結果を表1に記載し、図1に示す。表1及び図1に示す結果のとおり、研磨組成物へのSilamineの添加は、効果的に、LPCVD SiN膜の除去速度を抑制し、HDP:SiN研磨選択性を増加させた。
【0109】
0.01wt%のSilamine ASの添加に伴って、HDP:SiN研磨選択性は、102:1から118:1へと増加した。
【0110】
0.0075wt%のSilamine C-100の添加に伴って、HDP:SiNの研磨選択性は、102:1から112:1へと増加した。
【0111】
例2
例2において、パターニングした酸化物ウエハの研磨、並びにオーバーポリッシング時間に対する、100μm及び200μmの酸化物トレンチディッシングのために、例1において使用したのと同じ研磨組成物を使用した。結果を、表2に示し、図2及び3に示す。
【0112】
表2、図2及び図3に示す結果のとおり、2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように0.01wt%のSilamine ASを添加することは、セリアコーティングされたシリカ研削材及び0.15wt%のD-ソルビトールのみを使用した参照サンプルと比較して、100μm及び200μmのピッチ特徴の両方における、異なるオーバーポリッシング時間に対する酸化物トレンチディッシングを減少させた。
表2.酸化物トレンチディッシング(Å)対オーバーポリッシング(OP)時間(sec)に対する、2種類の添加剤の研磨組成物の効果
【表2】
【0113】
2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように0.0075wt%のSilamine C-100を添加することは、セリアコーティングされたシリカ研削材及び0.15wt%のD-ソルビトールのみを使用した参照サンプルと比較して、100μm及び200μmのピッチ特徴の両方において、異なるオーバーポリッシング時間に対する酸化物トレンチディッシングを有意に減少させた。
【0114】
2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、それぞれ0.01wt%でSilamine ASを、又は0.0075wt%でSilamine C-100を添加することの、酸化物トレンチディッシング速度に対する効果を試験し、結果を表3に記載した。
表3.酸化物ディッシング速度に対する、pH 5.35の2種類の添加剤の効果
【表3】
【0115】
表3に示す結果のとおり、2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、それぞれ0.01wt%のSilamine C-100又は0.0075wt%のSilamine C-100を添加することは、酸化物ディッシング速度を有意に減少させた。
【0116】
2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、それぞれ0.01wt%のSilamine C-100又は0.0075wt%のSilamine C-100を添加することの、酸化物トレンチディッシング対研磨量の傾きに対する効果を試験し、結果を表4に記載した。
表4.トレンチディッシング対オーバーポリッシング量の傾きに対する二種類の添加剤の効果
【表4】
【0117】
表4に示す結果のとおり、2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、それぞれ0.01wt%のSilamine C-100又は0.0075wt%のSilamine C-100を添加することは、酸化物ディッシング対オーバーポリッシング量の傾きを減少させた。
【0118】
例3
例3において、研磨したTEOS及びSiNウエハにおいて、合計の欠陥量を試験するために、例1において使用したのと同じ研磨組成物を使用した。
【0119】
結果を表5に示した。
表5.合計の欠陥量に対する2種類の添加剤対1種類の添加剤の効果
【表5】
【0120】
表5に示す結果のとおり、研磨したTEOS及びLPCVDウエハにおける合計の欠陥量は、Silamineの添加に伴って有意に減少した。
【0121】
例4
例4において、酸化物研磨のために使用した研磨組成物を表6に示した。
【0122】
0.2wt%のセリアコーティングされたシリカ、0.0001wt%~0.05wt%の殺生物剤、0.025wt%のSilamine C-100及び脱イオン水を使用して、pH 5.35で、参照2(Ref.2)を作製した。
【0123】
0.2wt%のセリアコーティングされたシリカ、0.0001wt%~0.05wt%の殺生物剤、0.15wt%のD-ソルビトール、0.025wt%のSilamine C-100及び脱イオン水を使用して、pH 5.35で、実施組成物(Comp.3)を作製した。
【0124】
異なる膜についての除去速度(RR、Å/min)を試験した。膜除去速度及びHDP:SiNの選択性に対する、2種類の化学添加剤、Silamine C-100及びD-ソルビトールベースの研磨組成物対参照サンプルの効果を試験し、表6に記載した。
表6.膜のRR(Å/min)及びHDP:SiNの選択性に対する、2種類の化学添加剤の効果
【表6】
【0125】
表6に示す結果のとおり、唯一の化学添加剤として0.025wt%のSilamine C-100を使用するRef.2は、最も大きいLPCVD SiN膜除去速度を有していて、それは、唯一の化学添加剤としてD-ソルビトールを使用したRef.1並びに2種類の化学添加剤、D-ソルビトール及びSilamine C-100を使用した実施サンプルから得られたSiN除去速度と比較して、かなり大きかった。
表7.酸化物トレンチディッシング(Å)対OP時間(sec)に対する、2種類の添加剤の化学組成物の効果
【表7】
【0126】
2種類の化学添加剤ベースの研磨組成物Comp.3は、効果的に、LPCVD SiN膜の除去速度を抑制し、HDP:SiNの研磨選択性を、Ref.2についての7:1及びRef.2についての68:1から83:1へと増加させた。
【0127】
例4において、同じ研磨組成物を、パターニングした酸化物ウエハの研磨、並びにオーバーポリッシング時間に対する、100μm、200μm及び1000μmの酸化物トレンチディッシングのために使用して、結果を表7に示し、図4に記載した。
【0128】
表7及び図4に示す結果のとおり、2種類の化学添加剤ベースの実施サンプルは、1種類の化学添加剤ベースのRef.1及びRef.2と比較して、異なるオーバーポリッシング時間に対する、異なるサイズのピッチにおける酸化物トレンチディッシングを有意に減少させた。
【0129】
全てのサンプルを使用して酸化物トレンチディッシング速度を試験し、結果を表8に記載した。
【0130】
2種類の化学添加剤ベースの研磨組成物Comp.3は、参照サンプルについて得られた酸化物トレンチディッシング速度と比較して、異なるサイズのピッチにおける酸化物トレンチディッシング速度を有意に減少させた。
【0131】
全てのサンプルから、酸化物トレンチディッシング対オーバーポリッシング量の傾きを試験し、結果を表9に記載した。
表8.pH 5.35における、酸化物ディッシング速度に対する2種類の添加剤の効果
【表8】
【0132】
全てのサンプルから、酸化物トレンチディッシング対オーバーポリッシング量の傾きを試験し、結果を表9に記載した。
【0133】
表9に示す結果のとおり、2種類の化学添加剤ベースの研磨組成物(Comp.3)は、参照サンプルについて得られた酸化物ディッシング対オーバーポリッシング量の傾きと比較して、酸化物ディッシング対オーバーポリッシング量の傾きを減少させた。
表9.トレンチディッシング対オーバーポリッシング量の傾きに対する、2種類の添加剤の効果
【表9】
【0134】
例5
例5において、酸化物研磨のために使用した研磨組成物を表10に示した。
【0135】
0.4wt%のセリアコーティングされたシリカ、0.275wt%のD-ソルビトール、0.0001wt%~0.05wt%の殺生物剤及び脱イオン水を使用して、参照4(Ref.4)を作製した。それぞれ0.0125wt%のSilsurf E608又はSilsurf A208を参照4に添加することによって、実施組成物Comp.4及びComp.5を作製した。全てのサンプルは5.35のpHを有する。
表10.除去速度(RR)(Å/min);HDP:SiNの除去速度(RR)選択性及びTEOS:SiNの選択性
【表10】
【0136】
異なる膜についての除去速度(RR、Å/min)を試験した。結果を表10に記載し、図5に記載した。
【0137】
表10及び図5に示す結果のとおり、研磨組成物に0.0125wt%のSilsurf E608又はSilsurf A208を添加することは、効果的に、PECVD SiN膜の除去速度を抑制し、HDP:SiN及びTEOS:SiNの研磨選択性を増加させた。
【0138】
0.0125wt%のSilsurf E608の添加に伴って、HDP:SiNの研磨選択性は45:1から67:1へと増加し;TEOS:SiNの研磨選択性は45:1から64:1へと増加した。
【0139】
0.0125wt%のSilsurf A208の添加に伴って、HDP:SiN研磨選択性は45:1から74:1へと増加し;TEOS:SiN研磨選択性は45:1から71:1へと増加した。
【0140】
例6
例6において、酸化物研磨のために使用した研磨組成物を表11に示した。
【0141】
0.2wt%のセリアコーティングされたシリカ、0.28wt%のラクチトール、0.0001wt%~0.05wt%の殺生物剤及び脱イオン水を使用して、参照サンプルを作製した。それぞれ0.025wt%のSilsurf E608又は0.025wt%のSilsurf A208を参照サンプルに添加することによって、実施サンプルを作製した。全てのサンプルはpH 5.35であった。
表11.除去速度(RR)(Å/min);HDP:SiNの除去速度(RR)選択性及びTEOS:SiNの選択性
【表11】
【0142】
異なる膜についての除去速度(RR、Å/min)を試験した。結果を表11に記載し、図6に記載した。
【0143】
表11及び図6に示す結果のとおり、研磨組成物にSilsurf E608又はSilsurf A208を添加することは、効果的に、PECVD SiN膜の除去速度を抑制し、HDP:SiN又はTEOS:SiNの研磨選択性を増加させた。
【0144】
0.025wt%のSilsurf E608の添加に伴って、HDP:SiNの研磨選択性は39:1から59:1へと増加し;TEOS:SiNの研磨選択性は41:1から60:1へと増加した。
【0145】
0.025wt%のSilsurf A208の添加に伴って、HDP:SiNの研磨選択性は39:1から73:1へと増加し;TEOS:SiNの研磨選択性は41:1から77:1へと増加した。
【0146】
例7
例7において、パターニングした酸化物ウエハを研磨するために、例6で使用したのと同じ研磨組成物を使用した。オーバーポリッシング時間に対する、100μm及び200μmの酸化物トレンチディッシングを、表12に示し、図7に記載した。
【0147】
表12及び図7に示す結果のとおり、2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、ラクチトールとともに0.025wt%のSilsurf E608を添加することは、セリアコーティングされたシリカ研削材及び0.28wt%のラクチトールのみを使用した参照サンプルと比較して、100μm及び200μmピッチの特徴の両方において、異なるオーバーポリッシング時間に対する酸化物トレンチディッシングを減少させた。
表12.酸化物トレンチディッシング(Å)対OP時間(sec)
【表12】
【0148】
表12及び図7に示す結果のとおり、2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、ラクチトールとともに0.025wt%のSilsurf A208を添加することは、セリアコーティングされたシリカ研削材及び0.28wt%のラクチトールのみを使用した参照サンプルと比較して、100μm及び200μmピッチの特徴の両方において、異なるオーバーポリッシング時間に対する酸化物トレンチディッシングを減少させた。
【0149】
2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、ラクチトールとともに、それぞれ0.025wt%のSilsurf E608又は0.025wt%のSilsurf A208を添加することの、酸化物トレンチディッシング速度に対する効果を試験し、結果を表13に記載した。
【0150】
表13に示す結果のとおり、2種類の研磨組成物を形成するように、0.28wt%のラクチトールとともに、それぞれSilsurf E608又は0.025wt%のSilsurf A208を添加することは、酸化物ディッシング速度を減少させた。
表13.pH 5.35における酸化物トレンチディッシング速度
【表13】
【0151】
2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、0.28wt%のラクチトールとともに、それぞれ0.025wt%のSilsurf E608又は0.025wt%のSilsurf A208を添加することの、酸化物トレンチ損失速度に対する効果を試験し、結果を表14に記載した。
【0152】
表14に示す結果のように、2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、0.28wt%のラクチトールとともに、それぞれ0.025wt%のSilsurf E608又は0.025wt%のSilsurf A208を添加することは、酸化物トレンチ損失速度を減少させた。
【0153】
2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、0.28wt%のラクチトールとともに、それぞれ0.025wt%のSilsurf E608又は0.025wt%のSilsurf A208を添加することの、SiN損失速度に対する効果を試験し、結果を表15に記載した。
表14.pH 5.35における酸化物トレンチ損失速度
【表14】
【0154】
表15に示す結果のとおり、2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、0.28wt%のラクチトールとともに、それぞれ0.025wt%のSilsurf E608又は0.025wt%のSilsurf A208を添加することは、SiN損失速度を減少させた。
表15.pH 5.35におけるSiN損失速度
【表15】
【0155】
2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、0.28wt%のラクチトールとともに、それぞれ0.025wt%のSilsurf E608又は0.025wt%のSilsurf A208を添加することの、酸化物トレンチ対ブランケットの比に対する効果を試験し、結果を表16に記載した。
【0156】
表16に示す結果のとおり、2種類の添加剤ベースの研磨組成物を形成するように、0.28wt%のラクチトールとともに、それぞれ0.025wt%のSilsurf E608又は0.025wt%のSilsurf A208を添加することは、酸化物トレンチ対ブランケットの比を減少させた。
【0157】
一般に、酸化物トレンチ対ブランケットの比が低いほど、酸化物トレンチディッシングは小さい。
表16.pH 5.35における、酸化物トレンチ対ブランケットの比
【表16】
【0158】
例8
一般に、SiN膜の除去速度を抑制すること、及びHDP:SiN又はTEOS:SiNの除去速度選択性を増加させることは、腐食及びトレンチディッシングを減少させることにおけるSTI研磨性能を改善する。
【0159】
STI研磨における幾らかの化学添加剤は、増加したダウンフォースの場合と比較して、比較的低いダウンフォースにおいて、SiN除去速度をより抑制する。減少した腐食及び酸化物トレンチディッシングのために、低い及び高い適用ダウンフォースの両方において、抑制されたSiN除去速度、及びHDP:SiN又はTEOS:SiNの高い除去速度選択性を提供することができる化学添加剤を選択することが重要である。
【0160】
例8において、0.2wt%のセリアコーティングされたシリカ、0.28wt%のマルチトール及び脱イオン水を使用して、参照6(Ref.6)を作製した。参照6に、それぞれ0.025wt%のSilsurf E608、Silsurf A208、Silsurf J208-6又はSilsurf CR1115を添加することによって、実施組成物Comp.8、Comp.9、Comp.10及びComp.11を作製した。全てのサンプルはpH 5.35であった。
【0161】
例8において、2.0psiのダウンフォースを適用して、HDP膜を研磨した。2.0psi及び5.0psiの両方のダウンフォースを適用して、PECVD SiN膜を研磨した。
【0162】
異なる膜についての除去速度(RR)、及び異なるダウンフォースにおけるRR選択性を示す研磨結果を、表17及び図8に示した。
【0163】
表17及び図8に示す結果のとおり、全4種のSilsurf化学添加剤は、とりわけPECVD SiN膜の研磨について5.0psiの高いダウンフォースが適用されたとき、参照サンプルに対して、PECVD SiN除去速度を効果的に抑制した。
表17.膜のRR;HDP:PECVD SiNのRR選択性
【表17】
【0164】
これらのSilsurfの種類の化学添加剤は、2.0psiにおけるHDP:5.0psiにおけるSiNを、Silsurfの種類の化学添加剤を使用しない参照サンプルについての10:1から、それぞれこれらのSilsurfの種類の化学添加剤を使用した研磨組成物についての23:1~30:1の範囲へと増加させた。
【0165】
実施例を含む、上記の本発明の実施態様は、本発明から作ることができる多くの実施態様の例示である。プロセスの多くの他の構成を使用することができ、プロセスにおいて使用される材料は具体的に開示されるもの以外の多くの材料から選択することができると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】