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特表2023-527715品質管理専用ウェハを用いない半導体計測ツール群の整合
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】品質管理専用ウェハを用いない半導体計測ツール群の整合
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20230623BHJP
【FI】
H01L21/66 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022569146
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-01-10
(86)【国際出願番号】 US2021033806
(87)【国際公開番号】W WO2021242655
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】63/030,935
(32)【優先日】2020-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/246,060
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ティアンロン
(72)【発明者】
【氏名】リー リエ-クアン
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA06
4M106CA21
4M106CA39
4M106CA48
4M106CB21
4M106DH12
4M106DH40
4M106DJ17
4M106DJ18
4M106DJ19
4M106DJ20
4M106DJ27
(57)【要約】
計測ツール群間で測定結果を整合させるために計測ツールオフセット値を校正する方法およびシステムが本明細書で提示される。オフセット値の校正は、インライン生産ウェハの測定値に基づいており、特別に製造され特性評価された品質管理(QC)ウェハを使用する必要がない。このようにして、計測ツールオフセット値を校正するためのプロセスフロー全体が自動化され、大量半導体製造プロセスフローと完全に一体化される。別の態様において、新オフセット値の実施は、1つ以上の所定の管理限界値によって規制される。さらに別の態様では、対象パラメータの測定値は、測定されるウェハへの測定時間の影響を補償するように調整される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のインライン生産ウェハ上に配置された1つ以上の構造を特徴付ける対象パラメータの複数の測定値を受け取るステップであって、前記複数のインライン生産ウェハのそれぞれが、半導体製造プロセスフローの同一のプロセス工程で測定され、前記対象パラメータの前記複数の測定値が、計測システム群のうちの2つ以上の計測システムによって前記複数のウェハのそれぞれの測定値に対応付けられる、ステップと、
前記計測システム群のうちの1つの計測システムに対応付けられる第1の測定バイアスを、前記複数のインライン生産ウェハのうちの第1のインライン生産ウェハを測定するために使用された前記1つ以上の計測システムのそれぞれの平均測定値を基準にして決定するステップと、
前記計測システム群のうちの前記計測システムの更新オフセット値を、前記第1の測定バイアスに少なくとも部分的に基づいて決定するステップと、
前記計測システムによる前記対象パラメータの測定値の補正値を、前記更新オフセット値に基づいて推定するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記計測システム群のうちの前記計測システムに対応付けられる第2の測定バイアスを、前記複数のインライン生産ウェハのうちの第2のインライン生産ウェハを測定するために使用された前記2つ以上の計測システムのそれぞれの平均測定値を基準にして決定するステップと、
前記計測システムに対応付けられる前記測定バイアスの平均値を、前記第1の測定バイアスおよび前記第2の測定バイアスに少なくとも部分的に基づいて決定するステップであって、前記更新オフセット値が、前記測定バイアスの前記平均値に基づいている、ステップと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記測定バイアスの前記平均値が、平均値または中央値として決定されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記計測システムによる前記対象パラメータの測定値の前記補正値を推定する前記ステップが、前記計測システムによる前記対象パラメータの測定値の前記値に補正項を加えることによって決定され、前記補正項が、前記更新オフセット値とある倍率との積であることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記倍率が、1以下の正の値であることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記計測システム群のうちの第1の計測システムによる、前記複数のインライン生産ウェハのうちの1つのインライン生産ウェハの測定値に対応付けられた前記対象パラメータの前記測定値を、前記計測システム群のうちの前記第1の計測システムおよび第2の計測システムによる前記インライン生産ウェハの測定間で経過した時間に基づいて調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記計測システム群のうちの第1の計測システムによる、前記複数のインライン生産ウェハのうちの1つのインライン生産ウェハの測定値に対応付けられた前記対象パラメータの前記測定値を、前記インライン生産ウェハの測定が前記計測システム群のうちの前記第1の計測システムおよび第2の計測システムによって実施される継続時間に基づいて調整するステップをさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記計測システムの群うちの前記計測システムの前記更新オフセット値を所定の上限閾値および所定の下限閾値と比較するステップと、
前記更新オフセット値が前記所定の上限閾値を超える場合、前記所定の上限閾値を前記更新オフセット値に置換するステップと、
前記更新オフセット値が前記所定の下限閾値より小さい場合、前記所定の下限閾値を前記更新オフセット値に置換するステップと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
前記計測システム群のうちの前記計測システムの前記更新オフセット値と前記計測システムの現在のオフセット値との差を決定するステップと、
前記差が所定の上限閾値を超える場合、前記所定の上限閾値を前記更新オフセット値に置換するステップと、
前記差が所定の下限閾値より小さい場合、前記所定の下限閾値を前記更新オフセット値に置換するステップと
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
システムであって、
複数の測定システムであって、
インライン生産ウェハ上に配置された1つ以上の構造に、ある量の照明放射を与えるように構成された照明源と、
前記量の照明放射に応じて、前記1つ以上の構造から、ある量の収集された放射を受光し、前記収集された放射を示す測定信号を生成するように構成された検出器と、
1つ以上のコンピュータシステムであって、
前記複数の測定システムから複数の測定値を受け取ることであって、前記複数の測定値のそれぞれが、複数のインライン生産ウェハのそれぞれの上に配置された前記1つ以上の構造を特徴付ける対象パラメータの値であり、前記複数のインライン生産ウェハのそれぞれが、半導体製造プロセスフローの同一のプロセス工程で測定され、前記対象パラメータの前記複数の測定値が、前記複数の測定システムのうちの2つ以上の測定システムによって前記複数のインライン生産ウェハのそれぞれの測定値に対応付けられる、受け取ること、
前記複数の測定システムのうちの1つの測定システムに対応付けられる第1の測定バイアスを、前記複数のインライン生産ウェハのうちの第1のインライン生産ウェハを測定するために使用された前記1つ以上の測定システムのそれぞれの平均測定値を基準にして決定すること、
前記複数の測定システムのうちの前記測定システムの更新オフセット値を、前記第1の測定バイアスに少なくとも部分的に基づいて決定すること、および
前記測定システムによる前記対象パラメータの測定値の補正値を、前記更新オフセット値に基づいて推定すること
を行うように構成される、1つ以上のコンピュータシステムと
をそれぞれが含む、複数の測定システム
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、前記1つ以上のコンピュータシステムが、
前記複数の測定システムのうちの前記測定システムに対応付けられる第2の測定バイアスを、前記複数のインライン生産ウェハのうちの第2のインライン生産ウェハを測定するために使用された前記2つ以上の測定システムのそれぞれの平均測定値を基準にして決定すること、ならびに
前記測定システムに対応付けられる前記測定バイアスの平均値を、前記第1の測定バイアスおよび前記第2の測定バイアスに少なくとも部分的に基づいて決定することであって、前記更新オフセット値が、前記測定バイアスの前記平均値に基づいている、決定すること
を行うようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムであって、前記測定バイアスの前記平均値が、平均値または中央値として決定されることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムであって、前記測定システムによる前記対象パラメータの測定値の前記補正値を推定する前記ステップが、前記測定システムによる前記対象パラメータの測定値の前記値に補正項を加えることによって決定され、前記補正項が、前記更新オフセット値とある倍率との積であることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、前記倍率が、1以下の正の値であることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項10に記載のシステムであって、前記1つ以上のコンピュータシステムが、
前記複数の測定システムの第1の測定システムによる、前記複数のインライン生産ウェハのうちの1つのインライン生産ウェハの測定値に対応付けられた前記対象パラメータの前記測定値を、前記複数の計測システムのうちの前記第1の測定システムおよび第2の測定システムによる前記インライン生産ウェハの測定間で経過した時間に基づいて調整すること
を行うようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項10に記載のシステムであって、前記1つ以上のコンピュータシステムが、
前記複数の測定システムの第1の測定システムによる、前記複数のインライン生産ウェハのうちの1つのインライン生産ウェハの測定値に対応付けられた前記対象パラメータの前記測定値を、前記インライン生産ウェハの測定が前記複数の測定システムの前記第1の測定システムおよび第2の測定システムによって実施される継続時間に基づいて調整すること
を行うようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項10に記載のシステムであって、前記コンピュータシステムが、
前記複数の測定システムのうちの前記測定システムの前記更新オフセット値を所定の上限閾値および所定の下限閾値と比較すること、
前記更新オフセット値が前記所定の上限閾値を超える場合、前記所定の上限閾値を前記更新オフセット値に置換すること、および
前記更新オフセット値が前記所定の下限閾値より小さい場合、前記所定の下限閾値を前記更新オフセット値に置換すること
を行うようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項10に記載のシステムであって、前記コンピュータシステムが、
前記複数の測定システムのうちの前記測定システムの前記更新オフセット値と前記測定システムの現在のオフセット値との差を決定すること、
前記差が所定の上限閾値を超える場合、前記所定の上限閾値を前記更新オフセット値に置換すること、および
前記差が所定の下限閾値より小さい場合、前記所定の下限閾値を前記更新オフセット値に置換すること
を行うようにさらに構成されることを特徴とするシステム。
【請求項19】
オフセット校正ツールであって、
コンピュータシステムの1つ以上のプロセッサと、
コンピュータ可読命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータ可読命令が、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記コンピュータシステムに、
複数のインライン生産ウェハ上に配置された1つ以上の構造を特徴付ける対象パラメータの複数の測定値を受け取ることであって、前記複数のインライン生産ウェハのそれぞれが半導体製造プロセスフローの同一のプロセス工程で測定され、前記対象パラメータの前記複数の測定値が、計測システム群のうちの2つ以上の計測システムによって前記複数のウェハのそれぞれの測定値に対応付けられる、受け取ること、
前記計測システム群のうちの1つの計測システムに対応付けられる第1の測定バイアスを、前記複数のインライン生産ウェハのうちの第1のインライン生産ウェハを測定するために使用された前記1つ以上の計測システムのそれぞれの平均測定値を基準にして決定すること、
前記計測システム群のうちの前記計測システムの更新オフセット値を、前記第1の測定バイアスに少なくとも部分的に基づいて決定すること、および
前記計測システムによる前記対象パラメータの測定値の補正値を、前記更新オフセット値に基づいて推定すること
を行わせることを特徴とするオフセット校正ツール。
【請求項20】
請求項19に記載のオフセット校正ツールであって、前記コンピュータ可読命令が、前記コンピュータシステムの前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記コンピュータシステムに、
前記計測システム群のうちの前記計測システムに対応付けられる第2の測定バイアスを、前記複数のインライン生産ウェハのうちの第2のインライン生産ウェハを測定するために使用された前記2つ以上の計測システムのそれぞれの平均測定値を基準にして決定すること、ならびに
前記計測システムに対応付けられる前記測定バイアスの平均値を、前記第1の測定バイアスおよび前記第2の測定バイアスに少なくとも部分的に基づいて決定することであって、前記更新オフセット値が、前記測定バイアスの前記平均値に基づいている、決定すること
をさらに行わせることを特徴とするオフセット校正ツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明される実施形態は、計測システムおよび計測方法に関し、より詳細には、測定精度の改善のための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2020年5月28日に出願された、「A Tool-To-Tool Matching Algorithm by using non-Dedicated Quality Control Wafers in a Fleet of Metrology Tools」と題する米国特許仮出願第63/030,935号の優先権を米国特許法第119条に基づいて主張し、同仮出願の主題は、その全体を本願に引用して援用する。
【0003】
論理デバイスおよびメモリデバイスなどの半導体デバイスは通常、試料に適用される一連の処理工程によって製造される。半導体デバイスの多様なフィーチャおよび多数の構造レベルは、これらの処理工程によって形成される。たとえば、リソグラフィはとりわけ、パターンを半導体ウェハ上に生成することを含む1つの半導体製造プロセスである。半導体製造プロセスのさらなる例は、化学機械研磨、エッチング、堆積、拡散、金属化、およびイオン注入を含むが、これらに限定されない。複数の半導体デバイスを単一の半導体ウェハ上に製造し、その後、個々の半導体デバイスに分離することができる。
【0004】
1つ以上のプロセス工程における不具合の蓄積が、半導体製造プロセスフローのデバイス歩留まりの低下をまねく可能性がある。計測プロセスは、ウェハ上の欠陥を検出して高い歩留まりを促進するために、半導体製造プロセスの間中に様々な工程で使用される。例として、計測ツールにより、パターン寸法、膜厚、層間位置合わせ、パターン配置、表面トポグラフィ、電気光学特性などが測定される。計測技法は、高いスループットの可能性を試料破壊のリスクを伴わずにもたらす。散乱計および反射計の実施と、関連する分析アルゴリズムとを含む、いくつかの光学計測およびX線計測に基づいた技法が、ナノスケール構造の限界寸法、膜厚、組成および他のパラメータを特徴付けるために一般に用いられている。
【0005】
半導体デバイスの性能、集積度、および信頼性は、プロセス分解能の向上およびいっそう複雑なデバイス構造の故に、時が経つにつれ継続的に向上してきた。プロセス分解能の向上により、製造される構造の最小限界サイズの低減が可能になる。プロセス分解能は主に、製造プロセスで使用される光源の波長によって決まる。最新の極紫外線リソグラフィ(EUV)光源は、13.5ナノメートルの波長を生成し、それによって32ナノメートル未満の構造フィーチャの製造が可能になる。加えて、性能、エネルギーコスト、集積度、信頼性を向上させるために、FinFET構造および垂直NAND構造などの、より複雑なデバイス構造が開発されている。
【0006】
デバイス(たとえば、論理デバイスおよびメモリデバイス)がより小さいナノメートルスケール寸法に向かうにつれて、特性評価がより困難になる。複雑な3次元形状を組み込んでいるデバイス、および多様な物理的特性を持つ材料が、特性評価が難しいことの原因になっている。一般に、計測システムは、デバイスをより多くのプロセス工程でより高い精度で測定することが必要とされる。
【0007】
正確なデバイス特性評価に加えて、様々な測定用途と、同じ測定目的が課せられた測定システム群とにわたる測定の一貫性もまた重要である。製造環境において測定の一貫性が損なわれた場合には、処理された半導体ウェハ間の一貫性が失われ、歩留まりが許容できないレベルまで低下する。測定結果を諸適用例にわたって、また複数のシステムにわたって整合させること(すなわち、ツール間整合)により、同じ適用例で同じウェハについての測定結果が同じ結果をもたらすことが確実になる。
【0008】
計測ツール群の各計測ツールには、その群内の各計測ツールのハードウェア構成が適切に校正されていたとしても、系統的誤差が存在する。これらの系統的誤差により、群内の異なるツール間の測定結果にオフセットが生じる。これらの系統的誤差を補正するために、各計測ツールに割り当てられたオフセット値が、各ツールに対応付けられた測定結果に加えられる。この調整後には、統計的プロセス管理(SPC)システム内で監視される測定結果が、計測ツール群にわたって一貫したものになる。このようにして、製造プロセスの逸脱がもしあれば、SPCチャートに基づいて検出される。
【0009】
予想デバイス歩留まりの統計的プロセス制御モニタが、同一のプロセス工程においてウェハを測定する計測ツール群にわたって必要とされる。各計測ツールに対応付けられたオフセットが、計測ツール群間の系統的差異を補償するために導入される。オフセット補償がなければ、ある計測ツールによる品質管理(QC)ウェハの測定値は、同じではあるが、別の計測ツールによる同じQCウェハの測定値からオフセットされるかシフトされる。
【0010】
従来、各計測ツールに対応付けられたオフセットは、計測ツールごとにオフセット校正値を報告測定値に加えることによって補償されている。従来、各ツールに対応付けられたオフセット校正値は、群の計測ツールのそれぞれによって測定された一組の専用QCウェハのQC測定値から決定されている。各ツールのオフセット校正値は、生の測定データに基づいて評価される。ツール不整合の影響を最小限にすることによって、計測ツール群によって実施される測定で捕捉されるプロセスばらつきは、実際上拡大される。
【0011】
いくつかの例において、ある特定のプロセス工程と、名目上同一のハードウェア構成およびソフトウェア構成を有する計測ツール群とに対する校正手順が、ツールごとにオフセット校正値を計算するために使用される。
【0012】
この例では、QCウェハは、特定のプロセス工程において記録プロセス(POR)条件下で製造される。この場合、QCウェハは、計測ツール群のうちのすべての計測ツールによって測定される。たとえば、測定値が限界寸法(CD)測定値である場合、CD測定値が、計測ツール群中のn個のツールからなる組の各ツールから取得される(CD1、CD2、CD3、・・・、CDn)。測定CD値の平均値mが決定され、ここでmは、測定CD値の平均値または中央値である。各ツールに対応付けられたオフセットは、各ツールに対応付けられた測定CD値と平均値の差として決定される。たとえば、i番目のツールでは、オフセットΔi=m-CDとなる。最後に、各ツールに対応付けられたオフセット値が、対応するツールからの報告測定値を調整するために使用される。たとえば、Δiが、i番目のツールからの報告CD測定値CD を調整するために使用され、ここでCD =CD+Δi×Rであり、Rは変倍値であり、値がユーザによってゼロと1の間で選択されている。
【0013】
オフセット校正値を決定するための前述の校正手順は、動作条件が変化するにつれて(たとえば、プロセス変更、計測ツールの予防保守、ツール修理、ツールオフセットの計画的更新など)繰り返される。
【0014】
残念ながら、計測ツール群にわたって測定結果を整合させるために計測ツールオフセット値を校正する従来の手法は、時間も費用もかかる。たとえば、QCウェハの製造、特性評価、および維持は、大量生産環境では非常に費用がかかる。QCウェハは、安全に保護され各ツールまで搬送されて、各ツールに手作業でロードされアンロードされなければならない。測定ツール群が、遠隔にある別々の施設内のツールを含む場合には、費用および破損リスクが倍増する。これらの時間制約および費用制約により、特に、QCウェハの搬送に伴う付加的な時間およびリスクが最重要である製造工場全体にわたる、ツール間整合の達成が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0117411号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
計測システムは、デバイスをより多くのプロセス工程において、より高い精度で測定するように進化してきたので、ツールオフセット校正プロセスもより複雑なものになってきている。計測ツール群間で測定結果を整合させるための計測ツールオフセット値の校正に付随する時間および費用を低減する改善された方法およびツールが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
計測ツール群間で測定結果を整合させるために計測ツールオフセット値を校正する方法およびシステムが本明細書で提示される。具体的には、本明細書に記載のオフセット値の校正は、インライン生産ウェハの測定値に基づいており、特別に製造され特性評価された品質管理(QC)ウェハを使用する必要がない。専用のQCウェハの使用をなくすことによって、半導体製造環境においてツール間整合を維持するための運用上の制約および費用は、特に、別々の製造工場間でツール間整合が必要な場合に劇的に低減する。
【0018】
さらに、計測ツールオフセット値を校正するためのプロセスフロー全体が自動化され、大量半導体製造プロセスフローと完全に統合される。これにより、手作業の介在およびプロセスフローの中断なしで、継ぎ目のない計測ツールオフセット値の更新が可能になる。その結果、計測ツールのツール間整合は、専用の品質管理ウェハという要件をなくすこと、および人間のオペレータの利用を減らすことによって、少ない運用費用で自動的に維持される。
【0019】
別の態様において、新オフセット値の実施は、1つ以上の所定の管理限界値によって規制される。いくつかの実施形態において、1つ以上の所定の管理限界値はユーザによって決定される。
【0020】
さらに別の態様において、対象パラメータの測定値は、測定されるウェハへの測定時間の影響を補償するように調整される。
【0021】
上記は概要であり、したがって、簡略化、一般化および細部の省略を必然的に含み、それゆえに、当業者には、要約が例示的なものにすぎず、決して限定的なものではないことが理解されよう。本明細書に記載のデバイスおよび/またはプロセスの他の態様、発明の特徴、および利点は、本明細書に示された非限定的な「発明を実施するための形態」で明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本明細書に記載の方法による、半導体ウェハの特性を測定するためのシステム100を示す図である。
図2】本明細書に記載の方法によるオフセット値の校正がされている計測ツール群151~154を示す図である。
図3A】何らかのオフセット補正が適用される前の30日の期間にわたって、4つの異なるツールによって測定されたパラメータ値を示すグラフ180である。
図3B】30日の期間にわたって、4つの異なるツールのそれぞれについて毎日実施されたオフセットパラメータ値を示すグラフ181である。
図3C】オフセット値補正が適用された後の30日の期間にわたって、4つの異なるツールによって測定されたパラメータ値を示すグラフ182である。
図3D】30日の期間にわたる4つの異なるツール間の、未補正の測定パラメータ値の標準偏差と、補正済の測定パラメータ値の標準偏差とを示すグラフ183である。
図4】少なくとも1つの新規態様における群整合のためのオフセット値を校正する方法200を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、添付の図面に例が示されている本発明の背景例およびいくつかの実施形態を詳細に参照する。
【0024】
大量半導体製造環境において、半導体製造プロセスフローのある特定の工程で、名目上同一の計測ツール群を使用して、構造および材料特性(たとえば、材料組成、構造および膜の寸法特性など)の測定が実施される。各計測ツールに対応付けられたオフセット値を校正することにより、各計測ツールからの測定結果が群全体にわたって確実に比較可能になる。言い換えると、ある特定の製造ウェハが群内の2つの異なる計測ツールによって測定されたとすれば、それらの測定結果は同一の値に非常に近くなり、いずれか特定のツールに対応付けられた系統的誤差はないはずである。
【0025】
計測ツール群間で測定結果を整合させるために計測ツールのオフセット値を校正する方法およびシステムが本明細書で提示される。特に、本明細書に記載の、計測ツールオフセット値を校正する方法およびシステムではインライン生産ウェハを使用しており、特別に製造され、特性評価された品質管理(QC)ウェハを使用する必要がない。専用のQCウェハの使用をなくすことによって、半導体製造環境においてツール間整合を維持するための運用上の制約および費用は、特に、別々の製造工場間でツール間整合が必要な場合に劇的に低減する。
【0026】
測定ツールオフセット値を校正するのにインライン生産ウェハを使用することにより、ウェハ選択および測定順序に関する適応性を高くすることができる。その理由は、校正データが、専用のQCウェハを生産フローに挿入することからではなく、インライン生産ウェハの測定から得られるからである。たとえば、校正がインライン生産ウェハの測定値に基づく場合には、計測ツールオフセット値の校正は、かなり大きいウェハの組に基づくことができる。
【0027】
さらに、計測ツールオフセット値を校正するためのプロセスフロー全体が自動化され、大量半導体製造プロセスフローと完全に統合される。これにより、手作業の介在および大量半導体製造プロセスフローの中断なしで、継ぎ目のない計測ツールオフセット値の更新が可能になる。
【0028】
このようにして、計測ツールのツール間整合は、専用の品質管理ウェハという要件をなくすこと、および人間のオペレータの利用を減らすことによって、低い運用費用で自動的に維持される。
【0029】
図1は、たとえば、限界寸法(CD)、薄膜厚さ、光学特性および材料組成、オーバーレイ、リソグラフィ焦点/線量などの、半導体ウェハの特性を測定するためのシステム100を示す。図1に示すように、システム100は、ウェハ位置決めシステム110上に配置された半導体ウェハ112の、1つ以上の構造114の分光エリプソメトリ測定を行うために使用することができる。この態様において、システム100は、照明器102および分光器104を装備した分光エリプソメータ101を含むことができる。システム100の照明器102は、半導体ウェハ112の表面に配置された構造114に対して選択された波長範囲の照明を生成し誘導するように構成される。分光器104は、半導体ウェハ112の表面からの光を受光するように構成される。照明器102から出てくる光は、偏光状態発生器107を使用して偏光されて、偏光照明ビーム106が生成されることにさらに留意されたい。ウェハ112上に配置された構造114によって反射された放射は、偏光状態分析器109を通過して分光器104に至る。分光器104で収集ビーム108として受光された放射は、偏光状態に関して分析されて、分析器を通過した放射のスペクトル分析が可能になる。これらのスペクトル111は、構造114の分析のためにコンピュータシステム130に渡される。
【0030】
別の実施形態において、測定システム100は、測定されている1つ以上の構造114に関連する対象パラメータの値115を推定するための自動測定ツールを実行するように構成された、1つ以上のコンピュータシステム130を含む。好ましい実施形態では、測定ツールは、メモリ(たとえば、メモリ132または外部メモリ)に記憶されたプログラム命令134のセットである。プログラム命令134は、コンピュータシステム130の1つ以上のプロセッサ131によって読み出され実行されて、対象パラメータの値が推定される。コンピュータシステム130は、分光器104に通信可能に結合することができる。1つの態様において、コンピュータシステム130は、試料112の構造114の測定(たとえば、限界寸法、膜厚、組成、プロセスなど)に関連する測定データ111を受け取るように構成される。1つの例では、測定データ111は、分光器104からの、1つ以上のサンプリング処理に基づいた測定システム100による、試料の測定スペクトル応答の指示を含む。いくつかの実施形態において、コンピュータシステム130はさらに、構造114の試料パラメータ値115を測定データ111から決定するように構成される。1つの例では、コンピュータシステム130は、ターゲット構造114に関連する少なくとも1つの試料パラメータ値を決定するために事前に計算されたモデルの、1つ以上の測定ライブラリにアクセスするように構成される。いくつかの例において、測定ライブラリはメモリ132に記憶される。
【0031】
図2は、本明細書に記載の方法によるオフセット値の校正がされている計測ツール群151~154の図を示す。図2に示すように、計測ツール151~154は、生産環境において同じ一連のプロセス工程を用いて別々のウェハ上に製造された同一の構造を測定することが課せられている、計測ツール群である。ウェハ141~143は、同じ一連の処理工程を経たウェハであり、それぞれ計測ツール151~154に同じ処理工程で渡される。
【0032】
図2に示されているように、ウェハ141~143は、計測ツール151~154の組のうちの複数の計測ツールによって測定される。対象パラメータの推定値161~164は、それぞれ計測ツール151~154によって生成される。測定値161~164は、オフセット校正サーバ170に伝達される。
【0033】
オフセット校正サーバ170は、計測ツール151~154のそれぞれに伝達されるオフセット値118を推定するためにオフセット校正ツールを実行するように構成された、1つ以上のコンピュータシステムを含む。好ましい実施形態では、オフセット校正ツールは、メモリ(たとえば、メモリ172または外部メモリ)に記憶されたプログラム命令174のセットである。プログラム命令174は、コンピュータシステム130の1つ以上のプロセッサ171によって読み出され実行されて、オフセット値が推定される。オフセット校正サーバ170は、計測ツール151~154に通信可能に結合することができる。1つの態様において、オフセット校正サーバ170は、ウェハ141~143上に配置された1つ以上の構造の対象パラメータ(たとえば、限界寸法、膜厚、組成、プロセスなど)の測定に関連する測定データ161~164をそれぞれ受け取るように構成される。1つの例では、測定データ161~164は、ウェハ141~143上にそれぞれ配置された構造の測定限界寸法の指示を含む。
【0034】
図2に示された実施形態では、群をなす計測ツールのそれぞれによって行われた測定の記録は、データホストに、たとえばメモリ175に記憶され、このデータホストにはオフセット校正サーバ170からアクセス可能である。測定記録には、測定レシピ情報、計測ツール情報、ウェハロット情報、ウェハ情報、測定時間、現在のオフセットが適用された測定パラメータ値、および各ツールの現在のオフセット値が含まれる。式(1)は、電流オフセット値のセットを示し、各値は、群をなすM個の計測ツールのうちの異なる計測ツールに対応する。
{Δ,Δ,Δ,...Δ} (1)
【0035】
図2に示されているように、オフセット校正タスク構成情報117は、ユーザ入力ソース116からオフセット校正サーバ170へと受け取られる。1つの例では、ユーザ入力ソース116は、マウス、キーボード、タッチスクリーンなどの周辺デバイスと対話して、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介してオフセット校正タスク構成情報を入力するユーザである。オフセット校正タスク構成情報117は、オフセット値の校正を実施するために必要なオフセット校正タスクパラメータを定義する。非限定的な例として、オフセット校正タスク構成情報117には、測定レシピ情報、整合させるべき測定パラメータ、測定パラメータの管理限界、測定時間枠などが含まれる。1つの例では、測定時間枠は、測定開始時間および測定終了時間によって、通常では少なくとも1秒の分解能で定義される。
【0036】
オフセット校正タスク構成情報117によって定義されたタスク要件を満たす測定記録は、計測ツールまたはメモリ175のそれぞれからロードされる。いくつかの例において、測定記録は、その有効性を検証するために、所定の必須基準のセットと突き合わせて見直される。いくつかの例において、基準は、オフセット校正タスク構成情報117中で定義されている。非限定的な例として、有効性基準としては、測定の良好さ、測定状態(たとえば、異常測定に対する正常測定)、および測定時間枠内データが挙げられる。
【0037】
適切な測定データがオフセット校正サーバ170にロードされた後、測定記録は2つの部分、すなわち、1)対象パラメータの測定値と、2)各パラメータに対応付けられた現在のオフセットの値とに編成される。測定値は、ウェハ別にグループ分けされる。ウェハごとに、測定時間と、1つ以上の計測器からの測定値とが含まれる。
【0038】
図2に示されているように、オフセット校正サーバ170は、各計測ツールのバイアス値を、すべての計測ツールの平均値を基準にして決定する。整合されるべき群のすべての計測ツールに各ウェハを通す必要はない。一般に、本明細書で提示された群整合用の測定データを生成するために使用されるウェハの組の各ウェハは、整合されるべき群の中の2つ以上の異なる計測ツールによって測定される。さらに、整合されるべき群の各計測ツールは、本明細書で提示された群整合用の測定データを生成するために使用されるウェハの組の少なくとも1つのウェハを測定しなければならない。
【0039】
1つの例では、5つの計測ツールの群が整合されることになる。第1のウェハが、この5つの計測ツールの群のうちの計測ツール#1、#2、および#4によって測定される。これらのツールのそれぞれに対応付けられたバイアスは、式(2)に従い、オフセット校正サーバ170によって決定される。
【数1】
ここで、pmnは、m番目のツールによって測定された、n番目のウェハからの対象の測定パラメータの値であり、
【数2】
は、p11、p21、およびp41の平均であり、δmnは、m番目のツールとn番目のウェハに対応付けられたバイアスである。この例では、平均は、平均値または中央値として決定される。
【0040】
加えて、オフセット校正サーバ170は、計測ツールのそれぞれによって測定されたすべてのウェハ間で整合されるべき群の各計測ツールのバイアスの平均を決定する。平均バイアスは、式(3)に従いオフセット校正サーバ170によって決定される。
【数3】
ここで、
【数4】
は、m番目のツールの平均バイアスである。
【0041】
m個のツールに対し、整合されるべき計測ツール群の各計測ツールに対応付けられた平均バイアスは、式(4)で示される。
【数5】
【0042】
オフセット校正サーバ170は、式(5)に従い、各計測ツールに対応付けられた平均バイアスに基づいて新オフセット値を決定する。
【数6】
【0043】
ここで、△’は、m番目のツールによって測定された対象パラメータに対応付けられた新オフセット値であり、rは、1以下の正の値を有する倍率である。倍率の値rは、オフセット校正プロセスに起因してオフセット値に加えられる変更を緩和するために、構成情報117の一部としてユーザによって選択される。m個のツールでは、整合されるべき計測ツールの群の各計測ツールに対応付けられた新オフセット値は、式(6)で示される。
{Δ’,Δ’,Δ’,...Δ’} (6)
【0044】
図2に示されているように、すべてのツールの更新オフセット値118は、オフセット校正サーバ170から計測ツール151~154に伝達される。図示のように、新オフセット値118A(△’)は計測ツール151に伝達され、新オフセット値118B(△’)は計測ツール152に伝達され、新オフセット値118C(△’)は計測ツール153に伝達され、新オフセット値118D(△’)は計測ツール154に伝達される。いくつかの他の実施形態では、新オフセット値は、メモリ(たとえば、メモリ175)に記憶される。
【0045】
別の態様において、新オフセット値の実施は、1つ以上の所定の管理限界値によって規制される。いくつかの実施形態において、1つ以上の所定の管理限界値は、オフセット校正タスク構成情報117の一部としてユーザによって決定される。
【0046】
いくつかの実施形態において、各計測ツールに対応付けられた平均バイアスが、1つ以上の所定の閾値と比較されて、ある値の範囲内に平均バイアスがあるかどうかが判定される。平均バイアス値が所定の上限閾値を超える場合、平均バイアスは所定の上限値に制限されるか、またはゼロに設定される。加えて、平均バイアス値が所定の下限閾値未満である場合、平均バイアスは下限所定値に制限されるか、またはゼロに設定される。
【0047】
いくつかの実施形態において、新オフセット値は、1つ以上の所定の閾値と比較されて、ある値の範囲内に新オフセット値があるかどうかが判定される。新オフセット値が所定の上限閾値を超える場合、新オフセットは所定の上限値に制限されるか、またはゼロに設定される。加えて、新オフセット値が所定の下限閾値未満である場合、新オフセットは、下限所定値に制限されるか、またはゼロに設定される。
【0048】
別のさらなる態様において、対象パラメータの測定値は、測定時間を補償するように調整される。
【0049】
いくつかの例において、ウェハ上に製造された構造を特徴付ける測定値は、時間の関数、測定時間の関数、またはその両方としてドリフトする。たとえば、空中分子汚染(AMC)は、測定値をシフトさせる時間依存的な汚染物質の蓄積である。別の例では、測定を行うために使用される入射放射のパワーおよび持続時間によって、ウェハ上の物質変化が誘発され、この変化により測定値が測定時間の関数としてシフトする。その結果、特定の構造の測定値から決定される対象パラメータの値は、時間または測定時間の関数として、上昇または下降する傾向がある。
【0050】
時間依存的または測定時間依存的な現象によって誘発される測定誤差の大きさは、本明細書に記載のインライン生産ウェハと比較して、QCウェハが相対的に長い期間使用され、測定される時間が著しく多いので、専用QCウェハを使用することによって悪化する。したがって、QCウェハは、かなりの時間が経過した後では現在の生産ウェハを代表しない可能性がある、というリスクが存在する。
【0051】
時間依存的または測定時間依存的な測定ドリフトのリスクは、インライン生産ウェハを使用することによって著しく減少するが、測定時間を補償するために対象パラメータの測定値を調整する、追加の工程について説明する。
【0052】
1つの例では、少なくとも1つのウェハが、2つの異なる時間に同じ計測ツールによって測定される。測定ごとに、測定が実行された時間が、メモリ(たとえば、メモリ175)に保管される。異なる時間に同じツールによってウェハを追加測定することにより、測定されたパラメータの値の傾向を測定間で経過した時間の関数として計算することが可能になる。このようにして、たとえば、空中分子汚染に起因する傾向影響を補償することができる。いくつかの実施形態において、傾向挙動は、時間の線形関数であると仮定される。これらの実施形態では、測定されたパラメータの値の差を測定間の時間の差で割ったものが、式(7)に示されるように、傾向を定量化する。
【数7】
ここで、kは傾向測定パラメータの傾きであり、pは第1の計測ツールによる第1の測定時の測定パラメータの値であり、Tは第1の計測ツールによる第1の測定の時間であり、p’は第1の計測ツールによる後続の測定時における測定パラメータの値であり、T’は第1の計測ツールによる後続の測定の時間である。
【0053】
1つの例において、計測ツール群のうちの任意の他の計測ツールによる測定パラメータの非傾向値は、式(8)に従って決定される。
’=p-k(T-T) (8)
ここでpは、x番目の計測ツールによって測定された測定パラメータの値であり、Tは、x番目の計測ツールによる測定の時間であり、p’は、x番目のツールによるパラメータの測定値に対応付けられた非傾向測定パラメータ値の値である。
【0054】
一般に、このウェハのすべての測定に対応付けられた測定パラメータ値は、本明細書に記載のように非傾向にすることができる。たとえば、計測ツール群のm個の計測ツールによる特定のウェハの非傾向測定値のセットは、式(9)で表すことができる。
{p’,p’,p’,...p’} (9)
【0055】
本明細書に記載の方法で測定データを非傾向にすることによって、ウェハ傾向による測定不整合への影響は著しく減少する。いくつかの例において、オフセット校正サーバ170は、式(8)に従って決定された非傾向測定データを使用して、式(2)を参照して説明したように、各計測ツールのバイアス値を、すべての計測ツールの平均値を基準にして決定する。
【0056】
いくつかの実施形態では、式(7)および(8)を参照して説明した時間は、ウェハに対して行われる一連の測定の測定回数に置き換えられる。このようにして、たとえば、ウェハが測定される回数の関数として変倍する、放射量に起因する傾向影響を補償することができる。
【0057】
計測ツール群間のオフセットパラメータ値の例示的な校正について、図3A~3Dを参照して説明する。4つの光学限界寸法(OCD)計測ツールの群が、生産環境で実施される。計測ツール群は、ウェハを製造プロセスフローの同一の製造工程で測定する。より具体的には、各インライン生産ウェハは、群の4つの計測ツールのうちの1つによって測定される。毎日、インライン生産ウェハは、本明細書に記載のツール整合のために選択され、計測ツール群の2つ以上の計測ツールによって測定された。このようにして、所与の日に選択ウェハを測定するのに使用されたツールのそれぞれに対応付けられたオフセットパラメータ値は、その日に更新され、その所与の日に選択ウェハを測定するのに使用されなかったツールは、その日には更新されなかった。群内の各ツールが定期的に更新されることを確実にするために、所与の日に選択ウェハを測定するために選択される2つ以上のツールは、群の中でローテーションさせた。
【0058】
図3Aは、何らかのオフセット補正が適用される前の30日の期間にわたって、4つの異なるツールによって測定されたパラメータ値を示すグラフ180である。グラフ線180Aはツール#1の測定結果を示し、グラフ線180Bはツール#2の測定結果を示し、グラフ線180Cはツール#3の測定結果を示し、グラフ線180Dはツール#4の測定結果を示している。図3Aに示されているように、各ツールで測定するウェハはそれぞれ異なっており、また、各ツールで毎日測定するウェハはそれぞれ異なっている。したがって、未補正の各測定値は、測定ウェハについての系統的なツールの差異と実際の寸法の差異との両方に起因して、ツール間の差異および経時的な(たとえば、日ごとの)差異を呈示する。
【0059】
図3Bは、30日の期間にわたって、ツール#1~4のそれぞれについて毎日実施されたオフセットパラメータ値を示すグラフ181である。グラフ線181Aは、ツール#1に対して実施されたオフセットパラメータ値を示し、グラフ線181Bは、ツール#2に対して実施されたオフセットパラメータ値を示し、グラフ線181Cは、ツール#3に対して実施されたオフセットパラメータ値を示し、グラフ線181Dは、ツール#4に対して実施されたオフセットパラメータ値を示している。図3Bに示されているように、時として、ある特定のツールに対して実施されたオフセットパラメータ値に大きいシフトがある。こうしたシフトは、ツールに対して予防保守イベントなどの大きい変更が実施されるときに生じる。図3Bに示されているように、本明細書に記載の方法によって決定されたオフセットパラメータ値により、ツール変化を補償し、ツール間整合を維持することができる。
【0060】
図3Cは、オフセット値補正が適用された後の30日の期間にわたって、4つの異なるツールによって測定されたパラメータ値を示すグラフ182である。グラフ線182Aはツール#1の測定結果を示し、グラフ線182Bはツール#2の測定結果を示し、グラフ線182Cはツール#3の測定結果を示し、グラフ線182Dはツール#4の測定結果を示している。図3Cに示されているように、各ツールで測定するウェハはそれぞれ異なっており、また、各ツールで毎日測定するウェハはそれぞれ異なっている。したがって、補正済測定値は、測定ウェハについての実際の寸法の差異に起因して、ツール間の差異および経時的な(たとえば、日ごとの)差異を呈示するが、系統的なツールの差異の影響は著しく減少している。
【0061】
図3Dは、30日の期間にわたる4つの異なるツール間の、未補正の測定パラメータ値の標準偏差と、補正済の測定パラメータ値の標準偏差とを示すグラフ183である。グラフ線183Aは、30日間の期間にわたる4つのツール間の、未補正の測定パラメータ値の標準偏差を示している。グラフ線183Bは、30日の期間にわたる4つのツール間の、補正済の測定パラメータ値の標準偏差を示している。図3Dに示されているように、本明細書に記載の方法に従って決定されたオフセットパラメータ値を実施することによって、対象の測定パラメータの全ツール間の標準偏差は、約3.5分の1に低減する。このように、測定精度に対する計測ツール群間の系統的な差異の影響を低減する能力が明確に示されている。
【0062】
本開示を通して説明されている様々な工程は、単一のコンピュータシステム170によって、または代替的に複数のコンピュータシステム170によって実行できることを理解されたい。さらに、分光エリプソメータ101などの、システム100の様々なサブシステムは、本明細書に記載の工程の少なくとも一部分を実行するのに適しているコンピュータシステムを含むことができる。したがって、上記の説明は、本発明を限定するものとして解釈されるべきものではなく、単なる例示にすぎない。さらに、コンピュータシステム170は、本明細書に記載の方法の実施形態のいずれかの他の任意の工程を実行するように構成することができる。
【0063】
コンピュータシステム170は、パーソナルコンピュータシステム、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサ、または当技術分野で知られている他の任意のデバイスを、これらだけには限らないが含むことができる。一般に、「コンピュータシステム」という用語は、メモリ媒体からの命令を実行する1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスを包含するように、広く定義することができる。一般に、コンピュータシステム170は、測定システム100などの測定システムと統合することも、代替的に、任意の測定システムから分離することもできる。この意味で、コンピュータシステム170は、遠隔に設置することができ、任意の測定源およびユーザ入力ソースからそれぞれ測定データおよびユーザ入力117を受信することができる。
【0064】
本明細書に記載のものなどの方法を実施するプログラム命令174は、有線、ケーブル、または無線の伝送リンクなどの伝送媒体を介して伝送することができる。プログラム命令174を記憶するメモリ172は、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスクもしくは光ディスク、または磁気テープなどの、コンピュータ可読媒体を含むことができる。
【0065】
加えて、コンピュータシステム170は、当技術分野で知られている任意の方法で、計測ツールまたはユーザ入力ソース116に通信可能に結合することができる。
【0066】
コンピュータシステム170は、ユーザ入力ソース116および計測システムのサブシステム(たとえば、分光器104、照明器102等)から、有線部分および/または無線部分を含み得る伝送媒体によって、データまたは情報を受信および/または取得するように構成することができる。このようにして、伝送媒体は、コンピュータシステム170と、ユーザ入力ソース116と、計測システム100などの計測システムとの間のデータリンクとして機能することができる。さらに、コンピュータシステム170は、記憶媒体(すなわち、メモリ)を介して測定データを受け取るように構成することができる。たとえば、エリプソメータ101の分光器を用いて得られた分光結果は、恒久的または半恒久的な記憶デバイス(図示せず)に記憶することができる。これに関連して、分光結果は、外部システムから取り込むことができる。さらに、コンピュータシステム170は、伝送媒体を介してデータを外部システムへ送信することもできる。
【0067】
図2に示されたオフセット校正サーバ170の実施形態はさらに、本明細書に記載のように構成することができる。加えて、サーバ170は、本明細書に記載の方法の実施形態のいずれかの他の任意のブロックを実施するように構成することもできる。
【0068】
一般に、任意の数の対象パラメータを選択し、オフセット値校正の基礎とすることができる。例示的な対象パラメータとしては、限界寸法(CD)、側壁角(SWA)、高さ(H)のような形状パラメータなどの幾何学的パラメータ、組成、膜厚、バンドギャップ、電気特性、リソグラフィ焦点、リソグラフィ線量、オーバーレイ、および他のプロセスパラメータ(たとえば、レジスト状態、分圧、温度、集束モデル)が挙げられる。
【0069】
図4は、少なくとも1つの新規態様における群整合のためのオフセット値を校正する方法200を示す。方法200は、本発明の図2に示されたオフセット校正サーバ170などの、オフセット校正サーバによって実施するのに適している。1つの態様において、方法200のデータ処理ブロックは、コンピュータシステム170または任意の他の汎用コンピュータシステムの1つ以上のプロセッサによって実行される、予めプログラムされたアルゴリズムによって実施できることを理解されたい。ここでは、システム170の特定の構造的な態様は、制限事項を表すものではなく、単に例示的なものと解釈されるべきことを理解されたい。
【0070】
ブロック201において、複数のインライン生産ウェハ上に配置された1つ以上の構造を特徴付ける、対象パラメータの複数の測定値を受け取る。複数のインライン生産ウェハのそれぞれが、半導体製造プロセスフローの同一のプロセス工程で測定される。対象パラメータの複数の測定値は、計測システム群のうちの2つ以上の計測システムによって、複数のウェハのそれぞれの測定値に対応付けられる。
【0071】
ブロック202において、計測システム群のうちの1つの計測システムに対応付けられる第1の測定バイアスを、複数のインライン生産ウェハのうちの第1のインライン生産ウェハを測定するために使用された1つ以上の計測システムのそれぞれの平均測定値を基準にして決定する。
【0072】
ブロック203において、計測システム群のうちの1つの計測システムの更新オフセット値を、第1の測定バイアスに少なくとも部分的に基づいて決定する。
【0073】
ブロック204において、計測システムによる対象パラメータの測定値の補正値を、更新オフセット値に基づいて推定する。
【0074】
任意選択のブロック(図示せず)において、更新オフセット値を、コンピュータシステムのメモリ(たとえば、コンピュータシステム170のメモリ172、または外部メモリ)に記憶する。
【0075】
本明細書で論じた方法は、計測システム100などの計測システムを参照して説明されているが、試料に照射し、および試料から反射、透過、または回折した放射を検出するように構成された任意の計測システムを使用して、本明細書に記載の、光学およびX線ベースの計測システムを含む例示的な方法を実施することができる。例示的なシステムとしては、角度分解反射率計、散乱計、反射率計、エリプソメータ、分光反射率計またはエリプソメータ、ビームプロファイル反射率計、多波長2次元ビームプロファイル反射率計、多波長2次元ビームプロファイルエリプソメータ、回転補償器分光エリプソメータなどが挙げられる。非限定的な例として、エリプソメータには、単一の回転補償器、複数の回転補償器、回転偏光器、回転分析器、変調素子、複数の変調素子が含まれてもよく、変調素子が含まれなくてもよい。
【0076】
計測システムからの出力は、計測システムが複数の技術を使用するようにして構成できることに留意されたい。実際、1つのアプリケーションを、利用可能な計測サブシステムの任意の組み合わせを単一のツール内で、またはいくつかの異なるツール間で使用するように構成することができる。
【0077】
本明細書に記載の方法を実施するシステムはまた、いくつかの異なる様式で構成することもできる。たとえば、広範囲の波長(可視、紫外線、赤外線、およびX線を含む)、入射角、偏光状態、およびコヒーレンス状態が企図され得る。別の例では、システムは、いくつかの異なる光源(たとえば、直結光源、レーザ維持プラズマ光源など)のいずれかを含むことができる。別の例では、システムは、試料に向けられた光、または試料から集められた光を調整する要素(たとえば、アポダイザ、フィルタなど)を含むことができる。
【0078】
半導体計測の分野において、一計測システムが、対象を照らす照明システムと、照明システムがターゲット、デバイスまたはフィーチャと相互作用することによって(または相互作用しないで)得られた関連情報を取り込む収集システムと、1つ以上のアルゴリズムを用いて収集された情報を分析する処理システムとを含むことができる。計測ツールを使用して、様々な半導体製造プロセスに関連する構造および材料の特性(たとえば、材料組成、膜厚および/または構造限界寸法などの構造および膜の寸法特性、オーバーレイなど)を測定することができる。これらの測定値は、半導体ダイの製造におけるプロセス制御および/または歩留まり効率を促進するために使用される。
【0079】
計測システムは、たとえば、様々な上記の半導体構造および材料特性を測定するために本発明のいくつかの実施形態と組み合わせて使用できる、1つ以上のハードウェア構成を含むことができる。このようなハードウェア構成の例としては以下のものが、すなわち、分光エリプソメータ(SE)、照明角が複数あるSE、ミューラー行列要素を(たとえば回転補償器を使用して)測定するSE、単波長エリプソメータ、ビームプロファイルエリプソメータ(角度分解エリプソメータ)、ビームプロファイル反射率計(角度分解反射率計)、広帯域反射分光器(分光反射率計)、単波長反射率計、角度分解反射率計、イメージングシステム、および散乱計(たとえばスペックルアナライザ)が、これらだけには限らないが挙げられる。
【0080】
ハードウェア構成は、個別の運用システムに分離することができる。一方で、1つ以上のハードウェア構成を単一のツールに組み合わせることができる。複数のハードウェア構成を単一のツールにこのように組み合わせたものの1つの例が米国特許第7,933,026号に記載されており、同特許は、その全体をすべての目的のために本願に引用して援用する。多くの場合、複数の計測ツールが、単一または複数の計測ターゲットの測定に使用される。これについては、たとえば、Zangooieらの米国特許第7,478,013号に記載されており、同特許は、その全体をすべての目的のために本願に引用して援用する。
【0081】
本明細書では、用語の「限界寸法」には、構造の任意の限界寸法(たとえば、底部限界寸法、中部限界寸法、上部限界寸法、側壁角、グレーティング高さなど)、任意の2つ以上の構造間の限界寸法(たとえば、2つの構造間の距離)、2つ以上の構造間の変位(たとえば、オーバーレイグレーティング構造間のオーバーレイ変位など)、および構造または構造の一部で使用される材料の分散特性値が含まれる。構造には、3次元構造、パターン化構造、オーバーレイ構造などが含まれ得る。
【0082】
本明細書では、用語の「限界寸法適用」または「限界寸法測定適用」には、任意の限界寸法測定が含まれる。
【0083】
本明細書では、用語の「計測システム」には、「検査」システムと呼ぶことができるシステムを含めて、任意の態様の試料を特徴付けるために少なくとも部分的に使用される任意の測定システムが含まれる。このような技術用語は、本明細書に記載の「計測システム」という用語の範囲を限定しない。加えて、計測システム100は、パターン化ウェハおよび/または未パターン化ウェハの測定用に構成することもできる。計測システムは、LED検査ツール、エッジ検査ツール、裏面検査ツール、マクロ検査ツール、またはマルチモード検査ツール(1つ以上のプラットフォームからのデータを同時に含む)として、また、限界寸法データに基づいてシステムパラメータを校正することから利益を得る他の任意の計測ツールまたは検査ツールとして、構成することができる。
【0084】
試料を処理するのに使用できる半導体処理システム(たとえば、計測システムまたはリソグラフィシステム)に関して、様々な実施形態が本明細書で説明されている。用語の「試料」は、本明細書では、ウェハ上、レチクル上、または当技術分野で既知の手段によって処理(たとえば、印刷または欠陥の検査)ができる他の任意の試料上の部位を指すのに使用される。いくつかの例では、試料は、同時複合測定が単一の試料測定または基準測定として扱われる1つ以上の測定ターゲットを有する、単一の部位を含む。いくつかの他の例では、試料は、集約測定部位に対応付けられた測定データが、複数の部位のそれぞれに対応付けられたデータの統計的集合体であるところの部位の集合体である。さらに、これらの複数の部位のそれぞれは、1つの試料または参照測定値に対応付けられた1つ以上の測定ターゲットを含むことができる。
【0085】
本明細書で、用語の「ウェハ」は一般に、半導体材料または非半導体材料で形成された基板を指す。例としては、単結晶シリコン、ガリウム砒素、およびリン化インジウムが、これらだけには限定されないが挙げられる。このような基板は、半導体製造施設において一般に見出すこと、および/または処理することができる。場合によって、ウェハには基板しか含まれないことがある(すなわち、ベアウェハ)。あるいは、ウェハは、基板上に形成された様々な材料からなる1つ以上の層を含むこともできる。ウェハ上に形成された1つ以上の層は、「パターン化」することも「非パターン化」することもできる。たとえば、ウェハは、繰り返し可能パターンフィーチャを有する複数のダイを含むことができる。
【0086】
「レチクル」は、レチクル製造プロセスの任意の段階のレチクル、または半導体製造設備において使用するためにリリースされてもされなくてもよい完成レチクルとすることができる。レチクル、または「マスク」は一般に、実質的に不透明な領域がその上に形成されてパターンとして構成されている、実質的に透明な基板と定義される。基板は、たとえば、非晶質SiOなどのガラス材料を含むことができる。レチクルは、レチクル上のパターンをレジストに転写できるように、リソグラフィプロセスの露光工程中にレジスト被覆ウェハの上方に配置することができる。
【0087】
ウェハ上に形成された1つ以上の層は、パターン化することも非パターン化することもできる。たとえば、ウェハは、繰り返し可能なパターンフィーチャをそれぞれが有する、複数のダイを含むことができる。このような材料の層を形成および処理すると、最終的に完成デバイスを得ることができる。多くの異なるタイプのデバイスをウェハ上に形成することができ、本明細書でウェハという用語は、当技術分野で知られているあらゆるタイプのデバイスがその上に製造されるウェハを包含するものである。
【0088】
1つ以上の例示的な実施形態では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせの形で実施することができる。ソフトウェアで実施された場合、その機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令またはコードとして記憶または伝送することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体と、コンピュータプログラムをある場所から別の場所へ転送しやすくする任意の媒体を含む通信媒体との両方を含む。記憶媒体は、汎用または専用のコンピュータによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体とすることができる。限定ではなく例として、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくは他の磁気ストレージデバイス、あるいは、命令もしくはデータ構造の形で所望のプログラムコード手段を搬送もしくは記憶するのに使用でき、汎用もしくは専用のコンピュータ、または汎用もしくは専用のプロセッサによってアクセスできる、他の任意の媒体を含むことができる。また、いかなる接続も正しくコンピュータ可読媒体と呼ばれる。たとえば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者線(DSL)、または赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を用いてウェブサイト、サーバ、または他のリモートソースから伝送される場合、その同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、または赤外線、無線、マイクロ波などの無線技術は媒体の定義に含まれる。本明細書でディスク(disk)およびディスク(disc)には、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク(登録商標)、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスクおよびブルーレイディスクが含まれ、ディスク(disk)は通常、データを磁気的に再生するのに対し、ディスク(disc)はデータをレーザで光学的に再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるべきものである。
【0089】
説明のためにいくつかの特定の実施形態について上で説明したが、本特許文献の教示は一般的な適用可能性を有し、上述の特定の実施形態に限定されない。したがって、説明された実施形態の様々な変形、適応、および様々な特徴を組み合わせたものは、特許請求の範囲に示されている本発明の範囲から逸脱することなく実施することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
【国際調査報告】