(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-30
(54)【発明の名称】ジイソシアネートの単量体含有量が少ないポリウレタン組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 18/10 20060101AFI20230623BHJP
C08G 18/08 20060101ALI20230623BHJP
C08G 18/76 20060101ALI20230623BHJP
C08G 18/42 20060101ALI20230623BHJP
C09J 175/06 20060101ALI20230623BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20230623BHJP
C09J 123/00 20060101ALI20230623BHJP
【FI】
C08G18/10
C08G18/08 038
C08G18/76 057
C08G18/42
C09J175/06
C09J11/08
C09J123/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574206
(86)(22)【出願日】2021-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2021064631
(87)【国際公開番号】W WO2021245061
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】ブレンガー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】マトゥシク,パトリク
(72)【発明者】
【氏名】フランケン,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,クヌート
(72)【発明者】
【氏名】ローア,クリストフ
【テーマコード(参考)】
4J034
4J040
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC12
4J034HC52
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034JA42
4J034MA22
4J034QB10
4J034QB19
4J034RA08
4J040DA002
4J040EF111
4J040EF301
4J040JB01
4J040LA01
(57)【要約】
本発明は、低含量のモノマーMDIを有する接着性ポリウレタン組成物、本発明の組成物の製造方法、およびホットメルト接着剤のための本発明の組成物の使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)少なくとも1つのポリエステルポリオール;
ii)少なくとも1つのポリオレフィン;および
iii)2,4’-/4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)の混合物
を含む反応混合物から得られた接着性ポリウレタン組成物であって、
ここで、NCO:OH比は1.5未満であり、
組成物中の単量体MDIの含有量は、組成物の総重量に基づいて、0.1重量%未満であることを特徴とする、接着性ポリウレタン組成物。
【請求項2】
NCO:OH比は1.4未満、好ましくは1.33未満、さらに好ましくは1.25未満であることを特徴とする、請求項1に記載の接着性ポリウレタン組成物。
【請求項3】
4,4’-MDIの含有量が、組成物の総重量に基づいて、0.05重量%未満、好ましくは0.02重量%未満であることを特徴とする、請求項1~2のいずれかに記載の接着性ポリウレタン組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種のポリエステルポリオールは、DIN EN ISO 2114に従って測定して、2.0mgKOH/g以下の酸価を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の接着性ポリウレタン組成物。
【請求項5】
前記少なくとも1種のポリエステルポリオールは、DIN EN ISO 4628-2に従って測定して、20~45mgKOH/g、好ましくは25~40mgKOH/gのヒドロキシ価を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の接着性ポリウレタン組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種のポリエステルポリオールは、1000~4500、好ましくは1500~4000の平均分子量を有することを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の接着性ポリウレタン組成物。
【請求項7】
反応混合物中に使用されるポリオレフィンは、エチレン、プロペン、1-ブテンおよび1-ヘキセンからなる群から選択されるモノマーの共重合から得られるポリマーおよびそれらから得られるコポリマーの混合物から選ばれる非晶質ポリ-α-オレフィンであることを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の接着性ポリウレタン組成物。
【請求項8】
ポリオレフィンは、ASTM D 3418に従って決定されるガラス転移温度Tgが-15~-50℃、好ましくは-20~-40℃であることを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の接着性ポリウレタン組成物。
【請求項9】
組成物は、DIN EN ISO 2555/2000-01に従ってブルックフィールドサーモセル、スピンドル27.5rpmを用いて130℃~150℃で測定したドレーン粘度ηが5000~35000mPas、好ましくは6000~30000mPasであることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の接着性ポリウレタン組成物。
【請求項10】
以下の工程
a)少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび少なくとも1つのポリオレフィンを含む溶液を提供する工程;
b)少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび少なくとも1つのポリオレフィンの溶液を乾燥させる工程;
c)2,4’-/4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネートを添加し、所望のポリウレタン組成物を得る工程
を含み、
工程c)におけるNCOのOHに対する比は1.5未満であることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の接着性ポリウレタン組成物の製造方法。
【請求項11】
130℃未満、好ましくは115℃未満の反応温度で実施されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
反応時間が40分超、好ましくは60分超であることを特徴とする、請求項10および11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
2,4’-/4,4’-MDIの混合物の添加後に、追加のポリエステルポリオールを添加する工程d)をさらに含むことを特徴とする、請求項10~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
工程c)またはd)で得られたポリウレタン組成物を、追加のイソシアネート源または単官能アルコールでさらに処理する工程e)をさらに含むことを特徴とする、請求項10~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1~8のいずれかに記載の接着性ポリウレタン組成物のホットメルト接着剤のための使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低含量のモノマーMDIを有する接着性ポリウレタン組成物、本発明の組成物の製造方法、およびホットメルト接着剤のための本発明の組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、高性能接着剤、表面コーティング及びシーラントから硬質プラスチック部品やフォームに至るまで、さまざまな生成物の製造に使用されている確立された材料である。ポリウレタンは一般に、イソシアネートとポリオールの反応から得られ、ポリウレタンの特性は、適切な原材料を選択することによって設計および適合させることができる。完全に反応したポリウレタンは化学的に不活性であるが、特に使用されるイソシアネートに関して、安全性と健康上の懸念が残る。ポリウレタンの製造で最も一般的に使用されるイソシアネートの1つはメチレンジフェニルジイソシアネートで、ほとんどの場合MDIと略される、芳香環の周りのイソシアネート基の位置によって異なる3つの異性体を持つ芳香族ジイソシアネートであり:2,2’-MDI、2,4’-MDI及び4,4’-MDIがあり、4,4’-MDIが最も広く使用されている。MDIは、一般に入手可能なイソシアネートの中で最も危険性が低くても、アレルゲンおよび感作物質として知られている。イソシアネートに対する過敏症を発症した人は、呼吸不全を含む非常に少量の暴露で危険な全身反応を起こす可能性がある。水やその他の求核試薬に対して潜在的に暴力的な反応を起こす可能性があるため、MDIの取り扱いには厳密な工学的管理と人体保護具が必要である。MDIは、他の有機シアネートと比較して比較的低いヒト毒性を有するが、MDIのモノマー残基の含有量が低いポリウレタンを提供することは依然として関心事である。
【0003】
EP1404733は、5%未満の4,4’-MDIおよび2,2’-MDIを含み、2,2’-MDI含有量が0.4%未満であるジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート(2,4’-MDI)などのモノマー非対称ジイソシアネートを分子量60g/mol~2000g/molのジオールなどの多価アルコールと反応させることによって、遊離イソシアネート基を含むが低レベルのモノマー非対称ジイソシアネートを含む反応性ポリウレタンを得る方法を開示している。イソシアネート基とヒドロキシル基の比は、1.05:1から2.0:1の値であり得る。反応性ポリウレタンは、一液型および二液型接着剤およびシーラント生成物の製造に使用できる。
【0004】
M.Krebsは、Adhesive ADHESIVES & SEALANTS 2004/2005、15~18ページ、「新しいモノマー削減ポリウレタンホットメルト」というタイトルの記事で、MDIが抽出により大部分除去され、単量体MDI含有量の低い含有量を有するポリウレタンを得るためにタンデムを形成する鎖延長剤によって結合した2つのMDIグループからなるジイソシアネート形成性ブロックとして、いわゆる「スーパーMDI」を説明している。
【0005】
US2004/0071977は、接着剤として有用な湿気反応性ホットメルト組成物を開示しており、これは、少なくとも1つのポリオール、少なくとも1つのポリイソシアネートおよび少なくとも1つのシラン官能性ポリオレフィンを含む成分を混合することによって形成される。US2004/0071977による適切な混和剤は、0.1%以上、好ましくは0.2%以上、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは1%以上の遊離NCO含有量である。
【0006】
US6,579,406は、ポリイソシアネート、非晶質ポリオール、および接着剤組成物の重量に基づいて0.1から10重量%の、ヒドロキシル価100~300およびMn1,000~4,000を有するスチレン/アリルアルコールコポリマーを含む成分を混合することによって形成され、当量基準での前記成分のNCO/OH基の比は1.05~2.5であり、前記成分は結晶性ポリエステルおよびポリエーテルを含まず、前記成分は当該成分の総重量に基づいて1重量%未満の水を含む、湿気反応性ホットメルト接着剤組成物に言及している。US6,579,406に開示された実施例から、組成物中のモノマーイソシアネートの含有量が0.1重量%を超えることは当業者には明らかである。
【0007】
US2014/0199540は、(a)熱可塑性プラスチックと、それに付着している、(b)(i)1以上のイソシアネート、(ii)1以上の3より大きい官能価、9から10mol/kgのエステル基濃度、およびアジピン酸またはアジピン酸とイソフタル酸および/またはフタル酸とエチレングリコールとの縮合に基づく、60から150mgKOH/gのヒドロキシ価を有するポリエステルポリオール、および1,2-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールおよび1,6-ヘキサンジオールからなる群からの少なくとも1以上のジオールおよびトリメチロールプロパン、および(iii)1以上のポリエーテルポリオール、から構成される反応混合物の反応の生成物を含む複合エレメントを記述している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第1404733号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0071977号明細書
【特許文献3】米国特許第6,579,406号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/0199540号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】M.Krebsは、Adhesive ADHESIVES & SEALANTS 2004/2005、15~18ページ、「新しいモノマー削減ポリウレタンホットメルト」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これまでのところ、モノマー残基を含まないMDIベースの接着性ポリウレタン組成物は、高価で入手しにくいMDIの異性体の1つ、すなわち純粋な2,4’-MDIのみを用いるか、またはコストのかかる蒸発プロセスを用いて入手することが可能である。MDIの安価な4,4’-異性体をベースとしたMDIのモノマー含有量が少ないポリウレタン組成物を提供する必要性が依然として存在するので、本発明の目的は、安全で無害なポリウレタン組成物を提供することである。
【0011】
本発明の過程において、驚くべきことに、MDI異性体である2,4’-MDIと4,4’-MDIの混合物を用いることにより、モノマーMDIの含有量が極めて少ないポリウレタン組成物を得ることができることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明の第1の対象は、以下を含む反応混合物から得られる接着性ポリウレタン組成物である。
i)少なくとも1つのポリエステルポリオール;
ii)少なくとも1つのポリオレフィン;および
iii)2,4’/4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)の混合物、
ここで、NCO:OH比は1.5未満であり、組成物中の単量体MDIの総含有量は、組成物の総重量に基づいて0.1重量%未満であることを特徴とする。
【0013】
理論に拘束されるものではないが、2,4’-MDI異性体と4,4’-MDI異性体のNCO基の選択性の違いにより、NCO基とOH基の比率が低いポリウレタンを、同時にモノマーMDIの含有量を減らしながら、得ることができる。さらに、驚くべきことに、本発明の接着性ポリウレタン組成物は、低いNCO/OH比を有するポリウレタンで通常観察される高い粘度を示さないことが観察された。
【発明を実施するための形態】
【0014】
MDIの2,4’異性体と4,4’異性体の比率がほぼ等しい場合に、最良の結果が得られた。したがって、好ましい実施形態では、本発明の接着性ポリウレタン組成物を得るために反応混合物に使用される2,4’/4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネートの混合物は、異性体混合物の総重量に基づいて、30~55重量%の2,4’-MDI、好ましくは40~50重量%の2,4’-MDIを含む。好ましくは、異性体混合物中の4,4’-MDIの含有量は、異性体混合物の総重量に基づいて30~55重量%、好ましくは40~50重量%である。特に好ましい実施形態では、異性体の混合物中の2,4’-MDIの量は、混合物中の4,4’-MDIの量に等しい。したがって、2,4’-MDIと4,4’-MDIの重量比は約1:1であることが好ましい。好ましい実施形態では、異性体の混合物は2,2’-MDIをさらに含有してもよく、その量は混合物の総重量に基づいて、好ましくは5重量%未満、より好ましくは3重量%未満である。
【0015】
好ましい実施形態では、接着性ポリウレタン組成物の総重量に基づいて、単量体4,4’-MDIの含有量は0.05重量%未満であり、好ましくは0.02重量%未満である。
【0016】
好ましい実施形態では、本発明の組成物中のNCOのOHに対する比率は1.4未満、好ましくは1.33未満であり、さらにより好ましくは1.25未満である。NCOのOHに対する比率は、反応混合物中の遊離NCO基の遊離OH基に対する比率を指し、ポリエステルポリオールのジイソシアネートに対する比率の尺度として役立つ。
【0017】
ポリウレタンの特性は、ほとんどの場合、ポリオール成分(分子量、酸価、ヒドロキシ価)を調整することによって調整される。本発明の好ましい実施形態では、反応混合物で使用されるポリエステルポリオールは、DIN EN ISO 2114に従って測定して、2.0mgKOH/g以下の酸価を有することが好ましい。
【0018】
さらに好ましい実施形態では、本発明で使用されるポリエステルポリオールは、DIN EN ISO 4628-2に従って測定して、20~45mgKOH/g、好ましくは25~40mgKOH/gのヒドロキシ価を特徴とする。本発明のさらに好ましい実施形態では、ポリエステルポリオールは、ヒドロキシル価から測定して、1000~4500、好ましくは1500~4000の平均分子量を有する。
【0019】
好ましい実施形態では、ポリエステルポリオールの混合物が使用される。混合物は、2つ以上、好ましくは3つ以上のポリエステルポリオールを含有してよい。
【0020】
本発明のポリウレタン組成物が得られる反応混合物は、少なくとも1つのポリオレフィンを含有する。驚くべきことに、反応混合物中にポリオレフィンが存在することにより、グリーン強度の組成物が改善されることが判明した。本発明のポリウレタン組成物を得るために反応混合物に使用されるポリオレフィンは、エチレン、プロペン、1-ブテンおよび1-ヘキセンからなる群から選択されるモノマーの共重合から得られるポリマーおよびそれから得られるコポリマーの混合物から選択される非晶質ポリ-α-オレフィンであることが好ましい。共重合は、チーグラー・ナッタ型の触媒の存在下で実施されるのが好ましい。好ましくは、使用されるポリオレフィンのモル質量は7000から24000、好ましくは7300から23800の範囲である。用いるポリオレフィンは好ましくは、ASTM D 3418に従って測定したガラス転移温度Tgが-15~-50°C、好ましくは-20~-40°Cである。特に好ましい実施形態では、DIN 52011に従って決定された60~200℃、好ましくは75~180℃の環球軟化点を有するポリオレフィンが使用される。適切なポリオレフィンは商業的に入手可能であり、例として、Evonikによって販売されているVestoplast、Eastman Chemicalによって販売されているEastoflex、およびRextac LLCによって販売されているRextacが挙げられる。特に好ましい実施形態では、本発明の接着性ポリウレタン組成物が得られる反応混合物は、シラン官能化ポリオレフィンを含まず、反応混合物中のシラン官能化ポリオレフィンの含量は、反応混合物の総重量に基づいて、好ましくは0.5重量%未満、好ましくは0.1重量%未満、特に0.01重量%未満である。
【0021】
本発明のポリウレタン組成物は、NCOのOHに対する比率が低いことを特徴とするが、それにもかかわらず、ほとんどの用途に望ましい低粘度を示す。好ましい実施形態において、本発明のポリウレタン組成物は、DIN EN ISO 2555/2000-01に従って、130℃~150℃でブルックフィールド・サーモセルを用いてスピンドル27.5rpmで測定された、5000~35000mPas、好ましくは6000~30000mPasのドレイン粘度ηを有する。
【0022】
本発明の別の対象は、本発明による接着性ポリウレタン組成物の製造方法である。この方法は、成分が混合および反応される順序によって特徴付けられ、次のステップを含む。
a)少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび少なくとも1つのポリオレフィンを含む溶液を提供する工程;
b)少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび少なくとも1つのポリオレフィンの溶液を乾燥させる工程;
c)2,4’-および4,4’-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)の混合物を工程b)の乾燥した生成物に添加して、所望のポリウレタン組成物を得る工程、
工程c)におけるNCOのOHに対する比は1.5未満であることを特徴とする。
【0023】
驚くべきことに、本発明の方法によって得られたポリウレタン組成物は、組成物の総重量に基づいて0.1重量%未満の非常に低いモノマーMDI残留物含有量を示したことが見出された。
【0024】
本発明の接着性ポリウレタン組成物は、温和な条件下で調製できる。好ましい実施形態では、本発明によるポリウレタン組成物は、150℃未満の反応温度、好ましくは130℃未満の反応温度で調製される。特に好ましい実施形態では、反応温度は80℃~150℃、好ましくは90℃~130℃、より好ましくは100℃~115℃である。驚くべきことに、反応温度が特許請求の範囲内に保たれ、ポリウレタン組成物中のモノマーMDIの含有量が特に低くなれば、反応混合物中の異なるNCO基の選択性を改善できることが見出された。反応の収率を向上させるために、反応時間を調整できる。さらに好ましい実施形態では、反応時間は40分を超え、好ましくは60分を超える。
【0025】
好ましい実施形態において、少なくとも1つのポリエステルポリオールおよび少なくとも1つのポリオレフィンの溶液の乾燥は減圧下で行われ、好ましくは1000から5000Pa(10から50mbar)の圧力で、好ましくは2000から4000Paの圧力(20から40mbar)である。
【0026】
さらに、乾燥工程は、ポリマーの熱分解を避けるために、約100~150℃ の範囲の温度で行うのが最適であることがわかった。したがって、本発明の方法の乾燥工程は、好ましくは100~130℃、好ましくは110~125℃の温度で実施される。
【0027】
反応を促進するために、本発明の方法では触媒を使用することもできる。触媒は、本発明の方法の工程a)でポリエステルポリオールとポリオレフィンとの混合物に添加することが好ましい。
【0028】
触媒として、イソシアネート反応を触媒できるすべての既知の化合物を使用できる。これらの例は、テトラブチルチタネートおよびテトラプロピルチタネートなどのチタネート、ジブチルスズジラウレート(DBTL)、ジブチルスズジアセテート、スズオクトエート等のスズカルボキシレート;ジブチルスズオキシド、ジオクチルスズオキシド等のスズ酸化物;アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物;チタンテトラアセチルアセトネート等のキレート化合物;トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、モルホリン、N-メチルモルホリン、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,8-ジアザビシクロ-(5,4, 0)-ウンデセン-7(DBU)、1,4-ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン、N,N-ジメチルピペラジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク-7-エン、ジモルホリノジメチルエーテル、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)またはそれらの混合物である。触媒は、反応混合物の総重量に基づいて0.01から5重量%の量で使用されることが好ましい。
【0029】
接着性ポリウレタン組成物の特性をさらに調整するために、2,4’-/4,4’-MDIの混合物の添加後に追加のポリエステルポリオールを添加してもよい。したがって、好ましい実施形態では、本発明の方法は、2,4’-/4,4’-MDIの混合物の添加後に追加のポリエステルポリオールを添加するさらなる工程d)を含む。
【0030】
NCOのOHに対する比率が低い接着性ポリウレタン組成物は、長期間保管すると粘度が上昇する傾向がある。しかし、驚くべきことに、得られたポリウレタン組成物を追加のイソシアネート源または一官能性アルコールで処理することにより、粘度の望ましくない増加を回避できることがわかった。したがって、好ましい実施形態では、本発明の方法は、工程c)またはd)で得られたポリウレタン組成物をイソシアネート源または一官能性アルコールでさらに処理する工程e)を含む。好ましくは、イソシアネート源または一官能性アルコールの量は、組成物の総重量に基づいて、1から5重量%の範囲である。好ましくは、イソシアネート源は、好ましくは残留遊離4,4’-MDIモノマーの含有量が低いもの、好ましくはプレポリマーの総重量に基づいて0.1重量%未満のNCO末端プレポリマーである。さらに好ましいのは、スピーゲルバーガー法に従って測定して、全NCO含有量が5から10%、好ましくは6から9%であるNCOプレポリマーである。NCO-プレポリマーは、好ましくは、DIN EN ISO 2555/2000-01、Brookfield Thermosel、スピンドル27.5rpmに従う50°Cの粘度が35000~200000mPas、好ましくは50000mPas~100000mPasである。
【0031】
本発明の接着性ポリウレタン組成物は、様々な接着剤用途に使用できる。本発明のさらなる対象は、ホットメルト接着剤のための本発明の接着剤ポリウレタン組成物の使用である。
【0032】
本発明は、決して本発明の精神を限定するものとして理解されるべきではない、以下の実施例に関してより詳細に説明される。
【実施例】
【0033】
得られたポリウレタン組成物のモノマー含有量は、HPLCにより測定した。
Henkel AG&Co.KGaAから入手可能なOR4088をNCO末端プレポリマーとして使用した。
【0034】
実施例1:
反応器にポリエステルポリオールの混合物345gを入れ、142℃に加熱した。温度に達したら、ポリオレフィン44.3gおよび亜リン酸0.03gを加え、混合物を140℃の温度で45分間攪拌した。成分が完全に溶解した後、76.13gの炭酸カルシウムを添加し、混合物を30mbarおよび120℃の温度で1時間乾燥させた。その後、2,4’-MDIと4,4’-MDIの混合物30.7gを加え(NCO:OH=1.31)、45分間反応を継続させた。次いで、NCO末端プレポリマー15.4gを添加した。
【0035】
モノマー含有量:
2,4’-MDI:0.07重量%
4,4’-MDI:0.01重量%
排水粘度:η(150°C)=26400mPas;粘度計で2時間後、粘度は150°Cで31500 mPasであると測定された。
【0036】
実施例2:
反応器に300gのPPG2000、105gのポリエステルポリオールおよび0.03亜リン酸を入れ、136℃に加熱した。温度に達した後、44gのポリオレフィンを添加し、混合物を30mbarおよび120°Cで1時間真空乾燥した。次に、54.9gの2,4’-/4,4’-MDIを加え(NCO:OH=1.25)、反応を45分間続けた。その後、追加のポリエステルポリオール75gを添加した。30分後、9.5gのNCOプレポリマーを添加し、反応をさらに15分間続けた。
【0037】
モノマー含有量:
2,4’-MDI:0.03重量%
4,4’-MDI:0.01重量%
排水粘度:η(130°C)=6100mPas;粘度計で2時間後、粘度は130°Cで8300mPasであると測定された。
【0038】
実施例3:
反応器に、278.9gのポリエステルポリオールの混合物、24gのPPG1000および0.03gの亜リン酸を入れた。混合物を145℃に加熱した後、48gのさらなるポリオレフィンを添加し、反応を140℃で70分間続けた。成分が溶解した後、86.5gの炭酸カルシウムを添加し、混合物を30mbar、123℃で1時間乾燥させた。その後、2,4’-/4,4’-MDI66.8g(NCO:OH=1.42)を加え、30分間反応を継続した。次に、6gのヘキサデカン-1-オールを添加すると、NCO:OHが1.33になり、反応を15分間続けた。
【0039】
モノマー含有量:
2,4’-MDI:0.08重量%
4,4’-MDI:0.01重量%
排水粘度:η(150°C)=13200mPas;粘度計で2時間後、粘度は150°Cで19900mPasであると測定された。
【国際調査報告】