(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(54)【発明の名称】埋込計量ターゲット用撮像システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20230626BHJP
【FI】
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022572678
(86)(22)【出願日】2021-05-24
(85)【翻訳文提出日】2023-01-19
(86)【国際出願番号】 US2021033805
(87)【国際公開番号】W WO2021242654
(87)【国際公開日】2021-12-02
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒル アンドリュー ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ラレド ジラド
(72)【発明者】
【氏名】マナッセン アムノン
(72)【発明者】
【氏名】サフラーニ アブナー
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA05
4M106CA21
4M106CA39
4M106DB04
4M106DB16
4M106DB20
(57)【要約】
計量システムにおいて、第1及び第2基板を接合することで形成されその界面に計量ターゲットがある接合標本を以て標本とし、その標本内に埋め込まれている計量ターゲットを撮像サブシステムにより撮像することができる。更に、その計量システム内の照明サブシステムに照明視野絞り及び照明瞳を設けること、その照明視野絞りに設けたアパーチャにて、その計量ターゲットに対応する計測面上でのその視野絞りアパーチャの投射サイズをその計測面における検出器の視野と整合させること、並びに、その照明瞳に設けた中央掩蔽器により、適宜選定されている遮断角より大きな角度で以て計量ターゲットの斜め照明を行わせ、その照明源からの照明がその標本の下面で反射されその計測面にてその検出器の視野を通るのを妨げることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量システムであって、
対物レンズから集光された光をもとに、標本内に埋め込まれている計量ターゲットを検出器上に結像させるよう構成されている撮像サブシステムであり、前記標本が、第1基板とその第1基板に対しある界面にて接合された第2基板とで形成されていて、前記標本が更に前記計量ターゲットを有しその計量ターゲットが前記界面に所在しており、前記計量ターゲットが、前記第1基板上にある第1ターゲット構造と前記第2基板上にある第2ターゲット構造とを有するものである撮像サブシステムと、
照明サブシステムであり、
照明源、
前記対物レンズを介し前記照明源からもたらされる照明で以て前記計量ターゲットを照明するよう構成されている1個又は複数個の照明光学系、
前記計量ターゲットに対し共役な視野面に所在する照明視野絞りであり、視野絞りアパーチャを有する照明視野絞りであり、前記計量ターゲットに対応する計測面上での前記視野絞りアパーチャの投射サイズがその計測面における前記検出器の視野と整合するよう前記視野絞りアパーチャのサイズ及び形状のうち少なくとも一方が選定されている照明視野絞り、並びに
瞳面に所在する照明瞳であり、前記瞳面の中央に中央掩蔽器がある照明瞳であり、前記中央掩蔽器のサイズ及び形状のうち少なくとも一方が、遮断角より大きな角度で以て前記計量ターゲットの斜め照明が行われるよう選定されていて、前記遮断角が、前記標本の上面及び下面のうち少なくとも一方における前記照明源からの前記照明の反射が前記検出器に到達することを妨げるべく、前記計測面における前記検出器の前記視野のサイズ、前記第1基板の厚み並びに前記第2基板の厚みのうち少なくとも一つに基づき選定されている照明瞳、
を備える照明サブシステムと、
前記検出器に可通信結合されたコントローラであり、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有し、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、
前記標本から前記計量ターゲットの画像を1枚又は複数枚受け取り、且つ
前記1枚又は複数枚の画像に基づき前記標本の計量計測結果を1個又は複数個生成する、
コントローラと、
を備える計量システム。
【請求項2】
請求項1に記載の計量システムであって、更に、
前記コントローラに可通信結合された並進ステージを有する標本位置決めサブシステムを備え、プログラム命令を実行するよう構成された前記1個又は複数個のプロセッサが更に、それらプログラム命令に従い、
前記標本位置決めサブシステムから標本位置決めデータを受け取り、且つ
1個又は複数個の制御信号を通じ前記並進ステージに指令して、前記計量ターゲットの前記1枚又は複数枚の画像を受け取るのに先立ち前記計測面に対しその計量ターゲットを整列させる、
計量システム。
【請求項3】
請求項2に記載の計量システムであって、前記標本位置決めサブシステムが更に、
干渉計及び視差位置決めサブシステムのうち少なくとも一方を備える計量システム。
【請求項4】
請求項2に記載の計量システムであって、前記標本位置決めサブシステムが更に、
前記照明源からの標本位置決め照明を計測アームと参照アームとに分かつよう構成されているビームスプリッタであり、前記計測アームが前記対物レンズを有していてその対物レンズが前記標本位置決め照明を前記標本に差し向けるよう構成されており、前記参照アームが参照対物レンズを有していてその参照対物レンズが前記標本位置決め照明を参照標本に差し向けるよう構成されているビームスプリッタと、
前記計測アームにおける前記参照アームからの光との光干渉に係る光を、前記ビームスプリッタから受光するよう構成されているフォトダイオードであり、前記標本位置決めデータを生成するフォトダイオードと、
を備える計量システム。
【請求項5】
請求項4に記載の計量システムであって、前記標本位置決め照明が前記照明源からの前記照明を含んでいる計量システム。
【請求項6】
請求項4に記載の計量システムであって、前記標本位置決め照明が付加的照明源からの前記照明を含んでいる計量システム。
【請求項7】
請求項4に記載の計量システムであって、前記標本位置決めデータが、前記並進ステージにより前記対物レンズの光軸に沿い前記標本が並進される際に生じた干渉信号を含んでいる計量システム。
【請求項8】
請求項7に記載の計量システムであって、前記計量ターゲットの所在個所を、前記干渉信号のピークの位置に基づき判別可能な計量システム。
【請求項9】
請求項4に記載の計量システムであって、前記参照標本が1枚又は複数枚の参照基板で形成されたものである計量システム。
【請求項10】
請求項9に記載の計量システムであって、前記参照標本が更に、
背面と2枚の参照基板間の界面とのうち少なくとも一方の上に、反射層を備えるものである計量システム。
【請求項11】
請求項1に記載の計量システムであって、前記1個又は複数個の計量計測結果のうち少なくとも1個が、
前記第1基板・前記第2基板間のオーバレイ計測結果を含んでいる計量システム。
【請求項12】
請求項1に記載の計量システムであって、前記遮断角が更に、前記標本の外面からの反射が前記検出器に到達することを妨げるべく選定されている計量システム。
【請求項13】
請求項1に記載の計量システムであって、前記視野絞りアパーチャが半径r
fの円状であり、前記照明瞳の前記中央掩蔽器が、前記照明源からの照明を阻止するようサイズ設定されていてその数値開口がn・sin(atan(r
f/W))・(1-k)より小さいものであり、但しnが前記第1基板の屈折率、r
fが前記計測面上における前記視野絞りアパーチャの前記投射サイズ、kが公差因数である計量システム。
【請求項14】
請求項1に記載の計量システムであって、前記計量ターゲットに対応する前記計測面上での前記視野絞りアパーチャの前記投射サイズをその計測面における前記検出器の前記視野と整合させることで、前記照明源からの照明の反射が前記標本の前記上面で反射されること並びに前記検出器により捕捉されることを妨げる計量システム。
【請求項15】
請求項1に記載の計量システムであって、前記計量ターゲットに対応する前記計測面上での前記視野絞りアパーチャの前記投射サイズをその計測面における前記検出器の前記視野と整合させることで、前記照明源からの照明の反射が前記標本の前記下面で反射されること並びに前記計測面における前記検出器の前記視野内を通り伝搬することを妨げる計量システム。
【請求項16】
請求項1に記載の計量システムであって、前記検出器が、既知アスペクト比を呈する長方形のセンサを有していて、その既知アスペクト比を呈する長方形状となるよう前記視野絞りアパーチャの前記形状が選定されている計量システム。
【請求項17】
請求項16に記載の計量システムであって、前記視野絞りアパーチャの第1方向沿いサイズd
X,fがd
X,f=a・(Mag
ill/Mag
coll)・l
p(1+k
f)となるよう選定されており、但しaが前記検出器内にありサイズl
pを有する正方形画素の前記第1方向沿い個数、Mag
illが前記照明サブシステムの倍率、Mag
collが集光サブシステムの倍率、k
fが公差因数であり、前記視野絞りアパーチャの第2方向沿いサイズd
Y,fがd
Y,f=b・(Mag
ill/Mag
coll)・l
p(1+k
f)となるよう選定されており、但しbが前記検出器内にありサイズl
pを有する正方形画素の前記第2方向沿い個数である計量システム。
【請求項18】
請求項17に記載の計量システムであって、k
fが0~0.05の範囲内にある計量システム。
【請求項19】
請求項1に記載の計量システムであって、前記検出器が、既知アスペクト比を呈する長方形のセンサを有していて、円状となるよう前記視野絞りアパーチャの前記形状が選定されており、前記計測面上における前記視野絞りアパーチャの前記投射サイズがその計測面における前記検出器の前記視野内に包摂されている計量システム。
【請求項20】
請求項19に記載の計量システムであって、前記検出器のサイズがサイズl
pの正方形画素(n×m)個のサイズであり、前記視野絞りアパーチャの半径がr=(n
2+m
2)
1/2・(Mag
ill/Mag
coll)・(l
p/2)・(1+k)であり、但しMag
illが前記照明サブシステムの倍率、Mag
collが集光サブシステムの倍率、kが公差因数である計量システム。
【請求項21】
請求項20に記載の計量システムであって、k
fが0~0.3の範囲内にある計量システム。
【請求項22】
請求項1に記載の計量システムであって、前記第1基板及び前記第2基板のうち少なくとも一方が、775μm、750μm、600μm、300μm及び100μmのうち少なくとも一通りの厚みを有するものである計量システム。
【請求項23】
請求項1に記載の計量システムであって、前記第1基板及び前記第2基板のうち少なくとも一方が、
半導体ウェハを備えるものである計量システム。
【請求項24】
計量システムであって、
対物レンズから集光された光をもとに、標本内に埋め込まれている計量ターゲットを検出器上に結像させるよう構成されている撮像サブシステムであり、前記標本が、第1基板とその第1基板に対しある界面にて接合された第2基板とで形成されていて、前記標本が更に前記計量ターゲットを有しその計量ターゲットが前記界面に所在しており、前記計量ターゲットが、前記第1基板上にある第1ターゲット構造と前記第2基板上にある第2ターゲット構造とを有するものである撮像サブシステムと、
前記検出器の計測面にて前記計量ターゲットを位置決めする並進ステージを有する標本位置決めサブシステムと、
照明サブシステムであり、
照明源、
前記対物レンズを介し前記照明源からもたらされる照明で以て前記計量ターゲットを照明するよう構成されている1個又は複数個の照明光学系、並びに
瞳面に所在する瞳絞りであり、前記瞳面の中央に中央掩蔽器がある瞳絞りであり、前記中央掩蔽器のサイズ及び形状のうち少なくとも一方が、遮断角より大きな角度で以て前記計量ターゲットの斜め照明が行われるよう選定されていて、前記遮断角が、前記標本の上面及び下面のうち少なくとも一方における前記照明源からの前記照明の反射が前記検出器に到達することを妨げるべく、前記計測面における前記検出器の視野のサイズ、前記第1基板の厚み並びに前記第2基板の厚みのうち少なくとも一つに基づき選定されている瞳絞り、
を備える照明サブシステムと、
前記検出器に可通信結合されたコントローラであり、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有し、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、
前記標本から前記計量ターゲットの画像を1枚又は複数枚受け取り、且つ
前記1枚又は複数枚の画像に基づき前記標本の計量計測結果を1個又は複数個生成する、
コントローラと、
を備える計量システム。
【請求項25】
請求項24に記載の計量システムであって、前記標本位置決めサブシステムが更に、
前記照明源からの標本位置決め照明を計測アームと参照アームとに分かつよう構成されているビームスプリッタであり、前記計測アームが前記対物レンズを有していてその対物レンズが前記標本位置決め照明を前記標本に差し向けるよう構成されており、前記参照アームが参照対物レンズを有していてその参照対物レンズが前記標本位置決め照明を参照標本に差し向けるよう構成されているビームスプリッタと、
前記計測アームにおける前記参照アームからの光との光干渉に係る光を、前記ビームスプリッタから受光するよう構成されているフォトダイオードであり、標本位置決めデータを生成するフォトダイオードと、
を備える計量システム。
【請求項26】
請求項25に記載の計量システムであって、前記標本位置決め照明が前記照明源からの前記照明を含んでいる計量システム。
【請求項27】
請求項25に記載の計量システムであって、前記標本位置決め照明が付加的照明源からの前記照明を含んでいる計量システム。
【請求項28】
請求項25に記載の計量システムであって、前記参照標本が1枚又は複数枚の参照基板で形成されたものである計量システム。
【請求項29】
請求項28に記載の計量システムであって、前記参照標本が更に、
背面と2枚の参照基板間の界面とのうち少なくとも一方の上に、反射層を備えるものである計量システム。
【請求項30】
請求項24に記載の計量システムであって、前記遮断角が更に、前記標本の外面からの反射が前記検出器に到達することを妨げるべく選定されている計量システム。
【請求項31】
請求項24に記載の計量システムであって、前記1個又は複数個の計量計測結果のうち少なくとも1個が、
前記第1基板・前記第2基板間のオーバレイ計測結果を含んでいる計量システム。
【請求項32】
請求項24に記載の計量システムであって、前記第1基板及び前記第2基板のうち少なくとも一方が、775μm、750μm、600μm、300μm及び100μmのうち少なくとも一通りの厚みを有するものである計量システム。
【請求項33】
請求項24に記載の計量システムであって、前記第1基板及び前記第2基板のうち少なくとも一方が、
半導体ウェハを備えるものである計量システム。
【請求項34】
計量システムであって、
対物レンズから集光された光をもとに、標本内に埋め込まれている計量ターゲットを検出器上に結像させるよう構成されている撮像サブシステムであり、前記標本が、第1基板とその第1基板に対しある界面にて接合された第2基板とで形成されていて、前記標本が更に前記計量ターゲットを有しその計量ターゲットが前記界面に所在しており、前記計量ターゲットが、前記第1基板上にある第1ターゲット構造と前記第2基板上にある第2ターゲット構造とを有するものである撮像サブシステムと、
前記検出器の計測面にて前記計量ターゲットを位置決めする並進ステージを有する標本位置決めサブシステムと、
照明サブシステムであり、
照明源、
前記対物レンズを介し前記照明源からもたらされる照明で以て前記計量ターゲットを照明するよう構成されている1個又は複数個の照明光学系、並びに
前記計量ターゲットに対し共役な視野面に所在する照明視野絞りであり、視野絞りアパーチャを有する照明視野絞りであり、前記計量ターゲットに対応する前記計測面上での前記視野絞りアパーチャの投射サイズがその計測面における前記検出器の視野と整合するよう前記視野絞りアパーチャのサイズ及び形状のうち少なくとも一方が選定されている照明視野絞り、
を備える照明サブシステムと、
前記検出器に可通信結合されたコントローラであり、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有し、それらプログラム命令に従い、その1個又は複数個のプロセッサが、
前記標本から前記計量ターゲットの画像を1枚又は複数枚受け取り、且つ
前記1枚又は複数枚の画像に基づき前記標本の計量計測結果を1個又は複数個生成する、
コントローラと、
を備える計量システム。
【請求項35】
請求項34に記載の計量システムであって、前記標本位置決めサブシステムが更に、
前記照明源からの標本位置決め照明を計測アームと参照アームとに分かつよう構成されているビームスプリッタであり、前記計測アームが前記対物レンズを有していてその対物レンズが前記標本位置決め照明を前記標本に差し向けるよう構成されており、前記参照アームが参照対物レンズを有していてその参照対物レンズが前記標本位置決め照明を参照標本に差し向けるよう構成されているビームスプリッタと、
前記計測アームにおける前記参照アームからの光との光干渉に係る光を、前記ビームスプリッタから受光するよう構成されているフォトダイオードであり、標本位置決めデータを生成するフォトダイオードと、
を備える計量システム。
【請求項36】
請求項35に記載の計量システムであって、前記標本位置決め照明が前記照明源からの前記照明を含んでいる計量システム。
【請求項37】
請求項35に記載の計量システムであって、前記標本位置決め照明が付加的照明源からの前記照明を含んでいる計量システム。
【請求項38】
請求項35に記載の計量システムであって、前記参照標本が1枚又は複数枚の参照基板で形成されたものである計量システム。
【請求項39】
請求項38に記載の計量システムであって、前記参照標本が更に、
背面と2枚の参照基板間の界面とのうち少なくとも一方の上に、反射層を備えるものである計量システム。
【請求項40】
請求項34に記載の計量システムであって、前記1個又は複数個の計量計測結果のうち少なくとも1個が、
前記第1基板・前記第2基板間のオーバレイ計測結果を含んでいる計量システム。
【請求項41】
請求項34に記載の計量システムであって、前記第1基板及び前記第2基板のうち少なくとも一方が、775μm、750μm、600μm、300μm及び100μmのうち少なくとも一通りの厚みを有するものである計量システム。
【請求項42】
請求項34に記載の計量システムであって、前記第1基板及び前記第2基板のうち少なくとも一方が、
半導体ウェハを備えるものである計量システム。
【請求項43】
計量方法であって、
照明サブシステムで以て標本上の計量ターゲットを照明し、但し前記標本が、第1基板とその第1基板に対しある界面にて接合された第2基板とで形成されていて、前記標本が更に、前記界面に所在する計量ターゲットを有しており、前記計量ターゲットが、前記第1基板上にある第1ターゲット構造と前記第2基板上にある第2ターゲット構造とを有しており、前記照明サブシステムが、
照明源と、
前記照明源からの照明で以て前記計量ターゲットを照明するよう構成されている1個又は複数個の照明光学系と、
前記計量ターゲットに対し共役な視野面に所在する照明視野絞りであり、視野絞りアパーチャを有する照明視野絞りであり、前記計量ターゲットに対応する計測面上での前記視野絞りアパーチャの投射サイズがその計測面における撮像型検出器の視野と整合するよう前記視野絞りアパーチャのサイズ及び形状のうち少なくとも一方が選定されている照明視野絞りと、
瞳面に所在する照明瞳であり、前記瞳面の中央に中央掩蔽器がある照明瞳であり、前記中央掩蔽器のサイズ及び形状のうち少なくとも一方が、遮断角より大きな角度で以て前記計量ターゲットの斜め照明が行われるよう選定されていて、前記遮断角が、前記標本の上面及び下面のうち少なくとも一方における前記照明源からの前記照明の反射が前記検出器に到達することを妨げるべく、前記計測面における前記検出器の視野のサイズ、前記第1基板の厚み並びに前記第2基板の厚みのうち少なくとも一つに基づき選定されている照明瞳と、
を備える計量方法であり、
前記撮像型検出器上で前記計量ターゲットの画像を1枚又は複数枚生成し、
前記1枚又は複数枚の画像に基づき前記標本の計量計測結果を1個又は複数個生成する、
計量方法。
【請求項44】
請求項43に記載の計量方法であって、前記1枚又は複数枚の画像に基づき前記標本の計量計測結果を1個又は複数個生成する際に、
前記1枚又は複数枚の画像に基づき前記第1基板・前記第2基板間のオーバレイ計測結果を生成する計量方法。
【請求項45】
請求項44に記載の計量方法であって、前記計量ターゲットが、
AIMターゲット、rAIMターゲット、AIMidターゲット及びBiBターゲットのうち少なくとも一つを備えるものである計量方法。
【請求項46】
請求項45に記載の計量方法であって、前記照明サブシステムで以て前記標本上の前記計量ターゲットを照明する際に、
前記照明サブシステムからの照明であり1個又は複数個の赤外スペクトル域内波長を含む照明で以て、前記標本上の前記計量ターゲットを照明する計量方法。
【請求項47】
請求項11に記載の計量システムであって、前記計量ターゲットが、
AIMターゲット、rAIMターゲット、AIMidターゲット及びBiBターゲットのうち少なくとも一つを備えるものである計量システム。
【請求項48】
請求項47に記載の計量システムであって、前記照明源からの前記照明が、
1個又は複数個の赤外スペクトル域内波長を含む照明を含んでいる計量システム。
【請求項49】
請求項31に記載の計量システムであって、前記計量ターゲットが、
AIMターゲット、rAIMターゲット、AIMidターゲット及びBiBターゲットのうち少なくとも一つを備えるものである計量システム。
【請求項50】
請求項49に記載の計量システムであって、前記照明源からの前記照明が、
1個又は複数個の赤外スペクトル域内波長を含む照明を含んでいる計量システム。
【請求項51】
請求項40に記載の計量システムであって、前記計量ターゲットが、
AIMターゲット、rAIMターゲット、AIMidターゲット及びBiBターゲットのうち少なくとも一つを備えるものである計量システム。
【請求項52】
請求項51に記載の計量システムであって、前記照明源からの前記照明が、
1個又は複数個の赤外スペクトル域内波長を含む照明を含んでいる計量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は画像ベース計量に関し、より具体的には標本内に埋め込まれている計量ターゲットの撮像に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本願では、2020年5月26日付米国仮特許出願第63/029741号に基づき米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張し、参照によりその全容を本願に繰り入れるものとする。
【0003】
半導体デバイスの物理的密度に対する要請がかつてなく強まり、ますます複雑な三次元デザインが求められるに至っている。三次元デザインを実現する手法の一つは、2枚の別々なウェハ上に構造を作成し、それらを一体接合することで界面付近に構造を持たせる手法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7933026号明細書
【特許文献2】米国特許第7478019号明細書
【特許文献3】米国特許第5608526号明細書
【特許文献4】米国特許第5859424号明細書
【特許文献5】米国特許第6429943号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この技術であれば、それら2枚のウェハを別々に作成して後のプロセスにて接合すればよいため、複雑な構造の一体化を容易に行うことができる。反面で、それら2枚のウェハの相対的アライメント(整列)即ちオーバレイ(重なり具合)を計測及び/又は制御することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い計量システムが開示される。ある例証的実施形態に係る計量システムは、対物レンズから集光された光をもとに、標本内に埋め込まれている計量ターゲットを検出器上に結像させる、撮像サブシステムを有する。また、ある例証的実施形態では、その標本が第1基板とその第1基板に対しある界面にて接合された第2基板とで形成され、その標本が更に、その界面に所在する計量ターゲットを有し、その計量ターゲットが、第1基板上にある第1ターゲット構造と第2基板上にある第2ターゲット構造とを有する。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは照明サブシステムを有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは照明源を有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは、その対物レンズを介しその照明源からもたらされる照明で以てその計量ターゲットを照明する、1個又は複数個の照明光学系を有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは、その計量ターゲットに対し共役な視野面に所在する照明視野絞りを有し、その照明視野絞りが視野絞りアパーチャを有する。また、ある例証的実施形態では、その視野絞りアパーチャのサイズ及び形状のうち少なくとも一方が、その計量ターゲットに対応する計測面上でのその視野絞りアパーチャの投射サイズがその計測面におけるその検出器の視野と整合するよう、選定される。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは、瞳面に所在する照明瞳でありその瞳面の中央に中央掩蔽器(オブスキュレーション)がある照明瞳を有する。また、ある例証的実施形態では、その中央掩蔽器のサイズ及び形状のうち少なくとも一方が、遮断角より大きな角度で以てその計量ターゲットの斜め照明が行われることとなるよう選定される。また、ある例証的実施形態における遮断角は、その標本の上面及び下面のうち少なくとも一方にて照明源からの照明が反射されその検出器に到達することを妨げるべく、計測面におけるその検出器の視野のサイズ、第1基板の厚み並びに第2基板の厚みのうち少なくとも一つに基づき選定される。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは、その検出器に可通信結合されたコントローラを有する。また、ある例証的実施形態におけるコントローラは、その標本からその計量ターゲットの画像を1枚又は複数枚受け取る。また、ある例証的実施形態におけるコントローラは、その1枚又は複数枚の画像に基づきその標本の計量計測結果を1個又は複数個生成する。
【0007】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い計量システムが開示される。ある例証的実施形態に係る計量システムは、対物レンズから集光された光をもとに、標本内に埋め込まれている計量ターゲットを検出器上に結像させる、撮像サブシステムを有する。また、ある例証的実施形態では、その標本が第1基板とその第1基板に対しある界面にて接合された第2基板とで形成され、その標本が更に、その界面に所在する計量ターゲットを有し、その計量ターゲットが、第1基板上にある第1ターゲット構造と第2基板上にある第2ターゲット構造とを有する。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは、その検出器の計測面にてその計量ターゲットを位置決めする、並進ステージを有する、標本位置決めサブシステムを有する。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは照明サブシステムを有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは照明源を有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは、その対物レンズを介しその照明源からもたらされる照明で以てその計量ターゲットを照明する、1個又は複数個の照明光学系を有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは、瞳面に所在する瞳絞りでありその瞳面の中央に中央掩蔽器がある瞳絞りを有する。また、ある例証的実施形態では、その中央掩蔽器のサイズ及び形状のうち少なくとも一方が、遮断角より大きな角度でその計量ターゲットの斜め照明が行われるよう選定される。また、ある例証的実施形態における遮断角は、標本の上面及び下面のうち少なくとも一方にてその照明源からの照明が反射されその検出器に到達することを妨げるべく、その計測面におけるその検出器の視野のサイズ、第1基板の厚み並びに第2基板の厚みのうち少なくとも一つに基づき選定される。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは、その検出器に可通信結合されたコントローラを有する。また、ある例証的実施形態におけるコントローラは、その標本からその計量ターゲットの画像を1枚又は複数枚受け取る。また、ある例証的実施形態におけるコントローラは、その1枚又は複数枚の画像に基づきその標本の計量計測結果を1個又は複数個生成する。
【0008】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い計量システムが開示される。ある例証的実施形態に係る計量システムは、対物レンズから集光された光をもとに、標本内に埋め込まれている計量ターゲットを検出器上に結像させる、撮像サブシステムを有する。また、ある例証的実施形態では、その標本が、第1基板とその第1基板に対しある界面にて接合された第2基板とで形成され、その標本が更に、その界面に所在する計量ターゲットを有し、その計量ターゲットが、第1基板上にある第1ターゲット構造と第2基板上にある第2ターゲット構造とを有する。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは、その検出器の計測面にてその計量ターゲットを位置決めする並進ステージを有する、標本位置決めサブシステムを有する。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは照明サブシステムを有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは照明源を有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは、その対物レンズを介しその照明源からもたらされる照明で以てその計量ターゲットを照明する、1個又は複数個の照明光学系を有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは、その計量ターゲットに対し共役な視野面に所在する照明視野絞りを有し、その照明視野絞りが視野絞りアパーチャを有する。また、ある例証的実施形態では、その視野絞りアパーチャのサイズ及び形状のうち少なくとも一方が、その計量ターゲットに対応する計測面上でのその視野絞りアパーチャの投射サイズがその計測面におけるその検出器の視野と整合するよう、選定される。また、ある例証的実施形態に係る計量システムは、その検出器に可通信結合されたコントローラを有する。また、ある例証的実施形態におけるコントローラは、その標本からその計量ターゲットの画像を1枚又は複数枚受け取る。また、ある例証的実施形態におけるコントローラは、その1枚又は複数枚の画像に基づきその標本の計量計測結果を1個又は複数個生成する。
【0009】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い方法が開示される。ある例証的実施形態に係る方法では、照明サブシステムで以て標本上の計量ターゲットが照明される。また、ある例証的実施形態では、その標本が第1基板とその第1基板に対しある界面にて接合された第2基板とで形成され、その標本が更に、その界面に所在する計量ターゲットを有し、その計量ターゲットが、第1基板上にある第1ターゲット構造と第2基板上にある第2ターゲット構造とを有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは照明源を有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは、その照明源からの照明で以てその計量ターゲットを照明する、1個又は複数個の照明光学系を有する。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは、その計量ターゲットに対し共役な視野面に所在する照明視野絞りを有し、その照明視野絞りが視野絞りアパーチャを有する。また、ある例証的実施形態では、その視野絞りアパーチャのサイズ及び形状のうち少なくとも一方が、その計量ターゲットに対応する計測面上でのその視野絞りアパーチャの投射サイズがその計測面におけるその検出器の視野と整合するよう、選定される。また、ある例証的実施形態における照明サブシステムは、瞳面に所在する照明瞳でありその瞳面の中央に中央掩蔽器がある照明瞳を有する。また、ある例証的実施形態では、その中央掩蔽器のサイズ及び形状のうち少なくとも一方が、遮断角より大きな角度で以てその計量ターゲットの斜め照明が行われるよう選定される。また、ある例証的実施形態における遮断角は、その標本の上面及び下面のうち少なくとも一方にてその照明源からの照明が反射されその検出器に到達することを妨げるべく、その計測面におけるその検出器の視野のサイズ、第1基板の厚み並びに第2基板の厚みのうち少なくとも一つに基づき選定される。また、ある例証的実施形態に係る方法では、その撮像型検出器上でその計量ターゲットの画像が1枚又は複数枚生成される。また、ある例証的実施形態に係る方法では、その1枚又は複数枚の画像に基づきその標本の計量計測結果が1個又は複数個生成される。
【0010】
理解し得る通り、上掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、明細書に組み込まれてその一部分を構成し、本発明の諸実施形態を描出し、概略記述と相俟ち本発明の諸原理を説明する役目を有している。
【0011】
以下の添付図面を参照することで、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)には、本件開示の数多な長所をより良好に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計量システムが描かれている概念図である。
【
図1B】本件開示の1個又は複数個の実施形態における画像ベース計量ツールの概念図である。
【
図1C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、リニク干渉計をベースとする標本位置決めサブシステムを有する、計量ツールの模式図である。
【
図1D】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、計量ツール内斜め照明伝搬が描かれている模式的光線図である。
【
図1E】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、標本上に入射している輪状照明の模式的光線図である。
【
図1F】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、参照標本上に入射している輪状照明の模式的光線図である。
【
図1G】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、走査レンジの関数たる所期干渉信号のシミュレート描線図であり、NAが0.25、帯域幅(FWHM)が160nmのフル照明での図である。
【
図1H】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、走査レンジの関数たる所期干渉信号のシミュレート描線図であり、NAが0.25、帯域幅(FWHM)が5nmのフル照明での図である。
【
図1I】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、走査レンジの関数たる所期干渉信号のシミュレート描線図であり、NAが0.85~0.25の範囲内の輪状照明での図である。
【
図1J】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、走査レンジの関数たる所期干渉信号のシミュレート描線図であり、NAが0.85~0.65の範囲内の輪状照明での図である。
【
図1K】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、シリコン基板間にある6μm厚二酸化シリコン層の上面及び下面の検出が描かれているシミュレート描線図である。
【
図1L】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、シリコン基板間にある10μm厚二酸化シリコン層の上面及び下面の検出が描かれているシミュレート描線図である。
【
図1M】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、低NA照明を用い収集された干渉信号の描線図である。
【
図1N】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、中央掩蔽器無しで高NA照明を用い収集された干渉信号の描線図である。
【
図1O】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、高NA輪状照明を用い775μm及び770μmなる厚みの標本を通じ捕捉された干渉信号の描線図である。
【
図2】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り接合標本の2枚の基板間の界面にある埋込計量ターゲットのプロファイル図である。
【
図3】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、埋込計量ターゲットの計測を実行するのに望ましい光構成の概略図である。
【
図4】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、埋込計量ターゲットの画像及び/又は計量計測結果内にノイズを持ち込むことがある三種類のスプリアス反射の概略図である。
【
図5A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、長方形尺の視野絞りアパーチャを有し照明路の視野面内に所在する照明視野絞りの模式図である。
【
図5B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、長方形のセンサを有する検出器の投射像と、
図5Aの長方形視野絞りアパーチャの投射像と、が記されている計測面模式図である。
【
図5C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、円形尺の視野絞りアパーチャを有し照明路の視野面内に所在する照明視野絞りの模式図である。
【
図5D】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、長方形のセンサを有する検出器の投射像と、
図5Cの円形視野絞りアパーチャの投射像と、が記されている計測面模式図である。
【
図6】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、照明路上に所在する中央瞳掩蔽器を有する照明瞳絞りの模式図である。
【
図7】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る埋込計量ターゲット計量方法にて実行される、諸ステップが描かれているフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に描かれている被開示主題を詳細に参照する。ある種の実施形態及びその具体的諸特徴との関連で本件開示を具体的に図示及び記述してある。本願中で説明される諸実施形態は限定ではなく例証であると捉えられるべきである。いわゆる当業者には直ちに察せられるべきことに、本件開示の神髄及び技術的範囲から離隔することなく形態及び細部に様々な改変及び修正を施すことができる。
【0014】
本件開示の諸実施形態は、標本内に埋め込まれた計量ターゲットに依拠する計量を指向している。例えば接合標本たりうるものに、2枚の基板(例.ウェハ)を有し、そのうち少なくとも1枚の一層又は複数層上にパターン化フィーチャ(外形特徴)があり、それら基板のパターン化部分を接合することで、単体化基板の形態にしたものがある。この構成では界面付近にパターン化フィーチャ群を設けその標本内に埋め込むことができる。この製造技術は、これに限られるものではないが複雑な三次元メモリ構造の製造向けに好適であろう。
【0015】
本願での熟考によれば、計量ターゲットからの反射光を捉えることで計量を実行するのが一般に望ましく、他の源泉からの光があるとノイズが入り込み計測結果に悪影響することがある。例えば、計量システムでは、これに限られるものではないが計量ターゲットフィーチャの視野面像、ターゲットに発する光の角度分布の瞳面像等を初め、計量ターゲットの画像が1枚又は複数枚生成されるのが通例である。何であれその種の画像の画質(例.画像コントラスト、信号対雑音比(SNR)等)が、スプリアス反射により悪影響されかねない。
【0016】
本願での更なる熟考によれば、埋込計量ターゲットに依拠する計量には幾つかの難題が存在しうる。例えば、通常は光をその標本のうち少なくとも一部分を通じ進行させ、計測に供する必要がある。従って、その標本による光吸収により、用いうる利用可能波長が制限されかねず、更には集光光の強度が下がりかねない。加えて、埋込計量ターゲットそれ自体以外の様々な面における照明光の反射により、計量計測結果が劣化しかねない。例えば、接合標本に備わる2枚の基板間の界面に所在する計量ターゲットについての計測結果が、これに限られるものではないが接合標本上面からの反射、界面のうち計量ターゲット外部分からの反射、接合標本下面からの反射等といったスプリアス反射の悪影響を、受けかねない。
【0017】
本件開示の諸実施形態は、注目している埋込計量ターゲット以外の面からの反射光の集光を制限すべく設計されたテイラード照明(仕立て照明)を用い、埋込計量ターゲットに対する計量を実行するシステム及び方法を、指向している。この構成によれば、埋込計量ターゲットの計測品質を、その標本の具体的幾何形状に係るスプリアス反射の捕捉を制限することで、(例.旧来の照明技術に比し)増強することができる。例えば、その埋込計量ターゲットの空間的及び角度的照明プロファイルを適宜仕立てる(テイラーする)ことで、スプリアス反射の捕捉を制限すること、ひいてはその注目計量ターゲットによる反射光によって画像が主に又は全て生成されるようにすることができる。
【0018】
ある種の実施形態における計量ツールは、テイラード照明で以て埋込計量ターゲットを照明する照明サブシステムと、そのセンササイズ及び倍率が既知な撮像型検出器を有しており従ってその計量ターゲットの平面(例.結像面)におけるその検出器の視野が既知な集光サブシステムと、を有する。更に、ある種の実施形態によれば、その照明サブシステム内にアパーチャ付きの視野絞りを設けることができ、そのアパーチャを工夫することで照明光の空間的拡がりをその計量ターゲットの平面(例.計測面)における検出器視野のサイズ及び/又は形状に従い制限することができる。この構成によれば、その計量ターゲットの平面以外の標本深さ(例.その標本の上面及び下面、その標本の中間層等)からの反射を軽減することができる。
【0019】
本願での熟考によれば、直交入射又は近直交入射にて埋込計量ターゲット上に入射した光を、検出器の視野内で伝搬させ、その標本の下面にて反射させ、その検出器の視野内で逆伝搬させ、そして集光サブシステムにより集光することができる。更に、検出器視野に整合するよう照明視野絞りをサイズ設定することで、その光が、照明視野絞りに影響されないものとなろう。ある種の実施形態における照明サブシステムは、この近直交光を阻止すべくサイズ設定された中央掩蔽器付の、アパーチャ絞りを有する。例えば、その照明アパーチャ絞りの中央掩蔽器のサイズ及び形状を、その埋込計量ターゲットより下方における標本厚、並びにその検出器又はもしあれば照明視野絞りにより画定される視野のサイズ及び形状、の双方を踏まえたものとすることができる。一般には、照明アパーチャ絞りにより、照明源からもたらされる光の量を減らせるため、それら既知パラメタに基づきその瞳掩蔽器のサイズ及び形状を調整することで、照明プロファイルの精密仕立てが可能となり、ひいてはスプリアス反射を軽減しつつ計測用の光の強度低下なる悪影響全般を制限することが可能となる。
【0020】
本願での更なる熟考によれば、計量システムにおける埋込計量ターゲットのアライメント(又はミスアライメント(誤整列))は、その埋込計量ターゲットの画像の質並びに関連するあらゆる計量計測の感度又は正確度に影響しうる。加えて、計量システムにおける埋込計量ターゲットのアライメント(又はミスアライメント)は、スプリアス反射軽減における照明視野又はアパーチャ絞りの実効性に影響しうる。本件開示の付加的諸実施形態は、計量システムにて埋込計量ターゲットを整列させる(例.埋込計量ターゲット上に合焦させる)システム及び方法を指向している。
【0021】
本願での更なる熟考によれば、本願開示の諸システム及び諸方法は、本件技術分野で既知なあらゆる種類の計量ツールに適用可能なものとすることができる。例えば、本願開示の諸システム及び諸方法を、埋込計量ターゲットの視野面像が1枚又は複数枚生成される画像ベース計量ツールに、適用可能なものとすることができる。別例によれば、本願開示の諸システム及び諸方法を、1枚又は複数枚の瞳面像が生成されるスキャタロメトリ(散乱計測法)計量ツールに、適用可能なものとすることができる。
【0022】
本願開示の諸システム及び諸方法は、更に、本件技術分野で既知なあらゆる種類の計量計測に適用可能なものとすることができる。例えば、本願開示の諸システム及び諸方法を、接合標本のオーバレイ計量に適し、その組成基板の相対的アライメント(又はミスアライメント)を計測しうるものと、することができる。この例によれば、オーバレイ計量ターゲット、即ち接合標本に備わる2枚の基板の相対的アライメント(又はミスアライメント)に係るオーバレイを計測するためのターゲットを、接合されているそれら2枚の基板間の界面に形成し、それら2枚の基板それぞれの一層又は複数層上に所在する構造が組み込まれたオーバレイ計量ターゲットの態とすることができる。従って、上基板を介し照明を送り、そのオーバレイ計量ターゲットからの反射光のうち上基板を介し逆伝搬された光を集めること等で、そのオーバレイターゲットの計測を行うことができる。別例によれば、本願開示の諸システム及び諸方法にて、標本の一層又は複数層上にあり付加的な標本層により部分的又は全面的に覆われているプロセス感応計量ターゲットをもとに、プロセス関連計量を行うことができる。そうしたプロセス関連計量ターゲットは、これに限られるものではないがリソグラフィ露出時の光強度及び/又は照射量、プロセス工程における標本の焦点位置等、1個又は複数個の製造工程関連パラメタに対し感応的なフィーチャを有するものと、することができる。
【0023】
本願での更なる熟考によれば、照明視野絞り及び/又は照明瞳絞りの使用を通じテイラード照明を提供することで、標本からの集光を制限せずにスプリアス反射の軽減を行えるように、することができる。それとの関連で言えば、計量ツールを、本件技術分野で既知な何れの種類の結像・撮像技術を利用するものとも、することができる。例えば、本願での認識によれば、周期的な構造を有する計量ターゲットに依拠する様々な計量技術を、それら計量ターゲットからの回折光のうち指定次数のもののみに基づき計量データを生成するよう、設計することができる。従って、本願開示の如きテイラード照明の使用は、そうした技術全般に好適たりうる。
【0024】
本件開示の随所で用いられている語「標本」又は「基板」は、総じて、半導体又は非半導体素材で形成された基板(例.ウェハ等)のことを指している。例えば、半導体又は非半導体素材たりうるものに、これに限られるものではないが単結晶シリコン、ヒ化ガリウム及び燐化インジウムがある。標本は1個又は複数個の層を有するものとすることができる。例えば、そうした層たりうるものに、これに限られるものではないがレジスト(フォトレジスト等)、誘電体素材、導体素材及び半導体素材の層がある。そうした層については多種多様な種類が本件技術分野にて知られており、本願では、その種類を問わずそれらの層がその上に形成されうる標本を包括する意図にて標本なる語が用いられている。標本上に形成された1個又は複数個の層が、パターニング(パターン化)されていてもパターニングされていなくてもよい。例えば、標本内に複数個のダイを設け、各ダイに可反復パターン化フィーチャを設けることができる。こうした素材層の形成及び処理により、最終的にはデバイス完成品を得ることができる。数多くの種類のデバイスを標本上に形成することができ、本願では、その種類を問わず本件技術分野で既知なデバイスがその上に作成される標本を包括する意図にて標本なる語が用いられている。更に、本件開示の目的上、標本及びウェハなる語は可換なものとして解されるべきである。
【0025】
以下、
図1A~
図7を参照し、埋込計量ターゲット撮像システム及び方法について、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いより詳細に記述する。
【0026】
図1Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計量システム100を描いた概念図である。ある実施形態に係るシステム100は、標本106内にある少なくとも1個の埋込計量ターゲット104の画像を少なくとも1枚生成するよう構成された、計量ツール102を有する。例えば、計量ツール102にて、埋込計量ターゲット104の1枚又は複数枚の視野面像、及び/又は、埋込計量ターゲット104の1枚又は複数枚の瞳面像を、発生させることができる。
【0027】
標本106には本件技術分野で既知なあらゆる種類の標本、なかでも埋込計量ターゲット104を有するものが包含されうる。例えば、標本106たりうるものに、2枚の基板を界面にて一体接合することで形成されていて、その界面か界面付近に埋込計量ターゲット104が所在する接合標本がある。更に、それら基板が、これに限られるものではないが半導体、金属、ポリマ、ガラス又は結晶性素材を初め、どのような素材又は素材組合せで形成されていてもよい。ある実施形態では、それら基板のうち少なくとも1枚がウェハ(例.半導体ウェハ)とされる。例えば、2枚のウェハが界面にて接合された態の接合ウェハ標本として、標本106を形成することができる。
【0028】
計量ツール102には本件技術分野で既知なあらゆる種類の計量ツール、なかでも標本106上の1個又は複数個の埋込計量ターゲット104の1枚又は複数枚の画像を何れかの面又は面組合せにて発生させること、並びにその1枚又は複数枚の画像に基づきその標本106に係る1個又は複数個の注目パラメタを計測すること、に適したものが包含されうる。
【0029】
また、ある実施形態に係るシステム100は、計量ツール102に可通信結合されたコントローラ108を有する。また、ある実施形態におけるコントローラ108は、記憶デバイス112即ちメモリ上にて保持されているプログラム命令を実行するよう構成された、1個又は複数個のプロセッサ110を有する。コントローラ108に備わる1個又は複数個のプロセッサ110には、本件技術分野で既知なあらゆる処理素子が包含されうる。その意味で、その1個又は複数個のプロセッサ110にはあらゆるマイクロプロセッサ型デバイス、なかでもアルゴリズム及び/又は命令群を実行するよう構成されたものが包含されうる。更に、記憶デバイス112には本件技術分野で既知なあらゆる格納媒体、なかでも連携している1個又は複数個のプロセッサ110により実行可能なプログラム命令群を格納するのに適するものが包含されうる。例えば、記憶デバイス112たりうるものに非一時的記憶媒体がある。付加的な例としては、記憶デバイス112たりうるものに、これに限られるものではないがリードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気又は光学記憶デバイス(例.ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等がある。更に注記されることに、記憶デバイス112を、1個又は複数個のプロセッサ110と共に共通コントローラハウジング内に収容してもよい。
【0030】
この構成によれば、コントローラ108に備わる1個又は複数個のプロセッサ110にて、本件開示の随所に記載されている様々な処理ステップのうち何れを実行させることもできる。例えば、コントローラ108に備わる1個又は複数個のプロセッサ110にて、埋込計量ターゲット104の1枚又は複数枚の画像(例.1枚又は複数枚の視野面像又は瞳面像)を検出器から受け取り、検出器からの画像1枚又は複数枚に基づき標本106に係る計量計測結果を1個又は複数個生成することができる。
【0031】
図1Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態における画像ベース計量ツール102の概念図である。
【0032】
ある実施形態では、計量ツール102が、照明116を生成するよう構成された照明源114を有する。また、ある実施形態に係るシステム100では、照明路118(例.照明サブシステム)に設けられた1個又は複数個の部材によって、照明116が標本106へと差し向けられる。
【0033】
また、ある実施形態では、計量ツール102が、集光路120(例.撮像サブシステム)に設けられた1個又は複数個の部材によって標本からの光、即ち本願で言う標本光122を集光する。標本光122には、これに限られるものではないが光又は粒子を初め、標本106に発するあらゆる種類の輻射が包含されうる。例えば、標本光122たりうるものに、照明116のうち標本106により反射及び/又は散乱された部分がある。別例によれば、標本光122たりうるものに、標本106による照明116の吸収により誘起されたルミネッセンスがある。別例によれば、標本光122たりうるものに、これに限られるものではないが後方散乱電子又は二次電子等、照明116に応答し前記標本106からもたらされる粒子がある。
【0034】
また、ある実施形態では、計量ツール102が、標本光122のうち少なくとも一部分を集光路120から捕捉するよう構成された、少なくとも1個の検出器124を有する。
【0035】
照明源114には、本件技術分野で既知なあらゆる種類の光源が包含されうる。ある実施形態では、照明源114が、これに限られるものではないが1個又は複数個のレーザ光源等、1個又は複数個のコヒーレント光源を有する。この構成によれば、照明源114にて、高いコヒーレンス(例.高い空間コヒーレンス及び/又は時間コヒーレンス)を有する照明116を生成することができる。例えば、照明源114たりうるものに、これに限られるものではないが1個又は複数個の超連続体(超広帯域)レーザ又は白色レーザ等を初め、1個又は複数個の広帯域レーザがある。別例によれば、照明源114たりうるものに1個又は複数個の狭帯域レーザがある。更なる例によれば、照明源114たりうるものに、照明116を生成すること及びそのスペクトル強度を調整することが可能な、1個又は複数個の可調レーザがある。更に、コヒーレント照明源114のもととなるテクノロジ又は製品デザインがどのような種類のものであってもよい。例えば、照明源114たりうるものに、これに限られるものではないが1個又は複数個のファイバレーザ、1個又は複数個のダイオードレーザ或いは1個又は複数個のガスレーザの、何らかの組合せがある。
【0036】
別の実施形態では照明源114が1個又は複数個の低コヒーレンス光源を有し、低い又は部分的なコヒーレンス(例.空間及び/又は時間コヒーレンス)を有する照明116がそれによりもたらされる。例えば、照明源114たりうるものに1個又は複数個の発光ダイオード(LED)又は超ルミネッセンスLEDがある。別例によれば、照明源114たりうるものに、これに限られるものではないがLSPランプ、LSPバルブ又はLSPチャンバ等、一種類又は複数種類の元素を収容するのに適していて、レーザ光源によりその元素をプラズマ状態へと励起させることで広帯域照明を放射させることができる、レーザ維持プラズマ(LSP)光源がある。別例によれば、照明源114たりうるものに、これに限られるものではないがアークランプ、放電ランプ、無電極ランプ等のランプ光源がある。
【0037】
更に、照明源114を、何らかの光源組合せを有するものとすることができる。ある実施形態では、照明源114が、広帯域照明をもたらす1個又は複数個の超連続体レーザ光源と、その1個又は複数個の超連続体レーザ光源のスペクトル内のギャップを補う1個又は複数個の部分コヒーレント高輝度LEDとを有する。
【0038】
照明源114によりもたらされる照明116を、選定された何らかの波長又は波長域(例.スペクトル)を有するものとすることができる。本願での熟考によれば、標本106のうち少なくとも一部分を通じて送り込むべく、ひいては最低限の又は少なくとも許容しうる吸収で以て埋込計量ターゲット104に到達させるべく、照明116のスペクトルを選定することができる。例えば、標本106が2枚の半導体基板を接合することで形成されている場合は、赤外スペクトル域内波長が含まれるように照明116のスペクトルを選定すればよい。とはいえ、ご理解頂ける通り、本願開示の諸システム及び諸方法は広範な標本に対し広範に適用可能なものとされうるのであり、照明116は標本106の組成を踏まえ選定された何らかのスペクトルを有するものとされうる。
【0039】
照明源114によりもたらされる光を、更に、選定された何らかの時間特性を有するものとすることができる。ある実施形態では、照明源114が、連続波照明116をもたらす1個又は複数個の連続波光源を有する。別の実施形態では、照明源114が、変調照明例えばパルス照明116をもたらす1個又は複数個のパルス光源を有する。例えば、その照明源114たりうるものに、1個又は複数個のモードロックレーザ、1個又は複数個のQスイッチレーザ等がある。
【0040】
ある実施形態では、照明路118に、照明源114からの照明116を標本106へと差し向ける1個又は複数個の照明レンズ126を設ける。加えて、その照明レンズ126を、1個又は複数個の視野面又は瞳面が照明路118上の諸個所に中継されるよう配列することができる。照明路118には、更に、照明116を修正及び/又は調光するのに適した1個又は複数個の照明調光部材128を設けることができる。その照明調光部材128を、これは必須ではないが、照明路118上の視野面及び/又は瞳面に所在させることができる。例えば、その1個又は複数個の照明調光部材128のなかに、これに限られるものではないが照明アパーチャ絞り、照明視野絞り、1個又は複数個のポラライザ、1個又は複数個の補償器、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のビームスプリッタ、1個又は複数個のディフューザ、1個又は複数個のホモジナイザ、1個又は複数個のアポダイザ、1個又は複数個のビーム整形器、1個又は複数個の鏡、或いは1個又は複数個のレンズを、含めることができる。
【0041】
ある実施形態では、集光路120に、標本106からの標本光122を検出器124へと差し向ける1個又は複数個の集光レンズ130を設ける。また、ある実施形態では、集光路120に、標本光122を修正及び/又は調光するのに適した1個又は複数個の集光調光部材132を設ける。例えば、その1個又は複数個の集光調光部材132のなかに、これに限られるものではないが1個又は複数個のポラライザ、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のビームスプリッタ、1個又は複数個のディフューザ、1個又は複数個のアポダイザ、或いは1個又は複数個のビーム整形器を、含めることができる。
【0042】
ある実施形態では、計量ツール102が、照明116を標本106に差し向け及び/又はその標本106からの標本光122を捉える計測対物レンズ134を有する。例えば、
図1Bに描かれている通り、計量ツール102を、照明路118及び集光路120の双方に共通なビームスプリッタ136を有していて、計測対物レンズ134にて標本106への照明116の差し向けとその標本106からの標本光122の捕捉とを同時に行えるものと、することができる。また、ある実施形態によれば、図示しないが、照明路118と集光路120とに別々なレンズを設け、それらにより標本106への照明116の差し向けと標本光122の集光とを別々に行うようにすることができる。
【0043】
検出器124には本件技術分野で既知なあらゆる光学検出器、なかでも標本106から標本光122を受光し捕捉するのに適するものが包含されうる。更に、その検出器124が、静止標本106及び移動標本106のうち何れの画像を捉えるのに適するものであってもよい。例えば、検出器124たりうるものに、これに限られるものではないがフォトダイオードアレイ(PDA)、電荷結合デバイス(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)デバイス、時間遅延積分(TDI)型検出器、ラインスキャン型検出器、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)等がある。また、ある実施形態によれば、検出器124のなかに分光型検出器、即ち標本106に発する輻射を拡散素子の使用によりセンサ上に分散させてその波長を識別するのに適した検出器を含めることができる。
【0044】
更に、本システム100に(例.1個又は複数個のビームスプリッタにより生成される複数本のビーム路に関連付けて)複数個の検出器124を設け、本システム100による複数通りの計量計測を(例.複数個の計量ツールにより)容易に行えるようにすることができる。また、ある実施形態によれば、検出器124のなかに、標本106に発する輻射の波長を識別するのに適した分光型検出器を含めることができる。
【0045】
検出器124は、更に、本システム100の何れの結像面に所在させることもできる。例えば、検出器124を標本106に対し共役な面に所在させ、その標本106の画像が生じるようにすることができる。別例によれば、検出器124を瞳面(又はそれに対し共役なところ)に所在させ、瞳像が生じるようにすることができる。
【0046】
また、ある実施形態では、計量ツール102が、標本106に発する光(例.標本光122)を集光路120経由で捉えるよう構成された検出器124を有する。例えば、検出器124にて、標本106からの反射又は散乱輻射(例.鏡面反射、拡散反射等によるもの)を受光することができる。別れによれば、検出器124にて、標本106により生成された輻射(例.照明116の吸収に係るルミネッセンス等)を受光することができる。別例によれば、検出器124にて、標本106から一通り又は複数通りの次数の回折輻射(例.0次回折、±1次回折、±2次回折等)を受光することができる。
【0047】
スペクトルデータの収集を伴う計測技術(例.分光リフレクトメトリ(反射計測法)、分光エリプソメトリ(楕円偏向法)等)では、注目スペクトル域に亘り連続的なスペクトルデータを生成することが、望ましかろう。例えば、計量ツール102内に、オーバレイターゲットからの光を1個又は複数個の検出器124上へと空間分散させる分散素子(例.プリズム、格子等)を設け、スペクトル計測結果を捉えうるようにすることができる。とはいえ、本願での認識によれば、個々の検出器124の感度は波長の関数として変動しうる。従って、その検出器124につき、波長の関数たる感度変動を勘案するための校正が必要となりうる。
【0048】
また、ある実施形態によれば、計量ツール102内に複数個の検出器124を設け、その計量ツール102による複数通りの計量計測を容易に行えるようにすることができる。これとの関連で言えば、
図1Bに示されている計量ツール102では、複数通りの同時的な計量計測を実行することができる。
【0049】
ある実施形態では、計量ツール102が、計測前、計測中及び/又は計測後に標本106及び/又は照明116を調整しうるよう構成された標本位置決めサブシステム138を有する。例えば、
図1Bに描かれている標本位置決めサブシステム138は並進ステージ140を有しており、それにより、これに限られるものではないがXY平面内横方向位置、Z軸(例.計測対物レンズ134の光軸)沿い位置、ティップ、ティルト等、標本106の任意方向沿い位置を調整することができる。別例によれば、図示しないが、標本位置決めサブシステム138に、照明116により標本106又はその一部分を横断走査するのに適した、1個又は複数個の走査型光学素子(例.ガルバノメータ、可回動鏡等)を設けることができる。
【0050】
ある実施形態では、標本位置決めサブシステム138に備わる1個又は複数個の部材により、標本106、埋込計量ターゲット104又はその標本106内の何らかの指定層の所在個所(計測対物レンズ134の光軸沿いのそれ)が、検出及び/又は監視される。この構成によれば、標本位置決めサブシステム138により、計量ツール102内で、埋込計量ターゲット104を正確に整列させることができる。本願での熟考によれば、本システム100における埋込計量ターゲット104の正確なアライメント(整列)により、多数の利益をもたらすことができる。例えば、埋込計量ターゲット104の正確なアライメントにより、その埋込計量ターゲット104上における、照明源114からの照明116の空間及び角度プロファイルの正確な制御を、本件開示の随所で論じられている通りテイラード照明視野絞り及び/又は瞳絞りの使用を通じ、容易に行えるようにすることができる。別例によれば、埋込計量ターゲット104の正確なアライメントにより、検出器124に対する埋込計量ターゲット104の正確なアライメントを容易に行うこと、ひいては指定面(例.視野面又は前記瞳面)の高品質画像がもたらされるようにすることができる。
【0051】
標本位置決めサブシステム138による標本106又はその任意部分の軸方向位置の検出及び/又は監視には、様々な技術を用いることができる。
【0052】
ある実施形態では、標本位置決めサブシステム138に備わるリニク干渉計により、計測対物レンズ134の光軸沿いにおける埋込計量ターゲット104の位置が判別及び/又は監視される。例えば、そのリニク干渉計を、照明源114からもたらされる照明116のスペクトルで以て動作するよう構成することができ、またその照明源114を、これは必須ではないが狭帯域(例.帯域幅が約5nm以下)のものとすることができる。
【0053】
図1Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、リニク干渉計をベースとする標本位置決めサブシステム138を有する計量ツール102の、模式図である。
【0054】
ある実施形態では計量ツール102が参照対物レンズ142を有し、その参照対物レンズ142が、照明116のうち一部分をビームスプリッタ136経由で受光し、照明116のその部分を参照標本144へと差し向け、その参照標本144から反射されてきた光を集光するよう構成される。この構成によれば、計測対物レンズ134及び標本106によりリニク干渉計の計測アーム146を形成し、参照対物レンズ142及び参照標本144によりそのリニク干渉計の参照アーム148を形成することができる。
【0055】
参照標本144にはあらゆる標本、なかでもリニク干渉計内で参照光を提供するのに適するものが包含されうる。例えば、標本106を少なくとも部分的に引き写したものとなるようその参照標本144を設計することができる。この構成によれば、そのリニク干渉計を平衡させることができ、またその参照標本144を通じ伝搬する光の光学特性を、標本106を通ずる光のそれと同一又は実質同様のものとすることができる。
【0056】
ある実施形態によれば、参照標本144を、2枚の基板を接合することで形成されていて、標本106と同一又は同様な屈折率を有するものとすることができる。更に、参照標本144を、これは必須ではないが、それら接合されている2枚の基板の界面に、その界面の反射率を高める反射層又は被覆(例.金属被覆等)があるものと、することができる。また、ある実施形態によれば、標本106が1個又は複数個の中間層を有していてその中間層が埋込計量ターゲット104付近にあり又はそれを形成している場合に、参照標本144にも同じ又は似た層を設けることができる。
【0057】
また、ある実施形態では参照標本144が1枚の基板として形成され、その下面により参照面が形成される。更に、その参照面に、これは必須ではないが、その参照面の反射率を高める反射層又は被覆(例.金属被覆等)を設けることができる。加えて、ご理解頂ける通り、参照標本144又はその任意部分の厚みを、標本106の用途及び特性に基づき如何様にも選定することができる。例えば、標本106が1枚又は複数枚の接合半導体ウェハで形成されている場合、参照標本144を、標本106の上ウェハと同じ厚み(例.775μm、750μm、600μm、300μm、100μm等)を有する1枚又は複数枚の半導体ウェハ(例.シリコンウェハ)で形成されたものと、することができる。
【0058】
また、ある実施形態では、参照標本144の一個所又は複数個所(例.1枚の参照基板の背面、或いは接合された基板間の界面)にパターン化フィーチャを設けることで、参照標本144のアライメントが容易化される。
【0059】
ある実施形態では、計量ツール102が、リニク干渉計の計測アーム146・参照アーム148間光干渉に係る干渉パターン像を生成するフォトダイオード150を有する。ある実施形態では、計量ツール102が、
図1Cに描かれている通り、連続的干渉像をもたらす付加的なビームスプリッタ152を有する。また、ある実施形態によれば、計量ツール102に可並進鏡(例.フリップ鏡、並進ステージ上の鏡等)を設けること、ひいては光をフォトダイオード150へと選択的に差し向けて干渉像生成に供することができる。例えば、その計量ツール102にて、計測に先立ち標本106の位置を調整する際に、ビームスプリッタ136からの光全てをフォトダイオード150に差し向けて焦点検出に利用可能な信号を大きくすることができ、その後、計測中に、ビームスプリッタ136からの光全てを検出器124に差し向けて計量計測(例.1枚又は複数枚の標本像の捕捉)向けの使用に供することができる。加えて、計量ツール102にシャッタその他のビームデフレクタを設け、計量計測中に参照アーム148沿いの光が選択的に阻止されるようにすることもできる。
【0060】
本願での熟考によれば、計量向けと標本位置決めでは照明条件が異なりうる。従って、計量ツール102内に照明源及び光学素子を何らかの組合せで組み込み、指定された特性を有する光が計量及び標本位置決め計測の双方でもたらされるようにした方がよい。例えば、計量ツール102内に、標本位置決めに用いられる光の空間コヒーレンスを抑えるのに適したビームディフューザその他の部材を設けることで、計測中にスペックルを軽減することができる。
【0061】
ある実施形態では、計量ツール102が、
図1Cに描かれている通り、計量計測及び標本位置決め向けの共通照明源114を有する。この構成にて、計量ツール102たりうるものには、例えばこれに限られるものではないが分光フィルタ、空間フィルタ、スペックル低減器(例.ディフューザ等)、視野絞り、瞳絞り又はポラライザ等、共通照明源114からの照明116の特性を標本位置決め計測向けに修正する1個又は複数個の光学素子がある。そうした光学素子は、これに限られるものではないが、標本106上への入射光を修正すべく照明路118上に設け、及び/又は、標本106からの集光光を修正すべく集光路120上に設ける等、何れの好適個所に設けることもできる。
【0062】
例えば、
図1Cに描かれている分光フィルタ154により、標本位置決め計測中に、フォトダイオード150上への入射照明116のスペクトルを修正することができる。例えば、その分光フィルタ154により、標本位置決め計測に用いられる照明116の帯域幅を、これに限られるものではないが10nm、5nm、2nm、1nmその他の何らかの指定帯域幅等、ある指定された帯域幅まで狭めることができる。この構成にて標本位置決め計測時に用いられる照明116は、単色又は準単色とすることができる。ご理解頂ける通り、
図1Cに描かれている分光フィルタ154の配置個所はフォトダイオード150の直前であるが、ご理解頂ける通り、分光フィルタ154は、これに限られるものではないが照明路118等、何れの好適個所にも配置することができる。
【0063】
また、ある実施形態では、図示しないが、計量ツール102が、標本位置決め向けに、計量向けとは別な照明源114’を有する。例えば、
図1Cに描かれている通り、標本位置決め向けの別な照明源114’を、標本位置決めサブシステム138内に統合することができる。例えば、標本位置決めサブシステム138にて、
図1Cに描かれている付加的なビームスプリッタ152を利用し、その別な照明源114’からの光を標本106へと差し向けるようにすることができる。別例によれば、図示しないが、照明路118にビームスプリッタその他のビームセレクタを設け、2個以上の照明源のうち何れかからの標本106の選択的照明を行うことができる。
【0064】
本願での更なる熟考によれば、標本106内埋込計量ターゲット104の幾何形状によっては、これに限られるものではないがリニクインタフェロメトリ(干渉計測法)を初めとする通常の干渉標本位置決め技術に難題が課されることがある。例えば、標本106(及び参照標本144)内光伝搬により色分散又は球面収差が持ち込まれ、それが標本位置決め計測に悪影響することがある。
【0065】
計量ツール102では、どのような空間又は角度プロファイルの光も標本位置決め計測に利用することができる。ある実施形態では、計量ツール102が、標本位置決め計測のため斜め照明(例.輪状照明、二重極照明、四重極照明等)を行う。例えば、計量ツール102にて、これは必須ではないが中央掩蔽器を照明路118上の照明瞳内に設け、標本106及び参照標本144上である指定角度範囲(例.数値開口)に亘る輪状照明を発生させうるようにすることができる。
【0066】
図1Dは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、計量ツール102を通じた斜め照明伝搬が描かれている模式的光線図である。例えば、
図1Dにより、輪状プロファイル沿いの一点からの照明116の伝搬を、表すことができる。更に、ご理解頂ける通り、
図1Dは厳密光線図たることを意図するものではなく、瞳面156に発する三種類の光線の描写を専ら例証目的で提示し、ある空間視野に亘る標本106及び参照標本144の照明を示すものである。
【0067】
本願での熟考によれば、斜め照明、とりわけ大角度即ち高NAでの照明により、リニクインタフェロメトリを用いた高感度で正確な標本位置決め計測を容易に行えるようにすることができる。例えば、標本106の上面(及び参照標本144の上面)からの反射が、標本106内注目深度にある埋込計量ターゲット104からの反射に係る信号に、影響することがある。これを軽減するには、照明116を、標本位置決め計測中に輪状その他の高NAプロファイルを呈するものとなるよう、ひいては標本106及び参照標本144の上面からの鏡面反射の集光が回避されるよう、設計すればよい。ここで参照する
図1E及び
図1Fには、輪状照明の使用により標本106及び参照標本144の上面からの反射が抑圧されることが、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いより詳細に描かれている。
図1Eは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、標本106上に入射している輪状照明116の模式的光線図である。
図1Fは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、参照標本144上に入射している輪状照明116の模式的光線図である。
【0068】
図1Eに描かれている通り、照明116が標本106内界面158(例.上基板162の下面160)に合焦しているときに、界面158からの反射光を計測対物レンズ134により集光することができる。しかしながら、標本106に対する計測対物レンズ134の近さ、及び/又は、照明116の入射角の選定が原因となり、輪状照明116に係る斜め入射光線166に由来する鏡面反射164は集光されず例えば(例.アパーチャ絞り168により)阻止される。
図1Fには参照対物レンズ142及び参照標本144による類似した効果が描かれており、またここでは、その参照標本が、これに限られるものではないが1枚の基板として描かれている。これらによれば、輪状照明116に係る入射角範囲(即ちNA域)を埋込計量ターゲット104の深度及び/又は対物レンズ(例.計測対物レンズ134及び参照対物レンズ142)の作動距離に基づき選定することで、標本位置計測中に、標本106及び参照標本144の上面からの鏡面反射を、少なくとも部分的に抑圧することができる。
【0069】
更に、ある限定された角度帯域幅で以て斜め照明を行うことで、対物系(例.計測対物レンズ134又は参照対物レンズ142)側の襟状補正環では完全に補償できない球面収差を、軽減することができる。標本位置決めサブシステム138が干渉計測向けに構成されている場合、角度帯域幅を狭くすることで、もたらされるコントラストを高めること及び干渉信号包絡線を比較的狭くすることができるため、高い再現性及び正確度での標本位置決め計測を容易に行えるようにすることができる。
【0070】
全般参照される
図1G~
図1Lには、標本106を対象にした標本位置決め用リニク干渉計の使用が、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いより詳細に記述されている。
図1G~
図1Lでは、照明116の中心波長が1.3μmとなるよう選定されており、標本が775μmなる厚みを有する2枚のシリコンウェハ基板を有している。
【0071】
図1G~
図1Lに描かれている通り、その干渉信号のピークが現れる個所(この図の目盛りでは0μm)は標本106内の2面間の界面であり、埋込計量ターゲット104の所在個所、或いは標本106内の何れかの素材層に係る界面の所在個所に対応付けることができる。この場合、その界面の所在個所(例.埋込計量ターゲット104の所在個所)を、その干渉信号の包絡線の中心位置を探して特定することができる。更に、その包絡線の幅を、その技術の空間分解能に関連付けることができる。この幅は、一般に、これに限られるものではないが照明116のコヒーレンス長、照明116の帯域幅又は照明116の入射角を初め、複数個の因子の影響を受けうる。例えば、時間コヒーレンスが低い照明を用いること、或いは時間コヒーレンスが高く且つNAが高い照明を用いることで、狭い包絡線幅を得ることができる。
【0072】
図1G及び
図1Hには、照明116のスペクトル帯域幅の影響が描かれている。
図1G中のものは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、走査レンジの関数たる所期干渉信号(例.フォトダイオード150により計測されるもの)のシミュレート描線
図170であり、NAが0.25、帯域幅(FWHM)が160nmのフル照明でのものである。
図1H中のものは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、走査レンジの関数たる所期干渉信号のシミュレート描線
図172であり、NAが0.25、帯域幅(FWHM)が5nmのフル照明でのものである。
図1G及び
図1Hに描かれている通り、照明116のスペクトル帯域幅を狭めることで、一般に、その照明116のコヒーレンス長を延ばすこと、ひいてはより幅広な包絡線をもたらすことができる。しかしながら、本願既述の通り、標本106の諸部分を通じた照明116の伝搬により引き起こされる色収差を軽減するため、(例.分光フィルタ154を用い)照明116のスペクトル帯域幅を制限することが望まれよう。従って、本願での熟考によれば、照明116の帯域幅を、就中、色収差及びコヒーレンスの効果を平衡させうるように選定した方がよい。
【0073】
次に参照する
図1I及び
図1Jには、輪状ビームに係る干渉信号のシミュレート結果が、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い描かれている。
図1I中のものは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、走査レンジの関数たる所期干渉信号のシミュレート描線
図174であり、NAが0.85~0.25の範囲内の輪状照明でのものである。
図1J中のものは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、走査レンジの関数たる所期干渉信号のシミュレート描線
図176であり、NAが0.85~0.65の範囲内の輪状照明でのものである。
図1I及び
図1Jでは照明116の中心波長が1.3μm、半値全幅(FWHM)が5nmとされている。
図1I及び
図1Jに描かれている通り、表面反射を
図1E及び
図1F描出の如く阻止したままにしつつ、より広い角度範囲に亘る輪状照明116を提供することで、干渉信号の包絡線の幅を狭める(例.より良好な走査方向沿い空間分解能を提供する)ことができる。
【0074】
次に参照する
図1K及び
図1Lには、リニク干渉計の使用による複数界面間の弁別が、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いより詳細に記述されている。
図1Kは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、シリコン基板間にある6μm厚二酸化シリコン層の上面及び下面の検出が描かれているシミュレート描線
図178である。
図1Lは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、シリコン基板間にある10μm厚二酸化シリコン層の上面及び下面の検出が描かれているシミュレート描線
図180である。
図1K及び
図1Lに描かれている通り、この技術は、埋込計量ターゲット104の所在個所に係る界面を初め、複数個の界面を識別するのに適している。
【0075】
次に参照する
図1M~
図1Oには、標本位置決め計測向けのリニク干渉計についての実験結果が、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い描かれている。具体的には、
図1M~
図1Oには、使用する照明のスペクトル帯域幅を狭くし、それと併せ高NA輪状照明における角度帯域幅を制限することによる、高感度な標本位置決めが描かれている。
図1M~
図1Oでは、試験下標本106がベアシリコンウェハとされている。更に、照明116の中心波長が1.5μm、帯域幅が12nmとされている。
【0076】
図1Mは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、低NA照明を用い収集された干渉信号の描線
図182である。具体的には、描線
図182は0.2なるNAに係るものである。
図1Mでは干渉信号の包絡線が比較的広くなっている。
図1Nは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、中央掩蔽器抜きで高NA照明を用い収集された干渉信号の描線
図184である。具体的には、描線
図182は0.85なるNAに係るものである。例えば、
図1Nで用いられた照明内には、0(直交入射)から高NAに亘る範囲の入射角での照明が含まれうる。
図1Nに描かれている通り、照明のNAを高めることで、包絡線幅を狭めることができる。
図1Oは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、高NA輪状照明を用い775μm及び770μmなる標本厚を通じ捕捉された干渉信号の描線
図186である。具体的には、標本106の背面上に5μmエッチド絞りがあり、それにより二種類の干渉信号がもたらされている。
図1Oに描かれている通り、使用する高NA照明の角度帯域幅を制限すること(例.ここでは照明瞳内での中央掩蔽器の使用を通じ輪状照明を形成すること)により、干渉ピークを良好に画定すると共に、包絡線幅を比較的狭くすることができる。
図1Oには、更に、深さの違いによる干渉信号のコントラストの変動が描かれている。本願での熟考によれば、照明116のスペクトル帯域幅を(例.
図1Cに描かれている分光フィルタ154を用い)更に狭めることで、そうしたコントラスト変動を軽減することができる。例えば、スペクトル帯域幅を約2~5nmなる範囲へと制限することで、ある種の半導体アプリケーションで現れうる20μmの厚み変動に対処し好適なコントラストを提供することができる。
【0077】
とはいえ、理解し得る通り、リニク干渉計たる標本位置決めサブシステム138についての
図1C~
図1O中での記述、並びにそれに関連する記述は、専ら例証目的で提示されたものであり、限定として解されるべきではない。寧ろ、計量ツール102では、これに限られるものではないが視差原理を利用する技術を初め、本件技術分野で既知なあらゆる技術を、埋込計量ターゲット104の位置の判別及び/又は監視に利用することができる。例たりうるものには、これに限られるものではないが、斜め照明で以て標本上に生成されるスポットの像の横方向運動の監視や、斜め照明時のオーバレイターゲットの像の横方向運動の監視がある。
【0078】
また、ある実施形態では、標本位置決めサブシステム138がコントローラ108に可通信結合される。この構成によれば、コントローラ108により、標本位置決めサブシステム138の1個又は複数個の構成部材を調整すること、及び/又は、標本位置決めサブシステム138からデータを受信し埋込計量ターゲット104の位置を判別及び/又は監視することができる。
【0079】
ここで全般参照されている何れの構成の標本位置決めサブシステム138でも、その標本位置決めサブシステム138における埋込計量ターゲット104の位置の判別を、直接的なものとも間接的なものともすることができる。例えば、標本位置決めサブシステム138にて、標本106における埋込計量ターゲット104の所在個所を直接的に特定及び識別し並進ステージ140を相応に調整することで、その埋込計量ターゲット104を計量ツール102の計測面に位置決めすることができる。別例によれば、標本位置決めサブシステム138にて、これに限られるものではないが
図1E及び
図1Fに描かれている上基板162の下面160等、標本106内の1個又は複数個の代替的界面の所在個所を特定及び識別することができる。その上で、その標本位置決めサブシステム138にて、検出された界面とその埋込計量ターゲット104との間の既知オフセットに基づき、埋込計量ターゲット104を計量ツール102の計測面に位置決めすることができる。
【0080】
更に、本システム100は、単一の計量ツール102を有するものとも、複数個の計量ツール102を有するものとも、することができる。複数個の計量ツール102が組み込まれた計量システム100が、「CD変動の高分解能監視」(High resolution monitoring of CD variations)と題し2011年4月26日付で発行された特許文献1、並びに「複数ツール兼構造分析」(Multiple tool and structure analysis)と題し2009年1月13日付で発行された特許文献2にて概述されているので、参照により両者の全容を本願に繰り入れることとする。主に反射光学系に依拠する集束ビームエリプソメトリが、「集束ビーム分光エリプソメトリ法及びシステム」(Focused beam spectroscopic ellipsometry method and system)と題し1997年3月4日付で発行された特許文献3にて概述されているので、参照によりその全容を本願に繰り入れることとする。幾何光学系により定まるサイズを超えた照明スポットの拡がりを原因とする光学回折効果をアポダイザの使用により軽減することが、「光学計測その他の用途にてスポットサイズ低減に役立つアポダイジングフィルタシステム」(Apodizing filter system useful for reducing spot size in optical measurements and other applications)と題し1999年1月12日付で発行された特許文献4にて概述されているので、参照によりその全容を本願に繰り入れることにする。同時複数入射角照明を伴う高数値開口ツールの使用が、「同時複数入射角計測を伴う限界寸法分析」(Critical dimension analysis with simultaneous multiple angle of incidence measurements)と題し2002年8月6日付で発行された特許文献5により概述されているので、参照によりその全容を本願に繰り入れることにする。
【0081】
次に参照する
図2には、接合標本106の2枚の基板間の界面202にある埋込計量ターゲット104のプロファイル図が、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い示されている。ある実施形態では、標本106が、第1基板204a(例.上基板)及び第2基板204b(例.下基板)を有し、埋込計量ターゲット104がどちらの基板上にあるターゲットフィーチャをも有する。例えば、標本106たりうるものに、第1基板204a及び第2基板204bを半導体ウェハとした接合ウェハ標本がある。
【0082】
ある実施形態では、
図2に描かれている通り、埋込計量ターゲット104がオーバレイ計量ターゲットとして設計される。例えば、
図2に描かれている埋込計量ターゲット104は、第1基板204a上にある一組の第1基板ターゲット要素206と、第2基板204b上にある一組の第2基板ターゲット要素208とを有している。この構成によれば、第2基板ターゲット要素208に対する第1基板ターゲット要素206のアライメント具合により、第2基板204bに対する第1基板204aのアライメント具合、ひいては標本106のオーバレイを表すことができる。
【0083】
第1基板ターゲット要素206及び第2基板ターゲット要素208の所在個所は、その第1基板204a及び第2基板204bの何れの層上ともすることができる。例えば、第1基板204a及び/又は第2基板204bに、基板上に堆積された一定厚又は可変厚の素材層を1個又は複数個設け、それをもとにターゲット要素を形成することができる。更に、第1基板ターゲット要素206及び第2基板ターゲット要素208を、これに限られるものではないが金属を初め、どのような種類の素材で形成してもよい。
【0084】
とはいえ、理解し得る通り、埋込計量ターゲット104を接合標本106に係るオーバレイ計量ターゲットとする
図2中の記述は、専ら例証目的で提示されたものであり、限定として解されるべきではない。寧ろ、埋込計量ターゲット104には本件技術分野で既知なあらゆる種類の計量ターゲット、なかでも標本106内に埋め込まれるものが包含されうる。
【0085】
次に参照する
図3及び
図4には、埋込計量ターゲット104に依拠する計測にノイズを持ち込みかねない様々なスプリアス反射が、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いより詳細に記述されている。
【0086】
図3は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、埋込計量ターゲット104の計測を実行するのに望ましい光構成の概略図である。信号路302では、照明源114からの照明116が、標本106の上面304へと差し向けられ、第1基板204a内を伝搬し、埋込計量ターゲット104のうち検出器視野306(例.埋込計量ターゲット104のうち少なくとも一部分がある計測面308を集光路120経由で見たときの検出器124の視野)内の部分と相互作用する。次いで、その埋込計量ターゲット104(又はそれに備わる何れかのフィーチャ)からの反射に係る標本光122が、第1基板204a内を逆伝搬し、上面304から出ていく。その後、上面304から出た標本光122を、集光路120により集光し、検出器124へと差し向けることができる。
【0087】
図4は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、埋込計量ターゲット104の画像及び/又は計量計測結果内にノイズを持ち込みかねない三種類のスプリアス反射の概略図である。
【0088】
第1ノイズ路402では、照明源114からの照明116が第1基板204aの上面304にて反射される。その後、この反射が標本光122の一部となり、集光路120により集光され、検出器124へと差し向けられることがある。しかしながら、上面304からのこの反射には、計測面308における埋込計量ターゲット104の検出器視野306内部分からの光が何ら含まれていないので、その埋込計量ターゲット104に係る画像又は計量計測結果内にノイズが持ち込まれることとなりうる。とりわけ、上面304からのこの反射がもとで、そうした画像又は計測結果のコントラスト又は感度が下がることがある。
【0089】
第2ノイズ路404では、照明源114からの照明116が、第1基板204a及び第2基板204b内を伝搬するものの、埋込計量ターゲット104の検出器視野306内部分とは相互作用しない。例えば、その第2ノイズ路404沿い照明116が、検出器視野306に対し横方向にずれることがある。更に、その第2ノイズ路404沿い照明が、標本106の下面406にて反射され、検出器視野306内を通って、上面304から出ることがある。従って、その光も、標本光122であると見なされ、集光路120により集光されて検出器124へと差し向けられることがある。
【0090】
この第2ノイズ路404沿い標本光122も、集光路120により集光され検出器124へと差し向けられた場合、ノイズを組成することとなろう。例えば、標本光122のうち第2ノイズ路404沿い部分は、下面406にて反射された後、検出器視野306内で埋込計量ターゲット104を通じ伝搬したものであるので、
図3中の信号路302に沿った光とは実質的に別な信号をもたらすものとなろう。例えば、信号路302沿いの光に、埋込計量ターゲット104に備わるターゲット要素(例.第1基板ターゲット要素206及び/又は第2基板ターゲット要素208)での反射光が含まれることとなるのに対し、第2ノイズ路404沿いの光には、検出器視野306外で埋込計量ターゲット104のターゲット要素間のギャップ内を透過してから下面406にて反射された光が含まれ、下面406にて反射された後に検出器視野306内で埋込計量ターゲット104のターゲット要素間のギャップ内を透過した光も含まれることとなる。更に、それら光路の間の光路差により位相差が持ち込まれ、コヒーレント照明116による計測に影響することがある。
【0091】
第3ノイズ路408では、照明源114からの照明116が、第1基板204a内を伝搬し、検出器視野306内にて埋込計量ターゲット104を通過し、下面406にて反射され、検出器視野306を通じ逆伝搬し、上面304から出て、集光路120により集光される。
【0092】
この場合、その第3ノイズ路408の沿いの光に、埋込計量ターゲット104の要素間ギャップ内を通過した光及び/又はその埋込計量ターゲット104の諸要素にて全吸収されなかった光が含まれうるため、第1ノイズ路402又は第2ノイズ路404沿いの光と類似した理由で、埋込計量ターゲット104の画像又は関連する計量計測結果内のノイズが助長されうる。
【0093】
次に参照する
図5A~
図5Dには、照明視野絞り502を用いたスプリアス反射軽減が、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いより詳細に記述されている。
【0094】
本願での熟考によれば、第1ノイズ路402沿い及び第2ノイズ路404沿いの光を、適切にサイズ設定及び形状設定された視野絞りアパーチャ504を有していて照明路118上にある照明視野絞り502により、軽減することができる。
【0095】
ある実施形態では、計測面308(例.埋込計量ターゲット104に対応する平面)における照明視野のサイズ及び/又は形状が、その計測面308における検出器視野306のサイズ及び/又は形状と整合するよう設計される。
【0096】
ある実施形態では、照明視野絞り502が、照明路118を介した計測面308への視野絞りアパーチャ504の投射像が検出器視野306と整合するようサイズ設定された視野絞りアパーチャ504を有し、その検出器視野306が、集光路120を介した計測面308への検出器124内センサの投射像に対応する。
【0097】
本願での認識によれば、検出器124上のセンサが通常は長方形又は正方形であるので、検出器視野306をそれに相応する長方形又は正方形とすることができる。従って、照明視野絞り502を、これは必須ではないが、そのセンサと同じアスペクト比を呈する形状の視野絞りアパーチャ504を有するものと、することができる。
【0098】
図5Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、長方形尺の視野絞りアパーチャ504を有し照明路118の視野面506内に所在する照明視野絞り502の模式図である。
図5Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測面308の模式図であり、長方形のセンサを有する検出器124の投射像508(例.検出器視野306)と、
図5Aの長方形視野絞りアパーチャ504の投射像510とが記されている。ある実施形態では、視野絞りアパーチャ504が、検出器124のセンサと同じアスペクト比を有する長方形又は正方形を呈するように設計される。この構成によれば、視野絞りアパーチャ504と検出器124のセンサとで計測面における投射像の形状を整合させることができる。更に、視野絞りアパーチャ504の投射像510のサイズを調整し、完全に又は指定公差の枠内で、検出器124の投射像508に整合させることができる。例えば、
図5Bには、視野絞りアパーチャ504の投射像510が検出器124の投射像508から僅かにはみ出している状況が描かれ、専ら例証目的で提示されている。
【0099】
本願での熟考によれば、計測面308における検出器124内センサの投射像508(例.検出器視野306)のサイズを、そのセンサのアスペクト比と、集光路120の倍率(Magcoll)とにより、決定することができる。同様に、計測面308における視野絞りアパーチャ504の投射像510のサイズを、その視野絞りアパーチャ504のアスペクト比と、照明路118の倍率(Magill)とにより、決定することができる。
【0100】
従って、センサのアスペクト比、集光路120の倍率(Magcoll)、並びに照明路118の倍率(Magill)、という既知値に基づき、視野絞りアパーチャ504のサイズを調整して、その視野絞りアパーチャ504の投射像を検出器視野306と整合させることができる。
【0101】
例えば、センサがa×b個の正方形画素を有していて、そのX及びY方向沿い画素ピッチ(例.画素サイズ)がそれぞれlpである場合、照明視野絞り502における長方形視野絞りアパーチャ504のサイズを、
dX,f=a・(Magill/Magcoll)・lp(1+k) (1)
dY,f=b・(Magill/Magcoll)・lp(1+k) (2)
の如く決定することができる。但し、dX,fは視野絞りアパーチャ504のX方向沿いサイズ、dY,f視野絞りアパーチャ504のY方向沿いサイズ、kは公差因数である。例えば、k=0.05なる値であれば、視野絞りアパーチャ504のサイズに関し5%公差が許容されうる。
【0102】
本願での熟考によれば、視野絞りアパーチャ504の投射像510を検出器124の投射像508(例.検出器視野306)に完全整合させることが、これに限られるものではないが
図4に描かれている第1ノイズ路402及び第2ノイズ路404等のスプリアス反射を阻止する上で、最も効果的であろう。しかしながら、(例.kが非ゼロ値であることとの関連で)完全整合から僅かにずれていてもなお、多くのスプリアス反射の効果的阻止を果たせるのであり、埋込計量ターゲット104の画像又は関連する計量計測結果におけるノイズ低減上、総じて有効たりうる。従って、ご理解頂ける通り、本件開示は特定値又は値域のkにより限定されるものではない。ある非限定的な例によれば、kの値を0~0.05の範囲内とすることができる。別の非限定的な例によれば、kの値を0~0.1の範囲内とすることができる。
【0103】
本願での更なる熟考によれば、これに限られるものではないがレンズ及びアパーチャを初め、光学システム内の多くの光学素子が円状とされる。従って、照明視野絞り502にて円形視野絞りアパーチャ504を利用することが、実用上、望ましかろう。
【0104】
図5Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、円形尺の視野絞りアパーチャ504を有していて照明路118の視野面506内に所在する、照明視野絞り502の模式図である。
図5Dは本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測面308の模式図であり、長方形のセンサを有する検出器124の投射像508と、
図5Cの円形視野絞りアパーチャ504の投射像510とが記されている。ある実施形態では、視野絞りアパーチャ504が、長方形の検出器124の最大隅部半径に対応する半径r
f=(a
2+b
2)
1/2を有する円状となるよう、設計される。この構成によれば、照明視野絞り502内に旧来的な円形視野絞りアパーチャ504を収めることができる。
【0105】
引き続き、センサがn×m個の正方形画素を有していてその画素ピッチがlpである上掲の例によれば、円形視野絞りアパーチャ504の半径rfを、
rf=(a2+b2)1/2・(Magill/Magcoll)・(lp/2)(1+k) (3)
の如く決定することができる。
【0106】
次に参照する
図6には、照明路118の照明瞳面606内に所在する中央瞳掩蔽器604を伴う照明瞳絞り602を用いたスプリアス反射軽減が、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いより詳細に記述されている。
【0107】
本願での熟考によれば、
図4に描かれている第3ノイズ路408に沿った光、即ち検出器視野306内で埋込計量ターゲット104を通過し標本106の下面406で反射され検出器視野306を通じ逆伝搬された光を、適切にサイズ設定及び形状設定された中央瞳掩蔽器604を有していて照明路118上に所在している照明瞳絞り602により、軽減することができる。中央瞳掩蔽器604にて、第3ノイズ路408に係り照明源114からもたらされる直交及び近直交照明116を阻止し、標本106に届かないようにすることができる。中央瞳掩蔽器604にて、付加的に、第1ノイズ路402に沿った光や標本106の外面からのスプリアス反射を阻止し、検出器に届かないようにすることができる。
【0108】
図6は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、照明路118上に所在する中央瞳掩蔽器604を伴う照明瞳絞り602の模式図である。
【0109】
ある実施形態では、照明路118に、本願既述の照明視野絞り502と、中央瞳掩蔽器604付の照明瞳絞り602とが、共に設けられる。この構成では、中央瞳掩蔽器604を、視野絞りアパーチャ504のサイズ及び形状(例.検出器視野306に対応するそれ)、第2基板204bの厚み(より一般には標本106の埋込計量ターゲット104・下面406間厚み)、照明源114からの照明116の波長(群)に対応する第2基板204bの屈折率n、或いは第1基板204aの厚み、といった既知値に基づきサイズ設定することができる。例えば、中央瞳掩蔽器604のサイズを表す数値開口(NA)を、
NAobscuration=n・sin(atan(rf/W))・(1-k) (4)
の如く決定することができる。但し、nは第1基板204aの屈折率、rfは視野絞りアパーチャ504を計測面308に投射したものの半径、Wは第2基板204bの厚み、kは公差因数である。例えば、k=0であり且つその掩蔽器のNAが計算値より大きいときに、外面からの全ての反射を阻止することができる。他方、k=0.3なる値であれば、視野絞りアパーチャ504のサイズに関し30%公差が許容されうる。
【0110】
上掲の等式(1)~(3)で以て記述されている通り、本願での熟考によれば、中央瞳掩蔽器604のサイズを完全に定めること、即ち低角度光が計測面308における検出器視野306内を通過し標本106の下面406で反射され検出器視野306内を再通過するのを阻止することが、これに限られるものではないが
図4に描かれている第3ノイズ路408等のスプリアス反射を阻止する上で、最も効果的であろう。しかしながら、(例.kが非ゼロ値であることとの関連で)完全整合から僅かにずれていてもなお、多くのスプリアス反射の効果的阻止を果たせるのであり、埋込計量ターゲット104の画像又は関連する計量計測結果におけるノイズ低減上、総じて有効たりうる。従って、ご理解頂ける通り、本件開示は特定値又は値域のkにより限定されるものではない。ある非限定的な例によれば、kの値を0~0.3の範囲内とすることができる。別の非限定的な例によれば、kの値を0~0.4の範囲内とすることができる。
【0111】
加えて、中央瞳掩蔽器604の形状を、これは必須ではないが、視野絞りアパーチャ504の形状と整合させることができる。例えば、中央瞳掩蔽器604を円形とすることで、(例.上掲の等式(4)との関連で記述した如く)円形視野絞りアパーチャ504と整合させることができる。別例によれば、中央瞳掩蔽器604を長方形とすることで、長方形視野絞りアパーチャ504と整合させることができる。別例によれば、中央瞳掩蔽器604を長方形、視野絞りアパーチャ504を円形とすることができる。別例によれば、中央瞳掩蔽器604を円形、視野絞りアパーチャ504を長方形とすることができる。
【0112】
また、ある実施形態では、照明路118に、本願既述の照明視野絞り502ではなく中央瞳掩蔽器604付の照明瞳絞り602が設けられる。この構成では、中央瞳掩蔽器604を、計測面308における検出器視野306のサイズ及び形状といった既知値に基づき、サイズ設定することができる。本願での熟考によれば、この構成では埋込計量ターゲット104以外の面からのスプリアス反射のうち少なくとも幾ばくかを阻止できる反面、照明視野絞り502がない照明瞳絞り602の実効性が、計測面308における照明116の視野のサイズにより左右されうる。
【0113】
次に参照する
図7はフロー図であり、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る埋込計量ターゲット計量方法700にて実行される諸ステップが描かれている。出願人の注記によれば、システム100の文脈に沿い本願にてこれまで述べてきた諸実施形態及びその実現テクノロジが本方法700に敷衍されるものと、解されるべきである。とはいえ、更なる注記によれば、本方法700はその構成のシステム100に限定されない。
【0114】
ある実施形態に係る方法700は、埋込計量ターゲットを照明するステップ702を有するものであり、但し、そのターゲットに対する照明を、その計量ターゲットに対応する計測面上でのその視野絞りアパーチャの投射サイズがその計測面における撮像型検出器の視野と整合するよう視野絞りアパーチャを用い仕立て、その照明を更に、遮断角未満の角度の照明が阻止されるよう中央掩蔽器付照明瞳を用い仕立てるものとし、その遮断角を、照明がその標本の上面及び下面のうち少なくとも一方にて反射されその検出器に達することが妨げられるよう選定されたものとする。例えば、照明路118に所在しており視野絞りアパーチャ504を伴う照明視野絞り502を用い照明を仕立てることで、埋込計量ターゲット104に対応する計測面308上での視野絞りアパーチャ504の投射サイズを、本願既述の通り検出器視野306と整合させることができる。この構成によれば、ステップ702にて、これに限られるものではないが
図4との関連で記述した第1ノイズ路402及び第2ノイズ路404におけるそれらを初め、スプリアス反射を軽減することができる。更に、照明路118に所在しており中央瞳掩蔽器604を伴う照明瞳絞り602を用い照明を仕立てることで、本願既述の通り指定遮断角未満の角度の照明が阻止されるようにすることができる。この構成によれば、ステップ702にて、これに限られるものではないが
図4との関連で記述した第3ノイズ路408又は第1ノイズ路402におけるそれらを初め、スプリアス反射を軽減することができる。このテイラード照明(仕立て照明)の結果、もたらされる集光光(例.標本光122)を、信号路302のものに限定することができる。
【0115】
また、ある実施形態に係る方法700は、その撮像型検出器上でその計量ターゲットの画像を1枚又は複数枚生成するステップ704を有する。例えば、ステップ704にて、視野面像(例.埋込計量ターゲット104に対し共役な視野面に所在する検出器124を用い生成されるそれ)、或いは瞳面像(例.埋込計量ターゲット104からの光の角度分布を捉えるべく瞳面に配置された検出器124を用い生成されるそれ)を、何らかの組合せで生成することができる。更に、それらの画像の生成には、これに限られるものではないが明視野撮像等、本件技術分野で既知なあらゆる種類のイメージング技術を用いることができる。
【0116】
また、ある実施形態に係る方法700は、その1枚又は複数枚の画像に基づきその標本の計量計測結果を1個又は複数個生成するステップ706を有する。例えば、その1個又は複数個の計量計測結果を、これに限られるものではないが1個又は複数個のオーバレイ計測結果を含むものとすることができる。具体的には、その標本を、2枚の基板を界面にて一体接合することで形成された接合標本とし、埋込計量ターゲットを、どちらの基板側のフィーチャも入っているものとすることができる。従って、その1枚又は複数枚の画像に基づく計量計測結果により、それら2枚の基板の相対的アライメント即ちミスアライメントの指示値を提供することができる。
【0117】
また、ある実施形態によれば、
図7には示さないが、方法700に、ステップ704における1枚又は複数枚の画像の生成に先立ち計測面に計量ターゲットを位置決めするステップを、含めることができる。例えば、本方法にて、埋込計量ターゲット104の位置が検出及び/又は監視され、計測ツールにおける埋込計量ターゲット104の位置が調整されるように、することができる。更に、本方法700における埋込計量ターゲット104の位置の検出及び/又は監視には、これに限られるものではないが
図1C~
図1Lに描かれているリニクインタフェロメトリ技術を初め、本件技術分野で既知なあらゆる技術を用いることができる。
【0118】
本願記載の主題は、諸部材が他部材内に組み込まれ又は他部材に接続・連結された態で描出されている。理解し得るように、その種の図示構成は単なる例示であり、実のところは、他の多くの構成を実施し同じ機能を実現することが可能である。概念的には、どのような部材配置であれ同じ機能を実現しうる部材配置では、それらの部材が、その所望機能が実現されるよう有効に「連携」しているのである。従って、本願中の何れの二部材であれ特定機能を実現すべく組み合わされているものは、その所望機能が実現されるよう互いに「連携」していると見なせるのであり、構成や介在部材の如何は問われない。同様に、何れの二部材であれそのように連携しているものはその所望機能を実現すべく互いに「接続・連結され」又は「結合され」ているとも見ることができ、また何れの二部材であれそのように連携させうるものはその所望機能を実現すべく互いに「結合可能」であるとも見ることができる。結合可能、の具体例としては、これに限られないが、部材同士が物理的に相互作用可能であり及び/又は物理的に相互作用すること、及び/又は部材同士が無線的に相互作用可能であり及び/又は無線的に相互作用すること、及び/又は部材同士が論理的に相互作用可能であり及び/又は論理的に相互作用することがある。
【0119】
本件開示及びそれに付随する長所の多くについては前掲の記述により理解し得るであろうし、開示されている主題から離隔することなく或いはその主要な長所全てを損なうことなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な改変を施せることも明らかであろう。述べられている形態は単なる説明用のものであり、後掲の特許請求の範囲の意図はそうした改変を包括、包含することにある。更に、本発明を定義しているのは別項の特許請求の範囲である。
【国際調査報告】