(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】例えばうつ病の治療方法において使用するためのGPR139拮抗薬としての3-((1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-6’-(フェニル)-2H-(1,2’-ビピリジン)-2-オン誘導体および関連化合物
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20230627BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20230627BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20230627BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20230627BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20230627BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20230627BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20230627BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20230627BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20230627BHJP
C07D 413/14 20060101ALI20230627BHJP
C07D 405/14 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20230627BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61P25/24
A61P25/28
A61P25/18
A61P25/36
A61P25/20
A61P25/04
A61P29/00
A61P25/14
C07D413/14
C07D405/14
A61K31/444
A61K31/5377
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022570532
(86)(22)【出願日】2021-05-20
(85)【翻訳文提出日】2023-01-16
(86)【国際出願番号】 IB2021000337
(87)【国際公開番号】W WO2021234451
(87)【国際公開日】2021-11-25
(31)【優先権主張番号】P 2020090111
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002934
【氏名又は名称】武田薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】蓮井 智章
(72)【発明者】
【氏名】味上 達
(72)【発明者】
【氏名】山下 徹
(72)【発明者】
【氏名】中村 信二
(72)【発明者】
【氏名】森本 真二
(72)【発明者】
【氏名】今枝 稔博
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼見 和明
(72)【発明者】
【氏名】大仁 將揮
(72)【発明者】
【氏名】筧 広行
(72)【発明者】
【氏名】中村 実
(72)【発明者】
【氏名】山口 扶美恵
(72)【発明者】
【氏名】王 春翔
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼嶋 幸恵
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 信
(72)【発明者】
【氏名】大黒 裕哉
(72)【発明者】
【氏名】池田 周平
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA03
4C063AA05
4C063BB03
4C063BB10
4C063CC22
4C063CC54
4C063CC79
4C063DD12
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086BC73
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZB11
4C086ZC39
(57)【要約】
本発明は、式(I)の化合物に言及する。本発明はまた、例えば、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害等の医学的治療方法において、Gタンパク質共役受容体139(GPR139)拮抗薬として使用するための式(I)の化合物に関する。例示的な化合物は、例えば、3-((1H-ピラゾール-4-イル)メチル)-6’-(フェニル)-2H-(1,2’-ビピリジン)-2-オン誘導体および関連化合物である。本明細書は、例示的化合物の合成および特徴付け、その薬理学的データ、ならびに本発明の化合物を含む例示的な錠剤製剤を開示する(例えば、83頁~110頁、実施例1~33、参照例1、試験例1および2、表1~4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
【化73】
または薬学的に許容されるその塩[式中、
R
1は、
【化74】
であり、
環A
1は、さらに置換されていてもよい6員芳香環から選ばれ、
環A
2は、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環から選ばれ、
環Bは、ハロゲン原子および置換されていてもよいC
1-6基から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン環から選ばれ、
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子および置換基から選ばれ、
R
4aおよびR
4bは、それぞれ独立して、置換基から選ばれ、
環Cは、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環から選ばれる。]。
【請求項2】
前記化合物が、式(I’)の化合物
【化75】
および薬学的に許容されるその塩から選ばれる、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容される塩[式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、CHまたはNであり、
Zは、結合、-O-、-OR
9a-
*、-NH-、および-N(R
9b)R
9a-
*から選ばれ、ここで
*は、環Dとの結合点を示し、
環Cは、5員単環式芳香族複素環から選ばれ、
環Dは、6ないし8員芳香環、5ないし8員単環式芳香族複素環、C
3-8シクロアルキル基、および5ないし8員複素環基から選ばれ、
各R
7aは、独立して、シアノ、ハロゲン、C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここで前記C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
各R
8aは、独立して、ハロゲン、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここで前記C
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
R
9aは、C
1-3アルキル基から選ばれ、
R
9bは、水素原子およびC
1-3アルキル基から選ばれ、
各R
10aは、独立して、ハロゲン原子およびC
1-3アルキル基から選ばれ、
各R
11aは、独立して、C
1-3アルキル基から選ばれ、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、0、1、2、または3であり、
oは、0、1、または2であり、
pは、0、1、または2である。]。
【請求項3】
【化76】
が、
【化77】
(式中、Z、R
7a、R
8a、m、およびnは、請求項2に定義される通りである。)
である、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Zが、結合、-O-、-NH-、-NHCH
2-
*、および-N(CH
3)CH
2-
*から選ばれる、請求項2または3に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項5】
Zが結合である、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Zが-O-である、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項7】
Zが-NHCH
2-
*である、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項8】
Zが-N(CH
3)CH
2-
*である、請求項2~4のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項9】
【化78】
が、
【化79】
(式中、X、Y、環D、R
7a、R
8a、m、およびnは、請求項2に定義される通りである。)
である、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項10】
環Dが、ベンゼン、モルホリン、オキサン、ピペリジン、およびシクロブタンから選ばれる、請求項2~9のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項11】
【化80】
が、
【化81】
(式中、X、Y、R
7a、R
8a、m、およびnは、請求項2に定義される通りである。)
である、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項12】
XがCHである、請求項2~11のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項13】
XがNである、請求項2~11のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項14】
YがCHである、請求項2~13のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項15】
YがNである、請求項2~13のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項16】
【化82】
が、
【化83】
(式中、X、R
7a、R
8a、m、およびnは、請求項2に定義される通りである。)
である、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項17】
【化84】
が、
【化85】
(式中、X、R
7a、R
8a、m、およびnは、請求項2に定義される通りである。)
である、請求項2に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項18】
XがCHである、請求項16または17に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項19】
XがNである、請求項16または17に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項20】
R
2およびR
3が、共に水素原子である、請求項2~12のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項21】
環Cが、
【化86】
である、請求項2~20のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項22】
環Cが、
【化87】
である、請求項2~21のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項23】
各R
7aが、独立して、ハロゲン、C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここで前記C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよい、請求項2~22のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項24】
oが1であり、R
10aがメチルである、請求項2~23のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項25】
oが1であり、R
10aがフッ素原子である、請求項2~23のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項26】
oが0である、請求項2~23のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項27】
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-4’-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル;
4’-(2,2-ジフルオロエトキシ)-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-6-メチル-2-オキソ-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル;
4’-(ジフルオロメチル)-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-6’-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-5’-メチル-6’-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン;
6’-[2-(ジフルオロメチル)モルホリン-4-イル]-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-4-メチル-6’-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-5-メチル-6’-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-6’-[(オキサン-4-イル)オキシ]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-[4-{[(1-フルオロシクロブチル)メチル]アミノ}-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-[4-{[(3,3-ジフルオロシクロブチル)メチル]アミノ}-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル]-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-[4-{[(3,3-ジフルオロシクロブチル)メチル](メチル)アミノ}-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル]-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-[4-{[(1-フルオロシクロブチル)メチル](メチル)アミノ}-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-[3-シクロプロピル-5-(2,2-ジメチルモルホリン-4-イル)-2-フルオロフェニル]-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(オキサン-4-イル)オキシ]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-ブロモ-2-フルオロ-5-[(オキサン-4-イル)オキシ]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメトキシ)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-{[1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]メチル}ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-4-フルオロピリジン-2(1H)-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(プロパン-2-イル)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-メチルピリジン-2(1H)-オン;
1-[3-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-フルオロフェニル]-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-フルオロピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-5-メチルピリジン-2(1H)-オン;および
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-4-メチルピリジン-2(1H)-オン
から選ばれる化合物または前記化合物のいずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物または薬学的に許容される塩、および
少なくとも1種の薬学的に許容される担体
を含む、医薬組成物。
【請求項29】
それを必要とする哺乳動物の疾患を治療または予防する方法であって、前記哺乳動物に、請求項1~27のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物または薬学的に許容される塩を投与する工程を含む、方法。
【請求項30】
前記疾患が、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害から選ばれる、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記哺乳動物がヒトである、請求項28または29に記載の方法。
【請求項32】
前記哺乳動物に、少なくとも1種の併用薬物を投与する工程をさらに含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年5月22日出願の特願2020-090111の優先権の利益を主張するものであり、その内容はそれら全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、Gタンパク質共役受容体(GPR)139受容体拮抗作用を示し、GPR139媒介性疾患、例えばうつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害を治療または予防するのに有用であると期待される複素環化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
GPR139は、GsおよびGqタンパク質と共役しているオーファンGタンパク質共役受容体である(Journal of Biomolecular Screen 2009 14:789-797、Biochemical and Biophysical Research Communications 331 (2005) 363-369)。GPR139のタンパク質配列は、異なる種の間で高度に保存されている。例えば、ヒト、マウス、およびラットGPR139のタンパク質配列は、アミノ酸レベルにおいて94%超の同一性を共有している。加えて、GPR139の発現は、中枢神経系、特に線条体、中隔野、視床下部および手綱核において高く、末梢組織では低い。脳における異なる種にわたる高度の配列相同性および優勢な発現は、GPR139が生理学において重要な役割を演じていることを示唆している。
【0004】
GPR139遺伝子の変異は、統合失調症、自閉症スペクトル障害、注意欠陥多動性障害などの精神疾患で報告された(Twin Research and Human Genetics 2014 Apr;17(2):108-120、Nature Genetics 2011 Jun;43(6):585-589、Twin Research and Human Genetics 2013 Apr;16(2):560-574)。また、GPR139が高度に発現する脳領域の1つである手綱核は、ストレス応答および学習を調節することが知られており、うつ病患者の手綱核が過剰活性化していると考えられている。治療抵抗性の精神症状を併発するうつ病患者の症例では、深部脳刺激(DBS)を用いて手綱核に強力な刺激を与えると、うつ病症状を評価するHAMD21スコアが改善することが報告された(Biol Psychiatry 2010 67:e9-e11)。さらに、20名の治療抵抗性うつ病患者において、ケタミン投与後に神経活動が変化する脳領域を陽電子放出断層撮影(PET)によって調べたところ、手綱核などの脳領域において神経活動を反映するグルコース代謝が抑制され、うつ病症状が改善した(Biol Psychiatry 2013 73(12:1213-1221))。動物試験では、ケタミンを手綱核に直接投与することにより、手綱核の神経活動が抑制され、無快楽症様行動の改善が認められた(Nature 2018 554(7692):317-322)。まとめると、これらの結果は、GPR139活性が手綱核の神経活動に影響を与え、中枢神経機能または精神神経状態を劇的に変え得ることを示唆している。
【0005】
GPR139受容体の拮抗薬(インバースアゴニストを含む)は、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害等のCNS障害を治療するのに有用となり得る。したがって、GPR139受容体拮抗作用(逆作動作用を含む)を示す新規な化合物が必要である。
ある特定の複素環化合物は、GPR139受容体の拮抗薬として有用となり得る。一クラスの複素環化合物、6-(4H-1,2,4-トリアゾール-4-イル)-2(1H)-ピリジノンの誘導体を合成する方法は、既に説明されている(Synthetic Communication 43:9, 1250-1262, 2013)。
【化1】
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Journal of Biomolecular Screen 2009 14:789-797
【非特許文献2】Biochemical and Biophysical Research Communications 331 (2005)
【非特許文献3】Twin Research and Human Genetics 2014 Apr;17(2):108-120
【非特許文献4】Nature Genetics 2011 Jun;43(6):585-589
【非特許文献5】Twin Research and Human Genetics 2013 Apr;16(2):560-574
【非特許文献6】Biol Psychiatry 2010 67:e9-e11
【非特許文献7】Biol Psychiatry 2013 73(12):1213-1221
【非特許文献8】Nature 2018 554(7692):317-322
【非特許文献9】Synthetic Communication 43:9, 1250-1262, 2013
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害などの治療または予防に有用となり得る、GPR139受容体拮抗作用を示す化合物が開示される。
【0008】
本明細書中、式(I)の化合物(以下、化合物(I)ともいう。)
【化2】
または薬学的に許容されるその塩が開示される[式中、
R
1は、
【化3】
であり、
環A
1は、さらに置換されていてもよい6員芳香環から選ばれ、
環A
2は、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環から選ばれ、
環Bは、ハロゲン原子および置換されていてもよいC
1-6基から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン環から選ばれ、
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子および置換基から選ばれ、
R
4aおよびR
4bは、それぞれ独立して、置換基から選ばれ、
環Cは、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環から選ばれる。]。
【0009】
一部の実施態様において、R
1は、
【化4】
である。
【0010】
一部の実施態様において、R
1は、
【化5】
である[式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、CHまたはNであり、
Zは、結合、-O-、-OR
9a-
*、-NH-、および-N(R
9b)R
9a-
*から選ばれ、ここで
*は、環Dとの結合点を示し、
環Dは、6ないし8員芳香環、5ないし8員単環式芳香族複素環、C
3-8シクロアルキル基、および5ないし8員複素環基から選ばれ、
各R
7aは、独立して、シアノ、ハロゲン、C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここでC
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
各R
8aは、独立して、ハロゲン、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここでC
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
R
9aは、C
1-3アルキル基から選ばれ、
R
9bは、水素原子およびC
1-3アルキル基から選ばれ、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、0、1、2、または3である。]。
【0011】
一部の実施態様において、Zは、結合、-O-、-NH-、-NHCH2-*、および-N(CH3)CH2-*から選ばれ、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0012】
一部の実施態様において、Zは結合であり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、Zは-O-であり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、Zは-NH-であり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、Zは-NHCH2-*であり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、Zは-N(CH3)CH2-*であり、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0013】
一部の実施態様において、XはNであり、YはCHであり、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0014】
一部の実施態様において、XはNであり、YはNであり、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0015】
一部の実施態様において、XはCHであり、YはCHであり、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0016】
一部の実施態様において、環Dは、ベンゼン、モルホリン、オキサン、ピペリジン、およびシクロブタンから選ばれ、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0017】
一部の実施態様において、環Dはベンゼンであり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、環Dはモルホリンであり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、環Dはオキサンであり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、環Dはピペリジンであり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、環Dはシクロブタンであり、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0018】
一部の実施態様において、R
1は、
【化6】
(式中、X、Y、環D、R
7a、R
8a、m、およびnは、前記と同義である。)である。
【0019】
一部の実施態様において、XはNであり、YはCHであり、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0020】
一部の実施態様において、XはNであり、YはNであり、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0021】
一部の実施態様において、XはCHであり、YはCHであり、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0022】
一部の実施態様において、環Dは、ベンゼン、モルホリン、オキサン、ピペリジン、およびシクロブタンから選ばれ、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0023】
一部の実施態様において、環Dはベンゼンであり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、環Dはモルホリンであり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、環Dはオキサンであり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、環Dはピペリジンであり、すべての他の変数は、前記と同義である。一部の実施態様において、環Dはシクロブタンであり、すべての他の変数は、前記と同義である。
【0024】
一部の実施態様において、R
1は、
【化7】
(式中、R
7a、R
8a、m、およびnは、前記と同義である。)である。
【0025】
一部の実施態様において、R
1は、
【化8】
(式中、R
7aおよびnは、前記と同義である。)である。
【0026】
一部の実施態様において、R
1は、
【化9】
(式中、X、R
7a、R
8a、m、およびnは、前記と同義である。)である。一部の実施態様において、XはCHである。一部の実施態様において、XはNである。
【0027】
一部の実施態様において、R
1は、
【化10】
(式中、X、R
7a、R
8a、m、およびnは、前記と同義である。)である。一部の実施態様において、XはCHである。
【0028】
一部の実施態様において、R
1は、
【化11】
(式中、X、Y、R
7a、R
8a、m、およびnは、前記と同義である。)である。一部の実施態様において、XはNであり、YはCHである。
【0029】
一部の実施態様において、R
1は、
【化12】
(式中、Z、R
7a、R
8a、m、およびnは、前記と同義である。)である。一部の実施態様において、Zは-NHCH
2-
*である。一部の実施態様において、Zは-N(CH
3)CH
2-
*である。
【0030】
一部の実施態様において、R
1は、
【化13】
(式中、
各R
7aは、独立して、シアノ、ハロゲン、C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここでC
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
各R
8aは、独立して、ハロゲン原子、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここでC
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、0、1、2、または3である。)
である。
【0031】
一部の実施態様において、各R7aは、独立して、シアノ、ハロゲン、C1-6アルキル、およびC1-6アルコキシ基から選ばれ、ここでC1-6アルキルおよびC1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、各R8aは、独立して、ハロゲン原子およびC1-6アルキル基から選ばれ、ここでC1-6アルキル基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、mは、0、1、2、または3であり、nは、0、1、2、または3である。
【0032】
一部の実施態様において、R
1は、
【化14】
(式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、CHまたはNであり、
各R
7aは、独立して、ハロゲン、C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここでC
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
各R
8aは、独立して、ハロゲン原子、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここでC
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、0、1、2、または3である。)
である。
【0033】
一部の実施態様において、R
1は、
【化15】
である。
【0034】
一部の実施態様において、環Bは、
【化16】
(式中、
各R
10aは、独立して、ハロゲン原子およびC
1-3アルキル基から選ばれ、
oは、0、1、または2である。)
である。
【0035】
一部の実施態様において、oは0である。
【0036】
一部の実施態様において、oは1であり、R10aは、フッ素原子またはメチルである。
【0037】
一部の実施態様において、oは2であり、各R10aは、独立して、フッ素原子およびメチルから選ばれる。
【0038】
一部の実施態様において、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素およびC1-3アルキル基から選ばれる。一部の実施態様において、R2およびR3は、共に水素原子である。
【0039】
一部の実施態様において、環Cは、
【化17】
(式中、各R
11aは、独立して、C
1-3アルキル基から選ばれ、pは、0、1、または2である。)である。
【0040】
一部の実施態様において、環Cは、
【化18】
(式中、R
11aは、C
1-3アルキル基から選ばれる。)である。一部の実施態様において、R
11aはエチルである。
【0041】
一部の実施態様において、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害から選ばれる疾患の治療または予防において使用するための、式(I)の化合物および薬学的に許容されるその塩が提供される。一部の実施態様において、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害から選ばれる疾患の治療または予防において使用するための、実施例1~33から選ばれる化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0042】
また本明細書中、少なくとも1つの式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が開示される。一部の実施態様において、医薬組成物は、少なくとも1つの式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、および少なくとも1種の薬学的に許容される担体を含む。
【0043】
また本明細書中、治療法において使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩が開示される。一部の実施態様において、治療法において使用するための、実施例1~33から選ばれる化合物または薬学的に許容されるその塩が提供される。
【0044】
一部の実施態様において、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩は、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害から選ばれる疾患の治療または予防において同時に、別々に、または逐次的に使用するための、少なくとも1種の併用薬物と組み合わされる。一部の実施態様において、同時に使用される場合、化合物および少なくとも1種の併用薬物は、別々の医薬組成物である。一部の実施態様において、同時に使用される場合、化合物および少なくとも1種の併用薬物は、同じ医薬組成物に一緒にされる。一部の実施態様において、化合物は、実施例1~33および薬学的に許容されるその塩から選ばれる。
【0045】
一部の実施態様において、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害から選ばれる疾患を治療または予防する方法において使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩および併用薬物の組み合わせが提供される。一部の実施態様において、化合物および併用薬物は、同じ医薬組成物での投与のために調製される。一部の実施態様において、化合物および併用薬物は、別々の医薬組成物での投与のために調製される。一部の実施態様において、化合物および併用薬物は、同時投与のために調製される。一部の実施態様において、化合物および併用薬物は、逐次的投与のために調製される。一部の実施態様において、化合物は、実施例1~33および薬学的に許容されるその塩から選ばれる。
【0046】
また本明細書中、治療法において使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が開示される。一部の実施態様において、治療法において使用するための、実施例1~33から選ばれる化合物または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物が提供される。
【0047】
また本明細書中、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害から選ばれる疾患を治療または予防する方法であって、少なくとも1つの式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を投与する工程を含む、方法が開示される。
【0048】
本明細書中、1つまたは複数の化合物(例えば、式(I)の化合物および薬学的に許容されるその塩)を使用して治療または予防する方法(例えば、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害から選ばれる疾患を治療または予防する方法)への言及は、
例えば、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、もしくは注意欠陥多動性障害を治療および/もしくは予防する方法において使用するための1つもしくは複数の化合物、ならびに/または
例えば、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害を治療および/もしくは予防するための医薬品の製造における1つもしくは複数の化合物の使用
に言及するものと解釈されるべきであることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0049】
非限定的な例としての実施態様1
限定されるものではないが、本開示の一部の実施態様は、以下を含む。
1.式(I)で表される化合物
【化19】
またはその塩(式中、
R
1は、
【化20】
で表される基であり、
環A
1は、さらに置換されていてもよい6員芳香環であり、
環A
2は、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環であり、
環Bは、
(1)ハロゲン原子、および
(2)置換されていてもよいC
1-6基
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン環であり、
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子または置換基であり、
R
4aおよびR
6bは、それぞれ独立して、置換基であり、
環Cは、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環である。)。
2.実施態様1による化合物または塩を含む医薬。
3.GPR139受容体拮抗薬である、実施態様2による医薬。
4.GPR139受容体インバースアゴニストである、実施態様2による医薬。
5.うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害を予防または治療するための薬物である、実施態様2による医薬。
非限定的な例としての実施態様2
【0050】
限定されるものではないが、本開示の一部の実施態様/条項は、以下を含む。
1.式(I)の化合物
【化21】
または薬学的に許容されるその塩[式中、
R
1は、
【化22】
であり、
環A
1は、さらに置換されていてもよい6員芳香環から選ばれ、
環A
2は、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環から選ばれ、
環Bは、ハロゲン原子および置換されていてもよいC
1-6基から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン環から選ばれ、
R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子および置換基から選ばれ、
R
4aおよびR
4bは、それぞれ独立して、置換基から選ばれ、
環Cは、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環から選ばれる。]。
2.化合物が、式(I’)の化合物
【化23】
および薬学的に許容されるその塩から選ばれる、条項1による化合物または薬学的に許容される塩[式中、
Xは、CHまたはNであり、
Yは、CHまたはNであり、
Zは、結合、-O-、-OR
9a-
*、-NH-、および-N(R
9b)R
9a-
*から選ばれ、ここで
*は、環Dとの結合点を示し、
環Cは、5員単環式芳香族複素環から選ばれ、
環Dは、6ないし8員芳香環、5ないし8員単環式芳香族複素環、C
3-8シクロアルキル基、および5ないし8員複素環基から選ばれ、
各R
7aは、独立して、シアノ、ハロゲン、C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここでC
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
各R
8aは、独立して、ハロゲン、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここでC
1-6アルキルおよびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
R
9aは、C
1-3アルキル基から選ばれ、
R
9bは、水素原子およびC
1-3アルキル基から選ばれ、
各R
10aは、独立して、ハロゲン原子およびC
1-3アルキル基から選ばれ、
各R
11aは、独立して、C
1-3アルキル基から選ばれ、
mは、0、1、2、または3であり、
nは、0、1、2、または3であり、
oは、0、1、または2であり、
pは、0、1、または2である。]。
3.
【化24】
が、
【化25】
(式中、Z、R
7a、R
8a、m、およびnは、条項2に定義される通りである。)である、条項2による化合物または薬学的に許容される塩。
4.Zが、結合、-O-、-NH-、-NHCH
2-
*、および-N(CH
3)CH
2-
*から選ばれる、条項2または3による化合物または薬学的に許容される塩。
5.Zが結合である、条項2~4のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
6.Zが-O-である、条項2~4のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
7.Zが-NHCH
2-
*である、条項2~4のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
8.Zが-N(CH
3)CH
2-
*である、条項2~4のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
9.
【化26】
が、
【化27】
(式中、X、Y、環D、R
7a、R
8a、m、およびnは、条項2に定義される通りである。)である、条項2による化合物または薬学的に許容される塩。
10.環Dが、ベンゼン、モルホリン、オキサン、ピペリジン、およびシクロブタンから選ばれる、条項2~9のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
11.
【化28】
が、
【化29】
(式中、X、Y、R
7a、R
8a、m、およびnは、条項2に定義される通りである。)である、条項2による化合物または薬学的に許容される塩。
12.XがCHである、条項2~11のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
13.XがNである、条項2~11のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
14.YがCHである、条項2~13のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
15.YがNである、条項2~13のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
16.
【化30】
が、
【化31】
(式中、X、R
7a、R
8a、m、およびnは、条項2に定義される通りである。)である、条項2による化合物または薬学的に許容される塩。
17.
【化32】
が、
【化33】
(式中、X、R
7a、R
8a、m、およびnは、条項2に定義される通りである。)である、条項2による化合物または薬学的に許容される塩。
18.XがCHである、条項16または17による化合物または薬学的に許容される塩。
19.XがNである、条項16または17による化合物または薬学的に許容される塩。
20.R
2およびR
3が、共に水素原子である、条項2~12のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
21.環Cが、
【化34】
である、条項2~20のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
22.環Cが、
【化35】
である、条項2~21のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
23.各R
7aが、独立して、ハロゲン、C
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基から選ばれ、ここでC
3-6シクロアルキル、C
1-6アルキル、およびC
1-6アルコキシ基は、1ないし4個のハロゲン原子で置換されていてもよい、条項2~22のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
24.oが1であり、R
10aがメチルである、条項2~23のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
25.oが1であり、R
10aがフッ素原子である、条項2~23のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
26.oが0である、条項2~23のいずれか1つによる化合物または薬学的に許容される塩。
27.
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-4’-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル;
4’-(2,2-ジフルオロエトキシ)-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-6-メチル-2-オキソ-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル;
4’-(ジフルオロメチル)-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-6’-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-5’-メチル-6’-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン;
6’-[2-(ジフルオロメチル)モルホリン-4-イル]-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-4-メチル-6’-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-5-メチル-6’-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-6’-[(オキサン-4-イル)オキシ]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-[4-{[(1-フルオロシクロブチル)メチル]アミノ}-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-[4-{[(3,3-ジフルオロシクロブチル)メチル]アミノ}-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル]-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-[4-{[(3,3-ジフルオロシクロブチル)メチル](メチル)アミノ}-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル]-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-[4-{[(1-フルオロシクロブチル)メチル](メチル)アミノ}-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-2-イル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-[3-シクロプロピル-5-(2,2-ジメチルモルホリン-4-イル)-2-フルオロフェニル]-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(オキサン-4-イル)オキシ]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-ブロモ-2-フルオロ-5-[(オキサン-4-イル)オキシ]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメトキシ)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-{[1-(プロパン-2-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]メチル}ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-4-フルオロピリジン-2(1H)-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(プロパン-2-イル)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン;
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(2,2,2-トリフルオロエチル)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-メチルピリジン-2(1H)-オン;
1-[3-(2,2-ジフルオロシクロプロピル)-5-(4,4-ジフルオロピペリジン-1-イル)-2-フルオロフェニル]-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-フルオロピリジン-2(1H)-オン;
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-5-メチルピリジン-2(1H)-オン;および
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-4-メチルピリジン-2(1H)-オン
から選ばれる化合物または前述の化合物のいずれかの薬学的に許容される塩。
28.条項1~27のいずれか1つによる少なくとも1つの化合物または薬学的に許容される塩、および
少なくとも1種の薬学的に許容される担体
を含む、医薬組成物。
29.それを必要とする哺乳動物の疾患を治療または予防する方法であって、哺乳動物に、条項1~27のいずれか1つによる少なくとも1つの化合物または薬学的に許容される塩を投与する工程を含む、方法。
30.疾患が、うつ病、アルツハイマー病、統合失調症、薬物依存症、睡眠障害、疼痛、注意欠陥多動性障害から選ばれる、条項29による方法。
31.哺乳動物がヒトである、条項28または29による方法。
32.哺乳動物に、少なくとも1種の併用薬物を投与する工程をさらに含む、条項29~31のいずれか1つによる方法。
【0051】
以下、本明細書中で用いられる各置換基の定義について詳述する。特記しない限り、各置換基は以下の定義を有する。
【0052】
本明細書中、「ハロゲン原子」の非限定的な例としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
【0053】
本明細書中、「C1-6アルキル基」の非限定的な例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1-エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチルが挙げられる。
【0054】
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基」の非限定的な例としては、例えば、1ないし7個、例えば、1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル基が挙げられる。その非限定的なさらなる例としては、例えば、メチル、クロロメチル、ジフルオロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、エチル、2-ブロモエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、2,2-ジフルオロプロピル、3,3,3-トリフルオロプロピル、イソプロピル、ブチル、4,4,4-トリフルオロブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、5,5,5-トリフルオロペンチル、ヘキシル、6,6,6-トリフルオロヘキシルが挙げられる。
【0055】
本明細書中、「C2-6アルケニル基」の非限定的な例としては、例えば、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、4-ペンテニル、4-メチル-3-ペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、5-ヘキセニルが挙げられる。
【0056】
本明細書中、「C2-6アルキニル基」の非限定的な例としては、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-ペンチニル、2-ペンチニル、3-ペンチニル、4-ペンチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル、5-ヘキシニル、4-メチル-2-ペンチニルが挙げられる。
【0057】
本明細書中、「C3-10シクロアルキル基」の非限定的な例としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、アダマンチルが挙げられる。
【0058】
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC3-10シクロアルキル基」の非限定的な例としては、例えば、1ないし7個、例えば、1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC3-10シクロアルキル基が挙げられる。その具体例としては、例えば、シクロプロピル、2,2-ジフルオロシクロプロピル、2,3-ジフルオロシクロプロピル、シクロブチル、ジフルオロシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが挙げられる。
【0059】
本明細書中、「C3-10シクロアルケニル基」の非限定的な例としては、例えば、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルが挙げられる。
【0060】
本明細書中、「C6-14アリール基」の非限定的な例としては、例えば、フェニル、1-ナフチル、1-アントリル、2-アントリル、9-アントリルが挙げられる。本明細書中、「C7-16アラルキル基」の非限定的な例としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、フェニルプロピルが挙げられる。
【0061】
本明細書中、「C1-6アルコキシ基」の非限定的な例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
【0062】
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基」の非限定的な例としては、例えば、1ないし7個、例えば、1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルコキシ基が挙げられる。その非限定的なさらなる例としては、例えば、メトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、4,4,4-トリフルオロブトキシ、イソブトキシ、sec-ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシが挙げられる。
【0063】
本明細書中、「C3-10シクロアルキルオキシ基」の非限定的な例としては、例えば、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、シクロオクチルオキシが挙げられる。
【0064】
本明細書中、「C1-6アルキルチオ基」の非限定的な例としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、sec-ブチルチオ、tert-ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
【0065】
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基」の非限定的な例としては、例えば、1ないし7個、例えば、1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキルチオ基が挙げられる。その具体例としては、例えば、メチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、4,4,4-トリフルオロブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオが挙げられる。
【0066】
本明細書中、「C1-6アルキル-カルボニル基」の非限定的な例としては、例えば、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、3-メチルブタノイル、2-メチルブタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイルが挙げられる。
【0067】
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基」の非限定的な例としては、例えば、1ないし7個、例えば、1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキル-カルボニル基が挙げられる。その非限定的なさらなる例としては、例えば、アセチル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、プロパノイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイルが挙げられる。
【0068】
本明細書中、「C1-6アルコキシ-カルボニル基」の非限定的な例としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec-ブトキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルが挙げられる。
【0069】
本明細書中、「C6-14アリール-カルボニル基」の非限定的な例としては、例えば、ベンゾイル、1-ナフトイル、2-ナフトイルが挙げられる。
【0070】
本明細書中、「C7-16アラルキル-カルボニル基」の非限定的な例としては、例えば、フェニルアセチル、フェニルプロピオニルが挙げられる。
【0071】
本明細書中、「5ないし14員芳香族複素環カルボニル基」の非限定的な例としては、例えば、ニコチノイル、イソニコチノイル、テノイル、フロイルが挙げられる。
【0072】
本明細書中、「3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基」の非限定的な例としては、例えば、モルホリニルカルボニル、ピペリジニルカルボニル、ピロリジニルカルボニルが挙げられる。
【0073】
本明細書中、「モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基」の非限定的な例としては、例えば、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、N-エチル-N-メチルカルバモイルが挙げられる。
【0074】
本明細書中、「モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基」の非限定的な例としては、例えば、ベンジルカルバモイル、フェネチルカルバモイルが挙げられる。
【0075】
本明細書中、「C1-6アルキルスルホニル基」の非限定的な例としては、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、sec-ブチルスルホニル、tert-ブチルスルホニルが挙げられる。
【0076】
本明細書中、「ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基」の非限定的な例としては、例えば、1ないし7個、例えば、1ないし5個のハロゲン原子を有していてもよいC1-6アルキルスルホニル基が挙げられる。その非限定的なさらなる例としては、例えば、メチルスルホニル、ジフルオロメチルスルホニル、トリフルオロメチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、ブチルスルホニル、4,4,4-トリフルオロブチルスルホニル、ペンチルスルホニル、ヘキシルスルホニルが挙げられる。
【0077】
本明細書中、「C6-14アリールスルホニル基」の非限定的な例としては、例えば、フェニルスルホニル、1-ナフチルスルホニル、2-ナフチルスルホニルが挙げられる。
【0078】
本明細書中、「置換基」の非限定的な例としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、アシル基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいカルバモイル基、置換されていてもよいチオカルバモイル基、置換されていてもよいスルファモイル基、置換されていてもよいヒドロキシ基、置換されていてもよいスルファニル(SH)基、置換されていてもよいシリル基が挙げられる。
【0079】
本明細書中、「炭化水素基」(「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」を含む)の非限定的な例としては、例えば、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基が挙げられる。
【0080】
本明細書中、「置換されていてもよい炭化水素基」の非限定的な例としては、例えば、置換基Aから選ばれる置換基を有していてもよい炭化水素基が挙げられる。
[置換基群A]
(1)ハロゲン原子、
(2)ニトロ基、
(3)シアノ基、
(4)オキソ基、
(5)ヒドロキシ基、
(6)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、
(7)C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフトキシ)、
(8)C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ)、
(9)5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、
(10)3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、モルホリニルオキシ、ピペリジニルオキシ)、
(11)C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例、アセトキシ、プロパノイルオキシ)、
(12)C6-14アリール-カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ、1-ナフトイルオキシ、2-ナフトイルオキシ)、
(13)C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、プロポキシカルボニルオキシ、ブトキシカルボニルオキシ)、
(14)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ、エチルカルバモイルオキシ、ジメチルカルバモイルオキシ、ジエチルカルバモイルオキシ)、
(15)C6-14アリール-カルバモイルオキシ基(例、フェニルカルバモイルオキシ、ナフチルカルバモイルオキシ)、
(16)5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、
(17)3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、モルホリニルカルボニルオキシ、ピペリジニルカルボニルオキシ)、
(18)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、トリフルオロメチルスルホニルオキシ)、
(19)C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)、
(20)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルチオ基、
(21)5ないし14員芳香族複素環基、
(22)3ないし14員非芳香族複素環基、
(23)ホルミル基、
(24)カルボキシ基、
(25)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル-カルボニル基、
(26)C6-14アリール-カルボニル基、
(27)5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、
(28)3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、
(29)C1-6アルコキシ-カルボニル基、
(30)C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、1-ナフチルオキシカルボニル、2-ナフチルオキシカルボニル)、
(31)C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、
(32)カルバモイル基、
(33)チオカルバモイル基、
(34)モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、
(35)C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、
(36)5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル、チエニルカルバモイル)、
(37)3ないし14員非芳香族複素環カルバモイル基(例、モルホリニルカルバモイル、ピペリジニルカルバモイル)、
(38)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニル基、
(39)C6-14アリールスルホニル基、
(40)5ないし14員芳香族複素環スルホニル基(例、ピリジルスルホニル、チエニルスルホニル)、
(41)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルフィニル基、
(42)C6-14アリールスルフィニル基(例、フェニルスルフィニル、1-ナフチルスルフィニル、2-ナフチルスルフィニル)、
(43)5ないし14員芳香族複素環スルフィニル基(例、ピリジルスルフィニル、チエニルスルフィニル)、
(44)アミノ基、
(45)モノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、N-エチル-N-メチルアミノ)、
(46)モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、
(47)5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、
(48)C7-16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ)、
(49)ホルミルアミノ基、
(50)C1-6アルキル-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロパノイルアミノ、ブタノイルアミノ)、
(51)(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ)、
(52)C6-14アリール-カルボニルアミノ基(例、フェニルカルボニルアミノ、ナフチルカルボニルアミノ)、
(53)C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、プロポキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、
(54)C7-16アラルキルオキシ-カルボニルアミノ基(例、ベンジルオキシカルボニルアミノ)、
(55)C1-6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、
(56)C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ、トルエンスルホニルアミノ)、
(57)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基、
(58)C2-6アルケニル基、
(59)C2-6アルキニル基、
(60)C3-10シクロアルキル基、
(61)C3-10シクロアルケニル基、および
(62)C6-14アリール基。
【0081】
「置換されていてもよい炭化水素基」における上記置換基の数は、例えば、1ないし5個、例えば、1ないし3個などである。置換基数が2個またはそれよりも多い場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0082】
本明細書中、「複素環基」(「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」を含む)の非限定的な例としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、(i)芳香族複素環基、(ii)非芳香族複素環基および(iii)7ないし10員複素架橋環基が挙げられる。
【0083】
本明細書中、「芳香族複素環基」(「5ないし14員芳香族複素環基」を含む)の非限定的な例としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(例えば、5ないし10員)の芳香族複素環基が挙げられる。
【0084】
該「芳香族複素環基」の非限定的な例としては、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルなどの5または6員単環式芳香族複素環基;ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジニル、チエノピリジニル、フルオロピリジニル、ピロロピリジニル、ピラゾロピリジニル、オキサゾロピリジニル、チアゾロピリジニル、イミダゾピラジニル、イミダゾピリミジニル、チエノピリミジニル、フルオロピリミジニル、ピロロピリミジニル、ピラゾロピリミジニル、オキサゾロピリミジニル、チアゾロピリミジニル、ピラゾロトリアジニル、ナフト[2,3-b]チエニル、フェノキサチイニル、インドリル、イソインドリル、1H-インダゾリル、プリニル、イソキノリル、キノリル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニルなどの8ないし14員縮合多環式(例えば、2または3環式など)芳香族複素環基が挙げられる。
【0085】
本明細書中、「非芳香族複素環基」(「3ないし14員非芳香族複素環基」を含む)の非限定的な例としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(例えば、4ないし10員など)の非芳香族複素環基が挙げられる。
【0086】
該「非芳香族複素環基」の非限定的な例としては、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフラニル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、テトラヒドロイソチアゾリル、テトラヒドロオキサゾリル、テトラヒドロイソオキサゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、テトラヒドロピリジニル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロピリダゾニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、アゼパニル、ジアゼパニル、アゼピニル、オキセパニル、アゾカニル、アゾカニルなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環基;ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾチアゾリル、ジヒドロベンゾイソチアゾリル、ジヒドロナフト[2,3-b]チエニル、テトラヒドロイソキノリル、テトラヒドロキノリル、4H-キノリジニル、インドリニル、イソインドリニル、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジニル、テトラヒドロベンゾアゼピニル、テトラヒドロキノキサリニル、テトラヒドロフェナントリジニル、ヘキサヒドロフェノチアジニル、ヘキサヒドロフェノキサジニル、テトラヒドロフタラジニル、テトラヒドロナフチリジニル、テトラヒドロキナゾリニル、テトラヒドロシンノリニル、テトラヒドロカルバゾリル、テトラヒドロ-β-カルボリニル、テトラヒドロアクリジニル、テトラヒドロフェナジニル、テトラヒドロチオキサンテニル、オクタヒドロイソキノリルなどの9ないし14員縮合多環式(例えば、2または3環式など)非芳香族複素環基が挙げられる。
【0087】
本明細書中、「7ないし10員複素架橋環基」の非限定的な例としては、例えば、キヌクリジニル、7-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタニルが挙げられる。
【0088】
本明細書中、「含窒素複素環基」の非限定的な例としては、例えば、「複素環基」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
【0089】
本明細書中、「置換されていてもよい複素環基」の非限定的な例としては、例えば、置換基群Aから選ばれる置換基を有していてもよい複素環基が挙げられる。「置換されていてもよい複素環基」における置換基の数は、例えば、1ないし3個である。置換基数が2個またはそれよりも多い場合、各置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0090】
本明細書中、「アシル基」の非限定的な例としては、例えば、ハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、およびカルバモイル基から選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10シクロアルケニル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、5ないし14員芳香族複素環基および3ないし14員非芳香族複素環基から選ばれる1または2個の置換基をそれぞれ有していてもよい、ホルミル基、カルボキシ基、チオカルバモイル基、スルフィノ基、スルホ基、スルファモイル基、ホスホノ基が挙げられる。アシル基のさらなる非限定的な例としては、例えば、炭化水素-スルホニル基、複素環-スルホニル基、炭化水素-スルフィニル基、複素環-スルフィニル基も挙げられる。
【0091】
本明細書で使用される場合、炭化水素-スルホニル基とは、炭化水素基が結合したスルホニル基を、複素環-スルホニル基とは、複素環基が結合したスルホニル基を、炭化水素-スルフィニル基とは、炭化水素基が結合したスルフィニル基を、複素環-スルフィニル基とは、複素環基が結合したスルフィニル基を意味する。
【0092】
加えて、「アシル基」の非限定的な例としては、さらに、ホルミル基、カルボキシ基、C1-6アルキル-カルボニル基、C2-6アルケニル-カルボニル基(例、クロトノイル)、C3-10シクロアルキル-カルボニル基(例、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル、シクロヘプタンカルボニル)、C3-10シクロアルケニル-カルボニル基(例、2-シクロヘキセンカルボニル)、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、C6-14アリールオキシ-カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル)、C7-16アラルキルオキシ-カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル)、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)、チオカルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)、スルフィノ基、C1-6アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル)、スルホ基、C1-6アルキルスルホニル基、C6-14アリールスルホニル基、ホスホノ基、モノ-またはジ-C1-6アルキルホスホノ基(例、ジメチルホスホノ、ジエチルホスホノ、ジイソプロピルホスホノ、ジブチルホスホノ)が挙げられる。
【0093】
本明細書中、「置換されていてもよいアミノ基」の非限定的な例としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルスルホニル基およびC6-14アリールスルホニル基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいアミノ基が挙げられる。
【0094】
置換されていてもよいアミノ基の非限定的な例としては、アミノ基、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル)アミノ基(例、メチルアミノ、トリフルオロメチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、プロピルアミノ、ジブチルアミノ)、モノ-またはジ-C2-6アルケニルアミノ基(例、ジアリルアミノ)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキルアミノ基(例、シクロプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリールアミノ基(例、フェニルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキルアミノ基(例、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ)、モノ-またはジ-(ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル)-カルボニルアミノ基(例、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル基(例、ベンゾイルアミノ)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルボニルアミノ基(例、ベンジルカルボニルアミノ)、モノ-またはジ-5ないし14員芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ニコチノイルアミノ、イソニコチノイルアミノ)、モノ-またはジ-3ないし14員非芳香族複素環カルボニルアミノ基(例、ピペリジニルカルボニルアミノ)、モノ-またはジ-C1-6アルコキシ-カルボニルアミノ基(例、tert-ブトキシカルボニルアミノ)、5ないし14員芳香族複素環アミノ基(例、ピリジルアミノ)、カルバモイルアミノ基、(モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル)アミノ基(例、メチルカルバモイルアミノ)、(モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル)アミノ基(例、ベンジルカルバモイルアミノ)、C1-6アルキルスルホニルアミノ基(例、メチルスルホニルアミノ、エチルスルホニルアミノ)、C6-14アリールスルホニルアミノ基(例、フェニルスルホニルアミノ)、(C1-6アルキル)(C1-6アルキル-カルボニル)アミノ基(例、N-アセチル-N-メチルアミノ)、(C1-6アルキル)(C6-14アリール-カルボニル)アミノ基(例、N-ベンゾイル-N-メチルアミノ)基が挙げられる。
【0095】
本明細書中、「置換されていてもよいカルバモイル基」の非限定的な例としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいカルバモイル基が挙げられる。
【0096】
例示的に、置換されていてもよいカルバモイル基の非限定的な例としては、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-カルバモイル基(例、ジアリルカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-カルバモイル基(例、シクロプロピルカルバモイル、シクロヘキシルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-カルバモイル基(例、アセチルカルバモイル、プロピオニルカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-カルバモイル基(例、ベンゾイルカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環カルバモイル基(例、ピリジルカルバモイル)が挙げられる。
【0097】
本明細書中、「置換されていてもよいチオカルバモイル基」の非限定的な例としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいチオカルバモイル基が挙げられる。
【0098】
例示的に、置換されていてもよいチオカルバモイル基の非限定的な例としては、チオカルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-チオカルバモイル基(例、メチルチオカルバモイル、エチルチオカルバモイル、ジメチルチオカルバモイル、ジエチルチオカルバモイル、N-エチル-N-メチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-チオカルバモイル基(例、ジアリルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-チオカルバモイル基(例、シクロプロピルチオカルバモイル、シクロヘキシルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-チオカルバモイル基(例、フェニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-チオカルバモイル基(例、ベンジルチオカルバモイル、フェネチルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-チオカルバモイル基(例、アセチルチオカルバモイル、プロピオニルチオカルバモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-チオカルバモイル基(例、ベンゾイルチオカルバモイル)、5ないし14員芳香族複素環チオカルバモイル基(例、ピリジルチオカルバモイル)が挙げられる。
【0099】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファモイル基」の非限定的な例としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基およびモノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基から選ばれる1または2個の置換基を有していてもよいスルファモイル基が挙げられる。
【0100】
例示的に、置換されていてもよいスルファモイル基の非限定的な例としては、スルファモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-スルファモイル基(例、メチルスルファモイル、エチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、ジエチルスルファモイル、N-エチル-N-メチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C2-6アルケニル-スルファモイル基(例、ジアリルスルファモイル)、モノ-またはジ-C3-10シクロアルキル-スルファモイル基(例、シクロプロピルスルファモイル、シクロヘキシルスルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-スルファモイル基(例、フェニルスルファモイル)、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-スルファモイル基(例、ベンジルスルファモイル、フェネチルスルファモイル)、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルボニル-スルファモイル基(例、アセチルスルファモイル、プロピオニルスルファモイル)、モノ-またはジ-C6-14アリール-カルボニル-スルファモイル基(例、ベンゾイルスルファモイル)、5ないし14員芳香族複素環スルファモイル基(例、ピリジルスルファモイル)が挙げられる。
【0101】
本明細書中、「置換されていてもよいヒドロキシ基」の非限定的な例としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基、C7-16アラルキル-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環カルボニル基、3ないし14員非芳香族複素環カルボニル基、C1-6アルコキシ-カルボニル基、5ないし14員芳香族複素環基、カルバモイル基、モノ-またはジ-C1-6アルキル-カルバモイル基、モノ-またはジ-C7-16アラルキル-カルバモイル基、C1-6アルキルスルホニル基およびC6-14アリールスルホニル基から選ばれる置換基を有していてもよいヒドロキシ基が挙げられる。
【0102】
例示的に、置換されていてもよいヒドロキシ基の非限定的な例としては、ヒドロキシ基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基(例、アリルオキシ、2-ブテニルオキシ、2-ペンテニルオキシ、3-ヘキセニルオキシ)、C3-10シクロアルキルオキシ基(例、シクロヘキシルオキシ)、C6-14アリールオキシ基(例、フェノキシ、ナフチルオキシ)、C7-16アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ)、C1-6アルキル-カルボニルオキシ基(例、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、ピバロイルオキシ)、C6-14アリール-カルボニルオキシ基(例、ベンゾイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルボニルオキシ基(例、ベンジルカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ニコチノイルオキシ)、3ないし14員非芳香族複素環カルボニルオキシ基(例、ピペリジニルカルボニルオキシ)、C1-6アルコキシ-カルボニルオキシ基(例、tert-ブトキシカルボニルオキシ)、5ないし14員芳香族複素環オキシ基(例、ピリジルオキシ)、カルバモイルオキシ基、C1-6アルキル-カルバモイルオキシ基(例、メチルカルバモイルオキシ)、C7-16アラルキル-カルバモイルオキシ基(例、ベンジルカルバモイルオキシ)、C1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メチルスルホニルオキシ、エチルスルホニルオキシ)、C6-14アリールスルホニルオキシ基(例、フェニルスルホニルオキシ)が挙げられる。
【0103】
本明細書中、「置換されていてもよいスルファニル基」の非限定的な例としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C7-16アラルキル基、C1-6アルキル-カルボニル基、C6-14アリール-カルボニル基および5ないし14員芳香族複素環基から選ばれる置換基を有していてもよいスルファニル基、ハロゲン化されたスルファニル基が挙げられる。
【0104】
例示的に、置換されていてもよいスルファニル基の非限定的な例としては、スルファニル(-SH)基、C1-6アルキルチオ基、C2-6アルケニルチオ基(例、アリルチオ、2-ブテニルチオ、2-ペンテニルチオ、3-ヘキセニルチオ)、C3-10シクロアルキルチオ基(例、シクロヘキシルチオ)、C6-14アリールチオ基(例、フェニルチオ、ナフチルチオ)、C7-16アラルキルチオ基(例、ベンジルチオ、フェネチルチオ)、C1-6アルキル-カルボニルチオ基(例、アセチルチオ、プロピオニルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、ピバロイルチオ)、C6-14アリール-カルボニルチオ基(例、ベンゾイルチオ)、5ないし14員芳香族複素環チオ基(例、ピリジルチオ)、ハロゲン化チオ基(例、ペンタフルオロチオ)が挙げられる。
【0105】
本明細書中、「置換されていてもよいシリル基」の非限定的な例としては、例えば、置換基群Aから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基およびC7-16アラルキル基から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいシリル基が挙げられる。
【0106】
例示的に、置換されていてもよいシリル基の非限定的な例としては、例えば、トリ-C1-6アルキルシリル基(例、トリメチルシリル、tert-ブチル(ジメチル)シリル)が挙げられる。
【0107】
本明細書中、「炭化水素環」の非限定的な例としては、例えば、C6-14芳香族炭化水素環、C3-10シクロアルカン、C3-10シクロアルケンが挙げられる。
【0108】
本明細書中、「C6-14芳香族炭化水素基」の非限定的な例としては、例えば、ベンゼン、ナフタレンが挙げられる。
【0109】
本明細書中、「C3-10シクロアルカン」の非限定的な例としては、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンが挙げられる。
【0110】
本明細書中、「C3-10シクロアルケン」の非限定的な例としては、例えば、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンが挙げられる。
【0111】
本明細書中、「複素環」の非限定的な例としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子をそれぞれ含有する、芳香族複素環および非芳香族複素環が挙げられる。
【0112】
本明細書中、「芳香族複素環」の非限定的な例としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する5ないし14員(例えば、5ないし10員)の芳香族複素環が挙げられる。例示的に、該「芳香族複素環」の非限定的な例としては、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、トリアジンなどの5ないし6員単環式芳香族複素環;ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾトリアゾール、イミダゾピリジン、チエノピリジン、フルオロピリジン、ピロロピリジン、ピラゾロピリジン、オキサゾロピリジン、チアゾロピリジン、イミダゾピラジン、イミダゾピリミジン、チエノピリミジン、フルオロピリミジン、ピロロピリミジン、ピラゾロピリミジン、オキサゾロピリミジン、チアゾロピリミジン、ピラゾロトリアジン、ナフト[2,3-b]チオフェン、フェノキサチイン、インドール、イソインドール、1H-インダゾール、プリン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、カルバゾール、β-カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジンなどの8ないし14員縮合多環式(例えば、2または3環式など)芳香族複素環が挙げられる。
【0113】
本明細書中、「非芳香族複素環」の非限定的な例としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1ないし4個のヘテロ原子を含有する3ないし14員(例えば、4ないし10員など)の非芳香族複素環が挙げられる。例示的に、該「非芳香族複素環」の非限定的な例としては、例えば、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、オキサゾリン、オキサゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、チアゾリン、チアゾリジン、テトラヒドロイソチアゾール、テトラヒドロオキサゾール、テトラヒドロソオキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、テトラヒドロピリジン、ジヒドロピリジン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロピリミジン、テトラヒドロピリダジン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、テトラヒドロチオピラン、モルホリン、チオモルホリン、アゼパン、ジアゼパン、アゼピン、アゾカン、ジアゾカン、オキセパンなどの3ないし8員単環式非芳香族複素環;ジヒドロベンゾフラン、ジヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイソチアゾール、ジヒドロナフト[2,3-b]チオフェン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、4H-キノリジン、インドリン、イソインドリン、テトラヒドロチエノ[2,3-c]ピリジン、テトラヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロキノキサリン、テトラヒドロフェナントリジン、ヘキサヒドロフェノチアジン、ヘキサヒドロフェノキサジン、テトラヒドロフタラジン、テトラヒドロナフチリジン、テトラヒドロキナゾリン、テトラヒドロシンノリン、テトラヒドロカルバゾール、テトラヒドロ-β-カルボリン、テトラヒドロアクリジン、テトラヒドロフェナジン、テトラヒドロチオキサンテン、オクタヒドロイソキノリンなどの9ないし14員縮合多環式(例えば、2または3環式など)非芳香族複素環基が挙げられる。
【0114】
本明細書中、「含窒素複素環」の非限定的な例としては、「複素環」のうち、環構成原子として少なくとも1個以上の窒素原子を含有するものが挙げられる。
【0115】
本明細書中、「6員芳香環」の非限定的な例としては、ベンゼン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンおよびトリアジンが挙げられる。
【0116】
本明細書中、「5員単環式芳香族複素環」の非限定的な例としては、チオフェン、フラン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール等が挙げられる。
【0117】
以下に、式(I)中の各記号の定義についてさらに詳述する。
【0118】
一部の実施態様において、R
1は、
【化36】
(式中、
環A
1は、さらに置換されていてもよい6員芳香環から選ばれ、
環A
2は、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環から選ばれ、
R
4aおよびR
4bは、それぞれ独立して、置換基から選ばれる。)
である。
【0119】
一部の実施態様において、R
1は、
【化37】
である。
【0120】
一部の実施態様において、環A1で表される「さらに置換されていてもよい6員芳香環」の「6員芳香環」は、ベンゼン、ピリジン、またはピリミジンである。一部の実施態様において、環A1で表される「さらに置換されていてもよい6員芳香環」の「6員芳香環」は、ベンゼンである。
【0121】
環A1で表される「さらに置換されていてもよい6員芳香環」における必要に応じた置換基の非限定的な例としては、置換基群Aから選択される置換基が挙げられる。一部の実施態様において、これらの必要に応じた置換基の数は、1、2、または3である。必要に応じた置換基の数が2個またはそれよりも多い場合、必要に応じた各置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0122】
一部の実施態様において、環A1は、
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子、臭素原子)、
(b)シアノ基、
(c)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、イソプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(d)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)、および
(e)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよい6員芳香環(例、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン)から選ばれる。
【0123】
一部の実施態様において、環A1は、
(1)
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子、臭素原子)、
(b)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、イソプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(c)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ)、および
(d)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、
(2)
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b)シアノ基、
(c)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル)、および
(d)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリジン環、ならびに
(3)1または2個のハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、トリフルオロメチル)でさらに置換されていてもよいピリミジン環
から選ばれる。
【0124】
一部の実施態様において、環A1は、
(1)
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子、臭素原子)、
(b)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、イソプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(c)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ)、および
(d)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、
(2)
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b)シアノ基、
(c)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル)、および
(d)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリジン環、ならびに
(3)1または2個のハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、トリフルオロメチル)でさらに置換されていてもよいピリミジン環
から選ばれる。
【0125】
一部の実施態様において、環A1は、
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b)C1-6アルキル基(例、イソプロピル)、および
(c)C3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されているピリジン環から選ばれる。
【0126】
一部の実施態様において、環A1は、
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(b)C3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されているベンゼン環から選ばれる。
【0127】
一部の実施態様において、環A1は、さらに置換されていてもよいベンゼン環、さらに置換されていてもよいピリジン環、およびさらに置換されていてもよいピリミジン環から選ばれる。一部の実施態様において、環A1は、さらに置換されていてもよいベンゼン環から選ばれる。一部の実施態様において、環A1は、さらに置換されているベンゼン環から選ばれる。
【0128】
一部の実施態様において、R4aは、
(1)置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)、
(2)置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、モルホリニル、ピペリジル))、
(3)-NR9R10(式中、
R9は、置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)から選ばれ、
R10は、水素原子および置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル))から選ばれる。)、および
(4)-OR11(式中、R11は、置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、テトラヒドロピラニル)から選ばれる。)
から選ばれる。
【0129】
一部の実施態様において、「置換されていてもよいC6-14アリール基」、「置換されていてもよいC1-6アルキル基」および「置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基」における置換基は、置換基群Aから選択される置換基である。一部の実施態様において、これらの必要に応じた置換基の数は、1、2、または3である。必要に応じた置換基の数が2個またはそれよりも多い場合、必要に応じた各置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0130】
一部の実施態様において、上記「置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基」の「3ないし14員非芳香族複素環基」には、6ないし9員非芳香族スピロ複素環基が含まれる。
【0131】
一部の実施態様において、R4aは、
(1)置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)、
(2)置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、モルホリニル、ピペリジル))、
(3)置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ)、および
(4)置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環オキシ基(例、テトラヒドロピラニルオキシ))
から選ばれる。
【0132】
一部の実施態様において、R4aは、
(1)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC6-14アリール基(例、フェニル)、
(2)
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(b)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、ジフルオロメチル)
から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、モルホリニル、ピペリジル))、
(3)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよい1ないし3個のC3-10シクロアルキル基(例、シクロブチル)で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ)、ならびに
(4)3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環オキシ基(例、テトラヒドロピラニルオキシ))
から選ばれる。
【0133】
一部の実施態様において、R4aは、
(1)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいフェニル基、
(2)1ないし3個のハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、ジフルオロメチル)で置換されていてもよいモルホリニル基、
(3)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいピペリジル基、
(4)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよい1ないし3個のC3-6シクロアルキル基(例、シクロブチル)で置換されていてもよいモノ-またはジ-C1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ)、および
(5)テトラヒドロピラニルオキシ基
から選ばれる。
【0134】
一部の実施態様において、R4aは、1ないし3個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されていてもよいモルホリニル基から選ばれる。
【0135】
一部の実施態様において、R4aは、1個のC1-6アルキル基(例、メチル)で置換されているモルホリニル基から選ばれる。
【0136】
一部の実施態様において、以下
【化38】
で表される基は、
【化39】
(式中、R
5aおよびR
6aは、独立して、水素原子および置換基から選ばれ、他の記号は、前記と同義である。)から選ばれる。
【0137】
一部の実施態様において、R5aは、
(a)ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(b)置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル、エチル、イソプロピル)、
(c)置換されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ)、および
(d)置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる。
【0138】
一部の実施態様において、R5aは、
(a)ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(b)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、イソプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(c)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ 2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)、および
(d)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる。
【0139】
一部の実施態様において、R5aは、
(a)ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(b)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、イソプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(c)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ 2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)、および
(d)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる。
【0140】
一部の実施態様において、R5aは、
(a)C1-6アルキル基(例、イソプロピル)、および
(b)C3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる。
【0141】
一部の実施態様において、R5aは、C3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)から選ばれる。
【0142】
一部の実施態様において、R5aは、シクロプロピル基である。
【0143】
一部の実施態様において、R6aは、
(a)水素原子、
(b)シアノ基、
(c)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(d)置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる。
【0144】
一部の実施態様において、R6aは、
(a)水素原子、
(b)シアノ基、
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(d)C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる。
【0145】
一部の実施態様において、R6aは、ハロゲン原子(例、フッ素原子)から選ばれる。一部の実施態様において、R6aは、フッ素原子である。
【0146】
一部の実施態様において、以下
【化40】
で表される基は、
【化41】
(式中、R
5a1、R
5a2、R
5a3、R
6a1、およびR
6a2は、それぞれ独立して、水素原子および置換基から選ばれ、他の記号は、前記と同義である。)から選ばれる。
【0147】
一部の実施態様において、R5a1は、
(a)ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(b)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、イソプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(c)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ)、および
(d)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる。
【0148】
一部の実施態様において、R5a1は、
(a)ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(b)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、イソプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(c)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ)、および
(d)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる。
【0149】
一部の実施態様において、R5a1は、
(a)C1-6アルキル基(例、イソプロピル)、および
(b)C3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる。
【0150】
一部の実施態様において、R5a1は、C3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)から選ばれる。一部の実施態様において、R5a1は、シクロプロピル基である。
【0151】
一部の実施態様において、R5a2は、
(a)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル)、および
(b)ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基(例、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)
から選ばれる。
【0152】
一部の実施態様において、R5a3は、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基(例、トリフルオロメチル)から選ばれる。
【0153】
一部の実施態様において、R6a1は、水素原子およびハロゲン原子(例、フッ素原子)から選ばれる。
【0154】
一部の実施態様において、R6a1は、ハロゲン原子(例、フッ素原子)から選ばれる。一部の実施態様において、R6a1は、フッ素原子である。
【0155】
一部の実施態様において、R6a2は、
(a)水素原子、
(b)シアノ基、
(c)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(d)C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる。
【0156】
一部の実施態様において、以下
【化42】
で表される基は、
【化43】
(式中の記号は、それぞれ前記と同義である。)から選ばれる。
【0157】
一部の実施態様において、R5a1は、
(a)C1-6アルキル基(例、イソプロピル)、および
(b)C3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれる。
【0158】
一部の実施態様において、R5a1は、C3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)から選ばれる。一部の実施態様において、R5a1は、シクロプロピル基である。
【0159】
一部の実施態様において、R6a1は、ハロゲン原子(例、フッ素原子)から選ばれる。一部の実施態様において、R6a1は、フッ素原子である。
【0160】
環A2で表される「さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環」における置換基の非限定的な例としては、置換基群Aから選択される置換基が挙げられる。一部の実施態様において、これらの必要に応じた置換基の数は、1ないし3個である。必要に応じた置換基の数が2個またはそれよりも多い場合、必要に応じた各置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0161】
一部の実施態様において、環Bは、
(1)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(2)置換されていてもよいC1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン環から選ばれる。
【0162】
上記「置換されていてもよいC1-6アルキル基」における置換基の非限定的な例としては、置換基群Aから選択される置換基が挙げられる。一部の実施態様において、これらの必要に応じた置換基の数は、1ないし3個である。必要に応じた置換基の数が2個またはそれよりも多い場合、必要に応じた各置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0163】
一部の実施態様において、環Bは、
(1)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(2)C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン環から選ばれる。
【0164】
一部の実施態様において、環Bは、
(1)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(2)C1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれる1個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン環から選ばれる。
【0165】
一部の実施態様において、環Bは、さらなる置換基を有していないピリドン環である。
【0166】
一部の実施態様において、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子および置換基から選ばれる。
【0167】
一部の実施態様において、R2およびR3は、共に水素原子である。
【0168】
一部の実施態様において、環Cは、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環から選ばれる。
【0169】
一部の実施態様において、環Cで表される「さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環基」の「5員単環式芳香族複素環基」は、ピラゾール(例、1H-ピラゾール-4-イル)である。
【0170】
環Cで表される「さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環」における必要に応じた置換基の非限定的な例としては、置換基群Aから選択される置換基が挙げられる。一部の実施態様において、これらの必要に応じた置換基の数は、1ないし3個である。必要に応じた置換基の数が2個またはそれよりも多い場合、必要に応じた各置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0171】
一部の実施態様において、環Cは、1ないし3個のC1-6アルキル基(例、エチル、イソプロピル)でさらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環(例、ピラゾール)から選ばれる。一部の実施態様において、環Cは、1ないし3個(例えば、1個)のC1-6アルキル基(例、エチル、イソプロピル)でさらに置換されていてもよいピラゾール環(例、1H-ピラゾール-4-イル)から選ばれる。一部の実施態様において、環Cは、1個のC1-6アルキル基(例、エチル)でさらに置換されているピラゾール環(例、1H-ピラゾール-4-イル)から選ばれる。
【0172】
一部の実施態様において、環Cは、さらに置換されていてもよいピラゾール基から選ばれる。
【0173】
一部の実施態様において、環Cは、さらに置換されているピラゾール環から選ばれる。
【0174】
一部の実施態様において、環Cは、次式で表される環式基
【化44】
(式中、R
1cは、水素原子およびC
1-6アルキル基(例、エチル、イソプロピル、例えばエチル)から選ばれる。)から選ばれる。
【0175】
一部の実施態様において、R1cは、C1-6アルキル基(例、エチル、イソプロピル、例えばエチル)から選ばれる。
【0176】
また本明細書中、式(IA)の化合物から選ばれる化合物(本明細書中、化合物Aともいう。)
【化45】
および薬学的に許容されるその塩が開示される[式中、
環A
1は、さらに置換されていてもよい6員芳香環(例、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン)から選ばれ、R
4aは、置換されていてもよいC
6-14アリール基(例、フェニル)、置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、モルホリニル、ピペリジル))、置換されていてもよいモノ-またはジ-C
1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ)、および置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環オキシ基(例、テトラヒドロピラニルオキシ))から選ばれ、環Bは、ハロゲン原子(例、フッ素原子)および置換されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル)から選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン基から選ばれ、R
2およびR
3は、それぞれ独立して、水素原子および置換されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル)から選ばれ、環Cは、さらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環(例、ピラゾール)から選ばれる。]。
【0177】
一部の実施態様において、環A1は、さらに置換されていてもよいベンゼン、さらに置換されていてもよいピリジン、およびさらに置換されていてもよいピリミジンから選ばれる。一部の実施態様において、環A1は、ベンゼン、ピリジン、およびピリミジンから選ばれる。
【0178】
一部の実施態様において、R4aは、置換されていてもよいフェニルである。一部の実施態様において、R4aはフェニルである。
【0179】
一部の実施態様において、R4aは、モルホリニルおよびピペリジルから選ばれる。
【0180】
一部の実施態様において、R4aは、メチルアミノおよびジメチルアミノから選ばれる。
【0181】
一部の実施態様において、R4aは、3ないし8員単環式非芳香族複素環オキシ基から選ばれる。一部の実施態様において、R4aは、テトラヒドロピラニルオキシである。
【0182】
一部の実施態様において、環Bは、フッ素およびメチルから独立して選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン基から選ばれる。
【0183】
一部の実施態様において、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素原子およびメチルから選ばれる。
【0184】
一部の実施態様において、環Cは、さらに置換されていてもよいピラゾール基から選ばれる。一部の実施態様において、環Cは、ピラゾールである。
【0185】
また本明細書中、式(IB)の化合物から選ばれる化合物(本明細書中、化合物Bともいう。)
【化46】
および薬学的に許容されるその塩が開示される[式中、
環A
1は、ハロゲン原子(例、フッ素原子、臭素原子)、シアノ基、ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、イソプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)、および1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)から独立して選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されているベンゼン環から選ばれ、
R
4aは、ハロゲン原子(例、フッ素原子)、ハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、モルホリニル、ピペリジル))、ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、ジフルオロメチル)、ハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル基(例、シクロブチル)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C
1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ)、および3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環オキシ基(例、テトラヒドロピラニルオキシ))から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC
6-14アリール基(例、フェニル)から選ばれ、
すべての他の記号は、前記実施態様と同義である。]。
【0186】
一部の実施態様において、環A1は、フッ素、臭素、メチル、イソプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、トリフルオロメトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、および1ないし3個のフッ素原子で置換されていてもよいシクロプロピルから独立して選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されているベンゼン環から選ばれる。
【0187】
一部の実施態様において、R4aは、1ないし3個のフッ素原子で置換されていてもよいフェニルから選ばれる。
【0188】
一部の実施態様において、R4aは、1ないし3個のフッ素原子で置換されていてもよいフェニルから選ばれる。
【0189】
一部の実施態様において、R4aは、モルホリニルおよびピペリジルから選ばれる。
【0190】
一部の実施態様において、
【化47】
は、
【化48】
[式中、
R
4aは、前記実施態様と同義であり、
R
5aは、ハロゲン原子(例、臭素原子)、ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、イソプロピル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ 2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)、およびハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)から選ばれ、
R
6aは、水素原子、シアノ基、ハロゲン原子(例、フッ素原子)、およびC
1-6アルキル基(例、メチル)から選ばれ、
環Bは、ハロゲン原子(例、フッ素原子)およびC
1-6アルキル基(例、メチル)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン基から選ばれ、
R
2およびR
3は、共に水素原子であり、
環Cは、C
1-6アルキル基(例、エチル、イソプロピル)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよい5員単環式芳香族複素環(例、ピラゾール)から選ばれる。]
から選ばれる。
【0191】
また本明細書中、式(IC)の化合物から選ばれる化合物(本明細書中、化合物Cともいう。)
【化49】
および薬学的に許容されるその塩が開示される[式中、
環A
1は、
(1)
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子、臭素原子)、および
(b)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、イソプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(c)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ)、および
(d)ハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から独立した1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、
(2)
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b)シアノ基、
(c)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル)、および
(d)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)
から独立して選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリジン環、ならびに
(3)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、トリフルオロメチル)から独立して選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されていてもよいピリミジン環
から独立して選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されているベンゼン環から選ばれ、
R
4aは、
(1)ハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC
6-14アリール基(例、フェニル)、
(2)
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(b)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、ジフルオロメチル)
から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよい3ないし14員非芳香族複素環基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環基(例、モルホリニル、ピペリジル))、
(3)ハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル基(例、シクロブチル)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C
1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ)、ならびに
(4)3ないし14員非芳香族複素環オキシ基(例、3ないし8員単環式非芳香族複素環オキシ基(例、テトラヒドロピラニルオキシ))
から選ばれる。]。
【0192】
一部の実施態様において、
【化50】
は、
【化51】
[式中、
R
4aは、前記と同義であり、
R
5a1は、
(a)ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(b)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、イソプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(c)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ)、および
(d)1ないし3個のハロゲン原子(例、フッ素原子)で置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれ、
R
5a2は、
(a)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル)、および
(b)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)
から選ばれ、
R
5a3は、ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、トリフルオロメチル)から選ばれ、
R
6a1は、水素原子およびハロゲン原子(例、フッ素原子)から選ばれ、
R
6a2は、
(a)水素原子、
(b)シアノ基、
(c)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(d)C
1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれ、
環Bは、
(1)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(2)C
1-6アルキル基(例、メチル)
から独立して選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン環から選ばれ、
R
2およびR
3は、共に水素原子であり、
環Cは、C
1-6アルキル基(例、エチル、イソプロピル)から独立して選ばれる1ないし3個(例えば、1個)の置換基でさらに置換されていてもよいピラゾール環(例、1H-ピラゾール-4-イル)から選ばれる。]
から選ばれる。
【0193】
一部の実施態様において、環Cは、
【化52】
(式中、R
1cは、水素原子およびC
1-6アルキル基(例、エチル、イソプロピル)から選ばれる。)である。
【0194】
また本明細書中、式(ID)の化合物から選ばれる化合物(本明細書中、化合物Dともいう。)
【化53】
および薬学的に許容されるその塩が開示される[式中、
環A
1は、
(1)
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子、臭素原子)、
(b)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、イソプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(c)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ)、および
(d)ハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC
3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から独立した1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいベンゼン環、
(2)
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b)シアノ基、
(c)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル)、および
(d)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)
から独立して選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリジン環、ならびに
(3)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、トリフルオロメチル)から独立して選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されていてもよいピリミジン環
から独立して選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されているベンゼン環であり、
R
4aは、
(1)ハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいフェニル基、
(2)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、メチル、ジフルオロメチル)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいモルホリニル基、
(3)ハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいピペリジル基、
(4)ハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC
3-6シクロアルキル基(例、シクロブチル)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいモノ-またはジ-C
1-6アルキルアミノ基(例、メチルアミノ、ジメチルアミノ)、および
(5)テトラヒドロピラニルオキシ基
から選ばれる。]。
【0195】
一部の実施態様において、
【化54】
は、
【化55】
#1 および
[式中、
R
4aは、前記と同義であり、
R
5a1は、
(a)ハロゲン原子(例、臭素原子)、
(b)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、イソプロピル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル)、
(c)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、トリフルオロメトキシ)、および
(d)ハロゲン原子(例、フッ素原子)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC
3-10シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれ、
R
5a2は、
(a)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル)、および
(b)ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルコキシ基(例、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ)
から選ばれ、
R
5a3は、ハロゲン化されていてもよいC
1-6アルキル基(例、トリフルオロメチル)から選ばれ、
R
6a1は、水素原子およびハロゲン原子(例、フッ素原子)から選ばれ、
R
6a2は、
(a)水素原子、
(b)シアノ基、
(c)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(d)C
1-6アルキル基(例、メチル)
から選ばれ、
環Bは、
(1)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(2)C
1-6アルキル基(例、メチル)
から独立して選ばれる1ないし3個の置換基でさらに置換されていてもよいピリドン基から選ばれ、
R
2およびR
3は、共に水素原子であり、
環Cは、C
1-6アルキル基(例、エチル、イソプロピル)から選ばれる1ないし3個(例えば、1個)の置換基でさらに置換されていてもよいピラゾール環(例、1H-ピラゾール-4-イル)から選ばれる。]
から選ばれる。
【0196】
一部の実施態様において、環Cは、
【化56】
(式中、R
1cは、水素原子およびC
1-6アルキル基(例、エチル、イソプロピル)から選ばれる。)である。
【0197】
また本明細書中、式(IE)の化合物から選ばれる化合物(本明細書中、化合物Eともいう。)
【化57】
および薬学的に許容されるその塩が開示される[式中、
環A
1は、
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、
(b)C
1-6アルキル基(例、イソプロピル)、および
(c)C
3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から独立して選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されているベンゼン環から選ばれ、
R
4aは、C
1-6アルキル基(例、メチル)から独立して選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいモルホリニル基から選ばれ、
環Bは、さらなる置換基を有していないピリドン環であり、
R
2およびR
3は、共に水素原子であり、
環Cは、1個のC
1-6アルキル基(例、エチル)でさらに置換されているピラゾール環(例、1H-ピラゾール-4-イル)から選ばれる。]。
【0198】
一部の実施態様において、
【化58】
は、式:
【化59】
で表される基
(式中、
R
4aは、前記と同義であり、
R
5a1は、
(a)C
1-6アルキル基(例、イソプロピル)、および
(b)C
3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から選ばれ、
R
6a1は、ハロゲン原子(例、フッ素原子)である。)
である。
【0199】
一部の実施態様において、環Cは、
【化60】
(式中、R
1cは、C
1-6アルキル基(例、エチル)から選ばれる。)である。
【0200】
また本明細書中、式(IF)の化合物から選ばれる化合物(本明細書中、化合物Fともいう。)
【化61】
および薬学的に許容されるその塩が開示される[式中、
環A
1は、
(a)ハロゲン原子(例、フッ素原子)、および
(b)C
3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)
から独立して選ばれる1または2個の置換基でさらに置換されているベンゼン環から選ばれ、
R
4aは、1個のC
1-6アルキル基(例、メチル)で置換されているモルホリニル基から選ばれ、
環Bは、さらなる置換基を有していないピリドン環であり、
R
2およびR
3は、共に水素原子であり、
環Cは、1個のC
1-6アルキル基(例、エチル)でさらに置換されているピラゾール環(例、1H-ピラゾール-4-イル)から選ばれる。]。
【0201】
一部の実施態様において、環Cは、
【化62】
(式中、R
1cは、C
1-6アルキル基(例、エチル)から選ばれる。)である。
【0202】
一部の実施態様において、
【化63】
は、式:
【化64】
で表される基
(式中、
R
4aは、前記と同義であり、
R
5a1は、C
3-6シクロアルキル基(例、シクロプロピル)から選ばれ、
R
6a1は、ハロゲン原子(例、フッ素原子)から選ばれる。)
である。
【0203】
式(I)の化合物には、限定されるものではないが、実施例1~33の化合物が含まれる。
【0204】
化合物(I)が、薬学的に許容される塩などの塩である場合、このような塩の非限定的な例としては、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性、または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。例示的に、金属塩の非限定的な例としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩などが挙げられる。有機塩基との塩の非限定的な例としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、2,6-ルチジン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。無機酸との塩の非限定的な例としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、リン酸などとの塩が挙げられる。有機酸との塩の非限定的な例としては、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。塩基性アミノ酸との塩の非限定的な例としては、例えば、アルギニン、リジン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。酸性アミノ酸との塩の非限定的な例としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。例えば、本開示の化合物が酸性官能基を含有する場合には、アルカリ金属塩(例、ナトリウム塩、カリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(例、カルシウム塩、マグネシウム塩、バリウム塩など)などの無機塩、アンモニウム塩などを用いてもよい。加えて、化合物内に塩基性官能基を有する場合には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、または酢酸、フタル酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などの有機酸との塩を用いてもよい。
【0205】
化合物(I)が、互変異性体、鏡像異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体などの異性体を含有する場合には、いずれか一方の異性体も混合物も化合物(I)に包含される。さらに、化合物(I)に鏡像異性体が存在する場合には、ラセミ体から分割された鏡像異性体も化合物(I)に包含される。
【0206】
一部の実施態様において、化合物(I)は、結晶であってもよく、したがって、結晶形が単一であっても結晶形混合物であっても化合物(I)に包含される。
【0207】
一部の実施態様において、化合物(I)は、薬学的に許容される共結晶または共結晶塩であってもよい。本明細書で使用される場合、共結晶または共結晶塩とは、各々が異なる物理的特性(例えば、構造、融点、融解熱、吸湿性、溶解性および安定性等)を持つ、室温で2種またはそれよりも多くの独特な固体を含む結晶性物質を意味する。共結晶または共結晶塩は、公知の共結晶化法に従い製造することができる。
【0208】
一部の実施態様において、化合物(I)は、溶媒和物(例えば、水和物など)であっても、無溶媒和物であってもよく、これらはいずれも化合物(I)に包含される。
【0209】
一部の実施態様において、同位元素(例、2H、3H、11C、14C、18F、35S、125Iなど)で標識または置換された化合物も、化合物(I)に包含される。例えば、一部の実施態様において、同位元素で標識または置換された化合物は、陽電子断層法(PET)のためのトレーサー(PETトレーサー)として用いることができる。一部の実施態様において、同位元素で標識または置換された化合物は、医療診断などの分野において有用となり得る。
【0210】
本開示の化合物の製造法について以下に説明する。
【0211】
以下の製造方法における各工程で用いられた原料や試薬、ならびに得られた化合物は、それぞれ塩を形成していてもよい。このような塩の例としては、例えば、上記の本開示の化合物の塩と同様のもの等が挙げられる。
【0212】
各工程で得られた化合物が遊離形態である場合には、自体公知の方法を使用して、目的とする塩に変換することができる。逆に各工程で得られた化合物が塩である場合には、自体公知の方法により、遊離体または目的とする他の種類の塩に変換することができる。
【0213】
各工程で得られた化合物は反応液のままか、または粗生成物として単離した後に、次の反応に用いることもできる。あるいは、各工程で得られた化合物を、常法に従って、反応混合物から濃縮、晶出、再結晶、蒸留、溶媒抽出、分留、クロマトグラフィーなどの分離手段により単離および/または精製することができる。
【0214】
各工程の原料や試薬が市販されている場合には、市販品をそのまま用いることができる。
【0215】
各工程の反応において、反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得る。しかし、特記しない限り、反応時間は、通常1分~48時間、例えば、10分~8時間である。
【0216】
各工程の反応において、反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特記しない限り、通常-78℃~300℃、例えば、-78℃~150℃である。
【0217】
各工程の反応において、圧力は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特記しない限り、通常1気圧~20気圧、例えば、1気圧~3気圧である。
【0218】
各工程の反応において、例えば、Biotage社製Initiatorなどのマイクロ波合成装置を用いることがある。反応温度は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特記しない限り、通常室温~300℃、例えば、50℃~250℃である。反応時間は、用いる試薬や溶媒により異なり得るが、特記しない限り、通常1分~48時間、例えば、1分~8時間である。
【0219】
各工程の反応において、試薬は、特記しない限り、基質に対して0.5当量~20当量、例えば、0.8当量~5当量の量で用いられる。試薬を触媒として使用する場合、試薬は基質に対して0.001当量~1当量、例えば、0.01当量~0.2当量の量で用いられる。試薬が反応溶媒を兼ねる場合、試薬は溶媒量が用いられる。
【0220】
各工程の反応において、特記しない限り、これらの反応は、無溶媒、あるいは適当な溶媒に溶解または懸濁した後に行われる。溶媒の非限定的な例としては、実施例に記載されている溶媒、あるいは以下が挙げられる。
アルコール類:メタノール、エタノール、tert-ブチルアルコール、2-メトキシエタノールなど、
エーテル類:ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2-ジメトキシエタンなど、
芳香族炭化水素類:クロロベンゼン、トルエン、キシレンなど、
飽和炭化水素類:シクロヘキサン、ヘキサンなど、
アミド類:N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなど、
ハロゲン化炭化水素類:ジクロロメタン、四塩化炭素など、
ニトリル類:アセトニトリルなど、
スルホキシド類:ジメチルスルホキシドなど、
芳香族有機塩基類:ピリジンなど、
酸無水物類:無水酢酸など、
有機酸類:ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸など、
無機酸類:塩酸、硫酸など、
エステル類:酢酸エチルなど、
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトンなど、
水。
【0221】
一部の実施態様において、上記溶媒は、記載される方法において2種またはそれよりも多くを適宜の割合で混合して用いてもよい。
【0222】
一部の実施態様において、各工程の反応において塩基を用いる場合、以下に示す塩基、あるいは実施例に記載されている塩基を用いてもよい。
無機塩基類:水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウムなど、
有機塩基類:トリエチルアミン、ジエチルアミン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアニリン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、イミダゾール、ピペリジンなど、
金属酸化物類:ナトリウムエトキシド、カリウムtert-ブトキシドなど、
アルカリ金属水素化物類:水素化ナトリウムなど、
金属アミド類:ナトリウムアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジドなど、
有機リチウム類:n-ブチルリチウムなど。
【0223】
一部の実施態様において、各工程の反応において酸または酸性触媒を用いる場合、以下に示す酸や酸性触媒、あるいは実施例に記載されている酸や酸性触媒を用いてもよい。
無機酸類:塩酸、硫酸、硝酸、臭化水素酸、リン酸など、
有機酸類:酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、p-トルエンスルホン酸、10-カンファースルホン酸など、
ルイス酸:三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、ヨウ化亜鉛、無水塩化アルミニウム、無水塩化亜鉛、無水塩化鉄など。
【0224】
各工程の反応は、特記しない限り、自体公知の方法、例えば、第5版実験化学講座、13巻~19巻(日本化学会編)、新実験化学講座、14巻~15巻(日本化学会編)、精密有機化学 改訂第2版(L. F. Tietze, Th. Eicher, Nankodo Co., Ltd.)、改訂 有機人名反応 そのしくみとポイント(東郷秀雄著、講談社)、ORGANIC SYNTHESES Collective Volume I-VII (John Willey & Sons Inc.)、Modern Organic Synthesis in the Laboratory, A Collection of Standard Experimental Procedures (by Jie Jack Li, published by OXFORD UNIVERSITY)、Comprehensive Heterocyclic Chemistry III, Vol. 1 to Vol. 14 (Elsevier Japan KK)、人名反応に学ぶ有機合成戦略(富岡清監訳、化学同人発行);コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(VCH Publishers Inc.)1989年刊などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われ得る。
【0225】
各工程において、官能基の保護または脱保護反応は、自体公知の方法、例えば、Wiley-Interscience 2007 Edition "Protective Groups in Organic Synthesis, 4th Ed." (by Theodora W. Greene, Peter G. M.Wuts)、Thieme 2004 Edition "Protecting Groups 3rd Ed." (by P. J. Kocienski)などに記載された方法、あるいは実施例に記載された方法に準じて行われる。
【0226】
アルコールなどの水酸基やフェノール性水酸基の保護基の非限定的な例としては、例えば、メトキシメチルエーテル、ベンジルエーテル、tert-ブチルジメチルシリルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテルなどのエーテル型保護基;酢酸エステルなどのカルボン酸エステル型保護基;メタンスルホン酸エステルなどのスルホン酸エステル型保護基;tert-ブチルカルボネートなどの炭酸エステル型保護基などが挙げられる。
【0227】
アルデヒドのカルボニル基の保護基の非限定的な例としては、例えば、ジメチルアセタールなどのアセタール型保護基;1,3-ジオキサンなどの環状アセタール型保護基などが挙げられる。
【0228】
ケトンのカルボニル基の保護基の非限定的な例としては、例えば、ジメチルケタールなどのケタール型保護基;1,3-ジオキサンなどの環状ケタール型保護基;О-メチルオキシムなどのオキシム型保護基;N,N-ジメチルヒドラゾンなどのヒドラゾン型保護基などが挙げられる。
【0229】
カルボキシル基の保護基の非限定的な例としては、例えば、メチルエステルなどのエステル型保護基;N,N-ジメチルアミドなどのアミド型保護基などが挙げられる。
【0230】
チオールの保護基の非限定的な例としては、例えば、ベンジルチオエーテルなどのエーテル型保護基;チオ酢酸エステル、チオカルボネート、チオカルバメートなどのエステル型保護基などが挙げられる。
【0231】
アミノ基や、イミダゾール、ピロール、インドールなどの芳香族ヘテロ環の保護基の非限定的な例としては、例えば、ベンジルカルバメートなどのカルバメート型保護基;アセトアミドなどのアミド型保護基;N-トリフェニルメチルアミンなどのアルキルアミン型保護基、メタンスルホンアミドなどのスルホンアミド型保護基などが挙げられる。
【0232】
保護基は、自体公知の方法、例えば、酸、塩基、紫外光、ヒドラジン、フェニルヒドラジン、N-メチルジチオカルバミン酸ナトリウム、テトラブチルアンモニウムフルオリド、酢酸パラジウム、トリアルキルシリルハイドライド(trialkylsilyl hydride)(例えば、トリメチルシリルヨージド、トリメチルシリルブロミド)を使用する方法や還元法などを用いて除去することができる。
【0233】
工程において、還元反応を行う場合、使用され得る還元剤の非限定的な例としては、水素化アルミニウムリチウム、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL-H)、水素化ホウ素ナトリウム、水素化トリアセトキシホウ素テトラメチルアンモニウムなどの金属水素化物類;ボランテトラヒドロフラン錯体などのボラン類;ラネーニッケル;ラネーコバルト;水素;ギ酸;トリエチルシランなどが挙げられる。炭素-炭素二重結合あるいは三重結合を還元する場合は、パラジウム-カーボンやLindlar触媒などの触媒を用いる方法がある。各工程において、酸化反応を行う場合、使用される酸化剤の例としては、m-クロロ過安息香酸(mCPBA)、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシドなどの過酸類;過塩素酸テトラブチルアンモニウムなどの過塩素酸塩類;亜塩素酸ナトリウムなどの亜塩素酸塩類;過ヨウ素酸ナトリウムなどの過ヨウ素酸塩類、ヨードシルベンゼンなどの高原子価ヨウ素試薬;二酸化マンガン、過マンガン酸カリウムなどのマンガンを含有する試薬;四酢酸鉛などの鉛類;クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、二クロム酸ピリジニウム(PDC)、ジョーンズ試薬などのクロムを含有する試薬;N-ブロモスクシンイミド(NBS)などのハロゲン化合物類;酸素;オゾン;三酸化硫黄・ピリジン錯体;四酸化オスミウム;二酸化セレン;2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)などが挙げられる。
【0234】
工程において、ラジカル環化反応を行う場合、使用され得るラジカル開始剤の非限定的な例としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などのアゾ化合物;4-4’-アゾビス-4-シアノペンタン酸(ACPA)などの水溶性ラジカル開始剤;空気あるいは酸素存在下でのトリエチルホウ素;過酸化ベンゾイルなどが挙げられる。また、使用され得るラジカル反応試剤の非限定的な例としては、トリブチルスタナン、トリストリメチルシリルシラン、1,1,2,2-テトラフェニルジシラン、ジフェニルシラン、二ヨウ化サマリウムなどが挙げられる。
【0235】
工程において、Wittig反応を行う場合、使用され得るWittig試薬の非限定的な例としては、アルキリデンホスホラン類などが挙げられる。アルキリデンホスホラン類は、自体公知の方法、例えば、ホスホニウム塩と強塩基を反応させることで調製することができる。
【0236】
工程において、Horner-Emmons反応を行う場合、使用され得る試薬の非限定的な例としては、ジメチルホスホノ酢酸メチル、ジエチルホスホノ酢酸エチルなどのホスホノ酢酸エステル類;アルカリ金属水素化物類、有機リチウム類などの塩基が挙げられる。
【0237】
工程において、Friedel-Crafts反応を行う場合、使用され得る試薬の非限定的な例としては、ルイス酸と酸クロリドとの組み合せ、あるいはルイス酸とアルキル化剤(例、ハロゲン化アルキル類、アルコール、オレフィン類など)との組み合わせが挙げられる。あるいは、ルイス酸の代わりに、有機酸や無機酸を用いることもでき、酸クロリドの代わりに、無水酢酸などの酸無水物を用いることもできる。
【0238】
工程において、芳香族求核置換反応を行う場合、試薬としては、求核剤(例、アミン類、2-ピリドン、イミダゾールなど)と塩基(例、有機あるいは無機塩基類など)を用いてもよい。
【0239】
工程において、カルボアニオンによる求核付加反応、カルボアニオンによる求核1,4-付加反応(Michael付加反応)、あるいはカルボアニオンによる求核置換反応を行う場合、カルボアニオンを発生するために用いる塩基の非限定的な例としては、有機リチウム類、金属アルコキシド類、無機塩基類、有機塩基類などが挙げられる。
【0240】
工程において、Grignard反応を行う場合、Grignard試薬の非限定的な例としては、フェニルマグネシウムブロミドなどのアリールマグネシウムハライド類;メチルマグネシウムブロミドなどのアルキルマグネシウムハライド類が挙げられる。Grignard試薬は、自体公知の方法、例えばエーテルあるいはテトラヒドロフランを溶媒として、ハロゲン化アルキルまたはハロゲン化アリールと、金属マグネシウムとを反応させることにより調製することができる。
【0241】
工程において、Knoevenagel反応を行う場合、試薬としては、二つの電子求引基に挟まれた活性メチレン化合物(例、マロン酸、マロン酸ジエチル、マロノニトリルなど)および塩基(例、有機塩基類、金属酸化物類、無機塩基類)を用いてもよい。
【0242】
工程において、Vilsmeier-Haack反応を行う場合、試薬としては、塩化ホスホリルとアミド誘導体(例、N,N-ジメチルホルムアミドなど)を用いてもよい。
【0243】
工程において、アルコール類、アルキルハライド類、スルホン酸エステル類のアジド化反応を行う場合、アジド化剤の非限定的な例としては、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、トリメチルシリルアジド、アジ化ナトリウムなどが挙げられる。例えば、アルコール類をアジド化する場合、ジフェニルホスホリルアジドと1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)を用いる方法やトリメチルシリルアジドとルイス酸を用いる方法を用いてもよい。
【0244】
工程において、還元的アミノ化反応を行う場合、使用される還元剤の非限定的な例としては、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素、ギ酸などが挙げられる。基質がアミン化合物の場合は、使用されるカルボニル化合物の非限定的な例としては、パラホルムアルデヒドの他、アセトアルデヒドなどのアルデヒド類、シクロヘキサノンなどのケトン類が挙げられる。基質がカルボニル化合物の場合は、使用されるアミン類の非限定的な例としては、アンモニア、メチルアミンなどの1級アミン;ジメチルアミンなどの2級アミンなどが挙げられる。
【0245】
工程において、光延反応を行う場合、試薬としては、アゾジカルボン酸エステル類(例、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)など)およびトリフェニルホスフィンが用いられる。その他、試薬として(シアノメチレン)トリブチルホスホラン(CMBP)や(シアノメチレン)トリメチルホスホラン(CMMP)などを用いてもよい。
【0246】
工程において、エステル化反応、アミド化反応、あるいはウレア形成反応を行う場合、使用される試薬の非限定的な例としては、酸クロリド、酸ブロミドなどのハロゲン化アシル体;酸無水物、活性エステル体、硫酸エステル体など活性化されたカルボン酸類が挙げられる。カルボン酸の活性化剤の非限定的な例としては、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSCD)などのカルボジイミド系縮合剤;4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロライド-n-ハイドレート(DMT-MM)などのトリアジン系縮合剤;1,1-カルボニルジイミダゾール(CDI)などの炭酸エステル系縮合剤;ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリスジメチルアミノホスホニウム塩(BOP試薬);ヨウ化2-クロロ-1-メチル-ピリジニウム(向山試薬);塩化チオニル;クロロギ酸エチルなどのハロギ酸低級アルキル;O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(HATU);硫酸;あるいはこれらの組み合わせなどが挙げられる。カルボジイミド系縮合剤を用いる場合、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N-ヒドロキシコハク酸イミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの添加剤をさらに反応に加えてもよい。
【0247】
工程において、カップリング反応を行う場合、使用される金属触媒の非限定的な例としては、酢酸パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ジクロロビス(トリエチルホスフィン)パラジウム(II)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、塩化1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)などのパラジウム化合物;テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0)などのニッケル化合物;塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(III)などのロジウム化合物;コバルト化合物;酸化銅、ヨウ化銅(I)などの銅化合物;白金化合物などが挙げられる。さらに反応に塩基を加えてもよく、このような塩基の非限定的な例としては、無機塩基類などが挙げられる。
【0248】
工程において、チオカルボニル化反応を行う場合、チオカルボニル化剤としては、代表的には五硫化二リンが用いられるが、五硫化二リンの他に、2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3,2,4-ジチアジホスフェタン-2,4-ジスルフィド(Lawesson試薬)などの1,3,2,4-ジチアジホスフェタン-2,4-ジスルフィド構造を持つ試薬を用いてもよい。
【0249】
工程において、Wohl-Ziegler反応を使用する場合、使用されるハロゲン化剤の非限定的な例としては、N-ヨードコハク酸イミド、N-ブロモコハク酸イミド(NBS)、N-クロロコハク酸イミド(NCS)、臭素、塩化スルフリルなどが挙げられる。さらに、熱、光、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤を反応に加えることで、反応を加速させることができる。
【0250】
工程において、ヒドロキシ基のハロゲン化反応を行う場合、使用されるハロゲン化剤の非限定的な例としては、ハロゲン化水素酸と無機酸の酸ハロゲン化物、具体的には、塩素化では、塩酸、塩化チオニル、オキシ塩化リンなどが使用され、臭素化では、48%臭化水素酸などを用いてもよい。また、トリフェニルホスフィンと四塩化炭素または四臭化炭素などとの作用により、アルコールからハロゲン化アルキル体を得る方法を用いてもよい。あるいは、アルコールをスルホン酸エステルに変換の後、臭化リチウム、塩化リチウムまたはヨウ化リチウムと反応させるような2段階の反応を経てハロゲン化アルキル体を合成する方法を用いてもよい。
【0251】
工程において、Arbuzov反応を行う場合、使用される試薬の非限定的な例としては、ブロモ酢酸エチルなどのハロゲン化アルキル類;トリエチルホスファイトやトリ(イソプロピル)ホスファイトなどのホスファイト類が挙げられる。
【0252】
工程において、スルホン酸エステル化反応を行う場合、使用されるスルホニル化剤の非限定的な例としては、メタンスルホニルクロリド、p-トルエンスルホニルクロリド、メタンスルホン酸無水物、p-トルエンスルホン酸無水物などが挙げられる。
【0253】
工程において、加水分解反応を行う場合、試薬としては、酸または塩基を用いてもよい。また、tert-ブチルエステルの酸加水分解反応を行う場合、副生するtert-ブチルカチオンを還元的にトラップするためにギ酸やトリエチルシランなどを加えることがある。
【0254】
工程において、脱水反応を行う場合、使用される脱水剤の非限定的な例としては、硫酸、五酸化二リン、オキシ塩化リン、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、アルミナ、ポリリン酸などが挙げられる。
【0255】
化合物(I)は、以下に示す反応式あるいはこれらに準ずる方法に従い製造することができる。原料は、市販品であってもよく、あるいは自体公知の方法を使用して製造してもよい。反応式中の各一般式における略号は、特記しない限り、それぞれ上記と同義である。
【0256】
例えば、R
1が、
【化65】
である式(Ia)の化合物は、化合物(1)より以下の方法を使用して製造することができる。式中、L
1およびL
2は、それぞれ独立して脱離基であり、R
101、R
12およびR
13は、それぞれ独立して、水素原子または置換基であり、その他の記号はそれぞれ前記と同義である。
【0257】
L1またはL2で示される「脱離基」の非限定的な例としては、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキルスルホニルオキシ基(例、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ)、C1-6アルキル基で置換されていてもよいC6-14アリールスルホニルオキシ基(例、ベンゼンスルホニルオキシ、トルエンスルホニルオキシ)等が挙げられる。
【0258】
R
101で示される「置換基」の非限定的な例としては、例えば、ハロゲン原子、置換されてもよいアルキル基等が挙げられる。R
12またはR
13で示される「置換基」の例としては、C
1-6アルキル基等が挙げられ、R
12およびR
13は、隣接するホウ素原子と共に、さらに置換されていてもよい環を形成してもよい(例えば、BOR
12OR
13がジメトキシボラニル、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)。
【化66】
【0259】
化合物(3)は、化合物(1)と化合物(2)の鈴木-宮浦カップリング反応により製造することができる。
【0260】
化合物(4)は、化合物(3)の脱メチル化反応により製造することができる。脱メチル化試薬の非限定的な例としては、ピリジン塩酸塩、塩化トリメチルシリルとヨウ化ナトリウムの組み合わせなどが挙げられる。その非限定的な例としては、上記「保護基の除去」に記載されたものが挙げられる。
【0261】
化合物(6)は、化合物(4)と化合物(5)の芳香族求核置換反応、Ullmannカップリング反応、Buchwald-Hartwigカップリング反応など各種カップリング反応により製造することができる。
【0262】
化合物(Ia)は、化合物(6)の芳香族求核置換反応、鈴木-宮浦カップリング反応、Buchwald-Hartwigカップリング反応など各種カップリング反応により製造することができる。
【0263】
化合物(Ia)は、自体公知の方法に従ってさらに変換することもできる。
【0264】
化合物(Ia)は、化合物(5)より以下の方法を使用して製造することもできる。各記号はそれぞれ前記と同義である。
【化67】
【0265】
化合物(7)は、化合物(5)より、例えば、芳香族求核置換反応、鈴木-宮浦カップリング反応、Buchwald-Hartwigカップリング反応など各種カップリング反応を使用して製造することができる。
【0266】
化合物(Ia)は、化合物(7)と化合物(4)の、例えば、芳香族求核置換反応、Ullmannカップリング反応、Buchwald-Hartwigカップリング反応など各種カップリング反応により製造することができる。
【0267】
化合物(Ia)における環A1が置換基R14およびR15を有するベンゼン環である化合物(Ib)は、化合物(8)と化合物(4)のChan-Lam-Evansカップリング反応により製造することができる。式中、R14、R15、R16およびR17は、それぞれ独立して、水素原子または置換基であり、その他の記号は前記と同義である。
【0268】
R
14またはR
15で示される置換基の非限定的な例としては、例えば、環A
1の「置換基」の例として例示したものが挙げられる。R
16またはR
17で示される「置換基」の例としては、C
1-6アルキル基等が挙げられ、R
16およびR
17は、隣接するホウ素原子と共に、さらに置換されていてもよい環を形成してもよい(例えば、BOR
16OR
17がジメトキシボラニル、4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)。
【化68】
【0269】
一部の実施態様において、化合物(8)、化合物(8a)および化合物(8b)は、化合物(9)より以下の方法を使用して製造することができる。各記号はそれぞれ前記と同義である。
【化69】
【0270】
化合物(8a)は、化合物(9)のHartwig-宮浦C-Hホウ素化反応により製造することができる。使用される金属触媒の非限定的な例としては、ジ-μ-メトキソビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)などが挙げられる。
【0271】
化合物(10)は、化合物(8a)の求核的フッ素化反応により製造することができる。求核的フッ素化反応のために使用される試薬の非限定的な例としては、フッ化水素カリウムが挙げられる。
【0272】
化合物(8b)は、化合物(10)の加水分解反応により製造することができる。加水分解反応のために使用される試薬の非限定的な例としては、塩化トリメチルシリル、水酸化リチウムなどが挙げられる。
【0273】
化合物(9)は、化合物(11)、化合物(14)、化合物(15)または化合物(16)より以下の方法を使用して製造することができる。式中、L3は脱離基であり、その他の記号は前記と同義である。
【0274】
L
3で示される「脱離基」の非限定的な例としては、例えば、上記L
1またはL
2の「脱離基」として例示したものが挙げられる。
【化70】
【0275】
化合物(12)は、化合物(11)より、例えば、芳香族求核置換反応、鈴木-宮浦カップリング反応、Buchwald-Hartwigカップリング反応など各種カップリング反応を使用して製造することができる。
【0276】
化合物(13)は、化合物(12)のトリフラート化反応により製造することができる(式中、L3はトルフルオロメタンスルホニルオキシ基である)。
【0277】
化合物(13)は、化合物(14)より、例えば、芳香族求核置換反応、鈴木-宮浦カップリング反応、Buchwald-Hartwigカップリング反応など各種カップリング反応を使用しても製造することができる。
【0278】
化合物(9)は、化合物(13)を使用して、鈴木-宮浦カップリング反応により製造することができる。化合物(9)は、化合物(15)のエーテル化反応によっても製造することができる。化合物(9)は、化合物(16)を使用して、芳香族求核置換反応、鈴木-宮浦カップリング反応、Buchwald-Hartwigカップリング反応など各種カップリング反応によっても製造することができる。
【0279】
化合物(9)は、自体公知の方法に従ってさらに変換することもできる。
【0280】
化合物(5)における環A
1が、置換基OR
16を有するピリジン環である化合物(5a)は、化合物(17)とアルコール:R
16OHを使用して、芳香族求核置換反応により製造することができる。式中、R
16は置換基であり、その他の記号はそれぞれ前記と同義である。R
16で示される「置換基」の非限定的な例としては、ベンジル基が挙げられる。
【化71】
【0281】
化合物(1)、(4)、(5)、(11)および(14)~(17)は、市販品として入手できるか、あるいは自体公知の方法またはこれらに準じた方法に従って、もしくは実施例記載の方法で製造することができる。
【0282】
このようにして得られた化合物(I)において、分子内の官能基は、自体公知の化学反応を組み合わせることにより目的の官能基に変換することもできる。ここで、化学反応の例としては、酸化反応、還元反応、アルキル化反応、アシル化反応、ウレア形成反応、加水分解反応、アミノ化反応、エステル化反応、アリールカップリング反応、脱保護反応等が挙げられる。
【0283】
上記製造法において、原料化合物が置換基としてアミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、カルボニル基またはメルカプト基を含む場合、これらの基にペプチド化学等で一般的に用いられるような保護基が導入されていてもよく、反応後に必要に応じて保護基を除去することにより目的化合物を得ることができる。
【0284】
化合物(I)の配置異性体(E,Z体)については異性化が生じた時点で、例えば、抽出、再結晶、蒸留、クロマトグラフィーなどの分離手段により単離、精製することができ、したがって純粋な化合物を製造することができる。また、New Experimental Chemistry Vol. 14 (Chemical Society of Japan編)の251-253頁および4th Edition of Experimental Chemistry Vol. 19 (Chemical Society of Japan編)の273-274頁に記載の方法、またはそれに準じる方法に従って、加熱、酸触媒、遷移金属錯体、金属触媒、ラジカル種触媒、光照射、強塩基触媒などにより二重結合の異性化を進行させることによって、対応する純粋な異性体を得ることもできる。
【0285】
化合物(I)は置換基の種類如何によっては立体異性体が生じ得るが、この異性体が単独の化合物も、それらの混合物の化合物も本開示の範囲に含まれる。
【0286】
上記反応によって、目的物が遊離の状態で得られる場合には、常法に従って塩に変換してもよく、また塩として得られる場合には、常法に従って遊離体または他の塩に変換することもできる。例示的に、このようにして得られる化合物(I)は、公知の手段、例えば、転溶、濃縮、溶媒抽出、分溜、結晶化、再結晶、クロマトグラフィーなどにより反応溶液から単離、精製することができる。
【0287】
化合物(I)が、配置異性体、ジアステレオマー、コンフォーマーなどとして存在する場合には、所望により、前記分離、精製手段によりそれぞれを単離することができる。また、化合物(I)がラセミ体である場合には、通常の光学分割手段によりd体およびl体、あるいはS体およびR体に分離することができる。
【0288】
このようにして得られる化合物(I)、その他の反応中間体および原料化合物は、反応混合物から自体公知の方法、例えば抽出、濃縮、中和、濾過、蒸留、再結晶、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、分取用高速液体クロマトグラフィー(分取用HPLC)、中圧分取液体クロマトグラフィー(中圧分取LC)などの手段を用いることによって、単離、精製することができる。
【0289】
塩である化合物(I)は、公知の手段に従い、例えば化合物(I)が塩基性化合物である場合には無機酸または有機酸を加えることによって、あるいは化合物(I)が酸性化合物である場合には有機塩基または無機塩基を加えることによって製造することができる。
【0290】
化合物(I)に鏡像異性体が存在する場合、これら個々の鏡像異性体およびそれら混合物のいずれも本開示の範囲に包含される。所望によりこれらの異性体を公知の手段に従い光学分割するか、または個別に製造することもできる。
【0291】
本明細書中、GPR139受容体拮抗作用は、GPR139受容体逆作動作用を含む。一部の実施態様において、GPR139受容体拮抗作用を有する化合物は、GPR139受容体逆作動作用を有する化合物である。
【0292】
GPR139受容体逆作動作用は、例えば、後述の試験例で詳述するように、イノシトール一リン酸(本明細書中、IP1と略記することがある)(GPR139におけるシグナル伝達下流のセカンドメッセンジャーであるイノシトール三リン酸(本明細書中、IP3と略記することがある)の代謝産物)の産生量低下あるいは産生量阻害によっても確認することができる。
【0293】
化合物(I)は、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)に対して、後述する各種疾患の予防薬、治療薬、または診断薬として用いることができ得る。例えば、化合物(I)は、
(1)精神疾患[例、うつ病、大うつ病、抑うつエピソード、小うつ病性障害、双極性うつ病、気分変調性障害、持続性抑うつ障害、情動障害(例、季節性情動障害等)、再発性うつ病、産後うつ病、ストレス性障害、精神病(妄想性障害および統合失調症を含む)に併発する大うつ病性障害、躁病または混合気分エピソード、軽躁気分エピソード、非定型な特徴を伴ううつ病エピソード、憂鬱な特徴を伴ううつ病エピソード、緊張性の特徴を伴ううつ病エピソード、脳卒中後のうつエピソード、無快楽症(anhedonia)を伴ううつ病、無快楽症を伴う大うつ病、無快楽症を伴う小うつ病性障害、無快楽症を伴う双極性うつ病、無快楽症を伴う気分変調性障害、無快楽症を伴う持続性抑うつ障害、無快楽症を伴う情動障害、無快楽症を伴う再発性うつ病、無快楽症を伴う産後うつ病、無快楽症を伴うストレス性障害、無快楽症を伴う双極性障害、無快楽症を伴う統合失調症、無快楽症を伴う不安障害、無快楽症を伴う気分障害、無快楽症を伴うアルツハイマー病、レヴィー小体型認知症、無快楽症を伴うパーキンソン病、無快楽症を伴うハンチントン病、無快楽症を伴う治療抵抗性大うつ病、無快楽症を伴う治療抵抗性双極性障害、うつ症状、躁病、躁病エピソード、軽躁病エピソード、躁病様エピソード、軽躁病様エピソード、せん妄、認知症周辺症状(精神症状もしくは行動異常)、不安、全般性不安障害、不安症候群、気分障害、気分循環性障害、月経前不快気分障害、全般性不安障害、不安症候群、パニック障害、恐怖症、社会性恐怖症、社会性不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス症候群、心的外傷後ストレス障害、統合失調感情障害、妄想型またはうつ病型の統合失調感情障害、妄想型の人格障害、トゥーレット症候群、自閉症スペクトラム障害、脆弱X症候群、レット症候群、適応障害、双極性障害(I型双極性障害およびII型双極性障害を含む)、神経症、薬物依存症、統合失調症(例、陽性症状、陰性症状、認知機能障害、妄想型統合失調症、解体型統合失調症、緊張型統合失調症、未分化統合失調症、残遺型統合失調症)、統合失調症スペクトラム障害、運動障害、精神遅滞、偏執傾向、統合失調症様障害、緊張症、神経症、疲労感、慢性疲労症候群、気力の減退、不安神経症、強迫神経症、恐慌性障害、てんかん、不安症状、不快精神状態、情緒異常、感情循環気質、神経過敏症、失神、耽溺、性欲低下、注意欠陥多動性障害(ADHD)、精神病性大うつ病、難治性大うつ病、治療抵抗性うつ病、治療抵抗性大うつ病、大うつ病における認知機能障害、治療抵抗性双極性障害、かんしゃく、体重増加、体重減少、精神運動焦燥、精神運動制止、無価値観、罪責感、思考力や集中力の減退、自殺念慮、自殺企図、メランコリア、精神病性障害(例、短期精神病性障害、共有精神病性障害)、肥満症により誘発される精神病、妄想性障害、ヌーナン症候群、アンジェルマン症候群、プラダー・ウィリー症候群、ベックウィズ・ヴィーディマン症候群、シルバー・ラッセル症候群、結節性硬化症、ウィリアムズ症候群、カルマン症候群、ルビンスタイン・タイビー症候群、食行動障害および摂食障害群、摂食障害、異食症、反芻症、回避・制御性食物摂取症、無食欲症、神経性無食欲症(神経性やせ症、拒食症)、心因性食思不振、非定型神経性無食欲症、過食症、神経性過食症(神経性大食症)、神経性食欲亢進、非定型神経性過食症、過食性障害、心因性過食、心因性妊娠嘔吐、心因性嘔吐]、
(2)神経変性疾患[例、アルツハイマー病、アルツハイマー型老人性認知症、パーキンソン病、ハンチントン病、ハンチントン病に付随する認知症、多発脳梗塞性認知症、前頭側頭型認知症、パーキンソン型認知症、パーキンソン型前頭側頭認知症、アルコール性認知症または他の薬物関連認知症、頭蓋内腫瘍または脳外傷に付随する認知症、脳外傷に付随する神経変性、脳卒中に付随する神経変性、脳梗塞に付随する神経変性、低血糖に付随する神経変性、てんかん発作に付随する神経変性、神経毒中毒症に付随する神経変性、多系統萎縮症、脊髄損傷、エイズ関連認知症、進行性核上麻痺、ピック症候群、ニーマン-ピック症候群、大脳皮質基底核変性症、ダウン症、血管性認知症(VaD)(例、多発脳梗塞性認知症、戦略的な部位の単一病変によるVaD、小血管病変性認知症、低灌流性VaD、脳出血性VaD、慢性硬膜下血腫等)、脳炎後パーキンソン症候群、レヴィー小体型認知症、HIV性認知症、筋萎縮性脊髄側索硬化症(ALS)、運動神経原性疾患(MND)、クロイツフェルト・ヤコブ病、プリオン病、脳性麻痺、多発性硬化症、ニューロミオパチー]、
(3)健忘障害、軽度認知障害、学習障害[例、読字障害、算数障害、書字表出障害]、または加齢に伴う認知・記憶障害[例、加齢性記憶障害、老人性認知症]、
(4)睡眠障害[例、内在因性睡眠障害(例、精神生理性不眠等)、外在因性睡眠障害、概日リズム障害(例、時間帯域変化症候群(時差ボケ)、交代勤務睡眠障害、不規則型睡眠覚醒パターン、睡眠相後退症候群、睡眠相前進症候群、非24時間睡眠覚醒等)、睡眠時随伴症(例、ノンレム睡眠からの覚醒障害(例、睡眠時遊行症型、睡眠時驚愕症型等)、悪夢障害、レム睡眠障害、レストレスレッグス症候群等)、内科または精神科障害(例、慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳血管性痴呆、統合失調症、うつ病、不安神経症)に伴う睡眠障害、ストレス性不眠症、不眠症、不眠性神経症、睡眠時無呼吸症候群(例、閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性睡眠時無呼吸等)、睡眠時関連低換気(例、原発性肺胞低換気症候群、先天性中枢性低換気症候群等)、ナルコレプシー、カタプレキシー、過眠障害]、
(5)薬物依存症(物質関連障害、物質依存症)[例、物質使用障害(例、アルコール依存、大麻(合成カンナビノイドを含む)依存、幻覚薬(例、ケタミン、フェンシクリジン等)依存、吸入剤依存、オピオイド依存、鎮痛薬依存、睡眠薬依存、抗不安薬依存、精神刺激薬(例、アンフェタミン型物質、コカイン、カチノン、合成カチノン(catione)、NMDA、NMDA関連薬(例、MDA等)等)依存、カフェイン依存、タバコ依存、ニコチン依存、アルコール使用障害、大麻(合成カンナビノイドを含む)使用障害、幻覚薬使用障害、吸入剤使用障害、オピオイド使用障害、鎮痛薬使用障害、睡眠薬使用障害、抗不安薬使用障害、精神刺激薬使用障害、カフェイン使用障害、タバコ使用障害、ニコチン使用障害等)、物質誘発性障害(例、アルコール中毒、アルコール離脱、カフェイン中毒、カフェイン離脱、大麻(合成カンナビノイドを含む)中毒、大麻(合成カンナビノイドを含む)離脱、幻覚薬中毒、幻覚薬持続性知覚障害、吸入剤中毒、オピオイド中毒、オピオイド離脱、鎮痛薬中毒、睡眠薬中毒、抗不安薬中毒、鎮痛薬離脱、睡眠薬離脱、抗不安薬離脱、精神刺激薬中毒、精神刺激薬離脱、カフェイン離脱、タバコ離脱、ニコチン離脱、物質(例、アルコール、カフェイン、大麻(合成カンナビノイドを含む)、幻覚剤、吸入剤、オピオイド、鎮痛剤、睡眠薬、抗不安薬、精神刺激薬、カフェイン、タバコ、ニコチン等)誘発性精神疾患(例、精神病性障害、双極性障害および関連障害、抑うつ障害、不安症、脅迫症および関連症、睡眠障害、性機能不全、せん妄、神経認知障害等)、急性中毒、有害な使用(例、抗うつ薬乱用、薬物乱用等)、依存症候群(例、薬物依存、非麻薬性鎮痛剤依存症等)、離脱状態(例、薬物禁断症候群等)、せん妄を伴う離脱状態、精神病性障害(例、中毒性精神病、ステロイド精神病等)、健忘症候群、残遺性および遅発性の精神病性障害(例、薬物依存症抑うつ状態等)、向精神薬副作用、中毒性精神障害、薬物性精神障害、薬物嗜好、薬物恐怖症、薬物狂、薬物離脱]、
(6)麻酔薬、外傷性疾患、神経変性疾患等に起因する呼吸抑制、
(7)疼痛[例、心因性疼痛(身体表現性障害、疼痛性障害、身体化障害、心気症、転換性障害、うつを伴う慢性痛、心因性舌痛症、心因性頭痛、心因性背部痛、心因性腹痛、神経性耳痛、身体型疼痛障害、精神痛、心因性性交疼痛症)、炎症性疼痛、急性疼痛、癌性持続痛、癌性突出痛、癌性疼痛、持続痛、身体痛、突出痛、慢性疼痛(例、難治性疼痛、開胸術後疼痛症候群、末梢神経障害性疼痛、末梢性神経障害性疼痛、神経障害性疼痛、中枢神経障害性疼痛、中枢性神経障害性疼痛、中枢性脳卒中後疼痛等)、圧痛、全身痛、鈍痛、皮膚疼痛症、放散痛、頭痛(例、炎症性頭痛、顔面痛、後頭部痛、歯性顔面痛、習慣性頭痛、神経痛性頭痛、前頭部痛、側頭部痛、頭頚部痛、頭重感、頭頂部痛、発作性頭痛、頬部痛、牽引性頭痛、口腔内灼熱症候群、一次性頭痛、精神疾患による頭痛、片頭痛、慢性群発頭痛、群発頭痛、三叉神経・自律神経性頭痛、反復性群発頭痛、発作性片側頭痛、反復性発作性片側頭痛、慢性発作性片側頭痛、短時間持続性片側神経痛様頭痛発作、血管性頭痛、筋収縮性頭痛、緊張型頭痛、反復性緊張型頭痛、慢性緊張型頭痛、外傷性頭痛、慢性外傷後頭痛、薬物乱用頭痛、スルーダー神経痛、トロサ・ハント症候群、眼性頭痛、混合性頭痛、持続性片側頭痛、一次性咳嗽性頭痛、一次性運動時頭痛、性行為に伴う一次性頭痛、寒冷刺激による頭痛、一次性雷鳴頭痛、一次性穿刺様頭痛、貨幣状頭痛、睡眠時頭痛、新規発症持続性連日性頭痛、てんかん発作による頭痛、高血圧性頭痛、鼻・副鼻腔疾患による頭痛、緊張性頭痛等)、三叉神経障害(例、三叉神経痛、非定型顔面痛、三叉神経過敏症、三叉神経ニューロパチー等)、舌咽神経障害(例、舌咽神経痛等)、迷走神経障害(例、上喉頭神経痛、迷走神経痛等)、舌下神経障害、多発性脳神経障害、帯状疱疹後神経痛、帯状疱疹後三叉神経痛、帯状疱疹後多発性ニューロパシー、神経痛性筋萎縮症、幻肢痛、断端神経痛、求心路遮断痛、腰椎坐骨神経痛、上肢の単ニューロパシー(例、正中神経神経痛、尺骨神経痛等)、下肢の単ニューロパシー(例、異常感覚性大腿痛等)、肋骨ニューロパシー(例、肋間神経痛等)、神経障害性疼痛、糖尿病性神経障害性疼痛、糖尿病性神経痛(例、1型糖尿病性神経痛、2型糖尿病性神経痛等)、心臓神経痛、持続性身体表現性疼痛障、流行性胸膜痛、自律神経反射性疼痛、脊髄痛、腰椎穿刺後頭痛、眼痛、耳痛、視床痛、咽頭痛、鼻痛、歯痛、顎痛、舌痛症、直腸痛、関節痛、腰痛、脊椎痛、筋肉痛、神経痛]、
(8)外傷性脳損傷およびそれに伴う障害あるいは合併症、脳震盪後症候群、乳児のゆさぶられ症候群、脳卒中、加齢黄斑変性(ARMD)、眼球口蓋振戦、痙攣、脳梗塞、脳出血、難聴、放射線性嗜眠症候群、神経性食欲不振、摂食障害、神経性無食欲症、過食症、その他の摂食障害、ギャンブル依存症、ゲーム依存症、肥満、糖尿病、筋肉痙攣、メニエール病、自律神経失調症、脱毛症、緑内障、高血圧、心臓病、頻脈、心不全、過呼吸、気管支喘息、無呼吸、乳幼児突然死症候群、炎症性疾患、アレルギー疾患、インポテンス、更年期障害、不妊症、癌、HIV感染による免疫不全症候群、自己免疫性脳炎(例、自己免疫性辺縁系脳炎)、ストレスによる免疫不全症候群、脳脊髄膜炎、末端肥大症、失禁、メタボリック・シンドローム、骨粗しょう症、消化性潰瘍、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、ストレス性胃腸障害、嘔吐、消化性潰瘍、下痢、便秘、術後イレウス
等の疾患の予防薬または治療薬として有用であることが期待される。
【0294】
化合物(I)は、プロドラッグの形態で用いてもよい。化合物(I)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸などによる反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解などを起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸などにより加水分解などを起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。
【0295】
化合物(I)のプロドラッグの例としては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert-ブチル化された化合物など);化合物(I)のヒドロキシル基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、化合物(I)のヒドロキシル基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);化合物(I)のカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、化合物(I)のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5-メチル-2-オキソ-1,3-ジオキソール-4-イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など)などが挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法に従って化合物(I)から製造することができる。化合物(I)のプロドラッグは、"Development of Pharmaceutical Products" vol. 7, Molecule Design, p. 163-198, Hirokawa Shoten (1990)に記載されているような生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
【0296】
式(I)の化合物は、好ましい体内動態特性(例、血中薬物半減期、脳内移行性、代謝安定性)および低毒性(例えば、急性毒性、慢性毒性、遺伝毒性、生殖毒性、心毒性、薬物相互作用、癌原性等の点から医薬として、より優れている)を示すことができ、そのまま医薬として、または少なくとも1種の薬学的に許容される担体等と混合された医薬組成物として、哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ウシ、ウマ、ブタ、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ等)に対して、経口的または非経口的に安全に投与できる。
【0297】
本明細書で使用される場合、「非経口投与」は、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内、腫瘍内部、腫瘍の近位などへの投与、および病巣への直接的な投与を含む。
【0298】
一部の実施態様において、化合物(I)の投与量は、投与経路、症状などによって異なる。一部の実施態様において、うつ病の患者(例えば、40~80kg、例えば60kgの範囲の体重を有する成人)に経口投与する場合、投与量は、例えば1日0.001~1000mg/kg体重、例えば、1日0.01~100mg/kg体重、例えば、1日0.1~10mg/kg体重である。この量を、例えば1日1回~3回に分けて投与することができる。
【0299】
化合物(I)を含む医薬は、医薬製剤の製造法として自体公知の方法(例、日本薬局方記載の方法等)に従って、化合物(I)を単独で、または化合物(I)と少なくとも1種の薬学的に許容される担体とを混合した医薬組成物として使用することができる。化合物(I)を含む医薬は、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠、舌下錠、口腔内崩壊錠、バッカル錠等を含む)、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤を含む)、トローチ剤、シロップ剤、液剤、乳剤、懸濁剤、放出制御製剤(例、速放性製剤、徐放性製剤、徐放性マイクロカプセル剤)、エアゾール剤、フィルム剤(例、口腔内崩壊フィルム、口腔粘膜貼付フィルム)、注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、経皮吸収型製剤、軟膏剤、ローション剤、貼付剤、坐剤(例、肛門坐剤、膣坐剤)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等として、経口的または非経口的(静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内、腹腔内、病巣等)に投与することができる。
【0300】
上記の「薬学的に許容される担体」としては、調製のための製剤素材(starting material)として慣用されている各種の有機あるいは無機担体が使用され得る。例えば、固形製剤においては、賦形剤、滑沢剤、結合剤および崩壊剤等を用いることができ、液状製剤においては、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、および無痛化剤等を用いることができる。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることもできる。
【0301】
賦形剤の非限定的な例としては、例えば、ラクトース、スクロース、D-マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。
【0302】
滑沢剤の非限定的な例としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
【0303】
結合剤の非限定的な例としては、例えば、結晶セルロース、スクロース、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、サッカロース、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。
【0304】
崩壊剤の非限定的な例としては、例えば、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L-ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0305】
溶剤の非限定的な例としては、例えば、注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。
【0306】
溶解補助剤の非限定的な例としては、例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D-マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0307】
懸濁化剤の非限定的な例としては、例えば、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。
【0308】
等張化剤の非限定的な例としては、例えば、ブドウ糖、D-ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D-マンニトール等が挙げられる。
【0309】
緩衝剤の非限定的な例としては、例えば、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
【0310】
無痛化剤の非限定的な例としては、例えば、ベンジルアルコール等が挙げられる。防腐剤の非限定的な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0311】
抗酸化剤の非限定的な例としては、例えば、亜硫酸塩、アスコルビン酸、α-トコフェロール等が挙げられる。
【0312】
一部の実施態様において、医薬組成物は、剤型、投与方法、担体などにより異なるが、化合物(I)を医薬組成物全量に対して例えば0.01%~100%(w/w)、例えば0.1%~95%(w/w)の割合で添加することにより、常法に従って製造することができる。
【0313】
化合物(I)は、本明細書で併用薬物と称する他の活性成分と併用してもよい。
【0314】
併用薬物の非限定的な例としては、例えば、以下が挙げられる。アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、ザナペジル)、βアミロイドタンパク質産生、分泌、蓄積、凝集および/または沈着抑制剤、βセクレターゼ阻害剤(例、6-(4-ビフェニリル)メトキシ-2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]テトラリン、6-(4-ビフェニリル)メトキシ-2-(N,N-ジメチルアミノ)メチルテトラリン、6-(4-ビフェニリル)メトキシ-2-(N,N-ジプロピルアミノ)メチルテトラリン、2-(N,N-ジメチルアミノ)メチル-6-(4’-メトキシビフェニル-4-イル)メトキシテトラリン、6-(4-ビフェニリル)メトキシ-2-[2-(N,N-ジエチルアミノ)エチル]テトラリン、2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]-6-(4’-メチルビフェニル-4-イル)メトキシテトラリン、2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]-6-(4’-メトキシビフェニル-4-イル)メトキシテトラリン、6-(2’,4’-ジメトキシビフェニル-4-イル)メトキシ-2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]テトラリン、6-[4-(1,3-ベンゾジオキソール-5-イル)フェニル]メトキシ-2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]テトラリン、6-(3’,4’-ジメトキシビフェニル-4-イル)メトキシ-2-[2-(N,N-ジメチルアミノ)エチル]テトラリン、その光学活性体、その塩およびその水和物、OM99-2(国際公開01/00663))、γセクレターゼ(selectase)阻害作用剤、βアミロイドタンパク質凝集阻害作用剤(例、PTI-00703、Tramiprosate、PPI-368(特表平11-514333)、PPI-558(特表2001-500852)、SKF-74652(2-(4-メトキシフェニル)-3-[4-[3-(ジエチルアミノ)プロポキシ]ベンゾイル]-5-クロロベンゾフラン、Biochem. J. (1999), 340(1), 283-289))、βアミロイドワクチン、βアミロイド分解酵素等、脳機能賦活薬(例、アニラセタム、ニセルゴリン)、他のパーキンソン病治療薬[(例、ドーパミン受容体作動薬(例、L-ドーパ、ブロモクリプチン、パーゴライド、タリペキソール、プラミペキソール、カベルゴリン、アマンタジン)、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬(例、デプレニル、セルジリン(セレギリン)、レマセミド、リルゾール)、抗コリン剤(例、トリヘキシフェニジル、ビペリデン)、COMT阻害剤(例、エンタカポン)]、筋萎縮性側索硬化症治療薬(例、リルゾール、神経栄養因子)、痴呆の進行に伴う異常行動、徘徊等の治療薬(例、鎮静剤、抗不安剤)、アポトーシス阻害薬(例、CPI-1189、エムリカサン、CEP-1347)、神経分化・再生促進剤(例、レテプリニム、キサリプロデン(SR-57746-A)、SB-216763、Y-128、VX-853、プロサプチド、5,6-ジメトキシ-2-[2,2,4,6,7-ペンタメチル-3-(4-メチルフェニル)-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]イソインドリン、5,6-ジメトキシ-2-[3-(4-イソプロピルフェニル)-2,2,4,6,7-ペンタメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]イソインドリン、6-[3-(4-イソプロピルフェニル)-2,2,4,6,7-ペンタメチル-2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフラン-5-イル]-6,7-ジヒドロ-5H-[1,3]ジオキソロ[4,5-f]イソインドールおよびその光学活性体、塩、水和物)、非ステロイド系抗炎症薬(メロキシカム、テノキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、アスピリン、インドメタシン等)、ステロイド薬(デキサメサゾン、ヘキセストロール、酢酸コルチゾン等)、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)、抗サイトカイン薬(例、TNF阻害薬、MAPキナーゼ阻害薬)、尿失禁・頻尿治療剤(例、塩酸フラボキサート、塩酸オキシブチニン(oxybutynn)、塩酸プロピベリン)、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例、(クエン酸)シルデナフィル)、ドーパミン作動薬(例、アポモルフィン)、抗不整脈薬(例、メキシレチン)、性ホルモンまたはその誘導体(例、プロゲステロン、エストラジオール、安息香酸エストラジオール)、骨粗鬆症治療剤(例、アルファカルシドール、カルシトリオール、エルカトニン、サケカルシトニン、エストリオール、イプリフラボン(iprivlavone)、パミドロン酸二ナトリウム、アレンドロン酸ナトリウム水和物、インカドロン酸二ナトリウム)、副甲状腺ホルモン(PTH)、カルシウム受容体拮抗薬、不眠症治療薬(例、ベンゾジアゼピン系薬剤、非ベンゾジアゼピン系薬剤、メラトニン作動薬、オレキシン受容体拮抗薬)、統合失調症治療薬(例、ハロペリドールなどの定型抗精神病薬;クロザピン、オランザピン、リスペリドン、アリピプラゾールなどの非定型抗精神病薬;代謝型グルタミン酸受容体またはイオンチャネル共役型グルタミン酸受容体に作用する薬剤;ホスホジエステラーゼ阻害薬)、ベンゾジアゼピン系薬剤(クロルジアゼポキシド、ジアゼパム、クロラゼブ酸カリウム、ロラゼパム、クロナゼパム、アルプラゾラム等)、L-型カルシウムチャネル阻害薬(プレガバリン等)、三環性または四環性抗うつ薬(塩酸イミプラミン、塩酸アミトリプチリン、塩酸デシプラミン、塩酸クロミプラミン等)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(マレイン酸フルボキサミン、塩酸フロキセチン、臭酸シタロプラム、塩酸セルトラリン、塩酸パラキセチン(paraxetine)、シュウ酸エスシタロプラム等)、セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(塩酸ベンラファキシン、塩酸デュロキセチン、塩酸デスベンラファキシン(desvenlafacine)等)、ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(メシル酸レボキセチン等)、ミルタザピン、塩酸トラゾドン、塩酸ネファゾドン、塩酸ブプロピオン、マレイン酸セチプチリン、5-HT2A拮抗薬(例、酒石酸ピマバンセリン)、5-HT2Aインバースアゴニスト、5-HT3拮抗薬(シアメマジン等)、心臓選択的ではないβ阻害薬(塩酸プロプラノロール、塩酸オキシプレノロール(oxiprenolol)等)、ヒスタミンH1拮抗薬(塩酸ヒドロキシジン等)、統合失調症治療薬(クロルプロマジン、ハロペリドール、スルプリド、クロザピン、塩酸トリフルオペラジン、塩酸フルフェナジン、オランザピン、フマル酸クエチアピン、リスペリドン、アリピプラゾール等)、CRF拮抗薬、他の抗不安薬(メプロバメート等)、タキキニン拮抗薬(アプレピタント、サレデュタント等)、代謝型グルタミン酸受容体に作用する薬剤、GABA受容体に作用する薬剤、アセチルコリン受容体に作用する薬剤、CCK拮抗薬、β3アドレナリン拮抗薬(アミベグロン等)、GAT-1阻害薬(塩酸チアガビン等)、N型カルシウムチャネル阻害薬、2型炭酸脱水素酵素阻害薬、NMDAグリシン部位作動薬、NMDA拮抗薬(ケタミン、S-ケタミン、R-ケタミン、ケタミン代謝物(例、(2S,6S;2R,6R)-ヒドロキシノルケタミン、(2R,6R)-ヒドロキシノルケタミン等)、メマンチン等)、末梢性ベンゾジアゼピン受容体作動薬、バソプレッシン拮抗薬、バソプレッシンV1b拮抗薬、バソプレッシンV1a拮抗薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、オピオイド拮抗薬、オピオイド作動薬、ウリジン、ニコチン酸作動薬(nicotinic acid agonist)、チロイドホルモン(T3、T4)、TSH、TRH、MAO阻害薬(硫酸フェネルジン(phenylzine)、硫酸トラニルシプロミン、モクロベミド等)、双極性障害治療薬(炭酸リチウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリジン、リルゾール、フェルバメート等)、カンナビノイドCB1拮抗薬(リモナバント等)、FAAH阻害薬、ナトリウムチャネル阻害薬、抗ADHD薬(塩酸メチルフェニデート、塩酸メタンフェタミン等)、アルコール依存症治療薬、自閉症治療薬、慢性疲労症候群治療薬、痙攣治療薬、線維筋痛症治療薬、頭痛治療薬、禁煙のための治療薬、重症筋無力症治療薬、脳梗塞治療薬、躁病治療薬、過眠症治療薬、疼痛治療薬、気分変調症治療薬、自律神経失調症治療薬、男性および女性の性機能障害治療薬、片頭痛治療薬、病的賭博治療薬、下肢静止不能症候群治療薬、物質依存症治療薬、アルコール関連症の治療薬、過敏性腸症候群治療薬、コレステロール低下薬のような脂質異常症治療薬(スタチンシリーズ(プラバスタチンナトリウム、アトロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチン等)、フィブレート(クロフィブレート等)、スクワレン合成阻害薬)、異常行動治療薬または痴呆症による放浪癖の抑制薬(鎮静薬、抗不安薬等)、抗肥満薬、糖尿病治療薬、糖尿病性合併症治療剤、高血圧治療薬、低血圧治療薬、利尿剤、化学療法剤、免疫療法剤、抗血栓剤、抗癌剤など。
【0315】
上記併用薬物は、2種またはそれよりも多くを適宜の割合で組み合わせて用いてもよい。
【0316】
さらに、本開示の化合物を使用して上記疾患の1つまたは複数を治療または予防する場合、化合物を、生物製剤(例、抗体医薬、核酸(例、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、デコイ等)または核酸誘導体、アプタマー薬、ペプチド薬、ワクチン製剤)と併用することもできる。加えて、化合物を、遺伝子治療法等と併用すること、薬剤を用いない精神科領域で用いられる治療法と併用することもできる。
【0317】
抗体医薬およびワクチン製剤の非限定的な例としては、例えば、アンジオテンシンIIに対するワクチン製剤、CETPに対するワクチン製剤、CETP抗体、TNFα抗体や他のサイトカインに対する抗体、アミロイドβワクチン製剤、1型糖尿病ワクチン(例、Peptor社製のDIAPEP-277)、抗HIV抗体またはHIVワクチン製剤、サイトカイン、レニン・アンジオテンシン系酵素もしくはその産物に対する抗体またはワクチン製剤、血中脂質代謝に関与する酵素またはタンパク質に対する抗体あるいはワクチン製剤、血中の凝固・線溶系に関与する酵素またはタンパク質に関する抗体またはワクチン、糖代謝またはインスリン抵抗性に関与するタンパク質に対する抗体またはワクチン製剤等が挙げられる。その他、化合物(I)は、GHまたはIGF等の成長因子に関わる生物製剤と併用することもできる。
【0318】
遺伝子治療法の非限定的な例としては、例えば、サイトカイン、レニン・アンジオテンシン系酵素およびその産物、Gタンパク質、Gタンパク質共役受容体およびそのリン酸化酵素に関連する遺伝子を用いた治療法、NFκBデコイ等のDNAデコイを用いる治療法、アンチセンスを用いる治療法、血中脂質代謝に関与する酵素またはタンパク質に関連する遺伝子(例、血中コレステロール、トリグリセリド、HDL-コレステロール、またはリン脂質の代謝、排泄、および吸収に関連する遺伝子)を用いた治療法、末梢血管閉塞症等を対象とした血管新生療法に関与する酵素またはタンパク質(例、HGF、VEGF等の増殖因子)に関連する遺伝子を用いた治療法、糖代謝またはインスリン抵抗性に関与するタンパク質に関連する遺伝子を用いた治療法、TNF等のサイトカインに対するアンチセンス、ウイルスベクター(例、アデノウイルス、レンチウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、センダイウイルス等)または非ウイルスベクター(例、プラスミド、脂質粒子等)を用いた遺伝子治療法等が挙げられる。
【0319】
薬剤を用いない精神科領域で用いられる治療法の非限定的な例としては、例えば、修正電気痙攣療法、脳深部刺激療法、反復経頭蓋磁気刺激療法、認知行動療法を含む心理療法が挙げられる。
【0320】
また、本開示の化合物は、それぞれ自家または他家細胞(遺伝子改変を含む)を用いた、心臓再生、腎再生、膵再生、血管再生等の各種臓器再生法、骨髄細胞(骨髄単核細胞、骨髄幹細胞)を利用した細胞移植療法、組織工学を利用した人工臓器(例、人工血管、心筋細胞シート)と併用することができる。
【0321】
一部の実施態様において、化合物(I)と併用薬物とを組み合わせることにより、以下の結果の1つまたは複数を得ることができる。
(1)化合物(I)または併用薬物を単独で投与する場合に比べて、その投与量を軽減することができる、
(2)患者の症状(軽症、重症など)に応じて、化合物(I)と併用する薬物を選択することができる、
(3)化合物(I)と作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療期間を長く設定することができる、
(4)化合物(I)と作用機序が異なる併用薬物を選択することにより、治療効果の持続を図ることができる、
(5)化合物(I)と併用薬物とを併用することにより、相乗効果を達成することができる。
【0322】
以下、化合物(I)と併用薬物を併用して使用することを「本開示の併用剤」と称する。
【0323】
本開示の併用剤の使用に際しては、化合物(I)と併用薬物の投与時期は限定されず、化合物(I)またはその医薬組成物と併用薬物またはその医薬組成物とを、投与対象に対して同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与経路、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
【0324】
本開示の併用剤の投与形態は、特に限定されず、投与時に、化合物(I)と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態の非限定的な例としては、例えば、(1)化合物(I)と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)化合物(I)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)化合物(I)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)化合物(I)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)化合物(I)と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、化合物(I)に続いて併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。
【0325】
一部の実施態様において、本開示の併用剤は、毒性が低く、化合物(I)および/または上記併用薬物を、公知の方法に従って少なくとも1種の薬学的に許容される担体と混合し、医薬組成物、例えば錠剤(例えば、糖衣錠、フィルムコーティング錠)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(例えば、ソフトカプセル)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的または非経口的(例えば、局所、直腸、静脈投与による)に安全に投与することができる。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下または臓器内投与、あるいは病巣に直接投与することができる。
【0326】
本開示の併用剤の製造に用いられてもよい薬学的に許容される担体の非限定的な例としては、例えば、上記と同様のものが挙げられる。
【0327】
本開示の併用剤における化合物(I)と併用薬物との配合比は、投与対象、投与経路、疾患等により適宜選択することができる。
【0328】
例えば、本開示の併用剤における化合物(I)の含有量は、製剤の形態によって相違するが、一部の実施態様において、製剤全体に対して約0.01~100重量%、例えば約0.1~50重量%、例えば、約0.5~20重量%程度である。
【0329】
本開示の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、一部の実施態様において、製剤全体に対して約0.01~100重量%、例えば約0.1~50重量%、例えば約0.5~20重量%程度である。
【実施例】
【0330】
本開示は、以下の実施例、試験例および製剤例を使用してさらに詳しく説明される。しかし、これらの実施例、試験例および製剤例は、本開示を限定するものではなく、また本開示の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0331】
以下の実施例中の「室温」は、通常、約10℃~約35℃の間を示す。混合溶媒において示した比は、特記しない限り、容量比を示す。加えて、%は、特記しない限り、重量%を示す。
【0332】
実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出は、特記しない限り、薄層クロマトグラフィー(TLC)による観察下で行った。TLC観察においては、Merck社製の60F254をTLCプレートとして用い、カラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いた溶媒を、展開溶媒として用いた。また、検出にはUV検出器を採用した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおいて、NHと記載した場合はアミノプロピルシラン結合シリカゲルを、Diolと記載した場合は3-(2,3-ジヒドロキシプロポキシ)プロピルシラン結合シリカゲルを用いた。分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)において、C18と記載した場合はオクタデシル結合シリカゲルを用いた。溶出溶媒において示した比は、特記しない限り、容量比を示す。
【0333】
1H NMRの解析にはACD/SpecManagerソフトウエアなどを用いた。水酸基やアミノ基などの緩やかなプロトンピークについては記載していないことがある。
【0334】
MSは、LC/MSにより測定した。イオン化法としては、ESI法、または、APCI法を用いた。データは実測値(found)を示す。通常、分子イオンピークが観測されるがフラグメントイオンとして観測されることがある。塩の場合は、通常、フリー体の分子イオンピークもしくはフラグメントイオンピークが観測される。
【0335】
旋光度([α]D)における試料濃度(c)の単位はg/100mLである。
【0336】
元素分析値(Anal.)は計算値(Calcd)と実測値(Found)として示す。
【0337】
実施例の粉末X線回折によるピークは、線源としてCu Kα線を用い、Ultima IV(Rigaku Corporation,Japan)を使って室温において測定されるピークを意味する。測定条件は以下のとおりである。
Electric pressure/Electric current:40 kV/50 mA
Scan speed:6 degree/min
Scan range of 2 Theta:2-35 degree
【0338】
実施例の粉末X線回折による結晶化度はHermans法により算出した。
【0339】
以下の実施例においては下記の略号を使用する。
mp:融点
MS:マススペクトル
M:モル濃度
N:規定度
CDCl3:重クロロホルム
DMSO-d6:重ジメチルスルホキシド
DMSO:ジメチルスルホキシド
1H NMR:プロトン核磁気共鳴
LC/MS:液体クロマトグラフ質量分析計
ESI:electrospray ionization、エレクトロスプレーイオン化
APCI:atomospheric pressure chemical ionization、大気圧化学イオン化
Pd2(dba)3: トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
TFA:トリフルオロ酢酸
DIPEA:N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン
PdCl2:塩化パラジウム(II)
PdCl2(dppf):ジクロロ(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム
PdCl2(dppf)・CH2Cl2 : ジクロロ(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウムジクロロメタン付加体
n-BuLi:ブチルリチウム
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
DME:1,2-ジメトキシエタン
EtOH:エタノール
AcOH:酢酸
HMPA:ヘキサメチルリン酸トリアミド
NBS:1-ブロモピロリジン-2,5-ジオン
XPhos:2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',4',6'-トリイソプロピル-1,1'-ビフェニル
Xantphos:4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン
RuPhos:ジシクロヘキシル(2',6'-ジイソプロポキシ-[1,1'-ビフェニル]-2-イル)ホスフィン
SPhos:2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2',6'-ジメトキシ-1,1'-ビフェニル
dbbpy:4,4'-ジ-tert-ブチル-2,2'-ビピリジン
IPE:ジイソプロピルエーテル
BINAP:2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル
実施例1
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン
A) エチル1-エチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシラート
【0340】
炭酸カリウム(197g)、エチル1H-ピラゾール-4-カルボキシラート(100g)、ヨウ化エチル(122g)、およびDMF(200mL)の混合物を室温で終夜攪拌した。混合物に室温で水を加え、次に酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、減圧下で濃縮して、標題化合物(121g)を得た。
【0341】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.26 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.37 (3H, t, J = 7.2 Hz), 4.12-4.27 (4H, dq, J = 11.5, 7.2 Hz), 7.84 (1H, s), 8.33 (1H, s).
B) (1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メタノール
【0342】
水素化アルミニウムリチウム(16.3g)、およびTHF(400mL)の混合物にエチル1-エチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシラート(48.0g)とTHF(100mL)の混合物を0-10℃で滴下し、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物をTHF(150mL)で希釈し、0℃に冷却後、0-10℃で硫酸ナトリウム十水和物(110g)を加え、室温で1時間攪拌した。不溶物を濾去し、濾液を減圧下留去し、標題化合物(29.9g)を得た。
【0343】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.33 (3H, t, J = 7.3 Hz), 4.07 (2H, q, J = 7.2 Hz), 4.32 (2H, d, J = 5.3 Hz), 4.77 (1H, t, J = 5.5 Hz), 7.32 (1H, s), 7.59 (1H, s)
C) 4-(クロロメチル)-1-エチル-1H-ピラゾール塩酸塩
【0344】
(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メタノール(2.33g)とアセトニトリル(20mL)の混合物に塩化チオニル(4.39g)を室温で加え、混合物を同じ温度で終夜撹拌した。混合物を濃縮し、標題化合物(3.23g)を得た。
【0345】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.34 (3H, t, J = 7.2 Hz), 4.10 (2H, q, J = 7.4 Hz), 4.69 (2H, s), 7.50 (1H, s), 7.85 (1H, s), 12.32 (1H, m).
D) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-2-メトキシピリジン
【0346】
4-(クロロメチル)-1-エチル-1H-ピラゾール塩酸塩(2.87g)、炭酸セシウム(20.7g)、PdCl2(dppf)(2.32g)、(2-メトキシピリジン-3-イル)ボロン酸(3.15g)、DME(25mL)、および水(2.5mL)の混合物をアルゴン雰囲気下110 ℃で1時間撹拌した。混合物を水で希釈し酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(2.88g)を得た。
【0347】
MS:[M+H]+218.0.
E) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン
【0348】
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-2-メトキシピリジン(302mg)のDMF(3mL)溶液に、ピリジン塩酸塩(1.61g)を加えた。混合物を90 ℃で16時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮した後、残渣をHPLC(C18、移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))で精製した。得られた画分を減圧下濃縮し、標題化合物(194mg)を得た。
【0349】
MS:[M+H]+204.0.
F) 2-クロロ-6-(4-フルオロフェニル)-4-(トリフルオロメチル)ピリジン
【0350】
2,6-ジクロロ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン(10g)のDMF(150mL)溶液に、4-(フルオロフェニル)ボロン酸(6.8g)、炭酸カリウム(19.2g)、水(50mL)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)クロリド(3.25g)、およびトリ-o-トリルホスフィン(1.41g)を加え、混合物をアルゴン雰囲気下、室温で終夜撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)で精製し、標題化合物(10.6g)を得た。
【0351】
MS:[M+H]+276.3.
G) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン
【0352】
2-クロロ-6-(4-フルオロフェニル)-4-(トリフルオロメチル)ピリジン(27.1mg)、3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン(20mg)、炭酸セシウム(96mg)、Xantphos(11.4mg)、Pd2(dba)3(9.01mg)およびトルエン(0.5mL)の混合物を、アルゴン雰囲気下100℃で3時間撹拌した。混合物を濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(11.1mg)を得た。
【0353】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.33 (3H, t, J = 7.3 Hz), 3.57-3.66 (2H, m), 4.02-4.12 (2H, m), 6.40 (1H, t, J = 7.0 Hz), 7.30-7.43 (4H, m), 7.57 (1H, s), 8.02 (1H, dd, J = 7.0, 2.1 Hz), 8.18 (1H, s), 8.27-8.34 (2H, m), 8.42 (1H, s).
実施例3
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-4’-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル
A) 4-(ベンジルオキシ)-2,6-ジクロロピリジン-3-カルボニトリル
【0354】
水素化ナトリウム(60%含有、31.7mg)のDMF(1mL)溶液にベンジルアルコール(79mg)を0℃で加えた。混合物を0℃で10分間撹拌した。混合物に2,4,6-トリクロロピリジン-3-カルボニトリル(137mg)のDMF(1mL)溶液を0℃で加えた。混合物を0℃で4時間撹拌した。混合物に0℃で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(62.4mg)を得た。
【0355】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 5.29 (2H, s), 6.95 (1H, s), 7.37-7.46 (5H, m).
B) 4-(ベンジルオキシ)-2-クロロ-6-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-カルボニトリル
【0356】
4-(ベンジルオキシ)-2,6-ジクロロピリジン-3-カルボニトリル(1.56g)、(4-フルオロフェニル)ボロン酸(0.938g)、PdCl2(dppf)(0.204g)、炭酸セシウム(3.28g)、THF(20mL)および水(20mL)の混合物を窒素雰囲気下、80℃で3時間撹拌後、反応液を濃縮した。得られた残渣に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(1.70g)を得た。
【0357】
MS:[M+H]+339.0.
C) 4’-(ベンジルオキシ)-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(フルオロフェニル)-2-オキソ-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル」
【0358】
4-(ベンジルオキシ)-2-クロロ-6-(4-フルオロフェニル)ピリジン-3-カルボニトリル(60.8mg)、3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン(36.5mg)、Pd2(dba)3(16.4mg)、Xantphos(20.8mg)、炭酸セシウム(175mg)およびトルエン(1.5mL)の混合物をアルゴン雰囲気下、封管中100℃で1時間撹拌した。さらに混合物を100℃で1時間マイクロウェーブ照射した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(34.3mg)を得た。
【0359】
MS:[M+H]+506.2.
D) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-4’-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル
【0360】
4’-(ベンジルオキシ)-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(フルオロフェニル)-2-オキソ-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル(34.3mg)、10%パラジウム-炭素(2.89mg)、THF(1mL)およびメタノール(0.5mL)の混合物を常圧の水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。触媒を濾去し、濾液を減圧下濃縮し、標題化合物(26.4g)を得た。
【0361】
MS:[M+H]+416.1.
E) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-4’-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル
【0362】
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6’-(4-フルオロフェニル)-4’-(トリフルオロメチル)-4’-ヒドロキシ-2-オキソ-2H-[1,2’-ビピリジン]-3’-カルボニトリル(26.4mg)、炭酸カリウム(17.6mg)、およびDMF(1ml)の混合物に2,2,2-トリフルオロエチルトリフルオロメタンスルホナート(27.4mg)を室温で加えた。混合物を80℃で1時間撹拌した。混合物に室温で水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をHPLC(C18,移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))で精製した。得られた画分を減圧下濃縮し、標題化合物(9.3mg)を得た。
【0363】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.33 (3H, t, J = 7.3 Hz), 3.60 (2H, s), 4.05 (2H, q, J = 7.3 Hz), 5.37 (2H, q, J = 8.7 Hz), 6.39 (1H, t, J = 6.8 Hz), 7.29-7.32 (1H, m), 7.36-7.47 (3H, m), 7.55-7.58 (1H, m), 7.75 (1H, dd, J = 6.9, 2.0 Hz), 8.09-8.13 (1H, m), 8.24-8.32 (2H, m).
実施例7
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-6’-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン
A) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’,6’-ジフルオロ-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン
【0364】
2,3,6-トリフルオロ-4-(トリフルオロメチル)ピリジン(500mg)のN,N-ジメチルアセトアミド(5mL)溶液に3-((1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル)ピリジン-2(1H)-オン(657mg)を加えた。混合物に水素化ナトリウム(60%含有、90mg)を-20 ℃以下を保ったまま少しずつ加え、0℃まで昇温し0 ℃で1時間撹拌した。混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えた後、水で希釈し酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(373mg)を得た。
【0365】
MS:[M+H]+385.1.
B) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’-フルオロ-6’-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン
【0366】
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3’,6’-ジフルオロ-4’-(トリフルオロメチル)-2H-[1,2’-ビピリジン]-2-オン(100mg)、(2R)-2-メチルモルホリン塩酸塩(39.4mg)、炭酸セシウム(93mg)、およびDMSO(1mL)の混合物を100 ℃で1時間撹拌した。混合物を水に加え酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)でさらに精製し、標題化合物(119mg)を得た。
【0367】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.24-1.28 (3H, m), 1.47 (3H, t, J = 7.3 Hz), 2.64 (1H, dd, J = 12.4, 10.5 Hz), 3.00 (1H, td, J = 12.3, 3.6 Hz), 3.56-3.79 (4H, m), 3.88-4.07 (3H, m), 4.09-4.17 (2H, m), 6.22 (1H, t, J = 7.0 Hz), 6.82 (1H, d, J = 3.0 Hz), 7.17-7.24 (1H, m), 7.27-7.41 (3H, m).
実施例9
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン
A) 5-ブロモ-2-フルオロ-1-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン
【0368】
2-フルオロ-1-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン(4.90g)、NBS(5.01g)、TFA(20mL)と濃硫酸(30mL)の混合物を60℃で終夜撹拌した。混合物を氷水に加えた後、この混合物を水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(6.50g)を得た。
【0369】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 8.46 (1H, dd, J = 5.3, 2.3 Hz), 8.70 (1H, dd, J = 6.4, 2.3 Hz).
B) (2R)-4-[4-フルオロ-3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-メチルモルホリン
【0370】
5-ブロモ-2-フルオロ-1-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン(1.00g)、(2R)-2-メチルモルホリン塩酸塩(0.717g)、Pd2(dba)3(0.318g)、ナトリウムtert-ブトキシド(1.67g)、XPhos(0.331g)、およびトルエン(13mL)の混合物を、マイクロウェーブ照射下110℃で2時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(530mg)を得た。
【0371】
MS:[M+H]+309.1.
C) 2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)アニリン
【0372】
(2R)-4-[4-フルオロ-3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-メチルモルホリン(1.85g)、10%パラジウム-炭素(0.319g)およびEtOH(60mL)の混合物を常圧の水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。触媒を濾去し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(1.67g)を得た。
【0373】
MS: [M+H]+279.2.
D) (2R)-4-[4-フルオロ-3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-メチルモルホリン
【0374】
2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)アニリン(3.1g)と水(50mL)の混合物に濃硫酸(15mL)と水(15mL)を加えた。混合物に亜硝酸ナトリウム(1.32g)との水(10mL)溶液を0℃で滴下した。混合物を0℃で1時間撹拌した後、混合物にヨウ化カリウム(6.36g)の水(10mL)溶液を0℃で滴下した。
【0375】
混合物を室温まで昇温し、室温で終夜撹拌した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、飽和亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(2.37g)を得た。
【0376】
MS:[M+H]+390.0.
E) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン
【0377】
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン(102mg)、(2R)-4-[4-フルオロ-3-ヨード-4-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-メチルモルホリン(292mg)、ヨウ化銅(I)(28.6mg)、キノリン-8-オール(21.8mg)、炭酸セシウム(326mg)、およびDMSO(4mL)の混合物をマイクロウェーブ照射下120℃で3時間加熱した。混合物に酢酸エチルと水を加え、有機層を分離した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(4.5mg)を得た。
【0378】
【0379】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.25 (3H, d, J = 6.0 Hz), 1.47 (3H, t, J = 7.3 Hz), 2.53 (1H, dd, J = 11.5, 10.4 Hz), 2.88 (1H, td, J = 11.7, 3.8 Hz), 3.31-3.44 (2H, m), 3.67-3.82 (4H, m), 3.97-4.06 (1H, m), 4.13 (2H, q, J = 7.2 Hz), 6.20 (1H, t, J = 7.0 Hz), 7.01 (1H, dd, J = 5.7, 3.0 Hz), 7.09-7.17 (2H, m), 7.21 (1H, dt, J = 6.8, 0.9 Hz), 7.34 (1H, s), 7.39 (1H, s).
実施例20
1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン
A) エチル1-エチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシラート
【0380】
炭酸カリウム(197g)、エチル1H-ピラゾール-4-カルボキシラート(100g)、ヨウ化エチル(122g)、およびDMF(200mL)の混合物を室温で終夜攪拌した。混合物を室温で水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮し、標題化合物(121g)を得た。
【0381】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.26 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.37 (3H, t, J = 7.2 Hz), 4.12-4.27 (4H, m), 7.84 (1H, s), 8.33 (1H, s).
B) (1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メタノール
【0382】
水素化アルミニウムリチウム(16.3g)、およびTHF(400mL)の混合物にエチル1-エチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシラート(48.0g)とTHF(100mL)の混合物を0-10℃で滴下し、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物をTHF(150mL)で希釈し、0℃に冷却後、0-10℃で硫酸ナトリウム十水和物(110g)を加え、室温で1時間攪拌した。不溶物を濾去し、濾液を減圧下留去し、標題化合物(29.9g)を得た。
【0383】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.33 (3H, t, J = 7.3 Hz), 4.07 (2H, q, J = 7.2 Hz), 4.32 (2H, d, J = 5.3 Hz), 4.77 (1H, t, J = 5.5 Hz), 7.32 (1H, s), 7.59 (1H, s)
C) 4-(クロロメチル)-1-エチル-1H-ピラゾール塩酸塩
【0384】
(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メタノール(2.33g)とアセトニトリル(20mL)の混合物に塩化チオニル(4.39g)を室温で加え、混合物を同じ温度で終夜撹拌した。混合物を濃縮し、標題化合物(3.23g)を得た。
【0385】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.34 (3H, t, J = 7.2 Hz), 4.10 (2H, q, J = 7.4 Hz), 4.69 (2H, s), 7.50 (1H, s), 7.85 (1H, s), 12.32 (1H, m).
D) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-2-メトキシピリジン
【0386】
4-(クロロメチル)-1-エチル-1H-ピラゾール塩酸塩(2.87g)、炭酸セシウム(20.7g)、PdCl2(dppf)(2.32g)、(2-メトキシピリジン-3-イル)ボロン酸(3.15g)、DME(25ml)、および水(2.5mL)の混合物を110 ℃でアルゴン雰囲気下1時間撹拌した。混合物を水で希釈し酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(2.88g)を得た。
【0387】
MS:[M+H]+218.0.
E) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン
【0388】
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-2-メトキシピリジンのDMF(3mL)溶液に、ピリジン塩酸塩(1.61g)を加えた。混合物を90 ℃で16時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮した後、残渣をHPLC(C18、移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))で精製した。得られた画分を減圧下濃縮し、標題化合物(194mg)を得た。
【0389】
MS:[M+H]+204.0.
F) 2-ブロモ-1-フルオロ-4-ヨードベンゼン
【0390】
3-ブロモ-4-フルオロアニリン(5g)と濃塩酸(16.5mL)の混合物に亜硝酸ナトリウム(2.00g)の水(20mL)溶液を0 ℃でゆっくり加えた。混合物を0 ℃で30分攪拌した後、ヨウ化カリウム(13.1g)の水(20mL)溶液を0℃で加え、室温で3時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離した後、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(6.90g)を得た。
【0391】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 7.21 (1H, t, J = 8.8 Hz), 7.77 (1H, ddd, J = 8.7, 4.7, 2.1 Hz), 8.02-8.13 (1H, m).
G) (2R)-4-(3-ブロモ-4-フルオロフェニル)-2-メチルモルホリン
【0392】
2-ブロモ-1-フルオロ-4-ヨードベンゼン(1g)、(2R)-2-メチルモルホリン塩酸塩(0.457g)、酢酸パラジウム(II)(0.0750g)、BINAP(0.207g)、炭酸セシウム(3.25g)、およびトルエン(30mL)の混合物を120℃で1時間撹拌した。混合物をセライトを用いて濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(0.56g)を得た。
【0393】
MS:[M+H]+274.1.
H) (2R)-4-(3-シクロプロピル-4-フルオロフェニル)-2-メチルモルホリン
【0394】
(2R)-4-(3-ブロモ-4-フルオロフェニル)-2-メチルモルホリン(250mg)、シクロプロピルボロン酸(157mg)、SPhos(74.9mg)、炭酸ナトリウム(193mg)、およびDME(1mL)の混合物にPd2(dba)3(84mg)をアルゴン雰囲気下室温で加えた。混合物を封管中、アルゴン雰囲気下120℃で1時間撹拌した。混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(177mg)を得た。
【0395】
MS:[M+H]+236.2.
I) (2R)-4-[3-シクロプロピル-4-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-2-メチルモルホリン
【0396】
(2R)-4-(3-シクロプロピル-4-フルオロフェニル)-2-メチルモルホリン(343mg)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ジオキサボロラン(407mg)、ジ-μ-メトキソビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)(19.3mg)、dbbpy(15.7mg)、および2-メトキシ-2-メチルプロパン(3ml)の混合物をマイクロウェーブ照射下80℃で1時間加熱した。混合物をセライトを用いて濾過し、濾液を減圧下留去し、標題化合物(527mg)を得た。
【0397】
MS:[M+H]+362.3.
J) 1-{3-シクロプロピル-2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン
【0398】
(2R)-4-[3-シクロプロピル-4-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-2-メチルモルホリン(711mg)、3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン(200mg)、酢酸銅(II)(357mg)、ピリジン(311mg)、およびアセトニトリル(10ml)の混合物を40℃で12時間、60℃で10時間撹拌した。混合物に(2R)-4-[3-シクロプロピル-4-フルオロ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-2-メチルモルホリン(527mg)を加え、混合物を60℃で13時間撹拌した。混合物をセライトを用いて濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製した。得られた画分を減圧下濃縮し、得られた残渣を酢酸エチル/ヘキサンから結晶化し、標題化合物(131mg)を得た。
【0399】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 0.75-0.88 (2H, m), 0.92-1.03 (2H, m), 1.12 (3H, d, J = 6.0 Hz), 1.33 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.98-2.07 (1H, m), 2.26 (1H, t, J = 11.3 Hz), 2.53-2.64 (1H, m), 3.47 (1H, br d, J = 11.3 Hz), 3.52-3.63 (5H, m), 3.87 (1H, dd, J = 11.3, 2.3 Hz), 4.06 (2H, q, J = 7.4 Hz), 6.24 (1H, t, J = 6.8 Hz), 6.54 (1H, dd, J = 5.8, 2.8 Hz), 6.74 (1H, dd, J = 6.0, 3.0 Hz), 7.22-7.29 (2H, m), 7.47 (1H, dd, J = 6.8, 1.9 Hz), 7.54 (1H, s).
実施例23
1-{3-ブロモ-2-フルオロ-5-[(オキサン-4-イル)オキシ]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン
A) 4-(3-ブロモ-4-フルオロフェノキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン
【0400】
テトラヒドロ-2H-ピラン-4-オール(1.07g)、4-フルオロ-3-(トリフルオロメチル)フェノール(2g)、トリフェニルホスフィン(3.30g)、およびTHF(20mL)の混合物にアゾジカルボン酸エチル(5.74ml)を室温で滴下した後、混合物を終夜撹拌した。混合物を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(2.3g)を得た。
【0401】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.55 (2H, dtd, J = 13.3, 9.0, 4.1 Hz), 1.89-1.97 (2H, m), 3.46 (2H, ddd, J = 11.9, 9.4, 2.8 Hz), 3.83 (2H, dt, J = 11.7, 4.5 Hz), 4.57 (1H, tt, J = 8.6, 4.2 Hz), 6.99-7.06 (1H, m), 7.23-7.38 (2H, m).
B) 1-{3-ブロモ-2-フルオロ-5-[(オキサン-4-イル)オキシ]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン
【0402】
4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ(1,3,2-ジオキサボロラン)(9.64mg)の脱気したTHF(2mL)溶液にジ-μ-メトキソビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)(185mg)をアルゴン雰囲気下、室温で加えた。混合物にdbbpy(7.8mg)をアルゴン雰囲気下、室温で加えた。混合物に4-(3-ブロモ-4-フルオロフェノキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(200mg)とTHF(1mL)の混合物をアルゴン雰囲気下、室温で加え、混合物をアルゴン雰囲気下、40 ℃で3時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮した。得られた残渣(292mg)、3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン(59.2mg)、酢酸銅(II)(79mg)、ピリジン(0.047ml)、およびアセトニトリル(3mL)の混合物を80℃で12時間撹拌した。混合物を減圧下濃縮した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(5.60mg)を得た。
【0403】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.33 (3H, t, J = 7.3 Hz), 1.50-1.62 (2H, m), 1.89-1.98 (2H, m), 3.38-3.56 (4H, m), 3.84 (2H, dt, J = 11.6, 4.2 Hz), 4.02-4.10 (2H, m), 4.64 (1H, dt, J = 8.8, 4.6 Hz), 6.28 (1H, t, J = 6.8 Hz), 7.15-7.32 (3H, m), 7.46 (1H, dd, J = 5.3, 3.0 Hz), 7.52-7.56 (2H, m).
実施例27
3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(プロパン-2-イル)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン
A) 2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェノール
【0404】
5-ブロモ-2-フルオロフェノール(5.00g)、(2R)-2-メチルモルホリン塩酸塩(5.40g)、酢酸パラジウム(II)(0.588g)、BINAP(1.63g)、ナトリウムtert-ブトキシド(10.1g)、およびトルエン(250mL)の混合物を窒素雰囲気下、120℃で4時間撹拌した。混合物をセライトを用いて濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(1.10g)を得た。
【0405】
MS:[M+H]+212.1
B) 2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル トリフルオロメタンスルホナート
【0406】
2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェノール(1.08g)とピリジン(8mL)の混合物にトリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.12mL)のトルエン(4mL)溶液を0℃で5分かけて滴下した。混合物を室温に昇温し、同温で終夜撹拌した後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(1.30g)を得た。
【0407】
MS:[M+H]+344.0
C) (2R)-4-[4-フルオロ-3-(プロパ-1-エン-2-イル)フェニル]-2-メチルモルホリン
【0408】
2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニルトリフルオロメタンスルホナート(1.00g)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(プロパ-1-エン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(0.979g)、PdCl2(dppf)・CH2Cl2(0.238g)、炭酸ナトリウム(0.617g)、DME(10mL)、および水(3mL)の混合物を窒素雰囲気下、120℃で12時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(0.145g)を得た。
【0409】
MS:[M+H]+236.1
D) (2R)-4-[4-フルオロ-3-(プロパン-2-イル)フェニル]-2-メチルモルホリン
【0410】
(2R)-4-[4-フルオロ-3-(プロパ-1-エン-2-イル)フェニル]-2-メチルモルホリン(145mg)、10%パラジウム-炭素(30mg)、およびEtOH(8mL)の混合物を常圧の水素雰囲気下、室温で4時間撹拌した。触媒を濾去し、濾液を減圧下濃縮し標題化合物(144mg)を得た。
【0411】
MS:[M+H]+238.2
E) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(プロパン-2-イル)フェニル}ピリジン-2(1H)-オン
【0412】
(2R)-4-[4-フルオロ-3-(プロパン-2-イル)フェニル]-2-メチルモルホリン(144mg)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ-1,3,2-ジオキサボロラン(169mg)、ジ-μ-メトキソビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)(8.04mg)、dbbpy(6.51mg)、および2-メトキシ-2-メチルプロパン(2mL)の混合物を80℃で1時間マイクロウェーブ照射した。混合物をセライトを用いて濾過し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣にアセトニトリル(2mL)を加えた(溶液A)。溶液A(1mL)、3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]ピリジン-2(1H)-オン(62.0mg)、酢酸銅(II)(111mg)、およびピリジン(97.0mg)の混合物を60℃で12時間撹拌した。混合物に溶液A(1mL)をさらに加え、60℃でさらに12時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)でさらに精製し、標題化合物(19.0mg)を得た。
【0413】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.22-1.25 (3H, m), 1.28 (6H, d, J = 7.0 Hz), 1.47 (3H, t, J = 7.3 Hz), 2.48 (1H, t, J = 10.9 Hz), 2.78-2.86 (1H, m), 3.21-3.39, (3H, m), 3.69-3.81 (4H, m), 3.95-4.03 (1H, m), 4.13 (2H, q, J = 7.3 Hz), 6.16 (1H, t, J = 6.8 Hz), 6.66 (1H, dd, J = 5.6, 2.9 Hz), 6.85 (1H, dd, J = 5.3, 2.9 Hz), 7.17 (2H, br t, J = 8.1 Hz), 7.35 (1H, s), 7.40 (1H, s).
実施例31
1-{3-シクロプロピル-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-フルオロピリジン-2(1H)-オン
A) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-フルオロ-2-メトキシピリジン
【0414】
2,6-ジフルオロ-3-ヨードピリジン(4.0g)とメタノール(40mL)の混合物に、ナトリウムメトキシド/メタノール溶液(28%含有、3.2g)を0℃で加えた。混合物を室温で12時間撹拌し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、6-フルオロ-3-ヨード-2-メトキシピリジンと2-フルオロ-3-ヨード-6-メトキシピリジンの混合物(4.0g)を得た。得られた混合物(4.0g)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ-1,3,2-ジオキサボロラン(6.0g)、PdCl2(dppf)・CH2Cl2(0.65g)、酢酸カリウム(4.65g)およびDME(80mL)の混合物を窒素雰囲気下、100℃で36時間撹拌した。混合物をセライトを用いて濾過し、濾液を減圧下濃縮し、6-フルオロ-2-メトキシ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジンと2-フルオロ-6-メトキシ-3-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジンの混合物を得た。得られた混合物、4-(クロロメチル)-1-エチル-1H-ピラゾール塩酸塩(4.3g)、PdCl2(dppf)・CH2Cl2(1.3g)、炭酸セシウム(25.7g)、DME(70mL)、および水(15mL)の混合物を窒素雰囲気下、90℃で4時間撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH,酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物と3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-2-フルオロ-6-メトキシピリジンの混合物(2.3g)を得た。
【0415】
MS:[M+H]+236.1
B) 3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-フルオロピリジン-2(1H)-オン
【0416】
工程A)で得られた3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-フルオロ-2-メトキシピリジンと3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-2-フルオロ-6-メトキシピリジンの混合物(1.0g)、トリメチルシリルクロリド(2.31g)、ヨウ化ナトリウム(0.64g)、およびアセトニトリル(15mL)の混合物を180℃で4時間マイクロウェーブ照射した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物と5-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-フルオロピリジン-2(1H)-オンの混合物(0.25g)を得た。
【0417】
MS:[M+H]+222.1
C) (2R)-4-(3-クロロフェニル)-2-メチルモルホリン
【0418】
1-クロロ-3-ヨードベンゼン(5g)、(2R)-2-メチルモルホリン塩酸塩(3.2g)、酢酸パラジウム(II)(0.47g)、BINAP(1.3g)、ナトリウムtert-ブトキシド(8.1g)、およびトルエン(250mL)の混合物を窒素雰囲気下、120℃で4時間撹拌した。混合物をセライトを用いて濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(1.8g)を得た。
【0419】
MS:[M+H]+212.1
D) (2R)-4-(3-シクロプロピルフェニル)-2-メチルモルホリン
【0420】
(2R)-4-(3-クロロフェニル)-2-メチルモルホリン(1.80g)、シクロプロピルボロン酸(2.19g)、酢酸パラジウム(II)(0.19g)、トリシクロヘキシルホスフィン/トルエン溶液(20%含有、2.98g)、りん酸三カリウム(8.1g)、トルエン(75mL)、および水(15mL)の混合物を窒素雰囲気下、120℃で12時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製後、HPLC(C18,移動相:水/アセトニトリル(10mM重炭酸アンモニウム系))でさらに精製した。得られた画分を減圧下濃縮し、標題化合物(0.83g)を得た。
【0421】
MS:[M+H]+218.2
E) 1-{3-シクロプロピル-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]フェニル}-3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-フルオロピリジン-2(1H)-オン
【0422】
(2R)-4-(3-シクロプロピルフェニル)-2-メチルモルホリン(0.83g)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ジオキサボロラン(1.07g)、ジ-μ-メトキソビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)(50.6mg)、dbbpy(41.0mg)、および2-メトキシ-2-メチルプロパン(12mL)の混合物をマイクロウェーブ照射下80℃で1時間加熱した。混合物に4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビ-1,3,2-ジオキサボロラン(0.5g)、ジ-μ-メトキソビス(1,5-シクロオクタジエン)ジイリジウム(I)(50.6mg)、およびdbbpy(41.0mg)を加え、窒素雰囲気下、40℃で12時間撹拌した。混合物をセライトを用いて濾過し、濾液を減圧下濃縮した。得られた残渣、工程B)で得られた3-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-フルオロピリジン-2(1H)-オンと5-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-6-フルオロピリジン-2(1H)-オンの混合物(0.21g)、ピリジン(0.31mL)、およびアセトニトリル(2mL)の混合物に酢酸銅(II)(0.52g)を室温で加えた。混合物を40℃で48時間撹拌した後、室温で72時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製した後、HPLC(C18,移動相:水/アセトニトリル(0.1%TFA含有系))で精製した。得られた画分を減圧下濃縮し、標題化合物(4.8mg)を得た。
【0423】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 0.70-0.73 (2H, m), 0.92-0.98 (2H, m), 1.23 (3H, d, J = 6.24 Hz), 1.47 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.84-1.93 (1H, m), 2.52 (1H, t, J = 10.9 Hz), 2.86 (1H, td, J = 11.9, 3.4 Hz), 3.42 (2H, br t, J = 12.8 Hz), 3.66 (2H, s), 3.68-3.80 (2H, m), 3.93-4.03 (1H, m), 4.08-4.18 (2H, m), 5.82 (1H, dd, J = 7.7, 4.3 Hz), 6.42-6.45 (1H, m), 6.53 (1H, t, J = 2.1 Hz), 6.70-6.73 (1H, m), 7.18 (1H, dd, J = 8.5, 7.7 Hz), 7.35 (1H, s), 7.39 (1H, s).
【0424】
実施例の化合物を表1に示す。表1中のMSは実測値を示す。上記の実施例に示した方法または類似の方法に従って、表1中の化合物を製造した。
表1
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
参考例1
1-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾール-2-オン
【化72】
A) (2R)-4-[4-フルオロ-3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-メチルモルホリン
【0425】
5-ブロモ-2-フルオロ-1-ニトロ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼン(5.00g)、(2R)-2-メチルモルホリン塩酸塩(2.39g)、BINAP(1.08g)、酢酸パラジウム(II)(0.390g)、炭酸セシウム(17.0g)およびトルエン(40mL)の混合物を窒素雰囲気下、100℃で16時間撹拌した。不溶物をセライトで濾去し、濾液を減圧下留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(1.85g)を得た。
【0426】
MS:[M+H]+309.2.
B) 2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)アニリン
【0427】
(2R)-4-[4-フルオロ-3-ニトロ-5-(トリフルオロメチル)フェニル]-2-メチルモルホリン(1.85g)および10%パラジウム-炭素(0.319g)およびEtOH(60mL)の混合物を常圧の水素雰囲気下、室温で2時間撹拌した。触媒を濾去し、濾液を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(1.67g)を得た。
【0428】
MS:[M+H]+279.2.
C) N-(2,2-ジメトキシエチル)-N’-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}尿素
【0429】
2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)アニリン(1.07g)とTHF(30mL)の混合物に炭酸ビス(トリクロロメチル)(0.571g)を0℃で加え、混合物を室温で4時間撹拌した。混合物に2,2-ジメトキシエタンアミン(0.404g)とTEA(0.389g)を加え、室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(1.25g)を得た。
【0430】
MS:[M+H]+410.1.
D) 1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾール-2-オン
【0431】
N-(2,2-ジメトキシエチル)-N’-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}尿素(1.25g)とCH3CN(20mL)、水(mL)の混合物にTFA(15.4g)を加えた。混合物を60℃で3時間撹拌後、反応液を濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(722mg)を得た。
【0432】
MS:[M+H]+346.2.
E) エチル1-エチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシラート
【0433】
炭酸カリウム(197g)、エチル1H-ピラゾール-4-カルボキシラート(100g)、ヨウ化エチル(122g)、およびDMF(250mL)の混合物を室温で終夜攪拌した。混合物を室温で水に加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮し、標題化合物(121g)を得た。
【0434】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.26 (3H, t, J = 7.2 Hz), 1.37 (3H, t, J = 7.2 Hz), 4.19 (4H, m), 7.84 (1H, s), 8.33 (1H, s).
F) (1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メタノール
【0435】
水素化アルミニウムリチウム(16.3g)とTHF(400mL)の混合物にエチル1-エチル-1H-ピラゾール-4-カルボキシラート(48.0g)とTHF(100mL)の混合物を0-10℃で加え、混合物を室温で4時間撹拌した。混合物をTHF(150mL)で希釈し、0℃に冷却後、0-10℃で硫酸ナトリウム十水和物(110g)を加え、室温で1時間攪拌した。不純物を濾去し、濾液を減圧下留去し標題化合物(29.9g)を得た。
【0436】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.33 (3H, t, J = 7.3 Hz), 4.07 (2H, q, J = 7.2 Hz), 4.32 (2H, d, J = 5.3 Hz), 4.77 (1H, t, J = 5.5 Hz), 7.32 (1H, s), 7.59 (1H, s)
G) 4-(クロロメチル)-1-エチル-1H-ピラゾール塩酸塩
【0437】
(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メタノール(2.33g)とCH3CN(20mL)の混合物に塩化チオニル(4.39g)を室温で加え、混合物を同じ温度で終夜撹拌した。混合物を濃縮し、標題化合物(3.23g)を得た。
【0438】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.34 (3H, t, J = 7.2 Hz), 4.10 (2H, q, J = 7.4 Hz), 4.69 (2H, s), 7.50 (1H, s), 7.85 (1H, s), 12.32 (1H, bs).
H) 1-[(1-エチル-1H-ピラゾール-4-イル)メチル]-3-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾール-2-オン
【0439】
水素化ナトリウム(60%含有、29.0mg)とDMF(3mL)の混合物に1-{2-フルオロ-5-[(2R)-2-メチルモルホリン-4-イル]-3-(トリフルオロメチル)フェニル}-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾール-2-オン(100mg)を室温で加えた。混合物を室温で30分間撹拌した後、4-(クロロメチル)-1-エチル-1H-ピラゾール塩酸塩(79mg)とDMF(2mL)の混合物およびヨウ化ナトリウム(43.4mg)を加え、室温で終夜撹拌した。混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を分離し、水と飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH、酢酸エチル/ヘキサン)で精製し、標題化合物(70.0mg)を得た。
【0440】
1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 1.14 (3H, d, J = 6.0 Hz), 1.34 (3H, t, J = 7.2 Hz), 2.27-2.47 (1H, m), 2.63-2.74 (1H, m), 3.52-3.73 (4H, m), 3.86-3.95 (1H, m), 4.09 (2H, q, J = 7.3 Hz), 4.61 (2H, s), 6.74-6.79 (2H, m), 7.19 (1H, dd, J = 4.9, 3.4 Hz), 7.34 (1H, dd, J = 6.0, 3.0 Hz), 7.43 (1H, s), 7.73 (1H, s).
試験例1
GPR139発現CHO細胞における参考例1の化合物30μMにおけるIP1量の阻害率の測定
【0441】
GPR139を介した化合物の活性を評価するためにGPR139発現CHO細胞におけるIP1量変化を測定した。GPR139は細胞内カルシウムを変動させるGq共役型受容体であることから(Liu C et al., Mol Pharmacol. 2015 Nov;88(5):911-25)、GPR139の活性調節によりセカンドメッセンジャーであるIP3の安定な代謝産物であるIP1量が変化する。GPR139は、哺乳類細胞中で組換え的に発現されるとき、構成的に活性があるとみなされることから、GPR139受容体逆作動作用を有する化合物はIP1産生量を低下させることが期待される。
【0442】
IP1の測定はIP-ONE HTRF アッセイキット(cis-bio)と、安定的にGPR139がトランスフェクトされたCHO-TREx(Life Technologies)細胞を用いて行った。CHO-TREx細胞はテトラサイクリン誘導要素によってヒト型GPR139を発現した。F12K、10%のテトラサイクリンなしのFBSを含有する培地中で培養し、アッセイ前日に増殖培地中2μg/mLのドキシサイクリン(Clontech,631311)存在下、37℃、5%CO2の条件で17時間にわたりヒト型GPR139の発現を誘導させた。試験当日、細胞を10mLのPBSで洗浄後、TrypLE Express(Life Technologies)で剥離させ、1,000rpmで遠心してペレットにしてから、stimulation buffer(cis-bio,IP-ONE HTRFアッセイキット付属)を用いて細胞懸濁液を調製した。
【0443】
化合物をstimulation bufferで希釈し、384ウェル白色アッセイプレート(greiner)に4μL添加した。細胞懸濁液を各ウェル当たり2000細胞になるように添加し、アッセイプレートを37℃で40分間静置した。Lysis buffer(cis-bio,IP-ONE HTRFアッセイキット付属)で調製したIP1-d2およびAb-Cryp溶液(いずれもcis-bio,IP-ONE HTRFアッセイキット付属)を等量ずつ混合し、アッセイプレートに4μL添加して室温で1時間静置した。Envision(PerkinElmer)のHTRF用設定により2波長の蛍光強度を測定したのち、Ratio={(Signal 665nm)/(Signal 615nm)}x10000を算出した。Vehicleを0%、IP1濃度が0の値を100%としたとき、参考例1の化合物30μMにおけるIP1量の阻害率は84%であった。
【0444】
参考例1の化合物は、GPR139発現CHO細胞において、GPR139におけるシグナル伝達下流のセカンドメッセンジャーであるIP3の安定な代謝産物であるIP1量を阻害した。すなわち、参考例1の化合物はGPR139受容体逆作動作用を有する。
試験例2
GPR139発現CHO細胞におけるIP1量阻害率の測定(インバースアゴニストアッセイ)
【0445】
実施例20~33の化合物の活性を試験例1と同様の方法でIP
1量阻害率を測定し、試験例1における参考例1の化合物のIP
1量阻害率を100%として、相対値として表2に表した。
表2
【表2】
【0446】
表2に示されるように、本開示の化合物は、GPR139発現CHO細胞において、GPR139におけるシグナル伝達下流のセカンドメッセンジャーであるIP3の安定な代謝産物であるIP1量を阻害した。すなわち、本開示の化合物はGPR139受容体拮抗作用(逆作動作用)を有する。
製剤例
【0447】
一部の実施態様において、本開示の化合物を有効成分として含む医薬は、以下の非限定的な製剤例を使用して製造することができる。
表3
【表3】
【0448】
(1)、(2)および(3)の全量と5mgの(4)を混和し、顆粒化した後、これに残りの(4)を5mg加え、物質混合物全体をゼラチンカプセルに封入する。
表4
【表4】
【0449】
(1)、(2)および(3)の全量と20mgの(4)および2.5mgの(5)を混和し、顆粒化した後、この顆粒に残りの(4)を10mgおよび(5)を2.5mg加え、加圧成型して錠剤を形成する。
【国際調査報告】