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  • 特表-真空装置の温度センサ組立体 図1A
  • 特表-真空装置の温度センサ組立体 図1B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】真空装置の温度センサ組立体
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/08 20210101AFI20230627BHJP
【FI】
G01K1/08 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022572695
(86)(22)【出願日】2021-05-26
(85)【翻訳文提出日】2022-11-25
(86)【国際出願番号】 IB2021054562
(87)【国際公開番号】W WO2021240378
(87)【国際公開日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】2007793.9
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517316096
【氏名又は名称】エドワーズ バキューム リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】フォークナー バッド エドワード
(57)【要約】
真空装置の温度を測定するための真空装置温度センサ組立体及び方法が開示される。真空装置温度センサ組立体は、温度が決定される物品、機器、又は装置の形状に適合するように構成されたシート基材と、シート基材と熱的に結合された温度センサとを備え、シート基材は、装置から温度センサまでの熱経路を提供するように構成されている。このように、基材は、装置と結合するための温度センサの面積よりも大きな面積を提供し、これは、装置の平均温度を確実かつ正確に温度センサに伝え、温度測定値が装置に対する温度センサの正確な位置にあまり依存しないようにすることができる。
【選択図】 図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空装置温度センサ組立体であって、
温度が決定される真空装置の形状に適合するように構成されたシート基材と、
前記シート基材と熱的に結合された温度センサと、
を備え、
前記シート基材は、前記真空装置から前記温度センサまでの熱経路を提供するように構成されている、真空装置温度センサ組立体。
【請求項2】
前記シート基材は、前記真空装置の外面に適合するように構成されている、請求項1に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項3】
前記シート基材は、前記真空装置の外面に適合するように可撓性である、請求項1又は2に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項4】
前記シート状基材は、平面シートである、請求項1から3のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項5】
前記シート基材は、その幅よりも長い長さを有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項6】
前記シート基材は、前記真空装置のヒータ要素の間の距離よりも大きい幅を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項7】
前記シート基材は、前記真空装置の前記外面の長さよりも大きな長さを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項8】
前記シート基材は、前記真空装置の周りの複数巻きを提供する長さを有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項9】
前記シート基材は、前記複数巻きの間よりも、その表面を横切るより大きな熱伝導率を提供するように構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項10】
前記シート基材は、前記真空装置の表面を横切る温度変化と比較して、前記シート表面の表面を横切る温度変化を低減する熱伝導率を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項11】
前記シート基材は、前記真空装置の熱質量よりも小さな熱質量を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項12】
前記シート基材は、前記温度センサと前記真空装置との間に配置される、請求項1から11のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項13】
前記温度センサは、前記シート基材を覆う、請求項1から12のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項14】
前記シート基材は、前記真空装置の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項15】
前記シート基材は断熱層を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項16】
シート断熱層は、前記シート基材上に配置される、請求項15に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項17】
前記シート基材及び前記温度センサを覆う外側断熱層を備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の真空装置温度センサ組立体。
【請求項18】
温度が決定される真空装置の形状にシート基材を適合させるステップ、
温度センサを前記シート基材に熱的に結合し、前記真空装置から前記温度センサまでの熱経路を提供するステップと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、真空装置の温度を測定するための真空装置温度センサ組立体及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
温度センサ組立体が知られている。温度センサは、様々な異なる物品、機器、又は装置の温度を測定するために使用することができる。
【0003】
そのような温度センサは存在するが、その使用は、詳細には、正確で信頼できる温度制御を提供するために、物品、機器、又は装置の温度を正確に測定することが重要である場合、予期しない結果をもたらす可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、改善された温度センサ組立体を提供することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様によれば、真空装置温度センサ組立体が提供され、真空装置温度センサ組立体は、温度が決定される物品、機器、又は装置の形状に適合するように構成されたシート基材と、シート基材と熱的に結合された温度センサとを備え、シート基材は、真空装置から温度センサまでの熱経路を提供するように構成されている。
【0006】
第1の態様は、既存の温度センサ構成の問題点が、温度センサによって測定された温度がその位置に大きく依存する可能性があるので、その構成によって伝えられた温度が信頼できない可能性があることを認識する。従って、温度センサ組立体が提供される。組立体は、基材を備えることができる。基材は、シート基材とすることができる。基材は、決定される温度を有する装置の形状を形作る、それに適合する、又はそれに従うように構成する、配置する、又は適合することができる。装置は、真空装置とすることができる。組立体は、温度センサを備えることができる。センサは、基材と熱的に結合すること又はそれに取り付けることができる。基材は、装置からセンサまでの熱経路を提供することができる。このように、基材は、装置と結合するための温度センサの面積よりも大きな面積を提供し、これは、装置の平均温度を確実かつ正確に温度センサに伝え、温度測定値が装置に対する温度センサの正確な位置にあまり依存しないようにすることができる。
【0007】
シート基材は、真空装置の外面に適合するように構成することができる。換言すればば、シート基材は、シート基材と真空装置との間に熱経路を提供するために、装置の外側に巻き付けることができる。
【0008】
シート基材は、真空装置の外面に適合するように可撓性とすることができる。これは、シート基材と真空装置との間の密接な接触を提供して熱伝達を促進させるだけでなく、シート基材を所定位置に保持するのを助ける。
【0009】
シート基材は、平面シートとすることができる。
【0010】
シート基材は、その幅よりも長い長さを有することができる。
【0011】
シート基材は、真空装置のヒータ要素の間の距離よりも大きい幅を有することができる。幅をこの距離より大きくすることで、シート基材が常にヒータ要素を覆うことになるのを保証することができる。
【0012】
シート基材は、真空装置の外面の長さよりも大きな長さを有することができる。
【0013】
シート基材は、真空装置の周りの複数巻きを提供する長さを有することができる。これは、同様に真空装置上でのシート基材の保持を改善するのを助ける。
【0014】
シート基材は、複数巻きの間よりも、その表面を横切るより大きな熱伝導率を提供するように構成することができる。従って、主な熱伝達経路は、巻きの層間ではなく、基材の表面上にある。
【0015】
シート基材は、真空装置の表面を横切る温度変化と比較して、シート表面の表面を横切る温度変化を低減する熱伝導率を有することができる。従って、シート基材は、真空装置の異なる部分を横切る温度差を平均化するのを助け、より信頼性の高い温度測定値を提供することができる。
【0016】
シート基材は、真空装置の熱質量よりも小さな熱質量を有することができる。これにより、シート基材は、真空装置よりも迅速に加熱又は冷却することができるため、少なくとも真空装置と同程度に迅速に温度変化に対応することができる。
【0017】
シート基材は、温度センサと真空装置との間に配置することができる。
【0018】
温度センサは、シート基材を覆うことができる。
【0019】
シート基材は、真空装置の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有することができる。これにより、シート基材は、真空装置よりも速く加熱又は冷却され、真空装置と少なくとも同程度に迅速に温度変化に対応することができる。
【0020】
シート基材は、8W・m-1・K-1より大きな熱伝導率を有することができる。
【0021】
シート基材は、金属及び/又は炭素及び/又はグラフェンとすることができる。
【0022】
シート基材は、断熱層を備えることができる。断熱層を設けると、温度センサが受ける温度に対する外部温度変化の影響を低減することができる。
【0023】
シート断熱層は、シート基材上に配置することができる。従って、シート断熱層は、シート基材の1つの層の一部として形成することができる。
【0024】
組立体は、シート基材及び温度センサを覆う外側断熱層を備えることができる。
【0025】
第2の態様によれば、温度が決定される真空装置の形状にシート基材を適合させるステップと、温度センサをシート基材と熱的に結合し、真空装置から温度センサまでの熱経路を提供するステップとを含む方法が提供される。
【0026】
本方法は、シート基材を真空装置の外面に適合させることを含むことができる。
【0027】
本方法は、シート基材を真空装置の外面に適合するように可撓性であるように構成することを含むことができる。
【0028】
本方法は、シート基材を平面シートとして構成することを含むことができる。
【0029】
本方法は、シート基材をその幅よりも長い長さを有するように構成することを含むことができる。
【0030】
本方法は、シート基材を真空装置のヒータ要素の間の距離より大きい幅を有するように構成することを含むことができる。
【0031】
本方法は、シート基材を真空装置の外面の長さよりも大きい長さを有するように構成することを含むことができる。
【0032】
本方法は、シート基材を真空装置の周りに複数巻き提供する長さを有するように構成することを含むことができる。
【0033】
本方法は、シート基材を複数巻きの間よりも、その表面を横切るより大きな熱伝導率を提供するように構成することを含むことができる。
【0034】
本方法は、シート基材を真空装置の表面を横切る温度変化と比較して、シート表面の表面を横切る温度変化を低減する熱伝導率を有するように構成することを含むことができる。
【0035】
本方法は、シート基材を真空装置の熱質量よりも小さい熱質量を有するように構成することを含むことができる。
【0036】
本方法は、シート基材を温度センサと真空装置との間に配置することを含むことができる。
【0037】
本方法は、温度センサがシート基材を覆うことを含むことができる。
【0038】
本方法は、シート基材を真空装置の熱伝導率よりも大きな熱伝導率を有するように構成することを含むことができる。
【0039】
本方法は、シート基材を8W・m-1・K-1より大きな熱伝導率を有するように構成することを含むことができる。
【0040】
本方法は、シート基材を金属及び炭素の少なくとも一方、好ましくはグラフェンであるように構成することを含むことができる。
【0041】
本方法は、シート基材を、断熱層を含むように構成することを含むことができる。
【0042】
本方法は、シート基材上にシート断熱層を配置することを含むことができる。
【0043】
本方法は、シート基材及び温度センサを外側断熱層で覆うことを含むことができる。
【0044】
さらなる特定の好ましい態様は、添付の独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、適宜、独立請求項の特徴と組み合わせること、及び、請求項に明示的に記載されている以外の組み合わせで組み合わせることができる。
【0045】
装置の特徴が、ある機能を提供するために動作可能であると説明される場合、これは、その機能を提供すること、又はその機能を提供するように適合又は構成される装置の特徴を含むことを理解されたい。
【0046】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して以下に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1A】1つの実施形態による温度センサ組立体を示す。
図1B】1つの実施形態による温度センサ組立体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
実施形態をより詳細に説明する前に、まず、概要について説明する。実施形態は、除害装置又は真空ポンプと結合された導管などの装置の、信頼性が高く正確で一貫した温度測定値を提供するのに適した温度センサを提供する。センサは、真空装置の形状に密接に適合するように再形成することができ、真空装置又はその一部の温度を測定する温度センサへの熱経路を提供する基材を有する。基材は、典型的には、真空装置又はその一部に巻き付けること又は合致することができ、典型的には、真空装置又はその一部に複数回だけ巻き付くように寸法決めされているシートで形成される。また、シートは、真空装置上の局所的な加熱装置又は冷却装置に確実に接触するのに十分な幅になるように寸法決めされ、局所的な加熱装置又は冷却装置に対して温度センサを様々な位置へ配置することから生じる可能性のある温度変化を低減するようになっている。
【0049】
温度センサ組立体
図1A及び図1Bは、1つの実施形態による温度センサ組立体10を示す。図1Aは平面図であり、図1Bは側面図である。温度センサ組立体10は、導電性シート20と、サーミスタ、熱電対等の温度センサ30とを備える。
【0050】
温度センサ30は、1又は2以上の配線40によって温度センサ30によって測定された温度を示す信号を受信する装置(図示せず)に接続される。温度センサ30は、典型的には、導電性シート20と温度センサ30との間の熱結合を強化するために、導電性シート20の第1の表面50に熱ボンドを用いて接着される。しかしながら、温度センサ30は、単純に導電性シート20上に配置して、導電性シート20を包むことによって又は断熱層70によって所定位置に保持することもできる。
【0051】
導電性シート20は、全長L及び全幅Wを有し、一般に、長さLは幅Wよりも長い。この例では、温度センサ30は、幅Wに沿って中間であるが、導電性シート20の長さLの一端の方に配置される。導電性シート20は、それが適用される真空装置80の外面に対して可撓性、有用性又は適合性を有する材料で作られている。また、導電性シート20は、それが適用される真空装置80よりも大きな熱伝導率の及び/又は小さな熱質量の材料で作られている。このことは、導電性シート20の温度が、それが適用される真空装置80の温度よりも早く変化するのを保証するのを助ける。典型的には、導電性シート20は、金属(アルミニウム又は銅など)又は炭素材料(グラフェンなど)で作られている。この例では導電性シート20は長方形であるが、そうである必要はなく、円形、楕円形、不規則な形状、あるいは適用される真空装置からの突起部を通過させるための空所又は開口を有する形状など、適用される真空装置に適合する何らかの適切な形状が提供できることを理解されたい。
【0052】
この例では、温度センサ組立体10は、真空装置80の円筒面に沿って螺旋形を形成するヒータコイル90によって加熱される真空装置80(この例ではパイプ)に適用されるように構成されている。しかしながら、温度センサ組立体10は、温度が測定される他の装置に適用されるように構成することができることを理解されたい。長さLは、真空装置80の外周よりも長いように構成される。典型的には、真空装置80の周りに導電性シート20の複数巻き(turn)を提供するために、長さLは外周の何倍かで設定される。複数巻きが接触する場合でも、主な熱経路は、導電性シート20の隣接する巻きの間ではなく、導電性シート20に沿う。幅Wは、ヒータ90の各巻きの間の距離Dより大きいように選択される。これは、導電性シート20が真空装置80の軸方向長さに沿ってどこに配置されても、導電性シート20が常にヒータ90の巻きの少なくとも1つに重なり得ることを保証するのを助ける。この構成は、真空装置80が受ける局所的な温度変化に影響されにくい正確な平均温度測定値を提供するのを助ける。断熱層70(ポリマーなど)は随意的に提供され、これは導電性シート20が真空装置80に適用された後に適用される場合、又は真空装置80に適用される前に導電性シート20に事前に接着される場合がある。
【0053】
実施時、真空装置80に適用されるのに適した形状及び寸法の導電性シート20が提供され、導電性シート20に温度センサ30が熱的に結合され、温度センサ30に配線40が取り付けられる。導電性シート20は、第2の表面60が真空装置80に接触した状態で真空装置80に巻き付けられ、この例では、複数巻きで巻き付けられる。導電性シート20の幅Wは、ヒータ90の各巻き間の距離Dよりも広いので、導電性シート20はヒータ90の少なくとも1つの巻きを覆うことになる。その後、断熱層70は、導電性シート20の露出した第1の表面50に巻き付けられる。
【0054】
ヒータ90の温度が変化すると、導電性シート20の大きな熱伝導率及び小さな熱質量は、断熱層70の断熱効果と一緒になって、温度の変化を導電性シート20によって温度センサ30に迅速に伝えることができ、その結果、温度は、配線40を通過する信号によって示される。
【0055】
本発明の例示的な実施形態が、添付の図面を参照して本明細書に詳細に開示されているが、本発明は、正確な実施形態に限定されず、添付の請求項及びその均等物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によってそこに種々の変更及び修正をもたらすことができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0056】
10 温度センサ組立体
20 導電性シート
30 温度センサ
40 配線
50 第1の表面
60 第2の表面
70 断熱層
80 真空装置
90 ヒータ
図1A
図1B
【国際調査報告】