(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-04
(54)【発明の名称】効率的な熱伝達のためのモノブロック台座
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230627BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230627BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230627BHJP
H05B 3/72 20060101ALI20230627BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
H05B3/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574436
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-01-20
(86)【国際出願番号】 US2021035329
(87)【国際公開番号】W WO2021247627
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル・プラハラド・ナラシンダス
【テーマコード(参考)】
3K092
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
3K092PP09
3K092QA05
3K092QB02
3K092QB44
3K092RF03
3K092RF19
3K092RF25
3K092VV40
5F004BB13
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5F131EB11
5F131EB78
5F131EB79
5F131EB81
(57)【要約】
【解決手段】
基板処理システム用の基板支持体は、基板を支持するように構成されている第1の表面と、台座ステムと結合するように構成されている第2の表面とを有するモノブロック台座プレートを含む。溝が、モノブロック台座プレートの第2の表面に形成されている。溝は、蛇行形状を有し、溝の深さはモノブロック台座プレートの第2の表面から上方に延びる。ヒータコイルは、溝内に配置されている。間隙がヒータコイルとモノブロック台座プレートの第2の表面との間に画定され、ヒータコイルを溝内に封止するために、間隙材料が間隙内に配置されている。
【選択図】
図2D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理システム用の基板支持体であって、
基板を支持するように構成されている第1の表面と、台座ステムと結合するように構成されている第2の表面とを備えるモノブロック台座プレートと、
前記モノブロック台座プレートの前記第2の表面に形成されている溝であって、蛇行形状を有する溝と、前記溝の深さは前記モノブロック台座プレートの前記第2の表面から上方に延び、
前記溝内に配置されているヒータコイルと、を備え、(i)間隙が、前記ヒータコイルと前記モノブロック台座プレートの前記第2の表面との間に画定され、(ii)前記ヒータコイルを前記溝内に封止するために、間隙材料が前記間隙内に配置されている、基板支持体。
【請求項2】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記モノブロック台座プレートは、アルミニウムを含む材料で構成されている、基板支持体。
【請求項3】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記ヒータコイルは、アルミニウムを含む、基板支持体。
【請求項4】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記間隙材料は、アルミニウムを含む、基板支持体。
【請求項5】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記モノブロック台座プレートおよび前記間隙材料は、同じ材料で構成されている、基板支持体。
【請求項6】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記間隙材料の熱伝導率は、前記モノブロック台座プレートの熱伝導率の5%以内である、基板支持体。
【請求項7】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記溝の深さは、前記モノブロック台座プレートの厚さの40~60%である、基板支持体。
【請求項8】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記モノブロック台座プレートの前記第2の表面に形成されている凹部をさらに含み、前記台座ステムは、前記凹部内に配置されている、基板支持体。
【請求項9】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記溝の形状は、環状、螺旋状、および振動波状のうちの少なくとも1つである、基板支持体。
【請求項10】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記溝は、前記モノブロック台座プレートの前記第2の表面内に機械加工、フライス加工、およびエッチングのうちの少なくとも1つで加工される、基板支持体。
【請求項11】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記ヒータコイルは、電気絶縁性および熱伝導性を備えたコーティングを有する、基板支持体。
【請求項12】
請求項11に記載の基板支持体であって、
前記コーティングは、熱伝導性エポキシである、基板支持体。
【請求項13】
請求項1に記載の基板支持体であって、
前記ヒータコイルは、前記溝内に摩擦攪拌接合される、基板支持体。
【請求項14】
基板処理システム用の基板支持体の組み立て方法であって、
基板を支持するように構成されている第1の表面と、台座ステムと結合するように構成されている第2の表面とを備えるモノブロック台座プレートを設置し、
前記モノブロック台座プレートの前記第2の表面に溝を形成し、前記溝は蛇行形状を有し、前記溝の深さ方向は前記モノブロック台座プレートの前記第2の表面から上方に延び、
前記溝内にヒータコイルを配置し、間隙が前記ヒータコイルと前記モノブロック台座プレートの前記第2の表面との間に画定され、
前記ヒータコイルを前記溝内に封止するために前記間隙を間隙材料で充填すること
を備える、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記モノブロック台座プレートは、アルミニウムを含む材料で構成されている、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記ヒータコイルは、アルミニウムを含む、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、
前記間隙材料は、アルミニウムを含む、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、
前記間隙材料の熱伝導率は、前記モノブロック台座プレートの熱伝導率の5%以内である、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記モノブロック台座プレートの前記第2の表面に凹部を形成し、前記凹部内に前記台座ステムを配置することを備える、方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記モノブロック台座プレートの前記第2の表面内に前記溝を機械加工すること、フライス加工すること、およびエッチングすることのうちの少なくとも1つを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2020年6月3日付で出願された、米国仮特許出願第63/033,979号の利益を主張する。上記関連出願は、参照によりその全体の開示が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、基板処理システム用の基板支持体に関する。
【背景技術】
【0003】
本明細書に提示された背景技術の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。本背景技術のセクションにて説明される範囲内における、現時点で名前を挙げられている発明者らによる研究、ならびに出願の時点で先行技術として別途みなされ得ない説明の態様は、明示または暗示を問わず、本開示に対抗する先行技術として認められない。
【0004】
基板処理システムは、半導体ウエハなどの基板上の膜の堆積およびエッチングなどの処理を行うために使用される。例えば、堆積は、化学気相堆積(CVD)、プラズマ励起CVD(PECVD)、原子層堆積(ALD)、プラズマ励起ALD(PEALD)、および/または他の堆積プロセスを使用して導電膜、誘電膜、または他の種類の膜を堆積するために行われてもよい。堆積中、基板は基板支持体(例えば、台座)上に配置され、1つまたは複数のプロセス工程中に、1つまたは複数の前駆体ガスを処理チャンバに供給してもよい。PECVDまたはPEALDプロセスでは、プラズマを使用して、堆積中に処理チャンバ内で化学反応を活性化させる。
【発明の概要】
【0005】
基板処理システム用の基板支持体は、基板を支持するように構成されている第1の表面と、台座ステムと結合するように構成されている第2の表面とを有するモノブロック台座プレートを含む。溝が、モノブロック台座プレートの第2の表面に形成されている。溝は、蛇行形状を有し、溝の深さはモノブロック台座プレートの第2の表面から上方に延びる。ヒータコイルは、溝内に配置されている。間隙がヒータコイルとモノブロック台座プレートの第2の表面との間に画定され、ヒータコイルを溝内に封止するために、間隙材料が間隙内に配置されている。
【0006】
他の特徴では、モノブロック台座プレートは、アルミニウムを含む材料で構成されている。ヒータコイルは、アルミニウムを含む。間隙材料は、アルミニウムを含む。モノブロック台座プレートおよび間隙材料は、同じ材料で構成されている。間隙材料の熱伝導率は、モノブロック台座プレートの熱伝導率の5%以内である。溝の深さは、モノブロック台座プレートの厚さの40~60%である。
【0007】
他の特徴では、基板支持体は、モノブロック台座プレートの第2の表面に形成されている凹部をさらに含む。台座ステムは、凹部内に配置されている。溝の形状は、環状、螺旋状、および振動波状のうちの少なくとも1つである。溝は、モノブロック台座プレートの第2の表面内に機械加工、フライス加工、およびエッチングのうちの少なくとも1つにより加工される。ヒータコイルは、電気絶縁性および熱伝導性であるコーティングを有する。コーティングは、熱伝導性エポキシである。ヒータコイルは、溝内に摩擦攪拌接合される。
【0008】
基板処理システム用の基板支持体の組み立て方法は、基板を支持するように構成されている第1の表面と、台座ステムと結合するように構成されている第2の表面とを備えるモノブロック台座プレートを設置し、モノブロック台座プレートの第2の表面に溝を形成することを含む。溝は蛇行形状を有し、溝の深さはモノブロック台座プレートの第2の表面から上方に延びる。前記方法は、溝内にヒータコイルを配置することをさらに含む。間隙が、ヒータコイルとモノブロック台座プレートの第2の表面との間に画定され、ヒータコイルを溝内に封止するために、間隙材料で充填される。
【0009】
他の特徴では、モノブロック台座プレートは、アルミニウムを含む材料で構成されている。ヒータコイルは、アルミニウムを含む。間隙材料は、アルミニウムを含む。間隙材料の熱伝導率は、モノブロック台座プレートの熱伝導率の5%以内である。前記方法は、モノブロック台座プレートの第2の表面に凹部を形成することと、凹部内に台座ステムを配置することとをさらに含む。前記方法は、モノブロック台座プレートの第2の表面内に溝を機械加工すること、フライス加工すること、およびエッチングすることのうちの少なくとも1つをさらに含む。前記方法は、溝内にヒータコイルを摩擦攪拌接合することをさらに含む。
【0010】
本開示を適用可能なさらなる分野は、詳細な説明、特許請求の範囲、および図面から明らかになるであろう。詳細な説明および具体例は、例示のみを目的としており、本開示の範囲を限定することを意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示は、詳細な説明および添付の図面からより完全に理解されるであろう。
【0012】
【
図1】
図1は、本開示による例示的な基板処理システムの機能ブロック図である。
【0013】
【
図2A】
図2Aは、本開示による例示的なモノブロック台座の製造プロセスを示す。
【
図2B】
図2Bは、本開示による例示的なモノブロック台座の製造プロセスを示す。
【
図2C】
図2Cは、本開示による例示的なモノブロック台座の製造プロセスを示す。
【
図2D】
図2Dは、本開示による例示的なモノブロック台座の製造プロセスを示す。
【0014】
【
図3A】
図3Aは、本開示によるモノブロック台座の底面図である。
【0015】
【
図3B】
図3Bは、本開示によるモノブロック台座およびステムの等角図である。
【0016】
【
図3C】
図3Cは、本開示によるモノブロック台座およびステムの底面図である。
【0017】
【
図4】
図4は、本開示によるモノブロック台座を製造する例示的な方法の工程を示す。
【0018】
図面において、参照番号は、類似の要素および/または同一の要素を特定するために再度利用される場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
一般に、温度制御台座などの基板支持体は、複数の層と材料とを含む。例えば、基板支持体は、複数の金属層および/またはセラミック層を含んでもよい。1つまたは複数のヒータ層またはコイルは、金属層またはセラミック層内に埋め込まれ、隣接する金属層またはセラミック層などの間に配置されてもよい。いくつかの例では、基板支持体の層は共に溶接または積層され、ヒータコイルは、層のうちの1つにろう付け(例えば、真空ろう付け)または溶接される。しかしながら、基板支持体の層間および/またはヒータコイルと基板支持体の層との間に溶接された界面は、経時的に劣化し、熱均一性の低下ならびに非効率的な熱伝達を引き起こす場合がある。さらに、複数の層を使用して基板支持体を組み立てることは、製造の複雑さ、コスト、およびリードタイムを増加させる。
【0020】
本開示による基板支持体は、ヒータコイルが埋め込まれた単一の材料で構成されている単一の金属プレート(例えば、モノブロック基板支持体)を実装する。例えば、ヒータコイルは、プレート内に形成されたチャネル内に摩擦攪拌接合される。モノブロック基板支持体は、均一な結晶粒構造を有し、複数の溶接層を含む基板支持体と比較して、改善された熱的および機械的性能、製造の簡素化、ならびにコストの低減をもたらす。
【0021】
ここで
図1を参照すると、本開示の原理による基板処理システム100の一例が示されている。前述の例は、PECVDシステムに関するが、他のプラズマベースの基板処理チャンバを使用してもよい。基板処理システム100は、基板処理システム100の他の構成要素を収容する処理チャンバ104を含む。基板処理システム100は、第1の(例えば、上部)電極108と、第2の(例えば、下部)電極116を含む台座112などの基板支持体とを含む。基板120は、上部電極108と下部電極116との間の台座112上に配置されている。
【0022】
単なる例示として、上部電極108は、プロセスガスを導入し分配するシャワーヘッド124を含んでもよい。あるいは、上部電極108は導電性プレートを含んでもよく、プロセスガスを別の方法で導入してもよい。いくつかの例では、下部電極116は、非導電性台座内に埋め込まれた導電性電極に対応してもよい。あるいは、台座112は、下部電極116として機能する導電性プレートを含む静電チャックを含んでもよい。
【0023】
無線周波数(RF)発生システム126は、プラズマを使用すると、上部電極108および/または下部電極116にRF電圧を発生させ、出力する。いくつかの例では、上部電極108および下部電極116のうちの一方は、デジタルグランド、アナロググランド、またはフローティング電位であってもよい。単なる例示として、RF発生システム126は、1つまたは複数の整合および分配ネットワーク130によって下部電極116および/または上部電極108に供給される、RF電圧を発生させるRF発生器128などの1つまたは複数のRF電圧発生器128(例えば、容量結合プラズマRF発生器、バイアスRF電力発生器、および/または他のRF電力発生器)を含んでもよい。例えば、図示のように、RF発生器128は、下部電極116にRFおよび/またはバイアス電圧を提供する。下部電極116は、電力源132など、他の電力源から代わりにまたは追加で電力を受け取ってもよい。他の例では、RF電圧は上部電極108に供給されてもよく、あるいは上部電極108はグランド基準に接続されてもよい。
【0024】
例示的なガス供給システム140は、1つまたは複数のガス源144-1、144-2、...、および144-N(総称してガス源144)を含み、ここで、Nは、0よりも大きい整数である。ガス源144は、1つまたは複数のガス(例えば、前駆体、不活性ガスなど)およびそれらの混合物を供給する。また、気化した前駆体を使用してもよい。ガス源144のうちの少なくとも1つは、本開示の前処理プロセスに使用されるガス(例えば、NH3、N2など)を含んでもよい。ガス源144は、バルブ148-1、148-2、...、および148-N(総称してバルブ148)とマスフローコントローラ152-1、152-2、...、および152-N(総称してマスフローコントローラ152)とによってマニホールド154に接続される。マニホールド154の出力は、処理チャンバ104に供給される。単なる例示として、マニホールド154の出力は、シャワーヘッド124に供給される。いくつかの例では、任意のオゾン発生器156を、マスフローコントローラ152とマニホールド154との間に設置してもよい。いくつかの例では、基板処理システム100は、液体前駆体供給システム158を含んでもよい。液体前駆体供給システム158は、図示のようにガス供給システム140内に組み入れられてもよく、あるいはガス供給システム140の外部にあってもよい。液体前駆体供給システム158は、バブラー、直接液体注入、蒸気吸引などを介して、室温で液体および/または固体である前駆体を提供するように構成されている。
【0025】
ヒータ160は、台座112を加熱するために台座112に配置されたヒータコイル162に接続されてもよい。ヒータ160を使用して、台座112および基板120の温度を制御してもよい。本開示による台座112は、以下でより詳細に説明するように、ヒータコイル162が内部に埋め込まれたモノブロックプレートを備える。
【0026】
バルブ164およびポンプ168を、処理チャンバ104から反応物を排出するために使用してもよい。コントローラ172を、基板処理システム100の様々な構成要素を制御するために使用してもよい。単なる例示として、コントローラ172を使用して、プロセスガス、キャリアガスおよび前駆体ガスの流れ、プラズマ点火およびプラズマ消滅、反応物の除去、チャンバパラメータの監視などを制御してもよい。
【0027】
図2Aから
図2Dは、本開示による例示的なモノブロック台座200の製造プロセスを示す。本明細書で使用される場合、「モノブロック」とは、単一のブロックまたは鋳物から形成されている台座を指す。
図2Aに示すように、台座200は、単一のブロックまたはプレート204(すなわち、モノブロック台座プレート)から形成されている。例えば、プレート204は、略長方形に鋳造されたアルミニウムなどの金属材料を含む。プレート204の材料は、均一な結晶粒構造を有する。
【0028】
図2Bに示すように、台座200の最終的な所望の形状に対応するフィーチャは、プレート204に形成されている。例えば、チャネルまたは溝208が、プレート204の第2の(例えば、下)面210に形成されている。溝208は、概して蛇行し、
図3A~
図3Cにおいて以下でより詳細に示すように、円形または環状、螺旋状、振動波状などの形状(すなわち、平面図において)を有してもよい。プレート204を機械加工、フライス加工、エッチング、レーザアブレーション加工などにより、溝208を形成してもよい。溝208(すなわち、溝の鉛直方向の深さ)は、プレート204の下面210から上方に延びる。例えば、溝208の深さは、プレート204の厚さの40~60%に相当してもよい。図示のように、溝208の深さは、プレート204の厚さの約50%(例えば、±2%)である。
【0029】
プレート204の第1の(例えば、上)面212は、台座200の上部支持面に対応する。言い換えれば、プレート204は、基板と上面212との間に追加層を配置することなく、上面212上に基板(例えば、基板120)を直接支持するように構成されている。
【0030】
図2Cに示すように、ヒータコイル214が、溝208内(すなわち、溝208の上端部)に配置されている。溝208がプレート204の下面210からプレート204の内部領域内に延びるため、ヒータコイル214を、下面210から延びている溝208を介してプレート204内に直接埋め込むことができる。例えば、ヒータコイル214は、溝208内に摩擦攪拌接合される。摩擦攪拌接合とは、2つ以上の構成要素(例えば、プレート204およびヒータコイル214)間に摩擦を発生させることによって、構成要素のいずれも溶融させずに、接合する固体接合プロセスを指す。他の例では、ヒータコイル214は、別の適切な溶接または接合方法、熱接着剤(例えば、熱伝導性エポキシ)などを使用して溝208内に取り付けられる。ヒータコイル214は、プレート204と同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。例えば、ヒータコイル214は、アルミニウムで構成され、電気絶縁性、熱伝導性コーティングを有してもよい。例えば、ヒータコイル214は、熱伝導性エポキシでコーティングされてもよい。ヒータコイル214は、丸い断面を有するように示されているが、いくつかの例では、ヒータコイル214は、平らな長方形を有してもよい(例えば、ヒータコイル214は、電気トレースとして形成されてもよい)。
【0031】
他の例では、溝208の深さを延長または短縮して、それに応じてプレート204の上面212からヒータコイル214の距離を減少または増加させてもよい。このようにして、ヒータコイル214から上面212への熱の分布を、それぞれの台座および/またはプロセス用にカスタマイズできる。
【0032】
ヒータコイル214は、抵抗性ヒータとして機能するように構成されている。言い換えれば、電力をヒータコイル214に提供して(例えば、ヒータ160を介して)、ヒータコイル214に電流を流す。電流はヒータコイル214を加熱し、ヒータコイル214は、プレート204全体に熱を分布させる。単一材料と均一な結晶粒構造とを含むモノブロックプレート204により、ヒータコイル214からプレート204内へ熱が均一に分布しやすくなる。例えば、プレート204が複数の層で構成されていないため、ヒータコイル214からの熱の分布は、異なる層間の界面または異なる層間に配置された接着剤もしくは他の中間材料などによって阻害されない。
【0033】
ヒータコイル214の下方(すなわち、ヒータコイル214と下面210との間)の間隙216を、
図2Dに示すように、間隙材料220で充填してもよい。間隙材料220は、ヒータコイル214を溝208内に封止する。間隙材料220は、プレート204と同じ材料で構成されてもよいし、異なる材料で構成されてもよい。例えば、間隙材料220は、アルミニウムで構成されてもよい。間隙材料220がプレート204と異なる材料である場合、間隙材料220は、プレート204と同じもしくは類似の熱伝導率および/または電導率特性を有するように選択されてもよい。例えば、間隙材料220の熱伝導率は、プレート204の熱伝導率の5%以内である。
【0034】
図示のように、台座200は、溝208を形成するために使用される同じプロセスを用いて形成されている他のフィーチャを含んでもよい。いくつかの例では、全てのフィーチャは、同じ工程(例えば、同じ機械加工またはフライス加工工程)で形成されている。例えば、環状の棚または段差224が、台座200の上面212に形成されてもよい。いくつかの例では、段差224は、エッジリングを支持するように構成されてもよい。凹部228および中央開口部232は、底面210に形成されている。例えば、凹部228は(例えば、
図3Bおよび
図3Cに示すように)台座ステムと結合するように構成され、中央開口部232はヒータコイル214への給電用、台座200へのRF電力の提供用などの配線接続を受容するように構成されている。台座の下部環状エッジ236は、面取りされるか、あるいは傾斜がつけられてもよい。
【0035】
ここで
図3A、
図3B、および
図3Cを参照すると、本開示による例示的なモノブロック台座300が示されている。
図3Aは、モノブロック台座300の底面図である。溝304が、台座300の下側に形成されている。溝304の形状またはパターンは、一例である。他の例では、溝304は、異なる形状を有してもよい。例えば、溝304は、円形、螺旋状、または振動波状(例えば、正弦波もしくはジグザグ)パターンを有してもよい。溝304のうちの1つのみが示されているが、他の例では、台座300は、溝304をさらに2つ含み、各々が異なるヒータコイルを収容してもよい。
図3Bは、ステム308を含む台座300の等角図である。
図3Cは、ステム308を含む台座300の底面図である。
【0036】
ここで
図4を参照すると、本開示によるモノブロック台座(例えば、台座200)を製造する例示的な方法400は、404で始まる。408において、単一のブロックまたはプレートを設置する。412において、プレートの下側にチャネルまたは溝を形成する。例えば、溝は、機械加工、フライス加工、エッチング、レーザアブレーションなどで加工される。416において、ヒータコイルを溝内に配置する。420において、溝内のヒータコイルの下にある間隙を、間隙材料で充填する。方法400は、424で終了する。
【0037】
前述の説明は、本質的に単なる例示に過ぎず、本開示、その適用、または使用を限定する意図は全くない。本開示の広範な教示は、様々な形態で実施可能である。したがって、本開示は特定の例を含むが、図面、明細書、および以下の特許請求の範囲を検討すると他の変更が明白となるので、本開示の真の範囲は、そのような例に限定されるべきではない。方法の中の1つまたは複数の工程は、本開示の原理を変更することなく、異なる順序で(または同時に)実行されてもよいことを理解されたい。さらに、実施形態の各々は、特定の特徴を有するものとして上述されているが、本開示のいずれかの実施形態に関して説明したこれらの特徴のうちいずれか1つまたは複数を、他の実施形態において実施すること、および/または、他の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせることが、たとえそのような組み合わせが明示的に説明されていなくても可能である。言い換えると、説明した実施形態は相互に排他的ではなく、1つまたは複数の実施形態を互いに入れ替えることは本開示の範囲内に留まる。
【0038】
要素間(例えば、モジュール間、回路要素間、半導体層間など)の空間的および機能的関係は、「接続された」、「係合された」、「結合された」、「隣接した」、「隣に」、「上に」、「上方に」、「下方に」、および「配置された」を含む、様々な用語を使用して説明される。上記開示において、第1の要素と第2の要素との間の関係が説明されるとき、「直接」であると明示的に説明されない限り、その関係は、第1の要素と第2の要素との間に他の介在要素が存在しない直接的な関係である可能性があるだけでなく、第1の要素と第2の要素との間に1つまたは複数の介在要素が(空間的または機能的に)存在する間接的な関係である可能性もある。本明細書で使用される場合、A、B、およびCのうち少なくとも1つという表現は、非排他的論理ORを使用する、論理(AまたはBまたはC)を意味するものと解釈されるべきであり、「Aの少なくとも1つ、Bの少なくとも1つ、およびCの少なくとも1つ」を意味するものと解釈されるべきではない。
【0039】
いくつかの実施態様では、コントローラは、システムの一部であり、上述した例の一部であってもよい。このようなシステムは、1つまたは複数の処理ツール、1つまたは複数のチャンバ、処理のための1つまたは複数のプラットフォーム、および/または特定の処理構成要素(ウエハ台座、ガス流システムなど)を含む、半導体処理装置を含み得る。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後のシステム動作を制御するための電子機器と統合されてもよい。電子機器は、「コントローラ」と呼ばれる場合があり、1つまたは複数のシステムの様々な構成要素またはサブパーツを制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示のプロセスのいずれかを制御するようにプログラムされてもよい。そのようなプロセスとしては、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、無線周波数(RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置および動作設定、ツールへのウエハの搬入出、ならびに、特定のシステムに接続または連動した他の搬送ツールおよび/またはロードロックへのウエハの搬入出が挙げられる。
【0040】
広義には、コントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、特定用途向け集積回路(ASICs)として定義されたチップ、および/または1つまたは複数のマイクロプロセッサ、またはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個々の設定(またはプログラムファイル)の形式でコントローラに通信される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上で、または半導体ウエハ用に、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してもよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であって、1つまたは複数の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウエハのダイの製造中に1つまたは複数の処理工程を達成してもよい。
【0041】
コントローラは、いくつかの実施態様では、システムに統合されているか、結合されているか、そうでない場合はシステムにネットワーク接続されているか、またはそれらの組み合わせであるコンピュータの一部であっても結合されていてもよい。例えば、コントローラは、「クラウド」内にあってもよく、あるいは、ファブホストコンピュータシステムの全てまたは一部であってもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能となる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にし、製造動作の現在の進捗状況を監視し、過去の製造動作の履歴を調査し、複数の製造動作から傾向または性能基準を調査し、現在の処理のパラメータを変更し、現在の処理に続く処理ステップを設定する、あるいは新しいプロセスを開始してもよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ネットワークを通じてプロセスレシピをシステムに提供できる。そのようなネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインターフェースを含んでもよく、そのようなパラメータおよび/または設定は、その後、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例では、コントローラは、命令をデータの形式で受信する。そのようなデータは、1つまたは複数の動作中に実行される処理ステップの各々に対するパラメータを特定する。パラメータは、実行されるプロセスの種類およびコントローラが連動または制御するように構成されているツールの種類に特有のものであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、互いにネットワーク接続され、本明細書に記載のプロセスおよび制御など、共通の目的に向けて協働する1つまたは複数の個別のコントローラを含むことなどによって、分散されてもよい。このような目的のための分散型コントローラの一例としては、(プラットフォームレベルでまたはリモートコンピュータの一部としてなど)遠隔配置され、チャンバ上のプロセスを制御するように結合する1つまたは複数の集積回路と通信するチャンバ上の1つまたは複数の集積回路が挙げられるであろう。
【0042】
例示的なシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、追跡チャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連付けられた、または使用可能な任意の他の半導体処理システムを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0043】
上述したように、ツールによって実行される1つまたは複数のプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはモジュールのうちの1つまたは複数、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインターフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツール場所および/またはロードポートへウエハの容器を搬入出する材料移送に使用されるツールと通信してもよい。
【国際調査報告】