(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(54)【発明の名称】トコフェロールベースの非イオン性及びアニオン性界面活性剤
(51)【国際特許分類】
C09K 23/42 20220101AFI20230628BHJP
C11D 3/43 20060101ALI20230628BHJP
C11D 1/75 20060101ALI20230628BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20230628BHJP
C11D 3/48 20060101ALI20230628BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20230628BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20230628BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20230628BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20230628BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20230628BHJP
C11D 3/40 20060101ALI20230628BHJP
C08G 65/04 20060101ALI20230628BHJP
【FI】
C09K23/42
C11D3/43
C11D1/75
C11D3/50
C11D3/48
C11D3/20
C11D17/08
C11D17/06
C11D1/72
C11D1/722
C11D3/40
C08G65/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022574368
(86)(22)【出願日】2021-06-02
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2021064762
(87)【国際公開番号】W WO2021245125
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイドル,クリスティアン,フーベルト
(72)【発明者】
【氏名】ロシュ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】トロプシュ,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ミルチン,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーデマン,アレクサンドラ
(72)【発明者】
【氏名】ラーツ,ハンス-クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュネーデル,ベルンド
【テーマコード(参考)】
4D077
4H003
4J005
【Fターム(参考)】
4D077AB10
4D077AB14
4D077AC01
4D077BA03
4D077CA03
4D077CA13
4D077CA14
4D077DC02X
4D077DC04X
4D077DC07X
4D077DC19X
4D077DC59X
4D077DC67X
4D077DD29X
4D077DE29X
4D077DE32X
4H003AC06
4H003AC15
4H003BA09
4H003BA12
4H003EB04
4H003FA12
4H003FA26
4J005AA04
4J005AA11
4J005AA23
4J005BA00
4J005BB02
(57)【要約】
本明細書で主張される発明は、一般式(I)の少なくとも1つの化合物の、乳化剤又は安定剤としての使用に関する。本明細書で主張される発明は、重合反応、好ましくは乳化重合における、一般式(I)の少なくとも1つの化合物の、乳化剤又は安定剤としての使用にさらに関する。本明細書で主張される発明は、一般式(I)の少なくとも1つの化合物を使用して、乳化重合において、液体又は固体を乳化及び/若しくは安定化、又は分散させる方法にも関する。さらに、本明細書で主張される発明は、一般式(I)の少なくとも1つの化合物、及び少なくとも1つの添加剤を含む洗浄組成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
(式中、
AOは、同一であり、又は異なり、かつCH
2-CH
2-O、CH(CH
3)-CH
2-O、CH
2-CH(CH
3)-O、CH(C
2H
5)-CH
2-O、C(CH
3)
2-CH
2-O、CH
2C(CH
3)
2-O及びCH
2-CH(C
2H
5)-Oからなる群から選択され、
nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、
Xは、H、SO
3M、PO
3HM及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の少なくとも1つの化合物の、乳化剤としての使用。
【請求項2】
乳化剤が、重合反応に使用される請求項1に記載の使用。
【請求項3】
重合反応が、乳化重合である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
乳化重合の方法であって、
(A)反応器中に:
(i)エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマー、
(ii)一般式(I)
【化2】
(式中、
AOは、同一であり、又は異なり、かつCH
2-CH
2-O、CH(CH
3)-CH
2-O、CH
2-CH(CH
3)-O、CH(C
2H
5)-CH
2-O、C(CH
3)
2-CH
2-O、CH
2C(CH
3)
2-O及びCH
2-CH(C
2H
5)-Oからなる群から選択され、
nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、
Xは、H、SO
3M、PO
3HM及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の少なくとも1つの化合物、及び
(iii)少なくとも1つの重合開始剤、
を含む反応混合物を充填するステップ、
(B)反応器におけるステップ(A)の反応混合物を、≧20℃~≦105℃の範囲の温度にて、≧30分~≦12時間の範囲の時間維持するステップを含む、方法。
【請求項5】
AOが、同一であり、又は異なり、かつCH
2-CH
2-O、CH(CH
3)-CH
2-O及びCH
2-CH(CH
3)-Oからなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用又は方法。
【請求項6】
ステップ(B)の反応混合物を、亜硫酸水素ナトリウム及びメタ重亜硫酸ナトリウムからなる群から選択される停止化合物で停止するステップ(C)をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマーが、アクリルモノマー、ビニル芳香族炭化水素、並びに飽和脂肪族C
2~C
24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
重合開始剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、カリウムペルオキシジカーボネート及びカリウムペルオキシジホスフェートからなる群から選択される無機フリーラジカル開始剤である、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
(i)アクリルモノマー、ビニル芳香族炭化水素、及び飽和脂肪族C
2~C
24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択されるエチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマー、
(ii)請求項1から5のいずれか一項に記載の一般式(I)の少なくとも1つの化合物、並びに
(iii)水、
を含む、混合物。
【請求項10】
(i)請求項1から5のいずれか一項に記載の一般式(I)の少なくとも1つの化合物、
(ii)アクリルモノマー、ビニル芳香族炭化水素、及び飽和脂肪族C
2~C
24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを重合形態で含む、ポリマーP、並びに
(iii)水、
を含む、混合物。
【請求項11】
少なくとも1つのモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸n-ブチル、スチレン、ビニルトルエン、tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニルからなる群から選択される、請求項9又は10に記載の混合物。
【請求項12】
一般式(Ia)
【化3】
(式中、
AOは、CH
2-CH
2-Oであり、
nは、≧0~≦100の範囲の整数であり、
Xは、SO
3M、PO
3HM及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の化合物。
【請求項13】
nが、≧1~≦100の範囲の整数である、一般式(Ia)の化合物。
【請求項14】
一般式(Ib)
【化4】
(式中、
AOは、同一であり、又は異なり、かつCH(CH
3)-CH
2-O、CH
2-CH(CH
3)-O、CH(C
2H
5)-CH
2-O、C(CH
3)
2-CH
2-O、CH
2C(CH
3)
2-O及びCH
2-CH(C
2H
5)-Oからなる群から選択され、
nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、
Xは、H、SO
3M、PO
3HM及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の化合物。
【請求項15】
(a1)請求項12又は13に記載の一般式(Ia)の少なくとも1つの化合物、及び
(a2)請求項14に記載の一般式(Ib)の少なくとも1つの化合物
を含む、混合物。
【請求項16】
(I)請求項1から5、12、13又は14に記載の一般式(I)の少なくとも1つの化合物、及び
(II)溶媒、界面活性剤、アミンオキシド、硬化剤、染料、フレグランス、抗微生物剤、増粘剤、再付着防止剤及び脂肪族アルコールからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤
を含む、洗浄組成物。
【請求項17】
固体又は液体形態である、請求項16に記載の洗浄組成物。
【請求項18】
少なくとも1つの添加剤が、溶媒、界面活性剤、アミンオキシド、硬化剤、染料、フレグランス、抗微生物剤、増粘剤、再付着防止剤及び脂肪族アルコールからなる群から選択される、請求項16及び17に記載の洗浄組成物。
【請求項19】
a.アルコキシル化生成物を得るための、アルコキシル化剤を用いた式(II)
【化5】
の化合物のアルコキシル化、及び
b.硫化剤を用いた、ステップa.で得られたアルコキシル化生成物の硫酸化
のステップを含む、請求項1から5、12、13又は14に記載の化合物を調製するための方法。
【請求項20】
アルカリ金属水酸化物を用いた処理のステップc.をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
リン酸化剤を用いた、ステップa.で得られたアルコキシル化生成物のリン酸化をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
アルコキシル化剤が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
硫化剤が、クロロスルホン酸及び三酸化硫黄からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
リン酸化剤が、リン酸、五酸化リン(P
2O
5)、テトラリン酸及びそれらの塩からなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
ステップa.が、≧50℃~≦160℃の範囲の温度にて、≧1時間~≦10時間の範囲の時間実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項26】
ステップb.が、≧40℃~≦80℃の範囲の温度にて、≧15分~≦3時間の範囲の時間実行される、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
式(II)の化合物とアルコキシル化剤とのモル比が、1:5~1:50の範囲である、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
ステップa.で得られたアルコキシル化生成物と硫化剤とのモル比が、0.5:1~1.5:2の範囲である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で主張される発明は、一般式(I)の少なくとも1つの化合物の、乳化剤又は安定剤としての使用に関する。本明細書で主張される発明は、重合反応、好ましくは乳化重合における、一般式(I)の少なくとも1つの化合物の、乳化剤又は安定剤としての使用にさらに関する。本明細書で主張される発明は、一般式(I)の少なくとも1つの化合物を使用して、乳化重合において、液体又は固体を乳化及び/若しくは安定化、又は分散させる方法にも関する。さらに、本明細書で主張される発明は、一般式(I)の少なくとも1つの化合物、及び少なくとも1つの添加剤を含む洗浄組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
界面活性剤は、乳化重合プロセスにおいて乳化剤として幅広く使用される。詳細には、アルキルフェノールベースの界面活性剤は、一般的に標準と考えられていた。しかし、アルキルフェノールは、内分泌効果を有する。したがって、アルキルフェノール及びその誘導体は、生態毒性プロファイルのため、かなり以前からアルキルフェノールエトキシレート(APE)に置き換えられている。
【0003】
アルキルフェノールエトキシレート(APE)は、フェニル環に結合するアルキル鎖、及び繰り返しエトキシレート単位の鎖を含有する非イオン性界面活性剤である。これらは、消費削減を目的とした、環境規制の強化を受ける。APEは、アルキルフェノール(AP)に関連する高レベルの毒性、エストロゲン活性又は環境持続性を呈さない。しかし、環境下で、APEはアルキルフェノール(AP)に分解し、ひいては、APEの環境への放出は、最終的に、より高度に毒性及び持続性のAP残留物の導入を引き起こす。APは、生体蓄積し、エストロゲン性を発現することが公知である。環境保護機関(EPA)は、アルキルフェノールエトキシレート(APE)区分を、毒性化学物質のリストに加えることを提案している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本明細書で主張される発明の目的は、有機物質の乳化/分散において、少なくともAPEO界面活性剤と同じくらい良好であり、生態毒性の懸念が少なく、又はなく、また環境に配慮した、APEOの代替物である界面活性剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
トコフェロールベースのある非イオン性及びアニオン性界面活性剤は、表面活性の性質、例えば水の表面張力の低下を呈し、臨界ミセル濃度(CMC)を呈し、ひいては、効率的な乳化剤及び安定化剤として作用することが意外にも見出された。
【0006】
したがって、一態様では、本明細書で主張される発明は、一般式(I)
【0007】
【化1】
(式中、
AOは、同一であり、又は異なり、かつCH
2-CH
2-O、CH(CH
3)-CH
2-O、CH
2-CH(CH
3)-O、CH(C
2H
5)-CH
2-O、C(CH
3)
2-CH
2-O、CH
2C(CH
3)
2-O及びCH
2-CH(C
2H
5)-Oから選択され、
nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、
Xは、H、SO
3M、PO
3MH又はPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の少なくとも1つの化合物の、乳化剤としての使用を対象とする。
【0008】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、乳化重合の方法であって、
(A)反応器中に:
(i)エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマー、
(ii)一般式(I)の少なくとも1つの化合物、及び
(iii)少なくとも1つの重合開始剤を含む反応混合物、
を充填するステップ、
(B)反応器におけるステップ(A)の反応混合物を、≧20℃~≦105℃の範囲の温度にて、≧30分~≦12時間の範囲の時間維持するステップを含む、方法を対象とする。
【0009】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、
(i)アクリルモノマー、ビニル芳香族炭化水素、及び飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択されるエチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマー、
(ii)上に記載されている一般式(I)の少なくとも1つの化合物、並びに
(iii)水、
を含む混合物を対象とする。
【0010】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、
(i)上に記載されている一般式(I)の少なくとも1つの化合物、
(ii)アクリルモノマー、ビニル芳香族炭化水素、及び飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを重合形態で含む、ポリマーP、並びに
(iii)水、
を含む混合物を対象とする。
【0011】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、一般式(Ia)
【0012】
【化2】
(式中、
AOは、CH
2-CH
2-Oであり、
nは、≧0~≦100の範囲の整数であり、
Xは、SO
3M、PO
3HM及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の化合物を対象とする。
【0013】
さらに別の態様では、本明細書で主張される発明は、一般式(Ib)
【0014】
【化3】
(式中、
AOは、同一であり、又は異なり、かつCH(CH
3)-CH
2-O、CH
2-CH(CH
3)-O、CH(C
2H
5)-CH
2-O、C(CH
3)
2-CH
2-O、CH
2C(CH
3)
2-O及びCH
2-CH(C
2H
5)-Oからなる群から選択され、
nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、
Xは、H、SO
3M、PO
3HM及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の化合物を対象とする。
【0015】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、
(a1)上で定義されている一般式(Ia)の少なくとも1つの化合物、及び
(a2)上で定義されている一般式(Ib)の少なくとも1つの化合物
を含む混合物を対象とする。
【0016】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、
(I)上で定義されている一般式(I)、(Ia)又は(Ib)の少なくとも1つの化合物、及び
(II)少なくとも1つの添加剤
を含む洗浄組成物を対象とする。
【0017】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、
a.アルコキシル化生成物を得るための、アルコキシル化剤を用いた式(II)
【0018】
【化4】
の化合物のアルコキシル化、及び
b.硫化剤を用いた、ステップa.で得られたアルコキシル化生成物の硫酸化
のステップを含む、一般式(I)の化合物を調製するための方法を対象とする。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の組成物及び本発明の配合物が記載される前に、本発明は、記載されている特定の組成物及び配合物に限定されないが、その理由は、そのような組成物及び配合物はもちろん変化させてよいためであることは理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語は、本明細書で主張される発明の範囲が、添付の特許請求の範囲によってしか限定されないので、限定されることを意図するものではないことも理解されるべきである。
【0020】
以下で、群が少なくともある数の実施形態を含むと定義されている場合、これは、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群も包含することを意味する。さらに、本明細書及び特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などという用語は、同様の要素間で区別するのに使用され、必ずしも順次又は時系列順に記載する必要はない。そのように使用される用語は、適切な状況下で互換性があること、及び本明細書に記載されている本発明の実施形態は、本明細書に記載されている、又は例証されているものではなく他の順列で運用することが可能であることは理解されるべきである。「第1の」、「第2の」、「第3の」又は「(A)」、「(B)」及び「(C)」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」などという用語が、方法又は使用又はアッセイのステップに関するケースでは、ステップ間に時間コヒーレンス又は時間間隔コヒーレンスがない、すなわち、本明細書において上又は下で明記されている用途において、特に指示がない限り、ステップは同時に実行してよく、又はそのようなステップ間に、秒、分、時間、日、週、月若しくは年の時間間隔さえ存在してよい。
【0021】
以下の節では、本発明の様々な態様が、より詳細に定義されている。そのように定義された各態様は、そうでないと明らかに指し示されない限り、任意の他の態様と組み合わせてよい。詳細には、好ましい又は有利と指し示されている任意の特徴は、好ましい又は有利と指し示されている任意の他の特徴と組み合わせてよい。
【0022】
本明細書全体での「一実施形態」又は「好ましい実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造又は特性が、本明細書で主張される発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体で、様々な場所において「一実施形態では」又は「好ましい実施形態では」又は「別の実施形態では」という語句が現れることは、すべてが必ずしも同一の実施形態を指すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造又は特性は、1つ以上の実施形態において、本開示から当業者に明らかなように、任意の好適な手段で組み合わせてよい。さらに、本明細書に記載されているいくつかの実施形態は、いくつかの特徴を含むが、他の実施形態に含まれる他の特徴を含まない一方、異なる実施形態の特徴の組合せは、当業者により理解されるように、本発明の範囲内であり、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲では、請求されている実施形態のいずれかを、任意の組合せで使用してよい。
【0023】
さらに、本明細書全体で定義されている範囲は、末端値も含み、すなわち1~10の範囲は、範囲に1及び10の両方が含まれることを含蓄する。誤解を避けるために、本出願人は、準拠法に従って、いかなる等価物も得る権利があるものとする。
【0024】
ある用語は、本開示がより容易に理解できるように最初に定義される。特に定義されていない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本発明の実施形態が関係する当業者により通例理解されるものと同じ意味を有する。
【0025】
一態様では、本明細書で主張される発明は、一般式(I)
【0026】
【化5】
(式中、
AOは、同一であり、又は異なり、かつCH
2-CH
2-O、CH(CH
3)-CH
2-O、CH
2-CH(CH
3)-O、CH(C
2H
5)-CH
2-O、C(CH
3)
2-CH
2-O、CH
2C(CH
3)
2-O及びCH
2-CH(C
2H
5)-Oから選択され、
nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、
Xは、H、SO
3M、PO
3MH及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の少なくとも1つの化合物の、乳化剤としての使用を対象とする。
【0027】
アルカノールアミンカチオンは、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、1,3-モノプロパノールアミン、1,3-ジプロパノールアミン、1,3-トリプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリメチロールアミノメタン、2-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール及び2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオールのカチオンである。
【0028】
好ましい実施形態では、(AO)は、CH2-CH2-O、CH(CH3)-CH2-O及びCH2-CH(CH3)-Oからなる群から選択される。
【0029】
好ましい実施形態では、nは、≧1~≦99又は≧1~≦98又は≧1~≦97又は≧1~≦96又は≧1~≦95又は≧1~≦94又は≧1~≦93又は≧1~≦92又は≧1~≦91又は≧1~≦90又は≧1~≦89又は≧1~≦88又は≧1~≦87又は≧1~≦86又は≧1~≦85又は≧1~≦84又は≧1~≦83又は≧1~≦82又は≧1~≦81又は≧1~≦80又は≧1~≦79又は≧1~≦78又は≧1~≦77又は≧1~≦76又は≧1~≦75又は≧1~≦74又は≧1~≦73又は≧1~≦72又は≧1~≦71又は≧1~≦70又は≧1~≦69又は≧1~≦68又は≧1~≦67又は≧1~≦66又は≧1~≦65又は≧1~≦64又は≧1~≦63又は≧1~≦62又は≧1~≦61又は≧1~≦60又は≧1~≦59又は≧1~≦58又は≧1~≦57又は≧1~≦56又は≧1~≦55又は≧1~≦54又は≧1~≦53又は≧1~≦52又は≧1~≦51又は≧1~≦50又は≧1~≦49又は≧1~≦48又は≧1~≦47又は≧1~≦46又は≧1~≦45又は≧1~≦44又は≧1~≦43又は≧1~≦42又は≧1~≦41又は≧1~≦40又は≧1~≦39又は≧1~≦38又は≧1~≦37又は≧1~≦36又は≧1~≦35又は≧1~≦34又は≧1~≦33又は≧1~≦32又は≧1~≦31又は≧1~≦30又は≧1~≦29又は≧1~≦28又は≧1~≦27又は≧1~≦26又は≧1~≦25、の範囲、より好ましくは、≧2~≦99又は≧2~≦98又は≧2~≦97又は≧2~≦96又は≧2~≦95又は≧2~≦94又は≧2~≦93又は≧2~≦92又は≧2~≦91又は≧2~≦90又は≧2~≦89又は≧2~≦88又は≧2~≦87又は≧2~≦86又は≧2~≦85又は≧2~≦84又は≧2~≦83又は≧2~≦82又は≧2~≦81又は≧2~≦80又は≧2~≦79又は≧2~≦78又は≧2~≦77又は≧2~≦76又は≧2~≦75又は≧2~≦74又は≧2~≦73又は≧2~≦72又は≧2~≦71又は≧2~≦70又は≧2~≦69又は≧2~≦68又は≧2~≦67又は≧2~≦66又は≧2~≦65又は≧2~≦64又は≧2~≦63又は≧2~≦62又は≧2~≦61又は≧2~≦60又は≧2~≦59又は≧2~≦58又は≧2~≦57又は≧2~≦56又は≧2~≦55又は≧2~≦54又は≧2~≦53又は≧2~≦52又は≧2~≦51又は≧2~≦50又は≧2~≦49又は≧2~≦48又は≧2~≦47又は≧2~≦46又は≧2~≦45又は≧2~≦44又は≧2~≦43又は≧2~≦42又は≧2~≦41又は≧2~≦40又は≧2~≦39又は≧2~≦38又は≧2~≦37又は≧2~≦36又は≧2~≦35又は≧2~≦34又は≧2~≦33又は≧2~≦32又は≧2~≦31又は≧2~≦30又は≧2~≦29又は≧2~≦28又は≧2~≦27又は≧2~≦26又は≧2~≦25の範囲、より一層好ましくは≧3~≦99又は≧3~≦98又は≧3~≦97又は≧3~≦96又は≧3~≦95又は≧3~≦94又は≧3~≦93又は≧3~≦92又は≧3~≦91又は≧3~≦90又は≧3~≦89又は≧3~≦88又は≧3~≦87又は≧3~≦86又は≧3~≦85又は≧3~≦84又は≧3~≦83又は≧3~≦82又は≧3~≦81又は≧3~≦80又は≧3~≦79又は≧3~≦78又は≧3~≦77又は≧3~≦76又は≧3~≦75又は≧3~≦74又は≧3~≦73又は≧3~≦72又は≧3~≦71又は≧3~≦70又は≧3~≦69又は≧3~≦68又は≧3~≦67又は≧3~≦66又は≧3~≦65又は≧3~≦64又は≧3~≦63又は≧3~≦62又は≧3~≦61又は≧3~≦60又は≧3~≦59又は≧3~≦58又は≧3~≦57又は≧3~≦56又は≧3~≦55又は≧3~≦54又は≧3~≦53又は≧3~≦52又は≧3~≦51又は≧3~≦50又は≧3~≦49又は≧3~≦48又は≧3~≦47又は≧3~≦46又は≧3~≦45又は≧3~≦44又は≧3~≦43又は≧3~≦42又は≧3~≦41又は≧3~≦40又は≧3~≦39又は≧3~≦38又は≧3~≦37又は≧3~≦36又は≧3~≦35又は≧3~≦34又は≧3~≦33又は≧3~≦32又は≧3~≦31又は≧3~≦30又は≧3~≦29又は≧3~≦28又は≧3~≦27又は≧3~≦26又は≧3~≦25又は≧4~≦99又は≧4~≦98又は≧4~≦97又は≧4~≦96又は≧4~≦95又は≧4~≦94又は≧4~≦93又は≧4~≦92又は≧4~≦91又は≧4~≦90又は≧4~≦89又は≧4~≦88又は≧4~≦87又は≧4~≦86又は≧4~≦85又は≧4~≦84又は≧4~≦83又は≧4~≦82又は≧4~≦81又は≧4~≦80又は≧4~≦79又は≧4~≦78又は≧4~≦77又は≧4~≦76又は≧4~≦75又は≧4~≦74又は≧4~≦73又は≧4~≦72又は≧4~≦71又は≧4~≦70又は≧4~≦69又は≧4~≦68又は≧4~≦67又は≧4~≦66又は≧4~≦65又は≧4~≦64又は≧4~≦63又は≧4~≦62又は≧4~≦61又は≧4~≦60又は≧4~≦59又は≧4~≦58又は≧4~≦57又は≧4~≦56又は≧4~≦55又は≧4~≦54又は≧4~≦53又は≧4~≦52又は≧4~≦51又は≧4~≦50又は≧4~≦49又は≧4~≦48又は≧4~≦47又は≧4~≦46又は≧4~≦45又は≧4~≦44又は≧4~≦43又は≧4~≦42又は≧4~≦41又は≧4~≦40又は≧4~≦39又は≧4~≦38又は≧4~≦37又は≧4~≦36又は≧4~≦35又は≧4~≦34又は≧4~≦33又は≧4~≦32又は≧4~≦31又は≧4~≦30又は≧4~≦29又は≧4~≦28又は≧4~≦27又は≧4~≦26又は≧4~≦25の範囲、最も好ましくは≧5~≦99又は≧5~≦98又は≧5~≦97又は≧5~≦96又は≧5~≦95又は≧5~≦94又は≧5~≦93又は≧5~≦92又は≧5~≦91又は≧5~≦90又は≧5~≦89又は≧5~≦88又は≧5~≦87又は≧5~≦86又は≧5~≦85又は≧5~≦84又は≧5~≦83又は≧5~≦82又は≧5~≦81又は≧5~≦80又は≧5~≦79又は≧5~≦78又は≧5~≦77又は≧5~≦76又は≧5~≦75又は≧5~≦74又は≧5~≦73又は≧5~≦72又は≧5~≦71又は≧5~≦70又は≧5~≦69又は≧5~≦68又は≧5~≦67又は≧5~≦66又は≧5~≦65又は≧5~≦64又は≧5~≦63又は≧5~≦62又は≧5~≦61又は≧5~≦60又は≧5~≦59又は≧5~≦58又は≧5~≦57又は≧5~≦56又は≧5~≦55又は≧5~≦54又は≧5~≦53又は≧5~≦52又は≧5~≦51又は≧5~≦50又は≧5~≦49又は≧5~≦48又は≧5~≦47又は≧5~≦46又は≧5~≦45又は≧5~≦44又は≧5~≦43又は≧5~≦42又は≧5~≦41又は≧5~≦40又は≧5~≦39又は≧5~≦38又は≧5~≦37又は≧5~≦36又は≧5~≦35又は≧5~≦34又は≧5~≦33又は≧5~≦32又は≧5~≦31又は≧5~≦30又は≧5~≦29又は≧5~≦28又は≧5~≦27又は≧5~≦26又は≧5~≦25又は≧6~≦99又は≧6~≦98又は≧6~≦97又は≧6~≦96又は≧6~≦95又は≧6~≦94又は≧6~≦93又は≧6~≦92又は≧6~≦91又は≧6~≦90又は≧6~≦89又は≧6~≦88又は≧6~≦87又は≧6~≦86又は≧6~≦85又は≧6~≦84又は≧6~≦83又は≧6~≦82又は≧6~≦81又は≧6~≦80又は≧6~≦79又は≧6~≦78又は≧6~≦77又は≧6~≦76又は≧6~≦75又は≧6~≦74又は≧6~≦73又は≧6~≦72又は≧6~≦71又は≧6~≦70又は≧6~≦69又は≧6~≦68又は≧6~≦67又は≧6~≦66又は≧6~≦65又は≧6~≦64又は≧6~≦63又は≧6~≦62又は≧6~≦61又は≧6~≦60又は≧6~≦59 又は≧6~≦58又は≧6~≦57又は≧6~≦56又は≧6~≦55又は≧6~≦54又は≧6~≦53又は≧6~≦52又は≧6~≦51又は≧6~≦50又は≧6~≦49又は≧6~≦48又は≧6~≦47又は≧6~≦46又は≧6~≦45又は≧6~≦44又は≧6~≦43又は≧6~≦42又は≧6~≦41又は≧6~≦40又は≧6~≦39又は≧6~≦38又は≧6~≦37又は≧6~≦36又は≧6~≦35又は≧6~≦34又は≧6~≦33又は≧6~≦32又は≧6~≦31又は≧6~≦30又は≧6~≦29又は≧6~≦28又は≧6~≦27又は≧6~≦26又は≧6~≦25の範囲の整数である。
【0030】
好ましい実施形態では、Mは、H、ナトリウム、カリウム及びアンモニウムから選択される。
【0031】
好ましい実施形態では、Xは、H、SO3Na、SO3H、SO3K、PO3H2、PO3HNa、PO3Na2、PO3HK及びPO3K2から選択される。
【0032】
好ましい実施形態では、AOは、同一であり、又は異なり、かつCH2-CH2-O、CH(CH3)-CH2-O及びCH2-CH(CH3)-Oから選択され、nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、Xは、H、SO3M、PO3MH及びPO3M2から選択され、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される。
【0033】
別の好ましい実施形態では、AOは、同一であり、又は異なり、かつCH2-CH2-O、CH(CH3)-CH2-O、CH2-CH(CH3)-O、CH(C2H5)-CH2-O、C(CH3)2-CH2-O、CH2C(CH3)2-O及びCH2-CH(C2H5)-Oからなる群から選択され、nは、≧1~≦30の範囲の整数であり、Xは、H、SO3M、PO3MH及びPO3M2から選択され、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される。
【0034】
別の好ましい実施形態では、AOは、同一であり、又は異なり、かつCH2-CH2-O、CH(CH3)-CH2-O、CH2-CH(CH3)-O、CH(C2H5)-CH2-O、C(CH3)2-CH2-O、CH2C(CH3)2-O及びCH2-CH(C2H5)-Oからなる群から選択され、nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、Xは、H及びSO3Mから選択され、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される。
【0035】
別の好ましい実施形態では、AOは、同一であり、又は異なり、かつCH2-CH2-O、CH(CH3)-CH2-O、CH2-CH(CH3)-O、CH(C2H5)-CH2-O、C(CH3)2-CH2-O、CH2C(CH3)2-O及びCH2-CH(C2H5)-Oからなる群から選択され、nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、Xは、H、PO3MH及びPO3M2から選択され、Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される。
【0036】
別の好ましい実施形態では、AOは、同一であり、又は異なり、かつCH2-CH2-O、CH(CH3)-CH2-O、CH2-CH(CH3)-O、CH(C2H5)-CH2-O、C(CH3)2-CH2-O、CH2C(CH3)2-O及びCH2-CH(C2H5)-Oからなる群から選択され、nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、Xは、H、SO3M、PO3MH及びPO3M2から選択され、Mは、H及びアルカリ金属から選択される。
【0037】
別の好ましい実施形態では、AOは、同一であり、又は異なり、かつCH2-CH2-O、CH(CH3)-CH2-O及びCH2-CH(CH3)-Oからなる群から選択され、nは、≧1~≦30の範囲の整数であり、Xは、H及びSO3Mから選択され、Mは、H及びアルカリ金属から選択される。
【0038】
一実施形態では、一般式(I)の少なくとも1つの化合物は、重合反応に使用される。
【0039】
別の好ましい実施形態では、重合反応は、乳化重合である。
【0040】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、乳化重合の方法であって、
(A)反応器中に:
(I)エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマー、
(II)一般式(I)の少なくとも1つの化合物、及び
(III)少なくとも1つの重合開始剤を含む反応混合物、
を充填するステップ、並びに
(B)反応器におけるステップ(A)の反応混合物を、≧20℃~≦105℃の範囲の温度にて、≧30分~≦12時間の範囲の時間維持するステップを含む、方法を対象とする。
【0041】
本明細書で主張される発明の別の実施形態では、乳化重合の方法は、
(A)反応器中に:
(I)エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマー、
(II)一般式(I)の少なくとも1つの化合物、及び
(III)少なくとも1つの重合開始剤を含む反応混合物、
を充填するステップ、
(B)反応器におけるステップ(A)の反応混合物を、≧20℃~≦105℃の範囲の温度にて、≧30分~≦12時間の範囲の時間維持するステップ、並びに
(C)ステップ(B)の反応混合物を停止するステップを含む。
【0042】
乳化重合は、バッチプロセス(バッチごと)、半連続又は完全連続プロセス、例えばフィードプロセスであり得る。
【0043】
好適な反応器は、連続撹拌タンク反応器(CSTR)、管型反応器、ループ反応器、押出反応器、又は連続作業に好適な任意の反応器を含むが、それらに限定されない。
【0044】
CSTRの形態は、冷却コイル及び/又は冷却ジャケットを備えたタンク反応器である。冷却コイル及び/又は冷却ジャケットは、重合のためにあらかじめ選択された温度を維持するために、継続的に充填されたモノマー組成物の温度を上昇させることにより吸収されない、重合のいかなる熱も除去するのに十分でなければならない。そのようなCSTRは、十分に混合した反応域を得るために、少なくとも1つの、及び通常より多くのアジテーターを備えていてよい。そのようなCSTRは、20~100%充満(液体充満反応器LFR)の、様々な注入レベルで運用してよい。一実施形態では、反応器は、充満の50%超であるが、100%の充満未満である。別の実施形態では、反応器は、100%液体充満である。
【0045】
好ましい実施形態では、ステップ(B)における温度は、≧40℃~≦105℃又は≧40℃~≦100℃又は≧40℃~≦95℃又は≧40℃~≦85℃の範囲、より好ましくは≧50℃~≦105℃又は≧50℃~≦100℃又は≧50℃~≦95℃又は≧50℃~≦85℃の範囲、より一層好ましくは≧60℃~≦105℃又は≧60℃~≦100℃又は≧60℃~≦95℃又は≧60℃~≦90℃の範囲である。
【0046】
選択される最も有益な温度は、使用される開始剤の分解特性、又は使用される開始剤によって決まる。
【0047】
圧力条件は、一般的に重大ではなく、例えば、大気圧~10barの範囲の圧力は好適である。
【0048】
好ましい実施形態では、乳化重合の時間は、≧1時間~≦10時間又は≧1時間~≦9時間又は≧1時間~≦8時間又は≧1時間~≦7時間又は≧1時間~≦6時間の範囲、より好ましくは≧2時間~≦10時間又は≧2時間~≦9時間又は≧2時間~≦8時間又は≧2時間~≦7時間又は≧2時間~≦6時間又は≧2時間~≦5時間の範囲である。
【0049】
ステップ(A)、(B)及び(C)は、好ましくは不活性ガス、例えば窒素又はアルゴンの存在下で実行され得る。
【0050】
一実施形態では、本明細書で主張される発明の方法の反応混合物は、少なくとも1つの溶媒を含む。
【0051】
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー
エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマーは、
- アクリルモノマー、
- ビニル芳香族炭化水素、及び
- 飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステル
からなる群から選択される。
【0052】
本明細書で主張される発明の好ましい実施形態では、エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマーは、アクリルモノマーである。
【0053】
本明細書で主張される発明の別の好ましい実施形態では、アクリルモノマーは、(メタ)アクリルモノマーである。
【0054】
本明細書で使用されている、「(メタ)アクリルモノマー」は、アクリル酸又はメタクリル酸、アクリル又はメタクリル酸のエステル、アクリル又はメタクリル酸の塩、アミド及び他の好適な誘導体、並びにそれらの混合物を指す。好適なアクリルモノマーの例は、限定するものではないが、以下のメタクリル酸エステル:(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸2-n-ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-クロロエチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルブチル、(メタ)アクリル酸シンナミル、(メタ)アクリル酸クロチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸ヘキサフルオロイソプロピル、(メタ)アクリル酸メタリル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ニトロ-2-メチルプロピル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2-フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸2-フェニルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸プロパルギル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル及び(メタ)アクリル酸テトラヒドロピラニルを含む。好適なアクリル酸エステルの例は、限定するものではないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n-ブチル及びアクリル酸n-デシルを含む。
【0055】
他の好適なアクリルモノマーの例は、限定するものではないが、メタクリル酸誘導体、例えば:メタクリル酸及びその塩、メタクリロニトリル、メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、N,Nジエチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド及びメタクロレインを含む。アクリル酸誘導体の例は、限定するものではないが、アクリル酸及びその塩、アクリロニトリル、アクリルアミド、α-クロロアクリル酸メチル、2-シアノアクリル酸メチル、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド及びアクロレインを含む。
【0056】
好ましくは、少なくとも1つのアクリルモノマーは、アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル及びアクリル酸からなる群から選択される。
【0057】
より好ましくは、(メタ)アクリルモノマーは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸n-ブチル及びアクリル酸からなる群から選択される。
【0058】
本明細書で主張される発明の好ましい実施形態では、ビニル芳香族炭化水素は、スチレン、ビニルトルエン、tert-ブチルスチレン及びα-メチルスチレンからなる群から選択される。より好ましくは、ビニル芳香族炭化水素は、スチレンである。
【0059】
好ましい実施形態では、エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマーは、飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択される。
【0060】
好ましい実施形態では、エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマーは、飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニルエステルである。
【0061】
別の好ましい実施形態では、飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニルエステルは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニルからなる群から選択される。
【0062】
好ましい実施形態では、エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマーの量は、反応混合物の合計重量に対して、35重量%~80重量%の範囲である。
【0063】
重合開始剤
乳化重合は、少なくとも1つの開始剤を使用すると影響を受ける。本明細書で主張される発明による方法を実行するのに好適な少なくとも1つの重合開始剤は、一次反応において、ラジカルに熱的に分解し得る。
【0064】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの開始剤は、無機フリーラジカル開始剤である。
【0065】
好ましい実施形態では、無機フリーラジカル開始剤は、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、カリウムペルオキシジカーボネート、カリウムペルオキシジホスフェート及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0066】
少なくとも1つの開始剤は、過酸化物又は少なくとも1つの過酸化物を含有する系、例えば少なくとも1つの過酸化物を含有するレドックス開始剤からなる群から選択され得る。好適な過酸化物の例は、ペルオキソ二硫酸アルカリ金属、例えば、ペルオキソ二硫酸ナトリウム又はペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、有機過酸化物、例えば過酸化ジアセチル、過酸化ジ-tert-ブチル、過酸化ジアミル、過酸化ジオクタノイル、過酸化ジデカノイル、過酸化ジラウリル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ビス(o-トルイル)、過酸化スクシニル、過酢酸tert-ブチル、過マレイン酸tert-ブチル、過イソ酪酸tert-ブチル、過ピバル酸tert-ブチル、過オクタン酸tert-ブチル、過ネオデカン酸tert-ブチル、過安息香酸tert-ブチル、過酸化ジ-tertブチル、ヒドロ過酸化tertブチル、ヒドロ過酸化クミル、ペルオキシ-2-エチルヘキサン酸tert-ブチル及びペルオキシジカルバミン酸ジイソプロピルである。アゾ化合物、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2-アミドプロパン)二塩酸塩及び2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)も好適である。レドックス開始剤は、同じく好適であり、例えば過酸化物又は酸化しやすい硫黄化合物を含む。少なくとも1つのFe(II)化合物、例えばFeSO4及び少なくとも1つの過酸化物、例えばH2O2の組合せ、過硫酸ナトリウム及びメタ重亜硫酸ナトリウムの組合せ、有機ヒドロペルオキシド及びメタ重亜硫酸ナトリウムの組合せ、並びに第三級アミン及び過酸化ジベンゾイルの組合せが例である。
【0067】
重合開始剤の量は、反応の条件によって決まり、それに応じて調整してよい。
【0068】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの重合開始剤は、各ケースにおいて、反応混合物の合計重量に対して、≧0.1重量%~≦5重量%の範囲、好ましくは≧0.1重量%~≦4.5重量%又は≧0.1重量%~≦4重量%の範囲、より好ましくは、≧0.1重量%~≦5重量%又は≧0.1重量%~≦4.5重量%又は≧0.1重量%~≦4.0重量%の範囲、最も好ましくは≧0.2重量%~≦4.5重量%又は≧0.2重量%~≦4.0重量%又は≧0.2重量%~≦3.5重量%又は≧0.2重量%~≦3.0重量%の範囲の量で存在する。
【0069】
好ましい実施形態では、ステップ(C)は、亜硫酸水素ナトリウム及びメタ重亜硫酸ナトリウムからなる群から選択される停止化合物で実行される。
【0070】
溶媒
好ましい実施形態では、本明細書で主張される発明の方法の反応混合物は、少なくとも1つの溶媒を含む。
【0071】
少なくとも1つの溶媒は、エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマーと共に反応器中に供給され得、すなわち、少なくとも1つの溶媒及びエチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマーは、単回の供給で供給される、又は、反応器中に別々に供給され得、すなわち少なくとも1つの溶媒及び不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマーは、2回の供給で供給される。
【0072】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの溶媒は、水、キシレン、トルエン、エチルベンゼン、軽質ナフサ、重質ナフサ、アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、N-メチルピロリドン、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸、酢酸プロピル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチル3-エトキシプロピオネート及びイソパラフィンを含む群から選択される。
【0073】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの溶媒は、水である。
【0074】
少なくとも1つの溶媒は、各ケースにおいて、反応混合物の合計重量に対して≧15重量%~≦60重量%又は≧15%~≦59%又は≧15%~≦58%又は≧15%~≦57%又は≧15%~≦56%又は≧15%~≦55%又は≧15%~≦54%又は≧15%~≦53%又は≧15%~≦52%又は≧15%~≦51%又は≧15%~≦50%又は≧15%~≦49%又は≧15%~≦48%又は≧15%~≦47%又は≧15%~≦46%又は≧15%~≦45%又は≧15%~≦44%又は≧15%~≦43%又は≧15%~≦42%又は≧15%~≦41%又は≧15%~≦40%又は≧15%~≦39%又は≧15%~≦38%又は≧15%~≦37%又は≧15%~≦36%又は≧15%~≦35%の範囲、より好ましくは≧20%~≦60%又は≧20%~≦59%又は≧20%~≦58%又は≧20%~≦57%又は≧20%~≦56%又は≧20%~≦55%又は≧20%~≦54%又は≧20%~≦53%又は≧20%~≦52%又は≧20%~≦51%又は≧20%~≦50%又は≧20%~≦49%又は≧20%~≦48%又は≧20%~≦47%又は≧20%~≦46%又は≧20%~≦45%又は≧20%~≦44%又は≧20%~≦43%又は≧20%~≦42%又は≧20%~≦41%又は≧20%~≦40%又は≧20%~≦39%又は≧20%~≦38%又は≧20%~≦37%又は≧20%~≦36%又は≧20%~≦35%の範囲の量で存在する。
【0075】
一態様では、本明細書で主張される発明は、
(i)アクリルモノマー、ビニル芳香族炭化水素、及び飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択されるエチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマー、
(ii)上に記載されている一般式(I)の少なくとも1つの化合物、並びに
(iii)水、
を含む混合物を対象とする。
【0076】
一実施形態では、少なくとも1つのモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸n-ブチル、スチレン、ビニルトルエン、tert-ブチルスチレン及びα-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニルからなる群から選択される。
【0077】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、
(i)上に記載されている一般式(I)の少なくとも1つの化合物、
(ii)アクリルモノマー、ビニル芳香族炭化水素、及び飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを重合形態で含む、ポリマーP、並びに
(iii)水、
を含む混合物を対象とする。
【0078】
一実施形態では、少なくとも1つのモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸n-ブチル、スチレン、ビニルトルエン、tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニルからなる群から選択される。
【0079】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、一般式(Ia)
【0080】
【化6】
(式中、
AOは、CH
2-CH
2-Oであり、
nは、≧0~≦100の範囲の整数であり、
Xは、SO
3M、PO
3HM及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の化合物を対象とする。
【0081】
好ましい実施形態では、Mは、H、ナトリウム、カリウム及びアンモニウムからなる群から選択される。
【0082】
一実施形態では、本明細書で主張される発明は、一般式(I)の化合物を対象とし、AOはCH2-CH2-Oであり、nは≧1~≦100の範囲の整数であり、Xは、SO3Na、SO3H、SO3K、PO3H2、PO3HNa、PO3Na2、PO3HK及びPO3K2からなる群から選択される。
【0083】
一実施形態では、本明細書で主張される発明は、一般式(I)の化合物を対象とし、AOはCH2-CH2-Oであり、nは≧2~≦100の範囲の整数であり、Xは、SO3Na、SO3H、SO3K、PO3H2、PO3HNa、PO3Na2、PO3HK及びPO3K2からなる群から選択される。
【0084】
一実施形態では、本明細書で主張される発明は、一般式(I)の化合物を対象とし、AOはCH2-CH2-Oであり、nは≧5~≦100の範囲の整数であり、Xは、SO3Na、SO3H、SO3K、PO3H2、PO3HNa、PO3Na2、PO3HK及びPO3K2からなる群から選択される。
【0085】
一実施形態では、本明細書で主張される発明は、一般式(I)の化合物を対象とし、AOはCH2-CH2-Oであり、nは≧5~≦50の範囲の整数であり、Xは、SO3Na、SO3H、SO3K、PO3H2、PO3HNa、PO3Na2、PO3HK及びPO3K2からなる群から選択される。
【0086】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、一般式(Ib)
【0087】
【化7】
(式中、
AOは、同一であり、又は異なり、かつCH(CH
3)-CH
2-O、CH
2-CH(CH
3)-O、CH(C
2H
5)-CH
2-O、C(CH
3)
2-CH
2-O、CH
2C(CH
3)
2-O及びCH
2-CH(C
2H
5)-Oからなる群から選択され、
nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、
Xは、H、SO
3M、PO
3HM及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の化合物を対象とする。
【0088】
好ましい実施形態では、(AO)は、CH(CH3)-CH2-O及びCH2-CH(CH3)-Oからなる群から選択される。
【0089】
好ましい実施形態では、Mは、H、ナトリウム、カリウム及びアンモニウムからなる群から選択される。
【0090】
別の好ましい実施形態では、Xは、H、SO3Na、SO3H、SO3K、PO3H2、PO3HNa、PO3Na2、PO3HK又はPO3K2からなる群から選択される。
【0091】
別の実施形態では、本明細書で主張される発明は、一般式(I)の化合物を対象とし、AOは、CH(CH3)-CH2-O、CH2-CH(CH3)-O及びそれらの混合物からなる群から選択され、nは≧1~≦100の範囲の整数であり、Xは、H、SO3Na、SO3H、SO3K、PO3HNa、PO3Na2、PO3HK及びPO3K2からなる群から選択される。
【0092】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、
(a1)上で定義されている一般式(Ia)の少なくとも1つの化合物、及び
(a2)上で定義されている一般式(Ib)の少なくとも1つの化合物、
を含む混合物を対象とする。
【0093】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、
(I)上の実施形態で定義されている一般式(I)の少なくとも1つの化合物、及び
(II)少なくとも1つの添加剤、
を含む洗浄組成物について記載する。
【0094】
一実施形態では、一般式(I)の少なくとも1つの化合物の量は、組成物の合計重量に対して、≧0.1重量%~≦99.0重量%の範囲である。
【0095】
一実施形態では、洗浄組成物は固体又は液体形態である。
【0096】
「固体」という用語は、一般的に周囲温度にて形状安定形、例えば粉末、粒子、凝集体、フレーク又は顆粒である組成物を指す。固体は、様々な程度の形状安定性を有し得、中等度の応力、圧力又は単なる重力下でその形状を実質的に保つ。
【0097】
本明細書で使用されている「液体」は、洗濯洗剤組成物の連続相又は主な部が液体であること、及び組成物が、自由に流れる組成物であり、周囲温度にて一定の体積であることを意味する(すなわち、懸濁固体が含まれ得る)。本明細書における「変形可能な」は、組成物が、圧力を適用すると、又は穏やかに振とうすると流れることを表す。ゲルは、本明細書で使用されている「液体」の定義に含まれる。
【0098】
添加剤
一実施形態では、本明細書で主張される発明は、少なくとも1つの添加剤をさらに含む。少なくとも1つの添加剤は、溶媒、界面活性剤、アミンオキシド、硬化剤、染料、フレグランス、抗微生物剤、増粘剤、再付着防止剤及び脂肪族アルコールからなる群から選択される。
【0099】
一実施形態では、少なくとも1つの添加剤の量は、組成物の合計重量に対して、≧1重量%~≦99.0重量%の範囲である。
【0100】
溶媒
本明細書で主張される発明による洗浄組成物は、溶媒を含有し得る。洗浄組成物に使用され得る溶媒は、一価又は多価アルコール、アルカノールアミン及びグリコールエーテルからなる群から選択され得る。溶媒は、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、ジエチレングリコール、ブチルジグリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールプロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル又はプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジイソプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジイソプロピレングリコールモノエチルエーテル、メトキシトリグリコール、エトキシトリグリコール、ブトキシトリグリコール、1-ブトキシエトキシ-2-プロパノール、3-メチル-3-メトキシブタノール、プロピレングリコールtert-ブチルエーテル及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0101】
界面活性剤
本明細書で主張される発明による洗浄組成物は、少なくとも1つの界面活性剤を含有し得る。洗浄組成物に使用される少なくとも1つの界面活性剤は、本明細書で主張される発明の一般式(I)の化合物とは異なる。
【0102】
少なくとも1つの界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、両性、非イオン性界面活性剤及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0103】
好適なアニオン性界面活性剤は、硫酸アルキル、アルキルエーテルスルフェート、α-オレフィンスルホネート及び直鎖状アルキルベンゼンスルホネートの塩からなる群から選択される。
【0104】
硫酸アルキルは、式
ROSO3
-M+
(式中、
Rは、直鎖又は分岐状非置換C6~C22アルキルから選択され、
Mは、アルカリ金属又はアンモニウムカチオンから選択される)の化合物である。
【0105】
本明細書で主張される発明の目的に関して、「C6~C22-アルキル」という用語は、6~22個の炭素原子を有する直鎖又は分岐状及び非置換であり得る非環状飽和炭化水素残基をカバーする。
【0106】
硫酸アルキルは、獣脂、ヤシ油、好適な植物油又は合成アルコールのグリセリドから生成される高級アルコール(C6~C22炭素原子)を硫酸化すること、続いて水酸化アルカリを用いた中和により得られる。したがって、硫酸アルキルは、反応副生成物、例えば遊離塩(例えば塩化ナトリウムは、中和剤が水酸化ナトリウムである場合の遊離塩副生成物である)、遊離脂肪族アルコール、脂肪族アルコールの塩も含有する。したがって、硫酸アルキルの固体含有量は、活性含有量とは異なる。活性含有量は、組成物に存在する「硫酸アルキルの量」を表す一方、固体含有量は、組成物における「硫酸アルキル、脂肪族アルコール、脂肪族アルコールの塩及び遊離塩の合計」を表す。本明細書における「遊離」は、塩が、いかなる種類の化学結合によっても、脂肪族アルコール/硫酸アルキルに結合していないことを表す。
【0107】
アルキルエーテルスルフェートは、式
R'-O-(C2H4O)m-SOзM
(式中、
R'は、直鎖又は分岐状非置換C6~C22アルキルから選択され、
mは、≧1~≦20の範囲の整数であり、
Mは、アルカリ金属又はアンモニウムカチオンから選択される)の化合物である。
【0108】
アルキルエーテルスルフェートは、脂肪族アルコールのエトキシ化により生成され、したがって一般的に、様々なアルキル鎖の長さ及び様々な程度のエトキシ化を含む混合物の形態で得られる。そのような混合物は、必然的にいくつかの非エトキシ化硫酸アルキルも含有することが頻繁にある。
【0109】
α-オレフィンスルホネートは、一般的に、α-オレフィンをスルホン化することにより生成される。スルホン化されて、本明細書で主張される発明の組成物に使用される界面活性剤を形成するα-オレフィンは、約10~22個の炭素原子、好ましくは12~18個の炭素原子を含有し得る。これらは、例えば、ワックスのクラッキング、エチレンのビルドアップ、又は対応する第一級アルコールの脱水による多彩なプロセスに由来し得る。模範的なα-オレフィンは、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセンなど、及び前述のものの混合物である。これらの長鎖オレフィンのスルホン化は、典型的には希釈剤と混合される三酸化硫黄を利用して実行される。スルホン化が完了した後酸混合物の中和及び加水分解が実行され、その結果、形成される副生成物スルトンがいずれも、対応するヒドロキシ-アルカンスルホネートに変換される。したがって、当業界で周知であるように、本明細書で使用されているα-オレフィンスルホネートという用語は、アルケンスルホネートそのものだけでなく、通常のスルホン化中和及び加水分解手順の結果として形成され、かなりの程度の対応する水溶性ヒドロキシアルカンスルホネートを有するアルケンスルホネートの混和物も含む。
【0110】
直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LABS)は、直鎖状アルキルベンゼン(LAB)のスルホン化、及び後続の対応するスルホン酸(HLAS)の中和により生成される。直鎖状アルキルベンゼンは、直鎖状オレフィンを用いたベンゼンのアルキル化により合成される。芳香族化合物をアルキル化するための昔からのプロセスは、Friedel-Craft型触媒、例えばフッ化水素酸、三塩化アルミニウムなどを使用する。
【0111】
アニオン性界面活性剤は、式
R6CONHR7OSO3P
(式中、
R6は、C2~C22アルキルであり、
R7は、C2~C3アルキルであり、
Pは、水素原子、又はアルカリ金属カチオン、又は平均で0.5~60EO及び/又はPO単位を含有するそれらのエトキシ化(EO)及び/若しくはプロポキシル化(PO)誘導体である)のアルキルアミドスルフェートも含み得る。
【0112】
さらなるアニオン性界面活性剤は、C8~C24飽和又は不飽和脂肪酸の塩、アルキルグリセリルスルホネート、パラフィンスルホネート、N-アシルN-アルキルタウレート、アルキルホスフェート、イセチオネート、アルキルスクシナメート、アルキルスルホスクシネート、スルホスクシネートモノエステル又はジエステル、N-アシルサルコシネート、アルキルグリコシドスルフェート、ポリエトキシカルボキシレートであり、カチオンは、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム又はリチウム)、置換又は非置換アンモニウム残基(メチル-、ジメチル-、トリメチル-又はテトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウムなど)又はアルカノールアミン誘導体(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)及びアルキル又はアルキルアリールリン酸エステルである。
【0113】
カチオン性界面活性剤は、少なくとも1つの活性なカチオン性(陽イオン)構成成分を有する表面-活性化合物の周知の群である。カチオン性界面活性剤として、水酸化第四級アンモニウム、例えば水酸化オクチルトリメチルアンモニウム、水酸化ドデシルトリメチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化デシルジメチルベンジルアンモニウム、水酸化ジドデシルジメチルアンモニウム、水酸化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、牛脂水酸化トリメチルアンモニウム及びヤシ油水酸化トリメチルアンモニウム、並びにそれらの塩が範例となり得る。
【0114】
両性界面活性剤の例は、ベタイン、スルホベタイン、並びに脂肪酸及びイミダゾールのカルボキシレート及びスルホネート、例えばアルキルジメチルベタイン、アルキルアミドプロピルジメチルベタイン、アルキルジメチルスルホベタイン又はアルキルアミドプロピルジメチルスルホベタイン、例えばRhodia社により販売されているMirataine CBS、並びに脂肪酸及びタンパク質加水分解物の縮合の生成物;アルキル基が6~20個の炭素原子を含有するアンホ酢酸アルキル又はアンホ二酢酸アルキル;両性アルキルポリアミン誘導体、例えばRhodiaにより販売されているAmphionic XL(登録商標)、並びにBerol Nobelにより販売されているAmpholac 7T/X(登録商標)及びAmpholac 7C/X(登録商標)を含む。
【0115】
詳細に言及され得る非イオン性界面活性剤のうちには、アルキレンオキシド、詳細にはエチレンオキシドの、アルコール、ポリオール、アルキルフェノール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド及び脂肪族アミンとの縮合物;オキシドアミン、糖誘導体、例えばポリアルキルグリコシド又は糖の脂肪酸エステル、詳細にはスクロースモノパルミテート;長鎖第三級ホスフィンオキシド;ジアルキルスルホキシド;ポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレンのブロックコポリマー;ポリアルコキシル化ソルビタンエステル;ソルビタン、ポリ(エチレンオキシド)、及び疎水性を与えるように改変された脂肪酸アミドの脂肪酸エステル(例えば10~18個の炭素原子を含有する脂肪酸モノ及びジエタノールアミド)がある。特に、アルキル置換基がC6~C12であり、5~25オキシアルキレン単位を含有するポリオキシアルキル化(ポリエトキシエチル化、ポリオキシプロピル化又はポリオキシブチル化)アルキルフェノール、グルコサミド、グルカミド及びグリセロールアミド;1~25オキシアルキレン(オキシエチレン、オキシプロピレン)単位を含有するポリオキシアルキル化C8~C22脂肪族アルコール。
【0116】
好適な界面活性剤の追加の例は、一般的に界面活性剤として使用される化合物であり、これは、Schwartz及びPerryによりSurface Active Agents、第I巻で、また、Schwartz、Perry及びBerchによりSurface-Active Agents and Detergents、第II巻で表されている。
【0117】
アミンオキシド
本明細書で主張される発明の洗浄組成物は、アミンオキシドも含み得る。アミンオキシドは、第三級アミンオキシドである。一実施形態では、アミンオキシドは、ヤシ又は獣脂アルキルジ-(低級アルキル)アミンオキシドからなる群から選択され、その特定の例は、ドデシルジメチルアミンオキシド、トリデシルジメチルアミンオキシド、テトラデシルジメチルアミンオキシド、ペンタデシルジメチルアミンオキシド、ヘキサデシルジメチルアミンオキシド、ヘプタデシルジメチルアミンオキシド、オクタデシルジメチルアミンオキシド、ドデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジプロピルアミンオキシド、ヘキサデシルジプロピルアミンオキシド、テトラデシルジブチルアミンオキシド、オクタデシルジブチルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-ドデコキシ-1-ヒドロキシプロピルアミンオキシド、ジメチル-(2-ヒドロキシドデシル)アミンオキシド及び3,6,9-トリオクタデシルジメチルアミンオキシド及び3-ドデコキシ-2-ヒドロキシプロピルジ-(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドである。
【0118】
硬化剤
本明細書で主張される発明の洗浄組成物は、硬化剤も含み得る。一実施形態では、硬化剤は、ポリエーテルアミン、脂環式アミン及びニトリルからなる群から選択される。硬化剤は、公知であり、例えばBaxxodur(登録商標)EC 280、Baxxodur(登録商標)EC 301、Baxxodur(登録商標)EC 311、Baxxodur(登録商標)EC 130、Baxxodur(登録商標)EC 302、Baxxodur(登録商標)EC 303及びBaxxodur(登録商標)EC 310が市販されている。
【0119】
染料
本明細書で主張される発明の洗浄組成物は、場合により1つ以上の染料を含み得る。染料は、非塩素化水性洗浄組成物を着色するために使用される。これにより、生成物は消費者にとってより魅力的になり得る。洗浄組成物に使用され得る染料は、Nylosan(登録商標)yellow N-7GL、Sanolin(登録商標)brilliant flavine 8GZ、Sanolin(登録商標)yellow BG、Vitasyn(登録商標)quinoline yellow 70、Vitasyn(登録商標)tartrazine X90、Puricolor(登録商標)yellow AYE23、Basacid yellow 232、Vibracolor(登録商標)yellow AYE17、Simacid(登録商標)Eosine Y、Puricolor(登録商標)red ARE27、Puricolor(登録商標)red ARE14、Vibracolor(登録商標)red ARE18、Vibracolor(登録商標)red ARE52、Vibracolor(登録商標)red SRE3、Basacid(登録商標)red 316、Ponceau(登録商標)SX、Iragon(登録商標)blue DBL86、Sanolin(登録商標)blue EHRL、Sanolin(登録商標)turquoise blue FBL、Basacid(登録商標)blue 750、Iragon(登録商標)blue ABL80、Vitasyn(登録商標)blue AE90、Basacid(登録商標)blue755、Vitasyn(登録商標)patentblue V 8501及びVibracolor(登録商標)green AGR25を含むが、それらに限定されない。
【0120】
フレグランス
本明細書で主張される発明の洗浄組成物は、場合により、1つ以上のフレグランスを含み得る。好適なフレグランスは、天然供給源に由来するものである、又は合成芳香族物質である。天然芳香族物質は、例えば、花(ユリ、ラベンダー、バラ、ジャスミン、ネロリ、イランイラン)から、茎及び葉(ゼラニウム、パチョリ、プチグレイン)から、果実(アニス、コリアンダー、キャラウェイ、ジュニパー)から、果皮(ベルガモット、レモン、オレンジ)から、根(メース、アンゼリカ、セロリ、カルダモン、コスツス、アイリス、カラマス(calamus))から、木(マツ、ビャクダン、ユソウボク、シダーウッド、ローズウッド)から、ハーブ及び草(タラゴン、レモングラス、セージ、タイム)から、針葉及び小枝(トウヒ、マツ、ヨーロッパアカマツ、モンタナマツ)から、樹脂及びバルサム(ガルバナム、エレミ、ベンゾイン、ミルラ、オリバナム、オポパナクス)からの抽出物である。典型的な合成芳香族物質は、例えば、エステル、エーテル、アルデヒド、ケトン、アルコール又は炭化水素タイプの生成物である。エステルタイプの芳香族物質化合物は、例えば、酢酸ベンジル、イソ酪酸フェノキシエチル、p-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、酢酸リナリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸フェニルエチル、安息香酸リナリル、ギ酸ベンジル、グリシン酸エチルメチルフェニル、プロピオン酸アリルシクロヘキシル、プロピオン酸スチラリル及びサリチル酸ベンジルである。エーテルは、例えば、ベンジルエチルエーテルを含み;アルデヒドは、例えば、8~18個の炭化水素原子を有する直鎖状アルカナール、シトラール、シトロネラール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シクラメンアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、リリアール及びブルジョナルを含み;ケトンは、例えば、イオノン、イソメチルイオノン及びメチルセドリルケトンを含み;アルコールは、例えば、アネトール、シトロネロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ゲラニオール、リナロール、フェニルエチルアルコール及びテルピノールを含み;また、炭化水素は、主にテルペン及びバルサムを含む。主として芳香成分として使用される比較的低揮発性のエーテル油も、フレグランス、例えばセージ油、カモミール油、クローブ油、メリッサ油、シナモンリーフ油、ライムブロッサム油、ジュニパーベリー油、ベチバー油、オリバナム油、ガルバナム油、ラブダナム油及びラバンジン油に好適である。
【0121】
抗微生物剤
本明細書で主張される発明の洗浄組成物は、場合により、1つ以上の抗微生物剤を含み得る。一般的に、これらの材料は、フェノール類、ハロゲン化合物、四級アンモニウム化合物、金属誘導体、アミン、アルカノールアミン、ニトロ誘導体、アニリド、有機硫黄及び硫黄窒素化合物、並びにその他の化合物を含む特定の分類に該当する。所定の抗微生物剤は、化学組成及び濃度に応じて、数種の微生物のさらなる増殖の限定しかしないことがある、又はすべて若しくはかなりの程度の微生物集団を破壊することがある。「微生物」及び「微小生物」という用語は、典型的には主に細菌及び菌微小生物を指す。使用され得る通例の抗微生物剤は、フェノール系抗微生物薬、例えばペンタクロロフェノール、オルトフェニルフェノールを含み;使用され得るハロゲンを含有する抗菌剤は、トリクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム(無水又は二水和物)、ヨウ素-ポリ(ビニルピロリジノネン)複合体、臭素化合物、例えば2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオールを含み;第四級抗微生物剤、例えば塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム;アミン及びニトロを含有する抗微生物組成物、例えばヘキサヒドロ-1,3,5-トリス(2-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン、ジチオカルバメート、例えばジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、並びにそれらの微生物の性質に対して当業界で公知の多彩な他の材料。抗微生物剤が、組成物に組み込まれる場合、抗微生物剤の組成物は、使用濃度にて、洗浄液中におよそ0~10000ppmの範囲で存在し得る。
【0122】
増粘剤
本明細書で主張される発明の洗浄組成物は、望ましい粘度の洗濯洗剤組成物を得るための粘度調整剤又は増稠剤も含み得る。好適な粘度調整剤は、ポリサッカリド、例えばキサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、有機クレイ(有機改質又は未改質)、ポリカルボキシレート及びシリケートである。追加の増稠剤のいくつかの例は、可溶性有機又は無機増稠剤の材料を含む。無機増稠剤のいくつかの例は、クレイ、シリケート及び他の周知の無機増稠剤を含む。有機増稠剤のいくつかの例は、チキソトロピック及び非チキソトロピック増稠剤を含む。いくつかの実施形態では、増稠剤は、除去しやすさを促進するために、かなりの程度の水溶解度を有する。可溶性有機増稠剤の例は、それらに限定されないが、カルボキシル化ビニルポリマー、例えばポリアクリル酸及びそのナトリウム塩、エトキシ化セルロース、ポリアクリルアミド増稠剤、キサンタン増稠剤、グアーガム、アルギン酸ナトリウム及びアルギン副生成物、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、並びにかなりの程度の水溶解度を有する他の同様の水性増稠剤である。
【0123】
再付着防止剤
再付着防止剤は、本明細書で主張される発明において、除去された汚れの、洗浄されている表面への再付着抑制を補助するのに有用である。再付着防止剤は、汚れ粒子又は物品の表面に不可逆的に又は可逆的に吸着されるようになり、それにより汚れが非塩素化水性洗浄組成物にさらに良好に分散するようになる、又は汚れが再付着し得る物品の場所が、再付着防止剤で占められることで、その効果を発揮することができる。洗浄組成物に使用されることが公知の再付着防止剤の例は、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル-PEGコポリマー及びポリビニルピロリドンベースポリマーを含むが、それらに限定されない。
【0124】
脂肪族アルコール
本明細書で主張される発明の洗浄組成物は、少なくとも1つの脂肪族アルコールも含み得る。少なくとも1つの脂肪族アルコールは、植物油に由来する。好ましい脂肪族アルコールは、10~24の範囲の炭素鎖長を有する。獣脂は、かなり狭い範囲のアルコール、主にC16~C18を生成する。高級アルコール(C20~C22)は、菜種油又はカラシ油から得られる。中間分子量の(midcut)アルコールは、ヤシ油(C12~C14)又はパーム核油(C16~C18)から得られる。好ましい脂肪族アルコールは、C12~C16脂肪族アルコールである。
【0125】
別の態様では、本明細書で主張される発明は、
a.アルコキシル化生成物を得るための、アルコキシル化剤を用いた式(II)
【0126】
【化8】
の化合物のアルコキシル化、及び
b.硫酸化アルコキシル化生成物を得るための硫化剤を用いた、ステップ(a)で得られたアルコキシル化生成物の硫酸化、
のステップを含む、一般式(I)の化合物を調製するための方法について記載する。
【0127】
本明細書で主張される発明の一実施形態では、アルカリ金属水酸化物を用いた処理のステップc)をさらに含む、一般式(I)の化合物を調製するための方法。
【0128】
本明細書で主張される発明の好ましい実施形態では、アルコキシル化剤は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0129】
本明細書で主張される発明の好ましい実施形態では、硫化剤は、クロロスルホン酸及び三酸化硫黄からなる群から選択される。
【0130】
本明細書で主張される発明の一実施形態では、ステップ(b)における一般式(I)の調製では、硫化剤の代わりにリン酸化剤が用いられる場合、生じた一般式(I)の化合物は、リン酸基を含む。
【0131】
本明細書で主張される発明の好ましい実施形態では、リン酸化剤は、リン酸、五酸化リン(P2O5)、テトラリン酸及びそれらの塩からなる群から選択される。
【0132】
式(II)の化合物が、アルコキシル化剤を用いてステップ(a)で処理される場合、生じた一般式(I)の化合物が得られ、AOは、同一であり、又は異なり、かつCH2-CH2-O、CH(CH3)-CH2-O、CH2-CH(CH3)-O、CH(C2H5)-CH2-O、C(CH3)2-CH2-O、CH2C(CH3)2-O及びCH2-CH(C2H5)-Oからなる群から選択され、nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、XはHである。これらの化合物は、非イオン性界面活性剤として分類される。
【0133】
式(II)の化合物は、ステップ(a)及びステップ(b)の両方を施した場合、生じた一般式(I)の化合物が得られ、AOは、同一であり、又は異なり、かつCH2-CH2-O、CH(CH3)-CH2-O、CH2-CH(CH3)-O、CH(C2H5)-CH2-O、C(CH3)2-CH2-O、CH2C(CH3)2-O及びCH2-CH(C2H5)-Oからなる群から選択され、nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、Xは、SO3M、PO3HM又はPO3M2であり、MはHである。ステップ(c)が行われる場合、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアミンカチオンである。これらの化合物は、アニオン性界面活性剤として分類される。
【0134】
本明細書で主張される発明の好ましい実施形態では、ステップ(a)におけるアルコキシル化は、≧50℃~≦160℃の範囲の温度にて、≧1時間~≦10時間の範囲の時間実行される。
【0135】
本明細書で主張される発明の好ましい実施形態では、ステップ(b)における硫酸化は、≧40℃~≦80℃の範囲の温度にて、≧15分~≦3時間の範囲の時間実行される。
【0136】
本明細書で主張される発明の好ましい実施形態では、式(II)の化合物とアルコキシル化剤とのモル比は、1:5~1:50の範囲、より好ましくは1:5~1:40の範囲、最も好ましくは1:5~1:35の範囲である。
【0137】
本明細書で主張される発明の好ましい実施形態では、ステップ(a)で得られたアルコキシル化生成物と硫化剤とのモル比は、0.5:1~1.5:2の範囲、より好ましくは0.8:1.3~1:1.5の範囲である。
【0138】
本明細書で主張される発明により、以下の利点の1つ以上が得られる:
1.一般式(I)のトコフェロールベースの化合物は、APEO(アルキルフェノールエトキシレート)界面活性剤と比較して、環境に配慮した界面活性剤である。
【0139】
2.本明細書で主張される発明の一般式(I)の化合物は、乳化重合プロセスにおける安定剤として使用される。
【0140】
3.トコフェロールが使用されるので、室温にて液体状態であることは、一般式(I)の化合物の生成における取扱い上の利点である。
【0141】
以下では、本明細書で主張される発明の特定の実施形態が記載される。
1.一般式(I)
【0142】
【化9】
(式中、
AOは、同一であり、又は異なり、かつCH
2-CH
2-O、CH(CH
3)-CH
2-O、CH
2-CH(CH
3)-O、CH(C
2H
5)-CH
2-O、C(CH
3)
2-CH
2-O、CH
2C(CH
3)
2-O及びCH
2-CH(C
2H
5)-Oからなる群から選択され、
nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、
Xは、H、SO
3M、PO
3MH及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の少なくとも1つの化合物の、乳化剤としての使用。
【0143】
2.乳化剤が、重合反応に使用される、請求項1に記載の使用。
【0144】
3.重合反応が、乳化重合である、実施形態2による使用。
【0145】
4.乳化重合の方法であって、(A)反応器中に:
(I)エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマー、
(II)一般式(I)
【0146】
【化10】
(式中、
AOは、同一であり、又は異なり、かつCH
2-CH
2-O、CH(CH
3)-CH
2-O、CH
2-CH(CH
3)-O、CH(C
2H
5)-CH
2-O、C(CH
3)
2-CH
2-O、CH
2C(CH
3)
2-O及びCH
2-CH(C
2H
5)-Oからなる群から選択され、
nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、
Xは、H、SO
3M、PO
3MH及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の少なくとも1つの化合物、及び
(III)少なくとも1つの重合開始剤、
を含む反応混合物を充填するステップ、
(B)反応器におけるステップ(A)の反応混合物を、≧20℃~≦105℃の範囲の温度にて、≧30分~≦12時間の範囲の時間維持するステップを含む、方法。
【0147】
5.AOが、CH2-CH2-O、CH(CH3)-CH2-O及びCH2-CH(CH3)-Oからなる群から選択される、実施形態1から4の1つ以上による使用又は方法。
【0148】
6.ステップ(B)の反応混合物を停止するステップ(C)をさらに含む、実施形態4による方法。
【0149】
7.ステップ(C)が、亜硫酸水素ナトリウム及びメタ重亜硫酸ナトリウムからなる群から選択される停止化合物で実行される、実施形態6による方法。
【0150】
8.エチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマーが、アクリルモノマー、ビニル芳香族炭化水素、並びに飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択される、実施形態4による方法。
【0151】
9.少なくとも1つの重合開始剤が、無機フリーラジカル開始剤である、実施形態4による方法。
【0152】
10.無機フリーラジカル開始剤が、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、カリウムペルオキシジカーボネート及びカリウムペルオキシジホスフェートからなる群から選択される、実施形態9による方法。
【0153】
11.(i)アクリルモノマー、ビニル芳香族炭化水素、及び飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択されるエチレン性不飽和二重結合を有する少なくとも1つのモノマー、
(ii)実施形態1から10の1つ以上による一般式(I)の少なくとも1つの化合物、並びに
(iii)水、
を含む混合物。
【0154】
12.(i)実施形態1から10の1つ以上による一般式(I)の少なくとも1つの化合物、
(ii)アクリルモノマー、ビニル芳香族炭化水素、及び飽和脂肪族C2~C24モノカルボン酸のビニル、アリル及びメタリルエステルからなる群から選択される少なくとも1つのモノマーを重合形態で含む、ポリマーP、並びに
(iii)水、
を含む混合物。
【0155】
13.少なくとも1つのモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、アクリル酸n-ブチル、スチレン、ビニルトルエン、tert-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、ヘキサン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニルからなる群から選択される、実施形態11又は12による混合物。
【0156】
14.一般式(Ia)
【0157】
【化11】
(式中、
AOは、CH
2-CH
2-Oであり、
nは、≧0~≦100の範囲の整数であり、
Xは、SO
3M、PO
3HM及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の化合物。
【0158】
15.nが、≧1~≦100の範囲の整数である、請求項14による一般式(Ia)の化合物。
【0159】
16.一般式(Ib)
【0160】
【化12】
(式中、
AOは、同一であり、又は異なり、かつCH(CH
3)-CH
2-O、CH
2-CH(CH
3)-O、CH(C
2H
5)-CH
2-O、C(CH
3)
2-CH
2-O、CH
2C(CH
3)
2-O及びCH
2-CH(C
2H
5)-Oからなる群から選択され、
nは、≧1~≦100の範囲の整数であり、
Xは、H、SO
3M、PO
3HM及びPO
3M
2から選択され、
Mは、H、アルカリ金属、アンモニウム及びアルカノールアミンカチオンから選択される)の化合物。
【0161】
17.(a1)実施形態14又は15による一般式(Ia)の少なくとも1つの化合物、及び
(a2)実施形態16による一般式(Ib)の少なくとも1つの化合物、
を含む混合物。
【0162】
18.(I)実施形態1で定義されている、又は実施形態15から17による一般式(I)、(Ia)又は(Ib)の少なくとも1つの化合物、及び
(II)少なくとも1つの添加剤、
を含む洗浄組成物。
【0163】
19.固体又は液体形態である、実施形態18による洗浄組成物。
【0164】
20.少なくとも1つの添加剤が、溶媒、界面活性剤、アミンオキシド、硬化剤、染料、フレグランス、抗微生物剤、増粘剤、再付着防止剤及び脂肪族アルコールからなる群から選択される、実施形態18及び19による洗浄組成物。
【0165】
21.a.アルコキシル化生成物を得るための、アルコキシル化剤を用いた式(II)
【0166】
【化13】
の化合物のアルコキシル化、及び
b.硫化剤を用いた、ステップa.で得られたアルコキシル化生成物の硫酸化
のステップを含む、実施形態1から17のいずれか1つ以上で定義されている化合物を調製するための方法。
【0167】
22.アルカリ金属水酸化物を用いた処理のステップc.をさらに含む、実施形態21による方法。
【0168】
23.リン酸化剤を用いた、ステップa.で得られたアルコキシル化生成物のリン酸化をさらに含む、実施形態21による方法。
【0169】
24.アルコキシル化剤が、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びそれらの混合物からなる群から選択される、実施形態21による方法。
【0170】
25.硫化剤が、クロロスルホン酸及び三酸化硫黄からなる群から選択される、実施形態21による方法。
【0171】
26.リン酸化剤が、リン酸、五酸化リン(P2O5)、テトラリン酸及びそれらの塩からなる群から選択される、実施形態23による方法。
【0172】
27.ステップa.が、≧50℃~≦160℃の範囲の温度にて、≧1時間~≦10時間の範囲の時間実行される、実施形態21による方法。
【0173】
28.ステップb.が、≧40℃~≦80℃の範囲の温度にて、≧15分~≦3時間の範囲の時間実行される、実施形態21による方法。
【0174】
29.式(II)の化合物とアルコキシル化剤とのモル比が、1:5~1:50の範囲である、実施形態21による方法。
【0175】
30.ステップa.で得られたアルコキシル化生成物と硫化剤とのモル比が、0.5:1~1.5:2の範囲である、実施形態21による方法。
【0176】
[実施例]
化合物
D,L-α-トコフェロール
エチレンオキシド
プロピレンオキシド
ピロリン酸二水素二ナトリウム
酢酸
スチレン
アクリル酸ブチル
メタクリル酸
メタ重亜硫酸ナトリウム
過硫酸ナトリウム
過硫酸カリウム
アンモニア(水溶液)
エトキシ化オクチルフェノール(25EO)(比較の界面活性剤)
エトキシ化オクチルフェノール(25EO)、スルフェート、Na-塩(比較の界面活性剤)
【0177】
界面活性剤の分析法
ヒドロキシル価は方法DIN 53 240に従って判定した。
ヨウ素の色は方法EN 1557、23℃に従って判定した。
aphaの色は方法EN 1557、23℃に従って判定した。
pH値は方法EN 1262に従って判定した。
含水率は方法EN 13267に従って判定した。
乾燥物質は方法DIN 53 240に従って判定した。
アニオン性界面活性剤の活性物質はEpton滴定に従って判定した。
【0178】
ポリマー分散体の分析法:
固体含有量:Mettler Toledo湿度分析器HR 83を使用して約5gのポリマー分散体を150℃にて20分乾燥させることにより判定される。
【0179】
粘度:Brookfield粘度計DV-II+(RVスピンドルセット)を20rpmで使用することにより室温にて判定される。
【0180】
転化率:測定した固体含有量を理論上の固体含有量で除算することにより計算される。
【0181】
凝固物:125マイクロメートルフィルターを使用して、ポリマー分散体を濾過することにより得られた凝固物並びにスターラー及び反応器の壁から収集される凝固物の総計としての乾燥凝固物として報告される。湿潤凝固物は、Mettler Toledo湿度分析器HR 83で130℃にて重量が一定になるまで乾燥させる。
【0182】
粒子サイズ:Beckman Coulter LS 13320レーザー回折粒径分析器で測定されたd50として報告される。
【0183】
目視評価:ポリマー分散体を100マイクロメートルナイフコーターでガラスプレートにキャストする。24時間室温にて乾燥させた後ポリマーフィルムは目視でまた1~6のスケールで段階的に評価され、1が最高、6が最低である。
【0184】
吸水:ポリマーフィルム(約. 75mm×35mm×2mm)は、ポリマー分散体をテフロン形態で48時間50℃にて乾燥させることによりキャストされる。乾燥させたフィルムを秤量し、次いで脱イオン水中に室温にて24時間沈める。次いで、過剰な水を除去した後フィルムを再度秤量する。水の吸収による重量増加はパーセンテージで報告されている。
【0185】
電解質安定性:6種の電解質溶液を調製しこの順でテストする:1% NaCl、10% NaCl、1% CaCl2、10% CaCl2、1% Al2(SO4)3、10% Al2(SO4)3。電解質安定性をチェックするために10mlのポリマー分散体を、10mlの電解質溶液と混合される。これは、混合物の振とう後にポリマー分散体が凝塊する場合に、目視で観察される。ポリマー分散体が依然として安定な場合(凝塊しない)の電解質濃度が報告されている。
【0186】
せん断安定性:50gポリマーエマルションをガラスシリンダーに注入し、高速スターラー(LatexMST社、合成ゴム用モデルMK2)を使用して14,000rpmでせん断応力下に置く。せん断応力を30分適用する。エマルションが30分前に凝塊する場合、凝固が発生する時間を記録する。エマルションが30分安定な場合、これを濾過しフィルター残渣を判定する。
【0187】
凍結/解凍安定性:30gポリマーエマルションを透明なプラスチックボトルに注入する。試料をある温度にて冷凍し室温に再度解凍する。これを1サイクルという。各温度にて試料は5サイクル耐えなければならない。使用される温度は、-5℃、-10℃、-15℃、-20℃である。試料が5サイクル耐える最低温度を記録する。
【0188】
アルコキシル化:
設備:少なくとも5.8bar及び真空で承認されているプロペラアジテーターを有する2.5Lステンレス鋼反応器。エチレンオキシド(EO)/プロピレンオキシド(PO)の制御しながらの添加は、Bronkhost-Liqui-Flowを通して行われる。
【0189】
[実施例1]
エトキシ化トコフェロール(トコフェロール+10EO、脱塩)
D,L-α-トコフェロール(458.0g)及び水酸化カリウム溶液44%(3.2g)を反応器に充填した。反応器を120℃に加熱し<20mbarに少なくとも60分排気してからこれに窒素を2barまで通気させ、0.5barに減圧し続いて反応器の温度を140℃に上昇させた。エチレンオキシドの投入(468.7g)は134℃の温度を超えてスタートさせた。エチレンオキシドの投入が終了した後連続反応を60分(反応温度にて)行った。次いで反応器を95℃に冷却し、減圧し、窒素で100mbarにて30分ストリッピングしてエトキシ化トコフェロールを含有する生成物混合物を得た。
【0190】
脱塩するために水(10.0g)を生成物混合物に加え、撹拌を10分行った。さらにピロリン酸二水素二ナトリウム(7.3g)を生成物混合物に加え、80℃にて30分撹拌した。試料を取りpHを判定し(EN 1262、溶液B)、pHが<7.0と見出された場合反応器を100℃まで加熱し<100mbarに排気した。温度が98℃に達した場合反応器を<30mbarに排気し、軟窒素ストリッピングしながらこの温度にて2時間保持した。反応器を窒素で減圧し<60℃に冷却した。
【0191】
生成物混合物の含水率(EN 13267)は<0.2%であり、材料はフィルターDSP-60-ML-17を使用し加圧フィルター漏斗を経由して60℃、及び圧力0~1にて濾過した。
分析値:
【0192】
【0193】
[実施例2]
プロポキシル化トコフェロール(トコフェロール+10PO、脱塩)
実施例2の化合物は、以下のように成分の量に応じて実施例1の方法に従って調製した:
【0194】
【0195】
分析値:
【0196】
【0197】
[実施例3]
エトキシ化トコフェロール(トコフェロール+25EO、脱塩)を調製するための方法
実施例3の化合物は以下のように成分の量に応じて実施例1の方法に従って調製した:
【0198】
【0199】
分析値:
【0200】
【0201】
[実施例4]
エトキシ化トコフェロール(トコフェロール+25EO、酢酸で中和した)を調製するための方法
設備:少なくとも20bara及び真空で承認されたクロスブレードアジテーターを備えた5Lステンレス鋼反応器。マスフローメーターを通したすべての出発成分の制御しながらの添加、水酸化カリウム溶液及び酢酸の制御しながらの添加。水及び窒素の接続。
【0202】
D,L-α-トコフェロール(1150.0g)及び水酸化カリウム溶液44%(13.9g)を反応器に充填した。反応器を120℃に加熱し、<20mbarに少なくとも30分排気してからこれに窒素を3barまで通気させた。反応器の温度を140℃に上昇させた。エチレンオキシド(2938.4g)を124℃を超える温度にて投入した。5.4barの圧力にてエチレンオキシド投入を止め、連続反応を20分(反応温度にて)行った。次いで圧力が2barに達するまで圧力を解放し、EO投入を続けた。エチレンオキシドの投入が終了した後連続反応を30分(反応温度にて)行った。反応器を100℃に冷却し、減圧し、窒素で1.5barにて30分ストリッピングしてエトキシ化トコフェロールを含有する生成物混合物を得た。さらに、エトキシ化トコフェロールを含有する生成物混合物は酢酸(6.7g)を加えることにより中和した。
【0203】
生成物の含水率(EN 13267)は<0.2%であった。
分析値:
【0204】
【0205】
界面活性性質
本明細書で主張される発明の実施例3及び4で調製した界面活性剤の試料を界面活性性質について分析し、得られたデータをオクチルフェノールエトキシレート(25EO)と比較し、同データは本明細書において以下で表1として作表される。
【0206】
【0207】
表1から本出願のエトキシ化トコフェロールの界面活性性質はオクチルフェノールエトキシレート(25EO)と同等であることは明白である。
【0208】
[実施例5]
(クロロスルホン酸を経由したトコフェロール+25EOスルフェート)
硫酸化:実施例3に従って調製した493.7gトコフェロール+25EO(OH価38.2mg KOH/g)を乾燥2L四口丸底フラスコに充填し窒素でフラッシュし、出発材料が液体である場合は50℃に加熱する。反応中フラスコを窒素で継続的にフラッシュする。クロロスルホン酸99%(44.20g)をゆっくり2.5時間かけて加えながら窒素でフラッシュする。添加中に温度は60℃を超えてはならない。添加を完了した後反応混合物を撹拌下で56℃にて2時間保持し、窒素で反応後フラッシュする。その後混合物を<15℃に冷却する。
【0209】
中和:4L四口フラスコを調製し、858.0gの水及び24.6gのNaOH(50%)を充填する。上のものの465.0gの硫酸化生成物を添加漏斗に充填し、NaOH/水混合物にゆっくり加える。冷却することにより温度を35℃に制御する。約半分の量を加えた後追加の水をフラスコに充填し、温度を65℃に上昇させて反応混合物の流体を保持する。終わりに1.8gリン酸(85%)を緩衝液として加える。暗褐色生成物が得られ、これは室温にてゲル状であり65℃超で液体である。
【0210】
分析値:
【0211】
【0212】
[実施例6]
硫酸化エトキシ化トコフェロール(SO3を経由したトコフェロール+25EO)
以下の例は製造プロセス及びプロセス条件を限定しないものとする。トコフェロール+25EOエトキシレートの硫酸化は最新鋭の連続流下膜式スルホン化反応器においてSO3/α-トコフェロール+25EO=1.1~1.0のモル比で、5vol%のSO3を含有する乾燥空気/SO3を用いて60℃の温度にて行った。生成物を苛性ソーダ(50%)及び水の混合物で脱気した後に中和し、50~70℃の温度にておよそ20%のアニオン活性溶液の濃縮物を得るように計算して、10~12の範囲のpH値を保持し生成物の加水分解を避けた。
【0213】
655.2g(0.427mol)のα-トコフェロール+25EOを0.45mol SO3で硫酸化し、流下膜式反応器において60℃にて1時間以内に乾燥空気(550l/h)で希釈した。これを2750mlの水中の46gの50% NaOHの撹拌した溶液に50~70℃にて加えることにより脱気した後酸性エステルを中和した。最終生成物をアニオン性活物質の含有量についてEpton滴定により分析しこれを19.5%と見出した(分子量=1634)。
【0214】
本明細書で主張される発明の実施例6で調製した硫酸化エトキシ化トコフェロールの試料を界面活性性質について分析し、得られたデータをオクチルフェノールエトキシレートスルフェート(25EO)と比較し、同データを本明細書において以下で表2として作表する。
【0215】
【0216】
表2から本出願の硫酸化エトキシ化トコフェロールの界面活性性質がオクチルフェノールエトキシレートスルフェート(25EO)とまったく同等であることは明白である。
【0217】
[実施例7]
実施例6の化合物でのスチレン/アクリル樹脂の乳化重合
設備:
温度制御のため水浴に沈めたアンカースターラー(撹拌速度100rpm)、及び供給を正確に制御するための重量モジュールに取り付けられた供給容器(モノマープレミックスでは撹拌し、開始剤供給では撹拌しない)を備えた1.7リットル反応容器。
【0218】
コモノマー-プレミックスの調製:
スチレン、アクリル酸n-ブチル、メタクリル酸、純水及び実施例6の硫酸化エトキシ化トコフェロールを混合してコモノマープレミックスを得、これを撹拌供給容器に注入した。
【0219】
開始剤溶液の調製:
メタ重亜硫酸ナトリウムを純水に溶解して開始剤溶液を得、これを非撹拌供給容器に注入した。
【0220】
反応手順:
反応容器に純水中の過硫酸カリウムの溶液を予備充填した。次いで225gのコモノマープレミックスを加え温度を60℃に上昇させた。60℃にて8gの開始剤溶液を反応容器に加えた。5分後、コモノマープレミックス及び開始剤溶液の供給を同時にスタートした。コモノマープレミックスを150分の期間にわたり、開始剤溶液を160分の期間にわたり供給した。開始剤溶液が完全に供給された後温度を65℃に上昇させ混合物をさらに1時間撹拌した。得られた分散体を室温に冷却した。pH値をアンモニア水溶液(25重量%)で7~8に調整した。
【0221】
後処理及び分析:
上の分散体を125μmフィルター上で濾過した。フィルター残渣を水ですすぎ乾燥させ秤量し、凝固分を得た。
【0222】
実施例7で言及された反応物の量は表3で示されている。
【0223】
【0224】
実施例7A及び7Bで調製したスチレン/アクリル分散体を分析した。分析データは表4で明記されている。
【0225】
【0226】
表4から安定なスチレン/アクリルポリマーは、本明細書で主張される発明のアニオン性界面活性剤を乳化剤として使用することにより調製され得ることが分かる。せん断安定性は比較例のものと比較して改善されている。
【0227】
[実施例8]
本発明の実施例4及び6の化合物を用いたスチレン/アクリル樹脂の乳化重合
設備:
温度制御のために水浴に沈めたアンカースターラー(撹拌速度100rpm)、及び供給を正確に制御するための重量モジュールに取り付けられた供給容器(モノマープレミックスでは撹拌し、開始剤供給では撹拌しない)を備えた1.7リットル反応容器。
【0228】
反応手順:
反応容器に純水中の過硫酸ナトリウムの溶液を予備充填し60℃に加熱した。次いで19gのコモノマープレミックスを加え温度を85℃に上昇させた。5分後、85℃にてコモノマープレミックス及び開始剤溶液の供給を同時にスタートさせた。コモノマープレミックスを120分の期間にわたり、開始剤溶液を150分の期間にわたり供給した。開始剤溶液が完全に供給された後混合物をさらに1時間撹拌した。得られた分散体を室温に冷却した。pH値をアンモニア水溶液(25重量%)で9に調整した。
【0229】
後処理及び分析:
上の分散体を125μmフィルター上で濾過した。フィルター残渣を水ですすぎ乾燥させ秤量し、凝固物分を得た。
【0230】
実施例8で言及されている反応物の量は表5で示されている。
【0231】
【0232】
実施例8A及び8Bで調製したスチレン/アクリル分散体を分析した。分析データは表6で見ることができる。
【0233】
【0234】
表6から、安定なスチレン/アクリルポリマーは本明細書で主張される発明のアニオン性/非イオン性界面活性剤の組合せ(実施例4及び6の化合物)を、乳化剤系として使用することにより調製できることが分かる。
【国際調査報告】