(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】生分解性UV吸収剤
(51)【国際特許分類】
C07C 49/707 20060101AFI20230705BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20230705BHJP
A61K 8/35 20060101ALI20230705BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20230705BHJP
A61P 17/16 20060101ALI20230705BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20230705BHJP
C07C 215/12 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
C07C49/707 CSP
A61Q17/04
A61K8/35
A61K31/122
A61P17/16
C09K3/00 104
C07C215/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577250
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2021066048
(87)【国際公開番号】W WO2021254998
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グルメラルト,ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】エーリス,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ギージンガー,ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ブロック-ナネスタッド,テイス
(72)【発明者】
【氏名】ペダーセン,ステファン ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ピッテルコウ,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】カモウナ,ファディール エス.
【テーマコード(参考)】
4C083
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C083AB052
4C083AC012
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC211
4C083AC212
4C083AC342
4C083AC372
4C083AC422
4C083AC782
4C083AC852
4C083AD202
4C083AD352
4C083CC19
4C083EE17
4C083FF01
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206CB21
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA83
4C206NA14
4C206ZA89
4H006AA01
4H006AA03
4H006AB12
4H006AB20
4H006AB92
4H006BR70
4H006BU32
(57)【要約】
本発明は、本明細書で定義される通りの式(I)の化合物に関する。該化合物は、紫外線(UV)放射からの防御に適している。さらに、本発明は、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む組成物に関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
(式中、
R
1は、H又はC
1~C
4-アルキルであり;
R
2は、H、C
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;
R
3及びR
4は、独立してC
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって5又は6員の飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族の複素環を形成し、前記複素環は、O、N、又はSから選択される1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を含み、前記N及び/又はS原子は、独立して酸化されており又は非酸化であり、複素環内の置換可能な各炭素又はヘテロ原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Mで置換されており;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Nで置換されており;
R
5は、H又はC
1~C
4-アルキルであり;
R
6は、H、C
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;
R
7及びR
8は、独立してC
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって5又は6員の飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族の複素環を形成し、前記複素環は、O、N、又はSから選択される1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を含み、前記N及び/又はS原子は、独立して酸化されているか又は非酸化であり、複素環内の置換可能な各炭素又はヘテロ原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Mで置換されており;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Nで置換されており;
R
Mはハロゲン、CN、NO
2、NH
2、OH、C
1~C
2-アルキル、C
1~C
2-アルコキシ、C(=O)R
Xであるか、又は2個のR
Mは=Oを形成し;
R
Nは、C
1~C
8-アルキル、C
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Yで置換されており;
R
Xは、H、C
1~C
2-アルキル、フェニル、又はベンジルであり;
R
Yは、ハロゲン、CN、NO
2、NH
2、OH、C(=O)R
Xであるか、又は2個のR
Yは=Oを形成し;
nは、1~10の整数である)
の化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性体。
【請求項2】
R
3及びR
4が、独立してC
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって5員の飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族の複素環を形成し、前記複素環は、O、N、又はSから選択される1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を含み、前記N及び/又はS原子は、独立して酸化されているか又は非酸化であり、複素環内の置換可能な各炭素又はヘテロ原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Mで置換されており;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Nで置換されており;
R
7、及びR
8が、独立してC
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって5員の飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族の複素環を形成し、前記複素環は、O、N、又はSから選択される1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を含み、前記N及び/又はS原子は、独立して酸化されているか又は非酸化であり、複素環内の置換可能な各炭素又はヘテロ原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Mで置換されており;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Nで置換されている、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
1及びR
5がHである、
請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
R
2~R
4が、独立してC
1~C
6-ヒドロキシアルキルであり;
R
6~R
8が、独立してC
1~C
6-ヒドロキシアルキルである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
1及びR
5が同じであり、好ましくはHであり;
R
2~R
4が同じであり;
R
6~R
8が同じである、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
2~R
4及びR
6~R
8がヒドロキシエチルである、
請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
R
1、R
2、R
5、及びR
6が同じであり;
R
3及びR
4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子が独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Nで置換されており;
R
7及びR
8が、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子が独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Nで置換されており;
R
NがC
1~C
6-アルキルであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Yで置換されており;
R
YがNH
2、OHであるか、又は2個のR
Yが=Oを形成する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
R
1、R
2、R
5、及びR
6がHであり;
R
3及びR
4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、これらの2個のN原子の1個はR
Nで置換されており;
R
7及びR
8が、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、これらの2個のN原子の1個はR
Nで置換されており;
R
NがC
2~C
5-アルキルであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Yで置換されており;
R
YがNH
2、OHであるか、又は2個のR
Yが=Oを形成する、
請求項1から3又は7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
R
1、R
2、R
5、及びR
6がHであり;
R
3及びR
4が、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のNH
2でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し;
R
7及びR
8が、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のNH
2でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
式(I)による化合物が、4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二トリエタノールアンモニウム塩、4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二グアニジニウム塩、及び4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二アルギニニウム塩からなる群から選択される、
請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物と、任意選択で皮膚科学的に許容可能な乳化剤、増粘剤、又は軟化剤とを含む、化粧品又は医薬品組成物。
【請求項12】
式(I)の化合物とは異なる少なくとも1種の追加のUVフィルターをさらに含み、好ましくは、少なくとも1種の追加のUVフィルターは、天然及び/又は生分解性UVフィルターである、請求項11に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項13】
フォトスタビライザー、好ましくはクエンチャーをさらに含み、好ましくはフォトスタビライザーは、化粧品又は医薬品組成物の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%の量で化粧品又は医薬品組成物中に含まれる、請求項11及び12に記載の化粧品又は医薬品組成物。
【請求項14】
皮膚をUV放射から防御するために使用するための、請求項1から10のいずれか一項に記載の少なくとも1種の化合物又は請求項11、12、若しくは13に記載の化粧品若しくは医薬品組成物。
【請求項15】
請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物の、ボディケア製品又は家庭用清浄剤及び処理剤における、成分を光分解から防御するための光安定剤としての使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線(UV)放射からの防御の分野に関する。特に、本発明は、式(I)
【0002】
【化1】
(式中、R
1~R
8は、本明細書で定義される通りである)
の化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性体に関する。さらに、本発明は、少なくとも1種の式(I)の化合物を含む化粧品又は医薬品組成物に関する。本発明はまた、皮膚をUV放射から防御するために(例えば、サンスクリーン剤に)使用するための式(I)の化合物及び少なくとも1種の式(I)の化合物を含む組成物に関する。さらに、本発明は、式(I)の化合物の、ボディケア製品又は家庭用清浄剤及び処理剤における、成分を光分解から防御するための光安定剤としての使用に関する。
【背景技術】
【0003】
UV放射はヒトの皮膚に有害な作用を引き起こす。皮膚の日焼けの急性作用の他、UV放射はまた、皮膚がんのリスクを増加させることが公知である。さらに、UV-A及びUV-B光への長時間曝露は、皮膚での光毒性及び光アレルギー性反応を引き起こすことがあり、皮膚の老化を加速させ得る。
【0004】
ヒトの皮膚をUV放射から防御するために、UV-Aフィルター、UV-Bフィルター、及び広域フィルターを含む種々の紫外線防御UVフィルター(UV吸収剤とも呼ばれる)が存在する。これらのフィルターは例えばサンスクリーン又は化粧品組成物に添加される。UVフィルターは、有機又は無機、粒子状又は非粒子状化合物のいずれであってもよく、そのすべてがUV光範囲において高い吸収効果を有する。一般に、UV光は、UV-A放射(320~400nm)及びUV-B放射(280~320nm)に分けることができる。吸収最大の位置に応じて、UVフィルターは、UV-Aフィルター及びUV-Bフィルターに分けることができる。UVフィルターがUV-A光及びUV-B光の両方を吸収する場合、広域吸収剤と呼ばれる。
【0005】
2006年以来、すべてのサンスクリーン又は化粧品組成物は、表示されるサンプロテクションファクター(SPF)の少なくとも3分の1であるUV-A防御因子を有するべきであることがEU欧州委員会によって推奨されており、ここでのサンプロテクションファクターは、主にUV-B防御を指す。
【0006】
しかしながら、例えばサンスクリーン又は化粧品組成物に使用される従来技術で公知のUVフィルターは、一定の欠点を有する。特に、化粧品として登録される大多数の有機UVフィルターは化学的、生物学的、及び光分解性プロセスを通じた環境分解に対して耐性があるという欠点が言及される。それらの残留性のために、それらは生物蓄積して、ヒトの健康及び環境に対して悪影響を及ぼす可能性がある。環境中への、特に海洋中のそれらの広い放出のために、生分解性UVフィルターに対する需要が高まっている。
【0007】
現在、ただ2種だけの生分解性UVフィルター(メトキシケイ皮酸オクチル又はメトキシケイ皮酸エチルヘキシル-OMC及びサリチル酸エチルヘキシル-EHS)は、両方ともUV-B吸収剤である。したがって、例えば皮膚を皮膚の光老化及びがんの原因である有害なUV-A線を含む全UV範囲において防御することができる生分解性製剤を調製することはできない。
【0008】
クロコン酸は、優れたUV-A吸収剤であり、且つ易生分解性であることが見出された。クロコン酸は、式(CA)によって表すことができる4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン又は4,5-ジヒドロキシシクロペンタ-4-エン-1,2,3-トリオンとしても公知である。
【0009】
【0010】
毎日の適用に望ましい化粧品又は医薬品製品のpHは、3.5~5.5である生理的皮膚pHと適合しなければならない。化粧品又は医薬品組成物のpHは通常、pH4.5~7.5に調整される。クロコン酸の水溶性塩は、生理的皮膚pHと適合し、且つ典型的な化粧品又は医薬品組成物に容易に組み込むことができる。
【0011】
化粧品又は医薬品組成物(例えば、エマルジョン)を皮膚に適用した後、水が蒸発し始める。蒸発は、皮膚表面の化粧品又は医薬品組成物(例えば、エマルジョン)の組成及び構造を変化させる。例示的にUV吸収剤が水相に溶解される場合、溶解状態のままのUV吸収剤の量に水蒸発が著しく影響を及ぼすことがある(Bakiら、Introduction to Cosmetic Formulation and Technology、John Wiley & Sons、2015、244ページ)。
【0012】
サンプロテクションは、クロコン酸塩の結晶化による悪影響を受ける。加えて、クロコン酸塩は、光不安定性であることが公知であり、すなわち、光酸化を受けることが公知である(Fabreら、Can. J. Chem.、1995、73、1298~1304)。
【発明の概要】
【0013】
よって、有効な生分解性UVフィルターへの必要性が引き続き存在する。特に、本発明の目的は、有効な生分解性UV-Aフィルターを提供することである。これに関連して、さらなる目的は、全UV範囲に適した成分を含む生分解性化粧品又は医薬品組成物を提供することであり、特にここで、化粧品又は医薬品組成物は、改善された光安定性を提供する。本発明のさらに別の目的は、化粧品若しくは医薬品組成物、ボディケア製品並びに/又は家庭用清浄剤及び処理剤に使用するのに適したUVフィルター(特にUV-Aフィルター)を提供することである。
【0014】
驚くべきことに、これらの目的の少なくとも1つが、本発明による式(I)の化合物及び/又は組成物によって実現され得ることが見出された。
【0015】
特に、本発明の発明者らは、UV防御に適切なUV範囲内の光を有効に吸収するとともに水溶液からの水の蒸発後に溶解したままである(すなわち結晶化しない)化合物を見出した。これらの化合物は、以下に定義される通りのクロコン酸塩である。
【0016】
したがって、第1の態様では、本発明は、式(I)
【0017】
【化3】
(式中、
R
1は、H又はC
1~C
4-アルキルであり;
R
2は、H、C
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;
R
3及びR
4は、独立してC
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって5又は6員の飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族の複素環を形成し、前記複素環は、O、N、又はSから選択される1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を含み、前記N及び/又はS原子は、独立して酸化されているか又は非酸化であり、複素環内の置換可能な各炭素又はヘテロ原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Mで置換されており;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Nで置換されており;
R
5は、H又はC
1~C
4-アルキルであり;
R
6は、H、C
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;
R
7及びR
8は、独立してC
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって5又は6員の飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族の複素環を形成し、前記複素環は、O、N、又はSから選択される1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を含み、前記N及び/又はS原子は、独立して酸化されているか又は非酸化であり、複素環内の置換可能な各炭素又はヘテロ原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Mで置換されており;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Nで置換されており;
R
Mはハロゲン、CN、NO
2、NH
2、OH、C
1~C
2-アルキル、C
1~C
2-アルコキシ、C(=O)R
Xであるか、又は2個のR
Mは=Oを形成し;
R
Nは、C
1~C
8-アルキル、C
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Yで置換されており;
R
Xは、H、C
1~C
2-アルキル、フェニル、又はベンジルであり;
R
Yはハロゲン、CN、NO
2、NH
2、OH、C(=O)R
Xであるか、又は2個のR
Yは=Oを形成し;
nは、1~10の整数である)
の化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性体に関する。
【0018】
以下に、上の式(I)における置換基の好ましい実施形態をさらに詳細に記載する。好ましい各実施形態は、それ自体だけで適切であるだけではなく、他の好ましい実施形態との組合せにおいても適切であることが理解される。さらに、各場合において好ましいことは、本発明の化合物の立体異性体又は互変異性体にも当てはまることが理解される。
【0019】
第1の態様の好ましい実施形態A0では、R3及びR4は、独立してC1~C6-ヒドロキシアルキル、C2~C4-ヒドロキシアルケニル、C1~C6-アミノアルキル、(CH2O)n-OH、(CH2CH2O)n-OH、又は(CH2CH2CH2O)n-OHであり;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって5員の飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族の複素環を形成し、前記複素環は、O、N、又はSから選択される1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を含み、前記N及び/又はS原子は、独立して酸化されているか又は非酸化であり、複素環内の置換可能な各炭素又はヘテロ原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RMで置換されており;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RNで置換されており;
R7、及びR8は、独立してC1~C6-ヒドロキシアルキル、C2~C4-ヒドロキシアルケニル、C1~C6-アミノアルキル、(CH2O)n-OH、(CH2CH2O)n-OH、又は(CH2CH2CH2O)n-OHであり;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって5員の飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族の複素環を形成し、前記複素環は、O、N、又はSから選択される1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を含み、前記N及び/又はS原子は、独立して酸化されているか又は非酸化であり、複素環内の置換可能な各炭素又はヘテロ原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RMで置換されており;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RNで置換されている。
【0020】
第1の態様の好ましい実施形態A1では、R1及びR5はHである。
【0021】
第1の態様の好ましい実施形態A2では、R2~R4は、独立してC1~C6-ヒドロキシアルキルであり、R6~R8は、独立してC1~C6-ヒドロキシアルキルである。
【0022】
第1の態様の好ましい実施形態A3では、R1及びR5は同じであり、好ましくはHであり;R2~R4は同じであり;R6~R8は同じである。
【0023】
第1の態様の好ましい実施形態A4では、R2~R4及びR6~R8はヒドロキシエチルである。
【0024】
第1の態様の好ましい実施形態A5では、R1、R2、R5、及びR6は同じであり;
R3及びR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RNで置換されており;
R7及びR8は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RNで置換されており;
RNはC1~C6-アルキルであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RYで置換されており;
RYはNH2、OHであるか、又は2個のRYは=Oを形成する。
【0025】
第1の態様の好ましい実施形態A6では、R1、R2、R5、及びR6はHであり;
R3及びR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、これらの2個のN原子の1個はRNで置換されており;
R7及びR8は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、これらの2個のN原子の1個はRNで置換されており;
RNはC2~C5-アルキルであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RYで置換されており;
RYはNH2、OHであるか、又は2個のRYは=Oを形成する。
【0026】
第1の態様の好ましい実施形態A7では、R1、R2、R5、及びR6はHであり;
R3及びR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のNH2でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し;
R7及びR8は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のNH2でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成する。
【0027】
第1の態様の好ましい実施形態A8では、式(I)による化合物は、4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二トリエタノールアンモニウム塩、4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二グアニジニウム塩、及び4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二アルギニニウム塩からなる群から選択される。
【0028】
第1の態様の好ましい実施形態A9では、式(I)の化合物は、
【0029】
【0030】
第2の態様では、本発明は、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物と、任意選択で皮膚科学的に許容可能な乳化剤、増粘剤、又は軟化剤とを含む、化粧品又は医薬品組成物に関する。
【0031】
第2の態様の好ましい実施形態B1では、化粧品又は医薬品組成物は、式(I)の化合物とは異なる少なくとも1種の追加のUVフィルターをさらに含み、好ましくは、少なくとも1種の追加のUVフィルターは、天然及び/又は生分解性UVフィルターである。
【0032】
第2の態様の好ましい実施形態B2では、化粧品又は医薬品組成物は、フォトスタビライザー、好ましくはクエンチャーをさらに含み、好ましくはフォトスタビライザーは、化粧品又は医薬品組成物の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%の量で化粧品又は医薬品組成物中に含まれる。
【0033】
第3の態様では、本発明は、皮膚をUV放射から防御するための、第1の態様で定義される通りの少なくとも1種の式(I)の化合物(本明細書に記載される通りのそのすべての実施形態が含まれる)又は第2の態様で定義される通りの化粧品又は医薬品組成物(本明細書に記載される通りのそのすべての実施形態が含まれる)の使用に関する。
【0034】
第4の態様では、本発明は、第1の態様で定義される通りの式(I)の化合物(本明細書に記載される通りのそのすべての実施形態が含まれる)の、ボディケア製品又は家庭用清浄剤及び処理剤における、成分を光分解から防御するための光安定剤としての使用に関する。
【0035】
第5の態様では、本発明は、皮膚をUV放射から防御するために使用するための、第1の態様で定義される通りの少なくとも1種の化合物又は第2の態様で定義される通りの化粧品若しくは医薬品組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1A】
図1Aは、生分解の異なる挙動(易生分解性、遅生分解性、中生分解性、及び非生分解性)を示す。
【
図1B】
図1Bは、クロコン酸、Myritol 318、及びCetiol ABの生分解挙動を示す。
【
図2】
図2は、製剤におけるクロコン酸塩の吸収を示す。
【
図3】
図3は、製剤におけるTEAクロコン酸塩の光安定性試験を示す。
【
図4】
図4は、TEAクロコン酸塩を含む製剤並びにTEAクロコン酸塩及びクエンチャーを含む製剤の光安定性の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の例示的な実施形態を詳細に記載する前に、本発明を理解するために重要な定義を示す。
【0038】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの(a)」及び「1つの(an)」はまた、文脈により別途明らかに述べられない限り、それぞれの複数を含む。本発明の文脈において、「約」及び「およそ」という用語は、当業者が問題の特徴の技術的効果がなお保証されると理解する精度の間隔を意味する。この用語は、典型的には、示される数値から±20%、好ましくは±15%、より好ましくは±10%、さらにより好ましくは±5%の偏差を示す。「含む」という用語は限定的ではないことが理解される。本発明の目的のために、「からなる」という用語は、「を含む」という用語の好ましい実施形態であると考えられる。以下で、ある群が少なくともある特定数の実施形態を含むと定義される場合、これはまた、好ましくはこれらの実施形態のみからなる群を包含することを意味する。さらに、本明細書及び特許請求の範囲における「第1の」、「第2の」、「第3の」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」等の用語は、類似の要素を区別するために使用され、必ずしも順番又は時系列を記載するために使用されるとは限らない。そのように使用される用語は適切な状況下で交換可能であること、及び本明細書で記載される本発明の実施形態は、本明細書に記載又は例示されるものではない他の順序で操作することが可能であることが理解される。「第1の」、「第2の」、「第3の」、又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「i」、「ii」等の用語が方法又は使用又はアッセイのステップに関する場合、ステップ間に時間又は時間間隔の整合性は存在しない。すなわち、該ステップは、本出願において本明細書の上記又は下記に別段の指示がない限り、同時に実施されてもよいし、又はそのようなステップ間に数秒、数分、数時間、数日、数週、数カ月の、又は数年であっても時間間隔が存在してもよい。本明細書で記載される特定の方法論、プロトコル、試薬等は様々であり得るため、本発明はそれらに限定されないことが理解される。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することを目的とするに過ぎず、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、当業者によって共通に理解される意味と同じ意味を有する。
【0039】
「本発明による化合物」又は「式(I)の化合物」という用語は、本明細書で定義される通りの化合物、及びその立体異性体又は互変異性体も含む。
【0040】
置換パターンに応じて、本発明による化合物は、1つ以上のキラル中心を有することがある。本発明は、本発明による化合物の単一の純粋なエナンチオマー又は純粋なジアステレオマー及びそれらの混合物の両方、並びに本発明による化合物の純粋なエナンチオマー若しくは純粋なジアステレオマー又はそれらの混合物の本発明による使用を提供する。好適な本発明による化合物には、すべての可能な幾何立体異性体(シス/トランス異性体又はE/Z異性体)及びそれらの混合物も含まれる。シス/トランス異性体は、例えば、アミド基について存在し得る。「立体異性体」という用語は、光学異性体、例えば、エナンチオマー又はジアステレオマー(後者は分子にキラル中心が2つ以上あるために存在する)と、幾何異性体(シス/トランス異性体)の両方を包含する。本発明は、式(I)の化合物のあらゆる可能な立体異性体、すなわち、単一のエナンチオマー又はジアステレオマー、及びそれらの混合物に関する。
【0041】
式(I)の化合物は、非晶質であっても、又は1種以上の異なる結晶状態(多形)で存在してもよく、これらは、異なる巨視的特性、例えば安定性を有することも、又は異なる生物学的特性、例えば活性を示すこともある。本発明は、非晶質及び結晶質の式(I)の化合物、異なる結晶状態の式(I)のそれぞれの化合物の混合物に関する。
【0042】
式(I)の化合物中に互変異性体、例えばケト-エノール互変異性体等の形成を可能にする置換基が存在するならば、互変異性体が形成されてもよい。
【0043】
可変要素の上の定義で言及された有機部分は、ハロゲンという用語のように、個々の群員の個々の記載項目の総称である。接頭語Cn~Cmは、各場合において、基における可能な炭素原子の数を示す。
【0044】
「ハロゲン」という用語は、各場合において、フッ素、臭素、塩素、又はヨウ素、特に、フッ素、塩素、又は臭素を示す。
【0045】
「アルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、各場合において、通常1~8個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基を示す。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、2-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、及び1,2-ジメチルプロピルである。メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、及びイソブチルが特に好ましい。
【0046】
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用される場合、各場合において、通常1~6個の炭素原子、好ましくは1~2個の炭素原子、より好ましくは1個の炭素原子を有する、酸素原子を介して結合された直鎖又は分枝アルキル基を示す。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブチルオキシ、2-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、tert-ブチルオキシ等である。
【0047】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、各場合において、通常1~8個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を有し、且つ1~5個、好ましくは1~2個のヒドロキシ基で、特に1個のヒドロキシ基でさらに置換されている直鎖又は分枝アルキル基を示す。好ましくは、1個のヒドロキシ基は、直鎖又は分枝アルキル基の末端をなしており、したがって、ヒドロキシ基は、分子の残部に結合されているアルキルブリッジに結合されている。ヒドロキシアルキル基の例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、n-ヒドロキシプロピル、2-ヒドロキシプロピル、n-ヒドロキシブチル、2-ヒドロキシブチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、n-ヒドロキシペンチル、及びn-ヒドロキシヘキシルである。ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル、及びヒドロキシブチル、特にヒドロキシエチルが好ましい。
【0048】
「ヒドロキシアルケニル」という用語は、本明細書で使用される場合、各場合において、任意の位置に少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む、通常2~6個、好ましくは2~4個の炭素原子を有し、且つ1~5個、好ましくは1~2個のヒドロキシ基で、特に1個のヒドロキシ基でさらに置換されている、不飽和炭化水素基を示す。好ましくは、1個のヒドロキシ基は、不飽和炭化水素基の末端をなしており、したがって、ヒドロキシ基は、分子の残部に結合されているアルケニルブリッジに結合されている。ヒドロキシアルケニルの例は、ヒドロキシビニル、ヒドロキシアリル、ヒドロキシメタアリル、ヒドロキシブテン-1-イル、2-ヒドロキシ-2-ペンテン-1-イル、1-ヒドロキシ-3-ペンテン-1-イル等である。幾何異性体が二重結合に関して可能である場合、本発明は、E-異性体及びZ-異性体の両方に関する。
【0049】
「アミノアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、各場合において、通常1~8個の炭素原子、好ましくは1~6個の炭素原子を有し、且つ1~5個、好ましくは1~2個のアミノ基で、特に1個のアミノ基でさらに置換されている直鎖又は分枝アルキル基を示す。好ましくは、1個のアミノ基は、直鎖又は分枝アルキル基の末端をなしており、したがって、アミノ基は、分子の残部に結合されているアルキルブリッジに結合されている。アミノアルキル基の例は、アミノメチル、アミノエチル、n-アミノプロピル、2-アミノプロピル、n-アミノブチル、2-アミノブチル、2-アミノ-2-メチルプロピル、n-アミノペンチル、及びn-アミノヘキシルである。アミノメチル、アミノエチル、アミノプロピル、及びアミノブチル、特にアミノエチルが好ましい。
【0050】
「(Cn~Cm-アルキル)」という用語は、本明細書で使用される場合、各場合において、リンカー部分であって、そこに結合する部分が末端炭素に結合しているリンカー部分を示す。
【0051】
「C(=O)」という用語は、本明細書で使用される場合、各場合において、カルボニル部分を示す。
【0052】
「C(=O)-(Cn-Cm-アルキル)」という用語は、本明細書で使用される場合、各場合において、アルキルカルボニルを示し、アルキルカルボニルとは、カルボニル基C(=O)の炭素原子を介して分子の残部に結合されている、上で定義される通りの直鎖又は分枝アルキル基を指す。
【0053】
「アリール」又は「芳香族炭素環」という用語には、好ましくは、環員としての炭素原子をベースとする6員の芳香族炭素環式環が含まれる。好ましい例はフェニルである。
【0054】
「複素環式」又は「ヘテロシクリル」という用語には、特に記載のない限り、一般に3~9員、好ましくは4~8員又は5~7員、より好ましくは5又は6員、特に6員の単環式環が含まれる。複素環は、飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族であってもよく、飽和は、単結合のみが存在することを意味し、部分又は完全不飽和は、芳香族性のヒュッケル則が満たされないが、1個以上の二重結合が好適な位置に存在してもよいことを意味するのに対し、芳香族は、ヒュッケル(4n+2)則が満たされることを意味する。複素環は、典型的には、環員としてN、O及びSから選択される1個以上、例えば、1、2、3、又は4個、好ましくは1、2、又は3個のヘテロ原子を含み、環員としてのS原子はS、SO又はSO2として存在してもよい。残りの環員は炭素原子である。好ましい実施形態では、複素環は、環員としてN、O及びSから選択される1個以上、例えば、1、2、3、又は4個、好ましくは1、2、又は3個のヘテロ原子を含む芳香族複素環、好ましくは5又は6員の芳香族複素環であり、環員としてのS原子はS、SO又はSO2として存在してもよい。芳香族複素環の例は、「ヘタリール」の定義に関連して下記に提示される。「ヘタリール」又は「ヘテロアリール」は、「複素環」という用語に包含される。飽和又は部分若しくは完全不飽和複素環は通常、環員としてN、O及びSから選択される1、2、3、4又は5個、好ましくは1、2又は3個のヘテロ原子を含み、環員としてのS原子はS、SO又はSO2として存在してもよい。当業者には、S、SO又はSO2は以下の通りに理解されることが認識される:
【0055】
【0056】
さらに、当業者には、酸化形態の共鳴構造が可能であり得ることが認識される。飽和複素環としては、特に記載のない限り、一般に、少なくとも1個のヘテロ原子を含む3~9個、好ましくは4~8個又は5~7個、より好ましくは5又は6個の原子を含む3~9員、好ましくは4~8員又は5~7員、より好ましくは5又は6員の単環式環、例えば、ピロリジン、テトラヒドロチオフェン、テトラヒドロフラン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、モルホリン又はピペラジンが挙げられる。
【0057】
「ヘタリール」又は「ヘテロアリール」又は「芳香族複素環(aromatic heterocycle)」又は「芳香族複素環(aromatic heterocyclic ring)」という用語には、N、O及びSから選択される1、2、3又は4個のヘテロ原子を環員として含む単環式の5又は6員の芳香族複素環が含まれ、環員としてのS原子はS、SO又はSO2として存在してもよい。5又は6員の芳香族複素環の例としては、ピリジル(ピリジニルとも呼ばれる)、すなわち2-、3-、又は4-ピリジル、ピリミジニル、すなわち2-、4-又は5-ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、すなわち3-又は4-ピリダジニル、チエニル、すなわち2-又は3-チエニル、フリル、すなわち2-又は3-フリル、ピロリル、すなわち2-又は3-ピロリル、オキサゾリル、すなわち2-、3-又は5-オキサゾリル、イソオキサゾリル、すなわち3-、4-又は5-イソオキサゾリル、チアゾリル、すなわち2-、3-又は5-チアゾリル、イソチアゾリル、すなわち3-、4-又は5-イソチアゾリル、ピラゾリル、すなわち1-、3-、4-又は5-ピラゾリル、すなわち1-、2-、4-又は5-イミダゾリル、オキサジアゾリル、例えば2-又は5-[1,3,4]オキサジアゾリル、4-又は5-(1,2,3-オキサジアゾール)イル、3-又は5-(1,2,4-オキサジアゾール)イル、2-又は5-(1,3,4-チアジアゾール)イル、チアジアゾリル、例えば2-又は5-(1,3,4-チアジアゾール)イル、4-又は5-(1,2,3-チアジアゾール)イル、3-又は5-(1,2,4-チアジアゾール)イル、トリアゾリル、例えば1H-、2H-又は3H-1,2,3-トリアゾール-4-イル、2H-トリアゾール-3-イル、1H-、2H-、又は4H-1,2,4-トリアゾリル及びテトラゾリル、すなわち1H-又は2H-テトラゾリルが挙げられる。
【0058】
組成物及びそこに含まれる成分の重量パーセントに言及する場合、本発明によれば、成分の総量は100%(丸めのため±1%)を超えないことが理解される。
【0059】
「ボディケア製品」という用語は、ヒトの身体に適用するのに適した任意の製品、例えば、サンスクリーン組成物、浴用及びシャワー用製品、芳香剤及び発香性物質を含有する配合物、ヘアケア製品、歯磨き剤、装飾用配合物、並びに活性成分を含有する化粧品製剤を指す。好ましいのは、サンスクリーン組成物である。
【0060】
「サンスクリーン組成物」又は「サンスクリーン剤」又は「スキンケア製品」という用語は、UV放射の特定の部分を反射及び/又は吸収する任意の局所用製品を指す。したがって、「サンスクリーン組成物」という用語は、サンスクリーン組成物だけでなく、UV防御をもたらす任意の化粧品組成物も含むことが理解される。「局所用製品」という用語は、皮膚に適用される製品を指し、例えば、スプレー、ローション、クリーム、オイル、フォーム、パウダー、又はゲルを指し得る。本発明によれば、サンスクリーン組成物は、1種以上の活性剤、例えば、有機UVフィルター、及び他の成分又は添加剤、例えば、乳化剤、軟化剤、粘度調整剤、安定剤、保存剤、又は芳香剤を含んでもよい。
【0061】
「医薬品組成物」という用語は、少なくとも1種の活性成分を含有する組成物を指す。好適な医薬品組成物は、ホルモン配合物、ビタミン配合物、植物抽出物配合物、及び抗菌配合物である。
【0062】
好適な浴用及びシャワー用添加剤は、例えば、シャワーゲル、バスソルト、泡立て剤、及び石けんである。
【0063】
芳香剤及び発香性物質を含有する好適な配合物は特に、香水、香料、オードトワレ、及びシェービングローション(アフターシェーブ配合物)である。
【0064】
好適なヘアケア製品は、例えば、ヒト及び動物(特に犬)用シャンプー、ヘアコンディショナー、毛髪のスタイリング及び処理用製品、パーマ剤、ヘアスプレー及びラッカー、ヘアゲル、毛髪固定剤、並びに毛髪染色及び脱色剤である。
【0065】
好適な歯磨き剤は、例えば、歯磨きクリーム、練り歯磨き、口腔洗浄薬、マウスリンス、抗歯垢配合物、及び義歯清浄剤である。
【0066】
好適な装飾用配合物は、例えば、口紅、マニキュア液、アイシャドウ、マスカラ、乾燥及び湿潤メイクアップ用品、頬紅、パウダー、脱毛剤、及び日焼けローションである。
【0067】
活性成分を含有する好適な化粧品製剤は、例えば、ホルモン配合物、ビタミン配合物、植物抽出物配合物、及び抗菌配合物である。
【0068】
挙げられたボディケア製品は、クリーム、軟膏、ペースト、フォーム、ゲル、ローション、パウダー、メイクアップ用品、スプレー、スティック、又はエアロゾルの形態であり得る。それらは、好ましくは、水相中に式(I)の化合物を含有する。
【0069】
「光安定剤」という用語は、本明細書で使用される場合、ボディケア及び家庭用清浄剤及び処理剤を光分解から防御するのに適した化合物である。光安定剤は通常、ボディケア製品中に50~1000ppmの濃度で存在する。
【0070】
「家庭用清浄剤及び処理剤」という用語は、家庭用品を清浄にする又は処理するのに適した任意の製品、例えば、液体精練剤、ガラス洗浄剤、中性クリーナー(汎用クリーナー)、酸性家庭用クリーナー(浴室)、WCクリーナー、好ましくは、洗濯用洗剤、リンス剤、及び食器洗浄剤、クリアリンス剤(clear rinsing agent)、食洗機洗浄剤、靴磨き剤、艶出しワックス、床洗浄剤及び磨き剤、金属、ガラス、及びセラミッククリーナー、テキスタイルケア製品、錆、色、及び染みを除去するための作用剤(染み抜きソルト)、家具及び多目的磨き剤、並びに皮革仕上げ剤(皮革用スプレー)を指す。
【0071】
好ましくは、家庭用清浄剤は、以下の構成成分の1種以上の水性又はアルコール(例えば、エタノール又はイソプロピルアルコール)溶液である:
- アニオン性、非イオン性、両性、及び/又はカチオン性界面活性剤
- 石けん、動物及び植物油脂のけん化によって調製されたもの
- 有機酸、同様に、塩酸、リン酸、又は硫酸、
- 塩基性製品のための無機(NaOH又はKOH)又は有機塩基;
- 表面の清浄化を改善するための研磨剤、
- 表面の維持及び保護のためのワックス及び/又はシリコーン、
- ポリホスフェート、
- ヒポクロリット又はハロゲンを取り除く物質;
- TAEDのような漂白活性化剤を含む過酸化物、例えば、過ホウ酸ナトリウム又はH2O2;
- 酵素;
- 洗濯用洗浄剤における変色防止剤、防汚化合物、グレースケール防止剤(gray scale inhibitor)、発泡防止剤、蛍光増白剤;
- ワックスを基剤とする清浄剤は、ベンジン、ターペンタイン、及び/又はパラフィンから選択される溶媒、並びにワックスを基剤とする乳化剤を含み得る;
- 充填剤、例えば、粉状清浄剤用のシリケート、ポリホスフェート、ゼオライト;
- 顔料、レーキ、又は可溶性染料;
- 香料;並びに
- 光安定剤、酸化防止剤、及びキレート剤。
【0072】
「光安定性」という用語は、太陽光に曝露されたUVフィルター又は任意の他の分子が、照射時に安定した状態に留まる能力を指す。特に、これは、該化合物がUV放射時に分解プロセスを受けないことを意味する。
【0073】
本明細書で使用される場合、「サンプロテクションファクター(SPF)」という用語は、皮膚がサンスクリーン組成物によってどの程度良好に防御されるかを示す。特に、この指数は、未処置の皮膚と比較して防御された皮膚が、どれくらい長く、日焼けすることなく太陽に曝露され得るかを示す。例えば、SPFが15のサンスクリーン組成物が、日なたで通常10分後に日焼けする人の皮膚に均一に適用された場合、このサンスクリーン剤により、当業者は日なたに15倍長く留まることが可能になる。言い換えると、SPF15は、サンスクリーン剤が1平方センチメートル当たり2ミリグラム(mg/cm2)の投薬量で均一な厚さで適用されると仮定すると、皮膚に達する日焼けさせるUV放射が1/15になることを意味する。
【0074】
「臨界波長」という用語は、その波長で、UV防御曲線(波長に対する防御率(%))下の面積がUV領域(280~400nm)における曲線下の総面積の90%を占める波長として定義される。例えば、370nmの臨界波長とは、サンスクリーン組成物の防御が、UV-Bの波長、すなわち、280~320nmの波長に限定されるのではなく、UV領域における防御曲線下の総面積の90%に370nmで達するというように、370nmに及ぶことを示す。
【0075】
「紫外線フィルター」又は「UVフィルター」という用語は、本明細書で使用される場合、太陽光によって引き起こされるUV放射を吸収及び/又は反射できる有機又は無機化合物を指す。UVフィルターは、そのUV防御曲線に基づいてUV-A、UV-B又は広域フィルターに分類できる。本出願の文脈において、広域フィルターはUV-A防御ももたらすため、UV-Aフィルターとして列挙されることがある。言い換えると、好ましいUV-Aフィルターは広域フィルターも含む。
【0076】
「広域」防御(広範囲スペクトル又は広範囲防御とも呼ばれる)の定義は、「臨界波長」に基づく。広域有効範囲のために、UV-B及びUV-A防御が提供されなくてはならない。US要件によると、広範囲スペクトル防御を達成するためには、少なくとも370nmの臨界波長が必要である。さらに、すべてのサンスクリーン又は化粧品組成物は、表示されるサンプロテクションファクター(SPF)の少なくとも3分の1のUV-A防御指数を有するべきであり、例えば、サンスクリーン組成物が30のSPFを有する場合、UV-A防御指数は少なくとも10でなくてはならないことが欧州委員会によって推奨されている。
【0077】
「生分解」という用語は、本明細書で使用される場合、微生物が好気性プロセスにおいて材料をCO2、エネルギー、水、及びバイオマスにまで完全に代謝することを示す(OECDガイドラインによる)。
【0078】
式(I)の化合物、及び皮膚をUV放射から防御するための又は光安定剤としての式(I)の化合物の使用に関する好ましい実施形態を以下に記載する。本発明の好ましい実施形態は、単独でも互いに組み合わせても好ましいことが理解される。さらに、式(I)の化合物を含む化粧品又は医薬品組成物、及びそのような化粧品又は医薬品組成物の、例えばサンスクリーン剤における使用に関する好ましい実施形態を以下に記載する。
【0079】
上で示される通り、本発明は、一実施形態では、式(I)
【0080】
【化6】
(式中、
R
1は、H又はC
1~C
4-アルキルであり;
R
2は、H、C
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;
R
3及びR
4は、独立してC
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって5又は6員の飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族の複素環を形成し、前記複素環は、O、N、又はSから選択される1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を含み、前記N及び/又はS原子は、独立して酸化されているか又は非酸化であり、複素環内の置換可能な各炭素又はヘテロ原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Mで置換されており;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Nで置換されており;
R
5は、H又はC
1~C
4-アルキルであり;
R
6は、H、C
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;
R
7及びR
8は、独立してC
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって5又は6員の飽和、部分若しくは完全不飽和、又は芳香族の複素環を形成し、前記複素環は、O、N、又はSから選択される1個以上の同じ又は異なるヘテロ原子を含み、前記N及び/又はS原子は、独立して酸化されているか又は非酸化であり、複素環内の置換可能な各炭素又はヘテロ原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Mで置換されており;或いはそれらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Nで置換されており;
R
Mはハロゲン、CN、NO
2、NH
2、OH、C
1~C
2-アルキル、C
1~C
2-アルコキシ、C(=O)R
Xであるか、又は2個のR
Mは=Oを形成し;
R
Nは、C
1~C
8-アルキル、C
1~C
6-ヒドロキシアルキル、C
2~C
4-ヒドロキシアルケニル、C
1~C
6-アミノアルキル、(CH
2O)
n-OH、(CH
2CH
2O)
n-OH、又は(CH
2CH
2CH
2O)
n-OHであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基R
Yで置換されており;
R
Xは、H、C
1~C
2-アルキル、フェニル、又はベンジルであり;
R
Yはハロゲン、CN、NO
2、NH
2、OH、C(=O)R
Xであるか、又は2個のR
Yは=Oを形成し;
nは、1~10の整数である)
の化合物、又はその立体異性体若しくは互変異性体に関する。
【0081】
驚くべきことに、本発明による化合物は、とりわけ、それらの潮解性挙動のためにボディケア製品(例えば、サンスクリーン剤)において特定の利点の恩恵を受けることが見出された。これに関連して、潮解性挙動は、周囲相対湿度(RH)がある特定の閾値に達した場合に結晶質物質が溶液を形成することを意味することが理解される。
【0082】
いくつかのタイプの水固体相互作用が存在する。高水溶性の結晶性化合物にとって非常に重要である固体水相互作用の1つのタイプは、潮解の現象である。
【0083】
潮解は、固体の特性及び温度に依存する明確に定義された相対湿度で引き起こされる、固体の飽和溶液への一次相転移である。このRHに達した場合、水溶液が熱力学的に有利な相であり、溶解が始まる。このRH未満では、気体の水に取り囲まれている結晶質固体が有利である(Mauerら、Pharmaceutical Development and Technology、2010、第15巻、6、582~594ページ)。
【0084】
pH7±1での式(I)の化合物の溶液からの水の蒸発後、化合物は結晶化し始める。一般に、水蒸発遅延剤を使用して、できるだけ水の蒸発速度を遅らせることができる。しかし、このアプローチに従うと、水が蒸発した場合に化合物が沈殿するという高いリスクがなお存在する。
【0085】
本発明による化合物(pH7±1)を含む組成物、本発明による化合物は、水溶液からの、例えば化粧品又は医薬品組成物の水相、例えばエマルジョンからの水の蒸発後、溶解したままである。
【0086】
本発明のすべての態様に適切である式(I)の化合物に関する好ましい実施形態を以下に定義する。
【0087】
本発明の一実施形態では、R1及びR5は同じであり、好ましくはHである。
【0088】
本発明の好ましい一実施形態では、R3、R4、R7、及びR8は、独立してC1~C6-ヒドロキシアルキル、C2~C4-ヒドロキシアルケニル、C1~C6-アミノアルキル、(CH2O)n-OH、(CH2CH2O)n-OH、又は(CH2CH2CH2O)n-OHである。好ましくは、R3、R4、R7、及びR8は、独立してC1~C6-ヒドロキシアルキル、C2~C4-ヒドロキシアルケニル、又はC1~C6-アミノアルキルである。
【0089】
本発明の好ましい一実施形態では、R1及びR5は同じであり、好ましくはHであり;R2~R4は、独立してC1~C6-ヒドロキシアルキル、C2~C4-ヒドロキシアルケニル、C1~C6-アミノアルキル、(CH2O)n-OH、(CH2CH2O)n-OH、又は(CH2CH2CH2O)n-OHであり;R6~R8は、独立してC1~C6-ヒドロキシアルキル、C2~C4-ヒドロキシアルケニル、C1~C6-アミノアルキル、(CH2O)n-OH、(CH2CH2O)n-OH、又は(CH2CH2CH2O)n-OHである。
【0090】
本発明の一実施形態では、R2~R4は、独立してC1~C6-ヒドロキシアルキルであり;R6~R8は、独立してC1~C6-ヒドロキシアルキルである。好ましい実施形態では、R2~R4は、独立してC1~C5-ヒドロキシアルキル、より好ましくはC1~C4-ヒドロキシアルキル、特にC1~C3-ヒドロキシアルキルであり;R6~R8は、独立してC1~C5-ヒドロキシアルキル、より好ましくはC1~C4-ヒドロキシアルキル、特にC1~C3-ヒドロキシアルキルである。
【0091】
本発明の一実施形態では、R1及びR5は同じであり、好ましくはHであり;R2~R4は同じであり;R6~R8は同じである。
【0092】
本発明の一実施形態では、R2~R4及びR6~R8は、C2~C4-ヒドロキシアルケン、C1~C6-アミノアルキル、(CH2O)n-OH、(CH2CH2O)n-OH、又は(CH2CH2CH2O)n-OHである。これに関連して、R1及びR5がHであることが好ましい。
【0093】
本発明の一実施形態では、R2~R4及びR6~R8はヒドロキシエチルである。本発明の別の実施形態では、R2~R4及びR6~R8は、n-ヒドロキシプロピル、n-ヒドロキシブチル、n-ヒドロキシペンチル、又はn-ヒドロキシヘキシルである。これに関連して、R1及びR5がHであることが好ましい。
【0094】
本発明の好ましい実施形態では、R1及びR5はHであり;R2~R4及びR6~R8はヒドロキシエチルである。
【0095】
本発明の一実施形態では、R1、R2、R5、及びR6は同じであり;
R3及びR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RNで置換されており;
R7及びR8は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、2個のN原子は独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RNで置換されており;
RNはC1~C6-アルキルであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RYで置換されており;
RYはNH2、OHであるか、又は2個のRYは=Oを形成する。これに関連して、R1、R2、R5、及びR6がHであることが好ましい。
【0096】
本発明の一実施形態では、R1、R2、R5、及びR6はHであり;
R3及びR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、これらの2個のN原子の1個はRNで置換されており;
R7及びR8は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、これらの2個のN原子の1個はRNで置換されており;
RNはC2~C5-アルキルであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RYで置換されており;
RYはNH2、OHであるか、又は2個のRYは=Oを形成する。
【0097】
本発明の好ましい実施形態では、R1、R2、R5、及びR6はHであり;
R3及びR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、これらの2個のN原子の1個はRNで置換されており;
R7及びR8は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、これらの2個のN原子の1個はRNで置換されており;
RNはC5-アルキルであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RYで置換されており;
RYはNH2、OHであるか、又は2個のRYは=Oを形成する。
【0098】
本発明の一実施形態では、R1、R2、R5、及びR6はHであり;
R3及びR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のNH2でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し;
R7及びR8は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のNH2でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成する。
【0099】
本発明の一実施形態では、R1、R2、R5、及びR6はHであり;
R3及びR4は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のN原子でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成し、これらの2個のN原子の1個はRNで置換されており;
R7及びR8は、それらが結合されている窒素と一緒になって、2個のNH2でさらに置換されている炭素原子との二重結合を形成する;
RNはC5-アルキルであり、置換可能な各炭素原子は、独立して非置換であるか又は1個以上の同じ若しくは異なる置換基RYで置換されており;
RYはNH2、OHであるか、又は2個のRYは=Oを形成する。
【0100】
本発明の一実施形態では、式(I)による化合物は、4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二トリエタノールアンモニウム塩、4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二グアニジニウム塩、及び4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二アルギニニウム塩からなる群から選択される。
【0101】
これに関連して、例えば4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二トリエタノールアンモニウム塩は、以下の通りにさらに例示される、4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン-4,5-ジヒドロキシ化合物とトリエタノールアミンとして又はC5H2O5・2N(CH2CH2OH)3と表されるものとしても公知であり得ることに留意されたい:
【0102】
【0103】
同じ可能な命名法の変形が、4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二グアニジニウム塩及び4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二アルギニニウム塩について当てはまる。
【0104】
本発明の一実施形態では、式(I)の化合物は、
【0105】
【0106】
本発明の特定の実施形態では、式(I)の化合物は、
【0107】
【0108】
上で示される通り、本発明はさらに、本発明による化合物と、任意選択で皮膚科学的に許容可能な乳化剤、増粘剤、又は軟化剤とを含む、化粧品又は医薬品組成物に関する。
【0109】
好ましくは、式(I)の化合物は、化粧品又は医薬品組成物の総重量に基づいて0.5~50重量%、好ましくは1~45重量%、より好ましくは2~40重量%、特に3~35重量%の量で化粧品又は医薬品組成物中に存在する。
【0110】
本発明の一実施形態では、化粧品又は医薬品組成物は、式(I)の化合物とは異なる少なくとも1種の追加のUVフィルターをさらに含む。少なくとも1種の追加のUVフィルターは、有機又は無機UVフィルターであってもよい。
【0111】
好ましくは、少なくとも1種の追加のUVフィルターは、天然及び/又は生分解性UVフィルターである。したがって、本発明の一実施形態では、化粧品又は医薬品組成物は、式(I)の化合物とは異なる少なくとも1種の追加のUVフィルターをさらに含み、少なくとも1種の追加のUVフィルターは、天然及び/又は生分解性UVフィルターである。少なくとも1種の追加のUVフィルターは、水相に存在しても、油相に存在してもよい。本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1種の追加のUVフィルターは油相に存在する。この実施形態に関連して、化粧品又は医薬品組成物は、さらにより改善されたUV放射からの防御をもたらす。何故なら、UVフィルターが油相及び水相に存在し、それにより化粧品又は医薬品組成物内に改善されたUVフィルターの分配がもたらされるからである。
【0112】
好ましい実施形態では、式(I)の化合物とは異なる少なくとも1種の追加のUVフィルターはUV-Aフィルターであり、好ましくは2-(4'-ジエチルアミノ-2'-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート又はDHHBとも呼ばれる)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(4-(tert-ブチル)-4'-メトキシジベンゾイルメタン又はBMDBMとしても公知)、2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(INCIビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-[2-メチル-3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]-1-ジシロキサニル]プロピル]フェノール(INCIドロメトリゾールトリシロキサン)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(2-エチルヘキシルオキシメチル)-4-メチル-フェノール、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、及びその組合せからなる群から選択される。
【0113】
別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物とは異なる少なくとも1種の追加のUVフィルターはUV-Bフィルターであり、好ましくはオクチノキセート(メトキシケイ皮酸エチルヘキシルとも呼ばれる)、サリチル酸エチルヘキシル、4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、マロネート誘導体、例えばジメチコンジエチルベンザルマロネート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、及びその組合せからなる群から選択される。
【0114】
別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物とは異なる少なくとも1種の追加のUVフィルターは、無機UVフィルター、例えば酸化亜鉛及び二酸化チタンである。
【0115】
さらに別の好ましい実施形態では、式(I)の化合物とは異なる少なくとも1種の追加のUVフィルターは、2-(4'-ジエチルアミノ-2'-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシルエステル(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエート又はDHHBとも呼ばれる)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(4-(tert-ブチル)-4'-メトキシジベンゾイルメタン又はBMDBMとしても公知)、2,4-ビス-{[4-(2-エチル-ヘキシルオキシ)-2-ヒドロキシ]-フェニル}-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(INCIビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-[2-メチル-3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]-1-ジシロキサニル]プロピル]フェノール(INCIドロメトリゾールトリシロキサン)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(2-エチルヘキシルオキシメチル)-4-メチル-フェノール、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、オクチノキセート(メトキシケイ皮酸エチルヘキシルとも呼ばれる)、サリチル酸エチルヘキシル、4,4',4''-(1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリイルトリイミノ)トリス-安息香酸トリス(2-エチルヘキシル)エステル(INCIエチルヘキシルトリアゾン)、マロネート誘導体、例えばジメチコンジエチルベンザルマロネート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、酸化亜鉛、二酸化チタン、及びその組合せからなる群から選択される。
【0116】
本発明の一実施形態では、化粧品又は医薬品組成物は、式(I)の化合物とは異なる少なくとも2種の追加のUVフィルターをさらに含む。
【0117】
本発明の一実施形態では、本発明による化粧品又は医薬品組成物は、フォトスタビライザーをさらに含む。フォトスタビライザーは、式(I)の化合物を含有する化粧品又は医薬品組成物の光安定性の大幅且つ著しい改善を得るのに十分な量で使用され得る。使用されるこのフォトスタビライザーの最少量は、組成物中に存在する式(I)の化合物の出発量に応じて、及び組成物に使用される皮膚科学的に許容可能な担体の性質に応じて、様々であり得る。それは、従来の光安定性測定試験を使用して困難なく決定され得る。
【0118】
本発明の好ましい実施形態では、フォトスタビライザーは、化粧品又は医薬品組成物の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、特に少なくとも4重量%の量で化粧品又は医薬品組成物中に存在する。別の好ましい実施形態では、フォトスタビライザーは、化粧品又は医薬品組成物の総重量に基づいて0.5~15重量%、好ましくは1~12重量%、より好ましくは2~10重量%、特に4~8重量%の量で化粧品又は医薬品組成物中に存在する。
【0119】
好ましい実施形態では、フォトスタビライザーはクエンチャーである。好ましくは、クエンチャーは、化粧品又は医薬品組成物の総重量に基づいて少なくとも0.5重量%、好ましくは少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも1.5重量%、特に少なくとも2重量%の量で化粧品又は医薬品組成物中に存在する。別の好ましい実施形態では、クエンチャーは、化粧品又は医薬品組成物の総重量に基づいて0.5~10重量%、好ましくは1~8重量%、より好ましくは1.5~6重量%、特に2~5重量%の量で化粧品又は医薬品組成物中に存在する。
【0120】
本発明の好ましい実施形態では、フォトスタビライザーは、
・CAS登録番号444811-29-4、プロパン二酸、[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシフェニル)メチレン]-、ビス(2-エチルヘキシル)エステル(Oxynex ST)
・CAS登録番号477844-93-2、オクトフルオレン
・2-フェニルエチルベンゾエート
・CAS登録番号127474-91-3、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ビス(2-エチルヘキシル)エステル(Hallbrite TQ、Corapan TQ)
・CAS登録番号68890-66-4、Octopirox
・Tinogard TT(INCIテトラジブチルペンタエリトリチルヒドロキシ-ヒドロシンナメート)
・Tinogard HS(INCIベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸ナトリウム)
・Tinogard TL(INCIベンゾトリアゾリルドデシルp-クレゾール)
・フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチル-、分枝及び直鎖
・Cibafast H Liquid(INCIベンゾトリアゾリルブチルフェノールスルホン酸ナトリウム、ブテス-3、クエン酸トリブチル)
・Tinogard AS(INCIブメトリゾール)
・トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)シトレート(Tinogard Q)
・ピペリジノール、1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボキシレート(3:1)(塩)
・CAS登録番号1750-49-8、N-(2-ヒドロキシプロピル)尿素
・CAS登録番号2078-71-9、N-(2-ヒドロキシエチル)尿素
・n-ブチルフタルイミド及びイソプロピルフタルイミドの混合物
・CAS登録番号872424-70-9
・CAS登録番号872424-71-0
・CAS登録番号872424-72-1
・CAS登録番号872424-73-2
・CAS登録番号6197-30-4、オクトクリレン
・CAS登録番号118-60-5、サリチル酸2-エチルヘキシル
・CAS登録番号180898-37-7、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム Neo Heliopan AP又はNeo-Heliopan APC
・CAS登録番号302776-68-7、Uvinul A Plus
・CAS登録番号70356-09-1、4-tert-ブチル-4'-メトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)
・Tinosorb M(微粒子状 CAS登録番号103597-45-1)
・Tinosorb S(CAS登録番号187393-00-6)
・CAS登録番号88122-99-0、エチルヘキシルトリアゾン(オクチルトリアゾン;Uvinul T 150)
・CAS登録番号154702-15-5、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Uvasorb HEB)
・CAS登録番号155633-54-8、ドロメトリゾールトリシロキサン(Mexoryl XL)、及び
・CAS登録番号92761-26-7 Mexoryl SX;テレフタリリデン-3,3'-ジカンファー-10,10'-ジスルホン酸
からなる群から選択される。
【0121】
好ましいのは、三重項クエンチャー、例えばTinogard Q(トリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)シトレート(4-ピペリジノール、1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-、2-ヒドロキシ-1,2,3-プロパントリカルボキシレート(3:1)(塩)又はCAS登録番号220410-74-2としても公知)、水(CAS登録番号7732-18-5)及びエタノール(CAS登録番号64-17-5)を含む)である。Tinogard Qは、水溶性の励起状態クエンチャーであり、液体製剤で供給される。励起状態クエンチャーは、透明な包装内での製剤の光誘起分解を防ぐのを助ける。UV吸収剤との組合せにおいて、それは、結果として非常に有効な安定剤系をもたらす。一般に、Tinogard Qは、透明な包装内でUV放射への曝露によって引き起こされる分解からパーソナルケア製品を防御するために使用される。それは、例えばボディウォッシュ、フェイスウォッシュ、液体ハンドソープ、スキンケア、シャンプー、ヘアコンディショナー、及び芳香剤に適用される。
【0122】
上で示される通り、別の態様では、本発明は、一実施形態では、皮膚をUV放射から防御するための、本明細書で定義される通りの式(I)の化合物(本明細書に記載される通りのそのすべての実施形態が含まれる)又は本明細書で定義される通りの化粧品又は医薬品組成物(本明細書に記載される通りのそのすべての実施形態が含まれる)の使用に関する。この実施形態に関連して、本明細書で定義される通りの式(I)の化合物は、皮膚をUV放射から防御するために、特にヒトの皮膚をUV放射から防御するために使用される。好ましいのは、本明細書で定義される通りの式(I)の化合物(本明細書に記載される通りのそのすべての実施形態が含まれる)又は本明細書で定義される通りの化粧品又は医薬品組成物(本明細書に記載される通りのそのすべての実施形態が含まれる)の、サンスクリーン剤における使用である。
【0123】
上で示される通り、別の態様では、本発明は、一実施形態では、皮膚をUV放射から防御するために使用するための、本明細書で定義される通りの少なくとも1種の化合物(本明細書に記載される通りのそのすべての実施形態が含まれる)又は本明細書で定義される通りの化粧品若しくは医薬品組成物(本明細書に記載される通りのそのすべての実施形態が含まれる)に関する。
【0124】
上で示される通り、本発明はさらに、本明細書で定義される通りの式(I)の化合物(本明細書に記載される通りのそのすべての実施形態が含まれる)の、ボディケア製品又は家庭用清浄剤及び処理剤における、成分を光分解から防御するための光安定剤としての使用に関する。
【0125】
上記の実施形態に関連して、式(I)の化合物は、UVフィルターとしての使用に適し、それによりUV放射から皮膚を防御するのに特に適していることが理解される。
【0126】
さらに、上記の実施形態に関連して、ボディケア製品(例えば、サンスクリーン組成物)は、少なくとも1種の添加剤を含み得ることが理解される。
【0127】
一実施形態では、少なくとも1種の添加剤は、乳化剤、軟化剤、粘度調整剤(増粘剤)、感触改良剤、アジュバント、保存剤及びその組合せからなる群から選択される。
【0128】
好ましい乳化剤としては、
- グルコース誘導体、例えば、セテアリルグルコシド、アラキジルグルコシド、ラウリルグルコシド、ジステアリン酸ポリグリセリル-3メチルグルコース、セスキステアリン酸メチルグルコース;
- スクロース誘導体、例えば、ポリステアリン酸スクロース、パルミチン酸スクロース;
- ソルビトール誘導体;
- 脂肪酸のグリセリド、例えば、ステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリル;
- グルタミン酸誘導体、例えば、ステアロイルグルタミン酸ナトリウム;
- スルホコハク酸誘導体、例えば、スルホコハク酸セテアリル二ナトリウム;
- リン酸誘導体、例えば、セチルリン酸カリウム;
- ポリグリセリルの脂肪酸エステル、例えば、ポリグリセリル-3-ジイソステアレート、ポリグリセリル-2-ジポリヒドロキシステアレート;
- オキシアルケニル化有機変性シリコーン/ポリシロキサン/ポリアルキル/ポリエーテルコポリマー及び誘導体
が挙げられる。
【0129】
好ましい軟化剤としては、
- 直鎖又は分枝脂肪酸と直鎖又は分枝脂肪アルコールとのエステル、例えば、カプリル酸プロピルヘプチル、ココカプリレート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル;
- 芳香族カルボン酸と直鎖又は分枝脂肪アルコールとのエステル、例えば、C12~C15アルキルベンゾエート、安息香酸エチルヘキシル、安息香酸フェネチル;
- 直鎖又は分枝アルコールとのジカルボン酸エステル、例えば、アジピン酸ジブチル、炭酸ジカプリリル、セバシン酸ジイソプロピル;
- ヒドロキシカルボン酸と直鎖又は分枝脂肪アルコールとのエステル;
- 直鎖又は分枝脂肪酸と多価アルコールとのエステル、例えば、ジカプリル酸/ジカプリン酸ブチレングリコール;
- C6~C18脂肪酸に基づくモノ、ジ、トリグリセリド、例えば、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ココグリセリド;
- ゲルベアルコール、例えばオクチルドデシノール;
- 炭化水素、例えば、水添ポリイソブテン、鉱油、スクアレン、イソヘキサデカン;
- エステル、例えばジカプリリルエーテル;
- シリコーン誘導体(有機変性ポリシロキサン)、例えば、ジメチルポリシロキサン、環式シリコーン
が挙げられる。
【0130】
好ましい増粘剤としては、
- 脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、セテアリルアルコール、ステアリルアルコール;
- 脂肪酸、例えば、ステアリン酸;
- 脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸ミリスチル;
- ワックス、例えば、ビーズワックス、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、オゾケライト;
- 多糖又は誘導体、例えば、キサンタンガム、グアーガム、アガーガム、アルギネート、ジェランガム、カラゲナン;
- 網目状アクリル酸又はポリアクリルアミドのポリアクリレート又はホモポリマー、例えば、カルボマー、アクリレートコポリマー、アクリレート/C10~C30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー;
- シリケート誘導体、例えば、ケイ酸マグネシウム;
- セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース
が挙げられる。
【0131】
好ましい感触改良剤としては、
- ポリアミド誘導体、例えば、ナイロン-12;
- ポリメチルメタクリレート;
- シリカ;
- マイカ;
- ポリメチルシルセスキオキサン;
- ポリエチレン;
- デンプン誘導体、例えば、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム;
- ジメチコン誘導体;
- 窒化ホウ素;
- HDI/トリメチロールヘキシルラクトンクロスポリマー
が挙げられる。
【0132】
好ましいアジュバントとしては、
- トコフェロール誘導体;
- レチノール誘導体;
- アスコルビン酸誘導体;
- ビサボロール;
- アラントイン;
- ペンテノール;
- キレート剤(EDTA、EDDS、EGTA、フィチン酸、ピロクトンオラミン);
- エチルヘキシルグリセリン;
- カプリリルグリコール;
- ヒドロキシアセトフェノン;
- カプリルヒドロキサム酸;
- プロペラント、例えば、プロパン、ブタン、イソブテン、ジメチルエーテル;
- スチレン/PVP又はスチレンアクリルアミドコポリマー;
- 虫除けスプレー、例えば、ブチルアセチルアミノプロピオネート
が挙げられる。
【0133】
好ましい保存剤としては、
- フェノキシエタノール;
- ベンジルアルコール;
- メチル、エチル、プロピル、ブチル、及びイソブチルパラベン;
- ジンゲロン
が挙げられる。
【0134】
好ましい香料は、リモネン、シトラル、リナロール、アルファ-イソメチルイオノン、ゲラニオール、シトロネロール、2-イソブチル-4-ヒドロキシ-4-メチルテトラヒドロピラン、2-tert-ペンチルシクロヘキシルアセテート、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール、7-アセチル-1,1,3,4,4,6-ヘキサメチルテトラリン、アジピン酸ジエステル、アルファ-アミルシンナムアルデヒド、アルファ-メチルイオノン、アミルCブチルフェニルメチルプロピオナルシンナマル、サリチル酸アミル、アミルシンナミルアルコール、アニスアルコール、ベンゾイン、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸ベンジル、サリチル酸ベンジル、ベルガモット油、ビターオレンジ油、ブチルフェニルメチルプロピオナール、カルダモン油、セドロール、シンナマル、シンナミルアルコール、メチルクロトン酸シトロネリル、レモン油、クマリン、コハク酸ジエチル、エチルリナロール、オイゲノール、エベルニアフルフラセア(evernia furfuracea)抽出物、ツノマタゴケ(evernia prunastri)抽出物、ファルネソール、ユソウボク木油、ヘキシルシンナマル、サリチル酸ヘキシル、ヒドロキシシトロネラール、ラベンダー油、レモン油、酢酸リナリル、マンダリン油、メンチルPCA、メチルへプテノン、ナツメグ油、ローズマリー油、スイートオレンジ油、テルピネオール、トンカマメ油、トリエチルシトレート、バニリン及びその組合せからなる群から選択される。
【0135】
上記の好ましい実施形態に関連して、サンスクリーン又はボディケア組成物が2種以上の添加剤を含む場合、上で定義される通りの添加剤の組合せもまた本発明の一部であることが理解される。
【0136】
上記の好ましい実施形態に関連して、ボディケア製品は水をさらに含んでもよいことが理解される。水がボディケア製品中に存在する場合、ボディケア製品は、水中油型エマルジョン(O/Wエマルジョン)又は油中水型エマルジョン(W/Oエマルジョン)であり得る。本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物を含む化粧品又は医薬品組成物は、O/Wエマルジョン又はW/Oエマルジョンである。
【実施例】
【0137】
本発明は、以下の実施例によってさらに例示される。
【0138】
例
以下の略語が本明細書で使用される:
【0139】
【0140】
本発明の化合物は、適切な材料を使用して、以下のスキーム及び実施例の手順に従って調製することができ、且つ以下の特定の実施例によってさらに例示される。
【0141】
別段の指定のない限り、すべての出発材料は商業的供給業者から入手し、さらなる精製を行わずに使用する。別段の指定のない限り、すべての温度は単位℃で表し、すべての反応は室温(rt)で実施する。
【0142】
材料
クロコン酸をabcr GmbH、ドイツから購入した。純度>95%[CAS登録番号488-86-8、4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン]。
【0143】
Tinogard QをBASF、ドイツから購入した。Tinogard Qは、水及びエタノール中のトリス(テトラメチルヒドロキシピペリジノール)シトレートを含む。Tinogard Qは励起状態クエンチャーであり、水溶性の黄色を帯びた褐色の液体である。
【0144】
[例1]
化合物の合成
比較化合物1(Comp.化合物1):4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二ナトリウム塩
【0145】
【化10】
水(30ml)中のクロコン酸(2.02g、14.22mmol)の冷却溶液に、水中の水酸化ナトリウムの10%溶液(11.74g、29mmol)を、pHが7±1で安定したままになるまで1℃でゆっくり添加した。生じたナトリウム塩が黄色の結晶として部分的に沈殿した。懸濁液をより大きい丸底フラスコに移し、2-ブタノン(500ml)を添加し、水/2-ブタノンを共沸蒸留によって除去した。生じた黄色の結晶を数ミリリットルの2-ブタノンに懸濁させ、ろ別し、洗浄し、真空中で乾燥した。二ナトリウム塩(3.06g)を黄色の固体として得た。
【0146】
NMR(13C、100MHz、D2O):188.4ppm(クロコネートジアニオンの芳香族性を示すただ1つの単一シグナル)。
【0147】
比較化合物2(Comp.化合物2):4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二カリウム塩
【0148】
【化11】
水酸化カリウムを水酸化ナトリウムの代わりに使用して、比較化合物1に従って二カリウム塩を得た。
【0149】
NMR(13C、100MHz、D2O):188.4ppm(クロコネートジアニオンの芳香族性を示すただ1つの単一シグナル)。
【0150】
化合物A:4,5-ジヒドロキシ-4-シクロペンテン-1,2,3-トリオン二トリエタノールアンモニウム塩(本明細書でTEAクロコン酸塩とも呼ばれる)
【0151】
【化12】
水(30ml)中のクロコン酸(2.02g、14.22mmol)の冷却溶液に、水中のトリエタノールアミンの25%溶液(18.2g、30.5mmol)を、pHが7±1で安定したままになるまで1℃で滴加した。氷浴を取り外し、反応物を周囲温度に温めた。懸濁液をより大きい丸底フラスコに移し、2-ブタノン(500ml)を添加し、水/2-ブタノンを共沸蒸留によって除去した。生じたトリエタノールアンモニウム塩(7.0g)を褐色の油状物(高吸湿性)として得た。
【0152】
NMR(13C、100MHz、D2O):55.2、55.3、188.3ppm(クロコネートジアニオンの芳香族性を示す188.3ppmシグナル)。
【0153】
[例2]
比減衰係数
Perkin Elmer Lambda 650 UV/VIS Spectrophotometerを使用して比較(Comp.とも呼ばれる)化合物1及び2並びに化合物Aの比減衰係数を測定した。
【0154】
水を使用して、濃度c=1mMのUV吸収剤のストック溶液を100mlのメスフラスコ中に調製した。光路長d=1cmでの減衰Eが1.0±0.5となるように濃度を調整するために、続いて希釈ステップを行った。UVスペクトルを、光路長d=1cmのキュベット内で、250nmから500nmまでで測定した。ランベルト-ベールの法則を用いて、任意の波長でのモル減衰係数(モル吸光係数)(molar decadic extinction coefficient)が以下で得られる:
【0155】
【0156】
それぞれの比減衰度E%1,1cmは、以下の等式によって得ることができる:
【0157】
【数2】
(式中、M=UV吸収剤の分子量である)。
【0158】
表1から導かれるように、すべての被験化合物は、皮膚の防御に適切なUV領域内で吸収性である。したがって、すべての被験化合物は、化粧用サンケアに本質的に適用可能である。
【0159】
【0160】
[例3]
生分解
一般に、生分解性は、以下のコンセプトに基づいて試験する:
【0161】
【0162】
OECD 301(OECD GUIDELINE FOR TESTING OF CHEMICALS No 301)に従ってOECD 301Fマノメトリック呼吸測定試験(manometric respirometry test)によってクロコン酸、Myritol 318、Cetiol AB、及びグルコースの生分解を調査した。
【0163】
図1Aは、易生分解性、遅生分解性、中生分解性、及び非生分解性の異なる分解曲線を示す。
図1Bから分かるように、クロコン酸、Myritol 318、及びCetiol ABは易生分解性である(グルコースは生分解性の基準である)。
【0164】
クロコン酸を水に溶解させる場合、それはジアニオン及びオキソニウムイオンに解離する。クロコン酸のジアニオンがUV吸収の原因であるため、クロコン酸の生分解のみ試験した。しかし、2,2',2''-ニトリロトリエタノールが水中で易生分解性であることも公知である(例えば、https://www.echa.europa.eu/web/guest/substance-information/-/substanceinfo/100.002.773及びhttps://www.echa.europa.eu/web/guest/registration-dossier/-/registered-dossier/15134/5/3/2参照)。したがって、化合物Aは生分解性である。
【0165】
[例4]
製剤の調製
表2及び3に開示される通りの成分を用いて、以下の製造プロセスに従って製剤1~5を調製した。
【0166】
製造プロセス:
部Aを85℃に加熱した。部Bを85℃に加熱した。均質化しながら部Bを部Aに添加した。穏やかに撹拌しながら混合物を30℃に冷却し、部Cを添加した。穏やかに撹拌しながら混合物を室温に冷却した。
【0167】
【0168】
【0169】
[例5]
製剤におけるクロコン酸塩の吸光度
製剤1及び2の吸光度を以下の通りに測定した:
予備飽和(presaturated)指サックを使用して、30mgミリグラムの製品を粗面化PMMAプレート(Heliosplate SB6、Helioscreen Creil/フランス)上に均一に広げた。15分の平衡時間の後、積分球を備えた分光光度計(UV Transmittance Analyzer UV1000-S、Labsphere North Sutton/米国)を使用して、290~400nmの間の透過測定を実施した。
【0170】
図2から分かるように、化合物Aを含む製剤の吸光度は、予想される範囲内であるのに対し、比較化合物1を含む製剤の吸光度はより低く(表1と比較)、それは、水蒸発後の化合物の結晶化のためである。
【0171】
[例6]
光安定性
製剤3~5の光安定性を試験した。
【0172】
予備飽和指サックを使用して、30mgミリグラムの製品を粗面化PMMAプレート(Heliosplate SB6、Helioscreen Creil/フランス)上に均一に広げた。15分の平衡時間の後、積分球(UV Transmittance Analyzer UV1000-S、Labsphere North Sutton/米国)を備えた分光光度計を使用して、290~400nmの間の透過測定を実施した。
【0173】
その後、キセノンアークランプ及び特殊ガラスフィルター(Solar Standard 56077759)を備えたAtlas CPS+ solar simulator(Atlas Material Testing、Linsengericht/ドイツ)を使用して、種々の照射線量をプレートに適用した。
【0174】
5、10、及び20MEDの照射線量の後、透過測定を繰り返した。
【0175】
製剤3のサンプルに5及び10MEDで照射した。
【0176】
製剤4のサンプルに5MEDで照射した。
【0177】
製剤5のサンプルに5、10及び20MEDで照射した。
【0178】
これに関連して、MEDは最小紅斑線量であり、日焼けを生じさせ得る閾値線量と定義されることに留意されたい。所与の紅斑実効性のUV線量による損傷に対する皮膚の感受性は、個々の皮膚タイプ、及びその年の間に、例えばタンニングによって獲得された皮膚の防御の様々な状態に依存する。MEDは、皮膚に応じて様々である。
【0179】
紅斑作用スペクトルを用いたCOLIPA(European Cosmetics, Toiletries and Perfumeries Association)標準太陽スペクトルの重み付けは、0.217W.m-2の紅斑照射量を導く。250J.m-2のUV線量の後に1MEDが実現されると仮定すると、COLIPA標準太陽条件下で1MEDに対応する時間は19分であろう。ATLAS Suntest CPS+のUV強度はCOLIPA標準太陽の1.68倍であったため、装置のUV照射量はまた、およそ5MED.h-1と表され得る。
【0180】
図3から分かるように、UVAフィルターとして化合物A及びUVBフィルターとしてEHMCを含む製剤3は、UVA範囲において光不安定性を示す。
【0181】
図4は、単一のUVフィルターとして化合物Aを含む製剤4もまた光安定性ではないことを示す。
【0182】
それとは対照的に、フォトスタビライザーTinogard Qと組み合わせた、単一のUVフィルターとして化合物Aを含む製剤5は、改善された光安定性を示した。
【国際調査報告】