(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-12
(54)【発明の名称】膜における使用のためのポリスルホンポリマーのガンマ-バレロラクトン中溶液
(51)【国際特許分類】
B01D 71/68 20060101AFI20230705BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20230705BHJP
C08L 81/06 20060101ALI20230705BHJP
C08L 101/14 20060101ALI20230705BHJP
【FI】
B01D71/68
B01D69/00
C08L81/06
C08L101/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577508
(86)(22)【出願日】2021-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2021065241
(87)【国際公開番号】W WO2021254820
(87)【国際公開日】2021-12-23
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロンヴァルト,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】クライン,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ベルク,レギーナ-マルガレータ
【テーマコード(参考)】
4D006
4J002
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006GA13
4D006HA61
4D006MA01
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4D006MA03
4D006MA04
4D006MA25
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4D006MB02
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4D006MC29
4D006MC62X
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4D006MC88
4D006NA04
4D006NA10
4D006NA12
4D006NA13
4D006NA14
4D006NA54
4J002BJ00X
4J002CH02X
4J002CN03W
4J002GD00
4J002GD05
4J002HA05
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種のスルホンポリマー、少なくとも1種の水溶性ポリマー及びガンマ-バレロラクトン(4,5-ジヒドロ-5-メチル-2(3H)-フラノン、CAS番号108-29-2、式)を含む溶液、膜を作製する方法並びに水限外濾過及び/又は透析のためのこの膜の使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 少なくとも1種のスルホンポリマー、
b) 少なくとも1種の水溶性ポリマー、及び
c) ガンマ-バレロラクトン
を含む溶液。
【請求項2】
前記少なくとも1種のスルホンポリマーが、ポリ(エーテルスルホン)、ポリスルホン又はこれらの混合物である、請求項1に記載の溶液。
【請求項3】
スルホンポリマーが、スルホンポリマー100g当たり0.02mol~2molの-SO
2-単位を含む、請求項1又は2に記載の溶液。
【請求項4】
水溶性ポリマーが、8000g/mol以上のモル質量を有する、ポリ(N-ビニルピロリドン)及びポリ(アルキレンオキシド)、例えば、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)/ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマー、又はこれらの混合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項5】
C
2~C
4アルカノール、C
2~C
4アルカンジオール、C
3~C
4アルカントリオール、100~1000g/molのモル質量を有するポリ(エチレンオキシド)、又はこれらの混合物から選択される添加剤を更に含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項6】
溶液の総重量に基づいて、5wt%~50wt%のスルホンポリマーを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項7】
溶液の総重量に基づいて、0.1wt%~15wt%の水溶性ポリマーを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項8】
溶液の総重量に基づいて、50wt%~90wt%のガンマ-バレロラクトンを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項9】
溶液の総重量に基づいて、0.1wt%~25wt%の添加剤を含む、請求項5から7のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項10】
溶液の総重量に基づいて、2.5wt%未満の、150℃を超える沸点を有する高沸点エーテル、エステル、ケトン、非対称にハロゲン化された炭化水素、アニソール、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロパン酸アミド、N,N-ジエチル-2-ヒドロキシプロパン酸アミド又はこれらの混合物を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の溶液。
【請求項11】
膜を作製する方法であって、請求項1から10のいずれか一項に記載の溶液を使用する、方法。
【請求項12】
以下の工程:
a) 請求項1から10のいずれか一項に記載の溶液を用意する工程、
b) 溶液を少なくとも1種の凝固剤と接触させる工程、
c) 得られた膜を酸化及び/又は洗浄する工程
を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1種の凝固剤が、水、水蒸気、水-アルコールの混合物、水-ポリ(アルキレンオキシド)の混合物及び/又は水-溶媒の混合物、好ましくは水-ガンマ-バレロラクトンの混合物を含み、溶媒が、150℃を超える沸点を有する高沸点エーテル、エステル、ケトン、非対称にハロゲン化された炭化水素、アニソール、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロパン酸アミド、N,N-ジエチル-2-ヒドロキシプロパン酸アミド及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程c)において、膜を、
i)水で洗浄するか、又はii)次亜塩素酸塩水溶液で酸化し、続いて水で洗浄し、更なる工程において重亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄する、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項11から14のいずれか一項に記載の方法により得られる膜。
【請求項16】
平均細孔サイズが、0.3μm~0.9μmである、請求項15に記載の膜。
【請求項17】
限外濾過及び/又は透析のための、請求項15又は16に記載の膜の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のスルホンポリマー、少なくとも1種の水溶性ポリマー及びガンマ-バレロラクトン(4,5-ジヒドロ-5-メチル-2(3H)-フラノン、CAS番号108-29-2、式I)を含む溶液、膜を作製する方法並びに水限外濾過及び/又は透析のためのこの膜の使用に関する。
【0002】
【背景技術】
【0003】
スルホンポリマー、例えば、ポリスルホン、ポリ(エーテルスルホン)及びポリ(フェニルスルホン)は、その機械的特性並びにその化学的及び熱的な安定性のために、多様な技術的用途に使用される高性能ポリマーである。しかし、スルホンポリマーには多くの一般的な溶媒における溶解度の制限がある。
【0004】
US 5,885,456は、スルホンポリマーに好適な溶媒として、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルアクリルアミド(DMAD)又はジメチルスルホキシド(DMSO)を開示している。しかし、NMP、DMAC、DMAD及びDMSOは毒性学的な欠点を有する。
【0005】
1つの主要な技術的用途は、US 4,207,182及びUS 5,885,456に記載される、例えば限外濾過膜(UF膜)のような膜の生成のための原材料としてスルホンポリマーを使用することである。スルホンポリマーから膜を生成する方法には、スルホンポリマーを溶媒に溶解することと、スルホンポリマーをそのような溶媒から凝固させることと、更なる後処理工程とが含まれる。溶媒の選択はこの方法に不可欠であり、得られた膜の特性、例えば、これらに限定されないが、膜の機械的安定性、水透過性及び細孔サイズに影響を与える。
【0006】
M.A. Rasool及びI.F.J. Vankelecom、Green Chemistry、21、1054~1064頁(2019)には、生成プロセス中に水溶性ポリマーを添加しない、バイオベースの再生可能な溶媒としてのガンマ-バレロラクトンを使用することが記載されている。しかし、調製されたポリ(エーテルスルホン)(PESU)及びポリスルホン(PSU)膜は不十分な透過性を示す。
【発明の概要】
【0007】
溶媒分野では、特定の用途において現在使用されている溶媒を置き換え得る代替の溶媒が現在必要とされている。そこから作製された膜に関しては、少なくとも同じ標準の膜品質、場合により更により良好な膜品質が達成されることが重要である。特に、そのような膜の水透過性は、10~100kDaの限外濾過範囲の分子量カットオフと併せて、可能な限り高くあるべきである。更に、改善された毒性学的プロファイルを有する膜のための溶媒を提供する必要がある。
【0008】
本発明の目的は、スルホンポリマーのための及び膜を作製する方法のための代替の溶媒を提供することであった。代替の溶媒は、上に列記した必要条件を満足するべきである。
【0009】
この目的は、以下に定義される溶液及び以下に定義される膜を作製する方法により達成される。
【0010】
本発明による溶液は、
a) 少なくとも1種のスルホンポリマー、
b) 少なくとも1種の水溶性ポリマー、及び
c) ガンマ-バレロラクトン、並びに
d) 任意選択で更なる添加剤
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例7のSEM(走査型電子顕微鏡)断面(倍率750×)を示す図である。
【
図2】比較例11のSEM(走査型電子顕微鏡)断面(倍率750×)を示す図である。
【
図3】NFM中のE3010の光学的外観(比較例38)を示す図である。
【
図4】GVL中のE3010の光学的外観(実施例37)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
スルホンポリマーに関して
本発明による溶液はスルホンポリマーを含む。用語「スルホンポリマー」には、異なるスルホンポリマーの混合物が含まれる。
【0013】
スルホンポリマーは、ポリマー中に、好ましくはポリマーの主鎖中に、-SO2-単位を含む。
【0014】
好ましくは、スルホンポリマーは、スルホンポリマー100グラム(g)当たり少なくとも0.02molの-SO2-単位、特に少なくとも0.05molの-SO2-単位を含む。スルホンポリマー100g当たり少なくとも0.1molの-SO2-単位を含むスルホンポリマーがより好ましい。スルホンポリマー100g当たり少なくとも0.15molのSO2-単位、特に少なくとも0.2molの-SO2-単位を含むスルホンポリマーが最も好ましい。
【0015】
通例、スルホンポリマーは、スルホンポリマー100グラム(g)当たり最大で2molの-SO2-単位、特に最大で1.5molの-SO2-単位を含む。スルホンポリマー100グラム当たり最大で1molの-SO2-単位を含むスルホンポリマーがより好ましい。スルホンポリマー100グラム当たり最大で0.5molの-SO2-単位を含むスルホンポリマーが最も好ましい。
【0016】
スルホンポリマーは芳香族基を含むことが好ましく、芳香族スルホンポリマーと略称される。
【0017】
一実施形態では、スルホンポリマーは、スルホンポリマーの総重量に基づいて、少なくとも20wt%(重量%)、特に少なくとも30wt%の芳香族炭素原子で構成される芳香族スルホンポリマーである。芳香族炭素原子は、芳香族環系の一部である炭素原子である。
【0018】
スルホンポリマーの総重量に基づいて、少なくとも40wt%、特に少なくとも45wt%の芳香族炭素原子で構成される芳香族スルホンポリマーがより好ましい。
【0019】
スルホンポリマーの総重量に基づいて、少なくとも50wt%、特に少なくとも55wt%の芳香族炭素原子で構成される芳香族スルホンポリマーが最も好ましい。
【0020】
一実施形態では、スルホンポリマーは、スルホンポリマーの総重量に基づいて、最大80wt%、特に最大72wt%の芳香族炭素原子で構成される芳香族スルホンポリマーである。
【0021】
好ましくは、スルホンポリマーは、1,4-フェニレン、1,3-フェニレン、1,2-フェニレン、4,4'-ビフェニレン、1,4-ナフチレン、3-クロロ-1,4-フェニレン又はこれらの混合物から選択される芳香族基を含み得る。
【0022】
芳香族基は、例えば、-SO2-、-SO-、-S-、-O-、-CH2-、-C(CH3)2又はこれらの混合物から選択される単位から連結され得る。
【0023】
一実施形態では、スルホンポリマーは、スルホンポリマーの総重量に基づいて、それぞれ、少なくとも80wt%、より好ましくは少なくとも約90wt%、最も好ましくは少なくとも95wt%、それぞれ少なくとも98wt%の、上記の芳香族基及び/又は連結基から選択される基で構成される。
【0024】
好ましいスルホンポリマーの例は、以下の通りである:
例えばUltrason(登録商標)Eの商標名でBASFから入手可能な、式II
【0025】
【化2】
のポリ(エーテルスルホン)、
例えばUltrason(登録商標)Sの商標名でBASFから入手可能な、式III
【0026】
【化3】
のポリスルホン、及び
例えばUltrason(登録商標)Pの商標名でBASFから入手可能な、式IV
【0027】
【0028】
最も好ましいスルホンポリマーは、ポリ(エーテルスルホン)、例えば(Ultrason(登録商標)E)である。
【0029】
スルホンポリマーに関する粘度数(V.N.)は、50~120ml/g、好ましくは60~100ml/gの範囲であり得る。V.N.は、0.01g/molのフェノール/1,2オルトジクロロベンゼンの1:1溶液中で、ISO 307に準拠して測定される。
【0030】
スルホンポリマーに関して、45~95kDa、好ましくは50~60kDaの重量平均分子量Mwが使用され得る。スルホンポリマーに関して、48~92kDaの重量平均分子量Mwを有するUltrason(登録商標)E、52~60kDaの重量平均分子量Mwを有するUltrason(登録商標)S、及び48kDaの重量平均分子量Mwを有するUltrason(登録商標)Pが入手可能である。Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定される。前記Ultrasonポリマーは、BASF SEから市販されており、パンフレット:Ultrason-a versatile material for the production of tailor-made membranes、BASF SE、2017年、6頁(https://plastics-rubber.basf.com/global/de/performance_polymers/downloads.html)を参照されたい。
【0031】
溶液は、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)及び/又はエチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)のポリマーを更に含み得る。好ましくは、粉末及びペレットの形態のPVDF及びECTFEグレードが使用される。これらのPVDFグレードは、例えばSolvay Speciality Polymersから入手可能な、重量平均分子量Mwが300~320kDa(例えばSolef(登録商標)6010)、380~400kDa(例えばSolef(登録商標)6012)、570~600kDa(例えばSolef(登録商標)1015)及び670~700kDa(例えばSolef(登録商標)6020)の範囲の、線状又はゲル無含有の製品として使用され得る。ECTFEは、1.0のメルトフローインデックスを有するもの(2.16kg及び5.0kgで試験、Solvay Speciality Polymersから、例えばHalar(登録商標)901及び902を入手可能)が使用され得る。
【0032】
水溶性ポリマーに関して
水溶液ポリマーの主要な目的は、細孔の形成をサポートすることである。膜を作製する方法における凝固工程では、水溶性ポリマーは凝固膜中に分布し、したがって細孔の保持場所となる。水溶性ポリマーはまた、溶液の粘度を調節する助けにもなる。
【0033】
好ましい水溶性ポリマーは、8000g/mol以上のモル質量を有する、ポリ(N-ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)/ポリ(プロピレンオキシド)ブロックコポリマー又はこれらの混合物の群から選択される。水溶性ポリマーとして、8000g/mol以上のモル質量を有するポリ(エチレンオキシド)、ポリ(N-ビニルピロリドン)又はこれらの混合物が特に好ましい。8000g/mol以上のモル質量を有するポリ(エチレンオキシド)が最も好ましい。
【0034】
最も好ましい水溶性ポリマーは、Fikentscherの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932年(58))により決定された30以上のK値を特徴とする溶液粘度を有するポリ(N-ビニルピロリドン)、及び/又はゲル浸透クロマトグラフィー(水中のGPC、ポリ(エチレンオキシド)標準)により決定された50000~2000000g/mol又はそれ以上のモル質量を有するポリ(エチレンオキシド)である。ゲル浸透クロマトグラフィー(水中のGPC、ポリ(エチレンオキシド)標準)により決定された100000~500000又はそれ以上のモル質量を有するポリ(エチレンオキシド)が最も好ましい。
【0035】
溶液に関して
溶液は、更なる添加剤を含み得る。これらの添加剤は、C2~C4アルカノール、C2~C4アルカンジオール、C3~C4アルカントリオール、100~1000g/molの範囲のモル質量を有するポリエチレングリコール又はこれらの混合物の群から選択される。好ましい添加剤は、エタノール、n-プロパノール、イソ-プロパノール、n-ブタノール、イソ-ブタノール、tert-ブタノール、エチレングリコール、1,1-エタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,2-プロパンジオール、1,2,3-プロパントリオール、1,1,1-プロパントリオール、1,1,2-プロパントリオール、1,2,2-プロパントリオール、1,1,3-プロパントリオール、1,1,1-ブタントリオール、1,1,2-ブタントリオール、1,1,3-ブタントリオール、1,1,4-ブタントリオール、1,2,2,-ブタントリオール、2,2,3-ブタントリオール、2-メチル-1,1,1-トリオルプロパン(triolpropan)、2-メチル-1,1,2-トリオルプロパン、2メチル-1,2,3-トリオルプロパン、及び/若しくは2-メチル-1,1,3-トリオール-プロパン、又はこれらの混合物である。
【0036】
一実施形態では、溶液の総重量に基づいて、25wt%まで、特に15wt%までが添加剤である。一実施形態では、添加剤の量は、溶液の総重量に基づいて、0.1wt%~25wt%、特に5wt%~15wt%、好ましくは7.5wt%~12.5wt%の範囲である。
【0037】
溶液は、ガンマ-バレロラクトン以外の更なる溶媒を含み得、以下、これを共溶媒とも呼ぶ。
【0038】
一実施形態では、本発明による溶液は、溶液の総量に基づいて、25wt%未満、好ましくは10wt%未満、より好ましくは5wt%未満、より好ましくは2.5wt%未満、最も好ましくは1wt%未満、最も好ましくは0wt%の共溶媒(複数可)を含む。
【0039】
一実施形態では、本発明による溶液は、溶液中のガンマ-バレロラクトンの総量に基づいて、25wt%未満、好ましくは10wt%未満、より好ましくは5wt%未満、より好ましくは2.5wt%未満、最も好ましくは1wt%未満、最も好ましくは0wt%の共溶媒(複数可)を含む。
【0040】
好ましい共溶媒は、ガンマ-バレロラクトンと任意の比で混和する。好適な共溶媒は、例えば、150℃を超える沸点を有する高沸点エーテル、エステル、ケトン、非対称にハロゲン化された炭化水素、アニソール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロパン酸アミド、N,N-ジエチル-2-ヒドロキシプロパン酸アミド又はこれらの混合物から選択される。
【0041】
一実施形態では、本発明による溶液は、溶液の総量に基づいて、25wt%未満、好ましくは10wt%未満、より好ましくは5wt%未満、最も好ましくは1wt%未満の共溶媒を含むか又は共溶媒を含まず、ここで共溶媒は、150℃を超える沸点を有する高沸点エーテル、エステル、ケトン、非対称にハロゲン化された炭化水素、アニソール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロパン酸アミド、N,N-ジエチル-2-ヒドロキシプロパン酸アミド及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0042】
一実施形態では、本発明による溶液は、溶液の総量に基づいて、25wt%未満、好ましくは10wt%未満、より好ましくは5wt%未満、より好ましくは2.5wt%未満、最も好ましくは1wt%未満、最も好ましくは0wt%のジメチルスルホキシドを含む。
【0043】
好ましい実施形態では、溶液に共溶媒は使用されず、ガンマ-バレロラクトンが使用される唯一の溶液である。
【0044】
好ましくは、溶液は、溶液の総重量に基づいて、1wt%~50wt%、特に5wt%~40wt%、特に10wt%~30wt%、より好ましくは15wt%~20wt%のスルホンポリマーを含む。
【0045】
好ましくは、溶液は、溶液の総重量に基づいて、0.1wt%~15wt%、特に1wt%~10wt%、より好ましくは3wt%~8wt%の水溶性ポリマーを含む。
【0046】
好ましくは、溶液は、溶液の総重量に基づいて、50wt%~90wt%、特に60wt%~80wt%のガンマ-バレロラクトンを含む。
【0047】
一般的規則として、溶液の全成分の総量は100%を超えない。
【0048】
溶液は、スルホンポリマー及び水溶性ポリマーをガンマ-バレロラクトンに添加し、当技術分野で公知の任意の方法に基づいてスルホンポリマーを溶解することにより調製され得る。溶解プロセスは、溶液の温度を20℃~100℃に、好ましくは40℃~80℃に、より好ましくは50℃~60℃に上昇させることにより、及び/又は撹拌のような機械的操作により,
支持され得る。代替の一実施形態では、スルホンポリマーは、ガンマ-バレロラクトン又はガンマ-バレロラクトンを含む溶媒混合物中で既に合成されていてもよい。
【0049】
一実施形態では、本発明による溶液は、
溶液の総重量に基づいて、
a) 5wt%~50wt%、特に10wt%~40wt%、より好ましくは15wt%~25wt%のスルホンポリマー(複数可)、及び/又は
b) 0.1wt%~15wt%、特に1wt%~10wt%、より好ましくは3wt%~8wt%の水溶性ポリマー(複数可)及び/又は
c) 50wt%~90wt%、特に60wt%~80wt%のガンマ-バレロラクトン及び/又は
d) 任意選択で、0.1wt%~25wt%、好ましくは1wt%~10wt%の更なる添加剤
を含み、溶液の全成分の総量は100%を超えない。
【0050】
膜を作製する方法に関して
本出願の文脈において、膜は、2つの流体を分離するか、又は分子及び/若しくはイオン性成分及び/若しくは粒子を液体から分離するか、並びに/又は気体を液体から分離することが可能な半透性構造であると理解される。膜は選択的障壁として作用し、一部の粒子、物質又は化学物質を通過させながら他のものを保持する。膜は、平板状(平坦シート状)、渦巻形状、台状、管状、単一腔の中空繊維又は複数腔の中空繊維などの様々な幾何学的形状を有し得る。
【0051】
例えば、膜は、逆浸透(RO)膜、正浸透(FO)膜、ナノ濾過(NF)膜、限外濾過(UF)膜又はマイクロ濾過(MF)膜であり得る。これらの膜の種類は、当技術分野で一般に公知であり、文献に詳細が記載されている。優れた概要が以前の欧州特許出願第15185604.4号にも見出され(PF 78652)、これは本明細書に参照により組み込まれる。好ましい膜は限外濾過(UF)膜である。本発明による好ましい膜は、限外濾過(UF)膜及びナノ濾過(NF)膜、特に透析膜である。
【0052】
膜は、以下の工程:
a) 少なくともスルホンポリマー、ガンマ-バレロラクトンを含み、水溶性ポリマーを更に含む溶液を用意する工程、
b) 溶液を少なくとも1種の凝固剤と接触させる工程、並びに
c) 得られた膜を酸化及び/又は洗浄する工程
を含む、本発明の方法に従って生成され得る。
【0053】
工程a)中の溶液は、上述の溶液に対応する。水溶液ポリマーの主要な目的は、細孔の形成をサポートすることである。続く凝固工程b)では、水溶性ポリマーは凝固膜中に分布し、したがって細孔の保持場所となる。水溶性ポリマーはまた、溶液の粘度を調節する助けにもなる。
【0054】
本発明による方法で使用される溶液は、
溶液の総重量に基づいて、
i) 5wt%~50wt%、特に10wt%~40wt%、より好ましくは15wt%~25wt%のスルホンポリマー(複数可)、及び/又は
ii) 0.1wt%~15wt%、特に1wt%~10wt%、より好ましくは3wt%~8wt%の水溶性ポリマー(複数可)及び/又は
iii) 50wt%~90wt%、特に60wt%~80wt%のガンマ-バレロラクトン及び/又は
iv) 任意選択で、0.1wt%~25wt%、好ましくは1wt%~10wt%の更なる添加剤
を含むことができ、溶液の全成分の総量は100%を超えず、
好ましくは、スルホンポリマーはポリ(エーテルスルホン)ポリマーであり、及び/又は
好ましくは、水溶性ポリマーは、100000~500000のモル質量を有するポリ(エチレンオキシド)である。
【0055】
溶液は、次の工程に進む前に、任意選択で脱気されてもよい。
【0056】
本発明の方法における工程b)では、溶液を凝固剤と接触させる。この工程では、スルホンポリマーの凝固が起こり、膜構造が形成される。
【0057】
スルホンポリマーは、凝固剤中で低溶解度を持たなければならない。好適な凝固剤は、例えば、液体の水、水蒸気、アルコール、溶媒又はこれらの混合物である。好適なアルコールは、例えば、C2~C4アルカノール、C2~C4アルカンジオール、C3~C4アルカントリオールの群から選択されるモノ-、ジ-若しくはトリアルカノール、100~1000g/molのモル質量を有するポリ(エチレンオキシド)、又はこれらの混合物であり、これらは本発明の溶液用の凝固剤として使用され得る。
【0058】
好適な溶媒は、150℃を超える沸点を有する高沸点エーテル、エステル、ケトン、非対称にハロゲン化された炭化水素、アニソール、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチル-2-ヒドロキシプロパン酸アミド、N,N-ジエチル-2-ヒドロキシプロパン酸アミド及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0059】
好ましい凝固剤は、液体の水及びアルコール、例えば100~1000g/molのモル質量を有するポリ(エチレンオキシド)を含む混合物、並びに/又は液体の水及び溶媒、特にガンマ-バレロラクトンを含む混合物である。
【0060】
前記凝固剤は、凝固剤の総重量に基づいて、10wt%~90wt%の水及び90wt%~10wt%のアルコール、並びに/又は溶媒(複数可)、好ましくは30wt%~70wt%の水及び70wt%~30wt%のアルコール、並びに/又は溶媒(複数可)を含み得る。一般的規則として、凝固剤の全成分の総量は100%を超えない。
【0061】
液体の水/アルコールの混合物、特に水と100~1000g/molのモル質量を有するポリ(エチレンオキシド)との混合物、又はガンマ-バレロラクトン/水の混合物を含む凝固剤がより好ましく、ここで凝固剤は、凝固剤の総重量に基づいて、30wt%~70wt%の水及び70wt%~30wt%のアルコール、並びに/又は溶媒(複数可)を含む。
【0062】
凝固剤として、液体の水が最も好ましい。
【0063】
本発明のプロセス工程a)及びb)の更なる詳細は、膜の所望の幾何学的構造及び製造規模(例えば実験室規模又は商業規模)に依存する。
【0064】
平板状膜に関して、詳細なプロセス工程は以下の通りであり得る:
a1) 水溶性ポリマー(複数可)を、スルホンポリマー(複数可)及びガンマ-バレロラクトンを含む溶液に添加する工程、
a2) 粘性の溶液が得られるまで溶液を加熱し、典型的には、溶液を20℃~100℃、好ましくは40℃~80℃、より好ましくは50℃~60℃の温度に保持する工程、
a3) 均質な混合物が形成されるまで溶液を更に撹拌し、典型的には、均質化を5時間~10時間内、好ましくは1時間~2時間内に完結させる工程、
b) a3)で得られた溶液を支持体上に流延(キャスト)し、その後、流延フィルムを、好ましくは水である凝固浴に移す工程、並びに
c) 工程b)で得られた膜を酸化及び/又は洗浄する工程。
【0065】
膜に関して、溶液の総重量に基づいて、15wt%~25wt%のスルホンポリマー、好ましくはポリ(エーテルスルホン)ポリマー、3wt%~8wt%の水溶性ポリマー(複数可)、好ましくは100000~500000のモル質量を有するポリ(エチレンオキシド)、及び60wt%~80wt%のガンマ-バレロラクトンが使用され得、ここで、溶液の全成分の総量は100%を超えない。
【0066】
単一腔の中空繊維又は複数腔の中空繊維の生成に関して、プロセス工程は以下の通りであり得る:
a1) 水溶性ポリマーを、スルホンポリマー(複数可)及びガンマ-バレロラクトンを含む溶液に添加する工程、
a2) 粘性の溶液が得られるまで溶液を加熱し、典型的には、溶液を20℃~100℃、好ましくは40℃~80℃、より好ましくは50℃~60℃の温度に保持する工程、
a3) 均質な混合物が形成されるまで溶液を更に撹拌し、典型的には、均質化を5時間~10時間内、好ましくは1時間~2時間内に完結させる工程、
b) a3)で得られた溶液を、必要な数の中空針を備える押出ノズルを通して押し出し、押し出し中に、押し出されるポリマー内に中空針を通して凝固液を注入し、その結果、押し出されたポリマー中に、押出方向に伸長する並行連続チャネルが形成される工程、並びに
c) 工程b)で得られた膜を酸化及び/又は洗浄する工程。
【0067】
好ましくは、押出ノズルを出た後に、外表面と、強い凝固剤、例えば水とを接触させることにより、押し出された膜の外表面上の細孔サイズを制御し、内表面上に活性層を伴うことなく形状が固定され、続いて、膜と、穏やかな凝固剤、例えば、水-アルコールの混合物、好ましくは上で定義された及び/又は水-溶媒の混合物、好ましくは、好ましくは上で定義されたガンマ-バレロラクトン/水の混合物とを接触させる。
【0068】
方法の一実施形態では、工程c)において上記で調製された膜のいずれかを洗浄する。好ましくは、膜を水で洗浄する。
【0069】
一実施形態では、上記で調製された任意の膜を工程c)で酸化及び洗浄する。酸化用に、任意の酸化剤を使用してよい。水溶性酸化剤、好ましくは次亜塩素酸塩水溶液(例えば次亜塩素酸ナトリウム)及び/又はハロゲン水溶液(例えば塩素)が好ましい。好ましくは、酸化剤水溶液中の次亜塩素酸塩及び/又は塩素の濃度は、500~5000ppm、より好ましくは1000~4000ppm、最も好ましくは1500~3000ppmの範囲である。
【0070】
酸化並びに洗浄は、水溶性ポリマーを除去し、細孔を形成するために行われる。酸化に続いて洗浄を行ってもよく、又は逆でも良い。酸化及び洗浄を一工程中に同時に行ってもよい。好ましくは、膜を、亜塩素酸塩水溶液又は塩素水溶液で酸化し、続いて水で洗浄し、更なる工程で重亜硫酸ナトリウム水溶液、好ましくは30~60ppmの重亜硫酸ナトリウム水溶液で洗浄する。
【0071】
本発明による溶液は、膜の製造に好適である。得られた前記膜は、高い機械的安定性を有し、優れた分離特性を有する。特に、膜は、当技術分野で言及されるような水透過性(PWP)に関するより良好な値、例えば200~1000kg/h m2 barと併せて、10~100kDaの範囲の良好な分子量カットオフ(MWCO)を有する。
【0072】
ハンセン溶解度パラメーター(HSB)は、溶媒中のポリマーの溶解度の予測のために確立されたものである。溶媒とポリマーの間の親和性の個々の判定のために、溶媒距離(δT)の値が使用される。NMP、DMAc及びDMFと比較して、PVP、PSU、PESU及びPEOに対するGVLのより高い溶媒距離値は、GVL中でのこれらのポリマーの高い溶解性の可能性を示唆しない。
【0073】
【0074】
本発明の方法により得られた膜は、任意の分離目的、例えば、水処理用途、産業及び/又は自治体の廃水の処理、海水及び/又は汽水の脱塩、透析、原形質分離及び/又は食品加工に使用され得る。
【実施例】
【0075】
実施例で使用される略語及び化合物:
PWP 純水透過性
MWCO 分子量カットオフ
GVL ガンマ-バレロラクトン
NMP N-メチルピロリドン
DMAc N,N-ジメチルアセトアミド
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
NFM N-ホルミルモルホリン
Ultrason(登録商標)E 3010 66の粘度数(ISO 307;0.01g/molのフェノール/1,2オルトジクロロベンゼン 1:1の溶液中);225℃のガラス転移温度(DSC、10℃/分;ISO 11357-1/-2に準拠);分子量Mw(THF中のGPC、PS標準):58000g/mol、Mw/Mn=3.3を有するポリ(エーテルスルホン)
Ultrason(登録商標)E 6020P 81の粘度数(ISO 307;0.01g/molのフェノール/1,2オルトジクロロベンゼン 1:1の溶液中);225℃のガラス転移温度(DSC、10℃/分;ISO 11357-1/-2に準拠);分子量Mw(THF中のGPC、PS標準):75000g/mol、Mw/Mn=3.4を有するポリ(エーテルスルホン)
Ultrason(登録商標)E 7020P 100の粘度数(ISO 307;0.01g/molのフェノール/1,2オルトジクロロベンゼン 1:1の溶液中);225℃のガラス転移温度(DSC、10℃/分;ISO 11357-1/-2に準拠);分子量Mw(THF中のGPC、PS標準):92000g/mol、Mw/Mn=3.0を有する、ポリ(エーテルスルホン)
Ultrason(登録商標)S 6010 81の粘度数(ISO 307;0.01g/molのフェノール/1,2オルトジクロロベンゼン 1:1の溶液中);187℃のガラス転移温度(DSC、10℃/分;ISO 11357-1/-2に準拠);分子量Mw(THF中のGPC、PS標準):60000g/mol、Mw/Mn=3.7を有する、ポリスルホン
Luvitec(登録商標)K30 Fikentscherの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932年(58))により決定された、30のK値を特徴とする溶液粘度を有する、ポリ(N-ビニルピロリドン)
Luvitec(登録商標)K90 Fikentscherの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932年(58))により決定された、90のK値を特徴とする溶液粘度を有する、ポリ(N-ビニルピロリドン)
Pluriol(登録商標)400E DIN 53240に準拠してOH数から算出された平均分子量400g/molを有する、ポリ(エチレンオキシド)
Pluriol(登録商標)9000E Fikentscherの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932年(58))により決定された、33のK値を特徴とする溶液粘度、及び分子量Mw(0.01molのリン酸緩衝液pH7.4、TSKgel GMPWXLカラム、Tosoh Bioscience、ポリ(エチレンオキシド)標準106-1522000g/molを用いた、水中のGPC):10800g/molを有する、ポリ(エチレンオキシド)
POLYOX(商標)WSR-N10 Fikentscherの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932年(58))により決定された、68のK値を特徴とする溶液粘度、及び分子量Mw(0.01molのリン酸緩衝液pH7.4、TSKgel GMPWXLカラム、Tosoh Bioscience、ポリ(エチレンオキシド)標準106-1522000g/molを用いた、水中のGPC):102000g/molを有する、ポリ(エチレンオキシド)
POLYOX(商標)WSR-N80 Fikentscherの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932年(58))により決定された、84のK値を特徴とする溶液粘度、及び分子量Mw(0.01molのリン酸緩衝液pH7.4、TSKgel GMPWXLカラム、Tosoh Bioscience、ポリ(エチレンオキシド)標準106-1522000g/molを用いた、水中のGPC):187000g/molを有する、ポリ(エチレンオキシド)
POLYOX(商標)WSR-N750 Fikentscherの方法(Fikentscher、Cellulosechemie 13、1932年(58))により決定された、109のK値を特徴とする溶液粘度、及び分子量Mw(0.01molのリン酸緩衝液pH7.4、TSKgel GMPWXLカラム、Tosoh Bioscience、ポリ(エチレンオキシド)標準106-1522000g/molを用いた、水中のGPC):456000g/molを有する、ポリ(エチレンオキシド)
【0076】
膜の純水透過性(PWP)を、直径74mmの圧力セルを使用し、超純水(塩無含有の水、Millipore UFシステムにより濾過)を使用して23℃及び1barの水圧で試験した。純水透過性(PWP)を以下の通りに算出する(式1):
【0077】
【数1】
PWP:純水透過性[kg/bar h m
2]
m:透過水の質量[kg]
A:膜面積[m
2]
P:圧力[bar]
t:透過実験の時間[h]。
【0078】
高いPWPは高流速を可能にし、望ましい。
【0079】
後続の試験では、分子量が増加していくポリ(エチレンオキシド)-標準の溶液を、0.15barの圧力で膜により濾過する供給物として使用した。供給物及び透過物のGPC測定により、使用した各ポリ(エチレンオキシド)-標準の透過物の分子量を測定した。膜の重量平均分子量(MW)カットオフ(MWCO)は、膜によって少なくとも90%制止される最初のポリ(エチレンオキシド)標準の分子量である。例えば、18400のMWCOとは、分子量18400以上のポリ(エチレンオキシド)が、少なくとも90%まで制止されることを意味する。10~100kDaの範囲のMWCOを有することが望ましい。
【0080】
ポリマー溶媒としてGVL(本発明)又は他の溶媒(比較例)を使用した、膜の調製
一般手順
マグネチックスターラーを装備した三つ口フラスコに、表1~6に示すように、65~75mlの溶媒S1、19gのスルホンポリマー(表に記載されるUltrasonポリマー)、表に記載される6~8gの水溶性ポリマー(Luvitec(登録商標)ポリ(N-ビニルピロリドン)又はポリ(アルキレンオキシド)と、任意選択で第2のドープ添加剤(Pluriol(登録商標)400E)を加えた。この混合物を、均質、透明、粘性の溶液になるまで、穏やかな撹拌下、60℃で加熱し、通例、ドープ溶液と呼ばれるものを得た。溶液を一晩、室温で脱気した。
【0081】
その後、膜溶液を60℃で2時間再加熱し、60℃で、5mm/分の速度で作動するErichsen塗布装置を使用して、流延ナイフ(300ミクロン)でガラス板上に流延した。膜フィルムを30秒間置いた後、水ベースの凝固浴中に25℃で10分間浸漬した(表7)。膜をガラス板から取り外した後、膜を注意深く水浴中に移動させ12時間おいた。
【0082】
任意選択で、その後、膜を60℃及びpH9.5で水中に2000ppmのNaOClを含有する浴中に移動させ2時間おいた。次に、膜を水で60℃において洗浄し、重亜硫酸ナトリウムの0.5wt%水溶液で1回洗浄して、活性塩素を除去した(後処理A)。
【0083】
あるいは任意選択で、膜を水で60℃において3回洗浄した(後処理B)。
【0084】
水での数回の洗浄工程後、純水透過性(PWP)及び最小細孔サイズ(MWCO)に関する特徴付けを開始するまで、膜を湿潤状態で保存した。
【0085】
表1~6に膜特性を要約する。
【0086】
本発明に従ってGVLを用いて生成した膜は、当技術分野で公知の膜を超える改善された分離特性を示す。GVLを用いて生成した膜は、限外濾過範囲(10~100kDa)のMWCO値と併せて、当技術分野で公知の膜と比べてより高い水透過性値を示す。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
本発明による膜は、上部に、スポンジ型の下部構造により支持された、良好に形成されたナノ多孔濾過層を示し、上部から底部に向けて細孔サイズが増加している。断面中に、欠陥又はマクロ孔は視認されない(
図1を参照のこと)。比較例からの膜は、上部において濾過層を部分的に貫通し得る多数のマクロ孔を示す(
図2を参照のこと)。本発明に従ってGVLを用いて生成した膜は、当技術分野で公知の膜を超える改善された分離特性を示す。GVLを用いて生成した膜は、限外濾過範囲(10~100kDa)のMWCO値と併せて、他の溶媒を用いて調製した当技術分野で公知の膜と比べてより高い水透過性値を示す。
【0095】
濁度測定:
ポリマー溶液濁度を、濁度計2100AN(Hach Lange GmbH、デュッセルドルフ、ドイツ)で、860nmのフィルターを利用して測定し、比濁計濁度単位(NTU)で表した。濁度測定は、溶媒中のポリマーの溶解度を示す。低NTU値が好ましい。
【0096】
【0097】
本発明に従ってGVLを用いて生成したポリエーテルスルホン(E3010)溶液は、濁ったペーストのみが得られた(溶液が得られなかった)NFM(
図3)とは対照的に、低い溶液濁度を有する(
図4)。GVLを用いて生成したポリスルホン(E6010)溶液もまた、NFM及びDMFより低い濁度を有する(表7を参照のこと)。
【国際調査報告】