(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-13
(54)【発明の名称】バッテリー管理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/367 20190101AFI20230706BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230706BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20230706BHJP
G01R 31/385 20190101ALI20230706BHJP
G01R 31/387 20190101ALI20230706BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20230706BHJP
G01R 31/392 20190101ALI20230706BHJP
【FI】
G01R31/367
H01M10/48 P
G01R31/382
G01R31/385
G01R31/387
G01R31/389
G01R31/392
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575826
(86)(22)【出願日】2021-11-26
(85)【翻訳文提出日】2022-12-08
(86)【国際出願番号】 KR2021017686
(87)【国際公開番号】W WO2022114873
(87)【国際公開日】2022-06-02
(31)【優先権主張番号】10-2020-0161667
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ピル-スン・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】ソク-キョン・イ
(72)【発明者】
【氏名】スン-ビン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ス-ミン・パク
(72)【発明者】
【氏名】チャン-ソン・イ
【テーマコード(参考)】
2G216
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BA01
2G216BA21
2G216BA51
2G216CB11
5H030AA10
5H030AS08
5H030AS11
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置は、充放電サイクル毎に学習用バッテリーの特徴値を抽出するように構成された特徴値抽出部と、前記特徴値抽出部によって抽出された特徴値及び前記特徴値に対応するように予め設定された基準値に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの状態を判断するように構成された第1状態判断部と、前記第1状態判断部によって判断された前記学習用バッテリーの状態に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定するように構成されたラベリング部と、前記ラベリング部によって前記ラベルが設定された特徴値に基づいて、分析用バッテリーの状態を判断するための分類モデルに学習させるように構成されたモデル学習部と、前記モデル学習部によって学習が行われた分類モデルに基づいて、前記分析用バッテリーの状態を判断するように構成された第2状態判断部と、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電サイクル毎に学習用バッテリーの特徴値を抽出するように構成された特徴値抽出部と、
前記特徴値抽出部によって抽出された特徴値及び前記特徴値に対応するように予め設定された基準値に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの状態を判断するように構成された第1状態判断部と、
前記第1状態判断部によって判断された前記学習用バッテリーの状態に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定するように構成されたラベリング部と、
前記ラベリング部によって前記ラベルが設定された特徴値に基づいて、分析用バッテリーの状態を判断するための分類モデルに学習させるように構成されたモデル学習部と、
前記モデル学習部によって学習が行われた分類モデルに基づいて、前記分析用バッテリーの状態を判断するように構成された第2状態判断部と、を含む、バッテリー管理装置。
【請求項2】
前記第1状態判断部は、
前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの状態を正常状態または欠陥状態として判断するように構成されている、請求項1に記載のバッテリー管理装置。
【請求項3】
前記ラベリング部は、
前記学習用バッテリーの状態が正常状態と判断された場合、該当充放電サイクルに対する前記学習用バッテリーの特徴値に第1ラベルを設定し、
前記学習用バッテリーの状態が欠陥状態と判断された場合、該当充放電サイクルに対する前記学習用バッテリーの特徴値に第2ラベルを設定するように構成されている、請求項1に記載のバッテリー管理装置。
【請求項4】
前記ラベリング部は、
所定の充放電サイクルで判断された前記学習用バッテリーの状態に基づいて、前記学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定するように構成されている、請求項3に記載のバッテリー管理装置。
【請求項5】
前記ラベリング部は、
前記所定の充放電サイクルで前記学習用バッテリーの状態が前記正常状態と判断された場合、前記所定の充放電サイクル直前までの充放電サイクルに対し、前記学習用バッテリーの特徴値に前記第1ラベルを設定し、
前記所定の充放電サイクルで前記学習用バッテリーの状態が前記欠陥状態と判断された場合、前記所定の充放電サイクル以後の充放電サイクルに対し、前記学習用バッテリーの特徴値に前記第2ラベルを設定するように構成されている、請求項4に記載のバッテリー管理装置。
【請求項6】
前記ラベリング部は、
前記学習用バッテリーの状態が前記欠陥状態と判断された場合、以後の充放電サイクルに対し、前記学習用バッテリーの特徴値に前記第2ラベルを設定するように構成されている、請求項3に記載のバッテリー管理装置。
【請求項7】
前記ラベリング部は、
前記学習用バッテリーの状態が前記欠陥状態と判断された回数をカウントし、カウントされた回数が基準回数以上である場合、前記学習用バッテリーの状態が前記欠陥状態と判断された最後の充放電サイクル以後の充放電サイクルに対し、前記学習用バッテリーの特徴値に前記第2ラベルを設定するように構成されている、請求項3に記載のバッテリー管理装置。
【請求項8】
前記特徴値抽出部は、
前記学習用バッテリーに対して複数の特徴値を抽出するように構成され、
前記第1状態判断部は、
前記学習用バッテリーの複数の特徴値及び前記複数の特徴値のそれぞれに対応するように予め設定された基準値に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記複数の特徴値のそれぞれに対して前記学習用バッテリーの状態を判断するように構成されている、請求項1に記載のバッテリー管理装置。
【請求項9】
前記ラベリング部は、
前記充放電サイクル毎に前記複数の特徴値のそれぞれに対して前記ラベルを設定するように構成されている、請求項8に記載のバッテリー管理装置。
【請求項10】
前記第2状態判断部は、
充放電サイクル毎に前記分析用バッテリーの特徴値を抽出し、抽出された特徴値を前記学習が行われた分類モデルに入力することで前記分析用バッテリーの状態を判断するように構成されている、請求項1に記載のバッテリー管理装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のバッテリー管理装置を含む、バッテリーパック。
【請求項12】
充放電サイクル毎に学習用バッテリーの特徴値を抽出する特徴値抽出段階と、
前記特徴値抽出段階で抽出された特徴値及び前記特徴値に対応するように予め設定された基準値に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの状態を判断する第1状態判断段階と、
前記第1状態判断段階で判断された前記学習用バッテリーの状態に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定するラベリング段階と、
前記ラベリング段階で前記ラベルが設定された特徴値に基づいて、分析用バッテリーの状態を判断するための分類モデルに学習させるモデル学習段階と、
前記モデル学習段階で学習が行われた分類モデルに基づいて、前記分析用バッテリーの状態を判断する第2状態判断段階と、を含む、バッテリー管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月26日付け出願の韓国特許出願第10-2020-0161667号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、バッテリー管理装置及び方法に関し、より詳しくは、学習済み分類モデルを用いてバッテリーの状態を判断することができるバッテリー管理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ノートパソコン、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急激に伸び、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれて、繰り返して充放電可能な高性能バッテリーに対する研究が活発に行われている。
【0004】
現在、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムイオンバッテリーなどのバッテリーが商用化しているが、中でもリチウムイオンバッテリーはニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果が殆ど起きず充放電が自在であって、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
従来、このようなバッテリーの状態を推定または判断するため、マシンラーニング(machine learning)またはディープラーニング(deep learning)基盤の技法が融合されている。例えば、学習済みモデルに基づいてバッテリーの状態を判断する技術が開発されている。
【0006】
このようなモデルに学習させるためには多量の学習用データが必要であるが、バッテリーから学習用データを確保するためにはバッテリーの充放電サイクルが行われねばならず、多量の学習用データを確保するのに多くの時間が必要となる。さらに、バッテリーの期待寿命が増加するほど充放電サイクルにかかる時間も比例して増加するため、学習用データを確保するのに必要な時間もさらに増える。
【0007】
また、限定された個数のバッテリーから確保可能な学習用データの個数には限界がある。したがって、バッテリーの個数が限定的であっても、多量の学習用データを確保することで、学習済みモデルの性能を向上できる技術の開発が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、限定された個数のバッテリーから分類モデルに学習させるための多量の学習データを確保することができるバッテリー管理装置及び方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施形態によってより明らかに分かるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によるバッテリー管理装置は、充放電サイクル毎に学習用バッテリーの特徴値を抽出するように構成された特徴値抽出部と、前記特徴値抽出部によって抽出された特徴値及び前記特徴値に対応するように予め設定された基準値に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの状態を判断するように構成された第1状態判断部と、前記第1状態判断部によって判断された前記学習用バッテリーの状態に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定するように構成されたラベリング部と、前記ラベリング部によって前記ラベルが設定された特徴値に基づいて、分析用バッテリーの状態を判断するための分類モデルに学習させるように構成されたモデル学習部と、前記モデル学習部によって学習が行われた分類モデルに基づいて、前記分析用バッテリーの状態を判断するように構成された第2状態判断部と、を含む。
【0011】
前記第1状態判断部は、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの状態を正常状態または欠陥状態として判断するように構成され得る。
【0012】
前記ラベリング部は、前記学習用バッテリーの状態が正常状態と判断された場合、該当充放電サイクルに対する前記学習用バッテリーの特徴値に第1ラベルを設定するように構成され得る。
【0013】
前記ラベリング部は、前記学習用バッテリーの状態が欠陥状態と判断された場合、該当充放電サイクルに対する前記学習用バッテリーの特徴値に第2ラベルを設定するように構成され得る。
【0014】
前記ラベリング部は、所定の充放電サイクルで判断された前記学習用バッテリーの状態に基づいて、前記学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定するように構成され得る。
【0015】
前記ラベリング部は、前記所定の充放電サイクルで前記学習用バッテリーの状態が前記正常状態と判断された場合、前記所定の充放電サイクル直前までの充放電サイクルに対し、前記学習用バッテリーの特徴値に前記第1ラベルを設定するように構成され得る。
【0016】
前記ラベリング部は、前記所定の充放電サイクルで前記学習用バッテリーの状態が前記欠陥状態と判断された場合、前記所定の充放電サイクル以後の充放電サイクルに対し、前記学習用バッテリーの特徴値に前記第2ラベルを設定するように構成され得る。
【0017】
前記ラベリング部は、前記学習用バッテリーの状態が前記欠陥状態と判断された場合、以後の充放電サイクルに対し、前記学習用バッテリーの特徴値に前記第2ラベルを設定するように構成され得る。
【0018】
前記ラベリング部は、前記学習用バッテリーの状態が前記欠陥状態と判断された回数をカウントし、カウントされた回数が基準回数以上である場合、前記学習用バッテリーの状態が前記欠陥状態と判断された最後の充放電サイクル以後の充放電サイクルに対し、前記学習用バッテリーの特徴値に前記第2ラベルを設定するように構成され得る。
【0019】
前記特徴値抽出部は、前記学習用バッテリーに対して複数の特徴値を抽出するように構成され得る。
【0020】
前記第1状態判断部は、前記学習用バッテリーの複数の特徴値及び前記複数の特徴値のそれぞれに対応するように予め設定された基準値に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記複数の特徴値のそれぞれに対して前記学習用バッテリーの状態を判断するように構成され得る。
【0021】
前記ラベリング部は、前記充放電サイクル毎に前記複数の特徴値のそれぞれに対して前記ラベルを設定するように構成され得る。
【0022】
前記第2状態判断部は、充放電サイクル毎に前記分析用バッテリーの特徴値を抽出し、抽出された特徴値を前記学習が行われた分類モデルに入力することで前記分析用バッテリーの状態を判断するように構成され得る。
【0023】
本発明の他の一態様によるバッテリーパックは、本発明の一態様によるバッテリー管理装置を含む。
【0024】
本発明のさらに他の一態様によるバッテリー管理方法は、充放電サイクル毎に学習用バッテリーの特徴値を抽出する特徴値抽出段階と、前記特徴値抽出段階で抽出された特徴値及び前記特徴値に対応するように予め設定された基準値に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの状態を判断する第1状態判断段階と、前記第1状態判断段階で判断された前記学習用バッテリーの状態に基づいて、前記充放電サイクル毎に前記学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定するラベリング段階と、前記ラベリング段階で前記ラベルが設定された特徴値に基づいて、分析用バッテリーの状態を判断するための分類モデルに学習させるモデル学習段階と、前記モデル学習段階で学習が行われた分類モデルに基づいて、前記分析用バッテリーの状態を判断する第2状態判断段階と、を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、限定された個数のバッテリーから分類モデルに学習させるための多量の学習データを迅速に確保することができる。
【0026】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0027】
本明細書に添付される次の図面は、後述する発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするものであり、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置を概略的に示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置によってラベルが設定される第1実施例を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置によってラベルが設定される第2実施例を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置によってラベルが設定される第3実施例を示した図である。
【
図5】本発明の他の実施形態によるバッテリーパックの例示的構成を概略的に示した図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施形態によるバッテリー管理方法を概略的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲において使われた用語や単語は一般的及び辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0030】
したがって、本明細書に記載された実施形態及び図面に示された構成は、本発明のもっとも望ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0031】
また、本発明の説明において、関連する公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にし得ると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0032】
「第1」、「第2」などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちのある一つをその他の要素と区別するために使われたものであり、これら用語によって構成要素が限定されることはない。
【0033】
明細書の全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に言及されない限り、他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0034】
さらに、明細書の全体において、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されるとするとき、これは「直接的な連結(接続)」だけでなく、他の素子を介在した「間接的な連結(接続)」も含む。
【0035】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施形態を詳しく説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置100を概略的に示した図である。
【0037】
図1を参照すると、バッテリー管理装置100は、特徴値抽出部110、第1状態判断部120、ラベリング部130、モデル学習部140、及び第2状態判断部150を含む。
【0038】
特徴値抽出部110は、充放電サイクル毎に学習用バッテリーの特徴値を抽出するように構成され得る。
【0039】
ここで、バッテリーは、負極端子及び正極端子を備え、物理的に分離可能な一つの独立したセルを意味する。一例として、一つのパウチ型リチウムイオンセルをバッテリーとしてよい。
【0040】
また、学習用バッテリーは、分類モデルに学習させるための学習データセットを取得するためのバッテリーであって、分析用バッテリーと区分され得る。
【0041】
例えば、特徴値抽出部110は、充放電サイクル毎に学習用バッテリーに対する一つ以上の特徴値を抽出し得る。具体的には、特徴値抽出部110は、学習用バッテリーに対する電圧、電流、容量、充電時間、内部抵抗、SOC(State of Charge:充電状態)、SOH(State of Health)、またはこれらの組合せによる特徴値を抽出し得る。
【0042】
第1状態判断部120は、特徴値抽出部110によって抽出された特徴値及び特徴値に対応するように予め設定された基準値に基づいて、充放電サイクル毎に学習用バッテリーの状態を判断するように構成され得る。
【0043】
望ましくは、基準値は、それぞれの充放電サイクルにおいてそれぞれの特徴値に対して予め設定され得る。
【0044】
例えば、第1充放電サイクル~第N充放電サイクルのそれぞれで学習用バッテリーに対する第1特徴値~第N特徴値が抽出されたと仮定する。ここで、Nは2以上の整数であり得る。この場合、全部でN個の基準値が予め設定され得る。すなわち、第1特徴値~第N特徴値のそれぞれに対応するように、第1基準値~第N基準値が予め設定され得る。そして、第1状態判断部120は、第1特徴値と第1基準値とを比較して第1充放電サイクルにおける学習用バッテリーの状態を判断し得る。同様に、第1状態判断部120は、第N特徴値と第N基準値とを比較して第N充放電サイクルにおける学習用バッテリーの状態を判断し得る。
【0045】
具体的には、第1状態判断部120は、充放電サイクル毎に学習用バッテリーの状態を正常状態または欠陥状態として判断するように構成され得る。
【0046】
例えば、基準値は、学習用バッテリーの状態を判断するための閾値であり得る。第1状態判断部120は、基準値と特徴値との大小を比較することで、学習用バッテリーの状態を正常状態または欠陥状態として判断し得る。
【0047】
ラベリング部130は、第1状態判断部120によって判断された学習用バッテリーの状態に基づいて、充放電サイクル毎に学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定するように構成され得る。
【0048】
具体的には、ラベリング部130は、学習用バッテリーの状態が正常状態と判断された場合、該当充放電サイクルに対する学習用バッテリーの特徴値に第1ラベルを設定するように構成され得る。
【0049】
それに対し、ラベリング部130は、学習用バッテリーの状態が欠陥状態と判断された場合、該当充放電サイクルに対する学習用バッテリーの特徴値に第2ラベルを設定するように構成され得る。
【0050】
すなわち、ラベリング部130は、第1状態判断部120によって判断された学習用バッテリーの状態に応じて、それぞれの充放電サイクルで抽出された学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定し得る。
【0051】
モデル学習部140は、ラベリング部130によってラベルが設定された特徴値に基づいて、分析用バッテリーの状態を判断するための分類モデルに学習させるように構成され得る。
【0052】
例えば、分類モデルとしては、ロジスティック回帰(logistic regression)、線形判別分析(linear discriminant analysis)、サポートベクターマシン(support vector machine)、ランダムフォレスト分類器(random forest classifier)、または人工神経網(artificial neural network)などが適用され得る。
【0053】
モデル学習部140によって学習が行われた分類モデルは、分析用バッテリーの状態を判断するために使用され得る。
【0054】
但し、ラベルが設定された特徴値に基づいて分類モデルに学習させる過程は、マシンラーニングでのモデル学習の一般的な内容であるため、これについての詳しい説明は省略する。
【0055】
第2状態判断部150は、モデル学習部140によって学習が行われた分類モデルに基づいて、分析用バッテリーの状態を判断するように構成され得る。
【0056】
具体的には、第2状態判断部150は、充放電サイクル毎に分析用バッテリーの特徴値を抽出するように構成され得る。
【0057】
ここで、分析用バッテリーの特徴値は、特徴値抽出部110によって抽出された学習用バッテリーの特徴値と同種であり得る。すなわち、第2状態判断部150によって抽出される分析用バッテリーの特徴値は、モデル学習部140によって分類モデルが学習される過程で用いられる特徴値と同種であり得る。
【0058】
例えば、特徴値抽出部110が充放電サイクル毎に学習用バッテリーに対する電圧を特徴値として抽出したと仮定する。第1状態判断部120は、学習用バッテリーの電圧及び基準値に基づいて充放電サイクル毎に学習用バッテリーの状態を判断し得る。ラベリング部130は、充放電サイクル毎に判断された学習用バッテリーの状態に基づいて、それぞれの充放電サイクルの電圧に対するラベルを設定し得る。モデル学習部140は、ラベルが設定された電圧に基づいて分類モデルに学習させ得る。第2状態判断部150は、充放電サイクル毎に分析用バッテリーに対する電圧を特徴値として抽出し得る。
【0059】
そして、第2状態判断部150は、抽出された特徴値を学習が行われた分類モデルに入力することで、分析用バッテリーの状態を判断するように構成され得る。
【0060】
例えば、第2状態判断部150は、分析用バッテリーの特徴値を学習が行われた分類モデルに対するインプット(input)として設定し得る。そして、学習が行われた分類モデルは、インプットに対するアウトプット(output)として分析用バッテリーに対する状態を出力し得る。第2状態判断部150は、学習が行われた分類モデルから出力されるアウトプットを取得し、分析用バッテリーに対する状態を正常状態または欠陥状態として判断し得る。
【0061】
本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置100は、限定された個数のバッテリーから分類モデルに学習させるための多量の学習データを確保できるという長所がある。
【0062】
すなわち、バッテリーは充放電サイクルが進行するほど退化するため、それぞれの充放電サイクルにおけるバッテリーの状態は異なり得る。バッテリー管理装置100は、このようなバッテリーの特性を考慮し、充放電サイクル毎にバッテリーの特徴値を抽出することで、分類モデルに学習させるための多量の学習データを確保することができる。
【0063】
したがって、学習用バッテリーの個数が限定的であっても、分類モデルに学習させるための多量の学習データが確保され、このような多量の学習データに基づいて学習済み分類モデルの性能が向上できる。したがって、学習済み分類モデルに基づいた分析用バッテリーの状態判断の正確度が向上することができる。
【0064】
一方、
図1を参照すると、バッテリー管理装置100は、記録部160をさらに含み得る。記録部160は、バッテリー管理装置100の各構成要素が動作及び機能を行うのに必要なデータ、若しくは、プログラムまたは動作及び機能が行われる過程で生成されるデータなどを保存し得る。記録部160は、データを記録、消去、更新及び読出できると知られた公知の情報記録手段であれば、その種類に特に制限がない。一例として、情報記録手段には、RAM、フラッシュ(登録商標)メモリ、ROM、EEPROM、レジスタなどが含まれ得る。また、記録部160は、制御部によって実行可能なプロセスが定義されたプログラムコードを保存し得る。
【0065】
例えば、特徴値抽出部110によって充放電サイクル毎に抽出されるバッテリーの特徴値は記録部160に保存され得る。また、ラベリング部130によって特徴値毎に設定されるラベルも記録部160に保存され得る。
【0066】
また、特徴値抽出部110は、学習用バッテリーに対して複数の特徴値を抽出するように構成され得る。
【0067】
具体的には、特徴値抽出部110は、充放電サイクル毎に学習用バッテリーのそれぞれに対して二つ以上の特徴値を抽出し得る。
【0068】
例えば、特徴値抽出部110は、充放電サイクル毎に学習用バッテリーのそれぞれに対して電圧及び内部抵抗を抽出し得る。10個の学習用バッテリーに対して充放電サイクルが500サイクルまで行われた場合、特徴値抽出部110によって抽出された特徴値は全部で10,000個であり得る。すなわち、5,000個の電圧と5,000個の内部抵抗が抽出され得る。
【0069】
第1状態判断部120は、学習用バッテリーの複数の特徴値及び複数の特徴値のそれぞれに対応するように予め設定された基準値に基づいて、充放電サイクル毎に複数の特徴値のそれぞれに対して学習用バッテリーの状態を判断するように構成され得る。
【0070】
例えば、上述した実施形態において、特徴値抽出部110によって抽出された特徴値が全部で10,000個である場合、第1状態判断部120は、10,000個の特徴値それぞれと対応する基準値とを比較することで、充放電サイクル毎に電圧及び内部抵抗に対する学習用バッテリーの状態を判断し得る。すなわち、10個の学習用バッテリーの電圧によって、1サイクル~500サイクルのそれぞれにおける学習用バッテリーの電圧に基づいた状態が判断され得る。また、10個の学習用バッテリーの内部抵抗によって、1サイクル~500サイクルのそれぞれにおける学習用バッテリーの内部抵抗に基づいた状態が判断され得る。
【0071】
ラベリング部130は、充放電サイクル毎に複数の特徴値のそれぞれに対してラベルを設定するように構成され得る。
【0072】
例えば、上述した実施形態において、第1状態判断部120によって10,000個の特徴値に対する学習用バッテリーの状態がすべて判断された場合、ラベリング部130は、10,000個の特徴値のそれぞれに対するラベルを設定し得る。
【0073】
すなわち、本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置100は、学習用バッテリーに対する複数の特徴値を抽出することで、限定的な学習用バッテリーの個数から多量の学習用データを確保することができる。
【0074】
以下、ラベリング部130が特徴値に対するラベルを設定する多様な実施例について説明する。
【0075】
図2は、本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置100によってラベルが設定される第1実施例を示した図である。
【0076】
ラベリング部130は、所定の充放電サイクルで判断された学習用バッテリーの状態に基づいて、学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定するように構成され得る。
【0077】
例えば、
図2の実施例において、ラベリング部130は、ターゲットサイクルTCで判断された第1学習用バッテリーB1~第5学習用バッテリーB5それぞれの状態に基づいて、第1学習用バッテリーB1~第5学習用バッテリーB5それぞれの特徴値に対するラベルを設定し得る。
【0078】
ここで、ターゲットサイクルTCとは、第1状態判断部120によってバッテリーの状態が判断される最後の充放電サイクルであり得る。例えば、ターゲットサイクルTCは、バッテリーに対する品質保証に関連するサイクルであり得る。具体的な例として、500サイクルでバッテリーの容量が90%以上保存されるとバッテリーの品質保証が設定された場合、ターゲットサイクルTCは、500サイクルに設定され得る。すなわち、ターゲットサイクルTCは、バッテリーの種類、使用箇所及び使用環境などによって多様に設定され得る。
【0079】
具体的には、所定の充放電サイクルで学習用バッテリーの状態が正常状態と判断された場合、ラベリング部130は、所定の充放電サイクル直前までの充放電サイクルに対し、学習用バッテリーの特徴値に第1ラベルを設定し得る。
【0080】
それに対し、所定の充放電サイクルで学習用バッテリーの状態が欠陥状態と判断された場合、ラベリング部130は、所定の充放電サイクル以後の充放電サイクルに対し、学習用バッテリーの特徴値に第2ラベルを設定し得る。
【0081】
図2の実施例において、ターゲットサイクルTCで第1学習用バッテリーB1~第3学習用バッテリーB3の状態は正常状態と判断され、第4学習用バッテリーB4及び第5学習用バッテリーB5の状態は欠陥状態と判断されたと仮定する。この場合、ターゲットサイクルTC直前までの第1学習用バッテリーB1~第3学習用バッテリーB3の状態は正常状態のはずであり、ターゲットサイクルTC以後の第4学習用バッテリーB4及び第5学習用バッテリーB5の状態は欠陥状態のはずである。
【0082】
ラベリング部130は、ターゲットサイクルTC直前までの第1学習用バッテリーB1~第3学習用バッテリーB3の特徴値に対して第1ラベルを設定し得る。
【0083】
また、ラベリング部130は、ターゲットサイクルTC以後の第4学習用バッテリーB4及び第5学習用バッテリーB5の特徴値に対して第2ラベルを設定し得る。すなわち、ラベリング部130は、ターゲットサイクルTC以後の充放電サイクルで第4学習用バッテリーB4及び第5学習用バッテリーB5の状態が判断されなくても、特徴値に対するラベルを迅速に設定し得る。
【0084】
すなわち、バッテリー管理装置100は、ターゲットサイクルTC直前までの学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定できるだけでなく、ターゲットサイクルTC以後の充放電サイクルに対しても学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定することができる。
【0085】
図3は、本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置100によってラベルが設定される第2実施例を示した図である。
【0086】
ラベリング部130は、学習用バッテリーの状態が欠陥状態と判断された場合、以後の充放電サイクルに対し、学習用バッテリーの特徴値に第2ラベルを設定するように構成され得る。
【0087】
具体的には、ラベリング部130は、欠陥状態と判断された充放電サイクル以後に対しては、学習用バッテリーの特徴値に第2ラベルを設定し得る。すなわち、欠陥状態と判断された充放電サイクル以後に対しては、第1状態判断部120によって学習用バッテリーの状態が判断されなくても、ラベリング部130が特徴値に対するラベルを設定し得る。
【0088】
例えば、
図3の実施例において、ターゲットサイクルTCでの第6学習用バッテリーB6の状態は正常状態と判断され、第7学習用バッテリーB7の状態は欠陥状態と判断されたとしよう。第3充放電サイクルC3での第8学習用バッテリーB8の状態は欠陥状態と判断され、第2充放電サイクルC2での第9学習用バッテリーB9の状態は欠陥状態と判断されたとしよう。第1充放電サイクルC1での第10学習用バッテリーB10の状態は欠陥状態と判断されたとしよう。
【0089】
ラベリング部130は、第6学習用バッテリーB6に対し、ターゲットサイクルTC直前までの特徴値に対して第1ラベルを設定し得る。
【0090】
また、ラベリング部130は、第7学習用バッテリーB7に対し、ターゲットサイクルTC直前までの特徴値に対して第1ラベルを設定し、ターゲットサイクルTC以後の特徴値に対して第2ラベルを設定し得る。すなわち、ターゲットサイクルTCからは第1状態判断部120によって第7学習用バッテリーB7の状態が判断されなくても、ラベリング部130は、第7学習用バッテリーB7の特徴値に対して第2ラベルを設定し得る。
【0091】
また、ラベリング部130は、第8学習用バッテリーB8に対し、第3充放電サイクルC3直前までの特徴値に対して第1ラベルを設定し、第3充放電サイクルC3以後の特徴値に対して第2ラベルを設定し得る。すなわち、第3充放電サイクルC3からは第1状態判断部120によって第8学習用バッテリーB8の状態が判断されなくても、ラベリング部130は、第8学習用バッテリーB8の特徴値に対して第2ラベルを設定し得る。
【0092】
また、ラベリング部130は、第9学習用バッテリーB9に対し、第2充放電サイクルC2直前までの特徴値に対して第1ラベルを設定し、第2充放電サイクルC2以後の特徴値に対して第2ラベルを設定し得る。すなわち、第2充放電サイクルC2からは第1状態判断部120によって第9学習用バッテリーB9の状態が判断されなくても、ラベリング部130は、第9学習用バッテリーB9の特徴値に対して第2ラベルを設定し得る。
【0093】
また、ラベリング部130は、第10学習用バッテリーB10に対し、第1充放電サイクルC1直前までの特徴値に対して第1ラベルを設定し、第1充放電サイクルC1以後の特徴値に対して第2ラベルを設定し得る。すなわち、第1充放電サイクルC1からは第1状態判断部120によって第10学習用バッテリーB10の状態が判断されなくても、ラベリング部130は、第10学習用バッテリーB10の特徴値に対して第2ラベルを設定し得る。
【0094】
本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置100は、欠陥状態と判断された充放電サイクル以後では学習用バッテリーに対する状態を判断せず、特徴値に第2ラベルを設定し得る。したがって、分類モデルに学習させるための学習データをより迅速に確保でき、学習データを確保する過程でバッテリー管理装置100のシステム資源を節約することができる。
【0095】
図4は、本発明の一実施形態によるバッテリー管理装置100によってラベルが設定される第3実施例を示した図である。
【0096】
ラベリング部130は、学習用バッテリーの状態が欠陥状態と判断された回数をカウントするように構成され得る。
【0097】
例えば、
図4の実施例において、第11学習用バッテリーB11が第1充放電サイクルC1で欠陥状態と判断されたとしよう。ラベリング部130は、第1充放電サイクルC1において、第11学習用バッテリーB11に対して欠陥状態と判断された回数を1に設定し得る。
【0098】
また、第11学習用バッテリーB11は、第2充放電サイクルC2で欠陥状態と判断され得る。ラベリング部130は、第2充放電サイクルC2において、第11学習用バッテリーB11に対して欠陥状態と判断された回数を2に設定し得る。
【0099】
さらに、第11学習用バッテリーB11は、第3充放電サイクルC3で欠陥状態と判断され得る。ラベリング部130は、第3充放電サイクルC3において、第11学習用バッテリーB11に対して欠陥状態と判断された回数を3に設定し得る。
【0100】
ラベリング部130は、カウントされた回数が基準回数以上である場合、学習用バッテリーの状態が欠陥状態と判断された最後の充放電サイクル以後の充放電サイクルに対し、学習用バッテリーの特徴値に第2ラベルを設定するように構成され得る。
【0101】
例えば、
図4の実施例において、基準回数が3に予め設定されたと仮定する。第3充放電サイクルC3において、第11学習用バッテリーB11に対する欠陥状態と判断された回数が3に設定されたため、ラベリング部130は、第3充放電サイクルC3以後の特徴値に対して第2ラベルを設定し得る。
【0102】
一般に、バッテリーの状態は充放電サイクルが行われるほど退化するが、場合によっては、バッテリーの状態が一時的に回復することもある。また、バッテリーの状態の判断過程で、内外部の環境的な問題による測定誤差などの理由で一時的なノイズが影響を及ぼすこともある。したがって、ラベリング部130は、学習用バッテリーの状態が基準回数以上欠陥状態と判断された場合に限って、学習用バッテリーの状態が判断されなくても第2ラベルを設定し得る。
【0103】
一方、基準回数には所定の条件がさらに付け加えられ得る。例えば、学習用バッテリーの状態が連続的に欠陥状態と判断され、欠陥状態と判断された回数が基準回数以上である場合、ラベリング部130は、学習用バッテリーの状態が欠陥状態と判断された最後の充放電サイクル以後の充放電サイクルに対し、学習用バッテリーの特徴値に第2ラベルを設定するように構成され得る。
【0104】
このような基準回数及び基準回数に付け加えられ得る条件は、バッテリーの種類、使用箇所及び使用環境などを考慮してユーザによって予め設定され得る。
【0105】
一方、特徴値抽出部110は、充放電サイクル毎に抽出された特徴値に基づいて、追加特徴値を生成するように構成され得る。
【0106】
例えば、全部で10個の学習用バッテリーが備えられ、特徴値抽出部110がそれぞれの学習用バッテリーに対して第1充放電サイクルC1から第500充放電サイクル直前までの特徴値を抽出したと仮定する。この場合、特徴値は全部で5,000個が抽出され得る。
【0107】
特徴値抽出部110は、分類モデルに学習させるための学習データをさらに確保するため、それぞれの充放電サイクルで抽出された特徴値を組み合わせて追加特徴値を生成し得る。
【0108】
例えば、特徴値抽出部110は、同一充放電サイクルで抽出された複数の特徴値に対する複数のグループを生成し、生成された各グループに対する平均特徴値を算出し得る。
【0109】
また、特徴値抽出部110は、同種の特徴値同士でグループを生成するように構成され得る。
【0110】
例えば、特徴値抽出部110によって電圧及び内部抵抗が特徴値として抽出されたと仮定する。この場合、電圧に対する特徴値に基づいて電圧グループが生成され、内部抵抗に対する特徴値に基づいて内部抵抗グループが生成され得る。すなわち、電圧と内部抵抗とが混合されたグループは生成されない。
【0111】
上述した実施例において、特徴値抽出部110は、同一充放電サイクルで抽出された10個の特徴値のうちの2個~10個ずつでグループを生成し、それぞれのグループに対する平均特徴値をさらに生成し得る。ここで、10個の特徴値から生成可能なグループの個数は全部で1,013個であり得る。
【0112】
具体的には、特徴値抽出部110が10個の特徴値のうちの2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個及び10個の特徴値同士を組み合わせてグループを生成した場合、生成されるグループの個数はそれぞれ45個、120個、210個、252個、210個、120個、45個、10個及び1個であり得る。したがって、生成されるグループは全部で1,013個であり得る。特徴値抽出部110は、生成された1,013個のグループのそれぞれに対して平均特徴値を計算することで、それぞれの充放電サイクル毎に1,013個の追加特徴値を生成し得る。
【0113】
第1状態判断部120は、特徴値抽出部110によって生成された追加特徴値のそれぞれに基づいて仮想の学習用バッテリーに対する状態を判断し得る。そして、ラベリング部130は、判断された仮想の学習用バッテリーの状態に基づいて、それぞれの追加特徴値に対してラベルを設定し得る。モデル学習部140は、学習用バッテリーに対する特徴値及び仮想の学習用バッテリーに対する特徴値をすべて用いることで、分類モデルに学習させることができる。
【0114】
すなわち、バッテリー管理装置100は、仮想の学習用バッテリーに対して追加特徴値を生成することで、限定的な学習用バッテリーの個数に基づいてより多数の学習データを確保することができる。
【0115】
一方、特徴値抽出部110は、グループを生成する過程で、第1状態判断部120によって判断された学習用バッテリーの状態をさらに考慮するように構成され得る。すなわち、特徴値抽出部110は、第1状態判断部120によって判断された状態が同一である学習用バッテリー同士を組み合わせてグループを生成するように構成され得る。
【0116】
例えば、第N充放電サイクルにおいて、10個の学習用バッテリーのうちの6個の学習用バッテリーの状態は正常状態と判断され、4個の学習用バッテリーの状態は欠陥状態と判断されたと仮定する。特徴値抽出部110は、正常状態と判断された6個の学習用バッテリーの特徴値を組み合わせて複数のグループを生成し得る。この場合、全部で57個のグループが生成され得る。また、特徴値抽出部110は、欠陥状態と判断された4個の学習用バッテリーの特徴値を組み合わせて複数のグループを生成し得る。この場合、全部で11個のグループが生成され得る。そして、特徴値抽出部110は、生成されたグループに対してそれぞれ平均特徴値を計算することで、全部で68個の追加特徴値を生成し得る。
【0117】
本発明によるバッテリー管理装置100は、BMS(Battery Management System、バッテリー管理システム)に適用可能である。すなわち、本発明によるBMSは、上述したバッテリー管理装置100を含み得る。このような構成において、バッテリー管理装置100の各構成要素の少なくとも一部は、従来のBMSに含まれた構成の機能を補完または追加することで具現され得る。例えば、バッテリー管理装置100の特徴値抽出部110、第1状態判断部120、ラベリング部130、モデル学習部140、第2状態判断部150は、BMSの構成要素として具現され得る。
【0118】
図5は、本発明の他の実施形態によるバッテリーパック1の例示的構成を概略的に示した図である。
【0119】
図5を参照すると、本発明によるバッテリー管理装置100は、バッテリーパック1に備えられ得る。すなわち、本発明によるバッテリーパック1は、上述したバッテリー管理装置100及び一つ以上のバッテリーモジュール10を含み得る。ここで、バッテリーモジュール10は、直列及び/または並列に接続された一つ以上のバッテリーセルを含み得る。また、バッテリーパック1は、電装品(リレー、ヒューズなど)及びケースなどをさらに含み得る。
【0120】
例えば、
図5の実施形態において、特徴値抽出部110は、バッテリーモジュール10及び電流測定ユニットに接続され得る。特徴値抽出部110は、バッテリーモジュール10に含まれたそれぞれのバッテリーセルの電圧、電流及び温度などを測定して特徴値として抽出し得る。また、特徴値抽出部110は、測定された値に基づいてそれぞれのバッテリーセルの内部抵抗、SOC及びSOHなどを特徴値として抽出し得る。
【0121】
図6は、本発明のさらに他の実施形態によるバッテリー管理方法を概略的に示した図である。
【0122】
望ましくは、バッテリー管理方法の各段階は、バッテリー管理装置100によって実行できる。以下では上述した説明と重なる内容は省略するか又は簡単に説明する。
【0123】
特徴値抽出段階S100は、充放電サイクル毎に学習用バッテリーの特徴値を抽出する段階であって、特徴値抽出部110によって実行できる。
【0124】
第1状態判断段階S200は、特徴値抽出段階S100で抽出された特徴値及び特徴値に対応するように予め設定された基準値に基づいて、充放電サイクル毎に学習用バッテリーの状態を判断する段階であって、第1状態判断部120によって実行できる。
【0125】
例えば、第1充放電サイクル~第N充放電サイクルのそれぞれで学習用バッテリーに対する第1特徴値~第N特徴値が抽出されたと仮定する。ここで、Nは2以上の整数であり得る。この場合、基準値は全部でN個が予め設定され得る。すなわち、第1特徴値~第N特徴値のそれぞれに対応するように、第1基準値~第N基準値が予め設定され得る。そして、第1状態判断部120は、第1特徴値と第1基準値とを比較して第1充放電サイクルにおける学習用バッテリーの状態を判断し得る。同様に、第1状態判断部120は、第N特徴値と第N基準値とを比較して第N充放電サイクルにおける学習用バッテリーの状態を判断し得る。
【0126】
ラベリング段階S300は、第1状態判断段階S200で判断された学習用バッテリーの状態に基づいて、充放電サイクル毎に学習用バッテリーの特徴値に対するラベルを設定する段階であって、ラベリング部130によって実行できる。
【0127】
具体的には、ラベリング部130は、学習用バッテリーの状態が正常状態と判断された場合、該当充放電サイクルに対する学習用バッテリーの特徴値に第1ラベルを設定するように構成され得る。
【0128】
それに対し、ラベリング部130は、学習用バッテリーの状態が欠陥状態と判断された場合、該当充放電サイクルに対する学習用バッテリーの特徴値に第2ラベルを設定するように構成され得る。
【0129】
モデル学習段階S400は、ラベリング段階S300でラベルが設定された特徴値に基づいて、分析用バッテリーの状態を判断するための分類モデルに学習させる段階であって、モデル学習部140によって実行できる。
【0130】
第2状態判断段階S500は、モデル学習段階S400で学習が行われた分類モデルに基づいて、分析用バッテリーの状態を判断する段階であって、第2状態判断部150によって実行できる。
【0131】
すなわち、本発明の一実施形態によるバッテリー管理方法は、限定された個数のバッテリーから分類モデルに学習させるための多量の学習データを確保できるという長所がある。したがって、学習が行われた分類モデルの性能が向上することができる。したがって、本発明の一実施形態によって学習が行われた分類モデルに基づいた分析用バッテリーの状態判断の正確度が向上することができる。
【0132】
上述した本発明の実施形態は、装置及び方法のみによって具現されるものではなく、本発明の実施形態の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じても具現され得、このような具現は上述した実施形態の記載から当業者であれば容易に具現できるであろう。
【0133】
以上のように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0134】
また、上述した本発明は、本発明が属する技術分野で通常の知識を持つ者により、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で様々な置換、変形及び変更が可能であって、上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、多様な変形のため各実施形態の全部または一部が選択的に組み合わせられて構成され得る。
【符号の説明】
【0135】
1:バッテリーパック
10:バッテリーモジュール
100:バッテリー管理装置
110:特徴値抽出部
120:第1状態判断部
130:ラベリング部
140:モデル学習部
150:第2状態判断部
160:記録部
【国際調査報告】