(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-14
(54)【発明の名称】積み重ねられた四ホウ酸ストロンチウム板を使用した周波数変換
(51)【国際特許分類】
G02F 1/37 20060101AFI20230707BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20230707BHJP
G01N 21/84 20060101ALI20230707BHJP
【FI】
G02F1/37
G01N21/956 A
G01N21/84 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022575949
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-08
(86)【国際出願番号】 US2021036071
(87)【国際公開番号】W WO2021252306
(87)【国際公開日】2021-12-16
(32)【優先日】2020-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュアン ユン-ホ アレックス
(72)【発明者】
【氏名】シャオリー インイン
(72)【発明者】
【氏名】ロギノバ エレナ
(72)【発明者】
【氏名】フィールデン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン バイガン
【テーマコード(参考)】
2G051
2K102
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AA56
2G051AB02
2G051BA05
2G051BA10
2G051BB05
2G051BB09
2G051CA02
2K102AA07
2K102AA08
2K102AA32
2K102BA18
2K102BB02
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2K102DD06
2K102DD10
2K102EA25
2K102EB02
2K102EB06
2K102EB10
2K102EB12
2K102EB20
2K102EB22
2K102EB26
(57)【要約】
積み重ねられた四ホウ酸ストロンチウムSrB4O7(SBO)結晶板を含む非線形結晶は、疑似位相整合(QPM)のための周期構造を作成するように協調的に構成され、レーザアセンブリの最終周波数変換段で使用されて、125nm~183nmの範囲の波長を有するレーザ出力光を発生する。1~1.1μmの間の基本波長を有する1つ以上の基本光ビームは、複数の中間周波数変換段を使用して倍増及び/又は合計されて、1つ以上の中間光ビーム周波数(例えば、第2次~第8次高調波、又はそれらの合計)を発生し、次に、最終周波数変換段は、非線形結晶を利用して、単一の中間光ビーム周波数を倍増するか、2つの中間光ビーム周波数を合計して、所望のレーザ出力光を高出力及び光子エネルギーレベルで発生する。レーザアセンブリを組み込んだ方法及び検査システムについて、更に説明する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約125nm~約183nmの範囲内の対応する波長を備える出力周波数を有するレーザ出力光ビームを発生するためのレーザアセンブリであって、
対応する基本周波数を有する基本光ビームを発生するようにそれぞれ構成された1つ以上の基本波レーザと、
前記1つ以上の基本光ビームを使用して1つ以上の中間光ビームを発生するように集合的に構成される複数の中間周波数変換段であって、前記1つ以上の中間光ビームのそれぞれが関連する中間周波数を有している、複数の中間周波数変換段と、
前記1つ以上の中間光ビームを非線形結晶に通すように構成された最終周波数変換段と、を備え、
ここで前記非線形結晶は、積み重ねた構成で配置される複数の四ホウ酸ストロンチウムSrB
4O
7(SBO)結晶板を含み、各前記SBO結晶板は少なくとも1つの隣接する前記結晶板と界面表面を形成し、
ここで前記複数のSBO結晶板は、前記1つ以上の中間光ビームの疑似位相整合(QPM)を実現する周期構造を形成するように協調的に構成されることで、前記非線形結晶を出る光が前記出力周波数を有する前記レーザ出力光ビームを含む、
レーザアセンブリ。
【請求項2】
前記複数のSBO結晶板は、前記各SBO結晶板の第1の結晶軸が前記隣接するSBO結晶板の第2の結晶軸に対して反転するように構成される、請求項1に記載のレーザアセンブリ。
【請求項3】
前記最終周波数変換段は、前記1つ以上の中間光ビームが、前記複数のSBO結晶板を通って前記第1及び第2の結晶軸の(i)a軸及び(ii)b軸のうちの1つに平行な方向に伝播するように構成される、請求項1に記載のレーザアセンブリ。
【請求項4】
前記最終周波数変換段は更に、
前記1つ以上の中間光ビームを受け取って循環させるように構成されることで、前記1つ以上の中間光ビームのビームウエストが前記非線形結晶で生じる、複数のミラーと、
前記非線形結晶を出る前記光を受け取るように配置され、前記ビームスプリッタが前記出射光の第1の部分を反射して前記レーザ出力光ビームを形成するように、かつ前記出射光の第2の部分が前記ビームスプリッタを通過し、前記複数のミラーによって循環されるように構成されるビームスプリッタと、
を含む、請求項1に記載のレーザアセンブリ。
【請求項5】
前記ビームスプリッタは、SBO結晶、SBOガラス、又はCaF
2結晶のうちの1つを含む、請求項1に記載のレーザアセンブリ。
【請求項6】
前記1つ以上の基本波レーザは、対応する基本波長が1μm~1.1μmの間の基本周波数を有する基本光を発生するように構成され、
前記複数の中間周波数変換段は、
前記基本光を受け取るように結合され、前記基本周波数の2倍に等しい第2次高調波周波数を有する第2次高調波光を発生するように構成された第1の周波数倍増段と、
前記第1の周波数倍増段から前記第2次高調波光を受け取るように結合され、前記基本周波数の4倍に等しい第4次高調波周波数を有する第4次高調波光として前記中間光ビームを発生するように構成された第2の周波数倍増段と、を含み、
前記最終周波数変換段は、前記第4次高調波光を周波数倍増するように構成されて、前記レーザ出力光の前記出力周波数が前記基本周波数の8倍に等しくなる、
請求項1に記載のレーザアセンブリ。
【請求項7】
前記最終周波数変換段は更に、ビームスプリッタであって、前記非線形結晶を出る光を受け取るように配置され、前記ビームスプリッタの表面から反射される前記出射光の反射部分が前記レーザ出力光ビームを形成する前記第8次高調波光を含むように、かつ前記ビームスプリッタを通過する前記出射光の反射されない部分が前記第4次高調波周波数の未消費の部分を含むように構成されるビームスプリッタを含む、請求項6に記載のレーザアセンブリ。
【請求項8】
前記複数のSBO結晶板は、第1の前記SBO結晶板の第1の結晶軸が、隣接する第2の前記SBO結晶板の第2の結晶軸に対して反転されるように構成され、
前記第1及び第2のSBO結晶板の前記結晶軸は、前記第1及び第2のSBO結晶板の両方の結晶c軸が、前記第1及び第2のSBO結晶板を通過する前記第4次高調波光の偏光方向と実質的に平行になるように配向され、
前記出力周波数は実質的に133nmに等しく、
前記第1及び第2のSBO結晶板の少なくとも1つは、前記周期構造の極間の間隔が0.13μmの臨界長の奇数倍に実質的に等しくなるような厚さを有し、前記第4次高調波周波数と前記第8次高調波周波数の疑似位相整合を可能にする、
請求項6に記載のレーザアセンブリ。
【請求項9】
前記1つ以上の基本波レーザは、
対応する基本波長が1μm~1.1μmの間の第1の基本周波数を有する第1の基本光を発生するように構成される第1の基本波レーザと、
対応する基本波長が1μm~1.1μmの間の第2の基本周波数を有する第2の基本光を発生するように構成される第2の基本波レーザと、を含み、
前記複数の中間周波数変換段は、
前記第1の基本光を受け取るように結合され、前記第1の基本周波数の2倍に等しい第2次高調波周波数を有する第2次高調波光を発生するように構成された周波数倍増段と、
前記周波数倍増段から前記第2次高調波光と前記第2の基本光とを受け取るように結合され、前記中間光ビームを、前記第1の基本周波数の3倍に実質的に等しい第3次高調波周波数を有する第3次高調波光として発生するように構成された周波数合計段と、を含み、
前記最終周波数変換段は、前記第3次高調波光を周波数倍増するように構成されて、前記レーザ出力光の前記出力周波数が前記第1の基本周波数の6倍に実質的に等しくなる、
請求項1に記載のレーザアセンブリ。
【請求項10】
前記最終周波数変換段は更に、ビームスプリッタであって、前記非線形結晶を出る光を受け取るように配置され、前記ビームスプリッタの表面から反射される前記出射光の反射部分が前記レーザ出力光ビームを形成する前記第6次高調波光を含むように、かつ前記ビームスプリッタを通過する前記出射光の反射されない部分が前記第3次高調波周波数の未消費の部分を含むように構成されるビームスプリッタを含む、請求項9に記載のレーザアセンブリ。
【請求項11】
前記複数のSBO結晶板は、第1の前記SBO結晶板の第1の結晶軸が、隣接する第2の前記SBO結晶板の第2の結晶軸に対して反転されるように構成され、
前記第1及び第2のSBO結晶板の前記結晶軸は、前記第1及び第2のSBO結晶板の両方の結晶c軸が、前記第1及び第2のSBO結晶板を通過する前記第3次高調波光の偏光方向と実質的に平行になるように配向され、
前記出力周波数は実質的に177nmに等しく、
前記第1及び第2のSBO結晶板の少なくとも1つは、前記周期構造の極間の間隔が0.60μmの臨界長の奇数倍に実質的に等しくなるような厚さを有し、前記第3次高調波周波数と前記第6次高調波周波数の疑似位相整合を可能にする、
請求項9に記載のレーザアセンブリ。
【請求項12】
前記1つ以上の基本波レーザは、
対応する基本波長が1μm~1.1μmの間の第1の基本周波数を有する第1の基本光を発生するように構成される第1の基本波レーザと、
対応する基本波長が1μm~1.1μmの間の第2の基本周波数を有する第2の基本光を発生するように構成される第2の基本波レーザと、を含み、
前記複数の中間周波数変換段は、
前記第1の基本光を受け取るように結合され、前記第1の基本周波数の2倍に等しい第2次高調波周波数を有する第2次高調波光を発生するように構成された第1の周波数倍増段と、
前記第1の周波数倍増段から前記第2次高調波光の第1の部分と前記第2の基本光とを受け取るように結合され、第1の前記中間光ビームを、前記第1の基本周波数の3倍に実質的に等しい第3次高調波周波数を有する第3次高調波光として発生するように構成された周波数合計段と、
前記第1の周波数倍増段から前記第2次高調波光の第2の部分を受け取るように結合され、第2の前記中間光ビームを、前記第1の基本周波数の4倍に等しい第4次高調波周波数を有する第4次高調波光として発生するように構成された第2の周波数倍増段と、を含み、
前記最終周波数変換段は、前記周波数合計段から受け取った前記第3次高調波光と、前記第2の周波数倍増段から受け取った前記第4次高調波光とを合計するように構成されて、前記レーザ出力光の前記出力周波数が前記第1の基本周波数の7倍に実質的に等しくなる、
請求項1に記載のレーザアセンブリ。
【請求項13】
前記最終周波数変換段は更に、ビームスプリッタであって、前記非線形結晶を出る光を受け取るように配置され、前記ビームスプリッタの表面から反射される前記出射光の反射部分が前記レーザ出力光ビームを形成する前記第7次高調波光を含むように、かつ前記ビームスプリッタを通過する前記出射光の反射されない部分が前記第3次高調波周波数の未消費の部分を含むように構成されるビームスプリッタを含む、請求項12に記載のレーザアセンブリ。
【請求項14】
前記複数のSBO結晶板は、第1の前記SBO結晶板の第1の結晶軸が、隣接する第2の前記SBO結晶板の第2の結晶軸に対して反転されるように構成され、
前記第1及び第2のSBO結晶板は、前記第1及び第2の結晶軸の両方の結晶c軸が、前記第1及び第2のSBO結晶板を通過する前記第3次及び第4次高調波光の偏光方向と実質的に平行になるように配向され、
前記出力周波数は実質的に152nmに等しく、
前記第1及び第2のSBO結晶板の少なくとも1つは、前記周期構造の極間の間隔が0.30μmの臨界長の奇数倍に実質的に等しくなるような厚さを有し、前記第3次高調波周波数、前記第4次高調波周波数、及び前記第7次高調波周波数の疑似位相整合を可能にする、
請求項12に記載のレーザアセンブリ。
【請求項15】
前記1つ以上の基本波レーザは、
対応する基本波長が1μm~1.1μmの間の第1の基本周波数を有する第1の基本光を発生するように構成される第1の基本波レーザと、
対応する基本波長が1μm~1.1μmの間の第2の基本周波数を有する第2の基本光を発生するように構成される第2の基本波レーザと、を含み、
前記複数の中間周波数変換段は、
前記第1の基本光を受け取るように結合され、前記第1の基本周波数の2倍に等しい第2次高調波周波数を有する第2次高調波光を発生するように構成された第1の周波数倍増段と、
前記第1の周波数倍増段から前記第2次高調波光の第1の部分を受け取るように結合され、前記第1の基本周波数の4倍に等しい第4次高調波周波数を有する第4次高調波光を発生するように構成された第2の周波数倍増段と、
前記第2の周波数倍増段から前記第4次高調波光と前記第2の基本光とを受け取るように結合され、前記第1の基本周波数の5倍に実質的に等しい第5次高調波周波数を有する第5次高調波光を発生するように構成された周波数合計段と、を含み、
前記最終周波数変換段は、前記第5次高調波光を前記第1の周波数倍増段からの前記第2次高調波光の第2部分と合計するように構成され、前記レーザ出力光の前記出力周波数が実質的に前記第1の基本周波数の第7次高調波周波数となる、
請求項1に記載のレーザアセンブリ。
【請求項16】
前記最終周波数変換段は更に、ビームスプリッタであって、前記非線形結晶を出る光を受け取るように配置され、前記ビームスプリッタの表面から反射される前記出射光の反射部分が前記レーザ出力光ビームを形成する前記第7次高調波光を含むように、かつ前記ビームスプリッタを通過する前記出射光の反射されない部分が前記第2次高調波周波数の未消費の部分を含むように構成されるビームスプリッタを含む、請求項15に記載のレーザアセンブリ。
【請求項17】
前記複数のSBO結晶板は、第1の前記SBO結晶板の第1の結晶軸が、隣接する第2の前記SBO結晶板の第2の結晶軸に対して反転されるように構成され、
前記第1及び第2のSBO結晶板の前記結晶軸は、前記第1及び第2のSBO結晶板の両方の結晶c軸が、前記第1及び第2のSBO結晶板を通過する前記第3次及び第4次高調波光の偏光方向と実質的に平行になるように配向され、
前記第1及び第2のSBO結晶板の少なくとも1つは、前記周期構造の極間の間隔が0.34μmの臨界長の奇数倍に実質的に等しくなるような厚さを有し、前記第2次高調波周波数、前記第5次高調波周波数、及び前記第7次高調波周波数の疑似位相整合を可能にする、
請求項15に記載のレーザアセンブリ。
【請求項18】
前記1つ以上の基本波レーザは、
対応する基本波長が1μm~1.1μmの間の第1の基本周波数を有する第1の基本光を発生するように構成される第1の基本波レーザと、
対応する基本波長が1μm~1.1μmの間の第2の基本周波数を有する第2の基本光を発生するように構成される第2の基本波レーザと、を含み、
前記複数の中間周波数変換段は、
前記第2の基本光を受け取るように結合され、前記第2の基本周波数の2倍に等しい第2次高調波周波数を有する第1の前記中間光ビームを発生するように構成された第1の周波数倍増段と、
前記第1の基本光を受け取るように結合され、前記第1の基本周波数の2倍に等しい第2次高調波周波数を有する第2次高調波光を発生するように構成された第2の周波数倍増段と、
前記第2の周波数倍増段から前記第2次高調波光を受け取るように結合され、前記第1の基本周波数の4倍に等しい第4次高調波周波数を有する第2の前記中間光ビームを発生するように構成された第3の周波数倍増段と、を含み、
前記最終周波数変換段は、前記第1の中間光ビームと前記第2の中間光ビームとを合計するように構成されて、前記レーザ出力光の前記出力周波数が前記第1の基本周波数の6倍に実質的に等しい第6次高調波周波数を有する、
請求項1に記載のレーザアセンブリ。
【請求項19】
前記最終周波数変換段は更に、ビームスプリッタであって、前記非線形結晶を出る光を受け取るように配置され、前記ビームスプリッタの表面から反射される前記出射光の反射部分が前記レーザ出力光ビームを形成する前記第6次高調波光を含むように、かつ前記ビームスプリッタを通過する前記出射光の反射されない部分が前記第2次高調波周波数の未消費の部分を含むように構成されるビームスプリッタを含む、請求項18に記載のレーザアセンブリ。
【請求項20】
前記複数のSBO結晶板は、第1の前記SBO結晶板の第1の結晶軸が、隣接する第2の前記SBO結晶板の第2の結晶軸に対して反転されるように構成され、
前記第1及び第2のSBO結晶板の前記結晶軸は、前記第1及び第2のSBO結晶板の両方の結晶c軸が、前記第1及び第2のSBO結晶板を通過する前記第2次及び第4次高調波光の偏光方向と実質的に平行になるように配向され、
前記第1及び第2のSBO結晶板の少なくとも1つは、前記周期構造の極間の間隔が0.66μmの臨界長の奇数倍に実質的に等しくなるような厚さを有し、前記第2次高調波周波数、前記第4次高調波周波数、及び前記第6次高調波周波数の疑似位相整合を可能にする、
請求項18に記載のレーザアセンブリ。
【請求項21】
約125nm~約183nmの範囲内の対応する波長を備える出力周波数を有するレーザ出力光ビームを生成する方法であって、
1つ以上の基本光ビームを、前記基本光ビームの各々が約1μm~1.1μmの対応する基本波長を備える対応する基本周波数を有するように、発生することと、
前記1つ以上の基本光ビームを使用して1つ以上の中間光ビームを発生するように集合的に構成された複数の中間周波数変換段を利用することであって、前記1つ以上の中間光ビームのそれぞれは関連する中間周波数を有していることと、
最終周波数変換段を利用して、前記1つ以上の中間光ビームを、非線形結晶を介して通過させることと、を含み、
ここで前記非線形結晶は、積み重ねた構成で配置される複数の四ホウ酸ストロンチウムSrB
4O
7(SBO)結晶板を含み、各前記SBO結晶板は少なくとも1つの隣接する前記結晶板と界面表面を形成し、
ここで前記複数のSBO結晶板は、前記1つ以上の中間光ビームの疑似位相整合(QPM)を実現する周期構造を形成するように協調的に構成されることで、前記非線形結晶を出る光が前記出力周波数を有する前記レーザ出力光ビームを含む、
方法。
【請求項22】
約125nm~約183nmの範囲内の対応する波長を備える出力周波数を有するレーザ出力光ビームを使用してサンプルを検査するように構成された検査システムであって、ここで、前記レーザ出力光ビームは、
対応する基本周波数を有する基本光ビームを発生するようにそれぞれ構成された1つ以上の基本波レーザと、
前記1つ以上の基本光ビームを使用して1つ以上の中間光ビームを発生するように集合的に構成される複数の中間周波数変換段であって、前記1つ以上の中間光ビームの各々が関連する中間周波数を有する複数の中間周波数変換段と、
前記1つ以上の中間光ビームを非線形結晶に通すように構成された最終周波数変換段と、を含むレーザアセンブリによって発生され、
ここで前記非線形結晶は、積み重ねた構成で配置される複数の四ホウ酸ストロンチウムSrB
4O
7(SBO)結晶板を含み、各前記SBO結晶板は少なくとも1つの隣接する前記結晶板と界面表面を形成し、
ここで前記複数のSBO結晶板は、前記1つ以上の中間光ビームの疑似位相整合(QPM)を実現する周期構造を形成するように協調的に構成されることで、前記非線形結晶を出る光が前記出力周波数を有する前記レーザ出力光ビームを含む、
検査システム。
【請求項23】
1つ以上の入力光周波数を、約125nm~約183nmの範囲内の対応する波長を備える出力周波数に変換するように構成された非線形結晶であって、
複数の四ホウ酸ストロンチウムSrB
4O
7(SBO)結晶板であって、積み重ねられた構成で配置されることで、前記SBO結晶板の各々が、少なくとも1つの隣接する前記結晶板との界面を形成する、複数のSBO結晶板を備え、
ここで前記複数のSBO結晶板は、前記各SBO結晶板の第1の結晶軸が前記少なくとも1つの隣接するSBO結晶板の第2の結晶軸に対して反転されるように構成され、
ここで前記複数のSBO結晶板のうちの少なくとも1つの厚さは、臨界長の奇数倍に実質的に等しい極間の間隔を生成し、前記1つ以上の入力光周波数と前記出力周波数との疑似位相整合を可能にし、それによって前記非線形結晶を出る光が、前記出力周波数を有する前記レーザ出力光を含む、
非線形結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、VUV波長を有する光を発生することができるレーザに関し、特に、約125nm~183nmの範囲の光を発生することができるレーザと、そのようなレーザを使用して、例えば、フォトマスク、レチクル、及び半導体ウェハを検査する検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、「177nm and 133nm CW Lasers Using Stacked Strontium Tetraborate Plates」と題する、米国仮特許出願第63/038,134号の優先権を主張し、それは2020年6月12日に出願されたものであり、参照により本明細書に援用される。本出願は更に、「152nm and 177nm CW Lasers Using Stacked Strontium Tetraborate Plates」と題する、米国仮特許出願第63/076,391号の優先権を主張し、それは2020年9月10日に出願されたものであり、参照により本明細書に援用される。
【0003】
本出願は更に、以下の米国特許文献に関連し、それらの全てが参照により本明細書に援用されており、それらは、Vaez-Iravaniらの米国特許第6,201,601号、Marxerらの米国特許第6,271,916号、Leongらの米国特許第7,525,649号、Chuangらの米国特許第7,817,260号、Armstrongの米国特許第8,298,335号及び第8,824,514号、Genisの米国特許第8,976,343号、Dribinskiの米国特許第9,023,152号、Dribinskiらの米国特許第9,461,435号及び第9,059,560号、Chuangの米国特許第9,293,882号及び第9,660,409号、Chuangらの米国特許第9,250,178号、第9,459,215号、第9,509,112号、第10,044,166号及び第10,283,366、ならびにDribinskiらに公開された米国特許出願第2014/0305367号である。
【0004】
半導体デバイスの寸法が縮小するにつれて、デバイスを故障させる可能性のある最小粒子又はパターン欠陥のサイズも縮小する。したがって、パターン付き、及びパターン付きでない半導体ウェハ及びレチクル上のより小さい粒子及び欠陥を検出する必要が生じる。粒子によって散乱される光の強度は、その光の波長より小さく、一般に、その粒子の寸法の高次べき数としてスケールされる(例えば、隔離された小さい球状粒子からの光の総散乱強度は、球の直径の6乗に比例し、波長の4乗に反比例する)。散乱光の強度が増加するため、より短い波長は、一般に、小さい粒子及び欠陥を検出するための感度が、より長い波長の感度よりも高くなる。
【0005】
小さい粒子及び欠陥から散乱される光の強度は、一般に非常に低いため、高い照射強度が、非常に短時間で検出され得る信号を生成するために必要とされる。0.3W以上の平均光源パワーレベルが必要とされ場合がある。これらの高い平均パワーレベルでは、高いパルス繰返し率が望ましく、それは繰返し率が高いほどパルス毎のエネルギーは低くなり、したがって、システム光学部品又は検査される物品に対する損傷のリスクが小さくなるためである。検査と計測に対する照明の必要性は、一般に連続波(CW)光源によって最も適される。CW光源は、一定のパワーレベルを有するため、ピークパワー損傷問題を回避し、画像又はデータを継続的に取得することを可能にする。しかし、場合によっては、繰返し率が約50MHz以上のモードロックレーザが有用となる場合があり、これは、繰返し率が高いということが、パルス毎のエネルギーを十分に低くして、特定の計測及び検査用途に関する損傷を回避し得る、ということを意味するためである。
【0006】
VUV光を発生するためのパルスレーザは、当技術分野において周知である。133nmで光を発生するための先行技術のレーザは、よく知られている(例えば、非特許文献1、及び非特許文献2)。残念ながら、そのようなレーザは、レーザパルスの繰返し率が低く、平均パワーレベルが低いため、検査用途にはあまり適さない。
【0007】
しかし、VUV範囲の波長を備えるモードロック及びCWレーザは、十分なパワーレベルで市販されていないか、又は信頼性が非常に低い。モードロック又はCW光を、約133nmまでの波長範囲において、約0.3Wより大きいパワーで発生するための先行技術は存在していなかった。
【0008】
パルス光源は、CW光源の時間平均パワーレベルよりもはるかに高い瞬間的なピークパワーレベルを有する。レーザパルスの非常に高いピークパワーは、光学部品に、及び測定されるサンプル又はウェハに損傷を与える可能性があり、それはほとんどの損傷メカニズムが非線形であり、平均パワーよりもピークパワーに強く依存するためである。パルス繰返し率が高いほど、同じ時間平均パワーレベルのパルスあたりの瞬時ピークパワーは低くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0188633号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】G.W.Faris、及びM.J.Dyer「Two-photon excitation of neon at 133nm」、Optics Letters.18巻、382頁(1993年)
【非特許文献2】A.Tu(uウムラウト)nnermann、C.Momma、K.Mossavi、C.Windolph、及びB.Wellegehausen、「Generation of tunable short pulse VUV radiation by four-wave mixing in Xenon with femtosecond KrF-excimer laser pulses」、IEEE Journal of Quantum Electronics.29巻、1233頁(1993年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、真空紫外(VUV)範囲、特に133nmよりも短い範囲で放射線を発生し、フォトマスク、レチクル、及び/又はウェハの検査における使用に適した、モードロック又はCWレーザに対する必要性が生じる。モードロック又はCW出力を133nm付近で、より高いパワーレベルで可能にするレーザが実用化されると、より正確で高速な検査と測定が可能になり、最先端の半導体製造に貢献できる可能性がある。
【0012】
更に、約125nm~約183nmの範囲などの出力VUV波長を有するモードロック又はCWレーザ光を発生することができ、上記の問題と欠点の一部又は全てを回避する、検査システム及び関連するレーザシステムを提供する必要性が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一般に、適用された光の周波数変換に適した疑似位相整合(QPM)を達成することができる周期構造を形成し、それにより、DUV及びVUVレーザ光の高いパワー及び光子エネルギーレベルでの発生を容易にする一方で、先行技術のアプローチに関連する上述の問題及び欠点を回避する、積み重ねられた四ホウ酸ストロンチウムSrB4O7(SBO)結晶板を含む非線形結晶に関する。SBO結晶は魅力的な特徴(例えば、広い透明度範囲、優れた損傷耐性と化学的安定性、高い微小硬度、及びバンドギャップ値と比較して高い対角要素値d33)を示し、それは先行技術のアプローチに関連する上述の問題及び欠点の多くを回避する。しかし、SBO単結晶はまた、低い複屈折を示し、臨界又は非臨界位相整合による周波数変換を不可能にする。本発明は、SBO結晶板を協調的に構成して、1つ以上の入力光周波数(中間光ビーム)のQPMを達成する周期構造を形成することによりSBOの低複屈折を回避し、その結果、非線形結晶を出る光は、所望のDUV/VUV出力周波数を有するレーザ出力光を含む。1つの実施形態では、協調的構成は、別個のSBO結晶板を物理的に積み重ねることを含み、その結果、順次配置された結晶板の結晶軸が交互に反転され(すなわち、所与のSBO結晶板の結晶軸が、積層において所与の板と共有界面(複数可)を有する隣接するSBO結晶板(複数可)の結晶軸に対して実質的に180°回転される)、これによって、周期的に分極された結晶材料に類似する周期構造が形成される (すなわち、各SBO結晶板が周期構造の物理的な極を形成する)。各非線形結晶は、所与の光学システムで使用するように更に構成され、それはSBO結晶板を方向付けることで、反転された結晶軸が光の偏光方向に対して、光が光学システム内のSBO結晶積層を通過する際に垂直に整列されることによって、また少なくとも1枚のSBO結晶板の厚さが極間に間隔(つまり、光の伝播方向において各板の対向する表面間を光が移動する距離)を形成するようにSBO結晶板を形成することによってなされ、その間隔は、1つ以上の入力光周波数と出力周波数との疑似位相整合を可能にする臨界長の奇数倍に実質的に等しい。このように2枚以上のSBO結晶板を協調的に構成することによって、本発明に従って生成された非線形結晶は、周波数変換(例えば、1つの入力光周波数の周波数倍増、又は2つ以上の入力光周波数の周波数合計)であって、DUV及びVUV波長を高出力レベル(すなわち、数ミリワット(mW)~数ワット(W)以上)及び高い光子エネルギーレベル(例えば、177nmで7.00eV、及び133nmで9.32eV)で発生するのに必要とされる周波数変換を容易にする一方で、従来技術のアプローチに関連する上述の問題及び欠点を回避する。主に、CWレーザ光の発生を含む実際の用途を特に参照して説明されるが、本明細書に開示される非線形結晶は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の光学系において、及びパルスレーザ光の発生を含む他の目的のために使用可能である。
【0014】
以下に説明する具体的に開示された実施形態では、本発明は、半導体製造産業で利用される検査システムの改良に関し、特に、0.3W以上の光源パワーレベルを有し、かつ約125nm~約183nmまでの範囲の出力波長を有するモードロック又は連続波(CW)レーザ光を発生することができる検査システム用のレーザアセンブリに関する。実際の実施形態では、各非線形結晶は、更に少なくとも1つの基本波レーザと2つ以上の中間周波数変換段を含む関連するレーザアセンブリの最終周波数変換段で利用され、ここで、各基本波レーザはそれぞれ、対応する基本周波数(例えば、約1μm~1.1μmの間の波長を有する)を有する基本光ビームを発生し、中間周波数変換段は集合的に構成されて、基本光ビーム(複数可)を、関連する中間周波数を有する少なくとも1つの中間光ビームに変換する。最終周波数変換段は、中間光ビーム(複数可)を、非線形結晶を形成する反転SBO結晶板を介して誘導するように構成され、その結果、光の偏光方向(電場方向)は各板の結晶軸のc軸(又はa軸)と実質的に平行し、積み重ねられたSBO結晶板の周期構造が中間光ビーム(複数可)のQPMを達成する。特定の実施形態では、最終周波数変換段は、複数のミラーを含み、それらは、(例えば、ボウタイリングキャビティ構成において)中間光ビームのうちの少なくとも1つを受け取り、循環させる(例えば、1つ以上の整合レンズによって)ように構成され、その結果、循環光のビームウエストが非線形結晶で (つまり、内側又は近位で) 発生する。1つの実施形態では、最終周波数変換段は、ビームスプリッタ(例えば、SBO結晶、SBOガラス、又はCaF2結晶)を利用し、それは、出射光(すなわち、非線形結晶から離れる/出る光)を分割することで、出射光の反射された(第1の)部分が、約125nm~約183nmの範囲の出力波長を有する所望のレーザ出力光ビームを形成し、未消費の入力光を含む出射光の反射されない(第2の)部分が、キャビティミラーによる循環のためにビームスプリッタにより通される。以下の説明において、波長が無条件に言及される場合、その波長は、真空中の波長であると仮定され得ることに留意されたい。
【0015】
具体的に開示された実施形態では、本発明は、半導体製造産業で利用される検査システム用の改良されたレーザシステム、特にそのような検査システム用のレーザアセンブリに関し、それは0.3W以上の光源パワーレベルを有し、約128nm~約134nmの範囲(例えば、約133nm)、約147nm~約155nmの範囲(例えば、約152nm)、又は約170nm~180nmの範囲(例えば、約177nm)の出力波長を有するレーザ光を発生することができるものである。本明細書に開示されるいくつかの特定の実施形態では、非線形結晶はSBO結晶層を含み、それらは、355nm付近のUV波長又は266nm付近のDUV波長を有する単一の中間光ビームを周波数倍増し、それぞれ177nm付近又は133nm付近のVUV波長を有するレーザ光を発生するように協調的に構成される。本明細書に開示される別の実施形態では、線形結晶は、2つの中間光ビームを周波数合計して所望のVUV波長を有するレーザ光を発生するように協調的に構成されるSBO結晶層を含む。例えば、本明細書に開示される1つの実施形態では、線形結晶は、355nm付近のUV波長を有する第1の中間光ビームを、266nm付近のDUV波長を有する第2の中間光ビームと周波数合計して、152nm付近のVUV出力波長を有するレーザ光を発生するように協調的に構成されたSBO結晶層を含む。本明細書に開示される別の実施形態では、線形結晶は、532nm付近の可視波長を有する第1の中間光ビームを、213nm付近のDUV波長を有する第2の中間光ビームと合計して、152nm付近のVUV波長を有するレーザ光を発生するように協調的に構成されたSBO結晶層を含む。更に別の代替の実施形態では、線形結晶は、532nm付近の可視波長を有する第1の中間光ビームを266nm付近のDUV波長を有する第2の中間光ビームと合計して、177nm付近のVUV出力波長を有するCWレーザ光を発生するように協調的に構成されるSBO結晶層を含む。特定の実施形態では、ビームスプリッタを利用して、選択された中間高調波周波数を最終周波数変換キャビティに戻して循環させるために方向付け(通過)、所望の出力周波数をレーザアセンブリから方向変換 (反射) し、結晶板は、各周期構造における極間の間隔(すなわち、各板の対向する表面の間で光が移動する距離)が、関連するQPM臨界長の奇数倍に実質的に等しくなるように、対応する厚さを備えて形成される。
【0016】
第1の特定の実施形態を参照して、本明細書に記載されるレーザアセンブリ及び関連する方法によれば、約133nmの波長を有する出力周波数を備えるレーザ出力光は、約1000nm~約1100nmの範囲内の対応する基本波長を備える基本周波数を有する基本光を発生することによって生成され、基本光を利用して基本光の第2次高調波を発生し、第2次高調波を利用して、第1の基本光の第4次高調波を発生し、第4次高調波を中間光として利用し、最終周波数変換段に通過させる。第1の実施形態の一態様によれば、最終周波数変換段は、第4次高調波光を周波数倍増するように構成され、それは例えば、第4次高調波周波数で共振するキャビティを含むように段を構成し、基本周波数の8倍に等しい周波数を有する第8次高調波光を発生するように線形結晶を構成することによる。いくつかの実施形態では、最終周波数変換段は、ビームスプリッタを利用して、線形結晶を出る光の第8次高調波部分をレーザ出力光として反射し、線形結晶を出る光の未消費の第4次高調波部分を通過させて、最終段において循環させる。第8次高調波出力光を約133nmで発生するため、線形結晶は、第4次高調波入力光の偏光方向に実質的に平行に配向された反転結晶軸を有する2つ以上の積み重ねられたSBO結晶板を含み、ここで、光伝播方向における各板の厚さ(つまり、周期構造の極間の間隔)は、ほぼ0.13μmに等しい(つまり、0.11μm~0.15μmの範囲にある)疑似位相整合臨界長の奇数倍に実質的に等しく、第4次高調波周波数と第8次高調波周波数のQPMを実現し、それによって出力波長が約133nmのレーザ出力光を発生する。
【0017】
第2の特定の実施形態を参照して、本明細書に記載されるレーザアセンブリ及び関連する方法によれば、約177nmの波長を有する出力周波数を備えるレーザ出力光は、第1の基本周波数を有する第1の基本光を発生し、第1の基本光を利用して第1の基本光の第2次高調波を発生し、第1の基本光の第2次高調波を、第2の基本周波数を有する第2の基本光と合計し、合計産物(summing product)を最終周波数変換段に渡される中間光として利用することによって生成される。1つの実施形態では 第1及び第2の基本周波数のそれぞれは、約1000nm~約1100nmの範囲内の対応する波長を有することにより、中間光ビーム(すなわち、合計産物)の波長は、第1の基本周波数の第3次高調波にほぼ等しい。第2の実施形態の一態様によれば、ほぼ第6次高調波出力光は、中間(ほぼ第3次高調波)光ビームから発生され得て、それは、最終周波数変換段を第3次高調波周波数で共振する周波数倍増キャビティとして構成し、0.60μmに実質的に等しい(つまり、0.59μm~0.61μmの範囲にある)疑似位相整合臨界長の奇数倍の2倍に実質的に等しい極間の間隔を有する線形結晶の積み重ねられたSBO結晶板を構成して、第3次高調波周波数と第6次高調波周波数のQPMを実現し、それによって出力波長が約177nmのレーザ出力光を発生することになる。
【0018】
第3の特定の実施形態によれば、レーザ出力光は、最終周波数変換段を、基本周波数の第3次高調波と第4次高調波を合計するように構成することによって、基本周波数の第7次高調波を生成することで、約152nmの出力波長を備えて発生される。この場合、第3次高調波周波数は、実質的に等しい(第1及び第2の)基本周波数を有する2つの(第1及び第2の)基本光ビームを使用して発生され、第1の基本周波数を用いて、第2次高調波を発生し、次に第2次高調波の第1の部分を第2の基本周波数と合計することを有し、第4次高調波は第2次高調波の第2の部分を2倍にすることによって発生される。最終周波数変換(合計)段は、第3次高調波周波数で共振するキャビティとして構成されてもよく、それは非線形結晶を循環して通過される第1の中間光ビームとして機能する。第4次高調波は、非線形結晶の入力面に直接提供される第2の中間光ビームとして機能し、その結果、第3次高調波光と第4次高調波光の両方は非線形結晶を通る平行経路に沿って通過する。第3の実施形態の一態様によれば、約152nmの出力波長を有するほぼ第7次高調波出力光は、周期構造の極間の間隔が実質的に0.30μmに等しい(すなわち、0.29μm~0.31μmの範囲にある)臨界長に基づくように線形結晶の積み重ねられたSBO結晶板を構成することによって、発生される。
【0019】
第4の特定の実施形態によれば、レーザ出力光は、最終周波数変換段を基本周波数の第2次高調波と第5次高調波を合計するように構成することによって生成される約152nmの出力波長を備えて発生される。第1の周波数倍増段を利用して、基本周波数の2倍の周波数を有する第2次高調波光を発生し、そして、この第2次高調波光の第1の部分は、最終周波数変換(合計)段に供給される第1の中間光ビームを形成する。第5次高調波光は、最終周波数変換(合計)段に供給される第2の中間光ビームを形成するものであり、第2次高調波光の第2の部分を周波数倍増して第4次高調波光を発生し、次いで第4次高調波光を基本周波数と合計することによって発生される。最終周波数変換(合計)段は、第2次高調波周波数で共振するように構成されたキャビティを含み得て、第5次高調波は、非線形結晶の入力面を通して第2次高調波と平行するように向けられる。第4の実施形態の一態様によれば、約152nmの出力波長を有するほぼ第7次高調波出力光は、線形結晶の積み重ねられたSBO結晶板を、周期構造の極間の間隔が0.34μmに実質的に等しい(すなわち、0.33μm~0.35μmの範囲にある)臨界長に基づくように構成することによって、発生される。
【0020】
第5の特定の実施形態によれば、レーザ出力光は、基本周波数の第2次高調波と第4次高調波とを合計するように最終周波数変換段を構成することによって生成される、約177nmの出力波長を備えて発生される。第1の周波数倍増段を利用して、基本周波数の2倍に実質的に等しい周波数を有する第1の中間光ビームを発生する。第2の周波数倍増段を利用して、基本周波数の2倍である周波数を有する第2次高調波光を発生し、第3の周波数倍増段を利用して、第2次高調波光を受け取り、基本周波数の4倍の周波数を有する第4次高調波光(第2の中間光ビーム)を発生する。最終周波数変換(合計)段は、第2次高調波周波数で共振するように構成されたキャビティと、非線形結晶の入力面を通して第2次高調波と平行するように向けられる第4次高調波光を含み得る。第5の実施形態の一態様によれば、約177nmの出力波長を有するほぼ第6次高調波出力光は、線形結晶の積み重ねられたSBO結晶板を、0.66μmに実質的に等しい(すなわち、0.65μm~0.67μmの範囲にある)臨界長を用いて構成することによって、発生される。
【0021】
1つの実施形態では、ウェハ、レチクル、又はフォトマスクなどのサンプルを検査するように構成された検査システムは、約177nm、152nm、又は約133nmの出力波長を発生する、本明細書に記載のレーザの1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一般化された例示的な実施形態による、例示的なレーザアセンブリを示す簡略化されたブロック図である。
【
図2A】本発明の第1の実施形態による、簡略化されたレーザアセンブリを示す簡略化されたブロック図である。
【
図2B】本発明の特定の実施形態による、簡略化されたレーザアセンブリを示す簡略化されたブロック図である。
【
図3】本発明の例示的な実施形態による、第1及び第2の特定の実施形態のレーザアセンブリで利用される、例示的な最終周波数倍増段を示す簡略図である。
【
図4】
図3の最終周波数倍増段で使用するために構成された、例示的な非線形結晶を示す簡略図である。
【
図5A】本発明の第3の特定の実施形態による、簡略化されたレーザアセンブリを示す簡略化されたブロック図である。
【
図5B】本発明の第4の特定の実施形態による、簡略化されたレーザアセンブリを示す簡略化されたブロック図である。
【
図5C】本発明の第5の特定の実施形態による、簡略化されたレーザアセンブリを示す簡略化されたブロック図である。
【
図6】本発明の例示的な実施形態による、第3、第4、及び第5の特定の実施形態のレーザアセンブリで利用される、例示的な最終周波数倍増段を示す簡略図である。
【
図7】
図8の最終周波数倍増段で使用するために構成された、例示的な非線形結晶を示す簡略図である。
【
図8】本発明の別の特定の実施形態による、本明細書に記載のレーザアセンブリのうちの1つを利用する、暗視野及び明視野検査モードを備える例示的な検査システムを示す簡略図である。
【
図9A】本発明の別の特定の実施形態による、本明細書に記載のレーザアセンブリの1つを利用する暗視野検査システムを示す図である。
【
図9B】本発明の別の特定の実施形態による、本明細書に記載のレーザアセンブリの1つを利用する暗視野検査システムを示す図である。
【
図10】本発明の別の特定の実施形態による、本明細書に記載のレーザアセンブリのうちの1つを使用してパターン付きでないウェハを検査するように構成された代替の暗視野検査システムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、半導体検査システム用レーザの改良に関する。以下の説明は、当業者が、特定の用途及びその要件の内容において提供されるように本発明を作成し、用いることを可能にするために提示される。本明細書で用いられるように、「上部」、「左」、「右」、「水平」、及び「下向き」などの方向を示す用語は、説明の目的で相対的位置を提供することを意図しており、絶対座標系を示すことを意図していない。説明された実施形態に対する様々な変更は、当業者には明らかであり、そして、本明細書おいて規定された一般的な原理は、別の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、示され説明された特定の実施形態に限定されることを意図されていないが、本明細書に開示された原理及び新規な特徴と整合する最も広い範囲に一致される。
【0024】
アセントリック結晶の2次感受率変動は、周波数変換に有用となり得る疑似位相整合 (QPM)条件の変更につながる。約150nm未満のVUVスペクトル領域では、非ゼロの2次非線形性と十分な複屈折を結合する透明な光学結晶は、未だ明らかではない。QPM構造を作製するいくつかの試みが報告されてあり、例えば、mm2対称性を有する強誘電性BaMgF4の電場分極(E.G.Villora、K.Shimamura、K.Sumiya、及びH.Ishibashi、「Birefringent-and quasi phase-matching with BaMgF4 for vacuum-UV/UV and mid-IR all solid-state lasers」、Optics Express 17巻、12362頁(2009年))によるもの、又は3回32対称性(trigonal 32 symmetry)を有する結晶性石英(SiO2)の機械的双晶形成(S.Kurimura,M.Harada,K.Muramatsu,M.Ueda,M.Adachi,T.Yamada,及びT.Ueno,「Quartz revisits nonlinear optics:twinned crystal for quasi-phase matching[Invited]」、Optical Materials Express、1巻、1367頁(2011年))によるものであるが、どちらの材料も低い非線形係数を示し、これまでに実証された最短波長は194nmである。
【0025】
四ホウ酸ストロンチウムSrB4O7(SBO)は、斜方晶系、点群mm2、空間群Pnm21で、単位格子サイズa=4.4255Å、b=10.709Å、及びc=4.2341Åで結晶化する(Y.S.Oseledchik、A.L.Prosvirnin、A.I.Pisarevskiy、V.V.Starshenko、V.V.Osadchuk、S.P.Belokrys、N.V.Svitanko、A.S.Korol、S.A.Krikunov、及びA.F.Selevich、「New nonlinear optical crystals:strontium and lead tetraborates」、Optical Materials、4巻、669頁(1995年))。全てのホウ素原子は4面体に配位され、酸素原子は3つの4面体に共通する。4面体の三次元ネットワークにもかかわらず、ホウ酸塩ネットワークは、ユニットセルのc方向においてリンクが比較的少ないため、層状の構造として出現する。
【0026】
SBOは、非常に小さい複屈折(<0.005)を示し、強誘電性ではない。非位相整合第2次高調波発生(SHG)は、診断用のSBOを使用して実装されているが、効率は、コヒーレンス長を1つしか使用しない場合、非常に低くなり、実用的な検出限界は、120fsパルスに対して267nmで2μJであると推定された(V.Petrov,F.Noack,D.Shen,F.Pan,G.Shen,X.Wang,R.Komatsu,及びV.Alex、「Application of the nonlinear crystal SrB4O7 for ultrafast diagnostics converting to wavelengths as short as 125nm」、Optical Letters、29巻、373頁(2004年))。
【0027】
SBOは、独自の光学的及び機械的特性を示す。SBOの透明度範囲は、波長で130~3200nmである(Y.S.Oseledchikら、前掲文献)。SBOはまた、(バンドギャップ値と比較して)対角要素値d33の高い(1.5~3.5pm/V)値を示す。光損傷閾値は、MgF2などの他の材料と比較して非常に高い(14.7GW/cm2)。SBOの微小硬さも高い(x方向で1750kg/mm2、y方向で1460kg/mm2、z方向で1350kg/mm2)。高い光損傷閾値と微小硬さにより、SBO結晶は、DUV及びVUV放射線に曝された場合の極端な条件に耐えることができる。DUV及びVUVレーザは、数ミリワット(mW)~数ワット(W)以上の高いパワーレベルと、高い光子エネルギー(例えば、133nmで9.32eV、152nmで8.16eV)を有してもよい。広い透明度範囲、優れた損傷耐性及び化学的安定性、ならびに対角要素値d33の高い値は、DUV及びVUV波長を発生するための周波数変換にとってSBOを非常に魅力的にする特徴である。しかし、複屈折が小さいということは、臨界又は非臨界位相整合による周波数倍増が不可能であることを意味する。
【0028】
Trabsら(P.Trabs,F.Noack,A.S.Aleksandrovsky,A.I.Zaitsev,N.V.Radionov、及びV.Petrov、「Spectral fringes in non-phase-matched SHG and refinement of dispersion relations in the VUV」Optics Express、23巻、10091頁(2015年))は、SBO結晶を使用して、VUVにおいて超短レーザパルスからランダム擬似位相整合を介して第2次高調波を生成することを報告した。Trabsらによって記述された第2次高調波発生方法は、光源の半導体計測及び検査システムには不適切であり、これは、周波数変換プロセスの効率が低く、この方法を使用して何ワットもの第2次高調波レーザパワーを発生することが現実的ではなく、更に超短レーザパルスを必要とするためである。
【0029】
図1は、約125nm~約183nmの範囲内の対応する波長を備える出力周波数ω
OUTを有するレーザ出力光ビーム139を発生するためのレーザアセンブリ100を示す。レーザアセンブリ100は、一般に、1つ以上の基本波レーザ110、2つ以上の中間周波数変換段120、及び最終周波数変換段130を含む。
【0030】
図1の左上部分を参照すると、基本波レーザ110は、対応する基本周波数ω
1~ω
nを有する基本光ビーム119-1、119-2…119-n(集合的に119として示される)を発生するようにそれぞれ構成され、各周波数は、約1μm~1.1μmの間の対応する基本波長を有する。いくつかの実施形態では、すべての基本光ビーム119は実質的に同じ波長を有する(例えば、基本周波数ω
1は基本周波数ω
2と実質的に等しい)。特定の基本波レーザタイプは、以下に提供される特定の実施形態で言及される。
【0031】
中間周波数変換段120は、1つ以上の基本光ビーム119(又は関連する中間周波数変換段からの光)を受け取るように光学的に結合され、1つ以上の中間光ビーム129を発生するように集合的に構成される。いくつかの特定の実施形態では、中間光ビーム129は、関連する中間周波数ω
Xを有する単一の(第1の)中間光ビーム129-1を含む。別の特定の実施形態では、中間光ビーム129は、中間光ビーム129-1と、関連する中間周波数ω
yを有する第2の中間光ビーム129-2の両方を含む。
図1は、全ての中間周波数変換段120が基本光ビーム119を受け取る必要があるように、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。例えば、下記の具体例では、所与の「下流」中間周波数変換段は、1つ以上の「上流」中間周波数変換段によって発生される第2次、第3次、又は第4次高調波光を受け取ることができ、上流中間周波数変換段は基本波レーザ110と所与の下流段との間で光学的に結合される。
【0032】
図1の下半分を参照すると、レーザアセンブリ100はまた、最終周波数変換段130を含み、それは、中間光ビーム129(ω
X又はω
X及びω
y)を非線形結晶135に通し、レーザ出力光ビーム139をレーザアセンブリ100の外に向け、例えば、
図8~
図10を参照して以下に説明する検査システムの1つ以上で使用するように構成される。1つの実施形態では、中間光ビーム129-1は、以下に示す特定の実施形態で説明するように周波数ωxを有しており、入力カプラミラー132-1、平面ミラー132-2、2つの曲面ミラー132-3及び132-4、SBO線形結晶135、及びビームスプリッタ137によって形成されるボウタイリングキャビティに入る。説明のために、入力/カプラミラー132-1から線形結晶135までボウタイリングキャビティによって伝送される光の一部分は、循環光部分133として示され、これは中間光ビーム129-1と未消費の循環光部分138-1(以下に説明するように発生される)の両方から構成され、ここで光部分133及び138-1の両方は周波数ω
Xを有する。1つの実施形態では、モード整合レンズ131を利用して、中間光ビーム129-1を入力カプラ/ミラー132-1に通して集束させ、ミラー132-1~132-4によって形成されるボウタイリングキャビティは、そうでない場合、光部分133が表面法線Nに対して選択された角度θ(すなわち、入力面135-INに垂直)で非線形結晶135上に向けられるように、かつ光部分133のビームウエスト(すなわち、中間光ビーム129-1を含む)が非線形結晶135で(すなわち、内側又はそれに近接して)発生するように、構成される。周波数ω
yを有する中間光ビーム129-2が、以下に示す関連する特定の実施形態で説明されるように使用される場合、中間光ビーム129-2は、曲面ミラー132-3の近くを通る(必ずしも通過する必要はない)ボウタイリングキャビティに入ることで、入力面135-IN上に選択された角度θで実質的に向けられ、線形結晶135を通過する。この例示的な配置に示されるように、最終周波数変換段130は、結晶内光134(すなわち、光部分133のみ、又は光部分133と中間光ビーム129-2の両方)を非線形結晶135に通過させ、出射光136(すなわち、線形結晶135を出る全光)がビームスプリッタ137の入力面137-INに向けられるように構成される。ビームスプリッタ137は、出射光136を分割し、周波数ω
Xを有する未消費の入力光138-1がミラー132-4に渡されてボウタイキャビティ内を再循環し、出力周波数ω
OUTを有するレーザ出力光139がレーザアセンブリ100の外に向けられるように構成される。示されるように、いくつかの実施形態では、ビームスプリッタ137はまた、周波数ω
yを有する未消費の入力光138-1をボウタイキャビティから反射するように構成される。ビームスプリッタ137は、SBO単結晶、SBOガラス、又はCaF
2結晶のうちの1つを使用して実装され得る。
【0033】
SBO結晶板135-1及び135-2は、協働して周期構造を形成するように構成されて、これは、レーザ出力139を有する中間光ビーム129の疑似位相整合(QPM)を達成し(すなわち、ω
OUTと、示されるように周波数ω
Xのいずれかのみとの間、又は以下に示される特定の例のいくつかで説明されるように、周波数ω
X及びω
yの両方との間)、これにより、非線形結晶135の出力面135-OUTを出る光部分136は、所望の出力周波数ω
OUTを有するレーザ出力光ビーム139を含む。
図1の底部のバブルセクションを参照すると、SBO結晶板135-1及び135-2は、SBO結晶板135-1の結晶軸a1-b1-c1が、隣接するSBO結晶板135-2の結晶軸a2-b2-c2に対して反転する(すなわち、実質的に180°回転する)ように構成される。加えて、非線形結晶135は、最終周波数変換段130内に構成され、一方又は両方の中間光ビーム129は、両方のSBO結晶板のa軸に平行な方向(すなわち、SBO結晶板135-1の軸a1に平行で、SBO結晶板135-2の軸a2に平行な方向)に伝播し、少なくとも1つのSBO結晶板の極間の間隔(すなわち、SBO結晶板135-1の対向する表面間で光が移動する距離である間隔Λ1、又はSBO結晶板135-2の対向する表面間で光が移動する距離である間隔Λ2のいずれか)は、以下によって決定される。
【0034】
Λ=mLc (式1)
ここで、mは奇数の整数(1,3,5,7など)であり、擬似位相整合臨界長Lc=π/Δk’であり、Δkは次のように定義される。
【0035】
Δk=k(ωOUT)-k(ωx)-k(ωy) (式2)
ここで、k(ω)は、非線形結晶135内の周波数ωの光の波動ベクトルである。中間光ビーム129-1のみが存在する実施形態では、この式のωyはωxに置換される必要があり、すなわち、
【0036】
Δk=k(ωOUT)-2k(ωx) (式3)。
各周期構造における極間の間隔は、本明細書では厚さと呼ばれることがあり、それは間隔Λ1がSBO結晶板135-1の物理的厚さT1と実質的に等しく、間隔Λ2がSBO結晶板135-2の物理的厚さT2と実質的に等しいためであり、ここで、厚さT1及びT2は、対向する板表面間の結晶内光部分134の光伝播方向に平行に測定されることに留意されたい。1つの実施形態では、非線形結晶135は、大型SBO板を所望の厚さまで研磨し、次いでそれを個々の小さなピースに分割し、ピースを互いに対して正しい向き(後述)で組み立てて、積み重ねられたSBO結晶板を形成することによって生成され、隣接するSBO結晶板間の接続は、研磨された表面を共に光学的に接触させることによって達成される。この場合、所与の非線形結晶を形成する全てのSBO結晶板は同じ厚さを有し(例えば、厚さT1は厚さT2に等しい)、したがって積み重ねられた結晶板は、各極間の間隔が同じである周期構造を形成する(例えば、間隔Λ1は実質的に間隔Λ2に等しい)。別の代替の実施形態では、SBO結晶板135-1及び135-2の結晶軸は、光134がb軸に平行に伝播するように、又は2つの結晶板のa-b平面内で或る角度で伝播するように配向され得る。
【0037】
図2Aは、本発明の第1の特定の例示的実施形態による、約128nm~約134nmの範囲(例えば、約133nm)の波長を発生するように構成された例示的レーザアセンブリ100Aを示す簡略化されたブロック図である。レーザアセンブリ100Aは、第1の基本波レーザ110Aと、3つの周波数倍増(変換)段(すなわち、2つの中間周波数倍増段120A-1及び120A-2と、最終周波数倍増段130A)を含み、周波数倍増段は、約128nm~約134nmの範囲の波長を有するレーザ出力光を発生するように協働的に構成される。第1の基本波レーザ110Aは、基本光119Aを発生するように構成され、それは約1000nm~約1100nmの範囲(すなわち、約1μm~1.1μmの間)の第1の基本波長と、対応する第1の基本周波数ω
1を有する。第1の中間周波数倍増段120A-1は、第1の基本光119Aを受け取り、第1の基本周波数ω
1の2倍に等しい第2次高調波周波数2ω
1を有する第2次高調波光121Aを発生する。第2の中間周波数倍増段120A-2は、第2次高調波光121Aを受け取り、中間光ビーム129Aを、第1の基本周波数ω
1の4倍に等しい第4次高調波周波数4ω
1を有する第4次高調波光として発生する。最終(第3の)周波数倍増段130Aは、第4次高調波光(中間光ビーム)129Aを受け取り、第1の基本周波数ω
1の8倍に等しい出力周波数ω
OUTAを有するレーザ出力光139Aを発生する。
【0038】
図2Aを参照すると、第1の基本波レーザ110Aは、周知の技術を使用して、第1の基本周波数ω
1で第1の基本光119A(業界では単に「基本波」と呼ばれる)を発生するように構成される。1つの実施形態では、第1の基本波レーザ110Aは、第1の基本光119Aが、約1064nmの赤外線波長に対応する第1の基本周波数ω
1で発生されるように構成される。例示的な実施形態では、第1の基本波レーザ110Aは、Nd:YAG(ネオジムドープイットリウムアルミニウムガーネット)のレーザ媒体、Ndドープイットリウムオルトバナデート(Nd:YVO
4)のレーザ媒体、又はイッテルビウムドープファイバのレーザ媒体のうちの1つを用いて実装される。適切な基本波レーザは、Coherent Inc.、IPG Photonics Corporation、及びその他のメーカから市販されている。このような製造業者は更に、532nm付近の波長を有する光を発生するレーザを販売し、つまり、レーザは、第1の基本波レーザ110A及び第1の周波数倍増段120A-1を含む。半導体ウェハ又はレチクルを検査するための約133nmの波長で十分な光を発生するために、第1の基本波レーザ110Aは、数十又は数百ワット以上の基本光119Aを発生する必要がある。
【0039】
図2Aの例示的な実施形態によれば、周波数倍増段120A-1及び120A-2のそれぞれは、少なくとも3つの光ミラー及び内部に配置された非線形結晶をそれぞれ含む外部共振キャビティを備える。キャビティは、標準PDH(パウンド-ドレバー-ホール)、HC(ヘンシュ-クイヨ)(Ha(aウムラウト)nsch-Couillaud)、又はその他のロック技術を用いて安定され得る。キャビティの長さは、ミラー又はプリズムの位置を制御信号によって調整することにより、共振を維持するように調整される。第1の周波数倍増段120A-1は、第1の基本周波数ω
1で第1の基本光119Aを受け取って変換し、第1の基本周波数の2倍(2ω
1)で第2次高調波光121Aを発生する。第2の周波数倍増段120A-2は、第2次高調波光121Aを受け取って変換し、第1の基本周波数の4倍(4ω
1)で第4次高調波光129Aを発生する。
【0040】
いくつかの別の実施形態(図示せず)では、第1の周波数倍増モジュールを第1の基本波レーザと結合させて、基本固体状態レーザキャビティ内部に配置されたNLO結晶を用いた共振器内周波数倍増を使用して、第2次高調波光121Aを発生してもよい。
【0041】
好ましい実施形態では、第2次高調波光121Aを発生する、
図2Aの第1の周波数倍増段120A-1は、三ホウ酸リチウム(LBO)結晶を含み得て、その結晶は、室温と約200℃との間の温度で(結晶面の適切な選択のために)実質的に非臨界位相整合され、約515nm~約535nmの間の波長範囲で第2次高調波を生成し得る。代替の実施形態では、第1の周波数倍増段120A-1は、セシウムホウ酸リチウム(CLBO)結晶又はβホウ酸バリウム(BBO)結晶を含んでもよく、そのうちのいずれかは、臨界位相整合され、約515nm~約535nmの間の波長範囲で第2次高調波を発生させ得る。別の代替の実施形態では、第1の周波数倍増段120A-1は、KTiOPO
4(KTP)、周期分極反転ニオブ酸リチウム(PPLN)、周期的分極反転タンタル酸リチウム(PPSLT)、又は周波数変換のための他の非線形結晶を含み得る。
【0042】
第4次高調波を発生する第2の周波数倍増段120A-2は、CLBO、BBO又は他の非線形結晶における臨界位相整合を使用し得る。好ましい実施形態では、第2の周波数倍増段120A-2は、水素処理又は重水素処理CLBO結晶を含む。
【0043】
代替の実施形態では、第4次高調波を発生する第2の周波数倍増段120A-2は、以下の
図4に示すように構成された積み重ねられたSBO板において疑似位相整合(QPM)を使用し得る。SBOで532nmから266nmを発生するためのQPMの臨界長は、約2.80μm(つまり、2.79μm~2.90μmの範囲)である。臨界長は、より短い波長を発生するための臨界長よりも長いため、光伝播方向におけるSBO板の厚さ(
図4のΛ)は、臨界長に等しくてもよく、臨界長の小さい奇数の整数(例えば3~19)倍に等しくてもよい。
【0044】
CW基本波IRレーザの第4次高調波が、高パワー、低ノイズ及び高安定性を伴って発生され得る方法についての更なる詳細は、Chuangによる米国特許第9,293,882号、及び第9,660,409号と、Chuangらによる米国特許第9,509,112号、及び第10,044,166号において見ることができる。これらの特許は、参照によって本明細書に援用される。
【0045】
図2Aを参照すると、最終周波数倍増段130Aは、第4次高調波光129Aを受け取り、第1の基本周波数ω
1の8倍に等しい第8次高調波周波数8ω
1を有する第8次高調波光139Aを生成する。好ましい実施形態では、第8次高調波光139Aを発生する
図2Aの最終周波数倍増段130Aは、疑似位相整合(QPM)用に構成された2つ以上のSBO結晶板を含み得る。例えば、2枚のSBO結晶板の場合、結晶板は、結晶軸が互いに反転するように、互いに180°回転させて配置される。この結晶板の物理的配置により、QPMが可能になる。これは、PPLN(周期分極ニオブ酸リチウム)をQPMに使用することに類似すると見なし得るが、ニオブ酸リチウムが強誘電性結晶であり、周期的に分極され得ることは異なる。対照的に、SBOは非強誘電性であるため、結晶板を物理的に配置して、QPMの周期構造を作成する必要がある。更に、周期的分極は、強誘電性結晶の結晶軸に平行な電場を印加する必要があるため、分極方向は必然的に結晶軸と一致する。対照的に、本明細書に開示されるSBO結晶板は、結晶軸に対して任意の方向に切断及び研磨され得るため、結晶板を、例えば板に入射する光に対してブリュースター角で切断及び方向付けることができる。
図4及び
図7と、以下の関連する説明を参照されたい。
【0046】
周波数変換段のいずれかは、1つ以上の保護環境に包囲されてもよく、例えばArmstrongによる「Enclosure for controlling the environment of optical crystals」と題する米国特許第8,298,335号に記載されている。この特許は、参照により本明細書に援用される。特に、最終周波数倍増段130AはVUV波長を生成するため、この段は酸素及び水の濃度が非常に低い環境(好ましくは数ppm以下の濃度)にある必要がある。好ましくは、最終周波数倍増段は、純粋な窒素又はアルゴンでパージされた環境に保持される。単一の保護環境は、複数の段又は単一の段を囲むことができることに留意されたい。
【0047】
周波数変換段のいずれかは、Dribinskiらによる「Alleviation of laser-induced damage in optical materials by suppression of transient color centers formation and control of phonon population」と題された米国特許第9,461,435号及び第9,059,560号に記載されている方法又はシステムのいずれか、Armstrongによる「Measuring crystal site lifetime in a non-linear optical crystal」と題された米国特許第8,824,514号に記載されている装置又は方法のいずれか、Genisによる「Laser crystal degradation compensation」と題された米国特許第8,976,343号に記載されている装置及び方法のいずれかを組み込んでもよい。これらの特許は全て、参照により本明細書に援用される。
【0048】
更に、本明細書で述べた中間周波数変換段のいずれかは、重水素、水素及び/又はフッ素をドープ又は処理した非線形結晶を有利に使用し得ることに留意されたい。そのような結晶は、Dribinskiの米国特許第9,023,152号、Chuangらの米国特許第9,250,178号、第9,459,215号、及び第10,283,366号、ならびに「Passivation of Nonlinear Optical Crystals」と題され、Dribinskiらによって2014年4月8日に出願された、公開された米国特許出願第2014/0305367号に記載されているプロセス又は方法のいずれかによって、作成、加工、又は処理され得る。これらの特許及び出願は、参照により本明細書に援用される。ドープ又は処理された結晶は、
図2Aの第2の周波数倍増段120A-2を含む深UV波長を伴う段で特に有用であり得る。
【0049】
図2Bは、本発明の第2の特定の実施形態による、約170nm~約180nmの範囲(例えば、約177nm)の波長を発生するように構成された例示的なレーザアセンブリ100Bを示す簡略化されたブロック図である。レーザアセンブリ100Bは、第1の基本波レーザ110B-1、第2の基本波レーザ110B-2、周波数倍増(変換)段120B-1、周波数合計(変換)段120B-2、及び最終周波数倍増段130Bを含み、それらは集合的に構成されて、約170nm~約180nmの範囲の波長を有する出力周波数ω
OUTBを備えるレーザ出力光139Bを発生する。第1の基本波レーザ110B-1は、基本光119B-1を発生するように構成され、それは約1000nm~約1100nm(すなわち、約1μm~1.1μm)の範囲の第1の基本波長と、対応する第1の基本周波数ω
1とを有する。第2の基本波レーザ110B-2は、基本光119B-2を発生するように構成され、それは約1000nm~約1100nm(すなわち、約1μm~1.1μm)の範囲の第2の基本波長と、対応する第2の基本周波数ω
2とを有する。周波数倍増段120B-1は、第1の基本光119B-1を受け取り、第1の基本周波数ω
1の2倍に等しい第2次高調波周波数2ω
1を有する第2次高調波光121Bを発生する。周波数合計段120B-2は、第2次高調波121Bを第2の基本光119B-2と合計し、合計周波数2ω
1+ω
2を有する中間光ビーム129Bを発生する。第1の基本波レーザ10B-1と第2の基本波レーザ110B-2の周波数が同じ(ω
1=ω
2)である場合、中間光ビーム129Bは基本光の第3次高調波(3ω
1又は3ω
2)である。最終周波数倍増段130Bは、中間光ビーム129Bを受け取り、合計周波数2ω
1+ω
2の2倍、すなわち4ω
1+2ω
2に等しい出力周波数ω
OUTBを有する最終出力光139Bを発生する。第1の基本波レーザ110B-1と第2の基本波レーザ110B-2の周波数が同じ(ω
1=ω
2)である場合、最終レーザ出力光139Bの出力周波数ω
OUTBは、基本光の第6次高調波(6ω
1又は6ω
2)である。
【0050】
図2Bを参照すると、第1及び第2の基本波レーザ110B-1及び110B-2は、
図2Aの基本波レーザ110Aを参照して上述したように構成される。代替の実施形態では、第2の基本波レーザ110B-2は省略されてもよく、第1の基本波レーザ110B-1の出力は2つの部分、つまり、第1の周波数倍増段120B-1に向けられる第1の部分と、第2次高調波光121Bとともに周波数合計段120B-2に向けられる第2の部分に分割されてもよい。この代替の実施形態では、必然的にω
2=ω
1である。
【0051】
図2Bの例示的な実施形態によれば、第1の周波数倍増段120B-1は、
図2Aの段120A-1及び120A-2を参照して上述したように構成される。
【0052】
1つの実施形態では、周波数合計段120B-2は、第2次高調波121Bを第2の基本光119B-2と、三ホウ酸リチウム(LBO)結晶、ホウ酸セシウムリチウム(CLBO)結晶、又はβホウ酸バリウム(BBO)結晶を使用して合計する。
【0053】
好ましい実施形態では、最終周波数倍増段130Bは、疑似位相整合(QPM)用に構成された2つ以上のSBO結晶板を、
図2Aの最終周波数倍増段130Aを参照して上述したのと同様の方法で含む。最終周波数倍増段130Aと130Bとの間の相違点は、
図3及び
図4を参照して以下に説明される。
【0054】
図3は、本発明の例示的な実施形態による、
図2Aの133nmレーザアセンブリ100A及び
図2Bの177nmレーザアセンブリ100Bで利用される、例示的な最終周波数倍増段130Cを示す簡略図である。周波数ω
x(例えば、段130Cが133nmレーザ100Aで使用される場合、ω
x=4ω
1、又は段130Bが177nmレーザ100Bで使用される場合、ω
x=2ω
1+ω
2)を有する入力光129Cは、入力カプラ132C-1、平面ミラー132C-2、曲面ミラー132C-3、132C-4、及び2つ以上のSBO結晶板を有する非線形結晶135B(入力面135C-IN及び出力面135C-OUTを含む)を具備するボウタイリングキャビティに、入力カプラ132C-1を介して入り、再循環されてパワーを強化する。出射光136Cは、非線形結晶135Cから出力面135C-OUTを通して出力され、未消費の入力光138Cと、入力光129Cの周波数の2倍に等しい出力周波数ω
OUTCを備える発生されたレーザ出力光139Cとを含む(すなわち、周波数ω
OUTCは、
図2Aの第8次高調波出力光139A又は
図2Bの第6次高調波出力光139Bのいずれかに等しくなり得る)。レーザ出力光139Cは、ビームスプリッタ(BS)137Cの表面から反射され、キャビティの外に向けられる。
【0055】
好ましくは、非線形結晶135Cは、入力面135C-IN及び出力面135C-OUTが循環する入力光133Cに対してほぼブリュースター角で配向されるように構成される。循環する入力光133Cの偏光方向は、矢印329Cによって示される。更に、BS137Cは、非線形結晶135Cによって引き起こされる入力光の横方向変位を実質的にオセットする量だけ、キャビティ内の循環する入力光133Cを横方向に変位させ、これにより、実質的に対称なボウタイキャビティが維持され、キャビティの光学的位置合わせが簡素化されるように構成され得る。
【0056】
1つの実施形態では、BS137Cは、SBO結晶、SBOガラス、又はCaF2結晶を含み得る。SBOは深UVの透過率が高く、損傷閾値が高いため、SBOはBS137Cの基板材料として有利に使用され、キャビティ内を循環する未消費の入力光138Cの高パワーレベルにもかかわらず、長寿命を保証し得る。BS137CがSBO結晶を含む場合、その厚さ及び/又はその結晶軸の向きは、それを通過する未消費の入力光138Cの周波数倍増を最小限に抑えるように構成され得る。BS137Cは、ダイクロイックビームスプリッタ、プリズム、又は波長を分離するための他の構成要素を含み得る。1つの実施形態では、非線形結晶135Cは、出力光139Cが循環する入力光133Cに対して直交偏光を有するように構成される。この実施形態では、BS137Cは、未消費の入力光138Cを透過し、出力光139Cを反射するように構成された偏光ビームスプリッタを含み得る。この実施形態では、最大の非線形係数d33を利用することが不可能であるため、この構成は、変換効率の低下を、偏光ビームスプリッタを使用する利便性とトレードオフすることに留意されたい。1つの実施形態では、BS137Cは、その表面を、未消費の入力光138Cがそれらの表面に対して実質的にp偏光され、表面がその未消費の入力光に対してほぼブリュースター角になるように配向させる。
【0057】
図3によれば、入力光(ω
x)129Cは、キャビティに入る前に1つ以上のレンズ131Cによって集束され、非線形結晶135Cの内部又は近傍にビームウエストを有する共振キャビティの固有モードに一致する。好ましい実施形態では、1つ以上のレンズ131Cは、1つ以上の円柱レンズを含み、円柱レンズは、SBOガラス又は結晶を含み、反射防止コーティングを使用せずに反射損失を最小限に抑えるために、入射光129Cに対してほぼブリュースター角で動作するように構成される。SBOは、UV及びDUV波長での損傷閾値が高いため、このようなレンズに適した材料である。BS137Cを通過する未消費の入力光138C(ω
x)は、ミラー132C-4によって反射され、キャビティ内を循環して強度を高める。強化された入力光(ω
x)パワー密度が十分に強い場合、入力光(ω
x)から出力光139C(2ω
x)への変換効率は非常に高くなり、50%まで、又はそれを超過することもあり得る。177nm付近又は133nm付近の波長を備える出力光139C(2ω
x)は、BS137Cから反射した後にキャビティを出る。
【0058】
代替の実施形態では、非線形結晶135Cの入力面は、入力面135C-IN及び出力面135C-OUTをブリュースター角に向ける代わりに、適切な反射防止コーティングを用いてコーティングされ得る。
【0059】
図3は、最終周波数倍増段130Cを、2つの平面ミラー及び2つの曲面ミラーを具備しているキャビティを含むものとして示しているが、ミラー及び/又はレンズの他の組み合わせを使用して、キャビティ内を循環する光を再集束してもよい。代替の実施形態では、最終周波数倍増段130Cは、デルタキャビティ、定在波キャビティ、又は他の形状のキャビティをボウタイキャビティの代わりに含んでもよい。定在波キャビティが使用される場合、第8次高調波は、入射された第4次高調波光と同じ方向に発生される。これらのキャビティはいずれも、標準PDH又はHCロック技術を用いて安定化され得る。キャビティの長さは、ミラーの1つ(
図3のミラー132C-2など)の位置、又はプリズムの位置を、圧電トランスデューサ(PZT)、ボイスコイル又は別のアクチュエータに接続された制御信号(図示せず)を介して調整することにより、共振を維持するように調整される。最終周波数倍増段130Cがパルスレーザで使用される場合、キャビティは必要なく、入力光129Cは、レンズ及び/又はミラーの任意の適切な組み合わせによって、非線形結晶135Cに向けられ、非線形結晶135C内又はその近くに集束され得ることに留意されたい。
【0060】
図4は、4枚の積み重ねられたSBO板135C-1~135C-4を含む非線形結晶135Cの詳細を示し、それは177nmレーザ100Bの場合、第1の基本光の第2次高調波と第2の基本光との合計産物の周波数を2倍にし、又は133nmレーザ100Aの場合、第4次高調波の周波数を2倍にして第8次高調波を発生させるように構成される。奇数又は偶数の枚数の板があってもよい。
図4は、積み重ねられた4枚のSBO結晶板135C-1~135C-4を含む周期構造を有する非線形結晶135Cを示しているが、SBO板の総数は、2枚程度であってもよく、10枚を超えてもよい。SBO板135C-1~135C-4のそれぞれの厚さは、10ミクロン~2ミリメートルであり得る。具体的には、SBO板の厚さΛは、Λ=mL
cで与えられ、ここで、mは奇数の整数(つまり、1、3、5、7…)であり、疑似位相整合臨界長L
c=π/Δkである。177nmレーザ100Bの最終周波数倍増段130Bでは、疑似位相整合臨界長L
cは約0.60μmであるが、一方、133nmレーザ100Aの最終周波数倍増段130Aでは、疑似位相整合臨界長L
cは約0.13μmである。適切なmは、取り扱いと処理に便利なスラブの厚さを実現するために、数百又は数千程度になる場合がある。266nmの光を周波数倍増することによって133nmの光を発生するための典型的なQPM臨界長は、Trabsらによって公開されたSellmeierモデル(前掲)を使用して、133nm及び266nmの波長におけるSBOの屈折率から計算された。Trabsらは、160nmより短い波長を発生しなかったため、133nmでの外挿された屈折率は不正確である可能性がある。関連技術の当業者は、より正確な屈折率が与えられた場合にQPM臨界長を計算する方法を理解するであろう。
【0061】
図4を参照すると、周波数ω
xの入力光133Cは、非線形結晶135Cの入力面135C-INに入射する。入力光133Cの偏光方向は、破線矢印によって示される。SBO板135C-1~135C-4は、上下に積み重ねられて、入力面135C-IN及び出力面135C-OUTが、周波数ω
xの循環する光133Cに対してほぼブリュースター角θで方向付けられ、反射防止コーティングを使用せずに反射損失を最小限にする。ブリュースター角は、約210nmより長い波長の表面法線Nに対して、約60.5±1°である。SBO板の積層を出る光136Cは、入力光の第2次高調波2ω
x及び未消費の入力光ωxを含む。
【0062】
QPMの周期構造を作成するために、SBO板135C-1~135C-4は、一方を他方に対して回転させて配置され、その結果、それらの対応するc結晶軸は、
図4の2つの挿入図に示すように、互いに反転される。厚さΛ(Λは結晶の極間の間隔)のSBO板の表面法線Nと、SBO板内部の光133Cの伝播方向が、2つの挿入図に示される。結晶板の物理的な配置により、QPMが可能になる。これは、QPMにPPLN(周期分極ニオブ酸リチウム)を使用することに類似していると見なし得るが、ニオブ酸リチウムが強誘電性結晶であり、周期的に分極され得ることは異なる。対照的に、SBOは非強誘電性であるため、結晶板を物理的に配置して、QPMの周期構造を作成する必要がある。更に、周期的分極は、強誘電性結晶の結晶軸に平行な電場を印加する必要があるため、分極方向は必然的に結晶軸と一致する。対照的に、本明細書に開示されるSBO結晶板は、結晶軸に対して任意の方向に切断及び研磨され得ることで、結晶板を切断し、板に入射する光に対してブリュースター角で方向付けることができる。
【0063】
好ましい実施形態では、SBO板135C-1~135C-4の結晶軸は、SBO板内部を伝播する光133Cが、c軸に実質的に平行な光133Cの偏光方向(電場方向)でc軸に実質的に垂直に伝播するように配向され、SBOの最大の非線形光学係数であるd
33を利用して、変換効率を最大化する。例えば、
図4に示されるように、SBO板135C-1の結晶軸は、光133CがSBO結晶のa軸に実質的に平行に伝播するように配向され得る。代替的に、結晶軸は、光133Cがb軸(図示せず)に平行に、又は結晶のa-b面内のある角度で伝播するように配向され得る。換言すれば、
図4の2つの挿入図に示される結晶軸は、c軸を中心に回転され得る。SBO板135C-1の入力面が入力光133Cに対してブリュースター角に向けられる場合、板135C-1内の光の伝播方向は、表面法線Nに対して約29.5±1°になる。
【0064】
図5Aは、本発明の第3の特定の例示的な実施形態による、例示的なレーザアセンブリ100Dを示す簡略化されたブロック図である。レーザアセンブリ100Dは、第1の基本波レーザ110D-1、第2の基本波レーザ110D-2、3つの中間周波数変換段(すなわち、第1の周波数倍増段120D-1、周波数合計段120D-2、及び第2の周波数倍増段120D-3)、及び最終周波数合計(変換)段130Dを含み、それらは、約147nm~約155nmの範囲(例えば、約152nm)の波長を有するレーザ出力光139Dを発生するように協働して構成される。第1の基本波レーザ110D-1は、上述の方法で構成され、約1000nm~約1100nm(すなわち、約1μm~1.1μm)の範囲の第1の基本波長、及び対応する第1の基本周波数ω
1を有する(第1の)基本光119D-1を発生する。第2の基本波レーザ110D-2もまた、上述の方法で構成され、約1000nm~約1100nm(すなわち、約1μm~1.1μm)の範囲の第2の基本波長、及び対応する第2の基本周波数ω
2を有する(第2の)基本光119D-2を発生する。第1の周波数倍増段120D-1は、第1の基本光119D-1を受け取り、第1の基本周波数ω
1の2倍に等しい第2次高調波周波数2ω
1を備える第2次高調波光121Dを発生する。ビームスプリッタ124Dは、第2次高調波光121Dを2つの部分、すなわち第1の部分121D-1と第2の部分121D-2に分離する。第2次高調波光121Dの第1の部分121D-1は、周波数合計段120D-2によって受け取られ、そこでは、第1の部分121D-1を第2の基本光119D-2と合計して、合計周波数2ω
1+ω
2に等しい対応する周波数ω
xを有する第1の中間光ビーム129D-1を発生する。便宜上、この合計周波数は、本明細書では第3次高調波に実質的に等しいものとする(ω
1及びω
2が類似又はほぼ等しいため)。すなわち、第1の基本波レーザ110D-1と第2の基本波レーザ110D-2の周波数が実質的に同じ(すなわち、ω
1=ω
2)であるとき、第1の中間光ビーム129D-1の周波数ω
xは、基本光周波数ω
1又はω
2のいずれかの第3次高調波に実質的に等しい(すなわち、ω
x≒3ω
1又はω
x≒3ω
2)。周波数合計段120D-2は、
図2Bを参照して周波数合計段120B-2について上述したのと同様の方法で構成される。第2次高調波光121Dの第2の部分121D-2は、第2の周波数倍増段120D-3に渡され、それは、第1の基本周波数ω
1の4倍に等しい対応する周波数ω
y(すなわち、ω
y=4ω
1)を有する第2の中間光ビーム129D-2を発生するように構成される。
図1の例示的な実施形態によれば、周波数倍増段120D-1及び120D-3のそれぞれは、少なくとも3つの光学ミラーを含む外部共振キャビティと、内部に配置された非線形結晶とを、
図2Aの第2の周波数倍増段120A-2を参照して上述したものと同様の方法で含む。最終周波数合計段130Dは、本明細書に記載の技術を使用して、第1及び第2の中間光ビーム129D-1及び129D-2(すなわち、ω
x+ω
y)を合計し、6ω
1+ω
2に等しい出力周波数ω
OUTDを備えるレーザ出力光139Dを発生し、それは本明細書では第7次高調波光と実質的に等価であるとされ(すなわち、ω
1とω
2が類似又はほぼ等しい場合、ω
x+ω
y=6ω
1+ω
2≒7ω
1であるため)、これは、好ましい実施形態では約152nmの波長を有する。別の実施形態では、第2の基本波レーザ110D-2は省略されてもよく、第1の基本波レーザ110D-1の出力が2つの部分、すなわち第1の周波数倍増段120D-1に向けられる第1の部分と、第2次高調波光121D-1とともに周波数合計段120D-2に向けられる第2の部分に分割され得る。この代替の実施形態では、必然的にω
2=ω
1である。
【0065】
図5Bは、本発明の第4の特定の例示的な実施形態による、約147nm~約155nmの範囲(例えば、約152nm)の波長を発生するように構成された、例示的なレーザアセンブリ100Eを示す簡略化されたブロック図である。レーザアセンブリ100Eは、第1の基本波レーザ110E-1、第2の基本波レーザ110E-2、3つの中間周波数変換段(すなわち、第1の周波数倍増段120E-1、第2の周波数倍増段120E-2、及び第1の周波数合計段120E-3)、及び最終周波数合計(変換)段130Eを含み、約147nm~約155nmの範囲(例えば、約152nm)の波長を有する出力周波数ω
OUTEを備えるレーザ出力光を発生する。基本波レーザ110E-1及び110E-2は、約1000nm~約1100nmの範囲(すなわち、約1μm~約1.1μmの間)の基本波長を有する基本光119E-1及び119E-2と、それぞれに対応する基本周波数ω
1とω
2を、それぞれ発生するように、上述の方法で構成される。第1の周波数倍増段120E-1は、第1の基本光119E-1を受け取り、第1の基本周波数ω
1の2倍に等しい第2次高調波周波数2ω
1を備える第2次高調波光121E-1を発生する。ビームスプリッタ124Eは、第2次高調波光121E-1を2つの部分、すなわち第1の部分121E-11と第2の部分121E-12に分離する。第2次高調波光121E-1の第1の部分121E-11は、対応する周波数ω
xを有する第1の中間光ビーム129E-1として利用され、最終周波数合計段130Eに直接渡される。第2の周波数倍増段120E-2は、第2次高調波光121E-1の第2の部分121E-12を受け取り、第1の基本周波数ω
1の4倍に等しい第4次高調波周波数4ω
1を備える第4次高調波光121E-2を発生する。第1の周波数合計段120E-3は、第4次高調波光121E-2を第2の基本光119E-2と合計し、合計周波数4ω
1+ω
2に等しい対応する周波数ω
yを有する第2の中間光ビーム129E-2を発生する。便宜上、この合計周波数は、本明細書では第5次高調波光と称される(すなわち、ω
1とω
2が類似又はほぼ等しい場合、第1の基本周波数の第4次高調波と第2の基本周波数との合計は、第1の基本周波数の第5次高調波に実質的に等しいため、つまりω
y=4ω
1+ω
2≒5ω
1のためである)。最終周波数合計段130は、第1及び第2の中間光ビーム129E-1及び129E-2を合計し、合計周波数6ω
1+ω
2に等しい出力周波数ω
OUTEを備えるレーザ出力光139Eを発生し、それは便宜上、本明細書において、第1の基本周波数ω
1の第7次高調波に実質的に等しいものと称され(すなわち、ω
1≒ω
2の場合、ω
x+ω
y=6ω
1+ω
2≒7ω
1)、好ましい実施形態では約152nmの波長を有する。代替の実施形態では、第2の基本波レーザ110E-2は省略されてもよく、第1の基本波レーザ110E-1の出力は、2つの部分、すなわち、第1の周波数倍増段120E-1に向けられる第1の部分と、第1の周波数合計段120E-3に4次高調波光121E-2とともに向けられる第2の部分に分割される。この代替の実施形態では、必然的にω
2=ω
1である。
【0066】
第1の周波数合計段120E-3は、CLBO、又は水素若しくは重水素で処理されたCLBOをほぼ非臨界位相整合構成で使用して、第4次高調波光121E-2を第2の基本光119E-2と合計するように構成され得る。あるいは、第1の周波数合計段120E-3は、擬似位相整合(QPM)を、以下の
図7に示されるように構成された積み重ねられたSBO板において使用し得る。266nmと1064nmをSBOで合計して、213nmを発生するためのQPMの臨界長は、約1.81μm(つまり、1.80μm~1.82μmの範囲)である。この臨界長は、より短い波長を発生するための臨界長よりも長いため、光伝播方向におけるSBO板の厚さ(
図7のΛ)は、臨界長に等しくてもよく、臨界長の小さい奇数の整数(3~19など)倍に等しくてもよい。
【0067】
図5Cは、本発明の第5の特定の例示的な実施形態による、例示的なレーザアセンブリ100Fを示す簡略化されたブロック図である。レーザアセンブリ100Fは、第1の基本波レーザ110F-1、第2の基本波レーザ110F-2、3つの中間周波数変換段(すなわち、第1の周波数倍増段120F-1、第2の周波数倍増段120F-2、及び第3の周波数倍増段120F-3)と最終周波数合計(変換)段階130Fを含み、それらは、約170nm~約180nmの範囲(例えば、約177nm)の波長を有するレーザ出力光を発生するように協働して構成される。基本波レーザ110F-1及び110F-2は、約1000nm~約1100nmの範囲(すなわち、約1μm~約1.1nm)の基本波長を有する基本光119F-1及び119F-2とそれぞれに対応する基本周波数ω
1とω
2をそれぞれ発生するように、上述の方法で構成される。第1の周波数倍増段120F-1は、第2の基本光119F-2を受け取り、第2の基本周波数ω
2の第2次高調波に等しい(すなわち、第2の基本周波数ω
2の2倍に等しい)周波数ω
xを有する第1の中間光ビーム129F-1を発生する。第2の周波数倍増段120F-2は、第1の基本光119F-1を受け取り、第1の基本周波数ω
1の第2次高調波に等しい(すなわち、第1の基本周波数ω
1の2倍に等しい)周波数を有する第2次高調波光121Fを生成する。第3の周波数倍増段120F-3は、第2次高調波光121Fを受け取り、第1の基本周波数ω
1の4倍に等しい第4次高調波周波数4ω
1を備える周波数ωyを有する第2の中間光ビーム129F-2を発生する。最終周波数合計段130Fは、第1の中間光ビーム129F-1(すなわち、第2次高調波2ω
2)と第2の中間光ビーム129F-2(すなわち、第4次高調波4ω
1)とを合計し、出力周波数ω
OUTFを有するレーザ出力光139Fを発生し、それは第1の基本周波数の6倍に実質的に等しく(つまり、ω
1がω
2にほぼ等しい場合、ω
x+ω
y=4ω
1+2ω
2≒6ω
1であるため)、これは、好ましい実施形態では、約177nmの波長を有する。代替の実施形態では、第2の基本波レーザ110F-2及び第1の周波数倍増段120F-1は省略されてもよく、第2の周波数倍増段120F-2の出力121Fは、2つの部分、つまり、第3の周波数倍増段120F-3に向けられる第1の部分と、最終周波数合計段130Fに第4次高調波光129F-2とともに向けられる第2の部分とに分割され得る。この代替の実施形態では、必然的にω
2=ω
1である。
【0068】
図6は、本発明の例示的な実施形態による、
図5Aの152nmレーザアセンブリ、
図5Bの152nmレーザアセンブリ、及び
図5Cの177nmレーザアセンブリで利用される、例示的な最終周波数合計段130Gを示す簡略図である。入力光129G(周波数ω
x、例えば、段130Gが
図5Aの152nmレーザ100Dで使用される場合はω
x=2ω
1+ω
2、段130Gが
図5Bの152nmレーザ100Eで使用される場合はω
x=2ω
1、又は段130Gが
図5Cの177nmレーザ100Fで使用される場合はω
x=2ω
2を有する)は、入力カプラ132G-1、平面ミラー132G-2、曲面ミラー132G-3、132G-4、及び非線形結晶135G(入力面135G-IN及び出力面135G-OUTを含む)を具備するボウタイリングキャビティに、入力カプラ132G-1を介して入り、再循環されてパワーを増強する。周波数ωyを備える入力光(第2の中間光ビーム)129G-2(例えば、段130Gが
図5Aの152nmレーザ100Dで使用される場合はω
y=4ω
1、又は段130Gが
図5Bの152nmレーザ100Eで使用される場合はω
y=4ω
1+ω
2、又は段130Gが
図5Cの177nmレーザ100Fで使用される場合はω
y=4ω
1)は、ボウタイリングキャビティにミラー132G-2の近くを通って(必ずしも通過する必要はない)入り、非線形結晶135Gを通過する。非線形結晶135Gから出力面135C-OUTを介して出力される出射光136Gは、周波数ω
xを備える未消費の入力光138G-1、周波数ω
yを備える未消費の入力光138G-2、及び出力周波数ω
OUTGを備える発生されたレーザ出力光139Gを含み、これは、中間(入力)光ビーム129G-1と129G-2の周波数ω
Xとω
yの合計に等しい(すなわち、周波数ω
OUTGは、
図5A又は
図5Bの第7次高調波出力光139D及び139E、あるいは
図5Cの第6次高調波出力光139Fのいずれかに実質的に等しい可能性がある)。レーザ出力光139Gは、ビームスプリッタ(BS)137Gの入力面から反射され、キャビティの外に向けられる。周波数ω
xを備える未消費の入力光138G-1は、ビームスプリッタ137G及びオプションのビームスプリッタ325(存在する場合)を通過し、ミラー132G-4及び132G-1によって反射されて循環される光133Gの強度を高める。周波数ω
yの未消費の入力光138G-2は、キャビティを出る前に、ビームスプリッタ137Gから、又は任意の(第2の)ビームスプリッタ325から反射される。循環する入力光133Gの偏光方向は、矢印329Gによって示される。
【0069】
周波数合計段130Gは、
図3の周波数倍増段130Cを参照して上述した特徴及び代替のいずれかを使用して変更され得る。例えば、段130Gは、1つ以上のレンズ131Gを利用して、上述のように周波数ω
xを備える入力光129C-1を集束させ、更に1つ以上のレンズ308を利用して、入力光129G-2を、ミラー132G-3の近くのキャビティに入るときに集束させ、ここで、1つ以上のレンズ131G及び1つ以上のレンズ308の両方は、レンズ131C(
図3)を参照して上述したように構成される。更に、ビームスプリッタ137Gは、
図3のビームスプリッタ137Cを参照して上述したように構成され得る。最終周波数合計段130Gがパルスレーザで使用される場合、キャビティは必要なく、入力光129G-1及び129G-2は、同一線上(又は、互いに5°以内のようにほぼ同一線上)にされ、レンズ及び/又はミラーの任意の適切な組み合わせによって、非線形結晶135Gに、又はその近くに向けられて集束されることに留意されたい。
【0070】
図7は、周波数ω
xの入力光133Gと周波数ωyの入力光129G-2を合計するように構成された4つの積み重ねられたSBO板135G-1~135G-4を含む例示的な非線形結晶135Gを示す。非線形結晶135Gは、4枚の板を含むように描かれるが、板の総数は、例えば、わずか2枚でも又は10枚より多くてもよく、偶数の枚数の板(図示のように)又は奇数の枚数のSBO結晶板があってもよい。SBO板135G-1~135G-4のそれぞれの厚さは、約10ミクロン~約2ミリメートルであり得る。具体的には、SBO板の厚さΛは、Λ=mL
c、ここでm=1,3,5,7…と、疑似位相整合臨界長L
c=π/Δkで与えられる。入力光133G、入力光129G-2、及び出射光136Gの偏光が全て、SBO結晶板のc軸に実質的に平行に整列されて、SBOの最大の非線形係数(d
33)を利用する場合、疑似位相整合臨界長L
cは、最終周波数合計段130Gが
図5Aの152nmレーザ出力光139Dを発生するために利用されるときには約0.30μm、最終周波数合計段130Gが
図5Bの152nmレーザ出力光139Eを発生するために利用されるときには約0.34μm、そして、最終周波数合計段130Gが
図5Cの177nmレーザ出力光139Fを発生するために利用されるときには約0.66μmである。適切なmは、取り扱い及び処理に便利なスラブの厚さを実現するために、数百又は数千程度であり得る。入力光129G-1、入力光129G-2、及び出力光139Gの偏光方向の他の組み合わせが可能であり、異なる位相整合臨界長を有する。当業者は、位相整合臨界長をSBOの屈折率から計算する方法を理解するであろう。このような偏光の組み合わせの変換効率は、一般に、全ての偏光が、SBOの他の非線形係数がd
33より小さいためにc軸に平行な場合よりも低くなる。しかし、そのような構成は、別の理由、例えば、それらの偏光に基づいて波長を結合又は分離することを単純化するために好ましい場合がある。
【0071】
図7を参照すると、周波数ω
xを備える入力光133G及び周波数ω
yを備える入力光ビーム129G-2は、非線形結晶135Gの入力面135G-INに入射し、それは図示の例ではSBO結晶板135G-4の露出面を使用して実装される。入力光133G(及び入力光129G-2)の偏光方向は、矢印329Gによって示される。入力光133Gの伝播方向と入力光129G-2の伝播方向との間の角度βは、小さくあるべきであり、例えば、5°未満、好ましくは約2°以下である。好ましい実施形態では、非線形結晶135Gは、入力面135G-IN及び出力面135G-OUTが周波数ω
xの入力光133Gに対してほぼブリュースター角θで配向され、反射防止コーティングを使用せずに反射損失を最小限に抑えるように構成される。出射光136Gは、合計周波数ω
x+ω
yの出力光139G、周波数ω
xを備える未消費の入力光138G-1、及び周波数ω
yを備える未消費の入力光138G-2を含む。
【0072】
QPMの周期構造を作成するため、2つ以上のSBO板135G-1~135G-4は、一方を他方に対して回転させて配置され、その結果、対応するc結晶軸は、
図7の2つの挿入図に示すように互いに対して反転される。厚さΛのSBO板の表面法線Nと、SBO板内部の光133Gの伝播方向が、2つの挿入図に示される。この結晶板の物理的な配置により、QPMが可能になる。好ましい実施形態では、各板の厚さは、Λ=mL
cに実質的に等しく、上で説明したようにm=1、3、5、7…である。QPMの文脈において、実質的に等しいとは、疑似位相整合臨界長L
cの約20%以内又は約10%以内に等しいことを意味する。1つの実施形態では、大型SBO板が所望の厚さに研磨され、その後、個々の小さなピースに分割され、それらは互いに対して正しい向きで組み立てられて、非線形結晶135Gを形成する。
【0073】
好ましい実施形態では、SBO結晶板135G-1~135G-4の結晶軸は、SBO板を通過する入力光133G及び入力光129G-2が、c軸に実質的に平行な光133G及び129G-2の偏光方向(電場方向)で、c軸に実質的に垂直に伝播し、SBOの最大の非線形光学係数であるd
33を利用して、変換効率を最大化するように配向される。例えば、
図7に示されるように、SBO板132G-4の結晶軸は、光133G及び光129G-2がSBO結晶のa軸に実質的に平行に伝播するように配向され得る。あるいは、結晶軸は、光133G及び光129G-2がb軸に平行に、又は結晶のa-b平面内で或る角度で伝播するように配向され得る。SBO板132G-4の入力面が、入力光133G/129G-2の偏光方向329Gに対してブリュースター角θで配向される場合、板132G-4内部の光の伝播方向は、表面法線Nに対して約29.5±1°になる。入力光133C及び129G-2は、上で説明したように、互いに対して数度の角度で入力面135G-INに入射し、したがって、それらはSBO板132G-1~132G-4内を互いにほぼ平行に伝播し、実質的に一方向に伝播していると見なされ得ることに留意されたい。
【0074】
上記の図は、構成要素の実際の物理的なレイアウトを表すことを意図したものではない。上記の図は、プロセスに含まれる主要な光学モジュールを示すが、全ての光学素子を示しているわけではない。当業者は、177nm、152nm、及び133nmのレーザを構築する方法を、上記の図及び関連する説明から理解するであろう。より多くの、又はより少ない光学部品を使用して、必要な場所に光を向け得ることを理解されたい。レンズ及び/又は曲面ミラーを使用して、ビームウエストを、適切な非線形結晶の内部又は近傍の実質的に円形又は楕円形の断面の焦点に集束させ得る。プリズム、ビームスプリッタ、グレーティング、又は回折光学素子を使用して、必要に応じて、各周波数変換段の出力で異なる波長を操作又は分離し得る。プリズム、コーティングされたミラー、又は他の要素を使用して、異なる波長を、必要に応じて周波数変換段への入力で結合し得る。ビームスプリッタ又はコーティングされたミラーを適切に使用して、1つの波長を2つのビームに分割し得る。フィルタを使用して、望ましくない波長を任意の段の出力で遮断又は分離し得る。波長板を使用して、必要に応じて偏光を回転し得る。別の光学素子が適宜使用されてもよい。当業者は、177nm、152nm、及び133nmレーザの実装において可能な様々なトレードオフ及び代替案を理解するであろう。
【0075】
上記の様々な代替の実施形態において、第1の基本波レーザは、第1の基本波光を、対応する波長が約1070nm、約1064nm、約1053nm、約1047nm、及び約1030nmのいずれか1つに等しい第1の基本波周波数ω1で発生するように構成されてもよい。使用される場合、第2の基本波レーザは、第2の基本波光を、対応する波長が約1070nm、約1064nm、約1053nm、約1047nm、及び約1030nmのいずれか1つに等しい第2の基本波周波数ω2で発生するように構成されてもよい。本明細書で言及される様々な高調波周波数は、対応する基本周波数の倍数に基づく。所与の基本波レーザによって発生される光の正確な波長は、多くの要因に依存し、レーザ媒体の正確な組成、レーザ媒体の作動温度、及び光キャビティの設計が挙げられる。所与のレーザ媒体の同じレーザラインを使用する2つのレーザは、前述の要因及びその他の要因により、10分の1nm又は数nmまで異なる波長で作動され得る。当業者は、任意の1つ又は2つの基本波長から所望の出力波長を発生するために適切な第1及び第2の基本波長を選択する方法を理解するであろう。
【0076】
本発明は、本明細書において、約177nm、約152nm、又は約133nmの所望の波長でレーザ出力光を発生することを容易にする、様々な基本波長を使用して説明されるが、これらの望ましい波長の数ナノメートル以内の別の波長は、異なる基本波長を使用して発生され得る。添付の特許請求の範囲で特に明記しない限り、そのようなレーザ及びそのようなレーザを利用するシステムは、本発明の範囲内であると見なされる。
【0077】
パルスレーザと比較して、CW光源は一定のパワーレベルを有し、それはピークパワーによる損傷の問題を回避し、更に画像又はデータを連続的に取得することを可能にする。更に、発生されたCW光の帯域幅は、典型的なモードロックレーザよりも数桁狭く、したがって、対応する照明又は検出光学システムの設計は、より優れた性能とより低いシステムコストを備えてはるかに単純化され得る。しかし、一部の検査及び計測用途では、パルスレーザのより高い帯域幅とピークパワーレベルに耐え得る。パルスレーザは、共振キャビティが周波数変換段に必要ないため、CWレーザよりも単純である。したがって、CW及びパルスレーザの両方は、本明細書に開示される発明の範囲内にあり、適切に使用され得る。
【0078】
200nm以下の波長を備えるレーザは、十分なパワーレベルで市販されていないか、信頼性が非常に低くなる。特に、約125nm~183nmの間の波長範囲において数百mW以上のパワーの光を発生する先行技術は存在しない。本発明の実施形態は、約133nmまでの短波長を発生し、したがって、小さな粒子と欠陥を検出する感度は、長い波長よりも優れている。
【0079】
本発明の別の態様は、上述の本発明の177nm、152nm、及び133nmレーザの少なくとも1つを組み込んだ、ウェハ、レチクル、又はフォトマスクの検査又は計測システムである。このようなシステムの態様は、
図8、
図9、及び
図10に示される。
【0080】
このレーザは、
図8に示すように、暗視野及び明視野検査モードを備える検査システムにおいて使用され得る。この図及びシステムは、Chuangらの米国特許第7,817,260号で説明されており、それは参照により本明細書に完全に記載されているかのように援用される。
図8は、垂直入射レーザ照明を組み込んだ反射屈折撮像システム800を示す。システム800の照明ブロックは、レーザ801、検査されている表面上の照明ビームサイズ及びプロファイルを制御するための適合光学部品802、機構収容部804内の開口部及び窓803、ならびにレーザをサンプル808の表面に対して垂直入射の光軸に沿って再配向するためのプリズム805を含む。プリズム805は更に、サンプル808の表面特徴からの鏡面反射と対物806の光学的表面からの反射とを光路に沿って結像面809に方向付けする。対物806のレンズは、反射屈折対物、集束レンズ群、及びズームチューブレンズセクション807の一般的な形態で配設され得る。好ましい実施形態では、レーザ801は、上記レーザのうちの1つによって実装され得る。
【0081】
このレーザは、
図9A及び
図9Bに示すように、斜線照明を備える暗視野検査システムで使用され得る。この検査システムは、示されるような軸外れ及び垂直近傍の集光を含む、2つ又は3つの異なる集光システムを有し得る。この暗視野検査システムは更に、垂直入射線照明(図示せず)を含み得る。
図9A及び
図9Bに示されるシステムの説明を含む更なる詳細は、Leongらの米国特許第7,525,649号に見出すことができ、参照により本明細書に完全に記載されているかのように援用される。
【0082】
図9Aは、表面911の領域を検査するための、照明システム901及び集光システム910を含む表面検査装置900を図示する。
図9Aに示されるように、レーザシステム920は、光ビーム902をビーム整形光学部品903に通して方向付けする。好ましい実施形態では、レーザシステム920は、上述のレーザのうちの少なくとも1つを含む。第1のビーム整形光学部品903は、レーザシステムからのビームを受光するように構成され得て、ビームは、表面911上に集束される。
【0083】
ビーム整形光学部品903は、その主面がサンプル表面911に対して実質的に平行になり、結果として、照明線905が表面911上でビーム整形光学部品903の焦点面に形成されるように配向される。加えて、光ビーム902及び集束されたビーム904は、表面911に対して非直交入射角で向けられる。特に、光ビーム902及び集束されたビーム904は、表面911に対して垂直方向から約1°~約85°の角度で方向付けされ得る。このように、照明線905は、実質的に、集束されたビーム904の入射面内にある。
【0084】
集光システム910は、照明線905からの散乱光を集めるためのレンズ912と、レンズ912から出てくる光を、感光性検出器のアレイを具備する電荷結合素子(CCD)914などのデバイス上に集束させるためのレンズ913を含む。1つの実施形態では、CCD914は、検出器の線形アレイを含み得る。このような場合、CCD914内の検出器の線形アレイは、照明線905に対して平行に配向され得る。別の実施形態では、CCD914は、その長軸が照射線905に平行な長方形アレイとして配置された検出器の二次元アレイを含んでもよい。例えば、CCD914は、約1000~8000個の検出器×約50~250個の検出器の長方形アレイを含み得る。1つの実施形態では、複数の集光システムを含めることができ、集光システムのそれぞれは、同様の構成要素を含むが、向きが異なる。
【0085】
例えば、
図9Bは、表面検査装置用の集光システム931、932、及び933の例示的なアレイを示す(ここで、その照明システム、例えば照明システム901と同様のものは、簡略化のために示されていない)。集光システム931内の第1の光学部品は、サンプル911の表面から第1の方向に散乱された光を集める。集光システム932内の第2の光学部品は、サンプル911の表面から第2の方向に散乱された光を集める。集光システム933内の第3の光学部品は、サンプル911の表面から第3の方向に散乱された光を集める。第1、第2、及び第3の光路は、サンプル911の表面に対して異なる反射角にあることに留意されたい。サンプル911を支持する台921を用いて、光学部品とサンプル911との間の相対運動を引き起こすことができ、その結果、サンプル911の全表面が走査され得る。
【0086】
このレーザはまた、
図10に示される検査システム1000のような、パターン付きでないウェハのための検査システムにおいて使用されてもよい。このような検査システムは、これらの図に示されるように、斜行及び/又は垂直入射照明ならびに散乱光のための大きい集光立体角を組み込み得る。照明源1100は、本明細書で説明されるレーザのうちの少なくとも1つを組み込み、VUV光を発生してウェハ1122を所望の角度で照らし、反射光が撮像集光光学部品1108のシステムによって集光されないようにする。光学部品1106は、所望の照明パターンを発生するように構成され得る。ウェハ1122からの散乱光は、光をアフォーカルレンズシステム1110に向けるように構成された撮像集光光学部品1108のシステムによって集光され得る。1つの実施形態では、集光レンズマスクシステム1112は、光を複数のチャネルに分割して、TDIセンサ1118に送ことができる。1つの実施形態は、インテンシファイア1114及び/又はセンサリレー1116を含み得る。TDIセンサ1118及び/又はインテンシファイア1114は、信号を画像処理コンピュータ1120に送信するように構成され得て、ウェハ画像及び/又はウェハ1122の表面上の欠陥又は粒子のリストを生成するように構成され得る。
図10の要素の追加の説明は、Vazhaeparambilらの米国特許第9,891,177B2号に見出すことができる。パターン付きでないウェハ検査システムの更に詳細は、米国特許第6,201,601号及び第6,271,916号に記載される。これらの特許は全て、本明細書に完全に記載されているかのように参照により援用される。
【0087】
本発明は、ある特定の実施形態に関して説明されてきたが、当業者には、本発明の独創的な特徴が別の実施形態にも同様に適用可能であり、その全ては本発明の範囲内にあることが意図されている、ということが明らかであろう。
【国際調査報告】