(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】等方性窒化ケイ素の除去
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20230711BHJP
【FI】
H01L21/302 301S
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022562959
(86)(22)【出願日】2022-03-03
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2022018645
(87)【国際公開番号】W WO2022192063
(87)【国際公開日】2022-09-15
(32)【優先日】2021-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】507335687
【氏名又は名称】ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コロリク, ミハイール
(72)【発明者】
【氏名】ギー, ポール イー.
(72)【発明者】
【氏名】ブイヤン, バスカー ジョティ
(72)【発明者】
【氏名】スディジョノ, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヨン, ウェイ イン ドリーン
(72)【発明者】
【氏名】アン, カー ウィー
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン, サマース
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004AA05
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB28
5F004BC05
5F004CA02
5F004CA04
5F004CA06
5F004DA00
5F004DA05
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA22
5F004DA23
5F004DA25
5F004DA26
5F004DA27
5F004DB07
5F004EA13
5F004EA28
5F004EB04
(57)【要約】
ケイ素含有材料をエッチングする例示的な方法は、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域にフッ素含有前駆体を流入させることを含みうる。本方法は、フッ素含有前駆体のプラズマ放出物を生成するために、遠隔プラズマ領域内にプラズマを形成することを含みうる。本方法は、半導体処理チャンバの処理領域にプラズマ放出物を流入させることを含みうる。基板は、処理領域内に配置されうる。基板は、窒化ケイ素と酸化ケイ素との交互の層を含む積み重ねられた層を通して形成されたトレンチを含みうる。本方法は、酸化ケイ素を実質的に維持しながら窒化ケイ素の層を等方的にエッチングすることを含みうる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素含有材料をエッチングする方法であって、
半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域にフッ素含有前駆体を流入させることと、
前記フッ素含有前駆体のプラズマ放出物を生成するために前記遠隔プラズマ領域内でプラズマを形成することと、
前記半導体処理チャンバの処理領域内に前記プラズマ放出物を流入させることであって、前記処理領域内に基板が配置され、前記基板は、窒化ケイ素と酸化ケイ素との交互の層を含む積み重ねられた層を通って形成されたトレンチを含む、前記プラズマ放出物を流入させることと、
前記酸化ケイ素を実質的に維持しながら窒化ケイ素の前記層を等方的にエッチングすることと
を含む、方法。
【請求項2】
第1の期間の後に前記フッ素含有前駆体の前記流入を停止させることと、
前記処理領域をパージ前駆体でパージすることと
を更に含む、請求項1に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項3】
前記パージ前駆体が窒素を含む、請求項2に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項4】
前記フッ素含有前駆体と共に添加前駆体を流入させることを更に含み、前記添加前駆体がフッ素以外のハロゲンを含む、請求項1に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項5】
窒化ケイ素と酸化ケイ素との間のエッチング選択性が約20:1以上である、請求項1に記載のケイ素含有基板を処理する方法。
【請求項6】
前記フッ素含有前駆体が、硫黄、リン、ヒ素、ケイ素、炭素、セレン、又はテルルを含む、請求項1に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項7】
前記方法は、約10mTorrと約5Torrとの間のチャンバ動作圧力で実行される、請求項1に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項8】
前記方法は、約20℃以下のチャンバ温度で実行される、請求項1に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項9】
前記フッ素含有前駆体と共にアルゴン、ヘリウム、又は窒素を流すことを更に含む、請求項1に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項10】
前記アルゴン、ヘリウム、又は窒素対前記フッ素含有前駆体の流量比が約2:1以下である、請求項9に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項11】
前記フッ素含有前駆体と共に水素含有前駆体を流すことを更に含む、請求項1に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項12】
前記酸化ケイ素の上方にパッシベーション層を形成することを更に含む、請求項1に記載のケイ素含有基板を処理する方法。
【請求項13】
ケイ素含有材料をエッチングする方法であって、
半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域に第1のハロゲン含有前駆体及び第2のハロゲン含有前駆体を流入させることであって、前記第1のハロゲン含有前駆体はフッ素を含み、前記第2のハロゲン含有前駆体は塩素、臭素、又はヨウ素のうちの1つを含む、第1のハロゲン含有前駆体及び第2のハロゲン含有前駆体を流入させることと、
前記第1のハロゲン含有前駆体及び前記第2のハロゲン含有前駆体のプラズマ放出物を生成するために、前記遠隔プラズマ領域内でプラズマを形成することと、
前記半導体処理チャンバの処理領域に前記プラズマ放出物を流入させることであって、前記処理領域内に基板が配置され、前記基板は、窒化ケイ素と酸化ケイ素との交互の層を含む積み重ねられた層を通って形成されるトレンチを含む、前記プラズマ放出物を流入させることと、
窒化ケイ素の前記層を横方向にエッチングすることと、
第1の期間の後に、前記ハロゲン含有前駆体の前記流入を停止させることと、
前記処理領域をパージ前駆体でパージすることと
を含む、方法。
【請求項14】
前記酸化ケイ素の露出した表面上方にパッシベーション層を形成することを更に含み、前記パッシベーション層が、前記第2のハロゲン含有前駆体の元素を含む材料の重合層を含む、請求項13に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項15】
前記第1のハロゲン含有前駆体が硫黄及びフッ素を含む、請求項13に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項16】
前記方法を少なくとも10サイクル繰り返すことを更に含む、請求項13に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項17】
前記第1の期間が約30秒以上である、請求項13に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項18】
前記ハロゲン含有前駆体と共にアルゴン又は窒素を流すことを更に含む、請求項13に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項19】
前記アルゴン又は窒素対前記ハロゲン含有前駆体の流量比が、約2:1以下である、請求項18に記載のケイ素含有材料をエッチングする方法。
【請求項20】
ケイ素含有材料をエッチングする方法であって、
半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域にフッ素含有前駆体を流入させることと、
半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域に、塩素、臭素、又はヨウ素を含むハロゲン含有前駆体を流入させることと、
前記フッ素含有前駆体及び前記ハロゲン含有前駆体のプラズマ放出物を生成するために、前記遠隔プラズマ領域内でプラズマを形成することと、
前記半導体処理チャンバの処理領域に前記プラズマ放出物を流入させることであって、前記処理領域内に基板が配置され、前記基板が、窒化ケイ素と酸化ケイ素との交互の層を含む積み重ねられた層を通してトレンチを画定する、前記プラズマ放出物を流入させることと、
窒化ケイ素の層を等方的にエッチングすることと、
第1の期間の後に、前記フッ素含有前駆体及び前記ハロゲン含有前駆体の前記流入を停止させることと、
前記処理領域をパージ前駆体でパージすることと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年3月12日に出願された「等方性窒化ケイ素の除去(ISOTROPIC SILICON NITRIDE REMOVAL)」と題された米国仮出願第63/160,287号の利益及び優先権を主張し、その内容は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本技術は、半導体プロセス及び機器に関する。より具体的には、本技術は、他の材料に対する等方性エッチング材料に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 集積回路は、基板表面上に複雑にパターニングされた材料層を生成するプロセスによって可能になる。基板上にパターニングされた材料を生成するには、露出した材料を除去するための制御された方法が必要である。化学エッチングは、様々な目的に使用されており、それには、フォトレジストのパターンを下層に転写すること、層を薄くすること、又は表面上にすでに存在するフィーチャの横寸法を細くすることが含まれる。多くの場合、ある材料を他の材料よりも速くエッチングして、例えば、パターン転写プロセスを促進するエッチングプロセスを行うことが望ましい。このようなエッチングプロセスは、第1の材料に対して選択的であると言われている。材料、回路、及び処理には多様性があるため、様々な材料に対して選択性を有するエッチングプロセスが開発されてきた。
【0004】
[0004] エッチングプロセスは、プロセスで使用される材料に基づいて、湿式又はドライ(wet or dry)と呼ばれることがある。湿式HFエッチングは、他の誘電体及び材料よりも酸化ケイ素を優先的に除去する。しかしながら、湿式プロセスは、いくつかの制約されたトレンチに浸透することが困難であり、また時には残りの材料を変形させることがある。ドライエッチングは、基板の処理領域内に形成された局所プラズマにおいて行われるが、より制約のあるトレンチに浸透することができ、壊れやすい残りの構造の変形がより少なくなる。しかしながら、局所プラズマは、それらが放電する際に、電気アークの生成を通して基板に損傷を与えることがある。
【0005】
[0005] したがって、高品質のデバイス及び構造を製造するために使用することができる改良されたシステム及び方法が必要とされている。本技術は、これらの必要及びその他の必要に対処する。
【発明の概要】
【0006】
[0006] ケイ素含有材料をエッチングする例示的な方法は、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域にフッ素含有前駆体を流入させることを含みうる。フッ素含有前駆体は、XFyの分子式によって特徴付けられ、yは5以上でありうる。本方法は、フッ素含有前駆体のプラズマ放出物を生成するため、遠隔プラズマ領域内にプラズマを形成することを含みうる。本方法は、半導体処理チャンバの処理領域にプラズマ放出物を流入させることを含みうる。基板は、処理領域の中に配置され、かつ、窒化ケイ素と酸化ケイ素との交互の層を含む積み重ねられた層を通して形成されたトレンチを通るように形成された、トレンチを含みうる。方法は、窒化ケイ素の層を横方向にエッチングすることを含みうる。
【0007】
[0007] いくつかの実施形態では、方法は、第1の期間の後に、フッ素含有前駆体の流れを停止させることを含みうる。本方法は、処理領域をパージ前駆体でパージすることを含みうる。パージ前駆体は、窒素でありうるか、又は窒素を含みうる。この方法は、添加前駆体(additive precursor)をフッ素含有前駆体と共に流すことを含みうる。添加前駆体は、フッ素以外のハロゲンでありうるか、又はフッ素以外のハロゲンを含みうる。窒化ケイ素と酸化ケイ素との間のエッチング選択性は、約20:1以上でありうる。フッ素含有前駆体は、硫黄、リン、ヒ素、ケイ素、炭素、セレン、又はテルルを含みうる。本方法は、約10mTorrと約5Torrとの間のチャンバ動作圧力で実施されうる。本方法は、約20℃以下のチャンバ温度で実行されうる。本方法は、フッ素含有前駆体と共にアルゴン、ヘリウム、又は窒素を流すことを含みうる。アルゴン、ヘリウム、又は窒素対フッ素含有前駆体の流量比は、約2:1以下でありうる。本方法は、水素含有前駆体をフッ素含有前駆体と共に流すことを含みうる。本方法は、酸化ケイ素の上方にパッシベーション層を形成することを含みうる。
【0008】
[0008] 本技術のいくつかの実施形態は、ケイ素含有材料をエッチングする方法を包含しうる。本方法は、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域に、第1のハロゲン含有前駆体及び第2のハロゲン含有前駆体を流入させることを含みうる。第1のハロゲン含有前駆体は、フッ素を含みうる。第2のハロゲン含有前駆体は、塩素、臭素、又はヨウ素のうちの1つを含みうる。本方法は、第1のハロゲン含有前駆体及び第2のハロゲン含有前駆体のプラズマ放出物を生成するために、遠隔プラズマ領域内にプラズマを形成することを含みうる。本方法は、半導体処理チャンバの処理領域にプラズマ放出物を流入させることを含みうる。基板は、処理領域の中に配置され、かつ、窒化ケイ素と酸化ケイ素との交互の層を含む積み重ねられた層を通して形成されたトレンチを通るように形成された、トレンチを含みうる。方法は、窒化ケイ素の層を横方向にエッチングすることを含みうる。本方法は、第1の期間の後に、ハロゲン含有前駆体の流れを停止することを含みうる。本方法は、処理領域をパージ前駆体でパージすることを含みうる。
【0009】
[0009] いくつかの実施形態では、本方法は、酸化ケイ素の露出表面上方にパッシベーション層を形成することを含みうる。パッシベーション層は、第2のハロゲン含有前駆体の元素を含む材料の重合層を含みうる。第1のハロゲン含有前駆体は、硫黄及びフッ素を含みうる。本方法は、本方法を少なくとも10サイクル繰り返すことを含みうる。第1の期間は、約30秒以上でありうる。本方法は、アルゴン又は窒素をハロゲン含有前駆体と共に流すことを含みうる。アルゴン又は窒素対ハロゲン含有前駆体の流量比は、約2:1以下でありうる。
【0010】
[0010] 本技術のいくつかの実施形態は、ケイ素含有材料をエッチングする方法を包含しうる。本方法は、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域内にフッ素含有前駆体を流すことを含みうる。本方法は、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域にハロゲン含有前駆体を流入させることを含みうる。ハロゲン含有前駆体は、塩素、臭素、又はヨウ素を含みうる。本方法は、フッ素含有前駆体及びハロゲン含有前駆体のプラズマ放出物を生成するために、遠隔プラズマ領域内にプラズマを形成することを含みうる。本方法は、半導体処理チャンバの処理領域にプラズマ放出物を流入させることを含みうる。基板は、処理領域内に配置され、基板は、窒化ケイ素と酸化ケイ素との交互の層を含む積み重ねられた層を通して形成されたトレンチを画定しうる。本方法は、窒化ケイ素の層を等方的にエッチングすることを含みうる。方法は、第1の期間後に、フッ素含有前駆体及びハロゲン含有前駆体の流れを停止することを含みうる。本方法は、処理領域をパージ前駆体でパージすることを含みうる。
【0011】
[0011] このような技術は、従来のシステム及び技術よりも多くの利益を提供しうる。例えば、プロセスは、選択的に、半導体構造内で窒化ケイ素を等方的にエッチングしうる。加えて、プロセスは、エッチングプロセス中に露出した酸化物を保護しうる。これらの実施形態及び他の実施形態は、それらの利点及び特徴の多くと共に、以下の説明及び添付の図面と併せてより詳細に説明される。
【0012】
[0012] 開示された技術の性質及び利点は、本明細書の残りの部分と図面を参照することによって更に理解を深めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013] 本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理システムの1つの実施形態の上面図を示す。
【
図2A】[0014] 本技術のいくつかの実施形態による例示的な処理チャンバの概略断面図を示す。
【
図2B】[0015] 本技術のいくつかの実施形態による、
図2Aに示される処理チャンバの一部の詳細図を示す。
【
図3】[0016] 本技術のいくつかの実施形態による例示的なシャワーヘッドの底面図を示す。
【
図4】[0017] 本技術のいくつかの実施形態による方法の例示的な工程を示す。
【
図5】[0018] A~Cは、本技術のいくつかの実施形態による、処理されている基板の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0019] いくつかの図面は、概略図として含まれている。図面は例示を目的としており、縮尺どおりであると明記されていない限り、縮尺どおりであるとみなしてはならないと理解すべきである。更に、概略図として、図面は、理解を助けるために提供されており、現実的な描写に比べてすべての態様又は情報を含まない場合があり、例示を目的として強調された材料を含むことがある。
【0015】
[0020] 添付の図面では、類似の構成要素及び/又は特徴は、同じ参照符号を有しうる。更に、同じ種類の様々な構成要素は、類似の構成要素間を区別する文字により、参照符号に従って区別されうる。本明細書において第1の参照符号のみが使用される場合、その記載は、文字に関わりなく、同じ第1の参照符号を有する類似の構成要素のうちのいずれかに適用可能である。
【0016】
[0021] 2D NANDから3D NANDへの移行において、多くのプロセス動作が垂直動作から水平動作に変更される。加えて、3D NAND構造の形成されるセル数が増加するにつれて、メモリホール及び他の構造のアスペクト比も(時には劇的に)増加する。3D NAND処理の間、プレースホルダ層及び誘電体材料の積層体は、電極間誘電体層又はIPD層を形成しうる。これらのプレースホルダ層には、材料が完全に除去されて金属に置き換えられる前に構造を配置するために、多種多様な動作が実施されうる。メタライゼーション(metallization)がセル構造の一方の側に組み込まれてもよいが、浮遊ゲート又は電荷トラップ層を形成するなどの動作が、構造の他方の側で以前に行われてもよい。これらの層は、メモリホール内に形成されうるが、垂直に分離されたメモリセル間のクロストークが生じうる。この伝達(communication)を減少させる1つの方法は、これらの層を形成する前にプレースホルダ材料をエッチングして、誘電体材料が隣接するセルから個々のセル材料層を更に分離できるようにすることを含みうる。
【0017】
[0022] 多くの従来技術は、セルプレースホルダ材料の各々にアクセスして、電荷トラップ層などの層を形成する前にプレースホルダの横方向エッチングを実行するために、湿式エッチングを利用する。しかしながら、湿式エッチングは、他のエッチング技術よりも堅牢でありうる。湿式エッチングは、必要又は所望よりも更にプレースホルダ材料をエッチングしうる。例えば、湿式エッチングは、いくつかの特徴を過剰にエッチングしうる。加えて、小さなフォームファクタ構造の湿式エッチングは、エッチャントの表面張力に起因するパターンの崩壊又は変形を引き起こしうる。また湿式エッチャントを使用することにより、トレンチ又はホール内に形成された残留物を除去するための後続の工程が必要となりうる。ドライエッチング技術も実行されうるが、ドライエッチャントの多くは、ケイ素及び酸化ケイ素を更にエッチングし、プロセスの選択性を低下させる。
【0018】
[0023] 本技術は、酸化物のエッチングを制限しながら窒化ケイ素を横方向に選択的にエッチングしうるドライエッチングプロセスを実行することによって、これらの問題を克服する。特定の前駆体の組み合わせを利用することによって、酸化物の露出表面は、エッチングプロセス中に保護されうる。このようにして、保護材料は、下にある構造材料を除去しなくてもよく、又は最小限にしか除去しなくてもよいエッチング工程を実行できるようにする。
【0019】
[0024] 残りの開示は、開示された技術を利用して特定のエッチングプロセスをルーチン的に特定するだろうが、システム及び方法が記載されたチャンバ内で発生しうる堆積及び洗浄プロセスに等しく適用可能であることが、容易に理解されよう。したがって、この技術は、エッチングのプロセス又はチャンバで使用されるものだけに限定されると見なすべきではない。更に、本技術の基礎を提供するために例示的なチャンバについて説明しているが、本技術は、実際には、記載されている単一チャンバ工程を可能にしうるいかなる半導体処理チャンバにも適用されうると理解されたい。
【0020】
[0025]
図1は、実施形態による、堆積チャンバ、エッチングチャンバ、ベーキングチャンバ、及び硬化チャンバの処理システム100の1つの実施形態の上面図を示す。図において、一対の前方開口型統一ポッド102は、ロボットアーム104によって受け取られ、タンデムセクション109a~109cに位置付けられた、基板処理チャンバ108a~108fのうちの1つに配置される前に低圧保持領域106に配置される様々なサイズの基板を供給する。基板ウエハを保持領域106から基板処理チャンバ108a~108fに搬送したり戻したりするために、第2のロボットアーム110が使用されうる。各基板処理チャンバ108a~fは、周期的層堆積、原子層堆積、化学気相堆積、物理的気相堆積、エッチング、前洗浄、ガス抜き、配向、及び他の基板プロセスに加えて、本明細書に記載されるドライエッチングプロセスを含むいくつかの基板処理工程を実行するために装備することができる。
【0021】
[0026] 基板処理チャンバ108a~fは、基板ウエハ上で誘電体膜を堆積し、アニーリングし、硬化し、及び/又はエッチングするための1つ又は複数のシステム構成要素を含みうる。1つの構成では、2対の処理チャンバ(例えば、108c~d及び108e~f)が、誘電体材料を基板上に堆積させるために使用され、第3の対の処理チャンバ(例えば、108a~b)が、堆積された誘電体をエッチングするために使用されうる。別の構成では、3対全てのチャンバ(例えば108a~f)が、基板上の誘電体膜をエッチングするよう構成されうる。記載されるプロセスのうちの任意の1つ又は複数は、異なる実施形態に示される製造システムから分離された1つ又は複数のチャンバ内で実行されうる。システム100によって、誘電体膜のための堆積チャンバ、エッチングチャンバ、アニーリングチャンバ、及び硬化チャンバという更なる構成が想定されると認識されよう。
【0022】
[0027]
図2Aは、処理チャンバ内に区画されたプラズマ生成領域を有する例示的な処理チャンバシステム200の断面図を示し、これは、以下で更に説明されるような処理を実行するように構成されうる。膜(例えば、窒化チタン、窒化タンタル、タングステン、シリコン、ポリシリコン、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸炭化ケイ素等)のエッチング中に、プロセスガスが、ガス注入アセンブリ205を通って第1のプラズマ領域215に流入しうる。遠隔プラズマシステム201は、オプションで、システムに含まれ、次いでガス注入アセンブリ205を通って進む第1のガスを処理しうる。注入アセンブリ205は、2つ以上の別個のガス供給チャネルを含みうる。ここで第2のチャネルが含まれる場合には、第2のチャネルはRPS201をバイパスしうる。
【0023】
[0028] 冷却プレート203、面板217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、及び基板255が上部に配置された基板支持体265が図示されており、実施形態に従って各々が含まれうる。ペデスタル265は、基板の温度を制御するために熱交換流体が流れる熱交換チャネルを有しうる。熱交換チャネルは、処理動作中に基板又はウエハを加熱及び/又は冷却するように動作しうる。アルミニウム、セラミック、又はこれらの組み合わせを含みうるペデスタル265のウエハ支持プラッタはまた、埋め込み抵抗加熱要素を使用して、最大約100℃若しくはそれ以上、又は約1100℃のような比較的高い温度を達成するために抵抗加熱されてもよい。
【0024】
[0029] 面板217は、上部が狭く、底部に向けて拡張して広くなっているピラミッド形、円錐形、又は別の類似構造でありうる。面板217は、図示されたように、更に平坦であってもよく、プロセスガスを分配するために使用される複数の貫通チャネルを含んでもよい。プラズマ生成ガス及び/又はプラズマ励起種は、RPS201の使用に応じて、第1のプラズマ領域215内により均一に送られるよう、
図2Bに示す面板217の複数の孔を通過しうる。
【0025】
[0030] 例示的な構成は、ガス/種が面板217の孔を通って、第1のプラズマ領域215に流入するように、ガス注入アセンブリ205が、面板217によって第1のプラズマ領域215から区切られたガス供給領域258の中へ開かれていることを含みうる。第1のプラズマ領域215から、供給領域258、ガス注入アセンブリ205、及び流体供給システム210へのプラズマの大量逆流を防止するために、構造的及び動作的特徴が選択されうる。面板217(又はチャンバの導電性上部)及びシャワーヘッド225は、それらの特徴の間に絶縁リング220が配置されているように示されており、それにより、シャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223に対する面板217にAC電位を印加することが可能となる。絶縁リング220は、面板217とシャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223との間に配置することができ、第1のプラズマ領域に容量結合プラズマ(CCP)を形成することができるようになる。加えて、バッフル(図示せず)が、第1のプラズマ領域215内に配置されうるか、又は別の方法でガス注入アセンブリ205に連結することができ、ガス注入アセンブリ205を通ってこの領域に流入する流体の流れに影響が与えられる。いくつかの実施形態では、チャンバの周りに延在する、又はチャンバと流体連通する誘導結合プラズマ源、並びに追加のプラズマ発生システムを含む、追加のプラズマ源が利用されうる。
【0026】
[0031] イオンサプレッサ223は、構造体全体にわたって複数の開孔を画定するプレート又はその他の形状寸法を含みうる。この複数の開孔は、非荷電中性種又はラジカル種がイオンサプレッサ223を通過し、サプレッサとシャワーヘッドとの間の活性化されたガス供給領域内に進入できるようにしつつ、第1のプラズマ領域215から出るイオン帯電種の移動を抑制するように構成されている。実施形態では、イオンサプレッサ223は、様々な開孔構成を有する孔の開いたプレートを備えうる。これらの非荷電種には、開孔を通して反応性がより低いキャリアガスと共に搬送される反応性の高い種が含まれうる。上述したように、孔を介したイオン種の移動を減らすことができ、場合によっては、完全に抑制されうる。イオンサプレッサ223を通過するイオン種の量を制御することにより、有利には、下位のウエハ基板と接触させられる混合ガスに対する制御を向上させることができ、それにより、混合ガスの堆積特性及び/又はエッチング特性の制御を向上させることができる。例えば、混合ガスのイオン濃度の調整は、そのエッチング選択性、例えば、SiNx:SiOxエッチング比、Si:SiOxエッチング比などを著しく変更することができる。堆積が実行される代替的な実施形態では、誘電体材料に対する共形型から流動可能型の堆積のバランスをシフトさせることもできる。
【0027】
[0032] イオンサプレッサ223の複数の開孔は、イオンサプレッサ223を通る活性ガス(すなわち、イオン種、ラジカル種、及び/又は中性種)の通過を制御するように構成されうる。例えば、イオンサプレッサ223を通過する活性ガスの中のイオン帯電種の流量を減らすように、孔のアスペクト比(すなわち、孔の長さに対する直径)及び/又は孔の形状寸法が制御されうる。イオンサプレッサ223の孔は、プラズマ励起領域215に面しているテーパ部と、シャワーヘッド225に面している円筒部とを含みうる。円筒部は、シャワーヘッド225へと通過するイオン種の流れを制御するように形状及び寸法が決定されうる。イオンサプレッサ223を通るイオン種の流れを制御するための追加の手段として、調整可能な電気バイアスがイオンサプレッサ223に印加されてもよい。
【0028】
[0033] イオンサプレッサ223は、プラズマ生成領域から基板まで移動するイオン帯電種の量を減らすか、又はなくすように機能しうる。非荷電中性種及びラジカル種は、基板と反応するように、更にイオンサプレッサの開口部を通過しうる。実施形態では、基板を取り囲む反応領域におけるイオン荷電種の完全な除去を実施しなくてもよいことに留意されたい。特定の場合では、イオン種は、エッチング及び/又は堆積プロセスを行うために基板に到達することが意図されている。これらの場合、イオンサプレッサは、反応領域中のイオン種の濃度を、プロセスを補助するレベルで制御するのに役立ちうる。
【0029】
[0034] シャワーヘッド225は、イオンサプレッサ223との組み合わせにより、第1のプラズマ領域215内に存在するプラズマが、基板処理領域233内のガスの直接励起を回避できるようにしうるが、更に励起種がチャンバプラズマ領域215から基板処理領域233内へ移動できるようにする。このようにして、チャンバは、エッチングされている基板255にプラズマが接触することを防止するように構成されうる。これにより、有利には、基板上にパターニングされた様々な複雑な構造及び膜が保護される。これらの複雑な構造及び膜は、生成されたプラズマが直接接触すると、損傷、位置ずれ、又は歪みが生じることがある。加えて、プラズマが基板に接触するか、又は基板レベルに近づくことが可能であるとき、酸化物種のエッチング速度は増加しうる。したがって、材料の露出領域が酸化物である場合、この材料は、プラズマを基板から遠隔に維持することによって更に保護されうる。
【0030】
[0035] 処理システムは、処理チャンバに電気的に結合された電源240を更に含みうる。電源240は、第1のプラズマ領域215又は処理領域233でプラズマを生成するために、面板217、イオンサプレッサ223、シャワーヘッド225、及び/又はペデスタル265に電力を供給する。電源は、実行されるプロセスに応じて、チャンバに調節可能な量の電力を供給するように構成されうる。このような構成により、実行されるプロセスにおいて調節可能なプラズマを使用することが可能となりうる。オン又はオフ機能が提示されることが多い遠隔プラズマユニットとは異なり、調節可能なプラズマは、特定の量の電力をプラズマ領域215に供給するように構成されうる。この結果、特定のプラズマ特性の開発を可能にすることができ、これにより、特定の方法で前駆体を分離し、これらの前駆体によって生成されたエッチングプロファイルを強化することができる。
【0031】
[0036] プラズマは、シャワーヘッド225の上方のチャンバプラズマ領域215又はシャワーヘッド225の下方の基板処理領域233のいずれかで点火されうる。例えば、フッ素含有前駆体又はその他の前駆体の流入からラジカル前駆体を生成するために、チャンバプラズマ領域215の中にプラズマが存在しうる。堆積中にチャンバプラズマ領域215内でプラズマを点火するために、処理チャンバの導電性上部、例えば面板217と、シャワーヘッド225及び/又はイオンサプレッサ223との間に、通常は高周波(RF)範囲の交流電圧が印加されうる。RF電源は、13.56MHzの高RF周波数を発生させうるが、単独で又は13.56MHzの周波数と組み合わせて、他の周波数を発生させてもよい。
【0032】
[0037]
図2Bは、面板217を通した処理ガス分配に影響を与える特徴の詳細
図253を示す。
図2A及び
図2Bに示すように、面板217、冷却プレート203、及びガス注入アセンブリ205が交差することにより、ガス供給領域258が画定される。ガス供給領域258には、ガス注入アセンブリ205からプロセスガスが供給されうる。ガスは、ガス供給領域258に充満して、面板217の開孔259を通って、第1のプラズマ領域215まで流れうる。開孔259は、流れを実質的に一方向へ導くように構成されうる。これにより、プロセスガスは、処理領域233に流入しうるが、面板217を横断した後、ガス供給領域258内に逆流することが部分的又は完全に防止されうる。
【0033】
[0038] 処理チャンバセクション200で使用するためのシャワーヘッド225などのガス分配アセンブリは、デュアルチャネルシャワーヘッド(DCSH)と呼ばれることがあり、
図3に記載される実施形態で更に詳細に説明される。デュアルチャネルシャワーヘッドは、処理領域233の外のエッチャントの分離を可能にし、処理領域内に送る前に、チャンバ部品及び互いの限られた相互作用をもたらすエッチング処理を提供しうる。
【0034】
[0039] シャワーヘッド225は、上方プレート214と下方プレート216とを含みうる。プレートを互いに連結させて、プレート間の空間218を画定することができる。プレートを連結することにより、上方プレートと下方プレートを通る第1の流体チャネル219と、下方プレート216を通る第2の流体チャネル221とを設けることができる。形成されたチャネルは、第2の流体チャネル221のみを介して空間218から下部プレート216を通る流体アクセスを提供するように構成され、第1の流体チャネル219は、プレートと第2の流体チャネル221との間の空間218から流体的に分離されうる。空間218は、ガス分配アセンブリ225の側面を通して流体的にアクセス可能でありうる。
【0035】
[0040]
図3は、実施形態による、処理チャンバで使用するためのシャワーヘッド325の底面図である。シャワーヘッド325は、
図2Aに示されるシャワーヘッド225に対応しうる。第1の流体チャネル219の図を示す貫通孔365は、シャワーヘッド225を通る前駆体の流れを制御して影響を与えるための複数の形状及び構成を有しうる。第2の流体チャネル221の図を示す小さな孔375は、シャワーヘッドの表面上方に、貫通孔365の間でさえもほぼ均等に分散されうる。他の構成に比べて、これらの小さな孔375は、前駆体がシャワーヘッドから流出する際に、より均一な混合をもたらす助けとなりうる。
【0036】
[0041] 前述のチャンバは、エッチング方法を含む例示的な方法を実行する際に使用されうる。
図4を参照すると、本技術の実施形態による方法400における例示的な工程が示されている。方法の第1の工程の前に、基板は、方法400が実行されうるチャンバの処理領域内に配置される前に、1つ又は複数の方法で処理されうる。例えば、IPD層が基板上に形成され、次いで、1つ又は複数のメモリホール又はトレンチが、積み重ねられた層を通して形成されうる。IPD層は、任意の数の材料を含み、プレースホルダ材料と誘電体材料との交互の層を含みうる。実施形態では、誘電体材料は、酸化ケイ素でありうるか、又は酸化ケイ素を含みうる。プレースホルダ材料は、窒化ケイ素でありうるか、又は窒化ケイ素を含みうる。残りの開示は、窒化ケイ素及び酸化ケイ素について検討するが、これらの2つの層に使用される任意の他の既知の材料が、1つ又は複数の層の代わりに使用されてもよい。これらの工程の一部又は全部は、前述のようにチャンバ又はシステムツール内で実行されてもよく、又は方法400の工程が実行されるチャンバを含みうる同じシステムツール上の異なるチャンバ内で実行されてもよい。
【0037】
[0042] 方法400は、工程405において、半導体処理チャンバの遠隔プラズマ領域にフッ素含有前駆体を流入させることを含みうる。例示的なチャンバは、RPSユニット201又は第1のプラズマ領域215の一方又は両方を含みうる、前述のチャンバ200でありうる。これらの領域のいずれか又は両方は、工程405で使用される遠隔プラズマ領域でありうる。工程410において、遠隔プラズマ領域内にプラズマが生成され、フッ素含有前駆体のプラズマ放出物が生成されうる。工程415において、プラズマ放出物がチャンバの処理領域に流されうる。いくつかの実施形態では、プラズマ放出物は、処理領域内の基板と相互作用し、オプションの工程420において、構造のいくつかの部分を安定化処理又は保護しうる。例えば、いくつかの実施形態では、プラズマ放出物は、酸化物材料を安定化処理しうる。上述のように、基板は、酸化ケイ素と窒化ケイ素との交互の層など、多数の材料層が形成されたケイ素又はケイ素含有基板又はウエハを含みうる。メモリホール又はトレンチが、基板のレベルまで延びる積み重ねられた層を通して形成され、ホール又はトレンチの底部で基板の露出部分が提供されうる。このようにして、ホール構造内に、窒化ケイ素、酸化ケイ素、及びケイ素又は何らかのケイ素含有材料の露出領域が存在しうる。
【0038】
[0043] ホール又はトレンチの形成は、異なるチャンバ内、又は何らかの以前の工程のステップで行われた可能性がある。方法400と同じチャンバ内で実行される場合、基板の表面の露出部分は、比較的清潔であり又は整っている可能性がある。しかしながら、プロセスが異なるチャンバ内で又は異なる環境内で実行された場合、ホール又はトレンチを通して基板の露出部分の上方に形成された自然酸化物が存在しうる。自然酸化物は、メモリ構造の交互の層に形成された酸化物とは異なっていてもよい。例えば、メモリセルを分割するために使用されうる酸化ケイ素の層は、比較的高品質の酸化物でありうるが、自然酸化物は、比較的低品質の酸化物であり、酸化ケイ素の層と比較して比較的多孔性でありうる。
【0039】
[0044] 窒化ケイ素を除去するためのエッチングプロセスは、酸化ケイ素に対して比較的高い選択性、例えば約100:1以上の選択性を有しうる。しかしながら、いくつかの構造では、除去される窒化ケイ素の量は、数ナノメートルから1マイクロメートル以上の単位まででありうる。例えば、いくつかの実施形態では、除去される(to be recessed)窒化ケイ素の量は、数十ナノメートルから数百ナノメートルまででありうる。このような量の材料がエッチングされるのは、比較的長いエッチング期間にわたって行われうる。窒化物除去プロセスの酸化物に対する選択性は、エッチャントに対する酸化物抵抗に部分的に基づいて動作し、いくつかのフッ素含有材料が含まれうる。フッ素は、最終的に、酸化ケイ素材料の一部にも浸透し、揮発性材料が生成され、酸化ケイ素材料も同様に除去されることになる。しかしながら、このプロセスは、一般に、フッ素が酸化物材料とゆっくりと相互作用する潜伏(incubation)期間を含む。潜伏は、酸化物の品質、フッ素のエネルギー、及び他の処理条件に応じて、2分、例えば、最大で5分、最大で10分、又はこれを上回る時間にわたって実行されうる。したがって、酸化ケイ素のパッシベーションを形成することによって、酸化物材料は、制限された方法で影響される一方で、プロセスは、工程425において、窒化ケイ素を横方向に又は等方的にエッチングしうる。
【0040】
[0045] ラジカルフッ素放出物は、半導体構造に接触し、形成されたトレンチに浸透しうる。酸化ケイ素の露出表面が、フッ素プラズマ放出物によって影響を受けない又は最小限影響を受ける一方で、窒化ケイ素は、酸化ケイ素のセクション間で横方向にエッチングされうる。加えて、以下に説明するように、いくつかの実施形態では、特定のフッ素含有前駆体、並びに添加前駆体を利用することによって、酸化ケイ素の露出表面上にパッシベーション層が形成され、材料上に重合保護層を形成しうる。
【0041】
[0046] この損傷又は相互作用の程度は、フッ素含有プラズマ放出物を形成するために使用されるプラズマの出力、並びに形成された放出物が移動する距離に関連しうる。例えば、遠隔プラズマを利用することによって、5kW未満、約3kW以下、又は約1kW以下、又は約500W以下、又はこれ未満といった比較的低いプラズマ出力が使用されうる。これにより、プラズマ放出物のエネルギー、並びに前駆体材料の完全な解離が制限されうる。更に、先ほど説明されたように、基板への供給前にイオンフィルタリングを含みうる遠隔プラズマを形成することによって、イオンプラズマ放出物が窒化ケイ素構造と相互作用する程度が制限されうる。例えば、局所プラズマは、衝撃プロセスを通して積層体に含まれる酸化ケイ素又は窒化ケイ素の上層を少なくとも損傷するのに十分なエネルギーをウエハレベルで保持しうる。加えて、イオン放出物は方向性を有することが多く、放出物供給の方向に垂直な表面の異方性エッチングに利益を提供しうるが、横方向エッチングを促進しないことがある。本技術は、プラズマ中で生成された中性種又はラジカル種を利用して、等方性エッチャントを生成し、窒化ケイ素が横方向にエッチングされうる。全流量が減少し、かつ/又は圧力が増加するにつれて、以下に記すように、プラズマ出力は、プラズマが維持されている間、約400W以下又は約300W以下、約200W以下又は約100W以下、又はこれを下回るほど、更に減少しうる。これにより、フッ素解離及び添加前駆体解離が更に制限され、窒化物の両選択的エッチングが改善されうる。このことは、開始期間又は飽和の後に酸化物エッチングが行われる可能性がある間に、より容易に行われうる。加えて、添加前駆体は、解離が低減されている可能性があり、いくつかの実施形態において、パッシベーション層の発達が促進されうる。
【0042】
[0047] エッチングプロセスは、いくつかの実施形態では、第1の期間にわたって継続されうる。第1の期間の後に、フッ素含有前駆体の流れは、プラズマの形成と共に停止されうる。次いで、チャンバから残留エッチャント材料、エッチング副生成物、又は他の材料を除去しうる、オプションの工程430でパージが実行されうる。パージは、チャンバの処理領域をパージするために使用されうる、窒素又は希ガスなどの、化学的に不活性でありうる任意の数の材料を用いて実行されうる。パージプロセスは、副生成物並びにより有益でないプラズマ放出物の除去を促進することによって、エッチング選択性を向上させ、処理領域内のこれらの材料の滞留時間を短縮しうる。これは、例えば、酸化ケイ素への露出及び衝撃を低減しながら、窒化ケイ素の横方向エッチングを容易にしうる。
【0043】
[0048] 第1の期間は、酸化物表面に影響を及ぼし始めうる滞留時間を制限しながら、エッチングを生成するのに十分でありうる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の期間は、約5秒以上であってもよく、約10秒以上、約15秒以上、約20秒以上、約25秒以上、約30秒以上、約35秒以上、約40秒以上、約45秒以上、約50秒以上、約55秒以上、約60秒以上、約2分以上、約3分以上、約4分以上、約5分以上、又はこれより長くてもよい。しかしながら、追加の効果を制限するために、いくつかの実施形態では、第1の期間は、約5分以下、約4分以下、約3分以下、約2分以下、又はこれ未満であってもよい。
【0044】
[0049] 本技術において使用される前駆体は、以下に記載されるように、フッ素含有前駆体並びに追加的な前駆体を含みうる。例示的なフッ素含有前駆体は、三フッ化窒素(NF3)であり、遠隔プラズマ領域に流入されうる。遠隔プラズマ領域は、処理領域から分離されるが、処理領域に流体連結されうる。他のフッ素源は、三フッ化窒素と併せて、又はその代替物として使用されうる。概して、フッ素含有前駆体は、遠隔プラズマ領域に流入され、フッ素含有前駆体は、原子状フッ素、二原子フッ素、三フッ化窒素、四フッ化炭素、フッ化水素、二フッ化キセノン、及び半導体処理で使用される又は有用である他の様々なフッ素含有前駆体からなる群から選択される少なくとも1つの前駆体を含みうる。
【0045】
[0050] いくつかの実施形態では、フッ素含有前駆体は、フッ素含有前駆体の分子中のフッ素含有量の増加によって特徴付けられうる。例えば、いくつかの実施形態では、フッ素含有前駆体は、XFyの分子式によって特徴付けられうる。Xは、任意の数の材料又は周期元素でありうる。yは、約1以上、約2以上、約3以上、約4以上、約5以上、約6以上、又はこれを上回る数でありうる。いくつかの実施形態では、フッ素は、追加のハロゲン元素で置き換えられてもよい。式の指示は、単に比を表すためのものであり、前駆体を限定するものではない。例えば、X2F8は、列挙された式に包含され、ここで、yは4であろう。式に包含される更なる例も同様に、容易に理解されよう。元素Xは、フッ素又は他のハロゲン化物と共に化合物を形成しうる様々な元素のいずれかでありうる。
【0046】
[0051] 例えば、非限定的な例は、硫黄又はリンなどのハロゲン化物と結合しうる任意の他の非金属、並びに任意の他の貧金属、遷移金属、又はハロゲン元素と化学的に結合しうる他の元素を含みうる。非限定的な例として、フッ素含有前駆体は、五フッ化リン、六フッ化硫黄、及び他のフッ素又はハロゲン含有材料を含みうる。これらの材料は、エッチングを増加させうる多数のプラズマ放出物の材料を生成しうる。例えば、六フッ化硫黄の場合、多数の他のラジカル種および中性種の中でも、S、F、SF、SF2、SF3、SF4、SF5、F2、S2F8を含む様々な元素が生成され、エッチングを促進しうる。
【0047】
[0052] フッ素含有前駆体などの任意の数のハロゲン含有前駆体が使用されうるが、リン及び硫黄などのいくつかの材料は、例えば、酸化ケイ素材料と共に提供されうる更なる影響のために、三フッ化窒素などの他の材料よりも選択性を改善しうる。例えば、硫黄化合物及びリン化合物は、酸化ケイ素の露出表面上にある種のパッシベーション又は保護材料を生成しうる。例えば、硫黄及びリンは、酸化物の表面上にある種のブリッジポリマー(bridge polymer)を生成するために、ある量の重合が起こりうるほど十分に大きい元素である。硫黄は、酸素表面と結合し、1つ又は複数のフッ素原子を維持しながら、膜内に組み込まれうる。これは、更なるフッ素化及び酸素表面との反応から表面を保護しうる。これにより、窒化物上には推論的な形成が存在しない場合があるので、酸化物層に対する何らかの効果を維持又は制限しながら、窒化物構造をエッチングすることが可能になりうる。
【0048】
[0053] いくつかの実施形態において、添加前駆体は、ケイ素含有前駆体と共に流されうる。添加前駆体は、フッ素とは異なるハロゲンを含むハロゲン含有前駆体でありうるか、又はこれを含みうる。例えば、添加前駆体は、任意のIII族、IV族、V族、又はVI族の元素と、任意の組み合わせで、VII族元素又はハロゲンを含む前駆体を含みうる。例示的な材料は、式XaYbによって特徴付けられうる。ここで、Xは、任意のIII族、IV族、V族、又はVI族の元素を含み、Yは、塩素、臭素、又はヨウ素を含み、aは、1、2、又は3であり、bは、3、4、5、6、7、8、又は9である。添加前駆体式はまた、式R1R2R3XYによって特徴付けられる前駆体も包含しうる。ここで、Xは、任意のIV族の元素であり、Yは、塩素、臭素、又はヨウ素であり、R1~R3は、任意の組み合わせ、H、メチル、エチル、又は他の炭化水素、追加のハロゲン、又は鎖を延長する任意の他の記載された材料と結合した追加のIV族の元素でありうる。例えば、上記式に包含される前駆体に対するいずれの制限もなく、例示的な前駆体は、四塩化炭素及び/又は六塩化二ケイ素のような任意の組合せにおいてケイ素及び塩化物を含みうる。同様に、前駆体は、炭素及び塩化物、ゲルマニウム及び塩化物、ケイ素及びフッ素、炭素及びフッ素、ゲルマニウム及びフッ素、ケイ素及び臭素、炭素及び臭素、ゲルマニウム及び臭素、ケイ素及びヨウ素、炭素及びヨウ素、ゲルマニウム及びヨウ素、セレン及びフッ素、臭素、塩素又はヨウ素、テルル及びフッ素、臭素、塩素、又はヨウ素、リン及びフッ素、臭素、塩素、又はヨウ素、並びにヒ素及びフッ素、臭素、塩素、又はヨウ素を含みうる。更に、添加前駆体は、トリメチルシランなどの1つ又は複数のメチル基によって特徴付けられてもよい。
【0049】
[0054] 添加前駆体は、上述のようにパッシベーション前駆体として動作しうる。例えば、フッ素含有前駆体は、十分な露出後に又は十分なパッシベーションなしに、窒化ケイ素並びに酸化ケイ素を含む材料をエッチングしうるが、その一方で、添加前駆体は、構造をエッチングすることなく、上記と同じパッシベーション工程を実行しうる。他のハロゲン含有前駆体は、上記のフッ素前駆体と同様の機能を果たしうるため、追加のフッ素含有物を制限することによってエッチング工程を更に制御しながら、同じ工程が実行されうる。上記の式によって包含される任意の前駆体が添加前駆体として使用されうるが、いくつかの実施形態では、ケイ素-ケイ素、炭素-炭素、ゲルマニウム-ゲルマニウム、又は類似の原子結合構造によって特徴付けられた前駆体が使用されうる。これは、低出力プラズマが前駆体の補助部分にわたってこの結合をより容易に破壊しうるからである。添加前駆体はまた、エッチングされた表面の修復を促進しうる。例えば、添加前駆体は、上述のようにケイ素を含みうる。ケイ素含有前駆体は、いったんプラズマ強化されると、エッチングされる場合に、酸化ケイ素にシリコンを戻しうる。追加されたケイ素は、構造が処理環境から除去されるときに酸化されうる。酸化表面を取り戻すために、大気中の水がケイ素と反応しうる。したがって、プロセスは、酸化ケイ素を制限、防止、又は再生し、エッチングプロセス中に酸化ケイ素層を維持しうる。添加前駆体がフッ素を含むいくつかの実施形態では、添加前駆体は、フッ素含有前駆体を置換しうる。
【0050】
[0055] 本技術のいくつかの実施形態では、追加の前駆体はまた、フッ素含有前駆体と共に供給されうる。例えば、水素含有前駆体が供給されてもよく、又はアルゴン、窒素、ヘリウム、酸素含有前駆体、又は他の前駆体などの1つ又は複数の他の前駆体が供給されてもよい。水素及びアルゴンは、ヘリウムに対して容易にイオン化可能であり、これは、いくつかの実施形態では、処理を容易にしうる。水素含有前駆体は、水素、炭化水素、又は任意の水素含有前駆体でありうるか、又はこれらを含みうる。例示的な酸素含有前駆体は、水蒸気、過酸化水素、酸素、オゾン、亜酸化窒素、一酸化窒素、又は励起された酸素含有材料でありうるか又はこれらを含みうるが、いくつかの実施形態で先に説明したように、酸素含有前駆体は、後にエッチングされるトレンチを通る窒化ケイ素材料との相互作用を制限するためにプラズマ強化されないこともある。本技術は、ケイ素を更にエッチングしうる。ある量の酸素含有前駆体を提供することにより、エッチングが容易になりうる。
【0051】
[0056] いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、他の前駆体の中でも、水素又はアルゴンなどの材料を提供することは、プロセスに追加の電子を提供することによって、エッチングプロセスを容易にしうる。フッ素は、プラズマ中の電子の擬似スカベンジャーでありうるが、追加の前駆体は、追加の電子を供与し、プラズマ内の電子密度を増加させ、エッチングプロセス及び窒化物に対する選択性を改善しうる。したがって、いくつかの実施形態では、フッ素含有前駆体対追加の前駆体の流量比が維持されうる。例えば、添加前駆体及び/又は追加の前駆体、例えば水素又はアルゴンなど、の流量比は、フッ素含有前駆体に対して少なくとも約1:2に維持され、約1:1以上、約1.5:1以上、約2.0:1以上、約2.5:1以上、約3.0:1以上、約3.5:1以上、約4.0:1以上、又はこれより高く維持されうる。しかし、流量比は、希釈を制限するように維持されてもよく、これは、十分に高くなれば、追加のエッチングを阻害することがある。したがって、いくつかの実施形態では、追加の前駆体対フッ素含有前駆体の流量比は、約10.0:1以下、約9.0:1以下、約8.0:1以下、約7.0:1以下、約6.0:1以下、約5.0:1以下、約4.0:1以下、約3.0:1以下、約2.0:1以下、約1.0:1以下、又はこれ未満で維持されうる。例えば、プラズマ形成を容易にするために、アルゴンなどの追加の前駆体が含まれ、電子を提供しうる。しかしながら、添加前駆体がアルゴンよりも低いイオン化エネルギーによって特徴付けられる場合に、アルゴンがプラズマ前駆体から除去され、選択性が高められうる。
【0052】
[0057] プロセス条件はまた、方法400において実行される工程に影響を及ぼしうる。方法400の工程の各々は、実施形態では一定の温度の間に実行されうる一方で、いくつかの実施形態では、温度は、異なる工程の間に調整されうる。温度は、任意の範囲に維持されうるが、より高い温度では、フッ素含有材料の更なる解離が起こり、より多くのフッ素ラジカルを生成しうる。フッ素ラジカルの量が増加するにつれて、酸化物は、より容易にエッチングし始め、選択性が低下しうる。したがって、いくつかの実施形態では、温度は、約700℃以下に維持され、約650℃以下、約600℃以下、約550℃以下、約500℃以下、又はこれ未満に維持されうる。いくつかの実施形態において、窒化物又はケイ素エッチング中の基板、ペデスタル、又はチャンバ温度は、約400℃以下の温度に維持され、いくつかの実施形態では、温度は、約350℃以下、約300℃以下、約250℃以下、約200℃以下、又は約150℃以下、約100℃以下、又は約50℃以下、約25℃以下、又は約10℃以下、約0℃以下、又は約-10℃以下、約-20℃以下、又は約-30℃以下、又はこれを下回る温度で維持されうる。
【0053】
[0058] プロセス温度が低いほど、前駆体の選択は、遊離水素を低減又は制限するように増加しうる。例えば、メチル基は、露出した酸化物表面を依然として有益に安定化処理しうる。その一方で、温度が約20℃以下に低下すると、遊離水素は、アンモニア又はフルオルイミド(fluorimide)を生成しうる。このアンモニア又はフルオルイミドは、副生成物としてケイフッ化アンモニウム(ammonium fluorosilicate)を生成することにより同様に酸化物をエッチングしうる。したがって、いくつかの実施形態では、水素濃度は、前駆体の任意の他の要素と1:1未満に制限され、プラズマ出力に基づいて、窒化物エッチング中に露出された酸化物表面上でパッシベーションを実行しうるメチル基に制限されうる。
【0054】
[0059] いくつかの実施形態では、プロセスが様々な圧力で実行されてよく、いくつかの処理チャンバのいずれかにおける工程が容易になりうる。例えば、プロセスは、ターボ分子ポンプなどを用いて、約10mTorr以下の圧力を提供可能なチャンバ内で実行されうる。更に、チャンバ内の圧力は、より高い圧力に維持され、関連するエッチング速度を増加させうる。処理チャンバ内の圧力は、約1Torr以上に維持され、約2Torr以上、約5Torr以上、約10Torr以上、約50Torr以上、約100Torr以上、約200Torr以上、又はこれより高く維持されうる。
【0055】
[0060] 前駆体及び総流量はまた、窒化ケイ素エッチングの改善を促進しうる。例えば、アルゴン、ヘリウム、窒素、又は他のプラズマ安定化前駆体は、約100sccm以下の流速で供給若しくは維持されうるか、又は約90sccm以下、約80sccm以下、約70sccm以下、約60sccm以下、約50sccm以下、約40sccm以下、約30sccm以下、約20sccm以下、約10sccm以下、又はこれを下回る流速で維持されうる。プラズマ安定化前駆体の流れを下げることによって、解離が低減され、より低いプラズマ出力がプラズマを生成するために使用されうる。窒化物エッチングを増加させるために、エッチングが制御されうる。窒化物エッチングは、酸化物エッチングに対してより容易に行われうる。添加前駆体、第1のハロゲン含有前駆体、第2のハロゲン含有前駆体、又は全ての前駆体の流れは、記載された流量のいずれか以下又はその付近に維持され、解離が更に制御され、酸化物エッチングに対する窒化物エッチングの選択性が改善されうる。
【0056】
[0061] ある量のエッチングと、それに続くある量のパージを実行することによって、窒化ケイ素の制御された横方向又は等方性エッチングが実行されうる。エッチングを更に容易にするために、本技術はいくつかのサイクルで実行され、酸化ケイ素をリフレッシュし、エッチング副生成物の除去を可能にし、窒化ケイ素の横方向の凹部内へのエッチャントの供給を容易にしうる。いくつかの実施形態では、オプションのパージを含むプロセスは、実行される窒化ケイ素エッチングの程度、又はプロセスの他の効果などの要因に応じて、約2サイクル以上、約3サイクル以上、約4サイクル以上、約5サイクル以上、約10サイクル以上、約20サイクル以上、約50サイクル以上、約100サイクル以上、約200サイクル以上、又はこれを上回るサイクルで実行されうる。
【0057】
[0062] 追加のサイクルを実行する利点は、水素がエッチャント前駆体と組み合わされるときに、水素プラズマ放出物が積層体の酸化ケイ素層と有益に相互作用して、各サイクル中に層と相互作用しうるフッ素を抽出しうることを含みうる。前述のように、酸化ケイ素は、フッ素が酸化物構造と相互作用し、酸化物構造内に延び始める潜伏期間後に、窒化ケイ素を除去するためのプロセスに最終的に反応しうる。しかしながら、水素放出物は、酸化ケイ素自体と反応しないことがあり、又は最小限しか相互作用しないことがあるが、放出物エネルギーは、酸化ケイ素と相互作用し始めたフッ素を引き出すのに十分であり、プラズマ放出物が酸化ケイ素の層の露出表面と接触するときに層からフッ素を除去しうる。上記のようにパージを実行することにより、除去されたフッ素及び反応した水素がチャンバから排出されうる。これは、少なくともある程度、潜伏期間をリフレッシュし、各サイクルで酸化ケイ素から残留エッチャントを除去することによって、酸化ケイ素に対する窒化ケイ素エッチングプロセスの全体的な選択性を増加させうる。上記のようなプロセスを実施することによって、酸化ケイ素に対する窒化ケイ素のエッチング選択性は、約10:1以上に維持され、約15:1以上、約20:1以上、約30:1以上、約50:1以上、約70:1以上、約100:1以上、又はこれを上回る選択性を生じうる。
【0058】
[0063]
図5A~5Cを参照すると、本技術のいくつかの実施形態に従って処理されている構造500の断面図が示されている。
図5Aに示されるように、基板505は、ケイ素、シリコンゲルマニウム、又は他の基板材料でありうる、基板の上に重なる複数の積層を有しうる。層は、窒化ケイ素でありうるプレースホルダ材料520との交互の層において、酸化ケイ素でありうる誘電体材料510を含むIPD層を含みうる。プレースホルダ材料520は、後続の動作において個々のメモリセルを生成するために除去されることになる材料でありうるか又はこれを含みうる。7層の材料のみで示されているが、例示的な構造は、先に論じた層の数のうちのいずれかを含みうる。図は、本技術の態様を示すための概略的なものにすぎないと理解されたい。メモリホールでありうるトレンチ530は、積層構造を通って基板505のレベルまで達するように画定されうる。トレンチ530は、誘電体材料510とプレースホルダ材料520との交互の層から構成されうる側壁532によって画定されうる。
【0059】
[0064]
図5Bは、上記の
図4に関して説明したように、本技術による方法が実行され始めた後の構造を示している。プラズマ放出物を生成するために、追加の前駆体を含みうるフッ素含有前駆体の遠隔プラズマが形成されうる。プラズマ放出物は、基板処理領域に供給され、ここで、放出物は、基板及び露出された材料と相互作用しうる。上述のように、窒化ケイ素又はプレースホルダ材料520をエッチングする間、本技術の実施形態によるいくつかの前駆体のプラズマ放出物は、酸化ケイ素を安定化処理しうる又は露出領域上に保護層540を生成しうる。
【0060】
[0065]
図5Cは、上記の
図4に関して説明したように、本技術による更なる方法又は動作が実行された後の構造を示す。例えば、エッチングプロセスが継続する際に、追加のパッシベーション又は保護材料540は、誘電体材料510の更なる露出表面上方に延び、この露出表面は、プロセスのサイクル中に窒化ケイ素が凹み続ける際に、垂直なエッチングから材料を保護し続けうる。本技術全体を通して論じたように前駆体を利用し処理することにより、窒化ケイ素は、酸化ケイ素の損傷又は除去を制限しながら、酸化ケイ素のセクション間から等方的又は横方向にエッチングされうる。
【0061】
[0066] 前述の説明では、説明の目的のために、本技術の様々な実施形態の理解を提供するために、多数の詳細が記載されてきた。しかしながら、当業者には明らかなように、特定の実施形態は、これらの詳細のうちのいくつかがなくても、又は追加の詳細を伴って実施されうる。
【0062】
[0067] いくつかの実施形態を開示したが、当業者は、実施形態の主旨から逸脱することなく、様々な修正例、代替構造物、及び均等物が使用されうることを認識されよう。更に、いくつかの周知の処理及び要素は、本技術を不必要に不明瞭にすることを避けるために説明されていない。したがって、上記の説明は、本技術の範囲を限定するものと解釈すべきではない。加えて、方法又はプロセスは、順次又はステップで説明されうるが、工程は、同時に、又は列挙されたものとは異なる順序で実行されうると理解されたい。
【0063】
[0068] 値の範囲が付与されているところでは、文脈上そうでないと明示されていない限り、その範囲の上限値と下限値との間の各介在値は、下限の単位の最小単位まで具体的に開示されている。記載された範囲の任意の記載値又は記載されていない介在値の間の任意の狭い範囲、そしてその記載範囲のその他任意の記載された値又は介在する値も包含される。これら小さい範囲の上限及び下限は、その範囲に個々に含まれ、又はその範囲から除外される場合があり、小さい範囲に限界値のいずれかが含まれる、どちらも含まれない、又は両方が含まれる各範囲もまた、記載された範囲における明確に除外される任意の限界値を条件として、この技術範囲に包含される。記載された範囲が、限界値の一方又は両方を含む場合、これらの含められた限界値の一方又は両方を除外する範囲も含まれる。
【0064】
[0069] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他のことを明らかに示していない限り、複数の参照対象を含む。したがって、例えば、「ある前駆体(a precursor)」への言及は、複数のこのような前駆体を含み、「その層(the layer)」への言及は、当業者に知られている1つ又は複数の層及びその均等物への言及を含み、その他も同様である。
【0065】
[0070] また、「備える(comprise(s))」、「備えている(comprising)」、「含有する(contain(s))」、「含有している(containing)」、「含む(include(s))」、及び「含んでいる(including)」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、記載された特徴、整数、構成要素、又はステップの存在を特定することを意図しているが、1つ又は複数のその他の特徴、整数、構成要素、工程、動作、又はグループの存在又は追加を除外するものではない。
【国際調査報告】