(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-19
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、これを用いた感光性樹脂膜、カラーフィルタおよびディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20230711BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20230711BHJP
C09B 57/00 20060101ALI20230711BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230711BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20230711BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G02B5/20 101
C09B57/00 X
G09F9/30 349A
G02F1/1335 505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576851
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 KR2021008925
(87)【国際公開番号】W WO2022039389
(87)【国際公開日】2022-02-24
(31)【優先権主張番号】10-2020-0104059
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514278061
【氏名又は名称】サムスン エスディアイ カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20, Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si,Gyeonggi-do 17084,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョイ,キュベム
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
2H291
5C094
【Fターム(参考)】
2H148BE02
2H148BE14
2H148BE18
2H148BE33
2H148BF16
2H148BG02
2H148BH20
2H225AC36
2H225AD06
2H225AM22P
2H225AN39P
2H225AN67P
2H225AN68P
2H225AN82P
2H225AN92P
2H225BA17P
2H225BA32P
2H225CA17
2H225CC01
2H225CC13
2H291FA02Y
2H291FA14Y
2H291FC10
2H291LA40
5C094AA43
5C094BA43
5C094CA23
5C094ED02
5C094FB01
5C094JA01
5C094JA08
(57)【要約】
(A-1)特定化学式で表される化合物およびこれを囲んだシェル、(A-2)他の特定化学式で表される化合物およびこれを囲んだシェル、および(A-3)また他の特定化学式で表される化合物およびこれを囲んだシェルの混合物含有染料を含む感光性樹脂組成物、前記組成物を用いて製造される感光性樹脂膜、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A-1)下記化学式1で表される化合物およびこれを囲んだシェル、
(A-2)下記化学式2で表される化合物およびこれを囲んだシェル、および
(A-3)下記化学式3で表される化合物およびこれを囲んだシェル
の混合物含有染料を含む感光性樹脂組成物:
【化1】
上記化学式1~化学式3中、
R
1~R
3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
R
1~R
3はそれぞれ、互いに異なる。
【請求項2】
前記R
1は、置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
前記R
2およびR
3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基であり、但し、R
2およびR
3はそれぞれ互いに異なる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記R
1は、炭素数1~10のアルキル基で置換された炭素数6~20のアリール基である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記R
2およびR
3は、それぞれ独立して‘炭素数1~10のアルキル基および/または炭素数1~10のアルコキシ基’で置換された炭素数1~20のアルキル基であり、
前記R
2およびR
3は、それぞれ互いに異なる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記混合物で、前記化学式1で表される化合物および前記化学式3で表される化合物はそれぞれ同一な含量で含まれる、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記混合物で、前記化学式2で表される化合物は前記化学式1で表される化合物より多い含量で含まれる、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記混合物で、前記化学式2で表される化合物は前記化学式3で表される化合物より多い含量で含まれる、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記混合物は、前記化学式1で表される化合物、前記化学式2で表される化合物、および前記化学式3で表される化合物を1:2:1の重量比で含む、請求項5に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-3のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化2】
【請求項10】
前記化学式2で表される化合物は、下記化学式2-1~化学式2-7のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化3】
【化4】
【化5】
【請求項11】
前記化学式3で表される化合物は下記化学式3-1~化学式3-4のうちのいずれか一つで表される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【化6】
【化7】
【請求項12】
前記シェルは、下記化学式4または化学式5で表される、請求項1に記載の感光性樹脂組成物:
【化8】
上記化学式4および化学式5中、
L
a~L
dは、それぞれ独立して、単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【請求項13】
前記L
a~L
dは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である、請求項12に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項14】
前記シェルは、下記化学式4-1または化学式5-1で表される、請求項12に記載の感光性樹脂組成物。
【化9】
【請求項15】
前記シェルは、6.5Å~7.5Åのケージ幅を有する、請求項14に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項16】
前記化学式1で表される化合物、前記化学式2で表される化合物および前記化学式3で表される化合物は、それぞれ独立して、1nm~3nmの長さを有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項17】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含む、請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項18】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、シラン系カップリング剤、レベリング剤、フッ素系界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項17に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項19】
請求項1~18のうちのいずれか一項の感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜。
【請求項20】
請求項19の感光性樹脂膜を含むカラーフィルタ。
【請求項21】
請求項20のカラーフィルタを含むディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本記載は、感光性樹脂組成物、これを用いて製造された感光性樹脂膜、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタおよび前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置の一つである液晶ディスプレイ装置は軽量化、薄型化、低価、低消費電力駆動化および優れた集積回路との接合性などの長所を有していて、ノートパソコン、モニターおよびTV画像用にその使用範囲が拡大されている。このような液晶ディスプレイ装置は、ブラックマトリクス、カラーフィルタおよびITO画素電極が形成された下部基板と、液晶層、薄膜トランジスタ、蓄電キャパシタ層から構成された能動回路部とITO画素電極が形成された上部基板を含んで構成される。カラーフィルタは、画素の間の境界部を遮光するために透明基板上に定められたパターンで形成されたブラックマトリクス層およびそれぞれの画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B))の三原色を定められた順に配列した画素部が順次に積層された構造をとっている。カラーフィルタを実現する方法の一つである顔料分散法は、黒色マトリックスが提供された透明な基質の上に着色剤を含有する光重合性組成物をコーティングし、形成しようとする形態のパターンを露光した後、非露光部位を溶剤で除去して熱硬化させる一連の過程を繰り返すことによって着色薄膜が形成される方法である。顔料分散法によるカラーフィルタ製造に使用される着色感光性樹脂組成物は、一般に、アルカリ可溶性樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、溶媒とその他の添加剤などからなる。前記の特徴を有する顔料分散法は、携帯電話機、ノートパソコン、モニター、TVなどのLCDを製造することに活発に応用されている。しかし、最近では様々な長所を有する顔料分散法を用いたカラーフィルタ用感光性樹脂組成物においても優れたパターン特性だけでなくさらに向上した性能が要求されている。特に高い色再現率と共に高輝度および高明暗比の特性が至急に要求されているのが実情である。
【0003】
しかし、顔料型感光性樹脂組成物から製造されたカラーフィルタでは、顔料粒子径に由来する輝度と明暗比の限界が存在する。また、イメージセンサー用カラー撮像素子の場合には微細なパターン形成のためにさらに小さな分散粒度が要求されることになる。このような要求に応えるために顔料の代わりに粒子を成さない染料を導入して染料に適した感光性樹脂組成物を製造して輝度と明暗比が改善されたカラーフィルタを実現しようとする試みがある。
【0004】
一方、イメージセンサーは携帯電話カメラやDSC(Digital Still Camera)などで映像を生成する映像撮像素子部品を称するものであって、その製作工程と応用方式によって大きく、固体撮像素子(charge coupled device;CCD)イメージセンサーと、相補性金属酸化物半導体(complementary metal oxide semiconductor;CMOS)イメージセンサーに分類することができる。固体撮像素子または相補性金属酸化物半導体などに用いられるカラー撮像素子は、その受光素子上に赤色(red)、緑色(green)、青色(blue)の加算混合原色のフィルターセグメント(filter segment)を備えるカラーフィルタ(color filter)をそれぞれ設置して色を分解することが一般的である。近年、このようなカラー撮像素子に装着されるカラーフィルタのパターン大きさは2μm以下の大きさで、既存のLCD用カラーフィルタパターンの1/100~1/200倍である。これにより、解像度の増加および残渣の減少が素子の性能を左右する重要な項目である。
【0005】
したがって、イメージセンサー用感光性樹脂組成物内着色剤として現在は染料を活用しようとする研究が続いている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、スクアリリウム系染料の溶媒に対する溶解度を大きく向上させて、溶媒内でスクアリリウム系染料間凝集による析出現象を解決することができる感光性樹脂組成物を提供するためのものである。
【0007】
他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造される感光性樹脂膜を提供するためのものである。
【0008】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供するためのものである。
【0009】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供するためのものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態は、(A-1)下記化学式1で表される化合物およびこれを囲んだシェル、(A-2)下記化学式2で表される化合物およびこれを囲んだシェル、および(A-3)下記化学式3で表される化合物およびこれを囲んだシェルの混合物含有染料を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
【0012】
上記化学式1~化学式3中、
R1~R3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
R1~R3はそれぞれ、互いに異なる。
【0013】
前記R1は置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、前記R2およびR3はそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基であり、但し、R2およびR3はそれぞれ互いに異なってもよい。
【0014】
前記R1は、炭素数1~10のアルキル基で置換された炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0015】
前記R2およびR3はそれぞれ独立して‘炭素数1~10のアルキル基および/または炭素数1~10のアルコキシ基’で置換された炭素数1~20のアルキル基であり、前記R2およびR3はそれぞれ互いに異なってもよい。
【0016】
前記混合物で、前記化学式1で表される化合物および前記化学式3で表される化合物はそれぞれ同一な含量で含まれてもよい。この時、前記化学式2で表される化合物は、前記化学式1で表される化合物および前記化学式3で表される化合物それぞれより多い含量で含まれてもよい。
【0017】
前記混合物は、前記化学式1で表される化合物、前記化学式2で表される化合物、および前記化学式3で表される化合物を1:2:1の重量比で含むことができる。
【0018】
前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-3のうちのいずれか一つで表すことができる。
【0019】
【0020】
前記化学式2で表される化合物は、下記化学式2-1~化学式2-7のうちのいずれか一つで表すことができる。
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
前記化学式3で表される化合物は、下記化学式3-1~化学式3-4のうちのいずれか一つで表すことができる。
【0025】
【0026】
前記シェルは、下記化学式4または化学式5で表すことができる。
【0027】
【0028】
上記化学式4および化学式5中、
La~Ldは、それぞれ独立して、単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0029】
前記La~Ldは、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であってもよい。
【0030】
前記シェルは、下記化学式4-1または化学式5-1で表すことができる。
【0031】
【0032】
前記シェルは、6.5Å~7.5Åのケージ幅を有することができる。
【0033】
前記化学式1で表される化合物、前記化学式2で表される化合物、および前記化学式3で表される化合物は、それぞれ独立して、1nm~3nmの長さを有することができる。
【0034】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂、光重合性単量体、光重合開始剤、および溶媒をさらに含むことができる。
【0035】
前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、シラン系カップリング剤、レベリング剤、フッ素系界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0036】
他の一実施形態は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0037】
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0038】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0039】
その他の本発明の側面の具体的な事項は以下の詳細な説明に含まれている。
【発明の効果】
【0040】
一実施形態による感光性樹脂組成物は、スクアリリウム系染料の溶媒に対する溶解度を大きく向上させて、スクアリリウム系溶媒が有する短所、即ち、溶媒内で互いに凝集して析出が起こる現象を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】化学式5-1で表されるシェルのケージ幅(cage width)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態を詳しく説明する。但し、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述の請求範囲の範疇によってのみ定義される。
【0043】
本明細書で特別な言及がない限り、“置換”乃至“置換された”とは、本発明の官能基中の一つ以上の水素原子がハロゲン原子(F、Br、ClまたはI)、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基(NH2、NH(R200)またはN(R201)(R202)であり、ここでR200、R201およびR202は同一であるか互いに異なり、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基である)、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、カルボキシル基、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基、置換もしくは非置換の脂環式有機基、置換もしくは非置換のアリール基、および置換もしくは非置換のヘテロ環基からなる群より選択される1種以上の置換基で置換されたことを意味する。
【0044】
本明細書で特別な言及がない限り、“アルキル基”とは炭素数1~20のアルキル基を意味し、具体的には炭素数1~15のアルキル基を意味し、“シクロアルキル基”とは炭素数3~20のシクロアルキル基を意味し、具体的には炭素数3~18のシクロアルキル基を意味し、“アルコキシ基”とは炭素数1~20のアルコキシ基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルコキシ基を意味し、“アリール基”とは炭素数6~20のアリール基を意味し、具体的には炭素数6~18のアリール基を意味し、“アルケニル基”とは炭素数2~20のアルケニル基を意味し、具体的には炭素数2~18のアルケニル基を意味し、“アルキレン基”とは炭素数1~20のアルキレン基を意味し、具体的には炭素数1~18のアルキレン基を意味し、“アリーレン基”とは炭素数6~20のアリーレン基を意味し、具体的には炭素数6~16のアリーレン基を意味する。
【0045】
本明細書で特別な言及がない限り、“(メタ)アクリレート”は“アクリレート”と“メタクリレート”の両方とも可能であるのを意味し、“(メタ)アクリル酸”は“アクリル酸”と“メタクリル酸”の両方とも可能であるのを意味する。
【0046】
本明細書で別途の定義がない限り、“組み合わせ”とは、混合または共重合を意味する。また、“共重合”とはブロック共重合乃至ランダム共重合を意味し、“共重合体”とはブロック共重合体乃至ランダム共重合体を意味する。
【0047】
本明細書内化学式で別途の定義がない限り、化学結合が描かれなければならない位置に化学結合が描かれていない場合は前記位置に水素原子が結合されているのを意味する。
【0048】
また、本明細書で別途の定義がない限り、“*”は同一であるか異なる原子または化学式と連結される部分を意味する。
【0049】
また、本明細書である部材が他の部材“上に”位置しているという時、これはある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
【0050】
また、本明細書である部分がある構成要素を“含む”という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0051】
一実施形態は、(A-1)下記化学式1で表される化合物およびこれを囲んだシェル、(A-2)下記化学式2で表される化合物およびこれを囲んだシェル、および(A-3)下記化学式3で表される化合物およびこれを囲んだシェルの混合物含有染料を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0052】
【0053】
上記化学式1~化学式3中、
R1~R3は、それぞれ独立して、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、または置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、
R1~R3はそれぞれ、互いに異なる。
【0054】
前記化学式1で表される化合物は下記図式のように、三つの共鳴構造を有するが、本明細書では便宜上、一つの共鳴構造のみで前記化学式1で表される化合物を表わしただけである。即ち、前記化学式1で表される化合物は前記三つの共鳴構造のうちのいずれか一つで表すことができ、これは前記化学式2で表される化合物および前記化学式3で表される化合物も同様である。
【0055】
【0056】
スクアリリウム系染料は、高いモル吸光係数および透過度に優れてカラーフィルタ材料(染料)として優れた輝度および明暗比を示すことができる。但し、カラーレジスト組成中使用することができる溶媒は制限されており、スクアリリウム系染料は他染料に比べて溶解可能な溶媒に対する溶解度が非常に劣るという問題点がある。即ち、使用可能溶媒内でスクアリリウム系染料間凝集(Aggregation)による析出現象によってスクアリリウム系染料は優れた輝度と明暗比の提供が可能であるにもかかわらず、その使用が大きく制限されるしかなかった。本発明者らはスクアリリウム系染料使用時のこのような問題点を明確に認識し、前記スクアリリウム系染料の構造とその混合物の組成を制御することによって、従来のスクアリリウム系染料の低い溶解度を克服した。
【0057】
具体的に、スクアリリウム系染料は優れた緑色分光特性と高いモル吸光係数を有すると知られていて、顔料型感光性樹脂組成物と比較して輝度および明暗比に優れ、一般に顔料と比較して低い耐久性はrotaxane構造のようなシェルを導入することによって解決することができる。即ち、スクアリリウム系染料はrotaxaneシェルなどと共にコア-シェル構造を形成することができ、このようなコア-シェル構造の染料を着色剤として使用して緑色カラーフィルタ用感光性樹脂組成物を製造することができる。但し、前述のように、スクアリリウム系染料は優れた分光性質を有する反面、凝集現象による溶解度が低下する問題がある。本発明者らはこれをスクアリリウム系染料間混合物構造に合成してこれを解決した。混合物の中の非対称構造のスクアリリウム系染料の場合、合成が容易でない短所があって、一実施形態による感光性樹脂組成物を製造することが最初は難しかったが、これをスクアリリウム系染料前駆体の混合反応を通じて容易に合成することによって、一実施形態による感光性樹脂組成物を容易に製造することができた。
【0058】
例えば、前記R1は置換もしくは非置換の炭素数6~20のアリール基であり、前記R2およびR3はそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基または置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基であってもよい。但し、この場合にも前記R2およびR3はそれぞれ互いに異ならなければならない。
【0059】
例えば、前記R1は、炭素数1~10のアルキル基で置換された炭素数6~20のアリール基であってもよい。
【0060】
例えば、前記R2およびR3はそれぞれ独立して‘炭素数1~10のアルキル基および/または炭素数1~10のアルコキシ基’で置換された炭素数1~20のアルキル基であってもよい。但し、この場合にも前記R2およびR3はそれぞれ互いに異ならなければならない。
【0061】
前記化学式1~化学式3で表される化合物が前記のような構造を有する場合、前記化学式1で表される化合物、前記化学式2で表される化合物、および前記化学式3で表される化合物の混合物を染料として使用する場合、前記染料間凝集を制御することができて、析出現象を最少化することができるので、スクアリリウム系染料の長所である優れた分光特性を大きく生かすことができる。
【0062】
一方、スクアリリウム系染料間凝集制御のためには、前記スクアリリウム系染料それぞれの構造を限定すること以外に、スクアリリウム系染料それぞれの含量を限定することも役に立つ。
【0063】
例えば、前記混合物で、前記化学式1で表される化合物および前記化学式3で表される化合物はそれぞれ同一な含量で含まれてもよい。
【0064】
例えば、前記混合物で、前記化学式2で表される化合物は前記化学式1で表される化合物より多い含量で含まれてもよい。
【0065】
例えば、前記混合物で、前記化学式2で表される化合物は前記化学式3で表される化合物より多い含量で含まれてもよい。
【0066】
例えば、前記混合物は、前記化学式1で表される化合物、前記化学式2で表される化合物、および前記化学式3で表される化合物を1:2:1の重量比で含むことができる。
【0067】
一実施形態による感光性樹脂組成物内染料として使用される混合物は前記化学式1-2で表される化合物のように非対称構造を有するスクアリリウム系染料を含むのでその合成が難しいが、前記化学式1~化学式3で表される化合物間含量を前記のように制御する場合、スクアリリウム系染料前駆体の混合反応を通じて非対称構造のスクアリリウム系染料の合成が容易になり、したがってスクアリリウム系染料の短所である溶媒に対する低い溶解度を克服し、スクアリリウム系染料の長所である優れた分光特性を極大化することができる。
【0068】
例えば、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式1-1~化学式1-3のうちのいずれか一つで表すことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0069】
【0070】
例えば、前記化学式2で表される化合物は、下記化学式2-1~化学式2-7のうちのいずれか一つで表すことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
例えば、前記化学式3で表される化合物は下記化学式3-1~化学式3-4のうちのいずれか一つで表すことができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0075】
【0076】
【0077】
一方、前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれはコア-シェル構造の染料を構成するコアである。即ち、前記染料は前記化学式1で表されるコアおよび前記コアを囲むシェル、前記化学式2で表されるコアおよび前記コアを囲むシェルおよび前記化学式3で表されるコアおよび前記コアを囲むシェルの混合物を含む。例えば、前記シェルは巨大環状化合物であってもよく、前記シェルが前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれを囲みながらコーティング層を形成することができる。
【0078】
一実施形態では、巨大環状化合物に該当する前記シェルが前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれを囲む構造によって、即ち、前記巨大環内部に前記化学式1~化学式3で表される化合物が存在する構造を有することによって、コア-シェル染料の耐久性を向上させることができる。
【0079】
前記コアに含まれる、または前記コアを構成する前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれの長さは1nm~3nm、例えば1.5nm~2nmであってもよい。前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれが前記範囲内の長さを有する場合、コアおよびこれを囲むシェルの構造を有するコア-シェル染料を容易に形成することができる。言い換えれば、前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれが前記範囲内の長さを有することによって、前記巨大環状化合物であるシェルが前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれを囲む構造として得られる。前記範囲の長さに該当しない他の化合物を使用する場合、前記シェルがコアになる化合物を囲む構造を形成しにくいことによって、耐久性の改善を期待しにくい。
【0080】
例えば、前記シェルは、下記化学式4または化学式5で表すことができる。
【0081】
【0082】
上記化学式4および化学式5中、
La~Ldは、それぞれ独立して、単一結合または置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基である。
【0083】
前記化学式4または化学式5中、La~Ldはそれぞれ独立して置換もしくは非置換の炭素数1~10のアルキレン基であってもよい。この場合、溶解度に優れ、シェルが前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれを含むコアを囲む構造を形成しやすい。
【0084】
例えば、一実施形態によるコア-シェル染料は、前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれの酸素原子および前記化学式4または化学式5で表されるシェルの窒素原子と結合を成している水素原子間非共有結合、即ち、水素結合を含むことができる。
【0085】
前記シェルは、例えば下記化学式4-1または化学式5-1で表すことができる。
【0086】
【0087】
前記シェルのケージ幅(cage width)は6.5Å~7.5Åであってもよく、前記シェルの体積は10Å~16Åであってもよい。本願でケージ幅(cage width)とは、シェル内部距離、例えば、前記化学式4-1または化学式5-1で表されるシェルで、両側にメチレン基が連結された、互いに異なる二つのフェニレン基の間の距離を意味する(
図1参照)。前記シェルが前記範囲内のケージ幅を有する場合、前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれを含むコアを囲む構造のコア-シェル染料を得ることができ、これにより前記コア-シェル染料の混合物を感光性樹脂組成物内着色剤として使用する場合、析出現象なく耐久性および輝度向上効果を期待することができる。
【0088】
前記コア-シェル染料は、前記コアおよび前記シェルを1:1のモル比で含むことができる。前記コアおよびシェルが前記モル比で存在する場合、前記化学式1~化学式3で表される化合物それぞれを含むコアを囲むコーティング層(シェル)をよく形成することができる。
【0089】
一方、一実施形態による感光性樹脂組成物は、前記染料以外に、着色剤として顔料をさらに含むことができる。
【0090】
例えば、前記顔料は赤色顔料、緑色顔料、青色顔料、黄色顔料などであってもよいが、必ずしもこれに限定されるのではない。
【0091】
前記赤色顔料はカラーインデックス(Color Index)内でC.I.赤色顔料179、C.I.赤色顔料254、C.I.赤色顔料255、C.I.赤色顔料264、C.I.赤色顔料270、C.I.赤色顔料272、C.I.赤色顔料177、C.I.赤色顔料89などを使用することができ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これに必ずしも限定されるのではない。
【0092】
前記緑色顔料はカラーインデックス(Color Index)内でC.I.緑色顔料59、C.I.緑色顔料58、C.I.緑色顔料36、C.I.緑色顔料7などのようなハロゲンが置換された銅フタロシアニン顔料などを使用することができ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これに必ずしも限定されるのではない。
【0093】
前記青色顔料はカラーインデックス(Color Index)内でC.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料15:0、C.I.青色顔料15:1、C.I.青色顔料15:2、C.I.青色顔料15:3、C.I.青色顔料15:4、C.I.青色顔料15:5、C.I.青色顔料15:6、C.I.青色顔料16などを使用することができ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これに必ずしも限定されるのではない。
【0094】
前記黄色顔料はカラーインデックス(Color Index)内でC.I.黄色顔料139などのようなイソインドリン系顔料、C.I.黄色顔料138などのようなキノフタロン系顔料、C.I.黄色顔料150などのようなニッケルコンプレックス顔料、C.I.黄色顔料100などを使用することができ、これらを単独でまたは2種以上混合して使用することができるが、これに必ずしも限定されるのではない。
【0095】
前記着色剤として顔料を使用する場合、顔料を分散させるために分散剤を共に使用することができる。具体的には、前記顔料を分散剤で予め表面処理して使用するか、組成物製造時顔料と共に分散剤を添加して使用することができる。
【0096】
前記分散剤としては、非イオン性分散剤、陰イオン性分散剤、陽イオン性分散剤などを使用することができる。前記分散剤の具体的な例としては、ポリアルキレングリコールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレン、多価アルコールエステルアルキレンオキシド付加物、アルコールアルキレンオキシド付加物、スルホン酸エステル、スルホン酸塩、カルボン酸エステル、カルボン酸塩、アルキルアミドアルキレンオキシド付加物、アルキルアミンなどが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0097】
前記分散剤の市販される製品を例として挙げれば、BYK社のDISPERBYK-101、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-182、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001など;EFKAケミカル社のEFKA-47、EFKA-47EA、EFKA-48、EFKA-49、EFKA-100、EFKA-400、EFKA-450など;Zeneka社のSolsperse 5000、Solsperse 12000、Solsperse 13240、Solsperse 13940、Solsperse 17000、Solsperse 20000、Solsperse 24000GR、Solsperse 27000、Solsperse 28000など;またはAjinomoto社のPB711、PB821などがある。
【0098】
前記分散剤は、感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~15重量%で含まれてもよい。分散剤が前記範囲内に含まれる場合、組成物の分散性が優れることによってブラックカラムスペーサ製造時、安定性、現像性およびパターン性に優れる。
【0099】
前記顔料は、水溶性無機塩および湿潤剤を用いて前処理して使用することもできる。顔料を前記前処理して使用する場合、顔料の平均粒径を微細化することができる。
【0100】
前記前処理は、前記顔料を水溶性無機塩および湿潤剤と共にニーディング(kneading)する段階、そして前記ニーディング段階で得られた顔料をろ過および水洗する段階を経て行うことができる。
【0101】
前記ニーディングは40℃~100℃の温度で行うことができ、前記ろ過および水洗は水などを使用して無機塩を水洗した後、ろ過して行うことができる。
【0102】
前記水溶性無機塩の例としては塩化ナトリウム、塩化カリウムなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。前記湿潤剤は前記顔料および前記水溶性無機塩が均一に混合されて顔料が容易に粉砕される媒介体役割を果たし、その例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのようなアルキレングリコールモノアルキルエーテル;エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンポリエチレングリコールなどのようなアルコールなどが挙げられ、これらを単独または二つ以上混合して使用することができる。
【0103】
前記ニーディング段階を経た顔料は5nm~200nm、例えば5nm~150nmの平均粒径を有することができる。顔料の平均粒径が前記範囲内である場合、顔料分散液での安定性に優れ、ピクセルの解像性低下の恐れがない。
【0104】
具体的に、前記顔料は前記分散剤および後述の溶媒を含む顔料分散液の形態で使用することができ、前記顔料分散液は固形分の顔料、分散剤および溶媒を含むことができる。前記固形分の顔料は、前記顔料分散液総量に対して5重量%~20重量%、例えば8重量%~15重量%で含まれてもよい。
【0105】
前記着色剤(‘染料’または‘染料および顔料’)は、前記感光性樹脂組成物総量に対して20重量%~50重量%、例えば30重量%~40重量%で含まれてもよい。前記着色剤が前記範囲内に含まれる場合、着色効果および現像性能に優れる。
【0106】
一実施形態による感光性樹脂組成物はバインダー樹脂、例えばアクリル系バインダー樹脂をさらに含むことができる。
【0107】
前記アクリル系樹脂は、第1エチレン性不飽和単量体およびこれと共重合可能な第2エチレン性不飽和単量体の共重合体であって、一つ以上のアクリル系繰り返し単位を含む樹脂である。
【0108】
前記第1エチレン性不飽和単量体は一つ以上のカルボキシ基を含有するエチレン性不飽和単量体であり、その具体的な例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0109】
前記第1エチレン性不飽和単量体は、前記アクリル系バインダー樹脂総量に対して、5重量%~50重量%、例えば10重量%~40重量%で含まれてもよい。
【0110】
前記第2エチレン性不飽和単量体は、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルメチルエーテルなどの芳香族ビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル化合物;2-アミノエチル(メタ)アクリレート、2-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル化合物;酢酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル化合物;グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;(メタ)アクリルアミドなどの不飽和アミド化合物;などが挙げられ、これらを単独でまたは二つ以上混合して使用することができる。
【0111】
前記アクリル系バインダー樹脂の具体的な例としては、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体、(メタ)アクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン/2-ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などが挙げられるが、これに限定されるのではなく、これらを単独または2種以上を配合して使用することもできる。
【0112】
前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量は、3,000g/mol~150,000g/mol、例えば5,000g/mol~50,000g/mol、例えば20,000g/mol~30,000g/molであってもよい。前記アクリル系バインダー樹脂の重量平均分子量が前記範囲内である場合、前記感光性樹脂組成物の物理的および化学的物性に優れ粘度が適切であり、カラーフィルタ製造時、基板との密着性に優れる。
【0113】
前記アクリル系バインダー樹脂の酸価は、15mgKOH/g~60mgKOH/g、例えば20mgKOH/g~50mgKOH/gであってもよい。アクリル系バインダー樹脂の酸価が前記範囲内である場合、ピクセルパターンの解像度に優れる。
【0114】
前記アクリル系バインダー樹脂は、感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~10重量%、例えば1重量%~5重量%で含まれてもよい。前記アクリル系バインダー樹脂が前記範囲内に含まれる場合、優れた感度、現像性、解像度およびパターンの直進性を得ることができる。
【0115】
一実施形態による感光性樹脂組成物は、光重合性単量体をさらに含むことができる。
【0116】
前記光重合性単量体は、少なくとも一つのエチレン性不飽和二重結合を有する(メタ)アクリル酸の一官能または多官能エステルを使用することができる。
【0117】
前記光重合性単量体は、前記エチレン性不飽和二重結合を有することによって、パターン形成工程で露光時に十分な重合を起こして耐熱性、耐光性および耐化学性に優れたパターンを形成することができる。
【0118】
前記光重合性単量体は例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、ノボラックエポキシ(メタ)アクリレートまたはこれらの組み合わせであってもよい。
【0119】
前記光重合性単量体の市販される製品を例として挙げれば次の通りである。前記(メタ)アクリル酸の一官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-101(登録商標)、同M-111(登録商標)、同M-114(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TC-110S(登録商標)、同TC-120S(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-158(登録商標)、V-2311(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の二官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-210(登録商標)、同M-240(登録商標)、同M-6200(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD HDDA(登録商標)、同HX-220(登録商標)、同R-604(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-260(登録商標)、V-312(登録商標)、V-335HP(登録商標)などが挙げられる。前記(メタ)アクリル酸の三官能エステルの例としては、東亞合成株式会社製のアロニックスM-309(登録商標)、同M-400(登録商標)、同M-405(登録商標)、同M-450(登録商標)、同M-7100(登録商標)、同M-8030(登録商標)、同M-8060(登録商標)など;日本化薬株式会社製のKAYARAD TMPTA(登録商標)、同DPCA-20(登録商標)、同-30(登録商標)、同-60(登録商標)、同-120(登録商標)など;大阪有機化学工業株式会社製のV-295(登録商標)、同-300(登録商標)、同-360(登録商標)、同-GPT(登録商標)、同-3PA(登録商標)、同-400(登録商標)などが挙げられる。前記製品を単独使用または2種以上共に使用することができる。
【0120】
前記光重合性単量体は、より優れた現像性を付与するために酸無水物で処理して使用することもできる。
【0121】
前記光重合性単量体は、感光性樹脂組成物総量に対して1重量%~20重量%、例えば1重量%~10重量%で含まれてもよい。前記光重合性単量体が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時硬化が十分に起こって信頼性に優れ、パターンの耐熱性、耐光性および耐化学性に優れ、解像度および密着性も優れる。
【0122】
一実施形態による感光性樹脂組成物は、光重合開始剤をさらに含むことができる。
【0123】
前記光重合開始剤は従来使用される化合物、例えば、ベンゾフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、ベンゾイン系化合物、トリアジン系化合物、オキシム系化合物、アセトフェノン系化合物、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0124】
前記ベンゾフェノン系化合物の例としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3’-ジメチル-2-メトキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0125】
前記チオキサントン系化合物の例としては、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントンなどが挙げられる。
【0126】
前記ベンゾイン系化合物の例としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。
【0127】
前記トリアジン系化合物の例としては、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(3’,4’-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4’-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ビフェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-s-トリアジン、2-4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-s-トリアジン、2-[4-(4-エチルフェニル)-フェニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
【0128】
前記オキシム系化合物の例としては、O-アシルオキシム系化合物、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、O-エトキシカルボニル-α-オキシアミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができる。前記O-アシルオキシム系化合物の具体的な例としては、1,2-オクタンジオン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾエート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-オクタン-1-オンオキシム-O-アセテート、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-ブタン-1-オンオキシム-O-アセテートなどを使用することができる。
【0129】
前記アセトフェノン系化合物の例としては、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2,2’-ジブトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、4-クロロアセトフェノン、2,2’-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オンなどが挙げられる。
【0130】
前記光重合開始剤は、前記化合物以外にも、カルバゾール系化合物、ジケトン類化合物、スルホニウムボレート系化合物、ジアゾ系化合物、イミダゾール系化合物、ビイミダゾール系化合物、フルオレン系化合物などを使用することができる。
【0131】
前記光重合開始剤は、光を吸収して励起状態となったのち、そのエネルギーを伝達することによって化学反応を起こす光増感剤と共に使用されてもよい。
【0132】
前記光増感剤の例としては、テトラエチレングリコールビス-3-メルカプトプロピオネート、ペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネート、ジペンタエリトリトールテトラキス-3-メルカプトプロピオネートなどが挙げられる。
【0133】
前記光重合開始剤は、前記感光性樹脂組成物総量に対して0.1重量%~5重量%、例えば、0.1重量%~3重量%で含まれてもよい。前記光重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、パターン形成工程で露光時、硬化が十分に起こって優れた信頼性を得ることができ、パターンの耐熱性、耐光性および耐化学性に優れ、解像度および密着性も優れ、未反応開始剤による透過率の低下を防止することができる。
【0134】
一実施形態による感光性樹脂組成物は、溶媒をさらに含むことができる。
【0135】
前記溶媒は、前記着色剤、前記光重合開始剤、前記光重合性単量体および前記アクリル系バインダー樹脂との相溶性を有するが反応しない物質を使用することができる。
【0136】
前記溶媒の例としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類;ジクロロエチルエーテル、n-ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(EDM)などのグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチルセロソルブアセテートなどのセロソルブアセテート類;メチルエチルカルビトール、ジエチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、メチル-n-プロピルケトン、メチル-n-ブチルケトン、メチル-n-アミルケトン、2-ヘプタノンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチルなどの飽和脂肪族モノカルボン酸アルキルエステル類;乳酸メチル、乳酸エチルなどの乳酸エステル類;オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチルなどのオキシ酢酸アルキルエステル類;メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなどのアルコキシ酢酸アルキルエステル類;3-オキシプロピオン酸メチル、3-オキシプロピオン酸エチルなどの3-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチルなどの3-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシプロピオン酸メチル、2-オキシプロピオン酸エチル、2-オキシプロピオン酸プロピルなどの2-オキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-エトキシプロピオン酸メチルなどの2-アルコキシプロピオン酸アルキルエステル類;2-オキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-オキシ-2-メチルプロピオン酸エステル類;2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチルなどの2-アルコキシ-2-メチルプロピオン酸アルキル類のモノオキシモノカルボン酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチルなどのエステル類;ピルビン酸エチルなどのケトン酸エステル類などがあり、また、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルホルムアニリド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセチルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ-ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテートなどの高沸点溶媒が挙げられる。
【0137】
これらの中でも、相溶性および反応性を考慮して、シクロヘキサノンなどのケトン類;エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテルなどのグリコールエーテル類;エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;2-ヒドロキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどのカルビトール類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテートなどのプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類を使用することができる。
【0138】
前記溶媒は、感光性樹脂組成物総量に対して残部量、例えば30重量%~60重量%、例えば35重量%~55重量%で含まれてもよい。前記溶媒が前記範囲内に含まれる場合、感光性樹脂組成物が適切な粘度を有することによってカラーフィルタ製造時工程性に優れる。
【0139】
一方、前記感光性樹脂組成物は、マロン酸、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、シラン系カップリング剤、レベリング剤、フッ素系界面活性剤、ラジカル重合開始剤またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0140】
前記シラン系カップリング剤は、基板との密着性などを改善するために、ビニル基、カルボキシル基、メタクリルオキシ基、イソシアネート基、エポキシ基などの反応性置換基を有することができる。
【0141】
前記シラン系カップリング剤の例としては、トリメトキシシリル安息香酸、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシランなどが挙げられ、これらを単独または2種以上混合して使用することができる。
【0142】
前記シラン系カップリング剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.01重量部~10重量部で含まれてもよい。前記シラン系カップリング剤が前記範囲内に含まれる場合、密着性、保存性などに優れる。
【0143】
また、前記感光性樹脂組成物は必要によってコーティング性向上および欠点生成防止効果のために界面活性剤、例えばフッ素系界面活性剤をさらに含むことができる。
【0144】
前記フッ素系界面活性剤としては、BM Chemie社のBM-1000(登録商標)、BM-1100(登録商標)など;大日本インキ化学工業(株)社のメガファック F 142D(登録商標)、同F 172(登録商標)、同F 173(登録商標)、同F 183(登録商標)、同F 554(登録商標)など;住友スリーエム(株)社のフロラードFC-135(登録商標)、同FC-170C(登録商標)、同FC-430(登録商標)、同FC-431(登録商標)など;旭硝子(株)社のサーフロンS-112(登録商標)、同S-113(登録商標)、同S-131(登録商標)、同S-141(登録商標)、同S-145(登録商標)など;東レシリコン(株)社のSH-28PA(登録商標)、同-190(登録商標)、同-193(登録商標)、SZ-6032(登録商標)、SF-8428(登録商標)などの名称で市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0145】
前記フッ素系界面活性剤は、感光性樹脂組成物100重量部に対して0.001重量部~5重量部で使用することができる。前記界面活性剤が前記範囲内に含まれる場合、コーティング均一性が確保され、染みが発生せず、IZO基板またはガラス基板に対する湿潤性(wetting)に優れる。
【0146】
また、前記感光性樹脂組成物は、物性を阻害しない範囲内で、酸化防止剤、安定剤などのその他の添加剤を一定量添加することもできる。
【0147】
他の一実施形態は、前述の感光性樹脂組成物を露光、現像および硬化して製造された感光性樹脂膜を提供する。
【0148】
前記感光性樹脂膜内パターン製造方法は次の通りである。
【0149】
(1)塗布および塗膜形成段階
前記感光性樹脂組成物を所定の前処理を行ったガラス基板またはIZO基板などの基板上にスピンまたはスリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケータ法などの方法を使用して所望の厚さで塗布した後、VCD工程などを経て70℃~100℃で1分~10分間加熱して溶剤を除去することによって感光性樹脂膜を形成する。
【0150】
(2)露光段階
前記得られた感光性樹脂膜に必要なパターン形成のためにブラックマトリックスパターンを実現するHalf tone部分とカラムスペーサパターンを実現するFull tone部分から混合構成されたマスクを介した後、200nm~500nmの活性線を照射する。照射に使用される光源としては低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、金属ハロゲン化物ランプ、アルゴンガスレーザなどを使用することができ、場合によってX線、電子線なども用いることができる。
【0151】
露光量は組成物各成分の種類、配合量および乾燥膜の厚さによって異なるが、高圧水銀灯を使用する場合には500mJ/cm2(365nmセンサーによる)以下である。
【0152】
(3)現像段階
現像方法としては、前記露光段階に続き、アルカリ性水溶液を現像液として用いて不必要な部分を溶解、除去することによって露光部分のみを残存させてパターンを形成させる。
【0153】
(4)後処理段階
前記工程で現像によって得られた画像パターンを耐熱性、耐光性、密着性、耐クラック性、耐化学性、高強度および保存安定性などの面から優れたパターンを得るための後加熱工程がある。
また他の一実施形態は、前記感光性樹脂膜を含むカラーフィルタを提供する。
【0154】
また他の一実施形態は、前記カラーフィルタを含むディスプレイ装置を提供する。
【0155】
前記ディスプレイ装置は、例えば、液晶表示素子(LCD)、カメライメージセンサー(CIS)などであってもよい。
【0156】
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳しく説明するが、下記の実施例は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明が下記の実施例に限定されるのではない。
【実施例】
【0157】
(染料の合成)
合成例1:コア-シェル染料混合物1の合成
【0158】
【0159】
2,4-ジメチルジフェニルアミン(10mol)、1,2-Butylene Oxide(10mol)、水素化ナトリウム(10mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に入れ90℃で加熱して24時間攪拌した。温度を常温にまで下げ、追加的にIodomethane(10mol)および水素化ナトリウム(10mol)を入れて6時間攪拌する。常温でこの溶液にエチルアセテートを入れ水で2回洗浄して有機層を抽出した。抽出した有機層を減圧蒸留しカラムクロマトグラフィーで分離して<中間体1-a>を得た。
【0160】
【0161】
Dichloroethane50mlにSodium borohydride(12mmol)を入れAcetic Acid5mlを滴の形態で添加する。その後、溶液に2-Butanone(11mmol)と2,4-Dimethylaniline(10mmol)を入れて常温で1時間攪拌する。その後、DIW(De-Ionized Water)を入れ有機層を減圧蒸留しカラムクロマトグラフィーで精製して前記<中間体1-b-1>で表される化合物を得た。
【0162】
【0163】
中間体1-b-1(10mmol)、Iodobenzene(11mmol)、Sodium tert-butoxide(15mmol)、Palladium(II) acetate(0.3mmol)、Tri-tert-butylphosphine solution/Toluene(5/5)溶液(0.6mmol)をTolueneに入れて還流条件で還流しながら12時間攪拌後、生成された反応物を減圧蒸留しカラムクロマトグラフィーで精製して前記<中間体1-b>で表される化合物を得た。
【0164】
【0165】
中間体1-a(5mmol)、中間体1-b(5mmol)および3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブチン-1,2-ジオン(5mmol)をトルエン(25mL)およびブタノール(25mL)に入れ還流して生成される水をDean-stark蒸留装置で除去する。4時間攪拌後、緑色反応物を減圧蒸留しカラムクロマトグラフィーで精製して、化学式1-1、1-2、1-3の混合物を製造した。
【0166】
化学式1-1で表される化合物、化学式1-2で表される化合物および化学式1-3で表される化合物の混合物5gを500mLクロロホルム溶媒に溶かし、Isophthaloyl chloride(5.5g)およびp-xylylenediamine(3.7g)を500mLクロロホルムにそれぞれ溶解して、常温で1時間同時にそれぞれ前記混合物が溶解されたクロロホルム溶媒に滴下させる。その後、常温でTriethylamineを7.5mlを0.5時間滴下させる。30分後に減圧蒸留しカラムクロマトグラフィーで分離して(A-1)コア(下記化学式1-1で表される化合物)-シェル(下記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1179)、(A-2)コア(下記化学式2-1で表される化合物)-シェル(下記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1150)および(A-3)コア(下記化学式3-1で表される化合物)-シェル(下記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1120)が1:2:1の重量比で混合された混合物を製造した。
【0167】
【0168】
【0169】
合成例2:コア-シェル染料混合物2の合成
合成例1の1,2-Butylene Oxideの代わりに1,2-Epoxycyclohexaneを使用したことを除いて合成例1と同一に合成して、(A-1)コア(下記化学式1-2で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1232)、(A-2)コア(下記化学式2-2で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1176)および(A-3)コア(前記化学式3-1で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1120)が1:2:1の重量比で混合された混合物を製造した。
【0170】
【0171】
合成例3:コア-シェル染料混合物3の合成
合成例1の反応式1で1,2-Butylene Oxideの代わりに1,2-Epoxycyclohexaneおよび2,3-Butylene Oxideを使用し、合成例1の反応式2および反応式3を実施しないことを除いて合成例1と同一に合成して、(A-1)コア(前記化学式1-2で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1232)、(A-2)コア(下記化学式2-3で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1206)および(A-3)コア(下記化学式3-2で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1180)が1:2:1の重量比で混合された混合物を製造した。
【0172】
【0173】
合成例4:コア-シェル染料混合物4の合成
合成例1の中間体1-aと共に、合成例1の反応式1で1,2-Butylene Oxideの代わりに1,2-Epoxycyclohexaneを使用した中間体を使用し、合成例1の反応式2および反応式3を実施しないことを除いて合成例1と同一に合成して、(A-1)コア(前記化学式1-2で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1232)、(A-2)コア(下記化学式2-7で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1206)および(A-3)コア(下記化学式3-3で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1180)が1:2:1の重量比で混合された混合物を製造した。
【0174】
【0175】
合成例5:コア-シェル染料混合物5の合成
【0176】
【0177】
2,4-ジメチルジフェニルアミン(10mol)、炭酸カリウム(20mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に入れて攪拌する。1-Bromo-2-ethylhexane(20mmol)を入れ90℃で加熱して24時間攪拌した。常温に温度を低め、この溶液にエチルアセテートを入れ水で2回洗浄して有機層を抽出した。抽出した有機層を減圧蒸留しカラムクロマトグラフィーで分離して<中間体C>を得た。
【0178】
合成例1の反応式1で1,2-Butylene Oxideの代わりに2,3-Butylene Oxideを使用し、合成例1の反応式2で2-Butanoneの代わりに反応式5で合成された中間体Cを使用したことを除いて合成例1と同一に合成して、(A-1)コア(前記化学式1-3で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1180)、(A-2)コア(下記化学式2-4で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1206)および(A-3)コア(下記化学式3-4で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1232)が1:2:1の重量比で混合された混合物を製造した。
【0179】
【0180】
合成例6:コア-シェル染料混合物6の合成
2,3-Butylene Oxideの代わりに1,2-Butylene Oxideを使用したことを除いて合成例5と同一に合成して、(A-1)コア(前記化学式1-1で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1180)、(A-2)コア(下記化学式2-5で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1206)および(A-3)コア(前記化学式3-4で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1232)が1:2:1の重量比で混合された混合物を製造した。
【0181】
【0182】
合成例7:コア-シェル染料混合物7の合成
2,3-Butylene Oxideの代わりに1,2-Epoxycyclohexaneを使用したことを除いて合成例5と同一に合成して、(A-1)コア(前記化学式1-2で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1231.4)、(A-2)コア(下記化学式2-6で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1231.5)および(A-3)コア(前記化学式3-4で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1231.6)が1:2:1の重量比で混合された混合物を製造した。
【0183】
【0184】
比較合成例1:コア-シェル染料の合成
2,3-Butylene Oxideを使用した中間体を使用せず中間体Cのみを使用したことを除いて合成例5と同一に合成して、コア(前記化学式3-4で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1231.6)を製造した。
【0185】
比較合成例2:コア-シェル染料の合成
中間体Cを使用せず、1,2-Epoxycyclohexaneを使用した中間体のみ使用したことを除いて合成例7と同一に合成して、コア(前記化学式1-2で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1231.4)を製造した。
【0186】
比較合成例3:コア-シェル染料混合物の合成
比較合成例1のコア(前記化学式3-4で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1231.6)および比較合成例2のコア(前記化学式1-2で表される化合物)-シェル(前記化学式5-1で表される化合物)化合物(Maldi-tof MS:1231.4)が1:1の重量比で混合された混合物を製造した。
【0187】
評価1:染料析出評価
前記合成例1~合成例7および比較合成例1~比較合成例3による化合物を、希釈溶剤(PGMEA)それぞれに5重量%で添加し、当該溶液をミックスローター(iuchi株式会社、MIXROTAR VMR-5)で40℃、100rpmで1時間攪拌した後、40℃の条件でそれぞれの化合物の析出が肉眼で確認される時点を観察して、その結果を下記表1に示した。
【0188】
【0189】
上記表1から、合成例1~合成例7による混合物(染料)は従来のスクアリリウム系単分子染料や他の混合物と比較して、溶解後析出現象が大きく抑制されるのを確認することができる。
【0190】
(実施例)
(感光性樹脂組成物製造)
実施例1~実施例7および比較例1~比較例3
下記表2に記載された組成で、溶媒に光重合開始剤を入れ1時間常温で攪拌して溶解させた。その次に、バインダー樹脂および光重合性単量体を添加し、1時間常温で攪拌した。ここに、その他の添加剤を添加して1時間常温で攪拌した。ここに、着色剤を添加して2時間常温で攪拌した後、前記溶液に対して3回にわたるろ過を行って不純物を除去して実施例1~実施例7および比較例1~比較例3による感光性樹脂組成物を製造した。前記感光性樹脂組成物の製造時使用された成分は以下の通りである。
【0191】
(A)着色剤
(A-1)合成例1による染料
(A-2)合成例2による染料
(A-3)合成例3による染料
(A-4)合成例4による染料
(A-5)合成例5による染料
(A-6)合成例6による染料
(A-7)合成例7による染料
(A-8)比較合成例1による染料
(A-9)比較合成例2による染料
(A-10)比較合成例3による染料
(B)バインダー樹脂
アクリル系バインダー樹脂(SP-RY16、Showadenko社)
(C)光重合性単量体
DPHA(Nippon KAYAKU社)
(D)光重合開始剤
オキシム系化合物(IRGARCURE OXE01、BASF社)
(E)溶媒
プロピレングリコールモノメチルエチルアセテート(PGMEA、sigma-aldrich社)
(F)その他の添加剤
フッ素系界面活性剤(F-554、DIC社)
【0192】
【0193】
評価:組成物の輝度評価
実施例1~実施例7および比較例1~比較例3で製造された感光性樹脂組成物をそれぞれ15mlずつ取って、ガラス基板上にスピンコ-ティング機(Mikasa社、Opticoat MS-A150)を使用して約10μm厚さでコーティングした後、熱板(hot-plate)を用いて100℃で3分間プリベーキング(PRB)を行い、その次にポストベーキング(POB)を行った(180℃2、30分)後、447nm BLU上でCAS spectrometerを用いて輝度を測定した。前記測定結果を下記表3に示した。
【0194】
【0195】
上記表3に示されるように、実施例1~実施例7による感光性樹脂組成物の場合、比較例1~比較例3による感光性樹脂組成物と比較してスクアリリウム系染料の析出を最大限抑制するため、非常に優れた輝度を有するのを確認することができる。
【0196】
本発明は前記実施例に限定されるのではなく、互いに異なる多様な形態に製造することができ、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は本発明の技術的な思想や必須の特徴を変更せず他の具体的な形態に実施できるということが理解できるはずである。したがって、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり限定的ではないと理解しなければならない。
【国際調査報告】