(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-21
(54)【発明の名称】抗TIGIT抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230713BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230713BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20230713BHJP
A61K 33/243 20190101ALI20230713BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20230713BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230713BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230713BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20230713BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230713BHJP
C12P 21/08 20060101ALN20230713BHJP
【FI】
A61K39/395 U ZNA
A61K45/00
A61K39/395 T
A61K31/337
A61K33/243
A61K31/282
A61P43/00 121
A61P35/00
C07K16/28
C12N15/13
C12P21/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577590
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 US2021015084
(87)【国際公開番号】W WO2021257124
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/096746
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リー, シー
(72)【発明者】
【氏名】ハリス, マガナ ダス タークル
(72)【発明者】
【氏名】ワン, イーファン
(72)【発明者】
【氏名】チャー, エドワード ナムセルク
(72)【発明者】
【氏名】ゲ, フェイチアオ
【テーマコード(参考)】
4B064
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA05
4C084AA19
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4C085AA14
4C085BB11
4C085BB17
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4C085BB41
4C085BB43
4C085EE03
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC02
4C086HA12
4C086HA28
4C086MA03
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4C086MA66
4C086NA05
4C086ZB26
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB16
4C206MA03
4C206MA04
4C206MA86
4C206NA05
4C206ZB26
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、食道がん、例えば食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC(例えば、切除不能、局所進行性、再発性及び/又は転移性のESCC))の治療に関する。より具体的には、本発明は、抗T細胞免疫受容体とIg及びITIMドメイン(TIGIT)アンタゴニスト抗体との組み合わせ並びにプログラム死-1(PD-1)軸結合アンタゴニストを投与することによる、食道がんを有する患者の治療に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食道扁平上皮癌腫(ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、対象又は対象集団に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象又は対象集団がESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けた、方法。
【請求項2】
最終的化学放射線治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与の89日よりも前に完了した、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
最終的化学放射線治療が、放射線学的疾患進行の証拠なしに、少なくとも2サイクルの白金系化学療法及び放射線療法を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
1回又は複数回の投与サイクル中に化学療法が対象又は対象集団に投与されない、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約800mgの固定用量で投与される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量で投与される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約800mg~約1400mgの固定用量で投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量で投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量で投与される、請求項1~4及び13~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量で投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量で投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量で投与される、請求項1~4及び20~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量で投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項1~26のいずれか一項に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列
を含む、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4
を更に含む、方法。
【請求項29】
請求項27又は28に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X
1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X
1はE又はQである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4
を更に含む、方法。
【請求項30】
X
1がEである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
X
1がQである、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
請求項27~31のいずれか一項に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、方法。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメイン
を含む、方法。
【請求項34】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗体である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、請求項1~30及び32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、IgGクラス抗体である、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブである、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、又はAMP-224である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項1~42のいずれか一項に記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列
を含む、方法。
【請求項48】
請求項47に記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、方法。
【請求項49】
請求項1~48のいずれか一項に記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメイン
を含む、方法。
【請求項50】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、ヒト化抗体である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、請求項50又は51に記載の方法。
【請求項53】
抗PD-L1アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、請求項47~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、IgGクラス抗体である、請求項47~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
PD-1軸結合アンタゴニストの前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に同時に投与することを含む、請求項1~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に静脈内投与することを含む、請求項1~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
60±10分間にわたる静脈内注入によって抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む、請求項64又は65に記載の方法。
【請求項67】
対象又は対象集団から得られたESCC腫瘍試料が、検出可能なPD-L1発現レベルを有すると決定されている、請求項1~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1タンパク質発現レベルである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
検出可能なPD-L1タンパク質発現レベルが、免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142又は28-8が使用される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263が使用される、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
IHCアッセイが、Ventana SP263 IHCアッセイである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
ESCC腫瘍試料が、1%以上の腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコアを有すると決定されている、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
TICスコアが、10%以上である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
ESCC腫瘍試料が、10%未満のTICスコアを有すると決定されている、請求項72又は73に記載の方法。
【請求項76】
TICスコアが、10%以上50%未満である、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
IHCアッセイに、抗PD-L1抗体22C3が使用される、請求項70に記載の方法。
【請求項78】
IHCアッセイが、pharmDx 22C3 IHCアッセイである、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
ESCC腫瘍試料が、10以上の複合陽性スコア(CPS)を有すると決定されている、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142が使用される、請求項70に記載の方法。
【請求項81】
IHCアッセイが、Ventana SP142 IHCアッセイである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
IHCアッセイに、抗PD-L1抗体28-8が使用される、請求項70に記載の方法。
【請求項83】
IHCアッセイが、pharmDx 28-8 IHCアッセイである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1核酸発現レベルである、請求項67に記載の方法。
【請求項85】
検出可能なPD-L1核酸発現レベルが、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組み合わせによって決定されている、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
ESCCが、局所進行性ESCCである、請求項1~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
ESCCが、切除不能ESCCである、請求項1~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
ESCCが、再発性又は転移性ESCCである、請求項1~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
ESCCが頸部食道腫瘍を含む、請求項1~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
ESCCが、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCCであり、任意に、ステージIV ESCCが、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCCである、請求項1~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
対象又は対象集団が、以前にがん免疫療法で治療されたことがない、請求項1~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
対象又は対象集団が、ESCCのための以前のがん免疫療法を完了している、請求項1~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療と比較して、対象又は対象集団の無増悪生存期間(PFS)の増加をもたらす、請求項1~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
治療が、PD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いた治療と比較して、対象又は対象集団のPFSの増加をもたらす、請求項1~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団のPFSの増加をもたらす、請求項1~94のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
治療が、対象又は対象集団のPFSを少なくとも約4ヶ月又は約8ヶ月延長する、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
治療が、約15ヶ月~約23ヶ月の対象集団のPFS中央値をもたらす、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療と比較して、対象又は対象集団の全生存期間(OS)の増加をもたらす、請求項1~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いた治療及びPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療なしと比較して、対象又は対象集団のOSの増加をもたらす、請求項1~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団のOSの増加をもたらす、請求項1~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
治療が、対象又は対象集団のOSを少なくとも約7ヶ月又は約12ヶ月延長する、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
治療が、約24ヶ月~約36ヶ月の対象集団のOS中央値をもたらす、請求項100に記載の方法。
【請求項103】
治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療と比較して、対象又は対象集団における客観的奏効期間(DOR)の増加をもたらす、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
治療が、PD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いた治療と比較して、対象又は対象集団におけるDORの増加をもたらす、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団におけるDORの増加をもたらす、請求項1~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
治療が、完全奏効又は部分奏効をもたらす、請求項1~105のいずれか一項に記載の方法。
【請求項107】
対象又は対象集団に少なくとも5回の投与サイクルを投与することを含む、請求項1~106のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
対象又は対象集団に17回の投与サイクルを投与することを含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
ESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象が、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けた、方法。
【請求項110】
チラゴルマブが、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
ESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量のチラゴルマブ及び2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象が、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けた、方法。
【請求項112】
チラゴルマブが、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
ESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量のチラゴルマブ及び4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象が、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けた、方法。
【請求項114】
チラゴルマブが、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
1回又は複数回の投与サイクル中に化学療法が対象に投与されない、請求項109~114のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
対象から得られたESCC腫瘍試料が、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%以上のTICスコアを有すると決定されている、請求項109~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
対象から得られたESCC腫瘍試料が、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%未満のTICスコアを有すると決定されている、請求項109~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
ESCCが、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、切除不能な局所進行性ESCC、再発性若しくは転移性ESCC、又は頸部食道腫瘍を含むESCCである、請求項109~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
ESCCが、ステージII ESCC、ステージIII ESCC、又はステージIV ESCCである、請求項109~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
ステージIV ESCCが、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCCである、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
対象に17回の投与サイクルを投与することを含む、請求項109~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
対象がヒトである、請求項1~121のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
請求項1~108のいずれか一項に記載の方法に従って、ESCCを有する対象を治療するためのPD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせて使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む、キット。
【請求項124】
PD-1軸結合アンタゴニストを更に含む、請求項123に記載のキット。
【請求項125】
請求項1~108のいずれか一項に記載の方法に従って、ESCCを有する対象を治療するための抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストを含む、キット。
【請求項126】
抗TIGITアンタゴニスト抗体を更に含む、請求項125に記載のキット。
【請求項127】
抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブである、請求項123~126のいずれか一項に記載のキット。
【請求項128】
ESCCを有する対象を治療する方法において使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、方法が請求項1~108のいずれか一項に記載される、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項129】
PD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせてESCCを有する対象を治療するための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、治療が請求項1~108のいずれか一項に記載の方法による、使用。
【請求項130】
抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせてESCCを有する対象を治療するための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニストの使用であって、治療が請求項1~108のいずれか一項に記載の方法による、使用。
【請求項131】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが別々に製剤化される、請求項129又は130に記載の使用。
【請求項132】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが一緒に製剤化される、請求項129又は130に記載の使用。
【請求項133】
抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを用いて対象又は対象集団を治療するための方法であって、対象又は対象集団が、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法。
【請求項134】
手術が不適切である進行性のESCCを有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、対象又は対象集団に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含む、方法。
【請求項135】
対象又は対象集団が、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、請求項134に記載の方法。
【請求項136】
対象又は対象集団が、非進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、請求項133~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
対象又は対象集団が、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療が、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した、請求項133~135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項138】
非進行性のESCCのための以前の治療が、化学放射線療法又は化学療法を含む、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
化学放射線療法又は化学療法が、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与された、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で投与される、請求項133~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項141】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約800mgの固定用量で投与される、請求項140に記載の方法。
【請求項142】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与される、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量で投与される、請求項133~142のいずれか一項に記載の方法。
【請求項144】
PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約800mg~約1400mgの固定用量で投与される、請求項143に記載の方法。
【請求項145】
PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
タキサンが、3週間ごとに約100~250mg/m
2の用量で投与される、請求項133~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
タキサンが、3週間ごとに150~200mg/m
2の用量で投与される、請求項146に記載の方法。
【請求項148】
タキサンが、3週間ごとに約175mg/m
2の用量で投与される、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
白金薬剤が、3週間ごとに約20~200mg/m
2の用量で投与される、請求項133~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
白金薬剤が、3週間ごとに約40~120mg/m
2の用量で投与される、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
白金薬剤が、3週間ごとに約60~80mg/m
2の用量で投与される、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、タキサンが、3週間ごとに約175mg/m
2の用量で投与され、白金薬剤が、3週間ごとに約60~80mg/m
2の用量で投与される、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、請求項133~152のいずれか一項に記載の方法。
【請求項154】
抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤が、4~8回の導入期の投与サイクルの各々で投与される、請求項133~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤が、6回の導入期の投与サイクルの各々で投与される、請求項154に記載の方法。
【請求項156】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、導入期の投与サイクルに続いて1回又は複数回の維持期の投与サイクルで更に投与される、請求項154又は155に記載の方法。
【請求項157】
タキサン及び白金薬剤が、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
導入期の投与サイクル及び/又は1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々の長さが21日間である、請求項154~157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量で投与される、請求項133~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項160】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で投与される、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与される、請求項160に記載の方法。
【請求項162】
PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量で投与される、請求項133~139及び159~161のいずれか一項に記載の方法。
【請求項163】
PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量で投与される、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項164に記載の方法。
【請求項166】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、1回又は複数回の維持期の投与サイクルで更に投与され、タキサン及び白金薬剤が、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、請求項159~165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量で投与される、請求項133~139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で投与される、請求項167に記載の方法。
【請求項169】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項168に記載の方法。
【請求項170】
PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量で投与される、請求項133~139及び167~169のいずれか一項に記載の方法。
【請求項171】
PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量で投与される、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、請求項172に記載の方法。
【請求項174】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、1回又は複数回の維持期の投与サイクルで更に投与され、タキサン及び白金薬剤が、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、請求項167~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
タキサンが、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される、請求項159~174のいずれか一項に記載の方法。
【請求項176】
白金薬剤が、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される、請求項159~175のいずれか一項に記載の方法。
【請求項177】
請求項133~176のいずれか一項に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列
を含む、方法。
【請求項178】
請求項177に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4
を更に含む、方法。
【請求項179】
請求項177又は178に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X
1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X
1はE又はQである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4
を更に含む、方法。
【請求項180】
X
1がEである、請求項179に記載の方法。
【請求項181】
X
1がQである、請求項179に記載の方法。
【請求項182】
請求項177~181のいずれか一項に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、方法。
【請求項183】
請求項133~182のいずれか一項に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメイン
を含む、方法。
【請求項184】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、請求項133~183のいずれか一項に記載の方法。
【請求項185】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗体である、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、請求項133~185のいずれか一項に記載の方法。
【請求項187】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、請求項133~180及び182~186のいずれか一項に記載の方法。
【請求項188】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、請求項133~185のいずれか一項に記載の方法。
【請求項189】
抗TIGITアンタゴニスト抗体が、IgGクラス抗体である、請求項133~188のいずれか一項に記載の方法。
【請求項190】
IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項189に記載の方法。
【請求項191】
PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、請求項133~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項192】
PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、請求項191に記載の方法。
【請求項193】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、請求項133~192のいずれか一項に記載の方法。
【請求項194】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブである、請求項193に記載の方法。
【請求項195】
PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、請求項191に記載の方法。
【請求項196】
抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、又はAMP-224である、請求項195に記載の方法。
【請求項197】
請求項133~192のいずれか一項に記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列
を含む、方法。
【請求項198】
請求項197に記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメイン
を含む、方法。
【請求項199】
請求項133~198のいずれか一項に記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメイン
を含む、方法。
【請求項200】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、請求項197~199のいずれか一項に記載の方法。
【請求項201】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、ヒト化抗体である、請求項200に記載の方法。
【請求項202】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、請求項200又は201に記載の方法。
【請求項203】
抗PD-L1アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)
2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、請求項197~201のいずれか一項に記載の方法。
【請求項204】
抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、IgGクラス抗体である、請求項197~201のいずれか一項に記載の方法。
【請求項205】
IgGクラス抗体が、IgG1サブクラス抗体である、請求項204に記載の方法。
【請求項206】
タキサンが、パクリタキセル又はnab-パクリタキセルである、請求項133~205のいずれか一項に記載の方法。
【請求項207】
タキサンが、パクリタキセルである、請求項206に記載の方法。
【請求項208】
白金薬剤が、シスプラチン又はカルボプラチンである、請求項133~207のいずれか一項に記載の方法。
【請求項209】
白金薬剤が、シスプラチンである、請求項208に記載の方法。
【請求項210】
抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む、請求項133~209のいずれか一項に記載の方法。
【請求項211】
PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む、請求項210に記載の方法。
【請求項212】
第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項211に記載の方法。
【請求項213】
PD-1軸結合アンタゴニストの前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む、請求項133~209のいずれか一項に記載の方法。
【請求項214】
抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む、請求項213に記載の方法。
【請求項215】
第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項214に記載の方法。
【請求項216】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に同時に投与することを含む、請求項133~209のいずれか一項に記載の方法。
【請求項217】
タキサン及び/又は白金薬剤の前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが投与される、請求項133~216のいずれか一項に記載の方法。
【請求項218】
白金薬剤の前に、タキサンを対象又は対象集団に投与することを含む、請求項217に記載の方法。
【請求項219】
タキサンの投与後の第3の観察期間及び白金薬剤の投与後の第4の観察期間を含む、請求項218に記載の方法。
【請求項220】
第3の観察期間及び第4の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、請求項219に記載の方法。
【請求項221】
対象又は対象集団に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤を静脈内投与することを含む、請求項133~220のいずれか一項に記載の方法。
【請求項222】
60±10分間にわたる静脈内注入によって抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む、請求項221に記載の方法。
【請求項223】
60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む、請求項221又は222に記載の方法。
【請求項224】
3時間±30分間にわたる静脈内注入によってタキサンを対象又は対象集団に投与することを含む、請求項221~223のいずれか一項に記載の方法。
【請求項225】
1~4時間にわたる静脈内注入によって白金薬剤を対象又は対象集団に投与することを含む、請求項221~224のいずれか一項に記載の方法。
【請求項226】
対象又は対象集団から得られたESCC腫瘍試料が、検出可能なPD-L1発現レベルを有すると決定されている、請求項133~225のいずれか一項に記載の方法。
【請求項227】
検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1タンパク質発現レベルである、請求項226に記載の方法。
【請求項228】
検出可能なPD-L1タンパク質発現レベルが、免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている、請求項227に記載の方法。
【請求項229】
IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142又は28-8が使用される、請求項228に記載の方法。
【請求項230】
IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263が使用される、請求項229に記載の方法。
【請求項231】
IHCアッセイが、Ventana SP263 Companion Diagnostic(CDx)アッセイである、請求項230に記載の方法。
【請求項232】
ESCC腫瘍試料が、1%以上の腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコアを有すると決定されている、請求項231に記載の方法。
【請求項233】
TICスコアが、10%以上である、請求項232に記載の方法。
【請求項234】
ESCC腫瘍試料が、10%未満のTICスコアを有すると決定されている、請求項231又は232に記載の方法。
【請求項235】
TICスコアが、10%以上50%未満である、請求項233に記載の方法。
【請求項236】
IHCアッセイに、抗PD-L1抗体22C3が使用される、請求項229に記載の方法。
【請求項237】
IHCアッセイが、pharmDx 22C3 IHCアッセイである、請求項236に記載の方法。
【請求項238】
ESCC腫瘍試料が、10以上の複合陽性スコア(CPS)を有すると決定されている、請求項237に記載の方法。
【請求項239】
IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142が使用される、請求項229に記載の方法。
【請求項240】
IHCアッセイが、Ventana SP142 IHCアッセイである、請求項239に記載の方法。
【請求項241】
IHCアッセイに、抗PD-L1抗体28-8が使用される、請求項229に記載の方法。
【請求項242】
IHCアッセイが、pharmDx 28-8 IHCアッセイである、請求項241に記載の方法。
【請求項243】
検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1核酸発現レベルである、請求項226に記載の方法。
【請求項244】
検出可能なPD-L1核酸発現レベルが、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組み合わせによって決定されている、請求項243に記載の方法。
【請求項245】
進行性のESCCが、局所進行性ESCCである、請求項133~244のいずれか一項に記載の方法。
【請求項246】
進行性のESCCが、再発性又は転移性ESCCである、請求項133~245のいずれか一項に記載の方法。
【請求項247】
進行性のESCCが、切除不能ESCCである、請求項133~246のいずれか一項に記載の方法。
【請求項248】
治療が、約8ヶ月以上の無増悪生存率(PFS)をもたらす、請求項133~247のいずれか一項に記載の方法。
【請求項249】
治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いた治療と比較して、対象又は対象集団のPFSの増加をもたらす、請求項133~248のいずれか一項に記載の方法。
【請求項250】
治療が、対象又は対象集団のPFSを少なくとも約2ヶ月又は約4ヶ月延長する、請求項249に記載の方法。
【請求項251】
治療が、約6ヶ月~約10ヶ月の対象集団のPFS中央値をもたらす、請求項249に記載の方法。
【請求項252】
治療が、約18ヶ月以上の全生存期間(OS)をもたらす、請求項133~251のいずれか一項に記載の方法。
【請求項253】
治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いた治療と比較して、対象又は対象集団のOSの増加をもたらす、請求項133~252のいずれか一項に記載の方法。
【請求項254】
治療が、対象又は対象集団のOSを少なくとも約4ヶ月又は約6ヶ月延長する、請求項249に記載の方法。
【請求項255】
治療が、約14ヶ月~約20ヶ月の対象集団のOS中央値をもたらす、請求項249に記載の方法。
【請求項256】
治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いた治療と比較して、対象又は対象集団における客観的奏効期間(DOR)の増加をもたらす、請求項133~255のいずれか一項に記載の方法。
【請求項257】
治療が、完全奏効又は部分奏効をもたらす、請求項133~256のいずれか一項に記載の方法。
【請求項258】
進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約100~250mg/m
2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに約20~200mg/m
2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法。
【請求項259】
チラゴルマブが、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、パクリタキセルが、3週間ごとに約175mg/m
2の用量で投与され、シスプラチンが、3週間ごとに約60~80mg/m
2の用量で投与される、請求項258に記載の方法。
【請求項260】
進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、チラゴルマブを2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量、アテゾリズマブを2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量、パクリタキセル、及びシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法。
【請求項261】
チラゴルマブが、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、請求項260に記載の方法。
【請求項262】
進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、チラゴルマブを4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量、アテゾリズマブを4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量、パクリタキセル、及びシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法。
【請求項263】
チラゴルマブが、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、請求項262に記載の方法。
【請求項264】
進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、
(i)3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約100~250mg/m
2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに約20~200mg/m
2の用量のシスプラチンの6回の導入期の投与サイクル;及び
(ii)3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の維持期の投与サイクルであって、パクリタキセル及びシスプラチンが1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、1回又は複数回の維持期の投与サイクルを投与することを含み、
対象が、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法。
【請求項265】
請求項264に記載の方法であって、
(i)6回の導入期の投与サイクルにおいて、チラゴルマブが、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、パクリタキセルが、3週間ごとに約175mg/m
2の用量で投与され、シスプラチンが、3週間ごとに約60~80mg/m
2の用量で投与され;かつ
(ii)1回又は複数回の維持期の投与サイクルにおいて、チラゴルマブが、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、
方法。
【請求項266】
対象が、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがない、請求項258~265のいずれか一項に記載の方法。
【請求項267】
対象が、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療が、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した、請求項258~266のいずれか一項に記載の方法。
【請求項268】
非進行性のESCCのための以前の治療が、化学放射線療法又は化学療法を含む、請求項267に記載の方法。
【請求項269】
化学放射線療法又は化学療法が、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与された、請求項268に記載の方法。
【請求項270】
対象から得られたESCC腫瘍試料が、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%以上のTICスコアを有すると決定されている、請求項258~269のいずれか一項に記載の方法。
【請求項271】
対象から得られたESCC腫瘍試料が、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%未満のTICスコアを有すると決定されている、請求項258~269のいずれか一項に記載の方法。
【請求項272】
進行性のESCCが、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、切除不能な局所進行性ESCC、切除不能な再発性ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCCである、請求項258~271のいずれか一項に記載の方法。
【請求項273】
対象がヒトである、請求項133~272のいずれか一項に記載の方法。
【請求項274】
請求項133~257のいずれか一項に記載の方法に従って、進行性のESCCを有する対象を治療するためのPD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む、キット。
【請求項275】
PD-1軸結合アンタゴニストを更に含む、請求項274に記載のキット。
【請求項276】
請求項133~257のいずれか一項に記載の方法に従って、進行性のESCCを有する対象を治療するための抗TIGITアンタゴニスト抗体、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストを含む、キット。
【請求項277】
抗TIGITアンタゴニスト抗体を更に含む、請求項276に記載のキット。
【請求項278】
抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブである、請求項274~277のいずれか一項に記載のキット。
【請求項279】
進行性のESCCを有する対象を治療する方法において使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤であって、方法が請求項133~257のいずれか一項に記載される、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【請求項280】
PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて進行性のESCCを有する対象を治療するための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、治療が請求項133~257のいずれか一項に記載の方法による、使用。
【請求項281】
抗TIGITアンタゴニスト抗体、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて進行性のESCCを有する対象を治療するための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニストの使用であって、治療が請求項133~257のいずれか一項に記載の方法による、使用。
【請求項282】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが別々に製剤化される、請求項280又は281に記載の使用。
【請求項283】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが一緒に製剤化される、請求項280又は281に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月18日に出願された国際出願第PCT/CN2020/096746号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全内容は出典明示により本明細書に援用される。2021年1月25日に作成された前記ASCIIコピーの名称は50474-236WO2_Sequence_Listing_1.25.21_ST25であり、サイズは30,078バイトである。
【0003】
発明の分野
本発明は、食道がん、例えば食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC(例えば、切除不能、局所進行性、再発性及び/又は転移性のESCC))の治療に関する。より具体的には、本発明は、抗T細胞免疫受容体とIg及びITIMドメイン(TIGIT)アンタゴニスト抗体との組み合わせ並びにプログラム死-1(PD-1)軸結合アンタゴニストを投与することによる、食道がんを有する患者の治療に関する。
【背景技術】
【0004】
背景
がんは、細胞亜集団の制御されない増殖を特徴とする。がんは、先進国における主な死因であり、発展途上国における2番目に多い死因であり、1400万を超える新たながん症例が診断され、毎年800万を超えるがん死が発生している。したがって、がんのケアは、重大で増え続ける社会的負担を表す。
【0005】
食道がんは、世界中で7番目に一般的に診断されるがんであり、がん関連死の6番目に一般的な原因であり、2018年の発生率は約572,000の新規症例であり、死亡率は509,000である。
【0006】
食道扁平上皮癌腫(ESCC)は、世界中の全食道症例の約78%を占める。ほとんどの食道がん患者は進行性の疾患と診断され、この疾患は頻繁に再発する。治療は生存を延ばすことができるが、大部分は緩和的であり、生存期間の中央値は1年未満である。食道扁平上皮癌腫の予後は依然として不良であり、5年生存率は米国、欧州及びアジアで10%~20%である。
【0007】
したがって、食道がん、例えば、ESCC(例えば、進行性のESCC)の治療のための有効な免疫療法の開発に対する当分野でのニーズは満たされていない。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)とPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))との組み合わせを投与することによって、食道がん(例えば、食道扁平上皮癌腫(ESCC)、例えば、進行性のESCC)を有する対象を治療する方法を含む。いくつかの態様では、本発明は、食道がん、例えばESCCに対して以前に最終的化学放射線治療を受けたことがある対象又は対象集団を治療する方法を含む。いくつかの態様では、本発明は、進行性の食道がん、例えば進行性のESCCを有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団が、進行性の食道がん、例えば進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、対象又は対象集団を治療する方法を含む。
【0009】
一態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約30mg~約600mg、例えば、3週間ごとに約600mg))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約800mg~約1400mg、例えば、3週間ごとに約1200mg))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法を提供する。別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約30mg~約600mg、例えば、3週間ごとに約600mg))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約800mg~約1400mg、例えば、3週間ごとに約1200mg))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、対象又は対象集団が、ESCCに対して最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法を提供する。いくつかの実施形態では、最終的化学放射線治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の89日以内に完了した。いくつかの実施形態では、最終的化学放射線治療は、放射線学的疾患進行の証拠なしに、少なくとも2サイクルの白金系化学療法及び放射線療法を含む。いくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクル中、化学療法は対象又は対象集団に投与されない。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される。
【0010】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、2週間ごとに約300mg~約800 mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約420mgの固定用量))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約840mgの固定用量))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法を提供する。別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約420mgの固定用量))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約840mgの固定用量))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、対象又は対象集団が、ESCCに対して最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される。
【0011】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約840mgの固定用量))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約1680mgの固定用量))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法を提供する。別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約840mgの固定用量))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約1680mgの固定用量))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、対象又は対象集団が、ESCCに対して最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法を提供する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される。
【0012】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の超可変領域(HVR):SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(式中、X1はE又はQである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、X1はEである。他の実施形態において、X1はQである。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメイン。
【0013】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブである。
【0014】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgGクラス抗体(例えば、IgG1サブクラス抗体)である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1アンタゴニスト抗体、例えばニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、又はAMP-224である。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736)である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体はアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下のHVR:GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体はヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は完全長抗体である。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、IgGクラス抗体(例えば、IgG1サブクラス抗体)である。
【0016】
いくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは21日間である。いくつかの実施形態では、該方法は、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。いくつかの実施形態では、注入関連反応(IRR)は、第1の観察期間及び/又は第2の観察期間に観察されない。
【0018】
いくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。いくつかの実施形態では、IRRは、第1の観察期間及び/又は第2の観察期間に観察されない。
【0019】
いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを同時に対象又は対象集団に投与することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、60±10分間にわたる静脈内注入によって抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、皮下投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、皮下投与される。
【0021】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象又は対象集団から得られたESCC腫瘍試料は、PD-L1の検出可能な発現レベルを有すると決定されている(例えば、PD-L1の検出可能なタンパク質発現レベル又はPD-L1の検出可能なタンパク質発現レベルは、免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている)。いくつかの実施形態では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142又は28-8が使用される。いくつかの実施形態では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263が使用される。いくつかの実施形態では、IHCアッセイは、Ventana SP263 IHCアッセイである。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、1%以上の腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、TICスコアは10%以上である。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、10%未満のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、10%以上及び50%未満のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、Ventana SP263 IHCアッセイ(コンパニオンCDxアッセイ)の一部として抗PDL1抗体SP263を用いて決定して10%以上のTICスコアを有すると決定されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と組み合わせて投与されるPD-1軸結合アンタゴニストは、アテゾリズマブである。
【0022】
いくつかの実施形態では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体22C3が使用される(例えば、pharmDx 22C3 IHCアッセイでの使用のため)。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、10以上の複合陽性スコア(CPS)を有すると決定されている。例えば、いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、pharmDx22C3 IHCアッセイの一部として抗PDL1抗体22C3を用いて決定して10以上のCPSを有すると決定されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と組み合わせて投与されるPD-1軸結合アンタゴニストはペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、pharmDx22C3 IHCアッセイの一部として抗PDL1抗体22C3を用いて決定して10以上のCPSを有すると決定されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と組み合わせて投与されるPD-1軸結合アンタゴニストはアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、1%以上の腫瘍割合スコア(TPS)を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、50%以上のTPSを有すると決定されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142が使用される(例えば、Ventana SP142 IHCアッセイでの使用のため)。いくつかの実施形態では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体28-8が使用される(例えば、pharmDx 28-8 IHCアッセイでの使用のため)。いくつかの実施形態では、PD-L1の検出可能な発現レベルは、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルである(RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組み合わせによって決定される)。
【0024】
いくつかの実施形態では、ESCCは局所進行性ESCCである。いくつかの実施形態では、ESCCは切除不能ESCCである。いくつかの実施形態では、ESCCは再発性又は転移性ESCCである。いくつかの実施形態では、ESCCは、頸部食道腫瘍を含む。いくつかの実施形態では、ESCCは、ステージII ESCC、ステージIII ESCC、又はステージIV ESCCである。いくつかの実施形態では、ステージIV ESCCは、鎖骨上リンパ節(SCLN)転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCCである。
【0025】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療と比較して、対象又は対象集団の無増悪生存期間(PFS)の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、PD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いた治療と比較して、対象又は対象集団のPFSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団のPFSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象又は対象集団のPFSを少なくとも約4ヶ月又は約8ヶ月延長する。いくつかの実施形態では、PFSの増加は、約8ヶ月以上(例えば、約8.5ヶ月、約9ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約10.5ヶ月、約11ヶ月、約11.5ヶ月、約12ヶ月、約12.5ヶ月、約13ヶ月、約13.5ヶ月、約14ヶ月、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、又はそれ以上)である。いくつかの実施形態では、PFSの増加は、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、又は約7ヶ月である。いくつかの実施形態では、治療は、約15ヶ月~約23ヶ月の対象集団のPFS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療開始後少なくとも約15ヶ月(例えば、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、又は約18.5ヶ月)のPFS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療開始後少なくとも約19ヶ月(例えば、約19.5ヶ月、約20ヶ月、約20.5ヶ月、約21ヶ月、約21.5ヶ月、約22ヶ月、約22.5ヶ月、若しくは約23ヶ月、又はそれ以上)のPFS中央値をもたらす。
【0026】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療と比較して、対象又は対象集団の全生存期間(OS)の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いた治療及びPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療なしと比較して、対象又は対象集団のOSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団のOSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象又は対象集団のOSを少なくとも約7ヶ月又は約12ヶ月延長する。いくつかの実施形態では、OSの増加は約7ヶ月以上である。いくつかの実施形態では、OSの増加は約12ヶ月以上である。いくつかの実施形態では、OSの増加は、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月、又はそれを超える。いくつかの実施形態では、治療は、約24ヶ月~約36ヶ月の対象集団のOS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療開始後少なくとも約24ヶ月又はそれ以上(例えば、約24.5ヶ月、25ヶ月、25.5ヶ月、26ヶ月、26.5ヶ月、27ヶ月、27.5ヶ月、28ヶ月、28.5ヶ月、29ヶ月、29.5ヶ月、30ヶ月、30.5ヶ月、31ヶ月、31.5ヶ月、約32ヶ月、約32.5ヶ月、約33ヶ月、約33.5ヶ月、約34ヶ月、約34.5ヶ月、約35ヶ月、約35.5ヶ月、約36ヶ月、又はそれ以上)のOS中央値をもたらす。
【0027】
いくつかの実施形態では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療と比較して、対象又は対象集団における客観的奏効期間(DOR)の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、PD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いた治療と比較して、対象又は対象集団におけるDORの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団におけるDORの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、DORの増加は、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月、又はそれを超える。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療の開始後少なくとも約4ヶ月以上(例えば、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月以上)の中央DORをもたらす。
【0028】
いくつかの実施形態では、治療は、完全奏効又は部分奏効をもたらす。
【0029】
いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、以前にがん免疫療法で治療されたことがない。
【0030】
いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、ESCCのための以前のがん免疫療法を完了している。
【0031】
いくつかの実施形態では、該方法は、対象又は対象集団に、少なくとも5回の投与サイクル(例えば、少なくとも6回の投与サイクル、少なくとも7回の投与サイクル、少なくとも8回の投与サイクル、少なくとも9回の投与サイクル、少なくとも10回の投与サイクル、少なくとも11回の投与サイクル、少なくとも12回の投与サイクル、少なくとも13回の投与サイクル、少なくとも14回の投与サイクル、少なくとも15回の投与サイクル、少なくとも16回の投与サイクル、少なくとも17回の投与サイクル、少なくとも18回の投与サイクル、少なくとも19回の投与サイクル、又は少なくとも20回の投与サイクル)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、対象又は対象集団に17回の投与サイクルを投与することを含む。
【0032】
別の態様では、本発明は、ESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象が、ESCCのための最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、チラゴルマブは、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクル中、化学療法は対象に投与されない。いくつかの実施形態では、対象から得られたESCC腫瘍試料は、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%以上のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、該方法は、少なくとも5回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象から得られたESCC腫瘍試料は、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%未満のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCCは、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、切除不能な局所進行性ESCC、再発性若しくは転移性ESCC、又は頸部食道腫瘍を含むESCCである。いくつかの実施形態では、ESCCは、ステージII ESCC、ステージIII ESCC、又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC)である。
【0033】
別の態様では、本発明は、ESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量のチラゴルマブ及び2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象が、ESCCのための最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法を提供する。いくつかの実施形態では、チラゴルマブは、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、対象から得られたESCC腫瘍試料は、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%以上のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、該方法は、少なくとも5回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象から得られたESCC腫瘍試料は、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%未満のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCCは、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、切除不能な局所進行性ESCC、再発性若しくは転移性ESCC、又は頸部食道腫瘍を含むESCCである。いくつかの実施形態では、ESCCは、ステージII ESCC、ステージIII ESCC、又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC)である。
【0034】
別の態様では、本発明は、ESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量のチラゴルマブ及び4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象が、ESCCのための最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法を提供する。いくつかの実施形態では、チラゴルマブは、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、対象から得られたESCC腫瘍試料は、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%以上のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、該方法は、少なくとも5回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象から得られたESCC腫瘍試料は、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%未満のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCCは、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、切除不能な局所進行性ESCC、再発性若しくは転移性ESCC、又は頸部食道腫瘍を含むESCCである。いくつかの実施形態では、ESCCは、ステージII ESCC、ステージIII ESCC、又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC)である。
【0035】
いくつかの実施形態では、該方法は、対象に、少なくとも5回の投与サイクル(例えば、少なくとも6回の投与サイクル、少なくとも7回の投与サイクル、少なくとも8回の投与サイクル、少なくとも9回の投与サイクル、少なくとも10回の投与サイクル、少なくとも11回の投与サイクル、少なくとも12回の投与サイクル、少なくとも13回の投与サイクル、少なくとも14回の投与サイクル、少なくとも15回の投与サイクル、少なくとも16回の投与サイクル、少なくとも17回の投与サイクル、少なくとも18回の投与サイクル、少なくとも19回の投与サイクル、又は少なくとも20回の投与サイクル)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、対象に17回の投与サイクルを投与することを含む。
【0036】
先行する態様のいずれかのいくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0037】
別の態様では、本発明は、先行する態様のいずれか1つに記載の方法に従って、ESCCを有する対象を治療するためのPD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせて使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、PD-1軸結合アンタゴニストを更に含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストはアテゾリズマブである。
【0038】
別の態様では、本発明は、先行する態様のいずれか1つに記載の方法に従って、ESCCを有する対象を治療するための抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストを含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは抗TIGITアンタゴニスト抗体を更に含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストはアテゾリズマブである。
【0039】
別の態様では、ESCCを有する対象を治療する方法において使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、該方法が先行する態様のいずれか1つに記載される、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが本明細書において提供される。
【0040】
別の態様では、PD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせてESCCを有する対象を治療するための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、治療が先行する態様のいずれか1つに記載の方法による使用が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、別々に製剤化される。他の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、一緒に製剤化される。
【0041】
別の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせてESCCを有する対象を治療するための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニストの使用であって、治療が先行する態様のいずれか1つに記載の方法による使用が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、別々に製剤化される。他の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、一緒に製剤化される。
【0042】
別の態様では、食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約30mg~約600mgの固定用量、例えば、3週間ごとに約600mgの固定用量))、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約800mg~約1400mgの固定用量、例えば、3週間ごとに約1200mgの固定用量))、タキサン(例えば、3週間ごとに約100~250mg/m2の用量(例えば、3週間ごとに150~200mg/m2の用量、例えば、3週間ごとに約175mg/m2の用量))、及び白金薬剤(例えば、3週間ごとに約20~200mg/m2の用量(例えば、3週間ごとに約40~120mg/m2の用量で、例えば、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、ESCC(例えば進行性のESCC)のための以前の全身治療を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない。他の実施形態では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療は、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した。いくつかの実施形態では、非進行性のESCCのための以前の治療は、化学放射線療法又は化学療法(例えば、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与される化学放射線療法又は化学療法)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、タキサンは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、白金薬剤は、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される。
【0043】
別の態様では、手術が不適切である進行性のESCCを有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、対象又は対象集団に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含む方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない。他の実施形態では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療は、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した。いくつかの実施形態では、非進行性のESCCのための以前の治療は、化学放射線療法又は化学療法(例えば、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与される化学放射線療法又は化学療法)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、タキサンは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、白金薬剤は、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される。
【0044】
別の態様では、食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、2週間ごとに約300mg~約800 mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約420mgの固定用量))、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約840mgの固定用量))、タキサン、及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、1回又は複数回の維持期の投与サイクルでさらに投与され、タキサン及び白金薬剤は、1回又は複数回の維持期の投与サイクルのそれぞれから省略される。
【0045】
別の態様では、食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約840mgの固定用量))、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約1680mgの固定用量))、タキサン、及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、1回又は複数回の維持期の投与サイクルでさらに投与され、タキサン及び白金薬剤は、1回又は複数回の維持期の投与サイクルのそれぞれから省略される。
【0046】
いくつかの実施形態では、タキサンは、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される。いくつかの実施形態では、白金薬剤は、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される。いくつかの実施形態では、タキサン及び白金薬剤は両方とも、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される。
【0047】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の超可変領域(HVR):SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4をさらに含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖可変領域FR:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(式中、X1はE又はQである)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4をさらに含む。いくつかの実施形態において、X1はEである。いくつかの実施形態において、X1はQである。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメイン。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は完全長抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブである。
【0048】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgGクラス抗体(例えば、IgG1サブクラス抗体)である。
【0049】
いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、又はAMP-224である。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736)である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体はアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下のHVR:GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及びQQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、以下を含む:(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有する重鎖可変(VH)ドメイン、(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメイン。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体はヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は完全長抗体である。
【0050】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、IgGクラス抗体(例えば、IgG1サブクラス抗体)である。
【0051】
いくつかの実施形態では、タキサンは、パクリタキセル若しくはnab-パクリタキセル、又はその薬学的に許容され得る塩である。いくつかの実施形態では、タキサンは、パクリタキセル、又はその薬学的に許容され得る塩である。いくつかの実施形態では、白金薬剤は、シスプラチン若しくはカルボプラチン、又はその薬学的に許容され得る塩である。いくつかの実施形態では、白金薬剤は、シスプラチン、又はその薬学的に許容され得る塩である。
【0052】
いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0053】
いくつかの実施形態では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの実施形態では、第1の観察期間及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0054】
いくつかの実施形態では、該方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを同時に対象又は対象集団に投与することを含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、タキサン及び/又は白金薬剤の前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが投与される。いくつかの実施形態では、該方法は、白金薬剤の前に、タキサンを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、タキサンの投与後の第3の観察期間及び白金薬剤の投与後の第4の観察期間を含む。いくつかの実施形態では、第3の観察期間及び第4の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。
【0056】
いくつかの実施形態では、該方法は、対象又は対象集団に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤を静脈内投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、60±10分間にわたる静脈内注入によって抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、3時間±30分間にわたる静脈内注入によってタキサンを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、該方法は、1~4時間にわたる静脈内注入によって白金薬剤を対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、皮下投与される。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストは、皮下投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、皮下投与される。
【0057】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さは21日間である。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤は、4~8回の初期(導入期)の投与サイクル(例えば、4~6回の導入期の投与サイクル、6~8回の導入期の投与サイクル、又は5~7回の導入期の投与サイクル、例えば、4回の導入期の投与サイクル、5回の導入期の投与サイクル、6回の導入期の投与サイクル、7回の導入期の投与サイクル、又は8回の導入期の投与サイクル)の各々で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤は、6回の導入期の投与サイクルの各々で投与される。
【0058】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、導入期の投与サイクルに続いて1回又は複数回の追加の(維持期の)投与サイクルで更に投与される。いくつかの実施形態では、タキサン及び白金薬剤は、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される。いくつかの実施形態では、導入期の投与サイクル及び/又は1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々の長さは、21日間である。
【0059】
前述の方法のいずれかのいくつかの実施形態では、対象又は対象集団から得られたESCC腫瘍試料は、PD-L1の検出可能な発現レベルの(例えば、PD-L1の検出可能なタンパク質発現レベル又はPD-L1の検出可能な核酸発現レベル)を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、PD-L1の検出可能なタンパク質発現レベルは、IHCアッセイによって決定された。いくつかの実施形態では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142又は28-8が使用される。いくつかの実施形態では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263が使用される。いくつかの実施形態では、IHCアッセイは、Ventana SP263 Companion Diagnostic(CDx)アッセイである。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、1%以上の腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、TICスコアは10%以上である。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、10%未満のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、TICスコアは10%以上50%未満である。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、Ventana SP263 IHCアッセイ(コンパニオンCDxアッセイ)の一部として抗PD-L1抗体SP263を用いて決定して10%以上のTICスコアを有すると決定されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体、タキサン、及び白金薬剤(例えば、チラゴルマブ、パクリタキセル、及びシスプラチン)と組み合わせて投与されるPD-1軸結合アンタゴニストは、アテゾリズマブである。
【0060】
いくつかの実施形態では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体22C3が使用される(例えば、pharmDx 22C3 IHCアッセイの一部として)。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、10以上のCPSを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、1%以上のTPSを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、50%以上のTPSを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142が使用される(例えば、Ventana SP142 IHCアッセイの一部として)。いくつかの実施形態では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体28-8が使用される(例えば、pharmDx 28-8 IHCアッセイの一部として)。例えば、いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、pharmDx22C3 IHCアッセイの一部として抗PDL1抗体22C3を用いて決定して10以上のCPSを有すると決定されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体、タキサン、及び白金薬剤(例えば、チラゴルマブ、パクリタキセル、及びシスプラチン)と組み合わせて投与されるPD-1軸結合アンタゴニストはペムブロリズマブである。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、pharmDx22C3 IHCアッセイの一部として抗PDL1抗体22C3を用いて決定して10以上のCPSを有すると決定されており、抗TIGITアンタゴニスト抗体、タキサン、及び白金薬剤(例えば、チラゴルマブ、パクリタキセル、及びシスプラチン)と組み合わせて投与されるPD-1軸結合アンタゴニストはアテゾリズマブである。
【0061】
いくつかの実施形態では、PD-L1の検出可能な発現レベルは、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルである(RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組み合わせによって決定される)。いくつかの実施形態では、進行性のESCCは局所進行性ESCCである。いくつかの実施形態では、進行性のESCCは再発性又は転移性ESCCである。いくつかの実施形態では、進行性のESCCは切除不能ESCCである。
【0062】
いくつかの実施形態では、治療は、約8ヶ月以上の無増悪生存期間(PFS)をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いた治療と比較して、対象又は対象集団のPFSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象又は対象集団のPFSを少なくとも約2ヶ月又は約4ヶ月延長する。いくつかの実施形態では、PFSの増加は、約2ヶ月以上(例えば、約2.5ヶ月、約3ヶ月、約3.5ヶ月、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、約6ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約10.5ヶ月、約11ヶ月、約11.5ヶ月、約12ヶ月、約12.5ヶ月、約13ヶ月、約13.5ヶ月、約14ヶ月、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、又はそれ以上)である。いくつかの実施形態では、治療は、約6ヶ月~約10ヶ月の対象集団のPFS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)による治療の開始後少なくとも約6ヶ月又はそれ以上(例えば、約6~7ヶ月、約7~8ヶ月、約8~10ヶ月、又はそれ以上、例えば、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約10.5ヶ月、約11ヶ月、約11.5ヶ月、約12ヶ月、約12.5ヶ月、約13ヶ月、約13.5ヶ月、約14ヶ月、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、又はそれ以上)のPFS中央値をもたらす。
【0063】
いくつかの実施形態では、治療は、約18ヶ月以上の全生存期間(OS)をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いた治療と比較して、対象又は対象集団のOSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象又は対象集団のOSを少なくとも約4ヶ月又は約6ヶ月延長する。いくつかの実施形態では、OSの増加は約4ヶ月以上である。いくつかの実施形態では、OSの増加は約6ヶ月以上である。いくつかの実施形態では、OSの増加は、約2ヶ月以上(例えば、約2.5ヶ月、約3ヶ月、約3.5ヶ月、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、約6ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約10.5ヶ月、約11ヶ月、約11.5ヶ月、約12ヶ月、約12.5ヶ月、約13ヶ月、約13.5ヶ月、約14ヶ月、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、又はそれ以上)である。いくつかの実施形態では、治療は、約14ヶ月~約20ヶ月の対象集団のOS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)による治療の開始後少なくとも約14ヶ月又はそれ以上(例えば、約14ヶ月、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、又はそれ以上)のOS中央値をもたらす。
【0064】
いくつかの実施形態では、治療は、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いた治療と比較して、対象又は対象集団における客観的奏効期間(DOR)の増加をもたらす。いくつかの実施形態では、DORの増加は、約2ヶ月以上(例えば、約2.5ヶ月、約3ヶ月、約3.5ヶ月、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、約6ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約10.5ヶ月、約11ヶ月、約11.5ヶ月、約12ヶ月、約12.5ヶ月、約13ヶ月、約13.5ヶ月、約14ヶ月、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、又はそれ以上)である。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)による治療の開始後少なくとも約2ヶ月又はそれ以上(例えば、約2.5ヶ月、約3ヶ月、約3.5ヶ月、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、約6ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約10.5ヶ月、約11ヶ月、約11.5ヶ月、約12ヶ月、約12.5ヶ月、約13ヶ月、約13.5ヶ月、約14ヶ月、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、又はそれ以上)のDOR中央値をもたらす。
【0065】
いくつかの実施形態では、治療は、完全奏効又は部分奏効をもたらす。
【0066】
一態様では、進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、方法が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約100~250mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに約20~200mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、チラゴルマブは、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される。
【0067】
一態様では、進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、該方法が、チラゴルマブを2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量、アテゾリズマブを2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量、パクリタキセル、及びシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、チラゴルマブは、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、パクリタキセル及び/又はシスプラチンは、2週間ごとに投与される。
【0068】
一態様では、進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、該方法が、チラゴルマブを4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量、アテゾリズマブを4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量、パクリタキセル、及びシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、チラゴルマブは、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、パクリタキセル及び/又はシスプラチンは、4週間ごとに投与される。
【0069】
一態様では、本発明は、進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、(i)3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約100~250mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに約20~200mg/m2の用量のシスプラチンの6回の導入期の投与サイクル;及び(ii)3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の維持期の投与サイクルであって、パクリタキセル及びシスプラチンが1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、1回又は複数回の維持期の投与サイクルを投与することを含み、対象が進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法を提供する。いくつかの実施形態では、(i)6回の導入期の投与サイクルにおいて、チラゴルマブが、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、パクリタキセルが、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンが、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与され;かつ(ii)1回又は複数回の維持期の投与サイクルにおいて、チラゴルマブは、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、対象は、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象は、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療は、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した。いくつかの実施形態では、非進行性のESCCのための以前の治療は、化学放射線療法又は化学療法(例えば、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与される化学放射線療法又は化学療法)を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、対象から得られたESCC腫瘍試料は、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%以上のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、対象から得られたESCC腫瘍試料は、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%未満のTICスコアを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、進行性のESCCは、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、切除不能な局所進行性ESCC、切除不能な再発ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCCである。
【0071】
いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0072】
別の態様では、本発明は、進行性のESCCを有する対象を治療するための前述の方法のいずれかに従って進行性のESCCを有する対象を治療するための、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体を含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、PD-1軸結合アンタゴニストを更に含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストはアテゾリズマブである。
【0073】
別の態様では、進行性のESCCを有する対象を治療するための前述の方法のいずれかに従って進行性のESCCを有する対象を治療するための、抗TIGITアンタゴニスト抗体、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストを含むキットが本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、キットは抗TIGITアンタゴニスト抗体を更に含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストはアテゾリズマブである。
【0074】
別の態様では、本発明は、進行性のESCCを有する対象を治療する方法において使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、該方法が、進行性のESCCを有する対象を治療するための前述の方法のいずれかに記載される、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤を提供する。
【0075】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて進行性のESCCを有する対象を治療するための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、治療が、進行性のESCCを有する対象を治療するための前述の方法のいずれかに記載の方法による、使用を提供する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、別々に製剤化される。他の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、一緒に製剤化される。
【0076】
別の態様では、本発明は、抗TIGITアンタゴニスト抗体、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて進行性のESCCを有する対象を治療するための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニストの使用であって、治療が、進行性のESCCを有する対象を治療するための前述の方法のいずれかに記載の方法による、使用を提供する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、別々に製剤化される。他の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、一緒に製剤化される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】
図1は、第二選択(2L)ESCC療法の第III相試験スキームのフローチャートである。SCLN-鎖骨上リンパ節;CDx=コンパニオン診断;ECOG PS=Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status;Q3W 3週間ごと;TIC=腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞。PD-L1発現を、治験中のVentana PD-L1(SP263)CDx アッセイを使用して中央研究室によって評価する。
【
図2】
図2は、第一選択(1L)の進行性のESCC療法の第III相試験スキームのフローチャートである。アテゾリズマブ、チラゴルマブ、パクリタキセル及びシスプラチンを用いたAtezo+Tira+PC=治療;アテゾリズマブプラセボ、チラゴルマブプラセボ、パクリタキセル、及びシスプラチンを用いたプラセボ+PC=治療;R=無作為化。
【
図3】
図3は、pharmDx 22C3 アッセイ(高いTPS≧50%;低TPS1~49%)によって評定されるような低い若しくは高いPD-L1 TPS、又はCE-IVD VENTANA SP263 IHCアッセイ(高TC≧50%;低TC 1~49%)によって評定されるような低い若しくは高いPD-L1腫瘍含有量(TC)を有するCITYSCAPE試験からの患者における客観的奏効率(ORR)(完全奏効/部分奏効(CR/PR);安定疾患/進行性疾患(SD/PD);評価不能(NE))を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、22C3 IHCアッセイを使用して測定した場合にTPS≧1%を有するCITYSCAPE試験からの患者についての奏効率(95%信頼区間(CI))を示す棒グラフである。
【
図4B】
図4Bは、SP263 IHCアッセイを使用して測定した場合にTC≧1%(及び22C3 IHCアッセイを使用して測定した場合にTPS≧1%)を有するCITYSCAPE試験からの患者についての奏効率(95%CI)を示す棒グラフである。
【
図5A】
図5Aは、チラゴルマブ及びアテゾリズマブ(tira+atezo)又はプラセボ+atezoで治療され、22C3 IHCアッセイを使用して測定した場合にTPS≧1%を有したCITYSCAPE試験からの患者の無増悪生存期間(パーセント)を示すグラフである。挿入図の表は、PFSの中央値を月数(mo)及びハザード比(HR)で示す。
【
図5B】
図5Bは、チラゴルマブ及びアテゾリズマブ(tira+atezo)又はプラセボ+atezoで治療され、SP263 IHCアッセイを使用して測定した場合にTC≧1%(及び22C3 IHCアッセイを使用して測定した場合にTPS≧1%)を有したCITYSCAPE試験からの患者の無増悪生存期間(パーセント)を示すグラフである。挿入図は、PFSの中央値を月数及びHRで示す。
【
図6A】
図6Aは、22C3 IHCアッセイを使用して測定した場合にTPS≧50%を有するCITYSCAPE試験からの患者についての奏効率(95%信頼区間(CI))を示す棒グラフである。
【
図6B】
図6Bは、SP263 IHCアッセイを使用して測定した場合にTC≧50%を有するCITYSCAPE試験からの患者についての奏効率(95%CI)を示す棒グラフである。
【
図7A】
図7Aは、チラゴルマブ及びアテゾリズマブ(tira+atezo)又はプラセボ+atezoで治療され、22C3 IHCアッセイを使用して測定した場合にTPS≧50%を有したCITYSCAPE試験からの患者の無増悪生存期間(パーセント)を示すグラフである。挿入図は、PFSの中央値を月数及びHRで示す。
【
図7B】
図7Bは、チラゴルマブ及びアテゾリズマブ(tira+atezo)又はプラセボ+atezoで治療され、SP263 IHCアッセイを使用して測定した場合にTC≧50%を有したCITYSCAPE試験からの患者の無増悪生存期間(パーセント)を示すグラフである。挿入図は、PFSの中央値を月数及びHRで示す。
【発明を実施するための形態】
【0078】
詳細な説明
本発明は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)とPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))との組み合わせを投与することによって、食道がん、例えば、食道扁平上皮癌腫(ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法を含む。いくつかの態様では、本発明は、食道がん、例えばESCC(例えば、第二選択(2L)ESCC治療として)に対して以前に最終的化学放射線治療を受けたことがある対象又は対象集団を治療する方法を含む。いくつかの態様では、本発明は、進行性のESCCを有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団が、ESCCのための以前の全身治療(例えば、第一選択(1L)治療として)を受けたことがない、対象又は対象集団を治療する方法を含む。
【0079】
本発明は、一部には、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗プログラム死リガンド-1(PD-L1)抗体又は抗プログラム死-1(PD-1)抗体)と組み合わせた抗TIGIT抗体を含む免疫療法が、食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))の治療において、例えば、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある対象又は対象集団において有用であり得るという発見に基づく。
【0080】
本発明の別の基礎は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行製の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC(例えば、ステージIIB又はステージIIC)、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC)を有する対象又は対象集団のための併用治療の開発である。いくつかの事例では、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けなかった。いくつかの事例では、手術は対象又は対象集団に適していない。そのような治療には、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)が含まれる。
【0081】
I.一般的技術
本明細書に記載又は参照される技術及び手順は、一般によく理解されており、当業者による従来の方法論、例えば、以下に記載されている広く利用されている方法論を使用して一般に採用されている:Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.;Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003));the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995)),Harlow and Lane,eds.(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1987));Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984);Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory Notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press;Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987);Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press;Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons;Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.);Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987);PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994);Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991);Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999);Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997);Antibodies(P.Finch,1997);Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989);Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000);Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999);The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995);及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)。
【0082】
II.定義
本明細書に記載の本発明の態様及び実施形態は、態様及び実施形態「を含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」を含むことが理解される。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、別途示されない限り、複数のものを含む。
【0083】
本明細書で使用される「約」という用語は、この技術分野の当業者であれば容易に理解する、それぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」値又はパラメータへの言及は、その値又はパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ説明する)。例えば、「約X」について言及する記述は、「X」の記述を含む。
【0084】
本明細書で互換的に使用される、バイオマーカーの「量」、「レベル」、又は「発現レベル」は、生体試料中の検出可能なレベルである。「発現」とは、一般に、情報(例えば、遺伝子コード情報及び/又はエピジェネティック情報)が、細胞中に存在し、そこで機能する構造に変換されるプロセスを指す。したがって、本明細書で使用される場合、「発現」とは、ポリヌクレオチドへの転写、ポリペプチドへの翻訳、又はさらにポリヌクレオチド及び/若しくはポリペプチド修飾(例えば、ポリペプチドの翻訳後修飾)を指す場合がある。転写されたポリヌクレオチド、翻訳されたポリペプチド、又はポリヌクレオチド及び/若しくはポリペプチド修飾(例えば、ポリペプチドの翻訳後修飾)のフラグメントも、それらが選択的スプライシングによって生成された転写物若しくは分解された転写物に由来するか、又は例えばタンパク質分解によるポリペプチドの翻訳後プロセシングに由来するかどうかにかかわらず、発現されたものとみなされるべきである。「発現した遺伝子」とは、mRNAとしてポリヌクレオチドに転写され、その後、ポリペプチドに翻訳されるもの、及びまたRNAに転写されるが、ポリペプチドに翻訳されないもの(例えば、転移及びリボソームRNA)を含む。発現レベルは、当業者に知られており、本明細書にも開示される方法によって測定され得る。
【0085】
試料における本明細書に記載の様々なバイオマーカーの存在及び/又は発現レベル/量は、いくつかの方法論によって分析され得、これらの多くは、当該技術分野で知られ、当業者に理解されており、免疫組織化学(「IHC」)、ウェスタンブロット分析、免疫沈降、分子結合アッセイ、ELISA、ELIFA、蛍光活性化細胞選別(「FACS」)、MassARRAY、プロテオミクス、定量的血液ベースアッセイ(例えば、血清ELISA)、生化学的酵素活性アッセイ、インサイチュハイブリダイゼーション、蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、サザン分析、ノーザン分析、全ゲノム配列決定、大規模並列DNA配列決定(例えば、次世代配列決定)、NANOSTRING(登録商標)、例えば、分岐状DNA、SISBA、TMAなどの、定量的リアルタイムPCR(qRT-PCR)及び他の増幅型検出方法を含むポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、RNA-Seq、マイクロアレイ分析、遺伝子発現プロファイリング、及び/又は遺伝子発現連続分析(「SAGE」)、並びにタンパク質、遺伝子、及び/又は組織アレイ分析によって行われ得る多種多様なアッセイのうちのいずれか1つを含むが、これらに限定されない。遺伝子及び遺伝子生成物の状態を評価するための典型的なプロトコルは、例えば、Ausubel et al.,eds.,1995,Current Protocols In Molecular Biologyの第2部(ノーザンブロット法)、第4部(サザンブロット法)、第15部(免疫ブロット法)、及び第18部(PCR分析)において見出される。Rules Based Medicine又はMeso Scale Discovery(「MSD」)から入手可能なアッセイなどの多重化免疫アッセイも使用され得る。
【0086】
本明細書に使用される「TIGIT」又は「Ig及びITIMドメインを有するT細胞免疫受容体(T-cell immunoreceptor with Ig and ITIM domains)」は、別途示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然のTIGITを指す。TIGITはまた、当該技術分野において、DKFZp667A205、FLJ39873、Vセット及び免疫グロブリンドメイン含有タンパク質9、Vセット及び膜貫通ドメイン含有タンパク質3、VSIG9、VSTM3、及びWUCAMとしても知られている。この用語は、「完全長」の未処理のTIGIT(例えば、配列番号30のアミノ酸配列を有する完全長ヒトTIGIT)、並びに細胞内での処理から生じる任意の形態のTIGIT(例えば、配列番号31のアミノ酸配列を有する、シグナル配列を有さないプロセシングされたヒトTIGIT)を包含する。この用語は、TIGITの天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント、又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトTIGITのアミノ酸配列は、例えば、UniProt受託番号Q495A1に見出すことができる。
【0087】
「PD-L1」又は「プログラム細胞死リガンド1」という用語は、本明細書では、特に示されていない限り、哺乳動物、例えば、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)を含め、任意の脊椎動物源由来の任意のネイティブPD-L1を指す。PD-L1は、CD274分子、CD274抗原、B7ホモログ1、PDCD1リガンド1、PDCD1LG1、PDCD1L1、B7H1、PDL1、プログラム死リガンド1、B7-H1及びB7-Hとしても当技術分野で公知である。この用語は、天然に存在するPD-L1のバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトPD-L1のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q9NZQ7(配列番号32)の下で見出され得る。
【0088】
「アンタゴニスト」という用語は、最も広義に使用され、本明細書に開示される天然ポリペプチドの生物活性を部分的又は完全に遮断、阻害、又は中和する任意の分子を含む。適切なアンタゴニスト分子としては、具体的には、アンタゴニスト抗体又は抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)、天然ポリペプチドのフラグメント又はアミノ酸配列バリアント、ペプチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、有機小分子などが挙げられる。ポリペプチドのアンタゴニストを同定する方法は、ポリペプチドを候補アンタゴニスト分子と接触させること、及びポリペプチドに通常関連する1つ以上の生物学的活性の検出可能な変化を測定することを含み得る。
【0089】
「PD-1軸結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1シグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞機能障害を除去するようにPD-1軸結合パートナーとその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上との相互作用を阻害し、結果として、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死滅)復元又は増強する分子を指す。本明細書で使用される場合、PD-1軸結合アンタゴニストには、PD-1結合アンタゴニスト、PD-L1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストが含まれる。
【0090】
「PD-1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1と、PD-L1、PD-L2等の1つ以上の結合パートナーとの相互作用の結果として生じるシグナル伝達を減少、遮断、阻害、侵害、又は妨害する分子を指す。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のその結合パートナーのうちの1つ以上への結合を阻害する分子である。具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1のPD-L1及び/又はPD-L2への結合を阻害する。例えば、PD-1結合アンタゴニストには、抗PD-1抗体、その抗原結合フラグメント、免疫アドヘキシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-1とPD-L1及び/又はPD-L2との相互作用に起因するシグナル伝達を減少、遮断、阻害、侵害、又は妨害する他の分子が含まれる。一実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1を介するシグナル伝達を媒介したTリンパ球で発現された細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能障害T細胞の機能障害性をより低くする(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施形態では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のMDX-1106(ニボルマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書中に記載のペムブロリズマブ(以前はラムブロリズマブ(MK-3475))である。別の具体的な態様では、PD-1結合アンタゴニストは、本明細書に記載のAMP-224である。
【0091】
「PD-L1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L1とその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上、例えば、PD-1、B7-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する分子を指す。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。具体的な態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1のPD-1及び/又はB7-1への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L1とその結合パートナーのうちの1つ以上、例えば、PD-1、B7-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。一実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を介するシグナル伝達を媒介したTリンパ球上で発現された細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能不全のT細胞の機能不全状態を軽減する(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施形態では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のアテゾリズマブ(例えば、MPDL3280A)である。別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMDX-1105である。さらに別の具体的な態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMEDI4736である。
【0092】
本明細書中で使用される場合、用語「アテゾリズマブ」とは、国際医薬品一般名称(INN)リスト112(WHO Drug Information,Vol.28.No.4,2014,p.488)又はCAS登録番号1380723-44-3を有する抗PD-L1アンタゴニスト抗体のことを指す。
【0093】
「PD-L2結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L2とPD-1等の1つ以上の結合パートナーのいずれかとの相互作用の結果として生じるシグナル伝達を減少させたり、遮断したり、阻害したり、妨害したりする分子を指す。いくつかの実施形態では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のその結合パートナーのうちの1つ以上への結合を阻害する分子である。具体的な態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のPD-1への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L2アンタゴニストは、抗PD-L2抗体、その抗原結合フラグメント、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L2とその結合パートナーのうちのいずれか1つ以上、例えば、PD-1との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。一実施形態では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2を介するシグナル伝達を媒介したTリンパ球で発現された細胞表面タンパク質によって、又はそれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低減し、機能障害T細胞の機能障害性を軽減する(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増強する)。いくつかの実施形態では、PD-L2結合アンタゴニストは、イムノアドヘシンである。
【0094】
「抗TIGITアンタゴニスト抗体」という用語は、TIGITの生物学的活性を実質的に又は完全に阻害するように十分な親和性でTIGITに結合することができる抗体又はその抗原結合フラグメント若しくはバリアントを指す。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、T細胞による機能不全状態(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞殺傷)から抗原刺激への機能的応答を回復させるために、PVR、PVRL2、及び/又はPVRL3を介したシグナル伝達を遮断し得る。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、PVR-CD226相互作用に影響を与えることなく、PVRを介したシグナル伝達を遮断し得る。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、別のTIGIT活性に影響を及ぼすことなく、1つのTIGIT活性に拮抗し得ることが当業者によって理解されるであろう。例えば、本明細書中に記載される特定の方法又は使用における使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体は、例えば、他のTIGIT相互作用のいずれかに影響を及ぼすことなく、又は最小限に影響を及ぼす、PVR相互作用、PVRL3相互作用又はPVRL2相互作用の1つに応答してTIGIT活性に拮抗する抗TIGITアンタゴニスト抗体である。一実施形態では、非関連非TIGITタンパク質への抗TIGITアンタゴニスト抗体の結合の程度は、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)によって測定した場合に、TIGITへの抗体の結合の約10%未満である。特定の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体に結合するTIGITは、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、≦0.1nM、≦0.01nM又は≦0.001nM(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10--13M)の解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、異なる種からのTIGITの間で保存されているTIGITのエピトープ、又は交差種反応性を可能にするTIGIT上のエピトープに結合する。一実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブである。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「チラゴルマブ」とは、国際医薬品一般名称(INN)リスト117(WHO Drug Information,Vol.31,No.2,2017,p.343)、又はCAS登録番号1918185-84-8を有する抗TIGITアンタゴニスト抗体を指す。チラゴルマブは、「RO7092284」とも互換的に呼ばれる。
【0096】
本明細書で使用される場合、「投与すること」とは、化合物(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)、タキサン及び/又は白金薬剤)又は組成物(例えば、医薬組成物、例えば、抗TIGIT抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)、タキサン、及び/又は白金薬剤を含む医薬組成物)の投与量を対象に与える方法を意味する。本明細書に記載される方法に用いられる化合物及び/又は組成物は、例えば、静脈内(たとえば、静脈内注入による)、皮下、筋肉内、皮内、経皮的、動脈内、腹腔内、病巣内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、鼻腔内、硝子体内、膣内、直腸内、局所的(topically)、腫瘍内、腹膜内、結膜下、小胞内、経粘膜、心膜内、臍帯内、眼球内、経口、局所的(topically)、局所的(locally)、吸入、注射、注入、持続注入、標的細胞に直接的に流す局所灌流、カテーテル、洗浄、クリーム、又は脂質組成物で投与することができる。投与方法は、様々な因子(例えば、投与される化合物又は組成物、及び治療される症状、疾患、又は障害の重症度)に応じて変化し得る。
【0097】
本明細書で使用される場合、「治癒目的で投与される」とは、対象において完全奏効を達成することを意図した用量及び頻度(単回投与を含む)での治療の投与を指す。
【0098】
本明細書で使用される場合、「全身治療」とは、血流を通って移動し、1回の投与で複数の臓器系に接触することができる治療を指す。「全身治療」という用語は、当業者によって十分に理解されており、全身治療と同等である。
【0099】
本明細書における治療剤(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)の「固定」又は「フラット」用量は、患者の体重又は体表面積(BSA)に関係なく患者に投与される用量を指す。したがって、固定用量又はフラット用量は、mg/kg用量又はmg/m2用量としてではなく、治療剤の絶対量(例えば、mg)として提供される。
【0100】
本明細書で使用されるとき、「治療(treatment)」又は「治療すること(treating)」という用語は、臨床的病変の経過中に治療される個体又は細胞の自然経過を変化させるように設計された臨床的介入を指す。治療の望ましい効果としては、疾患進行速度の遅延又は低減、疾患状態の回復又は緩和、及び予後の寛解又は改善が挙げられる。例えば、個体は、がん性細胞の増殖の低減(若しくはその破壊)、疾患から生じる症候の減少、疾患を患うものの生活の質の向上、疾患を治療するのに必要な他の医薬品の用量の減少、疾患の進行の遅延、及び/又は個体の生存期間の延長を含むがこれらに限定されない、がんと関連する1つ以上の症候が軽減又は排除された場合に、「治療」が成功したことになる。
【0101】
本明細書において使用される「と併せて」は、別の治療様式に追加された、1つの治療様式の投与を表す。したがって、「と併せて」とは、個体への1つの治療法の施行前、施行中、又は施行後の別の治療法の施行を指す。
【0102】
「障害」又は「疾患」は、ある程度の異常な細胞増殖に関連する障害、例えばがん、例えば食道がん、例えば食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行製の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を含むがこれらに限定されない治療から利益を得る任意の症状である。
【0103】
免疫機能障害の文脈における「機能障害」という用語は、抗原刺激に対する免疫応答性が低下した状態を指す。
【0104】
本明細書に使用される「機能不全性」という用語にはまた、抗原認識に対する不応性又は無応答性、特に、抗原認識を下流T細胞エフェクター機能、例えば増殖、サイトカイン産生(例えばガンマインターフェロン)、及び/又は標的細胞殺滅に変換する能力の障害も含まれる。
【0105】
「がん」及び「がん性」という用語は、制御されていない細胞成長を典型的に特徴とする哺乳動物における生理学的症状を指すか、又は説明する。がんの例としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病、又はリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例には、食道がん、例えば食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行製の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を含むがこれらに限定されない治療から利益を得る任意の症状である。がんのさらなる例は、胃腸がん、胃腸間質がん、又は胃食道接合部がんを含む胃部のがん又は胃がん、結腸がん;直腸がん;結腸直腸がん;腹膜のがん;肝細胞がん;膵臓がん;神経膠芽腫;子宮頸がん;卵巣がん;肝臓がん;膀胱がん(例えば、尿路上皮膀胱がん(UBC)、筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)及びBCG抵抗性非筋層浸潤性膀胱がん(NMIBC));尿路のがん;肝がん;乳がん(例えば、エストロゲン受容体(ER-)、プロゲステロン受容体(PR-)及びHER2(HER2-)陰性であるHER2+乳がん及びトリプルネガティブ乳がん(TNBC));子宮内膜の癌腫又は子宮の癌腫;唾液腺癌腫;腎臓がん又は腎臓がん(例えば、腎細胞癌腫(RCC));前立腺がん、外陰がん、甲状腺がん、肝癌腫、肛門癌腫、陰茎癌腫、黒色腫(表在拡大型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫、及び結節型黒色腫を含む)、多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL)、小リンパ球性(SL)NHL、中悪性度/濾胞性NHL、中悪性度びまん性NHL、高悪性度免疫芽細胞性NHL、高悪性度リンパ芽球性NHL、高悪性度小型非分割細胞性NHL、巨大病変NHL、マントル細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、及びワルデンストレームマクログロブリン血症を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、有毛細胞白血病、慢性骨髄芽球性白血病(CML)、移植後リンパ増殖性疾患(PTLD)、及び骨髄異形成症候群(MDS)、並びにファコマトーシスと関連する異常血管増殖、浮腫(脳の腫瘍に関連するもの等)、メイグス症候群、脳がん、頭頸部がん、及び関連する転移である。
【0106】
「腫瘍」という用語は、悪性又は良性にかかわらず、全ての腫瘍性細胞の成長及び増殖、並びに全ての前がん性及びがん性の細胞及び組織を指す。「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、及び「腫瘍」という用語は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。
【0107】
「腫瘍免疫」とは、腫瘍が免疫認識及び排除を回避する過程を指す。したがって、治療的概念として、かかる回避が減弱し、腫瘍が免疫系によって認識されて、攻撃されるときに、腫瘍免疫は「治療される」。腫瘍認識の例としては、腫瘍結合、腫瘍退縮、及び腫瘍クリアランスが挙げられる。
【0108】
本明細書で使用される場合、「転移」は、その原発部位から体内の他の場所へのがんの拡がりを意味する。がん細胞は、原発腫瘍から離脱し、リンパ管及び血管に浸透し、血流を通じて循環し、体内の他の場所の正常組織内の遠位焦点で成長する(転移する)場合がある。転移は、局所的又は遠位であり得る。転移は、腫瘍細胞が原発腫瘍から離脱し、血流を通じて移動し、遠位部位で停止することを条件とする逐次プロセスである。新たな部位で、細胞は、血液供給を確立し、成長して、生命を脅かす塊を形成し得る。腫瘍細胞内の刺激性と阻害性との両方の分子経路がこの挙動を制御し、遠隔部位における腫瘍細胞と宿主細胞との間の相互作用もまた重要である。
【0109】
「抗がん療法」という用語は、がん(例えば、ESCC、(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行製の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC)))を治療するのに有用な療法を指す。抗がん治療剤の例としては、限定されるものではないが、例えば、免疫調節剤(例えば、免疫調節剤(例えば、1つ以上の免疫共阻害受容体(例えば、TIGIT、PD-L1、PD-1、CTLA-4、LAG3、TIM3、BTLA、及び/又はVISTAから選択される1つ以上の免疫共阻害受容体)を減少又は阻害する薬剤)、CTLA-4アンタゴニスト等、例えば、抗CTLA-4アンタゴニスト抗体(例えば、イピリムマブ(YERVOY(登録商標)))、抗TIGITアンタゴニスト抗体、若しくはPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)、又は1つ以上の免疫共賦活受容体(例えば、CD226、OX-40、CD28、CD27、CD137、HVEM、及び/又はGITRから選択される1つ以上の免疫共刺激受容体)を増加又は活性化する薬剤、OX-40アゴニスト等、例えば、OX-40アゴニスト抗体)、化学療法剤、成長阻害剤、細胞毒性剤、放射線療法で使用される薬剤、抗血管新生剤、アポトーシス剤、抗チューブリン剤、及びその他のがんを治療するための薬剤が挙げられる。これらの組み合わせも本発明に含まれる。
【0110】
本明細書で使用される「細胞傷害剤」という用語は、細胞機能を阻害若しくは防止し、及び/又は細胞死若しくは破壊を引き起こす物質を指す。細胞毒性剤としては、放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体);化学療法剤又は薬物(例えば、メトトレキサート、アドリアマイシン、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド)、ドキソルビシン、メルファラン、マイトマイシンC、クロラムブシル、ダウノルビシン又は他の挿入剤);成長阻害剤;酵素及びそのフラグメント、例えば核分解酵素;抗生物質;細菌、真菌、植物又は動物由来の低分子毒素又は酵素的活性毒素等の毒素(そのフラグメント及び/又はバリアントを含む);並びに下記に開示される様々な抗腫瘍剤又は抗がん剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
「化学療法剤」は、がんの治療に有用な化学化合物を含む。化学療法剤の例としては、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm)、ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)、ジスルフィラム、エピガロカテキンガレート、サリノスポラミドA、カーフィルゾミブ、17-AAG(ゲルダナマイシン)、ラジコール、乳酸脱水素酵素A(LDH-A)、フルベストラント(FASLODEX(登録商標)AstraZeneca)、スニチブ(SUTENT(登録商標)、Pfizer/Sugen))、レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Novartis)、フィナサン酸塩(VATALANIB(登録商標)、Novartis)、オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、5-FU(5-フルオロウラシル)、ロイコボリン、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)、Wyeth)、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016、Glaxo Smith Kline)、ロナファミブ(SCH 66336)、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer Labs)、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標)、AstraZeneca)、AG1478、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミド等のアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン及びピポスルファン等のアルキルスルホン酸塩;ベンゾドパ、カルボクロン、メトレドパ及びウレドパ等のアジリジン類;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスファミド、トリエチレンチオホスファミド及びトリメチルメラミンを含むエチレンイミン類及びメチルメラミン類;アセトジェニン類(特にブラータシン及びブラータシノン);カンプトテシン(トポテカン及びイリノテカンを含む);ブリオスタチン;カリースタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシンの合成アナログを含む);クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);副腎皮質ステロイド(プレドニゾン及びプレドニゾロンを含む);酢酸シプロテロン;フィナステリド及びデュタステリドを含む5α-レダクターゼ);ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン;アルデスロイキン、タルクデュオカルマイシン(合成アナログ、KW-2189及びCB1-TM1を含む);エレタロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンギスタチン;クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレスタミン、メクロレスタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロフォスファミド、ウラシルマスタード等の窒素マスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、及びラニムスチン等のニトロソウレア類;エンジエン系抗生物質等の抗生物質(例えば、カリチェマイシン、特にカリチェマイシンγ1I及びカリチェマイシンω1I(Angew Chem.Intl.Ed.Engl.1994 33:183-186);ダイネマイシンAを含むダイネマイシン;クロドロネート等のビスホスホネート類;エスパーマイシン;同様に、ネオカルジノスタチン発色団及び関連する発色団エンジイン抗生物質発色団)、アクラシノマイシン類、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、アドリアマイシン(登録商標)(ドキソルビシン)、モルホリノドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンC等のマイトマイシン類、マイコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピュロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)等の代謝アンタゴニスト;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサート等の葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニン等のプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフリジン、エノシタビン、フロクスリジン等のピリミジン類似体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオン酸塩、エピチオスタノール、メピチオステイン、テストラクトン等のアンドロゲン類;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロステイン等の抗副腎剤;フロリン酸等の葉酸補充剤;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジキオン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン;ロニダイニン;マイタンシン及びアンサミトシン等のマイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダンモル;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメト;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖複合体(JHS Natural Products,Eugene,Oreg.);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジキオン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;マイトブロニトール;マイトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、タクソール(パクリタキセル;Bristol-Myers Squibb Oncology,Princeton,N.J.)、ABRAXANE(登録商標)(クレモホールを含まない)、アルブミン操作されたパクリタキセルのナノ粒子製剤(American Pharmaceutical Partners,Schaumberg,Ill.)、及びTAXOTERE(登録商標)(パクリタキセル、ドセタキセル;Sanofi-Aventis):クロラムブシル、GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン)、6-チオグアニン、メルカプトプリン;メトトレキサート;シスプラチン及びカルボプラチン等の白金類似体;ビンブラスチン;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトキサントロン;ビンクリスチン;NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン);ノバンドロン;テニポシド;エダトレキサート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸等のレチノイド類、並びに上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸及び誘導体が挙げられる。
【0112】
また、化学療法剤としては、(i)抗エストロゲン及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)等、腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標)、クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロキシフェン、ヨードキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフィン);(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メグストロール)、AROMASIN(登録商標)(エクセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)、及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca);(iii)フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、リュープロライド及びゴセレリン等の抗アンドロゲン剤;ブセレリン、トリプテレリン、メドロキシプロゲステロン酢酸塩、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、全トランスレチオン酸、フェンレチニド及びトロキサシタビン(1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)プロテインキナーゼ阻害剤(例えば、AF-802(CH-5424802又はアレクチニブとしても知られている)等の未分化リンパ腫キナーゼ(Alk)阻害剤);(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常細胞増殖に関与するシグナル伝達経路の遺伝子の発現を阻害する薬剤、例えば、PKC-アルファ、Ralf及びH-Ras;(vii)VEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))、HER2発現阻害剤等のリボザイム類;(viii)遺伝子治療ワクチン等のワクチン類、例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)、VAXID(登録商標);PROLEUKIN(登録商標)、rIL-2;LURTOTECAN(登録商標)等のトポイソメラーゼ1阻害剤;ABARELIX(登録商標)rmRH;並びに(ix)上記のいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸及び誘導体が挙げられる。
【0113】
化学療法剤としては、抗体、例えば、アレムツズマブ(Campath)、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、Genentech)、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標)、Imclone)、パニツムマブ(VECTIBIX(登録商標)、Amgen)、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、Genentech/Biogen Idec)、ペルツズマブ(OMNITARG(登録商標)、2C4、Genentech)、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、Genentech)、トシツモマブ(Bexxar、Corixia)、及び抗体-薬物コンジュゲート、ゲムツズマブオゾガマイシン(MYLOTARG(登録商標)、Wyeth)も挙げられる。本発明の化合物と組み合わせた薬剤としての治療可能性を有する追加のヒト化モノクローナル抗体としては、アポリズマブ、アセリズマブ、アトリズマブ、バピヌズマブ、ビバツズマブメルタンシン、カンツズマブメルタンシン、セデリズマブ、セロリズマブペゴール、シドフシツズマブ、シドツズマブ、ダクリズマブ、エクリズマブ、エファリズマブ、エプラツズマブ、エルリズマブ、フェルビズマブ、フォントリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、イノツズマブオゾガマイシン、イピリムマブ、ラベツズマブ、リンツズマブ、マッツズマブ、メポリズマブ、モタビズマブ、モトビズマブ、ナタリズマブ、ニモツズマブ、ノロビズマブ、ヌマビズマブ、オクレリズマブ、オマリズマブ、パリビズマブ、パスコリズマブ、ペクフシツズマブ、ペクセリズマブ、ペクセリズマブ、ラリビズマブ、ラニビズマブ、レスリビズマブ、レスリズマブ、レスリビズマブ、ロベリズマブ、ルピズマブ、シブロツズマブ、シプリズマブ、ソンツズマブ、タカタツズマブテトラキセタン、タドキシズマブ、タリズマブ、テフィバズマブ、トシリズマブ、トラリズマブ、ツコツズマブセルモレウキン、ツクシツズマブ、ウマビズマブ、ウルトキサズマブ、ウステキヌマブ、ビジリズマブ、及びインターロイキン-12 p40タンパク質を認識するように遺伝子組換えされた、ヒト配列のみの完全長IgG1λ抗体である抗インターロイキン-12(ABT-874/J695、Wyeth Research及びAbbott Laboratories)が挙げられる。
【0114】
化学療法剤はまた、「EGFR阻害剤」を含み、これは、EGFRに結合するか、又はそうでなければEGFRと直接相互作用し、EGFRのシグナル伝達活性を阻害又は低減する化合物を指し、「EGFRアンタゴニスト」と代替的に呼ばれる。このような薬剤の例としては、EGFRに結合する抗体及び低分子が挙げられる。EGFRに結合する抗体の例としては、以下のものが挙げられる:MAb 579(ATCC CRL HB 8506)、MAb 455(ATCC CRL HB8507)、MAb 225(ATCC CRL 8508)、MAb 528(ATCC CRL 8509)(米国特許第4,943,533号、Mendelsohn et al.を参照)及びそのバリアント、例えばキメラ化225(C225又はセツキシマブ;ERBUTIX(登録商標))及びリシェイプヒト225(H225)(国際公開第96/40210号、Imclone Systems Inc.を参照);完全ヒトEGFR標的化抗体IMC-11F8(Imclone);II型突然変異体EGFRを結合する抗体(米国特許第5,212,290号);米国特許第5,891,996号に記載されているようなEGFRを結合するヒト化抗体及びキメラ抗体;及びABX-EGF又はPanitumumabのようなEGFRと結合するヒト抗体(国際公開第98/50433号、Abgenix/Amgenを参照);EMD 55900(Stragliottoら、Eur.J.Cancer 32A:636-640(1996));EGFR結合のためにEGF及びTGF-αの両方と競合するEGFRに対するヒト化EGFR抗体であるEMD7200(マツズマブ)(EMD/Merck);ヒトEGFR抗体、HuMax-EGFR(GenMab);E1.1、E2.4、E2.5、E6.2、E6.4、E2.11、E6.3及びE7.6.3として知られており米国特許第6,235,883号に記載される完全ヒト抗体;MDX-447(Medarex Inc);及びmAb 806又はヒト化mAb 806(Johns et al.,J.Biol.Chem.279(29):30375-30384(2004))。抗EGFR抗体は、細胞傷害性薬剤にコンジュゲートされ、それにより免疫コンジュゲートを生成し得る(例えば、欧州特許出願公開第659,439A2号、Merck Patent GmbHを参照されたい)。EGFRアンタゴニストは、米国特許第5,616,582号、同第5,457,105号、同第5,475,001号、同第5,654,307号、同第5,679,683号、同第6,084,095号、同第6,265,410号、同第6,455,534号、同第6,521,620号、同第6,596,726号、同第6,713,484号、同第5,770,599号、同第6,140,332号、同第5,866,572号、同第6,399,602号、同第6,344,459号、同第6,602,863号、同第6,391,874号、同第6,344,455号、同第5,760,041号、同第6,002,008号、及び同第5,747,498号、並びに以下のPCT公報:国際公開第98/14451号、同第98/50038号、同第99/09016号、及び同第99/24037号に記載の化合物等の小分子を含む。特定の低分子EGFRアンタゴニストとしては、OSI-774(CP-358774、エルロチニブ、TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharmaceuticals)、PD183805(CI1033、2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]-、ジヒドロクロリド、Pfizer Inc.)、ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルホリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca)、ZM105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン、Zeneca)、BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim)、PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール)、(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン)、CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチンアミド)、EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブチンアミド)(Wyeth)、AG1478(Pfizer)、AG1571(SU5271、Pfizer)、及び二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016又はN-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6[5[[[2メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリンアミン)が挙げられる。
【0115】
化学療法剤としては、「チロシンキナーゼ阻害剤」、例えば、前段落に記載のEGFR標的薬物;インスリン受容体チロシンキナーゼの阻害剤、例えば、未分化リンパ腫キナーゼ(Alk)阻害剤、例えば、AF-802(CH-5424802又はアレクチニブとしても知られる)、ASP3026、X396、LDK378、AP26113、クリゾチニブ(XALKORI(登録商標))及びセリチニブ(ZYKADIA(登録商標))等;小分子HER2チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、Takedaから入手可能なTAK165;ErbB2受容体チロシンキナーゼの経口選択的阻害剤であるCP-724,714(Pfizer及びOSI);二重HER阻害剤、例えば、EGFRに優先的に結合するが、HER2及びEGFR過剰発現細胞の両方を阻害するEKB-569(Wyethから入手可能);ラパチニブ(GSK572016、Glaxo-SmithKlineから入手可能);経口HER2及びEGFRチロシンキナーゼ阻害剤;PKI-166(Novartisから入手可能);pan-HER阻害剤、例えば、カネルチニブ(CI-1033、Pharmacia);Raf-1阻害剤、例えば、Raf-1シグナル伝達を阻害するISIS Pharmaceuticalsから入手可能なアンチセンス薬剤ISIS-5132;非HER標的TK阻害剤、例えば、メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標)、Glaxo SmithKlineから入手可能);多標的チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizerから入手可能);VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、バタラニブ(PTK787/ZK222584、Novartis/Schering AGから入手可能);MAPK細胞外制御キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmaciaから入手可能);キナゾリン、例えば、PD 153035,4-(3-クロロアニリノ)キナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;ピロロピリミジン、例えば、CGP 59326、CGP 60261、及びCGP 62706;ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含有するチルホスチン;PD-0183805(Warner-Lamber);アンチセンス分子(例えば、HERコード核酸に結合するもの);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(tryphostin)(米国特許第5,804,396号);ZD6474(Astra Zeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);pan-HER阻害剤、例えば、CI-1033(Pfizer);Affinitac(ISIS 3521;Isis/Lilly);メシル酸イマチニブ(GLEEVEC(登録商標));PKI 166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);セマキシニブ(Pfizer);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1C11(Imclone)、ラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標);又は以下の特許公報:米国特許第5,804,396号、国際公開第1999/09016号(American Cyanamid)、同第1998/43960号(American Cyanamid)、同第1997/38983号(Warner Lambert)、同第1999/06378号(Warner Lambert)、同第1999/06396号(Warner Lambert)、同第1996/30347号(Pfizer,Inc)、同第1996/33978号(Zeneca)、同第1996/3397号(Zeneca)及び同第1996/33980号(Zeneca)のいずれかに記載されるものが挙げられる。
【0116】
化学療法剤としては、デキサメタゾン、インターフェロン、コルヒチン、メトプリン、シクロスポリン、アンホテリシン、メトロニダゾール、アレムツズマブ、アリトレチノイン、アロプリノール、アミホスチン、三酸化ヒ素、アスパラギナーゼ、BCG生、ベバシズマブ、ベキサロテン、クラドリビン、クロファラビン、ダルベポエチンアルファ、デニロイキン、デクスラゾキサン、エポエチンアルファ、エルロチニブ、フィルグラスチム、酢酸ヒストレリン、イブリツモマブ、インターフェロンアルファ-2a、インターフェロンアルファ-2b、レナリドミド、レバミゾール、メスナ、メトキサレン、ナンドロロン、ネララビン、ノフェツモマブ、オプレルベキン、パリフェルミン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ペグフィルグラスチム、ペメトレキセド二ナトリウム、プリカマイシン、ポルフィマーナトリウム、キナクリン、ラスブリカーゼ、サルグラモスチム、テモゾロミド、VM-26、6-TG、トレミフェン、トレチノイン、ATRA、バルルビシン、ゾレドロネート、及びゾレドロン酸、並びにそれらの薬学的に許容され得る塩も挙げられる。
【0117】
化学療法剤としては、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、ピバリン酸チクソコルトール、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、リン酸ベタメタゾンナトリウム、デキサメタゾン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルオコルトロン、ヒドロコルチゾン-17-ブチレート、ヒドロコルチゾン-17-バレレート、ジプロピオン酸アクロメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プレドニカルベート、クロベタゾン-17-ブチレート、クロベタゾン-17-プロピオネート、カプロン酸フルオコルトロン、ピバリン酸フルオコルトロン及び酢酸フルプレドニデン;フェニルアラニン-グルタミン-グリシン(FEG)及びそのD異性体型(feG)(IMULAN BioTherapeutics,LLC)等の免疫選択的抗炎症ペプチド(ImSAID);アザチオプリン、シクロスポリン(シクロスポリンA)、D-ペニシラミン、金塩、ヒドロキシクロロキン、レフルノミドミノシクリン、スルファサラジン等の抗リウマチ薬、エタネルセプト(エンブレル)、インフリキシマブ(レミケード)、アダリムマブ(ヒュミラ)、セトリズマブペゴール(シムジア)、ゴリムマブ(シンポニー)等の腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)遮断剤、アナキンラ(キネレット)等のインターロイキン1(IL-1)遮断剤、アバタセプト(オレンンシア)等のT細胞共刺激遮断剤、トシリズマブ(ACTEMERA(登録商標))等のインターロイキン6(IL-6)遮断剤;レブリキズマブ等のインターロイキン13(IL-13)遮断剤;ロンタリズマブ等のインターフェロンアルファ(IFN)遮断剤;rhuMAb Beta7等のベータ7インテグリン遮断剤;抗M1プライム等のIgE経路遮断剤;抗リンホトキシンアルファ(LTa)等の分泌ホモ三量体LTa3及び膜結合ヘテロ三量体LTa1/β2遮断剤;放射性同位体(例えば、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体);チオプラチン、PS-341、フェニルブチレート、ET-18-OCH3、及びファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤(L-739749、L-744832)等の種々の治験薬;ポリフェノール類、例えばケルセチン、レスベラトロール、ピセアタンノール、没食子酸エピガロカテキン、テアフラビン、フラバノール、プロシアニジン、ベツリン酸及びその誘導体;クロロキン等のオートファジー阻害剤;デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(ドロナビノール、MARINOL(登録商標));ベータ-ラパコン;ラパコール;コルチシン;ベツリン酸;アセチルカンプトテシン、スコポレクチン、及び9-アミノカンプトテシン);ポドフィロトキシン;テガフール(UFTORAL(登録商標));ベキサロテン(TARGRETIN(登録商標));クロドロネート(例えば、BONEFOS(登録商標)又はOSTAC(登録商標))、エチドロネート(DIDROCAL(登録商標))、NE-58095、ゾレドロン酸/ゾレドロネート(ZOMETA(登録商標))、アレンドロネート(FOSAMAX(登録商標))、パミドロネート(AREDIA(登録商標))、チルドロネート(SKELID(登録商標))、又はリセドロネート(ACTONEL(登録商標))等のビスホスホネート類;並びに上皮成長因子受容体(EGF-R);THERATOPE(登録商標)ワクチン等のワクチン類;ペリフォシン、COX-2阻害剤(例えば、セレコキシブ又はエトリコキシブ)、プロテオソーム阻害剤(例えば、PS341);CCI-779;チピファニブ(R11577);オラフェニブ、ABT510;オブリメルセンナトリウム(GENASENSE(登録商標))等のBcl-2阻害剤;ピクサントロン;ロナファルニブ(SCH 6636、SARASARTM)等のファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤;並びに上記のうちのいずれかの薬学的に許容され得る塩、酸、又は誘導体;並びにシクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、及びプレドニゾロンの併用療法の略語であるCHOP;及び5-FU及びロイコボリンと組み合わせたオキサリプラチン(ELOXATIN(商標))を用いた治療レジメンの略語であるFOLFOXのうち2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0118】
化学療法剤としてはまた、鎮痛効果、解熱効果、及び抗炎症効果を有する非ステロイド抗炎症薬が挙げられ得る。NSAIDには、酵素シクロオキシゲナーゼの非選択的阻害剤が含まれる。NSAIDの具体的な例としては、アスピリン、プロピオン酸誘導体、例えば、イブプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、及びナプロキセン、酢酸誘導体、例えば、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、ジクロフェナク、エノール酸誘導体、例えば、ピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、及びイソキシカム、フェナム酸誘導体、例えば、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、トルフェナム酸、並びにCOX-2阻害剤、例えば、セレコキシブ、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブが挙げられる。NSAIDは、リウマチ性関節炎、変形性関節炎、炎症性関節症、強直性脊椎症、乾癬性関節炎、ライター症候群、急性痛風、月経困難症、転移性骨痛、頭痛、及び片頭痛、術後痛、炎症及び組織傷害に起因する軽度から中度の疼痛、発熱、腸閉塞、及び腎疝痛などの病態の症状緩和のために示され得る。
【0119】
化合物、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体若しくはPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)、又はその組成物(例えば、医薬組成物)の「有効量」は、所望の治療結果、例えば、特定の疾患又は障害(例えば、がん、例えば、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC)))の全生存期間又は無増悪生存期間の測定可能な増加を達成するために必要な少なくとも最小量である。本明細書における有効量は、患者の疾患状態、年齢、性別、及び体重、並びに対象における所望の応答を誘発する抗体の能力等の要因に応じて異なり得る。有効量は、治療上有益な作用が治療の任意の毒性作用又は有害作用を上回るものでもある。予防的使用のための有益な又は所望の結果には、疾患の生化学的、組織学的及び/又は行動学的症状、その合併症、及び疾患の発症中に現れる中間的な病理学的表現型を含む、リスクの除去又は軽減、重症度の軽減、又は疾患の発症の遅延などの結果が含まれる。治療的な使用のために、有益な又は所望の結果には、疾患に起因する1つ又は複数の症状の減少(例えば、がん関連疼痛、症候性骨格関連事象(SSE)の減少又は遅延、European Organization for Research and Treatment of Cancer Quality-of-Life Questionnaire(EORTC QLQ-C30、例えば、疲労、悪心、嘔吐、疼痛、呼吸困難、不眠症、食欲不振、便秘、下痢、又は身体的感情、認知、若しくは社会的機能の一般的レベル)による症状の減少、例えば、10ポイントの疼痛重症度(最悪の場合に測定)の数値評価尺度(NRS)によって測定される疼痛の減少、及び/又は肺がんにおける症状(SILC)尺度(例えば、咳呼吸困難及び胸痛における悪化までの時間(TTD))によって評価される健康関連生活の質(HRQoL)アンケートによる肺がんに関連する症状の減少などの臨床結果、疾患に罹患している人の生活の質の増加、疾患を治療するために必要な他の薬物の用量の減少、標的化などによる別の薬物の効果の増強、疾患の進行の遅延(例えば、無増悪生存期間又は放射線無増悪生存期間(rPFS);明確な臨床的進行(例えば、がん関連疼痛の進行、症候性の骨格関連事象、Eastern Cooperative Group Oncology Group(ECOG)Performance Status(PS)の低下(例えば、疾患が患者の日常生活能力にどのように影響するか)、及び/又は次の全身性抗がん療法の開始)の遅延、及び/又は肺特異的抗原進行までの時間の遅延)、及び/又は生存期間の延長が含まれる。がん又は腫瘍の場合、有効量の薬物は、がん細胞の数を減少させ、腫瘍サイズを低減させ、がん細胞の末梢器官への浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅らせるか、又は望ましくは停止し)、腫瘍転移を阻害し(すなわち、ある程度遅らせるか、又は望ましくは停止し)、腫瘍成長をある程度阻害し、かつ/又は障害に関連する症候のうちの1つ以上をある程度軽減する効果を有し得る。有効量は、1回の投与でも、複数回の投与でもよい。本発明では、薬物、化合物、又は医薬組成物の有効量は、予防的又は治療的治療を直接又は間接的に達成するのに十分な量である。臨床分野において理解されるように、薬物、化合物、又は医薬組成物の有効量は、別の薬物、化合物、又は医薬組成物と併せて達成されてもされなくてもよい。したがって、「有効量」は、1つ以上の治療剤の投与との関連で考慮することができ、単剤は、1つ以上の他の薬剤と併せて、望ましい結果が達成され得るか、又は達成される場合、有効量で与えられると見ることができる。
【0120】
本明細書中で使用される場合、用語「進行性の食道扁平上皮癌腫」又は「進行性のESCC」は、America Joint Committee on Cancer/Union for International Cancer Control.8th EditionによるステージII以上のESCCをいう。例えば、Rice et al.Ann.Cardiothorac.Surg.2017,6(2):119-130を参照のこと。いくつかの事例では、進行性のESCCは、ステージII ESCC(例えば、ステージIIA ESCC又はステージIIB ESCC)である。いくつかの事例では、進行性のESCCは、ステージIII ESCC(例えば、ステージIIIA ESCC又はステージIIIB ESCC)である。いくつかの事例では、進行性のESCCは、ステージIV ESCC(例えば、IVA ESCC又はIVB ESCC(例えば、SCLN転移を伴うIVB ESCC))である。
【0121】
本明細書で使用される場合、「手術が不適切である進行性のESCCを有する対象」は、手術(例えば、ESCCの外科的切除)が選択肢ではない進行性のESCCを有する対象を指す。例えば、進行性のESCCは切除不能であり得る。
【0122】
本明細書中で使用される場合、用語「非進行性の食道扁平上皮癌腫」又は「非進行性のESCC」は、America Joint Committee on Cancer/Union for International Cancer Control.8th EditionによるステージII未満のESCC(例えば、ステージ0又はステージI(例えば、ステージIA又はステージIB)を指す。例えば、Rice et al.Ann.Cardiothorac.Surg.2017,6(2):119-130を参照のこと。
【0123】
「免疫原性」とは、免疫応答を誘発する特定の物質の能力を指す。腫瘍は、免疫原性であり、腫瘍免疫原性を増強させることは、免疫応答による腫瘍細胞の排除を助ける。腫瘍免疫原性を増強する例としては、限定されるものではないが、TIGIT及び/又はPD-L1アンタゴニスト(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又は抗PD-L1抗体)による治療が挙げられる。
【0124】
「個々の応答」又は「応答」は、限定されないが、(1)疾患進行(例えば、がんの進行、例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))のある程度の阻害(減速及び完全停止が含まれる);(2)腫瘍サイズの縮小;(3)隣接する末梢臓器及び/又は組織へのがん細胞浸潤の抑制(すなわち、減少、減速又は完全停止);(4)転移の阻害(すなわち、減少、減速又は完全停止);(5)疾患又は障害に関連する1つ又は複数の症候(例えば、がん、例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))のある程度の軽減;(6)全生存及び無増悪生存期間を含む生存期間の増大又は延長;及び/又は(9)治療後の所与の時点での死亡率の低下を含む、対象に対する利益を示す任意の評価項目を使用して評価することができる。
【0125】
本明細書で使用される場合、「完全奏功」又は「CR」は、全標的病巣の消滅を指す。
【0126】
本明細書で使用される場合、「部分奏功」又は「PR」は、ベースラインSLDを参照として、標的病巣の最長径の合計(SLD)における少なくとも30%の低下を指す。
【0127】
本明細書で使用する場合、「客観的奏効」(ORR)とは、完全奏功(CR)率と、部分奏功(PR)率との和を意味する。
【0128】
本明細書で使用される場合、「客観的奏効期間」(DOR)は、実証された客観的奏効の最初の発生から、治療の最後の用量の30日間以内の疾患進行又は任意の原因による死のいずれか最初に発生した方までの時間として定義される。
【0129】
「持続的応答」とは、治療の休止後に腫瘍成長を低減させることに対する持続的効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、投与期の開始時のサイズと比較して同じままであるか、又はより小さくなり得る。いくつかの実施形態では、持続的応答は、治療期間と少なくとも同じ期間、治療期間の少なくとも1.5倍、2.0倍、2.5倍又は3.0倍の期間を有する。
【0130】
医薬を用いた治療に対する対象の「有効な応答」又は対象の「応答性」及び類似の単語は、がんなどの疾患若しくは障害の危険性があるか又はそれを患う対象に付与される臨床的又は治療的有益性を指す。一実施形態において、そのような利益には、生存期間(全生存期間及び無増悪生存期間を含む)を延長すること、客観的奏効(完全奏効若しくは部分奏効を含む)をもたらすこと、又はがんの徴候若しくは症候を改善することのいずれか1つ又は複数が含まれる。
【0131】
治療に「有効な応答を示さない」対象とは、生存期間(全体的な生存及び無増悪生存期間を含む)が延長すること、客観的奏効(完全奏効若しくは部分奏効を含む)がもたらされること、又はがんの兆候又は症候が改善されることのうちのいずれも有さない対象を指す。
【0132】
本明細書で使用される場合、「生存」という用語は、患者が生存していることを指し、全生存、及び無増悪生存期間を含む。
【0133】
本明細書で使用される場合、「全生存」(OS)は、特定の期間、例えば診断又は治療の時点から1年又は5年後に生存している群の対象の割合を指す。
【0134】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存期間」(PFS)は、治療中及び治療後に、治療されている疾患(例えば、がん、例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行製の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))が悪化しない期間の長さを指す。無増悪生存期間は、患者が完全寛解又は部分寛解を経験した時間の量、並びに患者が安定した疾患を経験した時間の量を含み得る。
【0135】
本明細書で使用される場合、「安定疾患」又は「SD」は、治療開始以降の最小SLDを基準として、PRと言えるほどの十分な標的病変の収縮も、PDと言えるほどの十分な増加もないことを指す。
【0136】
本明細書で使用される場合、「進行性疾患」又は「PD」とは、治療開始以降、又は1つ以上の新たな病変の存在以降、記録された最小SLDを基準として、標的病変のSLDの少なくとも20%の増加を指す。
【0137】
本明細書で使用される場合、障害又は疾患の「進行を遅延させる」とは、疾患又は障害(例えば、がん、例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行製の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))の発症を延滞、妨害、遅延、安定化、及び/又は延期することを意味する。この遅延は、病歴及び/又は治療されている対称に応じて様々な期間のものであり得る。当業者に明らかであるように、十分な又は著しい遅延は、対象が疾患を発症しないという点で、予防を事実上包含し得る。例えば、後期がんでは、中枢神経系(CNS)転移の発生が遅延し得る。
【0138】
本明細書で使用される場合、「がん再発を低減又は阻害する」という用語は、腫瘍若しくはがんの再発、又は腫瘍若しくはがんの進行を低減又は阻害することを意味する。
【0139】
「低減する又は阻害する」とは、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又はそれ以上の全体的な減少をもたらす能力を意味する。「低減する又は阻害する」は、治療されている障害の症候(例えば、がん、例えば、進行性のESCC(例えば、がん、例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行製の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))、転移の存在若しくはサイズ、又は原発腫瘍のサイズを指し得る。
【0140】
「生存延長」による意味は、治療されていない患者に対して(例えば、医薬で治療されていない患者に対して)、又は指定されたレベルでバイオマーカーを発現しない患者に対して、かつ/又は承認済み抗腫瘍剤で治療された患者に対して、治療された患者における全生存期間又は無増悪生存期間が増加することである。客観的奏効は、完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)を含む測定可能な応答を指す。
【0141】
本明細書で使用される場合、「Ventana SP263 IHCアッセイ」(本明細書では Ventana SP263 CDxアッセイとも呼ばれる)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるVentana PD-L1(SP263)アッセイ添付文書(Tucson,AZ:Ventana Medical Systems,Inc.)に従って行われる。
【0142】
本明細書で使用される場合、「Ventana SP142 IHCアッセイ」は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるVentana PD-L1(SP142)アッセイ添付文書(Tucson,AZ:Ventana Medical Systems,Inc.)に従って行われる。
【0143】
本明細書で使用される場合、「pharmDx 22C3 IHCアッセイ」は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるPD-L1 IHC 22C3 pharmDx添付文書(Carpinteria,CA:Dako,Agilent Pathology Solutions)に従って行われる。
【0144】
「腫瘍浸潤免疫細胞」とは、本明細書で使用される場合、腫瘍又はその試料中に存在する任意の免疫細胞を指す。腫瘍浸潤免疫細胞としては、腫瘍内免疫細胞、腫瘍周辺免疫細胞、他の腫瘍間質細胞(例えば、線維芽細胞)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。かかる腫瘍浸潤免疫細胞は、例えばTリンパ球(CD8+Tリンパ球及び/又はCD4+Tリンパ球など)、Bリンパ球、又は顆粒球(例えば、好中球、好酸球、及び好塩基球)、単球、マクロファージ、樹状細胞(例えば、互いに組み合う樹状細胞)、組織球、及びナチュラルキラー細胞を含む他の骨髄系細胞であり得る。
【0145】
本明細書で使用される「バイオマーカー」という用語は、試料中で検出され得る指標、例えば、予測指標、診断指標、及び/又は予後指標を指す。バイオマーカーは、特定の、分子的、病理学的、組織学的及び/又は臨床的な特性を特徴とする疾患又は障害(例えば、がん、例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行製の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))の特定のサブタイプの指標として役立ち得る。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、遺伝子である。バイオマーカーとしては、ポリペプチド、ポリヌクレオチド(例えば、DNA、及び/又はRNA)、ポリヌクレオチドコピー数の変化(例えば、DNAコピー数)、ポリペプチド及びポリヌクレオチド修飾(例えば、翻訳後修飾)、炭水化物、及び/又は糖脂質ベースの分子マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、バイオマーカーは、PD-L1である。
【0146】
「抗体」という用語は、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体を含む)、ポリエピトープ特異性を有する抗体組成物、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、及び一本鎖分子、並びにFab、F(ab’)2、及びFv等の抗原結合フラグメントを含む抗体フラグメントを含む。「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書において「抗体」と互換的に使用される。
【0147】
基本的な4本の鎖の抗体ユニットは、2本の同一な軽鎖(L)と2本の同一な重鎖(H)とから構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。IgM抗体は、5つの基本的なヘテロ四量体ユニットと併せて、J鎖と呼ばれる追加のポリペプチドからなり、10個の抗原結合部位を含むが、一方でIgA抗体は、2~5個の基本的な4本鎖ユニットから構成されており、このユニットは、重合してJ鎖と組み合わさった多価集合体を形成することができる。IgGの場合、4本鎖ユニットは、一般に、約150,000ダルトンである。各L鎖は、1つのジスルフィド共有結合によってH鎖に連結されているが、一方で2つのH鎖は、H鎖アイソタイプに応じて1つ以上のジスルフィド結合によって互いに連結されている。H鎖及びL鎖はそれぞれ、規則的に離間した鎖内ジスルフィド架橋も有する。各H鎖は、N末端に可変ドメイン(VH)を有し、続いてα鎖及びγ鎖のそれぞれについては3つの定常ドメイン(CH)、並びにμ及びεアイソタイプについては4つのCHドメインを有する。各L鎖は、N末端に可変ドメイン(VL)を有し、続いてその反対側の末端に定常ドメインを有する。VLは、VHと整列しており、CLは、重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)と整列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。VHとVLとが一緒に対合することにより、単一の抗原結合部位を形成する。様々なクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Edition,Daniel P.Sties,Abba I.Terr and Tristram G.Parsolw(eds),Appleton&Lange,Norwalk,CT,1994の71頁及び第 6章を参照されたい。任意の脊椎動物種に由来するL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ及びラムダと呼ばれる2つの明確に異なる種類のうちの1つに割り当てられ得る。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラス又はアイソタイプに割り当てられ得る。免疫グロブリンには5つのクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、それぞれα、δ、ε、γ及びμと呼ばれる重鎖を有する。γ及びαクラスは、更に、CH配列及び機能における比較的わずかな相違に基づいて更にサブクラスに分類され、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2を発現する。
【0148】
「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列が超可変性であり、かつ/又は構造的に定義されたループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体は、VHに3つ(H1、H2、H3)及びVLに3つ(L1、L2、L3)の、6つのHVRを含む。天然抗体では、H3及びL3が、6つのHVRのうちで最も高い多様性を示し、特にH3が抗体に優れた特異性を与える上で特有の役割を果たすと考えられている。例えば、Xu et al.,Immunity 13:37-45(2000);Johnson and Wu,in Methods in Molecular Biology 248:1-25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)を参照されたい。実際に、重鎖のみからなる、天然に存在するラクダ抗体は、軽鎖の非存在下で機能的であり、安定している。例えば、Hamers-Casterman et al.,Nature 363:446-448(1993);Sheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733-736(1996)を参照されたい。
【0149】
いくつかのHVR描写が本明細書で使用され、本明細書に包含されている。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列可変性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD.(1991))。代わりに、Chothiaは、構造的ループの位置を指す(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。AbM HVRは、KabatのHVRとChothiaの構造的ループとの間の折衷物を表し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用されている。「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらHVRの各々に由来する残基が、以下に示される。
【表0】
【0150】
HVRは、以下のように「拡張HVR」を含んでもよい:VLにおいて、24~36又は24~34(L1)、46~56又は50~56(L2)及び89~97又は89~96(L3)、並びにVHにおいて、26~35(H1)、50~65又は49~65(H2)及び93~102、94~102、又は95~102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの定義の各々について、Kabat et al.(上記参照)に従って番号付けされる。
【0151】
「Kabatにあるような可変ドメイン残基ナンバリング」又は「Kabatにあるようなアミノ酸位置ナンバリング」という表現、及びそれらの変形形態は、上記のKabatらにおける抗体の編成において重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用されているナンバリング方式を指す。このナンバリングシステムを使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはHVRの短縮、又はそれへの挿入に対応する、より少ないアミノ酸又は追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入(Kabatに従った残基52a)を含み、重鎖FR残基82の後に挿入された残基(例えば、Kabatに従った残基82a、82b、及び82c等)を含み得る。残基のKabatナンバリングは、所与の抗体に対して、抗体の配列と「標準の」Kabatによってナンバリングされた配列との相同領域での整列によって決定され得る。
【0152】
「可変」という用語は、可変ドメインの特定のセグメントが、配列において抗体間で広範囲にわたって異なるという事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原に対する特異性を規定する。しかしながら、可変性は、可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。むしろ、それは、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインにおいて、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは各々、ベータ-シート構造を接続し、かついくつかの場合では、ベータ-シート構造の一部を形成するループを形成する3つのHVRによって接続されたベータシート立体配置を大いに採用する4つのFR領域を含む。各鎖内のHVRは、FR領域によって近接して互いに結び付いており、他方の鎖のHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)を参照されたい)。定常ドメインは、抗原への抗体の結合に直接関与しないが、抗体依存性細胞毒性における抗体の関与など、様々なエフェクター機能を示す。
【0153】
抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」は、抗体の重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」及び「VL」と称されてもよい。これらのドメインは、一般に、抗体の最も可変性の高い部分であり(同じクラスの他の抗体と比べて)、抗原結合部位を含有する。
【0154】
「フレームワーク」又は「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン:FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般的に、VH(又はVL)中において以下の配列で現れる:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
【0155】
「完全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、抗体フラグメントとは対照的に、その実質的にインタクトな形態にある抗体を指して互換的に使用される。具体的には、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列の定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列バリアントであり得る。一部の場合では、インタクトな抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有し得る。
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部分、好ましくは、インタクトな抗体の抗原結合領域及び/又は可変領域を含む。抗体フラグメントの例として、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFvフラグメント;ダイアボディ;線状抗体(米国特許第5,641,870号の実施例2;Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995)
【0156】
を参照されたい);一本鎖抗体分子;及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。抗体のパパイン消化により、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一な抗原結合フラグメントと、容易に結晶化する能力を反映して表記される残りの「Fc」フラグメントとが得られた。Fabフラグメントは、L鎖全体と共にH鎖の可変領域ドメイン(VH)、並びに1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。各Fabフラグメントは、抗原結合に関しては一価である、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン治療により、単一の大きなF(ab’)2フラグメントが得られ、これは、異なる抗原結合活性を有する2つのFabフラグメントがジスルフィド結合したものにほぼ相当し、依然として抗原に架橋することが可能である。Fab’フラグメントは、抗体のヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含め、CH1ドメインのカルボキシ末端に数個の追加の残基を有することが、Fabフラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を有するFab’の本明細書における名称である。F(ab’)2抗体フラグメントは、元来、間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの対として産生されたものであった。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも公知である。
【0157】
Fcフラグメントは、ジスルフィドによって一緒に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域における配列によって決定され、この領域はまた、ある特定の細胞型に見られるFc受容体(FcR)によって認識される。
【0158】
本発明の抗体の「機能性フラグメント」は、インタクトな抗体の一部分を含み、これには、概して、インタクトな抗体の抗原結合領域若しくは可変領域、又はFcR結合能力を保持するか若しくは修飾されたFcR結合能力を有する抗体のFc領域が含まれる。抗体フラグメントの例としては、線形抗体、一本鎖抗体分子、及び抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0159】
「Fv」とは、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体フラグメントである。このフラグメントは1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインが、非共有結合で緊密に結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みから、抗原結合のアミノ酸残基に寄与し、抗体に抗原結合特異性を与える6つの超可変ループ(H鎖とL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、全結合部位よりも低い親和性であるが、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的なHVRを3つしか含まないFvの半分)でさえも、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
【0160】
「sFv」又は「scFv」とも略される「一本鎖Fv」は、接続されて単一のポリペプチド鎖となったVH及びVL抗体ドメインを含む抗体フラグメントである。好ましくは、sFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含んでおり、このリンカーにより、sFvが抗原結合に望ましい構造を成すことが可能となっている。sFvの概説については、PluckthunのThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies、第113巻、Rosenburg及びMoore編、Springer-Verlag、New York、269~315頁(1994)を参照されたい。
【0161】
本明細書における「Fc領域」という用語は、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義して使用され、天然配列のFc領域及びバリアントFc領域が含まれる。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、Cys226位のアミノ酸残基から、又はPro230から、そのカルボキシル末端まで伸びると定義される。Fc領域のC末端リジン(EUナンバリングシステムによる残基447)は、例えば、抗体の産生若しくは精製の間に、又は抗体の重鎖をコードする核酸を組み換え操作することによって取り除かれ得る。したがって、インタクトな抗体の組成物は、全てのK447残基が除かれた抗体集団、K447残基が除かれていない抗体集団、及びK447残基を有する抗体と有さない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。本発明の抗体における使用に好適な天然配列のFc領域には、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3、及びIgG4が挙げられる。本明細書で特に明記されない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載されるような、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)に従う。
【0162】
「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRは、天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、これには、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体(これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び代替的にはスプライス型を含む)が含まれ、FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは、主にそれらの細胞質ドメインが異なる、同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン内に免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(ITIM)を含有する(例えば、M.Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)を参照されたい)。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25-34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)に概説されている。今後特定されるものを含む他のFcRは、本明細書において「FcR」という用語により包含されている。
【0163】
「ダイアボディ」という用語は、鎖内ではなく鎖間のVドメイン対合を達成し、それによって二価フラグメント、すなわち、2つの抗原結合部位を有するフラグメントが得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5~10個の残基)を用いてsFvフラグメント(前の段落を参照されたい)を構築することによって調製された小さな抗体フラグメントを指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHドメイン及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖に存在している、2つの「交差」sFvフラグメントのヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号、国際公開第93/11161号;Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)により詳細に記載されている。
【0164】
本明細書におけるモノクローナル抗体には、具体的には、重鎖及び/又は軽鎖の一部分が、特定の種に由来するか、又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である一方で、鎖(複数可)の残りの部分が、別の種に由来するか、又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体内の対応する配列と同一又は相同である「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びに所望の生物学的活性を呈する限り、そのような抗体のフラグメントが含まれる(米国特許第4,816,567号;Morrisonら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6851~6855(1984))。本明細書における目的のキメラ抗体としては、PRIMATIZED(登録商標)抗体が含まれ、ここで、この抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルに目的の抗原で免疫付与を行うことによって産生される抗体に由来する。本明細書に使用されるとき、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0165】
抗体の「クラス」とは、その重鎖によって保有される定常ドメイン又は定常領域の型を指す。抗体には、次の5種類の主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMがあり、これらのうちのいくつかは、下位クラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2に更に分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
【0166】
「親和性」は、分子(例えば、抗体、例えばTIGIT又はPD-L1)の単一の結合部位とその結合相手(例えば、抗原)との間の、合計の非共有性相互作用の強度を指す。別途示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子Xの、そのパートナーYに対する親和性は一般に、解離定数(KD)によって表し得る。親和性は、本明細書に記載される方法を含む、当技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。結合親和性を測定するための具体的な説明的かつ例示的な実施形態が以下に記載される。
【0167】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生された抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、及び/又は本明細書に開示されるヒト抗体を作製する技法の内の任意のものを用いて作製された抗体である。このヒト抗体の定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を特定的に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む、当技術分野で既知の様々な技法を使用して生成することができる。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985);Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)に記載されている方法も、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である。van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.,5:368-74(2001)も参照されたい。ヒト抗体は、抗原投与に応答してこのような抗体を産生するよう改変されているが、その内在性遺伝子座は無能になっているトランスジェニック動物、例えば免疫化ゼノマウスに抗原を投与することによって調製することが可能である(例えば、XENOMOUSE(商標)技術に関する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号を参照されたい)。また、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により産生されるヒト抗体については、例えば、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)を参照されたい。
【0168】
「ヒト化」型の非ヒト(例えば、マウス)抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小の配列を含有するキメラ抗体である。一実施形態では、ヒト化抗体は、レシピエントのHVR(以下に定義される)からの残基が、所望される特異性、親和性、及び/又は能力を有するマウス、ラット、ウサギ、又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)のHVRからの残基で置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク(「FR」)残基は、対応する非ヒト残基で置き換えられている。さらに、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含んでいてもよい。これらの修飾は、結合親和性など、抗体の性能を更に改良するために行われ得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むものとし、ここで、超可変ループの全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、FR領域の全て又は実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のものに対応するが、FR領域には、結合親和性、異性体化、免疫原性等の抗体の性能を向上させる1つ以上の個々のFR残基置換が含まれてもよい。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は、通常、H鎖で6個以下、L鎖で3個以下である。ヒト化抗体は、任意に、免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的には、ヒト免疫グロブリンのFcの少なくとも一部も含む。さらなる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。例えば、Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma&Immunol.1:105-115(1998);Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035-1038(1995);Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428-433(1994);並びに米国特許第6,982,321号及び同第7,087,409号を参照されたい。
【0169】
「単離された抗体」という用語は、本明細書に開示される様々な抗体を説明するために使用されるとき、抗体が発現された細胞又は細胞培養物から特定され、分離及び/又は回収された抗体を意味する。その天然環境の混入成分は、典型的にはポリペプチドの診断的又は治療的使用を妨害する材料であり、酵素、ホルモン、及び他のタンパク質性又は非タンパク質性溶質を含み得る。いくつかの実施形態では、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動(IEF)、キャピラリー電気泳動)又はクロマトグラフ(例えば、イオン交換又は逆相HPLC)によって決定される、95%超又は99%超の純度まで精製される。抗体純度の評価のための方法の総説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B 848:79-87(2007)を参照されたい。好ましい実施形態では、抗体は、(1)スピニングカップシークエネーター(spinning cup sequenator)を使用してN末端若しくは内部アミノ酸配列の少なくとも15個の残基を得るのに十分な程度まで、又は(2)クマシーブルー若しくは好ましくは銀染色を使用して非還元条件又は還元条件下でSDS-PAGEによって均質になるまで精製される。単離された抗体としては、組み換え細胞内のin situの抗体が挙げられるが、これは、ポリペプチド天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないためである。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドは、少なくとも1つの精製ステップにより調製される。
【0170】
本明細書に使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体を指す、すなわち、その集団に含まれる個々の抗体は、微量で存在し得る可能性のある自然に発生する突然変異及び/又は翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除き、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位に対して指向されている。異なる決定基(エピトープ)を対象とする異なる抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を対象としている。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ培養により合成され、他の免疫グロブリンが混入していないという点で、有利である。「モノクローナル」という修飾語は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、例えば、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein.,Nature,256:495-97(1975);Hongo et al.,Hybridoma,14(3):253-260(1995),Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2nd ed.1988);Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)、ファージディスプレイ技術(例えば,Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)を参照)、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座又はヒト免疫グロブリン配列をコードする遺伝子の一部又は全てを有する動物において、ヒト又はヒト様抗体を産生するための技術(例えば、国際公開第1998/24893号、同第1996/34096号、同第1996/33735号、同第1991/10741号、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255-258(1993);Bruggemann et al.,Year in Immunol.7:33(1993);米国特許第5,545,807号;同第5,545,806号;同第5,569,825号;同第5,625,126号;同第5,633,425号;及び同第5,661,016号;Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992);Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994);Morrison,Nature 368:812-813(1994);Fishwild et al.,Nature Biotechnol.14:845-851(1996);Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996);及びLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)を参照)によって作製され得る。
【0171】
本明細書に使用されるとき「結合する」、「~に特異的に結合する」、又は「~に特異的である」という用語は、標的と抗体との間の結合など、測定可能かつ再生可能な相互作用を指し、これは、生体分子を含む分子の異種集団の存在下において、標的の存在を決定づける。例えば、標的(これはエピトープであり得る)に特異的に結合する抗体は、他の標的に結合するよりも高い親和性、結合力で、より容易に、及び/又はより長い持続時間でこの標的に結合する、抗体である。一実施形態では、抗体が無関係の標的に結合する程度は、放射免疫測定法(RIA)によって測定した場合に、標的に対する抗体の結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、標的に特異的に結合する抗体は、≦1μM、≦100nM、≦10nM、≦1nM、又は≦0.1nMの解離定数(KD)を有する。特定の実施形態では、抗体は、異なる種由来のタンパク質間で保存されるタンパク質上のエピトープに特異的に結合する。別の実施形態では、特異的結合は、排他的結合を含むことができるが、必須ではない。本明細書で使用される用語は、例えば、10-4M以下、若しくは10-5M以下、若しくは10-6M以下、若しくは10-7M以下、若しくは10-8M以下、若しくは10-9M以下、若しくは10-10M以下、若しくは10-11M以下、若しくは10-12M以下の標的に対するKD、又は10-4M~ 10-6M若しくは10-6M~10-10M若しくは10-7M~10-9Mの範囲のKDを有する分子によって示され得る。当業者には理解されるように、親和性及びKD値は逆相関する。抗原に対する高い親和性は、低いKD値により測定される。一実施形態では、「特異的結合」という用語は、分子が、いずれの他のポリペプチド又はポリペプチドエピトープにも実質的に結合することなく、特定のポリペプチド上の特定のポリペプチド又はエピトープに結合する場合の結合を指す。
【0172】
基準となるポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、配列同一性最大パーセントが得られるように、配列をアライメントし、必要に応じてギャップを導入した後に、いかなる保存的置換も配列同一性の部分として考慮せずに、基準となるポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列におけるアミノ酸残基の割合として定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のための整列は、当技術分野における技術の範囲内にある種々の方法において、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを用いて達成され得る。当業者であれば、比較される配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列のアラインメントのための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書での目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を用いて生成している。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.が作成したものであり、ソースコードは、使用者用書類と共に、米国著作権局、Washington D.C.、20559に提出され、米国著作権登録番号TXU510087として登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.(South San Francisco,California)から公的に入手可能であり、又はそのソースコードからコンパイルし得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含め、UNIXオペレーティングシステムで使用するためにコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムによって設定されており、変わらない。
ALIGN-2がアミノ酸配列比較に用いられる状況では、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、所与のアミノ酸配列Aのアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、アミノ酸配列Bとの、又はアミノ酸配列Bに対する、ある特定のアミノ酸配列同一性%を有する又は含む、所与のアミノ酸配列Aとして記述され得る)は、以下のように計算される:
100×分数X/Y
式中、Xは、配列アラインメントプログラムALIGN-2によって、そのプログラムのAとBのアラインメントにおいて同一のマッチとしてスコア付けされたアミノ酸残基の数であり、Yは、B中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さに等しくない場合、A対Bの%アミノ酸配列同一性は、B対Aの%アミノ酸配列同一性に等しくないことが理解されよう。特に明記しない限り、本明細書で使用される全ての%アミノ酸配列同一性の値は、ALIGN-2コンピュータプログラムを使用して直前の段落に記載されているように得られる。
【0173】
本明細書に使用されるとき、「対象」又は「個体」は、ヒト又は非ヒト哺乳動物、例えば、ウシ、ウマ、イヌ、ヒツジ、又はネコなどを含むがこれらに限定されない、哺乳動物を意味する。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。患者もまた、本明細書における対象である。
【0174】
本明細書で使用される「試料」という用語は、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/又は生理学的特性に基づいて、特徴づけ及び/又は特定される細胞及び/又は他の分子の実体を含有する、目的とする対象及び/若しくは個体から得られるか、又はそれ由来の組成物を指す。例えば、「腫瘍試料」、「疾患試料」という語句及びその変化形は、特徴づけられる細胞及び/又は分子実体を含有することが予期されるか、又は含有することが既知である、目的の対象から得られた任意の試料を指す。いくつかの実施形態では、試料は腫瘍組織試料(例えば、ESCC腫瘍試料、例えば、進行性のESCC腫瘍試料(例えば、局所進行性ESCC腫瘍試料)、切除不能ESCC腫瘍試料(例えば、局所進行性の切除不能ESCC腫瘍組織試料)、再発性又は転移性ESCC腫瘍組織試料、ステージII ESCC腫瘍組織試料、ステージIII ESCC腫瘍組織試料又はステージIV ESCC腫瘍組織試料(例えば、ステージIVA ESCC腫瘍組織試料又はステージIVB ESCC腫瘍組織試料))である。他の試料としては、初代又は培養細胞又は細胞株、細胞上清、細胞溶解物、血小板、血清、血漿、硝子体液、リンパ液、滑液、卵胞液、精液、羊水、乳、全血、血液由来の細胞、尿、脳脊髄液、唾液、痰、涙、汗、粘液、大便、腫瘍溶解物、及び組織培養培地、組織抽出物、例えば、均質化組織、細胞抽出物、並びにそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
「組織試料」又は「細胞試料」は、対象又は個体の組織から得られた同様の細胞の集合を意味する。組織又は細胞試料の供給源は、新鮮な、凍結した、及び/又は保存された器官、組織試料、生検、及び/又は吸引液から等の固形組織;血漿等の血液又は任意の血液構成物;脳脊髄液、羊水、腹水、又は間質液等の体液;対象の妊娠又は発育における任意の時期の細胞であってもよい。組織試料は、初代又は培養細胞又は細胞株であってもよい。任意に、組織又は細胞試料は、疾患組織/器官から得られる。組織試料は、保存剤、抗凝固剤、緩衝液、固定剤、栄養剤、又は抗生物質等の天然の組織と天然では混合しない化合物を含有し得る。
【0176】
本明細書で使用される「参照試料」、「参照細胞」、「参照組織」、「対照試料」、「対照細胞」、又は「対照組織」は、比較目的のために使用される試料、細胞、組織、標準物、又はレベルを指す。一実施形態では、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、同じ対象の身体の健康な及び/又は罹患していない部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。例えば、罹患細胞又は組織に隣接する健康な及び/又は罹患していない細胞又は組織(例えば、腫瘍に隣接する細胞又は組織)。別の実施形態では、参照試料は、同じ対象の身体の治療されていない組織及び/又は細胞から得られる。更に別の実施形態では、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、対象ではない、対象の身体の健康な及び/又は罹患していない部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。更に別の実施形態では、参照試料、参照細胞、参照組織、対照試料、対照細胞、又は対照組織は、対象ではない、個体の身体の未治療な組織及び/又は細胞から得られる。
【0177】
特に断らない限り、本明細書で使用される用語「タンパク質」は、特に明記しない限り、霊長類(例えばヒト)及びげっ歯類(例えばマウス、ラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然タンパク質を指す。この用語は、「完全長」、未処理のタンパク質及び細胞内での処理から生じるタンパク質の任意の形態も含む。この用語は、タンパク質の天然に存在するバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。
【0178】
本明細書で同義に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」とは、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチド若しくは塩基、及び/若しくはそれらの類似体であっても、又はDNA若しくはRNAポリメラーゼによって若しくは合成反応によってポリマーに組み込まれ得る任意の基質であってもよい。したがって、例えば、本明細書で定義されるポリヌクレオチドとしては、一本鎖及び二本鎖DNA、一本鎖及び二本鎖領域を含むDNA、一本鎖及び二本鎖RNA、並びに一本鎖及び二本鎖領域を含むRNA、一本鎖若しくはより典型的には二本鎖を含むか、又は一本鎖及び二本鎖領域を含み得るDNA及びRNAを含むハイブリッド分子が挙げられるが、これらに限定されない。加えて、本明細書で使用される「ポリヌクレオチド」という用語は、RNA若しくはDNA、又はRNA及びDNAの両方を含む三本鎖領域を指す。このような領域内の鎖は、同じ分子由来であり得るか、又は異なる分子由来であり得る。これらの領域は、これらの分子のうちの1つ以上の全てを含み得るが、より典型的には、これらの分子のうちのいくつかの領域のみを含む。三重らせん領域の分子のうちの1つは、多くの場合、オリゴヌクレオチドである。「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、具体的にはmRNA及びcDNAを含む。
【0179】
ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾されたヌクレオチドを含んでもよい。存在する場合には、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアセンブリの前に付与されても、又は後に付与されてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識とのコンジュゲートなどによって、合成後にさらに修飾されてもよい。修飾の他の種類としては、例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上を類似体と置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、非電荷性結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)によるもの、及び電荷性結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)によるもの、懸垂部分、例えばタンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)などを含むもの、インターカレート剤(例えば、アクリジン、ソラレンなど)によるもの、キレート剤(例えば、金属、放射活性金属、ホウ素、酸化金属など)を含むもの、アルキル化剤を含むもの、修飾結合(例えば、アルファアノマー核酸など)によるもの、並びにポリヌクレオチド(複数可)の未修飾形態などが挙げられる。さらに、糖内に通常存在するヒドロキシル基のうちのいずれかは、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により置き換えられるか、標準的な保護基により保護されるか、若しくは活性化されて追加のヌクレオチドへの追加の結合を準備してもよく、又は固体若しくは半固体支持体にコンジュゲートされてもよい。5’及び3’末端OHは、リン酸化され得るか、又はアミン若しくは1~20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換され得る。他のヒドロキシルも、標準的な保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドはまた、当技術分野で公知なリボース糖又はデオキシリボース糖の類似形態も含み得、これらには、例えば、2’-O-メチル-、2’-O-アリル-、2’-フルオロ-、又は2’-アジド-リボース、炭素環糖の類似体、α-アノマ-糖、エピマー糖、例えば、アラビノース、キシロース、又はリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び非塩基性ヌクレオシド類似体、例えば、メチルリボシドが含まれる。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替的な連結基によって置き換えられてもよい。これらの代替的な連結基としては、ホスフェートがP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、’’(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、CO、又はCH2(「ホルムアセタール」)に置き換えられる実施形態が挙げられるが、これらに限定されず、各R又はR’は独立して、Hであるか、又は置換若しくは非置換アルキル(1-20C)(任意に、エーテル(-O-)結合を含む)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、若しくはアラルジルである。ポリヌクレオチドにおける結合全てが同一である必要があるわけではない。前述の説明は、RNA及びDNAを含む本明細書で言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0180】
本明細書で使用される「担体」には、用いられる投与量及び濃度でそれに曝露されている細胞又は哺乳動物にとって無毒である、薬学的に許容され得る担体、賦形剤、又は安定剤が含まれる。多くの場合、生理学的に許容され得る担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容され得る担体の例としては、リン酸、クエン酸、及び他の有機酸などの緩衝液;アスコルビン酸を含む抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む、単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトール若しくはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン;並びに/又はTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)、及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0181】
「薬学的に許容され得る」という語句は、物質又は組成物が、製剤を構成する他の成分及び/又はそれを用いて治療されている哺乳動物と、化学的及び/又は毒物学的に適合しなければならないことを示す。
【0182】
「医薬製剤」という用語は、調製物中に含有される活性成分の生物学的活性が有効になるような形態であり、かつ製剤を投与する対象にとって許容できないほど有毒である更なる構成成分を含有しない調製物を指す。
【0183】
III.第二選択ESCC療法
本発明は、一部には、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗プログラム死リガンド-1(PD-L1)抗体又は抗プログラム死-1(PD-1)抗体)と組み合わせた抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む免疫療法が、食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))の治療において、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある対象又は対象集団において有用であり得るという発見に基づく。いくつかの事例では、最終的化学放射線治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の89日以内(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の88日以内、87日以内、86日以内、85日以内、又は84日以内、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の12週間以内及び5日以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の12週間以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の11週間以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の10週間以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の9週間以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の8週間以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の7週間以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前6週間以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前5週間以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前4週間以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前3週間以内、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前2週間以内、又は抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前1週間以内)に完了した。いくつかの事例では、最終的化学放射線治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の84日以内に完了した。いくつかの事例では、最終的化学放射線治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の47日以内(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の46日以内、45日以内、44日以内、43日以内、又は42日以内)に完了した。いくつかの事例では、最終的化学放射線治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の42日以内完了した。いくつかの事例では、対象又は対象集団が受ける最終的化学放射線治療は、放射線学的疾患進行の証拠なしに、少なくとも2サイクルの化学療法(例えば白金系化学療法)及び放射線療法を含む。本明細書中に記載される方法のいずれかのいくつかの事例では、1回又は複数回の投与サイクル中に、化学療法は、対象又は対象集団に投与されない。いくつかの事例では、対象又は対象集団は、以前にがん免疫療法で治療されたことがない。いくつかの事例では、対象又は対象集団は、ESCCのための以前のがん免疫療法を完了している。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)は、2週間ごと(例えば、各28日間投与サイクルの1日目及び15日目)、3週間ごと(例えば、各21日間投与サイクルの1日目)、又は4週間ごと(例えば、各28日間投与サイクルの1日目)に投与される。
【0184】
一態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約30mg~約600mg、例えば、3週間ごとに約600mg))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約800mg~約1400mg、例えば、3週間ごとに約1200mg))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法を提供する。別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約30mg~約600mg、例えば、3週間ごとに約600mg))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約800mg~約1400mg、例えば、3週間ごとに約1200mg))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、対象又は対象集団が、ESCCに対して最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法を提供する。
【0185】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、2週間ごとに約300mg~約800 mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約420mgの固定用量))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約840mgの固定用量))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法を提供する。別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、2週間ごとに約300mg~約800 mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約420mgの固定用量))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約840mgの固定用量))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、対象又は対象集団が、ESCCに対して最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法を提供する。
【0186】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約840mgの固定用量))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約1680mgの固定用量))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法を提供する。別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、切除不能な局所進行性ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約840mgの固定用量))及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約1680mgの固定用量))の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、対象又は対象集団が、ESCCに対して最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法を提供する。いくつかの事例では、本方法は、3週間ごとに約30mg~約1200mg(例えば、約600mg)の固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び2週間ごとに約200mg~約1200mg(例えば、約840mg)の固定用量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの事例では、本方法は、3週間ごとに約30mg~約1200mg(例えば、約600mg)の固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び4週間ごとに約400mg~約2000mg(例えば、約1680mg)の固定用量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの事例では、本方法は、2週間ごとに約300mg~約800mg(例えば、約420mg)の固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び3週間ごとに約80mg~約1600mg(例えば、約1200mg)の固定用量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの事例では、本方法は、2週間ごとに約300mg~約800mg(例えば、約420mg)の固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び4週間ごとに約400mg~約2000mg(例えば、約1680mg)の固定用量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの事例では、本方法は、4週間ごとに約700mg~約1000mg(例えば、約840mg)の固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び2週間ごとに約200mg~約1200mg(例えば、約840mg)の固定用量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む。いくつかの事例では、本方法は、4週間ごとに約700mg~約1000mg(例えば、約840mg)の固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び3週間ごとに約80mg~約1600mg(例えば、約1200mg)の固定用量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、以前の治療(例えば、以前の最終的化学放射線療法)の結果として疾患進行又は許容できない毒性を経験したことがある。
【0188】
第二選択療法のための治療方法
本明細書中に記載される本発明の治療方法及び使用は、1つの態様において、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団に1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象又は対象集団は、ESCCについての最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある。1回又は複数回の投与サイクルは、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む。
【0189】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごと(Q3W)に約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約30mg~約600mg(例えば、約50mg~600mg、例えば、約60mg~約600mg、例えば、約100mg~約600mg、例えば、約200mg~約600mg、例えば、約200mg~約550mg、例えば、約250mg~約500mg、例えば、約300mg~約450mg、例えば、約350mg~約400mg、例えば、約375mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約600mgの固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに600mgの固定用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)との併用治療)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の固定用量は、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して減少し得る。
【0190】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、2週間ごとに(Q2W)約10mg~約1000mg(例えば、約20mg~約1000mg、例えば、約50mg~約900mg、例えば、約100mg~約850mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約600mg、例えば、約400mg~約500mg、例えば、約405mg~約450mg、例えば、約410mg~約430mg、例えば、約420mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、2週間ごとに約420mg(例えば、420mg±10mg、例えば、420±6mg、例えば、420±5mg、例えば、420±3mg、例えば、420±1mg、例えば、420±0.5mg、例えば、2週間ごとに420mg)の固定用量である。
【0191】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、4週間ごとに(Q4W)約200mg~約2000mg(例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約250mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1500mg、例えば、約500mg~約1400mg、例えば、約600mg~約1200mg、例えば、約700mg~約1100mg、例えば、約800mg~約1000mg、例えば、約800mg~約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、4週間ごとに約840mg(例えば、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、4週間ごとに840mg)の固定用量である。
【0192】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに約80mg~約1600mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200mg)の固定用量である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、3週間ごとに約1200mgの固定用量のアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、3週間ごとに約200mgの固定用量のペムブロリズマブであるか、あるいは、6週間ごとに約400mgの固定用量のペムブロリズマブである。
【0193】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用治療)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の固定用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の標準用量と比較して減少し得る。
【0194】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、対象の体重の約0.01mg/kgと約50mg/kgの間(例えば、約0.01mg/kgと約45mg/kgの間、例えば、約0.1mg/kgと約40mg/kgの間、例えば、約1mg/kgと約35mg/kgの間、例えば、約2.5mg/kgと約30mg/kgの間、例えば、約5mg/kgと約25mg/kgの間、例えば、約10mg/kgと約20mg/kgの間、例えば、約12.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば、約15±2mg/kg、約15±1mg/kg、約15±0.5mg/kg、約15±0.2mg/kg、又は約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、対象の体重の約0.01mg/kgと約15mg/kgの間(例えば約0.1mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約0.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約1mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約2.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約7.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約10mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約12.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約14mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約15±1mg/kg、例えば約15±0.5mg/kg、例えば約15±0.2mg/kg、例えば約15±0.1mg/kg、例えば約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに投与される約15mg/kgの用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブとの併用治療)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の標準用量と比較して減少し得る。
【0195】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごとに(Q2W)約20mg~約1600mg(例えば、約40mg~約1500mg、例えば、約200mg~約1400mg、例えば、約300mg~約1400mg、例えば、約400mg~約1400mg、例えば、約500mg~約1300mg、例えば、約600mg~約1200mg、例えば、約700mg~約1100mg、例えば、約800mg~約1000mg、例えば、約800mg~約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例は、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、約840mg/2週間(例えば、2週間ごとに、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、840mg)の固定用量のアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週間ごとに約800mgの固定用量のアベルマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週間ごとに約240mgの固定用量のニボルマブである。
【0196】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに(Q4W)約500mg~約3000mg(例えば、約500mg~約2800mg、例えば、約600mg~約2700mg、例えば、約650mg~約2600mg、例えば、約700mg~約2500mg、例えば、約1000mg~約2400mg、例えば、約1100mg~約2300mg、例えば、約1200mg~約2200mg、例えば、約1300mg~約2100mg、例えば、約1400mg~約2000mg、例えば、約1500mg~約1900mg、例えば、約1600mg~約1800mg、例えば、約1620mg~約1700mg、例えば、約1640mg~約1690mg、例えば、約1660mg~約1680mg、約1680mg、例えば、約1600mg、約1610mg、約1620mg、約1630mg、約1640mg、約1650mg、約1660mg、約1670mg、約1680mg、約1690mg、又は約1700mg)の固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに1680mg(例えば、4週間ごとに、1680mg±10mg、例えば、1680±6mg、例えば、1680±5mg、例えば、1680±3mg、例えば、1680±1mg、例えば、1680±0.5mg、例えば、1680mg)の固定用量である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、4週間ごとに約480mgの固定用量のニボルマブである。
【0197】
本発明の方法及び使用のいずれにおいても、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、1回又は複数回の投与サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50又はそれ以上の投与サイクル)で投与され得る。いくつかの事例では、17回の投与サイクルが投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与サイクルは、臨床上の利益(例えば、確認された疾患進行、薬物耐性、死亡、又は許容できない毒性)が失われるまで継続する。いくつかの事例では、各投与サイクルの長さは、約15~24日間(例えば、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間又は24日間)である。いくつかの事例では、各投与サイクルの長さは、約21日間である。いくつかの事例では、各投与サイクルの長さは、約80~88日間(例えば、80日間、81日間、82日間、83日間、84日間、85日間、86日間、87日間又は88日間)である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約84日間である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約38~46日間(例えば、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間又は46日間)である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約42日間である。いくつかの事例では、各投与サイクルの長さは、約24~32日間(例えば、24日間、25日間、26日間、27日間、28日間、29日間、30日間、31日間又は32日間)である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約28日間である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約600mgの固定用量で、各21日間サイクルの1日目(すなわち、3週間ごとに約600mgの固定用量の)に静脈内投与する。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約840mgの固定用量で、各28日間サイクルの1日目(すなわち、4週間ごとに約840mgの固定用量の)に静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)及び22日目(例えば、22±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約600mgの固定用量で、各42日間サイクルの1日目及び22日目(すなわち、3週間ごとに約600mgの固定用量の)に静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、22日目(例えば、22±3日目)、43日目(例えば、43±3日目)、及び64日目(例えば、64±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約600mgの固定用量で、各84日間サイクルの1日目、22日目、43日目、及び64日目(すなわち、3週間ごとに約600mgの固定用量の)に静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)及び約15日目(例えば、15±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、各28日間サイクルの1日目及び15日目に約420mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約420mgの固定用量で)静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、15日目(例えば、15±3日目)、及び29日目(例えば、29±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、各42日間サイクルの1日目、15日目、及び29日目に約420mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約420mgの固定用量で)静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、29日目(例えば、29±3日目)、及び57日目(例えば、57±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約840mgの固定用量で、各84日間サイクルの1日目、29日目、及び56日目(すなわち、4週間ごとに約840mgの固定用量の)に静脈内投与する。同様に、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で各21日間サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1680mgの固定用量で各28日間サイクルの1日目に(すなわち、約1680mgの固定用量で4週間ごとに)静脈内投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)及び22日目(例えば、22±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で各42日間サイクルの1日目及び22日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、22日目(例えば、22±3日目)、43日目(例えば、43±3日目)、及び64日目(例えば、64±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で各84日間サイクルの1日目、22日目、43日目、及び64日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)及び約15日目(例えば、15±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各28日間サイクルの1日目及び15日目に約840mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約840mgの固定用量で)静脈内投与する。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、15日目(例えば、15±3日目)、及び29日目(例えば、29±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各42日間サイクルの1日目、15日目、及び29日目に約840mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約840mgの固定用量で)静脈内投与する。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、29日目(例えば、29±3日目)、及び57日目(例えば、57±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1680mgの固定用量で各84日間サイクルの1日目、29日目、及び56日目に(すなわち、約1680mgの固定用量で4週間ごとに)静脈内投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の両方を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与する。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約600mgの固定用量で21日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約600mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で21日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。
【0198】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約60±10分(例えば、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、又は約70分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約60±15分(例えば、約45分、約46分、約47分、約48分、約49分、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、約70分、約71分、約72分、約73分、約74分又は約75分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。
【0199】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与前に、該方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与後の第2の観察期間を更に含む。いくつかの例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0200】
他の事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与前に、該方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの事例では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0201】
他の例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、対象に同時に投与される。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後に、該方法は観察期間を含む。いくつかの事例では、観察期間は、約30分~約60分の長さである。観察期間が約60分の長さである場合、方法は、観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約30±10分に、対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。観察期間が約30分の長さである場合、方法は、観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約15±10分に、対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。
【0202】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、対象又は対象集団に、3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、下記においてさらに詳しく記載されるように、配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインを有する。
【0203】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、対象又は対象集団に、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供する。
【0204】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、対象又は対象集団に、3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、下記においてさらに詳しく記載されるように、配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインを有する。
【0205】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、対象又は対象集団に、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ及び2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供する。
【0206】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、対象又は対象集団に、3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、下記においてさらに詳しく記載されるように、配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインを有する。
【0207】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、対象又は対象集団に、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ及び4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供する。
【0208】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、対象又は対象集団に、2週間ごとに420mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、下記においてさらに詳しく記載されるように、配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインを有する。
【0209】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、対象又は対象集団に、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供する。
【0210】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、対象又は対象集団に、2週間ごとに420mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、下記においてさらに詳しく記載されるように、配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインを有する。
【0211】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、対象又は対象集団に、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブ及び4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供する。
【0212】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、その対象又は対象集団に、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体の1回又は複数回の投与サイクルを(例えば、アテゾリズマブ)))(例えば、本明細書中に記載される方法のいずれかに従って)投与することを含む。
【0213】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかで使用するための医薬の製造又は調製における抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の使用を提供する。
【0214】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を本明細書に記載される方法のいずれかに従って投与するために製剤化される。
【0215】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかで使用するための医薬の製造又は調製におけるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の使用を提供する。
【0216】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に、医薬及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))及び有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を本明細書に記載される方法のいずれかに従って投与するために製剤化される。
【0217】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に、医薬と抗TIGIT抗体の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに600mgの固定用量で投与されることになっており、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0218】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化される。
【0219】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブを投与するために製剤化され、アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与されることになる。
【0220】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化され、チラゴルマブは、3週間ごとに600mgの固定用量で投与されることになる。
【0221】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に、医薬と抗TIGIT抗体の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、2週間ごとに840mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに600mgの固定用量で投与されることになっており、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0222】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ及び2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化される。
【0223】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブを投与するために製剤化され、アテゾリズマブは、2週間ごとに840mgの固定用量で投与されることになる。
【0224】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化され、チラゴルマブは、3週間ごとに600mgの固定用量で投与されることになる。
【0225】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に、医薬と抗TIGIT抗体の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、4週間ごとに1680mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに600mgの固定用量で投与されることになっており、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0226】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ及び4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化される。
【0227】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブを投与するために製剤化され、アテゾリズマブは、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与されることになる。
【0228】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化され、チラゴルマブは、3週間ごとに600mgの固定用量で投与されることになる。
【0229】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に、医薬と抗TIGIT抗体の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに420mgの固定用量で投与されることになっており、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0230】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化される。
【0231】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブを投与するために製剤化され、アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与されることになる。
【0232】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化され、チラゴルマブは、2週間ごとに420mgの固定用量で投与されることになる。
【0233】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に、医薬と抗TIGIT抗体の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、4週間ごとに1680mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに420mgの固定用量で投与されることになっており、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0234】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブ及び4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化される。
【0235】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブを投与するために製剤化され、アテゾリズマブは、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与されることになる。
【0236】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化され、チラゴルマブは、2週間ごとに420mgの固定用量で投与されることになる。
【0237】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に、医薬と抗TIGIT抗体の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、4週間ごとに840mgの固定用量で投与されることになっており、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0238】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、4週間ごとに840mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化される。
【0239】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、4週間ごとに840mgの固定用量のチラゴルマブを投与するために製剤化され、アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与されることになる。
【0240】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化され、チラゴルマブは、4週間ごとに840mgの固定用量で投与されることになる。
【0241】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に、医薬と抗TIGIT抗体の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、2週間ごとに840mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、4週間ごとに840mgの固定用量で投与されることになっており、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0242】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、4週間ごとに840mgの固定用量のチラゴルマブ及び2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化される。
【0243】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、4週間ごとに840mgの固定用量のチラゴルマブを投与するために製剤化され、アテゾリズマブは、2週間ごとに840mgの固定用量で投与されることになる。
【0244】
別の態様では、本発明は、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある者であり、該方法は、対象又は対象集団に医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブを投与するために製剤化され、チラゴルマブは、4週間ごとに840mgの固定用量で投与されることになる。
【0245】
A.PD-L1選択
本明細書中に記載される方法、使用又は使用のための組成物のいずれかのいくつかの事例では、対象は、PD-L1によって選択されるESCC腫瘍(例えば、PD-L1の検出可能な発現レベル(例えば、タンパク質発現レベル又は核酸発現レベル)を有するESCC腫瘍)を有する。いくつかの事例では、PD-L1によって選択される腫瘍は、免疫組織化学(IHC)アッセイにより少なくとも1%(例えば、少なくとも10%)のPD-L1陽性腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコアを有すると決定されたESCC腫瘍である。いくつかの事例では、TICスコアは1%~99%(例えば、2%~98%、3%~97%、4%~96%、5%~95%、10%~90%、15%~85%、20%~80%、又は25%~75%、例えば、1%~10%(例えば、1%~5%(例えば、1%~2%、2%~3%、3%~4%、又は4%~5%)又は5%~10%(例えば、5%~6%、6%~7%、7%~8%、8%~9%、又は9%~10%))、10%~20%(例えば、10%~15%(例えば、10%~11%、11%~12%、12%~13%、13%~14%、又は14%~15%)又は15%~20%(例えば、15%~16%、16%~17%、17%~18%、18%~19%、又は19%~20%))、又は20%超)である。いくつかの事例では、TICスコアは10%未満(例えば、1%~10%、2%~10%、3%~10%、4%~10%、5%~10%、6%~10%、7%~10%、8%~10%、又は9%~10%)である。いくつかの事例では、TICスコアは20%未満(例えば、1%~20%、2%~20%、3%~20%、4%~20%、5%~20%、6%~20%、7%~20%、8%~20%、9%~20%、10%~20%、11%~20%、12%~20%、13%~20%、14%~20%、15%~20%、16%~20%、17%~20%、18%~20%又は19%~20%)である。
【0246】
いくつかの事例では、IHCアッセイは、pharmDX 22C3アッセイであり、ESCC腫瘍試料は、10以上(例えば、15以上;20以上;25以上;30以上;40以上;45以上;又は50以上)の複合陽性スコア(CPS)を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、1%以上の腫瘍割合スコア(TPS)を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、50%以上のTPSを有すると決定されている。
【0247】
いくつかの事例では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142又は28-8が使用される。いくつかの事例では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142が使用される(例えば、Ventana SP142 IHCアッセイ)。いくつかの事例では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体28-8が使用される(例えば、pharmDx 28-8 IHCアッセイ)。
【0248】
いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の1%以上においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の1%以上5%未満においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の5%以上50%未満においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の50%以上においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の1%以上を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の1%以上5%未満を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の5%以上10%未満を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の10%以上を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。
【0249】
いくつかの事例では、本明細書に記載される方法、使用、又は、使用のための組成物のいずれかにおいて、個体から得られる腫瘍試料は、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有する。いくつかの事例では、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組み合わせによって決定されている。いくつかの事例では、試料は、組織試料、全血試料、血清試料及び血漿試料からなる群から選択される。いくつかの事例では、組織試料は、腫瘍試料である。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍浸潤免疫細胞、腫瘍細胞、間質細胞、及びこれらの任意の組み合わせを含む。
【0250】
B.第二選択療法に対する応答
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、治療に対する対象又は対象集団の応答は、1つ以上の尺度によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、治療は、完全奏効又は部分奏効をもたらす。
【0251】
いくつかの事例では、治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる治療と比較して、又はPD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療と比較して、対象又は対象集団の無増悪生存期間の増加をもたらす。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる治療と比較して、又はPD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療と比較して、対象又は対象集団の無増悪生存期間の増加をもたらし得る。いくつかの実施形態では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団のPFSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象又は対象集団のPFSを少なくとも約4ヶ月又は約8ヶ月延長する。いくつかの実施形態では、PFSの増加は、約4ヶ月以上(例えば、約4.5ヶ月以上、約5.0ヶ月以上、約5.5.ヶ月以上、約6.0ヶ月以上、約6.5ヶ月以上、約7.0ヶ月以上、約7.5ヶ月以上、約8.0ヶ月以上、約8.5ヶ月以上、約9.0ヶ月以上、約9.5ヶ月以上、約10ヶ月以上、約11ヶ月以上、約11.5ヶ月以上、約12ヶ月以上、約12.5ヶ月以上、約13ヶ月以上、約13.5ヶ月以上、約14ヶ月以上、約14.5ヶ月以上、約15ヶ月以上、約15.5ヶ月以上、約16ヶ月以上、約16.5ヶ月以上、約17ヶ月以上、約17.5ヶ月以上、約18ヶ月以上、約18.5ヶ月以上、約19ヶ月以上、約19.5ヶ月以上、又は約20ヶ月以上)である。いくつかの実施形態では、PFSの増加は、約8ヶ月以上(例えば、約8.5ヶ月以上、約9ヶ月以上、約9.5ヶ月以上、約10ヶ月以上、約10.5ヶ月以上、約11ヶ月以上、約11.5ヶ月以上、約12ヶ月以上、約12.5ヶ月以上、約13ヶ月以上、約13.5ヶ月以上、約14ヶ月以上、約14.5ヶ月以上、約15ヶ月以上、約15.5ヶ月以上、約16ヶ月以上、約16.5ヶ月以上、約17ヶ月以上、約17.5ヶ月以上、約18ヶ月以上、約18.5ヶ月以上、約19ヶ月以上、約19.5ヶ月以上、又は約20ヶ月以上)である。いくつかの実施形態では、PFSの増加は、4~8ヶ月(例えば、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、約6ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、又は約8ヶ月)である。いくつかの実施形態では、治療は、約15ヶ月~約23ヶ月の対象集団のPFS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療開始後少なくとも約15ヶ月(例えば、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、又は約18.5ヶ月)のPFS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療開始後少なくとも約19ヶ月(例えば、約19.5ヶ月、約20ヶ月、約20.5ヶ月、約21ヶ月、約21.5ヶ月、約22ヶ月、約22.5ヶ月、約23ヶ月、約23.5ヶ月、約24ヶ月、約25ヶ月、約26ヶ月、約27ヶ月、約28ヶ月、約29ヶ月、約30ヶ月、約31ヶ月、約32ヶ月、約33ヶ月、約34ヶ月、約35ヶ月、約36ヶ月、又はそれ以上)のPFS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療開始後、19ヶ月~60ヶ月(例えば、20~60ヶ月、25~60ヶ月、30~60ヶ月、35~60ヶ月、40~60ヶ月、45~60ヶ月、50~60ヶ月、又は55~60ヶ月)のPFS中央値をもたらす。
【0252】
いくつかの事例では、治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる治療と比較して、又はPD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療と比較して、対象又は対象集団の全生存期間の増加をもたらす。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療は、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる治療と比較して、又はPD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療と比較して、対象又は対象集団の全生存期間の増加をもたらし得る。いくつかの実施形態では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団のOSの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、対象又は対象集団のOSを少なくとも約7ヶ月又は約12ヶ月延長する。いくつかの実施形態では、OSの増加は、約7ヶ月以上(例えば、約7.0ヶ月以上、約7.5ヶ月以上、約8.0ヶ月以上、約8.5ヶ月以上、約9.0ヶ月以上、約9.5ヶ月以上、約10ヶ月以上、約11ヶ月以上、約11.5ヶ月以上、約12ヶ月以上、約12.5ヶ月以上、約13ヶ月以上、約13.5ヶ月以上、約14ヶ月以上、約14.5ヶ月以上、約15ヶ月以上、約15.5ヶ月以上、約16ヶ月以上、約16.5ヶ月以上、約17ヶ月以上、約17.5ヶ月以上、約18ヶ月以上、約18.5ヶ月以上、約19ヶ月以上、約19.5ヶ月以上、又は約20ヶ月以上)である。いくつかの実施形態では、OSの増加は、約12ヶ月以上(例えば、約12.5ヶ月以上、約13ヶ月以上、約13.5ヶ月以上、約14ヶ月以上、約14.5ヶ月以上、約15ヶ月以上、約15.5ヶ月以上、約16ヶ月以上、約16.5ヶ月以上、約17ヶ月以上、約17.5ヶ月以上、約18ヶ月以上、約18.5ヶ月以上、約19ヶ月以上、約19.5ヶ月以上、又は約20ヶ月以上)である。いくつかの実施形態では、OSの増加は、4~6ヶ月(例えば、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、又は約6ヶ月)である。いくつかの実施形態では、治療は、約24ヶ月~約36ヶ月の対象集団のOS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療開始後少なくとも約24ヶ月(例えば、約24.5ヶ月、約25ヶ月、約25.5ヶ月、約26ヶ月、約26.5ヶ月、約27ヶ月、約27.5ヶ月、約28ヶ月、約28.5ヶ月、約29ヶ月、約29.5ヶ月、約30ヶ月、又は約30.5ヶ月)のOS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療開始後少なくとも約31ヶ月(例えば、約31.5ヶ月、約32ヶ月、約32.5ヶ月、約33ヶ月、約33.5ヶ月、約34ヶ月、約34.5ヶ月、約35ヶ月、約35.5ヶ月、約36ヶ月、約36.5ヶ月、約37ヶ月、約37.5ヶ月、約38ヶ月、約38.5ヶ月、約39ヶ月、約39.5ヶ月、約40ヶ月、又はそれ以上)のOS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療の開始後31ヶ月~60ヶ月(例えば、32~60ヶ月、33~60ヶ月、34~60ヶ月、35~60ヶ月、36~60ヶ月、37~60ヶ月、38~60ヶ月、39~60ヶ月、40~60ヶ月、41~60ヶ月、42~60ヶ月、43~60ヶ月、44~60ヶ月、45~60ヶ月、46~60ヶ月、47~60ヶ月、48~60ヶ月、49~60ヶ月、50~60ヶ月、51~60ヶ月、52~60ヶ月、53~60ヶ月、54~60ヶ月、55~60ヶ月、56~60ヶ月、57~60ヶ月、58~60ヶ月、又は59~60ヶ月)のOS中央値をもたらす。いくつかの事例では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる治療と比較して、又はPD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療と比較して、対象又は対象集団における客観的奏効期間(DOR)の増加をもたらす。いくつかの事例では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団におけるDORの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団におけるDORの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、DORの増加は、約4ヶ月、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月、又はそれを超える。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)による治療の開始後少なくとも約4ヶ月以上(例えば、約5ヶ月、約6ヶ月、約7ヶ月、約8ヶ月、約9ヶ月、約10ヶ月、約11ヶ月、約12ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月以上)の中央DORをもたらす。
【0253】
Eisenhauer et al..Eur.J.Cancer.2009.45:228-47に記載されているように、RECIST v 1.1基準に従って対象又は対象集団の無増悪生存期間を測定することができる。いくつかの実施形態では、PFSは、治療の開始から、RECIST第1.1版の基準によって決定される疾患進行の初回発生までの期間として測定される。いくつかの実施形態では、PFSは、治療の開始から死亡時までの期間として測定される。
【0254】
第二選択療法のための例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト
本発明の方法、使用、及び使用のための組成物に従ってESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象又は対象集団(例えば、ヒト)を治療するのに有用な例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)が、本明細書に記載される。特に、以下の例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)は、ESCCのための最終的化学放射線治療を以前に受けたことがある対象を治療するために使用することができる。
【0255】
A.抗TIGITアンタゴニスト抗体
本発明は、対象(例えば、ヒト)におけるESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を治療するために有用な抗TIGITアンタゴニスト抗体を提供する。
【0256】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブ(CAS登録番号:1918185-84-8)である。チラゴルマブ(Genentech)は、MTIG7192Aとしても既知である。
【0257】
特定の事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下から選択される少なくとも1、2、3、4、5、又は6つのHVRを含む:(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び/又は(f)QQYYSTPFTのアミノ酸配列(配列番号6)を含むHVR-L3、又は上記HVRの1つ以上の組み合わせ、並びに配列番号1~6のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有する1つ以上のそのバリアント。
【0258】
いくつかの事例では、上記抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれかとしては、(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQYYSTPFTのアミノ酸配列(配列番号6)を含むHVR-L3を挙げることができる。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号17)の配列若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくはQVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号18)の配列若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又はDIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQTVLYSSNNKKYLAWYQQKPGQPPNLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPFTFGPGTKVEIK(配列番号19)の配列若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又は配列番号19若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号18若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又は配列番号19若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。
【0259】
いくつかの事例では、TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖及び軽鎖配列を含む:(a)重鎖は、以下のアミノ酸配列を含み:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号33);(b)重鎖は、以下のアミノ酸配列を含む:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQTVLYSSNNKKYLAWYQQKPGQPPNLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPFTFGPGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号34)。
【0260】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つの以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR)を更に含む:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCのアミノ酸配列を含むFR-L1(配列番号7);WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び/又はFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4、又は上記FRの1つ以上の組み合わせ、並びに配列番号7~10のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有する1つ以上のそのバリアント。いくつかの事例では、例えば、抗体は、DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む。
【0261】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の1つ、2つ、3つ、又は4つ重鎖可変領域FRを更に含む:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(X1はE又はQである)のアミノ酸配列を含むFR-H1:WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ以上と、配列番号11~14のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ以上のバリアントとの組み合わせ。抗TIGITアンタゴニスト抗体は、例えば、以下の1つ、2つ、3つ、又は4つ重鎖可変領域FRを更に含み得る:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H1:WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ以上と、配列番号12~15のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ以上のバリアントとの組み合わせ。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。別の事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の1つ、2つ、3つ、又は4つ重鎖可変領域FRを更に含み得る:QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H1:WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ以上と、配列番号12~14及び16のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ以上のバリアントとの組み合わせ。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。
【0262】
別の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体が提供され、該抗体は、上記いずれかの事例のようなVH及び上記いずれかの事例のようなVLを含み、可変ドメイン配列の一方又は両方が翻訳後修飾を含む。
【0263】
いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGITに加えてウサギTIGITに結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT及びカニクイザル(cyno)TIGITの両方に結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT及びウサギTIGITに結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT及びウサギTIGITに結合することができるが、マウスTIGITには結合できない。
【0264】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、約10nM以下のKDでヒトTIGITに結合し、約10nM以下のKDでカニクイザルTIGITに結合する(例えば、約0.1nM~約1nMのKDでヒトTIGITに結合し、約0.5nM~約1nMのKDでカニクイザルTIGITに結合し、例えば、約0.1nM以下のKDでヒトTIGITに結合し、約0.5nM以下のKDでカニクイザルTIGITに結合する)。
【0265】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、ポリオウイルス受容体(PVR)とのTIGIT相互作用を阻害又は遮断する(例えば、アンタゴニスト抗体は、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する)。いくつかの事例では、アンタゴニスト抗体は、10nM以下のIC50値でヒトPVRへのヒトTIGITの結合を阻害又は遮断する(例えば、1nM~約10nM)。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、PVR-CD226相互作用に影響を与えることなく、PVRとのTIGIT相互作用を阻害又は遮断する。いくつかの事例では、アンタゴニスト抗体は、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を50nM以下のIC50値で阻害又は遮断する(例えば、1nM~約50nM、例えば、1nM~約5nM)。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、CD226とTIGITとの相互作用を阻害及び/又は遮断する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITがCD226ホモ二量体化を破壊する能力を阻害及び/又は遮断する。
【0266】
いくつかの事例では、本明細書に記載の方法又は使用は、TIGITへの結合について上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれかと競合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用又は投与することを含み得る。例えば、方法は、以下の6つのHVRを有する抗TIGITアンタゴニスト抗体とTIGITへの結合について競合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与することを含み得る:(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3が挙げられる。本明細書に記載の方法はまた、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体と同じエピトープに結合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与することを含み得る。
【0267】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、インタクトなFc媒介エフェクター機能(例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチグリマブ、EOS084448又はTJ-T6)又は増強されたエフェクター機能(例えば、SGN-TGT)を有する抗体である。
【0268】
他の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fc媒介エフェクター機能を欠く抗体(例えば、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP8374、又はCOM902)である。
【0269】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はIgG1クラスの抗体、例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、ドムバナリマブ、BMS-986207、エチギリマブ、BGB-A1217、SGN-TGT、EOS084448(EOS-448)、TJ-T6、又はAB308である。
【0270】
他の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgG4クラス抗体、例えばASP8374又はCOM902である。
【0271】
このような抗体を含有する組成物を含む、本発明において有用な抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)、PD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体、例えば、ペムブロリズマブ)及びPD-L2結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L2アンタゴニスト抗体))と組み合わせて使用され得る。
【0272】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITシグナル伝達を阻害するように機能する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、その結合パートナーへのTIGITの結合を阻害する。例示的なTIGIT結合パートナーには、CD155(PVR)、CD112(PVRL2又はネクチン-2)及びCD113(PVRL3又はネクチン-3)が含まれる。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD155との間の結合を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD112との間の結合を阻害し得る。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD113との間の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、免疫細胞のTIGIT媒介性細胞シグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、制御性T細胞(例えば、FcγR)を枯渇させることによってTIGITを阻害する。
【0273】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv及び(Fab’)2フラグメントからなる群より選択される抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はヒト抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗TIGIT抗体は、ヒトTIGITに結合する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はFc融合タンパク質である。
【0274】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)、ビボストリマブ(MK-7684)、ASP8374(PTZ-201)、EOS884448(EOS-448)、SEA-TGT(SGN-TGT)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、IBI939、ドムバナリマブ(AB154)、M6223、AB308、AB154、TJ-T6、MG1131、NB6253、HLX301、HLX53、SL-9258(TIGIT-Fc-LIGHT)、STW264、及びYBL-012からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)、ビボストリマブ(MK-7684)、ASP8374(PTZ-201)、EOS-448、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される。抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)であり得る。
【0275】
本明細書に開示される方法に有用な抗TIGIT抗体の非限定的な例及びその作製方法は、PCT公開公報の国際公開第2018183889号A1、国際公開第2019129261号A1、国際公開第2016106302号A9、国際公開第2018033798号A1、国際公開第2020020281号A1、国際公開第2019023504号A1、国際公開第2017152088号A1、国際公開第2016028656号A1、国際公開第2017030823号A2、国際公開第2018204405号A1、国際公開第2019152574号A1及び国際公開第2020041541号A2;米国特許第10,189,902号、米国特許第10,213,505号、米国特許第10,124,061号、米国特許第10,537,633号及び米国特許第10,618,958号;並びに米国特許出願公開第 2020/0095324号、第2019/0112375号、第2018/0371083号及び2020/0062859号に記載され、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に開示される方法に有用な抗TIGIT抗体の更なる非限定的な例及びその作製方法は、PCT公開公報の国際公開第2018204363号A1、国際公開第2018047139号A1、国際公開第2019175799号A2、国際公開第2018022946号A1、国際公開第2015143343号A2、国際公開第2018218056号A1、国際公開第2019232484号A1、国際公開第2019079777号A1、国際公開第2018128939号A1、国際公開第2017196867号A1、国際公開第2019154415号A1号、国際公開第2019062832号A1、国際公開第2018234793号A3、国際公開第2018102536号A1号、国際公開第2019137548号A1、国際公開第2019129221号A1、国際公開第2018102746号A1号、国際公開第2018160704号A9、国際公開第2020041541号A2、国際公開第2019094637号A9号、国際公開第2017037707号A1、国際公開第2019168382号A1、国際公開第2006124667号A3号、国際公開第2017021526号A1、国際公開第2017184619号A2、国際公開第2017048824号A1号、国際公開第2019032619号A9、国際公開第2018157162号A1、国際公開第2020176718号A1号、国際公開第2020047329号A1、国際公開第2020047329号A1、国際公開第2018220446号A9;米国特許第9,617,338号、米国特許第9,567,399号、米国特許第10,604,576号及びUS9,994,637号;並びに米国特許出願公開第2018/0355040号、米国特許出願公開第2019/0175654号、米国特許出願公開第2019/0040154号、米国特許出願公開第2019/0382477号、米国特許出願公開第2019/0010246号、米国特許出願公開第2020/0164071号、米国特許出願公開第2020/0131267号、米国特許出願公開第2019/0338032号、米国特許出願公開第2019/0330351号、米国特許出願公開第2019/0202917号、米国特許出願公開第2019/0284269号、米国特許出願公開第2018/0155422号、米国特許出願公開第2020/0040082号、米国特許出願公開第2019/0263909号、米国特許出願公開第2018/0185480号、米国特許出願公開第2019/0375843号、米国特許出願公開第2017/0037133号、米国特許出願公開第2019/0077869号、米国特許出願公開第2019/0367579号、米国特許出願公開第2020/0222503号、米国特許出願公開第2020/0283496号、中国特許出願公開第109734806号A及び中国特許出願公開第110818795号Aに記載され、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0276】
本明細書に開示される方法において有用な抗TIGIT抗体には、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS-448、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)及びSEA-TGT(SGN-TGT)が含まれる。本明細書に開示される方法において有用な更なる抗TIGIT抗体としては、AGEN1307;AGEN1777;抗体クローンpab2197及びpab2196(Agenus Inc.);抗体クローンTBB8、TDC8、3TB3、5TB10、及びD1Y1A(Anhui Anke Biotechnology Group Co.Ltd.)、抗体クローンMAB1、MAB2、MAB3、MAB4、MAB5、MAB6、MAB 7、MAB8、MAB9、MAB 10、MAB 11、MAB 12、MAB13、MAB 14、MAB 15、MAB 16、MAB 17、MAB 18、MAB19、MAB20、MAB21(Astellas Pharma/Potenza Therapeutics)、抗体クローンhu1217-1-1及びhu1217-2-2(BeiGene)、抗体クローン4D4及び19G(Brigham&Women’s Hospital)、抗体クローン11G11、10D7、15A6、22G2、TIGIT G2a、及びTIGIT G1 D265A、(改変重鎖定常領域を有するそのような抗体(Bristol-Myers Squibb)を含む);抗体クローン10A7、CPA.9.086、CPA.9.083.H4(S241P)、CPA.9.086.H4(S241P)、CHA.9.547.7.H4(S241P)及びCHA.9.547.13.H4(S241P)(Compugen);抗PVRIG/抗TIGIT 二重特異性抗体(Compugen)、抗体クローン315293、328189、350426、326504、及び331672(Fred Hutchinson Cancer Research Center);抗体クローンT-01、T-02、T-03、T-04、T-05、T-06、T-07、T-08、T-09、及びT-10(Gensun BioPharma Inc.);抗体クローン1H6、2B11、3A10、4A5、4A9、4H5、6A2、6B7、7F4、8E1、8G3、9F4、9G6、10C1、10F10、11G4、12B7、12C8、15E9、16C11、16D6、及び16E10(Hefei Ruida Immunological Drugs Research Institute Co.Ltd.);抗体クローンh3C5H1、h3C5H2、h3C5H3、h3C5H4、h3C5H3-1、h3C5H3-2、h3C5H3-3、h3C5L1、及びh3C5L2(IGM Biosciences Inc.);抗体クローン90D9、101E1、116H8、118A12、131A12、143B6、167F7、221F11、222H4、327C9、342A9、344F2、349H6、及び350D10(I-Mab Biopharma);抗体クローンADI-27238、ADI-30263、ADI-30267、ADI-30268、ADI-27243、ADI-30302、ADI-30336、ADI-27278、ADI-30193、ADI-30296、ADI-27291、ADI-30283、ADI-30286、ADI-30288、ADI27297、ADI-30272、ADI-30278、ADI-27301、ADI-30306、及びADI-30311(Innovent Biologics、Inc.);抗体クローン26518、29478、26452、29487、29489、31282、26486、29494、29499、26521、29513、26493、29520、29523、29527、31288、32919、32931、26432、及び32959(iTeos Therapeutics);抗体クローンm1707、m1708、m1709、m1710、m1711、h1707、h1708、h1709、h1710、及びh1711(Jiangsu Hengrui Medicine Co.Ltd.);抗体クローンTIG1、TIG2、及びTIG3(JN Biosciences LLC);抗体クローン(例えば、KY01、KY02、KY03、KY04、KY05、KY06、KY07、KY08、KY09、KY10、K11、K12、K13、K14、K15、K16、K17、K18、K19、K20、K21、K22、K23 Kymab TIGIT(抗体2)、及びTool TIGIT(抗体4)(Kymab Limited);二重特異性抗体1D05/1D05を有するin-house抗TIGIT(抗PD-L1)ネイティブ可変ドメイン及びKymab TIGIT抗原結合部位(ABS)ドメイン(二重特異性1)、Kymab TIGITネイティブ可変ドメイン及び1D05 ABSドメインを有するIn-house抗TIGIT/1D05(二重特異性2)、Toon抗TIGITネイティブ可変ドメイン及びTool抗PD-L1 ABSドメインを有するTool抗TIGIT/Tool抗PD-L1(二重特異性3)、Tool抗PD-L1ネイティブ可変ドメイン及びTool抗TIGIT ABSドメインを有するTool抗PD-L1/Tool抗TIGIT(二重特異性4)(Kymab Limited);抗体クローン及びクローンバリアント14D7、26B10、Hu14D7、Hu26B10、14A6、Hu14A6、28H5、31C6、Hu31C6、25G10、MBS43、37D10、18G10、11A11、c18G10、及びLB155.14A6.G2.A8(Merck);エチジリマブ(OMP-313M32)(Mereo BioPharma);抗体クローン64G1E9B4、100C4E7D11、83G5H11C12、92E9D4B4、104G12E12G2、121C2F10B5、128E3F10F3F2、70A11A8E6、11D8E124A、16F10H12C11、8F2D8E7、48B5G4E12、139E2C2D2、128E3G7F5、AS19584、AS19852、AS19858、AS19886、AS19887、AS19888、AS20160、AS19584VH26、AS19584VH29、AS19584VH30、AS19584VH31、AS19886VH5、AS19886VH8、AS19886VH9、AS19886VH10、AS19886VH19、AS19886VH20、AS19584VH28-Fc、AS19886VH5-Fc、AS19886VH8-Fc、AS19584-Fc、及びAS19886-Fc(Nanjing Legend Biotechnology Co.Ltd.);抗体クローンAREクローン:Ab58、Ab69、Ab75、Ab133、Ab177、Ab122、Ab86、Ab180、Ab83、Ab26、Ab20、Ab147、Ab12、Ab66、Ab176、Ab96、Ab123、Ab109、Ab149、Ab34、Ab61、Ab64、Ab105、Ab108、Ab178、Ab166、Ab29、Ab135、Ab171、Ab194、Ab184、Ab164、Ab183、Ab158、Ab55、Ab136、Ab39、Ab159、Ab151、Ab139、Ab107、Ab36、Ab193、Ab115、Ab106、Ab13f8、Ab127、Ab165、Ab155、Ab19、Ab6、Ab187、Ab179、Ab65、Ab114、Ab102、Ab94、Ab163、Ab110、Ab80、Ab92、Ab117、Ab162、Ab121、Ab195、Ab84、Ab161、Ab198、Ab24、Ab98、Ab116、Ab174、Ab196、Ab51、Ab91、Ab185、Ab23、Ab7、Ab95、Ab100、Ab140、Ab145、Ab150、Ab168、Ab54、Ab77、Ab43、Ab160、Ab82、Ab189、Ab17、Ab103、Ab18、Ab130、Ab132、Ab134、Ab144;ARGクローン:Ab2、Ab47、Ab49、Ab31、Ab53、Ab40、Ab5、Ab9、Ab48、Ab4、Ab10、Ab37、Ab33、Ab42、Ab45;ARVクローン:Ab44、Ab97、Ab81、Ab188、Ab186、Ab62、Ab57、Ab192、Ab73、Ab60、Ab28、Ab32、Ab78、Ab14、Ab152、Ab72、Ab137、Ab128、Ab169、Ab87、Ab74、Ab172、Ab153、Ab120、Ab13、Ab113、Ab16、Ab56、Ab129、Ab50、Ab90、Ab99、Ab3、Ab148、Ab124、Ab22、Ab41、Ab119、Ab157、Ab27、Ab15、Ab191、Ab190、Ab79、Ab181、Ab146、Ab167、Ab88、Ab199、Ab71、Ab85、Ab59、Ab141、Ab68、Ab143、Ab46、Ab197、Ab175、Ab156、Ab63、Ab11、Ab182、Ab89、Ab8、Ab101、Ab25、Ab154、Ab21、Ab111、Ab118、Ab173、Ab38、Ab76、Ab131、Ab1、Ab67、Ab70、Ab170、Ab30、Ab93、Ab142、Ab104、Ab112、Ab35、Ab126、及びAb125(Rigel Pharmaceuticals、Inc.);CASC-674(Seattle Genetics);抗体クローン2、2C、3、5、13、13A、13B、13C、13D、14、16、16C、16D、16E、18、21、22、25、25A、25B、25C、25D、25E、27、54、13 IgG2a脱フコシル化、13 hIgG1野生型、及び13 LALA-PG(Seattle Genetics);JS006(Shanghai Junshi Biosciences Ltd.);抗TIGIT Fc抗体及び二重特異性抗体 PD1×TIGIT(Xencor)、抗体クローンVSIG9#1(Vsig9.01)及び258-CS1#4(#4)(Yissum Research Development Company of The Hebrew University Of Jerusalem Ltd.);YH29143(Yuhan Co、Ltd.);抗体クローンS02、S03、S04、S05、S06、S11、S12、S14、S19、S32、S39、S43、S62、S64、F01、F02、F03、F04、32D7、101H3、10A7、及び1F4(Yuhan Co、Ltd.);抗zB7R1クローン318.4.1.1(E9310)、318.28.2.1(E9296)、318.39.1.1(E9311)、318.59.3.1(E9400)、及び318.77.1.10(ZymoGenetics、Inc).が挙げられる。
【0277】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される。ASP874(PTZ-201)は、PCT公開公報の国際公開第2018183889号A1及び米国特許出願公開第2020/0095324号に記載されている抗TIGITモノクローナル抗体である。BGB-A 1217は、PCT公開公報の国際公開第2019129261号A1に記載されている抗TIGIT抗体である。BMS-986207(ONO-4686)は、PCT公開公報の国際公開第2016106302号A9、米国特許第10,189,902号、及び米国特許出願公開第2019/0112375号に記載されている抗TIGIT抗体である。。COM902(CGEN-15137)は、PCT公開公報の国際公開第2018033798号A1、並びに米国特許第10,213,505号及び第10,124,061号に記載されている抗TIGIT抗体である。IBI939は、PCT公開公報の国際公開第2020020281号A1に記載されている抗TIGIT抗体である。EOS884448(EOS-448)は、PCT公開公報の国際公開第2019023504号A1に記載されている抗TIGIT抗体である。ドムバナリマブ(AB 154)は、PCT公開公報の国際公開第2017152088号A1及び米国特許第10,537,633号に記載されている抗TIGITモノクローナル抗体である。ビボストリマブ(MK-7684)は、PCT公開公報の国際公開第2016028656号A1、国際公開第2017030823号A2、国際公開第2018204405号A1、及び/又は国際公開第2019152574号A1、米国特許第10,618,958号及び米国特許第2018/0371083号に記載されている抗TIGIT抗体である。SEA-TGT(SGN-TGT)は、PCT公開公報の国際公開第2020041541号A2及び米国特許出願公開第2020/0062859号に記載されているような抗TIGIT抗体である。
【0278】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブ(CAS登録番号:1918185-84-8)である。チラゴルマブ(Genentech)は、MTIG7192A、RG6058又はRO7092284としても知られている。チラゴルマブは、国際公開第2003072305号A8、国際公開第2004024068号A3、国際公開第2004024072号A3、国際公開第2009126688号A2、国際公開第2015009856号A2、国際公開第2016011264号A1、国際公開第2016109546号A2、国際公開第2017053748号A2及び国際公開第2019165434号A1、並びに米国特許出願公開第2017/0044256号、第2017/0037127号、第2017/0145093号、第2017/260594号、第2017/0088613号、第2018/0186875号、第2019/0119376号、及び米国特許第9873740号B2、米国特許第10626174号B2、米国特許第10611836号B2、米国特許第9499596号B2、米国特許第8431350号B2、米国特許第10047158号B2及び米国特許第10017572号B2に記載されるアンタゴニスト性モノクローナル抗体である。
【0279】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの少なくとも1、2、3、4、5、又は6つの相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗体のいずれか1つの6つのCDRを含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれか1つの重鎖可変領域(VH)配列を含み、軽鎖は、同じ抗体の軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗TIGIT抗体のVH及びVLを含む。
【0281】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗TIGIT抗体の重鎖及び軽鎖を含む。
【0282】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(本明細書に記載される実施形態のいずれかによる)は、以下のセクションCに記載されるように、単独で又は組み合わせて特徴のいずれかを組み込むことができる。
【0283】
B.PD-1軸結合アンタゴニスト
対象又は対象集団(例えば、ヒト)におけるESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を治療するための方法であって、有効量のPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む方法が本明細書中に提供される。PD-1軸結合アンタゴニストには、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1アンタゴニスト抗体)、PD-1結合アンタゴニスト(例えば、PD-1アンタゴニスト抗体)及びPD-2結合アンタゴニスト(例えば、PD-L2アンタゴニスト抗体)が含まれる。
【0284】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1のその結合パートナーへの結合を阻害するPD-1軸結合アンタゴニストである。特定の態様では、PD-L1結合パートナーは、PD-1及び/又はB7-1である。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、PD-L1とPD-1との間及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。
【0285】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。
【0286】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(CAS登録番号:1422185-06-5)である。アテゾリズマブ(Genentech)は、MPDL3280Aとしても既知である。
【0287】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、以下から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのHVRを含む:(a)HVR-H1配列はGFTFSDSWIH(配列番号20)であり;(b)HVR-H2配列はAWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)であり;(c)HVR-H3配列はRHWPGGFDY(配列番号22)であり、(d)HVR-L1配列はRASQDVSTAVA(配列番号23)であり;(e)HVR-L2配列はSASFLYS(配列番号24)であり;(f)HVR-L3配列はQQYLYHPAT(配列番号25)である。
【0288】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、重鎖及び軽鎖配列を含み:(a)重鎖可変(VH)領域配列は、アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号26);を含み、(b)軽鎖可変(VL)領域配列は、アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号27)を含む。
【0289】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、重鎖及び軽鎖配列を含み:(a)重鎖は、アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号28)を含み;(b)軽鎖は、アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号29)を含む。
【0290】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、(a)配列番号26又は配列番号26の配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号27又は配列番号27の配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメインを含む。他の事例において、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、YW243.55.S70、MDX-1105、及びMEDI4736(デュルバルマブ)、並びにMSB0010718C(アベルマブ)から選択される。抗体YW243.55.S70は、国際公開第2010/077634号に記載される抗PD-L1である。BMS-936559としても知られるMDX-1105は、国際公開第2007/005874号に記載される抗PD-L1抗体である。MEDI4736(デュルバルマブ)は、国際公開第2011/066389号及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載される抗PD-L1モノクローナル抗体である。本発明の方法に有用な抗PD-L1抗体、及びそれを作製するための方法の例は、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/077634号、同第2007/005874号、同第2011/066389号、米国特許第8,217,149号、及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載されている。本発明において有用な抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、そのような抗体を含有する組成物を含めて、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を治療するために抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて使用され得る。
【0291】
いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択される抗体フラグメントである。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、ヒト抗体である。いくつかの事例では、本明細書に記載される抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、ヒトPD-L1に結合する。
【0292】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1のその結合パートナー(例えば、PD-L1)への結合を阻害する抗PD-1アンタゴニスト抗体である。いくつかの事例では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、PD-L1とPD-1との間の結合を阻害することができる。
【0293】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(以前はラムブロリズマブ(MK-3475))、又はAMP-224である。
【0294】
更なる態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、上記の例のいずれかによるPD-1軸結合アンタゴニスト抗体であり、以下のセクションCに記載されるように、単独で又は組み合わせて任意の特徴を組み込むことができる。
【0295】
C.抗体のフォーマット及び特性
1.抗体親和性
ある特定の場合において、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、又は0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。
【0296】
1つの事例では、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。1つの事例では、RIAは、目的の抗体及びその抗原のFabバージョンを用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の滴定系の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原によりFabを平衡化し、次いで、結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することにより測定する(例えばChenら、J.Mol.Biol.293:865~881(1999)を参照されたい)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mLの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2~5時間にわたって室温(およそ23℃)で遮断する。非吸着性プレート(Nunc番号269620)中、100pM又は26pMの[125I]-抗原を、目的とされるFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593-4599(1997)における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一貫する)。その後、目的のFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)続けて、平衡に達することを確実にすることができる。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。次に、溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を付加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)上で10分間、計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
【0297】
別の一事例によると、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用するアッセイを、約10の反応単位(RU)で、固定化された抗原CM5チップによって25℃で実行する。1つの事例では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)は、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化される。抗原を、pH4.8の10mMの酢酸ナトリウムによって、5μg/ml(約0.2μM)に希釈した後、5μl/分の流速でインジェクトし、カップリングされたタンパク質のおよそ10応答ユニット(RU)を達成する。抗原のインジェクション後、1Mのエタノールアミンをインジェクトして、未反応基をブロックする。動態測定のため、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM~500nM)を、およそ25μL/分の流量にて25℃で0.05%のポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤(PBST)を有するPBS中に注射する。単純1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を使用して、会合センサグラムと解離センサグラムを同時に当てはめることによって会合速度(kon)及び解離速度(koff)を計算する。平衡解離定数(KD)は、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。オン速度が上記の表面プラズモン共鳴アッセイによって106M-1s-1を超える場合、このオン速度は、撹拌されたキュベットを備えるストップフロー装着分光光度計(Aviv Instruments)又は8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計において測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、25℃でのPBS(pH7.2)中の20nM抗-抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加又は減少を測定する、蛍光クエンチ技法を使用することによって、決定することができる。
【0298】
2.抗体フラグメント
ある特定の場合において、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、抗体フラグメントである。抗体フラグメントとしては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFvフラグメント、及び以下に記載する他のフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない。特定の抗体フラグメントの総説としては、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFvフラグメントの参照には、例えばPluckthuen,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたい;また、国際公開第93/16185号を参照されたい;及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を構成し、かつインビボ半減期を増加させたFab及びF(ab’)2フラグメントの議論については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0299】
ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体フラグメントである。例えば、欧州特許出願公開第404,097号、国際公開第1993/01161号、Hudson et al.,Nat Med.9:129-134(2003)及びHollinger et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90,6444-6448(1993)を参照のこと。トリアボディ及びテトラボディはまた、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)においても説明されている。
【0300】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部又は軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む抗体フラグメントである。特定の事例では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、マサチューセッツ州ウォルサム、例えば米国特許第6,248,516B1号を参照)。
【0301】
抗体フラグメントは、本明細書に記載されているように、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、及び組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)又はファージ)による生産を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができる。
【0302】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
特定の事例では、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、キメラ抗体である。ある種のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984)に開示されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は非ヒト霊長類、例えば、サル由来の可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のそれらから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合フラグメントを含む。
【0303】
特定の事例では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体由来であり、かつFR(又はその一部)がヒト抗体配列由来である1つ以上の可変ドメインを含む。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体由来であり、かつFR(又はその一部)がヒト抗体配列由来である1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。いくつかの事例では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を復元又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0304】
ヒト化された抗体及びその作製方法については、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)で総説され、更に以下に記載されている:Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号;Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフトを記載する);Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(リサーフェシングを記載する);Dall’Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005)(「FRシャッフリング」を記載する);並びにOsbourn et al.,Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャッフルの「ガイド付き選択アプローチを記載する)。
【0305】
ヒト化に用い得るヒトフレームワーク領域としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:「ベストフィット」法を用いて選択したフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい);重鎖又は軽鎖可変領域の特定の亜型のヒト抗体コンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞突然変異)フレームワーク領域又はヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい);並びにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)。
【0306】
4.ヒト抗体
ある特定の場合において、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して作製することができる。ヒト抗体は一般的に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0307】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してインタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することによって調製することができる。このような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座に取って代わるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含むか、又は染色体外に存在するか、又は動物の染色体にランダムに統合されている。そのようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号;HuMab(登録商標)技術を記載する米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7,041,870号;及び、VelociMouse(登録商標)技術を記載する米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。かかる動物によって産生されたインタクトな抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、更に修飾されてもよい。
【0308】
ヒト抗体は、ハイブリドーマベースの方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫細胞株及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)、及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載する)が挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)にも記載されている。
【0309】
ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても作製され得る。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
【0310】
5.ライブラリ由来の抗体
本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、PD-L1アンタゴニスト抗体)は、所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で知られている。そのような方法については、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)で概説し、McCafferty et al.,Nature 348:552-554;Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)に更に記載されている。
【0311】
ある特定のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングされ、ファージライブラリ中でランダムに再結合され、次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されているように抗原結合ファージのスクリーニングを行うことができる。ファージは、典型的には、抗体フラグメントを一本鎖Fv(scFv)フラグメント又はFabフラグメントのいずれかとしてディスプレイする。免疫源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。代替的に、ナイーブレパートリは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)によって記載されているように、免疫化を行わずに、広範囲の非自己抗原及びまた自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローン化することができる。最後に、ナイーブライブラリは、幹細胞から再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダムな配列を含むPCRプライマーを使用して、非常に可変的なCDR3領域をコードし、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)に記載されているように、in vitroで再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載する特許公報としては、例えば:米国特許第5,750,373号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
【0312】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)又はヒト抗体ライブラリから単離された抗体フラグメントは、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体フラグメントとみなされる。
【0313】
6.抗体バリアント
ある特定の事例において、本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)のアミノ酸配列バリアントが意図される。本明細書で詳細に記載されるように、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、所望の構造的及び機能的特性に基づいて最適化され得る。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。このような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせにより、最終構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望される特徴、例えば、抗原結合を保有することを条件とする。
【0314】
I.置換、挿入、及び欠失バリアント
特定の事例では、1つ又は複数のアミノ酸置換を有する抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)バリアントが提供される。置換による突然変異誘発に関して目的の部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、表1において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表1において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載される通りである。アミノ酸置換は、目的の抗体中に導入され得、その産物は、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについてスクリーニングされ得る。
【表1】
【0315】
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0316】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
【0317】
一種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基の置換を伴う。一般に、更なる試験ために選択される結果として生じるバリアント(複数可)は、親抗体と比較して特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)の修正(例えば、改善)を有し、かつ/又は実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有する。例示的な置換バリアントは、親和性成熟した抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して、簡便に生成され得る。簡潔には、1つ以上のHVR残基が突然変異され、バリアント抗体がファージ上に提示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0318】
変更(例えば、置換)は、抗体親和性を改善するために、例えば、HVRにおいて行われてもよい。そのような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/又は抗原と接触する残基内で行われ得、結果として得られるバリアントVH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリの構築及びそこからの再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの事例では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。次いで、このライブラリをスクリーニングして、所望の親和性を有する抗体バリアントを同定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)を無作為化する、HVR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発又はモデリングを使用して、特異的に特定され得る。特にCDR-H3及びCDR-L3が標的とされることが多い。
【0319】
特定の事例では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVR中で行われてよい。そのような変化は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であり得る。上述のバリアントVH及びVL配列の特定の事例では、各HVRは、改変されていないか、又は1つ、2つ、又は3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
【0320】
突然変異導入の標的となり得る抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されているように「アラニンスキャニング突然変異導入」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基又は標的残基群(例えば、帯電した残基、例えば、Arg、Asp、His、Lys及びGlu)が同定され、中性又は負に帯電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)によって置き換えられる。さらなる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入されてもよい。あるいは、又は加えて、抗体と抗原との間の接点を特定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、又は除去されてもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを決定するためにスクリーニングされてもよい。
【0321】
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに1個以上のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体のN末端又はC末端と酵素(例えば、ADEPTの場合)又は抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドとの融合が含まれる。
【0322】
II.グリコシル化バリアント
特定の事例では、本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように変更することができる。本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位を作り出すか又は除去するように、アミノ酸配列を変化させることによって、簡便に達成されることができる。
【0323】
抗体がFc領域を含む場合、それに付着した炭水化物が改変され得る。哺乳動物細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な糖質、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸の他、二分岐オリゴ糖構造の「幹」においてGlcNAcに付着したフコースが含まれうる。いくつかの事例では、特定の特性が改善された抗体バリアントを作製するために、本発明の抗体中におけるオリゴ糖の修飾が行われる。
【0324】
1つの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)のバリアントは、Fc領域に(直接的又は間接的に)付着したフコースを欠く炭水化物構造を有するものが提供される。例えば、そのような抗体中のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%、又は20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI-TOF質量分析法によって測定されたように、Asn297(例えば、複合体構造、ハイブリッド構造、及び高マンノース構造)に付着した全ての糖鎖構造の合計に対するAsn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297とは、Fc領域内のおよそ297位(Fc領域残基のEUナンバリング)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は、抗体のわずかな配列のバリエーションに起因して、297位から上流又は下流に±3アミノ酸、すなわち294位から300位の間に位置する場合もある。このようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L.);同第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」又は「フコース欠乏」抗体バリアントに関する刊行物の例としては:米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;同第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;同第2002/0164328号;同第2004/0093621号;同第2004/0132140号;同第2004/0110704号;同第2004/0110282号;同第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;同第2003/084570号;同第2005/035586号;同第2005/035778号;同第2005/053742号;同第2002/031140号;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。デフコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損するLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108号A1,Presta,L;及び国際公開第2004/056312号A1,Adams et al.,特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006);及び国際公開第2003/085107号を参照されたい)。
【0325】
上記を考慮して、いくつかの事例では、本発明の方法は、非グリコシル化部位突然変異を含む抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ)バリアントを、分割された用量漸増投薬レジメンの状況で対象又は対象集団に投与する工程を含む。いくつかの事例では、アグリコシル化部位突然変異は、抗体のエフェクター機能を低下させる。いくつかの事例では、アグリコシル化部位の突然変異は、置換突然変異である。いくつかの事例では、抗体は、エフェクター機能を低下させるFc領域における置換突然変異を含む。いくつかの事例では、置換突然変異は、アミノ酸残基N297、L234、L235、及び/又はD265(EUナンバリング)におけるものである。いくつかの事例では、置換突然変異は、N297G、N297A、L234A、L235A、D265A、及びP329Gからなる群から選択される。いくつかの事例では、置換突然変異は、アミノ酸残基N297におけるものである。好ましい事例では、置換突然変異は、N297Aである。
【0326】
二分されたオリゴ糖類を有する、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)バリアントが更に提供される。そのような抗体バリアントは、低減されたフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体バリアントの例は、例えば、国際公開第2003/011878(Jean-Mairet et al.);米国特許第6,602,684号(Umana et al.);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umana et al)に記載されている。Fc領域に付着したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体バリアントも提供される。このような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有しうる。そのような抗体バリアントは、例えば、国際公開第1997/30087号(Patel et al.);国際公開第1998/58964号(Raju,S.);及び国際公開第1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。
【0327】
III.Fc領域バリアント
ある特定の事例では、1つ又は複数のアミノ酸修飾が、本発明の抗TIGITアンタゴニスト(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))のFc領域に導入され、それにより、Fc領域バリアントが作製される(例えば、米国特許出願公開第2012/0251531号明細書を参照)。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0328】
ある特定の事例では、本発明は、全てではないが、いくつかのエフェクター機能を有することにより、インビボでの抗体の半減期が重要ではあるが、特定のエフェクター機能(補体及びADCCなど)が不要又は有害である用途に望ましい候補となる、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体バリアントを企図する。CDC及び/又はADCC活性の低下/消失を確認するために、インビトロ及び/又はインビボの細胞毒性アッセイを実施することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠いている(そのため、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確認することができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、Fc(RIIIのみを発現するが、一方で単球は、Fc(RI、Fc(RII、及びFc(RIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現については、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)を参照されたい)、及びHellstrom,Iら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA82:1499~1502(1985);5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法が用いられ得る(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology、Inc.Mountain View,CA;及びCYTOTOX 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照のこと)。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替的又は追加的に、関心のある分子のADCC活性は、in vivo、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示されているような動物モデルで評価することができる。また、抗体がC1qに結合することができず、CDC活性を欠いていることを確認するために、C1q結合アッセイを実施してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号における、C1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するため、CDCアッセイを実施してもよい(例えば、Gazzano-Santoroら、J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.ら、Blood.101:1045-1052(2003);及び、Cragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood.103:2738-2743(2004)を参照)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期の決定はまた、当技術分野で知られている方法を用いて行うことができる(例えば、Petkova,S.B.et al.Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)参照)。
【0329】
低減したエフェクター機能を有する抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有する抗体が挙げられる(米国特許第6,737,056号及び同第8,219,149号)。このようなFc突然バリアントとしては、アラニンへの残基265及び297の置換を有するいわゆる「DANA」Fc突然バリアントを含む、アミノ酸265位、269位、270位、297位、及び327位のうちの2つ以上において置換を有するFc突然バリアントが挙げられる(米国特許第7,332,581号及び同第8,219,149号)。
【0330】
特定の事例では、抗体中の野生型ヒトFc領域の位置329のプロリンは、Fcのプロリン329とFcgRIII(Sondermann et al.:Nature 406,267-273(20 Jul.2000))のトリプトファン残基Trp87及びTrp110との間に形成されるFc/Fc.γ.受容体界面内のプロリンサンドイッチを破壊するのに十分な大きさのアミノ酸残基、又はグリシン若しくはアルギニンで置換される。特定の事例では、抗体は、少なくとも1つのアミノ酸置換を更に含む。1つの事例では、更なるアミノ酸置換は、S228P、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、又はP331Sであり、更に別の事例では、少なくとも1つの更なるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A、又はヒトIgG4 Fc領域のS228P及びL235E(例えば、米国特許出願公開第2012/0251531号を参照されたい)であり、また更に別の事例では、少なくとも1つの更なるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A及びP329Gである。
FcRに対する結合が改善又は減少したある特定の抗体バリアントが記載される。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号,及びShields et al.J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)
【0331】
特定の事例では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/又は334位(残基のEUナンバリング)での置換を有するFc領域を含む。
【0332】
いくつかの事例において、例えば米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されているように、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(即ち向上又は低下のいずれか)をもたらすFc領域内で変化が起こる。
【0333】
母体IgGの胎児への移入の原因である、増加した半減期及び新生児型Fc受容体(FcRn)への改善された結合を有する抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)and Kim et al.,J.Immunol.24:249(1994))は、米国特許出願公開第2005/0014934A1号(Hintonら)に記載される。それらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含む。そのようなFcバリアントには、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、又は434のうちの1つ又は複数に置換、例えばFc領域残基434の置換を有するものが含まれる(米国特許第7,371,826号明細書)。
【0334】
Fc領域のバリアントの他の例に関して、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
【0335】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び/又は抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、N297G変異を含むFc領域を含む(EUナンバリング)。
【0336】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))は、1つ以上の重鎖定常ドメインを含み、1つ以上の重鎖定常ドメインは、第1のCH1(CH11)ドメイン、第1のCH2(CH21)ドメイン、第1のCH3(CH31)ドメイン、第2のCH1(CH12)ドメイン、第2のCH2(CH22)ドメイン、及び第2のCH3(CH32)ドメインから選択される。いくつかの事例では、1箇所以上の重鎖定常ドメインのうちの少なくとも1箇所は、別の重鎖定常ドメインと対合される。いくつかの事例では、CH31及びCH32ドメインは、突起又は空洞を各含み、CH31ドメイン内の突起又は空洞は、それぞれ、CH32ドメイン内の空洞又は突起中に配置可能である。いくつかの事例では、CH31及びCH32ドメインは、該突起と空隙との間の境界面において会合する。いくつかの事例では、CH21及びCH22ドメインは、突起又は空洞を各含み、CH21ドメイン内の突起又は空洞は、それぞれ、CH22ドメイン内の空洞又は突起中に配置可能である。他の事例では、CH21及びCH22ドメインは、該突起と空隙との間の境界面において接触する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又は抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、IgG1抗体である。
【0337】
IV.システイン操作抗体バリアント
特定の事例では、システイン操作された抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)、例えば、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換された「チオMAb」を作製することが望ましい。特定の事例では、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基が抗体の接近可能部位に配置され、それは、本明細書でさらに説明するように、例えば薬物部分又はリンカー-薬物部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートさせて免疫コンジュゲートを作製するために使用されうる。特定の事例では、以下の残基のうちの任意の1つ以上を、システインで置換される:軽鎖のV205(Kabatナンバリング)、重鎖のA118(EUナンバリング)、及び重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン人工抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されているように生成することができる。
【0338】
V.抗体誘導体
特定の事例では、本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)又はそのバリアント)及び/又は本発明のPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ又はそのバリアント))は、当技術分野で公知であり容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含むように更に修飾される。抗体の誘導体化に適した部位としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例:グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物が含まれる(但しこれらに限定されない)。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であってもよく、分岐していても、分岐していなくてもよい。抗体に付着しているポリマーの数は様々であり、複数のポリマーが付着している場合には、それらは同じ分子であっても、異なった分子であってもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、限定するものではないが、改良される抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が定義された条件下で治療に使用されるかどうか等の考慮事項に基づいて決定することができる。
【0339】
別の事例では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体及び非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。1つの事例において、非タンパク質性部分はカーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長であってもよく、通常の細胞に害を与えないが、抗体非保護性部位に近位の細胞が死滅する温度まで非保護性部位を加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
【0340】
組換え生産方法
本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,816,567号に記載されるように、組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。
【0341】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の組換え産生のため、抗体をコードする核酸を単離し、宿主細胞における更なるクローニング及び/又は発現のために1つ以上のベクターに挿入する。このような核酸は、従来の手順を用い(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)、容易に単離され、配列決定されてもよい。
【0342】
抗体コード化ベクターのクローニング又は発現のための好適な宿主細胞には、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特に、グリコシル化及びエフェクター機能が必要とされていない場合には、細菌中で産生されてもよい。バクテリアにおける抗体フラグメント及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照。(E.coliにおける抗体フラグメントの発現を記載するCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい)発現後、本発明の抗体は、細菌細胞ペーストから可溶性画分で単離されてもよく、更に精製されてもよい。
【0343】
原核生物に加えて、糸状菌や酵母等の真核生物は、抗体をコードするベクターのクローニング又は発現宿主として適しており、その中には、グリコシル化経路が「ヒト化」された菌株や酵母株が含まれ、その結果、部分的又は完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体が産生される。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0344】
また、グリコシル化抗体を発現させるのに適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)に由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定されており、昆虫細胞と組み合わせて使用することができ、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用することができる。
【0345】
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照されたい。
【0346】
脊椎動物細胞も、宿主として使用され得る。例えば、懸濁物中で成長するように適合した哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胎児腎臓系統(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載の293細胞又は293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載のTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌腫細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL 3 A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載のTRI細胞;MRC 5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、並びにY0、NS0、及びSp2/0等の骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適なある特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)、
【0347】
免疫コンジュゲート
本発明はまた、化学療法剤若しくは薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物若しくは動物起源の酵素的に活性な毒素、又はそのフラグメント)、又は放射性同位体などの1つ又は複数の細胞傷害剤にコンジュゲートされた本発明の抗TIGITアンタゴニスト(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む免疫コンジュゲートを提供する。
【0348】
いくつかの事例では、免疫コンジュゲートは抗体薬剤抱合体(ADC)であり、抗体が、これらに限定されるわけではないが、マイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号、及び欧州特許第0425235B1号を参照のこと);モノメチルオーリスタチン薬剤部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)などのオーリスタチン(米国特許第5,635,483号、同第5,780,588号、及び同第7,498,298号を参照のこと);ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、及び同第5,877,296号;Hinman et al.,Cancer Res.53:3336-3342(1993);並びにLode et al.,Cancer Res.58:2925-2928(1998)を参照のこと);ダウノマイシン及びドキソルビシン等のアントラサイクリン(例えばKratz et al.,Current Med.Chem.13:477-523(2006);Jeffrey et al.,Bioorganic&Med.Chem.Letters 16:358-362(2006);Torgov et al.,Bioconj.Chem.16:717-721(2005);Nagy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:829-834(2000);Dubowchik et al.,Bioorg.&Med.Chem.Letters 12:1529-1532(2002);King et al.,J.Med.Chem.45:4336-4343(2002);及び米国特許第6,630,579号を参照のこと);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセル等のタキサン;トリコテセン;並びにCC1065を含む1つ以上の薬剤に結合している。
【0349】
別の事例では、免疫コンジュゲートは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンシンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含むがこれらに限定されない酵素活性毒素又はそのフラグメントにコンジュゲートされた、本明細書に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む。
【0350】
別の事例では、免疫コンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートして放射性コンジュゲートを形成する本明細書に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び/又は本明細書に記載のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)(例えば、アテゾリズマブ)を含む。種々の放射性同位体が、放射性コンジュゲートの製造のために入手可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位元素が挙げられる。検出のために用いられる場合、放射性コンジュゲートは、シンチグラフ検査用の放射性原子、例えばtc99m又はI123、或いは核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、mriとしても知られる)のためのスピン標識(ここでもヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄等)を含みうる。
【0351】
抗体と細胞傷害剤とのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えばビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えばビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシンイムノトキシンは、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲートのための例示的キレート剤である。国際公開第94/11026号を参照。リンカーは、細胞内において細胞傷害性薬物の放出を容易にする「切断可能リンカー」であってもよい。例えば、酸-解離性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Res.52:127-131(1992);米国特許第5,208,020号)を使用することができる。
【0352】
本明細書における免疫コンジュゲート又はADCは、限定されないが、市販(例:米国イリノイ州ロックフォードのPierce Biotechnology社から)されている、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC及びスルホ-SMPB、並びにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されたコンジュゲートを明確に意図している。
【0353】
第二選択療法のための医薬組成物、製剤及びキット
本明細書に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストのいずれも、医薬組成物及び製剤に使用することができる。抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の医薬組成物及び製剤は、所望の純度を有する1つ、2つ、3つ、又は4つ全ての薬剤を1つ又は複数の任意の薬学的に許容され得る担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で混合することによって調製することができる。薬学的に許容され得る担体は一般的に、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等の緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化物質、防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール、メチル若しくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾール等)、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン等のタンパク質、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジン等のアミノ酸、単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTA等のキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩形成対イオン、金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容され得る担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)等のヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質等の介在性薬物分散剤を更に含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載される。一態様では、sHASEGPを、1つ以上の更なるグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わせる。
【0354】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤としては、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されるものが挙げられ、後者の製剤は、酢酸ヒスチジン緩衝液を含む。
【0355】
本明細書における製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な1つを超える活性成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有してもよい。例えば、追加の治療剤(例えば、化学療法剤、細胞傷害剤、成長阻害剤、及び/又は抗ホルモン剤、例えば、本明細書において上記で言及されたもの)をさらに提供することが望ましい場合がある。かかる有効成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
【0356】
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにより、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、又はマクロ乳濁液中にも取り込まれ得る。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0357】
徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、これらのマトリクスは、成形物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。インビボ投与に使用される製剤は一般に、滅菌される。滅菌性は、例えば、滅菌ろ過膜を通したろ過によって容易に達成され得る。
【0358】
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってESCCを有する対象を治療するためのPD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせて使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体を含むキットが提供される。いくつかの事例では、キットは、PD-1軸結合アンタゴニストを更に含む。
【0359】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従ってESCCを有する対象を治療するためにアテゾリズマブと組み合わせて使用するためのチラゴルマブを含む。いくつかの実施形態では、キットはアテゾリズマブを更に含む。
【0360】
本明細書で提供されるキットは、本明細書に記載される方法のいずれかに従って、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCC))を有する対象を治療するための抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブを更に含む。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブ及びアテゾリズマブを含む。
【0361】
IV.第一選択ESCC療法
いくつかの態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団に対する治療を伴う。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けなかった。いくつかの実施形態では、手術は対象又は対象集団に適していない。本治療には、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の組み合わせが含まれる。いくつかの事例では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない。あるいは、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、以前の治療は、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した。例えば、いくつかの事例では、対象又は対象集団は、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した非進行性のESCCのための治療として、以前の化学放射線療法又は化学療法(例えば、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与される化学放射線療法又は化学療法)を受けたことがある。いくつかの事例では、以前の治療(例えば、化学放射線療法又は化学療法、例えば、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与される化学放射線療法又は化学療法)は、進行性のESCCの診断の少なくとも8ヶ月前、少なくとも10ヶ月前、少なくとも1年前、少なくとも2年前、少なくとも3年前、少なくとも4年前、又は少なくとも5年前に完了した。いくつかの事例では、進行性のESCCは、最終的治療(例えば、放射線療法、化学放射線療法、及び/又は手術)に適していない。
【0362】
一態様では、食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、3週間ごとに約30mg~約1200 mgの固定用量(例えば、3週間ごとに約30mg~約800mgの固定用量、例えば、3週間ごとに約600mgの固定用量))、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量(例えば、約800mg~約1400mgの固定用量、例えば、約1200mgの固定用量))、タキサン、及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、手術は対象又は対象集団に適していない。いくつかの実施形態において、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための事前の全身治療を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない。他の実施形態では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療は、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した。いくつかの実施形態では、非進行性のESCCのための以前の治療は、化学放射線療法又は化学療法(例えば、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与される化学放射線療法又は化学療法)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、タキサンは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、白金薬剤は、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤は、導入期中に投与される。いくつかの実施形態では、導入期は、21日間サイクル又は1回未満の完全な21日間投与サイクルを含む。いくつかの実施形態では、導入期は、1~6回(例えば、1、2、3、4、5、又は6回)の21日間サイクルを含む。いくつかの実施形態では、導入期は、少なくとも6回の21日間サイクルを含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、誘導後、例えば、第6の21日間サイクル後の維持期中にさらに投与される。いくつかの実施形態では、維持期は導入期の終了直後に開始する。いくつかの実施形態では、導入期と維持期とは時間間隔で分離される。いくつかの実施形態では、維持期は、導入期の終了後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10週間後に開始する。いくつかの実施形態では、タキサン及び白金薬剤は、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される。
【0363】
別の態様では、食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、2週間ごとに約300mg~約800 mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約420mgの固定用量))、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量(例えば、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量、例えば、2週間ごとに約840mgの固定用量))、タキサン、及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、手術は対象又は対象集団に適していない。いくつかの実施形態において、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための事前の全身治療を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない。他の実施形態では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療は、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した。いくつかの実施形態では、非進行性のESCCのための以前の治療は、化学放射線療法又は化学療法(例えば、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与される化学放射線療法又は化学療法)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤は、導入期中に投与される。いくつかの実施形態では、導入期は、28日間サイクル又は1回未満の完全な28日間投与サイクルを含む。いくつかの実施形態では、導入期は、1~6回(例えば、1、2、3、4、5、又は6回)の28日間サイクルを含む。いくつかの実施形態では、導入期は、少なくとも6回の28日間サイクルを含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、誘導後、例えば、第6の28日間サイクル後の維持期中にさらに投与される。いくつかの実施形態では、維持期は導入期の終了直後に開始する。いくつかの実施形態では、導入期と維持期とは時間間隔で分離される。いくつかの実施形態では、維持期は、導入期の終了後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10週間後に開始する。いくつかの実施形態では、タキサン及び白金薬剤は、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、1回又は複数回の維持期の投与サイクルでさらに投与され、タキサン及び白金薬剤は、1回又は複数回の維持期の投与サイクルのそれぞれから省略される。
【0364】
別の態様では、食道扁平上皮癌腫(ESCC)(例えば、進行性のESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約840mgの固定用量))、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量(例えば、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量、例えば、4週間ごとに約1680mgの固定用量))、タキサン、及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含む方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、手術は対象又は対象集団に適していない。いくつかの実施形態において、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための事前の全身治療を受けたことがない。いくつかの実施形態では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない。他の実施形態では、対象又は対象集団は、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療は、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した。いくつかの実施形態では、非進行性のESCCのための以前の治療は、化学放射線療法又は化学療法(例えば、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与される化学放射線療法又は化学療法)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストは、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤は、導入期中に投与される。いくつかの実施形態では、導入期は、28日間サイクル又は1回未満の完全な28日間投与サイクルを含む。いくつかの実施形態では、導入期は、1~6回(例えば、1、2、3、4、5、又は6回)の28日間サイクルを含む。いくつかの実施形態では、導入期は、少なくとも6回の28日間サイクルを含む。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、誘導後、例えば、第6の28日間サイクル後の維持期中にさらに投与される。いくつかの実施形態では、維持期は導入期の終了直後に開始する。いくつかの実施形態では、導入期と維持期とは時間間隔で分離される。いくつかの実施形態では、維持期は、導入期の終了後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10週間後に開始する。いくつかの実施形態では、タキサン及び白金薬剤は、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストは、1回又は複数回の維持期の投与サイクルでさらに投与され、タキサン及び白金薬剤は、1回又は複数回の維持期の投与サイクルのそれぞれから省略される。
【0365】
いくつかの実施形態では、タキサンは、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される。いくつかの実施形態では、白金薬剤は、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される。いくつかの実施形態では、タキサン及び白金薬剤は両方とも、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される。
【0366】
第一選択治療のための治療方法
本明細書中に記載される本発明の治療方法及び使用は、1つの態様において、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団に1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象又は対象集団は、進行性のESCCについての以前の全身治療を受けたことがない。1回又は複数回の投与サイクルは、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示されるような抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、有効量のタキサン(例えば、パクリタキセル)及び有効量の白金薬剤(例えば、シスプラチン)を含む。
【0367】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約30mg~約1200mg(例えば、約30mg~約1100mg、例えば、約60mg~約1000mg、例えば、約100mg~約900mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約800mg、例えば、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約750mg、例えば、約450mg~約750mg、例えば、約500mg~約700mg、例えば、約550mg~約650mg、例えば、600mg±10mg、例えば、600±6mg、例えば、600±5mg、例えば、600±3mg、例えば、600±1mg、例えば、600±0.5mg、例えば、600mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約30mg~約600mg(例えば、約50mg~600mg、例えば、約60mg~約600mg、例えば、約100mg~約600mg、例えば、約200mg~約600mg、例えば、約200mg~約550mg、例えば、約250mg~約500mg、例えば、約300mg~約450mg、例えば、約350mg~約400mg、例えば、約375mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、3週間ごとに約600mgの固定用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)との併用治療)で投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の固定用量は、単剤療法として投与される抗TIGITアンタゴニスト抗体の標準用量と比較して減少し得る。
【0368】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、2週間ごとに(Q2W)約10mg~約1000mg(例えば、約20mg~約1000mg、例えば、約50mg~約900mg、例えば、約100mg~約850mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約300mg~約600mg、例えば、約400mg~約500mg、例えば、約405mg~約450mg、例えば、約410mg~約430mg、例えば、約420mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、2週間ごとに約420mg(例えば、420mg±10mg、例えば、420±6mg、例えば、420±5mg、例えば、420±3mg、例えば、420±1mg、例えば、420±0.5mg、例えば、2週間ごとに420mg)の固定用量である。
【0369】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、4週間ごとに(Q4W)約200mg~約2000mg(例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約250mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1500mg、例えば、約500mg~約1400mg、例えば、約600mg~約1200mg、例えば、約700mg~約1100mg、例えば、約800mg~約1000mg、例えば、約800mg~約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の有効量は、4週間ごとに約840mg(例えば、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、4週間ごとに840mg)の固定用量である。
【0370】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごと(Q3W)に約80mg~約1600mg(例えば、約100mg~約1600mg、例えば、約200mg~約1600mg、例えば、約300mg~約1600mg、例えば、約400mg~約1600mg、例えば、約500mg~約1600mg、例えば、約600mg~約1600mg、例えば、約700mg~約1600mg、例えば、約800mg~約1600mg、例えば、約900mg~約1500mg、例えば、約1000mg~約1400mg、例えば、約1050mg~約1350mg、例えば、約1100mg~約1300mg、例えば、約1150mg~約1250mg、例えば、約1175mg~約1225mg、例えば、約1190mg~約1210mg、例えば、1200mg±5mg、例えば、1200±2.5mg、例えば、1200±1.0mg、例えば、1200±0.5mg、例えば、1200mg)の固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、3週間ごとに約1200mgの固定用量のアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、3週間ごとに約200mgの固定用量のペムブロリズマブであるか、あるいは、6週間ごとに約400mgの固定用量のペムブロリズマブである。
【0371】
いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ、タキサン(例えば、パクリタキセル)、及び/又は白金薬剤(例えば、シスプラチン))との併用治療)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の固定用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の標準用量と比較して減少し得る。
【0372】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、対象の体重の約0.01mg/kgと約50mg/kgの間(例えば、約0.01mg/kgと約45mg/kgの間、例えば、約0.1mg/kgと約40mg/kgの間、例えば、約1mg/kgと約35mg/kgの間、例えば、約2.5mg/kgと約30mg/kgの間、例えば、約5mg/kgと約25mg/kgの間、例えば、約10mg/kgと約20mg/kgの間、例えば、約12.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば、約15±2mg/kg、約15±1mg/kg、約15±0.5mg/kg、約15±0.2mg/kg、又は約15±0.1mg/kg、例えば、約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに、対象の体重の約0.01mg/kgと約15mg/kgの間(例えば約0.1mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約0.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約1mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約2.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約7.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約10mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約12.5mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約14mg/kgと約15mg/kgの間、例えば約15±1mg/kg、例えば約15±0.5mg/kg、例えば約15±0.2mg/kg、例えば約15±0.1mg/kg、例えば約15mg/kg)の用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、3週間ごとに投与される約15mg/kgの用量である。いくつかの事例では、併用療法(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ、タキサン(例えば、パクリタキセル)、及び/又は白金薬剤(例えば、シスプラチン)との併用治療)で投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の用量は、単剤療法として投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ)の標準用量と比較して減少し得る。
【0373】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、2週間ごとに(Q2W)約20mg~約1600mg(例えば、約40mg~約1500mg、例えば、約200mg~約1400mg、例えば、約300mg~約1400mg、例えば、約400mg~約1400mg、例えば、約500mg~約1300mg、例えば、約600mg~約1200mg、例えば、約700mg~約1100mg、例えば、約800mg~約1000mg、例えば、約800mg~約900mg、例えば、約800、約810、約820、約830、約840、約850、約860、約870、約880、約890又は約900mg)の固定用量である。いくつかの事例は、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、約840mg/2週間(例えば、2週間ごとに、840mg±10mg、例えば、840±6mg、例えば、840±5mg、例えば、840±3mg、例えば、840±1mg、例えば、840±0.5mg、例えば、840mg)の固定用量のアテゾリズマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週間ごとに約800mgの固定用量のアベルマブである。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、2週間ごとに約240mgの固定用量のニボルマブである。
【0374】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに(Q4W)約500mg~約3000mg(例えば、約500mg~約2800mg、例えば、約600mg~約2700mg、例えば、約650mg~約2600mg、例えば、約700mg~約2500mg、例えば、約1000mg~約2400mg、例えば、約1100mg~約2300mg、例えば、約1200mg~約2200mg、例えば、約1300mg~約2100mg、例えば、約1400mg~約2000mg、例えば、約1500mg~約1900mg、例えば、約1600mg~約1800mg、例えば、約1620mg~約1700mg、例えば、約1640mg~約1690mg、例えば、約1660mg~約1680mg、約1680mg、例えば、約1600mg、約1610mg、約1620mg、約1630mg、約1640mg、約1650mg、約1660mg、約1670mg、約1680mg、約1690mg、又は約1700mg)の固定用量である。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の有効量は、4週間ごとに1680mg(例えば、4週間ごとに、1680mg±10mg、例えば、1680±6mg、例えば、1680±5mg、例えば、1680±3mg、例えば、1680±1mg、例えば、1680±0.5mg、例えば、1680mg)の固定用量である。いくつかの実施形態では、PD-1軸結合アンタゴニストの有効量は、4週間ごとに約480mgの固定用量のニボルマブである。
【0375】
いくつかの事例では、タキサン(例えば、パクリタキセル又はnab-パクリタキセル(ABRAXANE(登録商標)))の有効量は、3週間ごとに、1回又は複数回の投与によるかどうかにかかわらず、3週間ごとに約25~約300mg/m2(例えば、約100~250mg/m2又は約150~200mg/m2、例えば、約25mg/m2、約50mg/m2、約75mg/m2、約100mg/m2、約125mg/m2、約150mg/m2、約175mg/m2、約200mg/m2、約225mg/m2、約250mg/m2、約275mg/m2,又は約300mg/m2)である。いくつかの事例では、タキサンは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与される。例えば、いくつかの事例では、パクリタキセルは、3週間ごとに、1回又は複数回の投与によるかどうかにかかわらず、3週間ごとに約25~約300mg/m2(例えば、約100~250/m2又は約150~200mg/m2、例えば、約25mg/m2、約50mg/m2、約75mg/m2、約100mg/m2、約125mg/m2、約150mg/m2、約175mg/m2、約200mg/m2、約225mg/m2、約250mg/m2、約275mg/m2、又は約300mg/m2)の用量で投与される。いくつかの事例では、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与される。
【0376】
いくつかの事例では、白金薬剤(例えば、シスプラチン又はカルボプラチン)の有効量は、3週間ごとに、1回又は複数回の投与によるかどうかにかかわらず、3週間ごとに約20~200mg/m2(例えば、約40~120mg/m2、約50~100mg/m2、又は約60~80mg/m2、例えば、約25mg/m2、約50mg/m2、約60mg/m2、約65mg/m2、約70mg/m2、約75mg/m2、約80mg/m2、約100mg/m2、約125mg/m2、約150mg/m2、約175mg/m2、又は約200mg/m2)である。いくつかの事例では、白金薬剤は、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される。例えば、いくつかの事例では、シスプラチンは、3週間ごとに、1回又は複数回の投与によるかどうかにかかわらず、3週間ごとに約20~200mg/m2(例えば、約40~120mg/m2、約50~100mg/m2、又は約60~80mg/m2、例えば、約25mg/m2、約50mg/m2、約60mg/m2、約65mg/m2、約70mg/m2、約75mg/m2、約80mg/m2、約100mg/m2、約125mg/m2、約150mg/m2、約175mg/m2、又は約200mg/m2)の用量で投与される。いくつかの事例では、白金薬剤は、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される。
【0377】
いくつかの例では、白金薬剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)の有効量は、AUC=6mg/ml/分を達成するのに十分な用量である。いくつかの例では、白金薬剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)の有効量は、AUC=5mg/ml/分を達成するのに十分な用量である。
【0378】
AUCは、カルバート式(Calvert et al.,J.Clin.Oncol.1989,7:1748-56)を使用して計算することができる:
総投与量(mg)=(目標AUC)x(糸球体濾過率[GFR]+25)
【0379】
いくつかの事例では、白金薬剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)の有効量は、200mg~1500mg(例えば、300mg~1200mg、400mg~1100mg又は500mg~1000mg、例えば、300mg~400mg、400mg~500mg、500mg~600mg、600mg~700mg、700mg~750mg、750mg~800mg、800mg~900mg、900mg~1000mg、1000mg~1100mg又は1100mg~1200mg、例えば、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、1400mg又は約1500mg)である。いくつかの事例では、白金薬剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)の有効量は、500mg~1000mg(例えば、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、又は約1000mg)である。
【0380】
本発明の方法及び使用のいずれにおいても、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)は、1回又は複数回の投与サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50又はそれ以上の投与サイクル)で投与され得る。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与サイクルは、臨床上の利益(例えば、確認された疾患進行、薬物耐性、死亡、又は許容できない毒性)が失われるまで継続する。いくつかの事例では、各投与サイクルの長さは、約15~24日間(例えば、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、20日間、21日間、22日間、23日間又は24日間)である。いくつかの事例では、各投与サイクルの長さは、約21日間である。いくつかの事例では、各投与サイクルの長さは、約80~88日間(例えば、80日間、81日間、82日間、83日間、84日間、85日間、86日間、87日間又は88日間)である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約84日間である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約38~46日間(例えば、38日間、39日間、40日間、41日間、42日間、43日間、44日間、45日間又は46日間)である。いくつかの事例では、投与サイクルの長さは、約42日間である。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約600mgの固定用量で、各21日間サイクルの1日目(すなわち、3週間ごとに約600mgの固定用量の)に静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)及び22日目(例えば、22±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約600mgの固定用量で、各42日間サイクルの1日目及び22日目(すなわち、3週間ごとに約600mgの固定用量の)に静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、22日目(例えば、22±3日目)、43日目(例えば、43±3日目)、及び64日目(例えば、64±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約600mgの固定用量で、各84日間サイクルの1日目、22日目、43日目、及び64日目(すなわち、3週間ごとに約600mgの固定用量の)に静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、15日目(例えば、15±3日目)、及び29日目(例えば、29±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、各42日間サイクルの1日目、15日目、及び29日目に約420mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約420mgの固定用量で)静脈内投与する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、29日目(例えば、29±3日目)、及び57日目(例えば、57±3日目)に投与される。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)を、約840mgの固定用量で、各84日間サイクルの1日目、29日目、及び56日目(すなわち、4週間ごとに約840mgの固定用量の)に静脈内投与する。同様に、いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で各21日間サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)及び22日目(例えば、22±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で各42日間サイクルの1日目及び22日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、22日目(例えば、22±3日目)、43日目(例えば、43±3日目)、及び64日目(例えば、64±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で各84日間サイクルの1日目、22日目、43日目、及び64日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、15日目(例えば、15±3日目)、及び29日目(例えば、29±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各42日間サイクルの1日目、15日目、及び29日目に約840mgの固定用量で(すなわち、2週間ごとに約840mgの固定用量で)静脈内投与する。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、29日目(例えば、29±3日目)、及び57日目(例えば、57±3日目)に投与する。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1680mgの固定用量で各84日間サイクルの1日目、29日目、及び56日目に(すなわち、約1680mgの固定用量で4週間ごとに)静脈内投与される。いくつかの事例では、タキサン(例えばパクリタキセル)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、いくつかの事例では、タキサン(例えば、パクリタキセル)は、約175 mg/m2の用量で、各21日間サイクルの1日目に(すなわち、3週間ごとに約175 mg/m2の用量で)静脈内投与される。いくつかの事例では、タキサン(例えばパクリタキセル)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)及び22日目(例えば、22±3日目)に投与される。例えば、タキサン(例えば、パクリタキセル)は、約175mg/m2の用量で、各42日間サイクルの1日目及び22日目に(すなわち、3週間ごとに約175mg/m2の用量で)静脈内投与される。いくつかの事例では、タキサン(例えばパクリタキセル)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、22日目(例えば、22±3日目)、43日目(例えば、43±3日目)、及び64日目(例えば、64±3日目)に投与される。例えば、タキサン(例えば、パクリタキセル)は、約175mg/m2の用量で、各84日間サイクルの1日目、22日目、43日目、及び64日目に(すなわち、3週間ごとに約175mg/m2の用量で)静脈内投与される。いくつかの事例では、白金薬剤(例えばシスプラチン)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与される。例えば、いくつかの事例では、白金薬剤(例えばシスプラチン)は、約60~80 mg/m2の用量で、各21日間サイクルの1日目に(すなわち、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で)静脈内投与される。いくつかの事例では、白金薬剤(例えばシスプラチン)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)及び22日目(例えば、22±3日目)に投与される。例えば、白金薬剤(例えばシスプラチン)は、約60~80mg/m2の用量で、各42日間サイクルの1日目及び22日目に(すなわち、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で)静脈内投与される。いくつかの事例では、白金薬剤(例えばシスプラチン)は、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)、22日目(例えば、22±3日目)、43日目(例えば、43±3日目)、及び64日目(例えば、64±3日目)に投与される。例えば、白金薬剤(例えばシスプラチン)は、約60~80/m2の用量で、各84日間サイクルの1日目、22日目、43日目、及び64日目に(すなわち、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で)静脈内投与される。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、タキサン(例えば、パクリタキセル)、及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)を、各投与サイクルの約1日目(例えば、1±3日目)に投与する。例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約600mgの固定用量で21日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約600mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与され、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約1200mgの固定用量で21日間の各サイクルの1日目に(すなわち、約1200mgの固定用量で3週間ごとに)静脈内投与され、タキサン(例えば、パクリタキセル)は、約175mg/2の用量で各21日間サイクルの1日目に(すなわち、約175mg/m2の用量で3週間ごとに)静脈内投与され、白金薬剤(例えば、シスプラチン)は、約60
~80mg/m2の用量で各21日間サイクルの1日目に(すなわち、約60~80mg/m2の用量で3週間ごとに)静脈内投与される。
【0381】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、約60±10分(例えば、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、又は約70分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、約60±15分(例えば、約45分、約46分、約47分、約48分、約49分、約50分、約51分、約52分、約53分、約54分、約55分、約56分、約57分、約58分、約59分、約60分、約61分、約62分、約63分、約64分、約65分、約66分、約67分、約68分、約69分、約70分、約71分、約72分、約73分、約74分又は約75分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。いくつかの事例では、タキサン(例えば、パクリタキセル)は、約3時間±30分(例えば、約150分、約155分、約160分、約165分、約170分、約175分、約180分、約185分、約190分、約195分、約200分、約205分、又は約210分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。いくつかの事例では、白金薬剤(例えば、シスプラチン)は、約1~4時間(例えば、約2~3時間、例えば、約1時間、約2時間、約3時間、又は約4時間、例えば、約70分、約80分、約90分、約100分、約110分、約120分、約130分、約140分、約150分、約160分、約170分、約180分、約190分、約200分、約210分、約220分、約230分、又は約240分)にわたる静脈内注入によって対象に投与される。
【0382】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与前に、該方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、方法は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の投与後の第2の観察期間を更に含む。いくつかの例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0383】
他の事例では、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与前に、該方法は、介在する第1の観察期間を含む。いくつかの事例では、方法は、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む。いくつかの事例では、該方法は、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第1及び第2の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第1及び第2の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第1及び第2の観察期間中のPD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0384】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、対象に同時に投与される。いくつかの事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後に、該方法は観察期間を含む。いくつかの事例では、観察期間は、約30分~約60分の長さである。観察期間が約60分の長さである場合、方法は、観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約30±10分に、対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。観察期間が約30分の長さである場合、方法は、観察期間中、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後約15±10分に、対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)を記録することを含み得る。
【0385】
いくつかの事例では、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)は、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの後に投与される。いくつかの事例では、タキサン(例えば、パクリタキセル)は、白金薬剤(例えば、シスプラチン)の前に対象に投与される。いくつかの事例では、例えば、タキサンの投与後及び白金薬剤の投与前に、本方法は、介在する第3の観察期間を含む。いくつかの事例では、本方法は、白金薬剤の投与後の第4の観察期間を更に含む。いくつかの事例では、本方法は、タキサンの投与後の第3の観察期間及び白金薬剤の投与後の第4の観察期間の両方を含む。いくつかの事例では、第3及び第4の観察期間はそれぞれ、約30分~約60分の長さである。第3及び第4の観察期間がそれぞれ約60分である事例では、方法は、第3及び第4の観察期間中のタキサン及び白金薬剤の投与後約30±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。第3及び第4の観察期間がそれぞれ約30分である事例では、方法は、第3及び第4の観察期間中のタキサン及び白金薬剤の投与後約15±10分での対象のバイタルサイン(例えば、脈拍数、呼吸数、血圧、及び体温)をそれぞれ記録することを含み得る。
【0386】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、対象又は対象集団に、3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに175mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、下記においてさらに詳しく記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメインと配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインとを有する。
【0387】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに175mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することによる方法を提供する。
【0388】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、対象又は対象集団に、3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体、2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに175mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、下記においてさらに詳しく記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメインと配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインとを有する。
【0389】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ、2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに175mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することによる方法を提供する。
【0390】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、対象又は対象集団に、3週間ごとに600mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体、4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに175mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、下記においてさらに詳しく記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメインと配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインとを有する。
【0391】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ、4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに175mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することによる方法を提供する。
【0392】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、対象又は対象集団に、2週間ごとに420mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに175mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、下記においてさらに詳しく記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメインと配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインとを有する。
【0393】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに175mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することによる方法を提供する。
【0394】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、対象又は対象集団に、2週間ごとに420mgの固定用量の抗TIGITアンタゴニスト抗体、4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに175mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを投与することによる方法を提供し、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、下記においてさらに詳しく記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を有するVHドメインと配列番号19のアミノ酸配列を有するVLドメインとを有する。
【0395】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法であって、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブ、4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに175mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することによる方法を提供する。
【0396】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及びPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、対象又は対象集団に、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)))、有効量のタキサン(例えば、パクリタキセル)及び有効量の白金薬剤(例えば、シスプラチン)の1回又は複数回の投与サイクルを(例えば、本明細書中に記載される方法のいずれかに従って)投与することを含む。
【0397】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかで使用するための医薬の製造又は調製における抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、タキサン(例えば、パクリタキセル)、及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の使用を提供する。
【0398】
別の態様において、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、対象又は対象集団に、医薬並びにPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、有効量のタキサン(例えば、パクリタキセル)及び有効量の白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与のために、本明細書に記載される方法のいずれかに従って製剤化される。
【0399】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の方法のいずれかで使用するための医薬の製造又は調製におけるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)、及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の使用を提供する。
【0400】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))の使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、対象又は対象集団に、医薬並びに抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、医薬は、有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))、有効量の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、有効量のタキサン(例えば、パクリタキセル)及び有効量の白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与のために製剤化される。
【0401】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬並びに抗TIGIT抗体、タキサン及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、タキサンは、3週間ごとに約175 mg/m2の用量で投与され、白金薬剤は、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになり、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び以配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0402】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約175mg/m2の用量パクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの投与のために製剤化される。
【0403】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬、アテゾリズマブ、パクリタキセル、及びシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブの投与のために製剤化され、アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0404】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬、チラゴルマブ、パクリタキセル、及びシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブの投与のために製剤化され、チラゴルマブは、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0405】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬並びに抗TIGIT抗体、タキサン及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、2週間ごとに840mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、タキサンは、3週間ごとに約175 mg/m2の用量で投与され、白金薬剤は、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになり、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び以配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0406】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ、2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約175mg/m2の用量パクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの投与のために製剤化される。
【0407】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブの投与のために製剤化され、アテゾリズマブは、2週間ごとに840mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0408】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブの投与のために製剤化され、チラゴルマブは、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0409】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬並びに抗TIGIT抗体、タキサン及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、4週間ごとに1680mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、タキサンは、3週間ごとに約175 mg/m2の用量で投与され、白金薬剤は、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになり、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び以配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0410】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブ、4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約175mg/m2の用量パクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの投与のために製剤化される。
【0411】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに600mgの固定用量のチラゴルマブの投与のために製剤化され、アテゾリズマブは、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0412】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブの投与のために製剤化され、チラゴルマブは、3週間ごとに600mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0413】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬並びに抗TIGIT抗体、タキサン及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、タキサンは、3週間ごとに約175 mg/m2の用量で投与され、白金薬剤は、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになり、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び以配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0414】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約175mg/m2の用量パクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの投与のために製剤化される。
【0415】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブの投与のために製剤化され、アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0416】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブの投与のために製剤化され、チラゴルマブは、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0417】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬並びに抗TIGIT抗体、タキサン及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、4週間ごとに1680mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、タキサンは、3週間ごとに約175 mg/m2の用量で投与され、白金薬剤は、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになり、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び以配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0418】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブ、4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約175mg/m2の用量パクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの投与のために製剤化される。
【0419】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、2週間ごとに420mgの固定用量のチラゴルマブの投与のために製剤化され、アテゾリズマブは、4週間ごとに1680mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0420】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、4週間ごとに1680mgの固定用量のアテゾリズマブの投与のために製剤化され、チラゴルマブは、2週間ごとに420mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0421】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬並びに抗TIGIT抗体、タキサン及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、タキサンは、3週間ごとに約175 mg/m2の用量で投与され、白金薬剤は、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになり、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び以配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0422】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、4週間ごとに840mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約175mg/m2の用量パクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの投与のために製剤化される。
【0423】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、4週間ごとに840mgの固定用量のチラゴルマブの投与のために製剤化され、アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0424】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、3週間ごとに1200mgの固定用量のアテゾリズマブの投与のために製剤化され、チラゴルマブは、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0425】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬並びに抗TIGIT抗体、タキサン及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、2週間ごとに840mgの固定用量でアテゾリズマブを投与するために製剤化され、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、タキサンは、3週間ごとに約175 mg/m2の用量で投与され、白金薬剤は、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになり、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下にさらに詳細に記載される配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び以配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む。
【0426】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬の1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、4週間ごとに840mgの固定用量のチラゴルマブ、2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約175mg/m2の用量パクリタキセル、及び3週間ごとに60~80mg/m2の用量のシスプラチンの投与のために製剤化される。
【0427】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるチラゴルマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、4週間ごとに840mgの固定用量のチラゴルマブの投与のために製剤化され、アテゾリズマブは、2週間ごとに840mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0428】
別の態様では、本発明は、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象又は対象集団を治療する方法において使用するための医薬の製造におけるアテゾリズマブの使用を提供し、対象又は対象集団は、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがなく、該方法は、医薬及びチラゴルマブの1回又は複数回の投与サイクルを対象又は対象集団に投与することを含み、医薬は、2週間ごとに840mgの固定用量のアテゾリズマブの投与のために製剤化され、チラゴルマブは、4週間ごとに840mgの固定用量で投与され、パクリタキセルは、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンは、3週間ごとに60~80mg/m2の用量で投与されることになる。
【0429】
A.PD-L1選択
本明細書中に記載される方法、使用又は使用のための組成物のいずれかのいくつかの事例では、対象又は対象集団は、PD-L1によって選択されるESCC腫瘍(例えば、PD-L1の検出可能な発現レベル(例えば、タンパク質発現レベル又は核酸発現レベル)を有するESCC腫瘍)を有する。いくつかの事例では、PD-L1によって選択される腫瘍は、免疫組織化学(IHC)アッセイにより少なくとも1%(例えば、少なくとも10%)のPD-L1陽性腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコアを有すると決定されたESCC腫瘍である。いくつかの事例では、TICスコアは1%~99%(例えば、2%~98%、3%~97%、4%~96%、5%~95%、10%~90%、15%~85%、20%~80%、又は25%~75%、例えば、1%~10%(例えば、1%~5%(例えば、1%~2%、2%~3%、3%~4%、又は4%~5%)又は5%~10%(例えば、5%~6%、6%~7%、7%~8%、8%~9%、又は9%~10%))、10%~20%(例えば、10%~15%(例えば、10%~11%、11%~12%、12%~13%、13%~14%、又は14%~15%)又は15%~20%(例えば、15%~16%、16%~17%、17%~18%、18%~19%、又は19%~20%))、又は20%超)である。いくつかの事例では、TICスコアは10%未満(例えば、1%~10%、2%~10%、3%~10%、4%~10%、5%~10%、6%~10%、7%~10%、8%~10%、又は9%~10%)である。いくつかの事例では、TICスコアは20%未満(例えば、1%~20%、2%~20%、3%~20%、4%~20%、5%~20%、6%~20%、7%~20%、8%~20%、9%~20%、10%~20%、11%~20%、12%~20%、13%~20%、14%~20%、15%~20%、16%~20%、17%~20%、18%~20%又は19%~20%)である。
【0430】
いくつかの事例では、IHCアッセイは、pharmDX 22C3アッセイであり、ESCC腫瘍試料は、10以上(例えば、15以上;20以上;25以上;30以上;40以上;45以上;又は50以上)の複合陽性スコア(CPS)を有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、1%以上のTPSを有すると決定されている。いくつかの実施形態では、ESCC腫瘍試料は、50%以上のTPSを有すると決定されている。
【0431】
いくつかの事例では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142又は28-8が使用される。いくつかの事例では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142が使用される(例えば、Ventana SP142 IHCアッセイ)。いくつかの事例では、IHCアッセイに、抗PD-L1抗体28-8が使用される(例えば、pharmDx 28-8 IHCアッセイ)。
【0432】
いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の1%以上においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の1%以上5%未満においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の5%以上50%未満においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料中の腫瘍細胞の50%以上においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の1%以上を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の1%以上5%未満を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の5%以上10%未満を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍試料の10%以上を構成する腫瘍浸潤免疫細胞においてPD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている。
【0433】
いくつかの事例では、本明細書に記載される方法、使用、又は、使用のための組成物のいずれかにおいて、個体から得られる腫瘍試料は、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルを有する。いくつかの事例では、PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組み合わせによって決定されている。いくつかの事例では、試料は、組織試料、全血試料、血清試料及び血漿試料からなる群から選択される。いくつかの事例では、組織試料は、腫瘍試料である。いくつかの事例では、腫瘍試料は、腫瘍浸潤免疫細胞、腫瘍細胞、間質細胞、及びこれらの任意の組み合わせを含む。
【0434】
B.第一選択療法に対する応答
本明細書に記載される方法のいずれかのいくつかの実施形態では、治療に対する対象又は対象集団の応答は、1つ以上の尺度によって特徴付けることができる。いくつかの実施形態では、治療は、完全奏効又は部分奏効をもたらす。
【0435】
いくつかの事例では、治療は、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を用いずにタキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)を用いる治療と比較して、対象の無増悪生存期間の増加をもたらす。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療は、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を用いずにタキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)を用いる治療と比較して、対象の無増悪生存期間の増加をもたらし得る。いくつかの実施形態では、治療は、対象又は対象集団のPFSを少なくとも約2ヶ月又は約4ヶ月延長する。いくつかの実施形態では、PFSの増加は、約3.7ヶ月以上(例えば、約4.0ヶ月以上、約4.5ヶ月以上、約5.0ヶ月以上、約5.5.ヶ月以上、約6.0ヶ月以上、約6.5ヶ月以上、約7.0ヶ月以上、約7.5ヶ月以上、約8.0ヶ月以上、約8.5ヶ月以上、約9.0ヶ月以上、約9.5ヶ月以上、約10ヶ月以上、約11ヶ月以上、約11.5ヶ月以上、約12ヶ月以上、約12.5ヶ月以上、約13ヶ月以上、約13.5ヶ月以上、約14ヶ月以上、約14.5ヶ月以上、約15ヶ月以上、約15.5ヶ月以上、約16ヶ月以上、約16.5ヶ月以上、約17ヶ月以上、約17.5ヶ月以上、約18ヶ月以上、約18.5ヶ月以上、約19ヶ月以上、約19.5ヶ月以上、又は約20ヶ月以上)である。いくつかの実施形態では、PFSの増加は、約6ヶ月以上(例えば、約6.5ヶ月以上、約7ヶ月以上、約7.5ヶ月以上、約8ヶ月以上、約8.5ヶ月以上、約9ヶ月以上、約9.5ヶ月以上、約10ヶ月以上、約10.5ヶ月以上、約11ヶ月以上、約11.5ヶ月以上、約12ヶ月以上、約12.5ヶ月以上、約13ヶ月以上、約13.5ヶ月以上、約14ヶ月以上、約14.5ヶ月以上、約15ヶ月以上、約15.5ヶ月以上、約16ヶ月以上、約16.5ヶ月以上、約17ヶ月以上、約17.5ヶ月以上、約18ヶ月以上、約18.5ヶ月以上、約19ヶ月以上、約19.5ヶ月以上、又は約20ヶ月以上)である。いくつかの実施形態では、PFSの増加は2~4ヶ月(例えば、約2ヶ月、約2.5ヶ月、約3ヶ月、約3.5ヶ月、又は約4ヶ月)である。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)による治療の開始後少なくとも約8ヶ月(例えば、約8.5ヶ月、約9ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約10.5ヶ月、約11ヶ月、約11.5ヶ月、約12ヶ月、約12.5ヶ月、約13ヶ月、約14ヶ月、約15ヶ月、約16ヶ月、約17ヶ月、約18ヶ月、約19ヶ月、約20ヶ月、約21ヶ月、約22ヶ月、約23ヶ月、約24ヶ月、約25ヶ月、又はそれ以上)のPFS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、治療は、約6ヶ月~約10ヶ月の対象集団のPFS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)による治療の開始後8ヶ月~60ヶ月(例えば、9~60ヶ月、10~60ヶ月、11~60ヶ月、12~60ヶ月、13~60ヶ月、14~60ヶ月、15~60ヶ月、16~60ヶ月、17~60ヶ月、18~60ヶ月、19~60ヶ月、20~60ヶ月、25~60ヶ月、30~60ヶ月、35~60ヶ月、40~60ヶ月、45~60ヶ月、50~60ヶ月、又は55~60ヶ月)のPFS中央値をもたらす。
【0436】
いくつかの事例では、治療は、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を用いずにタキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)を用いる治療と比較して、対象又は対象集団の全生存期間の増加をもたらす。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療は、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を用いずにタキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)を用いる治療と比較して、対象又は対象集団の全生存期間の増加をもたらし得る。いくつかの実施形態では、治療は、対象又は対象集団のOSを少なくとも約4ヶ月又は約6ヶ月延長する。いくつかの実施形態では、OSの増加は、約4.1ヶ月以上(例えば、約4.5ヶ月以上、約5.0ヶ月以上、約5.5.ヶ月以上、約6.0ヶ月以上、約6.5ヶ月以上、約7.0ヶ月以上、約7.5ヶ月以上、約8.0ヶ月以上、約8.5ヶ月以上、約9.0ヶ月以上、約9.5ヶ月以上、約10ヶ月以上、約11ヶ月以上、約11.5ヶ月以上、約12ヶ月以上、約12.5ヶ月以上、約13ヶ月以上、約13.5ヶ月以上、約14ヶ月以上、約14.5ヶ月以上、約15ヶ月以上、約15.5ヶ月以上、約16ヶ月以上、約16.5ヶ月以上、約17ヶ月以上、約17.5ヶ月以上、約18ヶ月以上、約18.5ヶ月以上、約19ヶ月以上、約19.5ヶ月以上、又は約20ヶ月以上)である。いくつかの実施形態では、OSの増加は、約6ヶ月以上(例えば、約6.5ヶ月以上、約7ヶ月以上、約7.5ヶ月以上、約8ヶ月以上、約8.5ヶ月以上、約9ヶ月以上、約9.5ヶ月以上、約10ヶ月以上、約10.5ヶ月以上、約11ヶ月以上、約11.5ヶ月以上、約12ヶ月以上、約12.5ヶ月以上、約13ヶ月以上、約13.5ヶ月以上、約14ヶ月以上、約14.5ヶ月以上、約15ヶ月以上、約15.5ヶ月以上、約16ヶ月以上、約16.5ヶ月以上、約17ヶ月以上、約17.5ヶ月以上、約18ヶ月以上、約18.5ヶ月以上、約19ヶ月以上、約19.5ヶ月以上、又は約20ヶ月以上)である。いくつかの実施形態では、OSの増加は、4~6ヶ月(例えば、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、又は約6ヶ月)である。いくつかの実施形態では、治療は、約14ヶ月~約20ヶ月の対象集団のOS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)による治療の開始後少なくとも約14ヶ月(例えば、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、又は約17.5ヶ月)のOS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)による治療の開始後少なくとも約14ヶ月(例えば、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、約20.5ヶ月、約21ヶ月、約21.5ヶ月、約22ヶ月、約22.5ヶ月、約23ヶ月、約23.5ヶ月、約24ヶ月、約24.5ヶ月、約25ヶ月、又はそれ以上)のOS中央値をもたらす。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)による治療開始後、18ヶ月~60ヶ月(例えば、19~60ヶ月、20~60ヶ月、25~60ヶ月、30~60ヶ月、35~60ヶ月、40~60ヶ月、45~60ヶ月、50~60ヶ月、又は55~60ヶ月)のOS中央値をもたらす。
【0437】
いくつかの事例では、治療は、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる治療と比較して、又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を用いずにタキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)を用いる治療と比較して、対象又は対象集団における客観的奏効期間(DOR)の増加をもたらす。いくつかの事例では、治療は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)を用いずにタキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)を用いる治療と比較して、対象又は対象集団におけるDORの増加をもたらす。いくつかの実施形態では、DORの増加は、約2ヶ月以上(例えば、約2.5ヶ月、約3ヶ月、約3.5ヶ月、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、約6ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約10.5ヶ月、約11ヶ月、約11.5ヶ月、約12ヶ月、約12.5ヶ月、約13ヶ月、約13.5ヶ月、約14ヶ月、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、又はそれ以上)である。いくつかの実施形態では、複数の対象への抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)の投与は、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)及び白金薬剤(例えば、シスプラチン)による治療の開始後少なくとも約2ヶ月又はそれ以上(例えば、約2.5ヶ月、約3ヶ月、約3.5ヶ月、約4ヶ月、約4.5ヶ月、約5ヶ月、約5.5ヶ月、約6ヶ月、約6.5ヶ月、約7ヶ月、約7.5ヶ月、約8ヶ月、約8.5ヶ月、約9ヶ月、約9.5ヶ月、約10ヶ月、約10.5ヶ月、約11ヶ月、約11.5ヶ月、約12ヶ月、約12.5ヶ月、約13ヶ月、約13.5ヶ月、約14ヶ月、約14.5ヶ月、約15ヶ月、約15.5ヶ月、約16ヶ月、約16.5ヶ月、約17ヶ月、約17.5ヶ月、約18ヶ月、約18.5ヶ月、約19ヶ月、約19.5ヶ月、約20ヶ月、又はそれ以上)のDOR中央値をもたらす。
【0438】
Eisenhauer et al..Eur.J.Cancer.2009.45:228-47に記載されているように、RECIST v 1.1基準に従って対象又は対象集団の無増悪生存期間を測定することができる。いくつかの実施形態では、PFSは、治療の開始から、RECIST第1.1版の基準によって決定される疾患進行の初回発生までの期間として測定される。いくつかの実施形態では、PFSは、治療の開始から死亡時までの期間として測定される。
【0439】
第一選択治療のための例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤
本発明の方法、使用、及び使用のための組成物に従って進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象(例えば、ヒト)を治療するのに有用な例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1抗体)、タキサン、及び白金薬剤が、本明細書に記載される。特に、以下の例示的な抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L 1抗体)、タキサン及び白金薬剤を使用して、進行性のESCCの以前の全身治療を受けたことがない対象を治療することができる。
【0440】
A.抗TIGITアンタゴニスト抗体
本発明は、対象(例えば、ヒト)における進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を治療するために有用な抗TIGITアンタゴニスト抗体を提供する。
【0441】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブ(CAS登録番号:1918185-84-8)である。チラゴルマブ(Genentech)は、MTIG7192Aとしても既知である。
【0442】
特定の事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下から選択される少なくとも1、2、3、4、5、又は6つのHVRを含む:(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び/又は(f)QQYYSTPFTのアミノ酸配列(配列番号6)を含むHVR-L3、又は上記HVRの1つ以上の組み合わせ、並びに配列番号1~6のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有する1つ以上のそのバリアント。
【0443】
いくつかの事例では、上記抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれかとしては、(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQYYSTPFTのアミノ酸配列(配列番号6)を含むHVR-L3を挙げることができる。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号17)の配列若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくはQVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSS(配列番号18)の配列若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又はDIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQTVLYSSNNKKYLAWYQQKPGQPPNLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPFTFGPGTKVEIK(配列番号19)の配列若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又は配列番号19若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号17のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号18若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、及び/又は配列番号19若しくはその配列と少なくとも90%の配列同一性(例えば、少なくとも91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、配列番号18のアミノ酸配列を含むVHドメイン及び配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを有する。
【0444】
いくつかの事例では、TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の重鎖及び軽鎖配列を含む:(a)重鎖は、アミノ酸配列:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVSSNSAAWNWIRQSPSRGLEWLGKTYYRFKWYSDYAVSVKGRITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTRESTTYDLLAGPFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK(配列番号33);(b)重鎖は、以下のアミノ酸配列を含む:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCKSSQTVLYSSNNKKYLAWYQQKPGQPPNLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQQYYSTPFTFGPGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号34)。
【0445】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、少なくとも1つ、2つ、3つ又は4つの以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR)を更に含む:DIVMTQSPDSLAVSLGERATINCのアミノ酸配列を含むFR-L1(配列番号7);WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び/又はFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4、又は上記FRの1つ以上の組み合わせ、並びに配列番号7~10のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有する1つ以上のそのバリアント。いくつかの事例では、例えば、抗体は、DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1、WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2、GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3、及びFGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む。
【0446】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の1つ、2つ、3つ、又は4つ重鎖可変領域FRを更に含む:X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)(X1はE又はQである)のアミノ酸配列を含むFR-H1:WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ以上と、配列番号11~14のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ以上のバリアントとの組み合わせ。抗TIGITアンタゴニスト抗体は、例えば、以下の1つ、2つ、3つ、又は4つ重鎖可変領域FRを更に含み得る:EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H1:WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ以上と、配列番号12~15のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ以上のバリアントとの組み合わせ。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、EVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号15)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。別の事例では、例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、以下の1つ、2つ、3つ、又は4つ重鎖可変領域FRを更に含み得る:QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H1:WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び/又はWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4、又は上記FRの1つ以上と、配列番号12~14及び16のいずれか1つと少なくとも約90%の配列同一性(例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%の同一性)を有するその1つ以上のバリアントとの組み合わせ。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、QVQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号16)のアミノ酸配列を含むFR-H1、WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及びWGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を含む。
【0447】
別の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体が提供され、該抗体は、上記いずれかの事例のようなVH及び上記いずれかの事例のようなVLを含み、可変ドメイン配列の一方又は両方が翻訳後修飾を含む。
【0448】
いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGITに加えてウサギTIGITに結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT及びカニクイザル(cyno)TIGITの両方に結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT及びウサギTIGITに結合することができる。いくつかの事例では、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれか1つは、ヒトTIGIT、カニクイザルTIGIT及びウサギTIGITに結合することができるが、マウスTIGITには結合できない。
【0449】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、約10nM以下のKDでヒトTIGITに結合し、約10nM以下のKDでカニクイザルTIGITに結合する(例えば、約0.1nM~約1nMのKDでヒトTIGITに結合し、約0.5nM~約1nMのKDでカニクイザルTIGITに結合し、例えば、約0.1nM以下のKDでヒトTIGITに結合し、約0.5nM以下のKDでカニクイザルTIGITに結合する)。
【0450】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、ポリオウイルス受容体(PVR)とのTIGIT相互作用を阻害又は遮断する(例えば、アンタゴニスト抗体は、PVRへのTIGIT結合によって媒介される細胞内シグナル伝達を阻害する)。いくつかの事例では、アンタゴニスト抗体は、10nM以下のIC50値でヒトPVRへのヒトTIGITの結合を阻害又は遮断する(例えば、1nM~約10nM)。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITに特異的に結合し、PVR-CD226相互作用に影響を与えることなく、PVRとのTIGIT相互作用を阻害又は遮断する。いくつかの事例では、アンタゴニスト抗体は、カニクイザルPVRへのカニクイザルTIGITの結合を50nM以下のIC50値で阻害又は遮断する(例えば、1nM~約50nM、例えば、1nM~約5nM)。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、CD226とTIGITとの相互作用を阻害及び/又は遮断する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITがCD226ホモ二量体化を破壊する能力を阻害及び/又は遮断する。
【0451】
いくつかの事例では、本明細書に記載の方法又は使用は、TIGITへの結合について上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体のいずれかと競合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を使用又は投与することを含み得る。例えば、方法は、以下の6つのHVRを有する抗TIGITアンタゴニスト抗体とTIGITへの結合について競合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与することを含み得る:(a)SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1;(b)KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2;(c)ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3;(d)KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(e)WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2;及び(f)QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3が挙げられる。本明細書に記載の方法はまた、上記の抗TIGITアンタゴニスト抗体と同じエピトープに結合する単離された抗TIGITアンタゴニスト抗体を投与することを含み得る。
【0452】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、インタクトなFc媒介エフェクター機能(例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチグリマブ、EOS084448又はTJ-T6)又は増強されたエフェクター機能(例えば、SGN-TGT)を有する抗体である。
【0453】
他の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、Fc媒介エフェクター機能を欠く抗体(例えば、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP8374、又はCOM902)である。
【0454】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はIgG1クラスの抗体、例えば、チラゴルマブ、ビボストリマブ、ドムバナリマブ、BMS-986207、エチギリマブ、BGB-A1217、SGN-TGT、EOS084448(EOS-448)、TJ-T6、又はAB308である。
【0455】
他の態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、IgG4クラス抗体、例えばASP8374又はCOM902である。
【0456】
このような抗体を含有する組成物を含む、本発明において有用な抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体、例えば、アテゾリズマブ)、PD-1結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体、例えば、ペムブロリズマブ)及びPD-L2結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L2アンタゴニスト抗体))と組み合わせて使用され得る。
【0457】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITシグナル伝達を阻害するように機能する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、その結合パートナーへのTIGITの結合を阻害する。例示的なTIGIT結合パートナーには、CD155(PVR)、CD112(PVRL2又はネクチン-2)及びCD113(PVRL3又はネクチン-3)が含まれる。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD155との間の結合を阻害することができる。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD112との間の結合を阻害し得る。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、TIGITとCD113との間の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、免疫細胞のTIGIT媒介性細胞シグナル伝達を阻害する。いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体は、制御性T細胞(例えば、FcγR)を枯渇させることによってTIGITを阻害する。
【0458】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv及び(Fab’)2フラグメントからなる群より選択される抗体フラグメントである。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はヒト化抗体である。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はヒト抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の抗TIGIT抗体は、ヒトTIGITに結合する。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体はFc融合タンパク質である。
【0459】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)、ビボストリマブ(MK-7684)、ASP8374(PTZ-201)、EOS884448(EOS-448)、SEA-TGT(SGN-TGT)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、IBI939、ドムバナリマブ(AB154)、M6223、AB308、AB154、TJ-T6、MG1131、NB6253、HLX301、HLX53、SL-9258(TIGIT-Fc-LIGHT)、STW264、及びYBL-012からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)、ビボストリマブ(MK-7684)、ASP8374(PTZ-201)、EOS-448、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される。抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ(MTIG7192A、RG6058又はRO7092284)であり得る。
【0460】
本明細書に開示される方法に有用な抗TIGIT抗体の非限定的な例及びその作製方法は、PCT公開公報の国際公開第2018183889号A1、国際公開第2019129261号A1、国際公開第2016106302号A9、国際公開第2018033798号A1、国際公開第2020020281号A1、国際公開第2019023504号A1、国際公開第2017152088号A1、国際公開第2016028656号A1、国際公開第2017030823号A2、国際公開第2018204405号A1、国際公開第2019152574号A1及び国際公開第2020041541号A2;米国特許第10,189,902号、米国特許第10,213,505号、米国特許第10,124,061号、米国特許第10,537,633号及び米国特許第10,618,958号;並びに米国特許出願公開第 2020/0095324号、第2019/0112375号、第2018/0371083号及び2020/0062859号に記載され、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に開示される方法に有用な抗TIGIT抗体の更なる非限定的な例及びその作製方法は、PCT公開公報の国際公開第2018204363号A1、国際公開第2018047139号A1、国際公開第2019175799号A2、国際公開第2018022946号A1、国際公開第2015143343号A2、国際公開第2018218056号A1、国際公開第2019232484号A1、国際公開第2019079777号A1、国際公開第2018128939号A1、国際公開第2017196867号A1、国際公開第2019154415号A1号、国際公開第2019062832号A1、国際公開第2018234793号A3、国際公開第2018102536号A1号、国際公開第2019137548号A1、国際公開第2019129221号A1、国際公開第2018102746号A1号、国際公開第2018160704号A9、国際公開第2020041541号A2、国際公開第2019094637号A9号、国際公開第2017037707号A1、国際公開第2019168382号A1、国際公開第2006124667号A3号、国際公開第2017021526号A1、国際公開第2017184619号A2、国際公開第2017048824号A1号、国際公開第2019032619号A9、国際公開第2018157162号A1、国際公開第2020176718号A1号、国際公開第2020047329号A1、国際公開第2020047329号A1、国際公開第2018220446号A9;米国特許第9,617,338号、米国特許第9,567,399号、米国特許第10,604,576号及びUS9,994,637号;並びに米国特許出願公開第2018/0355040号、米国特許出願公開第2019/0175654号、米国特許出願公開第2019/0040154号、米国特許出願公開第2019/0382477号、米国特許出願公開第2019/0010246号、米国特許出願公開第2020/0164071号、米国特許出願公開第2020/0131267号、米国特許出願公開第2019/0338032号、米国特許出願公開第2019/0330351号、米国特許出願公開第2019/0202917号、米国特許出願公開第2019/0284269号、米国特許出願公開第2018/0155422号、米国特許出願公開第2020/0040082号、米国特許出願公開第2019/0263909号、米国特許出願公開第2018/0185480号、米国特許出願公開第2019/0375843号、米国特許出願公開第2017/0037133号、米国特許出願公開第2019/0077869号、米国特許出願公開第2019/0367579号、米国特許出願公開第2020/0222503号、米国特許出願公開第2020/0283496号、中国特許出願公開第109734806号A及び中国特許出願公開第110818795号Aに記載され、それらの各々が参照により本明細書に組み込まれる。
【0461】
本明細書に開示される方法において有用な抗TIGIT抗体には、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS-448、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)及びSEA-TGT(SGN-TGT)が含まれる。本明細書に開示される方法において有用な抗TIGIT抗体を含む更なるTIGIT結合分子としては、AGEN1307;AGEN1777;抗体クローンpab2197及びpab2196(Agenus Inc.);抗体クローンTBB8、TDC8、3TB3、5TB10、及びD1Y1A(Anhui Anke Biotechnology Group Co.Ltd.)、抗体クローンMAB1、MAB2、MAB3、MAB4、MAB5、MAB6、MAB 7、MAB8、MAB9、MAB 10、MAB 11、MAB 12、MAB13、MAB 14、MAB 15、MAB 16、MAB 17、MAB 18、MAB19、MAB20、MAB21(Astellas Pharma/Potenza Therapeutics)、抗体クローンhu1217-1-1及びhu1217-2-2(BeiGene)、抗体クローン4D4及び19G(Brigham&Women’s Hospital)、抗体クローン11G11、10D7、15A6、22G2、TIGIT G2a、及びTIGIT G1 D265A、(改変重鎖定常領域を有するそのような抗体(Bristol-Myers Squibb)を含む);抗体クローン10A7、CPA.9.086、CPA.9.083.H4(S241P)、CPA.9.086.H4(S241P)、CHA.9.547.7.H4(S241P)及びCHA.9.547.13.H4(S241P)(Compugen);抗PVRIG/抗TIGIT 二重特異性抗体(Compugen)、抗体クローン315293、328189、350426、326504、及び331672(Fred Hutchinson Cancer Research Center);抗体クローンT-01、T-02、T-03、T-04、T-05、T-06、T-07、T-08、T-09、及びT-10(Gensun BioPharma Inc.);抗体クローン1H6、2B11、3A10、4A5、4A9、4H5、6A2、6B7、7F4、8E1、8G3、9F4、9G6、10C1、10F10、11G4、12B7、12C8、15E9、16C11、16D6、及び16E10(Hefei Ruida Immunological Drugs Research Institute Co.Ltd.);抗体クローンh3C5H1、h3C5H2、h3C5H3、h3C5H4、h3C5H3-1、h3C5H3-2、h3C5H3-3、h3C5L1、及びh3C5L2(IGM Biosciences Inc.);抗体クローン90D9、101E1、116H8、118A12、131A12、143B6、167F7、221F11、222H4、327C9、342A9、344F2、349H6、及び350D10(I-Mab Biopharma);抗体クローンADI-27238、ADI-30263、ADI-30267、ADI-30268、ADI-27243、ADI-30302、ADI-30336、ADI-27278、ADI-30193、ADI-30296、ADI-27291、ADI-30283、ADI-30286、ADI-30288、ADI27297、ADI-30272、ADI-30278、ADI-27301、ADI-30306、及びADI-30311(Innovent Biologics、Inc.);抗体クローン26518、29478、26452、29487、29489、31282、26486、29494、29499、26521、29513、26493、29520、29523、29527、31288、32919、32931、26432、及び32959(iTeos Therapeutics);抗体クローンm1707、m1708、m1709、m1710、m1711、h1707、h1708、h1709、h1710、及びh1711(Jiangsu Hengrui Medicine Co.Ltd.);抗体クローンTIG1、TIG2、及びTIG3(JN Biosciences LLC);抗体クローン(例えば、KY01、KY02、KY03、KY04、KY05、KY06、KY07、KY08、KY09、KY10、K11、K12、K13、K14、K15、K16、K17、K18、K19、K20、K21、K22、K23 Kymab TIGIT(抗体2)、及びTool TIGIT(抗体4)(Kymab Limited);二重特異性抗体1D05/1D05を有するin-house抗TIGIT(抗PD-L1)ネイティブ可変ドメイン及びKymab TIGIT抗原結合部位(ABS)ドメイン(二重特異性1)、Kymab TIGITネイティブ可変ドメイン及び1D05 ABSドメインを有するIn-house抗TIGIT/1D05(二重特異性2)、Toon抗TIGITネイティブ可変ドメイン及びTool抗PD-L1 ABSドメインを有するTool抗TIGIT/Tool抗PD-L1(二重特異性3)、Tool抗PD-L1ネイティブ可変ドメイン及びTool抗TIGIT ABSドメインを有するTool抗PD-L1/Tool抗TIGIT(二重特異性4)(Kymab Limited);抗体クローン及びクローンバリアント14D7、26B10、Hu14D7、Hu26B10、14A6、Hu14A6、28H5、31C6、Hu31C6、25G10、MBS43、37D10、18G10、11A11、c18G10、及びLB155.14A6.G2.A8(Merck);エチジリマブ(OMP-313M32)(Mereo BioPharma);抗体クローン64G1E9B4、100C4E7D11、83G5H11C12、92E9D4B4、104G12E12G2、121C2F10B5、128E3F10F3F2、70A11A8E6、11D8E124A、16F10H12C11、8F2D8E7、48B5G4E12、139E2C2D2、128E3G7F5、AS19584、AS19852、AS19858、AS19886、AS19887、AS19888、AS20160、AS19584VH26、AS19584VH29、AS19584VH30、AS19584VH31、AS19886VH5、AS19886VH8、AS19886VH9、AS19886VH10、AS19886VH19、AS19886VH20、AS19584VH28-Fc、AS19886VH5-Fc、AS19886VH8-Fc、AS19584-Fc、及びAS19886-Fc(Nanjing Legend Biotechnology Co.Ltd.);抗体クローンAREクローン:Ab58、Ab69、Ab75、Ab133、Ab177、Ab122、Ab86、Ab180、Ab83、Ab26、Ab20、Ab147、Ab12、Ab66、Ab176、Ab96、Ab123、Ab109、Ab149、Ab34、Ab61、Ab64、Ab105、Ab108、Ab178、Ab166、Ab29、Ab135、Ab171、Ab194、Ab184、Ab164、Ab183、Ab158、Ab55、Ab136、Ab39、Ab159、Ab151、Ab139、Ab107、Ab36、Ab193、Ab115、Ab106、Ab13f8、Ab127、Ab165、Ab155、Ab19、Ab6、Ab187、Ab179、Ab65、Ab114、Ab102、Ab94、Ab163、Ab110、Ab80、Ab92、Ab117、Ab162、Ab121、Ab195、Ab84、Ab161、Ab198、Ab24、Ab98、Ab116、Ab174、Ab196、Ab51、Ab91、Ab185、Ab23、Ab7、Ab95、Ab100、Ab140、Ab145、Ab150、Ab168、Ab54、Ab77、Ab43、Ab160、Ab82、Ab189、Ab17、Ab103、Ab18、Ab130、Ab132、Ab134、Ab144;ARGクローン:Ab2、Ab47、Ab49、Ab31、Ab53、Ab40、Ab5、Ab9、Ab48、Ab4、Ab10、Ab37、Ab33、Ab42、Ab45;ARVクローン:Ab44、Ab97、Ab81、Ab188、Ab186、Ab62、Ab57、Ab192、Ab73、Ab60、Ab28、Ab32、Ab78、Ab14、Ab152、Ab72、Ab137、Ab128、Ab169、Ab87、Ab74、Ab172、Ab153、Ab120、Ab13、Ab113、Ab16、Ab56、Ab129、Ab50、Ab90、Ab99、Ab3、Ab148、Ab124、Ab22、Ab41、Ab119、Ab157、Ab27、Ab15、Ab191、Ab190、Ab79、Ab181、Ab146、Ab167、Ab88、Ab199、Ab71、Ab85、Ab59、Ab141、Ab68、Ab143、Ab46、Ab197、Ab175、Ab156、Ab63、Ab11、Ab182、Ab89、Ab8、Ab101、Ab25、Ab154、Ab21、Ab111、Ab118、Ab173、Ab38、Ab76、Ab131、Ab1、Ab67、Ab70、Ab170、Ab30、Ab93、Ab142、Ab104、Ab112、Ab35、Ab126、及びAb125(Rigel Pharmaceuticals、Inc.);CASC-674(Seattle Genetics);抗体クローン2、2C、3、5、13、13A、13B、13C、13D、14、16、16C、16D、16E、18、21、22、25、25A、25B、25C、25D、25E、27、54、13 IgG2a脱フコシル化、13 hIgG1野生型、及び13 LALA-PG(Seattle Genetics);JS006(Shanghai Junshi Biosciences Ltd.);抗TIGIT Fc抗体及び二重特異性抗体 PD1×TIGIT(Xencor)、抗体クローンVSIG9#1(Vsig9.01)及び258-CS1#4(#4)(Yissum Research Development Company of The Hebrew University Of Jerusalem Ltd.);YH29143(Yuhan Co、Ltd.);抗体クローンS02、S03、S04、S05、S06、S11、S12、S14、S19、S32、S39、S43、S62、S64、F01、F02、F03、F04、32D7、101H3、10A7、及び1F4(Yuhan Co、Ltd.);抗zB7R1クローン318.4.1.1(E9310)、318.28.2.1(E9296)、318.39.1.1(E9311)、318.59.3.1(E9400)、及び318.77.1.10(ZymoGenetics、Inc).が挙げられる。
【0462】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される。ASP874(PTZ-201)は、PCT公開公報の国際公開第2018183889号A1及び米国特許出願公開第2020/0095324号に記載されている抗TIGITモノクローナル抗体である。BGB-A 1217は、PCT公開公報の国際公開第2019129261号A1に記載されている抗TIGIT抗体である。BMS-986207(ONO-4686)は、PCT公開公報の国際公開第2016106302号A9、米国特許第10,189,902号、及び米国特許出願公開第2019/0112375号に記載されている抗TIGIT抗体である。。COM902(CGEN-15137)は、PCT公開公報の国際公開第2018033798号A1、並びに米国特許第10,213,505号及び第10,124,061号に記載されている抗TIGIT抗体である。IBI939は、PCT公開公報の国際公開第2020020281号A1に記載されている抗TIGIT抗体である。EOS884448(EOS-448)は、PCT公開公報の国際公開第2019023504号A1に記載されている抗TIGIT抗体である。ドムバナリマブ(AB 154)は、PCT公開公報の国際公開第2017152088号A1及び米国特許第10,537,633号に記載されている抗TIGITモノクローナル抗体である。ビボストリマブ(MK-7684)は、PCT公開公報の国際公開第2016028656号A1、国際公開第2017030823号A2、国際公開第2018204405号A1、及び/又は国際公開第2019152574号A1、米国特許第10,618,958号及び米国特許第2018/0371083号に記載されている抗TIGIT抗体である。SEA-TGT(SGN-TGT)は、PCT公開公報の国際公開第2020041541号A2及び米国特許出願公開第2020/0062859号に記載されているような抗TIGIT抗体である。
【0463】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体はチラゴルマブ(CAS登録番号:1918185-84-8)である。チラゴルマブ(Genentech)は、MTIG7192A、RG6058又はRO7092284としても知られている。チラゴルマブは、国際公開第2003072305号A8、国際公開第2004024068号A3、国際公開第2004024072号A3、国際公開第2009126688号A2、国際公開第2015009856号A2、国際公開第2016011264号A1、国際公開第2016109546号A2、国際公開第2017053748号A2及び国際公開第2019165434号A1、並びに米国特許出願公開第2017/0044256号、第2017/0037127号、第2017/0145093号、第2017/260594号、第2017/0088613号、第2018/0186875号、第2019/0119376号、及び米国特許第9873740号B2、米国特許第10626174号B2、米国特許第10611836号B2、米国特許第9499596号B2、米国特許第8431350号B2、米国特許第10047158号B2及び米国特許第10017572号B2に記載されるアンタゴニスト性モノクローナル抗体である。
【0464】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの少なくとも1、2、3、4、5、又は6つの相補性決定領域(CDR)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの6つのCDRを含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗体のいずれか1つの6つのCDRを含む。
【0465】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、重鎖及び軽鎖を含み、重鎖は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれか1つの重鎖可変領域(VH)配列を含み、軽鎖は、同じ抗体の軽鎖可変領域(VL)を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗TIGIT抗体のVH及びVLを含む。
【0466】
いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、本明細書に開示される抗TIGIT抗体のいずれかの重鎖及び軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、抗TIGIT抗体は、チラゴルマブ、ASP8374(PTZ-201)、BGB-A1217、BMS-986207(ONO-4686)、COM902(CGEN-15137)、M6223、IBI939、EOS884448(EOS-448)、ドムバナリマブ(AB154)、ビボストリマブ(MK-7684)、及びSEA-TGT(SGN-TGT)からなる群から選択される抗TIGIT抗体の重鎖及び軽鎖を含む。
【0467】
いくつかの実施形態では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(本明細書に記載される実施形態のいずれかによる)は、以下のセクションCに記載されるように、単独で又は組み合わせて特徴のいずれかを組み込むことができる。
【0468】
B.PD-1軸結合アンタゴニスト
対象(例えば、ヒト)における進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を治療するための方法であって、有効量のPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む方法が本明細書中に提供される。PD-1軸結合アンタゴニストには、PD-L1結合アンタゴニスト(例えば、PD-L1アンタゴニスト抗体)、PD-1結合アンタゴニスト(例えば、PD-1アンタゴニスト抗体)及びPD-2結合アンタゴニスト(例えば、PD-L2アンタゴニスト抗体)が含まれる。
【0469】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1のその結合パートナーへの結合を阻害するPD-1軸結合アンタゴニストである。特定の態様では、PD-L1結合パートナーは、PD-1及び/又はB7-1である。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、PD-L1とPD-1との間及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。
【0470】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。
【0471】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ(CAS登録番号:1422185-06-5)である。アテゾリズマブ(Genentech)は、MPDL3280Aとしても既知である。
【0472】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、以下から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ又は6つのHVRを含む:(a)HVR-H1配列はGFTFSDSWIH(配列番号20)であり;(b)HVR-H2配列はAWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)であり;(c)HVR-H3配列はRHWPGGFDY(配列番号22)であり、(d)HVR-L1配列はRASQDVSTAVA(配列番号23)であり;(e)HVR-L2配列はSASFLYS(配列番号24)であり;(f)HVR-L3配列はQQYLYHPAT(配列番号25)である。
【0473】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、重鎖及び軽鎖配列を含み:(a)重鎖可変(VH)領域配列は、アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号26);を含み、(b)軽鎖可変(VL)領域配列は、アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号27)を含む。
【0474】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、重鎖及び軽鎖配列を含み:(a)重鎖は、アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号28)を含み;(b)軽鎖は、アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号29)を含む。
【0475】
いくつかの事例では、抗PD-L1抗体は、(a)配列番号26又は配列番号26の配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVHドメイン、(b)配列番号27又は配列番号27の配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列を含むVLドメイン、又は(c)(a)に記載のVHドメイン及び(b)に記載のVLドメインを含む。他の事例において、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、YW243.55.S70、MDX-1105、及びMEDI4736(デュルバルマブ)、並びにMSB0010718C(アベルマブ)から選択される。抗体YW243.55.S70は、国際公開第2010/077634号に記載される抗PD-L1である。BMS-936559としても知られるMDX-1105は、国際公開第2007/005874号に記載される抗PD-L1抗体である。MEDI4736(デュルバルマブ)は、国際公開第2011/066389号及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載される抗PD-L1モノクローナル抗体である。本発明の方法に有用な抗PD-L1抗体、及びそれを作製するための方法の例は、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/077634号、同第2007/005874号、同第2011/066389号、米国特許第8,217,149号、及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載されている。本発明において有用な抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、そのような抗体を含有する組成物を含めて、ESCC(例えば、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を治療するために抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて使用され得る。
【0476】
いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択される抗体フラグメントである。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、ヒト化抗体である。いくつかの事例では、抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、ヒト抗体である。いくつかの事例では、本明細書に記載される抗PD-L1アンタゴニスト抗体は、ヒトPD-L1に結合する。
【0477】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1のその結合パートナー(例えば、PD-L1)への結合を阻害する抗PD-1アンタゴニスト抗体である。いくつかの事例では、抗PD-1アンタゴニスト抗体は、PD-L1とPD-1との間の結合を阻害することができる。
【0478】
いくつかの事例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。いくつかの事例では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(以前はラムブロリズマブ(MK-3475))、又はAMP-224である。
【0479】
更なる態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、上記の例のいずれかによるPD-1軸結合アンタゴニスト抗体であり、以下のセクションCに記載されるように、単独で又は組み合わせて任意の特徴を組み込むことができる。
【0480】
C.抗体のフォーマット及び特性
1.抗体親和性
ある特定の場合において、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、1μM以下、100nM以下、10nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、又は0.001nM以下(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。
【0481】
1つの事例では、KDは、放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。1つの事例では、RIAは、目的の抗体及びその抗原のFabバージョンを用いて実施される。例えば、抗原に対するFabの溶液結合親和性は、非標識抗原の滴定系の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原によりFabを平衡化し、次いで、結合した抗原を抗Fab抗体でコーティングしたプレートで捕捉することにより測定する(例えばChenら、J.Mol.Biol.293:865~881(1999)を参照されたい)。アッセイの条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸ナトリウム(pH9.6)中の5μg/mLの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、その後、PBS中の2%(w/v)ウシ血清アルブミンで2~5時間にわたって室温(およそ23℃)で遮断する。非吸着性プレート(Nunc番号269620)中、100pM又は26pMの[125I]-抗原を、目的とされるFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593-4599(1997)における抗VEGF抗体Fab-12の評価と一貫する)。その後、目的のFabを一晩インキュベートするが、インキュベーションをより長い期間(例えば、約65時間)続けて、平衡に達することを確実にすることができる。その後、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のために混合物を捕捉プレートに移す。次に、溶液を除去し、プレートを、PBS中0.1%のポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT-20(商標)、Packard)を付加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)上で10分間、計数する。最大結合の20%以下をもたらす各Fabの濃度を、競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
【0482】
別の一事例によると、KDは、BIACORE(登録商標)表面プラズモン共鳴アッセイを使用して測定される。例えば、BIACORE(登録商標)-2000又はBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用するアッセイを、約10の反応単位(RU)で、固定化された抗原CM5チップによって25℃で実行する。1つの事例では、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)は、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミドヒドロクロリド(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)を用いて活性化される。抗原を、pH4.8の10mMの酢酸ナトリウムによって、5μg/ml(約0.2μM)に希釈した後、5μl/分の流速でインジェクトし、カップリングされたタンパク質のおよそ10応答ユニット(RU)を達成する。抗原のインジェクション後、1Mのエタノールアミンをインジェクトして、未反応基をブロックする。動態測定のため、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM~500nM)を、およそ25μL/分の流量にて25℃で0.05%のポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤(PBST)を有するPBS中に注射する。単純1対1ラングミュア結合モデル(BIACORE(登録商標)評価ソフトウェアバージョン3.2)を使用して、会合センサグラムと解離センサグラムを同時に当てはめることによって会合速度(kon)及び解離速度(koff)を計算する。平衡解離定数(KD)は、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。オン速度が上記の表面プラズモン共鳴アッセイによって106M-1s-1を超える場合、このオン速度は、撹拌されたキュベットを備えるストップフロー装着分光光度計(Aviv Instruments)又は8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)等の分光計において測定される、漸増濃度の抗原の存在下で、25℃でのPBS(pH7.2)中の20nM抗-抗原抗体(Fab型)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加又は減少を測定する、蛍光クエンチ技法を使用することによって、決定することができる。
【0483】
2.抗体フラグメント
ある特定の場合において、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、抗体フラグメントである。抗体フラグメントとしては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFvフラグメント、及び以下に記載する他のフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない。特定の抗体フラグメントの総説としては、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)を参照されたい。scFvフラグメントの参照には、例えばPluckthuen,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたい;また、国際公開第93/16185号を参照されたい;及び米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を構成し、かつインビボ半減期を増加させたFab及びF(ab’)2フラグメントの議論については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
【0484】
ダイアボディは、二価又は二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体フラグメントである。例えば、欧州特許出願公開第404,097号、国際公開第1993/01161号、Hudson et al.,Nat Med.9:129-134(2003)及びHollinger et al.,Proc Natl Acad Sci USA 90,6444-6448(1993)を参照のこと。トリアボディ及びテトラボディはまた、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)においても説明されている。
【0485】
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全部若しくは一部又は軽鎖可変ドメインの全部若しくは一部を含む抗体フラグメントである。特定の事例では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.、マサチューセッツ州ウォルサム、例えば米国特許第6,248,516B1号を参照)。
【0486】
抗体フラグメントは、本明細書に記載されているように、インタクトな抗体のタンパク質分解消化、及び組換え宿主細胞(例えば、大腸菌(E.coli)又はファージ)による生産を含むがこれらに限定されない様々な技術によって作製することができる。
【0487】
3.キメラ抗体及びヒト化抗体
特定の事例では、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、キメラ抗体である。ある種のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984)に開示されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、又は非ヒト霊長類、例えば、サル由来の可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラス又はサブクラスが親抗体のそれらから変更されている「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体は、その抗原結合フラグメントを含む。
【0488】
特定の事例では、キメラ抗体は、ヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、ヒトに対する免疫原性を低減する一方で、親非ヒト抗体の特異性及び親和性は保持するようにヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(又はその一部)が非ヒト抗体由来であり、かつFR(又はその一部)がヒト抗体配列由来である1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意に、ヒト定常領域の少なくとも一部も含む。いくつかの事例では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性又は親和性を復元又は改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
【0489】
ヒト化された抗体及びその作製方法については、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)で総説され、更に以下に記載されている:Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029-10033(1989);米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号;Kashmiri et al.,Methods 36:25-34(2005)(特異性決定領域(SDR)グラフトを記載する);Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(リサーフェシングを記載する);Dall’Acqua et al.,Methods 36:43-60(2005)(「FRシャッフリング」を記載する);並びにOsbourn et al.,Methods 36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャッフルの「ガイド付き選択アプローチを記載する)。
【0490】
ヒト化に用い得るヒトフレームワーク領域としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:「ベストフィット」法を用いて選択したフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい);重鎖又は軽鎖可変領域の特定の亜型のヒト抗体コンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992);及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい);ヒト成熟(体細胞突然変異)フレームワーク領域又はヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい);並びにFRライブラリのスクリーニングに由来するフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)。
【0491】
4.ヒト抗体
ある特定の場合において、本明細書中に提供される抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当技術分野で公知の様々な技術を使用して作製することができる。ヒト抗体は一般的に、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
【0492】
ヒト抗体は、抗原チャレンジに応答してインタクトなヒト抗体又はヒト可変領域を有するインタクトな抗体を産生するように改変されたトランスジェニック動物に、免疫原を投与することによって調製することができる。このような動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座に取って代わるヒト免疫グロブリン遺伝子座の全て又は一部を含むか、又は染色体外に存在するか、又は動物の染色体にランダムに統合されている。そのようなトランスジェニックマウスでは、内因性免疫グロブリン遺伝子座は、一般的に不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の総説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。また、例えば、XENOMOUSE(商標)技術を記載する米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号;HuMab(登録商標)技術を記載する米国特許第5,770,429号;K-M MOUSE(登録商標)技術を記載する米国特許第7,041,870号;及び、VelociMouse(登録商標)技術を記載する米国特許出願公開第2007/0061900号も参照されたい。かかる動物によって産生されたインタクトな抗体からのヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによって、更に修飾されてもよい。
【0493】
ヒト抗体は、ハイブリドーマベースの方法によって作製することもできる。ヒトモノクローナル抗体を産生するためのヒト骨髄腫細胞株及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株が記載されている。(例えば、Kozbor J.Immunol.,133:3001(1984);Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987);及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術を介して生成されたヒト抗体もまた、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株由来のモノクローナルヒトIgM抗体の産生を記載する)、及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマを記載する)が挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)はまた、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185-91(2005)にも記載されている。
【0494】
ヒト抗体は、ヒト由来のファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても作製され得る。その後、そのような可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術を以下に記載する。
【0495】
5.ライブラリ由来の抗体
本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、PD-L1アンタゴニスト抗体)は、所望の活性(複数可)を有する抗体についてコンビナトリアルライブラリをスクリーニングすることによって単離され得る。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を有する抗体についてそのようなライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当技術分野で知られている。そのような方法については、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)で概説し、McCafferty et al.,Nature 348:552-554;Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991);Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992);Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology 248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003);Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004);Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004);Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 101(34):12467-12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)に更に記載されている。
【0496】
ある特定のファージディスプレイ法では、VH及びVL遺伝子のレパートリは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって別個にクローニングされ、ファージライブラリ中でランダムに再結合され、次いで、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されているように抗原結合ファージのスクリーニングを行うことができる。ファージは、典型的には、抗体フラグメントを一本鎖Fv(scFv)フラグメント又はFabフラグメントのいずれかとしてディスプレイする。免疫源からのライブラリは、ハイブリドーマを構築する必要なしに、免疫原に対する高親和性抗体を提供する。代替的に、ナイーブレパートリは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)によって記載されているように、免疫化を行わずに、広範囲の非自己抗原及びまた自己抗原に対する抗体の単一の供給源を提供するために、(例えば、ヒトから)クローン化することができる。最後に、ナイーブライブラリは、幹細胞から再配列されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダムな配列を含むPCRプライマーを使用して、非常に可変的なCDR3領域をコードし、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)に記載されているように、in vitroで再配列を達成することによって、合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリについて記載する特許公報としては、例えば:米国特許第5,750,373号、並びに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
【0497】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)又はヒト抗体ライブラリから単離された抗体フラグメントは、本明細書ではヒト抗体又はヒト抗体フラグメントとみなされる。
【0498】
6.抗体バリアント
ある特定の事例において、本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)のアミノ酸配列バリアントが意図される。本明細書で詳細に記載されるように、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、所望の構造的及び機能的特性に基づいて最適化され得る。例えば、抗体の結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望ましい場合がある。抗体のアミノ酸配列バリアントは、抗体をコードするヌクレオチド配列中に適正な修飾を導入することによって、又はペプチド合成によって調製されてもよい。このような改変としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基への挿入、及び/又は抗体のアミノ酸配列内の残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせにより、最終構築物に到達することができるが、但し、最終構築物が所望される特徴、例えば、抗原結合を保有することを条件とする。
【0499】
I.置換、挿入、及び欠失バリアント
特定の事例では、1つ又は複数のアミノ酸置換を有する抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)バリアントが提供される。置換による突然変異誘発に関して目的の部位には、HVR及びFRが含まれる。保存的置換は、表2において、「好ましい置換」の見出しの下に示される。より実質的な変化は、表2において、「例示的な置換」の見出しの下に提供され、またアミノ酸側鎖クラスを参照して以下にさらに記載される通りである。アミノ酸置換は、目的の抗体中に導入され得、その産物は、所望の活性、例えば、保持/改善された抗原結合、減少した免疫原性、又は改善されたADCC若しくはCDCについてスクリーニングされ得る。
【表2】
【0500】
アミノ酸は、一般的な側鎖特性に従って分類され得る。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile;
(2)中性親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln;
(3)酸性:Asp、Glu;
(4)塩基性:His、Lys、Arg;
(5)鎖配向に影響を及ぼす残基:Gly、Pro;
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe。
【0501】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
【0502】
一種の置換バリアントは、親抗体(例えば、ヒト化抗体又はヒト抗体)の1つ以上の超可変領域残基の置換を伴う。一般に、更なる試験ために選択される結果として生じるバリアント(複数可)は、親抗体と比較して特定の生物学的特性(例えば、親和性の増加、免疫原性の低減)の修正(例えば、改善)を有し、かつ/又は実質的に保持された親抗体の特定の生物学的特性を有する。例示的な置換バリアントは、親和性成熟した抗体であり、例えば、本明細書に記載されるようなファージディスプレイに基づく親和性成熟技法を使用して、簡便に生成され得る。簡潔には、1つ以上のHVR残基が突然変異され、バリアント抗体がファージ上に提示され、特定の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングされる。
【0503】
変更(例えば、置換)は、抗体親和性を改善するために、例えば、HVRにおいて行われてもよい。そのような改変は、HVR「ホットスポット」、すなわち、体細胞成熟プロセス中に高頻度で突然変異を受けるコドンによってコードされる残基(例えば、Chowdhury,Methods Mol.Biol.207:179-196(2008)を参照されたい)、及び/又は抗原と接触する残基内で行われ得、結果として得られるバリアントVH又はVLが結合親和性について試験される。二次ライブラリの構築及びそこからの再選択による親和性成熟は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology 178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,(2001))に記載されている。親和性成熟のいくつかの事例では、多様な方法(例えば、エラープローンPCR、鎖シャッフリング、又はオリゴヌクレオチド指向性突然変異誘発)のいずれかによって、成熟のために選択される可変遺伝子に多様性が導入される。次いで、二次ライブラリが作製される。次いで、このライブラリをスクリーニングして、所望の親和性を有する抗体バリアントを同定する。多様性を導入するための別の方法は、いくつかのHVR残基(例えば、一度に4~6個の残基)を無作為化する、HVR指向性アプローチを含む。抗原結合に関与するHVR残基は、例えば、アラニンスキャニング突然変異誘発又はモデリングを使用して、特異的に特定され得る。特にCDR-H3及びCDR-L3が標的とされることが多い。
【0504】
特定の事例では、置換、挿入、又は欠失は、そのような改変が抗体の抗原に結合する能力を実質的に低減させない限り、1つ以上のHVR内で生じ得る。例えば、結合親和性を実質的に低下させない保存的改変(例えば、本明細書に提供される保存的置換)が、HVR中で行われてよい。そのような変化は、例えば、HVR内の抗原接触残基の外側であり得る。上述のバリアントVH及びVL配列の特定の事例では、各HVRは、改変されていないか、又は1つ、2つ、又は3つ以下のアミノ酸置換を有するかのいずれかである。
【0505】
突然変異導入の標的となり得る抗体の残基又は領域を同定するための有用な方法は、Cunningham and Wells(1989)Science,244:1081-1085に記載されているように「アラニンスキャニング突然変異導入」と呼ばれる。この方法では、抗体と抗原との相互作用が影響を受けるかどうかを決定するために、残基又は標的残基群(例えば、帯電した残基、例えば、Arg、Asp、His、Lys及びGlu)が同定され、中性又は負に帯電したアミノ酸(例えば、アラニン又はポリアラニン)によって置き換えられる。さらなる置換が、最初の置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸の位置に導入されてもよい。あるいは、又は加えて、抗体と抗原との間の接点を特定するための抗原-抗体複合体の結晶構造。そのような接触残基及び隣接残基は、置換の候補として標的とされるか、又は除去されてもよい。バリアントは、所望の特性を有するか否かを決定するためにスクリーニングされてもよい。
【0506】
アミノ酸配列挿入には、1個の残基から100個以上の残基を含むポリペプチドまでの長さの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに1個以上のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニル残基を有する抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体のN末端又はC末端と酵素(例えば、ADEPTの場合)又は抗体の血清半減期を増加させるポリペプチドとの融合が含まれる。
【0507】
II.グリコシル化バリアント
特定の事例では、本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)は、抗体がグリコシル化される程度を増加又は減少させるように変更することができる。本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)へのグリコシル化部位の付加又は欠失は、1つ以上のグリコシル化部位を作り出すか又は除去するように、アミノ酸配列を変化させることによって、簡便に達成されることができる。
【0508】
抗体がFc領域を含む場合、それに付着した炭水化物が改変され得る。哺乳動物細胞によって産生された天然抗体は、典型的には、N結合によってFc領域のCH2ドメインのAsn297に一般に結合される分岐状の二分岐オリゴ糖を含む。例えば、Wright et al.TIBTECH 15:26-32(1997)を参照されたい。オリゴ糖には、様々な糖質、例えば、マンノース、N-アセチルグルコサミン(GlcNAc)、ガラクトース、及びシアル酸の他、二分岐オリゴ糖構造の「幹」においてGlcNAcに付着したフコースが含まれうる。いくつかの事例では、特定の特性が改善された抗体バリアントを作製するために、本発明の抗体中におけるオリゴ糖の修飾が行われる。
【0509】
1つの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)のバリアントは、Fc領域に(直接的又は間接的に)付着したフコースを欠く炭水化物構造を有するものが提供される。例えば、そのような抗体中のフコースの量は、1%~80%、1%~65%、5%~65%、又は20%~40%であり得る。フコースの量は、例えば、国際公開第2008/077546号に記載されているように、MALDI-TOF質量分析法によって測定されたように、Asn297(例えば、複合体構造、ハイブリッド構造、及び高マンノース構造)に付着した全ての糖鎖構造の合計に対するAsn297における糖鎖内のフコースの平均量を計算することによって決定される。Asn297とは、Fc領域内のおよそ297位(Fc領域残基のEUナンバリング)に位置するアスパラギン残基を指すが、Asn297は、抗体のわずかな配列のバリエーションに起因して、297位から上流又は下流に±3アミノ酸、すなわち294位から300位の間に位置する場合もある。このようなフコシル化バリアントは、改善されたADCC機能を有し得る。例えば、米国特許出願公開第2003/0157108号(Presta,L.);同第2004/0093621号(Kyowa Hakko Kogyo Co.,Ltd)を参照されたい。「脱フコシル化」又は「フコース欠乏」抗体バリアントに関する刊行物の例としては:米国特許出願公開第2003/0157108号;国際公開第2000/61739号;同第2001/29246号;米国特許出願公開第2003/0115614号;同第2002/0164328号;同第2004/0093621号;同第2004/0132140号;同第2004/0110704号;同第2004/0110282号;同第2004/0109865号;国際公開第2003/085119号;同第2003/084570号;同第2005/035586号;同第2005/035778号;同第2005/053742号;同第2002/031140号;Okazaki et al.J.Mol.Biol.336:1239-1249(2004);Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004)が挙げられる。デフコシル化抗体を産生することができる細胞株の例としては、タンパク質フコシル化を欠損するLec13 CHO細胞(Ripka et al.Arch.Biochem.Biophys.249:533-545(1986);米国特許出願公開第2003/0157108号A1,Presta,L;及び国際公開第2004/056312号A1,Adams et al.,特に実施例11)、及びノックアウト細胞株、例えばα-1,6-フコシルトランスフェラーゼ遺伝子、FUT8、ノックアウトCHO細胞(例えば、Yamane-Ohnuki et al.Biotech.Bioeng.87:614(2004);Kanda,Y.et al.,Biotechnol.Bioeng.,94(4):680-688(2006);及び国際公開第2003/085107号を参照されたい)。
【0510】
上記を考慮して、いくつかの事例では、本発明の方法は、非グリコシル化部位突然変異を含む抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ)バリアントを、分割された用量漸増投薬レジメンの状況で対象に投与する工程を含む。いくつかの事例では、アグリコシル化部位突然変異は、抗体のエフェクター機能を低下させる。いくつかの事例では、アグリコシル化部位の突然変異は、置換突然変異である。いくつかの事例では、抗体は、エフェクター機能を低下させるFc領域における置換突然変異を含む。いくつかの事例では、置換突然変異は、アミノ酸残基N297、L234、L235、及び/又はD265(EUナンバリング)におけるものである。いくつかの事例では、置換突然変異は、N297G、N297A、L234A、L235A、D265A、及びP329Gからなる群から選択される。いくつかの事例では、置換突然変異は、アミノ酸残基N297におけるものである。好ましい事例では、置換突然変異は、N297Aである。
【0511】
二分されたオリゴ糖類を有する、例えば、抗体のFc領域に結合した二分岐オリゴ糖がGlcNAcによって二分されている、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)バリアントが更に提供される。そのような抗体バリアントは、低減されたフコシル化及び/又は改善されたADCC機能を有し得る。そのような抗体バリアントの例は、例えば、国際公開第2003/011878(Jean-Mairet et al.);米国特許第6,602,684号(Umana et al.);及び米国特許出願公開第2005/0123546号(Umana et al)に記載されている。Fc領域に付着したオリゴ糖中に少なくとも1つのガラクトース残基を持つ抗体バリアントも提供される。このような抗体バリアントは、改善されたCDC機能を有しうる。そのような抗体バリアントは、例えば、国際公開第1997/30087号(Patel et al.);国際公開第1998/58964号(Raju,S.);及び国際公開第1999/22764号(Raju,S.)に記載されている。
【0512】
III.Fc領域バリアント
ある特定の事例では、1つ又は複数のアミノ酸修飾が、本発明の抗TIGITアンタゴニスト(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))のFc領域に導入され、それにより、Fc領域バリアントが作製される(例えば、米国特許出願公開第2012/0251531号明細書を参照)。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4 Fc領域)を含み得る。
【0513】
ある特定の事例では、本発明は、全てではないが、いくつかのエフェクター機能を有することにより、インビボでの抗体の半減期が重要ではあるが、特定のエフェクター機能(補体及びADCCなど)が不要又は有害である用途に望ましい候補となる、抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体バリアントを企図する。CDC及び/又はADCC活性の低下/消失を確認するために、インビトロ及び/又はインビボの細胞毒性アッセイを実施することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠いている(そのため、ADCC活性を欠いている可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持することを確認することができる。ADCCを媒介するための主要な細胞であるNK細胞は、Fc(RIIIのみを発現するが、一方で単球は、Fc(RI、Fc(RII、及びFc(RIIIを発現する。造血細胞におけるFcRの発現については、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するためのin vitroアッセイの非限定的な例は、米国特許第5,500,362号(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 83:7059-7063(1986)を参照されたい)、及びHellstrom,Iら、Proc.Nat’l Acad.Sci.USA82:1499~1502(1985);5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法が用いられ得る(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology、Inc.Mountain View,CA;及びCYTOTOX 96(登録商標)非放射性細胞毒性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照のこと)。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が挙げられる。代替的又は追加的に、関心のある分子のADCC活性は、in vivo、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 95:652-656(1998)に開示されているような動物モデルで評価することができる。また、抗体がC1qに結合することができず、CDC活性を欠いていることを確認するために、C1q結合アッセイを実施してもよい。例えば、国際公開第2006/029879号及び国際公開第2005/100402号における、C1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するため、CDCアッセイを実施してもよい(例えば、Gazzano-Santoroら、J.Immunol.Methods 202:163(1996);Cragg,M.S.ら、Blood.101:1045-1052(2003);及び、Cragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood.103:2738-2743(2004)を参照)。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期の決定はまた、当技術分野で知られている方法を用いて行うことができる(例えば、Petkova,S.B.et al.Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006)参照)。
【0514】
低減したエフェクター機能を有する抗体には、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有する抗体が挙げられる(米国特許第6,737,056号及び同第8,219,149号)。このようなFc突然バリアントとしては、アラニンへの残基265及び297の置換を有するいわゆる「DANA」Fc突然バリアントを含む、アミノ酸265位、269位、270位、297位、及び327位のうちの2つ以上において置換を有するFc突然バリアントが挙げられる(米国特許第7,332,581号及び同第8,219,149号)。
【0515】
特定の事例では、抗体中の野生型ヒトFc領域の位置329のプロリンは、Fcのプロリン329とFcgRIII(Sondermann et al.:Nature 406,267-273(20 Jul.2000))のトリプトファン残基Trp87及びTrp110との間に形成されるFc/Fc.γ.受容体界面内のプロリンサンドイッチを破壊するのに十分な大きさのアミノ酸残基、又はグリシン若しくはアルギニンで置換される。特定の事例では、抗体は、少なくとも1つのアミノ酸置換を更に含む。1つの事例では、更なるアミノ酸置換は、S228P、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、又はP331Sであり、更に別の事例では、少なくとも1つの更なるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A、又はヒトIgG4 Fc領域のS228P及びL235E(例えば、米国特許出願公開第2012/0251531号を参照されたい)であり、また更に別の事例では、少なくとも1つの更なるアミノ酸置換は、ヒトIgG1 Fc領域のL234A及びL235A及びP329Gである。
【0516】
FcRに対する結合が改善又は減少したある特定の抗体バリアントが記載される。(例えば、米国特許第6,737,056号;国際公開第2004/056312号,及びShields et al.J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい。)
【0517】
特定の事例では、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/又は334位(残基のEUナンバリング)での置換を有するFc領域を含む。
【0518】
いくつかの事例において、例えば米国特許第6,194,551号、国際公開第99/51642号、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されているように、C1q結合及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)の変化(即ち向上又は低下のいずれか)をもたらすFc領域内で変化が起こる。
【0519】
母体IgGの胎児への移入の原因である、増加した半減期及び新生児型Fc受容体(FcRn)への改善された結合を有する抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)and Kim et al.,J.Immunol.24:249(1994))は、米国特許出願公開第2005/0014934A1号(Hintonら)に記載される。それらの抗体は、Fc領域とFcRnとの結合を改善する1つ以上の置換をその中に有するFc領域を含む。そのようなFcバリアントには、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、又は434のうちの1つ又は複数に置換、例えばFc領域残基434の置換を有するものが含まれる(米国特許第7,371,826号明細書)。
【0520】
Fc領域のバリアントの他の例に関して、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988);米国特許第5,648,260号;米国特許第5,624,821号;及び国際公開第94/29351号も参照されたい。
【0521】
いくつかの態様では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び/又は抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、N297G変異を含むFc領域を含む(EUナンバリング)。
【0522】
いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えばアテゾリズマブ))は、1つ以上の重鎖定常ドメインを含み、1つ以上の重鎖定常ドメインは、第1のCH1(CH11)ドメイン、第1のCH2(CH21)ドメイン、第1のCH3(CH31)ドメイン、第2のCH1(CH12)ドメイン、第2のCH2(CH22)ドメイン、及び第2のCH3(CH32)ドメインから選択される。いくつかの事例では、1箇所以上の重鎖定常ドメインのうちの少なくとも1箇所は、別の重鎖定常ドメインと対合される。いくつかの事例では、CH31及びCH32ドメインは、突起又は空洞を各含み、CH31ドメイン内の突起又は空洞は、それぞれ、CH32ドメイン内の空洞又は突起中に配置可能である。いくつかの事例では、CH31及びCH32ドメインは、該突起と空隙との間の境界面において会合する。いくつかの事例では、CH21及びCH22ドメインは、突起又は空洞を各含み、CH21ドメイン内の突起又は空洞は、それぞれ、CH22ドメイン内の空洞又は突起中に配置可能である。他の事例では、CH21及びCH22ドメインは、該突起と空隙との間の境界面において接触する。いくつかの事例では、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又は抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ)は、IgG1抗体である。
【0523】
IV.システイン操作抗体バリアント
特定の事例では、システイン操作された抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)、例えば、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換された「チオMAb」を作製することが望ましい。特定の事例では、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。これらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基が抗体の接近可能部位に配置され、それは、本明細書でさらに説明するように、例えば薬物部分又はリンカー-薬物部分などの他の部分に抗体をコンジュゲートさせて免疫コンジュゲートを作製するために使用されうる。特定の事例では、以下の残基のうちの任意の1つ以上を、システインで置換される:軽鎖のV205(Kabatナンバリング)、重鎖のA118(EUナンバリング)、及び重鎖Fc領域のS400(EUナンバリング)。システイン人工抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号に記載されているように生成することができる。
【0524】
V.抗体誘導体
特定の事例では、本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)又はそのバリアント)及び/又は本発明のPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ又はそのバリアント))は、当技術分野で公知であり容易に入手可能な追加の非タンパク質性部分を含むように更に修飾される。抗体の誘導体化に適した部位としては、水溶性ポリマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマー又はランダムコポリマーのいずれか)、及びデキストラン又はポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、プロリプロピレン(prolypropylene)オキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例:グリセロール)、ポリビニルアルコール、並びにそれらの混合物が含まれる(但しこれらに限定されない)。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性のため、製造時に有利であり得る。ポリマーは、任意の分子量であってもよく、分岐していても、分岐していなくてもよい。抗体に付着しているポリマーの数は様々であり、複数のポリマーが付着している場合には、それらは同じ分子であっても、異なった分子であってもよい。一般に、誘導体化のために使用されるポリマーの数及び/又はタイプは、限定するものではないが、改良される抗体の特定の特性又は機能、抗体誘導体が定義された条件下で治療に使用されるかどうか等の考慮事項に基づいて決定することができる。
【0525】
別の事例では、放射線への曝露によって選択的に加熱され得る抗体及び非タンパク質性部分のコンジュゲートが提供される。1つの事例において、非タンパク質性部分はカーボンナノチューブである(Kam et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11600-11605(2005))。放射線は、任意の波長であってもよく、通常の細胞に害を与えないが、抗体非保護性部位に近位の細胞が死滅する温度まで非保護性部位を加熱する波長を含むが、これらに限定されない。
【0526】
組換え生産方法
本発明の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,816,567号に記載されるように、組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。
【0527】
抗TIGITアンタゴニスト抗体及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)の組換え産生のため、抗体をコードする核酸を単離し、宿主細胞における更なるクローニング及び/又は発現のために1つ以上のベクターに挿入する。このような核酸は、従来の手順を用い(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブを用いることによって)、容易に単離され、配列決定されてもよい。
【0528】
抗体コード化ベクターのクローニング又は発現のための好適な宿主細胞には、本明細書に記載の原核細胞又は真核細胞が含まれる。例えば、抗体は、特に、グリコシル化及びエフェクター機能が必要とされていない場合には、細菌中で産生されてもよい。バクテリアにおける抗体フラグメント及びポリペプチドの発現については、例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号、及び同第5,840,523号を参照。(E.coliにおける抗体フラグメントの発現を記載するCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254も参照されたい)発現後、本発明の抗体は、細菌細胞ペーストから可溶性画分で単離されてもよく、更に精製されてもよい。
【0529】
原核生物に加えて、糸状菌や酵母等の真核生物は、抗体をコードするベクターのクローニング又は発現宿主として適しており、その中には、グリコシル化経路が「ヒト化」された菌株や酵母株が含まれ、その結果、部分的又は完全にヒトのグリコシル化パターンを有する抗体が産生される。Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006)を参照されたい。
【0530】
また、グリコシル化抗体を発現させるのに適した宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)に由来する。無脊椎動物細胞の例としては、植物細胞及び昆虫細胞が挙げられる。多数のバキュロウイルス株が同定されており、昆虫細胞と組み合わせて使用することができ、特にスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞のトランスフェクションに使用することができる。
【0531】
植物細胞培養物も、宿主として利用することができる。例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号、及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術を記載)を参照されたい。
【0532】
脊椎動物細胞も、宿主として使用され得る。例えば、懸濁物中で成長するように適合した哺乳動物細胞株が有用であり得る。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40(COS-7)によって形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胎児腎臓系統(例えば、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載の293細胞又は293細胞);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK);マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載のTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸癌腫細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK;バッファローラット肝細胞(BRL 3 A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝細胞(Hep G2);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562);例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載のTRI細胞;MRC 5細胞;及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、並びにY0、NS0、及びSp2/0等の骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適なある特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)、
【0533】
免疫コンジュゲート
本発明はまた、化学療法剤若しくは薬物、増殖阻害剤、毒素(例えば、タンパク質毒素、細菌、真菌、植物若しくは動物起源の酵素的に活性な毒素、又はそのフラグメント)、又は放射性同位体などの1つ又は複数の細胞傷害剤にコンジュゲートされた本発明の抗TIGITアンタゴニスト(例えば、本明細書中に開示される抗TIGITアンタゴニスト抗体、例えば、チラゴルマブ)及び/又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む免疫コンジュゲートを提供する。
【0534】
いくつかの事例では、免疫コンジュゲートは抗体薬剤抱合体(ADC)であり、抗体が、これらに限定されるわけではないが、マイタンシノイド(米国特許第5,208,020号、同第5,416,064号、及び欧州特許第0425235B1号を参照のこと);モノメチルオーリスタチン薬剤部分DE及びDF(MMAE及びMMAF)などのオーリスタチン(米国特許第5,635,483号、同第5,780,588号、及び同第7,498,298号を参照のこと);ドラスタチン;カリケアマイシン又はその誘導体(米国特許第5,712,374号、同第5,714,586号、同第5,739,116号、同第5,767,285号、同第5,770,701号、同第5,770,710号、同第5,773,001号、及び同第5,877,296号;Hinman et al.,Cancer Res.53:3336-3342(1993);並びにLode et al.,Cancer Res.58:2925-2928(1998)を参照のこと);ダウノマイシン及びドキソルビシン等のアントラサイクリン(例えばKratz et al.,Current Med.Chem.13:477-523(2006);Jeffrey et al.,Bioorganic&Med.Chem.Letters 16:358-362(2006);Torgov et al.,Bioconj.Chem.16:717-721(2005);Nagy et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 97:829-834(2000);Dubowchik et al.,Bioorg.&Med.Chem.Letters 12:1529-1532(2002);King et al.,J.Med.Chem.45:4336-4343(2002);及び米国特許第6,630,579号を参照のこと);メトトレキサート;ビンデシン;ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、テセタキセル、及びオルタタキセル等のタキサン;トリコテセン;並びにCC1065を含む1つ以上の薬剤に結合している。
【0535】
別の事例では、免疫コンジュゲートは、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、Aleurites fordiiタンパク質、ジアンシンタンパク質、Phytolaca americanaタンパク質(PAPI、PAPII、及びPAP-S)、momordica charantia阻害剤、クルシン、クロチン、sapaonaria officinalis阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、及びトリコテセンを含むがこれらに限定されない酵素活性毒素又はそのフラグメントにコンジュゲートされた、本明細書に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体(例えば、アテゾリズマブ))を含む。
【0536】
別の事例では、免疫コンジュゲートは、放射性原子にコンジュゲートして放射性コンジュゲートを形成する本明細書に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)及び/又は本明細書に記載のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)(例えば、アテゾリズマブ)を含む。種々の放射性同位体が、放射性コンジュゲートの製造のために入手可能である。例としては、At211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位元素が挙げられる。検出のために用いられる場合、放射性コンジュゲートは、シンチグラフ検査用の放射性原子、例えばtc99m又はI123、或いは核磁気共鳴(NMR)イメージング(磁気共鳴イメージング、mriとしても知られる)のためのスピン標識(ここでもヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガン又は鉄等)を含みうる。
【0537】
抗体と細胞傷害剤とのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えばN-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、スクシンイミジル-4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート(SMCC)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(例えばジメチルアジピミダートHCl)、活性エステル(例えばジスクシンイミジルスベレート)、アルデヒド(例えばグルタルアルデヒド)、ビスアジド化合物(例えばビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミン)、ビス-ジアゾニウム誘導体(例えばビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(例えばトルエン2,6-ジイソシアネート)、及び二活性フッ素化合物(例えば1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン)を使用して作製することができる。例えば、リシンイムノトキシンは、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載されているようにして調製することができる。炭素-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドの抗体へのコンジュゲートのための例示的キレート剤である。国際公開第94/11026号を参照。リンカーは、細胞内において細胞傷害性薬物の放出を容易にする「切断可能リンカー」であってもよい。例えば、酸-解離性リンカー、ペプチダーゼ感受性リンカー、光解離性リンカー、ジメチルリンカー又はジスルフィド含有リンカー(Chari et al.,Cancer Res.52:127-131(1992);米国特許第5,208,020号)を使用することができる。
【0538】
本明細書における免疫コンジュゲート又はADCは、限定されないが、市販(例:米国イリノイ州ロックフォードのPierce Biotechnology社から)されている、BMPS、EMCS、GMBS、HBVS、LC-SMCC、MBS、MPBH、SBAP、SIA、SIAB、SMCC、SMPB、SMPH、スルホ-EMCS、スルホ-GMBS、スルホ-KMUS、スルホ-MBS、スルホ-SIAB、スルホ-SMCC及びスルホ-SMPB、並びにSVSB(スクシンイミジル-(4-ビニルスルホン)ベンゾエート)を含むがこれらに限定されない架橋試薬を用いて調製されたコンジュゲートを明確に意図している。
【0539】
D.タキサン
タキサンは、チューブリンに結合し、微小管集合及び安定化を促進し、及び/又は微小管解重合を防止し得る化学療法剤である。例示的なタキサンとしては、パクリタキセル(すなわち、TAXOL(登録商標)、CAS#33069-62-4)、ドセタキセル(すなわち、TAXOTERE(登録商標)、CAS#114977-28-5)、ラロタキセル、カバジタキセル、ミラタキセル、テセタキセル、及び/又はオルタタキセル(orataxel)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に含まれる他のタキサンは、タキソイド10-デアセチルバッカチンIII及び/又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、タキサンは、アルブミンコーティングされたナノ粒子(例えば、ナノ-アルブミン結合(nab)-パクリタキセル、すなわち、ABRAXANE(登録商標)及び/又はnab-ドセタキセル、ABI-008)である。いくつかの実施形態では、タキサンは、nab-パクリタキセル(ABRAXANE(登録商標))である。いくつかの実施形態では、タキサンは、CREMAPHOR(登録商標)(例えば、TAXOL(登録商標))及び/又はTween、例えば、ポリソルベート80(例えば、TAXOTERE(登録商標))に製剤化される。いくつかの実施形態では、タキサンは、リポソームに封入されたタキサンである。いくつかの実施形態では、タキサンは、プロドラッグの形態及び/又はタキサンのコンジュゲート形態(例えば、パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメクス、及び/又は炭酸リノレイル-パクリタキセルに共有結合的にコンジュゲートしたDHA)である。いくつかの実施形態では、パクリタキセルは、実質的に界面活性剤なしで(例えば、CREMAPHOR及び/又はTweenの不在下で-TOCOSOL(登録商標)パクリタキセルなど)製剤化される。
【0540】
いくつかの例では、パクリタキセルは、本発明の方法の一部として投与される。パクリタキセルは、以下の構造:
(化1)
を有し得る。
【0541】
いくつかの例では、方法は、ナノアルブミン結合(nab)-パクリタキセルの投与を含む。
【0542】
当業者は、上述のタキサンのいずれも、本発明の一部として企図される塩形態等の様々な形態で投与することができることを理解するであろう。
【0543】
E.白金薬剤
白金薬剤には、分子の不可欠な部分として白金を含有する有機化合物が含まれる。典型的には、白金系化学療法剤は、白金の配位錯体である。薬剤としては、シスプラチン、カルボプラチン及びオキサリプラチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0544】
白金薬剤(シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、スターラプラチンなど)は、モノアダクト、鎖間クロスリンク、鎖内クロスリンク、又はDNAタンパク質クロスリンクとしてDNAの架橋を引き起こす、広く使用されている抗腫瘍剤である。白金薬剤は典型的に、グアニンの隣接するN-7位に作用し、1,2鎖内架橋を形成する(Poklar et al.(1996).Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93(15):7606-11;Rudd et al.(1995).Cancer Chemother.Pharmacol.35(4):323-6)。結果として生じる架橋は、がん細胞におけるDNA修復及び/又はDNA合成を阻害する。
【0545】
本明細書に記載の方法で使用される例示的な白金薬剤はシスプラチンであり、これは以下の構造:
(化2)
を有する。
【0546】
当業者は、上述の白金薬剤のいずれも、本発明の一部として企図される塩形態等の様々な形態で投与することができることを理解するであろう。
【0547】
第一選択療法のための医薬組成物、製剤及びキット
本明細書に記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤のいずれも、医薬組成物及び製剤に使用することができる。抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)、タキサン、及び白金薬剤の医薬組成物及び製剤は、所望の純度を有する1つ、2つ、3つ、又は4つ全ての薬剤を1つ又は複数の任意の薬学的に許容され得る担体(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で混合することによって調製することができる。薬学的に許容され得る担体は一般的に、用いられる投薬量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等の緩衝剤、アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化物質、防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ヘキサメトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール、メチル若しくはプロピルパラベン等のアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、及びm-クレゾール等)、低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン等のタンパク質、ポリビニルピロリドン等の親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジン等のアミノ酸、単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物、EDTA等のキレート剤、スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトール等の糖類、ナトリウム等の塩形成対イオン、金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体)、並びに/又はポリエチレングリコール(PEG)等の非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されない。本明細書における例示的な薬学的に許容され得る担体は、可溶性の中性活性ヒアルロニダーゼ糖タンパク質(sHASEGP)、例えば、rHuPH20(HYLENEX(登録商標)、Baxter International,Inc.)等のヒト可溶性PH-20ヒアルロニダーゼ糖タンパク質等の介在性薬物分散剤を更に含む。rHuPH20を含む、ある特定の例示的なsHASEGP及び使用方法は、米国特許出願公開第2005/0260186号及び同第2006/0104968号に記載される。一態様では、sHASEGPを、1つ以上の更なるグリコサミノグリカナーゼ(例えば、コンドロイチナーゼ)と組み合わせる。
【0548】
例示的な凍結乾燥抗体製剤は、米国特許第6,267,958号に記載されている。水性抗体製剤としては、米国特許第6,171,586号及び国際公開第2006/044908号に記載されるものが挙げられ、後者の製剤は、酢酸ヒスチジン緩衝液を含む。
【0549】
本明細書における製剤はまた、治療される特定の適応症に必要な1つを超える活性成分、好ましくは互いに悪影響を及ぼさない相補的活性を有するものを含有してもよい。例えば、追加の治療剤(例えば、化学療法剤、細胞傷害剤、成長阻害剤、及び/又は抗ホルモン剤、例えば、本明細書において上記で言及されたもの)をさらに提供することが望ましい場合がある。かかる有効成分は、意図される目的に有効な量で組み合わせて好適に存在する。
【0550】
活性成分はまた、例えば、コアセルベーション技術によって、又は界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース若しくはゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルにより、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロ乳濁液、ナノ粒子、及びナノカプセル)内、又はマクロ乳濁液中にも取り込まれ得る。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)に開示されている。
【0551】
徐放性調製物が調製されてもよい。徐放性調製物の好適な例としては、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスが含まれ、これらのマトリクスは、成形物品、例えば、フィルム又はマイクロカプセルの形態である。インビボ投与に使用される製剤は一般に、滅菌される。滅菌性は、例えば、滅菌ろ過膜を通したろ過によって容易に達成され得る。
【0552】
本発明の別の実施形態では、本明細書中に記載される方法のいずれかに従って進行性のESCCを有する対象を治療するための、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体を含むキットが提供される。いくつかの事例では、キットは、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び/又は白金薬剤をさらに含む。
【0553】
別の実施形態では、キットは、本明細書に記載の方法のいずれかに従って進行性のESCCを有する対象を治療するための、アテゾリズマブ、パクリタキセル、及びシスプラチンと組み合わせて使用するためのチラゴルマブを含む。いくつかの実施形態では、キットは、アテゾリズマブ、パクリタキセル、及び/又はシスプラチンをさらに含む。
【0554】
本明細書で提供されるキットは、本明細書に記載される方法のいずれかに従って、進行性のESCC(例えば、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、局所進行性の切除不能ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCC)、例えば、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCC(例えば、ステージIVA ESCC)を有する対象を治療するための抗TIGITアンタゴニスト抗体(例えば、チラゴルマブ)、タキサン(例えば、パクリタキセル)、及び/又は白金薬剤(例えば、シスプラチン)と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブ、パクリタキセル、及び/又はシスプラチンをさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブ及びアテゾリズマブを含む。いくつかの実施形態では、キットは、チラゴルマブ、アテゾリズマブ、パクリタキセル及びシスプラチンを含む。
【0555】
V.実施例
以下は、本発明の方法の実施例である。先に与えた一般的な説明を考慮すると、種々の他の実施形態が実施されてもよいことは理解される。
【0556】
実施例1.切除不能な局所進行性の食道扁平上皮癌腫を有する患者における、チラゴルマブを用いる、又は用いない、アテゾリズマブの第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。
本実施例では、切除不能な食道扁平上皮癌腫を有し(又は手術を受けることができないか、又は手術を受けることを望まない)、最終的な同時の化学放射線療法後にがんが進行していない患者における、プラセボと比較したチラゴルマブ+アテゾリズマブの有効性及び安全性を評価する第III相試験(YO42137)を記載する。この研究の目的は、チラゴルマブ+アテゾリズマブが、ITT集団において、プラセボと比較して、治験責任医師によって決定されるPFS及び/又はOSの期間を延長するという仮説を試験することである。
【0557】
試験設計
切除不能な局所進行性の食道扁平上皮癌腫を有し(又は手術を受けることができないか、又は手術を受けることを望まない)、最終的な同時の化学放射線療法を完了した患者において、プラセボと比較した、アテゾリズマブと組み合わせたチラゴルマブの安全性及び有効性を評価するように設計された無作為化第III相グローバル多施設二重盲検プラセボ対照試験の詳細を以下に記載する。
図1 は、試験計画の概要を示す。
【0558】
この研究には、およそ750人の患者が登録され、以下の1:1:1比で無作為化されている:
3つの治療群:
● A群:チラゴルマブ+アテゾリズマブ
● B群:チラゴルマブプラセボ+アテゾリズマブ
● C群:チラゴルマブプラセボ+アテゾリズマブプラセボ
無作為化は、以下の層別因子に従って層別化される。
● 地理的領域(アジア対その他の世界)
● PD-L1発現(腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコア<10%
対≧10%))、治験薬Ventanaを使用して中央研究所によって評価される
PD-L1(SP263)Companion Diagnostic(CDx)アッセイ
● 最終的化学放射線療法前の疾患のステージ(ステージII対ステージIII対
ステージIVA)
【0559】
患者は、チラゴルマブ+アテゾリズマブ(A群)、プラセボ+アテゾリズマブ(B群)、又は二重プラセボ(C群)のいずれかを投与される。
【0560】
群Aでは、患者は、3週間ごと(Q3W)のIV注入によって投与される1200mgの固定用量のアテゾリズマブを各21日間サイクルの1日目に受け、続いて、Q3WのIVの注入によって投与される600mgの固定用量のチラゴルマブを、17サイクルまでの間、各21日間サイクルの1日目に受ける。
【0561】
腫瘍評価は、治療が遅延したかどうかにかかわらず、RECIST v1.1による放射線学的疾患の進行、同意の撤回、死亡又は試験終了のいずれか最初に発生した方まで継続する。腫瘍評価は、RECIST v1.1による放射線学的疾患進行以外の理由で治療を中断した患者において、たとえ彼らが新たな抗がん療法を開始したとしても、同意が取り消されるか、死亡するか、又は試験が終了する(いずれか最初に発生した方)まで、スケジュールに従って継続されるべきである。
【0562】
X線写真進行の明確な所見(例えば、非常に小さく不確定な新しい病変;既存の病変における嚢胞性変化又は壊死)については、4~6週間以内に確認スキャンを再度行わなければならない。次の予定された評定で進行が確認された場合、記録される進行の日付は、進行が疑われたより早い日付であるべきである。
【0563】
治療中止後、生存及びその後の抗がん療法に関する情報を、死亡、追跡不能、同意の撤回、又は試験終了のいずれか最初に発生した方まで収集する。
【0564】
患者は、治療中及び治療中止後1年間まで、指定された時点で患者報告転帰(PRO)評価を受ける。
【0565】
安全性評価は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events、バージョン5.0(NCI CTCAE v5.0)に従って等級付けされた有害事象及び検査異常の発生率、性質及び重症度を含む。CRSの重症度もまた、American Society for Transplantation and Cellular Therapyのコンセンサス等級スケールに従って等級付けされる。検査室の安全性評価には、血液学及び血液化学の定期的なモニタリングが含まれる。
【0566】
血清試料を収集して、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの薬物動態を監視し、チラゴルマブ及びアテゾリズマブに対する抗体の存在を検出する。
【0567】
保管及び新鮮な腫瘍組織、血清、血漿、及び血液試料を含む患者試料もまた、探索的バイオマーカー評定のために収集される。
【0568】
試験治療投薬量及び投与
患者は、チラゴルマブ+アテゾリズマブ(A群)、プラセボ+アテゾリズマブ(B群)、又は二重プラセボ(C群)のいずれかを投与される。
【0569】
群Aでは、患者は、3週間ごと(Q3W)のIV注入によって投与される1200mgの固定用量のアテゾリズマブを各21日間サイクルの1日目に受け、続いて、Q3WのIVの注入によって投与される600mgの固定用量のチラゴルマブを、17サイクルまでの間、各21日間サイクルの1日目に受ける。
【0570】
群Bでは、患者は、Q3WのIV注入によって投与される1200mgの固定用量のアテゾリズマブを各21日間サイクルの1日目に受け、続いて、Q3WのIV注入によって投与されるプラセボを、17サイクルまでの間、各21日間サイクルの1日目に受ける。
【0571】
C群では、患者は、最大17サイクルにわたる2回の連続投与で各21日間サイクルの1日目にIV注入Q3Wによって投与されたプラセボを投与される。
【0572】
治療は、治験責任医師によって決定されるResponse Evaluation Criteria in Solid Tumors、バージョン1.1(RECIST v1.1)による許容できない毒性若しくは放射線学的進行、又は最大17サイクルの治療のうちの最初に発生した方まで継続すべきである。患者は、試験中に予定された間隔で腫瘍評価を受ける。臨床上適応があるように追加のスキャンが行われる。
【0573】
アテゾリズマブ/プラセボ
アテゾリズマブ/プラセボは、各21日間サイクルの1日目に1200mgの固定用量でIV注入によって投与される。アテゾリズマブ/プラセボの用量は固定され、体重に依存しない。
【0574】
アテゾリズマブの用量変更は許可されない。
【0575】
アテゾリズマブ/プラセボの注入は、表3に概説される指示に従って投与される。
【表3】
【0576】
チラゴルマブ/プラセボ
アテゾリズマブ/プラセボの投与及び観察期間(表3参照)の後、患者は、各21日間サイクルの第1日にIV注入によって投与される600mgのチラゴルマブ/プラセボを受ける。チラゴルマブ/プラセボの用量は固定されており、体重に依存しない。
【0577】
チラゴルマブ/プラセボの用量変更は許容されない。
【0578】
チラゴルマブ/プラセボ注入は、表3に概説される指示に従って投与される。
【0579】
アテゾリズマブ/プラセボ及びチラゴルマブ/プラセボ
アテゾリズマブ/プラセボもチラゴルマブ/プラセボも永続的に中止されていない限り、以下の規則が適用される:
● 治療サイクルは通常、各21日間サイクルの1日目にアテゾリズマブ/プラセボ及びチラゴルマブ/プラセボを投与することから始まる。いずれかの試験薬物が関連する毒性のために遅延される場合、アテゾリズマブ及びチラゴルマブの安全性プロファイルは類似しているので、他方の試験薬物も遅延されることが推奨される。しかし、サイクルは、治験責任医師の裁量で適切と考えられる場合、他の試験薬の投与から開始してもよい。
● 薬物関連毒性のための1つの試験薬の投与が遅延し、他方の試験薬が計画通り投与される場合、遅延されている試験薬を次の予定された注入(すなわち、次の予定された21日サイクル)で投与することが推奨される。
【0580】
治療の中断
試験治療は、毒性の管理のために必要に応じて一時的に保留されてもよい。作用機序の利用可能な特性評価に基づいて、チラゴルマブは、アテゾリズマブと類似しているが無関係の有害事象を引き起こす可能性があり、アテゾリズマブ関連有害事象の頻度又は重症度を悪化させる可能性があり、又はアテゾリズマブと重複しない毒性を有する可能性がある。これらのシナリオは臨床現場では互いに区別されない可能性があるため、免疫介在性有害事象は一般に両方の試験薬に起因すると考えられ得、免疫介在性有害事象に応じた用量中断又は治療中止はチラゴルマブ/プラセボ及びアテゾリズマブ/プラセボの両方に適用されるべきである。
【0581】
チラゴルマブ/プラセボ及びアテゾリズマブ/プラセボは、最大約12週間(約4サイクル)保持され得る。何らかの理由でチラゴルマブ/プラセボが約12週間を超えて中断された場合、患者は、チラゴルマブ/プラセボ治療を恒久的に中止しなければならないが、禁忌がない場合は、毒性がチラゴルマブ/プラセボ及び/又はアテゾリズマブ/プラセボとの組み合わせに関連すると考えられるかどうかを決定するための医療モニタとの議論の後に、アテゾリズマブ/プラセボを継続してよい。患者にQ3Wで投与される単一薬剤アテゾリズマブ/プラセボによる継続的な投与は、全ての他の試験適格基準を満たし続けることを必要とする。
【0582】
治験責任医師の判断において、患者が>12週間の保留後にチラゴルマブ/プラセボを再開することによって臨床的利益を得る可能性が高い場合、例外を設けることができる。この場合、医療モニタの承認を得て、チラゴルマブ/プラセボを再開してもよい。
【0583】
アテゾリズマブ/プラセボが約>12週間(又は約4サイクル)中断された場合、患者はアテゾリズマブ/プラセボを永久に中止しなければならない。しかしながら、治験責任医師の判断において、患者が約>12週間の保留後にアテゾリズマブ/プラセボから臨床的利益を得る可能性が高い場合、アテゾリズマブ/プラセボは、医療モニタの承認を得て再開され得る。
【0584】
患者が、有害事象を治療するために使用されるステロイドから漸減しなければならない場合、アテゾリズマブ/プラセボは、最後の投与からおよそ12週間を超えてさらに延長された期間にわたって保留され得、ステロイドが中止されるまで、又はステロイドがプレドニゾン用量(又は同等用量)≦10 mg/日に減少されるまで、チラゴルマブ/プラセボは、最後の投与からおよそ12週間を超えてさらに延長された期間にわたって保留され得る。中断の許容され得る長さは、治験責任医師と医療モニタとの間の合意に依存する。外科的治療などの毒性以外の理由(複数可)による用量中断は、医療モニタの承認を得て許可され得る。
【0585】
チラゴルマブ/プラセボ及びアテゾリズマブ/プラセボの両方が永続的に中止された後、患者は安全性及び有効性について監視される。
【0586】
併用療法
併用療法は、試験薬の開始の7日前から治療中止の来院までの治験実施計画書に定められた治療に加えて、患者によって使用される任意の医薬(例えば、処方薬、市販薬、ワクチン、ハーブ療法又はホメオパシー療法、栄養補助食品)からなる。
【0587】
許可された治療
患者は、試験中に以下の治療法を使用することが許される。
● 失敗率が年間1%未満の経口避妊薬
● ホルモン補充療法
● 予防的又は治療的抗凝固療法(安定用量のワーファリン又は低分子量ヘパリン等)
● 不活化インフルエンザワクチン接種
● 食欲刺激剤として投与される酢酸メゲストロール
● ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)
● 慢性閉塞性肺疾患又は喘息のために投与されるコルチコステロイド
● 起立性低血圧又は副腎皮質機能不全のために投与される低用量コルチコステロイド
【0588】
一般に、治験責任医師は、臨床上適応がある場合、現地の標準診療に従って、注意療法又は禁止療法として定義されるもの以外の支持療法で患者のケア(既存の症状を含む)を管理すべきである。注入に関連する症候を経験する患者は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジフェンヒドラミン、及び/又はH2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、シメチジン)、又は現地の標準的慣行による同等の薬物で対症療法で治療することができる。呼吸困難、低血圧、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、酸素飽和度低下、又は呼吸窮迫によって明らかとなる、重篤な輸液関連事象は、臨床上適応がある支持療法(例えば、酸素補給及びβ2-アドレナリンアゴニスト)により管理されなくてはならない。
【0589】
コルチコステロイド、免疫抑制薬、及びTNFα阻害剤
全身性コルチコステロイド、免疫抑制薬、及びTNF-α阻害剤は、アテゾリズマブによる治療の潜在的に有益な免疫学的効果を減弱させ得る。したがって、全身性コルチコステロイド、免疫抑制薬、又はTNF-α阻害剤が日常的に投与される状況では、抗ヒスタミン剤を含む代替物を検討しなければならない。代替法が実施可能でない場合、コルチコステロイド、免疫抑制薬、及びTNF-α阻害剤の全身投与を治験責任医師の裁量で行うことができる。
【0590】
アテゾリズマブ治療に関連する場合、特定の有害事象の治療のために、治験責任医師の裁量で、全身コルチコステロイドが推奨される。
【0591】
ハーブ療法
ハーブ療法の併用は、それらの薬物動態、安全性プロファイル、及び潜在的薬物-薬物相互作用が一般的に不明であるため、推奨されない。しかしながら、がんの治療を意図しないハーブ療法は、治験責任医師の裁量で試験中に使用され得る。
【0592】
禁止される治療
以下の併用療法の使用は、以下に記載されるように禁止される:
● がんの治療を目的とした併用療法は、保健当局が承認したものであろうと実験的なものであろうと、薬剤に応じて、試験治療を開始する前の様々な期間、及び試験治療中、疾患の進行が文書化され、患者が試験治療を中止するまで、特定の状況下での緩和的放射線療法を除いて禁止される。
● 治験治療は、試験治療の開始前28日以内及び試験治療中に禁止される。
● 生弱毒化ワクチン(例えば、FLUMIST(登録商標))は、試験治療の開始前4週間以内、試験治療中、アテゾリズマブ/プラセボの最終投与後5ヶ月間、及び又は、チラゴルマブ/プラセボの最後の投与後90日間のいずれか遅い方で禁止する。
● アテゾリズマブと組み合わせて投与した場合、自己免疫症状のリスクを潜在的に増加させる可能性があるため、試験治療の開始前及び試験治療中の4週間以内又は5つの薬物除去半減期(いずれか長い方)以内の全身免疫賦活剤(限定されないが、インターフェロン及びIL-2を含む)は禁止される。
【0593】
目的及び有効性の評価項目
本研究は、局所進行性の食道扁平上皮癌腫を有し(又は手術を受けることができないか、又は手術を受けることを望まない)、最終的な同時の化学放射線療法を完了した患者における、プラセボと比較したチラゴルマブ+アテゾリズマブの有効性及び安全性を評価する。本試験の具体的な目的及び対応評価項目を表4に概説する。
【表4】
【0594】
有効性分析
この研究では、共主要有効性評価項目は、治験責任医師によって評価されるPFS(独立レビュー施設(IRF)によって評価されるPFSの二次解析によって裏付けられている)及びOSである。この研究は、チラゴルマブ+アテゾリズマブによる治療がプラセボ単独と比較してPFS及びOSを延長するという仮説を検証する。
【0595】
評価項目としてのPFSは、腫瘍成長を反映することができ、生存利益の決定の前に評価することができる。さらに、その決定は、一般に、局所進行性の疾患状況に特に関連する後続の治療によって混同されない。さらに、いくつかの腫瘍タイプからのデータは、PFSとOSとの間の強い相関を示唆しており、したがってPFSをOS及び臨床的利益の堅牢な代用予測因子として裏付けている(Adunlin et al.,Breast Cancer Res Treat,154:591-608(2015);Dabbous et al.,Ann Oncol,28 Suppl.3:iii77(2017))。このように、共主要評価項目としてのPFSは、利益の早期の指標を可能にし、この新しい治療の組み合わせをより迅速に患者に利用可能にすることができる。
【0596】
OSの改善は、一般に、進行がんを有する患者の臨床的利益の最良の尺度として受け入れられており、客観的で容易に測定される評価項目である。最近のデータはまた、OSがCITのより感受性の高い評価項目であり得ることを示唆している(Fehrenbacher et al.,Lancet,387:1837-46(2016))。これらの理由のために、OSもまた、この研究における共主要評価項目である。
【0597】
治験責任医師によって評価される無増悪生存期間
治験責任医師が評価したPFSは、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定された、無作為化から疾患進行の最初の発生又は何らかの原因による死亡までの時間(いずれか最初に発生した方)として定義される。分析時に疾患の進行又は死亡を経験していない患者は、最後の腫瘍評価時に打ち切りされる。ベースライン後の腫瘍評価がない患者は、無作為化の日付で打ち切りされる。
【0598】
地理的地域(アジア対その他の世界)、PD-L1(SP263)発現(TIC<10%対≧10%)及び最終的な同時の化学放射線療法前の疾患のステージ(ステージII対ステージIII対ステージIV)によって層別化した両側ログランク検定を、治療群間でPFSを比較するための一次分析として使用する。非層別化ログランク検定の結果は、層別化ログランク検定の結果のロバスト性をチェックするための感度分析としても提供される。
【0599】
層別化Cox比例ハザードモデルを使用して、HR及びその95%CIを推定する。層別因子は、一次層別ログランク検定で用いたものと同じである。非層別化HRも提供される。
【0600】
Kaplan-Meier法を用いて各治療群のPFS中央値を推定し、Kaplan-Meier曲線を構築して治療群間の差を視覚的に説明する。Brookmeyer-Crowley方法論を使用して、各治療アームのPFS中央値に対して95%Clを構築する。
【0601】
人口統計学(例えば、年齢、性別及び人種/民族性)及びベースライン特性(例えば、ECOGパフォーマンスステータス、PD-L1発現)によって定義されたサブグループにわたるPFSの共主要有効性評価項目に対する治療効果の均一性を評価するために、フォレストプロット(推定HRを含む)が提供される。
【0602】
全生存期間
OSは、無作為化から死に至るまでの時間として定義される。分析時に死亡したと報告されていない患者は、生存していることが分かった最終日に打ち切られる。ベースライン後の生存情報がない患者は、無作為化の日に打ち切られる。
【0603】
OS分析のための方法は、治験責任医師によって評価されるPFSについて記載された方法と同様である。暫定分析を説明するために、OSの試験にはグループシーケンシャル設計が使用される。
【0604】
OSについて計画されている2つの暫定分析がある。OSの最初の暫定分析は、最初の患者が無作為化された約34ヶ月後に行われると予想される一次PFS分析の時点で行われる。この時点で、A群及びC群で約212のOS事象が発生していることが予想される。第1の患者を無作為化した後、約40ヶ月で起こると予想される約240のOS事象がA群及びC群で観察された場合、OSの2回目の暫定分析を行う。暫定分析は、主催者によって行われる。OSの最終分析は、約280のOS事象がA群及びC群で観察されたときに行われる。B群とC群の間及びA群とB群の間のOSの分析タイミングは、A群とC群の間のOSの分析タイミングと同じである。試験階層を考慮すると、A群とC群との間のOSが暫定又は最終分析で統計的に有意でない場合、B群とC群との間のOS及びA群とB群との間のOSはその時点で正式に試験されないが、比較は、アテゾリズマブ及びチラゴルマブの個々の寄与を特徴付けるために記述的に実施される。この場合、OS階層テストの次の予定分析タイミングまで試行を継続する。
【0605】
一次PFS分析の時点で175未満のOS事象がA群及びC群で発生した場合(500人の患者の35%未満)、最初の暫定OS分析は、212のOS事象が発生するまで遅延される。α0.000001の管理(全体的なタイプIエラー率に対する無視できる影響)が、一次PFS分析の時点でOS仮説に費やされる。
【0606】
グループシーケンシャル設計は、暫定分析の実施を説明し、試験階層内のOS評価項目の両側タイプIエラーを制御するために使用される。OSの暫定及び最終分析の各々の停止境界は、それぞれO’Brien-Fleming境界を近似するLan-DeMetsα消費関数を使用して計算される。暫定及び最終分析のタイミング並びに共主要評価項目の予測事象率を表5に示す。対応するα停止境界及びMDD HRもまた、各PFS/OS分析におけるPFS/OSイベントの計画された数に基づいて示されている。最終分析時の各PFS/OS評価項目のMDD HRは、臨床的に意味があり、達成可能であると考えられる。実際の境界は、観察された情報画分、すなわち、ITT集団における事象の計画された目標総数に対する分析時に観察された事象の実際の数に基づいてPFS/OS分析時に計算される。
【表5】
【0607】
IRFによって評価される無増悪生存期間
IRFによって評価されるPFSは、RECIST v1.1に従ってIRFによって決定された、無作為化から疾患進行の最初の発生又は何らかの原因による死亡までの時間(いずれか最初に発生した方)として定義される。分析時に疾患の進行又は死亡を経験していない患者は、最後の腫瘍評価時に打ち切りされる。ベースライン後の腫瘍評価がない患者は、無作為化の日付で打ち切りされる。
【0608】
IRFによって評価されるPFS分析のための方法は、治験責任医師によって評価されるPFSについて記載された方法と同様である。
【0609】
治験責任医師によって評価される客観的奏効率
治験責任医師による客観的奏効は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定される完全奏効(CR)又はPRと定義される。ベースライン後の腫瘍評定を受けていない患者を含む、これらの基準を満たさない患者は、非応答者とみなされる。確認されたORRは、客観的奏効を≧4週間の間隔で2回連続して達成した患者の割合として定義される。ORRについての分析集団は、ベースラインで測定可能な疾患を有するITT集団内の全ての患者である。
【0610】
地理的地域(アジア)対その他の世界)、PD-L1(SP263)発現(TIC<10%対≧10%)及び最終的な同時の化学放射線療法前の疾患のステージ(ステージII対ステージIII対ステージIV)によって層別化した両側Cochran-Mantel-Haenszel検定を、治療群間でORRを比較するために使用する。ORRが各治療群について計算され、治療群間のORRの差が計算される。各群のORRの95% CIは、Clopper-Pearson法(Clopper and Pearson,Biometrika,26:404-13(1934))を使用して導出される。ORRの差の95% CIは、正規近似によって計算される。
【0611】
IRFによって評価される客観的奏効率
ORR分析を、RECIST v1.1に従ってIRFによって評価される腫瘍応答に基づいて別々に行う。分析方法は、治験責任医師によって評価されるORRについて記載された方法と同様である。
【0612】
奏効期間
奏効期間(DOR)を、客観的奏効を達成した患者において評価する。DORは、確認された客観的奏効(CR又はPRのいずれかの最初に記録された状態)の最初の発生から疾患進行の最初の発生又は何らかの原因による死亡までの時間のいずれか最初に発生した方として定義される。がんが進行しておらず、分析時に死亡していない患者は、最後の腫瘍評価の日で打ち切られる。客観的奏効の最初の発生日以降に腫瘍評価が行われない場合、DORは奏効の最初の発生日に打ち切られる。DORの分析は、患者の非無作為化サブセット(具体的には、客観的奏効を達成した患者)に基づいているので、治療アーム間の比較は記述目的のためのみに行われる。
【0613】
DOR分析を、治験責任医師及びIRFによって評価される腫瘍応答に基づいて別々に行う。分析方法は、PFSについて記載された方法と同様である。
【0614】
臨床的に意味のある機能、生活の質及び嚥下障害の変化を有する患者の割合
EORTC QLQ-C30及びEORTC QLQ-OES18のそれぞれの尺度によって測定される、身体機能、役割機能、GHS/QoL及び嚥下障害における臨床的に意味のある変化(改善、悪化、安定維持)を有する患者の割合を治療群ごとに要約する。臨床的に意味のある変化を特定するために、以前に公開された最小限に重要な違いを用いる(例えば、Osoba et al.,J Clin Oncol,16:139-44(1998);Cocks et al.,J Clin Oncol,29:89-96(2011))。
【0615】
ランドマーク時点での無増悪生存率
12ヶ月及び18ヶ月でのPFS率は、各治療群についてKaplan-Meier法を使用して別々に治験責任医師及びIRFによって評価される腫瘍応答に基づいて推定され、95% CIは、Greenwoodの式から導出された標準誤差を使用して計算される。治療群間のPFS率の差の95% CIは、通常の近似法を使用して推定される。
【0616】
ランドマーク時点での全生存率
12ヶ月及び24ヶ月でのOS率は、PFS率について記載されたものと同じ方法を使用して推定される。
【0617】
患者報告転帰
治療群ごとに各サイクルでのEORTC QLQC30及びEORTC QLQ-OES18アンケートの完了率及び欠落データの理由を要約する。
【0618】
来院平均の要約及びベースラインからの変化の分析を、EORTC QLQ-C30及びEORTC QLQ-OES18のすべてのスケールについて行う。(EORTCスコアリングマニュアルによる)線形変換されたスコアの要約統計(患者数、平均値、標準偏差、中央値、最小値、最大値、95% CI)を、各試験群のすべての評価時点で計算する。
【0619】
バイオマーカー
この研究では、最終的な化学放射線療法の前に得られた保管組織試料をすべての患者から収集し、スクリーニング期間中に中央検査室によってPD-L1発現について試験する。この研究には、PD-L1状態に関する全参加者集団が登録されている。しかしながら、患者は、治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイを使用して中央検査室によって評価されるPD-L1発現(TICスコア<10%対≧10%)によって層別化される。米国FDAは、CPS≧10のDAKO 22C3 PD-L1免疫組織化学(IHC)アッセイを使用して決定して腫瘍がPD-L1陽性である、全身療法の1つ又は複数の先行ラインの後に疾患が進行した食道の再発性の局所進行性又は転移性扁平上皮癌腫を有する治療患者に対するペムブロリズマブの承認を付与した。食道がんクロスアッセイ評価では、SP263 PD-L1 TIC≧10%を使用して同定されたPD-L1陽性症例は、22C3 CPS≧10で同定されたものと非常に類似している。
【0620】
患者から得られた保管の、治療前、治療中、及び/又は治療後の生検腫瘍標本は、PD-L1/PD-1免疫生物学、TIGIT免疫生物学、腫瘍免疫生物学、耐性機構、又は腫瘍のタイプ若しくはサブタイプ、及び腫瘍突然変異負荷を含み得るがこれらに限定されない、他の腫瘍ベースのバイオマーカーの調査分析に使用される。バイオマーカーの評価は、どの患者がチラゴルマブ+アテゾリズマブから最も利益を得る可能性があるかを特定するのに役立ち得、新規の治療及び診断オプションの将来の開発を導くのに役立ち得る。
【0621】
DNA及び/又はRNAの抽出及び分析は、次世代シーケンシング(NGS)を可能にし、遺伝子の発現を評価してそれらの有効性との関連を評価し、及び/又は選択された体細胞変異及び疾患経路を同定して疾患病理生物学の理解を高めるために行われ得る。
【0622】
代用バイオマーカーの変化を評価するために、ベースライン時及び試験中に血液試料を収集する。これらのバイオマーカーと安全性及び有効性の評価項目との間の相関を調査して、どの患者がアテゾリズマブから利益を得る可能性が高いかを予測し得る血液ベースのバイオマーカーを同定する。
【0623】
全エクソームシーケンシング(WES)を可能にするDNA抽出のために組織試料を収集して、試験薬に対する応答を予測する、より重篤な疾患状態への進行に関連する、有害事象の発生に対する感受性に関連する、有害事象の監視又は調査の改善につながり得る、又は疾患生物学及び薬物安全性の知識及び理解を高めることができるバリアントを同定する。ゲノミクスは、疾患病理生物学の試験者の理解をますます促している。WESは、エクソームの包括的な特性評価を提供し、この試験で収集された臨床データと共に、有効性及び安全性を監視するため、又はどの患者が薬物に応答するか若しくは有害事象を発症する可能性がより高いかを予測するための新しい治療アプローチ又は新しい方法を開発する機会を増やす可能性がある。データは、この試験に関連して分析されるが、他の試験からのデータとまとめて調査することもできる。より大きなデータセットの利用可能性は、将来の薬物開発を支援するための重要なバイオマーカー及び経路の同定及び特性評価に役立つであろう。
【0624】
以下の臨床検査のための試料を、分析のために試験施設の現地の検査室に送る:
● 血液学:WBC数、RBC数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数及び分化数(好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球)。
● 化学パネル(血清又は血漿):重炭酸塩又は総二酸化炭素(その領域について標準的なケアと考えられる場合)、ナトリウム、カリウム、塩化物、グルコース、BUN又は尿素、クレアチニン、総タンパク質、アルブミン、リン酸塩、カルシウム、総ビリルビン、ALP、ALT、AST及びLDH
● 凝固:INR、及びaPTT
● 甲状腺機能検査:甲状腺刺激ホルモン、遊離トリヨードチロニン(T3)(又は遊離T3が実施されない部位については総T3)、及び遊離チロキシン(T4としても知られる)
● 下記に概説されるようなEBV血清学:
- EBV VCA IgM
- EBV VCA IgG又はEpstein-Barr核抗原IgG
- 臨床上適応がある場合:EBV PCR
【0625】
● HIV血清学
● HBV血清学:すべての患者について、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎表面抗体(HBsAb)、及び全B型肝炎コア抗体(HBcAb);HBsAgが陽性の患者及びHBsAg及びHBsAb試験が陰性で総HBcAb試験が陽性の患者のHBV DNA
● 血清学:HCV抗体及び(HCV抗体検査が陽性である場合)HCV RNA。
【0626】
● 妊娠検査
出産可能なすべての女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査を受けることになる。試験中、尿妊娠検査は、各サイクルの1日目に実施され、試験治療を中止した後、試験中止来院時、並びにチラゴルマブ/プラセボの最終投与後90日又はアテゾリズマブ/プラセボの最終投与後5ヶ月のいずれか遅い方でも妊娠検査が実施される。尿妊娠検査が陽性である場合、それは血清妊娠検査によって確認されなければならない。
【0627】
女性は、月経後であり、閉経後の状態(連続≧12ヶ月の閉経以外の特定された原因のない無月経)に達しておらず、手術(すなわち、卵巣、卵管、及び/又は子宮の除去)又は治験責任医師によって決定される別の原因(例えば、ミュラー管無発生)のために永久に不妊ではない場合、妊娠可能性があるとみなされる。
【0628】
● 尿検査(pH、比重、グルコース、タンパク質、ケトン類、血液);ディップスティックは許可されている
【0629】
以下の検査室検査のための試料(血液及び腫瘍)は、分析のために1つ以上の中央検査室、又は試験依頼者若しくは指名された人に送られる。
● C反応性タンパク質
● PKアッセイ
検証済みのイムノアッセイを使用して、チラゴルマブ及び/又はアテゾリズマブ濃度の測定のために血清試料を得る。
● ADAアッセイ
検証済みのアッセイを使用して、チラゴルマブ及び/又はアテゾリズマブに対するADAの測定のために血清試料を得る。
● 探索的バイオマーカーアッセイ。
血液試料を、来院時に全ての適格患者からバイオマーカー評価(食道又は腫瘍免疫生物学に関連するバイオマーカーを含むが、これらに限定されない)のために得る。試料を処理して、血漿、血清及び/又は末梢血単核細胞(PBMC)及びそれらの誘導体(例えば、RNA及びDNA)を得ることができる。
● 自己抗体アッセイ
試験治療の初回投与前の1サイクル目の1日目のベースラインでのPK、ADA、又はバイオマーカーの評価のために採取された血清試料は、免疫介在性有害事象が患者に発生し、その評価を必要とする場合には、自己抗体検査に使用することができる。
【0630】
最終的な同時の化学放射線療法の前に収集された保管組織試料は、PD-L1発現について、層別化のための調査中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイ(TIC<10%対≧10%)の使用によって分析され、(任意の)新鮮組織試料は、他のバイオマーカー及びバイオマーカー開発に関する調査研究のために収集される。
【0631】
- 腫瘍組織は、総腫瘍含有量及び生存腫瘍含有量に基づいて良質でなければならない。試料は、針ゲージ又は回収方法にかかわらず、細胞状況及び組織構造を保存する最低50個の生存腫瘍細胞を含まなければならない。細針吸引、ブラッシング、胸水からの細胞ペレット、及び洗浄液試料は許容され得ない。コア針生検検体の場合、少なくとも3つのコアを評価に供するべきである。
【0632】
- PD-L1結果の中央評価及び他のバイオマーカー分析のためにこの試験の外部で得た保管腫瘍組織試料を全ての患者から収集する(パラフィンブロックが好ましい;又は少なくとも15枚の染色されていない連続スライドが許容され得る)。保管腫瘍組織の利用可能性は、試験に入る前に確認しなければならない。<15枚の染色されていない連続スライドを提供することができれば、患者は、医療モニタとの議論の際に依然として適格であり得る。細針吸引物、浸出液又は腹水からの細胞ペレット、及び洗浄液試料は、保管組織の要件を満たさない。
【0633】
- 異なる時点からの適切な組織であれば、最近に収集された組織を優先すべきである。
【0634】
- この試験中、異なる時間に行われた手順からの追加の組織試料を有する患者は、これらの試料を中央試験にも提出することが要請される(但し、要求されない)。個々の患者について組織試料を複数回得ることは、治療及び疾患生物学の作用機序の理解の向上に大きく寄与する。これは、現地の規制当局及び/又は必要とされる決定機関による承認が得られない場合には適用されない。任意の生検に同意する患者の場合、生検のための組織試料は、治験責任医師の裁量により、治療中又は進行時のいずれかで収集され得る。任意の生検は、深部腫瘍組織若しくは器官のためのコア針生検(好ましくは、少なくとも3つのコア)、又は皮膚、皮下、若しくは粘膜病変のための摘出、切開、パンチ、若しくは鉗子生検からなるべきである。これは、現地の規制当局及び/又は必要とされる決定機関による承認が得られない場合には適用されない。
【0635】
探索的バイオマーカー分析は、これらのマーカー(例えば、TIGIT状態)と試験治療の有効性との関連を理解しようとして行われ得る。有効性転帰は、IHC及び/又はRNA分析によって決定される、腫瘍が高いTIGIT発現を有する患者の集団において調査され得る。WGSデータの探索的分析は、この研究の文脈で行うことができる。
【0636】
探索的バイオマーカー研究には、腫瘍免疫生物学、PD-L1、リンパ球亜集団、T細胞受容体レパートリー、又はT細胞活性化に関連するサイトカインに関連する遺伝子又は遺伝子シグネチャの分析が含まれ得るが、これらに限定されない。研究は、DNA、無細胞DNA又はRNAの抽出;変異、一塩基多型、及び他のゲノムバリアントの分析;並びに包括的な遺伝子パネルのNGSの使用によるゲノムプロファイリングを含み得る。生殖系列バリアントを体細胞バリアントから区別することによって体細胞バリアントを同定するために血液から抽出されたDNAを組織から抽出されたDNAと比較することができるNGS法は、組織及び血液試料のWESを含み得るが、血液試料のWESは、関与部位でのみ実施される。
【0637】
治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイの使用
治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイは、OptiView DAB IHC検出キットを備えたBenchMark ULTRA染色プラットフォームを使用して、PD-L1(SP263)ウサギモノクローナル抗体を用いたFFPE食道扁平上皮癌腫組織におけるプログラム死リガンド(PD-L1)タンパク質の定性的な免疫組織化学的評価を目的としている。PD-L1発現の<10%対≧10%のTICスコアをIHC分析結果の解釈に使用する。
【0638】
PD-L1発現を、治験中のVentana PD-L1(SP263)CDx アッセイを使用して決定する。PD-L1発現の<10%対≧10%のTICスコアを、最終的な同時の化学放射線療法の開始前に収集した保管標本治療前組織試料からの患者層別化のための因子の1つとして使用する。
【0639】
PD-L1発現にかかわらず、最終的な同時の化学放射線療法後に進行していない切除不能な局所進行性の食道扁平上皮癌腫の組織学的又は細胞学的に確認された診断を有する患者は、試験への登録に適格である。SP263ベースのTICスコアリングを使用したPD-L1発現の有病率を、669個の食道扁平上皮癌腫組織の内部調達セットで調査し、そのうち94%(669個のうち627個)がPD-L1陽性(TIC≧1%)であり、41%(669個のうち274個)がTIC≧10%を有しており、この試験のための提案された層別化カットオフであった。
【0640】
最終的な同時の化学放射線療法の前に収集された保管腫瘍組織(6ヶ月未満であることが推奨される)を使用して、ベースラインPD-L1状態を決定する。PD-L1試験のみのための最終的な同時の化学放射線療法の前に収集された新鮮な治療前腫瘍生検の可能性は非常に低く、治験責任医師の裁量による。
【0641】
保管腫瘍標本は主にPD-L1試験に使用され、PD-L1試験の結果は全参加者治験における患者層別化に使用されるので、治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイの使用に関して患者の健康、安全、又は福祉に対するリスクはない。
【0642】
患者は、PD-L1発現レベルを決定するための治験中のPD-L1(SP263)CDxアッセイによるPD-L1評価を含む、探索的バイオマーカー研究のための追加の任意の生検を受けることができる。任意の生検に同意する患者の場合、生検のための組織試料は、治験責任医師の裁量により、治療前、治療中、又は疾患進行時のいずれかで収集され得、サンプリングは標準的なケアに従って行なわれる。
【0643】
患者適格性
対象基準
患者は次の試験登録基準を満たさなければならない:
● 署名済みインフォームドコンセントフォーム
● インフォームドコンセント書類の署名時の年齢が≧18歳
● 治験実施計画書を遵守する能力
● ECOGパフォーマンスステータス0又は1
● 組織学的又は細胞学的に確認された食道扁平上皮癌腫の診断
● American Joint Committee on Cancer/Union for International Cancer Control、第8版によるステージII-IVA、切除不能な局所進行性の疾患(医学的又は外科的に縮小)
- 患者は、試験の経過中に腫瘍切除を受けることは予想されない。
- 治癒的手術の不適格性は、資格のある医療、外科又は放射線腫瘍医の文書化された意見に基づいていなければならない。
- 鎖骨上リンパ節転移のみを有する頸部又は上部胸部の食道扁平上皮癌腫と診断され、治療医師、集学チーム又は腫瘍委員会の意見で、最終的な同時の化学放射線療法に適していると考えられるステージIVBの患者が適格である。
【0644】
● 以下の基準による、食道がんのための地域腫瘍学ガイドラインに従った最終的な同時の化学放射線治療:
- 手術不能ながんを有する患者は、無作為化前に、スキャン(最終的な同時の化学放射線療法の前後)の比較によって実証されるように、RECIST v1.1による放射線学的疾患進行の証拠なしに、最終的治療(50-64Gy)と一致する少なくとも2サイクルの白金系化学療法及び放射線療法を受けていなければならない。頸部食道扁平上皮癌腫を有する患者は、現地の腫瘍学ガイドラインに従って、より高い放射線量(50~66Gy)を受けることができる。
- 試験への無作為化は、最終的な同時の化学放射線療法の最後の投与後1-84日以内に行われなければならない。
【0645】
● 最終的化学放射線療法の開始前に収集した、<6ヶ月齢の代表的な保管ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本(保管標本又は最終的な同時の化学放射線療法の開始前の新鮮な治療前組織のいずれか)(パラフィンブロック(好ましい)又は新たに切断した連続切片を含む≧15枚の未染色スライド)
- ベースライン時に利用可能な15枚未満の未染色スライドを有する患者は、医療モニタとの議論の際に適格であり得る。最近の生検が臨床的に実行可能でない場合、ベースライン時に入手可能な6ヶ月以上経った保管腫瘍標本を有する患者は、医療モニタとの議論の際に適格であり得る。
- 腫瘍組織は、総腫瘍含有量及び生存腫瘍含有量に基づいて良質でなければならず、無作為化の前にPD-L1(SP263)発現について評価されなければならない。
- 腫瘍組織がPD-L1発現について評価可能でない患者は、適格ではない。
- 層別化の目的で、患者の腫瘍のPD-L1スコアは、複数の試料が提出される場合、層別化前に単一の患者から試験されたすべての試料の中で最も高いPD-L1 TICスコアとなる。
- 許容され得る試料には、深部腫瘍組織のためのコア針生検、又は皮膚、皮下、若しくは粘膜病変のための切除、切開、パンチ、若しくは鉗子生検が含まれる。
- パラフィンブロック中のFFPE腫瘍標本が好ましい。微細針吸引、ブラッシング、滲出液からの細胞ペレット、及び洗浄液試料は許容され得ない。
【0646】
● 試験治療の開始の前、14日以内の化学療法の最後の投与後に得られた、以下の臨床検査結果によって定義される適切な血液学的機能及び終末器官機能:
- 顆粒球コロニー刺激因子支持なしでANC≧1.2X109/L(1200/μL)
- リンパ球数≧0.5X109/L(500/μL)
- 輸血なしで血小板数≧100X109/L(100,000/μL)
- ヘモグロビン≧90g/L(9g/dL)。
この基準を満たすために患者を輸血することができる。
- AST、ALT、ALP≦2.5X正常値上限(ULN)
- 総ビリルビン≦1.5XULN、但し以下の例外がある:
既知のギルバート病患者:総ビリルビン≦3XULN
- クレアチニン≦1.5XULN
- アルブミン≧25g/L(2.5g/dL)
- 治療的抗凝固療法を受けていない患者の場合:INR及びaPTT≦1.5XULN
【0647】
● 治療的抗凝固薬を投与されている患者:安定な抗凝固薬レジメン
● スクリーニング時の陰性HIV検査
● B型肝炎ウイルス(HBV)感染のない患者、又はスクリーニング時にB型肝炎表面抗原(HBsAg)検査陽性及び/若しくはB型肝炎表面抗体(HBsAb)検査陽性の非存在下での全B型肝炎コア抗体(HBcAb)検査陽性の患者:HBV DNA<500 IU/mL.
- 検出可能なHBV DNAを有する患者は、施設のガイドラインに従って管理されるべきである。抗HBV治療の開始は、試験治療の開始の14日以上前でなければならず、患者は、試験治療の期間中、及び施設のガイドラインに従ってより長い期間、抗HBV治療を継続する意思がある必要がある。
【0648】
● スクリーニング時にC型肝炎ウイルス(HCV)抗体検査陰性、又はスクリーニング時にHCV抗体検査陽性後、HCV RNA検査陰性
HCV RNA検査は、HCV抗体検査陽性の患者に対してのみ行う。
【0649】
● 妊娠可能な女性の場合:以下に定義されるように、禁欲したままである(異性間の性交を控える)か、又は避妊を使用することの同意:
【0650】
女性は、治療期間中、並びにアテゾリズマブ/プラセボの最終投与後5ヶ月間及びチラゴルマブ/プラセボの最終投与後90日間のいずれか遅い方、禁欲を維持するか、又は年間<1%の失敗率の避妊方法を使用しなければならない。
【0651】
女性は、月経後であり、閉経後の状態(連続≧12ヶ月の閉経以外の特定された原因のない無月経)に達しておらず、手術(すなわち、卵巣、卵管、及び/又は子宮の除去)又は治験責任医師によって決定される別の原因(例えば、ミュラー管無発生)のために永久に不妊ではない場合、妊娠可能性があるとみなされる。出産可能性の定義は、現地のガイドライン又は規制との整合に適合させることができる。
【0652】
年間失敗率<1%の避妊方法の例としては、両側卵管結紮術、男性の不妊手術、排卵を阻害するホルモン避妊具、ホルモン放出子宮内避妊具、及び銅付加子宮内避妊具が挙げられる。
【0653】
性的禁欲の信頼性は、臨床治験の期間、並びに、患者の好ましい、及び通常のライフスタイルに関連して評価されるべきである。周期性禁欲(例えば暦、排卵、症候体温法、又は排卵後法)及び禁断は、適切な避妊方法ではない。現地のガイドライン又は規制に従って要求される場合、現地で認められている適切な避妊方法及び禁欲の信頼性に関する情報は、現地のインフォームドコンセント用紙に記載される。
【0654】
● 男性の場合:以下に定義されるように、禁欲(異性との性交を控える)又はコンドームの使用の同意、及び精子の提供を控える旨の同意
【0655】
妊娠可能な女性パートナー又は妊娠中の女性パートナーがいる場合、男性は、胚を露出させないようにするために、治療期間中及びチラゴルマブ/プラセボの最終投与後90日間、禁欲したままであるか、又はコンドームを使用しなければならない。男性は、同期間中は精子提供をやめなければならない。
【0656】
性的禁欲の信頼性は、臨床治験の期間、並びに、患者の好ましい、及び通常のライフスタイルに関連して評価されるべきである。周期的な禁欲(例えば、カレンダー法、排卵法、症候体温法、又は排卵後法)及び中絶性交は、薬物曝露を防止する適切な方法ではない。現地のガイドライン又は規制に従って要求される場合、禁欲の信頼性に関する情報は、現地のインフォームドコンセント用紙に記載される。
【0657】
除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、研究登録から除外される:
● 抗-CTLA-4、抗-PD-1、抗-PD-L1及び抗-TIGIT治療抗体を含むCD137アゴニスト又は免疫チェックポイント遮断療法による事前治療。
● 以前の化学放射線療法からのNCI CTCAEグレード≧2の任意の未解決の毒性
不可逆的かつ管理可能な難聴を有する患者が適格である。
● 治療に適さない完全な食道閉塞の証拠
● 小細胞食道癌腫、食道腺癌、又は混合癌腫と一致する組織学
● NCI CTCAE v5.0基準で定義したグレード≧2の末梢神経障害
● 臨床的評価又は画像化による食道瘻を発症する高いリスク、例えば、食道瘻の以前の病歴又は関連症候、又は大血管若しくは気管の原発性腫瘍浸潤
● 以前の食道切除術
● スクリーニング時の陽性エプスタイン・バーウイルス(EBV)ウイルスカプシド抗原IgM検査
活動性感染又は慢性活動性感染の疑いをスクリーニングするために、EBVポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を臨床上適応があるように実施しなければならない。EBV PCR検査が陽性の患者は除外する。
● 制御されない腫瘍関連疼痛
鎮痛薬を必要とする患者は、研究登録時に安定したレジメンでなければならない。
● 制御されない胸水、心膜滲出液、又は反復性の排液治療を必要とする腹水(毎月1回又はより頻繁に)
留置カテーテル(例えば、PleurX(登録商標))を有する患者は許容される。
● 制御不能又は症候性の高カルシウム血症(イオン化カルシウム>1.5mmol/L、カルシウム>12mg/dL、又は補正カルシウム>ULN)。
● 重症筋無力症、筋炎、自己免疫性肝炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、抗リン脂質抗体症候群、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、ギラン・バレー症候群、又は多発性硬化症を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患又は免疫不全が活動が活動性であるもの、又はその病歴、ただし、以下を除く:
甲状腺補充ホルモンを服用している自己免疫関連甲状腺機能低下症の病歴を有する患者が試験に適格である。
インスリンレジメンを受けている制御された1型糖尿病患者は試験に適格である。
湿疹、乾癬、慢性単純性苔癬、又は皮膚症状のみを伴う白斑(例えば、乾癬性関節炎を有する患者は除外される)を有する患者は、以下の条件の全てが満たされるならば、試験に適格である。
- 発疹が覆っている体表面積は10%未満でなければならない
- 疾患はベースラインで十分に制御されており、低効力の局所コルチコステロイドのみを必要とする
- 過去12ヶ月以内にソラレン+紫外線A照射、メトトレキサート、レチノイド、生物学的薬剤、経口カルシニューリン阻害剤、又は高効力若しくは経口コルチコステロイドを必要とする基礎症状の急性増悪の発生がない
● 特発性肺線維症、器質化肺炎(例えば、閉塞性細気管支炎)、薬物誘発性間質性肺炎、若しくは特発性間質性肺炎の病歴、又はスクリーニング胸部コンピュータ断層撮影(CT)スキャンでの活動性間質性肺炎の証拠
放射線領域における放射線肺臓炎(線維症)の病歴は許容される。
● 活動性結核
● 試験治療の開始前3ヶ月以内の有意な心血管疾患(New York Heart Association Class II以上の心疾患、心筋梗塞、脳血管障害等)、不安定な不整脈又は不安定狭心症。
● 既知の冠動脈疾患、上記の基準を満たさないうっ血性心不全、又は50%未満の左室駆出率を有する患者は、適切な場合には心臓専門医と相談して、治療医師の意見で最適化された安定した医療レジメンでなければならない。
● 診断以外の、最終的な同時の化学放射線療法の開始前4週間以内の主要な外科的治療
● 適切に治療された子宮頸部上皮内癌腫、非黒色腫皮膚癌腫、限局性前立腺がん、上皮内乳管癌腫、又はステージI子宮がん等、転移又は死亡のリスクが無視できる(例えば、5年OS率>90%)悪性腫瘍を除いて、スクリーニング前2年以内の食道がん以外の悪性腫瘍の病歴。
スクリーニング前2年以内にESCC以外の表在性粘膜がんについて内視鏡的粘膜切除術又は切開術を受けた患者が試験に適格である。
● 試験手順を理解、追跡及び/又は遵守する能力を妨げる病気又は症状を有する患者
● 無作為化前4週間以内の重度の感染症(感染症、菌血症、又は重度の肺炎の合併症のための入院が含まれるが、これらに限定されない)、又は治験責任医師の見解では患者の安全性に影響を及ぼし得る任意の活動性感染症。
● 無作為化前2週間以内の治療用経口又はIV抗生物質による治療
予防用抗生物質(例えば、尿路感染症又は慢性閉塞性肺疾患の増悪を予防するため)を受ける患者は試験に適格である。
● 事前の同種異系幹細胞又は固形臓器移植
● 治験薬の使用を禁忌にする任意の他の疾患、代謝機能不全、身体検査所見、又は臨床検査所見は、結果の解釈に影響を及ぼす可能性があり、又は患者を治療合併症のリスクが高くなる可能性がある
● 試験治療の開始前4週間以内の生弱毒化ワクチン(例えば、FLUMIST(登録商標))による治療、又は、試験治療中、アテゾリズマブ/プラセボの最後の投与後5ヶ月以内又はチラゴルマブ/プラセボの最後の投与後90日以内(いずれか遅い方)の、そのようなワクチンの必要性の予想。
患者は、無作為化前の4週間以内、治療中、及び試験治療の最後の投与後5ヶ月間、生弱毒化インフルエンザワクチン(例えば、FluMist)を受けてはならない。
● 無作為化前の食道がんの治療を意図したEGFR阻害剤を含む任意の他の治験薬による治療
● 無作為化前の4週間以内又は5つの薬物除去半減期(いずれか長い方)以内の全身免疫刺激剤(限定されないが、インターフェロン及びインターロイキン2(IL-2)を含む)による治療。
● 以下を除いて、無作為化前2週間以内の全身免疫抑制薬(限定されないが、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、サリドマイド及び抗TNF-α剤を含む)による治療、又は試験治療中の全身免疫抑制薬の必要性の予測:
- 急性低用量の全身免疫抑制薬又は1回パルス用量の全身免疫抑制薬(例えば、造影剤アレルギーのための48時間のコルチコステロイド)を受けた患者は、医療モニタの確認が得られた後、試験に適格である。
- ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)若しくは喘息のためのコルチコステロイド、又は起立性低血圧若しくは副腎機能不全のための低用量コルチコステロイドを受けた患者は試験に適格である。
● キメラ若しくはヒト化抗体又は融合タンパク質に対する重度のアレルギーアナフィラキシー反応の病歴
● チャイニーズハムスター卵巣細胞生成物又はチラゴルマブ若しくはアテゾリズマブ製剤の任意の成分に対する既知の過敏症。
● 妊娠若しくは授乳、又は試験治療中、アテゾリズマブの最終投与後5ヶ月以内、又はチラゴルマブ/の最終投薬後90日以内(いずれか遅い方)に妊娠する意図。
妊娠可能な女性は、無作為化前14日以内に血清妊娠検査結果が陰性でなければならない。
【0658】
実施例2.切除不能な局所進行性、切除不能な再発性、又は転移性の食道扁平上皮癌腫を有する患者における第一選択治療として、パクリタキセル及びシスプラチンと組み合わせたアテゾリズマブプラセボ+チラゴルマブプラセボと比較した、パクリタキセル及びシスプラチンと組み合わせたアテゾリズマブ+チラゴルマブの有効性及び安全性を評価するように設計された第III相無作為化多施設二重盲検試験
【0659】
本実施例は、切除不能な局所進行性、切除不能な再発性又は転移性食道扁平上皮癌腫(ESCC)を有する患者における第一選択治療としてのパクリタキセル及びシスプラチンと組み合わせたアテゾリズマブ+チラゴルマブ(Atezo+Tira+PC)が、パクリタキセル及びシスプラチンと組み合わせたアテゾリズマブプラセボ+チラゴルマブプラセボ(Placebo+PC)と比較して安全かつ有効であるかどうかを評価するように設計された無作為化第III相多施設二重盲検試験(YO42138)を記載する。
【0660】
試験設計
切除不能な局所進行性、切除不能な再発性又は転移性ESCCの患者におけるプラセボ+PCと比較したAtezo+Tira+PCの安全性及び有効性を評価するための無作為化第III相多施設二重盲検試験の詳細を以下に記載する。
図2は、研究設計を示す。
【0661】
適格患者を、Atezo+Tira+PC又はPlacebo+PCに対して1:1の比で無作為化し、治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイ(腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコア<10%対TICスコア≧10%)、食道切除術又は化学放射線療法のいずれかからなる以前の治癒的治療(はい対いいえ)、及びEastern Cooperative Oncology Group(ECOG)Performance Status(0対1)の使用を通して中央検査室によって評価されるPD-L1発現によって層別化する。患者は、表6に概説される治療を受ける。
【表6】
【0662】
患者は、放射線学的及び生化学的データ、局所生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態(例えば、疾患に続発する疼痛等の症候性の悪化)の統合評定の後に治験責任医師によって決定される許容できない毒性又は臨床的利益の喪失まで試験治療を受ける。がん免疫療法によるT-細胞応答(偽進行と呼ばれる)の状況では、免疫細胞浸潤によって引き起こされる腫瘍負荷の初期増加の可能性のために、Response Evaluation Criteria in Solid Tumors、バージョン1.1(RECIST v1.1)による放射線学的進行は、真の疾患進行を示さない可能性がある。許容できない毒性がない場合、試験治療を受けている間にRECIST v1.1による疾患進行の基準を満たす患者は、以下の基準の全てを満たす場合、治療を継続することが許可される:
● すべての利用可能なデータの再検討後に治験責任医師によって決定される臨床的利益の証拠
● 疾患の明確な進行を示す症候及び徴候(検査値、例えば、新たな又は悪化する高カルシウム血症を含む)がないこと
● 疾患進行に起因し得るECOGパフォーマンスステータスの低下がないこと
● プロトコルで許可された医療介入では管理できない重要な解剖学的部位(例えば、軟膜疾患)での腫瘍進行がないこと。
【0663】
患者は、試験を通して有害事象について綿密に監視され、有害事象は、National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events、バージョン5.0に従って等級付けされる。検査室の安全性評価には、血液学及び血液化学の定期的なモニタリングが含まれる。患者は6~9週間ごとに腫瘍評価を受ける。患者は、治療中及び治療中止後1年間まで、指定された時点で患者報告転帰(PRO)評価を受ける。
【0664】
薬物動態(PK)及び免疫原性分析のために血清試料を収集する。末梢血単核細胞(PBMC)及び保管又は新たに収集した腫瘍組織試料を、PD-L1発現の決定及び/又は探索的バイオマーカー研究のために収集する。
【0665】
治療中止後、生存追跡及び新しい抗がん療法に関する情報は、死亡するまで収集される(患者が同意を取り下げるか、又は試験依頼者が試験を終了しない限り)。
試験治療投薬量及び投与
【0666】
患者は、放射線学的及び生化学的データ、局所生検結果(利用可能な場合)、及び臨床状態の統合評定の後に治験責任医師によって決定される許容できない毒性又は臨床的利益の喪失まで試験治療を受ける。治療レジメンを表7に要約する。
【0667】
アテゾリズマブ/プラセボ
アテゾリズマブ1200mg又は対応するプラセボ(以下、「アテゾリズマブ」と呼ぶ)を、各21日間サイクルの1日目にIV注入によって投与する。アテゾリズマブ注入は、表7に概説される指示に従って投与される。
【表7】
【0668】
チラゴルマブ/プラセボ
チラゴルマブ600mg又は対応するプラセボ(以下、「チラゴルマブ」と呼ぶ)を、各21日間サイクルの1日目にIV注入によって投与する。第1サイクルの1日目に、アテゾリズマブ注入の完了の60分後にチラゴルマブを投与する。その後の注入間の間隔は、以前のアテゾリズマブ注入が注入関連反応(IRR)を伴わずに忍容された場合は30分、又は患者が以前のアテゾリズマブ注入でIRRを経験した場合は60分である。チラゴルマブ注入は、表8に概説される指示に従って投与される。
【表8】
【0669】
パクリタキセル及びシスプラチン
サイクル1-6(21日間サイクル)の1日目に、患者は、パクリタキセル175mg/m2を、3時間(±30)分かけてIV注入によって投与され、続いてシスプラチン60-80mg/m2(用量は製造業者及び施設の基準と一致すべきである)を、2-3時間(±60分)かけてIV注入によって投与される。第1サイクルの1日目に、チラゴルマブ注入終了60分後にパクリタキセルを投与して、チラゴルマブ投与後の観察を可能にする。その後の注入間の間隔は、以前のチラゴルマブ注入がIRRを伴わずに忍容された場合は30分、又は患者が以前のチラゴルマブ注入でIRRを経験した場合は60分である。
【0670】
患者は、パクリタキセル及びシスプラチンについての施設基準及び製造業者の説明書に従って制吐薬及びIV水和を受けるべきである。コルチコステロイドの免疫調節効果のために、コルチコステロイドによる前投薬は、臨床上実施可能な程度に最小限にしなければならない。
【0671】
用量の変更
この試験では、アテゾリズマブ又はチラゴルマブの用量変更はない。
【0672】
薬物関連毒性の管理のために、パクリタキセルの用量及びシスプラチンの用量は、表9に概説されるように、最大2倍減少され得る。1つの化学療法薬の用量が、その薬物のみに関連すると考えられる毒性のために減少する場合、他の化学療法薬の用量を減少させる必要はない。
【表9】
【0673】
2回の用量減少後にシスプラチン及び/又はパクリタキセルについてさらなる用量減少が示される場合、その薬物(又は該当する場合は両方の薬物)は中断すべきであるが、患者は治験責任医師の裁量で他の試験治療を継続することができる。用量減少後、治験責任医師の裁量で、その後の投与中に用量を漸増してもよい。
【0674】
腎機能障害に対するシスプラチン用量の減少について示唆される推奨を表10に提供する。
【表10】
【0675】
治療の中断
試験治療は、毒性の管理のために必要に応じて一時的に保留されてもよい。作用機序の利用可能な特性評価に基づいて、チラゴルマブは、アテゾリズマブと類似しているが無関係の有害事象を引き起こす可能性があり、アテゾリズマブ関連有害事象の頻度又は重症度を悪化させる可能性があり、又はアテゾリズマブと重複しない毒性を有する可能性がある。これらのシナリオは臨床現場では互いに区別されない可能性があるため、免疫介在性有害事象は一般に両方の試験薬に起因すると考えられ得、免疫介在性有害事象に応じた用量中断又は治療中止はアテゾリズマブ及びチラゴルマブの両方に適用されるべきである。
【0676】
アテゾリズマブ及び/又はチラゴルマブは、最大12週間(約4サイクル)一時停止することができる。毒性の治療のためにコルチコステロイドを開始する場合、コルチコステロイドは、薬物を再開することができる前に、≧1ヶ月にわたって≦10mg/日の経口プレドニゾン又は等価物まで漸減しなければならない。アテゾリズマブ又はチラゴルマブが>12週間にわたって保留される場合、患者はその薬物を中止される。しかしながら、患者が治療を再開する前にコルチコステロイドを漸減させることを可能にするために、薬物を>12週間にわたって保留してもよい。患者が臨床的利益を得る可能性が高いと医療モニタが認める場合、アテゾリズマブ又はチラゴルマブを>12週間にわたって保留した後に再開することができる。
【0677】
作用機序の利用可能な特性評価に基づいて、チラゴルマブは、アテゾリズマブと類似しているが独立した有害事象を引き起こす可能性がある。チラゴルマブはまた、アテゾリズマブ関連有害事象の頻度又は重症度を悪化させ得るか、又はアテゾリズマブと重複しない毒性を有し得る。これらのシナリオは臨床現場では互いに区別できない可能性があるため、免疫介在性有害事象は一般に両方の薬剤に起因するはずであり、免疫介在性有害事象に応答した投薬中断又は治療中止は、チラゴルマブとアテゾリズマブの両方に適用しなければならない。
【0678】
試験治療に関連すると考えられる毒性を経験している患者では、パクリタキセル及び/又はシスプラチン治療を一時的に中断することができる。パクリタキセル又はシスプラチンが毒性のために>6週間にわたって保留された場合、患者は両方の化学療法剤を中止しなければならない。しかしながら、患者が臨床的利益を得る可能性が高いと医療モニタが認める場合、パクリタキセル又はシスプラチンを>6週間にわたって保留した後に再開することができる。
【0679】
1つ又は複数の試験治療が中断された場合、試験治療の注入が同期したままであるように、後続のサイクルを再開すべきである。
【0680】
アテゾリズマブが中止される場合、チラゴルマブも中止されなければならないが、治験責任医師によって決定されるように、患者が臨床的利益を得る可能性がある場合、パクリタキセル及びシスプラチンは継続され得る。パクリタキセル、シスプラチン又はチラゴルマブを中止する場合、治験責任医師によって決定されるように、患者が臨床的利益を得る可能性がある場合、他の薬物を継続することができる。
【0681】
併用療法
併用療法は、試験薬の開始の7日前から治療中止の来院までの治験実施計画書に定められた治療に加えて、患者によって使用される任意の医薬(例えば、処方薬、市販薬、ワクチン、ハーブ療法又はホメオパシー療法、栄養補助食品)からなる。
【0682】
許可された治療
患者は、試験中に以下の治療法を使用することが許される。
● 失敗率が年間1%未満の経口避妊薬
● ホルモン補充療法
● 予防的又は治療的抗凝固療法(安定用量のワーファリン又は低分子量ヘパリン等)
● 不活化インフルエンザワクチン接種
● 食欲刺激剤として投与される酢酸メゲストロール
● ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)
● 慢性閉塞性肺疾患又は喘息のために投与されるコルチコステロイド
● 起立性低血圧又は副腎皮質機能不全のために投与される低用量コルチコステロイド
● 以下に概説する緩和的放射線療法(例えば、既知の骨転移の治療又は疼痛の症候性軽減)。
【0683】
疾患の進行の記録がない患者については、治験責任医師は、対症療法のための支持療法を最大化し、標的病変の評価を妨げる放射線療法を回避することを強く奨励される。
【0684】
チラゴルマブ及びアテゾリズマブによる治療は、緩和放射線療法中に継続され得る。
【0685】
抗ヒスタミン剤、解熱剤、及び/又は鎮痛剤による前投薬は、治験責任医師の裁量で、2回目以降のアテゾリズマブ及びチラゴルマブ注入のためにのみ投与され得る。
【0686】
一般に、治験責任医師は、臨床上適応がある場合、現地の標準診療に従って、注意療法又は禁止療法として定義されるもの以外の支持療法で患者のケア(既存の症状を含む)を管理すべきである。注入に関連する症候を経験する患者は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ジフェンヒドラミン、及び/又はH2受容体アンタゴニスト(例えば、ファモチジン、シメチジン)、又は現地の標準的慣行による同等の薬物で対症療法で治療することができる。呼吸困難、低血圧、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、酸素飽和度低下、又は呼吸窮迫によって明らかとなる、重篤な輸液関連事象は、臨床上適応がある支持療法(例えば、酸素補給及びβ2-アドレナリンアゴニスト)により管理されなくてはならない。
【0687】
コルチコステロイド及びTNFα阻害剤
全身性コルチコステロイド及びTNF-α阻害剤は、アテゾリズマブによる治療の潜在的に有益な免疫学的効果を減弱させ得る。したがって、全身性コルチコステロイド又はTNF-α阻害剤が日常的に投与される状況では、抗ヒスタミン剤を含む代替物を検討しなければならない。代替法が実施可能でない場合、コルチコステロイド及びTNF-α阻害剤の全身投与を治験責任医師の裁量で行うことができる。
【0688】
アテゾリズマブ治療に関連する場合、特定の有害事象の治療のために、治験責任医師の裁量で、全身コルチコステロイドが推奨される。
【0689】
ハーブ療法
ハーブ療法の併用は、それらの薬物動態、安全性プロファイル、及び潜在的薬物-薬物相互作用が一般的に不明であるため、推奨されない。しかしながら、がんの治療を意図しないハーブ療法は、治験責任医師の裁量で試験中に使用され得る。
【0690】
禁止される治療
以下の併用療法の使用は、以下に記載されるように禁止される:
● がんの治療を目的とした併用療法は、保健当局が承認したものであろうと実験的なものであろうと、薬剤に応じて、試験治療を開始する前の様々な期間、及び試験治療中、疾患の進行が文書化され、患者が試験治療を中止するまで、特定の状況下での緩和的放射線療法を除いて禁止される。
● 治験治療は、試験治療の開始前28日以内及び試験治療中に禁止される。
● 生弱毒化ワクチン(例えば、FLUMIST(登録商標))は、試験治療の開始前4週間以内、アテゾリズマブ治療中及びアテゾリズマブの最終用量後5ヶ月間禁止する。
● アテゾリズマブと組み合わせて投与した場合、自己免疫症状のリスクを潜在的に増加させる可能性があるため、試験治療の開始前及び試験治療中の4週間以内又は5つの薬物除去半減期(いずれか長い方)以内の全身免疫賦活剤(限定されないが、インターフェロン及びIL-2を含む)は禁止される。
【0691】
全身免疫抑制薬(限定されないが、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート及びサリドマイドを含む)は、これらの薬剤がアテゾリズマブの有効性及び安全性を潜在的に変化させる可能性があるため、試験治療中は禁止される。
【0692】
目的及び有効性の評価項目
本研究は、切除不能な局所進行性、切除不能な再発性、又は転移性のESCCを有する患者における第一選択治療として、パクリタキセル及びシスプラチンと組み合わせたアテゾリズマブプラセボ+チラゴルマブプラセボ(プラセボ+PC)と比較した、パクリタキセル及びシスプラチンと組み合わせたアテゾリズマブ+チラゴルマブ(Atezo+Tira+PC)の有効性及び安全性を評価する。本試験の具体的な目的及び対応評価項目を表11に概説する。
【表11】
【0693】
有効性分析
この研究では、共主要有効性評価項目は、治験責任医師によって評価されるPFS及びOSである。この研究は、Atezo+Tira+PCを用いた治療がプラセボ+PCを用いた治療と比較してPFS及びOSを延長するという仮説を検証する。
【0694】
評価項目としてのPFSは腫瘍成長を反映することができ、生存利益の決定の前に評定することができ、更に、その決定は、一般に、その後の治療によって混同されない。PFSの改善が直接的な臨床的利益を表すか、又は臨床的利益の代用物を表すかは、利用可能な治療法と比較した新しい治療の効果及びベネフィット-リスクプロファイルの大きさに依存する(FDA 2007;European Medicines Agency 2012)。
【0695】
OSの改善は、一般に、進行性/切除不能又は転移性食道がんを有する患者の臨床的利益の最良の尺度として受け入れられている。最近のデータはまた、OSがPFSよりもがん免疫療法の感受性の高い評価項目であり得ることを示唆している。
【0696】
別段の指定がない限り、有効性分析は、全ての無作為化された患者として定義されるITT集団において、それらが試験治療を受けているかどうかにかかわらず、無作為化時に割り当てられた治療に従ってグループ化された患者で行われる。
【0697】
全生存期間
OSは、無作為化から死に至るまでの時間として定義される。分析時に死亡したと報告されていない患者は、生存していることが分かった最終日に打ち切られる。ベースライン後の生存情報がない患者は、無作為化の日に打ち切られる。
【0698】
試験の試料サイズを、OSに関して有効性を実証するためにITT集団において必要とされる死亡数(OS事象)に基づいて決定した。0.04の両側-有意水準でログ-ランクテストを使用することによってOSの改善を検出するためには、0.70の目標HRを仮定して、最終的なOS分析で約267のOS事象(450人の患者の59%)が、全体的な80%の力を達成するために必要とされる。最小検出可能差(MDD)は、0.775(プラセボ+PC群の14ヶ月からAtezo+Tira+PC群の18.1ヶ月までの4.1ヶ月のOS改善の中央値)のOS HRである。OSの最終分析は、最初の患者が無作為化されてから約34ヶ月後に行われると予想される。試料サイズの計算及びOS分析タイムラインの推定は、以下の仮定に基づいている。
● Atezo+Tira+PC又はプラセボ+PCに対する1:1の比での患者の無作為化
● 各群のOSのワンピース指数分布
● OS中央値がプラセボ+PC群では14ヶ月及びAtezo+Tira+PC群では20ヶ月(6ヶ月の増加、目標HR 0.70に相当)
● 各群のOSの年間脱落率5%
● Lan-DeMetsα消費関数によって近似されたO’Brien-Fleming停止境界を使用した、一次PFS分析時の1つの計画されたOS暫定分析(死亡数176と推定される)
● 450名の患者の募集は約16ヶ月にわたって行われる。
【0699】
最初の患者が無作為化された約23ヶ月後に起こると推定される一次PFS分析時にOSの1つの暫定分析を行う。この時点で、約176のOS事象(450人の患者の39%)が発生していると予想される。
【0700】
一次PFS分析の時点で135未満のOS事象(450人の患者の<30%)が発生した場合、176のOS事象が発生するまで暫定OS分析を遅延させる。α0.000001の管理(全体的なタイプIエラー率に対する無視できる影響)が、一次PFS分析の時点でOS仮説に費やされる。
【0701】
グループシーケンシャル設計は、暫定分析の実施を説明し、OSのタイプIエラーを制御するために使用される。Lan-DeMetsα消費関数は、OSの暫定及び最終分析のためのO’Brien-Fleming停止境界を近似するために使用される。表12は、各OS分析で必要とされるOS事象の数に基づく予測されるタイミング及び停止境界を示す。各OS分析時に、観測された情報画分(すなわち、ITT集団における事象の計画された目標総数に対する分析時に観察された事象の実際の数)に基づく実際の境界を算出する。
【表12】
【0702】
無増悪生存期間
治験責任医師が評価したPFSは、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定された、無作為化から疾患進行の最初の発生又は何らかの原因による死亡までの時間(いずれか最初に発生した方)として定義される。分析時に疾患の進行又は死亡を経験していない患者は、最後の腫瘍評価時に打ち切りされる。ベースライン後の腫瘍評価がない患者は、無作為化の日付で打ち切りされる。
【0703】
治験責任医師によって評価されるPFSの一次分析は、およそ293(450人の患者の65%)のPFS事象がITT集団で観察されたときに行われる。これにより、0.01の両側有意レベルでログランク検定を使用してPFSについて0.62の目標HRを検出するための全体の93.5%の力が提供される。MDDは、0.740(プラセボ+PC群の6ヶ月からAtezo+Tira+PC群の8.1ヶ月までの2.1ヶ月のPFS改善の中央値)のPFS HRである。PFSの一次分析は、最初の患者が無作為化されてから約23ヶ月後に行われると予想される。推定値は、以下の仮定に基づいている。
● Atezo+Tira+PC又はPlacebo+PCに対する1:1の比での患者の無作為化
● 各群のPFSのワンピース指数分布
● PFS中央値がプラセボ+PC群では6ヶ月及びAtezo+Tira+PC群では9.7ヶ月(3.7ヶ月の増加、目標HR 0.62に相当)
● 各群のPFSの年間脱落率5%
● 450名の患者の募集は約16ヶ月にわたって行われる。
【0704】
客観的奏効率
客観的奏効は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定される完全奏効(CR)又は部分奏効(PR)と定義される。ベースライン後の腫瘍評定を受けていない患者を含む、これらの基準を満たさない患者は、非応答者とみなされる。確認されたORRは、客観的奏効を≧4週間の間隔で2回連続して達成した患者の割合として定義される。ORRについての分析集団は、ベースラインで測定可能な疾患を有するITT集団内の全ての患者である。
【0705】
PD-L1発現(TICスコア<10%対TICスコア≧10%)、以前の治癒的治療(はい対いいえ)及びECOG Performance Status(0対1)によって層別化された両側Cochran-Mantel-Haenszel検定を使用して、2つの治療群間のORRを比較する。ORRが各治療群について計算され、治療群間のORRの差が計算される。各群のORRの95% CIは、Clopper-Pearson法(Clopper and Pearson,Biometrika,26:404-13(1934))を使用して導出される。ORRの差の95% CIは、正規近似によって計算される。
【0706】
奏効期間
奏効期間(DOR)は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定される客観的奏効を達成した患者において評価される。DORは、確認された客観的奏効(CR又はPRのいずれかの最初に記録された状態)の最初の発生から疾患進行の最初の発生又は何らかの原因による死亡までの時間のいずれか最初に発生した方として定義される。進行しておらず、分析時に死亡していない患者は、最後の腫瘍評価の日で打ち切られる。文書化されたCR又はPRの最初の発生日以降に腫瘍評価が行われない場合、DORは文書化されたCR又はPRの最初の発生日に打ち切りされる。DORの分析は、患者の非無作為化サブセット(具体的には、客観的奏効を達成した患者)に基づいているので、治療アーム間の比較は記述目的のためのみに行われる。
【0707】
分析方法は、OSについて記載された方法と同様である。
【0708】
悪化確認までの時間
EORTC QLQ-C30のそれぞれの尺度によって測定される、患者報告の身体機能、役割機能、及びGHS/QoLの悪化確認までの時間(TTCD)は、無作為化から、2回の連続評価の間維持されるか、又は3週間以内の任意の原因による死亡する最初の悪化(ベースラインからの≧10ポイントの減少)までの時間と定義される。
【0709】
EORTC QLQ-OES18の嚥下障害スケールによって測定される患者報告の嚥下障害におけるTTCDは、無作為化から、2回の連続評価の間維持されるか、又はその後3週間以内に任意の原因により死亡する最初の悪化(ベースラインからの≧10ポイントの増加)までの時間として定義される。
【0710】
分析方法は、OSについて記載された方法と同様である。
【0711】
進行までの時間
進行までの時間は、RECIST v1.1に従って治験責任医師によって決定された、無作為化から疾患進行の最初の発生までの時間として定義される。分析時に疾患の進行を経験していない患者は、最後の腫瘍評価の日に打ち切りされる。ベースライン後の腫瘍評価がない患者は、無作為化の日付で打ち切りされる。
【0712】
分析方法は、OSについて記載された方法と同様である。
【0713】
患者報告転帰
治療群ごとに各サイクルでのEORTC QLQ-C30及びEORTC QLQ-OES18アンケートの完了率及び欠落データの理由を要約する。
【0714】
来院平均の要約及びベースラインからの変化の分析を、EORTC QLQ-C30及びEORTC QLQ-OES18のすべてのスケールについて行う。(EORTCスコアリングマニュアルによる)線形変換されたスコアの要約統計(例えば、患者数、平均値、標準偏差、中央値、最小値、最大値、95% CI)を、各試験群のすべての評価時点で計算する。
【0715】
EORTC QLQ-C30及びEORTC QLQ-OES18のそれぞれの尺度によって測定される、身体機能、役割機能、GHS/QoL及び嚥下障害における臨床的に意味のある変化(改善、悪化、安定維持)を有する患者の割合を治療群ごとに要約する。臨床的に意味のある変化を特定するために、以前に公開された最小限に重要な違いを用いる(例えば、Osoba et al.,J Clin Oncol,16:139-44(1998);Cocks et al.,J Clin Oncol,29:89-96(2011))。
【0716】
バイオマーカー
本研究では、保管又はベースライン腫瘍標本を患者から収集し、スクリーニング期間中に中央検査室によってPD-L1発現について試験する。PD-L1状態の評価に加えて、他の探索的バイオマーカー、例えば、チラゴルマブ及びアテゾリズマブの臨床的利益に関連する潜在的な予測及び予後バイオマーカー、腫瘍免疫生物学、耐性機序、又は腫瘍型を分析することができる。
【0717】
代用バイオマーカーの変化を評価するために、ベースライン時及び試験中に血液試料を収集する。T細胞活性化及びリンパ球亜集団に関連するバイオマーカーの変化は、ヒトにおけるチラゴルマブ及びアテゾリズマブの生物学的活性の証拠を提供し得る。これらのバイオマーカーと安全性及び有効性の評価項目との間の相関を調査して、どの患者がチラゴルマブ及びアテゾリズマブから利益を得る可能性が高いかを予測し得る血液ベースのバイオマーカーを同定する。
【0718】
探索的バイオマーカー研究には、腫瘍免疫生物学、PD-L1、TIGIT、リンパ球亜集団、T細胞受容体レパートリー、又はT細胞活性化に関連する遺伝子に関連する遺伝子又は遺伝子シグネチャの分析が含まれ得るが、これらに限定されない。研究は、T細胞-受容体シーケンシングを可能にするためのDNAの抽出(PBMCのみ)又はRNAの抽出を含み得る。
【0719】
以下の臨床検査のための試料が、分析のために試験施設の現地の検査室に送られる:
● 血液学:WBC数、RBC数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数及び分化数(好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球)。
● 化学パネル(血清又は血漿):重炭酸塩又は総二酸化炭素(その領域について標準的なケアと考えられる場合)、ナトリウム、カリウム、塩化物、グルコース、BUN又は尿素、クレアチニン、総タンパク質、アルブミン、リン酸塩、カルシウム、総ビリルビン、ALP、ALT、AST及びLDH
● 凝固:INR、及びaPTT
● 甲状腺機能検査:甲状腺刺激ホルモン、遊離トリヨードチロニン(T3)(又は遊離T3が実施されない部位については総T3)、及び遊離チロキシン(T4としても知られる)
【0720】
● 妊娠検査
出産可能なすべての女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査を受けることになる。尿妊娠検査は、指定されたその後の診察時に実施される。尿妊娠検査が陽性である場合、それは血清妊娠検査によって確認されなければならない。
【0721】
女性は、月経後であり、閉経後の状態(連続≧12ヶ月の閉経以外の特定された原因のない無月経)に達しておらず、手術(すなわち、卵巣、卵管、及び/又は子宮の除去)又は治験責任医師によって決定される別の原因(例えば、ミュラー管無発生)のために永久に不妊ではない場合、妊娠可能性があるとみなされる。
【0722】
● 尿検査(pH、比重、グルコース、タンパク質、ケトン類、血液);ディップスティックは許可されている
【0723】
以下の検査室試験のための試料は、分析のために、検査現場の現地検査室又は中央検査室に送られる。
● HIV血清学
● 下記に概説されるようなEBV血清学:
- EBV VCA IgM
- EBV VCA IgG又はEpstein-Barr核抗原IgG
- EBV PCR(臨床上適応がある場合のみ)
● HBV血清学:すべての患者について、B型肝炎表面抗原(HBsAg)、B型肝炎表面抗体(HBsAb)、及び全B型肝炎コア抗体(HBcAb);HBsAgが陽性の患者及びHBsAg及びHBsAb試験が陰性で総HBcAb試験が陽性の患者のHBV DNA
● HCV血清学:HCV抗体及び(HCV抗体検査が陽性である場合)HCV RNA。
【0724】
患者がスクリーニング時にHCV抗体検査が陽性であれば、HCV RNA検査も行い、HCV感染の有無を決定しなければならない。
【0725】
・C反応性タンパク質
以下の試料は、分析のために1つ以上の中央検査室、又は試験依頼者若しくは指名された人に送られる。
● 検証されたアッセイの使用によるチラゴルマブ及びアテゾリズマブのPK分析のための血清試料
すべての患者は、まばらなPK試料収集が行われる。
● 検証されたアッセイの使用によるチラゴルマブ及びアテゾリズマブに対するADAの評価のための血清試料
● バイオマーカー及びバイオマーカーアッセイ開発に関する調査研究のためのPBMC試料
● 患者の層別化の目的のための、並びにバイオマーカー及びバイオマーカーアッセイの開発に関する調査研究のための、治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイの使用によるPD-L1発現の決定のためにベースライン時に得られた保管又は新たに収集された腫瘍組織試料
【0726】
パラフィンブロック(好ましい)中の代表的なFFPE腫瘍標本又は染色されていない新たに切断された連続切片を含む少なくとも12枚のスライド(PD-L1発現の決定のための5枚のスライド及び探索的バイオマーカー研究及びバイオマーカーアッセイ開発のための7枚のスライド)を、無作為化前に関連する病理報告と共に提出すべきである。8-11枚のスライドしか利用できない場合、医療モニタの確認が得られた後、患者は依然として試験に適格であり得る。
【0727】
腫瘍組織は、総腫瘍含有量及び生存腫瘍含有量に基づいて良質でなければならない。試料は、針ゲージ又は回収方法にかかわらず、細胞状況及び組織構造を保存する最低50個の生存腫瘍細胞を含まなければならない。摘出、コア針生検(単一のパラフィンブロックに埋め込まれた少なくとも3つのコア)、又は切除生検、切開生検、パンチ生検、若しくは鉗子生検によって採取された試料が許容され得る。細針吸引(組織構造を保存せず、細胞懸濁液及び/又は塗抹を生じない試料として定義される)、ブラッシング、胸水からの細胞ペレット、及び洗浄液試料は許容され得ない。脱灰された骨転移からの腫瘍組織は許容され得ない。
【0728】
保管腫瘍組織が利用できないか、又は必要な検査に適さないと決定された場合、前治療腫瘍生検が必要である。患者の保管組織検査の結果が適格基準を満たさない場合、前治療腫瘍生検も実施され得る。
【0729】
患者適格性
対象基準
患者は次の試験登録基準を満たさなければならない:
● 署名済みインフォームドコンセントフォーム
● インフォームドコンセント書類の署名時の年齢が≧18歳
● 治験実施計画書を遵守する能力
● 組織学的に確認されたESCC
混合組織学(すなわち、扁平上皮及び非扁平上皮)の腫瘍を有する患者は、小細胞要素が存在する場合を除いて、主要な組織学的成分が扁平上皮であるように見える場合に適格である。
【0730】
● 以下の基準を満たす、切除不能な局所進行性、切除不能な再発性又は転移性疾患(すなわち、放射線療法、化学放射線療法、及び/又は手術などの最終的治療に適していない進行性の疾患):
- 進行性の疾患のための以前の全身治療なし
- 非進行性のESCCのための以前の化学放射線療法又は化学療法を受けている患者について:最終治療と進行性疾患の診断との間に少なくとも6ヶ月の間隔を置いて、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバントの状況において、治療が行われていなければならない
【0731】
● RECIST v1.1による測定疾患
以前に放射線照射された病変は、放射線照射後にその部位で進行性疾患が明確に実証されている場合にのみ、測定可能な疾患とみなすことができる。
【0732】
● 治験中のVentana PD-L1(SP263)CDxアッセイの使用を通して中央検査室によって評価されるPD-L1発現の決定、並びに探索的バイオマーカー研究及びバイオマーカーアッセイ開発に適した代表的な腫瘍標本の利用可能性
パラフィンブロック(好ましい)中のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍標本又は染色されていない新たに切断された連続切片を含む少なくとも12枚のスライド(PD-L1発現の決定のための5枚のスライド及び探索的バイオマーカー研究及びバイオマーカーアッセイ開発のための7枚のスライド)を、無作為化前に関連する病理報告と共に提出すべきである。8-10枚のスライドしか利用できない場合、医療モニタの確認が得られた後、患者は依然として試験に適格であり得る。保管腫瘍組織が利用できないか、又は必要な検査に適さないと決定された場合、腫瘍組織は、スクリーニングで行われた生検から得なければならない。
【0733】
● ECOGパフォーマンスステータス0又は1
● 肥満度指数≧13kg/m2
● 平均余命≧3ヶ月
● 試験治療の開始の前、14日以内に得られた、以下の臨床検査結果によって定義される適切な血液学的機能及び終末器官機能:
- 顆粒球コロニー刺激因子支持なしでANC≧1.5X109/L(1500/μL)
- リンパ球数≧0.5X109/L(500/μL)
- 輸血なしで血小板数≧100X109/L(100,000/μL)
- ヘモグロビン≧90g/L(9 g/dL)
この基準を満たすために患者を輸血することができる。
-以下を除く、AST、ALT及びALP≦ 2.5X正常値の上限(ULN):
記録された肝臓転移を有する患者:AST及びALT≦5XULN
記録された肝臓転移又は骨転移を有する患者:ALP≦ 5XULN
-総ビリルビン≦1.5XULN、但し以下の例外がある:
既知のギルバート病患者:総ビリルビン≦ 3XULN
-クレアチニン≦1.5XULN及びクレアチニンクリアランス≧60mL/分(Cockcroft-Gault式を使用して計算)
-輸血なしでアルブミン≧25g/L(2.5g/dL)
-治療的抗凝固療法を受けていない患者の場合:INR及びaPTT≦ 1.5XULN
【0734】
● 治療的抗凝固薬を投与されている患者:安定な抗凝固薬レジメン
● スクリーニング時の陰性HIV検査
● スクリーニング時にEpstein-Barrウイルス(EBV)陰性
患者は、試験に適格であるためにはスクリーニング時にEBVウイルスカプシド抗原(VCA)IgM試験が陰性でなければならない。臨床的に適応がある場合、患者はスクリーニング時にEBVポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験を受けることになり、試験に適格となるにはPCR試験が陰性でなければならない。
● B型肝炎ウイルス(HBV)を有する患者:スクリーニング時のHBV DNA<500IU/mL(又は2500コピー/mL)
検出可能なB型肝炎表面抗原又は検出可能なHBV DNAを有する患者は、施設のガイドラインに従って管理されるべきである。抗ウイルス薬を受けている患者は、無作為化の少なくとも2週間前に治療を開始していなければならず、試験治療の最終用量後少なくとも6ヶ月間治療を継続すべきである。
● スクリーニング時にC型肝炎ウイルス(HCV)抗体検査陰性、又はスクリーニング時にHCV抗体検査陽性後、HCV RNA検査陰性
HCV RNA検査は、HCV抗体検査陽性の患者に対してのみ行う。
【0735】
● 妊娠の可能性のある女性の場合:以下に定義するように、禁欲(異性間の性交を控える)又は避妊を使用することの同意、及び卵の提供を控えることの同意:
【0736】
女性は、治療期間中、並びにチラゴルマブの最終投与後90日間、アテゾリズマブの最終投与後5ヶ月間、及び、パクリタキセル又はシスプラチンの最終投与後6ヶ月間、年間<1%の失敗率で禁酒したままであるか、又は避妊方法を使用しなければならない。女性は、この同じ期間中に卵子を提供することを控えなければならない。
【0737】
女性は、月経後であり、閉経後の状態(連続≧12ヶ月の閉経以外の特定された原因のない無月経)に達しておらず、手術(すなわち、卵巣、卵管、及び/又は子宮の除去)又は治験責任医師によって決定される別の原因(例えば、ミュラー管無発生)のために永久に不妊ではない場合、妊娠可能性があるとみなされる。出産可能性の定義は、現地のガイドライン又は規制との整合に適合させることができる。
【0738】
年間失敗率<1%の避妊方法の例としては、両側卵管結紮術、男性の不妊手術、排卵を阻害するホルモン避妊具、ホルモン放出子宮内避妊具、及び銅付加子宮内避妊具が挙げられる。
【0739】
性的禁欲の信頼性は、臨床治験の期間、並びに、患者の好ましい、及び通常のライフスタイルに関連して評価されるべきである。周期性禁欲(例えば暦、排卵、症候体温法、又は排卵後法)及び禁断は、適切な避妊方法ではない。現地のガイドライン又は規制に従って要求される場合、現地で認められている適切な避妊方法及び禁欲の信頼性に関する情報は、現地のインフォームドコンセント用紙に記載される。
【0740】
● 男性の場合:以下に定義するように、禁欲を維持する(異性間の性交を控える)こと、又は避妊方法を使用すること、及び精子の提供を控えることに同意すること:
【0741】
妊娠していない妊娠可能な女性パートナーの場合、治療期間中及びパクリタキセル若しくはシスプラチンの最終投与後6ヶ月間、男性は禁欲したままであるか、又はコンドームと併せて年間<1%の失敗率をもたらす追加の避妊方法を使用しなければならない。化学療法の中止の場合、最終化学療法用量後6ヶ月を超えてチラゴルマブの投与を継続する男性は、チラゴルマブの最終用量後90日まで、禁欲したままであるか、又はコンドームを使用しなければならない。男性は、同期間中は精子提供をやめなければならない。
【0742】
妊娠中の女性パートナーの場合、男性は、治療期間中及びチラゴルマブの最終投与後90日間、及びパクリタキセル又はシスプラチンの最終投与後6ヶ月間、禁欲したままであるか、又はコンドームを使用して、胚を露出させないようにしなければならない。
【0743】
性的禁欲の信頼性は、臨床治験の期間、並びに、患者の好ましい、及び通常のライフスタイルに関連して評価されるべきである。周期性禁欲(例えば暦、排卵、症候体温法、又は排卵後法)及び禁断は、適切な避妊方法ではない。現地のガイドライン又は規制に従って要求される場合、現地で認められている適切な避妊方法及び禁欲の信頼性に関する情報は、現地のインフォームドコンセント用紙に記載される。
【0744】
除外基準
以下の基準のいずれかを満たす患者は、研究登録から除外される:
● 試験治療開始前4週間以内のESCCの緩和的放射線治療
● 瘻孔の証拠(食道/気管支又は食道/大動脈のいずれか)
● 治療に適さない完全な食道閉塞の証拠
● 症候性、未治療又は活発に進行するCNS転移
治療されたCNS病変を有する無症候性患者は、以下の基準の全てが満たされるならば適格である:
- RECIST v1.1による測定可能な疾患はCNS外に存在しなければならない。
- 患者は頭蓋内出血又は脊髄出血の病歴がない。
- 患者は、試験治療の開始前7日間以内の定位放射線療法、試験治療の開始前14日間以内の全脳放射線療法、又は試験治療の開始前28日間以内の神経外科的摘出を受けたことがない。
- 患者は、CNS疾患の治療としてのコルチコステロイドに対する継続的な要求がない。安定な用量での抗痙攣療法が許容される。
- 転移は小脳又はテント上領域(すなわち、中脳、橋、延髄、又は脊髄への転移がない)に限定される。
- CNSに向けられた治療の完了と試験治療の開始との間の暫定進行の証拠はない。
スクリーニング時に新たに検出されたCNS転移を有する無症候性患者は、放射線療法又は手術を受けた後に試験に適格であり、スクリーニング脳スキャンを繰り返す必要はない。
【0745】
● 制御されない腫瘍関連疼痛
【0746】
鎮痛薬を必要とする患者は、研究登録時に安定したレジメンでなければならない。
【0747】
緩和的放射線療法に適した症候性病変(例えば、神経インピンジメントを引き起こす骨転移又は転移)は、無作為化の前に治療しなければならない。患者は、放射線の影響から回復されなければならない。必要とされる最低限の回復期間はない。
【0748】
更なる成長(例えば、脊髄圧迫に現在関連していない硬膜外転移)を伴う機能障害又は難治性疼痛を引き起こす可能性が高い無症候性転移性病変は、無作為化の前に適切な場合、局所領域治療について検討されるべきである。
【0749】
● 制御されない胸水、心膜滲出液、又は反復性の排液治療を必要とする腹水(毎月1回又はより頻繁に)
留置カテーテル(例えば、PLEURX(登録商標))を有する患者は許容される。
● 制御不能又は症候性の高カルシウム血症(イオン化カルシウム>1.5mmol/L、カルシウム>12mg/dL、又は補正カルシウム>ULN)。
● 軟膜疾患の病歴
● 重症筋無力症、筋炎、自己免疫性肝炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、炎症性腸疾患、抗リン脂質抗体症候群、ウェゲナー肉芽腫症、シェーグレン症候群、ギラン・バレー症候群、又は多発性硬化症を含むがこれらに限定されない自己免疫疾患又は免疫不全が活動が活動性であるもの、又はその病歴、ただし、以下を除く。
【0750】
甲状腺補充ホルモンを服用している自己免疫関連甲状腺機能低下症の病歴を有する患者が試験に適格である。
【0751】
インスリンレジメンを受けている制御された1型糖尿病患者は試験に適格である。
【0752】
湿疹、乾癬、慢性単純性苔癬、又は皮膚症状のみを伴う白斑(例えば、乾癬性関節炎を有する患者は除外される)を有する患者は、以下の条件の全てが満たされるならば、試験に適格である。
- 発疹が覆っている体表面積は<10%でなければならない
- 疾患はベースラインで十分に制御されており、低効力の局所コルチコステロイドのみを必要とする
- 過去12ヶ月以内にソラレン+紫外線A照射、メトトレキサート、レチノイド、生物学的薬剤、経口カルシニューリン阻害剤、又は高-効力若しくは経口コルチコステロイドを必要とする基礎症状の急性増悪の発生がない
【0753】
● 特発性肺線維症、器質化肺炎(例えば、閉塞性細気管支炎)、薬物誘発性間質性肺炎、若しくは特発性間質性肺炎の病歴、又はスクリーニング胸部コンピュータ断層撮影(CT)スキャンでの活動性間質性肺炎の証拠
放射線領域における放射線肺臓炎(線維症)の病歴は許容される。
● 試験治療の開始前4週間以内の重度の慢性又は活動性の感染症(感染症、菌血症、又は重度の肺炎の合併症のための入院が含まれるが、これらに限定されない)
● 試験治療開始前2週間以内の治療用経口又はIV抗生物質による治療
予防用抗生物質(例えば、尿路感染症又は慢性閉塞性肺疾患の増悪を予防するため)を受ける患者は試験に適格である;
● 活動性結核
● 試験治療の開始前4週間以内の大きな外科的治療(診断以外)、又は試験中の大きな外科的治療の必要性の予想
● 以下の心血管リスク因子のいずれか:
- 心胸痛、試験治療開始前28日以内の、手段的日常生活活動を制限する中程度の疼痛として定義される
- 試験治療開始前28日以内の症候性肺塞栓症
- 試験治療開始前6ヶ月以内の急性心筋梗塞
- 試験治療開始前6ヶ月以内にニューヨーク心臓病学会分類III又はIVを満たす心不全
- 試験治療開始前6ヶ月以内のグレード≧2の心室性不整脈
- 試験治療開始前6ヶ月以内の脳血管障害
- 制御されない高血圧、試験治療開始前28日以内の、降圧薬にもかかわらず収縮期圧≧160mmHg又は拡張期圧≧100mmHgと定義される
- 試験治療開始前28日以内の失神又は発作のエピソード
● キメラ若しくはヒト化抗体又は融合タンパク質に対する重度のアレルギーアナフィラキシー反応の病歴
● 本試験で調査中のがん及び転移又は死亡のリスクが無視できる(例えば、5年全生存期間(OS)率>90%)悪性腫瘍、例えば適切に治療された子宮頸部上皮内癌腫、非黒色腫皮膚癌腫、限局性前立腺がん、上皮内乳管癌腫、又はステージI子宮がんを除いて、スクリーニング前2年以内の悪性腫瘍の病歴
● スクリーニング時のグレード≧2末梢神経障害
● 試験治療開始前14日以内の標準的な医学的管理にもかかわらず、制御されていない糖尿病又はカリウム、ナトリウム若しくは補正カルシウムのグレード≧2の異常
● 治験薬の使用を禁忌にする任意の他の疾患、医学的症状、代謝機能不全、アルコール若しくは薬物の乱用若しくは依存、身体検査所見、臨床検査所見は、結果の解釈に影響を及ぼす可能性があり、又は患者を治療合併症のリスクが高くなる可能性がある
● 末梢静脈アクセス不良
● 抗-CTLA-4、抗-PD-1、抗-PD-L1及び抗-TIGIT治療抗体を含むCD137アゴニスト、T細胞共刺激、又は免疫チェックポイント遮断療法による事前治療。
● 試験治療の開始前の4週間以内又は5つの薬物除去半減期(いずれか長い方)以内の全身免疫刺激剤(限定されないが、インターフェロン及びインターロイキン2を含む)による治療
● 化学療法、免疫療法(例えば、インターロイキン、インターフェロン、チモシン)、又は試験治療開始前の14日以内若しくは5薬物除去半-減期(いずれか長い方)以内の任意の試験治療による治療
● 以下を除いて、試験治療の開始前2週間以内の全身免疫抑制薬(限定されないが、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、サリドマイド及び抗-TNF-α剤を含む)による治療、又は試験治療中の全身免疫抑制薬の必要性の予測:
- 急性低用量の全身免疫抑制薬又は1回パルス用量の全身免疫抑制薬(例えば、造影剤アレルギーのための48時間のコルチコステロイド)を受けた患者は、医療モニタとの議論後、試験に適格であり得る。
- ミネラルコルチコイド(例えば、フルドロコルチゾン)、慢性閉塞性肺疾患若しくは喘息のためのコルチコステロイド、又は起立性低血圧若しくは副腎機能不全のための低用量コルチコステロイドを受けた患者は試験に適格である
● 事前の同種異系幹細胞又は固形臓器移植
● 試験治療の開始前4週間以内の生弱毒化ワクチンによる治療、又は、試験治療中若しくは試験治療の最終投与後5ヶ月以内にそのようなワクチンの必要性の予期
● 別の治療臨床試験への同時参加
● チャイニーズハムスター卵巣細胞生成物又はアテゾリズマブ製剤の任意の成分に対する既知の過敏症。
● チラゴルマブ製剤の任意の成分に対する既知のアレルギー又は過敏症
● 妊娠中又は授乳中
妊娠可能な女性は、試験治療の開始前14日以内に血清妊娠検査結果が陰性でなければならない。
【0754】
実施例3.転移性食道がん患者におけるアテゾリズマブと組み合わせた抗TIGIT抗体チラゴルマブの第Ib相試験の結果
第Ib相用量漸増及び用量拡大試験(GO30103、NCT02794571)は、アテゾリズマブ(atezo)と組み合わせたチラゴルマブ(tira)が安全で忍容性があり、PD-L1陽性非小細胞肺がん患者の拡大コホートにおいて活性が見られたことを示した(Bendell et al.,Phase Ia/Ib dose-escalation study of the anti-TIGIT antibody tiragolumab as a single agent and in combination with atezolizumab in patients with advanced solid tumors.In:Proceedings of the 111th Annual Meeting of the American Association for Cancer Research;2020 June 22-24.Philadelphia(PA):AACR;2020.Abstract CT302)。
【0755】
以前にがん免疫療法で治療されていない転移性PD-L1陽性食道がんを有する患者におけるtira+atezoの予備的安全性及び抗腫瘍活性を評価した。
【0756】
方法
この第Ib相拡大コホートに登録された患者は、利用可能な治療で進行した扁平上皮又は腺癌組織学の転移性食道がんを有していた。患者はECOG PS 0~1を有し、以前にがん免疫療法で治療されたことがなく、米国、EU、及びアジアから登録された。食道腫瘍のPD-L1発現を中央免疫組織化学レビューによって決定した。患者は、疾患の進行、忍容できない毒性、又は患者/治験責任医師の決定があるまで、tira 400mg又は600mg IVを3週間ごと(Q3W)+atezo 1200mg IV Q3Wを受けた。tira+atezoの安全性、耐容性及び予備抗腫瘍活性を、2019年12月2日のデータカットオフ日に評価した。
【0757】
結果
扁平上皮又は腺癌組織学の転移性食道がんを有する19人の患者を治療した:年齢の中央値は62歳であり、5人の患者(26%)でECOG 0及び14人の患者(74%)でECOG 1であり、14人の患者(74%)は以前の治療を2回以上受けており、6人の患者(32%)はアジアからであり、13人(68%)は米国/EUからであった。治験責任医師によって評価された治療関連AE(TRAE)は63%(12人の患者)で発生し、グレード≧3は5%(1人の患者)で発生した。グレード4又は5のTRAEはなかった。患者の≧15%において報告された最も一般的なAEは、貧血(3人の患者、16%)、咳(16%)、嚥下障害(16%)及び発熱(16%)であった。少なくとも1つの腫瘍評価を有する16人の評価可能な患者のうち、4人の確認された部分奏効(25%の客観的奏効率)及び50%の疾患制御率があり、2人の患者は1+年において依然として研究中であった。
【0758】
結論
atezoと組み合わせたTiraは忍容性が高く、転移性食道がん患者において許容され得る安全性プロファイルを有していた。免疫療法で以前に治療されていない転移性食道がんを有する患者のコホートにおいて予備的抗腫瘍活性が観察された。
【0759】
実施例4.チラゴルマブ+アテゾリズマブ治療の予測バイオマーカーとしてのPD-L1
第Ib相試験(GO30103;NCT02794571号)では、複数の固形腫瘍タイプにおいて、単独療法として、及びアテゾリズマブと組み合わせて、チラゴルマブは忍容性が高かった。1L NSCLCにおける無作為化第II相CITYSCAPE試験(NCT03563716)では、治療意図(ITT)集団において、プラセボ+アテゾリズマブに対するチラゴルマブ+アテゾリズマブを用いたORR及びPFSにおいて臨床上意味のある改善が見られた。PD-L1腫瘍割合スコア(TPS)≧50%のサブグループでより大きな改善が見られた(PharmDx 22C3 IHCアッセイを用いて評定した場合;データ遮断2019年12月;フォローアップ中央値10.9ヶ月)。
【0760】
チラゴルマブ+アテゾリズマブ治療の予測バイオマーカーとしてのPD-L1の値は、異なるPD-L1アッセイにわたって一貫していることが分かった。pharmDx 22C3アッセイ(ITT集団)及びConformite Europeenne(欧州適合性)in vitro診断(CE-IVD 0 VENTANA SP263 IHCアッセイ(バイオマーカー評価可能集団)を使用して、全ての利用可能な患者試料についてPD-L1タンパク質発現を評価するためにIHCを実施し、PD-L1発現のレベルを、各アッセイについて確立されたアルゴリズムを使用してスコア化した。BEP集団及びITT集団のベースライン特性は類似していた(表89)。
【表13】
【0761】
PD-L1サブグループの有病率は、2つのIHCアッセイ間で同程度であった(
図3)。PD-L1 22C3アッセイの場合、高TPをTPS≧50%として分類し、低TPSをTPS 1~49%として分類した。SP263 IHCアッセイの場合、高TCをTC≧50%に分類し、低TCをTC1~49%として分類した。SP263によって定義されたPD-L1陽性(TC≧1%)サブグループ(PFS HR 0.56、95% CI:0.34-0.92)と22C3によって定義されたPD-L1陽性(TPS≧1%)サブグループ(
図4A、4B、5A、5B)との間で、チラゴルマブ+アテゾリズマブ対アテゾリズマブ単独療法による同等のORR及びPFSの改善が見られた。SP263によって定義されたPD-L1高(TC≧50%)サブグループ(PFS HR 0.23、95% CI:0.10-0.53)と22C3によって定義されたPD-L1高(TPS≧50%)サブグループ(
図6A、6B、7A、7B)との間でも、チラゴルマブ+アテゾリズマブ対アテゾリズマブ単独療法による同等のORR及びPFSの改善が見られた。
【0762】
22C3又はSP263 IHCのいずれかによって評定される高いPD-L1発現は、チラゴルマブ+アテゾリズマブ併用療法の重要な予測バイオマーカーであり得る。
【0763】
VI.他の実施形態
本明細書に記載の技術のいくつかの実施形態は、以下の番号付き実施形態のいずれかに従って定義することができる。
【0764】
1.食道扁平上皮癌腫(ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、対象又は対象集団に抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象又は対象集団がESCCのための最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法。
【0765】
2.最終的化学放射線治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の89日以内に完了した、実施形態1に記載の方法。
【0766】
3.最終的化学放射線治療が、放射線学的疾患進行の証拠なしに、少なくとも2サイクルの白金系化学療法及び放射線療法を含む、実施形態1又は2に記載の方法。
【0767】
4.1回又は複数回の投与サイクル中に化学療法が対象又は対象集団に投与されない、実施形態1~3のいずれか一つに記載の方法。
【0768】
5.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で投与される、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0769】
6.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約800mgの固定用量で投与される、実施形態1~5のいずれか一つに記載の方法。
【0770】
7.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与される、実施形態6に記載の方法。
【0771】
8.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとの約80mg~約1600mgの固定用量で投与される、実施形態1~7のいずれか一つに記載の方法。
【0772】
9.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとの約800mg~約1400mgの固定用量で投与される、実施形態1~8のいずれか一つに記載の方法。
【0773】
10.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、実施形態9に記載の方法。
【0774】
11.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、実施形態10に記載の方法。
【0775】
12.1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、実施形態1~11のいずれか一つに記載の方法。
【0776】
13.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量で投与される、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0777】
14.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で投与される、実施形態13に記載の方法。
【0778】
15.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与される、実施形態14に記載の方法。
【0779】
16.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとの約200mg~約1200mgの固定用量で投与される、実施形態1~4及び13~15のいずれか一つに記載の方法。
【0780】
17.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量で投与される、実施形態16に記載の方法。
【0781】
18.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態17に記載の方法。
【0782】
19.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態18に記載の方法。
【0783】
20.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量で投与される、実施形態1~4のいずれか一つに記載の方法。
【0784】
21.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で投与される、実施形態20に記載の方法。
【0785】
22.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態21に記載の方法。
【0786】
23.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとの約400mg~約2000mgの固定用量で投与される、実施形態1~4及び20~22のいずれか一つに記載の方法。
【0787】
24.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量で投与される、実施形態23に記載の方法。
【0788】
25.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、実施形態24に記載の方法。
【0789】
26.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、実施形態25に記載の方法。
【0790】
27.実施形態1~26のいずれか一つに記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、方法。
【0791】
28.実施形態27に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む、方法。
【0792】
29.実施形態27又は28に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X1はE又はQである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を更に含む、方法。
【0793】
30.X1がEである、実施形態29に記載の方法。
【0794】
31.X1がQである、実施形態29に記載の方法。
【0795】
32.実施形態27~31のいずれか一つに記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、方法。
【0796】
33.実施形態1~32のいずれか一つに記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、方法。
【0797】
34.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態1~33のいずれか一項に記載の方法。
【0798】
35.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗体である、実施形態34に記載の方法。
【0799】
36.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、実施形態1~35のいずれか一項に記載の方法。
【0800】
37.抗TIGITアンタゴニスト抗体がインタクトなFc媒介エフェクター機能を有する、実施形態1~26及び34~36のいずれか一つに記載の方法。
【0801】
38.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチグリマブ、EOS084448、SGN-TGT、又はTJ-T6である、実施形態37に記載の方法。
【0802】
39.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、実施形態1~30及び32~38のいずれか一つに記載の方法。
【0803】
40.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、増強されたFc媒介エフェクター機能を有する、実施形態1~26及び34~36のいずれか一つに記載の方法。
【0804】
41.抗TIGITアンタゴニスト抗体がSGN-TGTである、実施形態1~26、34~38、及び40のいずれか一つに記載の方法。
【0805】
42.抗TIGITアンタゴニスト抗体がFc媒介エフェクター機能を有さない、実施形態1~26及び34~36のいずれか一つに記載の方法。
【0806】
43.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP8374又はCOM902である、実施形態1~26、34~36及び42のいずれか一つに記載の方法。
【0807】
44.抗TIGITアンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、実施形態1~35のいずれか一つに記載の方法。
【0808】
45.抗TIGITアンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体である、実施形態1~26及び34~43のいずれか一つに記載の方法。
【0809】
46.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態45に記載の方法。
【0810】
47.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチグリマブ、EOS084448、SGN-TGT、TJ-T6、BGB-A1217、AB308、ドムバナリマブ又はBMS-986207である、実施形態46に記載の方法。
【0811】
48.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、実施形態47に記載の方法。
【0812】
49.IgGクラス抗体がIgG4サブクラス抗体である、実施形態45に記載の方法。
【0813】
50.抗TIGITアンタゴニスト抗体がASP8374又はCOM902である、実施形態49に記載の方法。
【0814】
51.PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、実施形態1~50のいずれか一項に記載の方法。
【0815】
52.PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、実施形態51に記載の方法。
【0816】
53.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、実施形態1~52のいずれか一つに記載の方法。
【0817】
54.抗PD-L1アンタゴニスト抗体がアテゾリズマブである、実施形態53に記載の方法。
【0818】
55.PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、実施形態51に記載の方法。
【0819】
56.抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、又はAMP-224である、実施形態55に記載の方法。
【0820】
57.実施形態1~52のいずれか一つに記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、方法。
【0821】
58.実施形態57に記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、方法。
【0822】
59.実施形態1~58のいずれか一つに記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、方法。
【0823】
60.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態57~59のいずれか一つに記載の方法。
【0824】
61.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、ヒト化抗体である、実施形態60に記載の方法。
【0825】
62.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、実施形態60又は61に記載の方法。
【0826】
63.抗PD-L1アンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、実施形態57~61のいずれか一つに記載の方法。
【0827】
64.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、IgGクラス抗体である、実施形態57~63のいずれか一つに記載の方法。
【0828】
65.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態64に記載の方法。
【0829】
66.1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態1~65のいずれか一つに記載の方法。
【0830】
67.抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態1~66のいずれか一つに記載の方法。
【0831】
68.PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む、実施形態67に記載の方法。
【0832】
69.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態68に記載の方法。
【0833】
70.PD-1軸結合アンタゴニストの前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態1~66のいずれか一つに記載の方法。
【0834】
71.抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む、実施形態70に記載の方法。
【0835】
72.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態71に記載の方法。
【0836】
73.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に同時に投与することを含む、実施形態1~66のいずれか一つに記載の方法。
【0837】
74.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に静脈内投与することを含む、実施形態1~73のいずれか一つに記載の方法。
【0838】
75.60±10分間にわたる静脈内注入によって抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態74に記載の方法。
【0839】
76.60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態74又は75に記載の方法。
【0840】
77.対象又は対象集団から得られたESCC腫瘍試料が、検出可能なPD-L1発現レベルを有すると決定されている、実施形態1~76のいずれか一つに記載の方法。
【0841】
78.検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1タンパク質発現レベルである、実施形態77に記載の方法。
【0842】
79.検出可能なPD-L1タンパク質発現レベルが、免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている、実施形態78に記載の方法。
【0843】
80.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142又は28-8が使用される、実施形態79に記載の方法。
【0844】
81.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263が使用される、実施形態80に記載の方法。
【0845】
82.IHCアッセイが、Ventana SP263 IHCアッセイである、実施形態81に記載の方法。
【0846】
83.ESCC腫瘍試料が、1%以上の腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコアを有すると決定されている、実施形態82に記載の方法。
【0847】
84.TICスコアが、10%以上である、実施形態83に記載の方法。
【0848】
85.ESCC腫瘍試料が、10%未満のTICスコアを有すると決定されている、実施形態82又は83に記載の方法。
【0849】
86.TICスコアが、10%以上50%未満である、実施形態84に記載の方法。
【0850】
87.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体22C3が使用される、実施形態80に記載の方法。
【0851】
88.IHCアッセイが、pharmDx 22C3 IHCアッセイである、実施形態87に記載の方法。
【0852】
89.ESCC腫瘍試料が、10以上の複合陽性スコア(CPS)又は1%以上の腫瘍割合スコア(TPS)を有すると決定されている、実施形態88に記載の方法。
【0853】
90.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142が使用される、実施形態80に記載の方法。
【0854】
91.IHCアッセイが、Ventana SP142 IHCアッセイである、実施形態90に記載の方法。
【0855】
92.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体28-8が使用される、実施形態80に記載の方法。
【0856】
93.IHCアッセイが、pharmDx 28-8 IHCアッセイである、実施形態92に記載の方法。
【0857】
94.検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1核酸発現レベルである、実施形態77に記載の方法。
【0858】
95.PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組み合わせによって決定されている、実施形態94に記載の方法。
【0859】
96.ESCCが、局所進行性ESCCである、実施形態1~95のいずれか一つに記載の方法。
【0860】
97.ESCCが、切除不能ESCCである、実施形態1~96のいずれか一つに記載の方法。
【0861】
98.ESCCが、再発性又は転移性ESCCである、実施形態1~97のいずれか一つに記載の方法。
【0862】
99.ESCCが頸部食道腫瘍を含む、実施形態1~98のいずれか一つに記載の方法。
【0863】
100.ESCCが、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCCであり、任意に、ステージIV ESCCが、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCCである、実施形態1~99のいずれか一つに記載の方法。
【0864】
101.対象又は対象集団が、以前にがん免疫療法で治療されたことがない、実施形態1~100のいずれか一つに記載の方法。
【0865】
102.対象又は対象集団が、ESCCのための以前のがん免疫療法を完了している、実施形態1~100のいずれか一つに記載の方法。
【0866】
103.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療と比較して、対象又は対象集団の無増悪生存期間(PFS)の増加をもたらす、実施形態1~102のいずれか一つに記載の方法。
【0867】
104.治療が、PD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いた治療と比較して、対象又は対象集団のPFSの増加をもたらす、実施形態1~103のいずれか一つに記載の方法。
【0868】
105.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団のPFSの増加をもたらす、実施形態1~104のいずれか一つに記載の方法。
【0869】
106.治療が、対象又は対象集団のPFSを少なくとも約4ヶ月又は約8ヶ月延長する、実施形態105に記載の方法。
【0870】
107.治療が、約15ヶ月~約23ヶ月の対象集団のPFS中央値をもたらす、実施形態105に記載の方法。
【0871】
108.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療と比較して、対象又は対象集団の全生存期間(OS)の増加をもたらす、実施形態1~107のいずれか一つに記載の方法。
【0872】
109.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いた治療及びPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療なしと比較して、対象又は対象集団のOSの増加をもたらす、実施形態1~107のいずれか一つに記載の方法。
【0873】
110.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団のOSの増加をもたらす、実施形態1~107のいずれか一つに記載の方法。
【0874】
111.治療が、対象又は対象集団のOSを少なくとも約7ヶ月又は約12ヶ月延長する、実施形態110に記載の方法。
【0875】
112.治療が、約24ヶ月~約36ヶ月の対象集団のOS中央値をもたらす、実施形態111に記載の方法。
【0876】
113.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療と比較して、対象又は対象集団における客観的奏効期間(DOR)の増加をもたらす、実施形態1~112のいずれか一つに記載の方法。
【0877】
114.治療が、PD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いた治療と比較して、対象又は対象集団におけるDORの増加をもたらす、実施形態1~112のいずれか一つに記載の方法。
【0878】
115.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いず、かつ、PD-1軸結合アンタゴニストを用いない治療と比較して、対象又は対象集団におけるDORの増加をもたらす、実施形態1~112のいずれか一つに記載の方法。
【0879】
116.治療が、完全奏効又は部分奏効をもたらす、実施形態1~115のいずれか一つに記載の方法。
【0880】
117.対象又は対象集団に少なくとも5回の投与サイクルを投与することを含む、実施形態1~116のいずれか一つに記載の方法。
【0881】
118.対象又は対象集団に17回の投与サイクルを投与することを含む、実施形態117に記載の方法。
【0882】
119.ESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象が、ESCCのための最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法。
【0883】
120.チラゴルマブが、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、実施形態119に記載の方法。
【0884】
121.ESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量のチラゴルマブ及び2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象が、ESCCのための最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法。
【0885】
122.チラゴルマブが、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態121に記載の方法。
【0886】
123.ESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量のチラゴルマブ及び4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象が、ESCCのための最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、方法。
【0887】
124.チラゴルマブが、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、実施形態123に記載の方法。
【0888】
125.1回又は複数回の投与サイクル中に化学療法が対象に投与されない、実施形態119~124のいずれか一つに記載の方法。
【0889】
126.対象から得られたESCC腫瘍試料が、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%以上のTICスコアを有すると決定されている、実施形態119~125のいずれか一つに記載の方法。
【0890】
127.対象から得られたESCC腫瘍試料が、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%未満のTICスコアを有すると決定されている、実施形態119~126のいずれか一つに記載の方法。
【0891】
128.ESCCが、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、切除不能な局所進行性ESCC、再発性若しくは転移性ESCC、又は頸部食道腫瘍を含むESCCである、実施形態119~127のいずれか一つに記載の方法。
【0892】
129.ESCCが、ステージII ESCC、ステージIII ESCC、又はステージIV ESCCである、実施形態119~128のいずれか一つに記載の方法。
【0893】
130.ステージIV ESCCが、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCCである、実施形態129に記載の方法。
【0894】
131.対象に17回の投与サイクルを投与することを含む、実施形態119~130のいずれか一つに記載の方法。
【0895】
132.対象がヒトである、実施形態1~131のいずれか一つに記載の方法。
【0896】
133.実施形態1~118のいずれか一つに記載の方法に従って、ESCCを有する対象を治療するためのPD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせて使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む、キット。
【0897】
134.キットが、PD-1軸結合アンタゴニストを更に含む、実施形態133に記載のキット。
【0898】
135.実施形態1~118のいずれか一つに記載の方法に従って、ESCCを有する対象を治療するための抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストを含む、キット。
【0899】
136.抗TIGITアンタゴニスト抗体を更に含む、実施形態135に記載のキット。
【0900】
137.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブである、実施形態133~136のいずれか一つに記載のキット。
【0901】
138.ESCCを有する対象を治療する方法において使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストである、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0902】
139.方法が、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストの1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が、ESCCのための最終的化学放射線治療(例えば、最終的な同時の化学放射線治療)を以前に受けた、実施形態138に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0903】
140.最終的化学放射線治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体又はPD-1軸結合アンタゴニストの投与前の89日以内に完了した、実施形態139に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0904】
141.最終的化学放射線治療が、放射線学的疾患進行の証拠なしに、少なくとも2サイクルの白金系化学療法及び放射線療法を含む、実施形態139又は140に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0905】
142.1回又は複数回の投与サイクルの間に化学療法が対象に投与されない、実施形態139~141のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0906】
143.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で投与される、実施形態139~142のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0907】
144.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約800mgの固定用量で投与される、実施形態139~143のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0908】
145.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与される、実施形態144に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0909】
146.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量で投与される、実施形態139~145のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0910】
147.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約800mg~約1400mgの固定用量で投与される、実施形態1~146のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0911】
148.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、実施形態147に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0912】
149.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、実施形態148に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0913】
150.1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、実施形態139~148のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0914】
151.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量で投与される、実施形態139~142のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0915】
152.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で投与される、実施形態151に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0916】
153.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与される、実施形態152に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0917】
154.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量で投与される、実施形態139~142及び151~153のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0918】
155.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量で投与される、実施形態154に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0919】
156.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態155に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0920】
157.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態156に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0921】
158.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量で投与される、実施形態139~142のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0922】
159.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で投与される、実施形態158に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0923】
160.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態159に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0924】
161.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量で投与される、実施形態139~142及び158~160のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0925】
162.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量で投与される、実施形態161に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0926】
163.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、実施形態162に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0927】
164.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、実施形態163に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0928】
165.実施形態1~164のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0929】
166.実施形態165に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0930】
167.実施形態165又は166に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X1はE又はQである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を更に含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0931】
168.X1がEである、実施形態167に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0932】
169.X1がQである、実施形態167に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0933】
170.実施形態165~169のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0934】
181.実施形態139~170のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0935】
172.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態139~171のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0936】
173.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗体である、実施形態172に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0937】
174.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、実施形態139~173のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0938】
175.抗TIGITアンタゴニスト抗体がインタクトなFc媒介エフェクター機能を有する、実施形態139~164及び172~174のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0939】
176.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチグリマブ、EOS084448、SGN-TGT、又はTJ-T6である、実施形態175に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0940】
177.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブである、実施形態139~168及び170~176のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0941】
178.抗TIGITアンタゴニスト抗体が増強されたFc媒介エフェクター機能を有する、実施形態139~164及び172~174のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0942】
179.抗TIGITアンタゴニスト抗体がSGN-TGTである、実施形態139~164、172~176、及び178のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0943】
180.抗TIGITアンタゴニスト抗体がFc媒介エフェクター機能を有さない、実施形態139~164及び172~174のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0944】
181.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP8374又はCOM902である、実施形態139~164、172~174及び180のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0945】
182.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、実施形態129~163のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0946】
183.抗TIGITアンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体である、実施形態139~164及び172~181のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0947】
184.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態183に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0948】
185.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチグリマブ、EOS084448、SGN-TGT、TJ-T6、BGB-A1217、AB308、ドムバナリマブ又はBMS-986207である、実施形態184に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0949】
186.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブである、実施形態185に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0950】
187.IgGクラス抗体がIgG4サブクラス抗体である、実施形態183に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0951】
188.抗TIGITアンタゴニスト抗体がASP8374又はCOM902である、実施形態187に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0952】
189.PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、実施形態139~188のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0953】
190.PD-L1結合アンタゴニストが抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、実施形態189に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0954】
191.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、実施形態1~190のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0955】
192.抗PD-L1アンタゴニスト抗体がアテゾリズマブである、実施形態191に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0956】
193.PD-1結合アンタゴニストが抗PD-1アンタゴニスト抗体である、実施形態189に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0957】
194.抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、又はAMP-224である、実施形態193に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0958】
195.実施形態139~190のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0959】
196.実施形態195に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0960】
197.実施形態139~196のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストであって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0961】
198.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態195~197のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0962】
199.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、ヒト化抗体である、実施形態198に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0963】
200.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、実施形態198又は199に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0964】
201.抗PD-L1アンタゴニスト抗体がが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、実施形態195~199のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0965】
202.抗PD-L1アンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体である、実施形態195~201のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0966】
203.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態202に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0967】
204.方法が、1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの約1日目に、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、実施形態139~203のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0968】
205.方法が、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、実施形態139~204のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0969】
206.方法が、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む、実施形態205に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0970】
207.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態206に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0971】
208.方法が、PD-1軸結合アンタゴニストの前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む、実施形態139~204のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0972】
209.方法が、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む、実施形態208に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0973】
210.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態209に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0974】
211.方法が、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に同時に投与することを含む、実施形態139~204のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0975】
212.方法が、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に静脈内投与することを含む、実施形態139~211のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0976】
213.方法が、60±10分間にわたる静脈内注入によって抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む、実施形態212に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0977】
214.方法が、60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、実施形態212又は213に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0978】
215.対象から得られたESCC腫瘍試料が、PD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている、実施形態139~214のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0979】
216.検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1タンパク質発現レベルである、実施形態215に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0980】
217.PD-L1の検出可能なタンパク質発現レベルが免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている、実施形態216に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0981】
218.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142、又は28-8が使用される、実施形態217に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0982】
219.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263が使用される、実施形態218に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0983】
220.IHCアッセイがVentana SP263 IHCアッセイである、実施形態219に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0984】
221.ESCC腫瘍試料が、1%以上の腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコアを有すると決定されている、実施形態220に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0985】
222.TICスコアが、10%以上である、実施形態221に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0986】
223.ESCC腫瘍試料が10%未満のTICスコアを有すると決定されている、実施形態220又は221に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0987】
224.TICスコアが、10%以上50%未満である、実施形態222に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0988】
225.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体22C3が使用される、実施形態218に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0989】
226.IHCアッセイがpharmDx 22C3 IHCアッセイである、実施形態225に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0990】
227.ESCC腫瘍試料が、10以上の複合陽性スコア(CPS)又は1%以上のTPSを有すると決定されている、実施形態226に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0991】
228.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142が使用される、実施形態218に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0992】
229.IHCアッセイがVentana SP142 IHCアッセイである、実施形態228に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0993】
230.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体28-8が使用される、実施形態218に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0994】
231.IHCアッセイがpharmDx 28-8 IHCアッセイである、実施形態230に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0995】
232.検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1核酸発現レベルである、実施形態215に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0996】
233.PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組み合わせによって決定されている、実施形態232に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0997】
234.ESCCが、局所進行性ESCCである、実施形態139~233のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0998】
235.ESCCが、切除不能ESCCである、実施形態139~234のいずれか一項に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【0999】
236.ESCCが、再発性又は転移性ESCCである、実施形態139~235のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1000】
237.ESCCが頸部食道腫瘍を含む、実施形態139~236のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1001】
238.ESCCが、ステージII ESCC、ステージIII ESCC又はステージIV ESCCであり、任意に、ステージIV ESCCが、鎖骨上リンパ節転移のみを伴うステージIVA ESCC又はステージIVB ESCCである、実施形態139~237のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1002】
239.対象又は対象集団ががん免疫療法で以前に治療されたことがない、実施形態139~238のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1003】
240.対象がESCCのための以前のがん免疫療法を完了している、実施形態139~238のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1004】
241.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる治療と比較して、対象の無増悪生存期間(PFS)の増加をもたらす、実施形態139~240のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1005】
242.治療が、PD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療と比較して、対象のPFSの増加をもたらす、実施形態139~241のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1006】
243.治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いない治療と比較して、対象のPFSの増加をもたらす、実施形態139~242のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1007】
234.治療が、対象又は対象集団のPFSを少なくとも約4ヶ月又は約8ヶ月延長させる、実施形態243に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1008】
245.治療が、約15ヶ月~約23ヶ月の対象集団のPFS中央値をもたらす、実施形態243に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1009】
246.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる治療と比較して、対象の全生存期間(OS)の増加をもたらす、実施形態139~245のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1010】
247.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いた治療及びPD-1軸結合アンタゴニストを用いた治療なしと比較して、対象のOSの増加をもたらす、実施形態139~245のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1011】
248.治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いない治療と比較して、対象のOSの増加をもたらす、実施形態139~245のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1012】
249.治療が、対象又は対象集団のOSを少なくとも約7ヶ月又は約12ヶ月延長させる、実施形態248に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1013】
250.治療が、約24ヶ月~約36ヶ月の対象集団のOS中央値をもたらす、実施形態248に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1014】
251.治療が、抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにPD-1軸結合アンタゴニストを用いる治療と比較して、対象の客観的奏効期間(DOR)の増加をもたらす、実施形態139~250のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1015】
252.治療が、PD-1軸結合アンタゴニストを用いずに抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いる治療と比較して、対象におけるDORの増加をもたらす、実施形態139~251のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1016】
253.治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いない治療と比較して、対象におけるDORの増加をもたらす、実施形態139~250のいずれか一つに記載の抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1017】
254.治療が、完全奏効又は部分奏効をもたらす、実施形態139~253のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1018】
255.方法が、少なくとも5回の投与サイクルを対象に投与することを含む、実施形態139~254のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1019】
256.方法が、17回の投与サイクルを対象に投与することを含む、実施形態255に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1020】
257.PD-1軸結合アンタゴニストと組み合わせてESCCを有する対象を治療するための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、治療が実施形態1~118のいずれか一つに記載の方法による、使用。
【1021】
258.抗TIGITアンタゴニスト抗体と組み合わせてESCCを有する対象を治療するための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニストの使用であって、治療が実施形態1~118のいずれか一つに記載の方法による、使用。
【1022】
259.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが別々に製剤化される、実施形態257又は258に記載の使用。
【1023】
260.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが一緒に製剤化される、実施形態257又は258に記載の使用。
【1024】
261.進行性の食道扁平上皮癌腫(ESCC)を有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、対象又は対象集団に抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含み、対象又は対象集団がESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法。
【1025】
262.手術が不適切である進行性のESCCを有する対象又は対象集団を治療するための方法であって、対象又は対象集団に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを投与することを含む、方法。
【1026】
263.対象又は対象集団が、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、実施形態262に記載の方法。
【1027】
264.対象又は対象集団が、非進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、実施形態261~263のいずれか一つに記載の方法。
【1028】
265.対象又は対象集団が、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療が、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した、実施形態261~263のいずれか一つに記載の方法。
【1029】
266.非進行性のESCCのための以前の治療が、化学放射線療法又は化学療法を含む、実施形態265に記載の方法。
【1030】
267.化学放射線療法又は化学療法が、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与された、実施形態266に記載の方法。
【1031】
268.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で投与される、実施形態261~267のいずれか一つに記載の方法。
【1032】
269.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとの約30mg~約800mgの固定用量で投与される、実施形態268に記載の方法。
【1033】
270.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与される、実施形態269に記載の方法。
【1034】
271.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとの約80mg~約1600mgの固定用量で投与される、実施形態261~270のいずれか一つに記載の方法。
【1035】
272.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約800mg~約1400mgの固定用量で投与される、実施形態271に記載の方法。
【1036】
273.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、実施形態272に記載の方法。
【1037】
274.タキサンが、3週間ごとに約100~250mg/m2の用量で投与される、実施形態261~273のいずれか一つに記載の方法。
【1038】
275.タキサンが、3週間ごとに150~200mg/m2の用量で投与される、実施形態274に記載の方法。
【1039】
276.タキサンが、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与される、実施形態275に記載の方法。
【1040】
277.白金薬剤が、3週間ごとに約20~200mg/m2の用量で投与される、実施形態261~276のいずれか一つに記載の方法。
【1041】
278.白金薬剤が、3週間ごとに約40~120mg/m2の用量で投与される、実施形態277に記載の方法。
【1042】
279.白金薬剤が、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される、実施形態278に記載の方法。
【1043】
280.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、タキサンが、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、白金薬剤が、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される、実施形態279に記載の方法。
【1044】
281.1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、実施形態261~280のいずれか一つに記載の方法。
【1045】
282.抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤が、4~8回の導入期の投与サイクルの各々で投与される、実施形態261~281のいずれか一つに記載の方法。
【1046】
283.抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤が、6回の導入期の投与サイクルの各々で投与される、実施形態282に記載の方法。
【1047】
284.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、導入期の投与サイクルに続いて1回又は複数回の維持期の投与サイクルで更に投与される、実施形態282又は283に記載の方法。
【1048】
285.タキサン及び白金薬剤が、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、実施形態284に記載の方法。
【1049】
286.導入期の投与サイクル及び/又は1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々の長さが21日間である、実施形態282~285のいずれか一項に記載の方法。
【1050】
287.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量で投与される、実施形態261~267のいずれか一つに記載の方法。
【1051】
288.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で投与される、実施形態287に記載の方法。
【1052】
289.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与される、実施形態288に記載の方法。
【1053】
290.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとの約200mg~約1200mgの固定用量で投与される、実施形態261~267及び287~289のいずれか一つに記載の方法。
【1054】
291.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量で投与される、実施形態290に記載の方法。
【1055】
292.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態291に記載の方法。
【1056】
293.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態292に記載の方法。
【1057】
294.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、1回又は複数回の維持期の投与サイクルで更に投与され、タキサン及び白金薬剤が、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、実施形態287~293のいずれか一つに記載の方法。
【1058】
295.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量で投与される、実施形態261~267のいずれか一つに記載の方法。
【1059】
296.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で投与される、実施形態295に記載の方法。
【1060】
297.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態296に記載の方法。
【1061】
298.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとの約400mg~約2000mgの固定用量で投与される、実施形態261~267及び295~297のいずれか一つに記載の方法。
【1062】
299.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量で投与される、実施形態298に記載の方法。
【1063】
300.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、実施形態299に記載の方法。
【1064】
301.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、実施形態300に記載の方法。
【1065】
302.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、1回又は複数回の維持期の投与サイクルで更に投与され、タキサン及び白金薬剤が、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、実施形態295~301のいずれか一つに記載の方法。
【1066】
303.タキサンが、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される、実施形態287~302のいずれか一つに記載の方法。
【1067】
304.白金薬剤が、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される、実施形態287~303のいずれか一つに記載の方法。
【1068】
305.実施形態261~304のいずれか一つに記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1069】
306.実施形態305に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1070】
307.実施形態305又は306に記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X1はE又はQである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を更に含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1071】
308.X1がEである、実施形態307に記載の方法。
【1072】
309.X1がQである、実施形態307に記載の方法。
【1073】
310.実施形態305~309のいずれか一つに記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1074】
311.実施形態261~310のいずれか一つに記載の方法であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1075】
312.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態261~311のいずれか一項に記載の方法。
【1076】
313.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗体である、実施形態312に記載の方法。
【1077】
314.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、実施形態261~313のいずれか一項に記載の方法。
【1078】
315.抗TIGITアンタゴニスト抗体がインタクトなFc媒介エフェクター機能を有する、実施形態261~304及び312~314のいずれか一つに記載の方法。
【1079】
316.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチグリマブ、EOS084448、SGN-TGT、又はTJ-T6である、実施形態315に記載の方法。
【1080】
317.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、実施形態261~308及び310~316のいずれか一つに記載の方法。
【1081】
318.抗TIGITアンタゴニスト抗体が増強されたFc媒介エフェクター機能を有する、実施形態261~304及び312~314のいずれか一つに記載の方法。
【1082】
319.抗TIGITアンタゴニスト抗体がSGN-TGTである、実施形態261~304、312~314、及び318のいずれか一つに記載の方法。
【1083】
320.抗TIGITアンタゴニスト抗体がFc媒介エフェクター機能を有さない、実施形態261~304及び312~314のいずれか一つに記載の方法。
【1084】
321.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP8374又はCOM902である、実施形態261~304、312~314、及び320のいずれか一つに記載の方法。
【1085】
322.抗TIGITアンタゴニストが、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、実施形態261~313のいずれか一つに記載の方法。
【1086】
323.抗TIGITアンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体である、実施形態261~304及び312~321のいずれか一つに記載の方法。
【1087】
324.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態323に記載の方法。
【1088】
325.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチグリマブ、EOS084448、SGN-TGT、TJ-T6、BGB-A1217、AB308、ドムバナリマブ又はBMS-986207である、実施形態324に記載の方法。
【1089】
326.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブである、実施形態325に記載の方法。
【1090】
327.IgGクラス抗体がIgG4サブクラス抗体である、実施形態323に記載の方法。
【1091】
328.抗TIGITアンタゴニスト抗体がASP8374又はCOM902である、実施形態327に記載の方法。
【1092】
329.PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、実施形態261~328のいずれか一項に記載の方法。
【1093】
330.PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、実施形態329に記載の方法。
【1094】
331.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、実施形態261~330のいずれか一つに記載の方法。
【1095】
332.抗PD-L1アンタゴニスト抗体がアテゾリズマブである、実施形態331に記載の方法。
【1096】
333.PD-1結合アンタゴニストが、抗PD-1アンタゴニスト抗体である、実施形態329に記載の方法。
【1097】
334.抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、又はAMP-224である、実施形態333に記載の方法。
【1098】
335.実施形態261~330のいずれか一つに記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1099】
336.実施形態335に記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1100】
337.実施形態261~336のいずれか一つに記載の方法であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニスト。
【1101】
338.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態335~337のいずれか一つに記載の方法。
【1102】
339.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、ヒト化抗体である、実施形態338に記載の方法。
【1103】
340.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、実施形態338又は339に記載の方法。
【1104】
341.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、実施形態335~339のいずれか一つに記載の方法。
【1105】
342.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、IgGクラス抗体である、実施形態335~339のいずれか一つに記載の方法。
【1106】
343.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態342に記載の方法。
【1107】
344.タキサンが、パクリタキセル又はnab-パクリタキセルである、実施形態261~343のいずれか一つに記載の方法。
【1108】
345.タキサンが、パクリタキセルである、実施形態344に記載の方法。
【1109】
346.白金薬剤が、シスプラチン又はカルボプラチンである、実施形態261~345のいずれか一項に記載の方法。
【1110】
347.白金薬剤がシスプラチンである、実施形態346に記載の方法。
【1111】
348.抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態261~347のいずれか一つに記載の方法。
【1112】
349.PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む、実施形態348に記載の方法。
【1113】
350.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態349に記載の方法。
【1114】
351.PD-1軸結合アンタゴニストの前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態261~347のいずれか一つに記載の方法。
【1115】
352.抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む、実施形態351に記載の方法。
【1116】
353.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態352に記載の方法。
【1117】
354.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に同時に投与することを含む、実施形態261~347のいずれか一つに記載の方法。
【1118】
355.タキサン及び/又は白金薬剤の前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが投与される、実施形態261~354のいずれか一つに記載の方法。
【1119】
356.白金薬剤の前に、タキサンを対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態355に記載の方法。
【1120】
357.タキサンの投与後の第3の観察期間及び白金薬剤の投与後の第4の観察期間を含む、実施形態356に記載の方法。
【1121】
358.第3の観察期間及び第4の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態357に記載の方法。
【1122】
359.対象又は対象集団に、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤を静脈内投与することを含む、実施形態261~358のいずれか一つに記載の方法。
【1123】
360.60±10分間にわたる静脈内注入によって抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態359に記載の方法。
【1124】
361.60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニストを対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態359又は360に記載の方法。
【1125】
362.3時間±30分間にわたる静脈内注入によってタキサンを対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態359~361のいずれか一つに記載の方法。
【1126】
363.1~4時間にわたる静脈内注入によって白金薬剤を対象又は対象集団に投与することを含む、実施形態359~362のいずれか一つに記載の方法。
【1127】
364.対象又は対象集団から得られたESCC腫瘍試料が、検出可能なPD-L1発現レベルを有すると決定されている、実施形態261~363のいずれか一つに記載の方法。
【1128】
365.検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1タンパク質発現レベルである、実施形態364に記載の方法。
【1129】
366.検出可能なPD-L1タンパク質発現レベルが、免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている、実施形態365に記載の方法。
【1130】
367.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142又は28-8が使用される、実施形態366に記載の方法。
【1131】
368.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263が使用される、実施形態367に記載の方法。
【1132】
369.IHCアッセイが、Ventana SP263 Companion Diagnostic(CDx)アッセイである、実施形態368に記載の方法。
【1133】
370.ESCC腫瘍試料が、1%以上の腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコアを有すると決定されている、実施形態369に記載の方法。
【1134】
371.TICスコアが、10%以上である、実施形態370に記載の方法。
【1135】
372.ESCC腫瘍試料が、10%未満のTICスコアを有すると決定されている、実施形態369又は370に記載の方法。
【1136】
373.TICスコアが、10%以上50%未満である、実施形態371に記載の方法。
【1137】
374.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体22C3が使用される、実施形態367に記載の方法。
【1138】
375.IHCアッセイが、pharmDx 22C3 IHCアッセイである、実施形態374に記載の方法。
【1139】
376.ESCC腫瘍試料が、10以上の複合陽性スコア(CPS)又は1%以上のTPSを有すると決定されている、実施形態375に記載の方法。
【1140】
377.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142が使用される、実施形態367に記載の方法。
【1141】
378.IHCアッセイが、Ventana SP142 IHCアッセイである、実施形態377に記載の方法。
【1142】
379.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体28-8が使用される、実施形態367に記載の方法。
【1143】
380.IHCアッセイが、pharmDx 28-8 IHCアッセイである、実施形態379に記載の方法。
【1144】
381.検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1核酸発現レベルである、実施形態364に記載の方法。
【1145】
382.PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組み合わせによって決定されている、実施形態381に記載の方法。
【1146】
383.進行性のESCCが、局所進行性ESCCである、実施形態261~382のいずれか一つに記載の方法。
【1147】
384.進行性のESCCが、再発性又は転移性ESCCである、実施形態261~383のいずれか一つに記載の方法。
【1148】
385.進行性のESCCが、切除不能ESCCである、実施形態261~384のいずれか一つに記載の方法。
【1149】
386.治療が、約8ヶ月以上の無増悪生存期間(PFS)をもたらす、実施形態261~385のいずれか一つに記載の方法。
【1150】
387.治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いた治療と比較して、対象又は対象集団のPFSの増加をもたらす、実施形態261~386のいずれか一つに記載の方法。
【1151】
388.治療が、対象又は対象集団のPFSを少なくとも約2ヶ月又は約4ヶ月延長する、実施形態387に記載の方法。
【1152】
389.PFSの増加が約4ヶ月以上である、実施形態387に記載の方法。
【1153】
390.治療が、約6ヶ月~約10ヶ月の対象集団のPFS中央値をもたらす、実施形態261~389のいずれか一項に記載の方法。
【1154】
391.治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いた治療と比較して、対象又は対象集団のOSの増加をもたらす、実施形態261~390のいずれか一つに記載の方法。
【1155】
392.治療が、対象又は対象集団のOSを少なくとも約4ヶ月又は約6ヶ月延長する、実施形態391に記載の方法。
【1156】
393.治療が、約14ヶ月~約20ヶ月の対象集団のOS中央値をもたらす、実施形態391に記載の方法。
【1157】
394.治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いた治療と比較して、対象又は対象集団における客観的奏効期間(DOR)の増加をもたらす、実施形態261~393のいずれか一つに記載の方法。
【1158】
395.治療が、完全奏効又は部分奏効をもたらす、実施形態261~394のいずれか一つに記載の方法。
【1159】
396.進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約100~250mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに約20~200mg/m2の用量のシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法。
【1160】
397.チラゴルマブが、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、パクリタキセルが、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンが、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される、実施形態396に記載の方法。
【1161】
398.進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、チラゴルマブを2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量、チラゴルマブを2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量、パクリタキセル、及びシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法。
【1162】
399.チラゴルマブが、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態398に記載の方法。
【1163】
400.進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、チラゴルマブを4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量、アテゾリズマブを4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量、パクリタキセル、及びシスプラチンの1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法。
【1164】
401.チラゴルマブが、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、実施形態400に記載の方法。
【1165】
402.進行性のESCCを有する対象を治療するための方法であって、対象に、
(i)3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブ、3週間ごとに約100~250mg/m2の用量のパクリタキセル、及び3週間ごとに約20~200mg/m2の用量のシスプラチンの6回の導入期の投与サイクル;及び
(ii)3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量のチラゴルマブ及び3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量のアテゾリズマブの1回又は複数回の維持期の投与サイクルであって、パクリタキセル及びシスプラチンが1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、1回又は複数回の維持期の投与サイクルを投与することを含み、
対象が、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けたことがない、方法。
【1166】
403.実施形態402に記載の方法であって、
(i)6回の導入期の投与サイクルにおいて、チラゴルマブが、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、パクリタキセルが、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、シスプラチンが、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与され;かつ
(ii)1回又は複数回の維持期の投与サイクルにおいて、チラゴルマブは、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、アテゾリズマブは、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、方法。
【1167】
404.対象が、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがない、実施形態396~403のいずれか一つに記載の方法。
【1168】
405.対象が、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療が、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した、実施形態396~404のいずれか一つに記載の方法。
【1169】
406.非進行性のESCCのための以前の治療が、化学放射線療法又は化学療法を含む、実施形態405に記載の方法。
【1170】
407.化学放射線療法又は化学療法が、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与された、実施形態406に記載の方法。
【1171】
408.対象から得られたESCC腫瘍試料が、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%以上のTICスコアを有すると決定されている、実施形態396~407のいずれか一つに記載の方法。
【1172】
409.対象から得られたESCC腫瘍試料が、抗PD-L1抗体SP263を用いてIHCアッセイによって決定して10%未満のTICスコアを有すると決定されている、実施形態396~407のいずれか一つに記載の方法。
【1173】
410.進行性のESCCが、局所進行性ESCC、切除不能ESCC、切除不能な局所進行性ESCC、切除不能な再発ESCC、又は再発性若しくは転移性ESCCである、実施形態396~409のいずれか一つに記載の方法。
【1174】
411.対象がヒトである、実施形態261~410のいずれか一つに記載の方法。
【1175】
412.実施形態261~395のいずれか一つに記載の方法に従って、進行性のESCCを有する対象を治療するためのPD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体を含む、キット。
【1176】
413.キットが、PD-1軸結合アンタゴニストを更に含む、実施形態412に記載のキット。
【1177】
413.実施形態261~413のいずれか一つに記載の方法に従って、進行性のESCCを有する対象を治療するための抗TIGITアンタゴニスト抗体、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストを含む、キット。
【1178】
414.抗TIGITアンタゴニスト抗体を更に含む、実施形態413に記載のキット。
【1179】
415.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブであり、PD-1軸結合アンタゴニストがアテゾリズマブである、実施形態412~414のいずれか一つに記載のキット。
【1180】
416.進行性のESCCを有する対象を治療する方法において使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1181】
417.進行性のESCCを有する対象を治療する方法において使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含み、対象が、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けていない、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤。
【1182】
418.手術が不適切である進行性のESCCを有する対象を治療する方法において使用するための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤の1回又は複数回の投与サイクルを対象に投与することを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤。
【1183】
419.対象が、進行性のESCCのための以前の全身治療を受けていない、実施形態418に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤。
【1184】
420.対象が、非進行性のESCCのための以前の全身治療を受けていない、実施形態417~419のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤。
【1185】
421.対象が、非進行性のESCCのための以前の治療を受けたことがあり、非進行性のESCCのための以前の治療が、進行性のESCCの診断の少なくとも6ヶ月前に完了した、実施形態417~419のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤。
【1186】
422.非進行性のESCCのための以前の治療が化学放射線療法又は化学療法を含む、実施形態421に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン及び白金薬剤。
【1187】
423.化学放射線療法又は化学療法が、治癒目的で、又はアジュバント若しくはネオアジュバント状況において投与された、実施形態422に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1188】
424.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約1200mgの固定用量で投与される、実施形態417~423のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1189】
425.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約30mg~約800mgの固定用量で投与される、実施形態424に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1190】
426.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与される、実施形態425に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1191】
427.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約80mg~約1600mgの固定用量で投与される、実施形態417~426のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1192】
428.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約800mg~約1400mgの固定用量で投与される、実施形態427に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1193】
429.PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与される、実施形態428に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1194】
430.タキサンが、3週間ごとに約100~250mg/m2の用量で投与される、実施形態417~429のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1195】
431.タキサンが、3週間ごとに約150~200mg/m2の用量で投与される、実施形態430に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1196】
432.白金薬剤が、3週間ごとに約20~200mg/m2の用量で投与され、及び/又は、タキサンが3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与される、実施形態417~431のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1197】
433.白金薬剤が、3週間ごとに約40~120mg/m2の用量で投与される、実施形態432に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1198】
434.白金薬剤が、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される、実施形態433に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1199】
435.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、3週間ごとに約600mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、3週間ごとに約1200mgの固定用量で投与され、タキサンが、3週間ごとに約175mg/m2の用量で投与され、白金薬剤が、3週間ごとに約60~80mg/m2の用量で投与される、実施形態434に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1200】
436.1回又は複数回の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、実施形態417~435のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1201】
437.抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤が、4~8回の導入期の投与サイクルの各々で投与される、実施形態417~436のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1202】
438.抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤が、6回の導入期の投与サイクルの各々で投与される、実施形態437に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1203】
439.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、導入期の投与サイクルに続いて1回又は複数回の維持期の投与サイクルで更に投与される、実施形態437又は438に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1204】
440.タキサン及び白金薬剤が、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、実施形態439に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1205】
441.導入期の投与サイクル、及び/又は、1回又は複数回の維持期の投与サイクルのそれぞれの長さが21日間である、実施形態437~410のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1206】
442.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約300mg~約800mgの固定用量で投与される、実施形態417~423のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1207】
443.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約400mg~約500mgの固定用量で投与される、実施形態442に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1208】
444.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与される、実施形態443に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1209】
445.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約200mg~約1200mgの固定用量で投与される、実施形態417~423及び442~444のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1210】
446.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約800mg~約1000mgの固定用量で投与される、実施形態445に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1211】
447.PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態446に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1212】
448.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、2週間ごとに約420mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、2週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態447に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1213】
449.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、1回又は複数回の維持期の投与サイクルで更に投与され、タキサン及び白金薬剤が、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、実施形態442~448のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1214】
450.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約700mg~約1000mgの固定用量で投与される、実施形態417~423のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1215】
451.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約800mg~約900mgの固定用量で投与される、実施形態450に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1216】
452.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与される、実施形態451に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1217】
453.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約400mg~約2000mgの固定用量で投与される、実施形態417~423及び450~452のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1218】
454.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1600mg~約1800mgの固定用量で投与される、実施形態453に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1219】
455.PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、実施形態454に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1220】
456.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、4週間ごとに約840mgの固定用量で投与され、PD-1軸結合アンタゴニストが、4週間ごとに約1680mgの固定用量で投与される、実施形態455に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1221】
457.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが、1回又は複数回の維持期の投与サイクルで更に投与され、タキサン及び白金薬剤が、1回又は複数回の維持期の投与サイクルの各々から省略される、実施形態450~456のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1222】
458.タキサンが、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される、実施形態442~457のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1223】
459.白金薬剤が、1週間ごとに1回、2週間ごとに1回、3週間ごとに1回、3週間ごとに2回、4週間ごとに1回、4週間ごとに2回、又は4週間ごとに3回投与される、実施形態442~458のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1224】
460.実施形態417~459のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の超可変領域(HVR):
SNSAAWN(配列番号1)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
KTYYRFKWYSDYAVSVKG(配列番号2)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
ESTTYDLLAGPFDY(配列番号3)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
KSSQTVLYSSNNKKYLA(配列番号4)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
WASTRES(配列番号5)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYYSTPFT(配列番号6)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1225】
461.実施形態460に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の軽鎖可変領域フレームワーク領域(FR):
DIVMTQSPDSLAVSLGERATINC(配列番号7)のアミノ酸配列を含むFR-L1;
WYQQKPGQPPNLLIY(配列番号8)のアミノ酸配列を含むFR-L2;
GVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYC(配列番号9)のアミノ酸配列を含むFR-L3;及び
FGPGTKVEIK(配列番号10)のアミノ酸配列を含むFR-L4を更に含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1226】
462.実施形態460又は461に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、以下の重鎖可変領域FR:
X1VQLQQSGPGLVKPSQTLSLTCAISGDSVS(配列番号11)のアミノ酸配列を含むFR-H1(配列中、X1はE又はQである);
WIRQSPSRGLEWLG(配列番号12)のアミノ酸配列を含むFR-H2;
RITINPDTSKNQFSLQLNSVTPEDTAVFYCTR(配列番号13)のアミノ酸配列を含むFR-H3;及び
WGQGTLVTVSS(配列番号14)のアミノ酸配列を含むFR-H4を更に含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1227】
463.X1がEである、実施形態462に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1228】
464.X1がQである、実施形態462に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1229】
465.実施形態460~464のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号19のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1230】
466.実施形態417~465のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤であって、抗TIGITアンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号17又は18のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
(b)配列番号19のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1231】
467.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態417~466のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1232】
468.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗体である、実施形態467に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1233】
469.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、実施形態417~468のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1234】
470.抗TIGITアンタゴニスト抗体がインタクトなFc媒介エフェクター機能を有する、実施形態417~459及び467~469のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1235】
471.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチグリマブ、EOS084448、SGN-TGT、又はTJ-T6である、実施形態470に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1236】
472.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブである、実施形態417~463及び465~471のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1237】
473.抗TIGITアンタゴニスト抗体が増強されたFc媒介エフェクター機能を有する、実施形態417~459及び467~469のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1238】
474.抗TIGITアンタゴニスト抗体がSGN-TGTである、実施形態417~459、467~471、及び473のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1239】
475.抗TIGITアンタゴニスト抗体がFc媒介エフェクター機能を有さない、実施形態417~459及び467~469のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1240】
476.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ドムバナリマブ、BMS-986207、ASP8374又はCOM902である、実施形態417~459、467~469、及び475のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1241】
477.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるTIGITに結合する抗体フラグメントである、実施形態417~468のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1242】
478.抗TIGITアンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体である、実施形態417~459及び467~476のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1243】
479.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態478に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1244】
480.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、チラゴルマブ、ビボストリマブ、エチグリマブ、EOS084448、SGN-TGT、TJ-T6、BGB-A1217、AB308、ドムバナリマブ又はBMS-986207である、実施形態479に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1245】
481.抗TIGITアンタゴニスト抗体がチラゴルマブである、実施形態480に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1246】
482.IgGクラス抗体がIgG4サブクラス抗体である、実施形態478に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1247】
483.抗TIGITアンタゴニスト抗体が、ヒト抗ASP8374又はCOM902である、実施形態482に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1248】
484.PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストである、実施形態417~483のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1249】
485.PD-L1結合アンタゴニストが抗PD-L1アンタゴニスト抗体である、実施形態484に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1250】
486.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、MSB0010718C、MDX-1105又はMEDI4736である、実施形態417~485のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1251】
487.抗PD-L1アンタゴニスト抗体がアテゾリズマブである、実施形態486に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1252】
488.PD-1結合アンタゴニストが抗PD-1アンタゴニスト抗体である、実施形態487に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1253】
489.抗PD-1アンタゴニスト抗体が、ニボルマブ(MDX-1106)、ペムブロリズマブ(MK-3475)、又はAMP-224である、実施形態488に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1254】
490.実施形態417~485のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、以下のHVR:
GFTFSDSWIH(配列番号20)のアミノ酸配列を含むHVR-H1配列;
AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHVR-H2配列;
RHWPGGFDY(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHVR-H3配列;
RASQDVSTAVA(配列番号23)のアミノ酸配列を含むHVR-L1配列;
SASFLYS(配列番号24)のアミノ酸配列を含むHVR-L2配列;及び
QQYLYHPAT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むHVR-L3配列を含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1255】
491.実施形態490に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
(a)配列番号26のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変(VH)ドメイン;
(b)配列番号27のアミノ酸配列に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変(VL)ドメイン;又は
(c)(a)に記載のVHドメインと(b)に記載のVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1256】
492.実施形態417~491のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤であって、抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、
配列番号26のアミノ酸配列を含むVHドメイン;及び
配列番号27のアミノ酸配列を含むVLドメインを含む、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1257】
493.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、モノクローナル抗体である、実施形態490~492のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1258】
494.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、ヒト化抗体である、実施形態493に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1259】
495.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、完全長抗体である、実施形態493又は494に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1260】
496.抗PD-L1アンタゴニスト抗体が、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、一本鎖可変フラグメント(scFv)、及び(Fab’)2フラグメントからなる群から選択されるPD-L1に結合する抗体フラグメントである、実施形態490~494のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1261】
497.抗PD-L1アンタゴニスト抗体がIgGクラス抗体である、実施形態490~494のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1262】
498.IgGクラス抗体がIgG1サブクラス抗体である、実施形態497に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1263】
499.タキサンが、パクリタキセル又はnab-パクリタキセルである、実施形態417~498のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1264】
500.タキサンが、パクリタキセルである、実施形態499に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1265】
501.白金薬剤が、シスプラチン又はカルボプラチンである、実施形態417~500のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1266】
502.白金薬剤が、シスプラチンである、実施形態501に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1267】
503.方法が、抗TIGITアンタゴニスト抗体の前に、PD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、実施形態417~502のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1268】
504.方法が、PD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第1の観察期間及び抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第2の観察期間を含む、実施形態503に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1269】
505.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態504に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1270】
506.方法が、PD-1軸結合アンタゴニストの前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む、実施形態417~502のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1271】
507.方法が、抗TIGITアンタゴニスト抗体の投与後の第1の観察期間及びPD-1軸結合アンタゴニストの投与後の第2の観察期間を含む、実施形態506に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1272】
508.第1の観察期間及び第2の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態507に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1273】
509.方法が、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストを対象に同時に投与することを含む、実施形態417~502のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1274】
510.タキサン又は白金薬剤の前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが投与される、実施形態417~510のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1275】
511.タキサン及び白金薬剤の前に、抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが投与される、実施形態510に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1276】
512.方法が、白金薬剤の前に、タキサンを対象に投与することを含む、実施形態511に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1277】
513.方法が、タキサンの投与後の第3の観察期間及び白金薬剤の投与後の第4の観察期間を含む、実施形態512に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1278】
514.第3の観察期間及び第4の観察期間がそれぞれ、約30分~約60分の長さである、実施形態513に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1279】
515.方法が、抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤を対象に静脈内投与することを含む、実施形態417~514のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1280】
516.方法が、60±10分間にわたる静脈内注入によって抗TIGITアンタゴニスト抗体を対象に投与することを含む、実施形態515に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1281】
517.方法が、60±15分間にわたる静脈内注入によってPD-1軸結合アンタゴニストを対象に投与することを含む、実施形態515又は516に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1282】
518.方法が、3時間±30分間にわたる静脈内注入によってタキサンを対象に投与することを含む、実施形態515~517のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1283】
519.方法が、1~4時間にわたる静脈内注入によって白金薬剤を対象に投与することを含む、実施形態515~518のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1284】
520.対象から得られたESCC腫瘍試料が、PD-L1の検出可能な発現レベルを有することが決定されている、実施形態417~519のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1285】
521.検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1タンパク質発現レベルである、実施形態520に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1286】
522.PD-L1の検出可能なタンパク質発現レベルが免疫組織化学(IHC)アッセイによって決定されている、実施形態521に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1287】
523.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263、22C3、SP142、又は28-8が使用される、実施形態522に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1288】
524.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP263が使用される、実施形態523に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1289】
525.IHCアッセイがVentana SP263Companion Diagnostic(CDx)アッセイである、実施形態524に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1290】
526.ESCC腫瘍試料が、1%以上の腫瘍及び腫瘍関連免疫細胞(TIC)スコアを有すると決定されている、実施形態525に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1291】
527.TICスコアが、10%以上である、実施形態526に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1292】
528.ESCC腫瘍試料が10%未満のTICスコアを有すると決定されている、実施形態525又は526に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1293】
529.TICスコアが、10%以上50%未満である、実施形態527に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1294】
530.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体22C3が使用される、実施形態523に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1295】
531.IHCアッセイがpharmDx 22C3 IHCアッセイである、実施形態530に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1296】
532.ESCC腫瘍試料が、10以上の複合陽性スコア(CPS)又は1%以上のTPSを有すると決定されている、実施形態531に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1297】
533.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体SP142が使用される、実施形態523に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1298】
534.IHCアッセイがVentana SP142 IHCアッセイである、実施形態533に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1299】
535.IHCアッセイに、抗PD-L1抗体28-8が使用される、実施形態523に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1300】
536.IHCアッセイがpharmDx 28-8 IHCアッセイである、実施形態535に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1301】
537.検出可能なPD-L1発現レベルが、検出可能なPD-L1核酸発現レベルである、実施形態520に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1302】
538.PD-L1の検出可能な核酸発現レベルは、RNA-seq、RT-qPCR、qPCR、マルチプレックスqPCR若しくはRT-qPCR、マイクロアレイ解析、SAGE、MassARRAY技術、ISH、又はそれらの組み合わせによって決定されている、実施形態537に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1303】
539.進行性のESCCが、局所進行性ESCCである、実施形態417~538のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1304】
540.進行性のESCCが、再発性又は転移性ESCCである、実施形態417~539のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1305】
541.進行性のESCCが、切除不能ESCCである、実施形態417~540のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1306】
542.治療が、約8ヶ月以上の無増悪生存期間(PFS)をもたらす、実施形態417~541のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1307】
543.治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いる治療と比較して、対象のPFSの増加をもたらす、実施形態417~542のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1308】
544.治療が、対象又は対象集団のPFSを少なくとも約2ヶ月又は約4ヶ月延長させる、実施形態543に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1309】
545.治療が、約6ヶ月~約10ヶ月の対象集団のPFS中央値をもたらす、実施形態544に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1310】
546.治療が、約18ヶ月以上の全生存期間(OS)をもたらす、実施形態417~545のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1311】
547.治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いる治療と比較して、対象のOSの増加をもたらす、実施形態417~546のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1312】
548.治療が、対象又は対象集団のOSを少なくとも約4ヶ月又は約6ヶ月延長させる、実施形態547に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1313】
549.治療が、約14ヶ月~約20ヶ月の対象集団のOS中央値をもたらす、実施形態547に記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1314】
550.治療が、PD-1軸結合アンタゴニスト及び抗TIGITアンタゴニスト抗体を用いずにタキサン及び白金薬剤を用いる治療と比較して、対象における客観的奏効期間(DOR)の増加をもたらす、実施形態417~549のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1315】
551.治療が、完全奏効又は部分奏効をもたらす、実施形態417~550のいずれか一つに記載の使用のための抗TIGITアンタゴニスト抗体、PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤。
【1316】
552.PD-1軸結合アンタゴニスト、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて進行性のESCCを有する対象を治療するための医薬の製造における抗TIGITアンタゴニスト抗体の使用であって、治療が実施形態261~395のいずれか一つに記載の方法による、使用。
【1317】
553.抗TIGITアンタゴニスト抗体、タキサン、及び白金薬剤と組み合わせて進行性のESCCを有する対象を治療するための医薬の製造におけるPD-1軸結合アンタゴニストの使用であって、治療が実施形態261~395のいずれか一つに記載の方法による、使用。
【1318】
554.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが別々に製剤化される、実施形態552又は553に記載の使用。
【1319】
555.抗TIGITアンタゴニスト抗体及びPD-1軸結合アンタゴニストが一緒に製剤化される、実施形態552又は553に記載の使用。
【1320】
上述の発明を、理解を明確にする目的で、説明及び実施例によって、ある程度詳細に説明してきたが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。本明細書に引用される全ての特許及び科学文献の開示は、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
【配列表】
【誤訳訂正書】
【提出日】2023-03-16
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0540
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0540】
いくつかの例では、パクリタキセルは、本発明の方法の一部として投与される。パクリタキセルは、以下の構造:
を有し得る。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0545
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0545】
本明細書に記載の方法で使用される例示的な白金薬剤はシスプラチンであり、これは以下の構造:
を有する。
【国際調査報告】