(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-24
(54)【発明の名称】アミノシリコーン、顔料およびアルキルポリグリコシドを含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/60 20060101AFI20230714BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20230714BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20230714BHJP
A61Q 5/10 20060101ALI20230714BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230714BHJP
【FI】
A61K8/60
A61K8/46
A61K8/898
A61Q5/10
A61K8/73
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577682
(86)(22)【出願日】2021-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2021065138
(87)【国際公開番号】W WO2021254804
(87)【国際公開日】2021-12-23
(31)【優先権主張番号】102020207602.2
(32)【優先日】2020-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】クルック,コンスタンツェ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルビヒ,ザンドラ
(72)【発明者】
【氏名】モッホ,メラニー
(72)【発明者】
【氏名】ケスラー-ベッカー,ダニエラ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB282
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC152
4C083AC182
4C083AC422
4C083AC491
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC851
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD391
4C083AD392
4C083BB21
4C083BB53
4C083CC36
4C083DD31
4C083EE26
4C083FF05
(57)【要約】
本発明の主題は、(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド、(a2)少なくとも1つの顔料、および(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマーを含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド、
(a2)少なくとも1つの顔料、および
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤。
【請求項2】
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシドは、式(APG-1):
[式中、
Zは、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースからなる群からの糖成分であり、
xは、1~10の数、好ましくは1~5の数であり、
nは、7~29の数、好ましくは7~21の数、より好ましくは11~21の数、最も好ましくは11~17の数である]
で示されるアルキル(ポリ)グリコシドを含むことを特徴とする、請求項1に記載の剤。
【請求項3】
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシドは、式(APG-2):
[式中、
xは、1~10の数、好ましくは1~5の数であり、
nは、7~29の数、好ましくは7~21の数、より好ましくは11~21の数、最も好ましくは11~17の数である]
で示されるアルキル(ポリ)グルコシドを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の剤。
【請求項4】
製剤の総重量に基づいて、0.1~20.0重量%、好ましくは0.5から15.0重量%、より好ましくは1.0~10.0重量%、さらに好ましくは1.5~8.0重量%、非常に特に好ましくは2.0~6.0重量%の総量で1以上のアルキル(ポリ)グリコシド(a1)を含むことを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の剤。
【請求項5】
少なくとも1つの無機顔料(a2)、好ましくは、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫酸化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料の群から、および/または、少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された有色の雲母若しくは雲母ベース顔料から選択される、少なくとも1つの無機顔料(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の剤。
【請求項6】
少なくとも1つの有機顔料(a2)、好ましくは、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスナンバーがCl42090、CI69800、CI69825、CI73000、CI74100、CI74160の青色顔料、カラーインデックスナンバーがCI11680、CI11710、CI15985、CI19140、CI20040、CI21100、CI21108、CI47000、CI47005の黄色顔料、カラーインデックスナンバーがCI61565、CI61570、CI74260の緑色顔料、カラーインデックスナンバーがCI11725、CI15510、CI45370、CI71105の橙色顔料、カラーインデックスナンバーがCI12085、CI12120、CI12370、CI12420、CI12490、CI14700、CI15525、CI15580、CI15620、CI15630、CI15800、CI15850、CI15865、CI15880、CI17200、CI26100、CI45380、CI45410、CI58000、CI73360、CI73915および/またはCI75470の赤色顔料からなる群から選択される、少なくとも1つの有機顔料(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の剤。
【請求項7】
製剤の総重量に基づいて、0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、非常に特に好ましくは0.25~1.5重量%の総量で1つまたは複数の顔料(a2)を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の剤。
【請求項8】
(a3)少なくとも1つの第二級アミノ基を有する少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の剤。
【請求項9】
式(Si-アミノ):
[式中、
ALK1およびALK2は、独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表す]
で示される少なくとも1つの構造単位を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマーを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の剤。
【請求項10】
式(Si-I)で示される構造単位および式(Si-II)で示される構造単位:
を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマーを含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の剤。
【請求項11】
製剤の総重量に基づいて、0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、非常に特に好ましくは0.4~2.5重量%の総量で1以上のアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の剤。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の剤をケラチン繊維に塗布し、必要に応じて、30秒~45分間の曝露時間後に再度すすぐ、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法。
【請求項13】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、以下の工程:
(1)(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド、および
(a2)少なくとも1つの顔料
を含む剤(I)を提供すること、
(2)(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む剤(II)を提供すること、
(3)剤(I)と剤(II)を混合して適用混合物を調製すること、
(4)工程(3)で調製した適用混合物をケラチン物質に塗布すること、
(5)工程(4)で塗布された適用混合物をケラチン物質に暴露すること、
(6)適用混合物を水で洗い流すこと、
ここで、成分(a1)、(a2)および(a3)は請求項1~11で定義される、
を含む、方法。
【請求項14】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、以下の工程:
(1)(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド、および
(a2)少なくとも1つの顔料
を含む剤(I)を提供すること、
(2)水性化粧品担体調製物である剤(II)を提供すること、
(3)(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む剤(III)を提供すること、
(4)剤(I)と剤(II)と剤(III)とを混合して適用混合物を調製すること、
(5)工程(4)で調製した適用混合物をケラチン物質に塗布すること、
(6)工程(5)で塗布された適用混合物をケラチン物質に暴露すること、
(7)適用混合物を水で洗い流すこと、
ここで、成分(a1)、(a2)および(a3)は請求項1~11で定義される、
を含む、方法。
【請求項15】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、以下の工程:
(1)(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド
を含む剤(I)を提供すること、
(2)(a2)少なくとも1つの顔料
を含む剤(II)を提供すること、
(3)(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む剤(III)を提供すること、
(4)剤(I)と剤(II)と剤(III)とを混合して適用混合物を調製すること、
(5)工程(4)で調製した適用混合物をケラチン物質に塗布すること、
(6)工程(5)で塗布された適用混合物をケラチン物質に暴露すること、
(7)適用混合物を水で洗い流すこと、
ここで、成分(a1)、(a2)および(a3)は請求項1~11で定義される、
を含む、方法。
【請求項16】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分包装ユニット(キット)であって、別個に包装された、
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド、および、
(a2)少なくとも1つの顔料
を含む剤(I)を含む第1の容器、
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む剤(II)を含む第2の容器、
ここで成分(a1)、(a2)および(a3)は請求項1~11で定義される、
を含む、多成分包装ユニット。
【請求項17】
別個に包装された、
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド
を含む剤(I)を含む第1の容器、
(a2)少なくとも1つの顔料
を含む剤(II)を含む第2の容器、
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む剤(III)を含む第3の容器、
ここで成分(a1)、(a2)および(a3)は請求項1~11で定義される、
を含む、多成分包装ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド(a1)、少なくとも1つの顔料(a2)、および少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための剤である。
【0002】
本願のさらなる対象は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法であって、アルキル(ポリ)グリコシド(a1)、顔料(a2)およびアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む種々の剤を混合することにより即用染色剤が最初に調製される方法である。これらの即用剤をケラチン繊維に塗布し、作用させた後、再度洗い流す。
【0003】
本願のさらなる対象は、異なる容器に別々に包装された剤(I)、(II)および場合により(III)を含む多成分包装ユニットであり、前記剤は、アルキル(ポリ)グリコシド(a1)、顔料(a2)、およびアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む。
【背景技術】
【0004】
ケラチン物質、特にヒトの毛髪の形状および色を変えることは、現代の化粧品の重要な分野である。毛髪の色を変えるため、専門家には、着色の要求に応じた様々なカラーリング系が知られている。良好な堅牢性および良好な白髪カバー性を伴った長期的な強い染色のためには、通常、酸化染料が使用される。このような着色剤は通常、酸化染料前駆物質(いわゆる顕色成分)および発色成分を含み、これらは、過酸化水素などの酸化剤の影響を受けて、互いに実際の染料を生成する。酸化染料は、非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0005】
直接染料を使う場合、既に調製された染料が着色剤から毛髪繊維に拡散する。酸化染毛と比べて、直接染料を用いて得られた染色物は、色の保持時間が短く、より迅速な洗浄性を有する。直接染料による染色は通常、5~20回の洗浄の間、毛髪に残留する。
【0006】
毛髪および/または皮膚の色を短期間変えるため、着色顔料の使用が知られている。着色顔料は、不溶性の着色物質と理解されている。着色顔料は、小粒子として染料組成物中に溶解せずに存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚の表面にもっぱら付着する。従って、着色顔料は通常、界面活性剤を含む洗剤で数回洗えば、残留することなく除去され得る。このタイプの製品は、ヘアマスカラの名称で様々なものが市販されている。
【0007】
ユーザーが特に長持ちする染色を望む場合、これまでのところ、酸化染料の使用が唯一の選択肢であった。しかしながら、多くの最適化の試みにもかかわらず、酸化的染毛剤では不快なアンモニア臭またはアミン臭を完全に回避することはできない。酸化染料の使用に関連する毛髪の損傷も、ユーザーの毛髪に悪影響を及ぼす。したがって、未だ存在する課題は、代替の高性能染色剤および染色方法の探索である。近年、特に、着色剤系の染色方法に注目が集まっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、顔料を極めて耐久性よく毛髪に定着させることができる着色剤を提供することであった。この剤を染色工程で使用する場合、良好な洗浄堅牢性、良好なレベリング性、および特に均一な色調結果を伴う、特に強い染色結果が達成されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
驚くべきことに、ケラチン繊維、特に毛髪を、少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド(a1)、少なくとも1つの顔料(a2)および少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む剤で染色する場合に、前記課題を見事に解決し得ることが今回明らかになった。
【0010】
本発明の第1の対象は、
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド、
(a2)少なくとも1つの顔料、および
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色するための剤である。
【0011】
本発明に至る研究の過程で、顔料または色素を、少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシドおよび少なくとも1つのアミノシリコーンと混合してケラチン物質、特にヒト毛に適用する場合に、特に良好な着色結果が得られることが見出された。特に、染色された毛髪の洗浄堅牢性が改善された。さらに、染色は、特に高い均一性によっても特徴づけられた。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<ケラチン物質>
ケラチン物質は、毛髪、皮膚、爪(例えば、手指の爪および/または足指の爪)を包含する。羊毛、毛皮および羽毛も、ケラチン物質の定義に含まれる。
【0013】
好ましくは、ケラチン物質は、ヒトの毛髪、ヒトの皮膚およびヒトの爪(特に、手指の爪および足指の爪)であると理解される。ケラチン物質は、ヒトの毛髪であると理解される。
【0014】
<着色剤>
用語「着色剤」は、本発明の文脈において、顔料を用いて引き起こされるケラチン物質、特に毛髪の着色について使用される。この着色工程において、顔料は、着色化合物として、ケラチン物質の表面上に特に均質かつ均一なフィルムで沈着される。
【0015】
本発明によれば、着色剤は即用の剤を表す。この即用剤は、例えば、容器に充填され、さらなる希釈、混合又は他の処理工程なしに、この形態でケラチン物質に塗布することができる。しかしながら、保存安定性の理由から、即用の化粧用製剤が、塗布のすぐ直前に美容師またはユーザーによって調製されることが特に好ましいことが判明している。即用剤の調製のために、例えば、アルキル(ポリ)グリコシド(a1)および顔料(a2)の混合または予備分散が1以上のさらなる剤と共に実施されてよく、これらのさらなる剤の1つは少なくともアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むものである。しかしながら、即用剤が、少なくとも3つの異なる剤を混合することによって調製され、これらの剤の1つが少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド(a1)、別の剤が少なくとも1つの顔料(a2)およびさらに別の剤が少なくともアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことも、同様に考えられる。剤は、例えば、振とうにより混合することができ、これにより分散された顔料の特に均一な分布を確保することができる。
【0016】
すなわち、本願の第1の主題は、化粧品用担体中に、
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド、
(a2)少なくとも1つの顔料、および、
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色するための剤である。
【0017】
<アルキル(ポリ)グリコシド>
本発明に必須の第1成分(a1)として、本剤は少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシドを含む。アルキル(ポリ)グリコシドは、一方では、剤中で顔料の特に良好で微細な分散を生じることが観察された。この微細な粒子分散は、特に均一な着色結果をもたらす。他方で、アルキル(ポリ)グリコシド(a1)と顔料(a2)とアミノシリコーン(a3)の組み合わせは、特に良好な洗浄堅牢性を有する染色をもたらすことも見出された。
【0018】
アルキル(ポリ)グリコシド(APG)は、再生可能な原料(例えばコーンスターチ由来の、糖の構成ブロック、グルコース、および、例えばココナッツオイル由来の脂肪アルコール)から完全に製造される非イオン性界面活性剤である。アルキルポリグリコシドは、糖、特にグルコース(またはデンプン)の、またはブチルグリコシドと脂肪アルコールとの酸触媒反応(フィッシャー反応)により入手可能である。
【0019】
アルキルモノグルコシド(アルキル-α-d-および-β-d-グルコピラノシド、ならびに微量の-グルコフラノシド)、アルキルジグルコシド(-イソマルトシド、-マルトシドなど)およびアルキロリゴグルコシド(-マルトトリオシド、-テトラオシドなど)の複雑な混合物が形成される。アルキル基がC8-C16の範囲にある市販の平均重合度は1.2~1.5である。
【0020】
1分子の糖成分と1分子の脂肪アルコールとを反応させて得られるアルキルモノグリコシドは、代替的にアルキルグリコシドと呼ばれることもある。糖の構成ブロックの割合が1より大きい場合、それらは本発明の意味でのアルキルポリグリコシドである。したがって、括弧でのアルキル(ポリ)グリコシドという用語は、アルキルモノグリコシドと対応するオリゴマーまたはポリマー化合物であるアルキルポリグリコシドとの混合物をいう。
【0021】
すなわち、本発明の第1の対象は、
(a1)少なくとも1つのアルキルポリグリコシド
(a2)少なくとも1つの顔料、および
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含むことを特徴とする、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色するための剤である。
【0022】
本発明の課題を解決するために特に適当なものは、式(APG-1):
[式中、
Zは、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースからなる群からの糖成分であり、
xは、1~10の数、好ましくは1~5の数であり、
nは、7~29の数、好ましくは7~21の数、さらに好ましくは11~21の数、最も好ましくは11~17の数である]
で示されるアルキル(ポリ)グリコシドである。
【0023】
基Zは、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースからなる群から選ばれる糖成分を表す。
【0024】
式(APG-1)中には、いくつかの糖構成単位が存在し、その数は値xに対応する。指数xが1より大きい値をとるとき、式(APG-1)中に複数の糖構成単位が存在する。原則として、各式(APG-1)には異なる糖成分も含まれ得る(例えば、x=2の場合、Zはグルコースおよびフルクトースを表してもよい)。したがって、糖構成単位Zとして、任意の単糖またはオリゴ糖が使用され得る。通常は、5または6個の炭素原子を有する糖およびそれに対応するオリゴ糖が使用される。そのような糖としては、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースが挙げられる。
【0025】
指数xは、1~10の数を表し、好ましくは1~5の数を表す。
【0026】
指数nは、アルキル(ポリ)グリコシドのアルキル鎖の長さを特徴づける。nは、7~29の数を表し、好ましくは7~21の数を表し、さらに好ましくは11~21の数を表し、最も好ましくは11~17の数を表す。アルキル鎖の全長はn+1である。
【0027】
したがって、さらなる実施形態において、特に好ましい剤は、
(a1)式(APG-1):
[式中、
Zは、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、リボース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、グロース、イドース、タロースおよびスクロースからなる群からの糖成分であり、
xは、1~10の数、好ましくは1~5の数であり、
nは、7~29の数、好ましくは7~21の数、さらに好ましくは11~21の数、最も好ましくは11~17の数である]
で示される少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシドを含むことを特徴とする。
【0028】
本発明によれば、一般式RO-(Z)x(式中、Rはアルキルであり、Zは糖であり、xは糖単位の数である)に対応するアルキルポリグリコシド。特に好ましくは、Rが、
・C8およびC10アルキル基からなる(すなわち、式(APG-1)において、nは7~9の整数である)、または
・C12およびC14アルキル基からなる(すなわち、式(APG-1)において、nは11~13の整数である)、または
・C8~C18アルキル基からなる(すなわち、式(APG-1)において、nは7~17の整数である)、または
・C12~C16アルキル基からなる(すなわち、式(APG-1)において、nは11~15の整数である)、または
・C16~C18アルキル基からなる(すなわち、式(APG-1)において、nは15~17の整数である)、アルキルポリグリコシドである。
【0029】
好ましい糖成分は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、アラビノース、およびスクロースである。Zがグルコースを表す場合が特に好ましい。この場合、本発明の剤は、アルキル(ポリ)グルコシドを含む。
【0030】
非常に好ましいのは、一般式(APG-2):
[式中、
xは、1~10の数、好ましくは1~5の数であり、
nは、7~29の数、好ましくは7~21の数、さらに好ましくは11~21の数、最も好ましくは11~17の数である]
で示されるアルキル(ポリ)グルコシドである。
【0031】
式(APG-2)において、指数xは1~10の数を表し、好ましくは1~5の数を表す。
【0032】
指数nは、7~29の数、好ましくは7~21の数、さらに好ましくは11~21の数、最も好ましくは11~17の数である。
【0033】
したがって、さらなる実施形態において、本発明の特に好ましい剤は、
(a1)式(APG-2):
[式中、
xは、1~10の数、好ましくは1~5の数であり、
nは、7~29の数、好ましくは7~21の数、さらに好ましくは11~21の数、最も好ましくは11~17の数である]
で示される少なくとも1つのアルキル(ポリ)グルコシドを含むことを特徴とする。
【0034】
本発明に従い使用され得るアルキルポリグリコシドは、平均して1.1~5個の糖単位を含む。1.1~2.0のx値を有するアルキルポリグリコシドが好ましい。xが平均1.1~1.8であるアルキルグリコシドが特に好ましい。
【0035】
非常に特に好ましいアルキルポリグルコシドは、そのアルキル基がラウリル基であるものである。天然資源からの物質混合物の場合、C12脂肪酸、特にヤシ脂肪酸の高い割合を有するこれらの資源が好ましい。従って、本発明の特に好ましい剤は、式(APG-2):
[式中、
xは、1.1~1.8の数、非常に好ましくは1.2~1.5の数であり、
nは、数11である]
で示される少なくとも1つのアルキル(ポリ)グルコシドを含むことを特徴とする。
【0036】
このタイプの特に適当なアルキル(ポリ)グルコシドは、例えば、CAS番号110615-47-9を有し、BASF社からPlantacare 1200UP、Plantaren 1200UP、およびPlantaren 1200Nの商品名の下、商業的に入手できるラウリルグルコシドである。
【0037】
本発明の剤中の顔料(a2)の特に微細な分散を確保するために、アルキル(ポリ)グリコシド(a1)は、ある特定の量範囲で使用されることが好ましい。したがって、剤が、剤の総重量に基づいて、0.1~20.0重量%、好ましくは0.5~15.0重量%、さらに好ましくは1.0~10.0重量%、さらにより好ましくは1.5~8.0重量%、最も好ましくは2.0~6.0重量の総量で1以上のアルキル(ポリ)グリコシド(a1)を含むことが特に有利であることが判明した。
【0038】
別の特に好ましい実施形態では、本発明の剤は、剤の総重量に基づいて、0.1~20.0重量%、好ましくは0.5~15.0重量%、より好ましくは1.0~10.0重量%、さらに好ましくは1.5~8.0重量%、非常に特に好ましくは2.0~6.0重量%の総量で1以上のアルキル(ポリ)グリコシド(a1)を含むことを特徴とする。
【0039】
さらなる特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、剤の総重量に基づいて、0.1~20.0重量%、好ましくは0.5~15.0重量%、より好ましくは1.0~10.0重量%、さらにより好ましくは1.5~8.0重量%、非常に特に好ましくは2.0~6.0重量%の総量で1以上のアルキルポリグルコシド(a1)を含むことを特徴とする。
【0040】
<顔料(a2)>
第2の必須成分として、本発明の剤は、少なくとも1つの顔料(a2)を含む。本発明の意味における顔料は、25℃での水への溶解度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、更に好ましくは0.05g/L未満の着色化合物である。水への溶解度は、例えば、下記方法により測定できる:0.5gの顔料をビーカーに秤取する。ビーカーガラスを加える。次いで、1Lの蒸留水を添加する。この混合物をマグネチックスターラーで撹拌しながら25℃で1時間加熱する。この時間が経過しても顔料の未溶解成分が混合物中に見える場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。微細に分散した顔料の強度が高いために、顔料-水混合物を視覚的に評価できない場合は、混合物をろ過する。未溶解顔料がろ紙上に残留する場合は、その顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0041】
適当な着色顔料は、無機起源および/または有機起源であってよい。
【0042】
好ましい実施形態において、本発明の剤は、無機顔料および/または有機顔料からなる群からの少なくとも1つの着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0043】
好ましい着色顔料は、合成または天然の無機顔料から選択される。天然起源の無機着色顔料は、例えば、チョーク、黄土、アンバー、緑土、焼成テーラ・ディ・シエナまたはグラファイトから調製できる。また、黒色酸化鉄などの黒色顔料、ウルトラマリンまたは赤色酸化鉄などの有色顔料、および蛍光顔料または燐光顔料を、無機着色顔料として使用できる。
【0044】
有色の金属酸化物、金属水酸化物および金属酸化物水和物、混合相顔料、硫黄含有ケイ酸塩、ケイ酸塩、金属硫酸化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、クロム酸塩および/またはモリブデン酸塩が特に適している。好ましい着色顔料は、黒色酸化鉄(CI77499)、黄色酸化鉄(CI77492)、赤色および褐色酸化鉄(CI77491)、マンガンバイオレット(CI77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、pigment blue 29)、酸化クロム水和物(CI77289)、紺青(フェロシアン化鉄、CI77510)および/またはカルミン(コチニール)である。
【0045】
本発明では、着色真珠光沢顔料もまた、特に好ましい着色顔料である。これらは通常、雲母および/または雲母ベースであり、1以上の金属酸化物で被覆されている場合がある。雲母は層状ケイ酸塩に属する。これらのケイ酸塩の最も重要な代表例は、白雲母、金雲母、ソーダ雲母、黒雲母、鱗雲母およびマーガライトである。金属酸化物と組み合わせた真珠光沢顔料を製造するためには、白雲母または金雲母などの雲母を金属酸化物で被覆する。
【0046】
天然の雲母の代替品として、1以上の金属酸化物で被覆された合成雲母を真珠光沢顔料として使用できる。特に好ましい真珠光沢顔料は、天然または合成の雲母(マイカ)をベースとし、上記した金属酸化物の1以上で被覆されたものである。金属酸化物の層の厚さを変えることで、それぞれの顔料の色を変えることができる。
【0047】
別の好ましい実施形態において、本発明の剤は、少なくとも1つの無機顔料(a2)、好ましくは、有色の金属酸化物、金属水酸化物、金属酸化物水和物、ケイ酸塩、金属硫酸化物、複合金属シアン化物、金属硫酸塩、ブロンズ顔料からなる群から、および/または少なくとも1つの金属酸化物および/または金属酸塩化物で被覆された有色の雲母または雲母ベース顔料から選択される、少なくとも1つの無機顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0048】
別の好ましい実施形態において、本発明の剤は、二酸化チタン(CI 77891)、黒色酸化鉄(CI 77499)、黄色酸化鉄(CI 77492)、赤色および/または褐色酸化鉄(CI 77491、CI 77499)、マンガンバイオレット(CI 77742)、ウルトラマリン(スルホケイ酸アルミニウムナトリウム、CI 77007、Pigment Blue 29)、酸化クロム水和物(CI 77289)、酸化クロム(CI 77288)および/または紺青(フェロシアン化鉄、CI 77510)からなる群から選択される1以上の金属酸化物と反応させた雲母または雲母ベース顔料から選択される顔料からの、少なくとも1つの着色化合物(a2)を含むことを特徴とする。
【0049】
特に適当な着色顔料の例は、Merck社からRona(登録商標)、Colorona(登録商標)、Xirona(登録商標)、Dichrona(登録商標)およびTimiron(登録商標)の商品名で、Sensient社からAriabel(登録商標)およびUnipure(登録商標)の商品名で、Eckart Cosmetic Colors社からPrestige(登録商標)の商品名で、Sunstar社からSunshine(登録商標)の商品名で市販されている。
【0050】
商品名がColorona(登録商標)の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Colorona Copper,Merck,雲母,CI77491(酸化鉄)
Colorona Passion Orange,Merck,Mica,CI77491(酸化鉄),アルミナ
Colorona Patina Silver,Merck,雲母,CI77499(酸化鉄),CI77891(二酸化チタン)
Colorona RY,Merck,CI 77891(二酸化チタン),雲母,CI75470(カーマイン)
Colorona Oriental Beige,Merck,雲母,CI77891(二酸化チタン),CI77491(酸化鉄)
Colorona Dark Blue,Merck,雲母,二酸化チタン,フェロシアン化鉄
Colorona Chameleon,Merck,CI77491(酸化鉄),雲母
Colorona Aborigine Amber,Merck,雲母,CI77499(酸化鉄),CI77891(二酸化チタン)
Colorona Blackstar Blue,Merck,CI77499(酸化鉄),雲母
Colorona Patagonian Purple,Merck,雲母,CI77491(酸化鉄),CI77891(二酸化チタン),CI77510(フェロシアン化鉄)
Colorona Red Brown,Merck,雲母,CI77491(酸化鉄),CI77891(二酸化チタン)
Colorona Russet,Merck,CI77491(二酸化チタン),雲母,CI77891(酸化鉄)
Colorona Imperial Red,Merck,雲母,二酸化チタン(CI77891),D&C RED NO.30(CI73360)
Colorona Majestic Green,Merck,CI77891(二酸化チタン),雲母,CI77288(酸化クロムグリーン)
Colorona Light Blue,Merck,雲母,二酸化チタン(CI77891),フェロシアン化鉄(CI77510)
Colorona Red Gold,Merck,雲母,CI77891(二酸化チタン),CI77491(酸化鉄)
Colorona Gold Plus MP 25,Merck,雲母,二酸化チタン(CI77891),酸化鉄(CI77491)
Colorona Carmine Red,Merck,雲母,二酸化チタン,カーマイン
Colorona Blackstar Green,Merck,雲母,CI77499(酸化鉄)
Colorona Bordeaux,Merck,雲母,CI77491(酸化鉄)
Colorona Bronze,Merck,雲母,CI77491(酸化鉄)
Colorona Bronze Fine,Merck,雲母,CI77491(酸化鉄)
Colorona Fine Gold MP 20,Merck,雲母,CI77891(二酸化チタン),CI77491(酸化鉄)
Colorona Sienna Fine,Merck,CI77491(酸化鉄),雲母
Colorona Sienna,Merck,雲母,CI77491(酸化鉄)
Colorona Precious Gold,Merck,Mica,CI77891(二酸化チタン),シリカ,CI77491(酸化鉄),酸化スズ
Colorona Sun Gold Sparkle MP 29,Merck,雲母,二酸化チタン,酸化鉄,雲母,CI77891,CI77491(EU)
Colorona Mica Black,Merck,CI77499(酸化鉄),Mica,CI77891(二酸化チタン)
Colorona Bright Gold,Merck,Mica,CI77891(二酸化チタン),CI77491(酸化鉄)
Colorona Blackstar Gold,Merck,雲母,CI77499(酸化鉄)
【0051】
商品名がXirona(登録商標)の他の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Xirona Golden Sky,Merck,シリカ,CI77891(二酸化チタン),酸化スズ
Xirona Caribbean Blue,Merck,Mica,CI77891(二酸化チタン),シリカ,酸化スズ
Xirona Kiwi Rose,Merck,シリカ,CI77891(二酸化チタン),酸化スズ
Xirona Magic Mauve,Merck,シリカ,CI77891(二酸化チタン),酸化スズ
【0052】
また、商品名がUnipure(登録商標)の他の特に好ましい着色顔料は、例えば以下である。
Unipure Red LC 381 EM,Sensient CI77491(酸化鉄),シリカ
Unipure Black LC 989 EM,Sensient,CI77499(酸化鉄),シリカ
Unipure Yellow LC 182 EM,Sensient,CI77492(酸化鉄),シリカ
【0053】
さらなる実施形態において、本発明の剤は、有機顔料からなる群からの1以上の着色化合物(a2)を含み得る。
【0054】
本発明における有機顔料は、例えばニトロソ、ニトロ-アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリノン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケト-ピロロピロール、インディゴ、チオインディゴ、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物からなる群から選択されてよい、相応に不溶性の有機染料またはカラーラッカーである。
【0055】
特に適当な有機顔料の例は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスナンバーがCl42090、CI69800、CI69825、CI73000、CI74100、CI74160の青色顔料、カラーインデックスナンバーがCI11680、CI11710、CI15985、CI19140、CI20040、CI21100、CI21108、CI47000、CI47005の黄色顔料、カラーインデックスナンバーがCI61565、CI61570、CI74260の緑色顔料、カラーインデックスナンバーがCI11725、CI15510、CI45370、CI71105の橙色顔料、カラーインデックスナンバーがCI12085、CI12120、CI12370、CI12420、CI12490、CI14700、CI15525、CI15580、CI15620、CI15630、CI15800、CI15850、CI15865、CI15880、CI17200、CI26100、CI45380、CI45410、CI58000、CI73360、CI73915および/またはCI75470の赤色顔料である。
【0056】
別の特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、少なくとも1つの有機顔料(a2)、好ましくは、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスナンバーがCl 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスナンバーがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスナンバーがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスナンバーがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスナンバーがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料からなる群から選択される、少なくとも1つの有機顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0057】
有機顔料はカラーラッカーであってもよい。本発明の意味において、用語「カラーラッカー」は、吸収された染料の層を含んでなる粒子を意味し、粒子および染料のユニットは、上記条件下で不溶性である。粒子は例えば無機物質であり得、これは、アルミニウム、シリカ、ホウケイ酸カルシウム、ホウケイ酸カルシウムアルミニウムまたはアルミニウムであり得る。
【0058】
例えば、アリザリンカラーワニスを使用できる。
【0059】
光および温度に対する優れた安定性のために、本発明の剤における上記顔料の使用が特に好ましい。また、使用する顔料が特定の粒度を有することが好ましい。従って、本発明では、少なくとも1種の顔料が1.0~50μm、好ましくは5.0~45μm、好ましくは10~40μm、14~30μmの平均粒度D50を有することが有利である。平均粒度D50は、例えば、動的光散乱(DLS)を用いて測定できる。
【0060】
顔料(a2)は、本発明の剤の第2必須成分であり、ある特定の範囲の量で剤中に使用されることが好ましい。
【0061】
剤が、剤の総重量に基づいて、0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、さらに好ましくは0.2~2.5重量%、非常に好ましくは0.25~1.5重量%の総量で1以上の顔料(a2)を含む場合に、特に満足のいく結果が得られた。
【0062】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、剤の総重量に基づいて、0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、非常に特に好ましくは0.25~1.5重量%の総量で1以上の顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0063】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、剤の総重量に基づいて、0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、非常に特に好ましくは0.25~1.5重量%の総量で1以上の無機顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0064】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、剤の総重量に基づいて、0.01~10.0重量%、好ましくは0.1~5.0重量%、より好ましくは0.2~2.5重量%、非常に特に好ましくは0.25~1.5重量%の総量で1以上の有機顔料(a2)を含むことを特徴とする。
【0065】
<アミノ官能化シリコーンポリマー(a3)>
本発明に必須の第3成分として、本発明の剤は、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む。アミノ官能化シリコーンポリマーは、代替的に、アミノシリコーンまたはアモジメチコンと呼ばれることがある。
【0066】
シリコーンポリマーは、少なくとも500g/mol、好ましくは少なくとも1000g/mol、より好ましくは少なくとも2500g/mol、特に好ましくは少なくとも5000g/molの分子量を有し、反復有機単位を含む巨大分子である。
【0067】
シリコーンポリマーの最大分子量は、重合度(重合されているモノマーの数)およびバッチサイズに依存し、一部では重合方法によって決まる。本発明の目的のためには、シリコーンポリマーの最大分子量が107g/mol以下、好ましくは106g/mol以下、特に好ましくは105g/mol以下であることが好ましい。
【0068】
シリコーンポリマーは多くのSi-O反復単位を含み、Si原子は、有機基、例えばアルキル基または置換アルキル基を有していてもよい。従って、シリコーンポリマーは、ポリジメチルシロキサンとも称される。
【0069】
シリコーンポリマーは、その高い分子量に応じて、10個より多くのSi-O反復単位、好ましくは50個より多くのSi-O反復単位、より好ましくは100個より多くのSi-O反復単位、最も好ましくは500個より多くのSi-O反復単位に基づく。
【0070】
アミノ官能化シリコーンポリマーは、アミノ基を有する構造単位を少なくとも1含む官能化シリコーンであると理解される。好ましくは、アミノ官能化シリコーンポリマーは、それぞれが少なくとも1つのアミノ基を有する複数の構造単位を有する。アミノ基は、第一級アミノ基、第二級アミノ基および第三級アミノ基を意味すると理解される。これらのアミノ基は全て、酸性環境でプロトン化されてカチオン形態で存在し得る。
【0071】
基本的に、アミノ官能化シリコーンポリマーが少なくとも1つの第一級アミノ基、少なくとも1つの第二級アミノ基および/または少なくとも1つの第三級アミノ基を有する場合、有益な効果がアミノ官能化シリコーンポリマーにより得られた。しかしながら、該剤中で、少なくとも1つの第二級アミノ基を有するアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を用いた場合に、最高の着色強度の着色が観察された。
【0072】
非常に特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、
(a3)少なくとも1つの第二級アミノ基を有する少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
をさらに含むことを特徴とする。
【0073】
前記第二級アミノ基は、アミノ官能化シリコーンポリマーにおいて、様々な位置に存在し得る。式(Si-アミノ):
で示される構造単位を少なくとも1つ、好ましくは複数有するアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を用いた場合に、有益な効果が見出された。
【0074】
式(Si-アミノ)で示される構造単位において、略語ALK1およびALK2は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C1-C20アルキレン基を表す。
【0075】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、式(Si-アミノ):
[式中、ALK1およびALK2は、独立して、直鎖または分岐鎖の二価C
1-C
20アルキレン基を表す]
で示される少なくとも1つの構造単位を含む、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0076】
アスタリスク(*)で示した位置は、シリコーンポリマーの別の構造単位への結合を示す。例えば、アスタリスクに隣接するケイ素原子は、別の酸素原子に結合し得、アスタリスクに隣接する酸素原子は、別のケイ素原子またはC1-C6アルキル基にさえ結合し得る。
【0077】
或いは、二価C1-C20アルキレン基は、二価のC1-C20アルキレン基と称されることもあり、これは、各ALK1およびALK2基が2つの結合を形成できることを意味する。
【0078】
ALK1の場合、ケイ素原子からALK1基へ1つの結合が生じ、ALK1と第二級アミノ基との間に第二の結合が存在する。
【0079】
ALK2の場合、第二級アミノ基からALK2へ1つの結合が存在し、ALK2と第一級アミノ基との間に第二の結合が存在する。
【0080】
直鎖二価C1-C20アルキレン基の例には、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2-CH2-)、プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)およびブチレン基(-CH2-CH2-CH2-CH2-)が包含される。プロピレン基(-CH2-CH2-CH2-)が特に好ましい。3個の炭素原子の鎖長から、二価アルキレン基が分岐していてもよい。分岐鎖二価C3-20アルキレン基の例は、(-CH2-CH(CH3)-)および(-CH2-CH(CH3)-CH2-)である。
【0081】
別の特に好ましい実施形態において、式(Si-アミノ)で示される構造単位は、アミノ官能化シリコーンポリマー(a3)における反復単位を表すので、シリコーンポリマーは、式(Si-アミノ)で示される構造単位を複数含む。
【0082】
少なくとも1つの第二級アミノ基を有する特に好適なアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を、以下に挙げる。
【0083】
式(Si-I)で示される構造単位および式(Si-II)で示される構造単位:
を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含有する剤をケラチン物質に塗布した場合に、非常に強い着色強度を有する着色を得ることができた。
【0084】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、式(Si-I)で示される構造単位および式(Si-II)で示される構造単位:
を含む少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0085】
式(Si-I)で示される構造単位および式(Si-II)で示される構造単位を有する相応のアミノ官能化シリコーンポリマーは、例えば、市販品のDC 2-8566またはDowsil 2-8566 Amino Fluidであり、これは、Dow Chemical社により市販され、“シロキサンおよびシリコーン、3-[(2-アミノエチル)アミノ]-2-メチルプロピルMe、Di-Me-シロキサン”の名称および106842-44-8のCAS番号を有する。
【0086】
別の好ましい実施形態において、本発明の剤は、式(Si-III):
[式中、
・mおよびnは、和(n+m)が1~1000の範囲となるように選択される数を意味し、
・nは0~999の範囲の数であり、mは1~1000の範囲の数であり、
・R
1、R
2およびR
3は、同じかまたは異なっており、ヒドロキシ基またはC
1-4アルコキシ基を表し、
・ここで、R
1~R
3のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基を表す]
で示される少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0087】
本発明の別の好ましい剤は、式(Si-IV):
[式中
・pおよびqは、和(p+q)が1~1000の範囲となるように選択される数を意味し、
・pは0~999の範囲の数であり、qは1~1000の範囲の数であり、
・R
1およびR
2は、異なるものであり、ヒドロキシ基またはC
1-4アルコキシ基を表し、R
1~R
2のうちの少なくとも1つはヒドロキシ基を表す]
で示される少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)の含有により特徴付けられる。
【0088】
式(Si-III)で示されるシリコーンと式(Si-IV)で示されるシリコーンとは、窒素含有基を有するSi原子における基が異なる。式(Si-III)では、R2はヒドロキシ基またはC1-4アルコキシ基を表し、一方、式(Si-IV)における基はメチル基である。添え字mおよびnまたはpおよびqが示された個々のSi基はブロックとして存在していなくてもよく、むしろ、個々の単位は統計的に分布して存在していてもよい。すなわち、式(Si-III)および式(Si-IV)では、必ずしも全てのR1-Si(CH3)2基が-[O-Si(CH3)2]基に結合していない。
【0089】
また、式(Si-V):
[式中、
Aは、基-OH、-O-Si(CH
3)
3、-O-Si(CH
3)
2OH、-O-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
Dは、基-H、-Si(CH
3)
3、-Si(CH
3)
2OH、-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
b、nおよびcは0~1000の整数を表し、
より詳しくは
・n>0およびb+c>0
・条件A=-OHまたはD=-Hのうちの少なくとも一方が満たされる]
で示される少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む本発明の剤が、所望の効果に関して特に有効であることが分かった。
【0090】
上記の式(Si-V)において、添え字b、cおよびnを有する個々のシロキサン単位は統計的に分布している、即ち、それらは、必ずしもブロックコポリマーでなくてもよい。
【0091】
剤(a)は、式(Si-VI):
[式中、Rは、炭化水素、または1~約6個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Qは、一般式-R
1HZ〔ここで、R
1は、炭素および水素原子、炭素、水素および酸素原子、または炭素、水素および窒素原子で構成されている基Zおよび水素が結合している二価連結基であり、Zは、少なくとも1のアミノ官能基を含む有機アミノ官能基である〕で示される極性基であり;aは、約0~約2の範囲の数であり、bは、約1~約3の範囲の数であり、a+bは、3以下であり、cは、約1~約3の範囲の数であり、xは、1~約2,000、好ましくは約3~約50、最も好ましくは約3~約25の数であり、yは、約20~約10,000、好ましくは約125~約10,000、最も好ましくは約150~約1,000の範囲の数であり、Mは、当技術分野で知られている適当なシリコーン末端基、好ましくはトリメチルシロキシである]
で示される1以上の様々なアミノ官能化シリコーンポリマーを更に含んでよい。Rで示される基の非限定的な例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、ヘキシル、イソヘキシルなどのアルキル基;ビニル、ハロビニル、アルキルビニル、アリル、ハロアリル、アルキルアリルなどのアルケニル基;シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのシクロアルキル基;フェニル基、ベンジル基;3-クロロプロピル、4-ブロモブチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、クロロシクロヘキシル、ブロモフェニル、クロロフェニルなどのハロ炭化水素基;およびメルカプトエチル、メルカプトプロピル、メルカプトヘキシル、メルカプトフェニルなどの硫黄含有基を包含する。好ましくは、Rは、1~約6個の炭素原子を有するアルキル基であり、最も好ましくは、Rはメチルである。R
1の例は、メチレン、エチレン、プロピレン、ヘキサメチレン、デカメチレン、-CH
2CH(CH
3)CH
2-、フェニレン、ナフチレン、-CH
2CH
2SCH
2CH
2-、-CH
2CH
2OCH
2-、-OCH
2CH
2-、-OCH
2CH
2CH
2-、-CH
2CH(CH
3)C(O)OCH
2-、-(CH
2)
3CC(O)OCH
2CH
2-、-C
6H
4C
6H
4-、-C
6H
4CH
2C
6H
4-;および-(CH
2)
3C(O)SCH
2CH
2-を包含する。
【0092】
Zは、少なくとも1つのアミノ官能基を含む有機アミノ官能基である。Zに関する1つの式は、NH(CH2)zNH2[式中、zは1以上である]である。Zの別の式は、-NH(CH2)z(CH2)zzNH[式中、zおよびzzは共に、独立して1以上である]であり、この構造は、ピペラジニルのようなジアミノ環構造を含む。Zは最も好ましくは-NHCH2CH2NH2基である。Zに関する別の式は、-N(CH2)z(CH2)zzNX2または-NX2[式中、X2の各Xは、独立して、水素およびC1-12アルキル基からなる群から選択され、zzは0である]である。
【0093】
Qは、最も好ましくは、式-CH2CH2CH2NHCH2CH2NH2で示される極性アミノ官能性基である。式中、aは、約0から約2の範囲の値を取り、bは、約2から約3の範囲の値を取り、a+bは、3以下であり、cは、約1から約3の範囲の値を取る。RaQbSiO(4-a-b)/2単位とRcSiO(4-c)/2単位とのモル比は、約1:2~1:65の範囲であり、好ましくは約1:5~約1:65の範囲であり、最も好ましくは約1:15~約1:20の範囲である。上記式で示される1以上のシリコーンを使用する場合、上記式における様々な可変置換基は、シリコーン混合物中に存在する様々なシリコーン成分について異なっていてよい。
【0094】
別の好ましい実施形態において、本発明の剤は、式(Si-VII):
[式中、
・Gは、-H、フェニル基、-OH、-O-CH
3、-CH
3、-O-CH
2CH
3、-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3、-O-CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)
2、-O-CH
2CH
2CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
2CH
3、-O-CH
2CH(CH
3)
2、-CH
2CH(CH
3)
2、-O-CH(CH
3)CH
2CH
3、-CH(CH
3)CH
2CH
3、-O-C(CH
3)
3、-C(CH
3)
3であり;
・aは、0~3の間の数、特に0を表し、
・bは、0~1の間の数、特に1を表し、
・mおよびnは、和(m+n)が1~2000の間、好ましくは50~150の間となるような数であり、nは好ましくは、0~1999、49~149の値を取り、mは好ましくは、1~2000、1~10の値を取り、
・R'は、
・Q-N(R'')-CH
2-CH
2-N(R'')
2
・Q-N(R'')
2
・Q-N
+(R'')
3A
-
・Q-N
+H(R'')
2A
-
・Q-N
+H
2(R'')A
-
・Q-N(R'')-CH
2-CH
2-N
+R''H
2A
-
〔ここで、
各Qは、化学結合、-CH
2-、-CH
2-CH
2-、-CH
2CH
2CH
2-、C(CH
3)
2-、-CH
2CH
2CH
2CH
2-、-CH
2C(CH
3)
2-、-CH(CH
3)CH
2CH
2-であり、
R''は、-H、-フェニル、-ベンジル、CH
2-CH(CH
3)Ph、C
1-20アルキル基、好ましくは-CH
3、-CH
2CH
3、-CH
2CH
2CH
3、-CH(CH
3)
2、-CH
2CH
2CH
2H
3、-CH
2CH(CH
3)
2、-CH(CH
3)CH
2CH
3、-C(CH
3)
3からなる群から選択される同じまたは異なる基を表し、
Aは、塩化物、臭化物、ヨウ化物またはメトスルフェートから好ましくは選択されるアニオンを表す〕
から選択される一価基である]
で示されるアミノ官能化シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0095】
別の好ましい実施形態において、本発明の剤は、式(Si-VIIa):
[式中、mおよびnは、和(m+n)が1~2000の間、好ましくは50~150の間となるような数であり、nは好ましくは、0~1999、49~149の値をとり、mは好ましくは、1~2000、1~10の値をとる]
で示される少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0096】
INCI名では、これらのシリコーンは、トリメチルシリルアモジメチコンと称される。
【0097】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の剤は、式(Si-VIIb):
[式中、Rは、-OH、-O-CH
3または-CH
3基を表し、
m、n1およびn2は、和(m+n1+n2)が1~2000の間、好ましくは50~150の間となるような数であり、和(n1+n2)は好ましくは、0~1999、特に49~149の値をとり、mは好ましくは、1~2000、特に1~10の値をとる]
で示される少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマーを含むことを特徴とする。
【0098】
INCI名では、これらのアミノ官能化シリコーンポリマーは、アモジメチコンと称される。
【0099】
どのアミノ官能化シリコーンを使用するかにかかわらず、アミン価が0.25meq/g超、好ましくは0.3meq/g超、0.4meq/g超のアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む本発明の剤が好ましい。アミン価は、アミノ官能化シリコーン1gあたりのアミンのミリ当量を表す。アミン価は、滴定により測定でき、単位mgKOH/gで表される。
【0100】
また、特定の4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマー(a3)を含有する剤も適している。このアミノ官能化シリコーンポリマーは、式(Si-VIII)で示される構造単位および式(Si-IX)で示される構造単位を含む。
【0101】
対応する4-モルホリノメチル置換シリコーンポリマーを以下に示す。
【0102】
好ましいアミノ官能化シリコーンポリマーは、アモジメチコン/モルホリノメチルシルセスキオキサンコポリマーとして知られ、Wackerから原料Belsil ADM 8301 Eの形態で市販されており、入手可能である。
【0103】
4-モルホリノメチル置換シリコーンとして、例えば、式(Si-VIII)、(Si-IX)および(Si-X):
[式中、
R
1は-CH
3、-OH、-OCH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3または-O-CH(CH
3)
2であり、
R
2は-CH
3、-OHまたは-OCH
3である]
で示される構造単位を有するシリコーンを使用できる。
【0104】
本発明の特に好ましい剤は、式(Si-XI):
[式中、
R
1は-CH
3、-OH、-OCH
3、-O-CH
2CH
3、-O-CH
2CH
2CH
3または-O-CH(CH
3)
2であり、
R
2は-CH
3、-OHまたは-OCH
3であり、
Bは、基-OH、-O-Si(CH
3)
3、-O-Si(CH
3)
2OH、-O-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
Dは、基-H、-Si(CH
3)
3、-Si(CH
3)
2OH、-Si(CH
3)
2OCH
3を表し、
a、bおよびcは、a+b+c>0の条件で、独立して0~1000の整数を表し、
mおよびnは互いに独立して、整数1~1000を表す、
ただし、
・条件B=-OHまたはD=-Hのうちの少なくとも一方は満たされ、
・単位a、b、c、mおよびnは、分子において統計的に分布しているか、またはブロック状である]
で示される少なくとも1つの4-モルホリノメチル置換シリコーンを含有する。
【0105】
構造式(Si-XI)では、シロキサン基nおよびmが、必ずしもそれぞれ末端基BまたはDに直接結合していなくてもよいことを示すことが意図されている。むしろ、好ましい式(Si-VI)ではa>0またはb>0であり、特に好ましい式(Si-VI)ではa>0およびc>0、即ち、末端基BまたはDは好ましくはジメチルシロキシ基に結合している。また、式(Si-VI)において、シロキサン単位a、b、c、mおよびnは好ましくは統計的に分布している。
【0106】
本発明に従って使用される式(Si-VI)で示されるシリコーンは、トリメチルシリル末端型(DまたはB=-Si(CH3)3)であってよいが、両端でジメチルシリルヒドロキシ末端型であっても、一端でジメチルシリルヒドロキシ末端型およびジメチルシリルメトキシ末端型であってもよい。本発明において特に好ましいシリコーンは、各関連に対して
B=-O-Si(CH3)2OHおよびD=-Si(CH3)3
B=-O-Si(CH3)2OHおよびD=-Si(CH3)2OH
B=-O-Si(CH3)2OHおよびD=-Si(CH3)2OCH3
B=-O-Si(CH3)3およびD=-Si(CH3)2OH
B=-O-Si(CH3)2OCH3およびD=-Si(CH3)2OH
であるシリコーンから選択される。これらのシリコーンは、本発明の剤で処理された毛髪の毛髪特性の顕著な向上、および酸化処理における著しく改善された保護をもたらす。
【0107】
本発明の剤が、アミノ官能化シリコーンポリマー(a3)をある特定量の範囲で含む場合に特に有利であることがわかった。剤が、剤の総重量に基づいて、0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、最も好ましくは0.4~2.5重量%を含む場合に、特に満足のいく結果が得られた。
【0108】
別の特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、剤の総重量に基づいて、0.1~8.0重量%、好ましくは0.2~5.0重量%、より好ましくは0.3~3.0重量%、非常に特に好ましくは0.4~2.5重量%の総量で1以上のアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含むことを特徴とする。
【0109】
<剤中の他の任意成分>
所望の包装形態に応じて、本発明の剤は、任意に他の成分または原料を含んでいてもよい。
【0110】
<剤中の脂肪成分>
剤をエマルションまたはクリームの形態で提供する場合、少なくとも1つの脂肪成分の使用が特に有利であることが判明した。脂肪成分は、水の存在下においてミセル系を形成してエマルションを形成できる疎水性物質である。この理論に縛られることなく、C1-C6アルコキシシランが、そのモノマーの形態で、または任意にその縮合オリゴマーの形態で、この疎水性環境またはミセル系に埋め込まれて、結果としてその環境の極性が変化すると考えられている。脂肪成分が疎水性であるので、C1-C6アルコキシシランの環境も疎水化される。被膜またはコーティングをもたらすC1-C6アルコキシシランの重合反応は、極性が減少した環境で、減少した速度で起こると推定される。
【0111】
本発明では、「脂肪成分」は、室温(22℃)および大気圧(760mmHg)での水への溶解度が、1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満である有機化合物である。脂肪成分の定義には、非電荷の(すなわち、非イオン性の)化合物のみが明示的に含まれる。脂肪成分は少なくとも12個のC原子を有する少なくとも1つの飽和または不飽和アルキル基を有する。脂肪成分の分子量は、最大で5000g/mol、好ましくは最大で2500g/mol、特に好ましくは最大で1000g/molである。脂肪成分は、ポリオキシアルキル化された化合物でも、ポリグリセリル化された化合物でもない。
【0112】
非常に好ましくは、剤中で用いるさらなる脂肪成分は、C12-C30脂肪アルコール、C12-C30脂肪酸トリグリセリド、C12-C30脂肪酸モノグリセリド、C12-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素の群から選択され得る。
【0113】
別の好ましい実施形態において、本発明の剤は、C12-C30脂肪アルコール、C12-C30脂肪酸トリグリセリド、C12-C30脂肪酸モノグリセリド、C12-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素からなる群からの1以上の脂肪成分を含むことを特徴とする。
【0114】
これに関連して、非常に特に好ましい脂肪成分は、C12-C30脂肪アルコール、C12-C30脂肪酸トリグリセリド、C12-C30脂肪酸モノグリセリド、C12-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/または炭化水素の群からの成分であることが理解される。本発明の目的では、非イオン性物質のみが脂肪成分として明示的に考慮される。脂肪酸やその塩などの荷電化合物は、脂肪成分とみなされない。
【0115】
C12-C30脂肪アルコールは、12~30個のC原子を有する飽和、一価不飽和または多価不飽和、直鎖または分岐脂肪アルコールであってよい。
【0116】
好ましい直鎖飽和C12-C30脂肪アルコールの例は、ドデカン-1-オール(ドデシルアルコール、ラウリルアルコール)、テトラデカン-1-オール(テトラデシルアルコール、ミリスチルアルコール)、ヘキサデカン-1-オール(ヘキサデシルアルコール、セチルアルコール、パルミチルアルコール)、オクタデカン-1-オール(オクタデシルアルコール、ステアリルアルコール)、アラキルアルコール(エイコサン-1-オール)、ヘネイコシルアルコール(ヘンエイコサン-1-オール)、および/またはベヘニルアルコール(ドコサン-1-オール)である。
【0117】
好ましい直鎖不飽和脂肪アルコールは、(9Z)-オクタデク-9-エン-1-オール(オレイルアルコール)、(9E)-オクタデク-9-エン-1-オール(エライジルアルコール)、(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-オール(リノレイルアルコール)、(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12、15-トリエン-1-オール(リノレノイルアルコール)、ガドレイルアルコール((9Z)-エイコス-9-エン-1-オール)、アラキドンアルコール((5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン-1-オール)、エルシルアルコール((13Z)-ドコス-13-エン-1-オール)、および/またはブラシジルアルコール(ブラシジルアルコール((13E)-ドコセン-1-オール)である。
【0118】
分岐脂肪アルコールの好ましい代表的なものは、2-オクチル-ドデカノール、2-ヘキシル-ドデカノールおよび/または2-ブチル-ドデカノールである。
【0119】
別の好ましい実施形態において、本発明の剤は、
ドデカン-1-オール(ドデシルアルコール、ラウリルアルコール)、
テトラデカン-1-オール(テトラデシルアルコール、ミリスチルアルコール)、
ヘキサデカン-1-オール(ヘキサデシルアルコール、セチルアルコール、パルミチルアルコール)、
オクタデカン-1-オール(オクタデシルアルコール、ステアリルアルコール)、
アラキルアルコール(エイコサン-1-オール)、
ヘネイコシルアルコール(ヘネイコサン-1-オール)、
ベヘニルアルコール(ドコサン-1-オール)、
(9Z)-オクタデク-9-エン-1-オール(オレイルアルコール)、
(9E)-オクタデク-9-エン-1-オール(エライジルアルコール)、
(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン-1-オール(リノレイルアルコール)、
(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン-1-オール(リノレノイルアルコール)、
ガドレイルアルコール((9Z)-エイコス-9-エン-1-オール)、
アラキドン酸アルコール((5Z,8Z,11Z,14Z)-エイコサ-5,8,11,14-テトラエン-1-オール)、
エルシルアルコール((13Z)-ドコス-13-エン-1-オール)、
ブラシジルアルコール((13E)-ドコセン-1-オール)、
2-オクチル-ドデカノール、
2-ヘキシル-ドデカノール、および/または、
2-ブチル-ドデカノール
からなる群から選択される1以上のC12-C30脂肪アルコール(a4)を含むことを特徴とする。
【0120】
1以上のC12-C30脂肪アルコールをとりわけ特定の範囲の量で使用することが特に好ましいことがわかった。
【0121】
さらに、剤が、剤の総重量に基づき、2.0~50.0重量%、好ましくは3.0~30.0重量%、より好ましくは4.0~20.0重量%、さらに好ましくは5.0~15.0重量%、最も好ましくは5.0~10.0重量%の総量で1以上のC12~C30脂肪アルコールを含むことが特に好ましい。
【0122】
さらに、適当な脂肪成分として、剤はまた、C12-C30脂肪酸モノグリセリドおよび/またはC12-C30脂肪酸ジグリセリドである少なくとも1つのC12-C30脂肪酸トリグリセリドを含むことができる。本発明の目的では、C12-C30脂肪酸トリグリセリドは、3価のアルコールグリセロールと3当量の脂肪酸とのトリエステルであると理解される。トリグリセリド分子内で、構造的に同一の脂肪酸および異なる脂肪酸のいずれでも、エステル形成に関与できる。
【0123】
本発明によれば、脂肪酸は、飽和または不飽和、非分岐または分岐、非置換または置換C12-C30カルボン酸であると理解される。不飽和脂肪酸は、一価不飽和でも多価不飽和でもよい。不飽和脂肪酸の場合、そのC-C二重結合は、シスまたはトランス配置を有し得る。
【0124】
少なくとも1つのエステル基が、グリセロールと、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、ペトロセリン酸[(Z)-6-オクタデセン酸]、パルミトレイン酸[(9Z)-ヘキサデク-9-エン酸]、オレイン酸[(9Z)-オクタデク-9-エン酸]、エライジン酸[(9E)-オクタデク-9-エン酸]、エルカ酸[(13Z)-ドコス-13-エン酸]、リノール酸[(9Z、12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸、リノレン酸[(9Z、12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸、エレオステアリン酸[(9Z,11E,13E)-オクタデカ-9,11,3-トリエン酸]、アラキドン酸[(5Z,8Z,11Z,14Z)-イコサ-5,8,11,14-テトラエン酸]、および/またはネルボン酸[(15Z)-テトラコス-15-エン酸]から選択される脂肪酸とから形成される脂肪酸トリグリセリドが特に好適である。
【0125】
また、脂肪酸トリグリセリドは、天然由来のものであってもよい。大豆油、ピーナッツ油、オリーブ油、ヒマワリ油、マカデミアナッツ油、モリンガ油、アプリコットカーネル油、マルラ油および/または、場合により水素添加されたひまし油、またはそれらの混合物に生じる脂肪酸トリグリセリドが、本発明の製品への使用に特に適している。
【0126】
C12-C30脂肪酸モノグリセリドは、3価アルコールであるグリセロールと1当量の脂肪酸とのモノエステルであると理解される。グリセロールの真ん中のヒドロキシ基またはグリセロールの末端ヒドロキシ基のどちらかが、脂肪酸とエステル化され得る。
【0127】
グリセロールのヒドロキシル基が脂肪酸でエステル化されたC12-C30脂肪酸モノグリセリドが特に好適であり、その脂肪酸は、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、ペトロセリン酸[(Z)-6-オクタデセン酸]、パルミトレイン酸[(9Z)-ヘキサデク-9-エン酸]、オレイン酸[(9Z)-オクタデク-9-エン酸]、エライジン酸[(9E)-オクタデク-9-エン酸]、エルカ酸[(13Z)-ドコス-13-エン酸]、リノール酸[(9Z、12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸、リノレン酸[(9Z、12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸、エレオステアリン酸[(9Z,11E,13E)-オクタデカ-9,11,3-トリエン酸]、アラキドン酸[(5Z,8Z,11Z,14Z)-イコサ-5,8,11,14-テトラエン酸]、またはネルボン酸[(15Z)-テトラコス-15-エン酸]から選択される。
【0128】
C12-C30脂肪酸ジグリセリドは、3価アルコールであるグリセロールと2当量の脂肪酸とのジエステルである。グリセロールの真ん中のヒドロキシ基と片方の末端ヒドロキシ基が2当量の脂肪酸でエステル化されていてもよく、グリセロールの両末端ヒドロキシ基がそれぞれ1つの脂肪酸でエステル化されていてもよい。グリセロールは、2つの構造的に同一の脂肪酸でも、2つの異なる脂肪酸でもエステル化することができる。
【0129】
少なくとも1つのエステル基が、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、ペトロセリン酸[(Z)-6-オクタデセン酸]、パルミトレイン酸[(9Z)-ヘキサデク-9-エン酸]、オレイン酸[(9Z)-オクタデク-9-エン酸]、エライジン酸[(9E)-オクタデク-9-エン酸]、エルカ酸[(13Z)-ドコス-13-エン酸]、リノール酸[(9Z、12Z)-オクタデカ-9,12-ジエン酸、リノレン酸[(9Z、12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸、エレオステアリン酸[(9Z,11E,13E)-オクタデカ-9,11,3-トリエン酸]、アラキドン酸[(5Z,8Z,11Z,14Z)-イコサ-5,8,11,14-テトラエン酸]、および/またはネルボン酸[(15Z)-テトラコス-15-エン酸]から選択される脂肪酸によりグリセロールから形成される脂肪酸トリグリセリドが特に好適である。
【0130】
剤が、グリセロールと、ドデカン酸(ラウリン酸)、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、エイコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、ペトロセリン酸[(Z)-6-オクタデセン酸]、パルミトレイン酸[(9Z)-ヘキサデク-9-エン酸]、オレイン酸[(9Z)-オクタデク-9-エン酸]、エライジン酸[(9E)-オクタデク-9-エン酸]、エルカ酸[(13Z)-ドコス-13-エン酸]、リノール酸[(9Z、12Z)-オクタデカ-9、12-ジエン酸、リノレン酸[(9Z,12Z,15Z)-オクタデカ-9,12,15-トリエン酸、エレオステアリン酸[(9Z,11E,13E)-オクタデカ-9,11,3-トリエン酸]、アラキドン酸[(5Z,8Z,11Z,14Z)-イコサ-5,8,11,14-テトラエン酸]および/またはネルボン酸[(15Z)-テトラコス-15-エン酸]からなる群から選択される1当量の脂肪酸とのモノエステルから選択される少なくとも1つのC12-C30脂肪酸モノグリセリドを含む場合に、特に良好な結果が得られた。
【0131】
別の実施形態において、本発明の剤は、グリセロールと、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、テトラコサン酸、オクタデカン酸、エイコサン酸および/またはドコサン酸からなる群からの1当量の脂肪酸とのモノエステルから選択される少なくとも1つのC12-C30脂肪酸モノグリセリドを含むことを特徴とする。
【0132】
剤において、1以上のC12-C30脂肪酸モノグリセリド、C12-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/またはC12-C30脂肪酸トリグリセリド(a4)を、特定の範囲の量で使用することが好ましいことが示された。
【0133】
本発明による課題の解決に関して、剤が、剤の総重量に対して、0.1~20.0重量%、好ましくは0.3~15.0重量%、より好ましくは0.5~10.0重量%、最も好ましくは0.8~5.0重量%の総量で、1以上のC12-C30脂肪酸モノグリセリド、C12-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/またはC12-C30脂肪酸トリグリセリド(a4)を含有した場合に有利であることがわかった。
【0134】
非常に特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、剤が、剤の総重量に対して、0.1~20.0重量%、好ましくは0.3~15.0重量%、より好ましくは0.5~10.0重量%、非常に特に好ましくは0.8~5.0重量%の総量で、1以上のC12-C30脂肪酸モノグリセリド、C12-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/またはC12-C30脂肪酸トリグリセリドを含むことを特徴とする。
【0135】
C12-C30脂肪酸モノ-、C12-C30脂肪酸ジ-および/またはC12-C30脂肪酸トリグリセリドは、剤における唯一の脂肪成分(a4)として使用することができる。しかし、少なくとも1つのC12-C30脂肪酸モノグリセリド、C12-C30脂肪酸ジグリセリドおよび/またはC12-C30脂肪酸トリグリセリドを、少なくとも1つのC12-C30脂肪アルコールと組み合わせて剤に組み込むことが、本発明にとって適当であり得る。
【0136】
さらに、非常に好ましい脂肪成分として、剤は、少なくとも1つの炭化水素を含むことができる。
【0137】
炭化水素は、8~80個のC原子を有する炭素原子と水素原子のみからなる化合物である。これに関して、例えば、鉱物油、流動パラフィン油(例えば白色鉱油(paraffinium liquidum)または軽質流動パラフィン(paraffinum perliquidum)、イソパラフィン油、半固体パラフィン油、パラフィンワックス、硬質パラフィン(パラフィン蝋)、ワセリンおよびポリデセンなどの脂肪族炭化水素が特に好ましい。
【0138】
これに関して、流動パラフィン油(例えば白色鉱油(paraffinium liquidum)または軽質流動パラフィン(paraffinum perliquidum)が特に好適であることがわかった。ホワイトオイルとしても知られている白色鉱油が好ましい炭化水素である。白色鉱油は、精製された飽和脂肪族炭化水素の混合物であり、25~35個のC原子のC鎖分布をもつ炭化水素鎖からなる。
【0139】
剤が、鉱油、流動パラフィン油、イソパラフィン油、半固体パラフィン油、パラフィンワックス、硬質パラフィン(パラフィン蝋)、ペトロラタムおよびポリデセンからなる群から選択される少なくとも1つの炭化水素を含有する場合、特に満足のいく結果が得られた。
【0140】
非常に特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、炭化水素の群からの少なくとも1つの脂肪成分を含むことを特徴とする。
【0141】
本発明による課題の解決に関して、剤が、剤の総重量に基づいて、0.5~20.0重量%、好ましくは0.7~10.0重量%、より好ましくは0.9~5.0重量%、非常に特に好ましくは1.0~4.0重量%の総量で、1以上の炭化水素を含んでいる場合にかなり特に好ましいことが証明された。
【0142】
<剤中の含水量>
上述した剤は、ケラチン物質に塗布することができる即用剤である。この即用剤は、好ましくは高水分含量を有する。特に好適な剤は、剤の総重量に基づいて、50.0~98.0重量%、好ましくは60.0~90.0重量%、より好ましくは70.0~90.0重量%、最も好ましくは75.0~90.0重量%の水を含むものであることが見出された。
【0143】
さらに明示的にかなり特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、剤の総重量に基づいて、50.0~98.0重量%、好ましくは60.0~90.0重量%、さらに好ましくは70.0~90.0重量%、非常に特に好ましくは75.0~90.0重量%の水を含むことを特徴とする。
【0144】
<剤中の他の界面活性剤>
水および脂肪成分の任意ではあるが好ましい含有量のために、本発明の剤は、特に好ましくはエマルションの形態である。エマルションの形態をさらに最適化するために、アルキル(ポリ)グリコシド(a1)とは異なる少なくとも1つのさらなる界面活性剤を剤中に使用し続けることが好ましいことがわかり得る。
【0145】
界面活性剤(T)という用語は、表面および界面に吸着層を形成できる、またはバルク相で凝集してミセルコロイド若しくはリオトロピック中間相を形成できる表面活性物質を指す。疎水性基と負に帯電した親水性頭部基からなるアニオン性界面活性剤と、負の電荷と補償する正の電荷の両方をもつ両性界面活性剤、疎水性基に加えて正に帯電した親水性基を有するカチオン性界面活性剤、電荷を有しないが強い双極子モーメントを有し、水溶液中で強く水和する非イオン性界面活性剤に区別される
【0146】
非常に特に好ましい実施形態において、本発明の剤は少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする。
【0147】
非イオン性界面活性剤は、例えば、ポリオール基、ポリアルキレングリコールエーテル基またはポリオールとポリグリコールエーテル基の組み合わせを親水性基として含有する。そのようなリンクとしては、以下が挙げられる。
・6~30個のC原子を有する直鎖および分岐脂肪アルコール、脂肪アルコールポリグリコールエーテルまたは脂肪アルコールポリプロピレングリコールエーテルまたは混合脂肪アルコールポリエーテルへの、2~50モルのエチレンオキシドおよび/または0~5モルのプロピレンオキシドの付加物
・6~30個の炭素原子を有する直鎖および分岐脂肪酸、脂肪酸ポリグリコールエーテルまたは脂肪酸ポリプロピレングリコールエーテルまたは混合脂肪酸ポリエーテルへの、2~50モルのエチレンオキシドおよび/または0~5モルのプロピレンオキシドの付加物
・アルキル基中に8~15個のC原子を有する直鎖および分岐アルキルフェノール、アルキルフェノールポリグリコールエーテルまたはアルキルポリプロピレングリコールエーテルまたは混合アルキルフェノールポリエーテルへの、2~50モルのエチレンオキシドおよび/または0~5モルのプロピレンオキシドの付加物
・Dehydol(登録商標)LS、Dehydol(登録商標)LT(Cognis)で入手可能なグレードなどの、8~30個の炭素原子を含有する直鎖および分岐脂肪アルコール、8~30個の炭素原子を含有する脂肪酸、およびアルキル基中に8~15個の炭素原子を含有するアルキルフェノールへの、2~50モルのエチレンオキシドおよび/または0~5モルのプロピレンオキシドの、メチル基またはC
2-C
6アルキル基を末端付加物
・グリセロールへの1~30モルのエチレンオキシドの付加物のC12-C30脂肪酸モノ-およびジエステル
・ひまし油および硬化ひまし油への5~60モルのエチレンオキシドの付加物
・市販品Hydagen(登録商標)HSP(Cognis)またはSovermol(登録商標)グレード(Cognis)などのポリオール脂肪酸エステル
・アルコキシル化トリグリセリド
・式(Tnio-1)で示されるアルコキシル化脂肪酸アルキルエステル:
〔式中、R
1COは、6~22個の炭素原子を含有する直鎖または分岐、飽和および/または不飽和アシル基、R
2は水素またはメチルであり、R
3は1~4個の炭素原子を含有する直鎖または分岐アルキル基であり、wは1~20の数である〕
・アミノキシド
・例えばDE-OS19738866に記載のヒドロキシ混合エーテル
・ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリソルベートなどのソルビタン脂肪酸エステルへのエチレンオキシドの付加物
・脂肪酸アルカノールアミドおよび脂肪アミンへのエチレンオキシドの付加物
【0148】
非イオン性界面活性剤の他の典型的な例は、脂肪酸アミドポリグリコールエーテル、脂肪アミンポリグリコールエーテル、混合エーテルまたは混合ホルマール、タンパク質加水分解物(とりわけ小麦をベースとする植物性生成物)およびポリソルベートである。
【0149】
脂肪アルコールまたは脂肪酸1モル当たり2~30モルのエチレンオキシドをそれぞれ有する飽和直鎖脂肪アルコールおよび脂肪酸へのアルキレンオキシド付加物並びに糖類界面活性剤は、好ましい非イオン性界面活性剤であることがわかっている。また、それらが非イオン性界面活性剤としてエトキシル化グリセロールの脂肪酸エステルを含有する場合、優れた特性を有する調製物製剤が得られる。
【0150】
これらの結合は、以下のパラメーターにより特定される。アルキル基Rは6~22個の炭素原子を含有し、直鎖または分岐状のいずれあってもよい。第一級直鎖脂肪族基および2位のメチルで分岐した脂肪族基が好ましい。そのようなアルキル基は、例えば1-オクチル、1-デシル、1-ラウリル、1-ミリスチル、1-シチルおよび1-ステアリルである。とりわけ好ましいのは、1-オクチル、1-デシル、1-ラウリル、1-ミリスチルである。いわゆる「オキソ-アルコール」が出発材料として使用される場合、アルキル鎖の炭素原子数が奇数の化合物が多数を占める。
【0151】
界面活性剤として使用されるアルキル基を有する化合物は、それぞれ均一な物質であってもよい。しかし、これらの物質の製造にあたって、それぞれの原料に応じて異なるアルキル鎖長を有する物質混合物が得られるように、天然の植物または動物の原料から出発することが通常好ましい。
【0152】
脂肪アルコールへのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドの付加生成物、またはこれらの付加生成物の誘導体である界面活性剤では、「通常の」同族体分布を有する生成物と、狭い同族体分布を有する生成物のいずれも使用することができる。「通常の」同族体分布とは、アルカリ金属、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ金属アルコラートを触媒として使用した脂肪アルコールとアルキレンオキシドの反応で得られる同族体の混合物を意味する。一方、例えばハイドロタルカイト、エーテルカルボン酸のアルカリ土類金属塩、アルカリ土類金属酸化物、水酸化物またはアルコラートを触媒として使用すると、狭くなった同族体分布が得られる。同族体分布が狭い生成物の使用が好ましいことがある。
【0153】
80~120のエトキシル化度を有する少なくとも1つのエトキシル化脂肪アルコールを含有する剤(b)を、本発明の方法で使用したとき、特に満足のいく結果が得られた。
【0154】
別の非常に好ましい実施形態において、本発明の剤は、式(T-I):
〔式中、
Raは、飽和または不飽和、直鎖または分岐C
8-C
24アルキル基、好ましくは飽和直鎖C
16-ビスC
18アルキル基を表し、
oは、80~120の整数、好ましくは90~110の整数、特に好ましくは数100である〕
で示される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする。
【0155】
このタイプの好適な非イオン性界面活性剤は、商品名Brij S100またはBrij S100 PA SGである。これは、Crodaから市販され、CAS番号9005-00-9を有する、100EOでエトキシル化されたステアリルアルコールである。
【0156】
さらに、10~40のエトキシル化度を有する少なくとも1つのエトキシル化脂肪アルコールを含む本発明の剤を使用した場合に、特に満足のいく結果が得られた。
【0157】
別の非常に特に好ましい態様において、本発明の剤は、式(T-II):
〔式中、
Rbは、飽和または不飽和、非分岐または分岐C
8-C
24アルキル基、好ましくは飽和非分岐C
16-C
18アルキル基を表し、
pは、10~40の整数、好ましくは20~35の整数、特に好ましくは数30である〕
で示される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含むことを特徴とする。
【0158】
このタイプの特によく適している非イオン性界面活性剤はセテアレス-30である。セテアレス-30は、30単位のエチレンオキシドでそれぞれエトキシル化されたセチルアルコールとステアリルアルコールの混合物である。セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物はセテアリルアルコールと呼ばれる。セテアレス-30はCAS番号68439-49-6であり、例えば、BASFから商品名Eumulgin B3で購入できる。
【0159】
剤が、式(T-I)の少なくとも1つの非イオン性界面活性剤と式(T-II)の少なくとも1つの非イオン性界面活性剤の両方を含む場合、特に好ましいことがわかった。
【0160】
<媒体溶媒>
溶媒の使用は、特に満足のいく結果をもたらし続ける。このため、本発明の剤は、任意成分として少なくとも1つの溶媒をさらに含有することができる。
【0161】
好適な溶媒として、例えば、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールからなる群から選択される溶媒が挙げられる。1,2-プロピレングリコールの使用が特に好ましい。
【0162】
別の非常に特に好ましい実施形態において、本発明の剤は、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、エタノール、イソプロパノール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセロール、フェノキシエタノールおよびベンジルアルコールからなる群から選択される少なくとも1つの溶媒、非常に好ましくは1,2-プロパンジオールを含むことを特徴とする。
【0163】
1,2-プロピレングリコールは、1,2-プロパンジオールと称され、CAS番号57-55-6[(RS)-1,2-ジヒドロキシプロパン]、同4254-14-2[(R)-1,2-ジヒドロキシプロパン]および同4254-153[(S)-1,2-ジヒドロキシプロパン]である。エチレングリコールは、別称1,2-エタンジオールとしても知られ、CAS番号107-21-1である。グリセロールは、別称1,2,3-プロパントリオールと知られ、CAS番号56-81-5である。フェノキシエタノールはCas番号122-99-6である。
【0164】
上記の溶媒はすべて、AldrichまたはFlukaなどのさまざまな化学メーカーから市販されている。
【0165】
上記の溶媒を適切な適用量で使用することにより、特に安定した剤を得ることができ、これによりケラチン物質上に著しく高い強度の着色結果を得ることができる。
【0166】
別の好ましい実施形態において、本発明の剤は、剤の総重量に基づいて、1.0~20.0重量%、好ましくは2.0~15.0重量%、より好ましくは3.0~15.0重量%、非常に特に好ましくは4.0~10.0重量%の総量で、1,2-プロピレングリコールを含むことを特徴とする。
【0167】
<剤中のポリマー>
本発明の剤は、少なくとも1つのフィルム形成ポリマーをさらに含み得る。フィルム形成ポリマーは、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ビニルピロリドン/スチレンコポリマー、ビニルピロリドン/エチレンコポリマー、ビニルピロリドン/プロピレンコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルカプロラクタムコポリマー、ビニルピロリドン/ビニルホルムアミドコポリマーおよび/またはビニルピロリドン/ビニルアルコールコポリマーからなる群から選択されてよく、明らかに非常に特に好ましくはポリビニルピロリドン(PVP)である。
【0168】
別の適当なフィルム形成ポリマーは、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸エステルのホモポリマーまたはコポリマー、アクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、メタクリル酸アミドのホモポリマーまたはコポリマー、ビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアルコールのコポリマー、酢酸ビニルのコポリマー、エチレンのホモポリマーまたはコポリマー、プロピレンのホモポリマーまたはコポリマー、スチレンのホモポリマーまたはコポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよび/またはポリアミドからなる群から選択することができる。
【0169】
合成ポリマー、ラジカル重合により得られるポリマー、または天然ポリマーからなる群から選択されるフィルム形成ポリマーが非常に適していることが判明した。
【0170】
他の特に適当なフィルム形成ポリマーは、オレフィン、例えばシクロオレフィン、ブタジエン、イソプレンまたはスチレン、ビニルエーテル、ビニルアミド、少なくとも1個のC1-C20アルキル基、アリール基またはC2-C10ヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のエステルまたはアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択することができる。
【0171】
他のフィルム形成ポリマーは、イソオクチル(メタ)アクリレート;イソノニル(メタ)アクリレート;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート;ラウリル(メタ)アクリレート);イソペンチル(メタ)アクリレート;n-ブチル(メタ)アクリレート;イソブチル(メタ)アクリレート;エチル(メタ)アクリレート;メチル(メタ)アクリレート;tert-ブチル(メタ)アクリレート;ステアリル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;および/またはそれらの混合物のホモポリマーまたはコポリマーから選択され得る。
【0172】
別のフィルム形成ポリマーは、(メタ)アクリルアミド;C2-C18アルキル基を有するN-アルキル(メタ)アクリルアミド、例えばN-エチル-アクリルアミド、N-tert-ブチル-アクリルアミド、N-オクチル-クリルアミド;N-ジ(C1-C4)アルキル-(メタ)アクリルアミドのホモポリマーまたはコポリマーから選択され得る。
【0173】
他の好適なアニオン性コポリマーとして、アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC1~C6アルキルエステルのコポリマーが挙げられ、これらはINCI名アクリレートコポリマーで販売されている。好適な市販品は例えば、Rohm & Haas製のAculyn(登録商標)33である。アクリル酸、メタクリル酸またはそれらのC1-C6アルキルエステル、およびエチレン性不飽和酸とアルコキシル化脂肪アルコールとのエステルのコポリマーもまた好ましい。好適なエチレン性不飽和酸は特に、アクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸であり、好適なアルコキシル化脂肪アルコールは特に、ステアレス-20またはセテス-20である。
【0174】
市販のポリマーとしては、Aculyn(登録商標)22(アクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマー)、Aculyn(登録商標)28(アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマー)、Structure 2001(登録商標)(アクリレート/ステアレス-20イタコネートコポリマー)、Structure 3001(登録商標)(アクリレート/セテス-20イタコネートコポリマー)、Structure Plus(登録商標)(アクリレート/アミノアクリレートC10-30アルキルPEG-20イタコネートコポリマー)、Carbopol(登録商標)1342、1382、Ultrez 20、Ultrez 21(アクリレート/C10-30アクリル酸アルキル架橋ポリマー)、Synthalen W 2000(登録商標)(アクリレート/パルメス-25アクリレートコポリマー)またはRohme und Haas製の流通品Soltex OPT(アクリレート/C12-22メタクリル酸アルキルコポリマー)が挙げられる。
【0175】
ビニルモノマー系の好適なポリマーとして、N-ビニルピロリドン、ビニルカプロラクタム、ビニル-(C1-C6)アルキル-ピロール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリミジンまたはビニルイミダゾールのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0176】
コポリマーのオクチルアクリルアミド/アクリレート/メタクリル酸ブチルアミノエチルコポリマー、例えばNATIONAL STARCHによって商品名AMPHOMER(登録商標)若しくはLOVOCRYL(登録商標)47で市販されているもの、またはNATIONAL STARCHによって商品名DERMACRYL(登録商標)LTおよびDERMACRYL(登録商標)79で販売されているアクリレート/オクチルアクリルアミドのコポリマーも適している。
【0177】
好適なオレフィン系ポリマーとして、エチレン、プロピレン、ブテン、イソプレンおよびブタジエンのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。
【0178】
別の実施形態において、フィルム形成疎水性ポリマーは、スチレンまたはスチレン誘導体の少なくとも1つのブロックを含むブロックコポリマーであり得る。これらのブロックコポリマーは、スチレンブロックに加えて1つ以上の他のブロック、例えばスチレン/エチレン、スチレン/エチレン/ブチレン、スチレン/ブチレン、スチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエンを含むコポリマーであってよい。そのようなポリマーはBASFによって商品名「Luvitol HSB」で市販されている。
【0179】
剤はまた、他の活性成分、助剤および添加剤、例えば溶媒、ストラクチュラント(structurant)、例えばグルコース、マレイン酸および乳酸、ヘアコンディショニング化合物、例えばリン脂質、例えばレシチンおよびケファリン;香油、ジメチルイソソルバイドおよびシクロデキストリン;繊維構造改善活性成分、特に単糖類、二糖類およびオリゴ糖、例えばグルコース、ガラクトース、フルクトース、フルクトースおよびラクトース;製剤を着色するための染料;フケ防止活性成分、例えばピロクトン・オラミン、亜鉛オマジンおよびクリンバゾール;アミノ酸およびオリゴペプチド;動物系および/または植物系並びに脂肪酸縮合物または任意にアニオン変性型若しくはカチオン変性型誘導体の形態のタンパク質加水分解物;植物油;光安定剤およびUVブロッカー;活性成分、例えばパンテノール、パントテン酸、パントラクトン、アラントイン、ピロリジノンカルボン酸およびその塩、ビサボロール;ポリフェノール、特にヒドロキシ桂皮酸、6,7-ジヒドロキシクマリン、ヒドロキシ安息香酸、カテキン、タンニン、ロイコアントシアニジン、アントシアニジン、フラバノン、フラボンおよびフラボノール;セラミドまたは疑似セラミド;ビタミン類、プロビタミンおよびビタミン前駆体;植物抽出物;脂肪およびワックス、例えば脂肪アルコール、ミツロウ、モンタンワックスおよびケロシン;膨潤剤および浸透剤、例えばグリセロール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、カーボネート、炭酸水素塩、グアニジン、尿素、第一級、第二級および第三級ホスフェート;乳白剤、例えばラテックス、スチレン/PVPおよびスチレン/アクリルアミドコポリマー;真珠光沢剤、例えばエチレングリコールモノ-およびジステアレート並びにPEG-3-ジステアレート;並びに発泡剤、例えばプロパン-ブタン混合物、N2O、ジメチルエーテル、CO2および空気を含有してもよい。
【0180】
これらの他の物質の選択は、剤の所望の特性に応じて専門家によって行われる。他の任意成分およびこのような成分の使用量は、専門家に知られている関連マニュアルに明示されている。付加的な活性成分および助剤は、好ましくは、本発明の剤中に、各剤の総重量に対して0.0001~25重量%ずつ、0.0005~15重量%ずつの量で使用される。
【0181】
<剤のpH値>
本発明の剤のpH値は、好ましくは、弱酸性~アルカリ性のpH値に調整される。最も好ましくは、本剤は、4.0~11.5、好ましくは5.0~11.0の範囲のアルカリ性pHを有する。
【0182】
所望のpHに調整するために、剤(a)および/または(b)は、少なくとも1つのアルカリ化剤を含み得る。本発明でのpH値は、22℃の温度で測定されるpH値である。
【0183】
剤は、アルカリ化剤として、例えばアンモニア、アルカノールアミンおよび/または塩基性アミノ酸を含み得る。
【0184】
本発明の剤に使用できるアルカノールアミンは、好ましくは、少なくとも1つのヒドロキシル基をもつC2-C6アルキルを有する第一級アミンから選択される。好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオールによって形成される群から選択される。
【0185】
本発明に従って特に好ましいアルカノールアミンは、2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択される。したがって、特に好ましい実施形態は、本発明の剤が、アルカリ化剤として2-アミノエタン-1-オールおよび/または2-アミノ-2-メチルプロパン-1-オールから選択されるアルカノールアミンを含むことを特徴とする。
【0186】
本発明の目的のために、アミノ酸は、その構造中に少なくとも1つのプロトン化性アミノ基および少なくとも1つの-COOHまたは1つの-SO3H基を含有する有機化合物である。好ましいアミノ酸は、アミノカルボン酸であり、とりわけα-(アルファ)-アミノカルボン酸およびω-アミノカルボン酸であり、ω-アミノカルボン酸が特に好ましい。
【0187】
本発明によれば、塩基性アミノ酸は、等電点pIが7.0より大きいアミノ酸である。
【0188】
塩基性α-アミノカルボン酸は少なくとも1つの不斉炭素原子を含有する。本発明の文脈では、考えられ得る両方のエナンチオマーが、特定の化合物またはそれらの混合物として等しく使用でき、とりわけラセミ体として使用することができる。しかし、天然状態で好ましい異性体形態、通常、L体を使用することが特に有利である。
【0189】
塩基性アミノ酸は、アルギニン、リジン、オルニチンおよびヒスチジン、とりわけ好ましくはアルギニンおよびリシンによって形成される群から選択される。したがって、別の特に好ましい態様では、本発明による剤は、アルカリ化剤が、アルギニン、リジン、オルニチンおよび/またはヒスチジンの群からの塩基性アミノ酸であることを特徴とする。
【0190】
さらに、剤は他のアルカリ化剤、特に無機アルカリ化剤を含み得る。本発明に従って使用可能な無機アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選択されることが好ましい。
【0191】
特に好ましいアルカリ化剤は、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リジン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムである。
【0192】
別の非常に好ましい実施形態では、本発明の方法は、着色剤(a)が、アンモニア、2-アミノエタン-1-オール(モノエタノールアミン)、3-アミノプロパン-1-オール、4-アミノブタン-1-オール、5-アミノペンタン-1-オール、1-アミノプロパン-2-オール、1-アミノブタン-2-オール、1-アミノペンタン-2-オール、1-アミノペンタン-3-オール、1-アミノペンタン-4-オール、3-アミノ-2-メチルプロパン-1-オール、1-アミノ-2-メチルプロパン-2-オール、3-アミノプロパン-1,2-ジオール、2-アミノ-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、アルギニン、リジン、オルニチン、ヒスチジン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムからなる群から選択される少なくとも1つのアルカリ化剤を含むことを特徴とする。
【0193】
所望のpHに調整するために、本発明の剤は、少なくとも1つの無機酸または有機酸およびこの酸の少なくとも1つの塩を含む少なくとも1つの緩衝系を含むこともできる。
【0194】
特に好適な無機酸はリン酸二水素カリウムである。リン酸二水素カリウムの分子式はKH2PO4であり、CAS番号は7778-77-0である。リン酸二水素カリウムのモル質量は136.09g/molである。これは、水に非常に溶けやすく(20℃で222g/l)、水中で酸性に反応する。リン酸二水素カリウムの5%水溶液のpH値は4.4である。
【0195】
別の特に適切な無機酸(b2-I)は、リン酸二水素ナトリウムである。リン酸二水素ナトリウムの分子式はNaH2PO4であり、CAS番号は7558-80-7(無水物)、10049-21-5(一水和物)、および13472-35-0(二水和物)である。無水リン酸二水素ナトリウムのモル質量は119.98g/molである。リン酸二水素ナトリウムは水溶液中で酸性に反応する。
【0196】
上記の2つの酸の対応する塩として特に好ましいのは、リン酸水素二カリウムである。リン酸水素二カリウムの分子式はK2HPO4であり、CAS番号は7758-11-4(無水)および16788-57-1(三水和物)である。無水リン酸水素二カリウムのモル質量は174.18g/molである。リン酸水素二カリウムは水溶液中でアルカリ性に反応する。
【0197】
また、上記の2つの酸(b2-II)の対応する塩として特に好ましいのは、リン酸水素二ナトリウムである。リン酸水素二ナトリウムの分子式はNa2HPO4であり、CAS番号は7558-79-4(無水)、10028-24-7(二水和物)、7782-85-6(七水和物)、10039-32-4(十二水和物)である。無水リン酸水素二ナトリウムのモル質量は141.96g/molである。リン酸水素二ナトリウムは水溶液中でアルカリ性に反応する。
【0198】
<ケラチン物質の染色方法>
上述した剤は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法において優位に使用し得る。
【0199】
したがって、本発明の第2の対象は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための方法であって、本発明の第1の対象の説明において詳細に開示したような剤をケラチン繊維に塗布し、必要に応じて、30秒~45分の曝露時間の後に再びすすぐ方法である。
【0200】
すなわち、本発明の第2の対象は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色する方法であって、以下の工程:
(1)ケラチン物質への着色剤の塗布、ここで、着色剤は、本発明の第1の主題の説明において詳細に開示されるような剤である、
(2)ケラチン物質への着色剤の曝露、および、
(3)水による染料のすすぎ流し
を含む方法である。
【0201】
本発明の方法の工程(1)において、第1発明の剤が、最も好ましくはヒトの毛髪であるケラチン物質に塗布される。
【0202】
次いで、本発明の方法の工程(2)において、剤はその塗布後にケラチン物質に作用させられる。これに関して、例えば30秒~60分の異なる曝露時間が考えられる。
【0203】
しかしながら、本発明による染色方法の主な利点は、短い曝露時間の後の短い時間でも強力な着色結果を達成できることである。このため、塗布混合物が、その塗布後、30秒~15分、好ましくは30秒~10分、特に好ましくは1分~5分の比較的短い時間だけケラチン物質上に留まることが有利である。
【0204】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は、
(2)30秒~15分、好ましくは30秒~10分、最も好ましくは1分~5分の範囲の時間、着色剤をケラチン物質に曝露すること
を特徴とする。
【0205】
最後に、塗布混合物はケラチン物質に作用した後、本方法の工程(3)において水ですすぎ流される。
【0206】
ここで、一実施形態において塗布混合物は水のみで、すなわち、後処理剤またはシャンプーの助けを借りることなく洗い流すことができる。原則として、工程(6)における後処理剤またはコンディショナーの使用も考えられる。
【0207】
しかしながら、本発明による課題を解決し、使用の利便性を高めるために、工程(3)において剤をさらなる後処理剤、シャンプーまたはコンディショナーの助けを借りずに、もっぱら水ですすぐことが特に好ましいことが判明した。
【0208】
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法は、
(3)水のみで染料を洗い流すこと
を特徴とする。
【0209】
<はじめに即用剤を調製するケラチン物質を染色するための方法>
前述したように、本発明の第1の主題の剤は、塗布可能な形態でユーザーに直接提供されるか、または、塗布直前に種々の剤を混合することによって調製される、塗布可能な剤である。
【0210】
顔料の特に細かな分散を確保するために、2~3種類の剤を混合して、塗布直前に即用剤を調製することが特に好ましいことが判明した。
【0211】
したがって、特に好ましい実施形態において、即用剤は、好ましくは少なくとも2つの異なる剤を混合することによって調製され、これら2つの剤のうちの第1剤は、アルキル(ポリ)グリコシド(a1)および顔料(a2)の混合物を含む。例えば、アルキル(ポリ)グリコシド(a1)および顔料(a2)の混合物は、濃縮物の形態で提供される予備分散物に代表され得る。第2剤は、少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含み、例えば、水含有化粧品担体調製物であってもよい。即用剤を調製するために、次いで2つの剤を一緒に振とうまたは撹拌する。
【0212】
したがって、本願のさらなる主題は、以下の工程:
(1)剤(I)を提供すること、ここで剤(I)は、
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシドと
(a2)少なくとも顔料と
を含む;
(2)剤(II)を提供すること、ここで、剤(II)は、
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む;
(3)剤(I)と剤(II)とを混合することにより、塗布混合物を調製する;
(4)工程(3)で調製した塗布混合物をケラチン物質に塗布する;
(5)工程(4)で塗布された塗布混合物をケラチン物質に曝露する;および
(6)塗布混合物を水ですすぐこと、
(ここで、成分(a1)、(a2)および(a3)は、既に本発明の第1の主題の説明において詳細に開示されている)
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色するための方法である。
【0213】
ここで、剤(I)は、好ましくは、アルキル(ポリ)グリコシド(a1)中の顔料(a2)の予備分散物に代表され、例えば、濃縮物の形態であってもよい。
【0214】
剤(II)は、アミノシリコーン(a3)を含む基剤調製物、好ましくは基材クリームの形態である。剤(I)および(II)を混合すると、C2-C30アルキルメチコン(a1)中の顔料(a2)の予備分散によって顔料の特に細かな分散が確保され、これは2つの剤(I)および(II)を混合した後でも即用剤に保持される。
【0215】
選択されたpHに依存して、アミノシリコーン(a3)は、場合によっては水性環境における保存安定性の低下を示す。このような場合、アミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を別剤で使用し、使用直前に予備分散物(a1)/(a2)およびアミノシリコーン(a3)の両方を基材調製物と混合することが有利であり得る。この場合、少なくとも3種類の剤を混合して、即用の着色剤を調製する。
【0216】
したがって、さらなる主題は、以下の工程:
(1)剤(I)を提供すること、ここで剤(I)は、
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシドと
(a2)少なくとも顔料と
を含む;
(2)剤(II)を提供すること、ここで、剤(II)は水性化粧品担体調製物である;
(3)剤(III)を提供すること、ここで、剤(III)は、
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)
を含む;
(4)剤(I)と剤(II)と剤(III)とを混合することにより、塗布混合物を調製する;
(5)工程(4)で調製した塗布混合物をケラチン物質に塗布する;
(6)工程(5)で塗布された塗布混合物をケラチン物質に曝露する;および
(7)塗布混合物を水ですすぐこと、
(ここで、成分(a1)、(a2)および(a3)は、既に本発明の第1の主題の説明において詳細に開示されている)
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色するための方法である。
【0217】
この実施形態において、剤(I)は、好ましくは、アルキル(ポリ)グリコシド(a1)中の顔料(a2)の予備分散物に代表され、これは、例えば、濃縮物の形態であってよい。剤(III)も、好ましくは、アミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含む濃縮物である。
【0218】
次いで、塗布の前に2つの剤または濃縮物(I)および(III)を担体調製物(II)と混合する。混合の順序は任意である。したがって、まず剤(I)と剤(II)とを混合し、次にこの混合物を剤(III)と混合することができる。同様に、まず剤(II)と剤(III)とを混合した後、この混合物を剤(I)と混合することも考えられる。また、3つの剤(I)、(II)および(III)を同時に添加して、素早く振とうまたは撹拌して混合することもできる。
【0219】
この担体調製物は水を含み、好ましくは高水分含量である。第1の発明における任意に適用可能なさらなる成分もこの担体調製物に含まれ得る。
【0220】
ここで特に好ましいのは、
(2)剤(II)を提供すること、ここで、剤(II)は水を含み、少なくとも1つの脂肪成分および/または少なくとも1つの界面活性剤を含む、
ことである。
【0221】
最後に、さらなる実施形態において、成分(a1)および(a2)を互いに分離することも有利であることが判明し、その結果、予め互いに分離した3つの成分(a1)、(a2)および(a3)は即用剤の調製により混合される。この製造形態は、例えば、顔料(a2)がより少量で、および/または粉末の形態で使用される場合に有利であり得る。顔料を粉末の形態で包装することにより、混合容器または他の容器への顔料の定量的な移送が容易になる。
【0222】
従って、本願のさらなる対象は、以下の工程:
(1)剤(I)を提供すること、ここで剤(I)は、
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド
を含む;
(2)剤(II)を提供すること、ここで、剤(II)は、
(a2)少なくとも顔料
を含む;
(3)剤(III)を提供すること、ここで、剤(III)は、
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)
を含む;
(4)剤(I)と剤(II)と剤(III)とを混合することにより、塗布混合物を調製する;
(5)工程(4)で調製した塗布混合物をケラチン物質に塗布する;
(6)工程(5)で塗布された塗布混合物をケラチン物質に曝露する;および
(7)塗布混合物を水ですすぐこと、
(ここで、成分(a1)、(a2)および(a3)は、既に本発明の第1の主題の説明において詳細に開示されている)
を含む、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色するための方法である。
【0223】
ここで、剤(I)は少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド(a1)を含み、例えば、濃縮物の形態であってもよい。また、剤(I)が、他の任意成分に加えて、界面活性剤(a1)を含む担体調製物または担体クリームの形態である場合も本発明に従う。
【0224】
剤(II)は、少なくとも1つの顔料(a2)を含む。包装の一形態において、顔料は、例えば粉末の形態で提供される。
【0225】
剤(III)は少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー(a3)を含み、好ましくは、濃縮物の形態である。
【0226】
<多成分包装ユニット>
ユーザーの利便性を高めるために、上記の剤を多成分包装ユニットの形態でユーザーに提供することができる。
【0227】
したがって、さらなる対象は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分包装ユニット(キット)であって、別個に包装された、
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド、および、
(a2)少なくとも顔料
を含む剤(I)を含む第1の容器、
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む剤(II)を含む第2の容器、
(ここで成分(a1)、(a2)および(a3)は、既に本発明の第1の主題の説明において詳細に開示されている)
を含む、多成分包装ユニットである。
【0228】
本願の別の対象は、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を染色するための多成分包装ユニット(キット)であって、別個に包装された、
(a1)少なくとも1つのアルキル(ポリ)グリコシド
を含む剤(I)を含む第1の容器、
(a2)少なくとも顔料
を含む剤(II)を含む第2の容器、
(a3)少なくとも1つのアミノ官能化シリコーンポリマー
を含む剤(III)を含む第3の容器、
(ここで成分(a1)、(a2)および(a3)は、既に本発明の第1の主題の説明において詳細に開示されている)
を含む、多成分包装ユニットである。
【0229】
本発明の方法および本発明の多成分包装ユニットの他の好ましい実施形態に関しては、必要な変更を加えて、本発明の剤について述べたものと同様のことが適用される。
【実施例】
【0230】
1.調製物
以下の調製物を調製した(特に明記しない限り、全ての数値は重量%である)。
【0231】
【0232】
2.即用剤の調製および塗布
最初に、担体調製物または基剤クリームを調製した。この目的のために、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよび流動パラフィン油を混合し、撹拌しながら80℃に加熱した。次いで、セテアレス-30、セテアレス-100およびステアリン酸グリセリルを撹拌しながら添加した。水を用いて各適量とした後、リン酸塩およびフェノキシエタノールを加えた。その後、この基剤クリームに成分(a1)、(a2)および(a3)を表中に示すように添加した。
【0233】
【0234】
このようにして得られた即用剤を、毛髪(Kerling社製、「Euronatur-hair white」(ENH)タイプ)(液比:毛髪束1gに対して1gの剤)に塗布して3分間放置して作用させた。その後、毛髪束を水で十分に(1分間)洗浄し、乾燥させた。
【0235】
3.洗浄堅牢性の測定
乾燥後、染色した毛髪束をDatacolor社の色差計(Spectraflash 450型)で測定した。
【0236】
その後、各毛髪束を3回手洗いした。そのために、各毛髪束を水で湿らせた後、市販のシャンプー(Schauma 7-ハーブ)を毛髪束に塗布(毛髪1gに対して0.25gのシャンプー)し、30秒間指でもみ込んだ。その後、毛髪束をぬるま湯の流水で1分間すすぎ、毛髪束を乾燥させた。先に述べた工程は洗髪に相当する。その後の洗髪のたびに、この手順を繰り返した。3回の洗髪後、毛髪束を再び比色測定した。
【0237】
洗浄堅牢性の評価に用いるdE値は、それぞれの毛髪束で測定したL*a*b*の比色値から、以下のように算出する。
dE=[(Li-L0)2+(ai-a0)2+(bi-b0)]1/2
L0、a0およびb0=染色直後の測定値
Li、ai、bi=3回洗髪後の測定値
【0238】
dE値が小さいほど、染色した非洗浄毛髪との色差が小さく、洗浄堅牢性が高い。
【0239】
【国際調査報告】