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特表2023-531601RF電圧及び電流(V-I)センサ及び測定方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-25
(54)【発明の名称】RF電圧及び電流(V-I)センサ及び測定方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230718BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20230718BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20230718BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20230718BHJP
   C23C 16/50 20060101ALI20230718BHJP
   C23C 16/52 20060101ALI20230718BHJP
【FI】
H01L21/302 103
H05H1/46 A
H01L21/205
H01L21/31 C
C23C16/50
C23C16/52
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577120
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-12-14
(86)【国際出願番号】 US2021037758
(87)【国際公開番号】W WO2021262514
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】16/913,545
(32)【優先日】2020-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】モーゼス,ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】レーン,バートン
(72)【発明者】
【氏名】ファン,メリット
(72)【発明者】
【氏名】デュボーズ,チェルシー
(72)【発明者】
【氏名】山澤 陽平
(72)【発明者】
【氏名】ヒュンメル,マイケル
【テーマコード(参考)】
2G084
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA05
2G084CC12
2G084CC13
2G084DD02
2G084DD15
2G084DD55
2G084HH05
2G084HH08
2G084HH21
2G084HH22
2G084HH23
2G084HH29
2G084HH43
2G084HH52
4K030FA01
4K030KA39
5F004BA04
5F004BA20
5F004BB13
5F004BD04
5F004CB05
5F045AA08
5F045BB08
5F045EH12
5F045GB04
(57)【要約】
無線周波数センサアセンブリは、中央の穴の周りに配置されたセンサケーシングを含み、センサケーシングは、第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーを含む。このアセンブリは、中央の穴の周りに配置された空洞を含み、且つ誘電体材料を含み、空洞は、中央の穴の中心からの放射状方向に沿って第1の主外表面及び第2の主外表面によって境界をつけられ、第1の伝導性カバーは、空洞の第2の主外表面を越えた結合領域を介して第2の伝導性カバーに電気的に結合され、空洞及び中央の穴によって、第2の伝導性カバーから電気的に絶縁されている。このアセンブリは、電流センサであって、センサケーシングから電気的に絶縁され、中央の穴の周りに対称的に配置された電流ピックアップを含む、電流センサを含み、電流ピックアップは、空洞の内部に配置され、センサケーシングから絶縁されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数(RF)センサアセンブリであって、
中央の穴の周りに配置されたセンサケーシングであって、第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーを含むセンサケーシングと、
前記中央の穴の周りに配置され第1の誘電体材料を含む空洞であって、前記空洞は、前記中央の穴の中心から放射状方向に沿って第1の主外表面及び第2の主外表面によって境界をつけられ、前記第1の主外表面は、前記中央の穴と物理的に接触した連続的なリング状の領域を含み、前記第2の主外表面は、前記第1の主外表面の半径より大きな半径距離にあり、前記第1の伝導性カバーは、前記空洞の前記第2の主外表面を越えた結合領域を介して前記第2の伝導性カバーに電気的に結合され、前記第1の伝導性カバーは、前記空洞及び前記中央の穴によって、前記第2の伝導性カバーから電気的に絶縁されている、空洞と、
前記センサケーシングから電気的に絶縁され、前記中央の穴の周りに対称的に配置された電流ピックアップを含む電流センサであって、前記電流ピックアップは、前記空洞の内部に配置され、前記センサケーシングから絶縁されている、電流センサと、を含む、無線周波数(RF)センサアセンブリ。
【請求項2】
前記電流センサは、トロイドのような形状をしたマンドレルを含む、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項3】
前記マンドレルは、連続的な中空の通路の周りに第2の誘電体材料を含み、前記中空の通路は、内部円形軸の周りに対称的に巻かれており、前記電流ピックアップは、2つの反対端を有する連続的な導線を含み、前記導線は、前記中空の通路を通るコイルのような形状をしている、請求項2に記載のセンサアセンブリ。
【請求項4】
前記マンドレルの外表面から前記中空の通路まで延びる複数のアクセス穴と、
前記センサケーシングから絶縁された2つの電気端子であって、前記2つの電気端子は、前記複数のアクセス穴を通って前記マンドレルの外に延びる前記導線の前記2つの反対端にそれぞれの電気的に結合されている、2つの電気端子と、を更に含む、請求項3に記載のセンサアセンブリ。
【請求項5】
前記マンドレルは、前記マンドレルの外側主表面上に溝を有する第2の誘電体材料を含み、前記溝は、内部円形軸の周りを対称的に巻かれており、前記電流ピックアップは、2つの反対端を有する連続的な導線を含み、前記導線は、前記トロイドの前記溝の中に配置されたコイルのような形状をしている、請求項2に記載のセンサアセンブリ。
【請求項6】
前記センサケーシングから絶縁された2つの電気端子を更に含み、前記2つの電気端子は、前記マンドレルの外側で前記導線の前記2つの反対端に電気的にそれぞれ結合されている、請求項5に記載のセンサアセンブリ。
【請求項7】
電圧センサを更に含み、前記電圧センサは電圧ピックアップ及び電気端子を含み、
前記電圧ピックアップは、前記電流センサと前記中央の穴との間に介在する前記空洞内に配置され、
前記電気端子は、前記電圧ピックアップに電気的に接続され、
前記電圧センサは、前記センサケーシングから電気的に絶縁されている、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項8】
前記電圧ピックアップは、前記中央の穴の周りに対称的に配置されたリングのような形状をした電極であり、
前記電圧ピックアップは、前記第1の伝導性カバーと前記第2の伝導性カバーとの間に配置された前記空洞内の第3の誘電体材料によって機械的に支持される、請求項7に記載のセンサアセンブリ。
【請求項9】
前記第3の誘電体材料は、固体の誘電体材料であり、前記第1の誘電体材料は気体である、請求項8に記載のセンサアセンブリ。
【請求項10】
前記電圧ピックアップは、スリット領域によって前記センサケーシングから電気的に絶縁され、前記スリット領域は、リングのような形状をした連続的なジグザグの領域を含み、前記スリット領域は、前記中央の穴、前記電圧ピックアップ、及び前記電流センサと物理的に接触している、請求項8に記載のセンサアセンブリ。
【請求項11】
無線周波数(RF)センサアセンブリであって、
中央の穴の周りに対称的に配置されたセンサケーシングであって、第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーを含むセンサケーシングと、
前記中央の穴の周りに対称的に配置された環形のような形状をしており、第1の誘電体材料を含む空洞であって、前記空洞は、前記中央の穴の中心から放射状方向に沿って第1及び第2の主外表面によって境界をつけられ、前記第1の主外表面は、前記中央の穴と物理的に接触しているリング状の連続領域を含み、前記第2の主外表面は、前記第1の主外表面の半径よりも大きな半径距離にある閉じた外側境界を含む、空洞と、
前記中央の穴の周りに対称的に配置された電流ピックアップコイルを含む電流センサであって、前記電流ピックアップコイルは、前記センサケーシングから絶縁されており、前記電流ピックアップコイルは、前記空洞の内部に配置されている、電流センサと、
前記電流ピックアップコイルと前記中央の穴との間に介在し、前記第2の伝導性カバーに電気的に結合された、リングのような形状をした伝導性隆起であって、前記誘電体材料で覆われている、伝導性隆起と、を含む、無線周波数(RF)センサアセンブリ。
【請求項12】
前記第1の伝導性カバーは、前記中央の穴の中心から前記放射状方向に沿って、
前記伝導性隆起の鉛直上方に配置された環形のような形状をした第1の溝と、
前記中央の穴からより遠い半径距離にある、環形のような形状をした第2の溝と、
前記第1に溝と前記第2の溝との間の伝導性領域を含むリングのような形状をしたビームと、を含み、
前記第2の伝導性カバーは、前記ビーム及び前記第2の溝の鉛直下方に配置された環形のような形状をした第3の溝を含み、
前記電流センサは、前記第2の溝を含む前記空洞の部分内に配置された上側部分と、前記第3の溝を含む前記空洞の部分内に配置された下側部分と、を含む、請求項11に記載のセンサアセンブリ。
【請求項13】
前記空洞は、前記中央の穴の中心から前記放射状方向に沿ってスリット領域を含み、前記スリット領域は、リングのような形状をした連続的なジグザグの誘電体領域を含み、
前記スリット領域は、前記中央の穴、前記伝導性隆起、及び前記電流センサと物理的に接触している、請求項11に記載のセンサアセンブリ。
【請求項14】
前記第1の伝導性カバーは、前記空洞の前記第2の主外表面を越えた領域を介して前記第2の伝導性カバーに電気的に結合され、前記第1の伝導性カバーは、前記閉じた外側境界によって囲まれる領域内では前記空洞及び前記中央の穴によって前記第2の伝導性カバーから電気的に絶縁されている、請求項11に記載のセンサアセンブリ。
【請求項15】
プラズマシステムであって、
電極を含む処理チャンバと、
RF信号を用いて前記処理チャンバに給電するように構成された無線周波数電源(RF電源)と、
前記RF電源を前記処理チャンバの前記電極に結合するRFパイプと、
前記RF信号を運ぶ前記RFパイプの軸の周りに対称的に配置されたトロイドのような形状をしたマンドレルと、
前記RFパイプの前記軸の周りに対称的に配置され、前記マンドレルによって囲まれた、電圧ピックアップと、を含む、プラズマシステム。
【請求項16】
電流センサを更に含み、前記電流センサは、
誘電体材料を含む前記マンドレルと、
2つの反対端を備える連続的な導線を含む電流ピックアップであって、前記導線は、前記マンドレルの内部円形軸の周りに対称的に巻かれている、電流ピックアップと、
前記マンドレルの外側で前記導線の前記2つの反対端のそれぞれに電気的に接続された2つの電気端子と、を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
センサアセンブリを更に含み、前記センサアセンブリは、
中央の穴であって、前記RFパイプの内側導体が前記中央の穴の中に配置される、中央の穴と、
前記中央の穴の周りに隣接して配置される環形のような形状をしており、第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーを含む、センサケーシングであって、第1の環状領域と第2の環状領域に分割される、センサケーシングと、を含み、
前記第1の環状領域は、一方の側で前記中央の穴と隣接し、反対側で前記第2の環状領域に隣接しており、
前記第1の環状領域では、前記第1の伝導性カバーは、誘電体材料を含む空洞によって前記第2の伝導性カバーから電気的に絶縁され、前記マンドレル及び前記電圧ピックアップは、前記空洞内に配置され、
前記第2の環状領域では、前記第1の伝導性カバーは、前記第2の伝導性カバーに電気的に結合される、請求項15に記載のプラズマシステム。
【請求項18】
前記センサケーシングの前記第1の環状領域内の前記第1の伝導性カバー及び前記第2の伝導性カバーは、前記RFパイプの外側導体に電気的に結合され、
前記センサケーシングの前記第2の環状領域内の前記第1の伝導性カバー及び前記第2の伝導性カバーは、前記RFパイプの前記外側導体に電気的に結合される、請求項17に記載のプラズマシステム。
【請求項19】
電圧センサを更に含み、前記電圧センサは前記電圧ピックアップ及び電気端子を含み、
前記電圧センサは、前記センサケーシングから電気的に絶縁されており、
前記電圧ピックアップは、中央の穴の周りに対称的に配置されたリングのような形状をした電極であり、
前記電圧ピックアップは、前記第1の伝導性カバーと前記第2の伝導性カバーとの間に配置された空洞内の固体誘電体材料によって機械的に支持され、
前記電圧ピックアップは、前記電気端子に電気的に結合される、請求項17に記載のプラズマシステム。
【請求項20】
前記電圧ピックアップは、スリット領域によって前記センサケーシングから電気的に絶縁され、前記スリット領域は、リングのような形状をした連続的なジグザグの誘電体領域を含み、前記スリット領域は、前記中央の穴、前記電圧ピックアップ、及び前記マンドレルと物理的に接触している、請求項19に記載のプラズマシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、同時出願中の、2020年6月26日に出願された米国非仮特許出願第16/913,526号明細書、代理人整理番号190907US01、及び2020年6月26日に出願された米国非仮特許出願第16/913,548号明細書、代理人整理番号190883US01に関するものであり、且つ、2020年6月26日に出願された米国非仮特許出願第16/913,545号明細書、代理人整理番号200391US01の優先権を主張するものであり、これらの出願は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、プラズマ処理システム及び方法に関し、特定の実施形態では、無線周波数(RF)電圧及び電流センサ及び測定方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、半導体集積回路(IC)における進歩は、低コストでのより高い機能性に対する需要によって、推し進められている。より低コストでのより高い機能性は、主に、小型化を通じて部品の集積密度を上げることにより、もたらされる。ICは、導電線、接点、及びビアのマルチレベルシステムによって相互接続された電子部品(例えば、トランジスタ、抵抗器、及びコンデンサ)のネットワークである。ネットワークの素子は、化学蒸着(CVD)、フォトリソグラフィ、及びエッチングなどの処理ステップを含む製造フローを使用して、半導体基板上に誘電体材料、導電体材料、及び半導体材料の層を順次堆積させパターニングすることにより、一緒に統合される。回路素子の集積密度は、液浸リソグラフィー及び多重パターニングなどの革新的技術を用いて最小フィーチャサイズを定期的に縮小することにより、高められてきた。更なる小型化は、3次元(3D)デバイス構造(例えば、FinFET及び積層されたコンデンサメモリセル)を用いてデバイスの実装面積を低減することにより、達成される。
【0004】
反応性イオンエッチング(RIE)、プラズマ増強CVD(PECVD)、プラズマ増強原子層エッチング及び堆積(PEALE及びPEALD)、並びに周期的なプラズマ処理(例えば、堆積とエッチングを交互に行うサイクル)、などのプラズマ処理が、半導体IC製造で使用される堆積ステップ及びパターニングステップにおいて、慣例的に使用される。しかしながら、高度なIC設計のための製造可能なプラズマ技術を提供するという課題は、構造的な特徴を原子スケールの寸法で制御しながら、フィーチャサイズを数ナノメートルまで縮小する事態の出現により、激化した。製造可能なプラズマ処理は、精密な寸法(例えば、線幅、エッチング深さ、及び膜厚さ)に加えて、プラズマエッチングの特徴(例えば、側壁角度、異方性、及びエッチング停止層の選択性)とプラズマ堆積の特徴(例えば、コンフォーマリティ(conformality)、アスペクト比の選択性、及びボトムアップパターニングのエリア選択性)の両方について精密に制御された特徴、並びに幅の広い(例えば、300mmの)ウェーハ全体に渡る均一性、を備えた構造を提供することが期待されている。IC製造で使用されるプラズマ処理の多くでは、プラズマはRF電力によって維持される。プラズマ特性は、処理チャンバに供給されるRF電力によって影響されるので、プラズマ処理を精密に制御するには、目立たず正確であるRF信号の革新的な計測が必要になることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、無線周波数センサアセンブリは、中央の穴の周りに配置されたセンサケーシングを含み、センサケーシングは、第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーを含む。このアセンブリは、中央の穴の周りに配置された空洞を含み、且つ誘電体材料を含み、空洞は、中央の穴の中心から放射状方向に沿って第1の主外表面及び第2の主外表面によって境界をつけられ、第1の伝導性カバーは、空洞の第2の主外表面を越えた結合領域を介して第2の伝導性カバーに電気的に結合され、空洞及び中央の穴によって、第2の伝導性カバーから電気的に絶縁されている。このアセンブリは、電流センサであって、センサケーシングから電気的に絶縁され、中央の穴の周りに対称的に配置された電流ピックアップを含む、電流センサを含み、電流ピックアップは、空洞の内部に配置され、センサケーシングから絶縁されている。
【0006】
本発明の一実施形態によれば、無線周波数(RF)センサアセンブリは、中央の穴の周りに対称的に配置されたセンサケーシングを含み、センサケーシングは、第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーを含む。このアセンブリは、中央の穴の周りに対称的に配置された環形のような形状をしており、第1の誘電体材料を含む空洞であって、空洞は、中央の穴の中心から放射状方向に沿って第1及び第2の主外表面によって境界をつけられ、第1の主外表面は、中央の穴と物理的に接触しているリング状の連続領域を含み、第2の主外表面は、第1の主外表面の半径よりも大きな半径距離にある閉じた外側境界を含む、空洞と、中央の穴の周りに対称的に配置された電流ピックアップコイルを含む電流センサであって、電流ピックアップは、センサケーシングから絶縁され、電流ピックアップは、空洞の内部に配置されている電流センサと、を含む。このアセンブリは、電流ピックアップと中央の穴との間に介在し、第2の伝導性カバーに電気的に結合されたリングのような形状をした伝導性隆起を含み、この伝導性隆起は、誘電体材料で覆われている。
【0007】
本発明の一実施形態によれば、プラズマシステムは、電極を含む処理チャンバと、処理チャンバにRF信号を用いて給電するように構成された無線周波数(RF)電源と、RF電源を処理チャンバの電極に結合するRFパイプと、RF信号を運ぶRFパイプの軸の周りに対称的に配置されたトロイド形のような形状をしたマンドレルと、RFパイプの軸に周りに対称的に配置され、マンドレルによって囲まれた電圧ピックアップと、を含む。
【0008】
本発明及びその利点をより完全に理解するために、ここで、添付図面と併せて読まれるべき以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A】半導体IC製造のための一般的なプラズマ処理システムのブロック図を示す。
図1B】一実施形態による、RFパイプ用のV-Iセンサの断面図を示す。
図1C】一実施形態による、RFパイプ用のV-Iセンサの電流センサの上部断面図を示す。
図2A】一実施形態による、RFパイプ用のV-Iセンサの斜視図を示す。
図2B図2Aに示したV-Iセンサの切取内部図を示す。
図3】ある実施形態による、RFパイプ用のV-Iセンサの切取内部図を示す。
図4】ある実施形態による、RFパイプ用のV-Iセンサの切取内部図を示す。
図5】ある実施形態による、RFパイプ用のV-Iセンサの切取内部図を示す。
図6A】ある実施形態による、RFパイプ用のV-Iセンサの斜視図を示す。
図6B図6Aに示したV-Iセンサの切取内部図を示す。
図6C図6Aに示したV-Iセンサの断面図を示す。
図6D】一実施形態による、図6Aに示したV-Iセンサの電流センサ要素の斜視図を示す。
図7A】ある実施形態による、RFパイプ用の電流センサアセンブリの斜視図を示す。
図7B図7Aに示した電流センサアセンブリの分解図を示す。
図7C】RFパイプ用のRF導体と共に、図7Aの電流センサアセンブリの切取内部図の分解図を示す。
図7D】ある実施形態による、図7Cに示したRFパイプ用のRF導体を有する電流センサアセンブリの切取内部図を示す。
図7E図7Cに示した、RF導体を有する電流センサアセンブリの底部の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1A図7Eにおける3桁の参照番号全ての最後の2桁は、常に、類似の構成要素を表す。
【0011】
本開示の実施形態を作製すること及び使用することについて、以下で詳述する。しかしながら、本明細書で開示する概念は、多岐にわたる特定の文脈で具現化することができ、本明細書で考察する特定の実施形態は、単なる例示に過ぎず、特許請求の範囲を制限するようにはたらくものではないことが、理解されるべきである。
【0012】
本開示は、無線周波数(RF)電気信号の電圧(V)、電流(I)、及び電圧と電流との間の位相角(Φ)を正確に測定するために使用される、センサ設計及び方法について説明する。本明細書に記載される電圧-電流(V-I)センサの実施形態は、RFパイプと呼ばれる同軸伝送線に沿ってRF電磁波の電場及び磁場をプローブすることに、適用されている。
【0013】
半導体製造におけるプラズマ処理(例えば、プラズマエッチング及び堆積処理)では、しばしば、プラズマを維持するためにRF電力が使用される。当業者には知られているように、プラズマチャンバ内でプラズマを維持するRF信号は、プラズマ特性に影響を及ぼす。プラズマ特性(例えば、電子の密度、プラズマシースの厚さ、イオンとラジカルフラックスとの比率、など)は、次いで、プラズマ処理のエッチング特徴及び/又は堆積特徴に影響を及ぼす。
【0014】
様々な実施形態において、本出願は、RFパイプを通るRF信号の電流及び電圧を測定するためのRF V-Iセンサについて説明する。RFパイプという用語は、本明細書では、プラズマ反応器(プラズマ処理システムと呼ばれる)の一部分から別の部分にRF電力を運ぶ同軸伝送線を指す。RFパイプを通って伝送される波形、I及びVは、位置(x)及び時間(t)の関数、I(x、t)及びV(x、t)である。単一の周波数成分fが存在する場合、電流及び電圧は、Re(I(x)ejωt)及びRe(V(x)ej(ωt+Φ))として簡潔に記述された正弦波形によって表現され、ここで、ω=2πf、j=-1、Reは複素関数の実数部である。上述のように、I及びVはそれぞれある大きさを有し、それぞれ、互いから位相角Φだけ離れている。一般的に、波形I及びVは、複数の周波数成分を含むことがある。電圧V(x、t)は、グランド接続された外側導体(又はシールド)に対する、RFパイプ(又は同軸伝送線)の内側導体(又はコア)の電位を指し、ここで、グランドとは、RFシステムの基準電位を示す。
【0015】
様々な実施形態において説明されるように、RF V-Iセンサは、幾何学的な対称性及び差分測定法を使用して、高精度でセンサの位置におけるV及びIを提供することがある。幾つかのV-IセンサをRFパイプに沿った様々な位置で使用して、その場所でRF信号をプローブすることがある。V及びIは位置xの関数なので、各V-Iセンサは、それぞれの所望の測定場所のできる限り近くに配置されることがある。例えば、プラズマチャンバに提供されるRF信号の電圧及び電流の正確な測定値を使用してプラズマ処理を監視及び制御することが望ましい場合、その目的のために使用されるV-Iセンサは、RF信号がプラズマチャンバに入る場所の近くに配置されることがある。本明細書に記載される様々な実施形態は、コストを増加させることなく、V-Iセンサの測定精度及び感度を高め、それによって、同じコストでより優れた再現性及びより厳密なプロセス制御を備えたプラズマ処理を提供する能力を強化されたプラズマ処理システムを提供する。更に、RFプローブは、製造フローにおける確立されたプラズマ処理のレシピを長い時間及び高い費用をかけて再開発することなしに、既存のプラズマ処理機器に改良されたV-Iセンサを容易に後付けできるように、邪魔にならないように設計されている。
【0016】
本開示では、プラズマ処理システムにおけるV-Iセンサの使用について、まず、図1Aに示したブロック図を参照して説明する。次に、プラズマ処理システムにおけるV-Iセンサの基本構造及び動作原理について、一実施形態による図1Bに示した概略図を参照して説明する。次いで、V-Iセンサ設計(図1Bの概略図における基本構造と同様の設計)の革新的な側面の幾つかについて、図2A図2B図3図4、及び図5に示すV-Iセンサの例示的な実施形態を参照して説明する。
【0017】
図1Bを参照して以下で詳述するように、図2A図2B図3図4、及び図5の実施形態における電圧センサは、軸対称性を有し、電流の流れの方向に平行に走る中央長手方向軸の周りのRFパイプループの内部に配置された伝導性リングとして設計される。軸対称の設計によりもたらされる利点が、図2Bを参照した以下の考察において説明されている。
【0018】
例示的な実施形態におけるそれぞれの電流センサは、RFパイプの外側の周縁の周りのスリーブ又はギャラリーに配置される。ギャラリーは、センサケーシング内部の空洞である。センサケーシングは、ギャラリーを覆う伝導性の壁を有し、RFパイプの外側導体に接続され、それによってグランドに接続されていることがある。図1Bを参照して以下で詳述するように、電流センサは、2つの開放端を有する単一の伝導性ループ(半ループと呼ばれる)であり、このループは、例えば、同軸ケーブルによって電流センサに接続された外部V-I分析器の構成要素を使用して完成される。V-I分析器は、電流センサ及び電圧センサから受け取った生の信号を分析する測定システムである。以下で更に説明するように、電流センサの両端をV-I分析器に接続して、正確な分析のための差分測定を行うことがある。しかしながら、精度を犠牲にしてシステムを単純化するために、電流センサの両端のうちの一方のみがV-I分析器に接続されることがあり、他方の端部は、負荷インピーダンスにより(例えば、50オームの負荷により)グランドに終端されるか、又はグランドに短絡されることがある。グランド接続は、センサケーシングとの直接接続であり得る。この構成では、ギャラリーの外側グランドカバーは、半ループの2つの端部間の回路内にあり、ループを完成させるのに大いに貢献する。本開示に記載する電流センサの実施形態を使用した代替のRFシステムでは、閉じたループ全体が、適切なインピーダンス整合及び1つ又は複数の外部信号接続部を伴って、ギャラリーの内部に収容されることがある。
【0019】
図1B図5を参照して説明する例示的な実施形態では、半ループ電流センサの電流ループは、3つの伝導性要素を含む1つの伝導性ターンを有する。電流センサの半ループの3つの伝導性要素とは、RFパイプの中央軸に平行に向けられた水平ブランチによって接続された、2つの同一の垂直ブランチである。従って、本明細書で考察する電流センサ設計は、RFパイプの中央軸に垂直であり2つの垂直ブランチ間の中間を通る鏡面の周りに鏡面対称である。鏡映対称であることの利点は、図2Bを参照して以下で考察される。しかしながら、RFパイプの片側に配置されているので、単一ターンの半ループ電流センサは、軸対称性に欠けている。軸対称の多ターン半ループ電流センサ設計については、図6A図7Eを参照して説明されており、これらの図では、実施形態は、トロイド形のマンドレルを利用して多ターン電流ピックアップを機械的に支持している。
【0020】
本開示に記載されるV-Iセンサ設計の革新的な態様は、幾つかの利点を提供することがある。例えば、電磁波の電場及び磁場の非侵入型のプロービングを使用して、RFパイプ内のRF信号の無視できる程度の擾乱を伴って、V-I測定を行うことができる。また、センサ設計において幾何学的な対称性及び差分測定技術を有利にも利用すると、V-Iセンサの組み立て中の位置決め誤差に加えて、構成要素を形成するために使用されるツールの標準公差に起因する機械加工誤差の影響を受けないことがある測定がもたらされる。更に、幾つかの構造的な強化技術が利用されている。例えば、幾何学的対称性を高めるために、V-Iセンサの要素が複製的に配置されることがあり、また、組み立て中に機械的応力によって引き起こされる、重要なセンサ構成要素の形状のほんの僅かな変形を低減/抑制するために、追加の機械的支持を提供するように設計された部品が配置されることがある。従って、本開示において記載される実施形態を使用することにより、より厳密な機械加工公差によるコストの上昇を招くことなく、精度が改善されたRF V-I測定が達成されることがある。
【0021】
図1Aは、半導体IC製造に使用されることがある一般的なプラズマ処理システムのブロック図である。
【0022】
ここで図1Aを参照すると、プラズマ処理システムでは、高出力RF電源10、例えば、RF電力増幅器に結合されたRF発振器、によってRF信号が生成されることがある。RF信号波形(例えば、周波数、振幅、パルス状/連続した、など)は、プログラム可能なコントローラ20及び関連した電子回路によって、調節されることがある。RF信号を、導管、例えばRFパイプ110を介して伝送して、図1Aではプラズマチャンバ30として示されたブロック内部のプラズマに結合された電極にRF電力を運ぶことがある。
【0023】
当業者には知られているように、RFパイプ110内のRF信号は、進行するRF電磁波の組み合わせとして表現されることがある。RF電源10の出力インピーダンスと負荷インピーダンスとの間のインピーダンス不整合により、RF電源10から負荷に向けて進行するRF電力の一部が、反射してRF電源10に戻ることになる。そのような望ましくない反射を抑制するために、図1Aに示すように、整合ネットワークを備える整合器40が、RF電源10とプラズマチャンバ30との間のRF信号経路中に挿入されることがある。反射電力と整合ネットワークの入射電力との比率が、整合器40によって(例えば、V-Iセンサ及び分析器を使用して)感知され、プログラム可能コントローラ20に提供されることがある。プログラム可能コントローラ20は、例えば、フィードバック制御ループ(図1Aでは、整合器40とプログラム可能コントローラ20との間の2つの矢印によって示される)を使用して、整合ネットワークのインピーダンスを調節することにより、整合ネットワークからRF電源10に反射して戻るRF電力を低減することができる。
【0024】
プラズマは、例えば、RFパイプ110によってRF電源10からプラズマチャンバ30の電極まで送達されるRF電力を使用して、プラズマチャンバ30内で維持されることがある。図1Aに示すように、V-Iセンサ100を使用して、電極に提供されるRF信号の電流及び電圧を感知することができる。様々なプラズマチャンバ設計では、電極は、チャンバ壁の内部にあることがあり、例えば、容量結合プラズマ(CCP)チャンバ内のディスク状の電極であることがあり、又はチャンバ壁の外部のアンテナであり得る。例えば、誘導結合プラズマ(ICP)チャンバでは、アンテナは、誘電体窓の上方に配置された伝導性の平面螺旋(spiral)であるか、又は、誘電体円筒の周りに巻かれた伝導性螺旋(helix)であり得る。図1Aではプラズマチャンバ30として示されたブロックは、プラズマに結合されたアンテナ及び電極を含む。単純にするために、本開示では、電極という用語は、電極及び/又はアンテナを指す。プラズマチャンバ30は、少なくとも2つの電極、例えば、上部電極及び底部電極であって、それらの電極の間のプラズマに電気的に結合された上部電極及び底部電極を含む。設計によっては、底部電極が基板ホルダーでもあることが有利である場合がある。
【0025】
図1Aのブロック図は、RFパイプ110がRF電力を単一のRF電源10からプラズマチャンバ30に送達する様子を示しているが、2つ以上の電極にRF電力を供給する2つ以上のRF電源があってもよい。例えば、RF電源10が、プラズマチャンバ30の電極(例えば、上部電極)にRF電力を供給することがあり、第2のRFバイアス電源が、それぞれのRFパイプと、整合器と、底部電極に提供されるRF信号の電圧及び電流を感知するようにプラズマチャンバの近くに配置されたV-Iセンサと、を使用して、プラズマチャンバ30の別の電極(例えば、底部電極)にRFバイアス電力を供給することがある。
【0026】
図1Aでは、RF信号を受け取る電極の近くでRF信号の電流及び電圧を感知及び測定するために使用されるV-Iセンサ100は、V-I分析器60に接続されている。V-I分析器60は、矢印によって示されるように、V(t)及びI(t)を反映する、V-Iセンサ100からの生の出力波形を受け取ることがある。V-I分析器60は、信号プロセッサ、例えばデジタル信号プロセッサであることがあり、このプロセッサは、生の波形から様々なRF信号の特徴を抽出することができる。この様々なRF信号の特徴には、大きさ|V|、|I|、VとIとの間の位相角(Φ)、及びピークRF電力|V||I|cosΦ、が含まれることがある。更に、複数の周波数成分を抽出するために、高調波解析が行われることがある。測定されたRF信号の特徴は、自由電子及びイオン密度並びにイオン/ラジカルフラックス及びエネルギーなどの、プラズマ特性及びプラズマインピーダンスを反映していることがある。V-I分析器60は、例えば、ある範囲の周波数(例えば、約0.4MHzから約1GHzまで)及び電力(約0.015kWから約30kWまで)に渡るRF較正信号、標準負荷インピーダンス(例えば、短絡回路、開回路、50オーム、など)、及びベクトル・ネットワーク・アナライザ(VNA)を使用して、事前較正されることがある。
【0027】
図1Aで矢印によって示されるように、プラズマ特性を反映した様々なRF信号特徴が、V-Iセンサ100及びV-I分析器60によって、プログラム可能コントローラ20に提供され、例えば、プロセスの監視又は終点検出のために使用されることがある。更に、プログラム可能コントローラ20は、受け取ったRF測定値をプロセス制御のために使用することがある。当業者には知られているように、プラズマ特性は、プラズマに結合されるRF信号を変更することにより、変更されることがある。プログラム可能コントローラ20は、例えば、RF電源10の設定を調節することにより、又は、整合器40の整合ネットワークのインピーダンスを調節することにより、RF測定値からの情報を使用して、プラズマ処理を制御することがある。
【0028】
V-Iセンサ100を使用してプラズマのパラメータを推定し制御する実施形態では、V-Iセンサ100をプラズマチャンバ30の近くに配置するのが有利であることがある。電極の位置でのRF信号のV及びIは、異なる場所に配置されたV-Iセンサ100により、その場所で測定されたV及びIから推定されることがある。しかしながら、電極とV-Iセンサとの距離が増加するにつれて、電極におけるV及びIの測定の誤差が増加することがある。理論的には、2つの場所の間のセンサ信号を変換するために使用される伝達行列は、それらの2つの場所の間の距離が増加するにつれて、統一行列からいっそうはずれる。従って、電極の場所に対して推定されるV及びIは、それぞれの伝達行列の推定における誤差に一段と敏感になる。
【0029】
ここで図1Bを参照すると、V-Iセンサ100は、一実施形態によれば、プラズマチャンバ30に接続するRFパイプ110に取り付けられる。RFパイプ110は、共有された長手方向軸の周りに同心円状に配置された2つの伝導性チューブ(例えば、アルミニウム又は銅のチューブ)を備えた同軸構造であり得る。内側導体120と呼ばれる、内側の伝導性チューブは、左を指している矢印によって示される整合器40の出力端子に電気的に接続されることがある。外側導体130と呼ばれる、外側の伝導性チューブは、一般的にグランドと呼ばれる基準電位に接続された、グランドシースであり得る。RFパイプ110は、主同軸線と呼ばれることがある、というのも、これは、整合器40からプラズマチャンバ30へRF電力を運ぶからである。本開示での他の同軸線は、同軸信号線と呼ばれる(例えば、V-Iセンサ100からVI分析器60まで信号を運ぶために使用されることがある同軸線)。
【0030】
V-Iセンサ100は、2つの主要な構成要素、即ち、電流センサ140及び電圧センサ150を備えている。電流センサ140は、伝導性の壁(例えば、アルミニウム、真鍮、ステンレス鋼、又は銅)を有するセンサケーシング165の内部の環状ギャラリー160内に配置されることがある。図1Bに概略的に示す実施形態では、ギャラリー160は、外側導体130の外側の円周全体をなぞる中空の環状領域であり、RFパイプ110の軸の周りに軸対称である。ギャラリー160の軸対称設計は、RFパイプ110内を伝播するRF電磁波の追加の反射及び非軸対称の波動モードを防止するという利点をもたらす。ギャラリー160及び伝導性センサケーシング165は、RFパイプ110と一体的に形成されるか、又は、RFパイプ110の周りに対称的に取り付けられ、RFパイプ110の長手方向軸と電流センサ140との間の位置合わせ誤差を回避するのを助けるように、組み立て中に位置決めされることができるか、の何れかであり得る。どちらの場合でも、伝導性センサケーシング165と外側導体130は、電気的且つ物理的に接続されている。従って、センサケーシング165は、同軸RFパイプ110の外側導体130の延長部であるとみなすことができる。
【0031】
図1Bの実施形態は環状ギャラリー160を有しているが、他の実施形態では、ギャラリーは環状ではないことがある。他の実施形態では、RFパイプ110の軸対称性は、例えば、RFパイプ110の湾曲部によって不可避的に壊されていることがあり、従って、V-Iセンサ設計における非対称性に起因する更なる軸対称性の低下は、あまり重要ではないことがある。そこで、V-Iセンサ設計において軸対称性を緩和することが妥当であることがある。例えば、ギャラリーは、外側導体130の円周を部分的になぞり、RFパイプ110の完全な回路を形成しないことがある。
【0032】
図1B及び図1Cを参照すると、ギャラリー160は、ギャラリー160の中空領域とRFパイプ110とを接続するスリット132を除いて、センサケーシング165の伝導性表面及び外側導体130によって完全に囲まれている様子が示されている。電流センサ140の電流ピックアップ141は、スリット132の真上のギャラリー160内に配置されている様子が示されている。図1Bに示した実施形態では、電流ピックアップ141は、矩形の3つの辺として配置された3つの伝導性ブランチ、即ち、2つの垂直ブランチ142及び1つの水平ブランチ143、を備えている(半ループと呼ばれる)。一実施形態では、2つの垂直ブランチ142はそれぞれ、水平ブランチ143の開口部にねじ込まれている。
【0033】
図1Bの実施形態では、電流ピックアップ141の垂直ブランチ及び水平ブランチは、3つの別々の部品を使用して形成される。他の実施形態では、異なる数の部品(より少ない/より多い)が使用されることがある。
【0034】
スリット132は、磁束がギャラリー160を突き通るように設計されている。内側導体120内を流れる電流は、内側導体120と外側導体130との間の領域内で長手方向軸LA1を中心に内側導体120の周りを循環する磁束をもたらす。スリット132が無いと、外側導体130の外部の磁束は概ねゼロになる、というのも、外側導体130の内表面上を流れる、等しいが反対向きの戻り電流が、アンペールの法則に従って、内側導体120内の電流に起因する循環する磁束を相殺するからである。スリット132は、円筒形の外側導体130の連続性を中断することにより、戻り電流の進路を変えて、センサケーシング165の外側伝導体の内表面に沿って流れるようにする。それによって、半ループ電流ピックアップ141を含むギャラリー160の中空領域は、内側導体120内を流れる電流とそれぞれの戻り電流との間の領域の内部に位置するようになる。ここで、アンペールの法則により、電流ピックアップ141の矩形の半ループを通るギャラリー160内部の磁場が存在する。一例では、スリット132は、円筒形の外側導体130の円周全体に沿って延びて、電流ピックアップ141の半ループを通る磁束を最大化するのを助けることがある。
【0035】
磁束に加えて、グランド接続された外側導体130と内側導体120との間の電圧差に起因して、内側導体120から発生する電束が存在する。望ましくない電束が、外側導体130内に形成されたスリット132によって提供されるグランドシース内のギャップを介して、ギャラリー160に漏れ出ることがある。電流ピックアップ141の半ループを通る変化する磁束は、その場所におけるI(t)の尺度となる電気信号を誘起する。しかしながら、ギャラリー160に入る電束が、電流ピックアップ141と結合し、磁束によって生成される信号を汚染することがある。従って、図1Cに示すように、スリット132は、約1mm~約5mmの幅(LA1と平行な寸法)を有するように設計されている。スリット132の幅は、RFパイプ110の内側からギャラリー160に入る電束を低減するのに役立つように、狭く保たれていることがある。
【0036】
図1B図5を参照して説明するV-Iセンサの実施形態で使用されるスリットのデザインは、外側導体の円周に沿ったリングのような形状をしているが、様々な他のデザインも可能であることを理解されたい。例えば、図7A図7Eを参照して説明する電流センサアセンブリでは、ジグザグのスリットデザインが使用されている。
【0037】
電流センサ140の伝導性部分は、エアギャップ(又は他の絶縁体)によって、且つ、図1bの絶縁部分162(及び図2A図5に示す同様の他の部分)などの、機械的支持に使用される絶縁構成要素によって、外側導体130及びセンサケーシング165の伝導性表面から絶縁されていることがある。
【0038】
電流ピックアップ141は、形態的に、その2つの垂直ブランチ142及び水平ブランチ143を有する矩形断面を備えた領域の周りに1つのターンを形成する半ループ(2つの開放端を有するループ)である。単一ターンの半ループ電流ピックアップ141は、RFパイプ110に沿って進むRF電磁波から発生する時間変動磁場の存在下に置かれることがある。ファラデーの法則により、時間変動する電圧差が、時間変動する磁束に比例して、電流ピックアップ141の2つの端部の間に誘起されることがある。電流ピックアップ141の2つの端部は、図1Bのセンサケーシング165の上方に示す対称的な端子144の対に取り付けられることがある。一実施形態では、端子144は、同軸信号線を接続するのに使用される同軸ケーブルコネクタであり得る。
【0039】
以下でより詳細に説明するように、電流ピックアップ141に対して対称的なデザインを使用することが有利である。対称性は、例えば、電流センサ140の2つの端子144間の差分電圧を測定することにより、2つの垂直ブランチ142における寄生信号を打ち消すために、測定システム(例えば、図1A及び図1BのV-I分析器60)によって利用される。この測定方法の場合、電流センサ140からの差分信号が、その出力信号であり、例えば、差動増幅器を使用して検出されることがある。
【0040】
電流ピックアップ141の半ループは、終端インピーダンスと、初期検出システムの入力インピーダンスと、ケーブルのインピーダンスと(ケーブルが、電流センサ140の出力信号を測定システムの初期検出システムに伝送するのに使用される場合)の組み合わせにより、V-Iセンサの外部で完成される。初期検出システムが電流センサ140そのものに配置される場合、検出器インピーダンスをケーブルインピーダンスに整合させるという要件が撤廃されることがある。測定システムが電流センサ140から離れている場合、端子144は、例えば、同軸ケーブルを含む同軸信号線を使用して、測定システムの初期検出システムに接続されることがある。同軸ケーブルは、通常、約20オームから約300オームの範囲内のインピーダンスを有する。インピーダンス不整合に起因する測定システムからの反射を回避するために、同軸信号線を整合したインピーダンスで終端させることが有利である。電流センサ140の2つの端部端子144を、対称的な態様で終端された対称的な同軸信号線に接続し、それによって、電流センサ140の出力信号の対称性を保つことも有利である。例えば、一実施形態では、50オームの終端を備えた同一の50オームの同軸ケーブルの対が使用されることがある。
【0041】
上述のように、電流センサの出力信号として差分信号を使用すると、Iを測定する際により高い精度がもたらされる。差分信号を検出するために、端子144の対からの信号の対が、例えば、同軸ケーブルの対を使用して、初期検出システムに提供されなければならない。しかしながら、幾らかの精度の損失を伴うが、電流センサを、端子144の対の端子のうちの一方における信号を検出する測定システムと併せて使用することもできる。(差分信号を検出する代わりに)端子144の対の第1の端子における信号を検出するシステムでは、端子144の対の第2の端子は、できる限り厳密に第1の端子でのインピーダンスを反映するインピーダンスに接続されることがある。例えば、第1の端子は、信号を初期検出システムの50オームの入力ポートに伝送するために、第1の50オームの同軸ケーブルに接続されることがあり、第2の端子は、検出器の代わりにケーブルの端部に50オームの終端を有する第2の同一の50オームの同軸ケーブルに接続されることがある。なお、終端には、他の適切なインピーダンスが使用されてもよいことに留意されたい。インピーダンスは、50オームである必要はない。更に、第2の同軸ケーブルは省略されることがあり、適切なインピーダンス終端が、端子144の対の第2の端子に直接的に取り付けられることがある。
【0042】
電流センサ140を接続するのに使用される要素を含め、測定システムの設計では、電子部品の寄生容量に起因する、グランドへのインピーダンスも考慮に入れられる。寄生容量性インピーダンスの周波数依存性のせいで、RF周波数での構成要素のインピーダンスは、低周波数又はDC(ゼロ周波数)での構成要素のインピーダンスとは大幅に異なることがある。例えば、電気信号の周波数がRF範囲に増加されるにつれて、DCでの抵抗器構成要素のインピーダンスは、抵抗器構造に関連したグランドに対する寄生容量のせいで、低下することがある。抵抗値がより高い抵抗器のインピーダンスは、RF信号の周波数に対してより敏感である。グランドに対する寄生容量は、幾何学的形状及び抵抗器が置かれる幾何学的な環境に依存するので、抵抗器の抵抗値が高い場合、ユニット毎にインピーダンスの変動を制御するのは困難である。従って、測定精度を維持するために、初期検出システムがセンサ位置に配置されている場合であっても、初期検出システムの設計を、抵抗値が寄生RFリアクタンスの0.1未満である抵抗器を使用するように制限することが有利である。
【0043】
電圧センサ150の電圧ピックアップ151は、外側導体130の内表面に沿って配置されることがある伝導性リングを備える。外側導体130及び伝導性電圧ピックアップ151は、図1Bに示すように、絶縁リング152によって互いから絶縁されていることがある。絶縁リング152は、テフロン(登録商標)、又は他のプラスチック材料、又は他の適切な誘電体を含むことがある。一実施形態では、伝導リングなどの電圧ピックアップ151は、内側導体120と外側導体130との間で空気(又は他の絶縁体)にさらされることがある。別の実施形態では、電圧ピックアップ151は、絶縁ハウジング内に埋め込まれていることがある。全ての実施形態において、電圧ピックアップ151(例えば、伝導リング)は、外側導体130から電気的に絶縁され、絶縁構造によって機械的に支持されていることがある。
【0044】
一実施形態では、電圧ピックアップ151(例えば、伝導リング)の内径は、外側導体130の内径と同じであり得る。他の実施形態では、電圧ピックアップ151(例えば、伝導リング)の内径は、異なっている(外側導体130の内径より小さいか又は大きい)ことがある。電圧ピックアップ151を挿入することにより引き起こされるRFパイプ110内の電場及び磁場に対する擾乱は、電圧ピックアップ151(例えば、伝導リング)の内径と外側導体130の内径が等しい場合に、相対的に最小になる。以下で更に詳細に説明するように、電圧ピックアップ151からの出力信号は、電圧ピックアップ151(例えば、伝導リング)の内径が小さくなるにつれて、増加する。電圧ピックアップ151への接点は、外側導体130の外側に延び、センサケーシング165の上方に取り付けられた第3の端子153(例えば、第3の同軸ケーブルコネクタ)で終端する。電流ピックアップ141、電圧ピックアップ151、並びにそれぞれの端子144及び153への接点は、電気伝導率が高い金属(例えば、銅)を含むことがあり、外側導体130及び伝導性センサケーシング165などの他の伝導性要素から全て絶縁されていることがある。
【0045】
初期検出システムを電圧センサ150の端子153に接続する同軸信号線及び終端インピーダンスについての設計上の考慮事項は、上記で考察したような、初期検出システムを電流センサ140の端子144に接続する同軸信号線及び終端インピーダンスについての設計上の考慮事項と、同様であり得る。電流センサ140を参照した上記の考察は、差分出力信号の対称性を保持するための考慮事項を含む。しかしながら、考察のその部分は、電圧センサには当てはまらない、というのも、V-Iセンサ100の実施形態では、電圧センサ150は、1つのリング状の電圧ピックアップ151及び1つの端子153のみを有し、一方、電流センサ140は端子144の対を有するからである。対称性の考慮事項は、2つの電圧ピックアップリングが対称的に配置され、2つの信号の算術平均が使用されることがある別の実施形態において、例えば、図3を参照して説明するV-Iセンサ300において、適用可能であり得る。
【0046】
図1B及び図1Cに示すように、RFパイプ110の長手方向軸LA1は、電流ピックアップ141の平面P1内にある。長手方向軸LA1は、RFパイプ110内の電流の方向とも平行である。更に、図1Cでより容易に観察されるように、RFパイプ110の長手方向軸LA1に垂直な方向に沿って、電流ピックアップ141は、RFパイプ110の長手方向軸LA1を含む第1の鏡面対称平面M1と、第1の鏡面対称平面M1に垂直な第2の鏡面対称平面M2と、を含む。電流ピックアップ141の第1の鏡面対称平面M1とRFパイプ110の長手方向軸LA1は、1つ又は複数の実施形態において、同一平面上にある。
【0047】
磁場線は、長手方向軸LA1の周りにほぼ同心円状であり、半ループの平面P1を垂直に通過する。この構成では、磁場は、(望む通りに)電流ピックアップ141に誘導的に結合される。電場への望ましくない結合は、電流ピックアップ141を外側導体130の外側に配置することにより、大幅に弱められる。誘導的に結合された振動磁場により、電流ピックアップ141(3辺の半ループ)内に起電力(emf)が誘起される。誘起されたemfは、ファラデーの法則に従って、変化する磁束に関係している。導電している導体の周りの磁場の強度は、それぞれの電流を反映しているので、電流センサ140は、それぞれの場所におけるRFパイプ110内のRF電流を反映する時間変動電気信号を生成することがある。電流センサ140の一態様は、端子144の両方における電気信号が検出システムによって受け取られることがあり、2つの端子144間の差分電圧が、電流センサ140の出力信号として使用されることがある、ということである。差分出力技術によってもたらされる利点については、図2Bを参照して以下でより詳細に説明する。
【0048】
電位及び電場の大きさの等高線は、概ね円形であり、その中心がRFパイプ110の長手方向軸LA1上にある。円形の等高線は、長手方向軸LA1に垂直な一団の平面内に含まれている。従って、電場線は、長手方向軸LA1に垂直に、内側導体120から放射状方向に向いている。リング状の電圧ピックアップ151は、概ね、円形の等高線のうちの1つ上に配置される。この構成では、内側導体120の外側の空間内の振動電場は、電圧ピックアップ151と容量結合され、伝導性リングは、電磁気の物理法則に従って、それぞれの場所における内側導体の電位にほぼ比例する振動電位を獲得する。この振動電位は、電圧センサ150の出力信号として使用されることがある。内側導体120と外側導体130との間の放射状方向の電場の大きさは、ガウスの法則に従って、長手方向軸LA1からの放射状方向の距離が増加するにつれて、小さくなる。従って、電圧センサ150の出力信号は、電圧ピックアップ151を内側導体120のより近くに配置することにより、例えば、電圧ピックアップリングの内径を低減することにより、増加することがある。
【0049】
電圧ピックアップ151は電場に容量結合されるが、磁場との結合は殆どない、というのも、リング状の電圧ピックアップ151の平面に垂直な磁束は、この幾何形状では無視できるからである。伝導性チューブ(この例では内側導体120)の周りの電場の強度は、導体の電位を反映しているので、電圧センサ150は、それぞれの場所におけるRFパイプ110上のRF電圧を反映する時間変動電気信号を生成することがある。
【0050】
生の出力信号(例えば、電流センサ140からの1対の信号、及び電圧センサ150からの別の信号)は、矢印によって示されるように、V-I分析器60に伝送されることがある(図1Aも参照)。
【0051】
図2Aは、V-Iセンサ200及びRFパイプの外側導体230(外側チューブ)の斜視図を示す。図2Bは、軸2B-2B’に沿った、同じV-Iセンサ200の切取内部図を示す。図2A及び図2BのV-Iセンサ200は、図1BのV-Iセンサ100と同様である。電流センサ240及び電圧センサ250は、V-Iセンサ200の環状ギャラリー260の内部に配置される。図2A及び図2Bでは、外側導体230内部の電圧センサ250の電圧ピックアップリング251をより分かりやすく示すために、RFパイプの内側導体が取り除かれている。斜視図(図2A)は、V-Iセンサ200の3つの端子(この例では同軸ケーブルコネクタ)を示している。図2Bに見られるように、ギャラリー260の上部の上方に延びる端子244の対は、電流センサ240の電流ピックアップ241に接続している。第3の端子253は、電圧センサ250の電圧ピックアップ251に接続している。
【0052】
図2Bを参照すると、電流センサ240の電流ピックアップ241は、3つの導体を含む半ループである。電流ピックアップ241の2つの伝導性の垂直ブランチ242は、金属のセンサケーシング265からプラスチック(又は他の絶縁材料)によって絶縁されている。垂直ブランチ242は、外側導体230の上方でギャラリー260の内部に水平に配置される第3の導体である、水平ブランチ243の2つの端部に接続している。外側導体230の円周に沿ったスリット232により、磁場が、半ループの平面を通過し、電流ピックアップ241の伝導性ブランチ内に起電力を誘起することができる。電流ピックアップ241の水平ブランチ243は、導体の側面に沿った、水平の非伝導性の(例えば、プラスチックの)部分262に取り付けられることがある。図2A及び図2Bに示すV-Iセンサ200の例示的な実施形態では、水平ブランチ243は、側面上のプラスチック部分262によって、且つ、水平ブランチ243の底部と外側導体230の上部との間のギャップ内の空気によって、グランド接続された金属のセンサケーシング265及び外側導体230から絶縁されている。以下で更に詳細に説明する別の実施形態では、水平ブランチ243に対する機械的支持は、水平導体の下の空隙内に配置された追加のプラスチック部品によって強化されることがある。
【0053】
電流ピックアップ(例えば、図2Bの電流ピックアップ241)は、RF電磁場との相互作用により、電気信号を提供する。上記で説明したように、RF電流を反映するのは、(電場ではなく)磁場である。スリット232により、磁場がRFパイプから、電流ピックアップ241が位置するギャラリー260の中へと透過することができる。電流ピックアップ241と電場との結合により、磁場の測定精度が低下する。電流センサ240は、本明細書で説明するように、電場との望ましくない相互作用から生じることがある測定誤差を抑制することがある。第一に、V-Iセンサ200内の電流センサ240は、グランド接続された外側導体230の外部に配置され、それによって、外側導体230を使用して電場を遮蔽する。図1B及び図1Cを参照して上述したように、RF電場は、(RFパイプの同軸LA1に垂直な放射状方向にあり、従って、ギャラリーに漏れ出す電束は、LA1に平行な寸法として上記で定義されるスリット幅に、ほぼ正比例する。スリット232の幅は、比較的に小さくなるように選択して、外側導体230内のスリット232によって生じるギャップに起因してギャラリー260に入る電束の量を低減することがある。第二に、外側導体230に関わらず空洞内に透過することがある電場の一部の影響を更に低減するために、差分信号が、出力信号として使用されることがある。理想的には、電流センサの2つの端子244間の差分電圧は、電磁気学の理論に従って、振動磁場にほぼ比例する。しかしながら、スリット232が存在することにより、ギャラリー260内部の弱い電場が、電流ピックアップ241に容量結合されることがある。しかしながら、電流ピックアップ241、スリット232、及びギャラリー260は、スリット232の中心を通過する平面であって、RFパイプの長手方向軸に垂直に向けられる平面に関して鏡面対称になるように構成されることがある。上述した半ループの電流ピックアップ241の、この幾何学的な鏡面対称性により、垂直ブランチ242に沿った、2つの端子244に現れる電位に対する擾乱は、大きさ及び位相がほぼ等しくなる。この対称特性は、有利に使用することができる、というのも、これは、差分信号は、ギャラリー260内の透過電場との相互作用に起因する電流ピックアップ241内の寄生信号に影響されないことを意味するからである。言い換えると、端子対244の第1の端子と第2の端子との間の電位差は、擾乱されず、一次まで正しいままである。電流センサ240の設計のこれらの態様を有利に利用して、特に、RFバイアス信号をプラズマチャンバ内の静電基板ホルダーに提供するなどの用途において、高い精度での電流測定を達成することができ、ここで、負荷インピーダンスは、電場の振幅は比較的に高く、磁場の振幅は、RF信号がプラズマチャンバに入る地点の近くで比較的に低くなるようなものであり得る。
【0054】
依然として図2Bを参照すると、外側導体230内部にその内表面の近くに配置されたリング状の導体は、電圧センサ250の電圧ピックアップ251である。電圧ピックアップ251によって生成される信号の強度は、その寸法に依存することがある。直径は、外側導体230の直径によって概ね決まることがある一方で、幅及び厚さは、調節可能な設計パラメータである。この実施形態における伝導性電圧ピックアップ251は、V-Iセンサ200の第3の端子253(例えば、同軸ケーブルコネクタ)に、一箇所で電気的に接続されたリングである。伝導性電圧ピックアップ251は、電圧ピックアップ251に取り付けられたリング状の誘電体構成要素252によって、伝導性の外側導体230から絶縁されている。
【0055】
上記で説明したように、電圧ピックアップ251は、RF電磁場によって誘起された誘電分極によって生じる電気信号を、V-Iセンサ200の第3の端子253で提供する。第3の端子253における電位は、内側導体(明確にするために、図2Bには図示していない)の振動電圧を反映している。RF電場は、電圧ピックアップ251に容量結合される。しかしながら、磁場との相互作用は無視できる、というのも、長手方向軸は、図1Bを参照して上記で説明したように、リングの平面に垂直であるからである。
【0056】
電圧ピックアップ251のリング状の設計は、本明細書で説明するように、軸対称性を利用して、配置誤差及び寸法決め誤差の一部に対する電圧センサ250の出力の感度を下げている。第一に、円形の対称性により、電圧ピックアップ251を精密に配置する必要性が取り除かれることがある、というのも、一次的に、リングの導電性表面での電位は、中心軸(図2Aでの軸2B-2B’及び図1BでのLA1)からのリングの中心の位置のオフセットとは無関係であるからである。むしろ、電圧ピックアップ251の電位は、主にリングの寸法(例えば、内径、外径、及び厚さ)に依存する。対照的に、非対称的な電圧ピックアップ設計では、電圧ピックアップ導体は、一次的に、非対称的な電圧ピックアップの配置及びサイズに依存する電位を獲得することになる。例えば、キノコ状の電圧ピックアップは、キノコの頭部の伝導性表面の寸法だけでなく、内側導体に対する伝導性表面の位置にも敏感であることがある。そのような設計では、電圧ピックアップとRFパイプの長手方向軸との距離は、組み立て中に精密に調整されなくてはならないことがあり、場合によってはマイクロメータねじゲージを使用して手動で調整されなくてはならないことがある。第二に、電圧ピックアップ251の設計により、電圧センサ250をV-Iセンサ200に組み付ける際のセンタリング誤差が概ね打ち消されることがある。電圧ピックアップ251の軸対称性により、電圧ピックアップ251の円の中心が、内側導体の長手方向軸からわずかにずれている場合であっても、一次的には、全体的な電束は変わらないことが確実になる。内側導体のより近くにずれていることがあるリングの一方の半分内での電束の増加は、リングの円形の幾何形状により、このとき長手方向軸からより遠くにある伝導性リングの他方の半分内の電束の同時に起こる減少により、バランスされる。
【0057】
図3は、センサケーシング365内部のギャラリー360内に配置された電流センサ340を有するV-Iセンサ300の別の実施形態の切取内部図を示す。水平ブランチ343は、絶縁部分362によって支持され、電流センサ340の2つの垂直ブランチ342に接続されて示されている。鏡面対称面M2内で一回りするスリット332が、水平ブランチ343の上方に見られる。
【0058】
第1の電圧センサ350は、図2A及び図2Bを参照して説明したV-Iセンサ200と同様に、外側導体330の内部に示されている。更に、V-Iセンサ300は、電流センサ340の反対側に対称的に配置された第2の電圧センサ355を有する。この実施形態では、第1及び第2の電圧センサ350及び355の電圧ピックアップ及びハウジングは、外側導体330の内表面をできる限り滑らかに保つために、外側導体330のボディ内に引っ込んでいる。外側導体330の滑らかな内表面は、電圧センサ350及び355を挿入することにより引き起こされる電磁場への擾乱を低減するという利点をもたらす。この実施形態では、V-Iセンサ300は、RFパイプ内の電磁場への無視できる程度の擾乱を引き起こす。
【0059】
第1の電圧センサ350及び電流センサ340からの測定値は、それらの間の測定位置の差による相対的な位相誤差を有する。この実施形態では、反対側に配置された第2の電圧センサ355は、電流センサ340に対するこの対称的な配置により、反対の位相誤差を有する(即ち、電流センサ340の鏡面対称平面M2は、第1の電圧センサ350及び第2の電圧センサ355から等距離にある)。対称性から、第1の電圧センサ350によって感知されたRF信号波形における電圧と電流との間の相対的な位相の誤差、及び第2の電圧センサ355によって感知されたRF信号波形におけるそれぞれの誤差は、少なくとも一次まで、これら2つの感知された電圧信号の合計において打ち消し合う。従って、第1及び第2の電圧センサ350及び355からの信号を組み合わせることにより、より正確な電圧測定値がもたらされることがある。例えば、第1の電圧センサ350及び第2の電圧センサ355からの測定値の算術平均を使用することにより、位相誤差が低減又は更には除去されて、鏡面対称平面における電圧を反映する電圧測定値がもたらされることがある。
【0060】
更に、第2の電圧センサ355の存在は、2つの垂直ブランチ342、並びに電流ピックアップ341の水平ブランチ343の左半分及び右半分が、同じ電場及び磁場を受けることを確実にするのに役立つ。上記で説明したように、電流ピックアップとギャラリー360内の空洞に透過する電場との望ましくない結合により、寄生電気信号が生成されることがある。幾何学的対称性を改善することにより、第2の電圧センサ355は、電流センサ340の第1及び第2の端子344に見られる電位の擾乱が、図2A及び図2Bを参照して上述したように、差分電流測定値を使用することにより、より正確に打ち消されることを確実にするのに役立つ。実施形態によっては、第2の電圧センサ355の出力を使用することは、任意選択的であることがある。
【0061】
図4は、内側導体420及び外側導体430を含むRFパイプ410に取り付けられたV-Iセンサ400の更に別の実施形態を示す。
【0062】
V-Iセンサ400は、図2A及び図2Bを参照して説明したV-Iセンサ200と同様に、ギャラリー460内に配置された電流センサ440及び電圧センサ450を備える。V-Iセンサ400の設計は、電流センサ440の電流ピックアップ441の水平導体443に対して追加の機械的支持を設けることにより、V-Iセンサ200(図2A及び図2Bを参照)の設計に比べて、改良されている。
【0063】
図4に示したV-Iセンサ400の設計では、支持構成要素(例えば、プラスチック部分462及び470)は、図2Bに示したV-Iセンサ200内のそれぞれの部分(例えば、プラスチック部分262)よりも、より強固に水平ブランチ443を固定することができる。例えば、一実施形態では、V-Iセンサ200内の水平ブランチ243の2つの端部にあるプラスチック部分262は、水平ブランチ243をその中に配置することができる穴の組を有するリングであるが、一方V-Iセンサ400の設計では、部分462及び470などのプラスチック部分は、水平ブランチ443のより多くの部分を取り囲み、金属のセンサケーシング465内の対応する空洞及び外側導体430の金属の外表面に緊密にフィットする突起部を有することがある。
【0064】
図4に示すように、絶縁支持体462に加えて配置される、支持構造470(例えば、プラスチック又は他の非伝導性の材料でできている)は、全側面から、電流ピックアップ441の伝導性水平ブランチ443を保持する。支持構造470は、水平ブランチの第1の部分を支持するための第1の部分と、水平ブランチの第2の部分を支持するための第2の部分と、を含み、ギャップによって分離されている。対照的に、図2Bに示したように、(支持体462と同様の)プラスチック部分262は、下からは水平ブランチを支持しない。図2Bでは、電流センサ240の電流ピックアップ241の水平ブランチ243と外側導体230との間には、空の空間がある。追加の支持体は、電流ピックアップ441の垂直ブランチ442が水平ブランチ443と接触して配置されたときに、水平導体443が曲がるのを防ぐ。更に、支持構造470は、垂直ブランチ442の水平ブランチ443への過度の締め付けを防止することがある。電流ピックアップ441に結合される磁束の変動は、電流ピックアップ441の半ループ幾何形状の形状及び面積の変動によって影響を受ける。従って、電流ピックアップ441の形状を安定化させると、電流センサ440の電気出力の変動が低減され、電流の測定値の精度が改善される。
【0065】
図5は、内側導体520及び外側導体530を備えたRFパイプ510に取り付けられたV-Iセンサ500を示す。電流センサ540は、センサケーシング565の上に配置された端子544の対と、ギャラリー560の内部に配置された単一ターンの半ループ電流ピックアップ541と、を有して示されている。電流ピックアップ541は、水平ブランチ543に取り付けられた2つの垂直ブランチ542を備える。図4のV-Iセンサ400と同様に、プラスチック部分570が、電流センサ540の組み立ての際の、電流ピックアップ541の垂直ブランチ542の過度の締め付け及び水平ブランチ543の湾曲を防止するために使用されている。
【0066】
V-Iセンサ500は、機械加工の複雑さを低減するという改良点を含み、それによってV-Iセンサ400(図4に示す)に比べて製造コストを低減する。V-Iセンサ500の設計は、図5に示すように、電圧センサ550の伝導性電圧ピックアップリングを支持するために、RFパイプ510の内側導体520を中心に置く絶縁体片555も使用される、電圧センサ550を使用することにより、V-Iセンサ400の設計に対して改良されている。複数の目的に対して同じプラスチック部分555を使用することにより、例えば、V-Iセンサ400で使用されたプラスチック部分の一部を取り除くことができる。これにより、V-Iセンサ500の機械加工の複雑さ及び製造コストが低減される。
【0067】
図5の電圧センサ550の伝導性電圧ピックアップリングは、電圧ピックアップリングの直径を外側導体530の直径よりも小さくなるように設計することにより、内側導体520のより近くに配置されている。図1B及び図1Cを参照して上記で説明したように、電圧ピックアップリングの直径が小さいほど、電圧センサ550の出力信号強度が増加する。
【0068】
図1図5を参照して上記で説明したV-Iセンサでは、単一ターンの半ループ電流ピックアップが使用されているが、電流センサの電流ピックアップの設計では、複数ターンが利用されてもよいことを理解されたい。例えば、図1図5に図示したV-Iセンサにおける電流ピックアップは、電流センサの2つの端子に接続された電流ピックアップの2つの端部間に、複数の矩形のターンを含んでもよい。上記で言及したように、多ターン電流ピックアップは、マンドレル、例えば、トロイド形のマンドレルの周りに導線を巻き付けることにより、構成されることもある。導線は、トロイドの中央の穴を垂直に通過するRFパイプの内側導体の周りを対称的に取り巻くドーナツ状の絶縁材料の円形の軸の周りに、コイル状に巻かれることがある。トロイド形マンドレルを使用した多ターン電流ピックアップについては、図6A図7Eを参照して以下で説明する。
【0069】
マンドレルは、トロイドの数学的な定義に正確に従っていなくてもよいが、コイルを取り付け、端子に接続する、などのための構造を備えた、概ねトロイドのような形状をしていることを、理解されたい。
【0070】
図6Aは、V-Iセンサ600の斜視図を示し、図6Bは切取内部図を示し、図6CはV-Iセンサ600の軸A-A’に沿った断面図を示す。
【0071】
図6Aは、V-Iセンサ600の伝導性センサケーシング665を示す。図6Aでは見えないが、電流ピックアップ及び電圧ピックアップが、伝導性センサケーシング665によって囲まれる空間の中に収容されている。図6A図6Cでは、内側導体が、中央の穴621を通過する。内側導体自体は、分かりやすくするために、図6A図6CにおけるV-Iセンサ600の様々な図で省略されている。RFパイプの外側導体は、伝導性センサケーシング665の上部及び底部で、フランジに接続する。図6Aでは、2つのネック領域631が、センサケーシング665の上部及び底部にあるフランジに隣接して示されている。ネック領域631の形状及び寸法は、RFパイプの外側導体の形状及び寸法と同様になるように設計されていることがある。従って、センサケーシング665は、ネック領域631から、より大きな直径の伝導性の壁を有する上部カバー663及び底部カバー666を含む、より広い中央部分へと広がる外側導体の延長部として、解釈されることがある。センサケーシング665及び外側導体は、同軸構造の外側シールドを形成し、グランドに接続されることがある。図6B及び図6Cを参照して以下で説明するように、センサケーシング665のより広い中央部分は、中央の穴621を通過する内側導体の周りに環状の誘電体空洞661を収容する。
【0072】
図6Aの斜視図は、センサケーシング665の外側に組み立てられた3つの同軸ケーブルコネクタも示している。これらの3つの同軸ケーブルコネクタは、V-Iセンサ600の3つの端子である。同軸コネクタ645の外側の対は、電流ピックアップに接続された電流センサ641の端子に接続し、中央の同軸コネクタは、電圧センサの電圧ピックアップ651に接続された中央端子654に接続する。電流ピックアップ及び電圧ピックアップは、上部カバー663と底部カバー666との間に配置される。
【0073】
図6Bの切取内部図、及び(図6Aに示す)切断面A-A’に沿った図6Cの断面図は、V-Iセンサ600の内部構造を示す。RFパイプの内側導体は、分かりやすくするために省略されている。図6B及び図6Cではネック領域631の内部に示されている、中央の穴621の内表面638は、RFパイプと解釈することもできる主同軸構造の内部の側壁を形成する。ネック領域631は、V-Iセンサアセンブリ600の中央の穴621の周りの部分において誘電体空洞661を取り囲むセンサケーシング665の、より広い直径の上部カバー663及び底部カバー666へと膨らむ。内側壁638は、スリット671によって中断されるまで、上部カバー663及び底部カバー666の表面627として続く。図6Cに示すように、誘電体空洞661は、中央の穴621の中心から放射状方向に沿って、第1の主外表面627と第2の主外表面628との間にある。第1の主外表面627は、中央の穴621と物理的に接触している連続的な円形のリング状の領域を含む。垂直方向に、このリング状の第1の主外表面627は、スリット領域671によって2つの部分に分離される。第2の主外表面628は、第1の主外表面627の半径よりも大きな半径距離に位置する。
【0074】
空洞661は、スリット領域671を含む。図6B及び図6Cに示すように、スリット領域671は、物理的な切れ目であって、センサケーシング665の上部カバー663と底部カバー666との間の接合部にギャップを形成する、中央の穴621の円筒形の壁の内表面627における物理的な切れ目を含む。表面627は、中央の穴621の円筒形の壁の表面638の延長である。中央の穴621の中心から放射状方向に見た場合、スリット領域671は、中央の穴621と物理的に接触している絶縁リングの様相をしている。更に放射状方向外側に、スリット領域671は、図6B及び図6Cでジグザグの破線によって示すように、リング状の伝導性電圧ピックアップ651を迂回するジグザグ形状をしている。中央の穴621との物理的接点とトロイド形の電流センサ641の内側半径との間に放射状方向に配置された、空洞661の連続的な絶縁環状領域は、V-Iセンサ600のスリット領域671と呼ばれる。図6B及び図6Cに示すように、スリット領域671は、伝導性電圧ピックアップ651と電流センサ641、並びにセンサケーシング665との間に介在する誘電体バリアを形成する。第1の主外表面627と第2の主外表面628との間の放射状方向の領域において、空洞661(絶縁スリット領域671を含む)は、上部カバー663と底部カバー666とを電気的に絶縁する。第1の主外表面627より小さな放射状方向距離については、上部カバー663は、中央の穴621によって、底部カバー666から電気的に絶縁されている。上部カバー663は、誘電体空洞661の第2の主外表面628を放射状方向に越えた結合領域629を介して、底部カバー666と電気的に結合されている。
【0075】
この設計では、グランド接続されたセンサケーシング665内を流れるRF電流は、トロイド形の電流センサ641によって囲まれた領域内には殆ど流れないことがある。電流は、内側壁638に沿ってネック領域631内を垂直に流れ、その後、誘電体スリット671によって形成された内表面638内の物理的な切れ目により、電流センサ641の周りを通る。スリット671のために、電流は、トロイド形の電流センサ641の周りを放射状方向外側にそらされ、環状誘電体空洞661の伝導性の壁に沿って横方向に流れ、放射状方向に戻り、次いで、ネック領域631の内側壁638に沿って垂直に続く。
【0076】
図6B及び図6Cを参照すると、電流センサ641は、空洞の外側部分、即ち、中央の穴621からより遠くの領域内にある、環状誘電体空洞661の内部のトロイド形の構造である。電流センサ641は、伝導性コイル647及びトロイド形のマンドレル642を含む。コイル647は、トロイド形のマンドレル642の中心の円形軸の周りに巻かれた連続的な導線の複数のターンを含む。コイル647の2つの反対端は、図6Bに示すように、同軸コネクタ645に取り付けられることがある。コイル647の導線は、裸導体、エナメル加工された導体、又は絶縁体でコーティングされた導体であり得る。トロイド形のマンドレル642については、図6Dを参照して以下でより詳細に説明する。電流センサ641は、伝導性センサケーシング665から電気的に絶縁されている。
【0077】
図6B及び図6Cに示すように、電圧センサの伝導性の電圧ピックアップ651は、伝導性リングのような形状をしている。電圧ピックアップ651は、トロイド形の電流センサ641と中央の穴621との間の環状誘電体空洞661の領域内に配置されて示されている。電圧ピックアップ651の機械的支持を提供するために使用される部分には、固体誘電体材料(例えば、プラスチック)が使用されることがある。空洞661のスリット領域671及び誘電体支持部分は、伝導性センサケーシング665から伝導性電圧ピックアップ651を電気的に絶縁する。電圧ピックアップ651と中央端子654との間の接続が、図6Bに示されている。(同軸コネクタ645及び中央端子654は、切断面A-A’には含まれていない。従って、図6Cに示す断面図では見えない)。
【0078】
電圧ピックアップ651の機能は、RFパイプの内側導体と外側導体との間の放射状方向の電場を感知することにより、中央の穴の中心における内側導体のRF電圧を感知することである。一般的に、RFパイプの外側導体及び伝導性センサケーシング665は、グランド接続されている。従って、電圧ピックアップ651は、例えば、内側導体と電圧ピックアップ651との間の環状誘電体領域に配置されたグランド接続された金属リングにより、電圧ピックアップ651の伝導性リングがRFパイプの内側導体から遮蔽された場合、適切に機能できなくなることがある。遮蔽が過度になると、電圧センサの出力は、弱くなりすぎて役に立たなくなる。図6B及び図6Cに示すように、電圧ピックアップ651は、空洞661のスリット領域671の上方及び下方の環状誘電体空洞661の中へと垂直に部分的に延びる。空洞は、上方の金属上部カバー663の溝及び下方の金属底部カバー666内のそれぞれの溝によって、形成される。これらの溝のグランド接続された伝導性内側壁が、電圧ピックアップ651の伝導性リングと内側導体の中央の穴621の中心軸との間に介在するが、グランド接続された金属は、電圧ピックアップ651を完全には遮蔽しない。図6B及び図6Cに示す、上部カバー663を底部カバー666から分離する誘電体スリット671が存在する。スリット671は、鏡面M(図6Cでは破線によって示される)内の円筒形のディスクのような形状をした誘電体領域として見える、というのも、中央の穴621には、内側導体が存在しないからである。内側導体が所定の位置にある場合、誘電体スリット671は、内側導体の周りの環状ディスクのような形状になる。誘電体スリット671内の遮蔽されていない放射状方向の電場は、内側導体とリング状の電圧ピックアップ651の中心部分との間の容量結合により感知される。このとき、電圧ピックアップ651は、その場所における内側導体のRF電圧に比例した使用可能な電気信号を提供することができる。
【0079】
電流ピックアップコイル647の機能は、トロイド形のマンドレル642の円形の中心軸に平行な方向にコイル内を通過する循環磁場を感知することにより、中央の穴の中心における内側導体内のRF電流を感知することである。ファラデーの法則により、コイル647の導線のターンの内部に取り囲まれたトロイド形のマンドレル642内の振動磁束に比例する振動電気信号が、コイル内に誘起される。アンペールの法則によれば、電流センサ641を通過する磁場の強度は、トロイド形の電流センサの中央の穴(ドーナツのドーナツ穴に似た)内の中央の穴の内部に取り囲まれた平面の領域を横切る全電流に比例する。任意の同軸構造に当てはまることだが、RFパイプの任意の場所で内側導体を流れる電流は、外側導体内の反対の電流と正確に等しくなる。V-Iセンサ600のセンサケーシング665は、RFパイプの同等の外側導体であるとみなされることがあり、内側導体は、中央の穴621を通過している。従って、電流センサ641は、センサケーシング665内のRF電流が、トロイド形のマンドレル642の外側周縁によって囲まれた円形のディスク状領域の外側を流れるように制限されない限り、適切に機能しないことがある。例えば、上部カバー663と底部カバー666が、トロイド形のマンドレル642の内側半径よりも短い、中心軸からの放射状方向の距離において電気的に接触する場合、伝導性ケーシング内の電流の一部が、この接点を通って流れることがある。内側導体内の電流とは反対向きのこの電流は、電流センサ641によって封じ込まれる全電流の大きさを減少させ、従って、コイル647を通過する磁束を減少させる。トロイド形の電流センサ641によって囲まれた領域内部の接点を流れる全電流が小さすぎる場合、磁場が、電流ピックアップコイル647内に使用可能な電気信号を誘起するのには不十分になることがある。図6B及び図6Cに示すように、やはり、誘電体スリット領域671が、トロイド形の電流センサ641の内側半径よりも小さい放射状方向の距離における上部カバー663と底部カバー666との電気的接触を防止する。
【0080】
電圧ピックアップ651を空洞661の垂直方向の高さよりも小さくなるように設計することにより、トロイド形の電流センサ641の外側の円まですっかり上部カバー663と底部カバー666とを分離する、途切れのない連続的な誘電体領域が実現される。電圧ピックアップ651の伝導性リングは、絶縁材料を含む支持部分によって、上部カバー663と底部カバー666との間に概ね対称的に配置されることがある。従って、全ての方向において、伝導性電圧ピックアップ651のごく近傍は、絶縁材料である。上記で説明したように、この絶縁材料は、空洞661のスリット領域671の内部にある。電圧ピックアップ651の伝導性リング上方の誘電体の形状は、図6Bのジグザグの破線によって描写されている。なお、図6Cでは破線によって示すように、ジグザグの誘電体スリット領域671は、電圧ピックアップ651の上方と下方の両方に存在する、というのも、電圧ピックアップ651の伝導性リングは、グランド接続されたセンサケーシング665から電気的に絶縁されなければならないからである。
【0081】
電流センサの電流ピックアップは、一般的に、グランド接続された伝導性部分によって、RF電場から遮蔽される。電流ピックアップを遮蔽することは、例えば高インピーダンス負荷の近傍などの、電場が強く磁場が弱い用途では、有利である。V-Iセンサ600では、電流ピックアップコイル647は、センサケーシング665内部の誘電体空洞661内に配置される。図6B及び図6Cに見られるように、また上記で説明したように、トロイド形の電流センサ641から内側導体まで放射状方向内側に移動する間に遭遇する伝導性部分は、第一に、伝導性電圧ピックアップ651と、第二に、伝導性センサケーシング665の内側壁の一部分とを含む。これらの介在する伝導性部分は、放射状方向の電場から電流センサ641を遮蔽するのに役立つことがある。内側導体から発生する電場線のうちの幾つかは、伝導性センサケーシング665のグランド接続された内側壁上で終端することがある。更に、伝導性電圧ピックアップ651は、コイル647をRF電場から部分的に遮蔽することにより、二重の目的に貢献する。電圧ピックアップ651は、グランドに短絡されていないので、伝導性リングによって提供される電場の低下は、中央端子654におけるグランドに対するインピーダンスの大きさに依存する。
【0082】
V-Iセンサ600の電流センサ641と電圧ピックアップ651の両方の構造は、中央の穴621の中心を通り、中央の穴621の平面に垂直な方向を通る共有軸に対して軸対称である。更に、電流センサ641と電圧ピックアップ651の両方は、長手方向軸に垂直な同じ鏡面(図6Cでは破線Mによって示される)を共有する。V-Iセンサ600の構造の対称性は、電圧と電流との間の位相角(Φ)の測定におけるずれを低減/除去するのに役立つ。更に、軸対称性に起因する一次の相殺効果により、V-Iセンサ600のセンサ出力信号が、機械加工公差及び組み立て中の位置決め誤差の影響を受けにくくなる。
【0083】
図6Dは、図6Bに示したトロイド形の電流センサ641のマンドレル642として使用されることがある例示的なトロイド形の構造を示す。トロイド形のマンドレル642は、(図6Bに示す)コイル647を形成するように導線が配置されることがある外表面上の連続的な溝を有する。コイル647の2つの反対端は、図6Dに示す、2つの開口部643に通され、その後、同軸コネクタ645の対に取り付けられる(図6Bを参照)ことがある。電圧ピックアップ651(図6Bを参照)は、伝導性要素を、トロイド形のマンドレル642内の穴及び開口部653に通して中央端子654に取り付けることによって、接続されることがある。
【0084】
トロイド形のマンドレル642は、プラスチック及び他の絶縁材料を含み、例えば、3D印刷技術を使用して製造されることがある。コイル647が溝を付けられたトロイド形のマンドレル642に取り付けられた後、この構造は、任意選択的に、例えば埋め込み樹脂技術を使用して、樹脂のコーティング内に封止されることがある。樹脂カプセル化により、コイル状の多ターン電流ピックアップ647がしっかりと固定される。
【0085】
上述した、電流センサ641及び電場遮蔽と電圧ピックアップ651との組み合わせを含む、V-Iセンサ600の一体化されたアセンブリは、コンパクトなV-Iセンサ設計の利点をもたらす。
【0086】
図7A図7Eは、V-Iセンサ600の設計と同様の設計の、電流センサアセンブリ701を示す。V-Iセンサ600とは異なり、電流センサアセンブリ701は電圧を感知しない。また、電流センサアセンブリ701に使用されるトロイド形のマンドレル742の設計は、以下で更に説明するように、溝を付けられたトロイド形のマンドレル642とは異なっている。
【0087】
図7Aは、センサケーシング765の上部カバー782と底部カバー784との間の誘電体空洞内に配置されたトロイド形の電流センサ741を使用した電流センサアセンブリ701の斜視図を示す。電流センサ741については、図7C図7Eを参照して以下で更に説明する。上部カバー782及び底部カバー784は、金属(例えば、銅又はアルミニウム)を含むことがある。電流センサアセンブリ701は、中央の穴710を有する。電流センサアセンブリ701が使用されることがある同軸伝送線(例えば、RFパイプ)の内側導体は、中央の穴710を通過する。それによって、電流センサアセンブリ701は、同軸伝送線の長手方向軸の周りに対称的に配置される。
【0088】
図7Bは、電流センサアセンブリ701の分解図を示す。図7Bでは、誘電体空洞720の下半分及び底部カバー784の構造を示すために、電流センサ741がセンサケーシング765から取り除かれている。(この構造の上半分については、図7Cを参照して以下で更に説明する)。誘電体空洞720は、外側誘電体領域723と、ジグザグ誘電体スリット725と呼ばれる、内側誘電体領域とに分割されることがある。外側誘電体領域は、底部カバー784の床にある最も外側の溝の上方の領域である。この最も外側の溝の外側の円の外部では、金属上部カバー782と金属底部カバー784が、物理的に且つ電気的に一緒に接続されることがあるが、最も外側の溝の外側の円の内部では、上部カバー782と底部カバー784との間に電気的な接触は形成されないことがある。
【0089】
ジグザグ誘電体スリット725は、底部カバー784の床から突き出たリングのような形状をした伝導性隆起750の両側の2つの溝上の誘電体領域を含む。伝導性隆起750を含む、誘電体空洞720の伝導性の床は、途切れのない連続的な誘電体領域によって、誘電体空洞720のそれぞれの伝導性の屋根から電気的に且つ物理的に分離されている。従って、伝導性隆起750の上部は、上部金属カバー782内のそれぞれの溝の中に突き出ていることがあるが、屋根とは接触していないことがある。従って、ジグザグ誘電体スリット725の組み合わされた上部部分と底部部分は、図7Bでジグザグの破線によって示されるように、伝導性隆起750の周り及び上に延びる、ジグザグ状の誘電体領域になる。
【0090】
図7Cは、内側導体711の周りに対称的に配置された電流センサアセンブリ701の中央の穴710を通過するRFパイプの内側導体711を含むRFシステム700の一部分を示す。グランド接続された外側導体が、上方から上部カバー782に、下方から底部カバー784に、物理的且つ電気的に取り付けられ、それによって、センサケーシング765がグランド接続される。センサケーシングは、V-Iセンサ600のセンサケーシング665と同様に、中央の穴710を通過する内側導体711の部分に対するグランド接続された外側導体として機能する。
【0091】
図7Cでは、電流センサアセンブリ701は、電流センサ741を含む分解図の切取内部図によって示されている。電流センサ741は、トロイド形のマンドレル742に加えて、伝導性の電流ピックアップコイル747を含む。トロイド形のマンドレル742は、巻き線通路を備えた固体の誘電体材料を含む。巻き線通路は、トロイド形のマンドレル742の表面の様々な位置にあるアクセス穴749を通じてアクセスされることがある。2つの穴を有する接続機構743が、アクセス穴749のうちの1つの上に配置されている。コイル747の導線の2つの反対端が、接続機構743内の穴を介して上方に突き出て示されている。トロイド形のマンドレル742の固体の誘電体材料内の巻き線通路を通り抜けるコイル747の導線を示すために、トロイド形のマンドレル742の一部分が切り取られている。コイル747は、マンドレル742の内部にはめ込まれている。マンドレル742の設計は、マンドレル642の溝を付けられた設計に比べてより大きな機械的支持をもたらし、それによって、図6Dを参照して上記で説明した樹脂カプセル化工程が排除される。
【0092】
図7Cでは、トロイド形のマンドレル742は、外側誘電体領域723及び底部カバー784の床のそれぞれの溝に配置されている(図7Bを参照)。電流センサアセンブリ701の分解図は、トロイド形のマンドレル742の上半分を、誘電体空洞720の外側誘電体領域723内の上部カバー782内の溝にはめ込むことができることを示している。同様に、伝導性隆起750は、誘電体空洞720のジグザグ誘電体スリット725内の上部カバー782内の隣接する溝に延びることができる。トロイド形の電流センサ741と内側導体711との間に介在する連続的なリングである伝導性隆起750は、電流センサ741をRF電場から効果的に遮蔽することができる。
【0093】
上記で説明したように、トロイド形の電流センサ741によって囲まれた領域内での、グランド接続された上部カバー782とグランド接続された底部カバー784との間の電気的接触は、電流ピックアップコイル747を通過する磁場の強度を低減し、電流信号の出力信号を過度に弱めることがある。そこで、伝導性隆起750の上部は、ジグザグ誘電体スリット725によって、上部カバー782から電気的に絶縁される。誘電体領域のジグザグの形状は、図7Cではジグザグの破線によって示されている。
【0094】
図7Dに示す、RFシステム700の一部分の切取内部図は、上部カバー782が底部カバー784に取り付けられた状態の電流センサアセンブリ701を示す。誘電体スリット725のジグザグの形状は、図7Dではジグザグの破線によって示されている。
【0095】
図7Eは、電流センサアセンブリ701の底部部分及び電流センサアセンブリの中央の穴710を通過するRFパイプの内側導体711の平面図を示す。トロイド形のマンドレル742及び電流ピックアップコイル747を含む電流センサ741が、底部カバー784の上に示されている。コイル747の2つの反対端が、接続機構743内の穴を通過している。接続機構743は、アクセス穴749と同様の開口部の上に配置されることがある。リング状の伝導性隆起750は、内側導体711と電流センサ741との間に介在して示されている。誘電体スリット725は、伝導性隆起750の両側に見られる。
【0096】
マンドレル642及び742などのマンドレルを使用すると、電流センサ設計で、電流ピックアップとして多数のターンを有するコイルを使用することができるようになる。ターンの数が多いほど、それぞれの電流センサの感度が増す。感度が増すと、各ターンがより小さな断面を有することが可能になり、従って、電流センサ全体のサイズを小さくすることができ、電流センサを、そうしないとアクセスできない領域内に配置することが可能になる。
【0097】
本開示で説明するマンドレルはトロイドのような形状をしているが、他の形状、例えば、正方形又は任意の数の辺を有する正多角形などを使用してもよいことを理解されたい。更に、様々な形状のピックアップを、マンドレルを使用せずに実装することもできる。
【0098】
本開示で説明した実施形態の様々な態様は、様々な他の製造技術を使用してV-Iセンサを製造するために適用されることがある。例えば、電流ピックアップは、プリント回路基板(PCB)技術などにおける、ビアによってリンクされた誘電体材料及び伝導性材料の層で製造されることがある。
【0099】
上記で説明したトロイド形の電流センサの実施形態は、円環体の軸対称性、多ターン電流ピックアップのノイズに対する高い耐性、及びコンパクトな構造により得られる使い易さ、という利点を提供する。
【0100】
本開示で説明したV-Iセンサ及び測定方法は、低い製造コストで非常に高い精度の測定を可能にし得る実施形態を提供する。機械加工誤差及び組み立て誤差に対するV-I測定の感度を低減することを意図した設計特徴を含めることにより、低製造コストでの高い精度が達成されることがある。電流センサの精度は、電流ピックアップの幾何形状(例えば、矩形の半ループによって囲まれる領域)を決定する寸法のばらつきを引き起こす機械加工公差に依存する。電流の測定精度は、組み立て公差、例えば、電流ピックアップを配置することができる精度(長手方向軸からの放射状方向の距離、及び半ループの平面と長手方向軸との間の角度を含む)によっても制限されることがある。同様に、電圧測定の精度は、機械加工公差(例えば、電圧ピックアップリングの直径及び円周の精度)及び組み立て公差(例えば、リングの平面と長手方向軸との間の角度)に依存する。本発明者らは、電流ピックアップ及び電圧ピックアップの寸法及び配置のばらつきに対するV-Iセンサ信号の感度について、詳細なコンピュータシミュレーションを実施し、標準的な機械の場合1%という高い精度を達成することができ、0.005インチという配置公差値を達成することができることを発見した。コンピュータシミュレーションは、プラズマ処理で使用される広範なRF電力、RF周波数、及び負荷インピーダンスに渡る、マクスウェル方程式について、較正された3D有限要素解法を使用して、実施した。
【0101】
本出願の例示的な実施形態を、ここに要約する。他の実施形態も、本明細書の全体及び本明細書で出願される特許請求の範囲から理解することができる。
【実施例
【0102】
実施例1.無線周波数(RF)センサアセンブリは、中央の穴の周りに配置されたセンサケーシングを含み、センサケーシングは、第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーを含む。このアセンブリは、中央の穴の周りに配置され第1の誘電体材料を含む空洞を含み、この空洞は、中央の穴の中心から放射状方向に沿って第1の主外表面及び第2の主外表面によって境界をつけられ、第1の主外表面は、中央の穴と物理的に接触した連続的なリング状の領域を含み、第2の主外表面は、第1の主外表面の半径より大きな半径距離にあり、第1の伝導性カバーは、空洞の第2の主外表面を越えた結合領域を介して第2の伝導性カバーに電気的に結合され、第1の伝導性カバーは、空洞及び中央の穴によって、第2の伝導性カバーから電気的に絶縁されている。このアセンブリは、電流センサであって、センサケーシングから電気的に絶縁され、中央の穴の周りに対称的に配置された電流ピックアップを含む、電流センサを含み、電流ピックアップは、空洞の内部に配置され、センサケーシングから絶縁されている。
【0103】
実施例2.電流センサは、トロイドのような形状をしたマンドレルを含む、実施例1に記載のセンサアセンブリ。
【0104】
実施例3.マンドレルは、連続的な中空の通路の周りに第2の誘電体材料を含み、この中空の通路は、内部円形軸の周りに対称的に巻かれており、電流ピックアップは、2つの反対端を有する連続的な導線を含み、導線は、中空の通路を通るコイルのような形状をしている、実施例1又は2の何れか一項に記載のセンサアセンブリ。
【0105】
実施例4.マンドレルの外表面から中空の通路まで延びる複数のアクセス穴と、センサケーシングから絶縁された2つの電気端子と、を更に含み、この2つの電気端子は、複数のアクセス穴を通ってマンドレルから外に延びる導線の2つの反対端にそれぞれ電気的に接続されている(connected to the respective two opposite ends)、実施例1~3の何れか一項に記載のセンサアセンブリ。
【0106】
実施例5.マンドレルは、マンドレルの外側主表面上に溝を有する第2の誘電体材料を含み、溝は、内部円形軸の周りを対称的に巻かれており、電流ピックアップは、2つの反対端を有する連続的な導線を含み、導線は、トロイドの溝の中に配置されたコイルのような形状をしている、実施例1~4の何れか一項に記載のセンサアセンブリ。
【0107】
実施例6.センサケーシングから絶縁された2つの電気端子を更に含み、これら2つの電気端子は、マンドレルの外側で導線の2つの反対端にそれぞれ電気的に結合されている、実施例1~5の何れか一項に記載のセンサアセンブリ。
【0108】
実施例7.マンドレル及び電流ピックアップは、樹脂で封入されている、実施例1~6の何れか一項に記載の電流センサ。
【0109】
実施例8.電圧センサを更に含み、電圧センサは、電圧ピックアップ及び電気端子を含み、電圧ピックアップは、電流センサと中央の穴との間に介在する空洞内に配置され、電気端子は、電圧ピックアップに電気的に接続され、電圧センサはセンサケーシングから電気的に絶縁されている、実施例1~7の何れか一項に記載のセンサアセンブリ。
【0110】
実施例9.電圧ピックアップは、中央の穴の周りに対称的に配置されたリングのような形状をした電極であり、電圧ピックアップは、第1の伝導性カバーと第2の伝導性カバーとの間に配置された空洞内で第3の誘電体材料によって機械的に支持される、実施例1~8の何れか一項に記載のセンサアセンブリ。
【0111】
実施例10.第3の誘電体材料は、固体の誘電体材料であり、第1の誘電体材料は気体である、実施例1~9の何れか一項に記載のセンサアセンブリ。
【0112】
実施例11.電圧ピックアップは、スリット領域によってセンサケーシングから電気的に絶縁され、スリット領域は、リングのような形状をした連続的なジグザグの領域を含み、スリット領域は、中央の穴、電圧ピックアップ、及び電流センサと物理的に接触している、実施例1~10の何れか一項に記載の電圧センサ。
【0113】
実施例12.無線周波数(RF)センサアセンブリは、中央の穴の周りに対称的に配置されたセンサケーシングを含み、センサケーシングは、第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーを含む。このアセンブリは、環形のような形状をした空洞であって、中央の穴の周りに対称的に配置され、第1の誘電体材料を含む空洞を含み、空洞は、中央の穴の中心から放射状方向に沿って第1及び第2の主外表面によって境界をつけられ、第1の主外表面は、中央の穴と物理的に接触しているリング状の連続領域を含み、第2の主外表面は、第1の主外表面の半径よりも大きな半径距離にある閉じた外側境界を含み、電流センサは、中央の穴の周りに対称的に配置された電流ピックアップコイルを含み、電流ピックアップは、センサケーシングから絶縁され、電流ピックアップは、空洞の内部に配置されている。このアセンブリは、リングのような形状をした伝導性隆起であって、電流ピックアップと中央の穴との間に介在し、第2の伝導性カバーに電気的に結合された伝導性隆起を含み、この伝導性隆起は、誘電体材料で覆われている。
【0114】
実施例13.第1の伝導性カバーは、中央の穴の中心から放射状方向に沿って、第1の溝であって、伝導性隆起の鉛直上方に配置された環形のような形状をした第1の溝と、中央の穴からより遠い半径距離にあり、環形のような形状をした第2の溝と、第1の溝と第2の溝との間の伝導性領域を含むリングのような形状をしたビームと、を含み、第2の伝導性カバーは、ビーム及び第2の溝の鉛直下方に配置された環形のような形状をした第3の溝を含み、電流センサは、第2の溝を含む空洞部分内に配置された上側部分と、第3の溝を含む空洞部分内に配置された下側部分と、を含む、実施例12に記載のセンサアセンブリ。
【0115】
実施例14.空洞は、中央の穴の中心から放射状方向に沿ってスリット領域を含み、スリット領域は、リングのような形状をした連続的なジグザグの誘電体領域を含み、スリット領域は、中央の穴、伝導性隆起、及び電流センサと物理的に接触している、実施例12又は13の何れか一項に記載のセンサアセンブリ。
【0116】
実施例15.第1の伝導性カバーは、空洞の第2の主外表面を越えた領域を介して第2の伝導性カバーに電気的に結合され、第1の伝導性カバーは、閉じた外側の境界によって囲まれる領域内では空洞及び中央の穴によって第2の伝導性カバーから電気的に絶縁されている、実施例12~14の何れか一項に記載のセンサアセンブリ。
【0117】
実施例16.プラズマシステムであって、電極を含む処理チャンバと、処理チャンバにRF信号を用いて給電するように構成された無線周波数(RF)電源と、RF電源を処理チャンバの電極に結合するRFパイプと、RF信号を運ぶRFパイプの軸の周りに対称的に配置されたトロイド形のような形状をしたマンドレルと、RFパイプの軸の周りに対称的に配置され、マンドレルによって囲まれた電圧ピックアップと、を含む、プラズマシステム。
【0118】
実施例17.電流センサを更に含み、電流センサは、誘電体材料を含むマンドレルと、2つの反対端を有する連続的な導線を含む電流ピックアップであって、導線は、マンドレルの内部円形軸の周りに対称的に巻かれている(coiled)、電流ピックアップと、マンドレルの外部で導線の2つの反対端にそれぞれ電気的に接続された2つの電気端子と、を含む、実施例16に記載のシステム。
【0119】
実施例18.センサアセンブリを更に含み、センサアセンブリは、中央の穴であって、RFパイプの内側導体がこの中央の穴内に配置される、中央の穴と、中央の穴の周りに隣接して配置され、第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーを含む、環形のような形状をしたセンサケーシングと、を含み、センサケーシングは第1の環状領域及び第2の環状領域に分割され、第1の環状領域は、一方の側で中央の穴に隣接し、反対の側で第2の環状領域に隣接しており、第1の環状領域では、第1の伝導性カバーは、誘電体材料を含む空洞によって第2の伝導性カバーから電気的に絶縁されており、マンドレル及び電圧ピックアップは空洞内に配置され、第2の環状領域では、第1の伝導性カバーは第2の伝導性カバーと電気的に結合されている、実施例16又は17の何れか一項に記載のプラズマシステム。
【0120】
実施例19.センサケーシングの第1の環状領域内の第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーは、RFパイプの外側導体に電気的に結合され、センサケーシングの第2の環状領域内の第1の伝導性カバー及び第2の伝導性カバーは、RFパイプの外側導体と電気的に結合されている、実施例16~18の何れか一項に記載のプラズマシステム。
【0121】
実施例20.電圧センサを更に含み、電圧センサは電圧ピックアップ及び電気端子を含み、電圧センサはセンサケーシングから電気的に絶縁されており、電圧ピックアップは中央の穴の周りに対称的に配置されたリングのような形状をした電極であり、電圧ピックアップは第1の伝導性カバーと第2の伝導性カバーとの間に配置された空洞内の固体誘電体材料によって機械的に支持され、電圧ピックアップは電気端子に電気的に結合されている、実施例16~19の何れか一項に記載のプラズマシステム。
【0122】
実施例21.電圧ピックアップは、スリット領域によってセンサケーシングから電気的に絶縁され、スリット領域は、リングのような形状をした連続的なジグザグの誘電体領域を含み、スリット領域は、中央の穴、電圧ピックアップ、及びマンドレルと物理的に接触している、実施例16~20の何れか一項に記載のプラズマシステム。
【0123】
本発明は、例示的な実施形態を参照して説明されているが、本明細書は、限定的な意味で解釈されることを意図するものではない。当業者であれば、本明細書を参照することにより、それらの例示的な実施形態の様々な修正形態及び組み合わせ並びに本発明の別の実施形態が明らかになるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、そのようなあらゆる修正形態又は実施形態を包含することが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
【国際調査報告】