(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(54)【発明の名称】薄膜形成用成長抑制剤、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板
(51)【国際特許分類】
C23C 16/455 20060101AFI20230719BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20230719BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20230719BHJP
H01L 21/318 20060101ALI20230719BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20230719BHJP
【FI】
C23C16/455
H01L21/285 C
H01L21/88 B
H01L21/318 B
H01L21/31 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581010
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 KR2021009167
(87)【国際公開番号】W WO2022015099
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2020-0089035
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】321001986
【氏名又は名称】ソウルブレイン シーオー., エルティーディー.
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,チャン ボン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジェ ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ムン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ソク ジョン
【テーマコード(参考)】
4K030
4M104
5F033
5F045
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA13
4K030AA16
4K030BA18
4K030BA38
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5F033HH07
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5F058BF37
(57)【要約】
本発明は、薄膜形成用成長抑制剤、それを用いた薄膜形成方法及びそれから製造された半導体基板に関するもので、より詳細には下記の化学式1
[化学式1]AnBmXoYiZj
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記Bは水素または炭素数1~3のアルキルであり、前記Xは結合解離エネルギーが50~350KJ/molである脱離基(leaving group)であり、前記Y及びZは、独立して、酸素、窒素、硫黄及びフルオリンからなる群から選択される1種以上であって互いに同一でなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0~3の整数である。)で表される化合物である薄膜形成用成長抑制剤、それを用いた薄膜形成方法及びそれから製造された半導体基板に関する。本発明によると、副反応を抑制して薄膜成長率を低下させ、また薄膜内の工程副生成物を除去することで、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さ均一性を大幅に向上させる薄膜形成用成長抑制剤、それを用いた薄膜形成方法及びそれから製造された半導体基板を提供するという効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1
[化学式1]
AnBmXoYiZj
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記Bは水素または炭素数1~3のアルキルであり、前記Xは結合解離エネルギー(bond dissociation energy)が50~350KJ/molである脱離基(leaving group)であり、前記Y及びZは、独立して、酸素、窒素、硫黄及びフッ素(フルオリン)からなる群から選択される1種以上であって、互いに同一でなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0~3の整数である。)で表される化合物であることを特徴とする、
薄膜形成用成長抑制剤。
【請求項2】
前記化学式1において、前記oは1~5の整数であることを特徴とする、
請求項1に記載の薄膜形成用成長抑制剤。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物は、分岐状、環状または芳香族の化合物であることを特徴とする、
請求項1に記載の薄膜形成用成長抑制剤。
【請求項4】
前記化学式1で表される化合物は、原子層蒸着(ALD)工程に用いられることを特徴とする、
請求項1に記載の薄膜形成用成長抑制剤。
【請求項5】
前記化学式1で表される化合物は、常温(22℃)において液体であり、密度が0.8~1.5g/cm
3であり、蒸気圧(20℃)が1~300mmHgであり、水に対する溶解度(25℃)が200mg/L以下であることを特徴とする、
請求項1に記載の薄膜形成用成長抑制剤。
【請求項6】
下記の化学式1
[化学式1]
AnBmXoYiZj
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記Bは水素または炭素数1~3のアルキルであり、前記Xは結合解離エネルギー(bond dissociation energy)が50~350KJ/molである脱離基(leaving group)であり、前記Y及びZは、独立して、酸素、窒素、硫黄及びフッ素(フルオリン)からなる群から選択される1種以上であって、互いに同一でなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0~3の整数である。)で表される薄膜形成用成長抑制剤をALDチャンバ内に注入してローディング(loading)された基板表面に吸着させる段階を含むことを特徴とする、
薄膜形成方法。
【請求項7】
i) 前記薄膜形成用成長抑制剤を気化して、ALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
ii) 前記ALDチャンバの内部をパージガスで1次パージする段階;
iii) 薄膜前駆体化合物を気化して、ALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
iv) 前記ALDチャンバ内をパージガスで2次パージする段階;
v) 前記ALDチャンバ内に反応ガスを供給する段階;及び
vi) 前記ALDチャンバの内部をパージガスで3次パージする段階を含むことを特徴とする、
請求項6に記載の薄膜形成方法。
【請求項8】
i) 薄膜前駆体化合物を気化してALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
ii) 前記ALDチャンバの内部をパージガスで1次パージする段階;
iii) 前記薄膜形成用の成長抑制剤を気化して、ALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;
iv) 前記ALDチャンバ内をパージガスで2次パージする段階;
v) 前記ALDチャンバ内に反応ガスを供給する段階;及び
vi) 前記ALDチャンバの内部をパージガスで3次パージする段階を含むことを特徴とする、
請求項6に記載の薄膜形成方法。
【請求項9】
前記薄膜形成用の成長抑制剤及び薄膜前駆体化合物は、VFC方式、DLI方式又はLDS方式でALDチャンバ内に移送されることを特徴とする、
請求項7または8に記載の薄膜形成方法。
【請求項10】
前記薄膜形成用の成長抑制剤と前記前駆体化合物のALDチャンバ内の投入量(mg/cycle)比は1:1.5~1:20であることを特徴とする、
請求項7または8に記載の薄膜形成方法。
【請求項11】
前記薄膜形成方法は、下記の数式1で計算されるサイクル当たりの薄膜成長率(Å/cycle)減少率が-5%以下であることを特徴とする、
請求項7または8に記載の薄膜形成方法。
[数式1]
サイクル当たりの薄膜成長率の減少率(%)=[((薄膜形成用成長抑制剤を使用した場合のサイクル当たりの薄膜成長率-薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率)/薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率]X 100
【請求項12】
前記薄膜形成方法は、SIMSに基づいて測定された、200サイクル後に形成された薄膜内残留ハロゲンの強さ(c/s)が10,000以下であることを特徴とする、
請求項7または8に記載の薄膜形成方法。
【請求項13】
前記反応ガスは、還元剤、窒化剤または酸化剤であることを特徴とする、
請求項7または8に記載の薄膜形成方法。
【請求項14】
請求項6に記載の薄膜形成方法で製造されることを特徴とする、半導体基板。
【請求項15】
前記製造された薄膜は、厚さが20nm以下であり、比抵抗値が0.1~400μΩ・cmであり、ハロゲン含量が10,000ppm以下であり、段差被覆率が80%以上であることを特徴とする、
請求項14に記載の半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜形成用成長抑制剤、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板に関するものであり、より詳細には、副反応を抑制して薄膜成長率を適切に低下させ、薄膜内の工程副生成物を除去することにより、腐食や劣化を防ぎ、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さの均一性を、大幅に向上させる薄膜形成用の成長抑制剤、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メモリ及び非メモリ半導体素子の集積度は日々増加しており、その構造が次第に複雑になるに伴い、様々な薄膜を基板に蒸着させるにあたっての段差被覆性(step coverage)の重要性が次第に増大している。
【0003】
前記半導体用薄膜は、窒化金属、酸化金属、珪化金属などからなる。前記窒化金属薄膜としては、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)、窒化ジルコニウム(ZrN)などがあり、前記薄膜は、一般的に、ドーピングされた半導体のシリコン層と、層間配線材料として用いられるアルミニウム(Al)、銅(Cu)などとの間の拡散防止膜(diffusion barrier)として用いられる。但し、タングステン(W)薄膜を基板に蒸着する際には、接着層(adhesion layer)として用いられる。
【0004】
基板に蒸着された薄膜が、優れたものであって、均一な物性を得るためには、形成された薄膜の、高い段差被覆性が必須である。したがって、気相反応を主に活用するCVD(chemical vapor deposition)工程よりも、表面反応を活用するALD(atomic layer deposition)工程が活用されているが、100%の段差被覆性(ステップ・カバレッジ)を具現するためには、依然として問題が存在する。
【0005】
また、前記窒化金属の中で代表的なものである、窒化チタン(TiN)を蒸着させるために用いられる四塩化チタン(TiCl4)の場合、製造された薄膜内に、塩化物といった工程副生成物が残留するようになり、アルミニウム等の金属の腐食を誘発するのであり、不揮発性の副生成物が生成されるという問題によって、膜質の劣化を招く。
【0006】
したがって、複雑な構造の薄膜形成が可能であり、層間配線材料を腐食させない薄膜の形成方法、及びこれから製造された半導体基板などを開発することが必要であるのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2006-0037241号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は、副反応を抑制して薄膜成長率を適切に低下させ、薄膜内の工程副生成物を除去することにより、腐食や劣化を防止し、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合にも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さの均一性を大幅に向上させる薄膜形成用成長抑制剤、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、薄膜の結晶性を改善することによって、薄膜の密度及び電気的特性を改善させることを目的とする。
【0010】
本発明の前記目的及び他の目的は、以下に説明する本発明によって、すべて達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明は下記の化学式1
[化学式1]
AnBmXoYiZj
【0012】
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記Bは水素または炭素数1~3のアルキルであり、前記Xは結合解離エネルギー(bond dissociation energy)が50~350KJ/molである脱離基(leaving group)であり、前記Y及びZは、独立して、酸素、窒素、硫黄及びフッ素(フルオリン)からなる群から選択される1種以上であって、互いに同一でなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0~3の整数である。)で表される化合物である薄膜形成用成長抑制剤を提供する。
【0013】
また、本発明の薄膜形成用成長抑制剤を膜質改善剤として提供することができる。
【0014】
また、本発明は、前記薄膜形成用成長抑制剤をALDチャンバ内に注入して、ローディング(loading)された基板の表面に吸着させる段階を含む薄膜形成方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、上記薄膜形成方法でもって製造された半導体基板を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、副反応を抑制し、蒸着速度を低減させて、薄膜成長率を適度に下げ、さらに薄膜内の工程副生成物を除去することにより、腐食や劣化を防ぎ、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合にも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さの均一性を大幅に向上させる薄膜形成用成長抑制剤、これを用いた薄膜形成方法、及びこれから製造された半導体基板を提供する効果がある。
【0017】
また、本発明によれば、薄膜の結晶性を改善させることにより、薄膜の密度及び電気的特性を改善することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】従来のALD工程を説明するための工程図である。
【
図2】本発明の一実施例によるALD工程を説明するための工程図である。
【
図3】本発明の実施例1(SP-TiCl
4)及び比較例1(TiCl
4)についての蒸着温度に応じたCl元素等の減少率を示すSIMS分析グラフ(1)である。
【
図4】本発明の実施例1(SP-TiCl
4)及び比較例1(TiCl
4)についての蒸着温度に応じたCl元素等の減少率を示すSIMS分析グラフ(2)である。
【
図5】本発明の実施例1(SP-TiCl
4)及び比較例1(TiCl
4)で形成されたTIN薄膜についての、上面(Top)付近と下面(bottom)付近の断面に対するTEM写真である。
【
図6】
図5の上面(Top)と下面(bottom)の断面位置に対する説明図である。
【
図7】実施例5と比較例4で製造されたSiN薄膜のSIMS分析グラフである。
【
図8】比較例1と同様に薄膜形成用成長抑制剤を投入しなかったもの(Ref TiN)、実施例4において薄膜形成用成長抑制剤を0.1g/minの量で投入したもの(tert-BuI(0.1g/min))、及び、実施例4において薄膜形成用成長抑制剤を0.1g/minの量で投入したもの(tert-BuI(0.1g/min))についてのXRD分析グラフである。
【
図9】実施例6、比較例2、3の薄膜内カーボン濃度を分析したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本記載の薄膜形成用成長抑制剤、それを用いた薄膜形成方法、及びそれから製造された半導体基板について詳細に説明する。
【0020】
本発明者らは、ALDチャンバの内部にローディングされた基板の表面に対して、薄膜前駆体化合物を吸着させる前に、所定の結合解離エネルギー置換基を含有する化合物を薄膜成長抑制剤として先に吸着させる場合、蒸着後に形成される薄膜の成長率が大幅に低下することで段差被覆性が大幅に向上し、工程副生成物として残留していたハロゲン化物が大幅に減少するということを確認した。また、ALDチャンバの内部にローディングされた基板の表面に、薄膜前駆体化合物を先に吸着させ、所定の構造を有するハロゲン置換化合物を薄膜成長抑制剤として吸着させた場合には、予想とは異なり膜質改善剤として挙動して形成される薄膜の成長率が増加し、工程副生成物として残留していたハロゲン化物が大幅に減少し、薄膜の密度、比抵抗などが大きく改善されるという結果を確認したのであり、これに基づいてさらに研究に邁進することで本発明を完成するに至った。
【0021】
本発明の薄膜形成用成長抑制剤は、下記の化学式1
[化学式1]
AnBmXoYiZj
【0022】
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記Bは水素または炭素数1~3のアルキルであり、前記Xは結合解離エネルギー(bond dissociation energy)が50~350KJ/molである脱離基(leaving group)であり、前記Y及びZは、独立して、酸素、窒素、硫黄及びフルオリンからなる群から選択される1種以上であって、互いに同一でなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0~3の整数である。)
で表される化合物であることを特徴とし、このような場合に薄膜形成時の副反応を抑制して薄膜成長率を低下させ、また薄膜内の工程副生成物を除去することにより、腐食や劣化が低減され、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合でも、段差被覆性(step coverage)、及び薄膜の厚さの均一性を大幅に向上させるという効果がある。
【0023】
前記Bは好ましくは水素またはメチルであり、前記nは、好ましくは2~15の整数、より好ましくは2~10の整数、さらに好ましくは2~6の整数、より一層好ましくは4~6の整数であり、この範囲内で、工程副生成物の除去効果が大きく、段差被覆性に優れる。
【0024】
前記化学式1において、Xは好ましくは結合解離エネルギー(bond dissociation energy)が50~350KJ/molの脱離基であり、より好ましくは結合解離エネルギーが50~325KJ/molである離脱基(leaving group)であり、より好ましくは、結合解離エネルギー(bond dissociation energy)が50~300KJ/molである脱離基(leaving group)であり、この場合に、副反応を抑制し、工程副生成物をより効果的に除去する効果がある。
【0025】
本記載における結合解離エネルギーは、量子化学プログラム(Gaussian09)を用いて測定することができる。すべての計算は、温度:460°C、圧力:1torr及びscale:0.9804で、Method(DFT/B3LYP)及びBasis Sets(6-31G(d、p)、ヨウ素(Iodine)を除く:LanL2DZ)に基づいて、下記の数式3を用いて算出される。
【0026】
[数式3]
BDE = EA + EB -EAB
【0027】
(前記EABは最適化された化合物の熱エネルギー、EA、EBは、それぞれ、ラジカル(radical)A及びBの熱エネルギーである。)全ての計算結果は熱エネルギーに指定される。
【0028】
前記化学式1において、Xは、好ましい例としてメシル(mesyl)、トシル(tosyl)、ハロゲン基、ジアゾニウム(azonium)(-N2
+)、パーフルオロアルキルスルホネート(-OSO2R’)、アルコールカチオン(-O+HR’’)、ナイトレート(nitrate)(-ONO2)、アンモニウム基(ammonium)(-NH3)、モノアルキルアンモニウム基(monoalkylammonium)、ジアルキルアンモニウム基(dialkylammonium)、トリアルキルアンモニウム基(trialkylammonium)、ジアルキルエーテルカチオン(-O+R1R2)、リン酸基(-OPO(OH)2)またはチオエーテルカチオン(-S+R3R4)であり、この場合副反応を抑制し、工程副生成物をより効果的に除去する効果がある。
【0029】
前記化学式1において、前記oは好ましくは1~5の整数でありうるのであり、より好ましくは1~3の整数でありうるのであり、より好ましくは1または2でありうるのであり、この範囲内で、蒸着速度の減少効果が大きく、段差被覆性の改善に、より効果的であるという利点がある。
【0030】
前記mは、好ましくは1~2n+1であり、より好ましくは3~2n+1であり、この範囲内で、工程副生成物の除去の効果が大きく、段差被覆性に優れる。
【0031】
前記Y及びZは、好ましい例として独立して酸素、窒素及びフルオリンからなる群から選択される1種以上であり、互いに等しくない。
【0032】
前記i及びjは、好ましい例で2つ共に0ではなく、具体的な例で、1~3の整数でありうる。
【0033】
前記化学式1で表される化合物は、好ましくは分岐状、環状または芳香族の化合物でありえ、具体的な例として、tert-ブチルブロミド、1-メチル-1-ブロモシクロヘキサン、1-ヨードプロパン(1-iodopropane)、1-ヨードブタン(1-iodobutane、1-ヨード-2-メチルプロパン(1-iodo-2-methyl propane)、1-ヨード-1-イソプロピルシクロヘキサン(1-iodo-1-isopropylcyclohexane)、1-ヨード-4-ニトロベンゼン(1-iodo-4-nitrobenzene)、1-ヨード-4-メトキシベンゼン(1-iodo-4-methoxybenzene)、1-ヨード-2-メチルペンタン(1-iodo-2-methylpentane)、1-ヨード-4-トリフルオロメチルベンゼン(1-iodo-4-trifuloromethylbenzene)、tert-ブチルヨージドtert-butyl iodide)及び1-メチル-1-ヨードシクロヘキサン(1-methyl-1-iodocyclohexane)、1-ブロモ-4-クロロベンゼン(1-bromo-4-chlorobenzene)、1-ブロモプロパン(1-bromopropane)、1-ブロモブタン(1-bromobutane)、1-ブロモペンタン(1-bromopentane)、1-ブロモヘキサン(1-bromohexane)、1-ブロモ-2-メチルプロパン(1-bromo-2-methylpropane)、1-ブロモオクタン(1-bromooctance)、1-ブロモナフタレン(1-bromonaphthalene)、1-ブロモ-4-ヨードベンゼン(1-bromo-4-iodobenzene)及び1-ブロモ-4-ニトロベンゼン(1-bromo-4-nitrobenzene)からなる群から選択された1種以上であり、この場合、工程副生成物除去効果が大きく、段差被覆性の改善及び膜質の改善の効果に優れる。
【0034】
前記化学式1で表される化合物は、好ましくは原子層蒸着(ALD; (原子層堆積))工程に用いられるものであり、この場合、薄膜前駆体化合物の吸着を妨げずに成長抑制剤として基板の表面を効果的に保護(protection)し、工程副生成物を効果的に除去する利点がある。
【0035】
前記化学式1で表される化合物は、好ましくは常温(22℃)において液体であり、密度が0.8~2.5g/cm3又は0.8~1.5g/cm3であり、蒸気圧(20℃)が0.1~300mmHg又は1~300mmHgであり、水における溶解度(25℃)が200mg/L以下でありうるのであり、この範囲内で、段差被覆性、薄膜の厚さ均一性及び膜質の改善に優れた効果がある。
【0036】
より好ましくは、前記化学式1で表される化合物は密度が0.85~2.0g/cm3または0.85~1.3g/cm3であり、蒸気圧(20℃)が1~260mmHgであり、水における溶解度(25℃)が160mg/L以下でありうるのであり、この範囲内で、段差被覆性、薄膜の厚さ均一性及び膜質の改善に優れた効果がある。
【0037】
本発明の薄膜形成方法は、下記の化学式1
[化学式1]
AnBmXoYiZj
【0038】
(前記Aは炭素またはケイ素であり、前記Bは水素または炭素数1~3のアルキルであり、前記Xは結合解離エネルギー(bond dissociation energy)が50~350KJ/molである脱離基(leaving group)であり、前記Y及びZは、独立して、酸素、窒素、硫黄及びフッ素(フルオリン)からなる群から選択される1種以上であって、互いに同一でなく、前記nは1~15の整数であり、前記oは1以上の整数であり、mは0~2n+1であり、前記iとjは0~3の整数である。)で表される薄膜形成用成長抑制剤をALDチャンバ内に注入してローディング(loading)された基板表面に吸着させる工程を含むことを特徴とし、このような場合に副反応を抑制し、蒸着速度を遅くして薄膜成長率を下げ、さらに薄膜内の工程副生成物を除去することにより、複雑な構造を有する基板上に薄膜を形成する場合にも、段差被覆性(step coverage)及び薄膜の厚さ均一性を大幅に向上させるという効果がある。
【0039】
前記薄膜形成用の成長抑制剤を基板の表面に吸着させる段階は、基板の表面への薄膜形成用の成長抑制剤の供給時間(Feeding Time)がサイクル当たりに、好ましくは1~10秒、より好ましくは1~5秒、さらに好ましくは2~5秒、より一層好ましくは2~4秒であり、この範囲内で、薄膜成長率が低く、段差被覆性及び経済性に優れるという利点がある。
【0040】
本記載における薄膜形成用成長抑制剤の供給時間(Feeding Time)は、チャンバの体積15~20L及び流量0.5~5mg/sを基準とし、より具体的にはチャンバの体積18L及び流量1~2mg/sを基準とする。
【0041】
前記薄膜形成方法は、好ましい一実施例で、i)前記薄膜形成用の成長抑制剤を気化して、ALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;ii)前記ALDチャンバの内部をパージガスで1次パージする段階;iii)薄膜前駆体化合物を気化して、ALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;iv)前記ALDチャンバの内部をパージガスで2次パージする段階;v)前記ALDチャンバの内部に反応ガスを供給する段階;及びvi)前記ALDチャンバの内部をパージガスで3次パージする段階;を含みうるのであり、このような場合、薄膜成長率が適切に低くなり、薄膜形成時に蒸着温度が高くなっても、生成される工程副生成物が効果的に除去されて薄膜の比抵抗が減少し、段差被覆性(step coverage)が大幅に向上するという利点がある。
【0042】
好ましいまた別の実施例としては、前記薄膜形成方法は、i)薄膜前駆体化合物を気化して、ALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;ii)前記ALDチャンバの内部をパージガスで1次パージする段階;iii)前記薄膜形成用の成長抑制剤を気化して、ALDチャンバ内にローディングされた基板の表面に吸着させる段階;iv)前記ALDチャンバの内部をパージガスで2次パージする段階;v)前記ALDチャンバの内部に反応ガスを供給する段階;及びvi)前記ALDチャンバの内部をパージガスで3次パージする段階;を含みうるのであり、このような場合に、薄膜成長率が高くなり、薄膜形成時に蒸着温度が高くなっても、生成される工程副生成物が効果的に除去されることから、薄膜の比抵抗が減少し、薄膜密度、結晶性が大きく向上するという利点がある。
【0043】
前記薄膜形成用の成長抑制剤及び薄膜前駆体化合物は、好ましくはVFC方式、DLI方式またはLDS方式でALDチャンバ内に移送されうるのであり、より好ましくはLDS方式でALDチャンバ内に移送されるのである。
【0044】
前記薄膜形成用の成長抑制剤と、前記前駆体化合物とのALDチャンバ内への投入量(mg/cycle)の比は、好ましくは1:1.5~1:20でありうるのであり、より好ましくは1:2~1:15であり、さらに好ましくは1:2~1:12であり、さらにより好ましくは1:2.5~1:10であり、この範囲内で、サイクル当たりの薄膜成長率(GPC)の減少率が高く、工程副生成物の低減効果が大きい。
【0045】
前記薄膜の前駆体化合物は、通常、ALD(原子層蒸着方法)に用いられる薄膜前駆体化合物であれば特に制限されないが、好ましくは金属膜前駆体化合物、金属酸化膜前駆体化合物、金属窒化膜前駆体化合物またはシリコン窒化膜前駆体化合物であり、前記金属は、好ましくはタングステン、コバルト、クロム、アルミニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、ゲルマニウム、ランタン族元素、アクチニウム族元素、ガリウム、タンタル、ジルコニウム、ルテニウム、銅、チタン、ニッケル、イリジウム、及びモリブデンからなる群から選択された1種以上を含むことができる。
【0046】
前記金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体及び金属窒化膜前駆体は、それぞれ一例として、金属ハライド、金属アルコキシド、アルキル金属化合物、金属アミノ化合物、金属カルボニル化合物、及び置換又は非置換シクロペンタジエニル金属化合物等からなる群から選択される1種以上でありうるが、これに制限されるものではない。
【0047】
具体的な例として、前記金属膜前駆体、金属酸化膜前駆体及び金属窒化膜前駆体は、それぞれテトラクロロチタン(tetrachlorotitan)、テトラクロロジャマニウム(tetrachlorogemanium)、テトラクロロチン(tetrchlorotin)、トリス(イソプロピル)エチルメチルアミノゲルマニウム(tris(isopropyl)ethylmethyl aminogermanium)、テトラエロキシゲルマニウム(tetraethoxylgermanium)、テトラメチルチン(tetramethyl tin)、テトラエチルチン(tetraethyl tin)、ビスアセチルアセトネートチン(bisacetylacetonate tin)、トリメチルアルミニウム(trimethylaluminum)、テトラキス(ジメチルアミノ)ゲルマニウム(tetrakis(dimethylamino)germanium)、ビス(n-ブチルアミノ)ゲルマニウム(bis(n-butylamino)germanium)、テトラキス(エチルメチルアミノ)チン(tetrakis(ethylmethylamino)tin)、テトラキス(ジメチルアミノ)チン(tetrakis(dimethylamino)tin)、Co2(CO)8(dicobalt octacarbonyl)、Cp2Co(biscyclopentadienylcobalt)、Co(CO)3(NO)(cobalt tricarbonyl nitrosyl)、及びCpCo(CO)2(cabalt dicarbonyl cyclopentadienyl)などからなる群より選択された1種以上でありうるが、これに制限されるものではない。
【0048】
前記シリコン窒化膜前駆体は、一例として、SiH4、SiCl4、SiF4、SiCl2H2、Si2Cl6、TEOS、DIPAS、BTBAS、(NH2)Si(NHMe)3、(NH2)Si(NHEt)3、(NH2)Si(NHnPr)3、(NH2)Si(NHiPr)3、(NH2)Si(NHnBu)3、(NH2)Si(NHiBu)3、(NH2)Si(NHtBu)3、(NMe2)Si(NHMe)3、(NMe2)Si(NHEt)3、(NMe2)Si(NHnPr)3、(NMe2)Si(NHiPr)3、(NMe2)Si(NHnBu)3、(NMe2)Si(NHiBu)3、(NMe2)Si(NHtBu)3、(NEt2)Si(NHMe)3、(NEt2)Si(NHEt)3、(NEt2)Si(NHnPr)3、(NEt2)Si(NHiPr)3、(NEt2)Si(NHnBu)3、(NEt2)Si(NHiBu)3、(NEt2)Si(NHtBu)3、(NnPr2)Si(NHMe)3、(NnPr2)Si(NHEt)3、(NnPr2)Si(NHnPr)3、(NnPr2)Si(NHiPr)3、(NnPr2)Si(NHnBu)3、(NnPr2)Si(NHiBu)3、(NnPr2)Si(NHtBu)3、(NiPr2)Si(NHMe)3、(NiPr2)Si(NHEt)3、(NiPr2)Si(NHnPr)3、(NiPr2)Si(NHiPr)3、(NiPr2)Si(NHnBu)3、(NiPr2)Si(NHiBu)3、(NiPr2)Si(NHtBu)3、(NnBu2)Si(NHMe)3、(NnBu2)Si(NHEt)3、(NnBu2)Si(NHnPr)3、(NnBu2)Si(NHiPr)3、(NnBu2)Si(NHnBu)3、(NnBu2)Si(NHiBu)3、(NnBu2)Si(NHtBu)3、(NiBu2)Si(NHMe)3、(NiBu2)Si(NHEt)3、(NiBu2)Si(NHnPr)3、(NiBu2)Si(NHiPr)3、(NiBu2)Si(NHnBu)3、(NiBu2)Si(NHiBu)3、(NiBu2)Si(NHtBu)3、(NtBu2)Si(NHMe)3、(NtBu2)Si(NHEt)3、(NtBu2)Si(NHnPr)3、(NtBu2)Si(NHiPr)3、(NtBu2)Si(NHnBu)3、(NtBu2)Si(NHiBu)3、(NtBu2)Si(NHtBu)3、(NH2)2Si(NHMe)2、(NH2)2Si(NHEt)2、(NH2)2Si(NHnPr)2、(NH2)2Si(NHiPr)2、(NH2)2Si(NHnBu)2、(NH2)2Si(NHiBu)2、(NH2)2Si(NHtBu)2、(NMe2)2Si(NHMe)2、(NMe2)2Si(NHEt)2、(NMe2)2Si(NHnPr)2、(NMe2)2Si(NHiPr)2、(NMe2)2Si(NHnBu)2、(NMe2)2Si(NHiBu)2、(NMe2)2Si(NHtBu)2、(NEt2)2Si(NHMe)2、(NEt2)2Si(NHEt)2、(NEt2)2Si(NHnPr)2、(NEt2)2Si(NHiPr)2、(NEt2)2Si(NHnBu)2、(NEt2)2Si(NHiBu)、(NEt2)2Si(NHtBu)2、(NnPr2)2Si(NHMe)2、(NnPr2)2Si(NHEt)2、(NnPr2)2Si(NHnPr)2、(NnPr2)2Si(NHiPr)2、(NnPr2)2Si(NHnBu)2、(NnPr2)2Si(NHiBu)2、(NnPr2)2Si(NHtBu)2、(NiPr2)2Si(NHMe)2、(NiPr2)2Si(NHEt)2、(NiPr2)2Si(NHnPr)2、(NiPr2)2Si(NHiPr)2、(NiPr2)2Si(NHnBu)2、(NiPr2)2Si(NHiBu)2、(NiPr2)2Si(NHtBu)2、(NnBu2)2Si(NHMe)2、(NnBu2)2Si(NHEt)2、(NnBu2)2Si(NHnPr)2、(NnBu2)2Si(NHiPr)2、(NnBu2)2Si(NHnBu)2、(NnBu2)2Si(NHiBu)2、(NnBu2)2Si(NHtBu)2、(NiBu2)2Si(NHMe)2、(NiBu2)2Si(NHEt)2、(NiBu2)2Si(NHnPr)、(NiBu2)2Si(NHiPr)2、(NiBu2)2Si(NHnBu)2、(NiBu2)2Si(NHiBu)2、(NiBu2)2Si(NHtBu)2、
(NtBu2)2Si(NHMe)2、(NtBu2)2Si(NHEt)2、(NtBu2)2Si(NHnPr)2、(NtBu2)2Si(NHiPr)2、(NtBu2)2Si(NHnBu)2、(NtBu2)2Si(NHiBu)2、(NtBu2)2Si(NHtBu)2、Si(HNCH2CH2NH)2、Si(MeNCH2CH2NMe)2、Si(EtNCH2CH2NEt)2、Si(nPrNCH2CH2NnPr)2、Si(iPrNCH2CH2NiPr)2、Si(nBuNCH2CH2NnBu)2、Si(iBuNCH2CH2NiBu)2、Si(tBuNCH2CH2NtBu)2、Si(HNCHCHNH)2、Si(MeNCHCHNMe)2、Si(EtNCHCHNEt)2、Si(nPrNCHCHNnPr)2、Si(iPrNCHCHNiPr)2、Si(nBuNCHCHNnBu)2、Si(iBuNCHCHNiBu)2、Si(tBuNCHCHNtBu)2、(HNCHCHNH)Si(HNCH2CH2NH)、(MeNCHCHNMe)Si(MeNCH2CHNMe)、(EtNCHCHNEt)Si(EtNCH2CH2NEt)、(nPrNCHCHNnPr)Si(nPrNCH2CH2NnPr)、(iPrNCHCHNiPr)Si(iPrNCH2CH2NiPr)、(nBuNCHCHNnBu)Si(nBuNCH2CH2NnBu)、(iBuNCHCHNiBu)Si(iBuNCH2CH2NiBu)、(tBuNCHCHNtBu)Si(tBuNCH2CH2NtBu)、(NHtBu)2Si(HNCH2CH2NH)、(NHtBu)2Si(MeNCH2CH2NMe)、(NHtBu)2Si(EtNCH2CH2NEt)、(NHtBu)2Si(nPrNCH2CH2NnPr)、(NHtBu)2Si(iPrNCH2CH2NiPr)、(NHtBu)2Si(nBuNCH2CH2NnBu)、(NHtBu)2Si(iBuNCH2CH2NiBu)、(NHtBu)2Si(tBuNCH2CH2NtBu)、(NHtBu)2Si(HNCHCHNH)、(NHtBu)2Si(MeNCHCHNMe)、(NHtBu)2Si(EtNCHCHNEt)、(NHtBu)2Si(nPrNCHCHNnPr)、(NHtBu)2Si(iPrNCHCHNiPr)、(NHtBu)2Si(nBuNCHCHNnBu)、(NHtBu)2Si(iBuNCHCHNiBu)、(NHtBu)2Si(tBuNCHCHNtBu)、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHMe)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHEt)、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHnPr)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHiPr)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHnBu)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHiBu)2、(iPrNCH2CH2NiPr)Si(NHtBu)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHMe)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHEt)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHnPr)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHiPr)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHnBu)2、(iPrNCHCHNiPr)Si(NHiBu)2及び(iPrNCHCHNiPr)Si(NHtBu)2からなる群より選択された1種以上でありうるが、これに制限されるものではない。
【0049】
前記nPrはn-プロピルを意味し、iPrはiso-プロピルを意味し、nBuはn-ブチルを、iBuはiso-ブチルを、tBuはtert-ブチルを意味する。
【0050】
前記薄膜前駆体化合物は、好ましい一実施例としてはテトラハロゲン化チタンでありえる。
【0051】
前記テトラハロゲン化チタンは、薄膜形成用組成物の金属前駆体として使用することができる。
【0052】
前記テトラハロゲン化チタンは、一例として、TiF4、TiCl4、TiBr4及びTiI4からなる群から選択される少なくともひとつでありえうるのであり、例えば、TiCl4であることが経済性の側面で好ましいが、これに限定されるのでない。
【0053】
前記テトラハロゲン化チタンは、熱安定性に優れ、常温で分解されずに液体状態で存在するため、ALD(原子層蒸着方法)の前駆体として用いて、薄膜を蒸着させるのに、有用に使用することができる。
【0054】
前記薄膜前駆体化合物は、一例として非極性溶媒と混合してチャンバ内に投入することができ、この場合、薄膜前駆体化合物の粘度や蒸気圧を容易に調節できる利点がある。
【0055】
前記非極性溶媒は、好ましくはアルカン及びシクロアルカンからなる群から選択される1種以上でありうるのであり、このような場合、反応性及び溶解度が低く、水分管理が容易な有機溶媒を含有しつつも、薄膜形成時に、蒸着温度が上昇しても段差被覆性(step coverage)が向上するという利点がある。
【0056】
より好ましい例として、前記非極性溶媒は、C1~C10のアルカン(alkane)、またはC3~C10のシクロアルカン(cycloalkane)を含みうるのであり、好ましくはC3~C10のシクロアルカン(cycloalkane)であり、この場合、反応性及び溶解度が低く水分管理が容易であるという利点がある。
【0057】
本記載において、C1、C3などは炭素数を意味する。
【0058】
前記シクロアルカンは、好ましくはC3~C10のモノシクロアルカンでありうるのであり、前記モノシクロアルカンのうち、シクロペンタン(cyclopentane)が常温において液体であって最も蒸気圧が高いことから、気相蒸着工程にて好ましいが、これに限定されるものではない。
【0059】
前記非極性溶媒は、一例として水における溶解度(25℃)が200mg/L以下、好ましくは50~200mg/L、より好ましくは135~175mg/Lであり、この範囲内で、薄膜前駆体化合物に対する反応性が低く、水分管理が容易であるという利点がある。
【0060】
本記載における溶解度は、本発明が属する技術分野で通常用いられる測定方法や基準によるのであれば、特に制限されず、一例として、飽和溶液をHPLC法でもって測定することができる。
【0061】
前記非極性溶媒は、好ましくは薄膜前駆体化合物と非極性溶媒とを合わせた総重量に対して5~95重量%を含み、より好ましくは10~90重量%を含むことができ、さらに好ましくは40~90重量%を含むことができ、最も好ましくは70~90重量%を含むことができる。
【0062】
もし、前記非極性溶媒の含量が前記上限値を超えて投入されると、不純物を誘発して、抵抗と薄膜内の不純物の数値とが増加するのであり、前記有機溶媒の含量が前記下限値未満に投入される場合は、溶媒添加による段差被覆性の向上の効果、及び塩素(Cl)イオンなどの不純物の低減効果が少ないという欠点がある。
【0063】
前記薄膜形成方法は、一例で、下記数式1で計算される、サイクル当たりの薄膜成長率(Å/Cycle)の減少率が-5%以下であり、好ましくは-10%以下、より好ましくは-20%以下であり、より好ましくは-30%以下、より一層好ましくは-40%以下、最も好ましくは-45%以下であり、この範囲内で、段差被覆性及び膜の厚さの均一性に優れる。
【0064】
[数式1]
サイクル当たりの薄膜成長率の減少率(%)=[(薄膜形成用成長抑制剤を使用した場合のサイクル当たりの薄膜成長率-薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率)/薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率] X 100
【0065】
前記薄膜形成方法であると、SIMSによって測定された、200サイクル後に形成された薄膜内の残留ハロゲン強度(c/s)が、好ましくは10,000以下、より好ましくは8,000以下、さらに好ましくは7,000以下、さらにより好ましくは6,000以下でありうるのであって、このような範囲内で、腐食及び劣化が防止される効果に優れる。
【0066】
本記載において、パージ(purging)は、好ましくは1,000~10,000sccm、より好ましくは2,000~7,000sccm、さらに好ましくは2,500~6,000sccmであり、この範囲内で、サイクル当たりの薄膜成長率が好ましい範囲に低減され、工程副生成物が低減されるという効果がある。
【0067】
前記ALD(原子層蒸着工程)は、高いアスペクト比が要求される集積回路(IC:Integrated Circuit)の製作において非常に有利であり、特に自己制限的な薄膜成長メカニズムによる、優れた段差塗布性(conformality)、均一な被覆性(uniformity)、及び精密な厚さ制御などの利点がある。
【0068】
前記薄膜形成方法は、一例として、50~900℃の範囲の蒸着温度で実施することができ、好ましくは300~700℃の範囲の蒸着温度で、より好ましくは350~600℃の範囲の蒸着温度で実施するのであり、より好ましくは400~550℃の範囲の蒸着温度で実施するのであり、さらにより好ましくは400~500℃の範囲の蒸着温度で実施するのであるが、この範囲内で、ALD工程特性を具現しつつ優れた膜質の薄膜に成長させるという効果がある。
【0069】
前記薄膜形成方法は、一例として0.1~10Torrの範囲の蒸着圧力で実施することができ、好ましくは0.5~5Torrの範囲の蒸着圧力で、最も好ましくは1~3Torrの範囲の蒸着圧力で実施するのであるが、この範囲内で、均一な厚さの薄膜を得る効果がある。
【0070】
本記載において、蒸着温度及び蒸着圧力は、蒸着チャンバ内に形成される温度及び圧力として測定するか、または蒸着チャンバ内の基板に加えられる温度及び圧力として測定されうる。
【0071】
前記薄膜形成方法は、好ましくは、前記薄膜形成用の成長抑制剤をチャンバ内に投入する前に、チャンバ内の温度を蒸着温度に昇温する段階;及び/または、前記薄膜形成用の成長抑制剤をチャンバ内に投入する前に、チャンバ内に不活性気体を注入してパージする段階を含むことができる。
【0072】
また、本発明は、前記薄膜製造方法を具現することができる薄膜製造装置として、ALDチャンバ、薄膜形成用成長抑制剤を気化する第1気化器、気化された薄膜形成用成長抑制剤をALDチャンバ内へと移送する第1移送手段、Ti系の薄膜前駆体を気化する第2気化器、及び、気化したTi系薄膜前駆体をALDチャンバへと移送する第2移送手段、を含む薄膜製造装置を含むことができる。ここで気化器及び移送手段は、本発明が属する技術分野にて通常用いられる気化器及び移送手段であるならば、特に制限されない。
【0073】
具体的な例として、前記薄膜形成方法について説明すると、
まず、上部に薄膜が形成される基板を、原子層蒸着が可能な蒸着チャンバ内に位置させる。
【0074】
前記基板は、シリコン基板、シリコンオキシドなどの半導体基板を含むことができる。
【0075】
前記基板は、その上部に導電層または絶縁層がさらに形成されるのでありうる。
【0076】
前記蒸着チャンバ内に配置させた基板上に薄膜を蒸着するために、上述した薄膜形成用の成長抑制剤と、薄膜前駆体化合物、またはこれと非極性溶媒との混合物とを、それぞれ準備する。
【0077】
その後、準備された薄膜形成用の抑制剤を気化器内に注入した後、蒸気相に変化させて蒸着(堆積)チャンバに伝達し基板上に吸着させ、未吸着の薄膜形成用抑制剤をパージ(purging)する。
【0078】
次に、準備された薄膜前駆体化合物、またはこれと非極性溶媒の混合物を気化器に注入した後、蒸気相に変化させて蒸着チャンバに移して基板上に吸着させてから、未吸着の薄膜形成用組成物をパージ(purging)する。
【0079】
本記載において、薄膜形成用の抑制剤及び薄膜前駆体化合物等を蒸着チャンバへと伝達する方式には、一例として、気相流量制御(Mass Flow Controller;MFC)法を活用して揮発した気体を移送する方式(Vapor Flow Control;VFC)、または、液体相流量制御(LMFC)法を活用して液体を移送する方式(Liquid Delivery System;LDS)を使用することができ、好ましくはLDS方式を用いるものである。
【0080】
ここで、薄膜形成用の抑制剤及び薄膜前駆体化合物等を基板上に移動させるためのキャリアガス又は希釈ガスとしては、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)の中から選択される1つ又は2つ以上の混合気体を用いうるが、制限されるのではない。
【0081】
本記載におけるパージガスとしては、一例として不活性ガスを用いることができ、好ましくは前記運送ガスまたは希釈ガスを用いることができる。
【0082】
次に、反応ガスを供給する。前記反応ガスとしては、本発明が属する技術分野にて通常用いられる反応ガスであれば特に制限されず、好ましくは還元剤、窒化剤または酸化剤を含むことができる。前記還元剤と、基板に吸着された薄膜前駆体化合物とが反応して金属薄膜が形成されるのであり、前記窒化剤による場合は金属窒化物薄膜が形成され、前記酸化剤による場合はて金属酸化物薄膜が形成される。
【0083】
好ましくは、前記還元剤は、アンモニアガス(NH3)または水素ガス(H2)でありうるのであり、前記窒化剤は窒素ガス(N2)でありうるのであり、前記酸化剤はH2O、H2O2、O2、O3及びN2Oからなる群から選択された1種以上でありうる。
【0084】
次に、不活性ガスを用いて、反応していない残留反応ガスをパージする。これにより、過剰量の反応ガスだけでなく、生成した副生成物も一緒に除去することができる。
【0085】
前記のように、薄膜形成用抑制剤を基板上に吸着させる段階、未吸着の薄膜形成用抑制剤をパージする段階、薄膜前駆体化合物を基板上に吸着させる段階、未吸着の薄膜形成用組成物をパージする段階、反応ガスを供給する段階、残留反応ガスをパージする段階を、単位サイクルとして、所望の厚さの薄膜を形成するために前記単位サイクルを繰り返すことができる。
【0086】
前記単位サイクルは、一例として100~1000回、好ましくは100~500回、より好ましくは150~300回でありうるのであり、この範囲内で、目的とする薄膜特性が良好に発現されるという効果がある。
【0087】
下記の
図1は従来のALD工程を説明するための工程図であり、下記の
図2は本発明の一実施例によるALD工程を説明するための工程図である。
図1を参照すると、従来のALD工程と同様に、本発明に係る薄膜形成用の成長抑制剤(Inhibitor)について、薄膜前駆体化合物(例えば、TiCl
4)を吸着させる前に、先に吸着させて基板の表面を保護することをしない場合には、反応ガス(例えば、NH
3)と反応して形成された薄膜(例えば、TiN)に、HClといった工程副生成物が残るようになり、腐食や劣化によって基板の性能を低下させる。しかし、
図2に示すように、本発明に係る薄膜形成用成長抑制剤(Inhibitor;TSI)について、薄膜前駆体化合物(例えば、TiCl
4)を吸着させる前に、先に吸着させて基板の表面を保護(Surface Protection;SP)する場合には、薄膜(例えば、TiN)を形成する際、反応ガス(例えば、NH
3)と反応して発生したHClといった工程副生成物が、薄膜形成用成長抑制剤と一緒に除去されることで、基板の腐食や劣化を防止し、さらにサイクル当たりの薄膜成長率を適切に下げて、段差被覆性及び薄膜厚さの均一性も改善させる。
【0088】
本発明の半導体基板は、本基材の薄膜形成方法で製造されることを特徴としており、このような場合、副反応を抑制して薄膜成長率を適切に低下させ、かつ薄膜内の工程副生成物を除去することで、腐食や劣化が防止され、段差被覆性(step coverage)、及び薄膜の厚さの均一性が大幅に優れるという効果がある。
【0089】
前記製造された薄膜は、好ましくは、厚さが20nm以下であり、比抵抗値が0.1~400μΩ・cmであり、ハロゲン含量が10,000ppm以下であり、段差被覆率が90%以上であり、この範囲内で、拡散防止膜としての性能に優れ、金属配線材料の腐食が低減されるという効果があるが、これに限定するのではない。
【0090】
前記薄膜は、厚さが、一例で5~20nm、好ましくは10~20nm、より好ましくは15~18.5nm、さらに好ましくは17~18.5nmでありうるのであり、この範囲内で、薄膜特性に優れるという効果がある。
【0091】
前記薄膜は、比抵抗値が一例で0.1~400μΩ・cm、好ましくは50~400μΩ・cm、より好ましくは100~300μΩ・cmでありうるのであり、この範囲内で、薄膜特性に優れるという効果がある。
【0092】
前記薄膜は、ハロゲン含量が、より好ましくは9,000ppm以下または1~9,000ppm、さらに好ましくは8,500ppm以下または100~8,500ppm、より一層好ましくは8,200ppm以下または1,000~8,200ppmでありうるのであって、この範囲内で、薄膜特性に優れつつも金属配線材料の腐食が低減されるという効果がある。
【0093】
前記薄膜は一例として、段差被覆率が80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上であり、この範囲内で、複雑な構造の薄膜でも容易に基板に蒸着させることができ、次世代半導体装置に適用可能であるという利点がある。
【0094】
前記製造された薄膜は、一例で、TiNであるか、TiO2薄膜でありうる。
【0095】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例及び図面を提示するが、下記の実施例及び図面は本発明を例示するのみであり、本発明の範囲及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかなものであり、このような変形及び修正が添付された特許請求の範囲に属することも当然である。
【0096】
[実施例]
<実施例1~3及び6>
下記表1に記載の薄膜形成用の成長抑制剤と、薄膜前駆体化合物としてのTiCl4とをそれぞれ準備した。準備された薄膜形成用成長抑制剤をキャニスターに入れて、常温でLMFC(Liquid Mass Flow Controller)を用いて、0.05g/minの流速で、150℃に加熱された気化器に供給した。気化器にて蒸気相に気化した薄膜形成用の成長抑制剤を、1秒間、基板がローディングされた蒸着チャンバに投入した。この後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給して、アルゴンパージを実施した。この際、反応チャンバ内の圧力は2.5Torrに制御した。次に準備されたTiCl4を別途のキャニスターに入れ、常温でLMFC(Liquid Mass Flow Controller)を用いて、0.05g/minの流速で、150℃に加熱された別途の気化器に供給した。気化器にて蒸気相に気化されたTiCl4を、1秒間、蒸着チャンバに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給することでアルゴンパージを実施した。この際、反応チャンバ内の圧力は2.5Torrに制御した。次に、反応性ガスとしてアンモニア1000sccmを3秒間、前記反応チャンバに投入した後、3秒間、アルゴンパージを実施した。この際、金属薄膜が形成される基板を460℃に加熱した。このような工程を200回繰り返して、自己-制限原子層であるTiN薄膜を形成した。
【0097】
【0098】
<実施例4>
上記表1に記載の薄膜形成用成長抑制剤と、薄膜前駆体化合物としてのTiCl4とを、それぞれ準備した。準備された薄膜形成用成長抑制剤をキャニスターに入れ、常温でLMFC(Liquid Mass Flow Controller)を用いて、0.05g/minの流速で、150℃に加熱された気化器に供給した。準備されたTiCl4を別途のキャニスターに入れ、常温でLMFC(Liquid Mass Flow Controller)を用いて、0.05g/minの流速で、150℃に加熱された別途の気化器に供給した。
【0099】
気化器で蒸気相に気化されたTiCl4を1秒間蒸着チャンバに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給してアルゴンパージを実施した。この際、反応チャンバ内の圧力は2.5Torrに制御した。次に、気化器で蒸気相に気化された薄膜形成用成長抑制剤を、1秒間、基板がローディングされた蒸着チャンバに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給することでアルゴンパージを実施した。この時、反応チャンバ内の圧力は2.5Torrに制御した。次に、反応性ガスとしてアンモニア1000sccmを3秒間、前記反応チャンバに投入した後、3秒間、アルゴンパージを実施した。この際、金属薄膜が形成される基板を440~500℃に加熱した。このような工程を200回繰り返して自己-制限原子層であるTiN薄膜を形成した。
【0100】
<実施例5>
上記表1に記載の薄膜形成用成長抑制剤と、薄膜前駆体化合物でSi2Cl6をそれぞれ準備した。準備された薄膜形成用成長抑制剤をキャニスターに入れ、常温でLMFC(Liquid Mass Flow Controller)を用いて、0.05g/minの流速で、150℃に加熱された気化器に供給した。準備されたSi2Cl6を別途のキャニスターに入れ、常温でLMFC(Liquid Mass Flow Controller)を用いて、0.05g/minの流速で、150℃に加熱された別の気化器に供給した。
【0101】
気化器にて蒸気相へと気化された薄膜形成用成長抑制剤を、秒間、基板がローディングされた蒸着チャンバに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給することでアルゴンパージを実施した。この時、反応チャンバ内の圧力は2.5Torrに制御した。次に、気化器で蒸気相へと気化されたSi2Cl6を1秒間、蒸着チャンバに投入した後、アルゴンガスを5000sccmで2秒間供給することでアルゴンパージを実施した。この際、反応チャンバ内の圧力は2.5Torrに制御した。次に、反応性ガスとしてアンモニア1000sccmを3秒間前記反応チャンバに投入した後、200Wのプラズマ処理を行った。次に、3秒間、アルゴンパージを実施した。この際、金属薄膜が形成される基板を460℃に加熱した。このような工程を300回繰り返して、自己-制限原子層であるSiN薄膜を形成した。
【0102】
<比較例1>
実施例1において、薄膜形成用の成長抑制剤を用いなかったことと、それにより未吸着の薄膜形成用の成長抑制剤をパージする段階を省略したことを除いては、実施例1と同一の方法で基板上にTIN薄膜を形成した。
【0103】
<比較例2及び3>
実施例1において、薄膜形成用成長抑制剤で結合解離エネルギーが350kJ/molを超えるn-butyl chlorideと2-chloro propaneを用いたことを除いては、実施例1と同一の方法で基板上にTIN薄膜を形成した。
【0104】
<比較例4>
実施例5において、薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかったことと、それにより未吸着の薄膜形成用成長抑制剤をパージする段階を省略したことを除いては、実施例6と同一の方法で基板上にSiN薄膜を形成した。
【0105】
[実験例]
1)蒸着(堆積)の評価
下記表2に示すように、tert-ブチルブロミド(tert-butyl bromide)を薄膜形成用成長抑制剤として用いた実施例1と、これを含まない比較例1とを比較した。その結果、蒸着速度は0.19Å/cycleであり、比較例1と比較した場合に40%以上の蒸着速度が減少した。残りの実施例2及び3、及び実施例5も、実施例1と類似する値の蒸着速度を有することが確認できた。また、本発明に係る薄膜形成用の成長抑制剤の代わりに結合解離エネルギーの大きいn-ブチルクロリド(n-butyl chloride)及び2-クロロプロパン(2-chloro propane)をそれぞれ用いた比較例2及び3も、比較例1と同じ値の蒸着速度を有することが確認できた。ここで、蒸着速度の低下は、CVD蒸着特性をALD蒸着特性に変化させることを意味するので、段差被覆特性の改善の指標として活用することができる。
【0106】
なお、結合解離エネルギーが50kJ/mol未満の薄膜形成用成長抑制剤の場合、不安定で蒸着工程に活用することが容易ではなく、結合解離エネルギーが350kJ/mol超の薄膜形成用の成長抑制剤の場合、薄膜の内部に炭素などの不純物濃度を増加させうる。
【0107】
また、SiN薄膜にて同様の効果が具現されるかどうかを確認するために、下記表2を参照して実施例5と比較例4とを比較するならば、その結果として、実施例5が比較例4に比べて、蒸着速度は0.29Å/cycleから0.32Å/cycleへと10%以上減少することが分かる。
【0108】
下記
図7は、実施例5と比較例4とで製造されたSiN薄膜についてのSIMS分析グラフである。右側のグラフに該当する実施例5が、左側のグラフに該当する比較例4に比べて、Clが大幅に低減されていることを確認することができた。
【0109】
また、下記表2を参照すると、tert-ブチルヨージド(tert-butyl iodide)を薄膜形成用成長抑制剤として用いて、ソース前駆体、すなわち薄膜前駆体を先に吸着させた後、アルゴンガスパージ後に、薄膜形成用成長抑制剤を供給した実施例4の場合、薄膜形成用の成長抑制剤を用いなかった比較例1と比較して、蒸着速度は0.32Å/cycleから0.35Å/cycleへと10%近く増加し、蒸着温度を500℃に上げた場合は0.37Å/cycleまで16%近く増加するということを確認できた。
【0110】
実施例4は比較例1と比較してむしろ蒸着速度が増加するが、これは従来技術と異なり、蒸着速度が増加すると不純物が増加するのではなく、むしろ不純物が低減するという予測できない現象が起こり、生産能力(through-put)の側面に結びつけられた場合に、また別の大きな利点を提供することを確認することができた。
【0111】
【0112】
2)不純物低減特性
実施例1~5及び比較例1~2に基づいて蒸着されたTiN薄膜の不純物についての低減特性、すなわち工程副生成物の低減特性を比較するために、SIMS分析を行い、その結果を下記表4及び
図3、4に示した。ここで、Clの低減率(%)は下記の数式2で計算した。
【0113】
【0114】
【0115】
※試料薄膜の基準厚さ(Thickness):10nm
【0116】
前記表3に示したように、本発明による薄膜形成用成長抑制剤を用いた実施例1~5は、これを用いなかった比較例1~比較例2に比べてClの強さ(intensity)が大幅に減少し、不純物の低減特性に優れていることを確認することができた。
【0117】
また、実施例3と実施例4とを比較すると、実施例4の工程の方式が、不純物の低減特性に非常に有利であることを確認することができた。
【0118】
また、下記
図3~4は、実施例1及び比較例1による、蒸着温度に応じた工程の副生成物の低減特性、すなわちClの減少率を示すグラフであり、本発明による薄膜形成用成長抑制剤を用いた場合の全ての蒸着温度で特に、480~520℃の区間で本発明による薄膜形成用抑制剤が使用されなかった場合に比べて、Clの強さ(intensity)が大幅に低下するということを確認することができた。
【0119】
3)薄膜成長率減少率
実施例1~5及び比較例1~3で蒸着したTiN薄膜の薄膜成長率は、エリプソメトリー(Ellipsometery)法で厚さを測定した後、これに対する結果をもって、下記の数式1を用いて薄膜成長率減少率を計算し、その結果を以下の表4に示した。
【0120】
[数式1]
サイクル当たりの薄膜成長率の減少率(%)=[((薄膜形成用成長抑制剤を使用した場合のサイクル当たりの薄膜成長率-薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率)/薄膜形成用成長抑制剤を使用しなかった場合のサイクル当たりの薄膜成長率] X 100
【0121】
【0122】
前記表4に示すように、本発明による薄膜形成用の成長抑制剤を用いた実施例1~3は、これを用いなかった比較例1に比べて、サイクル当たりの薄膜成長率減少率が10~40%のレベルで優れていることを確認することができた。また、実施例5と比較例2とを比較すると、実施例5が比較例2に比べてサイクル当たりの薄膜成長率の減少率が17%のレベルで優れていることを確認することができた。さらに、工程の方式を異ならせた場合、実施例4を比較例1と比較すると、実施例4が比較例1に比べてむしろ蒸着速度が増加するが、従来技術と異なり蒸着速度が増加しても不純物の低減特性が優れており、むしろ生産能力(through-put)の側面に結びつけられた場合に、また別の有利さを提供することができる。
【0123】
4)段差被覆特性
実施例1及び比較例1で蒸着したTiN薄膜について、TEMを用いて段差被覆性を確認し、その結果を下記表5及び下記
図5に示した。
【0124】
【0125】
前記表5に示すように、本発明に係る薄膜形成用成長抑制剤を用いた実施例1は、これを用いなかった比較例1に比べて段差被覆率が著しく高いことを確認できた。また、下記
図5のTEM写真を参酌すると、実施例1(SP-TiCl
4)で蒸着されたTIN薄膜の上面(Top)と下面(bottom)の厚さ均一度は、比較例1(TiCl
4)で蒸着されたTIN薄膜に比べて段差塗布性(conformality)がより優れることを確認することができた。ここで、上面(Top)と下面(bottom)の断面は、以下の
図6で説明することができ、前記上面(Top)の断面は上面(Top)から200nm下の地点で、前記下面(bottom)の断面は下面(bottom)から100nm上の地点で形成されたものである。
【0126】
<参照例1>
前記実施例1において、薄膜形成用成長抑制剤としてtert-ブチルブロミド(Tert-butyl bromide)の代わりにtert-ブチルクロリド(Tert-butyl chloride)を用いたことを除いては、前記実施例1と同一の方法で工程を行い、自己-制限原子層であるTiN薄膜を形成したのであり、実施例1に基づいて蒸着されたTiN薄膜の不純物の低減特性、すなわち工程副生成物の低減特性と比較するためにSIMS分析を行い、その結果を下記表6に示した。
【0127】
【0128】
※試料薄膜の基準厚さThickness:10nm
【0129】
前記表6に示すように、本発明に係る臭化物の薄膜形成用成長抑制剤を用いた実施例1が、塩化物の薄膜形成用成長抑制剤を用いた参考例1に比べて、Clの低減率が、より高く、不純物の低減特性が、より優れているということを確認することができた。
【0130】
5)薄膜結晶性
下記
図8は、比較例1のように薄膜形成用成長抑制剤を投入しなかったもの(Ref TiN)、実施例4において薄膜形成用成長抑制剤を0.1/minの量で投入したもの(tert-BuI(0.1g)/min))、及び、実施例4において薄膜形成用成長抑制剤を0.1/minの量で投入したもの(tert-BuI(0.1g/min))に対についてのXRD分析グラフであるが、実施例4と同様に薄膜前駆体化合物を先に吸着させ、アルゴンパージした後にtert-BuI薄膜形成用成長抑制剤を吸着させる場合、薄膜の結晶粒がより大きくなること、すなわち結晶性が増加することを確認することができた。ここで、結晶粒の大きさはTiN薄膜の(200)位置のピークで確認可能であり(200の位置のピークが大きくシャープであるほど結晶性が大きい)、このように結晶性が増加すると、比抵抗が大幅に改善されるという利点がある。
【0131】
6)薄膜密度
比較例1のように薄膜形成用成長抑制剤を投入しなかったもの(Ref TiN)、実施例4において薄膜形成用成長抑制剤を0.1/minの量で投入したもの(tert-BuI(0.1g/min))、及び、実施例4において薄膜形成用成長抑制剤を0.1/minの量で投入したもの(tert-BuI(0.1g/min))についての、X線の反射測定(XRR)分析に基づいて測定されたところ、次のとおりであった。前記比較例1において製造されたTiN薄膜の密度は4.85g/cm3であったが、実施例4においてtert-BuIを0.01g/minの量で用いて製造されたTiN薄膜の密度は5.00g/cm3、実施例4においてtert-BuIを0.1g/minの量で用いて製造されたTiN薄膜の密度は5.23g/cm3であり、実施例4のように薄膜前駆体化合物を先に吸着させてアルゴンパージした後にtert-BuIの薄膜形成用成長抑制剤を吸着させる場合、薄膜密度が大幅に増加することを確認することができた。したがって、本発明に係る薄膜は、DRAMのキャパシタンス(capacitance)などの高アスペクト比(high aspect ratio)を有する集積化された構造体の反り特性を改善し、また、また、バリアメタル(barrier metal)特性、がより優れた利点を有する。
【0132】
したがって、本発明は、薄膜密度が、4.95g/cm3以上、好ましくは5.00g/cm3以上、具体例として4.95~5.50g/cm3、好ましい例として5.0~5.3g/cm3の薄膜を提供することができる。
【0133】
7)薄膜内のカーボン(carbon)不純物
薄膜内のカーボン(carbon)不純物の確認のため、実施例6及び比較例2、3の薄膜サンプルについての深さ別XPS元素分析を行った。薄膜中のcarbon濃度は、
図9で説明されうるが、実施例6の場合にcarbonが未検出となったものの、比較例2、3の場合、carbonがそれぞれ15%及び16%検出されることがわかる。
【国際調査報告】