(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-27
(54)【発明の名称】粒子状(オキシ)ヒドロキシドの製造方法
(51)【国際特許分類】
C01G 53/00 20060101AFI20230720BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230720BHJP
H01M 4/525 20100101ALI20230720BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230720BHJP
【FI】
C01G53/00 A
H01M4/505
H01M4/525
H01M4/36 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022574714
(86)(22)【出願日】2021-05-28
(85)【翻訳文提出日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2021064322
(87)【国際公開番号】W WO2021244963
(87)【国際公開日】2021-12-09
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ベルグナー,ベンヤミン ヨハネス ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】バイアーリンク,トルシュテン
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA03
4G048AB02
4G048AC06
4G048AD04
4G048AD06
4G048AE05
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050FA17
5H050FA18
5H050GA10
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA20
(57)【要約】
ニッケルを含むTMの粒子状(オキシ)ヒドロキシドの製造方法であって、以下の工程:
(a) Niの水溶性塩、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属、及び任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属の水溶性塩を含有する水溶液(α)、
及びアルカリ金属ヒドロキシドを含有する水溶液(β)、
及び任意に、アンモニアを含有する水溶液(γ)
を提供する工程、
(b) 溶液(α)と溶液(β)と、該当する場合には溶液(γ)とを、12.0~13.0の範囲のpH値で撹拌槽反応器中において合わせ、これによりニッケルを含有するヒドロキシドの固体粒子を生成し、前記固体粒子をスラリー化する工程、
(c) 前記スラリーを別の撹拌槽反応器に移し、そしてこれと、溶液(α)と溶液(β)と、該当する場合には溶液(γ)とを、11.0~12.7の範囲のpH値で、ニッケルの溶解度が工程(b)よりも高い条件下で合わせる工程
を含み、
撹拌速度を工程(c)の過程で減速させる、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
TMの粒子状(オキシ)ヒドロキシドの製造方法であって、TMがニッケルを含み、該方法が以下の工程:
(a) Niの水溶性塩、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属、及び任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属の水溶性塩を含有する水溶液(α)、
及びアルカリ金属ヒドロキシドを含有する水溶液(β)、
及び任意に、アンモニアを含有する水溶液(γ)
を提供する工程、
(b) 溶液(α)と溶液(β)と、該当する場合には溶液(γ)とを、12.0~13.0の範囲のpH値で撹拌槽反応器中において合わせ、これによりニッケルを含有するヒドロキシドの固体粒子を生成し、前記固体粒子をスラリー化する工程、
(c) 工程(b)で得られたスラリーの少なくとも一部分を別の撹拌槽反応器に移し、そしてこれと、溶液(α)と溶液(β)と、該当する場合には溶液(γ)とを、11.0~12.7の範囲のpH値で、ニッケルの溶解度が工程(b)よりも高い条件下で合わせる工程
を含み、
撹拌速度を工程(c)の過程で減速させる、方法。
【請求項2】
粒子状混合遷移金属前駆体が、ヒドロキシド、カーボネート、オキシヒドロキシド及びTMのオキシドから選択され、TMが、一般式(I)
(Ni
aCo
bMn
c)
1-dM
d (I)
による金属の組み合わせであり、
式中、
aは、0.6~0.95の範囲であり、
bは、0.025~0.2の範囲であり、
cは、0~0.2の範囲であり、そして
dは、0~0.1の範囲であり、
Mは、Mg、Al、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択され、
a+b+c=1
である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)が、rt・0.03~rt・1.0の範囲の持続時間を有し、そしてrtが、工程(b)及び(c)が行なわれる反応器中の平均滞留時間である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(c)の開始時の撹拌速度が工程(b)の終了時よりも遅い、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程(c)における撹拌速度を連続的に減速させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)における撹拌速度を段階的に減速させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(c)のアンモニア濃度が工程(b)よりも高い、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)におけるpH値が、工程(b)よりも少なくとも0.2低い、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)で使用される溶液(α)が、工程(b)で使用される溶液(α)と比較すると異なる組成を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)で使用される溶液(α)のニッケル含有量が、工程(b)で使用される溶液(α)のニッケル含有量よりも低い、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
溶液(α)及び(β)、及び該当する場合は溶液(γ)の添加速度を、工程(c)の過程で落とす、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
撹拌速度を工程(c)の過程で0.25~0.75倍落とす、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
Niと、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属と、任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属とを含む粒子状混合金属(オキシ)ヒドロキシドであって、ここで、その一次粒子はシェル内で主に放射状の配向を有し、そして二次粒子は0.3~0.6の範囲のスパン及びフォームファクタの積と、7.5未満の二次粒径対コア径の比を有する、粒子状混合金属(オキシ)ヒドロキシド。
【請求項14】
Niと、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属と、任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属とを含む粒子状混合金属(オキシ)ヒドロキシドであって、ここで、その一次粒子はシェル内で主に放射状の配向を有し、そして二次粒子は0.8~1.4の範囲のスパン及びフォームファクタの積と、1.2~1.6の範囲の二次粒径対コア径の比を有する、粒子状混合金属(オキシ)ヒドロキシド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TMの粒子状(オキシ)ヒドロキシドの製造方法に関するものであり、TMはニッケルを含み、そして当該方法は、以下の工程:
(a) Niの水溶性塩、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属、及び任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属の水溶性塩を含有する水溶液(α)、及びアルカリ金属ヒドロキシドを含有する水溶液(β)、及び任意に、アンモニアを含有する水溶液(γ)を提供する工程、
(b) 溶液(α)と溶液(β)と、該当する場合には溶液(γ)とを、12.0~13.0の範囲のpH値で撹拌槽反応器中において合わせ、これによりニッケルを含有するヒドロキシドの固体粒子を生成し、前記固体粒子をスラリー化する工程、
(c) 工程(b)で得られたスラリーの少なくとも一部分を別の撹拌槽反応器に移し、そしてこれと、溶液(α)と溶液(β)と、該当する場合には溶液(γ)とを、11.0~12.7の範囲のpH値で、ニッケルの溶解度が工程(b)よりも高い条件下で合わせる工程
を含み、
撹拌速度は、工程(c)の過程で減速させる。
【背景技術】
【0002】
リチウム化遷移金属酸化物は、現在、リチウムイオン電池の電極活物質として使用されている。充電密度、比エネルギーのような特性だけでなく、リチウムイオン電池の寿命又は適用性に悪影響を及ぼし得るサイクル寿命の短縮及び容量損失のような他の特性も改善するため、過去数年に広範な研究開発作業が行われてきた。製造方法を改善するためのさらなる努力がなされている。
【0003】
リチウムイオン電池用のカソード材料を作るための典型的な方法では、遷移金属を炭酸塩、酸化物として、又は好ましくは塩基性であってもなくてもよい水酸化物(例えばオキシヒドロキシド)として共沈させることによって、最初に、いわゆる前駆体を形成する。次いでこの前駆体を、リチウム源、例えば、限定するものではないが、LiOH、Li2O又はLi2CO3と混合し、高温でか焼(燃焼)する。リチウム塩(複数可)は、水和物(複数可)として、又は脱水された形態で使用することができる。前駆体のか焼、又は燃焼は、しばしば熱的処理又は加熱処理とも呼ばれ、通常は600~1,000℃の範囲の温度で行われる。熱的処理の間、固相反応が起こり、そして電極活物質が形成される。熱的処理は、オーブン又はキルンの加熱ゾーンで行われる。
【0004】
高エネルギー密度を供給するカソード活物質の典型的な種類は、多量のNiを含有し(Niリッチ)、その量は例えば、非リチウム金属の含有量に対して少なくとも80モル%である。しかし、エネルギー密度にはまだ改善が必要である。
【0005】
かなりの程度で、前駆体の特性は、それぞれの電極活物質の特性、例えば粒度分布、それぞれの遷移金属の含有量等に、或る程度まで変換される。従って、前駆体の特性を操作することによって、電極活物質の特性に影響を及ぼすことが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、エネルギー密度の高い電極活物質の前駆体と、その製造のための簡易な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
よって冒頭に定義した方法が見出され、以下に、本発明の方法又は本発明による方法ともいう。本発明の方法は、TMの粒子状(オキシ)ヒドロキシドを製造する方法である。そしてこの粒子状(オキシ)ヒドロキシドは、電極活物質の前駆体として機能するので、前駆体ともいう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態では、得られた前駆体は、一次粒子の凝集体である二次粒子から構成される。
【0010】
本発明の一実施形態では、得られた前駆体の比表面積(BET)は、例えばDIN-ISO9277:2003-05に準拠して、窒素吸着によって決定して、2~10m2/gの範囲である。
【0011】
前駆体はTMの(オキシ)ヒドロキシドであり、TMは、Niと、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属と、任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属とを含む。
【0012】
本発明の一実施形態では、TMは、一般式(I)
(NiaCobMnc)1-dMd (I)
による金属の組み合わせであり、
式中、
aは、0.6~0.95の範囲、好ましくは0.8~0.92であり、
bは、0.025~0.2の範囲、好ましくは0.025~0.15であり、
cは、0~0.2の範囲、好ましくは0~0.15であり、そして
dは、0~0.1の範囲、好ましくは0~0.05であり、
Mは、Mg、Al、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択され、
a+b+c=1
である。
【0013】
TMは、微量のさらなる金属イオン、例えば微量の遍在する金属、例えばナトリウム、カルシウム又は亜鉛などを、不純物として含有してよいが、そのような微量は本発明の明細書においては考慮されない。この文脈における微量とは、TMの全金属含有量に対して、0.05モル%以下の量を意味する。
【0014】
本発明の方法は、以下の工程(a)及び(b)及び(c)を含み、以下でそれぞれ工程(a)及び工程(b)及び工程(c)、又は簡潔に(a)又は(b)又は(c)という。本発明の方法は、以下で詳述する。
【0015】
工程(a)は、Niの水溶性塩、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属、及び任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属の水溶性塩を含有する水溶液(α)、及びアルカリ金属ヒドロキシドを含有する水溶液(β)、及び任意に、アンモニアを含有する水溶液(γ)を提供することを含む。
【0016】
用語、コバルト及びニッケル又はマンガンの水溶性塩、又はニッケル及びコバルト及びマンガン以外の金属の水溶性塩とは、蒸留水中25℃で25g/l以上の溶解度を示す塩を指し、塩の量は、結晶水とアクオ錯体(aquo complex)に由来する水とを除いて決定される。ニッケル及びコバルト及びマンガンの水溶性塩は、好ましくは、Ni2+及びCo2+及びMn2+それぞれの水溶性塩である。ニッケル及びコバルトの水溶性塩の例は、スルフェート、ニトレート、アセテート及びハライドであり、特にクロリドである。ニトレート及びスルフェートが好ましく、そのうちスルフェートがより好ましい。
【0017】
前記水溶液(α)は、好ましくは、Ni及びさらなる金属(複数可)を、前駆体のTMとして意図された相対濃度で含有する。
【0018】
溶液(複数可)(α)のpHは、2~5の範囲である。より高いpH値が望まれる実施形態では、アンモニアを溶液(α)に加えてよい。しかしながら、溶液(α)にアンモニアを加えないことが好ましい。
【0019】
本発明の一実施形態では、1つの溶液(α)が提供される。
【0020】
本発明の別の実施形態では、少なくとも2つの異なる溶液(α)、例えば、金属の水溶性塩の相対量が異なる溶液(α1)及び溶液(α2)が提供される。本発明の一実施形態では、溶液(α1)及び溶液(α2)が提供され、ニッケルの相対量は溶液(α1)の方が溶液(α2)よりも高く、これは例えばMn又はCoによるものである。
【0021】
工程(a)では、さらに、アルカリ金属ヒドロキシドの水溶液が提供され、以下、溶液(β)ともいう。アルカリ金属ヒドロキシドの例はリチウムヒドロキシドであり、カリウムヒドロキシド、及びナトリウムヒドロキシドとカリウムヒドロキシドの組み合わせが好ましく、そしてナトリウムヒドロキシドがなおより好ましい。
【0022】
溶液(β)は、或るいくらかの量、例えば0.1~2質量%のカーボネートを含有し、この量は、意図的に添加された、又は溶液又はそれぞれのアルカリ金属ヒドロキシドのエージングによる、アルカリ金属ヒドロキシドのそれぞれの量に対するものである。
【0023】
溶液(β)は、ヒドロキシド濃度を0.1~12モル/lの範囲、好ましくは6~10モル/lで有する。
【0024】
溶液(β)のpH値は、好ましくは13以上であり、例えば14.5である。
【0025】
本発明の方法では、アンモニアを使用することが好ましいが、これを溶液(γ)又は溶液(β)として別々に供給し、溶液(α)には供給しないことが好ましい。
【0026】
本発明の一実施形態では、以下の工程(b)及び(c)は、10~85℃の範囲の温度、好ましくは20~60℃の範囲の温度で行う。好ましくは、工程(b)及び(c)は、同じ温度で行う。
【0027】
本発明の方法の文脈において、pH値とは、それぞれの溶液又はスラリーの23℃におけるpH値を指す。
【0028】
本発明の一実施形態では、工程(b)及び(c)は、同じ圧力で、例えば周囲圧力で行う。
【0029】
工程(b)及び(c)は、少なくとも2つの撹拌槽反応器、例えば2つ又は3つの撹拌槽反応器のカスケードで行うことが好ましい。
【0030】
工程(b)には、溶液(α)と溶液(β)と、該当する場合には溶液(γ)とを、12.0~13.0の範囲のpH値で撹拌槽反応器中において合わせ、これによりニッケルを含有するヒドロキシドの固体粒子を生成し、前記固体粒子をスラリー化することが含まれる。このようにして、スラリーが得られる。
【0031】
本発明の一実施形態では、工程(b)は、rt・0.03~rt・1.0の範囲、好ましくはrt・0.03~rt・0.2又はrt・0.8~rt・1.0のどちらかの持続時間を有し、ここでrtは、工程(b)から(e)の平均反応時間、又は工程(b)及び(c)が行なわれる反応システムの平均滞留時間である。
【0032】
本発明の一実施形態では、工程(b)の過程で、0.1W/kg~7W/kgの範囲、好ましくは0.5W/kg~5W/kgの中程度の散逸率を提供する速度で、撹拌を行う。例えば、容量3.2リットルの撹拌槽反応器の場合、典型的な撹拌速度は、400rpm~1000rpm(毎分回転数)の範囲である。
【0033】
工程(b)において、スラリーが得られる。
【0034】
工程(c)には、工程(b)で得られたスラリーの少なくとも一部分を別の撹拌槽反応器に移し、そしてこれと、溶液(α)と溶液(β)と、該当する場合には溶液(γ)とを、11.0~12.7の範囲のpH値で、ニッケルの溶解度が工程(b)よりも高い条件下で合わせることが含まれる。
【0035】
工程(b)で得られたスラリーの少なくとも一部分を移すことは、スラリーの固体の少なくともいくらか及び連続相の少なくともいくらか、つまり母液が、別の撹拌槽反応器に移されることを意味する。固体対連続相の比は、工程(b)で得られたものと同じであっても、同じでなくてもよい。
【0036】
工程(c)の特別な実施形態では、工程(b)の間に生成されたスラリー全体を、別の撹拌槽反応器に移す。別の実施形態では、工程(b)で得られたスラリーの一部分、例えば10~50体積%を移す。
【0037】
この文脈において、「ニッケルの溶解度」とは、Ni2+塩の溶解度を指す。本発明では、工程(c)におけるニッケルの溶解度は、0.01ppm~500ppmの範囲、好ましくは1~300ppmである。溶解度は、液体を固相からろ過によって分離した後、ICP-OES分析、誘導結合プラズマ発光分析によって、溶液中のニッケルイオンの濃度を決定することで測定できる。
【0038】
工程(c)の文脈では、ニッケルの溶解度は、例えば、pH値を低下させることによって、又は錯化剤、例えばアンモニアの濃度を増加させることによって、高められる。
【0039】
本発明の一実施形態では、工程(c)におけるニッケルの溶解度は、工程(b)と比較すると、10~50000倍、好ましくは100~8000倍増加する。
【0040】
本発明の一実施形態では、工程(c)におけるpH値は、工程(b)よりも少なくとも0.2、例えば0.3~0.7低い。例えば、工程(b)の間のpH値がちょうど12.0の場合には、工程(c)のpH値は、9.0~11.8の範囲で選択される。pH値の変化は、例えば、溶液(β)の添加速度を下げることにより、又は溶液(α)の添加速度を上げることにより、又はアンモニアの量を減少させることにより、又は上記の手段のうち少なくとも2つの組み合わせにより、達成される。より低濃度のアルカリ金属ヒドロキシドの溶液を導入することによって、溶液(β)を変性することも可能である。
【0041】
本発明の別の実施形態では、工程(c)で、錯化剤、例えばアンモニアの濃度は、工程(b)よりも高い。より高濃度の錯化剤は、さらなる錯化剤の添加、又はより多くのアンモニアにより、達成される。添加又はより多くのアンモニアは、溶液(γ)を工程(b)ではなく工程(c)で加えることにより、又は工程(b)よりも高濃度の溶液(γ)を工程(c)で加えることにより、又は工程(b)よりも時間単位当たりで多くの溶液(γ)を工程(c)で加えることにより、行ってよい。工程(b)よりも時間単位当たりで多くの溶液(γ)を工程(c)で加えることが好ましい。
【0042】
本発明の一実施形態では、スラリー中のアンモニア濃度は、工程(b)よりも高い。
【0043】
工程(c)の過程において、撹拌速度を下げる。例えば、工程(c)の過程で、撹拌速度を0.25~0.75倍、好ましくは0.25~0.5倍落とす。
本発明の一実施形態では、工程(c)の撹拌速度を連続的に、例えば直線的に下げる。
【0044】
本発明の一実施形態では、工程(c)の撹拌速度を段階的に、例えば1段階で、又は2~10段階で下げる。
【0045】
本発明の一実施形態では、工程(c)の開始時の撹拌速度は、工程(b)と同じか、又は工程(b)よりも低い。この文脈において、「工程(b)よりも低い」とは、工程(b)の終了時の撹拌速度をいう。
【0046】
本発明の一実施形態では、工程(b)で使用される溶液(α)は、工程(c)で使用される溶液(α)と比較すると異なる組成を有しており、例えば、工程(c)で使用される溶液(α)のニッケル含有量は、工程(b)で使用される溶液(α)のニッケル含有量よりも低い。他の実施形態では、工程(b)で使用される溶液(α)は、工程(c)で使用される溶液(α)と同じ組成を有する。
【0047】
本発明の一実施形態では、工程(b)及び(c)は、不活性ガス、例えばアルゴンなどの希ガス下、又はN2下で行う。
【0048】
本発明の一実施形態では、合計でわずかに過剰のヒドロキシド、例えばTMに対して0.1~10モル%を適用する。
【0049】
本発明の一実施形態では、工程(b)及び(c)の少なくとも1つの間に、母液をスラリーから、例えばクラリファイアによって、好ましくは工程(c)で取り除く。他の実施形態では、工程(b)及び(c)のいずれの段階でも母液は除去されない。
【0050】
本発明の一実施形態では、溶液(α)及び(β)の添加速度は、1時間当たりのリットル単位で、工程(c)の過程において、例えば1.5~20倍、好ましくは3~10倍上げる。
【0051】
本発明の一実施形態では、粒子の平均直径(D50)は、動的光散乱によって測定して、固形分含量の3乗根(g/L単位)で直線的に成長する。
【0052】
本発明の方法を行うことにより、高エネルギー密度の電極活物質の前駆体が得られる。
【0053】
本発明のさらなる側面は、粒子状の混合金属(オキシ)ヒドロキシドに関するものであり、以下に本発明の前駆体ともいう。本発明の前駆体は、高エネルギー密度の電極活物質(例えば600~950W・h/kg、好ましくは800~950W・h/kg)を、リチウム源で変換することによって製造するのに有用である。本発明の前駆体は、本発明の方法によって製造される。
【0054】
本発明の前駆体は、粒子状物質である。本発明の一実施形態では、本発明の前駆体は3~20μmの範囲、好ましくは5~16μmの平均粒径D50を有する。平均粒径は、例えば、光散乱又はLASER回折又は電気音響分光法によって決定される。粒子は、一次粒子からの凝集物で構成され、そして上記粒径は二次粒径を指す。
【0055】
本発明の前駆体の二次粒子はコア-シェル粒子と考えてよく、一次粒子はコア中で主にランダムに配向し、そしてシェル中で主に放射状に配向する。コア及びシェルの金属の組成は、好ましくは同じである。
【0056】
本発明の一実施形態では、特にバッチプロセスによって製造される場合に、本発明の前駆体は、Niと、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属と、任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属とを含み、ここで、その一次粒子はシェル内で主に放射状の配向を有し、そして二次粒子は0.3~0.6の範囲のスパン及びフォームファクタの積と、7.5未満の二次粒径対コア径の比を有する。
【0057】
本発明の別の実施形態では、特に連続プロセスによって製造される場合に、本発明の前駆体は、Niと、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属と、任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属とを含み、ここで、その一次粒子はシェル内で主に放射状の配向を有し、そして粒子は0.8~1.4の範囲のスパン及びフォームファクタの積と、1.2~1.6の範囲の二次粒径対コア径の比を有する。
【0058】
フォームファクタは、上面視SEM画像から決定された周囲長さ及び面積から計算される:フォームファクタ=(4π・面積)/(周囲長さ)2。スパンは[(D90)-(D10)]を(D50)で割った値として定義され、粒径分布の幅の尺度である。
【0059】
好ましくは、二次粒子のコアは、本発明の方法の工程(b)で生成された粒子に対応し、そしてシェルは工程(c)で生成された粒子に対応する。
【0060】
本発明の一実施形態では、本発明の前駆体は、一般式TM(O)x(OH)yに対応し、式中、x及びyは平均値であり、そしてxは0~1.5であり、そしてyは0~2の範囲であり、x+yの合計は少なくとも1、及び最大でも2.5である。
【0061】
本発明の一実施形態では、TMは、一般式(I)
(NiaCobMnc)1-dMd (I)
による金属の組み合わせであり、
式中、
aは、0.6~0.95の範囲、好ましくは0.8~0.92であり、
bは、0.025~0.2の範囲、好ましくは0.025~0.15であり、
cは、0~0.2の範囲、好ましくは0~0.15であり、そして
dは、0~0.1の範囲、好ましくは0~0.05であり、
Mは、Mg、Al、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択され、
a+b+c=1
である。
【0062】
TMは、微量のさらなる金属イオン、例えば微量の遍在する金属、例えばナトリウム、カルシウム又は亜鉛などを、不純物として含有してよいが、そのような微量は本発明の明細書においては考慮されない。この文脈における微量とは、TMの全金属含有量に対して、0.05モル%以下の量を意味する。
【0063】
本発明を、実施例によってさらに例示する。
【実施例】
【0064】
全般的な注釈
特に明記されない限り、溶液の百分率は質量%を指す。
あらゆるpH値は、撹拌槽反応器の外で23℃で測定した。
rpm:毎分回転数。
【0065】
平均直径(D50)及び(d50)は、交換可能で使用される。平均直径とは、体積ベースの平均粒径を指す。
【0066】
あらゆる実験は、連続撹拌槽反応器(容量3.2リットル)中で、撹拌槽反応器の上部に取り付けられたクラリファイアシステムを用いて、2段階のクロスブレードスターラーを備えたスターラーで行った。工程(c)の間に、アリコートを採取し、動的光散乱(DLS)による特性化によって、粒度分布を監視した。
【0067】
I. 前駆体の製造
工程(a.1)
以下の水溶液を作った:
(α.1):NiSO4、CoSO4及びMnSO4の水溶液、モル比Ni:Co:Mn=87.0:5.0:8.0、全体の遷移金属濃度:1.65モル/kg
(β.1):25質量%NaOH水溶液
(γ1):25%アンモニア(NH3)溶液。
【0068】
工程(b.1):
容量2.4lの撹拌槽反応器に、2lの脱イオン水を55℃で入れた。回収容器の上部にオーバーフローが発生し、スラリーが連続的に回収された。反応器に溶液(α.1)、(β.1)及び(γ.1)を連続的に供給し、母液のpH値が12.2、反応器内のモル比NH3対Ni、Co&Mnの合計が0.15となるようにした。溶液の個々の流量は、対応する溶液の数に対してiを付けてfiとさらに呼ばれ、滞留時間rt=V/(fα+fβ+fγ)=5hを満たすように調整した。試料を採取し、動的光散乱(DLS)によって特性化することによって、反応器内の粒度分布を監視した。反応器を15時間運転した後、粒度分布はそれ以上変化しなかった。その後続いて、回収容器を空にし、3つの種スラリー部分s1、s2及びs3をそれぞれ5時間回収した。すべての種スラリー部分は120g/lの固形分含量を有し、以下に列挙する特性により特徴づけられた。固形分含量は懸濁液1リットル当たりの固形分gで定義される。スパンは(d90-d10)/d50で定義される。
【0069】
【0070】
I.1 比較例前駆体C-pCAM.1の製造手順、工程C-(c.1)
容量3.2lの撹拌反応器に、61gのアンモニウムスルフェートを含有する1.6lの脱イオン水を入れ、窒素雰囲気下で55℃に加熱した。その後続いて、溶液(β.1)を加え、pH値を11.8に設定し、撹拌機を500rpmに設定した。その後続いて、320mlのスラリーs1を加えた。反応器に溶液(α.1)、(β.1)及び(γ.1)を連続的に供給し、母液のpH値が11.8、反応器内のモル比NH3対Ni、Co及びMnの合計が0.55となるようにした。母液を固体から分離し、反応器の上部に取り付けられたクラリファイアにより、反応器から除去した。溶液の個々の流量は、対応する溶液の数に対してiを付けてfiとさらに呼ばれ、滞留時間rt=V/(fα+fβ+fγ)=5hを満たすように調整した。工程C-(c.1)の間、撹拌速度を一定に保った。粒子は、粒度およそ13~14μmに達するまで成長した。その後続いて粒子を濾過し、脱イオン水で洗浄し、乾燥させ、30μmのメッシュサイズを用いてふるい分けして、C-pCAM.1を得た。
【0071】
I.2 比較例前駆体C-pCAM.2の製造手順、工程C-(c.2)
容量3.2lの撹拌反応器に、61gのアンモニウムスルフェートを含有する1.6lの脱イオン水を入れ、窒素雰囲気下で55℃に加熱した。その後続いて、溶液(β.1)を加え、pH値を12.05に設定し、撹拌機を1000rpmに設定した。その後続いて、320mlのスラリーs2を加えた。反応器に溶液(α.1)、(β.1)及び(γ.1)を連続的に供給し、母液のpH値が12.05、反応器内のモル比NH3対Ni、Co及びMnの合計が0.55となるようにした。母液を連続的に固体から分離し、反応器の上部に取り付けられたクラリファイアにより、反応器から除去した。溶液の個々の流量は、対応する溶液の数に対してiを付けてfiとさらに呼ばれ、滞留時間rt=V/(fα+fβ+fγ)=5hを満たすように調整した。工程C-(c.2)の間、撹拌速度を一定に保った。粒子は、粒度およそ13~14μmに達するまで成長した。その後続いて粒子を濾過iにより回収し、脱イオン水で洗浄し、空気下で乾燥させ、30μmのメッシュサイズを用いてふるい分けして、C-pCAM.2を得た。
【0072】
I.3 本発明の前駆体pCAM.3の製造手順、工程(c.3)
容量3.2lの撹拌反応器に、61gのアンモニウムスルフェートを含有する1.6lの脱イオン水を入れ、窒素雰囲気下で55℃に加熱した。その後続いて、溶液(β.1)を加え、pH値を12.05に設定し、撹拌機を1000rpmに設定した。その後続いて、320mlのスラリーs3を加えた。反応器に溶液(α.1)、(β.1)及び(γ.1)を連続的に供給し、母液のpH値が12.05、反応器内のモル比NH3対Ni、Co及びMnの合計が0.55となるようにした。母液を連続的に固体から分離し、反応器の上部に取り付けられたクラリファイアにより、反応器から除去した。溶液の個々の流量は、対応する溶液の数に対してiを付けてfiとさらに呼ばれ、滞留時間rt=V/(fα+fβ+fγ)=5hを満たすように調整した。撹拌速度は、まず1000rpmに保ち、次いで粒子が12μmに達したときに650rpmに減速し、そして最後には、粒子が12μmに達したときに500rpmに減速した。粒子は、粒度およそ13~14μmに達するまで成長した。その後続いて粒子を濾過し、脱イオン水で洗浄し、乾燥させて、30μmのメッシュサイズを用いてふるい分けして、本発明のpCAM.3を得た。
【0073】
【0074】
【0075】
Ni2+液相の溶解度は、ろ過後にICP-OESによって決定した。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径D50が光散乱又はLASER回折又は電気音響分光法によって決定して5~16μmの範囲である、TMの粒子状(オキシ)ヒドロキシドの製造方法であって、TMがニッケルを含み、該方法が以下の工程:
(a) Niの水溶性塩、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属、及び任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属の水溶性塩を含有する水溶液(α)、
及びアルカリ金属ヒドロキシドを含有する水溶液(β)、
及び任意に、アンモニアを含有する水溶液(γ)
を提供する工程、
(b) 溶液(α)と溶液(β)と、該当する場合には溶液(γ)とを、12.0~13.0の範囲のpH値で撹拌槽反応器中において合わせ、これによりニッケルを含有するヒドロキシドの固体粒子を生成し、前記固体粒子をスラリー化する工程、
(c) 工程(b)で得られたスラリーの少なくとも一部分を別の撹拌槽反応器に移し、そしてこれと、溶液(α)と溶液(β)と、該当する場合には溶液(γ)とを、11.0~12.7の範囲のpH値で、ニッケルの溶解度が工程(b)よりも高い条件下で合わせる工程
を含み、
撹拌速度を工程(c)の過程で減速させる、方法。
【請求項2】
粒子状混合遷移金属前駆体が、ヒドロキシド、カーボネート、オキシヒドロキシド及びTMのオキシドから選択され、TMが、一般式(I)
(Ni
aCo
bMn
c)
1-dM
d (I)
による金属の組み合わせであり、
式中、
aは、0.6~0.95の範囲であり、
bは、0.025~0.2の範囲であり、
cは、0~0.2の範囲であり、そして
dは、0~0.1の範囲であり、
Mは、Mg、Al、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択され、
a+b+c=1
である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(b)が、rt・0.03~rt・1.0の範囲の持続時間を有し、そしてrtが、工程(b)及び(c)が行なわれる反応器中の平均滞留時間である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程(c)の開始時の撹拌速度が工程(b)の終了時よりも遅い、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
工程(c)における撹拌速度を連続的に減速させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
工程(c)における撹拌速度を段階的に減速させる、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
工程(c)のアンモニア濃度が工程(b)よりも高い、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)におけるpH値が、工程(b)よりも少なくとも0.2低い、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)で使用される溶液(α)が、工程(b)で使用される溶液(α)と比較すると異なる組成を有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)で使用される溶液(α)のニッケル含有量が、工程(b)で使用される溶液(α)のニッケル含有量よりも低い、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
溶液(α)及び(β)、及び該当する場合は溶液(γ)の添加速度を、工程(c)の過程で落とす、請求項1から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
撹拌速度を工程(c)の過程で0.25~0.75倍落とす、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
Niと、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属と、任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属とを含
み、平均粒径D50が光散乱又はLASER回折又は電気音響分光法によって決定して5~16μmの範囲である粒子状混合金属(オキシ)ヒドロキシドであって、ここで、その一次粒子はシェル内で主に放射状の配向を有し、
そして前記一次粒子はコア中で主にランダムに配向し、そして二次粒子は0.3~0.6の範囲のスパン及びフォームファクタの積と、7.5未満の二次粒径対コア径の比を有する、粒子状混合金属(オキシ)ヒドロキシド。
【請求項14】
Niと、Co及びMnから選択される少なくとも1つの遷移金属と、任意に、Ti、Zr、Mo、W、Al、Mg、Nb、及びTaから選択される少なくとも1つのさらなる金属とを含
み、平均粒径D50が光散乱又はLASER回折又は電気音響分光法によって決定して5~16μmの範囲である粒子状混合金属(オキシ)ヒドロキシドであって、ここで、その一次粒子はシェル内で主に放射状の配向を有し、
そして前記一次粒子はコア中で主にランダムに配向し、そして二次粒子は0.8~1.4の範囲のスパン及びフォームファクタの積と、1.2~1.6の範囲の二次粒径対コア径の比を有する、粒子状混合金属(オキシ)ヒドロキシド。
【国際調査報告】