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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-28
(54)【発明の名称】人工芝
(51)【国際特許分類】
   E01C 13/08 20060101AFI20230721BHJP
【FI】
E01C13/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022564772
(86)(22)【出願日】2021-04-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2021060544
(87)【国際公開番号】W WO2021214229
(87)【国際公開日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】20171010.0
(32)【優先日】2020-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】522415690
【氏名又は名称】インノファティオンスマヌファクトゥール ゲーエムベーハー
(71)【出願人】
【識別番号】522415704
【氏名又は名称】トロフィル シュポルトボーデンシステーメ ゲーエムベーハー ウント コー.カーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】522415715
【氏名又は名称】ドクトーア.カール ヴェテカム ウント コー.カーゲー クンストシュトーフ-フェーデン,ベンダー
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【弁理士】
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【弁理士】
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】ファロー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】ブリュニンク,カイ
(72)【発明者】
【氏名】ティールベール,フランク
(72)【発明者】
【氏名】モーリツ,エッケハルト フォッツィ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェデル,アイケ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェテカム,カール
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051HA01
2D051HA02
2D051HA03
2D051HA05
2D051HA10
(57)【要約】
本発明は、粒子状発泡体で作られた減衰層(3)、繊維裏地(5)及び単一又は複数の繊維で作られた人工の草の層(7)を含み、繊維が繊維裏地(5)に結び付けられて人工の草のカーペットを形成する人工芝(1)に関するものであり、粒子状発泡体及び人工の草の層(7)を形成する単一又は複数の繊維は、それぞれ熱可塑性エラストマーから作られている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子状発泡体で作られた減衰層(3)と、繊維裏地(5)と、単一又は複数の繊維で作られた人工の草の層(7)とを含み、前記繊維が前記繊維裏地に結び付けられて人工の草のカーペットを形成し、前記粒子状発泡体及び人工の草の層(7)を形成する前記単一繊維それぞれが熱可塑性エラストマーを含むポリマーから作られている、人工芝。
【請求項2】
繊維裏地(5)も熱可塑性エラストマーで作られている、請求項1に記載の人工芝。
【請求項3】
前記粒子状発泡体、繊維裏地(5)、及び人工の草の層(7)を形成する前記単一又は複数の繊維が、複合構造の場合に、それぞれ同じ成分からの同じモノマー単位で構成される熱可塑性エラストマーで作られており、そして前記熱可塑性エラストマー中の硬質相及び軟質相の比率の変化及び各熱可塑性エラストマーに任意に加えられた添加剤により、層の異なる特性が確立される、請求項1又は2に記載の人工芝。
【請求項4】
前記粒子状発泡体が、減衰層(3)を通して水を排出させる膨張ビーズ(9)の間に通路(10)が形成されるように接続された膨張ビーズ(9)から形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の人工芝。
【請求項5】
前記粒子状発泡体のビーズ(9)が結合又は溶接で接続される、請求項1から4のいずれか一項に記載の人工芝。
【請求項6】
繊維裏地(5)が織地、編地、かぎ針編み地、敷設された織物、マット、箔又は不織布である、請求項1から5のいずれか一項に記載の人工芝。
【請求項7】
人工の草の層(7)の単一繊維が、長い草葉(13)及び短い草葉(15)を形成する異なる長さを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の人工芝。
【請求項8】
前記人工の草のカーペットが、真っ直ぐに直立した草葉とカールした草葉とを含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の人工芝。
【請求項9】
繊維裏地(5)が、結合又は溶接によって前記減衰層に接続される、請求項1から8のいずれか一項に記載の人工芝。
【請求項10】
繊維裏地(5)を減衰層(3)に結合するために、繊維裏地(5)が作られたポリマーと同じモノマー単位から構成された接着剤を使用する、請求項9に記載の人工芝。
【請求項11】
前記熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性スチレンブロックコポリマー(TPS)又は化合物、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性コポリエステル(TPC)又は熱可塑性ポリアミド(TPA)である、請求項1から10のいずれか一項に記載の人工芝。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の人工芝(1)で作られた少なくとも2つのモジュール(19)から構成される人工の芝生。
【請求項13】
隣接するモジュール(19)が互いに差し込まれる、請求項12に記載の人工の芝生。
【請求項14】
隣接するモジュール(19)が互いに結合又は溶接される、請求項13に記載の人工の芝生。
【請求項15】
少なくとも2つのモジュール(19)が、輸送用のコイルを形成するために回転させることができるサイズを有する、請求項12から14のいずれか一項に記載の人工の芝生。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状発泡体で作られた減衰層と、繊維裏地と、単一又は複数の繊維で作られた人工の草の層とを含み、繊維が繊維裏地に結び付けられて人工の草のカーペットを形成する人工芝に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人工芝は、一般的に使用される床材であり、建物内又は建物外、例えば運動場、遊び場に、又はテラス又はバルコニーで使用することができる。
【0003】
天然の草の感触、作用及び反応効果を達成するために、人工芝は通常、合成の草の層が上に配置された減衰層を含む。これにより、合成の草の層は、草葉を形成するストランドが接続された織繊維裏地で作られている場合がある。
【0004】
このような人工芝は、弾力性のある開放セル、膨張ビーズポリプロピレンで作られた減衰層、及び房(タフト)が留められている織布の合成芝パイルカーペットで形成されており、例えばEP-B0988423に記載されている。人工芝の自然な感触のために、草葉を形成するタフトの下部を包む織布の上に砂の層を堆積させる。US3,332,828、US3,551,263、及びUS3,597,297には、ベース層と、繊維が裏地に編み込まれている人工の草の層で構成される人工芝も記載されている。例えばUS3,332,828又はUS3,551,263によるベース層はPVC発泡体であり、そしてUS3,597,297によればポリウレタン発泡体である。
【0005】
EP-A1842963には、人工の草の層及びベース層を含む人工芝が記載されている。人工の草の層とベース層は、水を透過する。これにより、土壌を封止することなく、屋外で人工芝を使用できる。水を透過するさらなる人工芝は、例えば、US-A2005/0039511に記載されている。
【0006】
天然の草のようなプレー特性を実現するために、US-A2004/0229007では、2つの異なる繊維群が使用されており、繊維は裏地から上方に延びる。安定化充填材料は裏地に存在し、そして繊維群は充填物の上に延び、第2の繊維群は裏地から上方に延びるが、充填材の上には延びない。WO-A98/40559及びDE602005005630T2にも人工芝が開示されており、草葉を形成する繊維の下部を覆って繊維を直立位置で支持する粒子状物質が裏地に適用されている。
【0007】
US4,882,208には、人工の草の下に特に使用することができるベース層が記載されており、ベース層は、独立気泡架橋ポリエチレン発泡体材料の底層と金属層の上層とを含む。人工の草の下で使用する衝撃吸収パッドもUS4,505,960に記載されている。ここでは特に、要求される条件を達成するために、エラストマー発泡体が使用される。
【0008】
例として、力の低減を改善するために床面に使用される複合材が、WO2018/206657に記載されている。
【0009】
一般に、ドイツ規格DIN18035-7には、運動場用の人工芝の構築及びシステムが記載されている。
【0010】
当該技術の人工芝は、天然の草の感覚を得るために粒子層を適用する必要があるのが欠点である。さらに、草葉を形成するために通常使用されるポリマー、例えばポリプロピレン、ポリ塩化ビニル又はポリアミドは、例えば人工芝の上を人々が歩いて負荷がかかると、不可逆的に曲がる又は割れる場合があるのが欠点である。繊維を直立位置に保つ粒子状物質により、人工芝は設置された1箇所でしか使用することができない。これらの人工芝は、移動用途には使用できない。さらに、当該技術の人工芝では、人が芝の上で転倒し滑った場合に怪我を避けるため、通常は濡れた状態に保つ必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP-B0988423
【特許文献2】US3,332,828
【特許文献3】US3,551,263
【特許文献4】US3,597,297
【特許文献5】EP-A1842963
【特許文献6】US-A2005/0039511
【特許文献7】US-A2004/0229007
【特許文献8】WO-A98/40559
【特許文献9】DE602005005630T2
【特許文献10】US4,882,208
【特許文献11】US4,505,960
【特許文献12】WO2018/206657
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、当該技術分野で知られている人工芝の欠点を有しない人工芝を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、粒子状発泡体で作られた減衰層と、繊維裏地と、単一繊維で作られた人工の草の層とを含み、単一繊維が繊維裏地に結び付けられて人工の草のカーペットを形成し、この粒子状発泡体及び人工の草の層を形成する単一繊維が、それぞれ熱可塑性エラストマーを含むポリマーで作られている、人工芝によって達成される。
【0014】
驚くべきことに、人工の草の層を形成する単一繊維に熱可塑性エラストマーを含むポリマーを使用すると、繊維は、負荷がかけられて曲がった後に再び起立することが示された。従って、繊維を直立位置に保つための粒子層を裏地に適用する必要がない。熱可塑性エラストマーを含むポリマーを使用するもう1つの利点は、草葉がより柔らかいので怪我のリスクが低減されることである。
【0015】
さらなる利点は、粒子層を省くことによって、人工芝を容易に地面に並べることができ、そして後で地面から撤去できることである。これにより、人工芝上で行われる特定の機会に人工芝を床に備え付け、その後撤去することができ、その特定の機会に人工芝を備え付けた場所を、別の機会に人工芝を必要としない別の行為に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、第1の実施形態における人工芝の断面図を示す。
図2図2は、第2の実施形態における人工芝の断面図を示す。
図3図3は、第3の実施形態における人工芝の断面図を示す。
図4図4は、人工の芝生を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
人工芝は、例えば建物内、例えばスポーツホール又はイベントホールにおいて、又は建物外で、床に備え付けることができる。建物外で使用する場合、人工芝は、任意の平滑な地面、例えばコンクリート又は漆喰上に、タイル又は敷石上に、又は平坦にした土又は砂の上に、並べることができる。特に、コンクリート、漆喰、タイル、敷石のような硬質表面での使用、又は屋内での使用では、減衰層によって、天然の芝生の感覚に対応する感覚を作り出すことができる。屋外での使用では、例えば砂地の芝生のような自然な感触のために、又は嵐のような荒天条件時に人工芝をその場所に維持するための追加荷重として、人工芝に粒子層を設けることも可能である。しかしながら、粒子層のない人工芝を使用することが特に好ましい。
【0018】
減衰層の様々な減衰特性は、例えば、減衰層の製造に使用される熱可塑性エラストマーの組成、粒子状発泡体の充填密度、粒子状発泡体に使用される粒子のサイズ、又は減衰層の厚さによって、確立することができる。接合部を節約し、転倒時の怪我を低減する好適な減衰効果を達成するためには、減衰層が、DIN53512:2000に準拠して測定して30%を超える、好ましくは50%を超える反発性を有することが好ましい。減衰層の反発性に加えて、減衰層が低い圧縮残留ひずみを示す、つまり残留変形が非常に少ないことが好ましい。減衰層に使用される粒子状発泡体の密度は、好ましくは0.01~0.5g/cmの範囲、及び特に0.1~0.4g/cmの範囲である。さらに、減衰層の厚さは、好ましくは、1~100mmの範囲、及び特に2~50mmの範囲である。減衰層用の粒子状発泡体を製造するために使用される膨張ビーズは、好ましくは長円形又は円形であり、そして最大伸張は2~30mmの範囲、より好ましくは2~20mmの範囲、及び特に2~10mmの範囲である。それにより、減衰層は通常、2~30の間、より好ましくは1~20の間、及び特に1~15の間の粒子の層を含む。
【0019】
構造発泡体の代わりに粒子状発泡体を減衰層に用いることの有利な点は、全て同じ特性を有する膨張ビーズを製造することが可能であり、且つ減衰層の異なる特性の達成が単に減衰層の充填密度及び/又は厚さを変化させることにより可能なことである。さらに、粒子状発泡体を使用すると、水を透過する減衰層の実現がより容易である。なぜなら、ビーズから粒子状発泡体を形成することが可能であり、これらのビーズは、減衰層を通して水を排出させるビーズ間に通路が形成されるように接続されているからである。人工芝を屋外用途に使用する場合には、粒子状発泡体の透水性を提供することが特に必要である。透水性により、雨が降った後に人工芝に水たまりが形成されるのを回避し、人工芝の表面からその下の地面まで水を排出できることが確実となる。
【0020】
一方で、例えば屋内用途のみに使用される人工芝の場合、屋内用途では粒子状発泡体の透水性が不要であるので、通路のない高密度の粒子状発泡体を使用することができる。
【0021】
粒子状発泡体に使用されるビーズは、熱可塑性エラストマーを含む膨張ポリマー、特に膨張熱可塑性エラストマーで作られる。これにより、ビーズは独立気泡発泡体又は開放セル発泡体で形成される。好ましくは、膨張ビーズは、閉塞スキン(closed skin)を有する。粒子状発泡体用のビーズは、膨張ビーズを製造するための従来の方法で作ることができる。膨張ビーズは例として、ペレットを、例えば押出プロセスで製造し、そしてペレットを、発泡剤の入った水性懸濁液に高圧下で含浸させることによって、製造することができる。その後、ペレットは膨張し、減圧によって膨張ビーズが形成される。あるいは、膨張ペレットは押出プロセスで得ることができ、ここでは、発泡剤を押出機に添加し、そしてポリマーメルトが押出ダイを通る際に膨張し、これを切断して膨張ビーズにするか、又は膨張可能なビーズを含む発泡剤を、例えば水中造粒で形成し、そして別のプロセス工程で膨張させる。このような方法は、例えば、熱可塑性ポリウレタンの膨張ビーズを製造するためのWO-A2007/082838に記載されている。
【0022】
減衰層用の粒子状発泡体を製造するために、ペレットをしっかりと接続しなければならない。例えばビーズは、結合又は溶接により接続することができる。結合では、例えばビーズに接着剤を提供し、そしてその表面に接着剤がついたビーズでダイを充填して、減衰層のための粒子状発泡体を形成することが可能である。しかしながら、好ましくは、膨張ビーズは溶接により接続する。溶接した粒子状発泡体によって減衰層を形成するために、例えば、膨張したビーズを空気圧によって型内に充填することができ、その後、高温蒸気をいくつかのダイによって、多くの場合、型の両側からプレスする。膨張ビーズを通す間、これらは圧力の増加に支持されることで、その表面が柔らかくなり互いに接着する。一般的には、型の部品間に隙間が残るように型を閉じ、膨張したビーズを型に充填し、蒸気を型に通した後、さらに型を閉じて圧力を上げ、膨張したビーズを接続させる。これにより、型の形状を有する構成要素が形成される。
【0023】
繊維裏地は、天然又はポリマーフィラメントから製造してよい。取り扱いを容易にし、そして他のポリマー層、特に減衰層への接着性を向上させるために、好ましくはポリマーフィラメントを繊維裏地に使用し、特に好ましくは、繊維裏地も熱可塑性エラストマーで作る。熱可塑性エラストマーを使用すると、結合又は溶接などの熱可塑性ポリマーを接続する従来の方法で、人工の草の層を減衰層に接続できるというさらなる利点がある。
【0024】
接着剤を使用して繊維裏地を減衰層に接続する場合は、繊維裏地及び/又は減衰層が作られたポリマーと同じモノマー単位から構成される接着剤を使用することが好ましい。
【0025】
好ましくは、草葉を形成する繊維は、結ぶことにより又はタフト形成によって、繊維裏地に固定する。これにより、繊維裏地は、草葉を形成する繊維を通すことができる通路を含むことが可能となる。従って繊維裏地の好適な形態は、織地、編地、かぎ針編み地又は不織布であり、織地が繊維裏地として好ましい。さらに、繊維裏地は、当業者に既知のすべての好適な織物の表面構造を含むことができる。敷設された織物も、繊維裏地として可能である。繊維裏地として、さらに箔又はマットが可能であり、これらは伸ばしても伸ばさなくてもよい。伸ばした箔又はマットは、一方向(一軸引き伸ばし)、又は二方向(二軸引き伸ばし)に引き伸ばしてよい。
【0026】
繊維裏地は、当業者に既知の任意の方法によって製造することができる。好ましくは、繊維裏地は、最新技術の人工芝の構築に使用されているものと同様のサイズと厚さを有する。さらに好ましくは、繊維裏地の厚さは約0.2mm~約3mmの範囲である。
【0027】
繊維裏地に固定される草葉は、好ましくは、モノフィラメント又はモノフィラメントの束(マルチフィラメント)から形成され、これをタフト形成プロセスで好適な短繊維に切断する。短繊維は、人工芝の草葉を形成するためのそれぞれの長さを有する。モノフィラメント又はモノフィラメントの束の断面積は、任意の形状を有してよい。好適な形状の選択は、人工芝の使用方法の最終的な状態に依存する。モノフィラメントは、例えばモノフィラメントの直接押出し、又はテープを押出してモノフィラメントを切断することにより製造してよい。人工芝では、異なる種類のモノフィラメント及び/又はモノフィラメントの束を組み合わせてよい。草葉はさらに、平滑又は波状とすることができる。波状の草葉を使用する場合、人工芝が平滑及び波状の葉を含有することが特に好ましく、波状の葉は特に、均等な葉が直立位置を保つのを支持する。葉は、例えば、スペーサーファブリック(spacer fabric)プロセスを用いて繊維裏地に固定してよい。スペーサーファブリックプロセスでは、2層の繊維裏地が、2層の繊維裏地の間に一定の間隔を置いて平行に配置される。プロセスの間に、葉を形成するモノフィラメント又はモノフィラメントの束(マルチフィラメント)が、2層の繊維裏地の間に織り込まれる。このようにして、2層の繊維裏地はフィラメントの中間層(モノフィラメント又はモノフィラメントの束)によって互いに固定される。スペーサーファブリックプロセスの結果、3次元(3D)の織製品が得られる。2層の繊維裏地の間のフィラメントを切断することにより、繊維裏地に葉が固定された2つの別個の繊維裏地が形成され、草の人工カーペットが得られる。切断は、例えば、2つの繊維裏地層の間の中間だけではなく、任意の位置で行ってよい。
【0028】
特に、繊維裏地にタフトされている葉の密度/数(1mあたりの葉数)は、意図される人工芝の用途に応じて変化させてよい。例えば、1メートルあたりの葉数は、50より多く、200より多く、500より多く、又は750より多い。好ましくは、1メートルあたりの葉数は、約100~約2000の範囲、より好ましくは約500~約1750、最も好ましくは約1000~約1500である。さらに、繊維裏地は、繊維裏地に固定された単一の葉又はまとまった葉を含んでよい。単一の葉又はまとまった葉を繊維裏地と固定する方法は、特に結合、タフト形成、縫いつけ又は織りを含む。繊維裏地の葉数は、人工芝/人工の草のカーペットの所望の密度に応じて変化させてよい。
【0029】
葉の形状について、異なるサイズ又は形状が可能である。葉の断面領域は、円形、長円形、楕円形、平坦、鎌型、月状、四角形、長方形又は正方形が好ましい。平坦及び長円形の葉が特に好ましい。葉は、すべての重要な色、例えば緑、黄、青、赤又はそれらの混合を有することができる。さらに、人工芝に色違いの葉を組み合わせることも可能である。人工芝の葉の長さは、例えば約1mm~約80mmの範囲、約2mm~約60mm、好ましくは約3mm~約50mm、より好ましくは約4mm~約45mm、最も好ましくは約8mm~約40mmである。3次元(3-D)織製品(人工の草のカーペット)の切断後にスペーサーファブリックプロセスを用いる場合、葉の長さは、例えば約1mm~約80mmの範囲、約2mm~約60mm、好ましくは約3mm~約50mm、より好ましくは約4mm~約45mm、最も好ましくは約8mm~約40mmである。
【0030】
草葉の製造に使用されるモノフィラメント又はマルチフィラメント用の材料として熱可塑性エラストマーを含むポリマーに関連した好適な断面領域の選択により、天然の草の感触に非常に近い人工芝の感触が得られる。草葉を製造するために使用される熱可塑性エラストマーを含むポリマーは、熱可塑性エラストマー、又は少なくとも2つの異なるポリマー(そのうちの1つは熱可塑性エラストマーである)の共押出物とすることができる。草葉を形成する繊維が形成されるフィラメントに共押出物を使用する場合、2つのポリマーの共押出物が好ましい。
【0031】
モノフィラメントは、例えば、好適なダイを通してポリマーメルトをプレスすることによって連続的なフィラメントが製造される押出プロセスによって製造される。このようにして形成された連続フィラメントを、俵に巻きつけ、俵から編み又は繊維裏地にタフトし、そして編む又はタフト形成の間に単一繊維に切断し、草葉を形成する。
【0032】
モノフィラメントはさらに、フラットフィルム押出又はブローフィルム押出等のフィルム押出によって製造することができ、押出によって製造されたフィルムをその後、モノフィラメントに所望される幅を有するストライプ状に切断する。この場合、モノフィラメントは長方形の平坦な断面領域を有する。タフト形成プロセスの間、モノフィラメントを細かく切断して、平坦で且つ断面から見ると長円形又は長方形の葉を得る。
【0033】
人工芝の草の層を形成するための繊維は、すべて同じ長さを有してよい。この場合、すべての草葉が同じ長さを有する。あるいは、異なる長さを有する繊維を使用することも可能である。この場合、繊維が2つの異なる長さを有し、それによって長い草葉と短い草葉を有する草の層が得られることが、特に好ましい。この場合、長い草葉が直立したままとなるのを短い草葉が支え、より密度の高い充填が達成できる。特に、草の層を形成するために異なる長さの繊維を使用する場合、タフト形成プロセスを2回、つまり最初に短い繊維の層、2番目に長い方の繊維の層について、行う必要がある。好適なタフト形成機は、これを1回の実行で同時に行うことができる。
【0034】
あるいは、収縮挙動が異なり、すべて同じ長さを有する2つの異なるポリマーのモノフィラメントをタフトすることも可能である。タフト形成プロセスの後、草のカーペットを温度処理に供すると、これにより、1つのポリマーのモノフィラメントで作られた草葉が直立を保ち、そして第2のポリマーのモノフィラメントで作られた草葉がカールを形成する。このようにして、カールしていない草葉は、その直立位置をカールした草葉によって支えられる。
【0035】
粒子状発泡体を製造するために使用される熱可塑性エラストマー、草葉を形成するための繊維、及び繊維裏地がポリマーでできている場合に繊維裏地は、好ましくは、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPO)、熱可塑性加硫物(TPV)、熱可塑性スチレンブロックコポリマー(TPS)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性コポリエステル(TPC)、熱可塑性ポリアミド(TPA)、又はこれらの少なくとも2つの混合物である。好ましくは、熱可塑性エラストマーはTPSであるか、又はTPS、TPU、TPC又はTPAを含む化合物であり、特に好ましくは熱可塑性エラストマーはTPUである。
【0036】
減衰層のためのポリマー、繊維裏地、及び草の層のための単一繊維の異なる要求特性を達成するために、異なる熱可塑性エラストマーを使用することが可能である。さらに、熱可塑性エラストマーの硬質相及び軟質相を変化させる、又は好適な添加剤を加えることによって、異なる特性を達成することができる。1つの方法は、材料の剛性をショア硬度で分類することである。その場合、熱可塑性エラストマーとは無関係に、草葉のショア硬度範囲は80A~85D、好ましくは40D~70D、繊維裏地については40D~85D、好ましくは60D~85Dである。
【0037】
本発明では、葉が弾性挙動を示すこと、そして本発明の人工芝の葉を踏んだときのよじれに対し、葉に抵抗性があることが利点である。特に葉について、軟質及び硬質のTPUの組み合わせが可能である。好ましくは、軟質TPUは70A~60Dのショア硬度、硬質TPUは好ましくは90A~80Dのショア硬度を有する。
【0038】
熱可塑性エラストマーに添加できる添加剤は、当業者に既知の任意の添加剤とすることができる。このような添加剤は、例えば、減衰層、繊維裏地及び/又は草の層に存在することができる。典型的な添加剤は、例えば、界面活性物質、フィラー、難燃剤、静電気防止剤、核形成剤、酸化防止剤、潤滑剤及び離型剤、染料及び顔料、安定剤、例えば加水分解、光、熱又は変色に関する安定剤、強化剤、及び可塑剤が挙げられる。添加剤は、例えば潤滑剤と難燃剤のように互いに組み合わせてもよい。特に、人工芝が屋外用途で使用される場合は、環境条件に対して安定なポリマーを得るために、加水分解、光、熱及び変色に対する安定剤を加えることが好ましい。繊維裏地に熱可塑性エラストマーを使用する場合、必要な剛性を達成するために、繊維、例えばガラス繊維、鉱物繊維、又はポリマー繊維及び/又は無機フィラー又は有機フィラー等の粒子フィラー、例えばタルク、鉱物粒子又はPBT又はPOM等の熱可塑性ポリマーを添加することがさらに可能である。
【0039】
繊維裏地に好適なフィラーは、好ましくは、鉱物等の無機フィラー、金属カーボネート又はスルフェート、ガラス繊維、炭素繊維、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)等を含むポリスチレン(PS)のコポリマー、又は熱可塑性スチレンブロックコポリマー(TPS)、熱可塑性コポリエステル(TPC)、熱可塑性ポリアミド(TPA)等のエラストマーグレードからなる群から選択される熱可塑性ポリマーである。
【0040】
葉に好適なフィラーは、好ましくは、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)を含むポリスチレン(PS)のコポリマー、又は熱可塑性スチレンブロックコポリマー(TPS)、熱可塑性コポリエステル(TPC)、熱可塑性ポリアミド(TPA)等のエラストマーグレードからなる群から選択される。
【0041】
減衰層に好適なフィラーは、好ましくは、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)を含むポリスチレン(PS)のコポリマー、又は熱可塑性スチレンブロックコポリマー(TPS)、熱可塑性コポリエステル(TPC)、熱可塑性ポリアミド(TPA)等のエラストマーグレードからなる群から選択される。
【0042】
異なるポリマーを別々の層に使用することにより、理想的な特性を有する層を得ることが可能となるが、人工芝が寿命に達した後に再生することにより、異なるポリマーからそれぞれ構成される異なる層を分離できるようになる。繊維裏地と草葉を形成する繊維とから構成される人工の草の層は、接着剤で結合することにより又は溶接により、減衰層に接続されていて取り外せないので、人工の草の層を減衰層から簡単に分離することはできない。従って、特に好ましいのは、人工の草の層を形成する粒子状発泡体、繊維裏地及び繊維葉が、同じモノマー単位から構成される熱可塑性エラストマーから作られており、熱可塑性エラストマーにおける硬質相及び軟質相の比率の変化、及びそれぞれの熱可塑性エラストマーに任意に加えられた添加剤により、層の異なる特性が確立される場合である。同じモノマー単位から構成される熱可塑性エラストマーのあらゆる層を形成することにより、ポリマーの種類による仕分けを行わない効率的なポリマー再生が可能である。人工芝全体を、予め分離することなく再生プロセスに供給できる。減衰層が人工の草の層に接着剤で結合されて接続している場合、仕分けを行わないこのような再生には、減衰層を人工の草の層に結合するのに用いられる接着剤が、他の層と同じモノマー単位から構成されていることが、さらに必要である。
【0043】
好ましい実施形態では、人工芝は1種類の材料、具体的には熱可塑性ポリウレタン(TPU)のみを含有する。これは、具体的には葉、繊維裏地、及び減衰層がTPUからなることを意味する。3つの構成要素である葉、繊維裏地、及び減衰層を一緒にするために、TPU結合剤(例:TPUホットメルト)を使用して、人工芝の3つの構成要素を確実に結合又は溶接することがさらに好ましい。TPU層を一緒に溶接するために、材料は、熱、赤外線、マイクロ波、高周波又は非常に類似したエネルギー源によって熱的に活性化することができる。TPU結合剤は、膨張したTPU発泡体粒子を一緒に結合して減衰層を得るのにも使用できる。これにより人工芝の材料1種構想(one-material-concept)を確実にすることができる。人工芝の構築に1種の材料のみを使用することにより、人工芝の再生が可能となる。例えば、使用後に、人工芝の処理を熱的、機械的及び/又は化学的に、具体的には押出機で化合し、そして事前に例えば機械的な切断又は造粒装置を介して任意にサイズを低減することにより、行うことができる。その後、処理した(化合した)材料は、葉、繊維裏地及び/又は減衰層の製造に再利用することができる。最後に、これらの要素を一緒に組み合わせる/接合することで、再生された人工芝が得られる。その後、再生された人工芝は、依然として1種類の材料のみ、具体的には熱可塑性ポリウレタン(TPU)のみからなる。
【0044】
別の好ましい実施形態では、人工芝は、50%を超えるTPUと、50%未満の、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)を含むポリスチレン(PS)のコポリマー、又は熱可塑性スチレンブロックコポリマー(TPS)、熱可塑性コポリエステル(TPC)、熱可塑性ポリアミド(TPA)等のエラストマーグレードからなる群から選択される他のポリマーとを含有する。それでも依然として人工芝の再生は可能である。例えば、使用後に、人工芝の処理を熱的、機械的及び/又は化学的に、具体的には押出機で化合し、そして事前に例えば機械的な切断又は造粒装置を介して任意にサイズを低減することにより、行うことができる。その後、処理した(化合した)材料は、葉、繊維裏地及び/又は減衰層の製造に再利用することができる。最後に、これらの要素を一緒に組み合わせる/接合することで、再生された人工芝が得られる。その後、再生された人工芝は、依然として50%を超えるTPUと、50%未満の、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、及びアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、スチレンアクリロニトリル(SAN)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)を含むポリスチレン(PS)のコポリマー、又は熱可塑性スチレンブロックコポリマー(TPS)、熱可塑性コポリエステル(TPC)、熱可塑性ポリアミド(TPA)等のエラストマーグレードからなる群から選択される他のポリマーとを含有する。
【0045】
人工芝の製造のため、まず減衰層及び人工の草の層を製造し、それから減衰層を人工の草の層に接続することが可能である。あるいは、まず人工の草の層を作り、人工の草の層の上に直接減衰層を製造することも可能である。この場合、粒子状発泡体用の膨張ビーズを接着剤で結合すると、接着層を有する膨張ビーズが繊維裏地に適用され、そして接着剤でコーティングされた膨張ビーズを結合することにより、人工の草の層に粒子状発泡体が直接形成される。所望の形状の粒子状発泡体を達成するには、好ましくは、人工の草の層を型又はフレームに入れ、それから接着剤でコーティングされた膨張ビーズを型又はフレームに供給して粒子状発泡体を形成する。
【0046】
膨張した粒子を溶接して粒子状発泡体を形成し、粒子状発泡体を人工の草の層に溶接する場合は、まず人工の草の層を製造し、そして人工の草の層を型又はフレームに入れることが好ましい。その後、膨張したビーズを型又はフレームに供給し、それから粒子状発泡体を形成し、粒子状発泡体を人工の草の層に溶接するために、高温の蒸気を型に通す。粒子を型又はフレームに供給し、それによって粒子状発泡体を製造することは、当業者に既知のように行う。
【0047】
粒子層を必要としない最新技術の人工芝とは対照的に、本発明の人工芝は移動可能であり、そして人工芝が必要な場所へ簡単に設置、取り外し及び輸送することができる。本発明の人工芝の可能な用途は、例えばスポーツ分野(屋内及び/又は屋外)、景観用途、建設用途、ガーデニング、緑の屋根、交通島などである。
【0048】
輸送を容易にするため、人工芝は、好ましくは、輸送を可能とするサイズを有するモジュールで製造される。1つのモジュールよりも大きい人工の芝生を並べる場合、人工芝の複数のモジュールを並べることにより、人工芝を使用した人工の芝生は、本発明の人工芝で作られた少なくとも2つのモジュールから構成される。人工芝のモジュールは、平坦なモジュールの輸送を可能とするサイズを有するか、あるいはモジュールは、巻いてコイルを形成できるサイズを有してよい。モジュールのサイズに応じて、モジュールは輸送又は保管することができ、又は平坦なモジュールとしても巻かれたコイルとしても使用されない。
【0049】
人工の芝生が少なくとも2つのモジュールから構成される場合、モジュール間の隙間が生じる可能性がある単一モジュールのずれを避けるために、隣接するモジュールを固定しなければならない。このような隙間は、例えば人工の芝生が運動競技場に用いられる場合に、人がそのような隙間に足を踏み入れてつまづいたとき、人が人工の芝生で転倒してそのような隙間に滑り込んで動けなくなったときに、重傷を負わせる可能性がある。
【0050】
隣接するモジュールを固定するために、例えば、互いに差し込むことができる端を持つようにモジュールを設計することができる。よって端の形は、好ましくは、かみ合うアンダーカットを有するものである。端がかみ合うアンダーカットをモジュールに設けるだけでなく、溝及び突起部をモジュールに設けることも可能である。
【0051】
直線状の端を有するモジュールを使用する場合、モジュールのずれは、最も外側のモジュールを支えるフレームで囲まれた地面にモジュールを配置することでも回避できる。
【0052】
恒久的な人工の芝生を配置する場合は、隣接するモジュールを互いに結合又は溶接することが可能である。結合又は溶接によって恒久的な接続が達成されるので、このようにして製造された人工の芝生は通常、もはや移動できない。
【0053】
従って、移動可能な人工の芝生を実現するためには、隣接するモジュールを互いに差し込むか、又は芝生をフレーム内に配置することによって、モジュールを接続することが特に好ましい。
【0054】
本発明の例示的な実施形態を図に示し、そして以下の記載において、より詳細に説明する。
【0055】
図中:
図1は、第1の実施形態における人工芝の断面図を示す。
図2は、第2の実施形態における人工芝の断面図を示す。
図3は、第3の実施形態における人工芝の断面図を示す。
図4は、人工の芝生を示す。
【0056】
図1は、第1の実施形態における人工芝を示す。
【0057】
人工芝1は、減衰層3、繊維裏地5、及び人工の草の層7から構成される。減衰層3は、互いに接続された膨張ビーズ9から構成される粒子状発泡体から形成される。膨張ビーズは、熱可塑性エラストマー、具体的には熱可塑性ポリウレタン(TPU)から作られる。粒子状発泡体の製造では、最初の工程で膨張ビーズを製造する。次いでこれらのビーズを、通常はダイ中で、圧力下で互いに接続させる。圧力は、粒子状発泡体に意図された密度に依存する。膨張ビーズ9の接続については、接着剤を用いて又は溶接によって膨張ビーズ9を結合することができる。高温蒸気をダイに通して膨張ビーズ9を溶接するのが好ましい。しかしながら、膨張ビーズの結合に接着剤を使用する場合は、膨張ビーズ9の製造に使用されるポリマーと同じモノマー単位から構成される接着剤を使用することが好ましい。
【0058】
好ましくは、膨張ビーズ9は、ビーズ間に通路10が形成されるように接続される。このような通路10は水の排出を可能とし、これは人工芝1を屋外用途に使用する場合、人工芝1に水たまりが形成されるのを避けるため、特に好ましい。
【0059】
減衰層3には繊維裏地5が固定されている。繊維裏地5を減衰層3に固定するために、繊維裏地5を減衰層3に溶接するか、又は繊維裏地5を減衰層3に結合することが可能である。さらなるポリマーの添加を避けるため、また繊維裏地5を減衰層3に固定するためにも、溶接が好ましい。接着剤を使用する場合、また繊維裏地5を減衰層3に結合するためにも、膨張ビーズ9の製造に使用されるポリマーと同じモノマー単位から構成される接着剤を使用することが好ましい。
【0060】
人工の草の層7を形成するための繊維を繊維裏地5に接続できるようにするため、繊維裏地は織地、編地、かぎ針編み地、敷設された織物、マット、箔又は不織布である。
【0061】
さらに、繊維裏地5は、膨張ビーズ9のポリマーと同じモノマー単位から構成されたポリマーで製造される。同じモノマー単位から構成されたポリマーを使用すると、層を分離及び仕分けせずに再生できるという利点がある。
【0062】
図1では、人工の草の層7は、すべて同じ長さを有する繊維で作られた草葉11を含む。繊維は繊維裏地5に接続されて、人工の草の層7を形成する。草葉11を形成するための繊維と繊維裏地5との接続は、好ましくは、結ぶことにより又はタフト形成によって行う。
【0063】
分離及び仕分けせずに再生できるようにするため、草葉7の葉の形成に使用される繊維も、減衰層3及び繊維裏地5と同じモノマー単位から構成されたポリマーで製造される。
【0064】
図2は、第2の実施形態における人工芝1を示す。
【0065】
図2の人工芝1と図1の人工芝との差異は、人工の草の層7のみである。図2において、人工の草の層7は、長い草葉13及び短い草葉15で構成されている。草の異なる長さは、草葉を形成する繊維に異なる繊維長を使用することにより、又は最初に短い草葉15そして2番目の工程で長い草葉13を形成することにより、達成できる。これは、草葉の輪を形成し、その後これらをタフト形成プロセス中に別個の草葉に切断する場合に、特に好ましい。
【0066】
図1に示す人工芝に関して、また図2に示す人工芝に関しても、複合構造(compound structure)の場合、あらゆる層が、それぞれ同じ成分からの同じモノマー単位で構成される熱可塑性エラストマーで形成され、そして特に軟質相及び硬質相の変化によって、そして任意に添加剤を加えることによって、異なる特性を採用することが、特に好ましい。
【0067】
図3は、第3の実施形態における人工芝1を示す。
【0068】
図2の人工芝1とは異なり、図3の人工芝1は、長い草葉13及びカールした草葉16を含む。カールした草葉16は、例えば、温度処理でポリマーがカールするような組成を有するポリマーで製造することができる。この場合、繊維裏地5及び草葉13、16を含む人工の草のカーペットのあらゆる葉が平滑に形成される。例えばタフト形成による製造後、人工の草のカーペットを温度処理に供して、カールするポリマーで作られた草葉のいくつかをカールさせ、平滑な長い草葉14が直立するのを支えるカールした草葉16の層を形成する。
【0069】
温度処理で草葉の一部をカールさせるのとは別に、カールした草葉16として使用されるカールした又は波状のモノフィラメントを製造することも可能である。しかしながら、製造プロセスを容易にするために、2種類のポリマー、1つは温度処理時に平滑を保つものと、温度処理時にカールするものとを使用するのが好ましい。
【0070】
図4に人工芝の平面図を示す。
【0071】
人工の芝生17はいくつかのモジュール19で形成されており、モジュール19のそれぞれは、図1、2又は3の1つに示すように人工芝で作られている。複数のモジュール19を用いて人工の芝生17を形成することにより、広い領域に人工の芝生17を提供することが可能であるが、恒久的に並べるものではない場合は、人工の芝生17を輸送可能な状態に保つことが可能である。
【0072】
モジュール19が滑ってモジュール19間に隙間が形成されるのを避けるためには、モジュールを互いに溶接又は結合するか、又は隣接するモジュール19を互いに差し込むことが可能である。人工芝を恒久的に並べる場合は、結合又は溶接のみが好適である。輸送可能な人工の芝生17の場合、隣接するモジュールを互いに差し込むのが好ましい。モジュール19を互いに差し込むために、モジュール19の端21に、かみ合うアンダーカット23を設けることが好ましい。アンダーカットをかみ合わせることにより、モジュール19の取り外し可能であるが安定した接続を達成することができる。
【0073】
図4に示すように、アンダーカット23は、例えば、互いに差し込むことができるT字型の延長部25又はL字型の延長部27によって達成することができる。T字型又はL字型の延長部の他に、アンダーカットを有する任意の他の形状、例えばパズルのピース等の形状も使用できる。
【0074】
図4で隣接するモジュール19を互いに差し込むのに使用される延長部は、例示的にのみ示す。通常、1つの人工の芝生1に対して1種類の延長部のみを提供する。異なる延長部を使用する場合は、モジュール19を容易に並べるため、各モジュールに同じ延長部を提供することが好ましい。しかしながら、特にモジュールの特定の順序が必要な場合、例えば人工の芝生のパターンを並べる場合は、各端に異なる延長部を提供して、各モジュール19が正しい位置に配置されることを確実にするのが有利である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】