(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】硫酸化エステルアミン
(51)【国際特許分類】
C08G 65/329 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
C08G65/329
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022581383
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-01-31
(86)【国際出願番号】 EP2021067396
(87)【国際公開番号】W WO2022002761
(87)【国際公開日】2022-01-06
(32)【優先日】2020-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エベルト,ゾフィーア
(72)【発明者】
【氏名】ベンラーマー,オイダット
(72)【発明者】
【氏名】マルクゼウスキ,ダーヴィト
(72)【発明者】
【氏名】ボエック,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】メンデラ,クリスティーン
【テーマコード(参考)】
4J005
【Fターム(参考)】
4J005AA04
4J005AA12
4J005AA13
4J005BB01
4J005BD05
4J005BD06
(57)【要約】
本発明は、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種のアルコール(化合物(A))を少なくとも1種のラクタム(化合物(B))及び硫酸(化合物(C))と反応させるステップa)を含む方法により得られる硫酸化エステルアミンに関する。本発明はまた、このような硫酸化エステルアミンを調製する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップa):
a) 少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種のアルコール(化合物(A))を、少なくとも1種のラクタム(化合物(B))及び硫酸(化合物(C))と反応させるステップ。
を含む方法によって得られる硫酸化エステルアミン。
【請求項2】
ステップa)において、
i) 化合物(A)の少なくとも一部分を化合物(B)の少なくとも一部分と最初に混合し、次いで化合物(C)の少なくとも一部分を特定の期間にわたって連続的に添加し、好ましくは化合物(A)の全量を化合物(B)の全量と最初に混合し、次いで化合物(C)の全量を連続的に添加し、及び/又は
ii) 化合物(C)を特定の期間添加し、化合物(C)を連続的に添加する前記特定の期間は、好ましくは1時間未満、より好ましくは30分未満、最も好ましくは5~15分の範囲であり、及び/又は
iii) 前記反応を、すべての化合物(A)~(C)を互いに混合した後、80~200℃の温度で行い、及び/又は反応混合物から水を除去する、
請求項1に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項3】
化合物(A)が、
ジオール、ポリオール、アルコキシ化ジオール及びアルコキシル化ポリオールから選択され、
より好ましくは、ソルビトール、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリット、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、アルコキシル化エチレングリコール、プロピレングリコール、アルコキシル化プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルコキシル化ソルビトール、アルコキシル化1,6-ヘキサンジオール、アルコキシル化グリセロール、アルコキシル化TMP及びアルコキシル化ペンタエリスリットから選択され、
最も好ましくは、1,6-ヘキサンジオール、アルコキシル化ソルビトール、アルコキシル化グリセロール、ポリエチレングリコール、アルコキシル化TMP及びアルコキシル化ペンタエリスリットから選択される、
少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種のアルコールである、請求項1又は2に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項4】
化合物(A)が少なくとも2つのヒドロキシ基を含むアルコキシル化アルコールを含む場合、各アルコールのアルコキシル化フラグメントは少なくとも1つのC
2~C
22アルキレンオキシド、より好ましくはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドに基づき、最も好ましくは各アルコールはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドに基づく少なくとも1つのブロックを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項5】
前記方法が、ステップa)の前に、ステップb)
b) 化合物(A)としてのアルコキシル化アルコールを得るために、少なくとも2つのヒドロキシ基を含み、500g/mol未満の分子量M
Wを有する少なくとも1種のアルコールを、少なくとも1種のアルキレンオキシドと反応させるステップ
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項6】
i) エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを使用し、及び/又は
ii) 少なくとも2つのヒドロキシ基を含み、500g/mol未満の分子量M
Wを有する少なくとも1種のアルコールを、少なくとも1molのプロピレンオキシド及び/又は少なくとも1molのエチレンオキシドと反応させ、及び/又は
iii) 各アルコキシル化アルコールにおいてエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドに基づく少なくとも1つのブロックを得るために、少なくとも2つのヒドロキシ基を含み、500g/mol未満の分子量M
Wを有する少なくとも1種のアルコールを、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとバッチ式で反応させ、及び/又は
iv) 少なくとも2つのヒドロキシ基を含み、500g/mol未満の分子量M
Wを有する少なくとも1種のアルコールを、少なくとも1バッチで1~120molのプロピレンオキシドと反応させ、続いて少なくとも1バッチで1~150molのエチレンオキシドと反応させる、
請求項5に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項7】
i) ステップa)を、水の存在下、好ましくは化合物(B)の水溶液を使用することにより実施し、及び/又は
ii) 任意に、水を除去すること及び/又は化合物(A)による過剰なアルコールを除去することによってステップc)を実施し、好ましくはステップc)をステップa)が終了した後に実施する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項8】
ステップa)において、化合物(C)の、化合物(B)に対するモル比が少なくとも100mol-%であり、好ましくは100mol-%~125mol-%の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項9】
ステップa)において、化合物(C)の、化合物(B)に対するモル比が少なくとも90mol-%であり、好ましくは90mol-%~125mol-%の範囲である、請求項1~7のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項10】
ステップa)において、化合物(B)の、化合物(A)のヒドロキシ基に対するモル比が10mol-%~50mol-%の範囲である、請求項1~9のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項11】
ステップa)において、化合物(C)の、化合物(A)のヒドロキシ基に対するモル比が10mol-%~62.55mol-%の範囲である、請求項1~10のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項12】
ステップa)において、各硫酸化エステルアミン内にエステル基を形成するために、化合物(A)の全ヒドロキシ基の少なくとも10%が化合物(B)と反応し、及び/又は各硫酸化エステルアミン内にOSO
3フラグメントを形成するために、化合物(A)の全ヒドロキシ基の少なくとも10%が硫酸化される、請求項1~11のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項13】
ステップa)において、
各硫酸化エステルアミン内にエステル基を形成するために、化合物(A)の全ヒドロキシ基の20~50%が化合物(B)と反応し、
各硫酸化エステルアミン内にOSO
3フラグメントを形成するために、化合物(A)の全ヒドロキシ基の20~50%が硫酸化され、そして
化合物(A)の全ヒドロキシ基の0~30%が各硫酸化エステルアミン内に未反応の形態で残る、
請求項12に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項14】
ステップa)において、
i) 反応を、全ての化合物(A)~(C)を互いに混合した後、80~200℃の温度で1~30時間の期間にわたり行い、及び/又は
ii) 反応を、密閉容器内で1.0から10bar、好ましくは1.0から5bar、最も好ましくは1.0から4barの圧力下で行う、
請求項1~13のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項15】
化合物(B)が、少なくとも1種のε-ラクタム、最も好ましくはカプロラクタムである、請求項1~14のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミン。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の硫酸化エステルアミンを製造する方法であって、
ステップa):
a) 少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種のアルコール(化合物(A))を、少なくとも1種のラクタム(化合物(B))及び硫酸(化合物(C))と反応させるステップ。
を含む、方法。
【請求項17】
式(I)の硫酸化エステルアミン及びその塩
【化1】
式中、互いに独立して、
nは、1~12の整数であり、
mは、各繰り返し単位nについて独立に0~12から選択される整数であり、
pは、0~12の整数であり、
oは、各繰り返し単位pについて独立して0~12から選択される整数であり、
rは、0~12の整数であり、
qは、各繰り返し単位rについて独立して0~12から選択される整数であり、
s、t、u及びvは、0~100の整数であり、
A
1、A
2、A
3、及びA
4は、互いに独立して、各繰り返し単位s、t、u、又はvについて独立して、アルキレオキシ基からなるリストから選択され、そのようなA-単位は、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する1つのアルコールとC
2~C
22アルキレンオキシドの反応から生じ、例えば少なくとも2つのヒドロキシ基を有するエトキシル化アルコールの場合、Aは「-O-CH2-CH2-」であり、
ここで、s、t、u及び/又はvが1に等しい場合、基A
1、A
2、A
3及びA
4の酸素原子は、基Bに結合し、次の基A
1、A
2、A
3、及びA
4は酸素原子を介して常に前の基A
1、A
2、A
3、及びA
4に結合し、
B
1、B
2、B
3、及びB
4は、互いに独立して、結合、直鎖状のC
1~C
12アルカンジイル基、及び分岐状のC
1~C
12アルカンジイル基からなる群から選択され、
そのようなB-単位は、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する1つのアルコールの分子構造により与えられ、例えば実施例2(1モルのカプロラクタムでエステル化され、1モルの硫酸でエステル化された1,6-ヘキサンジオール)の場合、B1、B2は「-CH2-」であり、p及びr=0であり、n=1であり、m=2であり、t及びu=0であり、R
1、R
2、R
3、R
4、R
8、R
9及びR
12=Hであり、Z1及びZ2=OSO3H、OH又は式(II)(w=3であり、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17及びR
18=Hである)であり、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11及びR
12は、各繰り返し単位について独立してH、直鎖状アルキル、分岐状アルキル及びシクロアルキルからなる群から選択され;そのようなR単位は少なくとも2つのヒドロキシ基を有する1つのアルコールの分子構造により与えられ、
Z
1、及び/又はZ
2、及び/又はZ
3、及び/又はZ
4は、各繰り返し単位n、p、及びrについて独立して、OH、及びOSO3-、及び-OSO3H及び式(II)による化合物からなる群から選択され、ここで前記式(II)による化合物は、*でラベル付けされた結合を介して式(I)による化合物に結合し、そのようなZ-単位は、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する1つのアルコールと、少なくとも1種のラクタム及び硫酸との反応から生じ、例えば、C4ラクタム及び硫酸との反応の場合、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、は「-OC(O)-CH
2-CH
2-CH
2-NH
2又はSO
3H又はOHであり、
ただし、置換基Z
1、及び/又はZ
2、及び/又はZ
3、及び/又はZ
4の少なくとも10mol%~50mol%が式(II)による化合物であり、置換基Z
1、及び/又はZ
2、及び/又はZ
3、及び/又はZ
4の少なくとも10mol%~50mol%がOSO3-、又は-OSO3Hからなる群であり、置換基Z
1、及び/又はZ
2、及び/又はZ
3、及び/又はZ
4の0mol%~80mol%がOHであることが条件であり、
【化2】
式中、互いに独立して、
wは0~12の整数であり、
R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、及びR
18は、独立して、H、直鎖状アルキル、分岐状アルキル、及びシクロアルキルからなる群から選択され;そのようなR-単位はラクタムから生じ、例えばC4ラクタムと反応する場合、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17及びR
18はHであり、w=1であり、そして式(II)は「-OC(O)-CH
2-CH
2-CH
2-NH
2」である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種のアルコール(化合物(A))を少なくとも1種のラクタム(化合物(B))及び硫酸(化合物(C))と反応させるステップa)を含む方法により得られる硫酸化エステルアミン(sulfatized esteramines)に関するものである。本発明はまた、このような硫酸化エステルアミンを調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO 2019/007750は、特定の式(I)によるアルコキシル化エステルアミン及びその塩に関する。各化合物が塩である場合、各塩は、メタンスルホン酸、塩酸、硫酸、リン酸又は乳酸などの化合物から選択される酸によって、式(I)による化合物内に含まれるアミン基を少なくとも部分的にプロトン化することによって得ることができる。WO 2019/007750のアルコキシル化エステルアミンは、特定の式(III)による少なくとも1種のアルコールを少なくとも1種のC2~C16アルキレンオキシドと反応させ、その後、アラニン、リジン又は特定の式(IV)による酸などの少なくとも1種のアミノ酸で少なくとも部分的にエステル化することによって得ることができる。さらなるアルコキシル化エステルアミン及びその塩は、WO 2019/007754内に開示されている。
【0003】
WO 2019/110371は、アミノ酸エステルの有機スルホン酸塩を調製するための方法、及びそのようなアミノ酸エステルの有機スルホン酸塩に関するものである。各アミノ酸エステルの有機スルホン酸塩は、ラクタム環に少なくとも3つの炭素原子を有する少なくとも1種のラクタムと少なくとも1種の有機スルホン酸との水溶液中での反応(ステップi))と、ステップi)の反応生成物の、少なくとも1つのヒドロキシル基を含む少なくとも8個の炭素原子を有する少なくとも1種のアルコールとのエステル化を含む方法により取得することができる。
【0004】
欧州出願19150654.2は、それぞれの方法においてアミノ酸エステルの有機硫酸塩を調製するための方法に関するものである。ラクタム環に少なくとも3個の炭素原子を有する少なくとも1種のラクタムを第1ステップ内で硫酸と反応させ、第1ステップの反応生成物と少なくとも200mol-%の1つのヒドロキシ基のみを含む少なくとも1種のアルコールとのエステル化を第2ステップで実施する。
【0005】
CN 109 880 079 A及びCN 108 774 318 Aは、それぞれ抗菌性及び帯電防止性又は帯電防止性のナイロン6の製造方法に関するもので、第1ステップでカプロラクタムと脱イオン水(及び任意にナノ銀)をオートクレーブに加え、得られた溶液を第2ステップでエチレングリコール又はポリエチレングリコール及び濃硫酸と反応させるものである。第3ステップでは、さらにカプロラクタムと分子量調節剤を加えて重合反応を行う。さらに、Khitrin et al: Reactions of epsilon-caprolactam with alcohols, Database Caplus accession no. 1997:465734 は、ε-カプロラクタムとアルコールとの反応に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO 2019/007750
【特許文献2】WO 2019/007754
【特許文献3】WO 2019/110371
【特許文献4】欧州特許出願19150654.2号
【特許文献5】CN 109 880 079 A
【特許文献6】CN 108 774 318 A
【発明の概要】
【0007】
本目的は、ステップa):
a) 少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種のアルコール(化合物(A))を、少なくとも1種のラクタム(化合物(B))及び硫酸(化合物(C))と反応させるステップ
を含む方法によって得られる硫酸化エステルアミンによって達成される。
【0008】
本発明による硫酸化エステルアミンは、特定の組成物、例えば、洗剤、清浄化及び/又は布地及びホームケア組成物/配合物に使用することができる。
【0009】
本発明による硫酸化エステルアミンは、例えば硫酸基を有しないアルコキシル化及び非アルコキシル化ジ-及びポリオールに基づくエステルアミンと比較して、改善された粘土分散特性及び/又は改善された白色度(whiteness)を示すという事実において、利点が見出される。このことは、他の言葉で表現すると、先行技術による各エステルアミンはOSO3フラグメントを含むことは必須ではないことを意味する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明をさらに詳述する。
本発明は、ステップa):
a) 少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種のアルコール(化合物(A))を、少なくとも1種のラクタム(化合物(B))及び硫酸(化合物(C))と反応させるステップ
を含む方法によって得られる硫酸化エステルアミンに関する。
【0011】
一般的に、本明細書で使用されている「によって得られる(obtainable by)」という用語は、対応する生成物がそれぞれの特定の文脈に記載されているその対応する方法又はプロセスによって必ずしも生成され(すなわち得られ)なくてもよいが、前記対応する方法又はプロセスにより生成された(得られた)生成物のすべての特徴を示す生成物であって、そのような方法又はプロセスにより実際に生成されたものではない(得られたものではない)生成物も含まれることを意味する。しかし、「によって得られる」という用語は、「によって得られた(obtained by)」というより限定的な用語、すなわち、それぞれの特定の文脈に記載されている方法又はプロセスにより実際に生成された(得られた)生成物も含む。
【0012】
化合物又は化合物の置換基が、「少なくともいくつかの炭素原子」からなることを必要とする定義は、本明細書で使用される場合、炭素原子の数は、前記化合物又は化合物の置換基における炭素原子の合計数を指す。例えば、「アルキレンオキシド基を含む少なくとも8個の炭素原子を有するアルキルエーテル」として開示されている置換基では、少なくとも8個の炭素原子の合計数は、アルキル部分の炭素原子数及びアルキレンオキシド部分の炭素原子数の総計となる必要がある。
【0013】
用語「少なくとも2つのヒドロキシ基を含む」は、2つ以上の-OH基が存在することを意味する。用語「ヒドロキシ基」は、用語「ヒドロキシル基」又は「-OH基」と同じ意味である。メタノール又はエタノールのような、1つのヒドロキシ基のみを有するアルコール/化合物は、結果的に、本発明の化合物(A)による少なくとも2つのヒドロキシ基を含むアルコールの定義に該当しない。エーテル基のようなヒドロキシ基から誘導された官能基は、-OH基とはみなされない。
【0014】
化合物(A)による少なくとも2つのヒドロキシ基を含むアルコールは、当業者には公知である。上記のように、各アルコールは、各分子/化合物内に2つ、3つ、4つ、5つ、又はさらに多くのヒドロキシ基を含んでいてもよい。各アルコールは、直鎖状、分岐状及び/又は環状のアルキルフラグメントを含んでいてもよい。さらに、各アルコールは、芳香族フラグメント、ならびにアルキル及び芳香族フラグメントの組み合わせ(「アラルキルフラグメント」)を含んでもよい。さらに、各アルコールは、アルキルエーテルフラグメントを含んでいてもよい。化合物(A)によるアルコールの例は、グリセロール、ペンタエリスリット、ソルビトール、1,1,1-トリメチロールプロパン(TMP)又はアルコキシル化アルコール、例えば、ポリエチレングリコールである。本発明の化合物(A)によるアルコールは、通常、例えば、BASF SEから商品名「Pluronics」(例えば、ポリエチレングリコールブロック(コ)ポリマーとして)で市販されている。
【0015】
本発明の一実施形態では、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種の直鎖状又は分岐状のC2-~C36-アルコールが使用される。
【0016】
別の実施形態では、アルキルエーテルアルコールが使用される。アルキルエーテルアルコールは、例えば、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドでアルコキシル化されたアルキルアルコールである。本発明の一実施形態では、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドでアルコキシル化された、少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種の直鎖状又は分岐状C2-~C36-アルコールが使用される。別の実施形態では、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドでアルコキシル化された、2つのヒドロキシ基を含有する少なくとも1種のC8-~C22-アルコールが使用される。
【0017】
アルコールのアルコキシル化は、1種のみのアルキレンオキシド又は2種以上のアルキレンオキシドのいずれかで実行される。2種以上のアルキレンオキシドが使用される場合、生じたアルキルエーテルアルコールは、ランダムに分布したアルキレンオキシド単位、又は1種のアルキレンオキシドのブロックとそれに続く別のアルキレンオキシドのブロックのいずれかを含む。本発明の一実施形態では、単一のアルキレンオキシドのみでアルコキシル化されたアルキルアルコールが使用される。さらなる実施形態では、第1のアルキレンオキシドでアルコキシル化され、続いて第2のアルキレンオキシドでアルコキシル化され、それにより異なるアルキレンオキシドブロックのブロック構造を形成するアルキルアルコールが使用される。
【0018】
化合物(A)による少なくとも2つのヒドロキシ基を有する少なくとも1種のアルコールは、好ましくは、ジオール、ポリオール、アルコキシル化ジオール及びアルコキシル化ポリオールから選択される少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種のアルコールであり、
【0019】
より好ましくは、ソルビトール、1,6-ヘキサンジオール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン(TMP)、ペンタエリスリット、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、アルコキシル化エチレングリコール、プロピレングリコール、アルコキシ化プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、アルコキシ化ソルビトール、アルコキシ化1,6-ヘキサンジオール、アルコキシ化グリセロール、アルコキシ化TMP及びアルコキシ化ペンタエリスリットから選択され、
【0020】
最も好ましくは、1,6-ヘキサンジオール、アルコキシル化ソルビトール、アルコキシル化グリセロール、ポリエチレングリコール、アルコキシル化TMP及びアルコキシル化ペンタエリスリットから選択される。
【0021】
本発明の文脈において、化合物(A)が少なくとも2つのヒドロキシ基を含むアルコキシル化アルコールを含む場合、各アルコールのアルコキシル化フラグメントは少なくとも1つのC2~C22アルキレンオキシドに基づくことも好ましく、より好ましくはエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドに基づき、最も好ましくは各アルコールは。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドに基づく少なくとも1つのブロックを含む。
【0022】
本発明の文脈において、化合物(A)として少なくとも2つのヒドロキシ基を含むアルコキシル化アルコールを用いる場合、各アルコキシル化アルコールを得るための各アルコキシル化は、別のステップb)としてステップa)の前に実施されることもまた、好ましい。他の言葉で表現すると、これは、最初に化合物(A)によるアルコキシル化アルコールを調製し、例えば、直接その後、各アルコキシル化アルコールを、本発明による硫酸化エステルアミンを得るために、本発明による方法のステップa)で使用することを意味する。
【0023】
したがって、本発明による硫酸化エステルアミンが、ステップa)及びb)を含む方法によって得られることが好ましく、ステップa)は上記のように定義され、方法はまた、ステップa)の前に実施されるステップb):
b)化合物(A)としてのアルコキシル化アルコールを得るために、少なくとも2つのヒドロキシ基を含み、500g/mol未満の分子量MWを有する少なくとも1種のアルコールを、少なくとも1種のアルキレンオキシドと反応させるステップ
を含んでいる。
【0024】
ステップb)において、本発明による硫酸化エステルアミンが得られることがさらにより好ましく、ここで、
i) エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを使用し、及び/又は
ii) 少なくとも2つのヒドロキシ基を含み、500g/mol未満の分子量MWを有する少なくとも1種のアルコールを、少なくとも1molのプロピレンオキシド及び/又は少なくとも1molのエチレンオキシドと反応させ、及び/又は
iii) 各アルコキシル化アルコールにおいてエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドに基づく少なくとも1つのブロックを得るために、少なくとも2つのヒドロキシ基を含み、500g/mol未満の分子量MWを有する少なくとも1種のアルコールを、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとバッチ式で(batchwise)反応させ、及び/又は
iv) 少なくとも2つのヒドロキシ基を含み、500g/mol未満の分子量MWを有する少なくとも1種のアルコールを、少なくとも1バッチで1~120molのプロピレンオキシドと反応させ、続いて少なくとも1バッチで1~150molのエチレンオキシドと反応させる。
【0025】
化合物(B)による少なくとも1種のラクタムは、当業者に公知である。原則的に、安定で当業者に知られている任意のラクタムが、本発明の文脈内で化合物(B)として用いられ得る。
【0026】
ラクタムは、α-ラクタム(3個の環原子)から始まり、β-ラクタム(4個の環原子)、γ-ラクタム(5個の環原子)などが続く環状アミドである。加水分解された場合、ラクタムは、対応するα-、β-、γ-アミノ酸を形成する。ラクタム環中に少なくとも3個の炭素原子を有するラクタムはすべて、本発明による硫酸化エステルアミンを合成する方法に使用できる。本発明の一実施形態では、ラクタム環中に4から12個の炭素原子を有するラクタムが使用される。本発明の別の実施形態では、ラクタム環中に5から7個の炭素原子を有するラクタムが使用される。さらなる実施形態では、ラクタム環中に6個の炭素原子を有するラクタム、ε-ラクタムが使用される。
【0027】
ラクタム環の反応は、少なくとも1種のラクタムと硫酸を反応させることによって行われる得る。ラクタム環と硫酸の反応は、好ましくは水溶液中で実行される。本出願の一実施形態では、ラクタム環の反応は、少なくとも1種のラクタムと硫酸を、水のみを含有する水溶液中で反応させることによって行われる。
【0028】
「水を含まない」という用語は、組成物が、溶媒の合計量に対して5wt.-%以下の水、別の実施形態では、溶媒の合計量に対して1wt.-%以下の水を含有することを意味し、さらなる実施形態では、溶媒は、水をまったく含有しない。
【0029】
「水溶液」という用語は、溶媒が、溶媒の合計量に対して50wt.-%超の水を含有することを意味する。さらなる実施形態では、この用語は、溶媒が、溶媒の合計量に対して80wt.-%超の水を含有することを意味する。別の実施形態では、この用語は、溶媒が、溶媒の合計量に対して95wt.-%超の水を含有することを意味する。さらなる実施形態では、この用語は、溶媒が、溶媒の合計量に対して99wt.-%超の水を含有することを意味する。なおさらなる実施形態では、この用語は、溶媒が水のみを含有することを意味する。
【0030】
本発明において、化合物(B)は好ましくは少なくとも1種のε-ラクタムであり、最も好ましくはカプロラクタムである。
【0031】
本発明において、化合物(C)として用いられる、このような硫酸は、当業者に公知である。
【0032】
本発明の一実施形態では、ラクタムは、ラクタム環中に5個の炭素原子を有するラクタム、及びラクタム環中に6個の炭素原子を有するラクタムからなる群から選択され、硫酸との反応は、水溶液中で実行される。本発明の別の実施形態では、ラクタムは、ラクタム環中に5個の炭素原子を有し、硫酸との反応は、水溶液中で実行される。
【0033】
一実施形態では、ラクタムは、水に溶解するか、又は水相中で分散させるかのいずれかである。典型的な水中のラクタム濃度は、ラクタム及び水の合計重量に対して50重量%から99重量%の範囲である。本発明の一実施形態では、水中のラクタム濃度は、ラクタム及び水の合計重量に対して55から90重量%の範囲である。さらなる実施形態では、水中のラクタム濃度は、ラクタム及び水の合計重量に対して65から80重量%の範囲である。
【0034】
一実施形態では、硫酸は、濃硫酸として使用される。別の実施形態では、硫酸は、水中の96から98wt.-%硫酸溶液として使用される。さらなる実施形態では、硫酸は、水中の80wt.-%硫酸溶液として使用される。
【0035】
本発明の一実施形態では、硫酸の合計量は、少なくとも1種のラクタムへの反応を始める際に添加される。別の実施形態では、硫酸は、0.1から10hの期間少なくとも1種のラクタムに滴下添加される。
【0036】
本発明による硫酸化エステルアミンを得るためのステップa)を含むそのような方法は、当業者に公知の任意の方法によって実施することができる。本発明によるステップa)を実施するための具体的な方法/実施形態は、以下の実験セクションにおいてさらに詳細に説明される。
【0037】
本発明によるステップa)は、各化合物(A)~(C)を任意の順序(order)及び/又は順番(sequence)で混合することにより実施することができる。例えば、このような反応を開始する前に、3つの成分全てを一緒に混合することが可能である。しかし、これらの成分の一部のみを予め混合し、その後、各成分の残りの部分、あるいは単一の成分の全部を混合することも可能である。例えば、ステップa)は、バッチ式及び/又は連続的に実施することも可能である。
【0038】
本発明の文脈dでは、ステップa)において、
i) 化合物(A)の少なくとも一部分(a fraction)を化合物(B)の少なくとも一部分と最初に混合し、次いで化合物(C)の少なくとも一部分を特定の期間にわたって連続的に添加し、好ましくは化合物(A)の全量を化合物(B)の全量と最初に混合し、次いで化合物(C)の全量を連続的に添加し、及び/又は
ii) 化合物(C)を特定の期間にわたって添加し、化合物(C)を連続的に添加する前記特定の期間は、好ましくは1時間未満、より好ましくは30分未満、最も好ましくは5~15分の範囲であり、及び/又は
iii) 前記反応を、すべての化合物(A)~(C)を互いに混合した後、80~200℃の温度で行い、及び/又は反応混合物から水を除去する、
ことが好ましい。
【0039】
個々の化合物(A)~(C)の具体的な比率は、原則として自由に選択することができる。しかし、本発明に従ってステップa)を実施する際には、以下の条件の少なくとも1つ、好ましくは全てを満たすことが好ましい。
【0040】
ステップa)において、化合物(C)の、化合物(B)に対するモル比が少なくとも100mol-%であり、好ましくは100mol-%~125mol-%の範囲であることが本発明の文脈において好ましい。
【0041】
別の実施形態において、本発明の文脈では、ステップa)において、化合物(C)の、化合物(B)に対するモル比が少なくとも90mol-%であり、好ましくは90mol-%~125mol-%の範囲である。
【0042】
ステップa)において、化合物(B)の、化合物(A)のヒドロキシ基に対するモル比が10mol-%~50mol-%の範囲であることが本発明の文脈において好ましい。
【0043】
ステップa)において、化合物(C)の、化合物(A)のヒドロキシ基に対するモル比が10mol-%~62.55mol-%の範囲であることが本発明の文脈において好ましい。
【0044】
ステップa)において、各硫酸化エステルアミン内にエステル基を形成するために、化合物(A)の全ヒドロキシ基の少なくとも10%が化合物(B)と反応し、及び/又は各硫酸化エステルアミン内にOSO3フラグメントを形成するために、化合物(A)の全ヒドロキシ基の少なくとも10%が硫酸化されることがさらにより好ましい。
【0045】
ステップa)において、
各硫酸化エステルアミン内にエステル基を形成するために、化合物(A)の全ヒドロキシ基の20~50%が化合物(B)と反応し、
各硫酸化エステルアミン内にOSO3フラグメントを形成するために、化合物(A)の全ヒドロキシ基の20~50%が硫酸化され、そして
化合物(A)の全ヒドロキシ基の0~30%が各硫酸化エステルアミン内に未反応の形態で残る、
ことがさらにより好ましい。
【0046】
既に上述したように、ステップa)を実施する際に、化合物(A)~(C)の他に、溶媒及び/又は水のようなさらなる化合物が存在することも可能である。さらに、ステップa)の前及び/又は後に、本発明による硫酸化エステルアミンを得るために、さらなるステップを実施することも可能である。
【0047】
本発明の一実施形態において、ステップa)は、少なくとも1種の溶媒の存在下及び/又は水の存在下で実施される。ステップa)が、水の存在下で、好ましくは化合物(B)の水溶液を用いることによって実施されることが好ましい。
【0048】
溶媒及び/又は水が使用される場合、及び/又は過剰の未反応の遊離体(educts)を除去するために、ステップa)が終了した後に追加のステップ(C)が実施されることも好ましい。しかしながら、ステップc)は、ステップa)の実行と並行して、又はステップa)の実行の終わりに、既に開始されていることも可能である。
【0049】
本発明の一実施形態において、水を除去することにより、及び/又は化合物(A)による過剰なアルコールを除去することにより、任意のステップc)を実施することが好ましく、ステップc)はステップa)が終了した後に実施されることが好ましい。
【0050】
結果的に、本発明のステップc)において、水及び/又は過剰なアルコールが除去され得る。水及びアルコールの除去は、当技術分野で公知のあらゆる技術、例えば真空の適用により実行され得る。本発明の一実施形態では、ステップc)の水及び/又は過剰なアルコールの除去は、0.1mbarから800mbarの範囲の真空を適用して実行される。別の実施形態では、1mbarから500mbarの範囲の真空が適用される。さらなる実施形態では、10mbarから100mbarの範囲の真空が適用される。
【0051】
本発明の文脈において、ステップa)は、
i) 反応を、全ての化合物(A)~(C)を混合した後、80~200℃の温度で1~30時間の期間にわたり行う、及び/又は
ii) 反応を、密閉容器内で1.0から10bar、好ましくは1.0から5bar、最も好ましくは1.0から4barの圧力下で行う、
ことにより実施されることが好ましい。
【0052】
本発明の別の実施形態では、ステップa)は、ステップi)~iii):
(i) ラクタム環に少なくとも3個の炭素原子を有する少なくとも1種のラクタムを硫酸と反応させるステップ;
(ii) ステップ(i)の反応生成物を、少なくとも2つのヒドロキシ基を含むアルコールのヒドロキシ基の10~50mol-%でエステル化するステップ;
(iii) 任意に、水を除去し、及び/又はステップ(ii)の過剰なアルコールを除去するステップ
を含む方法によって実施される。
【0053】
本発明のこの実施形態では、ステップa)は、EP出願19150654.2において(ステップi)~iii)に関して)開示されるようなステップの特定の順番に従って実施される。さらに、本発明のこの実施形態は、アルコールの定義においてEP出願19150654.2のそれぞれの開示と異なり、本発明の文脈内では、上記で定義したような成分(A)によるアルコールであるが、EP出願19150654.2においては、1つのヒドロキシル基のみを必須的に含むアルコールがそれぞれの方法において用いられる。
【0054】
別の実施形態において、本発明は、式(I)の硫酸化エステルアミン及びその塩に関する:
【0055】
【0056】
式中、互いに独立して、
nは、1~12の整数であり、
mは、各繰り返し単位nについて独立に0~12から選択される整数であり、
pは、0~12の整数であり、
oは、各繰り返し単位pについて独立して0~12から選択される整数であり、
rは、0~12の整数であり、
qは、各繰り返し単位rについて独立して0~12から選択される整数であり、
s、t、u及びvは、0~100の整数であり、
【0057】
A1、A2、A3、及びA4は、互いに独立して、各繰り返し単位s、t、u、又はvについて独立して、アルキレオキシ基からなるリストから選択され、そのようなA-単位は、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する1つのアルコールとC2~C22アルキレンオキシドの反応から生じ、例えば少なくとも2つのヒドロキシ基を有するエトキシル化アルコールの場合、Aは「-O-CH2-CH2-」であり、
【0058】
ここで、s、t、u及び/又はvが1に等しい場合、基A1、A2、A3及びA4の酸素原子は、基Bに結合し、次の基A1、A2、A3、及びA4は酸素原子を介して常に前の基A1、A2、A3、及びA4に結合し、
【0059】
B1、B2、B3、及びB4は、互いに独立して、結合、直鎖状のC1~C12アルカンジイル基、及び分岐状のC1~C12アルカンジイル基からなる群から選択され、
【0060】
そのようなB-単位は、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する1つのアルコールの分子構造により与えられ、例えば実施例2(1モルのカプロラクタムでエステル化され、1モルの硫酸でエステル化された1,6-ヘキサンジオール)の場合、B1、B2は「-CH2-」であり、p及びr=0であり、n=1であり、m=2であり、t及びu=0であり、R1、R2、R3、R4、R8、R9及びR12=Hであり、Z1及びZ2=OSO3H、OH又は式(II)(w=3であり、R13、R14、R15、R16、R17及びR18=Hである)であり、実施例6(1モルのカプロラクタムでエステル化され、1モルの硫酸でエステル化されたエトキシル化グリセロール)の場合、B1、B2及びB4は「-」であり、p=0であり、r=1であり、n=1であり、m=0であり、q=0であり、t=4であり、u=4であり、s=4であり;R3、R4、R8、R11及びR12=Hであり;Z1、Z2及びZ4=OSO3H、OH又は式(II)(w=3であり、R13、R14、R15、R16、R17及びR18=Hである)であり、
【0061】
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11及びR12は、各繰り返し単位について独立してH、直鎖状アルキル、分岐状アルキル及びシクロアルキルからなる群から選択され;そのようなR単位は少なくとも2つのヒドロキシ基を有する1つのアルコールの分子構造により与えられ、
【0062】
Z1、及び/又はZ2、及び/又はZ3、及び/又はZ4は、各繰り返し単位n、p、及びrについて独立して、OH、及びOSO3-、及び-OSO3H及び式(II)による化合物からなる群から選択され、ここで前記式(II)による化合物は、*でラベル付けされた結合を介して式(I)による化合物に結合し、そのようなZ-単位は、少なくとも2つのヒドロキシ基を有する1つのアルコールと、少なくとも1種のラクタム及び硫酸との反応から生じ、例えば、C4ラクタム及び硫酸との反応の場合、Z1、Z2、Z3、Z4、は「-OC(O)-CH2-CH2-CH2-NH2又はSO3H又はOHであり、
【0063】
ただし、置換基Z1、及び/又はZ2、及び/又はZ3、及び/又はZ4の少なくとも10mol%~50mol%が式(II)による化合物であり、置換基Z1、及び/又はZ2、及び/又はZ3、及び/又はZ4の少なくとも10mol%~50mol%がOSO3-、又は-OSO3Hからなる群であり、置換基Z1、及び/又はZ2、及び/又はZ3、及び/又はZ4の0mol%~80mol%がOHであることが条件であり、
【0064】
【0065】
式中、互いに独立して、
wは0~12の整数であり、
R13、R14、R15、R16、R17、及びR18は、独立して、H、直鎖状アルキル、分岐状アルキル、及びシクロアルキルからなる群から選択され;そのようなR-単位はラクタムから生じ、例えばC4ラクタムと反応する場合、R13、R14、R15、R16、R17及びR18はHであり、w=1であり、そして式(II)は「-OC(O)-CH2-CH2-CH2-NH2」である。
【0066】
上記定義された式(I)による硫酸化エステルアミン又はその各塩は、上記のような方法によって得られる。式(I)による硫酸化エステルアミンの定義は、それぞれの方法を実施するための最適化された方法の結果であり、ここで(各モノマー又は任意の中間体の)すべての官能基が完全な反応を受けている。完全な反応(転化率100%)は理想的な仮定である。現実には転化率は通常100%未満である。未反応のヒドロキシ基が存在してもよい。この事実は、反応の複雑さ並びに式(I)による構造のため、当業者には知られている。それとは無関係に、前記構造を得るための反応は、上記の説明で開示されている。一般的な反応条件に従うと同時に、具体的な反応条件を知ることにより、各事例/反応条件についての実際の構造は、当業者にとって自明である。
【0067】
本発明の別の主題はまた、上記のようなこれらの硫酸化エステルアミンを製造するためのそのような方法であって、
ステップa):
a) 少なくとも2つのヒドロキシ基を含む少なくとも1種のアルコール(化合物(A))を、少なくとも1種のラクタム(化合物(B))及び硫酸(化合物(C))と反応させるステップ
を含む、方法、である。
【0068】
かかる方法は、本発明の第1の主題について上述したように同様に実施できることは当業者にとって自明であり、このような硫酸化エステルアミンは、すべての変形及び/又は実施形態及び/又は好ましい定義を含むステップa)を含む方法によって得られる。
【0069】
本発明の別の主題は、上記の硫酸化エステルアミンの、化粧品配合物における、原油エマルジョンブレーカー(crude oil emulsion breaker)としての、インクジェットインク用顔料分散液における、電気メッキ用配合物における、セメント系組成物における使用である。
【0070】
本発明の硫酸化エステルアミンを、化粧品配合物に、原油エマルジョンブレーカーとして、インクジェットインク用顔料分散液に、電気メッキ用配合物に、セメント系組成物に添加することができる。しかし、本発明の化合物は、洗浄又は清浄化組成物に添加(使用)することも可能である。
【0071】
本発明の硫酸化エステルアミンは、前記配合物中に0.1~5重量%の濃度で、好ましくは0.5~2重量%の濃度で存在する。
【0072】
本発明の硫酸化エステルアミンはまた、約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を含む清浄化組成物に添加され得る。本発明の硫酸化エステルアミンは、清浄化組成物中に、組成物の約0.1重量%~約5重量%の濃度で、又は組成物の約0.5重量%~約2重量%の濃度で存在し得る。
【0073】
清浄化組成物(Cleaning Composition)
本明細書で使用される場合、「清浄化組成物」という語句は、汚れた素材を清浄化するように設計された組成物及び配合物を含む。そのような組成物は、これらに限定するものではないが、洗濯清浄化組成物及び洗剤、布地柔軟化組成物、布地強化組成物(fabric enhancing compositions)、布地フレッシュニング組成物(fabric freshening compositions)、洗濯予備洗浄剤、洗濯予備処理剤、洗濯添加剤、スプレー製品、ドライクリーニング剤又は組成物、洗濯すすぎ添加剤、洗浄添加剤、すすぎ後布地処理剤、アイロン助剤、食器洗浄組成物、硬質表面用清浄化組成物、単位用量配合物、遅延送達配合物、多孔質基板又は不織シート上に、又はその中に含有された洗剤、並びに本明細書の教示を考慮して当業者に明らかであり得る他の好適な形態を含む。そのような組成物は、洗濯前処理剤、洗濯後処理剤として使用されてもよく、又は、洗濯動作のすすぎ若しくは洗浄サイクル中に添加されてもよい。清浄化組成物は、液体、粉末、単相又は多相単位用量、パウチ、タブレット、ゲル、ペースト、バー、又はフレークから選択される形態を有し得る。
【0074】
清浄化組成物は、所望の清浄化特性を提供するのに十分な量の界面活性剤系を含む。いくつかの実施形態において、清浄化組成物は、組成物の約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を含む。他の実施形態において、液体清浄化組成物は、組成物の約2重量%~約60重量%の界面活性剤系を含む。さらなる実施形態において、清浄化組成物は、組成物の約5重量%~約30重量%の界面活性剤系を含む。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性(amphoteric)界面活性剤、両性(ampholytic)界面活性剤、及びそれらの混合物から選択される洗浄性界面活性剤を含み得る。当業者には、洗浄性界面活性剤が、汚れた素材に対して清浄化、染みの除去、又は洗濯の利点を提供する任意の界面活性剤又は界面活性剤の混合物を包含することが理解される。
【0075】
清浄化組成物はまた、補助清浄化添加剤を含有してもよい。好適な補助清浄化添加剤は、ビルダー、構造剤又は増稠剤、粘土質汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー性汚れ遊離剤、ポリマー性分散剤、ポリマー性グリース清浄化剤、酵素、酵素安定化系、漂白化合物、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、増白剤、染料、色相剤、移染阻害剤、キレート剤、泡抑制剤、柔軟剤、及び香料を含む。
【実施例】
【0076】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することなく、本発明をさらに説明するものである。
【0077】
実施例1:ソルビトールを、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化して、2モルのカプロラクタムでエステル化し、2モルの硫酸で硫酸化したもの
【0078】
1a ソルビトールを18モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化したもの
2Lのオートクレーブ中に、248.9gのソルビトールと6.6gの水酸化カリウム(水中50%)を入れ、混合物を120℃に加熱する。真空にし、真空下(<10mbar)で2時間撹拌する。容器内を窒素で満たし、140℃に加熱する。1400.0gのプロピレンオキシドを40時間以内に小分けして(in portions)添加する。反応を完結させるために、この混合物を140℃でさらに10時間、後反応(post react)させる。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を80℃にて真空で除去する。ろ過後、1635.0gの褐色オイルが得られる(ヒドロキシ価:262mgKOH/g)。
【0079】
1b ソルビトールを、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化したもの
2Lのオートクレーブに、18モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化したソルビトール180.0gと水酸化カリウム3.4g(水中50%)を入れ、混合物を110℃に加熱する。真空にし、真空下(<10mbar)で2時間撹拌する。容器内を窒素で満たし、140℃に加熱する。665.9gのプロピレンオキシドを6時間以内に小分けして添加する。反応を完結させるために、この混合物を140℃でさらに6時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を80℃にて真空で除去する。ろ過後、836.0gの薄茶色のオイルが得られる(ヒドロキシ価:58.5mgKOH/g)。
【0080】
1c ソルビトールを、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化したもの
2Lのオートクレーブに、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化したソルビトール432.7gを入れ、混合物を60℃に加熱する。容器を3回窒素でパージし、140℃に加熱する。475.7gのエチレンオキシドを4時間以内に小分けして添加する。反応を完結させるために、この混合物を140℃でさらに6時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を80℃にて真空で除去する。ろ過後、883.0gの粘性のある褐色のワックス状の固体が得られる(ヒドロキシ価:27.8mgKOH/g)。
【0081】
1d ソルビトールを、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、2モルのカプロラクタムでエステル化し、2モルの硫酸で硫酸化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化したソルビトール(1c)157.3g、3.7gのカプロラクタム(水中80%)及び水1.8gを入れる。この混合物に2.7gの硫酸(96%)を一定の窒素気流下で10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は55℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、還流下135℃で10時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、一定の窒素気流下で、水を3時間かけて留去する。160.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が25%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が33%であることを示す。
【0082】
実施例2:1,6-ヘキサンジオールを、1モルのカプロラクタムでエステル化し、1モルの硫酸でエステル化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、23.6gの1,6-ヘキサンジオール、28.3gのカプロラクタム(水中80%)、12.3gの水を入れる。この混合物に20.8gの硫酸(96%)を一定の窒素気流下で10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は50℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、還流下135℃で3時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、一定の窒素気流下で、水を2時間かけて留去する。60.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が45%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が40%であることを示す。
【0083】
実施例3:2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールを、1モルのカプロラクタムでエステル化し、1モルの硫酸でエステル化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、81.5gの溶融2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、72.0gのカプロラクタム(水中80%)を30℃で入れる。この混合物に52.4gの硫酸(96%)を10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は65℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、還流下135℃で3時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、一定の窒素気流下で、水を2時間かけて留去する。180.0gの淡黄色高粘性オイルが得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が47%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が35%であることを示す。
【0084】
実施例4:分子量4000g/モルのポリエチレングリコールを、1モルのカプロラクタムでエステル化し、1モルの硫酸でエステル化したもの
磁気撹拌棒を備えた250mlガラス圧力容器に、103.61gのポリエチレングリコール(分子量4000g/mol)、3.53gのカプロラクタム(水中80%)及び7.25gの水を入れる。この混合物に2.60gの硫酸(96%)を10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は50℃まで上昇する。容器を密閉し、148℃の浴温に加熱し、この温度で6時間撹拌する。反応混合物を温度計、窒素導入口、スターラー及び蒸留ヘッドを備えた四つ口容器に移す。5mbar、浴温130℃で27時間かけて水を留去する。108.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が50%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が50%であることを示す。
【0085】
実施例5:ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールブロックコポリマーPluronic PE 6400を、1モルのカプロラクタムでエステル化し、1モルの硫酸でエステル化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、101.5gのポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコールブロックコポリマーPluronic PE 6400、4.95gのカプロラクタム(水中80%)、及び3.15gの水を入れる。この混合物に3.65gの硫酸(96%)を10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は50℃まで上昇する。反応混合物を148℃の浴温に加熱し、この温度で6時間撹拌する。還流冷却器を蒸留ヘッドに取り替えて、水を22時間かけて5mbar以下の真空下で留去する。107.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が45%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が44%であることを示す。
【0086】
実施例6:グリセロールを、12モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、1モルのカプロラクタムでエステル化し、1モルの硫酸で硫酸化したもの
【0087】
6a グリセロールを、12モルのエチレンオキシドでエトキシル化したもの
2Lのオートクレーブ中に、110.5gのグリセロールと1.5gのカリウムt-ブトキシドを入れ、混合物を80℃に加熱する。容器を3回窒素でパージし、混合物を140℃に加熱する。634.3gのエチレンオキシドを11時間以内に小分けして添加する。反応を完結させるために、この混合物を140℃でさらに5時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を80℃にて真空で除去する。ろ過後、745.0gの褐色オイルが得られる(ヒドロキシ価:85.0mgKOH/g)。
【0088】
6b グリセロールを、12モルのエチレンオキシドでエトキシ化し、1モルのカプロラクタムでエステル化し、1モルの硫酸で硫酸化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、62.2gの12モルのエチレンオキシドでエトキシ化したグリセロール、14.1gのカプロラクタム(水中80%)及び9.0gの水を入れる。この混合物に10.3gの硫酸(96%)を10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は65℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、この温度で6時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、蒸留ヘッドに取り替える。水を5時間かけて5mbar以下の真空下で留去する。80.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が32%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が31%であることを示す。
【0089】
実施例7:ペンタエリスリトールを、16モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、1.3モルのカプロラクタムでエステル化し、1.3モルの硫酸で硫酸化したもの
【0090】
7a ペンタエリスリトールを、16モルのエチレンオキシドでエトキシル化したもの
2Lのオートクレーブ中に、130.0gのペンタエリスリトールと1.6gのカリウムt-ブトキシドと300.0mlのキシレン(異性体の混合物)を入れ、混合物を80℃に加熱する。容器を3回窒素でパージし、混合物を140℃に加熱する。673.1gのエチレンオキシドを6.5時間以内に小分けして添加する。反応を完結させるために、この混合物を140℃でさらに6時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリップし、溶媒のキシレンを120℃にて2mbarの真空で除去する。ろ過後、831.0gの黄色オイルが得られる(ヒドロキシ価:271.0mgKOH/g)。
【0091】
7b ペンタエリスリトールを、16モルのエチレンオキシドでエトキシ化し、1.3モルのカプロラクタムでエステル化し、1.3モルの硫酸で硫酸化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、92.7gの16モルのエチレンオキシドでエトキシ化したペンタエリスリトール、20.3gのカプロラクタム(水中80%)及び8.3gの水を入れる。この混合物に14.7gの硫酸(96%)を10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は60℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、この温度で7時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、蒸留ヘッドに取り替える。水を8時間かけて135℃の浴温で留去する。真空(5mbar)にし、混合物を真空下、135℃の浴温で5時間撹拌する。80.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が27%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が32%であることを示す。
【0092】
実施例8:ソルビトールを、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、3モルのカプロラクタムでエステル化し、3モルの硫酸で硫酸化したもの
【0093】
8a ソルビトールを、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化したもの
3Lのオートクレーブ中に、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化したソルビトールプロポキシレート(Lupranol 3422、BASF SEから市販)140.0gとカリウムブトキシド5.0gを入れ、混合物を60℃に加熱する。容器を3回窒素でパージし、140℃に加熱する。1060.4gのプロピレンオキシドを6時間以内に小分けして添加する。反応を完結させるために、この混合物を140℃でさらに6時間、後反応させる。1295.3gのエチレンオキシドを140℃で6時間以内に添加し、その後、140℃で6時間の後反応時間を設ける。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を80℃にて真空で除去する。ろ過後、2490.0gのワックス状の褐色固体が得られる(ヒドロキシ価:33.6mgKOH/g)。
【0094】
8b ソルビトールを、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、3モルのカプロラクタムでエステル化し、3モルの硫酸で硫酸化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化したソルビトール(8a)122.5g、4.24gのカプロラクタム(水中80%)及び水1.8gを入れる。この混合物に3.11gの硫酸(96%)を一定の窒素気流下で10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は55℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、還流下135℃で7時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、一定の窒素気流下で、水を3時間かけて留去する。反応混合物を130℃で9時間真空下(<25mbar)にて撹拌する。127.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が49%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が47%であることを示す。
【0095】
実施例9:ソルビトールを、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、1モルのカプロラクタムでエステル化し、1モルの硫酸で硫酸化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化したソルビトール(1c)121.13g、1.41gのカプロラクタム(水中80%)及び水0.09gを入れる。この混合物に1.03gの硫酸(96%)を一定の窒素気流下で10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は55℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、還流下135℃で29時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、一定の窒素気流下で、水を3時間かけて留去する。反応混合物を130℃で6時間真空下(<25mbar)にて撹拌する。120.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が15%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が15%であることを示す。
【0096】
実施例10:ソルビトールを、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、23.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、3モルのカプロラクタムでエステル化し、3モルの硫酸で硫酸化したもの
【0097】
10a ソルビトールを、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、23.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化したもの
2Lのオートクレーブ中に、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化したソルビトール(Lupranol 3422、BASF SEから市販)354.0gとカリウムブトキシド1.8gを入れ、混合物を60℃に加熱する。容器を3回窒素でパージし、140℃に加熱する。532.3gのエチレンオキシドを6時間以内に小分けして添加する。反応を完結させるために、この混合物を140℃でさらに6時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を110℃にて真空で除去する。ろ過後、874.0gの褐色オイルが得られる(ヒドロキシ価:199.8mgKOH/g)。
【0098】
10b ソルビトールを、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、23.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、3モルのカプロラクタムでエステル化し、3モルの硫酸で硫酸化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、23.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化したソルビトール(10a)68.8g、16.9gのカプロラクタム(水中80%)及び水6.5gを入れる。この混合物に12.5gの硫酸(96%)を一定の窒素気流下で10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は55℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、還流下135℃で8時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、一定の窒素気流下で、水を3時間かけて留去する。反応混合物を130℃で8時間真空下(<25mbar)にて撹拌する。90.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が33%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が41%であることを示す。
【0099】
実施例11:ソルビトールを、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、113.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、1モルのカプロラクタムでエステル化し、1モルの硫酸で硫酸化したもの
【0100】
11a ソルビトールを、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、113.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化したもの
2Lのオートクレーブ中に、ソルビトールアルコキシレート(10a)300.0gとカリウムブトキシド1.4gを入れ、混合物を60℃に加熱する。容器を3回窒素でパージし、140℃に加熱する。691.6gのエチレンオキシドを6時間以内に小分けして添加する。反応を完結させるために、この混合物を140℃でさらに6時間、後反応させる。反応混合物を窒素でストリップし、揮発性化合物を80℃にて真空で除去する。ろ過後、990.0gの褐色オイルが得られる(ヒドロキシ価:64.7mgKOH/g)。
【0101】
11b ソルビトールを、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、113.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、1モルのカプロラクタムでエステル化し、1モルの硫酸で硫酸化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、113.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化したソルビトール(11b)85.4g、2.1gのカプロラクタム(水中80%)及び水0.9gを入れる。この混合物に1.6gの硫酸(96%)を一定の窒素気流下で10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は55℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、還流下135℃で6時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、一定の窒素気流下で、水を3時間かけて留去する。反応混合物を130℃で8時間真空下(<25mbar)にて撹拌する。85.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が15%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が15%であることを示す。
【0102】
実施例12:ソルビトールを、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、113.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、3モルのカプロラクタムでエステル化し、3モルの硫酸で硫酸化したもの
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、6.6モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、113.4モルのエチレンオキシドでエトキシル化したソルビトール(11a)85.4g、6.3gのカプロラクタム(水中80%)及び水0.9gを入れる。この混合物に4.7gの硫酸(96%)を一定の窒素気流下で10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は55℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、還流下135℃で8時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、一定の窒素気流下で、水を3時間かけて留去する。反応混合物を130℃で7時間真空下(<25mbar)にて撹拌する。89.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステルへの変換が40%、ヒドロキシ基の硫酸エステルへの変換が42%であることを示す。
【0103】
比較例1:ソルビトールを、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化し、2モルのカプロラクタムでエステル化したもの(メタンスルホン酸塩として)
温度計、窒素導入口、滴下ロート、還流冷却器及びスターラーを備えた四つ口容器に、96モルのプロピレンオキシドでプロポキシル化し、144モルのエチレンオキシドでエトキシル化したソルビトール(1c)121.1g、2.8gのカプロラクタム(水中80%)及び水1.2gを入れる。この混合物に2.05gのメタンスルホン酸(99%)を一定の窒素気流下で10分以内に添加する。硫酸の添加中に温度は40℃まで上昇する。反応混合物を135℃の浴温に加熱し、還流下135℃で25時間撹拌する。還流冷却器を取り除き、一定の窒素気流下で、水を7時間かけて留去する120.0gの褐色固体が得られる。MeOD中での1H-NMRは、ヒドロキシ基の6-アミノヘキサン酸エステル(メタンスルホン酸塩として)への変換が30%であることを示す。
【0104】
洗剤での性能
白色度ベネフィット試験(whiteness benefit test)について、以下の洗濯洗剤組成物を表1に示す。
【0105】
【0106】
試験調製:
白色度ベネフィット試験のため、以下の布地が用意される。
ポリエステル1:Polyester 854、Reichenbach Wirkstoffe社(ドイツ)から入手可能
ポリエステル2:PW19、Empirical Manufacturing Company(米国オハイオ州シンシナティ)より入手可能
ニットコットン1:CW120、Empirical Manufacturing Company(米国オハイオ州シンシナティ)より入手可能
【0107】
「洗浄及びFE処理」の布地は、以下の方法に従って調製した:400gの布地を、WE ミニウォッシャー(水3.5リットル)中で18.6gのアリエールコンパクト粉末洗剤を使って60℃でショートプログラム(45分の洗浄サイクル後、3回のすすぎサイクル、プログラム合計90分)を用いて2回、洗剤を使わずに60℃でショートプログラムを用いて2回、さらに8.2gのレノアコンセントレート(Lenor Concentrate)(布地強化剤)を各メイン洗浄に使って40℃でショートプログラムを用いて3回洗浄する。その後、布地を乾くまでエクストラドライでタンブル乾燥機中で乾燥させる。
【0108】
「洗浄」の布地は、以下の方法に従って調製した:400gの布地を、WE ミニウォッシャー(水3.5リットル)中で18.6gのアリエールコンパクト粉末洗剤を使って60℃でショートプログラム(45分の洗浄サイクル後、3回のすすぎサイクル、プログラム合計90分)を用いて2回、洗剤を使わずに60℃でショートプログラムを用いて2回洗浄する。その後、布地を乾くまでエクストラドライでタンブル乾燥機中で乾燥させる。
【0109】
試験方法
4種の布地サンプルを用意する:ポリエステル1(洗浄及びFE処理);ポリエステル2(洗浄及びFE処理);ニットコットン1(洗浄及びFE処理);ニットコットン2(洗浄)。
【0110】
各サンプルは、磁化ベアリングを使用する96ウェルプレート模擬洗浄システムで実行され、以下の条件に従って一般的なフルスケール洗濯機の撹拌をシミュレートする:洗剤濃度375ppm、水150μL/ウェル、25℃、水硬度1.0mM(Ca+2:Mg+2モル比2:1)、洗浄pH8、アリゾナテストダスト(Arizona test dust)3000ppm(PTI、Powder Technology Inc供給)。
【0111】
表2に示す各ポリマー(実施例1、比較例1)を洗浄液に対して100ppm添加する。各布地を60分間洗浄し、暗所で周囲条件下にて乾燥させる。各洗浄条件に対して、2つの96ウェルプレートが存在し、96ウェルプレート1つあたり8つの内部反復が存在し、1洗浄あたり合計16反復存在する。
【0112】
サンプルを乾燥させて、Spectrolinoイメージングシステム(Gretag Macbeth、Spectro Scan 3.273)を用いて、96ウェルプレートの各スポットのL*、a*、b*及びCIE WIを測定する。各処理について、平均 CIE WI を決定する。以下の表2に報告されているように、デルタCIE WIは、サンプルの平均CIE WI対試験ポリマーを含まないコントロールサンプルの平均CIE WIの差である。
【0113】
【国際調査報告】