(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-31
(54)【発明の名称】電子計数検出デバイスの検知要素レベルの回路設計
(51)【国際特許分類】
H01J 37/244 20060101AFI20230724BHJP
【FI】
H01J37/244
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023501274
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-01
(86)【国際出願番号】 EP2021068676
(87)【国際公開番号】W WO2022008518
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ヨンジン
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101FF02
5C101GG04
5C101GG36
5C101GG37
5C101GG49
5C101HH11
(57)【要約】
荷電粒子ビーム検出器は、検知要素の出力を表す信号を受信するように構成されたストレージセルと、検知要素の出力を表す信号をストレージセルに選択的に送信するように構成されたストレージセルマルチプレクサと、検知要素の出力を表す信号を閾値と比較するように構成された閾値検出器と、ストレージセルから送信された信号に対する信号処理を実行するように構成された変換器とを備える回路を含み得る。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷電粒子検出器用の回路であって、
検知要素の出力を表す信号を受信するように構成されたストレージセルと、
前記検知要素の前記出力を表す前記信号を前記ストレージセルに選択的に送信するように構成されたストレージセルマルチプレクサと、
前記検知要素の前記出力を表す前記信号と閾値との比較に基づいて積分開始信号を決定するように構成された回路を含む閾値検出器と、
前記ストレージセルから送信された信号に対する信号処理を実行するように構成された回路を含む変換器と
を含む、回路。
【請求項2】
前記ストレージセルが、回路に含まれる複数のストレージセルのうちの1つであり、前記複数のストレージセルが、前記検知要素の出力を表す信号を受信するように構成される、請求項1に記載の回路。
【請求項3】
結果分析要求インジケータをモニタするように構成された回路を含む制御ユニット
をさらに含み、
前記制御ユニットが、
前記結果分析要求インジケータが設定されたと決定することに応答して、第1のストレージセルに対する前記信号処理を実行することと、
前記信号処理に基づいて前記変換器から出力を受信することと
を行うように構成される、請求項1に記載の回路。
【請求項4】
前記検知要素の前記出力を異なる形式の電気信号に変換するように構成された回路
をさらに含む、請求項1に記載の回路。
【請求項5】
前記マルチプレクサが、スイッチを含む、請求項1に記載の回路。
【請求項6】
前記ストレージセルを前記変換器に接続するように構成されたスイッチであって、一度に1つのストレージセルを前記変換器に接続するように構成されたスイッチ
をさらに含む、請求項1に記載の回路。
【請求項7】
入力段によって前記検知要素から受信された電流又は電荷に比例して出力を生成するように構成された回路を含む入力段
をさらに含む、請求項1に記載の回路。
【請求項8】
前記入力段が、前記入力段によって前記検知要素から受信された前記電流又は電荷に基づいて増幅信号を出力するように構成された電流制御電流源を含み、前記閾値検出器が、前記増幅信号を電流閾値と比較するように構成された電流検出器を含む、請求項7に記載の回路。
【請求項9】
前記入力段が、前記入力段によって前記検知要素から受信された前記電流又は電荷に基づいて電圧信号を出力するように構成されたトランスインピーダンス増幅器を含み、前記閾値検出器が、前記電圧信号を参照と比較するように構成された電圧コンパレータを含む、請求項7に記載の回路。
【請求項10】
前記制御ユニットが、
前記積分開始信号を受信することと、
前記検知要素の前記出力を表す前記信号と第2の閾値との比較に基づいて積分終了信号を受信することと、
前記積分終了信号を受信することに応答して、前記ストレージセルと前記検知要素との間の接続状態を変更するように前記ストレージセルマルチプレクサを制御することと
を行うように構成される、請求項3に記載の回路。
【請求項11】
前記制御ユニットが、
前記積分終了信号を受信することに応答して、積分回路ビジーインジケータを設定し、前記ストレージセルと前記検知要素との間の前記接続状態を変更するまで、前記積分回路ビジーインジケータを維持する
ように構成される、請求項10に記載の回路。
【請求項12】
前記制御ユニットが、
前記結果分析要求インジケータが設定されたと決定することに応答して、アドレスリストから問合せ予定のストレージセルのアドレスを取得する
ように構成される、請求項3に記載の回路。
【請求項13】
荷電粒子ビーム装置に方法を実行させるために前記荷電粒子ビーム装置のコントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記方法が、
荷電粒子ビームを生成することと、
検出器の検知要素の出力を表す信号が第1の閾値を超えた際に、第1の荷電粒子事象に対応する第1のストレージセルを使用して、前記検知要素の前記出力を表す前記信号を積分することと、
前記第1の荷電粒子事象の後に前記検知要素の前記出力を表す前記信号が前記第1の閾値を超えた際に、第2の荷電粒子事象に対応する第2のストレージセルを使用して、前記検知要素の前記出力を表す前記信号を積分することと
を含む、媒体。
【請求項14】
前記命令セットが、
前記検知要素の前記出力が前記第1の閾値をクロスした際に、積分開始信号を生成することと、
前記検知要素の前記出力が第2の閾値をクロスした際に、積分終了信号を生成することと
を前記荷電粒子ビーム装置に行わせるために実行可能である、請求項13に記載の媒体。
【請求項15】
前記命令セットが、
前記積分開始信号に対する第1のタイムスタンプ及び前記積分終了信号に対する第2のタイムスタンプを生成すること
を前記荷電粒子ビーム装置に行わせるために実行可能である、請求項14に記載の媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] この出願は、2020年7月10日に出願された米国特許出願第63/050628号、2020年11月12日に出願された米国特許出願第63/113171号及び2021年2月19日に出願された米国特許出願第63/151585号の優先権を主張し、これらの特許出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本明細書の説明は、荷電粒子ビームシステムの分野において役立ち得る検出器に関し、より具体的には、荷電粒子計数を使用した荷電粒子検出に適用可能であり得るシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 検出器は、物理的に観測可能な現象を検知するために使用することができる。例えば、電子顕微鏡などの荷電粒子ビームツールは、サンプルから投射された荷電粒子の受信及び検出信号の出力を行う検出器を含み得る。検出信号は、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用することができ、例えば、サンプルの欠陥を明らかにするために使用することができる。サンプルの欠陥の検出は、大多数の高密度に詰め込まれた及び小型化された集積回路(IC)コンポーネントを含み得る半導体素子の製造においてますます重要になってきている。検査システムは、この目的のために提供することができる。
【0004】
[0004] 半導体素子の小型化が続く中、検査システムが荷電粒子ビームツールにおいて使用し得るビーム電流はどんどん低下している。既存の検出システムは、ビーム電流が例えばピコアンペア範囲まで低減される際は特に、信号対雑音比(SNR)及びシステムスループットによる制限を受ける可能性がある。電子ビーム検査システムにおけるSNRの向上及びスループットの増加のため、電子計数が提案されており、入射電子ビームの強度は、検出器に達した電子の数を計数し、次いで、電子到着事象の周波数を分析することによって取得される。しかし、電子計数を実施するための基本回路は、電子到着事象の確率的な(例えば、ランダムな)性質が原因で困難に直面し、高いミスカウント率の問題に遭遇する恐れがある。従って、検出システム及び方法の改善が望ましい。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本開示の実施形態は、荷電粒子ビームに基づく検出システム及び方法を提供する。いくつかの実施形態では、検出器を含む荷電粒子ビームシステムを提供することができる。検出器は、荷電粒子の計数に役立ち得る回路を含み得る。回路は、検知要素の出力を表す信号を受信するように構成されたストレージセルと、検知要素の出力を表す信号をストレージセルに選択的に送信するように構成されたストレージセルマルチプレクサと、検知要素の出力を表す信号を閾値と比較するように構成された閾値検出器と、ストレージセルから送信された信号に対する信号処理を実行するように構成された変換器とを含み得る。
【0006】
[0006] 前述の一般的な説明と以下の詳細な説明は両方とも、例示的なものであり、説明することのみを目的とし、特許請求され得るように開示される実施形態を制限しようとするものではないことを理解されたい。
【0007】
[0007] 本開示の上記の及び他の態様は、添付の図面と併せて、例示的な実施形態の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】[0008]本開示の実施形態と一致する、例示的な電子ビーム検査(EBI)システムのダイアグラム表現である。
【
図2A】[0009]本開示の実施形態と一致する、電子ビームツールの例であり得る荷電粒子ビーム装置を示す図である。
【
図2B】[0009]本開示の実施形態と一致する、電子ビームツールの例であり得る荷電粒子ビーム装置を示す図である。
【
図3A】[0010]本開示の実施形態と一致する、検出器の例示的な構造のダイアグラム表現である。
【
図3B】[0010]本開示の実施形態と一致する、検出器の例示的な構造のダイアグラム表現である。
【
図3C】[0010]本開示の実施形態と一致する、検出器の例示的な構造のダイアグラム表現である。
【
図4】[0011]本開示の実施形態と一致する、荷電粒子計数のための回路のダイアグラム表現である。
【
図5A】[0012]本開示の実施形態と一致する、荷電粒子計数のための回路の例示的な実装形態を示す。
【
図5B】[0012]本開示の実施形態と一致する、荷電粒子計数のための回路の例示的な実装形態を示す。
【
図5C】[0012]本開示の実施形態と一致する、荷電粒子計数のための回路の例示的な実装形態を示す。
【
図6】[0013]本開示の実施形態と一致する、荷電粒子検出方法のフローチャートである。
【
図7A】[0014]本開示の実施形態と一致する、荷電粒子検出方法のフローチャートである。
【
図7B】[0014]本開示の実施形態と一致する、荷電粒子検出方法のフローチャートである。
【
図7C】[0014]本開示の実施形態と一致する、荷電粒子検出方法のフローチャートである。
【
図7D】[0014]本開示の実施形態と一致する、荷電粒子検出方法のフローチャートである。
【
図8】[0015]本開示の実施形態と一致する、検出面における荷電粒子到着事象の影響を示す。
【
図9】[0016]本開示の実施形態と一致する、相互接続された検出セルを備える検出器のダイアグラム表現である。
【
図10】[0017]本開示の実施形態と一致する、相互接続部配列を示す。
【
図11】[0018]本開示の実施形態と一致する、相互接続部配列を示す。
【
図12A】[0019]本開示の実施形態と一致する、相互接続部を備える回路を示す。
【
図12B】[0020]本開示の実施形態と一致する、アナログ信号ルーティングマルチプレクサのダイアグラム表現である。
【
図13】[0021]本開示の実施形態と一致する、電子計数に役立ち得る方法を示すフローチャートである。
【
図14】[0022]本開示の実施形態と一致する、電子計数に役立ち得る方法を示すフローチャートである。
【
図15】[0023]本開示の実施形態と一致する、電子計数に役立ち得る方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0024] ここでは、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例は、図面に示されている。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表現がない限り、異なる図面における同じ番号は、同じ又は同様の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明において記載される実装形態は、本発明と一致するすべての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述される対象物に関連する態様と一致する装置、システム及び方法の単なる例である。
【0010】
[0025] 電子デバイスは、基板と呼ばれるシリコン片上に形成された回路で構築される。多くの回路は、同じシリコン片上にまとめて形成することができ、集積回路又はICと呼ばれる。技術の進歩と共に、これらの回路のサイズは劇的に減少しており、その結果、さらに多くの回路を基板に適合させることができる。例えば、スマートフォンのICチップは、指の爪ほどの大きさしかないが、それにもかかわらず、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の幅の1/1000未満である。
【0011】
[0026] これらの極めて小さなICの作成は、多大な時間を要する複雑且つ高価なプロセスであり、数百もの個々のステップを伴う場合が多い。1つのステップにおけるエラーでさえ、完成ICに欠陥をもたらす可能性があり、完成ICは、無用なものとなる。従って、製造プロセスの目標の1つは、プロセスで作成される機能可能なICの数を最大化するため、すなわち、プロセスの総歩留まりを向上させるために、そのような欠陥を回避することである。
【0012】
[0027] 歩留まりを向上させる要素の1つは、十分な数の機能可能な集積回路を生産することを保証するために、チップ作成プロセスをモニタすることである。プロセスをモニタする方法の1つは、それらの形成の様々な段階でチップ回路構造を検査することである。検査は、走査電子顕微鏡(SEM)を使用して行うことができる。SEMは、これらの極めて小さな構造を撮像するために使用することができ、実際には、構造の「ピクチャ」を撮影する。画像は、構造が正しく形成されたかどうかを判断するために使用することができ、また、構造が正しい場所に形成されたかどうかを判断するために使用することもできる。構造に欠陥がある場合は、欠陥が再発しにくくなるようにプロセスを調整することができる。スループット(例えば、1時間当たりのサンプル処理数)を向上させるため、できる限り素早く検査を行うことが望ましい。
【0013】
[0028] ウェーハの画像は、ウェーハ全体にわたってSEMシステムの一次ビーム(例えば、「プローブ」ビーム)を走査し、ウェーハ表面から発生した粒子(例えば、二次電子)を検出器で収集することによって形成することができる。二次電子は、検出器に向けて誘導されるビーム(「二次ビーム」)を形成し得る。検出器に着地した二次電子により、検出器において電気信号(例えば、電流、電荷、電圧など)を生成することができる。これらの信号は、検出器から出力し、画像プロセッサによって処理して、サンプルの画像を形成することができる。
【0014】
[0029] 典型的には、検出プロセスは、電子が検出器に着地した際に生成される電気信号の大きさを測定することを伴う。別の手法では、電子計数を使用することができ、その場合、検出器は、個々の電子到着事象が起こった際にそれを計数することができる。何れの手法においても、二次ビームの強度は、検出器において生成された電気信号に基づいて決定することができ、電気信号は、二次ビームの強度の変化に比例して変化するものである。しかし、電子計数を使用すると、二次電子のビームから検出器に達した電子の離散的な数を決定することができ、検出結果をデジタル形式(例えば、アナログ信号というよりむしろ、1と0)で出力することができる。ビームの強度は、電子到着事象の周波数を分析することによって決定することができる。
【0015】
[0030] 電子計数は、荷電粒子ビームシステムの信号対雑音比(SNR)及びスループットの改善に役立ち得る。SNRは、特に、低レベルの一次ビーム電流において懸念され得る。従って、電子計数は、ビーム電流が通常は低い計測学及びオーバーレイ検査などの用途において魅力的な方法であり得る。また、電子計数は、異なるタイプの電子(例えば、二次電子及び後方散乱電子)によって生成された信号を分離する際にも役立ち得る。いくつかの用途では、純粋に二次電子に基づいてSEM画像を生成するか、純粋に後方散乱電子に基づいて画像を生成するか、又は、それらの組合せに基づいて画像を生成することが望ましい。
【0016】
[0031] しかし、帯域幅制限及び電子到着事象のランダムな性質が原因で、従来の回路を使用して電子計数を実施することは難しい可能性があり、従って、基本回路は、高いミスカウント率の問題に遭遇する恐れがある。電子は、異なるエネルギーレベルでランダム方向にサンプルから放出され得る。検出器の検知要素への電子の到着は、短い間隔で連続して起こり得、その結果、2つの電子の到着は、1つの電子到着事象としてミスカウントされ得る。例えば、電圧コンパレータと論理回路の単純な組合せは、高い確度及び低いミスカウント率で電子計数検出システムの望ましい目標を達成できない可能性がある。それに加えて、検出器は、例えば、二次電子と後方散乱電子を区別するために、異なるエネルギーの粒子を区別する能力を有さなくてはならない。一部の回路設計は、十分な確度で電子到着事象についての情報を収集できない場合があり、エネルギー区別において低い確度を有し得る。
【0017】
[0032] 本開示の実施形態は、検出器における荷電粒子計数を可能にする検出システム及び方法を提供することができる。検出器には、荷電粒子計数を行うように構成された回路の層を提供することができる。回路は、例えば、検出器を構成する半導体チップの別個の読み出し層において提供することも、別個の半導体チップにおいて提供することも、検知要素とまとめて統合することもできる。検知要素層及び信号処理層を含む層で構成される検出器では、回路は、信号処理層において提供することができ、信号処理層は、検知要素によって生成された信号を処理し、それらをデジタル信号に変換する。回路は、入射荷電粒子のエネルギーに関連する信号を一時的に格納するように構成することができる。回路は、一定の時間の間に検知要素に到着した荷電粒子の数(例えば、電子到着事象を確認するため)、荷電粒子と関連付けられたエネルギー(例えば、二次電子間又は後方散乱電子間で区別するため)、及び、一定の時間の間に一定数を超える荷電粒子が到着したかどうか(例えば、検知要素のオーバーフローステータスを決定するため)を表す出力信号を生成できるように構成することができる。
【0018】
[0033] 回路は、荷電粒子到着事象に関連する情報を格納するか又は処理するために、メモリ又はパイプラインの働きをし得る。回路に対する「パイプライン」手法は、順次プロセスをいくつかのサブプロセスに分解するように構成された回路アーキテクチャを指し得る。サブプロセスは、個々の段階の作業者が特定のタスクを実行し、部分的に完成した製品をライン沿いに次の作業者に渡すような組立ラインと同様に、並行して実行することができる。メモリ又はパイプラインの働きをする回路は、信号を処理するという検出器の能力を強化することができる。例えば、電子到着事象の信号処理は、一定の時間量を要し得る。例えば、1nAの電流のビームを使用した際の電子の到着率は、1秒間に約62億5000万の二次電子が検出器に到着すること(電子が約数ナノ秒間に1度到着することを意味する)に相当し得る。検出器の信号処理速度は、電子到着事象に応答して検出器が測定可能な信号を生成できる時間速度より遅い場合があり、従って、ミスカウント又は他の困難が生じ得る。メモリ機能を提供することにより、検出器は、個々の電子到着事象を一時的に表すために信号を記録するという追加の能力を有することができ、それらを処理して同時に又は異なる時刻に(例えば、「非同期的に」)出力することができる。
【0019】
[0034] その上、正確な電子計数を保証するには、速い回路処理スピードのみでは不十分であり得る。電子到着事象のランダムな性質により、回路の処理速度が、電子到着事象に応答して検知要素が信号を生成する平均速度(「平均速度」)より速い場合でさえ、検出器は、依然として、電子計数における問題に遭遇し得る。例えば、アナログパイプラインが提供されない場合は、電子到着事象に応答して検知要素が信号を生成する時間速度が平均速度より速い場合でさえ、依然として、2つの電子が短い間隔で連続して到着し、検出器が正確に事象を処理できないという例が存在し得る。他方では、回路の処理速度が平均速度より遅い場合は、回路は、絶えず、オーバーフロー状態であり得る。本開示の実施形態は、(1)処理速度に起因するミスカウントを低減するか又は最小限に抑えるために検出回路にアナログパイプラインを追加することや、(2)回路の総処理速度が、電子到着事象に応答して検知要素が信号を生成する平均速度より速いことを保証するために、処理回路に変換器を提供することによって、この状況に対処することができる。アナログパイプラインは、単一の変換器の処理速度が、電子到着事象に応答して検知要素が信号を生成する時間速度より遅いことが原因であるミスカウントを低減するか又は最小限に抑えることができる。複数の変換器は、電子到着事象に応答して検知要素が信号を生成する平均速度に勝る、特定のプローブ電流の範囲内のある程度の処理速度の改善を保証することができる。
【0020】
[0035] 本開示の目的及び利点は、本明細書で論じられる実施形態に記載されるような要素及び組合せによって実現することができる。しかし、そのような例示的な目的又は利点を達成するために、必ずしも本開示の実施形態が必要であるというわけではなく、いくつかの実施形態は、記述される目的又は利点の何れも達成しない場合がある。
【0021】
[0036] 本開示の範囲を制限することなく、いくつかの実施形態は、電子ビーム(「eビーム」)を利用した検出システム及びシステムにおける検出方法の提供に関する文脈において説明することができる。しかし、本開示はそのように限定されない。他のタイプの荷電粒子ビームも同様に適用することができる。その上、検出システム及び方法は、光学撮像、光子検出、X線検出、イオン検出など、他の撮像システムにおいて使用することができる。それに加えて、「ビームレット」という用語は、ビームの構成部分又はオリジナルのビームから抽出された別個のビームの構成部分を指し得る。「ビーム」という用語は、ビーム又はビームレットを指し得る。
【0022】
[0037] 本明細書で使用される場合、別段の具体的な記述がない限り、「又は」という用語は、実行不可能な場合を除いて、考えられるすべての組合せを包含する。例えば、コンポーネントがA又はBを含むということが記述されている場合は、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A又はB、或いはA及びBを含み得る。第2の例として、コンポーネントがA、B又はCを含み得るということが記述されている場合は、別段の具体的な記述がない限り又は実行不可能でない限り、コンポーネントは、A、又はB、又はC、又はA及びB、又はA及びC、又はB及びC、又はA、B及びCを含み得る。
【0023】
[0038] ここで
図1を参照すると、
図1は、本開示の実施形態と一致する、ウェーハ検査のために使用することができる例示的な電子ビーム検査(EBI)システム10を示している。
図1に示されるように、EBIシステム10は、メインチャンバ11、装填/ロックチャンバ20、電子ビームツール100(例えば、走査電子顕微鏡(SEM))及び機器フロントエンドモジュール(EFEM)30を含む。電子ビームツール100は、メインチャンバ11内に位置し、撮像のために使用することができる。EFEM 30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM 30は、追加の装填ポートを含み得る。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、検査予定のウェーハ(例えば、半導体ウェーハ若しくは他の材料で作られたウェーハ)又はサンプルを含むウェーハ前面開口式一体型ポッド(FOUP)を受け取る(ウェーハとサンプルは、本明細書では、「ウェーハ」とまとめて呼ぶことができる)。
【0024】
[0039] EFEM 30の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填/ロックチャンバ20にウェーハを移送することができる。装填/ロックチャンバ20は、装填/ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、装填/ロック真空ポンプシステムは、大気圧を下回る第1の圧力に達するように装填/ロックチャンバ20内の気体分子を取り除く。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填/ロックチャンバ20からメインチャンバ11にウェーハを移送することができる。メインチャンバ11は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続され、メインチャンバ真空ポンプシステムは、第1の圧力を下回る第2の圧力に達するようにメインチャンバ11内の気体分子を取り除く。第2の圧力に達した後、ウェーハに対して、電子ビームツール100による検査が行われる。電子ビームツール100は、シングルビームシステム又はマルチビームシステムであり得る。コントローラ109は、電子ビームツール100に電子的に接続され、同様に、他のコンポーネントにも電子的に接続することができる。コントローラ109は、EBIシステム10の様々な制御を実行するように構成されたコンピュータであり得る。
図1では、コントローラ109は、メインチャンバ11、装填/ロックチャンバ20及びEFEM 30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ109は、構造の一部でもあり得ることが理解されている。
【0025】
[0040] EBIシステム10によって形成されるか又はEBIシステム10に含めることができるものなどの荷電粒子ビーム顕微鏡は、例えば、ナノメートルスケールまで、分解能を下げることが可能であり得、ウェーハ上のICコンポーネントを検査するための実用的ツールとして機能し得る。eビームシステムを用いると、一次電子ビームの電子は、検査中のウェーハ上のプローブスポットで集束させることができる。一次電子とウェーハとの相互作用により、二次粒子ビームが形成され得る。二次粒子ビームは、一次電子とウェーハとの相互作用から生じる後方散乱電子、二次電子又はオージェ電子などを含み得る。二次粒子ビームの特性(例えば、強度)は、ウェーハの内部若しくは外部の構造又は材料のプロパティに基づいて変化し得、それにより、ウェーハが欠陥を含むかどうかを示すことができる。
【0026】
[0041] 二次粒子ビームの強度は、検出器を使用して決定することができる。二次粒子ビームは、検出器の表面にビームスポットを形成することができる。検出器は、検出された二次粒子ビームの強度を表す電気信号(例えば、電流、電荷、電圧など)を生成することができる。電気信号は、検出された電子の分布を得るためのさらなるコンポーネント(例えば、アナログ/デジタル変換器)を含み得る測定回路で測定することができる。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、ウェーハ表面に入射した一次電子ビームの対応する走査経路データと組み合わせて、検査中のウェーハ構造又は材料の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、ウェーハの内部若しくは外部の構造又は材料の様々な特徴を明らかにするために使用することができ、ウェーハに存在し得る欠陥を明らかにするために使用することができる。
【0027】
[0042]
図2Aは、本開示の実施形態と一致する、電子ビームツール100の例であり得る荷電粒子ビーム装置を示す。
図2Aは、ウェーハ上の複数の場所を同時に走査するために一次電子ビームから形成される複数のビームレットを使用する装置を示す。
【0028】
[0043]
図2Aに示されるように、電子ビームツール100Aは、電子源202、ガンアパーチャ204、集光レンズ206、電子源202から放出された一次電子ビーム210、供給源変換ユニット212、一次電子ビーム210の複数のビームレット214、216、218、一次投影光学系220、ウェーハステージ(
図2Aには図示せず)、複数の二次電子ビーム236、238、240、二次光学系242及び電子検出デバイス244を含み得る。電子源202は、一次電子ビーム210の電子などの一次粒子を生成することができる。コントローラ、画像処理システム及び同様のものは、電子検出デバイス244に結合することができる。一次投影光学系220は、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226及び対物レンズ228を含み得る。電子検出デバイス244は、検出サブ領域246、248、250を含み得る。
【0029】
[0044] 電子源202、ガンアパーチャ204、集光レンズ206、供給源変換ユニット212、ビームセパレータ222、偏向走査ユニット226及び対物レンズ228は、装置100Aの主光軸260と位置合わせすることができる。二次光学系242及び電子検出デバイス244は、装置100Aの副光軸252と位置合わせすることができる。
【0030】
[0045] 電子源202は、カソード、抽出器又はアノードを含み得、一次電子は、カソードから放出し、次いで、抽出するか又は加速させ、クロスオーバー(虚像又は実像)208を伴う一次電子ビーム210を形成することができる。一次電子ビーム210は、クロスオーバー208から放出されているように視覚化され得る。ガンアパーチャ204は、プローブスポット270、272、274のサイズを低減するために、一次電子ビーム210の周辺の電子をブロックすることができる。
【0031】
[0046] 供給源変換ユニット212は、像形成要素アレイ(
図2Aには図示せず)及びビーム制限アパーチャアレイ(
図2Aには図示せず)を含み得る。供給源変換ユニット212の例は、そのすべてにおいてその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第9691586号、米国特許出願公開第2017/0025243号及び国際特許出願第PCT/EP2017/084429号において見つけることができる。像形成要素アレイは、マイクロ偏向器又はマイクロレンズアレイを含み得る。像形成要素アレイは、一次電子ビーム210の複数のビームレット214、216、218を用いてクロスオーバー208の複数の平行像(虚像又は実像)を形成することができる。ビーム制限アパーチャアレイは、複数のビームレット214、216、218を制限することができる。
【0032】
[0047] 集光レンズ206は、一次電子ビーム210を集束させることができる。供給源変換ユニット212の下流のビームレット214、216、218の電流は、集光レンズ206の集束力を調整することによって又はビーム制限アパーチャアレイ内の対応するビーム制限アパーチャの半径サイズを変更することによって、変化させることができる。集光レンズ206は、その第1の原理平面の位置を動かせるように構成することができる調整可能な集光レンズであり得る。調整可能な集光レンズは、磁性を持たせるように構成することができ、それにより、オフアクシスビームレット216及び218は、ある回転角度でビームレット制限アパーチャに着地する。回転角度は、調整可能な集光レンズの集束力及び第1の主平面の位置と共に変化する。いくつかの実施形態では、調整可能な集光レンズは、可動の第1の主平面を有する回転防止レンズを含む調整可能な回転防止集光レンズであり得る。調整可能な集光レンズの例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2017/0025241号においてさらに説明されている。
【0033】
[0048] 対物レンズ228は、検査のためにウェーハ230にビームレット214、216、218を集束させることができ、ウェーハ230の表面上に複数のプローブスポット270、272、274を形成することができる。二次電子ビームレット236、238、240は、ウェーハ230から放出され、ビームセパレータ222の方に戻るように形成することができる。
【0034】
[0049] ビームセパレータ222は、静電双極子場及び磁気双極子場を生成するウィーンフィルタタイプのビームセパレータであり得る。いくつかの実施形態では、それらの場が印加された場合、静電双極子場によってビームレット214、216、218の電子にかかる力は、磁気双極子場によって電子にかかる力に対して、大きさは等しく、方向は反対方向であり得る。従って、ビームレット214、216、218は、ビームセパレータ222をゼロ偏向角度で真っすぐに通過することができる。しかし、ビームセパレータ222によって生成されるビームレット214、216、218の全分散は、ゼロ以外でもあり得る。ビームセパレータ222は、ビームレット214、216、218から二次電子ビーム236、238、240を分離し、二次電子ビーム236、238、240を二次光学系242に向けて誘導することができる。
【0035】
[0050] 偏向走査ユニット226は、ウェーハ230の表面エリアにわたってプローブスポット270、272、274を走査するために、ビームレット214、216、218を偏向することができる。ビームレット214、216、218がプローブスポット270、272、274に入射することに応答して、二次電子ビーム236、238、240をウェーハ230から放出することができる。二次電子ビーム236、238、240は、二次電子及び後方散乱電子を含む、エネルギーが分布した電子を含み得る。二次光学系242は、二次電子ビーム236、238、240を電子検出デバイス244の検出サブ領域246、248、250に集束させることができる。検出サブ領域246、248、250は、対応する二次電子ビーム236、238、240を検出し、ウェーハ230の表面の画像を再構築するために使用される対応する信号を生成するように構成することができる。検出サブ領域246、248、250は、別個の検出器パッケージ、別個の検知要素又はアレイ検出器の別個の領域を含み得る。いくつかの実施形態では、各検出サブ領域は、単一の検知要素を含み得る。
【0036】
[0051] ここでは、
図2Bを参照して、荷電粒子ビーム装置の別の例について論じる。電子ビームツール100B(本明細書では、装置100Bとも呼ばれる)は、電子ビームツール100の例であり得、
図2Aに示される電子ビームツール100Aと同様のものであり得る。しかし、装置100Aとは異なり、装置100Bは、一度に1つずつウェーハ上の場所を走査するために1つの一次電子ビームのみを使用するシングルビームツールであり得る。
【0037】
[0052]
図2Bに示されるように、装置100Bは、検査予定のウェーハ150を保持するために電動ステージ134によって支持されるウェーハホルダ136を含む。電子ビームツール100Bは、電子エミッタを含み、電子エミッタは、カソード103、アノード121及びガンアパーチャ122を含み得る。電子ビームツール100Bは、ビーム制限アパーチャ125、集光レンズ126、コラムアパーチャ135、対物レンズアセンブリ132及び検出器144をさらに含む。対物レンズアセンブリ132は、いくつかの実施形態では、改造SORILレンズであり得、ポールピース132a、制御電極132b、偏向器132c及び励磁コイル132dを含む。検出又は撮像プロセスでは、カソード103の先端から発した電子ビーム161は、アノード121の電圧によって加速させ、ガンアパーチャ122、ビーム制限アパーチャ125、集光レンズ126を通過させ、改造SORILレンズによってプローブスポット170に集束させ、ウェーハ150の表面に衝突させることができる。プローブスポット170は、偏向器132c又はSORILレンズの他の偏向器などの偏向器によって、ウェーハ150の表面にわたって走査することができる。二次又は散乱粒子(ウェーハ表面から発した二次電子又は散乱一次電子など)は、検出器144によって収集し、ビームの強度を決定し、その結果、ウェーハ150上の対象エリアの画像を再構築することができる。
【0038】
[0053] また、画像取得器120、ストレージ130及びコントローラ109を含む画像処理システム199を提供することもできる。画像取得器120は、1つ又は複数のプロセッサを含み得る。例えば、画像取得器120は、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイス及び同様のもの、又は、それらの組合せを含み得る。画像取得器120は、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機又はそれらの組合せなどの媒体を通じて、電子ビームツール100Bの検出器144と接続することができる。画像取得器120は、検出器144から信号を受信し、画像を構築することができる。従って、画像取得器120は、ウェーハ150の画像を取得することができる。また、画像取得器120は、画像平均化、輪郭の生成、取得画像へのインジケータの重畳及び同様のものなどの様々な後処理機能を実行することもできる。画像取得器120は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を実行するように構成することができる。ストレージ130は、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、クラウドストレージ、他のタイプのコンピュータ可読メモリ及び同様のものなどの記憶媒体であり得る。ストレージ130は、画像取得器120と結合し、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存したり、後処理された画像を保存したりするために使用することができる。画像取得器120及びストレージ130は、コントローラ109に接続することができる。いくつかの実施形態では、画像取得器120、ストレージ130及びコントローラ109は、1つの電子制御ユニットとしてまとめて統合することができる。
【0039】
[0054] いくつかの実施形態では、画像取得器120は、検出器144から受信された撮像信号に基づいてサンプルの1つ又は複数の画像を取得することができる。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するための走査動作に相当し得る。取得画像は、ウェーハ150の様々な特徴を含み得る複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。単一の画像は、ストレージ130に格納することができる。撮像は、撮像フレームに基づいて実行することができる。
【0040】
[0055] 電子ビームツールの集光及び照明光学系は、電磁四重極電子レンズを含むか又は電磁四重極電子レンズによって補うことができる。例えば、
図2Bに示されるように、電子ビームツール100Bは、第1の四重極レンズ148及び第2の四重極レンズ158を含み得る。いくつかの実施形態では、四重極レンズは、電子ビームを制御するために使用することができる。例えば、第1の四重極レンズ148は、ビーム電流を調整するように制御することができ、第2の四重極レンズ158は、ビームスポットサイズ及びビーム形状を調整するように制御することができる。
【0041】
[0056]
図2Bは、ウェーハ150と相互作用することによって二次電子を発生させるように構成された単一の一次ビームを使用することができる荷電粒子ビーム装置を示す。
図2Bに示される実施形態のように、検出器144は、光軸105に沿って配置することができる。一次電子ビームは、光軸105に沿って移動するように構成することができる。それに従って、検出器144は、一次電子ビームが通過してウェーハ150に達することができるように、その中心に穴を含み得る。
図2Bは、その中心に開口部を有する検出器144の例を示す。しかし、いくつかの実施形態は、一次電子ビームが移動する光軸に対して軸外に配置された検出器を使用することができる。例えば、上記で論じられる
図2Aに示される実施形態のように、軸外に配置された検出器に向けて二次電子ビームを誘導するために、ビームセパレータ222を提供することができる。ビームセパレータ222は、
図2Aに示されるように、電子検出デバイス244に向けて角度αだけ二次電子ビームを方向転換するように構成することができる。
【0042】
[0057] 荷電粒子ビームシステムの検出器は、1つ又は複数の検知要素を含み得る。検出器は、単一要素検出器又は複数の検知要素を有するアレイを含み得る。検知要素は、荷電粒子を計数するように構成することができる。荷電粒子計数に役立ち得る検出器の検知要素については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2019/0378682号において論じられている。
【0043】
[0058] 検知要素は、ダイオード又は入射エネルギーを測定可能な信号に変換することができるダイオードと同様の要素を含み得る。例えば、検出器の検知要素は、PINダイオードを含み得る。この開示全体を通じて、検知要素は、図では、例えば、ダイオードとして表すことができるが、検知要素又は他のコンポーネントは、ダイオード、抵抗器、コンデンサなどの電気素子の理想的な回路挙動から外れるものであってもよい。
【0044】
[0059]
図3A~3Cは、本開示の実施形態と一致する、検出器の例示的な構造を示す。検出器は、セグメント化された検出器であり得る。
図3A~3Cに示されるような検出器300A、検出器300B又は検出器300Cなどの検出器は、
図2Aに示されるような荷電粒子検出デバイス244又は
図2Bに示されるような検出器144として提供することができる。
図3Aでは、検出器300Aは、センサ層301及び信号処理層302を含む。センサ層301は、複数の検知要素(検知要素311、312、313、314を含む)で構成されるセンサダイを含み得る。いくつかの実施形態では、複数の検知要素は、検知要素のアレイで提供することができ、その各々は、均一のサイズ、形状及び配列を有し得る。
【0045】
[0060] 信号処理層302は、複数の信号処理回路(回路321、322、323、324を含む)を含み得る。回路は、検知要素を通信可能に結合するように構成された相互接続部(例えば、配線経路)を含み得る。センサ層301の各検知要素は、信号処理層302の対応する信号処理回路を有し得る。検知要素及びそれらの対応する回路は、独立して動作するように構成することができる。
図3Aに示されるように、回路321、322、323、324はそれぞれ、センサ層301と信号処理層302との間の4本の破線によって示されるように、検知要素311、312、313、314の出力に通信可能に結合するように構成することができる。
【0046】
[0061] いくつかの実施形態では、信号処理層302は、その上に複数の回路が提供される単一のダイとして構成することができる。センサ層301と信号処理層302は、直接接触させることができる。例えば、検出器300Bを示す
図3Bに示されるように、信号処理層302は、センサ層301に直接当接する。
【0047】
[0062] いくつかの実施形態では、異なる層のコンポーネント及び機能性は、組み合わせることも、省略することもできる。例えば、信号処理層302は、センサ層301と組み合わせることができる。その上、荷電粒子計数のための回路は、検出器の様々なポイントで(例えば、検出器の別個の読み出し層において又は別個のチップ上で)統合することができる。
【0048】
[0063]
図3Cに示されるように、検出器300Cを提供することができる。検出器300Cは、センサ層301を含み得る。検出器300Cは、背面照射を行うように構成することができ、センサ層301は、提供される唯一の層であり得る。センサ層301の第1の面は、荷電粒子を受け取るように構成することができ、回路は、第1の面の反対側の第2の面に提供することができる。回路は、各検知要素に対して別々に提供される電子計数回路を含み得る。
【0049】
[0064] ここで
図4を参照すると、
図4は、本開示の実施形態と一致する、荷電粒子計数に役立ち得る回路400を示している。回路400は、
図2Aの電子検出デバイス244又は
図2Bの検出器144など、検出器の検知要素レベルで提供することができる。回路400は、複数の回路のうちの1つであり得、その各々は、アレイ検出器の対応する検知要素に対して提供される。いくつかの実施形態では、検出器は、1つの検知要素しか含まず、1つの回路400しか提供されない。いくつかの実施形態では、回路400は、検出器の検知要素が形成される層で提供することも(例えば、検知要素と統合される)、別の層で提供することもできる。例えば、回路400は、
図3のセンサ層301で提供することも、別の層で提供することもできる。
【0050】
[0065] 回路400は、検知要素311から生成された信号を処理するように構成することができる。検知要素311は、荷電粒子事象への応答を生成するように構成することができる。荷電粒子事象は、電子到着事象を含み得る。例えば、検知要素311への入射電子の到着に応答して、検知要素311は、入射電子のエネルギーによるものである電荷又は電流を生成するように構成することができる。電荷又は電流は、検知要素内で生成し、検知要素に接続された回路に供給することができる。いくつかの実施形態では、回路は、検知要素と統合することができる。
【0051】
[0066]
図4に示されるように、回路400は、入力段410、閾値検出器420、ストレージセルマルチプレクサ430、ストレージセルアレイ440、変換器450及び制御ユニット490を含む。アレイ440は、複数のストレージセルを含み得、第1のストレージセル441、第2のストレージセル442などと続いて、例えば、N番目のストレージセル449まで含む。ストレージセル441~449は、電荷ストレージセルを含み得る。
【0052】
[0067] 入力段410は、すべて又は実質的にすべての電荷が検知要素311で生成された後に検知要素311から素早く抽出されるように、低い入力インピーダンスを有するように構成することができる。検知要素311は、入射荷電粒子の捕捉領域の働きをし得る検知要素311の空乏領域が形成されるように、バイアスを印加して動作するように構成することができる。入射荷電粒子は、検知要素311の材料と相互作用し得、衝撃イオン化を通じて電荷を生成することができる。入力段410は、すべての電荷が検知要素311で生成されるとすぐに検知要素311から引き出され、回路400の他のコンポーネントに供給されるように構成することができる。
【0053】
[0068] 入力段410は、利得を与えるように構成されたコンポーネントを含み得る。例えば、入力段410は、増幅器を含み得る。増幅器は、検知要素311からの電流信号を増幅できるように、電流利得を与えるように構成することができる。その上、入力段410は、変換機能を有するように構成することができる。入力段410は、ある形式から別の形式に電気信号を変換するように構成されたコンポーネントを含み得る。例えば、入力段410は、検知要素311からの電流信号を別の形式の電子信号(例えば、電圧)に変換するように構成されたコンポーネントを含み得る。
【0054】
[0069] 回路400は、閾値検出器420を含み得る。閾値検出器420は、入力段410に取り付けることができる。閾値検出器420は、検知要素311からの入射電流の信号レベル又は変換済みの信号の信号レベルを検出するように構成することができる。変換済みの信号は、検知要素311からの入射電流に比例するレベルを有する信号を含み得る。
【0055】
[0070] 閾値検出器420は、荷電粒子事象が起こったと決定するように構成することができる。閾値検出器420からの決定は、回路400の他の動作を制御するために使用することができる。閾値検出器420は、荷電粒子事象の開始又は終了を検出するように構成することができる。荷電粒子事象の開始又は終了は、検知要素311からの情報の記録をトリガし得る。例えば、積分機能は、荷電粒子事象が起こったと決定することに応答して実行することができる。積分は、経時的な電荷又は電流の蓄積値(例えば、曲線下の面積)を得るプロセスを指し得る。
【0056】
[0071] 閾値検出器420は、1つ又は複数の閾値を用いて動作するように構成することができる。例えば、閾値検出器420は、閾値検出器420において定義及び設定することができる2つの値を使用するように構成することができる。2つの値は、a1とa2を含み得、a1とa2は、互いに同じものでも、異なるものでもよい。a1とa2の値は、検出器の全体的な雑音レベルより高くなるように設定することができる。雑音レベルは、検知要素311からのノイズフロア、その増幅値又はその変換値であり得る。a1とa2との関係は、例えば、a1≧a2であり得る。閾値は、雑音に起因する電子到着事象の開始点又は終了点の誤検出を回避できるように設定することができる。
【0057】
[0072] 回路400は、入力段410に続いて、ストレージセルマルチプレクサ430を含み得る。いくつかの実施形態では、入力段410は、例えば、非常に低い入力インピーダンスを有する積分機能用の回路が提供される際は、オプションであり得る。以下では、「入力段410の出力」という記載は、入力段410の出力又は検知要素311の直後に続く積分回路の出力を指し得る。入力段410の出力は、例えば、増幅されているか否か又は変換されているか否かにかかわらず、検知要素311からの出力信号を表し得る。
【0058】
[0073] マルチプレクサ430(又は「mux」)は、入力段410の出力をストレージセルアレイ440に接続するように構成することができる。マルチプレクサ430は、スイッチング素子を含み得る。マルチプレクサ430は、データセレクタを含み得、データセレクタは、いくつかの出力線から選択し、選択した出力線に入力信号を転送するように構成される。マルチプレクサ430は、一度に1本の出力線のみを入力に接続するように構成することができる。例えば、マルチプレクサ430は、入力段410の出力から一度に1つのストレージセル441、442、449にのみ、信号をルーティングするように構成することができる。その上、マルチプレクサ430は、回路400の動作の間の特定の時間に、入力段410の出力がアレイ440のどのストレージセルにも接続されないように構成することができる。同様に、マルチプレクサ430は、入力段410の出力がストレージセルアレイ440以外の他のコンポーネントに接続されるように構成することができる。マルチプレクサ430は、制御ユニット490によって制御することができる。
【0059】
[0074] アレイ440は、1つ又は複数のストレージセルを含み得る。個々のストレージセルの出力は、変換器450に接続することができる。ストレージセルアレイ440に入力される信号は、別の形式に変換することができる(例えば、積分を通じて)。例として、ストレージセルアレイ440への電流又は電荷入力は、蓄積して電圧信号を形成し得る。変換器450は、ストレージセルアレイ440をサンプリングするように構成することができる。変換器450は、ストレージセルアレイ440からのアナログ信号を処理するように構成することができる。変換器450は、アナログ信号を表すデータに対するデジタル信号を生成することができる。
【0060】
[0075] 変換器450は、例えば、電圧検出器又はアナログ/デジタル変換器(ADC)を含み得る。変換器450は、変換器450に直接接続された複数の入力を有するコンパレータを含み得る。いくつかの実施形態では、変換器450は、マルチプレクサを通じて複数の入力に接続された単一のコンパレータを含み得る。
【0061】
[0076] 回路400は、ストレージセルアレイ440に対して問合せ(例えば、問合せ機能)を実行するように構成することができる。問合せは、コンポーネントから情報を得ること(例えば、信号を送信すること)を指し得る。いくつかの実施形態では、回路400は、ストレージセルマルチプレクサ430によって選択されなかったストレージセルのみを検出する(例えば、問合せする)ように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態では、問合せは、積分を妨げないように、積分とは別々に、ストレージセルに対して実行することができる。しかし、いくつかの実施形態では、問合せは、同じストレージセルを使用して積分と同時に起こり得る。
【0062】
[0077] 変換器450は、1つ又は複数の電圧コンパレータを含み得る。電圧コンパレータは、ストレージセルアレイ440からの電圧を参照電圧と比較するために使用することができる。電圧コンパレータの数と参照電圧の数は、同じものでも、異なるものでもよい。いくつかの実施形態では、電圧バッファを提供することができる。例えば、電圧バッファは、ストレージセルアレイ440の電圧に対する電圧コンパレータの入力インピーダンスの負荷効果を低減するために、複数の電圧コンパレータの前に提供することができる。また、変換器450は、1つ又はグループのADCも含み得、その各々は、事前に定義されたビット解像度を有する。
【0063】
[0078] 制御ユニット490は、双方向データフロー用に構成することができる。制御ユニット490は、様々な機能用に構成することができる。例えば、制御ユニット490は、(i)検知要素へのデータ(例えば、タイミング情報を含む)を制御することと、(ii)検知要素からの計数結果を決定することと、(iii)オーバーフロータイプデータを有する検知要素オーバーフローフラグを決定することとを行うように構成することができる。
【0064】
[0079] 回路400は、検出器に入射した荷電粒子を計数するように構成することができる。検知要素311からの入射電流信号のレベルが閾値をクロスした場合は、回路400は、計数動作を開始するように構成することができる。例えば、a1を超えたと閾値検出器420が決定した場合は、積分を実行することができる。制御ユニット490は、入力段410の出力を第1のストレージセル441に接続するようにストレージセルマルチプレクサ430を制御することができる。第1のストレージセル441のコンデンサは、検知要素311からの電流又は電荷の蓄積に伴って充電することができる。同時に、ストレージセルマルチプレクサ430によって選択されなかった他の1つ又は複数のストレージセル(例えば、第2のストレージセル442からN番目のストレージセル449まで)の電圧は、変換器450によって検出することができる。
【0065】
[0080] 変換器450は、例えば、以下のような異なる目的のために使用することができる異なる参照値を有するように構成することができる。参照値は、入射電子の到着を確認するために使用することができる。参照値は、入射電子のタイプを識別するため(例えば、入射電子が二次電子であるか又は後方散乱電子であるかを決定するため)に使用することができる。参照値は、電子到着事象の間に複数の電子が到着したかどうかを判断するために使用することができる。参照値は、電子到着事象が原因で検知要素又はストレージセルがオーバーフロー状態であるかどうかを判断するために使用することができる。また、参照値は、入射電子のエネルギー範囲又は入射電子の正確なエネルギーレベルを決定するために使用することもできる。
【0066】
[0081] 参照値の使用例として、事前に定義された参照電圧又は事前に定義された値(例えば、ADCが使用される事例で)が1つしか設定されない場合は、1つの参照値を使用して、問合せ中のストレージセルに結果が格納されている電子到着事象が起こった際に、入射電子が二次電子であるか又は後方散乱電子であるかを識別することができる。或いは、その参照値を使用して、電子到着事象が起こったことを確認することができる(例えば、閾値a1を超えた(従って、電子到着事象の開始を意味する)後でさえ、変換器450の参照値を使用して、検知要素311からの信号がサンプルからの二次又は後方散乱電子の検出に対応すること延いては電子を計数すべきであることを確認することができる)。
【0067】
[0082] 複数の参照値が使用される際は、多様なシナリオが可能であり得る。参照値は、特定の用途又は目的に従って設定することができる。例えば、2つの事前に定義された参照電圧又は事前に定義された値(例えば、ADCが使用される事例で)が設定される場合は、以下のシナリオをセットアップすることができる。第1のシナリオでは、参照電圧又は値のうちの1つは、電子到着事象の間の電子の到着を確認するために使用することができる。他の参照電圧又は値は、1つの電子が電子到着事象の間に検知要素に達したか又は複数の電子が電子到着事象の間に検知要素に達したかを判断するために使用することができる。
【0068】
[0083] 第2のシナリオでは、参照電圧又は値のうちの1つは、電子到着事象の間の入射電子のタイプを識別するために使用することができる。他の参照電圧又は値は、1つの電子が電子到着事象の間に検知要素に達したか又は複数の電子が電子到着事象の間に検知要素に達したかを判断するために使用することができる。
【0069】
[0084] 第3のシナリオでは、参照電圧又は値のうちの1つは、1つの電子が電子到着事象の間に検知要素に達したか又は複数の電子が電子到着事象の間に検知要素に達したかを判断するために使用することができる。他の参照電圧又は値は、ストレージセルがオーバーフロー状態であるかどうかを判断するために使用することができる。オーバーフロー状態は、2つを超える電子が電子到着事象の間に検知要素に達したという状況に相当し得る。
【0070】
[0085] 上記で論じられるものなどの異なるタスクを組み合わせることによって、より多くのシナリオをセットアップできることが理解されよう。特定の用途に対する要件に基づいて、さらなる事前に定義された電圧又は値を使用することができる。その上、情報問合せの後、ストレージセルをリセットすることができ、ストレージセルに格納された情報は、ストレージセルから取り除くことができる(例えば、ストレージセルのコンデンサの両端間の電圧は、事前に定義された値(ゼロなど)にリセットすることができる)。
【0071】
[0086] 電子到着事象と関連付けられる時間が存在し得る。例えば、上記で論じられるような、「電子到着事象の間」という表現は、検知要素311からの信号がa1をクロスした(例えば、超えた)と閾値検出器420が決定した時刻や、信号がa2をクロスした(例えば、下回った)時刻に基づく時間を指し得る。いくつかの実施形態では、既定の時間は、a1を超えてから既定の時間が終わるまでの持続時間が最大になるように電子到着事象が続くように、設定することができる。既定の時間が経過した後、終了点が検出されない(例えば、信号が同じ又は別の閾値をクロスする)場合は、所定の電子到着事象の計数を強制的に終了することができる。電子到着事象の間に電子の検出が確認されない場合は、制御ユニット490によって、検出エラー信号を生成して記録することができる。
【0072】
[0087] 制御ユニット490は、さらなるタスク用に構成することができる。例えば、閾値をクロスしていると閾値検出器420が決定した際は、様々な機能を実行することができる。閾値検出器420が電子到着事象の開始を検出した際は、制御ユニット490は、開始点のタイムスタンプを記録することができる。いくつかの実施形態では、開始点が検出された場合にのみ、制御ユニット490は、後続の終了点が検出されるかどうかをモニタすることができる。例えば、閾値検出器420は、第1の閾値a1をクロスしない限り又はクロスするまで、第2の閾値a2を使用しない場合がある。その上、終了点においてもタイムスタンプを記録することができる。開始点と関連付けられた閾値は、終了点と関連付けられた閾値より高い可能性がある。事象時間は、開始及び終了点に基づいて決定することができる。
【0073】
[0088] 第1の荷電粒子事象は、検知要素311からの信号がa1を超えたと閾値検出器420が決定した際に検出することができる。第1の荷電粒子事象の積分は、第1のストレージセル441を使用して実行することができる。第1の荷電粒子事象の後、第2の荷電粒子事象の積分は、異なるストレージセル(例えば、第2のストレージセル442)を使用して実行することができる。第1の荷電粒子事象の「後」という用語は、検知要素311からの信号がa2を下回って降下した事例を指し得る。いくつかの実施形態では、第1の荷電粒子事象の「後」は、検知要素311からの信号がa1を超えたと閾値検出器420が決定してから既定の時間が経過した事例を指し得る。
【0074】
[0089] 積分と情報問合せは、同時に起こり得る。例えば、セルごとに又はストレージセルマルチプレクサ430によって選択されなかった複数のセルと並行して、情報問合せを実行している間、回路400は、ストレージセルマルチプレクサ430によって選択されたセルにおいて積分を進めることができる。積分により、入力段410の出力からの信号は、アレイ440の選択されたストレージセルに送信することができる。積分は、検知要素311からの信号が閾値a2を下回ったと閾値検出器420が決定する(又は別の方法で終了点が決定される)まで、進めることができる。信号レベルがa2を下回ることに応答して、ストレージセルマルチプレクサ430は、入力段410(又は積分回路の出力)と現在選択されているストレージセルとの間の接続を切ることができる。その直後、回路400は、入力段410の出力を別のストレージセルに接続することができる。次に接続されるストレージセルは、既にリセットされたストレージセルであり得る。次いで、新しく選択されたストレージセルを使用して、再び積分を進めることができる。いくつかの実施形態では、積分は、例えば、再びa1を超えたと閾値検出器420が決定しない限り、先行するストレージセルとの接続を切った直後に開始されるものではない。
【0075】
[0090] 検出器が動作している際は、積分及び問合せは進行中であり得る。ストレージセルに格納された積分結果に対しては問合せを行うことができ、計数結果は、制御ユニット490に送信することができる。そのような動作は、検知要素レベルで起こり得る。従って、検出器のすべての検知要素に対し、別個の積分及び問合せプロセスを実行することができる。データは、処理して、検出器の上位レベルの制御ユニットに送信することができる。例えば、
図1又は
図2Bのコントローラ109は、下位レベルの制御ユニット(例えば、検出器の検知要素レベルの制御ユニット490)からのデータに基づいて電子計数を決定するように構成された上位レベルの制御ユニットであり得る。
【0076】
[0091] 制御ユニット490は、検知要素又はストレージセルのオーバーフロー状態を決定する(例えば、オーバーフローフラグを設定する)ように構成することができる。オーバーフローに関しては、いくつかの異なるタイプが存在し得る。オーバーフローについては、米国特許出願公開第2019/0378682号において論じられている。
【0077】
[0092] 例えば、オーバーフローは、第1のタイプのオーバーフローを含み得る。第1のタイプのオーバーフローは、1つの荷電粒子事象に関連する信号のレベルが既定の値を超えることに関与し得る。既定の値は、検知要素と関連付けられた回路の限度に基づいて決定された値であり得る。例えば、既定の値は、回路の処理限度のパーセンテージであり得る。第1のタイプのオーバーフローは、1つの荷電粒子事象の間に複数の荷電粒子が到着する事例に相当し得る。例えば、複数の荷電粒子は、短い間隔で連続して検知要素に到着し得る。回路は、1つの荷電粒子到着事象の間に複数の荷電粒子と関連付けられた出力を離散的に処理することはできない場合がある。それに従って、例えば、第1のタイプのオーバーフローを示すオーバーフローフラグを設定することによって、回路は、オーバーフロー事象を記録することができる。
【0078】
[0093] 第1のタイプのオーバーフローは、検知要素に接続された回路のコンポーネントがオーバーフロー状態である際に遭遇し得る。いくつかの実施形態では、第1のタイプのオーバーフローは、特定のエネルギー範囲の荷電粒子を計数するために検知要素に接続された回路のコンポーネントがオーバーフロー状態である際に遭遇し得る。例えば、第1のタイプのオーバーフローフラグは、ストレージセルによって記録された電子到着事象が一定数を超える入射電子に関与することを問合せ結果が示す際に設定することができる。一定数は、例えば、1つ又は2つであり得る。一定数が1つであるか又は2つであるかは、特定の用途の要件及び対応する参照電圧(又は値)設定シナリオに依存し得る。その上、第1のタイプのオーバーフローの発生の頻度は、回路のダイナミックレンジを増加する場合は低減することができる(例えば、入力段、ストレージマルチプレクサ、ストレージセル及び変換器は、より高い信号スイングの下で動作することができる)。それに加えて、第1のタイプのオーバーフローは、ストレージセルの静電容量を増加するか又は入力段の信号スイングを低減することによって低減することができる。いくつかの実施形態では、これは、エネルギー分解能の損失という犠牲の下で成り立つ。
【0079】
[0094] オーバーフローは、第2のタイプのオーバーフローも含み得る。第2のタイプのオーバーフローは、1つの荷電粒子事象の信号検出及び処理の間に別の荷電粒子事象が起こる状況に関与し得る。第2のタイプのオーバーフローは、1つの荷電粒子が検知要素に到着し、検知要素及びその関連回路が後続の荷電粒子到着事象に対する正しい応答を提供できない状態で後続の荷電粒子が到着する際に遭遇し得る。これは、後続の荷電粒子が到着する際に、回路(例えば、回路400)による第1の荷電粒子到着事象の処理が進行中であることに起因し得る。
【0080】
[0095] 第2のタイプのオーバーフローは、フラグによって示すことができる。第2のタイプのオーバーフローフラグは、ストレージセルマルチプレクサ430が選択できるストレージセルがない際に設定することができる。いくつかの実施形態では、第2のタイプのオーバーフローは、十分に多くの数のストレージセルが提供される場合は回避することができる。これは、変換器450において使用される多様な参照電圧又は値と、変換器450のコンポーネントの動作スピードとに基づき得る。第2のタイプのオーバーフロー率は、検知要素311、入力段410、閾値検出器420、ストレージセルマルチプレクサ430及び変換器450のスピードのさらなる向上によって低減することができる。
【0081】
[0096] オーバーフロー表示の使用は、荷電粒子事象のミスカウント又は間違った検出の低減又は回避に役立ち得る。いくつかの実施形態は、オーバーフローとマーク付けされた事象の詳細の一部を逃す(例えば、情報損失)という犠牲の下で、ミスカウント率を低減するように構成することができる。例えば、第2のタイプのオーバーフローと事象にマーク付けすることは、荷電粒子事象の間、第1の荷電粒子の後に到着する各荷電粒子の特定のエネルギーなど、詳細の一部を逃すことにつながり得るが、それでもなお、荷電粒子事象の間に単に1つではなく複数の荷電粒子が到着したことを示す有益な情報を提供することができる。オーバーフローフラグを使用しなければ、後続の荷電粒子事象のあらゆる情報が見落とされる恐れがある。
【0082】
[0097] 本開示のいくつかの実施形態は、検出回路においてアナログパイプラインを使用することができ、検出回路の総処理速度が荷電粒子到着事象に応答して検知要素が信号を生成する平均速度より速いことを保証するために、回路の信号処理部分において変換器を提供することができる。いくつかの実施形態は、第2のタイプのオーバーフローを低減するか又は回避することができる。さらなる改善をもたらすため、検出器又は荷電粒子ビーム装置は、第1のタイプのオーバーフローの発生を低減するように構成することができる。第1のタイプのオーバーフローの発生は、荷電粒子到着事象に応答して検知要素が信号を生成するスピード及び検出回路のアナログフロントエンドの帯域幅に基づき得る。プローブ電流が一定のレベルを超えて増加した場合は、検出回路は、情報損失を伴う事象の発生を示す第1のタイプのオーバーフローに遭遇し得る。この理由は、検出回路のフロントエンドが複数の荷電粒子到着事象を区別できないためであり得る。例えば、複数の荷電粒子は、短い間隔で連続して又は実質的に同時に検知要素に到着し得る。第1のタイプのオーバーフローを低減するため、検知要素のスピード及びフロントエンドの帯域幅を増加することができる。その代替として又はそれに加えて、検出器は、検出面に到着する荷電粒子の強度分布がより均一になり、大きなエリアにわたって均等に広がり、従って、より多くの検知要素をカバーするように構成することができる。
【0083】
[0098] 比較実施形態では、電子計数回路は、検知要素又は検出器の後に、トランスインピーダンス増幅器(TIA)を含み得るアナログフロントエンドから始まる信号経路を有し得る。次いで、アナログフロントエンドの後に、閾値検出器、窓検出器又はデータ変換器(例えば、ADC)が続く。そのような構成では、入射電子事象を表す信号のエネルギーは、検出器とTIAの組合せが検出器からの信号の周波数成分をすべて送信できるほど十分なアナログ帯域幅を有さない場合は、うまく収集できない場合がある。これにより、エネルギー検出又は入射電子の区別の確度が低減し得、また、SNRの劣化も生じ得る。
【0084】
[0099] 本開示のいくつかの実施形態では、セグメント化された検出器は、検知要素レベルの信号処理回路と組み合わせることができる。いくつかの実施形態は、以下を達成することができる。
1. セグメント化された検出器の各検知要素は、例えば、単一の大面積の検知要素と比べて、小さな面積を有し、比較的小さな寄生容量を有し得る。これにより、各検知要素に接続されたアナログ信号経路は、広帯域幅を達成することができる。アナログ信号経路のアナログ帯域幅は、アナログ信号経路を通じて電子到着事象の信号のすべて又は実質的にすべての周波数成分を送信できるほど十分に広くすることができる。
2. アナログ信号経路の下流では、信号は、インテグレータ(例えば、積分回路)に供給することができる。インテグレータからの結果は、入射電子のエネルギーに比例する振幅を有する電圧であり得る。そのような構成は、電子エネルギーの区別の確度を改善することができる。いくつかの比較設計は、入射電子のエネルギーレベルを決定するために、ピーク検出に基づく回路を使用することができる。比較方法は、低いエネルギー区別確度を有し得る。この理由は、信号のピークレベルが常に入射電子のエネルギーレベルに比例するとは限らないためであり得る。また、信号波形の形状も、信号のピークレベルに影響を及ぼし得る。信号を積分するためにインテグレータを使用することにより、信号波形変動の影響を低減するか又は取り除くことができる。
3. 検出信号の周波数成分損失は、低減するか又は排除することができ、電子計数プロセスの間の全体的なSNRを改善することができる。そのようなSNR改善は、電子計数確度及びエネルギー区別確度の改善に役立ち得る。
【0085】
[00100] それに加えて、いくつかの実施形態では、積分回路及び変換器(例えば、レベル検出回路若しくはADCを含む回路)に対してアナログパイプライン構成を提供することができ、電子ビーム検出の広いダイナミックレンジを達成することができる。検出信号は、検知要素からそれらの関連信号処理回路に連続的に送り出すことができる。信号処理回路の各段(例えば、電圧検出回路又はADCを含み得る変換器450)は、処理スピードの上限を有し得る。2つの電子到着事象の合間の時間が、変換器が信号処理を実行する時間より短い場合は、ミスカウントが起こり得る。積分回路においてアナログパイプラインを用いると、2つの電子到着事象の合間の時間が電子の確率的な挙動に起因して変化し得るため、ミスカウント率を低減することができる。検知要素レベルの回路の各々には、さらなるレベル検出回路又はADCを提供することができ、より多くのレベル検出回路又はADCを並行して動作させることができる。
【0086】
[00101] 比較電子計数システムは、通常、極端に低いプローブ電流を伴う適用事例用に設計することができる。そのような事例では、任意の2つの電子到着事象の合間の時間は長くなり得る。プローブ電流が増加される場合は、2つの電子到着事象の合間の時間は短くなる。比較設計は、短い間隔で連続して起こる別個の電子到着事象を認識できない可能性があり、そのような条件下では、高いミスカウント率が生じ得る。しかし、本開示のいくつかの実施形態は、1つの検知要素における2つの電子到着事象の合間の時間が短縮される(例えば、ゼロ近くになる)際でさえ、正確な荷電粒子計数を可能にすることができる。変換器(例えば、電圧検出器又はADC)のスピード及び信号経路のアナログ帯域幅の増加を試みる手法は、許容レベルを下回るミスカウント率での正確な荷電粒子計数を達成できない恐れがある。本開示のいくつかの実施形態では、高速のレベル検出回路は、広いアナログ帯域幅及び高速のアナログ信号処理パイプラインを有する信号経路と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、ミスカウント率は、比較実施形態と比べて大幅に低減することができる。
【0087】
[00102] ここで
図5Aを参照すると、
図5Aは、本開示の実施形態と一致する、電子計数に役立ち得る回路400Aの実装形態のダイアグラム表現を示している。
図4の回路400と同様に、回路400Aは、検知要素311、入力段410、閾値検出器420、ストレージセルマルチプレクサ430、第1のストレージセル441、第2のストレージセル442、変換器450及び制御ユニット490を含み得る。そのような要素の例として、電流利得βを有し得る電流制御電流源(CCCS)411、電流検出器421、スイッチK
11、コンデンサC
11、C
12、電圧バッファ451及び電圧コンパレータ453、455、457を提供することができる。検知要素311は、バイアス電圧v
biasで動作することができる。検知要素311は、電流信号をCCCS 411に出力するように構成することができる。CCCS 411は、検知要素311から受信された電荷又は電流を増幅し、増幅信号βi
sを出力するように構成することができる。CCCS 411は、複数の出力を有し得、例えば、1つは閾値検出器420に向かい、1つは入力段410の出力として使用される。CCCS 411の出力の各々は、同一の信号(例えば、増幅信号βi
s)を出力することができる。
【0088】
[00103] 回路400Aは、増幅信号βisに基づく決定を使用して動作を実行するように構成することができる。例えば、電子計数の開始及び終了の決定は、電流検出器421によって行うことができる。電流検出器421は、βisを閾値a1、a2と比較し、閾値を通過した際にそれを決定することができる。例えば、電流検出器421は、βisがa1を超えた際に電子到着事象が始まり、βisがa2を下回った際に電子到着事象が終わると決定することができる。電流検出器421は、βisがa1を超えた際に積分開始信号を決定し、βisがa2を下回った際に積分終了信号を決定することができる。
【0089】
[00104] ストレージセルマルチプレクサ430は、スイッチK11によって形成することができる。回路400Aは、アレイの2つのストレージセルを含み得る。マルチプレクサ430は、増幅信号βisを何れかのストレージセルに送信するように構成することができる。ストレージセルは、ストレージコンデンサと、ストレージコンデンサと並列接続された対応するリセットスイッチとによって形成することができる。例えば、第1のストレージセル441は、コンデンサC11及びスイッチK21によって形成することができる。第2のストレージセル442は、コンデンサC12及びスイッチK22によって形成することができる。さらなるストレージセルを追加することができ、スイッチK11は、2つを超える状態の間で切り替えることができることが理解されよう。その上、単一のストレージセルを提供することもできる。いくつかの実施形態では、単一のストレージセルには、入力段410の出力をストレージセルに接続する第1の状態と入力段410の出力を大地に接続する第2の状態との間で切り替えることができるスイッチK11を提供することができる。積分結果が処理されている間、スイッチK11は、第2の状態であり得る。第2の電子到着事象が起こった際に第1の電子到着事象の信号処理が進行中である場合は、回路は、第2の電子到着事象が第1の電子到着事象の信号処理を妨げないように構成することができる。そのような事例では、第2の電子到着事象が起こると、オーバーフロー(例えば、第2のタイプのオーバーフロー)が記録され得る。
【0090】
[00105] 変換器450は、1つの入力チャネルしか有さず、電圧バッファ451を含み得る。電圧バッファ451は、ストレージセルへの負荷を低減するために使用することができ、1つの変換器において複数の電圧コンパレータが同時に使用される事例において性能を向上させることができる。スイッチK31は、変換器450がストレージセルアレイのすべてのストレージセルにアクセスできるように提供することができる。スイッチK31を含み得るマルチプレクサは、ストレージセルアレイと変換器450との間に提供することができる。変換器450は、電圧バッファ451及び複数の電圧コンパレータ453、455、457を使用する電圧検出器として形成することができる。異なる値を有する複数の参照電圧を使用することができる。入力電圧の値と参照電圧の値との差に基づいて、電圧コンパレータ453、455、457は、入力電圧に反応し、出力信号を生成することができる。電圧コンパレータ453、455、457からの出力信号は、対応する荷電粒子到着事象についての情報として使用することができる。
【0091】
[00106] スイッチK
11、K
31は、積分が実行されている間は1つのストレージセルのみが選択されるように構成することができる。
図5Aに示されるように、スイッチK
11は、位置1に接続し、第1のストレージセル441を使用して積分を実行することができる。いくつかの実施形態では、スイッチK
11、K
31は、積分を実行している間は同じストレージセルを決して選択しないように構成することができる。例えば、スイッチK
11を位置1に接続する一方で、スイッチK
31を位置1に接続することができる。あるストレージセルを使用して積分を実行する一方で、別のストレージセル上で問合せを実行することができる。その上、スイッチK
11、K
31は、アレイ440のどのストレージセルも選択されない切断位置に切り替えることもできる。
【0092】
[00107] いくつかの実施形態では、スイッチK11、K31は、同じストレージセルが一定の時刻に選択されるように構成することができる。例えば、回路は、同じストレージセルが選択されるようなオーバーラップ時間でスイッチK11、K31が動作するように構成することができる。特定の積分結果の処理時間の間、オーバーラップ時間に応じて、例えば、同じストレージセルを選択することによって導入される効果を補償するために、参照電圧の設定を調整することができる。その上、いくつかの実施形態では、電圧バッファ451は、ストレージセルとスイッチK31との間に位置決めすることができる。複数の電圧バッファを提供することができる。
【0093】
[00108] 積分は、ストレージセルのリセットスイッチの状態を閉から開に変更することによって実行することができる。例えば、第1のストレージセル441を使用した積分は、スイッチK21が通信切断された際に始めることができる。各ストレージセルのリセットスイッチは、ストレージセルがリセットされてからストレージセルが積分に使用されるまで、閉のままにすることができる。制御ユニット490は、ストレージセルを選択するためにスイッチK11を作動させると共に、スイッチ(例えば、スイッチK21又はスイッチK22)を作動させることによって、積分に着手することができる。積分を開始するか又は終了するかの決定は、閾値検出器420による決定に基づき得る(例えば、積分開始又は終了信号を決定することによって)。例えば、閾値検出器420は、積分開始信号を制御ユニット490に送信することができ、制御ユニット490は、スイッチK21又はスイッチK22などのスイッチを作動させることができる。
【0094】
[00109] 問合せは、ストレージセルを変換器450に接続することによって開始することができる。変換器450がストレージセルに接続されると、変換器450に入力された信号を処理することができる。変換器450で起こる信号処理は、一定の時間量を要し得る。例えば、電圧バッファ451は、複数の電圧コンパレータに信号を出力することができる。入力電圧と参照電圧との間の比較に基づいて、複数の決定を行うことができる。そのような決定に基づいて、電子を計数することを決定するか又は他の情報を決定することができる。例えば、電子到着事象の間に2つの電子が検知要素311に到着したため、計数を2つずつインクリメントすべきであると決定することができる。その上、例えば、電子の一方が二次電子であり、もう一方が後方散乱電子であったと決定することができる。
【0095】
[00110] しかし、そのような処理が進行中の間、さらなる電子が検知要素311に到着する場合がある。そのようなさらなる電子到着事象を逃さないため、回路400Aは、新しい電子到着事象が検出された際に、異なるストレージセルを使用して積分を実行させることができる。この積分は、先行する電子到着事象の問合せ又は信号処理が未だ進行中であるときに実行することができる。例えば、閾値検出器420は、閾値a1を超えた際に、第1の電子到着事象が始まっていることを検出することができ、制御ユニット490は、第1のストレージセルを使用して積分を開始することができる。また、閾値検出器420は、閾値検出器420に入力された信号が閾値a2を下回った際に、第1の電子到着事象が終了したことを検出することもできる。次に、閾値検出器420は、閾値a1を再び超えた際に、第2の電子到着事象を検出することができる。しかし、この時点では、第1のストレージセルにおいて収集された電荷の決定に基づき得る第1の電子到着事象の問合せ又は信号処理は、未だ終わっていない場合がある。それにもかかわらず、回路400Aは、第2の電子到着事象を受け入れ、第2のストレージセルを使用してそれを記録することができる。マルチプレクサ430は、入力段410の出力を第2のストレージセルに接続することができ、従って、第2の電子到着事象の情報を適切に記録することができる。この方法では、前の電子到着事象に関連する信号処理が未だ進行中のときでさえ、後続の電子到着事象の情報を記録することができる。回路400Aは、信号処理及び電子計数決定などの動作が非同期的に起こっている間に、検知要素311から情報を実質的に連続して捕捉することができる。いくつかの実施形態では、1つのストレージセルを使用した積分が終了次第、マルチプレクサ430は、入力段410の出力を、既にリセットされている次に利用可能なストレージセルに接続することができる。検出信号は、検知要素から連続的に送り出し、信号処理回路にルーティングすることができる。
【0096】
[00111] いくつかの実施形態では、新しい電子到着事象が起こったかどうかの判断は、第1の電子到着事象を検出するために使用されるものとは異なる閾値に基づき得る。閾値は、新しい電子到着事象に起因するパイルアップ効果に基づくレベルに設定することができる。例えば、閾値検出器420は、閾値a1を超えた際に第1の電子到着事象が始まっていることを検出することができる。検出された信号レベル(例えば、電圧、電流など)は、降下し始める可能性がある。しかし、信号レベルは、別の実施形態では、電子到着事象の終わりを表すために使用することができる閾値a2を下回って降下しない場合がある。しかし、信号レベル変動は、閾値a3を通過するレベルに達し、降下が止まり、再び上昇する場合がある。閾値a3の通過は、第1の電子到着事象の終わりを示し得る。閾値a3を通過した後の信号レベルの上昇は、第2の電子到着事象が開始されたことを示し得る。第2の電子到着事象は、第1の電子到着事象と時間的に部分的にオーバーラップし得る。閾値a3のレベルは、短い間隔で連続して起こる電子到着事象の挙動に基づき得る。閾値の関係は、例えば、a1≧a3≧a2であり得る。新しい電子到着事象が起こったかどうかの判断は、信号レベル及び時間依存性挙動に基づき得る。
【0097】
[00112] ここで
図5Bを参照すると、
図5Bは、本開示の実施形態と一致する、電子計数に役立ち得る回路400Bの実装形態のダイアグラム表現を示している。回路400Bは、
図4の回路400の変形形態であり得、
図5Aの回路400Aと同様であり、回路400Bは、様々な汎用コンポーネントの例を含み得る。
図5Bの回路400Bは、検知要素311に接続された広帯域演算増幅器(OPA)402を含み得る。前の例とは異なり、入力段は使用されない。OPA 402は、ストレージコンデンサC
11、C
12と併せて積分機能を達成するために使用することができる。OPA 402の出力は、前の例で論じられる入力段410の出力と類似し得る。検知要素311からの信号は、入力段を通過することなく、ストレージセルに送信することができる。
【0098】
[00113]
図5Bに示されるように、回路400Bは、スイッチK
12及びスイッチK
13を含み得る。マルチプレクサ430は、スイッチK
11、K
12、K
13を含み得る。スイッチK
12及びスイッチK
13を追加することにより、OPA 402と積分に使用されないストレージセルとの間の絶縁を改善することができる。その上、積分回路で使用されるOPA 402の補償を簡単に実施することができる。それに加えて、スイッチK
12及びスイッチK
13を追加することにより、積分回路と変換器450との間の干渉を低減することができる。エネルギー測定確度を改善することができる。
【0099】
[00114] 回路400Bは、増幅信号βisに基づく決定を使用して動作を実行するように構成することができる。増幅信号βisは、OPA 402からサンプリング又はミラーリングを行うことができる。電子計数の開始及び終了の決定は、電流検出器422によって行うことができる。電流検出器422は、βisを閾値a1、a2と比較し、例えば、βisがa1を超えた際に電子到着事象が始まり、βisがa2を下回った際に電子到着事象が終わると決定することができる。
【0100】
[00115] 回路400Bは、回路400Aの動作と同様の動作を実行するように構成することができる。例えば、回路400Bは、ストレージセルを使用して積分を実行することによって荷電粒子を計数し、変換器450を使用してストレージセルに対する問合せを実行するように構成することができる。積分は、ストレージセルのリセットスイッチの状態を閉から開に変更することによって行うことができる。ストレージセルからの情報を処理した後、例えば、変換器450を使用して、リセットスイッチを作動させることによって、ストレージセルをリセットすることができる。
【0101】
[00116] ここで
図5Cを参照すると、
図5Cは、本開示の実施形態と一致する、電子計数に役立ち得る回路400Cの実装形態のダイアグラム表現を示している。回路400Cは、
図4の回路400の変形形態であり得、
図5Aの回路400A及び
図5Bの回路400Bと同様であり、回路400Cは、様々な汎用コンポーネントの例を含み得る。
図5Cの回路400Cは、検知要素311に接続された広帯域トランスインピーダンス増幅器(TIA)403を含み得る。入力段410は、TIA 403などの増幅器によって形成することができる。TIA 403は、OPAを含み得る。入力段410の出力は、電圧信号であり得る。
【0102】
[00117] 回路400Cは、複数の増幅器を含み得る。第1の増幅器は、TIA 403によって形成することができる。第2の増幅器は、OPA 404によって形成することができる。OPA 404は、ストレージコンデンサC11、C12と併せて、積分機能を達成するために使用することができる。
【0103】
[00118] 回路400Cは、抵抗器R11を含み得る。入力段410の出力は、電圧信号であり得、抵抗器R11は、入力段410の出力を、入力段410の出力に比例する信号レベルを有する電流信号に変換するように構成することができる。OPA 404は、その出力端子と入力端子との間で外部のフィードバックコンポーネント(例えば、抵抗器及びコンデンサ)と共に使用するように構成された増幅デバイスであり得る。OPA 404は、抵抗器R11から電流信号を受信し、ストレージセル(例えば、第1のストレージセル441及び第2のストレージセル442)を使用して積分を実行するために使用することができる。検知要素311からの信号は、ストレージセルに送信する際には、様々な形式に変換することができる。
【0104】
[00119] 回路400Cは、検知要素311からの変換済みの信号に基づく決定を使用して動作を実行するように構成することができる。例えば、入力段410は、検知要素311からの電流又は電荷信号を電圧信号に変換し、その電圧信号を閾値検出器420に供給することができる。閾値検出器420は、電圧コンパレータ423を含み得る。電圧コンパレータ423は、閾値検出器420に入力された電圧信号を閾値と比較することができる。a1、a2など、複数の閾値を使用することができる。閾値は、参照電圧を含み得る。電子計数の開始及び終了の決定は、電圧コンパレータ423によって行うことができる。例えば、電圧コンパレータ423は、a1を超えた際に電子到着事象が始まると決定することができる。いくつかの実施形態では、ヒステリシス効果を考慮するため、複数の電圧比較を使用して、性能を改善し、誤計数率を低減することができる。
【0105】
[00120] 回路400Cは、回路400A又は回路400Bの動作と同様の動作を実行するように構成することができる。例えば、回路400Cは、ストレージセルを使用して積分を実行することによって荷電粒子を計数し、変換器450を使用してストレージセルに対する問合せを実行するように構成することができる。積分は、ストレージセルのリセットスイッチの状態を閉から開に変更することによって行うことができる。ストレージセルからの情報を処理した後、例えば、変換器450を使用して、リセットスイッチを作動させることによって、ストレージセルをリセットすることができる。
【0106】
[00121] ここで
図6を参照すると、
図6は、本開示の実施形態と一致する、電子計数に役立ち得る方法600を示すフローチャートである。方法600は、荷電粒子検査システムのコントローラ(例えば、
図1又は
図2Bのコントローラ109、
図4及び
図5A~5Cの制御ユニット490又はそれらの組合せ)によって実行することができる。コントローラは、方法600を実施するようにプログラムされた回路(例えば、メモリ及びプロセッサ)を含み得る。例えば、コントローラは、荷電粒子検査システムと結合された内部コントローラ又は外部コントローラであり得る。荷電粒子計数のために使用することができる回路(例えば、
図4の回路400)は、方法600に従って動作することができる。方法600と一致する処理は、検知要素単位で検知要素に対して実行することができる。
【0107】
[00122]
図6に示されるように、方法600は、「開始」ステップから始めることができる。開始ステップでは、荷電粒子ビームを生成することができる。電子ビームツール100によるビーム。一次荷電粒子の生成により、荷電粒子ビーム装置の検出器に誘導される二次ビームが形成され得る。検出は、荷電粒子が検出器に衝突し始めた際に開始することができる。検出器は、検知要素(例えば、検知要素311)を含み得る。
【0108】
[00123] 方法600は、複数のプロセスを並行して実行することを含み得る。各プロセスは、検出器が動作している間に進行中であり得るバックグラウンド動作であり得る。例えば、
図6に示されるように、方法600は、ステップ601、602、603及び604を含み得る。ステップ601は、検知要素信号レベル検出を実行することを含み得る。ステップ602は、積分を実行することを含み得る。ステップ603は、信号処理を実行することを含み得る。ステップS604は、オーバーフローモニタリングを実行することを含み得る。また、他のステップを並行して実行することもできる。
【0109】
[00124]
図7Aに示されるように、ステップ601に続いて特定の処理を行うことができる。「A」に引き続き、方法600は、検知要素信号レベルをモニタするステップ7101を含み得る。ステップ7101は、検知要素311からやって来る信号又はその出力を表す信号(例えば、増幅信号)を受信することを含み得る。信号の大きさを測定することができる。ステップ7102では、第1の閾値をクロスしているかどうかを判断することができる。ステップ7102は、閾値検出器420を使用して、入力段410の出力が閾値a
1をクロスした(例えば、超えた)かどうかを判断することを含み得る。
【0110】
[00125] ステップ7102において第1の閾値を超えていないと決定された場合は、検知要素311からやって来た信号は雑音であると決定することができる。方法は、ステップ7101に戻り、検知要素信号レベルのモニタリングを継続することができる。
【0111】
[00126] ステップ7102において第1の閾値を超えていると決定された場合は、電子到着事象が始まったと決定することができる。ステップ7102において第1の閾値を超えたことに応答して、方法は、ステップ7103に進み、積分開始信号を生成することができる。積分開始信号は、生成して、閾値検出器420から送信することができる。いくつかの実施形態では、制御ユニット490が積分開始信号を生成することができる。例えば、制御ユニット490は、閾値検出器420からの出力に基づいて積分開始信号を生成することができる。それに加えて、ステップ7104を実行し、タイムスタンプを生成することができる。タイムスタンプは、積分開始信号と関連付けることができる。
【0112】
[00127]
図7Aに示されるように、検知要素信号レベル検出を行うステップ7105を実行することができる。検知要素311からの信号の信号レベルは、モニタし続けることができる。ステップ7106では、第2の閾値をクロスしているかどうかを判断することができる。ステップ7106は、閾値検出器420を使用して、入力段410の出力が閾値a
2をクロスした(例えば、下回った)かどうかを判断することを含み得る。
【0113】
[00128] ステップ7106において信号レベルが第2の閾値を下回っていないと決定された場合は、電子到着事象が未だ進行中であると決定することができる。方法は、ステップ7105に戻り、検知要素信号レベルのモニタリングを継続することができる。
【0114】
[00129] ステップ7106において信号レベルが第2の閾値を下回ったと決定された場合は、電子到着事象が終わったと決定することができる。ステップ7106において第2の閾値を通過したことに応答して、方法は、ステップ7107に進み、積分終了信号を生成することができる。それに加えて、ステップ7108を実行し、タイムスタンプを生成することができる。タイムスタンプは、積分終了信号と関連付けることができる。ステップ7108の後、方法は、ステップ7101に戻って繰り返すことができる。
【0115】
[00130]
図7Bに示されるように、ステップ602に続いて特定の処理を行うことができる。「B」に引き続き、方法600は、積分開始信号をモニタするステップ7201を含み得る。ステップ7201は、制御ユニット490から信号を受信することを含み得る。ステップ7202は、制御ユニット490又は別のコントローラを使用して、積分開始信号が生成されているか又は受信されているかを判断することを含み得る。積分開始信号は、
図7Aのステップ7103で生成されたものであり得る。
【0116】
[00131]
図7Bに示されるように、ステップ7202において、例えば、積分開始信号が受信されていないと決定された場合は、方法は、ステップ7201に戻り、積分開始信号のモニタリングを継続することができる。
【0117】
[00132] ステップ7202において積分開始信号が受信されていると決定された場合は、方法は、ステップ7203に進み、積分を実行することができる。ステップ7203は、現在選択されているストレージセルを使用して信号積分を行うことを含み得る。例えば、ストレージセルマルチプレクサ430は、アレイ440のストレージセル(
図4を参照)を選択することができる。方法600の開始時には、ストレージセルは、リセット状態であり得る。選択されたストレージセルの対応するリセットスイッチは、閉にすることができる。
【0118】
[00133] ステップ7203では、積分を実行することができ、積分は、検知要素311からの信号を使用した経時的な電荷又は電流の蓄積(例えば、曲線下の面積)に関与し得る。ステップ7203は、リセットスイッチを作動させることを含み得る。例えば、第1のストレージセル441(
図5Aを参照)を使用して積分が開始されると、スイッチK
21は、開状態に設定することができる。積分の間、検知要素311は、増幅可能な電荷又は電流を出力し、第1のストレージセル441に送信することができ、電荷又は電流は、コンデンサC
11において蓄積する。
【0119】
[00134] ステップ7204では、積分終了信号が受信されているかどうかを判断することができる。ステップ7204において積分終了信号が受信されていないと決定された場合は、方法は、ステップ7203に戻り、積分を継続することができる。
【0120】
[00135] ステップ7204において積分終了信号が受信されていると決定された場合は、電子到着事象に対応する信号積分を中止することができる。方法は、ステップ7205に進むことができる。ステップ7205では、現在選択されているストレージセルにおける信号積分を終了することができる。現行のストレージセルは、マルチプレクサ430によって選択されたものであり得る。それに加えて、ステップ7206を実行することができる。ステップ7206では、積分回路ビジーインジケータを設定することができる。積分回路ビジーインジケータは、オーバーフロー状態に関連し得る。
【0121】
[00136] ステップ7207では、結果分析要求インジケータを設定することができ、現在選択されているストレージセルのアドレスをアドレスリストに追加することができる。結果分析インジケータの設定は、基準に基づき得る。例えば、ストレージセルを使用して積分が実行され次第、積分が完了した際にそのストレージセルに対して分析を実行すべきであると決定することができる。基準は、積分開始及び終了信号が相次いで受信されるかどうかを含み得る。積分開始信号の後に積分終了信号を受信することに応答して結果分析要求インジケータを設定することを自動的に決定することができる。いくつかの実施形態では、基準は、オペレータが撮像結果を要求したかどうかを含み得る。いくつかの実施形態では、基準は、オペレータが詳細な結果(電子エネルギーを示す結果など)を要求したかどうかを含み得る。ストレージセルのアドレスは、ストレージセルを識別するために使用することができる情報を指し得る。結果分析は、例えば、計数又は電子到着事象と関連付け得られたエネルギーの決定に関連する信号処理に相当し得る。アドレスリストは、分析予定のデータを含むストレージセルのアドレスを格納するために使用されるリストであり得る。ストレージセルには、それらがアドレスリストに載っているか否かに基づいて、問合せを行うことができる。
【0122】
[00137] ステップ7208では、次に利用可能なストレージセルを探し出すことができる。例えば、アレイ440が複数のストレージセルを含み、現在選択されているストレージセルが積分のためにちょうど使用されたばかりである際は、アレイ440の別のストレージセルが利用可能であるかどうかを判断することができる。ステップ7208は、ストレージセルセレクタをインクリメントすることを含み得る。ストレージセルは、1つずつインクリメントすることができる。
【0123】
[00138] ステップ7209では、少なくとも1つのストレージセルが利用可能であるかどうかを判断することができる。利用可能なさらなるストレージセルがない場合は、方法は、ステップ7208に戻り、次に利用可能なストレージセルを待つことができる。ストレージセルが利用可能であると決定された場合は、方法は、ステップ7210に進むことができる。ステップ7210では、ストレージセルマルチプレクサは、次に利用可能なストレージセルを選択することができる。ステップ7210は、入力段410の出力をストレージセル(例えば、ストレージセル441、442、…449の次のもの)に接続するためにスイッチを作動させることを含み得る。例えば、ストレージセル441(
図4参照)が積分のためにちょうど使用されたばかりであると想定すると、マルチプレクサ430は、入力段410の出力をストレージセル442に接続することができる。それに加えて、ステップ7211では、積分回路ビジーインジケータをクリアすることができる。積分回路ビジーインジケータは、次に利用可能なストレージセルと入力段410の出力との間の接続が確立され次第、クリアすることができる。従って、積分回路ビジーインジケータは、ステップ7206において設定し、ステップ7211までその設定状態で維持することができる。ステップ7211の後、方法は、ステップ7201に戻って繰り返すことができる。
【0124】
[00139]
図7Cに示されるように、ステップ603に続いて特定の処理を行うことができる。「C」に引き続き、方法600は、分析要求インジケータをモニタするステップ7301を含み得る。ステップ7301は、制御ユニット490から信号を受信することを含み得る。
【0125】
[00140] ステップ7302において分析要求インジケータが受信されていないと決定された場合は、方法は、ステップ7301に戻り、分析要求インジケータのモニタリングを継続することができる。
【0126】
[00141] ステップ7302において分析要求インジケータが受信されていると決定された場合は、方法は、ステップ7303に進むことができる。ステップ7303は、アドレスリストでストレージセルのアドレスを取得することを含み得る。
【0127】
[00142] ステップ7304では、問合せを実行することができ、問合せは、ストレージセルなどのコンポーネントから情報を得る(例えば、信号を送信する)ことを伴い得る。ステップ7304は、ストレージセルを選択することを含み得る。例えば、ステップ7304は、問合せ予定のストレージセルを変換器450に接続するためにスイッチを作動させること(例えば、
図5AのスイッチK
31を使用して)を含み得る。問合せ予定のストレージセルは、ステップ7203(
図7Bを参照)で積分されたストレージセルであり得る。問合せの優先度は、検知要素を使用して積分が実行されてからの時間に基づき得る。例えば、次の問合せ予定のストレージセルは、積分されてから最も長い間待ち続けたストレージセルとして優先することができる。
【0128】
[00143] また、ステップ7304は、信号処理を実行することも含み得る。ステップ7304は、変換器450を使用して、選択されたストレージセルからの問合せが行われた信号についての決定を行うことを含み得る。例えば、信号は、第1のストレージセル441から変換器450に送信することができ、参照値(例えば、
図5Aのv
ref11、v
ref12、v
ref13)との様々な比較が行われる。変換器450は、電子到着事象についての情報を導き出すために使用することができるデータ(例えば、電子到着事象の確認、1つの電子が受信されたか若しくは複数の電子が受信されたか、又は、受信された電子の具体的なエネルギーレベル)を制御ユニット490に出力することができる。
【0129】
[00144] ステップ7305では、選択されたストレージセルは、そこから電荷を解放するためにリセットすることができる。ステップ7305は、選択されたストレージセルのリセットスイッチを作動させることを含み得る。
【0130】
[00145] また、ステップ7305では、選択されたストレージセルのアドレスは、アドレスリストから取り除くことができる。ステップ7306では、さらなるアドレスがアドレスリスト内にあるかどうかを判断することができる。ステップ7306においてアドレスリスト内にアドレスが残っていると決定された場合は、方法は、ステップ7303に戻り、リストの最上位のアドレスを取得することができる。ステップ7306においてアドレスリスト内にアドレスが残っていないと決定された場合は、方法は、ステップ7307に進み、分析要求インジケータをクリアすることができる。ステップ7307の後、方法は、ステップ7301に戻って繰り返すことができる。
【0131】
[00146]
図7Dに示されるように、ステップ604に続いて特定の処理を行うことができる。「D」に引き続き、方法600は、積分開始信号をモニタするステップ7401を含み得る。ステップ7401は、
図7Bのステップ7201と同様であり得る。
【0132】
[00147] ステップ7402において積分開始信号が受信されていないと決定された場合は、方法は、ステップ7401に戻り、積分開始信号のモニタリングを継続することができる。
【0133】
[00148] ステップ7402において積分開始信号が受信されていると決定された場合は、方法は、ステップ7403に進み、積分回路ビジーインジケータをチェックすることができる。ステップ7403は、ステップ7206(
図7Bを参照)において生成されたものなどの信号をモニタすることを含み得る。例えば、ストレージセルマルチプレクサ430は、アレイ440(
図4を参照)のストレージセルを選択することができる。
【0134】
[00149] ステップ7404においてビジーインジケータが設定されていないと決定された場合は、方法は、ステップ7401に戻り、間もなく受信予定の積分開始信号のモニタリングを継続することができる。
【0135】
[00150] ステップ7404においてビジーインジケータが設定されていると決定された場合は、方法は、ステップ7405に進み、オーバーフロー信号を生成することができる。オーバーフロー信号は、本明細書で論じられるものなどの第2のタイプのオーバーフローと関連付けられるものであり得る。ステップ7405は、オーバーフロー信号と関連付けられたタイムスタンプを生成することを含み得る。ステップ7405の後、方法は、ステップ7401に戻って繰り返すことができる。
【0136】
[00151] ステップ7304(
図7Cを参照)のものなどの信号処理は、一定の時間量を必要とし得る。新しい電子到着事象の積分を始めるべき頃までに第1のストレージセル(例えば、ステップ7304において問合せを受けるストレージセル)に関する信号処理が完了していない場合は、第2のストレージセルを積分のために選択することができる。例えば、第1のストレージセルに対して信号処理が実行されており、その間、検知要素信号レベルが測定され、第1の閾値を再びクロスした場合は、第1のストレージセルとは異なるストレージセルを次の積分のために選択することができる。さらなるストレージセルが利用可能である限り、次の積分を進めることができる。
【0137】
[00152] 方法600は、ストレージセルに対する積分と分析(例えば、問合せと信号処理)の実行のサイクルを継続することができる。しかし、積分と信号処理を完了するスピードは異なり、従って、検知要素311から信号を受信するためにより多くのストレージセルが利用可能であることが有益であり得る。次いで、問合せ及び信号処理を非同期的に行いながら、積分を途切れることなく継続することができる。提供されるストレージセルの数が多いほど、前のストレージセルからの情報の信号処理が進行中であるときに取り扱うことができる積分の数は多くなる。そのような方法で回路を使用することにより、検出器は、より多くの信号を取り扱うことができる。
【0138】
[00153] 方法600及び回路400を使用することにより、例えば、SEM画像SNR及び全体的なスループットを劇的に改善した電子計数を可能にすることができる。電子計数が可能になるプローブ電流範囲は、エネルギー測定確度の改善及びミスカウント率の低減と共に拡大することができる。
【0139】
[00154] その上、いくつかの実施形態では、個々の検知要素と関連付けられた回路間の相互接続部を提供することができる。検出器は、検出セルを含み得、その各々は、検知要素と、検知要素と関連付けられた回路とを含み得る。例えば、検知要素311と回路400(
図4を参照)は、検出セルを形成することができる。各検知要素と関連付けられた回路は、アナログ信号プロセッサ、データ変換器及びローカル制御ユニットを含み得る。相互接続部は、異なる検出セルの回路間に提供することができる。例えば、相互接続部は、近隣の検出セルのアナログ信号プロセッサ間に又は近隣の検出セルのローカル制御ユニット間に提供することができる。
【0140】
[00155] いくつかの実施形態では、検出器は、検知要素のピクセル化アレイを含み得る。検知要素のアレイは、二次元平面に形成することができる。従って、検知要素は、1つ又は複数の近隣の(例えば、隣接する)検知要素を有し得る。検知要素間の相互接続部は、検出確度を改善し、処理を向上させることができる。その上、いくつかの実施形態では、検知要素間の相互接続部は、処理を向上させ、さらに、ミスカウント率の低減を改善することができる。例えば、相互接続部は、1つの入射電子到着事象によって誘発される一時的なイオン化領域が複数の検知要素のボリュームに拡大する状況におけるミスカウントの低減に役立ち得る。
【0141】
[00156] ここで
図8を参照すると、
図8は、検出面に対する荷電粒子到着事象の影響を示している。
図8では、検出器は、検知要素36a、検知要素36b、検知要素36c及び検知要素36dを含む複数の検知要素を含み得る。荷電粒子は、検出器面において検知要素36aと検知要素36cとの境界の近くにぶつかる(例えば、激突する)場合がある。電子が検出器に激突すると、検出器のボリューム内に電荷が生じ得る。ボリュームは、2つ以上の検知要素に及び得る。例えば、複数の検知要素に入り込むイオン化領域37が成長し得る。複数の検知要素で電荷が成長することで、電子は、複数回計数されるか又は全く計数されないという状況に至る恐れがある。
【0142】
[00157] いくつかの実施形態では、相互接続部は、検出器の検出面に達する電子のミスカウントの低減に役立ち得る。一部のミスカウントは、検知要素間の境界の近くで起こる電子到着事象に基づき得る。SEMの電子光学コラムからの電子が検出器の検知面に達する際、電子が検出器に入る場所は、ランダムに分布し得る。各電子が検出器に入った後のイオン化プロセスのため、検出器内の一時的なイオン化領域が生成され得る。一時的なイオン化領域は、検知要素の空乏領域外に拡大し得る。例えば、一時的なイオン化領域は、近隣の検知要素の空乏領域に拡大すること、検知要素の空乏領域とは異なる別の領域に拡大すること、又は、その検知要素の空乏領域とは異なる近隣の検知要素のボリューム内の領域に拡大することができる。近隣の検知要素の空乏領域への一時的なイオン化領域の拡大は、近隣の検知要素における信号の生成をもたらし得る。検出器に入った各電子において形成されるイオン化領域は、各入射電子のエネルギー及び検出器を形成する材料に関連するボリュームを有し得る。各電子が検出器に入る場所のランダム性により、各入射電子によって誘発される一時的なイオン化領域は、隣接する検知要素の境界をクロスし得る。従って、検出器の複数の検知要素は、特定の入射電子に対応する出力信号を生成し得る。個々の出力信号は、一時的なイオン化領域が1つの検知要素に含まれる場合に生成される信号より低いものであり得、出力信号は、電子到着事象の検出をトリガするほど十分に高いレベルに到達しない可能性がある。従って、電子到着事象は数え切れないままとなり得る。或いは、いくつかの実施形態では、複数の検知要素の各々の出力信号は、検出をトリガするのに十分に高いものであり得、同じ電子到着事象に対して複数の検出が登録され得る。従って、ミスカウントが起こり得る。
【0143】
[00158] 上記の問題に対処するため、いくつかの実施形態は、以下を採用することができる。検知要素は、既定のサイズ及び形状を有するように構成することができる。検知要素のアレイは、グリッドなどのパターンに配置された検知要素を含み得る。検出器の各検知要素のサイズは、いかなる方向においても、検知要素のサイズが入射電子の最大透過深度以上であるように選ぶことができる。検知要素は、検知要素のどの寸法(例えば、長さ、幅、高さ)も最大透過深度未満にならないように構成することができる。最大透過深度は、検出器を形成するために使用される材料に基づき得る。例えば、電子は、ある材料の方が別の材料より透過し易い。この方法では、各入射電子が一度に激突する検知要素は4つまでであり得る。以下で論じられるように、これは、信号処理のさらなる向上に役立ち得る。
【0144】
[00159] ここで
図9を参照すると、
図9は、本開示の実施形態と一致する、相互接続された検出セルを備える検出器のダイアグラム表現である。
図9は、検出器の厚さ方向における検出器の断面図を表し得る。
図9に示されるように、検出器には、検知要素331を含む複数の検知要素を提供することができる。各検知要素は、回路に接続することができる。回路は、検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットを含み得る。例えば、検知要素331は、検知要素レベルの信号処理及び制御ユニット950に接続される。検知要素331と検知要素レベルの信号処理及び制御ユニット950とで、1つの検出セルを構成することができる。検知要素レベルの信号処理及び制御ユニット950は、アナログ信号プロセッサ910、データ変換器930及びローカル制御ユニット940を含み得る。
【0145】
[00160]
図9に示されるように、複数の検出セルは、様々な上位レベルのコンポーネント(データルーティング層960など)に接続することができる。データルーティング層960は、高速データルーティング層を含み得る。データルーティング層960は、メモリユニット970に接続することができる。メモリユニット970は、メモリコントローラを有する高速メモリを含み得る。メモリユニット970は、プロセッサ980に接続することができる。プロセッサ980は、高速プロセッサを含み得る。プロセッサ980は、コントローラ109(
図1又は
図3を参照)を含み得る。プロセッサ980は、インタフェース990に接続することができる。インタフェース990は、高速インタフェースを含み得る。「上位レベルの」という用語は、ある処理機能が、あるタイプのプロセッサに委託されることを意味し得る。上位レベルのコンポーネントは、複数の下位レベルのコンポーネントから受信された情報に基づいて処理を実行するように構成することができる。上位レベルのコンポーネントは、上位レベルのコンポーネントが接続された複数の下位レベルのコンポーネントからの出力を取り扱うことができるような処理スピードを有するように構成することができる。
【0146】
[00161]
図9に示されるように、2つの隣接する検知要素レベルの信号処理及び制御ユニット(例えば、ユニット950を含む)の各々の間では、アナログ信号及びデジタル形式のデータはそれぞれ、アナログ信号経路及びデータ経路を通じて転送することができる。相互接続部920を提供することができる。相互接続部920は、アナログ信号経路921及びデータ経路922を含み得る。
【0147】
[00162]
図9では一次元アレイとして示されているが、検知要素及び関連回路は、二次元配列で提供できることが理解されよう。検知要素には、検出器の厚さ方向又は他の何らかの方向において検知要素に隣接するその関連回路を提供することができる。各検知要素に対する検知要素レベルの回路は、各検知要素に埋め込むことができる。各検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットは、複数のアナログ信号経路及びデータ経路を有し得る。複数のアナログ信号経路又はデータ経路の各々は、検知要素の近隣の検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットのうちの1つに接続することができる。電子検知要素アレイと検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットのアレイは、同じチップ上又は複数のチップ上に形成することができる。
【0148】
[00163] アナログ信号プロセッサ910は、
図4に関して上記で論じられる、入力段410、ストレージセルマルチプレクサ430及びストレージセルアレイ440を含み得る。その上、他のアナログ信号ルーティングマルチプレクサを提供することができる。例えば、アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460を提供することができる(
図12Aを参照)。いくつかの実施形態では、アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、検知要素レベルの信号処理及び制御ユニット950に含めることができる。アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、アナログ信号プロセッサ910の一部であり得る。アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、ストレージセルアレイ440と変換器450との間に配列することができる。アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、アナログ信号ルーティングマルチプレクサと他の(例えば、近隣の)検知要素レベルの回路のコンポーネント(近隣の検知要素レベルの回路の電圧検出器/ADCなど)との間の双方向性アナログ信号フローを可能にするように構成することができる。近隣の検知要素レベルの回路は、近隣の検出セルの回路であり得る。アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、特定の電子入射事象のエネルギーレベルを表し得る電圧、電流又は電荷の形式でアナログ信号を送信するように構成することができる。
【0149】
[00164] アナログ信号処理経路は、入力段410、ストレージセルマルチプレクサ430、アレイ440、アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460及び変換器450を含む回路400のコンポーネントによって形成することができる。アナログ信号経路921は、アナログ信号プロセッサ910に接続することができ(例えば、
図12Aのアナログ信号ルーティングマルチプレクサ460に接続することができる)、アナログ信号経路921は、他の回路(例えば、近隣の検出セルの検知要素レベルの回路)のアナログ信号ルーティングマルチプレクサと通信するように構成することができる。アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、変換器450に接続することができる。いくつかの実施形態では、変換器450は、ADCを含み得る。
図9のデータ変換器930は、そのようなADCを含み得る。データ経路922は、そのようなADCの下流に接続することができる。例えば、
図4に示されるように、変換器450は、制御ユニット490に接続することができる。
図9のローカル制御ユニット940は、制御ユニット490を含み得る。データ経路922は、
図9に示されるように、ローカル制御ユニット940に接続することができ、他の回路の制御ユニットと通信するように構成することができる。
【0150】
[00165] いくつかの実施形態では、相互接続部と別の検知要素と関連付けられた検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットとの間の双方向性アナログ信号フローを可能にするように構成されたアナログ信号ルーティングマルチプレクサを含む相互接続部を提供することができる。相互接続部は、別の検知要素と関連付けられた制御ユニットにデジタルデータを送信するように構成されたデータ経路を含み得る。
【0151】
[00166]
図9に示されるように、検知要素レベルの信号処理及び制御ユニット950の各々は、検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットアレイに続いて、データルーティング層960とのデータ通信リンクを有し得る。メモリユニット970は、検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットアレイからやって来るデータを組織化して格納するように構成することができる。データルーティング層960は、検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットアレイからメモリユニット970へのデータ転送を管理するように構成することができる。
【0152】
[00167] プロセッサ980は、メモリユニット970の後に続き、検出器のデータ処理及び動作制御を実行するように構成することができる。データ処理の場合、プロセッサ980は、以下を含むデータ処理タスクを達成することができる。
【0153】
[00168] 例えば、プロセッサ980は、事前に定義された条件(例えば、ピクセル率、ピクセルサイズ及びシャープネス)に基づいてSEM画像ピクセルデータ生成を実行するように構成することができる。各SEM画像ピクセルに対し、ピクセルサイズ、ピクセル率及びローカルシャープネスなどのパラメータは、ある条件の下で、SEM画像のすべてのフレームにおいて同じであり得る。いくつかの実施形態では、パラメータは、SEM画像のフレーム間では異なるが、各SEM画像内では同じであるように維持することができる。いくつかの実施形態では、パラメータは、1つのSEM画像内においてピクセルごとに異なり得る。
【0154】
[00169] プロセッサ980は、事前に定義された条件に基づいてSEM画像パラメータの調節及び向上を実行するように構成することができる。プロセッサ980は、入射電子のエネルギーレベルに基づいて、画像明度及びコントラスト調節、画像シャープネス向上、カラーSEM画像生成などを実行するように構成することができる。
【0155】
[00170] プロセッサ980は、取得したSEM画像に基づいて事前検査を実行するように構成することができる。事前検査は、パターン認識、エッジ抽出などを含み得る。
【0156】
[00171] プロセッサ980は、いかなる操作も行うことなく、電子計数結果の生のデータを渡すように構成することができる。
【0157】
[00172] プロセッサ980は、SEM投影追跡を実行するように構成することができる。SEM投影追跡は、検出器上に形成されたビームスポットの投影グリッドについての情報(例えば、形状、サイズ、場所、歪み、動き及び歪み予測)の生成を含み得る。また、SEM投影追跡は、ビームスポット(例えば、場所、サイズ、形状及び動き履歴)の各々及び将来の動き予測についての情報の生成も含み得る。その上、上記で論じられるものなどの情報は、オンザフライSEM画像補償を実行するために使用することができる。プロセッサ980は、収集速度とクロストークとの間、又は、クロストーク低減に基づく既知のSEM設計と収集速度向上に基づく既知のSEM設計との間のトレードオフを決定するように構成することができる。
【0158】
[00173] インタフェース990は、プロセッサ980からデータを受信するように構成することができ、以下のようなさらなるタスクを実行することができる。例えば、インタフェース990は、ロスレスデータ圧縮を実行することができる。インタフェース990は、検出器と上位レベルのシステム(例えば、荷電粒子ビーム装置用のコントローラ又は汎用コントローラ)との間のデータリンクの負荷を低減するように構成することができる。
【0159】
[00174] インタフェース990は、エラー補正のためにデータ符号化を実行することができる。インタフェース990は、電子検出デバイスから上位レベルのシステムにデータを移送する間に発生するエラーを低減するように構成することができる。
【0160】
[00175] いくつかの実施形態では、インタフェース990は、いかなる処理も行うことなく、上位レベルのシステムにデータを直接渡すことができる。インタフェース990は、検出器と上位レベルのシステムとの間の通信を容易にするために、高速トランシーバ及びドライバを含み得る。
【0161】
[00176] ここで
図10を参照すると、
図10は、本開示の実施形態と一致する、相互接続部配列を示している。相互接続部は、隣接する検知要素の各々の間に提供することができる。検出器は、検知要素の二次元アレイを含み得る。アレイの検知要素は、水平及び垂直方向に近隣の検知要素を有し得る。例えば、検知要素311は、水平方向において検知要素318、312に隣接し、垂直方向において検知要素313、316に隣接し得る。相互接続部1001は、検知要素311と検知要素312との間に提供することができる。同様に、相互接続部1002は、検知要素311と検知要素313との間に提供することができ、相互接続部1003は、検知要素311と検知要素316との間に提供することができ、相互接続部1004は、検知要素311と検知要素318との間に提供することができる。
図10の相互接続部は、検知要素自体を直接接続するものではなく、検知要素と関連付けられた回路間のものであり得ることが理解されよう。
【0162】
[00177] ここで
図11を参照すると、
図11は、本開示の実施形態と一致する、相互接続部配列を示している。相互接続部は、互いに斜めに隣接する検知要素の間に提供することができる。その上、いくつかの実施形態では、相互接続部は、互いに斜めに隣接する検知要素の間並びに水平及び垂直方向に隣接する検知要素の間に提供することができる。
図11に示されるように、相互接続部は、検知要素311と関連付けられた回路が検知要素312~319と関連付けられたすべての回路に接続されるように提供することができる。
図10及び11に示される相互接続部は、
図9に関して上記で論じられる相互接続部920に相当し得る。例えば、
図10に示される相互接続部1001は、アナログ信号経路又はデータ経路を含み得る。
【0163】
[00178] いくつかの実施形態では、相互接続部は、スイッチを含み得る。相互接続部を介する信号のフローを制御することができる。相互接続部の制御は、制御ユニット490又はプロセッサ980などの制御ユニットによって管理することができる。
【0164】
[00179] ここで
図12Aを参照すると、
図12Aは、本開示の実施形態と一致する、相互接続部を備える回路800Aを示している。
図4と同様に、回路800Aは、入力段410、閾値検出器420、ストレージセルマルチプレクサ430、第1のストレージセル441からN番目のストレージセル449まで、変換器450及び制御ユニット490を含み得る。その上、回路800Aは、アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460を含み得る。入力段410は、検知要素311から信号Sを受信するように構成することができる。アナログ信号プロセッサ910は、入力段410、閾値検出器420、マルチプレクサ430、ストレージセル441、442…449及びアナログ信号ルーティングマルチプレクサ460を含むコンポーネントによって形成することができる。変換器450は、アレイ440のストレージセルからのアナログ信号又は他の検知要素回路から渡されたアナログ信号を処理するように構成することができる。変換器450は、アナログ信号を表すデータに対するデジタル信号を生成することができる。
【0165】
[00180] いくつかの実施形態では、アナログ信号経路921は、アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460に接続することができる。いくつかの実施形態では、アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、アナログ信号プロセッサ910に含めることができる。アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、アナログ信号ルーティングを実行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、変換器450は、電圧検出器又はADCを含み得る。変換器450は、デジタルフォーマットでデータを出力するように構成することができる。また、デジタルデータは、制御ユニット490によっても出力することができる。データ経路922は、制御ユニット490に接続することができる。いくつかの実施形態では、データ経路922は、変換器450に接続することができる。回路800Aは、
図9に関して上記で論じられる検知要素レベルの信号処理及び制御ユニット950に相当し得る。
【0166】
[00181]
図12Aに示されるように、回路800Aは、双方向性アナログ信号経路及び双方向性データ経路を含み得る。例えば、アナログ信号経路921及びデータ経路922を提供することができる。そのような経路の追加により、任意の2つの隣接する検知要素レベルの信号処理及び制御ユニット(
図9を参照)間のアナログ形式とデジタル形式の両方の信号及びデータ交換が可能になり得る。アナログ信号交換は、アナログ方式で信号を加算できるように、検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットのうちの1つと関連付けられた単一の電子入射事象に対応する隣接する電子検知要素から信号を転送するように構成することができる。そのようなアナログ信号を使用したアナログ信号の加算又は処理は、処理解像度及び確度を向上させることができる。信号の加算は、隣接する検知要素レベルの信号処理及び制御ユニット間においてデジタル形式でデータを交換することによって、デジタル形式で実行することができる。
【0167】
[00182] アナログ信号経路921は、近隣の検知要素レベルの回路のアナログ信号ルーティングマルチプレクサ間の双方向性アナログ信号フローを可能にするように構成することができる。例えば、アナログ信号経路921は、特定の荷電粒子到着事象のエネルギーレベルを表す電圧、電流又は電荷の形式でアナログ信号を伝達するように構成することができる。データ経路922は、近隣の検知要素レベルの回路の制御ユニット間の双方向性データフローを可能にするように構成することができる。例えば、データ経路922は、荷電粒子到着事象のデータ(エネルギーレベル、検出確認、タイムスタンプなどを含む)を伝達するように構成することができる。また、制御ユニット490は、上位レベルのコンポーネントとの双方向性データフローも可能にするように構成することができる。制御ユニット490は、データDを送信するように構成することができる。制御ユニット490は、(i)検知要素へのデータ(タイミング情報を含む)のフロー、(ii)検知要素からの計数結果のフロー及び(iii)オーバーフロータイプデータを有する検知要素オーバーフローフラグのフローを制御するように構成することができる。
【0168】
[00183] いくつかの実施形態では、デジタル信号処理方法は、検出面上の電子の着地位置についての追加の情報(例えば、入射電子のエネルギーレベルについての情報以外)を提供することができる。これは、ビーム投影追跡確度の改善に役立ち得、また、SEMシステムの性能についての追加の情報を与えることもできる。いくつかの実施形態では、アナログ信号処理方法は、隣接する検知要素からの信号を加算するか又は処理することを含み得る。アナログ方法は、確度を優先するように構成することができる。アナログ方法とデジタル方法は、別々に使用することも、組み合わせて使用することもできる。いくつかの実施形態では、入射電子事象の信号の加算が望ましい際は、ミスカウント率の低減及び各入射電子のエネルギーレベルの正しい識別が行えるように、アナログ方法又はデジタル方法を選択することができる。いくつかの実施形態では、組み合わせた方法が使用される場合は、第1のステップは、プロセスに関与するすべての検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットからデジタル形式の信号を取得することであり得る。次いで、アナログ信号の加算(又は処理)を実行することができる。組み合わせた方法を使用することにより、アナログ方法とデジタル方法の両方からの利益を得ることができる。検出器は、すべての検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットにおいて、より深いアナログ信号パイプラインを提供するように構成することができる。
【0169】
[00184]
図12Bは、本開示の実施形態と一致する、アナログ信号ルーティングマルチプレクサのダイアグラム表現である。
図12Bは、
図12Aに関して上記で論じられるアナログ信号ルーティングマルチプレクサ460の別の図を表し得る。
図12Bに示されるように、アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、信号のルーティング及び制御のために使用することができる回路を含み得る。アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、様々なスイッチ、配線経路及び他の電気コンポーネントなどを含み得る。アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、スイッチK61、K62…K6m、スイッチK71、K72…K7m、K8、及び、スイッチを制御することができるスイッチ制御信号バス461を含み得る。アナログ信号経路921は、近隣のセル回路に及び近隣のセル回路から信号を送信できるように、双方向性フロー用に構成することができる。
【0170】
[00185] その上、アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、増幅器465及びバッファ466を含み得る。増幅器465は、加算増幅器を含み得る。バッファ466は、電圧バッファを含み得る。スイッチ制御信号バス461は、制御ユニット490(
図12Aを参照)に接続することができ、制御ユニット490は、切替制御信号Cを使用してスイッチを制御するように構成することができる。スイッチK
8は、選択されたストレージセルからバッファ466に信号S
1が流れるように、バッファ466をアレイ440のストレージセルのうちの1つに接続するように構成することができる。アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460と変換器450のいくつかのコンポーネントは、組み合わせることも、オーバーラップさせることもできることが理解されよう。例えば、バッファ466は、電圧バッファ451(
図5A~5Cを参照)を含み得る。増幅器465は、制御ユニット490に接続し、制御ユニット490に信号S
2を送信することができる。
【0171】
[00186] アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460は、複数のシナリオで動作するように構成することができる。例えば、第1のシナリオでは、検知要素レベルの回路は、近隣の回路からアナログ信号を受信するように設定することができる。近隣の回路からアナログ信号が送信されるそれらのアナログ信号経路に対して、スイッチK61、K62、…K6mは、位置2に設定され、それらの対応するスイッチK71、K72、…K7mは、開に設定される。対応するアナログ信号経路が信号の受信に使用されない場合は、スイッチK61、K62、…K6mの中のいくつかのスイッチは、位置2に設定し、それらの対応するスイッチK71、K72、…K7mは、閉に設定することができる。K8は、処理中の事象の信号を格納するストレージセルを接続する位置に設定される。
【0172】
[00187] 第2のシナリオでは、検知要素レベルの回路は、近隣の回路にアナログ信号を送信するように設定することができる。近隣の回路にアナログ信号が送信されるそれらのアナログ信号経路に対して、スイッチK61、K62、…K6mは、位置1に設定され、それらの対応するスイッチK71、K72、…K7mは、閉に設定される。対応するアナログ信号経路が信号の受信に使用されない場合は、スイッチK61、K62、…K6mの中のいくつかのスイッチは、位置2に設定し、それらの対応するスイッチK71、K72、…K7mは、閉に設定することができる。K8は、処理中の事象の信号を格納するストレージセルを接続する位置に設定される。
【0173】
[00188] ここで
図13を参照すると、
図13は、本開示の実施形態と一致する、電子計数に役立ち得る方法8000を示すフローチャートである。方法8000は、荷電粒子検査システムの回路(例えば、
図12Aの800A)、
図1若しくは
図2Bのコントローラ109などのコントローラ又は
図4、
図5A~5C、
図12Aの制御ユニット490、プロセッサ980などのプロセッサ或いはそれらの組合せを含むコンポーネントによって実行することができる。コンポーネントは、方法8000を実施するようにプログラムされた回路(例えば、メモリ及びプロセッサ)を含み得る。方法8000は、アナログ信号処理方法を含み得る。
【0174】
[00189]
図13に示されるように、方法8000は、「開始」ステップから始めることができる。開始ステップでは、検出プロセスは、既に進行中であり得る。方法8000は、例えば、ステップA及び
図7Aの処理が行われた後に始めることができる。
【0175】
[00190] 方法8000は、異なる検知要素と関連付けられた回路を接続することを決定するステップ8101を含み得る。異なる検出セルを接続することを決定することができる。ステップ8101は、接続することを決定する第1の方法、接続することを決定する第2の方法又は他の方法を含み得る。接続することを決定する第1の方法は、単に事象開始時刻を比較することによってのみ、近隣の検出セルの電子到着事象が同じ入射電子によって生じたかどうかを判断することを含み得る。例えば、開始時刻が同じである場合は、事象は、同じ入射電子によって生じたものであると決定することができる。接続することを決定する第2の方法は、開始時刻と終了時刻の両方を比較することによって又は事象の時間を使用することによって、近隣の検出セルの事象が同じ入射電子によって生じたかどうかを判断することを含み得る。両方の事象の開始時刻及び終了時刻が同じである場合は、事象は、同じ入射電子によって生じたものであると決定することができる。開始時刻が同じであり、事象が同じ持続時間を有する場合は、事象は、同じ入射電子によって生じたものであると決定することができる。
【0176】
[00191] 接続することを決定する第1の方法は、第1の検知要素の電子到着事象の開始時刻が第2の検知要素の電子到着事象の開始時刻と実質的に同じであると決定することを含み得る。いくつかの実施形態では、それらの時刻が互いに既定の量の範囲内である場合は、開始時刻は、実質的に同じであると見なすことができる。既定の量は、検出器のクロックスピード、電子到着事象の平均分離時間又は検知要素のパラメータ(検知要素の不感時間)に基づき得る。既定の量は、例えば、電子到着事象の平均分離時間のほんの一部であり得る。
【0177】
[00192] いくつかの実施形態では、確度を優先することができ、接続することを決定する第2の方法を使用することができる。例えば、第2の方法は、より高い確度を可能にし、第1の方法より多くの計算を必要とし得る。いくつかの実施形態では、応答スピードを優先することができ、接続することを決定する第1の方法を使用することができる。例えば、第1の方法は、第2の方法より低い電力消費量及び短いレイテンシを可能にすることができる。検出システムの検出確度、プロセスレイテンシ及び電力消費量などのパラメータ間のトレードオフ関係が存在し得る。そのようなパラメータは、異なるモードのうちの1つで動作するようにシステムを構成することによって、オンザフライで変更することができる。その上、いくつかの実施形態では、レイテンシが長いほど、タイプ2のオーバーフローを引き起こす可能性が高くなる。より長いレイテンシに起因するタイプ2のオーバーフローを低減するため、各検出セルにおいて、より深いアナログパイプラインを使用することができる。
【0178】
[00193] いくつかの実施形態では、ステップ8101は、
図7Aからの処理に基づき得る。例えば、ステップ8101は、積分開始信号又は2つ以上の異なる検知要素からのタイムスタンプに基づき得る。積分開始信号が生成されていること、異なる検知要素の開始タイムスタンプが実質的に同じであること及び2つの検知要素からの信号をマージすべきであること決定することができる。ステップ8101は、近隣の検知要素からの信号のみを比較することを含み得る。近隣の検知要素は、検出器上の検知要素のアレイの水平又は垂直方向において互いに隣接するものであり得る。いくつかの実施形態では、近隣の検知要素は、斜めに隣接する検知要素を含み得る。ステップ8101は、対ごとに実行することができ(例えば、ある決定は、ある2つの近隣の検知要素に対して実行され、別の決定は、別の2つの近隣の検知要素に対して実行される)。ステップ8101は、アナログ信号処理方法が使用される際は、対ごとに実行することができる。いくつかの実施形態では、例えば、デジタル信号処理方法が使用される際は、ステップS8101は、異なる基準で実行することができる。
【0179】
[00194] 方法8000は、相互接続部を介して接続を形成するステップ8103を含み得る。ステップ8103は、相互接続部920を使用して近隣の検出セルを接続することを含み得る。ステップ8103は、相互接続部のスイッチを作動させることを含み得る。ステップ8103は、アナログ信号経路921を使用して近隣の検出セルを接続することを含み得る。
【0180】
[00195] 方法8000は、アナログ信号処理経路から信号を出力するステップ8105を含み得る。ステップ8105は、変換器450から信号を出力することを含み得る。ステップ8105は、アナログ信号プロセッサ910から信号を出力することを含み得る。ステップ815は、アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460から信号を出力することを含み得る。ステップ8105は、1つ又は複数の検出セルから信号を出力することを含み得る。ステップ8105は、問合せを含み得る。ステップ8105は、スイッチ(
図5Aに関して上記で論じられるスイッチK
31など)を介してストレージセルを選択することを含み得る。ステップ8105は、
図7Cに関して上記で論じられるステップ7304及び後続のステップを含み得る。
【0181】
[00196] いくつかの実施形態では、相互接続部は、ストレージセルアレイの下流及び制御ユニット490の上流に提供することができる。例えば、相互接続されたものは、アナログ信号ルーティングマルチプレクサ460(
図12A及び12Bを参照)の形態で提供することができる。ステップ8105では、ストレージセルからの信号は、タップして、相互接続部を通じて、他の検出セルのコンポーネントを使用して処理が行われ得る別の検出セルに送信することができる。ストレージセルからの信号は、アナログ形式であり得る。アナログ信号ルーティングは、信号の加算を実行することを含み得、関与するすべての検出セルのアナログ信号ルーティングマルチプレクサのスイッチは、同じ電子到着事象の信号を同時に格納するストレージセルを選択するように制御することができる。検出器は、関与するすべての検出セル間の同期を提供するように構成することができる。
【0182】
[00197] いくつかの実施形態では、信号ルーティングは、デジタル信号処理を実行することを含み得る。いくつかの実施形態では、デジタル相互接続部を使用することができ、セル選択及びスイッチ制御の同期の必要性を排除することができる。
【0183】
[00198] 方法8000は、信号の加算又は処理を実行するステップ8107を含み得る。ステップ8107は、異なる検出セルの信号を加算することを含み得る。次いで、異なる検出セルからの信号をまとめて処理することができる。いくつかの実施形態では、ステップ8107において、異なる検出セルからの同じ電子到着事象の信号を加算することができる。
【0184】
[00199] 方法8000は、分析を実行するステップ8109を含み得る。ステップ8109の分析は、ステップ8107において加算又は処理された信号に対して実行することができる。分析は、加算信号に対して実行することができる。2つ以上の検出セルからの信号は、加算して、次いで、まとめて処理することができる。
【0185】
[00200] 検知要素の境界の近くで起こる荷電粒子到着事象は、近隣の検知要素のボリュームに拡大するイオン化領域を形成し得る。近隣の検知要素で生成された信号は、荷電粒子が最初に着地した検知要素で生成された信号に加算することができる。加算信号は、処理することができ、加算信号は、起こった単一の荷電粒子到着事象をより正確に表し得る。
【0186】
[00201] 2つ以上の検出セルからの信号を分析することは、単一の検出セルの分析のために使用されるものと同じ又は異なる閾値を使用することを伴い得る。例えば、参照値(例えば、
図5A~5Cに関して上記で論じられるv
ref11)との比較を行うことができる。2つ以上の検出セルからの信号を分析する際に使用される参照値は、同じものであり得、分析結果は、より正確なものであり得る。いくつかの実施形態では、参照値は、例えば、相互接続部を通じて信号が送信される際に伴い得る損失を考慮するために調整することができる。調整量は、較正を通じて決定することができる。較正は、例えば、数値シミュレーション又は実験を含み得る。変換器450は、複数の参照値を含み得、所望の参照値は、信号分析の状況に基づいて選択することができる。
【0187】
[00202] ここで
図14を参照すると、
図14は、本開示の実施形態と一致する、電子計数に役立ち得る方法8200を示すフローチャートである。方法8200は、方法8000と同様に、荷電粒子検査システムの回路、制御ユニット、プロセッサ又はそれらの組合せを含むコンポーネントによって実行することができる。方法8200は、デジタル信号処理方法を含み得る。
【0188】
[00203]
図14に示されるように、方法8200は、「開始」ステップから始めることができる。開始ステップでは、検出プロセスは、既に進行中であり得る。方法8200は、例えば、ステップA及び
図7Aの処理が行われた後に始めることができる。
【0189】
[00204] 方法8200は、異なる検知要素と関連付けられた回路を接続することを決定するステップ8201を含み得る。異なる検出セルを接続することを決定することができる。ステップ8201は、
図7Aからの処理に基づき得る。ステップ8201は、
図13に関して上記で論じられるステップ8101と同様に、接続することを決定する第1の方法、接続することを決定する第2の方法又は他の方法を含み得る。例えば、ステップ8201は、積分開始信号又は2つ以上の異なる検知要素からのタイムスタンプに基づき得る。積分開始信号が生成されていること、異なる検知要素の開始タイムスタンプが実質的に同じであること及び2つの検知要素からの信号をマージすべきであること決定することができる。ステップ8201は、近隣の検知要素からの信号のみを比較することを含み得る。近隣の検知要素は、検出器上の検知要素のアレイの水平又は垂直方向において互いに隣接するものであり得る。いくつかの実施形態では、近隣の検知要素は、斜めに隣接する検知要素を含み得る。ステップ8201は、対ごとに実行することも(例えば、ある決定は、ある2つの近隣の検知要素に対して実行され、別の決定は、別の2つの近隣の検知要素に対して実行される)、他の何らかの基準で実行することもできる。
【0190】
[00205] 方法8200は、相互接続部を介して接続を形成するステップ8203を含み得る。ステップ8203は、相互接続部920を使用して近隣の検出セルを接続することを含み得る。ステップ8203は、相互接続部のスイッチを作動させることを含み得る。ステップ8203は、データ経路922を使用して近隣の検出セルを接続することを含み得る。
【0191】
[00206] 方法8200は、デジタル信号を出力するステップ8205を含み得る。ステップ8205は、変換器450から信号を出力することを含み得る。ステップ8205は、データ変換器930から信号を出力することを含み得る。ステップ8205は、1つ又は複数の検出セルから信号を出力することを含み得る。ステップ8205は、問合せを含み得る。ステップ8205は、スイッチ(
図5Aに関して上記で論じられるスイッチK
31など)を介してストレージセルを選択することを含み得る。選択されたストレージセルには、コンパレータ(電圧コンパレータなど)による問合せを行うことができる。ステップ8205からの出力は、データ経路922上で送信されるデジタル信号であり得る。
【0192】
[00207] 方法8200は、処理を実行するステップ8207を含み得る。ステップ8207は、2つ以上の検出セルからのデジタル信号の処理を実行することを含み得る。ステップ8207は、2つ以上の検出セルからのデジタル信号のいくつかの加算又はフィルタリングを行うことを含み得る。例えば、検出セルのうちの1つからの信号が、他の検出セルで起こっているものと同じ荷電粒子到着事象と関連付けられていると決定することができ、その信号を無視することができる。例えば、両方の検出セルが荷電粒子事象の検出をトリガするほど十分な信号を受信した場合は、荷電粒子事象は、ダブルカウントされ得る。そのようなミスカウントを回避するため、ステップ8207は、計数結果のうちの1つをフィルタ除去することを含み得る。いくつかの実施形態では、複数の検出セルによって受信された部分的なエネルギーを表す信号は、改善された確度で入射電子のエネルギーを決定するために処理することができる。例えば、異なる検出セルからの信号は、入射電子のエネルギーレベルを正確に決定することができるように加算することができる。その上、同じ電子到着事象に関連するいくつかの信号から結合信号を生成し、ミスカウント率を低減することができる。
【0193】
[00208] ステップ8207は、ローカル又は下位レベルの制御ユニットであり得る制御ユニット940を使用して処理を実行することを含み得る。ステップ8207の処理は、分散処理を含み得る。検知要素のアドレス又は荷電粒子事象の衝突場所などの情報は、局所的に決定することができる。次いで、上位レベルの制御ユニットを使用してさらなる処理を行うことができる。例えば、一方の検出セルが荷電粒子到着事象の全エネルギーの一定の部分(例えば、3分の1)を受信したことを2つの検出セル間で局所的に決定することができる。これに基づいて、衝突場所情報を決定することができる。例えば、荷電粒子は、検知要素の縁部から3分の1の所に到着したと推定することができる。そのような決定は、二次元で実行することができる。例えば、そのような決定は、2つの近隣の検知要素に対して水平方向に且つ2つの近隣の検知要素に対して垂直方向に実行することができる。それに基づいて、検知要素の衝突場所に対する二次元座標(例えば、x、y位置)を決定することができる。
【0194】
[00209] ここで
図15を参照すると、
図15は、本開示の実施形態と一致する、電子計数に役立ち得る方法8300を示すフローチャートである。方法8300は、方法8000又は方法8200と同様に、荷電粒子検査システムの回路、制御ユニット、プロセッサ又はそれらの組合せを含むコンポーネントによって実行することができる。方法8300は、組み合わせた信号処理方法(例えば、アナログ信号処理とデジタル信号処理を組み合わせる)を含み得る。
【0195】
[00210]
図15に示されるように、方法8300は、「開始」ステップから始めることができる。開始ステップでは、検出プロセスは、既に進行中であり得る。方法8200は、例えば、ステップA及び
図7Aの処理が行われた後に始めることができる。
【0196】
[00211] 方法8300は、検出セルのグループからデジタル形式信号を取得するステップ8301を含み得る。いくつかの実施形態では、グループは、検出器上の特定のサブ領域の処理に関与するすべての検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットを含み得る。検出セルのグループからのデジタル形式信号は、前処理を実行するために使用することができる。いくつかの実施形態では、ステップ8301は、
図13及び14に関して上記で論じられるステップ8101及び8201と同様に、異なる検知要素と関連付けられた回路を接続することを決定することを含み得る。
【0197】
[00212] 方法8300は、アナログ信号処理を実行するステップ8303を含み得る。ステップ8303は、
図13の方法を実行することを含み得る。
【0198】
[00213] 方法8300は、デジタル信号処理を実行するステップ8305を含み得る。ステップ8305は、
図14の方法を実行することを含み得る。
【0199】
[00214] 方法8000、8200又は8300を実行した後、SEM画像ピクセルデータ生成、SEM画像パラメータ調節、事前検査、投影追跡などを含むデータ処理など、さらなる処理を実行することができる。さらなる処理は、例えば、プロセッサ980によって実行することができる。その上、アナログ信号処理(例えば、
図15のステップ8303)とデジタル信号処理(例えば、
図15のステップ8305)をまとめて実行することができる。
【0200】
[00215] 方法は、アナログ、デジタル又はそれらの組合せの異なる処理モードのどれを使用するかを決定することを含み得る。動作モードを決定することは、アナログ、デジタル又はそれらの組合せの処理モードを実行する際に使用できるものとは異なるプロセッサに基づいて制御することができる。例えば、上位レベルのプロセッサは、どの動作モードを使用するかを決定することができる。
【0201】
[00216] その上、いくつかの実施形態では、方法は、どの検出セルが処理を実行するかを決定することを含み得る。処理のためにどの検出セルを使用するかを決定することは、近隣の検知要素の付近で起こる荷電粒子到着事象に基づき得る。例えば、処理のために使用する検出セルは、荷電粒子到着事象の大部分のエネルギーを受信する検知要素に基づいて決定することができる。いくつかの実施形態では、決定は、オーバーフロー又はビジー信号インジケータなど、他の要因に基づき得る。検出セルがビジー状態である場合は、近隣の検出セルの他の検出セルを使用することができる。2つの検知要素が荷電粒子到着事象のエネルギーをほぼ等しく受信し、一方がビジー状態である場合は、他方を使用することを決定することができる。どの検出セルを使用するかの決定では、処理負荷を考慮することができる。
【0202】
[00217] 本開示の態様は、以下の番号付き条項に記載される。
1. 荷電粒子検出器用の回路であって、
検知要素の出力を表す信号を受信するように構成されたストレージセルと、
検知要素の出力を表す信号をストレージセルに選択的に送信するように構成されたストレージセルマルチプレクサと、
検知要素の出力を表す信号と閾値との比較に基づいて積分開始信号を決定するように構成された回路を含む閾値検出器と、
ストレージセルから送信された信号に対する信号処理を実行するように構成された回路を含む変換器と
を含む、回路。
2. ストレージセルが、回路に含まれる複数のストレージセルのうちの1つであり、複数のストレージセルが、検知要素の出力を表す信号を受信するように構成される、条項1に記載の回路。
3. 結果分析要求インジケータをモニタするように構成された回路を含む制御ユニット
をさらに含む、条項1又は2に記載の回路であって、
制御ユニットが、
結果分析要求インジケータが設定されたと決定することに応答して、第1のストレージセルに対する信号処理を実行することと、
信号処理に基づいて変換器から出力を受信することと
を行うように構成される、回路。
4. 検知要素の出力を異なる形式の電気信号に変換するように構成された回路
をさらに含む、条項1~3の何れか一項に記載の回路。
5. マルチプレクサが、スイッチを含む、条項1~4の何れか一項に記載の回路。
6. ストレージセルを変換器に接続するように構成されたスイッチであって、一度に1つのストレージセルを変換器に接続するように構成されたスイッチ
をさらに含む、条項1~5の何れか一項に記載の回路。
7. 入力段によって検知要素から受信された電流又は電荷に比例して出力を生成するように構成された回路を含む入力段
をさらに含む、条項1~6の何れか一項に記載の回路。
8. 入力段が、入力段によって検知要素から受信された電流又は電荷に基づいて増幅信号を出力するように構成された電流制御電流源を含み、閾値検出器が、増幅信号を電流閾値と比較するように構成された電流検出器を含む、条項7に記載の回路。
9. 入力段が、入力段によって検知要素から受信された電流又は電荷に基づいて電圧信号を出力するように構成されたトランスインピーダンス増幅器を含み、閾値検出器が、電圧信号を参照と比較するように構成された電圧コンパレータを含む、条項7に記載の回路。
10. 制御ユニットが、
積分開始信号を受信することと、
検知要素の出力を表す信号と第2の閾値との比較に基づいて積分終了信号を受信することと、
積分終了信号を受信することに応答して、ストレージセルと検知要素との間の接続状態を変更するようにストレージセルマルチプレクサを制御することと
を行うように構成される、条項3に記載の回路。
11. 制御ユニットが、
積分終了信号を受信することに応答して、積分回路ビジーインジケータを設定し、ストレージセルと検知要素との間の接続状態を変更するまで、積分回路ビジーインジケータを維持する
ように構成される、条項10に記載の回路。
12. 制御ユニットが、
結果分析要求インジケータが設定されたと決定することに応答して、アドレスリストから問合せ予定のストレージセルのアドレスを取得する
ように構成される、条項3に記載の回路。
13. 検知要素の出力を表す信号が第1の閾値をクロスすることに応答して、第1の荷電粒子事象に対応する第1のストレージセルを使用して、検知要素の出力を表す信号の積分を実行することと、
第1の荷電粒子事象の後に検知要素の出力を表す信号が第1の閾値をクロスすることに応答して、第2の荷電粒子事象に対応する第2のストレージセルを使用して、検知要素の出力を表す信号の積分を実行することと
を含む、方法。
14. 検知要素の出力が第1の閾値をクロスした際に、積分開始信号を生成することと、
検知要素の出力が第2の閾値をクロスした際に、積分終了信号を生成することと
をさらに含む、条項13に記載の方法。
15. 積分開始信号のための第1のタイムスタンプ及び積分終了信号のための第2のタイムスタンプを生成すること
をさらに含む、条項14に記載の方法。
16. 第1のストレージセル及び第2のストレージセルの一方に検知要素から信号が供給されるように、ストレージセルマルチプレクサの接続状態を変更すること
をさらに含む、条項13~15の何れか一項に記載の方法。
17. 第1のストレージセル及び第2のストレージセルの一方に検知要素から供給される信号が、増幅信号である、条項16に記載の方法。
18. 第1のストレージセル及び第2のストレージセルの一方が、第1のストレージセル及び第2のストレージセルの一方から送信された信号に対する信号処理を実行するように構成された変換器に接続されるように、スイッチの接続状態を変更すること
をさらに含む、条項13~16の何れか一項に記載の方法。
19. 第1のストレージセル又は第2のストレージセルから送信された信号を参照と比較すること
をさらに含む、条項13~18の何れか一項に記載の方法。
20. 参照が、複数の参照のうちの1つであり、第1のストレージセル又は第2のストレージセルから送信された信号を比較することが、第1のストレージセル又は第2のストレージセルから送信された信号を複数の参照の各々と比較し、その結果を制御ユニットに出力することを含む、条項19に記載の方法。
21. 検知要素において受信された荷電粒子の数を計数すること
をさらに含む、条項13~20の何れか一項に記載の方法。
22. 荷電粒子ビーム装置に方法を実行させるために荷電粒子ビーム装置のコントローラの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットを格納する非一時的なコンピュータ可読媒体であって、方法が、
荷電粒子ビームを生成することと、
検出器の検知要素の出力を表す信号が第1の閾値を超えた際に、第1の荷電粒子事象に対応する第1のストレージセルを使用して、検知要素の出力を表す信号を積分することと、
第1の荷電粒子事象の後に検知要素の出力を表す信号が第1の閾値を超えた際に、第2の荷電粒子事象に対応する第2のストレージセルを使用して、検知要素の出力を表す信号を積分することと
を含む、媒体。
23. 命令セットが、
検知要素の出力が第1の閾値をクロスした際に、積分開始信号を生成することと、
検知要素の出力が第2の閾値をクロスした際に、積分終了信号を生成することと
を荷電粒子ビーム装置に行わせるために実行可能である、条項22に記載の媒体。
24. ストレージセルと、
電子検知要素からストレージセルに信号を送信するように構成されたマルチプレクサと、
入射電子のエネルギーレベルの決定を可能にするためにストレージセルの電圧を検出するように構成された電圧検出器と
を含む、電子計数検出器。
25. 電圧検出器が、電子到着事象の間に検出された電子の数を決定するように構成される、条項24に記載の電子計数検出器。
26. 電子検知要素から受信された信号を増幅し、増幅信号を出力するように構成された入力段
をさらに含む、条項24又は25に記載の電子計数検出器。
27. ストレージセルが、電子計数検出器に含まれる複数のストレージセルのうちの1つであり、
マルチプレクサが、電子検知要素からの信号又はその増幅形式を複数のストレージセルの何れかに送信するように構成され、
マルチプレクサ及び複数のストレージセルが、電子検知要素からの信号の実質的に連続した捕捉及び関連付けられた電子計数を可能にする、条項24~26の何れか一項に記載の電子計数検出器。
28. 電子検知要素からの信号が、電子検出事象の開始を示す第1の閾値をクロスした際、及び、電子検出事象の終了を示す第2の閾値をクロスした際にそれらを検出するように構成された閾値検出器
をさらに含む、条項24~27の何れか一項に記載の電子計数検出器。
29. 荷電粒子ビーム装置用の検出器であって、
複数の検知要素と、
検知要素の各々のための回路であって、
検知要素の出力を表す信号を受信するように構成されたストレージセルと、
検知要素の出力を表す信号をストレージセルに選択的に供給するように構成されたマルチプレクサと、
荷電粒子到着事象に対応する積分の開始を決定するように構成された回路を含む閾値検出器と、
荷電粒子到着事象についての情報を決定するように構成された回路を含む変換器と
を含む、回路と
を含む、検出器。
30. セグメント化された検出器アレイを含む、条項29に記載の検出器。
31. 情報が、荷電粒子到着事象のエネルギーレベルを含む、条項29又は30に記載の検出器。
32. 情報が、オーバーフローインジケータを含む、条項29~31の何れか一項に記載の検出器。
33. オーバーフローインジケータが、荷電粒子到着事象の間に既定の数を超える荷電粒子が到着したかどうかを示す、条項32に記載の検出器。
34. 電流閾値が、第1の閾値及び第2の閾値を含む、条項8に記載の回路。
35. 閾値検出器が、荷電粒子到着事象に対応する積分の終了を決定するように構成された回路を含む、条項29に記載の検出器。
36. 結果分析要求インジケータが、積分開始信号の後に積分終了信号を受信することに応答して設定される、条項3に記載の回路。
37. 異なる形式の電気信号に変換されている検知要素の出力が、電圧に変換されている検知要素の出力を含む、条項4に記載の回路。
38. 異なる形式の電気信号に変換されている検知要素の出力が、増幅電流に変換されている検知要素の出力を含む、条項4に記載の回路。
39. 電子検知要素から受信された電荷信号を増幅し、増幅電荷信号を出力するように構成された入力段と、
電荷ストレージセルと、
電荷ストレージセルに増幅電荷信号を送信するように構成されたmuxと、
検出された電子の数の決定を可能にするために電荷ストレージセルの電圧を検出するように構成された電圧検出器と
を含む、電子計数検出器。
40. 電荷ストレージセルが、複数の電荷ストレージセルのうちの1つであり、
muxが、複数の電荷ストレージセルの何れか1つに増幅電荷信号を送信するように構成され、
mux及び複数の電荷ストレージセルが、増幅電荷信号の実質的に連続した捕捉及び関連付けられた電子計数を可能にする、条項39に記載の検出器。
41. 電子検知要素から受信された電荷信号が、電子検出事象の開始を示す第1の閾値をクロスした際、及び、
電子検知要素から受信された電荷信号が、電子検出事象の終了を示す第2の閾値をクロスした際
にそれらを検出するように構成された閾値検出器
をさらに含む、条項39又は40に記載の検出器。
42. muxが、電子検知要素から受信された電荷信号が第2の閾値をクロスしたことを閾値検出器が検出することに応答して、入力段と複数の電荷ストレージセルとの間の接続状態を変更するように構成される、条項41に記載の検出器。
43. 結果分析要求インジケータをモニタするように構成された制御ユニット
をさらに含む、条項41又は42に記載の検出器であって、結果分析要求インジケータが設定されたと決定することに応答して、電圧検出器が、電荷ストレージセルの電圧を検出する、検出器。
44. 電圧検出器の構成が、検出された電子の各々が後方散乱電子であるか又は二次電子であるかの判断をさらに可能にする、条項40に記載の検出器。
45. 電圧検出器の構成が、検出された電子のエネルギーレベルの決定をさらに可能にする、条項40に記載の検出器。
46. ストレージセルから別の検出セルの回路にアナログ信号を送信するように構成された相互接続部
をさらに含む、条項1~12、34、36~38の何れか一項に記載の回路。
47. 別の検出セルの回路が、アナログ信号ルーティングマルチプレクサを含む、条項46に記載の回路。
48. 相互接続部が、デジタルデータを別の検出セルの制御ユニットに送信するように構成されたデータ経路を含む、条項46に記載の回路。
49. ストレージセルからのアナログ信号又はストレージセルの電圧を含むデジタル信号を別の検出セルの回路に送信するように構成された相互接続部
をさらに含む、条項24~28の何れか一項に記載の電子計数検出器。
50. ストレージセルからのアナログ信号又は変換器によって決定されたデータ信号を別の検出セルの回路に送信するように構成された相互接続部
をさらに含む、条項29~33、35の何れか一項に記載の検出器。
51. 電荷ストレージセルからのアナログ信号又は電荷ストレージセルの電圧を含むデータ信号を別の検出セルの回路に送信するように構成された相互接続部
をさらに含む、条項39~45の何れか一項に記載の検出器。
52. 他の電子検知要素が、電子計数検出器の水平方向、垂直方向又は斜め方向における近隣の検知要素を含む、条項49に記載の電子計数検出器。
53. 他の検出セルが、検出器の水平方向、垂直方向又は斜め方向における近隣の検出セルを含む、条項50に記載の検出器。
54. 他の検出セルが、検出器の水平方向、垂直方向又は斜め方向における近隣の検出セルを含む、条項51に記載の検出器。
55. 荷電粒子検出器用の回路であって、
検知要素の出力を表す信号を受信するように構成されたストレージセルと、
検知要素の出力を表す信号をストレージセルに選択的に送信するように構成されたストレージセルマルチプレクサと、
ストレージセルの出力を別の検出セルの検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットに送信するように構成された相互接続部と
を含む、回路。
56. ストレージセルから送信された信号に対する信号処理を実行するように構成された回路を含む変換器
をさらに含む、条項55に記載の回路。
57. 相互接続部が、変換器に含まれる電圧コンパレータ又はADCの下流に位置する、条項56に記載の回路。
58. 相互接続部が、ストレージセルからのアナログ信号を別の検出セルの回路に送信するように構成される、条項55~57の何れか一項に記載の回路。
59. 相互接続部が、別の検出セルの制御ユニットにデジタルデータを送信するように構成されたデータ経路を含む、条項55~57の何れか一項に記載の回路。
60. 別の検出セルが、水平方向、垂直方向又は斜め方向における近隣の検出セルを含む、条項46~48の何れか一項に記載の回路。
61. 荷電粒子検出器用の回路であって、
荷電粒子到着事象に応答して検知要素の出力を表す信号を受信するように構成されたストレージセルから送信された信号に対する信号処理を実行するように構成された回路を含む検知要素レベルの信号処理及び制御ユニットと、
別の検知要素からアナログ信号経路又はデータ経路を接続するように構成された相互接続部と
を含む、回路。
62. 相互接続部が、
ストレージセルからのアナログ信号を別の検出セルの回路に送信するように構成されたアナログ信号経路、又は、
別の検知要素と関連付けられた制御ユニットにデジタルデータを送信するように構成されたデータ経路
を含む、条項61に記載の回路。
63. 第1の検出セルのストレージセルからの信号及び第2の検出セルのストレージセルからの信号を使用して処理を実行するように構成されたローカル制御ユニット
をさらに含む、条項61又は62に記載の回路。
64. アナログ信号ルーティングマルチプレクサが、ストレージセルから送信された信号及び他の検知要素のストレージセルから送信された信号を含む加算信号を受信するように構成された変換器に接続される、条項61~63の何れか一項に記載の回路。
65. 他の検知要素が、近隣の検知要素を含む、条項64に記載の回路。
66. 荷電粒子の数を決定する方法であって、
相互接続部を介して、第1の検知要素と関連付けられた第1の回路と第2の検知要素と関連付けられた第2の回路を接続することと、
第1の回路を使用して第1の回路からの第1の信号及び第2の回路からの第2の信号に基づいて処理を実行することと、
処理に基づいて荷電粒子の数を決定することと
を含む、方法。
67. 処理が、
荷電粒子の数に含まれる入射荷電粒子のエネルギーレベルを決定すること
を含む、条項66に記載の方法。
68. 処理が、
加算信号を形成するために第1の信号と第2の信号を加算することと、
加算信号が閾値をクロスしたかどうかを判断することと
を含む、条項66又は67に記載の方法。
69. 第1の信号及び第2の信号が、デジタル信号であり、処理が、第1の信号又は第2の信号の加算又はフィルタリングを行うことを含む、条項66に記載の方法。
70. 第1の回路と第2の回路を接続すると決定すること
をさらに含む、条項66~69の何れか一項に記載の方法。
71. 第1の回路と第2の回路を接続すると決定することが、第1の検知要素及び第2の検知要素の各々で起こる荷電粒子到着事象のタイムスタンプ又はエネルギーレベルに基づく、条項70に記載の方法。
72. 第1の回路と第2の回路を接続すると決定することが、
第1の検知要素の電子到着事象の開始時刻が、第2の検知要素の電子到着事象の開始時刻と実質的に同じであると決定すること
を含む、条項71に記載の方法。
73. 第1の回路と第2の回路を接続すると決定することが、
第1の検知要素の電子到着事象の終了時刻が、第2の検知要素の電子到着事象の終了時刻と実質的に同じであると決定すること
を含む、条項72に記載の方法。
74. 第1の回路と第2の回路を接続すると決定することが、
第1の検知要素の電子到着事象の時間が、第2の検知要素の電子到着事象の時間と実質的に同じであると決定すること
を含む、条項72に記載の方法。
75. 相互接続部を接続するためにスイッチを作動させること
をさらに含む、条項66~74の何れか一項に記載の方法。
76. 荷電粒子を受信する検知要素のアドレスを決定すること
をさらに含む、条項66~75の何れか一項に記載の方法。
77. 荷電粒子の衝突場所を決定すること
をさらに含む、条項66~76の何れか一項に記載の方法。
78. システムに方法を実行させるためにシステムの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能な命令セットを格納するコンピュータ可読媒体であって、方法が、
相互接続部を介して、第1の検知要素と関連付けられた第1の回路と第2の検知要素と関連付けられた第2の回路を接続することと、
第1の回路を使用して第1の回路からの第1の信号及び第2の回路からの第2の信号に基づいて処理を実行することと、
処理に基づいて荷電粒子の数を決定することと
を含む、媒体。
79. 処理が、
荷電粒子の数に含まれる入射荷電粒子のエネルギーレベルを決定すること
を含む、条項78に記載の媒体。
80. 処理が、
加算信号を形成するために第1の信号と第2の信号を加算することと、
加算信号が閾値をクロスしたかどうかを判断することと
を含む、条項78又は79に記載の媒体。
81. 第1の信号及び第2の信号が、デジタル信号であり、処理が、第1の信号又は第2の信号の加算又はフィルタリングを行うことを含む、条項80に記載の媒体。
82. 命令セットが、
第1の回路と第2の回路を接続すると決定すること
をシステムにさらに実行させるために、システムの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、条項78~81の何れか一項に記載の媒体。
83. 第1の回路と第2の回路を接続すると決定することが、第1の検知要素及び第2の検知要素の各々で起こる荷電粒子到着事象のタイムスタンプ又はエネルギーレベルに基づく、条項82に記載の媒体。
84. 命令セットが、
相互接続部を接続するためにスイッチを作動させること
をシステムにさらに実行させるために、システムの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、条項78~83の何れか一項に記載の媒体。
85. 命令セットが、
荷電粒子を受信する検知要素のアドレスを決定すること
をシステムにさらに実行させるために、システムの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、条項78~84の何れか一項に記載の媒体。
86. 命令セットが、
荷電粒子の衝突場所を決定すること
をシステムにさらに実行させるために、システムの1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である、条項78~85の何れか一項に記載の媒体。
【0203】
[00218] 本開示の実施形態と一致する、
図6及び13~15の例示的なフローチャートによる荷電粒子の検出のためにコントローラ(例えば、
図1のコントローラ109)のプロセッサに対する命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体を提供することができる。例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された命令は、方法600の一部又は全体を実行するためにコントローラの回路によって実行することができる。非一時的な媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープ又は他の任意の磁気データ記憶媒体、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、他の任意の光データ記憶媒体、ホールのパターンを有する任意の物理的な媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、プログラム可能読み取り専用メモリ(PROM)、消去型プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、フラッシュEPROM又は他の任意のフラッシュメモリ、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、キャッシュ、レジスタ、他の任意のメモリチップ又はカートリッジ、及び、それらのネットワーク接続バージョンを含む。
【0204】
[00219] 図のブロック図は、本開示の様々な例示的な実施形態による、システム、方法及びコンピュータハードウェア又はソフトウェア製品の可能な実装形態のアーキテクチャ、機能性及び動作を示し得る。この点において、概略図の各ブロックは、電子回路などのハードウェアを使用して実施することができるある算術又は論理演算処理を表し得る。また、ブロックは、指定された論理機能を実施するための1つ又は複数の実行可能命令を含むモジュール、セグメント又はコードの一部分も表し得る。いくつかの代替の実装形態では、ブロックに示される機能は、図に記述される順番に関係なく起こり得ることを理解すべきである。例えば、関与する機能性に応じて、連続して示される2つのブロックを実質的に同時に実行若しくは実施することも、2つのブロックを逆の順番で実行できる場合もある。いくつかのブロックは、省略することもできる。また、ブロック図の各ブロック及びブロックの組合せは、指定された機能若しくは行為を実行する特殊用途のハードウェアベースのシステムによって又は特殊用途のハードウェアとコンピュータ命令の組合せによって実装できることも理解すべきである。
【0205】
[00220] 本開示の実施形態は、上記で説明してきた及び添付の図面で示してきた通りの構造に限定されないことや、その範囲から逸脱しない範囲で、様々な修正及び変更を行えることが理解されよう。例えば、荷電粒子検査システムは、本開示の実施形態と一致する荷電粒子ビームシステムの一例にすぎない。
【国際調査報告】