(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-01
(54)【発明の名称】耐食性のための摩擦攪拌処理
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20230725BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20230725BHJP
【FI】
H01L21/31 C
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022581337
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-02-28
(86)【国際出願番号】 US2021039979
(87)【国際公開番号】W WO2022010718
(87)【国際公開日】2022-01-13
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティン・キース・ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ラインバーガー・ジュニア.・ニック レイ
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB22
5F004CA08
5F004DB01
5F004DB03
5F004DB19
5F004DB20
5F045AA08
5F045AA15
5F045AF02
5F045AF03
5F045AF04
5F045AF07
5F045AF09
5F045EF05
5F045EF11
5F045EK07
5F045EM05
(57)【要約】
いくつかの例では、構成要素の耐食性を強化するための技法がもたらされる。いくつかの例では、構成要素は、粒状金属材料を含む。材料に対して、摩擦攪拌処理作業が行われる。摩擦攪拌処理作業は、処置経路において、粒状金属材料の表面厚さを通して、摩擦攪拌溶接ツールの回転ヘッドを通過させることを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状金属材料の粒子サイズに影響を与えるように、前記材料を処置する方法であって、
前記材料に摩擦攪拌処理作業を行うことを含み、前記摩擦攪拌処理作業は、処置経路において、前記粒状金属材料の表面厚さを通して、摩擦攪拌溶接ツールの回転ヘッドを通過させることを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記摩擦攪拌処理作業は、摩擦攪拌溶接作業がない、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記処置経路は、処置パターンを含み、前記処置パターンは、前記粒状金属材料の表面領域内に位置する、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記処置パターンにおける第1の処置経路は、前記処置パターンにおける第2の処置経路と重なり合う、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、前記処置パターンは、ラスタパターンを含む、方法。
【請求項6】
請求項3に記載の方法であって、前記処置パターンは、螺旋パターンを含む、方法。
【請求項7】
請求項3に記載の方法であって、前記処置パターンは、往復パターンを含む、方法。
【請求項8】
請求項3に記載の方法であって、前記処置パターンは、蛇行パターンを含む、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記粒状金属材料の表面厚さは、1~20ミリメートル(おおよそ、0.4~7.9インチ)の範囲内である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記粒状金属材料を処置する前記方法は、前記粒状金属材料にアニーリング作業を行うことをさらに含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記アニーリング作業は、摂氏500~600度の範囲内の温度で行われる、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法であって、前記アニーリング作業は、0.01~24時間の範囲内の持続時間の間に行われる、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、前記粒状金属材料は、アルミニウムを含む、方法。
【請求項14】
コンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによって実行されるとき、前記コンピュータに作業を行わせる命令を含み、前記作業は、少なくとも、
粒状金属材料に対して、その粒子サイズに影響を与えるように、摩擦攪拌処理作業を実施することを含み、前記摩擦攪拌処理作業は、処置経路において、前記粒状金属材料の表面厚さを通して、摩擦攪拌溶接ツールの回転ヘッドを通過させることを含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
計算装置であって、
プロセッサと、
命令を記憶したメモリと、を備え、前記命令は、前記プロセッサによって実行されるとき、作業を行うように前記計算装置を構成し、前記作業は、少なくとも、
粒状金属材料に対して、その粒子サイズに影響を与えるように、摩擦攪拌処理作業を実施することを含み、前記摩擦攪拌処理作業は、処置経路において、前記粒状金属材料の表面厚さを通して、摩擦攪拌溶接ツールの回転ヘッドを通過させることを含む、計算装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年7月9日に出願された米国特許仮出願第62/705,642号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般に基板処理チャンバ内の構成要素の耐食性を強化するための技法に関し、より詳細には、摩擦攪拌処理およびその関連でのアニーリング技法に関する。
【背景技術】
【0003】
基板処理チャンバ内のいくつかの構成要素(例えば、台座およびシャワーヘッド)の原材料は、圧延アルミニウム板ストックを含む。通常、このストックは、1つまたは複数の応力緩和技法の適用によって応力緩和されているが、結果としての微細構造は、圧延方向に整列した小さな細長い粒子が依然として残される。この結果は、高温の、フッ素に富む基板処理環境における腐食を低減するために、アルミニウムチャンバ構成要素の表面に、より大きな粒子を作り出すという要求に反する。フッ素は、粒子境界において、構成要素材料を腐食させ得る。粒子サイズを大きくすることによって、粒子境界の密度は、構成要素の表面で低減されることができ、それによって腐食核生成サイトを低減する。抑制されていない腐食は、構成要素に、最終的に基板上に行き着く粒子を放出させる場合があり、例えば、ウェハ生産者に対する著しい歩留まり損失に繋がる。高温アニーリングの適用など、従来の粒子成長技法は、この点に関して効果がないことが見出されている。
【0004】
ここに述べられる背景の説明は、本開示の関連において一般的に述べるためのものである。本明細書で名前が挙げられる発明者らの成果は、この「背景技術」の項で述べられる範囲において、および出願の時点において、そうでなければ従来技術として分類され得ない本説明の態様は、明示的にも暗黙的にも、本開示に対して従来技術として認められるものではない。
【発明の概要】
【0005】
いくつかの例では、粒状金属材料の粒子サイズに影響を与えるように、材料を処置する方法がもたらされる。例示の方法は、材料に摩擦攪拌処理作業を行うことを含み、摩擦攪拌処理作業は、処置経路において、粒状金属材料の表面厚さを通して、摩擦攪拌溶接ツールの回転ヘッドを通過させることを含む。
【0006】
いくつかの例では、摩擦攪拌処理作業は、摩擦攪拌溶接作業がない。
【0007】
いくつかの例では、処置経路は、処置パターンを含み、処置パターンは、粒状金属材料の表面領域内に位置する。
【0008】
いくつかの例では、処置パターンにおける第1の処置経路は、処置パターンにおける第2の処置経路と重なり合う。
【0009】
いくつかの例では、処置パターンは、ラスタパターンを含む。
【0010】
いくつかの例では、処置パターンは、螺旋パターンを含む。
【0011】
いくつかの例では、処置パターンは、往復パターンを含む。
【0012】
いくつかの例では、処置パターンは、蛇行パターンを含む。
【0013】
いくつかの例では、粒状金属材料の表面厚さは、1~20ミリメートル(おおよそ、0.4~7.9インチ)の範囲内である。
【0014】
いくつかの例では、粒状金属材料を処置する方法は、粒状金属材料にアニーリング作業を行うことをさらに含む。
【0015】
いくつかの例では、アニーリング作業は、摂氏500~600度の範囲内の温度で行われる。
【0016】
いくつかの例では、アニーリング作業は、0.01~24時間の範囲内の持続時間の間に行われる。
【0017】
いくつかの例では、粒状金属材料は、アルミニウムを含む。
【0018】
いくつかの例では、非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによって実行されるとき、粒状金属材料に対して、その粒子サイズに影響を与えるように、摩擦攪拌処理作業をコンピュータに実施させる命令を含み、摩擦攪拌処理作業は、処置経路において、粒状金属材料の表面厚さを通して、摩擦攪拌溶接ツールの回転ヘッドを通過させることを含む。
【0019】
いくつかの例では、計算装置は、プロセッサと、命令を記憶したメモリと、を備え、命令は、プロセッサによって実行されるとき、粒状金属材料に対して、その粒子サイズに影響を与えるように摩擦攪拌処理作業を実施するように、装置を構成し、摩擦攪拌処理作業は、処置経路において、粒状金属材料の表面厚さを通して、摩擦攪拌溶接ツールの回転ヘッドを通過させることを含む。
【0020】
いくつかの実施形態は、添付の図面において例として示され、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】いくつかの例示の実施形態による、本開示のいくつかの例がその中に使用され得る、処理チャンバの概略図である。
【0022】
【
図2】例示の実施形態による、摩擦攪拌処理作業の外観を示す図である。
【0023】
【
図3】例示の実施形態による、粒状金属材料の断面図である。
【
図4】例示の実施形態による、粒状金属材料の断面図である。
【
図5】例示の実施形態による、粒状金属材料の断面図である。
【
図6】例示の実施形態による、粒状金属材料の断面図である。
【0024】
【
図7】例示の実施形態による、方法におけるいくつかの作業を示す図である。
【0025】
【
図8】1つまたは複数の例示の実施形態がそれによって実施または制御され得る、例示のマシンを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の説明は、本開示の例示的実施形態を具体化する、システム、方法、技法、命令シーケンス、および計算機プログラム製品を含む。以下の説明において、説明のために、例示の実施形態の十分な理解をもたらすように、数多くの特定の詳細が述べられる。しかし、当業者には、本開示は、これらの特定の詳細がなくても実施され得ることが明らかになるであろう。
【0027】
本特許文書の開示の一部分は、著作権保護を受ける資料を含み得る。本著作権所有者は、米国特許庁特許ファイルまたは記録において現れる通り、本特許文書または本特許開示の、いずれかの者による複製に対しては異議をもたないが、他の場合においてはいかなるすべての著作権も留保する。以下の注記は、以下で述べられ、かつ、本文書の一部となる図面内のいずれのデータにも適用される:著作権ラムリサーチコーポレーション、2020年、著作権所有。
【0028】
次に
図1を参照すると、プラズマベースの処理チャンバの例示の装置100が示される。本主題は、多種多様な半導体製造およびウェハ処理作業で用いられ得るが、例示された例では、プラズマベースの処理チャンバが、プラズマ強化もしくはラジカル強化化学気相成長法(CVD)または原子層堆積(Atomic Layer Deposition:ALD)作業の関連において述べられる。当業者は、他のタイプのALD処理技法(例えば、熱をベースとするALD作業)が知られており、非プラズマベースの処理チャンバを組み込み得ることを認識するであろう。ALDツールは、ALD反応が2つ以上の化学種の間で生じる、特化されたタイプのCVD処理システムである。2つ以上の化学種は、前駆体ガスと呼ばれ、半導体産業で用いられるシリコンウェハなど、基板上に材料の薄膜堆積を形成するために用いられる。前駆体ガスは、ALD処理チャンバ内に順次に導入され、基板の表面と反応して堆積層を形成する。一般に、基板は、前駆体と繰り返し反応して、基板上に1つまたは複数の材料膜の、次第に厚くなる層をゆっくりと堆積する。いくつかの応用例では、基板製造プロセスの間に、様々なタイプの1つまたは複数の膜を形成するために、複数の前駆体ガスが用いられ得る。
【0029】
図1には、シャワーヘッド104(これはシャワーヘッド電極とすることができる)および基板支持体アセンブリ108または台座がその中に配置された、プラズマベースの処理チャンバ102を含むことが示される。通常、基板支持体アセンブリ108は、実質的に等温の表面をもたらし、基板106に対して、加熱要素およびヒートシンクの両方として働き得る。基板支持体アセンブリ108は、上述されたように、基板106の処理を補助するようにその中に加熱要素が含まれた、静電チャック(Electrostatic Chuck:ESC)を備え得る。基板106は、例えば、元素半導体材料(例えば、シリコン(Si)またはゲルマニウム(Ge))、または化合物半導体材料(例えば、シリコンゲルマニウム(SiGe)またはガリウム砒素(GaAs))を備えた、ウェハを含み得る。加えて、他の基板は、例えば、水晶、サファイヤ、半結晶ポリマーなどの誘電体材料、または他の非金属および非半導体材料を含む。
【0030】
作業において、基板106は、ローディングポート110を通して、基板支持体アセンブリ108上にロードされる。ガスライン114は、1つまたは複数のプロセスガス(例えば、前駆体ガス)を、シャワーヘッド104に供給することができる。ひいては、シャワーヘッド104は、1つまたは複数のプロセスガスを、プラズマベースの処理チャンバ102内に送出する。1つまたは複数のプロセスガスを供給するためのガス源112(例えば、1つまたは複数の前駆体ガスアンプル)は、ガスライン114に結合される。いくつかの例では、RF(無線周波数)電源116は、シャワーヘッド104に結合される。他の例では、電源は、基板支持体アセンブリ108またはESCに結合される。
【0031】
シャワーヘッド104、およびガスライン114の下流に入る前に、ユースポイント(POU)およびマニホールドの組み合わせ(図示せず)は、プラズマベースの処理チャンバ102内への、1つまたは複数のプロセスガスの入力を制御する。プラズマ強化ALD作業において、薄膜を堆積するために用いられるプラズマベースの処理チャンバ102の場合は、前駆体ガスは、シャワーヘッド104内で混合され得る。
【0032】
作業において、プラズマベースの処理チャンバ102は、真空ポンプ118によって排気される。RFパワーは、シャワーヘッド104と、基板支持体アセンブリ108内にまたはその上に含まれた下部電極120との間で、静電的に結合される。基板支持体アセンブリ108には通常、2つ以上のRF周波数が供給される。例えば、様々な実施形態において、RF周波数は、約1MHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、60MHz、および所望の他の周波数の少なくとも1つの周波数から選択され得る。特定のRF周波数を阻止するまたは部分的に阻止するように設計されたコイルが、必要に応じて設計され得る。従って、本明細書で論じられる特定の周波数は、単に理解を容易にするためのものである。RFパワーは、基板106とシャワーヘッド104との間の空間で、1つまたは複数のプロセスガスをプラズマに活性化するために用いられる。プラズマは、基板106上に様々な層(図示せず)を堆積するのを支援することができる。他の応用例では、プラズマは、デバイスフィーチャを、基板106上の様々な層内にエッチングするために用いられ得る。RFパワーは、少なくとも基板支持体アセンブリ108を通して結合される。基板支持体アセンブリ108は、それに組み込まれたヒータ(
図1には示されず)を有し得る。プラズマベースの処理チャンバ102の詳細な設計は、異なり得る。
【0033】
上記で述べられたように、シャワーヘッド104および基板支持体アセンブリ108などのいくつかのチャンバ構成要素の原材料は通常、圧延アルミニウム板ストックを含む。圧延ストックは、しばしば応力緩和されるが、結果としての微細構造は、圧延方向に整列した小さな細長い粒子を含む。この小粒子微細構造は、特に処理チャンバ102内での高温の、フッ素に富む基板処理環境における腐食を低減するために、アルミニウムチャンバ構成要素の表面に、より大きな粒子を作り出すという要求に反する。フッ素は、粒子境界において、構成要素材料を腐食させ得る。粒子サイズを大きくすることによって、粒子境界の密度は、構成要素の表面で低減されることができ、それによって腐食核生成サイトを低減する。抑制されていない腐食は、構成要素に、最終的に基板上に行き着く粒子を放出させる場合があり、例えば、ウェハ生産者に対する著しい歩留まり損失に繋がる。高温アニーリングの適用など、従来の粒子成長技法は、この点に関して効果がないことが見出されている。
【0034】
これらの問題に対処しようとするこのいくつかの例は、摩擦攪拌溶接(Friction Stir Welding:FSW)ツールを使用する。いくつかの例では、FSWツールは、螺旋または蛇行ラスタパターンで、チャンバ構成要素の表面の上を通過される。いくつかの例は、通過の間である程度の重なり合いを含む。これらの技法は、いくつかの例では「摩擦攪拌処理」と呼ばれることができ、FSWツールの標準の使用、すなわち2つの構成要素を摩擦攪拌溶接線に沿って一緒に結合するためのものとは、かなり異なる。ここでは、構成要素は一緒に結合されず、またはその必要はない。代わりに、構成要素の表面へのFSWツールの適用は、構成要素の材料粒子をずっと小さな粒子に分解する、熱機械プロセスを引き起こす。いくつかの例では、粒子は、等軸(球状の形をした)粒子を含む。いくつかの例では、構成要素表面へのFSWツールの適用は、構成要素の材料内に残留応力を与える。
【0035】
いくつかの例では、もとの材料よりずっと大きなサイズまで材料粒子を成長させるように、(アルミニウムに対して)1~24時間の間、摂氏500~600度の範囲内の温度で、後続のアニーリング作業が適用される。いくつかの例では、摩擦攪拌処理は、固体プロセスを含み、これは材料をその融点より高くしない(伝統的な溶接と異なり)ことを意味し、従って、材料のバルクに拡散させて戻し、それによって、それらの補強効果を無効にする、強化のために通常用いられる、化合物の合金化を引き起こさない。
【0036】
いくつかの例では、摩擦攪拌処理は、意図される粒子サイズにおいてチャンバ構成要素を均等化するための製造プロセスにおけるステップとして適用される。いくつかの例では、均等化ステップは、製造プロセスにおける最後のステップである。いくつかの例では、摩擦攪拌処理は、構成要素の表面の異なる領域に選択的に適用される。いくつかの摩擦攪拌処理の例では、FSWツールの溶接ヘッド、および/または1つまたは複数のプロセスパラメータの適切な選択が、粒子サイズの制御を可能にする。いくつかの例は、構成要素の自由表面からの深さの関数として、粒子サイズを制御することを可能にする。いくつかの例は、構成要素の様々な領域における、または表面ごとの、耐食性に対して、強度または熱伝導率のトレードオフを図る能力を可能にする。いくつかの例は、望まれ得る構成要素表面、例えば、処理の間に基板に最も近い構成要素表面上に、均一または不均一な概観をもたらすことを可能にする。
【0037】
図2を参照すると、粒状金属材料を処置する方法における摩擦攪拌処理作業200の外観が示される。摩擦攪拌処理作業200は、処置経路220の前進方向208に、粒状金属材料206の表面厚さ204を通して、摩擦攪拌溶接ツールの回転ヘッド202を通過させることを含む。いくつかの例では、金属材料206の表面厚さ204は、1~20ミリメートル(おおよそ、0.4~7.9インチ)の範囲内である。FSWツールに対して、摩擦攪拌処理作業200の間、下向きの力214が印加され、これは回転方向216に回転させられる。
【0038】
この例の金属材料206は、アルミニウムを含む。他の材料または材料の組み合わせが可能である。金属材料206は、
図1の処理チャンバ102など、処理チャンバの構成要素を形成する。例示の構成要素は、シャワーヘッド104または基板支持体アセンブリ108、またはいずれかの部分構成要素を含む。
【0039】
FSWツールのヘッド202は、肩部210と、ピン212と、を含む。他の部分も可能である。示される例では、FSWツールのピン212は、金属材料206と噛み合わさる。回転ピン212(ヘッド202の一部として)の、金属材料206との噛み合わせは、金属材料206の材料粒子を分解する、熱機械プロセスを引き起こす。もとの、圧延金属材料206の例示の整列した粒子は、
図3に見られ得る。金属材料206の処置された表面226における、摩擦攪拌処理作業200の適用の結果として生じる例示の粒子が、
図4に見られ得る。金属材料206の粒子サイズは、摩擦攪拌処理作業200によって影響されたことが見られるであろう。この例では、粒子はサイズが低減されており、整列していない。摩擦攪拌処理作業200の他の効果が、可能である。影響された粒子は、FSWツールの前進するヘッド202の後ろの、影響されたゾーン218(またはナゲット)内に位置する。
【0040】
摩擦攪拌処理作業200の間、前進する、FSWツールの回転ヘッド202は、処置経路220内を移動する。処置経路220は、直線または曲線とすることができ、または単一の線を含み得る。いくつかの例では、処置経路220は、処置パターン224を含む。例示の処置パターン224は、示されるように、粒状金属材料206の例示の表面領域222内に位置する。
【0041】
いくつかの例では、表面領域222には溶着部はなく、摩擦攪拌処理作業200には他のFSW作業はない。言い換えれば、FSW処理作業200には、従来のFSW作業が、(直接または間接に)先行または後続しない。いくつかの例では、表面領域222は、表面領域222における継ぎ目または組み立てフィーチャが存在しない、単一またはモノリシック構成要素または一様な金属材料206の一部を形成する。
【0042】
いくつかの例では、処置パターン224は、例えばおおむね示されるように、ラスタパターンを含む。いくつかの例では、処置パターン224は、螺旋、往復、蛇行パターン、またはこれらのパターンの2つ以上の組み合わせを含む。処置パターン224は、表面領域222の完全なまたは限られた範囲を横断し得る。いくつかの例では、処置パターンでの第1の処置経路は、処置パターンでの第2の処置経路と重なり合う。第2の処置経路の、第1の処置経路に対する重なり合いの程度は、0.5~99パーセントの範囲内、いくつかの例では1~10パーセントの範囲内とすることができる。
【0043】
いくつかの例では、粒状金属材料を処置する方法は、粒状金属材料に対するアニーリング作業を含む。いくつかの例では、アニーリング作業は、摩擦攪拌処理作業200の後に行われる。いくつかの例では、アニーリング作業は、摂氏500~600度の範囲内の温度で行われる。いくつかの例では、アニーリング作業は、1~24時間の範囲内の持続時間の間に行われる。
【0044】
図3を参照すると、この図は、この場合はアルミニウム板ストックなど、通常の圧延金属材料206の断面
図300を含む。通常、このストックは、1つまたは複数の応力緩和またはアニーリング技法の適用によって応力緩和されているが、示されるように、結果としての微細構造は、圧延方向に整列した小さな細長い粒子302が残される。上記で論じられたように、この整列および/またはより小さなサイズの粒子は、例えば、高温の、フッ素に富む基板処理環境における腐食を低減するために、アルミニウムチャンバ構成要素の表面の、より大きな粒子を作り出すという要求に反する。フッ素は、粒子境界において、構成要素材料を腐食させ得る。
【0045】
図4を参照すると、この図は、
図3と同じ金属材料206の対応する断面
図400を含むが、摩擦攪拌処理作業200の後で、アニーリングの前に撮られている。摩擦攪拌処理作業200は、粒子402のサイズに影響を与えており、示されるように、この例では、相対的な粒子サイズ減少を引き起こしている。
【0046】
図5を参照すると、この図は、
図3および
図4と同じ金属材料206の対応する断面
図500を含むが、アニーリング作業が金属材料206に対して行われた後に撮られている。いくつかの例では、アニーリング作業は、摩擦攪拌処理作業200の後に行われる。いくつかの例では、アニーリング作業は、摂氏500~600度の範囲内の温度で行われる。いくつかの例では、アニーリング作業は、1~24時間の範囲内の持続時間の間に行われる。アニーリング作業は、粒子502のサイズに影響を与え、この例では、相対的におよび著しい粒子サイズ増加を引き起こしている。
【0047】
図6は、摩擦攪拌処理作業200によって、およびその後に空気中で525Cで16時間のアニーリング作業によって十分に処置された、金属材料206の表面厚さ204の拡大された断面
図600を含む。大きな粒子502は、摩擦攪拌処理作業200によって形成されており、FSWツールのヘッド202のそれぞれの処置経路220において観察され得る。この例では、処置経路220の2つ(例えば、第1および第3)は、読者から離れるように(ページ内に)、および処置経路220の2つ(例えば、第2および第4)は、読者に向かうように(ページから離れるように)進行するように、ラスタパターンを含む処置パターン224が用いられている。この例では、処置経路220は、金属材料206の処置された表面226で重なり合う。摩擦攪拌処理作業200および後続のアニーリング作業のおかげで、粒子502のサイズを成長させることによって、構成要素の処置された表面226上の粒子境界602の密度は、減少されており、それによって基板処理の間の構成要素上の腐食核生成サイトを減少させる。未処置領域604は、
図3のもとの圧延ストックの維持された微細構造を示す。処置パターン224における処置経路220の増加された重なり合いは、これらの未処置領域604を、大粒子領域に変換するようになる。
【0048】
本明細書におけるいくつかの実施形態は、方法を含む。
図7を参照すると、作業702で、粒状金属材料を処置する方法700は、金属材料に対して摩擦攪拌処理作業を行うことを含む。摩擦攪拌処理作業は、処置経路において、粒状金属材料の表面厚さを通して、摩擦攪拌溶接ツールの回転ヘッドを通過させることを含む。作業704で、粒状金属材料を処置する方法700は、1つまたは複数の処置経路を含む処置パターンを利用することを含む。方法700は、上記で要約された、または本明細書の他の場所で述べられるように、さらなる作業を含み得る。
【0049】
図8は、本明細書で述べられる1つまたは複数の例示の実施形態がそれによって実施または制御され得る、マシンまたはコントローラ800の例を示すブロック図である。代替的実施形態では、コントローラ800は、スタンドアロンデバイスとして動作することができ、または他のマシンに接続(例えば、ネットワーク化)され得る。ネットワーク化された配備では、コントローラ800は、サーバ・クライアントネットワーク環境において、サーバマシン、クライアントマシン、または両方の役割で動作し得る。一例では、コントローラ800は、ピアツーピア(P2P)(または他の分散型)ネットワーク環境におけるピアマシンとして働き得る。さらに、単一のコントローラ800のみが示されるが、「マシン」(コントローラ)という用語は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、または他のコンピュータクラスタ構成を通じてなど、本明細書で論じられる方法論の任意の1つまたは複数を行うための命令のセット(または複数のセット)を、個別にまたは共同で実行するマシン(コントローラ)の任意の集合とも解釈されるものである。いくつかの例において、および
図8を参照して、非一時的マシン可読媒体は、コントローラ800によって読み出されたとき、本明細書で述べられる少なくとも非限定的な例示の動作を含む方法における動作を、コントローラに制御させる命令824を含む。
【0050】
本明細書で述べられる例は、論理回路、いくつかの構成要素、または機構を含むことができ、またはそれらによって動作し得る。回路機構は、ハードウェア(例えば、単純な回路、ゲート、論理回路など)を含む、有形のエンティティにおいて実装される、回路の集合である。回路機構のメンバ構成は、時間、および基礎をなすハードウェア変化性にわたって柔軟とすることができる。回路機構は、動作するとき、単独でまたは組み合わせで、指定された動作を行い得る。一例では、回路機構のハードウェアは、特定の動作を遂行するように不変に設計され得る(例えば、ハードワイヤ化される)。一例では、回路機構のハードウェアは、特定の動作の命令をエンコードするように、物理的に変更される(例えば、磁気的に、電気的に、不変質量粒子の可動の配置によってなど)、コンピュータ可読媒体を含んだ、可変に接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純な回路など)を含み得る。物理的構成要素の接続において、ハードウェア構成体の、基礎をなす電気的特性が変化される(例えば、絶縁体から導体に、またはその逆に)。命令は、埋込型ハードウェア(例えば、実行ユニットまたはロード機構)が、作業のときに、特定の動作のいくつかの部分を遂行するように、可変の接続を通じて、ハードウェアにおける回路機構のメンバを作り出すことを可能にする。従って、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているとき、回路機構の他の構成要素と通信可能に結合される。一例では、物理的構成要素の任意のものは、2つ以上の回路機構の2つ以上のメンバにおいて用いられ得る。例えば、動作中に、実行ユニットは、ある時点では第1の回路機構の第1の回路において用いられ、異なる時点では第1の回路機構内の第2の回路によって、または第2の回路機構内の第3の回路によって再使用され得る。
【0051】
マシン(例えば、コンピュータシステム)コントローラ800は、ハードウェアプロセッサ802(例えば、中央処理装置(CPU)、ハードウェアプロセッサコア、またはそれらの任意の組み合わせ)と、GPU832(グラフィックス処理装置と)、メインメモリ804と、スタティックメモリ806と、を含むことができ、それらのいくつかまたはすべては、インターリンク808(例えば、バス)を通じて互いに通信し得る。コントローラ800はさらに、ディスプレイデバイス810と、英数字入力デバイス812(例えば、キーボード)と、UIナビゲーションデバイス814(例えば、マウスまたは他のユーザインターフェース)と、を含み得る。一例では、ディスプレイデバイス810、英数字入力デバイス812、およびUIナビゲーションデバイス814は、タッチスクリーンディスプレイとすることができる。コントローラ800は、追加として大容量記憶デバイス816(例えば、ドライブユニット)と、信号発生デバイス818(例えば、スピーカ)と、ネットワークインターフェースデバイス820と、全地球測位システム(GPS)センサ、コンパス、加速度計、または他のセンサなどの、1つまたは複数のセンサ830と、を含み得る。コントローラ800は、1つまたは複数の周辺デバイス(例えば、プリンタ、カードリーダなど)と通信するためまたはそれを制御するための、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB))、パラレル、または他の有線もしくはワイヤレス(例えば、赤外線(IR)、近距離通信(NFC)その他)接続などの、出力コントローラ828を含み得る。
【0052】
大容量記憶デバイス816は、本明細書で述べられる技法または機能の任意の1つまたは複数を、具体化するまたはそれらによって利用されるデータ構造体もしくは命令824(例えば、ソフトウェア)の1つまたは複数のセットがそれに記憶される、マシン可読媒体822を含み得る。命令824は、示されるようにまた、コントローラ800によるそれらの実行の間、メインメモリ804内、スタティックメモリ806内、ハードウェアプロセッサ802内、またはGPU832内に、完全にまたは少なくとも部分的に存在し得る。一例では、ハードウェアプロセッサ802、GPU832、メインメモリ804、スタティックメモリ806、または大容量記憶デバイス816の1つまたは任意の組み合わせが、マシン可読媒体822を構成し得る。
【0053】
マシン可読媒体822は、単一の媒体として示されるが、「マシン可読媒体」という用語は、1つまたは複数の命令824を記憶するように構成された、単一の媒体、または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、および/または関連付けられたキャッシュおよびサーバ)を含み得る。
【0054】
「マシン可読媒体」という用語は、コントローラ800による実行のための命令824を記憶する、エンコードする、もしくは保持することができ、本開示の技法の任意の1つまたは複数をコントローラ800に行わせる、またはこのような命令824によって用いられもしくはそれらに関連付けられるデータ構造体を、記憶する、エンコードする、もしくは保持することができる任意の媒体を含み得る。非限定的なマシン可読媒体の例は、固体メモリ、ならびに光および磁気媒体を含み得る。一例では、大規模マシン可読媒体は、不変(例えば、静止)質量を有する複数の粒子を有するマシン可読媒体822を備える。従って、大規模マシン可読媒体は、一時的な伝搬信号ではない。大規模マシン可読媒体の特定の例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM))およびフラッシュメモリデバイス、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD-ROMおよびDVD-ROMディスクなどの、不揮発性メモリを含み得る。命令824はさらに、ネットワークインターフェースデバイス820を通じて伝送媒体を用いて、通信ネットワーク826を通して送信または受信され得る。
【0055】
例について、特定の例示の実施形態または方法を参照して述べられたが、より広い実施形態の範囲から逸脱せずに、これらの実施形態に、様々な修正および変更がなされ得ることが明らかになるであろう。従って、本明細書および図面は、限定的な意味でなく、例示的と考えられるべきである。本明細書の一部となる添付の図面は、例示として、および限定するものでなく、本主題が実施され得る特定の実施形態を示す。示される実施形態は、当業者が本明細書に開示される教示を実施することを可能にするのに十分に詳しく述べられる。本開示の範囲から逸脱せずに構造的および論理的置換および変更がなされ得るように、他の実施形態が利用されることができ、それらから導き出され得る。従って、この詳細な説明は、限定する意味で捉えられるべきではなく、様々な実施形態の範囲は、添付の「特許請求の範囲」によってのみ、このような請求項が権利を有する全範囲の等価物と共に、定義される。
【0056】
発明性のある本主題のこのような実施形態は、本明細書において、単に便宜上「発明」という用語で個別におよび/またはまとめて呼ばれることができ、実際に2つ以上が開示された場合に、いずれの単一の発明または発明性のある概念に、本出願の範囲を自発的に限定する意図はない。従って、本明細書で特定の実施形態が示されおよび述べられたが、同じ目的を達成するように意図された任意の配置が、示される特定の実施形態に対して置き換えられ得ることを理解されたい。本開示は、様々な実施形態のあらゆる適合形態または変形形態を包含することが意図される。本明細書では詳細に述べられない、上記の実施形態、および他の実施形態の組み合わせは、上記の説明を考察すれば、当業者には明らかになるであろう。
【国際調査報告】