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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】工業プラントの監視
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230726BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022580156
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-23
(86)【国際出願番号】 EP2021066925
(87)【国際公開番号】W WO2021259901
(87)【国際公開日】2021-12-30
(31)【優先権主張番号】20182313.5
(32)【優先日】2020-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デ・ケニー,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】エンゲル,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ガウ,セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】シャッドラー,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223AA05
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB02
3C223FF22
3C223FF26
3C223GG01
(57)【要約】
本発明は、カテーテルハブなどの医療デバイス(C)を患者の皮膚に解放可能に留めるための医療デバイス固定システム(10)を提供する。システム(10)は、システムを非展開状態と展開状態との間で並進させるよう互いに対して変位可能な第1のセクション(14)および第2のセクション(16)を有する主本体と、第1のセクション(14)の組織接触面から突出した極微針アレイおよび第2のセクション(16)の組織接触面から突出した極微針の第2のアレイの形態の皮膚付着要素と、医療デバイス(C)を受容し、それと係合するための主本体上に設けられた保持デバイス(24)と、を備え、第1のセクション(14)は、組織接触面を規定する第1の基部、および第1の基部に対してヒンジにより関節接合された閉鎖部材(20)を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業プラント内に配置された工業アセットからのアセットデータを統合するための方法であって、前記アセットが第1の処理層に通信可能に結合されており、前記アセットデータが前記第1の処理層を介して第2の処理層に提供され、前記第1の処理層が前記第2の処理層に通信可能に結合されており、前記第1の処理層および前記第2の処理層が安全なネットワーク内で構成されており、前記方法が、
- 前記第2の処理層において、前記アセットに関連する技術的コンテキストデータを生成することと、
- 前記第2の処理層を介して、前記技術的コンテキストデータを外部ネットワークへのインターフェースに提供することと、
を含み、
前記技術的コンテキストデータが前記アセットデータのための少なくとも1つのアクセス可能性基準を含み、前記アクセス可能性基準が、前記アセットデータを受信するために外部処理層によって準拠可能な少なくとも1つの規則および/またはパラメータを含む、方法。
【請求項2】
前記技術的コンテキストデータが、アセットネットワークアドレス、アセットCPU負荷、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)などのアセットメモリ、および前記工業アセットと前記外部処理層との間のネットワーク経路を含む先験的に決定されたパラメータ、のうちの少なくとも1つを用いて少なくとも部分的に生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法がまた、
- 前記第2の処理層を介して、少なくとも、前記アセットデータにアクセスするための第1の部分リクエストを生成することと、
- 少なくとも、前記第1の部分リクエストへの第1の応答を測定することであって、前記第1の応答が、少なくとも1つの計算および/またはネットワークリソースに対する前記第1の部分リクエストの影響を示す、測定することと、
- 前記第1の応答に依存して、少なくとも第1の反復パラメータを決定することと、
を含み、
前記技術的コンテキストデータが、前記第1の反復パラメータを用いて少なくとも部分的に生成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法がまた、
- 前記応答に依存して、前記第2の処理層を介して、前記アセットデータにアクセスするための第2の部分リクエストを生成することであって、前記第2の部分リクエストが前記第1の部分リクエストよりも多くのリソースを要求する、生成することと、
- 前記第2の部分リクエストへの第2の応答を測定することであって、前記第2の応答が、前記少なくとも1つの計算および/またはネットワークリソースに対する前記第2の部分リクエストの影響を示す、測定することと、
- 前記第1の応答および/または前記第2の応答に依存して、前記少なくとも第1および/または第2の反復パラメータを決定することと、
を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記方法がまた、
- 前記インターフェースを介して、前記技術的コンテキストデータを前記外部処理層へ伝送することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記方法がまた、
- 前記第2の処理層において、少なくとも1つの選択されたアクセス可能性基準を受信することを含み、
前記少なくとも1つの選択されたアクセス可能性基準が前記技術的コンテキストデータから選択され、選択が前記外部処理層によって遂行される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法がまた、
- 前記外部処理層において、前記アセットデータを受信することを含み、
前記アセットデータが、前記第2の処理層を介して、前記少なくとも1つの選択されたアクセス可能性基準に従って伝送される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記方法がまた、
- 前記外部処理層を介して、前記技術的コンテキストデータのうちの少なくとも一部を履歴のコンテキストデータとして記憶することと、
- 前記第2の処理層において、少なくとも1つの事前に選択されたアクセス可能性基準を受信することと、
を含み、
前記少なくとも1つの事前に選択されたアクセス可能性基準が前記履歴の技術的コンテキストデータから選択され、選択が前記外部処理層によって遂行される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法がまた、
- 前記外部処理層において、低分解能アセットデータを受信することであって、前記低分解能アセットデータが、前記外部処理層によってリクエストされた前記アセットデータの部分セットであり、前記低分解能データが、少なくとも、少なくとも1つのデータ分析を開始するために、前記外部処理層によって使用可能である、受信することを含む、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記方法がまた、
- 前記外部処理層において、第2の低分解能アセットデータを受信することであって、前記第2の低分解能アセットデータが、前記外部処理層によってリクエストされた前記アセットデータの部分セットであり、前記第2の低分解能アセットデータが、少なくとも、前記少なくとも1つのデータ分析をさらに処理するために、前記低分解能アセットデータと組み合わせて前記外部処理層によって使用可能である、受信することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記低分解能アセットデータおよび前記第2の低分解能データが互いに異なる分解能を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記技術的コンテキストデータが、前記アセットに関連する履歴のアクセスおよび/または転送データ、ならびに/あるいは前記少なくとも第1および/または第2の反復パラメータを決定するために用いられる少なくとも1つの履歴の部分リクエストからのデータを用いて訓練された、機械学習(「ML」)モデル、例えば、訓練可能なニューラルネットワークを用いて生成される、先行する請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記命令が、前記プログラムが好適なコンピュータプロセッサによって実行されたときに、前記プロセッサに、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法ステップを実施させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項14】
第1の処理層および第2の処理層を備える工業プラントシステムであって、前記第1の処理層が前記第2の処理層に通信可能に結合されており、前記第1の処理層および前記第2の処理層が安全なネットワーク内で構成されており、少なくとも1つの工業アセットが、前記第1の処理層に通信可能に結合するように構成されており、前記アセットが、前記第1の処理層を介してアセットデータを前記第2の処理層に提供するように構成されており、前記プラント制御システム(plant control system)が外部ネットワークへのインターフェースをさらに備え、
前記第2の処理層が、
- 前記アセットに関連する技術的コンテキストデータを生成することと、
- 前記技術的コンテキストデータを前記インターフェースに提供することと、
を行うように構成されており、
前記技術的コンテキストデータが前記アセットデータのための少なくとも1つのアクセス可能性基準を含み、前記アクセス可能性基準が、前記アセットデータを受信するために外部処理層によって準拠可能な少なくとも1つの規則および/またはパラメータを含む、工業プラントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本教示は、概して、工業プラントのコンピュータベースの監視および/または最適化に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
プロセスプラントなどの工業プラントは、1つまたは複数の工業製品を生産するために動作させられる機器を備える。機器は、例えば、監視および保守を必要とする機械類および/または熱交換器であり得る。保守の要求は、稼働時間および/または機器への負荷、機器が曝された環境条件等を含むいくつかの因子に依存することができる。機器の過度の、または計画外の停機は概して望ましくない。なぜなら、それは、多くの場合、生産の停止を招き、これはプラントの効率を低下させ得、無駄を生じさせ得るからである。2回の保守の間の期間が変化し得るため、保守が実際に必要である頃に機器の停機を計画することが難しくなり得る。加えて、工業プラントでは安全性の重要度が高い。危険な状況が発生するのを防止するために、プラントの異なる機器または部分が監視され得る。
【0003】
例えば、化学プラントなどの工業プラントは、センサを用いて監視される、反応器、貯蔵タンク、熱交換器、圧縮器、弁等などの機器を備え得る。機器のうちの少なくとも一部は、1つまたは複数の工業製品を生産するために監視および/または制御され得る。監視および/または制御は、1つまたは複数の製品の生産を最適化するために行われさえし得る。
【0004】
工業プラントは、通例、監視および/または制御の目的のためにプラント内に分散した複数のセンサを備える。このようなセンサは大量のデータを生成し得る。それゆえ、化学生産などの生産は、データ量の大きい環境になり得る。しかし、現在のところ、1つまたは複数のプラントにおける生産効率を増大させるための複数のデータソースからのこのようなデータの利益は十分に活用されていない。
【0005】
さらに、センサなどのデータソースは、時として、複数のサイトにわたって遠隔に分散させられているか、または配置されていることがある。場合によっては、サイトは、1つまたは複数の他のサイトとは別の都市、またはさらに、別の国に配置されていることがある。理解され得るように、遠隔に配置された1つまたは複数のデータソースからのデータを活用することは困難になり得る。
【0006】
クラウドコンピューティングおよびビッグデータ解析における新技術を適用することは工業プラントにおいて非常に興味深い。一部の他の製造業とは異なり、プロセス工業はより高いセキュリティ標準の対象となり得る。この理由のために、コンピューティングインフラストラクチャは、通例、サイロ化され、監視および制御システムへのアクセスは非常に制限的である。このようなセキュリティ標準のゆえに、レイテンシおよび可用性の考慮は、組み込み制御システムの、例えば、クラウドコンピューティングシステムへの単純な移行に矛盾し得る。それゆえ、独占性の高い工業製造システムとクラウド技術との間のギャップを埋めることはプロセス工業における課題のうちの1つになっている。
【0007】
それゆえ、分散データソースからのデータのスケーラブルで柔軟な統合を可能にすることができる工業プラントからのデータを監視および/または分析するための方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
概要
従来技術に固有の問題のうちの少なくとも一部は添付の独立請求項の主題によって解決されることが示される。
【0009】
第1の観点から見たときには、工業プラント内に配置された工業アセットからのアセットデータを統合するための方法であって、アセットが第1の処理層に通信可能に結合されており、アセットデータが第1の処理層を介して第2の処理層に提供され、第1の処理層が第2の処理層に通信可能に結合されており、第1の処理層および第2の処理層が安全なネットワーク内で構成されており、本方法が、
- 第2の処理層において、アセットに関連する技術的コンテキストデータを生成することと、
- 第2の処理層を介して、技術的コンテキストデータを外部ネットワークへのインターフェースに提供することと、
を含み、
技術的コンテキストデータがアセットデータのための1つまたは複数のアクセス可能性基準を含み、アクセス可能性基準が、アセットデータを受信するために外部処理層によって準拠可能な1つまたは複数の規則および/またはパラメータを含む、方法が提供され得る。
【0010】
上述されたとおりのアセットデータを統合するための方法はまた、アセットデータのデータ統合のための方法、あるいはさらに、アセットデータの少なくとも部分を監視および/または分析するための方法であって、アセットデータが工業プラント内の工業アセットを介して生成されており、アセットが第1の処理層に通信可能に結合されており、アセットデータの少なくとも部分が第1の処理層を介して第2の処理層に提供され、第1の処理層が第2の処理層に通信可能に結合されており、第1の処理層および第2の処理層が安全なネットワーク内で構成されている、方法として理解され得る。
【0011】
本提案の教示は、第2の処理層を介して、より効率の高いデータハンドリングを可能にすることができる。さらに、異なる処理層における途切れないデータアクセス、およびクラウド接続性が提供され得る。本教示は、高度先進プロセス工業環境における操作技術と情報技術との間のギャップを埋めることができる。コンテキスト化されたデータを別個の層内に集約することによって、第1の層の可用性および性能は影響を受けない。さらに、化学工業における高いセキュリティ標準を順守しつつ、安全なネットワークの外部の外部処理層とのデータ交換が可能にされ得る。異なるプロセスおよび記憶システム層を導入し、それらを通信可能に結合することによって、大量データ転送およびハンドリングを異なる層にわたって分散させ、プロセスアプリケーションのためのコンテキスト化、記憶、およびアクセスにおけるより大きな柔軟性を可能にすることができる。場合によっては、複数の工業プラントまでもが第2の処理層を介して対応され得る。それゆえ、工業プラントの、高度にスケーラブルな、より信頼性の高い、およびより強化された監視および/または制御が達成され得る。このように、サーバレスIaaS/PaaS/SaaSのような新たな技術までもが生産環境内に統合され得、連続的なアプリケーション配信および展開を可能にする。第1および第2の処理層に加えて1つまたは複数のさらなる処理層が存在しさえし得ることは理解されるであろう。それらは第1および第2の処理層の間の1つまたは複数の追加の処理層でさえあり得る。
【0012】
本教示はまた、プロセスアプリケーションのより柔軟なハンドリングを可能にすることもできる。例えば、プラントまたはアセットデータを取り込むプロセスアプリケーションの展開を、複数のプラント内までもの複数のアセットのために効率化することができる。加えて、このようなアプリケーションを実行するために必要とされるプロセスアプリケーションおよびコンピューティングリソースによって必要とされる特定のデータに応じて、適切な処理層が選定され得、それゆえ、化学プラントなどの特定の工業プラントにおける高い可用性標準を順守する。例えば、プラント固有データを取り込むことを必要とする、計算量が大きいプロセスアプリケーションは第2の処理層上で実行され得、その一方で、アセットデータを取り込むことを必要とし、低レイテンシを必要とするプロセスアプリケーションは第1の処理層上で実行され得る。
【0013】
化学生産プラントなどの工業プラント内には、複数の分散データソースが存在することができる。これらのデータソースまたはアセットのうちの一部はまた、世界的に分散していてもよい。通例、前述のアセットは、プラント情報管理システム(「PIMS(Plant Information Management System)」)などのシステムまたはデータベース内に記憶され得るデータを提供する。また、プラントが監視制御およびデータ取得(「SCADA(supervisory control and data acquisition)」)システムを有することも通例である。PIMSはSCADAの部分であり得るか、または異なるシステムであり得る。本開示において、用語、PIMSに言及するとき、PIMSおよびSCADAが同じシステムである代替物も、用語、PIMSの範囲内に含まれると仮定されるべきである。同様に、これらが2つの異なるシステムである場合については、データはどちらか一方または両方へ転送され得、したがって、それらの代替物も、用語の範囲内にあると理解されるべきである。場合によっては、データソースまたはアセットは、データがSCADAまたはPIMSに提供されるのよりも多くのデータを包含または生成し得る。それゆえ、データソースの内部データは、PIMSへ伝送され、および/またはそれに記憶されるデータよりも多大であり得る。データ解析のために、アセットの内部のこのようなデータ、またはアセットデータは有用になり得る。例えば、内部データにおける変化はアセット自体にとっては正常であり得るが、それは、単に、内部データのみを観察するだけでは、および/またはPIMSに提供される出力データのみを観察するだけでは明らかになり得ないプラントの別の部分における重大な影響を生じさせるか、またはそれを示し得る。さらに、同様のアセットが別のプラント内で稼動している場合には、同様のアセットからのデータは、他のプラント内の1つまたは複数のこのようなアセットの最適化のためにも使用可能になり得る。最適化は、この意味で、機械学習モデルの訓練、出力信号の監視、1つまたは複数の制御または監視設定値の導出、ならびにこのような機能、のうちの任意の1つまたは複数を意味し得る。それゆえ、1つのアセットからのデータを、他の同様のアセットを最適化するために活用することができる。プロセス分析のためには、それゆえ、異なる処理層および/またはアセットからのアセットデータを統合することが有用になり得る。
【0014】
アセットデータを含むデータに対するデータ分析を遂行するために、外部処理層に動作可能に接続されたユーザが、データ解析を定義することを必要とし得る。ユーザは、外部処理層、または外部層からのデータが提供され得る別のコンピュータプロセッサを介したデータ分析の遂行を担当する人物であり得るか、あるいはユーザは、データ解析を用いたデータ分析を自動的に実行するために用いられる別のコンピュータプロセッサ自体であり得る。ユーザは、データ分析を実行する能力を有する外部処理層自体でさえあり得る。以後、用語「ユーザ」は、上述の定義のうちの任意のもの、またはそれらの組み合わせのうちの任意のものを指すために使用されることになる。
【0015】
ユーザは工業プラント内のアセットの技術的状態を知らないことがある。プラントの、もしくはプラント内の工業アセット(またはより一般的に、以後、アセットと呼ばれる)、ならびにプラントのネットワークインフラストラクチャは、通例、プラントの外部に対するプラントのデータへのアクセスを有しない、または限定的なアクセスを有する安全な環境である。適切なアクセス権を有するユーザは、プラント内の1つまたは複数のアセットによって生成されたアセットデータへのアクセスを提供され得るが、ユーザはプラントネットワーク内の他の動作パラメータに関する情報を依然として欠き得る。このような動作パラメータは、プラントの内部インフラストラクチャ内のネットワーク負荷、中央処理装置(「CPU(central processing unit)」)および/またはコントローラ負荷、メモリ利用量、ならびに電力使用量等などのリソース利用量を含み得る。特定の場合には、ユーザリクエストがプラントインフラストラクチャの少なくとも部分に過負荷をかけ得る。例えば、重要なプラント動作がプラント内の同じリソースの一部を必要としている間に、ユーザがアセットデータへのアクセス、またはアセットデータの転送をリクエストするときである。特に、リクエストがリソースをたくさん使う場合には、リクエストの処理のゆえに、重要なプラント動作の性能が影響を受け得る。さらに悪い場合のシナリオでは、プラントインフラストラクチャは、ユーザリクエストのリソース要求の性質のゆえに破綻し得る。それゆえ、プラントの安全性および/または効率が損なわれ得る。これを防止するために、本教示は、第2の処理層においてアセットに関連する技術的コンテキストデータを生成することを提案する。技術的コンテキストデータは、次に、インターフェースを介して外部ネットワークに提供され得、外部ネットワークから、それは、例えば、アセットデータがリクエストされ得る外部処理層に提供され得る。第2の処理層を介してリクエストを取り次ぐことによって、第1の処理層に過負荷がかかることを防止することができる。
【0016】
一態様によれば、技術的コンテキストデータは、アセットネットワークアドレス、アセットCPU負荷、ランダムアクセスメモリ(「RAM(Random Access Memory)」)などのアセットメモリ、およびアセットとユーザとの間のネットワーク経路の少なくとも部分を含む先験的に決定されたパラメータ、のうちの少なくとも1つを用いて少なくとも部分的に生成される。より一般的には、先験的に決定されたパラメータは、アセットとユーザとの間の計算および/またはネットワークリソースのうちの1つまたは複数の任意の1つまたは複数の特性であることができる。このようなパラメータは、好ましくは、アセットとユーザとの間の計算および/またはネットワークリソースのうちの1つまたは複数の物理的制約、例えば、利用可能なメモリ、ネットワーク容量、処理能力等を示す。先験的パラメータは、リソースのうちの1つまたは複数の現在の動作状況から決定され得るか、またはそれらは、アセットからの、またはその周辺のデータの1回または複数回の過去のアクセスおよび/または転送から決定され得る。
【0017】
一態様によれば、先験的に決定されたパラメータは、アセットからのアセットデータを外部処理層またはユーザへ転送し、および/またはそれにアクセスするためのネットワーク容量にとって決定的となる、例えば、アセットとユーザとの間の、またはネットワークの任意の部分の間の時間的ネットワーク負荷値を示す。例えば、就業日の朝はほとんどいつも、従業員がオンサイトまたはプラントネットワークに本質的に同時にアクセスするため、ネットワーク負荷が増大し得る。このような高リソース要求期間では、それゆえ、例えば、多数のコンピュータが互いに短期間内に始動し、ネットワークアクセスを必要とするアプリケーションが起動するため、ネットワークに高負荷がかかり得る。過剰な負荷のゆえに、ネットワークは機能停止を起こす可能性がある。このような期間内には、アセットデータの転送および/またはアクセスはロースループットに見舞われるか、または断続的に、もしくは完全に機能停止を起こしさえし得る。それゆえ、アセットデータに基づいていたデータ解析も影響を受け得る。アセットデータの転送および/またはアクセスに起因するさらなる負荷がネットワークおよび/または計算リソースの破綻に寄与する、またはそれを生じさせる可能性さえある。それゆえ、所与の時間における推定または計算されたネットワーク容量を示す、時間的ネットワーク負荷値は、技術的コンテキストデータが少なくとも部分的に生成されるために基づく、先験的に決定されたパラメータのうちの少なくとも1つになり得る。これは、例えば、アセットからユーザへのアセットデータの転送および/またはアクセスを防止するか、または適切に優先順位付けするために用いることができる。それゆえ、アセットデータを必要とする遠隔データ解析の信頼性を改善することができ、いくつかのケースド(cased)では、アセットデータが転送されるのを伴う内の(within with)時間を最小限に抑えることによってこのような解析の効率までも増大させることできる。本教示のこの態様、およびさらに、他の態様により、それゆえ、リソース容量のうちの1つまたは複数に従って解析を優先順位付けし、最適化することができる。
【0018】
加えて、または代替的に、技術的コンテキストデータは、少なくとも1つの反復パラメータを用いて少なくとも部分的に生成され得る。反復パラメータは、部分リクエストへの応答を分析することによって第2の処理層を介して決定され得、応答はプラント性能に対する部分リクエストの影響を示す。反復パラメータは、例えば、応答を分析または測定することによって決定され得る。応答は、プラントのアセット、および/またはアセット群のうちの任意のものの動作、および/または効率、および/または安全性にとって重要である1つまたは複数のリソースのに対する(on of)部分リクエストの影響を示し得る。例えば、影響は、部分リクエストに応じたレイテンシ値関して(in terms)応答を分析することによって推定され得る。
【0019】
加えて、または代替的に、応答は、処理負荷、ならびに/あるいはメモリおよび/またはネットワーク負荷の変化を用いて算出されさえし得る。処理負荷および/またはメモリは、プラント内のアセットのうちの任意の1つまたは複数、特に、1つまたは複数の重要なアセットにおいて測定され得る。部分リクエストは、アセットからのデータにアクセスするために第2の処理層によって生成され得る。部分リクエストはアセットからのアセットデータの部分セットのリクエストを含み得る。アセットデータの部分セットは、外部層またはユーザによってリクエストされるデータの部分であり得るか、あるいはそれは、単に、リソース能力を評価する目的のための試験データであり得る。いずれにせよ、部分リクエストは、プラント性能にとって害となるいかなるものも、プラントの安全性、および好ましくは、また、効率の現実の低下を生じさせるおそれがなくなるよう、第2の処理層によって生成されるフェイルセーフリクエストである。換言すれば、部分リクエストは、プラント安全性の有意の、実際的な、または著しい低下を生じさせるに足るほどではない、プラント挙動の短期の変化のみを生じさせ得る。したがって、部分セットのアセットデータまたは試験データは、応答を分析することができるために本質的にちょうど足る、またはちょうどのリソースを要求する小データセットである。それゆえ、少なくとも1つの反復パラメータを、技術的コンテキストデータを生成するために用いることができる。以前に開示されたように、それゆえ、少なくとも1つの反復パラメータを、1つまたは複数のアクセス可能性基準の定義のために用いることができる。したがって、少なくとも1つの反復パラメータは、アセットデータを受信する際の外部層のためのリソース割り当てを示す。リソース割り当ては、アセットとユーザとの間の計算および/またはネットワークリソースのうちの任意の1つまたは複数のためのものであることができることは理解されるであろう。
【0020】
または、より具体的には、本方法はまた、
- 第2の処理層を介して、アセットからのデータまたはアセットデータにアクセスするための部分リクエストを生成することと、
- 部分リクエストへの応答を測定することであって、応答が、1つまたは複数の計算および/またはネットワークリソースに対する部分リクエストの影響を示す、測定することと、
- 応答に依存して、少なくとも1つの反復パラメータを決定することと、
を含み、
技術的コンテキストデータは、少なくとも1つの反復パラメータを用いて少なくとも部分的に生成される。
【0021】
さらなる態様によれば、第2の処理ユニットは、部分リクエストへの応答を測定したことに応じて第2の部分リクエストを生成しさえし得る。第2の部分リクエストは、部分リクエストと比べて、1つまたは複数のリソースについて、リソース要求がより大きくなり得る。したがって、反復パラメータは、第2の部分リクエストへの第2の応答を測定することによって第2の処理層を介して決定され得る。部分リクエストへの応答が、1つまたは複数のリソースのに対する(on of)部分リクエストの十分に大きな、または実質的な悪影響を示さない場合には、第2の部分リクエストが生成されてもよく、第2の部分リクエストは部分リクエストよりもリソース要求がより大きい。
【0022】
次に、第2の部分リクエストへの応答を測定することによって少なくとも1つの反復パラメータが生成され得る。場合によっては、部分リクエストから決定された反復パラメータのうちの任意の1つまたは複数、および第2の部分リクエストから決定された反復パラメータのうちの任意の1つまたは複数が少なくとも1つの反復パラメータ内に含まれ得、これにより、部分リクエストの各々からの反復パラメータは1つまたは複数のアクセス可能性基準の定義のために用いられる。これを行うことによって、例えば、プラント内の複数のアセットからの転送が必要とされる場合に、ユーザまたは外部処理層はアセットデータの転送および/またはアクセスを適合させ得る。それゆえ、複数のアセットのリクエストを管理することによって、アセットデータのデータ転送および/またはアクセスをよりインテリジェントにすることができる。このとき、第2の処理層は、アセットデータのデータ転送および/またはアクセスを外部層に提供するための1つまたは複数のリソースボトルネックのより精密な決定を得ることができる。例えば、複数のアセットからのアセットデータのリクエストに応えるために、リクエストを満たすために必要とされる1つまたは複数のリソースのリソース容量を、全体的データ転送のために、最善の転送および/またはアクセスパラメータを提供することができるような仕方で分散させることができる。
【0023】
リソース容量の分散は、部分リクエストから決定された反復パラメータのうちの任意の1つまたは複数、および第2の部分リクエストから決定された反復パラメータのうちの任意の1つまたは複数に基づいて行われ得る。部分リクエストおよび第2の部分リクエストからのそれぞれの応答は、各種のリクエストのために必要とされるリソース割り当ての目安を提供することができる。これは、複数のアセットからのデータが同時またはほぼ同時にアクセスされる必要がある場合に、リクエストごとに容量を割り当てるために用いることができる。いずれにせよ、少なくとも1つの反復パラメータを決定するプロセスは、第2の処理層が少なくとも1つの反復パラメータを反復的に決定することができるよう、部分リクエストを増加的に適合させることによって繰り返され得る。それゆえ、異なるリソース要求に関連付けられたリソース容量を決定するための1つまたは複数のさらなる部分リクエスト、すなわち、2つを超える部分リクエストが存在することができる。これは、十分なリソース容量がプラント動作のために残ることを確実にしつつ、外部処理層からのリクエストに対応するためのリソース割り当てを最大化するために用いることができるだけでなく、上述されたように、場合によっては、第2の処理層および/または外部処理層が、特に、複数のアセットからの、アセットデータのリクエストを事前対応的に適合させる助けにもなることができる。
【0024】
または、より具体的には、本方法はまた、
- 応答に依存して、第2の処理層を介して、アセットデータにアクセスするための第2の部分リクエストを生成することであって、第2の部分リクエストが部分リクエストよりも多くのリソースを要求する、生成することと、
- 第2の部分リクエストへの第2の応答を測定することであって、第2の応答が、1つまたは複数の計算および/またはネットワークリソースに対する第2の部分リクエストの影響を示す、測定することと、
- 応答および/または第2の応答に依存して、少なくとも1つの反復パラメータを決定することと、
を含み、
技術的コンテキストデータは、少なくとも1つの反復パラメータを用いて少なくとも部分的に生成される。
【0025】
それゆえ、両方の態様を組み合わせることで、本方法は、
- 第2の処理層を介して、アセットからのデータまたはアセットデータにアクセスするための部分リクエストを生成することと、
- 部分リクエストへの応答を測定することであって、応答が、1つまたは複数の計算および/またはネットワークリソースに対する部分リクエストの影響を示す、測定することと、
- 応答に依存して、第2の処理層を介して、アセットからのデータまたはアセットデータにアクセスするための第2の部分リクエストを生成することであって、第2の部分リクエストが部分リクエストよりも多くのリソースを要求する、生成することと、
- 第2の部分リクエストへの第2の応答を測定することであって、第2の応答が、1つまたは複数の計算および/またはネットワークリソースに対する第2の部分リクエストの影響を示す、測定することと、
- 応答および/または第2の応答に依存して、少なくとも1つの反復パラメータを決定することと、
を含み、
技術的コンテキストデータは、少なくとも1つの反復パラメータを用いて少なくとも部分的に生成される。
【0026】
説明されたように、アセットからのデータはアセットデータの部分セットであることができるか、またはそれは試験データであり得る。
【0027】
上述されたように、技術的コンテキストデータは、アセットデータにアクセスするための1つまたは複数のアクセス可能性基準を含む。アクセス可能性基準は、アセットデータにアクセスする、またはそれを受信することができるために外部処理層によって準拠されなければならない1つまたは複数の規則を含み得る。代替的に、または加えて、アクセス可能性基準はまた、アセットデータの転送および/またはアクセスが有するか、または準拠可能でなければならない1つまたは複数のパラメータを含み得る。
【0028】
アクセス可能性基準に含まれる、1つまたは複数の規則および/またはパラメータは、自動的に指定されるか、あるいは前述の1つまたは複数の規則および/またはパラメータに準拠して遂行される外部転送層に対するアセットデータのアクセスおよび/または転送が、プラント、および/またはアセットのうちの任意のもののいかなる重要動作にも影響を及ぼさないよう選択されることは理解されるであろう。換言すれば、準拠可能な1つまたは複数の規則および/またはパラメータを指定することによって、外部処理層に対するアセットデータのアクセスおよび/または転送の結果、任意の重要なプラントまたはアセットの動作が悪影響を受けることを防止することができる。重要動作は、影響を受けたときに、プラント、および/またはプラントに関連するアセットのうちの任意のものの安全性、および/または効率、および/または信頼性の低下を招き得る、アセット、アセットのグループ、またはプラント全体の任意の動作または動作モードであることができる。アセットデータのアクセスおよび/または転送が、1つまたは複数の規則および/またはパラメータを用いて遂行されることに起因して、プラントのいかなる重要動作も影響を受けないと言える。
【0029】
それゆえ、技術的コンテキストデータはアセットデータのための1つまたは複数のアクセス可能性基準を含み、アクセス可能性基準は、プラントのいかなる重要動作も影響を受けないよう、アセットデータを受信するために外部処理層によって準拠可能な1つまたは複数の規則および/またはパラメータを含む。
【0030】
さらに、アセットデータがアクセスまたは転送されるために、ユーザは、少なくともプラント内の動作またはリソース状況を知る必要がないことも達成され得る。それゆえ、第2の処理層は、プラント状況に従ってアセットデータのアクセスおよび/または転送のためのアクセス可能性条件を自動的に適合させることができる。それゆえ、プラント安全性が改善され得る。さらに、動作および/またはリソース状況に関する機密情報が、プラントの安全なネットワークを出て行くことを必要とされることを防止することができる。例えば、外部層はプラント動作パラメータを知る必要がない。むしろ、第2の処理層は1つまたは複数の規則および/またはパラメータを指定し、それを外部処理層に提供することができ、これにより、外部処理層は、アセットデータが外部処理層に対してアクセスおよび/または伝送され得るために従う1つまたは複数のアクセス可能性基準を知るのみである。
【0031】
特定の場合には、所与の特性、例えば、データ転送速度を用いたデータ転送および/またはアクセスが所与のネットワーク経路を介して可能でないこともあり得る。例えば、ユーザは、分析を遂行するために所与の値よりも高いデータ転送速度を必要とすることがあり、このデータ転送速度は、インフラストラクチャの制約のゆえに達成することが可能でないことがある。このような制約は、例えば、アセットとユーザとの間のデータリンクの帯域幅遅延積に影響を及ぼすことによって総データスループットを制約し得る、レイテンシであることができる。それゆえ、場合によっては、第2の処理層によって外部処理層に提供されたアクセス可能性基準または基準群は、提供されたアクセス可能性基準または基準群からの妥当な基準または基準群のうちの任意のものに従ってデータ転送および/またはアクセスをリクエストするためにユーザによって用いられ得る。場合によっては、アクセス可能性基準または基準群は、第2の処理層においてアクセスおよび/または転送のリクエストを受信した後に外部処理層に提供され得る。リクエストはユーザによって開始され得る。場合によっては、リクエストは、ユーザによって必要とされる1つまたは複数のデータ転送および/またはアクセス特性を含み得る。前述の特性がプラントインフラストラクチャおよび/または動作状況によって対応され得る場合には、第2の処理層によって外部処理層に提供されたアクセス可能性基準または基準群は、ユーザによって必要とされる1つまたは複数のデータ転送および/またはアクセス特性を含み得る。ユーザによってリクエストされたもののうちの1つまたは複数よりも優れた1つまたは複数のアクセス特性が可能である場合には、それらのより優れた特性を、外部処理層に提供されるアクセス可能性基準または基準群に含めることができる。このとき、外部処理層は、アクセス可能性基準群からより優れたデータ転送および/またはアクセス特性を選択するべきかどうかを決定し得る。他の場合には、第2の処理層によって外部処理層に提供されるアクセス可能性基準または基準群は、単に、ユーザによってリクエストされた1つまたは複数のデータ転送および/またはアクセス特性を有するのみであり得る。これは、例えば、ユーザリクエストが、重要なプラント動作または機能に影響を及ぼすことなく対応され得るときに、当てはまり得る。
【0032】
場合によっては、技術的コンテキストデータは、アセットとユーザとの間の、レイテンシ値またはその推定などの、1つまたは複数の性能パラメータを含みすらし得る。レイテンシ値は、アセットとユーザとの間の完全なネットワーク経路のため、またはネットワーク経路の部分のために提供され得る。例えば、特定の場合には、全体的なレイテンシ値は、ネットワークの部分、またはネットワーク経路内のボトルネックによって支配され得る。場合によっては、当該ネットワーク部分またはボトルネックのためのみのレイテンシ値を技術的コンテキストデータに含めて提供することで十分になり得る。
【0033】
場合によっては、第2の層はまた、追加のコンテキスト化をアセットデータに適用し得る。追加のコンテキスト化は、第2の処理層上で利用可能なコンテキストに関連し得る。コンテキスト化を介して、工業プラントのためのプラント識別名、プラントタイプ、信頼性インジケータ、または警報限界などのコンテキストがアセットデータに追加され得る。加えて、または代替的に、場合によっては、1つまたは複数のプラントの技術的アセット構造、フェアブント拠点、他のアセット管理構造(例えば、アセットネットワーク)、またはアプリケーションコンテキスト(例えば、モデル識別子、第三者交換)までもがアセットデータに追加され得る。このような包括的コンテキストは、デジタル配管および計装図、プラントアセットの3次元座標を用いた3Dモデルまたはスキャンなどの、機能場所またはデジタルツインから作り出され得る。加えて、または代替的に、例えば、配管および計装図にリンクされたモバイルデバイスからの局所スキャンがコンテキスト化のために用いられ得る。
【0034】
コンテキスト化のプロセスは、1つまたは複数の記憶ユニットにおいて利用可能なデータ点をリンクすることを指す。このようなユニットは永続的または不揮発性ストレージであり得る。データ点は測定値またはコンテキスト情報に関連し得る。記憶ユニットのうちの少なくとも1つは第1の処理層の部分であり得る。加えて、または代替的に、記憶ユニットのうちの少なくとも1つは第2の処理層の部分であり得る。加えて、または代替的に、記憶ユニットのうちの少なくとも1つは外部処理層の部分であり得る。記憶ユニットは処理層のうちの2つを超えるものにわたって分散しさえし得る。リンキングは動的または静的に生成され得る。例えば、既定の、または動的に生成されたスクリプトが、1つの処理層内の、または複数の処理層にわたる情報データ点の間の動的または静的リンクを生成し得る。リンクは、リンクされたデータ自体を含む新たなデータオブジェクトを生成し、このような新たなデータオブジェクトを新たなインスタンス内に記憶することによって確立され得る。記憶された任意のデータ点は、コピーが他所に記憶される場合には、能動的に削除され得る。それゆえ、1つの記憶ユニットから、同じ、または別の記憶ユニット内の新たなデータオブジェクトへコピーされた任意のデータ点は、記憶空間を低減するために削除され得る。加えて、または代替的に、リンクは、分散記憶ユニット内のそれぞれのデータ点をアドレス指定するか、またはそれらにアクセスするための組み込みリンクを有するメタデータオブジェクトを生成することによって確立され得る。かようにメタデータオブジェクトを通じてアドレス指定可能またはアクセス可能な任意のデータ点はその元の記憶ユニット内に残り得る。このような情報をリンクし、新たなデータオブジェクトを形成することは、依然として、例えば、外部処理層上で遂行され得る。データの検索のためには、データオブジェクトが直接アクセスされるか、あるいはメタデータオブジェクトが、1つまたは複数の記憶ユニット内に分散したデータをアドレス指定するか、またはそれらにアクセスするために用いられる。アプリケーションなどのこのようなデータを使った任意の動作は、このようなデータに直接アクセスし得るか、例えば、キャッシュメモリからの、このようなデータの非永続的イメージ、またはデータの永続的コピーにアクセスし得る。
【0035】
一態様によれば、第1の処理層は、単一のプラントにのみ、すなわち、工業プラントにのみ関連付けられている。それゆえ、第1の処理層は、1つまたは複数の処理デバイスおよび記憶デバイスを含むコアプロセスシステムであり得る。このような層は、プラント全体にわたって分散した制御ループを有する、プログラマブルロジックコントローラ(「PLC(programable logic controller)」)システムおよび/または分散制御システム(「DCS(distributed control system)」)を形成する1つまたは複数の分散した処理および記憶デバイスを含み得る。好ましくは、第1の処理層は、化学プロセスおよびアセットをアセットレベルで制御および/または監視するように構成されている。それゆえ、第1の処理はアセットに通信可能に結合されている。第1の処理層はまた、化学プラントを最も低いレベルでも監視および/または制御し得る。さらに、第1の処理層は、重要アセットを監視および制御するように構成され得る。加えて、または代替的に、第1の処理層は、アセットデータを第2の処理層に提供するように構成されている。第1の処理層は、プロセスデータを第2の処理層に提供するように構成されさえし得る。アセットデータおよび/またはプロセスデータは第2の処理層に直接、または間接的に提供され得る。
【0036】
第2の処理層は単に工業プラントにのみ関連付けられ得るか、あるいはそれは1つを超えるプラント、例えば、プラントのグループ、またはフェアブントに関連付けられ得る。第2の処理層は、1つまたは複数の処理および記憶デバイスを有するプロセス管理システムを含み得る。一態様によれば、第2の処理層は、第1の処理層への、および/またはそれからのデータ転送を管理するように構成されている。第2の処理層はプロセスアプリケーションをホストおよび/または組織しさえし得る。このようなプロセスアプリケーションは1つまたは複数の化学プラントまたは1つまたは複数のアセットを監視および/または制御し得る。プロセス管理システムは1つまたは複数の工業プラントに関連付けられ得る。
【0037】
さらなる態様では、第2の処理層は、中間処理層、または中間処理システム、ならびに任意選択的に、プロセス管理システムを含み得る。中間処理層は第1の処理層に通信可能に結合され得る。この場合には、第1の処理層およびプロセス管理システムは中間処理システムを介して結合され得る。中間処理システムは、第1の処理層によって提供されたプロセスまたはアセットデータを収集するように構成され得る。プロセス管理システムは、1つまたは複数のプラントのプラント固有データを外部ネットワークへのインターフェースに提供するように構成され得る。中間処理システムは1つまたは複数の工業プラントに関連付けられ得る。第2の処理層への中間処理レベルを含むことによって、さらなるセキュリティ層を追加する。それは、機密性のある第1の処理層をあらゆる外部ネットワークアクセスから切り離すことができる。加えて、中間レベルは、前処理を介して外部処理層へのデータ転送速度を低減し、コンテキスト化によってデータ品質を向上させることによって、より向上したデータハンドリングを可能にすることができる。アセットデータのアクセスおよび/または転送を提供するために、それゆえ、外部処理層に起因する第1の処理層への負荷が低減され得る。場合によっては、中間処理層は、外部処理層によって指定されたデータ解析を実行するために用いられさえし得る。特に、外部処理層に対する、データ量の多いアクセスおよび/または転送が困難または不可能である場合には、解析を中間処理層上で実行することによって、アセットデータを依然として活用することができる。アセットデータの分析からのデータ分析結果は、次に、インターフェースを介してユーザへ伝送され得る。データ解析を中間層上でローカルに実行する選択肢は技術的コンテキストデータ内で指定することができる。場合によっては、中間層は、少なくとも、高いデータスループットを有するアセットからのデータをキャッシュするために用いられ得る。それゆえ、第1の処理層から切り離された中間層は、外部処理層のリクエストの結果、第1の処理層の挙動に影響を及ぼすことなく、ユーザからのリソース量の多いリクエストによりうまく対応し、それに応えるために用いられ得る。それゆえ、アセットデータへのより良好なアクセスを可能にしつつ、プラントの安全性および/または信頼性がさらに改善され得る。それゆえ、アセットデータは、プラントサイズ、およびユーザがアセットから遠隔にあることにかかわりなく、スケーラブルで柔軟な仕方でよりうまく活用され得る。中間処理システムおよびプロセス管理システムは1つまたは複数の処理および記憶デバイスを含み得る。
【0038】
それゆえ、本開示において説明されるように、第2の処理層は、プロセスおよび/またはアセット固有データをコンテキスト化するように構成され得る。第2の処理層を介してコンテキスト化を遂行することによって、第1の処理層の性能は影響を受けない。これは旧プラントにも有利になり得る。なぜなら、このようなプラントは、第1の処理層を本質的に不変のまま残すことによって第2の処理層を用いてレトロフィットされ得るからである。旧プラント内の典型的なコアプロセスシステムは、プラントインフラストラクチャを実施するために旧世代のコンピュータシステムを用いて構築されている。このような旧プロセスシステムは、多くの場合、データ量の多いタスクを遂行するために必要とされる計算能力を有しない。大抵の工業プラントのコア処理システムはめったにアップグレードされない。なぜなら、このようなシステムはプラントのいくつかの他の構成要素と高度に統合されているため、変更は、新たなシステムの性能および安全性を保証することができるよう、徹底的な試験を必要とし得るからである。それゆえ、多くのプラントは、市場における最新技術に対して、時代遅れになっているであろうシステム、またはレガシーシステムを使い続け得る。別個の第2の処理層を、より高い性能を有するさらなるシステムとして追加することによって、このようなプラントのためにさえコンテキスト化を可能にすることができる。それゆえ、本教示は、旧プラントにおいてさえコンテキスト化を実施するスケーラブルで柔軟な仕方を提供することができる。加えて、場合によっては、第2の処理層は、および中間処理システムが実施される場合には、アセットレベルではなく、プラントレベルでのデータコンテキスト化を可能にすることもできる。本開示の文脈におけるデータコンテキスト化は、コンテキスト情報をプロセスまたはアセットデータに追加すること、あるいはプロセスまたはアセット固有データを前処理することによってデータサイズを低減することに関連する。コンテキストを追加することは、さらなる情報タグをプロセスまたはアセットデータに追加することを含み得る。前処理は、プロセスまたはアセットデータのフィルタリング、集約、正規化、平均化、または推論を含み得る。
【0039】
さらなる態様では、一方向または双方向通信、例えば、データ転送またはデータアクセスが、異なる処理層の間のデータストリームのために実現され得る。1つのデータストリームは、第2の処理層に渡され、それを介してコンテキスト化され、外部処理層へ通信される、第1の処理層からのプロセスまたはアセットデータを含み得る。コンテキスト化は第2の処理層上で遂行され得る。場合によっては、コンテキスト化は、外部処理層上でさえ、または第2の処理層および外部処理層の両方の上でさえ遂行され得る。さらに、プロセスまたはアセットデータ、あるいはプラント固有データの重要度に応じて、このようなデータは一方向または双方向通信のために割り振られ得る。例えば、第2または外部処理層から重要アセットへのデータ通信は、片方向通信チャネルを実現することによって禁止され得る。このような通信は重要アセットから処理層への一方向通信のみを可能にし得、その逆は可能にしない。それゆえ、少なくとも一部の重要アセットへのアクセスは、例えば、アセットデータを読み出すことのみを可能にし、データをアセットへ送信することを可能にしない、読み出し専用型になり得る。
【0040】
本開示において開示されるとおりの第2の処理層はプロセス管理システムとして実施され得る。上述されたように、第2の処理層は外部ネットワークを介して外部処理層に通信可能に結合され得る。第2の処理層は、外部処理層への、および/またはそれからのデータ転送を管理するように構成されさえし得る。
【0041】
一態様によれば、外部処理層は、データ記憶および計算能力のような、仮想化コンピューティングリソースを提供するコンピューティングまたはクラウド環境として少なくとも部分的に実現され得る。加えて、異なる関係者によって動作させられる複数の工業プラントが監視および/または制御されることになる場合によっては、工業プラントに影響を与えるデータまたはプロセスアプリケーションがこのようなクラウド環境内で共有され得る。
【0042】
さらなる態様では、第2の処理層は、外部処理層への、および/またはそれからのデータ転送をリアルタイムまたはオンデマンドのどちらかで管理するように構成されている。データ転送は1つまたは複数のアクセス可能性基準のうちの任意のものを介して実行されることは理解されるであろう。外部ネットワークへの、またはさらに、ユーザまでのインターフェースに対するネットワークおよび計算負荷次第では、リアルタイムの転送はバッファされ得る。オンデマンド転送は、1つまたは複数のアクセス可能性基準から合意されたとおりの、既定の、または動的な仕方でトリガされ得る。
【0043】
さらなる態様では、第2の処理層および/または外部処理層は、第三者管理システムを介してデータを交換するように構成されている。これは、VPNのような安全な接続を通じて、あるいは第三者または共有処理層の統合を介して実現され得る。
【0044】
アセットは、モノのインターネット(「IoT(Internet-of-Things)」)デバイスもしくはシステムでさえあるか、または1つまたは複数のIoTデバイスを備えるシステムでさえあり得る。より具体的には、アセットは、産業用モノのインターネット(「IIoT(industrial-Internet-of-Things)」)デバイスもしくはシステムであるか、または1つまたは複数のIIoTデバイスを備えるシステムでさえあり得る。例えば、アセットはIoTセンサであるか、またはサイバーフィジカルシステム(「CPS(Cyber-Physical-System)」)でさえあり得る。本文脈におけるCPSは、相互作用要素のネットワークを備える任意の工業システムを包含する。したがって、インテリジェント機構を活用してこのようなシステムの計算および物理要素の間のより多くの密接なリンクを確立する最新のロボットシステムおよび工業用制御システムなどの工業システムが用語の範囲に含まれる。
【0045】
それゆえ、上述のことから、本方法は以下の態様も有し得るということになる。
または、より具体的には、一態様によれば、本方法はまた、
- インターフェースを介して、技術的コンテキストデータを外部処理層へ伝送することを含む。
【0046】
さらなる態様によれば、本方法はまた、
- 第2の処理層において、1つまたは複数の選択されたアクセス可能性基準を受信すること、
を含み、
1つまたは複数の選択されたアクセス可能性基準は技術的コンテキストデータから選択され、選択は外部処理層によって遂行される。
【0047】
さらなる態様によれば、本方法はまた、
- 外部処理層において、アセットデータを受信すること
を含み、
アセットデータは、第2の処理層を介して、1つまたは複数の選択されたアクセス可能性基準に従って伝送される。
【0048】
一態様によれば、技術的コンテキストデータは、例えば、外部処理層を介して、ユーザ側におけるメモリまたはデータベース内に履歴の技術的コンテキストデータとして記憶される。ユーザまたは外部処理層は、その後、さらなるアセットデータにアクセスし、および/またはそれを転送するために、アセットデータの1つまたは複数の過去のアクセスおよび/または転送からの履歴のコンテキストデータを用い得る。履歴の技術的コンテキストデータは外部処理層において記憶されさえし得、および/または、メモリもしくはデータベースは外部処理層を介してアクセス可能であり得る。
【0049】
さらなる態様によれば、本方法はまた、
- 外部処理層を介して、技術的コンテキストデータのうちの少なくとも一部を履歴のコンテキストデータとして記憶することと、
- 第2の処理層において、1つまたは複数の事前に選択されたアクセス可能性基準を受信することと、
を含み、
1つまたは複数の事前に選択されたアクセス可能性基準は履歴の技術的コンテキストデータから選択され、選択は外部処理層によって遂行される。
【0050】
これは、アセットデータのためのアクセスおよび/または転送プロセスの速度をさらに高めることができる。履歴のコンテキストデータは、日付および/または時刻に基づくプラント内のアセットおよび/または他のリソース可用性に関連するデータ(例えば、処理負荷、ネットワーク帯域幅、レイテンシ)を含みすらし得る。したがって、外部処理層は、プラントリソースおよび/またはアセットの履歴の可用性に従ってアセットデータのためのアクセスおよび/または転送を自動的に適合させ得る。それゆえ、プラントから隔離されているにもかかわらず、ユーザは、アセットからのデータ可用性を活用して適合することができるようになり得る。
【0051】
工業アセットは、工業プラント、またはより単純に称して、プラント、に関連する機器の任意の部分であり得る。それゆえ、アセットは、アセットの性能および/またはプラントのものを評価するために使用可能であるデータを生成する能力を有する任意のデバイス、または機器の任意の単一の部分であり得ることは理解されるであろう。データは、好ましくは、アセットおよび/またはプラントの1つまたは複数のプロセスパラメータの値を示す測定データを含んでいるが、それは、弁の状態、または1つまたは複数のデバイスの「オン」もしくは「オフ」状態などの1つまたは複数の2値パラメータを示しさえし得る。用語「工業アセット(industrial asset)」および「アセット(asset)」は、プラント機器の任意の単一の部分またはグループを指すために本開示において互換的に使用される。上述されたように、アセットは、プラント監視および/または分析のために使用可能であるデータを、好ましくは、デジタル形式で生成する能力を有する任意の機器であることができる。上述されたように、用語「アセット」は、機器のグループ、例えば、複数のモータ、アクチュエータ、およびセンサを含むロボットステーションを指しすらし得る。アセットの他の非限定例は、熱交換器、反応器、ポンプ、管、蒸留または吸収筒のうちの任意の1つまたは複数、またはそれらの組み合わせである。アセットデータは、アセットによって生成されたデータ、またはアセット内で生成されたデータであり得る。例えば、ロボットステーションの同じ例を用いると、アセットデータは、ロボットステーションのセンサのうちの任意の1つまたは複数からのデータであり得る。アセットデータは、複数のセンサおよび/またはプロセスパラメータの組み合わせデータ、あるいはロボットステーションの記憶装置、またはさらに、コントローラからのデータでさえあり得る。プロセスパラメータのいくつかの非限定例は、コントローラ設定点、出力信号、設定、履歴もしくはログ記録データ、および任意の種類の構成データである。
【0052】
より新しいプラント操作技術(「OT(operational technology)」)システムでは、1つまたは複数のコンピュータアプリケーションをクラウドコンピューティングプラットフォーム上で実行することが望ましくなり得る。このようなアプリケーションはプラントの1つまたは複数のアセットからのデータを必要とし得る。したがって、場合によっては、データをアプリケーションのためにアクセス可能にするために、アセットデータがクラウドプラットフォームへ転送されることが必要とされ得る。このような場合の外部処理層はクラウドプラットフォーム内で実施することもできることは理解されるであろう。旧OTシステム、特に、PIMSまたはSCADAに関する問題は、はるかにより長いライフサイクルであり得、このようなプラントでは、システムは全体的に旧式/レガシー技術のもののままである。通例、旧OTシステムは、データをリアルタイムまたはほぼリアルタイムの様態で提供するように設計されていない。さらに、このようなシステムは、多くの場合、データを流す、または読み出すためのストリーミングインターフェースを有しない。それゆえ、ユーザまたは外部処理層のための唯一の解決策は、新たなアセットデータを受信するためのデータリクエストを定期的にポーリングすることであり得る。出願人は、このようなポーリングインターフェースは非常に効率が悪くなり得ることを認識した。
【0053】
それゆえ、出願人は、アセットデータを転送するより効率の高い仕方を認識した。全てのアセットデータをシステムからリアルタイムまたはほぼリアルタイムの様態で提供することができない場合には、第2の処理層は、少なくとも低分解能アセットデータを提供または伝送するように構成され得る。少なくとも、本態様は、少なくとも、以下において概説されることになる技術的利点のゆえに、それ自体で特許可能であることは理解されるであろう。本教示の特徴の残りのものと組み合わせて、これは、少なくとも、技術的コンテキストデータを用いて外部処理層またはユーザへのデータ転送を構成および計画することによって、計算ボトルネックを伴うプラントからのアセットデータの転送を予め計画する能力を含むことができるさらなる相乗効果をもたらすことができる。これは、アセットデータの可用性に従ってデータ解析タスクのより優れた順序付けをもたらすことができる。
【0054】
用語「全てのアセットデータ」は、外部処理層によってリクエストされたアセットデータを意味し得るか、またはそれは、外部処理層によって必要とされるアセットデータであり得る。全てのアセットデータをリアルタイムまたはほぼリアルタイムの様態で提供することができない状況は、例えば、全てのリクエストされた、または必要とされるアセットデータをそれぞれ第2の処理層によってアセットからリアルタイムまたはほぼリアルタイムの様態で取得することができない場合であり得る。加えて、または代替的に、全てのアセットデータをリアルタイムまたはほぼリアルタイムの様態で提供することができない状況は、全てのリクエストされた、または必要とされるアセットデータの伝送がそれぞれリアルタイムまたはほぼリアルタイムの様態でで(in in)可能でない場合でさえあり得る。それゆえ、いかなる計算および/またはネットワークボトルネックも、リアルタイムまたはほぼリアルタイムの様態でのデータ転送を妨げることになり得る。
【0055】
それゆえ、別の観点から見たときには、また、工業プラント内に配置された工業アセットからのアセットデータを前処理するための方法であって、アセットが第1の処理層に通信可能に結合されており、アセットデータが第1の処理層を介して第2の処理層に提供され、第1の処理層が第2の処理層に通信可能に結合されており、第1の処理層および第2の処理層が安全なネットワーク内で構成されており、本方法が、
- 第2の処理層を介して、低分解能アセットデータを提供することであって、低分解能アセットデータが、外部処理層によってリクエストされたアセットデータの部分セットであり、低分解能データが、少なくとも、1つまたは複数のデータ分析を開始するために、外部処理層によって使用可能である、提供することを含む、方法も提供され得る。
【0056】
前処理方法は、独立して、または態様の残りのものと併せて実施され得る。したがって、アセットデータを前処理するための工業システム、および前処理ステップを実施するためのソフトウェア製品もまた、独立した実施形態として、または本教示の態様の残りのものと併せて提供され得る。
【0057】
場合によっては、低分解能アセットデータは、外部処理層によって使用可能であるアセットデータの最も低い分解能の部分であり得、その一方で、アセットデータの1つまたは複数の部分の残りのものは後で提供され得る。これは、外部処理層が、アセットデータ全体が利用可能になり、ようやくデータ解析などのデータ処理が開始され得るようになるのを待たなくてもよいという利点を有することができることは理解されるであろう。それゆえ、外部処理層は、アセットデータの最も低い分解能の部分、または粗いアセットデータの処理を開始することができ、その一方で、アセットデータの残りのものは背景で受信されているか、または後で提供されることになる。同様に、低分解能アセットデータまたは粗いアセットデータは、外部処理層によって使用可能であるアセットデータの最も低い分解能の部分よりも高い分解能のデータでさえあり得る。それゆえ、使用可能である最小分解能よりも高い分解能のデータを外部処理層に提供することができる場合には、それが提供されてもよく、その一方で、必要とされるアセットデータの残りのものは、背景で、または後で提供される。用語「背景で提供される」は、例えば、アセットデータの残りの1つまたは複数の部分を第2の処理層においてキャッシュもしくは記憶すること、および/またはアセットデータの残りの1つまたは複数の部分を外部処理層においてキャッシュもしくは記憶することを意味し得る。残りのアセットデータは、1回で、または複数の転送サイクルで提供され得る。好ましくは、残りのアセットデータの提供は、外部処理層へのその後の保留転送となる保留アセットデータを有することなく外部処理層によって各々使用可能である1つまたは複数のデータチャンクの形で優先順位付けされる。換言すれば、アセットデータは、好ましくは、残りのアセットデータを用いることなく外部処理層によって使用可能であるデータチャック(chucks)に細分される。そうすることによって、外部処理層において受信されるアセットデータのデータ分解能は、受信されたデータの処理を進めるまでデータの残りのものを待つことなく徐々に途切れなく改善され得ることは理解されるであろう。それゆえ、データ転送速度の制約にもかかわらず、データ処理をより効率良くすることができる。分解能は、好ましくは、アセットデータの時間分解能である。
【0058】
センサからの大部分の信号は時間ベースの信号であり、したがって、アセットデータの少なくとも過半数は時系列データである。低分解能アセットデータを生成する、例えば、アセットデータ内に含まれる1つまたは複数の信号をダウンサンプリングするための1つまたは複数の技法が用いられ得る。低分解能アセットデータを生成するための特定の技法は本教示の範囲または一般性に対する限定にならない。したがって、外部処理層によって使用可能である低分解能アセットデータを生成することを可能にする任意の技法をその目的のために用いることができる。
【0059】
一態様によれば、アセットデータの転送および/またはアクセスは可変バルク読み出し履歴クエリに応じて開始される。これは、例えば、外部処理層からネットワークインターフェースへの履歴呼び出しのための対象期間を変更することによって行うことができる。より長い期間からのアセットデータをリクエストすることによって、アセットからのアセットデータを配信するために必要とされる計算リソース、および/または記憶ユニットをより効率良く用いることができる(クエリ時間/データ点)。これは、より古いデータ点を含むデータ転送をもたらし得るが、これは、全体的な転送を、アセットデータの特定の部分のためにより優れた分解能を配信するようより強く指向させ、その一方で、依然として、より高い時間周波数または分解能をもって必要とされない全ての他のデータ点または測定を配信することによって、計算負荷を低減することができる。
【0060】
一態様によれば、アセットデータの各アセットデータ部分の分解能は、アセットデータを必要とするデータ解析のための計算された関連性値に従って適合させられる。さらなる態様によれば、2年前後の対象期間を有するアセットデータ、およびアセットデータのデータ点の1時間平均を用いて訓練された機械学習(「ML(machine learning)」)モデルが、高分解能をもって配信されることを必要とされるアセットデータのデータ点を決定するために用いられ、残りのデータ点はより低い分解能をもって必要とされるのみである。同様に、アセットによっては、機械学習(「ML」)モデルは、1年前後の対象期間を有するアセットデータ、ならびにアセットデータのデータ点の1時間、もしくは半時間平均、または15分平均を用いて訓練され得る。より一般的には、機械学習(「ML」)モデルは、6カ月超の対象期間を有するアセットデータ、およびアセットデータのための最大1日のデータ点平均を用いて訓練され得る。
【0061】
そうする利点は、直近の時間のためのアセットデータ部分は外部処理層において利用可能でないにもかかわらず、アセットデータの長期履歴からのより低い分解能のデータを解析の目的で拡大のために用いることができることであり得る。
【0062】
さらなる態様によれば、アセットデータ使用が、特定の使用シナリオに従って特定のデータ点の関連性をカテゴリ化するために監視される。監視は、第2の処理層を介して、または第3の処理層を介して行われ得る。そうすることによって、特定のデータ部分の分解能が、特定の使用シナリオに適していると決定され得る。アセットデータのデータ点の分解能を適合させることによって、データ転送をさらに効率良くすることができる。これは、例えば、リクエストの技術的コンテキストを少なくとも1つの境界条件として監視し、リクエストされたアセットデータが、例えば、外部処理層へ、どのように配信されるべきかについての費用関数を計算することによって達成され得る。さらに、第2の処理層におけるデータポーリングをパラメータ化するための最適化アルゴリズムが適用され得る。一態様によれば、データ使用が、本質的に継続的に、または定期的に監視され、費用関数の重みが適合させられる。最適化は異なるアセットおよび/または異なる外部処理層のために再実行され得る。
【0063】
本文脈において、用語、特に、用語「ほぼリアルタイム(near real-time)」は、信号またはデータを指し得、それらは(those comprise)、15s以下の、具体的には、10s以下の、より具体的には、5s以下の、信号/データの生成とその信号/データの伝送との間の時間遅延を含む。それゆえ、一例として、プラントアセットにおけるそのアセットデータセットの生成の15s以内に外部処理層への伝送のためにネットワークインターフェースにおいて提供されるアセットデータセットは、ほぼリアルタイムの伝送と考えるか、またはほぼリアルタイムの様態で提供されると考えることができる。同様に、より小さい時間遅延を伴う伝送はリアルタイム伝送と呼び得る。
【0064】
技術的コンテキストデータに関して、規則は、例えば、アセットデータのアクセスおよび/または伝送が認められ得るときまたはその前後の時間もしくは期間、データのアクセスおよび/または伝送が認められ得るネットワーク経路のうちの任意のもの、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0065】
パラメータは、データ転送速度、データパケットの数、アクセスおよび/または転送がリクエストされたアセットデータのデータセットのサイズ、アクセスおよび/または転送がリクエストされたアセットデータに結合する1つまたは複数のデータパケットのサイズ、1つまたは複数のデータパケットの分解能、のうちの任意の1つまたは複数であり得る。
【0066】
安全なネットワークは、プラント動作において用いられるプラントアセットのうちの少なくとも一部の間の通信のために用いられるネットワークまたはその部分であることは理解されるであろう。それゆえ、安全なネットワークは、プラントに属するイントラネットであることができる。通例、安全なネットワークは、典型的には、工業プラント内に配置されているが、それは、時として、プラントの物理的な場所を超えて広がることすらできる。例えば、任意の1つまたは複数、または(any one or more or)プラント関連データベース、処理システム、または他の計算サービスが1つまたは複数のクラウドベースのサービスとして実施される場合である。第1の処理層および第2の処理層は安全なネットワークの部分である。安全なネットワークは、ファイアウォールによって分離された2つを超えるセキュリティゾーンを含む隔離されたネットワークでさえあり得る。このようなファイアウォールはネットワークまたはホストベースの仮想または物理ファイアウォールであり得る。ファイアウォールは、入および出ネットワークトラフィックを制御するためのハードウェアまたはソフトウェアベースのものであり得る。ここでは、ホワイトリスティングという意味での所定の規則が、アクセス管理または他の構成設定を介して、許可されたトラフィックを定義し得る。ファイアウォール構成に依存して、セキュリティゾーンは異なるセキュリティ標準を順守し得る。
【0067】
外部ネットワークは、少なくとも部分的に、インターネットなどの公衆ネットワークであり得る。代替的に、または加えて、外部ネットワークは、少なくとも部分的に、第2の処理層が提供されるのを伴う内部の(within with)安全なネットワークから隔離された別の安全なネットワークであり得る。特定の場合には、例えば、2つのプラントが専用の私設または非公衆ネットワークを介して相互接続されているときには、プラントの安全なネットワークは他のプラントの内部ネットワークから隔離され得ることは理解されるであろう。したがって、他のプラント内に配置されたユーザは、依然として、プラントからのアセットデータにアクセスする際の同じ問題のうちの少なくとも一部、例えば、ユーザがプラントの動作パラメータを知らないという問題に直面し得る。それゆえ、本教示はまた、公衆または私設の、任意の種類の外部ネットワークによって相互接続されたプラントのグループにおける同様の問題を解決するために適用され得る。
【0068】
さらなる態様では、第1の処理層は第1のファイアウォールを介して第1のセキュリティゾーン内で構成され、第2の処理層は第2のファイアウォールを介して第2のセキュリティゾーン内で構成される。第1の処理層を安全に保護するために、第1のセキュリティレベルは、第2のセキュリティレベルよりも高いセキュリティ標準を順守し得る。セキュリティレベルは、Namur文書IEC62443において概説されたものなどの共通の業界標準を順守し得る。第2の処理層はセキュリティゾーンを介してさらなる隔離をもたらし得る。例えば、中間処理システムは第3のファイアウォールを介して第3のセキュリティゾーン内で構成され得、プロセス管理システムは第2のファイアウォールを介して第2のセキュリティゾーン内で構成され得る。第3および第2のセキュリティゾーンはまた、セキュリティ標準が互いに違っていてもよい。例えば、第3のセキュリティゾーンは、第2のセキュリティゾーンよりも高いセキュリティ標準を順守し得る。これは、第1の処理層のより低いセキュリティゾーンに対するより高いセキュリティ標準、および第2の処理層のより高いセキュリティゾーンに対するより低いセキュリティ標準を可能にする。
【0069】
一態様によれば、技術的コンテキストデータは、アセットに関連する履歴のアクセスおよび/または転送データを用いて訓練された機械学習(「ML」)モデル、例えば、訓練可能なニューラルネットワークを用いて生成される。例えば、訓練データは、アセットに関連する履歴のレイテンシおよび性能データを含み得る。訓練データは、アセットから、アセットデータが統合されることになる外部データベースまたは宛先メモリまでアセットデータを伝送するための複数の可能なネットワーク経路に依存した特定のレイテンシおよび性能データを含み得る。代替的に、または加えて、訓練データはアセットデータの1つまたは複数の過去のアクセスおよび/または転送からの履歴の技術的コンテキストデータを含みさえし得る。代替的に、または加えて、訓練データは、少なくとも1つの反復パラメータを決定するために用いられた1つまたは複数の履歴の部分リクエストからのデータを含みさえし得る。MLモデルは、第2の処理層上、および/または中間処理層上で少なくとも部分的に実行され得る。MLモデルは外部処理層上で部分的に実行されさえし得る。MLモデルは、少なくとも1つのボトルネックを決定し、および/またはアセットと外部処理層もしくはユーザとの間のネットワーク経路のうちの少なくとも1つの内部の少なくともボトルネックの特性を学習するために用いることさえできる。したがって、MLモデルはまた、少なくとも1つのボトルネックの少なくとも1つの特性を決定するために用いることもできる。用語「ボトルネック」は、ユーザに対するアセットデータのアクセスおよび/または転送を提供するために必要とされる計算リソースにおける任意の種類の制約を指し得る。したがって、ボトルネックは、ネットワーク経路内の制約、例えば、データ帯域幅および/またはレイテンシであり得る。代替的に、ボトルネックは、アセットデータが処理されるために介することを必要とされる任意の処理層または任意のプロセッサの処理負荷の制約でさえあり得る。さらに代替的に、ボトルネックは、メモリ制約または限られたデータ記憶容量、例えば、限られたランダムアクセスメモリ(「RAM」)またはキャッシュを指しさえし得る。
【0070】
以上において明示されたように訓練されたMLモデルを用いることは、アセットデータにアクセスする、および/またはそれを転送する際のボトルネックを決定することをさらに可能にすることができることは理解されるであろう。それゆえ、MLモデルは、MLモデルを媒介として用いることによってユーザまたは外部処理層とアセットとの間のデータ統合パラメータを解明するために用いることができる。
【0071】
別の態様によれば、訓練データは、アセットデータを外部ネットワークへのインターフェースまで伝送するための1つまたは複数の可能な内部ネットワーク経路に関連するレイテンシおよび性能データを含む内部訓練データ、ならびにアセットデータをインターフェースから外部処理層まで伝送するための1つまたは複数の可能な外部ネットワーク経路に関連するレイテンシおよび性能データを含む外部訓練データに分割される。好ましくは、外部訓練データは、アセットデータが統合されることになる外部データベースまたは宛先メモリまでのレイテンシおよび性能データを含む。場合によっては、外部訓練データは、インターフェースと外部データベースまたは宛先メモリまでとの間の1つまたは複数の部分経路に関連しさえし得る。これは、例えば、外部訓練データが十分に存在しない、または利用可能でない場合に当てはまり得る。訓練データを内部訓練データと外部訓練データとに分ける利点は、変化した経路のための訓練の柔軟性を増大させることができることである。例えば、1つまたは複数の外部経路が変化した場合には、外部経路のためにのみ訓練を行うことができる。これはまた、訓練時間を節約し、より高速なデータ統合を可能にすることもできる。同様に、機械学習(「ML」)モデルを内部MLモデルと外部MLモデルとに分けることすらできる。内部MLモデルは、内部訓練データを用いることによって訓練され得、それに対して、外部MLモデルは、外部訓練データを用いることによって訓練され得る。
【0072】
訓練データを内部および外部訓練データに分割する別の相乗効果は、第2の処理層が、外部処理層のための都合良いアクセス可能性基準をもたらす内部経路および外部経路の組み合わせをより柔軟に決定することができようになることであり得る。それゆえ、このような組み合わせのうちの1つまたは複数は技術的コンテキストデータの部分として外部処理層に提供され得る。それゆえ、外部処理層は、最も好適なアクセス可能性基準を用いてアセットデータのアクセスをリクエストすることができる。
【0073】
出願人は、本教示は、バリューチェーンにおける、またはさらに、第1のプラントによって生産されたアセット、または製品が第2のプラントによって用いられる、連続生産における適用に特に適し得ることをさらに認識した。当業者は、バリューチェーン内のプラントの数は2つを超えることができることを理解するであろう。または、より一般的には、ユーザはバリューチェーンの下流の別のユーザのための供給元などであり得る。
【0074】
工業プラント、または単純に、プラントは、工業目的のために用いられるインフラストラクチャを備える。工業目的は、1つまたは複数の製品の製造、すなわち、プロセスプラントによって行われるプロセス製造であり得る。製品は、例えば、化学、生物由来、医薬、食料、飲料、織物、金属、プラスチック、半導体などの、任意の製品であることができる。したがって、プラントは、化学プラント、医薬プラント、石油および/または天然ガス井戸、製油所、石油化学プラント、クラッキングプラント、フラッキング施設などの化石燃料施設などのうちの任意のものまたはそれ以上(any or more)であることができる。当業者は、プラントはまた、プラントパラメータおよび機器を監視するためのいくつかの異なる種類のセンサを含むことができる計装の形態のアセットも含むことを理解するであろう。したがって、アセットデータのうちの一部はセンサなどの計装を介して生成され得る。
【0075】
さらに別の観点から見たときには、また、工業アセットのアセットデータを管理するためのシステムであって、システムが少なくとも1つのプロセッサを備え、少なくとも1つのプロセッサのうちの任意のものが、本明細書において開示される方法ステップのうちの任意のものを実行するように構成されている、システムが提供され得る。
【0076】
より具体的には、第1の処理層および第2の処理層を備える工業プラントシステムであって、第1の処理層が第2の処理層に通信可能に結合されており、第1の処理層および第2の処理層が安全なネットワーク内で構成されており、少なくとも1つの工業アセットが、第1の処理層に通信可能に結合するように構成されており、アセットが、第1の処理層を介してアセットデータを第2の処理層に提供するように構成されており、システムが外部ネットワークへのインターフェースをさらに備え、
第2の処理層が、
- アセットに関連する技術的コンテキストデータを生成することと、
- 技術的コンテキストデータをインターフェースに提供することと、
を行うように構成されており、
技術的コンテキストデータがアセットデータのための1つまたは複数のアクセス可能性基準を含み、アクセス可能性基準が、アセットデータを受信するために外部処理層によって準拠可能な1つまたは複数の規則および/またはパラメータを含む、工業プラントシステムが提供され得る。
【0077】
それゆえ、システムは、工業アセットからのアセットデータを統合するために適している。
【0078】
別の観点から見たときには、また、命令を含むコンピュータプログラムであって、命令が、プログラムが好適なコンピュータプロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、本明細書において開示される方法ステップを実施させる、コンピュータプログラムが提供され得る。また、好適なコンピュータプロセッサに、本明細書において開示される任意の方法ステップを実行させるプログラムを記憶する非一時的コンピュータ可読媒体が提供され得る。
【0079】
コンピュータ可読データ媒体または担体は、本明細書において説明された方法論または機能のうちの任意の1つまたは複数を具現する1つまたは複数の命令セット(例えば、ソフトウェア)が記憶された任意の好適なデータ記憶デバイスを含む。命令はまた、コンピュータシステムによるそれらの実行の間に、主メモリ内、および/またはプロセッサ内に完全に、または少なくとも部分的に常駐し得、コンピュータ可読記憶媒体を構成し得る、主メモリおよび処理デバイス(main memory, and processing device, which may constitute computer-readable storage media)。命令はネットワークインターフェースデバイスを介してネットワークを通じてさらに伝送または受信され得る。
【0080】
本明細書において説明されるネットワークは、有線式、無線式、またはそれらの組み合わせの、任意の種類のデータ伝送媒体であり得る。特定の種類のネットワークは本教示の範囲または一般性に対する限定にならない。
【0081】
本明細書において説明される実施形態のうちの1つまたは複数を実施するためのコンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、その一部として提供される、光学記憶媒体または固体媒体などの、好適な媒体上に記憶され、および/または配布されてもよいが、また、インターネットまたは他の有線もしくは無線電気通信システムを介するなど、他の形態で配布されてもよい。しかし、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを通じて提示されてもよく、このようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリ内へダウンロードすることができる。
【0082】
別の観点から見たときには、上述の実施形態のうちの1つに係る方法を遂行するように構成されたコンピュータプログラム要素をダウンロードのために利用可能にするためのデータ担体またはデータ記憶媒体も提供され得る。
【0083】
単語「備える(comprising)」は他の要素またはステップを除外せず、不定冠詞「a」または「an」は複数を除外しない。単一のプロセッサ、またはコントローラ、または他のユニットが、請求項に記載されているいくつかの項目の機能を果たし得る。特定の方策は、相互に異なる従属請求項に記載されているという事実のみをもって、これらの方策の組み合わせを有利に用いることができないことが示されるわけではない。請求項内の参照符号はいずれも、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0084】
例示的な実施形態が以下において添付の図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0085】
図1】処理層を備えるシステムのブロック図である。
図2】一態様のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0086】
詳細な説明
化学プラントなどの工業プラントでは、プロセス工業生産は、通例、さらなる下流製品を得るために用いられる、上流製品から開始する。典型的なプラントまたはそれらの機構では、1つまたは複数の中間製品を介した最終製品へのバリューチェーン生産は非常に制限的であり、サイロ化されたインフラストラクチャに基づく。これは、IoT、クラウドコンピューティング、およびビッグデータ解析などの新技術の導入を阻み得る。
【0087】
他の製造業とは異なり、プロセス工業は、特に、可用性およびセキュリティに関して、非常に高い標準の対象となり得る。この理由のために、コンピューティングインフラストラクチャは、通例、高セキュリティであり、例えば、一方向性で、サイロ化され、このようなプラントの監視および制御システムへのアクセスは非常に制限的である。
【0088】
概して、このような工業プラントは、操作技術および情報技術ソリューションの間の機能的分離を行うための異なるレベルを有するサイロ化された仕方でエンタープライズアーキテクチャに組み込まれる。
【0089】
レベル0は物理プロセスに関連し、プラント内の実際の物理プロセスを定義する。レベル1は、例えば、プロセスセンサ、分析器、アクチュエータ、および関連計装を介して、物理プロセスを感知し、操作するためのインテリジェントデバイスに関する。レベル2は、物理プロセスを監督、監視、および制御するための制御システムに関する。リアルタイム制御およびソフトウェア;DCS、ヒューマンマシンインターフェース(「HMI(human-machine interface)」);監視およびデータ取得(supervisory and data acquisition)(「SCADA」)ソフトウェアが典型的な構成要素のうちの一部である。レベル3は、所望の製品を生産するための生産ワークフローを管理するための製造作業システムに関する。バッチ管理;製造実行/作業管理システム(MES/MOMS:manufacturing execution/operations management systems);実験室、保守およびプラント性能管理システム、データヒストリアン、ならびに関連ミドルウェアが典型的な構成要素である。制御および監視のための時間フレームは、シフト、時間、分、秒であり得る。レベル4は、製造作業のビジネス関連活動を管理するためのビジネスロジスティックスシステムに関する。企業資源計画(「ERP(Enterprise resource planning)」)が、通例、プライマリシステムであり、基本プラント生産スケジュール、資材使用、出荷、および在庫水準を確立する。時間フレームは、月、週、日、シフトであり得る。
【0090】
加えて、このような構造は、レベル2以下の内部へのデータフローがないことを可能にする厳格な片方向通信プロトコルを順守し得る。このようなアーキテクチャにおいて網羅されていないのは、会社または企業外部インターネットである。しかし、このモデルは依然としてサイバーセキュリティの領域内の本質的概念にとどまる。この文脈において、課題は、既存のアーキテクチャの確立された利点:すなわち、化学プラントを制御する、より低レベルのシステム(レベル1およびレベル2)の高い可用性および信頼性、ならびにサイバーセキュリティを依然として保証しつつ、クラウドコンピューティングおよびビッグデータの恩恵を活用することになり得る。
【0091】
本教示は、この枠組みを系統的に変更し、既存のアーキテクチャに適合した新たな能力を導入することによって、監視および/または制御を向上させることを可能にすることができる。本開示は、高いセキュリティ標準を同時に順守する、プロセス工業のためのスケーラブルで、柔軟で、利用可能なコンピューティングインフラストラクチャを提供することができる。さらに、プラント内に配置されたアセットからのデータの、外部からリクエストされたアクセスおよび/または転送の結果、プラントの性能が不当に影響を受けないことを確実にしつつ、別個のプラントの間のデータおよび解析を活用することを可能にすることができる。
【0092】
図1は、処理層を備えるシステム100または機構を示す。例えば、化学プラントであることができる、第1の工業プラント101が示されている。化学プラントは、例えば、化学プロセスを用いて原料を製品に変容させる、化学プロセスに基づく任意の製造施設であることができる。システム100は、プラント101に関連付けられたコアプロセスシステム114の形態の第1の処理層、およびプラント101に関連付けられた、例えば、プロセス管理システムの形態のものであることができる、第2の処理層116を含む2つの処理層を備えるように示されている。第1の処理層114、またはコアプロセスシステムは、第2の処理層116に通信可能に結合されており、一方向または双方向データ転送を可能にする。コアプロセスシステム114は、化学プラント101のアセットに関連付けられた処理ユニットの非集中セットを含む。
【0093】
第1の処理層114および第2の処理層116は、概略図において、ファイアウォール118および120によって区切られた2つのセキュリティゾーンとして本例では示されている、安全なネットワーク内で構成されている。第1のセキュリティゾーンは、第1のファイアウォール118が、コアプロセスシステム114への、およびそれからの入および出ネットワークトラフィックを制御する、コアプロセスシステム114のレベル上に配置されている。第2のセキュリティゾーンは、第2のファイアウォール120が、第2の処理層116への、およびそれからの入および出ネットワークトラフィックを制御する、第2の処理層116の周りに配置されている。このような隔離されたネットワークアーキテクチャは、脆弱なプラント動作を不正アクセスまたはサイバー攻撃から防御することを可能にすることができる。
【0094】
第1の処理層114はプラント101のアセットデータ122を第2の処理層116に提供する。第1の処理層114はまた、プラント101のプロセスまたはアセット固有データも第2の処理層116に提供し得る。プロセスまたはアセット固有データは、値、品質、時間、測定単位、アセット識別名を含み得る。コンテキスト化を介して、プラントのためのプラント識別名、プラントタイプ、信頼性インジケータ、または警報限界などのさらなるコンテキストが追加され得る。第2の処理層116は、技術的コンテキストデータを外部ネットワーク124へのインターフェース126に提供するようにさらに構成されている。
【0095】
技術的コンテキストデータはアセットデータのための1つまたは複数のアクセス可能性基準を含む。アクセス可能性基準は、アセットデータを受信するために外部処理層150によって準拠されなければならない1つまたは複数の規則および/またはパラメータを含む。外部処理層150は第2のプラント102内に配置され得る。第2のプラント102に関連付けられた処理層またはセキュリティゾーンは図に示されていないが、第2のプラント102は、第1のプラント101に関連付けられたのと同様の層構成を有し得る。代替的に、第2のプラント102は、第1のプラント101と比べて異なる処理機構を有し得る。第2のプラント102内に配置されたユーザは第1のプラント101内の重要動作パラメータの完全な概観を有し得ないため、アセット、例えば、アセット12からのデータのリクエストは第1のプラント101内の性能または安全性に影響を及ぼし得る。場合によっては、ユーザは、外部処理層150上で実行するアプリケーションであり得る。外部処理層150はクラウドコンピューティングプラットフォームまたはサービスの部分でさえあり得る。したがって、外部処理層150が第2のプラント102内に配置されていることは必須でない。場合によっては、図1に示されるように、外部処理層150が第2のプラント102に関連するのとは異なり、外部処理層150はいずれのプラントにも無関連でさえあり得る。外部処理層150は、1つまたは複数のプラントからのアセットデータを分析することを目的とする別個の遠隔コンピューティングサービスでさえあり得る。
【0096】
第2の処理層116は、外部ネットワークへのインターフェース126を介して外部処理層150に通信可能に結合されている。場合によっては、外部処理層150は、データ記憶および計算能力のような、仮想化コンピューティングリソースを提供するコンピューティングまたはクラウド環境でさえあり得る。
【0097】
アクセス可能性基準に含まれる、1つまたは複数の規則および/またはパラメータは自動的に指定され得るか、あるいはそれらは、前述の1つまたは複数の規則および/またはパラメータに準拠して遂行される外部処理層150に対するアセットデータのアクセスおよび/または転送が、プラント101、および/またはアセット10~12のうちの任意のもののいかなる重要動作にも影響を及ぼさないよう選択され得る。
【0098】
例えば、ポンプ11上の振動を分析するために、ユーザは、外部処理層150を介して、ポンプ11からの測定データをリクエストしていてもよい。測定データは、例えば、10kHzの、周波数を有し得る。このため、ネットワークにおけるレイテンシのゆえに、このようなデータ転送がリアルタイムで可能でなくなることが起こり得る。ユーザリクエストに直ちに対応し、これにより、所望のデータを伝送することができずにプラント101および/またはアセット11の性能に潜在的に影響を及ぼすのではなく、先験的に決定されたパラメータを含み得る、技術的コンテキストデータを適用することによって、アセット11のデータにアクセスし/それを転送するための1つまたは複数の実行可能な代替案をユーザに提供することができる。場合によっては、技術的コンテキストデータは機械学習(「ML」)モデルを用いて生成され得る。このとき、システムは、例えば、第2の処理層116を介して、このような転送速度を達成することがいつ可能になり得るかを学習し得る。加えて、または代替的に、リクエストされた特性を有するアクセスおよび/または転送が可能になり得る代替経路が示唆され得る。場合によっては、解析またはアプリケーションを、例えば、第2の処理層116上で、ローカルに実行し、かくして結果を外部処理層150に提供する可能性がユーザに提供され得る。したがって、第2の処理層116および/または外部処理層150は、プロセスアプリケーションまたは解析をホストし、および/または組織するように構成され得る。場合によっては、第2の処理層116は、コアプラント動作に関連するプロセスアプリケーションをホストし、および/または組織し得、外部処理層30は、非コアプラント動作に関連するプロセスアプリケーションをホストし、および/または組織するように構成され得る。ここで、コアプラント動作は、プラント101が、外部ネットワーク接続を用いることなくアイランドモードで実行することを可能にする重要動作に対応し得る。
【0099】
ポンプ11からのデータ、またはアセットデータは、異なる時間に配信される複数のデータパッケージに含めて提供されさえし得る。データパッケージは、第2の処理層、および/または中間処理層、および/または外部処理層においてキャッシュされ得る。場合によっては、アセットデータは、完全なアセットデータが外部処理層において利用可能になるのを待つのではなく、データ処理が開始され得るよう、最初は、低分解能の形態、または粗い形態で外部処理層に提供され得る。残りのアセットデータは1つまたは複数のデータパッケージに含めて提供され得、各データパッケージは外部処理層におけるアセットデータの分解能を徐々に向上させる。場合によっては、データパッケージは、データが必要とされる解析のためのアセットデータ、またはポンプデータの関連性に応じて、互いに異なる分解能を有しさえし得る。
【0100】
場合によっては、第1のプラント101の側で、または第2のプラント102の側で、またはその両方で、1つまたは複数の追加の処理層も可能である。例えば、中間処理層が第1の処理層114と第2の処理層116との間に提供され得る。中間処理層は第1のファイアウォール118を介して第1の処理層114に通信可能に結合され得る。それゆえ、第1の処理層114および第2の処理層116は中間処理層を介して通信可能に結合されている。中間処理層と第2の処理層116との間には追加のファイアウォールも提供され得る。中間処理層は、例えば、前処理を介して、外部処理層150へのデータ転送速度を低減し、コンテキスト化によってデータ品質を向上させることによって、より向上したデータハンドリングを可能にすることさえできる。
【0101】
場合によっては、MLモデルは中間処理層上で少なくとも部分的に実行され得る。
図2は本教示の一態様のフローチャート200を示す。アセット、例えば、ポンプ11に関連する技術的コンテキストデータが、例えば、第2の処理層116において生成される(201)。技術的コンテキストデータは、例えば、第2の処理層116を介して、インターフェース126に提供される(202)。インターフェース126は外部ネットワーク124に接続する。それゆえ、技術的コンテキストデータは、ポンプ11からのデータ、またはアセットデータのアクセスおよび/または転送を必要とする外部処理層150に提供され得る(203)。技術的コンテキストデータは、ネットワークインターフェース126を介して伝送することによって提供され得る。技術的コンテキストデータはアセットデータのための1つまたは複数のアクセス可能性基準を含む。アクセス可能性基準は、ポンプデータまたはアセットデータのアクセスおよび/または転送のために外部処理層150によって準拠可能な1つまたは複数の規則および/またはパラメータを含む。任意選択的に、アセットデータは、技術的コンテキストデータから外部処理層150によって選択された1つまたは複数の選択されたアクセス可能性基準に従って外部処理層150において受信され得る(204)。さらに任意選択的に、ここで説明されたステップ201~204に加えて、少なくとも1つの反復パラメータから技術的コンテキストデータを生成することなどのさらなる態様も実施され得る。
【0102】
アセットデータを管理するためのシステムを提供された、アセットデータを統合するための方法、および本明細書において開示された関連方法ステップのうちの任意のものを実施するコンピュータソフトウェア製品のための様々な例が以上において開示された。しかし、当業者は、添付の請求項およびそれらの同等物の趣旨および範囲から逸脱することなく変更および修正がそれらの例に行われ得ることを理解するであろう。さらに、本明細書において説明された方法および製品の実施形態からの態様は自由に組み合わせられ得ることが理解されるであろう。本教示の特定の例示的な実施形態が以下の条項において要約される。
図1
図2
【国際調査報告】