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特表2023-533353顔料懸濁液および前記顔料懸濁液を用いて調製される化粧剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-02
(54)【発明の名称】顔料懸濁液および前記顔料懸濁液を用いて調製される化粧剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/55 20060101AFI20230726BHJP
   A61K 8/58 20060101ALI20230726BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20230726BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20230726BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20230726BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20230726BHJP
【FI】
A61K8/55
A61K8/58
A61Q1/00
A61Q5/10
A61Q5/12
A61K8/46
A61K8/49
A61K8/42
A61K8/25
A61K8/19
A61K8/26
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023502827
(86)(22)【出願日】2021-05-27
(85)【翻訳文提出日】2023-01-13
(86)【国際出願番号】 EP2021064184
(87)【国際公開番号】W WO2022012806
(87)【国際公開日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】102020208952.3
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーザー,ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】コロンコ,クラウディア
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー,ウルリケ
(72)【発明者】
【氏名】ホデス,ジン
(72)【発明者】
【氏名】クリーナー,カロリーネ
(72)【発明者】
【氏名】ベンダー,イルムガルト
(72)【発明者】
【氏名】ヤイザー,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ノヴォトニィ,マルク
(72)【発明者】
【氏名】シェープゲンス,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】マティアシク,カーステン
(72)【発明者】
【氏名】レヒナー,トルステン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB211
4C083AB221
4C083AB431
4C083AC731
4C083AC732
4C083AC761
4C083AC762
4C083AC851
4C083AC852
4C083AC901
4C083AC902
4C083AC911
4C083AC912
4C083BB24
4C083CC01
4C083CC11
4C083CC36
4C083DD39
4C083EE26
(57)【要約】
本発明は、a)顔料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物と、b)少なくとも1つのリン酸エステルとを含む顔料懸濁液に関する。本願はまた、顔料懸濁液を1以上の有機C-Cアルコキシシランおよび/またはそれらの縮合生成物と組み合わせることによって得られる化粧剤も開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)顔料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物、およびb)少なくとも1つのリン酸エステルを含む、顔料懸濁液。
【請求項2】
顔料は基材プレートレットを含み、前記基材プレートレットは金属、金属合金、天然雲母、または合成雲母を含むことを特徴とする、請求項1に記載の顔料懸濁液。
【請求項3】
顔料は少なくとも1つの金属の基材プレートレットを含み、前記金属はアルミニウム、銅、銀、および金からなる群から選択されることを特徴とする、請求項2に記載の顔料懸濁液。
【請求項4】
顔料は金属合金の基材プレートレットを含み、前記金属合金は真鍮を含むことを特徴とする、請求項2に記載の顔料懸濁液。
【請求項5】
顔料は合成雲母(INCI:合成フルオロフロゴパイト)の基材プレートレットを含むことを特徴とする、請求項2に記載の顔料懸濁液。
【請求項6】
顔料は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI42090、CI69800、CI69825、CI73000、CI74100、CI74160の青色顔料、カラーインデックスがCI11680、CI11710、CI15985、CI19140、CI20040、CI21100、CI21108、CI47000、CI47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI61565、CI61570、CI74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI11725、CI15510、CI45370、CI71105の橙色顔料、カラーインデックスが、CI12085、CI12120、CI12370、CI12420、CI12490、CI14700、CI15525、CI15580、CI15620、CI15630、CI15800、CI15850、CI15865、CI15880、CI17200、CI26100、CI45380、CI45410、CI58000、CI73360、CI73915および/またはCI75470の赤色顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の顔料懸濁液。
【請求項7】
少なくとも1つのリン酸エステルは、オルトリン酸と脂肪族アルコールとのエステルを含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の顔料懸濁液。
【請求項8】
少なくとも1つのリン酸エステルは、オルトリン酸と、11~14個の炭素原子を有する分岐脂肪族アルコールとのエステルを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の顔料懸濁液。
【請求項9】
少なくとも1つのリン酸エステルは、オルトリン酸と、8~18個の炭素原子を有するエトキシル化脂肪族アルコールとのエステルを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の顔料懸濁液。
【請求項10】
少なくとも1つのリン酸エステルは、INCI名称Ceteth-20ホスフェートを有するエステルを含むことを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の顔料懸濁液。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の顔料懸濁液と、1以上の有機C-Cアルコキシシランおよび/またはそれらの縮合生成物とを組み合わせることにより得られる化粧剤。
【請求項12】
化粧剤は、式(S-I)および/または(S-II)および/または(S-IV):
【化1】
[式中、
- R、Rは、独立して水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
- Lは、直鎖または分岐鎖の2価C-C20アルキレン基であり、
- R、Rは、互いに独立してC-Cアルキル基を表し、
- aは、1~3の整数を表し、
- bは、整数3-aを表す]
および
【化2】
[式中、
- R、R’、R''、R、R'およびR''は独立して、C-Cアルキル基を表し、
- A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖または分岐鎖の2価C-C20アルキレン基を表し、
- RおよびRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基または式(S-III):
【化3】
〔式中、
- cは、1~3の整数を表し、
- dは、整数3-cを表し、
- c'は、1~3の整数を表し、
- d'は、整数3-c'を表し、
- c''は、1~3の整数を表し、
- d''は、整数3-c''を表し、
- eは、0または1を表し、
- fは、0または1を表し、
- gは、0または1を表し、
- hは、0または1を表し、
- ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる〕
で示される基を表す]
および/または、
【化4】
[式中、
- Rは、C-C12アルキル基を表し、
- R10は、C-Cアルキル基を表し、
- R11は、C-Cアルキル基を表し、
- kは、1~3の整数であり、
- mは、整数3-kを表す]
で示される1以上の有機C-Cアルコキシシランを含むことを特徴とする、請求項11に記載の化粧剤。
【請求項13】
化粧剤は、少なくとも2つの構造的に異なる有機C-Cアルコキシシランを含むことを特徴とする、請求項11または12に記載の化粧剤。
【請求項14】
別々に包装された以下:
- 剤(a’)を含む第1容器、ここで前記剤は(a’):
(a1)少なくとも1以上の有機C-Cアルコキシシランを含む、および
- 剤(a’’)を含む第2容器、ここで前記剤は(a’’):
(a2)請求項1~10のいずれかに記載の顔料懸濁液を含む、
を含む、ケラチン物質を染色するための部材キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、顔料と担持媒体とを含む顔料懸濁液である。さらなる主題は、顔料懸濁液とオルガノシリコン化合物とを用いて調製される化粧剤である。
【0002】
顔料は、着色のために、ワニス、塗料、印刷インキ、粉体塗料、化粧品、またはプラスチックに頻繁に使用される。塗料、ワニス、印刷インキ、化粧品、および粉体塗料は、改善または改良された、光学的特性および物理的特性の両方を得るために表面に塗布される、液体または粉体のコーティング材料である。
【背景技術】
【0003】
ケラチン繊維、特に毛髪の形状および色を変えることは、現代の化粧品の重要な分野である。毛髪の色を変えるため、専門家には、着色の要求に応じた、様々なカラーリングシステム(着色方法)が知られている。良好な堅牢性および良好な白髪カバー性を備えた長期的な強い染色のためには、通常、酸化染料が使用される。このような染料は通常、酸化染料前駆物質、いわゆる顕色成分およびカプラー成分を含み、これらは過酸化水素などの酸化剤の影響下で実際の染料を互いに生成する。酸化染料は、非常に長持ちする染色結果を特徴とする。
【0004】
直接染料を使用する場合、既に生成された染料が着色剤から毛髪繊維内に拡散する。酸化染毛と比較して、直接染料を用いて得られる染色物は、より短い保持期間およびより早い洗浄性を有する。直接染料を有する染料は、通常、5~20回の洗浄の間、毛髪に残留する。
【0005】
毛髪および/または皮膚の色を短期間変えるために、着色顔料の使用が知られている。着色顔料は、不溶性の着色剤物質であると理解されている。着色顔料は、小粒子の形で染料組成物中に溶解せずに存在し、外部から毛髪繊維および/または皮膚表面に単に付着するにすぎない。従って、これらは通常、界面活性剤を含む洗浄剤で数回洗浄することで、残留することなく除去され得る。このタイプの様々な製品は、ヘアマスカラの名称で市販されている。
【0006】
金属光沢顔料やメタリック効果顔料は、多くの技術分野で広く使用されている。それらは例えば、着色塗料、印刷インキ、インク、プラスチック、ガラス、セラミック製品、およびマニキュアなどの装飾用化粧品の調製に使用される。金属光沢顔料やメタリック効果顔料は、角度によって変化する魅力的な色印象(ゴニオクロミズム(goniochromism))および金属的な光沢を特徴とする。
【0007】
メタリック仕上げまたはメタリックハイライトを有する毛髪が流行している。メタリック調は毛髪をより太くより艶やかに見せる。
【0008】
化粧品分野での用途、例えば顔料によるケラチン繊維の色変更では、顔料が保存安定で、かつ投与可能な形態でユーザーに提供されることが重要である。これは、保存安定な顔料懸濁液の形態で可能である。
【0009】
無機顔料懸濁液の生成には、通常、粉砕顔料粉末および水が使用される。必要に応じて、有機または無機の分散助剤を少量添加する必要がある。
【0010】
例えばいわゆる金属効果顔料などの一部の顔料は、水性媒体中では限られた安定性しか有さない。例えば、アルミニウム系金属効果顔料は、水中で比較的急速に分解し、水素および水酸化アルミニウムを形成する。これを防ぐために、金属顔料表面は、従来、リン酸塩処理、クロメート処理、塩析処理、または合成樹脂などの他のコーティングによって保護される。
【0011】
このような、被覆された金属効果顔料は、被覆されていない金属効果顔料よりも高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、容易かつ安価に調製でき、保存において安定である、顔料懸濁液を提供することである。特に、顔料懸濁液中の顔料は、分解および/または腐食に対して安定であることが望ましい。この目的のために、複数の種類の顔料、例えば無機顔料と有機顔料、または無機顔料と金属顔料が、顔料懸濁液に使用され得る場合が好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
担持媒体として少なくとも1つのリン酸エステルを含む顔料懸濁液は、これらの要件を満たすことが示されている。
【0014】
したがって、本発明の第1の主題は、a)顔料からなる群から選択される少なくとも1つの着色化合物、およびb)リン酸エステルを含むものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に必須の第1成分として、顔料懸濁液は、顔料の群からの少なくとも1つの着色化合物を含む。
【0016】
本発明の意味における顔料は、25℃での水への溶解度が0.5g/L未満、好ましくは0.1g/L未満、なおより好ましくは0.05g/L未満である着色化合物である。水への溶解度は、例えば、以下に示す方法で測定できる。ビーカーに0.5gの顔料を秤量する。ビーカーグラスを加える。次いで、1リットルの蒸留水を添加する。この混合物をマグネチックスターラー上で撹拌しながら25℃に1時間加熱する。この時間の経過後、混合物中に顔料の未溶解成分がまだ見える場合、顔料の溶解度は0.5g/L未満である。微細に分散している顔料の強度が高いために、顔料-水混合物を目視で評価できない場合は、混合物をろ過する。ろ紙上に未溶解顔料の一部が残留する場合、その顔料の溶解度は0.5g/L未満である。
【0017】
適当な顔料は、無機由来および/または有機由来であり得る。
【0018】
好ましくは、少なくとも1つの顔料は基材プレートレットを有する。
【0019】
基材プレートレットは、プレートレット形状に成形可能な任意の材料で構成され得る。
【0020】
それらは天然由来であってもよいし、合成的に製造されたものであってもよい。基材プレートレットを構成できる材料としては、金属および金属合金、金属酸化物、好ましくは酸化アルミニウム、無機化合物、および雲母および(半)宝石のような鉱物、並びにプラスチックが挙げられる。好ましくは、基材プレートレットは、金属または合金もしくは雲母で構成される。雲母は、天然由来のものでも合成のものでもあり得る。
【0021】
従って、顔料が基材プレートレットを含み、前記基材プレートレットが金属、金属合金、天然雲母、または合成雲母を含むことが好ましい場合がある。特に、基材プレートレットは、好ましくは、金属、金属合金、天然雲母、または合成雲母からなる。
【0022】
顔料に適した任意の金属が使用され得る。そのような金属としては、鉄および鋼、ならびに白金、スズ、亜鉛、クロム、モリブデンおよびケイ素などの全ての耐空気性および耐水性の(半)金属、ならびにアルミニウム青銅および真鍮などのそれらの合金が挙げられる。好ましい金属は、アルミニウム、銅、銀および金である。
【0023】
特に好ましい実施形態では、顔料は金属の基材プレートレットを含み、該金属はアルミニウム、銅、銀、および金からなる群から選択され、特にアルミニウムの基材プレートレットが好ましい。
【0024】
アルミニウムからなる基材プレートレットは、特に、アルミニウム箔の打ち抜きによって、または一般的なミーリング技術および微粒化技術によって製造され得る。例えば、アルミニウムプレートレットは、湿式ミーリング工程、反射工程(reverberation process)から得られる。
【0025】
別の好ましい実施形態において、顔料は金属合金基材プレートレットを含み、前記金属合金は真鍮を含む。
【0026】
特に好ましい実施形態において、顔料は雲母の基材プレートレットを含み、特に合成雲母(INCI:合成フルオロフロゴパイト)の基材プレートレットが好ましい。
【0027】
金属、または金属合金からなる基材プレートレットは、好ましくは、最大150nm、好ましくは50nm未満、より好ましくは30nm未満、特に好ましくは最大25nm、例えば最大20nmの平均厚さを有する。基材プレートレットの平均厚さは、少なくとも1nm、好ましくは少なくとも2.5nm、特に好ましくは少なくとも5nm、例えば少なくとも10nmである。基材プレートレットの厚さの好ましい範囲は、2.5~50nm、5~50nm、10~50nm;2.5~30nm、5~30nm、10~30nm;2.5~25nm、5~25nm、10~25nm、2.5~20nm、5~20nm、10~20nmである。好ましくは、各基材プレートは可能な限り均一な厚さを有する。
【0028】
雲母の基材プレートレットは、好ましくは50~1500nm、より好ましくは90~1000nmの平均厚さを有する。
【0029】
基材プレートレットのサイズは、特定の用途、例えばケラチン物質への所望の効果に合わせて調整され得る。典型的には、金属、または金属合金からなる基材プレートレットは、約2~200μm、特に約5~100μmの平均最大径を有する。典型的には、雲母の基材プレートレットは、約1~200μm、特に約5~100μm、さらにより好ましくは約5~25μmの平均最大径を有する。
【0030】
好ましい実施形態において、平均厚さに対する平均サイズの比によって表される形状係数(アスペクト比)は、少なくとも80、好ましくは少なくとも200、より好ましくは少なくとも500、特に好ましくは750より大きい。被覆されていない基材プレートレットの平均サイズは、被覆されていない基材プレートレットのd50値である。特に断りのない限り、d50値はquixel湿式分散液を用いたSympatec Helos装置を用いて測定された。試料調製のために、分析する試料をイソプロパノール中に3分間予備分散させた。
【0031】
基材プレートは、さまざまな形状を有することができる。例えば、ラメラ金属プレートレット若しくはレンチキュラー金属プレートレット、またはいわゆる真空蒸着顔料(VMP)が基材プレートレットとして使用され得る。ラメラ基材プレートレットは、不規則な構造のエッジを特徴とし、その外観により「コーンフレーク」とも称される。レンチキュラー基材プレートレットは、規則的な丸いエッジを有し、その外観により「シルバーダラー」とも称される。
【0032】
金属または金属合金基材プレートレットは、例えば、陽極酸化法(酸化層)またはクロメート処理によって不動態化され得る。
【0033】
コーティングは、顔料の表面特性および/または光学特性を変化させ、顔料の機械的耐性および化学的耐性を向上できる。例えば、基材プレートレットの上面および/または下面のみを被覆し、側面は被覆しなくてもよい。好ましくは、側面を含む、任意に不動態化された基材プレートレットの表面全体は、層によって覆われる。好ましくは、基材プレートレットは、コーティングによって完全に包まれる。
【0034】
コーティングは、1以上の層から構成されてよい。好ましい実施形態において、コーティングは層Aのみを有する。同様に好ましい実施形態において、コーティングは、合計、少なくとも2層、好ましくは2層または3層を有する。コーティングが、2つの層、AおよびBを有し、層Bが層Aとは異なることが好ましい場合がある。好ましくは、層Aは、層Bと基材プレート表面との間に位置する。さらに別の好ましい実施形態において、コーティングは3つの層、A、BおよびCを有する。この実施形態において、層Aは、層Bと基材プレートレット表面との間に位置し、層Cは、層Bの上に位置し下層Bとは異なる。
【0035】
層A、および必要に応じて層Bおよび層Cに適した材料は、いずれも基材プレートレットに恒久的に塗布できる物質である。好ましくは、前記材料はフィルムの形態で塗布されることが望ましい。
【0036】
好ましくは、側面を含む、任意に不動態化された基材プレートレットの表面全体は、層Aによって、または層Aおよび層Bによって、または層A、層Bおよび層Cによって覆われる。
【0037】
特に、層はそれぞれ少なくとも1つの金属酸化物(水和物)を含んでよい。
【0038】
金属酸化物(水和物)は、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化コバルト、酸化クロム、二酸化チタン、酸化バナジウム、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化亜鉛およびこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0039】
金属または金属合金からなる基材プレートレットを含む顔料の場合、層Aは、好ましくは少なくとも1つの低屈折率金属酸化物および/または金属酸化物水和物を含む。低屈折率材料は、1.8以下、好ましくは1.6以下の屈折率を有する。
【0040】
層Aに適した低屈折率金属酸化物(水和物)としては、例えば、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化ホウ素、酸化ゲルマニウム、酸化マンガン、酸化マグネシウム、およびこれらの混合物が挙げられ、二酸化ケイ素が好ましい。層Aは、好ましくは1~100nm、特に好ましくは5~50nm、とりわけ好ましくは5~20nmの厚さを有する。
【0041】
金属または金属合金の基材プレートレットを有する顔料において、存在する場合層Bは、層Aとは異なり、少なくとも1つの高屈折性金属酸化物(水和物)を含んでよい。高屈折性材料は、少なくとも1.9、好ましくは少なくとも2.0、より好ましくは少なくとも2.4の屈折率を有する。好ましくは、層Bは、少なくとも95重量%、より好ましくは少なくとも99重量%の高屈折率金属酸化物を含む。
【0042】
層Bが(高屈折率)金属酸化物を含む場合、好ましくは、層Bは少なくとも50nmの厚さを有する。好ましくは、層Bの厚さは400nm以下であり、より好ましくは300nm以下である。
【0043】
層Bに適した高屈折率金属酸化物は、例えば、選択的に光を吸収する(すなわち着色された)金属酸化物、例えば、酸化鉄(III)(α-およびγ-Fe、赤)、酸化コバルト(II)(青)、酸化クロム(III)(緑)、酸化チタン(III)(青、通常は酸窒化チタンおよび窒化チタンとの混合物として存在する)および酸化バナジウム(V)(オレンジ)並びにこれらの混合物である。二酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウムのような無色の高指数酸化物もまた適している。
【0044】
層Bは、高屈折金属酸化物に加えて、それぞれの場合において、層Bの総量に基づいて、好ましくは0.001~5重量%、特に好ましくは0.01~1重量%の選択的吸収性染料を、含み得る。適当な染料は金属酸化物コーティング中に安定的に組み込まれ得る、有機染料および無機染料である。本発明の意味における染料は、0.5g/Lより大きい25℃での水(760mmHg)への溶解度を有し、したがって顔料とは見なされない。
【0045】
金属酸化物の代替として、金属または金属合金からなる基材プレートレットを含む顔料の場合において、層Bは、金属粒子担持層の表面に蒸着した金属粒子を有する金属粒子担持層を含んでよい。好ましい実施形態では、金属粒子は、金属粒子担持層の一部を直接覆う。この実施形態において、効果顔料は、金属粒子が存在しない領域、すなわち、金属粒子で覆われていない領域を有する。
【0046】
金属粒子担持層は、金属層および/または金属酸化物層を含む。
【0047】
金属粒子担持層が、金属層および金属酸化物層を含む場合、これらの層の配置は特に限定されない。
【0048】
金属粒子担持層は、少なくとも金属層を含むことが好ましい。金属層が、スズ(Sn)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)および金(Au)から選択される元素を含むことがさらに好ましい。
【0049】
例えば、金属層は、金属を含む金属塩溶液にアルカリを添加することにより形成され得る。
【0050】
金属粒子担持層が金属酸化物層を含む場合、好ましくは、これは、二酸化ケイ素を含まない。金属酸化物層は、好ましくは、Mg(マグネシウム)、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)、Fe(鉄)、Zr(ジルコニウム)、Ti(チタン)およびCe(セリウム)からなる群から選択される少なくとも1つの元素の酸化物を含む。特に好ましくは、金属酸化物層の形態の金属粒子担持層iii)は、Sn、Zn、TiおよびCeの金属酸化物を含む。
【0051】
金属酸化物層の形態の金属粒子担持層は、例えば、金属酸化物の金属を形成する金属のアルコキシドをゾルゲル法にて加水分解することにより製造できる。
【0052】
金属層の厚さは、好ましくは30nm以下である。
【0053】
金属粒子は、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、スズ(Sn)、白金(Pt)、金(Au)およびこれらの合金からなる群から選択される少なくとも1つの元素を含んでよい。金属粒子が、銅(Cu)、ニッケル(Ni)および銀(Ag)から選択される少なくとも1つの元素を含むことが特に好ましい。
【0054】
金属粒子の平均粒径は、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは30nm以下である。金属粒子間の距離は、好ましくは10nm以下である。
【0055】
金属粒子を形成するための適当な方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法(CVD)、無電解めっき法等が挙げられる。これらの方法のうち、無電解めっき法が特に好ましい。
【0056】
好ましい実施形態によると、金属または金属合金からなる基材プレートレットを含む顔料は、下層Bとは異なる金属酸化物(水和物)を含む層Cをさらに有する。適当な金属酸化物としては、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄(III)、および酸化クロム(III)などが挙げられる。二酸化ケイ素が好ましい。
【0057】
金属または金属合金からなる基材プレートレットを含む顔料の場合、層Cは、好ましくは10~500nm、特に好ましくは50~300nmの厚さを有する。
【0058】
金属または金属合金からなる基材プレートレットに基づく適当な顔料は、例えば、Schlenk Metallic Pigments社からの顔料、Alegrace(登録商標)Marvelous、Alegrace(コピーライト)GorgeousまたはAlegrace(登録商標)Aurousなどである。
【0059】
雲母、特に合成雲母の基材プレートレットを含む顔料の場合、層Aは、二酸化チタン(TiO)、酸化鉄(Feおよび/またはFe)およびそれらの混合物からなる群から選択される金属酸化物(水和物)を含む。非常に好ましい実施形態において、層Aは、二酸化チタン(TiO)および/または酸化鉄(Fe)を含む。非常に好ましい実施形態において、層Aは二酸化チタン(TiO)を含む。
【0060】
雲母の基材プレートレットを含む顔料において、存在する場合層Bは、第1金属酸化物(水和物)層とも異なる。
【0061】
層Bに適した金属酸化物(水和物)は、酸化スズ(SnO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)および/または酸化鉄(Feおよび/またはFe)である。したがって、層Bが、酸化スズ(SnO)、酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(Feおよび/またはFe)、およびこれらの混合物からなる群から選択される金属酸化物(水和物)を含むことが好ましい。雲母、好ましくは合成雲母の基材プレートレットを含む顔料の場合、層Bは、酸化スズ(SnO)を含むことが特に好ましい。
【0062】
層Bは、選択的吸収性の染料または顔料をさらに含んでよい。適当な染料および/または顔料としては、例えば、カーマイン、ヘキサシアニド鉄酸フェリック(II/III)、および酸化クロムグリーン(Cr)等が挙げられる。
【0063】
雲母の基材プレートレットを含む顔料は、保護層として機能し、金属酸化物(水和物)または例えば合成樹脂といったポリマーを含む、別の層Cを有してよい。適当な金属酸化物(水和物)としては、(二)酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化亜鉛、酸化スズ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化鉄(III)、および酸化クロム(III)などが挙げられる。二酸化ケイ素が好ましい。
【0064】
合成雲母(INCI:合成フルオロフロゴパイト)の基材プレートレットを含む顔料が、二酸化チタン(TiO)を含む層Aを有することが特に好ましい。
【0065】
また、合成雲母(INCI:合成フルオロフロゴパイト)の基材プレートレットを含む顔料が、酸化鉄(III)(Fe)を含む層Aを有することが好ましい。
【0066】
また、合成雲母(INCI:合成フルオロフロゴパイト)の基材プレートレットを含む顔料が、二酸化チタン(TiO)および酸化鉄(III)(Fe)を含む層Aと、二酸化スズ(SnO)を含む層Bとを有することが好ましい。
【0067】
合成雲母(INCI:合成フルオロフロゴパイト)の基材プレートレットを含む顔料が、二酸化チタン(TiO)を含む層Aと、二酸化スズ(SnO)を含む層Bとを有することが非常に好ましい。
【0068】
合成雲母の基材プレートレットを含む好ましい顔料は、例えば、Merck社からTimiron SynWhite Satinの名称の下、入手可能である。
【0069】
顔料が少なくとも1つの有機由来の顔料を含むことも特に好ましい。
【0070】
有機顔料は、例えばニトロソ、ニトロ-アゾ、キサンテン、アントラキノン、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、インディゴ、チオインディゴ、ジオキサジンおよび/またはトリアリールメタン化合物の群から選択されてよい、相応に不溶性の有機染料または着色剤である。
【0071】
特に適当な有機顔料の例は、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915および/またはCI 75470の赤色顔料である。
【0072】
非常に好ましい顔料懸濁液は、同様に、顔料が、カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機顔料を含むことを特徴とする。
【0073】
顔料懸濁液中の顔料の総量は、特に顔料の種類およびその意図された用途による。好ましくは、顔料の量は、それぞれの場合において、顔料懸濁液の総重量に基づいて、1重量%~90重量%、より好ましくは5重量%~80重量%、最も好ましくは10重量%~70重量%である。
【0074】
金属、金属合金または雲母からなる基材プレートレット、並びに有機顔料を含む、上記の特に好ましい顔料に加えて、さらなる色付与化合物が、顔料懸濁液中に含まれ得る。さらなる着色剤化合物は、例えば、さらなる無機顔料および/または直接作用染料を含んでよい。
【0075】
本発明に必須の第2成分として、顔料懸濁液は、リン酸エステルを含む。
【0076】
リン酸エステルはオルトリン酸のエステルであり、これは水の除去を伴う、酸とアルコールとの反応により、形式的に形成される。モノエステル、ジエステル、トリエステルに区分される。モノエステルはアルコールとポリリン酸との反応によって形成され、一方モノエステルおよびジエステルの混合物はアルコールと五酸化リンとの反応によって調製される。
【0077】
リン酸エステルとして、オルトリン酸と脂肪族アルコールとのエステルが使用され得る。脂肪族アルコールは、1~22個の炭素原子および0個、1個、2個または3個の二重結合を有する、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和アルコールである。典型的な代表としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、sec.-ブタノール、tert.ブタノール、n-ペンタノール、カプロン酸アルコール、カプリル酸アルコール、2-エチルヘキサノール、カプリン酸アルコール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、パルミトレイルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、エライジルアルコール、ペトロセリルアルコール、リノリルアルコール、リノレニルアルコール、ベヘニルアルコールまたはエルシルアルコールである。好ましくは、脂肪族アルコールは、11~14個の炭素原子を有する分岐飽和アルコールである。非常に好ましくは、脂肪族アルコールは、イソトリデカノールの高い割合を有する、11~14個の炭素原子を有する分岐飽和アルコールの混合物である。
【0078】
従って、好ましい実施形態において、顔料懸濁液は、オルトリン酸と脂肪族アルコールとのエステルからなる群から選択される少なくとも1つのリン酸エステルを含むことを特徴とする。
【0079】
特に好ましい実施形態において、顔料懸濁液は、オルトリン酸と、11~14個の炭素原子を有する分岐脂肪族アルコールとのエステルを含む、少なくとも1つのリン酸エステルを含むことを特徴とする。
【0080】
顔料懸濁液に使用され得る、特に適当なリン酸エステルは、Zschimmer & Schwarz社から入手可能なPhosfetal 218(CAS番号:154518-38-4、リン酸、C11-14-イソアルキルエステル、C13-リッチ)である。
【0081】
代替的には、オルトリン酸とアルコキシル化脂肪族アルコールとのエステル、またはオルトリン酸とアルコキシル化フェノールとのエステルが、リン酸エステルとして使用され得る。アルコキシル化アルコールは、1~22個の炭素原子を有するエトキシル化アルコールである。
【0082】
別の好ましい実施形態において、顔料懸濁液は、オルトリン酸と、1~22個の炭素原子を有するエトキシル化脂肪族アルコールとのエステルを含む、少なくとも1つのリン酸エステルを含むことを特徴とする。
【0083】
別の特に好ましい実施形態において、顔料懸濁液は、オルトリン酸と、8~18個の炭素原子を有するエトキシル化脂肪族アルコールとのエステルを含む、少なくとも1つのリン酸エステルを含むことを特徴とする。
【0084】
脂肪族アルコールの平均エトキシル化度は、好ましくは2~80の範囲であり、より好ましくは5~25の範囲である。
【0085】
顔料懸濁液中に含まれ得る、別の特に適当なリン酸エステルは、Crodafos SP(INCI:Ceteth-20 ホスフェート)であり、これはCroda社から入手可能である。
【0086】
アルコキシル化フェノールは、好ましくは、エトキシル化フェノールまたはエトキシル化アルキルフェノールである。
【0087】
好ましくは、リン酸エステルの量は、顔料懸濁液の総重量に基づいて、30重量%より多い。顔料懸濁液のより好ましい実施形態において、リン酸エステルの量は、顔料懸濁液の総重量に基づいて、少なくとも50重量%であり、非常に好ましくは少なくとも60重量%である。
【0088】
したがって、非常に好ましい実施形態において、顔料懸濁液は、オルトリン酸と、11~14個の炭素原子を有する分岐脂肪族アルコールとのエステルを含む少なくとも一つのリン酸エステルを、それぞれの場合において、顔料懸濁液の総重量に基づいて、30重量%より多く、より好ましくは少なくとも50重量%、非常に特に好ましくは少なくとも60重量%の量で含むことを特徴とする。
【0089】
代替の、同様に極めて好ましい実施形態において、顔料懸濁液は、INCI名Ceteth-20ホスフェートを有するエステルを含む少なくとも1つのリン酸エステルを、それぞれの場合において、顔料懸濁液の総重量に基づいて、30重量%より多く、より好ましくは少なくとも50重量%、非常に特に好ましくは少なくとも60重量%の量で含むことを特徴とする。
【0090】
顔料、特に金属、金属合金、天然雲母、または合成雲母の基材プレートレットを含む顔料は、分解から保護され、正確に計量され得ることが示された。金属または金属合金からなる基材プレートレットを含む顔料は、腐食に対して保護される。
【0091】
また、リン酸エステルを担持媒体として含む顔料懸濁液において、有機顔料も安定的に取り込まれ得ることが示された。
【0092】
従って、a)カーマイン、キナクリドン、フタロシアニン、ソルガム、カラーインデックスがCI 42090、CI 69800、CI 69825、CI 73000、CI 74100、CI 74160の青色顔料、カラーインデックスがCI 11680、CI 11710、CI 15985、CI 19140、CI 20040、CI 21100、CI 21108、CI 47000、CI 47005の黄色顔料、カラーインデックスがCI 61565、CI 61570、CI 74260の緑色顔料、カラーインデックスがCI 11725、CI 15510、CI 45370、CI 71105の橙色顔料、カラーインデックスがCI 12085、CI 12120、CI 12370、CI 12420、CI 12490、CI 14700、CI 15525、CI 15580、CI 15620、CI 15630、CI 15800、CI 15850、CI 15865、CI 15880、CI 17200、CI 26100、CI 45380、CI 45410、CI 58000、CI 73360、CI 73915、CI 75470の赤色顔料およびこれらの混合物からなる群から選択される有機顔料を含む顔料の群からの少なくとも1つの着色化合物、並びにb)オルトリン酸と、11~14個の炭素原子を有する分岐脂肪族アルコールとのエステルを含む、少なくとも1つのリン酸エステルを含む、顔料懸濁液が特に好ましい。
【0093】
顔料および担持媒体に加えて、顔料懸濁液は他の成分を含んでよい。
【0094】
顔料懸濁液が、少なくとも1つのC-C10アルコールをさらに含むことが、さらに好ましい場合がある。
【0095】
-C10アルコールは、好ましくは、C-C10脂肪族アルコールであり、これは直鎖または分岐鎖であってよく、また飽和または不飽和であってよい。
【0096】
好ましいC-C10アルコールは、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチルプロパン-1-オール、2-メチルプロパン-1-オール(tert.ブタノール)、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、3-メチルブタン-1-オール、2-メチルブタン-1-オール、2,2-ジメチルプロパン-1-オール、3-メチルブタン-2-オール、2-メチルブタン-2-オール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-メチルペンタン-1-オール、3-メチルペンタン-1-オール、4-メチルペンタン-1-オール、2-メチルペンタン-2-オール、3-メチルペンタン-2-オール、4-メチルペンタン-2-オール、2-メチルペンタン-3-オール、3-メチルペンタン-3-オール、2,2-ジメチルブタン-1-オール、2,3-ジメチルブタン-1-オール、3,3-ジメチルブタン-1-オール、2,3-ジメチルブタン-2-オール、3,3-ジメチルブタン-2-オール、2-エチルブタン-1-オール、1-ヘプタノ-ル、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、4-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、1-ノナノール、1-デカノール、2-メチルヘキサン-2-オール、2-メチルヘプタン-2-オール、3-メチル-3-ペンタノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0097】
-C10アルコールのうち、顔料懸濁液は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、2-メチルプロパン-1-オール、2-メチルプロパン-1-オール(tert-ブタノール)およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのC-C10アルコールを好ましくは含む。
【0098】
非常に好ましい実施形態において、顔料懸濁液は、エタノール、2-プロパノール、およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのC-C10アルコールをさらに含むことを特徴とする。
【0099】
顔料懸濁液が、顔料懸濁液の総重量に基づいて、1~20重量%、好ましくは1~15重量%、非常に好ましくは1~10重量%の総量で1以上のC-C10アルコールを含む場合、特に安定な顔料懸濁液が得られた。
【0100】
また、顔料懸濁液が、少なくとも1つのジオールをさらに含むことが好ましい場合がある。
【0101】
ジオールとは、2つのヒドロキシル基(-OH基)を有する化合物である。脂肪族ジオールは、グリコールとしても知られている。
【0102】
好ましいジオールは、2つのヒドロキシル基を有するC-Cアルカノールおよび3~20のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールである。顔料懸濁液は、2つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのC-Cアルカノール、または3~20のエチレンオキシド単位を有する少なくとも1つの水溶性ポリエチレングリコール、もしくは2つのヒドロキシル基を有する少なくとも1つのC-Cアルカノールおよび3~20のエチレンオキシド単位を有する少なくとも1つの水溶性ポリエチレングリコールの混合物をさらに含み得る。
【0103】
好ましくは、2つのヒドロキシル基を有するC-Cアルカノールは、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1、5-ペンタンジオール、1、2-ヘキサンジオール、1、6-ヘキサンジオール、1、2-オクタンジオール、1、8-オクタンジオール、シス-1、4-ジメチロールシクロヘキサン、トランス-1、4-ジメチロールシクロヘキサン、シスおよびトランス1、4-ジメチロールシクロヘキサンの任意の異性体混合物、およびこれらのジオールの混合物から選択される。また、適当なジオールは、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよび/またはPPG-10ブタンジオール(INCI)である。適当な水溶性ポリエチレングリコールは、PEG-3、PEG-4、PEG-6、PEG-7、PEG-8、PEG-9、PEG-10、PEG-12、PEG-14、PEG-16、PEG-18およびPEG-20、ならびにこれらの混合物から選択される。PEG-9は、9個のエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールを表す。これは、400ダルトンの平均分子量を有し、PEG400とも称される。
【0104】
言及したジオールのうち、顔料懸濁液は、好ましくは、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、PEG-8、PEG-9、およびPPG-10ブタンジオール(INCI)からなる群から選択される少なくとも1つのジオールを含む。
【0105】
非常に好ましい実施形態において、顔料懸濁液は、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、PEG-9、およびこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのジオールをさらに含むことを特徴とする。
【0106】
顔料懸濁液が、顔料懸濁液の総重量に基づいて、1~20重量%、好ましくは1~15重量%、非常に好ましくは1~10重量%の総量で1以上のジオールを含む場合、特に安定な顔料懸濁液を得ることができた。
【0107】
本発明はまた、化粧品組成物にも関する。これは、本発明による顔料懸濁液を、1以上の有機C-Cアルコキシシランおよび/またはそれらの縮合生成物と組み合わせることによって調製された。このようにして、分解から保護された顔料、および加水分解から保護されたC-Cアルコキシシランを含む、化粧剤に有益な所望の成分の全てを含む化粧剤が提供され得る。
【0108】
このような化粧剤は、例えば、ケラチン物質、特にヒトの毛髪を着色するための方法において使用され得る。
【0109】
本化粧剤は、1以上の有機C-Cアルコキシシランおよび/またはそれらの縮合生成物を含むことを特徴とする。
【0110】
有機C-Cアルコキシシランは、有機、非ポリマー性ケイ素化合物であり、好ましくは、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から選択される。
【0111】
オルガノシリコン化合物とも称される有機ケイ素化合物は、ケイ素-炭素直接結合(Si-C)を有する化合物、または炭素が酸素、窒素若しくは硫黄原子を介してケイ素原子に結合している化合物である。本発明の有機ケイ素化合物は好ましくは1~3個のケイ素原子を含む化合物である。有機ケイ素化合物は、好ましくは、1個または2個のケイ素原子を含む。
【0112】
IUPAC法によると、用語「シラン」は、ケイ素の基本骨格および水素に基づく化合物のグループを表す。有機シランでは、水素原子は(置換)アルキル基および/またはアルコキシ基のような有機基で完全にまたは部分的に置換される。
【0113】
本発明におけるC-Cアルコキシシランの特徴は、少なくとも1つのC-Cアルコキシ基がケイ素原子に直接結合していることである。従って、本発明におけるC-Cアルコキシシランは、少なくとも1つの構造単位R’R’’R’’’Si-O-(C-Cアルキル)を含み、ここで、基R’、R’’およびR’’’は、ケイ素原子の3つの残存する結合原子価を表す。
【0114】
ケイ素原子に結合したC-Cアルコキシ基は非常に反応性が高く、水の存在下で迅速に加水分解され、その反応速度は、とりわけ1分子当たりの加水分解性基の数に依存する。加水分解性C-Cアルコキシ基がエトキシ基である場合、有機ケイ素化合物は好ましくは構造単位R'R''R'''Si-O-CH-CHを含む。基R'、R''およびR'''は、またもやケイ素原子の3つの残存する自由原子価を表す。
【0115】
微量の水の添加であっても、最初に加水分解を引き起こし、次に有機アルコキシシラン間の縮合反応を引き起こす。このため、有機アルコキシシランとそれらの縮合生成物の両方が化粧剤中に存在してよい。
【0116】
縮合生成物は、水の脱離および/またはC-Cアルカノールの脱離を伴う少なくとも2つの有機C-Cアルコキシシランの反応によって形成される生成物であると理解される。
【0117】
縮合生成物は、例えば、二量体、または三量体やオリゴマーでもあり得、縮合生成物は常にモノマーと平衡状態にある。
【0118】
加水分解で使用または消費される水の量に応じて、平衡はモノマーのC-Cアルコキシシランから縮合生成物へ推移する。
【0119】
非常に特に好ましい実施形態において、化粧剤は、前記化粧剤が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される1以上の有機C-Cアルコキシシランを含み、その有機ケイ素化合物が1以上の塩基性化学官能基をさらに含むことを特徴とする。
【0120】
この塩基性基は、例えば、アミノ基、アルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基であり得、好ましくは、リンカーを介してケイ素原子に結合している。好ましくは、この塩基性基は、アミノ基、C-Cアルキルアミノ基またはジ(C-C)アルキルアミノ基である。
【0121】
非常に特に好ましい剤は、化粧剤が、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランの群から選択される1以上の有機C-Cアルコキシシランを含み、前記C-Cアルコキシシランが1以上の塩基性化学官能基をさらに含むことを特徴とする。
【0122】
化粧剤において、式(S-I)および/または(S-II)および/または(S-IV)で示されるC-Cアルコキシシランを使用した場合、特に満足な結果が得られた。先に記載したように、加水分解/縮合は微かな水分で既に始まるため、式(S-I)および/または(S-II)および/または(S-IV)で示されるC-Cアルコキシシランの縮合生成物もこの実施形態に含まれる。
【0123】
別の非常に特に好ましい実施形態において、化粧剤は、式(S-I)および/または(S-II):
【化1】
[式中、
- R、Rは、独立して水素原子またはC-Cアルキル基を表し、
- Lは、直鎖または分岐鎖の2価C-C20アルキレン基であり、
- R、Rは、互いに独立してC-Cアルキル基を表し、
- aは1~3の整数を表し、
- bは整数3-aを表す]
および
【化2】
[式中、
- R、R'、R''、R、R'およびR''は、独立して、C-Cアルキル基を表し、
- A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖または分岐鎖の2価C-C20アルキレン基を表し、
- RおよびRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基または式(S-III):
【化3】
〔式中、
- cは、1~3の整数を表し、
- dは、整数3-cを表し、
- c'は、1~3の整数を表し、
- d'は、整数3-c'を表し、
- c''は、1~3の整数を表し、
- d''は、整数3-c''を表し、
- eは、0または1を表し、
- fは、0または1を表し、
- gは、0または1を表し、
- hは、0または1を表し、
- ただし、e、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる〕
で示される基を表す]
で示される1以上の有機C-Cアルコキシシランおよび/またはそれらの縮合生成物を含むことを特徴とする。
【0124】
式(S-I)および(S-II)で示される化合物における置換基R、R、R、R、R、R'、R''、R、R'、R''、R、R、L、A、A'、A''、A'''およびA''''を以下に例として説明する:
-Cアルキル基の例は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、s-ブチル基およびt-ブチル基、n-ペンチル基およびn-ヘキシル基である。プロピル、エチルおよびメチルが好ましいアルキル基である。C-Cアルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブト-2-エニル、ブト-3-エニルおよびイソブテニルであり、好ましいC-Cアルケニル基は、ビニルおよびアリルである。ヒドロキシC-Cアルキル基の好ましい例は、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル、4-ヒドロキシブチル基、5-ヒドロキシペンチルおよび6-ヒドロキシヘキシル基である;2-ヒドロキシエチル基が特に好ましい。アミノC-Cアルキル基の例は、アミノメチル基、2-アミノエチル基、3-アミノプロピル基である。2-アミノエチル基が特に好ましい。直鎖2価のC-C20アルキレン基の例としては、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)、およびブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)が挙げられる。プロピレン基(-CH-CH-CH-)が特に好ましい。3C原子の鎖長から、2価のアルキレン基は分岐もし得る。分岐した2価のC-C20アルキレン基の例は、(-CH-CH(CH)-)および(-CH-CH(CH)-CH-)である。
【0125】
式(S-I):
【化4】
で示される有機ケイ素化合物において、基RおよびRは、互いに独立して水素原子またはC-Cアルキル基を表す。最も好ましくは、基RおよびRは、共に水素原子を表す。
【0126】
有機ケイ素化合物の中央部には、構造単位またはリンカー-L-が存在し、これは、直鎖または分岐鎖の2価C-C20アルキレン基を表す。2価のC-C20アルキレン基は、代替的に2価(divalente)または2価(zweibindige)C-C20アルキレン基と称されることがあり、これにより、各-L原子団が2つの結合を形成し得ることが意味されている。
【0127】
好ましくは、-L-は、直鎖2価のC-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、-L-は、直鎖2価のC-Cアルキレン基を表す。特に好ましい-L-は、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)またはブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)を表す。Lは、プロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0128】
式(S-I):
【化5】
で示されるアルコキシシランは、一端にケイ素含有基-Si(OR(Rを有する。
【0129】
末端構造単位-Si(OR(Rにおいて、基RおよびRは独立してC-Cアルキル基を表し、特に好ましくは、RおよびRは独立してメチル基またはエチル基を表す。
【0130】
ここで、aは、1~3の整数を表し、bは、整数3-aを表す。aが数3を表す場合、bは0に等しい。aが数2を表す場合、bは1に等しい。aが数1を表す場合、bは2に等しい。
【0131】
剤が、式(S-I)[式中、基RおよびRは互いに独立してメチル基またはエチル基を表す]で示される少なくとも1つの有機C-Cアルコキシシランを含む場合、特に優れた、ケラチン物質の着色特性を有する化粧剤を調製することができた。
【0132】
さらに、化粧剤が、式(S-I)[式中、基aは数3を表す]で示される少なくとも1つの有機C-Cアルコキシシランを含む場合、最高の洗浄堅牢性を有する着色物が得られた。この場合、基bは数0を表す。
【0133】
さらに好ましい実施形態において、化粧剤は、式(S-I)、
[式中、
- R、Rは相互に独立してメチル基またはエチル基を表し、
- aは数3を表し、
- bは数0を表す]
で示される1以上の有機C-Cアルコキシシランを含むことを特徴とする。
【0134】
別の好ましい実施形態において、化粧剤は、式(S-I):
【化6】
[式中、
- R、Rは、共に水素原子を表し、
- Lは、直鎖2価のC-C6アルキレン基、好ましくはプロピレン基(-CH-CH-CH-)またはエチレン基(-CH-CH-)を表し、
- Rは、エチル基またはメチル基を表し、
- Rは、メチル基またはエチル基を表し、
- aは数3を表し、
- bは数0を表す]
で示される少なくとも1以上の有機C-Cアルコキシシランを含むことを特徴とする。
【0135】
式(I)で示される、特に好適な有機ケイ素化合物は、
-(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
【化7】
-(3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
【化8】
-(2-アミノエチル)トリエトキシシラン
【化9】
-(2-アミノエチル)トリメトキシシラン
【化10】
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
【化11】
-(3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
【化12】
-(2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
【化13】
-(2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン
【化14】
である。
【0136】
別の好ましい実施形態では、化粧剤が、
- (3-アミノプロピル)トリエトキシシラン
- (3-アミノプロピル)トリメトキシシラン
- (2-アミノエチル)トリエトキシシラン
- (2-アミノエチル)トリメトキシシラン
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリエトキシシラン
- (3-ジメチルアミノプロピル)トリメトキシシラン
- (2-ジメチルアミノエチル)トリエトキシシラン
- (2-ジメチルアミノエチル)トリメトキシシラン
からなる群から選択される式(S-I)で示される少なくとも1つの有機C-Cアルコキシシランおよび/またはそれらの縮合生成物を含むことを特徴とする。
【0137】
式(I)で示される前記有機ケイ素化合物は市販されている。
(3-アミノプロピル)トリメトキシシランは、例えばSigma-Aldrichから購入できる。(3-アミノプロピル)トリエトキシシランもまた、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0138】
別の実施形態において、化粧剤は、式(S-II):
【化15】
で示される1以上の有機C-Cアルコキシシランを含んでもよい。
【0139】
式(S-II)で示されるアルコキシシランは、両端に、ケイ素含有基(RO)(RSi-および-Si(R')d'(OR')c'を有する。
【0140】
式(S-II)で示される分子の中央部には、原子団-(A)-および-[NR-(A')]-および-[O-(A'')]-および-[NR-(A''')]-が存在する。ここで、e、f、gおよびhのそれぞれは、互いに独立して、数0または1を表し、ただしe、f、gおよびhの少なくとも1つは0とは異なる。換言すれば、式(II)で示される好ましいアルコキシシランは、-(A)-および-[NR-(A')]-および-[O-(A'')]-および-[NR-(A''')]-からなる群から選択される少なくとも1つの部分を含む。
【0141】
2つの末端構造単位(RO)(RSi-および-Si(R')d'(OR')c’において、基R、R'、R''は、独立してC-Cアルキル基を表す。基R、R'およびR''は、独立してC-Cアルキル基を表す。
【0142】
ここで、cは、1~3の整数を表し、dは、整数3-cを表す。cが数3を表す場合、dは0に等しい。cが数2を表す場合、dは1に等しい。cが数1を表す場合、dは2に等しい。
【0143】
同様に、c'は、1~3の整数を表し、d'は、整数3-c'を表す。c'が数3を表す場合、d'は0である。c'が数2を表す場合、d'は1である。c'が数1を表す場合、d'は2である。
【0144】
基cおよびc'が共に数3を表す場合、最高の洗浄堅牢性を有する染料が得られた。この場合、dおよびd'は、共に数0を表す。
【0145】
別の好ましい実施形態において、化粧剤は、式(S-II):
【化16】
[式中、
-RおよびR5'は独立して、メチル基またはエチル基を表し、
-cおよびc'は、共に数3を表し、
-dおよびd'は、共に数0を表す]
で示される1以上の有機C-Cアルコキシシランを含むことを特徴とする。
【0146】
cおよびc'が共に3であり、dおよびd'が共に0である場合、本発明による有機ケイ素化合物は、式(S-IIa):
【化17】
に相当する。
【0147】
e、f、gおよびhは独立して、数0または1を表すことができ、それによりe、f、gおよびhからの少なくとも1つは0とは異なる。従って、記号e、f、gおよびhは、原子団-(A)-および-[NR-(A')]-および-[O-(A'')]-および-[NR-(A''')]-のいずれかが、式(II)で示される有機ケイ素化合物の中央部にあることを規定する。
【0148】
本明細書において、特定の原子団の存在が、洗浄堅牢な染色結果の到達に関して特に有利であることが証明された。特に満足な結果は、残基e、f、gおよびhの少なくとも2つが数1を表す場合に得られる。非常に好ましくは、eおよびfは共に数1を表す。さらには、gおよびhは共に数0を表す。
【0149】
eおよびfが共に1であり、gおよびhが共に0である場合、本発明における有機ケイ素化合物は、式(S-IIb):
【化18】
で表される。
【0150】
基A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖または分岐鎖の二価C-C20アルキレン基を表す。好ましくは、基A、A'、A''、A'''およびA''''は互いに独立して、直鎖二価のC-C20アルキレン基を表す。さらに好ましくは、基A、A'、A''、A'''およびA''''は独立して、直鎖二価のC-Cアルキレン基を表す。
【0151】
二価C-C20アルキレン基は、代替的に二価(divalente)または二価(zweibindige)C-C20アルキレン基と称されることがあり、これは、各原子団A、A'、A''、A'''およびA''''が2つの結合を形成し得ることを意味する。
【0152】
特に、基A、A'、A''、A'''およびA''''は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)、プロピレン基(-CH-CH-CH-)またはブチレン基(-CH-CH-CH-CH-)を表す。非常に好ましくは、基A、A'、A''、A'''およびA''''は、プロピレン基(-CH-CH-CH-)を表す。
【0153】
fが数1を表す場合、本発明に従う式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造原子団-[NR-(A')]-を含む。
hが数1を表す場合、本発明に従う式(II)で示される有機ケイ素化合物は、構造原子団-[NR-(A''')]-を含む。
【0154】
式中、RおよびRは独立して、水素原子、C-Cアルキル基、ヒドロキシC-Cアルキル基、C-Cアルケニル基、アミノC-Cアルキル基または式(S-III):
【化19】
で示される基を表す。
【0155】
非常に好ましくは、基RおよびRは互いに独立して、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(S-III)で示される原子団を表す。
【0156】
fが数1を表し、hが数0を表す場合、本発明における有機ケイ素化合物は、原子団[NR-(A')]を含むが、原子団-[NR-(A''')]を含まない。基Rが式(III)で示される原子団をまさに表す場合、有機ケイ素化合物は3つの反応性シラン基を含む。
【0157】
別の好ましい実施形態において、化粧剤は、式(S-II):
【化20】
[式中、
- eおよびfは、共に数1を表し、
- gおよびhは、共に数0を表し、
- AおよびA'は独立して、直鎖二価のC-Cアルキレン基を表し、
- Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(S-III)で示される基を表す]
で示される1以上の有機C-Cアルコキシシランを含むことを特徴とする。
【0158】
別の好ましい実施形態において、化粧剤は、式(S-II)
[式中、
- eおよびfは、共に数1を表し、
- gおよびhは、共に数0を表し、
- AおよびA’は互いに独立して、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-CH-CH-)またはプロピレン基(-CH-CH-CH-)を表し、かつ
- Rは、水素原子、メチル基、2-ヒドロキシエチル基、2-アルケニル基、2-アミノエチル基または式(S-III)で示される基を表す]
で示される1以上の有機C-Cアルコキシシランを含むことを特徴とする。
【0159】
式(S-II)で示される好適な有機ケイ素化合物は、
- 3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化21】
- 3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化22】
- N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化23】
- N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化24】
- 2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化25】
- 2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]エタノール
【化26】
- 3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化27】
- 3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
【化28】
- N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化29】
- N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
【化30】
- N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化31】
- N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
【化32】
である。
【0160】
式(S-II)で示される前記有機ケイ素化合物は、市販されている。
CAS番号82985-35-1を有するビス(トリメトキシシリルプロピル)アミンは、Sigma-Aldrichから購入できる。
CAS番号13497-18-2を有するビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミンは、例えば、Sigma-Aldrichから購入できる。
N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、代替的にビス(3-トリメトキシシリルプロピル)-N-メチルアミンとして称され、Sigma-AldrichまたはFluorochemから商業的に購入できる。
CAS番号18784-74-2を有する3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミンは、例えば、FluorochemまたはSigma-Aldrichから購入できる。
【0161】
別の好ましい実施形態において、化粧剤は、
- 3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- 3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- N-メチル-3-(トリメトキシシリル)-N-[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- N-メチル-3-(トリエトキシシリル)-N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- 2-[ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
- 2-[ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]アミノ]-エタノール
- 3-(トリメトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- 3-(トリエトキシシリル)-N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1-プロパンアミン
- N1,N1-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
- N1,N1-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-1,2-エタンジアミン
- N,N-ビス[3-(トリメトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン、および/または
- N,N-ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]-2-プロペン-1-アミン
からなる群から選択される式(S-II)で示される1以上の有機C-Cアルコキシシランおよび/またはそれらの縮合生成物を含むことを特徴とする。
【0162】
染色試験では、化粧剤が、式(S-IV):
【化33】
で示される少なくとも1つの有機C-Cアルコキシシランを含む場合に、特に有利であることが見出された。
【0163】
式(S-IV)で示される化合物は、1個、2個または3個のケイ素原子を有するシランから選択される有機ケイ素化合物であり、前記有機ケイ素化合物は、1分子当たり1以上の加水分解性基を含む。
【0164】
式(S-IV):
【化34】
[式中、
- Rは、C-C12アルキル基を表し、
- R10は、C-Cアルキル基を表し、
- R11は、C-Cアルキル基を表し、
- kは、1~3の整数であり、
- mは、整数3-kを表す]
で示される有機ケイ素化合物はまた、アルキル-C-C-アルコキシシラン型のシランとも称される。
【0165】
さらなる実施形態において、特に好ましい化粧剤は、
式(S-IV):
【化35】
[式中、
- Rは、C-C12アルキル基を表し、
- R10は、C-Cアルキル基を表し、
- R11は、C-Cアルキル基を表し、
- kは、1~3の整数であり、
- mは、整数3-kを表す]
で示される1以上の有機C-Cアルコキシシランおよび/またはそれらの縮合生成物を含むことを特徴とする。
【0166】
式(S-IV)で示される有機C-Cアルコキシシランにおいて、基Rは、C-C12アルキル基を表す。このC-C12アルキル基は、飽和しており、直鎖または分岐鎖であってよい。好ましくは、Rは直鎖C-Cアルキル基を表す。好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基またはn-ドデシル基を表す。特に好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、またはn-オクチル基を表す。
【0167】
式(S-IV)で示されるアルコキシシランにおいて、基R10はC-Cアルキル基を表す。非常に好ましくは、R10はメチル基またはエチル基を表す。
【0168】
式(S-IV)で示されるアルコキシシランにおいて、基R11はC-Cアルキル基を表す。特に好ましくは、R11はメチル基またはエチル基を表す。
【0169】
さらに、kは、1~3の整数を表し、mは、整数3-kを表す。kが数3を表す場合、mは0に等しい。kが数2を表す場合、mは1に等しい。kが数1を表す場合、mは2に等しい。
【0170】
化粧剤が、式(S-IV)[式中、kは数3を表す]で示される少なくとも1つの有機C-Cアルコキシシランを含む場合、最高の洗浄堅牢性を有する着色物が得られた。この場合、基mは数0を表す。
【0171】
式(S-IV)で示される特に適当な有機ケイ素化合物は、
- メチルトリメトキシシラン
【化36】
- メチルトリエトキシシラン
【化37】
- エチルトリメトキシシラン
【化38】
- エチルトリエトキシシラン
【化39】
- n-プロピルトリメトキシシラン(プロピルトリメトキシシランとしても知られている)
【化40】
- n-プロピルトリエトキシシラン(プロピルトリエトキシシランとしても知られている)
【化41】
- n-ヘキシルトリメトキシシラン(ヘキシルトリメトキシシランとしても知られている)
【化42】
- n-ヘキシルトリエトキシシラン(ヘキシルトリエトキシシランとしても知られている)
【化43】
- n-オクチルトリメトキシシラン(オクチルトリメトキシシランとしても知られている)
【化44】
- n-オクチルトリエトキシシラン(オクチルトリエトキシシランとしても知られている)
【化45】
- n-ドデシルトリメトキシシラン(ドデシルトリメトキシシランとしても知られている)、および/または

【化46】
- n-ドデシルトリエトキシシラン(ドデシルトリエトキシシランとしても知られている)
【化47】
およびオクタデシルトリメトキシシランおよび/またはオクタデシルトリエトキシシラである。
【0172】
別の好ましい実施形態において、化粧剤は、
- メチルトリメトキシシラン
- メチルトリエトキシシラン
- エチルトリメトキシシラン
- エチルトリエトキシシラン
- プロピルトリメトキシシラン
- プロピルトリエトキシシラン
- ヘキシルトリメトキシシラン
- ヘキシルトリエトキシシラン
- オクチルトリメトキシシラン
- オクチルトリエトキシシラン
- ドデシルトリメトキシシラン
- ドデシルトリエトキシシラン
- オクタデシルトリメトキシシラン
- オクタデシルトリエトキシシラン
- これらの混合物
からなる群から選択される式(S-IV)で示される少なくとも1つの有機C-Cアルコキシシランおよび/またはそれらの縮合生成物を含むことを特徴とする。
【0173】
ケラチン物質の染色に関して、化粧剤が2つの構造的に異なるアルコキシシランを含む場合、特に好ましいことが見出された。
【0174】
好ましい実施形態において、化粧剤は、式(S-I)で示される少なくとも1つのアルコキシシランおよび式(S-IV)で示される少なくとも1つのアルコキシシランを含むことを特徴とする。
【0175】
対応する加水分解生成物または縮合生成物は、例えば、以下の化合物である。
【0176】
式(S-I)で示されるC-Cアルコキシシランの水での加水分解(例として3-アミノプロピルトリエトキシシランを用いた反応スキーム)。
【化48】
【0177】
使用する水の量に応じて、加水分解反応は、使用するC-Cアルコキシシラン1個あたり、いくどもおこり得る。
【化49】
または
【化50】
【0178】
式(S-IV)で示されるC-Cアルコキシシランの水での加水分解(例としてメチルトリメトキシシランを用いた反応スキーム)。
【化51】
【0179】
使用する水の量に応じて、加水分解反応は、使用するC-Cアルコキシシラン1個あたり、いくどもおこり得る。
【化52】
または
【化53】
【0180】
縮合反応としては以下((3-アミノプロピル)トリエトキシシランおよびメチルトリメトキシシランの混合物を用いて示される)が挙げられる。
【化54】
および/または
【化55】
および/または
【化56】
および/または
【化57】
および/または
【化58】
および/または
【化59】
および/または
【化60】
【0181】
上記の例示的な反応スキームでは、二量体への縮合が各場合において示されているが、複数のシラン原子を有するオリゴマーへのさらなる縮合もまた可能であり、好ましい。
【0182】
式(S-I)で示される一部加水分解されたC-Cアルコキシシランおよび完全に加水分解されたC-Cアルコキシシランの両方が、式(S-I)で示されるまだ反応していない一部または完全に加水分解されたC-Cアルコキシシランと縮合するこれらの縮合反応に関与できる。この場合、式(S-I)で示されるC-Cアルコキシシランは、式(S-I)で示されるC-Cアルコキシシラン自身と反応する。
【0183】
さらに、式(S-I)で示される一部加水分解されたC-Cアルコキシシランおよび完全に加水分解されたC-Cアルコキシシランの両方が、式(S-IV)で示されるまだ反応していない一部または完全に加水分解されたC-Cアルコキシシランと縮合する縮合反応に関与できる。この場合、式(S-I)で示されるC-Cアルコキシシランは、式(S-IV)で示されるC-Cアルコキシシランと反応する。
【0184】
さらに、式(S-IV)で示される一部加水分解されたC-Cアルコキシシランおよび完全に加水分解されたC-Cアルコキシシランの両方が、式(S-IV)で示されるまだ反応していない一部または完全に加水分解されたC-Cアルコキシシランと縮合する縮合反応に関与できる。この場合、式(S-IV)で示されるC-Cアルコキシシランは、式(S-IV)で示されるC-Cアルコキシシラン自身と反応する。
【0185】
本化粧剤は、1以上の有機C-Cアルコキシシランを様々な割合で含んでよい。この割合は、所望の用途に応じて専門家により決定される。例えばケラチン物質を着色する場合、その量は、ケラチン物質上のシランコーティングの厚さおよび処理されるケラチン物質の量に応じてよい。
【0186】
化粧剤が、1以上の有機C-Cアルコキシシランおよび/またはそれらの縮合生成物を、その総重量に基づいて、30~85重量%、好ましくは35~80重量%、より好ましくは40~75重量%、なおより好ましくは45~70重量%、非常に特に好ましくは50~65重量%の総量で含む場合に、ケラチン物質に塗布した際に非常に良好な着色結果を有する、特に貯蔵安定な化粧剤が得られる。
【0187】
即用化粧剤が、本発明による顔料懸濁液および有機C-Cアルコキシシランに加えて、さらなる成分、特に水を含むことが好ましい場合がある。
【0188】
化粧剤は、塗布した際に加水分解またはオリゴマー化および/またはポリマー化できる高反応性化合物のクラスであるアルコキシシランを含む。
【0189】
早期のオリゴマー化またはポリマー化を回避するために、塗布の直前に即用化粧剤を調製することは、ユーザーにとって大きな利点となり得る。
【0190】
ユーザーの利便性を高めるために、好ましくは、全ての必要な剤が多成分包装ユニット(部材キット)の形でユーザーに提供される。
【0191】
したがって、本発明の第3の対象は、互いに別々に組み立てられた以下を含む、多成分包装ユニット(部材キット)である:
- 剤(a’)を含む第1容器、ここで剤は(a’):
(a1)少なくとも1以上の有機C-Cアルコキシシランを含む、および
- 剤(a’’)を含む第2容器、ここで剤は(a’’):
(a2)本発明による顔料懸濁液を含む。
【0192】
この実施形態において、化粧剤は、剤(a')と剤(a'')とを混合することによって調製される。
【0193】
化粧剤および/または多成分包装ユニット(部材キット)のさらなる好ましい実施形態に関して、顔料懸濁液について述べたことが準用される。
【実施例
【0194】
以下の調製物を製造した(特に断りのない限り、数値はすべて重量%である)。
【0195】
【表1】
【0196】
【表2】
【0197】
5gの剤(a’)と5gの剤(a’’)とを混合することにより、化粧剤を調製した。
【国際調査報告】