IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーエルエー−テンカー コーポレイションの特許一覧

特表2023-533520モアレ効果を呈するデバイス様オーバレイ計量ターゲット
<>
  • 特表-モアレ効果を呈するデバイス様オーバレイ計量ターゲット 図1
  • 特表-モアレ効果を呈するデバイス様オーバレイ計量ターゲット 図2A
  • 特表-モアレ効果を呈するデバイス様オーバレイ計量ターゲット 図2B
  • 特表-モアレ効果を呈するデバイス様オーバレイ計量ターゲット 図2C
  • 特表-モアレ効果を呈するデバイス様オーバレイ計量ターゲット 図3
  • 特表-モアレ効果を呈するデバイス様オーバレイ計量ターゲット 図4
  • 特表-モアレ効果を呈するデバイス様オーバレイ計量ターゲット 図5
  • 特表-モアレ効果を呈するデバイス様オーバレイ計量ターゲット 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(54)【発明の名称】モアレ効果を呈するデバイス様オーバレイ計量ターゲット
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20230727BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20230727BHJP
【FI】
H01L21/66 D
G01B11/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023500345
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 US2021039742
(87)【国際公開番号】W WO2022010699
(87)【国際公開日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】63/049,637
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/931,078
(32)【優先日】2020-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ボルコビチ ロイエ
(72)【発明者】
【氏名】エルサレム リラン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハナン ラビブ
(72)【発明者】
【氏名】ギノブカー マーク
【テーマコード(参考)】
2F065
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA15
2F065AA20
2F065AA54
2F065AA56
2F065BB02
2F065BB17
2F065CC19
2F065DD03
2F065FF01
2F065FF04
2F065FF06
2F065JJ03
2F065JJ26
2F065QQ21
2F065QQ31
4M106AA01
4M106AA20
4M106AB15
4M106BA04
4M106BA07
4M106BA08
4M106BA20
4M106CA50
(57)【要約】
計量システム及び計量方法が開示される。本計量システムは、標本の第1層上にある一組のデバイスフィーチャ、その標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャと重なっている第1組のターゲットフィーチャ、並びにその標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャと重なっている第2組のターゲットフィーチャを備える。第1組のモアレフリンジ及び第2組のモアレフリンジの相対位置により、標本の第1層と標本の第2層との間のオーバレイ誤差が示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバレイ計量ターゲットであって、
標本の第1層上にある一組のデバイスフィーチャを備え、その一組のデバイスフィーチャのうち少なくとも一部分が周期的でデバイス周期を有しており、
前記標本の第2層上にあり前記一組のデバイスフィーチャと重なっている第1組のターゲットフィーチャを備え、その第1組のターゲットフィーチャが周期的で第1計測周期を有しており、その第1計測周期が、検出器により前記ターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるように、選定されており、
前記標本の前記第2層上にあり前記一組のデバイスフィーチャと重なっている第2組のターゲットフィーチャを備え、その第2組のターゲットフィーチャが周期的で第2計測周期を有しており、その第2計測周期が、前記検出器により前記ターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるように、選定されており、
前記第1組のモアレフリンジ及び前記第2組のモアレフリンジの相対位置により、前記標本の前記第1層と前記標本の前記第2層との間のオーバレイ誤差が示されるオーバレイ計量ターゲット。
【請求項2】
請求項1に記載のオーバレイ計量ターゲットであって、前記デバイス周期、前記第1計測周期及び前記第2計測周期に係るモアレ利得因数により前記第1組のモアレフリンジ及び前記第2組のモアレフリンジの前記相対位置を除することによって、前記オーバレイ誤差を判別可能なオーバレイ計量ターゲット。
【請求項3】
請求項1に記載のオーバレイ計量ターゲットであって、前記一組のデバイスフィーチャが、
前記標本の前記第1層上にある全部のデバイスフィーチャのうち一部分の複製部分を含んでいるオーバレイ計量ターゲット。
【請求項4】
請求項1に記載のオーバレイ計量ターゲットであって、前記一組のデバイスフィーチャが、
前記標本の前記第1層上にある全部のデバイスフィーチャのうち一部分を含んでいるオーバレイ計量ターゲット。
【請求項5】
請求項1に記載のオーバレイ計量ターゲットであって、前記第2計測周期が前記第1計測周期と異なるオーバレイ計量ターゲット。
【請求項6】
請求項1に記載のオーバレイ計量ターゲットであって、前記デバイス周期が前記検出器の分解能未満であるオーバレイ計量ターゲット。
【請求項7】
請求項1に記載のオーバレイ計量ターゲットであって、前記一組のデバイスフィーチャがランダムアクセスメモリフィーチャに相当しているオーバレイ計量ターゲット。
【請求項8】
請求項7に記載のオーバレイ計量ターゲットであって、前記ランダムアクセスメモリ(RAM)フィーチャが、
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)フィーチャ及びスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)フィーチャのうち少なくとも一方を含んでいるオーバレイ計量ターゲット。
【請求項9】
オーバレイ計量システムであって、
標本を照明する照明源を備え、但し前記標本が、
前記標本の第1層上にある一組のデバイスフィーチャであり、そのうち少なくとも一部分が周期的でデバイス周期を有している一組のデバイスフィーチャ、
前記標本の第2層上にあり前記一組のデバイスフィーチャと重なっている第1組のターゲットフィーチャであり、周期的で第1計測周期を有している第1組のターゲットフィーチャ、並びに
前記標本の前記第2層上にあり前記一組のデバイスフィーチャと重なっている第2組のターゲットフィーチャであり、周期的で第2計測周期を有している第2組のターゲットフィーチャ、
が備わるオーバレイターゲットを有するものであり、
前記照明源により照明されているときに前記オーバレイターゲットを撮像するよう構成された検出器を備え、前記第1計測周期が、前記検出器により前記ターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されており、且つ、前記第2計測周期が、前記検出器により前記ターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されており、
前記検出器に可通信結合されたコントローラを備え、前記コントローラが、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有していて、それらプログラム命令に従い前記1個又は複数個のプロセッサが、
前記オーバレイターゲットの画像を受け取り、
前記画像における前記第1組のモアレフリンジ及び前記第2組のモアレフリンジの相対位置を、見掛け上のオーバレイ誤差として計測し、且つ
前記デバイス周期、前記第1計測周期及び前記第2計測周期に係るモアレ利得因数により前記見掛け上のオーバレイ誤差を調整することによって、前記標本の前記第1層と前記標本の前記第2層との間のオーバレイ誤差を判別する、
オーバレイ計量システム。
【請求項10】
請求項9に記載のオーバレイ計量システムであって、前記一組のデバイスフィーチャが、
前記標本の前記第1層上にある全部のデバイスフィーチャのうち一部分の複製部分を含んでいるオーバレイ計量システム。
【請求項11】
請求項9に記載のオーバレイ計量システムであって、前記一組のデバイスフィーチャが、
前記標本の前記第1層上にある全部のデバイスフィーチャのうち一部分を含んでいるオーバレイ計量システム。
【請求項12】
請求項9に記載のオーバレイ計量システムであって、前記第2計測周期が前記第1計測周期と異なるオーバレイ計量システム。
【請求項13】
請求項9に記載のオーバレイ計量システムであって、前記デバイス周期が前記検出器の分解能未満であるオーバレイ計量システム。
【請求項14】
請求項9に記載のオーバレイ計量システムであって、前記一組のデバイスフィーチャがランダムアクセスメモリフィーチャに相当しているオーバレイ計量システム。
【請求項15】
請求項14に記載のオーバレイ計量システムであって、前記ランダムアクセスメモリ(RAM)フィーチャが、
ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)フィーチャ及びスタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)フィーチャのうち少なくとも一方を含んでいるオーバレイ計量システム。
【請求項16】
オーバレイ計量方法であって、
一組のデバイスフィーチャを標本の第1層上に作成し、但しその一組のデバイスフィーチャのうち少なくとも一部分を周期的でありデバイス周期を有するものとし、
第1組のターゲットフィーチャを前記標本の第2層上に作成し且つ前記一組のデバイスフィーチャに重ね、その第1組のターゲットフィーチャを周期的であり第1計測周期を有するものとし、その第1計測周期を、検出器により前記ターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されたものとし、
第2組のターゲットフィーチャを前記標本の前記第2層上に作成し且つ前記一組のデバイスフィーチャに重ね、その第2組のターゲットフィーチャを周期的であり第2計測周期を有するものとし、その第2計測周期を、前記検出器により前記ターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されたものとする、
オーバレイ計量方法。
【請求項17】
請求項16に記載のオーバレイ計量方法であって、更に、
第2組のデバイスフィーチャを前記標本の第3層上に作成し、但しその第2組のデバイスフィーチャのうち少なくとも一部分を周期的であり前記デバイス周期を有するものとし、
第3組のターゲットフィーチャを前記標本の第4層上に作成し且つ前記第2組のデバイスフィーチャに重ね、但しその第3組のターゲットフィーチャを周期的であり第3計測周期を有するものとし、その第3計測周期を、前記検出器により前記ターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第3組のモアレフリンジがもたらされるよう選択されたものとし、
第4組のターゲットフィーチャを前記標本の前記第4層上に作成し且つ前記第2組のデバイスフィーチャに重ね、但しその第4組のターゲットフィーチャを周期的であり第4計測周期を有するものとし、その第4計測周期を、前記検出器により前記ターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第4組のモアレフリンジがもたらされるよう選択されたものとする、
オーバレイ計量方法。
【請求項18】
請求項17に記載のオーバレイ計量方法であって、前記第3計測周期が前記第1計測周期と等しいオーバレイ計量方法。
【請求項19】
請求項18に記載のオーバレイ計量方法であって、前記第4計測周期が前記第2計測周期と等しいオーバレイ計量方法。
【請求項20】
請求項17に記載のオーバレイ計量方法であって、前記第3計測周期が前記第1計測周期と異なるオーバレイ計量方法。
【請求項21】
請求項20に記載のオーバレイ計量方法であって、前記第4計測周期が前記第2計測周期と異なるオーバレイ計量方法。
【請求項22】
オーバレイ計量方法であって、
照明源を用い標本を照明し、但し前記標本が、
前記標本の第1層上にある一組のデバイスフィーチャであり、そのうち少なくとも一部分が周期的でデバイス周期を有している一組のデバイスフィーチャ、
前記標本の第2層上にあり前記一組のデバイスフィーチャと重なっている第1組のターゲットフィーチャであり、周期的で第1計測周期を有している第1組のターゲットフィーチャ、並びに
前記標本の前記第2層上にあり前記一組のデバイスフィーチャと重なっている第2組のターゲットフィーチャであり、周期的で第2計測周期を有している第2組のターゲットフィーチャ、
が備わるオーバレイターゲットを有するものであり、
検出器を用い前記オーバレイターゲットを撮像し、但し前記第1計測周期が、前記検出器により前記ターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されており、且つ、前記第2計測周期が、前記検出器により前記ターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されており、
前記検出器に可通信結合されたコントローラを用い、
前記オーバレイターゲットの画像を受け取り、
前記画像における前記第1組のモアレフリンジ及び前記第2組のモアレフリンジの相対位置を、見掛け上のオーバレイ誤差として計測し、且つ
前記デバイス周期、前記第1計測周期及び前記第2計測周期に係るモアレ利得因数により前記見掛け上のオーバレイ誤差を調整することによって、前記標本の前記第1層と前記標本の前記第2層との間のオーバレイ誤差を判別する、
オーバレイ計量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は総じて撮像型オーバレイ計量に関し、より具体的にはモアレ要素を伴う撮像型オーバレイターゲットに関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本願では、「モアレ効果を伴うデバイス様ターゲット」(DEVICE LIKE TARGETS WITH MOIRE EFFECT)と題しRoie Volkovich、Liran Yerushalmi、Raviv Yohanan及びMark Ghinovkerを発明者とする2020年7月9日付米国仮特許出願第63/049637号に基づき米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張し、参照によりその全容を本願に繰り入れる。
【0003】
デザインルールが縮小されオーバレイ計量仕様が更に逼迫するにつれ、オーバレイ計量法の感度及びロバスト性に関する要求の拡大が進んできている。オーバレイ計量は、通常、複数個の注目標本層内にフィーチャ(外形特徴)が作成されている専用の計量ターゲットを作成することによって、実行される。こうすれば、作成された計量ターゲットの分析により、それら注目標本層間のオーバレイ誤差(例.相対アライメント(整列)誤差)の計測値を提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7440105号明細書
【特許文献2】米国特許第7349105号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0188663号明細書
【特許文献4】米国特許第7068833号明細書
【特許文献5】米国特許第6921916号明細書
【特許文献6】米国特許第7177457号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多様なオーバレイ計量ターゲットデザインが提案されているが、計量ターゲットデザイン及び計測方法を改良し、作成された計量ターゲットを正確且つ効率的に分析しうるようにすることが、引き続き求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
オーバレイ計量ターゲットが本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い開示される。ある例証的実施形態では、そのオーバレイ計量ターゲットを、標本の第1層上にある一組のデバイスフィーチャが備わるものとする。その一組のデバイスフィーチャのうち少なくとも一部分を、周期的でありデバイス周期を有するものとする。また、ある例証的実施形態では、そのオーバレイ計量ターゲットを、標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャと重なっている第1組のターゲットフィーチャが、備わるものとする。その第1組のターゲットフィーチャを、周期的であり第1計測周期を有するものとし、その第1計測周期を、検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されたものとする。また、ある例証的実施形態では、そのオーバレイ計量ターゲットを、標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャと重なっている第2組のターゲットフィーチャが、備わるものとする。その第2組のターゲットフィーチャを、周期的であり第2計測周期を有するものとし、その第2計測周期を、検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されたものとする。また、ある例証的実施形態では、第1組のモアレフリンジ及び第2組のモアレフリンジの相対位置により、標本の第1層と標本の第2層との間のオーバレイ誤差が示される。
【0007】
オーバレイ計量システムが本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い開示される。ある例証的実施形態では、そのオーバレイ計量システムを、標本を照明する照明源が備わるものとする。その標本を、オーバレイターゲットを有するものとし、そのオーバレイターゲットを、その標本の第1層上にある一組のデバイスフィーチャが備わるものとし、その一組のデバイスフィーチャのうち少なくとも一部分を、周期的でありデバイス周期を有するものとする。その標本を更に、その標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャと重なっている第1組のターゲットフィーチャを有するものとし、その第1組のターゲットフィーチャを、周期的であり第1計測周期を有するものとする。その標本を更に、その標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャと重なっている第2組のターゲットフィーチャを有するものとし、その第2組のターゲットフィーチャを、周期的であり第2計測周期を有するものとする。また、ある例証的実施形態では、そのオーバレイ計量システムを、その照明源により照明されているときにそのオーバレイターゲットを撮像するよう構成された検出器が備わるものとし、第1計測周期を、その検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されたものとし、第2計測周期を、その検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されたものとする。また、ある例証的実施形態では、そのオーバレイ計量システムを、その検出器に可通信結合されたコントローラが備わるものとする。そのコントローラを、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有するものとし、それらプログラム命令に従いその1個又は複数個のプロセッサがそのオーバレイターゲットの画像を受け取り、その画像における第1のモアレフリンジ及び第2のモアレフリンジの相対位置を見掛け上のオーバレイ誤差として計測し、デバイス周期、第1計測周期及び第2計測周期に係るモアレ利得因数によりその見掛け上のオーバレイ誤差を調整することによって標本の第1層とその標本の第2層との間のオーバレイ誤差を判別するものとする。
【0008】
オーバレイ計量方法が本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い開示される。ある例証的実施形態のオーバレイ計量方法では、一組のデバイスフィーチャを標本の第1層上に作成し、またその一組のデバイスフィーチャのうち少なくとも一部分を周期的でありデバイス周期を有するものとする。また、ある例証的実施形態のオーバレイ計量方法では、その標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャに重なる第1組のターゲットフィーチャを作成する。その第1組のターゲットフィーチャを周期的であり第1計測周期を有するものとし、その第1計測周期を、検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるように選定する。また、ある例証的実施形態のオーバレイ計量方法では、その標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャに重なる第2組のターゲットフィーチャを作成する。その第2組のターゲットフィーチャを周期的であり第2計測周期を有するものとし、その第2計測周期を、その検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるように選定する。
【0009】
オーバレイ計量方法が本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い開示される。ある例証的実施形態のオーバレイ計量方法では、照明源を用い標本を照明する。その標本を、オーバレイターゲットを有するものとし、そのオーバレイターゲットを、その標本の第1層上にある一組のデバイスフィーチャであり、そのうち少なくとも一部分が周期的でデバイス周期を有している一組のデバイスフィーチャと、その標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャと重なっている第1組のターゲットフィーチャであり、周期的で第1計測周期を有している第1組のターゲットフィーチャと、その標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャと重なっている第2組のターゲットフィーチャであり、周期的で第2計測周期を有している第2組のターゲットフィーチャと、が備わるものとする。また、ある例証的実施形態のオーバレイ計量方法では、検出器を用いそのオーバレイターゲットを撮像し、但し第1計測周期を、その検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されたものとし、第2計測周期を、その検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるよう選定されたものとする。また、ある例証的実施形態のオーバレイ計量方法では、その検出器に可通信結合されたコントローラを用い、(1)そのオーバレイターゲットの画像を受け取り、(2)その画像における第1のモアレフリンジ及び第2のモアレフリンジの相対位置を見掛け上のオーバレイ誤差として計測し、且つ(3)デバイス周期、第1計測周期及び第2計測周期に係るモアレ利得因数によりその見掛け上のオーバレイ誤差を調整することによって標本の第1層とその標本の第2層との間のオーバレイ誤差を判別する。
【0010】
理解し得るように、上掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、本明細書に組み込まれて一部分を構成し、本発明の諸実施形態を描出し、概略記述と相俟ち本発明の諸原理を説明する役目を有している。
【0011】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、以下の添付図面を参照することによって、本件開示の数多な長所をより良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計量システムのブロック図である。
図2A】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、複数個の回転対称的ワーキングゾーン内の格子オーバ格子構造を基本とするモアレパターンを呈する計量ターゲットの上面図である。
図2B】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、図2Aのモアレパターン内にある多層格子構造の上面図である。
図2C】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、直交二方向沿い計測用であり図2A及び図2Bに基づいている計量ターゲットの上面図である。
図3】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、2個の格子層の干渉に起因する見掛け上のモアレ周期が描かれている図である。
図4】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、モアレパターン層がデバイス層に重なる計量ターゲットが描かれている図である。
図5】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るオーバレイ計量ターゲット作成方法が描かれているフローチャートである。
図6】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るオーバレイ誤差判別が描かれているフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、被開示主題を詳細に参照し添付図面に描出する。ある種の実施形態及びその具体的諸特徴との関連で本件開示を具体的に図示及び記述してある。本願中で説明される諸実施形態は限定ではなく例証であるものと把握されるべきである。
【0014】
従来のオーバレイ計量方法では、計量ターゲットに、デバイス(例.DRAM、SRAM、CPU等)の挙動を再現しそのデバイスの実オーバレイに相当する正確なオーバレイ計測を提供するものであることが、期待されていた。そうした従来型ターゲットに含まれうるものに、AIM(商標)、rAIM(商標)及びtAIM(商標)ターゲットがある(KLA Corporationの商標)。これら従来型ターゲットには、実デバイスパターンに対応する構造が存していない。このデバイス構造欠如のため従来型ターゲットとデバイスとの間の相関が低く、それら計量ターゲットによりもたらされるオーバレイ正確度が影響を受けている。
【0015】
本件開示は、実デバイスパターン(例.DRAM又はSRAM層)及びモアレ効果を用い計量オーバレイ正確度を改善するオーバレイ計量ターゲットを指向している。本件開示では、上首尾なことに、実デバイス構造を計測することでデバイス対ターゲット誤差を減らし、非スキャナ誤差をなくすことができる。加えて、本件開示の諸実施形態によれば、そのデバイスの計測を以て従来型計量ターゲットの計測に代えることができる。そのデバイス計測を、正規な生産ウェハを採取し且つレティクルを稼働させその頂層をモアレパターン層とすることにより、実行することができる。オーバレイ計測の後、それらのウェハを再処理することで、スキャナ誤差しか残らないようにすることができる(最大0.7ナノメートルの生産時オーバレイ[OPO])。
【0016】
計量ターゲット上のモアレパターンは、別々の標本層上にあり別々の周期を有する格子構造群がもとで形成された、格子オーバ格子構造を有するものとすることができる。本件開示の目的上、「格子」又は「格子構造」によりあらゆる周期的構造又は要素列を記述できるものとし、それに含まれうるものに、これに限られるものではないがライン/スペースパターンがあるものとする。そのモアレパターンの像内には、別々の標本層上の格子間の空間変動的な重なり合いに係るモアレピッチを呈する、モアレフリンジが含まれることとなる。そのモアレピッチは、通常は何れの格子構造よりも長ピッチであり、それら格子構造のピッチ間の差異に関連している。例えば、そのモアレピッチ(p)を
【0017】
=(p・p)/(p-p) (1)
と特徴記述することができる。但し、pは第1層上の第1格子構造の周期、pは第2層上の第2格子構造の周期である。
【0018】
本願での熟考によれば、モアレパターンを呈する計量ターゲットとすることで、高感度なオーバレイ計測を容易化することができる。具体的には、周期性のある方向に沿い、モアレパターン内である格子が別の格子に対し呈する物理シフト(例.標本上の2個の標本層の相対シフトに係るオーバレイ誤差)により、その計測方向に沿い、それらモアレフリンジの相応な横方向シフトがもたらされることとなる。更に、それらモアレフリンジのシフトの規模は、通常、その物理シフトの規模より大きい。具体的には、それらモアレフリンジのシフトの規模が、基準座標系に依存する条件付モアレ因数を媒介に、その物理シフト(例.オーバレイ誤差)に比例する。引き続き上掲の例によれば、第1層に対する第2層のシフトによって、公称位置(例.オーバレイ誤差無しでの位置)からのモアレフリンジのシフトが生じることとなり、それを媒介する条件付モアレ因数(M)が、
【0019】
M=p/(p-p) (2)
となる。但し、本件開示の文脈における「第1層」、「第2層」、「第3層」等の呼称は単に様々な標本層を区別する意図のものであり、その標本上での物理的な層順序を示すものではない。従って、その標本上で「第1層」が「第2層」の上方にあることも下方にあることもある。
【0020】
こうした場合、オーバレイ計測を、計量ターゲット上の関連格子構造群の周期方向に沿いそれらモアレフリンジのシフトを計測すること、並びにその計量ターゲットの設計如何及び行われる計測如何で左右されるところのモアレ利得によりその値を調整することによって、実行することができる。例えば、単一のモアレフリンジのシフトの絶対計測はターゲットデザイン次第で困難、非現実的又は不可能となりうるので、別の構造又は別組のモアレフリンジを基準としてモアレフリンジのシフトを計測することが、望ましかろう。オーバレイ計量におけるモアレパターンの使用が、2008年10月21日発行の特許文献1、2008年3月25日発行の特許文献2、並びに2018年7月5日公開の特許文献3にて概述されているので、それら全ての全容を本願に繰り入れることとする。
【0021】
本願での更なる認識によれば、計量ターゲット内諸要素を対称構成の態に配列することで、その対称性の利用を踏まえ要素相対位置判別を容易に実現することができる。例えば、オーバレイ計量ターゲットを、第1標本層上の諸要素の対称中心が第2標本層上の諸要素の対称中心と重なるように形成することができる。こうすることで、作成された計量ターゲットにて第1層内諸要素が第2層内諸要素に対し呈する全ての対称中心間差異を、オーバレイ誤差に帰すことができる。オーバレイ計量ターゲット(例.先進イメージング計量(AIM)ターゲット)における対称性の利用が、2006年6月27日発行の特許文献4、2005年7月26日発行の特許文献5、並びに2007年2月13日発行の特許文献6にて概述されているので、参照によりそれら全ての全容を本願に繰り入れることとする。
【0022】
本件開示の諸実施形態は、少なくとも1個のワーキングゾーンを有するオーバレイ計量ターゲットであり、1個又は複数個のモアレパターンが対称分布をなして並ぶものを、指向するものとすることができる。例えば、そのワーキングゾーン内のモアレパターンを、鏡面対称分布又は回転対称分布(例.90°回転対称分布、180°回転対称分布等)の態で分布させることができる。こうして、モアレパターンの長所と計量ターゲットにおける対称性の長所とを組み合わせ、一緒に利用することで、正確でロバストなオーバレイ計量を容易に実現することができる。
【0023】
本願での認識によれば、モアレパターンの1個又は複数個の発現物(インスタンス)を含むワーキンググループに対する物理的オーバレイ誤差の影響は、本願既述の通り、モアレフリンジのシフトがもとで対称中心がシフトすることであろう。従って、その対称中心に基づくあらゆるオーバレイ計測を、モアレ利得因数に基づき調整する必要がある。本願での更なる認識によれば、そのモアレ利得因数は、オーバレイ計量ターゲットにおける諸要素の具体的配列によって左右されうる。
【0024】
図1は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計量システム100のブロック図である。本計量システム100では、標本102の1枚又は複数枚の画像を、少なくとも1個の検出器104上で、本件技術分野で既知な何れかの方法を用い生成することができる。
【0025】
ある実施形態では、計量システム100に備わる照明源106により照明ビーム108が生成される。照明ビーム108には一通り又は複数通りの指定波長の光を含めることができ、またそのなかに、これに限られるものではないが真空紫外輻射(VUV)、深紫外輻射(DUV)、紫外(UV)輻射、可視輻射又は赤外(IR)輻射を含めることができる。更に、照明源106により生成される照明ビーム108を、どのような範囲の指定波長群を含むものともすることができる。別の実施形態によれば、照明源106を、スペクトル可調照明源を有していて生成される照明ビーム108のスペクトルが可調なものと、することができる。
【0026】
照明源106は更に、どのような時間プロファイルを有する照明ビーム108を発生させるものとも、することができる。例えば、照明源106を、連続照明ビーム108、パルス照明ビーム108又は変調照明ビーム108を発生させるものとすることができる。加えて、照明ビーム108を、照明源106から自由空間伝搬により配給することも、光導波(例.光ファイバ、ライトパイプ等)により配給することもできる。ある種の実施形態によれば、照明ビーム108を非コヒーレント光で構成することができる。別種の実施形態によれば、照明ビーム108をコヒーレント光で構成することができる。
【0027】
また、ある実施形態では、照明源106に発し標本102に向かう照明ビーム108が照明路110を経由する。照明路110には、照明ビーム108を修飾及び/又は調光するのに適した1個又は複数個のレンズ112或いは付加的照明用光学部材114を、設けることができる。例えば、その1個又は複数個の照明用光学部材114のなかに、これに限られるものではないが1個又は複数個のポラライザ、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のビームスプリッタ、1個又は複数個のディフューザ、1個又は複数個のホモジナイザ、1個又は複数個のアポダイザ、1個又は複数個のビーム整形器、或いは1個又は複数個のシャッタ(例.機械シャッタ、電気光学シャッタ、音響光学シャッタ等)を、含めることができる。別例によれば、その1個又は複数個の照明用光学部材114のなかに、標本102上での照明角を制御する開口絞り、及び/又は、標本102上での照明の空間的拡がりを制御する視野絞りを、含めることができる。例えば、照明路110に、対物レンズ116の後方焦平面に対し共役な平面に所在する開口絞りを設け、それによりその標本のテレセントリック照明を行うこともできる。また、ある実施形態では、計量システム100が、照明ビーム108を標本102上に合焦させる対物レンズ116を有するものとされる。
【0028】
また、ある実施形態では標本102が標本ステージ118上に配置される。標本ステージ118は、計量システム100内での標本102の位置決めに適した何れの装置を有するものともすることができる。例えば、標本ステージ118を、直線並進ステージ、回動ステージ、ティップ/ティルトステージ等の何らかの組合せを有するものとすることができる。
【0029】
また、ある実施形態では、検出器104が、標本102に発する輻射(例.標本光120)を集光路122経由で捉えるよう構成される。例えば、集光路122に、これは必須ではないが集光レンズ(例.図1中の描写では対物レンズ116)、或いは1個又は複数個の付加的集光路レンズ124を設けることができる。この場合、検出器104により、標本102から反射又は散乱されてきた輻射(例.鏡面反射、拡散反射等によるもの)や、標本102にて発生した輻射(例.照明ビーム108の吸収に係るルミネッセンス等)を、受光することができる。
【0030】
集光路122には更に、これに限られるものではないが1個又は複数個の集光路レンズ124、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のポラライザ、或いは1個又は複数個のビームブロックを初め、対物レンズ116により集光された照明を差し向け及び/又は修飾する何個かの集光用光学部材126を設けることができる。加えて、集光路122には、検出器104上に形成される像における標本の空間的拡がりを制御する視野絞り、或いは、標本から来る照明の角度的拡がりを制御する開口絞りを設け、それを用い検出器104上に像を生成することができる。また、ある実施形態によれば、集光路122に、光学素子たる対物レンズ116の後方焦平面に対し共役な平面に所在する開口絞りを設け、それにより標本のテレセントリック撮像を行うことができる。
【0031】
検出器104は、標本102からの受光照明を計測するのに適し本件技術分野で既知な何れの種類の光学的検出器を有するものとも、することができる。例えば、検出器104を、これに限られるものではないが電荷結合デバイス(CCD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ、光電子増倍管(PMT)アレイ、或いはアバランシェフォトダイオード(APD)アレイ等、(例.静的動作モードにて)静止標本102の画像を1枚又は複数枚生成するのに適したセンサを、有するものとすることができる。更に、検出器104を、これに限られるものではないがマルチタップCMOSセンサを初め、1画素当たり複数個のタップが備わるマルチタップセンサを有するものと、することができる。この場合、マルチタップ画素内電荷を、その画素に向かう1個又は複数個の駆動信号に基づき、露出窓内の何れの指定タップにも差し向けることができる。従って、マルチタップ画素のアレイを有するマルチタップセンサにより、それぞれ関連画素の別々のタップに係る複数枚の画像を、単一の読出しフェーズ中に生成することができる。更に、本件開示の目的上、それら関連画素に接続された出力タップのことをマルチタップセンサのタップと呼ぶことができる。この場合、マルチタップセンサの各タップにて(例.読出しフェーズ中に)読出しを行うことで、個別画像を生成することができる。
【0032】
別例によれば、検出器104を、運動(例.走査動作モード)中の標本102の画像を1枚又は複数枚生成するのに適したセンサを有するものと、することができる。例えば、検出器104を、画素ローが内在するラインセンサを有するものとすることができる。この場合、計量システム100にて、その画素ローに対し垂直な走査方向に沿い計測視野内で標本102を並進させること、並びに連続露出窓内でそのラインセンサを連続クロッキングすることにより、いちどきに1ローの態で連続画像(例.ストリップ画像)を生成することができる。
【0033】
別例によれば、検出器104を、複数本の画素ロー及び読出しローが内在するTDIセンサを有するものとすることができる。TDIセンサの動作はラインセンサと同様なものとすることができるが、クロッキング信号に従いある画素ローから次の画素ローへと電荷が順次動かされ、その電荷がやがては読出しローに到達し、そこでその画像のローが生成される点で、異なる。この電荷転送(例.クロッキング信号に依拠するそれ)を走査方向沿い標本運動と同期させることで、諸画素ローに亘り電荷を蓄積させ続けること、ひいてはラインセンサに比し相対的に高い信号対雑音比を提供することができる。
【0034】
また、ある実施形態によれば、検出器104を、標本102に発する輻射の波長を識別するのに適した分光検出器を有するものと、することができる。また、ある実施形態によれば、計量システム100を、複数個の検出器104(例.1個又は複数個のビームスプリッタにより生成される複数本のビーム路に係るそれら)を有するものとすること、ひいてはその計量システム100による複数通りの計量計測を容易に行えるようにすることができる。例えば、計量システム100を、静止モード撮像に適する1個又は複数個の検出器104と、走査モード撮像に適する1個又は複数個の検出器104とを、有するものとすることができる。また、ある実施形態によれば、計量システム100を、静止及び走査の両撮像モードに適する1個又は複数個の検出器104を有するものと、することができる。
【0035】
ある実施形態では、図1に描かれている通り、計量システム100がビームスプリッタ128を有するものとされ、そのビームスプリッタ128が、標本102への照明ビーム108の差し向けと標本102に発する輻射の集光とが対物レンズ116により同時に行われるよう向き設定される。
【0036】
また、ある実施形態では標本102上への照明ビーム108の入射角が可調とされる。例えば、ビームスプリッタ128及び対物レンズ116を通る際の照明ビーム108の経路を調整することで、標本102上における照明ビーム108の入射角を制御することができる。この場合、ビームスプリッタ128及び対物レンズ116を経る際に照明ビーム108が採る公称経路を、照明ビーム108が標本102上で直交入射角を呈する経路とすることができる。別例によれば、標本102上における照明ビーム108の入射角を、ビームスプリッタ128上における照明ビーム108の位置及び/又は角度を(例.可回動鏡、空間光変調器、フリーフォーム照明源等により)修正することで制御することができる。別の実施形態では、照明源106により、1本又は複数本の照明ビーム108が標本102へと、ある角度(例.かすめ角、45°角等)にて差し向けられる。
【0037】
また、ある実施形態では計量システム100内にコントローラ130が設けられる。また、ある実施形態では、そのコントローラ130が1個又は複数個のプロセッサ132を有するものとされ、記憶媒体134上に保持されているプログラム命令群を実行するようそのプロセッサ132が構成される。この場合、コントローラ130に備わる1個又は複数個のプロセッサ132により、本件開示の随所に記載されている様々な処理ステップの何れを実行させることもできる。更に、コントローラ130を、これに限られるものではないが検出器104からの標本102の画像を初め、データを受け取るように構成することができる。
【0038】
コントローラ130に備わる1個又は複数個のプロセッサ132のなかには、本件技術分野で既知なあらゆる処理素子を含めることができる。その意味で、その1個又は複数個のプロセッサ132のなかには、アルゴリズム及び/又は命令群を実行するよう構成されたあらゆるマイクロプロセッサ型デバイスを含めることができる。ある実施形態によれば、その1個又は複数個のプロセッサ132を、デスクトップコンピュータ、メインフレームコンピュータシステム、ワークステーション、イメージコンピュータ、並列プロセッサ、或いはプログラムを実行するよう構成された他の何らかのコンピュータシステム(例.ネットワーク接続されたコンピュータ)で構成し、そのプログラムを適宜構成することで、本件開示の随所に記載の如く計量システム100を動作させることができる。更なる認識によれば、語「プロセッサ」は広義に定義されうるものであり、それにより、非一時的記憶媒体134から得たプログラム命令群を実行する処理素子を1個又は複数個有するデバイス全てを、包括することができる。更に、本件開示の随所に記載されている諸ステップを、単一のコントローラ130により実行してもよいし、それに代え複数個のコントローラにより実行してもよい。加えて、コントローラ130を1個又は複数個のコントローラが備わるものとしてもよく、それを共通ハウジング内に収容してもよいし、複数個のハウジング内に収容してもよい。このやり方であれば、どのようなコントローラであれ、またどのような組合せのコントローラ群であれ、計量システム100内への組込みに適したモジュールとして個別パッケージングすることができる。更に、コントローラ130が検出器104からの受領データを分析し、そのデータを計量システム100内又は計量システム100外の付加的な部材に送るようにしてもよい。
【0039】
記憶媒体134には、1個又は複数個の連携先プロセッサ132により実行可能なプログラム命令群を格納するのに適し本件技術分野で既知な、あらゆる格納媒体を含めることができる。例えば、記憶媒体134のなかに非一時的記憶媒体を含めることができる。別例によれば、記憶媒体134のなかに、これに限られるものではないがリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光学記憶デバイス(例.ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等を含めることができる。更に注記されることに、記憶媒体134を、1個又は複数個のプロセッサ132と共に共通コントローラハウジング内に収容することもできる。ある実施形態によれば、記憶媒体134を、1個又は複数個のプロセッサ132及びコントローラ130の物理的な居所に対しリモート配置することもできる。例えば、コントローラ130に備わる1個又は複数個のプロセッサ132が、ネットワーク(例.インタネット、イントラネット等)を介しアクセス可能なリモートメモリ(例.サーバ)に、アクセスするようにしてもよい。従って、上掲の記述は、本発明に対する限定事項としてではなく、単なる例証として解されるべきである。
【0040】
また、ある実施形態ではコントローラ130が計量システム100の構成要素1個又は複数個に可通信結合される。この場合、コントローラ130が計量システム100の任意部材にデータを送ること及び/又はそこからデータを受け取ることができる。更に、コントローラ130が、それら連携先部材向けに1個又は複数個の駆動信号を生成することで、計量システム100の任意部材に対し指令等して制御することができる。例えば、コントローラ130を検出器104に可通信結合させ、その検出器104から1枚又は複数枚の画像を受け取れるようにすることができる。
【0041】
更に、コントローラ130から検出器104に1個又は複数個の駆動信号を供給し、本願記載の検出技術のうち何れかを実行させることができる。別例によれば、コントローラ130を、これに限られるものではないが照明源106、照明用光学部材114、集光用光学部材126、検出器104等を初め、画像に係る光学的構成を制御する部材の何らかの組合せに、可通信結合させることができる。
【0042】
図2Aは、複数個の回転対称的ワーキングゾーン内の格子オーバ格子構造をもとにしたモアレパターンを呈する、計量ターゲット202の上面図である。図2Bは、図2Aのモアレパターン内にある多層格子構造の概念図である。
【0043】
計量ターゲット202は、第1モアレパターン206の2個のインスタンスで形成された第1ワーキングゾーン204を有し、第1ワーキングゾーン204が回転対称となるようそれらインスタンスが並ぶものと、することができる。また、ある実施形態では、計量ターゲット202が、第2モアレパターン210の2個のインスタンスで形成された第2ワーキングゾーン208を有し、第2ワーキングゾーン208が回転対称となるようそれらインスタンスが並ぶものとされる。本件開示の文脈上、ワーキングゾーンとは、一緒に分析されることが想定されている一群のフィーチャのことである。例えば、あるワーキングゾーンの特性を別のワーキングゾーンの特性と比較することで、オーバレイ計測を実行することができる。
【0044】
図2Aに描かれている通り、オーバレイ誤差がない状況では、第1ワーキングゾーン204及び第2ワーキングゾーン208が、対称中心212を巡る180°回転について対称となる。
【0045】
図2A中の計量ターゲット202は、2006年6月27日発行の特許文献4、2005年7月26日発行の特許文献5並びに2007年2月13日発行の特許文献6にて概述されている先進イメージング計量(AIM)ターゲットのそれに類似する回転対称性特性を、有するものとすることができる。しかしながら、典型的AIMターゲット内の各ワーキングゾーンでは諸フィーチャが単一層内に設けられるのに対し、計量ターゲット202に備わる少なくとも1個のワーキングゾーン(例.第1ワーキングゾーン204及び第2ワーキングゾーン208)では、モアレパターンが、複数個の注目層内の格子構造により形成される。図2Bに描かれている通り、第1のモアレパターン206は、第1層(層A)内にありピッチQを有する第1格子構造214と、第2層(層B)内にありP≠QたるピッチPを有する第2格子構造216とにより、形成される。更に、第2のモアレパターン210が、第1層(層A)内にありピッチTを有する第3格子構造218と、第2層(層B)内にありS≠TたるピッチSを有する第4格子構造220とにより、形成される。一般にP、Q、S及びTの値は独立に変化させうるので、図2A及び図2Bにより一般的なモアレAIMターゲットを表現することができる。
【0046】
等式(1)及び(2)との関連で本願既述の通り、第1ワーキングゾーン204でのモアレピッチ(pM1)は
【0047】
M1=QP/(Q-P) (3)
となり、第2ワーキングゾーン208でのモアレピッチ(pM2)は
【0048】
M2=ST/(S-T) (4)
となる。
【0049】
第1ワーキングゾーン204での条件付モアレ因数(M)は、層Bに対する層Aのミスアライメント(誤整列)に係る
【0050】
=P/(P-Q) (5)
となり、第2ワーキングゾーン208での条件付モアレ因数(M)は、層Bに対する層Aのシフトに係る
【0051】
=S/(S-T) (6)
となる。同様に、層Aに対する層Bのシフトにより、M=Q/(Q-P)及びM=T/(T-S)が得られることとなろう。
【0052】
実施形態によっては、第1モアレパターン206及び/又は第2モアレパターン210内の格子オーバ格子構造が、個別格子が全面重複するものとなる。例えば、第1モアレパターン206の第1格子構造214と第2格子構造216とが、標本102上で全面的に重なるようにしてもよい。同様に、第2モアレパターン210の第3格子構造218と第4格子構造220とが、標本102上で全面的に重なるようにしてもよい。こうすることで、計量ターゲット202のサイズを最小化し、標本102上のスペースの効率的利用に資することができる。
【0053】
モアレパターン同士が隣り合っている計量ターゲット202では、クロストークが生じがちである。更に、クロストークのひどさは、これに限られるものではないがスタック厚、素材特性、格子デザイン、或いは計測システム(例.計量システム100)のコンディションを初め、幾つかの要因により左右されうる。計量ターゲット202を、ワーキングゾーン間或いは別々のワーキングゾーンに係るモアレパターン間に除外ゾーンがあるものとすることで、指定公差の枠内までクロストークを減らすことができる。例えば、第1モアレパターン206のインスタンスと第2モアレパターン210のそれとを、十分に広い除外ゾーン222で以て隔てることで、それらに対応するモアレフリンジ間のクロストークを、指定公差の枠内まで軽減することができる。ある種の実施形態では、除外ゾーン222が0.25~0.5μmの範囲内のもの或いはより広いものとされる。
【0054】
除外ゾーン222内が空き地であってもよいし、サブ分解能アシストフィーチャ群、例えばある種のデザインルールで必要とされうるそれらで以て満たされていてもよい。ある実施形態では、除外ゾーン222が、計測方向(ここではX方向)に直交する向きのサブ分解能アシストフィーチャで以て満たされる。概して、各ワーキングゾーンが回転対称である限りは、各ワーキングゾーン内の諸要素(モアレパターンを含む)を、クロストークを指定公差の枠内まで軽減するのに適した何れの2D分布に従い配置してもよい。
【0055】
更に、図2Aに示したワーキングゾーンはある単一方向(例.X方向)に沿った計測に係るものであるが、付加的な方向(例.Y方向)に沿った計測に係る計量ターゲット202及び方法も本件開示の神髄及び技術的範囲の枠内とする。計量ターゲット202に、Y方向沿い計測に適する第3ワーキングゾーン224及び第4ワーキングゾーン226を設けてもよい。更に、第3ワーキングゾーン224及び/又は第4ワーキングゾーン226内の諸フィーチャを、オーバレイ計測に適する何らかのフィーチャを有するものとすることや、これは必須ではないが1個又は複数個のモアレパターンが内在するものとすることができる。また、ある実施形態では、図示しないが、計量ターゲット202に、複数方向(例.X及びY方向)沿いに周期的フィーチャがある2Dモアレパターンを呈する、ワーキングゾーンが設けられる。この場合、その2Dモアレパターンには、それら複数方向に沿い同時にモアレフリンジが現れうることとなり、従って複数方向沿い同時オーバレイ計測に適するものとなりうる。
【0056】
図2Cは、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係り、直交二方向沿い計測用であり図2A及び図2Bに基づいている計量ターゲット202の上面図である。具体的には、図2Cに描かれている計量ターゲット202で表されているのは、P=T及びQ=Sなる例である。更に、図2Cに描かれているのは、X方向又はY方向沿いのオーバレイ誤差がない状況である。この場合、第1ワーキングゾーン204の対称軸と第2ワーキングゾーン208のそれとが、X及びYの両方向に沿い重なり合う(例.第1ワーキングゾーン204の対称軸と第2ワーキングゾーン208のそれとが重なり合う)。とはいえ、ご理解頂ける通り、図2C及びそれに関連する記述は、専ら例証目的で提示されたものであり、限定として解されるべきものではない。
【0057】
ある実施形態では、計量ターゲット202が、X方向沿い計測用第1モアレパターン206の2個のインスタンスを伴う第1ワーキングゾーン204と、第2モアレパターン210の2個のインスタンスを有する第2ワーキングゾーン208と、Y方向沿い計測用第1モアレパターン206の2個のインスタンスを伴う第3ワーキングゾーン224と、垂直方向沿い計測用第2モアレパターン210の2個のインスタンスを伴う第4ワーキングゾーン226とを、有するものとされる。この場合、第3ワーキングゾーン224及び第4ワーキングゾーン226は、それぞれ、第1ワーキングゾーン204及び第2ワーキングゾーン208の回転版となる。
【0058】
本願での認識によれば、モアレ利得は計量ターゲット202の具体的レイアウトにより左右される。例えば、図2Aの計量ターゲット202に係るモアレ利得因数(M)は、オーバレイを層Bに対する層Aのシフトに関連付けて、
【0059】
=M-M=P/(P-Q)-S/(S-T)=-(Q/(Q-P)-T/(T-S)) (7)
と特徴記述することができる。同様に、層Bに対する層Aのシフトに係るモアレ利得因数は、-M=M-Mと特徴記述することができる。
【0060】
等式(7)により明証されている通り、モアレ利得は第1モアレパターン206及び第2モアレパターン210に係る条件付モアレ因数に影響されるものであり、それら条件付モアレ因数が更に格子ピッチP、Q、S及びTの具体値の関数となっている。従って、格子ピッチP、Q、S及びTの値を適宜選定することで合成モアレ利得を、ひいては物理的オーバレイ誤差に対する感度を、最適化例えば向上させることができる。例えば、第1ワーキングゾーン204のモアレ利得と第2ワーキングゾーン208のそれとが別々の符号を有することとなるよう格子ピッチP、Q、S及びTの値を選定することで、一般に、合成モアレ利得を高めることができる。
【0061】
モアレパターン概念に関する更なる明瞭化のため、図3には、それぞれ別々の周期を有する2個の格子層の干渉に起因する、見掛け上のモアレ周期が描かれている。図示の通り、第1格子層の周期を周期301、第2格子層の周期を周期303とすることができ、見掛け上のモアレパターンを、それら第1及び第2格子層の干渉に起因する見掛け上のモアレ周期305を有するものとすることができる。
【0062】
図4には、少なくとも1個のモアレパターン層405(例.一組のターゲットフィーチャ)が少なくとも1個のデバイス層403(例.一組のデバイスフィーチャ)に重なっているオーバレイ計量ターゲットが、描かれている。図4のオーバレイ計量ターゲットは、図2A図3との関連で述べた計量ターゲット202の諸フィーチャ(例.格子構造、ワーキングゾーン、見掛け上のモアレパターン等)の何れを有するものとも、することができる。
【0063】
ある種の実施形態によれば、オーバレイ計量ターゲットを、標本の第1層403上に一組のデバイスフィーチャが備わるものにすることができる。その一組のデバイスフィーチャのうち少なくとも一部分を、周期的でありデバイス周期を有するものにすることができる。その一組のデバイスフィーチャを、ランダムアクセスメモリフィーチャ(例.ダイナミックランダムアクセスメモリ[DRAM]フィーチャ及びスタティックランダムアクセスメモリ[SRAM]フィーチャのうち少なくとも一方)相当のものにすることができる。その一組のデバイスフィーチャを、標本の第1層上にある全部のデバイスフィーチャのうち一部分の複製部分を含むものにすることができる(例.その複製部分を、機能的なデバイスフィーチャではなくオーバレイ計量計測目的専用に作成されたものにすることができる)。他の諸実施形態によれば、その一組のデバイスフィーチャを、標本の第1層上にある全部のデバイスフィーチャのうち一部分を含むものにすることができる(全部のデバイスフィーチャのうちその部分を、全面的に機能的なデバイスフィーチャであり計測目的専用には作成されていないものにすることができる)。
【0064】
ある種の実施形態によれば、標本の第2層405上の第1組のターゲットフィーチャを、その一組のデバイスフィーチャと重ならせることができる。その第1組のターゲットフィーチャを、周期的であり第1計測周期を有するものにすることができる。その第1計測周期を、検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるように、選定することができる。その第1組のターゲットフィーチャを、例えば、図2Bとの関連で述べた通り、格子構造214、216、218及び/又は220と実質的に同様なものにすることができる。
【0065】
ある種の実施形態によれば、標本の第2層405上の第2組のターゲットフィーチャを、その一組のデバイスフィーチャと重ならせることができる。その第2組のターゲットフィーチャを、周期的であり第2計測周期を有するものにすることができる。その第2計測周期を、検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるように、選定することができる。その第2組のターゲットフィーチャを、例えば、図2Bとの関連で述べた通り、格子構造214、216、218及び/又は220と実質的に同様なものにすることができる。
【0066】
ある種の実施形態では、第1組のモアレフリンジ及び第2組のモアレフリンジの相対位置により、標本の第1層とその標本の第2層との間のオーバレイ誤差が示される。そのオーバレイ誤差を、デバイス周期、第1計測周期及び第2計測周期に係るモアレ利得因数により第1組のモアレフリンジ及び第2組のモアレフリンジの相対位置を除することによって、判別することができる(例.図2A図2Cに関する記述を参照)。実施形態によっては、第2計測周期を第1計測周期と異なるものにすることや、デバイス周期を検出器の分解能未満にすることができる。
【0067】
ある種の実施形態によれば、オーバレイ計量システムを、標本(例.標本102)を照明する照明源(例.照明源106)が備わるものにすることができる。その標本を、図4との関連で述べたオーバレイターゲットを有するものにすることができる。そのオーバレイ計量システムを更に、その照明源により照明されているときにそのオーバレイターゲットを撮像するよう構成された検出器(例.検出器104)が備わるものに、することができる。その第1計測周期を、その検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるように、選定することができ、その第2計測周期を、その検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるように、選定することができる。
【0068】
そのオーバレイ計量システムを更に、その検出器に可通信結合されたコントローラが備わるものにすることができる。そのコントローラを、プログラム命令を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサを有するものとし、それらプログラム命令に従いその1個又は複数個のプロセッサに、(1)そのオーバレイターゲットの画像を受け取らせ、(2)その画像における第1のモアレフリンジ及び第2のモアレフリンジの相対位置を見掛け上のオーバレイ誤差として計測させ、そして(3)デバイス周期、第1計測周期及び第2計測周期に係るモアレ利得因数によりその見掛け上のオーバレイ誤差を調整することによって標本の第1層とその標本の第2層との間のオーバレイ誤差を判別させるように、することができる。
【0069】
図5は、オーバレイ計量ターゲット作成方法が描かれているフローチャート500である。
【0070】
ステップ510では、一組のデバイスフィーチャを標本の第1層上に作成することができる。その一組のデバイスフィーチャのうち少なくとも一部分を、周期的でありデバイス周期を有するものにすることができる。その一組のデバイスフィーチャを、ランダムアクセスメモリフィーチャ(例.ダイナミックランダムアクセスメモリ[DRAM]フィーチャ及びスタティックランダムアクセスメモリ[SRAM]フィーチャのうち少なくとも一方)相当のものにすることができる。その一組のデバイスフィーチャを、標本の第1層上にある全部のデバイスフィーチャのうち一部分の複製部分を含むものにすることができる(例.その複製部分を、機能的なデバイスフィーチャではなくオーバレイ計量計測目的専用に作成されたものにすることができる)。他の諸実施形態によれば、その一組のデバイスフィーチャを、標本の第1層上にある全部のデバイスフィーチャのうち一部分を含むものにすることができる(全部のデバイスフィーチャのうちその部分を、全面的に機能的なデバイスフィーチャであり計測目的専用には作成されていないものにすることができる)。
【0071】
ステップ520では、第1組のターゲットフィーチャを、その標本の第2層上に作成し且つその一組のデバイスフィーチャに重ねることができる。その第1組のターゲットフィーチャを、周期的であり第1計測周期を有するものにすることができる。その第1計測周期を、検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるものにすることができる。その第1組のターゲットフィーチャを、例えば、図2Bとの関連で述べた通り、格子構造214、216、218及び/又は220と実質的に同様なものにすることができる。
【0072】
ステップ530では、第2組のターゲットフィーチャを、その標本の第2層上に作成し且つ第1組のターゲットフィーチャと重ねることができる。その第2組のターゲットフィーチャを、周期的であり第2計測周期を有するものにすることができる。その第2計測周期を、その検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるものにすることができる。その第2組のターゲットフィーチャを、例えば、図2Bとの関連で述べた通り、格子構造214、216、218及び/又は220と実質的に同様なものにすることができる。
【0073】
図6は、オーバレイ誤差判別方法が描かれているフローチャート600である。
【0074】
ステップ610では、照明源(例.照明源106)を用い標本(例.標本102)を照明することができる。その標本を、図4との関連で述べた通り、オーバレイターゲットを有するものにすることができる。そのオーバレイターゲットを、その標本の第1層上に一組のデバイスフィーチャが備わるものにすることができる。その一組のデバイスフィーチャのうち少なくとも一部分を、周期的でありデバイス周期を有するものにすることができる。そのオーバレイターゲットを更に、その標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャと重なっている第1組のターゲットフィーチャが備わるものに、することができる。その第1組のターゲットフィーチャを、周期的であり第1計測周期を有するものにすることができる。そのオーバレイターゲットを更に、その標本の第2層上にありその一組のデバイスフィーチャと重なっている第2組のターゲットフィーチャが備わるものに、することができる。その第2組のターゲットフィーチャを、周期的であり第2計測周期を有するものにすることができる。
【0075】
ステップ620では、その照明源により照明されているとき検出器(例.検出器104)によりそのオーバレイターゲットを撮像することができる。その第1計測周期を、その検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第1組のモアレフリンジがもたらされるように選定することができ、その第2計測周期を、その検出器によりそのターゲットを撮像したときその検出器にとり可視な第2組のモアレフリンジがもたらされるように選定することができる。
【0076】
ステップ630では、コントローラ(例.コントローラ130)により、そのオーバレイターゲットの画像を受け取ることができる。そのコントローラを、検出器と可通信結合されたものにすることができる。そのコントローラを、プログラム命令(例.メモリ134上に格納されているそれ)を実行するよう構成された1個又は複数個のプロセッサ(例.プロセッサ132)を有するものにし、それらプログラム命令に従いその1個又は複数個のプロセッサにオーバレイ誤差判別の諸ステップを実行させることができる。
【0077】
ステップ640では、その画像における第1のモアレフリンジ及び第2のモアレフリンジの相対位置を、見掛け上のオーバレイ誤差として計測することができる。
【0078】
ステップ650では、デバイス周期、第1計測周期及び第2計測周期に係るモアレ利得因数によりその見掛け上のオーバレイ誤差を調整することによって、その標本の第1層とその標本の第2層との間のオーバレイ誤差を判別することができる。
【0079】
本願記載の主題は、様々な部材が他の部材に含まれ又は接続・連結された態で描出されている。理解し得るように、それら図示構成は単なる例示であり、実のところは、他の多くの構成を実施して同じ機能を達成することができる。概念的には、どのような部材配置であれ同じ機能を達成するものは、効果的な「連携」によってその所望機能を達成しているのである。従って、本願中の何れの二部材であれ特定機能を達成しうるよう組み合わされているものは、その所望機能を達成しうるよう互いに「連携」していると見ることができ、構成や介在部材の如何は問われない。同様に、何れの二部材であれそのように連携しているものも、その所望機能が達成されるよう互いに「接続・連結」又は「結合」されているものとして見ることができ、また、何れの二部材であれそのように連携させうるものも、その所望機能を達成しうるよう互いに「結合可能」なものとして見ることができる。結合可能、の具体例としては、これに限られるものではないが、部材同士が物理的に相互作用可能であり及び/又は物理的に相互作用すること、及び/又は部材同士が無線的に相互作用可能であり及び/又は無線的に相互作用すること、及び/又は部材同士が論理的に相互作用可能であり及び/又は論理的に相互作用すること、がある。
【0080】
本件開示及びそれに付随する長所の多くは上掲の記述により理解されるであろうし、開示されている主題から離隔することなく又はその重要な長所全てを犠牲にすることなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な変形を施せることが、明らかであろう。記述されている形態は単なる例示であり、後掲の特許請求の範囲の意図は、そうした変形を包括及び包含することにある。更に、本発明を定義しているのは添付する特許請求の範囲である。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】